1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月十五日(水曜日)
午前十時十分開会
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委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
平島 敏夫君 小柳 牧衞君
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出席者は左のとおり。
委員長 伊藤 五郎君
理 事
増原 恵吉君
山本茂一郎君
岡田 宗司君
黒柳 明君
委 員
井川 伊平君
植木 光教君
内田 芳郎君
大谷 贇雄君
北畠 教真君
小柳 牧衞君
平泉 渉君
安井 謙君
川村 清一君
森 元治郎君
片山 武夫君
春日 正一君
国務大臣
国 務 大 臣 田中 龍夫君
政府委員
総理府特別地域
連絡局長 山野 幸吉君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
常任委員会専門
員 瓜生 復男君
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本日の会議に付した案件
○沖繩地域における産業の振興開発等のための琉
球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置
法案(内閣提出、衆議院送付)
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001・伊藤五郎
○委員長(伊藤五郎君) ただいまから沖繩及び北方問題等に関する特別委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
昨十四日、平島敏夫君が委員を辞任され、その補欠として小柳牧衛君が委員に選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/1
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002・伊藤五郎
○委員長(伊藤五郎君) 沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/2
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003・川村清一
○川村清一君 いただきました説明書の中に琉球政府における資金の使途という説明があるわけでありますが、この中に「産業開発等資金融通計画」という説明がございまして、そこに「農林漁業の振興に必要な資金」として農林漁業中央金庫に対して二億七千万、それからその下に漁船建造資金融通特別会計一億円と、こういうふうな説明がなされておりますが、この漁船建造資金融通特別会計一億円というものの内容について、どういう内容を持っているのか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/3
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004・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) 御案内のように、沖繩の漁船は、一般的に申しますと非常に耐用年数の来たような古い漁船が、しかも小型漁船が多いわけでございます。そこで、ここ数年来、琉球政府のほうから漁船建造資金についてぜひ本土政府から援助してもらいたいという要請がございまして、当所は、二、三年前はたしか五千万ぐらいでしたが、逐次増額いたしまして援助を行なってきておるわけでございます。大体毎年二、三十トンクラスの漁船を十隻から十二隻程度この会計のほうから建造しておるわけでございまして、その資金の一部を援助しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/4
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005・川村清一
○川村清一君 この農林漁業中央金庫二億七千万、この中金のほうの資金は漁船建造資金のほうに融資はされておらないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/5
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006・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) この資金のほうは、やはり系統団体の融資金中心でございまして、したがいまして、漁船建造資金には直接回されていないように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/6
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007・川村清一
○川村清一君 そうしますと、漁船建造資金融資特別会計、この会計には本土政府のほうからは今回一億ですね。ただいまの御説明によりますと、以前に三千万か四千万出されておるようでございまするが、琉球政府が出しておるものと合わせてこの特別会計は総額どのくらいあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/7
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008・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) 漁船建造資金融通特別会計で、琉政の産投会計からの出資が八千万円、それから日本政府、それから琉球政府の運用部資金の貸し付け金でございますが、それが琉政が七千二百万、日本政府が一億、それで一億七千二百万、合計二億五千二百万になりますが、自己資金等を合わせますと、全体として三億四百二十万円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/8
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009・川村清一
○川村清一君 この三億四百二十万円というのは、これは漁船建造資金特別会計一これは了解できました。そうしますと、中金のほうのこれからは漁船建造資金が出ないとすれば、先ほどの特連局長の御説明によると、十トン、二十トンクラスの船というようなことでございますが、そうしますと、それ以上の大型船に対する融資の道はないわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/9
