1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月七日(火曜日)
午後一時二十四分開会
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委員の異動
四月二十五日
辞任 補欠選任
土屋 義彦君 森 八三一君
片山 武夫君 向井 長年君
四月二十六日
辞任 補欠選任
森 八三一君 高橋文五郎君
柳田桃太郎君 森田 タマ君
宮崎 正雄君 八木 一郎君
四月二十七日
辞任 補欠選任
森田 タマ君 林屋亀次郎君
五月六日
辞任 補欠選任
林屋亀次郎君 宮崎 正雄君
八木 一郎君 土屋 義彦君
高橋文五郎君 柳田桃太郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 金丸 冨夫君
理 事
高橋 衛君
土屋 義彦君
宮崎 正雄君
阿部 竹松君
委 員
上原 正吉君
平泉 渉君
柳田桃太郎君
近藤 信一君
竹田 現照君
矢追 秀彦君
国務大臣
国 務 大 臣 鍋島 直紹君
政府委員
科学技術政務次
官 天野 光晴君
科学技術庁長官
官房長 馬場 一也君
科学技術庁原子
力局長 藤波 恒雄君
通商産業政務次
官 熊谷太三郎君
通商産業省企業
局長 熊谷 典文君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な
特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/0
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001・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る四月二十五日、片山武夫君及び土屋義彦君が辞任され、その補欠として向井長年君及び森八三一君が選任せられました。
同月二十六日、森八三一君、柳田桃太郎君及び宮崎正雄君が辞任され、その補欠として高橋文五郎君、森田タマ君及び八木一郎君が選任せられました。
翌二十七日、森田タマ君が辞任され、その補欠として林屋亀次郎君が選任せられました。
本月六日、林屋亀次郎君、八木一郎君及び高橋文五郎君が辞任され、その補欠として宮崎正雄君、土屋義彦君及び柳田桃太郎君が選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/1
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002・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 次に、理事の補欠互選についておはかりいたします。
委員の異動に伴い、理事に二名の欠員が生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。
互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/2
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003・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 御異議ないと認め、理事に土屋義彦君及び宮崎正雄君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/3
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004・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 次に、衆議院送付の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/4
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005・矢追秀彦
○矢追秀彦君 この法律案の問題に入ります前に、最近米国から輸入しておる原子力発電のプラントが、米国内でのプラント価格の上昇を反映して非常に値上がりの傾向を見せているわけです。そうしてそのために原子力発電の経済性に暗い陰を投げかけている。こういうように伝えられておりますけれども、こういった問題がわが国の原子力発電の開発にどういう影響があるのか。それを科学技術庁ではどのように考えておるか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/5
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006・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) ただいま言われましたように、多少そういった傾向は現実にございますし、当初の原子力発電の装置といいますか、施設といいますか、これらは、いわばまるまるイギリスまたはアメリカ等から輸入して、そうしてこれをやるというような傾向もあったわけでございますが、日本におきましても漸次国産開発あるいは国産技術の導入等で、日本における開発の部面も相当出てまいりましたので、多少はそういった値上がりということも考えられるかと思いますけれども、その点はひとつ国産技術あるいは国産の機械を使用するというようなことで補ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/6
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007・矢追秀彦
○矢追秀彦君 まあそれを補っていくと言われますけれども、その点ですね、国内の開発に力を入れなきゃならぬと思いますが、その点、うまくバランスといいますか、とれるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/7
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008・藤波恒雄
○政府委員(藤波恒雄君) では私から若干補足して、やや具体的に申し上げますと、いま各電力会社あるいは原子力発電会社等で建設を計画いたしておりますものは、主としてアメリカで開発されました軽水炉でございますが、それの初期でございますので、一号炉、二号炉といったものはアメリカからのまるまるの輸入でございますけれども、できるだけ早くそれを技術導入をいたしまして、日本のメーカーの手でつくれる努力をいたしております。現に関西の二号炉につきましては、日本のメーカーを主契約者として、アメリカのメーカーを下請に使うという形まで進みましたし、それから東京電力につきましては、三号炉につきまして同様な形をとるべく現在進んでおるというような段階であるわけでございます。
なお、長期的観点からは、先般できました動力炉・核燃料開発事業団におきまして、日本独自の設計になる新型転換炉でありますとか高速炉の開発の研究に着手しておる、これは御存じのとおりでございます。これらはすべて国産技術で行なうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/8
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009・矢追秀彦
○矢追秀彦君 まあいま言われましたのは、高速増殖炉と新型転換炉の問題ですが、これはこの前の国会でも議論があったわけですけれども、結局、これに対してやはり相当力を入れなければならないと思うのですけれども、まあこの力の入れ方というものが、はたして十分であるかどうか、今後の見通しも含めてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/9
