1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月二十三日(木曜日)
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議事日程 第二十九号
昭和四十三年五月二十三日
午後二時開議
第一 国債整理基金特別会計法の一部を改正す
る法律案(第五十五回国会、内閣提出)(参
議院送付)
第二 日本学校安全会法の一部を改正する法律
案(内閣提出、参議院送付)
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○本日の会議に付した案件
田中国務大臣の観光基本法に基づく昭和四十二
年度年次報告及び昭和四十三年度観光政策に
ついての発言及び質疑
日程第一 国債整理基金特別会計法の一部を改
正する法律案(第五十五回国会、内閣提出)
(参議院送付)
日程第二 日本学校安全会法の一部を改正する
法律案(内閣提出、参議院送付)
保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案
(参議院提出)
午後二時五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/0
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001・小平久雄
○副議長(小平久雄君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/1
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002・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 田中国務大臣から、観光基本法に基づく昭和四十二年度年次報告及び昭和四十三年度観光政策について発言を求められております。これを許します。国務大臣田中龍夫君。
〔国務大臣田中龍夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/2
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003・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 昭和四十二年度観光の状況に関する年次報告及び昭和四十三年度において講じようとする観光政策につきまして御説明いたします。
この報告及び政策は、観光基本法第五条の規定に基づき、政府が毎年国会に提出することと相なっており、今回は第五回目のものでございます。
初めに、観光の状況に関しまする年次報告につきまして御説明いたします。
まず、国際観光につきましては、昭和四十二年の来訪外客数は、国際政情の不安定、ポンド切り下げ、ドル不安等の影響から、前年に比べまして一〇%増の四十七万七千人にとどまりました。他方、邦人の海外旅行者数は、依然として増加を続けまして、前年に比べまして二五%増の四十二万八千人と相なっております。このため、わが国の海外旅行収支は一段と悪化し、その赤字幅は前年より一千七百五十万ドル増加して、五千六百三十万ドルと相なっております。
このような海外旅行収支の赤字は今後も一そう増加することが予想せられ、また、最近の米国のドル防衛策の一環としての海外旅行抑制策がわが国に与えまする影響も大きいものと思われますので、その改善策が緊急の課題でございますが、世界の大勢が観光渡航の自由化に向かっておりますることから見まして、当面は、邦人の海外旅行の抑制という方向ではなく、積極的に外客を誘致する方策を講じ、受け入れ体制の整備を促進することによりまして、受け取り額の増加をはかることが必要でございます。
次に、国民観光につきましては、所得水準の向上、余暇の増大等にささえられまして年々盛んになっております。昭和四十一年に全国の観光地を訪れました観光客の数は、三十七年の一・五倍に当たりまする八億二千万人でございまして、また厚生省や日本観光協会の調査によりますれば、調査対象者の四七%以上が過去一年間に一泊以上の観光旅行をいたしております。これらの観光旅行の形態を見ますると、家族旅行や個人、グループ旅行の割合の増大、ドライブ旅行の増加、青少年の旅行の増加という顕著な変化が見られます。
このような旅行量の増大と旅行形態の変化に対応いたしまして、長期的な展望に基づき、受け入れ体制の総合的な整備をはかることが、今後の国民観光の課題でございます。
また近年、宅地開発、産業開発、観光開発等の進展に伴いまする自然景観、文化財等の破壊が問題と相なっておりまするが、これにつきましては、各種の開発と観光資源の保護との相互調整に関しまする基準をすみやかに確立する必要があるのでございます。
なお、以上の諸問題につきましては、目下、観光政策審議会におきまして長期的展望のもとに諸施策を検討いたしております。
以上をもちまして昭和四十二年度観光の状況に関する年次報告についての説明を終わります。
次に、昭和四十三年度において講じようとする観光政策につきまして御説明いたします。
この政策は、ただいま御説明いたしました観光の状況を考慮し、観光政策審議会の意見を聞いて作成したものでございます。
まず、国際観光につきましては、国際観光振興会の活動を質量ともに充実させ、また国際会議、行事の誘致活動を一そう強化いたしまするとともに、在外公館や日本貿易振興会との連絡協調を密にして、一体的な宣伝体制を整備することといたしております。また、大量高速輸送機の就航や、日本万国博覧会の開催を数年後に控えまして、国際航空路線網を一段と増強し、国際空港や港湾の整備を促進するほかに、出入国手続の面でも簡易化、迅速化を目標にいたしまして、その改善をはかることといたしております。さらに、受け入れ体制に関しましては、来訪外客の多様化に対応いたしまして、中級宿泊施設を重点的に整備することといたしております。
国民観光につきましては、旅行量の増大と旅行形態の変化に対処するため、また特定地域への観光客の集中を緩和し、家族旅行その他の健全な観光旅行を容易にいたしまするために、低廉で快適な宿泊施設の整備をはじめ各種受け入れ施設の整備、関係事業者のサービスの向上等に必要な施策を実施することといたしております。
