1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月九日(火曜日)
午前十時三十七分開会
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委員の異動
四月五日
辞任 補欠選任
鈴木 力君 鈴木 強君
四月八日
辞任 補欠選任
渡辺 勘吉君 横川 正市君
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出席者は左のとおり。
委員長 久保 等君
理 事
寺尾 豊君
西村 尚治君
松平 勇雄君
森 勝治君
委 員
植竹 春彦君
郡 祐一君
白井 勇君
永岡 光治君
光村 甚助君
市川 房枝君
鈴木 市藏君
国務大臣
郵 政 大 臣 小林 武治君
政府委員
郵政大臣官房長 溝呂木 繁君
郵政省郵務局長 曽山 克巳君
郵政省電波監理
局長 石川 忠夫君
郵政省人事局長 山本 博君
事務局側
常任委員会専門
員 倉沢 岩雄君
参考人
日本放送協会技
師長専務理事 三熊 文雄君
日本放送協会理
事 川上 行蔵君
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本日の会議に付した案件
○郵政事業及び電気通信専業の運営並びに電波に
関する調査
(郵政事業の運営に関する件)
○沖繩におけるテレビジョン放送に必要な設備の
日本放送協会による設置及び無償貸付けに関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・久保等
○委員長(久保等君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
まず、理事会の協議の結果について御報告いたします。
本日の委員会においては、郵政事業の運営に関する件について質疑を行なった後、沖繩におけるテレビジョン放送に必要な設備の日本放送協会による設置及び無償貸付けに関する法律案の説明を聴取し、質疑を行なうことになりましたので、御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/1
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002・久保等
○委員長(久保等君) 次に、委員の移動について御報告いたします。
去る四月五日、鈴木力君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任され、昨八日付をもって渡辺勘吉君が委員を辞任され、その補欠として横川正市君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/2
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003・久保等
○委員長(久保等君) 郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。
御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/3
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004・森勝治
○森勝治君 大船渡の不当首切りの問題について、続いて質問をしたいと考えております。
そこで、まず大臣にお伺いしたいのでありますが、この大船渡郵便局の不当処分は、その理由はいかなる根拠に基づかれたのか、ひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/4
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005・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 国家公務員法によったものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/5
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006・森勝治
○森勝治君 私は、そんな抽象的なことを聞いているのじゃないのです。もうすでに具体的な質疑の内容に前回に引き続き入っておるわけですから、どういう理由で首切ったかということを聞いているのです。そんな法律準拠の問題は、もう先刻お互いに承知なはずです。具体的な事例をひとつ——たとえば支部長の佐藤君なら佐藤君の例になぞらえてひとつ御説明いただきたい。あまりにも——ここに写しがあるのだが、われわれは抽象的でさっぱりわからぬから、具体的にひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/6
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007・山本博
○政府委員(山本博君) 例を佐藤広一君の場合にとって御説明を申し上げます。
佐藤広一君の場合は、昭和四十二年の十一月の二十四日から十二月の二十六日までの間、約一カ月ちょっとでございますが、その間において、しばしば勤務時間中の作業を中断をいたしまして、同局の管理者の再三にわたる就労あるいは解散命令、こういうものを無視いたしまして、多数の組合員とともに管理者を取り囲み、集団の威力をもって執拗に抗議あるいは話し合いというものを強要いたしました。あるいは暴言を浴びせたり、強迫的言辞を弄する等いたしましたほかに、再三にわたって管理者の行動の自由を奪いました。あるいは自己の手のひらで管理者を強く押すとかあるいは両ひじを動かして行動の自由を全く奪う、そういう暴力的行為を行ない、また退局しょうとした管理者を他の組合員とともに取り囲みその退局を妨害する、さらに管理者の業務命令発出を妨害するというような行為、そういうもの、全体といたしまして著しく職場の秩序を紊乱したという理由によったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/7
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008・森勝治
○森勝治君 いま何名かありますが、支部長の例をことあげされたわけでありますが、これはいわゆる年末闘争時における責任追及という理由ですか。年末闘争時におけるその者のできごとについての責任追及ということでの処分がきめられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/8
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009・山本博
○政府委員(山本博君) 先ほど申し上げましたように、十一月二十四日から十二月二十六日までの間、この間はいわゆる全逓の年末闘争の期間もこの中には入っております。しかし、その期間外の行為につきましても、佐藤広一君個人の責任というものを追及したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/9
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010・森勝治
○森勝治君 重ねてお伺いしますが、いま全逓の年末闘争の期間が一応ありましたね。その期間内におけるできごとを追及したわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/10
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011・山本博
○政府委員(山本博君) その期間内に行ないました行為にも責任を追及いたしましたが、その期間外の行為もあわせて追及をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/11
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012・森勝治
○森勝治君 くどいようですがね。私にとっては大切なことでありますから、さらに聞きますけれども、よろしいですね。全逓の年末闘争の期間中に起こった問題についても責任を追及したとおっしゃるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/12
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013・山本博
○政府委員(山本博君) その期間内における個人としての佐藤広一君の行為も追及をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/13
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014・森勝治
○森勝治君 個人という表現ですか。その期川中における——たとえば支部長としての責任追及ではないのですね、個人だけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/14
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015・山本博
○政府委員(山本博君) 個人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/15
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016・森勝治
○森勝治君 個人だけですね。はっきり言ってください、先ほどのあなたの御答弁と違うから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/16
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017・山本博
○政府委員(山本博君) 先ほども私は、その期間内の佐藤広一君個人の行為を追及したと、こういうふうに申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/17
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018・森勝治
○森勝治君 そうすると、あなたがいま説明された、たとえばみんなで押しかけたとか、自分がキャップに立ったとかというような表現を用いられた。この中にも書いてある。他をそそのかした、そういう意味のことも書いてある。処分といまのあなたの説明とは違うように思いますが、違うと理解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/18
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019・山本博
○政府委員(山本博君) 組合の指導者としての責任ということではございません。佐藤広一君個人がほかの人と一緒になってこういう行為をした、そういうものを全体とりまとめて責任を追及したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/19
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020・森勝治
○森勝治君 どうも、あなた方ここへ来るとそういうことをおっしゃるけれども、現地では違うのじゃないか。今次のこの大般渡における全逓支部の闘争期間中における処分は一切出さないということをはっきり当該局長は言明しているでしょう、団体交渉の席において。それは御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/20
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021・山本博
○政府委員(山本博君) 局長が、処分は出さないということを言ったという事実は存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/21
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022・森勝治
○森勝治君 それでは申し上げます。これは十二月六日の午後一時半から陸前高田局の会議室で、全逓側と局側で陸前高田局長はじめ大船渡、それから、その他の各局長が、約十局が集まりました。ここで団体交渉が行なわれました。このときに、年末闘争時後の郵便の滞留がどうなっているかというような問題があったが、これは適当に処理するから心配はないというようなことを局側が答弁した。したがって、年末闘争時代におけるこの郵便物の積滞というものは後日までいろいろ累を及ぼさないことがこの団交で明らかであります。したがって、そのあとで、年末闘争時において何か処分に該当するようなトラブルの事例はあったかという組合側の質問について、年末闘争時に処分するような事例は何もないし、私は過去においても処分したことがないし、また処分するような男と思いますかと、こういうふうに逆に組合側に言っておるわけであります。団体交渉の席上でありますよ。かりそめにも団体交渉は公式な場であります。公式な場において、闘争の責任は追及しないと、局長連中——名前を読み上げてもいいです、そこに列席の官側の皆さんの名前を読み上げてもよろしいけれども、この席で、いま私が言ったようなことを確認されておる。現地で確認されておるのに、あなた方はこれを処分したというのはおかしいじゃないか。一体これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/22
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023・山本博
