1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月七日(木曜日)
午前十時二十九分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 藤田 進君
理 事
稲浦 鹿藏君
内田 芳郎君
山内 一郎君
大河原一次君
委 員
石井 桂君
大森 久司君
小山邦太郎君
米田 正文君
沢田 政治君
瀬谷 英行君
田中 一君
春日 正一君
相澤 重明君
国務大臣
建 設 大 臣 保利 茂君
政府委員
建設政務次官 仮谷 忠男君
建設大臣官房長 志村 清一君
建設大臣官房会
計課長 高橋 弘篤君
建設省計画局長 川鳥 博君
建設省都市局長 竹内 藤男君
建設省河川局長 坂野 重信君
建設省道路局長 蓑輪健二郎君
建設省住宅局長 三橋 信一君
建設省営繕局長 横山 正彦君
説明員
通商産業省化学
工業局窯業建材
課長 竹村 豊君
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本日の会議に付した案件
○道路整備特別措置法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○都市計画法施行法案(内閣送付、予備審査)
○参考人出席要求に関する件
○建設事業並びに建設諸計画に関する調査
(昭和四十三年度建設省関係の施策及び予算に
関する件)
(昭和四十三年度首都圏整備委員会関係の施策
及び予算に関する件)
(昭和四十三年度近畿圏整備本部関係の施策及
び予算に関する件)
(昭和四十三年度中部圏開発整備本部関係の施
策及び予算に関する件)
(昭和四十三年度北海道開発庁関係の施策及び
予算に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/0
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001・藤田進
○委員長(藤田進君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
道路整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から提案理由の説明を聴取いたします。保利建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/1
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002・保利茂
○国務大臣(保利茂君) ただいま議題となりました道路整備特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
政府におきましては、従来から長期的視野に立って道路整備事業を推進し、今日まで相当の成果をあげてまいりましたことは、御承知のとおりであります。
しかしながら、地方道の整備はなお著しい立ちおくれを示しており、国土の総合的開発及び地域格差是正のためには、幹線道路である高速自動車国道及び一般国道の整備と相いまって、地方道の整備をさらに一そう強力に推進する必要があります。
このような観点から、政府といたしましては、地方道の整備の促進をはかるため、種々の施策を講じておりますが、その一環として、道路整備特別措置法の規定に基づいて地方公共団体が行なう有料道路の建設に対して助成措置を講ずることとし、ここに道路整備特別措置法の一部を改正する法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず第一に、国は、建設大臣の許可を受けて有料道路を新設し、または改築する道路管理者である地方公共団体に対し、その建設資金の一部を無利子で貸し付けることができることといたしました。
第二に、この貸し付け金に関する国の経理は、道路整備特別会計において行なうことといたしました。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/2
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003・藤田進
○委員長(藤田進君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/3
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004・藤田進
○委員長(藤田進君) 都市計画法施行法案を議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。保利建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/4
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005・保利茂
○国務大臣(保利茂君) ただいま議題となりました都市計画法施行法案につきまし七、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
政府は、さきに都市計画法案を国会に提出したのでありますが、この新都市計画法の施行期日及びその施行に伴い必要な経過措置を定めるとともに、関係法律の規定を整備する必要があります。
以上がこの法律案の提案の理由でありますが、次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、新都市計画法は、公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしました。
第二に、新法の施行の際、旧都市計画法により決定されている都市計画区域、都市計画及び都市計画事業は、それぞれ、新法の都市計画区域、新法の相当の都市計画及び都市計画事業とみなすことといたしました。
第三に、新法の施行の際旧住宅地造成事業に関する法律により指定されている住宅地造成事業規制区域内における住宅地造成事業の規制につきましては、新法の市街化区域及び市街化調整区域が定められるまでの問は、なお従前の例によることといたしました。
第四に、旧特別都市計画法による緑地地域の制度は廃止することといたしました。ただし、新法の施行の際現に存する緑地地域内における建築物の建築等の規制につきましては、新法の市街化区域及び市街化調整区域が定められるまでの間は、なお従前の例によることといたしました。
その他、新住宅市街地開発法等の関係諸法律について、新法の施行に伴う一部改正を行なうとともに、これらの一部改正に伴う必要な経過措置を定める等所要の改正を行なうことといたしました。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上、げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/5
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006・藤田進
○委員長(藤田進君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/6
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007・藤田進
○委員長(藤田進君) この際参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
今期国会開会中において建設事業並びに建設諸計画に関する調査のため、必要な場合は住宅金融公庫、日本住宅公団、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び水資源開発公団の役職員を参考人として随時出席を求めることとし、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/7
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008・藤田進
○委員長(藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/8
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009・藤田進
○委員長(藤田進君) 昭和四十三年度の建設省関係、首都圏整備委員会、近畿圏整備本部、中部圏開発整備本部及び北海道開発庁の施策及び予算に関する件を議題といたします。
本件につきましては、前回説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/9
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010・石井桂
○石井桂君 私は主として首都圏内の街路事業及び道路事業が首都圏のうちで北部、東部が著しくその整備状況がおくれてますのは、皆さまもお気づきだろうと思いますが、この理由について、また建設省のとる方針について、さらには現状についての御説明をいただけばと思います。主として計画局長と道路局長から説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/10
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011・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 東京都内の街路の整備計画とそれの進捗状況について申し上げます。東京都の街路交通を計画いたします場合には、従来東京都の都心部にあらゆる機能が集まっていた。そういうために求心的な交通の流れが出てきて混んでいるということもございますので、まず第一に、従来のように都心集中の構造をできる限り多心型にしていく。つまり副都心とか、流通センターというものをつくりまして、都心の中に自動車交通がなるべく入らないような構造にしていきたいということで、東京都では副都心計画あるいは流通センターの計画を進めているわけでございます。それと同時に、やはり街路網自体を整備する必要がございます。その場合、やはり平面街路だけではなくて、高速道路とあわせて街路網を織り込んでいくというような考え方をとっております。おおむね、昭和六十年の道路交通の需要に応じ得るような計画を現在都市計画としてきめているわけでございます。その都市計画に基づきまして街路の整備をやっているわけでございます。
その内容といたしましては、一つは、幹線街路、主要な幹線街路というものは、これは大事な路線でございますので、放射線街路あるいは環状線街路の整備というものを重点にいたしております。
それからもう一つは、自動車が混雑いたしますのは、交差点で混雑いたすわけでございますので、交差点を改良する。拡幅いたしましたり、あるいは立体化するということを促進することによって、従来の街路幅員でも、相当多くの自動車交通がさばけるわけでございます。そういうような考え方に立ちまして交差点の拡幅、立体化というものに重点を置いております。同時に鉄道との立体交差につきましても、重点を置いております。
これが大体現在立てられております東京都の街路計画でございますが、この整備の状況について申し上げますと、東京都区部におきます都市計画できめました街路の総延長は千五百キロメートルでございますが、昭和四十一年末におきまして四百六十キロメートルが完成いたしております。大体三%でございます。未整備の延長が約千キロございまして、これに要します費用は、およそ二兆円というふうに見込まれています。
また、都市高速道路について申し上げますと、現在東京都区部におきましては、すでに四十七キロメートルの延長の道路が供用されておりまして、四十六年度末までにさらに五十五キロメートルを供用開始してまいりたいということで、いま整備を進めているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/11
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012・石井桂
○石井桂君 私の質問の半分くらいお答えくだすったのですが、私の質問の重点は、東京都内のそういう計画あるいは状況を御説明の上、聞きたいところは東西南北に分けた場合に、北部と東部がなぜこんなにおくれているのか6まるでアメリカとそれから東南地域ほど施設がおくれているんです。そのおくれはなぜおくれているのかということと建設省の方針、整備計画がどうなっているのかという、そういうことを重点に聞きたいんです。その前にあなたの御説明、ずいぶん参考になりましたが、質問の重点はそこにあるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/12
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013・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 東京都内の街路は、主として東京都が施行主体になっておりまして、まあ建設省はそれに対しまして補助をいたす、こういう状況でございますが、東京都の中で確かに西南部に従来ウエートが置かれておりました。というのは、一つは西南部のほうが非常に交通の要が大きいということで、どうしてもやはり西南部のほうの交通を確保するために、そちらのほうに道路整備の重点がいったということが、基本的には言えると思いますけれども、特にオリンピック関係で、オリンピックの施設が区部の西南部に片寄っていたということで、オリンピック関係の街路整備というものが早く進められたということ、それから、その後東京都内に大きな幹線が入ってくる、第三京浜でございますとか、あるいはその他の東名、中央道等の都市間の高速道路が入ってきますと、それを都内に誘導するために、どうしてもその辺の街路整備をしていかなければならないということで、従来西南部のほうにやや重点が置かれたということはございますけれども、現在におきましては、そういうことが東京都でも非常に問題になっておりまして、北部、東部の整備を急がなきゃいかぬということで、現在は北部、東部のほうにつきましても重点を置いて整備しているわけでございます。私どもといたしましても、そういうような東京都の意向を体しまして整備に協力している、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/13
