1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月五日(火曜日)
午前十時四十二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 谷口 慶吉君
理 事
岡本 悟君
重政 庸徳君
大倉 精一君
木村美智男君
委 員
江藤 智君
木村 睦男君
沢田 一精君
森中 守義君
吉田忠三郎君
田代富士男君
中村 正雄君
政府委員
運輸政務次官 金子 岩三君
運輸大臣官房長 町田 直君
運輸省船舶局長 佐藤美津雄君
運輸省自動車局
長 鈴木 珊吉君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
説明員
日本国有鉄道総
裁 石田 禮助君
日本国有鉄道常
務理事 今村 義夫君
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本日の会議に付した案件
○臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○運輸事情等に関する調査
(日本国有鉄道の運営に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/0
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001・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑を行ないます。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/1
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002・岡本悟
○岡本悟君 調整法の改正法案につきまして、具体的に質疑をいたしたいと思いますけれども、その前に、わが国の造船業の国際的な地位と申しますか、常識的には昭和三十一年以来造船量におきましては、世界第一位の地位をずっと保持し続けておる。そのおもな理由は、非常に技術が優秀であるとか、あるいは納期が短い、しかも確実である、あるいは価格が安いとか、要するに質がよくて安い、こういうことでずっと第一位を維持しておる。しかも輸出におきましても、八億ドル以上の輸出額を示しておるということで、国際貿易におきましても、非常な貢献をしておる、こういうことが言われておりますが、この際当局側から、わが国造船業の国際的な地位あるいは位置づけにつきまして、いわば権威のある御説明を、前提としてお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/2
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003・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 経済の成長に伴いまして、世界の造船界は、一時不況産業と言われながらも、実は日本が昭和三十一年から本年まで十二年間にわたって世界の首位を占めてまいったわけでございます。これにつきましては、いろいろその原因がございますけれども、まず第一に、造船技術者が多いということでございます。これはちょっと数字的には資料がございませんが、日本の造船技術者は、大学卒業で見ましても、世界造船技術者に匹敵する、したがって非常に技術的なポテンシャルが高いということが言われております。
第二に、戦後の壊滅の状態から復興して、しかも過去の経済、船舶の復興を行ないますためには、どうしても輸出に力を入れなければならなかったということでございます。したがってこれにつきましては、世界の造船需要の見通しを相当先に行なったということが言えると思います。これが実は非常に的確に的中いたしまして、たとえば超大型船、こういうものにつきましては、日本が先べんをつけまして行ないましたわけでございますが、すでに最近におきましては、外国におきましても、日本の驥尾に付して大型設備の拡充、そのための世界的な競争に対する強化ということから、企業合同あるいは協業するというような問題、いろいろ含めまして、日本を追いかけてまいっておりますが、日本はその前にすでにここ数年間その実績を得たわけでございます。
それからもう一つは、大きい問題としては、先ほどの技術者の優秀でかつ非常に量が多いということに関連しまして、やはり技術開発の問題がございます。しかし、この技術開発は、船舶全般としての技術開発はなるほど非常に高いわけでございますけれども、その船に乗せる機器類、そういうものにつきましては、むしろ外国のほうが高い面がございます。御存じのように、主機関を例にとりましても、MANNとかズルツァーとかいろいろ外国の機関の技術導入によってこれを実施しておるわけでございまして、そういう意味合いからいいますと弱い面もある。しかし、船舶全般といたして見ましたときには非常に強い現況でございます。
それからもう一つは、労働力の問題でございます。これは、造船はいわゆる労働集約産業とこういうふうに言われております。日本は非常に人的な条件に恵まれております。したがって、労働力が非常に豊富にいままでは供給を受けることができた。これが非常に大きな点でございます。
それからもう一つ言われておることに、日本人の勤勉性ということが言われております。必ず、その目的をつくった以上はその目的を達成するという、その経過にはいろいろの困難がございますけれども、必ずその目的を達成するということがございまして、これは造船業に限ったわけではございませんけれども、造船業におきましても、その線を達成してきたということであろうと思います。
そういうわけでございますが今後の世界の造船界というものを見ますときには、先ほど申し上げましたように、非常に日本に対する外国——イギリスをはじめとして、過去の栄光を挽回しようという気持ちが非常に強いようでございます。これにつきましては、各国とも財政資金の投入をまずモットーにしまして、そうして企業の整備、それから設備の拡充、そういうことを顕著に行ないながら、造船業の発展と申しますか、それに尽くしておるわけでございます。
それで、将来の見通しに関連しますが、造船業は、かつては不況産業と言われたわけでございますけれども、日本については、これはまああてはまらなかった。しかし世界的にはそう言われていました。ところが、実際の荷動きというものは、世界的な経済の成長、それに伴いまして非常に活発でございます。ただいま日本は世界のシェアの大体四七%前後を占めておるわけでございます。ただいまは日本は大型の設備をたくさん持っておりますが、いずれ世界で整備中のものができてまいりますと、設備の面から言っても、多少確保——確保と申しますか、いままでのような比率を保つことはあるいは無理かもしれませんが、しかし、日本のシェアはこことにかく数年の間は現在の受注量、そういうものを考えますと確保できるんじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/3
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004・岡本悟
○岡本悟君 時間がございませんから、簡単でいいですから要領よく答えてください。
そこで、臨時調整法のねらいは、提案理由の御説明によりますと、大体大きく分けまして三つのねらいがあるわけでございまして、最初は国内船建造のための船台の確保、それから二番目が、輸出船の建造をする場合に競合関係が出てまいるので、その調整をするということ、それから三番目が、造船所の適正能力の検討をやるんだと、つまりこれによって船質を確保する、こういう三つの大きなねらいがあると思うんです。そこで、この個々について、一体それだけの法律が所期しておりますところの目的を十分達成しておるかどうか、あるいはその効果を発揮しておるかどうかということについてお尋ねしたいと思いますけれども、その前にですね、現行法の第三条は第一項で、第一項の第一号「当該船舶の建造によってわが国の国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれのないこと。」、それから第二号でもって「技術及び設備を有していること。」、第二項で「前項第一号に掲げる基準の適用は、その判断の基礎となる事項につき、運輸大臣が海運造船合理化審議会にはかり、その意見を尊重して決定し、これに従ってしなければならない。」と、こうあるわけですね。そこで、これはまあ告示をしてあるわけなんですが、その告示を見ますと、一が「当該船舶の建造によって、わが国商船隊の質的低下をもたらすおそれのないこと。」、これはやっぱり優秀な船質を持った商船隊を建造していくんだということであろうかと思うんです。で、二、三、四を全部読むと時間がかかりますから省略しますけれども、むしろこの二、三、四は船腹の調整ですね。特にわが国の利益を害するような建造は極力押えるんだというふうなことで、むしろ局の所管から言うと、海運局の判断に属するような事柄ではないかと思うんです。そこで、第三条では「国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれのないこと。」、その次に船質確保の問題が出てきていますね。ところが、建造許可の判断の基礎となる事項というこの告示についてみますと、むしろ第三条の第一項の第二号のほうが先に出てきておるのです。つまり立法当時の事情からいうと、やはり船舶局が所管しておる法律でございますから、告示に出ておる船質の確保がまず最初に出てくると、こういうことのほうが自然のように思うのですけれども、本文の第三条では、逆に調整関係が先に出てきておる。これはどういうことなんでしょうか。ちょっとそれを聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/4
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005・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) この法律は昭和二十八年に制定されたわけでございまして、海運の船腹の受注調整も、船舶の船質の確保もともに必要欠くべからざるものであったわけでございます。当時船舶の質と申しますか、それは一応無規格材を使うとか、あるいはエンジンも非常に低性能のエンジンを使うとか、いろんな心配があったと思います。しかし、この法律の目的は、あくまでも日本の強力な商船隊の発展ということでございましたので、その意味から、まず第一号に船腹の受注調整に関するものをあげまして、それから第二号に船質の確保というものをあげたのであろう。かように考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/5
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006・岡本悟
○岡本悟君 いや、つまり、私が言っていることは、判断の基礎となる項目ということになると、船質の確保がまず最初に出ているわけです。だから本文と逆になっているのです。それは相互に優先順位とかなんとかいうものはないんだというふうに理解すれば差しつかえないです。それはおきましょう。
そこで、この先ほど申し上げましたように、三つの柱があるのですが、その目的を十分現行法によって達しておる。しかもそれを必要とする客観的情勢というものはここしばらくは続くのだ。あなたのほうは、見通しとしては四年くらいは続くというふうにおっしゃっておるのですが、どうしてもこの法案の審議につきましては、その所期の目的を達しておるかどうかということの審議から始めるのが順序だと思うのです。
それで、最初の国内船、もちろん外航船ですけれども、この建造のための船台確保ということですね。このための規制のしかたですけれども、もしこれを自由にしておったら、わが国の造船業は、冒頭にお話ありましたように、非常に国際的にもあらゆる面から見て質がいいと、価格も適正であるというふうなことから、世界中の船主から発注が殺到して、肝心の国内船のための建造用船台がふさがってしまう。しかも、それがきまるのは、毎年計画造船をやっておりますから、二、三カ月前にしかきまらぬということで、この法律がなければわが国の外航船の建造のための船台を確保できない。こういう心配があるということをおっしゃるのですけれども、これはつまりわが国の造船業というものが世界の造船業のシェアの五〇%近いものを持ってる。すなわち独占的な地位を持っておるということから出てくるのでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/6
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007・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) ただいまおっしゃられたとおりでございます。もし独占的な地位がなければ、世界的にこうあいてるところに注文がいくということになってまいると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/7
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008・岡本悟
