1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月九日(木曜日)
午前十時二十八分開会
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委員の異動
五月七日
辞任 補欠選任
大谷 贇雄君 平島 敏夫君
五月八日
辞任 補欠選任
高橋文五郎君 塩見 俊二君
山本 利壽君 竹中 恒夫君
横山 フク君 林屋亀次郎君
平島 敏夫君 大谷 贇雄君
田村 賢作君 大竹平八郎君
北畠 教真君 西田 信一君
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出席者は左のとおり。
委員長 青柳 秀夫君
理 事
植木 光教君
小林 章君
中尾 辰義君
委 員
青木 一男君
伊藤 五郎君
大谷 贇雄君
西郷吉之助君
藤田 正明君
木村禧八郎君
田中寿美子君
野上 元君
瓜生 清君
須藤 五郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
政府委員
大蔵政務次官 二木 謙吾君
大蔵省銀行局長 澄田 智君
中小企業庁次長 沖田 守君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
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本日の会議に付した案件
○中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行
法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○金融機関の合併及び転換に関する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/0
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001・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。昨日、田村賢作君、高橋文五郎君、山本利壽君、横山フク君、平島敏夫君、北畠教真君が委員を辞任され、その補欠として、大竹平八郎君、塩見俊二君、竹中恒夫君、林屋亀次郎君、大谷贇雄君、西田信一君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/1
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002・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案、金融機関の合併及び転換に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/2
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003・中尾辰義
○中尾辰義君 それじゃ最初にお伺いしたいのは、最近非常に金融が引き締まっておりますので、企業間信用がたいへんふえております。三十兆円をこえたと、こういうような声も聞いておるわけですが、さらに手形のサイトが非常に長期化をしておるということです。また、海外の情勢も、新聞等では、米国の増税法案の成立、こういうことも報道されておりますし、わが国の経済の環境はますます急変しつつある。そこで、これに対して政府は金融の引き締め態勢を今後も維持していくでしょうが、今後の金融の見通し、さらに、この中小企業の倒産も相当出ておりますので、これの対策、こういう点をひとつ最初にお伺いをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/3
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004・澄田智
○政府委員(澄田智君) ただいまのお話のとおり、わが国をめぐる国際環境というものも非常にむずかしい情勢であります。アメリカにおいても増税法案は通ったというようなことは、ドル防衛という見地からは望ましいことでございますが、しかし、国内のアメリカ経済の引き締めというようなものと相まちまして、今後におけるアメリカ経済というものは相当きびしい線を出してくる、それが対日輸出等にも影響をすると、こういうことにもなりますので、わが国経済の引き締めというものは、現在相当な効果が逐次出てきておるわけではございますが、なお国際収支を完全に均衡させるというような段階まで引き締めを続けていかなければならない、この点はお話のとおりだろうと思います。これに対して、今後そういう引き締め下における中小企業金融等につきましては、これは本年の政府関係の中小三機関の資金量も、他の一般の財政投融資が相当従来に比べて抑制的な方針でありましたが、その中で、中小三機関は、対前年の当初計画の伸び率が一九%という、ほかに比べて大幅な伸びというようなことになっておりますし、こういうような点を中心として、中小金融の面で十分事態に対応して対処してまいりたい、かように考えているわけでございます。なお、中小三機関の四十二年度の貸し付けの実績は、前年度に比べて一七%の増加でございますので、これに比べましても、四十三年度の計画は、こういうきびしい情勢のもとにおいては十分配慮したものである、かように申し上げることができると思います。
なお、民間金融機関の点につきましても、かねがね引き締めに際して、しわが中小企業に不当に寄るということのないように指導をしてきておるわけでございますが、今回の場合は、従来の引き締めと違って、コールレート等も、かつてのように三銭、四銭というようなふうに著しく上がるというようなことはございません。これはコールを取るほうの都市銀行その他に対する指導についても、コールを取りあさることのないようにというようなことで、日銀の規制等もそういう点を十分留意してやっておりますので、コールが従来のような趨勢をたどるということはない。したがって、中小企業金融機関等がとかくその資金をコールに流すというような弊も、今回は従来のようにあらわれておりません。また、最近ずっと各金融機関、中小企業専門金融機関以外の都市銀行、地方銀行等も、中小企業金融に対するシェアを広げて、中小企業を得意先として開発していこうという姿勢をずっととってきておるわけでございます。したがいまして、従来の場合と違いまして、引き締めに入っても、中小企業向けの金融の比率というものが下がらないで、むしろ上がりぎみであるというような趨勢が最近まで見えておるところでございます。これから引き締めがきびしくなりますと、そういう点もいままでのような情勢にはいかない、やはりしわが寄ってくるということも十分警戒をしていかなければならないところでございますが、いままでのところはそういうふうな形になっております。
なお、倒産等については、これは引き締めの前からずっと倒産の水準が商いということは指摘されてきておりますが、今回の倒産は、必ずしも金融という点というよりは、むしろ構造的な変化、あるいは労働条件の変化というようなものによってもたらされている点が非常に多いわけでございますので、金融だけの対策というわけにはまいらないわけでございますが、十分そういう倒産の場合の関連波及というようなものについても、これを不当に影響が波及することのないように、これは各通産省、大蔵省、日本銀行等の出先機関の間で相互に連絡を十分密にしまして指導に当たり、十分その点に遺憾なきを期してまいりたい、かようなことでもって督励をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/4
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005・中尾辰義
○中尾辰義君 金融が締まってくると、これは毎度のことでありますけども、中小企業にしわ寄せがきておる。で、中小企業庁にお伺いしたいのですが、倒産の実情についていまも多少銀行局長からありましたけれども、あなたのほうからひとつ説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/5
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006・沖田守
○政府委員(沖田守君) このたびの金融引き締めにあたりましては、その以前から相当企業倒産がふえておったわけでございますが、引き締め後、またその水準が高まってきておる、こういう情勢にございまして、従来から景気引き締めに伴なう体質の弱い中小企業へのしわ寄せということが非常に引き締めのたびに問題になっておりますので、今回は引き締め当初から非常にその点を懸念し、配慮いたしてまいったわけでございますが、現在の倒産の原因といたしましては、中小企業を取り巻く環境変化、構造変動というものの過程で企業間格差がだんだん強く出てまいりまして、そういう構造変動の要因に加えて、金融引き締めによる循環的要因が重なり合った倒産というのが相当多いのではないか。それから、さらにもう一つ、企業外要因と企業内要因、この両面がございまして、企業内部の要因というものも相当あるのではないか。そういう企業内要因と企業外要因、企業外要因の中において構造的要因と循環的要因というものが複雑にかみ合っていると思うのでございますが、引き締めが中小企業に影響のまいります段階では金融機関からの借り入れがむずかしくなってくるという形での影響と、大企業からの支払いが下請その他を通じて悪くなってくるという形での影響と、それから、お金の面からの影響が現在の段階では相当強く出ておりますので、金融面での配慮に重点を置いていろいろ当面の中小企業へのしわ寄せ防止を考えておるわけでございますが、従来の引き締め過程におきましては、またその途中から中小企業の売れ行きががたっと落ちる、あるいは注文が激減する、こういう形になりますと、実態経済の面で相当激しいショックが前回の引き締めのときは出たのでございますが、今日までの段階では、その点、倒産が相当増加いたしてはおりますものの、その面では前回よりもまだ緩和された形でここまではきている。ただ、この四月−六月期におきましては、特に相当引き締め後時間がたっておりますので、たとえば中小企業金融三機関の貸し出しにつきましては、第一四半期の四月−六月には、昨年の第一四半期の約二八%ばかりの貸し出しのワクをふやして、そういうしわ寄せ防止のために対処いたしておるというのが現在の努力でございまして、したがって、構造要因に対する抜本的な中小企業の体質強化策と、当面のお金の面でのしわ寄せ防止策という面をあわせて対処いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/6
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007・中尾辰義
○中尾辰義君 倒産の原因はいろいろありますが、いまおっしゃったのですが、まあこれに対しては両者あわせて対処をしておると、どういうことを対処しているんですか、最後におっしゃったですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/7
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008・沖田守
○政府委員(沖田守君) 構造変動に対する対策といたしましては、従来から体質強化、構造改善という努力を基本的にいたしておるわけでございますが、当面のしわ寄せ防止の対策といたしましては、ただいまも銀行局長から御説明がございましたように、中小企業向け国民公庫、中小公庫、商工中金という政府系の三機関に対する財投の拡充、さらに当面引き締めが相当加わってまいります第一四半期におきましては、全体の運用を、ただいまも申し上げましたように、対前年比二八%という、やや昨年と比べまして、ほかのバランスから見まして相当重点を置いた資金配分をいたしておりますし、あと、倒産に伴ういろいろな影響という点では、現地で日銀の支店長、財務局長、通産局長、各地域ごとに三者協議会をつくりまして、特に問題が出そうな問題につきましては、地域ごとにその実情に応じた対策を講じて、大きな倒産、それに伴う関連倒産、そういうふうなことのないような配慮をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/8
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009・中尾辰義
○中尾辰義君 まあ金融の面だけですが、これも前からいわれていることですが、手形サイトが非常に長期化している、この実情もちょっと聞かしてもらいたいと思うのです。町の中には、台風手形だとかお産手形だとか、いろいろなことがいわれているわけですね。これも、ですから、そういう実情がどうなっているのか、また、それに対する対策ですね、そういうことはどういうふうにやっておるのか、その辺のところをひとつ説明してみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/9
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010・沖田守
○政府委員(沖田守君) 下請代金支払遅延等防止法というのがございまして、現在親企業が下請に代金を払います場合には、まず契約の際に文書を交付して、現金と手形との割合はどういう割合で払う、あるいはどういう値ぎめのしかたをするという点について、文書を交付した形で契約条件をはっきりさせるようにということがまず第一でございます。
それから、その次は、六十日以内に支払う、しかも、六十日以内に割り引きのできる手形で払う、割り引きのできる手形というのは、現在運用上百五十日以内ということで公取と中小企業庁では統一いたしておりまして、ただ、六十日以内に百五十日以内の手形ということになりますと、手形をもらったら、百五十日以内の手形は一応割り引きできる手形ということでございますので、下請業者の立場から見ますと、六十日以内には代金が割り引いて入手できる、こういうふうな考え方でございます。現実には百五十日をこえる手形もございますし、全般を百五十日に皆そろえてしまいますと、今度は一般よりもまた長くなるものもございますので、たとえば機械金属関係におきましては百二十日ぐらいが標準手形ということで、標準手形サイトという形で、業種ごとになるべくそういう標準手形サイト、すなわち、違法すれすれの百五十日にならないようにという指導も同時にあわせていたしております。ただ、問題は、現実にそういうのをもぐった手形が横行しておるのではないかという点につきましては、公正取引委員会並びに中小企業庁といたしましては、出先の通産局を通じまして、立ち入り検査、あるいは報告の聴取というふうな形で、極力現在そういう違法な下請に対する支払いが行なわれないように注意をいたしておる段階でございます。現実をまだ十分だとは思っておりませんので、その点、機会あるごとに、趣旨を大企業関係にも徹底するように努力いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/10
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011・中尾辰義
○中尾辰義君 それじゃ中小企業対策の問題は非常に長くなりますから、法案のほうに入りますが、今度のこの二つの法案の提案理由として「金融の効率化」といことばが使われておるんですが、この「効率化」というのはどういうことを意味するのか。金融制度調査会は、資金使用の効果の高い部門に対し、低利の資金が供給されるよう、企業全体としての効率化をはかる必要がある、こういうふうにうたっておるわけです。これでは中小企業のための金融制度の改善というよりか、中堅企業または大規模な企業への資金の供給ということをねらいとしておると、まあこのようにも受け取れぬことはないんですね。ですから、この「効率化」の意味ですが、考えようによってはいろいろな見方があるわけですが、こういう点をひとつ明確に説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/11
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012・澄田智
○政府委員(澄田智君) 金融制度調査会から今回御審議を願っております両法案のもとになります答申が出たわけでございますが、その過程においていろいろ議論がございましたことは、昭和三十年台におきましては、何と申しましても経済の高度成長、それは企業の設備投資中心の成長ということが重点でありましたが、資金需要がきわめて高くて、そうして資金の量を調達するということが何より必要とされ、資金の質と申しますか、金利あるいは貸し出しの条件というようなものよりは、とにかく必要な資金量をまかなうということが、一言に申せば金融の使命でもあったわけでございます。ところが、四十年台に入り、わが国の成長も、高度成長というよりも、均衡のとれた安定した成長というようなことが望まれ、それには中小企業、農業、あるいは流通というような立ちおくれた面の均衡を回復するような成長ということも必要でございますし、また、金融の面で見ても、そういう方面の資金需要というものもまかなわなければなりませんし、そして望まれるような条件でそれが調達されるということが必要でございますが、また、消費というような面で、いままでよりも消費者に対する金融とか、あるいは住宅に対する金融とかいうようなものの需要も今後強まってくる、こういうようなことも予想される。そういうような条件でありますし、他方、企業の手元流動性というものも高まってきて、総体的には資金需要というもののあり方が前と変わってきておる、こういう情勢であり、さらには資本自由化等の開放体制が進むにつれて、わが国の経済も、そして金融も、そういう国際的条件に適応していくことができるようなものでなければならないというようなこともいわれるようになってきたわけであります。これらのすべての条件が非常に金融をめぐる環境として変わってまいりました。そこで、従来のような資金量を充足するだけでなくて、国民経済的に見て必要な面にできるだけ低利で、そうして安定した資金が供給されるように、金融の面においても機構の面から見ても、これに検討を加えて、そういうような金融機関のあり方、仕組みというものを考え、そうしてその金融機関の体質というものもそういうように持っていかなければならない、こういうような考え方に立ちまして、経済社会発展計画において日本経済の効率化ということがいわれておりますが、一つの重要な課題とされておりますが、そのためには金融が効率化されるということが最も必要である。効率化して、ただいまもお話のありましたように、必要な資金が必要なところに最も低利で安定的に供給されるような金融の仕組みと体質をつくる、こういうことが必要であるというような、そういう考え方でございます。そしてその効率化を達成するための手段としては、やはり適正な競争原理が金融機関の間に行き渡る、そうして競争を通じて体質を強化し、その資金コストを引き下げる、そういうようなふうに持っていくということが必要である、こういうふうな考え方に立ったわけであります。効率化ということは、結局かいつまんで申し上げればそういったことになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/12
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013・中尾辰義
○中尾辰義君 ですから、この効率化という点につきましていろいろな反対側の意見もあるわけですね、この法案に対するところの反対の意見もある。これは効率化ということが非常に問題になっている。効率化というのは、結局いまおっしゃったように、金融機関の仕組みと体質を改善してやっていく、それならば金融機関の効率化じゃないか。借りるほうの側から考えてみますと、結局だんだん選別融資等も強化されて、借りるほうが窮屈になる場合もあるのじゃないか。合併するものは合併をするだろうし、また、弱体な金融機関はこれは淘汰されていくのじゃないか。そうすると、借りる側から見た場合に、かえって金融が窮屈になるのじゃないだろうか、こういう考え方もあるわけで、だからこの効率化ということが問題になっている。いまの説明だけではちょっと納得できぬのですが、金融機関の体質改善のために今度の法案を出したような感じもするし、その辺のところをもう少し詳しくひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/13
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014・澄田智
○政府委員(澄田智君) 今回の法案のねらいといたしますところは、金融の効率化をはかると同時に、中小企業金融の円滑化をはかる、両方の目的を掲げているわけでございます。そうしていまの効率化と中小企業金融というもの、借り手の立場における中小企業金融というものとどういう関係に立つかというような問題になると思いますが、今回の法律案におきまして、たとえば相互銀行で申しますと、相互銀行は、特に法律上は中小企業金融というものを担当するというようなことが従来の法律においては明らかにされておりませんでした。これは無尽会社というものから今日の相互銀行になったわけでありますが、無尽は相互掛け金というものを本来の仕事としておりました。その範囲において、当然に中小企業というようなものがその対象であったわけでありますが、ところが、最近におきましては相互掛け金というものの比重がきわめて低いものになりまして、一般の預金、貸し出しというものが中心になってまいる。そういうふうなところで、今回の改正におきまして、相互銀行のそういう変化に対応いたしまして、相互銀行の業務をはっきり中小企業金融というものに専念させて、そういうものを義務づけるというような規定を置いて、その趣旨をはっきりさせております。そうして中小企業というものも成長をしてまいっておりますので、そういう実情に合わせまして、相互銀行、信用金庫、信用組合というものを、それぞれ対象の中小企業の範囲において若干の差を認めつつ、しかし、小さいところ、零細なところについては全部が対象として業務を営む、こういうことで、そこにそれぞれの特色を認めつつ、お互いにダブらせて中小企業金融を行なうような体制にしたわけであります。さらに異種金融機関の合併、転換というような道も開くことになりました。これは、金融機関は相互の適正な競争をしていくための環境をこれによって整備するということであります。いたずらに弱小の金融機関の数が多いということは、必ずしも借り手の立場としても、これがいいかというと、それは決してそうではないということで、適当な規模に金融機関がなって、そうして相互に適正な競争を営む、そうして体質がそれにふさわしい体質になるということになれば、より低利で、より安定した資金を中小企業に供給できる、こういうようなことになると考えます。また、そういうふうに体質が強化されることによって資金の供給力も増すわけであります。より中小企業金融に回る資金の量も拡充される、こういうところがあるわけでございます。
