1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十三日(火曜日)
午前十時三十五分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 青柳 秀夫君
理 事
植木 光教君
小林 章君
西田 信一君
柴谷 要君
中尾 辰義君
委 員
青木 一男君
伊藤 五郎君
大竹平八郎君
大谷 贇雄君
西郷吉之助君
田中 茂穂君
徳永 正利君
藤田 正明君
田中寿美子君
戸田 菊雄君
野上 元君
野溝 勝君
瓜生 清君
須藤 五郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
政府委員
大蔵政務次官 二木 謙吾君
日本専売公社監
理官 前川 憲一君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
国税庁長官 泉 美之松君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
日本専売公社総
裁 東海林武雄君
日本専売公社副
総裁 佐々木庸一君
日本専売公社総
務理事 牧野 誠一君
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本日の会議に付した案件
○製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
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001・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/1
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002・戸田菊雄
○戸田菊雄君 総裁にお尋ねをしたいのでありますが、昨年までは総裁はたばこの値上げには反対である、こういう御意思を持ってこられたと思うのです。それが今回どうしてその意思が貫けなかったのか、その辺の心境についてひとつ御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/2
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003・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) 私の立場を率直に申し上げますというと、たばこの値上げというものは、大衆の嗜好品といわれておりますけれども、非常に生活に密着している品物でありますから、値上げをするということは好ましくないということは申してまいりました。で、まあそれは企業努力によりましてどの程度にそれを補えるかということになりますと、これは補正でも御承知のとおりに、昨年は補正で約八十億の利益を別に出しておりますが、しかし、今回のように、財政上からの要請がございますというと、企業努力をいたしましてもこれだけの五百五十億というようなものはまかなえない、こういうことから、私としてはまことに不本意でございますけれども、値上げをせざるを得ないというようになったと、こう申し上げてよいかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/3
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004・戸田菊雄
○戸田菊雄君 大体、大蔵大臣不在でございますけれども、大蔵大臣も昨年まではそういう意思を国民に発表して、国民に公約してまいったのでありますが、それがいま総裁も同じような立場で答弁されているわけですけれども、それが財政上の理由であるというのは、端的に言うと、やっぱり専売公社という企業の自主性というものをなくして、単に大蔵省の天下り的な、強制的な財源政策に同調したとしか思われないのですが、そういう事実についてはどういうふうにお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/4
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005・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) これはいますぐ四十三年度におきまして五百五十億という利益をあげろといわれても、私の立場としては、これは値上げに踏み切らざるを得ないということを申し上げたのでありますが、本来から、この公社独自の立場から申しますというと、この十年間を顧みてみますというと、原料の値上がりというのは八九%の多きになっているということから、本来から申しますというと、ことしがこういうような時期に際会いたしましたけれども、いずれかはこれは引き上げざるを得ないという情勢になっているということは、これは申し上げていいんじゃないかと思うのであります。企業努力と申しますけれども原料と材料費を合わせますと全体のコストの八〇%を形成しております。残りの二〇%が非常に経営努力の目標になるのでありますけれども、その点では非常に制限を受けることになりますので、これはことし上げなくても、また近い将来においてはどうしても値上げをせざるを得ないという情勢になっているということは、これは申し上げていいのではないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/5
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006・戸田菊雄
○戸田菊雄君 総裁の意思が変わったのは、私は、もちろんこの税調に対しては大蔵省の働きかけもあったようでありますが、税調の答申が出たあと総裁の態度は急変したと判断される。いわゆる昨年の九月でありますが、税調としては、どうしても財政面からたばこの値上げやむを得ざるものであると、こういう状況であったわけですね。それに対して、税調の答申が出た直後に、総裁としては、私としては値上げしないでいけたらまあ上げないでいきたいと、これは一つの決意を示しているものと思うのでありますが、しかし、さらに、このたばこは、嗜好品とはいっても大衆必需品だ、もう国民の生活に溶け込んだものだ、だからそういうものを安易に値上げをしていくことはやはり好ましくないということを、率直に総裁は、昨年の十一月、専売労働組合との団体交渉の席上において明言をしているのですね。にもかかわらず、税調が答申をして、政府がそういう態度を打ち出した直後にやむを得ないという態度に変わってきた。だから、私は、そういうところがら、今後やはりこの専売公社の企業運営上においても非常に危惧の念を抱くのでありますが、何か大蔵省あたりからどんどん意見を言われると専売公社は常に動いていく、こういうことになりはしないか。ですから、そういうことでは、私は、今後の専売企業の自主性というもの、企業育成ないし運営というものに非常に問題があるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、そういう点の将来の見通し、心配についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/6
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007・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) 公社の仕事につきましては、いま戸田さんの言われましたとおりに、自主性を持っているということが非常に大事な問題でございまして、今後の行き方としましては、できるだけわれわれのそういうような主張を生かしていきたいと、かように考えておりますが、先ほども申し上げましたように、財政専売のたてまえからいきますというと、今回のような場合には、まあ私としてはやむを得ないんじゃないか、ごしんぼう願わなければならないじゃないか、かように考えておるわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/7
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008・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いまの点について次官はどうお考えになるのですか。そういう事実は大蔵省としてありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/8
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009・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) 私も、たばこは国民の嗜好品であって、国民生活のうちにも溶け込んでおるものであるから、たばこの値上げについては非常に苦慮したのでございます。初めには、私も所得減税一千五十億やらぬ、たばこも酒も上げぬ、こういうことでいったらどうかというようなことを省議でも申したのでありますが、しかし、よく考えてみまするというと、やはり中小所得者が最も困っておるのは所得税の問題でありますから、どうしても所得減税をやらなければならない。しかも、四十五年までには大体百万円を目安に無税にするということは総理も言明をいたしておる。また、議会でも皆さん方も御賛成でございますから、これはぜひやらなければならぬ。そうすればその財源をどこから持ってくるのか、こういうことでございます。で、御承知のとおりに、四十三年度の予算は財政硬直化でもございますし、また、自然増収も九千四百億見込まれておりますけれども、そのうちの七千億は義務的経費に要るし、さらに二千億は準義務的経費に要ると、こういうことになるわけでございまして、じゃその財源を公債に求めるか、こういうことも考えられぬことはございませんけれども、日本の財政の体質を改善をすると、こういう意味からいたしまして、公債は六千四百億までに限定をすると、こういうことに踏み切ったわけでございますので、日本の財政の健全化の意味におきまして、好ましいことではないけれども、間接税を少し引き上げる。それには、たばこは、御承知のとおりに、二十六年以来全く値を上げておりませんので、税制調査会においても、生活水準も上がっておるし、また、諸物価もいろいろ上がっておるから、それとの均衡を保つ上からいたしましても、この際、たばこの値上げをしたらどうかという答申がありましたから値上げに踏み切ったと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/9
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010・戸田菊雄
○戸田菊雄君 当初閣議におきましては、四十三年度予算編成にあたって、きわめて財政硬直化の要因があるから、これを打開しなければならない、そういうために一体財源をどこから求めるかということで、種々検討されたのでありますが、その閣議の中において検討された内容はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/10
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011・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) それは私は閣議に出ておりませんからよく存じませんから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/11
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012・戸田菊雄
○戸田菊雄君 企画庁長官がじきに来られるそうですから、その辺はそれにしまして、この点はこの前わが党の野上委員も執拗に聞きただしたので、私はできる限り質問をしないでまいりたいというように考えるのでありますが、このたばこの値上げをする原因と理由ですね、端的にひとつ教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/12
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013・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) 便宜私からお答えさしていただきます。
この前、野上先生にもるる申し上げましたので、なるべく繰り返しを避けたいと思いますが、やはり複数の原因、理由があると思います。税金のように税率というもの一本だけでいけるものでもございませんので、また、やはり先ほど来、政務次官や総裁からのお話にもございましたように、国民の皆さま方の日常生活に非常に関係の深い商品でございますから、それを買っていただいているうちに知らず知らずに税金を納めていただくと、こういう性質のものでございますから、やはり、まず一般の物価なり所得の動きとたばこの値段というものについて相当慎重な検討をしなきゃならぬ、その点がまず第一でございまして、昭和四十一年以来、税制調査会等におかれましても、所得、物価水準の上昇に比べれば、たばこの値段が据え置かれておることは、やはりこの際再検討を要するのではないか、これがまず一つでございます。
それから、第二は、やはり端的に申しまして財政専売でございますが、財政に対する寄与、貢献度というものがだんだんと低下しておる。これを一ぺんに高くする必要もございませんけれども、少し手直しをしなければならないのじゃないか。それから、また、一箱当たりの税率も、昔といいますか、昭和二十六年ごろは七〇%をこえておったのでございますが、これがだんだん低下いたしまして、この際ほうっておきますと、おそらくまあ五割五分内外まで落ちるのではないか。だから、まあそれを一ぺんにまた七〇までにしようなんというようなことは、これは国民生活への影響もございますし、まあそこのところを最小限度にして六〇前後に手直しをしたい。それから、値上げの幅その他につきましても、国民の生活への影響ということを考えて、できるだけ抑制的に考えていく、こんなようなのが理由といいますか、原因といいますか、そんなようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/13
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014・戸田菊雄
○戸田菊雄君 その点についてはあとでまた触れてまいりたいと思いますが、それで、具体的な内容について質問してまいりたいと思うのですが、一つは、三十六年以降、たばこ税のうち、国税分は一体どうなっているか、ひとつ数字的に示していただきたい。でき得れば地方税分も含めまして説明を願えればけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/14
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015・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 三十六年度におきましては、専売納付金は千六百三十九億八千百万円でございます。たばこ消費税は六百六十八億二千九百万円でございます。三十七年には、納付金は若干減りまして、千六百三十億四千二百万円、消費税は七百八十六億八千万円、三十八年になりますと、千六百五十一億九千百万円と九百三億五千六百万円、三十九年は千六百五十一億四千七百万円に対しまして、たばこ消費税は千五十六億四千二百万円と上がってまいりまして、四十年は、納付金は千七百九十二億七千百万円、消費税は千百七十一億四千四百万円、四十一年になりますというと、納付金は千九百八十一億千六百万円、消費税は千二百八十八億五千三百万円でございます。四十二年は補正予算の数字——いままでは決算でございますが、補正予算の数字で申し上げますというと、千六百七十九億九千五百万円の納付金に対しまして、千六百八十四億千二百万円と見込んでおります。四十三年の予算で組んでおりますのは、納付金が二千三百四億三千百万円、消費税は千八百三十四億五千四百万円という見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/15
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016・戸田菊雄
○戸田菊雄君 このたばこ税のうちの国税部分の例年の増収割合ですね、いまの数字のうち、増収割合がどのくらいになっておって、四十三年度は一体どのくらい見込んでいるか、増収、国税分は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/16
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017・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 先生の御質問は、国税が自然増収となる場合に、そのうちにおけるウエートという御質問かと思いますが、資料はそういうふうに準備しておりませんで、大体一般会計歳入中に占める専売納付金のウエートの数字を申し上げましてごらん願いたいと思いますが、三十六年には専売納付金のウエートは六・五%でございました、率が。次の年は五・五、三十八年は五・一、三十九年は四・八、四十年は四・八、四十一年は四・四、四十二年は三・二%に下がっているかもしれないと思います。四十三年におきましては若干回復いたしまして、四%のウエートに戻るかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/17
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018・戸田菊雄
○戸田菊雄君 額でどのくらいですか、大まかに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/18
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019・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) これは非常にぐあいが悪うございますけれども、たばこ消費税のほうは一般会計に入っておりません。直接に地方公共団体の歳入に向けられておりますものですから、これを比較する場合に、一般会計歳入をそのままにしておきまして、専売納付金とたばこ消費税の合計額、それに対する比率を見るというと、数字にいたしますと若干狂ってくるところがございますが、制度がそういうふうになっておりますでございますから、そこは少し見のがしていただきまして、数字を申し上げますというと、かりに専売納付金にたばこ消費税を加えたものの額を一般会計歳入と対比することをお許し願えるといたしますと、三十六年は八・九%という数字でございます。三十七年は八%、三十八年七・七%、三十九年七・六%、四十年も変わりません。四十一年七・〇、四十二年は六・三になっているかもしれないと思います。四十三年の予定では六・九%という数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/19
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020・戸田菊雄
○戸田菊雄君 どうも副総裁巧妙で、割合ばかり示される。私の言っているのは、その割合に対する額は一体どのくらいなのか。そこで試算ができないのならやむを得ませんけれども、それじゃひとつたばこの値段についてお伺いをしたいと思うのですが、銘柄、バット、朝日、ききょう、それからピース、ピースのロング、それからハイライト、いこい、新生、ホープ、同ロング、スリーエー、ひびき、わかば、泉、こはく、ルナ、こういった各銘柄の二十本一箱入り現行の値段どのくらい、改定値段では一体どうなるか、それをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/20
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021・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) ただいまのたばこの値段のお話でございますが、最初に現行価格を申し上げまして、それから改定の案と並べて一つずつ申し上げたいと思います。
ホープというのがございますが、十本入りのこれは短いものでございますが、現行四十円、改定案では五十円にいたしております。それからホープの二十本入り、長いのでございますが、これは現行八十円、改定案百円、それからハイライトデラックス二十本入り八十円、改定案百円、ピース、長いのでございますが、八十円が百円、それからピースの短いものは四十円に対して五十円、それからハイライト二十本入り七十円に対して八十円、「ひびき」が六十円に対しまして七十円、スリーエーが六十円に対して七十円、「わかば」が五十円に対して六十円、「いこい」が五十円に対して六十円、新生四十円に対して五十円、それからゴールデンバット、「朝日」、それから「ききょう」、刻みでございますが、これは据え置きでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/21
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022・戸田菊雄
○戸田菊雄君 このたばこの定価表ですね、歴年ごとにずっと追って見ますと、二十九年改定以前は三十円か、ないし二十五円か、こういった安いたばこは非常に多かったのですね。ところが、その後どういうのかわかりませんけれども、専売公社はだんだん大衆品をなくして値段をつり上げて、そうして高価なたばこをどんどんつくるようになった。言い方はいろいろあるでありましょうけれども、国民の生活ぐあいが引き上がったから、当然嗜好品も引き上げなければいけないという、そういう口実はあるでありましょうが、これは嗜好品ですから、どんな人でもやはり自分の吸いなれたものはやはりいいということになるだろうと思うのです。そういうことを無視して、従来、暗黙のうちにたばこの値段というものを引き上げてきたと思うのです。その生産計画といいますか、そういうものは一体どこでどういうふうに計画されて、どういうことで一体変えられているというのか、そういういわばたばこ製造に対して値段を含めた生産計画、こういった問題についての説明をひとつお願いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/22
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023・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 私の公社におきましては、新しいたばこを出しましたり値段をきめましたりする場合に、まずは販売を中心といたします関係者を集めまして商品計画委員会というものをやりまして、そこで値段なりコストなり、葉組みなり、たばこの意匠なりというものを審査いたしましてから公社内の規定の組織にのせて決裁を得るということにしておるわけでございますが、確かに御指摘のとおりに、二十六年から値上げはしておりませんと申し上げておりますことには若干の説明を申し上げなければならぬ点があるのでございます。二十六年から続けて売りましたたばこというのは非常に数が少ないのでございまして、それ以降、新たに発売されました銘柄というのは、現在のところ非常に多いわけでございます。これがいわゆる値上げであるかという問題につきましては、内容的に見ますというと、当初の価格をきめます際の目安と見られますものは、当時の平均の利益率ということを目標に入れてきておるようでございます。最近ここ両三年のところは利益率がかなり下がってまいりますものですから、少しそれを取り返すようにという配慮を働かしてまいりましたので、これがフィルターが非常に好まれるようになりまして、そのような種類のものにつきまして多くの銘柄を出すというふうなことが可能になりましたためにやれることになったわけでございますけれども、価格は高いものになっておりますけれども、コストもまた相応して高くなっております。利益において格段の高いもの、国へ納めますものが非常にふえますようなことにはなっていない次第でございます。したがいまして、従来、今回のような定価改定と同一には考えにくいと申し上げざるを得ないかと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/23
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024・戸田菊雄
○戸田菊雄君 銘柄変更等に伴って定価が改定をされるような場合、品質を改良するような場合、これは専売公社独自で計画の面で検討しているのですね。その辺は別に法的には問題ありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/24
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025・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) いかなる葉っぱの組み合わせで新製品を売り出しますか、どれくらいのコストにしてみてどれくらいの価格でやりますかというようなことは専売公社が立案いたすわけでございます。事柄の性質上、法律の規定にありますとおり、価格につきましては大蔵大臣の承認を得るという手続を進めることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/25
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026・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そうしますと、国会にその値上げについてかけるのは、今回のように各銘柄一斉に行なわれる、こういった問題については国会の議決を必要とする。しかし、この銘柄変更等に伴って値段の改定を行なう場合には全然そういうことは必要ない、こういうことですか。その点は法的根拠をひとつ示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/26
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027・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) 先生御承知のように、現在のたばこ定価法は級別の最高価格を国会で御審議御決議願うということになっております。したがいまして、その級別の最高限度の中で、専売公社が先ほど来申しておりますように、いわゆるマーケッティングをやりまして、消費者の皆さん方のお好みなり何なりに合うような新製品を編み出しまして、ワク内でやってまいります場合には、個々の銘柄については大蔵大臣がこれを認可できる、こういうことになっております。今回はほぼ、ほとんど全銘柄につきまして最高限度を上げることでございますので、最高限度だけの条文を出しましてもこれは無味乾燥なものでございますので、先ほど牧野理事の申しましたように、今回の法律改定に伴って全銘柄がどういう姿になるかということをここで御審議願っておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/27
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028・戸田菊雄
○戸田菊雄君 その法的根拠は何ですか。銘柄変更に伴って大蔵大臣承認に持っていけるという法的根拠は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/28
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029・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) 製造たばこ定価法というのが国会で昭和四十年に御審議いただきまして、六月三日に公布をされております。それによりまして、第一条でもって等級別の最高価格が定められております。そうしてそのたばこ専売法の第三十四条におきまして、先ほどの申しました製造たばこ定価法の最高限度の中におきまして公社は大蔵大臣の認可を受け、製造たばこの小売り定価を定めて公告する。したがって、個別銘柄は、たばこ専売法の第三十四条による大蔵大臣の認可に基づいてと、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/29
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030・戸田菊雄
○戸田菊雄君 専売法の三十四条というのは、一応値上げなり新製品の値段を決定したものを大臣の承認を得る、こういう結果になるのじゃないのですか。その前提条件としては、当然その新銘柄であっても、本来ならば国会の議決ということに持っていかなくてもいいですか、その辺はどうですか。もしそういうことであれば、法律根拠は何条でそういうことになるのですか。新銘柄と明確にうたってありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/30
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031・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) かつては、御指摘のように、銘柄別に定価を国会で御審議願っておりました。それを手続簡素化の趣旨をもちまして、昭和四十年に現行の種類別、等級別最高額制度に改正を願った次第でございます。かつては先生の御議論のように、一つ一つの銘柄の定価をきめます際には国会の御審議を願ったという経緯はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/31
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032・戸田菊雄
○戸田菊雄君 第一条でいろいろ言っておることは、具体的に、じゃ新銘柄とか、そういうものをつくった場合にはストレートで大蔵大臣の承認をもらえばいいということで具体的に改正されたと考えておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/32
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033・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 種類別、等級別のきめられました最高額の範囲であるならば、それは大蔵大臣の認可をもって足りることになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/33
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034・戸田菊雄
○戸田菊雄君 種類別最高額というものは一応きまっているわけです。それを新銘柄をつくることによってそういうことになると、そういう種類と最高限度というものは何によって判断するのですか。たとえば従来ピースが四十円で売ってきた、ところが、ハイライトが二十本入り七十円、こういう新銘柄をやる場合に、それによって片方ピースの生産というものは減少していく、意識的に。私が意地悪いのかもしれませんがね、いろいろと経過を見ると。そうして、どうしてもハイライトを吸わなければいけないように国民の中に仕向けていく、こういうことで、二十本入り七十円ということで高価たばこを値上げをやっている、こういう形をとっているんじゃないかと思うんですが、その私は法的根拠をいま聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/34
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035・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 先生の御質問の基礎になりました、ハイライトがふえましてピースが落ちていきました事情につきましては、私どもこれ意識的に数量の抑制やなんかから出たものでないと申し上げなければならないので、御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/35
