1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十三日(火曜日)
午後一時三十九分開会
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委員の異動
四月十九日
辞任 補欠選任
迫水 久常君 江藤 智君
山本 杉君 井野 碩哉君
四月二十二日
辞任 補欠選任
鈴木 強君 森中 守義君
田代富士男君 和泉 覚君
四月二十三日
辞任 補欠選任
平島 敏夫君 近藤 鶴代君
和泉 覚君 田代富士男君
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出席者は左のとおり。
委員長 谷口 慶吉君
理 事
岡本 悟君
重政 庸徳君
大倉 精一君
木村美智男君
委 員
木村 睦男君
河野 謙三君
近藤 鶴代君
沢田 一精君
小酒井義男君
国務大臣
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
政府委員
運輸省海運局長 堀 武夫君
運輸省船舶局長 佐藤美津雄君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
説明員
水産庁生産部漁
船課長 小島誠太郎君
海上保安庁警備
救難部長 長野 義男君
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本日の会議に付した案件
○船舶安全法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
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001・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
去る四月十九日、迫水久常君、山本杉君、また昨二十二日、鈴木強君、田代富士男君が委員を辞任され、その補欠として江藤智君、井野碩哉君、森中守義君、和泉覚君がそれぞれ選任されました。
また、本日、平島敏夫君が委員を辞任され、その補欠として近藤鶴代君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/1
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002・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 船舶安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/2
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003・木村美智男
○木村美智男君 船舶安全法の一部を改正する法律案は、これは本委員会でも従来しばしばこの法案に盛られている事柄について、いままで要望をしてきたものが盛り込まれたというような意味合いで、原則的に、これはどちらかというと賛成すべき法律案であるわけですが、若干内容を読んでみますと、少しまあ不十分な点というか、あるいはこれに関連をして、安全という観点から少し補強をする必要があるというふうに思う点もありますので、若干のひとつ質問をしたいと思うんです。
で、第一番に、この満載喫水線の問題は一九三〇年のいわゆる国際条約に基づくものなんでありますけれども、今回の改正では百トン以上、それから長さ二十四メーター以上、こういうふうに限定をしている。で、しろうと考えからすると、私は必要のある限りはみんな満載喫水線をつけるのが常識的に普通考えられることなんですが、なぜ百トン以上あるいは二十四メーター以上に限定をしたのかということのひとつ理由を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/3
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004・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) いままでは国際条約、すなわち国際満載喫水線条約の内容をそのまま船舶安全法に取り上げられてあるわけでございます。日本の近海におきます海難の現状から内航船舶についても満載喫水線を適用すべきであるという前々から考え方がございました。それで、今回の改正にあたりましては、一応二十四メートル以上の内航船、それから漁船につきましては二十トン以上をいわゆる検査対象船舶全部に対して適用するというふうに改正したわけでございます。それでこの二十四メートルと申しますのは、大体総トン数で申し上げますと百トンぐらいになります。内航船の場合の百トン未満の船舶と申しますと大体沿岸を航行する船で、しかも近回りというのが大部分でございます。したがいまして、条約の適用基準の問題もございますが、一応二十四メートルという数字を加味してまいりまして、これを内航船にも二十四メートル以上の船舶につきまして適用するということにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/4
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005・木村美智男
○木村美智男君 旅客船、貨物船の場合ですね、これは百トン以下であっても私は積載限度というようなものから考えると、これは満載喫水線の必要があるように思うんですが、これをはずしたのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/5
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006・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 内航貨物船につきましては、先ほど申し上げましたように、大体約百トン未満になりますので、これらの船は非常に近回りの航海をやっているということで、これは特に満載喫水線の必要はないというふうに判断したわけでございます。
なお、客船につきましては、満載喫水線以上に実はシビアと申しますか、いわゆる船舶の復原性というものを押えておりますので、特に満載喫水線をこれに強制する必要はなかろうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/6
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007・木村美智男
○木村美智男君 いまの線を引いているということの理由が、何というか、もう絶対だいじょうぶだからというようなことなのか、あるいはそんなに小さいものにまで一々義務づけられては船のほうでもなかなかたいへんだからということなのか、百トン以下であったら、喫水線の必要はもう全然ないのだということなのか、そこらはどういうふうに考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/7
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008・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) いままで、われわれのほうに造船技術審議会というのがございますが、そこにおいていろいろ検討してまいりました。したがいまして、一応二十四メートル以上という線でスタートするわけでございますけれども、その中にはたしかわれわれのほうから申しますと、危険率という問題もございます。それから荷主さんのほうから申しますと、やはり積み荷の制限、いろいろなファクターがございますので、先生がただいまおっしゃったようないろいろなファクターが含まれているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/8
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009・木村美智男
○木村美智男君 それでは漁船の二十トン以下というやつも大体そういう同じ理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/9