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014・石井桂
○石井桂君 私はその北部なり東部がおくれているのは、オリンピック施設を中心として重点的にそちらへ予算を振り向けたことが原因だと思うんです。まあ西のほうとか南のほうが重要だからということじゃなかったろうと思うんですがね。いまおくれた今日においては、北部と東部はやはりひとしく都内でもあるし、都の施設を都民のためにだけ充足しろというわけにいかないんです。たとえば都に働く人が埼玉県にいたり、千葉県にいたり大ぜいいますよね。そういう人が朝になるとラッシュで通勤してくる、そういうことを緩和するためにもやっぱり南や西のように東や北のほうを急に施設を整備していかなければいけないのじゃないか。それは都がやりますからと言っていたんじゃ、建設省はそういうものを指導し、予算を分けてあげてそうしてやりいいようにする役があると思うんですよ。だから都がやるんだから、補助金がほしいと言ったらくれてやるという程度じゃなくて、全体的にそういうことを建設省がお考えになって、そのために首都圏区域とか、あるいは中部圏とか、近畿圏とかあるのだと思うんですね、そういうような立場から、一体どういうふうにこれは北部と東部のおくれを取り戻そうとしているのかということを聞いているもう少しぴったりした説明ができませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/14
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015・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 確かに石井先生御指摘のとおりでございまして、最近におきましては、成田空港というようなものも出てまいっておりますし、あるいは東北のほうには茨城県方面に開発が行なわれているというようなこともございまいますので、そういうものと都内におきまして連絡する街路の整備、あるいは高速道路の整備ということをいま現在進めておるわけでございます。今後ともそういう方向でやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/15
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016・石井桂
○石井桂君 それでは具体的にちょっとお聞きいたしますが、たとえば七号環状線ですねあれは南のほうはずっとできているけれども、北のほうは足立あたりから葛飾、江戸川のほうはもたもたしちゃって、なかなかできてないでしょう。ああいう環状線は、初めから今日まで何年がかりになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/16
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017・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 事業に着手しておるのは、ずっと前から着手しておるようでございますが、本格的に整備を始めましたのは、オリンピックのときからでございます。したがいまして、それからまあ西側のほうからずっと逐次延ばしてまいりまして、現在北側のほうがだいぶ進んで完成してきております。それから一部いま海岸に近いほうの南側のほうを街路事業をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/17
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018・石井桂
○石井桂君 それじゃ、いつ完成するんですか。それはいつごろ完成するんですか、年度は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/18
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019・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 環状七号線は、四十六年までに完成させる予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/19
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020・石井桂
○石井桂君 四十六年。それから、いろいろの放射線が北側と東側のほうが非常におくれている。たとえばあれは何というんですか、街路事業の放射線十一号。都心から隅田川の橋まではできているけれども、荒川の橋がまだ工事中、それから先の環状七号線までのところは、まだ工事にかかってない。そういうようなものはいつごろ予算をつけて放射線はみんなおくれているんですよ、北と東はね。たとえばそれはいつごろ予算をつけて、いつごろ工事に着手してやるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/20
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021・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 放射十一号線の環状七号線までは、現在工事をしておりまして、これも四十六年までに完成させる予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/21
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022・石井桂
○石井桂君 そのほかまだ放射何号線とか、百号線とか何とかいうものがある。全然つくってない。——百号線なんてないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/22
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023・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 百番台でございますと補助線だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/23
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024・石井桂
○石井桂君 そうですが。それでは、私は今後東京都の部分を含めて首都圏管内で街路事業と道路事業を、西と南におくれをとるようなバランスを失った建設関係の指導方針をとるのかどうか。アンバランスを早くなくするように、うまくとれるように、おくれを取り戻すように建設行政を指導していかれるかどうかをお聞きしたい。これは大臣のほうがいいかもしれないな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/24
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025・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 石井委員が御指摘のように、東京都の道路の現状を見ますと、だんだん交通状況あるいはオリンピック等の事情から、西南部のほうが比較的整備が急がれていって、ために東北部がだいぶ手おくれになってきているということは、もう万人の認めるところであるわけで、西南部のほうもまだこれから東名道の開通あるいは中央道の開通等で手おくれぎみのところがだいぶあるようでございますけれども、しかし、東京都全体の関係からいいますと御指摘のとおり、でございますから、とにかく東北部の立ちおくれを取り戻すように東京都に督励を願って、ひとつ立ちおくれを取り返すように指導努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/25
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026・石井桂
○石井桂君 もう一つ、これは別のことなんですが、最近の新聞に建築基準法の大改正を何十年ぶりかでやるという見出しでだいぶ大きく報道されておりましたが、今国会にお出しになることができるようなお見込みですか、どうですか。関係諸団体の意見がまだ甲論乙駁、賛成している個所もあれば反対している個所もあるということで、まあもうちょっとよく練っていい案を出してくれればいいがなというのが、関係諸団体の意見なんですが、どういう準備の程度ですか、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/26
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027・保利茂
○国務大臣(保利茂君) もうざっくばらんに申し上げますと、建築基準法はじめ建築関係法制の整備をやり直せということが昨年十二月、建築審議会から建設大臣に建議をいただいておるわけでございますか、御心配をいただいておりますように、今日の一体この都市状況をどう改善していくかということが、これは焦眉の問題じゃないか。それにはまあ率直に申しまして、今日考えられるこの程度のことはということで都市計画法、都市再開発法の御審議をお願いしておるものでございますから、私としましては、まずこの両法案のめどをつけてもらえぬだろうか。建築基準法あるいは建築業法等の改正の議も相当熟して起こってきておりますけれども、とりあえずは、まの都市化現象に対して真剣に取り組んで、何とか道を開きたいという実はあせりを感じておるものでございますから、建築基準法の関係につきましては、答申を受けまして——しかしまた関係団体にもいろいろの意見もあるようでございまするし、答申の内容を検討いたしまするとともに、これら各方面の御意見を十分伺わなければならぬということで、まだ内部検討で各方面の意見を正式に伺っているという段階では事務当局でもないようでございまして、したがいまして、建築基準法の政正案をこの国会に出し得るような運びになりますかどうか、ただいまのところはひとつ御容赦をいただきたい、こういうふうなところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/27
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028・田中一
○田中一君 いま石井委員からの質問のあったことに関連しますけれども、基準法の改正、これはもう今日の段階ではどうするかわからぬというのじゃなくて、やめるならやめるという態度を表明してほしいのです。というのは、先般大臣が出席をしなかったときの委員会で、私から政務次官にも質問しておいたのですが、建築基準法そのものは建築物という対象になっておるけれども、少なくとも都市形成と申しまするか、これに重大な関連がある法律なわけです。いわば建築学的都市計画なわけです、この建築基準法というものは。そこで衆議院には都市計画法が付託されておる、参議院には新しい改造法ですね、これが付託されておる。そうすると、建築的な面というものは基準法によらざるを得ない。そこで出すならば一緒に審議をしましよう、こういう意味を申し上げているのです。これは当然のことなんです。そこでいま言うとおり、いま大臣のおっしゃったように、あいまいな態度で出すというならば、いま衆参両院に付託されておるところの二つの法律案を、ここで一ぺんお戻しになって、そうして三者をつき合わせて検討をされた後に再提出するという形式がよかろうと思うのです。しかし建築基準法を出さないというならば、これはもう現在付託されているところの法律案は、単独のものとして衆参両院として審議に入るだろうと思う。そういう点の態度をひとつ明らにしておいていただきたいと思う。まだまだ建築基準法の場合には、いろいろな問題があります。実態として、直接都市形成なり、あるいは生活の中へ直接に取り入れなければならぬという問題があるわけで、大きな問題です。したがって十分に関係の意見も聞きながら、まあまあ最善のものを出していただきたいのは希望でありますけれども、その点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/28
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029・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 田中委員の御意見は、よく拝聴いたしました。ただいま両院で御審議をいただいております都市関係の二法案の何とか御審議を促進していただきたいということは、いろいろそれは建築基準法も一まとめにして持ってこいということが理想であろうと思うのでございますけれども、ともかくもこの両法案をものにしていただいて、でものにしていただけばこれに抵触するような変え方はできませんし、それをよく実りある方向に持っていくように、この建築基準法、その他の関係は整備されていっていいんじゃないだろうか、こういうふうな考えは、基本的に私の考えでございますけれども、また事務当局にはいろいろ考えもあるかもしれませんが、私自身としましては、両法案ができ、それにぶつかるような法案は私はいたさない、こういう考えでおるわけであります。取り扱いの状態は、先ほど石井委員に申し上げましたとおりの状態で、まだ各方面の御意見を正式に事務当局で伺う段階になっていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/29
