1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年三月十二日(火曜日)
午前十時二十九分開会
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 青柳 秀夫君
理 事
植木 光教君
小林 章君
竹中 恒夫君
柴谷 要君
中尾 辰義君
委 員
青木 一男君
伊藤 五郎君
大谷 贇雄君
西郷吉之助君
田中 茂穂君
徳永 正利君
林屋亀次郎君
藤田 正明君
木村禧八郎君
戸田 菊雄君
野上 元君
須藤 五郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
政府委員
大蔵政務次官 二木 謙吾君
日本専売公社監
理官 前川 憲一君
大蔵省主計局次
長 相沢 英之君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
大蔵省理財局長 鳩山威一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
○製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内
閣送付、予備審査)
○酒税法の一部を改正する法律案(内閣送付、予
備審査)
○物品税法等の一部を改正する法律案(内閣送付、
予備審査)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
送付、予備審査)
○経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融
通特別会計法を廃止する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/0
-
001・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案、物品税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。二木政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/1
-
002・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) ただいま議題となりました製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案、物品税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
昭和四十三年度税制改正のための諸法律案のうち、さきに所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案について御説明申し上げましたが、今回は、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案外三法律案について申し上げます。
まず、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
製造たばこの小売り定価は十数年来据え置かれておりますが、政府といたしましては、この間における所得、消費水準の上昇及び諸物価の動向等にかんがみ、また、昭和四十三年度における財政収入の確保をはかるべく、製造たばこの小売り定価の引き上げをはかることといたしております。
この法律案は、製造たばこの小売り定価を引き上げるため、種類別、等級別に法定されている最高価格を、紙巻きたばこについては十本当たり五円ないし十五円、パイプたばこについては十グラム当たり十円ないし二十円、葉巻きたばこについては一本当たり十五円ないし六十円それぞれ引き上げる等、所要の改正を行ない、本年四月一日から施行しようとするものであります。
なお、製造たばこの各銘柄別の小売り定価につきましては、この最高価格の範囲内で、日本専売公社が大蔵大臣の認可を受けて定めることとなっております。
—————————————
次に、酒税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
酒税は、その税率が所得水準、物価水準の変動にかかわりなく定額に据え置かれているため、税負担が相対的な低下を来たし、他の諸税の負担との間に均衡を失していると認められますので、清酒特級及び一級、ビール並びにウィスキー類に対する税率を引き上げ、あわせて所要の規定の整備合理化をはかるため、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容について、その大要を申し上げます。
第一に、清酒特級及び一級、ビール並びにウィスキー類の税率の引き上げをはかることとしております。すなわち、これらの酒類に対する従量税率を、種類別、級別間の格差を考慮しつつ、おおむね一〇%ないし一五%程度引き上げることといたしました。この結果、通常の容量の容器一本当たり、清酒の特級は六十円、一級は四十円、ビールは七円、ウィスキー類の特級は六十一円、一級はアルコール分四十二度もので四十一円、四十度もので二十八円、二級は三十九度もので二十円程度の増税となります。また、ウィスキー類特級の従価税率につきましては、従量税の税率の引き上げに見合ってその税率の引き上げを行ない、新たにウィスキー類の一級及び二級の一部のものにつきましても、税負担の適正化をはかるため、昭和四十六年四月から従価税制度を導入することとしております。なお、その税率の引き上げが行なわれる酒類を一定数量以上所持する酒類販売業者等に対しては、手持ち品課税を行なうこととしております。
第二に、酒類の定義の整備をはかることとしております。すなわち、しょうちゅうについて、一定の限度内での砂糖等の混和を認め、また、ウィスキー類のうちウィスキー原酒またはブランデー原酒が混和されていないものは、ウィスキー類の範囲から外除してスピリッツ類とする等、酒類の定義について所要の整備を行なうこととしております。
第三に、酒税に関する手続規定の整備簡素化をはかることとしております。すなわち、酒類製造者または酒類販売業者が従価税率適用の酒類を詰めかえまたは改装する場合に届け出を要することとするとともに、未納税移出に関する承認制度の一部を申告制度に改める等の措置をとることとしております。
—————————————
次に、物品税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
物品税につきましては、国際競争力の強化等の見地から、カラーテレビジョン受像機等十品目につきまして暫定的に税率の軽減または非課税の措置を講じてまいりましたが、この暫定措置の期限は、本年じゅうに到来することとなっております。これらの物品のうち、小型カラーテレビジョン受像機等六品目につきましては、すでにその目的を達成したものと認められるところから、その期限到来とともに本則税率を適用することといたしました。他方、パッケージ型ルームクーラー等四品目につきましては、その生産及び取引の実情に顧みまして、なおしばらくの間、その税率の軽減または非課税の特例措置をとる必要があると認められます。また、アンサンブル式レコード演奏装置に対する軽減措置の期限到来に伴い、その構成部分品に対する税率の調整を行なう等の措置を講ずる必要がありますので、ここに物品税法等の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして、その大要を申し上げます。
第一に、パッケージ型ルームクーラー等四品目につきまして、その税率を漸進的に引き上げまたは非課税措置を延長することとしております。すなわち、パッケージ型ルームクーラーにつきましては一五%の軽減税率を、小型の白黒トランジスターテレビ受像機及び温蔵庫につきましては五%の軽減税率をなお二年間適用し、あわせて、他のトランジスターテレビ受像機及び電子楽器につきましては、非課税措置をなお二年間継続することとしております。
第二に、アンサンブル式レコード演奏装置の暫定措置の期限到来に伴い、その構成部分品に対する税率の調整をはかることとしております。すなわち、アンサンブル式レコード演奏装置につきましては、暫定措置の期限到来とともに一五%の税率が適用されることになりますが、その構成部分品に対する税率もこれと同一となるよう所要の調整を加えることとしております。