以上申し上げましたようなことで、金融の体質を強化する、効率化をはかるということは、即、借り手のほうの立場からいっても、中小企業金融について十分その利益を享受し得るような、そういうような中小企業金融というものが営まれるような体質になっていく、こういうことだろうと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/14
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015・中尾辰義
○中尾辰義君 それでは、今度の法案に基づきまして、相互銀行、信用金庫並びに信用協同組合が改善をされていくわけですが、これは一つずつどういうところがどういうふうに改善をされていくのか、それをひとつ説明してください。まず相互銀行から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/15
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016・澄田智
○政府委員(澄田智君) 相互銀行につきましては、現在の法律では、これは「国民大衆のため」という規定が目的としてあるだけでございまして、中小企業に専念するというような法律上の義務ないし保証というものはないわけでございますが、今回、資本金二億円以下または従業員三百人以下という範囲の中小企業というものに対する融資、それを目的とするということにはっきり法律上明示いたして、中小企業金融専門機関としての位置づけをはっきりいたしました。これは融資の対象でございますが、さらに一件当たり融資限度につきましても、資本金二億円まで及び相互銀行の自己資金の一〇%、いずれかというような限度を設けまして、そういった資金が中小企業に広く供給される、そういう仕組みにいたしているわけでございます。さらに最低資本金、従来はその地域によって、六大都市が三千万、それ以外は二千万ということでございましたが、それはこの法律ができました昭和二十六年のときにきめたままでございます。その後、相互銀行の資金量というものも、当時に比べますと二十倍になっております。そこで、最低資本金というものを当時の十倍に引き上げまして、三億円または二億円ということにいたしたわけでございます。この資本金というのは、中小企業金融というものを安定的に、効率的に営んでいくための最低の規模であろうと、かように考えてそういうふうな最低資本金の引き上げというようなこともいたしまして体質の強化というものをはかっておる次第でございます。そのほかいろいろのこまかい点ございますが、大きな点をあげればそういったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/16
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017・中尾辰義
○中尾辰義君 大体中小企業の概念ですがね、これはどうも各法律によって多少違った面があるのですが、たとえば中小企業基本法では従業員は三百人以下、それから資本金五千万以下になっているでしょう。そうすると、このいまの相互銀行によれば、いまおっしゃった資本金二億円以下、従業員三百人以下と、こうなっていますね。それから、次の信用金庫、信用組合これによりますと、また資本金が一億円以下、さらに五千万以下、こうなっておる。この辺はなぜこういうふうに相違があるのか、その辺をひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/17
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018・澄田智
○政府委員(澄田智君) その点は、今回の法案の考え方、さらに基礎は金融制度調査会の答申の考え方でございますが、先ほど申しましたように、中小企業もこの間ずっと成長をしてきておるということもございますので、中小企業の範囲につきまして、まず信用協同組合につきましては、これは相互協同組織といたしまして、最も零細な中小企業を中心とするようなところで、基本法と同じ五千万円以下または三百人以下と、かように考えたわけでありますが、信用金庫につきましては、これはもう少し中小企業が成長し、資本金も逐次増加をしておるという現状を考えまして、もう少し範囲を広げるということで一億円という範囲をとったわけでございますが、その一億円という概念は、たとえば税法におきまして法人税法の税率をきめておりますところで、一億円以下の法人については、これは小規模法人として別な税率を適用しておる。また、特別償却の対象企業というような場合の租税特別措置法の規定でも、一億円以下というものについて一つの基準を置いている。かように、必ずしも中小企業基本法によらず、いろいろそういうふうな考え方で、それぞれの目的に応じて規模を考えておるというところがあるわけでございます。また、証券取引所の上場基準等も、一億円以下のものは上場の対象にしないというようなことにもなっておりまして、したがって、資本調達という意味においても、一億円以下というものは、そういう点では上場というような手段がない、こういうことでありますので、一億円というのを一つの基準にいたしまして、信用金庫については一億円以下または従業員三百人以下、こういうことにし、相互銀行につきましては、さらにそれより信用金庫との関係、それから実態等を見まして、さらにそれより大きな二億円以下、かようにいたしたわけであります。従業員三百人というのは通じて同じわけでございます。これはこれからの中小企業の経営としても、人員節約的な傾向というのは当然考えられるところでありますし、これはいずれの場合にしても、またはということでありますので、どちらかの条件を満たせばいいというようなことでございますので、従業員の基準は通じて三百人と、かようにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/18
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019・中尾辰義
○中尾辰義君 それじゃ、別に中小企業基本法に基づいた中小企業でなしに、経済の実情に応じてこういうふうにきめたと、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/19
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020・澄田智
○政府委員(澄田智君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/20
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021・中尾辰義
○中尾辰義君 そうすると、融資対象の、現在相互銀行が融資をしておる実情はどうなっているのですか、実情というのは。資本金は別にわかりませんか。どの程度の資本金の会社にどのくらいの率で貸しておると、そういう点がわかったらひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/21
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022・澄田智
○政府委員(澄田智君) 手元の資料で申し上げます。これは四十二年九月末現在でございますが、資本金二千五百万以下または従業員百五十人以下、ちょうど基本法の半分のところをとりまして、これに対する相互銀行の信用供与の状況を見まするに、件数で申しますと、いま申しました二千五百万、百五十人というところが七一・七五%という状況でございます。それから、金額で申しますと六六%ということになります。さらにそれ以上五千万、三百人以下、基本法のところが件数で二七%、金額で一四%ということになります。したがいまして、両方合わせたところが基本法の中小企業の範囲でございますが、件数で九九%、それから、金額で八〇%、かような状況でございます。それから、今度は五千万以上、一億というところで、件数で〇・四七%、それから、金額で七・一四%、かような状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/22
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023・中尾辰義
○中尾辰義君 そうすると、一億円以上の融資対象の会社は非常に少ないということですね。少ないけれども、まあ今回は二億円以下にした。それから、例外として、融資量の二割以下の範囲内で消費者金融、地方団体の融資を認める、この点もひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/23
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024・澄田智
○政府委員(澄田智君) 先ほど申しましたように、現在までの相互銀行法では、融資対象について法律上制限がないわけでございます。実態はいろいろ申し上げましたようなことで、やはり中小企業中心ということで、金額で八割まで中小企業に対する融資が行なわれておるというのがいままでの状況でございます。そこで、ただ、相互銀行の融資の実態等を見てまいりますと、中小企業以外の融資を——この場合の中小企業は二億まで拡大いたしたわけでございますが、それ以外の融資というものが全然行なわれないという形にいたしますと、金融というものの性格上、かえって中小企業の金融にも円滑でない面が出てくる。たとえば関連取引先とも取引をしているということが、その取引先の中小企業の金融というものもよく内容もわかりますし、そしてその取引の流れに応じて金融ができる、こういうことになりますので、そういう関連企業、あるいは中小企業をちょっと出た中堅企業というようなところに対する融資というようなものも全然認めないということでは、これは非常にかえって拘束的な制度になってしまいますので、そのほかに地方の実情に応じまして、地方公共団体等に対する融資というものもございますので、そういうものも合わせまして二〇%の範囲内にとどめまして、八〇%はその中小企業に対する融資、そういうことで、二〇%という範囲でもってその例外を認めるということで実情に即応した運用ができるようにいたした、かような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/24
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025・中尾辰義
○中尾辰義君 地方公共団体というのは県や市や町村でしょう。それに中小企業専門の銀行が回すというのは、これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/25
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026・澄田智
○政府委員(澄田智君) そういうようなのはおかしいではないかというような御意見でございますが、これは、たとえば地方銀行が、やはり地縁のある金融機関として地方公共団体に対する融資をしておるというような面と同じような面を相互銀行も持っておることは、これは否定できないわけでございます。そうして、また、その融資をするというようなことが、逆に地方公共団体の公金預金というようなものもしてもらえるという面もあるわけでありまして、中小企業金融をあくまで主体といたすわけでございますが、その地縁的な存在でもありますので、地方公共団体を取引対象にするということは、これはいままでもやってきておることでございますけれども、今回もそれを認めてまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/26
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027・中尾辰義
○中尾辰義君 いままでもやっておったから、中小企業専門の機関として明確化していこうということですから、それをさらにまた地方団体に金を貸す、それじゃあなた答弁にならぬと思う。ちょっと私は納得いかぬと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/27
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028・澄田智
○政府委員(澄田智君) それを、先ほど申しましたように、中小企業以外の全取引を全体の二〇%以内ということに限定をいたしまして、その範囲内におきまして地元の地方公共団体との取引ということも行なうということであります。しかも、金融機関として公共団体の公金の取り扱いをしているというようなところも相当ございますし、これは金融機関の地縁性というものからいって、決して目的を大きく逸脱する、そういうことにはならないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/28
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029・中尾辰義
○中尾辰義君 それはあなた、市町村のあるところにはたいがい都市銀行があるでしょう。何も相互銀行でなくたって、都市銀行、地方銀行もあるわけであります。ことさらに中小企業専門の、あまり金もないのにそういうところへ貸すのはどうかと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/29
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030・澄田智
○政府委員(澄田智君) 都市銀行は、現在全国で、一つの都市銀行が百何十かの単位の店舗でございますので、なかなか市町村にあまねくというわけではもちろんございません。地方銀行は相当支店網を持っておるわけでございまして、地方の末端まで支店網を持っておるわけでございますが、ただ、それでありましても、所によってはないという場合もございますし、これは相互銀行、信用金庫を通じての問題でございますが、やはりその地縁、その地の状況に応じてどうしてもこういう業務を全然やらないということにいたしますと、金融機関としては、かえって円滑なる活動ができにくいという面もございます。二〇%の範囲内でと先ほど申しましたので、非常にそういうものが多いような、二〇%すれすれくらいまであるような場合を御想定になっておられるかとも思いますが、実情は、これは非常に現在におきましても割合は低いわけでございます。総貸し出しの一%にも達しておらないわけでございます。その範囲において、全然やっておらない相互銀行ももちろんあるわけでございますが、相互銀行もそういう業務ができるということにしておくほうが、やはり相互銀行の活動上必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/30
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031・中尾辰義
○中尾辰義君 じゃそれはそのくらいにしておきましょう。
次に、信用金庫は、これはどういう点が改善になるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/31
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032・澄田智
○政府委員(澄田智君) 信用金庫につきまして、融資対象、この場合は、御承知のように、信用金庫というのは会員制でございますので、融資対象というのは、原則として会員ということになりますが、会員の範囲につきましては、先ほども出ておりますように、資本金一億円または従業員三百人以下、そういうことにいたしました。従来は従業員三百人以下ということだけがきめられておりましたが、そこにつきましてはそういうふうに範囲を広げたわけでございます。さらに信用金庫の場合の問題点は、会員制度の特色というものをどういうふうに発揮させるかということでございます。とかく五十円、あるいは百円というような、ごく形式的な出資だけをして、金を借りるためだけに会員になるということで、睡眠会員とか行くえ不明の会員というものも非常に多く、金庫の運営には特に関心もないというような、そういう実情でもって、とかく金庫が理事者でかってに運営されるというような、そういう弊が指摘されておったわけでございます。そこで、一人当たりの最低の出資額というものを、六大都市においては一万円、それから、その他の地方においては五千円程度に引き上げまして、ある程度会員意識を持った会員によって運営されるということにいたしました。それと同時に、総代会の総代の選任の方法を改正いたしまして、会員の意思が反映し得るような選任方法の改正等も考えておるわけでございます。さらに最低資金を、相互銀行の場合と同様に、これを引き上げまして、これも制定当時より資金量も四十倍にもすでに大きくなっておりますので、現在の信用金庫に必要な最低限度の最低出資金というものの引き上げを行なっておるわけでございます。そのほか、その業務の対象につきまして、たとえば融資以外の業務として内国為替業務とか、あるいは有価証券の払い込み金の受け入れの業務とか、そういったような業務については、特に会員に限定するということなしに、一般のそういうこともできるようにいたしまして、金融機関としての性格をさらに拡充していくというような点もあげられるかと思いますが、おもな点をあげるとそんなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/32
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033・中尾辰義
○中尾辰義君 出資金の現在五十円とか百円とか、そういうのがありますね。ところが、今度五千円なり一万円なりに上げるわけですが、考えようによっては一種の歩積みみたいなものじゃないか、こういうような意見もあるわけですがちょっと考え方としてはおかしいかもしれませんけれども、実際の実情は会員というのは有名無実であって、金を借りに行ったときに出資金を出す、これが現実の状態でしょう。そうすれば、いま申しましたような歩積みみたいな感じがするじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/33
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034・澄田智
○政府委員(澄田智君) 今回の金融制度調査会の議論におきましても、いま御指摘のように、出資というのが、とかく金を借りるためだけの出資である、出資した人も、もう金を借りてしまうと、あとは会員であることも忘れているというような、そういうようなことが往々にしてございまして、それが会員組織としての信用金庫の経営というものをゆがめているという面は確かにあるわけでございます。そこで、今回引き上げをしたわけでございますが、それでもやはりそれは金を借りるためだけに出資をするということになって、その出資額というものが一種の歩積みのようなものではないかというようなお話でございますが、ただ、預金とこの出資というものは、これはあくまで違うのは、これは申すまでもないわけでございます。現在四十二年の十二月末の全金庫の会員の一人当たり出資の平均額というのは、これは先ほど申しましたような、睡眠会員と申しますか、ごくノミナルに出しているというだけの人の分も含めて、平均して二万七千円ということになっております。したがいまして、実際に出資しておられる人、それでほんとうに会員としての機能を営んでいるような出資者の出資額というのは相当高い。全体を平均をして、五十円、百円という出資の分を平均して二万七千円ということでございますから、かなり高いわけでございます。まあ最低限度一万円、五千円というようなものは、会員制度の金庫というものを会員として使う、そうして会員として運営に参画するという以上、一万円、五千円というところは最低必要な限度ではなかろうかと、かように考えたわけでございます。金額も、いまの出資の状況の平均としては低いあれでございますし、特にこれによって、何と申しますか、出資を一方で取られて、実質的に歩積み的な負担が増加するというような額でもない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/34
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035・中尾辰義
○中尾辰義君 それじゃ、今度は幾らか金を借りて、返済をした場合には、その出資金はどうなるのか、返してくれるのか、それとも、その権利を譲ることができるのか、その辺の実情はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/35
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036・澄田智
○政府委員(澄田智君) まあ一度金を借りて、もうそれであとはどうでもよいというような、また、あとは全然金庫とは関係ないというような場合は、これは普通の中小企業の金融という場合ではあまり考えられない話で、それからあともずっとめんどうをみてもらうと、こういうようなことになるわけでございますので、出資というのは、もちろん出資をすれば、あとずっと会員として続くわけでございます。会員を脱退するという場合には、自分の出資を譲って脱退をするという道はもちろんあるわけでございますが、さらに今回会員のこうやって最低出資金を引き上げますと同時に、いまお話のような場合に当たる小口に一回限り借りるというような場合もあるわけでございますので、そういう場合には小口の員外貸し出しという制度を今度新たに認めまして、現在三十万円という限度を考えておりますが、その三十万円以下のような小口の借り入れのような場合には、会員になるような資格のあるような中小企業者であるならば、中小企業者の定義に入るような人であるならば、会員にならない場合でも小口の員外貸し出しという制度を受けられる、こういう人は一回で済むのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/36