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010・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 漁船は同じように二十トン以上が検査の適用船舶でございますが、漁船につきましては、相当小さい船も非常に遠くまで参ります。たとえば二十トンの既存の船でございましても、百マイル、二百マイルという遠くまで出かけるというふうに聞いております。したがいまして、漁船につきましては、内航船とはまた別に考える必要があるということで、漁船につきましては二十トン以上ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/10
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011・木村美智男
○木村美智男君 大体そういうところでわかりましたが、この海難事故の関係は、管轄は船舶局長でいいのですか。常識的に答えられる範囲でいいのですが、最近の海難事故の種類、どういう種類の海難事故で、それで原因は何によって起こったのか、といったようなことを、大ざっぱでけっこうですから、わかりましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/11
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012・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/12
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013・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/13
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014・小島誠太郎
○説明員(小島誠太郎君) 海難につきましてどのような状況かという御質問でございますが、漁船の海難はここ数年間大体平均いたしまして千数百件で、そうふえてございません。現在はこのままの状態でまいっておりますが、その内容といたしましては、船舶の全損というものが年間数十隻を占めてございまして、これに伴う人命の喪失というのが多いので、水産庁といたしましてこの点を特に勘案いたしまして対策を立てたいと、このように思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/14
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015・木村美智男
○木村美智男君 昔は海難事故というと大体過積みというのが、過載というのが、要するに積み過ぎで事故が起こるというのが大部分の原因であったようですが、現在は聞くところによると、過載、積み過ぎによる事故というのはわりあい少ない。そうなってまいりますと、私はある程度気象つまり天候なり、そういった意味での気象状況といったようなものを、十分船が把握できないような関係があるのじゃないかというようなこと、それから船に乗り組んで働いている人たちの労働条件といったようなものが、わりあいに恵まれない状態に置かれておって、過労その他といったようなことがやはりその原因になっているとか、まあこれから政府のほうでも計画をしているようでありますが、航行規制といったようなことが十分に、十分にというか的確に行なわれてないために、たとえば浦賀水道なんかのいわば海のラッシュアワーみたいなああいう形が全国的にいろいろ考えられるというようなことで、むしろそういう面を十分いま何というか、対策として追及をしてみなければならぬのではないかというふうに、これはまあしろうとなりに考えるのですが、現実の海難事故等の関係を見て、いま申し上げたようなことについてはどういう状態になっているのか、またどうお考えになられるか、ちょっと伺いたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/15
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016・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 海難につきましては、いろいろ外的条件あるいは内的条件、いろいろの見地がございます。もちろん海象、気象の問題も大きな問題でございまして、従来はまあ不可抗力という文句で処理されたケースが非常に多いわけでございます。もちろん海象、気象のほうは気象庁でやっておるわけでございますけれども、最近の観測技術は非常に発達しておりますので、われわれはこれを全面的に信頼しているわけでございます。船舶の安全の面から申し上げますと、こういう海象、気象のデータに基づきまして、これに耐え得る技術基準というものをまずわれわれはこれを作成しなくちゃいかぬというふうに考えております。
それからもう一つは、海上の過密対策と申しますか、そういう点からは確かにおっしゃるように航行の規制というものも必要である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/16
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017・木村美智男
○木村美智男君 水産庁に伺いたいのですが、この事故の一番多いのは、最近何か北のほうで使っておられる小型流し網という、これが海難事故の中では一番多いというか、そういう状況にあるというふうに聞いているわけですけれども、問題はこの船が小さいということですね。ところが操業区域というものは、相当何というか、遠方まで出かけていく。相当遠いところまで出て行って、しかも船が小さいという関係から、やはりこれが事故多発という結果になっているのじゃないか、こういう点なんですが、この漁船の性能の問題と操業区域との関係はどういうふうに指導をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/17
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018・小島誠太郎
○説明員(小島誠太郎君) ただいま御指摘の、七トン未満の北海道周辺地におきます小型流し網漁船につきましては、海難の事故は非常に多いことは事実でございます。それでこの海難を極力防止いたすために、水産庁としましては北海道の道庁と連絡をとりまして、出航前における検査、それから集団操業それから無線等の通信機器の整備、救難施設の整備、このようなものを指導いたしまして、極力、海難が少なくなるようにやっているところでございます。いまおっしゃいますように、小型なるがゆえに事故が多いのではないかという御質問でございますが、これに対しまして船舶の大型化をもって対処するというようなことも考えられますけれども、この漁業種類は御承知のように、日ソの漁業条約によりましてその対象となっておりまして、対外的に相当その船の漁獲努力に対します制限がめんどうなものでございますので、このような小型のサケ・マス漁船につきまして大型化をもって対処するというようなことにつきましては今後とも十分慎重な考慮をいたしてまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/18
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019・木村美智男
○木村美智男君 小型流し網が大体サケ・マスを対象にしておるから、日ソ漁業協定に関係して、本来なら大型にしたいのだけれどもなかなかそうばかりもいかないということなんですね。まあ、そういう事情はある程度わかりますが、これはひとつ大臣やはり日ソ漁業交渉等を通して漁船の安全あるいは人命尊重というような、そういったような観点では少しやはり船も多少大型へ向けて、大型といっても限度はありますけれども、方向はそっちへ向けて交渉の中でやはり改善をしていく必要があると思うのですが、この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/19
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020・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 安全を期するということは非常に大切なことであると思いますので、検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/20
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021・木村美智男
