1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月七日(火曜日)
午前十時四十七分開会
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委員の異動
四月二十六日
辞任 補欠選任
菅野 儀作君 岸田 幸雄君
山本茂一郎君 林田悠紀夫君
四月二十七日
辞任 補欠選任
八田 一朗君 徳永 正利君
五月六日
辞任 補欠選任
徳永 正利君 八田 一朗君
林田悠紀夫君 山本茂一郎君
岸田 幸雄君 菅野 儀作君
片山 武夫君 高山 恒雄君
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出席者は左のとおり。
委員長 井川 伊平君
理 事
石原幹市郎君
八田 一朗君
伊藤 顕道君
山崎 昇君
委 員
熊谷太三郎君
菅野 儀作君
山本茂一郎君
前川 旦君
多田 省吾君
衆議院議員
修正案提出者 井原 岸高君
国務大臣
国 務 大 臣 田中 龍夫君
政府委員
総理府総務副長
官 八木 徹雄君
総理府人事局長 栗山 廉平君
総理府恩給局長 矢倉 一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 相原 桂次君
説明員
総理府恩給局恩
給問題審議室長 大屋敷行雄君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/0
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001・井川伊平
○委員長(井川伊平君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動に伴い理事が一名欠けておりますので、この際、補欠互選を行ないます。互選は便宜委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/1
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002・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に八田一朗君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/2
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003・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案は去る四月二十五日、衆議院から送付され、付託されました。
提案理由の説明はすでに聴取いたしております。なお、衆議院におきましては修正議決されております。
それでは、これより衆議院における修正点の説明を聴取いたします。衆議院議員井原岸高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/3
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004・井原岸高
○衆議院議員(井原岸高君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正について、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、その要旨を申し上げますと、御承知のとおり、旧満州国政府等の外国政府職員の職員としての在職期間は、昭和三十六年十月から、また、旧南満州鉄道株式会社等の外国特殊法人職員の職員としての在職期間は昭和三十八年十月から、いずれも一定の要件のもとに恩給公務員期間と通算する措置がとられたのであります。しかし、外国政府の職員及び外国特殊法人の職員が、その後恩給公務員となった場合、いわゆる満・日の場合は、日・満あるいは日・満・日の場合と異なり、その職員としての在職期間については、普通恩給最短年限に達するまでを限度として、これを通算することとなっておりまするが、今回これを改め、昭和四十四年一月からこの制限を撤廃し、その在職期間のすべてを通算することといたしたものであります。
本問題につきましては、昨年の恩給法改正に際し、衆参両院の内閣委員会において全会一致をもって附帯決議を行なった関係もあり、衆議院においては、今回の同法改正の機会に措置することを適当と認め、自民、社会、民社及び公明の四党共同提案により、この修正を行なうこととしたのであります。
以上が本案修正の趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/4
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005・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 以上で趣旨の説明は終わりました。
それでは、これより本案の質疑に入ります。関係当局からの御出席は、八木総理府総務副長官、矢倉恩給局長、大屋敷恩給問題審議室長、以上の方々でございます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/5
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006・伊藤顕道
○伊藤顕道君 本法案について二、三お伺いしたいと思います。
まず順序として、先般提案理由の説明のございましたその趣旨説明について、順を追うてお伺いしたいと思いますが、今回年額を増額する場合、急激な財政負担を避けるため、こういう理由で、昭和三十一年から年齢の制限をつけておるわけですが、この年齢制限は恩給の本質からいってどうも不合理ではないか、こういうふうに考えられるわけです。恩給法に定められておる若年停止の規定について考えてみても、五十五歳以上は一体として増額措置をとることは至当であろうと考えられるわけです。そこでこの点についてまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/6
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007・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 恩給の年額を改善をいたしてまいります方法として、昨年の改正は、御承知のように恩給審議会の中間答申に基づいて行なったのでありますが、その際にいわゆる年齢別に三本の改善措置をとっておりますし、それから過去におきましても年齢制限が、ただいま先生御指摘のように付せられておる、こういう点がございます。
年齢制限をつけるということについて、いわゆる年齢が恩給の給与として考えられる筋のものであろうかという点については議論の存するところでございますが、しかし、国費負担の恩給は全額が国庫負担になっておりますので、そのときどきにおける財政事情の影響等を受けてまいりますことはやむを得なかったところかと考えられるわけでございます。しかし、恩給は退職公務員、またはその遺族の適当な生活のささえとなるために給せられるものでございますので、従来からの恩給改定においてとってまいっております老齢者あるいは傷病者、妻子優遇というふうな線は、ある程度社会政策的にも考えられる余地でございますので、今回の改善措置におきましても、やはり昨年の年齢別の改善をそのまま踏襲していくというような一応一貫した考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/7
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008・伊藤顕道
○伊藤顕道君 恩給年額の基礎については退職当時の俸給で定める、こう法律で制定しておるわけですが、その後恩給年額等を増額する場合には、年齢を重視して、それによって増額しておるわけです。いま説明もございましたけれども、規定には退職当時の俸給で定めると、そうはっきりしておるわけですけれども、いま申し上げたように、その後の恩給年額を増額する場合は年齢を重視しておる、こういうことになれば、これは法律の趣旨にもかなわないので、もしそのほうがいいということであるならば、法改正をする必要があるのじゃないか、こういう問題が出てくると思うのです。この点についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/8
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009・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 恩給年額が退職当時の俸給を基礎として算出されますことは、恩給法の原則でございますが、増額改定に際しまして、受給者の年齢によってその恩給の基礎俸給を異にいたしておりますのは、いわゆる老齢者優遇というふうな、ただいま申しましたような社会政策的な配慮というものから、こういう恩給法の基礎を一応維持しつつ、近代的な要請に沿おうとするたてまえをとってまいっておりますので、その根本はやはりそのまま維持しながら、ある程度の近代化をはかっていくというふうなところから、かようなことに現在推移いたしておるのでございます。したがって、恩給法の原則に変更を加える必要はないかと考えますので、新しいさような意味においての本質を変えるような立法というものでなく、やはり八十年の歴史をけみしてきておる恩給法のたてまえ上、現状の中においての改善措置としてのあり方が必要な対策ではないかと、かように考えて処置してまいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/9
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010・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私がお伺いしておるのは、退職当時の俸給で恩給の年額の基礎をきめる、そういうことに反対しておるのではなくして、いま説明がありましたように、近代的要請にこたえるために年齢を重視する、そのことがいいとか悪いとかということを言うておるものではなくして、もしそうならば、退職当時の俸給で恩給の年額の基礎はきまる、それは一つの考え方で、それはそれでいいわけですけれども、近代的要請にこたえるために年齢を重視したいということであるならば、この法規定の中の何条がそれに適応されるのか。私の言いたい点は、もし年齢を重視するということであれば、そのことが法のどこかに明記されていなければならぬと思うわけです。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/10
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011・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 実は恩給法の原則的な点は、先生のただいまの御指摘のとおり、一応退職時俸給というものを見ていくということにおいては御異存がないということでございますが、ただその原則を維持しながら、たとえば恩給年額につきましても、いろいろな実質価値の維持というようなことで、時代の要請に即応して変えていかなければならないわけでありますが、その意味におきまして、その要請をどういうふうなところで具現していくかという場合に、たとえば仮定俸給を考えますときに、その俸給の立て方として、たとえば老齢者に対しては老齢者に対応する仮定俸給の改善措置を考える。こういうことで、いわゆる法の全体の運用という形で一方でさような処置をしてまいる、かような取り方を現在まで取り進めてまいっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/11
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012・伊藤顕道
○伊藤顕道君 どうもただいまの説明では全面的に納得しがたい点がありますが、なお今後の問題として研究したいと思います。
そこで、次にお伺いしたいのは、今回の改正案は昨年十月の増額改定率をさらに修正増額するわけになりますが、この場合、昨年十月の一〇%を二〇%、二〇%を二八・五%に、二八・五%を三五%に修正しようとしておりますけれども、この根本理由について説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/12
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013・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 今回提案をしております恩給法改正によるいわゆる増額改定の問題は、御指摘のとおり、昨年十月の改定をいたしました分の修正をするということにいたしたわけでございます。これは先生もすでに御承知のように、一昨年十一月恩給審議会で中間答申を得まして、その答申に基づいて暫定的な措置として昨年の十月からの改定実施が行なわれているわけでございます。ところで、今回の増額につきましては、特にただいま申し上げましたような恩給審議会の中間答申というものがございませんでしたので、そこで、そういう段階でどういうふうな措置をとることが適切であろうか、まあこういうふうに考えました結果、いわゆる物価の上昇というものがその後の状況として上昇を続けておりますので、いわゆる昨年の改善率だけでは十分に要請を満たし得ない。そこで、恩給の実質価値維持をなお続けてまいるということが必要であると判断いたしましたところから、ちょうど物価の値上がりが九・三%ばかりに相なりますので、そこで、おおむね基準として取り上げました昨年のいわゆる六十五歳以下の一〇%上げ率を、さらに九・三%に見合う一〇%に増率を考えていく。そういうことによって、年齢的に差をつけておりますので、六十五歳以上七十歳未満を二八・五に修正し、さらに一番の高率でありました二八・五%を三五%に修正していく、かように率を変えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/13
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014・伊藤顕道
○伊藤顕道君 本改正によりますと、対象人員は約二百九十二万八千人のようでありますが、このうち文官と旧軍人関係の割合はどうなっておるか、また予算関係についても、これは平年度をとってその割合はどうか、こういうこともこの機会に聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/14
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015・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 今回の対象になる総人員は二百九十四万人でございまして、文官の受給者はそのうち約二十一万人、大体七%に当たる現状でございます。それから軍人の恩給受給者が約二百七十三万人、これは総受給者の約九三%を占めておるわけでございます。そうしてこれに所要の予算は、平年度化いたしますと百四十二億、本年度は三十五億五千万というふうな予定で組んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/15
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016・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、恩給年額の改正等で恩給証書の書きかえになるためか、受給者に対する証書の交付が相当おくれておるという声をいつも耳にするわけですが、実態は一体どうなのかということと、この改正案が成立しますと、証書は全部書きかえられることになるわけですか。見通しとしてはそれは大体いつごろになるか、こういう二間お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/16
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017・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) ただいま申し上げましたように、恩給受給者二百九十四万人ということで、非常に膨大な数字の受給者がおいでになるわけでございます。これまでに実は恩給増額で、一年限りで、全員について増額改定を行なったというのは昨年が初めてでございます。そこで、私たちは、昨年二百九十四万人の受給者にこの恩給証書をできるだけ早期にお渡し申し上げなければならないということを考えたわけでございます。そこで目標といたしましては、大体本年の二月を一応目標といたしまして、本年三月までには少なくとも受給者の方々のお手に渡るようにということで、非常に短い時期に二百九十四万人の証書づくりに、局のあとう限りの人間と予算を投入いたしまして、この証書作成に当たったわけでございます。その計画がおおむね完了いたしまして、すでに現在受給者の手元にお渡しを申し上げ、そうして新しい改定に基づいて恩給額を受領いたしておられるような状況でございます。この恩給証書がおくれますということは、やはり受給者にとっては、貴重な権利という点の認識がわれわれにどうしても必要なものでございますから、本年の改正につきましても同様に、実はこういうわれわれの昨年の改正についての経験が一応ございますので、これに沿いつつ、ことしも受給者にできるだけ早期に証書が渡されるようにという努力をしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/17
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018・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、恩給審議会が去る三月二十五日に佐藤総理に対して、「恩給に関する重要事項」として五十四項目にわたる内容の答申を行なっておるわけであります。政府はこの答申を受けて、どのような考え方で受け止められたのか、その要点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/18
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019・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) たびたび申し上げておりますように、答申を積極的に尊重するという姿勢でございまするから、貴重な答申をいただきましたので、大体のスケジュールといたしましては、国会終了後、夏場の間に、これに対する態度というものをひとつ明確にするように作業を進めたい、そういう心組みでいま準備しつつあるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/19
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020・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それではひとつ具体的な問題についてお伺いいたしますが、恩給法の第二条ノ二の調整規定、この面にしぼってお伺いいたします。
答申によりますと、消費者物価が五%以上上昇した場合には、これに応じて恩給額を改定するものとす、こういうふうにあるわけです。しかしながら、物価上昇が五%にならずに、たとえば四%であった、次の年がこれまた五%にならず四・五%ぐらいであった。いまの物価の上昇の状況から見てそういうことはあり得ませんけれども、理論上はこういうことが一応考えられる。こういうような場合はどのように措置をされようと考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/20
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021・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) 今回の答申の中で一番ポイントは恩給スライドのその点が一番問題になると思いますが、基本的には物価スライドということになるわけですから、五%以上であれば問題ないが、五%以下であった場合に、もちろんその翌年にいまお話のように四・五%、翌年またさらに四%ということになれば、当然合わせて五%以上になるわけですから、それは対象になるわけであります。ただ一番問題になりますのは、物価だけで判断するのか、その他二つの要件——公務員給与並びに生活水準というもので勘案する勘案のしかたをどうするかということが、これから問題を解明していく上に一番問題になりますが、四・五%になればどうするかということは、いま直ちに答えることはできませんが、ただはっきり言えることは、四・五%であっても、翌年上がれば、その四・五%プラス幾らかということで五%程度になる、そのときは当然措置する、そのことだけは言えるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/21
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022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 「経済の成長に伴い国民の生活水準が著しく向上した場合」、それと、「消費者物価の上昇に応じて恩給年額の改定を行なってもなお国家公務員の給与水準と恩給との格差が著しく懸隔している」、かけ離れておる、こういう場合には、これを「ある程度解消することにより調整することが望ましい。」、こういう意味の恩給審議会の答申があるわけです。そこでお伺いするわけですが、ここで言うところの「ある程度解消することにより調整する」、このことはどのようなことをさしているのか、この機会に伺っておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/22
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023・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 実は、この恩給審議会の答申の中に、非常に明確に、たとえば消費者物価の場合は、「五パーセント以上」というふうに明示しておりますところと、それから、ただいま御指摘のような恩給と公務員給与とが著しく懸隔した場合、「ある程度」という表現をいたしておるのでございますが、そういった意味では、この審議会の答申が明瞭に打ち出しているものと、そうでないものとがあるわけでございます。公務員給与を恩給に反映させることにつきましては、答申はこういった表現をいたしておりますわけでございますが、公務員給与をどの程度勘案するかということにつきましては、恩給受給者に相応した生活内容の改善程度が前提となりますので、この明示をされていない点についての判断が政府側にまかされているというかっこうになりますので、これらの点についても、今後十分政府側として検討しなければならない点ではなかろうかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/23
