1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十三日(火曜日)
午前十一時二十二分開会
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委員の移動
四月十八日
辞任 補欠選任
山本 杉君 井野 碩哉君
小平 芳平君 鈴木 一弘君
四月十九日
辞任 補欠選任
井野 碩哉君 山本 杉君
四月二十二日
辞任 補欠選任
山下 春江君 佐田 一郎君
四月二十三日
辞任 補欠選任
達田 龍彦君 藤原 道子君
鈴木 一弘君 小平 芳平君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本伊三郎君
理 事
鹿島 俊雄君
黒木 利克君
大橋 和孝君
藤田藤太郎君
委 員
植木 光教君
紅露 みつ君
山本 杉君
横山 フク君
藤原 道子君
小平 芳平君
中沢伊登子君
発 議 者 藤原 道子君
国務大臣
厚 生 大 臣 園田 直君
政府委員
文部省大学学術
局長 宮地 茂君
厚生大臣官房長 戸澤 政方君
厚生省医務局長 若松 栄一君
厚生省薬務局長 坂元貞一郎君
厚生省社会局長 今村 譲君
労働省労働基準
局長 村上 茂利君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
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本日の会議に付した案件
○連合審査会の開会に関する件
○看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律
案(藤原道子君外二名発議)
○社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○医師法の一部を改正する法律案(第五十七回国
会内閣提出、第五十八回国会衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/0
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001・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨二十二日、山下春江君が委員を辞任され、その補欠として佐田一郎君が選任されました。
また、本日、達田龍彦君が委員を辞任され、その補欠として藤原道子君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/1
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002・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 連合審査会に関する件についておはかりいたします。
国立病院特別会計法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/2
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003・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/3
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004・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/4
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005・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 次に、看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律案を議題といたします。
発議者から提案理由の説明を聴取いたします。藤原道子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/5
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006・藤原道子
○藤原道子君 私は、ただいま議題となりました看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の御説明を申し上げます。
昭和二十三年に制定された保健婦助産婦看護婦法によって、わが国の看護婦は、甲種と乙種の二種類に分けられたのであります。すなわち、甲種看護婦は、高等学校を卒業後、文部、厚生大臣の指定する学校または養成所において三カ年の専門教育を受け、国家試験に合格した者、乙種看護婦は、義務教育を終了後、厚生大臣の指定する養成所において二カ年の専門教育を受け、地方庁が行なう試験に合格した者と定められたのであります。この乙種看護婦につきましては、全くわが国の特殊事情によって生まれたものでありまして、将来あるべき看護婦のあり方とは逆行し、むしろそれは妥協の産物であったと言っても決して過言ではございません。
その後、昭和二十六年、法律の改正が行なわれまして、看護婦はすべて甲種を基準とすることになりましたが、そのときもやはり別に准看護婦の制度が設けられたのであります。
ひるがえって、わが国医療の現状を見ますとき、その進歩発展はまことに目ざましいものがあり、その内容もまた複雑多岐をきわめてまいったのであります。したがいまして、医療のチームメートであります看護婦の業務につきましても、当然それに対応いたし、高度の知識と技術水準の向上が要請されているのが現状であります。その意味から申しましても、看護婦は、将来、高等学校を卒業後、学校教育法に基づく学校において正規の専門教育を受け、国家試験に合格した者に一元化され、真に医療専門職として、社会的地位はもちろん、賃金その他労働条件が飛躍的に改善されなければならないことは申すまでもございません。 このような要請にこたえるためには、政策的に看護婦の増員こそ本来はかられるべきであったにもかかわらず、現実にはかえって准看護婦の比重が高められつつあるのであります。すなわち、昭和三十六年当時には、看護婦と准看護婦の比率は五十八対四十二でありました。ところが、わずか五年後の昭和四十年には、五十二対四十七と、ほとんど均衡の状態になってきたのであります。しかも、今日の看護婦不足に対処するために、その社会的地位の向上、賃金その他労働条件の改善によって看護婦の充足をはかるのではなく、逆に看護高校の増設など、ますます准看護婦の養成に力点を置く傾向が強められつつありますことは、わが国の将来における看護水準に思いをはせますとき、まことに遺憾なことと言わざるを得ないのでございます。高等看護学院卒四千六百三名、准看卒二万一千四百二名であります。
しかも、このように政策的に養成されました准看護婦は、准看護婦という資格である限り、いかに経験を経ようとも、永久に責任のある地位につくことができないばかりか、その賃金においても、看護婦との格差は永久に続くのであります。その上、看護婦の絶対的な不足は、これら准看護婦に、実際の看護業務において、たとえば一人夜勤など、全く看護婦と同様な職務を課するという法律違反をみずからの意思に反し強いられているのでございます。
もちろん、これら准看護婦にも、看護婦への道が全く閉ざされているわけではありません。現在でも、昼間二カ年、あるいは夜間三カ年の進学コースが設けられており、そのコースを修得した者については、看護婦国家試験の受験資格が与えられてはおります。しかしながら、この進学コースは、全国で今日なお九十八ヵ所にすぎず、しかも、昼間二カ年の進学コースを修得しようと思えば、現在の職を放棄せざるを得ず、その間の生活保障もほとんど顧みられてはいないのであります。また、夜間三カ年の進学コースといえども、看護業務の特殊性から、現実には厚い壁となっているのであります。ましてや、その進学コースさえ存在しない地域の准看護婦は、その経験、能力のいかんにかかわらず、永久に看護婦への道を閉ざされていると言っても決して言い過ぎではありません。事実、昭和四十二年度において進学コースにすすんだ准看護婦はわずか二千三百五十一人にすぎず、看護婦への道は文字どおり狭き門となっているのでございます。
したがいまして、これから准看護婦のうち、一定の経験年数を持ち、かつ看護婦として十分なる資格要件を備えている者に対し、その勤務する職場、居住する地域のいかんを問わず、看護婦国家試験の受験機会の増大と均等をはかって、ひとしく看護婦への門戸を開放し、その身分上、待遇上の差別を完全に撤廃するとともに、わが国の看護水準を総体的に向上させつつ、看護婦の充足をはかってまいりますことは、いまや緊急の政策課題と申すことができるのでございます。
以上が、この法律案を提案いたします理由でございます。
次に、この法律案の内容を御説明申し上げます。
第一に、この法律は、看護婦国家試験の受験資格につきまして、当分の間における特例を規定するものであります。すなわち、この特例法は、看護婦の充足をはかるためのものではありますが、あくまで准看護婦で、看護婦として十分なる資格要件を備えた者に対し、特例的に看護婦国家試験の受験資格を与えようとするものであり、いやしくもこれによって看護水準の低下を招くようなことがあってはなりませんし、かつ、将来は、看護婦資格の一元化を志向するものであるということでございます。
第二に、そのため、准看護婦として六年以上の実務経験をもつ者のうち、厚生大臣の定める養成課程を修め、必要な単位を取得した者に対し、看護婦国家試験の受験資格を与えるということでございます。
第三に、その方法として、いかなる僻地に勤務する准看護婦でも、進学コースがないために看護婦国家試験の受験資格が得られないというような不平等をなくし、かつ、業務のかたわら看護婦となるに必要な知識と技術を修得させることができるよう、従来の進学コースのほか、准看護婦の勤務時間に合わせて、三交代の定時制課程を設けたり、さらにはその可能な部分を通信課程で行ない得るような制度を設けようとするものでございます。
第四に、この法律の趣旨を十分に生かし、かつ、看護水準の低下を来たさないために、この養成課程で修得すべき学科、単位数など、養成課程に関して必要な重要事項については、厚生大臣が保健婦助産婦看護婦審議会に諮問することにいたし、養成課程の年限については一年程度を期待しております。
第五に、この法律は、准看護婦の業務を行なう男子についても同様に適用することにいたしたのでございます。
第六に、第三で申し上げました養成課程の充実強化をはかるため、それを国立病院及び国立療養所に付属して設置することができるなど、必要な整備を行なうことにいたしたのでございます。
「我はここにつどいたる人びとの前に、おごそかに神に誓わん。わが生涯を清く過し、わが努めを忠実につくさんことを。我はこころより医師をたすけ、わが手に託された人びとの幸のために身を捧げん」
ナイチンゲール誓詞の一節でございます。この美しいことばをゆがめ伝え、今日まで看護婦に多くの犠牲と奉仕を強制してきたものは、ほかならぬ婦人労働者、特に看護婦に対する社会の誤った見方、それに便乗したとさえ疑われるわが国の看護制度でございます。ナイチンゲールは決してこのような看護婦のあり方を志向したのではなく、彼女みずからも述べておりますように「私が望むものは、宗教的な奉仕団を設立することではなく、高給に値するキャリアを開くことである」と、看護婦が専門職であり、その社会的地位は高く評価されるべきであることを期待したのでございます。
全国約十二万人の准看護婦が、みずからの知識を高め、技術を向上させて、一人でも多く専門職としての看護婦への道を進むことによって、わが国の看護水準を総体的に高め、ひいては国民の健康と生命を守ろうとする、この法律案の趣旨に、必ずや御賛同いただけるものと確信いたす次第でございます。
以上がこの法律案の提案の理由及び内容の説明でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せしめられますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/6
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007・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/7
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008・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 次に、社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/8
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009・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 二、三点お伺いをしておきたいと、こう思うわけであります。
社会福祉施設については、昭和三十八年から四十二年までに、いろいろの角度から、古いものは建て直す、そうして利子補給をする、そういう形でこられたことはいいことだと思うのです。ただ、父兄の側でわからないことは、一つは料金の問題についてだいぶ意見がある。ですから、たとえば保育園の問題についてみても、この料金について標準料金かなにかというようなものをつくって、その事業ごとに格差があったりなにかしないような方法の指導は今後どうされていくのか。たくさんの施設があるわけでありますけれども、生活保護法に関係する人は統一していましょうけれども、有料のところは格差があると思うのですが、そういうようなものは、標準料金でもつくって、そうして足らないところは国がめんどうをみてやる、そうしてそのワクの中で十分に施設を志向する目的への努力をやっていただくというようなことがやはり問題ではないかと思うわけです。
それから続けて言いますけれども、特に保育園だけをとってみると、義務教育というものが大体国の負担でやられるようになって、その義務教育までの保育というものが非常に大事な時代になりました。だから、これを幼稚園と保育園というようなかっこうでいつまでも分離をして、教員資格も違う、そして教えておる科目も大体幼稚園に準じているのだというようなことでいいのかどうか。義務教育までの幼児教育というものは、文部省と厚生省との間で話し合うか何かして統一をしていくという必要があるのじゃないか。資格が違うて、幼稚園の先生は保育園、保育園の先生は幼稚園でやれないというようなことになると、住民の皆さんは何にも知らないわけでありますから、不便がかかっていくのではないかと、これが第二番目。
それからほかの施設でありますけれども、ここでまあ利子補給はけっこうでございますけれども、精薄児、重度精薄児、それから重度身体障害児の一級と二級とで一万二千人おるというにもかかわらず、まだその施設について政府の力の入れようが足らぬのじゃないかと私は思う。そこら辺をこれからどうしていくのか、それからその計画はどうなっているのか。
まず、三点をちょっと聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/9
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010・園田直
○国務大臣(園田直君) 第一番の料金の問題でございますが、御指摘のとおりに、内容の充実その他に重点を置いておりまして、料金あるいは標準価格というものについては検討されておりませんが、御指摘のとおりでございまするから、この点については事務当局で早急に検討をして、まあ標準価格と申しまするか、大体のものを検討してみたいと考えております。
それから二番目の保育園と幼稚園の問題でございまするが、農村等におきましても実は季節保育園がありまして、今度の予算編成の場合には季節保育園というものについてのいろんな財政当局の意見がありましたけれども、これは非常に喜ばれておりますし、幸いあることでございますから別の名前で設置することにしましたが、その後の現状を見ますと、農村で保育所に預けた子供と預けなかった子供が、仕事の上の便利ばかりではなくして、しっけ上非常に差がある。そこで、保育園に入っておった子供のほうが知能水準とかその他の点で伸びておるから、ぜひひとつ義務教育までみんながはいれるようにしたらどうかという意見もそれぞれ地方からも出てきておりますし、したがいまして、いまの保育園と幼稚園の問題につきましては、文部省とも相談をして、もう一ぺん検討してみたいと思っております。
細部の計画等については、事務当局から答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/10
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011・今村譲
○政府委員(今村譲君) 先生がいまおっしゃいました第一点の徴集金の問題でございますけれども、これは、御指摘のように、老人は老人、精薄は精薄と最初はそれぞれ別個の徴集基準というものをつくっておりました。家庭の状況によっては最高八千円とか一万円とかいうようなことにしておりましたが、それでは非常にアンバランスになるというので、十数種類の施設がございますけれども、保育所は別でございますが、収容施設につきましては、児童局と社会局と相談いたしまして、たとえば、非課税の分はもちろんとらない。均等割りなら三百円とか五百円とか、あるいは所得割りならどのくらいと、三段階の統一的な基準をつくろうということで、相当ならしてきております。できるだけその点でだれが見ても不公平のないように、ミーンズテストで一々の家庭について調べなきゃならぬ、こういうようなかっこうのないようにしたいと思っております。
保育所の問題は、局が違うものですから詳しいことは知りませんが、これは、A階層、B階層と単純に、しかも、税の関係かなんかですぱっと出るというようなかっこうにしたいということで、児童局で努力をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/11
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012・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこで、将来の施設関係の計画ですね。老人もあり、身体障害者もあり、子供もありますし、おとなもありますし、そういう計画をどうされていくのかということが聞きたいわけです。将来についてなかなかいまきびしい。それにはやっぱり看護婦の養成が必要でありましょうし、看護婦が足らないから、病床は建ったけれども入ってもらうわけにはいかぬ、こういう情けない状態が一つあります。
それから二番目は、資金関係ですね。国がどう施設について補助をし、地方がどれだけ持って、これはこの前四分の一分だけ負担した。これは振興会が融資をするという趣旨で立てられたわけですが、この自己資金はどういうぐあいに調達をされているのか。政府が、年金福祉事業団、社会福祉事業振興会ですか、資金調達は何らかの形で全部めんどうをみているのかどうか、それの利子補給ということになるのかどうか。建設単価と実際単価との関係もありましょうし、なかなか差があることだと思うんです。だから、これはワクとしても全部に利子補給ということはなかなか私もむずかしいと思いますけれども、こまかいことは言いたくはありませんけれども、そういう関係はどうなっているかということをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/12
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013・今村譲
○政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。 第一点の長期計画でありますが、これは、先ほどお触れになりましたように、たとえば重症身障につきましては、収容を要する者一万六千ぐらいだったと思いますが、それを六カ年計画なら六カ年計画で国立療養所あるいは民間の施設に収容してしまうというふうな計画がございます。それと同じように、老人とか身障、精薄について説明を申し上げますと、各課各局ごとにこうしたいというふうな計画を持っているわけであります。たとえば、老人で、六十五歳以上は約七巨万もおる。現在、収容施設は、約七万人のベッドしかない。これは一%であります。ところが、最近の状況から見ますと、二%ないし三%くらいの人が収容施設がほしい。そうすると、七万人が一挙に十四万あるいは二十万近くまでふやさなければならぬ。明治以来養老院を一生懸命つくっておりますが、七万人分しかまだできていない。それを五年でやるか十年でやるかということは、われわれ各法律ごとにそれぞれの計画を持っておりますが、全部総合して厚生省の社会福祉施設の総合計画としてこれを財政当局なり何なりときしっと固めてしまうという段階までなかなかいかない、実際は。施設整備補助金三十六億、今年はそうでありますけれども、来年度それを何%増すかというような財政的な制約がございまして、確立したかっこうにはなかなかなりにくい。しかし、これは厚生省官房を中心としまして至急まとめてオフィシャルなものにしたいというような気持ちで努力しているわけでございます。
