1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年三月七日(木曜日)
午前十時二十七分開会
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 谷口 慶吉君
理 事
岡本 悟君
重政 庸徳君
大倉 精一君
木村美智男君
委 員
木村 睦男君
沢田 一精君
天坊 裕彦君
小酒井義男君
森中 守義君
国務大臣
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
政府委員
運輸省船舶局長 佐藤美津雄君
運輸省自動車局
長 鈴木 珊吉君
運輸省航空局長 澤 雄次君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
説明員
運輸省海運局次
長 高林 康一君
—————————————
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○運輸事情等に関する調査
(航空に関する件)
(自動車行政に関する件)
○臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/0
-
001・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
運輸事情等に関する調査の一環として、民営鉄道の運営について調査するため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/1
-
002・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 御異議ないと認めます。
なお、この日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/2
-
003・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/3
-
004・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/4
-
005・木村美智男
○木村美智男君 きょうは大臣が見えられておりますので、この前の委員会の続きの問題で、どうしても大臣にお答えをいただくことが適当だということで判断をされましたので、お伺いしたいと思うのです。その前に、この間航空局長が、私が最近の羽田の飛行場におけるチャーター機がたいへんふえてきているということで近況を伺ったところ、一月までのデータを出して、たいしてふえていない、特に一月は減っていると言うから、これは特殊事情だと、こう言って、二月をペンディングにしておいたのですが、私の調査によると、二月はこの間委員会で指摘したとおり、まさに昨年の三月、四月のピーク時とほとんど同じぐらいになっているという事実が私なりにわかったわけです。これひとつ、航空局長この間言っている方向と少し違うから、担当の航空局として、二月は一体二十九日間に何機が羽田に来たのかということを、もうきょうは七日ですからわかっているはずなんで、ひとつその点具体的に明らかにしてもらいたい。それで大臣の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/5
-
006・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 二月はいま先生のおっしゃいますように若干ふえてまいりました。現在まで統計がとれておりますのは二月二十七日まででございます。二十七日まで二百八機でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/6
-
007・木村美智男
○木村美智男君 どうもおかしいな、航空局長まことに申しわけないが、二月一ぱいで二百二十五機になっているんですな。これは二月二十七日ではなくて二十九日だからね、それはいいんですが、いずれにしても二百機を突破をしてここまできたというのは大体一日平均入機ですよ。そうなってくると大体昨年の三、四月の、航空局からも問題が指摘をされて、できるだけ使わぬように、横田のほうに回してくれとか、夜間は避けるようにやってくれという申し入れをしたときと同じ状態にいまなっているんです。これさえ確認できればそれでいいんですが、それで大臣にお伺いしたいんですが、大体羽田というのは少なくともあそこは軍用飛行場ではない、民間空港なんだからチャーター機は——それでなくとも羽田はもう一ぱいになっておって、スポットに危険すら感じてきているんだから、この際ざっくばらんに言えば断わったらどうだ、チャーター機は。その断わるといってもいろいろ背景のあることは私も全く知らぬわけではない。だからその断わり方というやつは、あの羽田の空港の安全の維持という立場から代替地を横田に求めるという形で規制をするというようなこと、それから安全という立場からしばらくの間とにかくあそこに離着陸することは見合わせてもらうというような中身のことなんですが、そういったことで米軍関係と折衝をするように運輸省として方針をきめて外務省を通じて話をする気はないかと言ったんですが、これは航空局長ちょっと無理だというので大臣に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/7
-
008・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいまお説のとおり羽田が民間航空機の利用に障害がくるようではいけません。そういう意味から月二百回以内ぐらいならばやむを得ないと思っておりますが、これが連続して二百回をかなりこすというようなことになりますと、申し入れをいたしまして、正常状態に戻すようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/8
-
009・木村美智男
○木村美智男君 大臣それはけっこうなんです、それはそれとしてやられていいんですが、私はもう羽田はだんだん国際基地として、発着回数にしてもふえてきておるし、そうかといって施設は拡張できない見通しだからどこかに新しくつくらなければならぬという情勢になっておるのだから、したがってチャーター機問題については、この間理由を伺ったところが大体給油の関係、もう一つは整備、修繕の関係だというんです。給油なり何も羽田だけに限ったことではないじゃないかということと、それから修繕というのはたまたま民間航空会社の修繕工場が羽田の飛行場にあるから便宜的にそういうことになっておって、どうしても必要だというなら横田にその小さな工場を持っていけばいい、そうすればなおのこと羽田はスポットに利用できる面積も広くなる、そういうことまで一応考えて、その辺はざっくばらんに言って私は行政協定があってもやり得る、話のできる話じゃないかというふうに考えているわけなんです。それはどうしてもまずいんだというなら、そういうまずいということをざっくばらんに答えてくれぬかといったら、航空局長ちょっと無理なようなんで、それじゃ大臣だということになっているんです。二百回以上のやつは、それは大臣おっしゃるとおりで、それはけっこうなことで、もうできるだけ絶えずそういう状態に確保するということでやっていただくことは、これは当然なんですけれども、いまの点ひとつ大臣お答え願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/9
-
010・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) できるだけ横田のほうを使ってもらったほうがいいと思いますので、米軍とも話しまして、もし横田のほうの給油能力が不足であるとか何とかというんでしたら、それをカバーできるように向こうのほうでも施設を強化してもらうように話し合いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/10
-
011・木村美智男
○木村美智男君 そこで、やっぱりチャーター機問題は直接の発端は成田なんです。で、これはまだ私どもは成田空港について、つくることを認めておらぬ立場だけれども、いろいろと成田の空港をめぐって政府側が、あるいは運輸省が関係をして出しておる文書その他等を見ますと、将来展望として考えてほんとうにそうだろうかと思うようなことが書いてあるんです。それは何かというと、成田の空港は、まあ固いことばで言えば軍事基地ではありませんということを言って、政府側は、これは責任を持ってそういうことにはさせないと、こう言っているので、実は、成田は一体でき上がる段階ではチャーター機といったようなものが入っていくのかいかないのかということで、これはたいへん大事な問題なんです。で、羽田の場合には行政協定に関係があるが、成田は関係ないとは言わぬけれども、今日新しく生まれる飛行場だから、したがって純粋な民間空港として、やっぱりこれぐらいは何ぼ——いまや占領下じゃないんだからね、したがって独立国としてやっぱり、せめて新しくできる成田の空港ぐらいチャーター機なんというものは入らないぐらいの措置はとり得るはずだと思う。ということで、入るのか入らないのかということを伺っているわけですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/11
-
012・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 運輸省が千葉県と一緒に出しました成田周辺の解説のビラには、軍事基地にはいたしませんと書いてあるのはお説のとおりであります。それはそのとおりでありまして、軍事基地にいたす考えは毛頭ございません。まあ普通軍事基地といわれますのは、地位協定に基づいて日米合同委員会で合意して、あの付表に載って向こうが軍事目的に利用し得るものが軍事基地といわれるのでありますが、羽田の場合はそういう合意によって付表に載っているというものではないので、一般民間国際空港としてのステータスが本来のものであると思います。ただ地位協定によりまして、日本の空港や港に対してアメリカの飛行機やあるいは艦船が出入できるというふうに一般的、抽象的に書いてありますものですから、民間機のチャーターしたのが入ってくるということがあるのであります。で、それもあまり好ましいことじゃありませんから、横田を補完する意味において多少はいままでも認めてきたのであります。しかしこれを拒絶する権能があるかというと、法の解釈からみるとなさそうであります。だからそこのところは両国の話し合いということでわりあいスムーズに運航しようとしているのであります。成田の場合も法の解釈からしますと、やはり地位協定にカバーされる日本国内における航空基地でございますから、地位協定にカバーされることになるといわれております。しかし成田の国際空港というのは、まあいろいろ成立の因縁もありますし、いま羽田はそのまま使えるわけでございますから、将来成田を供用する場合には、できるだけ純然たる民間国際空港として、アメリカのチャーター機やその他はなるたけ飛来させないように話し合いを進めていきたい、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/12
-
013・木村美智男
○木村美智男君 大体わかるような気がするのですが、大臣、この軍事基地の問題ですがね、私はやはりこれは狭義の、狭い意味での軍事基地という場合を大臣言われた。もっとやはり広義に解釈ずると、いまのチャーター機というやつ自身が、これは飛行機は確かに民間航空の所有物だけれども、乗ってくるのは武装した兵隊であり、積まれているのは軍需物資だということになると、それは大臣言うように、軍事目的にやはり沿ってこれが動かされていることだけは間違いないです。だからそういう点から考えると、それが一年に一回か二回きたとか、たまに間違って不時着したということならこれはいいんですけれども、そういうものが常時やはりその飛行場を使っているということになると、これは別にその飛行場自身に、ミサイルなりその他の施設を持っていなくとも、軍事基地に準じたような役割りを持つことだけは間違いないと思う。これはだからある程度客観情勢によって軍事基地という解釈も変わってくると思うのです。もっともっとベトナム戦がエスカレートして、そうなってきた場合に、かりにそれは沖繩が、ということで大体ふえんさしていけば、やはり軍需物資を、それから武装兵員をどんどん輸送する足場になっている羽田というものも、相手方にとってはやはり一つの報復目標になっていく危険性というものはある。だからいま直ちに、もちろんベトナム戦争のエスカレートはわれわれは望まぬし、一日も早くこれはとにかく消えてもらうことを願っているけれども、しかしエスカレートの次第によってはそういう危険だって出てくるということをやはり考えていけば、できるだけ民間、この飛行場は、いま地位協定というものが抜本的にこれは改正をできないということになれば、できるだけこれからできる新しい施設については、そういう危険性を事前になくしていくという努力は、私はこれは、地位協定があろうが安保条約があろうが、今日の日本の独立国という立場では、大事な国民のやはり要請ではないか、こういうように私は考えるものだから、したがって、いまのところ大臣の答えられたこと以外には、ちょっとその程度以外には出ないと思うのですが、ぜひひとつ成田を、かりに将来発展——成田はわれわれとしては望ましくないけれども、しかし実際として、あれが国際空港として動き出すという段階では、ぜひひとつ羽田が今日やっているようなことではなしに、チャーター機はもう飛んでこないような関係に、これは運輸省としては最大の努力をしていく方針だと言うから、きょうはそれを伺ったところであれしておきますが……。というのは大体成田は、当初の計画からいけば、もう半分以下なんですね。おそらく私は、あそこは飛行場をつくったって五年もたてばまた狭くて拡張騒ぎや移転騒ぎをしなければならぬような情勢がくると見ておるのですよ。今日からそういうことを申し上げておきます。そういうところだからなおのことチャーター機が入ってきたなんということになると、スピードは速いし大型だというような関係で、これは羽田の問題なんというものとは比較にならないチャーター機を入れることのスポットの、あるいは管制上の安全性という問題については、たいへんなやはり影響力を持ってくる。こういうふうに認識をするものだから、特にビラだけにとらわれて何か言っておるわけではなくて、将来の一体国際空港がいかにあるべきかということをひとつ抽象的に頭に描いてお伺いをしたわけで、じゃぜひチャーター機問題についてはそういう考え方で進めてもらいたい。成田空港是非の問題は、新しく新国際空港公団法何とかの法律というものが提案されますから、そこでひとつ私は意見も申し上げて、これは議論をしたいと思う。それじゃ時間の関係もありますから、そういうことを要望して大臣に対する質問は終わらしてもらいます。で、森中委員のほうからも大臣に関連質問があるようですから、私、ちょっと航空局を離れて、自動車局長に二、三お伺いしたい。
自動車局長にお伺いしたいのは、最近非常に交通事故がひどくなってまいりまして、何というか交通地獄といわれるような現状の状態の中で、多分にそのことから起こってきた事態をどうこれを救済をするかという問題では、自賠責というものが非常に有効に働いておる。ところが急速に、一方では裁判その他を通じて、国際的にも国内でも人間の価値というものが——そのことでほんとうに人間の価値が上がったかどうかは別問題として、少なくとも損害賠償額といったようなものについては人間の価値というものがやはり高く、金によって償われるわけじゃないけれども急速に上がってきておるわけですね。そこで確かにいきさつからいうと、去年の八月改正をしたばかりだからという気持ちが私どももないわけではない。しかし現状ではもらすでに死亡三百万といったようなことでは、今日の社会的要請にそぐわないという実情があちこちに出てきておる。したがって、そういう意味でいま自賠責の、いってみれば収支の状況というか、これがどういう状況になっておるのか。私、大体黒字になっておると思う、強制保険では。そういうこととも関連をして、今日の三百万円という最高限度額をどうしてもやはり最小限六百万くらいにこの際引き上げる必要があるということなんで、自賠責の実施の現状とあわしてこのことについてどう思うか。結論的には私は早急に検討に取りかかっていただいて、できるだけ具体的に改善の措置に入ってもらいたいというのが言わんとするところなんですが、この点ひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/13
-
014・鈴木珊吉
