1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十五日(木曜日)
午前十一時十四分開会
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委員の異動
四月二十三日
辞任 補欠選任
近藤 信一君 椿 繁夫君
小平 芳平君 鈴木 一弘君
四月二十四日
辞任 補欠選任
椿 繁夫君 沢田 政治君
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出席者は左のとおり。
委員長 藤田 進君
理 事
稲浦 鹿藏君
内田 芳郎君
山内 一郎君
委員
大森 久司君
小山邦太郎君
中津井 真君
村上 春藏君
沢田 政治君
田中 一君
春日 正一君
国務大臣
建設大臣 保利 茂君
政府委員
建設政務次官 仮谷 忠男君
建設大臣官房長 志村 清一君
建設省都市局長 竹内 藤男君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 博君
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本日の会議に付した案件
○都市再開発法案(第五十五回国会内閣提出)(継
続案件)
○都市計画法案(第五十五回国会内閣提出、第五
十八回国会衆議院送付)
○都市計画法施行法案(内閣提出、衆議院送付)
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001・藤田進
○委員長(藤田進君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
まず委員の異動について報告いたします。
去る三月二十三日、小平芳平君が委員を辞任され、その補欠として鈴木一弘君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/1
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002・藤田進
○委員長(藤田進君) 都市再開発法案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/2
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003・春日正一
○春日正一君 この前の続きで質問しますけれども、この参加組合員という制度について、この法案の二十一条で、再開発組合で施行する場合、不動産賃貸業者、商店街振興組合その他政令で定める者で定款で定められ、参加を希望するものは参加組合員となることができると、こういうふうにいっているのですけれども、「その他」というものの中には、どういうものが大体考えられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/3
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004・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 地方公共団体、それから日本住宅公団、地方住宅供給公社等を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/4
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005・春日正一
○春日正一君 すると、それ以外には考えていないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/5
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006・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) あと考えられますのは、借家人が自分で床を買いたいというような場合があると思いますので、そういう場合の借家権者を考えております。ただいまのところ、あるいはあと不動産賃貸業者もございまするが、あるいはその住宅を分譲する業者、そういう人も参加組合員にして考えてまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/6
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007・春日正一
○春日正一君 それで実際見ますと、たとえば渋谷の再開発促進協議会という団体がありますね。それの参加メンバーを見ますと、放送協会から帝都高速度交通営団、京王帝都電鉄、小田急、それから西武百貨店、東急、東急百貨店、東急不動産、それからその他ずっと大きな会社が名前を並べて、銀行なんかもずっと名前を並べてこれやっているわけですね。すると、これはいま法律できていないのだから再開発組合ではないんだけれども、現に渋谷の道玄坂、あの辺の再開発をやるということで、そういういろいろな会社から銀行から、そういったところに利害のある者が参加してそういう促進協議会というものをつくっておるというようなことを見ると、単に不動産会社というようなものだけでなくて、当然金融機関だとかあるいはデパートだとか、そういったようなものが参加してくるんじゃないかというふうに、まあこれを見れば思われるのですけれども、そういうものは絶対排除すると、不動産の仲介業者だけということになっているのですか。これは等となっておりますから、解釈は幾らでも広がるわけでしょう。そこらの意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/7
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008・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 私も十分は承知しておりませんが、渋谷の再開発協議会というのは、現在渋谷の駅前が非常に込んでおりますので、あの駅前広場を中心にしましてあそこの広場を立体的に使うとか、そういうようなことを何といいますか、研究協議するというような意味の協議会だというふうに承知しておりますが、詳しいことは承知しておりません。それから、銀行とか何かがたとえば支店を持っておるような場合に権利者として入ってくるということは考えられますけれども、現在のところ、金融機関を直接参加組合員にするということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/8
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009・春日正一
○春日正一君 もう一つ別なこれはケースになるわけですけれども、やはりこの巣鴨の拘置所のあとのあと地をつくる新都市開発センター、これもまあ類似なものですね、名前のついた。これの出資者を見ると、三菱地所とか西武百貨店、西武鉄道、大成建設、東京電力、三菱銀行、東宝、日本航空、富士製鉄、その他ずっとあれですね、単に不動産仲介業者じゃなくて、百貨店とかあるいは日本鋼管から富士製鉄、三菱電機まで関係あるものが入って、あれは一つの会社があのあと地をもらってあそこへ事業やろうと——もらってというよりも、それを交換して、よそに刑務所を移して、そこにビルを建てるというような事業をやっている。そういうような例もすでに出てきているんですね。そうすると、この「等」というようなものが実際仕事をやっていく上で必要だということで、広げられていく。いま立案のときの考えは、不動産仲介業者というようなことに限られて考えたとしても、実際仕事をやっていく上で、この「等」ということばが幾らでも広がっていく、そういう可能性というものは含まれているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/9
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010・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 参加組合員という制度は、区画整理で申しますれば、保留地を売りまして区画整理をする、それと同様に保留床といってもいいんですけれども、処分床を売りまして、そして事業の資金を回収するということでございますので、あらかじめ買い手がございますれば、自家用のビルの上を自分の建物として引き受けたいというものがあれば、これは入れていっていいんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。先ほどの巣鴨の場合は、あれは国有地を——拘置所あとでございます。結局国有地を交換によりまして取得いたしまして、そしてそこでそういう会社の人たちが集まった会社によりまして、あそこにビルを建てる、こういう事業でございますので、もともとあそこに権利者がいたというところではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/10
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011・春日正一
○春日正一君 巣鴨の場合、それは再開発の法律の前にやっていることだし、事情はこの法律どおりということではないんですけれども、たとえばいまの答弁に出てきたように、保留床を、不動産仲介業者が保留床を売って投資したものを回収するということになるけれども、それ以外にも保留床を買ってそこでなんか事業を営みたいというような者も組合員として参加できるということになれば、その地域に利害関係を持つ、さっき読み上げたようないろんな会社ですね、そういうものが参加してくるということは当然考えられるでしょう。たとえば渋谷の場合なんか東横だとか西武だとか、そういうデパートが幾つかできて、それを相互につなぐような計画というようなものが組まれておる。そうすると、この場合当然デパートなりなんなりというものがそこの保留床を買って、そこで営業をしようというようなことになるわけだし、あるいは銀行その他の会社にしても、その地域に必要だということでその保留床を買って利用したいと、だから自分は参加して出資もするというようなことになれば、これはその解釈でいうと、必要に応じて幾らでも入るということができるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/11
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012・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) もともと保留床の処分は、用途が都市計画できまっておりまして、その用途に合っているものであれば、保留床の処分はできるわけでございます。事業の面から言いますと、早く売り手が見つかったほうが事業がうまくいくわけです。そういう意味におきまして、用途が合っていれば、あらかじめその建物を買う予約をして、参加組合員になるというのが、事業の遂行上も非常に都合がいいことではないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/12
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013・春日正一
○春日正一君 ともかく結論的に言えば、いま説明のような範囲ということに考えられているけれども、いま言ったできる場所、用途その他に応じてはもっといろいろなものが参加し得る可能性があると、そういうものは出てくるというふうに理解してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/13
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014・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 私どもは、政令で定めます場合に、そういうものを予想して定めてまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/14
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015・春日正一
○春日正一君 そうすると、大体こういうことを政令で定める場合の基準というんですかね。そういうものは一応もうあるわけですか。政令はまだできないわけですけれども、大体どういう基準でそういう参加組合員の条件というようなものをきめるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/15
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016・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 現在のところは、先ほど申し上げましたような事業主体を考えているわけでございますが、それ以外に、先ほど申し上げましたように、確実にその処分床につきまして資金を供給できるようなもの、それだけの資力、信用があると申しますか、そういうものを入れてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/16
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017・春日正一
○春日正一君 じゃ、問題を次に移しますけれども、この再開発事業というのは、どの程度の規模、たとえば事業費でどのくらいなものというようなふうに考えておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/17
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018・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 私どもといたしましては、ワンブロック、少なくともワンブロック単位の再開発というものを考えているわけでございます。道路で囲まれました一区画が再開発されるということを期待しているわけでございます。ブロックというのは、場所によっていろいろ面積が違います。平均しますと千五百坪ぐらいじゃないかと思います。地域によりましては小さいところもございます。
費用というのは、その土地のいろいろな建物、土地の評価によって違いますので、土地は買わない場合におきましても、建物をどういう建物をつくるかということによって違いますので、一がいには申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/18
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019・春日正一
○春日正一君 そういうことだと思いますけれどもね。大体新聞に出ている船橋の駅前ですか、あれは一・一ヘクタールで四十四億が予定されている。赤羽の駅前では五ヘクタールで百二十億が予定されているというような——前回私が読んだこの新聞ですね。これを見ると、そういうような費用が出ているんですがね。大体それぐらいかかるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/19
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020・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 船橋の駅前は一・一ヘクタールで、事業費で約四十一億。それから赤羽の駅西口が五ヘクタールで百十五億、そういうふうになっております。ほんの推算でございますけれども、そのくらいになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/20
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021・春日正一
○春日正一君 そうすると、この費用ですね。この負担というものはだれが負担するということになるわけですか、組合の場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/21
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022・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) これはいずれも公共団体施行でございますので、一義的には公共団体が補助金と、それから起債というものでやるわけでございます。当然保留床が売れるものですから、それによって保留床分で回収していく、こういう形で行なわれるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/22
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023・春日正一
○春日正一君 公共団体の場合にはその点非常にはっきりしているわけですけれどもね。こういう事業を組合でやろうという場合ですね。この負担は全部施行者の負担ということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/23
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024・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 組合でやります場合も、防災建築街区造成事業法を取り込みますので、あれに類した補助金、道路の管理者負担金、そういうものは当然補助金として入ってくると思います。さらに融資につきましては、相当部分住宅分が乗るわけでございますので、住宅金融公庫の融資、中高層の融資の中で特ワクで考えております。この法律でも附則で金融公庫法を改正しております。そういう住宅金融公庫の融資、それ以外に私どもとしましては、現在きちっと詰まっておりませんけれども、開発銀行等の融資を期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/24
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025・春日正一
○春日正一君 そうすると、組合でやる場合、法律で重要な公共施設の管理者に対して「整備に要する費用の全部又は一部を負担することを求めることができる。」と、百二十二条で地方公共団体は、費用の一部を補助することができる。国も、地方公共団体が補助する場合、その一部を補助することができる。というようになっているわけですけれども、これは大体ひっくるめてみて工事費の何パーセントぐらいがそういう公共の補助でまかなえることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/25
