1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月十六日(木曜日)
午前十時三十八分開会
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委員の異動
五月十五日
辞任 補欠選任
内藤誉三郎君 小林 篤一君
小林 章君 岡村文四郎君
沢田 一精君 野知 浩之君
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出席者は左のとおり。
委員長 和田 鶴一君
理 事
高橋雄之助君
任田 新治君
川村 清一君
中村 波男君
宮崎 正義君
委 員
青田源太郎君
鬼丸 勝之君
円村 賢作君
温水 三郎君
堀本 宜実君
山崎 斉君
達田 龍彦君
鶴園 哲夫君
村田 秀三君
衆議院議員
農林水産委員長
代理理事 坂村 吉正君
国務大臣
農 林 大 臣 西村 直己君
政府委員
農林省畜産局長 岡田 覚夫君
水産庁長官 久宗 高君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○魚価安定基金の解散に関する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正
する法律案(衆議院提出)
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001・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
魚価安定基金の解散に関する法律案を議題といたします。
本案に対し質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/1
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002・宮崎正義
○宮崎正義君 先日に引き続きまして、先日資料の請求をいたしまして、その資料の「ソ連サンマ漁業の動向」という資料をいただきましたが、これのもう少し詳細を説明していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/2
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003・久宗高
○政府委員(久宗高君) 先日委員会で御要求のございましたソ連サンマの動向でございますが、四十一年度に、向こうの船に乗り込みまして、初めて科学調査船の乗船調査というのがございまして、その報告に基づいて、一応のケースを取り上げたわけでございますが、経過を申し上げますと、ソ連のサンマ漁業でございますが、一九五五年に調査が最初行なわれまして、その後試験操業の段階が何年かございました。南千島を根拠地とします次第に本格的な操業に入りまして、一九六一年以降には母船式漁業をあわせ行なうようになりました。それ以来三陸沖その他に南下してまいる傾向が出てまいったわけでございます。それで私どももこの経過につきましては、いろいろ資料の入手に非常に困難をしておったわけでございますが、六六年、昭和四十一年でございますが、ペラミンダ号というのに共同調査で乗り込みまして、その際にいろいろの知見を得たわけでございます。それをもとにいたしまして御報告を申し上げているわけでございます。
現在ソ連のサンマ漁業の規模は、大体操業隻数は二百隻と考えられるわけでございます。漁獲量は、大体これでおわかりいただけますように、年によって若干あれがございますけれども、四、五万トンという見当でございます。このうち御承知のとおり、サンマには幾つかの系統がございまして、日本近海に沿って上がってくる群と、もう少し沖合いのほうの群とあるわけでございます。日本近海で南下して操業してまいります場合はこの母船式漁業でございまして、たとえば一九六六年の場合で申し上げますと、大体四船団、一船団当たり大型操業船が、これは諸説ございまして、約十隻と一応私どもは考えております。そういった規模で動いているわけでございまして、全体としてソ連でとっておりますサンマの漁獲量の約三割が日本の沿岸沿いのところでとられているというふうに見当を立てているわけでございます。
なお、最近の動きでございますが、一九六五年には七月中旬から約百五十隻のサンマ船が操業いたしまして、七月下旬には花咲沖合い五ないし十マイル付近で五、六十隻の操業が行なわれたわけでございます。ただし、この年は日本と同様に不漁でございまして、日本近海ではあまり南下してはやってはおりません。
一九六六年すなわち昭和四十一年は、先ほど申し上げましたように、初めて話し合いがつきまして、先方のペラミダ号に乗り込んで共同調査をするということがございました。この際に相当いろいろな意見の交換がありまして、私どもといたしましても、この機会にソ連サンマの動向をある程度つかんだわけでございますが、この年は、七月下旬色丹沖合いの漁況は比較的よかったわけでございますが、母船式でさらに南下をしようといたしました場合には、これはあまり成績がよくございませんので、四船団約四万四千トン程度にとどまったということでございます。
一九六七年、昨年でございますが、これは漁船の報告その他によりますので非常に確認しにくいわけでございますけれども、総合いたしますと、ザハロフ型、約一万五千トン級の母船でございますが、これが五隻確認されております。このほかに八千トン型の冷凍船一隻、独航船、約二百トンないし三百トン型のものでございますが、十七、八隻といったものが認められております。この船団は鮫角の沖七マイル、八木沖五マイルまで接岸いたしまして、陸上から望見できるということで、だいぶ漁民の関心を呼んだ経緯がございます。
それから本年になりまして三月から四月にかけまして銚子沖の錢州に二隻出現したわけでございますが、これは漁期でもございませんし、おそらく巻き網関係ではないかということで、ことしの動向はまだこれからという問題になるわけでございます。以上のような経緯でございまして、ここに資料といたしましては出所の問題もございますので一応漁獲量だけにとどめさせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/3
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004・宮崎正義