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037・中尾辰義
○中尾辰義君 私の聞いているのは小口融資を聞いているのじゃないから、いわば幾ら金を借りるために出資金は一万円したと、今度はそのお金を返して、どっかいなかのほうへ行くと、そういった場合に、その出資金はどうなるのかと私聞いている。人に権利を譲渡できるのか、それとも、それの出資金を返してもらえるのか、その辺のところを聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/37
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038・澄田智
○政府委員(澄田智君) 御質問の趣旨を間違えまして失礼いたしました。そういう場合は、自分の出資を譲渡いたしまして、そうして、そうすれば当然出資金は返ってくるわけでございますが、そういう形で出資金を回収するというのが通常の道でございます。それはできます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/38
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039・中尾辰義
○中尾辰義君 じゃ、ほかに譲渡する先がない場合は銀行にするわけですか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/39
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040・澄田智
○政府委員(澄田智君) そういうような場合には金庫にこれを引き取らせるということもできることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/40
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041・中尾辰義
○中尾辰義君 それでは、いまおっしゃった「その他の会員以外の者に対する融資は政令事項で卒業生金融と小口員外貸し出しとが予定されている」と出ておりますが、この点についてひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/41
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042・澄田智
○政府委員(澄田智君) ただいま少し先回りをして御説明をしてしまいました。
小口員外貸し出しでございますが、これは一人当たりの最低出資額を引き上げまして、その反面、非常に小口の貸し出しを受けるために一々一万円あるいは五千円という出資をするというのは、これはいかがかということで、小口員外貸し出しという場合は、これは会員となる資格のある者については、かりに出資をしないでも三十万円以下というような小口の貸し出しは受けられる、これが小口員外貸し出しでございます。
それから、卒業生金融でございますが、これは中小企業が成長をして、信用金庫の融資対象の範囲をさらに越えて成長したというような場合に、直ちにその会員でなくなるからもう取引ができないということになりますと、その中小企業であったものはまだ新しい金融機関との関係もできていないというようなことで、それでは困るというような場合を考えまして、卒業生金融として、過去一定期間信用金庫で取引しておったものは、卒業しても一定期間は引き続いて、会員ではこの場合はないのでございますが、融資を受けられるというのが卒業生金融でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/42
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043・中尾辰義
○中尾辰義君 それから、政府の金融三機関に対して衆議院のほうで附帯決議が出ておりますね。それは「代理業務の範囲の拡大をはかり経営の安定に資すること。」と、「中小企業金融専門機関の指導と育成にあたっては……配慮すべきである。」と、こういうように附帯決議が出ましたね。それで、この代理貸しの件ですが、政府金融機関の現在代理貸しが相当あるわけですが、代理貸しをすれば出先がかなり広範囲に広がって、金を借りる側から見れば便利な面もある。しかし、一面、こういう声もあるのですね。直貸しのほうがいいのじゃないかと、代理貸しすれば、どうしてもそこの銀行と取引のある者に情として貸す傾向がある、銀行に取引がなければなかなか借りられぬと、こういうような声も耳にしているわけですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/43
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044・澄田智
○政府委員(澄田智君) 代理貸しにつきましては、これは当然政府金融機関の政策目的に応じてその代理貸しとしての業務が営まれる。その場合に、いまお話のように、取引先について特に優遇するというようなことが目立って行なわれるというようなことは、もちろんこれは遺憾なことでございますし、その代理貸しは、全国の各地で、政府金融機関の融資がその地元でもって便宜に受けられるというような長所を見て拡充をしてきているわけでございますが、それはあくまで政策的な目的に即応するような形で営まれなければならないわけでございます。この点につきましては、各政府金融機関とも、専門のその代理貸しの指導のための部や課を設けまして、日ごろから代理店の業務の運営の指導に当たってきておりますが、今後も十分政府金融機関がそういう場合の代理貸しというものが適正に行なわれるように、各機関が十分これをよく監視をしていくということについて、これを徹底さしていくということは必要であろうと思うのでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/44
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045・中尾辰義
○中尾辰義君 たとえば中小企業金融公庫にしろ、国民金融公庫にしても、その代理貸しがある銀行から行なわれている。そうした場合に、融資を受けました会社が倒産をしたとか、そういう場合ですね、その銀行は債務に対して負担があるわけでしょう、その銀行がですね。その辺のところはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/45
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046・澄田智
○政府委員(澄田智君) これは各機関によって違っておりますが、国民金融公庫の場合は、その代理貸しを営んでおります金融機関の負担、それに対してそれが焦げついたような場合の負担割合は、これは代理貸しをする場合は保証債務を負うわけでございますが、その保証限度五〇%ということになる。それから中小公庫の場合は八割ということになっております。商中の場合は十割でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/46
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047・中尾辰義
○中尾辰義君 そうした場合に、貸し出しだけが焦げついた場合は、代理貸しをやっている銀行は八割ないし五割を負担するわけですね。そういうところから、むしろ市民の声としては、代理貸しにしてもらうより直貸しのほうが非常に都合がいい。ですから、直貸しのほうをもっとふやしてくれないか、こういう声は相当あるように私は思う。こういう点はなかなか費用の面もあるでしょうけれども、将来の方向としては、現状のままいくのか、多少なり直貸しの機関をふやしていくのか、この辺はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/47
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048・澄田智
○政府委員(澄田智君) これは各政府関係の金融機関の行なう融資の性格にもよることでございます。特定の政策目的をはっきりしぼっているようなもの、たとえば中小公庫の例等で見ましても特定機械に対する貸し出しというようなもの、そういったようなものは、これは事柄の性質上、直貸しで行なうというような、そうしてその特定の目的に沿っているかどうかという審査を十分するという必要がありますので直貸しで行なうということであります。こういうものは今後ともふえてまいるのではないか、かように思うわけでございます。そのほか、あとは大口なものとか、いろいろそこは目的により、政策によって考えられることでございますが、広く一般に資金を供給するという性格の強い面につきましては、何と申しましても、政府金融機関の出先というものは非常に限られておりますし、全国で簡便に融資を受けられるというような意味からいえば代理貸しというものをどうしても活用せざるを得ない、こういうこともございますので、まあこれは政府金融機関の今後の業務と相まって考えていかなければならない問題で、直貸しをふやすとか代理貸しをふやすとかというように一がいに申し上げかねる面があるわけでございます。なお、よく今後とも政府金融機関の融資の内容の実態に即応してきめていくべきであると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/48
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049・中尾辰義
○中尾辰義君 私は、やはりこれはもう直貸しのほうをふやしたほうが、民間に代理をさせるよりか、政府の三金融機関を設立した趣旨に合うのじゃないかと思うのですがね。どうしても民間の金融機関の代理貸しでありますと、いま申し上げましたように、焦げつきについてはその銀行が五割ないし八割負担をしなければならない、こうなれば、どうしてもそこに選別融資というふうになっていくのじゃないか、したがって、調査も非常に長くかかるし、だから代理貸しはあまり感心しない、こういう声が相当あるのですよ。どうしてもその銀行に融資権限がもう左右されてしまうのですね。それよりも、じかに国民金融公庫なりに行ったほうがいい、これは相当私は耳にしているのですね。ですから私は聞いているのですよ。直貸しを今後どういうふうにするのか、この辺でとめておくのか、あるいは民間の代理貸しを利用したほうが便利であると、それは便利は便利でしょう、また、範囲もかなり広範囲にできることはわかっているが、そういう点をもう少しよく指導してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/49
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050・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) いま中尾先生おっしゃるとおりに、代理貸しよりは直接のほうがよい、こういうことはわれわれも考えておるのでございます。御承知のとおりに、金融引き締めで、そのしわ寄せが中小企業者にいってはいけない、こういうことで、政府といたしましても、政府三機関の規模を本年度は七千五百九十六億円とし、前年度に比しては千二百十一億という融資をよけいにして、そうして中小企業に金詰まりのないようにこういうふうにしておるので、三機関に聞いてみても、上のほうではなかなかめんどうをみるとおっしゃるが、いま実際に下にいくとあなたが言われるような傾向が私もあると思うのです。そういう点については、いろいろ経費の関係もありますが、いまあなたが言われるように、代理貸しを少なくして直接にやっていく、こういうふうに私もやりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/50
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051・中尾辰義
○中尾辰義君 ついでに聞いておきますけれども、信用保証制度の問題ですけれども、信用保証協会というのは各県にありますが、これは各県に一つあるところもあれば、二つあるところもありますね。この辺はどうなっているんですか。たとえば県に一つ、そこの県の中心都市に一つと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/51
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052・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) それは制度上から申しますと、県に一つでなければならぬ、こういうわけではないのですが、大体各県に、あなた言われるように、中心都市に一つ、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/52
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053・中尾辰義
○中尾辰義君 それじゃ二つあるところはどことどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/53
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054・澄田智
○政府委員(澄田智君) 大阪府と、大阪以外の二つあるところを申し上げますと、岐阜がやはりございます。それから名古屋、横浜、川崎というところにそれぞれ市の単位にございます。そこが複数の信用保証協会でございます。あとは一県に一つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/54
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055・中尾辰義
○中尾辰義君 市に一つほしいと、こういう要望がかなりあるんでしょうが、そういうような要望が出ておるところはわかりませんか。私は京都におるんですが、京都府なんか京都に一カ所あるんですが、どうしても市にもう一つつくってほしいと、こういうような声が圧倒的なんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/55
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056・澄田智
○政府委員(澄田智君) 各地でいろいろな御要望があるのかもしれませんが、まだまとまって、そうして別につくりたい、こういうような形になってはっきり出てきておるというものは、いま私ども承知をいたしておらないのでございます。いま京都のお話がございましたが、地元のいろいろお話があるケースはあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/56
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057・中尾辰義
○中尾辰義君 それは融資量の割り当て限度の問題から出てきておるんじゃないかと思いますが、これはひとつ再検討をお願いしたいと思います。
それから、次に、答申に、預金者保護のため、預金保険制度について答申があるわけですが、これはどのような構想のものであるのか、また、これを実施する考えがあるのかどうか、この辺のところをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/57
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058・澄田智
○政府委員(澄田智君) 預金保険制度につきましては、答申において、引き続いて金融制度調査会で検討をする、こういうことになっております。現在、中小企業専門金融機関のあり方の答申に引き続きまして、一般民間金融機関の特別委員会というのを設けまして検討をしておるわけでございますが、その検討の課題の中にも預金保険というのが入っておりまして、今後検討をいたしてまいるわけでございます。考え方は、その金融機関が今後ますますいろいろまあ競争原理を導入するというようなこと、これは今後そういう方向が強まっていくにつれまして、預金者保護というものと金融機関の保護というものは、これはある程度はっきり分けて考える必要があるというような考え方に基づくものでございますが、構想につきましては、今後、金融制度調査会で十分検討していかなければならない、そういう問題でございます。外国の例といたしましては、アメリカが一九三三年からございますが、最近にはカナダがこれを設けております。アメリカの場合、カナダの場合、それぞれ若干内容が違いますが、いずれも政府も出資をして、そうして一つの機関をつくりまして、それによって一定額以上の預金を保険をする、金融機関の強制加入でもってその金融機関が預金量等に応じて保険料を払いまして、それによって保険機能を営む、かような仕組みに外国の例はなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/58
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059・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それじゃ、大臣が来てから質問しようと思ったのですが、その前に事務当局に一応伺っておきたいと思うのですが、この法律は、この提案の趣旨にも明らかになっていますように、一つは、相互銀行、信用金庫、それから信用協同組合、これを金融機関法上の専門的な中小企業の金融機関に変えて、そうして中小企業金融の円滑化と効率化をはかるということが目的のようです。これは金融制度調査会の答申にもそうなっていますし、その答申を受けてこの改正を行なったと、こういうふうに説明されています。
もう一つは、これと同時に、金融機関の転換と合併の法律を出されているわけです。そこで、中小企業対策というのは、何も金融面だけではないわけですけれども、最近では中小企業の倒産が非常にひどくなって多くなってきているといわれています。こうした改正は、金融の側面から中小企業の経営の安定とか育成をはかろうというわけでしょう。そこで、一方では金融引き締めによって中小企業の倒産がどんどん出ている、そしていまこうやって法律を審議している間にも倒産している会社があるかもしれません。どの程度この法律の改正によって中小企業の安定と育成に資することができると考えているのか。まずこれは銀行局長と、それから中小企業庁から見えておりますから、両方から聞きたいのです。どの程度の効果を期待しているのか、まずその点から聞きたい。事務当局としてはそういうことも大体頭に置いて作業されたと思うので、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/59
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060・澄田智
○政府委員(澄田智君) この法律の目的とする中小企業の金融の円滑化をはかる、それには中小企業の専門金融機関というものの中小企業専門制ということを法律上はっきり命じまして、そして、さらに中小企業の成長というようなものも考えまして、相互銀行、信用金庫、信用協同組合、それぞれにその業態の差異に応じて業務の範囲を若干拡大をして、しかし、中小企業基本法の中小企業には、いずれの機関も、これはダブってその業務の対象とするということで、業務の範囲を明確化すると同時に、その間にお互いに適正な競争を通じて金融の効率化をはかっていく、かような考え方に立っておるわけでございます。そうして、さらに合併、転換というようなことによって適正な競争ができるような環境を整備すると、かような考えでございます。どの程度これによって中小企業金融というものが円滑化されるか、拡充されるかという点でございますが、やはり中小企業専門金融機関も、すでに現在の制度ができましてから十数年たって、内容も非常に変わってきておりますので、その内容の実態に合うようにその制度を整えると同時に、その体質を強化するということを通じて中小企業金融というものをより円滑に行なうようなことができるような形にしていくということでございます。したがって、こういう事柄の性質上、申すまでもなく、徐々にそういうような効果が出てくるということでございます。他方、専門機関以外の民間金融機関というものも、四十年ごろから目立って中小企業に対する融資というものを広げて、そうして得意先としてそういう方面に重点を向けているというようなことも他方にあるわけであります。そういうものと相まって、現在は引き締めの過程における現象というものは免がれがたいものもあるわけでございますが、中小企業金融というものの全体としては、徐々ではありますが、非常にその割合、全体の金融の中におけるシェア等も広がってきておりますし、今後この法律によって一そうそういう点がはっきり出てくる、かように信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/60
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061・沖田守
