1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十八日(木曜日)
午前十一時五十一分開会
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委員の異動
四月四日
辞任 補欠選任
森 勝治君 柳岡 秋夫君
小平 芳平君 山田 徹一君
四月八日
辞任 補欠選任
山田 徹一君 小平 芳平君
四月九日
辞任 補欠選任
山本 杉君 館 哲二君
四月十日
辞任 補欠選任
館 哲二君 山本 杉君
四月十二日
辞任 補欠選任
紅露 みつ君 奥村 悦造君
四月十三日
辞任 補欠選任
奥村 悦造君 紅露 みつ君
四月十六日
辞任 補欠選任
紅露 みつ君 井野 碩哉君
小平 芳平君 田代富士男君
四月十七日
辞任 補欠選任
井野 碩哉君 紅露 みつ君
田代富士男君 小平 芳平君
四月十八日
辞任 補欠選任
藤原 道子君 達田 龍彦君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本伊三郎君
理 事
鹿島 俊雄君
黒木 利克君
大橋 和孝君
委 員
植木 光教君
紅露 みつ君
林 塩君
山本 杉君
横山 フク君
達田 龍彦君
小平 芳平君
国務大臣
厚 生 大 臣 園田 直君
労 働 大 臣 小川 平二君
国 務 大 臣 木村 俊夫君
国 務 大 臣 増田甲子七君
政府委員
防衛施設庁長官 山上 信重君
防衛施設庁労務
部長 江藤 淳雄君
厚生大臣官房長 戸澤 政方君
厚生省医務局長 若松 栄一君
労働大臣官房長 石黒 拓爾君
労働省労政局長 松永 正男君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
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本日の会議に付した案件
○国務大臣の発言に関する件
○駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○労働問題に関する調査
(出雲市営バスの買収に伴う労働問題に関する
件)
(東京発動機株式会社における不当労働行為問
題に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/0
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001・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る四日、森勝治君が委員を辞任され、その補欠として柳岡秋夫君が選任されました。
また、本日、藤原道子君が委員を辞任され、その補欠として達田龍彦君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/1
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002・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) この際、増田防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。増田防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/2
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003・増田甲子七
○国務大臣(増田甲子七君) 当庁職員が国会役員に対し不都合と思われる発言をしたことは遺憾であり、本人には厳重に注意するとともに、今後このようなことのないよう厳に戒める所存です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/3
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004・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) この際、園田厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。園田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/4
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005・園田直
○国務大臣(園田直君) 国家公務員が国会役員に対して不都合と思われるがごとき発言があったにもかかわらず、これを当省の職員が十分制止し得なかったことは遺憾でございまして、関係者を厳に戒めると同時に、今後かかることの起こらぬよう十分注意をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/5
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006・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/6
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007・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 速記を起こしてください。
この際、木村官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。木村官房長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/7
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008・木村俊夫
○国務大臣(木村俊夫君) 総理大臣の意を体して申し上げます。
国家公務員がいやしくも国会の役員の権威を失墜するがごとき言動を行なうことは許されませんので、かようなことのないよう今後とも厳に戒めることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/8
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009・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。小川労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/9
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010・小川平二
○国務大臣(小川平二君) ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
駐留軍関係離職者につきましては、昭和三十三年五月駐留軍関係離職者等臨時措置法の制定以来、同法に基づき、これらの者の生活の安定をはかるため、その対策の強化につとめてきたところであります。しかしながら、駐留軍関係離職者は、今後もなお相当数発生するものと予想され、これらの者の再就職を促進することが必要でありますので、昨年十二月に出された駐留軍関係離職者対策審議会の答申の趣旨に沿ってこれらの者の再就職援護対策を強化するとともに、駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期間を延長し、あわせて、身体障害者その他の労働者の就職を援助するため、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の内容の概略を御説明申し上げます。
第一は、駐留軍関係離職者に対して雇用促進事業団が行なう援護業務の拡充であります。雇用促進事業団は、従来の援護業務のほか、新たに、駐留軍関係離職者の再就職の促進及びその生活の安定に関し必要な業務を行ない得ることとし、離職者の実情に適応した業務を適時適切に行なわせようとするものであります。また、これに関連して、今回新たに支給することとする自営支度金に相当する給付金については、従来の自営支度金と同様、これを標準として租税その他の公課は課さないことといたしております。
第二は、駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期間の延長であります。駐留軍関係離職者等臨時措置法は、本年五月十七日以降効力を失うこととなりますが、駐留軍関係離職者の発生状況にかんがみ、有効期間をさらに五年間延長することといたしております。
第三は、雇用促進事業団が行なう一般業務の拡充であります。雇用促進事業団は、労働者の雇用を促進するための業務を行なっておりますが、身体障害者その他の労働者一般についても駐留軍関係離職者対策と同様労働者の実情に応じて従来の業務のほか就職の援助に関し必要な措置を適時適切に行ない得るようにするものであります。
以上、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/10
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011・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) これより質疑を行ないます。
御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/11
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012・達田龍彦
○達田龍彦君 私は、この法律に対して、若干政府の見解をただしておきたいと思うのであります。
いま提案の理由にございましたように、駐留軍労働者の雇用の安定の確立、さらには離職者対策の拡充強化については今日までしばしば国会でも取り上げられ、さらには唯一の労働団体でありますところの全駐留軍労働組合のほうからも雇用の安定と離職者対策については政府に対して強く要望、要請があっているところでございます。私は、今日、雇用主たる政府みずからの責任において対策ないしは措置を実施すべきであるにもかかわらず、必ずしも十分であるとは考えられないのであります。今日の現状をそういう意味においてきわめて遺憾と考えておるのであります。そこで、こういう情勢の上に立って、昨年、駐留軍関係離職者対策審議会におきまして抜本問題を含めた答申が労働大臣に出されておるのでありまして、この答申を受けまして今回の法律改正が出てまいったことは、御提案のとおりであろうと考えるのであります。しかし、現状をいろいろ考えてまいりますと、今日の駐留軍労務者の置かれている立場を考えてまいりますと、たとえばベトナム和平の交渉の進展の問題、あるいは米国のドル危機から来るところの内外の経済問題、あるいはまあ合理化等々、考えてまいりますと、今日なおかつ駐留軍労務者の離職の危険、不安、さらには生活の危機というものは今後さらに増大するであろうということが予測をされるのであります。そういう観点から、一体、こういう情勢に対して政府はどういう具体的な措置をもって今後に対処しようとされておるのか、まずこの点をお伺いしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/12