観光資源の保護につきましては、自然公園の管理体制の強化、新たな国定公園の指定、明治百年を記念いたしまする森林公園等の整備、古都におきまする歴史的風土の保存、文化財の保護体制の強化等の措置を進めるほかに、観光道徳の普及につとめ、観光資源の棄損の防止、観光地の美化をはかることといたしております。
なお、観光旅行者の安全の確保につきましては、交通関係諸施設の整備、交通安全運動の実施、消防法や建築基準法に基づきまする消火設備、避難設備等の設置の促進、従業員に対する所要の教育訓練の徹底等をはかることによりまして、交通事故、火災事故等の災害から観光旅行者を保護することといたしております。
以上をもちまして昭和四十二年度観光の状況に関する年次報告及び昭和四十三年度において講じようとする観光政策につきまして、御説明を終わります。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/3
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004・小平久雄
○副議長(小平久雄君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。井上泉君。
〔井上泉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/4
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005・井上泉
○井上泉君 私は、日本社会党を代表して、いま報告説明されました、いわゆる観光白書について、佐藤総理並びに関係大臣に質問をいたすものであります。
それに先立ちまして、このたびの十勝沖地震により大きな被害を受けた北海道、東北地方の被災地区の皆さま方の復興への必死の努力に対し、あたたかい政治、すみやかな行政の手が十分に差し伸ばされ、落ちついた生活環境が一日も早く実現され、そうして気分一新のための観光への意欲が燃え出ることを切に期待するものであります。(拍手)
さて第一に、佐藤総理は、いままでに数回の国会におきまして、わが党議員の質問に対して、どういう答弁をなされてきたのかということを御記憶なさっておるでありましょうか。国会における答弁が誠意をもってなされ、発言したことに対し責任を持たねばならないことは、言うまでもありません。観光政策においても、観光基本法に基づいた積極政策がとられてまいったでありましょうか。一向にその姿の見出されないのは残念であります。(拍手)昨年、わが党の内藤議員が、「観光政策は山びこ政策である。声はすれども姿は見えない。」と言ったが、そのことばは今日も同様に指摘される実態であります。(拍手)そこで、あなたは、この観光政策についての国会答弁と、実際に行なっている政策との開きについて、どういう反省をなされておるのか、その反省についてのあなたのお気持ちを聞かせていただきたいと思います。あなたに自己批判を求めることは、あるいは困難かもしれませんけれども、一国の総理大臣ですから、それだけの自己批判はあってしかるべきだと思います。
そこで私は、今回の一省庁一局削減に際して、運輸省の観光局、厚生省の国立公園局等、わが国の観光行政を推進すべき柱であるべきものが削減されたということ、これだけをもっていたしましても、明らかに観光政策の後退であると指摘せざるを得ません。(拍手)中曾根運輸大臣は、このことに対して、「一歩退却、二歩前進」と言われましたが、この観光行政が各省庁にまたがっておる以上は、これはやはり総理としての姿勢の問題であります。昨年の国会でも、各省庁間の協力体制をつくるために、観光対策連絡協議会を総理府に設け、総務長官が議長となって云々と言っておりましたけれども、この観光対策連絡協議会にいたしましても、正式にやった会合はわずかに二回でございます。これをもって各省の連絡調整が行なわれたとするならば、これは全く笑止千万な話でございます。これが事実機能を果たしておるとするならば、総理もしくは総務長官からこれについての見解を承りたいと思います。
次に、この観光行政の柱というべき国立公園局、観光局を廃止したあとに、どんな機構を考えておられるのか。総理府を窓口とは言いますけれども、結局同じような状態が繰り返されるだけであって、もっと行政を推進する柱であるべき厚生省なり、運輸省なりが、その総合調整の窓口に当たるべきではないかと思うのでありますが、その点についての総理大臣の見解を承りたいと思います。(拍手)
次に、観光収支の赤字の問題につきまして、白書は第一に、米国の大企業等による招待旅行の減少、あるいは香港動乱や中東の政情不安定、こういうことを指摘しています。そのことは、アメリカの経済危機、ベトナム戦争が重大な影響を与えていることは論ずるまでもありません。いかに平和が観光と結びついているかということを証明しておるのであります。日米安保条約によって、この美しい私どもの国土が、空に海に、アメリカの軍事体制の中に巻き込まれ、戦争の危険が一ぱいの状態であることは、いかに観光宣伝をしても、外国旅行者をして日本へ足を運ばすことにはならないでしょう。同時に、この現実が、日本の国際観光における赤字をますます増大せしめていくということを考えた場合に、赤字増大の原因は、他国ではなくして、日本国みずからがつくり出しているということではないでしょうか。そこで私は、国際観光の年といわれました本年におきまして、「観光は平和へのパスポート」という国連のスローガン、これについての総理の見解をいま一度承りたいと思います。
次に、国内観光の問題でございますが、観光資源の開発、保護について白書ももろもろの指摘をいたしております。あるいはまた観光直接経費、関連経費をまとめますと、一兆円以上のものがいわゆる観光関連経費として計上されておりますが、私どもは、巨額の投資をして観光施設をつくるのではなくして、自然の景観を生かして地域開発を行なうこと、その中に国民の健康と慰安が得られてこそ、国内観光資源開発のほんとうの意義があると思います。貧しい日本農業の姿を示しておるような能登半島の千枚田を観光資源として売り込むような、そういう貧しい日本の国の観光の姿であってはならないと思います。