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026・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 公共施設のほうは、道路なりその他の施設の大きさによって違いますので、それは一がいに事業費に対して幾らというふうには設けない。結局出します公共施設分は、全部公共施設管理者負担金でまかなうわけでございます。
それから、もう一つの補助のほうは、従来の防災の実績で申しますと、公共団体と国の分、両方合わせまして平米当たり三千円ぐらいになる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/26
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027・春日正一
○春日正一君 そうすると、結局費用の大部分は公共施設を除いて施行者が負担するというふうに考えていいわけですね。
そこで、参加組合員制度を取り入れたというこの理由ですね。これはどういうことなんですか、根拠は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/27
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028・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 今度の法律の一番普通のやり方と申しますか、原則的やり方によりますと、土地は買わないわけでございます。地主の側に残す。そうして、そこに地上権を設定しまして建物を建てる。そして、従来の権利者に対しましては、その人の持っておりました借地権なり建物なりの価値に相応する床をただでやる。そうしますと、結局費用の償還は権利者に与えない部分、処分する床でまかなうわけでございます。これは最後になって売れるといたしますと、一時的に借金でこれをやっていかなければならない。しかし、早く売れたほうがいいわけでございます。そこで、参加組合員という制度を設けまして、そして、いわば青田売りと申しますか、早く処分の予約をいたしまして、そして、それから金を取る。それは負担金ということで書いてございますが、これにつきましては必ず取るように、強制徴収の道まで開いて確実に取っていく。それによって全部かりに処分床が参加組合員によって買い付けの予約ができるといたしますれば、組合自身は、権利者自身はお金を出さないで全部事業ができる、こういう形になるわけでございます。特に参加組合を入れる点につきましては、いろいろな注意を払っておりますが、参加組合員につきましてこれを導入した理由は、そういうところにあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/28
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029・春日正一
○春日正一君 結局こういう再開発事業というものが膨大な資金が要るから、結局そこに地所を持って現に営業している人たちだけの資力なり信用だけではまかない切れない。だから民間資金を導入するという考え方なんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/29
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030・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) そういう道を開いた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/30
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031・春日正一
○春日正一君 そうしますと、再開発組合が新しく建てる建物に、従前からいる居住者を入居さして、その上でなお事業費を生み出そうと、そのために分譲して金の入る部屋をつくろうということになれば、これはそういう必要に見合っただけのものをつくらなければ回収がつかぬということになるわけでしょう。そうすると新しい建築物がうんと高くなる。そういうことでですね、この外から導入した資金、そういうものを返還するというようなことに結局なってくるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/31
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032・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 場所によってケースが違うと思いますけれども、御自分たちのお金がありましてですね、それまでに蓄積しておりまして、そうして御自分たちだけで再開発をやることも可能なわけでございます。あえて処分床をつくらなくても、各人がそれだけの資金手当てができているとすれば、それでできるわけでございますが、それがうまくいくようにすることと、それから土地の高度利用をはかるという意味で、上に処分床をつけて、そこに住宅その他を誘導したほうがいいだろう。その場合の資金手当てとしては、政府の金融その他も考えますけれども、片一方におきまして、地上権の共有持ち分が登記できるというような形にいたしております。それによりまして、でき上がります建物についての権利そのものが地上権と運命をともにいたしますので、あらかじめそういうものにつきまして登記のできる道を開く、そういうことによってまた資金の融通もできるようにしているわけでございますが、さらに参加組合員というような制度を設けまして、早目に建物をあらかじめ売っていったほうが、資金繰りができるし、利息負担等も少なくなるだろう、こういう考えでやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/32
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033・春日正一
○春日正一君 そうすると、こういう事業をやる場合、都市計画法のほうの制約からいっても、この地図を見ると、赤羽の駅前なんか一〇〇〇%地区になっているのじゃないですか。赤く塗ってある。だから、そういう高さの制限というか、そういうものがずっとあるわけでしょう、一〇〇%地区から一〇〇〇%地区までが、容積地区のですね。そうすると結局組合員が寄って、まあ二階のものを三階にしょうといっても、それでは都市再開発の基準に当てはまらぬ。そこにどうしても七階なり十階なり計画の規定に従ったものを建てにゃならぬということになると、やはりこういう事業をやられるのは、どうしてもそういう条件に合った便利のいいところ、だから現状で土地の高いところというようなところへしぼられてきて、それだけにまたこの資金というようなものも非常に多くかかる、そういうところが手をつけられていくという関係になってくるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/33
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034・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 赤羽は第五種地区でございますので、五〇〇%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/34
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035・春日正一
○春日正一君 五〇〇%ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/35
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036・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 現在は東京都内は容積地区でございますので、高さの制限はございません。それでひとつ、先生おっしゃいましたように、建物が相当密集している地区で行なわれる事業が多いわけでございますので、そういうようなところで、しかも土地の高度利用がはかられてないというところで行なわれる事業でございますので、やはりある程度そういう地区でございますと、現在の地価がある程度高くなっているところというようなことになってまいりますので、その土地と建物を評価したものを床にかえるわけでございます。私どもとしましては、商業地区に限らず住居地区その他においても再開発はできるのじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/36
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037・春日正一
○春日正一君 そういうことでございますとね、やはり外部の資金を入れてくる。そうして銀行から借りてくるということになれば、やはり採算がとれるということが、そういう資金の入ってくるもとになるわけです。だから当然一番便利のいいところ、利用度の高いところ、こういうところが優先されていくということになるわけじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/37
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038・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 先ほどから申し上げておりますように、上に乗る建物というのは、いろいろなケースがございます。住宅公団の住宅を乗せる、あるいは公営住宅を乗せるということも可能じゃないか。あるいは普通の住宅、民間の住宅を乗せるということも可能でございますが、先生のおっしゃいますように、必ずしも採算ばかりで考えているということではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/38
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039・春日正一
○春日正一君 それでこの問題は、あとでまたあれしますけれども、次にこの参加組合員ですね。これもこの間の説明では、まあ一般組合員も、総会での表決権は同じ一票であるというふうに説明されましたね。しかし実際に一つのそういう事業をやる場合ですね、先ほどの説明にもあるように、参加組合員が入ってくる、その場合に、不動産の仲介業者なら当然これを他に転売して利益を得ようという営利の目的で入ってくるわけです。その人はその地域で営業をやろうということでその建物の一部に権利を取得したい、こういうことで参加してくるにしても、やはり自分の営業の目的でこれは参加してくるということになれば、当然この処分床の大部分、こういうものに資金を入れてくる人たちが、実際上資金計画を含む事業の計画なり処分の計画なりというようなものに対して、決定的な発言権を持ってくるんじゃないか。たとえばそういう事業をやる建物の構造にしても、自分はこういうものをやるためにこれに参加してくるということになれば、当然その構造について注文はつけるだろうし、ということになると、一票一票というけれども、一票一票だって参加組合員、これは任意なんですから、自分の都合が悪い、あるいはもうからぬということになればだれも手を出さぬ。だから組合は成立しなくなり事業もできなくなるという、この資本の力で事業計画なり何なりというものが結局牛耳られてしまう、そういうことになるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/39
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040・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 事業計画あるいは権利変換計画、事業計画では設計をきめます、それから権利変換計画では配置設計をきめます。いずれもこれは組合でやります場合には、事業計画の場合はあらかじめ全員にはかりまして三分の二の同意を得る、それから権利変換計画の場合には総会にかけるということになっておりますし、さらに認可という行為がございまして、知事が認可するという形になっております。こういうことによりまして参加組合員がかってなことをすることを許さないということにいたしたわけでございます。それから先生おっしゃいますように、総会その他での議決権は参加組合員は一票でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/40
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041・春日正一
○春日正一君 そこがね、非常にデリケートなといいますかね、法文の上では一票ということになっておる。そして事業計画というものは、全員の組合の総会にかけられて知事の認可を受けるという法律にはなっておるわけですけれども、第一、参加組合員が参加してくる、組合がまとまる前にここだけの人が集まってやったのでは金がない、だれか参加して組合員になってくれないかということになってくると、参加してくるときにはやはり参加してくる者が営利会社とすれば、当然営利を目的として参加してくるわけですから、一定の計画なりそろばんなりを持って参加してくるわけなんだし、当然計画の原案をつくる場合、あるいは原案の計画を聞いて、その計画ならわしは参加してもいいと、その計画じゃとてもじゃないけれども乗れないよ、とこういうことになるわけですね。そうすると、計画つくって総会にかける前、つまり組合が成立して、大体成立していく時期には、そういう参加組合員の意向というようなものがくみ取られて計画がつくられていく、だから総会にかけられたときに組合員が賛成しなければ、わしは手を引くよというようなことになってしまう。結局それじゃ成り立たぬからということになるわけですね。だから、形の上では確かに計画が組まれて総会にかけられて知事が認可するということになっておるけれども、その計画がもうすでに組まれるときにはそういう参加組合員の、特に営利会社の注文なり意図というようなものが、その中に織り込まれてなければ組合そのものが成立しないのじゃないか、そこらの辺ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/41
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042・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 事業計画をつくりまして、参加組合員を入れるかどうかということをきめて、そうして関係権利者の同意を得るわけでございます。もちろん、関係権利者がそういう参加組合員を入れたくないということになれば入れないということになります。参加組合員のほうで、まあいろいろ注文があっても聞き入れられなければ、そこに入れないということになると思います。これはおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/42
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043・春日正一
○春日正一君 いまのそこのところですね、事業計画をつくりましてというその事業計画、だれがつくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/43
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044・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 設立発起人でございまして、これは権利者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/44
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045・春日正一
○春日正一君 結局そういうことでしょう。発起人がそういうものをつくって、これでやろうということで参加組合員にも呼びかけるし、地元のその当然組合員になる人たちにも呼びかけて、三分の二以上が賛成すればという形になるわけでしょう。そうすると、その設立発起人がそれをつくっていく経過の中で、結局大きな資本が必要だし入ってくると、そうすると、その資本の注文、利益というものが保障されるような計画、そういうものが立たなきゃ、組合そのものが、発起人が考えたとおりに組合は成り立っていかないという問題が出てくるわけですね。だから、そういうことで、組合の計画に大きな影響を与えてくると。一票一票という投票制度があるとしても、実際上それはおれ金出さぬと言われればそれまでなんだから、そういうことになってしまうのじゃないか。だから、法律ではそうなっているから安心しろという問題じゃないと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/45
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046・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 私どもとしましては、そういうことをまあ非常におそれまして、参加組合員というものは最終的には権利者の同意にかからしめるという形で組み立てあるわけでございます。しかも、先ほど来申し上げておりますように、表決権は一票でございますし、さらにそれぞれの計画の段階、認可という段階が各段階に設けられてございますし、公共団体の監督も相当きびしい監督を、普通の組合員に対しまするよりするということにしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/46
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047・春日正一
