1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年四月九日(火曜日)
午時十時四十五分開会
—————————————
委員の異動
四月九日
辞任 補欠選任
柴田 栄君 大森 久司君
館 哲二君 山本 杉君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 井川 伊平君
理 事
石原幹市郎君
八田 一朗君
伊藤 顕道君
山崎 昇君
委 員
大森 久司君
熊谷太三郎君
菅野 儀作君
山本 杉君
山本茂一郎君
前川 旦君
多田 省吾君
片山 武夫君
国務大臣
国 務 大 臣 木村 武雄君
国 務 大 臣 田中 龍夫君
政府委員
宮内庁次長 瓜生 順良君
皇室経済主管 並木 四郎君
行政管理政務次
官 森部 隆輔君
事務局側
常任委員会専門
員 相原 桂次君
—————————————
本日の会議に付した案件
○許可、認可等の整理に関する法律案(内閣送付、
予備審査)
○皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/0
-
001・井川伊平
○委員長(井川伊平君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
許可、認可等の整理に関する法律案を議題といたします。
本案は去る三月二十三日、予備審査のため付託されました。
それでは、提案理由の説明を聴取いたします。木村行政管理庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/1
-
002・木村武雄
○国務大臣(木村武雄君) ただいま議題となりました許可、認可等の整理に関する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
政府は臨時行政調査会の意見の趣旨を尊重し、行政の簡素化及び合理化を促進するため、許可、認可等の整理をはかってまいり、その一環といたしまして、第五十五回国会において、許可、認可等の整理に関する法律の成立を見たのでありますが、さらに同様の趣旨のもとに許可、認可等の整理を行なうため、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。
法律案の内容について御説明申し上げますと、第一に、許可、認可等による規制を継続する必要性が認められないものにつきましてはこれを廃止し、第二に、規制の方法または手続の簡素化をはかる要があるものにつきましては規制を緩和し、第三に、下部機関において迅速かつ能率的に処理を要するものにつきましては処分権限を下部機関に委譲し、第四に、統一的に処理を要するものにつきましては許認可等を統合することにいたしました。これによりまして、各行政機関を通じまして廃止するもの三、規制の緩和をはかる毛の三、権限を委譲するもの一、統合するもの一、計八、関係法律数にしまして七法律を整理いたすことといたしました。
以上がこの法律案の提案の理由及び概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/2
-
003・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 以上で本案の説明は終わりました。
本案につきましては、本日はこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/3
-
004・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 次に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案は去る四日、衆議院から送付され、付託されました。
なお、衆議院におきましては修正議決をされております。その修正点は、お手元にお配りいたしてありますように、附則の施行期日の「この法律は、昭和四十三年四月一日から施行する。」を、「この法律は、公布の日から施行し、昭和四十三年四月一日から適用する。」と修正されております。
なお、提案理由の説明はすでに聴取いたしてあります。
それでは、これより本案の質疑に入ります。関係当局からの御出席は、田中総理府総務長官、瓜生宮内庁次長、並木皇室経済主管以上の方々でございます。
それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/4
-
005・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この法案について二、三お伺いしたいと思いますが、まず総務長官にお伺いいたします。
総務長官は衆議院の内閣委員会に出席の御都合もあって、時間を急がれておるようでありますから、この機会にはほんの一、二点にしぼってまずお伺いしたいと思います。
まずお伺いしたいのは、三十九年五月に国事行為の臨時代行に関する法律が成立いたしまして、天皇が海外御旅行なさる場合等は、定められた皇族が天皇にかわって国事に関する行為を代行することができることになったわけです。そこで、天皇の海外御旅行については何らの支障はなくなったということになるわけです。そこでお伺いするわけですが、天皇の海外御旅行について、総務長官としては基本的にどのようにお考えになっておるか、この機会にお考えをただしておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/5
-
006・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 天皇の海外御旅行につきましては、ただいまお話しの国事行為に対しまする法制の整備ができましたので、法制的に申すならば、御旅行が可能ということに相なるわけでございますが、今日格別御旅行の御計画もないよろに承っておる次第でございます。また、ハワイ島のほうから、陛下に対してぜひとも御来島をという話があるやに仄聞はいたしまするが、現実には皇太子殿下に対しまして御来島のお願いが出ておるわけでございまして、格別な陛下に対しましての御来島の御依頼でもないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/6
-
007・伊藤顕道
○伊藤顕道君 もし天皇が海外に旅行されるということになれば、まず問題になるのはその時期、いつ外遊されるのかという時期がまず第一の問題になろうと思います。それから外遊されるにはそれ相応の目的がなければならぬと思うのです。ただ漫然とということでなく、何らかの目的が必要であろうかと思うんですね。そういうことで、これらの点については総理府としてはどのようにお考えになっておるか、こういうことを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/7
-
008・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 法制的には可能に相なったわけでございまするが、しかしながら、現実にしからばどういう御計画をお持ちであるかということにつきましては、まだ何にもさようなことはございません。がしかし、今後将来必要な場合も起こってまいるかも存じませんが、その機会でありますとか、あるいはまたその時期でございますとか、その他いろいろな客観的な条件というものは、いろいろあるであろうと存じますが、今日のところにおきましては、何にもそういうふうな企画というものは持ち合わせておらない、かように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/8
-
009・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは、その詳細についてはまた次長のほうからお伺いするとして、次に一点だけさらにお伺いしたいのは、臨時行政調査会の行政改革に対する意見の中で、特に総理府に緊密な重大関心のある問題を一点だけお伺いしておきたいと思います。
それは臨調が「内閣に内閣府を置く。」こと、この勧告をしておるわけですが、そこで、その勧告の内容を見ると、こういうことになっておるわけです。「内閣府の機関に所属する職員の人事権は、すべて内閣府の長としての内閣総理大臣にあるものとし、必要の限度に応じて内閣府の国務大臣を長とする行政機関の長に委任する」、こういう意味の勧告をしておるわけです。この臨調の改革意見をなお具体的に読むと、内閣に内閣府を置くこと、それと職員の人事権に対する総務長官のお考えは、基本的にはどういうことなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/9
-
010・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 内閣府の臨調の御意見に対しまする総理府といたしましての見解につきましては、私まだよく存じませんので、それはあらためて調査いたしまして御回答申し上げたいと存じます。
それから後段の人事権の問題につきましては、御案内のとおり、ILO八十七号条約の批准に伴いまして、公務員の人事管理ということが非常に重要性を持ってまいったわけでございますが、人事院というものの公務員に対しまする保護機能あるいはまた公平機能、これらの機能に対しましては、十二分にわれわれといたしましてこれを尊重し、今後ともに人事院の機能を害さないように運営してまいるわけでございますが、その他人事管理の面におきましては、国内法の施行とともに、あるいはいろいろな服務の問題、あるいはまた研修の問題、その他諸般の問題につきまして、行制上必要な人事管理の問題を人事局をして行なわしめるということに相なろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/10
-
011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この問題に関して総理府としては数年前に次のような答えを出しておるわけです。その内容は、内閣機構の改革問題は国政の基本問題であるということ、それから内閣と総理府が相関連して検討することを要する問題である。したがって早急な回答をいたしがたく、目下慎重に検討中という意味の意見を出されておるわけです。そこでもうすでに数年たっておられるわけであるので、そこでお伺いするわけですが、これ、その当時は慎重に検討するということであったわけですから、慎重に検討した結果については一体どうなったのか、このことを一ぺんお伺いをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/11
-
012・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) その件は、ただいま私お答え申し上げましたように、数年前におきましてはILO八十七号条約の批准前でもあり、また国内法の問題も施行前でもあり、当初考えられましたいわゆる内閣における人事局の問題と人事院の問題との間には、その後いろいろと経緯がございまして、それで御案内のとおりな最終的結論に達したわけでございます。当初のごとく、人事院から相当程度の所掌事項が人事局のほうに移る予定でございましたものが、そのまま人事院のほうにずっと残っております関係もございまして、ただいま御質問の点につきましては、あらためてそれを調べましてお答えを申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/12
-
013・山崎昇
○山崎昇君 ほんとうは宮内庁でもいいと思うのですが、長官おいでですからちょっと時間をもらいたい。
何か聞くところによると、三月の半ばごろに、いま造営しておる新宮殿で多少の事故があったということを聞いておるわけなんですが、もしよければ事件の概要やら、その後一体どうなっておるのか、お聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/13
-
014・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) その点は私自身よく存じませんので、瓜生次長のほうからお答えをしていただくことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/14
-