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030・田中一
○田中一君 大体都市問題というもの、あるいは都市計画というもの、これは建設省のいま三つの建築的なものと、基本法と建築基準法と、土木的なものと分かれるわけですが、これを各部局で法律の策定に当たるなんていうことは間違いなんですよ。もっと広範な、たとえば環境の問題については、社会学的な一つの見通しなり現状なりというものも織り込まなければならぬ。ただ土木的な、土木学的にこうすればいいんだという性質のものじゃなくて、われわれの生活に溶け込まなければならぬという都市計画なんです。だから私に言わせれば、そうした一つのビジョンというものを高いところに持たれるところの、政治的に持たれるところの理論、それに対して土木工学的な裏づけをする、あるいは建築工学的な裏づけをする、あるいは社会学的な環境というものをどこに持ってくるかというような問題の、生活そのものの根拠を、それをそれぞれの技術者がそれを裏づけするという形のものでなくちゃならないのです。どうも現在作業している状態というものは、再開発は開再発、それから基本法は基本法、建築は建築というような形に、これは建設省の今日の部局がそうなっているのだから、それぞれやるでしょうけれども、これは土木屋、建築屋なんていうのでなくて、高度の政治というものは、政治というものは何かというと、その地域の住民の希望というものが大きくまず第一に取り上げられなければならぬ。そうしてそれが将来発展するであろうところの見通しというものを織り込みながらビジョンを立てる。これに対して裏づけをするのが、法律をつくるという織務なんです。どうもばらばらなんです。私はかつての建築基準法の出る前の市街地建築物法というほうが、まだ都市計画的な要素をうんと盛り込んであって、でき上がるところに対する受け取り方がはっきりするわけですね。こういう点については、今日の建設省の組織がそうなっているならやむを得ませんが、これはもう保利さんは感覚的に役人じゃないから、非常にぼくはあなたに期待しているわけですよ。役人はだめです、官僚はだめなんです。官僚というのは、かつて自分でつくった法律に自分の意思というものが制限されている。少しもそこから出ていない。あなたのそのいい感覚でもって、ひとついま出ているものを引っ込めるのが一番最善だと思うんです。引っ込められないならば、それはそれとして、建築基準法はそれの裏づけをしなければならぬのですから、これはいまどうするかわからぬというようなあいまいなことじゃなくして、態度を明らかにするほうが私は望ましいですよ。そうしてもう一つ申し上げたいのは、建築基準法の改正によって都市計画法が若干修正されなければならぬ部分が出てくると思うんです。そういうことで私は法制局へ行って調べてもらったんですが、現在提案されている法律が他の法律によって、同じ国会内において、どちらかが成立しているなら別です、未成立のものを、同時に提案されたものが途中で修正されるという形式は、いままでないんです。昭和二十二年の物価が非常に上がっているときに、地方税法の改正はありました。これはもうああしてインフレがどんどんどんどんまるで急速度に伸びているところに出したものを、これじゃいかぬとすぐ引っ込めて、それを昭和二十二年の十二月二十六日に出して、それを十二月八日にまた衆参両院で可決されたものを追っかけてそれを修正したということもある。これはああいう異常な物価の上昇の時代にはこれはやむを得ません。それからそれに似通ったものがありますけれども、大体審議中のものを他の法律でもってそれを修正するなんということは、これはないんです。これは政務次官にはその当時委員会でもって申し上げました。だから、そういうことはいままでの国会では——旧憲法時代にはわかりません。新しい憲法下におけるところの終戦後の国会においてはないんです、そういう例は。そこで引っ込めなさい、一緒に出して最善なものを持っていらっしゃいと、こういう発言をした。またあいまいじゃ困るんですよ。といって、いま大臣の発言のように現在審議中の都市計画並びに再開発には何らの関係のない、それをそのままにして、それに見合う、抵触しない基準法を出すんだということでも、それは困るんです。そうすると、基準法そのものが多少都市計画法並びに再開発法によってゆがめられるおそれがある。だから、そういう点でくどいようですか、やっぱりこの辺で態度を明らかにしたほうがいいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/30
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031・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 田中議員の御指摘のような点があるようでございます。実は私もそれはなるほどおかしなことだという感じを率直に持っておるわけでございまいますが、これはひとつ委員会の皆さま方のお知恵も拝借しなければならぬと思っておるわけでございます。前段にお述べになりましたことに関しまして、私は要するに今日の激しい都市化現象に対応して、たとえば東京都をどう持っていくかということを全体の視野から見て、それにいろいろな専門家の専門知識をもって裏づけていかなければならぬ。これは田中議員もよくお認めいただいておりますように、なかなか建設省の事務当局は私は優秀だと思っております。全信頼をかけております。それでそれらの方々が総合して、自分のなわ張りだけでなしに、そういう国民生活というか都民生活の改善のためにもろもろの施策が集中されるように、それでちぐはぐを起こさないようにということで力を合わせてやっていただいておるわけでございます。そういうことは、この上とも注意をしてまいりますけれども、残念ながら微力でどうにもならぬところがございますから御鞭撻をお願いしたい。建築基準法の取り扱い方につきましては、とにかく多少のそういう立法技術上の問題点が都市計画法あるいは再開発法に残されておるかもしれませんが、それはそれとしても、とにかく現状を打開してまいりますためのひとつの基本的な基礎的な布石として都市計画法、再開発法は何とか急いでいきたい。それはもちろん三本足で建築基準法も同時に乗り込んでいかれればいいのですが、それはそれで多くの疑問が残されておると思いますが、こういう取り扱い方をしておるわけでありますので御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/31
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032・田中一
○田中一君 だから先ほど申し上げたように、それはいいというわけです。いいから基準法は基準法で十分検討してそうして来年出しましょう。したがってことしは二つの法律でもって審議しましょうということを言っているのです。だからその態度を明らかにしていただきたいというのです。それはこういうことなんです。先ほども言ってるいようにそういう例がないのです。国会に政府が責任ある法律を出して審議もされないでその部分的な否定をするということは、修正なんということはあり得ないですよ。ですから、出すのをおやめなさいと言っているのです。それはずばり言ったらいいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/32
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033・保利茂
○国務大臣(保利茂君) そういった立法技術上のわずらわしさというか疑点といものを持っておるようでありますので十分御意見を伺いまして、私としては善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/33
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034・田中一
○田中一君 じゃ、本題の予算に入りますけれども、本年度の建設関係の予算を見まして、物価、賃金等の伸びうといものをどういう形に押えているか、そうして事業の規模というものは、前年度に比較して縮まっているのか伸びているのかという点であります。第一に、全体の公共事業というものが、あるいは補助工事も含めまして前年度に比較して総体的に実質的な事業量は伸びているのかどうか金額じゃございません。むろん賃金とか物価の上昇がありますから——上昇といういうよりも騰貴がありますから、これと比較して事業量はどうなっているかという点をまず伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/34
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035・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 今度の予算総額の公共事業全体の名目伸び率は、御案内のように前年度よりも下回っております。もっとも前年の五%繰り延べというのは、四十二年度においては実際働かなかった部分でございますから、これが四十三年度に四十二年度のような措置をとられないとすれば、その面も加わりますから、名目のみならず多少の伸びは期待できると思っておるわけでございます。たとえば河川にいたしましても、一級河川の八十五水系を六水系加えて手をつけていこうというようなことでございますから、実質的にも多少の伸びは期待できると思っております。しかし、おおむねまあ大体前年度の事業量としましては、私はそう伸びたからといって、こんなに伸びますというようなことは言えないのじゃないか。大体前年度並みの仕事量が確保できれば——確保できないことは、これはもうないと思うのですよ、おそらく。大体大づかみに申してそんなところじゃないだろうか、私、目算はそういうふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/35
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036・田中一
○田中一君 大体前年くらいだろう。それよりもちょっと五%くらい減っておるのじゃないかというような、前年度くららいだろう、こういうつもりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/36
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037・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 前年度四十二年度は公共投資の、公共事業費の五%繰り延べ措置をとられて、四十三年度予算にその繰り延べされた五%というものは当然ついてくるわけでございますから、四十三年度の予算としては大体横ばいになるだろう。それから繰り延べ分くらいが実質上のプラスになるのじゃないだろうか。これはきわめて乱暴な大づかみな感じでございますが、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/37
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038・田中一
○田中一君 官房長に伺いますが、昨年は債務負担行為が総額どのくらいあったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/38
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039・志村清一
○政府委員(志村清一君) ちょっといま資料を調べますので、ちょっとお時間をかりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/39
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040・田中一
○田中一君 それともう一つ、本年度の債務負担行為は総額幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/40
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041・志村清一
○政府委員(志村清一君) 四十二年度は、当初におきます国庫債務負担行為の額は、約五百七十六億でございます。本年度は、四十三年度は六百六十四億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/41
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042・田中一
○田中一君 昨年の五百七十六億のうち、実際に食い込んで消化したのはどのくらいあったのですか。この中に事業が食い込んだもの、全部これは使い切っておるのですか、事業としては、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/42
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043・志村清一
○政府委員(志村清一君) 債務負担行為は、御承知のとおり契約をいたす額でございまして、四十二年度先ほど五百七十六億と申し上げましたが、そういうだけの契約はできるということでございます。契約はただいまのところ具体のデータは持ち合わしておりませんが、全額はもちろん使い切っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/43
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044・田中一
