1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月十四日(火曜日)
午前十時三十三分開会
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委員の異動
五月九日
辞任 補欠選任
玉置 和郎君 植竹 春彦君
五月十日
辞任 補欠選任
植竹 春彦君 玉置 和郎君
大橋 和孝君 野々山一三君
小平 芳平君 鈴木 一弘君
五月十一日
辞任 補欠選任
鹿島 俊雄君 鈴木 万平君
鈴木 一弘君 小平 芳平君
五月十三日
辞任 補欠選任
鈴木 万平君 鹿島 俊雄君
野々山一三君 大橋 和孝君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本伊三郎君
理 事
鹿島 俊雄君
黒木 利克君
大橋 和孝君
委 員
植木 光教君
紅露 みつ君
玉置 和郎君
船田 譲君
丸茂 重貞君
横山 フク君
藤原 道子君
小平 芳平君
発議者 藤原 道子君
国務大臣
厚 生 大 臣 園田 直君
政府委員
総理府恩給局長 矢倉 一郎君
厚生大臣官房長 戸澤 政方君
厚生省公衆衛生
局長 村中 俊明君
厚生省環境衛生
局長 松尾 正雄君
厚生省医務局長 若松 栄一君
厚生省薬務局長 坂元貞一郎君
厚生省援護局長 実本 博次君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○清掃施設整備緊急措置法案(内閣提出、衆議院
送付)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律
案(藤原道子君外二名発議)
○社会保障制度に関する調査
(沖繩のハンセン氏病に関する件)
(医薬品広告規制等に関する件)
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001・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
理事補欠互選の件についておはかりいたします。
去る十日、大橋和孝君が、また、十一日、鹿島俊雄君が、一たん委員を辞任されましたので、理事が二名欠員となっております。この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。
互選の方法は、先例により、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/1
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002・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。
それでは、理事に鹿島俊雄君及び大橋和孝君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/2
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003・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 清掃施設整備緊急措置法案を議題といたします。
これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/3
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004・大橋和孝
○大橋和孝君 自治省がまだお見えになっておらないようですから、先に質問さしていただきまして、自治省にあとから少しお伺いしたいと思います。
清掃の中で、従業員の足の問題がありますが、従業員が非常に足らないために、多くは近県の農家の子弟なんかを集めておるようでありますけれども、そういう関係で、宿舎の問題とか、あるいはまたそういう職員に対していろいろ職場での処置をしないとなかなか確保できないという状態になっておるようでありますが、作業を開始するのもおくれたり、そういうようなことで従業員の確保の問題が問題になっておるようであります。それからまた、電車が終電から初発までの間、こういうときに清掃に従事しておる人たち、こういう人たちの深夜の収集、こういうものに対してもいろいろ問題があるようでございますが、こういうことに対していろいろと配慮はされておると思いますが、どのようにしてこういうようなことに対して特別な処置をして確保しておられるのか、そういう問題についてちょっと聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/4
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005・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 清掃関係の従業員の処遇及び待遇の改善という問題につきましては、ただいま先生御指摘のように、この事業を進めます一番根幹をなす問題でございまして、私どももかねがね市町村を通じましてできるだけ誇りを持ってこの仕事ができますような処遇をしますように指導いたしておるところでございます。実態は、必ずしも満足するような状態になっていない面もあるかと存じます。中には、御承知のように、川崎等のように、私どももびっくりいたしますようなりっぱな一つの施設をつくり、そこにむしろ希望者が殺倒するような状態をつくっているところもあるわけでございます。私どもといたしましては、さような点をもモデルにいたしまして、従業員の福祉の促進ということに対して、特に来年度からは起債その他の条件をもってもひとつ手当てしたい、かような計画をいま検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/5
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006・大橋和孝
○大橋和孝君 それからもう一つ、別な観点で、深夜のこうした問題で、たとえば都会の住宅街あたりでは、たぶん四十ホンでしたか、規制があるはずですが、やはり自動車で収集したりなんかするそういうふうな騒音とか、そういう問題がある程度問題になっているように思います。まだほかにも、一、二問題はあるように聞いておりますが、そういうふうな問題は、どういうふうにいま処理されようとしているのか。外国では、そういうことに対して非常に配慮が払われているように思いますけれども、そういうことに対していろいろ考えてもらわなければいかぬと思います。
それからもう一つは、街路の照明やなんかが影響するという、暗いようなところでの作業に危険が出ている、それからまた何か交通事故がそれによって起こっている、あるいはまた過失によって事故が発生したりしているというような例もたくさん出てきているようでありますから、こういうような問題に対しても、もう少し前向きのいろいろなことを考えていかなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、そういう観点はどういうふうになっておりましょうか。
それからまた、最近では、深夜にものを集めに行くというので、いろいろ断わられたり、あるいはまた非常なトラブルがあって、取りに行くほうの人はかなり犠牲を払って行っているのに、受けるほうでは迷惑がるというようなわけで、両方の善意がそこでぶつかるようなことが非常に多い、こういうようなことも清掃の面では日常出先で起こっているわけでありますけれども、こういうことを調整されるには、もとのほうでやはり相当配慮される必要があると思うのですが、そういう観点についてもちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/6
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007・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 日本では、深夜等にごみを集めますような作業は、比較的まだ少ないようでございます。しかしながら、日中、御承知のように、かような現代のような交通の渋滞いたしますようなときに、清掃関係の車が交通の渋滞した中を通っていくということで、非常に作業能率が落ちまして、市民サービスの確保も十分できないというような面が出てまいりました。そういう意味におきましては、御指摘のように、早朝あるいは深夜の収集ということが望ましいという面も出るわけでございますが、一面、また、それに従事される従業員の方にとりましては、必ずしもそれが十分な満足すべき労働条件というようなことが確保できないという面もございまして、ただいまのところは私どものほうでいずれがよしというようなことを断定いたしましたような指導はいたしてはいないわけでございます。それぞれ地域の実情に応じましたとり方ということで、そのいずれをもとり得るような弾力的な態度をとっておるわけでございます。しかしながら、ただいま申しましたような交通の問題、あるいは、従業員の方方の御希望の中にも、さような早朝なり深夜のほうをよろしいというような御意見もあるようでございます。ただいま、私どもは、都市センターの中に各方面の方々の近代化委員会というようなものを組織いたしまして、清掃事業を近代化いたしますための諸般の問題につきまして鋭意検討を続けさせているわけでございまして、そういう結論を得次第、次第にその合理化の方向へ向かいまして努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/7
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008・大橋和孝
○大橋和孝君 それから今度は、清掃法における直営の原則のことについて厚生省によく聞いておきたいと思うのでありますが、昭和四十二年の八月四日に、「昭和四十三年度の地方財政措置について」という財政局長の通達が自治省のほうから出ているわけです。この直営にするということは、清掃法のたてまえについては、原則としてどれがたてまえであるかについては、法律の中に規定はない、ただ、全体を流れている思想から見て直営でやるという考え方になっておると、衆議院のほうでもそういうふうな答弁が前にあったやに思うのでありますが、いま厚生省としては、清掃を直営でやるというようなたてまえ、もちろんそのたてまえだと思うのですけれども、いまどういうふうにそれに対して行政指導をされているか。自治省にはあとからお尋ねしますけれども、直営でやるのと、委託でやるのと、それからまた民間に下請さすのと、いろいろと条件が違っているわけでありますが、そういうような点に関して、現状はどうであるかということと、その考え方についてはどうするか、前にはあいまいなところがあるわけですから、今後それをどうしていくのだということを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/8
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009・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 清掃法のたてまえといたしましては、すでに御承知のとおり、特別清掃地域におきましては、市町村みずからの責任をもちまして汚物の収集、処分をしなければならないということになっております。それからまた、かりに委託をいたしました場合でも、そのすべて一切がっさいを委託するというようなことでなく、政令の中でしぼっておりまして、委託の条件、あるいはその計画等については一切まかせないというような態度をとっております。また、特定の許可業種というものを認めておりますけれども、その許可業種に認める場合におきましても、市町村みずからが実施することが困難な場合に限るということで限定をしておるわけであります。そういうようなことから申しまして、清掃法のたてまえといたしましては、あくまでやはり市町村の直営ということを原則として貫いておるという点につきまして、私どもはいささかもゆるんでいないわけでございます。
ただいままでの現状の御質問がございましたが、ごみの処理につきましては、大体全処理量の八五%強というものが直営で行なわれておりまして、この点につきましてはかなり確保されておるわけでございます。屎尿の収集につきましては、やや伝統的な昔からの習慣というようなものもございまして、約三割程度が直営であるというような実態でございます。この問題につきましては、要は市民のサービスということを確保するという観点に尽きるとは申しながら、往々にして市町村みずからの責任によらない場合のために、せっかく建設いたしました屎尿処理施設が十分にそこに能力を発揮できるような収集ができない問題でありますとか、あるいは末端におきまして家庭との間にトラブルを起こしますとか、そういうようないわば清掃事業といたしまして好ましからざる問題というものは多数出ているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、従来、この法律の精神をたてまえといたしまして、また、解釈の上におきましても、軽々に形式的に地方公共団体が流れていくというようなことがないように、具体的な事例につきましては、気がつきましたことにつきましては、個々に私どもは手を打っているわけでございますけれども、なお、この法律の施行という問題にあわせまして、いずれそういう施行通牒等を出す機会があるわけでございますが、重ねましてそういう点については強調いたしまして、誤りのないような指導を強化してまいりたい、かように考えているわけでございます。
また、御指摘の自治省から出ておりますところの通牒の中に、一つの例といたしまして、こういう屎尿、じんかいの収集、処理というようなことが委託してもよきかのような表現を使われているわけでございまして、単にこういったものを形式的に判断をいたしましてやすきに流れるということがあってはならないという態度でございまして、私どももそういうただいま申しましたような内容について十分誤りのないように確保してまいりたい。特に終末のごみ焼却揚でありますとか、あるいは屎尿処理施設につきましては、厚生省令の維持管理の基準におきましても、直接市町村みずからが維持管理をしなければならないということは明記しているわけでございます。かような趣旨につきましては、厳重に確保をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/9
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010・大橋和孝
○大橋和孝君 大体お話を承ったのでありますが、もう少し明確にするために、ちょっと話を詰めておきたい。先ほど申しましたように、皆川参事官の答弁の中に、四月十八日の衆議院の社会労働委員会ですが、清掃法のたてまえについては、原則としてどれがたてまえであるかについては法律的にぴちっとした規定はないんだ、ただ、全体を流れる思想からして直営でやるという考え方である、こういうふうに言っているわけですが、これはいま局長のほうからそうでないということは明確にされたわけであります。しかし、清掃法の第六条の第一項には、市町村は、特別清掃地域にあっては、汚物を一定の計画に従って収集し、処分しなければならないというふうな規定になっているわけですし、また、地方自治法の第二条第三項の七号には、清掃に関しての事項を処理することは地方公共団体の固有の事務であるということも規定されているわけですね。こういうふうな規定の上からまいりますと、この二つをかみ合わせてみますと、清掃事業に関する市町村直営の原則は、言われるように清掃法の全体を流れている思想からというようなそういうようななまやさしいものではなくて、いま局長が話されたように、地方自治法でもある程度規定されているわけですから、地方自治体としては、法律的に規定の文章がないとかなんとかいうのじゃなくて、そういうふうな自治法のたてまえから言いまして当然固有の事務であるし、そういうことが規定されているわけですから、これは直営でやらなければならないという法律的な解釈と、こういうふうに考えていいのじゃないかと思いますけれども、そういう点を明確にしておいていただかないと、そんなふわっとしたことでどんどんと下請けになったり委託になったりすることがあってはならない。それは非常に大きな問題を起こすのだというその差をもう一ぺんあとから質問してみたいと思いますけれども、そうした点をはっきりさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/10
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011・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘のとおり、私どもも市町村の固有の事務であるといったような解釈に立っているわけでございます。ただいま御指摘の第六条の中にも、先ほど私も申し上げましたとおりの表現がございまして、いまおっしゃったような解釈を私どももずっと貫いているというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/11
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012・大橋和孝
○大橋和孝君 直営、委託、請負というような方式で運営されているわけでありますけれども、清掃法の改正が行なわれてから直営に移行してきた経緯とそれから現在の比率、どういうふうな比率の状態であるか。また、委託は直営に含まれているのかどうか、それから委託の比率も聞かせていただきたい。それから許可業者に請け負わせしている比率、どのくらい請け負わせておるか。それから直営と委託と請負によって住民の負担が違っているはずであります。直営が一番安くてあとのほうが重いとか、いろいろの点があると思いますが、この点はどうなっておるか。それから第五点は、直営に移行に伴う経過措置というものが問題になると思うんですね。もし直営に移行させる場合に、御存じのように、前日までその清掃をやってもらっておったのでは、たとえば職業転換をするために何かの期間準備をするとかということができないわけでありますから、そういうことに対する補償とか、そういうようなものも相当経過措置としてしなければならない問題があると思うんですが、それはどういう対策が行なわれておるか。この五点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/12
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013・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 四十年に法律が改正されました以後の状況でございますが、屎尿の収集につきましては、四十年に直営をやっておりましたのが二百一市町村でございますが、四十二年の十二月末では二百三十というようにふえております。同様に、許可は千六十三市町村ございましたが、これが八百五十というように減少いたしております。この点につきましては、そういう直営の方向というように進んでおると申し上げていいと思います。かなりそういう努力が払われておるわけでございます。
その量的な関係につきましては、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、ごみの収集につきましては、現在八五%というものが直営でございます。この中には御指摘の委託の問題は含まないで、別といたしまして集計をいたしておるわけでございます。許可が四十年におきましては約八・一%ほどごみの量としてございましたが、ただいまのところ七・六%というふうにこれも多少ながら減少しておるわけでございます。市町村の数にいたしましても、あるいはごみの収集量から申しましても、やはり直営のほうがごみにつきましてはふえつつあるというふうに申し上げてよろしいかと存じておるわけでございます。
なお、料金の問題等がございましたが、許可にいたしました場合であっても、その料金は市町村の条例できめた手数料以上にこれはとってはならないという原則が規定してございますので、いたずらに高いものがとられるということは一般にその面においてはないと考えてよろしいかと思いますけれども、しかしながら、現状を見ますと、全体の歳出の費用の中で、ごみにつきましては六・六%、屎尿につきましては一八・二%が手数料による費用でございまして、言いかえますと、大部分のところが無料でサービスをしておるという面が多いということを物語っておるわけでございます。したがいまして、そういう面から申し上げましても、いわば許可業者という方向にみだりに流れるということは、無料ではできないという問題がございまして、住民の負担がそれだけ増すという問題がございます。そういう点も考慮いたしまして、先ほど来の方針で臨みたいと考えておるわけでございます。