○岡本悟君 そこで、造船業者といえどもこれは慈善事業でないことは当然のことですから、つまり船価を高くきめてくれるところにできるだけその発注に応じたい、こういうのは当然だと思うのですね。そこで、いまのお話からすると、わが国商船隊の勢力を強化するという国家的利益からして、この調整法を背景にして、そして造船業者の、そういったいわば恣意的な行き方を押える、多少不利であっても先にわが国の外航船の建造を確保しろ、こういうふうなことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/8
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009・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 確かに国内船は大部分は財政資金でまかなわれて、二、三カ月前に大体きまるということでございます。一方輸出船は二年、三年先のものがすでに契約になっておって、さらに引き合いもその後のものもあるという状態でございますから、したがって、この中に日本船をどういうふうに入れるかということは、まあ船主、荷主あるいは造船所——もうほうっておいても、一つは自然に入っちゃうのじゃないかという考え方もないわけではないのですけれども、これは実は非常に無理でございまして、船価と申しますものは非常に高いのでございまして、これをスムーズにやっていくということのためには、まあこの法律が裏づけになって、いままで相当な実績をあげてきたわけであります。それで船台の面から申しますと、大体翌年度以降の財政資金による建造に関しましては、一定の範囲内で財政資金の融資ワクで行なうというような措置をとっておるわけでございます。また財政資金が投入されていない自己資金船に対しましては、船主、荷主、造船所の交渉自体で造船契約が結ばれると、こういうようなかっこうになっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/9
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010・岡本悟
○岡本悟君 そうしますと、もっと具体的にお話願いたいのですけれども、外国の船主から発注がある、そういった場合に、わが国の造船業者にこの臨時調整法によって建造の許可を求めてくる。その場合に、あなたのほうとしては、政府側としてはしょっちゅう国内船の建造を優先するという立場から見ておるわけですね。その実情をちょっと簡単でいいから話してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/10
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011・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 私のほうとしては行政事務としてただいま先生おっしゃったようなことをやっております。それでこれは定期的にやってるわけじゃございませんが、必要に応じまして一応その外国の、日本船も含めるわけでございますけれども、船台事情を、各荷主さん、各船主さん、そういう方面に知らせるということにして、この仕事がスムーズにいくようにやっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/11
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012・岡本悟
○岡本悟君 そうすると、従来の実績から見て外国からずいぶん発注があるけれども、わが国の商船隊の建造には全然支障があったことはない、それがこの法律の非常なメリットであるということができますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/12
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013・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) おっしゃるとおりでございます。ただ外国船を契約するには、船台がぎりぎりいっぱいというとり方をしないで、先物につきましては、相当工事期間に余裕を持たしてとると、したがって、たとえば国内船でどうしても必要なものはその余裕の中で実はやりくりができるようにという、感じと申すとちょっと語弊がありますが、全般的に外国船については先物について建造期間の余裕を持たせて受注をさしていくということでございます。したがって多少の、引き渡し期間だけ押えて、あとその中で今後の二年先と申しますと、その二年先の引き渡し期間だけ押えまして、その中で多少の移動ができるというふうになっておりますので、緊急のものにつきましては新たに入るということもあり得るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/13
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014・岡本悟
○岡本悟君 そうすると第一の現行法のねらいは、十分目的を達成しておるということで、一応終わります。
次に、外国船ですね。輸出船を建造する場合に、わが国海運との競合関係が出てくる、そういうことでそれを調整するねらいがあるという提案理由なんですが、まあ大きくいいますと、わが国で建造される輸出船というものは、大ざっぱにいえば、全部これは競合関係に立つわけですね。国際海運につきましては、少なくともそういうことがいえるのですが、一体この点は具体的にどういうふうなことをねらって実際の行政を運営しておられるのか。具体的な事例について、ごく簡単でいいんですが、具体的な事例についてお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/14
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015・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) わが国の国際海運の健全な発展に支障を及ぼすかどうかということは、最近の情勢下におきましては、輸出船について、その船舶の建造によって国内向けの新造船の建造が不可能になるかどうかという先ほどのお話がひとつでございます。さらに典型的な例といたしましては、この輸出船がわが国の輸入貨物の輸送に関しまして、長期の積荷保証を取りつける条件で建造されるというような場合がございまして、この場合においてわが国の商船隊の確保分野を奪うということがあり得るわけでありまして、そういうおそれが生ずる場合には、これによって十分な選別ができると、かようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/15
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016・岡本悟
○岡本悟君 そうすると、いまあげられたような具体的な事例があると建造を許可しないと、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/16
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017・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 建造許可をしない、もちろんするつもりはないわけですけれども、いままでの例としましては建造不許可ということはございません。大体船主のほうで建造申請の取り下げを行なう、あるいは私のほうから内容を変更させる、あるいは私のほうから取り下げたらどうかというようなことでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/17
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018・岡本悟
○岡本悟君 この問題は、実際問題としては輸出船をどしどし出すということは、やはり国際貿易の促進、国際収支の改善に大きく寄与すると、そうかといって輸出船をどんどんやるというと、当然これはわが国国際海運と競合関係に立つということで非常にむずかしい問題ですね。しかもわが国の国際海運の力を強くするということは、やはり国際収支の改善にも大きなつながりを持つ。そういうことでこれは実際問題としては非常にむずかしい問題だと思うんです。政務次官も特に海運については一見識お持ちのようだと拝察しておりますけれども、実際問題としては非常にデリケートな問題で、今後どういうふうに持っていかれるか。一例を申し上げますと、たとえば国際航空の世界を考えてみますと、日本航空はパンアメリカンとかあるいはノースウニスト、そういうものと太平洋の空で競争しておる。しかし、その使っている飛行機はアメリカのメーカーのつくったもの、こういうことになっているわけなんですが、まあそれと同じような関係になると思うんですけれども、そこに海運局の次長が見えておりますけれども、これをどういう角度から今後政策を展開していくかということで十分御検討をいただきたいと思うのです。その要望程度でとどめておきます。
それからその次に、第三番目は、この現行法の目的は船質の確保にあるということであろうかと思うんです。ただその船質の確保という場合にきわめて常識的に考えますと、何も政府当局がこの調整法によって一々規制しなくとも、民間の特に大型の造船能力を持つ造船業者から言いますと、技術的にはそれ独自の開発もしておるし、研究もしておりますから、政府当局が干渉する余地がないんじゃないかというふうに考えられるわけですね。だから中小鋼造船ですか、こういった業者に対してはこれは技術的な指導の余地は十分あると思うんですけれども、この大型の造船業者に対してそれだけのはたして余地があるのかどうか。きわめて常識的な質問ですけれども、その点を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/18
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019・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 確かに先生がおっしゃるように中小が中心になると、こういうふうに思われます。それで第一に技術、それから第二に設備ということでございますが、御存じのように中小造船も最近非常に大型化してまいっております。そういうことで外国船も、というふうなことになりますと、当然そこにいろんな技術的な問題点あるいは値段につきましてもそこにコストアップというような問題がございまして、われわれのほうといたしましては、一応大手の造船所と技術の提携をさせてやっていく、そこに安心してそういう船をつくっていけるというグループ化の問題が一つございます。それからもう一つは、今度工場自体でございますけれども、たとえば工場に実際工事量がたくさんあり過ぎるかどうかということもこれは問題でございまして、もしそれをたくさんあり過ぎるものを無理してとっていれば、当然そのあとの工程その他にも全部影響を及ぼしてくるわけです。これはひいては外国船の場合には国際信用の問題にも関する、こういうことでございまして、具体的に申しますと、たくさんある書類の中に月間消化予定工数というのがございまして、工数の山積み表をとっております。その工数の山積み表から本船をつくる工数がその工場の全体の能力をオーバーして注文をとっていないかどうかということを見るわけでございます。そういうことから、もしそういうことでオーバーしているということになれば当然工期を延ばすとか、あるいは工員の増員をやるとか、あるいは仕事の一部を外注させる、そういうようなことで役所として納得のいく線でやっていく、かようなことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/19
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020・岡本悟
○岡本悟君 私が言いましたのは、中小造船業者に対しては政府当局側で十分技術的な指導の余地はあるわけであります。これはわかるのです。そうじゃなくて、いま二十万トン、三十万トンに近い大型タンカーをつくっている。言うならば、世界造船業界においてその先端をいくような優秀な技術を持っている造船業者に対して、この調整法を通じて実質的な指導をしていく余地があるかどうか、それを私は聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/20
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021・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 大手につきましては確かにつきましては確かに非常に少ないわけでございまして、一般的に見るところは工数が非常に無理があるかどうかというようなところでございます。それから大手と申しましても、相当設備が大きくても実際問題として今後ほんとうの大手になるという性格の造船所もございます。外国でもいま大型の設備をつくっておりますが、二十万トン、三十万トンの設備をつくったからといってすぐそこでそういうものをつくるということは危険でございます。やはりひとつの過程を経て、一年か二年かの過程を経て所期の建造ドックにふさわしい船をつくるということがございますので、そういう意味から申しますと、ただいまはある意味では過渡期であるということも言えますので、大型造船所につきましてもそういうことで一応のいろいろ検討する余地はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/21