○政府委員(山本博君) 団体交渉の席上で局長がそういうことを発言したという事実は、私どものほうは全く存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/23
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024・森勝治
○森勝治君 これを事実確認されたらどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/24
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025・山本博
○政府委員(山本博君) 現在まで事実を確認いたしておりませんし、いまのお話の内容からいたしまして、局長がそういうことを言うはずはちょっと考えられません。しかし、仮定の問題として、あったらどうだということでございますが、ありましても、そういう事実、こういう佐藤広一君の事実そのものというものは、内容から見まして私たちは責めを追及すべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/25
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026・森勝治
○森勝治君 話をそらしちゃ困るのですよ。佐藤君のこと云々がこうだなんということは聞いちゃいないのですからね。質問にお答え願えればいいのです。あなた方、大臣はじめ自分の都合のいいことはべらべらしゃべって、都合が悪いことはしゃべらないじゃないですか。いまの団体交渉の席上でお互いに話し合って確認して、大勢の人がそれを聞いていたのじゃないですか。知らぬとは何ですか。大臣もこの前私の質問に答えて、現地のできごとについてはわれわれが承知しないことがまだあるらしいから、調査員を派遣するとおっしゃっているわけだ。したがって、こういう事態について調べなさい。処分しないと言っておりながら、処分するなんておかしいじゃないですか、大体。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/26
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027・山本博
○政府委員(山本博君) 郵便局長は、実はこの処分につきましては権限がございません。これは郵政局長に権限がございますので、郵便局長が処分をするとかしないとかいうことを責任者として団体交渉の席において言うということは、これはもし事実としましたら、非常に不謹慎なことでございます。むしろ、その面において責めを負うべきだというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/27
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028・森勝治
○森勝治君 おたくのほうの立場はそうでありましょう。しかし、かりそめにも一局をあずかる最高の責任者が、当局側を代表して公的な場で、職員側に公的な立場の発言をされれば、これはもう労働組合の慣行からいっても、法的な立場からいっても、これは当然われわれは有効とこれを見るわけであります。よろしいですか、局長。かりそめにも、両方の代表をあげて話し合いをするわけですから、その席上で公言したものをだめだとおっしゃるならば、出先では何の話もできないということになりますよ。よろしいですか。あなた方は、じゃこれからも質問するけれども、年休問題でも局長に権限がないのですか、それでは。年休を付与するのも局長は権限ないのですか。与えておりませんね、この局については。この点についても一角度を変えて質問したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/28
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029・山本博
○政府委員(山本博君) 先ほどの問題でございますが、やはり正式に団体交渉をいたしますときには、局長が自分の権限外のことを交渉の席上において発言する、もし発言したとしましたら、これは局長の間違いでございます。
それから年休の問題でございますが、これは局長の権限でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/29
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030・森勝治
○森勝治君 局長が間違いだとおっしゃるけれども、一番事情をつまびらかにするのは当該の局の管理者でしょう。この方が闘争時に職員の行動その他処分をするような事例は何にもないと言っているんですよ。現場ではない、トラブルが起こらぬと言っている。起こらぬと言っているのに、そんなことがあるか、処分だというのはおかしいじゃないですか、いいですか。しかし、これはいずれあとでゆっくりやりましょう。
そこで、いまの年休の問題だが、局長に権限を付与しておりますね。ところが、たとえば十二月四日の場合は局長に権限付与しましたか、年休については。同じこの六日の団体交渉の席上でも、いいですか、病気休暇で寝ておる者まで認めないと言って、郵政局の命令だと言って、局側が病気休暇を与えている者を呼び出しているんだ。渡辺さんもこの点については、この前若干言及されましたが、局側が堂々と年休を認めているわけだ。認めておって取り消してきた。上局の命令によって承認できないと言った。そこで、そんなら、上局の命令とは、何局だと言ったら郵政局のことであると言うんです。あなたがいま年休付与の権限は局長に与えておるとおっしゃっておるが、団体交渉の席上でこういうことを言っている。局長に権限を与えてないじゃないか、どういうことなのか。あなたの言われることが現場ではこんなに違う、考え方もこんなに違う、話し方もこんなに違う。われわれは一体だれを信用すればいいんだ、明快にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/30
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031・山本博
○政府委員(山本博君) おっしゃるとおり、年休あるいは病気休暇、こういうものについては、そこの郵便局長に権限が全面的にございます。したがいまして、もし当時郵政局員がその局に臨局しておったと思いますので、管理者がいわば郵政局から指導を受けたという意味ではあるいはそういう表現が使い得るかと思いますが、そうでなくて、上局からの命令で取り消すという表現をしたといたしますと、その点は間違いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/31
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032・森勝治
○森勝治君 あなたは間違いと言っているけれども一、簡単なことばで取り消されましたが、病気で寝ている者に電報を打って、電文を読み上げてもいい、内容を。電文を打っているんだ。悪いことをそうやって追及されれば簡単に取り消したが、該当者はたいへんな迷惑じゃないですか。そう思いませんか。局長に権限は付与しておりながら、局長がよろしいと認めたものを、たとえそこに当局出張した郵政局のだれがいたか知らぬが、そういう人の指導とか、そんな指導か命令か知らぬが、それによって委任を受けている局長の権限をみずから放棄して、自分が与えた——自分が権限を持っているんでしょう。あなた与えている、大臣から委任されて委譲されているわけだ。それをみずから放棄して、病気で寝ている者を呼び出して、追及されればおれがやったんじゃない、郵政局の命令でやったんだと言っている。それじゃ、その当時あなたがいま局長に年次休暇の許可権というものを与えておったと言ったが、その当時、あの局にはなかったわけですか。局長に、そういう権限を持たせないんですね。こういうところをあなた方つまびらかにしないで、職員側ばかり追及するということはそれはいかぬですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/32
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033・山本博
○政府委員(山本博君) その当時郵便局長から権限を郵政局に引き上げているということはないと思います。これは一度調べてみたいと思いますが、私はないと思います。ただ、十二月四日当時は、病気休暇という形でたとえば東京でもそうでした。大般渡でもそういうことがございましたが、集団的に病気休暇の請求をして休む、こういう戦術を組合側としてとったわけでございます。したがいまして、そういうときには、病気休暇という請求がございましても、それを与えない。与えたあとに、それが戦術だということがわかったときには、取り消すというようなことは東京でもいたしましたし、地方でもいたしました。おそらくその場合に該当しているんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/33
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034・森勝治
○森勝治君 だから、私はそれは血も涙もないやり方だと言っておるのです。病気で寝ておる、これは病気と認めておりながら、それを上局の命令と称して、いまあなた方が言う戦術を行使したと疑いをかけて、そこで寝ておる者まで全部呼び出しをかけて許可しない、こういうずさんな労務対策がありますか、こんなやり方というものがありますか、人権無視もはなはだしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/34
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035・山本博
○政府委員(山本博君) 本人がほんとうに病気で自宅でもって休養していたのを事実も確めないで呼で出したということでございましたらば、これは非常に慎重を欠いた行為であると思います。ただ、いま申し上げましたように、一つの戦術といたしまして、たくさんの人間が一度に病気休暇という形をとる。従来でございますと、一月に一人か二人くらいが病気休暇ということで請求があったのに、急に五人、六人という形でまとまって請求してきた。時あたかも争議行為という形で、そういう戦術がとられたということと、一応管理者としては業務運行上、そういう病気休暇で休んでいる人に協力を求める、あるいは出てきて働いてくれということを要求するということは大船渡以外のところでも一般的にとられていることであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/35
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036・森勝治
○森勝治君 だから、私は言っているのですよ。病気だと認めておるのです。それになぜ呼び出しをかけたのか、いいですか。したがって、そのことについては取り消したじゃないか、組合側からの抗議で、その後取り消したじゃないか。そういう画一的な何でもかんでも労組を敵視して、病気で寝ておる者までも、人権を無視するごとく職場をかり立てようとするこの圧制というものが職場に深い不満として根ざしてくるのですよ。よろしいですか、寝ておる者を出てこいと言っておるのだ。抗議を受けて取り消す、取り消すだけで済みますか、これすらも責任問題になるのじゃないのですか、そういうことをやっている管理者をほうっておくのですか、局長は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/36
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037・山本博
○政府委員(山本博君) 管理者側の立場といたしましては、業務運行を、正しく維持していくということが国民に対する責任である、あるいは管理者が持っている固有の責任である。その責任感をほんとうに痛感すれば、当時たくさんの人が病気休暇を請求してきた。これだけのたくさんの人が病気休暇を請求してきて業務運行上に穴があく、それを早急に補充できないという事態に立ち至りましたならば、管理者としては緊急避難という形ででも、病気休暇から出てくる大きな業務運行上の阻害要因を防ごうということで、病気でない人に対して病気休暇をとるということを防ごう、あるいは回復しようという措置をとるのは私はやむを得ないのじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/37
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038・森勝治
○森勝治君 病気で寝ておるのを認めておって、それを呼び出すのはどうしてもやむを得ない措置か、郵政というのはそういうところですか。何人も病気だということを現認しておきながら、そういう病人として認めておって、職場に出てこいという命令を出すのか。こういう十年もおくれた労務対策をやっているのが郵政のあり方ですか、それが当然ですか。それほどあなたは自分たちの大切な生産源である現場の労働者に対して信頼を寄せておらぬのですか、疑りの目をもってすべてを処置されておるのですか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/38
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039・山本博
○政府委員(山本博君) 平常におきましては、これは労使双方が信頼感を持って、相互理解ということで業務運行に協力して当たるということは当然のことでございますが、何せ、闘争時の場合におきましては、これはそういう、先ほど申し上げました業務運行上の責任というものと、組合側のいろいろな闘争手段というものとは、これはある程度、立場の対立ということはやむを得ないと思いますし、またしたがいまして、そういうような方法というのが、これは労使双方からある程度相互関係としてとられておるということでございまして、こちらだけが非常にかたくなな間違った方法をとったということではないのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/39