○木村美智男君 それから先ほど、一般的にいうと過積みによる海難というものは少ない、こう言ったのですが、やはり積み過ぎによって起こっている事故もけっこうあるわけですね。そういう点については、これはどこが処分というか措置をしているのですか。処分的な措置は水産庁でやられているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/21
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022・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 船舶安全の面から運輸省すなわち実質的には海上保安庁また、われわれのほうの検査の上からも監督しているわけでございます。いままでは過積みの標準と申しますか、そういうものが実はございませんでしたので、よほどの過積みというものですと、これは過積みが原因であるということがわかったわけですけれども、いままでは非常にその点が相当明確を欠いておったわけです。したがいまして、海難原因につきましても、その点は特別のもの以外はあまり数字が出てこなかったというような現状でございます。今後はその点が非常にはっきりしてくるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/22
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023・木村美智男
○木村美智男君 最近は、言い方はちょっとおかしいかもしらぬが、乾舷マークが大半消えてしまっているという、ちょっと皮肉な言い方かもしらぬけれども、要するに港へ入ってくる船の荷物の重味で乾舷マークが水の中にかくれてしまっているから乾舷マークがないと思うのですけれども、それをしろうとなりに見ると、最近は乾舷マーク消してしまったのではないかといわれるほど実際に乾舷マークが沈むくらい相当荷物を積んで港に入ってくるという現象が多いらしい。そこで聞くのですが、私はやはり安全という立場でいうと、こういう関係も、気持ちはわかるけれども、やはり厳格にできるだけ守らしていくということが事故防止のやはり未然の対策だと思うのですね。そういうふうに考えるときには、陸上の自動車の場合にも言ったことがあるのですが、やっぱりこの抜き打ち監査じゃないけれどもね、ときどきはやっぱりこう監査みたいなことをやってね、そして厳重にやはりそこに一つの習慣をつけさせるようにしていかないとね、これはやっぱり問題だと思うのです。したがって、まあ抜き打ちでやるかどうかは別にしても、たまには監査ぐらいしているのかどうか。それから、そういう場合に満載喫水線が水の中に入っておったような船については、どういう指導をなされているのか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/23
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024・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) いまの安全法では、乾舷マークは昨年から来年の七月一ぱいでつけることを一応は強制しておりますが、それを守るということが実は罰則にかからないわけでございます。したがいまして、実質的には行政指導でそういうことがないようにというふうにやられるよりほかございませんが、この点に関しましては、今後われわれまあ海上保安庁あるいは水産庁とも一緒になってできるだけ乾舷マークを守らすように指導をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/24
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025・木村美智男
○木村美智男君 それはいいんですがね、要するに私言ったのは、監査というものをやったことがあるのか、で、あったんならそのときの事情はどんなだったか。もしないというのならどうしてできないのか。ざっくばらんに話してもらいたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/25
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026・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) まあ海上におきますいろんなそういうケースは、大体海上保安庁において指導していただくことになっておりますが、われわれのほうといたしましては、先ほど水産庁からお話がありましたように、立ち入り検査というものでこれの指導を具体的にやっているわけでございます。それでこの立ち入り検査もできるだけまあ法の励行という意味からやっているわけでございますけれども、これも検査官の数とかいろんな事情から、おのずから制限がございます。大体毎年計画的にやっておりまして、昭和四十年度は小型漁船を主体にやっております。この内容としましては、排気口の水密性とか、あるいは救命消防の設備というようなことを重点的にやったわけでございますが、これが大体六百隻足らずやっております。それからまあ四十一年には北洋の鮭鱒漁船、これも同じようなことで百三十隻ほどやっております。それから四十一年には引火性液体、この前火災を起こしたようなああいう引火性液体でございますが、引火性液体類を運送するタンカーまたはタンク船というようなものにつきましては、照明の装置とか換気装置とか、ハッチの開閉の装置とか、あるいは火災予防の装置とか、そういうものを重点的に見ております。これが二百七十隻ほどやっております。それから昭和四十二年から四十三年にかけましては、ちょうど去年の暮れに当たるわけでございますけれども、これはおもに旅客船及びふくそうする航路のタンカー、そういうものを対象にいたしまして重点的にやったわけでございまして、これは定員の厳守とか、あるいは火災の防止あるいは防火の管理、そういうものについてやっております。これが大体二千隻足らずやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/26
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027・木村美智男
○木村美智男君 こういうふうに立ち入り検査をやってこられて、おそらく全部が及第しているものばかりじゃないと思うのですね。そうすると先ほど船舶局長言われたように、かりにその検査をして違反をしても、まあ罰則規定がないという関係からやられてない。何もその処分をしろということを言おうとしているわけじゃないですが、しかし、やはりその辺に非常にルーズなところが、なかなかやはり乾舷マークが見えなくなったり、あるいはひいてはそれが事故の原因となっていくという関係にあると思うのでですね、これは何らかの形で、つまり一般の罰則法規みたいに、禁錮何年の懲役何年だとか、はっきり幾らだとかということばかりを言おうとしているんじゃないですがね。やはりある程度何ぼ注意しても同じようなことを繰り返すようなものについては、それは一週間くらいたとえば操業停止だとか、やり方はいろいろあると思うのですよ。私、そういうことをなぜ言うかというと、それは罰するためにそういう罰則をつくるんじゃなしに、ほんとうにその船の安全ということを、人命を尊重するという趣旨からいけば、やはりたとえば三回以上同じことを繰り返す、違反を繰り返すというものについては、やはりそれくらいのことは措置としてとられるくらいになっておらなければですね、これはやはりどうしても一面で一つの規範的なものがあっても、それは守られないという結果になる気がするので、この辺についてはそういう必要性があると思うのですがね。これは船舶局長から答えてもらって、同時に大臣からもひとつ見解を承りたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/27
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028・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 船舶が海難を起こしましたときには、確かにこれは火災によりましても船長の責任が重いわけでございますので、刑事罰の対象となるということから、一応海難を起こすその判断が今度は船長の判断にかかるわけでございます。したがいまして、海難防止のためにはもちろん検査の面から規制、それから乗組員からのいろいろなそういう規則の順守、そういう両面からの何といいますか規制と申しますか、海難防止の対策をとる必要があると思うのです。したがいまして、いまの段階では法的にこれをもちろん一般的な行政指導以外ではちょっとこれはむずかしいと思うのです。それから、ただいま先生おっしゃったような、非常に行政罰にも準ずる措置はちょっととりかねるんじゃないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/28