○宮崎正義君 日本は御存じのように領海三マイルにきめまして、そのほかは公海としての漁船を操業して今日まできておるわけです。海洋法の諸条約の批准加入国はどんどんふえております。そしてまた領海を侵犯したという事件もこれまた年々多きをたどっておるわけです。中南米あたりですと二百マイルを領海としてと、あるいはエクアドルの十八マイル沖合いでことしの二月に、エクアドルの領海を侵犯したという理由で日本のマグロ漁船が拿捕されております。ここではまたアメリカの漁船も拿捕されておると、そしてまた罰金も取られておるということも聞いております。ソ連は領海を十二海里の線を引いてわが国の漁船の、早くいえば締め出しのような形をしておるような状態でありますし、今日までの拿捕問題等も、これは枚挙にいとまがないほど続けられております。このままの状態でいいかどうか。またいまお話がありましたように、わが国のサンマ漁労についてのソ連船団が鮫角沖等の方面に進出をしておるのがだんだん多くなっておるようであります。
昨年のわが国のサンマは十九万トンじゃなかったかと思うのですが、いずれにいたしましても相当、目に見える前に来て漁穫をしておるということに対して、日本の水産界ではたいへんこの雲行きを案じておるわけです。一方においてはこの法案のように、サンマがとれ過ぎて魚価の法律まできめなければならぬ。今度はサンマの量が少なくなってくる、しかもソ連の船団が入ってくるというようなことで、サンマの安定価格というものに対する考え方等もどういうふうに将来は考えていくか、こういう点も伺っておきたいと思います。
〔委員長退席、理事任田新治君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/4
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005・久宗高
○政府委員(久宗高君) 前段で御指摘のございましたように、まあ非常に長い準備をかけまして、相当の期待を持って世界じゅうが集まりました例のジュネーブ会議、一九五八年並びに六〇年に開かれた会議におきまして、海に対する基本的な制度が幾つか条約化されようとしたわけでございますが、残念ながら一番問題でございます領海の幅員につきましてはきわどいところで合意が得られませんで、したがいまして結果といたしましては国際的な合意が得られなかった結果、一応現在の段階では国際法上確認された幅員といたしましては三海里ということに言わざるを得ないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。その立場を一応守りながら、同時にあれを契機といたしまして領海外に専管水域を広める傾向が非常に強く動いてまいりました。特に開発途上国におきましては、将来の漁場開発を頭に置きまして、やや陣取り戦といったような形でとうとうたる傾向になっておることは私どもよく承知をいたしておるわけでございます。
またさような意味におきまして、現在の段階で世界の各海域におきまして私ども漁業をやっておりますので、そういうようなものとそれぞれの地域におきましていろいろ紛争が起こっておるわけでありますが、累次申し上げておりますように、日本といたしましては、国際法の原則に基づきまして一応三海里というものを基礎にいたしながら、しかし現実的にはそれぞれの国におきまして、二国間の話し合いにおきまして、専管水域内におきまする伝統的な漁業の実績の確保につきまして、個別に話を進めて今日に至ったわけでございます。
御承知のように、一番典型的な形は日韓の条約でございますが、その後アメリカ、ニュージーランド、メキシコ、現在オーストラリアと話を進めておるわけでございます。また若干角度が違いますが、インドネシアとも話をまとめたいと思っておるわけでございます。このような形をとっておりますので、非常に何と申しますか、それぞれの国との個別交渉であって、全体の秩序に世界的な合意に達するためのかまえが問題ではないかと、たびたび本委員会においても御指摘を受けるわけでございます。いま申しました幾つかの地点の確認ができましたので、当面若干の問題を残しておりますけれども、具体的に十二海里ないしはそれ以上の専管水域なり、領海におきましても、私どもが現に必要としております漁業の実績の確認につきましては、ほぼめどがついたと思っておるわけでございます。
また同時にジュネーブ会議におきましては、法制問題だけが問題になったわけでございますが、現実の漁業といたしましては、いわば国際慣行をつくっていくということでございまして、つまり、よそではそういう競合が現実に起こっておりませんので、日本だけがやっておりますためによそとの競合が起こっておるという実態でございますので、私どもといたしましては、それぞれの地域におきまして取りきめの内容も当然違ってきてよろしいというように考えるわけでございますので、幾つかの典型的な事例ができますと、かりに世界じゅうやはりこの無秩序の状態がいいと思っておりませんので、何らかの時期に世界的の規模におきます会合が予想されるわけでございます。その際におきまして、私どもといたしましては、現実の漁業のあり方から見て、このような協定のしかたにおいて、かりに法律的な立場に相違はございましても、現実の漁業関係は調整ができるではないかといった、実績と申しますか、国際慣行を確立していこう、そういう努力を積み重ねておるわけでございます。
しかしながら、御承知のとおり、この秋には国連におきましても幾つかの海洋に関します非常に大事な報告がなされまして、何らかの意味で海洋関係につきましての国際的な意見の交換が行なわれる可能性が非常に強いわけでございますので、そのことも頭に置きまして、その時点に合わせますように、一連の検討と交渉を進めてまいったわけでございます。私どももでき得べくんば、かような海洋関係における無秩序が続くのを適当な時期に調整をいたす必要があろう。その際におきまして、日本側といたしましては、漁業におきます先進国といたしまして、その中における指導的な立場を、現実的にも、あるいは調査研究の上におきましても持って臨みたいということで、一貫して処理をいたしておるわけでございます。
なおそれと関連いたしまして、御指摘のございましたソ連のサンマの例のように、領海の幅員、あるいは漁業専管水域を設けてないということによりまして、沿岸近くに他国船があらわれて、特にサンマのように相当こちらでいま不漁になっております関係もございまして、漁民感情といたしましていろいろ問題があるという御指摘は、私どもも全くそのとおりに思うのであります。サンマの主たる漁場から申しますと、領海三海里よりもちろん外でございますし、かりに専管水域を設けましても、むしろ主漁場はそれよりももう少し沖合いになる可能性が強いわけでございます。したがいまして、専管水域というだけで片づく問題ではないというふうに思いますし、必要があれば、やはりこれは公海におきます漁業ではございますけれども、二国間で何らかの意味の取りきめをして、秩序のある運営をはかっていくという形にならざるを得ないというふうに思うわけでございます。
