1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月二十八日(木曜日)
午後一時十八分開会
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委員の異動
三月十四日
辞任 補欠選任
瓜生 清君 向井 長年君
三月二十七日
辞任 補欠選任
向井 長年君 瓜生 清君
三月二十八日
辞任 補欠選任
小平 芳平君 矢追 秀彦君
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出席者は左のとおり。
委員長 松澤 兼人君
理 事
山内 一郎君
横山 フク君
加藤シヅエ君
戸田 菊雄君
原田 立君
委 員
植木 光教君
木村 睦男君
楠 正俊君
黒木 利克君
紅露 みつ君
菅野 儀作君
土屋 義彦君
中津井 真君
宮崎 正雄君
柳田桃太郎君
大倉 精一君
矢追 秀彦君
瓜生 清君
国務大臣
厚 生 大 臣 園田 直君
政府委員
厚生政務次官 谷垣 專一君
厚生大臣官房長 戸澤 政方君
厚生省環境衛生
局長 松尾 正雄君
通商産業政務次
官 熊谷太三郎君
通商産業省鉱山
保安局長 西家 正起君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
大蔵省主計局主
計官 辻 敬一君
参考人
公害防止事業団
理事長 原 文兵衛君
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本日の会議に付した案件
○産業公害及び交通対策樹立に関する調査
(産業公害対策に関する件)
○公害防止事業団法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/0
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001・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
本日、小平芳平君が委員を辞任され、その補欠として矢追秀彦君が選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/1
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002・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) まず、産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題とし、産業公害対策に関する件について調査を行ないます。
厚生大臣より所信を聴取いたします。園田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/2
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003・園田直
○国務大臣(園田直君) 国会運営の経緯とはいいながら、当委員会における所信表明がおくれましたことを深くおわびを申し上げます。
この際、お許しをいただきまして、第五十八回通常国会における当特別委員会の御審議をいただくに先立ち、所信の一端を申し述べ、各位の御指導御協力を賜わりたいと存じます。
現下のわが国において、公害問題が当面緊急な解決を必要とする国民的課題であることは、申し上げるまでもないところであります。
公害を解決するためには、企業をはじめ、国、地方公共団体、住民が一体となって対処することが必要であり、政府といたしましても、公害対策の推進に特に意を用いているところでありますが、私といたしましては、あくまでも国民の健康と福祉を守る立場から、人間尊重を基調に、公害問題解決のために一そう積極的に取り組んでまいる所存であります。
幸い、昨年公害対策基本法の成立を見、公害問題の解決に関する基本的方向が明らかにされましたので、今後は、基本法に基づき、その理念を具体的に実施するための諸施策を積極的に推進する所存であります。このため、厚生省としては、当面特に次の点に重点を置き、広く施策を進めてまいる考えであります。
第一は、環境基準の設定と公害防止計画の策定であります。環境基準については、目下生活環境審議会において審議が進められているところであり、本年度内にも亜硫酸ガスについての環境基準案を発表する等、逐次設定していくように努力いたしております。
また公害防止計画については、昭和四十三年度においてすみやかにその基本方針を決定し、関係都道府県知事に指示するよう取り運んでまいる所存であります。
第二に、規制の強化についてでありますが、大気汚染、騒音等の対策に関し、規制の強化をはかる方向で目下鋭意検討を重ねているところであります。なお、公害紛争の処理及び被害の救済についても早急に制度化をはかるよう関係省庁との意見の調整を急いでいる段階でありますが、とりあえず、公害医療に支障のないよう予算措置を講ずることといたしております。
第三に、助成措置の拡充についてであります。公害防止施設は、その助成の拡充強化が望まれているところでありますが、明年度においては、公害防止事業団の行なう事業について、金利の引き下げを行なうほか、新たに政府が出資をすることとするとともに、業務ワクを広げ、事業対象地域を拡大し、集中暖房を事業対象に加える等の措置を講ずることとしております。
第四に、公害監視測定体制の充実についてでありますが、昭和四十三年度においては、引き続き、国設の大気汚染測定点の新設、地方のテレメーターの整備等をはかるほか、新たに監視測定の機動力整備についても配慮いたすこととしております。
以上申し上げました施策を通じまして、今後公害対策の飛躍的な推進をはかる所存でありますが、私といたしましても、誠意をもって全力をあげて努力する所存でありますので、委員各位におかれましても、よろしく御支援を賜わりますようお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/3
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004・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/4
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005・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 速記を起こして。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/5
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006・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 次に、公害防止事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。園田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/6
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007・園田直
○国務大臣(園田直君) ただいま議題となりました公害防止事業団法の一部を改正する法律案について、提案の理由を御説明申し上げます。
産業活動の急速な発展と人口の都市集中に伴って発生する公害が重大なる社会問題となっておりますことは、すでに御承知のとおりでございます。
これら公害問題の解決のためには、企業をはじめ、国、地方公共団体、国民が一体となって対処しなければならないものであり、政府といたしましても、公害防止に関する諸法令により環境汚染の規制措置を講ずるほか、監視測定体制の整備、公害防止技術の開発等に意を用い、今後もなお一そうこれらの公害対策の強化充実をはかり、遺憾なきを期してまいる所存でありますが、企業が設置する公害防止施設は直接的に生産性向上に結びつかないものであるため、その助成の強化拡充が強く望まれているところであります。
公害防止事業団は、昭和四十年に設立され、公害防止施設の整備を助成し、促進する役割りをになってまいったのでありますが、公害防止のより一そうの推進をはかる施策の一環として、同事業団の業務について、事業ワクを広げ利子引き下げを行なうなど、その充実強化をはかることがぜひとも必要であると考えられるのであります。
このため、この法律案では、公害防止事業団に全額政府出資による一億円の資本金を設け、もって事業団の強化をはかることといたしております。
なお、政府は、将来必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、事業団に追加して出資することができ、かかる場合、事業団は、その出資額により資本金を増加するものとすることといたしております。
以上が、この法律案を提案する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/7
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008・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 本案に対し質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/8
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009・戸田菊雄
○戸田菊雄君 公害防止事業団法の一部改正に対して若干の質問をいたしたいと思うのであります。
その前に、いま問題になりました厚生大臣の所信表明の第二項の問題ですね。やはりこれは全般的な問題に関連をしてまいりますので、一応説明を願っておかないと、あとの質問に支障があると思いますので、その点ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/9
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010・園田直
○国務大臣(園田直君) ただいまの御質問の件の、基本法に伴う規制の強化についてでありますが、ただいま政府が準備いたしました第一の騒音の規制と第二の大気の汚染の規制、それからもう一つは、これと関連をしまして、通産省から出されております工場立地規制の法律案と、この三つが、大体関係省庁の間の話が具体的にまとまり、またはあと数日間でまとまる段階にまいりました。あとの一番大事な紛争処理と救済は非常に重大でありますだけに、いろいろ難点が多くて、まだ折衝中の段階であります。
第一の騒音の規制につきましては、問題になりました点は、主管大臣についての各省の意見の食い違いでありまして、あるほうの意見からは、窓口が数本になって各省にまたがっておってはなかなか行政の簡素化がいかない、それからもう一つは、公害などという問題は総括的にやらなければいかぬのじゃないか、それから各省からは、通産省は通産省、運輸省は運輸省から、それぞれ、自分たちがいままでやってきたのを、極端に言うと、通産行政あるいは運輸行政、あるいは建設行政に全然関係のない役所が独断でやっている、こういう意見がありましたが、この点はまとまりまして、厚生大臣と主管大臣との共管ということになったわけでありまして、工場関係には厚生大臣と通産大臣、あるいは港湾その他は厚生大臣と運輸大臣というふうに共管ということでこれは片づきました。
それから、大気汚染につきましては、きょうの新聞に出ておりまして、厚生省の原案がだいぶん後退したというふうに書いてございまするが、この中で問題になりました届け出制と認可制の問題でありますが、当初、実は通産省から出される工場立地規制の法律案がやはり今国会に出されるものと考えて、二本立てでやることに話を詰めてまいったのでありますが、最後の段階において、どうも通産省の工場立地規制がうまくいきそうもないということで、大気汚染一本でこれをやらなければならぬということで、いろいろ事務的な食い違いもございましたが、きのうの段階では、なかなか各省が意見が強硬でありまして、届け出ということにして、その届け出は事前にして、そしていろいろ規制をするということになっておりましたが、本日の閣議で話が出まして、事務的に煮詰まってない点は将来煮詰めることにして、事務的に煮詰まれば工場立地規制法も今国会に提案するということがきまりましたので、そこで再び私のほうからお願いして、この点は、指定地域については許可制にする、それからその他のものについては届け出制、届け出は、それぞれ手続等によって事前審査をやって、そして規制をする、こういうふうになってまいりまして、大体あとの点はまとまると思いまするので、大気汚染のほうも今明日中にはこれはまとまる模様であります。ただ、大気汚染のほうは、手続上、ばい煙規制の法律案を名前を書きかえて、大気汚染にしたらどうかということがありましたが、これは私の意見で、公害という問題に対する政府の姿勢からいっても、やはり新しく公害というものを重点に打ち出した大気汚染という新法律案でなければならぬということを主張してきたのでありますが、これは新法として提案をするということで、以上三つの法律案については大体今明日中に全部まとまるものと心得ております。
なお、細部については、後刻また御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/10
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011・戸田菊雄
○戸田菊雄君 ただいまのその大臣の答弁の内容について、いずれ三法が上がってくるでありましょうから、その機会に再度取り上げたいと思います。
それで、事業団法の具体的な内容について質問してまいりたいと思うのですが、第一は、今回政府出資は一億円なされることになったわけですが、この政府出資は、事業団の業務促進に関してどういう一体意義と効用というものを持つのか、その内容について御質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/11