なお、これにより著しく税負担の増大するものにつきましては、転嫁の状況等を考慮し、二年間その税率の引き上げ幅を五%にとどめる経過措置を講じております。
第三に、オールチャンネルテレビ受像機につきまして、UHF放送の受信回路に関する課税標準の特例を今後二年間設けることとしております。このほか、受信用真空管等を非課税とする等、所要の規定の整備をはかることとしております。
—————————————
次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
この法律案におきましては、最近の経済情勢と当面の政策上の要請にこたえ、税制上の特別措置について、新設あるいは整理合理化、適用期限の延長等を行なうこととしております。
第一は、輸出の振興に資するための措置を講ずることであります。
その一は、輸出割り増し償却制度及び海外市場開拓準備金制度を拡充し、輸出貢献企業については、その割り増し率及び準備金の積み立て率を割り増しすることとといたしております。
その二は、技術等海外取引の特別控除制度の適用対象に農業及び漁業に関する技術指導並びに開発途上国の一次産品の仲介貿易を加え、また、海外投資損失準備金につきましても、特定の地域において石油資源を開発する法人をその適用対象に加えることとしております。このほか、今後二年以内に発行される民間外貨債の利子について所得税を免除し、国際観光ホテル整備法による登録ホテル業等の減価償却資産について耐用年数を短縮することとしております。
第二に、技術開発を促進するため、試験研究費が増加した場合の税額控除制度を拡充し、年率一二%をこえて増加した試験研究費については、そめ控除率の割り増しを行ない、また、電子計算機産業の育成に資するため、電子計算機買い戻し損失準備金の制度を設けることとしております。
第三は、中小企業の構造改善を促進するための措置を講ずることであります。すなわち、構造改善促進計画を実施する商工組合等の組合員である中小企業者につきまして、工場用建設、機械等の二分の一割り増し償却制度を創設するほか、事業協同組合等が組合員等の職業訓練のための共同教育施設を設置した場合には、五年間十割増しの償却を認めることといたしております。また、中小企業者の機械等の割り増し償却制度について業種指定の期限を二年間延長するほか、中小企業構造改善準備金、中小企業の貸し倒れ引き当て金の特例等、中小企業に関する課税の特例の適用期限をそれぞれ二年間延長することとしております。
第四は、既存の特別措置につきまして、実情に応じた整備合理化を行なうことであります。
その一は、価格変動準備金制度につきまして、その積み立て限度が既往の積み立て額を下回ることのないよう所要の措置を講じつつ積み立て率を二%程度引き下げて、その整理合理化を行なうことであります。
その二は、特定設備を廃棄した場合及び合併をした場合の税額控除制度につきまして、その適用範囲を縮減する等の合理化を行ない、その期限を延長することとしております。
このほか、今後二年以内に発行される国債について、別ワク五十万円の少額貯蓄非課税制度を設け、また、原油備蓄の増強のために緊急に必要とされる貯蔵施設及び大都市における送配電設備の整備のために必要な地中送配電設備について特別償却を認めることとしております。
また、土地税制のあり方について引き続き根本的な検討を加えることとされていることに関連して、事業用資産の買いかえの特例の適用期限を一年間延長するほか、期限の到来するその他の特別措置、すなわち、資本構成を改善した場合の特別控除制度、農地等の勢物出資の登録免許税の軽減措置等について、実情に応じ二年ないし五年間適用期限を延長することとしております。
なお、以上のほか、税制の簡素化をはかる見地から、収用等に伴い代替資産を取得した場合の圧縮記帳の特例等に関する申告要件についての宥恕規定を設ける等、所要の整備合理化を行なうこととしております。
以上、四法律案につきまして、その提案の理由と内容の概要を申し述べました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/2
-
003・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 次に、補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/3
-
004・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) ただいま説明のございました製造たばこ定価法の一部を改正する法律案の提案理由等につきまして、補足して申し上げたいと存じます。
製造たばこの小売り定価は、所得や消費水準の向上並びに諸物価の変動と関係なく、十数年にわたり据え置かれてまいりました。したがいまして、たばこ価格のうち、税負担に相当いたします部分は、この間における経済の実勢の変化に比べ、相対的に縮小してまいっております。その上、経済基調の変転に基づく原価の上昇要因は、公社の企業努力にもかかわらず、たばこの益金率を低下せしめる傾向を示しております。
その結果、たばこの税負担相当部分は、他の間接税に比較し、均衡を失するに至っております。また、これと関連いたしまして、財政専売としてのたばこ事業の効率も、いまや若干の改善を要する段階にあるものと考えられます。
このような状況にかんがみ、政府の税制調査会におきましても、昭和四十一年度の答申以来、たばこ定価を実情に見合うよう改定すべきことを重ねて勧告してまいりました。今回の定価法改正は、この答申の趣旨に従いまして、間接諸税との負担の不均衡をある程度是正いたしますとともに、明年度予算編成の基本方針にのっとりまして、経常的歳入の充足をはかろうとするものでございます。
この法律案は、製造たばこの小売り定価を改定いたしますために、現行の製造たばこ定価法第一条第一項に規定する紙巻きたばこ、パイプたばこならびに葉巻きたばこにつきまして、各種類ごとに等級別の最高価格を引き上げることをその内容といたしております。すなわち、最高価格につきまして、紙巻きたばこの一級品は十本当たり五十円を六十五円に、二級品は十本当たり三十五円を四十円に、三級品は十本当たり二十五円を三十円に引き上げ、パイプたばこの一級品は十グラム当たり六十円を八十円に、二級品は十グラム当たり三十円を四十円に引き上げ、葉巻きたばこの一級品は一本当たり百八十円を二百四十円に、二級品は一本当たり五十円を六十五円にそれぞれ引き上げることといたしております。また、同条第二項に規定する高級紙巻きたばこの最高価格は、十本当たり七十五円を百円に引き上げることといたしております。
なお、この改正は予算関連法案でありまして、いわゆる増税法案の一環をなしております。したがいまして、年度開始の四月一日から施行せられることを期待いたしておりますが、製造たばこの銘柄ごとの小売り定価を改定いたします時期は五月一日を予定しております。これは定価改定に伴う準備作業、特に消費者及び全国の多数の小売り店の方々に改定の内容を十分承知していただくために要する期間などを配慮いたしたからであります。
次に、この改正法に基づく銘柄ごとの定価改定案の内容について御説明申し上げます。
紙巻きたばこにつきましては、一級品のうち、「やまと」、「こはく」は二十本入り一箱百円を百三十円に、同じく「富士」は十本入り一箱五十円を六十円に、「ホープ」、「ハイライト・デラックス」、「ルナ」及び「ピース」は二十本入り一箱八十円を百円に、十本入り一箱四十円を五十円に、五十本入り一かん二百円を二百五十円に、同じく「泉」は十二本入り一箱五十円を六十円に改めさせていただきます。
二級品のうち、「ハイライト」、「エム・エフ」及び「太陽」は二十本入り一箱七十円を八十円に、同じく「ひびき」、「スリーエー」は二十本入り一箱六十円を七十円に改めさせていただきます。
三級品のうち、「わかば」、「いこい」は二十本入り一箱五十円を六十円に、同じく「新生」は二十本入り一箱四十円を五十円に改めさせていただきます。ただし、三級品のうち、「ゴールデンバット」、「朝日」及び刻みたばこにつきましては、現行の定価を据え置くことといたしております。