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036・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それは別ですからいいです。その根拠さえ明確に示してくれれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/36
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037・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) それはハイライトが好まれるというところからきているわけでございますけれども、製造たばこ定価法におきましても、種類別、等級別をきめます際に、紙巻きたばこの一級品とはどういう品質のものであるかという規定が設けられております。この品質の限度を守りまして、そこできめられました最高価格の範囲内でございますれば、大蔵大臣の承認を経て新製品もまた発売できるという仕組みに簡素化されてきたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/37
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038・戸田菊雄
○戸田菊雄君 じゃ専売法三十四条を説明してください、読み上げてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/38
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039・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 専売法第三十四条はこういうふうになっております。
「公社は、大蔵大臣の認可を受け、製造たばこの小売定価を定めて公告する」、そのあとに若干たばこ消費税に関する規定がございます。これは少し複雑でございますが、読みます。「この小売定価中には、地方税法」、この番号は省略します。「第七十四条第三項に規定する道府県たばこ消費税の課税標準算定の基礎となる額及び同法第四百六十四条第三項に規定する市町村たばこ消費税の課税標準算定の基礎となる額に当該小売定価に係る製造たばこの本数」、カッコして「(本数を含む。)」、要するにごちゃごちゃしまして、最後に、この価格には「道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の額を含むものとする。」ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/39
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040・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いまの説明を受けた範囲では、非常に法律そのものが不明確に私は書いていると思うのですね。ですから、その穴を見つけまして、専売公社とすれば、どんどん新銘柄をつくって新値段をつくって高いたばこをつくっていく、そして大蔵大臣の承認を得ればそれでけっこうだと、こういう解釈をとっているのでありますけれども、それは前川監理官、どうですか、その解釈でいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/40
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041・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) 先ほど申し上げました製造たばこ定価法、これの第二条、第三条等に、等級別、品質別と申しましてもこまかく規定がございます。したがいまして、大蔵大臣も非常に恣意的な認可はできませんし、また、専売公社といたしましても、かってに何と申しますか、もうけ本位でもって粗悪なものを高く売りつけるとか、さようなことはできません。それから、また、毎年やはり国民の、先ほどから申しておりますように、消費税に非常に関係の深いものでございますから、消費者の動向等につきましてもできる限りの調査をいたしまして、どういうものにお好みが移っておるかというようなことも調べまして、それを製造計画の重要な参考にすると、こういうふうにいたしておるものと監理官としては信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/41
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042・野上元
○野上元君 ちょっと関連質問。
前川さん、あなたに聞きたいんだけれども、いまの法律の解釈ですね、こういうことなんですか。新しい銘柄のたばこを創設することは大蔵大臣の認可を経れば十分であるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/42
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043・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/43
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044・野上元
○野上元君 値段も含めて、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/44
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045・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/45
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046・野上元
○野上元君 と同時に、古い銘柄、在来の銘柄を廃止することも、これは大蔵大臣の認可で十分なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/46
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047・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) 新しいたばこをつくります場合には、たとえて申しますと、いままで二級品の限度額はたとえば十本三十五円、つまり二十本入り七十円でございましたですね。そういたしますと、ハイライトという新しい種類をつくるということで、いろいろ内容等、法律の規定に違反しないように製造計画を立てまして認可してもらう。したがって、廃止ということになりますと、これはやはり専売公社の一種の生産計画、経営計画上の問題でございまして、一がいに本数が減ったからと言ってやめられるものではない。つまり公的独占企業でございますから、やはり一部の方であっても、それを非常にお好みになるような方がある銘柄は、本数が減ってきてもやはりつくらなければいかぬという場合もございましょうし、あるいはそれよりも絶対量としては多いけれども、この際、販売政策上やめてもいいという場合もあろうかと思いますが、私が監理官になりましてから廃止された例はまだございませんですし、法的には必要ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/47
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048・野上元
○野上元君 私はその法律的なことを聞いているのですよ。企業経営的には、専売公社といえども企業経営をやっているわけですから、マイナスになるような生産計画をやるはずはないし、廃止についても同様だと思う。しかし、いま戸田さんの聞いておるように、いわゆる法律的に、あるいは純理論的に言えば、安いものを全部やめて最も高いものを創設することも可能なんじゃないか、法律的には。それは違法ではない、こういうふうに考えられるのだが、そういうことがあるからだんだん高いものが専売公社の中のたばこの大部分を占めていっている。したがって、一本の平均単価は、従来から比べるとうんと高くなってくるのじゃないか、そういう傾向が今後も続くのじゃないか。かつ、また、実際法律的に許されているのではないか。ということになると、戸田委員が心配しているような事態になるのではないかというふうに考えるが、大蔵当局としてはどういうふうに考えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/48
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049・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) いまたばこ定価法だけを論じておりますと、論理上そういうことになるかと思います。しかしながら、日本専売公社法第一条に専売公社の目的というものが規定せられておりまして、「日本専売公社は、専売事業の健全にして能率的な実施に当ることを目的とする。」と、こう書いてございます。これの解釈でございますけれども、健全であるかということはどういうことか、国民の皆さま方のお吸いになりたいという値段でちょうどいいのをかってにぽんぽんやめて高いものを売りつける、これははなはだ不健全な話でございますから、やはりそういう公社法の第一条の精神に反する。それから、また、世の中には独占禁止法がございまして、私的独占に関してはさような悪らつなことをやってはいけないということになっております。しかしながら、専売公社は公法上の特殊法人でございますから、独占禁止法の適用外になっております。それだけに、そういうふうな悪らつなことをやってはいけないという、いわば独占禁止法の裏返しみたいなものでございまして、そういう規定もございますので、たばこ定価のきめ方そのものは確かに単純でございますけれども、いま先生が御危惧になりましたようなことはできないし、むしろ世間がこれを許さない、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/49
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050・野上元
○野上元君 私はあなたの良心をここで聞いてもしかたがないので、問題は、戸田さんの言うのは、法律的にそういう抜け穴をつくっておいていいのかということを言っているわけで、法律的に規制するような気持ちはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/50
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051・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) たばこ定価法につきましては、昭和四十年に与野党の皆さま方の御審議も経まして、そうしてでき上がっておる法律でございまして、いままでのところ、特に弊害が生じておりません。また、先ほど私が申し上げましたように、日本専売公社法、その他公社の公的な独占機関であるということに基づく制限規定もございますので、これを総合的に運用いたしますればそういうふうな抜け穴は出てこない。また、大蔵大臣も監督しておられることでございますから、いま直ちに法規を改定する必要はないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/51
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052・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いまの解釈は、実態については具体的にあとでお聞きいたしますが、長官が時間があまりないそうですから、二点ほどちょっとお伺いしておきたいと思います。
企画庁長官は、四十三年度の財政運営について、われわれは俗称宮澤構想と言っておるのでありますが、その中で、かりにこの物価調整減税を五百億どうしてもやらなければならないということになるならば、その五百億円というものはどこから一体出してくるのか、こういうことで、一つは消費者米価の値上げ、一つは国債の削減、一つはたばこの値上げによってまかなう以外はないだろう、こういうことを言っておられるわけですね。これは四十二年の十二月三日の朝日ジャーナルに載っておるわけでありますが、この解釈でいきますと、現在この物価調整減税は四十三年度は組まれなかったわけでありますから、たばこ値上げというものは財源上は必要ないんじゃないか、こういうふうに考えるのですけれども、長官の見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/52
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053・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) この俗称の構想を考えましたときに、四十三年度はおそらく財源的に非常につらい年だというふうに思いまして、それで当然国債は削減しなければいけないわけでございますから、それならば所得税の減税というものを一応見送って、それで財源を補てんしたらどうだろう、そういう考え方はないものだろうかということを一度考えてみたわけでありますけれども、この点は、しかし、現在の所得税の累進の刻み方が御承知のようなものでございますし、また、百万円までの減税ということを公約もしておるわけでございますから、物価調整的な意味もあって、所得税の減税はやはりしたほうがいいと、こういうことになったわけであります。そういたしますと、国債をふやすということは、これは絶対にいけないわけでございますから、その財源をどうやって調達するかということになりまして、そしてたばこであるとか、あるいは間接税であるとか、そういったものの一部を増徴することになったわけであります。私は姿としてはそれでよかったと思っております。やはり所得税の減税をしないでいくということは、これはいずれにいたしましても、勤労意欲にも企業意欲にも関係いたしますし、選択がない種類の税でございますから、国民生活をすぐ圧迫するようになる。そういうことから考えますと、多少の選択の余地があるそういうたばことか酒とかいうもののある程度の増徴をして歳入の補てんをするということはやむを得なかったであろう、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/53
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054・戸田菊雄
○戸田菊雄君 もう一点だけお伺いしますが、結局たばこ値上げによって大衆課税という方向にいくんじゃないかと思うのですが、その辺の見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/54
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055・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国の税制全体として、直接税と間接税とのウエートをどうすべきかという問題はおそらくやはり根本にあるのであろうと思いますし、長期税制を検討しておられる税制調査会なども、おそらくはそういうことをいろいろ研究しておられると思うのであります。大衆課税になるかどうかということについては、どういうものを増徴の対象に選び、どういうものを除外するかといったようなことに一番関係があるわけでありまして、また、嗜好品といいましても、その嗜好の程度などにも関係があると思います。まあ累進的な課税でないという意味では、それはやはりどうしても一般消費者を対象とするわけでございますから、その人たちの負担が上がる。ことに先般来いろいろ御議論のございますように、所得階層のいかんによっては、そういうものの値上げが持つウエートが、かなり階層が低ければ大きくなるといったような問題もございますから、やはりやりますときには相当気をつけてやらなければいけないということは間違いないことだと思います。一般論として、やはり一般消費者に負担になっていくということは、これは否定できないであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/55
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056・戸田菊雄
○戸田菊雄君 ついでですから主税局長に伺いますが、いま日本に極貧世帯、いわば失格者ですね、どのくらいおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/56
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057・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) いわゆる有業者の中で申しますと、先般申し上げておりますように、所得税では約二千七百万ぐらい、住民税では二千万ぐらいというのが大体の推計でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/57
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058・戸田菊雄
○戸田菊雄君 長官にもう一点だけ伺いますが、日本は非常に社会保障の負担割合が少ないといわれておりますね。欧米諸国においては、少なくとも一三%ないし一五%まで保障される。日本の場合は五%というふうに理解しておるわけです。こういう面からいって、さらに、いま長官も、結論的には大衆課税にならないように注意はしなければいけない、こういうことをおっしゃられましたが、そういう意味合いにおいては、注意しようがしまいが、勢い値上げによって大衆課税という方向が打ち出されて大きな負担を背負うことになるのじゃないかと思うのですが、この社会保障の保障割合ですね、そういうものからいっても、いまの日本の底辺構造というのは非常に広いわけですから、そういう意味合いにおいて非常に私は大衆負担になっていくというふうに考えるのですけれども、もう一回その辺についてお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/58
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059・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国では確かに社会保障の負担がまだ低いわけでございますが、これは振替所得そのものも、したがって水準が低いわけでありまして、やはりだんだん両方とも上がっていかなければならないであろうと思っております。御質問の趣旨は、そういうときにこういう間接税の、あるいは、たばこの価格の増徴をするということは、それだけよけい負担になるではないかと言われることだと思いますので、まあ、たとえば、かりに売り上げ税といったようなものを議論の対象にいたしますような場合には、もし一率でやればやはり似たようなことになるであろうと思うのでございます。もし長期的にもう少しわが国で間接税の重みをふやしていくべきであるということになれば、それはやはりいま御指摘のようなことに結果としてはなるであろう。しかし、その歳入をどういうふうに使うか、社会保障的な、あるいは生活保護的な使い方にそれを財源にして使っていくというようなことも当然あるわけでございます。まあ大衆といわれますときに、ある程度最低生活に心配のないというような人々に国費の一部をそういう形で負担してもらうということは、これはまあ近代国家、ことに福祉国家というものを目ざすとすれば、私はもう当然のことではないだろうか。むしろそういうことをやめて政府の歳出も減らしていくということなら、これはまた別の考え方がございましょうと思います。福祉国家をつくっていくとすれば、やはりそういう方向になっていくのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/59
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060・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それじゃ前川監理官が先ほど説明されたように、専売公社法第一条によりますと、確かに専売公社は「専売事業の健全にして能率的な実施に当ることを目的とする。」、こういうことがあると思うのですが、実際たばこの新銘柄をつくられて、二十九年以降そういう具体的な新銘柄がたくさん出ているわけですよ。だから、この製品が必ずしも現在行なわれてきた生産計画の中には生かされていないという事実行為も相当あると思うのですが、そこで、私は専売公社にお伺いするのですけれども、一体、二十九年以降どういう新銘柄ができて、その値段は一体どういうふうになっておるかを説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/60
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061・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 初めに戸田先生にお断わりしておきますが、四十年以前の段階におきましては、一銘柄ごとに国会の御審議を経て定価を定めておりました。それをお断わり申し上げておきたいと思います。
二十六年が現在の価格体系の基礎が安定した時期と考えておりますが、それ以降、値段の推移をたどってみますと、二十九年にピースの値段を上げまして、そのあとまた下げたということがございますけれども、新銘柄としましては三十年に「富士」が六十円で発売されまして、翌年五十円に値段を下げられております。三十一年には「いこい」が五十円で発売されました。三十二年には(ホープレギュラー)が十本四十円で発売されております。三十五年にはハイライトが七十円で発売されております。また、スリーエーが六十円で発売されております。三十六年には葉巻きでありますグロリア、バンドールが発売されております。三十九年にはホープ(ロング)二十本八十円及び「ひびき」二十本六十円というのが発売されております。四十年はピースのロングと称しておりますフィルターつき二十本八十円及びエムエフ二十本七十円が発売されました。四十一年に「やまと」二十本百円、「こはく」同じく二十本百円、同じく「わかば」二十本五十円が発売されております。四十二年度におきましてはハイライトデラックスとルナ、両方とも二十本八十円で、「泉」、これは十二本五十円という値段で発売されております。そのほか「太陽」二十本七十円、シガリロのパロマ五本二百円というのが発売されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/61
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062・戸田菊雄
○戸田菊雄君 結局二十九年以降、十数銘柄が新しくつくられて新しい値段がついている。確かに四十年以前は銘柄も国会議決ということであったのであります。四十年以降はそういうことはなくなっているわけですね。そういうことになれば、今後もやはり生活様式の変更に伴って、結果的には多くの新銘柄がつくられ、値段がつけられる、こういうことになると思うんですね。だから、ここが私はどうも四十年の改正というものは非常に問題があったと思うのでございまするが、そういうことになれば、今後は合法的にやっていくつもりだ、何も国会に議決を求めなくても、そういう方式でどんどんたばこの新陳代謝をやっていくこともいいし、増収対策をやっていくこともいいし、そういう大きな抜け道があるのじゃないか。こういう点について、一体、国民の生活に直接影響のするそういう専売事業、たばこの値上げについてそのままでいいかどうかということは、私は非常に疑問に思う。その辺についての解釈はどうですか、見解は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/62
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063・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 先ほど来、高いものを売り出して安いものを押えつけるというような意味のお話がございましたけれども、あるいはそのおそれがあるということで、ただいまの定価法では一級、二級、三級、紙巻きたばこでいいますとその区分に分かれておりますが、法律の最高限は、現行法でいま一級品が五十円になっておりますけれども、ピースとかホープとかそういうようなもの、これは最高限までいかない値段で発売されております。それから、また、二級品は最高限が三十五円になっておりますが、これはハイライトがその最高限で、それ以下のものもある。それから、三級品もただいま二十五円が最高限でございますが、それ以下のものもございます。というわけでございまして、それから、また、単価が上がってまいりましたのは、一級品という、特に高いものがふえたということより、むしろ二級品のハイライト、あれが非常にふえまして、それで現在は四割五分を越してきているわけでございます、全体の売れ行きの。その結果、三級品も若干減ってはおりますが、一級品はあまりふえずに、まん中の二級品の銘柄が非常にふえまして、その結果単価が上がってまいりましたけれども、まだ四十二年度の終わりで平均三十五円のところまでいきませんで、三十二円未満のところへ平均単価はいっているわけでございますが、ハイライトの平均単価より下ということでございます。
それから、また、私ども財政専売ということではございますが、やはり特殊なものについて消費者に御迷惑をかける、あるいはそれをかってにやめてしまうというようなことはやるべきではないというふうに存じますので、たとえば「朝日」というような、これは非常に売れ行きは少ないのですけれども、変わった銘柄でございますから、これは依然として、少数ではありますけれども、出し続けております。
それから、刻みたばこ、きせるで吸うものでございますが、これはきわめて少ないものでございますけれども、やはり出し続けているというような状態で、私どもが銘柄を恣意的に動かすといいますか、それよりもむしろ、ただいま紙巻きたばこだけ三十種類以上売っておりますけれども、消費者は非常に正直でございますから、値段、品質、包装と見合いまして、私ども売ろうと思っても売れないものはだめなのだし、売れるものは売る。それで、日本専売公社でいま売っておりますたばこのフィルターの占める割合などは、もう八割近くにいっているのですが、これはやはり日本人の消費が動くからそういうふうに動いていくのだというふうに思っておりますが、その動向には適応せねばいけないと思いますが、特に下のものを恣意的に上げていくということは、ただいまいろいろ商品計画をやる際に特に申し合わせてはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/63
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064・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そうしますと、専売公社の考えとしては、製造たばこ定価法の第一条にいろいろな値段がございますが、いま説明されたように、当分新銘柄を今後製造する場合でもこれでよろしいというふうに考えておられるのですか。この値段の範囲内でやっていける、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/64
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065・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) ただいま御審議をお願いしております新しい改正案というものでただいまの現行法のワクを、少し最高限をそれぞれ引き上げるようにお願いしておりますが、これの改正されました案によりまして、当分の間、私どもはできるだけのことをやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/65
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066・戸田菊雄
○戸田菊雄君 時間がありませんから前に進めたいと思いますが、このたばこ値上げの税負担の問題で、非常に私は不公平ではないかというふうに考えるわけですけれども、この見解については、主税局長、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/66
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067・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘の点は、たばこの負担が高過ぎるという意味でおっしゃっているのかと思いますが、これは毎々申し上げておりますとおり、消費税の体系の中で、酒、たばこというものの税率というものは、これは世界の財政の常識として、一般の消費物品よりも負担がかなり重くなっております。で、一般売り上げ税をやっている国でも、一般売り上げ税プラス特別税をとつているという姿でございます。まあこれの議論はいろいろございますけれども、基本的には、この酒、たばこというものは、御承知のとおり、製造するといたしますと、製造コストというものは非常に低いものでございます。ところが、嗜好品でございますので、これに対する欲望というものは非常に高い。したがいまして、これを放置をいたしますと製造者は非常な不当な利得を取得するおそれがあり、また、これに生産が集中するという結果が出てまいったのも過去において幾つか例がございます。また、相当の負担をかけても、実際に消費する値段というものは、ほかの物品に比べて相対的にはあまり高くならない。まあこういうことから、古来、また、世界じゅうどこでも、酒、たばこにつきましては、専売という形で製造を管理いたしましたり、あるいは酒につきましては免許という形で製造を管理し、かつ、高い酒税をかけるというのが実際の姿になってきておると思います。そういう意味で申しますと、日本のたばこの負担につきましては、毎々専売監理官から申し上げておりますように、世界的水準から見ても益金率というものは高いほうには属しない、むしろ中くらいのところにあると思います。酒の負担もほぼ世界じゅう同じような負担になっているかと思います。今回の引き上げにつきましては、これも毎々申し上げておりますけれども、酒とたばこは、さらに日本では揮発油税もそうでございますけれども、いわゆる従量税体系をとっておりますために、こういう経済の発展する時代におきましては負担が相対的に減ってまいるという事実がございます。たとえば間接税全般の弾性値というものを三十二年から四十一年平均をとってみますと、〇・九ぐらいになっておりますけれども、その中で非常に大きなウエートを占めているはずの酒は〇・七七、たばこになりますと〇・五六というような数字でございまして、ほかの間接税が従価税をとっているために、消費の拡大に伴ってかなりの高い弾性値を持っているにかかわらず、日本では間接税の弾性値全体としては、酒、たばこを通じたものでは〇・九ということでございます。で、全体の国税の弾性値は一・三三ぐらいでございますが、これは所得税、法人税とも、直接税の弾性値が大きいためでございます。したがいまして、従来から直接税の負担を軽減をするという形で税制改正を進めてまいりました結果、現在まで間接税の比率が漸減はいたしておりますが、大体四割程度を保ってきておるというのが事実でございます。今回のたばこの絶対負担という点で御指摘になったと思いますけれども、相対的な負担から申し上げますと、毎々これも申し上げておりますけれども、昭和二十九年当時に比べて、コストから申しますと五割以上上がっておる。従価税をとっておれば税率の五割以上も上がるはずでございますのが、逆に税率はコストの分だけ下がっておるという結果にもなっておりますので、そういう意味で負担の均衡をはかる。先ほど申し上げたような間接税の中においても負担が相対的に下がるという点を是正したわけでございますので、絶対的な負担がどうかという問題は、確かに常に問題となることでございますけれども、今回の是正と申しておりますのは、従来の負担というものが自然に下がっていくところをある程度もとに戻したという意味でございますので、絶対的な負担そのものについては別の問題があるにしても、今回の負担の引き上げはそういう点から生じてくるということを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/67