それからなお、こういうような直営方式が前回の改正で強く打ち出されまして、その経過措置につきましての補償という問題の御質問がございましたが、直接そういう業者の補償ということはただいまのところむずかしい問題でございます。しかしながら、一般の市町村がみずから行なわなければならないごみというもののほかに、最近におきましては、たとえば浄化槽が普及いたしますが、そういうような浄化槽の維持管理、あるいはその汚泥の処理というものが一般にはなかなか困難な問題でございます。また、大きなビルの中にございますいろいろな汚泥という問題、あるいは産業汚物というようなものが逐次ふえてまいりまして、こういったものがむしろこれからの清掃事業の大きな一つの問題になるのではないかと考えておるわけでございまして、私どもは、そういう面におきまして、既存の業界の方々には、たとえば浄化槽の維持管理について十分な能力ができますようないろいろな訓練とか講習の機会を持って、逐次そういう方向の新しい面に転換をしていただくというような方向で指導を申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/13
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014・大橋和孝
○大橋和孝君 これは経過措置的にはよほど考えないと、業者も困るだろうし、それからまた、もちろんそういう進み方なり方向をとって直営にするということが絶対必要な観点からして、経過措置に対しても十分配慮してもらいたい、こういうふうに思います。
それから整備計画から取り残されておるところの分野が、たとえばごみで言いますと、特別清掃地域に入らない一〇%の人々が排出するものがあるわけですが、これは非常に量も多い、五千トンぐらいにのぼるんじゃないかと思います。また、屎尿にありましては、計画外に置かれているところの千四十四万人の人が出すところの千二百五十二万リットルにのぼるような量が出ているわけですが、非常にはみ出しておる分が大量にあるわけです。
ところが、これはどういうふうに処理されているかといえば、どこか遠方に離れたところに放棄されたり、あるいはまた、答弁を聞いておりますと、農家が処理するんだとか、周辺から離れたところの自然の空地の多いところでこれが処理されていくというような答弁をいままで聞いたと思うのですが、そういうことでは、逆に言えば、自然保護という面にぶつかるわけでありましょうし、それからまた、農家のほうを調べてみましても、いままでは人肥を使うという率は非常に減ってしまって、ほとんど一%にも満たないという現状でありますという報告になっておるわけでありますが、そういう点から考えますと、この残された分野をどうするかという問題が非常に大きくなってくると思うのですが、こういうことについてはどういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/14
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015・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 今度の五カ年計画におきましては、ただいままで特別清掃地域の人口というものが約六九%、六千八百四十三万人が四十一年末に特別清掃地域といたしまして清掃事業の適用を受けておるわけであります。次第に今後の都市化という問題等、あるいはその地域の拡大というようなことから見まして、四十六年におきましては私どもは全人口の九〇%というものが特別清掃地域内に入る、先ほど来の市町村の責任によるごみなり汚物の収集計画の中に入る、こういう計画で進めておるわけでございますが、御指摘のとおり残る一〇%の人口というものは、これは主として山間農村のほうにおられる方でありますが、この点につきまして、御指摘のとおり、五カ年計画の中ではまだ手をつけていないわけでございます。かつては、農家におきますところのそういう屎尿等の処理は、むしろ自家消費でもってさばけるというような観点がございましたが、今日は、御指摘のとおり、そういう事態はございませんし、農村におきましてもこういう汚物の処理というものは実は非常に大きな悩みになっておるということを私どもよく承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、とりあえず九千三百万という人口の九割を目標といたしまして、そこにおけるごみの処理、汚物の処理というものはまずとにかく手がけたいという計画でございますが、同時に、残ったものにつきましても、その次の計画、あるいはその年次途中におきましても、適当な方法を考えまして処理を進めるようにはかってまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/15
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016・大橋和孝
○大橋和孝君 そういうような残余の分は、自治省で考えておられるのと厚生省で考えておられるのと差が出ておるようであります。自治省あるいはまたそういう方面では、排出の基準あたりを考えて、非常に低く見積もっておるという。今後そういうことが各自治体で行なわれる場合に、厚生省の考えと自治省の考えで格差があって、これは私はむしろ厚生省の考え方が正しくて、自治省のほうがそれを押えておるような感じを持ってそういう報告も見ているわけです。そういう関係も含めて、自治省とも十分な連絡をとってこれを十分に処理してもらうように方法を考えてもらいたい。
それから次にお伺いしたいのは、酪農とか養豚、ああいうものの奨励政策との関連でありますけれども、こういう家畜からの排せつ物というものは人間の五倍だといわれておるわけでありますが、そうなりますと、相当ばく大なものになりますからして、これを十分処理しないと、周囲の住民に対する影響は非常に大きいわけであります。悪臭とか、あるいはまた、いろんなものが流れるとかということでありますから、こういう処理というものについては相当根本的なものをしなければならない。それからまた、排せつ物の質のほうから見ましても、有機物の含有量が多いから、施設の処理能力を人間の場合よりも相当高めなければならない。人に対して不快な感じも与えるというだけでなく、排せつされることによって公害もあちらこちらに起こっている。こういうようなことは、私は、むしろ農林省のほうで対策をはっきりと樹立すべきじゃないかというくらいに思うわけでありますけれども、しかし、こういう問題に対しては、やっぱりその最終の責任は厚生省にあると思うのであります。そういうことは、厚生省のほうから相当積極的になって農林省とも打ち合わせしながらこういうものに対する処理をしないと、いつまでたってもそういうものが解決していかない、こういうふうに考えるわけです。
それからその次にもう一つ、時間をつづめるために質問を続けていきますけれども、業務上から生ずる多量の汚物、こういうものもあるわけです。清掃法第七条では、市町村長の指定する場所に運搬し、処分するということになっているようでありますが、これに対しての計画は、今度の整備計画との関連で今後どういうふうに多量のものにはやっていくか、こういうことに対しても明確にしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/16
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017・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 第一点の家畜の汚物でございますけれども、先生御指摘のとおり、これからの清掃問題の一つの大きなポイントであると存じております。特に多頭飼育、多数の家畜を飼うという傾向が強くなっておりますので、その量はまことにばく大なものになるわけでございます。まあえさ等によりまして多少の差はあるようでございますが、豚の場合でございますと、普通人間の排せつ量に対して量的に言いましても約五倍程度のものが一頭から出てまいります。したがいまして、もし一万頭飼いますと、人間に換算すると五万人というような量に相なるわけでございまして、量的に見ましても実はたいへんな問題でございます。しかしながら、同時に、この問題につきましては、非常に難点が一つございまして、先生も御指摘のように、BODとか、生物学的な有機物の量というものが人間に比べまして高いわけでございます。したがいまして、一般の屎尿処理あるいは下水の処理施設のほうにこれを導入いたしますと、きわめて大きな負担がそこにかかりまして十分な処理ができない、こういう問題もあるわけでございます。
その両者を考えますと、処理という面から見ますと、量的には数倍、それからまた処理に要しますところの負担がまた十倍程度、こういうことになりますと、この処理については実は人間の数十倍というような処理能力をもって対応しなければならないという問題がございます。私ども、そういう点で技術的に何かいい方法はないかということで、ただいままで苦心していろいろ研究等も進めてまいりましたが、今年から農林省におきましては三カ所で家畜のふん尿を処理するという実験的な予算がついております。現実に、約千頭程度のところを三カ所ほど選びまして、そこで処理の施設をつくってテストケースとしてやろうということが試みられております。また、私どものほうでも、公害防止事業団——ただいま公害の一因だというふうにおっしゃられましたが、そのとおりの問題を含みます場合が多いのでございますので、公害防止事業団等における事業の一環としても取り上げていいのではないかということで、ことしからやはり取り上げるべくただいま公害防止事業団でも検討を進めているような状況でございまして、ぜひこういうような問題を早急に解決をして進めてまいりたい、やはり特別な対策を立てなければならぬと、こういうふうに考えているわけでございます。
それから第二の多量の汚物の問題でございますけれども、これは御指摘のとおり産業廃材というようなものが多数出てまいりまして、また、最近の傾向といたしまして焼けないようなごみ、耐久消費財、そのうち、おそらく自動車もごみの中に入るだろうと存じますけれども、所有権を失って捨てましてほっぽり出しているというような冷蔵庫だとかテレビの古いものでございますとか、そういうような耐久消費財のごみというものがたいへん難物の問題になっておるわけでございます。この問題の処理も、やはりある意味で技術的に考えなければならぬと思います。私どもは、そういう問題につきましては、一つは埋め立てという方向で持っていかなければならぬと考えております。ただし、これも、単に内容の空洞化したようなものを埋め立てましても、あとの処理が困難でございますが、最近ようやくプレス等によりまして圧縮をするような技術というものも実用化の段階に入ってまいりましたので、私どもは、そういう多量の収集の困難な、あるいは焼くこともできないようなごみというものについては、新しいそういう圧縮等の方法も導入いたしまして、そしてそれを強固な物体に変えまして埋め立てをするというような計画をいま進めております。ただし、その埋め立て地等の確保ということが、ただいまの清掃法の言いますような一市町村単位というようなものでは、なかなか解決がつかない問題があると存じます。したがいまして、おのずからこういう問題は広域化された埋め立て地の確保ということも必要であろうし、また、海等に捨てます場合でも、単に埋め立てる場合でも、外海に堤防をあらかじめ築いておくという配慮も必要でございますので、私どもは、そういう問題を公害防止事業団の仕事の中に積極的に取り入れて、そしてあらかじめそういう用地を確保し安全に埋め立て地をつくるという、こういう計画を進めて対処すべきではないかということで、いま検討を続けているような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/17
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018・大橋和孝
○大橋和孝君 それでは、次にお伺いしたいのは国の技術的な援助についてでありますけれども、清掃法の第二条第三項には、国は、汚物処理の科学技術の向上を図り、市町村、都道府県に対して技術的援助を与えるということが規定されているわけです。現在、計画実施にあたって市町村が最も困っている問題は、お金が足りないことのほか、処理施設を設置する場所の確保について、いまちょっとお触れになりましたように、なかなか市町村単位ではできない面もありまして、それは広域に考えてしてもらわなければならぬのですが、付近の住民の反対にあります。これは、そういうような反対を押し切ってやらないで、何かまた別の技術的な面の開発向上によって解決できる面があるのではないかと思います。そういう点なんかは、一体、どうなんですか。特に処理施設自体からの臭気とか、あるいは運搬過程からの臭気があるわけですが、これらのものは何か具体的に指導をして、そして具体的に援助していくような方法を考えなければいけない。特にそこにはもう少し技術的なものを加味して、そしてこれがうまく援助ができるように、そういうものについては予算もつける、そういうことが必要じゃないかというふうに思うわけであります。
また、先ほど、立地的関係も、地方自治体にまかしておいたのではできないということですが、やはりそういうことも考えなければならない。狭い地方自治体では解決ができないという問題もあるわけですから、そういうことも含めてもう少しその中に技術導入をすべきじゃないか、そういうふうに思うわけであります。
第二点は、国の財政援助でありますけれども、清掃法第二条第三項には、国は、市町村、都道府県に対し、必要な財政的援助を与えることができることになっているわけです。また、同法の第十八条には、ごみまたはふん尿を処理するために必要な施設の設置に要する費用の一部を補助すると、こういうふうになっております。
それで、施行令の第六条に補助の対象から「ごみ」が抜けている理由ですが、政令の定めに委任してあっても、法律にはごみが規定してあるのだから、政令によって全然対象としないのは何かおかしいように思いますが、こういう点なんかはどうでございますか。
それからまた、「ふん尿」とあるから、家畜のふん尿ももちろん対象に入るべきだと思うわけです。先ほどのあれでございますが、こういう点なんかは一体どういうふうになるのだろうか。
それからまた、市町村が設置計画の申請をしながら実施を繰り越しているものが毎年どのくらいあるか。国の援助がつかなければ特別起債も認められない、こういうような状態で、こういうことがおくれている面もあるように思います。これのことなんかに対しても、どういうふうなことで根本的にやってもらうか、こういう時期に一ぺんはっきりしてもらいたい。
また、緊急の整備計画の確定によりまして右のような事態がどのくらい改善されていくか、これらの見通しについても伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/18
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019・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 技術的な援助の問題につきましては、御指摘のとおりでございまして、私どももあらゆる手段、あるいは印刷物その他講習会等を通じまして、できるだけ市町村にまで技術的な浸透ができますような努力は続けているつもりでございます。特に、住民の反対問題等に関連いたしまして、それを解決するためのいろいろな方法というものがある点は、おっしゃるとおり技術的な導入によりまして解決できる場合がございます。たとえば汚水処理の問題にいたしましても、その建物全体が外側に向かって空気が流れないようなそういう気密的な装置を施すことによりまして、それから外部ににおいが出ない、あるいは、半地下あるいは地下というような方式をもちまして汚水の処理をやるということ等によりまして、上のほうはきれいな緑の公園みたいになって、その地下のほうで汚水が処理されているというような施設もございまして、そういうような技術的なものを加えますことが、御指摘のとおり、住民の反対というものを少なくしていくゆえんであると存じます。私どもがこういう問題を個々にいろいろ処理いたしますにあたって、もう一点私どもが考えておりますのは、都道府県の段階における技術的な指導力というものが弱いところ、こういうところはえてしましてやはりいろいろな問題を起こしておるというような問題もございます。したがいまして、市町村等については必ずしも十分な技術者がいるわけじゃございませんので、まず都道府県の技術者を指導し、それがまた十分相談に乗って解決ができるような方式でやりたい、こういう点でいま研究いたしまして、それぞれ措置をいたしたいと考えておるわけでございます。
それから財政的な援助につきましては、御指摘のとおり、必ずしも私どもこれで満足いたしておるわけじゃございません。屎尿処理につきましては、ただいま御指摘のように、法律に基づく補助金の率というものも政令に書かれておりまして、ただいま何とかこれで確保してきておるわけでございます。
ごみにつきましては、私ども何のゆえか過去の経緯はわからないのでございますが、補助対象というものが明定されていないという点、それからまた、補助金の額にいたしましてもたいへんごみのほうは少ないわけでございます。ことし、大臣の御努力によりまして、一億ふやして七億という線にしていただいたわけでございますが、これも非常な努力をお払い願ったというような事情でございます。しかしながら、今後は、屎尿の問題もさることながら、ごみというのは、文化の生活によりまして非常に増大をしてくる問題でございます。むしろこれからの大きな重点をごみのほうに持っていくべきではないかということで十分努力をいたしまして、見合うような財源も確保いたした上で政令の改正等も検討したい、こう思っておるわけでございます。
なお、その中に家畜のふん尿分も「ふん尿」ということであれば当然入るのではないかということでございます。理念的にはそのとおりでございますけれども、先ほど申し上げましたように、家畜の処理というものをこの中に持ち込みますと、実は、処理能力を非常にオーバーしてしまうというような問題がございまして、困惑をしておるような事情でございまして、この中で能力があれば、御指摘のように、この処理施設でもって加えてもいいわけであります。まだ処理能力そのものが十分でないというところから、先ほど来申し上げましたような特殊な扱い方をせざるを得ないという実情にあるわけでございます。繰り越し等の問題がそれに関連して御指摘がございましたが、私どものほうでもできるだけこの計画の固まったところでその年度によく予算が消化できますところをまずねらって補助を出したい、こういうことでございますけれども、実態といたしましては、せっかくきまっておりましたのが、途中で市町村の事情によりまして反対運動が起こった、こういうことによりまして一部繰り越すというものがありますことは、御指摘のとおりでございます。せっかくの財政でございますので、できるだけそういうことがない形で効率的に処理したいと苦心をしておるわけでございますが、そういった問題の根本も、先ほど来御指摘のような技術的な援助の問題、あるいは、十分市町村が勉強をし、住民の方々とよく事前に話していただくということがないと、やはりそういう不測の繰り越し問題を起こしておるというのが実態でございます。さらにそういう点につきましてもこまかい指導を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/19
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020・大橋和孝
○大橋和孝君 大臣にちょっとお聞きいたしておきたいと思うわけでありますが、きょうは実は自治省のほうも来てもらって——厚生省のほうでは、それでも十分だとは言えないにしても、相当考慮を払って、こういう処理問題については予算折衝してらもっているやに私もいろんな報告で聞いておるわけでありますが、そういう観点から申しましても、自治省のほうと厚生省のほうとの考え方に大きなズレがある。たとえばいま言っている特掃の問題にいたしましても、人口十万に対して、実際一〇%でもいま処理するのにたいへんなのに、ほとんど一〇〇%に押えなきゃならぬのを、七万でそのままでいるとか、あるいはまた、同じ積算基礎を考えてみましても、厚生省で考えられるよりは自治省で考えられるほうが下回っておる。こういうようなことでもって、こういうふうな大事な法律で、あるいはまた国民の側から見ましても重要な問題を、見解が違っておっていかれるということは、厚生省がまじめに一生懸命前向きにやっているのに、チェックされているという感じに受け取られるわけです。こういう感じを考えてみますと、直営に移されるにおいても、実際それに従事している労働者の側から見ても同じことが言えるわけであります。こういう人たちに対するいろんな制度上、あるいはまたいろんな指導上にも大きな問題があるわけでありますから、その労働者に対する手厚いやり方も、あるいはまたそうした措置も、今後大きな問題があると思うのであります。大臣のほうから自治省のほうに対しても相当強く働きかけてもらっているけれども、きょうは、私、両方に対してそういうことをお話ししたいと思っておりましたが、それはちょっと御都合が悪いようであるからして、大臣のほうからそういうところをもっともっと推し進めてもらいたいということをお願いして、この質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/20
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021・園田直