○政府委員(鈴木珊吉君) 御説明申し上げます。保険金額が現在三百万円、昨年の八月に百五十万円を引き上げたわけでございます。現状の賠償の支払われておる額等を見ますると、統計の数字から申しますると、まあ統計がずれますものでございますから、大体三百万円くらいのところで、死亡につきましては七割くらいのところはカバーしております。これは一年くらい前の統計でございますので、たとえば昨年四十二年度になりましたら、多少上がっている数字が出ております。これは統計じゃございませんで、たとえば最高裁とか、そういったところで判決、示談等に実際出た例を見ますと、三百万円を相当上がっている例が出ております。そういうととでございまして、自動車局といたしましては、やはりそういった実際に支払われた額が上がれば、やはりその制度もそれに相応して引き上げていくという方向へ向かうべきであるといろふうに実は存じておるわけでございます。これは時間の問題と申しましても、たとえば先生御指摘のように、それに伴う財源問題等も考慮しなければなりませんので、いますぐというわけじゃございませんけれども、姿勢としては前向きに引き上げていく方向へ向かって検討いたしたいというふうに考えております。なお、財源問題でございますけれども、たとえば三百億程度の実は累積の黒字というものが再保険関係の面だけ見ますと出ております。これは相当あるというふうに実は取られるのでございますけれども、実は昨年百五十万円を三百万円に上げました際は、それに見合います保険料率というものは、実は計算上は平均して約二六・八%に上げなければ合わないというのでございましたのですけれども、実際は相当の引き上げになりますという点を考慮いたしますと、それからまた過去に黒字がございますので、それを引き当てということも考えまして、そこに平均の二六・八を、最高が二割、最低が一・七という程度の保険料の引き上げ率を押えているということでございます。それからさらにもう一つは、八月の引き上げの改正の時期前に保険契約を結びましたものがございます。これは本来ならば、それも同じように百五十万円を三百万円に上げる場合には、契約以前の八月一日以前のものにつきましては保険料を上げなければならぬ。つまり追徴しなければならぬというのが理屈でございますけれども、そうしますと、交通保険というたてまえもございますし、そういう点も考慮いたしまして、これは追徴しない。ただし、そういう八月一日以前のものでも、事故が起これば百五十万円じゃなしに三百万円の額を払うのだというふうに踏み切ったわけでございます。そのようにいたしまして保険料率は本来ならば上げるべきところを低く押えたと。さらに八月一日以前の契約の分につきましては新しい保険金額を払うということで実は考えましたものでございまして、したがいまして、それはそれまでに出ました累積黒字を引き当てにしたということでございます。したがいまして、今後かりに三百万円を五百万円あるいは六百万円に上げるというふうに考えました場合には、表面上黒字は出ておりますけれども、これをそのまま使えないというのが実情でございます。特に自動車保険の場合は、火災保険等と違いまして、大体二年ぐらい経過いたしますと支払いが始まるというわけでございます。したがいまして、昨年の八月に上げましたものは、本年の八月、来年の八月、四十四年か五年ごろから急激に支払いが出てくる、新しい額が出てくるということも考え合わせますと、そういった引き当てにしておりました累積黒字というのは要するにたまらない、くずされていくというわけでございます。したがって、そういった点を考慮いたしますと、相当な保険料率を上げないと、再保険のほうの関係の台所は苦しくなるのじゃないか。それで私どもまだ正式に計算しておりませんし、それからまたこれは大蔵省の関係もございますので、私どもだけじゃこれはいきませんので、研究しなければならぬと思っておりますけれども、かりの試算をしてみますと、かりにいまの三百万円を倍にいたしまして六百万円といたしますと、大ざっぱでございますけれども、いろんな前提条件もありますけれども、捨象いたしまして考えますと、大体現行の六割ぐらい保険料率を上げなければとても引き合わない。引き合わないというのは保険会計上もたない。これもいろいろの前提がございます。これも捨象してというふうにわれわれ考えております。これはまだ突っ込んで検討しておりませんけれども、大ざっぱに言いますとそういうようなことも考えられます。したがって、こういう点につきましてはなお大蔵当局とも御相談しなければならぬと存じますけれども、いずれにいたしましてもいまの累積赤字というものは、保険料価額を引き上げ、保険料を引き上げた場合の引き当てにはならないということは、いまのような、御説明いたしましたようなことで無理だというふうに私考えております。ただし保険金額の引き上げにつきましては、こういった実情に応じまして、機会が来れば上げるという前向きの姿勢で検討したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/14
-
015・木村美智男
○木村美智男君 いま死亡の問題なんで、ちょっと傷害のほうを取り残したんですが、これは傷害についても同じであって、出発当初は大体三対一の比率で出発したわけですがね。だから死亡三百万円になったときには当然とは言わぬけれども、ほんとうは百万ぐらいに、傷害のほうもすべきであったけれども、これは据え置いたという関係から、最近の傷害の関係は全部が五十万じゃ間に合わないというのじゃないんですけれども、だいぶ五十万ではまかない切れないという実情が出て来ました。現実に私なんかも、傷の中で、これは運輸省のほうの皆さんに多少知恵を拝借して五つ、六つ問題を扱ったんです。扱ったんですが、どうあっても最後には被害者が泣き寝入りをせざるを得ない。五十万円という金額の範囲ではね。相当重傷の場合ですよ。軽傷その他の場合は大体間に合っています。そういうことからいうと、百五十万の段階で五十万。三百万円の段階で据え置かれた。今度六百万円なり五百万円なりということでぜひしてほしいと思うわけですが、その際、やはり傷害の関係についても、最低百万程度は——最高限ですから、何も百万円出せと言っているのじゃないですから、出し得る道を開くということで、これもぜひ御検討をいただきたい。現状からいって、いや必要ないという御意見であれば別ですが、それならやむを得ないですけれども、そうでなければひとつそういう方向でこれも検討してもらえるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/15
-
016・鈴木珊吉
○政府委員(鈴木珊吉君) 先ほども申しました、裁判所におきまして判決なり和解なり調停がありました四十二年の四月から十一月までの間のこれは実績を調べていますが、それによりますと、先生御指摘のように、傷害の場合は、たとえば百万円を見ますと、百万円で大体七一%カバーしております。したがいまして死亡の場合はまた三百万円で七割ぐらいカバーしておりますけれども、確かに傷害のほうがそういった意味ではカバー率が現状では少し低いんではないかということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、さらに改定する場合には、死亡のみならず傷害につきましても検討していきたいというふうに存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/16
-
017・木村美智男
○木村美智男君 局長、三百万円のいまの死亡の際に、大体七一%程度のようですが、カバーをしているというと、結局二九%というのはカバーできないということですね。そうするとやはり今日の新聞等で報道され、ある意味では社会問題化しているというこの被害者の救済状況の問題が、これはやっぱり三分の二は救われるが、三分の一は救われないという端的な話、そういう事情というのがやっぱりこれは大きな問題だという受け取め方が必要じゃないか。そのために、いま家庭の悲劇も起こり、あるいはその他いろいろ問題を派生しているというところに社会問題化してきておる点があるわけですから、そうするといま言われた中で、たとえば二六・八%ぐらいの掛け金率でなければうまくないんだというやつを、この前最高二割、あとは一七%ぐらいに押えたという点なんですが、私は基本的に考えて、大体企業にしても、個人にしても今日の保険料の安いにこしたことはないけれども、ある程度人間を重点にその保障を考えて救済の関係の制度をつくる以上は。それに対する掛け金程度の義務ですよ、これは。これが負担能力のないようなのは、ほんとうは企業をやってもいかぬし、個人で自動車持ってもいけないんだというぐらいの考え方にやはり私は今日では立つべきではないか。もっと道路がちゃんとしておって、交通事情がほんとうに余裕のある段階なら別ですが、特に佐藤総理の政治姿勢としても人間尊重ということをやはり言っているわけです。そういう意味からいけば、それを別に取り上げてどうこうというんじゃありませんが、ほんとうに人間を大事にするということが優先をした形というものが、こういう自賠責の場合なんかでも当然考えられる。だから、保険の掛け金引き上げについて喜ぶ者はないですよ。ないですけれども、これによって傷害を受け、あるいは死亡して、それで泣き寝入りをしていくというこの事態、これはやはり目をおおうことは私は許されないと思う。そういう意味で掛け金の問題はありますけれども、しかし、そこのところをひとつ気持ちの面ではいま言ったような立場で乗り越えてもらいたい。特に最近任意保険のほうが赤字でどうにもならぬという状態、このことを考えたらなおのこと強制保険をきちっとしておかなければ任意保険はさっぱりだと、強制保険もさっぱりこれもいかぬといったことになったら両方ともだめでしょう。したがって、任意保険のほうが赤字になるような事態の中では、被害者はきわめて不安定な状態、国民は不安定な状態に置かれているということですから、凶器を前にして。だからやはりそうしたら任意がだめならば国がやる強制保険のほうでしっかりとやれば、あとの関係はそれによって完全に救われるわけじゃないけれども、できるだけの手だてをするという制度をつくっておくことがどうしても必要じゃないかということで、先ほど六百万の百万ということを申し上げたんです。したがって、そういう面で大蔵省もこの点については関係をしていますから、当然御相談をいただいて、できるだけ早い機会に結論を出してほしいと思うわけです。この間ちらりと私うかがったわけですが、自賠責の場合は例の自家保障を認めたわけですよね。それなりの事情があって一たん世帯を持ってしまうとなかなかこれはたいへんだと思うんですけれども、これはむしろ大蔵省の保険局に対する質問になるかもしれぬですが、扱っているのが運輸省だから伺いたいのですけれども、私はこういう交通事故という問題が国家的なあるいは社会問題になってきておるという場合には、国が責任体制を持つということが基本的にあるべき姿じゃないかという気持ちなんです。だからいろいろの事情はあってもやはり一切の適用除外というものをこの際元へ戻して、国が再保険でぴしっと、いや国が直接責任を持った強制保険に統合すべきだという意見を私いま持っているわけなんです。これはいろいろ保険制度のあり方の根本問題に触れる問題ですから、きょうここで結論を出したり、結論的なことを申し上げようとは思っていないんですが、これもひとつ先に向けて、さっきの前向きというところまではことばがいかぬかもしらぬですが、しかし、これはひとつぜひ検討をするに値する問題じゃないかという私は意見なんで、この点も含めて、これはひとつお伺いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/17
-
018・鈴木珊吉
○政府委員(鈴木珊吉君) ただいまのお考えでございますけれども、前回は保険料率を押えた、低くしたということでございます。これは黒字があったということでございますけれども、おっしゃるとおりに、場合によったら凶器であるというものがやはりそれ相応の負担をすべきだということは、私どももそのとおりだと思います。したがいまして、やはり払うべきものは払うんだということでやるのが筋だと思います。したがいまして、保険料率の問題につきましては、もし今後改訂する場合にはそういう点も十分考えましてやっていきたいというふうに思います。
それから任意保険は頼りにならぬということでございますが、なるほど実績から見ますと、任意保険の加入率というものは低うございます。これにつきましては、任意保険に入るような勧奨あるいは奨励を運輸省のみならず関係各省がやっておりますけれども、とにかく低いことは事実です。といって、先生おっしゃったように、これを全部国で一〇〇%やるという議論もあると思いますけれども、これにつきましては、相当大きな問題もはらんでいると思いますので、十分大蔵省とも相談いたしまして研究はしてみたいというふうに思います。以上のようなことで、掛け金の問題、保険料率の問題並びに任意保険ではだめで、国でやれということにつきましては、そういう点で検討もし、研究もしていきたいというふうに存じている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/18
-
019・木村美智男
○木村美智男君 先ほど局長に私言ったのは、任意保険をやめちゃって全部強制保険にしろとは言うたんじゃない。これは自家保障の問題についていま局長が答えられたようなことを言ったわけです。任意保険はこれはできるだけ私進めていってもらって採算に会うようになってもらうことが望ましい、こう思っているわけで、そういうことで、あとの時間の関係もありますから。ただ、自動車局長には、私あと一年もたったらいろいろの面で本腰を入れてお願いもしたいし、議論もしたいと思うんですが、とにかく中曽根運輸大臣が選んで、とにかく専門でないというところに私非常な局長に対する魅力と期待を持っているわけでね。そういう意味できょうはこの辺でやめておきますが、どうかひとつ新らしい風を自動車局に吹き込んで、従来とかく言われているようなことをこの委員会ではあまり議論したくないという気持ちで申し上げたわけですから、きょうはこれで終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/19
-
020・森中守義
○森中守義君 委員長理事打ち合わせ会の決定に極力忠実でありたいと思います。ただし、大臣が非常に時間が迫っているそうですが、できますならば若干延ばしていただいて、ぜひお答えをいただきたいと思います。何しろあまり勉強ができておりませんので、物事次第ではお答えが非常に御無理の内容もあると思うんですが、そのつもりで御答弁願いたいと思います。
四十二年の四月二十一日に航空局が公にされた空港整備五カ年計画、こういうものを私はいただいております。この内容それ自体についても後ほどお尋ねしたいことがたくさんございますが、これがほんとうに五カ年計画ということに受け取っていいのかどうか。といいますのは、この中の四項「具体的な計画については、おおむね八月を目途として次の方針により策定し、あらためて閣議決定を求めるものとする。」こういうことがいわれております。ところが、何回となく当局に、これ以外のものはないか、つまり、八月の閣議決定はどうなっているかということを非公式にお尋ねしたのでありますが、ございません、こういう答えだもので、一体それならば閣議決定をもう一回あらためてやる、こういうことが言われておらなければ、この五カ年計画なるものをそのとおりに私は了解する、あらためてもう一回内容を積み上げる、詰めるという、それで閣議決定を求めるということが言われている関係上、どうしてもこれ自体を五カ年計画というように受け取れないのです。そこで、これが一つの背景となっているのは、何としても連続して発生をした史上空前といわれる大事故、もちろん、当時世論は沸騰し、各報道機関は連日のようにキャンペーンを行なっておった。したがって、相当以上のショックを受けた。政府におかれても、どうしてもこれは審議会に航空事業あるいは航空行政のあるべき方向というものを一回問うてみよう、これが背景だったのです。むろんそういう世論の背景を受けた審議会も、相当これはたいへんな作業だったと思う。つまり、四十一年の六月の二十七日に諮問十二号が審議会に出された。わずかに百三日という短時日の間、つまり十月七日に相当内容的に豊富な答申が出ておるのであります。先般カナダ航空については一通りの答えが出たようです。しかし、こういうやはり五カ年計画というようなものが正式に軌道に乗っていかなければ、あの事故の最終的には処理になっていない、こういうふうに私は思う。したがって、この八月をめどにするという表現を用いている計画というものは一体どうなったのか。これは今日あまり話題になりませんけれども、やはりわが国の航空事業、中でもその主要な基盤となる空港の整備というものは非常に喫緊の急務じゃないか、こういう角度からその計画なりあるいは現状なりをお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/20
-
021・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 空港整備五カ年計画につきましては、昨年の三月二十二日に昭和四十二年度から四十六年度に至る五カ年間に、総額千百五十億円の事業を行なうものとして閣議了解を得ましたが、事業の内容につきまして具体的に計画を決定すべく目下各省と鋭意折衝中であります。大体一種空港、二種空港、三種空港につきまして、整備基準をきめまして、一種空港については五カ年内にこれこれのことをする、二種空港については滑走路を二千メーターなら二千メーターに延長する、そういうおのおの基準をつくりまして、そうしていま各省と具体的にこまかい計画を決定すべく折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/21
-
022・森中守義
○森中守義君 いまの大臣の御答弁ですが、ちょっといただきかねる。なるほど計画の中に四十二年度を初年度にして四十六年度に至る五年間に、一種空港を除いて一千百五十億の予算を確保する、しかもこれは財政当局との間に合意文書も出されておりますから、それはわかります。しかし、それがすべての計画では私はないと、一体千百五十億を必要とするには、どこにどのくらいの規模の仕事をするんだ。起工がいつで竣工がいつである。あるいは付帯設備はどういうものである。要するに二種空港の長期にわたる展望、その背景はかくかくである、内容はかくかくである、こういうものが言ってしまえば五カ年計画じゃないかと、こう思うのですよ。ですからいま言われるのは、なるほど財政上の問題としてはまたそれはそれなりに問題がありますから、あとでお尋ねいたしますけれども、要するにいま出されておる空港整備五カ年計画、四十二年四月二十一日なるものが、これがオールであるのか、八月の閣議決定は一体どうなったのか、その点のことを伺っているのです。ちょっと答弁が行き違っておりますので、もう一回お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/22
-
023・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 大臣の御答弁をちょっと補足さしていただきますが、千百五十億円は、これは総事業費でございます。この千百五十億を出しますには、一応積算の根拠はございます。それでこれは航空審議会の御答申の趣旨に沿いまして、大臣がお話になりました一種空港——東京、大阪はどういうふうにする。あるいは二種空港のうちおもなものは二千メーターに滑走路を延長する。三種空港のうち若干のものをこの五カ年間に千五百メーターに延長する。それからいろいろな航行援助施設、無線施設、照明施設をこれをどういうふうにつけるかというような一応の積算の根拠はございますが、その具体的な内容につきまして、ただいま先生のおっしゃいましたように、どの空港はいつ着工していつまでにどれだけの工事を完成するというような具体的計画について、ただいま関係省と打ち合わせをしている、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/23
-
024・森中守義
○森中守義君 澤局長、私の言い方が悪いのかわからぬけれども、やはり質問に対する答えにならないですよ。私は、一例として財源の問題を大臣が出されたから、それに対して多少の意見を述べたわけなんだけれども、要するにこういうことですよ、五カ年計画は出た、閣議決定を、あらためて内容的なものをするといっていなければ、これが五カ年計画だといって了承するのだ。いいですか、わざわざ四項の中で、これは一口で言うならば要綱であり大綱であり基本なんだという言い方をしている。ついては具体的なものは四十二年の八月にもう一回あらためて閣議決定ができるように成案を急ぐのだという言い方をしているから、それができたのかどうなのか、閣議決定に持ち込んで決定が行なわれたかどうか。行なわれたならばその内容を聞かしてくれと、こう言っているわけなんで、内容的なことはまたあとで聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/24
-
025・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) この閣議了解は、今後五カ年間の空港整備の大綱を定めたものでございまして、ただいま先生のおっしゃったような閣議決定はまだございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/25
-
026・森中守義
