1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十六日(火曜日)
午前十時三十分開会
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委員の異動
四月十三日
辞任 補欠選任
平島 敏夫君 野知 浩之君
林田 正治君 小林 篤一君
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出席者は左のとおり。
委員長 和田 鶴一君
理 事
高橋雄之助君
任田 新治君
川村 清一君
中村 波男君
宮崎 正義君
委 員
青田源太郎君
櫻井 志郎君
田村 賢作君
温水 三郎君
野知 浩之君
堀本 宜実君
森 八三一君
山崎 斉君
武内 五郎君
達田 龍彦君
鶴園 哲夫君
村田 秀三君
国務大臣
農林大臣 西村 直己君
政府委員
林野庁長官 片山 正英君
事務局側
常任委員会専門 宮出 秀雄君
員
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本日の会議に付した案件
○森林法の一部を改正する法律案(第五十五回国
会内閣提出、第五十八回国会衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/0
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001・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
森林法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/1
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002・山崎斉
○山崎斉君 森林の開発問題とか、造林事業等の林政の基本になる関係もございますので、まず第一に、木材需給の問題についてお伺いしたいと思うのでございます。
その第一点は、木材の需要というものを考えました場合に、木材を製材とか合板、枕木、電柱というふうに、物理的に使用する用途がございますし、また木炭とかパルプというふうな方面に化学的——ケミカルに使用する用途のものがあるように思うのでございます。このうちで物理的な用途に使われる木材、これを一般用材と総括して言いますと、一般用材の需要というものが量的にも圧倒的に多くて、しかも、これに使うものは所定の長さ、大きさ等その形質に一定の要件が必要なのでございます。逆にケミカルな用途に使われますものは、一般用材には使えないような形質のもの、また一般用材の加工段階に生まれます廃材というようなものから向けられるものがその大部分で現在ある状態でございます。しかも、パルプ関係、ケミカルな用途としましては、今後ともそういうふうな一般用材に使えないようなものをさらに大量に使っていくという方向に進むように思われるのでございます。また、これから資源計画の中枢を占めます造林というような問題を考えました場合にも、その基本をなします需給の対象は、一般用材に限られると言っても過言ではないのでありますので、いままでのような需給の計画というもの、これらの両方の用途を一括するということでなしに、わかりやすいように一般用材とケミカルな用材というようなものに二つに分けてこれから考えていくということが適当であるまいかと思うのでございます。この点につきましてひとつお考えを伺いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/2
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003・片山正英
○政府委員(片山正英君) ただいま御指摘の用材全体でなしに、物理的利用の用材と化学的利用の用材と分けてという御質問の趣旨だと思います。結論から申しますと、そのとおりにわれわれも思いますし、そのような方向で検討してまいりたいと思います。過去の姿をちょっと参考まで考えてみますと、従来、用材というものを一括いたしまして、先ほど申しました物理的、化学的のものを一括して用材というふうに表現して需給を立てておったのでございますが、御承知のようにパルプ用材が非常に増加してまいりますとともに、そのパルプ用材に使います木材の内容が非常に変わってきております。試みに三十五年を主体といたしますと、いわゆる非常に不良な広葉樹あるいは残材、廃材いわゆるチップ、そういうものを含めますと、それらが三十五年においては五一%程度使われておりまして、それであとは用材の少し悪いもの、用材的なものが四九%くらい使われておったわけでございます。しかし、だんだんパルプ需要が増加しますとともに、その木材の内容が、パルプ材のいわゆる悪い材料が非常に使われてきた、パルプに向かないような材料が非常に使われているというような傾向が逐次あらわれまして、四十一年におきましては七六%が大体不良材、残材、そういうものが使われまして、わが国の二四%程度が用材の比較的悪いものが使われるというふうに変わってまいっております。したがいまして、そういう姿は今後どんどん進みまして、パルプ材というものはほとんど廃材とか、そういうものが大体向けられるというふうになろうかと思います。したがいまして、今後の木材需給を考える場合には、そういう性格のものと、ほんとうに物理的ないわゆる形状を持った木材の姿を持った使われ方をするものと分けてやはり考えていくというほうが需給を的確に推進する上においては必要じゃないかというふうに思います。したがいまして、いま御指摘のような形で今後検討いたしまして、そういう形で分けてまいりたいというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/3
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004・山崎斉
○山崎斉君 次は、先ほどお話がございました一般用材についてお伺いしたいのでございます。
林業白書、年次報告でございますが、これによりますと、昭和四十一年の一般用材の需要量は六千五十万立方メートルになっております。三十五年以降の統計を見ましても、毎年の平均の需要の増加量は二百三十六万立方メートルというふうに非常に大量になっておるのでございます。また、最近技術庁が発表しました四十二年度の需要量は六千五百六十万立方メートル、四十一年に比べて五百万立方メートルも一年間にふえたというふうに非常な増加を見せておるのでございます。これを林業基本法に基づきまして昭和四十一年四月に閣議決定を見て公表されました「森林資源に関する基本計画」並びに「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」、これと対比して考えてみますと、この「長期見通し」によりますと、昭和五十年の需要見込みが六千六百八十万立方メートルでございまして、先ほどの昭和四十二年の需要量が六千五百六十万立方メートルというような点と比べてみましてほとんど一緒であるというふうに思うのでございます。で、林業白書によります年平均の需要量というもの二百三、四十万立方メートルにも達しておるということ、また、林野庁発表の四十二年度のいまの需要量から考えましても、「長期見通し」の需要量というものは、非常に過少じゃなかろうかというふうに思われるのでございます。またこの「長期見通し」によりますと、昭和五十年に木材の輸入期待量は二千九百四十万立方メートルとなっておりますが、さらには一般用材のほかにパルプもおそらく含んでいるように思うのでございます。
で、輸入等を見ましても、林業白書によりますと、外材の輸入量というものは年々増加しまして、昭和四十一年度は一般用材が二千百八十六万立方、パルプ用材が三百十八万立方、合計二千五百四万立方となり、林野庁の最近の発表によりますと、昭和四十二年度の実績見込みでは一般用材が二千八百七十五万立方メートル、国内需要量の四四%、パルプ用材は四百六万立方メートル、合わせて三千二百八十一万立方メートルと発表されておりまして、「長期見通し」の昭和五十年におきます輸入期待量よりもはるかにオーバーしているという状態でございます。これが昭和四十三年度になりますと、さらにふえるものと思うのでございまするが、こういうような点から考えましても、やはり先ほどの「長期見通し」というものの再検討の必要があるように思うのでございます。
さらに林業白書によりますと、国内生産の動向を見ますと、針葉樹の生産は昭和三十五年以降年々減少し、広葉樹の生産は逆に増加しておりますが、しかし、この両者をあわせて考えましてもトータルはほとんど動いてない停滞の様子でございますし、さらに先ほどお話がございましたように、広葉樹の生産量の中にはパルプにしか向かないようなものも大量に含まれておるというふうに思うのでございます。こういうような点から考えてみましても、今後当分の間、増大します需要というものは、そのほとんど全部を外材の輸入でまかなわなければならないような状態と思うのでございます。林材業界の大部分の方々は、おそらく近いうちに一般用材では半分以上かないし六割近くまでを外材に依存せざるを得ないんじゃなかろうかというふうに考えておる人が圧倒的に多い状態でございます。
こういうような状態を前提にいたしまして、林野庁としては、先ほどの「需要及び供給に関する長期見通し」を再検討する意思があるかどうか、また外材の国内需給に占めるウエートが今後ますます増加して五〇%をこすような事態になるというようなことを考えられておるかどうか。さらにはこれからの国内材の生産の動向はどういうようになっていくのか、こういう点について御説明をいただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/4
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005・片山正英
○政府委員(片山正英君) まず第一点の「長期見通し」の改定をするのかしないのかというお話でございます。
御承知のように、「重要な林産物の需要及び供給に関する長期見通し」というものは、四十一年の四月一日に閣議の決定をみたわけでございます。内容といたしましては、四十年度をベースにしまして五十カ年先、したがいまして、昭和九十年までの姿を想定したものがこの「需給の見通し」でございます。したがいまして、非常に長い期間を想定いたしたわけでございますので、二年たって若干趣が確かに変わってきております。したがいまして、そのような意味からは検討せざるを得ないというふうには思いますけれども、一応非常に長い期間の想定でございますので、いわゆる現在の経済の基調が変わったんだろうとか、あるいはその基調というものは変わらないが、当面、この一、二年の段階が少し従来の想定と違っておるのだろうとかという基本的な問題が、なお検討すべき余地はあろうと思います。しかしながら、御承知のように、最近の輸入材の増大というようなことは、われわれが長期に見通したときよりは非常に違ってきておるという実態もございます。したがいまして、この段階におきまして「長期見通し」は検討してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
「長期見通し」は、御承知のように中期経済計画という経済企画庁のそのものをもとにいたしまして策定したわけでございます。端的に申しますと、国民総生産の伸びを中期経済計画に合わしてやったわけでございます。したがいまして、具体的に申しますと、三十九年から四十三年は八・一%、四十四年から五十年では七%、五十一年から六十年までは六%、六十一年から七十年までは五%、七十一年から八十年までは三%という国民総生産の伸びを前提としてつくったわけでございます。しかしながら、最近の情勢を見ますと、四十年から四十一年、これは名目でございますが、一八・二%も伸びておると、それから四十一年から四十二年におきましては一六・四%も伸びておるというふうに、われわれの想定したよりは著しく違っておるわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、長期を見た場合にはたしてどうか、いまの趨勢がそのまま続くかという点は、なお相当検討しなくちゃならないと思いますけれども、当面の姿としては相当乖離した姿でございますので、この段階でやはり検討してまいりたいというふうに思うわけでございます。
それから第二点の外材のウエートが非常に大きくなって、五〇%以上にもなるのじゃないか、その対策はどうだろうかという御質問でございます。
それにつきましては、「長期見通し」におきましては、一番の自給率が低下する年度を五十年に見ておりますが、そのときの外材の依存率は二九%になります。国内材はいわゆる七一%ぐらいの自給率、これが一番外材に依存する年度であろう。量的に見ますと、昭和六十年が外材が一番入ってくる時代であろう。自給率は高まりますけれども、量的に入ってくるであろう、そのときには三千万立方メートルというふうに想定いたすわけでございますが、先ほど申しました経済の伸びの見方の相違によって外材が非常に入ってきております。そのような意味から今後五カ年ぐらいを一応想定して考えますと、外材の依存率という姿におきましては約四割ほど外材に依存せざるを得ない、昭和四十七年、今後五カ年の姿で四割を依存しなければならないだろうというふうに想定いたしております。そのような形に想定いたしました姿といたしましては全国森林計画というものを立てております。それが守られて、それが達成されていくという前提ではじきますと、以上のようなことでございます。
しかしながら、それがそのようにならずに、いままでのような形で万一推移するというふうに想定いたしますと、自給率は先ほどの六〇%が五三%ぐらいに落ちるのではないか。したがって外材も四七%ぐらいになるのじゃないだろうかというふうに想定いたしております。しかし、われわれといたしましては極力国内の開発に向けて計画どおりのものを達成していきたいという姿でひとつ努力してまいりたい、こう思うわけであります。
それから最後に、国内生産の動向はどうかというふうな御質問でございますが、われわれの努力といたしましては、国内生産を今後五カ年——現在国内生産は五千六百六十万というのが四十一年度の国内生産の総量でございますが、それを六千三百三十万まで持っていきたいということで対処しております。その場合に先ほど申しました自給率が六〇%でございます。しかし、その間努力がもしできない、いままでどおりの横ばいでいくと仮定しますと、先ほど申しました自給率が五三%に落ちるということでございます。極力国内の生産体制を整えまして計画どおりに達成していくように努力してまいりたい。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/5
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006・山崎斉
○山崎斉君 いまお話のように、これからの国内生産の動向がどうなるか、また需要がどうなるかという点には多くの問題ももちろんあるように思うのでございます。しかし、まあ何と言ってもこれをさらに量的に大きく外材に依存せざるを得ない、外材の輸入量というものがさらにふえるということはいなめない事実のように思うのでございます。そういうような点から考えますと、現在日本に入っております外材、この大部分は南洋材であり、また米材であり、ソ連材であるわけであります。これらの今後の輸入というものが、どういうふうに動いていくだろうか、そういうふうな面の見通しをお聞かせいただきたいと思うのでございます。さらには現在におきましても外材輸入面の一番大きい隘路となっております点は港湾施設の不足の問題であると思っておるのでございます。阪神、京浜というふうな港におきましてはもう常時滞船の状態であるということでございます。港湾整備の新しい五カ年計画が四十三年度から始まるわけでございますので、その新しい港湾整備の五カ年計画に木材関係の施設というものがどういうふうに織り込まれるかという点、さらには、また四十二年度をもって終わりました前の港湾整備五カ年計画の中で木材関係の施設がどういうふうに計画されており、それがどういうふうに実行されたかという点についての御説明をいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/6
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007・片山正英
○政府委員(片山正英君) まず第一点の南洋材、米材、ソ連材等の輸入材をどういうふうに見ておるかと、こういう御質問でございます。昭和四十七年、いわゆる五カ年先までを一応想定いたしておるわけでございますが、現在は御承知のように、四十一年は二千五百十万立方、したがいまして、需要に対しまして三二・六%が外材の占める率でございます。それを四十七年におきましては四千二百四十万立方ぐらいに伸びるであろうというふうに見通しを持っております。その場合の外材依存は約四〇%になるわけでございます。
ただ問題は、先ほどの南洋材、米材、ソ連材それぞれ趣を異にしておるわけでございますが、米材におきましては御承知のように、日本向けの素材につきまして米国側として制約するような姿がございます。製材で持っていってほしいというような姿がございます。丸太につきましては、したがいまして今年度ベースぐらいは確保する、しかしそれ以上増加する分についてはなかなかむずかしい、製材で持っていってもらいたいという動きがございます。したがいまして、丸太、製材という形の相違は若干出てくるかと思いますが、量的には増加してまいるというふうに考えております。
なおまた南洋材につきましても、これまたちょっと同じような性格がございます。御承知のように、フィリピンにおきまして丸太輸出というものを極力押えて製品輸出にもっていきたいという政府当局の方針がございます。したがいまして、それは同じような方向がございますが、日本が輸入しておる南洋材の六割がフィリピン材でございますが、その四割はマレーシア等のほかから輸入しておるわけでございます。わが国といたしましても南洋材の必要性が非常にございます。ほかの地域に転換しながら確保してまいりたいという方針でございます。
ソ連材につきましては、これは資源的にも非常に膨大でございます。問題は、ソ連側における港その他の荷役の点でございます。これまたある程度の増加を期待しておりますが、計画の四万二千というものにつきましてはおおむね見通しがあるのではないかというふうに一応判断いたしております。
そこで、運輸省の港湾計画との関係でございますが、おおむね運輸省におきましてもそのような数字の中で港湾の整備をしていただくことになっております。そういう姿を運輸省としても計画されておりまして、四十三年を初年度とする五カ年におきまして、聞くところによりますと一兆三百億円ということで整備をされるやに伺っております。そのような形で推進されるように伺っておる次第でございます。ただ現在の港湾の状況につきましては、御承知のように相当無理した形で輸入されております。普通、大体港湾として能力のある荷役その他、あるいは港湾の能力と比較いたしますと、たとえば清水あたりにおきましては倍ぐらいの荷役をいたしておる、あるいは荷おろしをしておる。その結果、非常に無理な土場積みをするというようなことにおいて非常にかかり増しをするというようなことが現実にあるようでございますが、運輸省の五カ年の整備の暁におきましては円滑な輸入ができるというふうに期待しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/7
