1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年三月五日(火曜日)
午後一時二十五分開会
—————————————
委員の異動
三月一日
辞任 補欠選任
大森 久司君 豊田 雅孝君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 金丸 冨夫君
理 事
高橋 衛君
土屋 義彦君
宮崎 正雄君
阿部 竹松君
委 員
上原 正吉君
豊田 雅孝君
平泉 渉君
柳田桃太郎君
近藤 信一君
竹田 現照君
国務大臣
通商産業大臣 椎名悦三郎君
国 務 大 臣 鍋島 直紹君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
政府委員
公正取引委員会
委員長 山田 精一君
経済企画庁長官
官房会計課長 財前 直方君
科学技術庁長官
官房長 馬場 一也君
科学技術庁長官
官房会計課長 斎藤 吉郎君
科学技術庁原子
力局長 藤波 恒雄君
通商産業政務次
官 熊谷太三郎君
通商産業大臣官
房長 大慈彌嘉久君
通商産業省公益
事業局長 井上 亮君
中小企業庁長官 乙竹 虔三君
中小企業庁次長 沖田 守君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
—————————————
本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
(昭和四十三年度通商産業省の施策及び予算に
関する件)
(昭和四十三年度科学技術庁の施策及び予算に
関する件)
(昭和四十三年度経済企画庁の施策に関する件)
(公正取引委員会の業務概況に関する件)
○電気用品取締法の一部を改正する法律案(内閣
提出)
○参考人の出席要求に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/0
-
001・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員の変更について御報告いたします。
去る三月一日大森久司君が辞任され、その補欠として豊田雅孝君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/1
-
002・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、昭和四十三年度の通商産業省、経済企画庁、科学技術庁の施策及び公正取引委員会の業務の概況について説明を順次聴取いたします。
椎名通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/2
-
003・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 第五十八回通常国会における商工委員会の御審議をいただくに先立ち、所信の一端を申し述べたいと存じます。
御存じのとおり、昨年以来の民間設備投資の伸長と個人消費支出の堅調な増大を反映して、昭和四十二年度のわが国の国際収支は、かなり大幅な赤字を免れない情勢にあります。他方、わが国経済を取り巻く国際環境は、最近ますますきびしさを加え、昨年十一月の英ポンド切り下げに続き、年初来アメリカからドル防衛措置に対する協力要請があり、また過日私も出席してまいりました第二回国連貿易開発会議においては、現在なお発展途上国産品に対する特恵措置等援助拡大が論じられております。
このようなきびしい経済状況のもとにあって、政府としましては、国際収支のすみやかな改善をはかり、早期にわが国経済の安定的成長の基盤を確立するための景気調整策を進めつつあるところであります。この際特に、国際収支改善の基本は輸出の促進にあることを考慮し、輸出振興策を一段と拡充強化いたしたいと思います。また、わが国産業の国際競争力を高めるため、産業構造の改善、技術の振興等の施策の強力な推進をはかる所存であります。
以下施策の重点項目の概要について御説明申し上げます。
重点の第一は、輸出の振興であります。
従来から輸出振興策は重点的に実施してまいったところでありますが、前述のごとき国際経済情勢下にあっては、これを一段と充実する必要がありますので、このために、政府としては、恒常的輸出振興体制の確立に必要な措置を講ずるとともに、日本輸出入銀行資金の拡充及び融資条件の整備、輸出振興税制の改善、日本貿易振興会等輸出振興関係機関の充実等に全力を尽くしてまいる所存であります。
重点の第二は、長期的な観点に立って産業の国際競争力を一段と強化するため、企業体質の強化と産業の構造改善を促進することであります。
このため、日本開発銀行の産業構造改善金融ワクの拡充等、産業構造の改善のための資金を確保するとともに、税制面からも資本構成改善、老朽設備のスクラップ化及び企業の合併促進等につき、引き続き措置してまいりたいと存じております。
重点の第三は、中小企業対策の拡充であります。
わが国の中小企業は、現在内外ともにきびしい事態に直面しておりますが、この際中小企業の健全な発展をはかるため、中小企業振興事業団の業務を拡充し構造改善を促進するとともに、中小企業金融の重要性にかんがみ、政府関係中小企業金融三機関及び中小企業信用保険公庫等に対して十分な資金手当てを行なう所存であります。
それに伴って、中小企業信用保険公庫法及び中小企業投資育成株式会社法の一部改正を御審議いただくことといたしております。
重点の第四は、技術開発力の培養であります。
四十三年度におきましては、前年度に引き続き大型プロジェクト研究開発の充実をはかるとともに、民間企業の自主的な技術開発を助成するため、従来の鉱工業技術試験研究補助制度を改善して「重要技術研究開発費補助制度」とし、日本開発銀行に低利長期の融資制度として「国産技術振興制度」を創設する等、わが国独自の技術開発力の培養につとめてまいりたいと存じます。
重点の第五は、産業立地の適正化と公害対策の推進であります。
御承知のとおり産業の発達に伴う工場の過度の集中、無秩序な立地によって公害の発生を見、その国民生活に及ぼす弊害は看過し得ない状況にあります。
このような状況にかんがみ、立地環境の整備をはかるため、工業立地適正化法(仮称)の制定、砂利採取法の一部改正その他公害対策基本法の実施に必要な措置について御審議いただくことといたしております。