015・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) お尋ねの件は、ある新聞に大きく扱われたものですが、三月十四日にあったことでありますが、これは宮殿のうちの奥宮殿の、つまり御座所になるような場所の柱三本のところに、薄い何か刃物でちょちょっと二、三カ所くらいきずがついて、一本の柱に落書きがしてあった。この落書きは、これは皇室に対するようなものではなくて、ある業者に対するののしるような落書きが書いてあった。共同企業体が責任をもってやっておるわけでありまして、共同企業体はその落書きをすぐに消してしまったそうです。墨か何かで書いたからすぐ消えてしまう、薄い刃でちょちょっときずのついている部分は、これは約一センチぐらいの深さが、二メートルばかり離れますと見えない程度のちょっとしたかすりきずではございまするが、大事な場所でありまするので、業者としてはそれをすぐに取りかえております。取りかえるというのは、柱といいますか、その柱の上に杉の薄い合板、ベニヤのようなものが張ってあるわけですから、それを張りかえればいいというので、経済的にはたいしたことじゃございません。しかし宮殿の工事のときにそういうことがあったということは、非常に遺憾なことでありまして、当日作業員は宮殿に約五百人くらい入っております。ちょうど、たぶんお昼の弁当つかう時間には全部弁当のほうに行ってしまう。だれもいない。そのときにだれかがいたずらをしたのではないかというふうに見られておるわけであります。新聞の記事では、業者間のいざこざかなんて書いてありますが、やはりいろいろ下請の関係なんか入っておりますから、何か言い争いか何かあったのじゃないか、想像ですけれども、それで不満を持っておる者がいやがらせにちょっとやったのじゃないか。しかし、だれがやったかというようなことは、共同企業体のほうでも調べ、なお皇宮警察のほうでもいろいろ調べていますが、だれがやったかは現在のところやはりわからない。
この行為としては、あれだけ大きな工事になりますと、普通の民間あたりのいろいろな工事のことを聞きますと、あれだけ大きな工事ですと、そういうようなことはちょいちょいあると、まあ共同企業体の人は言っております。宮殿ですから特に問題になった。じゃあ、いままでにそれに似たようなことがあったかということも共同企業体に聞きましたが、共同企業体としても、故意にそういうことをしたことはいままでなかった、これが初めてですということを言っておりました。その今度のいたずらは、あとにまでこたえるようなそう大きなものじゃなかったのでございまするが、しかしながら、その宮殿の工事の中には、たとえば壁面のつずれ織りの大事なものを張ってあります。今後画家の大事な壁画のようなものも入ります。そういうものにもしいたずらされますと、いまの柱にいたずらされたような簡単なわけにいきませんので、それで今後そういうことの起きないようにというので、共同企業体のほうではさらに警備員をふやしまして、何か十数名ふやして、昼の休みのときでも部屋の中を十分守るというようにしております。それから皇宮警察のほうでも、皇宮警察の立場で警備を幾らか強めております。で、そういうことの起きないようにしよう。一つここで注意しなければいけないのは、そこに従事しておられる作業員の方の九九%のほとんどの人は、みんなまじめにやっておられる方ですから、そういう方にいやな感じを与えても、これは作業の上に響きますので、今後またこういうことのないように気を配りながら、特に注意していこうというふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/15
-
016・山崎昇
○山崎昇君 あまり多くは私のほうもそう聞こうと思いませんけれども、ただ、いろいろ聞いてみると、一番先に宮内庁やら総理府が、あるいは皇宮警察がやったのかどうか知りませんが、第一、思想的な背景があるのではないかということで、かなり働いている者の思想調査が行なわれたとぼくら聞いているわけです。そしてその結果はやはり思想的な背景がなかったのではないか。いま次長の言われるように、何か業者間のいたずらにすぎなかったんではないかという結論が出たようでありますけれども、どうも私ども、多少人権に関するようなことも内々ではかなり行なわれたんじゃないか、これは想像です。ですから、そういうことがなければけっこうですが、どうも心配な点が一つあるということですね。
それから、これは新聞報道の一部でもありますし、また、私ども報道された新聞記者の方に会って聞くと、将来起きないとはどうも考えられない。それは、あまりにも下請の業者がたくさん入っている。そういう関係から、完成のまぎわになって再びこういう事件が起きるおそれがあるのではないだろうか、そういうことがあなたのほうで一番心配だというようなことも私ども聞いているわけです。ですから、これは総理府としてもたいへん心配なことだろうと思うのですが、それらのことがあるのかないのか。あるいはまた、思想調査等がかなり行なわれたといわれているのですが、そういうことがあったのかどうか。それからいま、やった者がまだ明らかでないというなら、あくまでもやった者を調べて、そうしてこれらに対して何かかにかの処分ということが考えられるのかどうか。そういう点についてももう少しお聞きをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/16
-
017・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この、だれがやったかどうかというようなことについて、まあ皇宮警察が警察の立場で、器物損壊というようなことになるものですから、で、共同企業体と一緒に調べをしたようであります。しかし、最初に皇宮警察から聞いたときにも、これはやはり落書きの内容も、そういうような業者間の悪口を書いたりしているので、何かトラブルでもあったのじゃないかというようなことから出ておりますから、いま先生おっしゃるように特に思想調査というようなことは、私はなかったと思います。これは警察の立場でやっていただくのでございますから、私の聞いた範囲では、そういうことはなかったと思います。
それから第二のほうの、今後そういうようなことがないかどうかというようなことで心配の点があるという点でありますが、これについては、先ほど申しましたように、共同企業体にも特に、今後だんだんほんとうに完成していって、取り返しのつかぬところにいたずらを書かれてもいけないというので、特に注意をしていくような態勢をとっておりますし、その点については十分注意をしておれば、そこに作業しておられる方も、もうほとんど全部に近いぐらいの方はいい方ですし、たまにそういう人があったわけですから、お互いに皆さんが注意し合ってやっていただけば、そういうことはまず起きないものと私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/17
-
018・山崎昇
○山崎昇君 もうこれでやめますが、ただ、私は起きた事件そのものはそうたいしたことではないだろうし、また、その事後措置も終わったと思うのです。ただこれから、いわゆる皇居内の一部が開放されるとか等々の問題にも関連をしてきて、へたすれば、何かあまりにもまた警備その他のほうの行き過ぎのほうが強くなってもまずいだろうし、それから私は、どうしても心配されますのは、たくさんの業者が入っておって、どうも業者間の感情がうまくいかない。それに関連をして、あの業者のあの人はどうもおかしいのじゃないかなんていう疑心暗鬼が生まれてくるというと、かえって深い事件が起きないとも限らない。そういう意味で、宮内庁の監督やら、あるいはまた総理府としても万全の対策を立てているのだとは思いますが、あまり走り過ぎてしまって、逆の効果を生むことのないように私はしてほしい、そういう考えもありまして、ですからあまり内部に立ち入ってお聞きするつもりもありませんが、ぜひひとつ注意を払って、そういうことのないようにしていただきたいということを最後に申し上げて、この質問を終わっておきたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/18
-
019・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと御注意のほどまことにありがとうございました。今後、われわれとしても十分に戒めまして、善処いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/19
-
020・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先般、この法案についての提案理由の説明を聞いたわけですが、このことについて、二、三お伺いしたいと思います。
まず、内廷費についてお伺いいたしますが、現行の内廷費の定額六千八百万円は、昭和三十九年四月に改定されたままで、改定以来四カ年間を経過している。この間に物価は上昇し、公務員の給与も引き上がる。そこで内廷費の定額を一千六百万円引き上げて、八千四百万円にしよう、そういう意味であったわけです。そこでお伺いするわけですが、今後、千六百万円、率にしてみると二三・五%増額しようとしておるわけですが、その具体的な根拠についてまずお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/20
-
021・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) いま申されましたように、三十九年度からですから四年間据え置きになっております。で、その間に内廷職員のほうの人件費の関係は、これは一般の公務員のベースアップに伴いまして、やはりその率をベースアップをしてきておられますので、人件費の関係はずっとふえてまいっております。一方、物件費の関係は、これは物価の値上がりというようなことで、実際は同じものをお買いになるにしてもよけいの金が要るというようなふうになってきております。その間の人件費のベースアップは三四%、物価の値上がりが二〇%ですか、そういうふうに上がっております。
で、内廷費の経理の模様を拝見してみますと、だいぶ御窮屈になっておられるということで、やはりこれはこの際定額を増額していただくことが必要だというようなことでお願いするわけでありまして、この場合に、それじゃこんなに上がっているのに、どういうふうにして経理されておったかということも御不審に思われるかと思いますが、人件費の点は、先ほど申し上げたように、公務員のベースアップ並みに上がっておりますから、それで数百万円ふえてきております。それから、物件費の関係、物価が上がっているという関係がありますが、その関係については、まあ皇室ではできるだけ質素を旨とされておりまして、節約できるところはなるべく節約されるというような御方針をお持ちになっておりまして、いろいろのものを新調をするのをなるべく差し控えられ、間に合う間はお使いになるというようなことで、その物件費の関係を節約しておられましたので、これで何とかまかなっておられますけれども、先ほど申し上げましたように、御窮屈になっておられるというようなふうに感じられますので、この際上げていただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/21
-
022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 同様の意味で皇族費についても六百二十万円を百万円引き上げる、率にすると一六・一%になりますが、このような増額を考えておるようですが、これについてもほぼ同様の意味ではあろうと思いますが、まだ特にそれにつけ加えるようなことがもしあれば、この際明らかにしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/22
-
023・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この皇族費につきましては、内廷費のほうは四年据え置きですが、皇族費のほうは三年据え置きです、四十年からですから。その間に人件費の一般公務員のベースアップが二〇%、それに伴うて人件費、皇族費から出される皇族、宮家での人件費もふえております。それから、その他の物件費の関係は、物価指数が一六%ふえております。そういう関係上、この物件費の関係でも御窮屈になってきておられるというような御事情がありまして、内廷費の場合で申し上げたと同じようなことで、やはり皇族費もこの際定額を上げていただきたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/23
-
024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、戦後の内廷費及び宮廷費の定額についての変遷を調べてみると、昭和二十五年、二十八年がなくて、二十二年から二十九年までは毎年あったと思う。それから三十三年、三十六年、三十八年、三十九年に改定が行なわれておる。それから、四十年には内廷費の増額がなくて皇族費だけ上がっている。で、今回の増額となっておるわけです。その理由として、増額するそのつど物価の上昇、それから公務員給与の引き上げ、こういうことが主たる根拠となっておったようですが、言うまでもなく、近年の物価の上昇はまことに著しいものがあるようです。また公務員の給与もほとんど毎年上昇しておる。そういうことになると、内廷費及び皇族費は、毎年それに見合う改定が行なわれなければならぬわけですが、しかし実際にはいま言ったように、こういう内廷費については四年ぶりであり、皇族費については三年ぶりというふうに、物価が上昇し、公務員給与は毎年上がっている、そういう情勢の中で、一方は四年、一方は三年というふうに、そのつど上がっていないわけですね。その理由は一体那辺にあるのかと、こういう問題が出てくると思うのです。その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/24