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024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いまの問題と同じように、「ある程度」というような表現のものがいま一つあるわけですが、それは、調整の基準、言いかえると消費者物価の上昇とか、国民生活水準の向上、公務員給与の増額等の基準を適用する場合には、その経過措置として、「昭和四十二年十月一日改定前の仮定俸給と国家公務員の給与の水準との間の格差について、前述の調整の基準を参酌してある程度是正しておくことが必要である。」、こういう答申をしておるわけですね。明確な答申もあるけれども、こういう政府に一任したような形での答申もあるといま説明があったわけですけれども、この点についてもいかなる程度をさしておるのかということが明確でないわけですね。こういう問題はあちこちにありますので、こういう点についてはどういう姿勢で臨まれるのか、いま一度お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/24
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025・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) ただいま御指摘のようないわゆる経過措置として今後調整規定を発動していきます場合に、ある程度スタートのところで、公務員給与との非常な格差が出てくるような場合の考え方を明らかにしていこうとされたわけでございまして、その表現のしかたが、ただいま御指摘のような、公務員給与の水準と恩給のいわゆる仮定俸給との格差、それを取り上げつつ、さてそれを、「昭和四十二年十月一日改定前の仮定俸給と国家公務員の給与」との格差というふうに表現されながら、そのいわゆるスタートにおける考え方として、調整基準を、つまりこの恩給審議会が答申として出しました「調整の基準を参酌してある程度」というふうな表現をいたしておるわけでございます。したがって、先ほど来問題になっておりますような消費者物価を不可欠の要件とする、そういうふうなこの基準にのっとりつつ恩給の改定措置を考えていく、こういうことで、多少表現が明確ではございませんが、この点も政府側における十分なこれについての検討を求めようとする趣旨であると考えられますので、このような点については、この調整基準の本旨と、それから年額格差というものをよりどころとして、十分に検討してまいらなければならない、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/25
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026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、現行法によりますと、長期在職者の恩給年額については、六万円未満の場合は年額六万の恩給が支給されておるわけですが、この最低保障額はいまの経済情勢からいってあまりにも低過ぎるのではないか。そこで、お伺いしたいのは、これは検討してみて、前向きの姿勢で増額をはかるべきではないかという質問でございますが、この点はいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/26
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027・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 長期の在職者の恩給につきまして、いわゆる最低保障額を、昭和四十一年の法律改正によりまして、在職年が普通恩給最短年限以上の方につきまして、その低額恩給を改善するという趣旨で、初めてこれは設けられた規定であったわけでございます。そのときに六万円という額を一応きめ、そうしてその保障額の新しい措置をとったわけでございますが、しかし恩給審議会におきましても、この最低保障額については、現状において必ずしも適当でないという一応の線をお出しになっておられます。これは現在の経済的条件の中では、確かに不十分と考えられる点でございますので、今後「公的年金制度における最低保障額を参酌してある程度の増額を行なう」ということが審議会の線でもございますので、政府側としても同じ趣旨に基づいて、今後の検討をしてまいるというふうにいたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/27
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028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、衆議院の段階で一部修正されておりますので、その点を中心に二、三お伺いしたいと思いますが、満・日の完全通算については、昭和三十八年、第四十三国会以来、五カ年間にわたって当委員会において連続、全会一致の附帯決議がつけられ、政府に対してその早期実現を要望してきたところです。政府もそのつど、附帯決議については尊重する旨のいわゆる所信表明があったわけですが、なかなか思うように実現に至らなかったところ、今年ようやくこの実施を決意されて、四十三年度予算の要求も具体的にされたわけです。与党である自民党としてもその方針で大蔵省と交渉を進めてきた経緯があるわけですが、遺憾ながら、ここでは詳しく申し上げませんが、大蔵省の手違いなどもあって、本法案に満・日完全通算が織り込まれなかった結果になったわけです。かような経緯から予算から落ちたものを、先ほど修正について説明がありましたようなことで、衆議院で修正、追加されたことになったわけですが、こういうような経緯から見て、衆議院の段階で修正されたことは、国会の態度としては、これは当然なことであると考えられるわけですが、この点について総理府としてはどのようにお考えですか。長官のお考えをこの機会にお聞きしておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/28
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029・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 衆議院におきます満・日問題につきましての修正案に対しましては、恩給審議会の答申の次第もございますので、政府といたしましては賛成しがたいという態度を持しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/29
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030・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、おかしなことになるわけですね。先ほども申し上げたように、三十八年以来、当委員会だけのことを申し上げても、五カ年間にわたって附帯決議がしかも全会一致でなされておる。その附帯決議のなされたそのつど、恩給担当のいわゆる大臣が、これを尊重して早期実現したい旨の所信表明があったわけですね。そうしますと、国会でなされた決議は無視しても、恩給、審議会の答申をあくまで尊重しなければならぬ、政府としてはそう考えておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/30
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031・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) いままでの記録等を拝見いたしましても、三十九年、参議院で本件が御審議に相なりまして以来、前任の総務長官も、これにつきまして十分考慮いたしますということをお答え申し上げております。でございますが、御案内のとおりに、政府といたしましては、予算編成にあたりまして、この案件が実は政府間の内部の取りまとめの上から申しまして、ことにまた恩給審議会のほうの御答申も、これに対します反対の見解を持し、さらに予算の編成にあたりましての経緯もこれを除いておった関係から申しまして、政府で御提案を申し上げました分には入っておらなかったことは御承知のとおりであります。さような次第で、政府の原案に対します御意見が出たわけでございます。もちろん、御決議に対しましては、これが御意見を十分尊重はいたしますけれども、政府の当初の原案とは異なるものがございます。さような次第で、政府といたしましては、これに対します反対の立場をとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/31
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032・伊藤顕道
○伊藤顕道君 どうもおかしいですね。私がお伺いしておるのは、繰り返し申し上げるように、三十八年、四十三国会から五カ年間連続、全会一致の附帯決議がなされた、そのつど担当大臣は、その附帯決議については尊重いたしますと所信を表明されてきたわけです。そうしてそれと反対の答申が出たら、国会の決議などはそっちのけにして、答申の趣旨に賛成、だから附帯決議には反対と、それ本心でそんなことを言っておられるのですか。もしそうだとすると、これはゆゆしい問題になりますよ。国会でこんなに時間をかけて審議して、何の意味もないということになる。しかも実質的には約十年間この問題は審議してきた。もう国会の場では十二分に審議を尽くされた。その結果、審議を尽くされた結果、五カ年前から連続附帯決議という形であらわれてきた。それは政府としては問題にしないということに通ずると思うのです。それはどういうことなんですか。いまのような答弁では了解できません。そのつど附帯決議については所信表明されて、尊重いたしますと、はっきり言われている。議事録を見てごらんなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/32
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033・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/33
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034・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いやいや、恩給局長にはあとでゆっくりお伺いいたしますから、長官にまずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/34
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035・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 国会の附帯決議につきましては、政府としてはこれを従来ともに尊重もいたし、また、今後も当然のことでございます。ではございまするが、今年度の予算の成立過程におきまして、残念ながら皆さま方年来御決議賜わりましたこれが、政府原案の中にこれを実現することができなかったことは、まことに残念であったのでございます。が、しかしながら、さような次第で、これを除く恩給の増額の問題を御審議賜わっておるような次第でございます。さような関係で、政府が御提案申しました原案にはこれは出ておらない。まあこういうふうなことのために、われわれといたしましては、政府の原案につきまして御審議をお願いをいたしておるわけでございまして、御修正に相なります場合におきましては、もちろんこれに対しまして、政府といたしましては十分これを服膺してまいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/35
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036・伊藤顕道
○伊藤顕道君 どうも了解しがたいですね。先ほど長官、はっきりこの衆議院の段階で修正されたことには反対だと明確に言われたわけですね。その衆議院の段階の修正は、いわゆる五カ年にわたって連続なされた当委員会における附帯決議——よく聞いてくださいよ。唇、衆議院の段階の修正された部分は、当委員会で連続附帯決議が付された、その精神を尊重して、附帯決議の趣旨に基づいて、全会一致でなされた附帯決議を、全会一致で修正したわけですね。しかし、その修正に長官は反対だと先ほど言われたでしょう。そうなると、結局附帯決議を尊重するということにはならぬでしょう。附帯決議を尊重するというのであるならば、その附帯決議に基づいてなされた修正は、当然賛成でなければならぬわけですね。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/36
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037・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 衆議院の段階におきましてやはり同じことを申し上げたのでございますが、政府の原案にはこれは入っておりませんので、政府原案を主張いたしまする政府といたしましては、閣議の決定に従いまして、政府の見解を求められました際におきまして、反対の意思を表明いたしたのでございます。でございますが、与党はじめ四党の共同修正がございまして、その共同修正に対しましては、もちろん立法府の御意思に対しまして、これに当然従うわけでございます。で、修正を経まして当参議院のほうに回付せられました現時点におきまして、政府の見解はどうかという御質問に対しましては、やはり一応閣議で決定いたしました政府の見解は申し述べる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/37
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038・伊藤顕道
○伊藤顕道君 賛成か反対か、どっちかを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/38
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039・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 決定をいたしました暁におきましては、もちろんそのとおりでございますが、御審議の過程におきまして政府の見解をお問いいただく場合におきましては、閣議決定の趣旨に従いまして申し述べるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/39
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040・伊藤顕道
○伊藤顕道君 ますますわからなくなってくる。審議の過程では閣議の決定もあり、修正案には反対しておる。きまってしまったら、そこのところが非常にあいまいもこになってきたわけですね。ただ私がここでお伺いしているのは、長官を責めようなどとはゆめ毛頭考えていないわけです。ただ事態を明確にする必要があろうかと思います。
後ほどお伺いいたしますが、新聞などでも——どこが資料を提供したのか、大体わかってはおりますけれども、ここでは言わねことにいたしますが、とにかく政府の原案の中には削られたということを繰り返して言われますけれども、それはこちらも承知しておるので、予算を計上して要求したけれども、これははねられた。だから、はねられたから原案にはないわけですね。それはよくわかるわけです。そこで問題は、四月の二十日、二十一日の両日にわたって恩給審議会の答申を無視して国会が修正、そういう見出しで一段抜きで非難する意味の記事が出されておったわけです。政府も、これを率直に申し上げますが、非常に気にしたと見えて、さっそく閣議でこのことが問題になった。そして衆議院の内閣委員会に党のほうから手を回して、何とかこれを差しとめようとしたが、あとの祭りで、そのときは修正案は満場一致で通った、こういう経過があるわけですね。もちろん、かような資料を提供して、国民に誤解を与えたことは、これははなはだ遺憾であると思うのです。審議会の答申自体が、後ほど詳しく申し上げますが、事実の認識を欠いて、きわめてずさんな結論を出しておるということも、ここで具体的に確認したいと思うわけです。そういう事情から、いま閣議では修正には反対という決定がなされておるので、結局長官のいまのような答弁になったと思う。閣議の決定はあくまでも修正に反対だから、そこで修正には反対だ、特に審議の過程では反対、成立してしまったらまた態度は変わったようですが、ここでお伺いしたいのは、そういうことになると、閣議の決定をあくまで堅持していけば、委員会でなされた附帯決議はどういうことになるかということですね、これは相反していることですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/40
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041・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 従来ともに同様の案件がたくさんございますが、政府が御提案を申し上げました原案に対しまして修正をいただきます場合におきましては、今回がばかに目立って特段の処置をいたしたようでございますが、決してそうではございませんで、つまり閣議で反対の決定をいたしましたのは、修正ということが出てくるという動きに対しまして、政府といたしまして見解を表明したのでございます。これは原案に対しまする修正の場合におきましては、いつの場合におきましても、一応政府といたしましては反対の意思を表明いたす慣行に相なっておることはどうぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/41
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042・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最後のことばはちょうと聞き捨てならんですよ。修正が出ると必ず反対する慣例になっている、内容のいかんにかかわらず修正が出れば反対するんですか。そうなると国会の審議は全く意味がないわけですね。内容によっては反対されるのもありましょうし、内容によっては賛成されるんだというのもあり得るわけです。いままで衆参国会の場で修正は何回もなされているわけです。ところが、修正が出れば必ず反対の慣行になっておるなどということは、大臣の言うべきことばじゃないです。そういうことになると国会の審議は全く意味がないんです。もう原案どおり成立か廃案かということになってしまうんですね。これはゆゆしい問題だと思う。ただ、恩給のほんの一部分である満・日の通算問題、そんな小さい問題じゃないです、国会全体の審議にかかる重大問題です。これは長官間違いであろうと思うんです。そこでこの際はっきりこの点明確に取り消さないと、私のほうは取り消さぬほうがいいかもしれませんけれども、そういう意味で、この際明確に取り消しておかないと将来禍根を残しますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/42
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043・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの私の発言は明らかに誤りでございまして、取り消します。
ただ、政府といたしまして、政府が出しました原案に対しまするやはり一つの経過と立場がございますので、修正をいただきます場合におきまする意見を求められました場合におきましては、従来の例に徴しまして、今回の場合におきましても、一応政府の意見はどうだという御質問に対しましては、閣議におきまして、恩給審議会のこれに対しまする反対の決議もあり、この点に対しまして一応反対の意思を申し述べる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/43
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044・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま言われたことでは、前の間違った発言を取り消すことにはならぬ。この場合、恩給法の一部改正の修正案、この場合はこうであったと言うなら、ほかの問題を制約しないわけですけれども、先ほど長官は、原案に対して修正が出た場合に、閣議ではこれに反対する慣例になっておりますと、はっきり言われたわけです。そうなると、今回の場合はと限定されていえば、閣議が反対されたことは私も承知しておるわけです。だから問題はないわけですけれども、従来の慣例では、原案に対して修正が出ると閣議はいつも反対する慣例になっておりますと、そう明確に言われたわけです。あとで議事録をごらんになればわかります。そういうばかげたことはないわけです。衆参両院の各委員会で修正がなされた場合に、閣議では必ず反対してはいないわけです。内容を十分検討されて、政府として受け入れられるものは、その部分で修正が成り立っているわけですね。もちろん、今回の場合のように反対の場合もあるし、賛成の場合もある。必ず反対ということが慣例になっておると明確に言われたから、それで問題にしているわけです。国会の審議は意味はないわけです。したがって、いままでの発言では、重大な誤りが訂正されていないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/44
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045・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま私が申し上げましたごとくに、それが例になっておるということは、私の申し上げましたことは誤りでございますので、どうか取り消させていただきます。
今回の場合におきましては、特に恩給審議会は、政府がこれを設置いたしまして、その審議を求めたのでございまして、当然これを尊重いたします立場に立っておるものでございます。
なお、修正案につきましては、その修正の内容、その他の諸事情を勘案いたしまして、事情やむを得ない、または賛成いたしがたい等の意見を述べるわけでございますので、さような意味におきまして、今回の場合、政府といたしましては賛成いたしがたいという意見を申し述べた次第でございます。この点どうぞ御了承いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/45
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046・伊藤顕道
○伊藤顕道君 今回の場合は閣議で修正案に対して反対であった。そういま言われましたから、そのことならよくわかる。しかしそのことは、政府としては、従来、繰り返し申し上げるように、国会における附帯決議は尊重すると、はっきりと所信を明確にされてきたわけですね。ところが、この場合は、修正というものは、大体附帯決議の精神に沿うてできた修正ですから、その修正に反対ということは、附帯決議にも反するわけですね、閣議決定は。そこのところはどういうことになっているのかと先ほどからお伺いしているわけです。