重点の第六は、総合エネルギー政策の推進と資源開発の促進であります。
長期的な総合エネルギー政策に基づき、エネルギーの低廉かつ安定的な供給を確保するため、石油開発公団の業務を拡充して石油の自主的供給の増大をはかることといたしております。また、石炭の長期安定対策と鉱害復旧体制の整備等を推進し、かつ、金属鉱物の海外依存度の上昇に対処して、金属鉱物探鉱促進事業団法の改正により、同事業団に海外資源開発に取り組ませることとしております。
重点の第七は、流通、消費者行政であります。
産業における技術の革新、合理化の推進の成果を品質、価格、性能等に反映させ、安全かつ充実した消費生活を実現させるため、割賦販売法及び電気用品取締法の一部改正、流通部門の近代化、商品テスト網の確立等の措置を拡充したいと考えております。
最後に、昭和四十五年に大阪において開催されます日本万国博覧会を成功に導くため、日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の改正と開催準備費の大幅な増額によってその準備に万全を期する所存であります。
これらの施策のため現在御審議いただいております四十三年度一般会計予算に通商産業省分として約八百六十九億円、石炭対策特別会計として約五百九十七億円を計上するとともに、通商産業省関係の財政投融資計画として約八千五百五十五億円を計上しております。
以上申し上げました施策を通じてわが国の産業経済の発展と国民生活の充実のために全力を尽くす覚悟でございますので、今後とも一そうの御協力御支援をお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/3
-
004・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 鍋島科学技術庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/4
-
005・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) 第五十八回国会におきまして科学技術庁長官としての所信を述べさせていただきます。
科学技術の振興が、国民経済の発展と国民福祉の向上の基盤となるものであることは、ここに多言を要しないことと存じます。
わが国が今後一そうの発展を続けてまいりますためには、産業の振興、社会開発の促進等、幾多の大きな課題が山積しておりますが、科学技術は、これらの課題を解くための基礎となる最も大きなかぎであります。なかんずく、資本取引の自由化に踏み出したわが国としましては、今後自主技術の開発を強力に推進することが何よりも重要であり、また、産業技術だけでなく、公害及び自然災害の防除、交通事故の防止等、従来にもまして多くの分野におきまして研究開発の画期的な推進につとめることが強く要請されております。
さらに、近年の研究開発におきましては、一方で研究の細分化、専門化が進展するとともに、他方、原子力利用、宇宙開発等に見られるような大規模な科学技術の開発については、特に、関連する広範な分野の研究を総合的、組織的に実施することがきわめて重要となり、これに伴って、科学技術の振興に果たすべき国の役割りも一そう大きなものとなってまいりました。先進諸外国が巨大科学技術の開発をナショナルプロジェクトとして取り上げ、国の最大の施策の一つとして推進しているのもこのゆえであります。わが国としましてもこれらの趨勢に即応し、科学投術の画期的な推進をはかることが最大の急務であると痛感している次第であります。
以上の観点から、昭和四十三年度におきましては、次のような諸施策を強力に推進してまいる所存であります。
第一は、科学技術振興の基盤の強化についてであります。
これについては、まず、科学技術基本法案を今国会に提出御審議いただきたいと存じておりますが、この法律によって、科学技術振興のための国の施策の基本を明らかにするとともに、科学技術基本計画を策定し、政府として目標を設定して推進すべき研究、その他重要な分野における研究の総合的かつ計画的な推進をはかる所存であります。
また、研究学園都市の建設等、試験研究施設の整備充実、科学技術情報の流通の促進、優秀な人材の養成確保につとめてまいりたと存じております。
さらに、科学技術の振興が国民全体の深い理解と協力を得ることによって初めて実りあるものになることにかんがみ、普及啓発活動の強化には、特に意を用いてまいりたいと考えております。
第二は、原子力の平和利用の推進であります。
原子力利用の重要性は、最近とみに高まり、わが国におきましてもすでに原子力発電、各方面での放射線利用などの実用性に供せられております。また、今後は、原子力船を初め、将来の地域暖房、海水淡水化等、その前途はまことに洋々としており、さきに総理もその施政方針演説において触れられたように今後における原子力平和利用の重要性は、きわめて大きなものがあります。
このような現状にかんがみ、特に将来の電力供給の本命と目される高速増殖炉及び新型転換炉につきましては、わが国総合エネルギー政策の一環として、春年十月設立されました動力炉、核燃料開発事業団を中核として、その自主的な開発を強力に推進してまいりたいと考えます。
また、原子力第一船の建造につきましては、新たに船体の起工、陸上付帯施設の建設等を行なうことといたしております。このほか使用済み燃料再処理施設の建設に着手する等、原子力開発利用長期計画に基づく諸般の施策の充実につとめ、原子力関係国産技術の確立を期するとともに、安全対策の面においても一そうの充実をはかってまいる所存であります。
第三は、宇宙の開発、利用の推進であります。
先進諸国における宇宙開発は、通信衛星等としてすでに実用化の段階に入りつつあります。わが国におきましても、広範な関連分野を有する先導的科学技術として、特にその強力な推進が期待されており、昭和四十八年度に静止実用実験衛星を打ち上げることを目標として、人工衛星及びロケットに関する研究開発を強力に推進する必要があります。
このため、昨年末になされました宇宙開発審議会の答申に沿って一元的かつ計画的な宇宙開発体制の整備をはかるため、総理府に宇宙開発委員会を設置するとともに、これに伴い、担当部局及び宇宙開発推進本部の体制の整備強化をはかることといたしますほか、研究開発のための予算措置につきましても大幅な拡充をはかり、開発目標の達成に向かって着実に努力してまいる所存であります。