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022・岡本悟
○岡本悟君 国鉄総裁も見えましたから次の質問者にお譲りしたいと思いますが、冒頭にお話がありましたように、わが国の造船業は国際的に第一位である、そういう地位を占めているということの理由の一つに、技術が優秀であるということが言われております。ところが、研究開発投資額ですね、投資額と外国に対する技術導入の技術料といいますか、この支払いを比べてみますと、造船業が産業界においては一番率が多いのじゃないのですか。つまり外国の技術導入料といいますか、技術料の支払い額が各産業を通じて一番多いのじゃないか、研究投資額の割合に対して、その点はどうなんですか。つまり私の言いたいのは、技術が世界的に優秀であると言いながら、実際には技術導入のために支払う教授料といいますか、それが一番多い、これはどういうように理解したらいいのか、その点をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/22
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023・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) ただいま先生がおっしゃられたように、造船における技術料の支払いは非常に多いわけでございます。一方、造船における研究投資額は全産業の比率から比べると非常に低い——低いと申しますか、平均すれすれというような状態になっております。しかし造船と申しますのは大体が非常に歴史的に古いものでございまして、すでに特許とかそういうものが相当外国に占められているという点でわれわれは非常にその面から窮屈な思いをして実は開発をしているわけでございます。そうしますと、当然新規の大型というものにつきましては、たとえばエンジンのようなものでございますが、これは相当にいまこの時勢の要求に合うようなものを開発するということになりますと、非常に大きな金がかかります。したがって、当然そういうものは長い目で要点だけを開発するというようなことが一つ考えられるわけです。
それから船体のほうは、これは逆に言うと、腹をつくる、のりで張り合わせるような仕事でございますので、そういうようなものは張り合わせ方のノーハウと申しますか、そういうものも相当大きな一つの技術になります。これは金額的にはそう大きくございませんけれども、相当に現在の建造需要に見合う研究開発ということができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/23
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024・岡本悟
○岡本悟君 そうしますと、これで質問打ち切りますが、まだまだ聞きたいことがありますけれども、それを一応予告しておきます。つまり、質問を保留しておきますから、あらかじめ研究しておいてください。と申しますのは、造船の関連企業、特に搭載機器、タービンなり、ディーゼルなり、エンジンなりの技術開発、それから、これは全然違うのでございますけれども、資本自由化以来の経過、これはたいして時日もたっておりませんから、大きな変化はないと思いますけれども、その点について聞きたい。
それから、技術革新のスピード化というものが、私の想像では船舶の経済的な陳腐化といいますか、どんどん技術革新というものが進んでいくものだから、五、六年前につくった近代的な船舶がもう今日になっては陳腐化している。そういう現象が起きているのじゃないか、そういうことです。
それから、これは海運局のほうにお尋ねしたいのですけれども、大型タンカーを中心とする世界的な船腹増強で、運賃が低落する傾向になっているのじゃないか、こういったことがわが国の海運事業にどんな影響を及ぼすであろうか。
それから、造船助成とか、あるいは原子力船、こういった問題についてお尋ねしたいのですが、きょうは時間がありませんから、質問を保留しておきます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/24
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025・森中守義
○森中守義君 ちょっと資料の要求があります。
特別に急がなくてもいいですが、各船舶に設置してある大体RCAだと思いますが、オートアラームの機械のメーカー、それと、取りつけた当時の単価、そういうものをできるだけひとつ詳細に出してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/25
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026・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/26
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027・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。
本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/27
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028・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/28
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029・田代富士男
○田代富士男君 私はただいま委員長から言われたとおりに、運輸事情の問題について、きょうは質問をしたいと思います。
問題は三点にしぼってまいりたいと思います。まず、最初は主要都市の駅にあります一般的なことばで言うならば貴賓室あるいは特別室、そういうたぐいの国鉄におけるところの部屋の運営のあり方、そういう問題に対して、第一点でございます。第二点は、この前荒船元運輸大臣のときにも問題点になりました急行の停車の問題でございます。第三点は、現在赤字問題をかかえて苦しんでおります国鉄が、いかに赤字線の問題を改善していくかと、その三つの問題点に焦点をしぼりまして、逐次質問をしてまいりたいと思います。きょうは幸い国鉄の石田総裁も御出席いただきましたし、いろいろお尋ねを申し上げたいと思います。
まず、最初の第一点でございますが、貴賓室という問題でございますが、特別室といわれている地域もありますが、国鉄全体といたしまして、東京あるいは大阪でしたら新大阪駅とか、そういう主要都市に対しましては、外国のいろいろな国賓の乗降に対する接待とか一時休憩していただくというそういう目的も含まれまして、そういう設備がなされているわけなんです。まあ、この問題がすべての人々が当然であるという問題であればよろしいのですが、やはり万民が首をかしげたくなるようなところにそういうものが設置されるということは、一体どういうことになるのか、そういう問題点から、関西地方——国鉄で言うならば関西支社でございますとか中国支社管内に、ことばは貴賓室あるいは特別室というたぐいのものが、どういう駅に設けられてあるのか、まずその点から最初にお聞かせ願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/29
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030・石田禮助
○説明員(石田禮助君) この問題は今村常務からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/30
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031・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 現在国鉄では貴賓室ということばは使っておりませんが、特別室として設けておりますのは、広島、下関でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/31
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032・田代富士男
○田代富士夫君 関西地方はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/32
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033・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 関西では先生さっきお話しのとおり、京都、大阪、新大阪、そういったところだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/33
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034・田代富士男
○田代富士夫君 いま、京都、大阪、新大阪、中国支社管内が広島、下関ということになっておりますが、田布施駅という、山口県にございますが、ここへ参りますと、一般の人あるいはたいていの場合はこの新大阪駅あるいは京都駅等も利用できるようなお客でさえも利用できない、そういう特別室という、名前は違うんだと言われるかもわかりませんが、その人が——同一人物が新大阪駅、京都駅では利用できる人でも、田布施駅では利用できない待合室があることは御存じでしょうか。その点、石田総裁、いかがでしょうか。田布施駅という名前のついた駅でございます、山口県の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/34
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035・石田禮助
○説明員(石田禮助君) 遺憾ながら私はその点については存じませんので、これは今村常務から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/35
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036・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 田布施駅には、講習室として、三十四年の六月に本屋を改築いたしました際に設けたものがございまして、ここを先生のおっしゃる特別室的な使い方もしているという現状でございます。この個室は、本来は職員の学習室といいますか、勉強あるいは地元とのいろいろな会合というようなものに使っているわけでございますが、これに若干の調度を入れまして、そういう特別室を兼ねているという使用をしておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/36
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037・田代富士男
○田代富士男君 こういう、いま貴賓室ということばがどうかわかりませんが、特別室という、そういう部屋を設置する基準、みだりにあちらもこちらも設けるというわけにはまいりませんが、そういう基準なるものが国鉄にありますか、ないのか、その点はっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/37
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038・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 特別室をつくる基準は現在ございません。ただ何と言いますか、良識的にその駅の格等を考えて、だれでも納得できるようなところにつくるというのが原則でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/38
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039・田代富士男
○田代富士男君 いま基準はないと、根本的な基準は。ただ良識的に、私がさっきから申しておりますとおりに、たれ人たりとも納得できるようなものでなくちゃならない。それでいま私がお尋ねしたのは、特別室の、山陽線関係で広島と下関にある。まあ田布施駅はそれに類似したものがある。最初のお答えで抜かされましたが、特別室として研修以外にも使っている、そういういまの今村常務の御答弁でございますが、事実田布施駅の駅長は特別室として認めているわけなんです。駅員の研修等は行なわれておりません。そのように駅員の研修等がときたま行なわれているというような部屋ではございません。どうして田布施駅だけに限り、そういう貴賓室としての、特別室としての扱いとして抜かされるのか。駅員の研修等がやられたというならば、月に何回ぐらいいま特別室なる部屋で研修をやっているのですか、その実態を教えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/39