さような意味におきまして、実は今回の日ソ交渉におきましても、日ソ交渉の委員会の場ではございませんけれども、別途御承知のとおり、科学技術関係の協力の協定がございますので、その線に沿いまして共同調査をやろうじゃないか、特にサンマにつきましては、実は諸説ふんぷんでございまして、資源的に非常に危険であるという見解もあるし、いやそうじゃないという見解もあります。また日本の沿岸の系統の魚は比較的わかっているほうでございますが、もう少し沖合いになりますと、これはほとんどまだ十分よくつかめていない、いういった問題もございます。さような意味で、私どもは、日本の学者とソ連の学者が卓を囲んで、サンマの基本的な資源の内容につきまして突っ込んだ検討をいたしまして、それをもとにそれぞれの考え方を、また事務上の調整の必要があれば考えていきたいということで、さような提案をいたしまして受け入れられまして、これが発足しようといたしておるわけでございます。
いずれにいたしましても、私どもといたしましては、それはそれといたしまして、ソ連の漁業が畜産の失敗もございまして、相当大きくたん白資源の確保につきまして水産にウエートがかかってきておりますので、しかもその中で太平洋海域におきますウエートが相当実は高いわけでございます。したがいまして、単にサケ、マス、カニといった問題のみならず、多獲性魚といわれるものにつきましても、相当これから問題があり得るというふうに考えますので、十分その点頭に置きまして交渉に臨みたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/5
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006・宮崎正義
○宮崎正義君 いま、安定価格の件がまだ回答ないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/6
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007・久宗高
○政府委員(久宗高君) サンマそれ自体につきましては、先般の委員会でもいろいろ申し上げたわけでございます。当初約五十万トンがたびたび続くというような状態におきまして、相当混乱いたしまして、これをさばく意味におきましてこの基金ができたわけでございます。もちろんこれは、サンマに限定されたものではございませんけれども、サンマがきっかけになりましてそれを頭に置いてできたわけでございます。その後、累次御説明いたしておりますように、海況の非常な変化がございまして、発動の機会が非常に少ないために問題になったわけでございまして、私どもといたしましては、サンマのみならずこれらの基金を運営させてまいりました経験から申しまして、多獲性魚に関連いたしまして価格の安定をはかろうといたしますと、たびたび御指摘のございますように、やはり総合対策が必要ではないかということで、思い切ってこれを一たん打ち切りまして、総合対策に本格的に取り組みたいということでございます。しかしその経過におきましても、ごく客観的に突き放して申し上げれば、現在の資源の動向から見ました場合に、いわゆるこれをやめたとたんに大漁貧乏がまた出てきたということはまずまずないと考えられます。そこで、しかしながら、このような制度があるということが、やはり一つの安心感になるわけでもございますので、それをはなはだ中途半端ではございますけれども、この基金の残余財産の処分と関連いたしまして、サンマの関係の団体が、今日まで基金がサンマについて果たしてまいりました程度の規模と同じような事業が継続できるように、一応過渡的に処理をしておきまして、総合的な多獲性魚の対策ができますまでの期間、これで裏打ちをしておきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/7
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008・宮崎正義
○宮崎正義君 領海、専管水域の点につきましては、一国が一方的に沿岸国としての管理権を行使することはできないという立場をとって、最近の世界の趨勢が、そういう状態から見ても、沿岸十二マイルを限度として関係国との間に合意的な討議がなされているわけですが、先ほどお話がありましたように、日本がその国と折衝しているだけの範囲内であるというようなことでありますが、さっきも申し上げましたように、アメリカ自体もエクアドルあたりでは相当のあつれきを生じている、そういうふうなことになってきますし、それからまた北鮮の船団、あるいは韓国の船団等も相当日本の近海に入ってきております。御存じのように、エビ船のロープを切ったとかというような北鮮の船団があったというようなこともはっきりしてきておりますし、外交交渉のない北鮮船団あたりとはどういうふうな折衝をしていくかということも、今後残された大きな課題になっております。そういう事態になっているにもかかわらず、前には日韓条約では十二海里をきめてしまっておる。そういうふうに一方には十二海里をきめて、相手国とのきめ方をしていながら、さらにソ連との話し合いが進められないという点に、私は疑義があるわけですが、この点についてどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/8
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009・久宗高
○政府委員(久宗高君) 領海並びに専管水域の関係で、一番やはり問題になると思いますのは、何らかの取りきめが行なわれました際に、その中におきますいわゆる伝統的な漁業、これがどう取り扱われるかという点が非常にはっきりいたしますれば問題はないわけであります。先ほど申しましたように、ジュネーブ会議で、そこのところが中途はんぱなまま合意が得られず、もとの形に返らざるを得なくなりましたので、かりに専管水域をつくりました場合に、その中で第三国の伝統的な漁業をどう取り扱うかということにつきましては、いわばいまルールがない形になっております。そこで私どもといたしましては、それぞれの国との関連におきまして、われわれの伝統的漁業の実態をよりよく理解させた上で、それの実績を認めさせるような、いわば法律論をたな上げにいたしましてやってまいりましたのが、先ほど申しましたような幾つかの漁業協定でございます。