-
025・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この点は、この内廷費の場合、皇族費も同様と思いますが、その経理をなさる際に拝見しておりますと、全体の一割くらいは予備費ということに一応しておかれる。その他のものはいろいろ経費を予定されておる。まあこの一割程度は予備費、特別の支出がなければ予備費の関係でまかなっておるという関係にあるわけでございます。しかしながら、これにつきましても一割以上ずっと上がっているわけですから、そういう点がどうかという点がございましょうが、これはざっくばらんに申し上げますと、幾らかこの皇室の方の御遠慮のような気持ちもございます。一方また、宮廷費の関係で、宮殿の造営というようなことで相当の多額の経費がかかっているわけです。で、節約できるところは節約してやっていこうというようなお気持ちも察せられておりまして、で、そういうようなこともございまして、少し御遠慮の気持ちがここに反映をして、われわれも拝見しておっても、もうここらでやはり上げていただくのが穏当だということでお願いしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/25
-
026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 皇室経済法の第四条を見ると、「内廷費として支出されたものは、御手元金となるものとし、宮内庁の経理に属する公金としない。」、こう明確に出ているわけです。お手元金となり公金ではないと、そういう意味づけがあるので、深く具体的には聞きかねるわけですが、そこでこの内廷費に占める人件費と物件費の割合は一体どの程度のものか、こういうことだけこの際伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/26
-
027・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 内廷費の中で占めます人件費の関係ですが、この今度で八千四百万円に増額になりますと、そのうちで二千万円ぐらい、四分の一くらいは人件費になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/27
-
028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま御指摘申し上げたように、内廷費は天皇一家の私経済になりますから、深くお伺いしませんが、その一部には、前にもそういうお話を聞いたわけですが、投資信託とか、あるいは株式投資、こういうふうな場合等々を聞いているわけですが、差しつかえない範囲内において使途等についてもお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/28
-
029・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この内廷費の関係で、不時に備えるために、余裕ができましたときには蓄えておられるわけでございます。その最も基礎になっていますのではっきりしているのは、ちょうど終戦後、新憲法が公布の際に、皇室財産はすべて国有とすという憲法の条文によりまして、皇室がお持ちの財産はすべて国有なんだということになりましたが、当時のGHQ、総司令部のほうで、いわゆる不時の場合のこともあるというので、その当時株券とか有価証券とか、そういうもので千五百万円だけは不時の用として残された、それが一応基本にあるわけであります。それから減ったりふえたりで、その余裕のあるときには預金のほかに有価証券等を買われて、不時の支出に備えられる。最近で不時の支出で相当出ました場合を申しますと、皇太子殿下が御結婚になった。そういう場合に、国費でまかなわれる部分もございますけれども、内廷費でまかなわれるのが相当ございまして、そういうときにはそういうところがら出しておられます。そういうようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/29
-
030・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なおこの内廷費で雇用されておるところの掌典とか内掌典ですね。いわゆる言われるところの内廷職員、この内廷職員について一、二点お伺いしたいのですが、現在何名ぐらいおられるかということと、その職務内容ですね。それと給与の状況は一体どうなっておるか。この三つの点についてこの際お伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/30
-
031・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この内廷職員のうちでおもな者は、この宮中の神事−神さまのこと、神事に携わられる掌典とか内掌典、そういうような人、それから陛下の御趣味としてなさっておられます生物学研究所の仕事でお手伝いをしている人、そのほか陛下のごく身のまわりの関係の雑務をする人というので、一応現在二十五人ということでございまして、そういうような人の給与は、これは国家公務員の給与をきめる基準がございますが、そういうのを一応基準にしまして、その人の経歴等をにらみ合わせながらきめられておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/31
-
032・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、いままでのことを要約して一点だけお伺いしたいのですが、この内廷職員の給与の問題ですね。これは先ほど来の御説明で大体わかってまいりましたが、この内廷費の増額は、先ほど来申し上げておるとおり、毎年なされない。しかしここでお伺いしたいのは、内廷費の職員のベースアップには当然内廷費を増額しなければならぬ、こういう点についても御説明があったわけですけれども、ここで特にお伺いしたいのは、内廷職員の給与ですね。これは毎年公務員並みに引き上げられておるのかどうかということを最後にお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/32
-
033・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 内廷職員につきましては、一般国家公務員並みに、それと同じような率で上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/33
-
034・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それと、内廷費が今度上がりますと八千四百万になるわけですが、そうなると、予備費をある程度いままでも見積っておったわけですが、どのくらいの見積りになるのか。そしてそれをどのような目的に使われるのか。こういういわゆる大まかなところでけっこうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/34
-
035・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) やはり一割ぐらい予備費に考えられると思います。その予備費は、特に予想されない特別のことがある場合というので、たとえば装身具のような関係で、一応予想されていた以上に特別のものが必要だという場合にそういうものから出る場合もあると思いまするし、それから、何か皇太子殿下あたりが海外に御旅行されるような場合に、特別にやはり内廷費から、必要なものがあるというような場合に考えられたり、そういうようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/35
-
036・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、皇族費の算出の方法ですが、これは皇室経済法の第六条にも明確に詳細に出ているわけで、お伺いする必要はないわけですが、今回皇族費の定額を引き上げることになって、このことも皇室経済法施行法の第八条に明確に規定されているということになろうかと思うのです。そこでお伺いしたいのは、今回の法が成立すると、各皇族別の皇族費はどのような数字になるか。この機会にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/36
-
037・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 上がった場合のことを申し上げますと、常陸宮家が千八十万、それから秩父宮家が七百二十万、高松宮家が千八十万、三笠宮家が千六百五十六万と、そういうふうになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/37
-
038・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほどお伺いした内廷職員と同様に、皇族費でまかなわれている職員があろうかと思うのです。で、現在何名くらいおられるのか、これはこの機会に皇族別に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/38
-
039・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 本年の一月末現在のところを見ますと、常陸宮家では四名、秩父宮家で六名、高松宮家で九名、三笠宮家で六名、合計で二十五人の職員であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/39
-
040・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先般の提案理由の説明によりますと、皇族費における人件費の増加を考慮して皇族費を今回増額する、こういうことの御説明ですが、皇族費に占める人件費の割合は、過去どのように推移してきたのか、大まかな経緯について承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/40
-
041・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この人件費の割合でありまするが、現在の定額六百二十万の場合ですと、その計算の基礎が三百五十万くらいになります。人件費の割合は、内廷費の場合よりも皇族費のほうが高いわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/41
-
042・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、お伺いしたいのは、皇族のうちで、皇族費以外のいろいろな収入を得ている皇族がおられると思うのですが、もしそういう皇族がおられたならば皇族別に、その可能な範囲でけっこうですが、概算をお示しいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/42
-
043・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この皇族費以外に皇族自身としての別の収入という関係でございますが、これはそう多い収入を得ておる方はどなたもないわけでございますが、たとえば高松宮さんという場合、実際の収入のお入りになるという点は、葉山に家をお持ちで、これを外人に貸しておるわけです。それが年数十万円あるということ、それでよく光輪閣の関係は収入があるのではないかというふうにお考えになる方がありますけれども、光輪閣は光輪倶楽部に貨しておられるわけです。光輪閣をお持ちのために、この固定資産税、それからあの土地の大部分が国有地なものですから、国に対する借地料、そういうものを合わせると、年額六百万円ぐらい払っておられる。その払う分を光輪倶楽部が払っておられるということで、宮家の収入はないわけです。それから三笠宮さんの場合、御本をあらわされましたり、それで印税というものが入られたり、そういうのは、それはそのときによって幾らかずつあります。それからこの女子大学などでオリエント史の講師をなすって、その講師手当、これも月数千円ぐらいで、そう多いものじゃございません。そういうものがあるというぐらいで、そのほか不時に備えて預金とか有価証券を求めておられれば、それに伴う利子とか配当があるという程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/43