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040・今村義夫
○説明員(今村義夫君) これはもう設置のときから講習室ということでつくっておるのでありまして、決して特別室としてつくっておるわけではございません。で、毎月何回ぐらいかということ、正確には私は存じませんが、調査したところによりますと、研修なり、あるいは月報の整理というようなことで事務用に使っておる。まあ貴賓紳士が見えた場合に、そこに一応お休みいただくというふうに、兼用で使っておるというふうに私どもは承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/40
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041・田代富士男
○田代富士男君 いま、内部の人のそういう月報の整理であるとか、そういう内部の者がときたま使っているということでございますが、じゃ、いままでに外部の人がその田布施駅の特別室なる場所において使用されたケースがありますか。あったら出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/41
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042・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 外部の関係としては、団体旅行の打ち合わせ等に使っておるという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/42
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043・田代富士男
○田代富士男君 私が言っているのは、そういう団体旅行の打ち合わせ等ということでございますが、私も事実調べてまいった、田布施駅で。そういう、さっき私が質問しましたとおりに、大阪や新大阪あるいは広島等の貴賓室に通れるお客さまも、田布施駅の場合は通してもらえない事実があるわけです。それに、いま、内部の月報の整理であるとか、そういうものには使わさしていただいております、団体旅行の打ち合わせ等において、まあ月何回やっているかわからないけれども、使っておりますと。しかし事実そこの駅長にそれ確認された上の御返事でしょうか、その点聞かしてください。また私が言っているのは、そういう特別室というものはやはりいま申されるとおりに、政府において国賓として迎かえた人とか、特定な人の待合室に使われているのが特別室の性格じゃないかと思うのです。じゃあ、あの新大阪駅あるいは京都駅の特別室でそういう打ち合わせをやっているか。田布施駅の場合は、たれ人たりとも入れさせてもらってない。対外的な客は一人も通ってないのです。その点、今村常務は向こうの駅長に確認した上の返事ですか。その点ひとつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/43
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044・今村義夫
○説明員(今村義夫君) ただいままで私が御答弁申し上げましたのは、中国支社の総務部長に聞いた話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/44
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045・田代富士男
○田代富士男君 総務部長に聞いた話じゃない。ここにその田布施駅の写真があります、この写真が。この貴賓室なるものは、まあ特別室ともいわれますが、これはいま月報の整理等に使われていると、そう申されましたけれども、何坪ぐらいの部屋になっておりますか、この部屋は。その点、坪数をまず教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/45
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046・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 二六・四平方メートルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/46
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047・田代富士男
○田代富士男君 それだけの広さで、これには佐藤総理、そうして岸さんの写真までこれはかけられてあります。まして佐藤総理と、前総理でありました岸さんの揮毫の額までもかけてあります。
ここに、私も現地で調べておりますが、そういう特別室に、良識的に判断してと、いま話がありましたけれども、当然案内しなくちゃならないお客を一回もここに案内してないのです。三十四年の六月にこれがつくられております。岸さんが総理大臣になったその翌年に、この駅舎ができております。対外的なお客は一回も入っておりませんよ。その点はどうなんです。
もし、いまおっしゃるとおりに、これはあくまで駅の月報の整理であるとか、団体打ち合わせのために使うというならば、これに類似した駅が山陽線の近くにあるか、ないか、ひとつ出していただきたいと思う。山陽線の近くに、広島から下関に至るまでの間にこのような特別室がある、そうして団体打ち合わせだとか月報の整理にこれを利用しておりますというところがあるかないか、ほかに駅があるでしょうか。いま国鉄当局として、そういうものは、特別室という名前はあるけれども、そういうものに使っておりますというのが、よそにもあるでしょうか。ほかの駅の名前を出していただきたい、田布施駅と同じような形態の駅があったならば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/47
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048・今村義夫
○説明員(今村義夫君) はっきりは、私、一駅一駅当たったわけではございませんからわかりませんが、おそらくほかにはないのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/48
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049・田代富士男
○田代富士男君 じゃあ私は、きょうは総裁が今村常務にということでございますが、いま、ほかにこういう田布施駅の形態をとっている駅があるならば、これは万民が納得し、良識的に判断してそうだということは言えますが、この建物が、人口一万五千でございます。広島でしたら、御承知のとおり広島の人口は百万近くの人口があります。国際都市です。戦後は、特に被爆地として外国のいろいろなお客さんも大ぜい出入りすることでありますから、だれが見ましてもこれは必要である。いまさき貴賓室を設ける——貴賓室ということばで抵抗を感ぜられるかわかりませんが、特別室でもよろしいですが、根本的な基準はないけれども、良識的に判断して国鉄できめるとおっしゃる。その良識的に判断して、私は広島にはオーケーを出しているのです。当然なんです。下関はどうか。下関は本州の最南端の玄関口です。やはり昔は関釜連絡線等がありましたが、現在におきましてもいろいろな船の発着地として重要な場所であります。こういうところには当然特別室なるものの設置は、良識的に判断してたれ人も疑う余地はありません。だが、いま申すとおりに、田布施駅が、人口一万五千でございます。人口一万五千というのです。私は調べてみましたよ。二月末の人口は一万四千九百九十九人、一名足らぬのです、一万五千人に。私は現地で調べました。そういうところにいま何か知らないけれども、奥歯に物を入れたみたいに、そういう高官が見えたときには特別室としての性格を発揮しますと、それ以外のときには月報の整理とか、何かの打ち合わせ会に使っておりますと。しかし今日まで私が当地において調べた範囲内においては、お客らしいお客は一回もここに通っていない。 つくったままで、このように放置されている。そして中にお客は通っても、この貴賓室なるものは、特別室なるものは使用されていない。この問題に対して、私は石田総裁が日ごろいろいろお書きになられたものを見、また総裁の気質というものは正義感の強い、一徹な人である、だれがどうであろうとも、その主義を通されていると、そのように私は尊敬した一人でございますが、いま言うような問題点につきまして、今村常務に答えさせるばかりではなくして、総裁としてこの点いかがお考えでございましょうか、その点お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/49
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050・石田禮助
○説明員(石田禮助君) ただいま御質問になった田布施駅、きわめて小さな町に対して、こういう貴賓室をどういうお客用につくったかということは、私は全然存じません。存じませんが、すでにつくりました以上は、これは目的に沿うように、できるだけ利用する。それでひまなときには、ほかにも使用を許すということにすべきである。いずれにしてもこれはすでにつくったものであるからして、どうにもしようがないのでありますが、今後こういうような施設をつくるときには、やはり相当の費用がかかりますので、国鉄としてはそういうことに対しては、できるだけ合理的な精神でやっていくということなんで、だれが見ても、良識上これは貴賓室をつくる必要があるというのだけにつくるということにいたします。さらに、つくった以上は、その目的に沿うようにできるだけこれを利用するということにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/50
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051・田代富士男
○田代富士男君 つくった以上は目的達成に努力すると、総裁のおっしゃる理由もわからないわけではありませんけれども、三十四年にできまして、総裁、今日は四十三年でございます、この九年間にこれというお客さんをその中に入れてないわけなんです。九年といっても、これはもう十年にほぼ近いわけなんです。十年に一人もお客がないままに放置されていて、つくったものはしようがないと——石田総裁は御存じないことです、これは。石田総裁ならそういうことはおやりにならないと私は思うんです。それはできたものはしようがないと、だからその目的に使う以外にないと言われても、いまから先の目的に使うということでございますが、現在までの過去を振り返ると、足かけ十年間だれびとも使用していない。そうしていま言うように、そういう打ち合わせであるとか、それは使ってるでしょう、それであるならば、こういう問題点につきまして、もっと改善する余地はないのかどうか。
また、このことを佐藤総理がいらっしゃれば、私は聞こうと思いましたが、佐藤総理はきょうはいらっしゃらないんです。岸さんにも直接聞こうと思うんですが、岸さんもいらっしゃらないんでございますが、石田総裁のお考えとして、佐藤さんや岸さんは田布施駅にこういう貴賓室があるということを御存じであろうかどうか、どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/51
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052・石田禮助
○説明員(石田禮助君) これは実にむずかしい問題で、もしも必要でありましたら、できるだけ早い機会に御両氏にひとつ尋ねてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/52
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053・田代富士男
○田代富士男君 じゃ、総理をいま呼べば一番よろしいでしょうが、それは総裁の口から言いにくいとおっしゃいますけれども、佐藤さんの住所も調べましたところが、佐藤さんの住所は、正確には、山口県熊毛郡田布施町大字下田布施四八八番地、電話は〇八二〇五二の二〇四四。駅から車で五分ぐらいのところです。何ぼ国家の事に多忙だといたしましても、車で五分ぐらいのところに駅舎があって、貴賓室があることを佐藤さんも岸さんも知らないという道理はないと思うんです。また御丁寧にその裏づけをするならば、ここに総裁、これをごらんになってくださいよ。これが佐藤さんの写真です、これが岸さんの写真です。おまけに岸さんも佐藤さんも「田布施駅のために」ということで、「人に接すること春風のごとく」という揮毫も書いております。岸さんも「以和為貴」という、これは聖徳太子の憲法の中から引用したようなことを揮毫したものですが、「田布施駅のためにと書いてあるでしょう、「田布施駅のために」と書いてあるならば、これは岸さんも佐藤さんも知っているわけなんです。私はここに問題があると思うんです。岸さんが総理大臣になったときにこれを建てているわけです。それは聞いてもらわぬとあかんと総裁はおっしゃいますけれども、これは総裁としては言いにくいと思う。しかし、これが証拠なんです。そういうことから、こういう貴賓室なるものに対しては、いつもの総裁のあの一徹の精神でもって、こういうことはけしからぬと、早急にこういう万民が認める良識的な判断の上から、これを何とか——建った以上はしようがないから、目的達成のために——目的達成のためにと言ったって、九年間だれも使ってないんです。それならば一般に公開するとか、あるいは国鉄の業務のために使っていくとか、そういう善後策をお持ちであるかどうか、総裁からお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/53