パイプたばこにつきましては、二級品の「桃山は五十グラム入り一かん百五十円を二百円に改めさせていただきます。
葉巻きたばこにつきましては、一級品の「パンドール」は一本当たり百八十円を二百四十円に、二級品の「グロリア」は一本当たり五十円を六十五円に、同じく「パロマ」は五本入り一箱二百円を二百五十円にそれぞれ改めさせていただくことといたしております。
なお、今回の定価改定案の立案にあたりましては、国民生活への影響を配慮いたしますとともに、販売動向の急激な変動を避け、たばこ益金収入の安定的な確保をはかることにも留意いたしまして、価上げ幅は、これを前段で申しました程度にとどめた次第でございます。
以上、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びに内容を補足して御説明申し上げました。
何とぞよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/4
-
005・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 酒税法の一部を改正する法律案、物品税法等の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を補足して御説明を申し上げます。
ただいま提案理由で申し上げましたように、従量税制度を採用している酒税につきましては、最近においては、税負担の相対的な低下を来たしておりまして、他の諸税との間に均衡を失しているものが認められます。たとえば、代表的な酒類について、現行税率に改めました昭和三十七年当時の酒類の小売り価格中に占める税負担率と最近の当該負担率を比較してみますと、清酒特級では五〇・七%から四三・二%に、同一級では四二・八%から三六・五%に、ビールは五二・三%から五〇・一%にそれぞれ低下しているものと認められます。
ひるがえって、最近における消費の伸びを見ますと、昭和三十七年から四十一年の間の平均年率では、清酒一級の一四三・二%をはじめとして、ウィスキー類、ビール及び清酒特級の伸びが好調でありまして、これらの酒類には相当の担税力があるものと認められます。そこで、清酒特級及び一級、ビール並びにウィスキー類に対する税率を引き上げることにより税負担の調整を行なうこととしたものであります。
まず、清酒一級につきましては、最近における消費の高級化を反映して、きわめて順調な増加傾向を示しておりまして、増税が行なわれても、その消費の基調に変わりがないものと認められましたので、税制調査会の答申にも示されているとおり、一五%程度の税率引き上げを行なうこととしたものであります。この結果、通常の容器である一・八リットル当たり四十円の引き上げとなります。
清酒特級につきましても、清酒一級に見合った税負担の増加を行なう必要があるものと認められますので、最近における伸びなやみ傾向等をも勘案しつつ、一・八リットル当たり六十円の引き上げを行なうこととしたものであります。
ビールについても清酒に見合った税率の引き上げを行なう必要がありますが、ビールに対する税負担率がすでに相当高いことを考えますと、その増徴の程度は一〇%に近い範囲にとどめるべきものと認められましたので、ビール大びん(六百三十三リットル)で七円の引き上げを行なうこととしたものであります。
ウィスキー類につきましては、現行の原酒の混和量またはアルコール度数による級別制度に問題があり、消費者は、級別よりも、むしろ価格を基準に商品を選択する傾向が強くなってきております。このため、一級のうちには、品質的に特級に近いものでも、アルコール分を低くすることにより、その税負担が特級の半分となり、小売り価格中に占める税負担率が清酒二級よりも低くなるものが出現するに至っております。これはウィスキー類に対して適用されているアルコール分加算税率が低いことによるものと認められますので、この加算税率を引き上げることとするとともに、清酒、ビールに見合った税負担の調整を行なうため、特級、一級に対する基本税率を一〇%引き上げることとしております。この結果、通常の容器である七百二十ミリリットルのもので、特級については六十一円、一級のうち、アルコール分四十二度のものについては四十一円、同四十度のものについては二十八円、二級のアルコール分三十九度のものについては二十円程度の増税となります。
また、ウィスキー類特級の従価税率につきましては、従量税の税率の引き上げに見合ってその税率の引き上げを行なうこととし、現行の一五〇%の税率のほか、より高級なものにつきましては、新たに二二〇%の税率を適用することとし、また、ブランデーについては、現行の従量税率適用酒類の一部につき、新たに一二〇%の従価税率を適用することとしております。さらに、ウィスキー類の一級二級につきましても、将来高額で販売することも予想されますので、昭和四十六年四月から新たに従価税制度を採用することとし、その税率はウィスキー一級一〇〇%同二級六五%、ブランデー一級八五%、同二級六〇%と定めております。
なお、税率の引き上げが行なわれる酒類を改正法施行の日に九百リットル以上所持する酒類販売業者等に対しては、新税率と旧税率との差額に相当する手持ち品課税を行なうこととしております。
次に、この税率改正に伴いまして、従来からの懸案でございました次の諸点につきまして整備合理化をはかることとしております。
第一に、酒類の種類の整備してございます。すなわち、しょうちゅうについて、エキス分二度の範囲内で砂糖類の混和を認めることとし、ウィスキー類のうち、ウィスキー原酒またはブランデー原酒が混和されていないもの、いわゆる模造ウィスキー、ブランデー等につきましてはウィスキー類の範囲から除外することとしております。
第二に手続規定の整備に対する簡素化を規定いたしております。
まず、酒類製造者または酒類販売業者が、従価税率適用酒類を、酒類の製造場または保税地域以外の場所で詰めかえまたは改装して販売した場合に、その酒類の価格が課税時の価格よりも高くなるときには、その差額相当分に対して新たな課税が行なわれることになっておりますので、このような詰めかえまたは改装が行なわれるときには税務署長への届出を要することとしております。
さらに、ウィスキー原酒、ブランデー原酒等についての未納税移出のうち、原料用または輸出用に向けられるものについては、税務署長の事前承認が必要とされておりましたが、これを他の酒類と同様に、事後申告で足りることとし、また、かすこし清酒または果実酒の製造の承認制を廃止する等、税制の簡素化をあわせて行なうこととしております。
次に、物品税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
物品税につきましては、新規産業の育成、国際競争力の強化等の見地から、カラーテレビジョン受像機等、十品目につきまして暫定的に税率の軽減または非課税の措置を講じてまいりましたが、この暫定措置の期限は本年三月三十一日または九月三十日にそれぞれ到来することとなっております。これらの物品のうち、小型カラーテレビジョン受像機等のように、すでにその目的を達成したものと認められる六品目につきましては、その期限到来とともに本則税率を適用することといたしましたが、トランジスターテレビ受像機等のように、その生産及び取引の実情に顧みまして、その期限到来とともに直ちに本則税率を適用することには問題があると認められる四品目につきましては、なお二年間その税率の軽減または非課税の措置をとることとしております。すなわち、小型カラーテレビ受像機、カラーフィルム、小型レコード、アサンブル式レコード演奏装置、カークーラー及びドリンク剤の六品目につきましては、その期限到来とともに自動的に一五%の本則税率、ドリンク剤については五%でありますが、適用されることとなりますが、その他の四品目のうち、パッケージ型ルームクーラーにつきましては、本則税率二〇%のところ、一五%の軽減税率を、小型の白黒トランジスターテレビ受像機及び温蔵庫につきましては、本則税率一五%のところ、五%の軽減税率をなお二年間適用し、あわせて、他のトランジスターテレビ受像機及び電子楽器につきましては、非課税措置をなお二年間継続することとしております。