総じて、景観の美しいところは大半が僻地であります。白書のいう観光資源の開発は、すなわち地域開発の中にこそあると思います。それを端的に理想的な姿で示しているものは、あの天草五橋だと思います。天草諸島に橋がかかったことにより、あの島々が観光的にも産業的にもきわめて飛躍的に発展したことは、あなたも御承知と思います。私はこのことを考えました場合に、今日、この天草諸島を結んだ架橋とは比較にならない規模の大きさと、観光的にも経済的にも、さらに地域開発の面からも、きわめて重要度の高いのが本土−四国の架橋でございます。(拍手)この本土−四国の架橋の問題をいつまでも政治運動の中に置くのではなくして、明年度あたりからは着工の段階に入るべきだと考えます。自然の景観に恵まれた瀬戸内海の島々を結び、産業的にもきわめて未開発な四国と本土を結びつけて、黒潮がおどるところのいわゆる竜馬が行く太平洋の景観の中に、国際観光ルートを設定するということ、これは何とすばらしい夢ではないでしょうか。(拍手)この夢を実現さすのがあなたの政治的責任であろうと思います。そこで私は、国際的にも国内的にもあらゆる面から考えて最も重要なこの国家的大事業に対し、この架橋が単に道路橋ということだけではなくして、併用橋として決断を下され、すみやかに着工されるように、もうそろそろ決定をなされてもよい時期ではないかと思うので、その点についての総理の所見を承りたいと思います。(拍手)
次に、厚生大臣にお伺いします。
国立公園局が廃止されることについて、実質的に影響はないと言われますけれども、観光行政の面からいえば、確かに後退であることには間違いないと思います。ことに、国立公園の地域は国際的にも重要な景観地区であります。むしろ国立公園局として積極的に推進してこそ、観光政策、自然保護に熱意ありといえるでしょうが、厚生大臣としていかなる方針で臨まれるか、承りたいと思います。
最近、厚生省は、海中における自然景観を保存して、観光資源の開発をはかろうとして自然公園法改正の計画あるやに承知をいたしました。日本の美しい海岸のその海中の景観を生かすということ、私はむしろ今日おそきに失したと思うわけでございますけれども、そのすみやかな実現のために、この海中公園を公園法の中に指定をするよう、いつ法律の改正をされる予定であるのか、その点について厚生大臣の見解を承りたいと思います。
さらに、この海中が公園法の中で指定された場合に、その地域がいまなお国定公園でありとするならば、むしろ国立公園に昇格せしめ、陸上と海中と海面を含めての、いわゆる世界にも比類のないわが国最初の国立公園地区として権威づけるのが、最も適当な方法だと思うのでありますが、この点についての厚生大臣の見解を承りたいと思います。
次に、運輸大臣にお尋ねいたします。
国際観光の振興に関する施策については、外人観光旅客の来訪を促進することが、私は最も大切なことだと思います。これに関連して対中国の問題でございます。いかに佐藤内閣が反中国政策をとろうとしても、世界じゅうの国々が中国に対して大きな関心を寄せていることは否定のできないことであります。中国との物と人との交流は、今後ますます盛んになると思います。そこで私は、中国との関係におきましても、定期の航空路、定期の航路を設定するということは、きわめて大切なことだと思うのでありますが、この点についての運輸大臣の見解を承りたいと思います。(拍手)万国博に多数の外人を誘致する、そういう点から考えましても、今日、中国との交通を便ならしむる措置をとることは、わが国の国際的な使命から考えても大切なことだと思いますので、明快な御答弁を承りたいと思います。
次に、総務長官にお尋ねいたします。
毎年出される観光白書は、議員諸公も御存じのとおり、「昭和四十二年」を「四十三年」と数字を置きかえたら通用するような内容でございます。そういうような白書の内容を改めて、もっと実のある白書の姿を示すべきではないかと思います。そういう点について、いつまでも同じような状態の観光白書を、ただ数字を置きかえることのみによって国会に提出をするということはやめるべきだと思いますので、その点についての御見解を承ります。
次に、いわゆる明治百年の記念行事と称して、各地でいろいろな仕事が行なわれております。総務長官は文化財の保護ということを言われたのでありますが、この文化財の保護は、観光資源の中できわめて大切なことでございます。しかるに、具体的な例といたしましては、広島において重要文化財広島城に大本営を再現しようとする企てがあることを聞くのでございます。御承知のように、広島は平和都市建設法という法律によって、原爆の被災地として、これを平和都市として建設するよう、国会で満場一致で法律を制定した地域でございます。その地域が、事もあろうに軍部として、いわゆる大本営を広島城の中に再現する企てというようなことは、文化財保護の面からも、あるいはまた観光資源の面からも、あるいは平和都市広島建設の面からも、きわめて不適格な事業だと思うわけですが、この点についての総務長官の見解を承りたいと思います。
最後に、総理にもう一つお尋ねをいたします。
日本側が中国に対し、いかにいろいろな要求、いろいろな交渉を持とうといたしましても、たとえば貿易の問題でも、あるいは航空機の問題でも、あるいは貨客船の問題でも、これを持ち出そうといたしましても、あなたの政治姿勢というものがたいへんな障害になるわけです。そこで中曾根運輸大臣は、いわゆる吉田書簡は野べの送りをした、こう言っております。あなたも、それと同じようにもう野べの送りをしたものと考えておるのか、あるいはまだその吉田首相のいわゆる吉田書簡という亡霊につきまとわれておるのかどうか。今日の段階において、対中国問題にわが国が対処するにあたって、どうしても障害になるこの吉田書簡に対してき然たる態度を表明することが、私は国家国民のためにきわめて大切なことだと思いますので、この点をお伺いし、私の質問を終わりといたします。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/5
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006・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 井上君にお答えいたします。
私は、国会答弁はいつも誠意をもって真剣に答えておるつもりでございます。これはいつも国民を相手にいたしておるのでありますから、国民はよく私の態度を承知してくれている、理解してくれている、かように考えております。
