1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月四日(木曜日)
午前十一時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 金丸 冨夫君
理 事
土屋 義彦君
宮崎 正雄君
阿部 竹松君
委 員
上原 正吉君
近藤英一郎君
柳田桃太郎君
大矢 正君
竹田 現照君
矢追 秀彦君
国務大臣
通商産業大臣 椎名悦三郎君
政府委員
中小企業庁長官 乙竹 虔三君
中小企業庁次長 沖田 守君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/0
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001・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
本日は、衆議院送付の中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
両案につきましては、すでに趣旨の説明を聴取いたしておりますので、本日はこれより質疑に入りたいと存じます。
両案に対し質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/1
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002・阿部竹松
○阿部竹松君 両法案とも内容について関連ございますので、二つの法案についてお尋ねいたしますが、法案の内容をお尋ねする前に、特に椎名通産大臣に承っておきたいことは、いま日本をはじめ世界各国、いかにアメリカといえども中小企業があるわけですが、この席で何度もお尋ねするようにヨーロッパでスペイン、アジアでは日本というように、世界一、二といわれるほど中小企業が多いわけですが、単に国から何がしかの融資をする、何がしかの補助をしてあげようというだけで、日本の中小企業が将来発展するかどうかということについて、私はきわめて疑問を持っておりますし、個人の見解を申し上げたことがあるのですが、特に通産大臣は外務大臣もおやりになったり、戦後日本の外交というのが、昔のような軍部を背景にした外交でなくて、経済中心の外交であるということで、特に岸さんが総理になっておられたころ、声を大にして、私ども国民に訴えられたわけですが、今回の法律を読ましていただきますと、一つは三億円か何がしかの金を増すのだ。一つは何十億かの金を融資する、こういうことなんで、これはけっこうなことだとは思いますが、はたしてこういうことで日本の中小企業というのが、将来の発展ということを考える場合に、役立つかどうかという根本問題について、ひとつ大臣に承っておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/2
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003・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) お尋ねの点は、中小企業に対する基本的な考え方であると存じます。最近次々と倒産が絶えない。必ずしも景気のいい悪いということとは別に、景気がよくても倒産するということが多い。景気が悪くても倒産数はそうないというような数字が出ておりますので、引き締めたからどうのこうのということも、それは大きな原因の一つには違いないけれども、必ずしもそういうことで倒産の多寡というものは判断の基準になっておらないということでございます。そして倒産がずいぶんあるのでございますけれども、業界としては、そう企業数が目立って減るというようなこともない。次から次へと新しい企業が出てまいるような状況でございます。これを直接にどうこうしようということは、これは日本のいまの政策のたてまえからいって、そこまではいってないようであります。結局私は、金融の問題もさることながら、やはり近代化あるいは構造改善、そういうような基本的な方向に力を尽くして、そして、そう簡単にあしたからひとつ中小企業に早変わりしようなんていうような安易な気持ちで、続々中小企業がふえるというようなことでなしに、やはり始めた以上は、相当にこれから競争力を持ち、簡単に思いつきでその戦列に入ってくるというようなことがないように、全体のレベルを高めていくということが必要なのではないか。そうしないと、御指摘のように、ただ補助育成の金だけかけて、そして能事終われりというような形では、日本の中小企業というものは、本質的に強くならない、そういうふうに私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/3
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004・阿部竹松