次に、アンサンブル式レコード演奏装置につきましては、暫定措置の期限到来とともに一五%の税率が適用されることになりますが、その構成部分品につきましては、現行法では、レコードプレーヤーを除き、ステレオ用のラジオ受信機、ステレオ用の拡声用増幅器及びスピーカーシステムはいずれも一〇%または五%の税率が適用されることとなっておりますので、それらの構成部分品の税負担の均衡をはかるため、その税率をすべて一五%に引き上げることとしております。
なお、これにより著しく税負担の増大するものにつきましては、転嫁の状況等を考慮し、二年間その税率の引き上げ幅を五%にとどめる経過措置を講じております。
このほか、オールチャンネルテレビ受像機につきまして、その普及促進の見地から、UHF放送の受信回路を取りつけるための費用は暫定的に二年間その課税標準に算入しないこととするとともに、以上の措置に関連して、受信用真空管やラジオ受信機のシャシ等を非課税とする等、所要の規定の整備をはかることとしております。
最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の補足説明をいたします。
この法律案は、経済情勢、国際収支の状況等による当面の要請に応じて、輸出の振興、技術開発の促進及び中小企業の構造改善等、所要の措置を講ずるとともに、価格変動準備金の積み立て率の引き下げ等、既存の特別措置の整備合理化をはかり、あわせて期限の到来する特別措置について所要の措置を講ずるものであります。
第一は、イギリスの平価切り下げを契機とするきびしい国際環境に対処し、輸出の振興に資するための措置を講ずることであります。
その一は、輸出振興に貢献する企業を甲種または乙種として認定し、その企業について六〇%または三〇%の輸出割り増し償却制度の特別割り増し及び海外市場開拓準備金制度の積み立て率の高率積み立てを認め、輸出振興税制にメリットシステムを導入し、より一そうの輸出の増進をはかることとしているのであります。
その二は、技術輸出等を振興する等の見地から、技術海外取引の特別控除制度の適用の対象に、農業及び漁業に関する技術指導並びに開発途上国の一次産品の仲介貿易を加え、また、最近の海外資源開発の緊要性にかんがみ、海外投資損失準備金につきましても、特定の地域において石油資源を開発する法人への投資をその通用対象に加えることとしております。このほか、今後二年以内に発行される償還期限三年以上の民間外貨債の利子について所得税を免除し、国際観光ホテル整備法による登録ホテル業等の減価償却資産について耐用年数を最高限二分の一程度まで短縮することとしております。
第二は、資本自由化の趨勢に備え、あわせて企業の体質強化をはかる見地から、技術開発の促進に資するための措置を講じていることであります。
その一は、民間企業の試験研究費が増加した場合の税額控除制度を拡充し、年率一二%をこえて増加した試験研究費については、その控除率を現行の二五%から五〇%に引き上げ、一そうの試験研究活動の促進をはかっております。
その二は、電子計算機産業の育成に資するため、電子計算機の製造会社が今後三年間に、特定の電子計算機貸し付け会社に電子計算機を販売した場合、その販売価額の一〇%を限度として買い戻し損失準備金への積み立て額の損金算入を認める制度を創設することとしております。
第三は、中小企業の構造改善を促進するための措置を講じていることであります。すなわち、一定の条件を満たす旨の承認を受ける中小企業構造改善促進計画を実施する商工組合等の組合員である中小企業者につきまして、工場用建物、機械等の二分の一の割り増し償却制度を創設するほか、事業協同組合等が組合員等の職業訓練のための共同教育施設を設置した場合につき、五年間十割増しの償却を認めることといたしております。また、中小企業者の機械等の割増償却制度についての適用業種の指定期限を二年間延長するほか、中小企業構造改善準備金制度及び中小企業の貸し倒れ引き当て金の特例等、中小企業に関する課税の特例の適用期限をそれぞれ二年間延長することとしております。
第四は、既存の特別措置につきまして、実情に応じた整備合理化を行なうこととしております。
その一は、価格変動準備金制度についての積み立て率の引き下げでございます。すなわち、諸般の情勢を考慮いたしまして、この際、この準備金の繰り入れ率の縮減をはかることとし、現行積立率の八、六、三%を、それぞれ六、四、二%に改めております。ただし、すでに留保済みの部分に直ちに食い込むことのないよう、所要の経過措置を講じております。
その二は、昭和四十一年度の税制改正で新設いたしました特定設備を廃棄した場合及び合併をした場合の税額控除の制度につきまして、国際競争力の強化または企業体質の強化の見地から、特にその産業体制の整備が必要な業種に適用を限定する等、最近の情勢に適応するための所要の整備合理化を行なうこととしております。
このほか、国債の個人消化を促進する一助として、今後二年以内に発行される国債について、別ワク五十万円の少額貯蓄非課税制度を設け、また、わが国のエネルギー資源の確保に資するため、原油備蓄増強のために緊急に必要とされる貯蔵施設についての五年間十割増し償却及び大都市におる送配電設備の整備のために必要な地中送配電設備についての初年度四分の一の特別償却を認めることとしております。
また、都市再開発など土地の有効利用を促進するための土地税制のあり方については、税制調査会で引き続き根本的検討を加えることとされていることに関連して、事業用資産の買いかえの特例の適用期限を一年間延長するほか、期限の到来するその他の特別措置、すなわち、資本構成を改善した場合の税額控除制度等につき二年間、農地関係のその他の制度について五年間それぞれ適用期限を延長することとしております。
なお、以上のほか、税制の簡素化をはかる見地から、収用等の場合の課税の特例等に関する申告要件について申告をせず、または申告書に記載をしなかった場合でも、やむを得ない事情があると税務署長が認めたときは、その特別措置の適用を認める等の宥恕の規定を設けて納税者の権利の保護に資する等、所要の整備合理化を行なうこととしております。
以上、簡単でございますが、酒税法の一部を改正する法律案外二件につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/5
-
006・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 以上四法案に対する質疑は、これを後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/6
-
007・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 次に、経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する法律案を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/7
-
008・須藤五郎
○須藤五郎君 時間が限られておりますので、私もできるだけつとめて簡潔に質問をしたいと思いますから、どうぞ答弁のほうも、そういうお気持ちで答弁をしていただきたいと思います。
まず、最初伺いたいのは、この経済援助資金特別会計法ですね、これの幾らいま金が残っておるのか、その点。
それから、まあついでにずっと聞いておきますが、幾ら金が残っておって、そうしてどういう方面に幾らこの金が使われておるのかという点をひとつ答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/8
-
009・鳩山威一郎
○政府委員(鳩山威一郎君) 経済援助資金の本年三月末の推定の資産は四十六億円でございまして、その運用先は、そのうち四十億円が日本航空機製造株式会社の出資金に運用されておりまして、あと五億四千八百万円が開発銀行への貸し付けになっておりまして、開発銀行から航空機等の関連、あるいは武器関係、あるいは通信機械の機材の関係等の会社に開発銀行から融資がされております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/9
-
010・須藤五郎
○須藤五郎君 余剰農産物のほうは——同じ質問ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/10
-
011・鳩山威一郎