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040・森勝治
○森勝治君 具体的に申し上げましょう。吉田さんという人と、及川さん、星さん、これは病気休暇で休んでおる人ですよ、いいですか。この三名、病気休暇で休んでおる人に、午前九時五分、年休は取り消すから出てこいという命令を出しているんだ。もちろん、ほかの人にも出しましたよ。しかし、あなたのおっしゃる、全逓が闘争の一つの戦術として年次休暇闘争を使った、だからそれに対して出てこいと、出したというならば、その行為について私は是認はいたしませんが、労使双方のそれぞれの立場があるのですから、これはいわゆる見解があるから、まあこれはやむを得ないといたしましても、病気休暇で休んでおる者に追い打ちをかけるというのは何ごとですかと申し上げておるのです。たとえばそれならあなた方に聞くが、逓信病院に入院している者で、全逓の組合員は全部出勤命令が出たか、出やしないだろう。そんなことはしないだろう。それと同じことじゃないか。局側もみんな認めている、この三名は休んでいることは認めている、そうだろう。それを出てこいとは何ごとだ。それでよろしいというのか。あなたのそんな話が是認されるならば、病気で休んでいる者を、年次休暇で休んだ全逓の従業員に一斉に出勤命令を出すならば、逓信病院に入院加療中の者にも出勤命令が出るはずだ、これはどういうことだ。片手落ちじゃないか。こういうことをやるから、職場に不信の根がどんどん育っていってしまう。あなた方は、自分たちの労務対策をかばおうとするが、こういう現実の姿はどうするか。しかも、病気で寝ている者を、全逓が休暇闘争をやっているから呼び出すのはあたりまえだ——そんなばかなことがあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/40
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041・山本博
○政府委員(山本博君) すでにその時期におきまして、客観的に本人が病気であるということがわかっております者について、もしこれは——事実を調べないとわかりませんが、出しましたとすると、これは手続上ほんとうに間違いだと思います。しかし繰り返しますが、当日になりまして、初めて病気休暇という形をとりまして、しかもいま申し上げたように、集団的に病気休暇戦術というものがとられた時点におきまして、郵便局側が病気休暇を取り消して出てきてほしいということを要望する、あるいは要請するということは、私は郵便局側としては間違った措置ではなかったと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/41
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042・森勝治
○森勝治君 どうも詭弁を弄されて困りますな。病気で寝ている者を呼び出して間違っていないというのは困るですよ。間違いがわかったから、当該局では取り消しておるのですよ。局長、いいですか、取り消しているのですよ。あなたのように間違いでなかったら取り消すはずがないだろう。ばかな答弁はほどほどにしなさい。とにかくそのことはあなたのほうでもひとつお調べいただきたい。
そのことばかりかかり合うわけにいかないから次に移ります。
私は、いま申し上げたように一つの事例を申し上げたのです。大船渡郵便局というものの労務管理や業務管理、部下の使い方というものがいかに他局と異なり、いかに専制——専制制度のようなものですね、局長や課長がこういう部下を圧制する、こういう一方交通的な業務運行がなされておるという一つの事例をいま申し上げたのですよ。
さらにもう一つ申し上げましょう。貯金保険課で二名の諸君が年次休暇の申し出をしたわけであります。これを許可しなかった。その理由が、君たちは十二月の募集能率が落ちているから休暇を認めないというのが、休暇を付与せざる理由であります。それでよろしいですか。そういう理由で休暇を認めないということで正しいと思いますか、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/42
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043・山本博
○政府委員(山本博君) これも、私のほうで十分調べをいたしてみたいと思いますか、本人がどの程度の募集をその時点としてしておりましたのか、ほかの人と比べまして著しく成績かあがっていない、しかも、その時期が一番募集をするのにチャンスであるというような状況がありましたときには、むしろこのチャンスにうんと募集したほうが成績があがるという判断を管理者がしたということも、これは例として考えられます。一般的には、あなたは成績が悪いから年休をとらないようにということは、これは考えられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/43
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044・森勝治
○森勝治君 当然でしょうな。したがって、この点についても、それは当該課長が言ったそうですが、課長の発言内容は妥当でないから取り消すと局長は言っているのですよ。あたりまえのことですよ。年休は、年休請求、保留、本人の自由でございますからね。それがおまえ成績が悪いからやれないなんて、馬のつらにニンジン的なやり方はよくないですよ。いいですか、病気で寝ている者を呼び出しかけたり、いま言ったように勤務成績が悪いから年休をくれない、労働者のこれはもう当然の主張でしょう、年休をとりたいということは。それをやらない、しかも、おまえ成績が悪いからやれないなんて、官業事業であります郵政省の担当課長の発言とするならばたいへんなことと思いませんか。これはひとつ担当局長からお答えをいただきたい。そういうふうに各局を指導されておるのかどうか。業務として業務成績があがらないから年休はやらないのだ、そういう指導ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/44
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045・山本博
○政府委員(山本博君) これは各事業共通に妥当する問題でございますので私からお答えいたします。
年休を与えますときには、これは断わる場合がございます。あるいは日にちを差し繰る場合がございます。しかし、この場合は業務運行上に非常に支障がある、この年休をとったときには業務運行上非常に大きな支障があるということを管理者が判断した場合でございまして、成績がおまえは悪いから年休を与えないというようなことはございませんし、そういう指導をするわけがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/45
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046・森勝治
○森勝治君 それは当然であります。しかし当該大船渡の局では、こういうことがしばしばあるのですよ。枚挙にいとまがないほどたくさんあるのですよ。いいですか、あなた方は職場の規律を乱したとか何とか言っているけれども、一体従業員がいまの郵政省の機構の中で、一方的に上司の命令に服さぬ行動というものがあり得ますか、最近の部課長、局長というのは非常に強い態度で臨んでおられるでしょう。特に特定局などになりますと、課長や局長の顔色をうかがいながら仕事をしている、おどおどして仕事している。そこには清新はつらつたる姿が見られない。なぜか、上司が部下について非常に酷使し、傲慢な態度で部下を酷使するからそうなる。あなたがたそれは十分おわかりのはずであります。さらに、そこで私は処分の具体的な内容について若干聞きたいんですが、先般の説明の中で、腕組みをして、こうやって腕組みをして暴力を働いた、こういうわけであります。これが首切りの理由の中に入っております。一体腕組みというのは——こうやってごらんなさい、局長見てください、私、腕組みしている。これは暴力を行使する姿勢なのでしょうか。暴力を行使する姿勢なのでしょうか、腕組みというのは。暴力を抑制する姿が腕組みではないでしょうか。御見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/46
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047・山本博
○政府委員(山本博君) 腕組みは、私はあまりよく説明がじょうずにできませんけれども、腕組みといいましても、非常に安楽な姿勢をとるときの腕組みと、それから相手に対して行動の自由を奪おうという意図を持って腕組みをして、いわゆるこづくといいますか、そういう形をとる場合、同じ腕組みでも非常に違っているんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/47
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048・森勝治
○森勝治君 そうすると、あなたがいみじくもおっしゃった後段が馘首のおもなる理由ですね。だとするならば、腕組みをして暴力的行為を行なった姿をそこでひとつ再現していただきたい。これなくしては首切りはできない。それがおもなる理由だと思います。やってみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/48
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049・山本博
○政府委員(山本博君) この内容だけが処分の理由ではございません。先ほど申し上げましたように、約一カ月間にわたるいろいろな行為がございまして、それを全部まとめて判断をいたしたわけでございます。腕組みをしましても、ひじで相手をつつく、こづくということを腕組みによって意図をして、その目的のためにひじでつついた。しかも再三にわたって行動の自由をそれによって奪ったということは暴力的な行為というふうに考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/49
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050・森勝治
○森勝治君 ですから、やってみてください。私はどうも理解できない。私も大船渡郵便局、仙台郵政局で当局の説明を、郵政省のこの処分というものを理解しようと思ってみずから練習してみた。われわれみんなで何回もやってみた。やってみたがどうにも理解できない。いま大臣も腕組みしているけれども一、理解のしようがない。どうやっていいのかわからない。やってみてください。よくわからない。このことは大切なことですからね。しかも、新聞記者には、それが暴力を用いたと発表しているんです。辞令簿には暴力的と——やや弱いですね、首切りの根拠が。それはそちらでおやりになったからけっこうですよ。しかし、人を首切って、あなた方が、じゃどういうかっこうをやったかと言ったら、それはその姿も見せずに、ほかにも理由がたくさんあるなんと言っている。それはわかっている。先刻承知なんです。たくさんの理由の中の一つに、両腕を組んで暴力的行為を行なった。こう言うから、それはどういう姿かと聞いているのですよ。大切なことだ。首切ったあなた方は気が楽かしらぬが、首切られた皆さんはたいへんなことだから私は言うのに、あなたの方は言うのと組合と出先局側が話し合ったことと、仙台郵政局の言うことと、みんな違うんですよ。郵政当局の皆さんのお答えは、信頼をしたいけれども、信頼をどうしても取り戻すわけにはいかない。あなた方が詭弁を弄しているという疑いをどうしても私はぬぐい去ることができない。だからしつこいようですが、一つの事例をとらまえて、処分の対象となった具体的な事例をひとつ説明をお願いしているわけですよ。一体できるかどうか、自分たちが腕組んで、あなた方が処分の理由にあげた一つの事例をとらまえて、いま質問しているわけですよ。やってごらんなさい。自分が腕組んでどうやってやるのか、やってごらんなさい。これを暴力として自分の大切な部下の首を切って、しかも、自分たちの一方的な言いがかりをして——あえて私は言いがかりと言う。なぜか、自分たちが首を切ったならば首切りの理由を堂々となぜ発表できないか。首切りの根拠も一説明しないで首切っておいて、首切り浅右衛門だって首切りの理由はちゃんと言うのですよ。浅右衛門が徳川幕府時代に首切る場合だって、罪状を本人に具体的に申しつけて、それなるがゆえにお前の首を切るといって申し渡しをする。郵政省のやり方は抽象的な表現で、説明せいといったらそれはできない。裁判所でやれ。こういうやり方でどうやって従業員の信をつなごうなんていったって、これは無理ですよ。ひとつ具体的に説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/50
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051・山本博