それから第二点——第三点の資金の面から申し上げますと、おっしゃいますように、国が二分の一、それから県が四分の一、自己負担四分の一、そうなっております。しかし、問題は、単価は青年建設省の営繕単価ということで八%とか六%とかふやしてもらっておりますが、現実はなかなかそうはいかないというふうな問題がありますので、自己負担の四分の一が、あるいは三分の一であったり、あるいはときによっては二分の一だったりということが出てまいります。これは、たとえば振興会の原資は、今年は、昨年の二十二億から二十八億財投をふやすというようなかっこうで、総計三十億というふうにふやしてもらいました。ここ数年で数倍になったわけでございます。そういうもののふやし方と、それから、公金ではございませんが、自転車振興会とか、お年玉はがきとか、いろいろございます。そういう半公的なものまでかき集めて、できるだけ自己負担分の資金コストを低く下げるというような形にしていく。また、振興会に三十八年でありましたか無利子期間二年というふうなものをつけて、実質上は五分一厘を三分九厘、四分五厘に下げるというようないろいろな仕組みも考えており.ますが、まだ供給量、利子の率、こういうものは思うとおりまいりませんが、資金量としては最近相当ふえてきている、こういうふうな状況でございます。
それから人の問題は、御指摘のように、たとえば全社会事業施設が、一万七千施設、保育所も含めまして。職員が十四万五千人でございます。大体最低基準並みの人はおります。ただ、問題は、保母さんにしても、寮母さんにしても、指導員にしても、相当の経験を積んだという人はなかなかむずかしゅうございます。したがって、その点は、薄められたサービスというふうなかっこうになりかねない。そこで、県を通じていろいろな講習会をやっております。それから中央の社会事業大学あるいは各大学三十校ほどに社会福祉学科というものを設けております。そんなものをなるべくフルに、しかも広げていくというかっこうで努力しておりますけれども、まだまだ不十分であるということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/13
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014・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 ちょっと、いまの施設一万七千カ所、職員が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/14
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015・今村譲
○政府委員(今村譲君) 四十一年の十二月末でありますが、施設数が一万七千三百四十三施設、職員が十四万五千五十七名ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/15
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016・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこで、施設職員の待遇の問題ですね。これは、何年でございましたか、灘尾大臣のときに以前問題になりまして、私ども本会議で明らかにしようというので、本会議で明らかにしたことを覚えております。それで公務員並みにする前提を明らかにいたしました。それで、丙地を甲地にして、丙地の人は五割幾らというぐあいに給与が上がりました。しかし、だんだんと今日のようになってくると公務員給与との差が非常に大きくなって、去年でしたか、三割くらい違うだろうとおっしゃった。もっと違うのじゃないかという感じです。それで、いろいろ資格や勤続年数やその他がありますから、厳密に一言ではなかなか言い切れないと思いますが、施設関係の職員は公務員給与と同じにするということとは違った状態にとどまっているというのは残念なことだと思うのです。だから、事業自身を利子補給したり補助を出したりして国民にこたえてもらうことはけっこうなんでありますけれども、そこで働いている人の給与というものをもっと真剣に考えなければいかぬのじゃないかと私は思うのです。それが一つ。それからもう一つは、退職手当制度というものがあります。ありますけれども、あれでは公務員の共済年金その他の関係からすれば非常に低い。そしてまた、民間の働いている方々から見ても、厚生年金がいまのような状態で話にならぬ。来年には倍になるわけですから、それとの関係もありまして、それにプラス年金ですね。それから退職金というものが非常に少ないというふうに私は感じておるわけであります。
だから、職員の待遇、要するに給与の問題と、年金、退職金の問題を今後どうしていくのか。そこではじめて形ができて中身ができる。身体障害児の看護婦さんがなかなかなり手がないといいますけれども、私らも琵琶湖学園へ二回ほど行きましたし、そういう重度障害児の方々を見ていると、ほんとうに気の毒で見ておれぬほど苦労をされておるのに給与が安い。そして老後の保障もない。これでは、形づくりだけが何ぼ進行してもしかたがないのではないか。そこらのところはどういうぐあいにやっていこうとされているのか、これを聞かしていただきたい。これは児童局の関係もありましょうけれども、ちょっと聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/16
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017・今村譲
○政府委員(今村譲君) 第一点の給与の問題でありますが、先ほど御指摘のように、たしか三十九年に、職員の学歴、経験年数、給与実態調査をやりました。それの各職種別にいわゆるモードといいますか、平均の数値を出しまして、それを国家公務員の行政(一)に当てはめるということで、三十九年からその新単価で一応国家公務員並みの計算をしたということになっております。ただ、問題は、公務員のほうは定期昇給あるいはベースアップというのがいろいろあります。ベースアップにつきましては、去年の暮れでありますけれども、七・九%きちっと上げてもらったわけでありますけれども、定期昇給の問題なんかもあって、逐次離れていく。それでは困るじゃないかというので、たしか四十年ですか、調整費をつけてもらう、運営調整費と言っておりましたが、これが最初三%、その次に二%上積みして五%というので、現在民間施設だけは人件費に関していわゆる調整財源というものを五%つけるということで今日まで参っております。しかし、お話しになりますように、現実の地方公共団体が非常に給与高いところもありますし、あるいはばらつきがあるということで、四十三年度の予算をつけてもらいまして、これは民間、公立全部の職員の一斉の給与の実態調査をやるということで、現在各県に流して調査中でございます。これに基づきましてもう三十九年のときにやりました給与実態調査の追跡をやりまして、それと国家公務員との格づけの差、あるいは調整ということをもう一ぺん根本的にやりたいと、こういうふうに考えます。
それから退職金の問題につきましては、お話のように一律に一年につき一万五千円というのを一万六千円というふうに上げてもらいましたが、これではいわゆる長期勤続者とかいうふうな人については非常に不利だということで、これについてはもっと現実に即したような金額にどんどん上げていきたい、こういうふうに思って、いろいろ調査をやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/17
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018・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 三十九年にやったやつを公務員との調整をことしやると、こういうことで、給与の問題はそう聞きました。それから退職金の問題は、今後考えるというくらいの程度で、なかなかきょう言うてきょうというわけにいかぬ問題でしょうけれども、やっばし真剣に考えてあげなければ、私は見ておって気の毒でたまらないと思うんですよ。それでないと、生きた養護ができないのではないか、こう思う。だから、特段と早急にひとつ御配慮をいただくようにお願いしておきます。
それからもとに戻るようでありますけれども、重度身体障害児一級、二級と、重度精薄児のIQが三十五以上、それらの合計が一万二千人いるから、ことしは、五カ年計画でこの施設を四千八百人分つくる、ことしの分が八百八十だと、こういうのですが、その施設が、一万二千人いまいるというのに、非常におくれている。それじゃとても何年先になったらできるかわからぬ。その間にふえてくるということになるわけですから、そこらあたりのことをもうちょっと浮き彫りにして計画を立ててもらわないと、重度身体障害児とか重度精薄児の上に重度精薄者、重度身体障害者その家族が待っておるということですよ。だから、政府が何とか施設をしてもらえると思って待っておるのに、児のほうだけの計画もまだできない、者のほうも問題になって入ってくると、行く先の見通しがつかぬという状態なんですね。だから、こういうものはやっばしもう少し計画性をもってやってもらわなければ困るのではないか。まあ予算のときに園田大臣はなかなか御奮闘されたようでありますが、政治的に財政硬直化というようなことで社会保障やそういうものがやり玉に上がって、それで計画がおくれるなんというようなことは、ひいては大きくいえば国家経済のマイナスなんですから、その給付とか、対象者とか、給付する者という、単に一応のものを与えるとかもらうとかいう関係じゃなしに、社会保障というものの社会経済にはれ返ってくるもの、それから生産でいえば生産と消費のバランスがどうとられるかという基礎は、やっばし社会保障の問題でないか、所得保障の問題でないかと、こう私は考えておるわけです。その中の特に気の毒な人から手をつけていくということだけは、厚生省はどこにもはばからぬ。あなたは内閣でもどこでもはばからぬ。大臣は先頭に立って堂々と主張してもらいたい。厚生省は何でも人間の生命に関する行政をするところですから、あわせてきょうは一般の厚生施策に対する質問がしたいわけでありますが、公害の問題でもあげて厚生省があと始末をする責任だけかぶっておいて、それでなかなかできないというかっこうになっておる。だから、そういう理解のもとに、もっとやっばし国の政治の方向というのを変えてもらうというのは厚生大臣の任に全部かかっておると、私はそう思って、このいま一番困っておる方方の問題について激励をし、それで施策を聞いておるわけですから、どうぞひとつそこらあたりのことはもう少し浮き彫りにし、きょういま具体的な計画がなければ、いつ時分からどういうぐあいになっていくんだ、どういうぐあいにしていくんだというくらいのことは明らかにしてもらいたい。財政の硬直化の犠牲に社会保障や国民の生命がなってはたいへんなんですから、そこらあたりをもう少しはっきりしてもらいたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/18
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019・園田直
○国務大臣(園田直君) ただいまの御意見はごもっともでございまして、たとえば身体障害児の問題を取り上げましても、事務当局は六カ年間で二千ベットという計画をつくっておりますが、その計画自体が正直に言って内輪であって、しかも、その年度計画というものが、閣議で決定された財政の裏づけのある浮き彫りされた年次計画ではなくて、内輪の計画になっている。したがいまして、御指摘のように、これはほかのことと違う問題でありまするから、福祉施設にはやはり浮き彫りにして財政当局とも話を詰めて年次の計画を早急にやらなければならぬと決意をいたしておりますが、なおまた、そのほかに、それだけでも早急にやることははなはだ困難でございまするから、民間の協力、あるいは競輪その他の団体の協力等も得て、行き詰まっておりまする問題を早急に解決をしたい。
それからなお、職員のことについて御意見がありましたが、施設も肝要ではございまするが、身体障害児、老人等については、施設よりも職員の愛情が非常に必要でございます。大小便から始末をされるし、あるいは、老人ホームについては、ただ世話するだけではなくて、いろいろ身の上相談とかあるいは話し相手になるというようなことで、実際は子供さんを持たれた相当年をとった方が一番適当なわけでございますが、現地の職員の方々に聞きましても、やはり待遇の問題とかあるいは職員の施設の問題とかでなかなか長くつとめられる方が少ないし、それから退職金については、一諸手当を除いた本俸がきわめて低いわけでありますので、それを計算すると、ほかのものと比べたらばかばかしいくらいの退職金になっておりますことも十分私はわかっております。
なおまた、職員の待遇については、地域差が非常に多うございまして、ある県では特別手当を出しておる、ある県では出していない、こういう点もございまするから、これは福祉施設の職員については、ただいま公務員に追いつくだけが精一ばいでございますが、実際は公務員の給与のほかに特別の手当を幾らかでもいいからあげられる程度まではやるのが私の責任である、このように考えて、御指摘の点は十分肝に銘じまして明年度予算折衝ではやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/19
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020・藤原道子
○藤原道子君 関連。私は、大臣、局長のいまのお話を聞いて、たよりないと思うのです。実際は、ほんとうに見ていられないと思うのです。動かない重度心身障害児のことは問題になっておる。動く心身障害児の問題、これがまたたいへんでございます。こういうものはあまりいまやっていらっしゃらないように思うのです。施設に行って見ましても、その従業員の人たちの苦労というものは見ていられないくらいです。ことに、それが家庭にある場合、おかあさんは全然仕事ができないのです。こういうことを考えて、一段と努力していただかなければならないと思っております。きょうは、私、関連でございますし、時間もございませんので、この点を特に要望しておきます。
それから六十歳以上の老人が施設にもはいれない、年金は少な過ぎる、食っていけない、病苦と貧苦のために自殺する数は相当数だと聞いております。そこで、老人ホームヘはいれない人のためには、ホームヘルパーを使って衣食住の世話をするということになっておりますね。このホームヘルパーが現在どのくらい働いておるか、その給与はどうなっているかということ、ちょっとそれだけ伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/20
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021・今村譲
○政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。 ホームヘルパーは、四十二年度千百名というのを四十三年度に千三百名というふうにふやしてもらいましたが、まだ数は非常に少のうございます。
それから四十三年度の給与は一万七千八百円、これは、人によりまして、常勤というかっこうにならぬで、週四日とかあるいは五日というふうに勤務によって違いますけれども、こういうふうなかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/21
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022・藤原道子
○藤原道子君 だから、あなた方のやっていることは見せかけだと言うんですよ。ちゃんと法律にあるんでしょう。施設へはいれない人のためにはホームヘルパーを派遣して衣食住のお世話をすると。施設へはいれないお年寄りが幾人いるんですか。二十万人こしておる、もっとあるともいわれておる。二十万人と仮定いたしましても、千三百人でどれだけの世話ができるんですか。それで、一週間四日か五日働いております、一万七千八百円と。とんでもない答弁だと思うんですよ。これではほんとうの見せかけであって、言いのがれの法律だと言われても弁解のしようないでしょう。そこで、ホームヘルパーを今後ふやす計画はあるんですか、ないんですか。四十三年度千三百人−私は間違った国会報告をしていましたよ。二千人くらいいると思っていたら、千三百人、これでは話になりません。厚生大臣にお願いします。陳情者に対してはたいへん信頼のできるような御答弁をしていらっしゃる。ほんとうに私もあなたを尊敬しておる。園田さんならやってくれる、こういう期待をしておるんですから、こんなひどいのは何とか直してください。そのことを強く要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/22
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023・園田直
○国務大臣(園田直君) 御意見十分承りまして、そのように十分努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/23
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024・大橋和孝
○大橋和孝君 質疑もいろいろ行なわれておるわけでありますが、私は基本的なことを一つ二つだけお伺いしておきたいと思います。
政府は、昨年の三月発表しました経済社会発展計画を四十三年から昭和四十六年の期間における経済運営の指針とすることを決定しておりますが、これによりますと、「わが国の経済社会の実態とその将来の進路に即した適切な社会保障長期計画を策定し、これに基づく体系的整備を行なうことが不可欠である」と述べているわけです。したがって、政府は、この方針を実施されるにあたりまして、もう一年も経過した今日になっているわけでありますから、社会保障計画がなくてはならないはずだ、こう思うわけです。こういうことを根本的に怠っていることがこういういろいろの問題に対しての障害になっているんじゃないか、こういうふうに思うわけです。
さらに、この経済社会発展計画によりますと、「また、老人福祉、心身障害者対策及びガン対策など従来立ちおくれの著しい社会福祉及び保健、公衆衛生施設の部門についても、その拡充に格段の努力を払う」と、こういうふうに言われておるわけでありますけれども、これが実際の予算面におきましては例年あまり伸展がなく、政府はこれに対しましても今後どのように努力を払われ、また、社会福祉の進展をはかろうとしておるのか、見解をひとつ伺っておきたい。
特に、また、総予算に対する社会福祉費の構成比を見てみますと、三十八年、三十九年は一・一%、四十年から四十三年までは一・二%と恒常状態であって、予算額だけではなくして、施策の面においても目新しい発展がないことがわかるわけであります。
同時に、また、民間の社会福祉事業の振興対策について、これは社会福祉事業団に委託をして全国数十カ所に行なわれておると、衆議院の会議録を見てみますとお答えになっておるようでありますけれども、こういうものも非常に地方財政の圧迫にもなりましょうし、あるいはまた、施設はしても民間にこれを委託するというような形でしわ寄せが非常にそちらの面にいっておる。特に民間社会福祉事業の振興対策について、一体、政府はどういうふうに考えているのか。
こういうようなことの根本的な問題について一つ二つお聞かせを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/24
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025・園田直
○国務大臣(園田直君) 政府の経済社会開発計画に伴って社会保障の長期計画がつくられなければならぬのは当然でありますが、残念ながら、個々のものについての計画はできておりまするが、体系的な全般の社会保障の計画はいまなおできておりません。これのなかったことが、今年度の予算折衝では、個々の面にあるいは何%あるいは何倍の予算をとっても、全般的には非常にあきが多かったということになると責任を感じておりまするが、私は、保険の抜本改正と、四十四年度に考えられておる年金の改正等に伴って、事務当局に、全局長を集めまして、おのおのの局が考えていることを総合的に長期計画的な計画をつくれということをただいま依頼しておる段階でございます。 なお、予算の面におきましては、予算折衝をやりまして相当財政当局も理解を示しましたが、いままでの惰性と申しますか、いままでの社会保障の予算を基準にしてやりますので、どうしても飛躍的な思い切ったことができません。社会保障の長期計画をつくるにいたしましても、政府の開発計画は一つの財政計画のワクの中にはめられたものを考えられておりますので、やはり財政計画のワク内にはめられたものではなくて、現実に何が必要なのかという点を主として長期計画をつくって、それからそれを財政上の面でどうやって埋めていくかというふうに考え方をここで変えなければ、いままでの惰性でやっては、早急に現在の要求を満たし、現在の不利を直すという点に至らぬだろうということで、そのためには、まず厚生行政そのものが、いままでの煮詰まりと申しますか、もっと悪く言えばその場その場をやってきたことがたまってしまったと思うので、ここで画期的なものの考え方に変え、皆さま方の御指導、御協力を率直に受けて建て直しをしなければ、このままでは行き詰まるだけだと、私はこのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/25
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026・大橋和孝
○大橋和孝君 全く大臣の御意見のとおりに私も思って発言をしておるわけでありまして、根本的なこの行き詰まりの状態を打開するためにはよほど考えていただかなければいかぬと、私はこういうように思うわけであります。
