1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月二十六日(火曜日)
午前十時五十九分開会
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委員の異動
三月十四日
辞任 補欠選任
山本茂一郎君 中山 福藏君
三月十五日
辞任 補欠選任
中山 福藏君 山本茂一郎君
三月十九日
辞任 補欠選任
多田 省吾君 浅井 亨君
三月二十一日
辞任 補欠選任
浅井 亨君 多田 省吾君
三月二十二日
辞任 補欠選任
八田 一朗君 青木 一男君
三月二十三日
辞任 補欠選任
青木 一男君 八田 一朗君
三月二十五日
辞任 補欠選任
二木 謙吾君 竹中 恒夫君
三月二十六日
辞任 補欠選任
竹中 恒夫君 二木 謙吾君
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出席者は左のとおり。
委員長 井川 伊平君
理 事
石原幹市郎君
八田 一朗君
伊藤 顕道君
委 員
熊谷太三郎君
源田 実君
菅野 儀作君
山本茂一郎君
北村 暢君
前川 旦君
政府委員
総理府恩給局長 矢倉 一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 相原 桂次君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調
査(恩給に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X00619680326/0
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001・井川伊平
○委員長(井川伊平君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る二十二日、八田一朗君が辞任され、その補欠として青木一男君が、翌二十三日、青木一男君が辞任され、その補欠として八田一朗君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X00619680326/1
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002・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 委員の異動に伴い理事が一名欠けておりますので、この際、補欠互選を行ないます。
互選は便宜委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X00619680326/2
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003・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に八田一朗君を指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X00619680326/3
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004・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、恩給に関する件を議題といたします。
まず、恩給審議会の答申について説明を聴取いたします。矢倉恩給局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X00619680326/4
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005・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 恩給審議会の答申が昨夜入時過ぎに総務長官のもとに提出されました。その概要を申し上げますとともに、審議会の経過の若干につきまして御報告申し上げたいと存じます。
恩給審議会は、総理府設置法に基づきましてつくられたものでございまして、内閣総理大臣の諮問として、恩給に関する重要事項を調査審議するという目的を持たせ、昭和四十一年の四月に設置され、五月十一日に第一回の審議会が催されましてから今日まで、四十三回にわたる審議が継続されました。この審議は非常に熱心な御審議がなされまして、時には一日に七時間、八時間にわたるといろ長時間の審議がなされたのであります。これは、一つには問題の重要性ということがございましたかと存じますが、もう一つは、恩給そのものが非常に技術的な問題を多く含んでおるという点で、審議会の委員の先生方が問題の所在を十分に理解されるという必要もありました関係上、非常な熱心な御審議になったのであろうと考えられるわけでございます。しかし、もう一つ根底には、恩給の受給者の立場から考えます場合に、問題が非常に切実でございます。したがって、その切実な要求というものをどういうふうに審議会として受け取め、それに対してどのような態度を示していくかというふうなところに、実は最大の理由があったように思えるわけでございます。特に恩給制度につきましては、御承知のように、すでに八十年の歴史を重ねているという非常に古い制度ではありますが、しかしこの制度も次第に新しい具体的な要求というものを加味いたしまして、制度的には、いま申しましたような点から、古い制度の中ではありますが、新しい要請を盛り込んでまいるということで、したがって、これらの制度というものは、そういういろいろな社会的な要請というものを満たしていくという、そういうふうな観点からも問題を見直していかなければならぬ。こういうことで、非常に精力的な審議を続けられたと考えられるわけでございます。で、そういう中で審議が行なわれまして、審議会としては、できるだげ客観的な立場で適正な意見を示したい、こういうことでございます。