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068・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それでは専売公社のほうにお伺いしますけれども、数多く銘柄品があるわけですが、時間がありませんから、三品目について教えていただきたい。ピースという銘柄を一日一箱吸うということになると税金はどのくらいとられておりますか。それから、ハイライト一箱二十本、それから「富士」、それを一日で吸ったという場合に税金はどのくらいか。一カ月、一年と、こう計算して、もしできれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/68
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069・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) ただいまのお尋ねのありました税負担でございますが、実は「富士」というのは少数銘柄なもので、ちょっとまだ計算できておりませんですが、一番売れておりますハイライトで申し上げますと、ただいまの現在の価格ですと、一カ月いまおっしゃったような前提で計算いたしますと、大体千百七十五円の税負担。それで、一年にしますと一万四千円強にもなるということになるかと思います。それが改定になりますと、定価改定後一カ月大体千四百五十円の税負担、改定後になりますと一年で約一万七千四百円。それからピースのロングでございますが、これは少し高く出まして、一カ月現在の価格で千三百八十五円ぐらいじゃないかと思います。一年にしますと一万六千六百円、税負担が。それから、改定後になりますと一カ月千九百四十円ぐらい、一年にしまして二万三千二百八十円。それから、ちょっと「富士」が計算ができておらないのですが、かわりにルナというわりあい一級品のたばこがございますが、その数字をちょっとかわりに申し上げますと、一カ月改定前で千四百六十円、それで、改定後にいたしますと二千二十円ぐらい。それで、改定前の一年間の税負担はルナで一万七千六百円、改定後は二万四千円ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/69
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070・戸田菊雄
○戸田菊雄君 非常に私は銘柄によって、ことに大衆必需品といわれる主として労働者等がのむたばこに対しては税率が高くなっていると思うのですよ、割合がね。これはいま総務理事が説明をされましたけれども、ルナは、私の計算だと一日二十三円四十九銭になっております。だから、あなたは一日の単価は出しませんから、一カ月の計算がちょっと私は比較対象できないのですけれども、一カ月七百四円七十銭、ルナの場合です。私の計算だと一年間に八千五百七十三円八十五銭。これに対して、ハイライトは一日四十円六十二銭の負担になる。一カ月千二百十八円六十銭ちょっとあなたの計算と違うのですが、あなたはいま千百七十五円、値上げすると千四百五十円と、こう言ったのですが、私の計算ですとそういうことにはなりません。一年間で一万四千八百二十六円三十銭も納めるという結果が出てくる。このルナとハイライトを比較した場合には倍以上になっている。あなたの計算ですと、何かルナは改定後は二千円、一カ月現行ですと千四百六十円と、こういうことになる。一日の割合は幾らになっていますか。ちょっと計算が違うんじゃないですか、ルナの場合。私の計算ですと二十三円四十九銭です。さらに一カ月、一年といけばそうならないんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/70
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071・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 一日二十本と見まして、定価を予定しております五月に改定いたしましたとすれば、改定後の益金率と申しますか、それをもとにいたしまして掛け算をして計算したわけなんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/71
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072・戸田菊雄
○戸田菊雄君 まあ時間がありませんから、さらにあとで明確に計算をして御提示を願いたい。そのように、私の計算ですと、常に大衆嗜好品として多く愛用されているものは非常にこの税負担の割合が多く入っておる。それで、高級品と目されるものは比較的安い。もちろん「新生」などは私は安いと思います。しかし、この「新生」については、どんどん専売公社は生産減量の方向でいっているわけですからね。それで、すべてハイライトなり、最近にできた新銘柄品に移行させようというお考えですから、それは多分に違うんですけれどもね。そういうものは放置したままになっているという私は印象を受けるのです。だから、そういうふうに非常に内容についても私たちは納得のできない諸点が幾つかございます。そういう税負担の、大きく言えば非常に税の公平の原則からはずれているし、そして、また、銘柄品ごとに、ことに極貧層なり貧民層なり、そういう人たちが愛用すると思われるようなものはその割合が多く税率が含まれている、こういうことでいまいっていると思います。ですから、そういう点については非常に私は不都合だと思いますから、こういった問題については十分ひとつ改善の要があると、こういうふうに考えるのですが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/72
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073・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) いま戸田先生御指摘の点につきまして、一言われわれも努力をいたしておるのだということを申し上げさせていただきたいと思うのでございます。まあ、たばこというものは嗜好品でもございますし、大衆が吸うものでございますから、ほっておきますとこれは中級にずっと集まるわけなんです。しかし、わが国におきましては、できるだけこの上下の幅を広げたり、また、税負担等につきましても上下の幅を設けるように努力しておるということを簡単に数字で申し上げさせていただきます。
わが国で一番安い品物に対しまして一番高い品物は四・三倍、税金で申しますと六・六倍でございます。ところが、イギリスにおきましては、一番安い品物と一番高い品物の倍率は一・八倍、税金で申しますと二・四倍。フランスで申しますと、これはたまたま両方とも二・六倍になっております。それから、西ドイツで申しますと、値段の差が二・四倍、それから、税率の差が一・八倍。まあこれから見ましても、それは確かに大衆がどなたでも買われるものであり、その所得を調べてから窓口で売るものではございませんから、その意味におきましては所得税のような応能負担はむずかしいのでございますけれども、できるだけ価格政策、販売政策の許す範囲内においては値段及び税率の格差をつけるように努力しておる点はまあお買い願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/73
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074・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 先ほど高級品のほうの税負担率が低い、低級品のほうの税負担率が高いというお話があったのでございますが、私どものほうの調査いたしております限りにおきましてはそういうふうにはなっていないつもりでございます。四十二年度の補正後のベースで申し上げますというと、「こはく」、「やまと」六三%台の物品率でございます。ルナは六二・四%でございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/74
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075・戸田菊雄
○戸田菊雄君 別の銘柄でやったのではどうなるか。ぼくの比較対照したのはルナとハイライトでやったのだから、それは全体を発表してもらわなければね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/75
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076・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) ルナは六二・四%、ハイライトは五九・一%ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/76
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077・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それじゃ間接税の負担割合について若干質問したい。間接税といってもたくさんあるわけですけれども、たばこの場合の負担割合は幾らで、それから清酒一級、それからビールの場合、ダイヤ、それから毛皮のえり巻き、銀ギツネの場合、乗用車、モーターボート、それらについて税負担の割合はどうなるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/77
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078・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) それぞれ従量税、従価税、製造課税、小売り課税等々、課税体系が違っておりますので、最終的な小売りに対する負担割合で申し上げたほうがいいかと思いますが、これも製造課税の場合は、製造後のマージンが違いますので、やや不正確とは思いますけれども、清酒一級は、今回の改正後で申しますと、小売り価格がかりに税率の引き上げだけ上がったという前提で計算いたしますと、そうしますと三九・七%ということになります。それからビールはやはり七円上がったといたしまして計算をいたしますと五二・八、それから揮発油税、これはお聞きになりませんでしたが、揮発油税は六一・三、それから物品税でいま御指摘になりましたダイヤモンドは、これは小売り従価二〇でございますから、小売り価格から逆算いたしますと一六・七、毛皮のえり巻きも同じでございます。モーターボートは、大型のものは製造四〇%でございますから、これはマージンその他をいろいろ考え直す必要はございますけれども、一応普通のマージンに考えますと、小売りに対しては約三〇%程度ということになるかと思います。たばこは、いまの改定後で総体で申し上げますと、大体六〇・六ぐらいということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/78
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079・戸田菊雄
○戸田菊雄君 乗用車は。一五〇〇ccでいいですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/79
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080・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 小型乗用車はいま製造課税は一五でございますので、小売り値段で換算をいたしますと一〇%ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/80
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081・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いま御発表になったたばこの割合は六〇・六%負担をするわけですね。ところが、ダイヤは一六・七%、ことに毛皮のえり巻き、銀ギツネものなんというものは同じ割合になっているのですね。こういうダイヤとか毛皮のえり巻きなんというものは、大部分の納税者の大衆には、現在ほしくても無縁のものなんです。こういったものに対しては全くの軽微な負担割合しか行なわれていない、それで、生活必需品、大衆品というたばこにつきましては六〇%以上という負担割合をかけている。ビールにおいても酒においても同じであります。こういう、いわば間接税からくる負担割合というものは非常に不公平だと思う。こういう点については一体今後どういうふうに検討なさっていきますか、その辺の見解はございませんか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/81
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082・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘のございました点は、先ほど私が申し上げましたとおり、嗜好品に対する課税というものは特殊な意味がございまして、それは一方においては嗜好品に対するいわば社会的な管理という面と、それから、嗜好品であるだけに、財政収入としての面と、いわゆる世界的にも財政物資と称して専売を行ない、あるいは高い税金を課するということになっておりますので、一般の消費税のバランスとは非常に違っているのが現状でございます。将来の姿はどうなるかという点は、いろいろ考えられる点もございますけれども、先ほど申し上げましたように、また、一般売り上げ税を採用する国でも、酒、たばこについては、特別税を併課するという形で、むしろその形が残っているというような形でございますので、一般の消費税と全く同じに酒、たばこを考えるという時期はなかなか到来しないのではないか。むしろ酒、たばこの課税というもの、これは基本的に、しかし、先ほど私が申し上げましたように、酒とたばこの持つ特殊性から申しまして、生活に対する影響等を考えながら、やはり特殊な税負担が残っていくのではないだろうか。一例を申し上げますと、御承知のように、先ほど来申し上げているように、ずっとたばこを据え置いておりました関係で、この十年間に一般の消費支出の中のたばこに対する消費金額というのは、いいたばこを吸うようになっておるにかかわらず、実は五八%に低下しておるわけです。つまりほかの消費財に対して、たばこの消費支出は相対的に減りつつある。それから、価格にいたしましてもずっと据え置かれておるということ、また、酒につきましても同じような状況がございますので、もちろんほかの物品の長期的な値上がりというものをこえて税負担をふやしていくのがいいのかどうかという点は問題があると思いますけれども、価格現象としてとらえながら、妥当な線で財政の必要な収入もあげるという点は、この嗜好品課税としては将来も相当期間免れない一つの宿命ではないかと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/82
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083・戸田菊雄
○戸田菊雄君 まあ局長にいろいろと説明願ったわけですが、どういろいろと説明されても、大衆の生活実感からくるたばこなり酒なり、そういったものの間接税に含まれている税率の割合というものは非常に高い。きのうかおとといか、ちょっと朝の「おはようかあちゃん」かなんかでやっていましたけれども、一様にみんな高いんですね。それは何か次官が出ていっていろいろ説明されておったのですが、何と大蔵省が知恵をしぼって説明しようが、この点については国民は了承しない、こういうのが私は実感ではないか。ですから、失礼ですけれども、どうもこの机上プランというのは硬直化してどうにもほぐれないという状況、もう少し私は国民の意向なり意思というものと取り組んで、こういう間接税の負担割合についても真剣に考える時期ではないかと、こういうように考えるのでありますが、その辺に対する見解は、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/83
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084・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) いま局長の言いましたように、一般物品税や何かと同じに考えるわけにはいかないという過去からの歴史的ないろいろないきさつを持っておるのが酒、たばこでございまして、確かに国民のほうから見れば酒、たばこは高いということは間違いございませんが、昔からこれだけは別に財政収入の面から、また、嗜好品管理という面から、酒、たばこは特別にこれは高い税金をかけるということを諸外国でも何でもやってきたのがいままでのことでございますので、したがって、これは昔から本来高くするように税をかけてきたという品物でございますので、一般とこれを区別して考えなければ、酒、たばこの高い理屈というものはつかないんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/84
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085・戸田菊雄
○戸田菊雄君 間接税のその高額所得者、二百万でけっこうです。二百万以上の負担割合と以下の負担割合というのはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/85
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086・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) この間接税の負担がどうなっているかという点でございますが、実は私どもも三十二年ごろから学者の方に集まっていただきまして、いろいろその実態研究をやってきたのでございますが、何と申しましても、所得税と違いまして、所得階級をつかまえればすぐ出るという問題ではございませんので、実は総理府の家計調査の原票を拾い上げまして、実はいろいろ努力はしております。しかし、実際やってみますと、第一に酒、たばこというのは家計費支出の中の出現率というものは非常に低うございまして、たばこでございますと二三%程度、酒でございますと二九%程度しか、家計調査を総集計した結果、生産量に対してそれだけしか出てこないというような問題もございます。それから、物品税等につきましては、物品の購入額が出ておりますけれども、課税最低限の上か下かということは、これがわからないのでございます。課税物品であるかどうかがわからない。いろいろ障害がございますが、いろいろ仮定をしていままでやってまいったのでございますけれども、かりにそういう不正確なやり方で酒でいろいろやってみますと、大体二百万、そこで、実は非常に不自然な数字ではございますけれども、推計をやったものがございます。それによりますと、これは月別収入金額で、階級でやったわけでございますが、一番大きいところの階級が、いまの家計調査で月十二万になっております。ここに間接税の総体の負担が、金額で申し上げますと、十二万円のところが千百四十五円、したがいまして、所得に対しては約一%の負担、それから、小さいほうで申しますと、月消費支出四万円ぐらいのところで申し上げますと、これが七百二円ということになっておりますので、間接税の負担は一・七六。もっと小さい三万円のところになりますと、ここでも六百四十二円という実額になります。二・一四という推計になっております。これはただ、いま申し上げましたように、出現率が悪いとか、そういう要素がございますので、実は私ども十年近くやっておりますけれども、まだ公表するに至らない自信のない数字ではございます。世界的にも学者がずいぶんいろいろやっておりますけれども、最終的に間接税の負担をしっかりつかんだ学者というものはないのでございます。マスグレープがアメリカでやりましたものも、自分で公表するほどのものではないということを言っているくらいで、なかなかこれはむずかしい問題でございますが、今後とも努力してまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/86
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087・戸田菊雄
○戸田菊雄君 一応国会統計提要に、直接税と間接税の二十九年以降、四十二年までの割合は大ざっぱに出ているのですが、私が質問したような内容については、資料を探したのですが、ないのですね。ですから、私は、ほんとうに間接税の税率割合をきめていくような場合には、そういう統計があって初めて妥当な税体制というものができていくのだと思うのですね。いろいろ困難でしょうけれども、非常に苦労なされるでしょうけれども、やはりこれは国民のためですから、ぜひひとつ近い将来に向けてその作業というものを遂行していただきたい、そういうことになれば、非常に国民としてもどのようにとられているか、こういうことで内容はわかるわけですから、ぜひその点は要望しておきたいと思うのですが、そこで問題は、大ざっぱな私の調査ですけれども、戦前の場合ですと、一千万以上の高額所得者の場合ですね、間接税の負担割合は約五〇%です。それを負担しているわけです。ところが、四十一年度の申告所得で、これははなはだ失礼でありますけれども、個人名を出しまして。松下さんが五億二千六百万の申告をやられておる。こういう高額所得者と、それから、いま御指摘になられたように、月給四万円ぐらいの所得者であっても、あるいは失格者であっても、間接税の負担割合というものは全部同一にされておる。ここに私はやはり間接税の税制そのものにやっぱり矛盾がある、こういうように考えるのでけれども、こういう矛盾に対して、大蔵大臣、今後検討する意思はございませんか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/87
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088・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 数字的な点だけ申し上げておきたいと思いますが、間接税がどうしても所得に逆進的な負担になるということは、これは事実でございますけれども、したがいまして、理想的なことを申せば、所得に対応する税だけをとればいい、単一税論というものもございますが、何と申しましても、実際の執行上その他の問題でそれは困難でございますので、間接税にある程度依存するのがいままでの姿でございます。間接税に対しての依存度を見てみますと、アメリカが一番低いのでございまして、国民所得に対して二・四%程度の間接税負担になります。日本はその次でございまして、国民所得に対して五・三九、それから、イギリスなどになりますと、間接税の負担が国民所得に対して一四・一、西ドイツが一三・九、フランスが一六・八%というようなことで、間接税に依存する程度は、実はかなり低くなっております。そういう点では、しかも、日本の国内におきましても、昭和三十年ごろは直接税と間接税の率は約四五〇対五〇でございまして、いまは四〇対六〇、直接税が六〇になっております。そういう姿で申しますと、世界的に申し上げますと、アメリカが約八五が直接税、イギリスが五七、八、ドイツが五〇対五〇ぐらい、フランスが間接税のほうがやや重いという姿になっておりますので、日本としては、税制としては直接税の負担は、毎年毎年やりながらも、だんだんと間接税が減ってきているという実状でございます。そういう意味合いで申しますと、体系論的に申しますと、日本の間接税はほかの国に比べると、相対的には少ないということが言えるかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/88
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089・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 間接税はむろん大衆課税であり、逆進性を持ったものでございますが、そうかといって、この税のあり方が直接税に偏するほうがいいかどうかということについては、私はやはり問題だと考えております。長期税制のあり方として、いまこの間接税と直接税の割合がどの程度であったらいいかとか、あるいは間接税を高級消費財にだけかける物品税的なものがいいのか、そうでなく、やはり広く国民に負担してもらう間接税であってもいいのではないかというような点についての検討を長期税制の見地からいま調査会にしてもらっておりますが、私は、間接税がいけないということは、やはり国民の所得水準に関することで、国民の所得水準の低いときには、間接税がかかり過ぎるということは最低生活をも圧迫することになりますので、いけません。国民の所得水準が高くなるようになりましたら、やはり一定の間接税を、そうして今度は高額所得者に対する累進税的な直接税をたくみに組み入れて行なわれるならそのような税制がいいのではないかということを考えておって、税制調査会に御調査を願っているところでございますので、その結論が出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/89
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090・戸田菊雄
○戸田菊雄君 直接税と間接税といいますけれども、間接税自体の矛盾についてはどう考えますか、その点だけを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/90
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091・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) ですから、国民の所得水準が上がったら、間接税というものはそんなに悪い税金じゃない、そういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/91
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092・戸田菊雄
○戸田菊雄君 専売公社としては、従来たばこの定価はあまり改定していないのであって、値上げされていないというようなことを再々聞いておるのですが、三十一年のたばこ十本当たりの平均単価は一体どのくらいで、その後の四十二年までにどんな上昇をして、一体どういうふうになっているかということを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/92
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093・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 十本当たりの単価にいたしますと、たしかただいま三十一年というお話だったかと思いますが、そのときは平均二十二円八十二銭でございます。その後少しずつ上がってまいりまして、四十一年で三十円三十八銭、それから、今度の定価改定後は三十六円八十四銭を予定しております。それで、四十三年は、ただいまの案では一カ月だけ古い現行の定価でまいりますので、その分を平均いたしますと、予算の形としては四十三年は三十五円九十三銭ということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/93
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094・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いまおっしゃられましたように、確実に十本当たりの単価は三十一年以降ずっと上があっているのです。じゃ三十一年の十本二十円、「新生」、それから二十五円の「いこい」、十五円のバット、これは当時の全販売数量から見て、販売数量の割合はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/94
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095・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 三十一年当時「新生」が三百九十三億本でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/95
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096・戸田菊雄
○戸田菊雄君 割合についてどの程度ですか、全販売数量の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/96
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097・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 「新生」の割合は三八%でございます。バットは四・四%でございます。「いこい」は二五・九%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/97
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098・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いまの計算は間違いありませんか。私の計算ですと、三十一年に「新生」は四〇%、それから「いこい」が二十五円で二五%、十五円のバット一五%、こういうことになっているのですが、いまの説明ですと、バット、「いこい」はちょっと低いように感じられますが、間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/98
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099・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) いま三十六年の数字を申し上げましたが、若干ずれております。御指摘のように、バットは一五%程度、「新生」は四〇%程度、「いこい」は二五%程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/99
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100・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そのように十本当たり単価二十五円以下のたばこが全販売数量の八〇%程度を当時占めておって、その後銘柄をいろいろ新設をしてつくり上げてきて、こういうものは極度に生産を減量して、あまり店頭に出さないようにしたのは間違いないと思いますが、これから聞いていきますが、現在ホープ四十円ですけれども、三十五年のハイライト、当時十本単価にしてこれは三十五円であったと思います。「とうきょう64」、現在の「こはく」ですね、これは三十九年五十円、ロングピースが四十円、「ひびき」三十円、こういうことになってまいっておると思いますが、これらの各銘柄の全販売数量に対する販売割合はどうなっておりますか、合計でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/100