それから次に、政府の出資の増額についてちょっと伺ってみたいと思うのであります。本振興会は、法文上政府の出資のたてまえになっておるわけでありますが、昭和四十年以降、政府出資はほとんどなくて、四十三年度には資金運用部資金の借り入れによる資金のワクは三十億、利子は六分五厘となっているわけであります。さらに、振興会がこれを社会福祉施設に利子五分一厘一毛の逆ざやで貸し付けの事業を行なっている。これに対しまして、国は振興会に利子補給の補助金——昭和四十三年度では約三千五百万円——を交付しておるわけでありますが、社会福祉事業振興会の発展の上から見ましても、資金運用部資金からの借り入れによるよりは、政府出資を大幅に増額して、本来の姿に立ちかえるべきではないか。第四条では、「振興の資本金は、政府がその全額を出資する。」と、こういう条項があるわけでありますから、本来の姿に立ち戻るべきではないかと、このように考えておるわけであります。これにつきましてもひとつ御答弁をいただきたい。
それから政府の答弁は、一般の公庫、事業団等の例にならってこのように行なわれていると言われておりますけれども、これは社会福祉事業の目的から考えて一般のものと同一視すべきではないと思いますが、これに対しての見解もちょっと補足して御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/26
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027・今村譲
○政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。 御指摘のように、振興会法の第四条で、「振興会の資本金は、政府がその全額を出資する。」ということがございまして、これが二十八年の八月に法律が通りまして二十九年に設立になりましたときには、最初三千万から始まりまして、毎年一億、幾らたっても一億と、十年ばかり一億が続いておるわけであります。それで、三十九年になりまして政府出資の総額がやっと十億五千万ということになりましたが、条件が二つありまして、一つは、民間社会事業のいわゆる民間から集まってくる金というものは非常に足らない、自己負担分が足らない、何とか振興会の貸し付け原資というものを大幅にふやしてもらいたいという要望が一つ。もう一つは、四十年から財政が非常に不利になってきたということで、むしろ一億や二億の出資金を入れるよりは、社会事業界から見れば十億、二十億という財投を入れてそれを六分五厘の利子補給を大蔵省からもらうというふうにしたほうが現実としては手っ取り早いし、いまの要望も解決がつくのじゃないか。たとえば、十億というものを借りても、六千五百万で年間済むわけであります。こういうことでありまして、三十九年は一億の出資金に財投三億というふうに並行したわけでありますが、四十年からは財投が六億、十億、二十二億、四十三年度は二十八億というふうにどんどんこっちをふやす。その部分の六分五厘と現在貸しております五分一厘一毛というものの利ざやは無条件で大蔵省が全部一般会計から補てんをしてくれると、こういう傾向にきまして、四十三年度にやっと償還金も入れまして三十億ということになったわけであります。ただ、おっしゃいましたように、本来ならば政府出資金というものオンリーで行ったほうが一番いいわけでありますけれども、その辺のジレンマがありまして財投方式に切りかえたわけであります。これは、しかも、最後におっしゃいましたように、社会福祉事業というものは営利企業ではございませんので、金利というものはぎりぎり低くというかっこうで、現在の五分一厘一毛というのも、無利子期間を置いたりして、三分九厘あるいは四分というところまで下げてきておりますが、今後もそれをもっと有利な条件に直すと同時に、資金量をふやすということをやっていきたいと思っております。
ただ、出資金を大幅にということは、いまの情勢では非常にむずかしい情勢がありますので、その辺を全般を考えながら検討さしていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/27
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028・大橋和孝
○大橋和孝君 それから施設の職員の待遇については、いま藤田委員からもお話しになりましたが、この前もありましたように、大分県の精薄施設の「みのり学園」ですか、あそこあたりでは収容児が六名も焼死しておる事件が起こってきている。その中を調べてみたらば、必要な定員も少なくて、そこで働いている保母さんなんかも労働過重と疲労こんぱいで、もうその責任を果たせないような状態になっている。そういうことが原因でこういうことが起こったということも例にあるわけであります。
いろいろ、待遇あるいは定員の問題、こういうようなことに対しては非常な問題があると思うのであります。また、その待遇を改善するためにいろいろと指導もしておられると思うのでありますけれども、ことにその中で先ほど藤田委員からもお話しになりましたような退職手当の問題だとかいろいろあるわけでありますが、先ほどお話にも出ました三十九年の民間施設従業者の実態調査報告書によりますと、施設職員の退職者の勤務年数を見てみますと、全施設の八一二二%が五年未満しかいないというような状況であります。中でも、一年未満が二二・五%、一年以上二年未満が二六・六%であり、したがって、二年未満で四六・一%もやめていっているということになっております。こういうふうに短期の勤続者が圧倒的に多いということは、やっぱりこの実態を裏書きしておると思うのであります。こういうようなことを考えてみますと、このままでは、先ほど藤田委員からお話がありましたが、非常に大きな問題だ。今度もいろいろ実態調査をして、給与あたりも公務員と合わせるということで、私はその方法としてはいいと思うのでありますけれども、現在のそういうようなことは急務な問題であって、今回の利子補給をやってもらうことは非常にけっこうだと思うのですが、そういう問題をもっともっと早く処理しなければ、一方ではやっぱりそのために焼け死んでおる人もおる、こういうことになっては大問題ではないかというふうに考えるわけです。
特に、また、現在の資本金が増額されなければ実際に助成規定がありましても活用できない状態であります。ですから、そういう観点から、根本問題に触れながら、そうしたことをどのようにして早く進められるかを、一日も早急の問題であるからして、調査もいろいろあるでしょうけれども、まずもって緊急措置としてやるべき問題がたくさんあるのではないかと、こう思うわけでございます。その点をちょっとお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/28
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029・今村譲
○政府委員(今村譲君) いま御指摘のように、退職の関係で分析しますと、お話のように五年以下が八〇%で、ただ、それを過ぎますと、今度は逆に相当長く、定年制もありませんので、非常に長い人もおるというふうな状況なので、問題は五年以下というところでどんどんかわってしまう。仕事そのものが非常につらいというふうな面がありますのと、もう一つには、ちょっと言いにくいのですが、社会福祉施設というのは、昔から、腕に覚えのある施設長さんが何千名もおるというわけで、人事管理、給与体系、これは役所で一方的にきめるわけにいきませんが、その辺のアンバランスをどう歩調を合わせていくか。民間施設で七千名くらい施設長がおります。その辺の独自性を尊重しながら、給与体系というものはこういうものでなければ困るんですよというようなPRもし、人の取り扱いあるいは勤務の体制というようなものもてんでんばらばらでございますので、その辺を早くきちっとしたものにPRしながらしていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/29
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030・大橋和孝
○大橋和孝君 それからもう一つ、退職手当共済法について問題点をずっとあげていろいろお伺いしておきたいと思います。
第一は、社会福祉施設職員退職手当共済法には改善すべき問題点が非常に多い。今国会に提出しなかった理由が私にはどうもわからないわけですが、この点についてお聞きしたい。
また、退職手当共済制度については関係団体等から改善すべきであるという要望が出ているはずです。私ども聞いていますが、こういう問題について政府はどういうふうに考えているか。
第三点は、社会福祉施設職員退職手当共済制度の加入者は八六%といわれておりますが、未加入者の実情とその対策、こういうふうなことについてどんなふうにお考えになっているか。
それから対象範囲の拡大であります。全国社会福祉協議会、県社会福祉協議会の職員及び法人の事務所の職員等も被共済職員に含められるべきだと思うのですけれども、こういう方たちはいま含められていないはずですが、こういう方についてはどういうふうに考えておられるか。
それから掛け金の問題ですけれども、社会保険料などのように、掛け金は措置費でみるべきではないか、こういうふうに思うわけです。これも措置費でみられていないらしいですが、こまかい問題ですが、こういう問題を一ぺんお伺いしておかないと解決にならないと思いますから、ちょっとそれをお伺いしたいと思います。
それから補助金の問題ですが、退職共済法の十九条にもあるはずでありますが、都道府県の補助率の規定は不明確でありますが、当初予定しておりますところの都道府県の三分の一補助というものにつきましては明確に規定すべきではないか、こういうふうに思いますが、この点についてちょっと伺いたい。同時に、また、補助金は全額国庫負担とされたいという要望もあるわけでございますが、これについてはどんなふうなお考えなのか。
それから通算でありますけれども、被共済職員が社会福祉施設から他の社会福祉施設に異動した場合に、退職金算定の基礎となるところの被共済職員期間を通算すべきであると思うのですが、こういう点なんかも考えられておりません。こういうようなことは非常にこまかい問題ではあるけれども、そういうこまかい点まで十分に配慮されておかないといけないのじゃないかと私は思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/30
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031・今村譲
○政府委員(今村譲君) 大体七点お話しになりましたけれども、三番目の加入者の問題で加入者八六%ということでありますが、これは強制加入のかっこうになっておりませんが、最近では五万五百人ぐらいということで、これは九〇何%になっていると思います。これは施設に対するPRも不十分でありますし、施設のほうでも、財源のやりくりその他いろいろあります関係上、まあ小さい団体で入っていない団体もございますけれども、最新のものでは全体の職員のうちでほとんど九二、三%が入っておると思います。
それから範囲の拡大の問題でありますが、一番やかましい問題でございます。これは、できます当時に、たとえば、児童福祉施設、あるいは教護院、養老院というふうに、国費あるいは県費、いわゆる公費で措置を委託した施設に働いておる人は、それだけは法律に基づくいわゆる措置の委託費に基づく職員ということであるから、国も三分の一持つ、県も三分の一持つということで、措置費関係の職員だけに限る、こういう前提で出発したわけであります。ただ、社会福祉協議会は、措置費には関係ないが、いい仕事をしているじゃないか、まあ入れろ、こういうお話なんですが、そうなりますと、国や県がそういうボランティアの団体に対して一体何でも持たなければいけないのかというような議論がありまして、これは非常につらい似たような仕事ではありますけれども、現実に子供や老人を世話しているという人に限るという前提で出発しておるものでありますから、これはいろいろ今後検討させていただきたいと思います。
それから補助金の規定、十九条の問題でございますが、これはちょっとあいまいな規定のようでありますけれども、現実には出発当初むしろ県が、ずいぶん突き上げられたようなかっこうもありまして、三分の一きちっと完全に精算をいたしておりますので、機会をみてその法文の形式をもう一。へん検討したい、こういうふうに思っております。
それから通算の問題でありますが、これは私案はあまり勉強していないのですが、どこまでも履歴をずっと追っかけて保険の通算通則法のように厳密なことがやれるかどうか、その辺の履歴を一貫して管理するというような仕組みまで考えなければならない、それを県社協でどんどんやれるのかやれないのか、その辺のところまで詰めなければならぬと思います。これはひとつ検討事項にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/31
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032・大橋和孝
○大橋和孝君 もうこれだけで質問を終わろうと思いますが、四十一年度に民間施設二千二百六十六カ所を対象として調査をされておりますが、その調査によると、民間施設の五八・二%が木造で、また、建物の一九・五%が早急に改築を要する老朽施設である、こういう報告になっておりますね。こういう実態があらわれていまあちらこちらで被害が起こっておる。たとえば、三十年の二月十七日の横浜市における聖母の園養老院の火災のときには、収容者の九十八名が死亡し、八名が負傷した悲惨事も起きておる。その発生の根本原因は、木造二階建てという家屋構造にあったものと伝えられております。最近では、昭和四十二年二月九日の大律老人ホームの火災で死者一名を出す事故が発生しており、これも木造二階建ての施設で風呂場の煙突の過熱によって燃焼したもので、根本原因は耐火構造の建物でなかったところにあるといわれております。
こういうようなことを考えてみますと、実態調査でもあらわれているように、民間施設には非常に老朽なものがあると思うのですね。こういうものに対しても一つと拡充するための資金が十分に確保されていなければ、なんぼ言っても実際はできないわけでありますから、その資金の確保をどういうふうにするのか、もう少し明るく資金を援助してやる方法というものを考え、先ほどもちょっと運用面のお話もあったわけですが、もっともっと資金の運用をうまくやって資金の確保をするということが先決問題だと思うわけであります。それで、これについて一ぺんお考えを伺っておきたいと、こう思っておるわけです。
それから同時に、四十三年の三月三十一日現在の社会福祉事業振興会の貸付資金借入申込及び貸付状況調を見てみますと、貸付件数の率は五六・七一%、貸付金額の率は四八・二二%となっているわけでありますので、そこらのところは十分に行なわれていないという結果になっておるのであります。こういうような調査を見てみましても、いま申したようなことがはっきりあらわれてきておりまして、現在確保されておる程度の原資では、社会福祉事業界の要望に対しては、てんで満たせないということになっておるわけでありますが、こういう問題について根本的に考えていただくことが早急なことであると思いますから、決意のほどを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/32
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033・今村譲
○政府委員(今村譲君) ただいまの二千四百施設の調査によりますと、全部で六十六万坪、そのうちで五四・八%、五割五分が木造であるという状況でございます。この木造も、明治とか大正とか非常に古いものも相当あるということで、私ども非常に心配しております。最近つくります精薄でも老人でも、ほとんどブロックあるいは鉄筋ということで、新設のものは近代化するということでやっておりますので、たとえば精薄のようなものは七三%が現在すでに鉄筋あるいはブロック、老人のようなものは六一・六%というふうに非常に率がいいのでありますけれども、保育所になりますと、一九%というふうに二割足らずしかブロックあるいは鉄筋になっていないというような状況でありますので、今後新設は当然近代化しますと同時に、これの資金量を確保したいというふうに思います。
その資金量の問題でありますが、実は、振興会の財投が、今年やっと二十二億から二十八億に、還元金を入れまして三十億ということですけれども、その程度では足りないというような状況でございますので、理財局あるいは主計局とよく話し合いをして今後大幅に増加してまいりたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/33
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034・園田直
○国務大臣(園田直君) 先ほど御意見のありました職員の退職手当共済制度その他、御指摘のありました法律の制度の改正、こういうものは、直ちに着手させまして、早急に提出いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/34
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035・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、鈴木一弘君が委員を辞任され、その補欠として小平芳平君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/35
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036・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/36
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037・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですので、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/37
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038・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案を問題と供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/38
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039・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/39
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040・大橋和孝
○大橋和孝君 私は、この際、ただいま可決されました社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を提出いたしたいと思います。
まず、案文を朗読さしていただきます。
以上でございます。
何とぞ御賛成くださいますよう、お願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/40
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041・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ただいま述べられました大橋和孝君提出の附帯決議案を議題といたします。
大橋和孝君提出の附帯決議に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/41
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042・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、大橋和孝君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対して園田厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。園田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/42
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043・園田直
○国務大臣(園田直君) 社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案の採決にあたりまして当委員会で付されました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して十分に善処してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/43
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044・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/44
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045・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時三十六分休憩
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午後二時四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/45