したがって、ソ連との関連で申しますと、御承知のとおりソ連は領海十二海里ということでやっておるわけであります。そこでいわゆる専管水域の問題ではないわけでありますが、かりに守る立場になりまして、ソ連がこちらにまいりました場合の方法といたしまして、かりに十二海里の専管水域というものを設けます場合に、十二海里の専管水域を設ければそれで事が済むかと申しますと、むしろ主体は十二海里よりも以遠の公海において、なおかつ資源との関連におきまして、取り方について相互に話し合う必要が非常に多いと思うのであります。
そういうことから考えまして、私どもといたしましては、日本の立場といたしましては、いま専管水域を引いて‐これがいかなる国に対しても一般的に通用するという形の専管水域を引くことは差し控えたい。つまりそういうやり方は国際法上おかしいではないかというのが、日本のジュネーブ会議以後におきます漁業の国際的な慣行から見ての筋ではないかというたてまえをとっております。一般的に、日本が一方的に専管水域をきめて、どこの国もこれに従ってほしいという言い方は必ずしも適当でない。もしやるとすれば、二国間で話し合いをしてやるべきものだろう、こう思っておるわけであります。
ただソ連との関連で申しますと、これからいろいろな多獲性魚にソ連が相当の関心を持って動いてまいるといたしますれば、いわゆる沿岸の三海里ないし十二海里というものよりは、むしろそれより沖合いのほうが問題になるわけであります。さような意味におきましても、もし必要があれば、二国間の話し合いで何らかの規制について話し合う必要があろう。つまり専管水域だけでは事が済まぬというふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/9
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010・宮崎正義
○宮崎正義君 もちろん、専管水域だけの話し合いでは解決つかないことは私もわかります。いまお話がありましたように、一方的なラインを引いてそしてやりたくないと言っていますけれども、インドネシアにしてもオーストラリアにしても、みんな一方的に引いて、お話がありましたように海洋国同士の話し合いが——海洋法自体にも話し合いができていない、合意の点を見出していないというそういう事態なんですから、各国がおのおの線を引いてここから入っちゃならぬということを言っているわけです。それを入っていけば拿捕されていくという現況が今日ある。そういう事態において、なおかつまだ日本では良心的に三海里だけをがっちり守って、そうして個々に話し合いをしていくといいながらだんだんだんだん追い詰められてきている今日の実態から見ていきまして、これはもう相当強力な私は行き方をしていかなかったならば、日本の水産界というものは、もう世界第一位の水揚げ量があった日本が第二位、第三位と、どんどんどんどん置き去りにされていくようになる、締め出されるようになる。そういう点を心配しますので、もうただいま押されたままの行き方じゃなくて、押していく自主的な行き方というものを考えなければならないのじゃないかということを、私どもはずっと機会があるたびに言っているわけです。
今回も、公海の自由、領海の問題につきましては法律化してまいりましたけれども、大陸だなの問題等につきましてもまだまだ多くの問題が取り残されておる。御存じのように、今回の日ソ漁業の交渉でもいきなり大陸だなの話を出されて、そうして一つの交渉段階をセーブされてきたというような点からいきましても、より強力な行き方を、交渉をしていかなければならぬ。特にソ連に対してはいまのままの三海里じゃなくて、この範囲内に、五海里くらいまでの漁はしていいじゃないか、当然させるべきじゃないか。サンマについては、日本が厳重に、いまお話がありましたけれども、二十海里、三十海里の沖合いだから、領海のところじゃないのだから、十二海里の線を引いてもまだその先なんだというようなお話のように私は受け取れましたけれども、それにしましても厳重な交渉が必要であり、こっちが規制していくような態度に出なければならぬのじゃないかと思うのですが、この点どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/10
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011・久宗高
○政府委員(久宗高君) 昨年の外国人漁業の規制のときからたびたびここでお話しているわけでございますが、私どもは決して三海里を墨守いたしまして、消極的にただ理屈だけを言っているつもりはないわけでございます。ただ、御承知のとおり、海洋法の問題が問題になりました一九六〇年代の初めのころからあの会議の経過を見ましても、やはり現実に漁業をやってない国も、特にあの時期から低開発国の問題がすでに出ておったわけでございますので、あの種の一般的に世界的な話をきめようという場合におきましては、数で開発途上国の意見がごり押しに通る経過があるわけでございます。それをさらに助長いたしましたのは例の国連貿易会議、二カ月もやりました貿易会議でございますが、この場合におきましても、低開発国と先進国との間にちょうど労組交渉のような形でいろいろな問題がどんどんごり押しにされてきたという傾向がございますので、現在、漁業で考えますと、漁業についてもこんな形じゃいけないから世界会議を開こうじゃないかという御意見も実はあるわけでございます。
かりに現在の段階で開きますと、これはもう漁業をやってない方たちも数でとにかく先に漁場をとっておいたほうが得なわけでございますから、とうとうとしていわば漁業の本来から見ますとおかしい制度がまかり通るおそれなしとしないわけであります。さような意味におきまして、私どもはやはりそういう形では、当面いいといたしましてもこれは全く新しい国境紛争と同じでございまして、たまたま海でやっておりますので、ここまでを領海にしよう、ここまでを専管水域にしようということでいまのところはいいわけでございます。