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101・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 御指摘のありました分は一級品と見てよろしいかと思うのでございますが、四十一年決算の出ましたところでの「こはく」、「やまと」、ホープ・ロング、ホープ・レギュラー、ピース・ロング、ピース・レギュラー、その他一級品の占めますウエートは千分の百四十二、十四・二%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/101
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102・戸田菊雄
○戸田菊雄君 時間がありませんから、昭和三十一年当時はいわゆる「新生」とか「いこい」とかバットというものは全販売数量の八〇%を実は占めておったのです。いまの統計でいきますと十本の単価で二十五円以下ですよ、こういう状況にあった。ところが、最近、いまちょっとお伺いしましたけれども、ホープしか言いませんけれども、昭和三十二年年にホープができたわけですね。ハイライト三十五年、「とうきょう64」、「こはく」が三十九年にできておる。昨年のロングピースなりエムエフなり、「わかば」、「やまと」なり、こういうものが追加されてどんどんつくられた。こういったいわば大衆品目が三十一年以降変わった。’その変わったものの全販売数量というものは七二%に到達しているのですよ。こういうことに変わってきておる。だから、私は、この辺に、当初お伺いしたように、新銘柄をつくることによって実質的にたばこが値上げされているし、大衆必需品としての嗜好品が、おのずから望む国民の意思によって変わるのではなくて、専売公社の営業政策として意識的に変えられていっている。そういうことは一体妥当なのかどうかということなんですが、総裁、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/102
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103・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) どうもその問題は、専売公社といたしましては意識的に安いものを出さないということはないのでございまして、ハイライトが、出していった当時から推移を見ますと現在四五%になっておりますけれども、それが好ましいということでハイライトを出しているのであって、バットが現に一%をおそらく割っているんじゃないかと思いますが、これはバットを売り出さないわけじゃないので、実際の需要がないというようにお考え願いたいと思うのであります。でありますから、いまのお尋ねのように、どうも意識的に安いものは出さないのだ、高いものに無理無理移行させていくのだということは、私は当たらないんじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/103
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104・戸田菊雄
○戸田菊雄君 どうも私は納得いかないのですよ。「新生」とか「いこい」とかバットとか、三十一年当時は非常に大衆から愛されて、それらが多く消費されておった。ところが、新銘柄を立てて、今度はそれ以降はどんどん変えてきている。言わせれば、生活の度合いが引き上がったのだから、たばこのほうも何か改良して、特に最近はたばこと健康という問題が非常に問題になっておる、そういうところからフィルターつきたばこが製造される。なぜ一体「いこい」とか「新生」にフィルターをつけて、そして同値段で売らないのですか。専売公社はバットとか「新生」に対してフィルターをつけようとしないのじゃないですか。できないことはないんじゃないですか。どうしてそういう政策になるんですか、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/104
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105・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) お説のとおりでございまして、先ほどの問題になりますけれども、「新生」なんかずっと毎年下降線をたどっておるのでありまして、これが現在二百億本程度になりましたけれども、ずっとグラフでごらん願うと毎年毎年減っている。それが意識的に減らしたのではなく減っているんだと、こういうことなんでありますが、いまの下級品にフィルターをつける問題につきましては、今度この値段が改定になりますと、新しい商品として「新生」と同程度のもの、つまり五十円のフィルターつきのものをいま発売しようとして準備しております。順次そういうようなことに移行していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/105
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106・戸田菊雄
○戸田菊雄君 納得できませんけれども、時間の関係がありますから前に進めたいと思うのですが、この前わが党の野上委員がいろいろと質問されまして、益金率と益金額の問題が非常に問題になっておりますが、益金率については、この前の説明では了承はしませんけれども、時間がありませんから先に送りますが、この益金額について、三十二年以降、四十二年度までの額の推移状況について御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/106
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107・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 専売納付金、たばこ消費税及び公社の一応留保になりましたものを含めまして、総利益で申し上げますというと、三十一年度は千五百五十九億七千万円でございます。以下、順次年次を追って申し上げますと、三十二年が千六百五十四億七千七百万、三十三年が千七百五十五億六千七百万、三十四年が千八百五十五億九千八百万、三十五年は二千百十二億三千二百万、三十六年は二千三百四十六億一千六百万でございます。三十七年が二千四百九十一億五千四百万、次が二千六百四十一億二千三百万、次が二千八百三十二億七千六百万、四十年は三千百二十三億一千八百万、四十一年が三千三百八十九億二千五百万、これまでが決算で出た数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/107
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108・戸田菊雄
○戸田菊雄君 益金率においては、この前の説明ですと五七%ないし六〇%ですか、ここまで下がった。しかし、いま説明を受けたように、益金額については確実に毎年度ふえてきているんじゃないですか。その辺の関連はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/108
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109・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) いま戸田先生御指摘のように、益金額でも売り上げ額でも伸びておりますし、また、平均単価も、先ほど牧野総務理事から申し上げましたように、ほぼ一・五倍にふえておるわけです。しかしながら、やはりその間における国民所得全体の伸びとか、あるいはGNP計算上の個人消費の伸びというふうなものに比べますと、やはり相対的に低いわけでございます。したがいまして、三十一年を基準にした数字を申し上げますと、たとえば個人消費支出の中でたばこの売り上げ金額が、これはGNPベースですが、どのくらいであったかと申しますと、三十一年で三・九%でございました。それが昭和三十六年でも三・五%でございます。それが昭和四十二年では補正後で二・七%、そこまで下がってまいっておるわけでございます。今回値上げをいたしまして、しからばどこまではね上がるのかと申しますと、たいしたことはございませんので、二・八になるというようなことでございますので、先般来、大臣がよく手直し、調整的値上げとおっしゃった、これはマクロで見ますとこういう感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/109
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110・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私は、その結果、いまあなたがおっしゃられたように、GNPの割合から見てこういう割合になっているというようなことを説明されるわけですけれども、それは結局国民総生産が伸びて消費の面が下がっていくということは、国民がそれだけ生活にゆとりを持つということになるのですね。そのことが一体なぜ悪いのかということなんですね。なぜ悪いのか。益金率に確かに下がっておるけれども、逆に益金額は毎年上昇している、御存じのように。そうして、なおかつ、益金率の割合ばかり主張されるのですけれども、割合がこうなっているから、結果的に、あなた方の考え方からいけば、当然たばこは値上げしなければいけない、こういう論法は私はないと思うのです。過日の国会においても、佐藤総理は、たばこは値上げしないのだ、これは大蔵大臣もそういう趣旨のことを言われておったと思うのですが、値上げをしないのだから、その分だけ国民に減税を受けていることになる、こういう言い方をしている。そのことが佐藤内閣の公約ではないかと私は考えるのですが、所得税も減税をしたい、金もあるのなら間接税をそんなに上げたくない、それがなぜ益金率が下がったから一体引き上げていかなければいけないのか、その辺がわからないのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/110
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111・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) それはどの程度上げるのかというのは、そのときの、先ほどから主税局長が申しておりますような税体系全体のバランス、あるいはそのときの財政、予算編成全体の考え方、いろいろな要素があると思うのでございますけれども、いままあ間接税等の中で占める割合、これは先般野上先生にもたびたび申し上げましたことでございますけれども、間接税等の中でお酒の税金の占める割合が大体二四%前後で安定しておるわけでございます。それはわりあいビールが伸びたりいろいろ消費が伸びておるわけです。ところが、たばこのほうはそれが三十一年には二八・一%であったわけでございますが、それが約十一年後の四十二年では一七・五%まで落ちております。一挙にというわけにいかぬだろうけれども、われわれもがんばろう、こういうわけでございませんが、まあこれを一八、九%ぐらいのところまで戻さしていただきたい。これは何ら絶対的な基準はないので、まあ多少そういう手直しをさせていただきたい、こういう程度のことでございます。絶対的な基準はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/111
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112・戸田菊雄
○戸田菊雄君 何と説明されても了解できないのです、その点はね。益金率下がった下がったとあなたは主張されるのだけれども、益金額においては依然として上昇しているのです。政府の政策からいけば、減税政策をとりますというのが基本方針で、これが国民との公約です。ですから、それであってなぜ一体引き上げなければいけないのか、この疑問はいまの回答では私は解明できないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/112
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113・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) まあそれはなかなかむずかしい問題でございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/113
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114・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それはごまかすからそういうことになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/114
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115・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) いや、ごまかしておりません。ごまかしておりませんが、まあ結局引き上げちゃいかぬのだということになれば、もう引き上げるのはどっちみちいかぬと、こういうことになるわけなんですが、私たちは引き上げる程度の問題をできるだけ最小限度にとどめさせていただいたのだと、それから、また、過去において、たとえば三十一年二八・一%も占めておりましたこの割合をもしもずっと続けようとしますならば、過去においてもかなり値上げをしなければならなかったであろうと、これは過去の仮定の問題でございますが、しかし、まあ、いままでずっとがまんをしてまいったということは、裏からいえばそれだけ減税になっておったということも言えるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/115
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116・戸田菊雄
○戸田菊雄君 じゃもう一点聞きますが、三十一年と四十二年度の比較でGNPの水準、上昇割合はどうなっておりますか。倍率は何倍か、端的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/116
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117・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) ちょっといま倍率を私は計算したのがございませんので、実額で申しますと、当時の、これはGNPじゃなくて、ネットのナショナルインカムでございますが、七兆八千八百億ぐらいでございますが、四十二年が三十三兆九千五百億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/117
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118・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そうすると、片方は五倍になっているから、益金額のほうは二倍じゃ不足だ、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/118
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119・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) まあそこまではっきりした考えはございませんが、それと完全にパラレルでなければならないと私は考えておりません。それはやはり財政収入の中で占めるたばこの割合が、そんなにがんばらなくてもいいほうがいいと思います。ですから、完全にパラレルであるというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/119
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120・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘ございました点でございますけれども、三十一年の国、地方を合わせた税収と申しますものが一兆五千三百億、四十三年度の今度の地方税を推計で加えますと七兆四千億。これは税収が約五倍になっておるわけでございます。その中で、専売益金並びに消費税を加えた額が、ただいま御指摘がございましたように、非常に下がっている。その下がっているということは、もちろん消費が相対的に変わってきているという面がございますので、それを直ちに不足だということには行き過ぎだと思いますけれども、先般来申し上げておりますように、間接税の課税体系といたしますと、従価税というのが大体間接税としては本来の姿でございますが、酒、たばこのような大量の商品で、課税技術から申しますと従量税体系をとったほうが非常に容易であるということで、昔から従量税をとっていたものは、最近のような所得、物価の動きがございますと、税率がどうしても相対的に下がる。たとえば十年前、百円のものに対して十円の税をかけておった。ところが、百円のものが二百円になったといたしましても、従量税でございますと、税率を変えないと十円のままでございますから、従来一割であった従価税率は五%に引き下げられた結果になってしまう。もちろん先生おっしゃるように、そのときとして五%が正しいという判断であれば、これはいいわけでございますけれども、知らないうちに毎年毎年それが下がってきているという従価税と従量税の差異という問題、その結果が相当影響して、専売益金なり酒税の税収に占める割合が相対的に落ちておるといたしますと、全体の価税体系といたしましては、従価税をとっているものと同じということは言えないにいたしましても、従価税をとっていた場合を想定した場合に、近い負担というものをある程度考えて、五年なり十年の間にそれを是正していくということが必要なことは、これは当然だと思うので、去年登録印紙税というものをやっていただいたように、あの登録印紙税の手数料のように、三倍、四倍引き上げたものもございまして、これは十年も置いておきましたが、それと同じ問題が、酒、たばこの従量税率のものについてはあるわけでございますから、その点を是正しよう。ただ、その場合に、税制調査会でも言っておりますけれども、負担の割合が下がったからむやみやたらに上げろということではないので、ほかの税とのバランスをとる場合、必要であれば、そこにまず財源があるはずだということだと思うのであります。たとえば所得税でよく御指摘になりますように、物価が上がれば物価調整減税が必要だということがあるとすれば、同じことから、商品も減税額というものを是正する必要も一方にある、これが税制調査会のとった立場でございます。税制調査会はそれを去年もやるべきだと言っておりますが、去年は財政事情その他で、そこまで無理しなくてもいいということでやらなかったわけでございますけれども、やはり原則的なものはむしろ従来からあった、それをどの程度がいいかという問題を今回御審願っている、程度を。政府としては、とりあえず減税による減収と、増税による増収とを同じ程度にとどめようということでございましたのでこの程度になった、かように御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/120
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121・戸田菊雄
○戸田菊雄君 時間があまりありませんので、いまの局長の説明はわからないわけではないけれども、しかし、いずれにしても、今回のたばこの値上げについては、先ほど総裁にもちょっと伺ったのですけれども、昨年までは大蔵大臣も反対であった、そういうことはやらないほうがいいと。総裁もそういうことであった。同じような歩調できたわけですが、それが突然四十三年度の予算編成に際して、財政硬直化を名目にして、今度どうしても財政を確保する必要があると、こういう立場からやられたわけだと思うけれども、それが結局たばこに先にいった、こういうことで、いままで歴代内閣で、少なくとも、酒やたばこを一緒に軒並みに全部上げちゃえということはなかったと私は思うのですけれども、そういう意味合いにおいては、きわめて私は、国民に約束の中ではりっぱなことを言われるが、それは全く事実とは相違している、こういうふうに考える。したがって、そういういわば物価抑制策からいっても、政府は抑制しなければいけない。こういう値上げを通じて、実は物価上昇にも相当影響を与える、こういうことになるのでありまするから、そういう意味合いにおいては、全然言っていることと実際行なっているいまの政治行為というものは違うと、こういうように私は考えるのでありますが、大蔵大臣は一体その辺の見解はどうお持ちになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/121
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122・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) いま局長が言いましたように、酒、たばこの値上げというようなものはいま始まったものではございませんで、税理論からいいまして、もう過去の税制調査会におきましても数度の勧告を受けておるという問題でございます。昨年の予算編成のときにこの問題が出ましたが、あのときは、私は、おっしゃられるとおり、反対いたしました。というのは、やはりあなたのおっしゃられるような考えから、これは相対的に税負担が下がったことはどこがいけない、非常にいいことじゃないかというような考えから去年は反対しましたが、それは財政政策としてそこまで迫られていなかったという事情もあったからだと思いますが、本年度になりますと、御承知のように、やはり国際収支の均衡回復ということが本年度予算の編成の中心課題ということになってまいりますというと、財政政策として減税に対する態度をどうするかということは当然問題になりますが、いつも説明しておりますように、国際収支の悪い英米諸国、ドイツもそうでございましたが、大きい増税を迫られておるということでございますが、日本は幸いにしてそこまでの財政悪化にはなっていない。したがって、実質減税をとにかくする年ではないというところにとどめたい、そうして減税を犠牲にした分だけの公債の削減に充てるというのが私どもの方針でございました。ですから、さっき宮澤さんが言いましたように、そういう考え方からくるならことし税制をさわらぬほうがいい。所得税もさわらぬで、税制は去年のままということにするのが一番フィスカルポリ・シーから見たらいいんじゃないかという意見も政府の中で出たことは確かですが、しかし、私どもはそうじゃなくて、低額所得者に対する必要上、どうしても所得税の減税はすべきだということで、これはやるという方針を立てますと、その財政収入は何によって埋めるかという問題になりますというと、今度は従来のいろいろな税を増税という形でやるのか、そうじゃなくて、それだけの充足なら、税制調査会が税理論としてもいわれているように、所得税のそういう調整をやるとするなら、それに対応したものとしては、昭和二十六年から今日まで据え置かれているというようなたばこ——いま考えると、あのときにはあの値段でのたばこというものは非常に高いものだったと私は思っております。国民所得の水準が上がってきて、現在から見ると確かに相対的には下がっているという以上は、まずその調整というようなことからやるのが妥当な行き方じゃないかということでこの問題に取りかかりましたら、これだけで、ほかの税に触れなくても、今年度の所得税の調整分のこの穴埋めはできるということになりましたので、今回はこの問題にとどめたということでございますが、他のいかなる税をいじってここで増税的なことをするかと申しますというと、すでに過去から高い税を払っておるのを、いま相対的に下がってきたというものの一部調整ということで済むなら、このほうが合理的というのが私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/122
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123・戸田菊雄
○戸田菊雄君 最後に、今回定価改正をやって引き上げた場合、今後の販売量の見通しは、一体減少するのか、それとも、また順調に現行の線をたどっていくのか、あるいはふえていくのか、この辺の見通しはどういう見通しを持っているのですか。
それから、もう一つは、かりに減少したというような場合において、生産計画、あるいは雇用計画、原料計画、こういうものは一体修正の必要はないのかあるのか、もしあるとすれば、一体どういうところが主要な点であるのか、この辺について最後にお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/123
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124・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) 普通の値上げをしない場合の四十三年度の販売数量見込みというのは大体二千五十億本と考えております。それで、値上げによってこの数量がどう変わるかということになりますという、実はこれは全面的な値段の改正というのはもう三十年ぶりでございますから、私としてももちろん経験はございませんし、どの程度の推移があるかわかりませんけれども、大体二千三億本、四十七億本の減ということに予算を組んでおります。したがいまして、その程度のものでございますというと、いまのほかの原料とか材料とか、それに適応したものを一応組んでございますが、大きな変化はなかろう。その間におきまする販売努力と申しますか、そういうものは先ほど申し上げましたような新しい製品を出していくということで、できるだけひとつ埋めてみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/124
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125・戸田菊雄
○戸田菊雄君 まあそれじゃその辺の見当をつけているので、その減少するとか何とかいうことは無理でしょうから、その辺でとどめてもらうということになるでしょうが、結局それは推測ですからね。極端に減少した、たとえば二十九年のピース引き上げのような事態にかりになった、こういうような場合については、明らかに雇用関係とか、あるいは生産計画というものは変更せざるを得ないと思うのですが、その場合に、雇用関係について、私の聞いておるところでは、労働者も一千四百名見当の削減を必要とするとか、あるいは葉たばこの耕作者の減反を進めていかなければいけないだろうとか、こういうようなことが取りざたされているが、一体、かりに減少した場合、そういう事態というものは考えておられるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/125
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126・東海林武雄
○説明長(東海林武雄君) その問題につきましては、非常に減った場合——特殊なものが減るということでなくて、全体として減った場合、二千三億と予定してありますけれども、それがそういうようにいかない場合が出るといたしますと考えなきゃならない問題が出てくると思いますが、いまのところ、その問題は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/126
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127・田中寿美子
○田中寿美子君 ちょっと関連で一つだけ。
いまの点でございますけれども、実は十二月にまだたばこ値上げが決定してなかったときに、私は物価対策特別委員会でいろいろとお尋ねしたのですが、その当時と少し事情が変わっていますし、それから、数字も変わってきていると思うのです。それで、このごろ、今回の値上げによってたばこの値上げ率は一九%だと普通にいわれているけれども、専売公社の出された資料では一一%というふうに説明していらっしゃるのですね。それは四十二年度のこれまでの定価で四十三年度の十本当たり平均単価を出すと三十二円四十五銭である。それで、いままでどおりの銘柄別販売割合で見ると一九%値上げになるけれども、しかし、需要が変動するから、だから実際は三十五円九十三銭になるというふうな計算を出していらっしゃいますね。そうすると値上げ率は一一%、まあ値上げ率をなるたけ低く宣伝していらっしゃると思うのですが、その需要の変動というのは定価改定によってどんなふうに変動していって、それでこういう値段が出てくるのですかということと、それから、それによって、いま戸田さんがおっしゃいました、販売の伸び率というのは変わってくると思うのですね。販売の伸び率は、やはり四十三年度大体幾らというのは出していらっしゃるはずだと思うのです。その伸び率は、前に専売公社の中で中期計画というような販売の計画をお出しになったときには、一四%の値上げだった場合には、職員を製造関係のほうで千五百何十人整理しなければならないというような数字が上がっていたと思うのです。それと関係してきますので、もう少しはっきりここのところを説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/127
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128・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) ただいまの販売数量の見通しでございまするが、これは値段が上がりますと、やはり販売数量全体として、上がらない場合に比べまして、やはりどうしても減る。それで、まあその見通しのしかたはなかなかむずかしいと存じますけれども、私どもも最近値上げをした経験もございませんので、いろいろ昔の資料や、それから外国の値上げの資料をいろいろ取りそろえまして、結局昭和十一年、大東亜戦争の始まるしばらく前、このときに日本で一斉に値上げをいたしましたときの資料、これをもとにいたしまして、大体一%価格を上げますと〇・二五%減るというような数字が出てまいります。こういうようなものを使いまして、平生数量がここのところ六%前後毎年伸びております。それで六%割る年がここのところ多いわけでございます。それに対しまして〇・二五落ちるというふうに見たわけであります。それから、銘柄別につきましては、どうしても高いものから安いものに移る、これもやはり昭和十一年のときに、たとえばチェリーというのがございまして、これが上がると、そうすると、そのときに「光」というのを前のチェリーと同じ値段で出すと、そうすると「光」が売れて、チェリーから「光」へかなり移っていく、そういう割合がいろいろございます。それから、また、ゴールデンバットへその当時は移っていったという、そういうのを大体いまの価格群と申しますか、別に並べてみまして、これには大体チェリーが対応するとか、これには「光」が対応しておるとかというようなことをやってみまして、それで銘柄が落ち込むのを見る。それから、また、先ほど東海林総裁が申し上げましたけれども、新しい十本当たり二十五円、二十本にいたしますと五十円になる新しい製品、フィルターつきの新しい製品を出す。そうすると、それはいまの銘柄で価格が引き上げられて売られたのよりはある程度余分にそちらのほうで売れるのじゃないかというような見通しをいろいろ組み合わせまして、それで、当初定価改定を予定しなかったとき二千五十億本予定したのを二千三億本というふうに計画を変えたわけでございます。