-
044・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、この法律案は昨年の十二月二十六日の皇室経済会議で議決がなされておる。本年一月五日に決定がなされて、内閣総理大臣から国会に報告され、そうして提案されたと、こういう経緯があるわけですが、そこでお伺いしたいのは、この皇室経済会議の議事録、これはあるかどうか存じませんが、もしないとしても、ある程度の、全然記録がないということでもなかろうかと思うのですが、そういうものが当委員会に提出できるのかできないのか。もしあれは、差しつかえなければ提出を求めたい。それと最近の皇室経済会議の運営状況は一体どうなっておるのか。この二つの点についてこの機会にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/44
-
045・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この皇室経済会議は非公開の秘密会議なものでございますから、議事録の提出というふうなことは、これは差し控えさしていただきたいと思います。
それから議事の運営の状況でございますが、これは総理大臣が議長で、その議員のメンバーは法律にあるとおりですから申しませんが、議員の方がこられて、その議案について宮内庁のほうの当局から、こういうようなことですというような説明があり、それに対して御審議があって、いろいろ御発言もあって、それから結論に至るというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/45
-
046・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この皇室経済法の第三条を見ますると、「予算に計上する皇室の費用は、これを内廷費、宮廷費及び皇族費とする。」この点が明確になっておるわけですが、今回は内廷費と皇族費がそれぞれ増額されようとしておるわけですが、もちろん宮廷費については、別途予算委員会で審議が進められておると思うのです。ここでお伺いしたいのは、四十二年度の宮廷費を見ると、四十二億五千五百二十二万五千円になっておるわけですね。そこで四十三年度の分を見ると、四十億八千四百八十万五千円で、前年度に比較してほぼ一億七千四十二万の減額になっておるわけですね。その減額することがいいとか悪いとかいう、そういう見方ではなくて、内廷費も皇族費もふえておるという、一般の国家予算もふえておるわけです。そういう情勢の中で、宮廷費だけは逆に減っておるわけですが、この減額の根拠はどういうことなのかという点なんです。考えられることは、新宮殿に相当の予算がかかっておるが、これは大きなところは前年度に済んだので、一般の予算は上がっておるけれども、相当宮殿造営費が減ったので、結論として減額になっておる、こういうふうに、これは調査の結果でなく、私の推察ですが、そういうことでなければちょっと了解しがたいと思うのですがね。いいとか悪いとかいうことではないのですよ。現実にみんな物価が上昇し、すべてが上がっておる情勢の中で、ひとり宮廷費だけが下がっていますからね。この点ちょっと明らかにしておきたいと思うのです。この点を御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/46
-
047・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この宮廷費の減額の点は、いま伊藤先生おっしゃったとおりのことでございまして、で、昨年に比較して一億七千万ばかり減っておりますが、これは皇居造営の関係費で、前年度に比較しまして十二億五千三百万というものが減っております。でしかし一方皇室用財産の維持管理費などが十億八千三百万前年度よりもふえておるわけであります。差し引きして一億七千万というのが減額になっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/47
-
048・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、先ほど総務長官に若干お伺いした天皇の海外旅行についてですが、先ほども御指摘申し上げたように、三十九年の五月に国事行為の臨時代行に関する法律が成立したとともに、とのことは、今後天皇の海外旅行は、やろうとすれば支障は何らないということになったと思う。そこでお伺いするわけですが、現在宮内庁としてはどのように考えておられるのか、まずこの点からお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/48
-
049・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 天皇陛下の海外の御旅行については、いまおっしゃいましたように、国事行為代行法もありますから、以前から見るとそうむずかしくないようになったわけでありまするが、しかし、天皇陛下がお出かけになるのにふさわしいような機会でなくてはいけないがというので、そういう機会がないということで、常にわれわれも頭を使っておるわけでありまするけれども、しかし現在までのところ、特にふさわしい機会というのがまだないものですから、実現をしていないわけであります。なお、よく皇太子殿下が天皇陛下の御名代で外国のほうへお出になる場合が、あの法律ができたあともあるわけでありますが、そういう場合もいろいろ検討いたしたのでありますが、これは外国から元首が見えた場合の答礼という場合が多いわけでありますけれども、これについて、ある国へは皇太子殿下が答礼に行かれる、ある国へは天皇陛下がおいでになられるというふうに、差別をつけることについては、いわゆるそこに場合によると考えなくてはならない、もっともらしい他の理由があればよろしいのでございますけれども、そういうことがございまして、やはり普通の場合には皇太子殿下が御名代でおいでになるということになっておりますけれども、しかし将来何かいい機会がないだろうかということで、頭は使っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/49
-
050・伊藤顕道
○伊藤顕道君 このことについて昨年、瓜生次長は当委員会で、適当な機会と適当な訪問先があれば天皇にも海外旅行していただくつもりで、現在前向きに検討しておる、そういう意味の答弁をなさっておるわけです。そこでお伺いするわけなんです。それから一カ年経過しておるから、前向きに検討された結果はどうなのかということをお伺いしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/50
-
051・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) その後、特に天皇陛下がお出かけになればよろしい、ふさわしいというような機会がどうもないので、そのままになっておりますが、先ほど総務長官がちょっと触れられましたが、ハワイに移民百年祭というのがこの六月にあります。それに対しては、ハワイからは皇族の方においでいただきたいということを言ってきておりますが、しかし、さらにそこには、天皇陛下に来ていただければいいんだけれども、それは御無理だろうからという遠慮の気味もあって、じゃ、天皇陛下がハワイにおいでになるのがいいかどうかということも検討はしたわけですけれども、しかし、ハワイはアメリカの一州でありますし、ハワイだけおいでになってお帰りになるというのも、やはりどうもいろいろの点で感心しない点がありまして、ワシントンへ行かれて、そのついでにお寄りになるというのならば、これはまあよろしいのですけれども、まあワシントンへおいでになるということも、これはまたいろいろの情勢もございましょうし、無理だということで、実現をしなかったというわけであります。で、そういうふうに、おいでになるのがいいかどうかというようなことについては、前向きには検討しながらきているわけですけれども、実現はまだしていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/51
-
052・伊藤顕道
○伊藤顕道君 天皇が外遊されたのは、たしか大正十年であったと思いますが、皇太子殿下時代にイギリスはじめヨーロッパ各国を六カ月の予定でお回りになったというふうに記憶しておるわけですが、そういうことで、ほかにはなかったと思うのです。ただの一回であったと思うんですが、それと、先ほど御指摘した三十九年五月の国事行為の代行に関する法律が成立した、そういうことで、今後天皇が外遊されるという問題になると、いつも問題になるのは、それではいつという時期が大体問題になる。で、またそのことに関連して、何か目的がないと外国訪問にはならぬのかと思うのですね。そういうことについて、先ほど総務長官にもお伺いしたわけですが、具体的に何らなかった。宮内庁としてはこの点についてどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/52
-
053・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) その目的の点でございますが、陛下のお立場として、やっぱりその国との親善を深める、要するに国際親善ということが目的になろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/53
-
054・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、先ほど山崎委員の御質疑になられた新宮殿に関連してですが、前にも視察の機会があったし、先般もまた視察してまいったわけですが、そのことについてお伺いするわけですが、総工費は大体百三十億で三十九年の夏から着工、で、この四十三年、ことしの秋に完工式をあげる見込みであると、そういうことのようですが、三十八年の二月十九日の当委員会で、新宮殿の予定完成期日は四十二年三月の十日と瓜生次長から答弁があったわけです。そのときの答弁から見ると、それから一年半も時期がおくれておるわけですね。そこでお伺いしたいのは、いろいろ事情があったかと思うのですが、一年半もおくれたその理由は一体那辺にあったのか、こういうことをこの機会にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/54
-
055・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) このおくれましたことは、まあ見込み違いというようなことももちろんありまして、申しわけないわけでありまするが、実際にいろいろ工事に取りかかりながら、次の部分についての実施設計をし、それに必要なまた模型などをつくって、これでいいかというようなことを、単なる役所だけでなくて、いろいろの大学その他の研究機関にも委託してやってもらったりしながら進んでまいったわけでありますが、その場合に思ったよりそうした調査、研究にひまどりました。それで、これはやはり長く残る宮殿でありましたので、拙速で自信のないうちに調査不十分のままでやっていくことも、これは感心しないので、やはりその調査ができて、それからそれをやっていくというようなふうに進んでまいったものですから、そのために、初めに考えたよりもよけいの日数を要したのでありまするが、しかし、まあいろいろの調査、研究を積み重ねてずっとやってまいっておりますので、現在のところでは、でき上がるものについては不安は全然持っておりませんし、この十月一ぱいに工事が完了するという見通しもこれも狂いがございません。したがって、十一月には落成式ということになり得るというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/55
-
056・伊藤顕道
○伊藤顕道君 予算についてお伺いいたしますが、当初予定されたのは八十億から九十億というふうに相当な幅があったと思うのですが、結論としては約百三十億になっておる。こういうことになると、約四十億もはね上がっておるわけです。もちろん物価の上昇という事情もあったかと思うのですが、ただ物価の上昇だけで四十億のはね上がりとも考えられません。何かほかの理由があったのかどうか。たとえば計画の一部変更とか、そういう事情もあったのかどうか、このことについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/56
-