○春日正一君 まあ法の中でもですね、参加組合員は自分が取得することとなる高層ビルの処分床の価格に応じた負担金を組合に納めると処分床の区分所有権を取得するということになっていますよ。そうすると、当然参加してくるそういう会社、そういうものがより多くの資金を組合に納めるということで、処分床の大部分の権利を握ることができるわけだし、当然そういうふうな形で参加するという前提としてですね、その処分の計画を握って、これは売ってそろばんをとる場合でもそうだし、あるいは自分で使う場合でもそうだけれども、売ってという場合には、より売りやすいように事業計画にも影響を与えるだろうし、売らずに自分で使うという場合には、自分で使いやすいように事業計画に影響を与えるだろうし、これは避けられないのじゃないですか。法でもそういうふうに処分床に対して負担金を払うということになっているわけですからね。そうすると、入ってくる場合、当然だれだって、家を買う場合、自分の都合の悪いところを買うというのじゃなくて、利益なり使用目的なりということで都合のいいものを買いたいのだし、こういうふうにつくってくれればおれ参加する、ということになってくるわけなんですから、どうしても事業計画に影響を与えるということが避けられなくなるし、特に駅前の繁華街とかそういうようなところになれば、これは資金もたくさんかかるし、工事の規模も大きくなるというようなことになれば、どうしたってそこでデパートやりたいとかスーパーマーケットやりたいとかというようなことで、そういう構造の建物にしてほしいというようなことに、これは当然なってくる。だからそこは避けられないのじゃないですか、この計画でいけば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/47
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048・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 権利者に与えます床につきましては、この法律でいろんな基準が書いてございまして、従来の使い方あるいは用途なり、使い方というものを尊重してきめなさいということが書いてございますので、たとえば商売をやっておられる方が一番てっぺんのほうに配置がえされるということはないように、従前の位置にふさわしいように、照応するように床をきめるということにいたしておりますし、それから価値的にも必ずその価値に見合ったものを床として与えるというふうにいたしておりますので、参加組合員が入ることによっても、私どもは利害の方向は同じじゃないかと思うのです。どうせ売る床でございます。したがいまして権利者に与える権利床の配分がゆがめられてはいけない、そういう意味で権利を配分いたしまして、権利変換計画等におきまして、それの計画を立てます基準を法律できめる、さらにそれにつきまして審査をすることにいたしております。認可もするというような形で、権利者が不当な権利侵害を起こさないような配慮を十分講じているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/48
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049・春日正一
○春日正一君 その権利の問題という……、変換の問題ですね、それはあとでまたお聞きしますけれども、結局そういうことが実際上避けられなくなる。そしてこの法案に出ている制度上でいっても、理事、監事というような組合役員を、特別の事情があるときは組合員以外から選任することができるということになっているわけですね。そうすると、その組合員以外という中には、そういうものに建築とか、そういうことになれば、関係の深い会社なり事業体なりのものが組合の理事や監事になる、そして組合を牛耳っていくというような結果が出てくる道が、法案自体の中にも規定されているんじゃないですか。この点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/49
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050・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 特別の事情がある場合には、組合員以外の者から総会で選任することができるという規定がございますが、これはもちろん組合の意思できめることでございます。それと組合員の中に適任者がいなくて、組合運営上、ほかに適任者がいるというような、そういう場合もあり得るんじゃないかということで、この規定を入れているわけでございます。当然しかし、これは組合の意思によりまして選任されることでございますので、私どもはそういう考え方を持っているわけでございません。参加組合員もこれは組合員でございますので、参加組合員はもちろん役員になる資格はございます。しかし、これはそういうこととは別に、組合員の中に適任者がいないような場合もあるんじゃないか、そういう場合には、組合の意思によって理事を組合員外から選ぶことを法律上認めてもいいじゃないか、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/50
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051・春日正一
○春日正一君 すべての組合がそうなるということではなくて、それは組合によっては十分民主的に運営されて、みんなが納得して自分たちの役員を選ぶということも、これはあると思います。しかし実際にはそうならないで、この組合員以外の役員を選んだ、そういう者が、たとえば参加組合員なりその他の事業体の代弁者が選ばれたというようなことも起こり得るわけですね。むしろそういうことが私どもいままでの事業体なんかのそういう組合というものの運営状況を言えば、労働組合の場合だったら労働者というのは腕がもとですから、労働者の中では腕がある者が大きい口がきけるということですけれども、資本という関係になってくれば、やはり金をよけい持った者が、どうしたって発言権が大きくなる。そういう関係の中で組合ができるわけですから、当然そういうふうな状態が生まれてくる可能性、危険というものは多分にこの条文の中には含まれているんじゃないか、むしろそういうことのほうが多くなるんじゃないか、というふうに私は心配をしているんですが、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/51
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052・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) この法律の二十六条によりまして、組合員は理事、監事の解任請求権がございます。三分の一以上の連署をもって、その代表者から解任の請求ができる、解任請求した場合には、投票に付さなければならぬという規定がございますし、それをサボっている場合には、知事の監督命令が発動できる、こういうような形にいたしておりまして、あとで組合の理事、監事が不適当なものその他であるというような場合には、こういうような組合の自治と申しますか、そういうような形でできるような規定を置いて、先生おっしゃるようなことがないようなふうに、法律上は規定しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/52
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053・春日正一
○春日正一君 それから権利変換計画に非常に大きな権能を持っている審査委員ですね、これは総合で選任すると四十三条できまっているのですけれども、これは区画整理の審議会の設置とか、審議会委員の直接公選制というものから見ると、ずいぶん後退しているのですけれども、特にこういう非常に権利とかいろいろな大事な問題にかかわってくるものを、公選制にせずに単に総会で選任をして推薦して承認を求めるというふうな形式にしたというのは、やはりひとつ後退しているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/53
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054・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 区画整理と同じような構成をとっておりまして、組合の場合にはもちろん一切の仕事は総会を中心にして動くわけでございます。区画整理におきます評価委員も任命制でございまして、審査委員というものは公正な評価をするという意味で任命制にしているわけでございまして、区画整理から後退しているということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/54
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055・春日正一
○春日正一君 審査委員を任命制にする、この審査委員というのは、大体どういう人が選ばれると予定しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/55
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056・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 建築につきまして知識を持っている人とかあるいは土地の鑑定評価、土地建物、不動産の鑑定評価の専門家、あるいは法律問題もございますので法律の専門家、そういうものを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/56
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057・春日正一
○春日正一君 不動産鑑定士というような人ですね、こういう者が選ばれる公算が大きいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/57
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058・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 不動産の鑑定の専門家は、どうしても入れていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/58
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059・春日正一
○春日正一君 こういう人を入れますと、どうしても金融関係とか不動産関係の大きな会社というものとのつながりがかなり濃厚だ。それは商売上一番いいお得意なんだからそうならざるを得ないということになりますと、やはりそういうこと自体が非常に非民主的な、大資本の事業支配ということを容易にしていくような結果をもたらしはしないか、そこらの心配はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/59
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060・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 不動産鑑定士はだいぶ不動産鑑定評価の法律に基づきましてふえておりまして、不動産関係の——銀行の従業員である人ばかりじゃございませんので、独立の鑑定士が相当ふえております。したがいまして組合の総会でそういう縁故のない人を選びたいということであれば、そういう人は選ばれるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/60
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061・春日正一
○春日正一君 結局法律の上でいろいろ説明されましたけれども、これは一つの事業ですから、特に組合でやる場合には民間の一つの事業ですから、当然これに参加してくる参加組合なり何なりというものは、営利ということを目的として、会社に利益をあげなきゃならぬという責任を持った人たちが参加してくるわけですから、当然、先ほど言ったように、計画の立案過程でも影響をその計画自体に与えてくるし、それからまた、それが処分されていくという過程でも、やはりそういう会社の営利というような方針が、そこで貫徹されていくというようなことが出てくる。これはいまの世の中の仕組みでいけば、防ぎ得ないものだと思うのですね。銀行にしたって不動産会社にしたって、営利会社なんだから、利益をあげるということを看板でやっている商売なんですから、そこに参加してくるということになれば、得にならぬことはやらぬし、できるだけ多くの利益をあげようとする、しかも大きな資本力を持っている、それが参加するかしないかで、その事業が成り立つか成り立たぬか決定する力を持っているということになれば、法律の上でいろいろ制度があったにしても、こういう計画の上で大資本が実権を握って、そこの計画を左右していくというような結果になる。このおそれは、いろいろ制度上説明してくれたけれども、これは私には解消しない、実際問題として。
そこで、この問題はこのくらいにしておきますけれども、民間資本の不動産部門への進出の状況、傾向、こういったようなものはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/61
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062・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) ただいまちょっと資料を持ち合わしておりませんのでわかりませんのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/62
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063・春日正一
○春日正一君 それではその資料を、大体、民間資本が不動産部門へ進出している状況、この十年間ぐらいの推移、そういうものをできたら資料として出してほしいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/63
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064・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 建築動態統計で民間の建築物と公共建築物はわかりますが、そういう建築に対して民間で建てられている延べ面積と申しますか、そういうものが逐年どうなっておるかということはわかりますので、そういう資料を出さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/64
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065・春日正一
○春日正一君 東京都の首都整備局で出している「東京大都市圏の再開発と投資財源」という四十三年二月の文書があるのですがね、これを見ますと、こういうふうに言っていますよ。見出しだけぐらいあれしますけれども、民間でのそういう開発に参加する会社の傾向を四つに分けて、不動産業というようなものが当然本来参加するというふうに言って、これはこまかく書いてありますけれどもこれは省きますが、それから第二が私鉄会社がやはりそういう都市の開発、そういうものに非常に多く出てきている。これは、会社によれば、会社の利益の六〇%までが不動産業でやっている。私鉄事業はずっと比率が少なくなったというものまであるようですし、それからBグループのほうは、「開発関連産業」として建設関係、鉄鋼メーカー、そういったようなもの、それから金融機関というようなものが、建設関係にずっと子会社をつくるなりいろいろな形で参加していっているということ、それから三番目が、Cグループで、再開発必要産業として卸売り問屋とか商社、そういうようなものがやはりこれに参加してくる。それからそのほかに新しい再開発会社というようなものも登場してきているという、そういう一つの例として、さっき言った巣鴨の刑務所あとの再開発の会社というようなものがあげられているというふうに見ると、都市の再開発とかあるいはそういうものに対して、非常にたくさんの事業体がこうぐっとそこに目を向けて、自分たちの営業の分野を開いていこうとしておるということなんですね。だからそういうものを考えながら、私どもはこの再開発計画というものに民間資本を参加さして、参加組合員というような形にしたら、そういうものにまあ俗なことばで言えば、みんな食いものにされてしまうというような危険が非常に大きいのじゃないか、ということを心配するわけです。
次に、立体換地の問題ですけれども、大体いままで政府がやってきた再開発に類するこういう関係の事業としては、大体どういうものでやってこられたのですか、この法律以前ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/65
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066・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 立体換地に近い規定は、区画整理法にもあったわけでございますけれども、実際には動いてなかったわけでございます。それ以外には立体換地というのはこざいませんで、いままではこういうやり方はやってないといってよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/66
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067・春日正一
○春日正一君 いままではそういう立体換地というような例はないわけですね。そうすると、今度の立体換地をやるという場合、その換地の一応いままでの説明でも概念的にはわかっているわけですけれども、もう少し具体的に、この立体換地というと、実際どういうことになるかということを説明してほしいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/67