ところで、ただいま観光行政についてのいろいろの御意見を述べられました。私は、観光行政のこれからその重要性を増すことについては、井上君と同じ認識に立っております。したがいまして、この観光行政をさらに積極的に進めなければならないということ、これは私も同様でございます。しかしながら、予算その他の制約等を受けまして、なかなか思うようにまいらない点もあります。現状をもって私は満足するものではありません。したがいまして、今後は、ただいまのような御鞭撻を受けることによりまして、さらに関係官庁の総合的な連絡を緊密にいたしまして、観光行政の前進をはかるつもりでございます。
そこで、今回の行政機構の簡素化にあたりまして、一省庁一局削減をいたしました。その結果、運輸省におきましては観光局が部になる、また厚生省におきましては国立公園局が部になる、こういうことで縮小されました。しかし、局が部に変わったからといって、観光行政を私どもが軽視したとかあるいは観光行政に支障を来たす、かようなことは絶対にございませんから、今後の観光行政のあり方を十分注意して見ていただきたいと思います。
厚生省や運輸省ももちろん大きな役割りを果たしておりますが、文部省も観光については大きな役割りを果たしておる。さらにまた、通産省におきましても最近は産業観光というようなことばまであるのでございますから、これまた重要な役割りを果たしておる。かようなことを考えますと、いわゆる観光対策連絡協議会、これこそはその意味においてたいへん使命を果たしつつあるものだ、かように思います。ただ、この会合が昨年は二回に終わった、会合がいかにも少ないからだめじゃないか、こういう御批判でありますが、各省の事務次官レベルにおける幹事会が、毎月一回は必ず開催されております。したがいまして、さような意味において、この観光行政に力を入れておることをひとつ御了承をいただき、さらにまた御鞭撻を賜わりたい、かように思います。
次に、観光と平和についてのお話がございました。私はやはり平和であることが必要だと思います。ゆるゆる観光もできるわけじゃありません、国際政情が不安定なところ、そういうところへ観光のお客などは出かけるものでもありません。私は、日米安全保障体制、そのもとにおいてわが国の平和は確保され、そうして安定しておる。かように考えますので、わが国こそは外客を誘致するのに最も適当なところだ、かように思います。(拍手)どうか、ただいまのように、安保体制で日本はたいへん危険な状態だ、かようにお考えにならないで——この点は井上君と私は別な考え方を持っております。
次に、本州−四国連絡架橋についてのお尋ねがありました。さすがに井上君は高知の御出身のようですから、そういう意味でこれについてもたいへん関心を寄せられる。この橋はひとり観光の目的につくるものではありません。これは御承知のように、わが国の国土総合開発計画の一環をなすものでありまして、そうしてその根幹をなすものだ、かようにも考えるものであります。さような意味におきまして、この架橋ができれば、その後の経済的効果というものはすばらしいものがあるだろうと思います。したがいまして、いまの予定地等につきましても、ただ単に架橋の規模だけで比較しないで、そういうような経済的効果なり、また本土の総合開発計画にどういう役割りを果たすか等々を考えまして、総合的な観点から結論を出すべきものだ、かように思っております。ただいま、そういう意味で各方面にこれが検討を命じておりますから、近くその検討がまとまる、かように思います。しかる上は、関係閣僚が協議いたしまして、最終的にルートを決定するつもりでございます。その点をはっきり申し上げておきます。そうして最後に、吉田書簡についてのお尋ねがありました。御承知のように、吉田書簡は吉田さんが出された手紙、そういう意味で吉田書簡といわれておる。そうしてこれは政府の取りきめというものではありません。したがいまして、吉田書簡をいわゆる緩和するとか、あるいはこれを撤回するとか、そういうものでないことは十分御承知願いたいと思います。私は、中共との貿易についてたびたび申し上げておりますが、輸銀資金を使うというような場合におきましては、それは個々の具体的な事案について諸種の関係も考慮いたしまして、そうしてケース・バイ・ケースにそれに対する対策を立てる、かように申しておりますので、その考え方には変わりはございません。もしもこれが変わっていたらたいへんでございます。変わらないところに政府の態度がありますから、御了承願います。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/6
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007・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 中国経由で日本へ飛行機の乗り入れを希望している国は、フランスとパキスタンでございます。それから外国で目下中国へ民間航空を入れている国は、フランス、パキスタン、ソ連、北鮮、モンゴル、カンボジアの国々でございます。お話しのように、東京−北京ルートというのは、非常に魅力のある国際観光ルートになると思いまして、そういう正式のルートが平和裏にできる日を私は待ち望んでおります。しかし、現在の情勢から見ますと、正式の国交関係もございませんし、そのほかの情勢を見ますと、遺憾ながらまだ適当でないと考えております。ただし臨時便などにつきましては、状況により将来検討してみたいと思います。
なお、海運につきましては、邦船が六十隻ばかり中国の港へ行っております。これは全部貨物船でございます。客船につきましては、将来の需要の動向を見まして処理いたしたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣園田直君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/7
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008・園田直
○国務大臣(園田直君) お答えいたします。
自然の保護、国民の休養、保健のために公園行政がますます重要性を加える今日、一省一局削減による公園行政の後退という御指摘でありますが、その御指摘は率直にちょうだいいたしまして、総理が言われたとおり、内容の充実あるいは適切なる運営等によって、その点を増進していく所存でございます。