○国務大臣(園田直君) 自治省と私のほうとややもすると意見に食い違いができますのは、私のほうでは環境衛生、環境づくりということを重点に置いているし、自治省はやはり地方財政を重点に考える関係上、たとえば清掃の直営の問題にいたしましても、あるいはその他の病院の給食の問題にいたしましても、いろいろ問題が出てくるわけでございます。したがいまして、第一は、自治省のほうに環境衛生及び健康のための環境づくりというものをいままでと違った観点から御理解を願いたいということ、もう一つは、地方財政については自治省と協力をしてやればいい、財政当局に御理解を願うという、二つの点に分けて、事務的にも私のほうからも自治省に相談をしておりまして、地方交付税その点を含む全般を中心にしてこの問題について根本的に検討しようという段階にきておるわけでございまするから、ただいまの御趣旨に従って十分協議する所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/21
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022・小平芳平
○小平芳平君 この清掃施設整備緊急措置法案でありますが、前に五カ年計画でやってきたわけですが、この五カ年計画をやったときの生活環境施設整備緊急措置法は廃止して、新しい五カ年計画で昭和四十二年から出発するというわけであります。ところが、一年ずれているわけですね。もうすでに四十三年である。したがって、この前の五カ年計画の成果はどういう成果をあげてこられたか。それを出発点として基本として新しい五カ年計画を立てられたと思いますが、一年ちょっとずれた点で御説明もしにくいかと思いますが、この際基本的なあり方についてお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/22
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023・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘のとおり、今回の法案が四十二年度を初年度とするということでございまして、すでに四十三年に入っておりまして御審議を願っておるという点、まことに申しわけないと思っております。いきさつから申し上げれば、第五十五国会に提案をされました下水道の整備計画とあわせて一緒に提案されたのでございますけれども、こちらだけが継続審議になり、さらに審議未了になりまして、下水道の整備計画のほうは夏に成立をして、もう施行されておるわけでございます。この五カ年計画を立てるにあたりましては、法案の中にもございますとおり、屎尿の処理と下水道の整備計画とは一体となって解決しなきゃならない問題でございまして、したがいまして、この計画策定にあたりましては建設大臣とも十分その点を調整をした上で計画を策定する、かようになっておりますので、一年ずれたかっこうではございますけれども、下水道法との整備計画との関係もあわせてこの際お許しをいただいて計画を達成さしていただきたいということでお願いしたわけでございます。
前回の三十八年から四十二年まで立てました旧整備五カ年計画でございますが、四十一年末におきましては、ごみにつきましては、特別清掃地域の人口六千八百四十三万人というものの出します可燃物のごみの約五〇%が焼却できるというところまで到達をいたしました。これは当時の目標から見まして、能力から見ますと、ほぼ達成できたという状況でございます。それから屎尿処理につきましても、同じ六千八百四十三万人の出します屎尿につきまして八〇%までは衛生処理ができるようになりました。なお二〇%のものが、不衛生な、海洋投棄あるいは山林に捨てるというような問題で残されております。そういったようなところまで一応計画としてまいりました。
しかしながら、御承知のとおり、地方人口の都市集中化の問題でございますとか、あるいは、生活の向上によりますごみ自体が非常に増量いたしまして大きくなってまいりました。旧五カ年計画では、その点の配慮がやや足らなかったというきらいがございます。一日五百グラム程度の排出量をもって押えてまいりましたけれども、その程度のごみ量はもう今日はるかに突破いたしております。さような関係もございまして、新しい計画に早急に切りかえなければこういう汚物の処理については十分な都市計画にならない、こういう判断から、一年ずれたわけでございますけれども、前年の計画を打ち切りまして、そして四十二年度から計画を立て直すということにいたしておるわけでございまして、ここにあわせて申し上げますと、四十六年末におきましては、ただいまは出てまいりますごみの五〇%を焼いております、このごみが現在七百二十二グラムという一人の排出量が、八百七十三グラムまでふえてまいると思います。昭和六十年には、現在のニューヨーク並みの一人千五百グラムになるというにらみのもとに年次的な計画を立てておりますが、さように増大いたしましたごみと、それから人口の増大というものに対応いたしました非常にばく大な可燃物のごみの七五%まではこの計画によって全部焼却をしてしまいたいという計画でございます。
また、屎尿につきましては、先ほど八〇%しか衛生的に処理していない、こういうふうに申し上げたわけでございますが、これもやはり排泄量につきましても量の見込みが多少少なかったというきらいがございまして、これも一リットルを一・二リットルに増量いたしまして、九千三百万という人口の出しますものが一〇〇%全部、少なくともその人口につきましては衛生的に処理されるようにしたい、こういう計画で新しい計画をお願いしたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/23
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024・小平芳平
○小平芳平君 計画についてはいま御説明がありましたが、最初の五カ年計画と今度の五カ年計画の事業費も御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/24
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025・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 旧五カ年計画におきましては五年間投資額は千百億で組んでまいりましたけれども、今度の五カ年計画では千二百三十億という見通しでございまして、その内訳といたしましては、ごみ処理が六百九十億、それから屎尿処理関係が六百四十億、合わせまして千三百三十億という事業量をもって完成、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/25
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026・小平芳平
○小平芳平君 法案が成立した段階では閣議決定になることと思いますが、その辺の見通しはだいじょうぶでございますか。
また、千百億から千三百三十億だと、前の五カ年に比べて、今回の五カ年の事業費というものは、物価値上がりにも少し足りないくらいではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/26
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027・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 第一点の閣議決定の問題でございますが、昭和四十二年に経済企画庁で経済社会発展計画というものが策定されました際に、この五カ年計画につきましても、公共投資の中の環境衛生関係、その一部といたしまして千三百三十億という額が一応組み込まれておるわけでございます。したがいまして、その点につきましては、四十二年の三月末日に一応計画の量自体につきましては閣議の了解がとってございますので、今回、法律を成立させていただきましたならば、下水道の計画ともう一度最終的に調整した上で閣議決定をいたしますけれども、そういうようないきさつもございまして、まず間違いなく私どもは決定できるものだと考えておるわけでございます。
それから御指摘のように、千百億に対しまして千三百三十億では不足ではないかという御指摘でございましたが、私ども必ずしも十分だとは存じていないわけでございますけれども、前のときには、下水道の問題等も含めましていろいろ処理した計画でございまして、今度はごみとそれから屎尿だけを取り出しまして千三百三十億という計画でございますので、多少御指摘のような点も五年間の変動がいろいろあるかと存じますが、いまの見通しでは何とかやりくりできるのではないかという気持ちでにらんでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/27
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028・小平芳平
○小平芳平君 大臣、いま局長からいろいろ御説明がありましたが、総括的にこれを考えた場合に、四十二年を初年度とする計画を五十五国会に出すということ自体がおくれていましたね、すでにもう出発が。四十二年度の予算は四十一年の夏からかかっているわけですから。この段階ですでにおくれたという点。それからまた、事業費については、ちょっとしろうとでこれは見当がつけにくいわけですが、千百億を千三百三十億では、五カ年の物価値上がりを見れば、若干事業そのものは減るんじゃないかというような感じもありますが、それで、いま局長が説明されたような、ごみの量も一人当たりふえる、屎尿の量も今までが少なかったのを直してこれだけの処理施設を五カ年間でつくるという、そういう点についてどのような見通しをお持ちか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/28
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029・園田直
○国務大臣(園田直君) 事業量につきましては、局長が申し上げましたとおりに、屎尿処理のほうに下水道の事業は省くのでありまするから、何とかやっていけるのではないか、こう考えておりますが、五カ年計画については、建設省が所管する下水道その他の関係もございまして、御指摘のとおり出おくれたことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/29
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030・小平芳平
○小平芳平君 千三百三十億も千百億も、初めから下水は入っていないわけでしょう。下水を除いたごみと屎尿の処理施設についての説明をされたわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/30
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031・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 数字につきましては先生御指摘のとおりでございますが、少し言い方がまずかったと存じますが、屎尿処理の計画の際に、いわゆる下水の整備によりまして屎尿自体が処理されていく、そういう計画が大幅に進んでまいりますので、そういう関係でこちらのほうで担当いたします屎尿処理施設というものの費用が比較的少なくて済む、こういう見通しのもとに立てていると、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/31
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032・小平芳平
○小平芳平君 大臣、あまり熱意があるみたいじゃないわけで、だいじょうぶでしょうね。
それでは、一つ具体的に、これは大臣もよく御承知と思いますが、名古屋市の場合、道路も広い、あるいはいろんな団地の計画も早くから進められている。片方、高層住宅団地がたくさんできている。ところが、三方団地に囲まれたその山がごみ捨て場になっているのですね。それが、伊勢湾台風のときにヘドロを捨ててきたのが始まりだというのだから、もう九年ですね。その九年もの間、日本では珍しいというくらいの近代的な団地のどまん中の一つの山が、その土地の人は夢の岡と言っている岡なんだそうですが、そこへごみをトラックが毎日何台も捨てにいくもんだから、そのくさいこと、とても人間の住んでいる町と思えないようなくささですよ。私が行ったときはちょっと前でしたけれども、それがもうハエとドクガまで発生しているんです。それが相当離れてはいるんですけれども、風向きによってはそのにおいをまともに団地が受ける、そういうような全く原始的なことが行なわれていたわけですね。ですから、大臣、もっと熱意を持って、数字の上では何%が何%になると言われますけれども、場所にもよりけりで、まるきりそんな近代的なアパート群のどまん中にそういうような山があり谷があるというようなのはおかしいんですよね。何回も何回も市議会でも問題にしてやっているんだけれども、最近はいろいろ燃えるものはそこで燃すようになったとか、薬品をまくようになったとか、そんなことしかできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/32
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033・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 名古屋市にそういうようなものが残されておりますことはまことに残念な次第でございまして、よく実情はさっそく調べまして善処したいと存じますけれども、一般に埋め立て捨てるといたしましても、清掃法の中でもただ捨てるというようなことはまかりならぬというような規定にもなっておりまして、必ず捨てましたら上から土をかぶせる、覆土していく、さらに捨てる、また覆土するというようなことで、いわゆる不衛生な状態ができないというようなことが埋め立ての場合でも私のほうは気を使って定めておるような次第でございます。したがいまして、名古屋市がなぜそういう団地のどまん中の山の中に捨てなきゃならぬかという実態をよく調べまして、早急に措置をとりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/33
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034・小平芳平
○小平芳平君 それは、私がいま説明したことは、きのうやおととい見てきたわけじゃありませんから、だいぶ前でしたけれども、とにかく伊勢湾台風以来のことですからね。それを捨てて土をかぶせるじゃないですよ。岡の上へなまでみんなトラックで捨てて帰るわけです。
それから、結局、焼却施設の問題だと思うのですが、この焼却施設については、先ほども大橋委員から御質問がありましたが、お金の問題と技術の問題があると思いますね。お金の問題については先ほどお話がありましたが、技術的には、地方議会の人など、二、三年前あたりも、どうも日本製品はよく燃えないといって外国まで見に行ってくるというようなこともしておりましたけれども、そういう点についての国の技術、あるいは経済力、産業の力というものが、そうした自分たちが出すごみすら焼却できない、焼却できるだけの技術がないなんというのはおかしいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/34
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035・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 焼却の設備の問題は、ごみが多様化してまいりまして、昔よりもごみの質自体が変わってきたということから、いろいろな古い装置等で非常に困惑をした時代がございましたことは、御指摘のとおりでございます。さようなことに刺激されまして、日本のいろいろなこういうメーカー関係もよく勉強していただきまして、また、縦横の連絡等もよくとりながら技術的な開発を進めてまいりまして、今日の段階では、相当な進歩をいたしました。いわゆる国産をもってかなり十分処理できるような能力を持ってきたと私どもはいま判断をしておるわけでございます。今後も、さらにごみ自体のまた質の変動ということは十分考えなければならない次第でございます。一そうそういう方面につきましての進歩につきましては関心をもって進めてまいるようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/35
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036・小平芳平
○小平芳平君 厚生省はメーカーによく考えさせてやらせるのであって、厚生省としての研究なり予算はありませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/36
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037・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 厚生省自体が焼却設備等の技術開発をいたしますための予算は、残念ながら持っていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/37
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038・小平芳平
○小平芳平君 じゃ、厚生省自体も、研究はしていないし、たとえば大学とかそういう技術関係のところへ委託をするとか、そういうことも何もやっていないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/38
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039・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 学会等の中でも、こういう処理につきましてはいろいろな技術的な改善をはからなければならないと、こういうことで、たとえば公衆衛生学会が開かれましたときに、必ず全国の技術者、大学の方もお入りになりまして、こういう技術的な進歩についての一種の会合を毎年持っておるわけでございます。さようなことで、各学会等におきましても十分関心をもってこの努力をし、研究を進めているという態勢でございます。直接私どもがそれに対して委託費等を出しているという事実は残念ながらございません。ただ、国がいろいろと技術的に解決のために、川崎に日本環境衛生センターというのがございます。かなりトップクラスの技術者も持っております。さようなところで、現実の、いろいろな焼却炉の能率の問題でありますとか、あるいはそれをうまくこなすためのいろいろな技術的な問題でありますとか、そういったことにつきましてはそこで十分研究をし、また、各種の相談にも乗る、こういう態勢はとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/39
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040・小平芳平
○小平芳平君 厚生省としての予算もゼロだし、委託費もゼロとなれば、何もやっていないということですね、大臣。それで一般国民大衆がごみ処理に不便を感じていないならそれで済みますけれども、実際問題としてこれは困る問題ですね。ごみ処理の問題は日常生活で最も困る問題なんですから、担当の厚生省としては、ただ見ているだけではなくて、技術が開発されるのを待っているのでなくて、もうちょっと積極的なものがなくてはならないと思うのですがね。いま局長からの御説明で、ゴミの質も変わる、したがって、燃えるということもやはり次々と研究していかなくちゃならないと思うのですね。
私は、ここで具体的に一つお尋ねしたい点は、ビニールなどでよく食品の包装したものを捨てる。あるいは、私どもの宿舎などでは、ごみそのものを袋に入れて捨てますけれども、これは焼却すると有毒ガスを発生するんじゃないかということも聞いたことがありますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/40
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041・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) ビニールをはじめといたしましていろいろな新しい合成樹脂関係、そういうものを焼却いたしますと、焼けましたときにある種の有毒ガスが出るということは、種類はいろいろあるようでございますけれども、事実でございます。ただ、現在まで、単に有毒ガスが出るばかりじゃなくて、そういうものが加わることが焼却炉自体を故障させるというような実態もございまして、できるだけ末端の現場では区別をいたしましてなるべく別の処理をしようと、こういう努力をしておりますけれども、何ぶんにもだんだんと量がふえてまいりまして、いまも御指摘のように袋の中に包み込まれるというような場合になりますと、それをとうてい処理をして除くというようなことができないような状態でございます。ただ、いまのところ、そういうものによりましてガスが出て特別の危険状態になったとかいうような事例は報告されていないわけでございますけれども、むしろビニールの袋というようなものよりも、今後、先ほど来申し上げておりますようないろいろな建築廃材というようなものが大量に出てまいりますので、そういったときに焼却いたしましたときには相当のガスが出るということでございますので、私どももいまそういう問題をどう取り扱うかということはいろいろ検討を加えている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/41