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068・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 法律上は立体換地というのはちょっと不正確でございます。権利変換と、こう申しておりますけれども、やり方といたしましては、第一のやり方は、従来の土地建物につきましてでございますが、まず土地につきましては地主の所有権というものはそのまま残すわけでございます。そうしておいてその所有権の、地主が持っております土地の上に新しい建物のための地上権を設定するわけであります。そうしてその地上権に基づきまして新しい建物を建てる。したがいまして、従来の権利との対応関係を申しますと、地主につきましては従前の土地をそのまま残す。ただし、通常の場合は地主の所有地が小そうございますので、それを集めなければその建物ができない場合が多うございますので、地主の所有権は共有持ち分権に変わる。しかし、地主のものとして残る。ただ、そこにかたい建物ができるために地主が損失をこうむるというようなことがあってはいけませんので、もしそういうような事態が起こりますれば、その差額分を床で与える、こういうことになります。それから借地権は、これは借地権と建物の所有権は消滅いたしまして、新しい建物の床と、正確に申し上げますと、専用部分と共用部分とがございます、その床と、それから底地の地上権の共有持ち分というものを持つわけでございます。それから借家権者は、必ず新しい建物につきまして借家権を与えられる。その場合に家主が入ります床に当然借家権は設定される、こういう形になっております。ただいままでに述べましたものは、必ず床で与えるという制度ではございませんで、本人が希望すればお金で補償してもいいということになっておりますので、家主が出ていくという場合もございます。その場合には施行者が必ず借家権を与える施行者の床というのは残るわけでございますので、そこに借家権者を入れる。それから抵当権その他の担保権は、当然新しい床の権利にくっついている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/68
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069・春日正一
○春日正一君 そこまではいままでも聞いてわかっているのですがね。地主が百坪持っていますね。そこへ高い建物、できた家の、土地の所有権は地主のものだ、あるいは共同になっても、そこでそれだけの持ち分は、これに対する地代ですか、そういうものは払ってもらうということになって、それで借地人のほうは今度は借地権が消滅して新しい床の中に移っていくという場合ですね。いままでまあ百坪なら百坪の土地を借りて、そこで家を建てて営業をやっておったという場合、今度はこの移っていく新しい建物の床で百坪ということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/69
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070・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 移ります場所につきましては、先ほど申し上げましたように、従前の効用を害さないように、照応するように与えますけれども、価値的にはやはり従前の借家権の価値、それから通常の場合、建物を持っておりますので、建物の価値というものに見合った新しい建物の床を与える、こういうことになるわけでございまして、その土地の評価によって違いますけれども、必ずしも同一面積を必ず与えるというこういうことになるわけではございません。ただこの前から申し上げておりますように、非常に過小床になるというような場合には増加して床を与えるということは、法律に書いてございますけれども、非常に小さい場合は増加して床を与える、そういうことになりますが、その分は当然あとでお金で払っていただく、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/70
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071・春日正一
○春日正一君 そうすると、結局新しくできたものの値打ちといいますか、そういうものが、うんと値打ちのあるものだということになれば、割り当てられる面積は小さくなる、あるいは値打ちが少いものなら面積は大きくなるというふうに、新しいものの中にそっくりそのまま移っていくというものが、つまり古いものと新しいものとの価値判断の違いといいますか、そういうものに応じて変換されて変わっていく、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/71
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072・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) おっしゃるとおりでございますが、そこで評価基準日というのをこの法律では定めておりまして、同じ日の評価額で移す、古い建物のときの評価、新しい建物のときの評価、建物なり地上権の評価というものを同じ時点で評価する、こういうようにしておるわけであります。これは従来の市街地改造法と大きく違う点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/72
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073・春日正一
○春日正一君 そうすると結局、地主はもとの権利、借地はそういうことになる。借家人は今度はその前の大家のもらい分の中に入る、原則としては入るということになるわけですね。そうしますと、結局そういうことになって、もらい分がほとんど占めるようでは十分な再開発にならぬから、うんと高いものにするということで処分床をうんと多くしなければならぬ。そういう形でまあ参加組合員その他が入っていく、あるいは処分するということになっていくことだと思うのですけれども、そこでもう一つそういうものをやる場合、特に駅前なんかの場合ですね。公共施設、幹線道路、ターミナル、そういったものがいろいろできるという場合、これが実際学校ができるとかどうとかいうようなことで、住民の生活環境を改善するというのと一致する場合もあるし、本来そういう考えだと思うのですけれども、しかし実際問題として駅前とかそういうようなことになりますと、繁華街、主としてここにできる道路なりあるいは施設なんというようなものは、輸送力の増強のための道路あるいは大きな会社が事業をやるために必要な施設というものになっていく、というおそれが十分あるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/73
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074・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) そこに駅前等におきまして、そこに街路の計画決定がなされておるということになっておりますれば、その街路決定の幅員を確保することは当然事業として一体としてやる。しかし、それに対しましては当然お金で管理者となるべきものが費用は負担する、そういう形になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/74
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075・春日正一
○春日正一君 だから、実際問題として言えば、たとえば私よく引き合いに出す大曾根駅前の場合でも、あれは名鉄がくる、国鉄中央線がくる、地下鉄線がくるという形で、そこへ交通網が集中してくるし、あるいは道路、これもたくさんの道路がそこを通過するというような形になっていって、結局、そういう国鉄や地下鉄を中心とする街区が、たとえば鉄道会社がそれで非常に今度は乗客がふえてよくなる、あるいはその辺のデパートがよくなるとかいうようなかっこうで、大きいものに利用されていくし、あるいは渋谷駅の場合でも、あの地域にターミナル周辺に六つの銀行の支店が換地へ集中されるというようなことが予定としていろいろ言われているのですね。だから、そういう要所も開発して、そこへ大体要所要所をデパートとか銀行とかいうようなものが取り、あるいはそこへ鉄道が入ってくる、地下鉄が入ってくるという形で、渋谷の駅の周辺、新宿の駅前の副都心というものを見れば、デパートとか銀行というものが全部でんと専有してしまっているでしょう。ああいう形のものが計画を通じてつくり上げられていくということになると、この法律で言っている再開発の目的というものとは相当違った結果が出てくるのじゃないか、その辺はどうなんですか。いままであるものを見ても大体そういう方向になっておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/75
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076・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 権利者が必ずそこに入れるようにいたしておりますので、その従前の権利者が自分で出ていかれる場合は、これは別でございますけれども、それ以外の場合は必ず入れるととになりますので、そこにおいやりデパートが入ってくるとか何とかいうようなことは、この法律では起こり得ないことでございます。その点は非常に権利者を必ずそこに入れるという形にいたしております。私どももそういう点を一番考えて、この法律の立案に当たったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/76
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077・春日正一
○春日正一君 もう一つ、立体換地の場合ですね、いまそこへうまくはまればいいけれども、はまらないという場合の補償金の問題ですね、補償金というのですか、つまり土地が狭くて、あるいは借りている部分が狭くて入れないというような場合とか、それから新たに入るあれがないから出て行かなければならぬという場合、そうすると、これが結局まあ財産に対する補償という点に重点が置かれて、生活の補償というのが軽くなってくる、その問題ですね、その点はどうなんですか。入れなくなる者の補償と、あと家賃の問題も起きますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/77
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078・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 私どもは、この法律で運用していく場合、どの法律でもそうでございますけれども、小さな権利であるからといって追い出すということはしない。必ず増し床を与えていきたいと、こういうふうに考えております。ただ御本人が外へ出ていきたいという場合には、当然金銭補償という問題が出てまいります。この場合には、都市計画事業でございますので、都市計画法の本則に戻りますが、この前衆議院で修正されました修正案によりますと、都市計画事業によりまして生活再建の措置が必要な場合には、施行者があっせんしなければならぬという規定が入っておりますので、あの本則に基づきまして、これも都市計画事業でございますので、施行者はそういうようなあっせんにつとめるべきである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/78
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079・春日正一
○春日正一君 あっせんしなければならぬというけれども、実際土地が小さかった、店が小さかったということで、そこにこれは入りたければ入ってもいいというけれども、実際上そこに入るだけの資力もないというようなことで出ていかなければならぬという場合が幾らでもあるわけですわ、これは。だから、そういう場合の補償ですね。それを出す場合、十坪なら十坪について正当に補償するということはするんだろうけれども、それ以上の補償はないわけです、生活という面から見ての。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/79
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080・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 権利の価値に対します補償以外に、たとえばこの前も申上げましたような通常損出の補償と申しますか、移転料でございますとか、あるいはそれ以外の補償というものが規定されているわけでございます。営業補償、仮住居補償というようなものが、通常損失の補償ということで、普通の収用事業の場合にあけ渡し等が行なわれます場合と同様に行なわれるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/80
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081・田中一
○田中一君 ちょっと関連して。これは、竹内君ね、店舗が小さいからといって立ちのく必要はないんでしょう、現在の現行法では政令があって、十平米——一坪でも十平米以下じゃいけないんだ。したがって、十平米、三坪はやるのだというふうになっているのじゃないの。その思想は確立しているのじゃないの、どうなんですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/81
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082・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) この前、春日先生に御答弁申し上げましたように、最小限度の床というものはきまっておりまして、それだけは増し床で与える、こういうふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/82
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083・春日正一
○春日正一君 それはあとで出しますが、結局今度家賃の問題聞きますが、再開発事業で郊外へ散った者が戻って来るのですけれども、大体こうやってできる住宅なり店舗なりというものですね、これは相当高くなるのじゃないかと思うけれども、大体どのくらいに考えているのですか、住宅の場合だと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/83
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084・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 施行者なりあるいは家主が与えます家の家賃というものは、これはまあお互いの協議によるわけでございますが、処分されます床が住宅の場合におきましては、これは場所によって違うと思いますけれども、私どもがかりに試算した数字で申し上げますと、表通りが坪三十万くらい、それから裏宅地で坪十五万から二十万というところでございますと、六十平米で一戸当たりが約二万四千円ぐらいの家賃になります。こういう試算はいたしておりますが、場所によってずいぶん違いますし、また住宅に対する援助の方法によりまして違うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/84
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085・春日正一
○春日正一君 去年の七月ですか竹内局長、テレビでこの問題話しておるのだけれども、その場合の予想される分譲価格家賃の点として表通りでその価格三十万、平均して坪十五万のところで施行したとすれば2DKで分譲価格が三百八十万、家賃が月に三万七千七百円、それから3DKだと四百四十三万の四万四千円というようなことを言っておりますね、大体この表通りが三十万で平均して十五万というと、あれじゃないですか杉並の少し奥まったところあたりの相場なんじゃないですか、いま。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/85
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086・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) それはまあこういう仮定のもとで計算したわけでございまして、実際の場所になりますと、たとえば牛込の辺でございますとかあるいは青山でも一部こういうようなところがございます。そういうようなところでこのくらいになるのじゃないか。それから先ほど二万四千円と申し上げましたのは、たとえば公団が処分地を引き取りますとか、あるいは公団が施行者になりまして、公団のいろいろな家賃の計算の算定の基礎がありまして、それでやります場合は二月当たり三百八十万ぐらい、家賃が二万四千円ぐらい、民間がこれをやればもうちょっと高くなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/86
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087・春日正一
○春日正一君 結局家賃というものが立体化することで、工事費もかかる、家賃も高くなるということになると、これまでの借家人、借間人が新しい建物に入居できるかどうかということに重要な関係を持ってるわけですね。一つは、そこで借家権というものはどういうふうに保証されておるのかということですね。いままで住んでいる人間がそこへ入るという場合ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/87
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088・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 入ります場合には、借家条件ということで、まあ家賃なり、権利金なりというものをきめるわけでございます大家との間に。その場合に、きまりません場合に借家条件の裁定というものをする。それから施行者が建物を、借家権を与える場合、そういうような場合には、私どもといたしましては、今回の場合には、出ていく人に対しましては、借家権価格の補償を直接施行者がする、こういうふうにいたしておりますので、借家権価格というものを当然考えていかなきゃいかぬじゃないか。そこで、従前借家人のほうが持っておりました借家権価格というものを考慮して家賃をきめてまいる、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/88