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012・園田直
○国務大臣(園田直君) この一億の出資につきましては、理事長が非常に真剣に主張した一つの問題でありまして、政府が出資することによって政府の同事業団に対する責任を明確にするということ、もう一つは、この措置によって利子の引き上げ等が可能になってまいりまして、企業等の公害防止施設の整備が一そう促進をされる、公害問題の解決に寄与したい、こういうわけで、一億全額出資をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/12
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013・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私の記憶では、当初予算要求では二十億となっておったと思うんですね。それが、実際出資金額がきまってみると、たったの一億、二十分の一ですね。そういうことであるとすれば、具体的な実施計画の内容というものは相当私は削減をされて変更されたと思う。予算要求に対する実施金額については全く問題にならないところまで押し込められて、そしてこの実施計画が変わるということでは、相当の変更だろうと思うのですが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/13
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014・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 当初、この政府の出資を要求いたしましたときには、これから公害防止の事業がいままでよりももっと盛んに拡充ができるだろうという期待をもちまして、事業ワクも百二十億程度の計画ワクを予定し、また同時に、金利の引き下げを今回行ないましたよりもより強く行ないたい、こういう趣旨のもとで提出をしておったのであります。従来、公害防止事業団は政府出資が一銭もなかった事業団でございまして、その性質から言えば多いに越したことはないと思っておりますが、いままでなかったものをこれだけにいたしまして、ただいま大臣の申されましたように、政府の責任も明確にすると同時に、可能な限りの利子の引き下げもできるということで、私どもも了解したわけであります。事業の実質的な整備のワク、整備事業の計画自体が縮小するということはあまりないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/14
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015・戸田菊雄
○戸田菊雄君 当初二十億で実施計画をきめておるわけですね。それが一億になったのですから、結局十九億の削減ということがあれば、当然計画内容も変更せざるを得ないですね。じゃ、当初計画と一億実施のその計画との内容をひとつ教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/15
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016・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 私から一言お答え申し上げます。
ただいま環境衛生局長からお答え申し上げましたように、当初は事業ワクとして百二十億の計画を立てまして、そうしてそのうち二十億を出資金ということで、それ以外は財投からの借り入れ金ということで事業計画を立てたわけであります。それが、そのうちの二十億の出資金によるものは、これは、財投からの借り入れば御承知のように六分五厘でもって借り入れますが、出資金は無利子でございます。この出資金の運用によって、いままでよりも金利を大幅に引き下げたいということで、この出資金二十億をお願いしたわけであります。したがって、それが一億になりますと、私どものほうでお願いした金利の大幅な引き下げというのは大幅にはなりませんで、小幅の引き下げということになるわけであります。
それから全体の事業計画といたしまして、これは、御承知のように、私どものほうの事業は、注文を受けて契約が成立してから事業にかかるわけでありまして、あらかじめこちらでもって先行的に事業を進めるというわけにはまいらないのでございます。しかし、全体のワクとしては、この出資並びに借り入れ金のワクでもって、私ども最初に計画したよりもかなり縮まっておりますので、事業計画も予定したものよりも若干は減ってございますが、この二十億が一億になったことによって一番関係するのは、金利の引き下げの大幅引き下げが小幅になったということで、事業そのものの予定ワクには若干はございますけれども、それほど縮小はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/16
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017・戸田菊雄
○戸田菊雄君 若干の内容をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/17
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018・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) これは、当初御説明いたしましたが、実はまだ全部話がついている事業でございませんで、一応われわれのほうとしては、四十三年の予定だけをしまして、それから契約をしていくわけであります。したがって、最初に計画をして予算要求する場合には、まだ確定していない、ほんとうの予定でございますので、どれが減るということをここで明白に申し上げられないので、そのうちから今後話し合って確定できたものを、そうして、事業ワクとの関係において確定できたものを実施するものでございますから、これだけの予定の中のどれがこれから減るということは、ここに縮まった予算ワクの中でこれから契約を結んできめていこうということで、ちょっとそれはまだはっきりいたさないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/18
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019・戸田菊雄
○戸田菊雄君 確定しておらないということですから、これから確定されていくわけでしょうから、問題は、事業運営のあり方について若干質問してみたいと思いますが、いまもちょっと局長からお話が出ましたけれども、現在の造成事業関係については、注文品というものが大体主たるものですね。そういうところから、非常に利用者から不満が多いと思います。そういう点は一体どう考えておられるか。さらに、利用者側においては、頭金の支払い能力あるいは何年か後にそれを必ず譲り受けるわけですから、そういった資金、こういうものがないために非常に困っている事態もあるわけですよ。ですから、そういう問題については一体どういう打開策を考えられておるのか、その辺についてひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/19
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020・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 先ほど申し上げましたように、事業団の事業は、事業団にこれこれの施設をつくってもらいたいという申し込みがありまして、そして契約ができて初めて事業にかかるということでございます。したがいまして、実際いままでの経験において見ますと、大体契約が成立するであろうと思われておりましても、あるいはまた、ことしはこの程度しかできないが来年はさらにそれを拡充できるというような場合において、あらかじめこちらでもって計画的に先行的に事業に着手できないために、たとえば土地の確保でございますね、というような場合に、土地が値上がりしてしまうというようなことで、利用者のほうに、これは当然半年なり一年先には契約できるのだから、早く確保しておいてもらいたいというような意味での、そういう気持ちはあるかと思いますけれども、まあ、現在のたてまえからは、一応私どもはそういうふうにはできないようになっておるのでございまして、将来、この点につきまして、できれば積極的に計画的にこの事業を、」部を先行的にも実施できるように、監督官庁にもお願いして検討してまいりたいと思っております。
それから私どもは、施設が完成いたしますと、それを申し込んだ組合に譲渡をいたしまして、そしてそれを十五年ないし二十年の――一部まあ十年というのもございますが、そういう年賦でもって償還を受ける、こういうことになっております。その場合、いまおっしゃったのは、たしか頭金が要るものでございますから、頭金の調達等で、申し込む利用者のほうに、もっと何かうまい方法があるのではないかという気持ちがあるのではないかと思いますが、現在頭金は、普通の造成事業は五%でございます。これは非常に一般の常識からいっても少ない頭金だと思いますが、ただ公害防止事業団法の十八条に事業のいろいろなことがきめられておりますが、その一号の業務、共同公害防止施設というのが、これは主として機械なものですから消耗率も高いというようなことで、頭金は二〇%というようなことになっておりますが、この点につきましてはやはり将来検討しなくてはならないものがあるんじゃないかと、これは私自身の気持ちでございますけれども、考えております。いずれにしても、すべてこれ、監督官庁にお願いして検討していかなければならないと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/20
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021・戸田菊雄
○戸田菊雄君 その貸し付け条件等については、あとで触れていきたいと思うのでありますが、さらに、この運営のあり方について、公害発生源の共同態勢を積極的に指導すべきじゃないかという気がします。それからまた共同態勢のできない企業に対しては個別貸し付けというものがあっていいんじゃないか、そういうものがやはりこの公害防止の施設充実に向けて非常に重要な意味を持っているんじゃないか、こういうように考えるのですけれども、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/21
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022・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) お説のとおり、たとえば、水の処理にいたしましても、煙の処理にいたしましても、共同の公害処理施設というものを推進していくということは非常に大事ですし、私どもも、それについて、いままでもずいぶん努力をしてきたつもりでございますが、なかなか実際問題としては、その後の維持管理等のこともございまして、私どもはずいぶんすすめておりますけれども、事業者のほうがなかなか話がまとまらないというふうなこともございます。ただ、御承知のように、四日市に、今度完全な共同処理施設が、四つの工場から出る排水の処理施設ができるようになります。それから工場アパートとか、工場移転団地に付属しての共同処理施設、こういうものは着々と話が進められておりますが、今後、共同処理施設については、大いに、さらに進めていかなくちゃ、努力していかなくちゃならぬと思っております。
それから、共同でできないものがもちろんあるわけでございます。それについては、個別につくる場合には、私のほうは融資をするわけでございます。これも、昨年までは、融資する対象の、ある地域がきめられておって、全国どこでも融資するというわけにいきませんでしたが、四十三年度からは、その地域制限を撤廃していただきまし.て、事業団のほうで地域の制限なく融資できるというふうにお願いしておるところでございます。これは、一応そういうことを前提としての予算案をつくっていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/22
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023・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そこで、具体的にそういうものを充実をさしていくために、一体、資金の部面での手当てですね、こういうものに対しての具体策というものを持っているのか。それから、公害防止事業団の組織一覧がここにございますけれども、現行でいきますと、理事長、理事三名、監事がおりまして、それから常任顧問、以下、総務部、業務部、工務部、こういう三部があって、それぞれ次長制がしかれておる。これで一体、事業団関係の運営というものが、今後ずっと膨大になってくると思いますが、それに対応できる仕組みかどうか、その辺の問題、充実の必要がないのかどうか、この辺を具体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/23
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024・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 公害対策基本法もできましたし、それに基づく具体法も、先ほど大臣の御説明にもありましたように、だんだんと整備されていくように存じます。同時にまた、法律的な意味だけでなく、全体として公害対策は推進されなければなりませんし、公害防除施設というものはもっともっと整備されなくてはならぬと思います。したがって、当事業団の事業というものが、さらに拡大強化されていかなくちゃならぬと思っております。したがって、事業ワクは、今後さらにもつと、資金の面でも拡大していかなければならぬと思います。同時に、事業団の人員構成の面でも、実は現在でも非常にフルに活動して忙しくやっております。しかし、これも毎年々々いろいろお願いしておるところでございますが、将来やはり、この事業団の事業ワクの拡大とともに、あるいはさらにその事業を、何といいますか、積極的にやるために、機構の整備充実、これはぜひお願いしていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/24