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008・山崎斉
○山崎斉君 港の問題につきましてはほんとうに外材輸入の一番の隘路という状態でございますので、運輸省等とも十分ひとつ御連絡をとって木材関係の港湾整備ということに特段の御努力をお願いしたいと思うのでございます。
次は、パルプ用材についての問題でございますが、先ほど長官から説明されましたとおり、最近は外国からもちろん入ってくるわけでございますので、国内におきましてはチップあるいは広葉樹の丸太にしても製材に向かないようなもの、そういうようなものが中心になって供給されておるようでありまして、そういうものがパルプの原材料の八割をこすような状態に実はなってきておるのでございます。パルプ用の原材料としては立木から一般用材の丸太を生産した残りの末木とか枝、あるいは原料丸太から製材のときにできる廃材及び広葉樹で製材その他一般用材とならないいわゆる雑木林から出るもの、こういうものが主体でございまして、これらはいずれもパルプ用の丸太あるいはチップという形で製紙工場に供給する形態をとっておるのでございます。その生産コストのほとんど全部というものが伐採搬出等に必要な労働賃金であり、さらにはトラック、貨車等による運搬賃であるわけでございます。
白書によりますと、木材伐出業の労働賃金は昭和三十五年に比べて昭和四十一年度は二・一四倍というふうに高くなっておるのでございます。それぞれの対前年比を比べてみますとほとんど一〇%をこすような上昇の状態でございまして、今後ともこういうふうな上昇というものは当然続くものというふうに考えなければならぬのでございます。が、一方、こういう賃金等の高騰に対応いたしまして機械化という点、チェンソーとか集材機、そういうようなものを利用する機械化がここ数年、民有林関係等でも非常に進んできたということも見のがせない事実でございます。先ほど申し上げましたように、これらの生産というものが、ほとんど全部が賃金であり、また運賃だというふうな関係からいたしますと、その生産コストのこれからの上昇というものを機械化などによって吸収いたしまして、外国から入って来るチップ、あるいは南方から来る広葉樹の丸太というようなものと価格面で競争し得るような形にすることができるかどうかということがパルプ原材料需給問題の一番のポイントであろうと思うのでございます。また一面、拡大造林推進という上からいいまして、現在大きな障害となっております雑木林の整理という面でも非常な大きい役割りを果たすべきものだというふうに思うのでございます。
こういうふうな情勢からいたしまして、パルプ用材につきましても、現在は外国からのものが一割二、三分、あるいは一割五分程度のものでございますが、一般用材と同様に、これからパルプ原材料の主要部分が外国から来るチップであり、また、広葉樹の丸太などというようなことにあるいはなるのじゃなかろうかということが心配されるのでございますが、こういう点につきましてのこれからの見通し、また、こういうことに対応する措置というようなものをどういうように考えておられるか、お伺いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/8
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009・片山正英
○政府委員(片山正英君) 労賃の上昇につきましては、ただいま御指摘のように、昭和三十五年を一〇〇といたしますと四十一年におきましては約二倍余になっておるわけでございます。そのような労賃の上昇に対しまして、今後どのような形で対処していくのかという点かと存ずる次第でございます。
御承知のように、パルプ材は先ほどもちょっと御説明したように、従来、用材、いわゆる建築材に使われるようなものがパルプ材にも使われておった姿が、急激にそういう姿が変わりまして、いわゆるパルプ材でなければほかには利用できないであろうというようなものがパルプ材利用の過半でございます。現状としましては、四十一年で七六%程度のものだと推定しておりますが、この姿は、将来ともさらにパルプ材だけに使われるような材だけがパルプに使われるというような姿に変わっていくだろうというふうに思われるわけでございます。
そこで、そういうような非常に低質な木材の利用をしていくためには、あくまで搬出の姿がもっと合理的になっておるということがぜひ必要なわけでございます。そこで、林野庁といたしましても、林道その他の整備というのがどうしても必要なわけでございます。その林道との関連におきまして、これは先生御承知のように、昨年から団地造林事業ということをやってまいっておるわけでございます。御承知のように、低質材、薪炭材的のいわゆる非常に悪い山をそういうような用途に向け得るような形で整備してまいりたいということから、団地造林事業というものもあわせ推進し、そのような山の伐採立木をそういうような用途に向けていきたいということでございます。したがいまして、そういうものに対する林道その他の整備もあわせてはかってまいりたいということで推進いたしておるわけでございます。そのような形で国内生産体制をまず整えていくということと、それからもう一点は、そういうものを消化し得るような形におきまして、いわゆる資本の装備を、林道以外のいろいろな機械化、その他の装備をいたしまして、かつ、小さな個々の人がばらばらにやっておるというのではなかなかそういうふうなことが達成できませんから、ある程度まとまった姿においてそういうものを達成していくというような形でこれを推進してまいりたい。そのようなことをいたしますれば、われわれの計算でいきましても、外材のチップ輸入と決してひけをとらない姿でやっていけるのではないだろうかというふうに一応想定いたして、そのような形を推進してまいりたいというふうに思うわけでございます。御承知のようにパルプ材につきましては、従来のような用材、建築材に向くようなものじゃございませんので、そのような形を推進して初めて成りたつものじゃないかというふうに考えて、今後とも努力してまいりたいというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/9
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010・山崎斉
○山崎斉君 パルプ用材につきましては御存じのように、アメリカ、カナダ等から製材時の廃材をチップにして日本に持ってくるというようなことが行なわれておりまして、まあ聞くところによりますと、現在チップの専用船が二十隻をこえるほどできたということを聞いておりますし、それがフルに稼動すれば年間三百万立方を少しこすぐらいのチップ材を輸入することができるのじゃなかろうかというふうにいわれておるのでございます。また、ほとんど大部分のパルプ会社というものが南方地域におきます広葉樹の資源に着目いたしまして、それの開発というものに非常な力を入れている現状でございます。で、これが軌道に乗ればやはりこのチップと同様に専用船等をつくって、どんどん原材料を日本に持ってくるということがそう遠くない時期に実現できるのじゃなかろうかということも考えられるのでございまして、いまお話のありました国内で造林の非常な大きい支障になっておる雑木林というようなものの利用を開発する、これはりっぱな資源でございますので、これをパルプ等に十二分に活用する、そうして外国のものに負けないようなコストで生産できるのだという体制の確立という面に、林道の問題、あるいは機械化、共同施業、そういうような面に問題がございますので、そういう点には特段のひとつ御努力をお願いしたいと思うのでございますし、それがうまくいかなければほんとうに一般材と同様にパルプ原材料の半分近いものがやはり外国から求めなければならない。それが逆に国内の拡大造林というような面に大きな支障になるということは必ず起こるのじゃなかろうかというふうなことも心配されるわけでございまするので、そういう点もひとつとくと御検討いただいて、もう抜本的な対策をひとつここに進めていただきたいと思うのでございます。まあ需給問題はそれぐらいにいたしまして、次は造林事業の点についてお伺いしたいと思うのでございます。
で、林業白書によりますと、私有林におきまして昭和四十一年に拡大造林をする余地がありながら造林をしなかった林家というものについての理由別の件数その他の割合が発表されておるのでございます。これを見ますと、保有山林面積が五ヘクタール未満というふうに、従来は造林にしても何にしても全部自家労働力でまかなうというふうに考えられておりましたこの零細所有の林家におきましても、人手不足のために造林ができなかったというものが二八・五%、現在その予定している林地にある雑木の処分ができなかったために造林をしなかったという人が三〇・一%、この両方の理由が圧倒的に多いのでございます。また、保有山林面積が五ヘクタール以上の層におきましては、人手不足という原因が一番多くて三一・八%から三九・二%を占める。また、雑木の処分不可能という理由が二三・三%から三〇・四%と、やはりこの両方の理由によって造林できなかったという方が圧倒的に多いのでございます。
で、こういう状態をもととして考えてみますと、国有林、民有林を合計しましての人工造林面積は、昭和三十六年度の四十一万五千町歩というものをピークにいたしまして漸次減って、昭和四十一年度には三十六万九千ヘクタールとなっておるのでございます。この中でも特に民有林の拡大造林の面積が減少しております。昭和三十六年度の二十四万三千ヘクタール余というものが昭和四十一年度には二十一万二千ヘクタールと減少し、中でも市町村、公団、公社等の造林がふえておるに反比例いたしまして、補助造林、融資造林によるいわゆる私有林というものが、昭和三十六年の十九万二千ヘクタールから昭和四十一年には十五万一千ヘクタール、三〇%も減ってきておるのでございます。で今後にありましても、やはりこの補助、融資等による造林というものが漸減するものに、人手不足、先ほど申し上げました雑木の処理不能というようなことも関係いたしまして、さらに減るのじゃなかろうかというふうに思うのですが、四十三年度の予算が四十二年度に比べてどういうふうになっておるのか。また今後どういうふうな方向に進むのか、そういう点についてひとつ見通しをお伺いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/10
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011・片山正英
○政府委員(片山正英君) 造林の問題でございますが、先生御指摘のとおり、造林面積は昭和三十六年を一〇〇といたしますと四十一年が約八九%に減っておるわけでございます。その中で国有林におきましては、三十六年を一〇〇といたしますと二割二分ほどふえておるわけでございます。しかしながら民有林におきましては、逆に三十六年を一〇〇といたしますと八四%に減っておるという姿でございます。しかしながら民有林におきましても、公団造林あるいは公社造林、そういうものは相当の伸びを示しておりますけれども、補助造林、融資造林等におきましてその減少が著しいわけでございます。
そこで、これを今後の方向といたしまして、われわれは十分対処してまいらなければならないわけでございますが、ただここで御承知のように、二つの問題があるわけでございます。いままでは造林の推進の中で未立木地、そういうもののいわゆる造林未済地、そういうものが非常に多かったわけでございます。したがいまして、そういうものを積極的に植える、まず植えるということがございましたために、計画そのものも造林としては非常に多かったわけです。それを現在までおかげさまで完遂してまいったわけでございます。現在におきましては、そのような造林未済地というような形のものはほとんどなくなってきておるわけでございます。したがいまして、そういう意味からいたしますと、今年度の全国森林計画を改定いたしたわけでございますが、御承知のように五カ年後に十カ年のものをそれぞれつくるわけでございますが、改定したわけでございますが、それによりますと、今計画においては約一〇%造林をする面積が減少しておるわけでございます。それはただいま申しましたようなことでございますので、計画としては減少しておるわけでございます。しかしながらそういうようなことではございますが、さらに先ほど申しましたように三十六年以降減少してまいる。したがいまして、全国森林計画で計画しております人工造林の計画量に対しまして約九二%、過去三十八年から発足しました計画におきまして九二%というふうな達成率でございます。したがいましてわれわれとしましては、この計画をどうしても達成していくという方向で、先ほど申し上げましたような段地造林事業あるいは公社造林の推進あるいは森林開発公団による造林の推進等、総合した形でこれを持ってまいりたいというふうに努力しておるわけでございます。先ほど申しました補助造林、融資造林について若干の減少を来たしておるので、これを打開してまいりたいというふうに思っておるのでございます。
そこでことしの予算との関係でございますが、今年度の予算関係におきましては、造林費につきましては四%余のいわゆる増加を認めていただいたわけでございますが、問題点の要点といたしましては、やはり造林の人夫賃が非常に安いわけでございます。そのような意味におきまして、関係当局とも打ち合わせまして、現在七百十円というふうに造林の人夫賃がきめられておりますものを、約一二%伸ばしていただきまして八百円ということで来年度発足するという形で推進をはかっておるわけでございます。これとても十分とはなかなか思いませんけれども、ほかとの関係もございますが、今後ともそれは努力しながら、この問題を解決していきたいというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/11
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012・山崎斉
○山崎斉君 造林の問題は補助、融資の部分が圧倒的に多いわけでございまして、人夫賃にしても八百円になったということでございますが、ニコヨンが七百九十六円で四十三年度は積算されております。まあニコヨンと一緒くらいの賃金ということになるわけでございますが、これの現実は千百円から千二百円というような実態でもございます。そういう点にはなお特段の御努力をいただきたいと思うのでございます。
なお先ほど申し上げました「森林の基本計画」、閣議決定で公表されましたこれを拝見いたしますと、昭和四十一年から昭和六十年までの二十年間に五百万ヘクタールの拡大造林が計画されておるのでございます。年に平均二十五万ヘクタールの拡大造林をやらなければこの計画は達成できないわけでございます。しかし国有林、民有林、合わせての拡大造林面積の推移というものを見てみますと、昭和三十六年の三十一万ヘクタールから昭和四十一年には二十八万ヘクタールというふうに減少しておるのでございます。で、現状程度の造林施策のままにおきましては、これからもやはり造林面積というものは毎年少しずつ減っていくんじゃなかろうかというふうに思われるのでございまして、私たちはこの二十年間に五百万ヘクタールという計画自体が、いまの木材需給の事情からいって過小に過ぎるのではないかというふうにも思うのでございますが、この過小とさえ思われる現在の基本計画の達成というものを、いまのような状態では達成できないんじゃなかろうかというふうに心配されるのでございます。その辺についての計画また考え方等をお伺いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/12
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013・片山正英
○政府委員(片山正英君) 造林の減少してまいります傾向に対しまして御注意をいただいたわけでございます。われわれといたしまして、確かに三十六年をピークといたしまして減少してまいっております、現在は二十七万町歩というふうに減少してまいっておるわけでございますが、将来われわれが計画いたしておりまするのは、今後平均三十五万町歩を確保してまいりたい、先ほど御指摘のとおりでございます。ただ問題は、造林そのものということと相関連するかもしれませんが、林業全般の推進をはかる計画といたしましての全国森林計画を立てたわけでございます。それによりますと、ただいま申しましたように、造林が九二%の達成率でございまして、林道が五六%というような低率の達成率でございます。したがいまして、われわれといたしましては、まずこれらの計画が計画どおり達成されるように、いろいろな関連もございますが、努力をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。林道の問題あるいは先ほど出ました造林の問題にいたしましても、先ほどからいろいろ議論の対象になっております雑木林の利用の問題、造林の条件の整備の問題等がいろいろございます。それらと相関連してこれが推進されていかねばなりませんので、需要のほうの開拓と申しますか、結びつきと申しますか、そういう低質のものと需要との結びつき、そういうものをあわせ考えまして初めてこれらが達成されてまいるというふうにも存ずる次第でございます。したがいまして、まずそれらの計画を達成するということに大眼目を置きまして、今後の努力をしてまいりたいというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/13
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014・山崎斉
○山崎斉君 この計画達成という面には、なみなみではとてもできないような、非常にむずかしい問題があるように思うのでございます。これを達成するためには、まず労働力の安定的な確保という面についての、国が十二分な援助と指導というものをしていかなければならぬのじゃなかろうか。第二に、現在、そこにはえております雑木の処理というもの、これが経済化された形で処理できるというための国の必要な財政投融資。また第三点としては、造林事業並びに林道開設事業に対する国の投融資、こういうような面に抜本的な思い切った措置を講じていかなければとても達成できぬのじゃなかろうかというふうに実は考えておるのでございます。
第一の労働力の安定的な確保の問題でございますが、林業労働の中で、季節性が一番大きい造林の植えつけあるいは手入れというような問題についての労働力確保が、林業の面では一番むずかしいのでございます。当初申し上げましたように、労働力不足のために拡大造林ができなかったという原因が、各種原因の中で一番大きいウエートを占めておるわけでございます。こういうことは山村の労働力の減少という点が今後ますます大きくなっていくのじゃなかろうかという環境の中で非常に重要である。その重要性というものがますます大きくなるというふうに考えるのでございます。これに対応すべく森林組合におきまして、労務班を結成して協業の形で造林事業をやっていく。所有者から事業の委託を受けて、植えつけとか手入れをやっていくというようなことが要請されてまいりまして、その組織数もまたそれに加わる労務者の数も漸次増加しておるように伺っておるのでございます。その現状はいまどうなっておるのか、また最近の民有林の造林の植えつけ、手入れに分けまして、森林組合の労務班による実行面積の割合というものは、どういうふうな割合になっておるのか、そういう点についてお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/14