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010・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) 現在までのところは、たしか従前は開発金融公社のほうから大型船に対して融資がされておったように承知しておりますが、琉球政府の資金会計からは出ていないわけでございます。
なお、追加して申し上げますと、明年度のこの会計における貸し付け計画でございますが、これはまだ確定しておりません。一応の予想でございますが、五トン級が八隻、二十五トン級が三隻、五十トン級が九隻、二百トン級が一隻、これの八割融資を考えているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/10
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011・川村清一
○川村清一君 どうもただいまの御説明と沖繩の漁業の現有勢力とを比較してみてちょっとふに落ちないのですが、言うまでもなく御承知のことだと思うんですが、船というものは非常に金のかかるものですね。百トンぐらいの船をつくるとすると、近代的な装備をしっかりするとすれば、数千万円かかる。三百トン型の船でありますと、一億六、七千万円、船の装備、施設にかかるわけですね。そうすると、ただいまのお話で、あらゆるものをひっくるめて三億四、五千万円ぐらいの資金を使ったところで、たいした船なんてつくれないと思う。ところが、これは沖繩政府で出している「沖繩経済の現状」という、これを検討してみますと、現有勢力で近海漁業に従事しておる五トンから五十トンクラスの船が一九六六年に二千九十二隻ある。それから遠洋漁業に従業している五十トン以上の船——これは日本の漁業白書のようにもっとこまかく分析すればいいと思うんですが、五十トン以上となっていますから、百トンもあるだろうし三百トンぐらいのもあるだろうと思うんですが、とにかく五十トン以上の船が千十一隻ある。これは結局、沖繩島というあの島の財政力や何かから見まして、まあ本土の県と比べてみれば鹿児島県とか徳島県とか、そのくらいの県程度の財政力なんですね、いわゆる生産力というものは。そういう県と比べてみて、五十トン以上の船を千十一隻も持っているんですよ。これは沖繩政府で出した本ですが、これだけの現有勢力を持っているのが漁業の実態なんです。これが非常に困っているからそこで一億出すと、一億ぐらい援助したところで、船なんというものは、とてもじゃないけれども、何隻もできませんよ。いまかりに水産高等学校でもし練習船をつくると、七十トンぐらいの練習船をつくれば八千万円ぐらいかかるんですよ、船一隻つくるのに。それを、一億金を出して一体どれだけ船ができますか。総額で三億そこそこの金である。それでこれだけの勢力を持っておるのですからね。私はちょっと納得できないのですがね、もう少し御説明願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/11
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012・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) ただいま御指摘ございました数字でございますが、私のほうで琉球政府の「沖繩概観」という、これも琉球政府で出しておる資料でございますが、これによりますと、一九六六年におきまして漁船の総隻数五百四十隻となっておるわけでございます。総トン数が一万七千四百三十七トン、このうち百トン以上が三十九隻ございまして、五十トンから百トンまでが十七隻、二十トンから五十トンまでが百十二隻、それから十トンから二十トンまでが九十一隻です。五トンから十トンまでが十八隻、一トンから五トンまでが二百六十三隻と、こういう数字になっております。これはどちらが正しいかよく調べてみないとわかりませんが、したがいまして、私どもとしましては、これはもちろん御指摘のように、三億の資金ではとても沖繩の漁船の建造費をまかなうというのにはきわめて不足であろうと思います、実態は。しかし、いまのところ私どもは琉球政府の出されます計画に基づきましてできるだけの援助をしてきておるわけでございまして、御指摘の趣旨については私どもも同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/12
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013・川村清一
○川村清一君 それじゃ、私のほうも資料の見方が間違っておったか何かと思いますのでさらに検討してみますが、これに関連してさらに進めてみますが、漁業権の問題ですけれども、漁業権の許可権限はアメリカ民政府が持っておるのか、沖繩琉球政府が持っておるのか。漁業権の許可権限はどちらが持っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/13
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014・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) これは行政主席になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/14
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015・川村清一
○川村清一君 そうしますと、遠洋漁業や、こういう漁業の経営の実態というものを御調査された資料をお持ちでございますか。と申しますのは、山野さんは北海道にいらっしゃったのでよく御存じだと思うのですが、沖繩政府は沖繩の島の方に対して漁業権を許可するのでしょうね。本土の者の名義に許可をするのでないのでしょうね。これを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/15
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016・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) これは、やはり沖繩に籍のある人、法人に対して許可されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/16
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017・川村清一