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089・春日正一
○春日正一君 しかし、まあ百二条では新たに家主との間に借家条件について協議しなければならないということになってるわけですね。そうすると、やっぱりその協議の場所できまってくるわけでしょう、これは家主対借家人の関係で。だからそういうことになれば、いままでの権利というようなものがどこまで尊重されるかということは十分保証はされてないわけなんじゃないですか。おることはできる、しかし条件については新たに協議しなきゃならぬということになるとですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/89
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090・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) この法案では、家賃をきめる場合、三つの場合を予定しておりまして、一つは施行者が家主になりまして、借家人を借家させるために家賃をきめる場合、これはきめ方といたしまして、法律に近傍同種の建築物の家賃を基準として政令で定めるところにより定める、こう書いてございますので、施行者がきめます場合の家賃のきめ方につきましては、政令で従前の借家権の評価を考慮すべきことを定めるというつもりでおります。それから二番目は、先生おっしゃいました家主とたな子が協議してきめる、これは協議でございますので、おっしゃいますように直接の規制はございませんが、三番目に協議がととのわない場合に裁定をするということになっております。その裁定の場合のまあ運用方針と申しますか、それにおきましては政令と同様なことを考えてまいりたい、こういうことでございますので、間接的に協議の場合にも影響されるんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/90
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091・春日正一
○春日正一君 この施行者が、協議が成立しないとき施行者が裁定するという場合の一つの基準として、まあ敷金、権利金については慣行、それから家賃については賃貸し人の受け取るべき適正な利潤を考慮するということになっているわけですね。だからそうすると、賃貸し人の受け取るべき適正な利潤というものは考慮すべしと、きちっと法律の上に書いてあるわけですから、そうすれば、裁定するとすれば、そういう利益計算から出てきて、これ以外どうにもならぬということになれば、借家人として非常に不満な条件というものでも押しつけられざるを得なくなるんじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/91
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092・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 借家権というものが場所によりまして、地方によりまして、必ず借家権価格というものが碓立されていないところもございます。したがいまして法律におきましては、地方における一般の慣行を考慮してきめなければならない、こういうふうに言っているわけでございまして、一般の慣行と申しますのは、借家権というものが価格として存在が認められるというような慣行があります場合には、そういうものを考慮してきめる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/92
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093・春日正一
○春日正一君 私の言っているのは、そういうものを考慮してきめても、この法律の百二条、施行者が裁定する、これは借家人の所得、生活条件というようなこととは無関係に、いま私が言ったような家賃について、適正な利潤だとか、そういうようなことできめられることになるということでしょう。つまり、家賃の条件をきめる場合、この法第百二条にある権利金、敷金については、慣行を尊重する。それから家賃については、賃貸し人の受け取るべき適正な利潤を考慮しなければならない、貸すほうの利潤を考慮しなければならないとなっているけれども、借りるほうの現実の所得とか、生活条件というものとは無関係に入居の条件がきめられるのではないか。そうすると非常に困った場合も起こるけれども、その歯止めになるような措置というものはどっかにあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/93
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094・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 利潤というものを考えますけれども、もとになります償却の基礎になります価格というものの中で、借家権価格と申しますか、借家権の評価を考慮するわけでございます。その償却すべき金額をきめます場合には考慮するわけでございます。それがベースになって家賃がきまっていく、こういうぐあいに考えておるわけです。それから補償の点でございますが、ここはこういう一般の慣行その他を考慮してきめなければならないということを書いてございますし、さらに私どもとしましては、施行者が家賃をきめます場合の額は政令ではっきり書くつもりでございますので、当然それによって裁定自身が影響されてくる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/94
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095・春日正一
○春日正一君 説明の筋は通っているのですけれどもね、先ほど実際問題として、都心部なんかは非常に狭いですね。過小の住宅に入居しておる人が多いわけですから、当然そういう意味の借家権というようなものが家賃計算の中に入れられたとしても、そのことで十分補えるというようなことにはならない場合が、かなりたくさん出てくるのではないか、もしそういうことになれば、これまでの借家人と借間人は高い家賃が払えないで結局新しい建物に入れないから、その分だけの補償金、これは補償金といったって、その前の借家権に対する補償でしょう。だから小さな借家権に対する補償ですから、それを正当にもらったとしても、結局どこかへんぴなところに立ちのいて行かざるを得なくなるというような結果になるんじゃないか。そういう面の歯止めとか救済、そういうものがこの法律の中でどっかに規定されていないのかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/95
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096・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 私どもとしましては、いま申し上げたような形で、従来の借家権評価を考慮しまして、家賃が公正な家賃になるというように考えておるわけでございますから、その方がどうしてもそれで入れないという場合には、公営住宅その他の入居を、これは公営住宅法の施行令に書いてございますが、公営住宅への入居というものを考えておるということにしておるわけでございます。したがいまして、非常に何と申しますか、低所得者の多いようなところで、この事業をやるという場合には、当然上にそういうような公共住宅を乗っけていかなければ、なかなか事業ができないという場合が出てくるかと思います。そういう場合につきまして、私どもといたしましても、そういうような公共住宅を積極的に乗せていく方策を講じていくべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/96
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097・春日正一
○春日正一君 実情を言いますと、たとえばよくここで問題になる新橋の東口の市街地改造事業ですね。あれのビルの入居状況、これは東京都の市街地改造課の調べですけれども、土地所有者の中で、十六名中四名入居、十二名転出、土地建物の所有者八名中五名が入居、三名が転出、それから借地権者が四十七名中十七名が入居、三十名が転出、それから借家人では二百四名中九十三名が入居、百十一名が転出。結局、合計して二百七十五名関係者があるうちで、百十九名が入居して、百五十六名が転出していると、転出した率は実際六割ですね。六割が新橋の駅前からどっかへ行ってしまったという勘定になっているんですよ。しかも、これはああいう店舗対象のビルですからまだ六割でおさまったんだろうと思うんだけれども、一般の居住者が対象いうことになれば、もっとこの率というものは高くなるんじゃないかというふうに思うんですけれどもね、こういう事実について、そういうことが今度の再開発法で起こらないということが言えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/97
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098・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 市街地改造法は、先生御承知のように、一ぺん土地建物を収用しまして、そして希望者に対しまして床なり借家権なりを与えると、そういう仕組みでございますが、今度の法律におきましては床を与える、床に転換するということを原則にいたしておりますけれども、特に希望する者に対しまして金銭補償をする、こういう原則と例外がひっくり返されておるわけであります。したがいまして、それが一つと、そういうことによりまして前のように収用の段階あるいは買い取りの段階を一ぺんやりまして、そして建物が立ってから建物の床を与えるということじゃございません。今度はその行為を同時に行なうわけであります。したがいまして、借家権というものにつきましても、それについて補償をする、こういうことになっております。借家条件の裁定におきましても、借家権価額というものを相当見るという形になっております。そういうことで、従前は建物が建つまでは、その建物を取得する権利はあるわけでございますけれども、登記することも何もできなかったわけで、非常に不安定な状況であったわけです。それからもう一つは、それに抵当権等がもし従前の土地建物についております場合には、抵当権者と話がつかなければ建物の床がもらえないという事態があったわけです。今回の法律におきましては、建物は新しくできる建物ではございますけれども、地上権の共有持ち分を登記することによりまして、法律上は当然地上権を持っている者が新しい建物を取得するというように法律に書いてありますから、必ず建物が与えられるということにしまして、その建物の立つ前の段階におきましても、それを換価したり、あるいは処分することができるようにいたしております。かえって安心して入れるという場合がございますし、また抵当権等がついておりましても、抵当権しょい込みで入れますので、そういうようなこともございますし、借家人につきましては、先ほど申し上げましたような事情がございますので、前よりははるかに定着率と申しますか、それはよくなるというふうに私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/98
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099・春日正一
○春日正一君 新橋の東口というのは、いろいろここでも出されたように問題があるんですけれども、それにしてもあれは地方公共団体がやった仕事ですね。だからあとで家賃を割り引きするとかなんとかいろいろそういう処置もとっているんですけれども、民間で民間資本を導入してやるといえば、これは営利というような傾向、色が非常に強くなるわけですから、だから当然家賃その他というものも、そういうように制約されて一定の水準以上に高いものにならざるを得ないということになると思うんですけれども、これは大臣にお聞きしますけれども、つまり都市を再開発して住宅をつくるとして、大体大臣はどの程度の所得の人を呼び戻そうというふうな構想なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/99
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100・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 公営住宅とそのまま考えているわけじゃありませんので、やっぱりあなたの言われるように、できるだけやっぱり施行者といいますか、利用する人から言えば一ぱいにならなけりゃ、これは幾ら高い家賃になっても、入らなければ全然収入がないわけですから、そういう関係からは、私はおのずから制約されてくると思うんであります。しかし、ほんとうの都市再開発を今後ねらっていきますところは、目抜き目抜きの繁華街だけを取り上げておりますけれども、そうではなく、全体の東京都なら東京都の再開発をやっていこうとする場合には、私はできるだけ住宅公団であるとか地方公共団体等が参加していただくということにならなければ、ほんとうにはなっていかぬのじゃないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/100
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101・春日正一
○春日正一君 やっぱりいまの新橋の話もそうですけれども、駅前でいて商売をやって、六割も出て行った。出て行けば、どこかに住んでいるわけです。かえって追い出すような結果になってしまう。だからそういう意味では、やはりそういう小さな借家人、間借り人というものの入居条件についてやはりいままでそこに住んでおった者に住まわせるような保障をつけておく必要があるのではないか。そうしませんと、せっかくいい建物ができても、家賃が高くて入れぬとか何とかという形で、貧しい人たちが郊外へどんどんどんどん出て行ってしまうというようなことで、呼び戻すということにならぬのです。呼び戻すのはいいのですけれども、現にいる者が出て行かなければならぬということになったら、これは再開発をやって都心に戻そうという趣旨に違反してくるわけですが、当然いままで住んでおる者の取得の権利なり条件というようなものを十分確保して、そこでよくなった条件で住んでいけるというようなことを保障してやるということが、この法律の一番の大事なかんぬきになってくるのではないかと思うのですけれども、その辺どうですか、大臣のお考えは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/101
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102・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 定着率がいいとか悪いとかということは、おのずから起こってくると思いますけれども、国の補償を受けられて、そうしてその金銭補償をもって自分で裁量されて、別の方途を講ぜられることが、その方の利益であるという場合に、しゃにむにどうでもこうでももとの所に引き寄せるという手もないと思うので、その辺は利用者と申しますか、の方々のやっぱり自由意思を尊重する、しかし先ほど来都市局長が申し上げておりますように今回の再開発法案におきましては、そういう方々に対して新しいビル、家屋に対して十分御安心のいけるような法的な保障はいたしておるから、あとはそれぞれの方のそろばんの問題になってくるのではないか。そこえしがみついておったほうがいいか、金銭補償を取られて他に方途を見出されるか、その辺は相当余裕を持って考えていいのではないかと思いますが、どうでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/102
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103・春日正一
○春日正一君 私もそれは本人の意思で、おれはこの際出て行くというのは、それはとめる必要もないし、それはそれで問題はないのですけれども、ここにいたいのだけれども、新しい条件では収入その他の関係でいられないという者がたくさん出てくる。そこを私は一番心配して言っているわけです。
そこでもう一つお聞きしますが、そういうものに該当するような過小住宅地に借家権を持つ借家人なんかの問題について、七十九条二項にきめる過小床面積というのは、大体何坪ぐらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/103
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104・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 住宅の場合は、三十平米ぐらいを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/104
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105・春日正一
○春日正一君 九坪、そうすると、こういう過小床面積になった場合に、従前の土地所有者、借地権者、建物の所有者が新しい建物の中に区分所有権を望む場合には、どういう手続になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/105
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106・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 三十平米というのは、これは専用部分で考えておりますけれども、専用部分で三十平米を割るというような場合には、借家権者の専用部分を確保しますために、それだけの床を増し床として家主に与える。家主に与えて、その結果借家権者がそこに入るようにする、そういう形にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/106
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107・春日正一