第四は、海洋の開発利用についてであります。
海洋の開発利用の重要性は、海洋国たるわが国といたしまして、あらためて申し上げるまでもないところであります。昭和四十三年度におきましては、かねてから建造中の潜水調査船も完成の運びとなる予定であります。また、従来の黒潮共同調査、内海水域の赤潮の調査等に加えまして、海底資源の調査技術や海中居住基地等についての研究を重要課題として取り上げ、その総合的な推進をはかっていく所存であります。
第五は、重要総合研究の推進についてであります。
重要な研究の総合的、組織的実施を促進するよう、科学技術庁の特別研究促進調整費の一そうの活用につとめる所存でありますが、特に、さきに述べましたように現在のわが国において強い要請のある公害、自然災害の防除、交通事故の防止のための技術の開発が十分円滑に行なわれるよう配慮してまいりたいと考えております。
第六は、わが国独自の国産技術開発の促進であります。
国産技術の開発の重要性がとりわけ大きいことにかんがみ、特に民間の自主技術開発力を強化することとし、新技術の開発と企業化、さらに発明の実施化を促進するとともに試験研究費に関する税額控除制度の拡充を行ない、税制上の優遇措置の強化をはかる所存であります。
また、資源の総合的利用方策の推進につきましては、将来の資源問題の究明等の諸般の調査を促進するとともに新たに食品加工技術の近代化に関する調査等を実施してまいります。特に、かねて推進してまいりましたコールドチェーンにつきましては、いよいよこれまでの事例的実証調査の成果を関係政府機関の施策に反映させ、その具体的な推進につとめてまいりたいと存じます。
このほか、科学技術のあらゆる分野で国際協力の重要性が増大していることにかんがみ、対OECD協力活動の一そうの強化、二国間交流の活発化等に努力いたすこととしております。
以上、当面の科学技術振興施策につきまして、その大要を申し述べました。これらの施策を今後着実に実施していくことが私に与えられた重大な使命であると考えるものであります。
なお、昭和四十三年度政府予算案におきまして、科学技術庁の予算は、一般会計予算の伸び率を大幅に上回り、総額三百十八億円余、前年度に比べ、約三二%の増となっておりますが、これも皆さま方の御支援のたまものと厚く御礼申し上げる次第であります。
しかしながら、今後の科学技術行政には、なお解決すべき多くの問題がございます。
私は、委員各位の御支援並びに国民全体の深い理解と協力をもちまして、これら当面の諸問題に対処し、微力ながらあらん限りの努力を傾むけてまいる所存であります。
ここに、委員各位におかれましても、今後一そうの御支援、御協力を賜わりますよう重ねてお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/5
-
006・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 宮澤経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/6
-
007・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 本年度のわが国経済は、前年度に引き続き大幅な拡大を示し、実質一一・六%程度の成長を遂げるものと思われますが、国際収支面では七億ドルに及ぶ大幅な赤字が見込まれます。しかしながら、昨年秋以来の景気調整措置の効果は、金融面を中心として徐々にあらわれ、今後次第に経済全体に浸透し、国内経済は鎮静化に向かうものと思います。
他方、わが国をめぐる国際経済環境は、英国のポンドの切り下げ、米国のドル防衛策強化など不安定な要因が生じつつあり、わが国の国際収支改善の前途には険しいものがございます。
今後の経済運営にあたりましては、国際収支の改善と物価の安定をはかり、あわせて中小企業の安定の高度化、流通の近代化、産業及び企業の体質改善等を重点的に推進し、かが国経済の体質を強化して、長期にわたる経済社会発展の基盤を整備してまいる所存でございます。
このような目標のもとに、財政金融政策を中心とする経済政策の適切な運用により、四十三年度のわが国経済の成長率は、実質で七・六%程度に、鉱工業生産の伸び率は九・〇%程度になるものと考えます。
国際収支につきましては、現在の赤字基調は、なおしばらく継続するものと思われますが、国内経済活動の鎮静化、海外景気の立ち直りによって、おそくとも明年一−三月期には国際収支の均衡が達成できるものと期待しております。しかし年度間では、本年度に引き続きなお三億五千ドル程度の赤字は避けがたいものと考えます。国際収支をこの程度に改善するためにも、格段の努力が必要であり、政府といたしましては、輸出の振興をはかるため、税制面、金融面などから特段の配慮をいたすこととしております。一方、発展途上国に対する経済協力は、ますます重要となっておりますので、わが国としては、国力に応じ今後とも経済協力を推進していく必要があると思います。このような観点から、経済協力に重要な役割りを果たしている海外経済協力基金の業務範囲の拡大をはかるため、目下海外経済協力基金法について所要の改正を検討いたしております。
当面、問題となっております消費者物価につきましては、本年度は四・五%の上昇の範囲内におさまる見込であります。しかしながら、昨年秋以降、物価の騰勢は強まっておりますので、明年度におきましては、年度中における上昇を最小限度に押えるようにつとめ、四・八%程度の上昇にとどめたいと考えております。
他方、卸売物価につきましては、本年度は一・五%程度の上昇が見込まれますが、今後、景気調整措置の効果が次第に浸透し、明年度においては一・〇%程度の上昇になるものと考えます。
政府といたしましては、今後とも生産性の低い部門の近代化、流通機構の改新、労働力の流動化などの構造対策、公平な価格形成のための競争条件の整備など、物価安定のための諸施策を一そう強力に推進してまいる所存でございます。また、物価の長期的な安定をはかり、経済の健全な発展を期するためには、その背後にある旧来の制度、慣行に再検討を加えることが基本的に重要であると考えます。政府は、財政体質改善のための第一歩を踏み出したのでありますが、新しい時代に即した新しい制度を確立するため、今後、真剣に取り組んでいかなければならいと考えます。
国民生活を脅かしているのは、物価の上昇のみではありません。