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015・片山正英
○政府委員(片山正英君) 労務班の現状と推移について御質問だと思います。
お答え申し上げますが、労務班の三十八年と四十二年との差を申し上げたいと思いますが、森林組合数が三十八年には三千五百四十一組合あったわけでございます。そのときの労務班の数が六百六十七労務班の結成がされておりますので、率でいきますと約一九%が労務班の結成の率であったわけでございます。四十二年におきましては森林組合数が二千九百二十減ったわけでございます。これは御承知のように、森林組合の合併促進ということで推進してまいったことで大型化したわけでございますが、そういたしますと二千九百二十減ったわけでございますが、労務班の結成の組合数は千百五十四組合に増加いたしたわけでございます。したがいましてその結成率が四%というふうに大幅に増加してまいったわけでございます。
なお、御参考までに労務班員の人数を申し上げますと、三十八年が一万五千八百三十三人、したがいまして一組合当たりが約二十四人でございます。それが四十二年におきましては五万二千九百七十六人というふうにふえまして、一組合当たり四十六人というふうに増加してまいったわけでございます。そして労務班の実行いたしました大体の事業量というものを推定いたしますと、三十七年におきまして、植栽において約二万四千ヘクタールでございましたのが、これは四十一年の資料でございますが、四十一年度におきまして四万六千ヘクタールに増加いたしておるわけでございます。民有林のおおむね一七%くらいが実行されたであろうというふうに存じます。保育におきましては、三十七年に六万九千ヘクタールでございましたのが、十六万四千ヘクタールと約二倍、二八〇%伸びておるわけでございます。同じように素材生産につきますと、八十二万二千立方でございましたのが百五十一万二千立方というふうに伸びております。ただ素材などにつきましては、おそらく員外事業の問題も先生御承知のようにあるかと思いますが、一応数字としては以上のような形で推移してまいっておるわけでございます。
したがいまして、われわれとしまして、先ほど御指摘のとおり、労務につきましては非常に今後の林業を推進する上のかなめであろうかと思うわけでございますので、今年の予算におきましても労働力対策費として計上しております。いわゆる通年的になるべくこれをもっていこう、そういう形の中で安定してまいるということを推進したいという予算を計上しておるわけでございます。したがいまして、そのような安定の形が森林組合の労務班というような形で推進されることが最も望ましいのじゃないかというふうにも思う次第でございます。いずれにしましても、今後の労務班の拡充、労務の安定ということにつきましては十分努力してまいりたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/15
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016・山崎斉
○山崎斉君 労務班が漸次伸びてきておるということはまことにけっこうなことでございます。さらにこの労務班というものを内容的によりよく発展せしめていく、そうしてその組織数もまた班員の数もふやしていくことができるようにしなければならぬのでございます。が、このためには伐採、搬出というような仕事と造林事業というようなものとを組み合わせて、林業労働の季節性というものをできる限りなくしていくような努力、また社会保障制度を十二分に適用するというような問題、さらには、民有林の所有規模というものの零細性からくる事業量の不安定と、こういうものをなくする、カバーしていくという意味で、公団とか公社の行なう造林を、こういう森林組合の労務班に委託するというようなこと、あるいは市町村有林、県有林の造林というような仕事もやはり労務班にやらせるというようなこと、さらに進んでは、国有林の事業におきましても、立木処分その他のものが相当多くありますので、そういう面の伐採の仕事あるいは造林の仕事というふうなものを森林組合の労務班に委託するというふうなことを考えまして、その労務班の育成強化というものに特段の努力を払ってもらわなければいかんと思うのでございますが、こういう面についての林野庁のお考え方を伺いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/16
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017・片山正英
○政府委員(片山正英君) 先ほど申し上げましたように、労務の安定をはかる。したがいまして、そのような意味において通年的の仕事をしていただくということにおきまして、やはり御指摘のように、造林という季節性のものだけにとらわれずにいわゆる伐木、造材、そういうものとの関連においてそのような方向を達成してまいりたいというふうに思うわけでございます。そういうようなことをして初めて社会保障的なものも裏づけがされてまいるというふうに思うわけでございますので、そのような方向で努力してまいりたいというふうに思うわけでございます。その際、先生の御指摘の、たとえば公団の事業の委託であるとか、あるいは国有林の事業の委託の問題であるとかいろいろな問題があろうかと思いますけれども、その問題につきましては実は森林組合の性格上、員外の利用というものにある程度の制約があるわけでございます。したがいまして、それらとの関連も考えまして、あるいは森林組合自体の性格その他も十分検討いたしまして、方向といたしましては、労務が安定していくように努力してまいりたいというふうに存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/17
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018・山崎斉
○山崎斉君 森林組合の仕事でございますので、員外利用という点に、これがあまり大きくなるということには、問題のあるということは当然でございますが、しかし、現在の労働事情などの点を考えてみますと、短期間の目前の問題として員外利用が多過ぎるというふうなことではなしに、三年、四年あるいは五年というふうな期間内にこの整理をして、そうしてその後は員外利用というものが正常な形に戻ってくるというふうな一つの過程を置いて、森林組合の労務班の育成強化という点にひとつ思い切って臨んでいただくことが必要じゃなかろうかと思うのでございまするので、そういう点も十分御検討いただきたいと思うのでございます。
なお、薬剤を使用いたしまして地ごしらえとか、手入れ、刈り払いの労力等を節約するということも、きわめてこれから重要な問題でございますが、薬剤使用によるそういう仕事が現在数字的にどういうふうな点まで進んできておるのか。また、これが必ずしも造林のコストを安くするということでも現状ではないのじゃないかと思うのでございますが、そういうふうなもの等も造林の補助金を出すというふうな場合には十分に単価に織り込んで考えていくということもなされなければならぬのじゃなかろうかというふうに思うのでございますが、そういう点についての状態なり、お考えを伺いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/18
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019・片山正英
○政府委員(片山正英君) 薬剤の使用の問題でございますが、数字的に申しますと、これは最近になって非常に関心が持たれ、推進されている問題でございますが、数字的には非常に少ないわけでございます。御参考までに国有林で申しますと、一万二千百四十ヘクタールが三十九年の実績でございまして、四十一年におきまして二万八千七百三十ヘクタールというふうに伸びてはおりますが、これは全体の薬剤の姿から見ますと四、五%に当たる程度であろうかと思います。民有林におきましては、さらに非常に小さくて、三十九年では五千六百ヘクタール、四十一年度では一万三百ヘクタールという程度の非常にわずかな使用の姿でございます。しかし、この特色といたしましては、当年度あるいは薬剤を散布したときには、確かに経費はかかりますしいたしますけれども、五カ年ならば五カ年という姿を見ますと、経費的には決して掛かり増しはしておらない、かつ労働不足に対しましては十分こたえるだけの少ない労働力で目的を達成し得るという形でございますので、今後の推進の方向としては、当然これをやっていかなければならないと思いますけれども、ただいま申しましたように、非常にまだ少ない面積でございますので、補助単価、予算単価に織り込むという段階には現在のところ至っておりません。今後十分検討してみたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/19
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020・山崎斉
○山崎斉君 もう一点お伺いして、時間の関係もありますので、やめたいと思うのでございます。
次に、雑木の処理と拡大造林の問題でございますが、この問題、先ほど長官からももう説明がありましたように、結局林道を十二分につけて、それの生産コストを下げていくということに一番重要な問題があるように実は思うのでございますが、考えてみますと、雑木林は御存じのとおり立木価格も非常に低い、安いわけでございます。また、それが一町歩当たりの蓄積石数というものも一般の用材林に比べて非常に少ないのでございます。そういう点から考えてみますと、いまの林道制度の中におきます受益者負担というものを考えてみました場合に、雑木林の受益者負担能力というものはもうほとんど問題にならぬように受益者負担能力は低いというふうに言わざるを得ないのでございます。そういう点から考えてみまして、現在林道の補助、林道制度というものを見てみますと、まあ一般林道等におきましては、国と県でせいぜい四割、五割ぐらいの補助金しか出ないわけでございまして、しかも、メーター当たり八千円、九千円あるいは一万円というふうな開設費がかかるのでございます。その半分ぐらいを受益者が負担しなければならぬというふうなことから考えてみました場合に、この薪炭林の多い地域に現行制度のままで林道を開設していくということは、受益者負担の面から非常に困難じゃなかろうかということが考えられるのでございます。そうなってからいたしまして、先ほどお話のございました団地造林という補助制度の中で、まあ事業者たちのために必要な簡易な作業道を補助するという制度が四十二年度から始まったことは、その面でも非常に大きい進歩のように思うのでございます。そういう面からみまして、この団地造林補助制度の中の作業道というものがどういうような役割りを現実に果たしておるのか、そういうものを調査された結果があればひとつお知らせいただきたいのでございます。また、北海道庁では、こういうふうな簡易な林道についても道費単独の補助予算を組みまして、これが非常な成果をあげているというふうに聞いておるのでございますが、その状態はどういうふうになっているのか。さらには国という立場でも思い切っていまの林道の補助制度と離れて採択基準を思い切って緩和する、また、林道規程というものもそうむずかしい基準によらないで、簡易な道路というものが国の補助制度のもとで行なわれると、薪炭林につきましても、薪炭林所有者がほどほどにその受益者負担ができるような作業道程度のものも国が制度として補助していくんだというふうなことも考えていかなければならぬじゃないかというふうに思うのでございます。そういうような点についてお考えを伺いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/20
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021・片山正英
○政府委員(片山正英君) 林道の問題でございますが、林道につきましては御承知のように、一応林道規程というものを制定いたしておりまして、その規程に基づきまする林道の開設をいたしておるわけでございます。大体の考え方としましては、非常に一時的な道というものじゃなしに、比較的長期的に利用される道というものを対象にして林道規程がつくられておるわけでございます。それで材の生産というものを中心に置いてやっておったわけでございますが、御承知のように、林道体系を整備しました際に林道をつくる基準の中に造林効果というものを入れまして、従来、造林効果が〇・一のウエート、一割のウエートで見ておりましたのを〇・三、三割のウエートで見る。それから小さな山の開発を進めようということで、従来百ヘクタールを一単位として林道の開設をやっておりましたけれども、五十ヘクタールまで下げて、そして林道の開設をしていこうという方向で若干の林道の規程を緩和いたしまして、かつ、そういう造林を推進するための林道といたしましても若干緩和いたしまして推進してやってまいったわけでございます。しかし、ただいま一番問題になっておる薪炭林の拡大造林というのにはその規程がそのままなじみにくいということでございましたので、団地造林の作業路、いわゆる作業道というものを補助の対象にいたしましてこれを推進していこうということで、現在の林道及び造林と合わせながら、造林の中の作業路ということと合わせながらその推進をはかってまいろうというのが現在の姿でございます。
しかし先ほど先生の御指摘もございました、北海道庁がいま林道の特例の姿をやっております。それをちょっと調べますと、御承知のように四十二年度から北海道では道単独の経費でやっておるようでございます。内容といたしますと、補助率が二分の一で、かつ四十二年度の予算としましては六千三百万円の事業費を対象にいたしまして補助率が二分の一、かつ延長が百三キロという延長を見ておるわけでございます。かつ工事費はメートルあたり千円以下という、非常に安い姿で単なる路肩をつくるというような内容でございます。幅員は二・五メートル、したがいまして側溝というのはほとんどつくらない、バラスはほんの必要な最小限度である。かつ構造は五カ年問だけ利用されればそれで済むのだという程度のもので開設が行なわれておるようでございます。しかし実際それによる効果といたしましては非常な効果をあげておるようでございます。造林につきましては、約三千ヘクタール、保有面積については約四千三百ヘクタール、伐採量につきましては約三十万立方メートルというものをこの計画によって達成するというような非常に効果のあるふうな姿を拝察するわけでございます。
ひるがえって林野庁といたしましては、これらの問題は先ほど申しました作業路というものに相当する問題としてこれが大体合致していくというふうに考えられますが、林道の規程、あるいは造林の推進と合わせた産業というものとからみ合わせまして北海道庁の実績等も十分見ながら今後検討してまいりたいというふうに存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/21
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022・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/22
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023・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記を始めて。
これにて暫時休憩いたします。午後一時に再開いたします。
午前十一時四十六分休憩
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午後一時十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/23
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024・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) これより委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/24
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025・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 午前中、山崎委員のほうからも質問があったんですが、外材が非常な勢いで入ってきていると、四十二年度の実績見込みで言いますと、それは日本の需要量の四割近いものが外材になっているという外材のたいへんな輸入があるわけなんですけれども、この点について二、三点お尋ねをいたしたいわけなんです。
それは、この森林法一部改正のために林野庁のほうから参考資料をいただいたんですが、この参考資料の十一ページ、十表に木材需給量の推移が書いてあるわけですが、これを見ますと、三十五年から四十一年まで、この需要の伸びというのは、正確にはわからないんですが、年率で見ますと二・五%以下じゃないかと思うんですけれどもね、需要の伸びというのは、これは簡単に目の子で見て二・一%以下じゃないかなと思ったんですが、四十年から四十一年にかけては非常に大きいんですけれども、三十五年から四十一年までの需要の伸びというものを見ますと二・五%以下じゃないかと思うんですけれども、年率にしましてね、もし計算してあればちょっと承りたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/25
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026・片山正英
○政府委員(片山正英君) いま先生のおっしゃいましたのを、私のほうで一応三十年から四十一年まで約十一年間をとったのでちょっと御説明申し上げたいと思いますが、御指摘のように二・四、五%というのは、三十年を一〇〇としますと四十一年一二六・三になりますので、大体平均年率が二・四%というふうにわれわれは推定しております。ただ、その内訳といたしますと、木材の総需要量の中で用材と薪炭と二つに分かれるわけでございます。したがいまして、それを小分けいたしますと、用材につきましては、三十年を一〇〇としますと一六九・八というふうに大幅に伸びております。したがいまして、その伸び率が約六・三%ただ薪炭のほうにいきますと、三十年を一〇〇としますと急減いたしまして、特に三十五年から急減いたしまして二七・六というふうに非常に指数が小さくなっております。この減少率が六・六%というふうに相なっておりますので、総合いたしますと、確かに御指摘の二・四%程度の伸びでございますが、用材については六・三%の伸びで、かつ最近におきましてはそれが九%程度伸びておるというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/26