○森中守義君 そうしますと、整理しておけば、四十二年の四月二十一日に出されたこれは単なる目安であって、閣議の了解決定に至ってない。同時に、この中の四項でいわれている内容的なものについては、了解も決定も取りつけていない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/26
-
027・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 閣議の了解は得ております。具体的な内容を盛った決定がまだないと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/27
-
028・森中守義
○森中守義君 そうなるとますますこんがらがってくるのだけれども、少なくともこれを基調として、それで八月の閣議決定を求めたいと、こういうのだが、あるいは決定であるのか了解であるのかそこは別として、これをその場に出そうというのじゃないです、この文言からいってもね。これを基調として踏まえながらさらに内容的なものを閣議決定に出そうと、こういうんでしょう、これが四月二十一日。八月の上旬であるのか、中旬であるのか、下旬であるのかわからぬが、とにかく八月を目途に出すというのだから、この間、三カ月ないし四カ月の間、四項に表現しているような内容を持っていたのじゃないですか。持たないでそのままこれをストレートで閣議の中に持ち込むということはないでしょう。したがって、そういうものはあるにはあったけれども、とうとう決定に至らなかったというのか、作業を全然しなかったというのか、その辺どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/28
-
029・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 閣議了解で千百五十億という数字を出してございますので、運輸省としてのその積算の根拠は持っております。しかし、政府全体としてこれを決定するためには、個々のどの飛行場をどういうふうに整備する、いつ始めていつ終わるというような決定をいたしますためには、関係省となお了解を詰めなければいかぬということで、関係省との了解をいま進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/29
-
030・森中守義
○森中守義君 大体わかってきました。そうしますと、こういうことになるんですね。これはその一つの試案、目安、目標を与えたものであって、正式に五カ年計画というものはいまだ存在しない、こういうことですね。少なくとも成案は行なわれていない。世の中に発表するようなものはない。ただし、財源上千百五十億を確保したんだが、その内容的なものは持っている、しかし、全体を青写真としてとられるような五カ年計画の内容はございません、成案は終了していない、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/30
-
031・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) もちろん運輸省としては千百五十億の積算の根拠は持っておりますが、政府全体としてそれはまだ、どの飛行場をどうするということは具体的に決定したわけではない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/31
-
032・森中守義
○森中守義君 どうも質問と答弁がうまいぐあいに一致しないのだけれども、しきりに千百五十億にこだわられるようだけれども、財源の問題はありますよ。しかし、積み上げられた千百五十億であろうと二千億であろうと、財源というものは、一体どういうことをどこでやるのか、いつまでに終わるかというそういう内容的なものがなければ千百五十億という答えは出ないわけだから。ただ、千百五十億の財源の確保はできておりますということで、計画はオールじゃないということですよ。だからもっと端的に、いや五カ年計画は一応目安はつくりましたけれども、しかも閣議決定にこの内容を裏づけるためのものを持っていったけれども、他の省庁との関係があって決定に至らなかった、ただし、財源だけは千百五十億認めてもらいました、こういう言い方のほうが率直であり、ないならないと言ったほうがいいんじゃないですか。これはもう非常に、これから先の航空事業の、何回も申し上げるように、最大の基盤である空港問題について、この五カ年計画の存否ということはあまりにも重要ですよ。さっき申し上げるように、なぜ諮問が行なわれ、答申が行なわれたか、その社会的背景はどうであったか。事故のあと始末は結果的に五カ年計画によって私は与えられねばならぬ、こういう認識を持つのです。その点においてはさっき肯定されましたから、同じようなことを繰り返しませんけれども、ないならない、あるならある、そういった言い方のほうが率直で聞きいいですよ。あまりいろいろ抗弁されると、まあ多少私もその間の事情は知りながら聞いている面もあります。むろん知らない面もある。だからはっきりこれは一つ一つ整理して質問を申し上げ、お答えをいただかないと、いつまでたっても終わりませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/32
-
033・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) お説のとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/33
-
034・森中守義
○森中守義君 いまの大臣のお答でまいりますると、結局五カ年計画は存在しない町いうことですね。そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/34
-
035・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 閣議決定した五カ年計画はないのでありまして、閣議で了解していただいた案はございます。森中委員がおっしゃるような正式の意味の閣議決定ということを中心に考えますと、五カ年計画はまだ正式には存在いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/35
-
036・森中守義
○森中守義君 わかりました。
そうなりますと、およそ政府の長期計画というものは、まあ態様はいろんな形になっておるようですが、私どもが理解する範囲においては一応閣議の正式な決定というものが長期計画の基礎になっておる、むろんものごとによっては法律案ということで出てくる場合もありますけれども。で、したがって、大臣の答弁の限りにおいては五カ年計画は存在しない、したがって四十二年——四十六年に至る計画というものは、事実上当初の考え方がくずれてきた、こういうように私は理解したいと思うのですが、そのとおりですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/36
-
037・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 事業内容につきましてはしかるべく予算をもって四十三年度も実行しておるんでありまして、その千百五十億円の金額の分配につきましては、まだ正式に確定したものはございませんが、最終年度において所期の目的を達成できるようにいろいろ主計局とも相談をしてやっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/37
-
038・森中守義
○森中守義君 要するに正式な五カ年計画ではないということだけが明瞭になりましたから、そのつもりで多少の意見なりあるいは質問をしたいと思う。
それは、先ほども申し上げましたように、何としても頻発したあの事故ですよ、こういうところまで進んできたのは。いまかえりみて、もしああいう事故が発生をしなかったならば、はたしてこういう諮問が行なわれたかどうか私は疑問に思う。おそらくそこまで当局は考えていなかったかもしれない。しかし、わき起こった世論であり、これから際限なく発展していかねばならない航空事業に冷や水をぶっかけたのがあの事故です。これはいかぬというのであわてて行なわれたのがこの諮問である。そして答申である。さっき申し上げるように、答申はわずかに百三日において成案を得て大臣のほうに届けられた。そして四月二十一日にこの計画ができ上がっております、まあ計画と称すべきものが、実際は存在しないけれども。この間に約半年たっている。しかもなお、他の省庁との関係というのは何をさすのかよく知りません。おそらく建設省関係の河川計画とか、あるいは港湾計画とか、まあそういうものに若干の関連性を持たしたものだと、こう私は判断をしておりますがね。が、それにしてもいまなお、急いで諮問をし、急いで答申が出た。もう世の中がそういう航空機の事故なんというのは忘れているからというつもりでもないであろうけれども、五ヵ年計画がいまなお決定しないというようなことは、一つには世論に対しての言いわけができるかどうか。また、きわめて精力的に真剣に取り組んだ審議会の委員各位の誠意にどうして政府はこたえようとするのか。いわんや四十二年から四十六年に至る五年間といえば、もう二年度にかかっているはずですよ。ただ、めどが一応出ているにすぎない。これじゃ少し航空当局も怠慢のそしりを免れぬのじゃないか、こう思うのですが、大体いつごろこれは具体的なものとして閣議決定に持ち込めるものができ上がって正式に五カ年計画として発足するのですか、それをひとつ正確に答えていただこうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/38
-
039・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) これは関係省との打ち合わせのこともございますので、いつこれが一応閣議決定という形式をとるかということはただいま申し上げられませんが、四十二年度、四十三年度の予算編成につきましても、この閣議了解の線に沿って毎年度予算を決定していっていただいておるということは申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/39
-
040・森中守義
○森中守義君 航空局長ね、まあ形式はちょっと私もこだわり過ぎているかもしれないけれども、実質的には出てくるのだということであればそれはそれでいい。ただし、やっぱりこれは世の中にきちんとこういうもので将来の空港の整備はやりますよということがはっきり出てこないと、これはやっぱり答申の精神が生かされてきませんよ。具体的な実行段階に入る——他の省庁との関係というのはどこなんです、建設省ですか、その辺の問題、さらにおおよそいつごろか。もう四十四年度の予算の問題も、あと半年そこそこで概計の作業にかからなくちゃならない。もうこれから半年が勝負ですよ。いま来年度の予算の審議の過程にあるけれども、四十四年度の予算がもう七月ぐらいには概計を出すんじゃないですか、その間にできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/40
-
041・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) この運輸省がつくりました閣議了解の千百五十億の運輸省としての積算根拠は、広くこれを関係省あるいは関係府県に示しております。そしてその意見を聞いております。それからこの閣議了解によって認められました、あるいは審議会によって示された空港の整備の基本方針というものもこれは関係の向きには全部、あるいは関係の府県に示してございます。それで、その基本方針にのっとって、あるいは土地取得ができる、あるいは府県が賛成をするというところがら漸次この閣議了解の線に沿って四十二年度、四十三年度の予算によって空港の整備を現実にやっているわけでございます。それで、これをいわゆる閣議決定という形式にいたしましても、私のほうでたとえばある空港を千を二千にすると申しましても、いろいろな障害がございましてそれが二千に伸びれないというところもございますし、それから非常に土地取得が容易で、この了解の線に沿いまして早急に着工できるという飛行場もございますし、いわゆる閣議決定という形でこれをぴしっと、どの飛行場は何月に着工して何月までに完成するということを一般に公示いたしましても、先生御承知のように、飛行場の建設ということは非常にいろいろな困難な事情がございますので、そのとおりに行きかねるという飛行場もございますし、あるいは決定したこちらの計画以上に進むという飛行場もございますので、この辺はむしろ伸縮性を持たして、建設の容易な飛行場、あるいは建設は困難であっても非常に重要な、たとえば羽田のように重要なところは当初考えたよりもむしろ早目にやらなければいかぬというような飛行場もございますし、その辺は弾力性を持って毎年度予算で実施してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/41
-
042・森中守義
○森中守義君 お話が、どうも内容に内容にという感じがするんです、それはそれでお尋ねしますがね。要するに私が問うておるのは、やっぱり一つの計画というものは規律をつくるということですよ。航空行政の一つの基本を明確にするということですよ。そのことが行なわれないで、どこはどうする。ここはこうするといってみても、必ずしもこれは統制ある仕事にはならぬ。またそのことが答申の精神を忠実に生かしていくことにはならぬのじゃないか。だから、運輸省独自でできるのかできないのかというのが実は時間のズレを来たしているという一つの原因のようだから、一体これはいつできるのだ、いつ秩序正しい、規律正しい計画ができるのかと、こう私は聞いているのです。それで、かりに四十四年度か四十五年度の計画が実在するとするならば、やりたいとおっしゃるならば、もう二年度、そうして四十四年度の場合には七月か八月に予算の作業にかかるのだが、その間でできますかどうですかと、こう聞いている。それを答えてもらえばいい。ちょっとそれは無理なら無理だと、航空局は、運輸省はいつでもいいんだけれども関係の省庁がもたもたしてできないならできないと、こう言ってはっきり言い切ったほうがむしろすっきりしていいんじゃないですか。あまりいろいろ言われるとね、これはやっぱり言いわけになりますよ。そう思いませんか。計画というものはやっぱり行政の一つの規範であるし、折り目を正すことなんです。そういう意味で私は計画を必要以上に重視しております。こういう実は趣旨の質問なんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/42
-
043・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 閣議決定というその形式をとらなければ内容が確定しないというものではございませんで、この閣議了解の線に沿いまして具体的に個々の飛行場についてその計画策定のときよりもさらに詳細な資料によって具体的にいま計画を詰めているところでございます。そうして、できるものはどんどんと毎年度予算で実行しているという実情でございまして、先ほど大臣が言われましたように、五カ年計画の最終年次におきましては答申のございました計画の全容が実現できるように、このようにまあ実行しているわけでございます。閣議決定というのがいつできるかという御質問でございます。これはちょっといまのところいついわゆる閣議決定という形式がとれるかということは申し上げかねるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/43
-
044・森中守義
○森中守義君 運輸大臣、了解と決定というのは、これは質的に違いますよ。了解はわかったと、ああそうかということなので、決定とは、みずから実行に対する責任をになおうと、こういうことなんです。おのずから了解と決定は違っている。したがって、政府は一体の責任において決定をする。すなわち、行なうことに対して責任を持つという、こういう事態まですみやかに到達しないと、空港整備というのはなかなか先へ進みませんよ。だから、いま局長の答弁だと、急ぎたいということのようですけれども、ひとつ大臣も大いにこの辺のことは比重をかげながら成案を急がしてください。また、関係省庁がもたもたしているというならば、関係の閣僚ともよく相談をしていただいて、できるだけ四十二年、そうして四十六年に至る五カ年計画が日の目を見るように、本物になるように督励をしていただきたい。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/44
-
045・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) お説のとおり努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/45
-
046・森中守義
○森中守義君 そこで、まあ内容に少し触れてみたいと思うのですが、この答申の添付としまして、地方空港整備基準表というのがありますね。この中で一類、二類、三類と分かれている。つまり二種空港、三種空港を三段階に分けているのですよ。よろしいですか。この三類に分かれている答申の添付に対して、少なくとも審議会とういうようにせいと、こう言っているわけだから、これは動きませんね。つまり、一類においては二千メートル級、国内主要地方空港であり、ボーイング727級の精測進入を可能とするもの。千五百メートル級、国内地方空港のうち、YS11級が精測進入可能であり、用地は滑走路二千メートル分まで確保すると、こう言っている。まあ三類も同じように千二百から千五百メートル級、国内地方空港のうち必要に応じYS11級の精測進入可能とする、こういうように審議会は答えを出しているのです。これはこのまま変動させないで、計画の中にこれを中心にやっていくということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/46
-
047・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/47
-
048・森中守義
○森中守義君 そうしますと、そのとおりだということであれば、重ねて問う必要もありませんが、たとえば一類二千メートル級の場合、場合によってはあと千メートル伸ばして三千メートルにしようとか、あるいは二千五百にしようとか、そういうことはあり得ませんね。きちんと折り目をつけて、一類は二千メートルにとめる、二類は千五百メートルから二千メートルにする、この基準表どおりにいきますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/48
-
049・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) この五カ年計画で想定しております空港の整備は、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/49