○川村清一君 なるほど許可は沖繩の島人といいますか、沖繩の人の名義に許可はなっておる。しかし、その漁業の実際経営は沖繩がやっておるのでなくて本土がやっておる。御承知のように、特に遠洋漁業なんというものはばく大な経費がかかるわけです。船をつくるだけで、建造資金はこれはまるまる全部融資を受けられるわけでもないですし、自己資金が要るわけですね。ちょっとした船をつくると一億や一億五千万かかるわけです、近代的装備から何からすると。そうすると、幾ら貸し出されたところで融資のワクは八割ぐらいのものでしょう。そうすると、二割や三割自己資金を持たなければならないということになります。三千万や四千万自己資金を持たないと船はつくれないわけですね。それから今度漁具を集め、そして着業資金がばく大に要るわけですね。相当の資金を持たなければ遠洋漁業なんというものは経営できないものなんです。そこで、権利は確かに沖繩の方が取っておるけれども、実際の経営は沖繩の方がやっているのでなくて、これは本土の特に大資本企業、これはあなたよく御承知のように、北洋の母船式サケ・マス漁業なんかでもって、実際は個人の名前になっておっても、実質経営はマルはがやったり日水がやったり、その他大企業が経営をやっておるのですから、いま母船式サケ・マス漁業をやっておるもう何百隻の中で、これは私は的確にはわかりませんけれども、半数以上は実際の経営というものは大手に移っているのじゃないかと、このようにさえ思うのですよ。ですから、沖繩のように、島人に経済力のない漁業者が一体遠洋のカツオ・マグロ漁業なんて容易にこれはできないのですよね。そういうような経営になっておらないのかどうか。結局、沖繩の方の名前にはなっているけれども、うまい汁はみんな本土の資本に吸い取られておると、こういうふうな経営になっておらないのかどうか、その点はよく御調査になっておられますかどうか。これは北海道あたりでもたくさんあるのですから、私はおそらく沖繩あたりにはずいぶんそういう傾向があるのではないかと思うのですが、その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/17
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018・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) 確かに漁業経営の場合におきまして、本土におきましては、そういういま御指摘のような実態だろうと思います。沖繩の場合におきましても、以西底びきの漁船等については、運営上実態がいま御指摘になったような種類のものもあるように私どもは聞いております。ただ、インドネシア海域に出ております漁業についてはあまりそういうことは聞いておりません。それから、その他の遠洋漁業につきましては、これはまあ私どもは実は情報を持っておりません。したがいまして、御指摘のような点につきましても私ども今後よく実態を調べてみたいと思いますが、私がいま一般的に承知しています限りでは、本土のような実態ではないじゃないかと思っておりますが、よく正確なことは把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/18
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019・川村清一
○川村清一君 私は、残念ながら、沖繩へまだ一度も行ったことがないので、それで、私がいろいろ話をしましてもはだで感じてないので、書物を読んだりなんかして、目で見た知識で言うので、的はずれのようなことを言っているかしれませんので、その点がもしあれば恐縮なんですけれどもね、私がいろいろ聞いたりなんかしたところによりますと、本土で相当ぼろになってしまったものを向こうへ持って行って、それで向こうの方に貸して、向こうの方に権利を取らして、そうしてそれを本土の資本家が経営しておるということをやはり私自身は聞いておるのですよ。しかし、実態を見ておりませんから、自信を持って言えませんけれども、そこで、そういうようなことがあればこれはやはり問題ですから、いわゆる本土の資本家にみなうまい甘い汁を吸われて、そうして沖繩の人は……そうでなければ相当の資本力が必要なんですしね、遠洋漁業なんかが沖繩のあの島で私はこんなに発展できるはずがないと思うのですよ。鹿児島県や徳島県やそういう島でできますか。なかなかだと思うのですよ。ですから、これ、ひとつ調べていただきたいということと、もう一点お聞きしますが、沖繩の陸上はこれはもちろん日本領土でありますけれども、施政権はアメリカが持っておる。そうすると、海はどういうことになるのですか、いわゆる領海というやつ、この領海に対する行政権というものはアメリカが持っているのですか、日本が持っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/19
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020・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) これは沖繩の領土に、この土地でございますが、その領土そのものに対して日本は潜在主権を持っておりますが、占有権はアメリカにあり、行政権はアメリカにあるわけです。したがいまして、一般的に領土に附帯する領海というものに対する潜在的主権はあると見るべきだと考えております。しかし、事実上行政権は及んでいないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/20
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021・川村清一
○川村清一君 事実上行政権は及んでおらないということは、その領海に日本の行政権が及んでおらないということですか。アメリカが行政権を執行しているということですか。それはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/21
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022・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) これはいつも引き合いに出されますように、平和条約三条によりまして、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対し全体の施政権を行使しております。したがいまして、日本政府は、沖繩の領土またそれに附帯する領海に対する潜在的主権は持っておる、しかし行政権はアメリカにある、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/22
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023・川村清一
○川村清一君 潜在的主権を持っておることはよく承知しているのです。
領海の幅は何海里ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/23