○阿部竹松君 私のお尋ねする趣旨が御理解いかなかったために、御答弁も私が理解するようにいただけなかったと思いますが、これは通産大臣に特に申し上げておきたいことは、自民党、社会党という立場をこえて、太平洋戦争が終わったときに、まあ私も一兵卒として戦地へ行ってまいりましたが、樺太がなくなって台湾がなくなって、朝鮮はもとに返って、この小さい北海道、本州、四国、九州の四つの島に一億の人口が生活しなければならぬ、これはたいへんなことだというように私は心配したのですね。ところが今日では人が足りないという、人がね。一億人もこの小さい四つの島におるわけですから、人口密度にして世界で一番はオランダ、その次は日本だといわれているわけですが、それくらい人口密度が高くて、日本に人がおらないという。特にまあレジャーブームかなんかわかりませんけれども、温泉地帯とか観光地へ行くと、若い青年諸君、これは男女含めて何百人何千人と集まって、サービス業をやっておられる。一方、京阪神にしても、東京ももちろんでありますが、あるいは中京地帯においても、中小企業に人が集まらぬ、人がおらない。経済の悪化している状態も理解できますが、それと同時に人が集まらぬわけですよね。これは椎名通産大臣ね、大問題でなかろうか。特に内閣をあずかって、日本の国の将来を指導なさる佐藤総理大臣以下、いかに美辞麗句を使ってわれわれを得心させ、国民を納得させても、レジャーブームで、そういうところには将来の日本をになう青少年が全部集まっても、メリヤス工場からヤスリ工場から、中小企業の工場に人が来ぬわけですよ。国が何億円か金出す言うても、これは確かにカンフル的役を果たすかもしれません。しかし悪性盲腸を手術せぬで、一時麻酔でもって注射しておくようなもので、これはほんとうの対策にならぬような気がする。こういうことで日本の国の政治というものはいいわけですかな。そういう点を、特にこの法律、三億増すからあるいは何十億融資するというような……。中小企業のためですからけっこうです。しかし、その前段に問題があるんじゃないですか通産大臣、前段にね。そういうことを御心配にならないのですか。たとえば通産大臣のおられる、名前をあげてはけしからぬかもしれませんけれども、まああなたの岩手県の選挙区に行っても、花巻温泉だとか、鉛温泉だとか、西鉛温泉とかたくさんあります。そういうところは大勢集まるけれども、しかしあなたのところの通産省関係の松尾鉱山にしても、陸中大橋の富士鉄の鉱山にしても、そういうところは人が集まらない、中小企業は全然集まらない。こういう政治はいいのですか。この法律をつくって金を出してあげようということも、これはさいぜんから申し上げたとおり、けっこうだが、もう少し根本的に、中小企業とは何ぞや。これは大企業に全部整理したって無理です。大臣が再三おっしゃってかったように、大企業に全部整理したってだめです、こんなかっこうでは。それをもう少し……。ぼくたち国会議員になったとき川上為治さんという人が中小企業庁長官でした。樋詰さんとか、あるいは中野さんとか、十人くらいの中小企業庁長官にぼくらは常に国会で論争しておるわけですが、十年一日のごとくというのは困る。一つもよくならない、ここらあたりでひとつ抜本的に考慮を払えぬものですか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/4
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005・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私もこれが非常にいい姿だとは思っておりません。しかし、経済行政の側面からだけでこの姿を正常化することはむずかしい。でございますから、その点御指摘のとおり、どうもあまりかっこうのいいものではないけれども、経済の行政の面からできるだけのことをやろうとするならば、やはり中小企業というものに相当な魅力を持った、そうして働けばそれだけの効果があるという、そういう、職域に魅力を感じさせるようにしていくということは、これは経済行政の上からは、つとめなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/5
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006・阿部竹松
○阿部竹松君 まあ通産大臣は私どもと一緒に立法府の議員であるわけですが、いま大臣ですから、行政府の長でもあるわけです。私は大臣、立法府と行政府と立場が違うからどうのこうのというわけでなしに、これはひとつ大臣、相談ですが、こんなことでいいのかということで、義憤を感ずるわけですよ。きょうもこう言っているうちに幾つかの中小企業が倒産していくでしょう。その反面、また幾つか会社ができるかもしらぬ。それでけっこうなんです。それもけっこうですが、このままの姿で、国民性、国民感情というのもあるかもしれませんけれども、このままの姿で日本の中小企業というものは助からないものかという非常に心配がある。ですから、大臣、ここでおざなりの答弁でなしに、別に椎名通産大臣がこう言ったから、これはけしからぬということをぼくは言いません。あなたの心境として、通産大臣として、あなたは大臣の経験者です、何回となくおやりになっている。こんな三億円とか何かでなくて、もう少してこ入れをする方法はないものかとぼくはお尋ねをしているわけです。日本中の、三百三十万でしょう、中小企業が。ところがあなた東京電力にしてもあるいは中部にしてもあるいは関西電力にしても、一つの電力会社がダムをつくるときに、もう世界銀行から政府の裏判で金を借りるでしょうけれども、一つのダムをつくるのでも何百億というものを国が保証しているではないですか。三百三十万の中小企業に対しては、あまりにもむごいと思うのですよ。これは決して大臣、あなたがいままでそうだったのだから、あなたを責めるという意味じゃありませんよ。あなたは昔から通産官僚でしょう。なかなか通産官僚の通産大臣はない。半年か一年で全部かわるのですからね。そうすると、あなたの時代にもう少し中小企業にてこ入れするというような斬新な政策をやるべきだと私は思うのですが、そういう構想は全然ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/6