○政府委員(山本博君) そのときの状況は、三時五十分から四時三十五分ごろまで約四十五分間、職場においていわゆる集団抗議というようなものが続けられたわけでございます。それから集団抗議をやめて、直ちに解散するようにということを再三管理者側が命令を出しております。この際、この解散命令に対していろいろ抗議をいたしましたり、あるいはいろいろ口で非難をしましたりというようなことで、まわりを腕組みをして取り囲んで、相当それで胸をひじで強くこづく。また、こちらへよろけると、またこちらのほうからひじでこづくということで、いわゆる行動の自由というものが不如意になった。それで仕事に差しつかえるから直ちに解散をするようにというようなことが、この四十五分の間聞かれなかったという背景がございます。そのさなかに、いま申し上げましたような、ひじをつつきまして、強くそれを横に張り出しまして胸をつついた、こういうことが繰り返し行なわれたということでございまして、実演をしてみろというお話でございますけれども、私が現実にそれを見たわけでございませんので、それと完全に同じことができると思いませんのでお許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/51
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052・森勝治
○森勝治君 ひとつ大臣にお伺いいたしますが、時間の関係で、具体的な事例はたくさんありますけれども、申し上げるわけにはまいりません。基本的な問題について、ひとつ大臣にお伺いしたいのですが、いま職場の規律を破ったといって佐藤君以下の諸君が馘首あるいは停職、減俸等の強い処分が行なわれました。まさにそれはきつい処分、不当な処分であります。しかし、それならば組合側のみがそんなにはね上がった行為をしたのであろうか、いや私はそうだと断ずるわけにはまいりません。なぜならば、私はつまびらかに現地に参ってもろもろの事情を調査した手前からいたしまして、局側、いわゆる管理者側にも幾多の不当労働行為、それはまさに郵政官僚にあるまじき数々の所業がある。こういう事態が明らかになった場合には、そういうものに対する責任、追及、処置、これを大臣はどのように行なわれるか、この点お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/52
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053・小林武治
○国務大臣(小林武治君) この大船渡局は、最近衆議院の逓信委員会でも非常に種々論議があって、私も前々からどうも問題の局だと、こういうことを言っておりますし、いろいろのお話もあるから、私は人事局が直接係官をやって、そして双方のことをほんとうに調査してもらいたいと、こういうことを指示いたしております。いろいろ問題になったようなことは、現地でいわゆる第三者的な本省の係官がひとつ調べるようにと、こういうことを申しておりますし、また不当労働行為なんかは、何も大船渡局に限らず、どことでも明らかにそういう行為があったとするならば、これは十分管理者も戒むべきである。ただ不当労働行為かどうかということは、ただお互いの言い合いじゃわからない。第三者がこれを判定することになっておりますから、これらの結果を待たなければなりませんが、そういうことがあれば、当然管理者といえども、それぞれによって戒むべきであると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/53
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054・森勝治
○森勝治君 大臣の考え方はわかりましたが、それで局長にお伺いいするわけでありますが、私、先般の関連質問の中で第一点で質問をいたしましたが、三十五年の津波による被害の復旧の場合に、報償金三万円が出たわけであります。これは申し上げたとおりであります。ところが、局長その他この津波の復旧作業に関係のない諸君が飲んだり食ったりしてしまった。職員側がおこって、この問題がまだ解決をしない。こういう問題は、郵政には監察というのもあるのだし、きょうは監察来ていないが、監察というのもあるのだし、業務の指導もあるのだし、当然わかるはずであります。従業員は受け取ってないでしょう。いままだ郵政省に貯金されて——郵政省なんてちょっと変わったことを言いますけれども、貯金しているでしょう。窓口に貯金をしている、職員は受け取ってない。これが上司に対する反感となり、不信の芽ばえとなり、猜疑の根拠となったわけであります。これは私が申し上げたとおり、こういうことを解決しないで、当然これは報償金だから、事件に関係のあった諸君に対する慰労の意味で、労をねぎらう意味で慰労金を出したのですから、そういう方々に分かち与えられてしかるべきにもかかわらず、局長や事件に関係のない人が料亭で飲んでしまった。あとは知らない。歴代局長は知らぬ存ぜぬ、これであってはならぬと思うのであります。したがって、いまからでも私はおそくないと思う。すみやかにこの事態の解決を早急にはかっていただきたい。不信の芽ばえの根源を刈り取ることなくして、相互信頼を取り戻すことはできません。したがって、このことについて、すみやかに事態収拾のお約束をいただきたい。どういう内容でやるかは、これは私はここで言うべき事柄ではございませんから申し上げませんが、責任をもって処理していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/54
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055・山本博
○政府委員(山本博君) 先ほど大臣が申し上げました調査ということを近くいたしますので、その際、この内容についても十分調査をいたしまして、それがはっきりわかりました段階において、この問題の解決ということに努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/55
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056・森勝治
○森勝治君 そのことは、何度も一この前申し上げたとおり今度のこのトラブルの源でありますけれども、それは調査せずとも、あなた方が先刻おわかりのはずであります。組合からもしばしば申し上げているし、郵政局からも報告がきているはずであります。お役所のことですから、一ぺん金を出してしまったら、そのことでまたあとからやるのはいやだということで、あなた方の面目上でじんぜんと今日まで日を八年間も暮らしてきたわけでございますね。いままで職員がおこって取らないのですよ。一切郵便貯金にしておる。責任問題じゃないですか。調査どころじゃないです。そんななまやさしいものじゃないです。大臣が責任をお感じになって事態を調査されるというのは、大船渡郵便局をめぐる労使のあつれきの問題について、さらにこれに関係する首切りその他の処分が出たので、そういう問題について考え直すことがありはせんかどうか、もっと詳しく知りたいということで調査されるわけであります。したがって、遠い源をつくったこの公金費消事件でありますけれども、それと別個に調査だってやり、あなた方も知っているはずですから、とにかく責任をもってケリをつけてもらいたい。お約束していただきたい。調査などと言わないで、これははっきりわかっている。明確にひとつ明らかにしていただきたい、こんな簡単なことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/56
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057・山本博
○政府委員(山本博君) ただいまお話がございましたが、私のほうがいままで調べております内容では、組合側の主張することと郵政局側が私たちのほうに報告をしてきていることの間には、少し違いがございます。その後もいろいろ事情を聞いておりますけれども、少し主張点が違うようでございますので、やはり公正に本省から行った人間に、従来のいきさつそういうものを過去にまでさかのぼって調べてもらいまして、それから適切な処置をしたいと、こういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/57
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058・森勝治
○森勝治君 監察は来ておりませんか。——一体監察は何をしている、こんなに組合が腹を立てて当局側に異議を申し立てて善処方をお願いしておるのに。しかも、業務関係はどうなっている。八年間も知っていてほっておいて、あれから局長が何代かわった、どの局長もこの問題を解決しようとしないじゃないか。みんな逃げているじゃないですか、引き継ぎはないと称して。あなた方が詭弁を使って答弁されようとも一、職員が腹を立てて金を受け取ってない。三万円のうち一万五千円だけ返してよこした。二万五千円は郵便局に積んであるじゃないか。これを上局側が知っていてほうっておいて、上局側の指揮監督命令の責任はどうなる。これが明らかになったら局長どうするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/58
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059・山本博
○政府委員(山本博君) 先ほどもお話がございましたように、これは団体表彰を受けたときの賞金ございまして、これは郵便局の側でどういうふうに使おうが、これは差しつかえない金でございます。したがいまして、これの使い方について、特に会計法上いろいろな疑義があるとか、あるいは監察が調べなければならないような犯罪容疑の事実だと、こういうものではございませんで、これは単に郵便局長が本人の責任において最も目的に合うような使い方をするということが要請されるだけでございまして、特に別な観点から責任を追及するという性質のものではございません。ただこれが、いま申し上げたように、労働組合との間で、こういう使途についてのいろいろな意見の食い違いというようなことがなく、意見を一致して使われれば、これは最も望ましかった使われ方だと存じますが、不幸にして、古い話でございますけれども、半分は郵便局のいろいろな行事で近所のいろいろ世話になっている人たちを招待して労をねぎらった。あとの半分は組合側に一万五千円、さっきお話をありましたとおり郵便貯金として組合側に手渡した、こういうことでございます。確かに意見の一致は見ておりませんけれども、扱い方に不正というようなものをあったということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/59
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060・森勝治
○森勝治君 あなたともおぼしからざるおことばでまことに残念であります。人事は公平を旨としてやってきた人であると今日ただいままであなたを信頼していた。何です、いまの詭弁は。報償金だから本省のあずかり知らぬこと、業務も監察もあずかり知らぬこと、何事ですか、そういう答弁は。たとえ報償金と言えども、その出たところは、その金がどこから出たのですか。その辺の寄付や何かを集めてきたのじゃないでしょう。なるほど三万円、あなた方から言えば微々たる額でありましょうが、公金でございますよ。国の金ですよ。それが津波の慰労金ということで、国から、郵政省から出されて、津波と関係ない人を飲んだり食ったりしてしまって、大船渡郵便局の復旧のために献身的な努力をした従業員には何も分けない。抗議が出て半分返してよこした。それは悪いことではないかと、私たちにこう言われると、局長の権限だから本省や監察のあずかり知らぬところと、これが大郵政省をあずかる当面の人事の最高責任者でありますあなたのお答えですか。あまりにも嘆かわしいじゃないですか。かりそめにもそのようなことがあるならば、理非曲直を明らかにして、職員の誤解があるならば誤解を解くように、間違いを事実ならば、間違いを改めるように迅速かつ適当な指導をするのが、あなたの当面の責任ではないですか。私はそう思う。非常にいまのお答えは残念です。それではあなた責任を全うすることができないと思うのであります。時間がございませんから、これについてはあまり言いませんが、どうかひとつ職場の信をつなぐことができるように、そういう面の御指導をいただきたい。出してしまったと言っても、職員は受け取っていない。受け取っていなければまだ公金の性格はあるじゃないですか。公金じゃないですか、まだ。あなたは公金でないという意味のことをおっしゃった。だから責任はないと言った。私はまだ公金だと思う、職員が受け取ってないのだから。その辺に捨てるわけにはいかぬから、事件が解決するまでというので、窓口貯金にしておるわけだから、私はまだ公金だと思うのであります。こういうことで、あなたが、最高の責任者をあずかり知らぬとは何事ですか。何かあなた誤解されていると私は思いますので、もう一度あらためてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/60
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061・山本博
○政府委員(山本博君) 私が申しましたのは、この金の使い方が犯罪につながる使い方であるのか、あるいは会計法上違則の使い方であるのか、これはこういう問題を起きましたときに、内部的にいろいろ打ち合わせをいたしまして、こういう使い方が犯罪、会計法違則になるのだろうかということで検討をいたしました。こういう使い方そのものは、いま申し上げた点には該当しないというふうに、検討の結果、結論を出しました。ただ、先ほども申し上げましたように、こういう種類の金は労働組合との間に話し合いをして、その話し合いが一致して使ったほうがよかったのじゃないかという性質の金ではございます。ただ、不幸にしてそういうことがなかったので、こういう問題になりました。これから調査をいたしまして、どういう点が解決するのに一番ポイントであるのかということをつかみまして、善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/61
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062・森勝治