さらに申し上げますと、これは国家行政組織の問題にも関連をしてきますが、大体政府自体は、審議会とか調査会等の答申については、政府の都合のいい点は、これを尊重して実施してきたけれども、都合の悪いところは、いままで実施してきてないわけですね。最も大きな構想で答申がなされた臨時行政調査会の答申についても、もうそれからだいぶん年数がたちますけれども、いまだにはかばかしくいかないわけです。各省庁がなわ張り根性で、なかなか答申の趣旨に沿おうとしない。今度も恩給審議会が答申を出されたわけですけれども、政府は前々大蔵省を主体にして、財政硬直化を理由に、わずか七千ばかりの額が財政硬直化の理由になろうとは考えられませんけれども、そういう理由で政府としては断わってきた。そこへちょうど新聞記事が出たので、これ幸いにも閣議でこれを反対と決議を出しておる。そういう経緯になったかと思うのですが、いずれにしてもこの問題をここで長追いしても、結局これ以上は時間の制約もございますからやめておきますが、とにかく、国会で出された附帯決議は尊重すべきではないのですか。この点に問題を切りかえてお伺いしますが、そうだとすると、今度の修正は当然尊重しなければならぬことになるわけですよ。修正は附帯決議の精神に沿うた——附帯決議の精神に反する修正ならこれは別ですよ。政府は附帯決議は尊重する、修正案は附帯決議の精神にのっとってできた修正だから、附帯決議を尊重するなら、その附帯決議の趣旨に沿うてできた修正案、これまた当然尊重しなければならぬわけですね。そこのところはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/46
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047・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 仰せられるまでもなく、附帯決議は従来ともに尊重いたしまする方針には変わりございませんし、その附帯決議によりまして修正をあそばしました姿におきましては、もちろん政府といたしましては、それに対しまして、誠実にこれを尊重し実施いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/47
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048・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、恩給担当の総務長官としては、結局、附帯決議は尊重する、附帯決議の精神に基づいてできた修正案も尊重する。そうしますと、閣議では反対しておるわけでありますね。修正、その関係はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/48
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049・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま申し上げましたのは、その附帯決議によりまして出されました修正案によりまして、それが通過いたしました暁におきましては、この修正に対してこれを尊重いたし実施をいたしますということを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/49
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050・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、閣議では審議の過程において反対を表明してきたけれども、事、満場一致で修正案が可決した、その可決した修正案には賛成される、そういう意味において理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/50
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051・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/51
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052・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで問題はここまで入ってまいりますと、この機会に満・日通算についての恩給審議会の答申に対する見方をはっきりさしておく必要があろうかと思うのであります。相当誤解もあるようでありますので、この機会にこの点を明確にしたいと思う。
まず、お伺いしたいのは、本年三月二十五日の恩給審議会答申を見ますると、この関係の分野では、「外国政府職員または外国特殊法人職員としての在職期間の通算に関する問題」について、「外国政府職員または外国特殊法人職員から公務員となった者について、その職員期間を普通恩給についての最短恩給年限に達するまでを限度として通算することとしているのは、終戦という特殊事情を考慮してとられた特例措置であるので、この制限を廃止することは適当でない。」、こういう意見を述べて、満・日ケースの者の恩給通算に反対の意向を示しているわけです。これは言うまでもなく、そういう意味では、しかしながら審議会の理論は、よく検討いたしますと、日・満・日とか、あるいは日・満、満・日のいずれのケースにも平等公平に適用さるべきであることは当然だと思うのですね。そういう考え方が正しいというならば、この戦時という特殊事情はすべてに適用されなければならぬ。ここで満・日のケースだけにこれを、終戦という特殊条件を満・日のケースだけに適用しておるということになるわけで、きわめて不適当であろうと思うわけです。で、現行法では、日・満・日とか日・満を完全に通算していることを審議会は事前に了解しておったのかどうか、そういう疑問すら出てくるわけです。もしこの論法でいくと、現行法の日・満・日とか日・満の完全通算は、審議会の答申からいうと違法だということになるわけです。現行法が違法だということになると、趣旨にかなわぬということになると、これは大きな問題となろうかと思うのですね。まずこの点から、どういうふうに総理府としてはお考えか、お伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/52
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053・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 審議会の審議の経過等につきましては、担当の局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/53
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054・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 御指摘の点につきましては、非常にこの答申の文言が単純になっておりますので、その意味においてもいろいろな御議論がおそらく出るのではなかろうかという感じが私はいたしておるわけでございますが、恩給審議会の審議経過の中では、いま御指摘のございましたような、いわゆる日・満・日あるいは日・満というものについての完全通算が行なわれているということを十分に説明をいたしております。また、それとの比較において満・日というものをどのように考えるべきかという点が課題になりますので、満・日につきまして、恩給としては最短年限まで是認をするという措置をとられた経緯等も実はこの中でわれわれ事務当局としては説明を十分いたしてまいったつもりでありますが、その中で考え方をお出しになりましたのは、確かに御指摘のように、日・満・日と日・満も、終戦に伴う特殊事情であることは御説のとおりでございます。 ただ、その特殊事情というものの中で措置されているものには、おのずから、御承知のような、いわゆる満・日ケースとして取り上げられる満州国政府、満鉄等の場合、あるいはその他特殊法人、これと特殊機関との格差もございますところは御承知のとおりでございます。したがって、そういう特殊事情の中で解決をいたします方法としては、それなりに一つの特色を持つであろうということを前提としつつ、この満・日ケースについては、現状の解決程度が適当であるという判断のもとに、このような制限廃止という課題として取り上げたときに、適当でないという答えをされたようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/54
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055・伊藤顕道
○伊藤顕道君 日・満・日と日・満の完全通算は適当であって、満・日の場合はその完全通算は不適当である。それであるならば、明確に具体的にその根拠は一体何かという問題が当然出てくるわけです。この文面にあるように、何ら具体的に根拠は示していないわけです。そういう論法からいうと、日・満・日、日・満の在職期間と満・日の在職期間とで、どこでどういう差があるのか、こういう問題も出てくるわけですね。同一個所に同時に同一条件で勤務している者に対して、処遇上の差別をつける根拠はどこにもないと思うのです。こういう問題も、もう過去から繰り返し繰り返し論議されてきたことで、多くを申し上げませんが、ここではっきりと具体的な根拠を示されておれば、いい悪いは別として、また論点も別になるわけですけれども、この答申の文面を見ても、何ら根拠がないわけですね。ただ、いま局長の御説明があったように、終戦という特殊事情ということでは、これは日・満とか日・満・日であろうと、満・日であろうと、何ら終戦という特殊事情下の問題であるということは何人も差別はつけられぬわけですね。しかも、満州国とかあるいは満鉄等、これは政府機関そのものではないけれども、政府の代行機関であるという論議についても、過去繰り返し繰り返し論議されてきて、政府としても、政府そのものとは言いがたいけれども、政府の代行機関であるということについては認めてきたわけですね。さればこそ、満・日の通算もこの機会にとそというので、附帯決議の精神を尊重して、政府は一応誠意を示して予算要求はしたわけです。ただ、削られたから原案には残らなかったわけです。
そういう経緯もあるわけで、したがって、そういう問題は過去に十分言い尽くされてきておるわけですね。したがって、もし恩給審議会が確信持って答申出されるなら、具体的な根拠を示されるべきである。何ら根拠を示していない。しかも、いま申し上げように、同一勤務条件で同一個所に、日・満・日の満州国も、満・日の満州国も変わりないわけで、期間そのものにはね。しかも、満鉄等あるいは満州国等は、繰り返し申し上げたように、政府機関そのものとは言いがたいけれども、政府の代行機関として政府も認めてきておるわけですね。この論拠はいままであげてきたわけです。それでようやく了解されて、いま申し上げた予算要求の段階にまでなったわけです。どうもここのところは了解しがたい一つの問題だと思うのです。この点どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/55
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056・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 伊藤先生、これまでの実はこの当内閣委員会でるる満鉄の性格あるいは満州国政府等の性格についてお述べいただき、私たち政府側としても、これまでこれらの外国政府機関についての見解を申し述べてまいりました。その中で、先生の年来の御主張に対しまして、当内閣委員会では、十分に検討をいたしてみますというお答えをしてまいりました。したがって、これらの性格論についてはほとんど議論が尽きておりますので、もう私も繰り返し申さないほうがよかろうかと存じますので、性格論については、旧来の政府側の申し上げたような線と理解が変わっておらないわけでございますが、そこで私たちといたしましては、附帯決議にもございますし、幸いにして恩給審議会が設置されましたことでございましたので、そこで恩給審議会の御答申を待つ措置が政府としては適切ではなかろうかということで、この問題に対しての答えを得ようといたしたわけでございますが、この答えは、旧来の経緯を十分に承知した上で、審議会といたしましては、こういう特殊事情下に置かれた措置が恩給の一つの課題であるということを、この審議会答申の前文にもうたっておりまして、したがって、いわゆる恩給法の対象になる問題として問題を拾い出してみると、終戦という特殊事情に基づいて各種の恩給的措置を要する問題が出てまいった。それらの問題が、結局今日まで各種の問題をあるいは懸案事項として、今日までの問題提供がなされているのだという認識のもとに、そこから出発いたしまして、実はこの満・日その他の、いわゆるいま申しました終戦に伴う諸案件についての答えを、それぞれについての答え方として出してきておるわけでございますが、その意味からいたしますと、御指摘のように、本満・日の問題についての答えがやや不明確である、論拠が明確に示されていないという御指摘はごもっともでございますが、しかし、その審議会の経過の中では、問題意識をさような点からとらえて、そこで終戦に伴う諸措置というものを一つの均衡的な立場で問題の取り上げ方をしてまいった、こういうふうなところからかような結論を出されたわけでございまして、年来先生の御主張の点については、審議会において、私のほうから十分御説明を申し上げてまいったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/56
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057・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いまお伺いしたのはほんの一端で、幾つかの根拠を以下申し上げたいと思うのですが、昭和十八年法律第七十八号は「外国政府職員ト為ル為退職シタル後二年以上外国政府職員トシテ在職シタルモノ公務員トシテ再就職シ其ノ後一年以上在職シタル場合ニ於テハ其ノ外国政府職員トシテノ在職年月数ハ通算ス」、 こういう取りきめがなされておるわけです、法律第七十八号で。この規定は外国政府職員だけ適用されるものであって、外国特殊法人職員には適用がない。そこでお伺いしたいのは、したがって、外国特殊法人職員であった日・満・日とか日・満の者の完全通算の根拠は、この法律第七十八号によるものではなくして、その特殊法人の本質が、その形式いかんにかかわらず、国家の機関そのものとは言いがたいが、国家の代行機関であるということと、従来政府自体が、その法人及び職員を種々の点から国家機関及び公務員と同様に取り扱ってきた事実がこういう結果になったと思うのです。そう理解しないとこれは解釈がつかぬわけですね。したがって、日・満・日とか日・満の完全通算のことが、その根拠であると理解せざるを得ないので、この点については局長もよく御承知のように、もうその問題は繰り返し論議尽くされてきておるので多くを申しませんが、このことについて恩給局長としては、どのようにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/57
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058・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 確かに立法経過をたどりますと、いわゆる外国政府という形で取り上げられた、それが戦後いろいろな、先ほど申し上げましたようないわゆる特殊事情が発生した。そこでどういうふうに問題を処理すべきかということで、外国政府と、それに類型を同じくするような外国特殊法人につきましても必要な措置をとるべき特異な事情というものの発生、これにこたえる意味におきましては、いわゆる日本政府側から満州国政府あるいは満鉄等においでになった方々、これについては、すでに論議が繰り返されてまいりましたような経緯等もございまして、そこで日・満・日、日・満については完全通算ということで措置をされたわけでございます。この点が、一方で満鉄、満州国政府を、そういうふうな見方をしたところに、一つの性格的には日本政府そのもの、あるいは日本政府機関そのものと見られる可能性があるじゃないかというところに、満・日の問題というものの完全通算の課題が提起されてきているというふうに承知をいたすのでございます。そういった点から、ここに御主張の点はそれなりに、いま申しました日・満・日、日・満の中における満の考え方についてのお考え方として御主張があるところでございますが、ただ、これまでの措置をとってまいりました経緯を考えてみますと、満・日については、その立場の御主張よりも、むしろ考え方としては、これを考える場合のいわゆる満の問題というのは、この立法の経緯をすでに御承知のように、たとえば人事管理上の要請ということを繰り返し政府側で御説明申し上げておりますようなところから、こういったところに若干の格差が出るのもやむを得ないという答え方で旧来は扱ってまいったわけでございます。しかし、これについては国会でるる問題の討議がなされておりましたので、したがって、こういう経緯を承知の上で、政府側としては審議会に、懸案事項として提起されている諸課題すべてを実は提案をいたしましたので、この答えの出方が、やはり政府側としての考え方の一つの筋道をつくるのではなかろうか、かように考えてまいったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/58
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059・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なおお伺いしますが、審議会は、普通恩給権を得て外国政府職員等となった者の通算に関する問題については、「外国政府職員等となる前に普通恩給権を有していたかどうかによって通算上差別して考えることは適当でないので、この要件を廃止すべきである。」、こういう意見を述べておるわけです。総理府並びに恩給局は、従来このことを有力な根拠にして、日・満・日は完全通算してしかるべきだけれども、満・日については完全通算すべきではないという有力な根拠にしてきたわけですね。この点はもうはっきりしておるわけです。外国の特殊法人に行く前に恩給公務員であったかどうかということを、特に歴代の総務長官は明確にこのことを言ってこられたわけです。ところが、今度の恩給審議会の答申を見ると、「通算上差別して考えることは適当でないので、この要件を廃止すべきである」、こういう意見を述べておるわけです。その根拠とするところは、人事管理上の必要ならば、すでに普通恩給権を得ている者に対してさらに加算する必要はないではないか、こういう根拠がここにあるわけです。その機関を国家機関と同様に扱うのは、本質上適当であるとの審議会の意見であると考えるよりほかに考えようがないわけですが、そうだとすると、満・日通算について同一理念に立って措置すべきが理の当然だと思うのです。その問題についてはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/59
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060・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 確かに先生のようなお考え方、あるいはこういう審議会の答申の読み方としてごもっともな点ではございますが、しかし、ここで考えてまいった審議会の趣旨というものは、実は満・日ケースとして完全通算をするかどうかという問題と、それから普通恩給権を得た者についてのその後の恩給通算をどうするかという問題につきましては、これはそれなりに普通恩給権を有している者を、たとえば満州国政府あるいは満鉄等に一応振り込まれた場合、これは恩給をすでに受給中でございましたので、そこで政府側としては旧来は恩給権をすでに得ている者については、その後の通算をしないのが適切であるという判断で旧来措置をしてまいったのでありますが、しかし通算を考えますときに、こういった普通恩給権を得ているということによるだけで、その後の通算ということについては得られないということは、まあこの点について、いわゆる日・満的な考え方にむしろ近いという考え方にも相なりますし、また、その恩給を受給した者については、通算を認めることによって、それをすでに得ている金についてはこれを差し引くという措置によってこの合理化をはかっていく、かようなところに本審議会の答申の趣旨があったやにうかがうのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/60
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061・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま申し上げたような論旨に従うと、この満・日のものについても、日・満と日・満・日のものと、ほとんど同時に同一個所に同一勤務条件で勤務しておるわけですね。そのいわゆる同一労働条件の同一賃金ということは、どなたが考えても理の当然だと思うのですが、にもかかわらず、満・日のケースの場合は、日・満とか日・満・日のそれに比較して二分の一とか三分の一の程度にしかなっていないわけですね。こういう事実もあるわけです。そういう同一労働条件の同一賃金という大原則にも反するので、そこで現行法との不均衡是正で何とかこれを均衡をとってもらいたいと、そういうことが満・日のケースに該当する人々の、主として多くの方は国鉄に勤務しておると思うのですが、そういう方々の長い間の熱意ある要求はここにあるわけですね。現行法との不均衡是正です。同じ満州国あるいは満鉄等に同一条件で同一年限つとめて、それで二分の一、三分の一にしかならぬというのは、きわめて不均衡です。政治の要諦は、いつも申し上げるように、貧しきを憂えず、そのひとしからざるを憂うと、これが政治の要諦であろうと思うのですね。そういう観点からも、やはり均衡を保つということは、きわめて政治上、為政者のもって心とすべき点であろうと思うのですが、不均衡があってはならぬ、不公平があってはならぬ、不公平はなくすべきだ、こういう観点から長い間この問題を課題として取り組んできたわけです。そういう意味合いからいうと、同一労働条件の同一賃金という点からも、この点ははるかにはずれてしまうわけですね。この点をいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/61
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062・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 実際の問題として、現実に勤務をしておられる実態からすれば、御指摘のとおり同じ労働条件というふうなことでございましょうが、しかし、この点につきましては、やはりそれなりに一つの均衡のとり方の問題があるわけでございましょうと存じますが、ただいまの御指摘の職員間の二分の一、三分の一というのは、おそらく退職手当の関係についての問題かと存じますが、恩給法上の通算については、そのような措置がないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/62