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029・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり海難防止は総合的に船長、乗組員の教育とか、あるいは気象、海象の周知徹底とか、あるいはまた船舶の規格に関する義務づけとか、そういう方面で総合的にやらぬとできないと思います。ただ、あまり海難がふえたりルーズになるような情勢がありましたら、法的にさらに何と申しましょうか法罰的な規制というものも考えなければならぬと思います。現状の程度ではそれほどまだひどいという、特に厳重な規制をするというほどではないんじゃないかと思っております。もう少し行政指導その他で役所でやるべき点や、あるいは乗組員や船長等がやる仕事が非常に残っておるような気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/29
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030・木村美智男
○木村美智男君 言われるそのこともわかるわけですがね、しかし、乾舷マークを先ほども申し上げたのは、やはりそういう点ではだいぶルーズになっている例として話をしたわけですけれども、じゃあまあ一番近い機会に行なったことのある一斉更新の段階で、これからはずれてパスをしなかったというのはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/30
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031・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 先ほど申し上げましたケースにつきましては、私のほうで特にそのための非常にひどいというのは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/31
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032・木村美智男
○木村美智男君 どうも聞くところによると、だんだんだんだん条件をゆるめていくような傾向にあると思う。だからまあ一斉更新をやってもはずれるものはないというようなふうに聞いているわけですけれども、だから多少の法令違反をやっても適格になっちまう、したがって、この前ははずれたものは一つもなかった、そうするとあと三年か四年たつとまた一斉更新になるだろう。このときもまたはずれぬというようなことになっていけば、いわゆる心配している乾舷マークの問題もそうですが、それ以外にもいろいろあるわけです。そういうことから考えると、やはり船舶の安全操業あるいは海難事故防止という観点からいうと、どうもそういう点について、まあ、たとえば私が言うような休業というような処分は、ある意味で言えば生業を停止することになるわけですから、まあ実際問題としてめしの食い場を失うというようなそういう問題に通ずるから、なかなかできないのだという実情もあるのだと思うのですが、しかし、単に教育なり、あるいは船舶の規格を厳格にしていくということだけでは、何だか現状ではどうも不十分であるような気がするので、大体過積みてあるとか、乾舷マークが水の中にあるという問題は、これは船の規格、教育という問題は十分されておって、その上で現に起こっておる問題であるということを考えてみれば、やはり海難事故を起こしてしまってから、実際には刑事罰を加えられるというようなことは、私はむしろこれは重点ではなくて、ころばぬ先のつえのほうに少し重点を置く必要があるのじゃないかという意味で、先ほどのことは申し上げたのです。あまり事故を起こしてしまってからあれやこれや言ったり、処分をきつくしたりするというのは、本来はあまり意味がないのじゃないか。むしろ事前に、事故を未然に防ぐという立場で、多少のやはり規制を加えるということのほうが実情に合うし、実効もあがるのじゃないか、こういう意味で言ったわけですが、これはもう一回そういう趣旨でのひとつぜひ検討をしてもらいたい、こういうふうに思うのですがな、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/32
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033・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 先生のおっしゃるとおりでございます。われわれとしましては、先ほど申し上げましたように、乾舷マークを内航船及び漁船に現実にいまつけております。したがいまして、これをできるだけ守るように関係省庁努力して指導してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/33
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034・木村美智男
○木村美智男君 それからこの法案の、まあ二つの柱の一つである無線設備の問題でありますが、現在無線設備というやつは小さい船は持ってないのがたくさんあるわけですね。それを全部にということもなかなか金が伴うわけですから、相当困難性はあると思うのですが、しかし、小型ではあっても、相当遠距離に出かけていく船については、これは無線機の装備ということは当然やらねばならぬように思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/34
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035・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 遠くに出かける船につきましては、確かに無線の強制というものは有効であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/35
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036・木村美智男
○木村美智男君 いや、そういうふうに思われるので、したがって、今回の法律改正の中では「遠洋区域又は近海区域を航行区域とする総トン数三〇〇トン以上一六〇〇トン未満の船舶であって旅客船以外のもの。」これは旅客船はついているからだろうと思いますが。それから「沿海区域を航行区域とする一〇〇トン以上の旅客船」ですね。さらに三つ目には、「沿海区域を航行区域とする総トン数三〇〇トン以上の船舶であって旅客船以外のもの。」こうあるわけですが、これ以外に、したがって、小型船であっても相当遠距離に出かけていくというものについては、大体こう調べればわかると思うのですよ。またその関係のところでは、その船がどのくらいあるかということは把握されていると思う。したがって、この法律の中にいま直ちに入れろという意味ではないのですが、趣旨が賛成ならば、じゃこれからどういうことでそのことを実行に移そうと考えられているか、腹案でもあれば腹案を聞かしてもらいたいし、なければ、できるだけ早い機会にそういう措置をとる考えがあるのかどうか、その辺について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/36
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037・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 小型の船につきまして、無線設備を拡大することは非常に望ましいことでございます。ただ無線設備につきましては、一般に業務通信もできるものということがきわめて望ましいわけでございまして、その点から申しますと、一応、いまの義務づける船舶の隻数とか、あるいは電波の需給状況、そういうことを考えますと、現時点では今回の改正以外にこれを適用拡大するということはきわめて困難でございます。しかし、今後郵政省のほうの電波事情等も考慮しまして、できるだけ前向きで検討を進めていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/37