それから、以前長期計画を立てましたときに、いろいろ人数がどういうふうになるというような計算、これはいろいろございますですが、ところが、なかなか今度の定価改定に伴いまして、昭和四十三年度、本年度については、ただいま申し上げましたように、二千三億本と予定いたしましたが、この程度では人をどうというほどの影響はながいと判断しておりますし、それから、そのあとどうなるかということにつきましては、私どもも定価改定が、この案が通りまして実行できる運びになりましたら、五月一日以降、銘柄別にどう動くか、あるいは数量全体としてどう動くかということを迅速にとらえまして、それで将来の見通しというものを立ててまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/128
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129・戸田菊雄
○戸田菊雄君 じゃこれで終わりますけれども、そうしますと、先ほどの総裁の回答によりますると、現行の見通しでは、引き上げ後もこの販売量というものはそう減少するという考えは持っておらないから、四十一年の長期計画策定案の中間検討案ですね、それらによっていろいろ取りざたされている要員の削減であるとか減反の問題であるとか、こういう心配はしなくてもよろしい、こういう見通しでいいんですね、そういうことですね。それはじゃひとつ総裁と大蔵大臣から御回答願って終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/129
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130・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 公社が、三十六年以来、長期計画というものを立てて、設備投資並びに人員補充をやってまいったのでございますが、当初以降、かなり強気の需要増を見込みまして計画を立ててまいりました。最近需要が、充足状態と申しますか、だんだん飽和状態に近づいてまいりましたので、強気の需要増を期待することはぐあいが悪いのではないかという、値上げ以前の問題がございます。したがいまして、強気の需要増の見込みのもとに立てましたいろいろな充員計画なり作付計画なり設備投資計画なりというものを、その後逐次手直しをしてまいっておる次第でございます。その手直しの過程における値上げの問題でございますので、前の計画から比べますというと、現在持っております計画は押えたものであるということをひとつ御承知おき願いたいと思います。現在の定価値上げをしませんでしたときの平均五、六%の伸び率というものに対しまして、値上げ後の伸び率はかなり落ちるのではないか、その落ちる期間がどのくらい続くか、ないしは、需要が落ちて、もう需要曲線と申しますか、そういうもののカーブも下のほうに移行したりして、角度が違ってきたりするとか、どういうことになるか、それらの点をよく見きわめて今後の計画を詰めてみたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/130
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131・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そういう答弁ではどうも私は納得いきかねるのです。ここへきて、最後の詰めに何か数字的な見通しを説明して、何か自信のないような、そういうことでは困るから、一体そういうものについて心配しなくてもいいかどうかということを私は結論として聞いているのです。心配しなくてもいいんでしょうと言うんです、私は。そうなんでしょう。何かいろいろなまたずっと先のほうに戻って、同じような出発点に立って論議するのじゃ、私もとてもその答弁ではだめです。私は心配しなくてもいいのかどうかということなんです、端的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/131
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132・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) 四十三年度だけに限って申し上げますというと、雇用の問題、それから耕作の問題については、これは変わりません。ただし、その先になりますというと、変化に応じた対策を考えざるを得ないかと思いますが、四十三年度に限りましては、たいした変わりはない、こう申し上げるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/132
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133・戸田菊雄
○戸田菊雄君 二十九年のピース引き上げのときは、引き上げ直後にああいう現象が起きているのですね。ですから、私も、今回は定価全体を変えているわけですから、そういう現象があるとすれば、私は直後に起きてくるんじゃないかという気がしますがね。だから、四十三年度だけは、まあ総裁の言からいけば、これは保証するということになるでしょう。それ以後はわからぬということは、どうもやっぱり四十二年長期策定計画に私は固執してるんじゃないか、中期検討案に固執してるんじゃないか、こういうように考えるのですが、四十三年度が乗り切れるなら、四十四年、四十五年というものは、やはり順調に伸びるんじゃないでしょうか、どうでしょうか。いまの答弁ですと、どうもやはり改定はしたけれども、長期的には見通しはきわめて不安だということになってきざるを得ないようになる、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/133
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134・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) それはそうなると思います。四十三年度やってみませんと、これは私らも経験いたしませんし、先生方もこれは推定でこうなるだろうとおっしゃるのでしょうけれども、それが少し先にいきませんと見通しが立たないから、私はその点ははっきり申し上げられない、こう言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/134
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135・戸田菊雄
○戸田菊雄君 大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/135
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136・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 公社としては非常に責任がありますから、慎重な答弁をしているようでございますが、そういうしわ寄せをさせないで済むことというふうに私のほうは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/136
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137・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 午後一時四十分再開することとし、それまで休憩いたします。
午後一時二分休憩
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午後一時四十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/137
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138・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、二法案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/138
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139・瓜生清
○瓜生清君 大蔵大臣にお尋ねしますが、今後一千億円の国債を減額するという措置をとられたわけですが、その問題については、われわれ野党側としては、前々から国債を発行すべきではないという立場をとっておった観点からすればいいことだと思うのですが、福田さんが大蔵大臣の当時の質疑を振り返ってみますと、国債は減額になるどころか、年々歳々多少でもふえていく、そういうふうなことをおっしゃられたのですが、それが今度財政硬直化という理由によるのでしょうが、政府の財政政策が国債をめぐって転換したような感じを受けるのですが、その点どういうふうなお考えを持っておられるか、お聞きさしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/139
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140・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 初めて国債発行に踏み切った当時、今後国債の発行はどうなるかというときに、あまりこれが減額されるということを予想しないで、今後は少しずつふえるだろうという予想を持った根拠は、当時の私は経済情勢のやっぱり見そこないにあったのではないかという気がいたします。と申しますのは、御承知のように、あのときに七千億の公債を発行すること、そうして、この需要の刺激に寄与するということをきめるときでもいろいろ問題がありまして、少なくとも一兆円くらいの公債を発行するのでなかったらこの不況が克服できない、デフレギャップというものは非常に大きくて、七千億程度の公債を発行し、三千億の減税をやるという程度では、このデフレギャップはまだ二、三年は埋まらないだろうというようなことがいわれて、そういう見通しのもとに立てられた公債政策であったのでございますが、実際は日本の当時の考えられたようなデフレギャップというものは実際になかった。むしろ経済は非常に基調は強かったのを、その前における引き締め政策の解除期が少しおくれたというためにああいう現象を起こした、これを非常に過大に見たのではないか、あそこまで落ちなくてもいい、不況にしなくてもいい経済を人為的に若干不況にしたような政策的な問題がありましたために、特に今度は不況克服策についてはああいう見方をしたのだというふうに考えます。で、ただ、あれだけの財政政策をやるだけによって、もう四十二年度は、私ども四十二年度の予算についてそういう見方を受け継いだときでございましたから昨年程度の予算を考えたわけでしたが、いまから考えて、やはりあの予算は少し甘かったと私は思っております。もう少し需要を押える予算が必要ではなかったかと、こう思うのですが、これも初めて公債を発行したときの考え方がまだ残っておったためでございますが、いまから考えてみましたらデフレギャップを多く見過ぎておる。日本の経済基調というものは、本質においては相当強くなっておるということでございますので、私どもは昨年の一年はいろいろな景気調整策を機動的にやりましたが、この経験から見まして、本年度は、もう思い切って減税を犠牲にしても公債の発行を減ずる必要があるということで、公債政策はこういう意味で確かに変わったといえば変わったといってもいいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/140
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141・瓜生清
○瓜生清君 大臣の率直な御答弁を聞きまして、たいへんけっこうだと思いますが、しかし、意地の悪い見方をする人は、そういうふうな大臣がおっしゃったこととは別に、国債そのものがいわゆる市中消化の限度がきておるために、そういうふうな政策的な転換というものを余儀なくされたというようなことを言う人があるんですけれども、国債の市中消化の見通しというもの、あるいは状態というものは順調にいっておるのですか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/141
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142・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 昨年九月に引き締め政策をとりましてからは、公社債市場というものは非常に軟調を示しておりまして、やはり順調ではございません。したがって、私どもはこの事態に即するように、昨年の七月から初めて公債の発行額を減らしていくし、月々の発行量についても調整を加えて、ついに昨年一年では国債を九百億円削減するというような措置をとったわけでございますが、やはりそういう意味からも、公債発行について、この市中消化ということを原則とする以上は限度があるということが一つ。もう一つは、財政政策として公債発行をできるだけ減らさなければならぬという考え方と、いまこの二つによって今年度の公債を昨年に比べて千六百億削減したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/142
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143・瓜生清
○瓜生清君 東海林総裁にお伺いしますが、三年前にあなたが専売公社の責任者として来られました際に、財界の強いバックアップがあったというふうにわれわれは聞いておるわけです。事実、私どもも門外漢ではありますけれども、あなたが旭電化なり、あるいは日東化学のいわゆる経営者として相当実績を積まれたということは存じておるわけですが、総裁におなりになってから今日まで、専売事業の改善について大まかにどういうところに力点を置いてやってこられたのか、その点をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/143
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144・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) 私は一昨年に専売公社に参りましたけれども、公社の仕事については全然私はしろうとでありまして、いままでの民間の企業から見まするといろいろな点で変わっております。公社の仕事のあり方というものはいろいろな面で制約を受けておりますが、その制約を受ける中で、私は、公共企業というもののあり方というものを今日まで勉強してまいったつもりであります。仕事の上から申しますといと、合理化合理化といいますけれども、どういう面で合理化を推進していったらいいのか、また、改正しなきゃならない点はどういうところにあるのか。最初から申し上げますというと、一番の問題点は原料の問題でありますが、これが耕作者との関係がありまして、これは長い歴史を持っておりますし、しかも、国産の葉を主体にしておる。外国葉は、御承知のとおり、一五%程度のものしか混入しておりませんから、その点での制約を受けますし、その中でやらなきゃならない。私が参りました当時には、まだ国内の需要を満たすに足りなかったという状況でございまして、まず第一に、たばこの需要家に対して不自由をかけないということが第一じゃないか、そういうことを一生懸命にやりました結果、その後一年たちましてからは大体需給のバランスがとれて、各銘柄とも、大体御不自由をかけないでできるようになったのでありますが、その後、製品の面でも新しい面を出しておりますし、公社の内部の機構についてもそれぞれ努力をしてまいりましたが、何にいたしましても、これは独占企業というような一つの変わった形になっておるだけに、なかなか競争相手がないということもありますけれども、思うような、いわゆる内部の合理化といいますか、そういうものができておらない、これからそういう面で力を入れていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/144
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145・瓜生清
○瓜生清君 総裁から見られまして、官営の企業と民間の企業を比べまして、一体いまおっしゃった独占事業ではございますけれども、そのいろいろな制約がある、その葉たばこのことはわかりましたが、その最も大きなものは何でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/145
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146・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) いろいろ詳しく申し上げると時間がかかりますが、企業というものの本体から申しまして、企業の自主性を持っておるというところが一番大きな問題じゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/146
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147・瓜生清
○瓜生清君 先ほど戸田委員の質問にもありましたが、収益率というものは確かに下がっておると思うのです。これはたしか大蔵の調査室の資料だと思いますが、それを見ますと、昭和二十六年に七三・六%、四十年に六一・八%、四十一年で六一・三%、四十二年の見込みで五七・六%、四十三年では大体五九%程度の益金率があるわけですが、ここ四十年、四十一年、四十二年、四十三年はほとんどまあ大体六〇%弱の益金率があるわけです。そうすると、これからわれわれが常識的に判断しますと、これだけのいわゆる益金率を持っておる企業というものは民間にはあまりないと思うのです。そういう点から考えますと、どうしても、くどいようですが、たばこの値上げをしなければならない理由というものは一体どこにあるのか。ただ財政的に財源がないから専売公社に大蔵省が無理やりに押しつけて、そしてたばこの値上げをさしているのじゃないかと、こういう印象をわれわれは受けるわけです。ですから、そのほかむずかしい理屈は抜きにしまして、いわばたばこの製造本数もふえている、したがって、税収が足らないというならば、現行の価格に据え置いて、そして企業収益、あるいは企業の改善によってそれだけのふえた税金分だけ国家に納めるような、いわゆるそういう形というものが現在の専売公社の事業の中でとられないのかどうか、その点をお伺いしたい。総裁でなくてもけっこうです。どなたでもよろしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/147
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148・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) それはまあ企業努力が足りないからそういうような収益が少ないんじゃないかとおっしゃるのでしたら、これはたとえば補正でも、御承知のとおり、昨年度におきまして八十億の補正の利益を出しておりますが、これはいまのお話の根本になるのは、収益率が非常に高いじゃないか、これはもう何べんも話が出ておりますけれども、なぜ高いのかということになりますというと、これは初めから高いのでございまして、これを下げれば問題はないわけなんです。その点からいたしますというと、いまのわれわれのほうの立場からいたしますというと、その収益率をあまり下げないでいくんだ、こういうことになりますと、企業努力の中では、今度のような、つまり財政的な要請からする五百五十億というものは四十三年度にはとうてい私らの努力ではできないんだと、こういうことで値上げに踏み切ったと、こういうことなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/148
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149・瓜生清
○瓜生清君 しかし、総裁、たとえばこの私の吸っておりますハイライトでも、約六〇%近くが税金で入っておるわけです。しかも、酒などと違いまして、たばこの場合はいい品質のものと悪い品質のものとの間の価格の差というものが比較的少ないと思います。そうしますと、こういういわば大衆たばこの税金を上げて小売り価格を改定するということは、これはもう数日来しきりにいわれておるとおり、言うならば大衆を圧迫する税金の最たるものだと思うのですよ。そういう点、もっとそれぞれのたばこの価格を、もう少し高級たばこの上げ幅を多くするとか、あるいは、また、端的に言いまして、たばこの種類が少し多過ぎるのじゃないかというくらいに私は考えているのです。そういう面の合理化というものについてどうお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/149
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150・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) たばこの種類を減らして、まあ銘柄を少なくして合理化をしていけば確かに能率はあがります。しかし、いま先生のおっしゃるとおりに、銘柄が非常に多いということは、これは専売事業だからこそやはりそういうような需要層の希望に応ずるということが必要になってくるんじゃないか。これは日本でも確かに二十銘柄以上ございますけれども、外国の例を見ましても、外国のほうではかなりやっぱり銘柄が多いのが普通になっております。したがいまして、そういう面での、たとえば「朝日」だとかバットだとかというようなものは非常に少ないじゃないか、こんなものはやめてしまったらどうかというような御意見であろうと思いますが、それなりにやはり昔からのそういうようなオールドファンと、こういっておりますが、そういう需要家に対してのサービスをする、収益率からいけば確かに低いものでありますけれども、そういうものもつくらなければならない、こういうのが私らの立場でございまして、一がいに本数を減らして、最近の機械でございますと非常に能率が高くなっておりますから、一定の一銘柄のものをどんどんそれだけつくっていくというと確かに能率はあがりますし、経費の節減はできることと思いますが、なかなかそう思い切っていけないというところに問題点の一つがあるだろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/150
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151・瓜生清
○瓜生清君 ですから、何といいますか、生産量はどんどんあがっていく、それから生産性も向上していく、そういう状態の中で、確かに五百五十億円というものを本年度捻出するということは困難と思いますけれども、私は、どうもこれはほんとうならば専売公社はたばこを値上げしたくないけれども、大蔵省のほうに金がないから、いろいろな理屈をつけられて値上げせざるを得ないという立場に追い込まれておるような気がしてしようがないわけです。
そこで、主税局長にお伺いしますが、相対的に税負担が低下を来たしているという実態について、何と比べてどうなのかということを、ちょっとわかるように説明してもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/151
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152・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) たばこの特殊な性格からいたしまして、普通の税と比較することはかなり困難な点がございますけれども、分析をいたしますと、たばこの益金制度というものは、定価が固定をされまして、それに対しまして、消費税的な税率というものではございませんが、コストを差し引いて、その差額が益金になるという構成をとっておりますので、ちょうど私どもから見ますと、定額ということで従量税の税率が定まっておって、その従量税の税額からコストを引いておるようなかっこうになります。そういう意味では従量税をとっております。酒税でございますと、コストが上がれば、コストの増加分は酒の価格に追加されまして、税率は上がらないけれども酒の価格は上がるというかっこうをとりますが、たばこの場合は価格の引き上げをいたしませんと、従量税の税率はそのままであるのに、コストにくわれて税負担が減るという結果になる。つまり従量税と申しますものにつきましては、私どもいつも申しておりますのは、所得水準や物価水準が上がっても、税率が定額であるために、それに即した課税率にならないということを言っておるわけでありますが、たばこの場合は、これにプラスいたしまして、現実に沿わない課税率が、さらにコストが上がるという要因によって侵触をされているその姿というものを見るのは何かといえば、益金率である、益金率が下がるということは、従量税の税額がそれだけ減っていることである。もちろんたばこの価格を引き上げれば、それだけ従量税は変わりますから、それはそれで問題はないわけでございますけれども、たばこの価格は据え置かれておるとすれば、益金率が減ったということは、従量税はそのままであって、しかも、その従量税の一部がコストに食われているということを意味する。そういう意味から言えば、この益金率をある程度もとに戻さないと、従量税自体の税額も確保されていないことにならないか、こういう意味で比較をいたしておるわけでごいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/152
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153・瓜生清
○瓜生清君 そこで、税制調査会の答申ですが、いろいろなことを言っておられますけれども、どうも私、大蔵省に限って考えてみると、こういう答申を尊重すると言うけれども、何だか自分の都合のいいようなところだけはつまみ食いして、都合のあまりよくないことは何年もほっぽらかしておく。この間も泉国税庁長官と例の食費の問題について若干の討論をしましたが、そういう傾向がどうも強いような気がするわけですね。そこで、手っとり早い大衆課税のようなものはすぐぱっとやっちゃう、こういうふうな印象をわれわれ受けるんですが、そういうきらいはあるでしょう。どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/153
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154・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 税制調査会は、御承知のとおり、三年間の任期で交代をいたしておりますけれども、その場合に、三年間に全体を使って一つの問題を討議をするというものといたしましては、いわゆる長期的なものの考え方を書きます長期答申というものがございます。単年度ごとに税制改正を必要といたしますものは、十一月ごろになりますと審議を切りかえて単年度の論議をいたします。そういう観点からと申しますと、長期の答申におきましては、かなり長い目で見た理論的な線が強く出ると思いますけれども、単年度の場合には、どういたしましても、その中からその財政事情によって当面実施すべきものを選び出すという観点から申しますと、長期答申と少しずれているとか、あるいは長期答申でいってることをやらないとかいう問題が出てまいると思います。たとえばことしでも中間答申に出ておりましたような所得税の税率というものは、ちょっと財政上の無理があってできないということでやっておりませんが、そういう意味で、単年度の税制改正については、税制調査会も、その単年度の財政事情から、長期答申ほど包括的でない考え方を出してる面があるかと思います。その面からごらんになりますと、長期答申でいっていながらなぜやらないんだという考えが出るかと思いますので、単年度の財政事情、単年度というものをごらんいただきますと、ややその気味があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/154
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155・瓜生清
○瓜生清君 いまアメリカから入ってきているフィルターたばこがございますね。銘柄も相当ございますが、あれが現在アメリカの国内で一個どのくらいで販売されておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/155
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156・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) あれは銘柄もいろいろございますし、それから、また、地方税の、州税と申しますか、その関係でいろいろ差がございますけれども、大体日本へ入ってきておりますキャメルとか、あるいはラッキーストライクとかポールモールとかいうもの、大体小売り価格は百円、百十円、あるいは百二十円近く、大体百円以上にはなっているということであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/156
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157・瓜生清
○瓜生清君 そうなっておりますか。二十二、三セントじゃないですか、実際に売られておるのは、一個。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/157
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158・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 州の税金のないところですとお話のようなところもあるようでございます。大体は州税が乗っかっておって、円に直しますと百円をこすんじゃないかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/158
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159・瓜生清
○瓜生清君 ですから、アメリカのような所得水準の高いところでも大体その程度でしょう。言うならば、アメリカの何分の一かの低所得である日本において、今度のたばこ値上げというものは、相当私はそれは財源があるとかないとかということは一応了解するにしても、少し私は何というのか、大衆に負担をかけ過ぎるのじゃないかという、そういう感じがするのですが、総裁いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/159
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160・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) いまのアメリカの例でございますけれども、ヨーロッパのほうの例からいいますと、大体二百円以上じゃないかと思います。それから比べますと、アメリカの比較で見ますと、所得とたばこの値段の割合からすれば、確かに日本のほうがわりあいに高くなっているのじゃないかという気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/160
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161・瓜生清
○瓜生清君 そこで、益金率の問題にまた戻りますけれども、私は税金の問題はちょっと横に置いておきまして、専売公社でいまいろいろな材料をお仕入れになっておられますが、主としてフィルターの購入についてはどういう方法をとっておられるのか、聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/161