-
050・森中守義
○森中守義君 わかりました。大臣お急ぎのようですから、ちょっと大臣に関係のあることをいま一つお尋ねいたします。
実は、この一環の事業としまして、いま熊本にこの問題が発生をしております。御承知のとおりだと思う。それで熊本の県側が、昨年の暮れに、営農資金という名目のもとに、移設せんとする予定地の地権者に対しまして、前渡金というのか、あるいは内金というのかわかりませんけれども、農協の窓口を通じまして、おそらく県が運輸省からもらえるのだということで、したと思う、金を出しております。その内容はあとにいたしますが、その中でこう言っておりますよ、文書が出ております。航空局長、これお持ちですか。ありますね。この中の三ページの中で「この制度による貸付を受けられる人は、新空港建設の第一次計画である滑走路二・〇〇〇mに関係する予定地内に土地を所有し、」以下云々、それから五ページの中で「滑走路一・〇〇〇mの延長分については、今回の貸付金の対象にはなりません。」こう言っている。したがってこれは裏から見ても表から見ても、第一次計画ということ、つまり予定をされている二千メートルというのは第一次である、第二次分としてさらに千メートル追加すると、こう言っておる。このことはどういうことですか。大体百分の七十五、百分の二十五という国及び都道府県との関係において、県側が独断でこういうようなことを言ったとも思えない。私はそこまで県を、かって過ぎるというような言い方はしたくない。じゃ一体何なんだ。運輸省と県との間に、さしずめ二千メートルでいこう、第二次計画としてさらに千メートル伸ばそうという、こういう暗示を与えたのか、あるいは黙契があるのか、そのいずれになるのか、あるいは、いやそんなことは全くない、県がそれはもう独断をしているのだ、県独自の考えだということであるのか。むろん先ほど私がいわゆる基準表はこれは変動ないのか、これは動かさないかというお尋ねをしたのはこれに関係があるからであります。したがって、さっきの答弁からいけばこのとおりだと、こうおっしゃったが、本来ならば、ここまで議論を進める必要ないかもしれませんけれども、しかし、あまりにも地権者に対し、それから公にされた書類の中に、一次二千メートル、二次追加千メートルということになると・これはやっぱり一言念を押しておきませんと、後日のためにあまりよくないと思うもので、お尋ねするのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/50
-
051・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 熊本の新空港の土地の取得につきましては、現地の寺本知事が非常に努力していただきまして、滑走路の長さはたぶん二千メートルであったと私記憶しておりますが、土地取得のいろいろな具体的な条件やその他については、知事さんにおやりいただいてまかしてあるわけであります。具体的な詳細なこと、私存じませんが、その辺については、航空局長から説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/51
-
052・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 熊本県の新空港につきましては、これは二千メートルで計画を策定し、大蔵省ともそのように了解をとっております。したがいまして、三千メートルについては、国としては関知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/52
-
053・森中守義
○森中守義君 それではっきりいたしました。ただ大臣のおことばの中にちょっと私ひっかかりますのは、なるほど用地の取得等については、あとで問題にする協定書がありますからね、これによれば、第四港湾建設局長によって取得行為をやらせると言ってはいる。しかし、その知事がいまやっているとこう言うのですが、あまりにこういったように明確に出ていると、これはやはり、これこそ規律を正しておかなければなりません。県がやっているんだから、県が独自の見解を述べたんだろうというのでは済まないと思う。同時に、何回も念を押しますように、この基準表によれば、これは審議会は、一類については二千メートルでよろしい、こう言っているのですね。これは私は、基準表というものは、相当長期にわたる国内路線のビジョンを描いていると思う。何となれば、二千メートルは727いいのだ。なるほど将来超音速機の開発とか、いろいろ機種の開発とか行なわれていくでしょう。しかし目下のところ時速千キロ、千二百キロというものを国内の上空を飛ばすならば事が足りる。したがって、これは五年先、十年先、相当長期にわたってよろしいという、こういう意味合いだと思う。同時に、二類を目下千五百メートルでいいのだが、二千メートルまで確保しておくということは、三種空港をいっかは全部二種空港に格上げできるような、そういう余地をここに残している。だから、審議会の答申の中に言われているこの基準表というものは守らねばならないし、状況が変わっていくから、次から次へ移設をする、廃止をする、延長をするという、そういうむだなことを繰り返すことは好ましくない。そういう意味で私は、守るかどうかということについては、守るとこうおっしゃったから、それ以上のことは私は言わない。しかし、熊本に関する限り、こういう言い方をされておるならば、知事が独自の見解を述べたのだ、県側がそういう見解を持っているということではこれは済まないのじゃないですか。およそ航空行政、空港整備というものは運輸大臣の所管ですからね、知事に権限は委譲されていない。だから、こういう言い方をすれば、明らかに運輸省が関知していないと、こういうことのようですから、関知しないようなことを言っている、しかも権限の委譲は行なわれていないということならば、直ちにこれは行政指導を行なうべきですよ。毛頭考えていない、相当長期にわたって二種空港は二千メートルが限度である、というようなことで行政指導をおやりになったらどうですか。そうしないと、現地においては混乱しますよ。すでに混乱が起きている。どうですか。正しい行政指導をおやりになったらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/53
-
054・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) もちろん熊本県からは、将来三千メートルに伸ばしたいという御希望は聞いております。しかし国といたしましては、この五カ年計画の期間中における整備といたしましては、二千メートルしか認めていないということでございます。その貸し付け要綱もあとで拝見をしたわけでございます。その貸し付けは千メーター分には適用しないということをたしか書いていると思いましたが、それでございましたら、この貸し付けということは将来何らかの形で運輸省がこれをカバーしなければならない金でございます。その貸し付けは、千メートル分については何の関係もない、こう書いてありますので、特に私のほうとしては、それに対して行政指導をする必要はないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/54
-
055・森中守義
○森中守義君 航空局長が非常に切れ過ぎるものだから、どうも私は困ってしまう。それで済みますか。明らかに第一次分で、第二次は千メートル延長だと、こう言っているではありませんか。県知事が独自の判断でこう言っているというなら、それはけっこうだということでは済みません。さっきから申し上げるように運輸行政、航空行政の権限を地方長官に委譲したことはないのだから、すべて運輸大臣の決定による。それなのに関知しない。黙契も与えていない。暗示も与えていないのに二次計画をやる、何をするということは、これはやはり規制すべきですよ。その行政指導をやったらどうか、しかもそのことは一類、二類、三類というように相当長期にわたる展望の中から答申が出ているわけだから、この答申を尊重する限り、このとおり変えませんという答えをさっきやられたわけですから、その線に沿って規制すべきですよ。そういうようにあいまいなことを考えておられると、五カ年計画なんか規律正しいということになりませんよ。正しい空港整備事業は進みません。私はその点に折り目をつけたらどうか、こう言っているわけなんで、ひとつ大臣、正確に問題が問題だから答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/55
-
056・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 熊本県の人は非常に積極的な性格をお持ちで、まあ知事さんは後藤新平みたいなところが少しありまして、将来をおもんぱかって、大規模にしておいたほうが子孫が喜ぶと思って、県独自の判断でいろいろ御苦心なさっているのだろうと私は拝察しております。知事さんとしては、あくまで県のためにお考えいただいているのではないかと私は思います。しかし国としては二種空港については一定の規格がございますから、国がお金を出すとか、いろいろな助力をするというような二種空港それ独得の基準がございます。それ以上は国としてはできないということは、知事さんよく御存じの上、県百年の大計のために御努力をさっているのだろうと思いまして、あまり地方自治の長がやっていることを中央が干渉がましいことをやることは、弊害がない限りは差し控えたほうがいいと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/56
-
057・森中守義
○森中守義君 それはなかなか政治的な発言で、ちょっとどうかと思う点もあるけれども、実際問題として弊害があるのですよ。二千メートルの該当者、千メートルの該当者、むろん需要の増大ということも将来——これから先お尋ねしますが、規格がきちんとある、こういうことであれば、あなたの所管の仕事なんだから、知事が自分の権限内においてどういうことを言おうと、それはそこまであなたが手を出す必要はない。しかし大臣の決定事項、権限事項をいかにもぶん取ったようなかっこうで一次計画、二次計画さらに千メートルつけ加えるのだということであれば、思ってもいない、考えてもいない、やれもしない、できないようなことを言われたのじゃ、困るなら困ると言ってこれはやはりチェックするのが正しいのじゃありませんか。そのことをもう少し正確に答えてもらえばいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/57
-
058・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 私も元来でかいことが好きなほうでありまして、知事さんのそういう勇断をふるったやり方には共鳴しておる点が実はあるのであります。ですから目に余るような弊害があれば、これは注意しなければならぬと思いますけれども、県独自で処理できるというような問題は県知事にまかしたほうがいいのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/58
-
059・森中守義
○森中守義君 大臣これで終わりますが、こういうことですよ。実は移設をしなければならぬ、延長をしなければならぬ、特に熊本の場合には三十五年に開設したわけなんです。わずか七年半か八年ですよ、経過年数が、それで移設ということになりますと、一体当時何を考えていたのか。いま五カ年計画それ自体がそういう見通しを持たなかっだから拡張をしなければならぬ、移設をしなければならぬ。まあ移設でなくて実は新設ですがね。これは国費の乱用ですよ。全くその展望を持たなかったということになる。だからそういうことがしばしば行なわれては困るから、それで答申を求めて答申が出た。それで二千メートルが限度である。こういうことなんだから、それはいま、でかいことがいいと言うが、それは私も同じです。しかし、そういうことでは国の仕事、行政というものはできないのじゃないですか。精神論だけじゃできませんよ。で、そうなりますと、これはやはり規制を加えるというのが当然なことではないか。そうでないと、陳情が出てきたから二千メートルを三千メートルにする。二千五百メートルを四千メートルにするというようなことじゃ空港整備事業の折り目は一体どこにあるのか、秩序はどこにあるのか、こういうことに私はなると思う。そういうことで、これは知事がかってに言っているのだからチェックできないということでは、私は大臣は済まぬのじゃないかと、こう思うのですがどうですか。どういう形式であろうとこれはひとつ否定しておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/59
-
060・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 具体的な弊害がもし出ておりましてそれをお示しいただけば実情をよく調査してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/60
-
061・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/61
-
062・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/62
-
063・森中守義
○森中守義君 航空局長この中にさっきから問題になりました千百五十億、これは財政当局との間に昨年の三月二十二日ですか、これの合意文書が出されておりますが、この千百五十億というものは固まったものですか。確定額というように受け取っていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/63
-
064・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) これは総事業費として関係省で了解をつけたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/64
-
065・森中守義
○森中守義君 了解をつけたということは、相手も了承をしてこのとおりに予算を計上する。つまり不確定な要素でなくしてあくまでも確定額という理解をしていいかと、こう聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/65
-
066・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) これはどの五カ年計画もそうでございますが、その五カ年計画で決定しました額というものは、今後の五カ年間の総事業費の見通しでございます。で、その実行は毎年度予算で具体的にきめられていくということでございます。したがいまして具体的な確定額というものは、毎年度予算で決定されたものが、国会で御審議を経て決定されたものが確定額、こういうことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/66
-
067・森中守義
○森中守義君 ということは、千百五十億ということは目安だと、こういうことですね。わかりました。
そこでこの中でちょっと問題として提起しなければならぬことは、千百五十億の充当財源として通行税五%アップ、それから着陸料二〇%引き上げる、これも財源の一部に充当すると、こういっている。これはこの千百五十億の中にどの程度のものを見込んでいるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/67
-
068・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 使用料——着陸料と申しますか、着陸料その他の使用料入れましたものと通行税合わせまして、約三百六十九億程度を四十二年から四十六年に予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/68
-
069・森中守義
○森中守義君 いやいや、この五年間に総額幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/69
-
070・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) ただいま申し上げましたように、五年間に三百六十九億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/70
-
071・森中守義
○森中守義君 そこで三百六十九億というのが事実上この千百五十億の財源の一部になるということになれば、要するに三百六十九億というのは受益者負掛ですね。そういうことですね。そうなると、これはやっぱりものの考え方が多少違うのかわからぬけれども、空港というのは何といっても顕著な社会資本だと私は思う。したがって顕著な社会資本に対して受益者負担ということが理想的な状態であるかどうか。どう考えてみても少し無理なような気もする。よく今日の航空産業を高圧産業と言う人がおりますけれども、確かに電車、汽車あるいはバス、船、そういう交通機関に比べると沿革も浅い。ある意味では戦後的なものかもわかりません。したがって、いままで五%しか取っていなかったのを船や汽車と同じように一〇%の通行税を空港整備のために徴収をする、あるいは着陸料二〇%引き上げる、それを財源に充てるということは、どう考えてみてもあまり筋が通らないし、財政法的にも、あるいはまた航空産業のこれから先顕著な発展を促していこうというならば、一般財源が投入されないというのは、どう考えてみても私は理屈に合わぬと思うのですが、これ全廃の意思ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/71
-
072・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) この着陸料と通行税の値上げにつきましては、昨年度もこの委員会でいろいろ御議論いただいたのでございますが、五年間に千百五十億の事業を実施するということは、そのうち国の負担分だけでもたしか千百五十億ぐらいになるかと思いますが、これは従来の飛行場に充てておりました公共事業の予算に比較しますと、非常に膨大なものに相なるわけでございます。それで当時財政当局からの要望もございまして、これだけの大きな予算をつけるのだから使用者もその分を負担する。これはもちろん目的税でございませんから、これはそのまま空港整備の中に入るということではございませんが、一般的に財源の一部を負担するということで通行税を汽車や船と同じように一〇%に戻す。それから使用料も諸外国と比べて安かったのでこれを二〇%に上げるということを了承したわけでございまして、ただいま申し上げましたように五年間で三百六十九億ということで、全体の国庫の負担千五十億のごく一部に充当する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/72
-