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038・木村美智男
○木村美智男君 それから、いまのこの無線設備の強制範囲を拡大するという問題にも関連をするし、先ほどのこの乾舷マークですね、これにも関係をするのですが、造船技術審議会の答申で、この資料にもあるように、船舶安全法の適用を受けている内航船の海難は全体の四割をこえているのだ、こういうことなんですから、したがって、そういう点からはこの乾舷及び復原性の規制を強化すると同時に、無線設備の強制範囲を拡大する必要がある、こういうせっかくの具体的方法を答申されているわけですからね、これが今度の法案なんだといってしまえばそれまでなんです。そうだとすれば、さっき言った規制を強化するという関係について、復原性のほうはだいぶんそういう趣旨に沿っているように思うけれども、乾舷のほうはどうも相変わらずみたいな気がするものだから、だから経過期間中というような問題も一つありますけれども、もう一つ、先ほどの趣旨で大体わかってはいるのですが、やはり何らかの形で、これはやはり悪い習慣で、多少法律にあれば守るけれども、なければやらぬという悪い癖が日本にはあるのですね。そういう関係もあるから、罰するのが目的じゃないが、事故が起こったり船が遭難して難破したりというようなことよりは、事前に多少のやはり規制を加えるということによって防止することのほうが、私は国家的な観点からいっても、本来本人のことから考えてみても、そのほうがプラスになるということなんで、重ねてこの点についてもう一回御意見を聞かせてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/38
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039・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) ただいまの御意見もっともでございまして、私のほうもこれにつきまして検討を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/39
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040・木村美智男
○木村美智男君 それからもう一つ、これは衆議院でつけられた附帯決議の中の第五番目ですが、「海上保安庁に飛行艇の配備を促進すること。」とこうあるわけです。飛行艇だから多少金がかかると思うのですが、しかし、この点については大体大臣も了承をされておるようですから、したがって、もしこの計画でもできておれば、いつごろにはその飛行艇を配置をすると。これは附帯決議であって、本来法律立案の際には考えておらなかったことだから、あるいは無理かとも思うのですが、将来に向けて構想でもあればぜひ聞かせてもらって、これは私はたいへんけっこうなことだ、そのくらいのことが今日やはりやられていかないとほんとうに船舶の安全を守ることはできぬという点から、これは全面的に賛成なんですが、おそらく四十三年度の予算の中にはこれはないだろうと思うので、したがって、予備費その他の関係のことも含めて、一体実現の可能性はどうかというようなことについてひとつ大臣からもお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/40
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041・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) いまYS11を改造いたしまして、それがことしは使えるようになるのでありますが、飛行艇につきましてはYSより確かにはるかに性能はいいように思います。ただ、いま防衛庁で使っておりまして、防衛庁の使った記録、性能等をよく審査いたしまして、いかにして遭難用にこれを使うかということを検討し、研究いたしまして、海上保安庁のほうへ据えつけていきたいと思っております。私はできるだけ早期にそういう検討を終わらせて、大蔵省ともかけ合って海上保安庁に保有させるように念願しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/41
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042・木村美智男
○木村美智男君 それじゃ先ほどの何というか、海難事故の問題、これについて少し、何というか、原因、種類それから船舶の大体トン数別、このぐらいのやつを資料としてひとつ出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/42
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043・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/43
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044・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/44
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045・長野義男
○説明員(長野義男君) 海難の概要につきまして御説明申し上げます。
昭和四十二年度の統計によりますと、一年間に発生しました救助を要する海難が二千七百四十七件でございます。このうちの四四%にあたる千百九十六隻が漁船でございます。その他が一般船舶となっております。一般船舶の中で、海難の傾向といたしまして、汽船の海難が若干ずつふえております。汽船の中でも五百トン以下の小型鋼船の海難が若干ふえております。汽船の中で、五百トン以下の小型鋼船の占める海難率は約四五%、また保有隻数に対する小型汽船の海難発生率といいますか、これは約一〇%を示しております。一方、機帆船については、絶対数の減少と相まって海難自体も減少いたしております。海難の原因といたしましては、漁船につきましては機関故障が一番大きな原因でございまして、乗り上げ、衝突というような状況でございます。その他の船舶につきましての海難原因は、やはり乗り上げ、衝突、機関故障、このような順番になっております。発生海域について申し上げますと、港の中及び沿岸三海里内の海難の発生が全海難の七一%に達しております。
以上が昨年の海難の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/45
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046・木村美智男
○木村美智男君 いまの海上保安庁のお答えを見てもわかるように、やっぱり漁船の海難というのが相当比重が重いのですね。しかも発生の原因が大体港内並びに沿海だという関係からいっても、たとえば東京湾であるとか、あるいは内海の入口であるとか、こういうような関係がやはりあるようでありますから、そういうような点ではまあ海上交通法が一面で法案としていま検討されておるということも知っているわけですが、やっぱりさっき申し上げたような例の規制について十分ひとつ配慮をしていただいて、なるたけ事前に海難事故を防止をする、こういうことにひとつ一段の努力を私は要望して本法案に対しての私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/46
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047・大倉精一
○大倉精一君 関連して。これは航行安全にも関係あると思うんですけれども、漁船の遭難が非常に多いと思うんですが、漁船の雇い入れ契約といいますか、雇用契約のやり方というのはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/47
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048・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/48
