1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年二月二十七日(火曜日)
午後零時三十四分開会
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委員の異動
二月八日
辞任 補欠選任
山本 杉君 森田 タマ君
二月二十七日
辞任 補欠選任
森田 タマ君 沢田 一精君
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出席者は左のとおり。
委員長 谷口 慶吉君
理 事
岡本 悟君
重政 庸徳君
大倉 精一君
木村美智男君
委 員
木村 睦男君
河野 謙三君
沢田 一精君
天坊 裕彦君
平島 敏夫君
小酒井義男君
田代富士男君
国務大臣
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
政府委員
運輸大臣官房長 町田 直君
運輸大臣官房会
計課長 山上 孝史君
運輸省船舶局長 佐藤美津雄君
運輸省鉄道監督
局長 増川 遼三君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
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本日の会議に付した案件
○運輸事情等に関する調査
(運輸行政の基本方針等に関する件)
(昭和四十三年度運輸省及び日本国有鉄道関係
予算に関する件)
○臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00319680227/0
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001・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
去る二月八日、山本杉君が委員を辞任され、その補欠として森田タマ君が選任されました。また、本日、森田タマ君が委員を辞任され、その補欠として沢田一精君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00319680227/1
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002・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
中曽根運輸大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。中曽根運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00319680227/2
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003・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 第五十八回国会にあたり、運輸大臣として行政方針を申し述べたいと思います。
私は、運輸大臣に就任いたしました直後、さきの臨時国会の当委員会におきまして、今後の運輸行政の方向について申し述べました。その際、運輸省は今後サービス官庁でなければならないこと、また同時に、経済官庁としての使命を強く認識して行政を行なうべきであるという点を申したのであります。三カ月余を経過いたしました今日、私はその方向が正しかったということを確信しております。今後もその方向を一そう強めてまいりたいと存じております。
このような意味におきまして、私は、この際、運輸行政全般のあり方について根本的な再検討を加えてまいりたいと考えております。すなわち、将来の運輸行政のあり方についての基本的方向を固めますとともに、運輸省の組織、行政、事務、定員、法令等の全般につき再検討を加え、当面の具体的な改革案を作成して実施に移す所存であります。
次に、昭和四十三年度における運輸省の行政施策の重点についてでありますが、これにつきましては、後刻、昭和四十三年度の運輸省予算の説明を行ないますので、その中においてあらためて御説明申し上げたいと存じます。
そこで、この際は、目下当面の問題となっております件につきましての行政方針について若干申し述べたいと存じます。
まず、先ごろ相次いで起こった鉄道事故についてであります。交通事故の防止につきましては、私は就任以来最も重点を置いてまいったのでありまして、このため、特に年末年始には、各交通機関に対し特別総点検を命じ、私以下運輸省各機関の幹部も現場に出て指揮監督し、かなりの効果をおさめたものと思っておりました。ところが、先月中旬以来、大阪の南海電鉄の事故をはじめといたしまして、東京地下鉄、国鉄米原事故など一連の鉄道事故が発生いたしましたことは、まことに遺憾のきわみであります。私は、直ちに関係者を呼び厳重注意を与えまするとともに、事務当局に命じまして、その根本的な原因がどこにあるのか至急調査し、再びかかる事故が発生することのないよう抜本的対策を講じさせることといたしました。特に南海電鉄に対しましては、短期間に二度ならず三度も大きな事故を起こしました責任をきびしく追及し、事故絶滅の社内体制を確立させることといたしております。
また、地下鉄火災につきましては、幸い、旅客の死傷事故とはなりませんでしたが、まかり間違えば重大な事故となったことを重視し、徹底的に原因を究明し、車体構造、材質などについての改善措置を講ずるとともに、施設、運転、保安のあらゆる面から再検討を加えて事故再発を防ぐ対策を実施するよう指示いたしました。
次に、日本海における漁船の安全操業につきまして御報告申し上げます。