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007・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 中小企業にしても非常に千差万別でございまして、最近、機械工業の面なんかには親企業と下請の中小企業が全く一体になって、そうして、不況があれば、これを一体になって乗り切ろう。そうして、いいときにはいいなりにどんどん改良くふうをこらして、その運営の面に、また進歩をつくり上げていく、こういうように、ただ対立感で弱いものいじめで、親企業が中小企業の犠牲において太っていくというような考え方では、これはだめだと、日本の市場がもう世界的になって、すきがあればどんどん海外からも攻勢がかかってくるというような状況になりましたので、ずいぶん変わってきたのじゃないかと私は思う。しかし、すべての中小企業と親企業との関係はそういうふうになっていない。まあ手形の期日をどんどん長くするとか、あるいは手形を振り出すのにも、もうすでに数十日費やして、ようやく手形が出たと思うと三カ月、五カ月先でないと落ちないというような、そういうような、何と言うか、その犠牲においてやっていくというようなことは結局だめだと、やはり一体となって連帯感のもとにやらなきゃいかんというような状況が出てきたことは、たいへんけっこうだと思う。それからまた、私は若いころ商工省に奉職しまして、初めにやっぱり工業組合発展のための会というのがありまして、中小企業問題の走り使いに追い回された経験がございますが、その当時と今日とでは、これは相当に年月もたっておりますが、中小企業の金融面でも、もう専門三機関はおろか、この保証協会であるとか、保険公庫の発達、これをまたどんどん活用する方面にいろいろなくふう研究をこらして、非常にりっぱな、これはまあおしかりを受けるかもしれませんが、その当時から比べたら、予想もしなかったような状況になっておるのでございます。こういうときにどうも、まあことばにきぬを着せないで言えば、何らの用意も表しにただふらふらと入ってきて、そうして、うまくいけばその恩恵にあずかる。まずくいけばもう倒産しても夜逃げ同様で、あとは自分はその食い散らしたあとを顧みないというような、そういうような中小企業者というものは、非常に昔から見たら減ったのじゃないかと私は思う。しかし、そういうのも多分にあると思いますが、私は、必ずしも規模をりっぱにして、そうして、人間をたくさん使うことだけが企業の目標じゃないと思う。わずかの人間で非常に高度の技術を持って、そうして、相当親企業と申しますか、そういうものをむしろ逆に選んで、あまりいいかげんな親企業ならば、もうそっちのほうから受け付けない。そういうような非常な誇り等を持ってやっておるのもだんだん出てきたのじゃないかと私は思います。でありますから、私は今後の中小企業というものに対するビジョンといいますか、そういうものは、やはりどこまでもそれを捨てないで、それを目標にしてだんだん近づくように中小企業も造成をやってまいる余地が十分に私はあるような気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/7
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008・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/8
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009・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/9
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010・大矢正
○大矢正君 大臣がいないから、長官ね、本来はあなたと議論すべき問題じゃないと思うがね、たとえば中小企業の近代化とか高度化とかあるいは協業化とか、それから業種別の、たとえば縦割りの構造改革とか構造改善とか、いろいろやりますよね。やった結果が一体どうなるのかということについて、あなたに聞きたいんだが、ぼくは勉強不足でよくわからないんだが、それはなるほど共同化する、協業化する、近代化することによってユニット当たりのかりに生産力の増大なり、それから当然それに伴ってのコストの低下なりというものが出てくると思うのですよね。ただそこで問題になるのは、それが小売り商である場合には、これはおのずから需要に限界があるわけです。それから製造業にしてみたところで、かりに製造業の部品製造その他の企業にしても、おのずから受注に限界がある。とすると、単位当たりのかりに生産規模が高まったりコストが低下するとしても、総体的には中小企業というものは逆な部面で崩壊をしていかなきゃならぬ現実的な問題がそこから出てきやしないのかと、こう思うんだけれどもね、そうでしょう。たとえば、もっと具体的に言えば、小売り店がいままで五軒なら五軒で協業で、かりにいろいろな近代的な設備をつくるとか、あるいはまた場合によっては商店街であれば共同店舗とかやってみても、それが従来どおりの売り上げであったり従来どおりのコストであったならば、協業化と近代化の必要はないわけです。当然のことながらそこでコストの軽減をはかるなり、あるいは売れ行きを大きくするということになると、おのずから需要に限界があるのだから、ほかの部面の中小企業なり小売り店というものがつぶれなければならない。そうしなければ数が合わなくなるわけです。だから、言うならば、なるほど国際的な立場における力関係では、中小企業は大きくなっていく部面があるけれども、反面につぶれていく面もある。小売り商についても同じこと、製造業についても同じこと、そういう結果が出てくるから、農業と同じように、中小企業というものはそういう過程を経て淘汰されるということになるのじゃないかという感じがするのだが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/10