で、かような点から、審議会がこの答申をされるにつきましての基本的な態度というものを、お手元にお配り申し上げております前文にそれを明らかにしているわけでございます。そういう点で、前文には、まず審議会がどういう経過を通って審議をいたしたかという点が1に述べてございまして、2には、本審議会がきめられた期間でできるだけ適正な意見を出していきたいということを申しておりますと同時に、できるだけ実際の事情に即しての意見をということで、この審議会としましては、東京で関係団体の代表からの意見を聞かれまするとともに、地方でも恩給受給者からの要望を聞いたということを明らかにいたしております。そうして本審議会で、ここにございますように、問題は、いわゆる官吏制度とか給与制度の改革とか、公務員の共済年金制度などの創設、あるいは社会保障制度が非常に整備されてきている、こういったいろいろな面を恩給の考え方の基礎的条件として考えていく、こういうことで、しかも、いろいろな恩給受給者の生活というふうなものも考えつつ問題を処理していく。また、軍人恩給の推移その他の歴史的な制度の改変というふうなものを、恩給問題を考える基本的な考え方として取り上げてまいる、こういうふうなことを申しておりまして、戦後の恩給問題というものが、第一にはやはり恩給の年額、この点が一番重要な課題であるというところから、ここにもございますように、一応恩給年額を考える考え方といたしまして、昭和四十一年の十一月二十九日の中間答申として、まず年額を緊急的に考えていかなければならぬというので増額の中間答申をしたということをあらわしておりますわけでございます。それから、審議会として重要な課題としては、この恩給の価値というものをどういうふうに見ていけばいいであろうか、こういうふうな点をあげておるわけでございます。
それから、軍人恩給につきましての問題は、御承知のようにいろいろな内容の改変が行なわれておりますので、必ずしも戦前の制度をそのまま再現しようとするのではなくて、社会的要請に沿ったような改正を考えていく、こういうふうなことを申しておるわけでございます。
それから3のところでは、実は恩給の問題というのは、恩給制度というものを非常に広く理解して、戦後、ある程度恩給のワクの中で解決していかなければならない問題、たとえば外国政府職員とか、あるいは戦犯者、追放者、琉球政府職員というふうな各種の問題について課題が提示されておりますので、これらの問題についても考え方を明らかにしていく。特に、問題が数多く提起されている中には、いま申し上げましたような一つの新しい課題を提供された問題点の、どういう処理方法をするかという、こういう点についての考え方を明らかにした、こういうふうに述べておるわけでございます。
こんなことで、その4のところに締めくくりとして、どういうことを考えたかということをあらわしております。「恩給に関する諸問題は、終戦後の諸般の事情により、今日きわめて複雑なものとなっている。また、この問題は、職業、年令、生活環境等の違いにより、国民の間に諸種の理解の仕方がなされている。」、こういう点をかなり意識して問題の審議に当たったようであります。しかし、これを大多数の受給者側から見ると、一般的には生活に直結するきわめて切実な問題であるという理解から出発をいたしております。ことに、その受給者の遺族、傷病者、老齢者が多数を占めているということを考えると、処理の緊急性ということを認めざるを得ない。つまり、恩給問題についての重要な焦点を実は緊急性の問題として理解しようとしておるわけでございます。
そこで、審議会としては、どうしても考えなければいけない点があるんだということを明らかにしているわけでございます。そこの点にもございますように、多年の懸案事項にも一応の解決のめどというものを明らかにして、こういう点でこの答申をできるだけ国家財政、その他の諸施策とも考え合わせながら、すみやかに善処してもらいた’、かようなことを前文にあらわしておるわけでございます。
こういう態度で審議を繰り返してこられたわけでありますが、やはりどうしても一番の重要な課題は、恩給法の二条ノ二という、こういう法規定がございまして、これは御承知のように、いわゆる恩給の年金額をどういうふうに見ていくかという規定でございますが、御承知のようにこの規定は、恩給額について、国民の生活水準、国家公務員の給与、物価その他諸事情に著しい変動が生じた場合、その変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定の措置を講ずるものとすという規定に相なっております。したがって、この規定をどのように運用していくかということは、恩給受給者にとって非常に重大でございます。