073・森中守義
○森中守義君 ちょっと理解できないところがあるのですがね。なるほど一般歳入としてこの分は国庫に入るのですね。それでどんぶり勘定にしてこっちのほうに回ってくる。しかも、いま示されたように、一応の試算として三百六十九億が五年間の中にあげられておればこれは各年度ごとにすぐチェックできると思う、幾らだったということは。したがって、その形式が一般歳入として入りそれから出されるという違いだけですけれども、徴収の目的というものは明らかになっていますよ。これは私は何といっても目的税だと思う、名目を明らかにしているのだから。その限りにおいてこれはやはり本来ならば特別会計でも設置が必要じゃないか、もしこういうことを継続するならば。しかし、私は着陸料の二〇%引き上げであろうと、あるいは五%上げた一〇%の通行税であろうと取るべきでない、こういう実は見解を持つのです。それといま一つは、この着陸料あるいは一〇%上げたのが、今日の上昇の傾向にある物価にどういう寄与率を与えているか。これは年間比較的に全体の財源からいえばやや軽少に過ぎますから、顕著に物価上昇に与える寄与率というものはそう高いものであるとは思わない。しかし、値上げには違いない。着陸料もどうもそうなると企画庁あたりのどうしたって一ぺん意見を聞く必要があるのじゃないですか。聞きましたか。財政法上の問題、物価への寄与率の問題、その辺はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/73
-
074・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 着陸料を倍に上げました分は航空会社が負担をいたしまして、運賃には反映をしませんで、通行税の五%アップ分だけを航空運賃に加算したという実情でございまして、経済企画庁その他関係庁とは打ち合わせをいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/74
-
075・森中守義
○森中守義君 着陸料はなるほど乗客の負担にしていないと、こうおっしゃるのだけれども、しかしその分だけJAL——日本航空にしてもその他の民間航空でも、収益の中から出していけばその分だけ収益がダウンする。あるいはその着陸料が経営に非常に障害を与えるとも思わないけれども、ちょっとこれは横道にそれますが、JALの今日の経済内容あるいは全日空の経営の内容、どうなんですか。どの程度利配をやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/75
-
076・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 日本航空は四十一年度五十四億の償却後利益を出しております。そのうち国内線で約七億の利益を出しております。それから全日空は四十一年度は御承知のような事故が二度続きましたので、約十六億の欠損を出しましたが、これを四十二年度に繰り越し欠損十三億を計上いたしております。しかし、四十二年度の営業成績が非常にあがりまして、おそらくこの欠損は四十三年度中には消してしまうことができると思います。そのような経理状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/76
-
077・森中守義
○森中守義君 思いつきみたいだけれども、そんなに経営の状態がよければ運賃を下げたらどうですか。五%に相当するものは運賃を下げる。そのことが実は五カ年計画の三つの柱の一つである航空輸送需要の増大を期待する、この趣旨に沿いはしませんか。いま私は明らかに航空運賃というのは政策運賃だと思います。どういうところから考えてみても、極度に高ければうまくいかぬ、極度に安ければこれもいかぬ、そういうある種の政策的な意図をもって料金設定が行なわれていると思う。しかしながら、この計画により空港が整備されていく、しかも需要の増大をはからなければならぬというなら、もうちょっと料金を、こう経営がよければ運賃を下げたらどうですか。そうすると五%は事実上これは問題にしなくても済むのですよ、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/77
-
078・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 航空運賃は下げる方向に持っていくべきであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/78
-
079・森中守義
○森中守義君 ちょっと横道にそれて申しわけないですけれども、いまのJALにしろあるいは全日空でも、原価計算というのはできているのですか、運賃の……。ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/79
-
080・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 航空機の原価計算、御承知のように、ブレークイーブンポイントというのがございまして、どれだけ乗れば採算がとれるという原価計算がございまして、各路線別にそれは違うのでございますが、全国的に平均いたしましてコスト計算をいたし、それに基づいて運輸省のほうで認可をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/80
-
081・森中守義
○森中守義君 それはいまことばの上のあれだけで私もちょっと理解できませんからこの次の委員会あたりにそれぞれの路線別に料金が違うとするならば、JALを初め全路線のひとつ原価計算の内容を一ぺん出してください。それは相当長期にわたって一定の料金を保持しているのですね。ほとんど変動がない。一体もうかっているのか、損しているのか、その辺がよくわからない。同時にJALの場合には相当の補助金等が出ているでしょう。そういうことになりますと、これはやっぱり需要者の側からいうならば、料金はひとつも下げてもくれない。これだけ乗客がふえたのに一体どうしているかという、こういう声もないでもありませんよ。同時に、飛行機それ自体に対する認識がもうちょっと変わってこなくちゃいかんと思う。乗客の層もうんと流動すべきだと思うのですね。少なくとももっと普遍的になるべきだ。五%を一〇%に通行税を上げたというのは、全部これは国鉄、船等のファースト・クラスと同じ方式をとったわけですね。ぜいたくだという見方をあなた方がされるのか財政当局がしているのか知りませんけれども、とにかく汽車があるのになぜ飛行機に乗るのだ、汽車の二等でなぜいかんのだ、こんないいもの乗るなら一〇%の通行税を取ると、こういうことなんでしょう。そういう特殊な乗りもの、特別な層が乗るものというそういう認識を吹き抜けるかどうかというのが私は将来の航空事業の一つの課題じゃないか。そういうことのために五カ年計画をおつくりになるのだろうし、空港の拡張もされると思う。そういう意味で今日の料金の原価計算というものはかなり注目に値すると思う。ぜひひとつ資料としてお出しいただきたいと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/81
-
082・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 航空機の原価計算は、御承知のように、機種によって違いますし、それからその路線にどれだけの乗客が乗るかということによって非常にこのシート・マイル当たりのコストが違ってくるわけでございます。それで、ただ、全般的に申しますと、飛行機の償却が進んでまいりまして乗客が先生のおっしゃるようにふえてまいりますと、コストは下がる方向にございます。それで乗員その他の労務費の占める割合が汽車、国鉄その他と違いますので、全般的に申しまして航空機のコストはだんだんと下がってまいります。したがいまして航空機の運賃は漸次下げる方向に持っていくべきだ、このように考えております。それによってまたますます乗客を誘致することができるということも先生のおっしゃるとおりであると思います。ただ運輸省といたしましては、これは航空局長として言うのはおかしいかもしれませんが、運輸省といたしましては全般の投資配分の問題あるいは国鉄との関係その他も総合調整してやはり考えて運賃というものを設定していく必要がある、このように考えております。
それから先ほど先生のお説の、飛行場が全く公共施設であって、国が全部負担すべきかどうか、あるいはこの飛行場というものも、できれば独立採算制のほうへ持っていくべきかどうかということについては、これは議論の分れているところでございます。それで地方空港におきましては、おっしゃるとおりに、これを独立採算に持っていくことは非常に困難でございます。しかし主要空港につきましては、長期に見れば独立採算が可能だということが世界的な傾向でございまして、いまからつくります成田の新空港につきましては、公団制度を導入したわけでございます。これは長期に見れば採算が合うということで、公団制度を採用したわけでございます。飛行場、飛行場によってニュアンスは違いますが、その両面の性格なり、飛行場によって独立採算制でいくべきもの、あるいは国がほとんど全額を負担して地方開発に資するもの、個々の飛行場によって性格が違ってまいります。このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/82
-
083・森中守義
○森中守義君 いまの通行税、それから着陸料の問題等は、また予算の分科会にもおじやまするつもりですから、そのときひとつ計算書と比べながらゆっくり聞かしていただきましょう。そこで千百五十億は要するに固まったものでないと、同時に五年間を通ずる三百六十九億の、いってしまえば受益者負担がその中に入るということ、これだけははっきりしているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/83
-
084・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 千百五十億は目標としてきまったものでございます。ただこの予算の確定は、毎年度予算を国会でご審議いただきまして決定するものでございますので、毎年、毎年の予算できまったものがいわゆる確定した額でございます。そういう意味で申し上げたので、千百五十億は目標として決定いたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/84
-
085・森中守義
○森中守義君 それは年度の編成の過程において明確になるわけだから、それはわかるわけだ。ただ総ワクとして一応目安は置いてあるけれども、正確に約束されたものじゃない。それが一つでしょう。なぜ私それを言うかといえば、どうしても一般財源が乏しいから、一応約束はしたが出すわけにはいかぬ。ついてはあと着陸料を一〇%上げようとか、通行税をあと五%上げるということが将来全くあり得ないという保証もないわけですね。その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/85
-
086・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 運輸省といたしましては、着陸料や通行税をこれ以上上げるつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/86
-
087・森中守義
○森中守義君 いやあなた、運輸省はなくても、ともかく金を持っているのは財政当局だから、一体千百五十億は約束をしたから守らなければ相ならぬ。しかし一般財源からの裏打ちはできないから通行税を上げたらどうか、あるいはまた着陸料を上げたらどうかということが、財政当局から提起されないという保証はないのじゃないか。したがってもっと値上がりするという可能性もあるだろう、こういっている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/87
-
088・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) それはおっしゃるように、財政当局がそういう要求をしないという保証はございませんが、しないであろうということを確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/88
-
089・森中守義
○森中守義君 それはまたそんなことになればたいへんな支障を来たすから、大いに努力してもらいたい。それと、さっき大臣がお見えのときにも申し上げましたけれども、戦後における航空事業の発展というものはまことに驚異的なものですよ。それで一時は一県一港主義というものがとられたという時代もあったようです。いまさしずめ私が問題にしているのには、全国十七の二種空港、この二種空港がほとんど例外なく八百メートル伸ばすか、あるいは五百伸ばすか、あるいは移設という名のもとに全く新設をするか、これは一体何を物語るということになるのでしょうか。非常に問題だと思う。これはいまから推進されようとする五カ年計画に重大な要素を持つと思うんですよ。つまり、二種空港十七をつくる、その当時に、どのくらい輸送需要が伸びていくのか、機種の開発がどういうように発展していくのか——これは十年、十五年、二十年前のことじゃない、さっき申し上げるように、熊本の場合には三十五年ですからね、七年か八年しかたっておりませんよ。そういう短時日の間に、しかも、熊本の場合には当時約九千五、六百万使っておりますね。それは一応国の所管になっているわけだから、売ればもうかるという、そういうものじゃないと思う。少なくとも相当巨額な経費を十七空港に使っておる。ところが、当時見通しを正確に持っていたならば、それに対応したもの、すなわち、五年たっても十年たっても十五年たっても二十年たってもいじらなくてもいいような空港ができていたはずだ、こう思うんです。その辺が私は、五カ年計画策定の際における一つの踏まうべき反省であり基調でなければならぬ——多少意見になりますが、そう思う。したがって、そういうことに対してどういうお考えであるのか。同時に、具体的には、さっき私がだめ押しをするように、答申添付の一類、二類、三類、これはもう相当長期にわたって動かさない、その長期とは一体何年ぐらい先をいうのか。五年たち十年たつぐらいにまたぞろ八百伸ばさにゃいかぬ、また千伸ばさにゃいかぬというような、そういう空港整備というのはやるべきでないと思う。具体的に、一体じゃこれから先の需要の伸びというものはどの程度の状態になるであろうという把握をされるのか。伸び率は顕著な伸びをするのか、横ばいか、停滞か、鈍化か、その辺の数字をつかんでいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/89
-
090・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 確かにご指摘のようなところがございまして、われわれも深く反省をいたしておる次第でございます。当初、終戦後空港を整備いたしましたときには、フレンドシップあるいはDC3というような型の飛行機がローカル空港において使用されておったわけでございます。それで、千二百メートルあれば安全であるということで、当時ローカル空港はまあ千二百で一応整備されたわけでございます。しかし、その後、飛行機の発達と申しますか、ローカル空港にもフレンドシップその他より非常に大きなバイカウントその他のものが入ってくる、千二百では一もちろん千二百で安全でございます。さらに安全を確保するためにはいま少し伸ばしたほうがいいんじゃないかという議論が起きてまいりました。たとえばYS11というのは、日本の空港は千二百のものが大部分であるということで、千二百の空港に安全に離着陸できるということを目標にして設計されたわけでございます。しかし、松山の事故その他がございまして、あれがもう三百長ければあの事故は起こらなかったであろうというようなことから、YS対策としても千五百ということでこの審議会の御答申をいただいたわけでございます。それに沿って、今度の空港整備五カ年計画ではその答申どおりに実施をいたすつもりでございますが、これによりますと、将来国内空港のローカル線にもジェットで、727及び737、DC9というようなものが目下想定されるわけでございますが、これらのものが入りましても二千メートルあれば十分である。それから、千五百というのは、いわゆるYS対策と申しまして、YS11クラスの飛行機も千五百あれば十分安全であるということでこの計画を策定いたしたわけでございますから、これは相当長期にわたって動かさなくてもいい確固たる政策であると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/90
-
091・森中守義
○森中守義君 お答えが非常に深みに入り過ぎるもので、少し整理をしてもらいたいと思うのですがね。私がいまお尋ねしているのは、これから少なくとも五カ年間の計画の中で、航空輸送の一体需要はどういう状態になっていくのか、その数字をつかんでいるかどうかということ。それと、いま確かに言われたように、これはやっぱりその状況の変化ということを理由にして、また千メートルまた五百メートルというようなことは容易ならぬ難事業ですよ。だから戦後の開設当時、新しい航空時代に入ったその当時においては、なるほど諸外国の機種の開発の状態についても正確な把握ができなかったでしょう。しかし、今日フランスがどういう状態にある、あるいはデトロイトでどういうものをどうしているという、そういうことは今日のような状態においてはほぼ展望が求められるんじゃないか、こう思うのですよ。要するにいま新しい五カ年計画の踏み出しをしなければならぬというものは、当初の見通しかなかった。よしんばあったにしても正確でなかった。そのために、次から次に拡張したり移設をする。こういう好ましくない現象があらわれているという、こういうことになろうかと思う。ですから私は五カ年計画というのは、結果的に好ましい計画でないと思っております。すでにもう開発の当時にそういうものがあってしかるべきだ、そういうものがなかったがゆえに、いまさらのように五カ年計画をつくらねばならぬというならば、もっと正確な内容を把握されておかないとたいへんじゃないかと、こう思うのですよ。ですからさっきのお答えですね、機種の問題については大体ボーイング727でよかろう、それはわかる、需要はどうなんですか、その辺の数字をつかんでいるかどうか。計画の中にも言われているように、航空交通の安全の確保が第一、第二が航空機の大型化、第三が航空輸送力の需要の増大、この三つを中心に計画をやろうというのだから、あとの二つの目標に対しては、相当の資料お持ちでないとまずいじゃないかと思う、お持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/91
-