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011・乙竹虔三
○政府委員(乙竹虔三君) 非常にむずかしい問題でございますが、確かに労働単位当たりの生産量がふえて、コストがダウンするということは、逆に言えば物的生産性がふえていくということになると思うのです。物的生産性がふえっぱなしであって、マーケットのほうが広がらなければ、企業の頭数は減っていかなければならない、先生のおっしゃることはこういうことだろうと思います。しかし、それはいま申し上げましたようにマーケットが広がっていかない限りと、こういうことでありまして、マーケットのほうが広がる限りにおきましては、物的生産性がかりに一割ずつ大きくなる、しかしマーケットのほうも一割ずつ大きくなるということになれば、頭数が減らないでやっていき得ると、こういうことに理屈はなると思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/11
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012・大矢正
○大矢正君 それは確かにあなたの言われることはそのとおりかもしらぬが、たとえばこういうふうになりませんか。縦の線の構造改善、たとえば業種別の構造改善というものは去年から取り上げた織布、これ自身考えてみても、全部のかりに業者がその数にわいて残れるという証拠はないのじゃないか。なぜかといえば、あの中においてすら転廃業というものを政府が積極的に進めていくわけでしょう。高い金を払ってもあなたやめてくださいということを言って、国から補助金まで出してやめさせるのを奨励しているわけです。あなたの言う議論が正しければ、そういう転廃業にわざわざ国は金を出すわけはないのだから。それが、たまたま構造改善として業種別に縦の線で新しい試みとして多額の国家資金なりあるいは市中の資金を使ってやるその業種一つとらえてみてもそういうことになるのだから、日本経済全体の中において中小企業というものをとらえてみても同じ結果が出るのではないか、あなたは数字の計算で、一割生産力が伸びても一割マーケットがふえれば結局同じことだと、理屈はそのとおりなんだ。しかし現実に当てはめてみた場合に、そうならないから、結局は、いま言ったとおり転廃業促進ということをやるわけです。だから私が言いたいのは、中小企業対策というものは、なるほどあらゆる分野においてこれからも検討をして、新しいものがあればこれを取り上げてやるということは当然のことだが、しかし、それをやってもなおかつ今日の段階においては、中小企業というのはある意味において転廃業していかなければならぬ現実情勢があるということを認められるのか認められないのかということを申し上げるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/12
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013・乙竹虔三
○政府委員(乙竹虔三君) 結論から申し上げますと、私は転廃業が必要であると思います。その理由は、ただ先生のお話とちょっと違いまして、中小企業のほうの生産性が増すから、マーケットが狭いから転廃業が必要だということでは必ずしもないのではなかろうか、と申しますのは、織布の例をとってみますると、織布の構造改善によります織布部門における物的生産性の増大、その結果それに比例して、もし総生産性がふえれば、直ちにこれは限界にきてしまうというわけでありますから、織布の部門から企業者がはじき出されると申しますか、不要な労働力が出てくることは、もうこれは認めざるを得ないと思います。ただ国民経済全部として見ました場合に、新しいそこにGNPの伸びが当然あるわけであり、総生産の伸び、所得の伸びがあるわけでございますので、新しいマーケットが次々に広がっていくということもこれは認めていいのではなかろうか、そういう新しいマーケットに対しまして、織布部門から出てきました労働力なり資本力なりが新しいマーケットで新しい就業の機会を得る、こういうふうになっていくのではなかろうか、結論といたしましては、私、いまの中小企業の中の構造、業種別の構造をそのまま維持できるとは思っておりませんので、相当大幅に構造の変動が、やむを得ないといいますか、これはむしろ必要である。しかし別のニューマーケットというものに対しての就業の機会、開業の機会というものも相当豊富に準備されておる、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/13
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014・大矢正