○春日正一君 しかしその場合、新たに与えられた施設建築物の一部の価額と従前の価額と差があるときは、施行者はその差額を徴収し、または交付しなければならぬというこの清算金のあれですね、百四条ですか、そうするとやはり小さな九坪くらいな借家権ですね、それ以下ということになると、清算金を払わなければ新しいビルの区分所有権は与えられないということになるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/107
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108・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) おっしゃるとおり増し床で与える分は清算金でもらわなきゃなりません。ただしこれにつきましては、従前市街地改造等におきましては分割払い、分割徴収ということを認めておりまして、特に必要がある場合には、そういう措置を講ずることもいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/108
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109・春日正一
○春日正一君 そうすると、そういうことで清算金が払えないということになると、七十一条であれですか、この権利の変換を希望しないということで、「自己の有する宅地、借地権若しくは建築物に代えて金銭の給付を希望し、又は自己の有する建築物を他に移転すべき旨申し出ることができる。」という形で、その権利を金にかえてよそへ行くということになるわけですね。つまり過小な宅地を持っておって、それでそこに権利をとりたいけれども、とてもじゃないけれども相当な清算金を払わなきゃならぬ、だからということになれば、その権利を売ってよそへ移転していくという規定が、これは七十一条でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/109
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110・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) これは本人の申し出でございますので、本人がそういうことを希望する場合には金銭補償も受けられるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/110
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111・春日正一
○春日正一君 そうすると、この場合、出ていってしまえばそこの借地権、借家権というのは今度は施行者の所有になるということになるわけですね。そうすれば結局借家人は、どうしてもそこに残ろうとすれば高い金を出して分譲を受けるよりしょうがないし、「借家権が与えられないように定めることができる」となっているんでしょう、七十九条三項は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/111
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112・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) これは法律上七十九条三項というのを設けまして、先ほど申しました基準より以下の著しく小面積なる場合には金銭で与えてよろしいということになっておりますけれども、これはこの間から申し上げておりますように、市街地改造法にも同様の規定がございましたけれども、区画整理と違いまして、必ず処分する床があるわけでございます。必ず増し床として与えておるという運用をいたしております。法律上はこういう規定を一応区画整理と同様な規定で、非常に小さい床面積だという場合には床を与えないで金銭で清算する、金銭を与えることができるという規定を置いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/112
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113・春日正一
○春日正一君 これは私は非常にくどく聞くというのは、実際起こっている問題として名古屋の大曾根地区の区画整理の場合、あれは三千六百戸のうち七割二千五亘戸が借家だというふうに見られているのですね。そしてその半数以上が過小住宅だという理由でそこに住めなくなろうとしておるということで、大きな問題が起こっておるわけです。今度の再開発法ではいろいろいままで説明されたように、それを救済するいろいろな処置は考えられてはいるけれども、実際問題として新しい部屋なり店舗なりを確保しようとすれば相当な何というのですか、新しい部分に対する追加の金を出さなきゃならぬ、そういう負担に耐えがたいというようなことで、その権利を捨ててというか売ってというか、よそに行かなければならぬような事態がかなり起こってくる。さっきの新橋の例を見ても、再開発法ではないけれども、これの一歩前段の法律でやられるこの事業で、こういうことが非常に大規模に起こっておる。だから今度の再開発法の中でどれだけそれが救済されるように規定されているだろうかということで見てみますと、多少、いろいろ考えてはおるけれども、実際上は同じようなことになりそうな気がする。そういう点で、この点私うるさく聞いているんですけれども、実際やってみなければわからぬと言えばそれまでですけれども、実際そういうことになるのですね。可能性というか、そういうものは非常に多いんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/113
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114・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 私が申し上げておりますのは、法律で規定がこういうふうにございますけれども、施行者が、市街地改造におきましては、過小なために床をやらないという例は一つもないということでございまして、本人が希望しまして出ていくのは、先ほど先生が例を引かれましたように相当にあるわけでございます。その場合には、当然いろんなお金をもらって出ていかれるわけでございまして、新橋等の場合においても、借家権者に対しては相当の補償額が出ているわけであります。したがいまして、本人が選択するという場合が出てくるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/114
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115・春日正一
○春日正一君 結論的に言って、やはりこの大都市の改造というような問題は非常な大事業だし、だから国と地方自治体が主体になってはっきりした計画をもって進んでいく。そして住民の利益というものが十分尊重されるような方向でやられなければ、いろいろなところで抵抗も起こるし問題も起こるし、実際上進まないようなことになってしまう。それから特に再開発組合の問題で言えば、これは民間資金を生かすというけれども、結局民間資本というものが入ってくれば、これは営利なんですから、利益を追求するのは、民間会社のそもそも営業の目的なんですからね。どうしてもそういうことのために、それが入ってきたために、そこにいままで権利を持っていた人たちの権利が実際上侵されていく、そういうことがとられていくというような、そういう弊害が避けられないと思うんです、資本主義なんですから。大きい会社が営利をもってやってくるということになれば、もう池袋の駅前だって新宿の駅前だって渋谷の駅前だって見てごらんなさい。ほとんどデパート、私鉄が東京都の土地なり施設をまるっきり利用しながら、自分の営業に——駅をおりればデパートに入らなくちゃならないようにできてしまっている。そういうことにしてしまうおそれがあるということになれば、やはりそういうものにこういう土地改造事業を参加させてまかせるということでなくて、やはり国なり自治体が責任をもってやる。そして特に商店街振興組合とか、そういう自発的にやろうというものが地元にあるなら、やはり政府なり自治体なりが資金のめんどうを見てそれを援助してやるというような形でいかなければ、民間資本をこれに参加させるということになれば、どうしてもそれは資本の食いものになるにきまっている。そこらの点で再開発法の一番大きな弱点が出てくるんじゃないか。そういう点で、もう一度大臣の、これは大きな政治的な考え方ですね、そこらを聞かしておいていただきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/115
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116・保利茂
○国務大臣(保利茂君) まあ駅前あたりの状態を見ますると、なるほど変わっておりますがね、変わっておりますが、踏みつぶして変わっているというわけでなしに、前に住んでおられた方がよりよき条件を求めてかわる。とにかく町づくりのつくりかえをやろうというわけですから、そのままその方々の力だけで町づくりができようはずもないのです。できるだけ公的資金を投入して、住民の方々の利益をそこなわないように配慮していかなければならないということは、もう私もそう考えるわけでございます。ございますが、あなたのお話を伺っておっても、何か大資本にもみつぶされてしまって、というようなお話に伺うのですけれども、私はそうではないと思うのです。かわる方は、前におられた方はよりよき条件で明け渡しされていると思う。私はそういうことは、必ずしも一がいに、もういかぬとばかりも言えないんじゃないかと、しかし十分配慮していかなければならないということはわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/116
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117・春日正一
○春日正一君 それでは私はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/117
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118・藤田進
○委員長(藤田進君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/118
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119・藤田進
○委員長(藤田進君) 都市計画法案及び都市計画法施行法案を一括して議題といたします。
両案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、その補足説明を聴取いたします。竹内都市局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/119
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120・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 都市計画法案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。
第一条は、この法律の目的を定めたものであります。この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備をはかり、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的としております。
第二条は、都市計画の基本理念を定めたものであります。都市計画は、農林漁業との健全な調和をはかりつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと、並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用がはかられるべきことを基本理念として定めることとしております。
第三条は、国、地方公共団体及び住民の責務を定めたものであります。
第一項では、国及び地方公共団体は、都市の整備、開発その他都市計画の適切な遂行につとめなければならないものとし、第二項では、都市の住民は、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するため行なう措置に協力し、良好な都市環境の形成につとめなければならないものとしております。
第四条は、この法律において使用されております特別の用語の定義を定めたものであります。
第一項は、「都市計画」について定めておりまして、都市計画とは、都市の健全な発展と秩序ある整備をはかるための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画で第二章第二節の規定により、建設大臣、都道府県知事または市町村が決定し、告示したものをいうものとしております。
第二項は、「都市計画区域」について定めておりまして、第五条の規定により、建設大臣または都道府県知事が指定し、告示した区域をいうものとしております。
第八項は、第三章第一節の規定により規制を受けることとなる「開発行為」について定めておりまして、主として建築物の建築の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいうものとしております。
第十一項は、「都市計画事業」について定めておりまして、第五十九条の規定による建設大臣または都道府県知事の認可または承認を受けて行なわれる都市計画施設の整備に関する事業及び市街地開発事業をいうものとしております。
以上のほか、第三項、第四項等におきまして、「地域地区」、「都市施設」、「建築物」等この法律で用いるその他の特別な用語の定義を定めております。
第五条は、都市計画区域に関し、その要件、指定の手続等を定めたものであります。
第一項及び第二項では、近時の著しい都市の発達に伴い、従来市町村の行政区域によることを原則としていた都市計画区域の指定を改めまして、都道府県知事は、市もしくは市に準ずる町村の中心市街地を含み、かつ、自然的及び社会的条件等を勘案して必ずしも市町村の行政区域にとらわれず、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域または首都圏の都市開発区域その他新たに住居都市、工業都市その他の都市として開発する等の必要がある区域を、都市計画区域として指定するものとしております。
第三項では、都道府県知事が第一項または第二項の規定により都市計画区域を指定する場合の手続を定めておりまして、あらかじめ関係市町村及び都市計画地方審議会の意見を聞くとともに、建設大臣の認可を受けなければならないものとしております。
第四項では、都道府県知事による都市計画区域の指定の例外として、二以上の都府県の区域にわたる都市計画区域につきましては、広域的調整を行なう見地から、建設大臣が関係都府県知事の意見を聞いて指定するものとしております。
第六条は、都道府県知事が都市計画区域について、おおむね五年ごとに、人口規模、市街地面
土地利用等の現況及び将来の見通しについて基礎調査を行なうものとしております。
第二章は、都市計画について定めたものでありまして、第一節ではその内容を、第二節ではその決定等の手続を定めております。
第七条は、市街化区域及び市街化調整区域について定めたものであります。
都市計画には、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化をはかるため、都市計画区域を区分して、市街化区域及び市街化調整区域を定めるものとし、市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化をはかるべき区域とし、市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とするものとしております。
第八条及び第九条は地域地区について定めたものでありまして、第八条では、都市計画に定められる地域地区を列挙し、第九条ではそれらの地域地区の性格を定めるとともに第十条では地域地区内における建物等の制限については、この法律で特に定めるもののほか、別に法律で定めることとしております。
第十一条は、都市計画に定められる都市施設を列挙しております。
第十二条は、都市計画に定められる市街地開発事業を列挙しております。
第十三条は、都市計画を策定するにあたって準拠すべき都市計画基準について定めたものであります。
都市計画は、国全総合開発計画、首都圏整備計画その他の国土計画または地方計画及び道路、河川、鉄道等に関する国の施設計画に適合するとともに、当該都市の特質を考慮して、第一項各号に掲げるところに従って、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備をはかるため必要なものを、一体的かつ総合的に定めなければならないものとしております。
第一号では、市街化区域及び市街化調整区域の区分は、当該都市の発展の動向等を勘案して、国土の合理的利用を確保し、効率的な公共投資を行なうことができるように定めることとしております。
第二号から第四号までは、地域地区、都市施設及び市街地開発事業についての都市計画基準を定めておりますが、この場合、市街化区域については、少くとも用途地域を定めるものとし、また、市街化区域については、少くとも道路、公園及び下水道を、住居地域については義務教育施設をも定めるものとしております。
第五号では、以上の基準を適用するについては、第六条の基礎調査の結果に基づき、かつ、政府が法律に基づき行なう人口、産業その他の調査の結果について配慮することとしております。
第二項では、すでに別に法律で基準が定められている歴史的風土特別保存地区、流通業務地区等の地域地区、流通業務団地及び市街地開発事業につきましては、第一項に定めてある基準のほか、それらの別の法律の基準にも従うべきものとしております。
第十四条は、都市計画は、総括図、計画図及び計画書によって表示することを定めております。
第十五条及び第十六条は、都市計画を定める者について定めたものでありまして、第十五条では、市街化区域及び市街化調整区域、広域の見地から決定すべき地域地区及び都市施設、根幹的都市施設、一定の市街地開発事業等は都道府県知事が、その他の都市計画は市町村が定めるものとし、第十六条では、市町村が定める都市計画は議会の議決を経て定められた当該市町村の建設基本構想に即し、かつ、都道府県知事が定めた都市計画に適合したものでなければならないこと等を定めております。
第十七条から第二十一条までは、都道府県知事または市町村によります都市計画の決定または変更の手続について定めたものであります。