○森勝治君 後段で善処するとおっしゃったから、私はとやかく言いませんがね。あなたに一つお願いがあるのです。いまあなたからはこの点については十分検討の結果、結論を出したとお答えいただいている。いまもおっしゃったでしょう。前は知らぬから、これから調査をするとおっしゃるのですよ。いいですか。あげ足をとるわけじゃありませんよ。なぜ率直にそういうことを先に御存じのくせに赤裸々に、——われわれだって率直にお話を申し上げているのですから、率直になぜ語ってくれないのですか。知っているくせに知りません、大臣が調査する、それは知りませんからあとで調査すると、そういうことであっては私はいかぬと思うのです。したがって、あなたにお願いするのは、どうかこういう問題はひとつできるだけ率直に、——お互いにむだな時間をかけたくないのですよ。したがって、今後についても御存じの点は率直にひとつお答えをいただきたい、これをあなたへのお願いにします。
それで次の問題に移るわけですが、この前私が申し上げました資料はまだ私の手元に届いていないのですが、お願い申し上げた資料はもうおつくりになったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/62
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063・山本博
○政府委員(山本博君) できましたものとまだできていないものとございまして、どれがどちらか、私いまはっきり覚えておりませんけれども、お申し出になった資料については、まだお届けがしてないとすれば現在作製中だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/63
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064・森勝治
○森勝治君 そこで、郵政局側が大船渡局に兼務の形で延べ三百人か五百人ぐらいの人間をあの局に注ぎ込んでおります。これはまさに非常事態の措置でありますね。これはどういう理由でそんなに大量に一局に兼務させ、——出張の形ならやや理解をするのでありますが、常駐という形で、そんなに大量の職員を郵政局が注ぎ込むということはまさに非常事態だと私は思うのであります。しからば、そのよって来たるゆえんというのは、何が非常事態なのか、何が五百人も四百人も一挙にあの局に郵政局の職員を転勤させなければならなかったのか、このことについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/64
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065・山本博
○政府委員(山本博君) 郵政局の判断といたしましては、この事件における大船渡の郵便局の局情、これは業務運行の面、それから労務事情の面、あるいはその他局全体の運行、業務運行の面、こういうものから判断をいたしまして、郵政局の人間を応援をさせることが必要だというふうに考えたのであります。このときの事情は、これは郵政局のこういう判断というのは大船渡だけでございませんで、従来もこういう局情、局情といいますか、こういう局面にあたりましたときには郵政局から応援を出すという例は他にも幾つかございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/65
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066・森勝治
○森勝治君 それは多少は出すでしょうね。だけれども、こんなに延べ三百人も五百人も、——資料をくれといってもあなた方くれないからわからないのですが、大体三百人ないし五百人の範囲で出されているわけですね、延べで。仙台郵政局管内というのはいつもそうですが。そんなにいつもよそにも出したというならば、まさに派遣された諸君は遊撃隊的存在ですね。遊撃隊なんという表現はまずいですけれども、そういうことで至るところこのグループをつくってひょいと行くというようなかっこうになりますね、結果論からいきますと。いまの郵政のシステムの中でそういう制度はないでしょう。たとえば行かれた方がみんな他部門の方々が多い。労務対策なら労務関係でよろしい、業務関係ならば業務関係でよろしいと私は思うのであります。ところが、何とこの大船渡郵便局に参りましたのは建築部の係官が業務指導で行っているじゃないですか、郵便業務の指導で。一体これはどういうことなんですか。役所の規律、制度というものはどうなっているのですか、一体。このことについてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/66
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067・山本博
○政府委員(山本博君) こういう例は他にもたくさんございます。たとえばかつて静岡の郵便局あるいは沼津の郵便局、こういう局が非常に荒れた時代がございます。あるときには郵政局のみならず本省からも兼務発令をして業務運行の応援をさせたという事例がございます。大船渡の場合は、約九名前後の人間が毎日行っておるという時期が相当ございます。
それで建築部の人間が行っておるということの御指摘がございましたが、建築部の人間が行きましたのは、この人がかつて郵便の仕事に非常に長く従事しておった経験がございました。建築部であるからということではなくて、郵便の仕事に非常に長い間経験があるので、そちらのほうの応援として適当だということで発令したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/67
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068・森勝治
○森勝治君 それは局長あれですか、それが郵政の労務管理ですか。所管が違ってもどんどん派遣するのですか。それは職場の規律からいえば慎しまなければならぬことじゃないですか。建築部の職員が建築の関係で大船渡郵便局にいくならよろしい。しかし建築の専門家が、過去の経験ということで、まあ重宝されたのかもしれませんけれども、そういうやすきに流れることは、特に郵政事業においては慎しまなければならぬのじゃないですか。そう思いませんか。私はなぜこういうことを言うかというと、戦前ならいざ知らず、戦後はそれぞれの任務が一人一人の職員に与えられております。それは職務外のことであります。全くそれは職務に関係がないのであります。建築部の職員は建築をやるのであります。与えられた、命令された職務外の事項について、ある日突然出て行って、向こうで仕事をしろということは、これは各官庁ともできるだけ避けようとしておるのじゃないですか。そういうふうに郵政というのは人使いが荒いのですか。命令ならどこへ行ってもよろしい。もちろんそれは転勤、職種がえ、配転ならやむを得ませんよ。しかし、いまは建築の仕事をやって、建築専門でおるわけです。昔どんなに腕が立とうとも、業務指導ならば担当業務課があるはずであります。これをもって向けるならば、やや理解はいたしますよ。全然関係のない部門から、いかに命令といいながら、いかに出張命令は、命令権をあなた方大臣から委任を受けておるといっておりながら、これでは職権乱用の傾きがありませんか。なるほど職場の規律を守る、業務のすみやかなる進展をはかるという大義名分をそこに求めることはできるでありましょう。しかし、郵政の事業といえども、一人一人の協力なくしては事業が進展しません。みんな大切な仕事をしているのです。それをある日、突然自分の職務に関係のない職場にすっと出て行け、これで職場の規律が保てますか。どういうことなんです、これは一体。この点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/68
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069・山本博
○政府委員(山本博君) おっしゃるように、建築部の人間が、兼務発令を受けて郵便局へ行って、郵便の仕事をする、こういうことが日常的に行なわれましたら、これは私は乱用になると思います。したがって、こういうことはあまりすべきことではないと思います。ただ法律上の問題といたしましては、兼務発令をしまして、郵便局で仕事をするということは差しつかえございません。内容そのものからいうと、こういうことは乱用すべきことではないと思います。ただ大船渡の場合、こういうことをいたしましたのは、郵政局のほうの判断が、大船渡郵便局の局情から見まして、ある程度緊急避難的なこういう行為もやむを得ないという判断をいたしました。郵政省といたしましても、こういう事例というのは何年に一ぺんしかないことでございます。こういうことを乱用するつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/69
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070・森勝治
○森勝治君 もちろん緊急要務を帯びて何百人という人間を投入したのでしょう。しかし、そのよって来たる原因というのは何ですか、それは。配達地図とか、そういう郵便を配達するに必要なもろもろの資料というものが、三十五年の津波のときにみんな流失してしまって、しようがなかった。郵便の配達は、多年熟練した配達の職員の勘にたよる以外にない。何らそこに資料がない。この道をまっすぐ行けばどこにだれそれさんの家があるという、ほんとうにこれは職員の勘です。勘にたよって配達するということは、昔と違って最近やらないでしょう。電報配達もそうであります。ある意味においては、交番のおまわりさんが持っておる地図よりも郵便局や電報局で持っておる地図が詳しいとよくいわれる場合があります。それほど詳細な住民居住の地図があって、これによってもろもろの日常業務を行なっておるわけでしょう。これがないわけでしょう。三十五年以来今日まで八年間、この資料は当然これは当局側——管理者側の責任であります、備えることについては。これなくしては、円満な事業の遂行に当たることはできない。これは皆さん専門家だから御承知のとおりであります。しかし残念なるかな、この局では八年間全くそういう資料がなかった。私は、歴代局長が一体何をしている、当局の東北の郵政局長は何していると私は言いたい。なぜならば、八年間ほうっておいた。したがって、職員はいかに熟達せる職員といえども、勘というのはときには勘違いがある。したがって、そういう面については積滞数も——善意における積滞も高まるでありましょう。そうすると、それはもう組合闘争でやるのはけしからぬとすぐ追い打ちをかける。なるほど当局側が資料を万般怠りなく取りそろえておって、職場を快適な働きやすい場所におくことにおいて職員がなまけたならば追い打ちもけっこうでありましょう。私も行ってまいりましたが、非常に職場環境は悪いのであります。新しい配達員が採用されても配達地図も何もありませんから、まさにそれは、あてどなくとぼとぼと人に聞き、かどを回りながら配達しなければできない。資料が完備された局と配達手数は雲泥の相違であります。それをそういう完備された局と対等に扱っているところに紛糾の芽ばえがあるわけだ。原因の一つがあります。当局側の当然そういう業務上備えつけておかねばならぬもろもろの資料を何らやっておかないで、郵便物が渋滞した、混乱した、そういう理由で職員側にのみその責めを負わすることは、これは事業としてとるべき措置ではないし、当該局に赴任されておられる管理者側はひとしく反省すべきではないかと思うのであります。と同時に、問題が起きて、うみが外に出てしまってから、三百人も五百人もあわててそれらの資料作製のために大船渡局へ大量投入したって、それはどろぼうとなわの関係になるのではありませんか。何この前の質問のときに、職員側の協力が得られなかったという意味のことを御説明があった。人事局長は先ほどの三万円の費消の問題でも、法律的な問題でない、道義的な問題だとおっしゃった。そのことばを私はそっくりお借りしてこれから申し上げたいのでありますが、配達地図をつくらなければならぬのは職員の責務でしょうか。それは局長側のやることじゃないですか、当然。作製の費用も何がしか毎年々々予算の中に入れられておるわけだ。さらにまた津波でなくなったわけですから、料亭でどんちゃん騒ぎして、その金を飲むだけの局長さんが時間がおありになるならば、復興のための資金もあの局に配分させて、それらの資料を取りそろえるのがあたりまえであります。官業労働の中で、郵政省の事業の中で津波によって喪失した資料が八年間も取りそろえることができなかった、資料は皆無であった。それを取りそろえなければ郵便のすみやかなる配達はできない。しかし、国民は局の資料を取りそろえるまで待ってくれない、どんどんどんどん文通は激しくなる、配達が当然おくれてくる。おくれたという事象をとらまえて配達する当該のまじめな職員のみを追及し、処罰するということは、全くこれはもう片手落ちではないか。官側がそういう事業を推進するためには、それらのものがなければ円満な事業の進展をはかれない、運行ができない。どこの局にでもあるのに、あの局にだけない。ところが、あんた方は、あの局は不穏当な局である、組合活動が激しい、そういうことばかり取り上げて局側、官側が当然行なわなければならぬことについては口を緘して語らない、一体これはどういうことだ、どういうことなのか、これは。あわてて事件が起こってから、繰り返して申し上げるが、三百人も五百人も郵政局の職員を、町の人がびっくりするほど人間を派遣している。こんなことをやらぬでも、三十五年以来今日まで毎年毎年やってくれば幾らでもできるはずだ、郵政局の配達地図、これは電報局の配達地図とやや似ている。電電公社においても予算をとり、毎年これは配達しやすいように適宜な修正、改訂を加えてやっているじゃないか、どこの局でも。大船渡局だけがやってない。だとするならば、私は管理者に管理能力が欠けていると断ぜざるを得ない。そういうのを承知していながら、歴代そういう局長を差し向けておる。どうしてといえば、組合側の協力が得られないと言う。配達地図やそれらをつくるのに一々職員が協力しなければならぬ法的理由がありますか。