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049・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/49
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050・大倉精一
○大倉精一君 これは船員法によっておおむねこれをもってやっておられると思うんですけれども、特に漁船の船員の健康診断ですか、健康検査並びに雇い入れ条件については特にILO条約の二四号条約があるわけですね。健康検査については一一三号、こういうものについても日本政府は特段の関心を持ってもらわねばならぬと思うんですけれども、運輸大臣、突然の質問ではなはだどうかと思うんですけれども、やはりこういうものをきちんと漁船等についてちゃんとしたものを持っていたほうがいいと思うんですけれども、そのためには条約の批准ということを政府で考慮されなければならぬと思うんですけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/50
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051・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 漁船の場合は、従来ややもすれば普通の船員法の適用を受けておる船員と違って、ややルーズな取り扱いがあるような気がいたします。最近の海難や、あるいはそのほか漁業従事者の健康状態そのほかを管理するということは非常に大事な問題として私は登場してきつつあると思います。そういう観点から漁船関係の船員の健康状態あるいは身分、そういう問題につきましては特に特段の配慮を行なって今後措置してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/51
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052・大倉精一
○大倉精一君 特に雇用関係で条約の特徴的なものは第十一条と思うんですね。いまだんだん漁場がせばめられ、そして条件も悪くなってきているので、非常に無理な操業をする、無理な航海をする、こういう状態が出ておると思うんですけれども、その第十一条には、自己の都合によって即時解雇を要求することができる、こういう特徴的な条件が条約にあるわけですね。こういうことをやっぱりこの際きちんとやっておかぬというと、強制的に航海させられるという、こういうおそれがあると思うんですね。そういう意味からもこの条約については特段とひとつ基準等の配慮が必要であると思うんですよ。ですから、いまの船員法では即時解雇を要求することができるという条項はないと思うんですが、これは関係者はここにはおられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/52
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053・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/53
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054・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/54
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055・大倉精一
○大倉精一君 それではきょうは突然の質問ですから通告しておりませんが、大臣、ぜひ党としても今度の一一四号は関心を持っていきたいと思っておるので、御検討願っておきたいと思います。
で、あとは次回に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/55
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056・岡本悟
○岡本悟君 大体木村委員が質問されましたので尽きておると思いますけれども、補足的に若干質問したいと思います。
最初に、この本法の改正法案のねらいは、乾舷マークの標示義務の適用範囲を拡大する、それから無線設備の設置義務の範囲を拡大する、こういう二つのことにあるようですが、これはまことに船舶の安全性を確保する上からいってけっこうなことなんですね。むしろ私はおそきに失したと思っているのですが、それはともかくとして、いままで行政指導でこの二つの問題の適用範囲につきましては実際やってこられたのじゃないかと思うんですね。たとえば無線設備の設置義務、こういう問題も事実上は行政指導で相当やってこられておるのじゃありませんか。その行政指導でやってこられたことの実情につきまして、船舶局長と水産庁の両方から承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/56
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057・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 満載喫水線につきましては、昨年の八月以降乾舷マークというものを規則の中に、一応技術基準を入れましてこれを表示するようにしてまいりました。今回法律の三条の改正によりまして、これが強制力を持つようになったわけでございますけれども、技術基準としてはすでにあったわけでございます。その面で行政指導を十分にやってまいっております。
それから無線につきましては、今回改正によって設置が必要になるというのは千七百隻ほどございますけれども、これのうち大体八〇%が自主的につけております。したがいまして、残りの二〇%が今度新たにつけることになるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/57
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058・小島誠太郎
○説明員(小島誠太郎君) 御説明申し上げます。
第一点の満載喫水線下のものにつきまして御説明申し上げますが、これはただいま乾舷マークというようなもので討議されたものでございます。漁船につきましては、従来漁獲物の多量をねらいまして、航行の安全は、ある場合には、いささか等閑視されるということがございまして、いわゆる過積みによりまして事故を起こしたというようなことがございますので、水産庁といたしましては、昭和三十八、九年、両年をかけまして、日本の現存の漁船のほとんど全部、それから当時事故を起こしました漁船につきまして詳細なる調査をいたしまして、この二年間の調査結果をもちまして翌年の三十九年にこれを改正いたしまして、いわゆる漁船の載荷基準というようなものをつくりまして、これがただいまこの範囲で討議されました漁船につきましての乾舷マークというものの技術基準になっているわけでございます。これを昨年の八月に、船舶安全法の復原性規則というようなものに取り入れまして、この表示を船舶安全法第二条、これでやっております。そのほかに水産庁といたしましては、昨年の指定漁業の一斉更新というような時期をとらえまして、これを指定漁業の漁業許可の条件制限というようなものにつけまして、これをやりまして、従来積んでおりました魚の量を確保するために船舶の大型化というようなものをもって対処したわけでございます。これは現在進んでおりまして、去年の八月からまだ一年たってございませんけれども、制度は走っているわけでございます。これが第一点でございまして、それから第二点、無線の施設につきましては、漁船の場合には、百トン以上は船舶安全法によりまして強制適用、こうなっておりますが、百トン未満のものにつきましては、実質上は相当多量のものが漁船の通信設備を持っております。これは無線設備は、安全のためにはもちろん有効でございますが、このほかに漁業用の通信それにも使いますので、漁船のほうに非常に多く進んだわけでございます。これにつきましては、水産庁といたしまして予算措置をもちまして、この整備というようなことをやってまいってございます。ただいまやっておりますのは、沿岸漁業等振興法、これの第八条に基づきまして沿岸漁業の構造改善事業というようなものをやってございますが、この中に、近代化施設設置事業というのがございまして、その事業の一つとしまして無線の設備をやっているわけでございます。これは原則としまして、十トン未満の沿岸漁業の操業能率の向上、もちろん同時に、海難の防止のために超短波の無線電話の海岸局というようなものを設置するに必要な経費を国費をもって計上してございます。そのほかにいろいろの場合に、法律には基づきませんけれども、そのときどきの行政措置をもちまして漁業の無線関係の整備というようなことを毎年続けてやってまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/58