そこで、どういうふうな内容で運用するのが至当であろうかというところから、そこに調整の基準と調整の方法と経過措置、こういう三つの段階でこの調整規定に関する意見をまとめておるわけでございます。ちょっとこの調整規定を考えられたときのいろいろな論議の若干を御紹介申し上げますと、恩給というのはいわゆる退職した公務員のその方々の年金という問題で考えるのだから、したがってこの人たちがかつて公務員であったということに目を向けてまいりますと、必然的にこの人たらに対する——ちょうと現職にある公務員というものをどう見ていけばいいだろうかという議論がかなり繰り返されまして、したがってこの二条ノ二にございます公務員の給与というものをどう見ていくべきであろうか、こういうことについての論議がなされたわけでございます。公務員給与というものを考えてみますと、これは公務員制度がずいぶんいろいろな変遷をいたしてきております。旧来の官吏制度時代のいわゆる俸給と、それから戦後の公務員制度に変わってからの給与制度、この給与制度の内容も、先生方は先刻御承知のように、一応生活給的なものから職務給に、あるいは給与政策的には、たとえば下厚上薄、上厚下薄、あるいはいわゆる中間の不合理是正というような、いろいろな要素によっての給与制度というものが、それぞれの要請に従って変遷をいたしてきておるわけでございますが、そういたしますと、公務員給与というものをどういうふうに取り上げればいいだろうかというふうな点についてのいろいろな論議がなされました。そこで、退職した人が在職していたときの給与、それから現在の給与制度、そういう変遷の中においてどうとらえていけばいいだろうか。この点は、給与制度に大きな変革があったのであるから、その中で理解のできる給与というものをこの調整規定の対象として考えるときにどのように取り上げていくべきだろうか、こういうふうな論議がなされまして、給与そのもののいろいろな内容の変化というものを見てまいりますと、たとえば調整の基準としてとらえるときに非常にむずかしい内容を含んでおって、どこまでを取り上げるかという点についてはずいぶん論議の存するところである。そこで柱として出ておりますのは、この公務員給与のほかに物価があり、国民の生活水準がある、こういうふうに見ていきますと、やはり恩給受給者についてもその生活というものを考えていく必要があるであろう。そういう点からいきますと、この公務員給与ももちろん一つの基準的なものとして考えるべきかもしれないが、しかしやはり物価の上がりというものについて、恩給受給者の生活というものを考えていかなきゃなるまい。少なくともその穴だけは埋めておかなければならないであろう。こういうところから物価という基準に落ちついたようでございます。そこで物価という一つの重要な柱、これをここには「恩給年額の調整における不可欠の要件である。」というふうに書いておるわけでございます。その不可欠の要件をどのような形で見ていけばいいのか、こういうところがら、御承知のように公務員給与につきましては、五%以上上がつたときには給与改善の勧告をするという国家公務員法の規定がございますので、それによりどころを求めて、五%以上消費者物価が上昇した場合には、それに応じて恩給年額を改定すべきものとする。そういうことで将来の実効性を確保するという点から制度化するなど、所要の措置を講ずるということが適当だ。こういう答申をされているのでございます。
こういうことで、「消費者物価の上昇」でほぼ目的を達し得るかもしれないが、しかしこの次の段落で出ておりますように、「しかしながら、恩給受給者がかつて公務員であった者またはその遺族であることにかんがみ、国家公務員の給与の上昇を勘案して恩給年額の調整を図ることが考えられる。」、こういう一つの項目を出しておられるわけでございます。したがって、まあ一つの基準を物価に求めつつ、国家公務員の給与というものがいろいろ変わってまいりますので、その給与上昇をある程度勘案するということが、やはり恩給受給者という立場からすると必要であろうと、こういう、つまり二条ノ二の一つの恩給特有の規定として、国家公務員給与というものを考える立場をとり、さらに国民の生活水準というもう一つの柱がございますので、そこで公務員の給与というものを、いま申しましたような、そこでとらえるとらえ方はどこに趣旨があるかということになりますと、必然的に、いわゆる公務員としての生活水準がある程度国家公務員の給与の中にあらわれているであろう、こういう考え方で、その点からいたしますと、公務員の生活水準と国民の生活水準とが一つの考え方の問題点になるところでございますので、そこでまた以下で、経済の成長に伴って国民の生活水準が著しく向上した場合、つまり生活水準向上というものと、いわゆる物価というものの上がりとは直接的には結びつかないで、物価の上がりというものに追いつくことと、それから生活水準の向上ということは当然並び得る柱であろう。こういうことで、公務員の生活水準の上がりをとらないときには国民の生活水準、こういうことで、そこにございますように、もう一つの国民の生活水準の取り上げ方をいたしておるのでございます。
それをどういうふうに取り上げるかということで、「しかして、」というところから出ておりまして、「消費者物価の上昇に応じて恩給年額の改定を行なってもなお国家公務員の給与水準と恩給との格差が著しく隔絶している場合には、それをある程度解消することによって調整することが望ましい。こういうふうに原則をうたいました。ただし、この場合において、国家公務員の給与の上昇が国民の生活水準の伸びを上回るような特別の事情が生じた場合に国民の生活水準の推移ということで調整をしてまいる。こういうことで恩給年額の調整についての基本的な考え方を明らかにいたしたのでございます。以上のような恩給年額の調整における国家公務員の給与の上昇あるいは生活水準の推移に対する配慮については、他の公的年金制度その他国の諸施策との均衡を考慮することが必要であり、消費者物価の上昇に基づく調整の補完的要因として、政府の合理的な判断によるべきものと考えるというふうに最終の一つの結論をいたしておりますのは、結局物価については五%上がれば、それによって政府はある程度義務的に補正をし、調整をしていかなければならないが、その他の要素につきましては、政府の合理的な判断によってきめていく、こういう二元的な書き方で調整の内容を明らかにしておるわけでございます。