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013・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 御指摘のございましたように、はなはだ不安なまた流動的な国際情勢でございます。いま直ちにこの情勢に対応いたしまして駐留軍がある程度あるいは相当の規模で撤退をするというような計画があるとは聞いておらないわけでございます。状況いかんによりましては、将来相当大量に離職者が発生するということもあり得ることと存じます。さような事情も考慮いたしまして、今回、この法律の延長について御審議をいただいておるわけでございます。さような事態が出てまいりました場合にも、現行法を活用して遺漏なきを期してまいりたいと存じます。
当面、そのような計画が駐留軍側にあるのかないのかということにつきましては、私は的確に存じておりませんので、これは防衛施設庁のほうから御答弁を申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/13
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014・山上信重
○政府委員(山上信重君) いろいろ国際情勢がきわめて変転する現在におきまして先々の見通しを申し上げること非常に困難でございまするが、ただいままで私どもの伺っておる範囲では、直ちに離職あるいは整理というようなことを行なうというようなことは伺っておらないのでございます。ただ、しかしながら、将来万一そういうようなことがあった場合に備えて、ただいま労働大臣のおっしゃったような方針のもとに離職対策については今後とも万全を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/14
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015・達田龍彦
○達田龍彦君 私は、考え方として若干甘いような気もいたすのであります。それは、昨年の十二月の答申というものは、やはり暗い見通しを前提にしての答申が出ておる。そういう意味では、雇用の増大ということよりも、離職の増大ということが将来の展望の中にかなり強いのではないか。そういう面に立っての施策を拡充強化しなきゃならぬと、こういう観点でこの問題をとらえていくべきではないか、こう実は考えておるのであります。しかし、衆議院段階でも相当内容のある審議がこの問題については進められておりますし、問題点もほぼ解明され、政府もある意味では問題を真剣に考えて前向きで対処をしようという姿勢がうかがわれるようでありますので、私は、なおさらに残っている数点の問題点をこの際政府にお尋ねをして、その立場を明らかにしてもらいたいと考えておるのであります。
それは、昨年の答申によって、政府は、確かに法律の延長ということは今回提案をされて措置しようとされております。それから再就職の奨励制度の確立についても、これまた取り上げられようといたしておるのであります。しかし、それでもなおかつ残る問題として考えられるのは、雇用の抜本的な確立対策、さらには、これは政令できめられておる内容でありますけれども、離職の際の特別給付金の情勢に応じた内容の改正、あるいはこの制度それ自体に対する改正という問題が、衆議院段階の論議の中からは、政府の姿勢としてこれの改善策を施すものがほとんど見当たらないという状況にあるのであります。私は、この問題は、きわめて不満であり遺憾でございます。これを受けまして、衆議院では、御承知のとおり、各党が協議をしまして、最終的には、駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議がつけられ、議決されておるのであります。私は、そういう観点から、これらの雇用対策の抜本問題も含めて、こういう問題についてなぜもう少し具体的なしかも前向きな、前進するような、また、今日の時点に合うような措置をすることを積極的に労働省は提案をしようとしなかったのか。この点、附帯決議が出ておりますので、国会側としてはその必要を認めておるわけでありますけれども、その姿勢についてまず労働大臣からお伺いをしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/15
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016・小川平二
○国務大臣(小川平二君) いま御指摘のございました特別給付金につきましては、長期に在職する方々、これはすでに二十三年にもなる人がおるということも承知をいたしておるわけでございますが、そういう方々について特別の配慮をすべきだという御要望にも実は即しておるわけでございます。ただ、この問題につきましては、昭和三十九年に改定がなされました際の経緯も実際問題といたしましては考慮をいたさなければなりませんので、これから先この長期在職者の離職後の実態ということも研究をいたしまして、そして検討したい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/16
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017・達田龍彦
○達田龍彦君 大臣、原稿をお読みになるのはけっこうだけれども、私が質問しているのは、具体的な問題としてはそういうことに入らなきゃなりませんけれども、私が言っているのは、雇用の安定対策、それから特別給付金の増額、あるいはその制度の改定という問題について何ら前向きの提案が政府として持ち合わせがないために、衆議院段階でこれはけしからぬと、まあ、ある意味ではおしかりを受けたような、叱咤激励の意味も含めた決議案というのがなされたのであります。これは、各党一致して決議されております。そういう点が、なぜ、当初から、政府の姿勢として、これは出せなかったのか、出す意思がなかったのか、出すことが不都合であったのか、議会側が決議したことがけしからぬと思っているのか、そこら辺の姿勢の問題を私はまずお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/17
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018・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 附帯決議として御決議になりました内容のうちには、制度本来の趣旨から考えまして政府においても当然だと考えておるような事項もございます。また、あるいはただいま申し上げました特別給付金のように、今後さらに慎重に検討しなければならないものもあるわけでございまして、そういうわけで、附帯決議に盛られました幾つかの事柄を政府の積極的姿勢として打ち出すべきであったというただいまのおことばの御趣旨には必ずしも沿い得なかった点があるかと思います。もちろん、御決議の趣旨は、十分尊重してこれから努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/18
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019・達田龍彦
○達田龍彦君 それでは、あの決議の内容に対しまして、私は、具体的に政府の考え方、方針をただしていきたいと思うのであります。
これはまあ当然のことでありますけれども、今回政府が五カ年間の延長をして法律改正を提案をしておると、こういうことになりますと、必然的に、今日まで制度としてありました——これは政令できめられておるのでありますけれども——特別給付金の制度というものについても、延長の趣旨とそれから精神に従って、改定をすべき内容があると私は考えるのであります。たとえば、具体的に申し上げますと、特別給付金の内容によりますと、制度としては、十九年以上の在職者に対しては給付の内容を十九年で打ち切っているのであります。上限を置くことを押えてしまっておるという状況にあるのであります。しかし、今日、駐留軍労務者が、戦後考えてまいりましても、すでに長い人では二十三年間の在職期間があるのであります。さらに五年間延長をしてまいりますと、二十八年、場合によっては三十年ということになるのでありますけれども、これは給付金の対象を延長に伴って必然的に改正あるいは改善していくべき内容を持っておる。この点に対して、一体、政府はどういうふうにお考えになっておるのか、お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/19
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020・山上信重
○政府委員(山上信重君) 特別給付金の支給区分についての上限の問題でございますが、衆議院の附帯決議にもございますように、この問題につきましてその上限を廃止して駐留軍労務者の在職期間に応じた支給区分の拡大をはかるということにつきましては、さような衆議院の附帯決議の御趣旨もございまするので、ただいま当庁では慎重に検討中でございまして、なるべく可及的すみやかに関係省とも協議に入ってまいりたいと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/20
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021・達田龍彦
○達田龍彦君 いつも、回答というのは、すみやかに検討中ということでありまして、これはきまり文句でありまして、一体、検討というのは、よくなって検討するのか悪くなってするのか、趣旨からいったら悪くなるということはないと思うのでありますけれども、ある程度考え方というものを、検討という表現ではなくて、もう少し具体的にどの程度のものはしたいとか、まあそれが言えないとするならば、方向としては善処することを前提にして検討するとか、そういうきちんとした安心の置ける態度をこの際御表明をいただきたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/21