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042・小平芳平
○小平芳平君 この面でも、大臣、相当力を入れてやってもらわなくちゃ、せっぱ詰まった問題のようですね、いまの御説明でもね。この新しい五カ年計画ができようという段階で、いまの差し迫ったビニールの問題にしても、検討中というようなことですから、手をつけていないわけですね。よっぽど力を入れていかなくちゃならないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/42
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043・園田直
○国務大臣(園田直君) いまの五カ年計画並びに焼却の処理等につきましては、おしかりを受けましたが、直ちに明年度の予算には処理、研究、助成等の予算を含めますし、それから名古屋の問題につきましては、直ちに検討をしておしかりを受けないようにいたしますので、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/43
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044・小平芳平
○小平芳平君 それでは、これで終わりますが、もう一つ、変な話ですが、屎尿を投棄するんですね。局長のさきの説明でも、八〇%までは処理できたと。相変わらず二〇%は海へ捨てたり山へ捨てたりしているわけです。これが隅田川あたりに捨てたということで問題になったことがあったですね。そういう実態について厚生省としていち早く実態をつかみ、こういうふうに一〇〇%できればいいわけですが、さしあたってことし、来年で一〇〇%いくわけじゃないんですから、これは今後の見通しについてですね、これも実際困るんですね、取りに来てくれなくちゃ困るし、取って行っても捨て場所がないんじゃ困るし、これこそ緊急に措置しなきゃならない問題だと思いますが、その点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/44
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045・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 屎尿がそういう不衛生な場所に捨てられますことはまことに遺憾な事態でございまして、先ほど来の計画によりまして達成できればすべてそういうことがなくなるようにというような期待をもって計画しているわけでございます。
ただ、この中で、先ほど来大橋先生の御質問にも関連いたしますけれども、だれが捨てるかという問題がございまして、その点は、市町村が責任を持って収集をしている場合にはさようなことはまずないと考えてよろしいわけでございますけれども、一部許可業者というようなものに頼んでおりますような場合に、その業者が最終の終末処理場まで持ってこないで途中で捨ててしまう、こういう不心得な者が起こる可能性もあるわけであります。そういう意味も含めまして、やはり市町村のほんとの責任のもとでやらなければならないというように私どもは考えております。そういうような方向からできるだけなくしていくような努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/45
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046・藤原道子
○藤原道子君 私は、すでに質問も十分なされましたので、ただ一、二点大橋さんの質問の関連という立場でお伺いしたいと思います。私は、法律だけつくっても、それが具体的に行なわれなければだめだと思います。二年くらい前だと思いますが、当委員会で質問したことがあります。その後の経過を伺いたい。茨城県の結城市に屎尿処理場とあわせましてすぐ近くにじんあい焼却場ができたのです。ところが、できて間もなく故障を起こし、亀裂は起きるし、機能が十分発揮できない。私、現地を調査いたしまして、屎尿のほうの泥土ですね、これが十分攪拝できないのでございます。表に放り出して干してあるのですね、りっぱな施設はありながら。それが一点と、それからもう一つは、ごみの焼却場と屎尿処理場が近過ぎるということが地元の不安の一つです。私は行ってみたけれども、亀裂は起きているし、それからごみを運んできたトラックが焼却場へまっすぐはいれないで、途中でバックしていかなければはいれないような設計ででき上がっているんですね。働く人もやりにくい。それからごみを焼却炉へ入れるときの危険があるんです。囲いも何もございませんで、下はドンドン燃えているわけですね。こういうことで、地元が非常に心配しております。それで、私がここで質問したらば、距離は短くても心配はないのだとか、いや何だとか、うまくごまかされちゃって、悪いところは近く改めさせますということで、その後私は一年くらいたって行ったけれども、相変わらずほうり出したかたまりが全然そこを動いていないんです。こういうことが一年も二年も放置されておるようじゃ、地元の人の不信を買うのもあたりまえですし、どうも不正があるといううわさがもっぱらなんで、その後うまく動いているのかどうか、二年くらい前だと私は記憶しておりますが、きょうこの法案があるということを不勉強でございましたが、そういうこともあるということが一つ。それからその後、私たちが安じていたとおりの故障が起きて、二十日ぐらい使用停止になったのじゃないかと思う。そういうこともほかにもあるのじゃないかと私は心配なんです。ですから、つくればいいということではなく、その後の監督ですか、そういうようなことも十分やってもらわなければ安心ができない。これが一つ。
それからもう一つは、私、この前上高地で、これも二、三年前に、市川房枝さんと一緒にワラビをとりながらずっと行ったんです。あそこは国立公園ですよね。草一本も持ち出しちゃいけないという国立公園のシラカバの下にワラビとりに入ったら、急にくさくなった。びっくりして見たら、その辺に一ぱい捨ててある。ここは国立公園ですね。国立公園のあれも厚生省の責任、屎尿処理も厚生省の責任、こういうことがあるから、あれではどうも厚生省は何をしているのかと疑いたくなるわけでありまして、その後屎尿処理場をつくるという計画はあるように聞きましたが、上高地ですからね、屎尿処理場は完成しているのか、うまく動いているのか、この二点を伺いたい。
大臣にお願いしたいことは、法律をつくりさえすればいいんです、あなた方は。つくるときには熱心だ。つくったあとの監督というものがまことにお粗末だと思う。私はまだ資料を持っておるのですけれども、きょうは持ってきていないものですから、この二点でそちらの責任とその後の経過を伺わしていただきたい。きょうこうして審議する法律ができた以上は、責任をもって——人の命を守るのは厚生省の責任だと大臣ははっきり言っていらっしゃる。したがいまして、こういう環境衛生の問題そしてその監督の問題、これらについての経過と御決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/46
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047・園田直
○国務大臣(園田直君) 最初の御質問は、事務当局もただいまわからないそうでございますが、たぶん、私の想像でございますが、御注意を受けたときには恐縮しておったが、その後あまり進んでいないのではないかと心配をいたしておりますが、直ちに調査をしまして、その結果を藤原委員に御報告をし、それについての処置がおくれておりますれば私の責任において実施をいたします。
なおまた、法律を通すときには非常に強調するというお話でございまするが、私もさように考えておりまするので、ただいまは、法律が通しましたあとは、その法律に対する委員会における両院における御意見等は全部その局に責任を持たせまして、これに対する大臣の答弁その他も検討して、それに対する具体的な処置を一々私並びに質問をされた各位に御報告する習慣をつけて実行いたしておりまするから、今後は、附帯決議ばかりでなく、法律案の審議の過程において述べられました御意見なり貴重な御指導は、これを十分運営の上に生かしていくように実行しておる段階でございまするが、今後とも十分注意をしてやりまするし、なおまた、私が答弁いたしましたことは必ず質問された各位には御報告をするように今後もお誓いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/47
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048・藤原道子
○藤原道子君 上高地は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/48
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049・園田直
○国務大臣(園田直君) これもわかっていないですから、あとで調べまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/49
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050・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 上高地の施設でございますけれども、直接私は存じていないわけでございますが、年がら年じゅうじゃなくて、ある季節に限ってそういうような人の集合いたしますところは、清掃法の中でも季節的清掃地域ということで定めてきちんとやらせるというたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、当然、上高地のような夏場に人のお集まりになるようなところは、季節的観光地として都道府県知事が指定をいたしましてしかるべき措置をとらしているものと期待しておったわけでありますが、御指摘のような点につきましては、さっそく実情を調べて御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/50
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051・藤原道子
○藤原道子君 あるいはもうできているかと思うので、できていればいいなあと思う気持ちを含めての質問でございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/51
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052・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 他に発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/52
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053・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/53
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054・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
清掃施設整備緊急措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/54
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055・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/55
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056・大橋和孝
○大橋和孝君 ただいま可決されました清掃施設整備緊急措置法案に対する附帯決議を提出いたしたいと思います。
案文を朗読いたします。
清掃施設整備緊急措置法案に対する附帯決議(案)
生活環境整備の緊急性にかんがみ、政府は、次の諸点について、その実現に努力すべきである。
一、清掃業務の運営については、住民の利便を図る立場に立って、市町村直営の原則に沿う指導を強化すること。
二、整備五カ年計画の実施に必要な財政的援助、技術的援助及び立地についての援助に努めること。
三、清掃労働者の労働条件について、その改善に一層の努力を行なうこと。
四、汚物のすべてが衛生的に処理される体制の確立に努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ御賛成くださいますよう、お願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/56
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057・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ただいま述べられました大橋和孝君提出の附帯決議案を議題といたします。
大橋和孝君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/57
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058・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、大橋和孝君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/58
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059・園田直
○国務大臣(園田直君) 清掃施設の整備とともに、清掃事業の運営を適切にすることは、国民の環境衛生のためきわめて重大な問題でありまするから、ただいま本法案に寄せられました決議については、その趣旨を十分に体して、努力してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/59
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060・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/60
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061・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/61
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062・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から提案理由の説明を聴取いたします。園田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/62
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063・園田直
○国務大臣(園田直君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律について、その提案の理由を御説明申し上げます。
戦傷病者、戦没者遺族及び未帰還者の留守家族に対しましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法、未帰還者留守家族等援護法等により、各般にわたる援護の措置が講ぜられてきたところでありますが、今般さらにこれらの援護措置の改善をはかることとし、この法律案を提案することといたした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正でありますが、別途今国会に提案されております恩給法の一部改正による傷病恩給及び公務扶助料の増額に関連いたしまして、障害年金、障害一時金、遺族年金及び遺族給与金の額をそれぞれ増額することとしたものでありまして、増額の程度については、恩給法のそれにならっております。
第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正でありまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金の額の増額に準じまして留守家族手当の額を増額することといたしております。
第三は、戦傷病者特別援護法の一部改正でありまして、長期入院患者に支給する療養手当の額を増額することといたしております。
以上がこの法律案を提案いたしました理由及び内容の概略でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/63
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064・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) なお本案は、衆議院において施行期日等について修正されておりますので、御了承願います。
これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/64
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065・大橋和孝
○大橋和孝君 従来、戦争犠牲者の戦後処理につきましては、確固たる方針が定めてない。そのために、その当時の財政事情や、あるいはまた政策的な配慮、あるいはあるときには圧力団体に左右されてきているというような状態であります。今後における戦争犠牲者の戦後処理については基本的な方針が示されなければいけないと思うのでありますが、そういうことについて厚生大臣あるいはまた総務長官はどういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/65
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066・園田直
○国務大臣(園田直君) 戦後処理の問題のうち、厚生省で所管いたしておりまする戦没者遺族援護、戦傷病者援護、未帰還者留守家族援護等については、今後とも国民の生活水準の動向、関係制度との均衡等を考慮しつつ、その充実に努力する所存であり、今回の法律改正もその一端であると考えます。
これ以外の問題については、政府全体の問題として、国民世論の動向、各種関係制度との均衡、国の財政力等を考慮して、慎重な態度で臨むべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/66
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067・実本博次
○政府委員(実本博次君) いま大臣から御答弁いただきましたことでございまして、戦傷病者戦没者の援護法の対象になっております身分関係のある方々につきましては、今後もその充実に、大臣からお話がありましたように、努力してまいりたい。それ以外の戦争犠牲者の問題につきましては、大臣の答弁にもありましたように、一般的な各種の関係制度との均衡の問題、あるいは国の財政力というものを勘案しながら、慎重な態度で検討していくべきであると、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/67
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068・大橋和孝
○大橋和孝君 それから戦傷病者戦没者遺族等援護法に関する未処理の問題を解決するために検討されている戦傷病者戦没者遺族等の援護の問題に関する懇談会というのがあるわけですが、こういうようなものの進捗状況はどうなっているのか、そして問題点はどのようになっているのかということをちょっと伺っておきたい。特に、防空監視隊員だとか、あるいはまた警防団員、あるいはこういうものに学徒が動員されておってそれがそのままになっておる、それはどういうような方向に懇談会のほうで進めていっておるか、また、そういうことに対してはどういうように関係省としては考えておられるか、ことにこれには文部省のほうの関係もあると思いますが、そういうことに対しても伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/68