わが国の経済社会は、昭和三十年代における高い経済成長の成果を享受し、国民の所得水準は大幅に上昇し、消費生活は急速に多様化、高度化しております。しかし、その過程において、住宅を初めとする生活環境施設の整備の立ちおくれや、国民生活の安定をはばむ公害、交通事故など各種の障害が表面化しております。
政府といたしましては、これらの障害をできる限り除去するよう、今後とも国民生活向上のための施策の充実につとめる所存であります。特に消費者行政につきましては、消費者保護のための各種の法令や制度の改善強化をはかるとともに、消費者の啓発活動を一そう進めてまいりたいと存じます。
次に国土開発について申し上げます。国土の均衡ある発展をはかるため、政府は地域開発諸施策の推進に努力しているところでありますが、特に、地方における工業開発拠点として新産業都市や工業整備特別地域の建設整備につとめております。一方、離島、山村など開発のおくれている地域については、その地域の特性に応じた産業の振興と社会開発推進のための施策を進めております。
内閣総理大臣は、先般の施政方針演説において、長期的な展望に立った重要な政治の課題の一つとして、都市化の進展に伴う地域社会の変化に対処することの必要性を述べておられますが、政府といたしましては、今後の地域開発推進の指針とするため、四十三年度中に新しい全国総合開発計画を策定することといたしております。これとあわせて計画の実効を確保するため、地域開発制度の体系的整備充実について、今後とも積極的に検討を進めてまいる所存であります。
産業の発展及び都市人口の増加に伴い、水資源の確保並びに水質保全の必要性がますます高まってきております。
すでに利根川、淀川、筑後川、吉野川の各水系については、水資源開発基本計画に基づいて、開発を進めており、木曾川水系につきましては、目下基本計画を策定中であります。
さらに、今般特殊法人整理の一環として、愛知用水公団を水資源開発公団に統合するため、所要の法的措置について準備を進めております。
水質の保全につきましては、従来から水質の調査及び規制水域の指定、水質基準の設定等に鋭意努力しておりますが、公害対策基本法の制定に関連いたしまして、目下、公共用水域の水質の保全に関する法律の改正について検討を進めております。
以上、経済企画庁の主要な施策について申し述べました。本委員会及び委員各位の御支援と御鞭撻をお願い申し上げて、私のあいさつといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/7
-
008・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 山田公正取引委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/8
-
009・山田精一
○政府委員(山田精一君) 業務の御報告に先立ちまして一言ごあいさつを申し述べさしていただきとう存じます。
私、昨年公正取引委員会委員長の重任を拝命いたしました。はなはだ微力でございますが、全力をあげましてこの重責に取り組み、このむずかしい事態における公正取引委員会の責務を達成してまいりたい決意でございます。よろしく皆さまの御指導、御鞭撻を切にお願い申し上げる次第でございます。
さて、昭和四十二年における公正取引委員会の業務の概略につきまして、お手元に資料をお届けいたしましたが、そのうちおもな点につきまして御説明いたします。
まず昭和四十二年には本委員会で御審議いただきました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律が施行されまして、高松地方事務所の設置、定員二十九名の増員などにより、公正取引委員会事務局の機構も漸次拡充されてまいりました。
次に、私的独占禁止法の施行に関する業務といたしましては、まず国際契約等の届け出は八百七十六件にのぼりましたが、企業合理化をはかるための技術導入契約が大部分を占めております。
会社の合併、営業譲り受け等の届け出はそれぞれ九百四十六件、二百八十六件と相なっております。その内訳を見ますと、中小規模の会社が、近代化、合理化のために合併等を行なうものが大部分でありまして、私的独占禁止法上問題となるものはございませんでした。
再販売価格維持契約制度につきましては、物価対策の見地から、その規制の強化をはかることとし、規制すべき問題点の検討、外国の立法例及びその経済的背景の調査、検討並びに現行指定商品の契約実施状況及び法的要件の適否について検討を行ないました。
なお、昭和四十二年における再販売価格維持契約の成立届けは十四件、累計百五十四件と相なりまして、また新たに契約を実施した製造業者は八社で、十二月末現在八十九社が契約を実施しております。
次に、不況カルテルにつきましては、景気の回復につれて漸次減少し四十二年三月三十一日をもって廃止された外装用ライナーを最後にすべての不況カルテルはなくなりました。
合理化カルテルにつきましては、 マーガリンショートニングなど五品目につきまして、いずれも実施期間の延長を認可いたしました。
不公正な取引方法に関する業務といたしましては、不当な歩積み、両建て預金につきまして昭和四十二年五月末及び十一月末の二回にわたり、貸し出し先の中小企業者を対象に、その実態を把握するためアンケート調査を実施いたしましたが、五月末現在においては、従前に比し相当改善のあとはうかがわれましたものの、まだ十分満足すべき状態ではなく、また十一月末の結果につきましては、ただいま集計中でありまして、追って御報告できるものと考えております。公正取引委員会といたしましては、調査の結果を慎重に検討するとともに、大蔵省の行政指導の成果をも勘案した上、適切な措置をとってまいりたいと考えております。
私的独占禁止法違反被疑事件につきましては、昭和四十二年中に百六十七件につきまして審査を行ない、そのうち法的措置をとったものは、審判開始決定四件、勧告九件、審決四件となっており、牛乳、プロパンガス等の価格協定事件、家庭電器、清涼飲料の再販売価格維持事件などがおもなものであります。このほか家庭電器製造業者によるテレビジョンの価格協定事件など十二件について審判を行なっております。