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025・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私は、そういうところが必ず障害が出てくると思うのです。と申しますのは、これは一つの例ですけれども、現在建設公団がございますね。これらが、たとえば東北縦貫の設置をするということになりますと、土地の買収あるいは地権者に対する説得行為とか、そういう賠償一切の内容なんかについては、全部県知事や地方自治体が負担をしている。実際問題として、それぞれの公団がやるべき性格のものが、地方自治体なり、そういうところの膨大な負担になる。それがために、一面では地方自治体の行政というものが渋滞をしている。こういう関係。そういうことになっていったんでは、うまい仕事ができないのではないか。ですから、そういう意味においても、もう少し具体策を持って、今後のやはり公害対策充実の、そういう対応計画を含めて、やはりきちっとした充実体制をとっていくのが至当じゃないか。そういう障害の部面はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/25
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026・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 現在までは、実は私のほうで、たとえば緩衝緑地造成であるとか、あるいは移転先の用地の造成など、土地の買収のほうは、これは私どものほうの手でやっておりますが、非常に困難な面もあるし、あるいは忙しい面もあるのでありますが、将来、何と言いますか、機構が非常に貧弱である、あるいは整備されていないというために事業が進まなかったり、あるいは粗漏の点があってはこれはいけないだろうと思いまして、今後もやはり公害防止事業の拡大に見合うように、事業団の機構その他も整備充実していかなければならないというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/26
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027・戸田菊雄
○戸田菊雄君 大臣、ちょっとお伺いしますけれども、まあ、そういう重要な諸問題をこれから一つ一つ処理をしていかなければならないわけだと思うのですが、どうしても私は、その根っこである、いわばこの公害対策の一元化という問題ですね。やはりこの辺で一元化の方向に踏み切るべきではないか。どうもいまの現状としては、各省のセクトが発揮されて、今回も三法成案に見られるように、意見は意見としてあってけっこうでしょうけれども、しかし、それが、ともすると、なわ張り根性に発展をして、自己の業務範囲を守るという、そういうことだけにきゅうきゅうとして本筋を忘れる、そういうものが出てきておるように考えるのですね。ですから、どうしても中央においても、それらの公害対策上、組織の一元化ということがぜひ必要ではないかと考えるわけであります。少なくとも、交通安全対策等については、運輸省が中心になって、いま一応対策会議というものを持たれているのです。公害関係はまだそこまで行っておらない。この間の質問では、何か、連絡会議があるから十分だということを運輸大臣なり通産大臣が言っておったようでありますが、しかし私は、それだけではまだまだ不十分であると、こういうふうに考えるのですが、厚生大臣の所見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/27
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028・園田直
○国務大臣(園田直君) 公害が非常な社会問題になっております。一面、依然として一部には、企業なりあるいは交通なり、いろいろ、そういう諸問題が、公害を起こさないで事業の本体をやろうという考え方があるわけであります。実際は、人間の健康と生命を守る公害の規制が主であって、その主たる公害の規制の中に企業も発生をし、あるいは交通あるいは港湾等の施設ができるというふうに考えてまいりますと、御指摘のとおりであります。したがいまして、その過渡期であって、なかなか困難ではありますが、今度の三法案の作成の過程におきましても、そういう意見を強く主張いたしまして、とりあえず行政的にこれがばらばらにならないように、工場のこと等についてはもちろん通産大臣、あるいは港湾等については運輸大臣等のおもなる意見を聞かなければならないけれども、窓口は、公害の主管省である厚生省ということにして、手続き等は厚生省一本にして、そして連絡を密にするようにといういろいろな手段は進めてまいりましたが、将来やはり逐次総合的な体系的な方向に進んでいかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/28
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029・戸田菊雄
○戸田菊雄君 業務範囲の問題でちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、公害の種類ですね。現況は、大気汚染あるいは水質汚濁防止、そういった施設、もちろん騒音対策等についても入ってくると思うのですが、こういった対象、それを扱う地域、ないしは騒音、悪臭、地盤沈下、こういった種類にも事業対象にしていってはどうかというふうに考えるのですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/29
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030・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 先ほどお話もございましたが、業務の実施すべき地域というものが、資金ワク等の関係もございまして、従来は狭く押えられてきている。しかしながら、これは今年からふやしまして、撤廃いたしまして、そういう地域制限のない形で貸し付け業務等も行なわれるというふうに拡大をはかってまいります。それから業務の内容自体につきましても、たとえば集中暖房というような形で、都会におけるばい煙の問題ということを基本的、抜本的に解消するというような事業にも取り組むように計画をいたしております。さらに、御指摘のような、公害の、ただいま水とかあるいはばい煙といったもの以外の、騒音あるいは悪臭といったものにつきましても、当然手を伸ばしていくように取り計らってまいりたいと考えております。ただ、技術的に、騒音、悪臭等につきましては、なお困難な問題があるということが実態でございますけれども、当然、公害問題の処理といたしましては、事業団の事業にそういうものを取り組むように進みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/30
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031・戸田菊雄
○戸田菊雄君 現行の公害防止事業団法に欠陥があるとは思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/31
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032・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) ただいまの公害防止事業団法の十八条の中には、「工事及び事業場が集中し、かつ、これらにおける事業活動に伴う大気の汚染、水質の汚濁等による公害」――以下「産業公害」と総称いたしておるわけでございますが、「等」という文字で表現をしております。また、公害基本法におきましては、「公害」ということで、ただいま先生御指摘のような悪臭とか振動、地盤沈下も含めてございますので、当然この中に含めて実施、実行できると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/32
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033・戸田菊雄
○戸田菊雄君 結局、十八条「業務の範囲」ということになると思いますが、結局、産業活動が主として中心になると思いますね。ここに私は、運用の限度といいますか、あるんだろうと思います。ですから、そういうものを、やはり幅をもっと広げた形で法の改正が必要じゃないかと思いますが、もし改正するとすれば、早期にこれは着手してもらいたいと考えるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/33
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034・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘のような問題は、いわゆる、必ずしもことばが熟しているとは存じませんが、都市公害といわれておるような単なる産業活動以外の部面から発生するような公害、こういう問題につきましては、私ども、御指摘のとおり、今後の大事な問題になってくるだろうというふうに予見をいたしておるわけでございます。そういう問題につきましても十分検討いたしまして、必要な時期におきましては、必要であれば法律の改正等もいたしたいと、こういうふうに予定いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/34
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035・戸田菊雄
○戸田菊雄君 大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/35
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036・園田直
○国務大臣(園田直君) いまの御指摘の産業公害は、将来予知される公害の一部でございまして、当然これは産業公害に限らるべきものではございません。したがって、こういう点については、将来やはり改正をする方向で検討をしなければならぬものであると私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/36
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037・戸田菊雄
○戸田菊雄君 具体的な例ですけれども、たとえば、最近では、札幌で「黒い雪」というものがございますね。公害。これは、確かにビルの暖房とか、こういつたものに対しては、ばい煙防止の適用というものが行なわれますけれども、一般家庭の場合、北海道あたりはストーブを家庭でお持ちになっておりますから。それから団地に行きますと、こういうものに対しては何ら適用の措置がないと思うのですよ。ですから、そういう場合においても、十八条の「業務範囲」は――また具体的に地域的には出ておるところもあるわけでございますから、早急に、いま大臣のおっしゃられたような方向で私は具体的に検討していただきたいと思いますが、札幌等の当面出ておる問題について、緊急に何か臨時的にそういう問題に対する適用範囲、融資関係について、具体的に検討されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/37
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038・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) いわゆる集中暖房の計画というものが初めて実際的な意味で登場してまいりましたのが、ただいま御指摘の札幌の暖房でございます。この問題は、ただいま御指摘のように、実際には家庭のような問題等の大気汚染があると存じますけれども、たまたまこの計画自体は、いわゆるビル暖房というものを集めていくという趣旨でございまして、いわゆる産業活動、産業公害というものとして考えられるということで、まず日本で初めての問題でございますが、これを前向きに積極的に取り組もうということで、事業団の来年度における事業計画の中で、その融資等の計画を含めておる、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/38
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039・戸田菊雄
○戸田菊雄君 その譲渡、貸し付け条件についてお伺いしたいんですが、今回、確かに従来の利率から若干逆ざやになるまで一応は努力をされたことは認めるんでありますけれども、しかし、まだまだ一般の、たとえば中小企業設備近代化資金、こういう貸し付け内容とか、あるいは中小企業振興事業団融資、こういった問題と比較をする場合に、事業団のいわゆる貸し付け条件というものは非常に差があると思いますね。たとえば、公害防止事業団の貸し付け条件の場合は、利率が当初三年間で年六分七厘五毛、それから四年目以降は年七分、財投の貸し付け率は六分五厘だと思うんですが、これはとんとんだと思います。そういうことになりますが、中小企業設備近代化資金等については無利子ですよね。無利子であって、償還期間が十二年、これは据え置きが一年、十二年返還、こういうことになっているわけですね。こういうところに、同じ国策として実行していく場合に、どうして一体こんなに開きが出てくるのか。これでは、なかなか施設をつくろうと思っても、こういう部面で極度の制限を加えられてくる。こういう面については、大臣、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/39