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046・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
医師法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/46
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047・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 医療制度というのは、日本の社会保障の二大柱の一つの柱だと思うのです。ですから、社会保障の一番大きな柱である医療制度、医療行政というものは、最も綿密に正確に、そして国民の理解のいく道の中で進めるべきものだ、私はそういうぐあいに理解をして、それからこれは人間の生命に直接関係する問題ですから、事が非常に重大であろう、こう思うわけです。
今度の医師法の一部改正というのは、医師を専業にされている人、それから医学を勉強して医師になろうとする人たち、こういう方々の間にこれだけ問題を起こしているということは、私たちとしても重大な関心を持ってこれを見守らざるを得ないのであります。そして、また、私も医療行政について長年取り組んできた者として、厚生省のやり方というものを見ていると、どうも冷淡のようにものを運んでいるのではないか、こういう感じがするわけであります。
私が説明するまでもなしに、いまの医療制度を大ざっぱに申し上げますと、学校を出て実力をつけて医者になる。そして、病院やまたは開業医を含めて、医療の施策が行なわれる。国民の健康、生命が守られる。このインターン制度というものが今度廃止されて、二年間の研修になる。そこら辺が、医師免許との関係がよくわからないのであります。私もいろいろの人の意見を聞きました。そうすると、いろいろの角度からの意見があることは事実であります。そこへもう一つは、無給医務局員制度というものが一つかんでくるわけでありますから、なお話は複雑になるわけであります。
一つの端的な話をしますと、昔、昭和二十一年までのお医者さんというのは、医学校を出て国家試験を受ければ、それで人の生命、身体を守る医療というものが行なわれた。そうして、二十一年から一年間のインターンになって、インターンを経て国家試験を通らなければ医師の免許をやらぬということになった。そこらあたりで外国の例が出てくるわけでありますが、外国も、そういうインターンか、インターンに近いような実習臨床、そういうものの積み重ねによって医師にしていくという話がよく説明されるわけであります。
それからもう一つは、医学が発達しているのだと、こうおっしゃる。医学が発達しているなら、学校の側に言うてみれば、六年間の課程の中でなぜ医師としてりっぱに立てることを教えないのかということが出てくるわけでございます。
しかし、一年間で足らんから二年だということ、そこまで話が進んでくるわけでありますけれども、今度は、学校を卒業して国家試験に通ったら、一人前の医師として医師の免状を与えると、こういうことなんですね。そうすると、次に話が出てくるのは、この研修を受けなかった場合にどうなるのか、こうなる。国民の側にとってみたら非常に不安なんですね。片一方は二年間の実習というものがあって、お医者さんとしてりっぱに診療もできれば治療もできる、こういう資格が与えられておって、そうして、二年間、半強制的に実習をする。話が、ややこしい、そこからになるわけですが、今度は、実際二年間のきめられた強制的なものを受けなければどうなるのだ。医学の進歩というのはお医者さん自身が幾つになっても勉強をして、新しい医学治療の方法が発明されたものはそれを習って、人命を守っていくというぐあいに、日日研修というものは続いているものだと私は思う。それで、科学の進歩がそれに並行していくものだと、こう思う。また、二年間研修すればよいということで、良心的なお医者さんはそれだけでは済まされないものでしょう。私の知っている範囲でも、皆さん勉強され努力されて医療というものを行なっておいでになる。この努力というものはなみなみならぬものだと私は思う。その中から国民の健康や生命というものがより十分に守られていく。そして、医療制度も、国全体の医療制度の中で国民の生命が守られ、健康が守られ、そして幸福が守られる、こういう道になっておるわけです。だから、大ざっぱに言って、医師の免許を学校を出て与えて、そして研修を二年間だけその卒業者に強制的にするというようなことは、国民の側からすれば、それじゃ強制的にするならなぜ免許を先に与えるのか、こういうことになってくると思う。私はそういう話がもっと国民にわかるようにしてもらいたい。りっぱなお医者さんの中にも、そういうものは必要はないのじゃないか、六年間教育してくればそれでいいんじゃないかと。私もそう思うのです。私もそう思うのだけれども、何か知らぬけれども一年じゃ足らぬから二年をしなきゃいかんのだと、そこへ厚生省がふっと乗ったようなかっこうでこの法律が出てきたという感じがするわけであります。
その大きな波を一つ越えて、この次は無給医局員という話がこれまた横たわっているわけであります。そういうものを含めて、厚生省は医療についてなぜもう少し実のある——私は、医学というのは、日本のいまの科学の中で最高の科学だと思う、人間の生命につながるのですから。それを国民に施行して国民の生命、健康を守るというなら、もっとすなおにその勉強したお医者さんや、学生からお医者さんになられるわけでありますから、その人も納得する——昔は医は仁術だと言ったくらいです。いまでもそうだと、そういう意識で生命、健康を守るために一生懸命になっておいでになるお医者さんが多い。そのお医者さんも納得し、国民も何かしらぬ割り切れないような感じでこれを見ているものを説得し、了解さす方法というものは那辺にあるのかということに厚生省はなぜもっと取り組みにならなかったのかということを第一番に私は聞きたいのです。その前段で、無給医局員のところまでまいりませんけれども、なぜその辺を国民にも納得させ、勉強した学生、お医者さんになられる方を納得さすような方法というものを、無給医局員も含めて、なぜおとりにならなかったのか、ここのところが聞きたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/47
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048・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 国民の医療を担当する医師というもののあり方に関する問題だと思います。
昔は、少なくとも戦前におきましては、医師は大学医学部卒業をもって医師免許を与えられた。それで、けっこう十分なことをやってこれたではないか。しかも、戦後、インターンの制度がしかれた。そのインターンも、また現在のような不評になってきた。そして、何らかの解決を迫られている。医師の教育というものが医療を担当する場合にどの程度の教育を受ければはたして十分であるかということは、これは世の中の移り変わりによって常に変わってくるものだと考えます。昔、明治のころには、東京帝国大学医学部というような大学を卒業すれば、すぐ病院長になって飛んでいく、あるいはすぐ地方の新しい大学の教授になって行かれた方もございます。その時代においては、その程度のことで十分世の中に受け入れられたものと思います。ところが、だんだん医学が進み、かつ、医療を行なう専門医師が多くなってまいりますと、一般の医療を行なう者についても、大学卒業後数カ年間の勉強をしてはじめて一人前になるというような時勢になってまいりました。そういう時勢に対応して、結局、戦後におきましては、医師になるためには卒業後一年間の臨床実習を行なうべきだという考え方が出、それが制度化されたものと思います。しかも、それをやってみましたところが、まあ案に相違してといいますか、また厚生省自体のこの制度運営の怠慢もあったと思いますが、理想どおりにはなかなかいかなかった。かえってこの制度の欠陥を露呈いたしまして、むしろ有害無益とさえいわれるような状態になってしまった。そこで、また再びこの制度を変革しなければならないという情勢に立ち至ったわけでございます。
前に一年というインターンがありましたが、今度は、そのインターンが不評であって、これをやめて、それにかわって事実上新しい制度の中で二年の研修をやるということは一体どういうことかということになるわけでございますが、結局、前のインターンは、医師の免許を取得するための資格要件としての実習でございました。したがいまして、医師の資、格を持たない実習、修練であり、まあ学生と医師との中間的な存在であったわけでございます。それが、そのような医師の資格のないような修練というものが事実上なかなか成果をあげがたい。しかも、その間、身分的な問題が医師でもない、学生でもないということに付随いたしまして、生活の安定も得られないというようなことがこの制度の欠点になり、そうしてこの制度がうまくいかなくなった。しかし、研修自体が必要であるということは、これは現在の時点におきましてもどなたも異存のないことと存じております。しかも、この研修を十分にかつ効果的に行なうためには、医師の身分を与え、現に診療行為を行ない得る資格条件を備え、かつ、その環境のもとで行なうことがよろしいということから、今度のような制度に変えたいということになったわけでございます。
しからば、前は相当の修練を行なわせて医師免許を与えたのに、今度は初めから医師免許を与えてやることが国民に対して不安を与えないかという問題でございますが、これにつきましては、現実の問題といたしまして、先ほど来、昔の医者は大学卒業後すぐ医師として働いた、それでも不合理はなかったという話がございましたように、医師というものの考え方は、医師法におきましても、また一般世の中の慣習といたしましても、医師というものが高い常識と理性を持って、この仕事に使命観を感じて従事しているものであり、したがって、世の中もあるいは法律自体も、医師の良識と自覚というものに大きな期待をかけ、その良識と自覚というものをもとにして制度が立てられ運用されているということが根底にあろうかと思います。そういう意味で二年間の研修というものは必要であり、しかも、その二年間というものを、医師の資格を与えた上で効率的にやらせる。したがって、インターンを省いて、直ちに医師の免許を与えるということが、世の中の医療を受ける側に不安を与えるというようなことは、万万と言わないまでも、まず考えられない。それは、この制度そのものが、やはり医師の良識と自覚というものを基盤にしている、これにある程度期待しているということにつながってくることだと思います。そういう意味で制度上の問題というものが組み立てられているものと思います。
なお、最近における学生その他の運動あるいは反対運動というものが非常に熾烈になってまいりましたことは、私ども自体も申しわけないと思っております。しかし、現在、学生あるいは若い青年医師の運動というものは、単に医師法あるいはインターンそれ自体の問題だけではなしに、先ほどからのお話の間にもありましたような無給医局員の問題であるとか、あるいは大学の医局問題であるとか、さらに、ひいては、その根底をなしております大学院のあり方、あるいは学位問題、いろいろな問題を総合して、運動があるわけでございまして、現在の段階におきましては、単に医師法に対する不平不満ということだけではない。しかし、少なくともその発端にあったものは医師法の問題であるということは認めざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/48
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049・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そういう説明をされても、国民はわかりませんよ。大臣からもう一ぺん詳しく説明してもらいたい。技術的な問題はあなたでしょうけれども。そんな説明をしてもわからぬですよ。昔は、インターンはなかった、すぐ医者になった。それから一年インターンになった。それで、それでは、どこの側からそれに対して意見が出たのですか。そのインターンの一年間というのは、医療施設も十分にない、十分の勉強もできないという意見もあるでしょう、一つは。しかし、もう一つは、しっかり学校で勉強してやってきたんだから同じことじゃないか、一年間置くことは必要はないじゃないかという意見もあったでしょう。その中からインターン制度というものがなくなって、あなたのいまおっしゃるように、研修が二年必要だというなら、学校の年限を延ばすとか、学校の六年間の間に十分教育をするとか、これだけ延ばさなければならないというなら国家がそれだけ保障しなければならぬ。国家が保障せぬわけでしょう。一万五千円ですね、インターンの諸君にこれで食って勉強を二年間せい——インターンじゃありません、卒業した者に、やれと言ったって、それは、あなた、問題がありゃしませんか。ここに一つ問題があるでしょう。
もう一つ、くるりと裏を返せば、二年間しなければならぬのに、医師としていつでも診療はやれる、医療行為はできるという条件を備えているという問題です。政府は、一生懸命、二年間研修しなければ一人前の医者ではないんだ、ないんだと。あなた、こういうことを言ったことがありますね。正看護婦はりっぱな教育をした看護婦や、准看護婦というようなものははんぱものだというようなことをおっしゃったことがあるでしょう。もうちょっと違った表現かもしれませんけれども。それにしても、准看護婦は政府で養成しているじゃないですか、一人前ではないと言っても。それじゃ国立病院はどうしているかというと、正看護婦一人に対して准看護婦が二とか三とかの統制のもとで看護行政がやられているかというと、そうじゃなしに、一対一で、民間はともかくとして、国立病院でもそういうことをやっているじゃないですか。それでいて、せっかく勉強した学生にけちをつけて、そうして、もっと教育しなければいかぬのだと、そこまでおっしゃるなら、−が、その勉強をする期間を社会が要求しているというなら、勉強している人になぜ生活的な援護や技術的な援護ということをなさらないのですか。そういう方法で金をやらないでおいて、勉強が足らぬから一人前じゃないということだけでは、国民がその面に対する内部の不満や反対があるのは当然のことだと私は思うのです。
片一方では、しかし、今度は国民の側に立ったらどうなるか。政府があかんあかんと宣伝をしておるお医者さんが診療をするわけでしょう。これはどうなるのです。あなたのいまの理屈からいえば、その人たちが医者の免許を持って、医師として診察をするわけでしょう、治療をするわけでしょう。これは違反ですか。そうじゃないでしょう。もちろん、試験を通ったら医者じゃありませんか。りっぱなお医者さんじゃないですかこれは。りっぱに診察もし治療もするわけであります。そうしたら、これは国民の側から見たらどうなるのですか。その学校を出た人が、わしらはりっぱな医師なんだから、自主的には研修するけれども、政府の強制的なしばりの中で研修はしないと言ったら、これはどう答えるか。そうすれば、なおさらややこしい問題が対国民の間に——あなたのように高度な科学者としての議論をしている、それはいいでしょう。しかし、対国民の間にはどういう問題が起きてくるか。自分らが年いっただけで子供がたよりないという見方で屋上屋を重ねるようなやり方を厚生者はする、それとしか考えられないじゃないですか。自分らの時代は研修も何もなくて医者になったんだ、自分らの子供には医学が進歩したとかなんとかいって——医学が進歩したことは学校じゃ教えないのですか。それじゃ昔の水準の教育をやっておるのですか、六年間の勉強というのは。医学校で昭和二十一年前の水準で勉教を教えて、進歩した分はこれから研修でやるということですか。そうじゃないでしょう。学校というのは、りっぱなお医者さんがおいでになって、日々発展をしていく努力をしている。が努力をしてきたものは、一分一秒とは私は言いませんけれども、世界じゅうの医学というものを学校の教室で教えておるのじゃありませんか。進歩した進歩したと言うなら、進歩した分だけは学校で教えておるのでしょう。教えていないのですか。何を目的にこの法律がこういうかっこうで出てきたかということが、私は医学者でもありませんし、専門家でもありませんから、ようわからぬが、何を目的に、何を言いたくてこういう法律が出てきたのかということを私は聞きたいのです。よくわからぬのです。もっと整理して国民の前に医療制度というものを出さなければ、国民の側からよくわからぬのです。われわれ携わっておる者でもよくわからない。もう一ぺん説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/49
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050・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 昔に比べまして医学が非常に進歩しておるということも、これは間違いのない事実であります。したがって、医学教育におきましても、昔に比べて学部教育の中で教えたいということは非常に多くなってきていると思います。そういう意味で、十分に医学教育の中で教えようとすれば、おそらく医学教育それ自体も相当延長しなければならぬという事態もあると思います。なお、医学教育で教える以外に、従来からも実施で勉強しながら勉強する分野も相当進歩しております。したがって、医学教育以後における勉強というものも、これも昔に比べて相当高度になり、かつ、専門化してきていると思います。 そこで、国学教育というものと卒業後の研修修練というものをどこで線を引くかという問題があるわけでございます。一部にある考え方は、でぎるだけ医学教育を延ばすという考え方もありましょう。また、一部には、学部教育というものはおのずから限界があり、当然その中ですべて満足するだけの教育訓練はできない。したがって、やはり一部は医学部卒業後に譲り渡さなければならないという考え方の両方があると思います。しかも、最近におきましては、どちらかといいますと、学部教育というものは延長しても限度があり、むしろ学部卒業後の研修訓練というものにもつと専門化し重点を置いていかなければならぬという考え方もかなり強くなってきつつあると思います。アメリカあたりでも、学部教育はむしろ短縮すべきであって、学部卒業後の教育研修に重点を入れるべきだという考え方も相当出ております。そういう意味で、今度の研修制度というものも、いわゆるインターンという中途はんぱなものはむしろ削って、学部卒業後の医師としての研修に力を入れて、そうして比較的短い間に十分な効果のある修練を積ませよう、そういう趣旨に出たものであります。そうして、国民の医療の質の低下を来たすようなことのないように配慮して行なっていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/50
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051・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 なお話がわからなくなってきましたね。そんなことをあんたおっしゃるんだったら、この前、だから、参考人を呼んであらゆる階層の人の意見を聞いた。あんたのように、学校年限を短くして、卒業してから教えるんだというようなことを言われた方が一人でもありますか。私は医者じゃありませんから、よくわかりませんが、しかし、あんたのようなそんなものの考え方でこの法律を進めようなんというのはとんでもないことですよ、と私は思う。医学界の人であなたのような意見が全部であれば、私は何をか言いませんから、もうその件にはさわりませんけれども、しかし、六年なぜ学校が必要かというたら、教養二年の専門四年という学校で新しい変化し進歩する医術医学を教えようというのでしょう。そうして、まあ生活のことまで言うたらいけませんけれども、大学四年の学校でもなかなか一般の人が出にくいのを、六年も大学に行って生活の中の大きな荷となってきている。それから卒業いたしましても、もう一ぺん研修をして、それで一人前の医者として病院やなんかに配置をして、いまの無給じゃないですか。勉強して医者となった人を権力で低医療費に押えつけていくという以外に何もないじゃないですか、あなたの意見を聞いていたら。そんなことを言うたら、なおわからぬようになってしまう。なおわからぬようになりますよ、あなたの説明を聞いていたら。何のために医学校が六年あるのか、専門課程が四年あるのかというようなこともわからぬようになった。
アメリカがそう、だからこうやなんというのは、それは世界じゅうそうですか、一ぺん聞きたい。世界じゅうの医学校がそれじゃ学校課程を短くして医者の免許をやって、実際にそういうことで研修さすんだというんなら、免許をやったら研修する間でも診察しますよ。そういう不安定なものですか、医師というのは、対国民の問題で。外国のことをずっと言ってください、どういうぐあいにしているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/51
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052・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 私が申し上げましたのは、医学教育を積極的に現在よりも短くしようとするような動きはございません。ただ、現在、医学教育というものをだんだん長くやらなければ、学部教育というものをなかなか十分なものを教えられない。しかし、これ以上長くするということは事実上なかなか困難なので、やはり医学教育というものにはある程度時間の限度があるので、そこで、ある程度あきらめて、そうして学部卒業後の教育にできるだけ重点を注いでいこうという傾向にある。そういう意味で、アメリカの例なんかも、教育期間を延長すべきではないという意見が出ております。