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010・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) 現在、原子力発電に使用しておりますのは、ほとんど軽水炉でございます。——ほとんどといいますか、全部軽水炉でございます。それは、軽水炉はいわば経済性、安全性等がすでに試験済みであるというようなことから、そういうことで現在進められてきているわけでございますが、昨年秋、十月からでございますか、動力炉・核燃料事業団を国会の御承認を得て法律が通り、発足をさせまして、新型転換炉、いわゆる天然ウランを使う新型転換炉と、それからプルトニウムの増殖炉、いわゆる高速増殖炉という二つの炉の型式を、これは将来における大きな進展でございますから、それらの実は実験試作に着手いたしております。大体昭和四十九年を中心にいたしまして転換炉は一応原型炉をつくるという段階へ至るのではないかと考えます。また、その前後に高速増殖炉の実験炉といいますか、実験炉をつくって、さらにこれができ上がる予定になっておりますのは昭和五十一年前後——これは原型炉ですが——というふうになっているわけでございます。で、それまでは軽水炉の時代がやはり続くのだと考えております。
大体これらのことを行ないますのに約二千億総体的に金が必要ではないか、これを一応の目安としまして、この国産開発に乗り出しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/10
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011・矢追秀彦
○矢追秀彦君 今後の予算の確保の問題ですがね、お金が相当かかりますので、いま一応計画言われておりますが、その点、本年度の予算もこういうきびしい状態でありますし、これに対して長官として確保するとは言われると思いますけれども、どのような考え方といいますかね、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/11
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012・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) これは、原子力委員会におきまして大体その開発計画を立て、しかもそれを動力炉・核燃料事業団におろして、具体的に人員及び予算、さらにその開発状況等、見比べてきておりますし、一応乗りかかって、本年度から実は動力炉・核燃料事業団を発足をいたしたわけでございます。本年度はまだ百億足らずの予算でございますけれども、設計段階でございますから。したがって、順次これはもう何としてでも確保しなければならぬ、いわばもう乗りかかった、軌道に乗った問題でございますから、その年次年次において確保いたさなければならぬ予算でございますし、この点は十分確保できるものと私たちは考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/12
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013・矢追秀彦
○矢追秀彦君 まあ政府として、私どもはこれを力を入れてやる以外に、特に原料の少ない日本ですから、第一に開発しなければならぬと思う、ほかのものは多少さておいても、今後のエネルギーのことを考えると、やらなければならぬと思うのです。それに対して、はたして政府としてこれを全面的に表面に立ててそうしてやっていくという姿勢がまだちょっと弱いのではないかと、このように思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/13
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014・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) いまの計画は、これはどうしても日本としてやらなければならぬことでございますし、同時に、軽水炉から世界の趨勢が転換炉さらに増殖炉と移っていくわけでございます。とともに、転換炉をつくることによってプルトニウムが、まあいわば自家生産といいますか、そこにおいて生産せられ、それをまた増殖炉において利用できるという一連のいわば行き方もございますから、あるいは政府の態度が弱いという御批判はあるあるかもしれませんけれども、何せ昨年十月に動力炉・核燃料事業団が出たばかりであり、初年度の予算として一応その計画の第一歩を踏み出してその計画に乗っておりますから、これはどうしても完遂をするようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/14
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015・矢追秀彦
○矢追秀彦君 ちょっと話は戻りますが、いまのプラント価格の値上がりですか、これは一時的と考えられておるか、どう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/15
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016・藤波恒雄
○政府委員(藤波恒雄君) 最近アメリカ国内におきまして原子力発電所の発注が非常に膨大な量にのぼりましたために、各メーカーとも相当手一ぱいの受注量を持っているようでございます。そのために海外に対します態度が相当売り手市場的な性格を帯びてきているということは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、ここしばらくの問そういう傾向は続くものとわれわれ考えざるを得ないと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、これから次々とつくります二号炉、三号炉あるいは東電、関西以外の地方の電力会社等で数年後に着手いたします原子炉等につきましては、国内メーカーの製作になるものを使うということによりまして、アメリカ側のメーカーに多額の設計費を含む建設費を払わなくて済むという方向にわれわれ努力すべきではないか、ユーザーたる電力会社のほうも、それからメーカーのほうもそういう態勢が急速度に整備されつつありますので、われわれはそれを期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/16
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017・矢追秀彦
○矢追秀彦君 まあいま局長が言われましたけれども、結局そういうわけで、非常に注文が多いので値上がりしてくるのですが、さっき少し国産炉の説明をされまして、ある程度国産のものを加味していくと言われましたが、やはりそういう点で、軽水炉一辺倒できた原子力発電の計画も、二号炉、三号炉についてはお話しされましたけれども、やはり今後ともかなり具体的に、そのさっき言った転換炉、増殖炉ができるまでの期間のかね合いを考えつつ、かなりプラント価格のほうを検討していかなければならぬものと、それに対して考えございますか、どういう計画でいきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/17