○政府委員(沖田守君) ただいま銀行局長からの御説明にもございましたように、今回の金融二法の成立に伴いまして、中小企業に対してどういう効果があるかという点でございますが、効果はやはり徐々に考えなくちゃいかぬと思われますので、当面の高水準の倒産対策という点から考えますと、基本的には中小企業の体質強化、構造改善対策が基本でございますし、当面の金融引き締めのしわ寄せを防ぐ対策は、そういう当面の景気循環的な問題は別途やらなければ、これが即効性を示すとは私ども考えていないわけでございます。ただ、今回の改正によりまして、相互銀行については、その業態を主として中小企業金融に定着化するように法定され、中小企業金融に専念するようになるという方向が期待されますし、さらに金融の効率化を通じて中小企業の金利負担の軽減等をはかっていく力がついていくという方向も同時に考えられ、さらに信用金庫につきましては、運営の民主化、あるいは信用協同組合につきましては、組合員のための内国為替取引その他の便宜供与、こういう面でのプラスがあると私ども考えておる次第でございまして、ただ、中小企業専門金融機関の合併、転換等によって中小企業金融がむしろおろそかになるということがないように、十分大蔵省とも協議して指導してまいれば、全体としてのプラス効果を十分長期的に生かす余地があると私どもも考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/61
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062・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ほんとですかね。これから具体的に質問してまいりますが景気変動による資金の需給関係から中小企業を圧迫するという点は別として、制度的に改善されるということがありましたが、しかし、構造的な——あとで質問いたしますが、これを大体普通銀行のほうへ同質化していって、私は、むしろ中小企業という、零細企業のほうの金融につきましては決して楽観できないと思う。むしろ逆効果があるのじゃないかという気もします。この改正のしかた自体にも問題がありますからね。これはあとで具体的に伺っていきますが、しかし、この点はいま事務当局の人に聞くのは無理かもしれませんけれども、もっと大きな、全体の総合的な政策とにらみ合わしてこの問題を考えなければならないので、中小企業対策としてのこの三つの金融機関の位置づけですか、その中でのどの程度の位置づけをするかということを考えてやらねばならぬのですけれども、しかし、それにしても、銀行局長も中小企業庁の方も、ざっくばらんにいって、これまでの中小企業金融政策から見ても、また、最近の、ことに金融引き締めが強化され、また今後もさらに強化されると思うのですよ。最近では六月危機なんてまたいわれているのですよ。そういう状況のもとで矛盾を感じないですかね。それから、片っ方で中小企業の金融の円滑化、効率化をやる。それはある程度のメリットはあるとしてもいいですよ。だが、他方でもっと大きなメリットを政府がつくり上げていく、そういうようなことになると、どの程度こういうものによって期待できるのか、そこが問題だと思うのです。ですから、もしそうでないというならば、これでなくて、これこれこういうようなこのほかに中小企業対策としてはえ考ているのであって、こういうことを総合すればこのメリットは生きてくるのですと、そういう答弁を期待していたわけですよ。しかし、また、そういうふうに考えなければいけないのであって、ただこれだけで専門化すればいいとか、そんなものじゃないと思う。しかし、専門化のしかたについても、これはそれぞれ同僚委員からもこれから具体的に質問があると思いますが、私も質問したいと思いますが、この点、これは大臣にほんとうは質問しなければ無理かもしれませんがね、その答弁は。しかし、事務当局としてもそうした問題意識でこれに取り組む必要があるのじゃないかと思いますので、将来、大臣になられると思いますから、ひとつ事務当局、大臣になったつもりでひとつ御答弁願いたいと思います。銀行局長からひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/62
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063・澄田智
○政府委員(澄田智君) ただいま御指摘をいただきましたが、確かにこの法律案は、これは中小企業金融、しかも、その中で専門金融機関のあり方はどうするかというその答申によってその内容を立法化したものでございまして、相互銀行、信用金庫、信用協同組合、この三種類の専門機関の機能をどういうふうにしてより発揮させるか、体質をどういうふうにして十分中小企業金融の目的に合うようなものにつくり上げていくかという、こういうふうなことのねらいをしておりますもので、それだけの範囲にまた限られている、こういうことになるわけでございます。現在この三機関の中小企業向けの金融の中に占める割合というのを見ましても、中小企業向けの金融全体の中のまあ四一%というようなシェアでございまして、他の五九%はそれ以外の機関によって金融が行なわれているわけでございますので、あくまでその範囲に限定された問題である。中小企業対策はもちろんのこと、金融面においてもこれだけで十分という意味ではもちろんございません。まあそういう意味で、これはこれとして十分その目的に合うように、今後の法律の運用についても、その点は特に注意をして運用してまいらなければならない、かように考えているわけでございます。中小企業対策全体としては、その全体の中に今回のこの法律改正によって専門機関というものがその機能を十分発揮すると、そしてこれが一番中小企業について身近な、常に親身になって相談のできる金融機関というような意味で、きめのこまかい中小企業金融面における指導をこれらの機関に期待をすると、かように考えるわけでございます。今後の日本経済における中小企業というものをどう持っていくかということにつきましては、これはその中のただ限られた部門でありますので、今後の経済体制の中において、構造的な中小企業の直面する問題等について各方面の施策というものが必要であろうと思うわけであります。なお、これ以外の民間の中小企業に対する金融としては、都市銀行、地方銀行、普銀信用金庫等が四九・九%、ちょうど半ばをまかなっているわけでございます。この面の中小企業金融というものが、今後とも、量、質ともに拡大されていくように、というのは、金融制度の面におきましても、目下これに引き続いて検討しております特別委員会の制度の検討というものに期待をしまして、そういった面の中小企業金融というものについても、今後とも十分その機能が発揮されるように持っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/63
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064・野上元
○野上元君 ちょっと関連して。
いま銀行局長から木村委員の質問に対して、メリットの面について、長期的な視野に立ってそれは効果が発揮されてくるだろう、こういう意見があり、中小企業庁のほうからもそういう意見があったのですが、この法案の提案されているねらいから見ますと、この法案を実施することによって良質な資金を豊富に供給できるような環境を整備していくのだ、そして中小企業を育成していくというのがねらいだと思うのです。その場合、良質で、かつ、豊富な資金という場合に、私は、異種への転換がなければ、相対的にはあるいは良質なものに質的転換ができるかもしれません。しかし、異種への転換を認めているわけでしょう、しかも、この中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案については、中小企業に対する専門金融機関であるということをはっきりさせるのだ、こう言っているわけです。ところが、もうすでに異種の転換を認めるために日本相互銀行が普銀に転換を申請されるでしょう、あるいは西日本の相互銀行がこれまた普銀に転換されるだけの実力を持っているわけですね。ということになると、いままで中小企業に対して供給されておった資金の良質な面なり、そして豊富な面が普銀のほうへみな逃げてしまうのですね。ということになると、あなたが言っておられるように、私は、中小企業に対する良質で、しかも、豊富な資金を供給するなんということはあり得ないと思うんですよ。私は、異種への転換を認めないで、いわゆる合併だけを認められるなら、資金量の総量としてこれを良質に転換することはできると思う。しかし、異種への転換を認めてしまって、しかも、第一相互だとか、あるいは西日本相互銀行ですか、こういう一番良質な資金を豊富に持っておるところが普通銀行に転換してしまって、あとは中小企業専門金融機関ですとはっきりと銘打たれてどうして中小企業の育成になるんですかね、長期的に見て。私は、こういう異種への転換を認めれば、だんだん良質に豊富に持ってきたやつは、必ず相互銀行はみんな普銀へどんどん出ていく。そのためにあなたのほうでは認可基準を設けていますね。そういうことが予想されるから現行において規制されておったんじゃないですか。それを取っぱずしてそういう認可基準を設けてそういう秩序の紊乱を防止するという行き方は、必ずしも適当ではないんではないかというふうに私は思うんです。と同時に、昭和二十七年から昭和三十八年にかけては、大体中小企業の倒産は景気の後退期に非常に著しく出ておったんですね、ふえておったんです。ところが、三十九年ぐらいから急激に中小企業の倒産がふえたわけですね。しかも、これはもう景気には関係なしに倒産がどんどんとふえておるんですね。この問題についても、ひとつ中小企業庁のほうはどういう考え方を持っておるのか、そして中小企業庁としてはこの法案にどういう考え方を持っておるのか、両者の御意見を、この際、聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/64
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065・澄田智
○政府委員(澄田智君) ただいま御指摘の異種金融機関への転換の問題でございますが、これは金融機関の実態に応じまして、そうして一番その金融機関として機能を発揮していく上で最も望ましいような種類の金融機関というものへ転換するということも法律上の道を開く、こういう趣旨でございます。相互銀行から普通銀行への転換という場合に、例をとって考えますと、なるほど相互銀行が普通銀行になりますと、それはそれだけ相互銀行が減ることになりまして、その相互銀行の資金量が減るではないかと、かような仰せでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、現在の中小企業向け貸し出しというものは、全体の貸し出しの中でこの専門機関のウエートというのが四一%である、それで、五〇%は普通銀行等によって供給をされているわけでございます。で、普通銀行は、特に四十年以降というようなものは、中小企業に対する貸し出しというものの割合を高めて、そして重点をこれに置いて、大切な取引先として育てるというような傾向が非常に顕著になってきております。その金融機関のあり方として、相互銀行であるよりは、普通銀行としてのほうがより機能を発揮し得るというようなことで転換をするというような場合でありましても、その転換した金融機関というものは、当然に中小企業に対する金融というものは特色を持った機関、新しく普銀になって、普銀としてやっていくために、相互銀行が転換した金融機関というものは、当然に中小企業というものに特色を持って、そうしてより資金量が強化された体質でもってそういった中小企業金融というものを普銀としてやっていくと、こういうことも考えられるわけでありまして、認可基準等については十分慎重に検討をする必要はございますし、法律もその点をうたっておりますが、転換をしたから、それは中小企業というものから手を切るというような趣旨では毛頭ない。むしろそういうものが転換をして、中小企業に非常に重点を置いた普銀というものができていくというのが、これからの方向の一つとしてそういうこともあるんではないか。転換には、もちろんそのほかに信用金庫が相互銀行になる転換とか、信用協同組合が信用金庫になる転換とか、体質に応じ、いろいろな転換がある、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/65
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066・野上元
○野上元君 どうも私は言いのがれのような気がしてしようがないですがね。たとえばいま私はあなたが言われた数字をはっきりと耳に聞き取れなかったのですが、中小企業に対する普銀の融資は全体の五一%を占めておると、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/66
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067・澄田智
○政府委員(澄田智君) 全体として、正確に申しますと四九・九%でございます。これは普銀だけでなくて、長期信用銀行も入っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/67
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068・野上元
○野上元君 そこで、これはいまの四九・九%の比率は、日本相互銀行、あるいは西日本相互銀行が入って、これがいわゆる中小金融機関のほうに入ってこれだけの比率を持っておったわけですね。本来ならば、もっともっと中小企業専門機関の比率が高くなければならぬと思うのですね。普銀の融資は半分以上にもなるというようなことは、中小企業の専門機関の活躍がやっぱり力がなさ過ぎると思う。それがますます今後は逆転しますよ、これ。これは普銀の融資のほうがあるいは五十数%になるでしょうね、あるいは六〇%になるかもしれませんね、そういうことが予見できるわけです。これは、はたしてそういうことがこの法案の趣旨に沿うかどうかということになると、私はどうも逆効果のような気がするのですね。そして良質のものがとにかく普銀へ逃げていく、そして比較的良質でないものが中小専門機関として残っていくというこの法の改正のやり方は、この答申の趣旨にももとるし、あなた方の考え方にも矛盾があるような気がするのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/68
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069・澄田智
○政府委員(澄田智君) 今回のこの法律改正で、相互銀行に初めて中小企業専門金融機関——中小企業というものに融資することを義務づけるという形の専門機関になります。従来の相互銀行は、そういうふうに特に法律上義務づけられておりませんでした。実態は中小企業を中心として融資をしておったことは事実でございますが、今回初めてそういうふうにはっきり義務づけたわけでございます。ただ、中小企業向けの金融というものは、これはこれら専門機関だけでもちろんまかなうものでなく、むしろ専門機関以外の領域が大きいところを先ほど申し上げたのでございますが、それが全体として中小企業金融として営まれる、そして今後ともますます中小企業の金融というものが拡充されて強化され、そしてそれで中小企業の成長ということがはかられて、均衡の取れた経済成長というものが実現する、かように思うわけでございます。そのためには、専門機関はもちろん専門機関として独自の存在を続けていくわけでございますが、普通銀行等の機関も中小企業金融というのに重点を置いてやっていく。これからそのほかに消費者の金融というものもウエートを増してまいるでありましょうし、従来のような普通銀行が大企業の金融機関であるというような形では当然なくなってくる。これは資金需給の関係からいってもそういうふうになってまいるわけでございます。そういう面から見ました場合に、金融機関の最も実情なり体質なりに応じた種別の金融機関としてこれが育っていくということの道を開いていくというやり方、合併及び転換の場合の考え方でございまして、そういうようなことで金融全体が最も効率よく営まれるような金融機関の種類なりあり方なりというものになって、そしてその全体から中小企業に向けられる資金の量というものが多くなり、豊富になる、質のいいものになるという、こういうことが中小企業金融としても最もいい道ではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/69
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070・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ただいまの問題については、またあとで具体的に質問したいと思います。
大蔵大臣も見えていますから、まず基本的な問題として二つ大蔵大臣に伺いたいのですが、その一つは、この中小企業について、金融面から、特に中小企業専門の金融機関ですね、これについて、これもまあ法律改正して中小企業金融を円滑化する、あるいは効率化するというねらいですけれども、しかし、他方において、大蔵大臣御承知のとおり、金融引き締めによって中小企業の倒産が、ことに零細企業の倒産が激増しているわけですね。御承知のように、最近では六月危機ともいわれていますね。そこで、政府の今後の金融政策と、それから中小企業への影響につきまして伺いたいのですよ。どうもいろいろな情勢から考えて、私は金融引き締めがもっと強化されるんではないか。まあアメリカのドル防衛政策も問題になると思うんですが、連銀あたりがまた金融を引き締めるとか、あるいは公定歩合を上げるとか、あるいは公定歩合を上げなくても、そのほかの金利を上げるというような場合ですね、その影響もありましょうし、それから、国際収支改善対策として、四十三年度予算はまあ抑制型の予算を組んだと言うが、抑制型になっていないですね、四十二年度の繰り延べがありますから。そこで、金融面から特に引き締めを強化している点があるんじゃないか。それが公債発行の段階に入ってから資金の流れが違ってきて、大企業は金融引き締めによってもちろん影響受けますけれども、昔ほど影響受けない。零細中小企業はものすごく金融引き締めの影響を受ける。そういうことから、今後私は、私だけでなく、一般財界人もそういう意見を述べておりますが、かなり深刻な金融的デフレが起こり、中小企業、零細企業の倒産がもっとふえる。片方でこういう法律を実はつくることも、これはまたその内容にも問題がありますけれども、いま問題になって議論になっていますように、逆にマイナス効果があると、私もそう思うんですけれども、まあそれは制度的な改正、改善とは言えない。制度的な改正はさることながら、政府の金融政策として、その中小企業に対してどういう今後政策をとっていかれるのか、その点をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/70
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071・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 中小企業に対する金融政策としては、私はいままでは非常によくやってきたんじゃないかというふうに考えております。と申しますのは、引き締め政策をやりましても、いまおっしゃられましたように、公債発行ということをしなかった前の引き締め政策と比較して、今度違うところは、大企業にすぐに政策は響かないということでございます。ですから、金融政策だけでいま考えているような国際収支の問題ということを解決するためにやろうとしますというと、どうしてもこれは中小企業に先に響いてきて、そちらに全部犠牲を負わせてしまうということになりますので、これをそう中小企業に犠牲を負わせないように引き締めをどうするかということが政府としては一番配慮してきたところでございますが、これはもう御承知のように、最初、財政政策として三千億円の繰り延べをやったときに、まず繰り延べの対象となっている、たとえば政府の中小企業三金融機関が貸しておるもので、こういう対象機関になっておるものはこれを除くというようなことで、そこに例外な扱いをいたしましたり、また、一般の大企業方面へのいろいろな貸し出しの規制はやりましても、年末を中心にして、中小企業方面へは融資のワクを広げるという措置をやってきました。政府機関においても、下期は千億円以上、千六十億円の増額をいたしますし、また、市中の一般金融機関にも一兆円以上の貸し出し目標を広げることをやりましたし、そういう形で、金融引き締めとはいいますが、中小企業に対しては、むしろ金融の拡大というようなことをやってまいりましたので、いろいろ金融政策の効果がすぐ出ないとか何とかいわれておりましたが、これは効果を出そうというようなことを考えたら、これは中小企業がたいへんになるといいまして、私どもは、かりに効果がおそく香るにしても、中小企業に犠牲を負わせないようにということを中心にやってまいりました。また、一−三月の揚げ超期につきましては同様の考慮をいたしましたし、今度これを無事に切り抜けて、あとは四月−六月の期間が中小企業にとっては一番むずかしい時期だということもいわれておりますので、そこで、まず、本年度の政府関係機関の貸し出しワクというものを相当大幅に広げて、そうして、しかも、上半期に昨年に比べて二七%も資金を昨年に比べて増額になるようにするというふうな配慮をやってきましたので、いままでのところは、今度の引き締め政策によって中小企業への犠牲というものはあまり強く負わせないで済んできているというふうに私は考えております。で、倒産がずいぶんございましたが、この倒産についてのいろいろな各金融機関の調査を見ましても、先ほどお話がありましたように、不景気のときも倒産件数が多いかわりに、また、好景気になっても倒産件数が多いということで、これは結局景気不景気とは無関係な、やはりいまの日本の経済の二重構造の解消過程という、この一つの過程的な現象としていまの中小企業の倒産を把握するよりほかしかたないと思います。したがって、この原因はほかの点にいままであって、金融のために直接倒産を来たしたというような例がいままでのところはわりあいに少ないというこの調査の結果にもなっておりますが、ようやく全般的に金融引き締め政策というものが浸透してまいりましたので、今後この金融面による倒産、これが原因になった倒産というものが今後どういうふうにあらわれてくるか、このことは非常に心配でございますので、私どもは、そういう意味で四−六月の中小企業金融については、特に注意してこれから対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/71