○政府委員(鳩山威一郎君) 余剰農産物につきましては、現在総資産が三月末で四百五十九億円になる予定であります。これは原資は借り入れでございますから、負債として返債すべき額が三百六十三億円の負債があるわけでございます。これは現在は電源開発株式会社、愛知用水、あるいは農業関係では農地開発及び森林開発の両公団、それから枝肉市場、あるいは卸売り市場の関係等で、横浜市、名古屋市等の地方公共団体に対する貸し付けが行なわれております。そのほか、生産性の向上ということから、生産性本部にも貸し付け金がされております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/11
-
012・須藤五郎
○須藤五郎君 もっと詳しく聞けるといいんですが、時間を急ぎますからその程度にしますが、そうすると、いま伺っただけでも、大体合計二会計で要するに五百億あまりの金があるわけですね。そんなに金があるならば、何でこの五百億ほどの金を一般会計に繰り入れないかという点です。一般会計に繰り入れれば、ことしの国立療養所の特別会計など、ああいうことをしなくても、この五百億の金があればそれは十分にやっていける。それから、なお、中小企業関係に対する低利の融資、これもやっていくことができる。この五百億の金があれば、いろいろもっと国民の生活に有利な面にこの金が使えると私は思うんですが、なぜ一般会計にこれを入れないかという点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/12
-
013・鳩山威一郎
○政府委員(鳩山威一郎君) ただいまなぜ一般会計に入れないかというお話でございますが、一つは、今回は、経済援助資金特別会計及び余剰農産物資金特別会計は、それぞれ産業の開発等の、あるいは貿易、輸出の振興というような目的のために設けられた会計であります。これを同様の目的を持つ産業投資特別会計のほうに吸収合併をするという趣旨によるものであります。なお、五百億とおっしゃいますが、余農の金は、これは借款でありますので、返済をすべき額でありますので、これはやはり運用いたしまして、返債原資を生み出しながら債務を返債していくということでありまして、一般会計の原資として使うべきものとは性格を異にするという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/13
-
014・須藤五郎
○須藤五郎君 しかし、それは要するに何でしょう、電源開発のために三百七十億ほどですか、幾ら貸しているのですか、電源開発に相当金を貸したりしているでしょう。その金はぼくはとれないものじゃないと思うのですよ。これは必ず返さなければならぬ義務もあるけれども、それを貸した以上、一応返してもらわなければならぬ金なんですからね。その金は返してもらえない金じゃないと思うのだ、返してもらえる金だ。だから、その金をそいういう方向ばかりに使わないで、何で国民の福利施設とか、いろいろな面にそれを使おうとしないのか。それをあくまでもこういう会計を廃止しながら、それをなお独占のほうに、そういう大企業の利益のために使っていこうとして、中小企業や貧農のために使おうとしないところに問題があると思うのですが、そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/14
-
015・鳩山威一郎
○政府委員(鳩山威一郎君) ただいま金があるというふうに申し上げましたが、これは引き継ぎの資産を申し上げたのでありまして、電源開発会社には現在三百二十四億ほどの貸し付け残高があるわけでありますが、これはもうすでに電源開発の建設費に使われたものでありまして、これは毎年毎年この利子及び返還金が小額ずつ入ってくるわけであります。これらは、現金といたしましては毎年二十億をちょっと上回る程度の収入しかないのであります。ですから、五百億というのは、いま運用をしている総資産が五百億円あるということでありまして、それから毎年この国庫に返ってくる金額は二十三億程度と御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/15
-
016・須藤五郎
○須藤五郎君 あなた二十三億と簡単にちっぽけな小使い銭みたいに言うけれども、それは二十三億というのはそんなちっぽけな小使い銭じゃないですよ。何で二十三億をそれじゃほかに使わないのですか。そんなにちっぽけな金なら独占に使うことはないじゃないですか。何で国民の福利のためにこの金を使おうとしないのか。あなたたちの金の使途そのものの性格をぼくは問題にしているのですよ。そういうことをやるから何の役にも立たない。それじゃMSA余剰農産物協定のこれを廃止するという目的は一体どこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/16
-
017・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 別に協定は廃止いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/17
-
018・須藤五郎
○須藤五郎君 協定は生きているでしょう。しかし、これの法は廃止するのでしょう。その廃止する要するに意図はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/18
-
019・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) それは、ただいまも理財局長から答弁がございましたが、この経済援助資金及び余剰農産物資金とも、当初の目的、つまりそれぞれの積み立てました金の貸し付けというのはほぼ終わりまして、回収金の貸し付けにいま入っておりまして、しかも、その金額は、先ほど理財局長から答弁がございましたが、金額といたしますと、きわめて何と申しますか、額としてはそれほどの額になっておりません。したがいまして、それぞれ独立の特別会計として存置するところの意義がすでになくなったのではないかということが一つと、それから、もう一つは、現在特別会計の数が四十五ございますが、この特別会計の数が多いということが従来から国会でも問題になっておりますし、特に国立学校特別会計、あるいは自動車の車検の特別会計をつくりました際にも、その他のすでに意義の乏しくなった特別会計を整理すべきことをこの委員会におきましても御要望がございまして、私そのときもちょうど法規課長をやっておりまして、御答弁申し上げましたが、特別会計についての整理に努力することを申し上げました。で、まあそういうことで考えておりまして、やはりこの特別会計あたりはまず整理すべきではないか、そういうようなことが一つあったわけであります。臨時行政調査会でも特別会計の整理ということが要望されております。したがいまして、実質的にも特別な独立の特別会計として存置するところの意義が乏しくなったこの両特別会計を、産業投資のための特別会計として現にありますものに統合したらどうかということで今回この改正案を出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/19
-
020・須藤五郎
○須藤五郎君 こういう法を廃止しても、アメリカとの間にある協定は生きているのだということをあなたいまはっきり言った。それ確認しておきますよ。そこに一つのからくりがあると思うのですね、ぼくは。要するに、この経済援助の特別会計、それから余剰農産物、これがもう金がだんだん少なくなってきて、本来のあなたたちが目的としておったそういうことにあまり役立たなくなってきておるわけですよ。だからこれを廃止して産投へほうり込むというわけですよ。そうすると、産投というものは大きい会計になるわけですよ、産投会計は。この余剰農産物、こういう会計では役に立たない、仕事ができなくなった。その余りかすみたいな、わずかと言ったが、その金をこっちにほうり込んで、大きい会計の中にそれをほうり込んで、そして協定は生かしておいて、産投の中でこれらの二法の持っておった本質的なもの、これをやろうという意図があるわけなんですよ。さあ、こうなってくると、これを廃止する意図というのは、余剰農産物協定のこの法案を廃止して、これまでやってきたことは絶対やりません、全部これはやめになるのです、御破算ですというなら私たちは賛成していい法案なんです、私はもともと余剰農産物のこれには反対をしておった立場ですから。しかし、アメリカとの間の協定は生きているのです、協定は。こちらの金をこっちに移す。小さいどんぶりから大きいどんぶりに金を移して、その大きいどんぶりの中で協定の精神を生かしていこうというのがぼくはこれのねらいだと思うのですよ。これはあなたたちのほうのやりくり、からくりで、こんなことでわれわれはだまされるわけにいかない。