第十七条では、都市計画の決定にあたっては、あらかじめ、その案を公衆の縦覧に供すべきこととし、関係者は意見書を提出することができること等を定め、第十八条では、都道府県知事による都市計画の決定については、あらかじめ関係市町村の意見を聞き、かつ都市計画地方審議会の議を経べきこと及び大都市等の都市計画区域にかかる都市計画等の場合には、あらかじめ建設大臣の認可を要することを、第十九条では、市町村による都市計画の決定については、都道府県知事の承認を要することとし、その承認には、あらかじめ、都市計画地方審議会の議を経べきことを、第二十条では、都市計画を決定したときは、告示し、かつ、関係図書を公衆の縦覧に供すべきことを定め、第二十一条では、都市計画区域が変更されたとき、その他都市計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく、都市計画を変更すべきことを定めております。
第二十二条は、前述のごとき都道府県知事及び市町村による都市計画決定の例外として、二以上の都府県の区域にわたる都市計画区域に係る都市計画は、建設大臣及び市町村が定めるものとしその場合における必要な手続を定めたものであります。
第二十三条は都市計画を定め、または認可する場合等における関係行政機関との調整等について定めたものであります。
第一項及び第二項では、建設大臣が市街化区域に関する都市計画を定め、または認可する場合には、農林大臣等と調整すべきことを、第三項では、厚生大臣は必要がある場合には、用途地域等について意見を述べることができることを、第四項では、臨港地区に関する都市計画は、港湾管理者の申出によることを、第五項では、建設大臣が都市施設に関する都市計画を定め、または認可する場合には、当該施設の設置について許可、認可等の処分権限を有する国の関係行政機関に協議すべきことを、第六項では、都市施設に関する都市計画を定めようとする場合には、それを管理することとなる者等に協議すべきことを定めております。
第二十四条は、建設大臣の指示等について定めたものでありまして、建設大臣は、みずから、または国の行政機関の長の要請に基づき、国の利害に重大な関係がある事項に関し、都道府県知事等に対し、都市計画区域の指定、都市計画の決定等について必要な措置をとることを指示することができるものとし、都道府県知事等が当該指示に従わない場合には、代行措置をとり得るものとしております。’第二十五条から第二十八条までは、都市計画の決定または変更を行なうための調査のための土地の立ち入り、障害物の伐除及び土地の試掘、証明書等の携帯並びに土地の立ち入り等に伴う損失の補償について定めたものであります。
第三章は、都市計画による都市の秩序ある整備をはかるために必要な行為の規制について定めたものでありまして、第一節では第七条及び第十三条において述べました市街化区域及び市街化調整区域の区分の趣旨に従い、良好かつ健全な市街地の形成を期するため、この法案において新たに創設した開発許可制度を、第二節では都市計画施設等の区域内における建築の規制を、第三節では風致地区規制を定めたものであります。
第二十九条は、開発許可について定めたものでありまして、市街化区域または市街化調整区域内において開発行為をしようとする者は、市街化区域内の一定の小規模な開発行為、農林漁業用の建築物にかかる開発行為、公益上必要な開発行為等第一号から第九号までに掲げるものを除き、都道府県知事の許可を受けなればならないものとしております。
第三十条から第三十二条までは、開発許可申請の手続等について定めたものでありまして、第三十条では許可申請書を提出すべきことを、第三十一条では設計図書等は一定の資格を有する者の作成によるべきことを、第三十二条では許可申請には公共施設の管理者の同意等を要すべきことを定めております。
第三十三条は、開発許可の基準を定めたものであります。第一項では、都道府県知事は申請にかかる開発行為が第一号から第十一号までの基準に適合している場合に許可することとしておりますが、主として自己の居住または業務の用に供する目的で行なう開発行為にあっては、第一号、第三号、第六号、第八号及び第十一号の基準に適合すれば許可することとしております。
第一号では、当該開発行為にかかる予定建築物が用途地域等に適合すべきことを、第二号では、開発区域内において道路、公園等の公共空地を適正に配置し、かつ、開発区域内の主要な道路が開発区域外の相当規模の道路に接続するような設計とすべきことを、第三号では、当該区域及び他の地域に溢水等が生じないように、排水施設を設ける設計とすべきことを、第四号では、水道その他の給水施設を設ける設計とすべきことを、第五号では、開発区内における公共施設、公益的施設及び予定建築物の用途配分が適正なものであるべきことを、第六号では、必要な場合には、地盤の改良を行なう等安全上必要な設計とすべきことを、第七号では、開発区域内に災害危険区域等の開発不適地を含まないように区域を定めるべきことを、第八号では、大規模な開発行為にあっては、道路、鉄道等による輸送の便等から見て支障がないものであるべきことを、第九号及び第十号では、申請者の資力、信用及び工事施行者の工事施行能力があるべきことを、第十一号では、開発区域内の土地等につき権利を有する者の相当数の同意を得べきことを、それぞれ、定めております。
第二項では、許可基準に関する技術的基準を政令で定める旨を、第三項では、公有水面埋立法の規定による一定の埋立地で行なわれる開発行為についての基準の適用の特例について定めております。
第三十四条は、市街化調整区域内において許可することができる開発行為の範囲を定めたものであります。都道府県知事は、市街化調整区域内においては、開発行為は、第三十三条に規定する基準に適合するほか、第一号から第十号までのいずれかに該当すると認める場合でなければ許可してはならないものとしております。
第一号から第八号までは、市街化区域内において行なうことが困難または不適当な開発行為を定めたものでありまして、第一号では、既存の居住者の日常生活に必要な物品の販売を行なう店舗等にかかる開発行為を、第二号では、鉱物資源、観光資源等の有効な利用上必要な建築物にかかる開発行為を、第三号では、温度、湿度等の自然条件について特別の条件を必要とする事業にかかる開発行為を、第四号では、農林水産業の用に供する建築物等にかかる開発行為を、第五号では都道府県が国等と一体となって助成中小企業の事業の共同化または集団化に寄与する事業の用に供する建築物にかかる開発行為を、第六号では既存の工場と密接な関連を有する工場にかかる開発行為を、第七号では危険物の貯蔵または処理に供する建築物にかかる開発行為を、第八号では、前各号以外の政令で定める開発行為で市街化区域内において行なうことが困難または不適当なものを定めております。
第九号では、市街化調整区域が定められた際、自己の居住または業務の用に供する建築物を建築する目的で権利を有していた者に対する救済措置として、それらの者が一定の期間内に届け出をし、一定期間内に当初の目的どおりに行なう開発行為を定めております。
第十号では、一定の面積以上の開発行為で、当該都市計画区域における計画的な市街化をはかる上で支障がないと認められる開発行為または周辺の市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行なうことが困難または著しく不適当と認められる開発行為で、開発審査会の議を経たものを定めております。
以上が市街化調整区域内において許可される範囲であり、したがって、その他のものは禁止されることとなるわけであります。
第三十五条は、許可または不許可の通知義務について定めたものであります。
第三十六条は、工事完了の検査について定めたものであります。
第三十七条は、開発許可を受けた開発区域内においては、工事完了公告までの間は、工事用の仮設建築物等以外の建築物は建築してはならない旨を定めております。
第三十八条は、開発行為に関する工事を廃止したときは、都道府県知事に届け出なければならない旨を定めております
第三十九条は、開発行為等により設置された公共施設は、工事完了の公告後、原則として市町村の管理に移ることを定めております。
第四十条は、開発行為等により設置された公共施設の用に供する土地の帰属について定めておりまして、第一項及び第二項では開発行為等により設置された公共施設の用に供する土地は、原則として、当該公共施設の管理者に帰属することとし、第三項では、市街化区域内における一定の公共施・設が設置された場合において、その公共施設の用に供する土地が、国、地方公共団体に帰属することとなるときは、従前の所有者は、国、地方公共団体に対し、その土地の取得に要すべき費用の全部または一部を負担すべきことを求めることができることとしております。
第四十一条は、市街化調整区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは、都道府県知事は、当該開発区域内の土地について、建築物の敷地面積に対する建築面積の割合等の制限を定めることができるものとするとともに、建築物はこの制限に違反して建築してはならない旨を定めたものであります。
第四十二条においては、開発許可を受けた開発区域内においては、工事完了の公告後は、用途地域が定められている等の場合を除き、開発許可の際定められた予定建築物以外の建築物を新築し、または建築物を改築し、または用途を変更して予定建築以外の建築物としてはならない旨を定めております。
第四十三条第一項は、市街化調整区域のうち開発許可を受けた土地以外の土地においては、国等が行なうもの等を除き都道府県知事の許可を受けなければ建築物の新築、改築または用途の変更をしてはならないものとしております。
また、第二項では、その場合の許可の基準を、開発許可の基準の例に準じて、政令で定める旨を定めております。
第四十四条及び第四十五条は、許可に基づく地位の承継等についてその認められる場合及びその要件を定めたものであります。
第四十六条及び第四十七条は、開発登録簿について定めたものでありまして、第四十六条では都道府県知事が登録簿を調製、保管すべきことを、第四十七条では、登録簿の記載事項、登録簿の閲覧、その写しの交付等を定めております。
第四十八条は、国及び地方公共団体は、市街化区域内において開発許可を受けた者に対し、必要な技術上の助言または資金上その他の援助につとめるものとする旨を定めております。
第四十九条は、開発許可の手数料は、一件につき十万円をこえることができない旨を定めております。
第五十条から第五十二条までは、開発行為等に関する処分についての不服申し立て等について定めたものであります。第五十条では、開発行為等に関する処分についての審査請求は、開発審査会に対してするものとし、その裁決に対しては建設大臣に再審査請求をすることができることを、第五十一条では、開発行為等に関する処分に不服である理由が鉱業、採石業等との調整に関するものであるときの特例を、第五十二条では、開発行為等に関する処分についての訴訟は、当該処分についての審査請求に対する開発審査会の裁決を経た後でなければ提起することができないことを定めております。
第五十三条及び第五十四条は、道路等の都市計画施設の予定地内における建築物の建築制限等について定めたものでありまして、都市計画施設または市街地開発事業の施行区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、建築物を建築してはならないものとし、この場合、都道府県知事は、その建築物が、都市計画に適合しているものであるか、または移転等が容易な木造建築物等である場合でなければ、その建築を許可してはならないものとしております。
第五十五条から第五十七条までは、第五十三条の建築許可の基準についての特例等を定めたものでありまして、都道府県知事は、都市計画施設でその指定した土地の区域内または土地区画整理事業以外の市街地開発事業の施行区域内における建築物の建築については、別に都市計画事業の施行者等に土地の所有者からの土地の買い取りの申し出を認めることにより、木造建築物等であってもその建築を許可しないことができるものとするとともに、都市計画事業の施行者等は、買い取った土地を適正に管理しなければならないものとしております。
第五十八条は、風致地区内においては、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で、建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採等の行為について、必要な規制ができること等を定めたものであります。
第四章は、都市計画事業について定めたものでありまして、第一節では、都市計画事業の施行につき必要な建設大臣または都道府県知事による認可または承認を、第二節では、都市計画事業の施行につき必要な事業予定地内の建築等の制限、土地建物等の先買い、土地の買い取り請求土地収用等を定めております。
第五十九条は、都市計画事業の施行者等に関し、必要な事項を定めたものであります。
第一項では、都市計画事業は、市町村が都道府県知事の認可を受けて施行することを原則としております。
第二項では、第一項の規定にかかわらず、都の特別区は、主として特別区の住民の用に供する都市施設に関する都市計画事業に限り、都知事の認可を受けて施行することができるものとしております。
第三項では、都道府県は、市町村が施行することが困難または不適当な場合等、特別な事情がある場合においては、建設大臣の認可を受けて施行することができるものとしております。
第四項では、国の機関は、建設大臣の承認を受けて、国の利害に重大な関係を有するものを施行することができるものとしております。
第五項及び第六項では、一般私人等は、事業の施行について免許、許可等の処分を受けているとき、その他特別な事情がある場合には、都道府県知事の認可を受けて施行できるものとしており、この場合、都道府県知事は、あらかじめ、関係地方公共団体の長の意見を聞いて認可を行なうものとしております。
なお、第七項では、建設大臣または都道府県知事がこれらの承認または認可を行なうときは、農業用の用排水施設等との調整をはかるべきことを定めております。
第六十条から第六十二条までは、都市計画事業の認可または承認の申請手続、その基準、その告示等を定めたものでありまして、建設大臣または都道府県知事は、申請にかかる事業の内容が都市計画に適合し、かつ、事業施行期間が適切なものであること及び当該事業の施行に関し他の法令の規定により免許、許可等の処分を必要とする場合には、これらの処分があったこと等の要件を満たす場合に認可または承認をすることができるものとし、認可または承認をしたときは、その旨を告示するとともに、関係図書を地元市町村の事務所において公衆の縦覧に供するものとしております。
第六十三条は、都市計画事業の施行者が事業計画の変更をする場合にも、認可または承認を受けなければならないことを定めたものであります。
第六十四条は、都市計画事業の施行についての認可に基づく地位は、相続等により一般承継される場合以外の場合には、都道府県知事の承認を受けなければならない旨等を定めたものであります。
第六十五条は、事業計画の認可の告示のあった後における都市計画事業地内における建築行為等の制限について定めております。
第六十六条は、事業施行の公告、土地建物の先買い等についての周知措置、地元住民に対する事業概要の説明等、事業の施行を周知させるため必要な措置を施行者が講ずべきことを定めております。
第六十七条は、都市計画事業の事業地内における土地建物についての先買いについて定めております。
第六十八条は、土地の買い取り請求について定めたものでありまして、都市計画事業の事業地内の土地で一定の条件に該当するものの所有者は施行者に対し、その土地を時価で買い取るべきことを請求することができることとしております。
第六十九条から第七十三条までの規定は、都市計画事業のため必要な土地等の収用について定めております。
第六十九条では、都市計画事業については、土地収用法第三条各号の事業に該当するものとみなして土地収用法を適用し、施行者がその事業の施行のため必要な土地等を収用し、または使用することができる旨を、第七十条から第七十三条までの規定は、都市計画事業の認可または承認をもって土地収用法の事業の認定とみなす等、土地収用法を適用するにあたっての特別の定めをしたものであります。
第七十四条及び第七十五条は、受益者負担金について定めておりまして、第七十四条では、国、都道府県または市町村が政令または条例の定めるところにより、受益者負担金を徴収することができることを、第七十五条では、その強制徴収の手続を定めております。
第七十六条は、建設省の付属機関として都市計画中央審議会を設置し、都市計画に関する重要事項を調査審議させることを定めております。
第七十七条は、都道府県に都市計画地方審議会を設置し、都市計画に関する事項を調査審議させることを定めております。
第七十八条、開発行為の規制に関する不服申し立てに対する裁決等を行なわせるため、都道府県に開発審査会を設置することとし、その組織、委員の資格、委員の欠格事由等を定めております。
第七十九条は、開発行為の許可その他この法律の規定による許可、認可または承認に都市計画上必要な条件を付することができる旨を定めております。
第八十条は、建設大臣または都道府県知事の施行者等に対する資料の提出の請求、勧告等及び市町村または施行者の建設大臣等に対する技術的援助の請求について定めております。
第八十一条は、都市計画の適切な遂行を確保するための建設大臣または都道府県知事の監督処分について定めております。
第八十二条は、建設大臣または都道府県知事が監督権を行使するにあたって必要な立ち入り検査権について定めております。
第八十三条は、国は地方公共団体に対し、重要な都市計画または都市計画事業に要する費用の一部を補助することができる旨を定めております。
第八十四条は、開発行為の規制に関する権限については、都道府県知事は十万以上の市または港湾管理者の長に限り、これを委任することができる旨を定めております。
第八十五条は、地方自治法の指定都市の特例を定めたものでありまして、建設大臣または都道府県知事は、指定都市の区域を含む都市計画区域にかかる都市計画を定めようとするときは、指定都市の長と協議するものとし、また、開発行為等の規制に関する事務については、指定都市または指定都市の長が行なうものとしております。
第八十六条は、この法律の実施のため必要な事項を政令に委任しております。
第八十七条から第九十五条までの規定は、所要の罰則について定めております。
附則第一項は、この法律の施行期日は 別に法律で定めることとしております。
附則第二項は、現行の都市計画法及び住宅地造成事業に関する法律を廃止する旨を定めております。
附則第三項は、市街化区域、市街化調整区域及び第三章第一節の開発行為等の規制に関する規定は、当分の間、大都市等にかかる都市計画区域以外の都市計画区域については、適用しない旨を定めております。
附則第四項は、農林大臣との協議を了して指定した市街化区域内の農地等については、農地転用の許可を要しないこと等について定めております。
附則第五項は、この法律の施行に伴い必要な経過措置等こついてば別に法律で定めることとしております。