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024・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) わが国は領海三海里説と聞いておりますから、そういうことだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/24
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025・川村清一
○川村清一君 それじゃ、日本の漁船、すなわち農林大臣から漁業権を許可された漁船、あるいは鹿児島県、宮崎県の知事から許可された知事許可の漁船、こういう船が沖繩のその三海里の中に入った場合においては、これは領海侵犯ということになるのか、ならないのか。それから、その中に入ったときに、日本の漁業権はそこで漁業権の規制を受けるのか、受けないのか。これはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/25
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026・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) これはほかの問題でもそうでございますが、本土の漁船が向こうへ入って行く場合には向こうの法規制を受けるわけでございますから、したがいまして、一定の手続をとって入域の許可を得ないと入って行けない、ましていわんや、そういう漁業権——漁業を営む、漁業を行なうというようなことは一方的にはできないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/26
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027・川村清一
○川村清一君 そうすると、日本のたとえば鹿児島県の船が沖繩の領土から三海里以内に入って漁業を操業をした場合には、届け出をしないで入った、そうすると、外国と同じような取り扱いで領海侵犯になる、その場合においては沖繩政府によって拿捕されるのか、アメリカの民政府によって拿捕されるのか。それから、そこには日本の——いまあなた重大なことをおっしゃったのですが、それを確認しておきますよ——日本の漁業法はその中で行使されるのかされないのか。漁業法の適用を受けるのか、受けないのか。このことを聞いておきます、これは重大ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/27
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028・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) そこは、アメリカの施政権下でございますから、したがいまして、日本の漁業法はもちろん適用になりません。
それからまた、領海を侵した場合の拿捕その他の手続等は、詳しくは承知していませんが、事実上、琉球政府の機関がそういう措置をとるということになろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/28
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029・川村清一
○川村清一君 いまここで議論しませんけれども、あなたがいま私に答弁されたことは重大な問題ですから、これはいずれ北方領土の問題、安全操業の問題が出てくることであって……。北方のあの国後の領海の近くに行って、北海道のいわゆる知事許可を受けない船が行って、そうしていわゆる漁業違反をやった。それが裁判になった、漁業法の適用を受けるか受けないかということで。そうして、これは釧路地方裁判所は、漁業法の適用を受けないということでこれは無罪の判決をしたが、しかし、これは北海道にはきわめて重大な問題であって、これはいま控訴されている。で、私はこれを農水委員会でもって昨年質問して、そうして外務省並びに水産庁のほうの意向を聞いたら、これは漁業法という法律は属人主義のたてまえをとっているので、外国の領海に行って違反をやっても、日本の漁船は漁業法の適用を受ける、漁業法違反した場合には日本の漁業法によって処罰される、こういうことを国会ではっきり言っているのです。外務省も言っておるし、これは水産庁が法務省と打ち合わせた上で私にそういう答弁をした。あなたは、日本の漁業法の適用は受けないのだと、こういう答弁を私にされたが、これは重大な問題ですから、いずれあとで質問いたしますから、よく研究しておいてください、いまたいへんな裁判上の問題になっておりますから。
それでは、全然問題を変えて一点だけお聞きしたいのですが、これは「沖繩の世論」という琉球新報社で出した本ですが、これをずっと見まして非常におもしろく感じたのです。これに関連してちょっとお尋ねしますが、実は琉球新報社で世論調査をやったわけです。次のようなことでいろいろなことをやっているのですが、こういう問いを出してアンケートしたわけです。それは「松岡主席はつぎのことについてこれまでどのていどの実績をおさめたでしょうか。それぞれあてはまるワク内に〇印をつけて下さい」、こういうことです。その調べた項目は、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リ、ヌまであるわけですが、イは、農林漁業対策についてはどうか。これは「非常によかった」、「よかった」、「普通」、「わるかった」、「非常にわるかった」、「わからない」、この六項目について〇印をつけるのです。 イは「農林漁業対策」、ロは「日米援助の増額」、ハは「住宅対策」、ニは「減税問題」、ホは「施政権返還の推進」、 ヘは「社会保障」、トは「物価の安定」、チは「暴力の絶滅など治安対策」、リは「本土との一体化への努力」、ヌは「主席公選など自治拡大」、これだけの項目について調査したわけです。それで、ここには非常に高度な政治問題がある。国会でいつも議論されている問題があるわけです。これに対する反応ですが、やっぱり一般的に政治意識が低いというか、あまり関心がないというか、一般的には「わからない」というのが一番多いわけです。「農林漁業対策」なども「わからない」というのが五三・四%、「日米援助の増額」についても一四八・三%、「住宅対策」についても五〇・九%、それから「施政権返還の推進」についても五〇・四%、「社会保障」について四三・八%、それから「本土との一体化への努力」というのについては四六・二%、「主席公選など自治拡大」というのについては五一・五%、こういう重大問題について「わからない」というのがまず半数近くあるわけです。ところが、この「わからない」というのが極端に少ない問題が三つあるわけです。それは「減税問題」、これは「わからない」というのは二九・九%、それから「物価の安定」、これの「わからない」というのが二〇・三%、それから「暴力の絶滅など治安対策」というのが三二・七%、そうして、いま言った三点だけは「わるかった」というのが非常に多いわけです。