海中公園につきましては、一九六二年第一回世界国立公園会議で勧告を受け、さらに去る四月に自然公園審議会から答申を得ておりますので、この制度をぜひ設けたいと検討いたしておりまするが、御指摘のとおり、現行法を改正する必要がありまするから、関係省庁とも協議の上、次期通常国会でこれを実現したいと検討いたしております。
次に、国定公園等の格上げの問題でありまするが、これは審議会等を経て慎重にやっておりまするので、軽々に動かすべき問題ではございません。しかしながら、陸上における景観が国立公園に準ずるものがあり、さらに海中の景観もそれに劣らざるものがある場合には、これを一体として国立公園に指定することについては、再検討したいと考えております。
最後に、天草架橋についてのおほめのことばがございましたが、御礼を申し上げておきます。これが試験台になりまして、四国の橋が実現するよう期待をいたします。(拍手)
〔国務大臣田中龍夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/8
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009・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 御質問の連絡協議会の問題でございまするが、各省庁の担当官からなりまする幹事会を毎月一回開催いたしておるわけでございまするが、そのほかにも観光審議会等もございます。上級会議でございまする観光対策連絡協議会は、昨年は二月に国際観光年に関する基本方針を決定いたし、五月に観光週間の実施要領の決定をお願いいたした次第でございまして、この上級連絡会議は、昨年は二回でございました。
次に、明治百年の行事の関係で、広島におきまするこの記念行事に関しましての御意見でございまするが、国の記念行事は中央におきまして決定をいたしまするが、地方におきまする記念行事はそれぞれ住民感情から、地方公共団体のおのおのの判断によりまして計画実施されてまいるのでございます。広島市の理事者の御判断によりまして、いまのような決定に相なったと存じます。
第三には報告のマンネリズムでございまするが、白書の報告というものは一定の形式がございまするものでありますから、あまりおもしろみのないものでございまするが、しかし、今後はできるだけこれを改善してまいりたい、かように念願いたしております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/9
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010・小平久雄
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/10
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011・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 日程第一、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/11
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012・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事金子一平君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔金子一平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/12
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013・金子一平
○金子一平君 ただいま議題となりました国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この法律案は、昭和四十一年十二月の財政制度審議会の報告の趣旨に沿って、減債制度の整備改善をはかろうとするものであります。
そのおもな内容を申し上げますと、
まず第一に、国債の元金償還に充てるべき資金について、定率による繰り入れの制度を復活し、前年度初めにおける国債総額の百分の一・六に相当する金額を、毎年度、一般会計または特別会計から国債整理基金特別会計に繰り入れることとしております。
第二に、国債償還財源としては、この定率による繰り入れと並んで、財政法第六条の規定による一般会計剰余金の二分の一以上の繰り入れがありますが、さらに、必要に応じて、予算をもって定める金額を一般会計または特別会計から国債整理基金特別会計に繰り入れることとする規定を新たに設けることとしております。
以上のほか、他の特別会計法の例にならい、この会計の収入支出に関する規定を整備する等、必要な措置を講ずることとしております。
なお、本案は、去る第五十五回国会におきまして原案のとおり本院を通過し、参議院に送付されましたが、自来同院において継続審査に付され、今回、同院で議決の後、本院に送付されたものであります。
以上がこの法律案の概要でありますが、本案につきましては、審査の結果、昨二十二日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決となりました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/13
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014・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
本案の委員長の報告ば可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/14
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015・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/15