なお、アメリカでも、インターンというものがあり、また、インターン終了後に医師になってレジデント制度というものがかなり慣習的に確立しておりますけれども、インターンといわゆるレジデントというものも、ある意味では重複的な面もあるので、それらはむしろ統合して新しい法律的な制度を考えるべきだと、これが結局は法律的な研修というものの形態をどうすべきかという検討材料になっているわけでございます。
なお、一般の学部よりも二年間長い学部を卒業した医師が、その後も研修の期間に生活の安定なしに研修をしなければならぬという不合理については、私どもも十分心にし、また、そういう不合理をできるだけ排除したいという気持ちでやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/52
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053・園田直
○国務大臣(園田直君) 研修制度の問題でいろいろ問題が起こっておりますが、それぞれの立場で問題が起こっておると思います。
まず、第一番に、これを提案した厚生省自体が考え、反省をしなければならぬ点があると考えます。戦後、インターンの制度がつくられまして、しばらくはその任務を果たしておったが、その後、実際にインターンの制度をやる人自体から、インターンそのものが一年間やっても何もならぬということやその他の意見が出てきて、数年間これが放置をされて問題のままで押し流されてきた。そこで、一般の卒業する諸君が受け入れてくれるようなことを考えるために、インターンにかわるべきものとして研修制度をつくるのか、あるいはそうではなくてはっきりした目的をもって研修制度をお願いするのか、この点を厚生省がはっきり明確にしなきゃならぬと考えます。インターンは、戦後任務を果たしてきたが、その後いろんな問題で反対があってきた。これは、むしろ、私から言わせれば、反対がある前に厚生省自体が日本独自の医療制度の将来の像をつくって、それに伴ってインターン制は廃止をしてやるべきだったと考えます。いずれにいたしましても、お願いしております研修制度というものは、インターンにかわるべきもの、あるいは研修生と名前を変えてインターンにかえるものではなくて、ここではっきりしなければならぬことは、六カ年間の教育によって、臨床の教育も、実地の教育も、学問的な教育も、一人前の免許を満たす医師としてりっぱな技術を習得したものということが第一の前提であります。
そこで、さらに、そうではありまするが、以前においても、医師の免許をとった人が、それぞれ大学なりあるいは附属病院に残って医師の良心に従ってさらに技術的なあるいは医療的な自分の能力を高めたいという意味で、学校に残って勉強されたり、その定員がないために無給医局員というような変則なものが出てきているわけでございます。そこで、今度の場合には、卒業されたならばりっぱに医師であるということで、国家試験をやって免許を渡すのでございますから、これはどこへ出しても生命を預かるにはいささかの遜色もない医師だ、この点は第一にはっきりしておるわけでございます。
第二番目には、しかしながら、さらにそれぞれの御希望によって自分の技術なりあるいはその他のものを練磨したいという方々のために研修制度を設けたのであって、さらに突き進んで言えば、ただいまあなたが御指摘なさいましたように、お医者さんは、死ぬるまで研修、未知への研修であって、あるいは現実に開業した方がまた一時休んで自分の大学に帰って研修されるということも現実にやっているわけであります。そこで、これは、義務制度にしないで、努力目標としたわけでございます。なお、また、その点について、こういう切りかえの時期でございますから、学校教育等に不十分なことがあれば、これは文部省で十分六カ年間に一人前の医師として資格を与えるような教育方法あるいは実地訓練等の修正もなければならぬと思います。そういうわけで、医師になられた新しい方々が、さらに自分の技術その他を練磨したいというわけでありまするから、国家としては、無給医局員などという変則なものが出てこないように、これに対する身分の保障あるいは研修の期間の待遇、こういうものを十分にするように考えると同時に、二年間おって価値があったと言われるような教育環境の整備をする、これが厚生省自体がこれをお願いをするについては十分考えなければならぬ問題であります。
それから新しく学校を卒業されて医師になられようとする方々のいろんな御不満は、そういう厚生省の態度がややもすると明確でなくて、何かこう疑惑を与えるという点が一つにはあると思いまするので、この点は十分反省をし、御審議に従って私はその方針を明確にしたいと考えております。
なお、また、学生の諸君が騒いでおられるのは、これは当事者でなければわかりませんが、私の判断では、これは単に研修生問題だけの問題でなくて、やはり医師というもののあり方についてのいろんな問題を含んでおる。一言にして言えば、医師というものが病気をなおす技術屋、職人であるという立場、そうではなくて、われわれは理想の社会を建設する医療部面を担当する人間だという、医術の社会的効用といいますか、そういう理想を持っている。しかるに、現在の教育環境並びに自分たちの置かれた立場は、その理想とはあんまりかけ離れているという点が、学生諸君が非常に不満にし、騒いでおられる出発点であって、それからこの問題に対するいろんな、たとえば身分が保障されていないじゃないかとか、あるいは待遇が二万五千円とか一万五千円では不十分じゃないかとか、あるいは、インターンの場合には自分たちは一年間いなきゃ試験を受けられないからインターンに入ったけれども、実際はどこへ行ったってたいしたことはなくて一年間過ごせばいいというつもりでやっておったんだ、しかし、研修生になると、一人前になった医者がさらに二年勉強するんだから、それだけの準備をしてくれているのかということに対する不信と疑惑と、将来に対する問題、あるいはまた、定員等を割り当てているなどという気配がありましたので、それじゃ、また、一方、厚生省は、国立病院などでの医師の不足というものを、一人前の免許をやって、定員を充実するためにわれわれを低賃金で使うんじゃないか、こういういろんな問題が出てきているのがそういう問題だと思います。
なお、また、いままでにすでにお医者さんになられた方の御心配というのは、やはりそういう自分たちの過去の経歴から来る心配であって、国民の方のこれに対する不安というものは、卒業をされてりっぱに医師でございます、このままでも開業できます、しかしながらさらに勉強されようとするためにはこういう便宜の制度を開きますと、こういう点を明確にすれば、私は国民の方の不安も避け得るものと考えます。
しかしながら、いま私が申し上げましたことは一つの理想でありまして、その点に十分であるかというと、御審議願えれば、なお、予算の面において、あるいは制度の面において、不十分な点がございまするが、この点は将来必ずこれを改善するという石だけは打ってあるわけでございます。 これが、大体、私の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/53
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054・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 だから、大臣のこの法案に対する出発点は、学校を卒業すれば医者として試験を受けて、通った人はりっぱな医者である、その上にもっともっと皆さん研修をしてよい医療医術をやってもらいたいと。前段はわかりますよ。しかし、後段が、もっともっとしてもらいたいというのが、二年間というシャッポをほっとかぶせる。そうすると、結局、事実は、さっき医務局長が盛んに言うように、一人前でない医者を職場に出せないから、二年間これで縛って研修をやらすんだということに、事実問題としては——大臣の前段の考え方は私はけっこうだと思う。しかし、後段になってくると、裏づけするのは医務局長ですね。医務局長は、一人前でないんだと。私は、看護婦のときにおこりつけたことがあります。なぜそんな准看護婦というのを養成するんだといっておこりつけたようなことがありますけれども、それと同じ感じで医務局長は先ほどから私に答弁をしている。そんなことなら、学校制度も、臨床の研修の制度も、医務局長の言うことなら文句が出るのはあたりまえですよ。裏をくるっと返せば、医務局長の言を進めていったら、国民は新しく学校を出てきたお医者さんに対して不安を持つのはあたりまえだ。だから、いま大臣の言われた前段に、研修というものは二年を限ってするんだと言わないで、みんなにしてもらいたいというところへ話がいけば、そこはだんだん筋道が立ってくるんです。学校を卒業した者だけに二年を頭からかぶせてということになると、医務局長が先ほどから盛んに言うように、おまえら一人前じゃないのだから、二年間研修しなければ一人前じゃないのだからということで、頭から押えつけて、それだけの国家義務を負わして、待遇もなにせぬ、そうして裏から申せば国民の不安がつのるばかりという言い方にしかならないという、私はそういう感じを持っている。だから、みずから徹して、今度のインターンから二年研修の医者を養成する期間の道筋というものを特にもっと真剣に厚生省の中で相談をしてもらわなければ、わからぬと思うんですよ。大臣、いまおっしゃられたけれども、大臣のおっしゃることを聞いていたら、お医者さんは死ぬまで医術医療をもって国家に尽くしたいという、私もお医者さんの気持ちはそうだと思う。同感であります。しかし、学校を卒業した者だけは上からおっかぶせて、そうしてその裏づけする説明はおまえら一人前じゃないのだというところに話が進んできたら、これはどうなるか。なかなかそうは理解がしにくいんじゃないですか、大臣。そこらのところあたりは、医務局長の話を聞いていて、あなたはどうお感じになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/54
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055・園田直
○国務大臣(園田直君) 医務局長の答弁は疑惑を招くような答弁でありましたので、私はあらためて述べたわけでありますが、研修の二年と申しますのは、みがきをかける意味において、今日の医学でどの程度がいいかということをいろいろな専門の機関に諮問した結果、二年といたしましたので、しかも、頭からおっかぶせた意味ではなくて、この法律の中に努力目標として書いたのと、もう一つは、私のほうで提案いたしました中で登録の問題がございますが、この登録も、法律の文言では義務ではなくて努めるものとすると書いてありながら登録というものをすることは、医者を区別をして、法律ではなるべくやってくれと言いながら、実際はやらなければならぬというふうにとられるおそれがありますから、その点は衆議院のほうで御修正を願って、私もその御修正をそうあるべきだと考えたわけであります。したがいまして、この法律自体が義務の法律ではございませんから、専門家の意見を聞いて、研修をするならまあ二年ということが各所から出てまいりましたから、二年と書いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/55
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056・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 大臣はそうおっしゃいますけれどもね、努力目標だと。だから、受けても受けぬでもいいけれども、医者の良心はできるだけ勉強したいということだと私は思う。だから、研修を自主的にするということがそこから生まれてくれば問題はないわけなんです、二年というようなことを言わないで。ところが、あちこちで医務局は、医務局長が言われるように、二年間の臨床研修を行なわない者に対しては、将来、国立病院その他に採用しないというところまで言い切っているんです。これはどういうことですか。あなたの努力目標には二年という裏づけがあるわけやな。こういう言い方になっている。そうすると、いかに大臣がここでおっしゃっても、二年というのは単に努力目標なんで、みなが研修をしてもらうということでないんだと言われても、これを受けない者は国立病院から、療養所から、そういう国の関係のところには採用しないのだということまで保健所長会議でその訓辞をしているわけです。これはどういうことになるんです。そうすると、どうもよけい話がややこしくなるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/56
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057・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 今度の法律改正にあたりまして二年の研修の規定をきめました、その研修を終らない者は国立病院に採用しないということを保健所長会議で私が説明したというふうに承りましたことは、おそらく誤りではないかと思います。実は、そういう誤解を招くようなことを申し上げましたのは、私の部屋に、昨年であったと思いますが、ある大学の卒業生の数名が参りまして、国立病院等にはこの研修を受けない者は採用しないかということを申しましたので、この研修をしなかった医師というものを法律的に何ら区別しないということから、そういう採用上の条件としていたすことはない、しかし、この研修を受けてくれることが望ましいのであって、それは国民も法律も期待していることであるから、そういう期待していることに沿ってくれることが望ましいということは申したことがございます。それがおそらく誤解されてそういうふうに伝わったことであろうと思います。その後、そのような誤解を招くようなことばは適当でなかったということで、学部長会議、病院長会議でも、このことは軽率な発言であり、もちろん公式な発言ではございませんけれども、誤解を招く要素があるので、このことは明白に取り消してございます。採用上の区別、あるいは採用の条件というものではない、医師に何らこれによって区別はしないんだということを重ねて申し上げてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/57
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058・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 だんだんとあなたのおっしゃることを聞いていると怪しくなってくるわけですね。そうでしょう。そんなんなら、二年間というものは削ってしまったらいい。研修をしなさい、研修をしたら国家援助いたしますと、これで事は済むじゃないですか。二年間となぜつけたのですか。あなた、未熟だからとか一人前じゃないからどうしても二年間強制的にやるんだとさっきおっしゃったじゃないですか。いまこういう問題が出てきたら、いやそんなことは言ったことはないと。努力目標だと大臣が言うなら、二年間を法律から削ったらいい。二年間は削らぬのでしょう。一万五千円やって二年間は削らぬでしょう。削らない裏づけが出てきているんですよ、あちこちに。あなた一人前じゃないんだと言うなら、二年したら一人前になるのか、三年したら一人前になるのか、四年したら一人前になるのかですね。判断で二年ときめたと、こうおっしゃる。そうでしょう。そうしたら、自主研修でも努力目標でも何でもないじゃないですか。あとからこれをきちっとやれということじゃないですか。だから、私は、厚生省がこの法律を出されるにあたってどう考えて出されたんだか、どうもよくわからぬ。東京の学者のえらい人がたくさん私らに見えました。これが妥当だ妥当だとおっしゃる。そうしたら、東京の中にもおいでになりますけれども、また違う地域の人も来て、このあいだの公聴会でもそうですよ。そんな必要はないと。むしろ学校を卒業したときが医学者として一番勉強の盛りなんだから、一番新しい技術を吸収した盛りなんだから、これからの進歩的研究というものはあっても、これからの二年間の研修は必要なしと、長年やっているお医者さんも、大学の先生も一、三人そろってそうおっしゃる。何でもっと厚生省は確信を持ってこのような法律をお出しにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/58
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059・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 先ほど大臣の御答弁にもありましたように、医学部を卒業いたしまして医師国家試験を通過いたしました者は、医師として十分な働きができる。これは、しかし、どこまでも医師のそういう善意と良識というものが突つかい棒になっていると思います。それで、卒業したての医師も、あるいは十年間勉強した医師も、全く同じだということは言えない。これはどなたも御納得いくと思います。そういう意味で、医師として、同じく医師であっても、良識と善意をもって医療行為を行ないます場合に、おのずからおのれの行ない得る分野というものがございます。勉強によりましてその善意と良識によって行ない得る分野が開けていくこともまた事実でございます。そういう意味で、一生勉強を続けることによって自分の技能がより向上し、また、自分のなし得る仕事の範囲も大いに開けかつ深くなっていくということでございます。そういう意味で、医師は一生勉強しなければならない。しかも、先ほど先生からも御指摘がありましたように、卒業直後の期間というものは、知識を深める、あるいは大いに勉強に対する意欲が最も盛んな時期でございますから、この時期を最も有効に活用していく。そのために、少なくとも二年間というものを最大限の効果を得させるために研修環境を整備し、そうしてそれにまたいろんな便宜を与えることによって効率的にやっていくということがこの制度のねらいでございまして、しかも、二年といいますのは、医学部卒業後の医師の研修に関する懇談会におきましても、従来のインターンと違って、ある程度自分の将来進むべき道を定めてそれぞれの診療科の専攻をする段階であるので、その段階においてはまず二年間というものが一番基本的な勉強を仕上げる時期である。それから後になりますと、またそれぞれのいわゆる専門分野をかなり深く掘り下げていくことになる。そういう意味では、二年間というものが各診療科に分かれて一般的な教養ないしは技術をつくり上げるのに適当な期間であるというのが答申でございましたので、この二年ということに定めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/59
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060・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 努力目標とか自主研修とかおっしゃっている段階はいいですよ。しかし、試験をして医者にして——私もお医者さんの外国の給与を調べてみたら、大体一般人の給与の三倍でですよ。三倍ぐらいの水準です。長い間勉強をして、それは研修期間が含んでいるのか含んでいないのかしらぬけれども、三倍です。そして、長年苦労をしてきて、医学に熱意があって、自主的に新しい医学の進歩に伴って努力をしてもらうという条件——条件じゃありません。お医者さんはそうしますよ、人間の生命と健康を守るために。いろいろの角度で勉強なさっておる。そういう教育施設その他を十分に入る条件というものをつくらないでおいて、いままでのインターンがそうでしょう。これからもつくろうつくろうとおっしゃるけれども、なかなかできない。それでいて、一万五千円で二年間金縛りにしようというのでしょう。そういうことが、大臣がおっしゃる医師としてりっぱな人格を確認をして、より国民の健康、幸福のために研修をやってもらうというそういう願いと、いま出てきている法案とは、だいぶ違うんじゃないですか。そして、いま盛んに言いわけをなさったけれども、この研修を受けぬ者は国のほうでは使わぬのだということになってきたら、医師としてこれからやっていこうとしたら、どんなに縛られておってもそのワクの中に入らなければいかぬのだという敗北感を持ちますよ。それは自然にそういうところに行くようになりますよ。国の権力でつまはじきをされるから、将来医師をしていくのですから、そうならざるを得ぬですよ。そんなものを見越して二年間というやつをおっかぶせるのでしょう。