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162・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) フィルターにつきましては、いま使われておりますフィルターは大部分アセテートフィルターでございます。それで、これの技術特許と申しますか、それはアメリカの会社にありまして、それから技術導入をいたしまして、原材料のトウと申しますか、これをつくるわけでございます。それをまたフィルター会社が、このたばこに使っておりますフィルターの形、たばこに似たような形にするという工程でございます。これは特殊なものでございますので、現在東北と東京と大阪と九州にフィルターを専門につくっている会社がございます。そこから私どものほうで買入れているということでございます。これが最初日本に導入されました当時に比べますと、いろいろ合理化いたしまして、毎年かなり下がっております。それから、ごく少量でございますが、そのアセテートフィルターのほかに木材パルプ、これを原料にいたしますフィルター、これはよその国にはあまりないかと思いますが、日本独自の技術で、いま東京に一会社昨年からつくり始めておりまして、ぼちぼち軌道に乗りかけるということでございますけれども、まだ数量は微々たるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/162
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163・瓜生清
○瓜生清君 契約の方法はどういう形ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/163
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164・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) これはどうもつくっております会社がいろいろの関係で特定いたしますので、私どものほうでいろいろ原価要素を検討いたしました上で、随意契約の方法によっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/164
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165・瓜生清
○瓜生清君 そのフィルターをつくっている会社が非常には特殊な技術を要するということはよくわかりますが、だけれども、一体フィルターというものを年間どれくらい購入しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/165
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166・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 四社合計で年間八十億ぐらいになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/166
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167・瓜生清
○瓜生清君 私は、確かにいろいろのそういうものをつくっている企業がいま少なくて、需要の増大に間に合わないくらいの生産量しかないと思いますが、しかし、一年間に八十億円からの膨大なフィルターのみの材料費で随意契約というのは、どうも解せないのですが、どういう経過でそういうことになっているのか。時間がございませんから、簡単に説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/167
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168・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) これは簡単に申し上げますと、結局技術導入の関係で、ほかから買うことができない。その相手方が完全に特定されるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/168
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169・瓜生清
○瓜生清君 そうすると、専売公社は、そのほかの品物も大体そういうふうな形をとっておるんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/169
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170・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 前回からこの委員会でも御議論がありましたとおりに、会計上の原則は入札ということになっておりますにもかかわらず、随意契約であるものが非常に多いわけでございますが、随意契約のものが多いというのには、機械にかけるものにつきましては、機械と使います材料との調整が非常に問題になるものでございますから、そこで、継続して同じ工場のものを買いまして同一の工場にそれを使わすということをやらざるを得ないという実態があるからでございます。JIS規格で同じようになっておりましても引っぱりが違いますとか、すべりが違いますとか、機械にかけますというと微妙な差が出てまいりまして、機械を使いますほうではそれらの品物に合わせて調節をするという作業が必要になってくるわけでございます。入札によっていろいろな会社の材料が、たとえばフィルタープラグにいたしましても、違って入ってくるということになりますというと、調整を一々やり直さなければならない。したがって、また作業能率が非常に違うということが起きてまいりますので、いろいろ検討いたしておりますけれども、機械にかけますものは包裏用紙にいたしましても、いまのようなフィルタープラグにいたしましてもライスペーパーにいたしましても、同一の品物を同じ工場に使わすということが避けられませんので随意契約にせざるを得ない状態にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/170
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171・瓜生清
○瓜生清君 大まかにいいまして、フィルターのたばこができてから今日まで、それのいわゆる納入価格といいますか、公社から言えば、いわゆる買う価格がこれはどのくらい下がっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/171
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172・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 契約の表面で申しますと半分ぐらいに下がっているかと思います。ただ、これは先ごろこの委員会でも申し上げたのですが、いろいろかって導入初期から最近まで使われておりましたフィルタープラグは、あの繊維を縦に切っていただきますというと横断面になっておったわけでございますが、最近のものは、これは断面がY字型をいたしておりますようなものになっております。その結果、充てん量も違っております点がかなり影響している面もありますけれども、いずれにしましても、たばこにつけられますプラグの値段としては、かなり落ちているものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/172
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173・瓜生清
○瓜生清君 その問題はそれで打ち切りますが、私は答弁は要りません。やはり専売公社のような独占事業では、いろいろな会計法上の諸規則に基づいて業務を執行しておられると思うけれども、とかくやはり独善的な契約方法がとられる危険性というものが介在していると思うのです。そういう点については、いろいろな新聞なり雑誌なりに専売公社の好もしからざるうわさが書かれておりますが、そういうようなことのないように、やはりもう少し私は姿勢を正してそういう問題と取り組んでもらいたいと思うのです。そこで、総裁、よろしゅうございますか、お答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/173
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174・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) だいぶ巷間伝えられている問題については、私どもとしても言い分はあるのでございますけれども、ただ、いま先生のおっしゃったことは、全面的に私はそうやるべきだと考えておりますし、今後も十分その点は注意してやりたりと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/174
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175・瓜生清
○瓜生清君 国税庁にお伺いします。この今度の酒の値上げでビールが七円上がるわけですが、この間も私ちょっと問題に触れたのですが、百二十七円の小売り価格を百三十円に、三円ぐらいめんどうくさいから、いっそのこときりをよくしたらどうだ、そういうような便乗値上げをやろうと企図しているように聞いておるのですが、そういう事実があるのかないのか、ひとつお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/175
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176・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) ビールについての御質問でございますから、ビールについてだけ申し上げますが、ビールにつきましては、その製造コストの五五%を占めているのがこの麦芽でございます。その麦芽の値段が、現在のビールの値段が、御承知のように、昭和四十年の十一月に百二十円になりまして以来据え置かれておるわけでございますが、そのうち、昭和四十年から今日までの間に大麦の価格が二一・一%値上がりいたしております。それで、そういった関係から、ビールのコストの部分に占める麦芽で約一円値上がりをしているわけでございます。それから、そのほかに卸売り業者及び小売り業者の運賃、あるいは労務費、こういったものが値上がりいたしておりますので、その百二十七円が端数だから百三十円にというのではなしに、そういうコストアップ要因があるから、それを見て百三十円に値上げしたい、こういうことを業者は言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/176
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177・瓜生清
○瓜生清君 それに対して国税庁は具体的にどういうようなお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/177
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178・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 確かに値上がり要因であるコストアップはあるわけでございますが、しかし、何といってもビールは大衆の飲むものでございますし、今回の増税は七円増税すると、正確には六円九十五銭でございますか、でございますが、そういうことでありますので、コストアップによる値上げと増税による値上げとは別に考えるべきである。もしコストアップによる値上げを行なうにしても、それは時期は増税による値上げと別の時期にしてもらいたい。われわれもいろいろコストアップ要因を調査するけれども、国民の納得を得るような数字でない限りは、増税時にコストアップ部分を一緒に値上げすることは慎んでいただきたい、こういうことを申しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/178
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179・瓜生清
○瓜生清君 これは何回も言い古されている表現ですけれども、結局ビール一本百二十円で、その中に六十円十三銭税金が入っておる。これは世界一高い税金だと私は考えます。そこで、いまのそのコストアップの値上がりの問題ですが、私の知っておる範囲内では、ビール会社というのは高収益をあげているのです。確かにいまおっしゃいました麦芽が二一・一%原料費が値上がりしておる、そういう事実がありますけれども、サッポロにしても麒麟にしても朝日にしても、私はビール会社というのは非常に企業内容のいい会社だと思うのです。そういうところがいま言うたような動きをするところに、やはり私は便乗値上げじゃないかという考え方をするのですが、それに対する見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/179
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180・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 確かにビール会社が四社ございますが、そのうち、麒麟とサッポロと朝日、この三社は確かに相当の利益をあげております。サントリーだけはビール事業を始めまして間もない関係がございますので、償却費と金利負担に追われまして、まだ利益をあげるに至っておりませんけれども、三社は確かに相当の利益をあげていることは事実でございます。しかし、そういう大麦の値上げによる圧迫があって、そのためにコストが少しずつ上昇ぎみであるということも確かでございます。昨年のように数量が年間に一三%もふえますと、これは御承知のとおり、管理費その他の割り掛けが少なくなってまいりますから、それで利益は出てまいりますが、しかし、一昨年あるいはその前年度といった四十一年、四十年当時は年間の伸び率がそうありませんでしたために利益は少なかった、こういう事情がございます。したがって、今後ビールに対する消費がどんどん伸びていき、数量が伸びていきますならば、ある程度のコストアップは消化し得ると思います。しかし、本年もまた大麦の価格が上がるというようなことでございますと、いつまでもそのコストアップの要因に基づくところの値上げをしないでおくわけにはまいりません。それから、ことに問題なのは、卸売り業者と小売り業者のマージンが他の酒類に比べましてビールは非常に少ない。これは伝統的にビールは回転率がいいということからいたしまして、マージン率が他の酒類に比べまして非常に低くなっておるのでございます。ところが、最近のように、ビールの数量が酒全体のうちで占める割合が非常に大きくなってまいりますと、それでは卸売り業者、小売り業者は非常につらいということを言っておるのであります。そこへもってきて、先ほど申し上げましたように、運賃とか、それから労務者の賃金が値上がりして、そのために卸売り業者及び小売り業者が非常に苦境を訴えておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/180
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181・瓜生清
○瓜生清君 しかし、長官、そういうビールを醸造する場合の諸経費、あるいは人件費、そういうふうなものは上がっていくんだから、確かにそれがコストにはね返ってくるという理屈はわかります。ですけれども、ビール会社というのは、先ほども指摘したとおり、サントリーはもうかっていないと言うが、それをウイスキーでがばっともうけているわけです。あれすればああいういい会社はないはずなんです。したがって、そういうふうな部分が上がってくるから、それについでにと言っちゃ言い過ぎだけれども、便乗しようとする動きが必ず私は業界に出てくると思うのです。そうでしょう。そこで、たばこにしろ酒にしろ、上がる。上がると、それが必ず他の物価に私ははね返ってくると思うのですが、その点について他の物価に波及しない、そういう方法があるのかどうか、どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/181
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182・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 酒は嗜好品でございますし、それから、また、消費者物価に占める酒のウエートというものは非常に小さいもので、かりに今回の増税の時期がいつかは別といたしまして、その物価指数に及ぼす影響は、増税に基づく値上げだけですと〇・〇六五%、業界が要望しておりますコストアップに基づく値上げが加わりましても〇・一%強でございまして、一般物価に及ぼす影響といったのはそれほどないと思います。ただ、そういう値上がりを契機といたしまして料飲店等で値上げを行なう、せんだって列車食堂で値上げしましたのは、これは下げたようでありますが、そういったようなことが行なわれますと、その分の影響はいろいろ出てくるかと思いますが、酒類それ自体として物価に及ぼす影響はその程度のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/182
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183・瓜生清
○瓜生清君 いわゆる自由価格ですから、こうしろという命令は出せないでしょうけれども、国税庁としていま御答弁をいただいたのですが、そういうようなビールの値上がりの時期、いわゆるコストにはね返った分の価格のアップというものについてこれから先どういうふうに業者を指導されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/183
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184・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) これは、一つはコストアップの要因の一番大きなものであります大麦の価格、これの安定をはかっていくのが望ましいわけであります。現在、農林省の食糧庁と打ち合わせまして、二次用大麦をビール会社と農民とで契約栽培をいたしまして、農民も安心して栽培に従事できる、そうして、また、業者もそういう栽培契約に基づいて安定した供給を受けやすいことになる、こういう方針を進めておるのでありますが、いかんせん、米価との関係で、毎年この大麦の価格が引き上げられます。外国から大麦を輸入いたしますと日本の約五割ないし六割程度の値段で入ってくるのでありますが、それが日本の農民との関係からいたしまして、そう輸入するわけにもまいりません。その辺で原料の供給の安定ということが今後一番大きな問題であろうかと思います。それと同時に、業者としては経営努力によってできるだけ製造コストを安くして、そうして安い価格で国民大衆に酒類を供給する、こういうふうに努力していただくようにいろいろの面で行政指導をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/184
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185・瓜生清
○瓜生清君 そこで、再び専売公社にかわりますが、私この間、事務所で専売の労働組合の発行しておるパンフレットをもらったんです。これ佐々木さんお読みになったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/185
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186・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 私は見ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/186
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187・瓜生清
○瓜生清君 この種のPRのあれとしては比較的よくできておると思うのですよ。そこで、ここにも書かれてあるように、さっきから私がしつこく言っておりますのは、収益率というものが大体ここ四、五年ほぼ横ばいの六割弱だ、だけれども、国の財源がないからたばこにかけるのだ、表面の数字のつじつまを合わせるということになればそういう方法しかそれはないかもしれません。だけれども、言うなら、専売公社に働いておられる従業員の方がつくっておられる労働組合なんです。そこの調査というものは、私は、相当これ、何といいますか、綿密に詳細にやっておられると思うのですね、そうでしょう。その専売公社の従業員の方々がたばこ値上げに反対しておられるのですよ。労働組合だからといって、ただ単なる反対じゃない。これを見ますと、実に何といいますか、統計的にもいろいろな数字をあげてしておられるのですよ。そこで、私、総裁に、もう時間がありませんから、最後にお聞きしたいのは、冒頭言いましたように、確かに葉たばこの値段も上がる、いろいろないわゆる独占企業としての制約もある、それはある程度了解しますけれども、ものをたくさんつくって、そうして生産がふえて、しかも、合理化されているということになれば、これは自由経済の原則からいきますと、値段が下がるのがこれは当然なんです。たとえば自動車がそうでしょう。鉄鋼価格は上がっている、あるいはゴムは上がっているけれども、マスプロによって自動車の価格というものは下がっているわけです。したがって、たばこも酒もビールも当然そうならなければならぬわけですよ。それがそうなっていないというのは、さっき言いましたように、いわゆる大蔵省の圧力で専売事業に対してそういう無理なしわ寄せをしてきているのじゃないか、私はそういう気がどうもしてならないわけです。その点、そういうことはありませんか、どうですか。あなたのほうは実際は値上げしたくないのだ、だけれども、大蔵省がうるさいからどうにもしようがないのだ、そういうようなことじゃないかと、私これは推測するのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/187
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188・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 先ほど自動車の例をお引きになりまして比較があったのでございますが、何しろたばこは加工度の低いものでございます。コストの六割を占めますものはたばこの葉っぱであるということなんでございます。このたばこの葉は、昭和二十六年を一〇〇として見ますというと、四十二年は二〇〇というふうに上がってまいっております。公社といたしましては、原料の歩どまりについていろいろ検討いたしまして、一千万本当たりについて見ますと、二十六年の一千万本当たり一万三百五十六キロでありましたものが、四十一年になりますと、九千二百九十キロというふうに、歩どまりは、二十六年を一〇〇にいたしますと八九・七、また、同じく一千万本当たりの労働時間というものも、四千二百五十六時間から、四十一年の実績のところで二千四百六十四時間、五七・九%としてまいったわけでございます。そのように努力はいたしましたけれども、主要原料であります葉たばこの価格も、農産物価格の推移にそう抵抗して押えるわけにもまいらない次第もございまして、加工度の低いたばこ事業といたしましては、コストアップを解消することが非常に困難な事情にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/188
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189・野溝勝
○野溝勝君 関連。一つお伺いしますが、この値上がりについて、たばこ耕作中央会ですか、このほうから何か要請か申し入れがありましたか。たとえばもっと具体的にいえば、ぼくのほうは葉たばこの価格が安いから、だからひとつ上げてもらいたいという要求が出ていますね。それについて、ちょうどこの値上げに際して、あらためてその要請がありましたか。あらためてなければ、前からの関連でもいいが、ありましたか。それと、一括して聞いておきましょう。その場合、それも考慮に置いて値上げしたというふうにわれわれは判断しておるのでございますが、そういうふうに判断してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/189
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190・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 製造たばこの値上げがあるから葉たばこの収納価格をより上げてもらいたいという公式の意見というものはいただいておりません。そういう要望というものはいただいておりません。また、今回の値上げは財政収入をあげるためのものとして行なわれておりますので、葉たばこの収納価格とは別個の考え方をとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/190
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191・野溝勝
○野溝勝君 私は農民組合に関係をしておる一人ですが、前からたびたび要請をして、総裁その他に申し入れています。そういうたてまえは今回の増税とは無関係とは私は思えないのですが、まあ葉たばこの値上げをするから増税をするということじゃないけれども、裏表になっておると思うのですね。ですから、もうそういうものを専売公社はたびたび要請を受けておるわけですから、それにも何とか努力をします、善処をします、考えてみますということを言っておるのだから、だから私はここで額をどのくらいという、要求額は申しませんけれども、それも考えておらぬというに至っては、本法案は私は十分審議をしなければならぬのです。私は額のことは申しません。しかし、考えておるということを当局から私は返事を得なければ、この法案に対して賛成することはできないですよ。また、これに対して採決をするわけにもいかない。それはおかしいですよ。ちょっと副総裁、総裁がいるのだから、総裁も答弁してください。私は幾ら幾ら上げろという、そういうことは要求しませんよ。監理官、ひとつ考えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/191
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192・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) 現在の葉たばこと今度の値上げの問題とは直接関連しておりません。おりませんけれども、再々これはこの委員会でも申し上げておりますとおり、私のほうの立場としましては、葉たばこが年々上がってくることは非常に重圧です。しかも、専売公社の立場としましては、農民組合、耕作者の関係から国内産業を優先的に使っておるという制約を受けており、かりに安い葉たばこがありましてもよそからは買えない、こういう立場はよくおわかりになっておると思うのであります。でありますから、われわれとしましては、これからことしの秋になりますれば来年度の葉たばこのもちろんこれは価格の御相談をしなければなりませんけれども、この値上げと別個に葉たばこの値段というものは考えていかなければならぬと思います。そういう点で今度の値上げについては直接関連はない、こう申し上げてよかろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/192
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193・野溝勝
○野溝勝君 では、今回の値上げとは関係ないが、葉たばこの値上げについてはいろいろと交渉を受けているから、交渉の際は考えようと思うというふうに解釈してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/193
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194・東海林武雄
○説明員(東海林武雄君) よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/194
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195・瓜生清
○瓜生清君 時間がきましたから、最後に大蔵大臣に御質問いたします。今度の私は所得税減税、それからたばこ、酒の値上げ、これを関連さして考えますと、非常に酷なやり方だと思うのです。一方では所得税を下げて頭をなで、片方で足でけ飛ばすというような、国民にとっちゃそういうような形に、これはどういうように政府が御説明なさっても、金がないということだけはわかります。財源不足ということはありますけれども、これはやはり経済政策の破綻です。そういうところがらこういうところにしわ寄せがきているわけです。ですから、これから財政制度審議会の長期答申が出ると思うのですけれども、こういうふうな私はアンバランスな減税というものはやってもらいたくない、もっと何といいますか、国民が納得するような形でやってもらいたい、こう思うのですが、大臣の御決意を聞いて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/195
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196・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 先ほどもお答えいたしましたが、国際収支を回復しなければならぬということを主眼としたことしの予算編成でございますので、したがって、それに沿って財政政策を立てなければいけない、そのためには、やはり国債を減らして予算の規模を圧縮する、そうして総需要の抑制をするという必要が本年度はございますので、この線で考えますというと、減税がある程度犠牲にならざるを得ないというのがことしの状況でございまして、そのために政府の部内からは増税も減税もしない、いまのままで一年いったらどうかというような意見も出てきましたが、実質増減税ないということにして、ぎりぎりそれを土台にした公債の削減をやるにいたしましても、実際においてはやはり所得税の減税はせざるを得ないと私どもは考えておりまして、したがって、御承知のような形で所得税をそのままに置けば増税になるというこの所得税をここで調整する必要があるということから、この調整をやりますと同時に、一方、同じように調整を必要とすると税制調査会から再三言われている問題はこの酒とたばこでございます。ですから、この不足の財政収入を充足するために、ほかに税源を求めるか、あるいは現行の他の税制の増税というものをはかるかということになりますというと、やはりいままで相当税の負担が高かったものがいま相対的に負担が少し軽くなっておるというようなものの調整をここですることが一番妥当であるということから、この二つに手をつけて、そのほかのものに手をつけなかったというのでございまして、一方、所得税の調整をすれば、一方、間接税の調整をする、それによって他の税の問題に触れて実質的な増税をするというような措置をとらないほうが私は妥当であり、賢明ではないかというのできまったのが今度の税制でありまして、財政不足をほかの税の形で補うということよりは、もうさっきも申しましたように、昭和二十六年度ころのたばこの値段がいまと同じですから、国民の所得水準から見ましたら、当時は非常に高い負担でございました。それが十何年間続いておる。いま国民の所得も当時の何倍になり、水準が上がっておるときでございますから、この一部の調整ということは、私は、もしこの増税的な措置をとるんだとしたら、調整という意味からいって一番合理的ではないかと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/196