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059・岡本悟
○岡本悟君 そうすると、先ほど木村委員がお尋ねになった例の無線設備を、百トン以下の漁船には強制的にさせるのですね。百トン未満のものもいまのお話ですと、相当設備をしていると思うのですね。特に三十トンあるいは四十トン前後の小さい船がどんどんマリアナ海域とか遠くへ出かけて漁労に従事しているというのですから、もっとこの基準を下げたらいいじゃないですか、実情に合うように。その点、どうも要領を得ないですね。さっきのお話を聞いていると、極力そうしますというようなことで、実情はいまお話しのとおりなんだが、この基準をもっと下げたらどうなんですか。すぐこれを改正せよということではないのですけれども、あまりにも実情とかけ離れていると思うのですよ。どうなんです、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/59
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060・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 強制船舶になりますと、これは技術的に海上保安庁に直通ということで、一応設備を多少変える必要がございます。いまの自主的につけているというものは、おもに業務上の必要からつけておるわけでございまして、これは強制するということになりますと、やはり先ほど申し上げましたように、電波の割り当てということを十分考えてこれをやる必要があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/60
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061・岡本悟
○岡本悟君 どうも要領を得ないのだけれども、私も技術的にあまり知識がありませんから、詳しくお話し願いたいと思うのは、そうすると、設備は持っておるけれども、新しく安全のための無線設備とするためには、電波の割り当てを受けるとか、そういう支障があると、そういうことなんですか。つまり、その問題さえ解消すれば、全部に強制してもいいんだと、また当然強制すべきだと。それからもう一つは、その電波の割り当てというのは、しかく非常にむずかしいのかどうかですね。それをしろうとにもわかるように説明してもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/61
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062・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 確かに自主的につけている船はたくさんございますけれども、漁船につきまして、たとえば強制するということがありますと、小さい船は相当遠くまで参ります。そうしますと、操業水域と航行水域と、そういうものとの関連におきまして、当然遠い所から海上保安部に対してキャッチできるような電波を持たなくちゃいかぬということでございまして、その電波の面から一応、操業水域と関連いたしましてこれを規制する必要がある、かような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/62
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063・岡本悟
○岡本悟君 どうもはっきりしないのだけれども、しろうとにわかるように説明してくださいというのですけれどもね、要するに、なんですか、現在持っておるような業務用の、つまり漁労のためにのみ使うような施設ではとうてい間に合わない。だから、本格的な無線設備が必要であって、それには相当経費もかかるし、それからもう一つは電波割り当てとか、そういうような技術上の問題がある。しかもそれが相当解決困難だと、こういうふうなことなんですか。もっとわかりやすく説明してもらいたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/63
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064・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 電波の種類に応じまして、中短波の電波、あるいは二十七メガとか百五十メガの電波の種類に応じましていろいろ機械を持っておるわけでございます。それでまたそれに応じまして、それの通達距離も違っております。今回の改正によりましては、今回の改正はおもにVHFの電話を持つようになると思いますが、実際はこれが一応、二十七メガとか百五十メガを持っているものが、たとえば漁船の場合遠くに行きますと、当然中短波帯に移さないとその効果がないということでございまして、大体遠いものは中短波帯、近いものにつきましては二十七メガとか百五十メガということで処理できるわけです。今回は大体VHFで二十七メガ帯、百五十メガ帯ということで考えております。そうしますと、中短波帯の二メガ帯、これは非常に電波が窮屈だという郵政省のお話でございまして、その辺の調整があって今回はできなかった、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/64
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065・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/65
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066・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/66
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067・岡本悟
○岡本悟君 そこで次に、海運造船合理化審議会でもって本年の一月ですか、船舶の安全性の確保についての答申が、諮問に対する答申が出ましたね。その中で、復原性の規制を強化すべきであると言っているのですね。これは何ですか、どういうことなんですか。つまり、この法律の中には、改正案の中には出てこないんですね。 (木村美智男君「復原性というのは乾舷マークとうらはらなんじゃないか」と述ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/67
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068・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 内航船につきまして、復原性の問題が出ておりますが、これにつきましては、明年の秋に実施を目標にただいま基準の作成をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/68
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069・岡本悟
○岡本悟君 さっき木村委員がちょっとお話をされたのですが、この復原性というやつは、満載喫水線とうらはらになるんじゃないですか。たとえば、さっき従来の行政指導の状況について聞いたときに、水産庁のほうでは、漁船の載荷基準について行政指導をしておると、こういうお話があったのですけれども、つまりまあ載荷基準との関連だけではないでしょうけれども、復原性という問題は、それのみではないでしょうけれども、それと一番密接な関係があるのじゃないか。そこはどうなんですか、実質的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/69