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018・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) 大体の計画は、詳しくは局長より申し上げるかと思いますが、現在五年間におきまして、これは日米原子力協定でもそういう一応の約束をしておるわけでございますが、これから五年間におきまして、大体十三基くらいのものは大体もう予定地あるいは計画そのほかできておるわけでございます。十三基五、六百万キロワットになるかと思います。それはほとんど大半がやはり軽水炉様式ということになるであろう、しかし昭和四十九年前後には、どうしても転換炉が原型炉として動力炉・核燃料事業団でできますから、いわば四十年の後半、五十年に達しないちょっと前あるいは前後から、転換炉に入っていくのではなかろうか。現在計画中のは大体十三基を一応計画し、それから先がまだ十分の計画はございませんけれども、転換炉時代へ、あるいは五十年半ば以降に高速増殖炉に入っていくのではなかろうか。そういたしまして、大体昭和五十年が六百万キロ前後の発電、昭和六十年となると先の話ですが、六十年が大体三千万キロをオーバーしまして四千万キロワットくらいは原子力発電でいけるというふうに計画を立てて進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/18
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019・矢追秀彦
○矢追秀彦君 この原子力発電の場合、問題になるのは燃料と安全性でありますが、核燃料問題について、いま六十年までのキロ数を言われましたが、それに対してのウランの必要量、それはどう考えておられるのか、それに対する供給をどういうようにやっておるのか、具体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/19
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020・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) 大体いまのような計画でまいりますと、五十年で一万五千トン——失礼いたしました、これはイエローケーキといわれる、いわゆる濃縮以前のウランの原料でございます。それから六十年でまあ三千万ないし四千万キロワット時代、それは九万トンのイエローケーキといわれる原料が必要となるわけでございます。現在のその確保の状況から申しますと、日米原子力協定におきましてこの十三基、いま計画されておる十三基の三十年間、まあいわば百六十一トン、これはイエローケーキ換算にいたしますと四万二千四百ぐらいになります。百六十一トンのいわば濃縮ウラン、これはエイローケーキに換算しますと四万幾らになります。その程度は一応確保せられ、その原鉱はカナダを主体として、それをアメリカに持ってきて賃濃縮をして、二%ないし三%に濃縮して日本に輸入する協定を現在やっておるわけでございます。ただ石油のように、やはりアメリカ一辺倒あるいはカナダにのみ原鉱を依存するという点は、どうしても最初の時代におきましてはそういうことがあろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/20
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021・矢追秀彦
○矢追秀彦君 その輸入の方法が、スポット輸入あるいは長期的輸入計画あるいは開発輸入等の方法が考えられますけれども、それの内訳といいますか、九万トンというものからいって、どういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/21
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022・藤波恒雄
○政府委員(藤波恒雄君) ウラン資源の具体的確保の状況につきまして御説明申し上げますと、まず長期購入契約でございますが、日本の各電力会社がカナダの鉱山会社、具体的に申しますとカナダのデニソンという会社でございますが、そこと十年契約をいたしまして、一万五千ショートトンのイエローケーキを購入する契約が成立いたしております。なお、将来に備えまして共同開発の構想も現在実現をしつつありまして、つい最近でございますけれども、電力会社と鉱山会社が協力をいたしましてカナダのカー・マギー社と提携をいたしまして、共同して資金を出して探鉱を行ない、この探鉱に三年ぐらいかかるわけでございますが、その探鉱の結果、採掘可能になりました場合は、さらに共同で資金を出し合いまして、採鉱事業を行ない、産出されたウランを両方で分けると、こういう形のいわゆる共同開発方式によるウランの確保という方向も努力をいたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/22
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023・矢追秀彦
○矢追秀彦君 やはり開発輸入というのが一番積極的に行なわれなければ孝らないと思うのですが、いままでいろいろ調査団が各国に派遣されておりますが、その結果はどういうふうになっておるのか、どこが一番有望であるのか聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/23
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024・藤波恒雄
○政府委員(藤波恒雄君) 現在のところは、やはりカナダがいろいろな意味であると判断いたしております。すなわち資源の包蔵が豊かであるということと、それから海外への輸出につきまして比較的協力的であるということからでございます。なお、動燃事業団等におきましては、南アでありますとか、あるいはオーストラリアでありますとか、あるいは南米でありますとかいう、そういうところのウラン市場につきましての調査をいたしており、また、今後さらにいたす計画もあるわけでございます。南ア、オーストラリア等にも相当の包蔵資源があることは御承知のとおりでございますが、やはりそれらの国におきましては、原則として海外への輸出をしないと、こういう政策をとっておるようでございます。しかしながら、例外もあるようでございまして、将来とも全面的に輸出禁止であるということではないようでございますので、将来、多角的にウラン資源を確保するという観点からは、それらの新しい地域へのコンタクトも考えていかなければならないものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/24
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025・矢追秀彦
○矢追秀彦君 このウラン資源確保のためにはいろんな団体、いろんな業者が参加をしております。どれをやはり一番重点にやったほうがいいのか。いまのまま、たとえばあるいは電気事業者がやっておる、あるいは動燃事業団がやっておる、あるいは金属鉱物探鉱促進事業団もやっておる。いろいろやっておるようでありますが、政府としては一番どれが有望と見ておるか。どういう調整といいますか、どれを一番強力に打ち出していったほうがうまくいくか、その点どう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/25