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027・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 供給の伸びですね、つまり国内の木材の供給の伸びですね。これは逆に二%ぐらいずつ年率で下がっておるわけですね。そのギャップが一方のほうで年率で二・五%——二・四%ぐらいずつ上がっていく、国内の生産のほうは、供給のほうは年率で二%ぐらいずつ低下していく、そのギャップが要するに輸入ということになるだろう、外材ということになるだろうと思います。全体として見ました場合に、年率で二・三%、二・四%程度の伸びというのは、これは異常なる需要の伸びということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/27
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028・片山正英
○政府委員(片山正英君) 二・四、五%というのは、われわれとしてはそれ自体は異常とは見ませんけれども、御承知のように用材と薪炭と分けたときに、薪炭が非常に急減し、用材が非常に伸びてきているというところに非常に異常なものを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/28
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029・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 用材が伸びたというお話なんですが、それは、私、この薪炭材の処理のし方が悪かったのだと思うのですけれども、それはいずれにいたしましても、生産が年率で二%ずつ低下していく、一体その理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/29
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030・西村直己
○国務大臣(西村直己君) もうこれはすでに鶴園さん御存じと思いますが、木材の生産は基本的には長い期間要る、これは基本的な要点でありますが、どうしても需要の急増があった場合の弾力的な対応が、量産ができにくいということが一つの特性であると思います。もう一つは、基盤整備についての林道、その他がまだ政府としての施策が十分でないという点もございますし、それから日本の林業の特殊性の規模の零細性、資本装備がしたがって低いというようなこと、それから規模の零細性の裏として資産保持というような考え方が中心になりますから、どうしても経済性ができていない、近代化されていないわけで、資産としてじっと持っているということ、それから御存じのとおり、林業労働力というようなものも少ない、こういうものが原因で生産が低下しておる。特に戦後におきまして植林は政府としましても各方面の御協力を得てかなりやったようでございますが、伐採樹齢に達しているような状況にはまだないというふうに考えられますので、生産というものがどうしても低下しておるという段階だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/30
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031・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 林業については長期の見通しなり、長期の計画なりいろいろこれは昔からやっておられるわけで、今日に始まったわけじゃないわけですから、そういう中で生産が逆に低下をしていくというのです。二%ずつ逆に低下していくというのです。これは農業にもこういう現象は見られないわけです。二%ずつ年率低下していくということは農業だって見られないわけですから、ですから私はどうもこれはわからないのです。端的に言いましてどんなわけで年率二%ずつ低下しなければならぬのか、農業と違って。これは農業は一年一作と言いますけれども、林業はそうでないことは明らかです。いまさら一年一作の問題を持ち出しても始まらない。これは四十年林業をやっておられるわけですから、生産が停滞をしているというのはまだわかる、伸びが少ないというのはまだわかるが、逆に伸びが二%ずつ年率で下がっていくということは、これはどうも私は納得できない。ですから専門家の林野庁長官からどういうわけで二%ずつ下がるのかということをはっきり説明していただかないと、これから審議しようとする森林法の一部改正案の関係から見ましても、生産が停滞しているということが今度の森林法の一部改正の最も大きな理由になっているように見受けられる。ですから二%ずつ下がっていくということの、後退していくということの理由をひとつ説明をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/31
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032・片山正英
○政府委員(片山正英君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、木材全体として御指摘のように昭和三十五年を一〇〇としますと四十一年は九七・三でございますから若干減っておる実態でございます。ただ用材につきますと、三十五年を一〇〇にしますと一一一・六というふうに生産が伸びておるわけでございます。ただこれが薪炭林になりますと、三十五年を一〇〇にしますと四九・三と、非常に急減しておるわけでございます。したがいまして、ここでは二つの問題があるというふうに考えております。
第一点といたしましては、ただいま大臣から御説明のございましたように、林道その他の未整備の問題がある。資本装備がなかなか充実されない現状である。それに加えて労働力も流出していっている姿であるというような姿から、だんだん奥地化していく、生産に対して非常に隘路になっておるというのが第一点の大臣御説明の基本的な姿でございます。
それからもう一点は、里山にも薪炭林があるわけでございます。しかし、従来のペースでいきますと、これが需要と結びつきまして一応の生産と需要とがマッチした形で消費されておるわけでございますが、ただいま申しましたように、薪炭需要が急減しておるために、その材が山で炭になって出てくる、その姿が急減しているために、需要と供給との関係から生産が停滞している、こういう面があるわけでございます。したがいまして、全体として若干減るが、用材としてはふえておる、こういう問題であります。そこで問題は、薪炭林のそういうものが用材林化して、あるいはパルプとかそういうものに向け得るかどうかというところが今後のわれわれが解決していきたいという方向でございますが、現状としましては、薪炭材の減少ということが、需要の低下即供給の低下というものにつながっていくということに御了解いただきたいと申しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/32
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033・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 用材林で言うと一%ずつ生産が上がっているということになるわけですね。薪炭林の割合というのは用材林に比べれば十分の一くらいのものでしょう。それでこんなに下がるのですか。要するに薪炭林に対する政策を誤ったということになるのですかね、薪炭林に対する政策。つまり薪炭林が急速に減ってくるそれに対する政策というのがまずかったということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/33
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034・片山正英
○政府委員(片山正英君) 御承知のように薪炭林は、戦前まであるいは戦後また困難な時代には非常に需要があったわけでございますが、燃料その他の関係で急激な減少をたどっておるわけであります。したがいまして、われわれ薪炭林を用材林化するというような意味で早くから拡大造林ということを呼びかけておったのはその意味でございます。しかし、遺憾ながら薪炭林は民有林のうちで非常に大きな面積を占めておる関係上、早急にすることがなかなかできないものですから、これを昭和六十五年を一応の大きなめどといたしましてこれを改良してまいりたいという方向で、つとに打ち出してきておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/34
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035・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま国有林は林業基本法の立場から言いまして、国有林の役割りというのはどういうふうになっておるのですか。たしか私の記憶では基本法では国有林野事業というのは安定的に、恒常的に木材を供給するのがその使命だということになっておると思うのですが、そういう立場から考えたときに、国有林というのはいまの木材の状況の中でどういう役割りを果たしておるのですか。具体的にお伺いしますというと、いまの木材の需要の中で国有林が提供しているシェアはどの程度あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/35
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036・片山正英
○政府委員(片山正英君) 国有林は昭和三十五年くらいをベースにいたしますと、国内生産材に対しまして約二割二分、二割ちょっとのシェアを占めておったわけでございます。その後需給その他の関係を考慮しまして、かつまた国有林の林カを増強するということも考えまして、その生産を増加してまいったわけでございまして、最近におきましては国内生産材の三割程度を占める姿と相なっておるわけでございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/36
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037・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 全供給量に対してはどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/37
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038・片山正英
○政府委員(片山正英君) 全供給量に対しましては外材が全体の三二・六%を占めております。したがいまして国内材が七七・四%で、その約三割近くが国有林のシェアでございますから約二割ちょっとに相なっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/38
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039・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 もう少し、二割ちょっとくらいになりますか、実際そうなるんですか。その二割程度のものを国有林で恒常的に供給できるということになれば、いまの木材価格に対しては相当な発言力を持っておると思うのですよね、いまの木材の価格に対してどの程度の、この四、五年でもいいですが、木材の価格に対してどの程度の力を国有林は持っているというふうにごらんになっておりますか。9政府委員(片山正英君)全国で申しますと、先ほど申し上げました二割ちょっとが国有林全体の姿でございますが、御承知のように国有林は北のほうに非常に偏在しておりますことと、南の九州のまた南部のほうに偏在しておりますことと、あと特殊の県——長野とか群馬とか、特殊の県がまたウエートが大きいというわけでございます。したがいまして、木材の流通を考えますると、全国一律の流通というのはなかなか困難でございますので、国有林の大きなウエートを占めておるところにつきましては、ある程度の国有林材としての需給と申しますか、そういうものが大きく左右するわけでございますが、全国といたしますとなかなか国有林材の二割においては需給操作が困難でございます。
ただ御承知のように国有林材といたしましてもいろいろ種類がございますので、特定の種類については国有林材としての需給操作というものはある程度できますけれども、全体の木材となりますと、二割程度の供給では絶対の趨勢を左右することは困難でございます。ただ異常な、たとえば災害があったとかそういう問題については緊急放出というようなことで処理しております。その意味では需給の調整はある程度のものはできるというふうには考えておりますけれども、全体の流れの姿の中では、二割という問題はそう大きく左右するということはなかなか困難であろう、ただ地域的にはある程度できるというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/39
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040・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私は国有林というものの存在が、日本の木材価格に対して、どういういま力を持っているのだろうかという点を、根本的に考えなければならないときにきているのじゃないかという気がするものですから、若干お伺いしているわけですけれども、かつて国有林が日本の木材供給に対して三割程度の力を持っておったときには、国有林一割増伐をすれば価格を一割程度下げることができる、あるいは一割伐採を減少すれば一割だけ木材価格を上げることができるというふうに言われた時代がありましたね。そのころの木材の供給に対して占めている割合というのは三割程度だった。いま長官のお話ですと、二割ちょっとぐらいのシェアがあるのだとおっしゃるのですが、その程度のシェアがあるなら、木材価格に対して相当の力というものを持っていなければならないと思うのですがね。しかも国有林のシェアは、先ほどの長官の説明ですと、三十五年から逐次上がってきておるわけですね。国内の生産高に対しましては二二%程度から三〇%程度まで上がってきているわけです。ですから逐次年々国有林の木材全体に対する力というのはふえてきているわけです。にかかわらず、しかも外材はどんどん入って来まして、たいへんな勢いで入って来て、そうして木材の卸売りの価格というのは三十五年を一〇〇といたしますと一七二でしょう。その後あとの卸売り物価というのはほとんど上がらないわけです。二・何%ですよ。卸売り物価はちょっぴりしか上がらないのです。木材だけがこういうふうな卸売り価格が七割という上がり方です。これがもし上がらないことになりますと、木材が七割上がらなければ日本の卸売り物価なんというのは逆に減っているのじゃないですか、需給率からいって。だから私は、国有林がそういう点についてどの程度の反省を持っているのかというのが非常に重要なわけですよ。そういう意味でも、どう考えても私解せないのですがね。長官のおっしゃるようにだんんだん国内の生産高に対しての力というものは率が上がってきている。しかも外材はどんどん入ってきている、べらぼうに入ってきている。そういう中で木材の卸売り価格が七割も、どういうわけで上がらなければならないのですか。そういう分析はこの白書の中に出ておりますか。それでなければ、私は林野庁が出している白書としては一文の価値もないと思うのです。出ていないのじゃないですか、ぼくはさっと読んだから、あるいはどこかでその点をはっきり分析をしておられるのかもしれないが、そこの点をもう少し説明してくれませんか。つまり国有林材の占めている率はだんだん上がってきている、外材もどんどん入ってきている。それなのに、木材の卸売り価格は七割上がった。木材以外の卸売物価というのはもうほとんど横ばいなんです、この六年間に。そこの理由がどうも解せない、私は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/40
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041・片山正英
○政府委員(片山正英君) 木材について先生いま御指摘がありましたのですが、私の説明が少し足りないような気がいたしますが、国有林材の国内材に対するウエートは、国有林がある程度の生産増をいたしましたために三十五年が二割二分程度であったのが現在においては三割程度のシェアを占めるに至った。しかしそれは国内材に対するウエートでございまして、需要全体のウエート、すなわち外材を含めましたウエートとなりますと、国有林では年々やはりそのウエートは小さくなってきているわけでございます。外材に非常に依存してきているわけでございます。その意味では国有林材のウエートは遺憾ながら小さくなってきている。こういう実態でございます。
そこで国有林はどういう伐採をしているのだということに相なろうかと思うわけでございますが、国有林は現在、生長量とわれわれは言っておりますが、木が伸びるだけ切れば、常に一定の蓄積は保存されている。いわゆる未来永劫続くわけでございますが、現在国有林は生長量の約一・八倍を増伐しているわけでございます。それだけ切ってそして需要をまかなうというような形で増伐しているわけでございます。その増伐をもう少し進めるということになりますと、国有林の大原則であります保続というものが問題になるわけでございます。したがいまして、増伐限度まで伸ばしていっているわけでございますが、しからば増伐した場合に、山はおかしくなるんじゃないかという御指摘につきましては、これは林相を改良しまして、新生林分のより生長を高めるように切りかえていく、将来切りかえていこうという施策との関連において実行しているわけでございます。そういうような形で国有林としましても、極力木材価格の安定、奥地開発ということに真剣に取り組んでいるわけでございます。
しかしながら残念なことに木材価格の上昇は御指摘のとおり、一般卸売り物価は三十五年から四十二年に八・九%上がっているのに対して木材は六一・八%も上がっている。この内容をちょっと分析いたしますと、三十五年から三十六年にかけましてこれは急激に上がり、それから四十年後半期から現在までにかけてまた上がっております。これはその間三十六年から四十年までほぼ横ばいの形できておるわけでございます。しかし御承知のように、この間労賃は、約二倍も上がっていろわけでございます。木材生産自体に占める労賃は二倍も上がっているわけでございます。そのような関係から木材価格の生産コストといたしましてはやはり上がらざるを得ないという状況でございます。ただ木材価格は必ずしも生産コストばかりではきまっておりませんで、やはり需給関係からきまるわけでございますが、急激な建築需要を中心とする増、そういったものがわれわれ予想いたしましたものよりも若干伸びているわけでございます。そのような景気の刺激といいますか、景気が上向いたときは木材価格は従来とも上がる傾向でございます。その間、普通の場合は横ばい程度でございますが、そういう時期において非常に上がる傾向がございます。それに対しましては、輸入その他で極力対処したわけでございますが、現況といたしましては、輸入力の問題等もございまして、御指摘の価格の上昇を来たしたわけでございますが、今後におきまして十分需給問題を明確にしながら対処してまいりたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/41