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197・須藤五郎
○須藤五郎君 まず、最初、水田大蔵大臣に質問いたしますが、酒、たばこは間接税の中でも一番比重の大きい税だと思います。しかも、生活保護世帯の人も、失対事業で働いておる人にかかりますし、低所得者ほど負担が重い、高所得者ほど負担が軽い、こういう性格を持っておると思いますが、大臣はこういう事実をお認めになりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/197
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198・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 間接税でございますので、逆進性を持った税金だと思います。したがって、今度のような措置をとるにつきましては、御承知のように、一方、所得税は下げる、それで低所得者の対策をする。それから、所得税を納めない階級の人たちに対しましては、住民税の課税最低限度を上げるということによって減税をする。で、なおそれによっても税の恩恵をこうむらないという層がございますので、生活保護者に対しましては一三%の予算の基準を引き上げるという予算措置をもって対処しますし、また、失対事業に従事する人たちに対しては、一二%という失対賃金を上げるという形の対策をする。そうして、なおかつ、酒、たばこの中には値段の据え置きのものも考える。ことにたばこでは一番これが国民に愛されておりますハイライトは四割の消費でございますので、ハイライトの上げ方を少なくするということが、この際、方策としては一番適切だろうということで、そういうことも考慮したということでございまして、こういう税金措置をとるについては、予算全体とからんだ私どもは一連の考えを準備して今度はかかっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/198
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199・須藤五郎
○須藤五郎君 いまお答えになった点につきましては、またあとで質問をすることにしますが、それでは、なぜ今度酒、たばこの増税、これを行なわれたかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/199
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200・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 財政収入の充足という観点から、所得税の課税の調整をやると同時に、この間接税の微収をやって、そうして今年度の財政方針である国民負担の実質的増減をなくするという程度にとどめたいという目的を達するために、ほかの税によるよりも、この酒、たばこの税の調整ということによるほうが合理的だというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/200
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201・須藤五郎
○須藤五郎君 ところが、あなたは昨年の十月までは酒、たばこの増税は反対だと、こういうことをはっきり言っていらっしゃいましたね。あなたは昨年十月二十四日に大阪の貨幣大試験に臨まれましたときに、あなたは新聞記者会見で、たばこ、酒の値上げは大衆課税に通ずるものなので賛成はできないのだ、こういうことをはっきり言っていらっしゃる、むしろ間接税として大衆に高い負担をかけないような売り上げ税の創設を検討したい、こういうふうにそのとき言っていらっしゃるわけです。そうおっしゃった大臣が、わずか二、三カ月後に今度は逆転しまして、大衆課税に通ずるとあなたが認められた酒、たばこの増税に踏み切られた理由は何であったか、それをまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/201
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202・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 税制調査会からは、ことしだけじゃなくて、昨年度の予算編成についても酒、たばこの間接税の調整の問題が答申されておりました。しかし、昨年は私どもは反対してたばこの値上げはやりませんでした。ということは、さっきもちょっとこの問題に触れたのですが、結局昨年の財政政策の問題とからむことでございまして、私は、この間接税の調整をやらなくてもいいというふうに昨年は財政政策の上から考えておったわけでございますが、本年度は情勢が違いまして、どうしてもここでやはり国際収支対策というものを主眼にしたきびしい予算編成をやらなければならぬという事情に直面しましたので、したがって、この財政政策として減税をことしは多くやる年ではないという判断をいたしました。そうして実質減税はやらない、さりとて、よその国の増税をやっておる国の財政と比べてみまして増税をやる必要は日本ではまだない、しかし、ぎりぎり一ぱい実質減税なしというところでことしはいきたいという、そういう方針を立てましたので、そういたしますというと、ことしはもう税制というものをいじらないでやってもいいということになるのでございますが、しかし、たびたび申しておりますように、所得税の減税は必要があると見ましたので、そうすればそれにかわる財政収入の充足策としては、一方、ほうっておけば増税になるものの調整をするのですから、一方、そのままにしておけば自然に税負担が軽くなるという税種を選んでこの調整をやることが合理的だというふうに考えまして、去年は反対いたしましたが、ことしは財政政策の上からこれはやむを得ないという判断をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/202
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203・須藤五郎
○須藤五郎君 二、三カ前には、たばこ、酒の値上げはしないと、はっきり言って、むしろ大衆に負担をかけないような売り上げ税をかける一それじゃいまの質問は保留します。時間に入りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/203
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204・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 大臣の分を残してやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/204
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205・須藤五郎
○須藤五郎君 関連があるから、そうはいかぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/205
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206・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 暫時休憩いたします。
午後三時四分休憩
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午後三時十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/206
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207・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
続いて質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/207
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208・須藤五郎
○須藤五郎君 さっき私の発言中、大臣が衆議院の本会議のために退席されましたので、さきの質問をもう一ぺん繰り返したいと思うのですが、大臣、さっきそういうふうにお答えになりましたけれども、昨年の十月二十四日、大衆に高い負担をかけないような売り上げ税の創設を検討したいと、こういうふうに言っていらっしゃるのですが、そうすると、いまあなたのおっしゃったこととこれと、私はあなたの大阪発言をどう理解したらいいのかとまごつくわけなんですが、おそらくほかの人たちもまごつくだろうと思うのです。それじゃ重ねて質問しますが、そこの点をはっきり答えていただきたい、どう理解したらいいのかという点。ことしは売り上げ税はやめたが、来年はやると、こういうふうにおっしゃるのかどうか、大阪発言とあわせて御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/208
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209・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 大阪発言ははっきりと記憶しておりませんが、もしそう言ったとしますれば、先日この委員会でも申しましたように、長期税制のあり方として、これからもう少し先のあり方として、税体系を変える問題は当然出てきましょうし、そういう場合に売り上げ税というようなものも考慮に入れて検討してもらいたいということを税制調査会にお願いして、いまこれを税制調査会の検討課題の中に入れていただいて、そして検討していただいておるところでございますので、そのうちにこういう売り上げ税というものがいいか悪いかというようなものを、直接税との関係において答申があるものと考えておりますので、そうすれば、その段階においてまた政府としても考えていいと思っております。私は、やはり将来、直接税と間接税の問題、税体系の問題としてもう一ぺんこれは再検討し直す時期が必ずくると早くから考えておりましたが、ちょうどこういう問題が出ましたので、税制調査会に検討をお願いしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/209
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210・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、将来、税制調査会の答申によって売り上げ税というものを実施するということも頭の中にあるということですね。大臣の頭の中にはおそらくこういう考えがあるのではないだろうかと思うのです。酒、たばこ、物品税、砂糖消費税などの個別間接税の増税くらいでは財源としてはほんとうにわずかで、十分に財源を確保することができないのだ、将来の財政需要をまかなうには個別間接税の増税では限界があるから、どうしても売り上げ税か付加価値税を創設しなければならない、こういう考えが私はあるだろうと思うのです。大臣は個別間接税と売り上げ税との関連をどのように考えていらっしゃるか、そこをはっきり答えておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/210
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211・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、いまの税の趨勢からみまして、法人税というものを税の対象にすべきかどうかということについてはいろいろ昔から疑問を持っておりました。明治政府のときは地租が国の収入の大宗でございましたが、いま地租というものは斜陽税になっている。同じように、先進国においては法人税というものが斜陽税化しているという趨勢でございますので、これを中心の税制というものをいつまでも固執するのかということを考えますというと、将来、税体系としてこの付加価値税、あるいは売り上げ税というようなものを取り入れなければいかぬときがくるのじゃないかということは考えておりましたが、これは大きい問題でございまして、税の骨組みを変えてしまうわけですから、一朝一夕に実施できる問題ではございません。で、長期税制のあり方としてこういういま諮問をしておるくらいでございますから、やるにしても相当の準備を要する問題で、いますぐやれるとは思っておりませんが、長い先の税制としてはいまのうちからこれはもう検討しておいていいものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/211
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212・須藤五郎
○須藤五郎君 大臣、いつやるかわからぬけれども、しかし、将来そういうことがあり得る、こういうふうに理解していいんだろうと思いますがね、それじゃ大阪発言に戻りますが、大阪発言では、大衆に高い負担をかけないような売り上げ税ということを発言していらっしゃる。大衆に負担をかけないような売り上げ税というのは一体どういうことか、私はちょっとわかりにくいので、そこを説明してもらいたい。
それから、大臣は私に対しましてもそういうことを言っていらっしゃるのです。昨年の五月の当委員会で、大臣は私の質問に対しまして、間接税の比重を上げる方向に持っていきたい、こういうふうにはっきり言っていらっしゃる。この間接税を上げることが、すなわち、大衆課税にならない方法はたくさんありますので、誤解のないように御了解願いたい。わざわざこういうふうにつけ加えていらっしゃるわけですね。一体、大衆に高い負担をかけないような売り上げ税、大衆課税にならないような方法というのは一体どういうことなのか、ここをはっきりと大臣のお考えを今度は具体的に示しておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/212
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213・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 一つは、さっきちょっと申しましたように、やはり国民の所得水準の問題でございまして、水準の低い間は、いかなる間接税も、これは最低生活を圧迫するというような点から、簡単には採用されない税制でございますから、国民が一定水準以上の所得を確保するというときになったら、この間接税というものは別個に考えられてしかるべき性質の税だということを考えておりますので、やはり日本の国民所得水準というものが高まったときでないと、やはり全面的な間接税というようなものはとれないということがまず一つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/213
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214・須藤五郎
○須藤五郎君 それから、大衆に負担をかけない売り上げ税というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/214
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215・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) これは負担はかけるのですが、所得水準のいかんによっては、この負担をかけることが大衆にそう過酷な税の負担にならないということになりますので、大衆に負担はかけますが、所得水準と関係する問題ということが一つと、もう一つは、そういうものが、たとえばドイツやフランスなんかでやっているような税ができますというと直接税が下がる。いまの所得税は、やはり私は少し負担が重いような気がいたしますので、これとのからみ合いによって直接税が減るということとあわせて考えらるべき制度でございますので、そういう点が現実にその負担が一般大衆にどういうふうになるかということは、これからやっぱりじっくり研究すべき問題であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/215
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216・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、主食など、生活必需品には課税しない、こういうふうにおっしゃるのですか、こういう生活必需品にもそういう時期がくれば課税するということですか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/216
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217・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) ですから、これは実際にやるというときには、やり方はたくさんあると思いますが、原則としては税率の薄いものをこれは普遍的にかけるということになるのが原則であろうと思います。しかし、各国実情がございますので、何にかけて何にかけないというような税のいろいろな技術的なやり方については、これはまた別個に考えられていいことでございまして、まだこれは本格的に研究しないというとどういう姿のものがいいかというようなことは、いまのところちょっと予測できないことでございますので、前にこの委員会でございましたか、忙しくてしょうがないので、大蔵大臣をやっている間には考えられぬから、やめてから私ゆっくり勉強すると言いましたら、やめない間に勉強しろということを言われたのですが、これはこれからの問題として私はやっぱり研究したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/217
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218・須藤五郎
○須藤五郎君 この間接税の問題については、まだいま勉強中で、具体的にはいまはっきりと答えられない、勉強中だと、こういうお答えですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/218
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219・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/219
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220・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは、まあほかに多段階的に課税するのか、それとも単段階的に課税するのかという問題ですね。それから、輸出戻し税をやるのかどうか、こういう具体的な質問を用意しているのですが、そういう質問にも答えることはできないのですか。これも勉強中でしょうか、そうでなければ答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/220
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221・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) これも勉強中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/221
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222・須藤五郎
○須藤五郎君 勉強中とおっしゃるならば質問しても無理だから、またお勉強が済んだあとで質問させていただくことにいたしましょう。
しかし、大臣、あなた間接税の引き上げが幾ら大衆の負担にならないとおっしゃられても、実際にはなかなか個別間接税よりも大きな大衆負担になると私は思うのです。昭和三十六年十二月に出ました税制調査会の答申がここにありますが、この答申は大臣もお読みになっていらっしゃるだろうと思うのですが、この答申は、間接税の減税を昭和三十七年にやるために、間接税について相当検討した結果だと思うのですが、この答申の七九ページには、「売り上げ税は低税率で広く課税することにより、多額の税収を確保しうることがその特色であろう。」と、こういうふうに答申は書いているのです。これは答申全部を読むわけにいきませんからこれだけにしますが、大蔵大臣はこの答申をどういうふうにおとりになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/222
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223・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) あのときの答申は、税は上がるが、なかなかむずかしい問題があるのだということで、一たんこの売り上げ税というものは税制調査会では葬られたという形でございましたが、最近またそうではなくて、やはりこれは一ぺん取り組んでもらいたいと新しくお願いをいたしまして、取り組んでいただくということになっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/223
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224・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、あの税制調査会の答申はあの当時は一応葬られた形でしたが、また審議をしてもらう必要が起こってきたから再び審議を委嘱した、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/224
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225・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 委嘱事項として新たに追加したということではございません。前からありまして、それがいま言ったような形の処理になっておりましたが、これについてはもう一ぺんまた検討していただきたいということで検討していただくことになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/225
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226・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、大臣の売り上げ税に対する熱意のほどが、重ねて答申を要求したというところにあらわれてきていると私は思うのですが、それではそういうふうに理解しておきましょう。
次に、私は、現在国民大衆の間接税の負担がどの程度であるかを明らかにしたいと思うのです。政府は、たばこは十三年間も定価を改定しなかった、酒も長い間税率改定をしなかった、その間に一般物価水準は上がった、また、国民の所得水準も上がったので、国民の負担は意図せざる減税によってずいぶん軽くなった、だから調整増税ももうやむを得ない、このくらいはがまんしてほしい、うこ言っておられると思うのです。そこで質問をするわけですが、月収三万円、四万円、五万円の勤労所得者の間接税負担は所得税と住民税を合わせた額よりも低くなっておるのかどうかということです。これはまあ大臣でなくてよろしゅうございますから、ほかの方がお答えになってもけっこうです。勤労所得者の所得階層別の間接税負担、それから所得税と住民税の合計額の負担の割合を明らかにしていただきたい。二つの問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/226
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227・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) この先ほどのお話が出た問題でございますが、間接税の正確な負担率というものを把握するのは非常にむずかしい問題でございますので、総理府の統計資料の原表をもとにいたしまして従来から私どもいろいろ検討いたしまして、まだ自信のある数字ではございませんが、四十年の試算を申し上げますると、月収で三万円というところでは、間接税の負担、これはすべて電気ガス税まで入れたものでございますが、三万円の月収に対して六百四十二円、所得税、住民税合計して百九十七円、合計八百三十九円。それから四万円のところでは、間接税の計が七百二円、住民税、所得税の計が五百十一円、合計して千二百十三円。五万円のところでは、間接税の合計が七百六十四円、住民税、所得税の計が千二十三円、合計で千七百八十七円という数字が出ております。これはあくまでも推計でございますので、実質の数字であるとは申し上げられませんが、この中で、あるいは酒、たばこ等は出現率が悪いので、正確ではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/227
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228・須藤五郎
○須藤五郎君 私もその表を持っているのですよ。あなたいま金額でおっしゃったが、金額でもやはり月収三万円、四万円、五万円というところを見ますと、やはり三万円、四万円の人は所得税や住民税よりは間接税のほうが多くなってきているのですね。率で申しますと、三万円の人は住民税、所得税が〇・六%になりますね、それに対して間接税は二・一四%と、こういうふうな率になっています。それから四万円の人は所得税、住民税が一・二八%、それから間接税は一・七六%こういうようになって、五万円まではずっと大体高くなってきているのですね、間接税のほうは率が、三万円、四万円はね。五万円でいえばどっこいどっこいというところに落ちつくということになっているのです。そういうことはいまの答弁でも、大臣、明らかになっている点だと思うのです。政府は、勤労所得税は重い、課税最低限は引き上げなければならない、税率はもっとなだらかにしなければならない、こう盛んに言っていらっしゃいますが、勤労所得税よりも月給三万、四万の人には間接税が重い、月給五万円の人で間接税は必ずしも軽いとはいえない、こういうことははっきりしている。しかも、三万、四万、五万の人は給与所得税を納めている人口の約六割を占めておると私たちのほうでは計算をしております。これを見ましても、低所得者にはいかに間接税が重いか、はっきり私はわかると思うのですね、今日において。だから、勤労所得税の課税最低限を上げることはもちろん私はやらなければならないことだと思うのですが、この低所得者の間接税負担率は非常に大きいのですが、同時に、間接税を大幅に軽減する必要があると思うのですが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/228
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229・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) さっき申しましたように、国民の所得水準が低いから、低所得者のためには所得税においても、率の問題よりも、まず課税最低限を引き上げるということの問題のほうが急務であるというふうに考えておりますし、また、所得水準が低いときにはいまおっしゃられたような問題がありますので、間接税を多くするというわけにはいかない。ですから、日本も高級消費財にはいろいろの高い物品税をかけておりますが、一般日常必需品にまで普遍的に間接税をかけるということを日本はいまやっていないということも所得水準の問題と関係があることだというふうに思っておりますので、もう少し水準が上がったときでなければ私は間接税の増徴はやれないのだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/229
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230・須藤五郎
○須藤五郎君 大臣、それはあなた一つうそを言いましたよ。高級品には重い税金をかけていると言うけれども、一万五千円のダイヤの白金の指輪には無税でしょう。この間も予算の分科会で指摘したように、マッチには税金をかけているという、そういう矛盾がある。それはそういう矛盾はあなたたちの中にたくさんあるわけですよ。総理府統計局で出している家計調査を調べてごらんになられたと思うのですが、実収入五分位階級別の家計収支のバランスを見ていただいたらわかると思うのですが、ここにもありますが、あまり物価が上がっていなかった昭和三十四年を基準としまして現在を比較しましていきますと、一分位階級の家計収支は依然として赤字なんです。これは総理府がつくったものだから、まさかこれはうそだとは言えない。二分位の人が苦しくなった。三分位の人は変わらない、四分位と五分位の人はよくなった、こういうふうに言っている。勤労世帯の四〇%は悪くなった、苦しくなった、こう言っておる。四分位の二〇%の人が変わらない、これでは所得水準が上がったとは実際言えないのじゃないでしょうか。この率からいってそういうことがはっきり言えると思うのですが、大臣どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/230
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231・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) 簡単にお答えいたします。
私の手元にあります数字では、昭和三十一年を一〇〇といたしまして、一分位は四十一年で二・五八倍、第二分位が二・五二倍、第三分位が二・四八倍、第四分位が二・四四倍、第五分位が二・四二倍というふうになっておりますから、大体パラレルにいっておりまして、特に先生の御指摘のような格差がひどくなっているというふうには思いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/231
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232・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、この表はうそでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/232
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233・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) それは見てないものですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/233
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234・須藤五郎
○須藤五郎君 見てからおっしゃいよ。私はこれを見て言っているのです。総理府の統計をあなたたちは見ていないというのはおかしいですよ。見てから責任ある答弁をしなさい。いまこれを見せてもいいですよ。これによりますと、第一分位の家計の赤字は四千百七円とちゃんと出ているのですよ。そんなことを見ないで答えるというのは無責任ですよ。大臣、どうですか、国会に対してそんな無責任な答弁はない。見ていませんというような答弁をしていいですか、もう一ぺん答弁しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/234
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235・前川憲一