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026・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) 現在のところ最終需要者であります電力会社の各会社が非常に熱心でありますが、これも政府と緊密な連絡をとって、あるいはいろいろ政府の援助によりましてこれをいたしております。とともに、政府はいわば下部機関である動燃事業団をやはり使いまして、そして動燃事業団はいわば政府の代行をするという形でこの探鉱——鉱物を探すほうの探鉱ですが——そっちのほうに全力をあげ、しかもそれが軌道に乗りますれば、政府の援助によって契約を結んでいくという形をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/26
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027・矢追秀彦
○矢追秀彦君 民間と政府の関係、それから特にこの問題を、やはり言われたように、民間でやらしていくと、そういう姿勢が一番いいのか。まあ鉄鉱とか石炭とかそういう基幹産業というものは国有にしたほうがいいという議論もあるわけです。われわれもそれを主張しておるわけですけれども、今後の大きな問題となる核エネルギーというものの開発は、そういう民間よりも国でやったほうがいいという考え方もあると思うのですけれども、それよりも民間のほうがいいということであれば、どういう形で援助するのがいいか。あるいは全部国でやっていくほうがいいか。その利点、欠点もあげて、こういう姿勢でいくという点をお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/27
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028・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) 巨大な仕事でございますから、あるいは基幹産業国有という話もわかるわけでございますが、現実の問題としまして、日本におきましては九電力があり、しかもそれが最大の需要者として現在日本に存在し、それを行なっておるわけでございまして、したがって、それらに国として援助をする。あらゆる面、これは資金の面から、あるいは技術そのほかの面におきまして、そういった天然ウランの確保のために政府一体となって援助をするというようなことが現段階においてはどうしても必要であろう。しかしながら九電力といいましても、東電、関電は巨大であり、あるいは小さいものもございます。しかも原子力発電をやるには相当巨大な資本も要るわけでございますので、やはり九電力も一緒に電力懇談会というような形で合同をされて、共同探鉱、共同探査という形で順次移行していく形は確かにございます。政府はそれらの方々を御援助するとともに、民間団体としては原子力産業会議という、いわゆる民間団体の原子力を利用する大きな会議をお持ちになって、その窓口がやはり一本にもなっております。したがって、そういう産業会議と政府とが一緒になって探鉱、探査をしていくという形を現在では最善と考えて進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/28
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029・矢追秀彦
○矢追秀彦君 大臣が二時までで帰られるそうでございますので、飛ばして言いますけれども、私は思うんですけれども、結局日本の産業は、一応資源がありませんので、この乏しい資源であるから自力で何でもやっていくことはできないわけですから、やはり加工というのが非常に大きな問題だと思います。まあ鉄鋼などは相当そういう面で成功しておるといえますけれども、今後ウラン資源、要するにウラン燃料の加工という問題が大きくクローズアップされてくると思うんですね。このいわゆる加工の産業というものを、私は、要するに世界に先がけて日本が充実をさしていくというしか、何かこの原子力発電を含めた原子力開発という問題で日本が世界の他の国に太刀打ちをする道はないんじゃないかと、このように考えるんです。このウラン燃料の加工技術の現在の日本の世界における立場はどの程度まできておるか。これを今後どういうふうに持っていって、いま私が言いましたように、燃料をどんどん買って、それを加工して、そうしてそれを輸出していくと、これで他の国も恩恵を受けますから、そういう加工産業が発達してない国は、燃料は提供するけれども日本から加工したものをもらうと、それで日本の産業が非常に成長していく、いまの鉄鋼以上のものにしていかなければ、それの技術開発をやっていかなければ、今後太刀打ちできないんじゃないか。まあ特にアメリカなんかに対抗してやるのも無理じゃないかと思うんですけれども、その点、どのようにお考えになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/29
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030・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) 御承知のとおり、天然ウランから、これを現在軽水炉の場合、濃縮をいたしまして、それからいわばユーザーが使うものにそれぞれ加工をいたすわけでございます。残念ながらこの濃縮技術は現在日本にございません。まあ動燃事業団でアメリカの巨大ないわゆる気体拡散法といいますか、それでなくして遠心分離法ということを現在研究中で、これが一応軌道に乗るのもまだ数カ年後になるであろうと思います。そこで次の段階における燃料加工の問題がくるわけでございますが、加工につきましては、御承知のとおり、もうすでに三菱やあるいはそのほか約六社、実は申請が出ておるわけでございまして、加工の技術というものは十分あるかと思います。ただ、これがあまりにも多くといいましょうか、それぞれ特徴はあるわけでございますから一がいにはいえませんけれども、現在申請が出て、現在原子力委員会でどの社にこれを許可していくか、そのためにはいろいろな安全性の問題から、いろいろ施設そのほか資金、すべての審査をしなければなりませんが、現在その審査中でございます。したがって、いま言われましたように、加工事業は日本としてはもう大体そういった商業ベースに乗る段階へ達しておるかと考えるわけでございますので、将来ではございますけれども、日本において加工をして、そうして外国にこれを輸出するというようなことを、ひとつぜひ有望産業として育成をしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/30
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031・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いま六社の申請が出ておるという話ですが、やはりこのウラン燃料加工についても、こういう民間を主体にしていかれるのか、それともやはり国の施策というものの一環として、まあ国有とまではいかないけれども、国が表に出てやっていこうとされておるのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/31
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032・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) 大体いま現状におきましては、この民間の加工業者といいますか、加工の会社を主体としていきたいと思いますし、それぞれ、まあ私もよくわかりませんが、技術的に見ますと加工技術あるいは加工した製品の問題等も、電力のほかにいろいろ御承知のとおり使われるわけで、原子力第一船もできるわけでございますし、炉の型式等によりまして違うわけでございますから、特徴があろうかと考えます。しかし六社全部がいいのかどうか、あるいは数社にしていくべきであるか、それらの点はいま現在原子力委員会で申請中のものを慎重に審査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/32