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042・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いまの長官の説明でもよくわからないのですけれどもね。長官は、三十五年当時と比べると、国有林の総需要量に対する、あるいは総生産量——外材も含めましてですね——総生産量に対する、総供給量に対するシェアは少なくなっているのだというようなお話しなんですが、先ほどの長官の説明ではそう思えないのですがね。三十五年に二二%でしょう、国内産に対しましてね。それが三〇%程度に上がってきている。それで、いま国内産は七七%でしょう。それをどうはじいてみても三十五年当時よりも減っているというようには見えないですね。ほぼ同じくらいじゃないかという気がするのですがね。ですから、力としては減ってないじゃないかと思うのですがね、三十五年当時より。それで外材は非常な勢いで入ってくる。どんどん外材は入ってくるのだから、値段は安定しそうなものですが、それが上がるという理由がわからないわけです。
それで、長官が一六〇何ぼというように言われましたが、三十二年の十二月のやつが出ておりますね、この白書の中に。一七〇でしょう。ところが、毎月のごとく上がっていくのですからね、この木材は。いやになっちゃうですよ、これ。木材・同製品でしよう。四十二年十二月、一七〇でしょう。ずっと上がっていくのですよ。これからまだ上がるのですよ。上がるんじゃないかと思うのですよ、いままでの経過から言ってですね。一六〇というのはこの四十二年度の平均でしょう。だけれども、いま木材価格というものは年間平均ではもう話しができないでしょう、一カ月ごとに考えていかなくちゃ……。まことにあまいですよ、一年でものを言うなんというのは。確かに、これは伐期は四十年ですから、一年でものを言ってもいいかもしれない。しかし、木材価格は、いま、一年ではものを言えないですよ。少なくとも一カ月単位でものを言わなければ……。それからまだ上がっているのじゃないですか。どうでしょうな。一月、二月、三月と、すでに卸売り物価指数が上がってきているでしょう。いずれにしても一七〇というところまできているというのですね。その理由がわからないというのですよ。二割というシェアがあるのですよ。それに外材がどんどん入っているでしょう、入れているでしょう。にもかかわらず、こんなに七割も上がらなければならないということがわからないわけですね。白書ではそれをはっきり解明してありますか。国有林が、日本全体の国民経済に対して、安定的に、恒常的に木材を供給するんだという基本的な立場から言えば、そこの点を、ひとつ、ポイントに据えて考えていただかないと、林業政策のあり方というものは甘いものになってしまうんですね。どうも、よく説明がわからないので、納得のできるものにならないのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/42
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043・片山正英
○政府委員(片山正英君) 最近の木材指数を年間じゃなしに申し上げますと、これは四十一年八月を一〇〇としておるわけですが、一月が一二七・四、二月が一二七・九、三月が一二八・〇、その三月の下旬が一二八・四と、まあ若干小数点以下上がっておりますが、大体横ばいの傾向で現在はまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/43
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044・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 長官、話の途中ですが、このお宅で出した白書の二七ページ、付表の日本銀行の「卸売物価指数」というのでやってください。どうもどこかを一〇〇にしたような話ですが、ぼくはおたくの出しているもので話をしているのです。違うのです、この数字が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/44
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045・片山正英
○政府委員(片山正英君) 白書に月別の木材指数がございますが、この一項のやつは実はとられていないのでございますが、と申しますのは、これは計算すれば出るのかもしれませんが、日銀の指数がこれは三十五年を一〇〇とした指数で計算されておるわけです。ところが、日銀におきまして四十年に指数の改定をいたしております。と申しますのは、木材につきまして関連することだけを申し上げますと、従来外材の占める率というのは、三十五年当時の外材のウエートというのは非常に少なかったわけでございます。したがいまして、そういう指数の率では木材の正確な指数を示すに至らない。数字のウエートが全然違っておるということから、四十年に日銀では改定されまして、現在の消費の実態をもとにした指数に直しております。したがいまして、即座にこの指数と結びつかないものですから、一項の数字がちょっと把握しにくいわけでございます。そういうような関係で、木材はたしか物価に占めるウエートが大体千分の六十であろうと思うのでございますが、・外材の大きなウエートのために指数を変更しておりますので、この数字に即座にくっつかない点をひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/45
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046・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いや、林野庁長官ね、あなた、白書の中ではその数字を出しておられるのですよ。それから今度われわれに出しましたこの森林法の一部改正法律案の参考資料、法案の審議にあたって出されたこの資料の中にも三十五年を一〇〇として出しておりますよ。二つともこれはだめだというのですか。そういう意味じゃないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/46
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047・片山正英
○政府委員(片山正英君) いやそういう意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/47
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048・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 もう二つ出しているのだから、これにも出しているし、これにも出しているのだから。それでぼくは話をしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/48
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049・片山正英
○政府委員(片山正英君) このお示しいたしましたのは、三十五年を一〇〇といたしました指数で整理して出しておるわけでございますが、日銀が四十年に改定いたしました指数で申し上げますと、四十年から四十一年が八%増加いたしました。それから四十一年から四十二年にかけまして一一・八%上昇いたしております。そのような指数でございます。この指数と必ずしもくっつかないわけでございますが、くっつかない理由は先ほど申しました実態でございます。ただ昔のそういう指数で判断してきますと、確かに四十二年まではお示ししたとおりでございますので、先ほど私が日銀の改定の中でお示ししたのと若干食い違うことはそういう意味合いでございますので、御了承いただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/49
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050・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 じゃそこで、三十五年に外材が非常に少なかったという。ほんのちょっぴりだと言うが、そうでもないでしょう。一割でしょう。三十五年はすでに一割でしょう、長官。一割以上でしょう、おたくの出しているこれで見ると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/50
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051・片山正英
○政府委員(片山正英君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/51
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052・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 そう、一割でしょう。いま三割ちょっとでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/52
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053・片山正英
○政府委員(片山正英君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/53
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054・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 そんなちょっぴりということないでしょう。一割から一割ちょっと。だから、それから見たっていいでしょう。そこで、ぼくは長官に説明していただきたいのは、先ほど言ってるように、七割上がった。三十五年を一〇〇としても七割上がったということについての明快な説明をいただきたいと、こう言うのです。それはぼくは国有林の大きな問題じゃないでしょうか。いわゆる国民経済の立場を考えた場合に、問題は価格がどうなったかということが一番大きな問題でしょう。だからその点を、七割上がったということが、どういうわけで上がったのか、はっきりしていただけりゃいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/54
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055・片山正英
○政府委員(片山正英君) 価格の問題は、非常に的確に御説明するのは困難でございますが、われわれが推定している要点を申し上げますと、白書のほうでもこれは述べてある内容でございますけれども、まず四十年から四十一年、四十二年とかけましてわれわれが当初想定いたしておりました中期経済計画における伸び率というものを、われわれは当初八・一%ぐらいであろうというふうに一応想定いたしておったわけでございますが、その後経済社会の非常な発展に伴いまして、名目ではございますが、四十年から四十一年にかけて一五・二%の伸び、四十一年から四十二年にかけまして一六・四%の伸びというふうに、非常に伸び率が高くなったために、主として、それも建築需要、パルプというような関係も踏まえまして、需要が相当伸びてきたというのが一つの原因でございます。一方供給側につきましては、そのような関係から一番大きく左右されたものは建築の中の高級材でございます。ヒノキとか、そういう高級材、それに続く杉の上物というような高級材が主体に非常に増加したわけでございます。ところが高級材につきましては、やはり国民所得の伸びその他から、そういうものに対する嗜好性が非常に出たんじゃないかということがございます。したがいまして、そういう需要に対する供給につきましては、資源の制約その他からどうしてもそれにマッチするだけの伐採が困難であったというのが一つの理由でございます。それからもう一つは、しからば外材にたよるということで、外材のほうの関係でございますが、外材につきましても、やはり米材を中心とするそういうものが非常に高くなって、産地高になってきたというのが上がってる理由でございます。それからもう一つは、国内の奥地化に伴いまする伐採のコスト、経費が、労賃その他の上昇に伴いましてどうしても生産コストが高くなっておる。しかし遺憾ながら資本の装備と申しますか、そういう近代化がなかなかおくれている中で労賃が上がっているということから、生産コストが非常に高くなっておるという、こういうようなからみ合わせから木材価格というものが上昇してまいったというふうに、われわれは判断しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/55
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056・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 どうもはっきりしないんですけどね。何か外材ブームみたいなものがあるんじゃないですか。熱狂的なものはないですか。何かそれがぼくは非常に大きいように思うのですけれどもね。いまだから価格というのは外材によって指導されてるんじゃないかという気がするのですけれどもね。で、われわれは、木材商社に電話なんかかけますと、日本の木なんてのは切らんでもいい、立ちっぱなしでいい、いまや山なんていうものは深川に森林地帯ができたんだ、大森林地帯ができたんだというふうな話なんですね。どうも熱狂的だと思いますね。これだけの外材が入ってきますと、ぼくはこれは全く熱狂的じゃないかと思うのですよ。非常に投機的な面があるんじゃないですか、というぼくは気がしてしようがないのですけれどもね。そういう点はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/56
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057・片山正英
○政府委員(片山正英君) 需要に占める国有林のウエートより外材のウエートがいまや大きくなりまして、先ほど申しましたように、四十一年で三二・六%が、四十二年になりますと三九%近くまでなろうという趨勢でございますので、御指摘のように外材というものは、国内の木材に占める影響というものが非常に大きくなってきておることは御指摘のとおりであります。ただ国内材と違いまして、外材がなぜこうなってきたかというと、価格面もございましょうが、もう一つは私は取引の単位というものが非常に大きな単位で取引しやすいという形が取引上非常に円滑と申しますか、やりやすい形だ、一方国内におきましては、その生産が非常に零細なために取引の単位が小さい。そういう形でなかなか振興がむずかしいというようなことがあるのが現状じゃなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、そういう取引のものを、なるべく協業化なり集約化なり、そうした中でこれを進めていくというのが、今後国内材としても必要なことではないだろうか、零細な森林そのままの姿の取引というものは、なかなか今後の姿にマッチしないのではないだろうかということで、やはり協業化なり、そういう形を組合単位なり、推進していくことが、これを解決していく方向の一つであるというように思いますので、そのような形の指導をやっており、また今後とも続けてまいりたい、そのように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/57
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058・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 ぼくはどうしてもわからないのですね、外材はどんどん入ってくるのですから、林野庁は統制をしているわけじゃないですよ。どんどん需要が伸びていった、この需要も伸びた、あの需要も伸びた、国有林でひとつやろうと思った、民有林でひとつやろうと思ったけれども、なかなかそうはいかない。外材を押え過ぎたということならわかります。外材は野放しでしょう。どんどん入ってくるんですよ。林野庁が統制をしていないのだから、国が統制していないのだから野放しに入ってくると思うんですね。そこでぼくは、需給関係が安定して、価格というものはそう上がらないんじゃないかと思うんですよ、必要なだけ入ってくるのですから。にもかかわらず七割も上がるというのがおかしいですよ。そこの点を、林野庁が書いたものをばらっときのう目を通してみたら、私の気に入るようなことが書いてないんですが、その点がはっきりしなければ、私は日本の国有林の林業の役割というものは非常にお粗末なものではないかと思うのですが、それは一応そのままに置いておきます。
次にやはりおたくでいただきました参考資料の二ページに「森林の齢級別面積および蓄積」というのがありますね。これを見ますと一年生から二十年生というのが六七%ぐらい占めておりますね。民有林の場合は七〇%ぐらい、国有林の場合は少なくて二〇%ぐらい、合わせますと人工林の中の大体六七%というのが一年生から二十年生の木材になるわけですね。その意味では国内の資源としては異常な状態じゃないですかね。これから見ますと、国内の供給というものは、なかなか伸びない。ここ十年や二十年は供給が伸びないということがはっきり言えるのではないでしょうか。そうして外材がますますふえてきている、三九%になったとおっしゃるのですが、これはたちまち五〇%まで出てくることはもう想定できるのじゃないでしょうか。そうしますと、日本の木材というものは一体どうなるのか、外材は五〇%になっちゃう。国内の木材というものはいまやなかなか切って出せないような状況になっておる、ここ十年や二十年ぐらいは。こういうことになると、これは私は国内の木材というものは、本質的には需要が減少することになりはしないか、本質的に日本の木材が。だから日本の木材がもとの生産高になった場合、二十年後、三十年後最も生産力が上がった場合には、日本の木材に対する需要というものは本質的に変わってしまうのではないか、国民の木材に対する需要というものが本質的に変わってくるのじゃないか、十年も二十年も断絶いたしますと、断絶とまではいきませんがね、断絶に近いところに持っていかれますよ、これは。どうもぼくはそこの点が異常な状態になっているんじゃないかという気がするんですけれどもね、どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/58
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059・片山正英