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040・園田直
○国務大臣(園田直君) 御指摘の問題は、企業の生産性と結びついておりませんので、御指摘のとおり、飛躍的にこれは金利を下げていかなければと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/40
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041・戸田菊雄
○戸田菊雄君 大臣、今回政府でも、年六分七厘五毛、当初三年間ですね、四年目以降は年七分と、その限りにおいては、今回相当努力されたことは私は認めるわけですが、結局、この中小企業設備近代化資金であるとか、中小企業振興事業団融資であるとか、あるいは中小企業金融公庫融資、こういうものとの利率関係でいきますと、前二者の場合は、これは無利子ですよね、同じ国策でやるわけです。同じ国策でやる場合に、ことに厚生大臣がいま趣旨説明の中でもおっしゃられたように、何といっても公害というものは基本的人権尊重、命を守るというところにその焦点があるわけでしょう。それは、生産と不生産とを問わず、ほんとうにそういうものを「政治的に」を地で行こうというならば、もっともっと私は改善されていいじゃないか。今後の改善策の具体的構想があったら示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/41
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042・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) やはり、そのためには、今後政府出資等をふやしていただきまして、それによって利子の引き下げをはかっていこうという方向で努力してまいるべきだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/42
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043・戸田菊雄
○戸田菊雄君 具体的な計画はお持ちじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/43
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044・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 最初、本年度の当初に私どもが予定いたしましたのは、先生御指摘のような、横のバランス等も考慮いたしまして、利子を、たとえば三分五厘程度に中小企業は下げたい、こういうようなものを基礎にいたしまして、いろいろ二十億というような数字もはじいておるわけでございます。その辺に、具体的な姿と言えば、私どもの目標を持っておったというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/44
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045・戸田菊雄
○戸田菊雄君 この中小企業設備近代化資金等につきましては、一面では特別措置法に基づいて免税措置もとられるんですから、至れり尽くせりです。ですから、そういう免税措置等については考えておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/45
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046・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 公害防止施設に対しますところの税法上の措置といたしましては汚水処理でございますとか、あるいはばい煙の施設等につきましては、固定資産税の非課税措置というものが現在とられているわけでございます。それからさらに、重油による脱硫装置等につきましても、固定資産税の軽減措置、あるいはそういう公害施設に対する耐用年数の短縮というふうなことが税法上もそれぞれ措置されているわけでございまして、私どもも、今後やはりこういう問題については一そう改善がはかれるような行政をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/46
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047・戸田菊雄
○戸田菊雄君 確かに耐用年数の短縮、固定資産税の免税措置、初年度の特別償却に対する三分の一の固定資産の免税、これはあると思いますね。これ以外は考えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/47
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048・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) ただいま御質問にありましたことについて若干補足して申し上げたいと思います。なお、そのほかに、いま局長のお答えしたほかに、登録免許税ですね、その問題と、不動産取得税の問題がございます。不動産取得税のほうは、これは減免措置が講ぜられておりますけれども、登録免許税につきましてまだ不十分なものがあるものでございますから、これを私どものほうとしては関係省のほうになお継続してお願いしているというところでございますが、将来さらにまたこれのいろいろ検討を加えて、いまの税の減免という面についても、他の先ほど例をおあげになりましたいろいろな融資の場合と均衡を失しないように努力をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/48
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049・戸田菊雄
○戸田菊雄君 その減免については、ことに中小企業あるいは零細企業、それから札幌のように、たとえば勤労者住宅があって、そういうところに適用する場合、こういう問題については、特段の配慮、検討を願いたいと思いますが、そういう点は、具体的には検討されておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/49
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050・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 私、いまここで数字をあげてちょっとお答えするのに必要な準備がございませんけれども、私どもといたしまして、事業団といたしましても、具体的にその点十分検討して、いままでも関係当局にいろいろとお願いしてまいったわけでございますが、将来もさらに遺漏のないように検討しながらお願いを続けてまいりたいというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/50
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051・戸田菊雄
○戸田菊雄君 融資比率についてでありますけれども、中小企業については八〇%、それから大企業に対しては七〇%、こうなっているわけですが、全額融資というわけにはいかないでしょうか。その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/51
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052・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 融資比率の問題は、なおいろいろと私どものほうとしても検討を続けておりますし、また、お願いしている向きもあるのでございますが、これはやはり予算の総額のワクでもってきめられる筋合いのものでございまして、私どものほうといたしましては、融資比率の拡大という点につきましては、公害防止施設をさらに整備強化を進めるという観点から、できるだけ前向きでもってやっていきたいと思っておるわけですが、そういう点につきましても、監督官庁なり、あるいは大蔵御当局にいろいろとお願いしつつあるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/52
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053・戸田菊雄
○戸田菊雄君 結局、頭金ということになりますか、あるいは融資以外の金策で非常に困っちゃって、実際はそういう整備がおくれている、こういうようなことは一様に言えるのじゃないかと思うのですね。ですから、いまおっしゃられましたように、問題は金だろうと思うんですが、当面適用範囲内の対象事業ということにしておいて、どのくらいの一体予算が必要なんですかね。その辺の予算の見積もりについて、おおむねわかりましたら教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/53
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054・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 実は、いま数字の準備をちょっといたしてまいっておりませんけれども、融資比率の面におきまして、先ほど御指摘のように、現在中小企業が八〇%、大企業が五〇%ということで、これは中小企業と大企業はもちろん差があってよろしいと私は思っております。中小企業の方に対して特別な配慮をすべきであるということは、金利の面でも、融資比率の面でもそうある、へきだと思っておりますが、しかし、全体として、融資比率の問題は、ことにいま中小企業と大企業は金利の面でも差がありますし、融資比率の面ではちょっと差が大き過ぎるのじゃないか、公害防止事業を進める上において、という点も考えまして、一応大企業五〇%をさらに引き上げるという方向で検討したのでありますけれども、その数字をいま私ちょっと準備しておりませんが、将来ともこの融資比率の問題は、とにかく施設をよけいつくるのが大事なんだという観点から前向きで検討していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/54
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055・戸田菊雄
○戸田菊雄君 あとでけっこうですから、四十三年度計画の中で、かりに全額融資をやる場合にはどれくらいの予算が必要か、その資料を、もしあれでしたら、あとでけっこうですから、お出しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/55
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056・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 実は、融資比率の拡大の検討はしております。いわゆる頭金なしで――頭金といいますか、全額融資ですね、ということの計算は実はいままでしておりませんでしたけれども、ただ拡大という面での計算はしておりましたもんで、後ほど数字をまた御説明させるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/56
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057・戸田菊雄
○戸田菊雄君 具体的な問題でちょっとお伺いしますが、最近、各地に工場がどんどん進出していくわけですけれども、進出をしていって公害設備を設置をするということは、さして問題はないと思うんです。事業主か、あるいは地方自治体が、それぞれ負担が平等にいっているわけですね。ところが、工場が進出をしてこないような場合ですね。結局、先行投資でやっていこうというような場合には、その負担の部面で工場がないのですから、この負担分だけ地方自治体がしょうというようなことになると思うのですが、こういう面での欠陥是正については何か具体策がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/57
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058・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 私どもも、原則論として、公害対策のいろいろな施設は、まだ工場が建ち並ぶ前に、いわゆる予防措置、事前措置的にやっていくのがたてまえじゃないか、今後の問題として、いままでできてしまったところはそれ相当の対策をしなければなりませんが、新しく工場になるところについては、工場が建ち並ぶ前にやっていくのが本筋ではないかと常に考えておるわけでございます。ただ、現在の公害防止事業団の事業といたしましては、契約の相手がないと実施できないのでございますけれども、たとえば緩衝緑地というような、工場地帯と住居地帯を分離して、そうして公害発生を防ぐというような緩衝緑地というようなものについて、工場がまだそこに進出してこなくても、あらかじめ進出を予定して造成計画をつくるとか、あるいは造成に着手するというようなことが必要なんではないかと実は私は考えておる次第でございます。その場合の費用の問題等については、これは私のほうでお答えするのはちょっと適当ではないと思いますので、私どものほうの基本的な考え方だけをお答えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/58