そこで、そういうことをもとにして、それでは調整の方向をどうするかという点が2に書いてございまして、調整の基準を適用する恩給年額の調整は、恩給年額の改定における最も基本的な措置であるから、各種の恩給受給者を区別しないで、一律に調整の場合には実施が必要である。もちろん、とれまでの恩給年額の改定においてとられてきた遺族、傷病者、老齢者厚遇のための措置も妥当性が認められるところであり、また、将来においてもこれらの者を厚遇する必要性が生ずる場合があることも否定できない。しかし、こういう措置は、調整基準の適用とは別の問題として考えることが適当である。つまりこれは、御承知のように、現在はいわゆる基本的な恩給の年額というものを一応、たとえば今度の昭和四十二年度の改正の場合には一〇%の改善をいたしまして、これに六十五歳から七十歳未満の方々には一〇%を積んだ、さらに七十歳以上の方には一八・五%を積んで、一つの仮定俸給の制度をとっておりますので、そういうこともあながち適当でないとはいえない。しかし、こういう点についてそれぞれ調整基準の適用とは別の措置として考えていくということが望ましいのではないかという態度を明らかにしているようでございます。
3の項として経過措置がうたわれております。つまり、昭和四十年あるいは四十二年というふうに恩給の年額改定を行なってきておるわけでございますが、しかし、かりに今度この調整規定を、たとえば審議会の答申を受けて政府側が措置をいたします場合に、そのスタートラインをどうするかという問題がございます。したがって、調整規定を運用していく出発点において旧来穴があるならば、それをある程度埋めておく必要があるだろう、これが経過措置の中にうたわれておるわけでございます。この考え方は、昭和四十二年十月一日改定前の仮定俸給と国家公務員の給与の水準との間の格差について、ここに審議会が調整の基準として示しているその基準を参酌してある程度是正しておくという穴埋めをやっておく必要があるだろう、そうして現行の三本立て仮定俸給の統合をはかるということが適当である、こういうふうな趣旨を明らかにいたしておるわけでございます。
以上が調整規定の考え方として明らかにしたところでございますが、その他恩給に関する諸問題がございまして、これは非常に項目が多うございまして、ここにあげておりますのは総数五十四項目ございます。その五十四項目のうち、審議会が是としたものが二十六項目ございます。それから、これは改定を非としておりますのが二十五項目ございます。それから検討を要するものというのが一項目ございまして、条件の緩和をしたほうがいいというのが二項目、合計しまして五十四項目のこの問題についての意見を提出してあるわけでございます。
で、これを詳細申し上げますことは、時間の関係もございましょうかと存じますので、大体ここに答申されておりますそのあらわし方は、一つは、問題点という形で出されている問題はどういう内容のものであろうかということを明らかにいたしますとともに、その問題に対してはこういう意見で、たとえば是である、あるいは非である、あるいはこの点については検討を要するというふうなあらわし方で意見を提出しておるわけでございます。この点は他の審議会のあるいは答申とかなり形が変わっておるかもしれませんが、審議会での話し合いは こういう問題はやはり非常に問題が技術的であると同時に、また一方には、恩給受給者側からすれば、ある程度納得のいけるものでなければなるまい、こういうところから問題点を明らかにするとともに、その処理意見をある程度明らかにしてまいる、こういうことで第二の項目として、その他の問題の処理意見を提出しております。そこでおもだったものだけを簡単に申し上げて、あとはいろいろまた今後機会もございましたときにお答えを申し上げたい、かように考えます。
まず、文官恩給についてはどういう点が是認されて、またどういう点が問題になったかということを、そのうちの若干を申し上げてみますと、退職時期によって恩給年額の格差がございます点については、この点は退職時における給与と、その人の勤務年限を主として恩給の年額を考えていくという恩給制度でありますから、原則として是正をしないという態度をとりつつも、昭和二十三年の七月一日前の退職者の恩給については、これは給与制度が大きく変わったときでございますので、この不均衡部分については必要な範囲で是正する、かようになっておるわけでございます。また、長期在職者の現行の最低保障額、これは六万円、遺族については三万円となっておるわけでございますが、この点については他の公的年金制度との均衡を考えて増額していくことが必要である、こういう意見でございます。これは必ずしも文官に限らず、その他の受給者のいわゆる長期在職者についても同じ考え方で進むという態度でございます。