○大矢正君 いや、いまの織布だけ考えて見ても、結局転廃業というものはかなりの数が見込まれるし、あらゆる業種別の分野において検討してみても、そういう結果は出てくるのではないか、ただ問題は、織布のように自分で織機を持っている、したがってそれをある意味においては廃棄したり、それから新しいものと取りかえない限り、近代化なり高度化なりというものができないということで、そういう意味においての犠牲になるから、特別にそういう転廃業者に対して、業界それ自身も金を出すけれども、国も金を出して転廃業を進める、こういうことになるわけでしょう。しかし中小企業全体として考えてみれば、そういう織布の業種だけではなしに、他の業種においても転廃業していかなければならぬ、しなければやはり高度化が進まない面が、逆な意味でいうとあるが、そういうものに対する具体的な救済措置というか、そういうものが現状では出てないのではないか、したがって、これもこれからの中小企業政策を行なっていく上においての一つの課題として取り上げていかなければならぬのじゃないか、こう私は申し上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/14
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015・乙竹虔三
○政府委員(乙竹虔三君) いまのお話は御指摘のとおりであると思います。相当中小企業間の構造と申しますか、これが大幅に変わっていかなければならない、その場合に、既存の事業からほかの事業にかわらなければならないという場合に、相当なこれは国民経済の伸び、国民経済の生産性の向上の結果、ほかの仕事に変わっていかなければならないわけでありますので、国としてはこれに対して積極的な対策をとるべきである、私たちもその点は十二分にそう考えまして、それに、ただどういう対策がいいか、適当するかということは、これは非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、国はかわっていく方向を助成していく、さっき申し上げましたように新しいマーケットが次々開かれているはずだから、そこへかわっていくことを助成をしていくということが必要でございますが、助成の主力は、まあ従来の手法によりますれば、金融によらざるを得ない。金融ということになりますと、金融のルール、すなわち主として担保、信用力、こういうことがございますので、新しい方面への助成ということは非常になかなかむずかしい面が一つある。それから、なおかつ新しい方面への助成は、まだ新しいそこに収益力を目途にしての金融でございますから、まだ、いろいろ考えれば可能かと思いますが、既存の商売をやめるということに対します、まあやめやすくするための補助と申しますか、これは非常にむずかしい。制限登録等の一種ののれん代、権利代のようなものの存在しております業種についてはまだ考え方もございます。繊維においてはそういう考え方も導入されておるわけでございますけれども、それ以外のものにつきましても、その辺も非常にむずかしい問題であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/15
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016・大矢正
○大矢正君 たとえば中小企業に投資をして育成し、将来その会社が大きくなって適当な利益をあげることができるようになり、社会的には株式市場に上場されるような、そういうものに対し力をかしていこうということは、考え方としてはまことにそのとおりでりっぱだと思うのです。いいことだと思うのです。ただ問題は、それをやると、当然のことながらその企業というものは力がつくのですから、生産力が高まってくる、それからコストも安くなってくるわけだから、そうなれば、そういう特定の企業が大きくなり強くなることによっての犠牲が他の部面へ必ず出てくる。だからあなたの言われるように、たとえば需要がふえる限度においての能力の拡大であれば、それはある意味においては、数字の上においては合うかも知らぬけれども、しかし実際の製造業なら製造業の同種の実態から考えていけば、片方の力をつけることは、逆に他の残ったものの力を弱めることにもなるという解釈は生まれてこないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/16
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017・乙竹虔三
○政府委員(乙竹虔三君) それは、そういう解釈は生まれる、そういう場合も相当あるということは認めざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/17
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018・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/18
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019・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 速記をつけて。
他に御発言もなければ、両案に対する質疑は本日はこの程度にとどめたいと存じます。
本日はこれをもって散会いたします。
午前十一時四十八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01019680404/19
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