道義的な問題だけでしょう。なぜそういう努力をしなかったのか。もちろん労使紛争というものは官側ばかりが問題を起こさなくても、組合側から問題を起こしても紛糾するでありましょう。それはまた組合側にも言えることであります。組合が幾らまじめでも、大船渡郵便局のように官側で当然行なわなければならない措置を怠った、その結果、事業に渋滞を来たし、これを組合側の責務として追及した。これは管理者として最も慎まなければならぬことだと私は思う。にもかかわらず、不幸にも首切りというような、こういう問題が派生をしたわけであります、先般の渡辺さんの質問、きょうの私の質問にも皆さんは正面に答えておらない。まことに失礼だが、これは推測でありますが、何となく責任回避のような、まじめな答弁とは受け取れない。ただ私は、大臣がこの点については十分調査をする、こういうお約束を先般も今日もしていただきましたから、私どもが幾つかの点についてことあげいたしました。そちら側でもうなずいておられた問題、合点のいかない問題が幾つかありました。こういう問題については早晩解明されることでありましょう。しかし、いずれといたしましても、あの職場環境の悪いところで、他の局と同様に成績をあげよという方針だとしたならば、一体郵政局というような地方の局の存在はどうなるのか、もちろんこれは大世帯でありまするから、一々本省があずかり知らぬこともあるでありましょう。そのために、東北には仙台郵政局が厳として控えている。三十五年から今日まで八年間もこういう事態を放置しておった出先の仙台郵政局の責任者の皆さんはどう一体この問題について対処されようとしておるのか、これはけしからぬ。まさにこれはたとえが少し違うかもしれませんが、わが子に食事を与えずにすきっ腹にしておいて、おなかがすいたと子供たちが騒げば、ふざけたやろうだといって頭をなぐる、こういう姿に似ておるのではないか。私は、大船渡事件の問題で労使のあつれき、紛争について、以上申し上げたような発言をすることは非常に残念であります。なぜか、それぞれの立場がありますから、見解の相違ということはあります。したがって、立場立場で話しますから、見解の相違ということならばやむを得ませんけれども、大船渡郵便局の不当労働行為の問題、業務の渋滞の問題、津波の事後処理の問題については、これは見解の相違などというしろものではざざいません。これは、郵政行政の欠陥というものが大船渡郵便局の中に形を変えてあらわれたものであります。私はそう断ぜざるを得ない。したがって、不幸にして大船渡のこういう問題ができ、このことが、一日も早く平和裏に解決されることを願いますけれども、こういう事態が他局であまり引き起こされないように、局長はよその局の例もある、たとえば静岡などといってことあげされましたが、こんなことがしょっちゅうあってはたまったものではない。何と申しましても郵政事業をささえるもの、それは職員の旺盛なる生産力であります。事業に対する協力であります。これなくしては、いかに大臣が国民のための郵便、国民のための保険、貯金といってもそれは絵そらごとにひとしい、私はそう思う。したがって、不幸なこのできごとを契機といたしまして、世俗で言う愛される郵便事業として、どうかひとつ今後も郵政事業の労務対策についても、事業の改革についてもすみやかに対策を立てていただきたい。
実はきょうはたくさん申し上げたいのでありますが、時間がすでに超過してもうありません。したがって、私は以上で終わりますけれども、何としても、繰り返して申し上げますが、見解の相違というのではないのであります。大臣、この点よく聞いてください。あなたはそういう点については率直に耳を傾けてくださる人と私は思っております。政治的な理念がわれわれと違いますけれども、しかし、同じ逓信の畑でお互いに禄をはんだわれわれといたしましては、かりそめにも、自分たちのものとの職場がこういう労務管理であり、こういう事業が運行されているということを聞くだけでも憂うつになります。しかも、こういうことが世間に知れますと、一体郵政事業は何をやっておるのかという指弾を受けるわけであります。そればかりではありません。期待される郵政事業の進展に阻害を来たします。そういう面からもぜひとも、ひとつ大船渡事件を頂門の一針としてすみやかにこの事件を、事態の真相をきわめていただいて解決をしていただきたい。したがいまして、以上、私も私の考え方を述べて質問を終わるところでありますけれども、最後に大臣から、私が、るる申し上げた点につきましても、ひとつ御見解を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/70
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071・小林武治
○国務大臣(小林武治君) いろいろお話の向きはよくわかりました。御趣旨にできるだけ沿うように努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/71
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072・久保等
○委員長(久保等君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/72
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073・久保等
○委員長(久保等君) 次に、沖繩におけるテレビジョン放送に必要な設備の日本放送協会による設置及び無償貸付けに関する法律案を議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/73
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074・小林武治
○国務大臣(小林武治君) ただいま議題となりました沖繩におけるテレビジョン放送に必要な設備の日本放送協会による設置及び無償貸付けに関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
この法律案は、沖繩におけるテレビジョン放送の普及を援助するため、日本放送協会が沖繩島那覇地区にテレビジョン放送に必要な設備を設置し、これを沖繩放送協会に無償で貸し付けることができる道を開くこととしようとするものであります。
沖繩におきましては、昨年制定された放送法に基づき、あまねく沖繩全域において受信できるよう放送を行なうことを使命とする沖繩放送協会が昨年十月に設立されております。
同協会におきましては、昨年日本政府が譲与いたしました設備により先島地区においてテレビジョン放送を行なうとともに、その設立の趣旨に沿うよう、目下沖繩島那覇を中心とするテレビジョン放送網の建設準備を取り進めているところでありますが、琉球政府及び同協会におきましては、那覇地区に開設するテレビジョン放送局の設置について、日本放送協会の援助を得てこれが万全を期すべく、日本政府及び日本放送協会に要請を行なってまいりました。
日本放送協会におきましては、従来から沖繩に対しまして番組の提供や技術協力を積極的に行なってきているところでありまして、今回の沖繩側の要請につきましても、これにこたえて援助を行なうことによりまして、沖繩におけるテレビジョン放送の普及をはかり、もって沖繩の文化の向上、さらには本土、沖繩の一体化の促進に寄与しようという意向を有しております。
政府といたしましても、日本放送協会がこの援助を行ないますことはきわめて適切であると考えまして、日本放送協会が放送法に定められております業務のほかに、この援助を行なうことができますよう法律をもちまして措置する必要があると考えた次第であります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/74
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075・久保等
○委員長(久保等君) 御質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/75
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076・西村尚治
○西村尚治君 それでは、私から簡単に数点にわたって御質問したいと思います。
今回の措置は、ただいまの提案理由の説明にもありましたように、「沖繩におけるテレビジョン放送の普及を援助するため」ということになっているわけですが、この点から見ますと、先般の先島地区に対する援助と目的が全く同じであるわけでございます。ところが、先島地区に対しましては政府ベースで行なう、今回のこの沖繩についてはNHKの資金で設置し、無償譲渡するということで、その方式が変わっているわけですが、どういうわけでこういうふうに変わってまいりましたのか、まずその点の理由をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/76
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077・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これは一応の理屈をつけておりますが、必ずしも区別すべき絶対的の理由があるわけではありません。先高地区につきましては、これはもう御承知のように、全然放送設備がなかった、いわゆる聴取不可能地域であったのでありまするし、また沖繩の地区におけるいわゆる公共放送というものについての方針がまだ確立しておらなかったと、こういうこともありまして、これらを急ぐためにはどうしても直接政府でやったほうが早い、こういうことであの措置をとったのでありまして、今回の那覇地区におきましても、絶対に政府援助でやってはならぬと、こういう理屈はありません。ただ、政府援助につきましては、全体のワクの問題もありまするし、沖繩側のいろいろの都合もありまして日本の政府援助はどうしてもやっぱりほかの用途に使用せざるを得ない、こういう事情もありまして、また将来の問題を考えましても、沖繩と日本との関係からいきましても、NHKがこれをやってもらうことにつきましては別段そう異論のあることもないと思うのでありまして、向こうもいろいろ当方と相談の結果、この問題はもう今後の技術協力あるいは番組等の関係からいうても、NHKから援助を受けるほうがさらに適当であろうと、こういうことで、こういう結論になったのでありまして、いま申すように、絶対的の理由はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/77
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078・西村尚治
○西村尚治君 素朴な感じからしますと、先島地区もそうでございまするし、政府ベースでやったわけですし、今度国会に出されておりまするこの沖繩、宮古島、石垣島相互間のマイクロウエーブの提供、これも政府ベースでやっておる。しかもNHKの予算、資金というものは、この本土の聴視者の聴取料でまかなわれておるものであるから、そういった点も考えると、これは先島地区あるいはマイクロウエーブと同じように政府ベースでやったほうがどうも筋が通るのじゃないかという感じがするのですけれども、まあ大臣のただいまのお話で大体わかりました。
ところで、今度の技術援助ですか、この施設、NHKのほうではたしか三億五千万円計上してあったはずですが、これはどういう内容の施設をつくられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/78
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079・三熊文雄
○参考人(三熊文雄君) NHKでただいま考えています内容につきましては、一応局舎及び鉄塔その他は沖繩放送協会がつくるものですから、その中に入れます送信設備その他であります。まず、送信設備から申し上げますと、送信設備として五キロワットテレビ放送装置一式、これが四千九百万円。それから録画送像・調整設備、これはVTR一台、静止画像の送像装置が二台、フィルム送像装置が一式、テレビ主調整装置一式、これが一億一千六十万円。それからスタジオ設備、この中にはイメージオルシコンカメラ二台、映像・音声・照明設備等一式、これが四千四百八十万円。それから取材・現像編集設備、この中には写真電送装置一式、現像機一台、プリンター一台、編集設備一式としまして千六百七十万円。それから電源設備工事費等、これは受配電装置一式、自家発電装置一式、それから工事費等合わせまして一億二千八百九十万円、全部合わせて三億五千万円、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/79
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080・西村尚治
○西村尚治君 今度のこの施設ができますると、これと先島地区のこの施設とあわせて沖繩全島をカバーできるという見込みでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/80
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081・三熊文雄
○参考人(三熊文雄君) まず沖繩の本島のほうを申し上げますと、一応この機械によって本島が九三・六%のカバレージです。しかしながら、それ以外に久米島その他あと三カ所ぐらいつくらないと九九%ぐらいになりません。それから先島につきましては、一応この前できましたものによりまして五つあるわけですが、それで九七・七%というものですから、全体的に申し上げましてあと久米島その他について三カ所つくればほとんど九九%近くなるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/81
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082・西村尚治