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069・園田直
○国務大臣(園田直君) 先ほどの今後の方針について具体的なことにも関係いたしますが、この援護法ができました当初は終戦直後でありまして、世論も政府も、ややともすると、やれ階級であるとかあるいはその身分というものを重点にしてその援護が行なわれてきたと考えるわけです。したがいまして、時世の変転、世論の動向等も考えまして、援護法に適用する範囲がいまのままでいいのかどうか、限界はどうなのか。できれば、私としては、そういう身分関係とか、あるいは軍人軍属、あるいはその他、だんだん当時の者が広がってきますが、やはりそういう方向に持っていくのがいいんではないか、こう考えまして、その限界についての検討、それからそのほかの私の所管しておりまする以外の面との均衡、それから生活水準の向上、こういうものの問題、したがいまして、受給者間相互の均衡がとれているかどうか、こういう問題等を検討していただいております。援護措置に関する最終的な総仕上げをやる段階と考えておりますので、それについての検討を懇談会ではやってもらっておりまして、逐次私の考えております方向に御検討を願っておるような状況でございます。
細部については局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/69
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070・実本博次
○政府委員(実本博次君) いま先生のお尋ねの懇談会の問題につきましては、趣旨は大臣からお話し申し上げましたことでございまして、ここでおもに意見を聴取しております問題点といたしましては、軍人軍属、準軍属の範囲の拡大に関する問題、それから給付の要件の緩和に関します問題、それから給付内容の改善に関します問題、そういった問題を中心にいたしまして、お尋ねの防空法によります防空業務に従事した犠牲者等も含めまして意見を聞いておる段階でございます。昨年末来、毎月懇談会を開催しておるところでございますが、七月中にはこれらの御意見をまとめて御提出いただいて、これに基づき今後の措置をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/70
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071・大橋和孝
○大橋和孝君 軍人軍属の処遇についてちょっと伺ってみたいと思うのですが、遺族年金の額と兵の公務扶助料の均衡の問題ですが、従来、遺族年金の額は、恩給法による兵の公務扶助料の額よりも高額になっておりましたが、それが昭和三十年十月一日の改定ではほぼ同額となって、それから三十三年の十月一日以降は公務扶助料の額が上回って今日に至っておるというようなことでありますが、少なくとも恩給法における兵の公務扶助料の額と同一歩調を合わせるというようなことになるほうがいいのじゃないかと思われるが、こういうことについてはどうでありましょうか。
四十三年度におきまして、予算要求をしておりながら、大蔵省査定では削られておるようでありますが、こういうような理由についても少し伺っておきたい、こういうふうに思います。
それから後順位に支給される遺族年金は、昭和二十八年より年額五千円と規定されて今日に至っておるわけでありますが、後順位の遺族年金の額についても年額一万二千円に増額すべきではないか、こういうようにも考えられるのですが、このような点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/71
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072・実本博次
○政府委員(実本博次君) 公務扶助料の兵の額と援護法におきます遺族年金の額と同額にすべきではないかというお話でございますが、厚生省といたしましては、全くその考え方で、御指摘のように予算要求もしてまいっておりますが、今回のベースアップの問題につきましては、全く恩給法にならってベースアップをいたしたものでございまして、その主たるベースアップのやり方といたしましては、昭和四十二年度のベースアップ率を調整して上げるというふうに今回恩給法でも援護法でもきまったものでございますために、いま御指摘のような兵の公務扶助料と遺族年金の額との差を根本的に解消させるということができなかったわけでございます。しかしながら、だいぶ詰まってまいりまして、現在最も詰まりましたところが六百四十四円というふうなところまで詰まってまいっておりますので、将来——将来というよりは、すみやかにこういう差を解消してまいりたいとかように考えております。
それからいまお話しの後順位の遺族年金の増額の問題でございますが、援護法におきます御順位の遺族年金というものはいろいろ制度の変遷がございますが、そういうものを一切含んで見ますと、恩給法におきます公務扶助料における扶養加給というものにきわめて類似した面を持つ年金でございますので、さきの恩給制度の重要問題に関しましての恩給審議会の答申を見ましても、恩給法におきます扶養加給の増額の方向で検討したらどうかというふうな意見が出ておりますので、そういうものは当然検討される段階にまいりますから、もちろんそういう際には、これに合わせまして後順位の額につきましても先生お示しのような方向で検討いたしまいりたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/72
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073・大橋和孝
○大橋和孝君 今回の恩給法及び戦傷病戦没者遺族等援護法の改正を見ますと、公務扶助料及び遺族年金の増額は依然として年齢により年金額に段階を設けるというようなことになっているわけです。しかし、公務扶助料及び遺族年金は当然国家補償に基づくところの援護措置にすべきがたてまえであるので、そういう観点から言うと、年齢による年金額に格差を設けることはちょっと筋が違やせぬかと思うわけですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/73
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074・実本博次
○政府委員(実本博次君) 今回の遺族年金等の増額におきましては、恩給法におきます公務扶助料と同様に、先生御指摘のように、年齢等によります年金額の差が設けられておるわけでございますが、これは国家補償の性質上おかしいではないかというふうな御意見、ごもっともな点があると思いますが、これは老齢者あるいは配偶者についてそれぞれ特殊の立場を考慮いたしまして割り増しを行なっております。従来の恩給法におきますベースアップのしかたあるいはそれに伴いまして援護法でもそのやり方についてそのまま年金額の増額を今回も行なったわけでございます。恩給局長も見えておられますが、この額にこういった年齢等の条件によって差をつけるという考え方につきましては、いろいろ考え方がございますが、そういった考え方について、先ほど申し上げました例の恩給審議会の中でも、その答申の中にそういう点に触れておりまして、こういった法文のしかたは一応妥当ではないのだろうかというふうな意見も述べられておるように見受けられておりますが、とにかく今回のやり方につきましては従来のそういった差をそのまま踏襲して行なったということになっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/74
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075・大橋和孝
○大橋和孝君 それでは、次に、準軍属の処遇についてちょっと伺っておきたいと思いますが、準軍属が、公務上ではないけれども、勤務に関連する傷病によって死亡した場合には、その遺族に対して特例遺族給与金といいますか、こういうような形で支給さるべきじゃないかと、こういうように思うわけです。
また、準軍属が公務傷病に併発した傷病によって死亡した場合、または戦地勤務の影響によって死亡したような場合に、その遺族に対して遺族一時金というような形で支給さるべきでないか、こういう点も第二点で伺っておきたい。
それから第三点は、旧長崎医科大学の原爆犠牲者学徒の遺族に対する援護の状況について伺っておきたいと思うわけでありますが、旧長崎医大の原爆犠牲学徒が靖国神社に合祀されているのは一体どのような基準によって行なわれておるのか。あの当時、旧長崎医大の原爆犠牲学徒が、国土の防衛のため昼も夜も出勤して、ついにこれに殉じて爆死し、靖国神社に合祀された実績にかんがみて、他の動員学徒が準軍属というような形であって、原爆ばかりではありませんけれども、こういうような場合については、やはり動員学徒と一緒の基準にして、こういう人たちもそういう手厚いあれをすべきじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、それはどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/75
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076・実本博次
○政府委員(実本博次君) まず、第一点の、準軍属が公務上ではございませんが、勤務に関連する傷病によりまして死亡した場合につきまして、その遺族に対して、軍人の場合は特例的な公務扶助料なり遺族年金が出ておるんだが、準軍属にどうして出さないのかという御質問でございます。これは、われわれのほうといたしましても、さっき大臣がお述べいただいたように、準軍属につきましても軍人に与えられているような処遇に準じて処遇してまいりたいというふうに考えておりまして、そのような遺族の方々に対します何らかの処遇をすべきものと考えて、目下検討いたしておるわけでございます。
それから同じように、準車属が公務傷病に併発した傷病によりまして死亡した場合につきましても、軍人、軍属と同じように何か処遇すべきじゃないか、こういうふうなお話でございますが、その場合につきましても同様な方向でこういった人たちについての処遇につき検討いたしておるところでございます。
それから長崎医大の学生さんの原子爆弾被爆で亡くなられました方々に対する処遇の問題でございますが、この学生さんたちは、防空警報のもとにおきまして医療救護活動に従事すべきものであったということ、あるいは、原子爆弾による特別な惨禍を受けたというふうな特殊な事情を考慮いたしまして、政府といたしましては、これは実は昭和三十六年ごろから、動員学徒としての活動がそういうことになったのではないかというふうな観点から、長崎県あるいは文部省とも一緒になりまして、ずいぶん調査したわけでございますが、結論的にはやはり動員学徒というふうなものの扱い方にはどうにもなりにくい。当時、学校報国隊としての組織はあったわけでございますが、それが総動員法の第五条の協力命令によってそういう動員業務に従事していたというものではどうも実体が出てこない。ずいぶん長年にわたって調査したわけでございますが、そういった調査の結果は、援護法の準軍属という処遇はできませんでしたが、しかし、さっき申し上げましたように、防空警報が出ている警報下において医療救護施設の中で原子爆弾で倒れられたというような特殊な事情に着目いたしまして、特にこれは学校の面から奇特な学生であるということで文部省からそういう方々に対します国の弔意の表し方といたしまして特別支給金を一件当たり七万円という金額を支出することをきめまして、これは文部省からもうすでに遺族の方々にそういった特別支給金が行き渡っておるということでございます。そういう国から特別の弔意を表しまして支給金が出ましたもので、こういう事実に着目いたしまして靖国神社のほうではこれをお祭りして霊を慰める、こういうふうな措置をとったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/76
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077・大橋和孝
○大橋和孝君 そういうふうないまお話になったような実績にかんがみまして、どうかもう一つ動員学徒並みに準軍属としての処遇をずっと徹底をしていただきたい。いまの考えはわかるわけでありますから、あとはそれが全体に行き届いていないように思いますから、そういう点は十分、また、文部省のほうでも、いろいろ調査段階では骨折ってもらったものですから、もう一押し押してここのところ完ぺきを期していただきたいと思います。
もう一つつけ加えまして、これで質問は終わりますが、戦後、ソ連に抑留されて、当地において戦犯として処刑され、あるいは、平和条約の発効後もその地に長期にわたって抑留を余儀なくされた三千人余の邦人、いわゆる軍人、軍属、民間人、こういうものに対しまして、長期抑留によって生じた精神的肉体的の損失に対し国家的補償措置を講じてもらいたいという請願をかなり採択しているわけですが、この問題はその後どのように処理しようとするのか、最後にそれを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/77
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078・実本博次
○政府委員(実本博次君) 長崎医大の学生さんの問題につきましては、過去数年間にわたりましていろいろ援護法の見地から検討してまいったわけでございますが、結局、先ほど申し上げましたように、最後の詰めに至りまして的確な援護法の対象としての処理ができません。しかしながら、そうは言っても、このとおとい犠牲に対します処遇の方法といたしましては、文部省側とも相談いたしまして、先ほど申し上げたような処遇にいたしたわけでございます。先生のお尋ねの件は、おそらく、靖国神社にお祭りする以上は、それだけの公務があるのだろうから、それならほかの同じような遺族年金をもらえているような人たちのケースに考えられないものかというお尋ねであろうかと思いますが、靖国神社のほうの合祀される基準というものは、直接これは神社に当たってみないとわかりませんが、少なくとも神社としては、国から何らかの特別な弔意をあらわした弔慰金とかそういったものが支出されたものを取り上げてお祭りしているというふうに承っておりまして、長崎医大の学生さん以外に、年金、公務扶助料が出ていない人がお祭りしてある例といたしましては、たとえば、戦争中の沖繩学童疎開で疎開する途中で犠牲になられました対馬丸によります学童の犠牲者、これは公務扶助料も年金も対象になっておりませんが、靖国神社にお祭りしてございます。これは、しかし、たしか昭和二十五、六年でしたか、六、七年ごろに、総理大臣のほうから一件当たり二万円の弔慰金が支出されておりまして、そういう事実に着目してお祭りがされておるというふうに承っております。したがいまして、長崎医大の学生さんにつきましても、そういう処遇で一応いま御満足願っているところでございます。
それからいわゆる戦犯者として長期抑留されておられた方々について何か国のほうでその長期間抑留されました精神的なあるいは肉体的な苦痛に対する処遇をしてはどうかというふうなお話があっわけでございますが、長期抑留をされておりました方々につきましては、その抑留期間中に亡くなられたとか、あるいは病を得て身体障害になられたとかいう方々に対しましては、身分のある方はそれぞれ恩給法なりあるいは援護法なりで処遇いたしておりますし、それから身分のない方でも特別未帰還者ということで援護法からの処遇をいたしておるわけでございますが、先生のいまのお尋ねの件は、身分がある人でもない人でも、抑留されていた間の精神的な苦痛あるいは肉体的な苦痛について何か考えたらどうか、こういうお尋ねであろうと思いますが、その問題につきましては、いろいろの方面から検討しなければならない問題ではありますが、ただ、一般的に戦争犠牲者で海外で長期抑留されていた多数の同胞の処遇との均衡の問題、あるいは、終戦後の国外事情に基づきますいろいろな条件から来る被害者というものとの均衡を考えますと、そういう人たちだけについての、しかも、そういう精神的苦痛に対します処遇というものは慎重に検討してまいらなければなりません。もちろん、これは、ずいぶん国会にも請願があったようですし、われわれのほうにもいろいろこういう陳情を聞いております。ただ、これは、突き詰めてまいりますと、一種の戦争裁判というふうな、あるいはそういった何と申しますか一種の国家補償というか、法律上いろいろそういう無理な拘束をされた者に対します、あるいは誤った裁判によります賠償を定めた国家賠償法というふうなものがございますが、そういったふうな見地から取り上げなければならない問題じゃないか。厚生省が所管いたしておりますような戦傷病者戦没者遺族等援護法の立場からというよりは、むしろそういう方面からお取り上げ願ったほうがいいのじゃないかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/78
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079・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 他に発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/79
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080・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/80
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081・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/81
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082・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/82
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083・大橋和孝
○大橋和孝君 私は、ただいま可決せられました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を提出したいと思います。
案文を朗読いたします。
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の各事項について、格段の努力を払うべきである。
一、国民の生活水準の向上等にかんがみ、援護の内容について、とくに準軍属の処遇を含んで、その改善に努めること。
二、いわゆる未処遇者の問題について、再検討を行ない、すみやかにその解決をはかること。
三、未帰還者の実態把握に努めること。
四、遺骨の収集を積極的に推進すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ御賛成くださるよう、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/83
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084・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ただいま述べられました大橋和孝君提出の附帯決議案を議題といたします。
大橋和孝君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/84
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085・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、大橋和孝君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/85
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086・園田直
○国務大臣(園田直君) ただいま寄せられました決議につきましては、政府といたしまして、その趣旨を十分尊重し、鋭意努力する所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/86
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087・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/87
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088・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/88