092・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 五カ年計画を策定するに当たりましては、御指摘のような資料は十分に整備いたしまして、審議会のほうに御提出申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/92
-
093・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/93
-
094・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/94
-
095・森中守義
○森中守義君 いままでのお答えですと、結局数字はまだつかんでいないということなのか、持ち合わせがないが持ってはいる、それはどっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/95
-
096・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) ただいま申し上げましたように、この計画策定のときに、五カ年計画策定の際に、審議会にそのような資料は全部提出をいたしたわけでございます。それで将来の伸びその他についても資料をもちろん所持いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/96
-
097・森中守義
○森中守義君 それでは、その資料をひとつさっきの資料と同じに御提出をいただきたい。委員長、ひとつ確認してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/97
-
098・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 資料提出できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/98
-
099・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 五カ年計画策定の基礎になりました乗客の伸びの資料は御提出いたします。
ただ、先ほど御要求のあったコスト計算というあれがございましたが、これは非常に複雑でございまして、一つの機種なり一つのルートについての資料は御提出できます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/99
-
100・森中守義
○森中守義君 それはさっきそう言ってもらえばよかったのだ。私は、どうもさっき答弁があいまいだったので、いまわざわざ委員長に提出の確認を求めたのですが、澤局長、これは航空料金というのはめのこできめているのじゃないでしょう。何キロに対しては幾ら、ついてはジェット料幾らというようにちゃんときまっているんですね。きまったというのは、このくらい取っておけばいいじゃないかという、そういうめのこで取られているとは思わない。ある種の、経営上の問題であるとか施設上の問題であるとか、諸経費が幾らで何がどうでこうだという、いわゆる原価計算の方式というものは、いかなる経営にもあるわけですから、そういう根拠が集約されて料金というものは設定されているし、当然運輸大臣が認可をされる一つの判断の資料にはそういうものがなっていると思うのです。それが出なければ、一体航空料金は何できめているのだという疑問がわくのは当然ですよ。議論が逆戻りしますけれども、先ほどの御説明だと、JALは非常にもうかっている。相当な利益を上げておりますよ。利益を上げているならば、これは何といっても特殊法人だから必要以上に利益を上げさせる必要はないと私は考える。それならば利用者へのサービスの提供に充てていく、あるいは運賃を下げるとか、そういう方法を取っていいんじゃないか。全日空についても同様ですよ。ですから、原価計算が非常に困難だと言われるけれども、ことさらにむずかしいものをつくれというのじゃないんですよ。運輸大臣が料金を認可する際に、これならば合理性があり妥当であるという判断をされた内容を示してくれ、こういうことなんですよ。そういうのは出せるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/100
-
101・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 航空運賃の認可に当たりましては、もちろん原価計算を参考にいたしております。したがいまして、その資料は御提出できるわけでございますが、ただ、日本航空についてのお話でございますが、これは補助あるいは出資をしている会社であるから、もうけさすべきでないというお説でございましたが、これは日本航空のいま出資というのは日航の海外線の機材購入のための出資でございまして、国内線のためには何の助成もいたしてないわけでございます。それからまた、私たちの考えといたしましては、国内でもうけているその金を海外の競争のほうに使うということが、一つの日航の指導として考えられる方策ではないかと思います。ただ全般的に、先ほど申し上げましたように、航空運賃というものはコストが漸次下がってまいります。これは航空運賃は漸次下げていくべきだ。下げることによって、また航空需要が増大するであろうというふうに考えているということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/101
-
102・森中守義
○森中守義君 いまその辺のことは、お出しいただいたあとで、一応そういう内容を吟味しながらお尋ねいたします。
そこで、ちょっとまたいまのことに関連するのですが、一月二十六日の毎日新聞だったと思うのですが、海外へは日航機で、運輸省は国際収支改善を呼びかけ、まず公務員の利用徹底、こういう記事が出ておりますね。なるほど、これは言わんとしているのはよくわかるけれども、少しこれはやはり吟味したほうがいいんじゃないかというように、私は見て直観的に思った。それはわが国が乗り入れているところ、相手の国が乗り入れてきているところ、少なくとも二国間の協定に基づいて相互乗り入れをやっているわけですね。そうなりますと、国内で海外に出るものは、これはJALでなければならぬのだということになると、それじゃエールフランスではJALに乗るなという報復手段に出たり、ルフトハンザも同じようなことになりはせぬか、こういう懸念が皆無とは言えませんよ。私はやはり世界各国の国際線というものは共存共栄というものが国際航空のたてまえでしょうから……。何もドルを外国に流したくないという今日のドル防衛にならったのかどうかしらぬけれども、私は茶飲み話によく聞くのは、大使などが外国に出るときには何としてもお国の飛行機がいいというのでJALに乗る。二回、三回にもなれば相手の事情もよくわかります。この前はSASで行ったから今度はPAAで行こうかというように、多少旅行者に、公務員であろうと選択の自由を与えるべきだと思う。こういうやり方よりも、むしろ、なぜそれならば日航は、JALは少ないかというのならば、多くなるように指導すべきですよ。経営の改善をはかるとか、サービスの向上をはかるとか、国内国外に限らないで好んで、乗るならばJALにという、そういうJAL自体に注文をつけるのがほんとうじゃないですか。これはやり方としては適当じゃないというふうに感じたのであります。これは一つの意見として聞いてもらっておいていいのですけれどもね。そこで、たいへん時間をとりましたが、ひとつまだ機会もありますので……。
もう一つだけ五カ年計画に関連して熊本の問題を特殊なものとしてごく要約してお尋ねしておきたいと思うのです。
先ほど質疑の中で申し上げたように、またお答えもありましたように、移設ということですね。これはいつ大臣の決裁をとったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/102
-
103・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 昨年の、たしか九月であったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/103
-
104・森中守義
○森中守義君 九月ということは前大臣のときですね。それから移設の位置はどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/104
-
105・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) いわゆる高遊原の台地でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/105
-
106・森中守義
○森中守義君 完工の年度は、供用開始の時期はいつを予定していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/106
-
107・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 昭和四十六年でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/107
-
108・森中守義
○森中守義君 それから空港の性格、諮問十二号の中の先ほど来申し上げてまいりました地方空港整備基準表のどの項に該当するものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/108
-
109・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) もちろん熊本は非常に重要な空港でございまして、一類に属します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/109
-
110・森中守義
○森中守義君 一類ということは二千メートルということですね。
それからもちろん五十五条の二の適用空港ということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/110
-
111・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/111
-
112・森中守義
○森中守義君 それと、空港整備法四条一項の適用だけにとどめるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/112
-
113・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/113
-
114・森中守義
○森中守義君 計画上、起工から供用開始に至るまでの必要経費は幾らですか。百分の七十五、百分の二十五の計算でお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/114
-
115・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) これは先ほど申し上げましたように、いわゆる確定数字ではございませんが、一応二十九億を予定いたしております。総事業費でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/115
-
116・森中守義
○森中守義君 二十九億の中の用地買収予定費は幾らでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/116
-
117・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 用地買収予定費としてはもちろん積算の根拠は持っておりますが、これは現実にいま用地買収交渉をいたしておりますので、ひとつ御勘弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/117
-
118・森中守義
○森中守義君 まあそれはわかりました。
次に、用地買収の基準、いろいろあると思う。少なくとも各省庁でそれなりに取り方も多少違っていますが、ある省庁のごときは勧銀の評価をしておるところもある。運輸省の場合には、用地取得のための基準はどういうものか、明確にひとつお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/118
-
119・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) これは一般的に公共用地の取得の基準に関します政府の内規がございまして、それによりますと、近傍類地の価格を参照してこれを決定するということになっておりますから、近傍類地の価格を参照いたしまして、そうして地権者と話し合いのついたところで価格を決定する、このように相なるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/119
-
120・森中守義
○森中守義君 一口に近傍類地の売買価格といわれるけれども、いま問題の提起されておる高遊原のごときは、どなたも地権者の場合には売らないという、こういう方針が貫れていて、ここは皆さんに売らないということじゃないのだよ、その話はまた別なんだから……。大体通例売買が行なわれていない。したがって、標準になるような価格、近傍類地というものはちょっと見当たらないのじゃないかと、それと、さっき言われる政府一体の用地取得のための買収基準というものは、いま言われたものだけですか、もっとあるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/120
-
121・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) それしかございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/121
-
122・森中守義
○森中守義君 まあそのことはきょうは一応議論の外におきますが、またゆっくりします。しかし、できるならばその用地買収の基準については、もう少し慎重に検討される必要がある。そういうことがえてして問題紛糾の原因をつくることになりますからね。
それからこれは別に答弁を承っておかなくてもいいんだけれども、澤局長のことだし、非常に親切な人だから、あえて私は答弁をもらおうと思わぬが、いま申し上げますから、答弁なさるならなさってください。というのは、熊本県側は終始一貫大型空港という表現を使っておられる。大型空港というのは整備法、航空法、どこにもない。明らかにこれは政治用語ですよ、あるいは俗語かもしれない。しかも県段階におけるそれぞれの責任者が大型、大型という表現を用いることは、いろいろな点において影響するところが大きい。ある場合には混乱を起こします。したがって、ちゃんと一種、二種、三種というように、法律上規定をされた空港の呼び名がある。しかも今回の場合には百分の二十五の負担金なんだから、正確にひとつ大型などというえたいの知れない呼び方をしないで、正式な呼び名をするように、これはまたさっきの行政指導じゃないけれども、何かの形でチェックされる必要があるのじゃないかと、別に答弁もらおうと思いませんが、あなた親切だから、するならするといってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/122
-
123・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 地元で、あるいは県が大型空港といわれようと、あるいは小型空港といわれようと、国は国の基準で判断をいたしまして、これを二千メーターの空港にするということを決定いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/123
-
124・森中守義
○森中守義君 最後に、いま一つ聞かしてもらいますが、先ほど九月と、こういうお話でしたが、確かに九月の十八日に協定書というものが澤局長と当該県の知事との間に結ばれておりますね、これを指すのですか。もしこれを指すとするならば、ちょうどこの当時は、当時の大橋運輸大臣はどこか外国に行っており、大臣不在であったはずです。ついては、出発の前に決裁を取っていたのか、あるいは国際電話等で了解を取ったのか、その辺のいきさつが一つ。
それからいま一つは、私が何回も立ち会ったわけですが、四十一年の十月三十一日、それから四十一年の十一月四日、四十二年の三月三十一日、四十二年の七月十二日、四十二年十月十八日、むろんこれはこういう公の場所における意見の開陳でもございませんけれども、当時の大橋運輸大臣、金丸政務次官、さらに澤局長、私が立ち会った。そのほかにいまの澤局長、前の堀局長、二代の局長にわたりまして地権者を中心とする困るという皆さん方が直訴をしておる。そのたびごとにお答えは、決定をしておりません、むろん国が必要だから熊本の空港を移設をしなければならぬという必要は感じていない、県のほうからかなり執拗な要望があるので、いろいろ聞いてみれば安いから、反対がないから、こういうお話であったから、実はその気になりつつあるんだというお話で終始一貫した。いわんや農林省、来てもらっておりますが、農地法の問題は別としても、土地収用法の発動等はしない、少なくともあなたは県側にその辺の交渉はおまかせしておるし、県がやるということのようだから、運輸省としては手を出していない。だから、地権者の同意あるいは周辺の皆さん方の賛同を得なければならぬというのが終始一貫した答えであったわけですね。しかもこの協定のあとにも代表来ておりますよ、そこでも同じようなことを繰り返されている。これは国会など、こういう公式の場所でないから適当にあしらっておけばいいということであったのか、言わせるだけのことは言わしておこう、やるのはおれのほうの自由勝手だというお考えであったのかどうなのか、結果においてはそういうように判断をせざるを得ない。その辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/124
-
125・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 第一点の熊本の空港を移設するということにつきましては、運輸省としてはこれは望ましいことと考えておるということをたびたび申し上げた次第でありまして、最終的に運輸省の意思をきめましたのは、大臣の外遊——たしか大臣は九月の九日ごろ外遊されたかと思いますが、その前に、大臣のところで、運輸省としてはこの空港はぜひつくりたいということをきめたわけでございます。
それから第二の御質問の、土地収用をかけないかという御質問につきましては、これは大臣、政務次官が国会でもたびたび御答弁申し上げましたように、当面土地収用の強制手段を講ずる考えはございませんということを申しておりますし、この点は現在でも変わっておりません。
それからこの空港の決定につきましては、熊本県庁のほうから地権者の了解その他は全部県がやりますと、国には御迷惑をかけませんということを申してこられましたので、地元の方が納得をされるならば、ここに空港をつくりますということを申し上げた次第でございまして、その点も決して変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/125