そこで、質問をもう一つしますが、それじゃ財政会計六法に経済援助資金の運用に関する政令というものがありますね。この政令はどうなんですか、一体。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/20
-
021・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 廃止することになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/21
-
022・須藤五郎
○須藤五郎君 政令は廃止する。そうすると、この政令の第一条の一号のイ、「本邦の防衛のため必要な武器、武器に準ずる物、航空機若しくは船舶を製造し、又は修理するため、武器等の製造又は修理の事業を行う者が必要とする設備」、それから、ロ、「武器等の原材料を製造するため、武器等の原材料の製造の事業を行う者が必要とする設備」、いまのは一号のイ、ロです。二号、「前号に掲げる設備の外、本邦の工業力その他の経済力の増強に資すると認められる設備」、これに投資するというのが、これが政令でしょう。そうすると、政令を廃止したらこの内容は絶対しないということなんですか、そこをはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/22
-
023・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) この経済援助資金の運用に関する政令は、もともと経済援助資金特別会計法と関連がある政令でございますので、本法の廃止に伴い、当然この政令は廃止されます。したがいまして、今度経済援助資金特別会計の債権債務は産業投資特別会計に引き継がれるわけでございますけれども、この経済援助資金の運用に関する政令に掲げられておりましたような運用というものが、今度産業投資特別会計に入りましたその引き継ぎ資産の運用を拘束するものではございません。したがいまして、産業投資特別会計自体の従来からの運用方針に従ってそれらの引き継ぎの資産というものが運用されるというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/23
-
024・須藤五郎
○須藤五郎君 私の思うとおりになってきているわけです。要するに、この法案は廃止するけれども、その金をこちらに移して、そして政令を廃止しても、その廃止した政令の精神というものを産投の中で従来も実はやっておったのです。だから私たちは産投そのものに反対をしてきたのです。ところが、今度もっと露骨にこれを産投の中に入れて、この政令はなくなったけれども、その政令の精神はその中で生かしていくというのですね。そうしてこのアメリカとの間における協定はそのまま生かしているのだ。ほんとうにこれを廃止するというような純粋な精神でいくならば、このアメリカとの間の余剰農産物に関する協定などは破棄すべきです。何んでこんなものを生かしておかなければならんか。政令を廃止すると言うが、廃止しなかったらおかしいのだけれども、廃止するならば政令に含まれているところのこと、これを全部絶対やらないというところまでいかなかったら、こんなもの廃止したって廃止にならないですよ。だから、うかつに、われわれは余剰農産のこの会計が廃止になるのだから万々歳だ、そんな甘っちょろい考えでは通せないです、これは。やはりその裏のほうでちゃんとそれ以上のことをやっている。小さいどんぶりから大きいどんぶりへ金を移して、大きい会計でこれまでやってきたより以上のこと、従来やってきたより以上のことをやろうというのがこの精神です。ほんとうに国民のためを思ってこういうものをやめるなら、私が先ほど申しましたように、中小企業金融公庫、それにほうり込んで、そうして中小企業にもう少し安い利子で金を貸すなり、また、貧農の人たちにも安い利子で金を貸すなりするがいいし、国立療養所の特別会計なぞという、あんなものやめて、一般会計にほうり込んでそういうものに使うべきが、私はほんとうの金の使い方ではなかろうか、こういうふうに考えるのです。あなたたちの使い方は、高いところに土盛りするみたいなもので、少しも生活困難をしている人たちのことを考慮を一顧だにしてない。そうしてこんなごまかしの法案を出してきてやろうというのじゃないですか。どうです、それは。説明つきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/24
-
025・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 私、先ほど答弁申し上げましたことにあるいは誤解があってはと存じますので、もう一度申し上げますが、この経済援助資金特別会計の資産を引き継ぎましても、別に経済援助資金特別会計のこの設置目的、あるいは運用に関する政令というものをそのまま今後も引きずっていくわけではございません。そうではなくて、金は一緒になりますが、その金は産業投資特別会計の従来の金と一緒になりまして、その産投会計の目的に従って運用をされるということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/25
-
026・須藤五郎
○須藤五郎君 産投会計そのものにもそういうわれわれが反対する面がたくさんあるのですよ。だから産投へこの金をほうり込んで、そうしてわれわれの反対する方向にその金が使われていくのだ。ところが、MSA協定のこの特別会計が小さくなってしまって、その目的を十分果たすことができないような段階に立ち至ったから、だからそれを廃止するというようなごまかしをして、そうしてその金を産投へ入れて、産投会計の中で、従来MSA協定の余剰農産物のこの会計の中でやっておった仕事をやはり引き継いでいく、こういうことなんですよ。引き継いでいかないならば、これまでMSA協定でやっておったような性格のものには金を使いませんということをはっきりしなさい。何もはっきりしていない。協定は残っている、こういうことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/26
-
027・鳩山威一郎
○政府委員(鳩山威一郎君) ただいま主計局次長から答弁があったと同じことを申し上げることになりますが、先ほどから御説明申し上げましたように、このMSA協定による金のうち、四十億円は日本航空機製造株式会社の出資金となっておりまして、これはこのいまのYS11の製造のための出資金として使われておるわけであります。これは当分出資金はもうそこへ固定をいたしておる次第でございます。残りの約五億円というものが先ほど申し上げた多数の会社に開発銀行から貸し付けられておりますが、これは毎年——まあ来年で申せば六千万程度の返済金が入ってくるであろう、そういう程度でありまして、今後はこの六千万というものは産業投資特別会計の原資として使われる。それで、開発銀行が、今後この従来行なわれたような別ワクで武器産業に融資をするというやり方はこれでもうおしまいにするということがわれわれの考えていることでありまして、これをもって今後この産業投資特別会計がそういう兵器産業に非常に大きな金額をつぎ込んでまいるというようなことはわれわれは毛頭考えておる次第ではございません。余剰農産物会計のほうは、来年度予算では、そこから出てまいりますものは電源開発株式会社に対する貸し付けに回されますが、今後のことは——この産投会計の原資として、これが予算の配分が政府としていろいろ予算折衝を通じましてどういう形で出るかということは来年度の予算編成の課題となるのであります。したがいまして、ただいま先生がおっしゃいましたようなことは毛頭考えておらないのであります。そのとおりお受け取り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/27
-