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059・戸田菊雄
○戸田菊雄君 具体的にお伺いしますけれども、そのグリーンベルト設置等の場合ですね。赤穂市においては、そういった工場がまだ進出をしてきておらない、しかし、先行投資でもって公害処理にそういった一部負担の支出をやっていこうということになれば、工場分の負担だけ、どっかで負担していかなければならないわけですね。ところが、四日市とか市原のように、あらかじめ工場が進出をしてきておって、あとから追いかけるようなかっこうでグリーンベルトをつくるというような場合には、分担ケースが整備をされておる。ですから、こういう矛盾が私はあると思うのです。せっかく熱意をもって先行投資で一生懸命法律に基づいてやっていこうとすると、そういう工場などが来ないところは、言ってみれば損をすると、こういうような状態が具体的な例としてあらわれてきておるわけですね。こういう問題に対する国家的な見地からの分担に対する助成といいますか、そういうことは考えられないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/59
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060・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 赤穂市の緩衝緑地につきましては、赤穂市から事業団のほうにお話がありまして、事業団としては赤穂市の申し込みによって事業を進めていく予定にしております。ただ、その場合の国からの補助、赤穂市なら赤穂市に対する国からの補助というような問題につきましては、これは建設省でもっていまいろいろとお考え中というように承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/60
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061・戸田菊雄
○戸田菊雄君 厚生省としては、具体的にそういう面について考えておらないのですか。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/61
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062・園田直
○国務大臣(園田直君) こういう場合には、地方公共団体が行なう緩衝地帯の建設事業については事業費の四分の一以上、または公害発生の原因者である企業が負担する場合においては残りの三分の一を国庫補助する、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/62
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063・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いま言われたことはわかるのですけれども、そういうものがないのですね。結局、工場が行っていないですから。そういう場合の特例措置といいますか、国の立場で何か見てやるというような、その方法はないのかどうか。いまの法律ではないというような、おそらく大臣の答弁じゃないかと思うのですが、しかし、そういうことでは、実際、大臣がおっしゃったように熱意をもって人命尊重、命を守るために一生懸命やっていかなければ、地でいく政治形態にならないのではないか。だから、そういう問題についていま早急に具体的にこうするというようなことはできないと思うのですが、何らかの形で私は検討する必要があるのではないかと思う。その辺の見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/63
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064・園田直
○国務大臣(園田直君) 質問の趣旨は、工場が来る前に国が何か準備しておけということでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/64
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065・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そういう欠陥の克服の何らかの検討が必要じゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/65
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066・園田直
○国務大臣(園田直君) 現行の法制等では公共事業が主体になってやるようになっておりますから、現在のところ考えておりませんが、今後はそういう場面がたくさん出てくると思いますので、そういう面については早急に検討してみたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/66
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067・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これは、具体的に赤穂でそういう事例がいま起きているわけですね。ですから、ひとつ現地の事情も十分お調べになっていただいて、どのくらい一体県や市が超過負担という形で背負わなければならないのか、そういう部面について何らかの便法措置、できる方策があるとするならば、これは十分ひとつ事務当局の中でも検討していただきたいと思うのですよ。それはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/67
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068・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 先ほど申し上げましたように、公害防止事業団としては、赤穂の緩衝緑地について事業を進めるということでいまいろいろと話し合いをしておりますが、それにつきましてのいわゆる建設資金に対する補助金の問題は、いま建設省、赤穂市、その他関係のところでもって検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/68
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069・戸田菊雄
○戸田菊雄君 時間もありませんから、あと二点ほどで終わりたいと思うのですが、その一つは、「公害防止事業団業務案内」、こういう公害防止事業団発行のプリントがありますが、この内容の中で、貸付業務委託金融機関の指定があるわけです。この指定は、どういう基準で行なわれるのですか。当然、これは通産大臣もしくは厚生大臣がそれらの権限を持っておると思うのですが、その辺の最終権限は一体どこにあるのか、この点についてお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/69
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070・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) この指定は、関係の監督官庁等と御相談いたしまして、指定そのものは事業団でする、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/70
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071・戸田菊雄
○戸田菊雄君 その基準とかなんとかいうものは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/71
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072・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) これは、結局、何といいますか、公害防止施設を実施しようとする事業者ですね、事業者の利便という点も十分考えて、そうして適当な金融機関を指定する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/72
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073・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これ、地方によっては、まだそういう公害防止施設の必要性のないところは私もわかるのですが、銀行指定、金融機関の指定は、やはり全国的に、少なくとも各県一つくらい、それぞれ銀行の指定があってもいいのじゃないか。東北の例を引いても、たとえば仙台あたりでもそういう問題が起きている。あるいは秋田、山形、盛岡、青森と、主要な都市と目されるものはそれぞれあるだろうと思います。しかし、これを見ますと、地方銀行で秋田銀行しか指定がないわけですね。ですから、そういうことになると、東北、かりに仙台であるならば、いろいろ銀行はあるが、こういうことになると秋田まで行ってしまうということになるわけです。だから、そういう部面で、指定について何か方針なり、今後の、発展をさせていかなければいけないという計画構想なり、こういうものに見合った銀行、金融機関の指定というものがあってしかるべきじゃないかという気がするのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/73
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074・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 実は、先ほどちょっとお答えの中にありましたが、四十二年度までは融資の地域制限がございまして、それが四十三年度から地域制限が撤廃されるようになりますので、したがいまして、地方銀行の指定は、これは当然ふやしていかなくちゃならないといま検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/74
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075・戸田菊雄
○戸田菊雄君 ぜひ、十八条の業務範囲の問題とも関連はしてくると思いますが、そういうものと含めて、やはり前向きで検討してもらいたいと思います。この点はひとつ要望しておきたいと思います。
それからもう一つは、あとでおそらく問題になると思いますが、附帯決議案というものがあるわけですが、いままでの附帯決議案の取り扱いというものは非常に粗雑で、熱意がないのですね、私が聞いておりますと。いろいろ附帯決議というのをやられますが、こういう問題について、ひとつ特段の配慮を厚生大臣は持っていただきたいと思うのです。その点についての所見をひとつ承って、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/75
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076・園田直
○国務大臣(園田直君) 出されまする附帯決議案の内容を実は漏れ承っておりまして、拝見しているわけでありますが、大体、正直に申し上げまして、委員会における各種の意見というものはなかなか困難なものもありますし、将来の希望を言われたものもあるわけでありますが、当委員会において出されようとしておりまする案というものは、率直に申し上げますると、本年度の予算折衝で厚生省並びに事業団がぜひやりたいと考えて折衝を続けてきた問題でございまするので、こちらは全く同意見の――同想見というよりも、むしろ考えておりまする事項でございますので、法律案に付せられる附帯決議案の重要性はもとよりのことではございますが、特に五カ条の問題については早急に実現するように努力をしたいと考えております。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/76
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077・原田立
○原田立君 大臣にお伺いしたいと思うのですが、きのうイタイイタイ病の原因究明に関する研究班の成果発表があったわけでありますが、これに関連して、若干質問したいと思います。
今回の研究班の結論、これに対して、厚生大臣として、どういうふうにお考えでありますか、その点をまずひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/77
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078・園田直
○国務大臣(園田直君) ただいまの御質問の、厚生省の公害調査研究費の委託を受けて昨年六月からやっておりまする研究班の最終の発表があったということでありますが、実は、これは結論ではございませずに、結論は、集めてまいりました詳細なデータをさらに討議を重ね、整理をして四月の初旬に書類にして厚生大臣に出される手はずになっております。これが研究班の結論になるわけでありまして、新聞に書かれましたものは、その中の、まあ報道機関等から要求をされて、要旨というものを発表したものでございます。