かりに後進国におきましても漁業がこれから関心を持たれて動き出した場合におきまして、後進国同士の関係におきましても、これはたまたまいま漁業をやっていませんから問題ございませんけれども、もし漁業をやり出しますと、たちまちこれは全く新しい国境紛争になるおそれが私はあると思うのです。私どもが明治の初めから各県の間で、百年かかっていろんなこまかい入り会い調整をして、今日なお紛争が絶えない。その経過から見ましても、そういう問題があると思うのでございますが、たまたま漁業をやっておりませんので、この問題があまり論議されませんので、とうとうとしてどんどん十二海里専管水域あるいはもっとそれよりもオーバーする専管水域の動きがございまして、これは決してほうっておいていいとは思いませんのですが、いずれの時期にはこれはとてもいかぬではないかということで、世界的な話し合いが行なわれる可能性はあるわけでございまして、その際におきまして、私どもの立場は、現在漁業をやってない、ただ陣取りだけすればいいという国とは違っていまして、現に漁業を七つの海でやっておりますが、本来漁業というものはこういうルールできめるべきだというたてまえと指導性というものをぜひ持ちたい。
そういう準備を実は一年半かかってやってまいったわけでございます。たいへん遅々とした動きで歯がゆいわけでございますけれども、先ほど申しましたように、ほぼ大きな類型としてこことここは固めておきたいというものにつきましてのめどはつきましたので、私どもももちろん御指摘のように、いわば大勢といたしまして相当専管水域がどんどんふくらんでいく、領海それ自体についても問題があるということは十分承知いたしておりますが、決して消極的に考えているわけではございませんので、世界的な合意が得られれば、しかるべき領海、しかるべき専管水域、特にその専管水域の中におきます伝統的な第三者の漁業というものをどう取り扱うべきかというものにつきまして、世界的な合意が得られるように、その準備といたしましても私どももやはり努力が必要ではないだろうか、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/11
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012・宮崎正義
○宮崎正義君 ことし国連で海洋法等のお話が出るという先ほどお話がありましたけれども、いまお話のように、受け身じゃなくて、攻撃でなければならないと思うのです。そういう点で十二分な将来の見通しということを立てられて、この際日本の海洋のいき方、遠洋の行き方というものをはっきりしていかなければいけないのじゃないかと、私はこう思うわけです。どうかひとつ極力積極的に遠洋漁業に対する考え方をより固めて進んでいっていただきたいということの希望を申し上げておきます。
本題に戻りまして、多獲性魚のたとえばイワシとかアジとかサバ、スケソウ、そういうものが局部的には相当とれている。それでその反面、加工にも間に合わない、加工にもあふれてしまう、相当もったいない話ですが、魚かすの状態にも間に合わないような、つくり上げられないような行き方になっている。そういう多獲性魚に対する考え方はサンマだけじゃない。したがいまして、水産物の価格安定の方策というもの、そういう多獲性魚に対する考え方というものをはっきりして、この際まとめておかなければならない、こういうふうに思うわけですが、この点についてお考えをお伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/12
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013・久宗高
○政府委員(久宗高君) 御指摘のとおり、多獲性魚の漁業につきましての対策というものはぜひ要るわけでございまして、またそれらの認識が国会におきましても強くてこの基金がつくられました。サンマのみならず、多くの多獲性魚にこれが機能するように制度をつくっていただきました。さらにいろいろそれにも附帯決議がつきまして、運用につきましてもいろいろな御指示があったわけでございます。この前も申し上げました結果論でございますけれども、やはりそれ以後の経験から申しますと、多獲性魚につきましては、とにかくアジ、サバにいたしましても、漁況の変化というのは相当あるわけでございます。それから漁業の種類によりまして、たとえばサンマのような場合とアジ、サバのような場合と、これはどうも経験的にみますと違うようでございまして、とれるだけとってそれが港に集中するのを散らすというような行き方でいけるもの、またそれが必要なものと、そうではございませんで、漁そのものをある時期休んでしまう、こういったような行き方の適当なものと、ものによりましてやはり相当違うなという感じがいたします。特に金を積む場合にいたしましても、そういう感覚が漁民の側にはございますので、金の積み方自身につきましても、積むよりはむしろ休んでしまったほうがいいといったような評価もございまして、きめこまかくやりますと、漁業の種類によりまして同じ多獲性魚でも対応のしかたが非常に違うんだなという感じをこれの苦い経験から持っておるわけでございます。
したがいまして、将来の形といたしまして、ある機構を考えます場合におきましても、やはり相当漁業の種類ごとに異なった機能をできるようなものでございませんと、また今回のように一たんつくっていただいたものをやめなければという不始末になるというおそれがあるというふうに考えますので、先般も申しましたように、そこの点をもう少し補充していただきまして基本的な総合対策をつくってまいりたい。特にある機構と申しますよりは、やはり水揚げ地におきます冷凍なり貯蔵なりの施設の問題、あるいは加工の問題、これらも量的にはこの前資料で御説明しましたように、相当当時よりは充実してまいりましたけれども、個別にみますとまだ稼働率その他について非常に難点がある。
〔理事任田新治君退席 委員長着席〕
つまり、個々の企業でございますので機敏に応じられない。しかし、そういう施設がなければ実はピークには困るといった点が実は解決されておりませんので、今後はその辺の設備をつくります場合にも、それが有機的に動けるように、いわば情報を正確につかんで、個々の施設がそれにある時点で呼応して動けるようなことが実は非常に必要なのではないか、それができれば現在の施設でも相当のことがやれるといったことが業界でも言われますし、私ども一行政当局といたしましても、その辺のところを行政的にどういうふうにしたらいいのかということをいま一生懸命詰めておるわけでございます。
それと関連いたしまして、何らかの金融措置が必要ではないかというふうにも思います。その辺のところをもう少し詰めさしていただきますが、せっかくこれだけの機構をつくっていただきながら、多獲性魚についての措置ができないで一たん幕を閉じるということで、まことに遺憾に思うわけでございます。この苦い経験を生かしまして本格的に取り組みたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/13