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072・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そこを問題にしているのです。大蔵大臣は、いままでは金融引き締めによる中小企業の倒産は深刻でなかった、こう言われた。それは私も認めるのです。それだから金融引き締め政策が景気政策として浸透しなかった、効を奏しなかった。それから、四十二年度に国際収支改善のために繰り延べをやりましたけれども、それも実際は実際の繰り延べ額をそう多く上回っていないのであって、だから繰り延べも、それから金融引き締め、金利引き上げも浸透しなかったから国際収支が改善されなかった。それで、国際収支が基礎収支で十億三千万ドルぐらいですか、大幅な赤字になったでしょう。それは金融政策が、あるいは財政政策、ミックスポリシーといいましたが、それが国際収支改善対策としては効果がなかったということですね、私はそう思うのです。それだから、今度四十三年度になってから、いま大蔵大臣が言われたように、これからが問題である、そこを私は問題にしている。ところが、これからは、財政の面では抑制型の予算ではないでしょう。それから、今度はアメリカのドル防衛政策によってアメリカの金利は引き上げられました。国際的な金利高になる、そういう対外的な影響もあります。それから、ドル防衛協力としてアメリカからもいろいろまた要請される、あるいはは、また、課徴金の問題等もあって、とても日本の輸出は一五・二%なんてそんなにふえっこない。百二十一億五千万ドルはとてもね。そうすると、これから金融面について相当デフレ政策をとらざるを得ない、そこを心配するわけです。だから、こういう制度的な改正もさることながら、これから大蔵大臣はむずかしいと言われましたが、そこなんですよ。これからどうされるのか。私の見通しでは、またかなり長期にわたってデフレ政策をとらなければ、国際収支の三億五千万ドルの赤字にとどまることはできない。相当私はきびしいと思うのです。ですから、そこで、そのときにこういう制度の改正もさることながら、かなり強い金融引き締め政策をやって、それが今度は国債発行の段階になって、大企業よりも中小企業、零細企業のほうに影響があって深刻になってきているのですから、これから私はたいへんになるのじゃないか。その点についてどういうふうに処理されようとするのか。私は、制度の改正もさることながら、この点は非常に今後中小企業、零細企業にとっては重大であると思うのです。そのときに、繰り延べ分をこれは解除して、じゃ財政面からもっと緩和するのか、あるいは国際収支の赤字が少し多くなっても緩和政策をとるのか、そういう政策の選択の問題が出てくるわけです。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/72
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073・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、いままでとった措置が効果がなかったというふうには全然考えません。もし効果を早く出すことをかりにあせるとしましたら、昨年、米の買い上げ代金があれだけ多く出ているというときには、それを考慮して、もっと金融の大きい引き締めをやるとかいって、もう中小企業にストレートに影響のあるような金融措置も、とろうと思えばとれることでございますが、そういうことをやって効果を早めることのほうがこれは弊害が大きいので、効果が若干おそくても、中小企業にその間犠牲を払わせないという政策の考慮のほうが重要だと思いましたので、そういう急激な措置をとらないで今日までやってきましたが、これは無効果じゃなくて、ようやく六カ月、七カ月たつときにこの効果がいまあらわれてきておる、私はいまその段階だというふうに思っております。ですから、たとえば日銀券を見ましても、昨年一七・五%、最高はそのくらいの比率の発行になったのも、今回は前年に比べてみまして一五%台に落ちつくというふうに、すでにそういう点にもいろいろいままでの引き締めの措置が金融情勢の中にあらわれてきておりますし、貿易収支を見ましても、明らかに好転はしてきております。また、卸売り物価そのほかの点を見ましても、この引き締めの効果というものはいま出てきているときでございますので、これから中小企業に対しても引き締めの効果がもう少し強く出てきはせんか、これを心配しているということでございまして、いままで効果がなかったから、これから新しい金融引き締めの別個の措置をとるというふうなことは考えておりませんので、したがって、従来効果がなかったので、今後政府はどんな措置をとるかということではございません。従来の効果がいま出かかっているときでございますから、この情勢を十分見て慎重に対処したい、また、そうすべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/73
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074・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いまの問題につきましてはこれは議論になってきますが、もう一つだけ伺っておきますが、大蔵大臣は、いままでの金融引き締め、昨年の九月の日銀の一厘の公定歩合の引き上げ、それから今年一月六日ですか、もう一厘上げましたね。その日銀の公定歩合二回の引き上げを中心とする窓口規制の強化、そういうものがようやくいまさいてきだ、こういう御説明ですね。しかし、そのほかに、私は最近のアメリカのいわゆるドル防衛政策ですね、かなりこれはきびしいのじゃないか。増税でしょう、それから歳出の削減ですね、課徴金の問題もわかりませんね、まだこれはやらないとも限らない。それから、連銀が一厘上げましたね、この間。いま五分五厘ですね。そうなると、引き締めがきいてきたのに、やはりプラスアルファの引き締めをやらないと、国際収支の政府の目標とする三億五千万ドルですか、赤字がとどまらない、もっと私は赤字が多くなるのじゃないか。だから、三億五千万ドルにとどめるには、また金融引き締めで、だから中小企業、零細企業にしわ寄せしていかざるを得ないのじゃないか。その点はどうですか。やはりいままでの引き締め政策がいまきいてきているのだから、それ以上にやらないで、ただこの浸透を見守っているというにすぎないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/74
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075・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) まあ英米がああいう金融政策、財政政策をとっているのですから、この影響というものは当然世界経済にもあらわれてまいりますし、これは日本経済にも影響してくることは予想されるところでございますので、私どもは、いま今年度は上期よりも下期の国際情勢、経済情勢というものを非常に心配して見ておるのでございますが、これについてはまだ意見がいろいろございまして、財政政策というものの効果というものは、やっぱり日本においてもそうでありましたように、米国においても、これから経費の削減、増税の措置がとられても、これが経済に一つの大きい影響となってくるのは何カ月先になるかというような、この時期の問題を考えますとなかなか意見がたくさんございまして、このときが一番日本経済に影響する時期だというようなことをまだ断定できませんが、いずれにしましても、来年度あたりにかけての影響というものが大きいことは予想されますが、今年度すぐにどういう影響が出てくるかということについては、まだ私どもいろいろ研究している段階で、結論が出ておりません。で、決して楽観はしておりませんが、それがこの年末までに日本経済に大きい影響になって出てくるかどうかというような問題については、もう少しいろいろ検討したいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/75
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076・木村禧八郎
○木村禧八郎君 外貨準備は十九億ドルを割りましたね。いま外貨準備はどのくらいになったのですか、現在。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/76
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077・澄田智
○政府委員(澄田智君) いまちょっと数字を見ておるのですが、四月末におきまして十九億を割りまして、十八億九千万ドル台だと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/77
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078・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今後まだ私は減っていくのじゃないかと思うのです。ですから、その外貨準備は、六月危機ということがいろいろいわれておるのですが、今後あのスワップですね、スワップを利用したり、あるいは最悪のときにはIMF借り入れということも問題になり得るじゃないか。もっとも、スワップのほうは今度は十億ドルですかに拡大されましたから、かなりの幅はあると思います。そういうことは予想されませんか、大蔵大臣。これはあまり悲観的かもしれませんが、しかし、私は、どうもそういうことも考えられるのじゃないかという気がするのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/78
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079・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) この輸出についての最初の予想はありましたが、いまのところは予想よりは好転している、したがって、当初私どもが外貨の減り方や何かについての一つの予想をやはり一応は持っておりました。で、場合によってはスワップの発動とかIMFの問題とか、これは情勢のいかんによってはという考え方をことしの年初に一応は考えておりましたが、事態はその当時に予想したよりもわりあいによくいっておりますので、現在のところはそういう問題を考えなくて済むのじゃないかというふうにいまのところは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/79
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080・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これはまあ見方の相違になりますからこの程度にしておきますが、もう一つ基本的な問題として、この法案に関係して伺いたいのは、わが国の戦後の金融制度としましては、昭和二十六年から二十八年ぐらいの間に大体まあ制度としては整えられた。相互銀行、あるいは信用金庫とか長期信用銀行、それから外国為替銀行とか、貸付信託の制度もあるし、それから輸銀、開銀、中金、住宅公庫、あるいは普通銀行も数行新設された。それから信託銀行というようなもののあり方がはっきりした。大体まあ二十六年から二十八年ぐらいの間に金融制度としては大体整ったと見ていいと思いますよ。その後、経済情勢は非常にまあ変わってきているわけですね。したがって、その後の経済情勢の変化に対応して金融制度も変えていかなきゃならない。そこで、まあこのいま提出されているこの金融機関と中小企業に関する改正もその一環であると思うのです。しかし、それにしても、全体の金融制度の改正との関連においてやっぱり考えなきゃならないと思うのです。ですから、この中小企業専門機関にしていく今回の改正案ですか、これを、そのメリットなり効果等も判断する場合には、やっぱりその全体の金融制度の改正の、何というか、構想、ビジョンというのですか、そういうものとの関連においてこれは判断していかなきゃならない、そういう点が一つ大切なのではないかと思うのです。それに、これに関連しまして、この際、その昭和二十六年から八年ぐらいを一応金融制度として整えられて、その後、経済情勢が変化して、それに今度は対応した金融制度の改正をしなきゃならない。それについては今度は日本銀行の制度の改正もあります。日銀制度の改正もありますね。それから、あるいは長期信用銀行の改正、普通銀行の改正とか、ずっとあるわけですよ。いろいろ全面的にはやはり改正をしていく必要があるわけです。その全体の構想をここで明らかにしてもらいたい。そういうものなくしてこの改正だけが独走して、中小企業専門のこの金融機関の改正だけが独走しちゃってここで実現されていくということでは、これは私はもう非常なアンバランスになる。それから、これを評価する場合もわれわれ困るわけです。やはり全体の、日本銀行制度を中心とする、あるいは普通銀行、あるいは長期信用銀行ですね、そのほかの一連の改正というものがあって、その中でこういう位置づけにおいてこれを改正するというあれがなきゃならないわけです。これはおありだと思うのです。これについて、大まかでいいんですが、大体こういう方向に中央銀行制度は改正する、それから、長期信用銀行、それから、まあ為替銀行、都市銀行ですね、そういう金融制度の改正について大体の構想を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/80
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081・澄田智
○政府委員(澄田智君) まず私からお答え申し上げます。
ただいまお話のように、現在の金融制度というのは、大体二十年台の終わり、二十六、七年ごろから、まあ若干おくれたものは三十年台の初めというぐらいにでき上がった制度でございますが、現在その後の情勢が一変をいたしまして、いまの経済情勢、それで、今後の日本経済におけるその金融機関のあり方を再検討するというようなことで金融制度調査会としてはこの問題に取り組んだわけでございます。中小企業金融が、ある意味では専門機関のその後の変化、発展が一番大きく、現行の法律ではいろいろ実情に合わないという点もございますので、これを第一番に取り上げたというような形になっておるわけでございますが、昨年十月にこの法律のもとになります答申が出ましてから、引き続いて十一月から一般民間金融機関の特別委員会というのを設けまして、そうして今回の対象以外の民間金融機関、すなわち、普通銀行、この中には都市銀行、地方銀行があるわけでございます。それと長期信用銀行、信託銀行、為替専門銀行、こういった金融機関のあり方についての検討に入りまして、すでに七回ばかり委員会を開いて、今後の金融をめぐる環境というような点をいまいろいろ議論を詰め、これから具体的なそれぞれの機関のあり方ということの検討に入るわけでございます。こういう構想の一環としての中小企業金融専門機関の問題であるので、全体の構想はどうかということでございますが、これからまさにその検討になるわけでございます。全体の考え方としては、やはり金融の効率化というようなことばで言いあらわされているような内容といたしまして、これからの資金需要のあり方も変わってまいります。そして、従来の企業の設備資金中心から、もっと多様化された資金需要に応ずるような金融機関のあり方、そして適正な競争原理を導入して、効率的な金融機関の運営が行なわれるような、そういう仕組みというようなものをこれから検討してまいる、そういう考え方でございます。もちろん今回の中小企業専門機関の答申というものも、十分今後検討する場合の前提でございます。これとマッチした、調和のとれた制度というようなものを考えていくことになると思います。
それから、日本銀行法の問題でございますが、日本銀行法については、一時、成案を得たこともあったわけでございます。今回の答申の以前に、ある段階で成案を得たこともございましたが、その後国債の発行というような新しい事態になりましたし、それから、さらに現在のような国際通貨金融体制というものが変わりつつある時期でもありますので、今後の国際経済の中における中央銀行制度というようなものを考えていかなければならない。いまの特別委員会は民間金融機関でございますが、なお、日本銀行法というのは、今後新しい状態においてもう一度考え直さなければならないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/81
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082・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうですが。日銀法については一応結論は得て、舟山氏の案、舟山試案とか何とかいうんですが、結局一番の焦点は金融政策の責任の所在の問題で、金融政策の最終的責任が政府にあるのか、あるいは中央銀行に責任があるのか、これからまたそれを白紙に返して再検討するんですか。前に田中大蔵大臣のときですよ、あのとき国会に出すという答弁をされたんですよ。これから再検討すれば、またかなり時日がたつと思うんですが、そうすると、結局また長い間たなざらしになってしまって、いまの戦時立法としての日銀制度のほうがいいんだ、便利だということになって、これを続けていくことになるんじゃないですか。いつごろ成長を得て出すつもりなんですかね。それもあるし、それと、普通銀行とその他の、さっきの銀行制度の、あるいは金融機関の制度の改正の問題とも関連しますけれども、その点はどうなんですか、いつごろまでに成案を得たいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/82
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083・澄田智
○政府委員(澄田智君) 普通銀行、その他長期信用銀行、為替専門銀行、信託銀行等の問題につきましては、これは現在の特別委員会で検討いたしておりますのは、おおむね明年中に結論を得るという、なるべく早く結論を得たいわけでございますが、現在の状態から鋭意検討を進めまして、なるべく明年中にはその結論を得たい、かように考えております。
それから、日本銀行の問題につきましては、まあ白紙に戻すというようなことではないといたしましても、四十年に一応法律案としての成案を得ておりますが、その後、国債が本格的に発行されたというようなこともございます。それから、管理通貨制度というようなものについても、また新しい国際的な条件というようなものも出てきておるわけでございますので、もちろんその金融制度調査会で相当の期間をかけ、十分議論をしたわけでございますので、それを前提として、その後の変化に応じて見直すべきところを見直すというような問題になろうかと思いますが、金融制度調査会になおもう一度はかって、その再検討の上提出すると、かようなことになると思います。ただ、ものの順序といたしまして、現在の資本自由化等を控え、現在の情勢におきまして、民間金融機関の問題はこれと表裏一体というようなことで、できるだけ早くその結論を得たい、かように考えて、日本銀行法の問題はそれに引き続いて検討するというような問題ではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/83
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084・木村禧八郎
○木村禧八郎君 日銀法の改正のみにこだわるわけじゃないのですけれども、これは公債発行の段階になれば、ますます前に金融制度調査会で得た結論を早く、実施することが必要であると思うのですよ。これは戦時立法でしょう。こういうふうな性格の中央銀行をいつまでもこのまま残しておくということは、これはおかしいと思うのですよ、たてまえからいって。また、われわれは、日本は軍国主義になっていくのだから、それならそのほうがいいのか、そういうふうに、むしろそっとして置いて、公債発行とか管理通貨制度だとか、そのほうが便利だというような疑いも抱きたくなるのですよ。その点が、じゃどこが違ってくるのかですね。具体的に公債発行段階に入ってから、あるいは資本自由化取引の中に入ってからどこが違ってくるのか、むしろ私は、この金融制度調査会で得た結論を早く実行することこそが一そう必要になってくるのじゃないかという気がするのですがね。公債発行段階に入れば入るほど、そこでやはり歯どめを中央銀行制度の中で、それだけじゃありませんが、そこに求めることが必要なんではないかと思うのですが、この点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/84
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085・澄田智
○政府委員(澄田智君) おっしゃるとおりだろうと思います。国債発行と中央銀行の関係、そして、その国債の市中消化というものと中央銀行の関係というようなものについて、十分その歯どめという点も入れて検討をして、それはいままで検討したものの土台の上に、その後の情勢の変化というものを見て、見直すべき点があればそれを見直すということだろうと思います。決して白紙に戻して、また長期間かかって検討するというようなものではないと思いますが、その新しい情勢のもとでもう一度検討して、そしてその改正をすべき問題である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/85
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086・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうですが。たとえば、まだ公債発行のいろいろな条件が成熟しない、整わないうちに無理に四十年から公債発行をしてしまって、いまになってみると公債消化が十分できない。売れ残りが起こったり、それから、公債の相場が下がったり、公債管理制度上いろいろ問題が出てきておるわけですよ。ですから、そういう点について、むしろ日本銀行制度が、公債が売れ残った場合に、それが回り回って日銀の消化にしてしまうような、実際そうなっておりますが、そういうことができないように前向きの改正を考えるということなのかどうかですね。いままで白紙にして、そしてあと戻りしたような改正を考えてんじゃないというお話ですけれども、それは諮問するんですか、金融制度調査会に。諮問されて、その答申を待っておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/86