○西村尚治君 その久米島その他おそらく大東島というような所でしょうが、こういうところについての計画はあるんですか。向こうから援助の申し入れがあれば、応じられる御意向でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/82
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083・三熊文雄
○参考人(三熊文雄君) ただいまNHKで計画しておりますのは、その三カ所については考慮しておりません。これはOHKみずからやるということを聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/83
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084・西村尚治
○西村尚治君 それからこの沖繩の放送法を見ますと、テレビだけではなくてラジオももちろんやる、しかし沖繩全島にはOHKと民放とが並行して全島にわたるように、今後それを目標にすべきだということがうたってあるが、ラジオについては何も申し入れがなかったんですか。申し入れがあるとすれば今後どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/84
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085・石川忠夫
○政府委員(石川忠夫君) 沖繩の放送協会におきまして、ラジオもやりたいという意向があることはただいまお話のとおりでございますが、いままでのところラジオについてはどうしてくれというような申し出はまいってございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/85
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086・西村尚治
○西村尚治君 申し入れがあれば、NHKのほうで設備を供与なさるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/86
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087・川上行蔵
○参考人(川上行蔵君) 現在のところは、本島の放送施設それだけを考えておりまして、以後、明年一月一日から受信料を取って計画を立ててまいりますので、その受信料の収入状況、あるいはその後の経営その他を勘案いたしまして、向こうから要請があればあるいは検討するかもしれませんけれども、現在のところでは、一応先方の自主性を尊重してできるだけその経営の範囲で漸次経営基盤を固めていく、その方向で考えてもらいたいという話し合いはいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/87
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088・西村尚治
○西村尚治君 一月一日より受信料を取ってというお話ですが、この受信料は聞くところによりますと、八〇セントという線で検討されておるやに聞きますけれども、これで大体経営は可能なんでしょうか。また、それでラジオは向こうで設備をつくり、運営ができる見込みなんでしょうか、その辺について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/88
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089・川上行蔵
○参考人(川上行蔵君) 先方のほうのまだ具体的な計画の確定したものは聞いておりませんで、内々の話ではいまおっしゃったように八〇セントを予定しておるわけでございます。ただ、その場合におきまして、向こうは七月から来年六月までが会計年度になっておりまして、初年度は実収入が入りますのは、後半の半年度だけでございます。後半の半年度だけで、収入が平常の年に比べて半分でございますが、かわりに政府出資金が五十万ドル予定されております。そういう関係で全体のバランスをとっておるようでございます。先ほどから技師長が申しましたような形で全島のカバレージが順次できていき、その間聴視世帯が十五、六万になるということになってまいりますと、大体、そういうテレビ関係の建設が終わりますから、あと、ラジオ関係のものは中波でいくかFMでやるかということを勘案いたしまして、大体やっていけるのではないかというような気がいたします。ただ、これらにつきましては、もう度先方がこまかい計算をつくりまして、また相談があるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/89
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090・西村尚治
○西村尚治君 このテレビですが、施設ができて業務を開始するのが一月一日を目途になさっておるわけですが、開始された暁には番組はどういうことになるんですか。本土と同じようにマイクロを通じて向こうにもなまのまま、同じ内容のものが、おそらく総合放送だと思うんですけれども、それが流れることになるんですか、それとも適当に教育番組なども織り込んで編集し直して流されることになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/90
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091・川上行蔵
○参考人(川上行蔵君) 先方の計画の内容は、現在のところは、一日十四時間ぐらいの程度の番組をNHKから入手したいというように申しております。それでNHKが、現在十八時間、総合、教育その他で放送いたしておりますが、先方の十四時間の中には、ローカル放送を一時間入れる、あるいは学校放送番組を一時間入れるとか、そういうバランスの取り方も考えておるようですが、そういたしますと、総合放送のほうは一日十二時間少々じゃないかと思います。いま申し上げました教育放送あるいは総合放送、全部マイクロウエーブを延ばしまして、できるだけなまで送りたい、こういうように計画いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/91
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092・西村尚治
○西村尚治君 現在現地といいますか、沖繩の民放がございますね、民放がテレビ三社、これにもNHKのほうから番組を提供なさっておるはずですが、これは今後どういうことになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/92
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093・川上行蔵
○参考人(川上行蔵君) 現在沖繩の商業放送に対しまして、一日に四時間半ほど番組を提供いたしております。それで現地の、いままでOHKができますまでは、NHKの番組を沖繩でも見たいという要望がございまして、この商業放送二局を通じまして提供いたしておりまして、現地のそういう一つの放送秩序が一応できておりますので、OHKができましても、一応のこちらの方針といたしましては、現地のOHK及び商業二局が自主的な立場において、それぞれ調整をしていただくということをまず一番要望いたしております。それに基づきまして、現在内々そういうような話し合いが行なわれているというように聞いております。ただ現地のほうでは、ニュースそのほかにつきましては、まだ商業放送二局が完全に本土の商業放送とネットワークをつくっておりませんので、やはりNHKのニュースは、ネットワークができるまでは当分続けてほしいという要望もあるようでございます。そういたしますと、OHKとその両方に対しまして、ある期間やはり番組を並行して出すということも予想いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/93
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094・西村尚治
○西村尚治君 民放のほうでは、何か聞けば近くカラーの、何といいますか送出装置というんですか、そういうものを設備して沖繩でもカラーの放送をしようというような計画があるとかいう、OHKのほうでは、そういったようなことはどうなんです。マイクロで流すというわけには、マイクロ回線がありませんので、できないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/94
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095・川上行蔵
○参考人(川上行蔵君) いま、明年一月即時にカラーで本島放送したいということはまだ考えていないようでございまして、早晩やはりカラーをやりたい、そのためにいろいろな機械なんかも配慮してほしいというようなことは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/95
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096・西村尚治
○西村尚治君 まあ沖繩にこういう施設を提供される、無償貸与されるということはたいへんけっこうなことと思うわけで、早晩、沖繩は日本に復帰するわけですが、そういう意味においても、大いにひとつ今後技術援助、指導をしていただきたいと思うんですが、その前にちょっとお尋ねしておかなければいかぬことは、本土復帰いたしますれば、当然OHKの業務はNHKに受け継がれることになるだろうと思う。この財産のほうはどうなんでしょう。これも当然受け継がれることになるのではないかと思うんですけれども、すでに現地では、そういった話し合いは進んでおるんですか、それとも今後日米琉諮問委員会、そういうところで正式にきめる、そういうことになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/96
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097・石川忠夫
○政府委員(石川忠夫君) 財産はあくまでNHKの財産でございますので、最後までNHKの財産として処理されるということでございます。
ただいまお話の第一点の、沖繩が復帰になった場合にどういうかっこうになるかということにつきましては、いま直ちに結論を下すということは困難でございますが、いずれにせよ、いまお話のございました日米琉諮問委員会等で再検討されましょうし、私どもといたしましても、OHKとNHKが一つのものになるということを期待しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/97
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098・西村尚治
○西村尚治君 その場合に、先島に政府ベースで提供された施設も当然NHKに引き継がれることになるんでしょうね。それでおそらくそういうことになるべきだと思いまするが、そうした場合に、OHKの業務全体がNHKにスムーズに受け入れられるように、たとえば受信料——受信料は八十セントと申しますと、本土の三百十五円よりかちょっと安いわけでありますね。その辺の問題もありまするし、徴収方法の問題等もございましょうし、その他、全体としての放送体制ですね。現地のこういったもの、さらには電波の関係、そういったようなものが、いざ受け入れられ、本土復帰というときに、障害にならないように、内面指導ということばはちょっと悪いかもしれませんけれども、NHKのほうで積極的にひとつアドバイスされる、あるいは援助されるということが望ましいと思いますが、その点は十分御留意願っておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/98
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099・川上行蔵
○参考人(川上行蔵君) いまお話しの点につきましては、十分検討いたしておりまして、事実上いろいろな相談も受けておりますし、それから放送番組につきましては、NHKの番組を全面的に導入したいということで、先ほど申し上げましたように、一月からは十四時間程度でございますけれども、二、三年後には、十八時間体制に持っていきたいとか、あるいは教育テレビもやりたいとか、いろいろな話しも聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/99
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100・西村尚治
○西村尚治君 じゃ私はけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/100
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101・鈴木市藏
○鈴木市藏君 ちょっと一つ。さっきの委員の質問に関して関連ですけれども、NHKの、つまり今度の処置は、政府の命令によるものですか、それともNHKの自主的な立場での考え方が主要なものなんですか。どちらに重点を置かれておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/101
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102・石川忠夫
○政府委員(石川忠夫君) 琉球政府並びにOHKから日本政府に対して強い要請がまいりまして、その内容として、NHKに援助を受けたい、こういう要請でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/102