きょうはまだこれ以上のことには入りませんけれども、たとえば無給医局員等がございます。大きな大学附属病院はどうして運営されているのです。みんな無給じゃないですか。無給の医局員によって経営されているのじゃないですか。私は、午前中に、厚生大臣に社会保障の問題を聞きたかったんやけど、私は遠慮をしたわけです。大橋委員が少し言ったら、厚生大臣のかまえが、いまのような恋々とした考えではだめなんだと。経済の問題まで入られませんでしたけれども、私はそういうことを聞きたかった。しかし、いみじくもそういう話があったから、私はもうやらなかったわけでありますけれども、全く恋々と財政当局の袋のあけぐあいによって一つのワクに社会保障制度というのが押しつけられている。だから、無給医局員で大学病院が経営される。その観念で、学校を出て勉強したものをまたふろしきをかぶせて二年間やっていくんだと。口では努力目標だとおっしゃるけれども、やろうとしておられることは、いみじくもここに出たように、どんな苦しい時期でもおまえらこれに従わなんだら差別が起きるんじゃと、お医者さんとしての一生を棒に振るぞと言わぬばかりに陰の権力が押えつけているんじゃないですか。だから、努力目標なら努力目標のように二年間というのをこの法律から切ってしまう、そして一生懸命勉強してくださいと言うほうがよっぽど先ほどの大臣のおことばに沿った話としてはほんとうに真摯でまじめだと思うのですよ。そういうことはなさろうとしないで、一々なにやかんやとおっしゃるけれども、やろうとしておられることはちゃんと裏に隠れているんじゃないか。無給医局員に手をつけられようともされていないじゃないですか。医学の学会がみんながそうだということで、お医者さんの皆さん方が、研修者が一人前じゃないのだと言うんなら、ここで私のようなしろうとがあまりくちばしを入れてはいかぬと思う。しかし、そのお医者さんの中でも、片方で免許をやっておいて何でするんだという激しいまじめな意見をこのあいだ私は参考人の皆さん方から口をそろえて聞いた。そうかなあ、そんなんならわしも疑問に思っていたのがこれなら疑問が解消せぬ、おかしいじゃないかということにだんだんなってきたわけだ、正直なところ。だから、厚生大臣が先ほどああいうぐあいに言われるなら、その厚生大臣の気持ちをあらわして二年間というのを切ってしまって、自主研修をやりなさいと、自主研修をやるのにはこれだけの国家としての援護をいたしますと、そういうぐあいにおっしゃったほうがむしろいいんだ。私は看護婦のときのことが頭にこびりついているんですよ。正看護婦は看護婦やけれども、准看護婦というのは一人前じゃないのですよと言うて、やっておることは一人ずつ当直から何からみんなさせている。私は腹が立ちましたよ。それだったら正看護婦ばかり養成しないのか。そういう感じで今度の医者の問題も見ておられると私は思う。だから、先ほどのような答弁が出てくると思う。私は、十分にひとつそこのところは、まだ入りたいものはたくさんありますけれども、もう少し外部の人が納得するような筋書きというものをつくってもらいたい。衆議院でどんな議論があったか知りませんけれども、私はそう思う。だから、もうちょっとそこのところを筋道を明らかにしてもらいたいと、こう思う。
それからもうきょうはなんですからやめますが、無給医局員の問題についてもう少し考え方がないのですか。なんにもないじゃないですか。文部省にも来てもらったけれども、文部省の方も無給医局員で病院が運営されているということは御存じだと思うのです。それで、今度の二年間研修という問題についてどういうぐあいにお考えになっているのか、ちょっと聞かしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/60
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061・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 前段の無給医局員のことでございますが、無給医局員の発生の経緯、歴史的な沿革、これはいろいろございますが、率直に申しまして、大学病院——国立大学病院だけでもないと思いますが、直接文部省が設置しております国立大学病院を例にとりましても、無給医局員をその病院の患者の診療の要員として使っておるという面は、これは認めざるを得ないと思います。
それからもう一点の研修の問題でございますが、私ども、今回の医師法の改正は、一応これは医療行政の立場から筋といたしましては厚生省が直接これに対しての主務官庁であろうかと思いますが、何と申しましても、医師を養成いたします医学部の教育ということ、それからまた、研修を行ないます場合に大学の附属病院でもそれに協力申し上げるといったようなことから、厚生省ともいろいろ御相談もし、これが理想、完璧なものとは存じませんが、従来からの経緯から、これら医師法の改正には文部省としても賛意を表しておる点でございます。
そういうことで、臨床研修もさることながら、文部省といたしましても、医学部の教育につきましては、授業時間数等のくふう、カリキュラムの編成のくふう、いろいろ医学部教育につきましての今後改善をしたい、さっそく四十三年度からでもこれを実施していきたい、こういったようなことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/61
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062・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 文部省の方にお尋ねしますが、学術局長ですか、私がいま少し議論しましたように、あなたのところで、大学六年間に、お医者さんになってりっぱに国民に寄与できるという条件を学校制度の中につくってないのですか。あなたもやっぱり学校を出てから研修をさせにゃ一人前じゃないと思っておいでになりますか。今回厚生省から医師法の一部改正として出てきたものについて賛成だとおっしゃった。賛成だと言う以上は、検討されて賛成か反対か出されるのでしょう。そのときに、あなた方は、インターンの一年があって、今度二年になるわけですね、研修は。厚生省が学生を養成しているのじゃない、あなた方が養成しているのです。そうすると、六年の間にそんなものをうしろにつけなければ医者として一人前になれないような教育しかしていないわけですか。自主研修は別ですよ。これは日々国学医術が発展しているのだから。しかし、あらゆるものを取り入れてお医者さんに育て上げたら、すぐでも人の診療や治療に当たれるというような、学校へ行っている間は学生——人をつくっていないのですか。そのことを検討したことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/62
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063・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 今回の医師法の改正に関してのただいまの御質問でございますが、おっしゃいます一人前という意味でございますが、私ども、六年間の医学部を卒業いたしまして医師の免許状が与えられる以上、これは一人前の医者としての養成を六年間にすべきであるということは十分考えますし、先ほど申しましたように、それに適するように六年間の教育課程なりあるいは授業時間なり、そういうことも改善して、いわゆる一人前の医師として卒業後医療に従事できる者を養成すると、そういうふうに今後進めたいと思っております。
ただ、医者の場合は、何といいましても経験ということが非常に重要な要素をなすのだと思います。そういうことで、一人前としての医者にはなりますが、その次からは希望になりますけれども、皆さんが、あるいはお医者さん——まあ文部省が一応所管しておるその他のことから申しますと、学校の先生も、教育公務員特例法によれば、教育公務員は研修に努めなければならないという規定がございまして、今回のお医者さんの場合と同じように研修を必要とするということを法律に規定しております。似たようなものですが、特にお医者さんとしては経験ということが相当強い要素を占める、そういったようなことから、一応私ども一人前の医者としての養成はいたしますが、人の生命を直接預かる医者ですから、それ以上なお一そう勉強していただきたいというような気持ちがその研修になってあらわれておるのじゃないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/63
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064・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 医者としてりっぱに育ててきた、学閥をしてきたとおっしゃるわけです、学校の立場から。あしたから人の生命や健康を預かるお医者さんとしてりっぱに育ててきたとあなたおっしゃった。将来もそうしたいとおっしゃった。そうしたら、厚生省から二年というような研修をそれにおっかぶせるということについて、自主研修のことなら当然のことだろうと思います。特にお医者さんのほうは生命に関係するから、よけいやっていただかなければならぬ。むしろそれに対して国家が補助をして援護をするのがあたりまえです。一般のお医者さんに対してそういう形で私はやっていただかなければならぬけれども、あなた、それを二年義務的に強制的に——努力目標じゃなしに、強制的に義務的にやられようとしているのに賛成したとは何ですか。りっぱな医師として育て上げたんだから、もっと医学医術を上げてもらうためには自主的に大いに機会を厚生省は厚生行政、医療行政の中からつくっていただいたらいいけれども、二年間もまたおっかぶせてやりたいということに対しては、反対だと言うのがあたりまえじゃないですか、いまのあなたの言からいえば。それに賛成だというのはどういうことですか。出てこぬじゃないですか。りっぱに学校で教育をしたというのだから、なぜその賛成というのが出てくるのですか、そこから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/64
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065・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 私の説明があるいは十分でなかったかとも思いますが、文部省といたしましては、医者に限らず、大学にはいろいろな学部、学科がございますが、社会に出ましていろんな職業につく人々の基礎教育をやっております。そのためには、大学といたしましては、一応これだけで、まあ先生のおっしゃる一人前という意味にもいろいろございますが、一応これで学校教育としては世に出せるというだけの教育をしておるわけです。しかしながら、先ほど教師にも例をとりましたが、あらゆる職業につく人が大学を出ても研修を必要とすることは申すまでもございませんが、とりわけ、人に教える先生だとか、あるいは生命を預かるお医者さん等では、経験といったようなことも相当重要な要素でございますので、一応は学部で医者になれる、教師にはなれる、しかしながら、それで事足れりとしないで、その後も大いに勉強をしてもらう、してほしいと、そういうことでこの臨床研修はできておるものと私は承知いたしております。そういう意味におきまして、文部省としては、直接は学部教育ですが、学部教育を一人前にしたんだから、あとはもう何も勉強せんでもいいんだということではなくて、いろいろ勉強をなさるということでございますので、それをしも私のほうで、いやもう学部を卒業したんだから、それ以外は研修の要なしと、そう言うべきことでもございませんし、そういう意味で私のほうはこの臨床研修を了解し、賛意を表し、大学におきましてもそういう研修の一翼をになって差しつかえないというふうに考えた次第でございます。もちろん、これは、私個人の意見というよりも、文部省がそういう考えに立ちます前に、国公私の大学の医学部長やあるいは病院長その他いろいろな人の御意見を聞いて、こういうことになった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/65
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066・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 あなた、ここで私が議論しておることはわかっているでしょう。私が何ももう勉強せんでもいい、どうこうということを言いましたか。しかし、いまの法律に出ているのは、二年間義務制をつけるという法律ですよ。自主研修をして大いに、医学医術の進歩に沿って勉強してくださいということは、あんた、当然なことじゃないですか。私もそう言っている。しかし、二年間というのを頭からかぶせてやることはどうなんだということを言っている。それにあなたは賛成したんだと、こう言っているんですよ。りっぱに教育をして、日進月歩に沿って教育をして、りっぱなお医者さんとして養成して学校を送り出したんだと。しかし、医学医術は日々の進歩であるから、日々の進歩に適応するように大いに努力をしてくださいとあなたはおっしゃる。私はそのとおりだと思う。私もそうお願いをしたいわけなんですよ。それにかかわらず、卒業生にだけ二年間頭からかぶせて、これを受けぬのはどこにも採用せぬぞということを課長会議に振りまいてやっているということ、この事実はどうなんですか。この事実は、権力で押える以外の何ものでもないじゃないですか。そんなことで大学学術局が賛成したというのはおかしい、じゃないかということを私は言っている。あなたのほうで、学校で十分に勉強をしてもらって、足らないところは皆さんの努力で社会人としてりっぱに立ってください、そういうことは私も賛成だからと、そういう言い方ならあれやけれども、あなたは法律を見たんですか、こ
の医師法というのを。いまここへ来て、ああそんなことがあったかということじゃないんですか。あなた医師法の一部改正を十分読んでそれで返事をされたんですか、賛成やと言ったというんですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/66
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067・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 私の答弁が十分でなかったかもしれませんが、私はもちろんこの法律の改正案は十分読ましていただいておりますし、衆議院の段階でもいろいろ御質問もございましてお答えもしてまいりました。
それから先ほど来おっしゃっておられます、その二年の研修を終わらなければ、どこへつとめるとか、採用しないとか、こういうことは、これはまあ厚生省の考えか何か存じませんが、私のほうはそういう前提でこの研修がいいとか悪いとかいうことを申し上げておるわけでもございませんので、その点は誤解のないようにしていただきたいと思いますが、私のほうは、ただひたすら、研修をするということに対しまして、国立大学でもそういう研修には御協力申し上げよう。それで、一生勉強すべきもので、年限をあるいは限らなくてもいいというお考えも一つであろうかと思いますが、ともかく新たに学部を卒業した者がその他の医師と比べて経験年数が少ないという点においては新卒生は言えると思います。そういうようなことから、一生勉強すべきであるけれども、とりわけ新卒の方は経験も浅いからなお一そう勉強してもらいたいという意味だと思います。そういう意味で私は賛意を表しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/67
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068・園田直
○国務大臣(園田直君) 第一に、医務局長が何か誤解を受けることがあったようなことを申しております。さらにここで明確にいたしておきますが、研修を受けた方と受けない方の身分の扱い方に何らの差異を絶対に与えないことをここで明確にしておきます。
それから二年というのは、無給医局員の方などの状態を見ましても、二年、三年、五年、長い人は十年近くもやっておられるようで、本人の意思によってさらに研修したいという、いわゆる自主研修とおっしゃいましたが、われわれはそういう気持ちもありまして、ただ、二年という年限を書いてございますのは、おっかぶせた気持ちは全然ございません。そのために、法律は、最初は「努めなければならない。」とあったのを「努めるものとする。」と修正を願い、さらに、登録制がございましたが、義務じゃないといっても、登録をして医師の肩書きが違えばこれは強制的なもの、じゃないか。国家権力を背景にして、口では義務じゃないと言うが、実際はそうするようにしむけていっているんじゃないかというような疑惑がございますから、登録制はやめて、研修を終わった人のことは、終わったということを病院長から大臣に報告するだけにお願いしたわけでございます。
その二年というのは、専門家の懇談会の答申もあったことでありますし、政府としては研修についての責任を持つ意味においてやったのでございまして、二年間だけでは不十分ではあるが、身分その他の保障をいたしますという意味で、決して二年間やらなければどうするというおっかぶせたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/68
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069・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 だいぶ大臣と医務局長の話が食い違ってきたようなかっこうなんで、どうもつかみょうがないような感じになってきて、結局、残るのは、二年研修するということだけが残る。だから、そこまで大臣がおっしゃるならば、二年間の研修など取ったらいいんですよ。そして、国家が補助する。一万五千円というけちなことを言わないで、もっともっと研修する。国民の生命のためなんですからね、お医者さんのやっておられることは。だから、そういう意味で援助、保護をやるということになってくると、いや一人前でないとか、まあはんぱものとはおっしゃらないけれども、研修しなければいけないとおっかぶせた厚生省の事務担当の長がそういうことを言って、また、その下が、こんなものは採用したらいかんぞと全国会議でやられるようなことになったら、この二年間というものは、努力目標だとおっしゃるけれども、そうじゃなしに、大きな冠をすぽっとかぶしているから、無言のうちにこれに従えという以外に何ものもないのじゃないかと思うのです。私は、医者というのは、学校を卒業してからも勉強すると思うんですよ。やはり人間対人間になるのですから、診療とか診察ということになってくると。だから、何とかして病人をなおしたい、病気をなおしたいという気持ちになられるのは当然だと思う。だから、自然に、そこには勉強して——もう勉強せんでもいいとかなんとかいう理屈、じゃなしに、まじめな、医療行為を通じて国家社会に貢献したいという学生から、医者になられた方や、またはお医者さん全部がそういうお気持ちであろうと私はそう思うのです。それを、何かしらぬけれども、知らない間に、自分の子供はたよりないというところから始まってきたり、やかましゅう言うから、うるさいから、じゃこれは取っておこうか。しかし、実際は、二年間は研修せにやならぬというような話が出てきたりして問題を起こしているんだと、私はそう思うんです。国会に出したから形式をとらなくちゃいかぬとかいいとかという問題じゃない。いかにして国民の健康保健の上に立って医療制度が貢献し、その重要な柱はお医者さんなんですから、お医者さんにいかにそれに尽くしてもらえるか。あとは、医療制度というものは病気になった人から受益負担でさすんだとかなんとかというようなへ理屈をつけてみたりしてやるような医療制度を国会で大きい声を出して議論せにゃならぬというようなことがないようにするのが園田大臣の理想だと私は期待しているんです。病気になったら個人の責任じゃと。個人がお医者さんに手を握ってもらって利益を受けるの、だから、受益負担が当然じゃというようなことを厚生省の法案で議論せんならぬようなことでは、私は主権在民の国家の社会保障なんというものはもう終わりだと思う。自然、そういうものが残滓として残って、いまのような無給医局員が残ってみたり、そうしていまのように細部まで詰めていくと、いやそんな内容まで知らなんで勉強してくださいというようなことを言って賛成したんだということも、だんだんと議論する間にぼけてくるわけです。それは大学としてもりっぱなお医者をつくりたいのだから、研修することは大いにしてもらったらいいけれども、しかし、そこらは十分聞いていないというような話になってくる。私は、何で厚生省が無理をしてこういうことをおやりになるのか、よくわからぬわけですね。
それじゃ、いずれ——これは私もきょうばかりで質問を終わろうとは思わないわけですけれども、きょうは初めての質問ですから、無給医局員の問題について将来の展望、これとあわしてどうするかということをひとつ聞かしてもらおう。それから、これに関連する定員法の問題がありますけれども、定員法の法律が通らなんだらそれじゃどうするんだという問題も現実の問題として出てくるわけですから、その二つをひとつ答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/69
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070・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) その前に、一言だけ追加さしていただきますが、私どもこの二年の研修というものを考えます場合に、これによって医師の資格、条件等に差を設けることはないということは、大臣からも申されましたとおりでございまして、したがって、たとえばこの研修を行なわないで大学の専攻生になってももちろんかまいませんし、また、基礎医学のほうに行ってもかまいませんし、また、これも具体的な例として出たわけでございますが、大学のもし有給の助手のポストがあるとすれば、有給の助手のポストについて研修をするということももちろんあり得る。また、国立病院がもし教育病院になって、そこで有給のポストがあるとすれば、そこにつくことももちろん可能である。また、保健所の場合につきましても、保健所につとめようとする医師がこの研修をしようとする場合に、県が保健所の要員として採用した上で県の職員として研修を行なわせるということもあり得るというふうに、きわめて弾力的に考えておるわけであります。そういうふうで、決して無給に締め出そうというつもりは全くございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/70