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022・山上信重
○政府委員(山上信重君) ただいま私の申し上げましたのは、年限の上限を伸ばす、いまおっしゃいましたような実情に合わない面を修正してまいるという方向で検討しておりまして、さような方向の成案ができ次第、関係各省と協議に入りたいと、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/22
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023・達田龍彦
○達田龍彦君 これは改正に伴う当然の措置であると思います。ただ、現行の制度の中でも、なおかつ内容的に不満と不備が私どもにはあるのであります。したがいまして、内容の面につきましても、十分実情に合うように、客観的諸情勢に適合するような措置、対策というものをひとつ御努力をいただきたいと思うのであります。
さらに、もう一点は、これまた決議の内容に入っておりますけれども、特別給付金の金額がきわめて低いのであります。制度そのものとしては、日本の労働政策の中では確かに特徴ある政策ではありますけれども、内容的に金額的にまいりますると、きわめて不備、不満の面が多いのであります。そういう意味で、ぜひ金額の面についても今日の社会情勢に合うような金額の配慮をすべきではないかと、こう考えますけれども、決議もそのことに触れておりますけれども、できれば、どの程度のことを考えていこうとしておられるのか、お示しいただければ非常にけっこうではないかと、こう思うのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/23
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024・山上信重
○政府委員(山上信重君) 特別給付金の金額の増額の問題でございまするが、これにつきましては、昭和三十九年の大改正をいたしました際に、従来の金額から当時といたしましては相当思い切った改正をいたした事情がございまして、そのような事情からいたしますと、早急にこれをさらに増額するということはきわめて困難な実情にあることは先生御承知のとおりだと思うのでございますが、この点につきましても、当庁といたしまして今後とも十分に研究してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。したがいまして、ただいま具体的にどうだということは申し上げかねるので、ひとつ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/24
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025・達田龍彦
○達田龍彦君 いまの回答では、まあ上限の問題よりも非常に控え目の消極的な御回答に受け取れるのであります。実情として、予算の問題、他の制度との問題等から、たいへん困難な事情があることはよくわかるのであります。しかし、私は、労働行政の中でこういう特徴ある問題をどう伸ばしていくかということに対しては、これは労働省も防衛庁もきわめて積極的にこれを伸ばすという方向で姿勢として持ってもらいたいと思うのであります。制度をつくりますと、やはり制度の上には内容の充実が伴わなければ、これは制度だけつくっても役に立たないということになるわけでありまして、つくる趣旨があるならば内容の充実をはかっていくというのは当然であろうと思うのであります。制度だけをつくってこれでこと足れりというやり方はきわめて遺憾であり、やり方としてはあまりいいやり方ではないのではないかと、こう思うのでありまして、そういう意味で、たとえば金額にいたしましても、最低五千円、一万円なんていうのは今日の経済事情、国民生活の実相からいってこれは低きに過ぎるわけでありまして、制度を樹立したならばそれの充実をはかると、こういう意味で、諸般の情勢の困難さはわかりますけれども、ぜひ上限の問題以上の積極的な御検討、御措置をお願いをしたいと思うのであります。どうかその点についての十分御配慮をいただきたいと思いますが、再度ひとつ態度をお示しをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/25
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026・山上信重
○政府委員(山上信重君) ただいまさような事情について申し上げたのでありますが、この問題につきましても、われわれといたしましては、今後もちろん前向きで努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/26
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027・達田龍彦
○達田龍彦君 さらに債務保証の問題についても第三点として触れておるのでありますが、この内容を検討してみますと、これまた、昨年でございますかこれの制度ができたのでありますけれども、きわめて運用されている実績は少ないのであります。これは、どう運用していくかということについて認識が不足をしておることも一つあると思います。それから、制度自体が、つくられてはおるけれども、あまり役に立たない、実効性に乏しいというようなこともこれが普及しない一つの原因ではないかと思うのであります。そういう意味では、額の増額をはかる、制度を周知をする等、積極的な施策を講じなければならぬと思いますが、やはり債務保証の額を上げていく、無担保のワクを拡大していく、こういうことが根本的になされなければ、借ってもしようがないということが先に立つがゆえに、制度はあっても運用ができない結果になっているのじゃないか、こう思います。そういう意味で、この問題についても、表現としては「弾力ある措置」と、こう言っておりますけれども、言っていることは、もう少し額を上げて役に立つようなものにしてもらいたいと、制度の運用を完全にすべきではないか、こういうことが言えると思うのでありまして、この点についての御見解、決意のほどを承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/27
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028・小川平二
○国務大臣(小川平二君) いま御指摘のございましたように、これから先もこの制度の趣旨について周知徹底せしめる努力を怠ってはならないと考えております。実際に債務保証が行なわれました事例は、実はまだきわめて少ないのでございますが、審査中のものが相当ございまして、ほとんどことごとくが保証を行なえるような実情でございます。これにつきましてはただいまお耳に入れさせます。御決議になりましたのは、制度の運用を弾力的にせよ、おことばにありました措置の問題でございますけれども、予算等につきましても、現に計上いたしておりまするのは、類似の債務保証制度の実情、実態を十分勘案して計上いたしておるわけではございますけれども、これから先のこのワクの拡大等については十分考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/28
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029・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 今日までの実績は、正式に決定を見たものは一件でございますが、そのほかに十二件ほど現在申請がございます。近くこれは決定を見る見込みでございます。
もう一つのお尋ねで、保証の金額が少な過ぎるじゃないかというお尋ねでございますが、これは大体原則は百万円で、例外は二百万円までの保証限度を考えております。今日までの実績を見ますと、平均して六、七十万円の金額になっておりますので、まあまあ例外的に必要があれば二百万円まで保証するという現在の制度で十分対処できるのではないかというふうに考えておりますので、この実績を見ながら実際の運用にあたって弾力的に措置してまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/29
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030・達田龍彦
○達田龍彦君 では、最後に、私は、いま御回答がありましたように、内容的には相当今後努力をしていただかなければならない内容もあろうかと思いますが、ぜひひとついま表明された態度を貫いていただきまして、実のある実効のある運用といいますか措置を特に御配慮をいただきたいと思うのであります。特に、全駐労の今日の状態というのは、失業の増大ということは情勢的に非常に強いわけでありますから、これに対する雇用の安定対策、さらに離職する場合の安定措置、こういうものについては十分なる御配慮を賜わっておきたいと思うのであります。
それから最後に、附帯決議の取り扱いでありますけれども、ややもすると国会の決議が軽視をされ、必ずしもその国会の精神が即行政の中で生かされないという今日うらみがあるのであります。私は、非常に残念であり、国会軽視の風潮というものを戒めなければならぬと実は考えておるのでありますが、御承知のとおり、附帯決議というのは国民の意思としてきめられた内容でありますから、本来最高の議決機関できめられたものを行政庁でそれを適当に判断をして措置するということは許されないことであるのでありますから、そういう意味でも今回の附帯決議はぜひとも国会の決議を尊重いただきまして、その意のあるところを十分おくみ取りいただくと同時に、全駐労労働者の雇用の安定と生活の危機を打開するための貫かれた精神でこの決議をぜひ十分生かしていただきいと思うのであります。最後に労働大臣のそれに対する決意と御見解を承って、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/30
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031・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 御決議の趣旨が実際に生かされますように、あとう限り努力をする所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/31
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032・小平芳平