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016・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 日程第二、日本学校安全会法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/16
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017・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。文教委員会理事河野洋平君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔河野洋平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/17
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018・河野洋平
○河野洋平君 ただいま議題となりました日本学校安全会法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審査の経過とその結果を御報告申し上げます。
本案の要旨の第一は、高等専門学校の学生にかかる災害について、その保護者等を日本学校安全会の災害共済給付の対象とすること。
第二は、日本学校安全会の監事の職務権限、役員の欠格条項及び役職員の給与等に関する規定を整備すること。
第三は、この法律は、公布の日から施行することとし、日本学校安全会は、昭和四十三年四月一日以後、この法律の施行日前に発生した高等専門学校の学生の災害についても、この法律による改正後の規定による災害共済給付を行なうことができることとするものであります。
本案は、参議院の先議にかかるもので、去る四月十七日政府より提案理由の説明を聴取いたしました。本案に対する審査の詳細は会議録によって御承知を願います。
かくて、五月二十二日、本案に対する質疑を終了し、討論の通告がないため、直ちに採決に入り、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/18
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019・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/19
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020・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/20
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021・山村新治郎
○山村新治郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
この際、参議院提出、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/21
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022・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 山村新治郎君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/22
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023・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/23
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024・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員会理事橋本龍太郎君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/24
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025・橋本龍太郎
○橋本龍太郎君 ただいま議題となりました保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、厚生大臣の免許または都道府県知事の免許を受けまして、傷病者等に療養上の世論等を行なうことを業とする男子であります看護人の名称を看護士または准看護士としようとするものであります。
本案は、五月十日本委員会に付託となり、本日の委員会において、質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/25
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026・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/26
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027・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/27
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028・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
厚 生 大 臣 園田 直君
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
国 務 大 臣 田中 龍夫君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03919680523/28
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