057・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 物価の値上がりもございますが、いまおっしゃいましたように、設計の変更による増加という部分が相当ございます。たとえて申しますと、屋根の工事で銅がわらの厚さというものが、当初の計画では〇・六ミリとしたのを、いろいろさっき申しましたような調査、研究をしながら強度の試験などをやってまいりました結果、それではやはりひずみが出たりしていけないということで〇・八ミリにした、厚さをふやしたというようなこともございます。それから銅がわらの高さなども、これは十センチメーターから十二センチメーターにこれも高くなっているというようなこともございます。さようなこともありました。また、いろいろの柱などは、コンクリートの柱の上にウルシ入りの染料を塗って、そうして仕上げるというような初めの考えでしたけれども、その染料を塗ってやってみますと、やはり長く置きますとひび割れがいったりする、これはいけないというので、それはやはり銅板を張るというように変更になりました。先日ごらんいただきました鋼板を張るようになったわけですが、銅もちょうど値上がりの時期にぶつかったりして、そういうところでも経費がずっとかかっております。それから材木の関係でありますけれども、材木の関係は、最初は木の値段を市場価格で一応組んであったのですけれども、いよいよ実際にやってみますと、現在の市場には長大な木材というものがないわけです。したがって、そのためにいろいろの山を調査して、あそこの山にあるあの木がいい、あの木がいいというので、その木を特に切り出していく。そうなりますと市場価格よりもどうしても高いものになりました。しかしこの宮殿の性質上、そうした材木をぜひ使おうということで経費がふえてきております。
そのほかいろいろ、つずれ織りなんかの織り方を変更するとか、じゅうたんの設計を変えるとかいうように、全般にわたって質の向上をはかったものがあります。ちょうど最初に考えたころから見ますというと、また、ものによりますと、二、三年のうちにいろいろまたいいものができているというようなこともあって、やはり現在あるものでいいものを使おうというようなことになって上がった分もございます。そういうようなことでございまして、最初の見込みから見ましてずっとふえました点は、われわれ事務当局としても、これも見通しが悪かったというふうに批判されましてもやむを得ないので、相すまないとは思っておりますが、しかし、やる以上は恥ずかしくないものをということでやったので、ついそういうふうに増額になったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/57
-
058・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この新宮殿については、先般視察の際説明がありましたが、銅とか鉄の第一次産品を除いてすべて国産品でやるということ、それといわゆる純日本建築の味を近代工法で生かしたものである、そういう点から、この点から国際建築学界でも相当話題になっておるというふうに聞いておるわけですが、外国あたりから盛んに視察に来ておる、そういうことも耳にしたわけですが、それらの点についての真相について、この機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/58
-
059・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 宮殿の設計そのものも、日本の宮殿の伝統を基礎にして設計をされているわけです。しかしながら、伝統を基礎にするが、やはり近代的な感覚にも反しないようにというので、屋根の勾配などはあまり深くなくて、幾らかゆるやかにつくられておるというような点が出ております。
なお、いろいろの装飾の類も、外国の宮殿によく見るような豪華な装飾ということではなくて、日本的な清楚なさっぱりした装飾というようなことで進んできております。したがって、壁面に特に壁画的なつずれ織りを置く部屋はそう多くはございません。食堂ですとか大広間とか、そういうようなところはございますが、たとえば特に儀式を行なうような部屋などはそういう特別の模様などは張ることにはなっておりません。さっぱりしたものになっております。そういうような点があります。
なお、使っております材料は国産品で、しかもおおらかな感じ、ゆったりした感じを出そうというので、設計者の意図もそうでありましたので、使います材木も長大なもの、あまり継ぎ継ぎにならないように、さっと長大なものでやってあるというようなふうにくふうをされております。そういうような点は、やはり非常に日本的なおおらかな感じということになっておるわけであります。
それから、なお、屋根は銅板でふいておりますが、この屋根の銅板は、明治宮殿の場合ですと、最初は赤い銅板のものでしたが、そのうちに自然に緑青がふいて緑色になってきれいになったのですが、現在の東京の空気ですと、緑青がふきましても黒いような緑青になってしまう、きれいな色にならない。そこで屋根にふく前に化学的に緑青をふかせるという方式を加えたわけですが、先日ごらんになりましたように最初からもう緑青がふいた色になっている。あれだけ大きな屋根で最初からああいうように緑青がふいた、非常にこうごうしくふいている例というのは外国にもないのだそうで、どういうふうにやったのかというような照会などもきておるわけでありまして、いろいろまあ現在の日本の科学技術を十分に活用した、近代化ないろいろくふうがされている建築でございまして、そういう点では、いろいろな建築学界の方も見えまして、まあ大体はおほめをいただいている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/59
-
060・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、皇居造営の資金に充てるために個人または団体から、いわゆる寄付行為があるわけですが、それはもちろん強要にわたったり、売名、宣伝におちいるようなものは一切これを拒否して受けない、そういう規制のもとに今日まで寄付を受けてきたと思うのであります。
そこで、お伺いしたいのは、現在どの程度になっておるかということと、なおこれに関連して、物件については七件で、吹上御所の造営に際し使用したという先般説明があったわけですが、現在はどうなのかということと、この七件が一体どんなものかということをこの機会にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/60
-
061・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 皇居造営のための寄付金の、この三月末日までに受け付けたものが、現金で八千六百六十九万円になります。これは延べ人員を見ますると十七万三千人と、相当多いわけで、それぞれの誠意に基づく少額のものが大部分でございます。
それから、物件の寄付は、吹上御所の造営の際に受けているのがございますが、これを申しますと、たとえば兵庫県のほうから黄龍山石という石の寄付がございました。そのほか、会社方面で、空気清浄施設を寄付されたり、インターホン、それから電気時計ですとか、それからバラの苗を寄付されたとか、そういうようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/61
-
062・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/62
-
063・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 速記をつけて。
それでは、再開を午後一時とし、暫時休憩をいたします。
午前十二時休憩
—————・—————
午後一時十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/63
-
064・井川伊平
○委員長(井川伊平君) これより内閣委員会を再会いたします。
午前に引き続き皇室経済法施行法の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/64
-
065・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この際、皇室用財産と公用財産ですね。それのごく大まかなところでけっこうですが、ひとつこの機会に御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/65
-
066・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 皇室用財産は、おもなものは皇居、それから御所、それから御用邸、それから御料牧場、離宮、それに陵墓、そうしたものでございまして、これは土地として千六百四十八ヘクタールございます。建物が十五万四千平方メートルでございます。公用財産というほうは、このいろいろ職員の宿舎と、それから宮内庁の三番町に分室というのがございます。これが公用財産でございまして、公用財産の土地が全体で七万二千二百九十四平方メートル、建物で一万五千六百五十四平方メートルになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/66
-
067・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、皇居内の東側地区について、東側地区運営委員会がありますが、この運営委員会で検討した結果、東側地区については皇居付属庭園として整備していく。そうして、宮中行事に支障のない限り原則として公開する。こういう一応の結論が出たようですが、従来から問題として摘指されているのは、入園料金を取るべきかどうかという点、委員の方々もこの点については相当意見の対立があったように聞いておる。はっきり言うと、入園料を取るべし、取るべからずと、この二つに分かれておったように聞いておるわけです。そこで、取るべしという主張の理由は、管理費がかかるという点、大蔵省と予算折衝するにも料金を取ったほうが都合がいい、こういう理由、それから、取るなという主張の意味は、皇室がかせぐような形でまずいということ、あるいは入場者が金を払ったのだからという考え方で、かってに動き回られても困る。こういうようなことで意見の対立があったように聞いておるわけです。それと厚生省の管理の一般公園とは違うということ、園遊会など皇室の行事にも使われる庭園だから、入園者に対して規制しなければならないけれども、一般開放の趣旨をあいまいにしないように、新宿御苑がありますが、これは厚生省の所管のようですが、これに準じた方法を検討するということ。それから庭園は皇居付属だが、庭園の警備は入園者の気分をこわさないようにする。庭園の開放目的、こういうふうないま幾つか項目をあげましたけれども、こういう点で甲論乙駁で、大体ある程度の対立があったというふうに聞いておるわけです。
で、これは過去の経緯の一端を申し上げたわけですけれども、現在は一体どのようになっておるか。きまった、最終決定を見た部分もありましょうし、まだ未触決の問題もありましょうし、これは一般国民に直接関係することが多いと思うのです。入園料を取るとか取らないということでも、すぐ影響してくるわけですね。こういうことで、国民にとっても身近な問題ですから、この際ひとつ、現在は一体どういうふうになっているのかということを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/67
-
068・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この東側地区の公開、これはこの十月一日から実施をしようというふうな方針を一応きめております。したがって、それはどういう方法でやるかということは、一応いろいろ協議をして、方針をおおむねきめております。その結論を申しますると、いま御指摘の入園料の関係は、取らないという線でいこう、これについていろいろ議論のある点は、いま伊藤先生がおっしゃいましたが、外国のほうへ造園部長がいろいろ視察に行った。その結果によりますると、先進国で離宮、王宮などの庭園を公開しておるところ、これは料金を取っていないようであります。それから、そういうもの以外でも、たとえば博物館とか、そういうような公共的な施設については取っていないところのほうが多い。やはり公共的に皆さまにこれを利用してもらうという場合には取らないほうが、これはやはりきれいでいいというような結論に達したわけであります。で、ただ無制限にするかどうかという問題ですが、これは料金は取りませんが、その園内に入っておる方の数というものを、その園内を散策しながら楽しまれるのに不適当なような、非常に混雑してはいけないものですから、おおむねこの中へ入っておる人が五、六千人程度にしていただくというように、中に入っている人の数を制限をする。それから、なおこういう人は入っては困るということで、これは新宿御苑のほうのいろいろな規定があります。それと大体同じようにしまして、ほかの人に迷惑を及ぼすような物を持ち込んだり、そういうようなまた行為をするような人については、入園をお断わりするというような点は、これは一般の原則に従ってやっていこうというようなことでございます。
