1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月五日(火曜日)
午後一時十四分開会
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委員の異動
二月二十七日
辞任 補欠選任
沢田 一精君 森田 タマ君
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出席者は左のとおり。
委員長 津島 文治君
理 事
船田 譲君
吉武 恵市君
鈴木 壽君
原田 立君
委 員
小柳 牧衞君
林田 正治君
八木 一郎君
林 虎雄君
松澤 兼人君
松本 賢一君
国務大臣
自治大臣 赤澤 正道君
政府委員
警察庁長官官房
長 浅沼清太郎君
自治政務次官 細田 吉藏君
自治大臣官房長 宮澤 弘君
自治省行政局長 長野 士郎君
自治省財政局長 細郷 道一君
自治省税務局長 松島 五郎君
消防庁長官 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
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本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査
(自治省及び警察庁の基本施策に関する件)
○地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814720X00319680305/0
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001・津島文治
○委員長(津島文治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
赤澤国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。赤澤国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814720X00319680305/1
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002・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 委員各位には、平素から地方自治及び治安行政の問題につきまして御尽力をいただいているところでありますが、この機会に、所管行政の当面する問題につきまして、所懐の一端を申し述べ、各位の御理解と格別の御協力を賜わりたいと存ずるものであります。
近年、国政の進展とともに地方自治行政を取り巻く環境は急速に変化し、地方行政に対する各種の要請はとみに強まり、地方行政のあり方は、その質と量の両面において大きな変貌を遂げつつあります。私は、このように変貌する地方行政の現実に対処し、社会経済的諸条件の変動に即応するため、すみやかに適切な措置を講じ、地方自治の伸展と国民福祉の向上に万全を期してまいる所存であります。
昨年末、当委員会において申し述べましたように、最近の社会経済情勢の変化に伴い、行政運営の広域的処理の必要性は、一そう強まっていると考えられます。政府といたしましては、このような見地から、広域的地方公共団体としての府県の自治能力の充実、強化を期すべく、第五十一回国会以来、都道府県合併特例法案の御審議をわずらわしているところでありまして、私といたしましては、当法案を一日も早く成立させていただき、今後の地方制度改革の中核ともいうべき府県の規模の問題ついて、その解決に資したいと考えております。一方、これと並行して、都道府県、市町村を通じて事務の共同処理方式の活用を推進する等、行政の広域的、かつ、効率的な運営について積極的な指導を引き続き進めてまいりたいと存じております。
また、人口及び産業の都市集中化に伴って生じておりますいわゆる過密過疎の問題の解決は、地域格差の是正とともに、現在の政治、行政の上で最も重要であり、かつ、緊急を要するものであります。私は、この際、変貌しつつある各地域社会の特性に応じた個性ある地方自治体の形成、振興につとめるとともに、地方中堅都市の構想等を含め、制度、運営の両面にわたり再検討を加えてまいりたいと考えております。
なお、最近における行政需要の増高に伴い、国、地方を通ずる行政事務は、ますます複雑多岐となり、行政能率の向上を阻害している面も多く見受けられるのでありますが、現在、国においては行政機構の簡素化、能率化をはかり、国民負担の軽減に資するため、各省庁の一局削減並びに定員、管理方針を決定し、計画的にこれを実施することといたしております。地方公共団体としても、このような国の措置と相呼応して、出先機関等行政組織の再検討、零細補助金の整理等を通じて、行政運営の簡素化、合理化につとめなければならないと存ずるものでありますが、各地方公共団体限りでこれを実施することは、法令その他補助金交付の条件等による拘束、国の行政組織の不合理のもたらす地方への影響等のため不可能なものも少なくない実情にあります。私としましては、国が行政機構の改革等に手をつけるこの機会をとらえ、各省庁に対して、その是正方を強く要請し、もって各地方公共団体の機構の改善と定員管理の合理化の実現に奇与するとともに、国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の行政事務の再配分や補助金の整理等をより一そう推進し、行政責任の所在を明らかにして、行政の合理化、能率化につとめてまいりたいと存じます。