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089・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 次に、看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律案(参第十一号)を議題といたします。
これより質疑を行ないます。御質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/89
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090・藤原道子
○藤原道子君 私は、この際政府にお伺いしたいと思うのですが、看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律案、これを過日私は提案者として提案いたしましたことは、御案内のところであります。ところが、聞くところによると、厚生省も難色があり、看護協会もこぞって反対をしているというふうに仄聞いたします。そこで、お伺いしたいのは、こ法案がかりに実施されたといたしました場合にどういう支障を来たすのか、これについて当局の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/90
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091・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ただいまお話にあります看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律案の内容を拝見いたしました。現在、准看護婦が看護婦になるためには、いろいろの道がございます。端的に申しまして、一番普通の行き方といたしましては、准看護婦になりまして、その後経験年数三年を経て、さらにいわゆる進学課程と称する課程を、昼間のフルタイムのもので二カ年、夜間のもので三カ年間を勉強いたしまして、看護婦の受験資格を得るわけでございますが、現在四十四カ所の夜間コースがございます。この夜間コースを修了いたしますと、ちょうど准看護婦の経験年数が六年になるわけでございまして、ただいま御提案の新しい制度になりますと、これと一年違いで看護婦の受験資格ができるということになりまして、従来、夜間の生徒は三年間夜間学校に通って受験資格を得るのに比べまして少し均衡を失するのではないかということが専門家の間にかなり意見が出ております。そういう点から、従来の看護婦の資質を落さずに、しかも従来の各種の養成コースとの均衡を失しない程度の教育を実質的にやって看護婦にするということが適当ではないか。そういうことで、従来の制度との均衡論でまだまだ多少問題がありはしないかということと、それから新しい提案の内容に盛られております養成課程それ自体が、まだ私どもも具体的な検討の詰めばやっておりませんが、かなり困難な課程になりはしないか。といいますのは、特殊な養成課程でなしに、勤務しながら、また、僻地山村等の施設においても勤務しながら進学の課程を受けるというようなことになります、多くの講習課程をほうぼうで持たなければならぬ。そういうほうぼうで持つために、その施設、あるいはそれに必要な教職員等を確保するということがきわめて困難であり、事実上この新しい提案の中の課程を広く普遍的に実施していくためには、かなり困難があるということを考えております。
そういう意味で、私どもも、専門家の方にお集まりいただきまして、この二月以来先月までに約五回、看護婦の制度の問題を検討しておりますが、残念ながらまだ結論を得ておらない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/91
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092・藤原道子
○藤原道子君 それではお伺いいたしますが、いまの状態でいまこれほど不足しておる看護婦の充足は果たせるのですか、これが一点。
いま一つは、山間僻地にいる者までということがございますが、それなら山間僻地に働いておる准看護婦は永久に看護婦になる道は開かれない。山間僻地の人がどうして夜間コースへ行けるのですか。これらに対しての対策をどう考えておいでになるか、これが第二点。
さらに問題になりますのは、現実に看護婦が足りないために、准看護には仕事上の規制があるわけなんですけれども、准看護に夜間をさせるのみならず、病院によりますと病棟主任というような仕事もさせております。これは法律違反ということになりませんか。こういうことは平気でやっておいて、そうして夜間コース三年の者とこの新しい提案とは一年くらいしか違わないのに、それでは均衡を失する、こういうことで単にこれを否定してよろしいのでありましょうか。
私は、昭和二十二年以来、看護婦の問題については、またかと言われるくらい取り上げ取り上げてやってきたのです。けれども、もうじっとしていられない事態にきておることは、大臣も御承知でございましょう。病院はできたけれども、看護婦が足りないから、病床をあけておく。基準看護料をとりながら、家族が看病に行かなければ療養生活ができない。いろいろな問題が出てくる。看護婦が足りないために、患者が窒息をして死んでいったり、間に合わないでお産をしちゃったり、過日も写真でお見せしたような、ああした看護婦がいないために睾丸を摘出しなければならないようなやけどまでさせておる。こういうことでありながら、私どもは何も一年くらいで資格をそのまま与えろとは言っちゃおりません。部分的には通信教育で済むものは通信教育でやらせましょう。単位をとって、その上に立って国家試験を受ける。六年たったら、あと一年の講習で機械的にと言っちゃおりません。ちゃんと単位をとって、その上に立って国家試験を受けるのですから、多くの准看護婦の悲願でございます。この人たちの進むべき道を閉ざしておいて、それでいて医療の運用の上において欠陥、過失をおかしておいて、あなたは机の上で命令をしていれば済む。働いている看護婦や、あるいはまた病む人の身になって考えてあげてください。重度心身障害児の施設にしたってそうじゃありませんか。看護婦が足りないから、入院を願っている人はわんさとあるのに、これを見殺しにしているじゃございませんか。こういうことについて、このままでおやりになって、ほんとうに看護婦の充足ができるのか、医療に支障はないのか、責任を持った御答弁をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/92
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093・園田直
○国務大臣(園田直君) いま事務当局が答弁する前に、一言申し上げておきたいと思いますが、これは今後の問題にもなると思いますので、政府としては、国会法その他に規定してありまする問題、いわゆる議員の方が提案をされた場合に、それに賛成とか反対とかの意思を表明する権限はないはずでございまして、まず最初に藤原委員から、厚生省の中では反対があると聞くがということでございまするが、それはどのような話があるかわかりませんが、これは賛否は述べておりません。決定になればそのとおりに行政府はやるだけでございまして、ただ、念のために事務当局の気持ちを聞くという程度ならばそれでよろしゅうございますが、それでなければ、いやしくも議員が提案されている法律案に対して、賛成であるとか反対であるとか、そのような意向を表明することは、国会と行政府の関係上よろしくない、この点で御了解いただいてから事務当局に答弁をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/93
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094・藤原道子
○藤原道子君 だからお断わりしている。議員の提案を政府が拒否する権限はございません。そのくらいのことは承知いたしております。ところが、かげで看護協会なんかと一緒になって反対に策動しているんですよ。その具体的な例を示せといえば言えますよ。だけれども、私は、それはそれでいいんです。反対されることもいいんです。ただ、メンツですよ、問題は。けれども、厚生省のメンツのために医療を放置されちゃ困る。そのことが一つ。ですから、この法案が通らなかった場合に、私がいま聞いているのは、どうして医療を充実をされるのか、その決意と見通しを伺いたい。私は、もう二十三年から、歴代医務局長がまたかと言うくらい心配してやっている。このあいだの特会法のときに御質問いたしましたように、看護婦が足りないためにどれだけの悲劇が起こっているか、大臣だっておわかりでございましょう。それを何とかやるのが厚生省の役目じゃございませんか。しかも、看護婦さんたちは足りない。進学コースへ行く者は、生活費も学費も全部自分持ちじゃなかなか行けないですよ。こういうときに、もう少しあたたかい思いやりはできないのかということも申し上げてきた。あらゆる手だてをして質問してきたのにちっとも進まないから、今度私は特例法を出した。この特例法の審議はこれからです。けれども、急を要するがゆえに聞くのです。聞くところによると、資質の低下になる、レベル・ダウンになるから困る、ただこれだけです、看護協会の言うのは。それに医務局長あたりもやはり引かれているんでしょう。だから、これはこれとして、充足ができる見通しがあるのかどうか。ないからこそ医師会看護婦なんてインチキなものまで出て、それが大事な生命を預かっているじゃございませんか。こういうことに対しては法律違反が一方に行なわれているのを知りながら手をこまねいて、やれ進学コース、やれ夜間コース、山の中でやればそれこそ教師が足りないとか何とか。教師が足りないから、通信教育で済むところは通信教育で済ましたらいいじゃないか、こういうことを私たちは言っているんです。それが、ただ単に六年のものと一年くらいの違いでは均衡を失すると。均衡を失するならば、准看護婦に禁止されておる仕事をさしておる責任は厚生省にはないんですか、こういう点を聞きたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/94
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095・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 断わっておきますが、いま厚生大臣が言われましたように、本法律案は議員立法でありまして、政府に対する質疑というよりも、これに関連して政府の意見を聞いておりますので、その点を了解して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/95
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096・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 私どもも、看護婦全体の充足ということについては頭を悩ましておりまして、できるだけ看護婦、准看護婦を含めた看護力の充足ということには努力をしてまいっておりますが、それでもなお十分ではないということも、先生御承知のとおりであります。それから准看護婦から看護婦になるためのコースをできるだけ広げたいということで、いわゆる進学課程というものを極力拡大しつつあります。四十一年には八十一施設でございましたものが四十年には十七カ所ふえまして九十八施設になり、また四十三年にはさらに二十三施設ふえまして百二十一施設になっております。このように准看護婦から看護婦になるための施設を相当な努力をもって現在拡大をいたしております。そういう意味で、相当数の希望者はかなり受け入れられつつあります。ただし、先ほどのように、これが全部にはとても行き渡りません。また、僻地等におきましては進学課程に通うこともできないという点で、そこら辺のあたりを何らかの特別措置を研究しなければならぬということでやっておりまして、ただいま御指摘のように、特例的な措置を行なう場合に、特定の施設に通うということができない者に対する通信教育あるいは単位制というようなものもあわせて現在検討いたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/96
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097・藤原道子
○藤原道子君 二十三年といえば、ことしは四十三年だから、二十年たっているんですよ。いつの答弁も同じなんです。そのくせ、高等看護学院の数よりも准看学校の数がどんどんふえている。根本的に何を考えていらっしゃるんだか私どもにはわからない。それでもいいでしょう。准看をそういうふうにきびしい規制でいかれることはけっこうでございます。それならば、准看にやらしちゃならない仕事をやらしているのはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/97
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098・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 准看にやらしてならない仕事をやらしているかどうかという問題でございますが、これは、御承知のように、本来看護者でありますので、一般的には相当の教養も看護能力もあるわけでございますが、看護婦の指示を受けてという点で主要な点については看護婦の指示を受けることになっております。現実には、看護婦の数と准看護婦の数に相当なアンバランスがあるために、看護婦の適切な指示あるいは個別的な指示が行き渡らないということがあれば、これは非常に遺憾なことでございますので、少なくともそういう事前的、包括的な指示等を与えて、看護婦と准看護婦との間の業務上の関連の円滑をはかるということは各施設ごとにそれぞれ注意をしてやっていただきたいというふうに希望いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/98
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099・藤原道子
○藤原道子君 大臣に伺います。事務当局がそのような御答弁でございますが、十八人いる看護婦の中に、正看護婦がたった三人、准看が十五人、こういう病院がある。そういう場合に、適切な指示ができるでしょうか。看護婦は三交代制です。その病院では夜勤を一カ月に十六日やっています。これは准看護婦がやる以外にないでしょう。正看護婦はたった三人で、准看が十五人、こういうところに目をつぶっているじゃありませんか。これでも日本の医療は全きでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/99
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100・園田直
○国務大臣(園田直君) 正看護婦が不足で、この充足のためには緊急な問題であるにもかかわらずなかなか困難であるという点は、御指摘のとおりであります。なお、また、正看護婦と准看護婦との比率も、医療の根本から離れて准看護婦のほうがふえつつある、これも事実で、かつ、また、何らかの方法を講じて正看護婦の数をふやすということも早急にやらなければならぬ。かつ、また、長年の間苦労して勤務された准看護婦さんが正看護婦さんになれる制度というものも早急に検討しなければならぬことも、御意見のとおりだと私も考えております。
なお、また、そういうわけですから、理屈は局長が答えたとおりでございますが、現実には御指摘のとおりに正看護婦の数が少ないためにいろいろな問題が起こっていることはいなめないことであると私も考えておりますが、その先につきまして、この法律案について事務当局のほうで反対とかあるいは賛成とかというふうなことがあり、また、誤解を受けるようなことがありましたならば、厳重に事務当局を取り締まって、いやしくも国会議員が出された法律案に対しては反対の運動であるとかあるいはどうだということはやらないように厳重に注意をする所存でございますので、それを申し上げて私の答弁にかえます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/100
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101・藤原道子
○藤原道子君 過日大臣も特例法のときに御答弁になりましたけれども、看護婦が足りないということの中には、優秀な看護力というものが二十万人も巷に眠っている。この人たちをどう働かすかということに一つ考えをいたしてほしい。そのとき、病院に二十四時間制の保育所が必要だ、こういうことも考えてほしい、こう言うと、二十四時間も幼児を母から離すというのは困るというような意見もあると。しかし、二十四時間一人一人の子供ということではないのですから、遊休看護婦を動員するのにそういう思いやりも必要だ、こういうことも考えるべきじゃないか。厚生省で——この法案とは別個ですよ。厚生省でやるべきことをやらないから問題が起きている。
初め、昭和二十三年に、甲種看護婦、乙種看護婦で発足したのです。そのときから私たちは指摘いたしました。それは、二本立てにすると、同じ職場で同じ服装で働いているのだからいざこざが起きる、看護婦は一本にしなさい、こういうことで政府に迫っておりますが、私たち野党の言うことは通らなかった。普通中学を卒業して看護婦になりたい人がいる。だから、中学卒業者は五年なら五年にして、高校卒業した人と年限の差をつけて、その上に立って国家試験を一本にして看護婦は一つにしなさいというのが私どもの主張なんでございます。ところが、その後、二十六年だったかしら、やはりいろいろな問題が起こりまして、甲種と乙種と一本になった。そのときに、国家試験もなんにもなしに乙種看護婦は看護婦ということに統一された。中学を卒業して二年で乙種だった。ところが、いまの准看も中学を卒業して二年行なっている。だけれども、私は、今度はレベルが下がることはいけませんから、そこで、前前から厚生省に主張しておりますのは、この進学コースをもっと愛情を持ったものにしなさい、行く者には奨学金なり何か生活ができるようにしなさいと。けれども、これが一向に実現できません。しかも、看護婦の勤務状況等についても言いたいことは山ほどあるわけなんです。結局、四人に一人の看護婦というのはそもそも無理なんです。二人半に一人くらいは看護婦がなければ、それこそ基準看護なんてできるものじゃございません。これははっきり言明しておきます。厚生省もこれを認めている。だけれども、看護婦が足りないということできようまでだらだらと引きずられてきた。ところが、人命が軽視され、しかも同じ仕事をしながら非常な待遇の差別がある。進めないのですからね。病棟主任なんて違反なんですから。しかし、そうでもしなければ手が足りなくて見ていられない。そういうむちゃをしないで、大臣在職中に看護婦は一元化する、一本にする。そして、その養成課程も、教育法に基づいた養成にする。やはり短大卒業の資格を与えなければ、就職するときは高校卒業ですから、これでは看護婦の優秀な者を入れようと言ったって無理でございます。
私は、議員立法でございますから、委員会でこれから進めてまいります。けれども、大臣にいまの医療の現状を真剣に考えてもらいたい。政府が、この法案がかりに通ったときに困るというので、看護協会はまっこうから反対の声明まで出しております。と同時に、よりより御相談していらっしゃるということも承知いたしております。事務当局がそういうことをしていいかどうか。それをやるなら、りっぱなものを出してください、ということが私のきょうの質問の要点でございます。私も、大臣に言われなくても、議員立法に政府が反対する賛成するなんということはしないということはよく知っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/101
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102・園田直
○国務大臣(園田直君) 藤原委員の御趣旨は十分理解いたしまして、私も個人としてはその方向に考えておりまするので、今後事務当局とも話もいたしまして検討をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/102
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103・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 本案の質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/103
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104・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 次に、社会保障制度に関する調査を議題とし、質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/104