○田中一君 契約というものは工事を実施するということなんですから、私はそれがどうなっているかと聞いておるわけです。支払いはなるほど後にするかもしれぬけれども、事業は行なうわけですから、それはどのくらい使っているか、あなたに言わせれば、契約しているかということを聞きたい。ただ、どうも最近の傾向として、債務負担行為をやたらに使う、これはたとえば財政法を見ても非常に疑義があるわけなんです。これはどうも法的根拠があるから使えるのだということじゃ困るのです、それだけでは、もっと的確に予算運営をやっているわけでありますから、国というものは。そうしたものが年々増大しておる。そうすると、建設省関係はことしは六百六十四億というならば、よその現業官庁はどのくらいになっていますか、これは官房長に聞いてもわからぬ、だれに聞いたらいいのか、どのくらいになっていますか、国庫債務負担行為というものが、国の予算規模の中においてですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/44
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045・志村清一
○政府委員(志村清一君) ちょっとただいま手元に資料ございませんので、全体の国庫債務負担行為の額は明らかではございませんが、国庫債務負担行為は、先生御承知のとおり、たとえば大きな事業などにおきまして、当年度はあまり金は要らぬけれども、契約全体としてはまとめてやったほうが効率的に仕事ができるという場合でございまして、四十二年度の五百七十六億の債務負担行為がございましても、その一部は当年度に支払われる、以後は四十三年ないし四十四年に回る。そういった一体としての契約のほうが仕事も非常にスムーズにいくし、りっぱな仕事ができるというたてまえの額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/45
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046・田中一
○田中一君 それなら継続事業として承認を求めたほうがもっと的確で安全なんです。単年度でやるのだというたてまえをとりながら、次年度に対する事業の約束をしようという、それならば二カ年の継続工事、三カ年の継続工事、五カ年の継続工事というものを持ったほうが明らかになるのです。どこまでも単年度というたてまえをとってやっている。そこでそうしたあいまいとは言いませんけれども、あなた方があいまいな契約をしているとは思いませんが、しかしながら、それなら国民の前に事業の性格というものを明らかにするのが当然である。どうもまあ事業が大型化するとか、長期計画化されているのだということでもってそういうことを言うけれども、実際は明らかになっていないのです、われわれの目の前には。たとえば治水五カ年計画も今度新しくする。これに対しては何年度にどうする、こうするというような説明がないわけなんです。それならば五カ年間の予算を一ぺんに計上しなさい。二兆円になっていますから、二兆円というものを一応継続して出してそれを守るということになれば、建設大臣として楽なわけなんです、事業が。そうすると、そういうことになるならば、事業を施行する側としては楽だし、かつまた安定するわけです。こういう点は一体、これは官房長に聞いてもしょうがない、大臣に伺いますが、こういう点はどういう見解を持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/46
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047・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 田中議員の仰せのとおり、財政上の仕組みの問題でございますし、まあどうもわれわれもそういうふうに感ずるのですよ。けれども、まあそれが終戦後の財政方針でそういうことがとられておらないために……。しかし、実際確かに長期にかかる仕事がありますから、そういうことを支障なしに遂行していくために、おもなる公共事業がたとえば道路でありますとか、港湾、河川でありますとか、あるいは治山治水、下水、住宅、そういうものに対していずれも五カ年計画を政府内では立てまして、そうしてそれが支障なしにほぼ計画が達成せられるようにという政府方針を閣議できめて、まあもちろんこれはそういう継続費ということになりますと、財政事情のいかんにかかわらず、ぴしっときめていかなきゃならぬわけでしょう。そこにまあ今日の日本の財政事情からしてどうであろうかという基本的な問題も横たわっているのだろうと思うのです。したがいまして、五カ年なら五カ年でこれだけの道路整備をしよう、治水事業をやろうということで、したがって各年度間の多少の伸び縮みはやむを得ないというのが、今日のことでございますけれども、しかし全体として五カ年計画は達成していく、政府みずからを縛るような方針をとっておるわけでございます。しかし、そのことがいいか、多少財政上窮屈になっても、継続的な長期事業というものはやはり継続費的な扱いをしていくかどうかということは、これは財政上の大きな問題であろうと思いますし、機会がありましたら、ひとつ財政当局にもよくおただしをいただいて検討——私どももいまはそういう方針に従って、できるだけ計画達成をあやまちないように期しておる次第でございます。問題の点は、私も同様に感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/47
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048・田中一
○田中一君 そうすると、国庫債務負担行為は、ますます増大するというような理解をしていいのかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/48
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049・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 御趣意を同感しまする以上、なるべく予算面に計上せられることが望ましいのであって、こういう、まあどっちかといいますれば苦しまぎれの答弁みたいなもの、あまり大きくなってくるということは好ましいことではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/49
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050・田中一
○田中一君 どうも年々増加の一途をたどってるんです。まあ、これはよその現業官庁の分がどれくらいになっているか調べてみますが、これはやはり一種のごまかしですよ。それで、この財政法を見てもちょっと——ものごとを明らかにしなきゃだめですよ。それは、ここには住宅にはこうだ、道路にはこうだと言っていますけれども、緊急性なり何なりというものの条件がはっきりしなければ——何かどうもぼくは緊急性というものがはっきりしてないと思うんです。どうも継続工事的な、継続事業的な性格を持っている国庫債務負担行為だと私は見ているんです。それならはっきり割り切りなさい。かつて池田さんが大蔵大臣時代に、例のガソリン税の問題でずいぶん予算委員会でやり合ったんです。これは一体目的税か一般税かという点でもって非常にやり合ったことがあるんです。これは保利さんも御承知だと思うのです。とうとう、そうじゃございませんというのが、三年ぐらいたったら、これは目的税ですとはっきり言明せざるを得なくなった。日本の税法で目的税なんてものは、いままでに例がないわけです。ところがガソリン税だけは目的税でございますと、とうとう、大蔵大臣だったか総理大臣になっていたかどうかしらぬけれども、おじぎしたことがございます。だから建設大臣は、公共事業というものはだれのためでもない、みんなのためなんです。したがって、一つの河川の工事にしても道路にいたしましても、一つの河川なら河川全体が、部分的な改修じゃなくて全面的な改修が望ましいんです。部分的な改修をやるためにまた災害で破堤するところもたくさんある。道路にしても、相当大きな高速道路ができる。できるけれども、それが完成は、起点と着点があって初めて完成し通行ができるのですよ。部分的にここからここまで、たとえば調布から八王子まで中央道ができましたと言いましても、その出入り口というものはたいへんなふくそうなんです。その部分は五分か六分で行ってしまうのです。乗るときでもおりるときでもたいへんな混雑があるわけです。だからこういうものは、二年なら三年、二年なら二年、早期完成でぴたっときめて予算もとる。これは建設大臣が十分に強く要求しなければいけない。そしてそれが国民の利益なんです。そういう点の主張を都市問題が非常に大きな騒ぎになっている現状から見て、予算の編成という根本的な考え方を、ガソリン税と同じように、目的税と同じように、政治は流動しますから、あなたからそういう点の持ち出し方をがっちりとすることが望ましい。おそらくあなたが就任したときには、もはやそこにいらっしゃる優秀なあなたの部下の官僚が、すっかり自分のペースでつくり上げておったから、どうとも言えなかったでしょうが、来年の予算の編成には、がっちりとひとつその点はあなたの信念を織り込んで——国民のために奉仕するのが公共事業なんです。また建設省の態度でなければならない。予算のたてまえを変えてもそういう方向に行っていただきたいと思うのです。その点ひとつあなたの所感というか決意をひとつ出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/50
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051・保利茂
○国務大臣(保利茂君) この全体の御意見は、ありがたく伺って、私も最善を尽くしてまいりたいと思います。のみならず、大体はそういう感じで予算の使い方をしていきたい、また計画を立てていきたい。ばらばらで、あるところは非常にむだができる、緊急やむを得ざるところは手抜きをされておるということが、もうどなたの目にも映っているだろうと思います。私もそういうことを感じないわけではございませんので、全体のやはりこの事業達成する上におきましても、総合性を失わないように、それはすなわち国民の利益を増進していくためにその事業が行なわれるということを、しっかり抱いて最善を尽くしてまいりたい、このように考えます。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/51
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052・田中一
○田中一君 私は、あなたのこの建設行政の基本線に対する所信の中に、特に広域的観点に立ってということば、非常に賛成です。まあ今度の下水道法の一部を改正する中にも、いわゆる流域下水道、私は広域下水道と言いますが、流域下水道には、自治法にはありましょうが、これは都道府県知事が行なうのだ、監督するのだ、そういうことになっているようです。これもけっこうだと思う。しかしこれはそのときに伺い、審議いたしますが、広域的観点に立っての構想というものが、いまこそ必要な時期ではないか。今日の都市における、農村における数々の矛盾とかというものは、この広域的観点から見ない、たとえばいま地方自治法そのものも非常に大きく修正されなければならぬ点が多々ございます。それがないために二重、三重の投資で三万円か三万五千、四万程度の都市、そしてまた都市がスラム化しながらまたそこに人口がふえていくということになって、にっちもさっちもいかないというような国土、部分的な地域社会はたくさん出現しているわけです。したがって、町村合併をこれ以上進めろとは言いません、それぞれの立場があるでしょうし。しかしながら、公共事業というものは、どうしても広域的な立場に立って全体のその区域の、たとえば一万ヘクタールの都市ならば、それを十万なら十万という区域に広げて、二重投資をしないというような形の行政に持っていかなければ、これは非常に大きなむだな投資をしいられるわけです。こういう点について、たとえば都市問題一つとっても、これはどういう考え方に立っておりますか、私がいま質問しているような問題がそこに含まれておるのか、またどこかの地域を例にとってひとつ御意見を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/52
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053・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 公共事業のみならず、いまはとにかく古い時代の行政区画になわ張りをして、そしてあそこでもやるから、おれのほうでもやる。それはいろいろな利害を持ちますから、当然のことだと思いますけれども、おしかりを受けるかもしれませんけれども、たとえば東京都と埼玉とは、そこにもうすべての問題が共通して計画を立てられるということが、ほんとうじゃないだろうか。それから水問題等で関西方面にもございます。吉野川の問題であるとか、江の川の問題であるとか、琵琶湖の問題であるとか、そういうことも今日の時勢に即応する施策が円滑になかなかいかない。それはそれだけじゃございませんけれども、とにかく狭小区域、現在の行政区域のあり方というものは、非常にわずらわしさをつくっておるのじゃないか。そういう上からいきまして、もうこれは何としても日本の姿をつくり変えていこうという上からいきますというと、少なくとも東京に例をとれば、東京、埼玉千葉、神奈川というふうなものは一体として見ていかなきゃならぬじゃないか、それにはまたいろいろな障害が起きてくる。やろうとすれば、もう障害が起きてくるというようなことは感ずるわけでございます。そういう上から現在の時点でみんながひとつ、これは国政につながるものをみんな一ぺん考えてみる必要があるのじゃないか。これはおそらく私はあなたと全く同じような考えに悩んでおると申し上げるよりほかないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/53