次に、公務員行政につきましては、地方自治行政における住民の信託にこたえるため、適正な近代的人事管理体制の樹立について各般の努力を重ねておりますが、今後なお一そう公務員秩序を確立し、近代的な正常な労使関係を樹立するようつとめることとし、また、定年制の採用、適正な給与制度の確立とその運用、地方公務員の福祉の増進などの制度面の改善をはかり、あわせて公務能率の向上を期するとともに、特別職、一般職を問わず、公務に従事するもののモラルの向上と士気の高揚に力を入れてまいりたいと考えております。
次に、地方財政について申し上げます。
明年度の地方財政は、社会経済の情勢を反映して、地方税収入及び地方交付税収入において、かなりの自然増収を期待し得るのでありますが、一方においては、住民税を中心とする減税の要請があり、他方においては、地方道路財源の確保、特別事業債の事後処理などの従前から引き続いて解決を要する問題があるのであります。申すまでもなく、地方財政の現状は、いまもなお義務的経費の増加が著しく、さらに社会資本の整備のおくれを取り戻し、行政水準の向上をはかることが強く要請されているのでありますが、この際、これらの事態を十分に吟味し、内外の経済情勢に対応し、あわせて将来にわたる地方財政の健全化をはかるため、国の基調に準じ、財政投資の重点化に徹し、節度ある運営を期することといたしたいのであります。
このような観点に立って行ないます明年度の地方財政対策の概要は、おおむね次のとおりであります。
まず第一は、住民負担の軽減であります。住民税を中心として、初年度七百四十余億円にのぼる減税を行なうことといたす所存であります。
第二は、財政投資の重点化をはかるため、地方債においては、その重点を公営住宅、辺地対策、都市対策、公共用地先行取得、上下水道、地下鉄などの事業に指向いたしました。
第三は、道路目的財源を確保するため、自動車取得税を創設するとともに、交通安全対策の財源として交通安全対策特別交付金を創設いたす所存であります。
第四は、地方交付税の繰り入れ額を法定額より四百五十億円減額してこれを将来に繰り越すこととしたほか、交付税及び譲与税配付金特別会計における二百五十億円の借り入れ、災害債の繰り上げ償還、一般会計における地方債への依存度の引き下げなどの措置をとることにより、その健全化を促進することといたす所存であります。
第五は、国と地方との間の財政秩序を確立するため、昭和四十一年度に発行された特別事業債の元利償還については、特別事業債償還交付金制度を創設し、また、国庫補助負担金に伴う超過負担については、三年間でこれを解消することといたす所存であります。
第六は、地方公営企業の健全化対策として新たに下水道についても公営企業金融公庫にかかる融資金利を引き下げることとし、工業用水道事業については、その償還期間を延長するとともに、高料金水道事業については、既発行債の低利借りかえを認めることといたしたいと存じます。
なお、明年度の地方財政については、今後の社会経済情勢の変動等に伴い、若干の変動もあることと考えられるのでありますが、行財政運営の合理化、効率化につとめるよう、強く要請するほか、地方公営企業についても、その健全な運営がはかられるよう努力を重ねてまいりたいと考えております。
地方税制につきましては、ここ数年来、困難な地方財政のもとにおいて、あとう限りの減税を行ないながら、税負担の合理化、均衡化を進めてまいりましたが、昭和四十三年度においては、住民負担の現状にかんがみ、住民税について、夫婦子三人の給与所得者の課税最低限を十万円程度引き上げることを目途として、基礎控除などの各種控除をそれぞれ一万円引き上げ、大幅な減税を実施する方針であります。また、中小企業者、農林漁業者の負担を軽減するため、専従者控除を引き上げることといたしております。また、道路整備の緊急性にかんがみ、地方団体に道路目的財源を賦与するため、自動車取得税を都道府県税として創設し、その三分の二程度の額を市町村の道路財源として交付することといたしたいと考えております。
さらに、消防行政につきましては、最近における火災、その他の災害の多発と複雑化の傾向にかんがみ、消防力の増強のための施策を一そう積極的に進めてまいる所存であります。そのため、まず、消防の常備化と広域化を推進するとともに、消防財源を充実して、消防施設の強化をはかってまいりたいと存じます。特に、近年における産業経済の著しい成長と生活環境の変化に伴い、危険物及びプロパンガスなどによる特殊な災害が続出しており、また、超高層ビル、地下街などもますます増加しておりますので、これらに対する防災対策を強化するとともに、交通事故の激増に対処するため、救急業務の実施範囲を拡大するなど、救急体制の整備に力を注いでまいりたいと考えております。なお、これらの施策と並行して消防職員及び団員の処遇の改善についても、引き続いて努力してまいりたいと存じます。
次に、国家公安委員長として所信を述べたいと思います。御承知のように、わが国の社会経済は、都市化の進展、生活圏の広域化など、急速な変貌の過程にありますが、このような現状に適切に対処することが各般の行政の重要な課題となっております。そこで、警察といたしましても、派出所、駐在所の改編などを中心とする外勤警察体制の再編成、いわゆる一一〇番の集中運用その他警察通信機能の高度化などの施策を推進することといたしておりますが、なお今後ともこの面での積極的な方策を検討してまいる所存であります。