○政府委員(片山正英君) 御指摘のとおり、日本の山の実態は、いろいろ御指摘のとおり二十年生以下、いわゆる終戦後植えた山が大体全体で六七%を占めておるということでございます。したがいまして、そのような意味からいきますと、即座に間に合う木というのは人工林については非常に少ないと言わざるを得ないと思います。終戦前あるいは戦争はなやかなりしころ、あるいは昭和の初期、その当時の造林面積は現在の約四分の一程度しか植えてなかったということでございますので、御指摘のとおり、終戦後植えた木が、非常に多いわけでございますので、人工林に対しては蓄積の関係、そういう年齢の関係からそう期待はできない。しかし、奥地林につきましてはなお三割余あるわけでございますから、その間それを極力開発しまして、そして需要にこたえていくというのがいま林野庁としてとってまいった政策でございます。あわせまして、その間におきまする造林その他を推進いたしますことによって、長期におきましては、国内材の自給率九〇%まではもっていけるという確信のもとに推進をいたしておりますが、昭和五十年並びに六十年間、いわゆる植えた木が切れる間、その間は日本の山としての生産量の一番ダウンする段階でございます。その間は残念ながらある程度外材に依存せざるを得ないというふうに思っておるわけでございますが、われわれの計画どおりの推進をいたしますと、「長期見通し」では外材三割ということでございましたが、先ほど申しました需要の急激な伸びのために、外材の依存率が高くなってまいっております。この傾向は今後も若干続くというふうにわれわれは想定いたすわけでございますが、ただ伸び率につきましては、最近のようなこういう急激な伸び率は今後ずっと続くというふうには実は思っておらないのでございます。その間につきまして、そういう点につきましては、今後もう少し長期の解明をしていかなくちゃならないと思っております。昭和四十一年四月一日に閣議の決定をいただきました「需給見通し」についても、そういう意味からもう一ぺん再検討してみたいというふうには存じておりますけれども、最近のような非常な経済の伸びは、これがもともとそういう伸び率が経済の基調であるかどうかという点については相当検討しなければならないというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/59
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060・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 じゃあ、いま奥地林を——これから二十年ぐらいは人工林からの供給というのは少なくなるわけですから、ですから奥地林をと言うのですが、奥地林というのはいわゆる奥のほうに入っているんですからたいへんだと思うんですね。それだけ生産コストも高くなるしね、たいへんだと思いますね、これは。となれば、外材の占める割合というものが非常にふえるんじゃないか。四〇%、五〇%というのはそう遠くないことじゃないかと思うんですけれどもね。これ見ると五十年には供給七一%になるわけですね。こんなことになるんですか、長官、ほんとうに。楽しい話ですね、うれしい。こんなになるんですかな。ぼくはそう思わないですな。逆、おかしいですね、これね。長官、林野庁で昨年の九月に、四十一年から、四十三年の「木材需給量の現状と見通し」というのを出されましたね。本年の、四十三年の一月ですかな、またそれを修正して出されましたね。ですから林野庁のこの半年の間を見ましても、「四十一年、四十二年、四十三年の木材の需給量の見通し」なんというのは右往左往しているんですね、たいへんな右往左往ですよ。どだい足が地についてないんだな、これ。おかしなものだと思うんですね。あわてちゃったですな。これ全くこんな感じじゃかなわないですよ。ですからわずかの間にこんなに変動するんですな、ひどい変動ですね。これね、紙の上での数字かもしれないけれども、たいへんなことだと私思うんです。こんなところを見ていくとどうも五〇%まで落ちるとぼくは見るんだけれども、長官のほうはこれが七一%に上がっていくんですから、だんだんね、おかしな話だな、これ。いずれにしても私の言いたいのは、若い木が非常に多い。戦後植えた木というのは、人工林の中に占める率が非常に高い。それが近くに植えてあるわけですから、そんな奥地にないからいいわけですが、それが七〇%——六七%占めているのですから、これから十年、二十年というのは、人工林の供給はうんと減ると見なければならない。それは米で言えば端境期ですよ。そうなると、それをカバーするためにどうしても外材が入らざるを得ない、入ってくるのですよ。そうすれば自給率が五〇%に下がらざるを得ないじゃないか、こう見るのですね。そう見るというと、今度人工林が出てくる場合には、日本国民の感覚として相当変わってくるのではないか。だから本質的需要が変わるのではないかと思う。だから輸入商社が一昨年から盛んに言っている。けたぐってやりたいくらい元気のいい話をしている。いまや国有林なんかこんなものにたよる必要はないという話をしている。ちょびちょびあっちこっち切っても何にもならない。いまや臨海製材工場で至る所に大森林地帯ができた。名古屋でも大阪でも東京でもそうです。大森林地帯です。国有林というのは、国民のレクリエーションと健康のために、緑のためにとっておいたらどうですかというような話ですね。ぼくもどうもうなずけるような気がする。二十年、三十年後を考えたらどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/60
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061・片山正英
○政府委員(片山正英君) 先生の御指摘の中で二つありますが、第一点の閣議の決定を得た昭和五十年が七一%の自給率というのは、反対になるのではないか、逆ではないかという御指摘であります。それはそのとおりだと思っております。と申しますのは、閣議の決定というのは、先ほどもちょっと触れましたように、五十年間を見通した姿でございますので、五十年先を、あるいは四十年先をどうのこうのという議論をするのは、まだいま一年、二年たった段階では、無理じゃないだろうかということでございますが、さしあたり昭和五十年度の自給率というものを見ますと、この数字ではちょっとおかしい。確かにそのとおりにならぬであろうというふうにわれわれも身近に感じているわけであります。したがいまして現在におきまして四十三年を初年度とする五カ年計画、というのを一応想定をいたしております。それによりますと、外材は四千二百四十万というものを想定いたしますので、自給率といたしましては、国内材が六〇%というふうに考えております。したがって七一というのじゃなしに六〇%というのが自給率であろう、ただし、この自給率も全国森林計画に基づく計画をわれわれは努力して達成するということでございますので、もしこれがそのとおりにならないと、期待どおりされなかったということにいたしますと、たとえば現状程度の生産が横ばいでいったと仮定いたしますと、七〇%の自給率は五三%ぐらいに落ちるかもしれないという想定はいたすわけでございますが、しかし、いまの国内の開発がおくれておる現状からいたしますと、何としてもこれを開発していくことがわれわれとしてなすべき使命であろうということで努力してまいりたい、こう思うわけでございます。
それからもう一点先生がおっしゃいました、外材がたくさん入ってきて国内材が半分ぐらいになって、それが将来九割までに戻そうと言ってももう戻らぬじゃないだろうか、外材がいいんだということで戻らぬじゃないだろうかという御指摘と拝察するわけでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございます。しかし現状の利用形態からいきますと、やはり内地材というものが非常に日本の姿に合った姿と思っておるわけでございます。そして土地といたしましても、土地生産性からいたしますれば、やはりいま植えているものが一番いいということでわれわれはやっておるわけでございますが、需要との関係につきまして、外材が内地材にとってかわるというふうに簡単には考えられないというふうに思うわけでございます。と申しますのは、現状におきましても内地材は外材よりもより優位な価格と申しますか、取引と申しますか、そういう形で望まれている姿でございます。したがいまして、材質から見ましても決して国内材は外材に比較してまさるとも劣らない、そういう姿でございますので、構造材という前提を置くのであれば内地材というものは決して外材には劣っておらない、将来ともそうであろうというふうにわれわれも需給上見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/61
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062・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 長官、いま最後にお述べになった点ですね、これは私はそういうふうにとれないのですね。というのは、先ほども申し上げたように人工材が非常に若い。したがってこの十年から二十年というのは、木材の国内供給というのはやはりふえていかないと思うのです。しかしそのかわり外材がどんどん入ってくる。長官がおっしゃった六割ぐらいの自給率になろう。そうすると、あと七、八年ですね、五十年に六割程度の自給率になろう。あるいはひょっとすると五三%程度の自給率になるかもしれない。そうすると、もう半分くらいは外材ということになってしまうでしょう。一方国内産は木材は少なくなりますから、それだけ木材値段がずっと上がっていくでしょう。いまでも国内産は、たとえばヒノキというようなものは圧倒的に群を抜いて価格としては強いでしょう。国内産のほうが。そうしますと、その値段というものはますます上がっていく。少なくなるわけですから上がっていくと見なければならぬでしょう。異常な状態まで値上がりするというところまでいくんじゃないでしょうか。そうなるというと日本の木材というものは大衆性を失ってしまうと、こう言うのですよ。いまでも大衆性を失いつつあるのでありまするが、しかしまだまだ希少価値みたいなもので値段は群を抜いて強いです。ですけれども、これからますます供給が少なくなると見なきゃならぬわけですから、外材はどんどん入ってくると見なければならぬから、半分ぐらいになってしまうということになって、日本の国内木材の値段というのは希少価値もあってますます上がっていく。そうなるというと、大衆的なものとしては縁が切れてしまうということを心配しているわけなんですよ。それで三十年後か二十年後くらいに国内の木材というのはどんどんまた出てくるというような状態になったときには、もう断層ができているんじゃないかという気が私はするわけなんです。林野庁が四十年あとの話を、計画を閣議決定をしておりますから、私も気が大きくなってしまって十年先の話をしているわけですがね。そういう点でぼくはどうも林野庁は木ばかり見ているような気がする。経済的な見方というのは、かっこうはとっているけれども中身はないような気がするのですね。何かそういう気がするのです、多分に。だから妙なことも言ってみたくなるわけです。あるいは長官は、妙なことを言っているんじゃないかというお感じもあるかもしれませんが、何かこう木ばかり見ておる。どうも林野庁は山の木のことは知っておるが、土地のことは知らぬ。山の木の値段は知っているけれども、国有林の土地の値段は知らぬとか、木材の価格は知っているけれども、国有林の七百五十万町歩の土地の価格は知らないというようなことを外からよく言われる。私もそう思っている。どうもそれがほんとうのようだ。にもかかわらず非常に長期な経済性を持った非常に長期な見通しを立っていろいろなことを言われるのだけれども、どうも私は、そういう意味で納得できない点がたくさんあって恐縮なんですが、次に移りたいと思います。
今度は私、法案の中身に入りまして、このたびこの森林計画制度を、こういうふうに森林法を改正されて変えようとせられる最も大きな理由は何ですか。従来あった森林計画制度をどういう理由でこういうふうな形で変えようとされるわけですか、つまり、森林所有者の施業案というものを計画制度の中に押し込めようとされるわけですか。私は押し込めるというふうに言いたいんですがね。あるいは裏打ちするというか、裏打ちみたいなものですね、裏打ちに使われているんですね。森林計画の裏打ちに個々の山持ちの施業案が使われるわけです。なぜそういうふうになるのかしなければならぬのかという点ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/62
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063・片山正英
○政府委員(片山正英君) 御承知のように、森林法の改正では、一番最近におきましては三十七年に改正いたしたわけでございます。その際に、森林計画の内容は、全国森林計画につきましては大臣が立てる、それをもとにしまして地域森林計画につきましては知事が立てる、そのような二つの立てられたものに基づきまして、各森林所有者に対して指導あるいは勧告等によってその目的を達成しようということで改正されたわけでございます。当時は、御承知のように伐採も比較的順調にいっているわけでございます。造林につきましてもおおむね順調な姿をたどっておったわけでございます。外材につきましても、先ほど先生御指摘のように、どんどん入ってきて外材オンリーみたいな印象ということもなく、一応の姿で入ってきておったわけでございます。そのような形で、比較的安定した形で森林の状態が運営され指導されて、それで済んで所期の目的が達せられておったわけでございます。ところが、その後の諸情勢というものは非常に変化を来たしたわけでございます。第一番目は、やはり労賃も非常に上がってきて、山村における労務不足という問題が出てまいったわけでございます。さらには、それを裏づけるような形で薪炭需要というのがさらに急激な減少を来たしまして、いわゆる拡大造林というものも含めて非常に困難になってきたという情勢があるわけでございます。そのような中で、外材というものが非常にに急激な姿で入ってきたという形で、内地の生産の開発よりも外材中心的な形となってきたというところに、この問題を再び振り返るべきことが出てまいったわけでございます。したがいまして、今回は内地のそのような姿を開発して、そしてかつまた将来に備えるために樹種なり林相を改良して、そして国内の生産を整えていくという意味におきまして森林計画制度というものをつくりまして、これに恩典の措置も加えまして所期の目的を達成しよう、指導ではなかなか困難な段階となったという実態からこのような改正をお願いするというのが理由の大要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/63
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064・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 内地の開発をやると、いままでは外材中心の開発となっていた、これからひとつ内地の開発をやろうと、林相を変えていこうというお考えのようですが、私は一体そういう空気が日本全体にあるのかどうか。つまりいままでは外材でこうやってきた、どっちかというと国内の生産というのが何となく弱かった。今度は内地のほうに、日本国内の林業というものをうんと振興させようという、そういう空気があるのかということですよ。それは日本の農業の場合も同じですよ。日本の農業をいま考えてみて、増産をしようという空気があるのかどうか、日本の国内に。大蔵省なり財界なり経済界なり、そういうところにあるのかどうかと言えば、私はないと見ているんです。林業だってどうなんですかね、この勢いでいくのはもうわかっているのですから、五十年まで見通されているわけです。そういう場合に何かこうぐっとある意味では重点が一つできる——二本柱になるのかもしれませんですがね、国内産とそれから外材と。そういう空気があるのかどうか。空気がないところにつくってみたってしようがないじゃないかというのが私の感じなんです。それはいかがですか、そういう空気があるのかどうか。また、そういう空気ができる、あるというなら、その理由を。外材をこんなに輸入したのじゃ国際収支上非常に問題があるということから、木材の自給というものをできるだけ進めなければいかぬという空気があるのかどうかというようなことですね。何かそういう空気があるのかどうか、それをまずお聞きしたいのです。どうもそういうふうに感じられぬのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/64
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065・片山正英
○政府委員(片山正英君) 国民の人たちが日本の山に期待するものはそういう意味では相当あろうかと思うわけでございます。と申しますのは、去る国会におきまして林業基本法が通りました際に、林業基本法の第一番目の趣旨が、木材総生産の増大というのがうたわれておるわけでございます。また森林法におきましても、森林の保続培養と森林生産力の増強をはかるということがうたわれておるわけでございます。そういう法律もさることながら、国民としての山に対する、木材に対する期待というのは非常に多かろうというふうにわれわれは考えておるわけでございます。ただ、山を持っている方々がどういうふうに思っておられるだろうかという点が、御指摘の点があろうかと思うわけであります。そこで、山の生産を見る場合に、いままではある程度個々の人がばらばらの形でやっておっても、それは山全体としてはまずいのでございますが、比較的等閑視されておるような形で推移してきたというのが偽らざる実態ではなかろうかと思うわけでございますが、今後の山の経営というものを振り返ってみますと、どうしても労務というものを対象にいたしまして、その中でこれを合理的に運営していくというのは所有者みずからも考えつつあることじゃないだろうか。かつまた国家的要請あるいは経済社会の情勢からいたしまして、どうしてもそういうような姿で計画的にものを運んでいく、計画的にものを運ぶことにおいて協業的な形でやってまいる、その中で労務そのものも計画的な姿の中では安定した姿も打ち出していけるというような諸情勢は、国としても当然そうでございますが、所有者みずからもそういうふうなことを考えつつある諸情勢とわれわれは判断するわけでございます。したがいまして、それらを関連してこの推進をはかることが最も適した問題じゃなかろうかということで取り上げて改正をお願いした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/65