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033・矢追秀彦
○矢追秀彦君 審査中はいいのですけれども、方向ですね、いま言った六社でなくても数社にしても、やはりそういう民間がお互いに競争してやっていくほうがプラスなのか、それとも国でどんどんやるほうがプラスなのかという、日本の将来を考えた場合、さっき言いました外国の問題ですね、鉄鋼だっていろいろ合併したりしている時代ですから、そういう点も考えて、やはりスタートが非常に大事だと思います。やはり長期計画を立ててやらないとまずいんじゃないかと思いますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/33
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034・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) いまのお話よくわかりますが、濃縮とかあるいは核燃料の再処理等、こういう面もございますので、やはり現段階において将来の輸出等を考える場合、六社がいいとは考えません。しかしやはり民間ベースでお互いに技術をしのぎ合いながら加工を進めていくということがよろしいのではないかという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/34
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035・矢追秀彦
○矢追秀彦君 この今回の規制の強化が加工業者を圧迫するようなことにならないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/35
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036・藤波恒雄
○政府委員(藤波恒雄君) 今回の追加をいたします規定は、もっぱら安全性の確保を目的といたしておりまして、設計、工事方法等の認可あるいは検査等の条項が入るわけでございますが、これらにつきましてはそれぞれの企業体におきましても、当然みずからも調査をし、あるいは設計をし、あるいは自社の中の検査もしなければならぬという内容のものでございまするので、この法律によって求めます審査書類等につきましても、特別新たなる大きな負担を付加するものとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/36
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037・矢追秀彦
○矢追秀彦君 最後に一つだけお伺いしたいのですが、この問国会にも請願が出ておったのですが、大宮の三菱原子力工業に臨界実験装置ができるというので、非常に地元が反対しておるのですが、地元の人は約束違反だと、このようなことも言っているわけですが、それを科学技術庁としてはどう考えるか、設置の許可をしないとするのか、今後の考え方をお伺いしたい。それで大臣に対する質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/37
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038・鍋島直紹
○国務大臣(鍋島直紹君) 昨年の十二月十二日、三菱の原子力、これは埼玉にございますが、原子炉等規制法に基づきまして臨界実験装置の設置許可の申請がございました。したがって四月四日、政府は原子力委員会に対しましてこれらについての諮問を行なっておるわけでございます。現在原子力委員会は、専門部会にこれを命じまして、その安全性あるいはいわば全般的な監督等も必要であろうと思いますし、反対運動があったことも事実でございます、また市会の動向等もいろいろあろうかと思います、それらのことにつきまして、特に安全性の問題でいま現在慎重に審議審査中でございますので、いま私からどっちかといったことを申し上げられませんけれども、慎重にやるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/38
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039・矢追秀彦
○矢追秀彦君 大臣はけっこうです。
大臣がいなくなってあれですが、あと少しだけ追加して、さっきの加工産業の六社の問題ですが、これの事業所ですね、これはどのようになっておりますか、立地条件とか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/39
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040・藤波恒雄
○政府委員(藤波恒雄君) 御質問の点は、いま申請が出されておる加工事業者の立地の問題のようでございますが三菱原子力工業、三菱金属鉱業は、いずれも茨城県の東海村を予定しております。日本ニュークリア・フュエル株式会社と、古河電気工業株式会社は、横須賀市を予定しております。それから住友金属鉱山は茨城県の東海村、住友電工は大阪府熊取町を予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/40
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041・矢追秀彦
○矢追秀彦君 ここにおける地元民の動きはどのような状況でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/41
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042・藤波恒雄
○政府委員(藤波恒雄君) 私ども特別の動きがあるとは聞いておりません。御承知のように加工施設は原子炉等とだいぶ性格が違います点もあろうかと思います。特に地元で反対があるといったようなことは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/42
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043・矢追秀彦
○矢追秀彦君 この加工事業という産業は、今後発達するとして、その用地ですがね、立地条件等についてどのような条件というのが最も適当と考えられておられるか。それはやはり日本においてこういうところはつくってもいいというある程度の指定といいますか、方針をきめないと、やはりいろんなところで地元が反対、あるいは問題等が起こってこないかどうかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/43
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044・藤波恒雄
○政府委員(藤波恒雄君) 加工施設につきましては、私どもあらかじめ立地条件を指定いたしまして、ここでなければいけないという指定をするというところまでの必要性はないのではないかと考えております。もちろん申請に基づきまして、具体的施設の内容、その環境条件も審査の対象といたしまして、放射線障害等が絶対起こらないように審査を行なうことはもちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/44
