1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月十四日(木曜日)
午前十時二十七分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 青柳 秀夫君
理 事
植木 光教君
小林 章君
柴谷 要君
中尾 辰義君
委 員
伊藤 五郎君
大竹平八郎君
西郷吉之助君
林屋亀次郎君
田中寿美子君
戸田 菊雄君
野上 元君
瓜生 清君
須藤 五郎君
政府委員
大蔵政務次官 二木 謙吾君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
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本日の会議に付した案件
○所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
めの日本国とデンマーク王国との間の条約の実
施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特
例等に関する法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00619680314/0
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001・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とデンマーク王国との間の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。二木政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00619680314/1
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002・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) ただいま議題となりました「所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とデンマーク王国との間の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案」につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、さきにデンマーク王国との間の租税条約に署名いたしました。この条約の締結の承認については、別途今国会において御審議を願っているのでありますが、この条約は、昭和三十四年三月に両国間で調印された現行租税条約を全面的に改定するものであります。現行条約を国内において実施するための特別の法律として「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律」があるわけでありますが、現行条約の改定に伴い、これにつき所要の立法措置を講ずるため、現行特例法の全部を改正する必要があるので、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。
以下、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。
まず、非居住者または外国法人の取得する配当、利子及び工業所有権等の使用料に対する源泉徴収所得税に関する事項であります。わが国の所得税法によりますと、非居住者または外国法人の取得する配当、利子及び工業所有権等の使用料につきましては、二〇%の税率により源泉徴収所得税を徴収することになっております。しかるに、このたびの租税条約によりますと、配当につきましては親子会社間のものを除き一五%、親子会社間の配当、利子及び工業所有権等の使用料につきましては一〇%を、それぞれこえてはならないとされております。そこで、これらの所得に対する源泉徴収所得税の税率を、それぞれその条約上の最高限度である一五%及び一〇%と定めることとするものであります。
次に、非居住者または外国法人のうち、わが国に支店等を有しているものにつきましては、国内法では、配当、利子及び工業所有権等の使用料にかかる所得と、これら以外の他の所得とを合算して課税するたてまえになっております関係上、配当等につきまして租税条約で定める制限税率をこえて課税されることとなる場合がありますので、その点を考慮して、総合課税の場合の税額につき、租税条約の規定に適合するよう、所要の軽減措置をとることといたしております。
なお、この場合、このたびの租税条約におきましては、住民税をも条約の対象とすることとなっておりますので、総合課税の場合の軽減措置を講ずるにあたっては、法人税割りの住民税をも含めて制限税率をこえることのないよう、所要の措置を講じております。その他、このたびの租税条約を実施するにつきまして必要な事務取り扱い等につき所要の規定を設けております。
以上、この法律案の提案の理由及びその内容を御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00619680314/2
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003・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 次に、補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00619680314/3
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004・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とデンマーク王国との間の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
ただいま提案理由の中で御説明がありましたように、わが国とデンマークとの間には、昭和三十四年に現行の租税条約を締結いたしたのでありますが、その後、OECDの場を通じまして租税条約の国際的検討が進められまして、昭和三十八年にはOECDモデル条約草案の作成を契機として、OECD加盟国間では、できる限りこのモデル条約に従うことが要請されることになったのであります。わが国もこのモデル条約に沿いまして、租税条約を締結または改定をすることにいたしてまいりましたが、今回の改定もその一環として行なわれたものであります。
日本・デンマーク租税条約交渉は、昨年七月コペンハーゲンにおいて行なわれまして、同月実質的合意に達し、本年二月、条約の正式調印が東京で行なわれたのであります。
御承知のように、所得に対する租税の二重課税防止条約を締結することは、最近における世界の趨勢でございまして、わが国もこれまでに十七カ国と租税条約を結んでおります。日本・デンマーク間の新条約は、全文三十条及び付属議定書からなっておりますが、現行条約の主要改正点は、OECDモデル条約をできる限り採用したほか、投資所得の源泉地国における制限税率を従来より引き下げたこと、日本側といたしましては、新たに地方税である住民税を条約の対象としたことなどであります。そこで、この新条約を実施するためにこの特例法を制定する必要が生じたのであります。
その第一は、配当、利子、使用料等の投資所得に対する日本側の税率を、条約上の制限税率の範囲内で特定をすることにあります。すなわち、先ほどの提案理由説明にありましたように、わが国の所得税法によりますと、非居住者または外国法人の取得する配当、利子、使用料等につきましては二〇%の税率により源泉徴収をいたすことになっておりますが、このたびの租税条約によりまして、配当につきましては、親子会社間のものを除き、一五%、親子会社間の配当、利子及び使用料につきましては一〇%をそれぞれこえてはならないこととされております。そこで、デンマークの居住者である個人または法人が取得するこれらの所得に対する源泉徴収の税率を、この特例法によりましてそれぞれ条約上の最高限度である一五%及び一〇%に特定しようとするものであります。また、非居住者または外国法人のうち、わが国に支店等を有しているものがございますときには、これらの居住者、法人等には、国内法では、配当、利子、使用料等にかかる所得とそれら以外の所得とを合算して課税するたてまえになっておりますために、租税条約で定める制限税率をこえて課税される結果が生ずる場合もありますので、このような場合でも、租税条約に定める制限税率をこえないよう所要の措置をとる必要があります。
なお、外国法人でわが国に支店等を有するものは、法人税のほか、住民税の法人税割りが課税されることになっておりますので、法人税割りの税率を標準税率である一四・七%とした場合の法人税と住民税との合計額が、租税条約に定める制限税率による税額をこえることがないような措置をとっておるのであります。
この特例法の第二の内容は、租税条約上、両国間の協議によってデンマークの居住者とされた者は、わが国の国内法上居住者でないものとする等、条約実施上の細目を規定していることであります。
以上、簡単でございますが、提案理由を補足して御説明いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00619680314/4
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005・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
本日はこれにて散会いたします。
午前十時三十七分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00619680314/5
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