「減税問題」について「わるかった」、「非常にわるかった」——「わるかった」が三四・四%、「非常にわるかった」が一一・四%、「物価の安定」については、「わるかった」が四四・七%、それから「非常にわるかった」が二四・五%、「暴力の絶滅など治安対策」、これが「わるかった」というのが三一・八%、「非常にわるかった」というのが二三・三%。飛び離れて率が高いわけです。それからもう一つ面白いのは、さらに支持政党、もちろん、民主党を支持されておる方、社大党、人民党を支持されておるその支持政党を持たれておる方についてさらにこれを調べてみたところが、冒頭言いましたように、これは松岡主席がいいか悪いかということなんですが、松岡主席はこれは民主党の人だ、ところが、民主党であってさえ、民主党を支持する人でさえ、「減税問題」については松岡主席、この問題については悪いというのが四六・五%あるわけです。それから「物価の安定」については六七・八%あったわけです。それから「暴力の絶滅などの治安対策」については四七・八%、いわゆる民主党を支持しておる方で五〇%近くの人が、この三つの問題だけについては半分近く「わるかった」あるいは「非常にわるかった」と言って、松岡主席のこの問題についての実績を批判しているわけなんです。このことから私は、この三つの問題は沖繩においてはいわゆる沖繩の現在の島民のほとんどすべての方が一番の関心事、まず課題に感じておる最大の問題でないかというふうにこの世論調査の中から私は理解したわけです。まあ、高度な問題でないかもしれないけれども、私はそう理解したいと思う。
そこでお尋ねしたいのは、一体沖繩のこの税金、それから物価、それから治安対策、治安の問題、これらの問題は現在どんなような状態になっておるのか。先ほど申し上げましたように、沖繩に私行ったことがないので一つお聞きするのだが、これほど住民が問題にしているこの三つの問題についてひとつ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/29
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030・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) まず物価の消費者物価指数の推移状況でございますが、これによりますと、上昇率は前年対比六一年一・九、それから六三年二・八、六五年一・八、六六年五・五、一九六一年を一〇〇としまして六六年は一一六になっております。ですから、そうひどい上昇率ではないじゃないかと考えております。それから税の負担の問題でございますが、この全体の負担率、国税、地方税、そういうものを合わせまして沖繩の税負担率は、国民所得——住民所得と申しますか、住民所得に比較しまして一九六五年には一二・九%になっております、国税、地方税全体を合わせまして。これを、推計で非常にラフな計算で、まあ正確であるかどうか、多少の不正確はあると思いますが、これを本土の相当県の国税、地方税と住民所得と比較してみますと、相当県は一〇%内外というところにあるように思われます。したがいまして、特に沖繩の場合は低所得者層に対する所得税の面が少し高いように考えられます。したがいまして、琉球政府は昨年から本土並みの税負担に持っていきたいということで、三カ年計画を松岡主席がきめられて、去年たしか七百万ドル前後の所得税を中心とする減税をされております。それから明年度は所得税を一千万ドル——三十六億円でございますが——一千万ドル減税いたしまして、所得税一千万ドル、そのほか法人税五十万ドル、その他の若干の減税措置をされ、そうして一方では砂糖消費税四十万ドル、石油税五百二万六千ドル、物品税二百十二万ドルの税を増税をされ、差し引き五百九万ドルの減税ということでございまして、所得税の面から申しますと、今年度も一千万ドル減税されるわけでございます。したがいまして、免税点を引き上げる、その他の措置がとられますので、おそらく、いま申しましたように、本土の相当県あるいは日本国民全体の税負担率より若干高い面は、明年度あたりでほほ均衡をとれるように持っていかれるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/30
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031・川村清一
○川村清一君 局長、私はなにもあたなを糾明していることでもなんでもないので、私、心配していることを聞いて、あなたに実態はどうだということをお尋ねしておるのだから、なにも弁解がましいことは言うことはないので、話し合いの中で意見が一致して日米琉諮問委員会というものができたのですよ。そういうような中でこういうような問題をひとつ問題にして、そうして一日も早くすべての面で本土と一体化をしたい、こういう気持ちで言っているのだから、なにも糾明しているわけじゃないのだから、なにも弁解がましいような、そういう答弁をしてもらいたくないわけです。税金がまあ少し高い、しかし明年あたりには本土並みになるでしょうなんというようなことは、こういうことになってくれることを望んで私は尋ねているので、それで、ここに琉球銀行調査部で一九六六年九月に出した「琉銀ニュース」という本がある。これを見ますと、本土と沖繩との所得税の比較は、給与所得の層は本土のほうはずっとありますが、一番わかりやすいところを拾ってみますと、二千百十一ドル、これを邦貨に直すと大体七十五万九千九百六十円、大体七十六万円、所得で。この二千百十一ドルの本土の方は税率が一〇%かかって税額は五十ドル、実効税率は二・四。ところが、沖繩の方は、同じ二千百十ドルの給与を取られている方は、この方は税率が三〇%かかって、税額は二百九十ドル取られる。実効税率は一三・七なんです。本土のほうは五十ドル。これに対しまして二百九十ドルのこれは税金を取られておる。このくらい税金が違うわけですね。これは一例なんですが、非常に所得税が高いのですよ。所得税を高くしなければならないという理由はわかりますけれども、あまりに高い。この高いことがこういう世論調査にあらわれているわけですよ。