御存じのとおりプエブロ号事件以来、日本海におきまするわが国漁船の操業の安全確保が問題となっております。このため、海上保安庁では二月一日以降同海域に常時三隻の巡視船を配備し、日本漁船の安全指導に当たりまするとともに、水産庁とも協議の上、漁業組合などに対し、具体的な方法について指示、指導を行なってまいりました。現在までのところ特異な事態は発生いたしておりませんが、今後とも情勢の変化に十分注意し、状況によっては警備を増強するなどの対策を講じてまいりたいと存じます。
次に、昨日来、新東京国際空港の建設反対をめぐりまして、千葉県成田市において一部学生が暴力をもって警官隊に襲いかかり、数多くの負傷者を出しましたことはまことに遺憾であります。御存じのように、新空港はわが国が世界の大勢におくれないため計画された国際的な大事業でありまして、一部学生が唱えるような軍事基地を目的としたものでは絶対にありません。しかるに一部の過激な学生の暴挙により、かような事態が発生しましたことはまことに理解に苦しむのであります。運輸省と新空港公団におきましては、かかる事態が起きないように従来から忍耐強く地元の説得にあたるとともに、今回の事態が予想されるや直ちに地元民に対し呼びかけを行なう等、事態の回避につとめたのでありますが、不幸にしてかかる結果となりましてまことに遺憾であります。このような事態にまどわされることなく、今後とも新空港の建設について努力を続ける所存であります。
最後に、昨年来相次いで新聞紙上に報ぜられました一部運輸省職員の不祥事件について申し上げます。
私は、再三申し上げておりますように、綱紀の粛正については就任以来しばしば職員の注意を促してまいりました。特に昨年末には大臣名の通達を発して具体的な問題についてこまかく指示いたしております。その後二、三の事件が新聞紙上に報ぜられておりますが、いずれも通達以前の事件でありまして、通達以後は職員も十分私の意を体して自粛自戒していることと存じております。
また、先日、さきに生じました大阪陸運局の事件につきまして、検察当局の結論が出ましたので、直ちに関係者に対し所要の行政処分を行なうとともに、必要な配置転換を行ない、人事の刷新を行なった次第であります。今後とも綱紀の粛正につきましては一そう厳重にいたしますとともに、職員に対しましては信賞必罰をもって臨む考えであります。
以上、運輸行政に対する基本的方針を申し述べますとともに、当面の問題についての態度を明らかにいたしました。
その他、種々の問題につきましては、本委員会はじめ国会におきます答弁により明らかにいたしていきたいと存じます。何とぞよろしくお願いをいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00319680227/3
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004・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 次に、昭和四十三年度運輸省及び日本国有鉄道関係予算について政府から説明を聴取いたします。中曽根運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00319680227/4
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005・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 昭和四十三年度の運輸省関係の予算について御説明申し上げます。
初めに、予算の規模について申し上げます。
まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、三十億八千六百四十八万六千円、歳出予算総額は他省所管計上分百五十五億九千七百四万二千円を含み、一千五百四十七億一千七百五十四万二千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、百九十九億九千八百十四万一千円の増加となっており、一四・八%の増加率を示しております。
この増加額の内訳をみますと、行政費では、百五十億二千四百五十一万五千円公共事業費では、四十九億七千三百六十二万六千円の増加となっております。
次に特別会計について申し上げます。
まず、木船再保険特別会計の歳入歳出予算額は、四億一千四百二十万八千円であり、木船の鋼船化傾向を反映し、前年度に比較して二千二百八万七千円の減少となっております。
自動車損害賠償責任再保険特別会計の歳入歳出予算額は、一千八百四十三億九千三百五十二万五千円であり、車両数の増加、保険金額の引き上げ等により、前年度に比較して六百一億一千八十万一千円の増加となっております。
港湾整備特別会計の歳入歳出予算額は、七百五十五億六千六百九万八千円であり、前年度に比較して四十八億七千六百三十一万三千円を増加し、新港湾整備五カ年計画の初年度として港湾の整備を推進することとしております。
自動車検査登録特別会計の歳入歳出予算額は、三十七億六千九百二十一万円であり、車両数の増加により、前年度に比較して十二億四千八百七十八万八千円の増加となっております。
このほか、昭和四十三年度財政投融資計画中には当省関係分として五千四百十億円が予定されております。
昭和四十三年度予算におきましては、当省は次の諸施策に重点をおいて、運輸行政を推進いたしたいと考えております。
わが国経済をめぐる国際環境は、最近ますますきびしさを加えており、今後の国際収支の悪化が懸念されておりますが、当省におきましては、海運、航空、観光の各分野において貿易外収支の改善をはかるとともに、船舶、鉄道車両等の輸出の振興につとめ、国際収支の改善に寄与したいと考えております。
次に、わが国の交通関係社会資本は、数次の長期計画の実施にもかかわらず、なお年々増大する輸送需要に対して不足の状態にあり、また、物的流通部門の立ちおくれが物価の安定及び経済の効率化の隘路となっております。このため、鉄道、港湾、空港等輸送基礎施設の計画的な整備充実をはかるとともに、物的流通の近代化と運輸事業の基盤強化に努める考えであります。