次に、都市計画法施行法案につきまして、逐条的にその内容を御説明申し上げます。
第一条は、新都市計画法の施行期日について、公布の日から起策して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する旨を定めておりますが、今回新たに設けられることとなりました都市計画中央審議会に関する規定は、公布の日から施行いたすこととする旨を定めております。
第二条は、新法の施行の際、現に旧都市計画法の規定により決定されている都市計画区域及び都市計画は、それぞれ新法の規定による都市計画区域または都市計画とみなすこととしております。
第三条は、旧法の規定による都市計画事業についての経過措置を定めておりまして、第一項では、新法の施行の際、現に執行中の都市計画事業は、新法の規定による都市計画事業とみなすことを規定しており、第二項では、この都市計画事業についての新法の適用についての必要な技術的読替え等を規定しており、第三項では、旧法の規定により受益者負担金を徴収すべきことが定められていた都市計画事業については、その負担金の徴収を受ける者の範囲及び徴収方法については、なお従前の例によることを規定いたしております。
第四条は、旧法第九条の規定等により下付を受けた旧国有河岸地の管理及び処分により収入する金額は、都市計画事業の財源に充てなければならない旨を定めております。
第五条は、風致地区内の建築物の建築等の制限については、新法の施行後一年間は、なお従前どおり都道府県の規則で規制していくこと等、風致地区の経過措置を定めております。
第六条は、旧法の規定による都市計画及び都市計画事業についての第二条から前条までに規定する経過措置のほか、新法の適用についての技術的読み替え等についての所要の経過措置を政令で定める旨を定めております。
第七条は、新法の施行に伴い廃止されることとなる住宅地造成事業に関する法律の経過措置を定めたものでありまして、同法に基づき住宅地造成事業規制区域として指定されていた土地の区域内における住宅地造成事業については、新法の規定による市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められるまでの間は、なお従前の例によることとする等を規定いたしております。
第八条及び第九条は、建設省設置法の一部改正について定めておりまして、第八条では、建設省の付属機関として都市計画中央、審議会を設けることを定め、第九条では、新都市計画法の規定中開発行為に関する事務の所掌を、計画局宅地部とする等の所要の改正を行なうことを規定いたしております。
第十条から第十三条までは、屋外広告物法、土地改良法、広島平和記念都市建設法及び長崎国際文化都市建設法につきまして、新都市計画法の施行に伴う所要の技術的改正を行なっております。
第十四条及び第十五条は、建築基準法の一部改正及びそれに伴う経過措置を定めております。まず建築基準法の一部改正といたしましては、第一に、これまで地域地区に関する都市計画は、建築基準法に規定がなされておりましたが、今回これを新都市計画法に列記いたすことといたしましたことに伴い所要の改正を行なうこと、第二には、都市計画制限の制度が新都市計画法において一般化されたことにより、これまで建築基準法で規定しておりました都市計画道路内の建築行為の制限の規定が不要となったことに伴い、所要の改正を行なうこと等を規定するとともに、これに伴う所要の経過措置を規定いたしております。
第十六条から第二十二条までは、地方交付税法、港湾法、旧軍港市転換法、別府国際観光温泉文化都市建設法、伊東国際観光温泉文化都市建設法、地方税法及び熱海国際観光温泉文化都市建設法につきまして、新都市計画法の施行に伴う所要の技術的改正を行なうことを定めております。
第二十三条及び第二十四条は、横浜国際港都建設法及び神戸国際港都建設法につきまして、これまでこれら都市における国際港都建設事業の執行者がその市長とされていたのを、新都市計画法では都市計画事業の執行者が行政庁からその統轄する地方公共団体とされることとなったことに伴い、当該国際港都建設事業の執行者を市長からその統轄する地方公共団体とすること等、新都市計画法の施行に伴う所要の技術的改正を行なうことを定めております。
第二十五条から第二十八条までは、奈良国際文化観光都市建設法及び京都国際文化観光都市建設法の一部改正及びそれに伴う経過措置を定めております。まず第一に、これら法律について、さきに御説明申し上げました第二十三条及び第二十四条と同様の趣旨の改正を行なうほか、第二には、これら都市について指定される文化観光保存地区が、新都市計画法の地域地区に含まれることを規定し、第三には、旧特別都市計画法第三条を準用して指定することができるものとされていた緑地地域の制度を廃止することとし、それに伴う所要の経過措置を規定することといたしております。
第二十九条から第三十一条までは、松江国際文化観光都市建設法、芦屋国際文化住宅都市建設法及び松山国際観光温泉文化都市建設法につきまして、さきに御説明した第二十三条及び第二十四条と同様の趣旨の改正を行なうことを定めております。
第三十二条は、官公庁施設の建設等に関する法律につきまして、都市計画制限の制度が新都市計画法において一般化されましたので、この法律の規定による一団地の官公庁施設内の都市計画制限の規定を削除することとする等の所要の改正を行なうことを定めております。
第三十三条は、土地収用法につきまして、新都市計画法の施行に伴う所要の技術的改正を行なうことを定めております。
第三十四条は、軽井沢国際親善文化観光都市建設法につきまして、第二十三条及び第二十四条と同様の趣旨の改正を行なうことを定めております。
第三十五条及び第三十六条は、土地区画整理法の一部改正及びそれに伴う経過措置を定めております。まず土地区画整理法の一部改正といたしましては、第一に、土地区画整理事業について都市計画が定められた区域内においては、土地区画整理事業は都市計画事業として施行するものとし、その場合、土地区画整理法の規定による事業計画、組合の設立または設計の概要の認可等をもって、新都市計画法第五十九条の都市計画事業の認可または承認があったものとみなし、新都市計画法と土地区画整理法との手続の重複を避けることといたし、第二には、都市計画事業として施行される土地区画整理事業について、新都市計画法第六十二条と同趣旨の関係図書の長期縦覧の制度を設け、当該事業の一般公衆への周知徹底をはかることといたし、第三には、個人施行者及び組合が新都市計画法による市街化調整理区域内で施行する土地区画整理事業についての認可基準に所要の調整規定を設ける等を規定いたしております。また、これら一部改正に伴う経過措置といたしましては、すでに着手している土地区画整理事業については、原則として改正前の土地区画整理法によること等を規定いたしております。
第三十七条及び第三十八条は、土地区画整理法施行法の一部改正及びそれに伴う経過措置について定めております。まず第一に、土地区画整理法施行法の一部改正といたしましては、同法附則により、当分の間なおその効力を有するものとされておりました旧特別都市計画法第三条の規定すなわち緑地地域に関する規定を削除し、新都市計画法の施行後は、緑地地域の制度を廃止することといたし、第二には、それに伴う経過措置として、新都市計画法の施行の際現に存する緑地地域は、市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められるまでの間は、新都市計画法の地域地区とみなして存続させることとし、その間においても、新都市計画法の手続に従い、その全部または一部の廃止もできるものとする等の所要の経過措置を規定いたしております。
第三十九条及び第四十条は、日本住宅公団法の一部改正及びそれに伴う経過措置について定めておりまして、日本住宅公団が施行する土地区画整理事業についての同法中の規定について、さきに御説明申し上げました土地区画整理法の一部改正及びそれに伴う経過措置と同様の趣旨のことを規定いたしております。
第四十一条は、都市公園法につきまして、新都市計画法の施行に伴う所要の技術的改正を行なうことを定めております。
第四十二条及び第四十三条は、租税特別措置法の一部改正及びそれに伴う経過措置を定めておりまして、新都市計画法の施行に伴い廃止されることとなる住宅地造成事業に関する法律による住宅地造成事業について、新都市計画法の相当規定への移行等につきまして技術的改正を行なうとともに、それに伴う所要の経過措置を規定いたしております。
第四十四条は、駐車場法の一部改正を定めておりまして、駐車場整備地区に関する都市計画及び路上駐車場設置計画の策定主体等につきまして、新都市計画法の施行に伴う所要の技術的改正を行なうことを規定いたしております。
第四十五条及び第四十六条は、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律の一部改正及びそれに伴う経過措置について定めております。まず首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律の一部改正といたしましては、第一に、都市開発区域による都市計画区域の指定及び工業団地造成事業に関する都市計画につきまして、新都市計画法の施行に伴う技術的改正を行なうこととし、第二には、測量、調査及び土地の取得等に関する第二章第二節の規定は、そのほとんどが新都市計画法に一般的に規定されることとなりましたので、それを削除することとし、第三には、工業団地造成事業の事業計画について、都市計画事業の事業計画との混乱を避けるため、施行計画と改めるほか、その届け先につきまして、新都市計画法による都市計画事業の認可権者または承認権者と同一のものとなるよう、所要の改正を行なうこととする等を規定いたしております。またこれらの一部改正に伴う経過措置といたしましては、改正前になされた測量、調査あるいは先買い等に関連します処分、手続等の行為につきましては、新都市計画法の相当規定によってしたものとみなす等を規定いたしております。
第四十七条から第五十五条までは、下水道法、首都高速道路公団法、自動車ターミナル法、住宅地区改良法、公共用地の取得に関する特別措置法、宅地造成等規制法、阪神高速道路公団法及び都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律につきまして、新都市計画法の施行に伴う所要の技術的改正を行なうこと及びそれに伴う所要の経過措置を定めております。
第五十六条から第五十九条までは、新住宅市街地開発法及び近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律の一部改正及びそれに伴う経過措置につきまして、さきに御説明申し上げました第四十五条及び第四十六条と同様の趣旨の一部改正及びそれに伴う経過措置を定めることといたしております。
第六十条から第六十二条までは、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法、都市開発資金の貸付けに関する法律及び首都圏近郊緑地保全法につきまして、新都市計画法の施行に伴う所要の技術的改正を行なうことを定めております。
第六十三条及び第六十四条は、流通業務市街地の整備に関する法律につきまして、流通業務地区に関する都市計画についての所要の技術的改正を行なうほか、流通業務団地に関する都市計画及び流通業務団地造成事業について、さきに御説明申し上げました第四十五条及び第四十六条と同様の趣旨の改正を行なうこと及びそれに伴う所要の経過措置を定めております。
第六十五条から第六十八条までは、下水道整備緊急措置法、土地収用法の一部を改正する法律施行法、中部圏の都市整備区域、都市開発区域及び保全区域の整備等に関する法律及び近畿圏の保全区域の整備に関する法律につきまして、新都市計画法の施行に伴う所要の技術的改正を行なうことを定めております。
第六十九条及び第七十条は、都市再開発法の一部改正及びそれに伴う経過措置について定めておりまして、さきに御説明申し上げました第三十五条及び第三十六条の土地区画整理法の一部改正及びそれに伴う経過措置とほぼ同様の趣旨の改正を行なうこと等を規定いたしております。すなわち、第一は、都市再開発法による市街地再開発、組合の設立または市街地再開発事業の設計の概要の認可等をもって、新都市計画法第五十九条の都市計画事業の認可または承認があったものとみなし、新都市計画法と都市再開発法の手続の重複を避けることとし、第二には、市街地再開発事業について新都市計画法第六十二条と同趣旨の関係図書の長期縦覧の制度を設けて、当該事業の一般公衆への周知徹底をはかることといたす等所要の改正を行なうこと及びそれに伴う所要の経過措置を規定いたしております。
第七十一条から第七十三条までは、都市再開発法の施行に伴い廃止されることとなる公共施設の整備に関連する市街地改造に関する法律による市街地改造成事業に関する経過措置並びにそれに関連してなお効力を有するものとされる同法の一部改正及びそれに伴う経過措置を定めております。まず第一に、市街地改造事業は、これを新都市計画法上は市街地開発事業として取り扱うものとし、第二には、同法の一部改正とし、市街地改造事業に関する都市計画についての所要の技術的改正を行なうこと、測量、調査、土地の収用等の規定は、新都市計画法に一般的に規定されることになりましたのでそれを削除することとしたこと、新都市計画法において都市計画事業の認可または承認の制度が設けられたので、手続の重複を避けるため、市街地改造事業の事業計画の認可の規定の整備を行なうこととしたこと等であり、第三には、同法の一部改正に伴う所要の経過措置を定めることとしたこと等を規定いたしております。
第七十四条は、防災建築街区造成法につきまして、その後も経過的に存続するものとされる防災建築街区造成組合等との関係で、同法はなおその効力を有するものとされておりますので、それとの関連におきます同法の所要の技術的改正を定めたものであります。
附則におきましては、この法律の施行期日は新都市計画法の施行の日から施行する旨を定めておりますが、第八条の都市計画中央審議会の設置に関する規定につきましては、新法の公布の日から施行する旨を定めております。
以上が都市計画法施行法案の内容であります。
なお、都市計画法案、都市計画施行法案に対する衆議院修正部分の逐条説明を申し上げます。
都市計画法案に対する衆議院修正部分につきまして逐条的に御説明申し上げます。
目次及び第十二条で、修正に伴う字句修正等を行なっております。
第十三条の修正は、都市計画の策定に関し必要な基準についての修正でありまして、都市計画は、当該都市の住民が健康で文化的な都市生活を享受することができるように、住宅の建設及び居住環境の整備に関する計画を定めなければならない旨の規定を加えております。
第十六条の修正は、都市計画に対する住民の意見の反映のための措置についての修正であります。
すなわち、都道府県知事または市町村は、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする旨を定めたものであります。
第二十二条の修正は、十六条の修正に伴う字句の修正であります。
第二十九条の修正は、字句の修正であります。
第五十五条から第五十七条までの修正は、一定の都市計画施設の区域または市街地開発事業に関する都市計画が定められた区域内の土地について、都道府県知事等が土地の先買いをすることができることとしたものであります。
第五十五条の修正は、都道府県知事のほか都市計画事業の施行者等も先買いにおける届け出の相手方等となる旨を定めたものであります。
第五十六条の修正は、第五十五条の修正に伴う技術的修正であります。
第五十七条の修正は、市街地開発事業または市街化区域内の都市計画施設の区域内において、第六十七条の規定と同様の先買い制度を創設したものであります。
第六十七条の修正は、第五十七条の修正に伴う字句修正であります。
第七十三条の修正は、字句の修正であります。
第七十四条は、都市計画事業等の施行に伴う生活再建の措置を定めたものであります。
第一項では、都市計画事業の施行に必要な土地等を提供したため生活の基礎を失うこととなる者は、施行者に対し、かえ地の取得、職業の紹介、指導等の生活再建のための措置の実施のあっせんを申し出ることができることとしております。
第二項では、施行者は、前項の規定による申し出があった場合には、事情の許す限り、その措置を講ずるようにつとめるものとすることとしております。
第七十五条の修正は、第七十四条の修正に伴う字句の修正であります。
第八十四条の修正は、先買い等による土地の買い取りのための土地基金について定めたものであります。
第一項では、都道府県または指定都市は、先買いまたは買い取り請求による土地の買い取り、都市計画施設または市街地開発事業の施行区域内の土地等の買い取りを行なうため、土地基金を設けることができることとし、第二項では、国は、土地基金の財源を確保するため、必要な資金の融通またはあっせん等につとめるものとすることとしております。
第八十五条の修正は、国または地方公共団体は、都市計画の適切な遂行をはかるため、市街化区域内の土地について、その有効な利用の促進とその投機的取引の抑制に関し、税制上の措置その他の適切な措置を講ずるものとすることを定めたものであります。
第八十六条から第九十七条までの修正は、第八十四条、第八十五条の修正に伴う字句の修正であります。
第九十三条は、第五十七条の修正に伴い罰則を修正したものであります。
附則の修正は、農地法の一部改正規定の修正でありまして、市街化区域内の農地につきましては、あらかじめ、都道府県知事に届け出て、農地以外のものにする場合には、転用の許可を要しないものとすることとしております。
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次に、都市計画法施行法案に対する衆議院修正部分につきまして逐条的に御説明申し上げます。
第三条、第三十五条、第四十五条、第五十六条、第五十八条、第六十三条、第六十九条及び第七十二条の修正は、都市計画法案に対する修正に伴い、土地区画整理法、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律、新住宅市街地開発法等につきまして、都市計画法案と重複する規定を削除する等の技術的修正を行ったものであります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/120
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121・藤田進
○委員長(藤田進君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後一時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814149X01519680425/121
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