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087・澄田智
○政府委員(澄田智君) もう一度諮問をし直してやるかどうかというような点については、まだきめておるわけではございません。あらためて諮問し直すというようなことでなく、従来の経緯から申しまして、金融制度調査会に何らかの形でもう一度はかるということはあるだろうという意味で申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/87
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088・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それじゃ今度は具体的に法案に直接関連した質問に入りたいと思うんです。
その前に、さっき一応銀行局長から、総合的な、全般的な金融制度の改正の問題について御答弁あったのですけれども、大蔵大臣はどういうふうにお考えになっているかですね。一つは、日本銀行制度の改正の問題、それから、もう一つは、普通銀行ですね、これについては十三行を半分か、あるいはもっとそれ以上少なくする合併案というのもいろいろいま取りざたされているわけですよ。そのように非常に数を縮小するのか、そういうふうな構想があったら大蔵大臣として伺いたいのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/88
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089・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 一般金融機関がいまの国際自由化に対処してどうあるべきかという問題が当面の問題でございますので、本来ならば、一般普通銀行のあり方というようなことから討議するのが順序じゃないかというふうにも考えます。しかし、日本の企業の実態を見ますというと、圧倒的にいわゆる中小企業が多い。九〇%以上の中小企業の存在という特殊な事情に即しまして、やはり一般の金融機関だけで対処し得るかどうかということになりますると、日本は、やはり中小企業の専門金融機関というものが必要だという点だけは全体の金融機関の検討として出てまいりましたので、したがって、当面その問題を先に取り上げて解決しようというので調査会が取り上げて、ようやく答申になったということでございます。すぐに続いて一般の金融機関のあり方というものを諮問いたしまして、調査会におきましては特別委員会をつくって、もうすでに昨年の暮からこの問題と取り組んでおってもらっております。これは相当大きい問題でございますので、おそらく今後一年以上かからないと結論が出てこないと存じますが、この結論が出てきましてから、いま御審議を願っておるこの問題とのまたあるいは再調整の問題が出ないとも限りませんが、こういうものが一応出そろって、最後の私どもの考えるこの金融機関のあり方というものの結論が得られるというように考えております。大きい問題でございますので、もう一年以上最後の結論を出すまでかかるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/89
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090・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それじゃ次に、先ほど野上委員から、中小企業金融の円滑化、効率化の問題で、この改正案に関連して質問があったわけですが、この改正案は、言うまでもなく、金融制度調査会の答申に基づいて、それで三機関を中小企業金融を専門とする機関に定着させる、それが一つと、それから、中小企業金融の円滑化、効率化、これが趣旨だということになっております。しかし、さっき野上委員から質問がありましたように、同種合併による円滑化、効率化ならともかく、異種合併並びに転換ですね、これは極言すれば、すべて一応普通銀行の道を開くものではないか。ですから、中小企業金融機関として固定とは言わないまでも、定着させる意思は盛られてないのではないか、ここが非常に重要な問題点ではないかと思うのです。専門機関の必要を認めた改正案であるならば、いたずらに普通銀行への転換をはかるようなことなく、これを定着をさせるための専門機関であるようにしなければならない。それには、さっきも議論になっておりましたけれども、この今度の改正案だけではだめであって、それに何かもっとメリットを与える中小企業専門の機関になったら、たとえば具体的には政府資金の預託とか、あるいは日銀の貸し出しとか、あるいは長期金融債の発行権を与えるとか、そうした中小企業金融に徹して効率をあげさせるような、そのメリットをいろいろな方面から考えて与えるべきじゃないか。そうしないと、いわゆる仏つくって魂入れずということをよく言うのですが、単に制度の改正だけではメリットはないのではないか、こう思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/90
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091・澄田智
○政府委員(澄田智君) 今回の制度について、特にメリットがないのではないかというような点でございますが、現在の制度は、これは民間金融機関として、そして業務の範囲を定めて経営をすると、こういう民間機関のあり方から見て、業法としてはこういう形をとっておるわけでございます。また、国なり、あるいは日本銀行とか、そういうような関係における点でございますが、これにつきましては、日本銀行の信用調節は、これは申すまでもないことでございますが、資金全体から見てその信用を調節するというものではありますが、しかし、中小企業の専門金融機関にも逐次拡大をされてきております。たとえばオペレーションの場合では、相互銀行を全部オペレーションの対象として、信用金庫についても連合会を通じてその対象とする。日銀貸し出しの取引も、これも主要な相互銀行に広げられている。こういうようなところで今後ともそういう方向に進められていって、その中小企業専門金融機関の拡充強化と相まって、日本銀行取引も広げられていく、かようなことになると思います。それから、国庫金の預託でございますが、これは国庫金の歳入代理店とか、そういったような業務、これもこれらの機関に拡充をされておりますが、国庫の余裕金の預託という点につきましては、これは一元的に運用するということで、現在はいたしておらないわけでございます。なお、ことに国債発行ということになれば、国庫金の多額な余裕金が長期に滞留するというような形に国庫金を管理するというのは、これはむしろ反対でございまして、国庫の余裕金というものはなるべく滞留を少なくするように、国債発行にあたってもその管理をしていくというのが国庫金の管理の考え方だろうと思います。そういうようなこともございまして、国庫金というものの新しい預託をしていくというようなことは、これは現在考えられないところでございますが、そのほか長期金融債の発行の問題、いま御指摘がありましたが、これはまさにいま検討しております金融制度調査会の、その他の民間金融機関のあり方というところで、長期信用銀行をどうするかというような問題、その場合、長期金融債をどう考えるかというような問題がございます。それとの関連等で、今後そういう問題の一環として検討していくべき問題であろうと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/91
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092・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いまお話がありましたが、長期信用銀行は、これは当初のあれをつくった当時と役割りが非常に変わってきていると思うのですね。あれはむしろ中小企業専門の機関のほうに移す、そういうふうに転換させるべきじゃないかと思うのですが、どうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/92
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093・澄田智
○政府委員(澄田智君) 最近かなり興銀、長銀等の中小金融の比重というものが高まっております。また、中小金融の専門の担当部というようなものを独立をさせるというようなこと等もあり、その方面はかなり重点が移されてきております。また、興長銀の代理機関、代理店ということで、中小企業専門金融機関等を使いまして、代理貸しという形での業務範囲の拡大ということも行なわれてきておりまして、実質的に中小企業面が充実してきているというのは事実でございます。今後の長期信用銀行のあり方というのは、先ほどから申し上げておりますように、今後金融制度調査会の一つの重要な課題として検討いたすことになっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/93
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094・野上元
○野上元君 ちょっと先ほども関連質問をしたのですが、どうも銀行局長の御説明ではよくわからないのですがね。いまも木村さんが言われたように、一方では相互銀行を中小企業に対する金融専門機関として固定させよう、こういうねらいがあるわけですね。ところが、異種転換を認める、こういうことになると、これはいわばざる法みたいなものですね。固定というのは名目だけであって、実質的には大きくなったらどんどん上へ逃げてしまう、進出してしまう、昇格してしまうということになると、どうもよくねらいがわからないが、そもそもこの改正は、中小企業に重点を置いた改正なのか、あるいは金融機関に重点を置いた改正なのか、これはどちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/94
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095・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 先ほども野上君から御質問がございましたが、これはむろん中小企業に重点を置いた改正でございますが、この中小企業というものが動かないものではございませんで、常に成長をしておる。で、一年に一万以上も企業がどんどんふえていく。つぶれる数も相当多いのでございますが、ふえる数も一万以上といわれているくらい、中小企業はどんどん新しいものが出てくるかわりに、もう中小企業が成長して、大企業とは言えませんが、使用者の数とか資本金というようなもので、中小企業の範疇に入らないものがどんどんたくさん出てくる、こういうことを考えますというと、たとえば貸し出しの比率で中小企業は三・何%都市銀行は確保しているといっても、中身がどんどん変わっている。反面、金融機関の系列下のいろいろ関係を持っている大企業はよろしゅうございますが、新たに中小企業から育っていった企業は、普通銀行となかなかすぐに結びつかないいろいろな問題を持っておりましたり何かしますので、すでに中小企業金融を土台にした相互銀行の一部が異種金融機関になっていくというようなことがございましても、実際は大と中との中間で、どんどん大きくなり、数が多くなっていく中間の成長企業というものに対する一つのこれが先べんといいますか、あれになる基盤も私は持っていると思いますし、相互銀行が普通銀行になったからといって、すぐに大企業に金を貸すものじゃなくて、やはり対象は中小企業もしくはそこから育った企業というようなところに相当限定されると思いますので、私は、企業自身がどんどん動いていく以上、金融機関のそういう異種の若干の転換というようなことは行なわれても、日本の全体の企業に対する金融という目から見たら、私はあまり支障となるものじゃないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/95
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096・野上元
○野上元君 私はそこがどうもよくわからないのだね。そんなに無理をして変える必要はないと思うのですね。たとえばあなたが言われるように、年間一万ぐらいの企業がふえていく、しかし、それは非常に小さい企業ですよ。大企業はそんなにふえるものじゃないですね。したがって、これらの人がほしいものは中小企業金融の専門機関ですよ、普通銀行よりも。むしろそう私は見ておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/96
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097・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 中小企業の範疇にも入らないで、成長したために金融に困ってしまうという企業が非常に多くなってきている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/97
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098・野上元
○野上元君 それは普通銀行から借りればいいのであって、また、利用すればいいのであって、何も相互銀行や信用金庫から借りようとしなくたっていいわけでしょう。しかも、相互銀行を何も普銀の中に入れなくていいじゃないか。普銀というちゃんと制度があるのだから、企業が成長して大企業になれば、当然普銀のほうから借りてやればいいのであって、何も相互銀行を一緒に普銀のほうに持っていく必要はないと私は言うのです。そんなことよりも、一万もふえてくるいわゆる中小企業のためにも、日本相互銀行だとか西日本相互銀行だとか、良質で豊富な資金を持っているものは中小企業の専門機関として置くべきじゃないとか、それこそ中小企業に対する育成になるんじゃないか。それを企業が成長したからといって相互銀行までも普銀のほうに持っていくということは、中小企業のほうに対する融資は、非常に悪質な——言い方は悪いかもしれませんが、比較的良質でないものだけが残って、いいものはどんどん普銀のほうに持っていくということになると、しかも、この法律によっては、相互銀行は今後は中小企業専門機関ですぞと、こういうふうに定義づけるというのはどうも私は理屈に合わぬと思うんですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/98
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099・澄田智
○政府委員(澄田智君) 先ほどから申し上げていることでございますが、中小企業金融という、金融全体が専門機関で営まれているというものでは決してないわけでございます。専門機関以外のもののほうが比重も大きいというふうな実情でもあるわけでございます。そうしてその点につきましては、たとえば外国の金融機関の制度等を見ますると、日本の専門機関に当たる機関というものはないわけでございます。信用協同組合に当たるものはありましても、相互銀行、信用金庫に当たるものはなくて、これは全部普通の商業銀行が金融をやっている、こういう仕組みになっております。したがいまして、金融制度調査会で制度論をやりましたときには、一部の議論として、まずそういう専門機関というものを設ける必要があるかどうかという議論もあったわけでございます。しかし、日本の中小企業が非常に大きなウエートを占めているということや、実情等から見まして、もちろん専門機関というものは制度として存続すべきものである、そういうふうなことになったわけでございますが、金融の制度としての中小企業専門機関というものは、さように専門機関がなければ中小企業金融が行なわれないというものでは全然ないわけでございます。そういう意味におきまして、金融の機関の体質、効率的なあり方というようなものを考えていった場合に、実態が他の金融機関と同じそちらへ転換したほうがさらにより効率的であると認められるような場合は転換の道も法律上開いて、そこで、より適正な競争関係が行なわれて、金融機関の経営も、一そうその機関としての特色を発揮して営まれる、こういうふうな形であるという場合が十分考えられるわけでございます。こういうような場合には転換の道も開いておく。しかし、転換して、もちろん転換した機関がそういう経緯で変わってきた機関でございますし、中小企業金融というものに一つの大きなウエートを置いて、そういう特色を持つ金融機関として育っていく、それは当然そういうことになろうと思うわけでありますので、金融制度のあり方として転換の道を開くということが全体の仕組みを効率的にする、こういうことを申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/99
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100・野上元
○野上元君 銀行局長に聞きますが、相互銀行から普通銀行に転換する場合に、中小企業に対して金融がしやすい場合もあるんだ、だから、そういう場合は認めたほうがいいんじゃないかという理屈ですよ。あなたの理屈はどういう理屈になるのですか。たとえば日本相互銀行が普通銀行になったら、中小企業に対して、より良質な、より豊富な資金を中小企業に与えられるという、そういう理由はどこにあるんですか。普通銀行にならなければだめですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/100
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101・澄田智
○政府委員(澄田智君) 事柄の性質上、ならなければだめだというようなそこまでのあれではない、どちらがより効果的であるか、金融機関のあり方として、より機能を発揮する上においてすぐれているかという、そういう比較の問題になると思いますが、特定のある相互銀行が非常に営業の範囲も広く、そうして全体としてその実態において普通銀行としてやったほうが適当な状態であると認められるところまできたということであるとすれば、それは普通銀行ということになったほうが、たとえば預金吸収という面においても、より吸収しやすいという場合も、その金融機関によってはあることです。これは常に普通銀行のほうが、より資金を集められるということもないのですが、それは業態とか得意先とか地域的関係とか、そういうところによっていろいろ違っているわけですが、相互銀行より普通銀行のほうが、より資金量も資金も吸収しやすい、そうしてその競争の結果、その体質もより強化されると、こういうことであれば、そのほうが中小企業に資金を供給するという面から見ても、より資金量も大きくなる、そうして、さらに体質が強化され、低利の資金の供給もできると、こういうようなことになる場合も十分考えられる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/101
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102・野上元
○野上元君 この問題をあまり突っ込んでやると時間がかかるからこの程度にしますが、大臣はあまり時間がないそうですし、瓜生先生も御質問になるそうですからそれじゃもう一つだけ聞いておきますが、最近中小企業に重大な打撃を与えている問題が一つ起きているのですが、これは銀行局にも関係あるし、かつまた、中小企業庁のほうにも関係がある、例の信用販売システムにおける銀行のクレジットカードの進出ですね、こういう問題が出ておりますが、これは銀行局としては、本来金融機関であるべき銀行が、いわゆる信用販売と間接的に、あるいは直接的に、信用販売の域内にある問題について銀行が手を出して、そうして中小企業に重大な打撃を与えるということは好ましいことかどうか、その点、ひとつ大蔵大臣からお聞きしましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/102
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103・澄田智
○政府委員(澄田智君) まず私から申し上げて……。
御指摘は銀行のクレジットカードの業務だろうと思います。これは国際的に、アメリカの金融機関等も非常にその方面の仕事をやっておるわけでございます。そうして、これは従来ですと小切手で取引きをするというのが、それよりさらにクレジットカードで取引をする、そうして現金取引が小切手取引に変わり、小切手取引がさらにクレジット取引に変わってくる、こういうような取引の推移というものがあり、そうして、さらに、ことに今後日本の金融機関も、従前よりははるかに対個人取引、消費者取引、そういったもののウエートが増してくる、企業だけであったものがそういう面に次第にウエートが移ってくる、こういう背景も考えられるわけでございまして、そういう面に金融機関がクレジットカードによる業務、クレジットカード業務というものは、これは金融機関自体というものよりも、これは別な会社をつくってそこでやるという形になるわけですが、そういうようなものをやっていくというのは、それは世界の大勢と申しますか、今後の経済の取引の推移に応じたことであるという面があるわけでございます。ただ、それが月賦販売というような、そういうような面に非常に出てくるというようなことになってまいりますと、これは既存の月賦販売等、賦払い信用機構との関係の問題もございますので、十分その業務のやり方についてはそういう関係をよく検討をして、行き過ぎにならないような形でこれをやらしていくという指導をして、固有の金融機関の業務でない面もございますので、必ずしも大蔵省だけの監督という範囲でない。通産省その他とも協力をして指導をやっていく、こういう面もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/103
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104・野上元