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063・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この点を要約すると、問題のポイントは現行法の不均衝是正にあるのであって、審議会の答申は問題の核心をそらしておるわけです。また問題のポイントにこたえていないわけです。この答申を見ても何ら具体的に根拠を示していない。満・日通算に関する審議会の答申は、その審議会自体の他の答申の趣旨からいっても、こうすれば理解できるわけです。外国政府職員等となる前に公務員であったかどうかによって通算上差別して考えることは適当でない、ここまでは恩給審議会が答申しておるわけですから、その趣旨でいくと適当でないといっておりますから、適当でないのでこの制限を廃止すべきである、そういうならよくわかるわけです。ところがこの制限を廃止することは適当でないといっている。ということを要約すれば、この審議会の答申は満・日の通算問題と、普通恩給権を得て外国政府職員となった場合との間の基本理念に非常に矛盾撞着がある、こう指摘せざるを得ないわけです。
いま申し上げた点で私の言う意味は御理解いただけたかと思うのですが、恩給審議会自体が、外国へ行く前に恩給公務員であったかどうかということで差別をつけることは適当でないといっておるのですから、それを推し進めていけば、日・満とか日・満・日は、渡る前に恩給公務員であった。しかし、満・日は、渡る前に恩給公務員でなかった、それは明確に差別があるわけですね。しかし、恩給審議会の答申では、そういうものの差別をつけるべきでないといっているんですね。差別をつけべきでないからその差別を撤回しろというなら筋がよく通っている。ところがその結論だけは違うんですね、矛盾しているんです。差別を付すべきではないから、その差別を廃止することが適当でない、こういう論旨になるわけなんです。したがって、他にもございますけれども、こういう基本理念からいっても、この審議会の答申は矛盾撞着がこういう点ではっきり指摘できるわけです。こういう点はいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/63
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064・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 先生の御指摘になっておりますこの満・日の表現というのは、非常に微妙な表現をしておりますので、その意味ではいろいろな御理解のなされ方があろうかと存じますが、実は審議会といたしまして論議を進めてまいった経緯というものを、私が事務当局として伺っております段階では、一つは恩給問題を解決するのには、できるだけ合理性をねらって解決していくということが一つございます。それからもう一つの問題は、いま申し上げました終戦という特殊事情に基づく問題につきましては、必ずしも合理性を十分追求できない課題であるかもしれないという印象もあったようでございます。したがって、そこから見ていきます場合には、おのずから均衡論の問題が非常に大きく出てまいりまして、一方の満・日の問題は、人事管理上の要請ということで政府側がとってきたその措置というもので、一応問題の解決が得られている。したがって、そういう点からいきますと、後ほど御指摘になりました、いわゆる恩給権を得ておる人たちについては、この人たちがそれで一応終止符を打たれるかっこうになっておるという点については、やはり実際に日・満等で認めてきたような、そういう趣旨からすると、均衡的にはむしろ通算措置を認めたほうがよかろう、こういうふうなことが審議会として出されたように思うのでございます。そうして、こういった審議会の趣旨は、その職員となるために公務員を退職をして、これらの職員となったかどうかということによって一つの線を引いてまいろう、こういうところに実はこの後ほどの問題については明確な線が引けるのだという判断がついたように私たちは聞いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/64
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065・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、この答申を見ますると、政府の、これは全体として考えられることですが、答申は大体政府の諮問にこたえるのがこれは当然であって、そういうことをしいていえば、国会はまた国会独自の立場で、審議会とは直接何ら関係ないわけですね。国会は国会としての使命がありますから、その使命を果たすために慎重に審議をすればいいわけですね。おのずから審議会、政府対の関係と、審議会、国会の関係については、そういうことははっきり言えると思うのですね。そこで、現に本件については、当委員会は、審議会の答申は最近出たわけですけれども、先ほどもるる申し上げましたように、本件について約十年間審議が積み重ねられ、その結果、その審議の結果、事態が明確になってきて、五年前から附帯決議がなされた、こういう事実があるわけですね。そこで、附帯決議がついて、その附帯決議については早期実現を強く政府に要望する。これを受け止めた政府は、附帯決議の趣旨を尊重して懸命にその実現につとめます、そういう意味の所信表明がそのつどあったわけです。こういう経緯は、先ほどの恩給局長の答弁では、こういうことは行って詳しく説明しておる、そういう国会の経緯ですね。あるいはまた、いろいろな審議会に対する恩給局としての恩給に対するいろいろな資料、そういうものも相伴って十分にやってきた。恩給局長はそうおっしゃるのですけれども、もし審議会がそういう国会の経緯を知っておって、なおかっこういう答申を出したとすれば、新聞では、国会が恩給審議会の答申を無視したというふうになっておりますけれども、国会の立場からいうと、国会は十年も前からやってきて、五年も前から附帯決議をつけて、政府も尊重すると言っておる。こういうことに対して、審議会が国会の意思を無視してそういう答申を出したということも逆に言えるわけですね。理論上言えるでしょう、そういうことは。むしろそういう考えが出てくるわけです。恩給審議会は最近ちょっとやっただけですけれども、当委員会では、事このことに関する限り、もう十年近いわけですね。ただやったというだけではなくて、その審議の積み重ねの結果、五年前から、繰り返し申し上げるように、附帯決議が連続なされておる。しかも、これは全会一致なんですよ。全会一致附帯決議がなされておる。政府も尊重する。こういう経緯を審議会がほんとうに理解しておったら、もう少し慎重な答申があってしかるべきだと思うのです。
結論から申しますと、審議会こそ国会の意思を無視してこういう答申を出しておる、逆にいうとこういうことが言えるわけです。それはそのために、こういう根拠を明確に掘り下げる必要があろうかと思って、いまそういう観点から掘り下げた質問を行なっておるわけなんです。したがって、この点について、一体政府としてはどのようにお考えなのか、こういうことをこの機会にお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/65
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066・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) ただいまるる申し上げましたように、恩給審議会に対しましては、当委員会のたび重なる御主張の点については十分に説明をいたしたわけでございます。その点が恩給審議会が国会無視ということになりはしないかと、こういうことでございますが、立法府としてのお考えはこのとおりであるということを、私たちのほうではやはり明確にしていくのがわれわれの義務であったと考えましたので、政府側としての、いわゆる事務当局としての説明のしかたは、立法府での御論議の経過を十分に申し上げたつもりでございます。ただ審議会は、御承知のように、行政府からの委嘱をいたしました審議委員による審議会でございましたので、そこで問題の各種のあり方というものは、どういうふうに考えるべきであろうかということで恩給審議会に答申を求めて、政府側の諮問は、実は恩給についていろいろな課題が出ておるし、恩給もいろいろな変化の中で問題を考えてみなければならないというふうな条件がございましたので、そこで、そういうふうな点について十分な御審議を得たいというふうな、いわゆる恩給についての重要事項についての御審議を求めるということに相なりましたところがら、立法府からの問題としては、いま申し上げましたように、附帯決議のございました点やら、審議経過の中での問題点を御説明を申し上げました。これはいわゆる審議会の判断をいたすときの重要なきめ手になるであろうと考えたからでございます。
そこで審議会は、行政府からの諮問を受けておるという立場から、そういうことを含みとしつつ、いわゆる立法府に対してそういうふうな異論を申し上げるという趣旨ではなくて、恩給本来的なあり方としてはどう考えるべきであろうかというふうなこと、そこに、いわゆる終戦という特殊事情に基づく困難な問題の解決点はこういうふうなことでということで答申があったわけでございます。ただし、先生のおっしゃるとおり、さような問題であっただけに、もっと詳細な理由をあげてということについては、先生のお説のとおりではなかろうかと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/66
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067・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大蔵省に非常に関連があるのでお伺いしたいと思いますが、いないのに大蔵省のことを申し上げるのは心ないので、これはあとに回して、次にお伺いしたいのは、いま国鉄では企業合理化のために五万人の大量整理を実施するだろうと思うわけですが、現行法では、満・日の人の退職金は月約一万四千円ないし一万五千円程度のものが非常に多いわけです。同一条件のいわゆる日・満・日の人の、先ほども申し上げましたが、二分の一から約三分の一程度。強制的に定年退職を強行することもならないので、国鉄としては本年三月の整理を六月まで延期して、一日も早く国会で修正することを待望してきたわけです。そういう経緯があるわけです。
国会でこのような実情に即して、緊急を要する事態に対応するために、長年の附帯決議に従って衆議院の段階で修正したことは、きわめて当然なことであると私どもは確信するわけです。こういうような経緯があまりありのままに伝わっていない、そういうきらいがあるわけですね。そういうことから、ああいうような、いわゆる審議会の答申を無視してというような表現が出てくるのであろうかと思うのですが、この点はいかがですか、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/67
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068・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 伊藤先生のおっしゃるように、満・日の関係で国鉄に参りました方々は、ちょうど定年退職の時期になっておりまして、こういう方々に対しまして、ほんとうに同僚でありながら、満・日が通算されないというだけで非常にハンディキャップがあるわけであります。私どももよくその点は承知いたしておる次第でございます。ただ、ここにいまの恩給法上の問題と、退職の手当の問題とでは若干の理論構成が異なってまいるとは存じますけれども、恩給の上から申しましても、特にそういうふうな退職の時期になりまして、これが本法の通過ができますまで、退職を延ばしたりしておる方々がたくさんございますことはよく承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/68
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069・伊藤顕道
○伊藤顕道君 一点だけお伺いして午前の部を終わることにしたいと思います。
以上、いろいろな角度からお伺いしてまいりましたけれども、以上私がお伺いしたことを、これを要約すると、こういうことになろうと思うのです。満・日通算の問題は、現行法である日・満・日とか日満との不均衡是正であって、この間、先ほど来申し上げておるように、長い間審議を続けてきて、この審議の結果、五カ年連続全会一致の附帯決議がなされている。そういう結果、この附帯決議に対して政府も尊重する旨の所信を表明してきたわけですね。そうして本年に入ってようやく政府もこれを具体化そうとして予算要求をした。しかしながら大蔵省の理不尽な扱いで、結局本年度予算から除外されてしまった。その後審議会の答申が出たわけですね。しかしながら、衆議院の段階では、附帯決議の趣旨に従って全会一致で修正したと、こういうことが結論的に言えると思うのです。こういう経緯をいままでたどってきたと思う。そういう趣旨だから、これを要約するとへこういうふうな修正をしたということは、あくまでも附帯決議の趣旨を尊重したということで、答申の趣旨を無視したということにはならないと思う。しかし、そういう誤解があるので、この際この点を明確にするために、以上幾つかの問題について重ねてお伺いしてきたわけなんです。したがって、こういうふうに理解していいのか、総務長官としてはこの点をどういうふうにお考えになるか、最後に一点だけお伺いしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/69
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070・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 政府といたしましては、立法府の御意見に従いまして、これが立法されました暁におきましては、当然のこととは申しながら、十分その御趣旨を体し、まだ、これを施策の上に反映さしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/70
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071・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 午前はこの程度とし、午後一時三十分再開いたします。
それでは休憩いたします。
午後零時三十五分休憩
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午後一時五十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/71
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072・井川伊平
○委員長(井川伊平君) これより内閣委員会を再開いたします。
午前に引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。関係当局からの御出席は、田中総理府総務長官、栗山人事局長、矢倉恩給局長、大屋敷恩給問題審議室長、以上の方々でございます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/72
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073・伊藤顕道
○伊藤顕道君 恩給法につきましても、まだ問題、相当残っておるわけですが、本日のところは午前の部で一応おさめまして、この時間には国家公務員退職手当について、いままで審議してまいりました恩給と関連を持つ三つの点に問題をしぼってお伺いしたいと思います。
まず、一般論としてお伺いしたいのは、国家公務員の退職手当については、昭和二十一年七月一日から閣議決定によって新しい制度として発足したわけです。その後、二十四年には政令で、大体二十五年に法律をもって規定されましたけれども、これらはいずれも臨時的措置であって、恒久的な退職手当の制度、言いかえますと現行法は昭和二十八年八月一日から施行されておろうかと思うんですが、現行法は制定後、部分的に改善が加えられてきておりますが、現行法に比較してきわめて不利な点の多かった旧法の実施期間に退職し、現行法施行後再就職した方々とか、あるいは外地から引き揚げ後、職員となった者の退職手当については、さらに改善を要する点がたくさんあろうかと思うんですが、こういう一般論に対して、まず順序としてお伺いしておきたいと思いますが、その改善することについてお考えがあるのかないのか、あるとすればどういうふうにお考えか、その点からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/73
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074・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 御指摘のように、制度の切りかえの時期の問題やら、あるいはまた地域の関係におきましていろいろと不備な点も多々あると存じます。御指摘のように、こういうふうな欠陥のありますものにつきましては、できるだけすみやかに逐次改めていくべきものは改めてまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/74
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075・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは以下、先ほど申し上げた三つの点について具体的にお伺いしたいと思いますが、外地官署所属職員等であった方々の勤続期間の特例に関する要件を、この際緩和する必要があるのではなかろうかと考えられるわけです。それは、現在国家公務員等退職手当の附則第九項の規定によって、昭和二十年八月十五日において外地の官署、外国政府、外国特殊法人の職員であった者で、同日において本邦外にあったもののうち、昭和二十八年八月一日以後において本邦に帰還した日から三年以内に再び職員となった場合は、外地官署等の期間は職員としての在職期間に引き続いたものとみなして、これらの期間を通算して退職手当を支給することになっておろうかと思うのですが、この昭和二十年八月十五日を、政令で定める地域にあっては同年八月八日——ソ連参戦日の前日ですね、八月八日といたすべきではないか、こういうことが当然の結果として考えられるわけです。その理由とするところは、恩給法では、外国政府等の職員として昭和二十年八月八日まで在職し、その後公務員となった者に恩給の通算を行なっておるわけです。その根拠は、戦争末期のソ連参戦という事情を考慮に入れてのことだと考えられるわけです。恩給にさような八月八日在職云々ということが現に適用されておるわけですから、同じ趣旨から言うと、退職手当も当然八月十五日云々できめる地域については八月八日としてしかるべきだと思うのです。その点についてどういうふうにお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/75
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076・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 御指摘の点につきましては、人事局長がおりますので、人事局長から、担当者からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/76
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077・栗山廉平
○政府委員(栗山廉平君) ただいま先生の御質問は、退職手当法の附則の第九項かと存じます。この点につきましては、ここに書いてございますように「昭和二十年八月十五日において外地の官署に所属する職員であった者、」あるいは「同日において外国政府に使用される者であった者」、こういったような「その他の政令で定める者で同日において本邦外にあったもの」ということでございまして、そういう本邦外におられた方が、昭和二十八年の八月一日、つまり先ほど先生のおっしゃいましたように、この国家公務員等退職手当法のできました日以後に引き揚げてきたという場合でございます。先生先刻から御承知のように、恩給の関係におきましては、退職手当と違いまして、退職手当は御承知のように雇用主が出します一時金でございまして、たとえば二つの勤務をつながれる場合には、それが継続しておる必要があるのでございます。断絶がないという必要があるわけでございます。恩給は、年金を出すというたてまえ上、断絶があっても出すことがたてまえになっておるという違いがございまして、原則といたしましては、ただいま申しましたように、前後が断絶がなくて直ちにつながっておるというのが一つの要件になっているわけでございます。ただ、終戦のときの混乱の場合に限りまして、その断絶がありましても、これはやむを得ない特例ということで、この九項では、昭和二十八年八月一日以後において、つまりこの退職手当法ができたあとに引き揚げてきた方々、相当の断絶期間があるわけでございますが、そういう方でも、間の断絶を断絶と見ないで、引き続いてつながっておるというふうに見るという、これは特例の規定でございます。したがいまして、何といいますか、簡単に申しますと、終戦後の引き揚げ者に当てはめる規定でございますので十五日というふうな規定がある、かように解釈いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/77
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078・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私がお伺いをしておる要旨は、恩給については先ほど申し上げたように、二十年八月八日までに在職し、その後引き揚げて公務員となった者については通算するとあるわけですね。これは先ほども言ったように、ソ連参戦という終戦のいわゆる大混乱を十分考慮に入れた措置であろうと思います。当然なことだと考えられるわけです。恩給はそうなっておるわけですから、退職手当についても、ソ連参戦という特殊事情を考慮に入れるべきではないか、こういうことが当然出てくると思います。これも公平の原則からいって、不均衡じゃないかという点が当然出てくるわけです。したがって、それよりもっと先へさかのぼれとか、そういうむちゃなことを言っているのじゃなくて、恩給が昭和二十年八月八日に在職しというのであれば、この退職手当についても当然八月八日といたすべきであると、そういうふうに当然考えられるわけですね。
これはいわゆる恩給法についても退職手当についても、ソ連参戦という異常な状態が発生したということには変わりはないわけでしょう。そのとり方には、恩給には特殊事情を考慮するけれども、退職手当には特殊事情は全然考慮に入れぬ、そういう不公平な扱いはなかろうと思うのですね。いままではそういう不均衡があったから、今後こういう点を、ここで人事局長がすぐそれではそういたしましょうということは言えないにしても、十分誠意ある御答弁があってしかるべきだと思うのです。そこで、そういう特殊事情もあるのだから十分前向きに検討して御期待に沿うようにいたしたい、その程度の答弁はできるのじゃないですか。ここで、それならいたしますと言い切りなさいとは言っていないわけですが、どうですか、この点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/78