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014・宮崎正義
○宮崎正義君 時間も過ぎましたので、一言大臣にお伺いしておきたいと思うんですが、いまお話をしあっておりましたですが、現在の大量にとれる多獲性魚につきましても、大量にとれる魚を大漁貧乏だとも言われますし、大体こういう現象は今後も続くんじゃなかろうかというふうに思うわけですが、したがいまして、わが国の水産業が大体大企業の隆盛の陰に中小企業の漁業が圧迫されているというふうに言われているわけなんでありますが、たとえば大会社が合併されていきます。合併されていったその陰に中小企業の会社が倒産していく。また家内工業に従事している人たちが将棋倒しのようにあふりを食って倒産していくというような形の中に、今日の経済機構というものが改まりつつありますが、この水産業においても、私はそういうことを非常に憂えるわけです。しかも多獲性魚の漁をする人たちは、中小企業の人が多いわけです。この中小企業の人たちの保護育成ということもどういうように今後考えられていきますか、またさらには、いま申し上げましたような魚価の安定策というものを、小手先だけの考え方でなくて、法律を、出したものを引っ込めるというような行き方でなくて、将来は魚価に対する安定価格はこういうようにしていくんだという方針を、明確に大臣から伺っておいて私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/14
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015・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 海況の変化、それから産地でもだいぶ保管、加工施設というのは従来よりは整ってきたという意味から、大漁貧乏と申しますか、そういうものがなくなってきている傾向にはありますけれども、一面多獲性という現状と、いまおっしゃるような中小企業がそれにたよるという面からも、価格低落によっていろいろ影響を受けるというやはりおそれなしとしない、それに対してどうしていくのかという御質問でございます。ごもっともでございます。私は基本的には、ちょうど先般の本会議でも川村さんから水産対策、漁業対策に対する特に大蔵大臣に対する質問があったのですが、私としても農政も大事でありますが、伸び率その他すべての点が、基礎の小さいところを伸ばしているのだが、伸び率は同じようであっても、全体的に水産は国のお世話がおくれがちである。これを何とかしてやはり力をつけてみたい。そこで、たとえば近代化資金のごときも、とうに入っていなければならないものが今日まだ実現しておりませんので、こういうものを早く促進してまいりたい、こう思います。こういったような体質改善の問題もございます。
それから、おっしゃるように、どっちかというと、サンマを中心にしました安定基金をやめるのでございますけれども、一部を残しまして、それによって民間の法人によって需給調整なりの基金はできますけれども、それは一時のつなぎであります。そこで基本的には、現在水産庁長官を中心にして総合対策を研究しようじゃないか、また確かに業界のほうからも、そういった中で解決したらどうかというような御意見もありますので、それを十分受けて、私どもとしてもそういったものをもって魚価安定という総合対策というものに進んでまいりたい。しかし現実にはつなぎがなければいけませんから、この改正に伴っての措置そのものは考えておるわけでありますが、基本的にはそういった漁業に対する基本姿勢、それからその中においての漁価安定として、いまのような総合的な施策というものを考えていくべきである。こういう気持ちでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/15
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016・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/16
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017・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/17
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018・川村清一
○川村清一君 それでは私はあまり時間をかけないで、大事なことだけお伺いしたいと思うわけであります。
先日私質問を申し上げましたときには、大臣おいでにならなかったので、若干、先日申し上げたことにも触れるかと思いますが、非常に大事なことでございますので、もう度申し上げたいと思います。
私といたしましては、どう考えてみても、魚価安定基金を解散するということに、これはもちろん個人的な意見でございますけれども、納得できかねるのであります。それでその理由はどういうことかと申しますというと、魚価安定基金を解散するということは、要すれば魚価安定基金法というこの法律をこれはもうなくしてしまうということなんです。いかなる法律でありましても、法律を制定するときには、その法律制定の目的があるわけでありまして、その目的は必ず第一条に明確に規定されておるわけであります。そこでその目的をさらに強く実施していくためには、法律を改正するということもあり得るわけであります。それからもっともっと強く、別な角度からその目的を実施する、基本的に強化するというためには、現存する法律をなくして、新たなもっと強力な法律をつくるということはもちろんあり得るわけであります。ところが、この魚価安定基金法に規定されております第一条の目的、すなわち、「魚価安定基金は、漁業生産調整組合、水産業協同組合等が多獲性の水産動物の価格を安定させるために行なう調整等の事業につき助成をすることにより、漁業経営の安定に資することを目的とする。」、これが目的なんです。現在、日本の漁業にこういう目的がもう必要ないのだということであるならば、この法律を失効してしまうことはこれは当然でございます。しかしながら、私はこの目的は完全に達成されておるというよりももっとこれを強化していかなければならないというふうに考えておるわけであります。