交通事故の発生は依然として著しい増加の傾向を続け、昭和四十二年中における死傷者数は、これまでの最高を記録しました。交通事故防止対策の推進につきましては、委員各位にも格段の御配意をいただいているところでありますが、私は、特に歩行者事故防止対策の強化、無謀運転排除徹底、雇用者等の責任体制の確立等の事故防止対策を強力に推進いたしますとともに、都市における交通渋滞の激化を緩和し、その円滑化をはかるための交通渋滞緩和対策を積極的に推進いたす所存であります。なお、昨年道路交通法の一部を改正する法律によって新設されました交通反則通告制度は、来たる七月一日から実施されることとされておりますが、本制度が適正かつ円滑に運営されますよう、諸般の措置を講じてまいる所存であります。
少年非行の問題は、関係者の努力によっていささか好転のきざしを見せておりますことは御同慶にたえないところでありますが、勤労少年の非行率は依然として高く、また、家出少年が増加しているなど、なお対策を推進しなければならないことが多いのであります。私はこれらに対処するため、関係機関と協力を密にして、補導活動の推進、保護活動の強化及び有害な社会環境の浄化に一そう努力を重ねてまいる所存であります。
昨年の羽田事件や先般の佐世保事件に見られますような一部学生団体の著しい暴徒化の傾向は、わが国の治安上まことにゆゆしい問題でありまして、これに対処するため、治安警備体制を充実、強化することがぜひとも必要であると考えられますので、このたび、機動隊員の増員その他所要の措置を講ずることといたした次第でありますが、この問題につきましては、今後とも十分な留意と努力をして万全を期する所存であります。
暴力団の取り締まりにつきましては、これまで相当の成果をあげてきたと存ずるのでありますが、さらに国民各層の御協力を得て強力な取り締まりを継続し、その根絶をはかってまいる所存であります。
なお、本年夏には第八回参議院議員通常選挙が施行される予定でありますが、これに随伴する違反行為に対しましては、真に厳正公平な取り締まりを行ない、明るく正しい選挙の実現に寄せる国民の期待にこたえるようつとめる所存であります。
以上申し述べましたような警察運営を適切に行ないますためには、言うまでもなく警察活動に対する国民の積極的な支持と警察官の旺盛な士気が前提となるのでありますが、それには、仕事に当たる警察官一人一人が真に国民に親しまれ、信頼されると同時に、日夜治安の確保に献身している第一線警察官が安んじてその責務が遂行し得るような方策を講ずる必要があるのであります。このような観点から、今後警察教養を積極的に充実強化し、警察官の質的向上をはかるとともに、警察官の待遇改善に格段の努力をいたす所存であります。
以上、所管行政の当面の諸問題について所信を申し上げたのでありますが、委員各位の格段の御協力によりまして、その実をあげることができますよう、一そうの御鞭撻と御指導をお願い申し上げる次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814720X00319680305/2
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003・津島文治
○委員長(津島文治君) 次に、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
提案理由の説明を願います。赤澤自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814720X00319680305/3
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004・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
地方公務員の公務上の災害にかかる障害補償につきましては、地方公務員災害補償法別表に定める身体障害の程度に応じて補償がなされるのであります。最近において労働基準法及び労働者災害補償保険法による障害補償にかかる障害等級表が改正され、民間労働者が業務上の災害により精神または神経系統の機能に障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されることとなる場合には、障害等級表の第九級の障害補償がなされることとされました。右に伴い、地方公務員についても、それとの均衡をはかるため、地方公務員災害補償法別表につき、同様の改正を行なおうとするものであります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814720X00319680305/4
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005・津島文治
○委員長(津島文治君) 本案の審査は後日に譲りたいと存じます。
次回は三月七日午後一時開会の予定でございます。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十分散会
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