○政府委員(前川憲一君) 私は、いま手元にございました総理府統計局の家計調査の三十一年から四十一年までの倍率の伸びを述べさせていただきましたので、先生のお持ちのものは、またあとで見て勉強さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/235
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236・須藤五郎
○須藤五郎君 不勉強ですよ。もっと勉強して出てきてくださいよ。
それじゃ第三間、次に、所得税も納めていない低所得者の間接税負担について質問いたしますが、政府は所得税納税者には物価調整減税を上回る減税をいたしておりますといっているのです。ところが、所得税を納めていない低所得者こそいま一番物価上昇の被害を受けており、何らの救済措置がないだけではない。今度酒、たばこの増税によってこれらの人々は苦しくなるということがはっきりすると思うのです。これらの人々は、所得税納税者と同じように、この人たちだけで同じ国税である間接税を七千億円も納めているわけです。所得税を納めていないけれども、七千億。この所得税を納めているいわゆる所得のある人は、この間の質問で、大体日本全国で五千万人だ、こういう答えが出ております。そのうちの約六割が所得税を納めてない失格者ですと、こういうことなんだ。その人たちが間接税を七千億円も負担している。一体、政府は何でこの人たちだけほったらかしているか、どうしても私は理解ができない。
そこで、昨年五月、当委員会で大蔵大臣に対しまして、こういう低所得者に対してどういう措置をとられるんですかという質問をしたんです。私の質問に対しまして水田さんは、「その調整を間接税でやったらよかろうという御意見であろうと思いますが、間接税の目的、筋からいってそうすべきものではない、たとえば社会保障の制度のいろいろな拡充とか、そういう面から考えるべきであります。」と、こういうふうに答えている。大臣、覚えがあるでしょう。そういうふうにお答えになっている。そこで、大臣にもう一ぺん質問するわけですが、約一千二百万世帯といわれる所得税を納めていない低所得者全員に対しましてどのような方法で救済措置をとられたか、また、今後どのように拡充していくおつもりですか、明確に御答弁を願いたいと思うんです。これは大臣の答弁です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/236
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237・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 所得税を納めない人については、地方税、住民税の引き下げということをまず今回はやりました。と同時に、生活保護費、あるいは失対賃金というようなものについては、予算をもってこの基準を上げましたし、また、その他社会保障制度の拡充を全般としてはばかっておるというような措置を今度あわせてとったつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/237
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238・須藤五郎
○須藤五郎君 しかし、そういうふうにお答えになるだろうと思うんですが、生活保護世帯は一体どれぐらい今度手当、保護費を上げられたのか。おそらく生活保護者の金が多少上がったというのは、物価の値上がりには追いついていないと思うのですよ。ですから、そういうものは決して減税の措置だということには当てはまらない性格のものだと私は思うんですよ。だから、この生活保護者などに対しましては、物価の値上がりによって少し費用を多くするという、まあ非常に不十分な金ですが、それよりももっと違った意味において、いわゆる所得税を納めている人たちが減税をされているという、そういう立場に立っての措置が私は必要だと、こういうふうに考えるわけです。それで、何じゃないですか、あなたいまそういう地方税とか、それから生活保護費をふやしたとかおっしゃるけれども、低所得者全体の問題じゃないでしょう、いまおっしゃった問題は。そういうことのワク外にいる低所得者が私はたくさんおると思うのです。そういう人たちをほうっておいてかまわないと、こういう理屈は成り立たないと思うんですが、この点、大蔵大臣、もう一ぺんはっきり答えておいていただきたいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/238
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239・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘がございましたように、生活保護費を受ける階級についてはいろいろ問題があるにしても、一三%程度生活保護費を上げておるということがあるし、住民税を軽減したという問題もあるけれども、その間になお千万世帯くらいあるはずだというお話だと思います。で、ただいま御指摘ございましたように、所得税を軽減をしたという問題は、所得水準が上がり、そうして物価水準も上がりますために実効税率が重くなる、その点を直すのが一つの目的であるし、さらに、所得水準が大きく上がっておりますので、所得が伸びたことによる税額の非常に大きな伸びを防ごうという趣旨でございますから、そういう意味から申しますと、所得税自身、たとえば一割所得が伸びたといたしますと、払う所得税は減ってはいないわけです。むしろふえております。ただ、ふえ方がもっとふえなければならぬのを減らしておる。そうして、たとえば英国並みの弾性値一・二ぐらいにしておるというのが減税でございます。そういう意味から申しますと、中間の階級は所得税はかからない。所得が伸びても、課税最低限が上がっている部分だけはかからないで済む。そうしてその中間の階級も、生活保護基準が一三%上がるぐらいの情勢であれば、所得の伸びはあったはずでございますが、これに対しましては所得税はかかりませんから、そのまま実質所得が手に入るというところで、所得税の減税をするから、所得税のかからない人は損をするという問題ではなくて、所得税のかかっている人は、所得税の累進構造によって所得税が所得をはるかに上回って二・二という弾性値でふえるというのを緩和しておるという問題でございます。そういう意味から申しますと、間の人にはなるほど所得税をまけるというような話はないわけでございますが、そこに所得が伸びるというためには、やはり社会資本の充実とか社会保障とかいう問題があって所得は伸びるわけでございますので、歳出というものが、結局は現在の福祉国家においては全体の所得水準の向上ということに向いて全体をプラスしております。財政支出というものの弾性値というのは所得に対して一以下であるというのが定説でございます。下にいくほど財政支出の恩恵を受けているはずでありまして、これを社会保障費が幾らというふうに切ってまいりますと個別にひもつきになりますが、相対の財政支出というもので考えていただければ、財政支出をやるもとの税はなるほどとりますけれども、財政支出の面で国民全体の福祉がはかられ、所得水準が上がる。所得水準が上がるということは、それだけ生活水準を上げることになる、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/239
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240・須藤五郎
○須藤五郎君 それはごまかしですよ。そのごまかしをぼくは議論していると時間がなくなって次の質問に移れないので、はなはだ残念ながら、それはもう割愛しますが、あなたの言うのはごまかしですよ。何も生活保護費が少しふえたといったって、物価はずっと上がっているのですよ。この生活保護費をもらっている人は何もプラスになっていると思っていないのですよ、実際は。だから、そこをどうするかということですよ。それはおかしいですよ。
次に、酒一たばこの税金と他の間接税のバランスについてお尋ねしたいと思うのです。酒、たばこの税金は、なるほどあなたたちのおっしゃるように、相対的に下がったかもわかりません。しかし、私に言わせますと、絶対的にはこれほど高い税金はないと言わなきゃならぬと思うのです。たばこは六〇%も税金をかけるのですから、絶対的には高いですね。物品税の貴金属でさえ二〇%、先ほど申しましたダイヤの指輪が一六・七%高級自動車が四〇%、しかるに、一般大衆が嗜好している酒、たばこがそれ以上に高いというのは、どうしてもこれは大衆は理解することができないのです。あなたたちは取りやすいところから高い税金をかけて金を取ればそれでいいかもわかりませんが、取られる者の身になれば、あなたたちが幾ら言ったってこれは理解することはできない。どうしてこんなに高くしなければならないのか、全く私は理由がわからない。その根拠を示してください。それは税金を取るためだということでは理由にならないんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/240
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241・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) これもたびたび繰り返して申し上げておりますが、なるほど先生御疑問に思われるとおり、私どもも最初はそういうように考えるのであります。ところが、世界各国のいかなる税制をとりましても、消費税の中でたばこと酒は非常に重い税金になっていることは御承知のとおりでございます。先ほどお話が出ました売り上げ税をやっても、売り上げ税の中に吸収しないで、別に特別税を起こして、酒、たばこだけよけい取るわけです。その理由といたしまして学者がいろいろあげておりますのは、一つは、酒、たばこというものが特殊な嗜好品であり、習慣性があって、過度の消費というものについての弊害があるということ。それと酒、たばこというものは生産はわりに容易でありまして、コストが安い。しかし、それに対する需要というものが非常に強いものでありますから、そこで、生産を自由に放置すれば非常な不当利得ができる。そういうことから専売とか、あるいは免許とかいう形で生産を管理する、同時に、適正な価格で売るために、実際問題としてはかなり高い税額がそこに付し得る、それが一つの財政収入の基礎となるということで、財政物資として古来から、また、現在でもどこの国でもやっていることなんです。そういう点から申しますと、先生おっしゃるように、確かに税率として比較いたしますと高いという問題がございますけれども、一般の物資と比較してごらんになりますと、飲食品等から考えましても、この間も実は言ってしかられたのでありますが、コカコーラ等に比べれば、あの高い税率をかけたビールのほうが安いわけですから、そこがアルコール飲料の特殊な性質でありまして、そういう意味で財政物資として特殊なものとしてお考え願いたい、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/241
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242・須藤五郎
○須藤五郎君 何も正当な理由としてあなたが幾ら百万べんそれをおっしゃっても、たばこを吸う人や酒を飲む人は、それが正当な理由とはどうしても受けとれませんよ。みんな高い高いと言っているんです。正当な理由とは受けとれない。明治以来、これは衆議院のほうでもお答えになっていらっしゃるのですが、国民大衆が一度たばこを吸ったら、酒を飲んだら、もうやめられないという、ここをあなたたちはねらったのです。それで、明治時代は酒やたばこを飲まして吸わせて、そうしてその人間の弱点を利用して、そうして税金を取り立てて、いわゆる富国強兵への政策を押し進めてきた、これが明治時代なんです。これが事実です。これが歴史的沿革だと思うのです。それを合理化して、酒、たばこの税金は高いものだ、それが当然だ、世界各国でもこうじゃないかと、外国の悪い例をとって、外国の悪い例ですよ、あんなものいい例じゃありません。国民大衆を全くばかにしていると思うのです。酒やたばこの税金は下げなくてはならないし、下げても必ずしも私は害はないと思うのです。それだけ日本の国民は自覚はあるし、また、政府はそうしなければならないのに、その税金を重くすることによって酒、たばこの害を防ごうという考え方は、私は全く誤っていると思うのです。一体、政府は酒やたばこはのんでほしいのかのんでもらいたくないのか、はっきり答弁すること。
それから、たばこの値段を、昔は「朝日」は幾らと箱の横っちょに書いてあったのに、最近のたばこは何で値段を書かないのか。値段が幾ら、税金が幾ら、合計幾らになりましたよと何で箱の横っちょに明記しないか、理由を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/242
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243・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 前段についてお答えいたしますが、政府として幾ら飲んでもらいたいという問題ではないのでございますが、過度でなく、適正な消費であれば財政収入としても決して困ることではないと思いますが、過度にわたることはあまり適正ではないという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/243
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244・須藤五郎
○須藤五郎君 そんな常識的な答弁じゃだめだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/244
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245・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 過去におきましては箱に定価が明記されておりました。戦争中の時期であったと思いますが、たびたびの値上げがありました関係等も考慮されまして、料金表というものを小売り店に表示するということに変更された時代がございます。それ以降、その伝統を継いでおるものでございます。今回値段を大幅に変えますときに、間違ってはいけないから入れたらどうかという検討もいたしましたが、現実問題として法律を前に通していただきまして、余裕がありますればまだできるかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/245
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246・須藤五郎
○須藤五郎君 それは何ですよ。政府はのんでほしいのかのんでもらいたくないのかといえば、ほんとうはのんでほしいのです。のんでもらってたくさん税金を取りたいというのが、これが政府の方針なんです。たばこの値段と税金を表示しないのは、表示したら、国民がみな、何だ、こんなばかげた税金を払っているのかといって、これみんな問題になる。実際たばこを吸っている人は税金を幾ら吸っているかということがわからない。わからないように隠しているのですよ。そのために定価も書かなければ、税金も書かないというのが今日の政府のやり方なんです。全くずるいやり方です。
もう一点だけ質問します。政府は、酒、たばこは数年後にまた見直しをやるけれども、そのほかの間接税についてもいじらねばならない問題がある。たとえば物品税でも、新しい物品に課税するとか、そのほかにも揮発油税、LPガス税などの燃料でも考えねばならない、こういっておられますが、これは具体的に一体どういうことを考えておられるのか、はっきりと答弁願いたい。これで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/246
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247・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ただいまのは私が衆議院でいたした答弁についてだと思いますので、私からお答えいたします。そのときは衆議院で、将来間接税を引き上げるつもりはないかというお話がございました。私が申し上げたのは、酒、たばこについて、今回と同じような趣旨のものは数年後にあり得ると思いますということと、物品税について、それじゃそれ以外のものは課税を強化することはないかというお話がございましたから、物品税は、御承知のとおり、新しい課税物品がどんどんできてくる、それがより高級であるということがあるので、これはそのときそのときに考えなければならないと思いますということを申し上げたわけでございます。あと燃料税については道路整備計画というものと結びついておりますので、これをただいま上げないとは申し上げかねますということを申し上げたわけでございますということで、物品税についてこれをおくということは、実はいま考えておるわけではございません。いずれまた、かってテレビが出て、その次にカラーテレビが出たという問題も起こると思いますので、そのときに備えておく必要があるかということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/247
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248・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/248
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249・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/249
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250・柴谷要
○柴谷要君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました製造たばこ定価法の一部を改正する法律案及び酒税法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行なうものであります。
まず、第一に、両案に対する改正理由に、意図せざる減税が行なわれているので、その是正のために引き上げ改正を行なうものであるといっております。すなわち、税調答申を引用いたしますならば、酒税について見れば、その税率が所得、物価水準の変動と無関係に定額に据え置かれているため、税負担が相対的な低下を来たし、他の諸税の税負担との間の均衡を失しているものと認められる。また、たばこについて見ると酒税と同様の事情があると、このような理論をもって増税の根拠といたしております。そして、これを意図せざる減税と言っております。意図せざる減税は必ず増税しなければならないという政府の考え方でありますが、税は安いほうがいいことは何ぴとも共通の考え方だと思うのでありますが、改正理由の趣旨は全く逆でありますことから反対を表明せざるを得ません。
第二に、政府が改正理由に言っております、他の諸税の税負担との間の均衡を失しているからであるとの点であります。酒、たばこが他の直接税、間接税に比していかなる均衡となっているかを見てみようではありませんか。わが党としても、高級品、ぜいたく品についての課税には、均衡論からいって賛成しないものではありません。しかし、改正案では、清酒特級、一級でもビールでも上がっています。これらは金持ちだけの飲みものではありません。ごく普通の人が飲み、大衆が税負担をしております。たばこについても同様であります。「新生」、いこい、ハイライト、すべて大衆が喫煙しており、大衆課税であり、重税であります。それが改正により引き上げられております。先日ある新聞に「弱きをくじく間接税」という記事の中で、ハイライト、砂糖、二級ウィスキー、ピアノ、一そろえ百万円以上の高級呉服の五品でありますが、この税負担の高い順番はどうであろうかというものであります。これを聞かれた人は、それは言った順に安いだろうというかもしれません。ところが、おそるべきことに、その逆が回答であります。呉服はどんな豪華なものでも税金は全くかかりません。ピアノは九・一%、二級ウィスキー現行で二七・九%、砂糖四四・二%、ハイライト現行で五八%であります。これをもって他の諸税との均衡といわれるのでありますから、あいた口がふさがらないとはこのことではありませんか。均衡をとって下げるべきが増税となるのでありますから、反対するのが当然でありましょう。
次に、ことしの税制改正は、所得税減税一千五十億円の穴埋めに、たばこ、酒税、物品税の増徴により財源としたので、両案を通してほしいというのが政府の言い方であります。所得税減税の必要性はだれでも認めるところであります。そして、ことしの予算は財政硬直化で、その議論で終始いたしました。歳入の面ではどうでありましょうか、税の自然増収は九千五百億にものぼりながら、国債の減額に一千六百億円、その他は歳出の増に充てられ、減税への還元はゼロであります。減税財源はどうでありましょうか、歳入は歳出のあおりを食って歳入も硬直化させられ、税収は目一ぱいとっておいて、減税は税収の中で行なえ、その中で調整したらというような都合のよい考え方で成り立っております。「どこか世の中が間違っとる」ということばが巷間ございますが、この案を見る限り、その感を深くせざるを得ません。財源難であるから酒、たばこを増税することは誤りであります。財政の硬直化は歳出を切ることによって行なわるべきであります。議会人として反対せざるを得ません。
最後に、酒、たばこの小売り定価と増税の関係であります。酒におきましては、この法案が通り次第、メーカーは、酒税が引き上げられれば、その分だけ運転資金が余分に要るなど、業界の危険負担がふえるので、プラスアルファの値上げは当然だと言っております。このほか、原料、人件費が値上がりしている、増税分をそのまま価格にスライドさせると端数が生じて取り扱いが不便になる等の理由をメーカー側は指摘をいたしております。これに対し、便乗値上げは認めないと発言をいたしていますが、これを押えることはできないと思うのであります。政府が先頭に立って物価上昇に協力いたしておるような今日の現状から、四・八%の値上げで済むとはとうてい考えられません。
以上の理由をもって本二法案に対して反対の討論を終わるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/250
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251・中尾辰義
○中尾辰義君 ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案、並びに製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に対し、私は、公明党を代表して、反対をいたします。
反対の理由は、第一に、今回の酒、たばこ等の増税により、政府は千五十億円の増税を見込んでおりますが、これは所得税の減税分千五十億円を実質的にゼロにするものであり、納税者として最も納得のいかない点であります。政府は、最近における国際収支の赤字是正対策としてやむを得ない対策であると申しておりますが、それは政府の国債政策による放漫なインフレ財政のとがによるものであって、そのしわ寄せを国民生活に直結する酒、たばこ等の値上げに踏み切ったことは承服できないのであります。
第二点は、製造たばこの定価値上げについて、原価の値上がり、所得、消費水準の上昇にもかかわらず、たばこ専売益金率が年々低下してきたことを値上げの理由としていますが、しかしながら、たばこの専売益金は四十年度三千百二十六億円、四十一年度三千三百九十九億円、四十二年度三千五百八十二億円と、年々増収をたどっているのでありまして、たとえ財政専売であっても、何ら値上げの理由にはならないのであります。酒税について同様な理由があげられると思うのであります。
第三には、四十三年度の予算編成の方針としては、国際収支の均衡回復、物品の安定等を柱としておりますが、政府みずから、消費者米価をはじめ、酒、たばこ等の値上げを敢行することは、ますます諸物価の値上がりを刺激し、国民生活を圧迫するものであります。
第四に、酒、たばこの税率は、清酒特級で四三%、一級酒で三七%、ビールで五〇%、たばこはハイライトで五八%、「新生」で五一%となっており、かなりの高率であります。しかも、高額所得者も低額所得者も一率に課税負担がかかる最も逆進性の強い間接税に安易に財源の調達をしたことは、大衆課税の強化に通ずるものであります。
以上をもって反対の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/251
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252・瓜生清
○瓜生清君 私は、民主社会党を代表して、ただいま議題の二法案に反対いたします。
第一の理由は、間接税の増税に反対であるということであります。すなわち、これらは大衆課税であり、最も逆進性の強いものでありまして、むしろ軽減しなければならないとさえ考えております。しかるに、今回の措置は、逆に増税するというこの態度に私どもは強く反対せざるを得ないのであります。一部には、間接税がそのウエートをだんだんふやしていくということが当然であるかのごとく論ぜられておりますが、この点は各国のそれぞれの事情に相違があるのでありまして、むしろ日本におきましては漸減の方向に努力すべきだと考えます。
第二の理由は、酒やたばこの値上げが物価値上げムードをかもし出し、さらに諸物価の便乗値上げのチャンスを与えるおそれがありはしないかということであります。ビールにしても二級酒にしても、みんな便乗値上げが考えられていることはまことに残念であります。この点、政府はもう少し積極的な施策配慮をすべきだと思います。このままでは、私どもが強く批判しておりますように、政府主導型の物価値上げを強める傾向にあることは明白であります。
第三の理由としては、御承知のように、所得税で千五十億円の減税をはかり、その埋め合わせとして千五十億円の増税をやるという、きわめて安易な財源調達の措置であって、それならどちらもやめてしまって、物価調整減税だけでも試みるほうがよかったのではないかと考えます。
私は、以上の理由から両案に反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/252
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253・須藤五郎
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となった製造たばこ定価法の一部改正法案、酒税法の一部改正法案の二案に対し、反対するものであります。
政府は、十数年来、たばこの小売り定価が据え置かれ、酒税も長い間税額が据え置かれたので、物価水準及び所得水準の上昇に比し税負担が相対的に低下し、他の諸税とのバランスを失った、したがって、調整増税もやむなしということを言っておられます。しかし、実際に上昇したのは消費者物価であり、最近の家計調査でもわかるように、国民大衆の約半数は実質所得が低下し、低所得者ほど生活は苦しくなっているのが実情であります。それにもかかわらず、酒、たばこの増税を行なうのは、物価政策の失態をおおい隠し、国民大衆に大衆課税をしいることであり、かかる政府の態度は、国民大衆の立場に立てば、許すことのできない措置であることは明らかであります。しかも、酒、たばこは国民大衆の嗜好品であり、きわめて逆進性が強いだけでなく、他の間接税に比し、きわめて高率の課税となっている現状から見ると、これを減税するのではなく、逆に増税することは、租税公平の原則、所得再分配の原則をふみにじり、税制民主主義に逆行するものであります。
わが党は、かかる立場から反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/253
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254・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/254
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255・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。
まず、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/255
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256・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/256
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257・西田信一
○西田信一君 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党、以上四党の共同提案として、ただいま可決せられました製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に対し、次の附帯決議案を提出いたします。
附帯決議案を朗読いたします。
製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に
対する附帯決議案
日本専売公社は、たばこ小売手数料(割引歩合)の決定に当り、販売業者の安定収入を確保するよう充分な配慮を加えるとともに、割引歩合の一層の合理化について引き続き検討すべきである。
右決議する。
何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/257
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258・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまの西田君提出の製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の採決を行ないます。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/258
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259・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、水田大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。水田大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/259
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260・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) ただいまの附帯決議につきましては、日本専売公社において御趣旨の線に沿って十分検討し、努力いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/260
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261・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 次に、酒税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/261
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262・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01819680423/262
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263・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十二分散会
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