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054・石田禮助
○説明員(石田禮助君) ただいまのお話からして、これはもう十中八、九岸さんなり、あるいは佐藤総理は貴賓室があるということについては十分御承知のことだろうと思います。こういう点は、私は聞くまでもなく、イエスと返事いたしますが、すでにできた以上は、できるだけこれをひとつ貴賓室に使う、もしも貴賓室に使うというような機会がないなら、あるいは両者の御了解を得まして、これはまあ一個のエチケット……何かはかに利用する道があるなら、できるだけひとつ利用するようにいたしたいと思います。今後は、しかし、そういうことはよほど考えにやならぬ。いまさらできたものをどうしてくれということを御両氏に申し上げることもできません。この点はひとつ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/54
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055・田代富士男
○田代富士男君 いま、両者の御了解を得て、これを一般的にするという、総裁が両者の御了解をということは、ことばをかえて言うならば、佐藤さんや岸さんがつくれとおっしゃったからつくったんだと、つくれとおっしゃったから、それに反するわけにいかぬからつくったが、こういう声もあるから、ひとつ反対にこれを取りやめてくださいと了解を得なくちゃならない——これは了解を得るも得ないも、国鉄で処理できる問題でしょう。了解を得なくちゃならないということは、やはり考えれば、三十四年にこの貴賓室をつくるときに、岸総理大臣の何らかの圧力があったと見てもこれはしかたがないと思う。これはどうなんでございますか、圧力があったのでしょう。了解を得なくちゃならないという以上は、三十四年にも圧力があった、これはりっぱな証拠です。それだから了解を得なくちゃならないくらいに無言の圧力——これは岸さんが総理大臣になったあくる年にできている。私は、総理大臣になれば、駅舎一つも私物化してよろしいというならば、歴代の総理大臣の出身地の駅は全部こういうふうになっているかどうか、私はそこまで調べなかったんですが、いままでの池田さんにしても吉田さんにしても、そういう人々の出身地の近くの駅にこういう特別室があったかどうか。了解を得なくちゃならぬということですから、岸さんに言われてつくった。その点ですけれども、歴代の総理大臣の中でこういうものがあったかどうか、その点お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/55
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056・石田禮助
○説明員(石田禮助君) 私が了解と申しましたのは、御両氏においてああいう額までつくってくださったのですから、これはエチケットとして、ただ了解してくれないからどうというのではない。こういうふうにいたしますと届けさえすれば私はいいと思います。
さらにその次の、ああいう吉田さんとかそういうえらい方が出られた郷里の近所の駅には必ずこれをつくるとかつくらぬということは、これはこれから起こる問題ですが、私としてはつくりたくありません。こういうことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/56
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057・田代富士男
○田代富士男君 いままでもあったかどうかという答弁を聞きそこないましたのですけれども、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/57
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058・石田禮助
○説明員(石田禮助君) 私は全然知りません、そういうことは。どうもまだ国鉄総裁として新しいものでございまして、古いことは存じません。どうぞこれはひとつあしからず御了承ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/58
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059・田代富士男
○田代富士男君 では国鉄のどなたかにひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/59
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060・今村義夫
○説明員(今村義夫君) おそらくないんじゃないかと思います。ただいま総裁が御両所に御了承を得てと申し上げましたけれども、私の考えといたしましては、本来がこれは講習室としてつくっているわけでございますから本来の目的に返させる。同時に、しかしそればかりでもいけない問題があるとすれば、そういう特定の人だけでなくて、当然そこでお休み願うような方には全部そこでお休み願うという方向で改善をしていきたい。特に先生先ほどお話しの写真の揮毫などというものは、できるだけ早い機会にこれは撤去いたしましてほんとの公開というか、一般の人ができるだけ御利用願う。また同時に最初の目的の講習室ということで活用をはかっていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/60
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061・田代富士男
○田代富士男君 いま今村常務のお話を聞きまして、これを一般にも公開できるように、できたものはしかたがないと総裁おっしゃいましたけれども、そのような前提でこれをやっていくということでありますし、総裁からも二度とこういうことは、総裁としてまだ新しいけれどもという御謙遜のことばでありますけれども、石田総裁になってから国鉄というものは改善されている面がずいぶん多いと思いますし、今後こういうことのないようにいま総裁が申された点をひとつ後世までもずっと伝えられていきますように、ここでくさびを打ち込んでいただきたいと思うわけですが、この点総裁ひとついかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/61
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062・石田禮助
○説明員(石田禮助君) これは私は少し極端な言い分かもしれませんが、一種の私は公私混淆だと思うのです。こういうことをやるということは公私混淆ということにつきましては、私はもうむしろ極端過ぎるほどやかましく言っているのであります。私が去ったあとをどうこうという保障はできませんが、そういう精神は私は将来に残っていくんじゃないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/62
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063・田代富士男
○田代富士男君 去ったあとはそうでしょうけれども、石田さんの名前のとおりに石の重みを国鉄にひとつとどめ置いてください。
それで貴賓室の問題は、そのように改善するという国鉄の方針でございますから、時間もあまりございませんからその程度にいたしまして、もう一つこの問題が、田布施駅に貴賓室ができたということも常識的な判断から総裁おっしゃる公私混淆もはなはだしい、今後もそういう問題はやっていかないということでございますからなんでござ心ますが、一万五千の町、言うならば、いまさっき佐藤さんの電話番号まで申し上げましたが、そういう一万五千の田布施駅の急行停車となりますと、急行停車と聞きますと荒舩さんの問題がばかんと浮んでくるわけなんですけれども、急行停車の決定はどのように国鉄でおきめになるのか、その点の御説明をお願いしたいと思うのですが、その点お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/63
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064・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 急行停車駅をどうやってきめるかというお話でございますが、急行停車の基準といたしましては、これは全国一律の基準を定めるということは、これは線区によりまして、あるいはその列車の性質によっていろいろでございますので、非常に一律的にきめることは困難でございます。そこで特に主要幹線上の急行と、それから支線区の急行、あるいは長距離の急行と、都市間急行というような、列車の形態あるいは使命によってそれぞれ違いがございますので、そういった、たとえば駅勢の人口なり、あるいは定期外のお客さんの数量、あるいは質、用務客が多いか、あるいは観光客が多いか、あるいは停車駅間の距離、それから列車の利用状況がどうかというような点を勘案しながら、私どもはやはりこれで商売をやっているわけでございますので、営業政策的にどういうところに急行をとめたら一番いいかという点から判断いたしまして、最も適当と思うところにとめておる現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/64
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065・田代富士男
○田代富士男君 いま営業政策的にどういう点にとめたら一番効率的であるかということを検討されて急行停車駅がきめられておる、そういうことでございますが、この前荒船元運輸大臣の、深谷駅に急行とめるとめないということで論議になったときに、これは磯崎副総裁の急行停車駅決定の経過についての議事録を見ましたら、これは列車設定及び指定手続五条の中に特急、急行停車の決定は六社で行なう。時期的に大体十月一日のダイヤ改正時期に合わして実施するということで、手続の時期については五月下旬本社において列車の主要駅発着時間の大綱案を地方管理局に指示して、そうして局はこれに基づいて支線接続、列車折り返し時間等を検討する。そうして七月の下旬に各管理局ごとのダイヤ編成を決定する。関係急行停車駅については未決定のままそのように管理局で決定する。そうして八月に本社において各駅について検討する。その際、十分地方の要望なり、各地方選出議員の意見を聞くこともあると、八月に。そうして八月の中旬に最終決定会議を開いて、八月の末に常務会において決定して、九月に発表の段階になる。まあこういうような答弁をされまして、いま今村常務の営業政策的に効率的な点において急行停車駅を考えるという点でございますが、そうしますと、やはり営業政策的な面から考えるならば、この答弁の中にもありますが、人口五万程度の駅は一応地方としても急行停車の要望があるし、決定も考えていく。そういう本社の方々のあらましの案が出ているわけなんです。これで荒船元運輸大臣の当時に急行停車駅の候補として出たのが青森県の青森浦町、これは人口五万八千、それから埼玉県の問題の深谷駅、これが五方七千、それから山梨県の石和駅、人口四万九百、岐阜県の赤日井、これが五万一千、長野県の伊那八幡、これは特例でございましょうが運転上の特別の理由、スイッチバックの必要というような理由で、人口はこれは七千六百でありますが、運転上の理由でそういう一時停車、長野県のこれはもう除外、特例ということなんです。大体人口五万くらいの都市に急行が停車する。ところが、岸さんが総理大臣になられて特別室ができただけでも——そうしたところが今度は弟であります佐藤さんが総理大臣になられた。そうすると、佐藤さんはどうされたかといえば、総理大臣になったあとに急行がとまった、田布施に。だから地元では岸さんが貴賓室をつくって、佐藤さんが急行をとめはったと、そういううわさがもっぱら広がっているんです。佐藤さんが総理大臣になったところが急行がとまった。そうしますと、ただいまの営業政策的な問題点と、磯崎副総裁がこの前、当委員会において答弁なさっていらっしゃることを考えあわせていきますと、一万五千の田布施駅で急行をとめなくちゃならない理由があるかどうか、その点いかがでございましょうか。その点お願いしたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/65