○小平芳平君 いまの御質問とそれからお答えで私は特にまた新しく問題にするようなこともないわけでございますけれども、最初の労働大臣の提案説明では、駐留軍関係離職者が今後ともなお相当数発生するものと予想されるというふうに説明をなさっておられるわけですが、防衛施設庁長官は特に相当数発生するようなふうには考えておらないように答弁されたわけですが、ここでもって、労働省の考えは、ベトナム和平の動き、あるいは先ほど言われたドル防衛、あるいは日本の国自体も財政の引き締め基調、そういうことを考慮に入れた上で相当数発生すると言われるのか、あるいは、そうした米国内の問題が発生する以前にこれを想定されたものか、その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/32
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033・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 最近のベトナム問題に関連いたしまする動きが出てまいりまする以前の想定でございまして、当面の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、最終的に平和が戻ってくるということはきわめて望ましいことではございますが、しかし、紆余曲折も予想されるかもしれない。これが実現いたしました場合に、直ちに相当数の駐留軍の徹退が行なわれるか否か、ただいまのところでは見通しが困難でございますので、最近の諸情勢にかんがみて予想しておったよりはさらに大量のものが発生するか否かということについてはただいまちょっと判断は困難である、こういうふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/33
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034・小平芳平
○小平芳平君 その点は正確に見通しを立てるわけにはいかないと思いますけれども、少なくともこうした提案説明で相当数発生するものと予想されると言われた、それから起きている世界情勢というものは、なお一そう不安にしておるということは言えると思うですね。駐留軍労務者が最近のそうしたアメリカの動きからいって職場が安定してくるということは言えないと思う。ですから、そういう点の認識は私が申し上げるまでもないと思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/34
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035・山上信重
○政府委員(山上信重君) ベトナム情勢、あるいはドル引き締め、その他最近の一連の動きが、直ちに駐留軍労務者の雇用問題に響いてくるかどうかについて、先ほど申し上げたように、私どもといたしましては、特別の情報を得ておりませんので、その点についてはそういった特別のあれはございませんと申し上げたのでございまするが、従来とても離職者は相当ございまするし、今後もそういったようなことは駐留軍の特性としてあり得ることだと思いまするので、かような場合に備えての各種の対策というものは今後どうしても十分にやっていかなければいけないのだというふうな基本的な考えのもとにわれわれはいろいろな施策を講じておる、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/35
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036・小平芳平
○小平芳平君 炭鉱離職者の方たちが、非常な窮地に陥って、そうして現に生活に困り、また、いろいろの問題が起きてからようやく政府が動き出すというような、その二の舞いを踏まないように、やはりこうした対策が必要だ、そのためにこうした臨時措置法もできておることであると思いますが、それで、要するに、不安定な職場にあるということ、従来もすでに離職者が出てきておるということ——この資料は全然何にもつけてくれませんけれども、私先ほどいただいた資料ですけれども、これについて、在籍者、離職者、うち人員整理、それから給与という面について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/36
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037・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 離職者の状況を三十九年度から申し上げますと、三十九年は、在籍者が五万二千三百人でございまして、離職者が一万一千三百三十八人、そのうちいわゆる人員整理による分が五千十一人でございます。四十年は、在籍者が五万八百四十六人に対して、離職者が六千九百八十四名、うち人員整理が千五百五十八名でずいぶん減っております。四十一年は、在籍者が五万七百四十八名に対しまして、離職者が七千六百五十五名、うち人員整理による分が二千四十八名、それから昨年は、四月からこの二月までの実績でございますが、在籍者数が五万七百四十三名、離職者数が六千六十八名、うち人員整理による分が八百七十八名、離職者の中で人員整理による分が非常に減っております。
なお、賃金の状況でございますが、昨年の八月時点で給与の月額で申し上げますと、駐留軍労務者が五万六千六百十六円、それから諸機関労務者が四万六千七百七十八円、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/37
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038・小平芳平
○小平芳平君 減ってきていると言われますけれども、五千人とか千人とか二千人とか八百人とか、こういう人員整理がせられているわけですね。ですから、中高年齢層の方が多いと思いますことは、給与の平均が五万六千円ですから、これらの五万六千円程度給料をとっていた人が、かりに八百人にしても二千人にしても、本人の意思に反して人員整理されるということは、さてこれから再就職するとなるとたいへんなわけですね、現状としては。ですから、今後そうした基地の縮小という問題がもし万一起きた場合にはたいへんな問題になるということ、ましてこんなに毎年毎年何千人という人員整理をしている企業——企業として見た場合は、まず少ないと思うですね、こうした例は。ですから、そういう意味からいっても非常に不安定な状態にあるということ、それに対する考え方でいかなくてはならないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/38
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039・小川平二
○国務大臣(小川平二君) ただいま御指摘のあったとおりでございます。また、さような心がまえで対処していくことは当然だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/39
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040・小平芳平
○小平芳平君 それで、次の問題は、雇用促進事業団の一般業務の拡充ということについて、「身体障害者その他の労働者一般についても、駐留軍関係離職者対策と同様労働者の実情に応じて従来の業務のほか就職の援助に関し必要な措置を適時適切に行なう」、これについてもう少し具体的に説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/40
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041・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 雇用促進事業団の業務は事業団法で法定されておりますが、この際団法を改めまして、御提案申し上げておりますように、従来の業務のほか、「労働者の就職の援助に関し必要な業務を行なう」という条項を入れることによりまして、援護業務を広げ得るという法律的な根拠を与えたわけでございます。さしあたりまして私どもが今年度考えておりますことは、身体障害者に対しまして駐留軍あるいは石炭離職者と同じような債務保証制度を創設してまいりたい、こういうことを具体的には考えておるわけでございます。
なお、将来、まだほかに援護業務を広げていくという必要がありましたならば、この条項を活用して拡大してまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/41
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042・小平芳平
○小平芳平君 それでは、この債務保証制度だけで、このほかたとえば職業訓練とかそういう点はまだ考えていないということですか。それが必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/42
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043・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 職業訓練につきましては、団法の現行法の中に規定がございまして、一般の方もそれから身体障害者についても職業訓練ができるというたてまえになっております。そのほかの身障者の対策につきましては、それぞれ促進法とかあるいは一般の職安法というものがございまして、それによりまして一応の対策を講じておるということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/43
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044・小平芳平
○小平芳平君 それはそうですけれども、身障者雇用促進法もありますけれども、事業団の行なう仕事として適時適切に何かをやってくれるという場合に、債務保証に限ってやるという、まあそれだけをいま考えているということですが、身障者に対する労働省の積極的な援護措置というものが、これは厚生省とのかね合いもありますけれども、労働省としては職業安定所でも職業訓練所でも現にやっておりますけれども、雇用促進事業団としてはそういう方面により広く窓口を開いていく考えがないか、それが必要であるかどうかということをお尋ねしておるわけです。それが一つと、身体障害者の場合、改正になっていますね、厚生省のほうでは。そうすると、労働省のほうでも身体障害者の扱いはそれに伴って拡大していくということになると思いますが、いかがですか、その二点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/44