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054・田中一
○田中一君 東京都は美濃部さんが知事になりました。これからひとつ首都圏に持っていって美濃部知事をつぶそうなんという考えを持っちゃ困ります。私はそんなことを言っておるのじゃないのですよ。公共事業そのものはそういう規模のもとに広域的な観点からやらなければ——あなたのおっしゃったとおりなんですよ。しかし埼玉県と東京の場合には、何といっても、荒川という川がございますからね、川というもの、どうにもならぬものがありますから、これは行政としてもやっぱり分類されることもできると思いますけれども。あなたは佐賀だったな。佐賀はたいしたことないでしょう、大体農村みたいなところですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/54
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055・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 小さいから、よけいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/55
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056・田中一
○田中一君 少なくとも町村合併した場合に、あのときに町村合併した新都市の周辺というものは共通の公共事業を行なわなければならぬのを、そうじゃない。やっぱり部分的、手直し的な事業が行なわれている。これはあなたの優秀なる尊敬すべき部下がやっぱりそういう点について不十分だ。あなたの考えているような広域的観点に立っておらぬから、そういう問題が随所に起こっておるのだと思いますから、これは優秀なあなたの部下を十分に、よりよく能力を発揮するように、そうして広域的感覚をすべての事業に持って、そのようないまの段階でも行政指導をするようにひとつやっていただきたいと思うのですよ。まだまだ法というものがこうだから、それから一歩も出られないというのが、あなたの優秀な部下がそういう考えにもう固まっておるわけなんです。これは当然よき優秀な部下であるはずでありますが、それだけではいけない。やっぱり大臣の政治性というもの、大臣の政治感覚というものを、その中へ織り込んで計画を立てていただきたい。これは知事や何かに言うんじゃなくて、日本の国土というものをあずかっている建設大臣自身が、そうしたビジョンを打ち出さなければならぬ。その点十分いまのことばは行動をもって示してください。
ほかにありますが、法律の問題は提案されたときにいろいろ質問いたしますが、最後に一つ伺いたいのは、土地の問題なんですよ。土地の問題というのは、一つはやたらに相変わらず膨大な予算をつけて開発をやろうというあなたの意図ですね、これは私はどうも納得のいかないものがあるんですね。住宅、宅地がないからといって宅地開発をやるでしょう。宅地はあるんですよ。あるけれども、それは取得に困難だから、それで安易な方法で開発しようとする。新しい宅地を造成するたびに、その地域は荒廃するんです。住宅公団並びに住宅公庫にさせようという事業は、大体昨年並みの程度でありますから、そういう規模の機構、組織があるんでしょうから、これは何とも言いません。言いませんが、非常に大きな声で建設大臣は宅地造成ということをうたっているんです。これは私は非常に大きな間違いがある、これをここで議論すると長くなりますから、いずれの機会に譲りますが、土地というか地価対策といいますか、それをどう考えているかということ、これはいろいろ立場立場の見方があります。ありますが、日本の土地の価格というものが、将来このままでますます投機的性向を帯びて騰貴をする。これをどっかでずばりと抑制しようという考え方を何かで示そうとするのか、その点の考え方を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/56
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057・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 土地の問題はもう建設省のみならず、お互いに内政上の最大の私は課題だと思っております。これはどこまでも上がるということは、おのずから経済上の原則もありましょうが、極端に言えば、東京の土地がもっと上がると、みんなこんなところにおられなくて逃げ出すからという極端な議論をされる方もあるくらいでございますから、おのずから限度はあると思いますけれども、まだほうっておけば騰勢を押えるという状態ではない、こう現状を見るべきであろうかと思います。そこで宅地等の改良開発については、もちろんこれは御意見もございましょう。しかし、おおよそこういうふうになってきたのは人口、産業の傾斜的な集中、それからくる土地の需給が非常にアンバランス状態を呈してきた。そこへ加えて投機、思惑的な作用が非常に働いてきた。でございますから、ほうっておいてもどんどん上がっていこうとするのに、投機、思惑等のいわば油を注ぐようなことが放置されておったと言わざるを得ないと思うのであります。そういうことが現在の状態になってきておるんじゃないか。したがって、まず需給の面から見て地価をどういうふうに考えていくべきであろうか。少なくとも投機、思惑的な土地を対象として金もうけをしようというような手段を残しておくというようなことば、これはどうしても排除しなければいかぬじゃないだろうか。これははたして国会議員皆さまの共感を得ますかどうか。とにかくそういう点で、土地に関する諸税の立てかたという、これを押えていく非常に大きな作用をするんじゃないか。したがいまして、この需給関係は、土地自体をこれは動かすわけにはいかぬのでございますから、土地を利用するものをどう動かすか、あるいは利用計画をどう立てるかという面と、それからそういう第一次的には投機、思惑の対象にならないように、なせないように税を仕組んでいくということが大事じゃないかと、そういうことで、この夏には結論が出そうでございます税制調査会の土地部会の結論に期待をかけておるようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/57
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058・田中一
○田中一君 この戦後の物価の高騰というもののあとをたどってみますと、土地の価格が一番おそく出てきたんです。爆発的な現象が起こったのは、池田さんが総理大臣になってからなんです。これは高度成長政策からくるところの爆発的な設備投資に対する準備としての土地価の高騰だったわけです。加えて宅地がないという形で、国が出す資金の住宅政策に出す資金が多角的な窓口を持ったために、これまた爆発的な一つの土地に対して五十倍、百倍という仮需要が起きたということが原因なわけなんです。これはちょうど終戦後の物価の値上がりを調べて、ずっとたどってまいりますと、そこにぶつかってくるわけです。しかし、本年度の予算がおおむね縮少された予算であるということによって仮需要も減るであろうし、それから金融機関の放漫な、放漫というか、貸し出しの抑制とか、金利を上げるとかいう点について設備投資を抑制しようという考え方に立っているから、若干とまると思いますが、まだ住宅政策の面で相当私は問題が残っておると思うのです。宅地がなければ金は貸しませんよというのが方針なわけなんですね。現在でも宅地がなければ住宅金融公庫の金は借りられないんですね。宅地があれば貸してくれるわけです。そこでことしの予算の規模の中で、何かあなたのほうで手を打たないと、零細な——零細というよりも低収入層の者の住宅の解決ができなくなってくる。抽せん方式をやめて、今度は困窮度というのを中心にして公営住宅ば入居させようという方針——そうだったね、確かに。そうじやなかったか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/58
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059・三橋信一
○政府委員(三橋信一君) 公庫です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/59
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060・田中一
○田中一君 公庫のほうがなりましたか。公営住宅もそういう仕組みにするとか何とかしないと、これはいかぬ。それから住宅金融公庫の場合も、何か仮需要というものをなくするような、本需要になるような方法を実はとってもらいたいと思うんですよ。そうなんですよ。住宅金融公庫の金を貸す場合、必ず土地がなければ、一つの土地に三十人、五十人も来るんです。探しに来るんです。そのために何かたくさん宅地が必要だという間違いをおかすんです、よく。だから、宅地造成しようじゃないか、こういうことになるのですよ。宅地の造成というものが、どれくらい日本の国土を破壊し、そして日本のよい環境を失わせるかということは、これはもうあなた自身でよく御存じだと思う。だから、土地価の高騰というものは、これは政府の責任です。しかし、その間違いを、縮小された規模のこの予算の今年度において、さらに宅地の値上がりをしないような方法を一つ、税制も一つの方法でしょう。しかしながら、そのために、非常に税々とくると、みんなもう感覚的に逃げ出しますからね、どんな税金でも税ということになると。特定なるそうした不動産というか、投機的に扱うという、その土地業者に対する特別たどうこうということは、これは不可能でありましょうが、何とか手を打っていただきたいと思うのです。その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/60
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061・保利茂
○国務大臣(保利茂君) いずれまた住宅問題については御論議をいただくことと思うわけでございますが、私もたとえば公営住宅の入居をきめる、あるいは公庫の融資をきめる、それがみんな、まあ生活の背景をそれぞれ異にするような人たちが何倍、何十倍と寄っておられる。それが僥幸的な手段というか、何べんやってもめぐってこない人もあれば、ぽかっと、こう一ぺんで当たるというような人もおるというようなことは、何とか是正できないものだろうか。やはり必要度、そしてそれは確実に達成さしてあげたいというような、順序を踏んで、できるだけ希望に沿うようにしていくということはできないものだろうかということで、住宅局にくふうを願って、まあ公庫のほうの融資決定につきましては、あの抽せん方式をできるだけ改善して、右に申しますような趣意をとって実施してくれるようになっておりますけれども、公営住宅の問題、入居決定につきましても、お説のように登録制でもとって、そしてあらかじめ登録を願っておいて、その入居ができるときにきめていくというようなことがとられるならばいいのじゃないかということを考えますけれども、これはなかなか事務当局も、とても現在の、何さま移動もある、生活の状況も変わってくるというようなことでございますから、きわめて流動的な中に固定的な登録制を運用してまいるということは、まあ考えてみればむずかしいことだと思います。でありますから、できるだけ今日はそういうことでなしに、そういうところに頭を置かないで、とにかく住宅難という、この不足、欠乏感から解放するということが、もう第一じゃないかというところに頭を置いて、施策を講じていくことが大事じゃないか。そこで、いま田中さん御心配のようにそうやるあまりが、また宅地の問題をめぐって地価を引き上げていく心配がくる。この点は十分気をつけてまいらなければならぬと思うわけでございますから、最善を尽くしていただいて、私はどうこうできるわけじゃございませんけれども、ひとつ住宅公団、住宅公庫、住宅局を中心にしまして、くふうをしていただくように督励をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/61
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062・田中一
○田中一君 きょうはこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/62
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063・瀬谷英行
○瀬谷英行君 この前説明のあった中で、道路関係予負の中に「国際空港関連の高速自動車国道等緊急に整備を要する区間の建設を促進する」という事項がありますけれども、国際空港はいま非常に問題になっているところであります。国際空港ができ上がらないことには、道路も緊急に整備を要するということにはならぬと思うのでありますか、一体その国際空港ができる見通しがあるのかどうか。もちろん見通しがあるというたてまえで道路も整備をするということになるんでしょうけれども、これはやはり両方とも勘案しながらいかないといけないと思うんですが、この点は一体どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/63
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064・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 新空港につきましては、いろいろの障害もあるということは承知いたしておりますけれども、政府の内部意見としましては、これはもう計画どおりぜひ実現をするということを承っておりますし、で、あそこに向かう道路の整備につきましては、建設省当然の責務でございますから、準備を進めさせていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/64