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105・藤原道子
○藤原道子君 医務局長に社会保障調査でちょっと伺いたい。
このあいだ十二日の新聞に、沖繩のハンセン氏病が非常に多いということが出ておりまして、私びっくりしちゃって、ここに切り抜いてきたんですけれども、これはどういうわけなんですか。結局、世界一といわれていたインドが五百人に一人なのに、多良間島では四十人に一人の割合でハンセン氏病が発生しておる。考えられないですね。これは一体どういうことなんでしょうか。本土では一万人に対して一人ですよね。沖繩全島では一万人に対して十二人なんです。ところが、多良間島では二百五十人ということが新聞に出ているのですが、ほんとうでしょうか。ほんとうならば、問題だと思います。その対策等はどういうふうにお考えか。私、とにかくびっくりしたので、ちょっとこの点だけお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/105
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106・村中俊明
○政府委員(村中俊明君) ただいまの御質問の、沖繩のハンセン氏病の健康診断についてでございますが、政府といたしましては、総理府を窓口にいたしまして、琉球政府と総理府の話し合いの結果によって、日本政府がどことどこの地区の健康診断を受け持つか、こういうプランニングを出しまして、現在、宮古島とそれから沖繩の本島の健康診断を実施いたしております。この二つで、現在まで、これは琉球政府からまだ正式の発表はございませんけれども、大体二千人余りハンセン氏病がおるというふうな健康診断の中間的な取りまとめができております。いまの御指摘の島については、これは琉球政府が実施をする分というふうに承知をいたしております。一番人口の多い本島の健康診断につきましては、たしか明年度で一応終わりになるというふうに承知をいたしております。いま新聞に出ました数字につきまして、私どもさっそく総理府を通じまして琉球政府に問い合わせをいたしておりますが、数字についてはまだ御返答をいただいておりません。新聞の報道を私も拝見いたしましたが、おそらく現地の有志の方方が検診班を編成して調査をされた、そういう数字だろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/106
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107・藤原道子
○藤原道子君 それでは、いま、沖繩からハンセン氏病患者が本土に療養に来ておるのですか。来ておるとすれば、その数をちょっと聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/107
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108・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 御承知のように、沖繩からは、現在、結核患者約千名近くを内地の療養所に計画的に入れておりますが、ハンセン氏病につきましては内地の療養所に送るという方針はきめておりません。したがって、計画的に内地の療養所に移すことはやっておりませんが、現実には沖繩の患者が内地の療養所におることは事実でございます。ただ、療養所に高等学校を設置しておりますので、高等学校が沖繩にないということから、内地の高等学校に入れてくれという話がございました。内地では高等学校に生徒がいなくなって廃止をすることになっておりますので、それもできないということがいままでにございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/108
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109・藤原道子
○藤原道子君 それは、私、沖繩が長い間施政権がアメリカに置かれ、国民の福祉という面がなおざりになっておる点がほんとうにつらいのです。一日も早く日本に復帰できるようにと祈る気持ちでおります。こういう気持ちのときにたまたま新聞を見まして、いま、ハンセン氏病はだんだん少なくなって、日本なんかほとんどもう追い詰めたと思ったときにこの新聞を見て、びっくりいたしました。したがって、やはり沖繩県民は日本人でございますから、これらの健康の問題については十分総理府と御相談いただきまして配慮してほしい。ことにこんな多発的に出たということも、事実とすれば驚くべきことだと思います。この対策を至急とってもらわなければ、えらいことになると思います。沖繩本島で日本が受け持っておるところが二千人ですか。この点、いつごろでき上がるのですか。来年一ぱい……。見通しはどのくらいだと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/109
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110・村中俊明
○政府委員(村中俊明君) 先ほど申しましたように、いままで出ておる患者が二千名余りということでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/110
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111・大橋和孝
○大橋和孝君 私は、きょうは薬品の広告について少しお尋ねしてみたい、こう考えております。
最近、血管梅毒についてといって広告がなされている薬品があるわけです。私は、その前に、いま梅毒の蔓延の状態がいろいろ取りざたされておりますし、いろいろな問題がありますので、梅毒の問題について詳しく医務行政の中で尋ねてみたい、こういうふうに思っておったのですが、これはきょうは時間のあれもありますので、次の機会にするとしまして、きょうは、広告なんかが知らない一般の国民に対して悪影響を及ぼして、それがたいへんなことになっておるのじゃないかということを聞きましたので、一応それらの問題に対して相当関心を持って対処していただきたい、こういう点から御質問さしていただきたいと思います。
これは、いろいろ出されておりますから、薬の名前をはっきり申しますと、ここにも出ておりますが、ベルツ丸というもの、これはいかにも中の処方を見てみますとヨードなんかが入っておりますから、厚生省のほうでもいろいろこの問題について見解も表明していらっしゃいますようで、血管梅毒にヨードがきくということはきくでしょう。しかし、いまの薬剤の進歩の状態の中で、むしろ下剤というか、そういうような方向に働く薬が入っている薬剤が、血管の梅毒、いわゆる血管梅毒といえば第三期梅毒でありますから、非常に進行した梅毒、これに対して、血管梅毒は早期発見が必要であって、そしていい治療をしなければならないと書きながら、そのベルツ丸が宣伝されている。こういうことになりますと、知らない国民の側からしてみれば、これは梅毒によくきく薬として受け取る。こういうことになれば、これは非常に問題があるのじゃないか。もっとも、ヨードを使うことは、感受性を変えて、そしてあとの十分な駆梅療法をやれば、これは効果があるだろうと思います。けれども、ヨードを飲むことだけが最高のいわゆる梅毒の療法でないということはいまもう明らかであろうと思いますが、それがさもそうであるような感じを受ける。それからまた、いろいろ話を聞いてみますと、広告を見てこのベルツ丸を梅毒の最高の薬のように考えて、薬局になくて、メーカーのほうに対して直接申し込んでくるのが相当の額があるような話を聞いておるわけであります。一日に二十万円も通信販売というようなことでもって買いに来ておる。あるいはまた、問屋とか、薬局なんかを通じて売り上げが月に一千万円くらいになっておるのだということで、これは明確な数字ではございませんが、しかし、その宣伝によりましてこういう人が集まってくる。私は、逆に言いますと、それほど婦人なんかが買いに来るとするならば、世の中には梅毒がたくさんあるのだなということもまた驚かされたわけでありますけれども、こういうことであっならば、将来おそろしい状態が起こってくるのではないか。少なくとも梅毒はますます慢性化して蔓延していくことになるだろうと思いますが、むしろこれが公衆衛生の上からいっても非常に大きな害毒をなすであろうし、また、薬務行政の上からいってもこういうふうに無制限に広告がなされておるということ自体が非常に問題があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。ことに、医者のほうの側におきましても、広告というものは、患者さんの側に悪影響を及ぼさないように広告規制というものがあるわけなんですが、こういう薬業に対してはもちろん広告規制があるように私も調べて聞いておりますが、こういう取り扱いの中でこういうものはどういうふうに処理されているのか、一応聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/111
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112・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) ベルツ丸といわれる血管梅毒の効能を持っておる薬についてのお尋ねでございますが、この点につきましては、私どもも、いま先生の御発言のとおりだと思います。したがいまして、過去のいきさつはいろいろあったようでございますが、このような大衆向けの広告をすることによって、一般の国民なり患者の認識を誤らせるとか、あるいは早期治療の妨害になるというようなケースがあってはならぬわけでございますので、御指摘のベルツ丸につきましては、本年の初めから当該メーカーを指導しまして、血管梅毒云々の大衆広告をやめるようにということで、先生御承知だと思いますが、私ここに手元に持っておりますが、血管梅毒の広告は四月一日からやめさせることになっております。それがとりあえずの処置でありますが、ただ、基本的に、ベルツ丸のようなヨード製剤についてこのような血管梅毒的な効能を今後も与えていくことがいいかどうか、これは確かに問題点がございます。学者の間にもいろいろ意見がありますけれども、私どもとしましては、大衆広告をとりあえず禁止して、そうして、ことしの四月から、この効能効果、つまり血管梅毒という効能効果を与えていることがいいかどうかということについていま学者の意見を聴取しておりまして、近くこの点については決断をしたいと、かように考えているわけでございます。
それからお触れになりました医薬品の大衆広告のあり方につきましては、昨年の九月以来、いわゆる基本通達をもちまして、お医者さんだけが使うようなお医者さん専門の薬等を一般大衆広告をいたしますと、とかく、先ほど申しましたように、一般の患者に認識を誤らせるとか、あるいは治療上障害が出てくるとか、そういう面が考えられますので、医家向けの専門の薬の大衆広告は、昨年の十月以来通達をもって禁止をしていくということで、いまそういう手順を進めている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/112
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113・大橋和孝
○大橋和孝君 大臣がお急ぎのようですから、大臣に一言だけ伺っておきたいと思います。またあとから少し一、二は質問さしていただこうと思いますが、このほかにもいろいろあるわけなんですが、この問題だけにつきましても、広告の禁止を出しただけで、まだ商品はあるわけですね。そうしてまた、それがどんどん売られている。そちらのほうを禁止していけば、もっと潜在的な方向に動いていくということも可能だと思うのですが、いま検討されていると言われておりますが、広告というものが誤って伝えられるものが非常に大きな弊害を及ぼすと思います。ですからして、検討を進めてもらってから慎重にやっていただくことはけっこうでありますけれども、こういうようなふうなものはもっと根本的にやっていかないと、非常に大きな害を及ぼして、一般の消費される患者さんの側にしてみたら、それが唯一の治療薬のように感じられたらたいへんなことだと思います。しかも、話を聞いてみれば、これは幾らの薬かぼくは知りませんけれども、一日に二十万円ももし買いに来る人があるとすれば、その人もたいへんなことだと思う。しかも、問屋とか薬店あたりで売られている量からいうと、月額一千万円ということになると、その人もたいへんなことになると思います。
こういうようなことから考えて、及ぼす影響がいかに大であるかということもいわれるし、また、いまの現状で環境衛生の立場からいったら、そういう梅毒の患者が正規な治療を受けずして、そうして、何か秘密にしておきたいとかいろいろな条件があるだろうと思うのでありますが、こういうものがそういうところで惑わされて停滞をしてしまう、そういうことであればたいへんな問題になると思います。いろいろと話を聞いてみますと、薬店あたりでも、病気にかかって行くと、早く治療しなさいといってすすめたり、あるいは、メーカーのほうでもそういうことをおすすめになっているような良心的なところもありますけれども、しかし、まだまだそういうことのわきまえがつかないためにおかしている数はたくさんあるだろうと思うのでありまして、今後民間薬の宣伝といえども宣伝に対しては慎重を期して、少なくとも宣伝はオーバーにならずに控え目にするということのほうが正しいのではないか。たとえば医者なんかも、変なことを言わないで、専門的な面だけしか言わないといったような形、それが当然のことだろうと思うわけでありますが、医薬品を大衆が誤って使ったための弊害あるいは中毒、いろいろなことが起こってくるわけでありますが、そういうものに対してはそれはそれとして、私は民間薬というもの自身も、受け取り方は言い回しによって非常に違うことは、広告を見せてもらったら、これだったら飲んでみてもいいかなと思うのが当然じゃないかと思う。だから、こういうようなこと、あるいは、そのほかに、これから申し上げる量の問題と価格の問題、こういうことなんかももうでたらめになっている。統制がない。こういうことでは、薬に対する信頼度も劣るかもしれませんけれども、今後大衆の大ぜいの健康に及ぼす影響、そういうことも考えますと、ゆるがせにならない点だと思います。
こういうことに対しては、もちろんそういうような学者の意見も大切でありますけれども、根本的にどういうふうにするかという理念を通してこういうようなものにきびしく対処していただきたいと、こういうふうに思うのでありますが、大臣にその点をお含み願って、御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/113
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114・園田直
○国務大臣(園田直君) 薬の問題については、近ごろいろいろ問題が出ておりまするが、これはやはり製薬会社、それから小売り店、それから買う人、ともに考えてやらなければ、薬はあまりわがままに使うことは非常に問題が起きてまいります。したがいまして、一つには、いまおっしゃったような広告面がございまするが、これは誇大広告は公正取引委員会がやることになっておりまするが、薬の広告だけは、誇大広告と違って、使い方が間違うと生命や身体に影響するわけでございまするから、この点については、やはり厚生省の薬務局で規制できるように。ただいまは行政指導だけでございまするから、これでは弱いのではないか。
それからもう一つは、新薬が認可したあといろいろ副作用が出てきたり問題が出てきたりすることは、これはあってはならぬことではございますが、あることでございます。なおまた、もうずっと古くからの、極端に言うと明治年間に認可した薬がそのまま使われておるのであって、ベルツ丸というような血管梅毒と何ら関係のない薬であるにもかかわらず、梅毒の薬のごとき印象を与えておるというような点もありまするので、両面から再検討をする時期であると、こう考えておりまするが、再検討の問題については、局長がすでに具体的な案をつくっておるようでありまするから、御趣旨の線に従いまして、私もそのようにちょうど考えておったことでありまするから、厳重にこれは取り締まりをしていきたい。それについては専門家の御意見もさらに聞いてみたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/114
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115・大橋和孝
○大橋和孝君 こういうふうなべルツ丸の問題から、公衆衛生の立場からひとつ考えてもらいたいと思うのです。それは、広告の面だとかそういうこともありますけれども、将来こういうふうな病気が、ことに梅毒なんかの問題がこういうふうにしてはしなくもあらわれておりますけれども、そのほかでいろんなデータによって蔓延しつつある。これをいかにしてとめるかということに対しても非常に問題になっておるわけでありまして、この点については、私は、一ぺんこの次に、法務省のほうにも関係があるわけでありましょうから、いろいろなところでもってよく詳しく話を伺いたいと、こう思っておりますが、現段階において、駆梅療法のためのべルツ丸そのものに対しましても、公衆衛生の面からいっていろいろ配慮をされるべきだと思います。それで、少なくとも薬務局とも一緒になって、むしろ前向きにもつと駆梅の方法なんかもPRするように、あるいはまた、そうした非常にふえつつある病気をどういうふうに処理するか、こういうような問題についても、医務行政と一緒にあわせまして公衆衛生の立場からも、あるいはまた、薬剤の立場からも慎重に配慮してもらいたい、こういうふうに思うのでありますが、今後、こうしたきかぬといいますか、効果の不十分な薬じゃなくて、効果のある薬あたりも、もう少し医者のほうで使うようなために何か配慮をしてもらいたい、こういうふうに思うわけであります。いろいろいま抗生物質もできまして、非常に効力があるわけでありますけれども、そういうもののほうがきくということを何かの機会でPRしなければいけないと思うんですね。公衆衛生の立場からそういう点についてひとつお考えを聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/115
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116・村中俊明
○政府委員(村中俊明君) 現在、性病患者の治療につきましては、ただいま御質問にございましたように、ペニシリンあるいは抗生物質というものがほとんど圧倒的な使い方になっておりまして、ヨードカリというような薬の作用につきましては、そういう前者の特異的な異常体質というようなことで使えない患者に対して使っているというのが実態だと承知いたしております。そういう意味で、私どもといたしましても、性病患者の的確な治療、完全に治癒するということのためには、有効な薬を正しい使い方をするということで、医師に対してはいろいろな角度から指導協力を願っておるのでございますが、今後とも一般に対しましても正しい医師の治療を受けるように、そういうことを指導をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/116
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117・大橋和孝
○大橋和孝君 それからもう一つ、これは一つの例でございますけれども、まだたくさんこういうことがあると思うのですが、同じ原料を使いまして、その量が一方では多い、一方では少ないと、こういうようなことがあって、そして、それが価格の点においても、反対の現象で、たくさん入っておるほうが安くて、少ないほうが高いと、このように二つ並べた場合に、やっぱり薬というものに対しての一般の大衆の受け取り方は、一体何だろうかということにいわれるのじゃないかと思うのです。
それは、一方では、女性のやせ薬なんかというものが宣伝をされておるわけであります。いま、太っておる女性が非常にふえておる。だから、これはいい薬ができたということで盛んに売れるわけでありますから、少々高くしておいてもどんどん売れるわけでありますから、非常に高く売られております。
これは、同じことから言いますと、そこに入っておる薬が、一方では二五〇ミリしか入っていない。一方では五〇〇ミリ入っておる。そのほかの薬も、ビタミンEあたりに至っては、一方では五ミリ入っておるし、一方では一〇ミリ入っておる。こういうような形で、ほとんど倍量入っておるわけですね。ところが、一方、少ししか入っていないほうが六十球が七百五十円で、たくさん入っておるほうが六十球が六百八十円、こういうふうになっておりますので、これをもし両方突き合わせるならば、価格の差が一ぺんに出てきて、入っておる薬は同じだと。ビタミンFが、一方では二五〇ミリ、他方では五〇〇ミリ入っておる。ビタミンEにいたしましても、五ミリ、一〇ミリ、こういうふうになっておるわけでありますから、これは価格的な内容から比べてみても非常におかしいなと思うわけであります。一方のほうは比較的男性向きに売り出されておるようでありますから、奥さんと旦那さんが両方買ってきて茶の間で合わせると、価格が変に違うというようなことが起こるのじゃなかろうかと私は思うわけであります。