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045・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 身体障害者の雇用の促進につきましても、現行の団法は一昨年の改正によりまして十九条の八号というのが新しく設けられまして、これは必要な雇用相談を雇用主側に対してサービスとして行なっていくという条項でございます。それからもう一つは、同じ十九条の第三項でございますが、ここに、身体障害者が職場で働きやすいようにするために作業施設の改善という必要がございますが、この場合の設備資金の融資を雇用促進事業団で行なう、こういう規定を新たに創設して現にこれを行なっております。こういったことが逐次拡大されまして身体障害者の雇用促進の万全を期していくという姿勢でございます。
なお、厚生省との関係は、厚生省のほうの福祉対策の拡充と相まって、私どものほうの社会復帰につながる雇用促進あるいは自営業の援助ということを中心にいたしまして身体障害者の援護の万全を期していく、こういう姿勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/45
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046・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/46
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047・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/47
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048・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/48
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049・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/49
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050・大橋和孝
○大橋和孝君 私は、ただいま可決されました駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正する法律案に対して附帯決議案を提出いたします。
まず、案文を朗読いたします。
駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の各項について努力すること。
一、駐留軍関係離職者等臨時措置法の存続期間の延長に伴い、特別給付金について、その増額及び支給区分の拡大を考慮すること。
二、駐留軍関係離職者に対する債務保証制度について、弾力性のある運用を行なうこと。
三、身体障害者の雇用促進に関しては、心肺機能障害者及び精神薄弱者に対する身体障害者雇用促進法の適用拡大、同法に基づく法定雇用率の達成並びに雇用減税の実現に努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ御賛成くださるよう、お願いいたします、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/50
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051・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ただいま述べられました大橋和孝君提出の附帯決議案を議題といたします。
別に御質疑もないようでございますので、これより本案を採決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/51
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052・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより採決いたします。
大橋和孝君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/52
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053・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、大橋和孝君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、小川労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可します。小川労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/53
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054・小川平二
○国務大臣(小川平二君) ただいま御決議のありました事項につきましては、趣旨を尊重いたしまして、実現のために努力いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/54
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055・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/55
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056・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/56
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057・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 引き続き、労働問題に関する調査を議題といたします。
これより質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/57
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058・大橋和孝
○大橋和孝君 それでは、きょうは、第一番目に出雲市営バスの件について少しお伺いしたいと思います。
それは、三月十四日の衆議院の予算委員会第三分科会でわが党の神門委員からこの問題について質問をいたしたわけでありますが、私もちょっとこの議事録を読んで、政府側としての答弁に不審な点がいささかありますので、ここで明確な答弁をいただきたい、こういうふうに思っておる次第であります。
まず一番目に、紛争は一応の解決をみましたわけでありますが、労使間の話し合いがあまり持たれないで、一方的に押しつけてきたことは問題ではないかと、こう思うわけであります。また、労政局長は、地公企労法第八条の解釈で、労働協約よりも条例が優先すると言っておりますが、これはどうもおかしいのではないか。特に労働協約に抵触するような条例は、条例の改正を行なってからその協約を実施するのでなければ、労使間に結ばれたところの労働協約の精神を無視することになるのであります。労働法、公営企業法、労働協約等の精神というものを尊重しなければならないと思うのでありますが、この点についてひとつ明確に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/58
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059・松永正男
○政府委員(松永正男君) ただいまの御質問は二点あるかと思うのでございますが、実は、衆議院の予算分科会におきましては、非常に時間もございませんでしたので、神門先生の御質問に私としても十分お答えできなかったうらみがあったのでございます。
最初の地方公営企業の労働問題でございますが、ただいま大橋先生の御指摘のごとく、地方公営企業は、住民の福祉のために、市、県等におきまして必要な企業を公営企業として運営をするという趣旨でございますが、もちろん労働条件その他に関しまして変化がございます場合に、たとえば今回の出雲市営バスの存廃問題というような場合にも、従業員の労働条件に直接響いてくる問題でございますので、あらかじめ労働組合があります場合はもちろん労働組合と十分に話し合いをいたしまして、従業員の納得を得た上で円満に処置をするということが望ましいことであることは当然のことでございます。地公労法におきましても、その第二条におきまして、この企業の重要性にかんがみまして、紛争の防止、主張の不一致の友好的調整ということに関係当事者は最大限の努力をしなければならないということを規定をいたしておりますので、この趣旨にかんがみましても、労使の間で十分な話し合いが行なわれることが望ましかったということは、御指摘のごとくでございまして、全く同感でございます。幸いにいたしまして、紛争がございましたけれども、結論におきましては非常に円満な形で終息を見たということは、私どもといたしまして非常に喜ばしいことで、先般も市長さんにもお会いをいたしたのでございますが、非常に円満な姿で廃庁式も行なえたという御報告がございました。また、上京いたしましたので都市交通の労働組合の本部にもあいさつに行ってきたというようなことでございましたので、その経過はいろいろなトラブルがございましたけれども、結果におきましては円満に解決をしたと、こういうことでございます。
それから第二点の御質問でございますが、地方公営企業労働関係法の第八条におきましては、地方公営企業法に基づきまして労働条件に関して、たとえば賃金の種類といったようなものについては、条例で定めることができるということになっておるわけでございます、これに対しまして、労使間で労働協約を結んだと。これは労働条件に関してまああらゆる問題について労働協約が結べるわけでございまして、したがって、条例で制定されました内容と、それから労働協約で定められました内容とが相矛盾をする、違った内容であるといった場合の処置を第八条において規定をいたしておるのでございまして、この第八条の労働条件に関する条例と協約との調整措置につきましては、いずれが優先するということはないわけでございます。衆議院の際に御質問がございましたのは、廃止をするという条例が話し合いを十分に尽くしていないので無効ではないかというような御質問でございましたので、それにつきましては、地方公営企業法の規定によりまして、設置及び運営の基本方針は条例で定めるということが規定をされておりますので、話し合いを十分に尽くさずにやることは不適当である、望ましくない。しかし、法律の効力だけに限定しての御質問であれば、設置という問題につきましては必ずしも無効と言えないのではないかという趣旨を申し上げたのでありまして、第八条について条例が優先するということは全く申し上げておりませんので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/59