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079・栗山廉平
○政府委員(栗山廉平君) ただいま伊藤先生のおっしゃいました点は、終戦に伴ってこちらのほうへ帰ってこられた方が、また日本政府の職員になられたという場合の問題だろうと思いますが、先ほどちょっと九項とおっしゃいましたものですから——この九項の規定は、ただいま申し上げましたように、昭和二十八年つまりこの法律ができましたあとに引き揚げてきた方のことを書いたわけでございます。そこでさっき私ちょっと申し上げたわけでございますが、問題をいまおっしゃいましたような点に焦点を当ててみますと、ちょっともとの規定から申し上げますが、外国政府等の職員になられた国家公務員に対する退職手当の原則はどうなっておるかと申し上げますと、退職手当におきましては、先ほど申し上げましたように引き続くという、断絶はないということが原則になっておるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、雇用主側が出す一時金という性格でございますので。それからもう一つは、前の関係とあとの雇用主の関係が一体感があるということがもう一つの要件になっているわけでございます。この二つの要件が根本の原則になっておりまして、したがいまして、外国の政府の職員等の問題につきましては、もともと日本政府の職員であった者が「所属庁の承認又は勧しょう」を受けて外国の職員に、断絶しないで引き続きなる。そしてまた、外国職員からさらに引き続き日本の政府の職員に戻ってくる。こういう場合にそれを加算して考えるというのが原則に相なっておるわけでございます。その場合に特例といたしまして、先ほど申しましたように、そういう引き続くのが原則でありますけれども、終戦に伴う混乱、これを救済するという点から、断絶がある場合にもそれが引き続いたものとみなすという措置としまして、先ほど申し上げました、この退職手当法ができたあとに引き揚げた方が一つの特例。それからもう一つは、終戦後にこの法律ができますまでに内地へ帰ってきまして、さらに政府の職員になられた、これは断絶はございますけれども、それも引き続いたものとみなす、この二つの終戦に伴う特例があるわけでございます。
そこで、おっしゃいました日付の点でございますが、恩給のほうでは八月の八日でございますが、こちらのほうでは八月の十五日というふうに書いてあるわけでございます。これは政令で書いてございます。それでこの日が違うのは、どうもたてまえからいって不均衡ではないかというお話でございまするが、従来の運用上の問題といたしまして、大体現実に業務に従事しなくなったという日が明らかでないものが多いわけでございまして、現実の運営の取り扱いは、運用上は昭和二十年の八月十五日まで在職したものと大体みなして、退職等がはっきりしたものはこれは別でございますが、あの混乱の時代でございまするから、そういう現実の取り扱いでわれわれが実際上の問題として取り扱ってきておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/79
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080・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで私がお伺いしておるのは、ソ連参戦という、いわゆる異常な事態にあたっておった地域というのは、何も無制限にあるわけではないわけです。先ほど私が政令で定める地域といったのは、たとえば満州とか樺太、北朝鮮、内蒙、千島列島、これらがソ連参戦によって直接影響を受けた地域と考えるわけですが、まずそういう点からお伺いいたしましょう。そういう考え方はどうなんですか。直接ソ連参戦によって影響を受けたのはこういう地域である。これ以外にはちょっと考えられない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/80
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081・栗山廉平
○政府委員(栗山廉平君) おっしゃるとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/81
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082・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうだとすると、八月十五日を、政令で定めるいま申し上げたような地域に限定して、八月十五日まで在職でなく、八月八日まで在職した分についても認めてしかるべきではないかと、そういう意味なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/82
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083・栗山廉平
○政府委員(栗山廉平君) ただいまのお話は、八月八日に在職しておる者でも、それがさつき申し上げましたような要件で、また日本政府の職員になった場合には、通算させてしかるべきではないかと、こういうお話だと私は受け取ったのでございますが、もちろん、何といいますか、終戦に伴ってこちらのほうの職員にまたこられた方でございまするから、十五日の日におったというだけじゃなくて、その前におられた方も当然いいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/83
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084・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほど来の御説明で、実際問題としてはいつまで在職したかということについてはなかなか判別しがたいと、明確でない場合が多いという意味のことを言われたわけですね。そこで、不明確の場合は八月十五日まで在職したものと認められる者もあると、そこのところがちょっと不明確な向きがあるわけですね。そこで、法律で八月十五日までというのを、以上申し上げた地域に限って、これはソ連参戦という事態が直接影響された地域であることは総理府としても認めたのだから、そういう地域に限って八月八日まで在職したということが明確になれば、それで要件は足りるんではないか、そういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/84
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085・栗山廉平
○政府委員(栗山廉平君) ちょっと極端な例かも存じませんが、たとえば八月の十日なら十日に、ずっと前に辞表なら辞表を出しておきまして、その日に発令というようなことで、両者が合意がありまして、一カ月くらい前に辞表を出しておった、それでその発令ではっきりしたというふうな例がもしございますれば、これはもう自己の意思ではっきりおやめになったと、終戦の結果そうなったのではなくして、その前からのこと、そういう特殊の例はあるいはごく一部にあるかもしれませんが、普通の例で考えまするというと、大体これは何といいますか、身分的には終戦までおられたということは、大体推定できまするので、一般的には大体それでいいというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/85
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086・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、他の例から申し上げますと、今度引き揚げ者に特別交付金を付与することになっておりますが、その内容を見ても、満州とか樺太、朝鮮、内蒙、いわゆる政令で定める地域にあっては八月八日までの在職でこれを認めるという規定があるわけでね。そういうことともあわせ考えると、同じ政府のやり方に、恩給はこうだと、退職手当はこうで、また引き揚げ者の特別交付金の支給についてはこうだというようなばらばらになるきらいもあるので、ばらばらのきらいがあるということは、ことばをかえて言うと、きわめて不均衡であるということにも通ずると思う。だから、これは当然将来改正する意図をもって検討すべき問題ではないかと考えられるわけですね。そこで先ほど来から、この場でそんならそうしますということは言いかねると思いますが、総務長官どうですか、こういう趣旨の問題をひとつ前向きで検討する誠意がありますか、ないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/86
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087・栗山廉平
○政府委員(栗山廉平君) ちょっとその前に。ただいま先生、例の引き揚げ者交付金の問題をちょっとお話しになられましたが、私ついこの間までその関係をやらしていた、だきまして、また国会で法案を通させていただいた口でございますので、ちょっと関連させて答えさせていただきたいと思います。
引き揚げ者の例の交付金の問題は、確かにおっしゃいますようにソ連参戦の関係の地域におきましては、八月九日以後十五日まで引き揚げた者も対象にするということにはっきり書いてございます。これは身分関係は全然別にいたしまして、つまり満州あたりの政府の職員であれ、あるいは外地官署の職員であれ、一般の人であれ、どなたであっても、身分関係は全然別にいたしまして、現実に引き揚げてきたという事実問題に着目しておるわけでございます。ところが、今度のいまお話にございましたような退職手当の問題になりますと、現実に引き揚げたという問題ではございませんで、身分がどうであったかということでございますので、先生のおっしゃいますお気持ちはよくわかりますけれども、現実の運用上身分でいきますので、支障はまずないものというふうにわれわれは運用上から考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/87
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088・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 恩給法やその他のこういうふうな人事関係の法の眼目が、一人でもそういうふうな方々に対してあたたかい気持ちでお救いするということが法の骨子でございますから、いろいろと具体的な事例になりますと、たくさんのまだまだ解決できておらない問題も出てくると思われます。どうぞいろいろそういうふうな点も御指摘いただきまして、われわれといたしましては、できるだけ法の完ぺきと申しますか、りっぱな成果があがるようにいたしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/88
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089・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま長官のお答えは、一般論としては受け取れるわけですが、いま具体的にこういう問題については前向きに検討される御用意があるかないかということを聞いておるわけです。したがって、一般論の気持ちはわかりますが、この問題は一体どうなるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/89
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090・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 本件は身分法上の問題でございますので、できるだけ事実上支障のないようにひとつ今後研究させていただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/90
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091・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま人事局長が言われた身分上の問題とか、あるいは実際の問題とか区別して、あたかもそれを断わる根拠のようにしておりますけれども、その精神をくめば、そんな区別はないわけですね。法は平等でなければならぬというそういう大所から見れば。結局恩給はこうなっておるわけですから、それにならって、その精神を取り入れて、これを二十年八月八日を二十年一月にするとか、根拠のないことを申し上げておるのじゃない。以上申し上げたような地域については、ソ連参戦という、現地にあっては容易ならぬ事態ですね。生命、財産の脅威にさらされた、そういう異常な事態に面しての問題である。だからその精神は当然取り入れられなければならぬと思うんです。まあ総務長官もなお検討するという意味でありますから、この問題だけをさらには追及しませんが、そこでなおお伺いをいたしますが、満州とか樺太、北朝鮮、南千島列島等の外地勤務期間中の通算にあたっては、外国政府または外国特殊法人職員であった者については現在、さきに職員あるいは地方公務員として在職し引き続いてこれら外国政府等に就職した者、いわゆる日・満ケースに限ることになっているわけですね。今回これを改めて、このさきに職員として在職しと、こういう制限を廃止して、直接これら外国政府等に就職した場合、そういう場合でも、いわゆる満・日ケースですね、その期間を通算すべきではないかと、こういうことは法の公平という立場からすれば当然考えられるわけで、この問題は恩給でも相当長い間論議になったわけでしょう。さきに職員として在職し云々という問題ですね、これは今回の恩給審議会の答申でも、午前申し上げたように、これはそういう渡満前にいわゆる恩給公務員であったかどうかということで区別すべきではない、そういう趣旨の答申をしているわけですね。そういう精神からすれば、この精神はとってもって退職手当にも当然当てはめてしかるべきだと思うんですが、このことについてのお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/91
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092・栗山廉平
○政府委員(栗山廉平君) お答え申し上げます。
退職手当の性格は、先ほど申し上げましたように雇用主の立場から退職時に出す一時金という性格でございます。したがいまして、断続はない、継続的だということが一つの要件になっておるわけでございます。しかるに、恩給のような年金をたてまえとする、退職後にたてまえとする制度というものは、これは何といいますか、まあ退職後の生活の安定等をも考えておるのだと思いますが、そういうものと、雇用主がやめた際に一時金を出すというものとは、制度のたてまえが基本的に異っておるという点が一つあろうかと思います。と申しますのは、退職手当は、ただいま申し上げましたように退職の際に、前の引き続いた期間を一体として支給額を出す基礎にいたしておるわけでございます。したがって、外国政府等の期間の通算にあたりましても、先ほど申し上げましたように、政府の職員であった者が所属庁の承認とか勧奨を受けまして引き続いて外国に行く、自分の意思だけで行くのでなくて、所属庁の承認または勧奨を受けて外国の職員等となる、そうしてなおかつ引き続いて再び政府職員に戻ってくるといったようなケースにおきまして、この勤務の継続的な一体感というものが認められるわけでございまして、そういう場合に限って通算の対象とされるということに相なっておるわけでございます。
ただいまお話しのような、初めにとにかく満州国の職員なら職員になられたという場合におきましては、先ほど申し上げましたような例と同様な、勤務の継続的一体感というものが認められるかどうか。これはまあ非常な問題があろうかと存じます。恩給は、先ほど申し上げましたように、年金としてまあ支給されるたてまえ上、退職手当のような勤務の継続性というものを要件といたしておらないわけでございまして、ただいまお話しのような、恩給制度上これから認められようとしておりますような通算措置、そういうものを直ちにこのたてまえの、あるいはその制度の違う退職手当の上におきましても適用するということには、やはり問題があろうかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/92
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093・伊藤顕道
○伊藤顕道君 どうもそういう点かわからぬのですね。特に恩給だから、退職手当だから、その法の精神は、恩給法であろうと退職手当であろうと、不平等であってはならぬと思う、原則的にですね。そこで、午前の部でお伺いいたしたように、恩給については、従来日・満と満・日を区別しておったわけでありますけれども、長年の附帯決議の趣旨で修正になって、いわゆる満・日についても恩給は、今回この法律が通れば、修正が通れば、当然全面的に通算されることになるわけです。そうだとすると、この退職手当についても、現在は日・満あるいは日・満・日というふうに限定されておるわけですね。満・日のケースは全く考えられていない。通算されてないわけですね。これは恩給と全く同じ事態であるわけです。そこで、恩給のこの法の精神を退職手当にも取り入れて、将来これを改正すべきではないかという意見が当然出てくると思うのです。私がお伺いしないでも当然出てくると思うわけです。そこで、恩給の満・日ケースのそのものに直接つながる問題であるので、この際お伺いしておるわけです。
やはり満・日のケースについてもまるまる通算するというその趣旨を、なぜ退職手当にはこの精神を取り入れられないかという問題も出てくるわけですね。それは、一方は雇用主が払うので一時的なもので云々と、恩給は年金だからと、そんなのは拒むもう何らの理由にもならないのです。法の精神というものは、やはりそういうことでなく、法律の名前が違ったらもう適用できないと、そういうものじゃなかろうと思うのですね。確かに法は全然別個のものですが、恩給と退職手当は。しかし、従来の例でも、恩給の改正の精神を取り入れて、この退職手当に取り入れて改正された面もあるわけです、過去の経緯から見ると。そういうことで、この恩給法の修正が通れば、当然退職手当にもこの精神は取り入れられてしかるべきだと思うのです。これはそういう基本問題については総務長官どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/93
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094・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 伊藤先生の御意見拝聴いたしましたが、恩給制度と退職手当のこれは二つの制度の性格の相違からくるものじゃないかと存じます。ひとつ御高見は御意見といたしまして、今後ともにひとつ研究をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/94
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095・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私がこの退職手当についても満・日を認むべきだと、通算を認むべきだと言う理由は、いままで申し上げましたが、まとめて言うと、直接これらの機関に就職した者は、その当時、いずれもその当時の国策に協力して、いわゆる満州国とか満鉄等に入っておる例が多いわけです。そういうことと、引き揚げ後もきわめて悲惨な状況下に、いわゆるソ連参戦というそういう異常な事態にあって、しかも、外地にあった、内地の人もずいぶん苦しんだと思いますが、それにまさるとも劣らない悲惨な目にあっておるわけですね。そういう事情もあり、大体は国策に即応して満州国、満鉄に入っておるわけですね。そういう措置がこの当時なされたわけです。そういうことで、その国策に即応してなったが、いわゆる恩給公務員として外地に行ったのでないからという論拠もありましょうけれども、これは先ほど来申し上げたように、恩給審議会の答申でさえも、そういう、さきに恩給公務員であったかなかったかということは区別の対象とすべきでないということをはっきり言っておるわけですね。そういうこともあるし、結局、そういう気の毒な方々の援護措置として、やはり国の責任があろうかと思うのです。当然その期間を通算するべきではないかと思うのです。結局、これも現行法との不均衡是正、退職手当における日・満と日・満・日は通算は認められておるけれども、満・日のケースは認めていない。恩給もそうであったけれども、今回の修正でようやく救われる。退職手当は別にそういう修正——今度法案が出ているわけじゃないですから、結局、修正案が出るわけでもなく、結局、そのままに放置される、そういうことになろうかと思うのですね。だから私のお伺いしておるのは、そういう条理はよくわかるので、今後十分検討したい、そういう程度の御答弁は当然できると思います。ここで総務長官、これはイエスかノーか、はっきり答えてもらいたいというのじゃない。そうでないと不公平でしょう。一方は認めて、一方は——恩給と退職手当、性格は違いますよ、もう言うまでもない。一方は一時金だし、一方は年金だ。そういう違いはあるけれども、いわゆる国民に対して均衡のとれた平等な政治を行なおうとするのが、政府としてきわめて大事な一つの措置であろうかと思うのですね。いわゆる不均衡、不公平があっちゃいかぬと思うんです。そういう立場からお伺いしておるのであるから、その意を体して今後前向きに十分検討したいと、それで、ただその場だけの答弁でのがれてしまって、あとほったらかしては困るわけで、やはり誠意を持って、ほんとうに文字どおり誠意を持ってこの解決に前向きに取り組んでもらいたいと思う。そうでないと、ちょっと納得しがたいのですがね。恩給はこうだ、退職手当は性格が違うからそういうことは受け入れられぬということでは筋が通らぬと思う。やはりソ連参戦という悲惨な事態については、恩給でもその精神を取り入れるべきだし、退職手当でも取り入れるべきだと思うのですね、そういう非常事態ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/95
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096・栗山廉平
○政府委員(栗山廉平君) 繰り返し申し上げてたいへん恐縮でございますが、年金の場合には二十年、あるいは恩給が十七年でございますが、そういう長期間つとめられたという方に対しまして、退職後あるいは老後のいろいろの生活のめんどうを見るという性格は、これは先生御承知のとおりでございます。それから退職手当につきましては、そういう長い方もおられますけれども、また一年、二年という短い方もあるわけでございまして、この方たちには、先ほど来申し上げておりまするように、雇用主の立場から、そのつとめた、短い期間、長い期間いろいろございますが、要するに、その期間に対しまして雇用主として一時金を差し上げるというので、どうも性格が異なっておる、これは先生よく御承知のとおりでございます。したがいまして、これに対しまして、恩給と同じような取り扱いが普通じゃないかとおっしゃいますが、どうもやはりここに性格の違いがある、これだけはひとつお認め願いたいと思います。したがいまして、先ほどから先生おっしゃいましたような、ソ連参戦あるいは終戦に伴いまして、国民としての引き揚げに際しまして、あるいは引き揚げた後において、いろいろの困難に遭遇されておるという方々がたくさんあるわけでございます。これに対して一体どうなんだというお考え、あるいはお気持ちが非常にあるわけでございまするが、これにつきましては、昭和三十二年に例の引き揚げ者の給付金、また、十年後の昨年、引き揚げ者の特別交付金といったようなもの、並びに、そのほかいろいろの援護措置というものが別途とられたような次第でございまして、それこれをいろいろ勘案いたしまして、この恩給及び退職手当の性格の相違とたてまえ——性格といいますか、そういうたてまえが違ったたてまえでできておるという点は、先生よく御承知でございますけれども、これだけはひとつよく私から申し上げたい次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/96