○野上元君 これは銀行が直接そういうクレジットカードという業務をやるということは、明らかに銀行法に反すると思います。しかし、あなたが言われるように、間接的に別の会社をつくって、それに融資をしてそこでやらせるということになると、これは大蔵省としても、法律的に見てこれが違法であるかどうかということは問題があると思いますね。これは通産省の中小企業育成の問題になると思いますが、ただ、先ほど大蔵大臣が言われたように、今日の中小企業を育成するには、金融、財政その他の側面から育成しなければ今日の中小企業はなかなか育成できない、救うことはできないと言われましたね。そういうことを言っておりながら、現実には、銀行が、間接であろうが直接であろうが、信用販売にまで手を出して、そして中小企業を窮地に追い込めることが、大蔵省として見ておって、銀行のやり方として正しいかどうか。蔵相の言われるような中小企業育成のあなたの意向をはたして銀行は受けておるのかどうか。その点は大蔵大臣どう考えますか、政策の問題として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/104
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105・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 行き過ぎて弊害があることは困りますが、しかし、消費者金融というものに対するまた国民の別個の要望というものもございますし、一つの国際的な趨勢になっておることでございますので、銀行がこういうことについて十分に行き過ぎにならぬような規制は必要だと思いますが、消費者金融の一つとして、やはりもう全然こういう形のものはいかぬといってこれをやめさせるという方向にはなかなかいけぬと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/105
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106・野上元
○野上元君 法律的には私もそう思います。しかし、政策的な問題として、皆が共存共栄をしようというときに、大企業、大銀行が中小企業を圧迫するようなクレジットカードシステムを採用するということは、私は考えるべきじゃないかと思います。たとえば日通が、問題になっております例のラーメンの販売、最近における大企業とか大銀行とかは非常に営利主義ですよ。もうけさえずればいいのだ、どんな犠牲者が出たってかまわない、大銀行であり、大企業であるビヘービアがないじゃないですか。中小企業に対する思いやりなんか全然ないじゃないですか。これを救ってやるのが大蔵省であり、通産省だと思いますよ。そのあなた方のほうがやむを得ぬのだということになれば銀行はどんどんやりますよ、彼らはもうけ主義なんですから。日通みたいなところでさえラーメンを売るんですから、こんな世の中では、中小企業の育成を幾ら口で言ってみても、中小企業の人は政府を信用しませんよ。その点は、もう少し法律的な問題でなくて、政策的に考えてもらいたいと思います。このお答えをいただいて、あとは瓜生先生に渡して、私はあとまだ二、三、歩積み両建ての問題等もありますから、質問を留保します。この点、ひとつ大臣、御答弁を願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/106
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107・澄田智
○政府委員(澄田智君) 先に私からちょっと補足をしておいて、あとから大臣に。
現在の銀行がやりつつありますクレジットビューローとかクレジットクラブとか、いろいろそれ式の名前をつけてやっているものでありますが、これはクレジットカードで消費者が買ったものを、あとからそれを売った店にはクレジットカード会社が支払いをして、そうして本人から月末なら月末に取り立てる、あるいは預金から落とす、こういうようなシステムになっておりまして、割賦販売そのものはいたしておりません。したがって、割賦販売業者、ことに中小の割賦販売業者に対する圧迫になるという点はないわけでございます。現在も、ただ、これについても行き過ぎになって、割賦的な支払いがだんだん出てくるのじゃないかという御心配があるわけでして、そういう点について、いろいろやり方について行き過ぎにならないように注意をしていきたい、かように考えるわけです。ただ、支払いの方法が、そういう便宜な支払いの方法が行なわれて消費者が利益を受ける、こういう形は外国でも非常にこれが急速に伸びておりますことの理由は、やはりそういう便宜があるので伸びておるわけでございまして、そういう面については、これは中小企業圧迫という問題ではないので、その長所は生かしつつ、行き過ぎにならないようにということではなかろうかと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/107
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108・瓜生清
○瓜生清君 大臣お忙しいようですから、一つだけ質問しますが、さっき中小企業の育成強化ということについてそこそこの配慮を加えてあるというお話でしたが、実はきょう私がもらいました資料によりますと、政府の中小企業金融三機関、これで昭和四十三年の三月末現在で一兆三千八百二十五億円の貸し出し残がある。ところが、日本開発銀行等から中小企業に出ておる金は、一兆七千八百二十一億円の貸し出し残の中から二百七十二億円しかないのです。これをひっくり返していいますと、大体日本の産業の生産量においても輸出実績においても、五〇%程度を占めておる中小企業全体に対して、政府のほうからわずか一兆三千八百二十五億円しか出ておらないのに、日本開発銀行その他からは、いわゆるひっくり返して言うならば、大企業に一兆七千五百億円近い金が出ている。これは私は、政府の政策としていかに中小企業をよくしていかなければならないのだということを口をすっぱくしておっしゃいましても、これは非常にアンバランスがあると思うのです。そこで、私がお聞きしたいのは、明年度の予算編成の際に、大臣として、もっと政府関係の中小企業に対する三金融機関、そういう資金量の増大ということを考えられる意思があるのかどうか。先の話ですけれども、一ぺん大臣の御所見を承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/108
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109・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 本来なら、中小企業の金融というものは、やはり民間の金融機関がすべきものでありますが、政府が特にその金融を補完する意味で政府機関というものをつくっておるわけでございまして、したがって、政府機関の果たしている役割りは、大体中小企業金融全体の一〇%までいっておりません。九%くらいであると思っております。で、民間資金の蓄積が十分でないとか、あるいは、また、いろいろなことで中小企業の金融が円滑にいかないという事情がある限りは、やはり政府の補完金融を強化していく必要があると思いますので、そういう情勢と見合って、明年度もこれは資金の強化をはかっていくつもりでございまして、今年度は貸し付け規模が大体七千六百億円くらいになろうと思いますが、情勢に応じて来年度さらに強化することは考えておりますが、本来なら、これはもっと民間の金融機関が量を多く中小企業に融資できるようにということをやはり主体に考えるのが本筋の仕事じゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/109
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110・瓜生清
○瓜生清君 それは大臣よくわかりますが、だけれども、基幹産業の大きなもの、一本立ちできるようなところに政府資金が一兆七千億円も出ている。ところが、これからの国際競争に勝ち抜いていくために、最も弱い二重構造の改善をしなければならない中小企業に、それを下回る一兆三千億円程度のものしか出てないということは、私は、何と言われても矛盾があると思うのですが、それは大臣が考慮をされるというお話ですから、これ以上追及しませんけれども、ぜひそれは積極的な姿勢で考えてもらいたい、そのことを要望しておきます。私の質問は、大臣については、もうけっこうです。
そこで、銀行局長に伺いますが、金融二法案について、金融制度調査会の答申に基づいて、ほぼそれが盛り込まれておるわけですが、私は、金融制度調査会のいわゆる組織そのものですね、それについて若干の疑問があるわけです。そこで、いまどういう構成メンバーなのか、ひとつ知らしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/110
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111・澄田智
○政府委員(澄田智君) 現在、金融制度調査会には、全体の調査会と、それから、先ほどから申し上げております特別委員会、両方あるわけでございます。で、全体の調査会は、金融機関のそれぞれの組織別の協会というような人、それから日本銀行の副総裁、それから、あと産業界の人、それから学者、言論界、こういったような人から成っておりますし、特別委員会のほうは、やはりこれも産業界、それから、それぞれの金融について、現在は直接それに従っておらないが、かつて経験を持っておられるというような経験者、それから、あと学者、それから言論界、こういったような人が現在の特別委員会のメンバーでございます。それから、いま御審議願っております法律のもとになります委員会の中小金融特別委員会、これには各専門機関の代表の方のほかに、中小企業の企業側の立場を代表する人というような方も委員に入っておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/111
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112・瓜生清
○瓜生清君 そこで、銀行局長、そういう全体的な人のつながりを見ますと、これはそれぞれ同じ銀行家であっても、利害が相反するわけですよね。したがって、調査会そのものの本来の目的といいますか、任務というものは、金融問題すべてに対してかくあるべきだという、そういう姿を追求していくのが私は正しいやり方だと思うのです。ところが、いま言いましたように、都市銀行と地方銀行とでは、それぞれ利害の共通する面と相反する面がある。したがって、そういったところがらおのおの意見の対立というものができて、その中にまあ公正だと称する学者先生たちが入ってきて食い違った意見の調整をする。したがって、そこから出てくる結論というものは現実的ではあるけれども、総体的に考えるとなまぬるいようなものになりがちなんですね。これは金融制度調査会だけではなしに、他の政府のいろいろな審議会等を見てもそうだと思うんです。そこで、先ほど木村委員長もおっしゃっておりましたけれども、日銀法の改正がいまデッドロックに乗り上げておりますが、大蔵省としては、こういう金融政策について中央銀行の果たす役割りというものが非常に強大なわけです。それの問題というものを先に延ばして、そうしてこういうような相互銀行であるとか、あるいは信用金庫であるとか、そういったいわゆる下にある組織の改変というものをはかるような法案を出しておられる。私は、下部から積み下げていくのが正しいのか、それとも中央銀行のいわゆる行くべき方向というものを先に設定して、そうして日本の金融全体というものはこういうふうに進んでいくべきだ、そういう結論を出されるのと、大蔵省は一体どちらの方針をとっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/112
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113・澄田智
○政府委員(澄田智君) なかなか一がいに申し上げにくい問題でございますが、問題は、御指摘のとおり、両面あるので、現在、金融制度調査会で進めておりますやり方は、金融をめぐる環境、これは国内の環境、国際的な環境を含め、非常に違ってまいりました新しい環境においてどういうふうに金融機関があるべきであるか、その中心である民間の金融機関がどういうふうな形でこういう新しい事態に対処していくべきであるか、この点から、まず相互銀行、信用金庫、信用協同組合といったような中小専門機関についての特別委員会で結論を出し、引き続いて、いま普通銀行、長期信用銀行等の一般の民間金融機関の問題に鋭意取り組んでおる段階でございます。金融制度としては、全体の民間の金融機関のあり方というのが何としても金融という問題の土台でございまして、中央銀行がその全体の資金の調節をするというような面から、中央銀行の問題がきわめて重要であることは、これはもう申すまでもございませんが、民間の仕組みというものがあって、そして中央銀行のあり方というものが出てくるというようなふうに考えていい面があるのじゃないか。ただ、日本銀行法については、御指摘のように、現在の法律は昭和十七年というような戦争中の法律であるというような特殊な面がございまして、金融制度調査会でも、すでにこの問題については一応結論を出すところまで検討をし、法案の成案を得たわけでございますが、そういう意味から、日本銀行法についても焦眉の急である、しかし、現在の情勢においては民間金融機関の問題の再検討ということが何にも増して重要な段階にきておるというような考え方でいまこれを進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/113
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114・瓜生清
○瓜生清君 私どものしろうと流に言えば、相互銀行なり、あるいは信用金庫なり、こういうような法改正によって普通銀行化的な要素を持たせるということはわからぬわけじゃないけれども、それならばもっと早い方法は、こんなことをやらなくても、いま横暴をきわめておる大銀行にもっと中小企業に金を貸せというような運営のほうが、私は、最も敏捷にあなた方が意図されておる中小企業の指導育成という線にぴったり当てはまるのではないかというような気がするのですが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/114
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115・澄田智
○政府委員(澄田智君) たとえば金融引き締めの公定歩合を引き上げるというような場合に、常に大蔵大臣も日本銀行総裁も、中小企業向けの貸し出しというものを十分量、質ともに、引き締めによって不当にしわが寄らないようにやっていくべきであるということを強く指示をしておるわけでございます。そういう特殊な場合の指示のほかに、一般的に中小企業金融というものに対して重点を置いてやっていくべきであるということは、事に触れ、その金融機関の指導をしておるわけでありますが、また、金融機関は、最近、ことにこの四十年以降は、そういう指導をまつまでもなく、中小企業向け貸し出しというものを広げていく、重点を置いていくという方針をみなとっておりまして、それと指導と相まってきたわけでございますが、たとえば数字で申し上げましても、四十一年の三月末で、都市銀行はそのうちの中小向け貸し出しの比率が二三%ぐらいでございましたが、四十二年の十二月には二六・三%というふうに、その比率が上がっております。地方銀行も同じ時期で五三%が五五・七%、こういうふうに上がっているわけで、これは現在の金融機関のそういう傾向でありますので、一そうこういう点を今後中小企業に重点を置いてやっていくようになお仕向けていく、指導していくということが大切だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/115
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116・瓜生清
○瓜生清君 それは確かに局長のおっしゃるとおりです。数字の上から見れば、さっき述べられたように、四九・九%を中小企業全体の貸し出し金の中に、都市銀行といいますか、全国銀行は占めているんです。ところが、問題はその中身なんです。これはものすごい、あなた方が想像もつかないような強い選別融資が行なわれておるわけですね。したがって、そういうものを合計すれば、確かに全国銀行というものが中小企業向けに相当の資金量を流してはおるけれども、だが、実態は、ここへ貸せば絶対だいじょうぶだと、銀行はまあもちろんそういう性格の機関でありますけれども、ところが、ほんとうにわれわれが中小企業に金を貸してやるべき対象というのは、半病人程度の企業、これを何とか健康体にしてやらなければならない、そういうところに金が必要なわけです。したがって、私の指摘したいのは、局長の言うように、全体の中で約五〇%に近いものを都市銀行は出しておるが、しかし、私は、その出し方に問題がある。したがって、中小企業金融というものについては、とにかくここで注射を一本打ってくれれば何とか起死回生の妙薬になるというような、そういう類型の企業が多いわけです。特に最近では国際競争力を強めるために、大企業と中小企業の垂直系列化というものが行なわれておる。これに対して大企業はあまり金を出さないのですよ。とにかく君のところの工場をりっぱにしろ、そうでなければ注文をやらないぞというようなケースがたくさんふえているわけです。だから、そういうところに私は資金を注いで、そしてやっぱり体質の改善というものをはかるような、そういう中小企業に対する金融政策というものは要るのじゃないか、こう思うのです。いかがです、この点お考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/116
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117・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) 私の考えをひとつ申し上げておきます。
いまお説のとおりに、中小企業の育成ということについては、大蔵省も、銀行局長が申したとおり、非常にまあ配慮をし、また、力を入れておるのでございます。しかし、実際面にいくと、いまあなたが言われるように、半病人に注射をして、それが生き返る、こういうことをやらなければならぬ都市銀行なり普通銀行が、なかなかそこを慎重にかまえている。それは私どもが金を借りに行ってもなかなか出さぬ。だから私はいつも申している。銀行の支配人なり支店長は、借りる人と借りる事業、それを見ろと言うのだが、それが見えぬ。それを見ずに、ちょっと左前になったというと、つい貸さない。それから、いままで貸しておった金も引き揚げようとする。こういうようなことを銀行がやるので、その点については、私は、銀行当局も大いに考えてもらわなければいかぬ。注射でなおる病気にはどんどんひとつ金を出して健全なからだにすると、こういうことでなければならぬと思うのです。まあ政府といたしましては、特に政府機関の三機関に四十三年度の予算を組むときも、財政投融資をうんとやって資金を豊富にして、そしてめんどうをみると、こういうことを言うてありますが、前にも中尾さんの質問に答えたように、下へ行ってみるとなかなかむずかしい。そういう点がありますから、さらに直接の担当者にわれわれも大いに注意して、中小企業の育成強化、金融面に努力したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/117
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118・瓜生清
○瓜生清君 どうもいまの政務次官の答弁を聞いておりますと、あまり深く追及する意欲もなくなってまいります。局長、ざっくばらんにいいますと、私は、いままでの中小企業対策は、どちらかといえば社会保障政策的な要素が強かった。そこで、それが暫時一つの産業として成り立つような方向にいま政府の中小企業対策というものは変わりつつあるのです。ことしなどは最もその端的な政策が出てきております。そうしますと、中小企業対策ということは、まあわれわれも、それから、また、一般の金融機関も、中小企業なんかどうなってもいいのだというようなことを言うと、これは非常に大きな反響を及ぼすから、そういうことについては、これは一つのタブーになっているわけですね、ざっくばらんの話、そうなんですよ。そこで、それが社会保障的な中小企業対策から産業政策的な中小企業対策に変わってきますと、結局これは弱いものがつぶれるということになるわけです。それは自由経済の原則ではありましょうが、ところが、いまそういうことをやるにしましても政策を転換するにしても、過渡期ですね。その過渡期については、いわゆる政府としても、あるいは民間の一般金融機関としても、相当やっぱりその過渡期を乗り切るためのあたたかい心づかいというものが、金融政策なり、あるいは貸し出し基準の中なりに入ってこなければならないと思うのです。そういう意味からいきますと、いわゆる一般の普通銀行というものは、これは店舗も堂々としている。従来からの選択融資の姿勢というものは、私はくずさぬと思うのです。そうしますと、相互銀行なり信用金庫というものは、言うなれば地域的なものでありますから、比較的借りに行く人の信用状態なり、あるいはその事業の業績なり、あるいはその人間の信用度合いなりというものがよくわかっているわけですね。言いかえますと、気軽に相談ができるという、こういう利点があるわけです。それを私は、いわゆる全国銀行の姿勢をそのままにしておいて、そしていま言ったような、まあ比較的その人の求めに応じて金の借りやすい、いま言った二つの相互銀行なり信用金庫の性格を変えていくことが、現時点の過渡期における金融機関のあり方としていいのかどうかということに対して疑問を持つのですが、その点、ひとつ局長の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/118
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119・澄田智