-
126・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/126
-
127・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/127
-
128・森中守義
○森中守義君 もう間もなく終わりますので御了承いただきたいと思います。
この問題、じゃまたあとでゆっくり聞かしてもらいますが、要するに土地収用法の発動等をしないというのはいまも変わらないということですね。正確に確認できますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/128
-
129・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 当面、土地収用等の強制手段を講じないということは大橋大臣がいわれまして、その考え方には現在も変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/129
-
130・森中守義
○森中守義君 そこで問題になるのは、たしか四十一年に熊本空港の拡張予算として九千六百三十三万二千円余計上されておりますね。この当時においては移設の問題は全然提起されていなかったんですよ。現在の千二百を広げたいという趣旨であったと思う。それならば、その時代にはおそらく技術的にも拡張の可能性があるということでこの予算がついていると思う。しかるに新らしく問題が提起されて、もちろんこれは結果的に不用額になっております。そうなりますと、おそらく財政当局に、熊本空港拡張の予算をつけられる際に、何でもいいからつけておけということではなかったと思う。それなりに根拠を持ち、しかも可能性を持ったのが九千六百万余だと私は解釈する。それから今日になって移設の問題が提起されてくると、いや技術的にできませんというように言い方が変わってきたというのは一体どういう経過ですか。この辺に私は最大の矛盾を感ずる。そのことをひとつこの際明確にお答えいただいて、この次の機会に譲りましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/130
-
131・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) これは健軍の飛行場を拡張するという予算で昭和四十年についたわけでございます。それでその後、土地取得その他、非常に困難になりまして四十一年に繰り越して、それでもできないので不用額に立てた、このような次第でございます。したがいまして、高遊原に移転の話も、この間に健軍の拡張は困難だということから県としても一生懸命になってまいったのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/131
-
132・森中守義
○森中守義君 そうしますと、その用地取得のために不用額になったということなんだけれども、技術的には拡張の余地があった、可能性があった、そういうふうに理解をしていいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/132
-
133・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 技術的に不可能ということではございませんが、技術的にも当時は覚悟していたと思いますが、進入方面の方向に山がございまして、ここに——これは先生のほうがお詳しいと思いますが、相当多数の民家があるわけでございます。それでこの小山の撤去、あるいは民家の移転というようなことも非常に困難だということも移転を、高遊原に移転をするということを考えた一つの理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/133
-
134・森中守義
○森中守義君 それはそれとして、要するに四十年に予算が九千六百万ついたということは現在地を広げたい、そういう趣旨であったということには間違いないと私は思う。それがいま技術的に不可能である、だから移設をするというそういう理論の矛盾が一つ露呈をされておりますしね。また、この協定書ということが、まあ相当私にとってみれば重要なもの、代表に何回も会いながらいい調子に答えをしておいて、あとでばっさりやったという、そういうことは、これは非常に重要な問題ですから、まあきょうはほかにも質問者がおありのようだし、私一人で時間をいただくわけにもいきませんから、次回に譲ります。きょうはこの程度で終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/134
-
135・大倉精一
○大倉精一君 時間がありませんから、きょうは資料要求をしますから、相当たくさんになりますか、控えておいてください。
先ほど木村君のほうから羽田空港の問題についていろいろ質問しましたが、政府の答弁聞いておりますと、まことにどうも私は歯がゆいですよ。もっと事態を深刻に考えろということをこの前も申し上げました。それで、これは次回に大臣にひとつ突っ込んでお伺いしたいと思う。と同時に、これは明らかに米軍の軍事行動ですから、安保条約第四条をひとつ検討しておいてください。
そこでまず要求する第一点は、きょうの新聞に「米軍などに自粛要望」と、こういう記事が載っておる。これも私は、どうも見て歯がゆいと思った。この前も、すでに米軍の自粛を要望しておりますという答弁がありましたが、それは今度やれば抗議ですよ。安保条約というものは、これはこちらが義務ばかり負っておるわけじゃない。国としての権利がそこにしるされておりますから、この権利放棄になるわけですから、私はこの次に大臣にじっくり質問したいと思います。それで、この「米軍などに自粛要望」というのは、いつやったか、だれの名前で、どういう形式でやったか、日にちが書いてありませんが、いつやったか、その内容、これだけを知らしてください。大臣の名前でやったのか、あるいは日本政府としてやったのか、運輸省としてやったのか、文書で申し入れをしたのか口頭か、こういうことで、その内容。それからこの前、局長が、もうすでに米軍には申し入れてありますと、こう言いましたから、それはいつ申し入れたか、文書か口頭か、それからその内容、これをひとつ資料で知らしてもらいたい。
それから昨年、東京で、日米航空当局並びに軍民航空関係者によって協議して設定されましたいわゆるノース。パシフィック一号という北回りの航空路ですね。これに非常に私は関心を持っておるので、この協議せられた経過並びに決定せられた内容についてひとつ正確に報告してもらいたい。それからその後においてノース。パシフィック一号を飛んだ軍民の飛行機の数。そのうちで軍用機が羽田経由で飛んだ数を知らしてもらいたい。
それから羽田の米軍チャーター機の飛行計画を出してもらいたい、二月一ぱいの。二百何機あるわけですね、飛行計画が。特に行き先。こまかいことがわからなければ、行き先がちゃんと航空当局に出してあるはずですから、この行き先をはっきり各機別に出してもらいたい。
それから板付の空港の問題ですけれども、これもこの前、状況によっては民間の使用をストップするということを米軍当局が言ったというが、そんなことは聞いておりませんと、こういう話だったのです。それは福岡市会の四日の決議の中にも出ておりますし、この中身を申し上げますと、一月二十六日に運輸省の福岡航空事務所と同じく米軍戦闘支隊幹部との懇談会の席上で非公式に持ち出されて、これを二十九日に運輸省航空局へ報告をしておる、こう新聞にも出ておりますし、また四日の福岡市会の決議にも、民間のストップをほのめかしたといっておりますから、調査をして内容を知らせてもらいたい。
それから次には福岡の市議会の決議の内容ですね。これは三月四日の決議、それから昭和三十六年三月の基地拡張反対と早期移転に関する要望書、それから三十八年五月F105の配置反対決議、四十年八月のB52、それからC130の輸送機の一方的使用反対決議、この内容をひとつ出してもらいたい。
それからあそこは米軍の飛行場ですからね、民間が使用する場合には三カ月ごとに府中の第五空軍司令部を窓口として再使用の許可を申請をする、こうなっておりまするが、これはどういう手続で申請をされるのか。書類があったらその写しを、使用許可の写しを出してもらいたい。
それから全国に板付飛行場と同様に米軍の飛行場でこちらの民間機の乗り入れを許してもらっておる飛行場はどこか。
これだけです。これの正確な資料をいただいて、そうして運輸大臣に所信をひとつただしてみたいと思う。どうもきょうの答弁を聞いておりましてもへっぴり腰ですよ。これは、ベトナムの戦争というものが日本に身近になってきて、そうしてみんなが関心を持っておる。ですから、もう日本の上空はたいへんですよ。これからもたいへんになる。いわゆるチャーターといいましても、いろいろな情報によりまするというと、一万五百人増加派兵決定直後、民間機数社に対しまして新しくチャーターを申し入れておるということを聞いております。あるいは世界最強の組織をほこるマック、これがいわゆる東京‐香港間のパンアメリカン週七便をすっかり借りてしまって、さらにそれ以上に借りるということはたいへんなことです。六六会計年度に東南アジアに兵員を八十万人、二十五万トン送っている。六七会計年度にはさらに五〇%増加する。こうなってくると、ちょっと簡単な申し入れとか要望じゃ済まぬのです。日本の国として、政府として安保条約の権利に基づいてはっきりした交渉なり相談をしてもらわなければいけませんから、そういう意味でこういう資料をひとつ正確なものを出していただいて、どういうように安全保障条約第四条、第六条の交渉ができなければ第四条をひとつ研究していただいて、それでこの次の委員会に質問をさしてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/135
-
136・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) ただいま御要望の資料のうち、資料のないものもございますので、またただいま御回答のできるものもございますので、ただいま御回答できるものはこの席で回答さしていただきたいと思います。
第一の、米軍にマック・チャーター機について自粛を要請したと申しますのは、これは昨年の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/136
-
137・大倉精一
○大倉精一君 ちょっと発言中だけれども、資料の要求だから答弁しないでいいんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/137
-
138・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/138
-
139・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/139
-
140・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 米軍に自粛を要望した資料というのは、これは口頭ですから、ないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/140
-
141・大倉精一
○大倉精一君 口頭なら口頭でいいんです。内容……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/141
-
142・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) 第二の、次に最近の事態に対して米軍に自粛を要望したかと、こういうことでございますが、これは大臣もきょう御答弁になりましたように、これから要望いたしますということで、これも資料ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/142
-
143・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/143
-
144・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/144
-
145・澤雄次
○政府委員(澤雄次君) マックの飛行計画、これは相当の作業が要りますし、それから米軍のほうの了解が要るかどうかを外務省と打ち合わせをいたしまして提出していいということになりましたら提出さしていただきたいと思います。
そのほかの資料は全部御提出申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/145
-
146・大倉精一
○大倉精一君 いま、マックの飛行計画わからぬと言いましたが、新聞に出ているのですよ。新聞にダナンあるいはどこですかね、新聞に出ておるものを、あなた、それまで秘密、秘密と言ってもしょうがないですよ。これは。ですから、それもひとつ、わからぬならわからぬでいいですから、わからぬ理由を聞きますから、この次に、新聞に出ているのですからそれをひとつ知らしてください。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/146
-
147・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑を行ないます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/147
-
148・岡本悟
○岡本悟君 もう時間もだいぶ経過しましたから、私も簡単に質問しますので、政府側も要領よく大声でひとつ答弁をしてください。
先般、私の質疑の最後は、この調整法のねらいでございます船質の確保についての質問の途中で終わったのでございますが、その造船技術につきまして外国からの技術導入に対する特許料の支払いが案外多い。特に研究開発投資額と比較してみると、パーセンテージが非常に高い。つまり私たちは日本の造船が世界第一位であるし、その理由の一つが非常に優秀な造船技術を持っておることだと思っておったのでございますが、そういうことから見ると、意外な感じがするんですね。どういうところにウィーク・ポイントがあるのか、あるいはまたどういう点に逆に一番外国技術の援助を仰いでおるのか、こういう点を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/148
-
149・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) ことしの二月末現在で技術導入額は約五十五億円でございます。それに対しまして船舶部門の研究費は大体平均毎年二十億円前後になっております。なお、この二十億円と申しますのは、船舶部門の売り上げの約〇・四から〇・五%でございまして、平均の研究費から見ますと、——一応全産業の平均から見ますと、多少下回っております。これにつきましては、船舶が、御存じのように、非常に大型化して、それから高速化しておるということのテンポが非常に早かったわけでございます。それにつきましてこれに必要とする主機、補機、そういうものの開発一が伴わなかった、ついていけなかったということでございます。
なお、これに関しまして、われわれのほうも予算要求におきまして大型プロジェクトの開発というテーマで、いま一番問題になっておりますが、蒸気タービン減速装置——大型蒸気タービンの減速装置と申しますのは、非常に大きな百数十トンのウエートをとるものでございますが、これは遊星歯車でございますが、実は日本の特許でございますが、これを大型化するということで目方を大体半分ぐらいにするというのを開発中でございます。
なお、エンジン主機、補機以外で、実は日本は自動化とか経済船とか、そういうものについていままでずっと研究をしてまいっております。今後もこれについてはやはり今年度からでございますけれども、予算をとりまして、一応自動化ということの開発にこれから入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/149
-
150・岡本悟
○岡本悟君 端的に、どういうところが一番弱いんですか、わが国の造船技術で。相当特許料が多いでしょう。どういうところが一番弱いのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/150
-
151・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 一番多いのがディーゼル機関でございます。その次が大体補機類——いろいろなウィンチとか、そういう関係の補機類、その次がタービンボイラー、こういう順序になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/151
-
152・岡本悟
○岡本悟君 したがって今後の技術の開発につきましては、そういうウィーク・ポイントの克服をねらって進められる、こういうふうに理解いたします。
そこで、次に、最近大型船の建造が非常にたくさん出てきておる。現在世界的にいっても二十万デッドウエート以上の工事量が隻数にして三十隻ぐらいある。うち二十隻を日本がやっておる、持っておるというような状況ですが、大型化のメリットは、たとえば運賃コストが非常に下がる。六万デッドウエートのタンカーと、これはオイルタンカーでございますけれども、三十万トンのそれと比較してみると、運賃が半分近く、まあそういうことでわかるんですが、一体限界があるのかどうかですね、大型化の限界、こういったものはどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/152
-
153・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 大型化のテンポが非常に早いので、実はその経済的効果——経済的効果はいままでのところは大体わかっておるわけですが、まだ技術的な点、そういうところはやはりいろいろ問題がございます。したがって、この場でどの辺が限度かと言われても非常に私も困るわけでございますが、外国では、ある説によりますと、百万トンまでいくじゃないかというようなことも言っております。したがって、われわれはいまのところは大体二十万トン前後が当分続くのじゃないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/153
-
154・岡本悟
○岡本悟君 この間私は、御承知のように根岸の石川島播磨の工場で二十七万トンのオイルタンカーの建造の模様を見てきたのですけれども、この船価からいってもある限度にくると逆に高くなるというような、何といいますかね、限界があるんじゃないですか。そういうところを聞いているわけなんですけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/154