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066・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いや、おっしゃることは確かに森林法にも書いてありますし、基本法にも書いてありますし、木材の値段が高いですから国民のばく然としたそういう感じはあると思うのです。しかしそういうものでは実際の空気になっていかぬのじゃないかと思うのですけれどもね。ですから、具体的にいえば日本の林業というものが日本の産業全体の中でどういうような地位を占めて、どういうふうに見られておるかという点が一番大きいのだろうと思うのですけれども、これは日本の農業も同じですよ。どういうふうに見られておるかということですね。その場合に、一体木材に関係している経済界なり財界というものは非常に直接の力を持っている、こう思うのです、製材業者とかそういうものも力を持っているでしょうけれども。ですから、臨海製材工場を見たって、それからいまの木材の輸入は商社ですね、これはみんな一流の商社ですね、そこら辺の木材問屋などと違うのですね、堂々たる商社ですよ。これがいまや二千五百億をこす木材を輸入しているわけでしょう。三千億にすぐ届こうというところですね。たいへんなこれは輸入品ですよ。だからむしろそういうことに負うているのじゃないですか、という私は気がするのですよ。それを何か林業そのものの中から——林業の中だけから見れば、おそらく長官のおっしゃるようなことが言えると思うのですけれども、全体から見た場合には非常に私は微弱なものだ、力としては弱いものだというような気がしてならないのですけれどもね。ですから、たとえば木材は、これは自給をできるだけ高めていくのだというような画然とした方針なりがきまり得るかどうか、閣議なら閣議ではっきりその方針がきまるのかどうかという点ですね。これはないのでしょう。とにかく自給率を高めていくのだというはっきりした方針というものはきまっていないのでしょう。農業もきまっていないのですよ。自給率を高めるということはどこにもきまっていない。林業だって同じだと思うのです。林業の場合は農業よりもっと私はひどいと思うのですよ。そうなったら林野庁としては、林業全体としては、林業に関係のある者からいえば確かにわかるけれども、それが力になって出てこない。それだけでは力とならないじゃないかということであれば、何かお話のようなことを改正してみても、それは単なる林野庁の自己満足にすぎないので、力になってこないのじゃないかと私は思うのですが、それは一応別にしましょう。
それは別にいたしまして、イギリスですね、イギリスの国有林というのはイギリスの林野面積の六%ですよ、国有林の占めている面積は六%、非常に少ないものですよ、百四十万ヘクタールですね。これでもイギリスは森林法というのをつくって自給率を高めるという堂々たる林業政策をやっている。これはEEC諸国でもそうです。木材のような固まり、重量のあるこんなものを外国から輸入することはよくない、たいへんなことだということですね。あるいは一次、二次の欧州大戦の結果からも来ていると思うのですけれども、非常に林業についての関心というものが、林業政策を確立するというのですか、自給を高めていくという考え方がはっきりしていると思うのですよ。
日本の場合はそういうものは全然はっきりしてないと思うのですね、長期見通しなんというものは基本法に基づいて出さなければならないから閣議で決定するでしょうけれども、これは単なる見通しだけで、何も政策のはっきりした裏づけがあるわけじゃない。たとえば造林費なり林道費なりというものが目立ってふえていく、はっきりとふえていくというような方向というのはないのじゃないかと思うのですがね。ですからそういうふうにぼくはどうもたいへんあやふやな感じがするのだけれども、もう少し力としては個々の林業者が林業をあるいは林相を変えていかなければならぬのだ、あるいは自給率を高めていかなければならぬのだというような気持ちがはっきり出ているのかどうかというと、どうも林野庁長官さっきから言うように、そんなものはあまり見られない。それじゃ今度のこの森林法の一部改正を支える力はどこにあるのかといえばどうもないように思うのです。あるとすれば林野庁の中にある、林野庁長官をはじめとしてあるくらいのものじゃないかというような気がしてしようがないのですね。
森林組合が今度は大きな役割りを果たすというが、森林組合というものは漁業協同組合と同じで、あるいはもっと力がない、農業協同組合なんかに比べたらけた違い、力がないのですよ。森林組合は三千くらいあるけれども、職員の全然いない森林組合というものはどのくらいあるか、おそらく一割五分ぐらいの森林組合というのはだれもいないじゃないか。一人いる森林組合というのは一五%そこらくらいある、一人かあるいはゼロ人の職員しかいない森林組合というのはそれは三〇%かそこらあるのじゃないでしょうか。だからそういう森林組合が一つの今度は基礎にもなるし、また力にもなるのでしょうが、どうもぼくはそういう意味で何となく非常に弱いという、きわめて弱いという感じがするのですよ。
それは一応別にしまして、林野庁長官、三十七年にいまのお話の森林法を大幅に改正をして森林計画制度というものを全面的に改正をしましたですね、このときに個々の森林所有者の個別の計画はこの制度の中に入れる必要はないという御主張だったのでしょう。私は北村委員からその当時さんざん聞かされた記憶があるのですが、北村委員はそのときに盛んに、この森林計画制度の中に入れるべきだ、つまり森林計画制度の裏打ちをすべきだという主張をしたというふうにぼくは記憶しているのですけれども、それに対して林野庁長官、林野庁側としては、政府側としては、いやそういう必要はないのだ、森林計画制度の中に入れる必要はない、個々の所有者に対して普及制度あるいは指導という立場でやっていけばいいんだというような御主張だったと思うのですが、私はそのほうがいいんじゃないかという気がしているのです。北村委員の主張よりも政府側が主張したことが、三十七年当時主張したことがいいんじゃないかというように思うのですけれども、それはまあこれから論議することにしまして、そういうふうに基本的に変わってきたのはどういう理由ですか。外材がこんなふうに入ってしまってはどうにもならないというところからきているのですか。従来、——そうじゃないでしょう、林業基本法と森林法の両方のたてまえからいって、林野庁の考え方がはっきりしておったと思うのです。それが今回こういうふうに変えられるというのはどういう理由で変わってきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/66
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067・片山正英
○政府委員(片山正英君) これは先ほど御説明したと全く同じでございます。と申しますのは、森林法改正理由いかんという御質問がございましたときにお答えいたしましたことがそのままの理由でございます。当時、指導その他で地域森林計画の趣旨は達成できるであろうというふうに想定してやってまいったわけでございますが、結果的には、いわゆる地域森林計画で順守すべき事項としての特定林分等の指導につきましては、おおむね達成してまいったわけでございますが、順守することが望ましい事項として標準伐期齢なり、そういうものを一応きめておったわけでございますが、それがなかなか当初の指導だけではいきにくいという実態が出てきたわけでございます。したがいまして、今回の改正におきましては、森林所有者みずからがそういうものを地域森林計画に即して立てていただきまして、それによって計画的に実行していただく、その半面、それに対する援助の措置を講じてそれを達成してまいりたいというのがねらいの内容でございます。したがいまして、大体改正する理由でお話し申し上げましたとおりのものが理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/67
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068・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 森林法が資源政策的なといいますか、あるいは公共的といいますか、資源的な性格というのが非常に濃厚なわけであって、基本法というのは個々の森林所有者が所得を高めていくというところに基本法の性格があると思うのですね。ですから、この森林計画制度というものを大幅に改正されるときには、これはやはり資源政策としてやるのだから、だから、個々の森林所有者というものはその個々の森林の経営、林業の経営、所得の向上というところに重点を置くのだから別個のものだという考え方じゃなかったのですか。ですから、この森林計画制度の中に裏打ちとして入れなかったのですよ。で、指導と普及事業としてできるだけ協力してもらおう、しかし、中心は、あくまで個々の森林所有者というのは自分の森林を経営して、自分の所得をあげるというところに基本を置いておるのだというたてまえだったのでしょう。それがくずれるわけでしょう、今度は。どうしてもできなかったから、指導とかなんとかというのではなくて、その裏打ちに押し込むのだという感じですよ、私の印象は。だから、従来の三十七年当時の林野庁の主張というのは変わったのですね、がらっと変わった。変わってしまった。それをもう少し詳しく説明してもらいたい。それでなければ、わからないのですよ。私は林野庁の主張は正しいと思っているんです、三十七年当時の主張は正しいと思っている。いまさら改める必要はない。こんな林業というのは長い目で見ていかなければならないのですから、きのうやあしたの話で済むのじゃない、私はそう思うんです。私はそういうふうに思いますから、その変えた理由をもっと林業基本法、森林法の関係から説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/68
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069・片山正英
○政府委員(片山正英君) 非常に抽象的な御説明になりますけれども、御承知のようにこの制度は、森林所有者のいわゆる合理的な計画的な森林施業によって、森林資源の保続培養等と同時に、林野の効率的利用の高度化をはかって、林業の近代化、合理化に資するという意味において、林業基本法に即して国が講ずる施策の一環としてのものでございます。したがって、この制度はいわゆる資源政策に基礎を置きつつも、同時に林野の効率的利用、林業経営の近代化等の産業政策をもねらっておるというのが実体でございます。そこで御承知のように、林業基本法というものに基づきまして、「長期見通し」、「森林の基本計画」というものが基本法に基づいて策定され、閣議の決定を受けたわけでございますが、それに基づきまして、全国森林計画、地域森林計画というものが森林法に基づきましてつくられるわけでございます。その中で今度は各所有者は、今度お願いしておりまする森林施業計画というものをつくっていただきまして、これは基本法の考え方をもとにしまして各所有者につくっていただくわけでございますが、それを地域森林計画に即するような形で認定をいたすわけでございます。そこで認定されましたそのものは、まさしく森林の保続培養並びにその生産力の増強という面からつくられるわけでございますが、結果といたしましては、これはやはり基本法で示す林業総生産の増大であり、林業生産性の向上につながるものであり、かつ労務従事者の所得の向上にもつながる問題であろう、こういうふうに理解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/69
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070・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 じゃ、逆にお尋ねいたします。私はいまの長官の説明ではわからないのですね。すっきりするのにはあるいはちょっと言いにくいかもしれないのですが、森林法と基本法というものを置いて、その中で個々の森林所有者というものを置いて考えた場合に、どうも私はやはり基本法の線に個々の森林所有者を置くべきだ。もしその個々の森林所有者というものをこの森林計画制度の中に織り込むなら、——これは今度織り込むというわけですね、そうでしょう。これはぼくに言わせれば裏打ちですよ、ふすまの裏打ちみたいなものです。森林計画制度を完遂するための裏打ちをやらせるのです。しかしそれは所有権に対する若干の侵害にもなりますから、あるいは制約にもなりますから、いろいろな意味の便宜を与えようということでしょう、恩典を与えようということでしょう。そして林野庁の言うその森林画計の中に裏打ちとしてぶち込もうというわけでしょう。そこのところをぼくははっきりしてもらいたいと思う。指導と援助で従来やってこられたものがなぜ悪いのか。実は間尺に合わぬと、そんなことをしていたんでは、ということだろうという気もするんです。しかしそれはぼくは従来の林野庁の考え方に立ち戻る、戦争前から林業基本法ができるまでのいわゆる林野庁の伝統的な考え方の中にまた後退するんではないかという考えがあるわけです。だから、これは譲れないという気がするわけなんです。そういう点はどうなんですか。ぼくは譲れないという気がする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/70
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071・片山正英
○政府委員(片山正英君) 指導と援助——指導というものは今後とも続けていくわけでございます。確かにいま先生御指摘ありましたように、森林施業計画というものをつくりまして、——これはあくまで森林法の趣旨に即したものになるわけでございますが、それによって認定いたしたものは確かにある程度の制約は出るわけでございます。しかしながらその制約と申しましても、林業そのものの将来を考えた場合には蓄積内容、生産の向上等を含めますと、森林所有者にとっても利益のあることでございます。したがいまして、過渡的にあるいは一時的には多少の制約は受けますけれども、長い目で林業というものを見ますと、これは望ましい方向であろう。したがって、そういうことに対する方向としては基本法で示す方向と全く一致している方向でございます。その姿を指導的に、理解を持っていただくために極力御説明し、啓蒙し、そうして自主的につくっていただこうということでございます。そのような形で今後の推進ということでございますので、先生のおっしゃった姿そのまま、趣旨が違うというふうにはちょっととりかねる、あくまで指導の中に、理解の中にこれを進めていきたい、かように申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/71
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072・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それじゃあ逆に、三十七年にこういうふうに森林計画制度を変えられましてから今日まで、普及事業の一環として個々の森林所有者の施業計画を指導してきたわけですね、林野庁の方針に従って。今回これを変えるわけですね。いままではそれでやってこられたわけですが、それで実績があがらないわけですか。三千幾らの林業普及員がおりますね。これは林野庁として私は大きい数字だと思うんですよ。三千幾らの、三千百五十一人という林業普及員がおりますね、県の職員もおられるでしょうが、それ以外の技術者もおられるでしょうけれども、これだけの人員がおって、そうして具体的に三十七年から五、六年運営されてきて何ともならないということですか、どういう意味ですか、何ともならなくなったのですか。何ともならない、にっちもさっちもいかないんだということなんですか。あるいはこれからその指導を強化したり、指導を積極的に進めていくということであれば、ほぼその目的を達成できるということですか。どういう状況ですか、五、六年のこの運営の実情は。
それからなおもう一つ、そういうふうに変えろというような答申が出ているのですか、何かどこからか施業計画をこういうふうに変えろという答申が出ているのですか、そういう答申はぼくは気づかないんだけれども。ただ、前にはそうしちゃならないという答申が出ているでしょう、三十五年十月の農林漁業基本問題調査会の答申、三十六年八月の中央森林審議会の答申、森林計画についての答申が出ていますね。その二つの答申を見てみますと、三十五年十月と三十六年の答申ですね、いずれも森林計画についての。これはなんでしょう、これからいうと、いま林野庁が進めていかれようとすることは相反するわけでしょう、この二つは。だから、その相反することをやられるというのだから、今度また別の、逆の答申が出たのかということをちょっと。それから実績としてそういうふうにやりたい。普及事業の一環として、個々の森林所有者というものは自分の所得を高める、自分の林業経営を進めるという基本に立ってできるだけそういうふうに協力してもらおうという、普及事業としてやっていこうとした、それが行き詰まったのだ、不合理なんだというならそれを説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/72
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073・片山正英
○政府委員(片山正英君) 二つの問題が御指摘あったようでございます。
第一点は個別経営計画の成果いかんということでございます。これはいまの個別経営計画をつくった計画数がいまちょっと見当たらないのでちゅうちょしておったのですけれども、三十七年から四年間にわたりましてモデル計画というものをつくったわけでございます。モデル計画の要点といたしまして、その後の実行結果を見ますと、森林の実態がそれによって非常に明確になってきた。すなわち、面積、蓄積、生長の状況等が明確になってきた。したがって、所有者は自分の山が経営全体の中で林業部門の果たす役割りがどうであるのかということが明確になってきたという点からいたしまして、計画的な、あるいは企業的な意欲が所有者に醸成されてきておるということを成果としてあげることができると思うのでございます。ただ、われわれが今後進めようというこの施業計画につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、特定林分等の指導につきまして、伐採はこういうふうにしなさいという指導につきましては、ある程度の指導で成果をあげておったわけでございますが、伐期齢であるとか、その他いろいろの順守すべき事項として定められたもの、あるいは地域森林計画としてこれだけが伐採するのが適当であると定められた事項、そういうものは必ずしも所期の目的を達してきておらないのが実態でございます。指導だけではなかなか達してきておらないというのが実態でございます。したがいまして、そのような意味において、これを計画的に達成してもらうということの意味において、施業計画を理解を持っていただいてつくっていただくということを改正の要点としたわけでございます。と、その段階で、先生のおっしゃいました農林漁業基本問題調査会の答申と矛盾しておるじゃないかという御指摘のようでございますが、この答申の言わんとするところは、やはり総合的な経営計画を作成しなさいというところにあるのが内容の要点であろうと思います。そのような意味におきまして、森林施業計画というものは植伐関係等を初めとします労務計画その他につきましても一応作成する方向が望ましいわけでございます。ただ、お断わりいたすことは、認定をするということにつきましては、植伐というそういう公的要請のものについて明確にして認定をいたしたいというところが若干趣を異にしているだけで、答申そのものと相反するというふうには存じておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/73