○政府委員(澄田智君) 中小企業はいろいろな面で転機を迎えつつあって、おっしゃる過渡期というような面があらわれておる。したがって、今後そういう新しい体制における中小企業のあり方というような意味で構造的な性格と申しますか、そういう中小企業の体質に及ぶような施策をやっていかなければならぬという、そういう時期であろうと思いますが、今回のこの二法律の改正によりまして中小企業専門金融機関というものの体質を強化するということをねらいとしておりますが、同時に、いまお話のように、個々の中小企業に密着した金融機関として、気軽に相談にのり、めんどうをみていく、そういう金融機関としての特質というものが十分に生かされて、そういう面がいわゆる普銀化等によって薄れてくるというようなことがあってはならないし、また、それでは専門金融機関としての存在の理由というものが乏しくなるわけでございますから、そういう点については、今回のあれはその体質を強化をして、専門機関として十分資金コストの面その他でもって金利も長期的に下げていく、そういう体制をつくることが必要でございます。それと同時に、きめのこまかい金融をするという従来の特色を生かしていく、こういうふうに指導をしていくべきものだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/119
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120・瓜生清
○瓜生清君 そこで、別の観点からお聞きしますが、いまの都市銀行と相互銀行、あるいは信用金庫等の資金コストというものは、大まかでいいですから、どういうような傾向を示しておるのか、お聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/120
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121・澄田智
○政府委員(澄田智君) 全体として申しますと、資金コストは、これは逐次低下をしてきておるわけです。ことにそういう点では、相互銀行、信用金庫等の資金コストの低下というのは著しいわけでございますが、四十二年の上期等で見ますると、都市銀行のいわゆる資金コストは、預金と債権のコスト、それにコールマネー等を入れた全体のコストでございますが、前者で申しますと、都市銀行が六・五〇%、それから、同様、地方銀行は六、七七%でございます。これに対して相互銀行は六・九五%で、まだ都市銀行、地方銀行に比べて高いわけでございますが、かつてはこれが八・五%くらいであったものが六・九五と、七%を割ってきたわけであります。それから、信用金庫は、これは四十一年の上期でございますが、六・七九%、かようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/121
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122・瓜生清
○瓜生清君 そうしますと、いまの法案に出ておる種類の銀行の合併、あるいは転換というようなことをさせる要素の中に、資金コストがそういうことによって下がるというようなことのねらいは含まれていないわけですか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/122
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123・澄田智
○政府委員(澄田智君) やはり資金コストは適正な規模というようなものが重要な要素であります。弱小なものはどうしても資金コストが高くなる、こういうことでありますので、合併、転換等によって資金コストを下げていくような環境をつくる、下げられるような体質にするということは、当然メリットとして考えられるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/123
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124・瓜生清
○瓜生清君 そうしますと、私の聞いている範囲内では、これは大蔵省の指導方針といいますか、それと、それから今度は逆に受けるほうの相互銀行なり信用金庫ですね、これがむしろ大蔵省の行き方に対して賛成をしておるというように聞いておるのですが、その点はいかがです。といいますことは、もっとわかりやすく申し上げると、いわゆる銀行の、いま申し上げました相銀なり、あるいは信金なりの経営規模というものを拡大していって、資金コストを下げて合理化をはかりたいという気持ちと、それから、大蔵省のかくあるべきだというその考え方とが一致したというふうな、そういうことからこういうものの、何といいますか、発想というものが出てきたんですか、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/124
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125・澄田智
○政府委員(澄田智君) 四十年から四十二年にかけまして、三十二カ月ばかりずすと平均貸し出し金利が下がってまいりました。その後、金融引き締めで、いま若干戻しておりますが、従来の三十年台の非常に高度成長で資金需要の強かったときと違いまして、こういうふうに長期にわたって貸し出し金利が下がってくる、こういうような情勢が出てまいりました。これはあらゆる金融機関を通じての現象でございます。こういうような事態も経験をいたしまして、金融機関としては、何としても資金コストを下げなければならない、そういう必要を金融機関自体が非常に悟ってきて、そういう認識を深めてきていることは事実でございます。そういうような情勢もございまして、資金コストを下げていくという方向については、金融界自体も真剣にこれを考えているということで、いまおっしゃるような意味において、こういう考え方に金融界もなってきているという面は十分あると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/125
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126・瓜生清
○瓜生清君 そこで、私もう一つ聞きたいのは、舟山さんが中小企業金融制度に取り組んでいく姿勢について、当初こういうことをおっしゃられたと思うのです。現在、相互銀行、信用金庫などのいわゆる中小金融機関の問題は、整備、合併、大規模化という面から論じられることが多いが、それだけではいけない。中小企業に円滑に金を流すにはどうすべきかと考えるのが本筋である、こういうふうにおっしゃっておるわけです。そこで、先ほどからの論議を聞いていまして、こういう法案が通過したあとで中小企業にスムーズに資金というものが流れていくという、そういう見通しはどういう根拠に基づいてあるのか、伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/126
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127・澄田智
○政府委員(澄田智君) 今度の法律の考え方が、一方では金融機関の体質を強化するというような意味におきましての金融の効率化ということを、それから、同時に、中小企業金融の円滑化ということを考えているわけでございます。そうして、たとえば相互銀行についても、従来はばく然とした「国民大衆のために」というような意味の規定はございましたが、何ら中小企業に対する資金供給ということが法律上の義務になっておらなかったというような点について、今度は相互銀行についても、はっきり中小企業に対する金融ということを法律上も明瞭にうたって義務づけていく、こういうようなこともあるわけでございますし、その他、信用金庫、信用協同組合等の現在の制度をいろいろな面でその機能を拡充し、そうしてその実情に即した体制にしておるわけでございます。その間、競争の原理が働くような環境をつくるという意味の合併、転換というような道も開くというようなことで、こういう結果、中小企業金融機関がそれぞれ、より資金吸収力も増し、そうしてその資金を中小企業に供給する、こういう形になれば、当然にそういう中小企業に資金が円滑に流れるというような意味において効果が徐々に出てくる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/127
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128・瓜生清
○瓜生清君 そこで、先ほど局長から、資金コストというものが、徐々にではあるが、低下してきておる、こういう御答弁がございましたが、そのことと中小企業金融機関の収益等はどういう関係にございますか、その下がった分だけ収益増加ということになっておるのか、あるいは、また、資金コストは下がったけれども、収益は横ばいであるのか、そういう関連について、簡単でけっこうですから、説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/128
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129・澄田智
○政府委員(澄田智君) そういう関係を一番端的に見るのは、結局先ほど申し上げましたような資金コストと、一方、貸し出しの利回りと、その差のいわゆる利ざやの関係であろうと思いますが、この利ざやは、各金融機関いずれも利ざやが縮まってくる傾向がありまして、たとえば相互銀行で申しましても、かつては利ざやが一・七%ぐらいありましたものが、現在では一・三%ぐらいになっておる。信用金庫でも同様に、やはり利ざやが縮小してきておる状態でございます。これは資金コストが下がり、他方、貸し出し金利が下がり、あるいは下げるというようなことでその間の利ざやが縮まってきておる形になってきておるわけで、その点では、資金コストの下がった分は、下がった分以上にさらに利ざやも縮まってきておる形で貸し出し金利が下がってきておる、かような姿をあらわしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/129
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130・瓜生清
○瓜生清君 大蔵省はけっこうです。中小企業庁の方がおられますね。それでは伺いますが、最近三カ年くらいを例にとりまして、中小企業の固定比率はどう変化しておるのか、ひとつ教えてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/130
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131・沖田守
○政府委員(沖田守君) 固定比率と申しますと、固定資産を自己資本で割った数字という理解をいたしておりますが、過去三年間の数字をとってみますと、中小企業の固定比率は、大蔵省の法人企業統計年報を基礎といたしますと、三十九年度が一九一、四十年度が二〇九、四十一年度が二〇六でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/131
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132・瓜生清
○瓜生清君 そうすると、大体自己資本率というものはきわめて低いということは数字が示しているわけですね。そこで、もう一つ尋ねたいのは、この法案に対して、中小企業庁としては、この改正が従来の中小企業金融よりもプラスになるのか、あるいは、また、あまり変わらないのか、そういう点についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/132
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133・沖田守
○政府委員(沖田守君) 金融二法案が成立いたしました場合の一応考えられますプラス要因といたしましては、相互銀行につきましては、中小企業金融にその業態が主として定着化するよう法定されておるという面からの中小金融に専念するようになってくるという希望が一つ持てるということでございます。それから、第二の点といたしましては、金融の効率化に伴う中小企業の金利負担の軽減という、ただいま先生御指摘のことが長期的に進んでいくことが期待できるのではないか、さらに信用金庫につきましては、運営の民主化という面、さらに信用協同組合につきましては、組合員のための各種の内国為替取引その他の便宜供与、こういう面からのプラスがまずあるということが考えられまして、効率化と円滑化の二つの面の調和ということになると思います。効率化の結果と円滑化とが双方満たされることをこの中小企業サイドからは強く期待いたしておるわけでございまして、先ほども議論になっておりましたが、中小企業専門金融機関の合併、転換等によりまして、中小金融が実施面、運用の面においておろそかになることのないよう十分指導して、大蔵省とも十分連絡をとって、今後の指導、運用のよろしきを得れば十分プラスの面が発揮できるのではないか、こういう期待をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/133
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134・瓜生清
○瓜生清君 最後にお伺いしますが、中小企業投資育成会社というのがございますね、あれのここ数カ年間の、何といいますか、業務実績といいますか、それがわかればお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/134
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135・沖田守
○政府委員(沖田守君) 中小企業投資育成会社は、東京、大阪、名右屋、三社合計いたしまして、過去三年間、昭和四十年度の投資を申し上げますと、四十一社、約二十億、四十一年度七十五社、約十八億、四十二年度八十五社、約二十億、現在までの累計といたしまして、約二百六十社、七十億の投資をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/135
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136・野上元
○野上元君 最後に一つだけ聞きたいんですが、中小企業の金融についていつも問題になっております歩積み両建ての問題についてお聞きしておきたいと思うのですが、昭和四十一年十月三十日付でもって銀行局長通達が出ましたね、これがいわゆる歩積み両建てに対する新措置、こういわれるもので、これの効果ですね、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/136
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137・澄田智
○政府委員(澄田智君) ただいま御指摘の四十一年十一月の、いわゆる第二ラウンドとわれわれ申しておりますが、これは拘束性の預金の貸し出しに対する比率を下げるようにというのが一つと、それから、貸し出しに対する拘束性預金がある場合の、その拘束性預金に見合う貸し出しについて金利を下げる、預金金利に最小限度のコストを加えた程度の金利に下げる、そうすれば拘束性預金があっても、金利負担が特に加重されるということにならぬという二点でございますが、その点につきまして、四十一年の十一月、これを実施する前の状況で申しますと、貸し出しに対する拘束性預金の比率でございますが、都市銀行の中小企業向け貸し出しについて申し上げれば、その拘束性預金の比率が二二%でありましたのが、四十二年の十一月、昨年十一月末の現在で調査をいたしまして締めたものによりますと一六・二%ということになっております。それから、地方銀行の中小企業向け貸し出しでございますが、四十一年五月末で二一・六%でありましたものが、四十二年の十一月末が一五%、それから、相互銀行で同様二七・一%でありましたのが二〇・九%、それから、信用金庫で三一・九%でありましたものが二七・一%、こういうふうになっております。それから、金利措置をとって、見合う貸し出し金利を下げたものという割合が、これがやはり都市銀行について見れば、八七%金利措置がとってあったのが、今度は九二%というふうに、金利措置済みのものが高くなっております。したがって、それだけ金利を下げているということであります。それから、地方銀行の中小企業向け貸し出しで申せば、八四%が八九・九%になっておる。九割は金利措置が済んでおる、こういうことでございます。それから、相互銀行では、五九・七%が六六・九%、それから、信用金庫で六九・六%が七三%、こういうふうに改善はされてきておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/137
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138・野上元
○野上元君 拘束預金に対する金利の低下という点についてはよくわかりますが、預金そのものが貸し出し額に対する比率は減ってきておるわけですね。拘束預金が減っていますね、いま説明されたように。これはあなたのほうの指導要領から見れば、これは当然そうなると思うのですが、この指導要領を読んでみますと、「むしろ常道は、貸出先の信用調査に万全を期し、あるいは預金以外の物的担保等に依存すべきであろうから、拘束性預金の額をある程度引き下げることは可能である」と、こういっておるわけですね。これは当然のことだと思うのですが、問題は、この比率が下がったことによって、私は喜んでいいのかどうなのか、中小企業の立場に立った場合にどうなのかという点がちょっと問題になるわけです。というのは、こういう指導をされると、私は、比率が減ってくるのは当然だと思うのですね。拘束性預金だけに、債権の保証にたよらないで、信用とか物的担保によってたよっていきなさいということは、言いかえれば選別融資ということになるわけですね。選別融資は強化されるということになるわけですね。要するに優良な、良質な担保が優先するんだということになれば、担保のない者には貸さない、しかも、一方においては拘束性預金の比率を下げなさい、こういっておるわけですから、いわゆる担保のない弱者はこの指導要領によって疎外されていくんじゃないかという気がするわけですね。その点がちょっと心配になったわけです。したがって、中小企業の中でも、比較的健全な企業を経営している中小企業に対しては、この精神によってどんどん貸し出せるけれども、しかし、基礎が危ういようなところ、担保の比較的弱いところというようなところには、この指導要領によれば、拘束性預金以外には担保がないということになれば、拘束性預金の比率を下げるという指導のもとにおいては、弱者は疎外されていく、したがって、選別融資が強化されていく、だからますます倒産はふえていくのではないかというような関係にあるのではないかということがちょっと心配になったのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/138
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139・澄田智
○政府委員(澄田智君) 拘束性預金が、まあ極端に拘束性預金というものはけしからぬということで、これをゼロにするというようなふうにすべきであるというような極端な御意見も時にあるわけなんですけれども、いまもお話になるような、そういう実態というものも考えられないことではないわけでありまして、まあいまのこの四十一年の十一月からやっておりますやり方は、拘束預金の全体を、その金融機関、たとえば相互銀行なら相互銀行というグループをとりまして、その金融機関全体の拘束預金比率の平均比率を出しまして、その平均比率をこえているものは、そのこえている部分の五割というものを減らしなさい、こういうようなことで、極端に拘束性預金の高いところの金融機関がそれを落としていく、したがって、そういうことで全体の比率が下がっていく、こういう指導方針をとっておりますので、いまお話のような弊害がまた逆に出るほど拘束預金がどんどん減っていくというものではなく、平均より高く取っているところは下げろ、こういう指導対象になるやり方をしておりますので、いまのお話のようなことで、拘束性預金というものが、今度逆に金融を拘束するということまで落とすというようなことにはならない。弊害をそういう形で押えていく、こういうことでやっているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/139
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140・野上元
○野上元君 私どもも、党の立場から、中小企業育成のために、歩積み両建ての問題についてはやかましく大蔵省に申し上げたわけです。しかし、いま私ちょっと考えてみまして、これをあまり厳格にやっていくということになると、先ほど私が言ったような、みずから首を締めるというようなことになりかねないというような実は気がしたわけです。したがって、歩積み両建てをなくするということだけではいまのような結果になるから、したがって、弱者に対する何か金融保証制度というものをあわせて行なっていかないと、歩積み両建てだけをなくすることにあまり専念していると、結果は逆効果になっていく、こういう心配が出てきたので実は質問をしてみたわけですが、その点はひとつ私たちも大いに研究したいと思うのですが、大蔵省、あるいは通産省も、どうかそういう立場からこの問題をひとつ真剣にとらえてもらって、中小企業育成のために今後ともひとつ努力してもらいたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/140
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141・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 本法案に対する質疑は、本日はこの程度といたしまして、これにて散会いたします。
午後二時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02219680509/141
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