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066・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 先ほど御説明申し上げましたように、急行停車駅は人口ももちろんこれは非常な大きなファクターになると思います。しかし、いろいろ客の質、ないし優等客の利用される数が多いというようなことからいたしまして、まあこの点はしかも長距離の急行でなくて、比較的短い急行でございまして、そういう点からとめても差しつかえないんじゃないか、むしろとめることによって優等旅客の利用者が多くなるという観点からとめた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/66
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067・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/67
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068・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/68
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069・田代富士男
○田代富士男君 いまの理由ですが、流動客が、利用者が多い、そういうために急行停車駅を認めたということですが、考えてみれば田布施駅を中心としまして、東のほうに六キロのところに柳井があります。これは昔から急行がとまっています。六キロです。一里半です。今度、西のほうへ行きますと、十三・五キロです。まあ少々の違いはありますが、約十三・五キロのところに光市があります。流動客の利用者が多いと言うならば、普通、急行区間というものはどのぐらいになっているか、まあちなみに山陽線を考えてみますと、山陽線に入ったとたんによう急行はとまります。急行変じて鈍行となるというようなことがあります。だから岩国から下関まで約二百キロありますが、この間に三十六の駅があります。その三十六の駅は、岩国、柳井、田布施、光、下松、徳山、防府、小郡、宇部、小野田、厚狭、下関の十二カ所です。そうしますと、二百キロのところで十二カ所の急行停車駅がありますが、これを平均しますと十七キロに一カ所平均、急行停車駅ということになるわけなんです。そうするとこの十七キロ平均で一カ所ですが、田布施の場合は柳井に六キロのところです。流動客が多いと言いましても、そういうところにどうしてとめなくちゃならないか。柳井に一里半ですよ。バスも通っています。流動客だったらバスで十分じゃないですか。田布施の人はほとんど買いもの等は柳井が中心です。経済圏は柳井です。田布施の町というのはたんぼのまん中ですよ。牛がもうと鳴いているようなたんぼのまん中です。そこに流動客が多い、いまの説明はこの中に当たりません。経済圏は柳井中心になっているんです。そうしますと、いまさっきの貴賓室の問題も了解を得なくちゃならぬというような総裁の御答弁でございましたが、今回の急行停車駅においても、佐藤さんが総理になったあとにとまったということは、無言の圧力によってとまったと言われてもこれはしかたがないじゃなかろうか。だから地元ではいまさっき、岸さんが貴賓室をつくって、佐藤さんが急行をとめはった、そういうもっぱらのうわさがあるわけなんです。こういう裏づけがなされているわけなんです。まあこういうところに、六キロぐらいのところにとめるということは考えられません。どう考えているか。正確には六・二キロです。東京から計算しますと、田布施まで九百七十五・五です。柳井までが九百六十九・三です、正確に申しますと。こんなところは考えられないことじゃないかと思うのです。だからこれは佐藤さんが総理大臣になったためにやったのか、あるいは国鉄側としてどうしてもとめなくちゃならないとしてやったのか。もしも国鉄側がやったとするならば特定な地域だけに過剰サービスと思われてもこれはしかたがないじゃないかと思うのです。そういう点はいかがでございましょうか。また、もう一つ言いたいことは、地元から急行をとめてもらいたいという当時陳情があったのかどうか。この点もひとつ明確にお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/69
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070・今村義夫
○説明員(今村義夫君) おことばでございますけれども、田布施駅に急行が停車いたしましたのは三十五年六月から逐次とまってまいりまして、三十八年十月までで四本とまっているわけでございます。したがいましてただいまの佐藤さんが総理になられてからというのでは少し時期的に私は違うのじゃないかというふうに考えます。それからこの停車のときにはもちろん地元から非常な陳情がございまして、そのうちでまあ一本ずつとめていったというような状態に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/70
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071・田代富士男
○田代富士男君 陳情があったということですが、他の駅に急行をとめる地元の陳情と違いまして、私の調べた範囲内ではこれという大きい陳情はあっておりません。それは国鉄は陳情があった、あったというならばそれは認めなくちゃならないでしょうが、私の調べた範囲では強力なる急行停車ということは陳情はなされておりません。他の駅に急行停車をするための熱意と田布施の場合とはずいぶんの違いがあります。そういうところにもとめるというならば、人口、流動客が多いために、また効率的な面にとめるというならば、私は大阪でありますが、大阪市のすぐ隣の衛星都市に堺市というところがあります。現在人口五十万近くなっております。田布施の何倍ですか、一万五千の人口で。ここの駅にも阪和線が通っております。ここには急行が停車してないのです。田布施町と問題にならないくらい大きい衛星都市です。ここは地元から急行停車をしてくれ、特急停車をしてくれと強力な要望があった。ところが田布施のように強力なる要望がないところは六・二キロのところでも急行停車を許可し、要望が強いし、人口五十万近い堺市には急行、特急が停車しないということは不合理じゃないかと思うのですが、この点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/71
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072・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 田布施の問題は、先ほど申しましたようにいろんな事情から一もちろん私ども地元の陳情も受けたことははっきり覚えておりますけれども、まあそういう状況でございますが、お話の堺市は、おっしゃるとおりに非常な人口も大きな都市でございますし、われわれのほうからいきましても、急行停車すべきところだというふうには考えております。ただこの阪和線につきましては列車が非常に、電車区間でございまして、非常に多く入っておりますので技術的にかなり問題がある。急行列車がとまることによって、かなりほかの列車をいためるという問題がございまして、まだペンディングになっているわけでございますが、もう一つ、それからホームの問題その他がはたして急行をとめられるかどうかということについても問題があると思いますが、そういった技術的な問題が解決されればとめることも十分可能だというふうに考えますので、これは十分今後検討してまいりたいというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/72
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073・田代富士男
○田代富士男君 じゃあいま技術的な問題だと、また、列車密度が高いからということでございますし、そういう技術的な問題あるいはホームの問題等が改善されればとめてよろしいと。それであるならば、ああいう田布施駅の貴賓室等は、そういう無用の長物等はやめて、営業政策を表に出しておる国鉄であるならば、そのホームの改築をやる金額と、駅舎のだれも使わない貴賓室をつくるその金とイコールしたならばどちらが効率的であるか、私はここを訴えたいのです。また、人口、技術的にもむずかしい、それはわからないわけではありませんが、川崎駅にも急行をとめてもらいたいという要望がありまして、これは列車は311M、317Mの急行が止まるようになっている。この京浜間の列車のダイヤというのはたいへんなダイヤなんです。それでも技術的に検討してとめているわけです。それならば堺にとめられないわけはないわけです。そういう田布施駅に、そういう一万五千の町にとめる、こういうところにとめるということは、いまさっき佐藤総理の総理就任と何ら関係がないといわれても、そういう視点だけから見ていきますと何ですが、全般的に大きな立場から見るならば見られてもしかたがないと思う。そういう点について荒舩さんの場合にも、荒舩さんが言ったから深谷駅に急行はとめなかったと。それは荒舩さんが申される、申されないは別としましても、深谷駅に急行をとめるようになっておりましたと、このようにこの議事録に書いてあります。この議事録読んで見ますと、磯崎さんが当時答えていらっしゃいます。それでなおかつ荒舩さんは責任をとりまして運輸大臣の席を立っております。まして、佐藤さんが、今言うとおりに自分の写真、岸さんの兄弟の写真が掲げられて、そこに自分の揮毫の額まであげておいて、そうして急行停車さしてないと申されるけれども、荒舩さんの場合でもしてないんでしょう。しかし、事実において六・二キロの経済圏が柳井にある。にもかかわらず、六・二%キロのところにとめさして何も知らない。荒舩さんは責任をとってやめた、佐藤総理はそれは自分の以前の問題だ、こういう問題で済まされないと思うんですが、この点はどうなんですか。だから地元においては、岸さんが駅舎を建てて佐藤さんが急行をとめたと言っておりますけれども、この点について地元の人に対して国鉄はどういう弁明をされますか。地元の人はそう思い込んでいる。われわれはそれを納得できないんです。その点をひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/73
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074・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 私ども急行停車の問題につきましては、もちろん第一義的には地元からの要望があるということがきっかけになって検討するわけでございますが、したがって、この点で田布施の問題につきましては地元からの要望があって検討した結果、国鉄としても営業的に見ても十分認める価値があるということでとめたわけでございまして、佐藤さんの問題とは私は全然関係ないというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/74
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075・田代富士男
○田代富士男君 まあ関係がないと言っていますけれども、地元の声は天の声です。そういうふうに私は急行停車の問題だけだったらそうかわからぬと思いますが、貴賓室の問題もあります。私はこの問題につきましては運輸当局としてはそういうことはないと。荒船元運輸大臣のときにもそうでなかったと言ったんですけれども、大衆がどう見るかです。ここで私が質問しておりますが、ここでそういうことはありませんと。しかし、大衆がどう思うか。李下に冠を正さずということがありますけれども、やはりこういう点は佐藤さんが運輸関係出身者であるならば、だれよりもよくわかっておることなんです。六・二キロの近くに急行をとめてよいか。これが全部運輸畑以外の総理大臣であったら別です。運輸畑出身の佐藤総理であります。だからそういうものでないといいますが、荒舩さんのときと同じであります。荒舩さんは責任をとってやめた。佐藤さんのほうにもそういう責任を私はとるべきじゃないかと思います。まあしかしそれもとってないというならば、これは国民大衆がどう見るか。私は国民大衆の皆さんにこのことははっきりと見ていただきたいと思うんです。だから、委員長から時間もないからということで、次の問題がありますから次に進みますが、貴賓室の問題といい、急行停車の問題といい、一万五千の町にこういうことがあってよいかどうか。これこそ良識において判断すればはっきりすることじゃないかと思うんですが、この点、総裁いかがでございましょうか、急行停車の問題につきましては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/75
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076・石田禮助
○説明員(石田禮助君) 私はこまかい問題については全然存じませんが、しかし今後こういう問題がありましたときには、私はあなたの御趣旨に対しては大体賛成いたします。そのつもりでいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/76
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077・田代富士男