それから物価ですよ。物価だって、これはまあ日本本土も物価高騰に悩んで、一番大きな政治問題になっているわけですが、ところが、調べてみると、やっぱりいろいろな矛盾がある。この本にこう出ているのですが、こういうふうにやっぱり物品税というものが——これは一番の悪税ですよ——非常に高いんですね。そうして、また矛盾があるわけです。これはどういうもんですかね。一類から六類まである。そうして第一類が一番税率が高くて、パチンコ機械だとか、お菓子、サッカリン、これは四〇%かかっている。第二類が庭園装飾用品、それから華道用具類、これが三〇%。第三類が乗用自動車、テニス用具、漆器類、これが二〇%。第四類が綿類、皮製品、これが一五%。第五類、第六類がとても私はこれはおかしいと思うのですが、身辺用細貨類、楽器、ゴルフ用具等、これが一〇%。それから六類が貴金属製品、玩具、文房具、これが五%。われわれの常識から言うと、ぜいたく品、奢侈品——時計だとか指輪だとか、こういう貴金属、こういうものが一番税金が高いわけです。ところが、それが一番安いんだ、沖繩では。これは五%しかかからない。ゴルフ用具なんというものは一〇%しかかからない。そうして生活必需品的なものに四〇%、三〇%という物品税がかかっている。これはどういうわけなんですか。これはアメリカの軍人が買うからですか。これはそうとも解しなければ——アメリカ軍人のサービスのために、アメリカ人のサービスのために、ゴルフ用具だとか、それからこういう貴金属品に税金を、物品税を安くして、値段を安くしているのか。そうして、沖繩人が毎日必要とする生活必需品にばく大な税金をかけている。これなら、こういう世論調査になってあらわれてくるのは、ぼくは当然ではないかと思うのですが、どうですか。ひとつ、そういうことを弁解しないで、事実そうならそうだとおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/31
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032・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) 従来、物品税が、いま御指摘になったような実態であることは、事実でございます。
で、これは、いろいろ理由があるようでございますが、私どもとしましては、沖繩が、特に観光その他の面から、相当観光等にも力を入れておる結果そういうことになっておるという話も聞きますれば、また、琉球政府自体としてやはり改正したいけれども、いろいろな事情があってにわかに変えられないというようなこともあるようにも聞いております。いずれにしましても、この物品税につきましては、所得税減税の問題と関連いたしまして、やはり税全体を調整せにゃいかぬという機運になっております。したがいまして、実は、この物品税は布令でできていたわけでございますが、最近布令が廃止されまして、そうして琉球立法院の立法による物品税が課されることになっております。そうしてそれに関連しまして、従来の物品税の考え方を検討しようということになっておるようでございまして、私どもは、近い将来の琉球政府の真剣な検討の結果に期待をかけておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/32
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033・川村清一
○川村清一君 さっきお尋ねした中で一つ御答弁がないのですが、暴力事犯、治安上の心配が非常にあるということが出ているのです。治安問題が起きている。どういうことかと思って、これもいろいろ調べてみたのです。青少年の犯罪が一番多い。私はもっとあれかと思っていたのですがね、青少年の犯罪がこれはものすごく多い。年々ふえてきている。やはりこの心配が世論調査になって出てきている結果だと思うのです。これに対して何らか対策を考えていらっしゃいますか。対策を考えているということをあなたに聞くのはおかしいのですけれども、これは一体どういうふうなことですか。特に自動車どろぼうというのが非常に多いのですね。青少年の自動車どろぼう、これは非常に多い。これに出ている、青少年白書に。非常に多いのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/33
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034・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) 御指摘のように、本土もそうでございますが、特に沖繩におきましていわゆる青少年犯罪というのは激増してきております。したがいまして、まあ私どもも去年は青少年局長も現地に行ってもらったりしまして、いろいろ向こうの相談に乗っていただいたりしておりますが、琉球政府のほうでもこの青少年犯罪問題を非常に大きく取り上げておりまして、私どもも、琉球政府の検討される、あるいは樹立される青少年対策に対して、側面的でございますが、できるだけの援助をしたい、あるいは技術的な指導なり、あるいはその他の側面的な援助をいたしてまいりたいと思います。まあ、確かに若干特殊な地位にある関係もありましょうけれども、そういう青少年の不良化、犯罪激増等に対しましては、本土政府としても十分関心を持って対処しなきゃならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/34
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035・川村清一
○川村清一君 もう時間が過ぎましたからこれでやめます。
そこで、沖繩地域における産業振興開発等のために琉球政府に対して資産の貸し付けをするという、こういう法律案でございますが、資金の貸し付けをするということは、産業開発をすることを目的とし、産業開発されて沖繩の経済発展することを願っているわけですから、経済発展するということは、単に一部の者が金もうけすればいいということではなくして、経済発展をするということは、やはりその沖繩に住む人々の生活が安定するということ、民度が向上すると、こういうことをねらっているわけなんですから、それはすなわち本土と一体化するということなんですから、いま指摘いたしましたようなやはり税金の問題であるとか、物価の問題であるとか、あるいは治安上の問題であるとか、こういうような問題をとにかくきちっとやって、そうして沖繩のほんとうに人々の生活が安定されるような方向に、せっかくのその資金が使われるようにやってもらわなければ困りますので、私はその要望を申し上げまして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/35
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036・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまは、たいへん詳細にわたりまして、いろいろとお調べの事柄につきまして御意見を承りましてありがとうございます。
私どもは、さような現在の沖繩の現実に対しましてはっきりとした認識を持つと同時に、また、来たるべき施政権返還の際までの間におきましても、諮問委員会等を通じまして調整に努力いたしたい、かように考えておりまするし、また、本土に施政権が復帰いたしました暁におきましては、さような点を真剣に取り上げて、りっぱな日本本土の一員としてのあるべき姿に戻さなければならぬ、かように念願しております。どうぞよろしく御協力をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/36