それから公開する日は、土曜の午後とか日曜日を休みにしたのじゃ、これはいけないものですから、土曜の午後、日曜日などは公開する。そのかわり月曜日と金曜日と、当分の間は二日間だけ休みにする。二日間だと多いようですけれども、東側地区の庭園はまだ一〇〇%完成していないのに公開するのですから、当分いろいろ整備のための日も要るのですから、当分は月曜日と金曜日は休む、なお、年末年始、そういうときは休む、それから宮中の特別の行事、たとえば園遊会等が行なわれる場合、それもその部分を使います場合は、これは休むというふうにいたしまして、その他はできるだけ、公開時間は朝の九時から午後の四時まで、夜はもちろん入らないようにいたしたいと、こういうようなふうに考えまして、この十月一日から、宮中行事に支障のない限りは公開するという線で準備をいたしております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/68
-
069・井川伊平
○委員長(井川伊平君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、館哲二君、柴田栄君が辞任をされ、その補欠として山本杉君、大森久司君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/69
-
070・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま次長からいろいろ詳細に御説明があったわけですが、これはもうほとんど今後変わらない最終決定であるのかどうか。運営委員会は一応の結論を出しますけれども、このことについて最終決定をするのは宇佐美宮内庁長官が最終決定するんだ、そういうふうに聞いておるのですが、そういうこともあわせてひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/70
-
071・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 運営委員会のほうの相談の結果は、いま申し上げたようなことでございまして、その要領は、宇佐美宮内庁長官にもお話をして一応了解を得てありますが、しかし、書面でいわゆる決裁をとるということはまだ済んでいないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/71
-
072・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なおこの十月一日から公開するということの説明があったわけですが、将来、庭園を運営するにあたっては、民間の有識者にも相談していく方針だということのようですが、もしそうだとすると、民間有識者というのは一体どのような人をいうのか、また、民間の有識者にはもうすでに何回か相談してきたのか、その辺の事情について一応説明をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/72
-
073・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 民間の有識者に、できれば意見を求めてきめようかというようなことを特に運営委員会で言っておりましたのは、入園料を取るか取らないかというような問題、この問題をそういうような方の意見も聞いてきめるのがいいんじゃないかというようなことでございましたのですけれども、結局、いろいろな内容を調べたりした結果、やはり先ほど申した結論がいいということになりまして、それで、財政当局の大蔵省もそれを了承をされたので、特に民間の方に集まっていただいて相談をするという点はないのであります。ただし、一般のいろいろの方の御意見は常に聞きながら運営には適正を期したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/73
-
074・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、沼津御用邸について一点だけお伺いしておきたいと思いますが、当委員会としても先般視察してまいりましたが、土地については十五万三千五百四十八平米、建物も三千三百六十七平米、樹木三千九百三十九本、こういう相当広い、いわゆる言うところの皇室用財産と現在なっておると思うんですが、海水汚染等の理由で、御用邸としては適当でなくなったということで、その代替として下田御用邸の建築を準備中である。まあ建築というより建設準備でしょうね、建設準備が進められている、そういう事情があるようですが、沼津御用邸については戦後ほとんど使用されていなかったようです。そうだとすると、宮内庁としては、この広大な御用邸を名ばかりの御用邸としておかないで、実際に使われない御用邸をそのままおくことは、いろんな観点から不経済きわまることであるので、十分活用の方法をもっと早目に考慮すべきであったのではなかろうかと、一応そういう考えが出てきますね。戦後ほとんど使っておらぬという、先般、現地での御説明もあったわけですが、この辺の事情をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/74
-
075・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 沼津の御用邸を戦後ほとんどお使いにならなかったと言ってはちょっと言い過ぎになるかと思いますが、戦後、昭和二十七年ぐらいまでは相当お使いになっております。特に貞明皇后さんがおいでになられたときは、よくあそこをお使いになっておられました。それから二十七年からあとになりますと、昭和二十九年に両陛下が行ってお使いになっております。それから三十七年に皇太子、皇太子妃両殿下がお使いになっております。非常にお使いになっている回数が少ないのでございます。やはり御用邸として適当でない点が出ているものですから、ついそういうふうになるわけですが、それを、それじゃいつまでも御用邸として、皇室用財産としておくことは適当でないじゃないかという御意見、これはごもっともな点でございます。下田のほうに新しい御用邸の用地が確保できれば、この沼津の御用邸は皇室用財産から解除をしまして、これを国有財産、普通財産として大蔵省の国有財産局のほうに引き渡すという方針を立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/75
-
076・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、このことについてなおお伺いしますが、沼津御用邸が廃止ということになると、先ほど説明申し上げたこういう広大な敷地、建物は一体どういうことになるのか。現在のように皇室用財産ならば、当然、宮内庁の所管であるわけですけれども、もし廃止ということになると、国有財産として大蔵省の所管になろうかと思うのですがね。大蔵省の所管になってしまえば、宮内庁は何も口出しする必要はないという考え方も成り立ちますけれども、ただ単にそういう機械的に扱うのみならず、いままで御用邸として使われたところが、あまり問題になるようなことに使われても、宮内庁としてもちょっと問題があるのじゃなかろうかと思うのですがね。そういうような事情もあるので、宮内庁としては一体どういうことを希望しておるのか。こういうことについても、この際説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/76
-
077・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 皇室用財産を解除いたしまして普通財産になりますれば、大蔵省のほうの管轄になりまして、その処分をどうするかということにつきましては、法律上は宮内庁のほうには何ら権限はないわけでありますが、しかし、この御用邸としての歴史のある土地でありますから、大蔵省のほうでいろいろ考える場合にも、実際上はある程度の御連絡があることと思っております。で、この御用邸であったところが、そのあと世間から、あんな変なことに使うのはおかしいというようなふうにならないように、できるだけ一般の国民の目から見られてもふさわしい方面に使われるところに処分していただきたいと思っております。なお、これについては静岡県当局とか、沼津市当局も大蔵省と連絡して考えられることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/77
-
078・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この沼津御用邸が廃止になると、先ほど指摘申し上げた下田に戦後初めて御用邸ができることになろうと思うのですが、これは四十三年度に七億五千万円の予算を要求しておるのですが、この下田御用邸の建設計画について、いまは土地収用の問題として、土地の収用に全面的に取り組んでおるようで、またその先、土地が入手できれば、それからいろいろと建設計画が立つかと思うのですが、そういうことでありますけれども、すでに建設計画の大要はできておるのかどうか、そういうこともあわせてこの際お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/78
-
079・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 四十三年度では不動産購入費としての予算があるだけで、土地を購入するだけの予算でありますが、土地の購入ができますると、その土地について、いろいろ地質の調査、ボーリングなどをいたしまして、そこへどういう建物をつくるかということを具体的に検討をすることになるわけでありますが、いまのところ、特にどれくらいのどれとはっきり申し上げるまでに固まっておりませんが、葉山の御用邸、那須の御用邸、そういうところを参考にしながら、それをもっと合理化した御用邸というふうにしていきたいと思います。予算的には、もし財政事情が許すならば四十四、四十五、二カ年内で建設ができたならという腹組みでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/79
-
080・伊藤顕道
○伊藤顕道君 新聞報道によりますと、御用邸が下田に建設されると、付近の海岸は立ち入り禁止となって、漁民がノリとか、テングサ等の海草とか、あるいは魚介類がとれなくなるので漁民への影響が相当大きい、そういうことから一部反対の声もあるように報道しておるわけでありますが、これらの点については、先般、沼津の御用邸視察の際もその説明を承ったわけですが、そういうこととあわせて、そこで一体真相はどこにあるのかということを知りたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/80
-
081・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) もう現地の漁業組合との関係では、御心配いただきますようなことは現在のところございませんので、とても話が円滑に進んでいるわけでございます。御用邸が須崎地区にできましても須崎地区の漁業権については制限はしない。で、このノリ、テングサをとるということは従来どおりやって差しつかえない。ただ、ちょうど須崎のところにそういう舟を入れる舟小屋があります。それからなおその小舟ですが、その小舟を引き上げる浜もございますが、御用邸になりますところは、そういう舟小屋とか、舟を引き上げるというところではなくなって、そういう関係のそれにかわるべき施設をその近くにつくる、ちょうど御用邸用地のところより少し南のところにちょっとした浜がございます。しかし、その浜には山のほうからおりる道もありませんので、あまり利用できない、それをそういうところをおりられるように道をつける。それから浜のところが非常に御用邸の須崎に比較しますと、その浜は幾らか波が打ち寄せてまいりますので、その先のほうに防波堤をこちらのほうでつくりまして、その防波堤の蔭に舟を入れて、その砂浜に舟を引き上げることができるようにしようというようなことをやることになっております。そういう関係で、漁業組合もそういうふうにしていただけばということで話は円滑に現在進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/81
-
082・伊藤顕道