こういうようなことが全然無統制にどんどんと広告が行なわれておること自身が、広告の上からいっても問題があるだろうし、また、価格の定め方についても何か不自然なものがあるわけであります。まあ、しかし、いずれにしましても、こういうような薬が効果的には多少の効果はあるのでしょうけれども、その量なんかからいっても多少合理的に考えられることは考えられると思うのでありますから、根本的に全部が悪いということにはならぬと私は思いますけれども、常識的に考えて、こんなことが無統制にやられておるということのこれは一例でありますけれども、まだあると思うのでありますが、こういうことが行なわれておるということは、私は、やっぱり悪いことだと、こういう広告についての規制というものをもっと相当厳重にしてもらうべきじゃないかと思うのでございますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/117
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118・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 医薬品の広告なり価格の問題でございますが、昨年の秋、先生御存じのように、私ども、医薬品の行政を今後どういう方向に持っていくかということについての一つの基本的な指針をお示ししたわけでございます。もちろん、これは一挙にできない面もありますので、漸進的にやるという必要もあるかと思いますが、ここごく短い期間の間にわが国の薬業界の価格問題、あるいは広告問題、あるいは販売の態度、こういう問題についての姿勢を直していきたいというのがその根本の精神であるわけであります。目下、そういう線に従いましてこの通達を実施しつつあるわけでございます。
そこで、具体的に価格の問題がお話にございましたが、私どもとしましては、医薬品の価格につきましては、先生御存じのように、薬価基準に収載されております医家向けの医薬品の価格につきましては、国が関与するような仕組みになっております。したがいまして、薬価基準に収載する新規の医薬品等の価格につきましては、それなりの根拠を持った価格体系というものを現在逐次やりつつあるわけでございます。もちろん、現在七千品目以上の薬価基準の収載医薬品についての価格全般を総合的にながめた場合に、個々の問題としましては、確かに御指摘のような点があるかと思いますが、今後そういう点は逐次改善しつつそういう方向に持っていきたいというふうに考えて、現在、新薬の薬価基準収載等の場合におきましては、その価格というものについて合理的な一応の根拠というものがあるような形で収載をしつつある、こういうことでございます。
それから一方、一般の大衆向けの医薬品、薬局等で売っております大衆向けの医薬品の価格につきましては、やはり国として関与できる限度というものがあるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、そういう大衆向けの医薬品であっても、やはり一般の国民なり消費者が納得できるような価格体系というものを早急に考え直してほしいという点をいまメーカーのほうに強く指導しておりますし、メーカーもそういうようなことにつきましてムードができてきておりますので、逐次できるものから価格体系というものを考え直していくと、こういうことで現在検討を進めておるわけでございます。
早急に、そういう医家向けの薬と大衆向けの薬の両方の面から、御指摘のような価格につきましては改善をはかっていきたいと、かように思っているわけでございます。
それから広告問題につきましては、先ほども触れましたように、昨年の基本通達で、少なくともお医者さんが専門的に使うようなそういう医家向けの専門の薬についての一般的な大衆広告というものはやめてほしいという基本通達を出しまして、現在そういうような段取りでメーカーが作業をしております。したがいまして、これは遠からずしてごく近い時期に医家向けの薬の一般向けの広告を規制をしていきたい。そうしますと、一応薬価基準に収載されたような医家向けの薬の大衆広告というものはごく近い時期になくなると、また、なくしたいと、こういう方向でいま作業を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/118
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119・大橋和孝
○大橋和孝君 きょうはこのような価格の問題からいう医薬品のあり方ということについてもいろいろな点からお伺いしたいと思っておったわけでありますが、これもちょっと後の機会にさしていただきたいと思います。
それからもう一点、広告ということにタッチしてお聞きしておきたいと思うのでありますが、ある会社の製品で、一方は軟膏なんかとして使われて比較的いい薬だと考えられておるのでありますが、それの広告と同時に、このあいだ衆議院におきましても問題になったと思いますが、ドリンク剤というようなものが非常に広告されております。薬品と、薬品でないところの清涼飲料といいますか、そういうものが並べて広告される。それがテレビあたりでもじゃんじゃんやられるということによって、受けるほうの側は、そのドリンク——いわゆる清涼飲料みたいなものであるのでありますが、医薬品的な効果をねらったといってはまずいのじゃないかと思うような清涼飲料でありますが、それがいかにも医薬効果があるような期待感を持たせるような広告の取り扱い方をして、こういうことがどんどんやられて、話を聞いて調べてみれば、その広告はテレビの全チャンネルを持っておる。それで、すべての大衆誌あたりにも徹底的な広告が行なわれておる。だからして、その製薬会社は、ことしのあれでは六億何ぼの所得であって、日本じゅうのナンバーワンの高額所得者になっている。そういうようなテレビ広告などに全部それを契約してじゃんじゃん広告していくんだと。しかも、その広告の内容には、一方にはほんとうに軟膏としてかなり評価されている薬、いまよく使われている薬に並べて飲料をつけるわけですから、受け取るほうは、やっぱり薬と同じような効果があると思う。そういうことをねらってやるということになりますと、非常な悪影響を及ぼしてくるんじゃないかと思います。
私は、清涼飲料あるいはこういうようなドリンク剤に対して、また詳しく御見解を伺ったり、私の考えも申し述べさしてもらったりして一ペん質疑をしてみたいと、こう考えております。それについてもいろいろ調べておるわけでありますが、それはあと回しにしまして、いまの広告の問題だけを取り上げましても、広告するからには売るために広告するのでしょうから、効果があるようにねらうのも別から言えば当然だと言われるかもしれないけれども、こういうことによって受けて効果が間違ったほうにこういうものが使用されていくということになると、これは大問題じゃないかと思うのです。私はそれだけでその会社の所得が上がったとは決して申し上げませんけれども、そういう高額所得者の大きな収益のある会社であります。大会社であるかどうか、そういうことは別問題としまして。そういうわけでありますからして、広告によってそういうものがどんどん売れるということも、一部分にはそういうことが入っているということが言えるだろうと思うわけであります。そういうことから考えて、私は、広告のあり方の弊害は非常に大きなものがあるのじゃないかと思っておりますが、そういうことについて一体どういうふうにされるのか。これはただ通達や通告を出してそういうようなことはちょっとしないでおけということだけではなかなか解決せぬのじゃないかというような感じもするわけでありますが、いま御答弁になったような範囲内しか出ないものかもしれませんけれども、しかし、それだからということであれば、現実的にはこういう状態は防げないということにひっくり返せばなるわけでありますから、その辺のところは、相当大きな進んだ観点から、もっと厳格にこういうものを考えてもらわにゃならぬのじゃないかというふうに考えるのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/119
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120・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 広告問題に関連して、ドリンク剤なり清涼飲料水の問題が取り上げられまして、薬でありますドリンク剤につきましては、御承知のように、本年の四月から、広告なり表示なりあるいは店頭の陳列等のあり方については一応規制を加えたわけであります。ところが、これとまぎらわしいいわゆる清涼飲料水のほうの問題がまだ残っておりますので、これは大臣の指示もございまして、ここ二、三日中に結論を出したいということで、もうすでにほぼ成案を得ておりますので、いずれ大臣の了解をとりまして、清涼飲料水のほうと、それから薬のほうのドリンク剤のけじめを現時点において少なくとも可能な限りにおいて区別をしていきたいという案をいま申しましたように成案を得つつありますので、ここしばらくの問に発表いたして、それに基づきまして、末端のほうまでこの趣旨を徹底し、それによる監視、指導を強化してまいりたいと、かように思っておるわけであります。
それから広告の規制のしかた等については、いろいろな見方もあろうかと思いますが、私どもとしましては、現在、私のほうの薬事法に、虚偽または誇大な広告の禁止の措置がございます。もちろん、法律でございますので、その法律の運用問題がより重要になろうかと思いますが、私ども、広告の問題についての基本的な考え方としましては、広告をするほう、つまり広告主なりあるいは広告の媒体なりのそういう広告関係の業者、そういう者の自覚の問題、倫理の問題が一つあろうかと思います。したがいまして、大橋先生御存じのように、すでにそういう倫理規定なりあるいは自粛要綱なりを片一方においてつくらせつつあるわけであります。また、それに基づきまして、現在、自粛的な措置を業界自身としてやりつつあるわけであります。また、当局のわれわれとしましては、そういう自粛要綱なり倫理規定と相呼応しまして、当局側の具体的な措置要綱というものをつくっておりまするので、こういうものをいろいろな角度から総合的に活用いたしまして、広告問題というものを少しでも一歩前進させるようにしていきたいと思っております。
もちろん、基本的には、広告の問題について法律的な措置をすることがいいかどうか、これは議論の分かれるところだろうと思います。しかしながら、われわれは、現段階においては、法律に基づく運用なり、あるいはそれに基づく行政指導なり、こういう形で業界の自覚を求めながらやっていく。これは手ぬるいという御批判をいただくかもしれませんが、やはりそういう自覚を求めながら、当局側のほうで監視、指導をしていく、これがやはり一番スムーズにいくんじゃなかろうか。もちろん、法律をつくったからこれがびしゃりいくという性質のものじゃないと思いますので、われわれとしましては、今後もそういう自覚なり自粛を求めながら、適切なアドバイス、あるいは監視、指導、こういうものを加えつつこの広告問題については対処していきたい。その第一歩としまして、先ほど申しましたように、昨年の基本通達は医家向けの薬の大衆広告というものを規制を加えた、こういうことでございまして、あと一般向け医薬品の広告のあり方等につきましては、たとえば公正競争規約の作成とかそういうような自主的措置によって大衆広告というものを逐次前進的な方向に持っていきたい、こういうふうに考えまして、現在、業界等に働きかけまして、公取当局とも相談しながら、大衆広告のあり方というものについて適正なものにしていきたい、こういう作業を進めている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/120
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121・大橋和孝
○大橋和孝君 じゃ、最後に、そういうふうなお考えであれば、よけい私はそういうことをお願いしておきたいと思いますが、医療法あるいはまた医療制度の改正、こういうふうなことがいま言われているわけでありますが、そういう段階からも、医薬品というものの占めるファクターというものは大きいと思うのです。そういう観点で申しますならば、そうしたいまのいろいろな規制をつくってもらう。ことに、広告なんということについては、将来そういう展望を含めて改正をしていっていただきたい。そのワンステップとしてどうするとか、あるいはまたどういうふうにしていくというふうな形の相当な見通しもつけないとまずいのじゃないか。特に、私はずっと外国の例なんかも見ておりますけれども、薬品の広告というものに対しては、諸外国では、相当厳重に取り締まるというか、方針を立てておるわけです。ところが、日本は、いままで案外そういうことが放置されている。そして、商品の宣伝と申しますか広告というものを上回るような広告が行なわれておる。おそらく、広告費全体から比べたら、劣らないだろうと思うのです、ほかの広告と。だから、そういうことを考えてみますと、いまのあり方は、将来のそうしたもの、外国の情勢、あるいはまた特に日本の医療というもののあり方の中からどうしていくべきだということを相当しっかりと掘り下げたものにしていってもらわないと、場当たり的なことで、なれ合いの話し合いでもってこれが進んでいくということでは非常に障害が残ることだろうと思うのです。私は今後もいろいろな問題についてお伺いさせていただきたいと思いますけれども、広告の面から見ましても、あなたのほうでそういう規制をされるということになれば、そういう展望を持って相当厳重なものにしてもらって、そうして医薬品というものが医療制度の中でどういうふうなものになっていくか、あるいは、外国なんかとどういうふうにしていくかという観点を含めて、根本的な改正をしてもらいたいと思うと同時に、そういうふうな通達を出されたり広告なんかを規制されるということになれば、そういう将来の展望を持ってやってもらいたい、こういうことを希望いたしまして、私は、時間もありますから、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/121
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122・藤原道子
○藤原道子君 この際、関連して伺っておきたいと思うんですが、三悪追放のほうで、梅毒患者八百万というような宣伝をしているんです。私、八百万あったらたいへんだと思うんですが、大体そういう誇大なことを呼びかけるのもいかがかと思うし、ほんとのところ、推定しかわかりませんけれども、梅毒患者はどのくらいいるという見通しなのかということが一つ。
それから医薬品と大衆薬品が混同して、やたらだれにでも買えるんですね、薬局に行けば。これはお医者さんの処方がなければ買えないというふうなきびしい規制が外国にはあるようですけれども、日本は野放しのように思うのですが、これに対しての考え方。
この二つを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/122
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123・村中俊明
○政府委員(村中俊明君) 梅毒患者がどのくらい国内に潜在しているかという点についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、法律に基づいて届け出のあったのは、四十二年で二万四千程度でございます。これは法律に基づいた医師の届け出ということでございます。
ただいま、ある発表があったという点でございますが、これはたしか本委員会でも従来御質疑の出たところだと承知いたしておりますけれども、千葉大学の竹内教授が、教室の外来を中心にいたしまして関東一円のいろいろな調査を行ないまして、この調査の集計を逆算いたしまして、大体五百万人ぐらい国民には性病と申しますか血液の陽性者がいるのではないかというふうな推定をいたしました。これの根拠になりましたのが、約三十万人の梅毒の血液検査をいたしまして、四%前後の陽性率が出たそうでございますが、この辺に五百万人台という推定の一つの論拠があったように聞いております。私どもが昭和四十一年に性病予防法の一部改正をいたしまして、結婚をするときとそれから妊娠したときに血液検査を受けることに定まっております。これの四十一年の十月から昨年の三月までに約三十万人の血液の検査をいたしました。この陽性率を見ますと、妊婦については一・一%、それから婚姻時の検査では〇・九%、大体一%前後という数字が出ているわけでございます。これを逆算いたしますと、推定として、一億の人口といたしますと、百万人前後の血液陽性者というふうなことが出てまいるかもしれませんが、こういったところが現在いろいろ性病問題を取り扱うときに出ております数字の根拠でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/123
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124・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 薬の販売が非常に乱れているという御叱正でございます。確かに、現在の薬の制度の中に、医師の処方箋なりあるいは医師の指示がなければ薬局等で売れないという、いわゆる要指示医薬品というものがあるわけでございます。このことだろうと思うわけでございます。これは、確かに、従来から、要指示医薬品の販売がなかなか法律できまっているとおりの厳正な態度で売られていないということがたびたび御指摘を受けているわけでございます。私どもも、何とかこれをしなければいかんということでいろいろ指導も行ない、また、監視もしながら、片一方、関係業界に猛省を促しつつやってきたわけでございますが、国民の期待するところまでなかなか到達しない。そこで私どもとしましては、昨年の基本通達によりまして、薬というものを、いわゆるお医者さんだけが使うような医家向けの医薬品と、それから一般の国民が使います一般医薬品とに分けまして、この間の区別というものをある程度限界を引きながら、これに基づく販売のしかた等に一つの方針をきめたわけでございます。したがいまして、これを逐次軌道に乗せていきながら、片一方また、基本的には外国でやられておりますように医薬分業制度というものを一刻も早くわが国の場合に実施すると、こういうことを基本的にねらいながら、当面の段階的な措置としまして、いま申しました通達で要指示医薬品の販売秩序というものを正しい方向に持っていきたいということで、いませっかく行政指導を兼ねながら関係業界にそういう線で販売の態度を改めるような指導をやっているわけでございます。藤原先生御承知のように、この問題は、外国並みに販売の態度というものをきちんとさせるには、一刻も早くわが国において医薬分業制度というものを完全に実施するようになりまして、薬局等で売る場合は結局医師の処方箋でないと売れないと、こういうような形にまで持っていきますと、これは根本的な解決の道になる、欧米の先進国並みに販売の秩序が正しいものになるんじゃないか、こういうふうにわれわれは考えて、今度の医療保険の抜本対策の一環としても、医薬品の販売秩序を適正なものにするという意味においていろいろな施策を考えながら、究極的にはやはり医薬分業というものを実施をするということが一番適切な方法であろうと、こういうことで、抜本的対策の中にもそのような案を考えつつあるわけでございます。したがいまして、当面の措置としましては、やはり行政指導を加えながら、また、業界等に対してそういうような法律の精神にのっとったような医薬品の販売をするように今後も反省を加えながら、そうしてまた、見つかった場合は適切な行政処分をやると、このようなもろもろの方法をとりながら逐次医薬分業の方向に持っていけば、医薬品の販売の問題は相当改善されるのじゃないかと、こういうように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/124
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125・村中俊明
○政府委員(村中俊明君) ちょっと訂正させていただきたいと思いますが、いま数字を間違えて申し上げまして、昭和四十二年で二万四千名の性病と私申し上げたつもりでございますが、梅毒と申し上げたようでございまして、これは性病全体の届け出で患者が二万四千と、こういうことでございます。後ほどの陽性というのは、これは全部梅毒の血液検査の数字でございます。それを訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814410X01319680514/125
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126・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もないようですから、本日の調査はこの程度にとどめておきます。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十四分散会
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