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045・矢追秀彦
○矢追秀彦君 この事業が非常に盛んになってきた場合、やはりその核燃料物質の運搬等が非常に出てくると思いますがね。そういう問題はどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/45
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046・藤波恒雄
○政府委員(藤波恒雄君) 核燃料物質の運搬につきましても、現在の原子炉等規制法に条項を規定いたしておりまして、その規制法に基づきまして具体的な運搬の方法なりあるいは運搬する際の容器の条件等につきまして、運輸省令でありますとかあるいは総理府令でありますとか、そういう規則に整備されておるわけでございまして、運搬する者がそれに基づいてしなければならない、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/46
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047・矢追秀彦
○矢追秀彦君 まあそれくらいの規制でいいと思われているのならやむを得ないと思いますけれども、一番大事なことは、結局核の問題に対する日本人のセンシビリティだと思うのですけれども、いろいろ核アレルギーのこともいわれております。やはりそういう産業を興す場合の工場をつくる、いまの三菱の問題も、これに対して一々原子力委員会で検討するということになっておりますけれども、そういうことを先に言い出した、反対が起きた、ここは検討した結果よかったということじゃなしに、前もって指定するということは無理かと思いますけれども、今後の原子力産業というものの安全性、そういった問題について、やはり国民に、ただの核アレルギーの解消ということじゃなしに、こういう点で安全性を確保している、こういう点で立地条件に心配はない、こういう規制を守っているからそれで心配ないのだ、こういうことにしていかないと、やはり新聞にどこかで放射線物質が漏れたとか、こぼれたとか、こういうものが出たら非常にあぶない、こういうふうに書かれますと、どうしても国民は非常に不安に思うわけです。そういう点で、こういう核アレルギー解消ではなしに、健全なる原子力に対する考え方、それに対する安全性の確保は万全である、こういうふうなことをもっともっと政府として出していかなければならないと思うのです。というのは、公害の問題でもそうなんです。いまの公害基本法はできましたけれども、やはり工場をつくるときの規制というのが一応あるけれども、非常にそれが甘い、また産業界のもうけだけしか考えていないような印象を国民からいえば受けるわけです。どうしてもいろいろなきたないものを流して結局公害があっていろいろ問題が出てくる。だからやはり今後新しく発展する原子力産業に対して、核の安全性の確保はこうしてやるという、国民の納得できるもの、やはりこれをやっていかなければならないと思うのですが、それに対してまだまだ私は足りないと思います。いろいろPRされているのは、会社のほうが一生懸命やるが、会社がやると自分のところがもうけるためにやっているのではないかととられてもしようがない、いままでの日本の産業界が、公害だけを取り上げた場合、この公害に対する考え方が非常にいいかげんであった、そういうところから考えて言われてもやむを得ないと思うのですが、このいまの三菱の問題だってこうやってパンフレットを出しているわけですよ。この中を読んでみると非常に納得ができる面もありますけれども、何かうまいことを言っているようにしか受け取れぬような内容であると私はそう考えるのです。そういう点について、もっと政府のほうからやらなければいけないと思うのですけれども、その点についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/47
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048・天野光晴
○政府委員(天野光晴君) その御意見ごもっともだと思いますし、御案内のように原子力平和利用という大きな観点から核アレルギー的な現在の国民の考え方を払拭する必要があるという考え方で、実は各委員の御協賛をいただきまして、今年度PRの予算を、十二分ではございませんが、初めて計上していただきましたので、科学技術庁といたしましては、この問題と真剣に取り組みまして、国民に理解できるような処理を講ずるように啓蒙、PRを徹底的にやるという方針でございますので、この点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/48
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049・矢追秀彦
○矢追秀彦君 核アレルギーということを言われましたけれども、核アレルギーというのも私はまたこれことばに疑義を感じているのですけれども、核兵器に対してはアレルギーであることはあたりまえだと思うのですが。だから核アレルギーの解消という議論自体が、私はいいと思わないのですけれども、だからいま全力をあげてと言われましたけれども、それももっと具体的に出してもいたいし、そういった核アレルギーを解消して、なしくずしに最後は核兵器を持ってもかまわないのではないかという思想が芽ばえるようなやり方は絶対しないというその一線だけはがっちり守ってもらいたいし、それからいわゆる原子力の平和利用という問題ですね、これも核兵器が絶対つくられないという足かせですね、これをはめなければいけないと思うのですけれども、しかし、実際もう一つの面は、もう一つお伺いしたいのですけれども、濃縮ウランの製造ですけれども、遠心分離法がいま研究中ということです。これができれば非常に安くできる、この開発を非常に急いでもらいたいのですが、こういうことはないとは思うのですけれども、しかしいまの核大国の考え方、核防条約から見ますと、いわゆる核を持っている大国のエゴイズムというものは、かなりわれわれは感ずるわけですけれども、そういう非常に安いものが開発をされかけたときに、アメリカなどから圧力が加わって、これをアメリカが取ってしまうと言ったらオーバーな言い方ですけれども、そういうようなことが起こりはしないか。あくまで日本で早く安いものを開発し、それをむしろ海外へ輸出するようなものにしていきたい。それを日米原子力協定というものの中で——やはりアメリカというものは、最近のいろいろな姿勢を見ておりますと、大国エゴイズムというのが十分感じられる面がしばしばあります。そういう点でまあ日本の産業が健全にしかも平和裏のうちに発展していくいい道といいますか、それをどのように考えておられますか、この点をお伺いして、きょうはこの程度にとどめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/49
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050・藤波恒雄