028・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) いま局長が答弁いたしましたように、この金を産投に入れて、そうしてこの協定の精神によって大きな金にして使おうということは毛頭考えてはおりせん。それから、この特別会計は、御承知のとおりに、財政法第十三条の第二項の規定によって設けられたものでございまして、国が特定の事業を行なう場合、あるいは、また、特定の資金を保有してその運用を行なう場合等に特別会計というものが設けられておるのでございまして、私どもは特別会計というものはできるだけこれを減していきたい、こういうふうに考えておるのであります。それはなぜかと申しまするというと、特別会計は予算の一貫性というものを失うものでございますから、特別会計はできるだけ減していきたい。それがためには、この法案だけではなく、私ども特別会計のことについては常に検討を加えまして、そうしてこれを減すようにつとめておる次第でございまして、御承知のとおりに、新設をどうしてもやらなければならないようなことで新設をしたものもございますが、三十九年には特定物資納付金処理に関する特別会計、あるいは、また、四十二年度には中小企業高度化の融資の会計というようなものも減していっておるわけでございますから、どうかそういう意味でひとつ御協力を願いたいと考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/28
-
029・須藤五郎
○須藤五郎君 政務次官が大いに陳弁これつとめられますけれども、それは政務次官が大いに努力される点はわからぬわけではないですけれども、しかし、先ほども政府委員の答弁を聞いていましても、要するに、この政令はやめます、しかし、政令の内容はこの産投の中で生かしていくんだと、こういうことですよ。それで、もし生かさぬというならば、経済援助特別会計でやっておったこの政令の内容はこれで打ち切るんだということをはっきりこの中のどこかでうたっていかない限り、われわれはそれを信用するわけにいかない。あなた口でそういうことはないと言うけれども、もしもほんとうにやらぬという腹ならば、それをどこかではっきりとさしていくことが第一点ですよ。これはぜひともやらなければいかぬ。それから、もしもこういうものをほんとうに廃止してすっきりとしたものにしていくというならば、アメリカとの間に取りかわしたMSA協定、これを生かしておくという手はないですよ。これを殺してしまわなければだめですよ。廃棄をしなければだめですよ。そうでなければ、われわれは今後の運営に対して腹から信用することはできないんですよ。やはり私たちには一つの疑念が残る。先ほど申しましたように、あなたさっき、ぼくは何でこの二会計を廃止するんだと言ったら、もうあまり実効がなくなったと、こういう意味の答弁をなさいましたよ。それは実効なくなった、こんな小っぽけなことではこれやっていけないですよね。だからこれを産投に移してやっていこうということですよね。そうすると、ずっと聞くと、あなたたちの答弁は矛盾しはしませんか。どうもそういう答弁では国民は納得しないですよ。私は、共産党はえらい勘ぐるというふうにおっしゃるかもわからぬけれども、やはりそういう面が出てくるんですよ、われわれとしては。われわれ勘ぐるんじゃないんです。そういう危険が必ず将来生じてくる、こういう点を思っているんですよ。(「そうじゃないよ」と呼ぶ者あり)いや、そうじゃないと言うが、あなたたちの言うことを目どおり従来信用してきてえらい目にあってきていることがたくさんあるじゃないですか、国民は。自民党の言うことを一〇〇%信用するととんでもないことですよ。だから私たちはこういうふうに考えておるんですね。私はいまのことに対してあなたに答弁を要求するわけじゃないですけれども、そういうことだと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/29
-
030・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) そういう御懸念もあるかと思いますが、私どもといたしましては、協定の目的は達成をした、こういうことで特別会計を廃止しよう、こういうことでございますから、あまり深く疑っていただきませんように、どうぞよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/30
-
031・柴谷要
○柴谷要君 最後の質問をちょっといたしますが、余剰農産物資金の借り入れを米国から三百八十億行なって、そうして現在これは四十年年賦で返されるようですが、大体利息はドルで支払いされれば三分、こういう形の金で運用されているわけでございますね。それを年四分で融資をして、今日十年余を経過をいたしましたので、大体まあ元金三百八十億が四百五十九億にふくれ上がってきている、こういうのがこの会計の実態だと思うんです。それで、その中の貸し付けが四百五十四億であり、現在現金が五億ある、こういうことが報告をされているわけでございますが、この余剰農産物の貸し付けの融資先を見ますというと、たとえば地方自治体である神奈川県の漁港改修のために三億六千四百万円、これが三億四千八百万円にこの三月末の見込みでなる、こういうことであるわけでありますが、これが産投会計に繰り入れになった場合に、産投会計の融資の欄に、たとえば神奈川県であるとか日本生産性本部に貸し付けてある金額というものは、一体そういう項目は産投会計にはないわけなんです。この扱いはどうなさろうとするのか、これをひとつお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/31
-
032・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) これらはいずれも既貸し付け金でございまして、産投特別会計のバランスシートの借り方、貸し付け金の中に含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/32
-
033・柴谷要
○柴谷要君 いまの説明ではちょっとわからぬのですがね。たとえば日本開発銀行に産業投資特別会計から金を貸す、日本開発銀行が日本生産性本部あるいは神奈川県に貸す、こういう形をとられるのか、今後ですよ。今後の問題と現在起きている問題との二つの処理のしかたを聞いているわけですから、そういう点を聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/33
-
034・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 今後のこの産業投資特別会計の運用につきましては、これは従来毎年この財政投融資計画を御審議いただいておりますが、それの財源に充てるということになります。それで、地方公共団体に現在貸してある債権はそのまま引き継ぎますけれども、今後はそういったような貸し付けの方法はおそらくとられないことになると思います。で、やはり財投計画表に載ってあるような機関に対しまして今後は運用をしていく、こういうふうに御理解願いたいと思いま発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/34
-
035・柴谷要
○柴谷要君 そういうことになりますと、まあ日本生産性本部のようなところには産業投資特別会計は出ていかない、貸し付けにならぬ、こういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/35
-
036・鳩山威一郎
○政府委員(鳩山威一郎君) 生産性本部の仕事が産業投資特別会計の目的に掲げております目的の中に必ずしも入らないことはないかと思いますけれども、従来私どもは、そういったことは、現在のところ、生産性本部に運用しようということは現在考えておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/36
-
037・柴谷要