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065・瀬谷英行
○瀬谷英行君 道路はできたけれども、空港ができなかったということになると、これは間の抜けたことになると思うんです。そこでやはり国際空港の問題なんかは、やはり建設省の所管じゃないかもしれぬけれども、相当考えながらやらなければいけないんじゃないかという気がするんです。いま全学連が行ってにぎやかに騒いだとか、いろんなニュースもありますけれども、地元の反対というのは、きわめて強硬である。しかも空港建設のための土地買収計画というのは、一向に進展していない。進展する見通しも立たないという状態では、空港そのものの建設もどうも一体いつのことになるのやらわからないという気がするわけであります。だから、そういう点はやはり建設省自体も多少は考えながら道路のほうは進めていくべきじゃないかと思います。これは特に私がいま質問しようと思ったおもな問題じゃございませんけれども、前回の説明でちょっと感じましたので質問したんであります。
私からお聞きしたいのは、この前の委員会で質問いたしましたけれども、砂利行政の問題なんです。
聞くところによると、砂利採取法改正法案というのが、まあこれは通産省の所管であって提案をされるということを聞いておりますけれども、いま起こっております問題は、いまの法律では砂利の乱掘によるいろいろな公害というものに、手がつかない状態である。これを一体通産省のほうの所管の砂利採取法といったようなことだけで問題が解決できるのかどうかという心配があるんですけれども、建設省としてはどのようにお考えになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/65
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066・保利茂
○国務大臣(保利茂君) これは、もう瀬谷議員の御心配になるような点が多々あるようでございますし、いま通産省で砂利採取法の改正を企図せられておるようでございますから、この機会に砂利採取法の主管関係について、建設省も通産省と同様の立場に立って監督ができ運営ができるようにしてもらいたいということで事務折衝を続けておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/66
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067・瀬谷英行
○瀬谷英行君 きのうも、私地元の人たちからいろいろ聞いてきたんでありますけれども、埼玉県の場合は県のほうで、たとえば金勝山というところでありますけれども、山砂利の採掘をする、こういう計画でいま仕事を進めている。ところが、運ぶ道路というものがそれに伴わない。地元の人たちは非常にダンプカーがピストン輸送をするようになる事態をおそれているわけであります。砂利のほうは通産省所管だけれども、道路までは責任を持てないということになると、地元の人としては非常に困るのじゃないかと思う。この建設委員会で視察をした飯能地区なんかにしましても、三メートルの幅の道路を二メートル半のダンプカーがピストン輸送をするということになると、これはどんなことになるか考えただけでもわかる。で、こうなるとやはり河川敷きの問題もあるし、道路の問題もあるし、それから砂利そのものの計画的な採取ということも考えなければならないということになるんですから、業者に対する取り締まりという程度の小手先細工ではなくて、国として砂利資源をどうやってこれから掘っていったらいいのか、またその採掘に伴う公害を防止するためにはどうしたらいいかということは、もっと広い視野で考える必要があるんじゃないか、こういう気がするわけであります。いま準備されている砂利採取法だけで間に合うという気がしないんでありますけれども、その点は大臣としてどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/67
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068・保利茂
○国務大臣(保利茂君) たいへんごもっともな御意見でございまして、私どもも本来的にはそうあるべきものだと考えるわけでございますが、全体計画を立ててやるということが、なかなか実際はむずかしいというようになっているものでございますから、むずかしゅうございますけども、できるだけその公害防止ということは、人命尊重しなければならぬという上からいたしまして、最も大切に考えていかなければならぬ点であろうと思っております。なお、いま企図せられております改正案のいきさつ等につきまして、河川局長から御説明をお聞き取りをいただいて御審議をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/68
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069・坂野重信
○政府委員(坂野重信君) 御説明いたします。いま通産省で考えております砂利採取法の改正の要点を御承知と思いますけれども申し上げますと、まず第一点は、従来この砂利採取業者は届け出制でございましたが、これを変えまして登録制にしようということで、そういうことでまず業者の質の向上をはかりたいということが一つでございます。第二点は、採取業者が砂利採取を行なう場合に、詳細な採取の計画を提出させるということで、河川の区域におきましては、もちろん河川の管理者がこれを審査いたしまして、河川区域外におきましても、そういった公害のおそれがあるかどうかというものを共同で審査をいたしまして、その段階で先ほどお話のございましたダンプ、トラックが道路に支障を与えるというような問題も、採取計画の段階で今後は十分チェックしようというぐあいに考えているわけでございまして、それから第三の点は、その砂利採取業者が、公害あるいは砂利採取に伴ういろんな災害を起こすようなおそれがあるかないかというようなことも十分チェックいたしまして、必要に応じまして必要な改善措置を命ずるようにいたしておりますので、この点は、建設省といたしましても、十分その点が実行できるように、法の中に織り込むように強く通産省とも連絡しております。それから砂利採取業者が砂利採取を行なう場合に、現場ごとに砂利採取の主任者というものを置くことにいたしまして、そういった資格の要件等についても、法律にうたうこととしておりますので、そういった現場の砂利採取が放任状態にならないように、そういった責任の主任者というものを現地に置くことにいたしておりまして、この点につきましても通産省と十分協議いたしております。
なお、いろいろ先ほどお話のございました埼玉県の飯能等につきましても、その後公害の防止等につきまして、県のほうから十分改善措置をやらすようにということにいたしておりますので。御参考のために申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/69
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070・瀬谷英行
○瀬谷英行君 この砂利採取法によっていろいろな問題はある程度解決をできるのではないかという期待をする向きが地元にあるわけでありますが、地元の人たちが通産省へ行って聞いたところによると、法律はできてもあれは山砕石には適用にならないのだと、こういうことだと、こういうことを言われてたいへんにショックを受けたということも聞いておるわけであります。一体、適用の範囲が、これから相当多く問題となるであろうところの山砂利の採掘には適用にならないのか、なるのか。そういう点まできまっているのか、いないのか。そういう点伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/70
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071・坂野重信
○政府委員(坂野重信君) 山砕の問題につきましては、別の法律がございまして、山のいわゆる山砂利それから山砂等につきましては、この砂利採取法が適用いたしますけれども、山の砕、いわゆる砕石の問題につきましては、採石法というものが別にございますので、その点もひとつできれば同時に改正をしてもらいたいということで、建設省といたしましては、できるだけ鋭意通産省に対して、これもひとつあわせて改正してもらいたいということを強く要望しておる段階でございますが、まだ通産省といたしましては、その決意が現在のところ改正の動きまで至っていないようでございます。極力ひとつ建設省としては強く通産省に働きかけているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/71
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072・瀬谷英行
○瀬谷英行君 そうすると、目下のところは採石法だけであって、山砕石の問題は砂利採取法の適用にならないということになると、問題はやはり未解決のまま残ってしまうのじゃないか、こういう気がするのです。川砂利のほうは、もうすでに取り尽くしてしまっているのだから、もうなくなってしまっているので、これをいまさら砂利採取法をこさえてみたところで、あまり、まあどちらかというと法律のほうがおくれてしまった、バスに乗りおくれた感じがするわけです。これから問題になるところの——川砂利がだめになってからは丘砂利から山砂利とだんだん奥に入ってくるわけです。それが今度肝心かなめの法律の網にひっかからないということになるとこれは意味のないことになるのではないかと思うのですね。こういうざる法みたいなかっこうになったのでは困ると思うのですよ。しかも現実に起きている問題はたくさんあるわけですから、この起きている問題が、でき上がる法律によって少しもひっかからないということになると、これは政府としてもまことに責任上手抜かりということになると思いますね。だから、やはりこういう何にもひっかからないような法律、救えないような網をつくったところで、私はしょうがないと思うのです。その点はどうなんでしょう。通産省にまかせるだけで、建設省としてはこの問題についてどういう方針で臨むのかという、はっきりした方針というものはまだできていないのですか。その点お伺いしたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/72
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073・坂野重信
○政府委員(坂野重信君) 先ほど申し上げましたように、山砂利それから山砂、それから丘砂利、丘砂というものは、一切砂利の採取法に入るわけでございまして、いわゆる山の岩石を切るというかそういったいわゆる石切り、石切り的なものが採石法に入るわけでございますので、そういったケースは比較的公害を起こす頻度あるいは状態も少のうございますので、まあ大体この砂利採取法を改正いたしますというと、先ほど申し上げましたように、川砂利、川砂はもちろんでございますし、それからたんぼのそういった丘砂利、丘砂、それから山の砂利、いわゆる山砂利、それから山砂というものは一切この中に入ってまいりますので、いわゆる山の岩石を切るほうの問題については、別な法律がございますので、比較的そちらのほうは公害を起こすケースが少ないのじゃないかと思いますので、大体砂利採取法でほとんどのケースがカバーできるのじゃないかというぐあいに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/73
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074・瀬谷英行
○瀬谷英行君 しかし、山の岩だって、切れば砂利になるわけですよね。切れば、砕いたものは砂利だけれども、砕く前は岩だったんだからこれは別であるということになると、これはやはりしり抜けということになると思うのですね。飯能なんかの場合は確かに岩を砕いているのだけれども、岩を砕いているという点では採石法だけの適用ということになるかもしかもしらぬけれども、砕いてしまえば砂利になるわけだからね。その点は特別に見のがしてやるという配慮でやっているとは思われませんけれども、そういう点は、やはりどうなんでしょう、全部含めるというようにするのがほんとうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/74
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075・坂野重信
○政府委員(坂野重信君) 先ほど申し上げましたように、山の岩石の部分だけはこの砂利採取法除外されるわけでございますが、岩石を掘ってそれをこわして、その影響がそういった河川だとかいろいろな方面に公害を及ぼすという場合には、それぞれ、河川法なり砂防法なり、海岸の場合は海岸法、港湾の場合は港湾法、そういう問題で、明らかにそれが公害のおそれがあるというような事態がはっきりいたしますれば、その段階におきまして、これは従来でもやっていることでございますので、そういう面で、持っていき方を実際の運用面で強化すれば、当面は砂利採取法を第一段階で改正をいたしまして、できれば先生のおっしゃるように引き続いて採石法のほうも改正するように持っていけば理想的だと思いますけれども、当面は砂利採取法のほうの影響が非常に大きいので、しかも範囲も広大でございますので、それを第一段階で改正をいたしまして、そうして採石法の問題につきましては当面はひとつ運用面で強化していく、そういうぐあいに考えておる次第でございます。もちろん通産省に対しては、われわれ事務的に強く採石法の改正もあわせて行なうように強く勧奨しているわけでございます。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/75