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103・鈴木市藏
○鈴木市藏君 そうすると、つまり間に入った日本政府の命令によってNHKがこういう処置をとる、こういうことになったと理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/103
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104・石川忠夫
○政府委員(石川忠夫君) 命令と申しますとあれですけれども、要するに、現在の放送法におきましては、こういった援助はできないことになっておりますので、この法律を可決していただきまして、援助ができるようにしたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/104
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105・川上行蔵
○参考人(川上行蔵君) 沖繩政府から政府のほうへ、OHKからNHKへそれぞれ要請がございまして、それに基づきましてわれわれも援助しようということは考えております。ただ、この場合に、法体系があくまでも違いますので、先ほどもお話がありましたように、受信料をそのまま、そういう法体系を無視して使うわけにはまいりませんので、政府間の協定ができ、あるいは特別立法ができまして、NHKがそういうことをできる権能を与えられれば、いたしましょうという形において予算を組みまして、それはこの法律案が通るということを条件として使わしていただきたい、こういうように申請をしておるわけでございます。その限りにおきましては、日本政府からNHKに対してそういう協力要請もございましたことは事実でございますけれども、法律的に申しますと、あくまでもNHKが自主的にやるということに解釈していただいていいのじゃないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/105
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106・鈴木市藏
○鈴木市藏君 その辺のところは解釈を統一しておいていただかないと非常に困る。NHKの立場では、NHKがあくまでも自主的な立場で、要請があったが、NHKの自主的な立場で計画し、実施するということに踏み切ったと言っておりますが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/106
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107・石川忠夫
○政府委員(石川忠夫君) NHKが自主的に予算に組んで、これが実現し得るように法案を提出していると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/107
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108・鈴木市藏
○鈴木市藏君 まあ、私は基本的にはこの問題についての賛否はあとで申し上げますといたしまして、つまりNHKというのは、公共的な性格を持つ特殊の放送施設でございますから、これを政府の要請といっても、郵政大臣みずからのそういう立場からいって、ほとんど命令にひとしいような形でやられますると、これはもう、この前の受信料のときにもそうであるし、今度もそうであるという形になって、結局中立的な性格を持つNHKの公共性が、時の政府の政策の意向に従って左右されるということになりますので、この辺のところは、よほど解釈において統一しておいていただかないと、必ず将来問題が起きるのではないか。
それから、したがってこの法律案の性格ですが、NHKが自主的に計画をしたということになるならば、この法律案の提案の性格というものは一体どういうものになるのか。この辺のところもひとつ意見を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/108
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109・石川忠夫
○政府委員(石川忠夫君) 先ほども申し上げましたとおり、あくまでこれは予算の提案権は——提案権と申しますか、提出権と申しますか、そういうものはNHKにございまして、NHKが三億五千万円を沖繩の放送設備に対し援助をしよう。こういうふうに自主的に予算に組んでいるわけでございますが、これを実現するためには、現在の放送法ではできませんので、このたびの法案を御提出申し上げたわけで、ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/109
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110・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それならば、さっきの大臣のこの法律案の提案理由説明並びにここに書かれておるこの性格は変えてもらわなければ、これはあくまでも政府が責任を持って出す法律案の性格を持っておって、NHKが自主的な立場で出されたという性格とはちょっと違うと思う。読んでごらんなさい。提案理由の説明から全部を通読してみましても、いまさっき言われたように、両者の間での解釈が統一されておらない。NHKの自主的な立場でやるんだというその趣旨が全部この法案の提案理由の中に貫かれていない。むしろやはり政府の政策としてこの法律案が出されていると、こういうふうに理解をする以外にこの提案の理解のしようがないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/110
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111・石川忠夫
○政府委員(石川忠夫君) まあ自主的に三億五千万円の援助をしようと言ったのは、幾度も繰り返して申し上げますようにNHKでございますが、これを実現するための法律の提案権はNHKにはございません。これはやはり政府でございますので、政府が——NHKが沖繩の放送施設に対して援助をするということは適当であると、かように認めまして、このことが実現できるようにということで法案を御提出申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/111
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112・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それは一体放送法の何条に基づいてそういうことができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/112
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113・石川忠夫
○政府委員(石川忠夫君) NHKの業務は、放送法の第九条第一項及び第二項、それから九条の二にございますが、ここに掲げている事項では、沖繩に対する援助はできない。こういうことで今度の法案を御提出申し上げているようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/113
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114・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それでは根本的に解釈が矛盾しているのではないですか。国内の放送法の立場では、政府からそういうふうな法律を提案して、NHKにやらせるということはできないということに国内法ではできているにもかかわらず、別個の法律を単独立法としてつくってNHKにやらせる。そういう提案権というものは政府にないんですよ、国内法のどこを見たって。だから私はこの前も一ずいぶんこの点で食い下がった。逓信大臣のつまりNHKに対する意見というものは参考なのかと言ったら、あくまでも参考だと言っております。単なる参考だと言っている。何回も繰り返して。それにもかかわらず、国内法のこの放送法で認められていないものを——NHKの私は自主的な立場でやるというなら話はわかりますよ。ところがそれを、国内法で認められていないにもかかわらず、かってに国内法を自分たちの都合のいいように解釈して、ときには出せるのだ、ときに追及されると、いや逓信大臣の言うのはそれは単なる参考意見だと。どういうことなんです。そういうふうなばらばらな解釈でかってにやられたのではこれから困りますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/114
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115・石川忠夫
○政府委員(石川忠夫君) これは自主的にやるのはあくまでNHKでございますが、NHKはやりたいと思っても、現実に放送法にない事項につきましては、法案を——放送法を改正せにゃならぬわけでございますが、この法案の提案権というものはNHKにないわけでございますので、したがって、NHKが自主的にやる業務ではございますけれども、私どもは、政府として法案を提出しなければできない、こういうことになるわけでございまして、かような理由で提案しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/115
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116・鈴木市藏
○鈴木市藏君 だからね、話はやっぱり先島でやったように、政府みずからの責任でやったほうが筋が通るんですよ。NHKの公共性という立場から、政府が責任を持って法律案を出してNHKにやらせるというふうな形をとるからつじつまが合わなくなるのですよ、これは。これはやっぱりNHKは国内の受信者の受信料によってまかなわれている性格からして、そうそう政府が好きかってに、NHKに提案権がないから、NHKでやりたいというときに法律を改正してやるというようなことにはできないように国内法ではできている、本来のたてまえは。それをかってにやらせるというところに無理がある。だから矛盾しているのですよ。考え方はわかりますよNHKの自主性でやるのだということで何とかそれをということの考え方はわかるけれども、無理がある。法案を提出するそのものにもう無理がある。やっぱり先島でやったように、政府が責任を持っておやりになる、そのほうがずっと筋が通るというふうに思いますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/116
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117・石川忠夫
○政府委員(石川忠夫君) その点につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/117
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118・鈴木市藏
○鈴木市藏君 答弁になっていないのだよ、あの答弁は。あれは答弁になっていない。西村さんあんなところで引っ込んじゃったからだめなんだ。答弁になっていないのだからひどいもんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/118
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119・石川忠夫
○政府委員(石川忠夫君) 政府といたしましては、やはりNHKが援助ができるようにということで御提案しているようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/119
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120・鈴木市藏
○鈴木市藏君 とっても納得のできることじゃございません。しかし。まきょうは時間の関係もあるから。この点についてはもっとひとつ十分に解釈を統一してやってくださいよ。でどんどん、タベに一城というのかな朝に一砦というように、NHKの自主性というものはどんどん侵されていく。これは必ずそうなる。そういう点でやっぱり考えなければならない点だというように思います。きょうは、この点で私、質問を打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/120
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121・久保等
○委員長(久保等君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/121
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122・久保等
○委員長(久保等君)速記を起こしてください。
他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度といたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十五分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814816X01019680409/122
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