○田代富士男君 総裁がそう申されましたから、これ以上のことは申し上げませんが、その趣旨に沿って今後運輸行政に携わっていただきたいと思います。要望しておきたいと思います。
次に、最初に申しておきました第三番目の問題ですが、赤字線に対する問題であります。御承知のとおりに膨大な赤字をかかえた国鉄の財政をどう解決するかというところで種々御検討努力されている点は私も了といたします。その一つの問題として取り上げられるものが赤字路線の問題じゃないかと思います。この赤字路線の問題に対しましてどのように取り組んでいらっしゃるか、概況をまず御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/77
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078・石田禮助
○説明員(石田禮助君) 赤字線にも幹線の赤字線というやつと、それからローカルな赤字線というのがありまするが、幹線の赤字につきましては、これは損が、いま損になっている、あるいは将来この損が大きくなるというようなことがありましても、これはやはり国鉄としては努力してやらにゃならぬものだというふうに考えております。しかし、このローカル線でありまするが、これは線にもよりけりでありまするが、大体の傾向としては収入というものはふえぬ、大体において。むしろ減るやつもある。しかも経費というものは人件費の増というものを根幹といたしましてふえるので、差し引き勘定においてこのローカルの赤字線というものの合計は私は今後ともふえこそすれ減ることはないと考えます。それで現にこの赤字路線による損というものが四十一年においては千四百四十五億ですよ。このうちでとにかく直接費だけをもカバーできない線というものが二千キロでありまして、それによる損というものは約百五十億あります。それで問題はこの直接費をもカバーできないもの、これがまあ問題になるんでありまするが、この点につきましてはさっき申したようなマイナスというものが年々ふえるという傾向にかんがみ、ことに国鉄のほうのこの黒字線の場合においてでも、昔国鉄が輸送を独占しておったときと比べまして、いまやもう四面敵だということで、収入の増はありまするが、その増たるやきわめて勢いが薄い。そこへもってきて経費というものはえらい勢いでふえつつあるということで、黒字線というものに対しても相当にこれはもう一生懸命やらなければならぬときでありまするから、その上に赤字線というもののローカル線の損が増大するということになると、国鉄としては大問題である。これはどうしたらいいかということでいま国鉄の委員会等をつくりまして、その点検討しておるんでありまするが、その結果にかんがみ今後どうするかということを考えまして、どうせこれは国会に出さなければならぬと存じますが、そのときに提出して御検討をお願いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/78
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079・田代富士男
○田代富士男君 いま総裁が申されたとおりに、赤字線の増加が国鉄には大問題であるといういまの結論でございますが、私も同感でございます。それにつれまして新線の鉄道敷設の問題等も検討されております。これはもうやっていかなくちゃならない問題は多々あります。新幹線の問題も含めまして。そういうわけで新線の鉄道敷設の基準というものはどうなっているか。その点も最初にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/79
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080・石田禮助
○説明員(石田禮助君) お尋ねしますが、新線というのは、新線建設公団でやっているやつですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/80
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081・田代富士男
○田代富士男君 そうそう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/81
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082・石田禮助
○説明員(石田禮助君) これはいわゆる御承知のとおり、鉄道審議会できめるのでありまして、国鉄としては意見を述べる機会はあると存じますが、ただそれは陪食でありまして何ら力がない。結局われわれは、鉄道審議会が決定したものに対して新線建設公団がつくる、できたならば国鉄がそれを引き取って経営する、こういうようなことになる。これは国鉄としてはいかんともすることができないというのが真情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/82
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083・田代富士男
○田代富士男君 そのことについては後ほどお聞きするといたしまして、まあいま田布施駅の問題がございまして、山口の問題が出てまいりましたから山口県の赤字路線の問題を取り上げたいと思うのです。
御承知のとおりに岩日線というのがあります。山陽線の岩国市から島根県の日原ですか、日原町に至るところの岩日線でございますが、これは岩日南線と岩日北線と二つに分れておりますが時間もないようでございますが、簡単に岩日線の当初から今日までの概略を述べていただきたいのであります。時間がありませんから簡単でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/83
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084・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 岩日線は、昭和三十五年の十一月に岩国‐河山間が開業し河山‐錦町間が三十八年の十月一日に開業になっております。目下錦町‐日原間が着工中でございますが、この経営成績を見ますと、これは古いほうのあれはちょっと資料持ち合わせませんが、三十九年度の営業係数で申し上げますと、六六〇、それから四十年度で七三五というふうに、きわめて採算の悪い線区でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/84
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085・田代富士男
○田代富士男君 いま営業係数でも説明されたとおりに採算の悪い線で、岩日南線の場合はいま話がありましたとおりに、岩国‐河山まで三十三・五キロではないかと思うのですが、まあここまでの、岩日南線の三十八・三キロですね。この内容を見ますと、鉄橋が百二十六カ所です、三十八・三キロのうちに。トンネルが二十四カ所、駅が九つあります。九つの駅のうち六カ所が無人駅です。だから三十八・三キロの全長のうち四分の一が橋だとかトンネルです。こういう概況になっているわけです。そうして国鉄の当初のこの問題に対しましては、赤字覚悟の四〇六だと、営業係数は四
○六、その目標で進んだと思うのです。三十九年には六六〇という、まことに営業係数が悪い。四十年には七三五。この営業係数を国鉄全線で見てみますと、昭和三十九年には六六〇で赤字線の第七位になっております。第一位が柚木線から始まりまして、赤字のベストテンのうちの第七位です。そうして四十年には、いま申されましたとおり七三五という、岩日線は第六位に一階級上昇いたしました。これはいいほうの上昇じゃないのです。毎年、毎年と上昇し、当初の四〇六の営業係数を上回るような状態になってきているわけです。そもそもこういう新線路線を敷いた目的というものは那辺にあるか。私はこの前のこの委員会におきましても宮守線の問題と湖西線の問題を取り上げたときに、こういう新線建設はどういう目的でやるのかということを私が尋ねたときに、まあそのときの答弁は、地域開発のためであるとか公共的な目的を含んだ上にそういう問題を取り上げるという答弁がなされましたが、この岩日線そのものに対しましてはどうしても敷かなければならないような時点であったかとうか。——時間かあれは聞いておきたいと思うのですが、委員長が時間がないとおっしゃるから私の一方的な話になりますが、岩日線を敷かなくても、すでに国鉄のバス路線が岩国から日原を通りまして益田まで走っております。それ以外に、石見交通ですかね、石見交通岩国市営バス、そういうバス路線が一日に何十往復しておるわけです。それになおかつこのような七三五というような、百円の収益をあげるために七百三十五円の赤字を出さなくっちゃならないというような、こういう路線をあえてつくらなくっちゃならなかったかどうかという問題です。ここに問題があります。まして、昭和三十五年度かと思いますが、これは三十五年のあなたのほうの資料によりますと、特別運賃の制定を命じております。その三十五年に改正した次の各線についての非採算制を理由にして特別運賃は、旅客で最高七・五割増し、貨物が最高四・五割増し制定したと、そして三十六年四月の運賃改定に際して、同年五月二十日付をもって廃止した指宿線、能登線、岩日線、越美北線、これだけあがっておる。このようなことをしてまでも通さなければならないかと、私はその点を伺いたいのです。それでこの点についても私はいまさっきの田布施駅の貴賓室の問題といい、急行停車駅といい、佐藤さんや岸さんの圧力があったのじゃなかろうか、まあそのように申してきたのですが、この点につきましても、ここに雑誌が出ております。この雑誌にこのように載っております。「大臣が停めた駅、曲げた線、全国一覧表」という雑誌があります。この雑誌を読んでみますと、この岩日線がどのようにしてできたかということが概略書いてあります。「佐藤総理が吉田内閣の官房長官時代に手をつけたとの噂があり、建設大臣当時に着工した岩目線など、政治家と鉄道とのクサレ縁は、あげたらキリがない。
しかも、こうしたローカル線は、大半が赤字路線になる」このように書いてあります。その岩日線のことを「路線は岩国付近の川西駅から河山駅まで二十七・九キロ。二十五億円の巨費をかけて、三十五年十一月に開通した。周辺のみるべき産業は、終点の河山に硫化鉱を産出している日本鉱業河山営業所があるほかは、錦川ぞいに人家もまばらな地域ばかり」、ところがここは国鉄のバス、石見交通、防長、岩国市営のバスが一日約百往復もしており、こんなところに、「なんで、サルが出没するようなところに二十五億もかけて赤字をふやすんだ」これは国鉄の当時の総務課長さんでありましたかがこういうことを、本音を吐いてしまった。それで国鉄の最高幹部におこられた、そういう事実がございますが、このような、まあ収入の四倍あるいは六倍、七倍とかかるような、そういうところをやらなくっちゃならなかったと、まあ無人駅を多くつくり、乗務員、保安要員を含めて総職員を少なくしたというようなこともありますけれども、こういうところにどうしてやらなければならなかったか。そのことに対して、「しかし、山口県は岸、佐藤という大モノの地盟であるばかりでなく元運輸相・重宗雄三参院議員の地元でもある。重宗氏は、地元の岩国にかえったとき、「赤字、赤字といわれているが、この線は大事なんだ」といって推進させた」というのです。いま言うように「これがまさに”政治路線”といわれるゆえんである。」このように書いてある。これに一覧表が書いてあります、この赤字路線の政治家と鉄道の一覧表がここに書いてあると思います。まあなくなったお方はさておきまして、敬称略しますが、佐藤栄作、現総理、吉田内閣の官房長官時代に地元山口県の岩日線新設に尽力。田中角栄、現幹事長、選挙区新潟県の只見線の新設に尽力した。石井光次郎、現法務相、法務大臣ですね、選挙区福岡県の矢部線にディーゼルを乗り込ませた。橋本登美三郎、現建設相、——これはこの当時の雑誌です、そのままです。選挙区茨城県に鹿島線をつくらせ、銅像が建った。綾部健太郎、元運輸相、選挙区大分県の日豊線の複々線化に力をかした。益谷秀次、元衆院議長、選挙区石川県に能登線、これは益谷線との異名があり、新設に協力した。中村寅太、元運輸相、選挙区福岡県で国鉄長距離バス新設を申請した。中村三之丞、元運輸相、選挙区京都府で鉄道高架線の建設を申請した。斎藤昇、元運輸相、選挙区三重県に新線設置を計画した。永野護、元運輸相、大臣就任十日後に伊豆急行の新設申請を認可した。瀬戸山三男、元建設相、九州縦貫道路を選挙区宮崎県のところで曲げさせた。こう載っているわけです。これがいわゆる政治路線である。そしてここにあげられた代表的な線がどのような営業係数になっているかというと、能登線が三二四です。一億四千万円の赤字。只見線が二三九、久大線は一七一、矢部線が二二九です。このような営業係数の高いこういう線になっている一環としてこの岩日線もそういうふうに言われてもしかたがないし、どうしてもこれは改良すべきであると思うのですが、この点はいかがでございますか。この点はもういまさきの貴賓室と同じように、できたものはしかたがないと申された、まだ改良すべき点があるのじゃないかと思いますが、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/85