次に、下請代金支払遅延等防止法の施行に関する業務といたしましては、昭和四十二年中に、下請代金の支払状況を中心に五千八十八の親事業者の事業所に対して調査を行ない、そのうち十件につきまして法第七条の規定に基づく勧告を行ない、四百三十一件につきまして行政指導による事態の改善措置をとりました。また、手形期限の短縮を促進するため、主要業種ごとに標準的な手形期限を設け、関係団体の協力を得て、その周知徹底をはかってまいりましたが、昭和四十二年中には、機械工業、紡績業、化繊工業、鉄鋼業、非鉄金属工業について手形サイトの標準を定めました。
不当景品類及び不当表示防止法の施行に関する業務といたしましては、第三条の規定に基づき、「事業者に対する景品類の提供に関する事項の制限」、「トマト加工品業における景品類の提供に関する事項の制限」を告示し、第六条の規定に基づき過大な景品つき販売を行なった販売業者二名、不当な表示を行なった販売業者、宅地建物取引業者など二十七名に対して排除命令を行ないました。そのほか、カレー、コショー業など四件について公正競争規約を認定いたしました。
また、同法の運用に資するため、消費者モニターを選定し、景品つき販売、不当表示の意見を求め、これを公正取引委員会の行なう消費者行政に反映させるようにいたしました。
このほか、昭和四十二年中における経済実態の調査といたしましては、企業間信用調査、管理価格の調査、主要会社百社及び系列会社の資本、営業利益及び付加価値の集中状況の調査等がおもなものであります。
最後に、昭和四十三年度の公正取引委員会の予算案でございますが、本国会にお願いいたしております公正取引委員会の予算は、総額四億一千四百九十七万一千円でありまして、昭和四十二年度と比較いたしまして五千六百三十万一千円の増額となっており、事務局定員五名の増員、独占禁止法施行経費、不当景品類及び不当表示防止法施行経費の増額がおもなものとなっております。
今後、公正取引委員会の業務は従来にも増して繁忙の度を加えるとともに重要性を増すものと考えられますが、皆さま方各位の御支援を得まして重責を果たしたいと思っておりますので、どうぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/9
-
010・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 次に、昭和四十三年度の通商産業省、経済企画庁、科学技術庁の予算について説明を順次聴取いたします。
まず大慈彌官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/10
-
011・大慈彌嘉久
○政府委員(大慈彌嘉久君) 昭和四十三年度の通商産業省関係予算案および財政投融資計画について御説明申し上げます。
まず、通商産業省所管の一般会計予算案につきましては、総額八百六十八億六千五百万円でありまして、前年度当初予算に対し一六・一%の増、補正後予算に対し一二・二%の増となっております。
次に、重点事項別に予算案の内容を見てみますと、企業体質の強化と産業構造改善の促進につきましては、一般会計では繊維工業構造改善事業の推進に必要な予算を計上いたしており、中小企業振興事業団による織布業設備近代化融資のための資金を含め、織布業構造改善事業全体計画の一六%相当分の事業を行なう等のため、前年度比七二%増の九十三億一千七百万円を計上しております。
中小企業対策の拡充強化につきましては、前年度比一四%増の二百七十三億七千五百万円を計上しており、二年目を迎えました中小企業振興事業団の事業規模の拡大をはかるため、共同工場、団地等に対する融資規模につきまして、前年度比一八%の増、織布業設備近代化融資につきまして、前述のとおり全体計画の一六%相当分の資金を確保し、同事業団の事業運営費として前年度比三八%増の百六十二億七千五百万円を計上しております。
また、中小企業の技術開発力の強化をはかるため、公設試験研究機関の試験研究の助成に一億三千六百万円、国立試験研究機関が行なう中小企業関連試験研究に三千九百万円、さらに、中小企業者自体が行なう試験研究の助成を一段と強化することといたしまして、従来からの補助金を九千七百万円に増額をいたしております。
あとは、資料が配付してございますので、簡単に要点だけつまんで申し上げさせていただきます。
中小企業対策では、新たに業界団体が行ないます共同研究所設置に対して設備費を助成することといたしまして、玩具及び印刷合わせまして五千二百万円を計上しております。
このほか、中小企業関係では、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会の指導員、補助員のベースアップ等がございます。
次に、技術開発力の培養と技術的最先端産業の振興でございますが、前年度比一七%増の百七十億一千八百万円を計上しておりまして、大型プロジェクトの研究開発が三十九億円、こういうことになっております。
また、次のページにございますように、重要技術研究開発費の補助金が前年度に比べまして大幅に増加しております。さらに、電子工業技術の振興につきまして、信頼性技術の開発、情報処理技術者の養成等があります。
それから貿易振興と経済協力の推進でございますが、ページをあけたところにございますように、ジェトロ、プラント協会、日本輸出入雑貨センター、アジア経済研究所等、関係機関の強化がはかられております。
なお、六ページの最後にございますように、発展途上国の一次産品の輸入については、ジェトロの一次産品輸入促進特別基金に一億五千万円の出資を行なうこととしております。
それから次に、産業立地の適正化と公害防止対策の推進でございますが、前年度比二%増の六十五億八千百万円でございます。工業用水道事業につきまして、新規六地点の追加をいたしましたほか、産業公害対策費について、それぞれ調査等を拡充をいたしております。
次のページにまいりまして、公害防止技術開発費でございますが、大型プロジェクトの脱硫技術ほか各種の公害防止のための技術開発の強化が盛り込んでございます。
次に、総合エネルギー政策の推進と、資源開発の促進でございます。
八ページにございますように、天燃ガスの基礎調査、それから一般鉱物の探鉱の促進等がございますが、特に今回は、金属鉱物探鉱促進事業団による海外鉱物資源の開発に取り組むことになっておりまして、一億二千八百万円が計上してございます。
さらに、金鉱業について、新たに施策が行なわれることになっております。
流通消費者行政の拡充強化でございますが、商品テスト網の整備を中心にいたしまして、そのほか消費者行政の拡充がはかられております。