ところが水産庁の御意向は、この法律はサンマを主体にしてつくった法律だからサンマについてはその必要がなくなったのだからこの法律をなくする、解散する、こういう御意向なんであります。ところが政府としてはそれは一応わかるわけであります。しかしながら法律論となりますと、この法律を第一条から終わりまで読んでみましても、どこにもサンマなんていうことは書いてないのでございます。サンマのサの字もないのであります。で、サンマ以外にそれじゃ必要ないかというと、これはこの間も申し上げましたし、ただいま宮崎委員からもお話がございましたように、私は必要があると。にもかかわらずこの基金を解散する、すなわち魚価安定基金法という法律をこれを消してしまうということにつきましては、私は何としても納得がいきかねるのでございます。
もっともサンマを主体にして当初においてこの法律を発足させたことは十分わかっております。ですから、その政策のためにはこれは政令でサンマというものを規定しております。しかしながら第一条には「漁業生産調整組合、水産業協同組合等が多獲性の水産動物の価格を安定させるために行なう調整等の事業につき助成をすることにより、漁業経営の安定に資することを目的とする。」、こういうことになっておるのでありまするから、したがって、この法律は発展的にやはり運用をしてこなければならないという、そういう使命を法律自体に持っておるし、そしてこれを執行する農林省の御当局には行政執行者としての責任使命があったはずなんであります。だから私には納得できかねるわけです。現に全国さんま棒受網漁業生産調整組合以外に漁業生産調整組合というものはまだ幾つかあるわけであります。現在あるわけであります。そしてまたこの法律のたてまえからいうならば、もっともっとそういう生産調整組合をつくっていくようなそういう行政指導をしなければならない。水産庁にはそういう任務があったはずなんであります。それを何もやってこなかった。そしてサンマはその必要がなくなったから、だからもはや要らないんだということで消してしまう。
で、私ははっきりお聞きいたしたいことは、この魚価安定基金法にある第一条の目的というものは、日本の漁業においてもはや不必要になったのかどうか、こういうことはもはや要らないものなのかどうか、この点を明確にまずお聞きしなければならない、こう思うわけであります。これをひとつ大臣に御答弁を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/18
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019・西村直己
○国務大臣(西村直己君) おっしゃることはよくわかります。ただ今回提案になりました基金法の廃止法案は、御存じのとおり、行管等の一つの考え方を受け入れまして、組織としての基金そのものはやめていこうじゃないかということになると、基金法という組織法そのものをどうしても改廃しなければならないのだ、こういうことから御審議を願った。したがって、本来の目的である魚価安定そのものは、これはもう当然われわれ水産庁として、政府として、また非常に漁民の生活にも大きな関係がある事柄であります。もちろんその基本によって立つものは、当然沿岸漁業の振興法等々こういうものを基本にしまして、先ほど申し上げましたように、さしあたりまた今後に向かっての総合的な魚価安定の対策というものを出してまいりたい。万一それが法制的にも必要なことになりますれば、またその際には国会の御意向によってきめていかなければならぬ、こういう意味でこの法律そのものは、基金の組織法というような意味で、組織の改廃、その観点から御提案を申し上げておる、こういうふうに私どもは御了解願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/19
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020・川村清一
○川村清一君 大臣の御答弁でございますが、これは基金の組織法、そういう性格の上から改廃するのであるという御答弁でございます。組織法であるというその点を私了解いたしたといたしましても、サンマについて必要なくなったから、これはもはや不要だという、そういう考え方は私は納得できないのであります。これはいままででも、また現在でも、やはりこの法律を運用する気があれば、やらなければならない事項は私はたくさんあると思うのであります。
ちょうだいいたしましたこの資料を検討してみましても、たとえばサバにひとつ例をとってみましょうか。サバは昭和三十七年から四十一年まで、キロ当たりの価格を見ますというと、三十七年はキロ当たり三十四円、三十八年は三十七円、三十九年は三十六円、四十年は三十三円、四十一年は三十三円。生産量は三十九年は四十九万五千トン、四十年は六十六万九千トン、四十一年は六十二万四千トン、生産は非常に四十年、四十一年急速にふえてまいっておるわけであります。そうしますと、三十八年にキロ三十七円、三十九年にキロ三十六円であった価格が、四十年には三十三円、四十一年には三十三円、そのほかの魚種をかりに見ましても、アジを見ます。アジを見たところで、三十九年は三十四円、四十年は三十五円、四十一年は三十七円、イカはこれは三十七年三十円、三十八年三十二円、三十九年からこれは非常に生産が落ちまして急落いたしました関係上、加工用原料が不足いたしまして六十円にはね上がった。四十一年はまた六十三円と大幅に上がった。これは生産が非常に少なくなったわけであります。
しかし一面から考えてみますと、これは長官、ひとつ農産物と比較してみてください。いいですか、米をひとつ考えてみましょう。昨年は千四百万トンの米の生産があったのです。前古未曽有の米の生産で、それで消費需要にこたえるどころか、二百六十万トンぐらいの古米が余ってどうしようかというような段階にあるわけですよ。そのほか大根ひとつ考えてみても、キャベツ一つ考えてみても、そういう野菜類、農産物が三年も四年も五年も生産者価格が同じだ、全く横ばいだ。上がっても一円二円だ、こんなものが一体ありますか。ないでしょう。そうしますと、ここに掲げられた表で考えてみましても、それは価格が、いわゆる絶対的な数字においては三十三円だ、あるいは三十四円、三十五円だ、三十七円だという横ばいですから、あなた方は、下がっておらない、こういうふうに考えられるかもしれないけれども、他の農産物だとか、あるいは漁業者が日常使う生活必需品の価格の上昇に比べてみたら、相対的な価格でみたならばこれはおそろしい低落でしょう。そうお考えになりませんか。このように魚価が低落してきておるんです。