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097・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま、引き揚げてきた気の毒な方々に対してはこれこれの措置をしてきたと。それは何も満・日の人だけに限ってしたわけじゃないでしょう。それは日・満だろうと、日・満・日だろうと、満・日だろうと、そんな区別をしていない。引き揚げ者全員に対してそういう措置をとったわけであって、満・日というのをなぜ通算しないかという、現行法における不均衡をいま追及しておるわけです。したがって、それは的はずれの答弁で、そんなことは答弁にならぬわけです。そんなことを伺っているわけじゃないんですよ。そこで、やはり繰り返し申し上げますが、とにかくソ連参戦という現地にあった人は容易でなかったわけですね。現実に生命の脅威に直面したわけで、内地も同様だとおっしゃいますが、それは内地で苦しむのと、外地で苦しむのと、またひとしおその悲劇は深いと思うのですね。そういう中でようやく引き揚げてきたんだが、さて日本から出発してないので、日・満とか日・満・日になっていないので、満・日だったからということで、それだけの理由なんですね、ほかに断わる理由は何にもない。それだけの理由で、現行法は日・満は認めておるが、満・日はだめだ。そこのところを伺っておるわけです。だから総務長官にもお伺いしておるわけです。ここですぐ答弁せぬでもいいから、前向きに十分誠意を持って検討したい、その程度のことはこちらから要請して答えとして出すのでなく、自然的に答弁してしかるべきだと思う。それは総務長官自体の考えでお答えになるべきですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/97
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098・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) ちょうど、伊藤先生よく御案内のとおり、この問題は恩給法上の満・日の問題が解決をいたしますとともに、いまの問題が非常に重大な問題でございます。私どもも、制度の違いはございますけれども、ひとつ研究をさしていただきたいと、かように考えます。よろしくどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/98
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099・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは最後に一点お伺いいたしますが、さっき、職員として在職した者で、昭和二十八年七月三十一日以前に退職し、それから昭和二十八年八月一日以後再就職した者については、前後の期間を通算して退職手当を支給してしかるべきではないかと、こういう問題が第三の問題として出てくるわけですが、その理由とするところは、理由をはっきり申し上げますと、現行の退職手当法では、施行前に退職し、施行後再就職している者と、引き続き勤務している者との退職手当額に著しい格差があるわけですね。こういう現実が一つある。それからまた、再就職者といえども、ほとんどが前の勤務経験を生かして再就職しておるわけですね。そういう事実もある。それから公務員としての貢献度に、両者の間に差があるはずはない。また、旧退職手当法施行期間は、現行法に比べて不備な点が非常に多かった、先ほども指摘申し上げましたが。それと、戦後であったため、著しく複雑な社会の状況から、やむを得ず退職した者が多かったと、こういうようないろいろな社会情勢から来るいろいろな悪条件があったわけですね。そういうことをあわせ考えたときに、二十八年七月三十一日以前退職と、八月一日以後再就職、これに該当する者については、前後の期間を通算してしかるべきではないか、何も根拠なく申し上げておるのではなくして、そういう根拠をあげてお伺いしておるわけです。この点、どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/99
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100・栗山廉平
○政府委員(栗山廉平君) 先ほどから再々申し上げておりますとおり、退職金と申しますのは、やめたときに雇用主の側から出すところの一時金という性格を持っているわけでございます。したがいまして、これが途中に断続がありまするというと、どうしてもこれはつながらないという性格があることは御承知のとおりでございます。したがいまして、過去にさかのぼりまして、断続のものを、いろいろそのときの条件がおっしゃいますようにございますが、つなぐという点をやりました場合には、一時金の性格が実は失われまして、いろいろの問題が起きてくるということが考えられるわけでございます。したがいまして、結局、やはりこれは一時金でございまするので、その一時金の性格で、おやめになったときの一時金でケリをつける、こういうことでいかないというと切りがないような結果にもおちいりかねないということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/100
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101・伊藤顕道
○伊藤顕道君 以上の三つの点をお伺いしてきましたけれども、この通算措置を行なうのには、何も無条件でやってしかるべきだと申し上げておるわけではなくして、以下その要件を申し上げてみたいと思うのですが、一つは、退職回数に関係なく、前一回のみを通算対象とする、こういう何回もやめたり就職する場合は理論上あり得るわけですね。そういう場合でも、前一回のみを通算対象とするという、こういう一つの制約ですね、制限を当然考えてしかるべきだと思うのです。それと再就職は昭和二十八年八月一日以後であって、前退職時から再就職するまでの期間は政令で定める期間——政令では三年と考えてしかるべきたと思うのですが、他に就職することなく、再就職した者に限るものとすると、こういういろいろの条件をつけるわけです。それと、前の退職は引き続いて勤務することを困難とする、政令で定める理由によるものとする、たとえば住居、食糧あるいは定員減、あるいは制度改変、こういうような戦後の特殊事情を当然考えてしかるべきだと思うのです。こういう考え方に対して、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/101
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102・栗山廉平
○政府委員(栗山廉平君) お答え申し上げます。
ただいま先生いろいろの制限といいますか、条件というものですか、こういうものをお出しになって、こういうことに限ってならばいいのではないかというお話でございまするが、たとえば、いまおっしゃいましたような定員の減とか機構の改変とかいうようなものがありました場合には、それはたしか普通の退職よりも有利な一時金が出ているはずだと私は承知いたしております。それから八月一日以後というようなこと、あるいは断続の期間が政令で定める期間というようなことをいろいろお話がございまするが、やはり先ほどから、どうもくどいようでございますけれども、申し上げました退職手当が一時金であるというこのやはり性格は貫かなければ、どうも退職手当としての性格が根本的に問題になってくるというふうに私は考えるわけでございます。したがいまして、先生のお気持ちは非常によくわかりますけれども、どうもこれは制度のたてまえ上非常に困難な問題ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/102
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103・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは困難であろうとなかろうと、困難であれば、よけい誠意を持って、もしそのことが筋が通っている、なるほどという問題であれば、困難であればあるほど、真剣に取り組む必要があろうかと思うのです。したがって、制度上の相違ということばかりたてにとって言いますけれども、これはなるほど恩給法と退職手当では法のたてまえが違うわけです、別個な法律ですから。しかし、私が繰り返しお伺いしているように、そういう特殊事情というものをもしある法律に、恩給なら恩給に取り入れようとすれば、その特殊事情は公平に退職手当にも取り入れられてしかるべきだ、そういうことを言っているわけです。そこで、先ほどもお伺いしたように、昭和二十八年七月三十一日以前に退職し、同年八月一日以後再就職したもので国内で適用を受けるものの退職手当の計算の方式は、さきの退職の際退職手当を受けているときは、大体公庫方式によって行なうとか、そういういろいろ方式があるわけですね。こういうことで問題は逐次解決していくのではないかと思うのです、誠意があれば。ただ、たてまえたてまえと言って、それで一点ばりで断わったのでは、あまりにも意味がなさ過ぎると思うのです。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/103
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104・栗山廉平
○政府委員(栗山廉平君) どうもおことばを返すようでたいへん恐縮でございまするが、やはりおやめになったときの一時金という退職手当の性格上、先生のおっしゃいますお気持ちはわかりますけれども、どうもこれは困難な問題であるというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/104
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105・伊藤顕道
○伊藤顕道君 以上の三つの問題であわせていろいろお伺いしてきましたけれども、この三つの問題について、この当面の責任者である総務長官としては、一体どうお考えですか。いま人事局長から技術的な面でいろいろ説明があったわけですけれども、根本問題としてこの退職手当三つの問題について、こういう点を公平の原則から改正してしかるべきではないか、再検討すべきではないかという趣旨の質問をいま続けているわけです。それに対して、その部分部分には総務長官お答えありましたけれども、これを一括して、こういう問題については、もちろんここで、そういたしましょうという答弁はちょっとむずかしかろうと思う。そこで、前向きに検討したい、その程度の御答弁はできるかと思いますが、これは誠意の答弁がないと、何時間でも繰り返しますよ。誠意を持ってお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/105
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106・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) よく事情も拝察できましたので、十分誠意を持ちまして検討させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/106
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107・山本茂一郎
○山本茂一郎君 私は恩給審議会の答申を中心といたしましてお尋ねいたしたいと、こう思うのであります。
その質問に入るに先立ちまして、簡単にこの答申についての私の所見を申し上げたいと思います。
恩給審議会が長い間熱心に、かつ周到に検討を重ねられまして、その間に、恩給関係の各団体の代表者からその要望の詳細を聴取され、さらに全国各地にある恩給受給者の声を直接聞く等、非常な努力を重ねられました。かくて、恩給受給者が多年にわたって改正を要望しておった点、これを明らかにされ、その上に立って、終戦後における日本の経済上の変化、諸般の制度の画期的な変化と社会事情の変動等によって恩給上に生じました広範かつ複雑多岐な不合理、ひずみ等を検討せられ、今後の恩給のあり方につき、それに至るところの道程と一緒に一つの基準を答申せられましたことについて、私は感謝をし敬意を表する次第であります。特に従来、制度の上におきまして冷遇をされておりました旧軍人関係の恩給制度について、現在において可能な範囲において適切と考えられる解決策を打ち出されたということに関しまして、私としてはあわせて感謝の意を表するものであります。この答申に従いまして恩給法が改正せられた場合には、従来に比較いたしまして一段と現在の世の中の情勢に適合した恩給法になるであろうと私は判断いたします。以上のような考えでこの答申を私は理解をしているのでありますが、この前提のもとにおいて、以下細部についてお伺いいたしたいと、こう思います。
で、私は、この答申が出ました以上は、これから一番重要な事柄は、これをいかに実行するかという点にしぼられることは言うまでもないことと考えるのであります。いろいろこの答申そのものは、以上述べましたような私の見解もございますが、必ずしも万全のものとは存じません。しかし、目下の、これから後のとりあえずの問題は、いかに実行するかという点に私はあると、こう考えるのであります。そういう意味におきましてまず長官にお尋ねいたしたいと、こう思うのであります。この審議会の答申を政府は今後どういうふうに処置をされるつもりでございますか。それについて先ほど伊藤委員からも御質問がございましたが、重ねてお伺いいたしたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/107
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108・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 二年間にわたります審議会の非常に慎重な御審議に対しましては、私ども、この結論を得ました以上、これを尊重して、この線に沿うて行政の施策を進めていかなくちゃならぬ。ことに、御承知の、第二条ノ二の調整規定、並びに、いろいろと六十項目等にわたります、非常に各般にわたる御意見、われわれはできる限り逐次実施に移してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/108
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109・山本茂一郎
○山本茂一郎君 ただいま長官から、答申の趣旨を尊重していくというようなお答えがあったのでございますが、これは従来からの一つの形式上そういうようにお述べになるのが多くの例だと思いますが、私は今度の答申は、実行にあたってはこの答申に基づいてやっていただきたい、こう思うのであります。その理由は、この答申の中には、いろいろと政府において考慮したり、諸般の事情を考えるべき余地を存した答申をしておらぬのでございまして、必ずしも、ほかの答申のように趣旨を尊重する程度でありますると、これが非常にあやふやなものになってくると思うのであります。それですから、この答申は基本的なものをお示しになっておるのでございますから、政府のいろいろな諸般の事情を考える余地は存せられておらぬのでありますから、答申そのものについては、この答申に基づいて実施すると、こういうようにお願いいたしたいと思うのであります。御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/109
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110・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 私どももさよういたしたいと考えておりますが、たとえば答申の根本をなします調整規定等の問題にいたしましても、いろいろとこれは今後、諸般の立法措置も要しましょうし、予算措置も要しましょうし、具体的な行政上の非常に重要な手続等が必要となるわけでございます。特に自動的なものでなく、いろいろな条件の具備に従いまして、常に予算上の折衝をなし遂げなければならぬという、まだまだ残された面が非常に多いわけでございますから、これに基づきましていたしますといたしましても、今後われわれは非常な努力をなお続けなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/110
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111・山本茂一郎
○山本茂一郎君 もう一度長官にお尋ねいたしたいのでありますが、問題は違ってまいると思いますが、答申では、日本の現状では恩給受給者にとって恩給そのものは切実な生活上の問題だ、こう書かれておりまして、また緊急に改むべきである、こういうように答申がなっているわけであります。この答申の見解につきまして、政府は御同意でございますか。すなわち、早急に現在の恩給法を改正する必要を感ぜられて、きわめて短期間にこの改正を実行するお考えをお持ちかどうかということについてお尋ねいたしたいと思うのであります。私としましては、現在の恩給がこのあわれな現状の不合理さから考えまして、この答申を得たのは当然であります。したがって、政府は早急に実行に移さるべきものである、こういうように考えるのでありますが、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/111
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112・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 仰せられますとおりに、政府といたしましても、この答申に述べられておるところと全く同意見でございますが、緊急性の問題につきましては、いろいろと客観的な御意見もございますので、順を追うていたさなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/112
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113・山本茂一郎
○山本茂一郎君 この答申の成立に基づきまして、このうちの一部分は制度化される必要があるのじゃないかと思うのでございますが、ことに調整規定のような問題につきましては、制度化する必要があるのじゃなかろうかと、こう考えるのでございますが、この問題についての御意見をお聞かせいた、だきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/113
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114・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 全くそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/114
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115・山本茂一郎
○山本茂一郎君 次に、この答申を現状において実施をいたした場合に、個々に答申が適当だと考えておるという項目を実施した場合に、大体年額概算どのくらいの経費が要るのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/115
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116・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) この答申の中では改善を要するもの、それから、これからある程度調査をする等の一つの準備期間を要するもの等措置をとるものにつきましても、諸種の課題が含まれておりますので、したがって、これについての所要の金額というようなものについては、今後十分な検討を行ない、目下のところでは、まだ予算的にどれくらい必要かということが、政府側でも計数をはじいておりませんので、どうぞ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/116
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117・山本茂一郎
○山本茂一郎君 重ねてお伺いいたしますが、現在の四十三年度予算にあらわれたものの何割ぐらい増になるというお見込みでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/117
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118・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) ただいまもお答え申し上げましたようなことで、この現在の予算は二千三百億の予算でございますが、その何割というふうなことがお答えできればいいのでございますが、申し上げましたような各種の課題を含んでおりますので、概算をするという段階にはまだ至っておりませんことを御了承をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/118
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119・山本茂一郎
○山本茂一郎君 重ねてお伺いいたしますが、概数をお示しいただかないことは、よくわかるような気もいたしますけれども、実際この答申を実行を前提といたします場合に、この金額そのものが大きな一つのデータになることは間違いないと思うのであります。それによって、先ほどのお答えのうちにもありましたように、必ずしも一挙にやるのじゃないような御答弁が出た理由も、そういう金額の多寡から言って私は判断できる一つのものだと、こう考えるのであります。以上のような見地において、何らかの形でお示しはいただけないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/119
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120・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 山本委員の御趣旨、十分私のほうでも事情がわからないわけじゃございませんが、ただいま申しましたようなことで、明瞭にどういうふうな金額が要るかというふうなことについては、それぞれの諸項目にそれなりのある程度の政府側の判断も伴う問題等がございますので、概算として申し上げるということができない段階でございますので、御了承をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/120