この新聞発表、並びに現地で先般行ないました中間発表といいますか、中間の要項の発表と、二つございまするが、大臣としては、正式に最後の報告、正式の結論を受けなければわかりませんが、ここで申し上げられますることは、この班の目的は、カドミウムを中心とする重金属類の分布と、その由来について研究をいたしたわけでございます。したがいまして、新聞の要旨から拝見しますると、大体私のほうから委託をいたしましたものの中で、本病の病因物質がカドミウムがその主になること、また、このカドミウムの分布が、神通川本流によってかんがいされる水田土壌中に、他の河川よりも著しく高濃度であること、それからかつ、三井金属の神岡鉱業所付近において濃厚であること等から、その由来としては同鉱業所並びにその関係諸施設からの排出が主体であるということが新聞で発表されたものの要旨であると私は見ております。ただ、その中に、鉱業所よりもわずか上流に、わずかながらその物質が検出できた。それから、現在はこの河川の濃度は非常に低いものであるということでありますが、これは研究班として事実を研究しただけであって、先般中間で新聞に発表したものと今度の発表というものは、新聞の書き方は、ちょっと表現が違うようでありますが、大臣としては、私が委託した目的は大体調査してきたもので、したがって、正式の報告があれば、それに基づいて私はそれぞれ処置をしたいということで、最後の報告を見ないと結論は出ませんけれども、私としては、新聞発表による中間と今日のものから見て、さほど方針が変わるべきものではない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/78
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079・原田立
○原田立君 では、大臣のお考えは、最終結論が出たというように理解するものではない、四月上旬に出されるものによって最終結論にしたいのだ、こういうお考えを聞いて、たいへんある一部の面、安心したわけですが、今度の報告によりますと、その主犯は神岡鉱山の排出物であるということははっきりうたってある。この点は私たいへんけっこうなことであると思うのですが、そのあとのところに、「しかし自然界に由来するものも認められるので、その寄与度については現在、確言することはできない」というような一項が入っていて、そして大臣、いつも言われるのでありますが、公害についての企業責任、この点がこの報告によるとぼやけておるのです。その点は非常にたいへん心配したわけなんでありますが、いずれにいたしましても、イタイイタイ病の原因がカドミウムであることは、これははっきりしております。それで、メカニズムははっきりしていないというようなことが若干報告の中に書かれているのでありますが、そのカドミウムの由来は神岡鉱業所が主たるものである、そういうところは、この点もはっきりしておりますので、これはもうすでに鉱毒公害と決定すべきであると、こういうふうに私思うのでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/79
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080・園田直
○国務大臣(園田直君) ただいまの、結論でないと申し上げましたのは、いわゆる研究班の正式報告ではない、しかも、その研究班の正式報告を得た後、その結論は大臣がやるべきものが結論である、こう考えておる意味でありまして、正式の報告を見ない間に結論はどうであるということは、残念ながら言明するわけにはまいりません。わけにはまいりませんが、ただ、この公害の認定というものは、疑わしきは罰せずなんという、そういう方向でやられるべきものではなくして、各研究班その他のデータ、濃度のパーセント、あるいは現在は薄いといっても、施設のなかった時代、あるいは盛んに事業をやっておった時代、あるいは薬物の蓄積作用、こういうものがどういうふうになるかということを判断して公害の認定を下すべきであって、正確に全部が企業のものであるという証拠がなければ公害の認定ができないということであれば、大臣としてはほとんど公害と認定できるものはないのじゃないか、こう考えておりまして、公害の認定に対する方針は私はそういう方向で考えておりまするので、その点御了承願いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/80
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081・原田立
○原田立君 そうしますと、今後の処置をどうなさるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/81
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082・園田直
○国務大臣(園田直君) 四月初旬、おそくとも中旬になると思いますが、検討、討論が終わって、正式の報告が出てまいりますれば、私は関係各省と相談の上、これに対する公害の認定をするかしないかと、こういう結論を出すわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/82
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083・原田立
○原田立君 一つ危惧する点は、今度の研究班を構成なさっておられる委員の方は、鉱山関係の方が非常に少ない、いないのではないか、こういうふうに見ているわけですが、現に、いま新聞にも報道されているように、三井金属の副社長の話なんかによれば、とんでもない、神岡鉱業所が原因でない、こういうふうなことを言っているわけであります。こういう研究班なんかつくってやる場合には、お医者さんの立場の者と、それから鉱山の者、この二通りあわせて、そしてその結論があいまいにならないように、そういうふうにしていくべきではないか、その点ちょっと心配するのですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/83
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084・園田直
○国務大臣(園田直君) 鉱山側を代表する者は入っておりません。しかしながら、分析化学の権威者である木羽という教授が入っておりますから、その点は三井鉱山のほうで何と言おうとも、私は、この研究班の成果は十分私の判断の基礎にしてよろしいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/84
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085・原田立
○原田立君 その点は一つの目安としてお伺いしました。
こういうふうに、もう各報道機関からもだいぶ報道され、あるいは学者の中においても研究されて、明らかに鉱毒公害だということが一般世間の常識みたいになっております。これをいわゆる政府として結論を出すときに、通産省やなにかの関係から、まあことばは悪いのですけれども、横やりが入ったとかなんとかということで、厚生行政において後退するような面があるということは非常に残念な話です。そんなことはないだろうと思いますけれども、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/85
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086・園田直
○国務大臣(園田直君) 公害の認定をする場合には、たとえ関係各省でありましようとも、あるいはその他の関係者であろうとも、一切そういうものに干渉されることなしに、公平な立場で裁定をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/86
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087・原田立
○原田立君 委員長、当委員会でひとつお考えを願いたいと思うのですが、この四月の上旬に発表になるということでありますが、私たちはあくまでも鉱毒公害であるというふうに、私ははっきりそういうふうに思っております。それがあいまいになってはたいへん困る話でありますし、この以後の状況によりまして、重松班長並びに小林教授あるいは神岡鉱山側等の参考人も当委員会に出席いただいて、そして自後のことも進めていきたい、こういうふうに思いますが、これは委員長のほうでお取り計らい願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/87
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088・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) これは、理事会にまた相談いたしまして、適当であるということであれば御意見のようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/88
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089・矢追秀彦
○矢追秀彦君 関連。一言だけ。
先ほどからいろいろ質問がありましたけれども、もう一点確認をしておきたいのですが、先ほど大臣が、疑わしきは罰せずという方針ではいかないと、公害に関しては。この結論から、大臣が四月にこれは公害であるかどうかという結論を下すと、このように言われましたが、それに十分な資料は今回の研究班でやられたと、こう、まず解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/89
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090・園田直
○国務大臣(園田直君) 御発言のとおりでありまして、その後に研究班を、通産省の意見の研究班をつくっておりますが、この研究班は、本問題に対する結論のための研究班ではなくて、この河川並びにその他の河川に対する重金属物資に対する予防対策上の研究班でございますから、私が結論を出すための研究班の結論は、これでやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/90
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091・矢追秀彦
○矢追秀彦君 で、この研究班の成果以外のいままでのいろんな学問――公衆衛生学会であるとか、いろんな学者の会合で、いろんな研究発表が出ておりますけれども、もちろん、そういうのも総合していただきたいと思います。
もう一点。公害であるかどうか判定されるにあたって、やはり今回の場合、主たるということばがありますから、自然流出も現実にやはりあると考えられると思いますが、たとえ主たるものであっても、要するに、少しそのほかの要素といいますか、そういうものがたとえあっても、今回の場合は、いままでのものと違って、かなりはっきりした線であると思いますので、新潟のようなケース、あるいはその前の水俣市のようなケースは私は考えられない、まあ厚生大臣勇断をもってこれを公害であると断定していただくと私は期待しておりますけれども、要するに、カドミウムの由来ですね、この問題にかかっていると思います。そのカドミウムの由来のそのパーセンテージといいますか、これは質的なものですから、量的なものをどう判定に入れるか私はちょっとわかりませんけれども、要するに、一つの原因、またその由来の大部分になった場合、公害と判定されると思うのですけれども、その点の基準ですね、どの辺までだったら公害、どの辺だったら公害でない、その辺の一般的な基準をもう一度お伺いしておきたいと思います。
これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/91
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092・園田直
○国務大臣(園田直君) この公害の認定にあたっ
ては、これは慎重にやるべきことでございまするから、もちろん、各方面の御意見、あるいは学会、研究会等の発表、あるいは参考のためには、被害者、あるいは被疑者と思われておる人々の意見を聞いて慎重にやりますが、しかし、慎重といいましても、遅延するとは許されませんので、そのような御意見を聞きながら認定をしたいと考えております。ここで何%何%と言うことは差し控えたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/92
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093・原田立
○原田立君 それでは、イタイイタイ病のことについてはこのくらいで終わりにしたいと思います。
次に、公害防止事業団法の一部改正でありますけれども、先ほどの厚生大臣の所信表明の中にも「国民の健康と福祉を守る立場から、人間尊重を基調に、公害問題解決のために一そう積極的に取り組んでまいる」と、こういうことをお伺いしたわけでありますが、では、一体公害の現在発生しているそれを除去して、ないしはまた今後発生せしめないように努力していく、こういう意味合いにおいて公害防止事業団ができたというのは、まことに意義が深いのではないかと、こう思うんであります。先ほども戸田委員のほうから質問なり意見なり話がありましたが、やっぱり要は、公害防止事業団をつくっても、それを利用する人がほんとうに喜んでできるような体制にしなければ何にもならないのじゃないか。そういうような面で、金融、利子等が問題になるわけであります。現在、財政投融資のほうから資金がその大半が入っていて、この面での利子がいわゆる年六分五厘である。先ほどの戸田委員の指摘の中にもありましたように、中小企業振興事業団のように、一般会計から繰り入れて無利子でやっているというのもあります。そうなると、公害防止事業というものをもっともっと強化しなければいけないという面からいけば、そういうことが当然もう現段階において研究されていなければならぬ、いや、実施の段階に至っていなければならぬのじゃないか、かように思うんですけれども、その点、どういうふうに考えられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/93