○伊藤顕道君 国有財産中央審議会、こういう審議会がありますが、これは下田の須崎半島に御用邸をつくるべく一応決議された。そういう決議に基づいて今年度、先ほど御指摘のあった七億五千万円は土地購入費というふうに御説明がありましたが、どういうようなところまで進んできたと思うんですが、この須崎地区では須崎半島の観光開発を計画中であるということ、それから先ほども一部申し上げましたが、海岸はノリとか、ワカメ、海藻類等の漁業の基地になっておる。こういうことになると、漁業あるいはまた生活の保障という問題が出てきますね。賛否のいかんにかかわらず、たとえ賛成だからといって、漁業とか生活に不安を与えることがあっては絶対相ならぬと思うんですが、そういうことで、この点当然漁業のそういう面にも影響があるし、生活の面にも当然補償という問題が出てくるわけですね。こういう問題については基本的に宮内庁としてはどういうふうに考えておるのか。まだ土地買収を完了したわけではないので、完全にその計画は詰まっておるとも考えられませんけれども、大方針についてはもうすでにきまっておるようでありますから、そういう点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/82
-
083・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) その土地の方々になるべく御迷惑をかけないようにということで、漁業関係では先ほど申しましたような施設をすることによって、いままでと同じようにやれるようにしてあげるということを考えて、この予算の中にこの土地購入費のほかに千百万、漁業補償費がありますけれども、そういうものを組んでおります。そういうふうな予算でいろいろ考えていこう。それからなおあの付近はやはり観光地でありまして、須崎地区のあのあたりの方は、よく民宿といいまして、いろいろ遊びに来る方の宿をしておられる。それもやはり相当いい収入になるわけですから、そういう民宿の収入なんかも減らないようにというようなことも考えておられるようです。それについては、先の砂浜のところが海水浴ができるように道をつけたりすることによって便利になる点はございますが、なお、そのほかに、これは県当局がやはりあの付近の観光面の施設と開発ということをやろうというので、何か現在いろいろ地元と相談しております。この土地の買収問題について、県当局の担当でやってもらっておるのは商工部長であります白戸厚さん、この人は元侍従をしていた人でありますが、まあこうしたこともよくわかっておられるし、もともと自治庁から入ってこられた方ですが、その人が主として当たっておられますが、商工部の担当の中に観光施設の開発というものがありまして、そういうことも県のほうでは考えるというようなことを言ったりして、地元の方に対してはマイナスにならないように、幾らかプラスになるようにというような線で考えていこうということで、われわれのほうにも打ち合わせがございますが、その線でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/83
-
084・伊藤顕道
○伊藤顕道君 数年前のことですが、当委員会として国政調査に行きましたおりに、京都御所についても視察する機会があったわけです。その際、宮内庁の出先機関から、京都御所のいわゆる復元事業についての一応の説明があったわけです。その説明によりますと、昭和三十八年十二月ごろに京都御所の復元計画はまとまって、六年計画で復元に着手するとのことであったわけです。それからみると相当年数がたっておるわけですが、その復元計画は順調に進んでおるのかどうか、現在はどのようになっておるのか、こういうことについて承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/84
-
085・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この京都御所の復元、これは戦時中、京都御所の廊下その他を、万が一火災になった場合のことを考慮して、これをこわして疎開してしまったわけですが、したがって、京都御所の昔のおもかげがそのまま残っていない、だから昔に返そうということで、これは事業といたしましては昨年四十二年度から実施に移っております。で、四十二年度は四千二百万の予算でやりました。四十三年度、今年度は一億四千九百万、それから四十四年度は一億五千六百万ばかりかけまして、四十四年度まで三年計画で、特に目につくところは復元するということで、これには四十五年度、万博なんかで外国のお客も見えるし、相当、御所の見学も多いものですから、目につくところだけはひとつ復元しよう、目につかない裏のほう、奥のほうは少し残るところがありますけれども、これは後年度でさらにやろうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/85
-
086・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なおこの際、皇族の留学のことについて一点だけお伺いしておきたいと思いますが、三笠宮家の御長男の寛仁親王がイギリスに留学されるということが三月十二日の閣議できまった、そしてこの旨、宮内庁からすでに発表があった、そういうふうに聞いておるのですが、過去においては故秩父宮のオックスフォード大学への留学、こういうことを聞いておりますが、その他にも留学の事例があったのかどうか、そういうことについての一応の説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/86
-
087・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) その他の事例を申しますと、古いことではございまするが、明治十五年から二十四年にかけて閑院宮載仁親王がフランスに留学をされております。それから明治二十年から二十五年にかけて東伏見依仁親王がやはりフランスに留学されております。それから明治二十二年から二十八年にかけて伏見宮博恭王殿下がドイツに留学になっております。それから大正九年から昭和二年にかけまして東久邇稔彦王殿下がフランスに留学されております。それから五番目には、いまおっしゃいましたように、秩父宮権仁親王が大正十四年から昭和二年にかけて英国に留学をされておるわけでございます。それに次いで今度、三笠宮寛仁親王が留学されるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/87
-
088・伊藤顕道
○伊藤顕道君 過去においての例の御説明がございましたが、戦後は、今度行かれれば寛仁親王の場合が初めてであろうかと思います。そこで、この機会に皇族の留学について宮内庁としては一体どういうふうに考えているのか、基本的な考え方についてこの機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/88
-
089・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 皇族の方は、特に外国の貴賓との御交際を通じて国際親善の面でいろいろ御活動になるというおっとめが大切なお仕事としてあるわけでございます。したがって、国内の御勉強だけでなくて、外国でも勉強しておかれることがそうした面におきましては何かと力になられるというふうに考えられまするので、三笠宮寛仁親王につきまして、英国に留学をしたいという御希望もあり、それはけっこうであるというので準備を進めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/89
-
090・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、宮内庁職員の定員に関係して一、二お伺いしたいと思うのですが、昨年七月、宮内庁職員のうち、人事院規則で指定するいわゆる特別職の職員の定員管理の合理化をはかるため、こういう理由で特別職の職員と一般職の職員との定員の細分を廃止したわけです。そのことについて当委員会で審議したわけですが、その後において特別職職員の定員管理の合理化は予想どおりはかられているのかどうか、昨年審議した際に、定員管理合理化をはかるために区別を廃止したということであるから、予定どおりそれがいけば、その点は、その後定員管理についてはそういう合理化がされて、そういう結論は出てしかるべきだと思うのですが、そのことについての実情をひとつ御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/90
-
091・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) いまほどの件については、昨年、宮内庁法の改正をしていただきまして、一般職、特別職を分けて定員をきめていたのを一本にしていただいたわけですが、それによりまして、昨年の七月一日付で女官一名、東宮侍従一名、東宮女官一名、三名の方が任命されています。一方、一般職の定員は三人減っているというふうに実施をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/91
-
092・伊藤顕道
○伊藤顕道君 同じ昨年の七月、宮内庁法の一部改正案が当委員会で審議されたわけですが、宮内庁職員の定員については、長官と宮内庁長官秘書官、侍従長、侍従次長、東宮大夫、式部官長、この定員を除いて総数千二百十六人と規定したわけです。いま知りたいのは、その充足状況はどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/92
-
093・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 現在の充足状況でございますが、この特別職の関係では、きょう現在ではたしか一ぱいに充足されております。それから一般職の関係では欠員がございます、全体で千二百二十二名のところ千百八十九名でありますから、三十三名欠員になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/93
-
094・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、冒頭、総務長官にもお伺いいたしましたが、臨調の行政改革に関する意見についての総務長官の考えを伺ったわけですが、ここではいま次長にお伺いしたいのは、職員の人事権についてだけお伺いしておきたいと思うのです。臨調が内閣に内閣府を置くことを勧告しておって、その勧告のもとに、「職員の人事権は、すべて内閣府の長としての内閣総理大臣にあるものとし、必要の限度に応じて内閣府の国務大臣を長とする行政機関の長に委任する」、こういう意味の勧告があったわけです。そこで、次長にお伺いしたいのは、後段の職員の人事権に対して宮内庁としてはどういうふうにお考えになっておるか、そういうことをこの機会にお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/94
-
095・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この調査会の答申について宮内庁にも意見を求められたことがございます。その場合に人事権そのものについては差しつかえないのですけれども、しかしながら、人によっては事前に宮内庁に協議しておく、それから人によってはやはり宮内庁長官の人事権にとどめておいてほしいというように、意見を一応出してあるわけでございまして、まあこの問題は全般的の問題としてまだ固まっていないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/95
-
096・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほど御指摘申し上げた臨調の人事権に関する意見に対して宮内庁の意見をお聞きしたわけですが、そこで、宮内庁としては皇室事務を所掌する当庁の特殊性にかんがみ、特別職を含む当庁職員の任命権は必要の限度で宮内庁長官に委任されるよう配慮を願う、こういう意味の意見があったわけです。これは次長も御承知だろうと思う。まあこの点は臨調の答申に対するまたその意見として出されてからもう数年たっているのですね。その点について、一体、人事権はどういうふうに動いておるのか、まだそのまま、ただ宮内庁としてはそういう要望は出したけれども、その要望はそのままになっておるとか、あるいは形式的にはこうだが実質的には宮内庁長官に一任されておるとか、そういう変化はないのか、依然として固定されておるのか、そういうような事情について承知したいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/96
-