万国博覧会の開催準備費につきましては、会場建設、政府出展準備等を早急に進めるため、前年度の約三倍の百五十八億二千九百万円を計上してございます。
以上が一般会計でございますが、アルコール専売事業特別会計、輸出保険特別会計、機械類賦払信用保険特別会計は、いずれもここに計上してございますとおりの数字の予算となっております。
石炭対策特別会計につきましては、前年度当初予算に対して一四・四%増、五百九十六億円余であります。
非常にはしょって恐縮でございますが、次に、財政投融資計画にまいりますと、当省関係の財政投融資計画の総額は八千五百五十五億円であります。これを昨年度当初計画に比べますと一六・八%の増加であります。
まず、日本輸出入銀行でありますが、貸し出し規模三千三百五十億円であります。次に、中小企業関係三金融機関につきましては、運用規模が、対前年比一九%の増、七千五百九十六億円であります。
それから日本開発銀行でございますが、新たに利率六・五%、九十億円の国産技術振興資金ワクの設定がはかられております。そのほか構造改善関係の対策費が強化をされております。
それから電源開発につきましても、従来からの継続中の工事のほかに、新たな工事着工がございます。石炭につきましても同様に、ここにございますような数字の財政投融資を計上してございます。金属鉱物探鉱促進事業団でございますが、先ほど申し上げましたように、従来からの国内探鉱業務に加えまして、新たに海外での探鉱融資を行なうことになっております。原油の開発につきましては、昨年設置されました石油開発公団に六十億円の出資を行なうこととしております。公害防止事業団につきましては、利率の引き下げのための財政融資が行なわれております。最後に、日本航空機製造株式会社でございますが、中型輸送機YS−11の量産事業の本格化ということで助成措置が講ぜられております。
以上、はなはだ簡単でございますが、通商産業省関係の予算、財政投融資計画の説明を終わります。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/11
-
012・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 科学技術庁馬場官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/12
-
013・馬場一也
○政府委員(馬場一也君) 科学技術庁の四十三年度予算案につきましては、お手元に資料がございますが、これに即しましてきわめて簡単に御説明いたします。
四十三年度の予算案におきましては、科学技術庁の予算は歳出予算額で三百十八億三千七百万円、それから国庫債務負担行為が百二十八億七千四百万円ということでございます。昨年度の補正後の予算に比べますと約三二%増という歳出予算額の伸びを示しております。
以下内容につきまして概略御説明申し上げます。
第一に、科学技術振興基盤の強化という項目は、合計八億九千万円を計上しておりますが、その内容といたしましては、二ページにございますように、先ほど長官の所信表明にございましたように、科学技術基本法を制定をいたしまして、これに基づく科学技術会議の運営・科学技術基本計画の策定等、いわゆる事務費として約三千万円でございます。それから国立試験研究機関の研究公務員等の人材養成をはかりますための経費といたしまして約二億円、それから科学技術関係の普及啓発活動の強化をはかりますための経費といたしまして五千五百万円、それから研究学園都市の建設関係で歳出予算額二千三百万円、国庫債務負担行為一億四千八百万円、それから科学技術情報流通の促進関係でございますが、情報センターの経費その他を含めまして五億八千三百万円という内容になっております。
第二に、原子力開発の推進でございますが、そういう原子力関係の予算は歳出予算額二百五億七千万円、国庫債務負担行為額百五億四千五百万円ということになっております。その内容といたしましては、第一に、動力炉・核燃料開発事業団を中核といたしますところの新しい動力炉の開発、それから、かねて核燃料の開発事業の継続促進のための経費ということで同事業団に対する出資といたしまして六十六億二千八百万円、ほかに国庫債務負担行為額七十九億六千三百万円というのが第一でございます。第二に、原子力船事業団関係で、事業団で行なっております原子力第一船の船体起工その他原子力第一船建造の関係といたしまして、同事業団に対する出資金十五億七千九百万円でございます。第三に、日本原子力研究所に対する研究開発のための経費出資といたしまして合計九十三億三千百万円でございます。第四に、民間研究の助成ということで合計三億一千五百万円、さらにその他原子力平和利用の促進といたしまして国立の試験研究機関あるいは理研等におきます原子力関係試験研究費、それから外国における核爆発実験による放射性物質の降下に対処するための調査費、それから国内における放射性廃棄物の海洋処分に関する調査研究費というようなものを合わせまして合計二十七億一千七百万円でございます。以上合計いたしまして原子力関係の予算は二百五億七千万円ということになっております。
第三に、宇宙開発の推進でございますが、これは昭和四十五年度に実験衛星を、引き続き四十六年度に実用実験衛星を打ち上げる予定でロケットの開発等を進めるわけでございまが、この関係の予算といたしまして、前年度に比べて予算が増額されまして、歳出予算額は三十二億五千九百万円、国庫債務負担行為額十八億七千四百万円ということに相なっております。その内容といたしましては、第一に、先ほどの長官の所信表明にございました宇宙開発委員会の設置でございまして、この関係の必要な経費として約一千万円でございます。第二に、宇宙開発推進本部を中心といたしまして、ここで人工衛星及び大型ロケットの開発研究等を進めます予算といたしまして、歳出予算額二十五億七千四百万円、国庫債務負担行為額十五億四千八百万円ということに相なっております。さらに、これらの開発を支援いたしますために、航空宇宙技術研究所におきましてロケット関係の研究を行なうことにいたしておりますが、この必要な経費といたしまして六億六千九百万円を計上いたしております。以上合計いたしまして宇宙開発関係の予算は三十二億五千九百万円でございます。
第四に、海洋科学投術の推進に関しましては、潜水調査船の完成、そのほか海洋科学技術の現状の調査等を行ないますために、合わせて一億六千百万円を計上いたしております。