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074・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いや、私はそういう考え方が林野庁の伝統的な考え方だと思うのですよ。林業基本法が出る前の林野庁の考え方だと思うのです。ですから、そこがちょっと違うわけですけれどもね。ただ、先ほど長官がおっしゃった伐期齢がどうだ、なかなか思うようにいかなかったというお話ありましたですね。これはなんじゃないですか、こういうふうに外材がどんどん入ってきますと、なかなか切らないですよ。切らぬのがあたりまえですよ。切れというのは無理じゃないのですか。待っていますよ、だれだって。私が山を持っていたら待っていますよ。それがいかぬというなら、何か別の政策をとらなければいけないでしょう。それは困りますよ、そういうことをされたのじゃ。これは前の前の林業政策からいうたらおかしい、切らなければおかしいというような話なんでしょう。それはどうも私はそういうようなのはわからぬですな。ですが、もう少しどういうふうに積極的に進められたのか、林野庁としては。このとき、北村さんが言ったのは、いま林野庁変えよということを言ったのです。そうですよ。いま変えよという方向を北村さんが盛んに主張した。それに対して当時の林野庁長官は、いやそれはいけないのだという主張をされた。ところが、今度は北村さんの言った方向に変えられた。ところが、私はそれでは全く困る——その経過を説明してください。もっと詳細に、どういう成果があがらないか。いま林野庁長官のおっしゃった範囲では、これはいまみたいに外材がこんなに入ってくるなら、それはとても切るものじゃありません。切らないのがあたりまえですよ。切るなら、切らせようとするなら、それにふさわしい政策をとらざるを得ないのじゃないかと思いますよ。ですから、積極的に指導事業の一環としてやられたらどうですか、改正する必要なし。そんな個人の個々の経営というものを、こんな森林資源政策のために裏打ちなんて、もってのほかだと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/74
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075・片山正英
○政府委員(片山正英君) 先ほど御説明したことと同じくでございますが、少し詳しく申し上げますと、地域森林計画で順守すべき事項という、保安林等の林分の伐採とか搬出の方法はこうしなさいというような指導につきましては、おおむね指導によって所期の目的を達してきておるわけでございますが、地域森林計画で順守すべきことが望ましい事項として先ほど言いました植栽樹種はこうしたらどうだとか、あるいは標準伐期齢というものはこうあるべきではないかとか、あるいは地域としての達成すべき伐採量はこの程度を伐採すべきじゃないかとか、あるいは造林面積はこのにすべきじゃないかというふうに想定をいたしておったわけでございますが、これは経過でも御承知のように、所期の目的を達成せずに指導ではなかなかいけなく現在まできたというのが実態でございますので、今回の改正ということが妥当じゃないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/75
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076・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これはくどくなりますけれども、長官、前に三十八年に林野庁が主張されたことと今度主張されることは反対のことを言われているんですか、同じことを言われているんですか、その点をもう一ぺん明らかにしてください。三十八年に林野庁が主張したことと今度主張していることは違うんですか、違わないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/76
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077・片山正英
○政府委員(片山正英君) 三十八年で主張いたしましたことと現在主張しておりまする考え方、基本的な考え方は同じでございます。ただ三十八年におきましていわゆる指導しようとしたのは、指導助言によって達成しようとしたわけでございます。しかし現在においては、その諸情勢が非常に先ほどるる御説明したようにきびしい姿の中では、これを所有者の理解に基づきまして計画を立案していただいた認定制度によって達成しようという方法が若干違ったわけでございますが、考え方、指導という問題については前と考えは変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/77
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078・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いやそういう話をされるんなら、これはぼくは全然納得できないですね。それは違うんじゃないですかね。三十八年の、当時三十七年の森林法の大改正のときに主張されたのは、個々の森林所有者の経営というものは、これは林業基本法のたてまえにきちっと立ってもらう、その上で指導援助によって協力を願うという考え方だったでしょう。今後はそうじゃないでしょう。今度はそうじゃなくて、制度的に繰り入れようというわけでしょう。だから資源政策的な意味に立つんじゃないですか。それをぼくはきらっているわけなんです。非常に資源政策的なところに重点が置かれている。前はそうじゃない。個々の森林所有者の所得増加というところに基本が置かれていた。今度ははっきり言えば資源政策的なものが中心に置かれている。だからその経営権なりあるいは所有権に対するいろいろな制約的な意味も加わってくるから、そこでいろいろな財政上なりあるいは税制上の恩典を与えてひとつやってもらおうということなんでしょう。しかしそういうことによって期待できるのかどうかという点があると思うのですよ。私はそういうことではできないと思うのですがね。これはまだ問題を残しておきましょう。
それから次にお伺いしますことは、この森林計画はいままで三回ほど変わりましたね、いままでに。それを説明していただけませんか。森林計画制度の変更を、二十六年以降。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/78
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079・片山正英
○政府委員(片山正英君) 森林法の改正の経緯でありますが、森林法の改正は昭和十四年に大改正があったわけでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/79
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080・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いや、戦後でいいのです。二十六年から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/80
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081・片山正英
○政府委員(片山正英君) そうですが。それでは、十四年に改正がございましたが、その後昭和二十六年に改正をいたしたわけでございます。改正の要点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/81
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082・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いや、改正の要点は要らない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/82
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083・片山正英
○政府委員(片山正英君) 内容でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/83
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084・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いや、森林計画制度が変わったでしょう。何回変わったかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/84
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085・片山正英
○政府委員(片山正英君) 御承知のように伐採の許可制度と造林の義務づけということで森林計画制度が二十六年に制定されたわけでございます。やり方としましては基本計画が大臣編成、森林区というものが知事編成ということで制度が立てられたわけでございます。それが三十七年にいわゆる伐採の許可制度というものはこの段階では必要ないであろうということから保安林だけについてその伐採の許可が残りまして、それ以外につきましては先ほど申しました大臣の全国森林計画、知事の地域森林計画に基づいて指導助言によって達成しようというふうに変わったわけでございます。ごく簡単でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/85
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086・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 三十一年に変わっていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/86
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087・片山正英
○政府委員(片山正英君) 失礼いたしました。その間三十二年に伐採許可制度が全面的にございましたのが普通林の公用地及び公有林経営計画に基づく伐採、この二つに限りましては許可制度から廃止をいたした経緯がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/87
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088・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま長官から説明があったように、戦後としては二十六年に抜本的に変わったわけですね。それが三十二年に改正をして三十七年に改正をして今回また改正をしようというわけですね。だが森林計画制度というものは十五年なり十年なり長期の目標で行なうというのでしょう。そういう計画制度がこういうふうにわずか十二、三年の間に三回も四回も変わる。今度四回目変えようというわけです。とても理解つかない話なのですが、まあいいほうに変えていくわけですからいいでしょうが、ですけれども、どうもこういう長期のものが四回も変わってくるというのはぼくは右往左往し過ぎると思うのですがね。そこでこの計画制度が変わった場合には個々の森林所有者の施業計画も変わるのですか。変わりますな、これ、計画制度が変われば。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/88
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089・片山正英
○政府委員(片山正英君) 個々の施業計画そのものとしましては、変わるところにつきましてはいわゆる植伐関係が森林計画との調整がありますので、その部分がある程度調整されるのではなかろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/89
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090・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 長官、さっきのお話は、それではこういうことで言ってみょうがな。森林法でいう森林計画というのは何ですか。それを明らかにしてもらいましょう。それから森林施業案というのは、施業計画というのは、これは一体何ですか。それをひとつ説明してもらいたい。森林法でいう森林計画というのは一体何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/90
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091・片山正英
○政府委員(片山正英君) 森林計画の定義でございます。森林計画は御承知のように、現在におきましては基本法に基づきまする閣議決定の基本計画に基づきまして大臣が全国森林計画、それから知事が地域森林計画というものをつくるわけですが、大臣及び知事が作成するそのものを森林計画、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/91
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092・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それは手続きでしょうがな、中身を言わなければ。森林計画は大臣がつくり、知事がつくる。それは手続みたいなものであって、森林計画というのは一体何か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/92
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093・片山正英
○政府委員(片山正英君) 森林計画の内容でございますが、まず伐採に関する事項、造林並びに保育に関する事項、それから林道の開設その他林産物の搬出に関する事項、及び保安林の施設に関する事項、これが大きな項目でございまして、それに付随するその他の必要な事項というものが森林計画の内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/93
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094・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 森林施業案というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/94
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095・片山正英
○政府委員(片山正英君) ここでいう森林施業計画と申しますのは、森林所有者の所有する森林につきまして長期の施業の方針というものに基づきましたものを前提といたしまする五カ年計画というものを立てていただくわけでございます。したがいまして、その問におきまする施業の単位につきましては小班ごとに具体的に森林施業の計画を定めるというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/95
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096・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 森林法にいう森林計画とは何か。公益的見地からする森林施業に対する国の意思表示——国の意思を表示した公益的資源計画である。——これは辞書で引いたのです、林野庁お得意の辞書です、林野庁御編さんの辞書でね。公益的資源計画である。それから森林施業とは何か。森林を対象とした林産物の生産を目的とした経済活動、林業経営計画である。——違うでしょう。森林計画というのは、国の意思を表示した公益的資源計画、森林施業というのは、個々の森林所有者の経済活動、経営計画——違う。それを裏打ちにはめ込もうというのですよ、今度は。そうでしょう。こういう説明をすればもうちょっとはっきりするのじゃないかとぼくは思うのですがね、さっきぼくのぐたぐた論議したやつは。だから一方のほうは国の意思表示ですよ、資源に対する。こっちのほうは個々の森林所有者の経営計画です、経済活動ですよ、言うならばね。それを施業計画の裏打ちにしようという、森林計画の裏打ちに使おうということになるのでしょう。それを何やかや、生産が上がるというようなことをお話になるのじゃないですか。ですから私は、そういう意味で長官が先ほどから言っておられますけれども、どうも前の考え方といまの考え方と基本的に同じだということもわからないし、私どもの言っていることも長官のほうとだいぶ行き違いがあるように思うし、林野庁長官のほうでも、戦争前の林野庁の考え方と、戦後基本法ができてからのこの林業についての考え方というもの、そういうものを少し整理して論議しようじゃないですか。どうも整理が行き届いていないようです。いつの間にか昔に返っているのじゃないかという気がしますけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/96
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097・片山正英
○政府委員(片山正英君) 説明がなかなか的確に御理解いただけないわけでございますが、森林所有者が森林施業計画をつくる態度といたしましては、林業基本法のいわゆるその趣旨に基づきましてつくっていただくわけでございます。それを認定する場合に地域森林計画との調整が確かにあるわけでございます。しかしそれはあくまで所有者の理解と、所有者にもその趣旨に理解をいただいて、その中で自主的につくっていただいたものを認定するわけでございます。その結果といたしましては、林業基本法の趣旨に即する形に相なろうというふうに思うわけでございます。ただ計画的にやるということにおきまして若干の制約があるということはいなめないということでございますが、方向としては林業基本法の趣旨と一致するものだというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/97
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098・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X00919680416/98
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099・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記を起こして。
本案についての質疑はこの程度にとどめ、本日はこれで散会いたします。
午後三時七分散会
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