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071・園田直
○国務大臣(園田直君) その場合は、研修じゃなくて、本採用……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/71
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072・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 県の職員として研修を行なうということでございますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/72
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073・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/73
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074・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/74
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075・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ただいま大臣から注意がありましたが、保健所の分につきましては後ほどまた検討いたします。そういうことでございます。
なお、無給医局員問題というものは、これは本来文部省の大学経営上の問題でございますが、私どもといたしましてもこういう研修の制度を立てました以上は地位の安定ということを極力希望しておりますので、教育病院においてはもちろん有給化していく。どういう形であれ、生活の安定ができるような形にしていく。同時に、文部省においても、附属の病院におきましてもそういう無給医局員というようなものはなくなる方向でやっていただきたいという希望を述べ、そういう無給医局員がなくなるということの一つのステップとして、まず研修中の医師に若干の手当を出して生活を安定させるということが無給医局員を解消させるという方向にも大いに役立つということで歓迎するわけでございます。そういう方向で、文部省におかれても着々手配が進んでいるというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/75
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076・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 文部省のほうでこの臨床研修をする医師を預かります場合は、これは定員に入れるつもりはございません。臨床研修を行なう医師として臨床研修生と申しますか、そういうような形でございますが、これは定員職員ではもちろんございません。研修中の者でございます。
それから無給医局員につきましては、これは、本来、無給医局員というのは、無給ででも自分のために大いに勉強しようという人が入ってきたのが歴史的沿革の最初のことだと思います。ところで、それを大学が診療要員として便利なものだから使い出したといったようなことからいろいろ問題が起こっておると思います。そういったような点につきましては、無給医局員なるものがほんとうに勉強したいと、それを診療要員として当て込んで使うということはよくございませんので、それに診療をお願いするとすれば、協力謝金を出すとか、あるいは、無給医局員といいながら実体は定員職員と同じようなことをさせておる、しかも、そういう要員が要るということであれば、それは定員化をしていくべきだ、こういう考え方に立ちまして、特に診療科の教官増員で、従来、一診療科講師一、助手三というようなかっこうになっておりますが、今後講師二、助手五といったようなかっこうにすべく、昨年と、四十三年度一応定員法が通りますれば、講師百の増員が行なわれる予定になっておりますが、無給医局員の方をそういうものにするとか、あるいは、講師の定員がつきますれば、現在助手をしておる人の中から講師に昇格をしていくものがある、そうすれば助手のほうに欠員ができますので、無給医局員の中でふさわしい人があれば助手に採用するとか、いろんなことを考えておりますが、それと、一方におきましては、それにいたしましてもその他いろんな問題で大学病院のあり方、大学病院の性格、こういったようなものを根本的に検討すべき時期に至っております。そういうことで、抜本的には大学病院のあり方を検討して恒久的な対策を立てたい、こう考えまして、学識経験のある方に大学病院のあり方を御検討願うべく、いま準備中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/76
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077・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 みんな二人ともうまくおっしゃいましたけれども、無給医局員というのは各大学病院に何人ぐらいおられるのです。あなた方がおっしゃるように簡単な数字じゃないでしょう。このあいだの参考人の意見を聞くと、横浜大学が三百人。全国で何人おいでになりますか。順次定員に繰り入れるなんていうようなことを言ったって、定員法も通らぬならばそれもふえない。それで、あの横浜大学でいえば、三百人の無給医局員がいる。これが当番制で——横浜病院はどれくらいの病院か知りませんけれども、たいていどこの病院でも七百ベットから千ベットの病人を守りしているわけでしょう、昼、夜。そんな数でとてもできるはずがない。みな無給医局員がやっているわけです。勉強したいから来たのを診療に使うようになったというようななまやさしいことでこれは解決する問題じゃないと思う。ひとつどのくらい大学に無給医局員というのがいるか、ちょっと言ってください。横浜大学で三百です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/77
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078・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 昨年六月に私どものほうで調査いたしました数字で申し上げますと、無給医局員と言われる方々の中にはいろんな実態の方がおられますが、ともかく一日でも大学に来ておられる、そういうものまでも含めまして、国立大学の総数は一万四百五十八人でございます。そのうち、一週間の間に何らかの形で実際に診療業務に従事した者の数は八千五百七十一名で、在籍者総数の約八割に当たっております。このうち、ほかに本務を持っていないという者で三日以上大学附属病院に来ておられる方が四千七百九十七人でございます。大体そういう実態になっております。
また、公私立大学のほうでは、公立大学の附属病院のほうでいま申したような、ともかく何らかの形で診療に従事したりあるいは純粋の研究をしておられる無給医局員が、公立では二千二百三十六、私立では一万四千七百七十二人、以上でございます。
横浜大学とおっしゃいましたが、横浜大学には医学部はございませんが、横浜市立大学かと思いますが、昨年七月現在の調査で、横浜市立大学の無給医局員は二百二十五名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/78
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079・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 これだけのたくさんの無給医局員が大学附属病院の診療を担当しているわけでしょう、何らかの形で。いま一日以上みているのは八千五百七十一人ですね。それだけの人が担当しているわけですね。これを将来どうするのか、国家援護をどうするのか、病院からどういう手当を出して働いてもらうのかということがないわけですから、ここに問題が出てくるわけでしょう。だから、将来どうしようとするのかということを聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/79
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080・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 国立大学に例をとりますと、先ほど申し上げましたが、無給医局員の実態はいろいろございますが、少なくとも大学等と相談いたしましたところでは、週三日以上定期的に出てきている者は診療要員として初めから予定ができる。しかしながら、週一回とか二回とか、あるいは、週によって多いときもあれば全然診療に当たらぬ、こういう人はちょっと診療要員として初めから計画的には無理であろう。そういう観点から、週三日以上診療に従事される、こういう方につきましては、私どものほうとしましてはこれらの方々に協力謝金を差し上げたい。それからその中で事実上はそういう協力謝金とかというものではなくて、本来の定員職員と全く同じようなことをしておられる、こういう方につきましては、できる限り定員化を促進していきたい。それはどういうことかと申しますと、先ほど申しましたように、一方におきまして診療科の教官を充実する計画を立てて、昨年それから今年——今年はまだ定員法が成立しておりませんが、百名ずつの講師を充実しております。講師の定員を増員しますと、具体的に講師になられる方は、大学の助手の人であるとかあるいは無給医局員の中からなられる方もある。助手からなられる方もあれば、無給医局員で定員化をする人もあり、助手のようなこともさしておられればそれを助手にする、こういったようなことでいきたい。ただ、大部分は協力謝金ということで、私のほうは四十二年度昨年度からそういう協力謝金の制度を始めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/80
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081・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 ひとつ大学ごとに、 いまおっしゃった診療を一週間に一回するとか三回するとか段階があるでしょうし、勉強に来る人もあるでしょうから、無給医局員の実態というものをぴちっと資料を出してください。そうでないと、いまお話を聞いていてもなかなかわからぬ。ひとつそれを出していただきたい。
それから厚生省は、これから先の問題はなかなかむずかしい問題で、まだ議論をしたいと思いますから、昨年、一昨年ですか、いままでインターンの中でどういう学校が学生側が反対で、どういうことになっているのか、それからどういう意見なのかという資料を出してください。まるきりこれに合ったようにおっしゃるけれども、われわれ実態を見ていると、ほとんどの人が反対しているように私は感ずるわけです。だから、これに対する厚生省で集めた資料を詳しく出してください。きょうあたり持っておいでになると思ったけれども、一つも出ていない。どういう趣旨で反対なのか、どういう趣旨でどうなのかというやつを、学校の先生方も含めてひとつ出していただきたい。 私はきょうはこの程度にしておきますが、その上でもっとこまかい問題について、具体的な問題について質問したいと思います。——よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/81
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082・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) ただいまの資料要求でございますが、国立大学のほうは先生の御要望に沿う資料が出せると思いますので、早急に出したいと思います。ただ、公私立大学につきましては、先ほど総数を申し上げましたが、大学によりましては報告が来ていない大学もございまして、推定を入れております。それと、国立で申しましたように無給医局員を実態別にとっておりませんので、ただ総数だけでございます。それでよろしければすぐ出しますが、もっと国立と同じような詳細な資料でございますれば、少し時間をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/82
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083・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあできるだけひとつ詳しく私立の大学のほうも、それはもうあなたの管轄でできない分は要りませんから、できるだけ国立大学と同じように出していただきたい、努力していた、だきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/83
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084・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 各学校における学生の動き、あるいは卒業した医師の動き、あるいは教授等の先生方の動きということでございますが、これを私ども全部一々日記的に把握をしておりませんので、私どもが承知できる範囲内で整理させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/84
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085・大橋和孝
○大橋和孝君 ちょっといまの資料の関係ですが、教授会なんかでこの案について反対だという決議をしておる教授会もあると思います。そんなのもわかっておると思いますから、そういうのを、どこの大学でどういうふうな決議を出しておるかということもひとつ……。
だいぶ基本的な問題についていま藤田委員のほうからいろいろお話しになりました。私はこの問題をもっとほかの角度から見ていろいろお尋ねしたいと思っておりましたが、これは次の機会に譲ります。
一点だけここでお尋ねしておきたいと思いますのは、いままでのインターン制度の取り扱い方、これは現在どういうことがあらわれてきておるかと申しますと、深刻な医師不足を来たしておる。御存じのように、自治体病院でも、医者がいないからもう閉ざさなければならぬところが出ておる。どうしてかといえば、大きな都会、太平洋ベルト地帯あたりにはかなり医者が集まっておるわけであります。こういうことを考えてみますと、人口の多いところとか、大学とか、そういうようなところに対しては非常に医者が集まっておる。こういうような普通の経済のいわゆる人口の過密化現象とはまた別な形の医者不足というものが来たしておるわけでありまして、これを考えると、大学のいままでの教育のあり方、あるいはまた医者の教育のあり方あるいはまた医者としての卒業後の取り扱い方ということに対して、いままでのしわ寄せがあらわれておるのじゃないかと、こういうふうに考えられるわけであります。そういう観点から、今度の医師法を改正するにあたっては、そういうとこから考えてみる必要があるのじゃないか。特に私がいま申し上げたいのは、先ほど藤田委員からも触れられておられたようでありますけれども、一体全体、こういうような医師法の一部改正法に踏み切った動機は、これによってどういうふうに医者不足の問題に対してやっていくのか。あるいはまた、将来の展望というものをどういうふうに厚生省は考えておられるか、あるいはまた大学学術局は考えておられるのか。これでもって医者というものの教育というものがほんとうにいいのかどうか。あるいはまた、こういうようなことで医者というものがほんとうに国民の期待するようなものとして世の中に出していけるのかどうか。現在、また、話を聞けば、インターンの人なりあるいはまたこれから国家試験を受けようという人なり若い医師のあたり下は、全部反対決議をして、もういまの改正に対しては不満の意を表しておる状態です。彼らが言っておるのをあなた方は一体どういうふうに把握しておられるか。こういうことは将来またもう一つ深刻な医者不足というものを来たしてくるのじゃないか。いまでも、ある学校では、一年生に入った人がもうストライキに入っておるわけであります。これでは、二年間の研修を入れましたら八年間になってくるのじゃないか。こういうようなことで考えてみても、年々の医者不足というようなものをどういうふうな展望で今度の医師法の改正に踏み切っておられるのか。そういうようなところを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/85
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086・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 医師不足という問題と医師法の改正という問題を関連させてどのように考えるかということでございますが、私ども、法師法の改正それ自体は、医師の過不足の問題とは直接つなげて考えてはおりません。医師法の改正それ自体は、どこまでも現在のインターン制度がいまの世の中に不適合になったと。したがって、これは廃止する。同時にまた、医師の養成、あるいは国民医療の向上という立場から新たに医師の研修制度を立てるほうが好ましいということで研修の制度を新たに設けたわけでございますが、これは直接医師の不足の問題とかみ合わないというふうに考えております。
医師の不足の問題は、それはそれとして、現在、絶対数の不足の問題、あるいは偏在の問題等がございますので、医師の絶対数確保のためには、これは文部省にお願いいたしまして、医学生の入学定員をほほ十年足らずの間に約千名程度増加さしております。また、この偏在による不足ということについては、今後もできるだけ医師不足地区に対する手当てを別途の形で手当てをしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/86
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087・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 医師の不足をしておるという現状から、厚生省等からの要望もございますし、厚生省とも十分連絡いたして、ここ数年来医学部の学生定員の増加というようなことをやってきておるところでございます。来年度におきましても、国立大学は、たしか四大学二十名ずつ、八十名の増員をやろうともくろんでおるところでございますが、まあ従来からも厚生省とも十分御相談いたしておりますが、大学におきましてはもちろん卒業後あらゆる職種につかれる者を養成しますが、とりわけ医師などは計画的に養成が必要なんじゃないかと思います。ところで、いま不足だからいま学生をふやすといいましても、医学部は六年ですから、今年入れましても六年先でなければ間に合わないというようなことで、まあ需給計画というものが、特に需要計画が、少なくとも十年ぐらいの需要計画といったようなものができれば正確な数字があると、文部省としても、大学の医学部の定員増とか、あるいは必要によれば学部をつくる必要があるのかもしれません、そういうことをやり得ると思いますが、今後とも一そう厚生省とも相談いたしまして、できる限りはっきりした需要計画を立てていただいて、それに合わせた養成をして、医師不足の解消を将来に向かって努力していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/87
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088・大橋和孝
○大橋和孝君 この問題はもっといろいろずっと煮詰めて伺いたいと思うのですが、きょうは時間がないからあまりそこまで行けないので、これはまた次の機会に譲って十分議論してみたいと思うのですが、いま、大学局長あたりは、十年かかるのだから、十年の展望でこれからいろいろまた考えなければならないのだということをお話しでございましたが、私は、そういう問題ではなくて、いまの医者不足をどういうふうにしてうまくそういうような面で医者不足を起こさせないような転換ができないかということを考えるべきじゃないか。そういう観点から言えば、いままでインターン制度ができて二十何年になります。二十一年ぐらいからできたのだろうと思いますから、二十二年になっている。ぼくはいままでインターン制度を行なってきた点について一ぺん解明をしてみませんと、インターン制度を解決するこの次のものに展望を持てないと思いますから、この次にもう一ぺんそのことを——きょうもちろん私は用意はしておりますけれども、ちょっと時間がありませんから、この次に一ぺん煮詰めてお尋ねしてみたいと思いますけれども、そういう展望からいったら、いまの医者をいかにしてもっとうまくあちらこちらに医者の不足を来たさないように活用できるかということは、私は制度の問題でずいぶんまだ考えられると思うんですよ。実際から言えば、いま出されようとしている医師法の一部改正は、いま若松局長に聞けば、これがいかにも将来の医者の不足を補うのに最良の方法だと思うと。最悪の方法だと思うんです。第一番目に、一番端的には、この法律をつくってもだれも入ってくる人がおらぬと言っているんですよ。若い医者はみんなボイコットしている。各大学の教授会も、七つか八つ、この改正はだめだと言っているんです。教えている教授がだめだと言っているし、それから入るはずの人も入っていかないというような法律をつくっていけば、これはもう需給関係はよけいますます逼迫するじゃありませんか。もう卒業してすぐ免状をもらえる人がたくさんおるけれども、こんな法律が悪いために入らぬと言っているんです。こういうことに対して、あなた方はどう思うのですか。いまのこの法律を通せば必ず全部の人が医師法の試験を受けて医者になるという自信を持っていますか、その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/88