-
155・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 現段階ではその辺の限界をちょっと突き詰めておりませんが、ただいまわれわれのほうとしましては、五十万トンの試設計等を、これも予算をいただいてやっております。したがって、その結論が出るころにはある程度の目安がつくのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/155
-
156・岡本悟
○岡本悟君 そこで、特にタンカーにつきましては、大型化するということにつきましては非常にいろんなメリットがあるということはわかるのですが、他面、衝突の危険が増大するとか、万一の場合にはその被害の及ぶ範囲が非常に広範囲になるというふうな心配が非常に大きいわけですね。まあいまさら例をあげるまでもなく、トリー・キャニオン号が英国の西海岸で座礁したときにはたいへんな騒ぎになったのです。こういうことを考えましたときに、この安全性の確保について特段の技術開発研究をしておるかどうかですね。たとえば多少の衝突によるショックでは二重底といいますか、というふうになっていてこれが吸収できるとか、あるいはこの間浦賀水道で聞いた話ですけれども、いま五万トンのタンカーが急にストップをかけてもまず五千メートルは走る。五万トンだったかどうかはっきり記憶しておりませんが、そういうふうに急にストップできない。これは非常に危険な要素になるわけですから、急激にストップし得るだけの装置が技術的に開発できないかどうか、そういうことについていまの研究の状態を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/156
-
157・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) トリー・キャニオン号に関連しまして、世界的にこれの安全性の検討をやっております。その一環としまして船舶の構造の面からの検討を進めておるわけでございます。われわれとしましても、先生ただいまおっしゃったように、二重構造の問題とか、そういうことを検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/157
-
158・岡本悟
○岡本悟君 それから、海運局にお尋ねしたいのですけれども、このタンカーが非常に大型化してくる、これはオイルにしてもグレーンにしてもそうですが、運賃が非常に低落してきておるわけなんですね。これはコストが下がるから当然そうでしょうけれども、あれは昭和三十一年でしたかね、これを一〇〇としますと、現在半分近い。そういうことで、一体この世界の船腹の需給状況から見まして、これはどういうふうに判断したらいいのか。つまり、そのことはわが国の海運企業、特に大手筋のせっかく再建整備がほとんど完了しつつあるわが国大企業にとりまして、経営上どういう影響があるか。もちろん昨年の六月の六日にスエズ運河が閉ざされまして、一時的に不足ぎみだという現象も起こってきたことは承知いたしておりますけれども、全般的な傾向としてイン・ザ・ロング・ランで行なわれた場合にどういうふうに判断すべきか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/158
-
159・高林康一
○説明員(高林康一君) ただいま御指摘がありましたように、タンカーあるいはその他の専用船の大型化によりまして運賃が非常に下がっておる。御指摘のございましたように、三十五年と四十一年と平均運賃で、たとえば原油について考えてみますと、大体六割程度の運賃に下がっておるわけであります。五ドル八十がたしか三ドル四十くらいになっております。このような傾向というものは当然石油、あるいは鉄鉱石の場合は鉄、それらの基幹産業のコストダウンの要請に基づくものでございます。今後ともそういう産業のコストのダウンに対するところの要請というものはますます強くなる。また、海運界も当然それに即応し得る体制を整えていかなければならないというふうに長期的には考えております。ただ、御指摘がございましたように現在、海運業につきましては、再建整備というものをやっております。この再建整備をやっております段階におきましては、私どもといたしましては、新造船につきましては、十分国際競争力のある運賃で船腹を提供するということと同時に、企業の経営に悪影響を生じないようにいろいろ助成措置を講じますとともに、船価を十年で回収し得るようにというベースを立てまして、それによって融資その他についての指導をいたしておるわけであります。ただいままでのところは、幸いに十年の船価回収ベースというものが大きな線ではくずされておりませんので、非常に海運企業の経営内容も改善されてきております。過去の償却不足六百億以上のものが現在四十億以下になっておるというふうなことで、かなり顕著な改善を示しておりますのは、そのような十年の船価回収ベースの効果だと思います。ただ、今後の見通しにつきましては、やはり先ほど申しましたようなコストダウンの要請にさらに即応していきますために、やはり海運企業といたしましても、今後さらにコストをいかにして下げるかということ、もっとまた長期の船価の回収というものを企業がとり得るような体力をどのようにつけていくか、それらの問題につきましては、今後再建整備後の海連対策の重要な問題といたしまして、私どもさらに検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/159
-
160・岡本悟
○岡本悟君 そのことにつきましては、また利子補給法の法案審議において詳しく聞きたいと思いますが、もう一つ、タンカーを中心として非常に技術革新が進められておるわけなんですね、したがって、先般ちょっと申し上げましたように、五年前につくったものが、これは非常に近代的な能力を持ったものとしてつくったものが、いまとなってはもうすでに陳腐である。経済的に陳腐であるというふうな現象が造船業界というか、海運業界にも起こってきておるのじゃないか、そういうことが一体非常に顕著にあらわれているのか、あるいはそれがあらわれておるとすれば、海運企業の経営に相当影響をもたらしておるのかどうか、この点ちょっと簡単でいいが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/160
-
161・高林康一
○説明員(高林康一君) 非常にタンカーを中心にいたします技術革新が非常に強く出ております。大体昭和三十五年以前のタンカー、日本の場合につきましては大体三万トンタンカーというようなものが大部分でございます。三十五年には大体計画造船で申しますと、平均船型が五万トン、それから三十八年にはそれが八方三千トン程度、それから昨年におきましては十五万トンというのが平均船型でございます。そういう意味で非常に顕著な技術革新が行なわれております。当然これは企業に大きな影響を与えまして、そういうようなことで、三十五年以前につくりましたところの船、それらは陳腐化しておりますことがやはり再建整備というものを必要とした一つの、そればかりではありませんけれども、原因であったかと思います。
なお、その過程におきまして再建整備の措置をとるとともに、いわゆる不経済船対策といたしまして、たとえばこれらの三万トンタンカーを穀物の積み込み船に改造するとか、そういうような不経済船対策というようなことで必要な開銀融資等を実行してまいりまして、逐次この効果はあらわれておりますけれども、今後もこれらの技術革新の勢いは非常に強いと思うのでございます。絶えずそういう動向をながめながら船腹の整備拡充におきまして、これらのものをなるべく早く消化できますように、そういう意味でも早い船価回収ベースをねらって現在政策を進めておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/161
-
162・岡本悟
○岡本悟君 それでは技術のことにつきましてはそれくらいにしまして、次に資本自由化で二十万デッドウエート未満のものについては完全に自由にするということを昨年七月ですか一昨年ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/162
-
163・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 七月一日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/163
-
164・岡本悟
○岡本悟君 きめましたね。その後の影響は何らかあらわれておるのかどうか、なければないでよろしいのですけれども、まだあまり時日もたっておりませんから私はないと観測しているのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/164
-
165・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 自由化に関する外国からの資本の参加というものはあらわれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/165
-
166・岡本悟
○岡本悟君 それから造船助成についてもこの際いろいろ論議すべき点が多いと思うのですけれども。特に日本の造船というものが世界に進出して第一位を占めてからもうすでに十年余り経過しておるということで、先般の委員会で局長のお話しになったように、ECDを中心として巻き返しをはかっておるということで、造船業に対しても特段の政府は助成措置を講じ始めてきたということですが、その助成の典型的なものについて一、二お話を願いたいのと、わが国がそれに対抗してどういう方策をとるのであるか、それを簡単でいいからお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/166
-
167・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 典型的なものとしましてはイギリスでございます。イギリスはかつて世界一の造船国だったわけですが、その後また過去の栄光を幾分でも取り返したいということで非常に熱心にこの助成策を講じております。
第一は、輸出信用保証で、イングランド銀行のリファイナンスで市中銀行の長期低利の輸出金融をやっております。それからその措置は大体頭金が二〇%で期間が十年でございます。それから金利が五・五%の延べ払いというものを適用しておるわけでございます。
それから産業開発法というのがございまして、これが一九六六年から実施しておりますが、造船所の設備投資に対しまして投資額の四五%の補助金を交付しております。これを大型ドックの新設の場合に例をとりますと、船価へのはね返りと申しますのが大体船価の五%に相当する償却及び金利負担が軽減されるとみられます。
それからもう一点、造船工業法というのがございますが、これは一九六七年から実施になっておりますが、これは集約を促進するということでございまして、これに対しまして現在二億ポンドの国内建造金融を供与するということになっております。これによりまして英国の船主は海外に発注しないでも延べ払いで船舶を建造できるというような状態になっております。その他西ドイツ、フランス非常に政府のバックによりまして長期の延べ払いをやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/167
-
168・岡本悟
○岡本悟君 だからね、わが国のこれに対抗しての助成策はどうあるべきか、現在の程度でいいのか、さらに強化する必要があるのかということもあわせて聞いたわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/168
-
169・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) わが国では、現在世界の平均の延べ払い条件を提供しております。すなわち、輸出につきまして頭金二〇%、それから融資期間八年、それから金利五・五%でございます。日本の場合は、助成としましてはこれと、それから大型設備につきましては開発銀行の融資がございます。イギリスあたりに比べますと、必ずしも不足ございません。しかし、今後の世界の巻き返しが非常に強いので、実はわれわれのほうも今後どの程度の方法をとるべきか、直接的な助成をするということは、実はOECDの中でもいままでのものでも排除しようという動きがありますので、直接的な助成はとれないと思いますけれども、今後検討する材料になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/169
-
170・岡本悟
○岡本悟君 原子力船の建造の経過ですね、もうこれは昭和三十八年でしたか、八月に原子力船開発事業団が発足して、もうすでに四年、五年ですか、いまだにめどがつかないというふうに一般の国民は受け取っておるのですが、原子力の平和利用計画というものが三十六年に設定されて、片や原子力発電、片や原子力商船ということで、二つの大きな柱の一つになっている、非常に大きな関心を持っているわけなんですが、その経過、これも簡単でいいですからお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/170
-
171・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 原子力船の第一船につきましては、実は四十年から建造の着手の予定でございましたけれども、船価が実は決定がおくれたということから、大体二年半の計画のおくれをみております。二年半でございます。それで当初の船価は三十六億円ということでございましたけれども、現在五十六億円で契約をしております。それからこれの起工は、おそらく、ただいまいろいろ設計変更その他の手続を進めておりますが、ことしの秋ごろに起工になると思います。そうして四十六年に一応完成する予定でございます。それからいままでの船舶の大型化、それから高速化ということを考えますと、今後大馬力のエンジンが必要になってくるわけです。したがって、原子力船というものは当然経済船として考えられるのじゃないかということでございまして、ただいまのところは原子力開発利用の長期計画、これは原子力委員会で一応まとめておりますが、この中の経済船、いわゆる今度は民間のベースで船を建造していこうという計画がございます。われわれとしましてもこの計画はもっともじゃないかということで協力する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/171
-
172・岡本悟
○岡本悟君 そこで、いわゆる臨時船舶建造調整法の三本の柱について一つ一つお尋ねしてきたわけなんですが、その調整機能なりあるいは船質の確保ということについて十分目的を達成しておるということは大体わかりましたのですがね、最後にこの提案理由のところに、こういう調整なりを必要とする客観情勢がここしばらくは、少なくとも五年間はそういう状態が続くのだ。つまりこう言っておりますね、 「西欧諸国の建造能力の整備状況からみて、大型船の建造については少なくともここ五年間は日本が独占的地位を占めるものと予想されることにより、」と、こういうことが言われておる。その前に「外航船舶の大量建造を必要とすると思われる」、わが外航船について。こういうことが言われているのですが、これは何ですか、たとえば国際貿易量の今後の見通しとか、一応ずっと積算の上に立ってといいますか、積算をしたといいますか、つまり科学的に計数計算をしたことがあるのかどうかですね。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/172
-
173・高林康一
○説明員(高林康一君) 将来の外航船腹の所要量につきましては、大体現在の経済成長率を前提にいたしまして、四十二年度、四十六年度間の問題につきましては、経済社会発展計画によりまして、その間におきまして約九百万総トンの建造が必要であるということは経済社会発展計画で想定しております。ただ四十六年以後の伸びという問題につきましては、これはそういう経済社会発展計画というような姿のものはまだまだございませんけれども、現在の石油の供給計画あるいはまた鉄鉱石の輸入関係、あるいは日本の輸出貿易の姿、こういうようなものから見ますと、やはり相当程度の船腹拡充というものが必要であろうと考えております。その数字は、もちろんいろいろ国際収支の諸条件あるいはまた日本の積み取り能力、その他を考えなければならないと思いますけれども、現在のような八%成長経済を前提にいたします場合には、大体今後四十年代におきましては、現在程度の規模すなわち二百万総トン、それ以上の船腹拡充というものは、今後四十年代においては必要ではないかというふうに考えて、なお部内でも検討をしておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/173
-
174・岡本悟
○岡本悟君 そこで、いまこの船腹量の問題についてはわかりましたけれども、船舶局長、独占的地位がやはりここ五、六年の間は続く、わが国の造船業の。その見通しはどういうところからきているのですか。それを確かめてそういう状態が続くのだということが私に理解できれば、この臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案は改正しなきゃならぬという必要がよく理解できますので、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/174
-
175・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 現在の船舶の日本での需注残は千二百八十九万トンございます。そして、その内容を見ますと、昭和四十三年度、四十四年度、四十五年度まであるわけでございます。なお、四十六年度の引き合いがさらにきているという状況でございます。一方、ヨーロッパの巻き返しは激しいわけで、現在いろいろドックの拡充、企業整備その他でやっておりますけれども、このドックが正式にほんとうの能力を発揮するようになるまでは、実はやはりそれができてから二、三年あとになるのじゃないか、こう思われます。これは日本が、ここ過去十年間、たった一回、外国に世界最大の船をつくられた経験があるわけですけれども、ずっと世界最大の船をつくってきております。その経緯から見まして、一挙にドック能力にマッチした船をすぐつくるというわけにはいかぬ。そうしますと、ちょうどまあ五年間ぐらいはこの経緯が続く、こういうふうにわれわれは判断するということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/175
-
176・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X00619680307/176
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。