○柴谷要君 衆議院の大蔵委員会をストップさせておくのじゃ申しわけないですから、私はまたわからぬことはあとで聞きます。ただ、三百八十億借り入れたところが、だんだんふくれふくれて四百五十九億も金がふえてきたわけです。それは利息が三分でアメリカへ四十年年賦で払えばいいのを四分で取っておるからこういうふうに金がふえてきたのだけれども、少し高利貸しのような感じがするわけです。これを三分五厘ぐらいに引き下げる用意はないか、それだけ聞いて質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/37
-
038・鳩山威一郎
○政府委員(鳩山威一郎君) 産業投資特別会計から融資をいたします場合に、それぞれあるいは原資の調達面で、たとえは外債のほうにつきましては原価の安いものもありますし、最近発行いたしましたマルク債等は相当まあコストも高くなっておるのであります。で、これを原資のコストに応じてそれぞれ貸すということは、やはりこれ資金量にも限りがありますので、やはりこれらはまあ借款、各種の借り入れ金のコストを計算をいたしまして、やはりこの一般の貸し付けとしては、資金運用部から貸します場合は六分五厘で貸しておりますし、これをそういった一般の金利と大体同様の水準で運用いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/38
-
039・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) いまのアメリカに対しての利子は、円払いでは四分、それからドル払いで三分で払っておりますので、御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/39
-
040・野上元
○野上元君 ちょっと関連質問を一つだけ。
技術的な問題で一つだけ質問しておきたいですが、両会計とも、それぞれの協定に基づいて存在するということは、贈与あるいは借り入れをするのだから、一つの制約として協定が二つの会計をつくることを要求しておると思うのですが、その二つの会計を廃止し、しかも、協定は存続しておるということになりますと、これはメアリカと日本政府との間に合意がなければならぬと思うのですが、その協定を存続させたままで二つの会計を廃止するということについてのアメリカと日本政府との間の合意書というようなものがあるのかどうか、その点。
もう一つは、贈与にしても借り入れ金にしても、特に借り入れ金の場合は、明らかにこれは外国からの借り入れ金なんですから、その借り入れ金を日本国の産投会計に統合することが会計法上許されるのかどうか、その点の二つをひとつ明らかにしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/40
-
041・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 経済援助資金のほうは、当初アメリカ側との協定におきまして、この資金に関する経理を特別の勘定を設けてするということになっておりましたので、その趣旨に沿いまして特別会計を設けることとしたわけでございます。余剰農産物に関しましては、特にアメリカ側とはそのような協定はございませんが、やはり資金の性質上、その経理を一般会計と区分して経理することが適当であるという判断のもとに特別会計にしたわけでございます。今回この両特別会計を産業投資特別会計に統合するにつきまして、経済援助資金特別会計につきましては、その協定上問題があるかということでございましたが、しかしながら、協定の解釈といたしましても、当初の貸し付け金に関しましてこれは拘束をするという解釈でもありましたし、また、念のためにこの特別会計の廃止についてアメリカ側の意向を外務省を通じて——外務省条約局に本件につきまして当方から照会いたしましたところ、本件に関する米側の見解は特にただしてはいないけれども、当局としては、当該特別会計の廃止が協定違反を構成しないというふうに考えられるというはっきりした言明をもらいましたので、この特別会計を廃止することとしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/41
-
042・野上元
○野上元君 外国の資金を日本国の産投会計の中に統合するという会計法上の疑義はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/42
-
043・鳩山威一郎
○政府委員(鳩山威一郎君) 産投会計では、御承知のように、いままで五回ばかり外債をすでに発行しております。それで、この余剰農産物の金も、性質はこれは外債でございますので、同種のものでありますから、産投会計法としては当然それはできるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/43
-
044・須藤五郎
○須藤五郎君 関連して。二会計の権利義務を産投会計で引き継ぐと言っていらっしゃいますが、それは具体的に一体どういうことか、ちょっと伺ってみたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/44
-
045・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 経済援助資金のほうは債務というものはありませんので、権利だけを引き継ぐことになりますが、余剰農産物の場合は、資産のほかに、やはり返済の義務を負っているわけでありますから、そういう諸権利と同時に、やはり義務も債務も一緒に引き継いで、その会計で協定による債務を返済してまいる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/45
-
046・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/46
-
047・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/47
-
048・須藤五郎
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表してこの法案に反対をするものであります。というのは、この法案は、一応MSA協定の余剰農産物の会計を廃止するとか、経済援助の特別会計を廃止するという方向だけはとりながら、事実そういう方向にありながら、これを産投の中にはうり込んで、そうしていわゆるアメリカとの間に取りかわした協定は生かしておるという、この矛盾なんですね。これではこの会計を廃止する意思がどこにあるかということを私は疑わざるを得ないわけなんです。ほんとうにこういうことのないよう、全部廃止するというのでしたら私たちも賛成をしたいところなんです。しかし、簡単に賛成をすることはできぬということは、産投の中に入れて、先ほども質問の中に明らかにしましたが、もうこの二会計があまり効力がない、金の高も小さい。だからこれを産投という大きなどんぶりのほうに移して、そこで従来やってきた仕事を引き継いでそれでやっていこう、こういう精神が明らかに見えますので、私たちはそういう立場に立ってこの法案に賛成することはできない。だから私は先ほどの質問で、反対の立場に立っていろいろ質問したわけですが、この法案に私は党を代表して反対をはっきりしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/48
-
049・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 他に御発言も御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/49
-
050・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。
これより採決をいたします。
経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/50
-
051・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/51
-
052・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00519680312/52
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。