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121・山本茂一郎
○山本茂一郎君 それでは、この問題は今後における改正の非常に大きな条件になると考えるのであります。今日まで恩給そのものが非常に不十分ないびつな形になってきた理由もそこに大きなものがあったと、こう考えるのであります。この点につきましては、この答申を契機といたしまして、後ほどもお尋ねいたすつもりでございますが、この答申の出た時期を利用いたしまして、この恩給がある程度合理的な、いびつのないものにするということは非常に必要な、また適切な処置であると考えるのであります。そういう意味において、国家の予算そのものも考慮する必要があるのでありますが、国家予算そのものが最重点の前提として、その残りの部分でやるというのではなくて、恩給そのものの基礎をこの際を契機として改正をするというようなお気持ちで政府関係当局としては御努力をいただきたい、こう考えますが、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/121
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122・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 私どもはさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/122
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123・山本茂一郎
○山本茂一郎君 そういたしますと、先ほど言いましたように、一挙になかなか改正をやれぬとお考えになっておられるような感じを受けるわけでございます。そういたしますと、実際この答申を完全に実施するためには、大体どのくらいの期間を頭に描いておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/123
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124・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) ただいまも申し上げましたようなことで、実はいろいろな内容の問題を答申としていただいておりますので、これはただいま山本先生も十分御承知のようなことで、また、審議会も緊急性云々ということを言っておりますので、われわれは、いろいろなお問題は存しますけれども、やはりできるだけ早期に実現していくということをたてまえとして、この諸問題のありようというものを考えてまいらなければならぬと考えておるのですが、これを何年でということになりますと、なお政府側としてもいろいろな考慮すべき問題等の判断がございますので、何年ということはなかなか申し上げにくい段階でございますので、この点もひとつ御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/124
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125・山本茂一郎
○山本茂一郎君 何年といったことにあるいはひっかかるかと思うのですが、私は、この改正をゆっくりやるのならば、答申は事実上において尊重もされなければ、それに基づいてやられるものでないというような、従来よく行なわれたような骨抜きになるのじゃないかということをおそれるのであります。それゆえに、また、恩給の現状からいいましても、ここに答申にある緊急切実な問題であり、緊急な措置を要するということは、私は非常に大きな意義があると思うのでありまして、これをほかの理由をもって延引、あるいは、ことばは悪うございますが、骨抜きをするようでは、合理的な恩給の基礎を立てるということに私はいかないと思うのであります。もっと触れますというと、調整規定がたとえできたにいたしましても、いわゆる基礎というものが非常な不十分な状態において調整規定は法文でできましても、現実的には生きていけない。永久に不合理なる恩給状態を固定する結果になってしまう、こういうように考えるわけであります。そういう意味において、ここのお考えは、あるいは私と同様に感じておられるかと思いますけれども、ちょっと承りますというと、著しく差がありまして、最もおそれている不合理を永久固定化するというおそれが多分にあると思いますので、ここに緊褌一番思い切ってやっていただきたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/125
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126・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 私どもは恩給制度上、今回の審議会の答申が出ましたことはやっぱり一つのエポックだと思っております。それで、お話のように、この趣旨に従ってできるだけ早い機会にこれを実現したいということで鋭意努力しなければならないと、かように考えておる次第でございます。しかしながら、御案内のとおり、私どもはさように考えておりますけれども、また、他にいろいろ財政的な見地からいろいろな意見もあるわけでございまして、われわれはひとつ先生方の御協力をいただきまして、この審議会の答申を早期に実現したい、こういう熱意のもとに仕事をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/126
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127・山本茂一郎
○山本茂一郎君 それでは次に、実施の順序、この答申にあります項目のうちの実施の順序を大体どういうようにお考えになっているか、承りたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/127
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128・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 恩給審議会の答申におきまして是正を要するとされました事項の処理については、ただいま総務長官からお話もございましたように、財政事情その他国の諸施策との関連もございますので、計画的に行なわなければならないということは、先生の御指摘のとおりでございます。しかしながら、その実施の順序をどうするかにつきましては、審議会の答申におきましても、遺族、傷病者、老齢者等に対する処遇をできるだけ優先的に処理するというふうなことを示されておりますので、そういう趣旨を尊重しながら、これらの計画的実施について慎重に検討をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/128
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129・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/129
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130・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/130
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131・山本茂一郎
○山本茂一郎君 そこで、いま計画的におやりになる、やらなければならぬというお気持ち、また、老年、傷疾者、遺族、こういうものの優遇というものも早くやらなければいかぬ、こういうふうなお気持ちを承りましたが、まことにけっこうなお考えと思うのであります。しかし、もう一つ私、希望を申し上げたいと思うのであります。非常に従来、政府当局において御努力をいただきまして、いろいろこれに対する所見を述べるのはいかがかと思いますけれども、従来の恩給の改正のあとを見ますというと、必ずしもその時代において最も緊急かつ必要であると考えておったものでないところの改正が行なわれまして、基本的な、もっと具体的にいいますというと、金額の多くかかるような案、そういうような事項は改正があとになる、これが現在のいびつな恩給になった最大の原因であると私は思うのであります。そのほか、恩給関係者の種類によりまして、どの顔も同じように立てるというような、いわゆる通俗的ないろいろな好意のある配慮というものが拍車をかけたような結果になったと私は思うのであります。この際は、そうでなくて、基本的な、また最も緊急性があると考えられるものを、順序をつけて計画的に実施をしていただかぬというと、場当たりというような印象を受けるような形というものは絶対に避けなければならぬのではないか、こういうように私は考えるわけであります。これについて御所見を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/131
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132・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) まことに先生の御意見ごもっともな点でございまして、われわれも金額の問題とか、あるいは、ただもう一応全体のそれぞれの関係者に平均的にというふうな考え方に立つよりも、やはり審議会の答申の線にもおのずから緊急の度合いが明らかにされておりますので、先生の御趣旨のとおりに計画的な実施を考えてまいる、かようなことを意図しておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/132
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133・山本茂一郎
○山本茂一郎君 いまのお答えの中で、私は、緊急性という意味の中にいわゆる基本的な問題を含んでおるものと、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/133
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134・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 先生の御指摘のとおり、実は審議会答申の中でも、いわゆる基本的な対策と、それから個々のいろいろな解決策を求める問題というふうにございますが、当然さようなことを含みとして考えていかなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/134
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135・山本茂一郎
○山本茂一郎君 次は、国家予算編成の手続の問題でございますが、これは八十年にわたる恩給予算の一つの慣行がございまして、また、その慣行になったためには、当然しかるべき大きな理由があったことと私は考えるのであります。しかし、今回の答申によりまして、政府がこの答申に基づいて改正をするという御方針のようでございますから、そういたしますれば、当然政府は一般予算、国家予算の編成のあの原則に従いまして、一般の予算の編成のルールに従って改正点の処置をとられるのが至当じゃないか、こう考えます。また、当然お考えになっていることと考えますが、この機会に、このお考えのほどを承っておきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/135
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136・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 恩給の問題解決について根本的な指針ともなる答申を得たわけでございますし、したがって、政府側において考える大筋がある程度示されてまいりましたが、こういう点から考えますと、予算の手続的な点については、本来的な筋にできるだけ乗っていくべきだと考えられますが、やはりこれらの問題は、それぞれ恩給受給者の切実な課題でもございますので、さような点も配慮に入れつつ、今後の手続を進めることになろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/136
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137・山本茂一郎
○山本茂一郎君 この予算編成につきまして、受給者の意図を十分に配慮をしてやるというところのお考えはまことにけっこうだと思うのであります。ただ、私の申し上げたいのは、一般の予算編成のルールに反したような印象を受けておるものでありますから、よく御承知のように、日本の世論そのものが恩給問題については非常な誤解を招いておりまして、いかにも恩給関係者が強引に国家予算をもぎ取っているがごとき誤解を与えておるということが、一方においてはこの恩給改正を困難にし、一方においては恩給受給者をして著しく不満を感ぜしめる。当然いただけるべきものを、まるで国家の金を自分らでもぎ取ってくるような形を世の中に示されたということに対する不満——感謝の気持ちと同時に、そういう気持ちがあるということは事実だと思います。これは私は国家のために非常に情けないといいますか、好ましからざる情勢だと思います。どの方法でも、おのおの害もあればいいところもあると思いますが、いま局長のお答えになりましたように、改正すべき方向が具体的に示されておるわけでございますから、この意味において、可能な範囲においてこの編成のルールに従っておやりになる、こういうことを特に御配慮いただきまして、その間に、ただいまお答えのように、恩給受給者の切実な希望も十分聞いてやる、こういうような両方の配慮を持ちながらやっていただきたい、このことを重ねて申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/137
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138・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) ただいまの先生の御指摘の点、確かに恩給に関係を持つ者としては、その点についてかねがね非常に遺憾だという気持ちを持っております。したがって、今回恩給審議会の答申を得ましたということは、その点についても非常に明るい材料を得た、かように考えられますので、したがって、先生の御懸念の点も、この審議会の答申という、そういう裏打ちを得ることによって今後の問題の処理が非常にしやすいというふうになってまいるのじゃなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/138
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139・山本茂一郎
○山本茂一郎君 次は、調整規定の出発点の問題でございますが、これは伊藤委員からも御質問がございましたが、私は伊藤委員のお尋ねと違う側面からお尋ねをいたしたいと、こう思うのであります。で、今度、調整規定出発のスタートラインといいますか、消費者物価が五%以上というときにおいて立つと、こういうようになっておるわけであります。そのほかの二つの事項として、いわゆる補完事項として、重点が別になっておる、重さが違うんだと、こういうように解釈しておるわけであります。そこでお尋ねいたしたいと思いますのは、今日まで生活水準を基礎にして恩給の仮定俸給のベースアップをやっておいでになられた。ところが、今度、消費者物価を基礎にしてやる。三本の柱ではありますけれども、最重点を消費者物価に置いておるように、私は答申の内容から解釈できるのでありますが、この調整の出発の重点を生活水準から物価に移された理由は、ほんとうはどこにあるのでございますか。今後における恩給の性格が変わったというものでありますか、そのほかの理由であるのでありますか。この基礎的なものの変化という理由を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/139
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140・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 恩給審議会がこの調整規定である二条ノ二をどのように運用すべきであろうかという点について諸種の検討を続けられたわけでございます。で、そういう中で考えられてまいりましたのは、いわゆる恩給受給者の生活という問題を考えてまいりますと、消費者物価が著しく変動していくという場合の恩給受給者に与える影響というものを基本的に考えていかなきゃならない、これがいわゆる生活を維持していくための基本線として考えられる、こういうところがら、消費者物価に著しい変動、つまり、これを五%という明確な数字を出されたわけでありますが、そういう変動がありました場合にそれを考えるということが不可欠の要素であると考えられる。で、そういう点から一つの恩給調整についての考え方を打ち出されたわけでございます。ところが、二条ノ二には、これのほかに公務員給与もございます。国民の生活水準もございます。「其ノ他ノ諸事情」とございますので、そこで、いろいろな考えが出された中で、やはりいまのような生活維持分というものを基本的な要件として考えよう、こういうことに相なりましたので、旧来政府側がとってまいりました消費水準方式も一つの方式ではございますが、しかし、いま申しました不可欠の要素として、恩給の実質的価値の維持をはかっていくためのいわゆる限界となるものは消費者物価であろう、こういうことでお取り上げになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/140
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141・山本茂一郎
○山本茂一郎君 重ねてお伺いしますが、消費者物価を基礎にしてやるということは、現在の恩給がいわゆる貨幣価値を保持するために必要である。さらに、それからいきますというと、これは生活の資であって小づかい銭ではないんだと、生活の基礎のものだと、こういう切実な問題であるというところに重点を置かれた、こういう意味だと思いますが、そうしますと、いままでの過去のことは申しませんが、生活水準の向上というものが恩給になるというと、これはある意味において生活の潤いというものを考慮した一つの政策であったと思うのであります。ところが、これが今度は非常に生活と直結をした、生活、生きるために必要なものであると、こういう前提になってきますと、少し印象においては、趣旨はよくわかりますが、ある意味においては、生きておればいいだけの恩給だと、こういうような形にならざるを得ないと思う。そういうように恩給の性格が変わったんじゃないかという印象があると思うのであります。この「不可欠」という意味の解釈で、これはいろいろな意味のとり方はあると思いますけれども、ほかの二項目、先ほどおっしゃいました生活水準の問題、公務員の給与というものは補完的要素であるということをはっきりさした以上は、私のような疑問が出てくると思うのであります。ここに重ねて、将来恩給の改善のための基礎になる考え方でございますが、もう一度質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/141
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142・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 審議会の取り上げられた考え方は、消費者物価というものが非常に恩給の実質価値を低下させていくという現実の事態に目をつけられまして、そこから不可欠の要件というような考え方をお出しになったわけでございますが、ただいま御指摘の、いわゆる公務員給与というものと国民の生活水準というものを考えないと申しているのではなくて、それを考える考え方は、政府側においてこれをどういうふうに考えていくかということについて配慮をしてまいるという前提がございます。それがいま先生御指摘の、生活の潤いと言われる、いわゆる生活水準そのものが、公務員である人が退職した場合の恩給でございますので、そこで、公務員給与というものをひとまずこういった消費者物価の、いわゆるそれだけで満たし切れない面について考えてまいる。しかし、国民の生活水準も考える余地が出てくる場合があると考えられますので、そういう場合には、国民の生活水準というふうに、やや三段がまえの方式で答申が出ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/142
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143・山本茂一郎
○山本茂一郎君 そこでお尋ねいたしたいのでございますが、消費者物価を基礎にしてやる、こういう場合に、現在の支給しておる恩給金額をどこを発起点として計算をするのか、この問題。私は、消費者物価というならば、日本の統計のことはよくわかりませんが、昭和十年ないし十一年の消費者物価というものを基礎にして私は計算すべきものであると思うのであります。従来ややもするというと、昭和二十六年を基礎にするというような意見でございますが、これは公務員の給与と一緒にやっていくという場合においては、二十六年というのが一つの基準になると思うのですが、消費者物価というものは、私はやはり昭和十年ないし十一年ごろを基礎にすべきものであると。しかし、先ほど言いましたように、私はそういうほうの専門的な知識はございませんが、政府はこの基礎をいつにとってやろうと、こうお考えになっておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/143
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144・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) ただいまの件は経過措置の問題かと存じますが、この点につきましては、調整規定が発動する場合には、当然出発点において、一つの旧来の公務員給与と恩給との格差がある、それを埋めておくということが、やはり調整規定発動の前提上非常に重要なことである、こういう判断のもとに経過措置を掲げられておるわけでございますが、その判断のしかたとして、そこに答申として出ておりますのが、昭和四十二年十月一日改定前の仮定俸給と国家公務員の給与とのいわゆる水準差というものを考えることによってこの穴埋めを考えていこう、こういう趣旨がございますので、したがって、いわゆるこの調整規定のあらわし方というもの、これを具体的に運用することにつきましては、いま先生御指摘のような昭和十年あるいは十一年ごろを基準とすべきじゃないかというような御趣旨の発想もございましょうかと思いますが、しかし、消費者物価の変動をいつの時点で基準的に考えていくかという問題は、調整基準を適用するにあたってのいわゆる基本的な問題ともなるものでございますので、この答申の趣旨必ずしも明確にはされておりませんが、この調整規定そのものの本来的なあり方とにらみ合わして、今後慎重に検討をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/144