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060・大橋和孝
○大橋和孝君 それで私ちょっと納得がいけるような感じがするんですが、労使間の協約があって、十分労働者が労働条件について納得をして、しかる上にこれが行なわれるならばいいが、もし行政のほうが先行して、どんどんと労働者がどこへ行くのかわからないのに首を切っていってしまうということが行政的に行なわれていくということになれば、これはえらい重大問題だと思うわけなんです。
それからまた、この法の解釈でも、これが妥結しない場合には、一応また法律にかけて、またその結果が出た場合は別だと言えるだろうけれども、しなきゃならぬという取り扱いになっていると私は解釈しておるのですが、そういう観点からいえば、労働協約のほうで円満な話し合いがつくということのほうが先行すると考えて間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/60
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061・松永正男
○政府委員(松永正男君) 地方公営企業の公共性という観点から、住民の意思によりましてその基本的なあり方というものがきめられる。そこで、設置、運営の基本方針というものは条例にかからせると、こういうことになっておるわけでございますが、他面におきまして、従業員との関係におきましては、地公労法というものがありまして、そこで団体交渉それから紛争の話し合いの処理というような手続を規定をいたしておるわけでございます。したがいまして、その効力が法律論争としてどちらが優先するというようなことになりますと、いろいろな議論があるかと思うのでありますが、私どもといたしましては、従業員の生活に非常に大きな影響を与える問題でございますので、おっしゃいましたように、十分な話し合いをし、そうして納得した上で処理をすることが望ましいということは明確に申し上げられると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/61
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062・大橋和孝
○大橋和孝君 この出雲市営バスの紛争の問題でいろいろ起こったわけでありますが、これは、先ほど局長からも言われましたが、先にはそういうふうな話し合いをしないでスタートしたわけですね。これはもう大いに問題だと思うんです。これが、初めのうちに納得をして、そうして労使間の話し合いができ上がってこういうところに踏み切っていくならば、まだ私は考えられると思うんですが、ことにここらの労働者というものはスト権もないわけであります。一般であればスト権を行使しながらそういうことに対して刃向かえるわけでありますけれども、スト権もないような組合に対してこういうような話し合いがなかったということは非常に問題だと思うんです。ですから、そういうことで今後もこういう事態が絶対起こらないように、少なくとも次官通牒なり、あるいはまた適当な方法で今後こういうことが起こらないようなことを明確にしておいてもらいたい。私は、ほかの例を見ましても、今後こういうことが起こりそうである。特にまた、これは場所が違うし、対象は違いますけれども、滋賀県の江若鉄道が、湖西線という国鉄が引かれるために買収される。これなんかでも、国鉄のほうでは一切その人を雇わないと、こう言っておるわけですね。そうして、そこで働いている人たちが、全然身の振りがわからない不安な状態に置かれている。いままでの間、鉄道のために十分のサービスをやってきた。そうして、その労働によって公のことに尽くしてきながら、いざそういうことになれば、身分も非常に不安なまま国鉄に吸収されるということになれば大きな問題だと思うが、こういうようなことが合理化だとかあるいはまたこの企業の状態の中でいろんなことがこれから起こり得ると私は考えるわけです。
そういうふうなあやまちがあったわけでありますから、今後こういうことの起こらないように、少なくとも行政通達を厳重に出して、次官通牒なりあるいはまた適当な方法でもって、今後労働基本権を十分に守ることができるような指導を徹底していただきたい。それからまた、今度の問題は非常にうまく解決が途中でしたものの、私は、このことに対しましても、労働省としては、労働者の基本権を守るという精神から、十分な腹をきめて、今後こういうことが一切起こらないように考えてもらわなければいかぬと思うのですが、そういう決意を含めて今後の処置について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/62
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063・松永正男
○政府委員(松永正男君) 私どもの決意といたしましては、先生の御指摘のような強い決意を持っております。
それから、これらのことにつきまして、地方関係機関に対しまして、適切な方法によって十分趣旨の徹底をはかってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/63
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064・大橋和孝
○大橋和孝君 ちょっと大臣からもこの点について十分決意のほどを示していただいて、次官通達なり何なりそういうものをどういうような方法でやってもらうかということについても明確に御決意を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/64
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065・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 先ほど労政局長から申し上げましたように、友好的調整のために最大限の努力を尽くせというのが地公労法の趣旨でございます。この趣旨にかんがみまして、労働条件の変更が生ずる場合、事前に納得を得る努力においてもし欠けておったとすれば、これは非常に遺憾なことと申さなくてはならないと存じます。これから類似の事態が起こることもあり得ると考えられますので、適切な方法で私どもの趣旨が十分徹底、浸透いたしますようにする所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/65
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066・大橋和孝
○大橋和孝君 じゃ私はこれで質問を終わらしてもらいます。いつやるかということは聞かなかったのですが、明確にこれだけは処置をしてもらうということを十分配慮願うことをお願いしておきます。
それから次に、今度は、全金の東発の問題について少しお尋ねをしたいと思います。
東京発動機株式会社の不当労働行為の事件でございますが、東京発動機志村支部の件で不当労働行為についてお聞きいたすわけでありますが、その一番目に、この会社は、会社更生法による更生会社となって、管財人が藤掛善蔵ですかのもとにロックアウトが行なわれておる。裁判所の任命を受けておる管財人がロックアウトをやっておるわけでありますが、これはこれでいいものなのかどうか、ひとつ見解を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/66
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067・松永正男
○政府委員(松永正男君) 会社更生法の具体的詳細な内容につきましては、私も所管ではございませんが、会社の更生につきまして法律に基づきまして管財人が任命される。その場合に、労使関係につきましては、会社更生法の適用を受ける会社でありましても、そうでない会社におきましても、全く一般の労使関係と異ならないというふうに考えられます。したがいまして、労使の間で協定を結んで労働条件の協定を行なうこともあれば、意見が合わずに紛争が生じてストライキ、あるいはまた、これに対して、使用者側の対抗手段としてロックアウトというようなことももちろんあり得るというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/67
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068・大橋和孝
○大橋和孝君 裁判所の任命の管財人がそれをやってもかまわないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/68
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069・松永正男
○政府委員(松永正男君) 合法なるロックアウトか違法なるロックアウトかという論議は別でございますが、たとえば会社更生法の適用を受ける会社であるから当然経理内容は悪いわけでありますが、それに対してそれでは労働組合のほうがそういう経理内容の悪い会社なんだからストライキをやってはいかぬというふうなことになるかというと、そうではないわけであります。そうしますというと、労使関係のいろいろな紛争の処理の一つの方法といたしまして、ストライキをやることもあれば、また、会社側がロックアウトをかけるということもこれはあり得る。管財人だからロックアウトをしてはいかぬということにはならないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/69
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070・大橋和孝