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037・春日正一
○春日正一君 この間の質問、一つ漏れがあったので、それを確かめておきたいのですが、いまもお話しになった産業開発等資金融通計画、この第一ページを見ますと、第二項に、「鉱工業の振興に必要な資金」として産業開発金融公庫(新設予定)十二億六千万円、それから「中小企業の振興に必要な資金」、大衆金融公庫九千万円、こうなっておるわけですね。そうすると、この間の私の質問のときには、産業開発公庫が琉球政府に移管されるということがおくれているので、それで大衆金融公庫にこの十二億六千万円を繰り込むということだったのですね。そして、それを聞いてみると、何か速記録を調べてみると、私の印象がそうだったから調べてみたのですが、主としてこの十二億六千万円を中小企業の振興のためにその融資に充てるというような答弁をあなたされておったけれども、しかし、この表で見ると、中小企業の振興のためにといって組まれているのは、九千万円、あと十二億六千万というのは、産業振興のための必要な資金ということで別に組まれているのですね。そうすると、これは中小企業のための資金じゃなくて、これは別の目的で組まれてそのために運用されているので、ただ形式上大衆金融公庫にその仕事を委託するということであって、内容は、十二億六千万円の内容が中小企業安定に全部変わってしまったということではないんじゃないかという気がするんで、その辺はっきり確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/37
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038・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) 大衆金融公庫に対します九千万円は、これは大衆金融公庫が中小企業金融公庫の役割りもしておりますので、中小企業の近代化、合理化というための資金としての九千万円でございます。で、先ほど御指摘がありましたように、今回の十二億六千万円は、この特別な金融機関を創設する予定であったところ、それがおくれている、したがいまして、さしあたり産業投資特別会計からこの産業開発の特別会計の中に入れまして十二億六千万円。そして、それを大衆金融公庫に業務委託をしまして事実上貸し出していくと、こういうことでございますが、その資金の使途でございますが、これはやはり中小企業でございまして、もちろん砂糖・パイン等の合理化資金も入りますが、たとえば肉牛を中心とする畜産業とか、あるいは製造加工業とかその他の中小企業の開発資金と申しますか、新規企業の育成と申しますか、そういうことを中心にしてこの金を出していくということに予定しておるわけでございます。したがいまして、前回の御説明申し上げました趣旨とそうあまり変わらないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/38
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039・春日正一
○春日正一君 ちょっとそこのところが、あなたの答弁を聞いてみると、これは沖繩の産業の開発のための各種の中小企業の振興のための一般的な投資、たとえば木材加工であるとか、砂糖・パインの産業、それから海運振興等の資金にも向けられますというようなことを言っている。そうすると、いま前の質問者が言われたように、漁船の建造とかなんとか、そういったようなものは別に予算を組んでいる。そうなると、海運の振興ということになると、これは小さなものじゃない。砂糖といっても、あそこには本土から行っている大きな会社が四つもある。そういうものも含まれているわけでしょう、中小企業に。というのは、特別に九千万円組まれておるのだから、その別なものなんだと、そういうことですね。そうして、砂糖とか木材とか海運とか言われたけれども、これはやはりそういうことをやっているのは相当大きなものがあるわけでしょう。そういうところへは融資しないというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/39
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040・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) まあ、沖繩におきましては、先生も御承知のように、そう大企業というようなものはございません。したがいまして、私どもは、鉱工業といいましても、地場産業としての中小企業中心の新規設備資金等を予定しているわけでございます。大衆金融公庫も従来のように中小企業の近代化合理化資金を専門に貸し付けてきてまいっておりますが、それとは別ワクに、新たにそういう地場産業を興こすための、中小企業を興こすための資金である、こういうぐあいに私どもは考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/40
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041・春日正一
○春日正一君 じゃ、もう一つ聞きますがね、大きい企業はないと言うけれども、沖繩にある大きい砂糖会社はどんなものですか、いま大体四つと大ざっぱに言ったけれども。ね。会社の名前を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/41
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042・山野幸吉
○政府委員(山野幸吉君) ちょっと正確な資料いま持ち合わせておりませんが、大きい砂糖企業でも五十万ドルから百万ドル程度の企業であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/42
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043・春日正一
○春日正一君 まあ、非常にそこのところはっきりしないのですがね。たとえば台糖とかなんとか、そういうものが向こうへ行ってやっておりますね。現地での資本は、沖繩という規模では大きいでしょう、沖繩という規模からすれば。本土の会社の規模から言えばけた違いに小さいけれども、そこでの相対的な比重ということになれば、これは大きなものになる。そういうことはお認めになるでしょう。
これで大体いいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/43
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044・伊藤五郎