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145・山本茂一郎
○山本茂一郎君 それでは、その点に入りましたので、引き続いてその問題についてお伺いいたしたいと、こう思うのでありますが、四十二年の八月の三十一日を基礎にすると、こういうことでありますが、それは私の言っておるいまの基準というものとは違うのでありまして、しかし、それは議論をやめますが、そのときの状態において、あの三つの柱、いわゆる物価、公務員の給与の問題、それから生活水準の問題、どの線をとっても、四十二年八月の末における軍人恩給というものは完全なものになっておらぬことは言うまでもないと思うのであります。その完全でないものを、どこを基礎にして、これを不完全であるか、完全であるかという判断をするかという、その私は基礎を聞いているわけでありますが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/145
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146・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 軍人恩給の問題をお出しいただいたわけでございますが、いろいろな恩給の種類によりまして、たとえば軍人恩給については仮定俸給線、それから公務員、一般文官につきましては退職時俸給というようなことで、制度的にいろいろな制度で成り立っておりますので、そこに、たとえば調整規定を発動する場合には、一応いわゆる恩給の今後のあり方といたしましては、恩給全体の水準というものを考えてまいるということで、したがって、審議会答申にも実は、調整規定の運用は一律的に考えていくのが筋である、こういう示し方をいたしておりますので、そういう点を含みとしながらいろいろな問題の検討を続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/146
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147・山本茂一郎
○山本茂一郎君 この問題で、違う面からちょっとお尋ねしたいと思うんですが、これはただいま御答弁の中にも述べられておるのでありますが、各種の恩給を通じてその間の仮定俸給というものを統一しようというお考えでございますか。また、仮定俸給のほかに、軍人恩給のごとく、号俸において非常な差がある、いわゆる格づけにおいて非常な差がある、そういうものを修正をして、そうしてやるというような形でございましょうか。それとも、公務員との給与の関係の比率をとる、こういうような、大ざっぱに言って三つぐらい——もっとありますか、そういうような、どれを基礎にしておやりになろうと、こういう考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/147
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148・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 恩給の調整規定運用の前提となる経過措置としてどのような方策をとるかということは、かなりなお今後検討を要すべき問題を含んでおるわけでございますが、審議会答申は、御承知のように、年齢別のいわゆる仮定俸給方式をとるということには賛意を表しておらないわけでございます。したがって、仮定俸給上の格差是正という問題はその意味においてはこの経過措置の課題にはならないかと考えます。また、いわゆる文官、軍人との格づけ是正、これも実は経過措置の中の問題ではないかと考えられるわけであります。したがって、経過措置として出てまいりますのは、いわゆる二条ノ二を前提として現在受けておる仮定俸給間の格差是正、こういうふうな形で考えていくのが筋ではないかと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/148
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149・山本茂一郎
○山本茂一郎君 こまかいことで恐縮でございますが、二番目にお答えになりました号俸格づけの問題がないかという、ことばのアクセントのつけ方によってどっちにもとれるわけでありますが、どっちです。格づけは含まないのですか、含むのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/149
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150・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 実は文官、軍人等の格づけ是正につきましては、別の項目として実は審議会答申をいたしております。したがって、その問題はその中で解決をしてまいる。是正措置はしたがって最後に申し上げた問題の処理方法としてとられることに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/150
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151・山本茂一郎
○山本茂一郎君 次に、その問題と関連をいたすのでありますが、答申の中には「ある程度」と書いてあるわけです。この是正につきまして、この「ある程度」の問題でございますが、これは私はスタートラインでございますから絶対に正しいものでなければならない。「ある程度」というようなあやふやなものではいけないと思うのであります。従来、現行の恩給法において非常な差ができてきましたのは、このスタートラインにおいて差ができておるからであります。それを何割何割と、こうやってきますというと、わずかな差が終わりになるというと非常な大きな差になって、収拾すべからざるものになったのが現在の恩給制度だと私は思うのであります。このスタートラインを一緒にそろえるということのむずかしさは私はよくわかりますけれども、絶対に正しいものでなくて、いいかげんに「ある程度」なんというものの考え方でやられますというと、同じ間違いを再びやるのじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/151
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152・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 確かに先生の御指摘のように、われわれも、恩給審議会の答申として、「ある程度」というふうなあいまいな表現じゃなしに、明確にどれをどういうふうにというふうに明示してもらったほうがはるかに措置がしやすいわけでございますけれども、しかし、審議会としては、経過措置としてとらるべき方策というものはいろいろな考え方が出てくるであろう。したがって、政府側においてこれは恩給受給者の実態も十分わかっておるはずだから、その立場から十分な措置が考えられるようにということで、実は表現形式としては比較的あいまいな規定に相なっておりますが、そういうふうな趣旨がこの中に含まれていると、さように理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/152
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153・山本茂一郎
○山本茂一郎君 それでは、事務当局とされましては、私の希望するように、正しい合理的な線で出発をしていただける、こういうように理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/153
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154・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 事務当局側の答えを求められておるわけでございますが、政府側として、十分にこれらの点についての将来の恩給受給者のあり方という点から考えまして方針をきめてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/154
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155・山本茂一郎
○山本茂一郎君 ただいま、現行といいますか、今日までの恩給では、老齢者、傷痍軍人、遺族、これの優遇を仮定俸給でやっておったわけであります。そのほかもありましょうが、主として仮定俸給の差によって実施しておったわけであります。ところが、今度はこの答申におきましては、「各種の恩給受給者を区別することなく、一律に実施する」、こういうように示されておるわけであります。それからまた、その終わりのところに、調整の基準の適用と優遇、これは別問題と考えるのが適当である、こういうようになっておるわけであります。私は、この答申の考え方は非常にいい考えだと、こう思うのでありますが、お尋ねいたしたいのは、この答申の線に沿いまして、今後における恩給法において、遺族でありますとか傷痍軍人、老齢者をいかなる方法によって優遇せんとするか、そのことをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/155
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156・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) ただいま御指摘ございましたように、審議会答申は、調整規定そのものは一律適用ということが望ましい。これを、ただいま実施しておりますような、たとえば年齢別の仮定俸給というふうな形は好ましくないのだ、調整が非常にしにくくなるというような点から出ているんだと思います。その点は恩給審議会の指摘がかなり的を射ていると思われますので、そこで、この点については、確かに調整規定を運用していくときには、このような方式をとるといたしますならば、一面、遺族とかあるいは傷病者というふうな場合には、御承知のように、公務死亡については倍率、傷病恩給については間差というふうな措置がございますので、そういった旧来の扱い、さらには、この審議会の答申で、これらの点についても、措置すべき点について若干の答申が出ておりますので、そういうふうな点を配慮しながらこの答申実施をはかる、かようなことが今後の方向ではなかろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/156
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157・山本茂一郎
○山本茂一郎君 いまの中で、御遺族と傷痍軍人については、あるヒントを得たわけでありますが、老齢者の優遇については、ちょっとわかりにくいのであります。もちろん、まだ決定的な発表をされるような御意見は承り得ないかと思いますけれども、一つの例示として、問題を老齢者に限定をいたしまして、いかなる方法によって優遇というものを実行されるか。あわせて、先ほどの仮定俸給というもののあれを一本にするという前提において、どういうような方法があるのだろうか、御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/157
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158・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 老齢者優遇につきましては、旧来は実は恩給額の改善ということで、これはるる私たち御説明申し上げてまいりましたのは、恩給そのものは確かに退職時俸給を基礎とするのではあるけれども、しかし、恩給そのものを考えるときには、明らかに近代的な社会政策的な配慮も必要であろう、こういうところから、老齢者優遇の措置を考えてまいったわけでありますが、答申の趣旨の中にも、さような措置については、それなりに考え方は適切であるということが示されておりますので、今後、恩給法全体のワクの中でどのように措置をしてまいりますか、さらに検討を続けてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/158
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159・山本茂一郎
○山本茂一郎君 いずれにしても、そうすると、新しい何らかの制度といいますか、方法をここに出される、こういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/159
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160・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 新しくいたしますかという御質問でございますが、ただいま申し上げましたように、審議会答申は、老齢者とか遺族優遇、あるいは傷病者優遇という線が出ておりますので、さような点を旧来の制度の中でも生かし切れないわけではないと思いますので、そういうふうな旧来の制度の検討の中でどういうふうに処置してまいるのが妥当であるか、かような点について検討をしてまいるというお答えを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/160
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161・山本茂一郎
○山本茂一郎君 それでは今度は、次の別の問題についてお伺いいたしたい、こう思います。それは、答申によりますと、現行の恩給法というものが、終戦前の恩給法とは違った新たなものであるかどうか、こういう問題について、旧軍人に関する限り、従来から問題があったわけであります。今度の御答申の中にも、「新たな」、こう書いてありまして、現行の恩給法は戦争前のものとは違うのだというような議論を展開されておるわけであります。この問題につきましては、従来たびたびここでも議論になった点でございますが、この点について、少し時間をとりますが、お許しを得て、簡単にもう一度所見を申し上げたい、こう思うのであります。
そこで、今度の恩給審議会に対する総理大臣の趣旨の中に、現行恩給制度のあり方について、総合的な見地から根本的な再検討を必要とする時期に入ったものと痛感いたします、こういうような文句があるわけであります。それから新居会長が衆議院の内閣委員会において説明された中に、旧法との関係につきまして、旧法にこだわらず、もっともなものは生かす、この際不合理と思われるものは切るという方針である、こういうふうに御説明になっているわけであります。答申の中には、戦後に生じた主要な恩給問題について、その基本的な考えとして明らかにしておるところのうちに、(2)において、「恩給法特例審議会の建議に基づき法律第百五十五号をもって新たな制度として発足した。」、こう述べておるわけであります。そうして、この答申の中で、現在において最も適切と考えられる解決方法を打ち出すようにつとめた、こういうふうに言っておるわけであります。
そこで問題になるわけですが、この新たなる恩給法という現行法は戦争前の恩給法とは違うのだという前提でありますが、これは昨年か何かに、ここで私は述べたと思うのでございますが、法的には新たなるものでないという証明がつくと私は考えておるわけです。それはここでは述べません。ただ、旧軍人に関する限り、旧恩給法において示された恩給受給の資格条件というものは、すでに全部国家に対して果たし終わっておる、こういう前提であります。ところが、現行の恩給法では、戦前の恩給法の資格条件は全部御破算になっておるのだ、終戦後において。二十八年でございますか、ここに新しくできたということになりますと、恩給権というものは旧軍人に関する限り基本的に間違いである、ないのだという破壊的な意見だと私は思うのであります。ここに書いてある「新たなる恩給法」という字句は、いかなる理由であるかわかりませんが、そういう意味におきまして、旧法において軍人がこの資格を失うための消滅する条件というものは法律的に規定をされておる。それ以外に国家がこれをかってに破棄するということは、終戦後においてでも、また、恩給という一つの行き方の精神から考えて至当かどうかということには、非常に私は大きな問題があると思うのであります。また、一方において、恩給というものは既得権思想が前提でありまして、既得権を全部無視した法律というものは、私はあまりはっきりは言いませんが、恩給法ではそういう意見は基本的に採用さるべき問題ではないと思うのであります。私はその意味において、恩給法は既得権のものであって、それを無視した法律の運用というものは私は存在していないと思うのです。しかし、私は決して戦前の恩給に返ったからりっぱな恩給だとは毛頭申しておりません。この審議会の答申にありますように、時代が変わり経済状態が変わり、そのほかの国家の諸制度が画期的な変換をした以上、恩給法が変わるのは当然だと思いますけれども、しかし、戦前において国家に勤務したというもので、その条件を満たすものに恩給をやるということは無視し得ない条件だと思うのであります。そういうことは答申を全部見ますというと、それは否定はしておられませんが、ここに、新たなる恩給を終戦後においてつくったということをわざわざお書きになっておるというところに私は不安があるものですから、ここに重ねてお尋ねをいたします。この点ひとつ御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/161
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162・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) ただいま、いわゆる恩給、なかんずく軍人恩給についての議論でございますが、いわゆる恩給審議会の答申では、軍人恩給は新たなる制度として発足したというようなことが記されておりますので、おそらく山本先生としては、これについての御懸念をお持ちになったのだろうと思われます。旧来ともこの点についてはいろいろ議論の存したところでございまして、いま先生のおっしゃるように、恩給が既得権思想で問題を考えておるのではないだろうか。この点については、文官恩給については、この点は疑いをいれる余地は非常に少ないわけですが、軍人恩給につきましては、御承知のような経緯をとっておりますだけに、先生の御指摘のような問題点が出てまいるわけであります。恩給審議会がこういう表現をしました意味は、旧軍人の恩給権は法律的には昭和二十一年に廃止され、昭和二十八年の法律第百五十五号によって新たな権利を取得するという形で認められたということをさしておるであろうと考えられますが、この点は、政府の見解はもともときまった態度で理解されておりますし、また、裁判所の判決におきましても、一応確定的にこういうものであるという考え方が打ち出されております。その内容は、もちろん戦前あった軍人を対象とした恩給制度が、戦後法律によって再び認められたという、制度復活の意味でございますならば、軍人恩給は旧法の復活とも言えるでありましょうが、法律上の解釈としては、これまでの私たちの述べておりますような点が一応の考え方としてなされている点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/162
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163・山本茂一郎
○山本茂一郎君 もう一度伺いたいのです。そうしますと、軍人恩給の基礎というものは、恩給権をもらっておる基礎というものはお認めになるのでありますか、お認めにならないのでありますか、どっちですか、法律的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/163
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164・矢倉一郎
○政府委員(矢倉一郎君) 結果的には、恩給審議会の答申がややそういう問題を生みそうな表現をいたしておりますが、政府側の考え方としては、旧来と変わらないということを申し上げておきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/164
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165・山本茂一郎
○山本茂一郎君 長官にお尋ねいたしたいと思います。最後のお尋ねをいたしたいと、こう思っております。今度の恩給審議会の答申をそのまま実行されました場合においても、私はそれでもまだ今後に恩給にいろいろ将来改正をしなきゃならぬ問題があるんだと、こう考えるのであります。それはいまなくても、新しく生ずるものもありましょうし、また、恩給審議会の答申において適当でないと御意見をおつけになった事項についても、今後の時勢の進展によりましては、その中でまた実行しなきゃならぬような問題も出てくるのじゃないか。極端に言いますと、はっきり言いますというと、恩給審議会の答申は恩給問題のすべてではないと、こういうふうに私は考える。また、これは当然だと思う。そういう意味において、この恩給審議会の答申を当面実行するということに、初め申したように、最大の御考慮をもって実行していただくということは、もとより希望するところでございますが、その他の問題につきましても、政府としては引き続いて検討を加えていただく必要があるのじゃなかろうか、こういうように考えるのであります。この点について、長官の御意見をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/165
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166・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 恩給でございますとか、扶助料でございますとか、こういうようなものの本質から申しまして、公務員として生涯を奉仕されました方々に対しまする国としての一つの制度であり恩恵であると考えますが、未処遇者の方々がなおいろいろと時代の進展に従いましてまだまだ残っているとも存ずる次第でございます。こういうふうな今回の恩給審議会の対象に漏れました方もあるのではないか、また、漏れました項目もあるのではないか、いろいろと考えられる次第でありますが、できるだけたくさんの方々がこういうふうな制度のあれに均てんいたしますように、今後もわれわれは努力を続けてまいらなくちゃならない、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814889X01519680507/166
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167・井川伊平
○委員長(井川伊平君) 本案につきましては、本日はこの程度にいたします。
これにて散会いたします。
午後三時五十五分散会
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