○大橋和孝君 そして、このロックアウトに伴って、会社は、警備員と称して暴力団を雇い入れておる。昨年の十二月の二十四日には、百七十名から二百名という暴力団を雇い入れて、しかも、正当な組合活動を行なっておる組合員に対して暴力をもって致傷させ、六人は半カ月の入院というような事態となっているという。その警備員は警備会社から雇ったと会社側は言っておるようでありますけれども、実際には拓殖大学の生徒あたりを含むところの体育クラブ、その他の会社員を入れているのでありますが、拓殖大学は現運輸大臣の中曽根氏が総長をやっておるのでありますが、学生との労働協約、その他の暴力団員との労働関係はどういうふうにお考えになるのでありましょう、その点をちょっと見解を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/70
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071・松永正男
○政府委員(松永正男君) ただいまの問題は、紛争が生じまして、そうして一応年末一時金等が解決をいたしまして、就労前の自宅待機を命じたような期間がございまして、その間に組合員と警備員との間に紛争があったというふうに聞いておりますが、具体的にはどのような人を会社のほうが雇ったのか。会社からの報告によりますというと、警備員を三十名程度雇ったということを言っておるわけでございますが、実は、この問題につきましては、組合側から告訴をいたしまして、現在刑事問題として警察なり検察庁なりで取り扱うというようなことになっておりますので、詳しい具体的な事実関係はそういう面で明らかになってくるのではないかというふうに考えられますが、私どもといたしましては、このような争議におきまして、そういう労使間のトラブル、特にロックアウトとかいうような際に入れる入れないで紛争が起こるわけでございますが、そういう事態が発生するということはたいへん遺憾な事態だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/71
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072・大橋和孝
○大橋和孝君 そしてまた、この暴力団員は、昨年の十二月二十七日に、わが党の河野密代議士、それから本委員会の委員である佐野芳雄参議院議員が調査に行った際にも暴力を働いて、ために、国会の自動車の運転手が、ひざ、足などをけられたというような暴力事件を起こしておるのであります。会社更生法に基づく管財人は準公務員と見ることができると思うのでありますが、この管財人が堂々と暴力団と手をつないでこうした問題を起こしておるということは非常にけしからぬことではないかと思うのでありますが、こういう点に対して労働省は一体どういう見解をとっておられるか、一ぺん聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/72
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073・松永正男
○政府委員(松永正男君) 先ほども申し上げましたように、管財人は裁判所の任命でございますけれども、これは会社更生というたてまえから管財人が任命されておるのでございまして、管財人の権限といいますものは、経営について一切の権限を持つと、いわゆる一般の会社の社長、重役と同じような会社経営についての責任者ということでございます。したがいまして、ただいま御指摘の暴力事件が起こったということは、これはまあ管財人であろうと、それから一般の会社、普通の状態の会社であろうと、具体的にはいろいろな提訴がなされておりますので、どちらがどうで会社のほうがどういう暴力行為をふるったかというような点につきましては私どもも事実の突っ込んだ調査をいたしておらないのでわからないのでありますが、どちらにしても、一般の会社でありましても、暴力行為というようなことが、争議、労使紛争がありましても行なわれるべきじゃないということは明確なことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/73
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074・大橋和孝
○大橋和孝君 それからまた、第一組合をつぶそうとして第二組合をつくって、それからまた、第二組合に入らなければ一時金を支払わないなどの差別を行なったり、また、第一組合に対しまして、一時金を支払ったあと、全員を自宅待機をさせ、その間賃金の八〇%しか支払っていないというような、このほか組合員に対しての選別就労を行なったりしている事実があるわけでありますが、労働の基本権を破るようなこうした会社の態度、行動、命令には相当問題があると思うのです。これに対して、労働省はどんなふうに把握しておられるのか。こうしたことに対しては、もう少し厳重な監督指導をしなければならないのじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/74
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075・松永正男
○政府委員(松永正男君) 労働組合法の七条におきまして、使用者がなすべきでないとされております不当労働行為の規定がございます。このような規定に違反をするような行為を会社が行なってはならないということは言うまでもないのでございまして、私どもといたしましても、労働教育面におきまして常々こういう趣旨の徹底をはかっておる次第でございます。東京発動機の具体的な事件につきましては、ただいま御指摘のような点が組合側から強く主張をされまして、都労委に提訴を三月にやりまして、都労委で不当労働行為事件として現在審理中だというふうに聞いております。都労委におきます事実審理は相当回数を重ねて詳細にやりますので、その過程におきまして、事実どうであったかということは明らかになってくるかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、組合法七条に抵触するというような具体的な事実があれば、これは不当労働行為は明確なことだと、こう考えるのでございますが、この事件そのものにつきましては、現在都労委で審理中でもございまするし、私どもよりは詳しい事実審理をいたしておりますので、私どもとして、これが不当労働行為であるとかないとかいうことを現段階で申し上げるのは適当ではないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/75
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076・大橋和孝
○大橋和孝君 しかし、見解としては、そういうことは間違いで、もしそういうことがあれば厳重にしてもらわなければいけません。
それから先ほど私質問の中で触れたように、こうした更生会社の管財人となっている者は準公務員と取り扱って、こういう人たちが暴力団と——まあそれもいまのところ明確になっていないかもしれません、結論が出ないかもしれません、訴訟中であるから。だけれども、これが出れば、こういうことなんかも、準公務員として取り扱うべき人が暴力団と結託してやったということが事実になれば、いまの問題と一緒に、厳重なそういう者に対しての監督指導というものは徹底してもらいたいわけです。それはもうぜひしてもらわなければ私は困ると思います。
それから続きまして、この東発は富士電機の子会社であるのでありますけれども、数々の点でこの会社の倒産は何か計画倒産ではないかという疑いもあると聞いているわけです。たとえば、富士電機のほうが、これを倒産させて何かしようというような意図があったのではないかと考えられる点があるようであります。まず第一に、二月の二十四日、倒産の二週間前に、東発の社長、金成というのですか、その人が辞任したし、第二に、持ち株の四十万株を子会社の宝永興業というのに譲り渡してその損失を少なくし、第三には、東発に対する貸し付け金の十二億円を倒産直前に宝永興業に譲り渡すなどの行為をしているわけであります。私の調べただけでも、このほかに三、四点は疑わしいような点があるわけでありますけれども、この更生会社の管財人の行なったことは、東発の縮小再生産であり、一貫した労働組合と中小の債権者あるいは下請業者への圧迫であることは明らかであるような感じがいたします。この管財人の責任が問題だと私は思うわけでありますけれども、労働省においてはこういう事実に対してはどういうふうに把握しておられますか。
特に、私は、更生法によって行なわれたならば、何でも月に一回ぐらいずつ裁判所のほうへ月報を出してその経過を詳しく報告する義務があるように聞いているわけです。ところが、ここでは二カ月も三カ月もほっておくというような形であって、その間に起こった事柄がもうはつきりしないうちに消え去られてしまっている。たとえば、いまの暴力のようなことですが、いろいろなことをやったこともみんな消えてしまって、表に出ていない、こちらのほうから訴えて、はじめてそれが出てくるというようなことであって、裁判所できめられた方向としては、ずっとその会社が更生していく経過を報告してそれを監督されているはずだと思うのですね。そういう点なんかにも非常に大きな違反がある。こういうようなことを見てみますと非常に問題だと思いますから、特にいま申したような中小企業とそれから下請を圧迫するというような、このために倒産しているのがだいぶあるわけでありますね。だから、そうすると、結局は、一方のほうでは、十何億ほかのほうへ譲渡したりやっておるのに、小さい中小企業メーカーはつぶれていくというようなのがあって、連鎖倒産を起こしているわけです。こういうような事態をずっと見てみますと、私は、会社更生法に基づくいまの管財人のやっている行ないというものは、十分な報告もしていない、そういうようなことでもって、非常に不審な行為をやっているのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。そういう観点なんかも、一体、労働省のほうではどういうふうにこの問題を見ておられるか、そういう点を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/76
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077・松永正男
○政府委員(松永正男君) ただいまおっしゃいました点は、会社更生法適用の前におきまして、おそらく更生決定になる前にいろいろな処置が行なわれたということではなかろうかと思うのでございますが、それからまた、管財人が裁判所に対して報告を怠っておるというような御指摘があったわけでございますが、私どもとしましては、そのような裁判所の監督上の問題等につきましては詳細把握をいたしておりません。もし必要ならまたさらに調べたいと思いますが、現在のところそういう点にまでは把握をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/77