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086・石田禮助
○説明員(石田禮助君) さっきも申し上げましたように、新線を建設するかどうかということは、これは国鉄の意思ではいかんともすることができません。鉄道審議会で決定することでありまして、いまはこれは新線建設公団がやるのでありますが、昔はこれは鉄道にその命令が来る。われわれとしては唯々としてその命令に服して建設する、こういうことになっているのでありまするが、すでにこのでき上がったものでありまするが、これはさっき申し上げましたように、大体においてこのローカル線というものは収入はふえてもきわめてわずかだ。大部分というものは減るものも出てくる。しかも経費というものはこれはえらい勢いでふえていく、差し引き勘定をして赤字というものはますます増大をしてくる。これは、国鉄は独立採算の立場からして、その他国鉄経営の大方針である能率的に経営するという点から見まして、この赤字というものをできるだけひとつ少なくしなければならぬ、こういうことでいま着々としてやっているのであります。それでこの根本の問題につきましては、さっき申し上げたような赤字線の委員会というものがございまして、その決定を待って御審議を願うということになると思いますが、それまでのわれわれの方策といたしましては、できるだけ赤字を少なくするにはどうしたらいいかということでありまするが、その一番の問題は——何といったって、この赤字の一番大きなファクターというものは経費だ。経費ということになるとやっぱり人件費、そしてこの人件費というものを減らすにはどうしたらいいかということで、あるいは無人駅にするとか、あるいは、自動信号機を設置し観して、中央——いわゆるCTCというやつでありますが、あれによって人間をできるだけ減らす、こういうようなことに最善の努力をいたしておる次第でありまして、根本問題は、さっき申しましたような委員会の決定を待って、できるだけ早く検討いたしまして御審議をお願いしたい、こういうふうに思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/86
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087・田代富士男
○田代富士男君 もう時間だという通告が来ておりますが、もっと聞きたい、いろいろありますが、それで一つの例ですが、このように七三五というような営業係数が出ておりますが、これを改善するために努力をしていかなきゃならない。それで赤字線の改善のためにというわけで、国鉄側は努力されまして、線区の素質について国鉄が分類されたのが六通りあると思うのです。一つは基幹線及び準基幹線、これが一つ。二番目は培養線、三番目には大都市近郊通勤線、四番目が地方交通線、ここまでは何とか国鉄の、国鉄全体の営業係数は、四十一年度は一〇六になっております。これでカバーできる。問題の赤字線は第五番目の地方通勤線、六番目の純ローカル線、これが先日磯崎副総裁が大蔵省からこの赤字を何とかやれと言われまして、六千キロの赤字路線を一応検討する、廃止する、六千キロを廃止すると。その対象に当たるのが五番目の地方通勤線と純ローカル線。これがそれに当たるのじゃないかと思われます。そうなりますと、岩日線の問題いまの問題を出しますと、ほとんど利用客は通勤客だけなんです。もうほとんどの地元の人々はバスを利用しております。そういうところが五番、六番の対象の中に入っている。岩日線であるならば、一応整理あるいはそれに見返るものを考えなくちゃならないし、それで国鉄は、赤字路線を改革するためというわけで、テストケースとしておやりになりました白棚線——白棚線ですね、福島県、それから坂木線、これは奈良県、それから柳ケ瀬線、これは滋賀県——福井県、それから杉津線、これは福井県、四つの線が、いままで軌道で走っていたわけですがこれをバスにかえた結果どのようになったか。——これの間は省略しまして、営業係数だけを引きますと、バスに転向したために白棚線は一二五という常業係数が出ております。これが軌道で従来どおりやっていたならば二八六という営業係数になっているだろう。約半分以下に下がっております、バスになったために。坂本線は営業係数がこれはちょっといろいろな異存がありますが、従来どおりやって六一九、バスになったために八八という営業係数が出ております。杉津線は、もしもこれが従来どおりだったならば一三一四という営業係数、バスになったために三五七という常業係数。柳ケ瀬線、これは従来どおりでやったならば七五四、それがバスにかわったために二八二ということが出ております。だからこの数字でいきますと、当初四〇四の営業係数じゃなかろうかと見ていた、それが七三五という営業係数が出ているならば、バス路線が、バスが通っているのですから、何らかの形で手を打つならば七三五の常業係数を好転さすことができるのじゃなかろうかと思うのです。これは問題点の一つでございます。にもかかわらず、今度は、山口県の錦町からいよいよ山陰の日原町へ結ぶところの岩日北線の起工式が、昨年の十二月に行なわれております。もうここは地域開発等も必要がないのです。バス路線が走っているのです。それで、七三五、これだけの営業係数を好転さすには、一方では軌道からバスに転向して、このように赤字解消いたしました、一方では赤字覚悟の上に、国鉄ハスが走っているにもかかわらずそれをやらなくちゃならない、こういうところに国鉄側としては自己相違があると思うのですが、この点はいかがですか。この点ひとつ総裁からお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/87
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088・石田禮助
○説明員(石田禮助君) 御承知のとおり、赤字線というものをつくると、それを、とてもこれはもう将来見込みがなく、また実際においてバスというものに代用できるものに対しては、鉄道を取っ払ってそのままいくわけにはいかぬ。すでに地方の人たちというものはこれをある程度利用しておるのですから、やっぱりこれにかわるものでなければならぬ、かわって経済的なものでなければならぬ。こういうわけで例の白棚線というものは進んできたわけなんですが、これを今後どうするかということにつきましては、さっき申し上げたように、赤字線の特別委員会というものがありますからして、その結論を見て、できるだけ早い機会において結論を出して御審議を願う、こういうことにしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/88
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089・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/89
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090・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/90
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091・田代富士男
○田代富士男君 どうも再三のあれでございますからやめますが、いまのあれじゃちょっと私は納得できないのです。その点もうちょっと詳しく御答弁願えないでしょうかね。じゃ、国鉄どのお方でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/91
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092・石田禮助
○説明員(石田禮助君) いまの御質問のポイントは、いまのやつでは非常に損になっておる。さらにその上にまた継続的にやる、こういうふうなことですが、私は国鉄の立場から言えばやりたくない。しかし、どうも鉄道の審議会の決議が、よういかぬということで、はなはだいやいやながらやるということでありまして、われわれは進んでやっておるのではないということはひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/92
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093・田代富士男
○田代富士男君 いまの国鉄の立場からやりたくないと、——もうすぐ終わります。やりたくないことも私もそのとおりではないかと思うのです。そこで、まあ結局建設審議会なるもののその圧力に屈しては、石田さんの一徹が死んでしまうと思うのです。そこで、発言権がないといまさっき申されたのですけれども、そういう審議会自身の中に問題があるのではないかと思うわけなのです。だから、まあこれはやはり鉄道線路を敷くということになりますとたいへんですけれども、まあ、そこで、この起工式が行なわれたときの様子を調べてみましたが、昨年十二月十九日に起工式が行なわれて、関係者はずいぶん気を使ったらしいのですが、山口県側では、午前八時三十分から第一回のくわ入れ式が行なわれ、そして、おかしいことにくわ入れ式の場所と起工式の場所が全然別個で行なわれたのですね。起工式の祝賀会がとんでもない益田市のほうで行なわれております。それでくわ入れ式のときには当委員会の委員長代理で江藤さんが委員長代理としてくわ入れ式に雨の降る中を参加されまして、まあそうして、今度は祝賀会の会場には大橋元運輸大臣、それから細田衆議院議員が参加されまして、三人とも口をそろえて今後とも全線開通に努力をすると、このように申されたわけなのです。まして大橋運輸大臣は益田市のはっぴを着まして、そういう会合にはっぴまで着まして大張り切りようで、運輸大臣として赤字路線を解消いたしますと、何とかしなきゃならないと現職大臣のときにはそのように言っていた人が、赤字は覚悟でいま言いますように四つの路線、白棚、阪本、杉津、柳ケ瀬をやったのは、このようなバス路線にかわったために、このように営業係数もよくなっているわけなのです。そのようなケースもあるということを言っているわけなのです。大橋さんなんかは一番先に参加している。これがいまさっきの議員数と言い、いまこの雑誌に出ております佐藤さんの官房長官当時に準備をして建設大臣になった当日岩日線がかかったとかいうことが出ておりますが、佐藤さんも山口県の出身である。もちろん岸さんもいま出ておりましたとおり。重宗さんもそのとおり、江藤さんもくわ入れ式に行ったところ、島根県大橋さん、それから細田さん、こういう、竹下官房副長官等の名前も見られるわけなんですけれども、そういうふうにしてやられたならばこれは一体どうなるか。これだけの巨費を投じて赤字赤字とやっておるのですけれども、そういう場合に現在国鉄がやっていらっしゃるのは現行法の鉄道施設法、これは大正十一年に制定された。この鉄道施設法に基づいたその当時の考えでなくて現在の時点であるならば、一部考え方を変えていく時点になっているんじゃないかと思います。時間がないと委員長もおっしゃいますから、鉄道施設法に対する改良あるいは検討を加える余地があるかないかということを最後にお聞きしたいと思います、総まとめにいたしまして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/93
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094・石田禮助
○説明員(石田禮助君) これは再三申し上げまするように、法律できまることでありまして、これを是正するということは国鉄総裁としてもいかんともすることができない。ひとつこれは法律改正ということに御努力くださるということのほかには私は解決の道はないと思う。ことにいまの岩日線のほうの継続線というものは新線建設のことでありまして、国鉄としてはきわめて間接の間接であります。どうぞその点は御了承を願いたいと思います。私もがんこ一徹、がんこ一徹と言われますが、がんこであろうがなかろうが、そういうことですから御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/94
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095・田代富士男
○田代富士男君 わかりました。これで終わります。次回はこの問題につきましては建設審議会のメンバーを呼びまして再度連続してやりたいと思いますから、いまさっき岩日線はやりたくないと、国鉄総裁としては。その意見に私も同感ですから、それで赤字の問題に対して今後とも努力してもらいたいと思います。その点要望いたしておきまして、時間がありませんからこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/95
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096・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/96
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097・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00519680305/97
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