第五に、特別研究促進調整費といたしまして防災、公害あるいは海洋等の総合的な研究を弾力的に推進するとともに、不測の事態に備えた緊急の研究費用ということで、合計六億一千五百万円を計上いたしております。これは各省で行なっておりますこれらの研究に対して、移しかえを行なうものでございます。
第六に、新技術開発の促進につきましては、新技術開発事業団におきます研究開発委託限度額を大幅に引き上げますとともに、開発銀行への融資あっせん業務等を行なわしめるという内容といたしまして、同事業団に五億八千八百万円の政府出資を行うということでございます。そのほか、国が個人あるいは中小企業等に交付いたします発明実施化促進のための補助金も若干増額をいたしまして、これに三千三百万円、合わせまして新技術開発の促進につきましては、六億二千百万円という予算を計上いたしております。
第七に、国際交流の促進につきましては、欧州原子力機関あるいは経済協力開発機構——OECDでございますが、これらの活動に対します協力その他合わせまして、四千九百万円を計上いたしてございます。
第八に、資源の総合的利用方策の推進という関係で、資料にございますように、いろいろな項目を合わせまして合計一億一千六百万円を計上いたしております。
最後に、科学技術庁所管の試験研究機関その他の経費でございますが、無機材質研究所に二億五千五百万円、金属材料技術研究所の研究費十億九千万円、航空宇宙技術研究所の経費が十二億三千四百万円、国立防災科学技術センターの経費が四億四千九百万円、それから特殊法人としてございます理化学研究所における経費、これは出資でございますが、十八億四千二百万円という内容でございまして、以上合計いたしますと試験研究機関等の整備強化には四十八億七千万円を計上いたすことにいたしております。
以上が科学技術庁の歳出予算額の概略の御説明でございますが、このほかに、一番最後にございますように原子力損害賠償補償契約に関する法律に基づきます国の契約の限度額を、予算総則におきまして二十二億円と定めることといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/13
-
014・阿部竹松
○阿部竹松君 議事進行について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/14
-
015・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 速記をとめて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/15
-
016・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 速記を始めて。
次に、本院先議の電気用品取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回、提案理由の説明を聴取いたしておりますので、本日はまず本案の補足説明を聴取いたします。井上公益事業局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/16
-
017・井上亮
○政府委員(井上亮君) お手元に補足説明の資料をお配りいたしておきましたが、これにつきまして御説明申し上げます。
先般、電気用品取締法の一部を改正する法律案の提案理由につきましては、説明が行なわれたわけでございますので、私は補足説明を申し上げます。
電気用品取締法の一部を改正する法律案につきまして、その理由、要旨を補足して申しますと、最初に、現行の電気用品取締法につきまして少しく御説明を申しまして、それに対しまして改正の要点を述べさしていただきたいと思います。
現行の電気用品取締法は、電気用品の製造、販売等を規制することによりまして、粗悪な電気用品による火災とか、あるいは感電などの危険及び障害の発生を防止することを目的としまして、昭和三十七年に施行いたしております。同法の規制対象となります電気用品は、主として一般家庭において使用されるものでありまして、例示いたしますと、電線とかヒューズとか、あるいはスイッチ、各種のモーター、電気毛布、電気アイロン、電気蚊取器、扇風機、電気洗たく機あるいはジューサー、電気のこぎり、こういった二百二十九品目をただいま政令で指定しております。
これらの電気用品の製造事業者につきましては、第一に登録制をとっております。製造設備や検査設備が一定の基準に適合しているときに登録を受けることができるようになっております。
第二の点は、製造しようとします電気用品の型式につきまして認可を受けなければならない、そういう義務を課しております。これは、ちょっと例を申し上げますと、電気洗たく機に一応例をとりますと、定格電圧、定格電圧といいますのは、一番能率的な電圧という意味合いの定格電圧、あるいは定格消費電力、あるいは、洗たく機を例にとりましたので、洗たくする物の容量とか、あるいは撹拌式であるか、あるいは渦巻き式かというような、その方式、あるいは乾燥装置があるのかないのかなどの要素によりまして型式を区分いたしまして、れの区分ごとに試験品が構造とかあるいは絶縁抵抗、温度上昇、絶縁耐力、消費電力などにつきまして、一定の——これは省令できめておりますが——技術基準に適合しているかとうかを試験いたしまして、合格したときに認可をするという定めにいたしております。この試験は、ただいま電気用品試験所でこの試験検査をいたしまして、合格しましたときに認可をする、こういう仕組みにいたしております。この認可の有効期間は現行法では七年になっております。しかし、これはあとで申しますように、最近の技術革新の進歩が非常に早くなっておりますので、あとで申しますように改正いたしたいと思います。
第三に、この認可を受けました型式の電気用品を製造する場合には、ただいま申しましたような技術基準に適合するようにしなきゃいかぬ、技術基準適合義務を課しております。
第四に、製造する電気用品につきまして検査を行ない、あるいは検査記録を作成し、保存しなければならないなどの義務を課しております。
それから第五に、製造いたしました電気用品を販売するときには、そのときまでに▼マーク、製造事業者名、それから百ボルトとか二百ボルトというような定格電圧などを、見やすい個所に容易に消えない方法で表示しなければならない義務を課しております。