それから二番目に、旧軍人の恩給について申し上げますと、旧軍人の恩給につきましては、その仮定俸給を文官との均衡上、必要な範囲で引き上げるということを考えておる点でございます。また、航空機に搭乗されたとか戦車に搭乗されたというような特別な職務に従事された方の職務加算というふうなものは、これはやはり認めていくべきであろう。それから、三年以上勤務された下士官以上の方には一時恩給を支給すべきであるというふうな是認の意見を出しておるわけでございます。なお、非常に旧軍人の関係の方々の御関心の深い加算年につきましては、恩給年額の基礎とすることについて現行の考え方が適当であるといたしておるのでございます。
で、三番目に、傷病恩給についての概略の点を申し上げてみますと、傷病恩給につきましては、特に重症者でありますところの特別項症の方に出されている年額は、第一項症の年額に十分の五を加えたものとなっておりますけれども、これを十分の七程度までに引き上げるということをこの内容といたしておるようでございます。それから普通恩給を支給されております傷病年金につきまして、その減額制というものが出ておりますが、つまり、いわゆる第七項症と第一款症との間に、第一款症の金額がかなり高くしてございますので、普通恩給がつきますと、その軽いほうの第一款症のほうが高くなりますので、そこで減額制を行なっているのでありますが、それはある程度緩和したほうがよろしい、こういう御意見でございます。
それから、内地におきまして職務に関連して負傷し、あるいは罹病した方々に新しく特例傷病恩給を支給するということが適当だと、こういう意見を提出いたしております。なお、目症程度のいわゆる軽い障害のある方でございますが、これに年金を支給してもらいたいという要求がございます。また、第二項症という、まあ比較的重い傷病者でありますが、この方々に、第一項症以上に支給しております介護手当、これを支給してもらいたいというふうな御意向があるんでありますが、これは適当でないという意見を示しておるわけでございます。
次に、四番目に公務扶助料について概略申し上げますと、公務扶助料につきましては、いわゆる扶養家族加給というものを公務員給与における扶養手当の改善を考慮してある程度増額するように、つまりこれは公務員給与についての家族手当が引き上げられておりますので、この場合にも扶養家族加給をある程度増額措置を考えることが望ましい。それから昭和十六年の十二月八日以降内地におきまして職務関連で死亡された方の遺族に支給される特例扶助料、この額をある程度引き上げますとともに、支給条件となっております死亡時期についての制限を廃止していくことがよかろう、こういう意見が出されております。なお、この特例扶助料の支給条件でありますところの負傷、罹病の時期を、いまは大東亜戦争以降に出しておりますが、それを支那事変にまでさかのぼらせるという要求があるわけでございますが、これは適当でないという意見も示しておるわけでございます。
第五に、その他として、琉球政府職員についてどういうふうに扱うかという点は、本土公務員と同様に扱うという趣旨のもとに、その格差をできるだけ解消するという方向で検討をしていく。また、海外の抑留者及び戦犯によって拘禁された方々については、その戦犯ないしは抑留を受けた方々は、自己の意思によらず自由の拘束を受けておられる等の事情を考慮して、必要な改善措置を考える。それから外国政府職員であった方に対する制限撤廃を、恩給の本旨に沿いながら、終戦という特殊事情を考慮して、必要な範囲において条件を廃止、または緩和するというふうな意見も示しております。
大体こういう、非常に簡単に申し上げまして恐縮でございましたが、非常に多数の項目について、それぞれ項目別に意見を、一応こうあるべきだということ示しておるわけでございます。こういう意見が、結局恩給は、公務員が永年公務に従事して老齢となり、または公務によって傷病にかかり退職あるいは死亡した場合に、公務員本人、またはその遺族の適当な生活を維持するものであるという考え方から出発をいたしております。すなわち、恩給は一般の勤労者を対象とする厚生年金あるいは一般の国民を対象とする国民年金とは異なり、あるいは国または地方公共団体の負担で給与せられる、いわゆる公務員対象の年金制度、これとも性格が異なっておる。こういうところがら恩給の特殊事情というものを頭に置きつつ、一方、先ほど申し上げましたような遺族、傷病者、老齢者、こういう人たちが多数を占めておる恩給の特質をわきまえて、必要な改善措置が望ましいという態度を明らかにいたしておるわけでございます。こういう、資料的にも非常に膨大な資料になっておりますが、こういうたくさんな課題が恩給についていままで提示されておりますので、できるだけこれらを一つの審議会の答申の線で、将来の問題についての解決策を政府側としてもすみやかにやってもらいたい、かようなことが審議会の今回の答申の概要でございます。
以上、まことに粗雑な御説明でございましたが、審議会の審議の経過の概要と答申の概要を申し上げましたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X00619680326/5
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006・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 以上で説明は終わりました。
本件につきましては、本日はこの程度にいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十八分散会
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