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076・沢田政治
○沢田政治君 いま砂利の問題が出ましたので関連した質問をいたしますが、私ただいまからお聞きすることは、決算委員会等で聞くことがふさわしいと思いますが、予算の問題、行政の効率をあげる問題と非常に重要な関連がありますので、あえてお聞きしたいと思いますが、特に建設行政、土木には非常に爆薬が使われるわけですね。いま大体、軍事用の爆薬は別としても、土木のための爆薬はおもにダイナマイト、カーリット、これだと思いますが、それ以外の爆薬が考えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/76
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077・志村清一
○政府委員(志村清一君) ただいま先生のお話しいただきましたダイナマイト等以外はあまり使わぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/77
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078・沢田政治
○沢田政治君 ちょっと何といいますか勉強不足だと思うのです。アメリカの土木事業ではほとんどダイナマイト、カーリットはもう過去のものになっているわけです。もっと単価の安い、これは日本でもつくっていますよ、硝安油済潤爆薬、略称アンポ爆薬というものがあるわけです。コストについては正確な資料はここに持ってきておりませんが、持っております。通常のダイナマイト、カ−リットの半分ぐらいで済むわけです。製造工程も非常に原始的で、まぜるだけでも爆薬になるわけですね。そのものだけでは爆発しません。充てんして、ダイナマイトを基剤にして使えるわけです。どこでもつくれるんですよ。金嬉老が爆薬か何か、ダイナマイトでショッキングな話題をまいておりますが、非常に革命的な爆薬なわけですね。これはもう日本でも非常に出て、一部の鉱山等で使っている。ところが、これを使い出すと、既存の産業、火薬業界といいますか、非常に大きいショックを受けるわけです。したがって、ぼくは前にこの点を衆議院においてお聞きしたことがありますか、化学局等はこれを押えよう、押えようとしているわけですよ。非常にこれは安いんですよ。だから、私何ていうか、建設行政等でも、予算等においても非常に大きく考えなくちゃならぬ点が出てきているのじゃないかと思うのです。こういう事実を知っておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/78
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079・保利茂
○国務大臣(保利茂君) どうも、せっかく教えていただいているようですが、建設官僚もよく知らぬようでございますから、至急ひとつ研究をさせていただきたいと思います。そうしてそういうものが、予算を効率的に使っていく上に効果があるということであれば、通産省化学局がどういうふうに言いますか知りませんけれども、用いべきものであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/79
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080・沢田政治
○沢田政治君 これは皆さんのほうはわからぬけれども、山砂利、山の石も砕けば砂利になるという話がありましたが、当然で、ああいう採石業者はちゃんと知っているんですよ、すっかり知っているんです。土建業者、隧道工事に使わしてくれ、使わしてくれ、あんな安いものがあるのに、なぜ使わせないのかという陳情もどんどんきています。通産省で押えているんです。だから、通産省にもこの点を何かの委員会で追及したいと思いますが、土木の面では爆薬というものは非常に需要が多いわけでありますから、私はそういう点を通産省と明確に連絡をとってもらいたいと思うのです。そういうものがあるそうじゃないか、一体なぜそれをつくらせないのか、国の予算というものは、非常に効率的に行政効果をあげるべきじゃないか、こういう点をやはり建設行政の立場からも強く要請していただきたいと思うのです。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/80
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081・藤田進
○委員長(藤田進君) いまのはどういうものですか。そういうもの以外に施工上の器具、機械とか、そういういろいろなものがどんどん進んでいるわけで、それだけに建設省は試験研究所を持ってやっている。それが刻々現場に直轄工事、直営工事もあるはずなのに、それを連絡してこないというのでは、いろいろな機構、設備を持っていても、さっぱり機能が作用していないことになる。その辺をひとつこれを機会にもっと筋を通してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/81
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082・沢田政治
○沢田政治君 もう一言。日本には火薬取締法という法律がありますが、アメリカではこれを爆薬扱いしないのですね。だれでもつくれるのです。ところが、日本の場合は、既存の火薬業界の利益もあるでしょう、そういう意味だと私は思いますが、それを火薬取締法というものの範囲に入れているのですよ。だけれども、これは爆薬だといってもそう非常に危険視されるものではない。そのままでは爆発しませんからね。だから、たとえば青函トンネルを掘ることでも、あそこでちょっとした建物をつくってだれにでもどんどんつくれるんですよ。肥料の原料の硝安と油をまぜ合わせるだけで結晶になりますから、これは非常に画期的なものということになります。だから、これはやはり建設省で研究なんというものじゃない。もう少し原始的なもので、もうだれにもつくれるのですよ。もうつくっていま使っていますよ、鉱山なんかで。ただし、鉱山が自分でつくるぐらいで売っちゃいかぬということを言っている。火薬産業に大きな利害問題が出てくるからね。だから、そういう面を一ぺんぼくは解明していただきたいと思うのです、なぜできないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/82
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083・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 私の建設省のほうでもひとつ十分研究させていただいて、御意見のあるところを生かしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/83
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084・藤田進
○委員長(藤田進君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/84
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085・藤田進
○委員長(藤田進君) 速記を起こしてください。この通産省化学工業局の竹村窯業建材課長が、これが採石法あるいは砂利法の担当課長のようです。そこで、あなたこの間飯能にも一緒について行ったように思うんですが、あれ自身が、いま指摘したように、問題が起きて何ら解決の曙光を見ていない。それに似通ったことは他にもあります。他にもありますが、そこで採石法、それから砂利法とこの関連ではいま河川局長からの答弁では、砂利法は一部改正——きわめて不適当ですか、内容に触れません。ところが採石法についてば改正に至らずというどうも雲行きのようである。これはまことにどうも遺憾なことだと思うし、それから第二の点は、いまの飯能の例に見るように、先ほど私申し上げた材質自身もこれは問題がある。そこで選別していない、そういう機械もない、これは。山を掘って粉になるものはふるいで落ちますよ。たまたま粉にならないと大量にいいものと悪いものが非常にまじっております。この前この委員会でも見本を持ってきて、手で握ってみてもこわれるようなものができているんですね。そういうもの、さらに採石法によれば、通商産業局長は、公共の福祉その他の施設に問題があれば——一々読みませんが、そういう仕事を差しとめることもできるようになっている。それも何らやっていかないということについてどういう考えを持っているのか、あるいはどういう具体的な対策を講じているのか。現実に問題にはなっているわけですね。市議会自身も、通常にはどうもこの機能が発揮できないで失われているような状態も出てきているように思うのです。これらについて、ひとつ最近の事情を含めて御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/85
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086・坂野重信
○政府委員(坂野重信君) ちょっとその前にお答えしたいと思います。
先ほどの議論は、瀬谷先生と一般論でお話ししたわけでございますが、埼玉県の飯能の問題については、私どもは実はすべて手を打つべきことはすべて打ち尽くしたというように考えているわけでございまして、河川に対するいろんな公害を及ほすようなことは、現地に再々係官も行っておりますし、県の県知事さん、あるいは県の土木部長等を通じて、多少事務的な問題はいきさつがございましたけれども、現地の実態につきましては、もう一切河川管理上支障がないようにということで、直接的には現場は県の知事さんが管理している場所でございます。建設省の直接の管理する場所ではございませんが、監督上の責任がございますので、そういう観点から県知事に対しては、十分この問題を河川管理の支障のないようにやってもらいたい、それからいろいろなトラブルが起きている問題については、特に知事さんの責任においていざこざのないようにやってもらいたいということを再々勧告もしておりますし、それから現地につきましても、河川の公害に対しては支障のないようなことに現在いたして、その処置も大体終わっております。それから現場の採取のほうのいろんな表土の取り除きも終わったようでございまして、現在大きな雨が降っても、おそらく河川に対してはさしたる支障はないと私どもは考えております。それから河川を横断する道路も、どうも聞くところによりますと、十分措置いたしまして、河川を横断する道路の上にがっちりした構造的な鉄材等も使いましてやっておるということを聞いておりますので、したがいまして、私どもはそういった公害上の問題については、すべて処置は終わったと実は考えておるわけでございますので、その点すでに御了解になったと実は私ども考えておるわけでございます。
材質の問題については、通産省のほうでございます。私のほうがいろんな河川工事あるいは道路工事で、あの現場からとれた材料を使う場合には、現地においてもいろんなそういった砕石の検収をやっておりますので、その検収段階で、もしその材質が土木工事上適さないということでございますれば、その段階においてこれはチェックできる問題でございますの、山元のほうの問題につきましては、むしろ通産省の所管でございますけれども、建設省の観点で言うと、実際に現場に持ち込まれて、その工事に使う段階において十分チェックすることができるというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/86
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087・竹村豊
○説明員(竹村豊君) 私も昨年の十二月十三日の当委員会の中藤採石場の御視察の際に随行した者の一人でございまして、つぶさに現地の事情を視察してまいったわけでございます。
ところで、役所の内部の組織のことを申し上げるとたいへん恐縮でございますが、いま委員長御指摘になりました採石法ば、実は通産省の中で鉱山局で所管しておるわけでございまして、砂利採取法は化学工業局で所管しているわけでございますが、いずれにしろ問題が問題でございますので、当省といたしましては鉱山局と通産局の鉱山部長も現地の視察に随行したわけでございます。そこで、そのような視察の結果亜びに当委員会の御意見等も拝聴いたしまして、鉱山局に私、確かめてまいったところによりますと、昨年の十二月十五日に東京通産局長は大宮生コンに対しまして、まず第一に、採掘方法につきましては、階段式の傾斜採堀方法を採用すること、第二といたしまして、土砂廃石の河川への流出を防止するため土どめを設けること、第三点といたしまして、河川の汚濁防止のために、廃止はすみやかに採石場外へ搬出すること、第四といたしまして、ハッパによる破砕岩の道路への飛散を防止する等の所要の措置を講ずること、以上四点を骨子といたします採石法第三十二条の二の規定によります公害防止方法の認可を受けるように命令を発したわけでございます。これを受けました大宮生コンは、十二月二十三日、岩石の採取のための土地の堀さく方法、それから岩石の破砕方法、それから庭石の処理方法、公害防止措置を骨子といたしますところの公害防止方法認可申請書を、東京通産局長あて提出いたしました。これを受けました東京通産局長は、埼玉県と協議した上で、ことしになりまして一月の二十三日、大宮生コン株式会社に対しまして、同方法の認可を行ないました。
以上によりまして、本件に関する公害は防止できるというように通産省は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/87
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088・瀬谷英行