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089・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 現在の法律の研修を新たに医師免許をとった医師が反擁してボイコットをするということも起こると存じておりますが、どの程度に研修ボイコットということが起こるかという程度のほどは推定できませんが、当然起こってくると覚悟はいたしております。しかし、医師が研修をやらないということではないわけでございまして、厚生省がきめた研修はやらないけれども自主的な研修はやるというような態度に出ると思います。大学には、従来、似た形でやはり研修をする医師が残っておる。したがって、大学に医者がいなくなるということもないと思います。そういう意味で、今度の医師法上の研修のボイコットということはありますけれども、このことが直ちに医師の需給問題とどう結びつくかということは、これがすぐ需給が逼迫するあるいは緩和するというそういう問題ではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/89
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090・大橋和孝
○大橋和孝君 あまりにも飛躍していて議論の詰めようがないのですが、あなたそんなことを言っておって、実際問題として法律そのものが受け入れられないような法律をこしらえて、みな反対決議をしておるでしょう、大学が。そんなことをしてあなた出すときにうしろめたい気がしませんか。それからまた、大学の若い医師あたりは、ほんとうにあなたのおっしゃるとおり勉強したがっておる、まじめに。私はそう思う。勉強するのはどこででもやるだろうと言っておりますけれども、厚生省の言うことは聞かぬかもしれませんが、ほかでどこかでやるでしょう。そういうこと自身がいまの医師不足を来たしておると思う。あなた調査してください、若い医者が大学あたりにどれほどたくさんおるか。ぼくが聞いたら、東大だけでも入院患者よりも若い医者が多いような教室があるはずだ。そうじゃないですか。そうなってみたら、いまのこういう制度のために、医者がそういう場所にくぎづけされているというわけじゃないけれども、どうしても集まらざるを得ない状況をつくっているわけだ。そして、大学の定員を十年計画でふやす。ふやしてもらうのもけっこうだと思いますけれども、しかし、いまのそういうふうな誤った行政のために、ほんとうに活動すべき、そして勉強したい、そして研究をしたいという人たちが、十分にできないために、少しでもできるところにくぎづけされているということが現状じゃないですか。同じようなことになる、法律改正をしても。
私がいま言っているのは、医者の需給関係についてはもう一つ悪いものをこしらえているのではないか。だから、そういう観点から申して、厚生省の中でほんとうに真剣に考えられておるか、実際の厚生省の良識を疑うわけです。医務局長という立場におってこういうふうなことをやって、いま医者が不足で、現実にあちらこちらであるでしょう。私が聞いておるだけでも、三つも四つも市民病院というような公立病院すら閉鎖しておるところがあるじゃありませんか。それはどこに原因があるかということをどういうふうに考えておられるか。医師法の改正をやったらますます輪をかけるんじゃないかと私は心配をするので、あなたのほうの考えを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/90
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091・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 東大あたりではベット数よりもお医者さんの数のほうが多いという話も聞いております。私ども承知している範囲では、先ほどお話がございました無給医局員という数は、東大に千名ぐらいというふうに承知いたしております。しかし、それも、さっきもお話がありましたように、一日というものと、一週三、四日ということになりますと、また四千名程度になろうかと思います。これがこういうような状況で一つの大学に千名もの無給医局員がいるということでは、真の意味の研修になかなかなりかねると思います。そういう意味で、大学といえども、この研修を行なうにまた研修させるにふさわしい定員——定員ということばはちょっと必ずしも適当でございませんが、一定数の者に限って受け入れて、そして大学がきちんとした訓練を行なうということが必要であろう。そういう意味で、先ほど来申し上げます大学医学部卒業後における教育研修に関する懇談会におきましても、大学が無制限に研修者を受け入れて、無給医局員を無制限に増加するということは適当でない。むしろ大学自体も、みずからその定数を定めて、その範囲内で受け入れ、そして確実な研修訓練をやるべきだ。同時に、そのためには、一方、現在の大学だけで研修を行なうということは不可能なのであって、どうしても資質の高い病院を教育病院として参加させる。大学に準じた形で研修を行なわせることが適当である。そういう意味で、教育病院を大いに整備をし、充実をしていけ。そして、教育病院と大学病院をあわせて研修の実をあげるようにせよ、というのがこの前の答申の趣旨でございますので、そういう意味からいえば、この制度を運用することによって大学に無給医局員の偏在ということもむしろ是正できる。一方、多くの病院にこれを分散させ、さらにはそこで研修を終えた者がさらに分散していくということで、医師の偏在ということの是正にも役立つというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/91
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092・大橋和孝
○大橋和孝君 冗談じゃありません。そういうりっぱな教育病院だったら、みんな喜んでいきますよ。ところが、いまの大学のほうが、そうやって千人も無給医局員がおるけれども、まだまだ勉強できるのですよ。あなたのおっしゃっておる国立病院のほうがもっとこき使われるだけであって、忙しいだけであって、勉強にならないから行かないんです。だからして、根本的な問題は、みなそういうところに行かないと言っているのは、そういう受け入れられるような、ほんとうに若い人たちが勉強するに値するような制度になっていないんだ、教育病院が。そういうことが一つの原因であって、これは前に厚生大臣も参議院の予算委員会ですかの御答弁の中にありました。もっともっと教育病院をよくして、みんなが非常に来てくれるな病院にしていくのが理想だと。こういう理想もなんにもしてないのに、いまのような、先ほど藤田委員も言っておるように、二年の研修制度をつくったりなんかしておっかぶせていくのは、おっかぶせていないと言ったって、まだ実際施設というものができていないからそういうことになるんです。私はそういうことからいって、いまの考え方は、大学局のほうにも徹底的に考えてもらわなければならぬ点もあるし、厚生省のほうもよほど考えてもらわなければ、いま若松局長が言っておるようなそんな問題にはなっていかない。むしろ逆の効果だろう。肝心の受けいれる大臣はそういうことをしたいと言っておられる。先ほどの藤田委員の質疑の中でも、大臣の考え方はむしろ正しいと思うんです。できるだけそういうことをやって、そしてあまり二年ということにこだわらないで、もっと勉強させる場をつくっていこう、勉強させながら医者の需給関係もうまくやっていけるようなことを考えられるんだというようなことに通じていくと思う。いまの局長の考え方は、前進的なことをほうっておいて、国立病院に来い、あそこを教育病院に指定すると言ったって、指定されるだけの値打ちの全然ないところへ若い人が無理に引っ張っていかれて、わずかばかりの謝礼金をもらって、いま言っているような忙しい外来や入院患者、それに対して下働きをせいということがはっきりと出ているのだから、それはだめだ、どうしてもできないことに通ずるのだと思うのです。ですから、いま話をずっと聞いておりまして、さっきの質疑の中にもありましたように、あるいはまた、四月三日ですか、参議院の予算委員会で大臣は言っておられますが、少なくとも研修の期間、十分な整備をされた教育環境をつくることが第一であって、新しく資格を得た医師が希望を持ってみずから進んで研修ができるようなそういう環境をつくることが大事だということを言っておられるわけですが、そういう考え方と、いま局長が言っているのとは全然反対で、ここにこの法律を出していこうという考え方とはぼくは相いれないものがあると思う。局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/92
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093・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 完璧な研修体制をまず準備してそれから制度を変えろというお話かと思います。これももちろん一つの考え方で、まずその受け入れ体制を完璧なものに仕上げるということでございますが、これはなかなか時間もかかることでございますし、また、一方、インターン制度を廃止するということもまた緊急を要することでございますので、私どもといたしましては、両方を同時に並行してやっていこうということでこの制度に踏み切ったわけでございますが、教育病院というものも、従来は、いわゆるインターン指定病院というものは二百数十カ所ございました。しかし、それは、現在考えている教育病院としては適当でない。したがって、これは厳選して、これをしぼっていこう。しぼっていきますと、従来のインターン病院のうちの相当いい病院がしぼられてまいります。これは、従来からインターン病院として相当の実習訓練も経験いたしておりますし、すでに相当環境の整っているものも多数ございます。そういう意味で、全く新たに教育病院を設定するのじゃなしに、むしろすでにある程度経験があり、あるいはかなり整備された病院を含めまして、従来のものを一そう厳選し、かつ、一そう整備していこうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/93
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094・大橋和孝
○大橋和孝君 もしいま局長が言われたような線でいくならば、厳選されたところに一年、二年と研修をさせようとしていくわけですけれども、しかし、あなたのいま言っておられる、私も言っているように、医者の需給関係が、この二年間の間はずっとくぎづけにすることになるわけですよ。そういうことから考えましても、需給問題と研修の問題というものは、もっともっといろいろと考えられなければ、いま言っているようなことは逆行するというようなことにもなると考えられます。同時に、二カ年間の研修をいとやさしく受け入れて考えておられるようですけれども、これは非常に問題が大きいと思うんですよ。並行してやりますとあなたおっしゃっているけれども、並行してやるとはどこに法案の中に出ていますか。ただそのことはあとから考えようというぐらいの程度であって、たとえば何年以内にどういう計画でどういうふうなものにするのがあなたの考えているところの教育病院であるか。少なくとも大臣は言っておられるわけですけれども、みんな喜んで行くような環境のものでなければならないと言っておられるのだが、そういうものにするためにはあなたどういうふうに計画しておられますか。その計画がなければ、両方で一緒に並行してやっていくということが言えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/94
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095・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) そのような環境の整備をするためには、どうしても病院自体の整備、それから病院自体が何がしかの経費も一支出してやらなければなりませんし、また、指導者の確保という問題もございます。そういう意味で、そのような諸経費について従来のインターン制度のときからこの二、三年努力してまいったわけでございますが、昨年のインターン制度を運用いたします金が約二億でございましたけれども、今年度は文部省、厚生省を含めまして約八億という経費をかけまして、環境の整備、あるいは一部は研修を行なう医師の、不十分ではございますけれども生活の安定の資を獲得したという意味で、並行して、不十分ではございますが、教育病院等の整備も緒についたということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/95
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096・大橋和孝
○大橋和孝君 これは私はずっとあれするためには、もう少しいろいろな方向で議論してみようと思います。これはいま申したような医者の供給関係ということからいっても、ぼくは非常に大きな問題があると思いますから、これについてよく話を詰めて議論をしたいと思いますが、ひとつ私はここで大臣にちょっとお伺いしておきますが、先ほど私が申しましたあの気持ちに対してはお変わりない、たとえば参議院の予算委員会でもお話しになっておられました環境整備という問題、そういう考えについてはお間違いないと思うんですが、そういうふうに私は十分理解さしてもらっておりますが、それでよろしいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/96
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097・園田直
○国務大臣(園田直君) 間違いはございません。ますますその気持ちを強くいたしております。 なお、この法律案をかりに成立さしていただければ、早急に国家試験を行なうわけでございまして、そこでお医者さんというものが新しく生まれるわけであります。そのお医者さん方がこの法律にきめる研修生を選ばれるかどうかということが問題でございまして、お指図のとおりに、これは新しく生まれるお医者さん方を目標につくったものでございまするから、いろいろ誤解や、あるいは未来に対する不安があると思いますが、そういう点を、できるだけ財政的な措置、あるいはきまっております財政の中でも苦労をすればやりくりができるわけでございまするから、そういう点をして将来に対する方向を明示し、今日の置かれた状態から新しく生まれたお医者さん方が不満ではあってもなるべくこの研修をやっていただくようにお願いする努力をしなければならぬと思いますが、それにつきましても、ただいま医務局長が答弁いたしました中で、設備の厳選をすると言いましたが、厳選ということと数をしぼるということは同じではございません。これははっきり私はこの前も言っておりますが、そうなってまいりますと、なるべく多数研修をしていただくためには、今日の状態ではなるべく研修される方々が自分の希望する場所で研修されるようにわれわれは努力することが必要であると考えます。したがって、その点は、インターンの場合に割り当てたかどうか過去のことは知りませんが、国立病院に何名、大学病院に何名というふうに割り当てたとおりに喜んで研修されるということは考えられない。インターンの場合には、まあ悪くいえば医師の資格をとるための資格でありますが、今度は自分がほんとうに勉強するということでありまするから、おのおの勉強したい好みもありましょうし、あるいはだれだれ先生のもとで勉強したいということもありましょうし、いろんな医師としての観点からそれぞれ志望があると思います。そこで、なるべくその志望をかなえるようにすることが第一。 第二番目には、それがかなえられない場合にも、その趣旨に沿うようにするにのは、やはり教育病院を厳選するという意味は、なるべく研修される方々が好みに応ずるようにしなければならぬということや、また、今度は、一つは、この教育の計画といいますか、二年間の研修の科目等でございまするが、これもまたいま問題になっているようでございまするが、これは教える方と教えられる方との立場は違いまするけれども、われわれとして考えなければならぬことは、その教育の科目というものをどのように適切に文部省とお話しして持っていくか。あるいはまた、現実に沿うように、たとえば大きな病院に参りますると、だとかあるいはメスの処理だとか、手術後の処理等は、全部それぞれ専門分野がございまして、実際の勉強はできない。したがって、自分で開業しようと思う人、あるいは将来大学に残る人、こういうものによっていろいろ違うと思いまするが、そういう場合には、指導を担当した病院長がそれぞれよそへ勉強にやったり、あるいは本人の希望によってどこかの病院でしばらく研究をさしたりもするような、病院長に相当幅を持たした弾力性のあることを考えなければいかぬのじゃないか。
それからもう一つは、病院並びに研修生の諸君に、いまの待遇を決して私自身十分であるとは考えておりません。しかも、文部省の大学病院と私立の大学病院あるいは国立病院などというものはその待遇も違うわけでありまして、これは非常に申しわけないことでございますが、実際は財政折衝の場合に、それぞれ支出の分野で一銭でも多くしたいという努力からこういう無理が出てきたわけでありまして、こういうものに対する将来の明確なる措置、保障というもの、こういうもの等をやりながら、なるべく納得を願って多数研修をしていただくような努力をすることがわれわれの責任であると考えます。
なおまた、無給医局員とこの研修生の問題は、ずっと遠引していけばつながりがあるかもしれませんけれども、研修制度ができたからといって、無給医局員がなくなったり、あるいはこれが減ったりすることはないのでありまして、むしろ、二カ年間国家の補助を受けた研修生の諸君が、終わったあと残ろうとされれば、いまのままではまた無給医局員になられるおそれがある、こういうふうに考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/97
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098・大橋和孝
○大橋和孝君 時間がないので終わりますが、いま大臣のお話の中にありましたように、インターンの制度は、今度の改正によっていろいろ不安があるわけでありますね。この点、結局、この段階でちょっと資料的に数字を聞いてまとめた意見を聞かしていただきたい。これは、文部省に対して、あるいはまた厚生省に対しても、あるいはまたそのほか労働省のほうでも、そういう人たちの身分を、たとえば労働省なら労働省の管下の病院へ行っている人たちの身分を一体どういうふうに見るかということ、前の衆議院の段階でもその質問に対してまだ意見が一致していないような感じがいたしますけれども、そういうことを含めてひとつ回答願っておけば、審議の上においても非常に私は便利だと思いますから、いわゆる身分の不安定である点に対してはどういうふうにするか。それから大学病院、あるいはまた国立病院、両方のほうから考えてみましても、一体、医師の指導体制をどういうふうにしていくか。いわゆる指導医師の不十分さというか、あるいはまたそういうところの制度なんかに関する不安があるのではないか。あるいはまた、経済的な裏づけはどうか。あるいはまた、いろいろ財政的にも、教育病院なら教育病院に指定されるところにどんなふうな財政的な裏づけをしてそしてそれを解決されるのか。あるいはまた、国立の大学というようなところでの研究体制と、それから国立病院あたり厚生省管下のそういう大きい病院と言われている病院の研究体制と、そんなに大きな差があってはいけないので、やはり研究もし、あるいはまた実験にも当たり、あるいはまた、患者をみた上のいろいろな問題点を動物実験なり何なりをして裏づけをするような研究もできるというふうな形のものが望ましいと思いますけれども、そういうふうなものを含めて、一体、いま厚生省はどう考えているのだ、文部省のほうではどう考えているのだ、あるいはまた、そういう人たちの身分の上からは労働省としては一体どういうふうにして保障をしてやるのか、そういうようなことも少しまとめてこの次までにお考え方を知らしていただきたい。それについての審議を進めていく中でやはりいろいな不安を解消していくことにもなるだろうし、一つの大事なことだと思いますので、ちょっとそういうことをお願いしておいて、この問題を中断さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X00919680423/98
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099・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もなければ、本案の質疑は本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。
午後四時十八分散会
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