097・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 現在までのところ、その調査会の答申の線に沿った改正はまだ政府としては行なっていないわけでありまして、したがって、従前の例によっていっております。で、この一般職の職員につきましては宮内庁長官が人事権を持っております。それから特別職につきましては、特別職のうちで一級官、幹部のほうにつきましては内閣が人事権を持ち、そうでない二級以下のところは内閣総理大臣が任命する、こういう形になっております。しかし、内閣あるいは内閣総理大臣が任命するというふうにはなってはおりますが、その原案は宮内庁から提出いたしまして、そうして宮内庁の意見に基づいて内閣あるいは内閣総理大臣が任命をされるという例になっております。まあ将来、改正になります場合も、あるいはその一部分名目的にはこの内閣の長官が出されましても、事実上は十分宮内庁の意向をくんでやってもらえるものと思いまするが、いずれにしても、まだ実現はいたしていないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/97
-
098・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこでお伺いしたいのは、いま御説明の中で、特別職のまたその上のほうの面については内閣でやるという意味の御答弁があったわけです。上のほうはそれで理解できましたが、比較的下のほうについては事実上どうなりますか。特別職というと大体もう幹部級だと思うのですが、まあいまの御説明で上のほうについては内閣で云々と、その辺いま少し詳細な御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/98
-
099・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) その特別職のほうの幹部で一級官以上といいますと、宮内庁長官から侍従長、侍従部長とか、東宮大夫とか、式部官長、その上のほうは内閣閣議で決定して任命する。そのほかの特別職といいますと、普通の侍従ですとか、女官ですとか、東宮職についても東宮侍従とか、東宮女官というのがございます。そういう一般のほうの人は閣議ではなくて、内閣総理大臣の発令になるというふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/99
-
100・伊藤顕道
○伊藤顕道君 時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いして私の質問を打ち切っておきたいと思いますが、時代の動きにつれて皇室の民主化ということが強く要請されておるわけです。そこで宮内庁としては、皇室の民主化について今日まで各面にいろいろと努力してきたと思うのですが、そこでお伺いしたいのは、皇室の民主化のために今日までどのように努力されてきたのか。ただ努力されてきたというだけでは理解しがたいので、具体的にその点を説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/100
-
101・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 現在の皇室が国民と親しみを増していかれるということ、これはきわめて大切なことと存じておりまして、両陛下の場合、いろいろな大会などにお出になる場合も、従来ですと、そういうところはお出にならなかったかなというような会もまあお出になる。もちろんあまりおかしなところはお出になりませんですが、ある程度その範囲を広げて考えるとか、それから皇居へ見えて、そして両陛下に会われますが、会われる方の数もふえてきております。ただ一面、御健康に支障があるような、そうあまりひんぱんでもいけないという配慮もいたしてはおります。それから、地方への行幸のような場合、これは常に警察のほうへ希望を述べておるわけですが、やはり警衛ということも大切でありましょう。これは両陛下に万一のことがあってはいけないということではなくて、たくさんのお出迎えが出ておられまして、その方々が大勢のために列を乱して殺到されたり、けが人が出たりするようなことも考えられるものですから、警衛ということも大切でありまするが、皇室と国民の間にかきをつくるというふうなことにならぬようにしてほしいというようなことを警察当局に言っております。そして警察庁長官からの通牒にも、そういった趣旨が冒頭にうたわれておるわけでありまして、したがって、地方へお出かけの場合にいろいろくふうをしていただいております。あるいは一般の国民に迷惑を与えられないようにという点もありまして、自動車の御列の場合に、地方によりますと、陛下の向かい側から来るものはとめて、一切、車は通さないというようにしていた地方もありますが、道の狭いところはいけませんが、道の広いところは、反対側の車も通すというふうに緩和していただく、反対側を通りながら手を振ってごあいさつをするというようなふうになってきておるのであります。それから、皇太子殿下の場合においてもその点と同じようなことでありまするが、地方にお出かけの場合に、特別列車でおいでになる場合、これはまあ公式の場合そういう場合もありますが、普通の場合はつとめて一般の列車に混乗で行っておられます。陛下の場合におきましても、新幹線の場合は昨年から一般の客と混乗という線が出ております。新幹線の前は、特別列車として一般の車に乗らなかったのでありますが、昨年からはまあ車の違う先のほうとか、一般の方も乗っていただいてけっこうというふうになっておりまするが、そういうようなことで、陛下が、皇族方が、つまり皇室が国民と親しまれて、国民の中にあって国民とともに進んでいかれるというように進まれていくように、待従の仕事の面でわれわれも頭を使っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/101
-
102・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/102
-
103・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/103
-
104・山崎昇
○山崎昇君 それでは総務長官がおいでになりましたので、二点ほどちょっと聞いておきたいのです。実は昨年、吉田総理がなくなられて国葬になったわけなのですが、その際、閣議決定で国葬が行なわれた。そこでお聞きをしたい第一点は、大正十五年の勅令第三百二十四号で国葬令というのがあるのですが、一体この効力がいまもあるものなのかどうなのかということが第一点。時間の節約上続けて質問しますが、それがまず第一、それから天皇陛下が崩御される場合には、皇室典範等で大喪に服すということになるわけですが、天皇陛下以外の皇族方がなくなられた場合に、あるいは国葬が行なわれる場合もあると思うのですが、その場合は何に基づいてやられるのかということです。したがって、総理府としては、将来こういうものに備えて、国葬に関する法律を準備される用意があるのか、あるいは内閣において検討されているのか、この点まずお聞きをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/104
-
105・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 御質問の前段の戦前ございましたものは今日はございません。で、今日の、過ぐる吉田前総理等の国葬につきましては、戦後の国政に非常に貢献をなさいました吉田さんの遺徳を国民がしのぶという意味におきまして、閣議の議によりまして行なったものでございまして、経費を負担したというだけでございます。それにつきましては強制的な何ものもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/105
-
106・山崎昇
○山崎昇君 したがって、私どもはやはりこれからもそういう国葬的なものは予想されるわけですね。そういう意味で、国葬に関する法律的なものを整備されるお考えがあるのかどうかということと、それから天皇陛下以外の皇族がなくなられた場合に当然そういうことが起こってくるであろう。そういう場合に、ただ閣議決定だけでやられるのは少し私どもはおかしいのじゃなかろうか、こういうふうに考えておりますので、そういうことも考えられて、いま政府としてはどういう検討をなされておるのかという点についてもお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/106
-
107・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 御皇室の問題におきましては、過ぐる貞明皇后様のとき等においてございましたが、つまり申しますならば、国の経費をもちましていたしましたというだけでございまして、行政的な事実行為に過ぎないものでございます。ただいまお話しのような、今後、将来、国葬の立法化、法制化ということを考えておるかという御質問でございまするが、今日の時点におきましてはまだその問題を考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/107
-
108・山崎昇
○山崎昇君 いま長官から、行政事実だけであって、国費をただ出すだけだと、こういうお話なんですね。しかし、私はそうではないんじゃないかと思うのです。少なくとも由民全体をあげて喪に服する場合、そういう場合には、それらしい根拠というものを設けておく必要があるんじゃないか。ただ、そのつどそのつど国費だけ出せばいいというものではないのではないか。そういう意味で、もう少し政府としてはこういう点について整備する必要があるんじゃないか。たとえばこういう場合はどうだとか、あるいは天皇陛下以外の皇族の場合はどうするんだとか、こういう点についてももう少し明確にすべきじゃないかと思うのですが、重ねてこの点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/108
-
109・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) お説のごとくに、当然、国葬法といったようなものも制定を行なうべきでございましょうけれども、まだ戦後におきます国民感情等が、最近の諸情勢のもとにおきましては、かような国葬法を制定するまでに立ち至っておらないというような考え方もございます。いずれはさようなことに相なるだろうと思いますが、今日の段階におきましては政府は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/109
-
110・山崎昇
○山崎昇君 次に、従来、公式制度連絡調査会議というのがあって、ここで元号であるとか、国旗などについてかなり議論がなされたということを聞いておるのですが、この調査会議がその後どういうふうになっておるか、まだ存続するのかどうか。あるいは政府部内でこういう問題についてどういう討議がなされておるのか、この機会に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/110
-
111・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御指摘の公式制度連絡調査会議、これはかつてにおきましては数度聞いておるようでございまするが、最近はこれを開いておらないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/111
-
112・山崎昇
○山崎昇君 あれですか、これは将来も存続をさして、引き続き従来から検討されているような問題を検討していくというお考えですか。それともまたあまり用事がないから、この点は廃止をしていくとか、整理をされるとか、どういうお考えなのか聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/112
-
113・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) このいまの公式制度連絡調査会議の問題でございますが、ただいま別にこれを開くというあれもございませんけれども、しかし、御指摘のようないろいろな国の行事、あるいはまた元号の問題、いろいろ立法措置を当然必要とすべきものもあるかも存じませんので、現在これをただいますぐ廃止するということも考えておりません。必要に応じてまたいろいろと検討をお願いし、制度の整備をいたさなくてはならぬかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/113
-
114・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/114
-
115・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 総員挙手と認めます。
よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/115
-
116・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01019680409/116
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。