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094・園田直
○国務大臣(園田直君) 四十三年度の予算では、事務費等について国の交付金として一億八千四百万を計上しております。なお、新たに政府出資金一億を計上しておりまするので、その前年度に対する伸び率は約二・二倍となっております。また、事業資金としては昨年の五十三億から六十六億にふやしておりまして、明年度の国の財政事情からいえば相当配慮は払ってある。とは申しまするものの、ただいま発言されたような御趣旨並びに公害の本質からいえば、まだまだ不十分であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/94
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095・原田立
○原田立君 不十分であるというお話でありますが、じゃ、その不十分なのを十分なようにしていくお考えはもちろんおありだろうと思うんですが、その構想はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/95
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096・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) やはり事業団の性格が、先ほど来もお話がございましたように、公害防止施策というものが直接利益に結びつくような施設でない、しかもそれを積極的に実施をしてもらわなければならない、こういう面から考えますれば、やはり利子をうんと引き下げるという、そういう目的のために政府出資をふやしていただくということが最も具体的には効果のあることではないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/96
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097・原田立
○原田立君 それで、先ほども戸田委員も質問しましたけれども、この公害防止事業団では二十億のものを要求した。現在決定したのが一億である。二十分の一ですよね。だれが見たっても、あんまりひど過ぎるという感じがするわけなんです。先ほども若干の御説明があったわけでありますけれども、二十億にしていこうという計画内容をちょっと私もお聞きしたわけでありますが、これはたいへんけっこうなことだと思うのですが、それが現在においてはいわゆる挫折した感じがするのですが、これは今回は一億できまっちゃって、どうしようにも動かないんじゃないかと、こう思うのですけれども、そういうことが今後ありてはならないと思うのです。やっぱり大臣の強力なあと押しといいますか、そういうものがなければできないんじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/97
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098・園田直
○国務大臣(園田直君) 御意見は十分承りまして、そういう決意をもって、特に公害事業団というものの事業対象をさらに拡大して、産業公害から一般の公害に拡大する、並びに金利の引き下げ、税の問題等について、公害というものに対する国民の要求にこたえたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/98
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099・原田立
○原田立君 ちょっと過去のことになるわけですが、四十年、四十一年、四十二年は、合計百十八億余で仕事が進められたわけでございますけれども、事業団として、これだけの資金で十分に仕事がやり得たと思っているのかどうか、少ないと思っていられるのかどうか、今後どのくらいのものがほしいと思うのか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/99
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100・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 先ほどのお答えの中にも申し上げましたが、現在まで事業団は、いわゆる注文生産と申しますか、こういうことをやってもらいたい、あるいはこういうことをやるから金を貸してもらいたいという申し込みがあって初めて事業団のほうでそれに対して事業を進める、あるいは融資をするということになっております。いままでのところでは、四十年、四十一年、四十二年の状況では、その申し込みがそれほどよけいなくて、断わったというような例はあまりないのでございます。と申しますのは、やはりいまの金利の問題等々も関連すると思います。また、事業ワクの問題、対象地域の問題というものに関連して、そうであったと思います。今後、事業ワクがふやされ、地域の制限が撤廃され、金利は、昭和四十三年度の予定はごくわずかでありますが、さらにやはり今後大いに金利の大幅な引き下げということに努力してまいりたいと思いますが、それが実現いたしますと、公害事業は非常に進むんじゃないか、同時に、それは、公害施設をつくりたいという希望も非常にふえてくるんじゃないかと思いますので、今後は事業資金ワクというようなものを大幅にふやしていかなければならないと思いますが、先ほど申し上げましたように、基本法の通りました四十三年度自体において相当ふえると思って、事業団としては、ある程度大幅な計画をしたわけでございますが、予算の都合等で、ただいまお出ししたようになっておりますが、今後は、資金ワクをふやして大いに事業を進めていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/100
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101・園田直
○国務大臣(園田直君) いまの御意見につきましては、過去の各年度における予算が不十分であったということは別にして、それより進んだ傾向にある。と申しますのは、公害は国と企業、民間、三者一体になってやらなければならないと言いましたが、いままでは、被害者がひどい目にあって初めて公害が騒がれて、それであわてていろいろな設備をしたという関係で、公共団体も企業者もみずから進んで公害防止の施設をやろうというところに着目されていなかったという点から、いままでは、わりにこういう僅少な金額で済まされてきたんじゃないかと思います。そこで、今度、大気、騒音等に対する規制等のほうが強化されてまいりますと、企業家あるいは公共団体等に対して、特に直接民間の公害による被害等の声が大きくなってきておりますので、これに対する要求はふえてまいると思います。さすれば、今年度あたりからは、これでは相当足りない予算になってくるのではないか。なおまた、事業団としましても、いままでは、公共団体または企業者から、こういうものをやりたいから頼むということにこたえてやったのではなくて、やはり、公害の立場から全国目を配って、みずから重点的に計画を立てて、そして地方公共団体または企業者等に呼びかけるように積極的に、金が足りないようにやっていかなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/101
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102・原田立
○原田立君 別な問題になりますけれども、厚生省が公害全般にわたり三十二億円の予算要求をなさった、こうお聞きしておりますが、決定は五億九千万円と、これも先ほどの二十億と一億というのの差のことと同じ関連で申し上げるわけでありますけれども、約八割方削られている、こういうようなことで、現厚生大臣は公害問題処理について少し弱腰ではないかというようなことが、一部意見がありました。そんなことはまずあるまいと思うのですけれども、たいへん私たちちょっと考えてみて、八割も削られる、少しひどいのじゃないだろうか、そんなふうに思うのですけれども、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/102
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103・園田直
○国務大臣(園田直君) 公害対策資金が削られましたのは、本事業団の予算が削られたのとはいささか趣を異にいたしております。私のほうで要求いたしました予算のうちの大部分は、これは紛争の処理、それに伴う救済の基金という意味で要求したのでございますが、これは、手続上として、法律案が制定されてない時期に見越して予算を出すということは困難であるという予算技術上の問題もありまして削られたわけでありまして、そこで、基金で削られた金を研究費としての名目によってそれを置きかえたのでは決してなくて、公害の研究は研究費として別にしてこれはとりまして、紛争の処理及び救済に対する法律案が成立した場合には、明年度を待たずして何らかの方法で財源を捻出する、こういうことになっておりますので、この点はいささか違っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/103
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104・原田立
○原田立君 大蔵省のほうからも来ていただいておるそうでありますから、先ほどの二十億のものが一億に、それに、いまの問題のことと内容は若干違うだろうと思いますけれども、たいへんきつく押えられての結論なんですが、このことについて、大蔵省どんなふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/104
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105・辻敬一
○説明員(辻敬一君) 四十三年度の予算につきましては、御承知のようなきびしい財政事情のもとではございましたけれども、公害対策費は、その重要性にかんがみまして、全体として相当大幅な予算を増額いたしまして、重点的に配慮してございます。厚生省所管で申しますと、四十二年度補正後三億八千七百万円に対しまして、六億七百万円計上いたしておりますし、その他、各省の所管合わせますと、四十二年度補正後二十六億一千百万円に対しまして、四十六億七千五百万、八割近いアップ率になっております。ただいま御指摘のございました公害防止事業団に対します出資につきましても、新規に一億円を計上いたした次第でございます。
なお、事業団の金利につきまして、これを引き下げる措置をとっておりますことは御承知のとおりでございますが、この点につきまして一億円の出資でまかない切れません分に対しましては、別途差額を一般会計から補給することといたしまして、交付金を計上いたしております。したがいまして、出資とこの交付金と相待ちまして、事業団の業務の円滑な実施を期することができるのではないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/105
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106・原田立
○原田立君 公害問題については非常に世論もきびしくなっておりますし、大蔵省もそういう面をよく参考にしてお考え願いたいと思うのですが、もちろん、事業団に一億円の政府出資をした、これはまあゼロから一億円ふえたわけですから、一億倍になるわけですが、これはちょっとまあ、考え方によれば新設されたということで、たいへん意義があると思うのです、突破口が開かれたという意味合いにおいて。だけれども、あまりにも差がつき過ぎているのじゃないかという点が、私、指摘したい点なんです。いまも若干御説明ありましたけれども、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/106
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107・辻敬一
○説明員(辻敬一君) 出資は、結局、資金コストと密接な関連のある問題でございますが、先ほど申し上げましたように、別途金利引き下げの分につきましては差額を補給する措置をとってございます。したがいまして、必ずしも多額の出資がなくても事業の円滑な実施には差しつかえないものと考えているわけでございます。他の公庫、公団、事業団におきましても、最近は、出資の方式を融資の方式に切りかえて収支差を補給する措置をとっているものが多くございます。公害防止事業団につきましては、従来無資本であったことを考えまして、特に一億円を出資いたしますとともに、補給金を計上いたした次第でございまして、これによって対処できるものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/107
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108・原田立
○原田立君 葛飾メッキ工場アパートが過日でき上がった。私も拝見させてもらいました。事業内容によると、約六千万からの公害施設のための費用を使ったというように説明がありました。しろうと目でありますけれども、防じん装置については何とかいっているのじゃないか、こう思うのですが、水のほうの関係ですね。非常に小さいのじゃないかというように私思ったのですけれども、その点、あの施設で、あの付近においてはメッキに関する公害は再び起きない自信はおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/108