○委員長(伊藤五郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/44
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045・伊藤五郎
○委員長(伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。春日君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/45
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046・春日正一
○春日正一君 共産党としては、沖繩の産業を開発する、本土の水準に引き上げるというために、産業の投融資をやるということは必要だと思っているし、もっとふやさにゃいかんというふうに思っております。しかし問題は、この財政投融資がどこへ投融資されるかという問題になりますと、この質問を通じてもある程度明らかになっておりますけれども、たとえば一番大きい項目が産業開発資金の十二億です。それから住宅の十億ということでもって、結局、そういう財政投融資の運用というものが、ほんとうに沖繩の産業に実際に従事している、働いている中小企業だとか農民とか、そういったものの基盤を強化していくということでなくて、やはりそこでの大きな資本、産業、会社を育成していくというところに主として向けられるというふうにこれは考えられる。そうして、その点では、本土で私どもが今年度の予算でも反対してきた財政投融資の、こういうものと大体同じ方向を持っている。そういう意味で私どもは、この使い道そのものがほんとうに沖繩県民の望みにかなうというものにはなっていない、そういう意味で反対します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/46
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047・伊藤五郎
○委員長(伊藤五郎君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/47
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048・伊藤五郎
○委員長(伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/48
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049・伊藤五郎
○委員長(伊藤五郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。山本君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/49
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050・山本茂一郎
○山本茂一郎君 私は、ただいま可決すべきものと決定されました、沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法案に対しまして、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党の共同提案として附帯決議案を提出いたします。
案文に取り上げようとする事項は、委員会審査の過程で十分論議されたところでありますので、趣旨説明を省略さしていただき、案文を朗読いたします。
沖繩地域における産業の振興開発等のため
の琉球政府に対する資金の貸付けに関する
特別措置法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当り、次の諸点に配慮
すべきである。
一、沖繩の基地依存経済の体質を改善し、経済
の自立体制の確立と、その安定した発展を確
保するため、長期経済計画を速やかに樹立す
ること。
二、沖繩に対する財政資金の融資については、
今後その増額を図るとともに、基礎産業の振
興等、本土との一体化を前提として融資対象
を選定し、実情に即して長期かつ低利の貸付
けができるよう特に配慮すること。
三、財政資金の沖繩における貸付けについて
は、速やかな受入機関の整備ならびに適正な
運営が期せられるよう万全の配慮を払うこ
と。
四、沖繩に対する財政援助について、今後とも
その増額を図ること。
右決議する。
以上であります。
御賛成くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/50
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051・伊藤五郎
○委員長(伊藤五郎君) ただいま山本茂一郎君から提出されました附帯決議案を議題といたします。
山本茂一郎君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/51
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052・伊藤五郎
○委員長(伊藤五郎君) 全会一致と認めます。よって、山本茂一郎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、田中総務長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/52
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053・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまお述べをいただきました四党共同の附帯決議に対しましては、その内容につきまして、御意見の存するところを体しまして鋭意努力いたしたいと思う次第でございます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/53
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054・伊藤五郎
○委員長(伊藤五郎君) なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/54
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055・伊藤五郎
○委員長(伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
次回の委員会は五月十七日金曜日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105813904X01219680515/55
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