○政府委員(藤波恒雄君) ただいまウランの濃縮技術の確立につきましての御意見がございましたわけでございますが、私どもも将来とも米国にウラン濃縮業務を全面的にたよっていてよろしいかどうかということについては問題があるということで、現在ウランの濃縮技術につきましても基礎研究を始めております。ただ、御承知のようにウラン濃縮技術は海外でも軍事機密といたしております関係上、技術導入はできない。したがいまして、わが国独自でやらなきゃならぬ関係上、相当の長期間と相当多額の金を要するということでありまして、現在わが国でやっております研究も、昭和五十年ぐらいを目標にいたしまして、その時点までに技術的、経済的に事業化し得るかいなかの判定を下し得る資料を取得するということを目標にやっておるのでございます。動燃事業団で遠心分離法の基礎研究をやっておるというのは御承知のとおりでございます。それが成功いたしますれば、おっしゃるとおりわが国独自で濃縮ウランの技術を開発し、製造ができるというわけでございますが、さらにわれわれといたしましては長期的観点から、むしろ将来は濃縮ウランを使わないで動かせる原子炉の開発をすべきではないかという観点から、先般できました動燃事業団では、新型転換炉、高速増殖炉の開発を急いでおる、こういう次第でございまして、それが実現できますれば、濃縮ウランにたよる度合いが急速度に軽減されると、こういうことでございますので、わが国の燃料サイクルのあり方としては、これらの各種の方法を合理的に組み合わせていくというところに主眼を置きたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/50
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051・矢追秀彦
○矢追秀彦君 平和利用の問題……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/51
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052・天野光晴
○政府委員(天野光晴君) 私の核アレルギーと申し上げたのは、いわゆる平和利用をどうしても推進しなければいけないのにかかわらず、国民に御理解を願えないといろいろ問題が複雑化してまいりますので、そういう点で平和利用に関する原子力開発というものに国民の御理解を願うための啓蒙活動を全力をあげてやりたいと、こう考えておりますので、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/52
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053・阿部竹松
○阿部竹松君 政務次官のいまの御答弁ですがね、多少なりといえどもPR費を取りましたというさいぜんの御答弁もありましたが、やはり世界で原子爆弾の洗礼を受けたのは日本だけであり、広島、長崎だけであって、国民性からいって、被害者が同じ同胞の中におるから、なかなか平和利用ということを理解せぬのも無理からぬことだと思うのです。ただ、これは政務次官にお尋ねするのはどうかと思いますがね、私ども所属しておる社会党で、これはちゃんと持ち込まず、つくらず、使わずということをきめておるじゃないか、したがって衆議院でひとつ決議しようじゃないかということを、いかほど政府にしっこいほど申し込んでもそれを断わられるのですね。そうしますと、国民にこれは絶対平和利用ですよと口で言っても、これが本心、正真正銘であれば、あなたのおっしゃることも本心を御答弁なさっていると思うのですけれども、それぐらいであれば、PR費を使わぬでも簡単じゃないですか。国民の代表がたった一つの法律をつくれる最高の機関でぽんときめるのですから。それをなぜやらぬのだろうか。そこに答弁と行動と相伴わないものがあるのではないかと、こういうふうに一問一答伺っておりまして深く感じておるのですがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/53
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054・天野光晴
○政府委員(天野光晴君) 非常にむずかしい政治的な含みがあるのではないかと思うのですが、私の言っているのは、いわゆる原子力の安全性というものに対する、いわゆる平和利用をやる原子力の開発に関しても、一様に国民から御理解願わないと、なかなか容易でないので、そういう面に対するいわゆる安全性に関する問題点について十二分に検討を加えると同時に、啓蒙宣伝もして国民に理解を求めたいということを申し上げたのでありまして、いわゆる非核三原則の、持ち込みの兵器の問題に関しまして、私たちももとより皆さんと考え方同じでありますし、いまの決議案の上程することに対する賛成反対の問題は、ちょっとここで私から触れるわけにはまいりませんので、この点御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/54
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055・阿部竹松
○阿部竹松君 まあ政府の決定でもあり、自民党の党員でもあられるわけですから、政府のワク内を逸脱したり、党則を逸脱して答弁できないと。できなければなぜ平和平和、予算も取りましたと、そういうりっぱなことを平気で言うか、ぼくはふしぎなんだ。昔もヨーロッパにおける十字軍の戦争でも、日清、日露の日本がやった戦争でも、今度の大東亜戦争、まあ太平洋戦争といっているのですが、ベトナムでもそうですよ。みんな平和のために戦っているわけですよ、土地を取るために戦争起こしたりなんて聞いたことない。とにかく、いにしえから今日まで全部平和。そこで、いま論議しているのは、確かに発電所なりその他に利用する燃料の規制、監視監督をやろうとするのですから、これはいいのですけれども、一歩裏を返せば原子兵器の原料になるのが、原子爆弾でも水素爆弾でも、これはやっぱり同じものから取れた、それを母体としたアイソトープを使わなければそのものが取れないわけです。裏表と同じなんですね。ですから壁頭に話が戻りますが、だから国民が一番心配しているところを、なぜ国が明快にして国民に安心させぬかということをぼくは申し上げているのです。どうですか、政務次官の御見解は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/55
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056・藤波恒雄
○政府委員(藤波恒雄君) 御質問の全部にお答えはとてもできないと思いますけれども、御承知のようにわが国の原子力利用は、原子力基本法に基づきまして平和の目的に限ることが大前提になっておりまして、具体的にはその基本法に基づきましていま御審議願っております原子炉等規制法のあれができているわけであります。その規制法でやりますことは、原子炉をつくる者とか、あるいはいま問題になっております加工工場をつくる者、あるいは再処理をする者、すべてこれは国の許可を受けなければできない。許可を受けた者が許可を受けた計画に従って核燃料を使う、こういうことになってくるわけでございまして、核燃料がどこでどのように使われておるか、あるいはそのウランから出てまいりますプルトニウムがどのようにして再処理され、それがどこにどれだけ存在しておるかというようなことは、つぶさに管理できることになっているわけでございます。詳細な記録の保持、あるいは報告の徴収義務、あるいは立ち入り検査等々によりまして、克明に把握できることになっておりまして、非常にガラス張りでございますので、決して平和目的以外に逸脱することはあり得ないのじゃないか、こういうぐあいに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/56
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057・阿部竹松