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109・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 葛飾のメッキ工場アパートにつきましては、これは、メッキの公害防止のための工場アパートとしては最初のものでございますので、事業団といたしましても非常に慎重に調査もいたしましたし、試験もいたしましたし、そうしてあのものをつくったわけでございまして、まあ、私、もちろん現地は存じておりますが、技術的なこまかいことは技術家でないのでよくわかりませんけれども、まあ、あすこ全体の土地のスペースが非常に狭いものですから、あれ以上のものができなかったのでございますが、そのスペースをフルに使用してあれだけのものをつくったわけです。薬品を増加をすることによって廃水処理は十分にできる、こういう自信を持ってつくっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/109
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110・原田立
○原田立君 先ほどの都市公害の問題のほうにも、事業団として仕事を今後拡大していきたいというお考え、たいへんけっこうだと思うのですが、これで一つ問題を提起したいのですが、福岡県に大牟田川という川があります。非常にきたないので、燃える川とか七色の川とかいわれているきたない川、これは御承知のとおりだと思うのですが、最近やっとCODの水質基準がきまったということで、地元はたいへん喜んでおります。ところが、まだ水がきたない。それから、においがするというようなことで、市民から、あの川にふたをつけてくれないかというような意見が非常に多うございます。そうすると、終末処理をつくってきれいにしなければならないという点も含んでまいりますけれども、こういうような事実、公害防止事業団として一つの方法として取り扱いしていくお考えがあるのかどうか、あるいは現在の法律ではもしできないとすれば、その理由はどういうところか、改めていく考えはないのかどうか、時間がありませんから、みなひっくるめてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/110
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111・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 大牟田川は非常にきたないということは、私どもの職員も行って調査したこともありますので、十分存じておりますが、いまのふたをするということにつきましては、実は私全然いままでお伺いしたことがございませんでしたが、根本的には、やはり排水の処理をしてきれいにいたすのが当然だと思います。ふたをしますと、目にうつる感覚なり、においの点ではいいかと思いますが、海に流れ込むそのものの解決にはならないと思います。その意味で、それが事業団の事業になじむものであるかどうかという点につきまして、実は検討したこともございませんので、まあ検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/111
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112・原田立
○原田立君 じゃ、検討をしてまた御返事いただくということで、きょうは大牟田川の問題は終わりにしたいと思います。
先ほどの葛飾メッキ工場アパートですね、十二社入っている、ちょっとその中身のことをお聞きしましたらば、あの東平さんの下請の工場の人が入っているのが大半であるというようにお聞きしました。で、まあ公害防止事業団として、いわゆるそういう対象のそういう一つの大きな会社があって、その下請関係の人たちを集めてこういうメッキ工場アパートというものをつくる、そういうようなのはいいのかどうか。私ちょっと思うのは、何か少しおかしいのではないだろうかという気もしないではないわけです。まあ、そのばらばらのメッキ工場が、四十人、五十人の工場が寄って、そうして一つのものができ上がったというのは、これは意味はわかるのですけれども、一つの会社の下請関係のものがずっと集まってつくった、そうして大まい三億五千万円もかけている。何かちょっとそぐわない点があるのですけれども、そういうような下請関係あるいは同族的な関係等のこういう工場アパートですか、そういうものをつくるというのは、ちょっと行き過ぎではないだろうか、こんなふうに思うのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/112
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113・原文兵衛
○参考人(原文兵衛君) 葛飾のメッキ工場アパートは、確かにおっしゃるように、東平メッキの系列会社の十二社でもってああいう協同組合をつくって、あそこに、われわれのほうと契約したわけでございます。ただ、これが原則であるとか、これがもう非常にいいのだというふうには私どもは考えておりません。ただ、メッキの場合は、メッキと研磨――みがきが、やはりこれはどうしても関連するので、そういう形では、そういった系列会社が入るということはありますが、一つのあれが、全部系列会社が入るということは、これは、何と申しますか、好ましい形である、今後もそんなふうにする、というふうには考えておりませんけれども、実は、これができるときには、この東平メッキの社長というのはこの公害防止にも非常に積極的に熱心な人で、メッキ業界に働きかけたのでございますけれども、その話が、協同組合をつくる話がなかなかうまくつかないで、結局、それで自分の、何と申しますか、勢力範囲にあるものでモデル的に一つつくるということに自分でも踏み切ったわけでございますが、私どものほうも、ひとつメッキ工場アパートで完全に公害防止できるものをモデルケースとして、工場アパートの、何というか、入る人たちという意味ではなくて、こういう施設をつくって、こういうふうに排水も、あるいは大気汚染のほうも防止できるのだという工場アパートのモデルをつくるという意味で非常に有意義ではないかという意味で、私どもは積極的にこの葛飾アパートについては取り組んだわけでございます。一応、考え方と、いままでの事情だけ御説明をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/113
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114・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/114
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115・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) じゃ、速記を起こしてください。
他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/115
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116・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/116
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117・山内一郎
○山内一郎君 私は、自由民主党を代表して、今回の改正案は、公害防止事業団の業務の充実をはかるため、同事業団に対し政府が出資することができるようにしようとするもので、適切な改正と思いますので、本法案に賛成いたします。
なお、私は、各派の了解を得て、本法案について附帯決議を付することを提案いたします。
まず、提案の趣旨を説明いたします。
公害防止事業団は、昭和四十年六月に発足し、以後二年有余の問、四日市市と市原市のグリーンベルトや、神戸と東京葛飾の工場アパートの建設の例をはじめとする公害防止施設の造成、譲渡、企業に対する資金の貸し付けの業務を進めることによって、公害防止の第一線機関としての役割りを果たしてきたことは御存じのとおりであります。その実績は評価されてしかるべきものと考えるのでありますが、今後さらに公害防止の実をあげるためには、資金面においても、業務範囲等の面においても、なお幾つかの不足、不備がございます。
まず第一には、資金の内容が十分でないということであります。四十二年度までは、事業資金のすべてを資金運用部の借り入れ金によっていたのでありましたが、今回の改正案により、四十三年度からやっと一億円の政府出資が実現することとなったのであります。企業の公害防止のための投資を容易にし、公害防止の意欲を助長するためには、低金利、長期償還の資金を大量に用意することが必要であり、また、事業団自体の事業運営に、より一そうの積極性、計画性を持たせるためには、単に資金運用部資金にたよるだけでなく、政府出資の大幅増額が不可欠の要素となると考えるのであります。
第二に、事業団の事業運営の体制についてであります。現在、事業団は、造成や貸し付けを行なうにあたって、企業や地方自治体の注文を待って事業を実施しております。言いかえれば、事業団は、いわば全くの受け身の態勢で事業を行なっているわけであります。これを、事業団にもっと積極的な任務を与えることにして、事業団が進んで企業や地方自治体に対して誘導的な役割りを持つようにすることが、公害防止対策促進のために必要であると考えられるのであります。
第三に、事業団の業務の範囲についてでありますが、現在、事業団がその業務対象として取り扱う公害の種類は、事業活動によって生ずる大気汚染、水質汚濁にほぼ限定されているのであります。発生源として見た場合のいわゆる都市公害も対象外となっております。また、事業対象地域について見ると、ばい煙規制法に基づく指定地域と、水質保全法に基づく指定水域に限定されております。そこで、残されたこれらの対象分野を事業団の事業に取り込んでいくことが、公害の除去と防止の実を一そうあげることになるのであります。
第四に、現在行なっておりまする造成業務についても、また融資業務についても、譲渡条件の緩和、金利の引き下げ、融資比率の引き上げ等に関して、利用者の公害防止意欲を一そう助長せしめるように一段の改善余地が存すると存ずるのであります。
以上申し述べました趣旨を織り込んで作成したものが、お手元に配付しました附帯決議案でございます。
案文を朗読いたします。
政府は、公害防止事業団の業務促進に関して、次の措置を講ずべきである。
一、公害防止事業団に対する政府出資の増額について努力すること。
二、事業運営に、より一層の積極性、計画性をもたせるよう努力すること。
三、資金量の増大、業務範囲及び対象地域の拡大等業務の拡充に努めること。
四、造成施設の譲渡にかかる金利の引下げ及び条件の緩和に努めること。
五、融資比率の引上げ及び貸付金利の引下げ等融資条件の改善に努めること。
右決議する。
以上でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/117
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118・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/118
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119・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
公害防止事業団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/119
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120・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、討論中に述べられました山内君提出の附帯決議案を議題といたします。
山内君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/120
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121・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 全会一致と認めます。よって、山内君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、厚生大臣から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/121
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122・園田直
○国務大臣(園田直君) ただいまの公害防止事業団法の一部を改正する法律案の御採決に際して、当特別委員会より寄せられました附帯決議の趣旨はこれを体して、その実現につとめ、公害防止事業団の強化により、一そうの努力をいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/122
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123・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) なお、本院規則第七十二条により議長に報告すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/123
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124・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時十二分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814380X00519680328/124
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