○瀬谷英行君 現地におけるその河川管理上の問題は、かなり改善をされたというふうに私どもも聞いております。しかしながら現地から市街へ出るところの道路、この道路については、依然として何ら道路の拡張なり整備がされたという気配はないわけです。したがってこの三メートルそこそこの道路を、二メートル半のダンプカーが毎日往復するという問題は、未解決なんです。これらの問題で地元の人たちが不満を表明するというのは、しごく当然だろうと思うし、現地における市議会はいまだに議長の不信任が議決をされず、不信任をされた議長がやめないということもあって、市議会は開かれないままの状態です。それで市議会が開かれないまま——内部事情はよくわかりませんが、非常にごたごたしており、山砕石採掘反対の特別委員会というものがあって、この特別委員会と不信任をされた議長とが対立をしたままになっておる。だからこれらの問題を解決をするためには、やはり市議会を正常な形に持っていけるようなもろもろの問題の解明が行なわれなければならないと、こう思うわけでありますけれども、いま河川局長の話を聞くと、すべての問題が解決をしたというふうに聞き取れるわけです。しかし問題が解決したならば、地元でごたごたするわけがない、問題がいまの河川局長のことばどおりだとすると、問題がないのに地元の市議会がことさらに混乱をしておるというふうに聞き取れる、だとすると、これは地元の実情と実際とを照らし合わしてみなければわからぬことになってくる。それは県のほうの報告でそういうふうになっておるのか、あるいはまた建設省自体として現地について問題は解決したという認識をもっているのか、その点いずれなのか、この際お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/88
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089・坂野重信
○政府委員(坂野重信君) 河川関係のほうの問題については、おそらく瀬谷先生も認めていただいているように、十分のできるだけの手当てはやらせておりますし、実はその点を重点にお話ししたわけであります。道路問題について私が前にお聞きしたところによると、道路の補修費がどのくらいかかるのだということで補修費の額が話がついたとか、つかぬという話が耳に入っております。そういうことでまだそういうトラブルが残っているのではないかと思いますが、道路問題はこれは直接の公害といいますか、県当局といいますか、県知事さんの責任問題であると私は思うわけでございますので、そういう問題も含めて、かねて大臣の御意向もございまして、私ども県知事に強く、知事の責任において事態を解決するように強く勧告しておるわけでございますので、あるいは道路問題はそういう意味でまだ調整が残っておるのではないかと思いますが、この点につきましては、引き続き知事さんの責任においてこの問題を解決するという、こちらから指導をするよりほかに方法がないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/89
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090・瀬谷英行
○瀬谷英行君 それから先ほどちょっと話になりました砂利採取法の問題と採石法の関連ですけれども、その間たとえば採石法のほうも砂利採取法と同じような改正が望まれるという意味の発言がありましたけれども、この点の調整がついていないということですが、調整がついていないということは、そうすると、その砂利採取法は、たとえば飯能の山砕石なんかの場合には適用にならないというまま改正提案をされようとしているのかどうか、通産省側の見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/90
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091・竹村豊
○説明員(竹村豊君) 砂利採取法の件につきましては、先生に答申案をお示しいたしまして当時御意見を伺っておりますように、いろいろな骨子を考えて、現在成案を得る努力中の段階でございます。繰り返しになりますが、骨子だけ簡単に御披露さしていただきますと、まず第一に、従来は自由営業でございました砂利採取業者につきまして、登録制をしきまして、砂利採取業者の資質の向上をはかってまいりたいというふうに考えております。第二の骨子といたしましては、個々の採取場で砂利を採取する場合には、あらかじめ都道府県知事等の認可を受けることといたしまして、このときに採取方法あるいは災害防止の措置等につきましてチェックするように考えております。第三に、現に災害が生じております場合には、事業停止命令も出せるようにするというようなことで、監督規制を強化してまいりたいというふうに考えております。
以上が改正案の骨子でございますけれども、このほかに、地元市町村の意見を反映するために、市町村の要請の規定でございますとか、標識の掲示義務など、災害防止の観点から所要の規定を整備したいということで、現在関係各省と折衝中でございまして、できるだけ早く成案を得まして国会の御審議をいただきたいというふうに考えております。問題の採石法の件につきましては、私ども申しわけございませんが、直接の担当がございませんので、しかるべき方に御質問いただきたいと思いますが、先生の御意見は、持ち帰りまして十分関係の部局にお伝えしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/91
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092・藤田進
○委員長(藤田進君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/92
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093・藤田進
○委員長(藤田進君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/93
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094・瀬谷英行
○瀬谷英行君 問題をいろいろ論議する場合に、一体建設委員会で論議するのが適当であるのかどうかということから考えていかないというとやりにくくなるわけですよ、これは、所管は通産省でもって建設大臣は何となく聞き役に回っているということだと、これはむしろ商工委員会へ行ってやったほうがいいということになってしまうのです。だから、砂利の問題は、概念的には私は建設委員会が妥当だと、こういうふうに考えたのでありますけれども、何か先ほどのお話を聞くと、採石法と砂利採取法とは同様な方向でもって解決がいまされようとはしていない、意見調整等がまだなっていない、それらの点については通産省とも連絡をしていると、こういう程度ですね。非常に靴の上から足をかいているような、こういう感じがするわけです。だから、根本問題として建設委員会ではもう全くこの砂利の問題については通産省のほうにまかしてしまって、特別に建設省としては直接にはこれは参画をしないと、こういう方針なのか、どうなのか。そういう方針であれば、これは建設委員会で審議をするというよりは、むしろ商工委員会で審議をするほうが妥当であるということになってしまうわけなのですが、その点はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/94
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095・保利茂
○国務大臣(保利茂君) だんだん前回から瀬谷委員の御言発を伺っておりますが、まあ砂利採取法ないしは採石法、その所管省が通産省になっている、これ、現状はそうでございます。したがって、そういう上からいたしますと、通産当局が主管でございますから、そういうお扱いをいただくことが妥当であろうかと思いますけれども、だんだん伺っておりますと、河川に関する部分ないしは公害に及ぼす影響等がありまして、特にこのもの自体が砂利、採石というようなものでございますから、建設省としても持たざるを得ない、そういう上からして、まあ瀬谷委員の御意見を伺いつつ処置をとるべきものについてはとってまいっておるような次第でございます。しかし、法律はやっぱり通産省が主管省でありま。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/95
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096・相澤重明
○相澤重明君 関連で、大臣、私はいまの通産産の所管というのは、やはり商品の関係でこれはなると思うのですよ。やはり建設省は基本の国土開発についての問題点をはりきりしないと、そういう両省の共管なのか専管なのか、問題点の帰趨に大きな影響を与えると思う。私は、この前も国土開発というものは建設省のまず基本である、こういうことからいけば、広域な意味でいわゆる鉱山局が監督するとか、そのもとのいわゆる法令適用とかいうことで建設省がやっぱり考えていくべきだと思うのです。商品としての問題は確かにあると思うんです、通産省関係は。そういう意味での国土開発についての基本というものについて先ほど田中委員から言われたように、山をかってに掘ってしまうとか、宅地をかってにつくってしまうと公害が起きるというのは、国土開発をどうするかという基本問題かできていないから、そういうことになるんだと私は思う。そういう点からまずひとつ検討を願うこと、それからいま一つは、建設省が多額な投資をする場合ですね。たとえばおととい、大臣が所信表明されたように、投資をする場合、二兆円のそれでは道路予算についてどうするんだ、需要供給というものはどうなっているのかということ。だから私は先ほど委員長に資料要求ということでちょっと話したんですが、いま、砂利の埋蔵量というものは日本ではどのくらいあるのか、建設資材としての埋蔵量というものは一体どのくらいあるのか。そうすると、国土開発の中で、国土を荒廃さしていってもなおかつ建設資材として間に合わないという場合はどうするのか。間に合うという中でそれが計画的に行なわれておるのか行なわれていないのか、計画性がないから、どこでもかってに業者が自由気ままにやっている。こういうようなところに問題点が私はあるんじゃないかと思うんです。ですから、そういう計画性を、五カ年計画なら五カ年計画に需要はどのくらいあるのか、それに対する供給はどうできるのかという問題点を明らにするように政府がしなければ、業者を頭から押えるということはできませんよ。業者は必要だから、買い手があれば幾らでも何とかくめんして持っていかなきゃならぬということになってきますよ。私は国会が国民のそういう自由営業というものをどう規制するかということは、そういう基本の問題をきちっときめておいて指示しない限り、これは幾ら法律をきめたってなかなか守られない、守られないということでは、これはいかぬと思うのです。そういう点で一体砂の埋蔵量というものは、大体推定でけっこうだからどのくらいあるのか、それをいまの建設省のいわゆるこれからの道路にせよ、建築にせよ、そういう需要に対してどのくらいのいわゆる必要量、量があるのかということを、ひとつ推定でけっこうですから出していただけませんか。そうでないとこれはなかなか、さっきの瀬谷さんのお話ありましたのですけれど、主管の問題でもなかなかはっきりしないし、事実は、予算をつくっても、それだけの資材のいわゆる問題についてコストさえきめかねるということが、私は出てくると思う。
それから第二の点は、おそらくいまの研究の進んでおる中では、いまの原石なりあるいは砂利、砂の問題が推定埋蔵量によってももう先が見える。そうすると化学製品をつくらなければいかぬじゃないか、こういうことまで実験されつつあると私は思うのですよ。ただコストの点において、それが十分需要にまあ間に合わぬと、こういう点にあるのじゃないかと私は思うのだけれども、そういう点についても、もし建設省が、先ほど委員長の言うとおり、いろいろな面で研究されておるわけですから、この建設資材についての、砂利、砂そういうようなものについての研究があるなら、この際お示しいただきたい。第一は、そういう資材関係についての砂利の埋蔵量というものは、推定どのくらいあるのか。五カ年計画とか十カ年計画の道路予算なり住宅計画なりやっておるようですが、その需要はどのくらいのものが必要なのかということをお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/96
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097・坂野重信
○政府委員(坂野重信君) お答えいたします。
この問題につきましては、実はこれは私どものほうがお答えするより、むしろ通産省からお答えいただくのが至当かもしれませんが、通産省の中に骨材小委員会というのがございまして、その中に建設省のほうも入っておりまして、それで骨材の需要供給がどうなるかということで、建設省といたしましては、その中に川砂利の埋蔵量がどのくらいあるか、何年ぐらい先になるとこれがなくなってくるのか、逐次そういった砕石の点なり材料の点を考えなければならぬといったような資料を、一応各省が集まって協議いたしまして、そういう資料ができております。後ほど取りまとめます。通産省のほうからも……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/97
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098・藤田進
○委員長(藤田進君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X00419680307/98
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