また輸入事業者につきましては、製造事業者に課しました義務のうち、輸入して販売しようとする電気用品についての型式認可の義務と表示義務、この二つを主として課しております。この点を、あとで申しますが、少し強化いたしたいと思います。
このほか、現行法におきましては、これら製造業者などの諸義務を担保するために、適宜立ち入り検査をし、必要に応じ改善命令や業務停止命令を発動できるなどの規定を置きまして取り締まりを行なっております。
以上が現行法の概要でありますが、最近における消費生活の向上及び技術の進歩に伴いまして、家庭電気製品が広く普及するに至っており、それと同時に新製品の出現が逐年増加の傾向を示しております。このような情況のもとでは、広く一般家庭などで使用される電気用品一般につきまして、その安全性を保証し得るように、規制対象となる電気用品の範囲を拡大いたしますとともに、規制内容の整備をはかることによりまして、消費者保護の一そうの強化をはかることが必要であると考えます。
このために、ただいま現行法の御説明をいたしましたが、この現行の法律に、次に申しますような改正を、この際お願いいたしたいと思います。
その第一点は、現行法では、特に危険度の高い電気製品を規制対象としておりますので、これを甲種と名づけまして、新たに電動計算機とか、照明器具とか、タイム・レコーダー、電動金銭登録機、電動チャイム、電気時計、こういうふうな危険度は比較的低いと思われますけれども、しかし、扱いによっては大事に至るというようなものを乙種電気用品といたしまして、規制対象に追加することにいたしたい。そうしまして全体としての対象範囲の拡大をはかってまいりたいと思います。
第二点は、この法律案によりまして新たに設けられました乙種の電気用品、これは甲種とは、ただいま申しましたように危険度の違いはありますが、軽易な規制をいたしますので、これは製造事業者、あるいは輸入事業者につきまして、事業の開始までに届け出なければならない届け出の義務を課しております。それからなお、この乙種につきましては、甲種とほぼ同様の技術基準に適合しなければならぬ義務を課しております。それから表示義務も義務として課したいと考えております。これは、乙種電気用品は、甲種電気用品に比べまして、危険度が比較的低いとはいえ、一般家庭で使用している電気の電圧などを考慮しますと、危険の発生するおそれが十分にありますので、甲種電気用品の場合ほどきびしい規制ではありませんけれども、軽易な規制を課すことにいたしたわけでございまいます。
それから第三点は、現行法によりますと、輸入事業者につきまして、型式認可を受ける義務、それから、表示義務、技術基準適合義務、こういうことは、課しておりませんので、実際に販売される電気用品の安全性を確保するために、ただいま申しました型式認可の義務のほかに、技術基準適合義務、こういうものは課す必要があるということで、今回追加さしていただいております。
それから第四点は甲種電気用品の型式認可の有効期間を改めることでございますが、これは先ほど申しましたように、一律七年ということになっておりますが、これを技術の進歩に合わせまして、三年以上七年以下の範囲内で、実情に即して政令で定めるようにいたしたいというふうに考えております。
それから第五に、立ち入り検査の際、当該電気用品の所在場所で検査することが著しく困難である電気用品につきましては、検査のためその提出を命ずることができるとしまして、この場合、通常生ずべき損失を補償する規定を設けることにいたしております。
それから第六点は、甲種電気用品輸入事業者につきまして改善命令の規定を追加いたしたい。それから同時に、今度新設いたします乙種電気用品の製造事業者と輸入事業者につきましても改善命令、業務停止命令などを発動し得るよう取り締まり規定を整備することにいたしております。
以上がこの法律案の主たる内容でありますが、このほか、甲種電気用品の型式認可の手数料の最高限度額を改めることにしております。型式認可の手数料は、具体的には、法律で定める最高限度額の範囲内で品目ごとに政令で定めることになっておりますが、カラーテレビ、ルームクーラーなどの新しい製品が出現いたしましたために、試験に要する費用が現行法のワク内ではおさまらなくなりましたので、この法定の最高限度額を改めたいと考えております。
なお、電気用品の取り締まりのための予算措置といたしましては、今年度においては立ち入り検査旅費等約百六十万円、試験品の買い上げ費八十万円、これが四十二年度の予算でございますが、来年度予算案におきましては立ち入り検査旅費等約二百三十万円の増額をお願いいたしております。なお、試験品の買い上げ費等につきましても増額をお願いしている次第でございます。
政府におきましては、今後法律の施行にあたりまして、一そう厳正を期してまいりたいと考えておりますが、特にこの電気用品によります火災とか感電などの危険及び障害の発生を防止しまして、もって消費者の利益の保護に一そう努力してまいりたいと考えております。
以上この法律案につきまして、簡単ではございますが補足説明を終わります。何とぞよろしく御審議をお願いします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/17
-
018・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 次に、この際参考人の出席要求についておはかりいたします。
ただいま議題といたしております本案審査のための参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/18
-
019・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 異議ないものと認めます。
なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/19
-
020・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
自後の審査はこれを後日に譲ることとし、本日はこれをもって散会いたします。
午後二時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X00419680305/20
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。