○阿部竹松君 そういう答弁をあなたに聞いても、これは始まらぬのです。それで、これは別に局長の人格を云々するのではございませんよ。やっぱり職制上あなたの答弁少し出過ぎていると思うが、いま言ったプルトニウムでも何でも、あなたガラス張りの中とおっしゃったが、とにかくどれだけのウラニウムを持ってきて、アメリカでもイギリスでも同じ、持ってきて、これだけのプルトニウムやほかのものが出た場合には、これはどう使うかということは、日本の国に一〇〇%の権限ないじゃないですか。何トンの天然ウランを持ってきた、〇・何トンの濃縮ウランを持ってきた、その場合には東海村で幾ら使った、立教大学で幾ら使った、住友金属で幾ら使ったか、その結果を集計して、あなた方の社会ではガラス張りかもしれぬけれども、われわれ一般人にとってはガラス張りではありませんよ。しかし、きょうは関連ですから、これ以上言いません。この次にお尋ねしますが、ただ一つ局長に申し上げたいことは、局長さんは、この前も申し上げましたが、大体二年ないし三年おつとめになるのですね。しかし、大臣は長くて一年、短い人は八カ月、政務次官そのとおり。ようやくプルトニウムか濃縮ウランかわかるころは次の人とかわって、今度は農林政務次官か農林大臣になってしまう。これでは日本の政府がいかに口で平和利用に熱心だとか、将来は科学だなんて言っても、これは現実がそれを示していない。そういう政府に向かって勉強してきて意見を申し上げたり、質問したりする私がつまらないのかもしれません。そういうことを聞いたところで、ここだけ済めばいいという御見解で来ている。一生懸命勉強するほうがこれはつまらないゆえんであるかもしれないけれども、そういうことで一例をあげると、原子力委員会にもりっぱな人もたくさんおる、しかし全然原子力委員会に出席せぬ人もおる。この次の委員会までに原子力委員の全部のメンバーの一年間の出欠表を持ってきてください。大臣はいつも変わるからわからないが、そういうえらい人は長いことやっているから、門前の小僧習わぬ経を読むで、大体覚えている人もある。大臣は社長なんだが、原子力委員会のメンバーは会長かもしらぬ、顧問かもしらぬ。社長が権限がなくて会長に権限がある、これは私の言うことはちょっと極端かもしれませんが、私はそういうことを非常に心配しておる。したがって、別に出欠をもらったからこれはけしからぬというようなことでなしに、ほんとうに真剣だったら、こうやってこのくらいやっておりますということを明示していただくために、この次の委員会までに資料をそろえて出していただきたい。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/57
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058・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 速記をとめて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/58
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059・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 速記をつけて。
他に御発言もなければ、本案の質疑は、本日のところこの程度にいたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/59
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060・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 次に、衆議院送付の日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、先般提案理由の説明をすでに聴取いたしておりますので、本日はまず補足説明を聴取いたします。熊谷企業局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/60
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061・熊谷典文
○政府委員(熊谷典文君) 日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。
昭和四十五年三月から六カ月にわたって、大阪千里丘陵において開催される日本万国博覧会は、アジアで初めて開催される世紀の大祭典でありまして、その有する意義は、まことに大きなものがあります。このため、政府といたしましては、財団法人日本万国博覧会協会による準備事業に対し、適切な助成、指導を行なうとともに、総理府に万国博担当大臣を本部長とする日本万国博覧会推進対策本部を設置し、各省庁及び地元が一体となって、参加招請、関連施設の整備等の諸般の準備に万遺憾なきを期しておるところであります。とりわけ外国政府及び国際機関の参加状況いかんが日本万国博覧会の成否を決する重大なかぎでありますので、今日まであらゆる手段を講じて、海外招請活動を積極的に推進してまいりました。その結果、現在までのところ三十二カ国が公式に参加の意向を表明しており、参加することがほぼ確実と見込まれる国を含めると、参加国は四十カ国程度になっております。また、国際連合、及び経済協力開発機構も参加が予定されています。このほか、なお多数の国が参加の方向で検討中であり、今後一そう強力かつ効果的な招請活動を推進することによって、モントリオール博の六十一カ国を上回る数の外国の参加を得ることを期待しております。
このような外国政府及び国際機関の参加に伴って、その展示館の建設、運営のため相当数の建設技術者、職員等の外国人従業員の来日することとなりますが、その数は、モントリオール博の実績等から見て、二千名をこえるものと予想されます。外国政府等の参加が国の招請に応じて行なわれるものでありますことにかんがみ、政府としては、これら外国人従業員に対して、宿舎その他の点で十分な便宜をはかる必要があります。このような配慮は、同時に、今後の外国政府等の参加を促進する上にも大きく寄与するものと考えます。とりわけ宿舎につきましては、生活様式の相違等から、適切な対価による大量の宿舎を民間に求めることは著しく困難な事情にあります。
その解決策として、日本住宅公団が会場に隣接する千里ニュータウン内に建設する住宅の一部を、財団法人日本万国博覧会協会が一時借り受け、外国人従業員に提供し、会期終了後は一般住宅に振り向けることが最も時宜にかなった方法であると考える次第であります。
そのため、この法律案においては、日本住宅公団法に規定する同公団の業務のほかに、本来の業務の遂行に支障がない範囲内で外国人従業員に住宅を提供することができるよう所要の規定を設けることといたしております。
なお、この法律案成立の暁には、日本住宅公団においては、昭和四十三年度建設予定総戸数六万九千戸中約八百戸を外国人従業員宿舎に供することを予定しております。
以上で、この法律案につきまして、簡単でございますが、補足説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/61
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062・金丸冨夫
○委員長(金丸冨夫君) 本案の自後の審査は、これを後日に譲りたいと存じます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後二時三十二分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814461X01619680507/62
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