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078・大橋和孝
○大橋和孝君 一度そういうことも報告してもらいたいので、調査してもしわかれば報告していただきたいと思います。
それから、大体富士電機が入って計画的にいろいろ倒産をしているのではないかという先ほど事実をあげたわけでありますが、それはあとから調べてもらうこととして、暴力団による工場内の便所や水飲み場の閉鎖ですね、これは一月九日の仮処分で解除になったけれども、また東発の工場の前の、何か産院か何かの火事の際にも用水を使うことを断わったりしているというような事実もあるようであります。こうした、更生会社における組合員に対するところの暴力や脅迫事件は、今後まだ予想されるのでありますけれども、労働省は、こうした事件に今後どのような指導や監督をされるのか。ここのロックアウトの状態や何かを見てみますと、基本権と申しますか、労働者が当然必要とする便所やら水飲む所まで閉鎖しておるというようなやり方は、人権といいますか生命にも関係してくることだと思うのですが、こういうようなことは相当重大な問題じゃないか。それから、暴力団なんかも入れているわけですから、いつでも、脅迫をしたり、あるいは圧迫をしたり、あるいはまた、組合員に対していろいろな暴力的な言辞あるいはまた行動をすると、こういうようなことが繰り返されるわけでありますから、こうしたことに対して、まだまだこれが続くとすれば、私は問題じゃないかと思うわけです。そういう点をひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/78
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079・松永正男
○政府委員(松永正男君) ロックアウトを経営者側がかけるという場合に、一定の区域等を限りまして立ち入り禁止をするというようなことは、通常あることでありますが、本件の場合にもございまして、東京地裁で仮処分がなされたわけでありますが、たとえば、寄宿舎とか、便所とか、食堂とかいったような従業員の生活、生命と関連が深いようなところ、そういうところは通常はずすべきものであるというのが、判決におきましても、また、私たちにおきましても、共通の考え方でございますので、東京地裁で仮処分で認容されましたように、この立ち入り禁止の処分におきましては不適当なオーバーなものがあったというふうに私どもも認められます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/79
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080・大橋和孝
○大橋和孝君 それから、会社更生法に基づいて更生しようと思えば、工場を更生さしていくためには、やはり働く人が必要なわけです。第一組合を圧迫するためのいろんなそういった不当労働行為も行なわれているわけですが、結局、働いている人たちとうまく計画を協議していかなければならないというのがたてまえだと思うんですが、ここでは絶対そういうことをしない。むしろそういうような暴力団を使ったり、あるいは圧迫行為、いまのようなロックアウトにしても、基本権にまで影響するような、生命にまで関係をするようなことをやっているという行き過ぎが多いんですね。同時に、また、管財人が、いままでの話はいつごろになっているのか、かみ合わせの時間はごく明確でありませんけれども、何か世界旅行やってきたり何かしておるということも事実なようです。外国を回ってきたというんですね。それからまた、ほかの例でありますけれども、山陽特殊鋼あたりの倒産の場合なんかでも、いろいろ中に問題があるといわれて追及したときに、社長のほうから十何億か二十億かの金を出してやられたというようなことがあるわけでありますが、この会社は、管財人が、輸出のための取引の交渉に行くんだといって夫人同伴で外国を回ってきたというような例があるわけですね。倒産して更生決定になっている会社の管財人が外国を旅行している。将来発展の意味かどうかわかりませんが、そこらのところがどうも割り切れないものがあるわけですね。労働者はそういう状態で締めあげられているというのに、一方は管財人という一番会社を更生するのに責任を持ってやらなければならぬ人が、言い方はいろいろあるでしょうけれども、そんなことで外国を回ってきたりするということになれば、私はたいへんな問題じゃないかと思うんですが、それはどんなことであったか、ひとつその点についても……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/80
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081・松永正男
○政府委員(松永正男君) どうも先生のほうがたいへん詳しくお調べになっておられますので、恐縮でございますが、管財人が外国旅行をして、それがどういう用務で、はたして会社の金で行ったのか、あるいは私用で行ったのか、その辺のところは全く調査しておりませんので、恐縮でございますが、何とも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/81
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082・大橋和孝
○大橋和孝君 いろいろたくさんまだありますけれども、いまお話ししただけでも、だいぶ時間もおくれておりますから、くどくどしいことは申しません。しかし、私は特に大臣にもあるいはまた局長にも申し上げたいことは、こうした問題は働いている者の基本権です。私はいつもこういう問題に対しては思うんですけれども、いままでもうかって会社が成り立ってきたのは、働いておる人がいるからです。それが何かの都合で——まあこの場合には計画的に縮小するために倒産したかもしれない。こういう事実は、私が先ほどあげた一、二の例がありますけれども、そういうことがあるために、そこに倒産なりあるいはまた縮小するなりやって労働者にしわ寄せをして、しかも、それでいけなければ、ロックアウトもやるし、御用組合あるいは暴力団も入れるし、そしてかってなことをして労働者を締めあげていく。そうしてまた、更正しながらも、労働者の力に頼らなければ更生できないというのに、それらに対して第二組合なんかをつくったりして非常な不当労働行為をやっていく。こういうようなことが、これからまた合理化とかあるいは不況の波によって、政府の政策によっても中小企業メーカーに大きくしわ寄せされて、また今後倒産というものが起こってくるでしょう。あるいは、合理化せんならぬというときに、そこに働いている人々にしわ寄せすることによってこれを解決していこうということがどんどん行なわれていったんじゃ、一体だれが守ってくれるのかということを私はいつも考えるわけです。そういう観点から、私は、労働省においては、もっともっとこういう問題に対しては非常に神経をとがらしていただいて、労働者を守るということを主体に置いてもっともっと積極的な方法を講じていただきたい。いま話を聞いて質疑をしておれば、こっちは警察になっているから警察でよくもう一回調べてもらいましょう、こっちは地労委でやっているから地労委でみてくれるはずだというんで、話の筋は通っています、それで。これは何がいかんからということは実は私も言えないわけでありますけれども、しかし、働いている労働者は、そういうところでは非常に苦しい面に追い込まれているんです。そういう者を助けるためには、やはり間接的に強い指導性を発揮してもらわなかったら、ほんとうに労働者はばかをみて、働いて会社をもうけさして、会社が調子が悪くなったらひどい目にあわされて、暴力まで行なわれる。こんなことがあったら、そんな矛盾した世の中はないだろう、私はこういうふうに考えるわけです。
そういう意味におきまして、この問題につきましても、どうぞひとつ労働者は前向きの姿勢でいろいろな問題を——いろいろ調べていただくようにお願いいたしましたけれども、そういう面も調べて、そういうことがあれは何かの方法によって正しい方向に指導してもらう。そうして、まじめに働く者の将来のしあわせな、日本の憲法によって規定されたところの生活権なりあるいはまた人権というものが保障されるということでなかったら、もう弱い者いじめで、弱い者はつまらぬということになってしまったら、この世の中はさかしまになると思うんです。そういう点を十分考慮していただいてこの問題に対しても対処していただきたいし、また、実情に対してもお調べを願って、私のほうに御報告願いたい。ことに、大臣に対しては、いまの意味のことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/82
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083・小川平二
○国務大臣(小川平二君) ただいまの指摘のありましたような、暴力によって正当な労働組合活動が抑圧をされるとか、あるいは法律に違反する方向で労働者の基本権人権がそこなわれるということは、もとよりあってはならないことでございます。
ただ、争点となっております幾つかの事実につきましては、最終的には労働委員会ないし裁判所の判定にゆだねらるべき問題だと存じております。
また、会社更生法との関係でいろいろお話がございましたが、もちろん管財人の職務は、会社の再建を可能ならしめるためにあらゆる努力を尽くすことにあると存じますし、そのためには平和な労使関係の存在が前提でなければならない。紛争が起こりましたときには、平和的な解決のために全力を尽くすというのがこれまた当然の義務であると考えております。この点につきましては、私どもの調べにまだ不十分の点がございますから、いろいろと取り調べました上で御参考に供するつもりでございますが、御指摘のあったような事柄がこれからあちらこちらでも起こるというようなことがありませんように、正しい労使関係についての教育啓蒙ということにこれから一そうつとめてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00819680418/83
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084・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) それでは、他に御発言もないようですから、本日の調査はこの程度にとどめておきます。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十九分散会
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