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070・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 載荷基準と申しますか満載喫水線は大体積み荷の制限というわけでございます。それに対しまして復原性のほうは、たとえば甲板積みの荷物を積んで復原性が悪くなるとか、そういうことがございます。したがいまして、うらはらとも申せますし、また非常に関連の深いものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/70
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071・岡本悟
○岡本悟君 そこで、先ほどの話とも関連するんですけれども、ここに政府側から参考資料をいただいておりまして、改正条文の、三条なり四条なりの改正条文の実施期日というものは、施行期日というものが対象船舶によって違ってきますね。一とおりこれは準備が必要だと。そういう期間を見込んで施行期日を変えておるということはよくわかるのですが、一応一々について簡単でいいから説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/71
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072・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) 経過規定の、お手元に配付資料として配りました横の一枚の刷り物に、改正規定の施行期日、たとえば第一に、第三条の改正規定、イとしまして、従来からの標示義務船舶につきましては、条約発効日、これは附則第一条でやっております。それから、新しい条約について今度新しく適用になる船舶、これはやはり同じく条約発効日でございます。一応条約発効日と申しますのは、わが国が条約受諾書を寄託した日から三カ月の後がその条約発効日になっております。それから、漁船以外の船舶につきましては、四十四年八月一日になっております。これは附則の第二条の第一項でうたっておりますけれども、これにつきましては一応、規則のいろいろ周知徹底というような準備期間のために、一年ちょっと置いたわけでございます。なお、これと関連しましては、いまの乾舷規則、これが四十四年の七月三十一日までで現行の船には全部乾舷マークがつくというふうになっております。
それから、ニとしましては、昭和四十四年の八月一日以後に製造に着手した漁船、これは同じく四十四年の八月一日でこれを実施するわけでございます。これは附則の第二条の第二項のただし書きになっております。
それから、ホとしまして、昭和四十四年の七月三十一日前に建造に着手した漁船、いわゆる現存漁船ということになるわけでございます。これに対しましては、昭和四十七年八月一日までにこれを猶予しまして、八月一日から実施するというふうになっております。これが附則の第二条の第二項でございます。それで、これにつきましてはまあ現行漁船につきまして、載貨基準が変わるということは、非常に漁船に対して混乱を起こしますので、まあ現状の混乱を防ぐということから、この次の、次回の漁業権の一斉更新までこれを延期してやろうという趣旨でございます。
それから、四条の無線の改正の規定でございますが、これは従来からの設置義務船舶については、附則の第一条で来年の四十四年の十月一日以降ということになっております。これにつきましてもその附則が実施されましてそれの趣旨徹底期間というものを見たわけでございます。
それから、新たに設置を義務づけられる船舶、これは四十四年の十月一日以後でございます。最初に行なわれる定期検査までは、中間検査の開始の時期ということで、検査の時期を利用しまして、新たに義務づける船舶については適用を強制するというふうになるわけでございます。
それから、三番目に、電波法の一部改正及び船舶職員法の一部改正がございます。まあ電波法の一部改正は、この無線電話をつけるにふさわしいような、結局軽減規定でございますけれども、そういうものを改正するということで、これも一応、上のほうとあわせまして四十四年の十月一日でございます。同じく船舶職員法の改正、これにつきましては、今回の内航船につきましては、特別の職員を付加して乗せる必要はないという改正でございますが、これが同じ四十四年の十月一日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/72
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073・岡本悟
○岡本悟君 これは私が聞きましたのはなぜかというと、冒頭に従来の行政指導の状況を聞いてみたのですね。そうしますと、例の満載喫水線の表示の問題にしても、これはいまの載貨基準というようなことで、従来行政指導をしておられる。それから、一方、無線設備の設備強制にしても、相当数が、さっきのお話では八〇%ですか、漁船についてはもう設置しておるというふうなお話からみると、特に満載喫水船の標示義務については、非常に準備期間が長いわけですね。そのうち現存船については特にそうですね。だから従来から行政指導をしておられる、もうとにかく、できるだけ早くこういう安全施策というものを実施に移さなければならぬという客観情勢から見て、あまりに長過ぎるという感じがするのですがね、そこらあたりどうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/73
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074・佐藤美津雄
○政府委員(佐藤美津雄君) これの実施につきましては、実は漁船法におきましては、昭和四十二年の四月に、すでに先ほどお話があった載貨基準を採用するという方法をとっておりますし、また漁業法におきましても、四十二年五月から指定漁業の許可に際しましては、指定条件として漁船の載貨基準を守ることということを規定するというような方法で、一応、十分行政的な指導ということをやっておるわけでございます。それで、今回の改正につきましても、実はその点十分に検討したわけでございますけれども、結局、船舶安全法の体系で、これを強制するという意味から、標識の混乱を起こさないようにという配慮から、一応、現存漁船については、特に次回の漁業権の更新の時期まで延ばして、その時期にはたとえば漁船の大型化を認めるとか、型のほうの行政指導を含めてこれを行なう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/74
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075・岡本悟
○岡本悟君 それはね、要するに他人ごとじゃないわけですよ。自分の船の安全性を確保する問題だから、いままでも行政指導をしているし、他人ごとではないのだと、自分の生命の安全の問題なんだということからすれば、もっと強力に行政指導を詰めていって、準備期間を詰めることができると思うのですがね、それはそれとして、摩擦なく、混乱なくやろうというふうな御趣旨ですから、これだけの準備期間をみることはやむを得ないと思いますけれども、衆議院の附帯決議にありましたように、従来の行政指導を一そう強化して、他人ごとじゃありませんから、自分の生命の安全のことですから、十分その点は留意してもらいたいと思います。そうして実質的には、この準備期間を待つまでもなく、一年か二年たったら全部できているというふうにしてもらいたいと思います。これは私の希望です。以上をもって私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/75
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076・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/76
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077・谷口慶吉
○委員長(谷口慶吉君) なお、この際委員の異動について報告いたします。
本日、和泉覚君が辞任され、その補欠として田代富士男君が選任されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時七分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813830X01319680423/77
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