さらに海陸空にわたる交通量の激増は交通事故の頻発と死傷者の増加を招来しており、当省といたしましては、交通機関の基本的使命である交通安全対策を強力に推進することといたしております。また、排気ガス、騒音等交通機関の発達に起因する公害の増大を防止するとともに、台風、豪雨等自然災害による被害を最小限にとどめるため、交通公害対策及び防災対策の強化につとめる所存であります。
次に、日本国有鉄道について申し上げます。
昭和四十三年度の予算の編成にあたりましては、まず四十三年度におけるわが国経済の見通し及び国鉄輸送需要の動向を考慮し、損益勘定におきましては、公共負担の是正としての通勤通学定期運賃割引率の改訂、四十三年度から新たに設けられた日本国有鉄道財政再建補助金五十四億円等を含め、収入支出予算九千三百九十七億円を計上し、また資本勘定におきまして財政融資二千六百四十億円を含む収入支出予算五千百六十八億円を、工事勘定におきまして三千七百八十億円を計上いたしまして、第三次長期計画に基づき大都市通勤輸送の改善、主要幹線の輸送力増強及び保安対策の強化を推進してまいりたいと考えております。
なお運輸省関係予算の部門別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十三年度運輸省予算の説明及び昭和四十三年度日本国有鉄道予算の説明によりまして御承知を願いたいと思います。以上をもちまして昭和四十三年度の運輸省関係の予算の説明を終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00319680227/5
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006・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 次に、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から本案に対する提案理由の説明を聴取いたします。中曽根運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00319680227/6
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007・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま議題となりました臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
現行の臨時船舶建造調整法は、昭和二十八年に制定され、外航船舶の建造を許可制としてその建造調整を行なうことにより、わが国の国際海運の健全な発展に寄与するとともに、ひいては、わが国造船業の発展にも資してきたのであります。今回の改正は、本法の存続期間が現在昭和四十四年三月三十一日までとなっておりますのを昭和四十八年三月三十一日まで延長することとしたことであります。
わが国造船業の現状を見ますに、昭和四十二年十二月末現在、その輸出船手持ち工事量は、約千三百万総トンに及んでおり、この中には、昭和四十四年度、四十五年度着工予定のものが相当量含まれているばかりでなく、超大型船については四十六年度以降のものについても引き合いが寄せられている状況であります。しかるに、国内船の建造契約は、着工二、三ヵ月前に行なわれるのが通常でありまして、このまま放置しておきますと、わが国外航船腹の整備に支障を及ぼすおそれもあり、国内船建造のための船台を確保するよう調整する必要が強くなっております。
また、外航船舶の建造にあたっては、それが予定航路の輸送需要量、積載貨物の種類等に適合し、国民経済の要請に適合したものとなるよう調整するとともに、わが国からの輸出船の増大に伴って、これら輸出船とわが国船舶との間に競合関係を生ずるおそれが強くなっていることにかんがみ、輸出船の建造にあたっては、それがわが国国際海運の健全な発展に支障を及ぼすことのないよう調整する必要があります。
さらに、最近需要が活発化している超大型船、コンテナ船等特に高度の技術を必要とする船舶の建造に際しては、一船ごとに、それを建造する造船所が適正な能力を有しているかいなかを検討し、もって、わが国で建造される船舶の船質を確保する必要があります。
本法の存続期間につきましては、邦船積み取り比率の低下及び海運国際収支の悪化の現状からみて、今後とも外航船舶の大量建造を必要とすると思われること、並びに西欧諸国の建造能力の整備状況からみて、大型船の建造については少なくともここ五年間は日本が独占的地位を占めるものと予想されることにより、本法による建造調整も少なくとも昭和四十八年三月三十一日までは必要であるとみるのが妥当であります。
なお、現行法は、昭和四十四年三月三十一日まで効力を有するのでありますが、その有効期間延長についてのこの法律案を今期通常国会に提出いたしますのは、造船の場合におきましては、着工の相当期間前に契約が締結されるのが通例でありますので、昭和四十四年四月以後に行なわれます建造について混乱を生ぜしめないためであります。
以上が、この法律案を提案する理由であります。なにとぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00319680227/7
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008・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 本案については本日は提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十二分散会
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