また、サンマのこの法律は不要だということをあなた方はおっしゃっておられる。ところが、昭和三十六年にこの法律を制定したときに、サンマの最低価格というのは一体幾らに押えられましたか。十三円ですよ。価格十三円を割ったときにおいて生産調整をするのだ、そのときに、休漁した場合において八百円に船のトン数をかけて、そうして休漁日数をかけた分を生産者に対して助成するということ、またその者が船を回航した場合においては燃料費、これを助成をする。かすに落とした場合においては魚かすの保管料、倉敷料を助成する。——これが三十六年、この法制定当時の内容であるわけです。その考え方が一歩も変わっておらない。どこの世界に、いまサンマが十三円になんかなることがありますか。それは夢のような話でしょう。キロ十三円。だから、こんな法律は必要なくなってくるわけです。もちろん、四十万トン以上とれておったのが現在二十万トンくらいに下がりましたから、かすなんかにたく必要はないわけでございます。ですから、水産庁の皆さんはその価格なんかというものの考え方がまことに時代と離れているんですよ。
しかしながら、漁業の構造というものは非常に多様性を持っておりますから、私が言うまでもなく、たとえば北洋に行っている遠洋底びきのごときはトン数がだんだん拡大されて規模が大型になりまして、七十トン、八十トンクラスのものが、現在三百トン型になってきておる。そういうふうに船が大型化され、装備が近代化されることによって省力化されますし、合理的な経営でコストが下がってまいりますから、いわゆる生産性が向上してまいりますから、魚価が下がってもけっこうペイするのですよ。
ところが、生産性の低い沿岸漁業はどういうことになりますか。もちろん鮮度の違いによって評価価格は違いますよ。しかしながら北洋に行ってとってくる魚であっても、近代的な設備のもとにやってきまずから、きちっと冷凍して持ってまいります。したがって、沿岸でとれた魚の鮮度とそう違わない。これは北洋でとった魚だから三十三円だ、これは沿岸の魚だから五十円だということに相ならぬわけです。そうでしょう。生産性が違うんです。
そこで、そういうようなことについて一向むとんちゃくで一律に考えておる。それで生産性の高い漁業を経営しておる大企業の漁業のしわ寄せを受けて、沿岸は生産量においても生産額においても非常な圧迫を受けて、しわ寄せを受けて困っておるのが実情ではございませんか。だから私に言わせるならば、サンマに限ったといたしましても、私はこの法律は不必要だとは考えておらないのですよ。どうですか。私の言っておることにもし間違いがあったら、おまえの言っておることは間違いだということでけっこうでございますから、専門的な立場から、長官私の言っておることをひとつ反駁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/20
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021・久宗高
○政府委員(久宗高君) 今回の法案を扱うにつきまして私ども一番悩んだ問題でございまして、御指摘のようなとおりの問題があると思うのであります。必ずしも運営よろしきを得ませんで、はなはだまずい形であるということは認めざるを得ないと思っております。ただ若干、せっかくお話がございましたので申し上げてみますと、これは釈迦に説法で恐縮なんでありますが、やはり扱ってみまして、これからの問題もございますので、非常に問題だと思っておりますのは、何と申しましても、水産につきましては品質の規格の設定が非常にむずかしいという問題がございます。そのことがやはり全部に関連する問題でございまして、この辺のところを一体どう割り切っていくのか、今後の、加工のウエートが非常にふえてきたということと関連いたしまして、もちろんめどが全然ないわけではございませんが、実際問題として一番この問題が魚の本質的な問題として、価格操作をいたそうといたしますと引っかかる問題でございます。特に農産物との関連におきましてお考えいただきました場合にさような問題がございますわけです。
それから資料でも申し上げましたように、冷蔵、冷凍の事業は相当発展してきておるわけでございますけれども、それとの関連で何らか特定の機関が売買に関与いたしましてやるやり方、これには相当の、やってみました関係を見ますと、どうも効果に疑問があるという感じがいたしております。つまり、農産物のように、あるクロップと申しますか、収穫時期というものがきまりまして、その時期に一定の量がはっきりしておるというものとは若干違う問題もございまして、売買に常時ある機関が関与するという行き方には相当限界があるのではないかという問題が第二点でございます。
それから、これももちろん申し上げるまでもないことでございますけれども、たとえば生糸でございますとか、あるいは肉といったようなものは——もちろん米も同じでございますけれども、保管経費の問題がございまして、また保管期間に限度があるといったようなことから、いろいろ手段が奪われてくるわけでございます。さような点が魚の本質的なやっかいな問題でございまして、この辺のところを特に何らかの機構を考えようといたします場合に、相当突っ込んだ検討が要るのではないかというふうに思うわけでございます。
ただ、御指摘のように、多獲性魚についての価格の推移を吟味してみますと、おそらく価格の絶対値におきましても問題があろうし、この間に経費も増高しておるであろうということを考えますと、経営は相当やっかいではないかという御指摘は、白書の中で相当大胆に私どもといたしましても指摘をしているわけでございます。多少価格全体といたしましては、水産関係は需要が強いために魚価が比較的いいということで、経営自体の問題点も漁業関係者が実態よりは若干楽観しているという点がございます。ほんとうに吟味いたしてみますと、採算的には実は非常に問題がある。競争関係がございますもので、魚獲装備もどんどんよくしてやらなければならぬし、値段の上でもちろん御指摘がありました多獲性魚の問題はありますけれども、一般的に魚価が総体的に需要が強いために、現在持っております経営の問題点が楽観視されておるという点は私どもも気がついておりますし、白書の中でも相当突っ込んで取り扱ったつもりでございますので、決して楽観をしているわけではございませんし、適当な時期に——と申しますのは、若干でもまだ需要が強い時期に経営問題をもっと深入りして検討すべきだという点は、私ども全く同感に思うわけでございます。
それから、あとでお話が出るんだと思うんでございますけれども、北洋関係の問題でございます。御指摘のとおり、スケソウにつきましていろいろ問題がここでたまたまこの時期に出てまいったわけでございまして、これについての問題といたしましては、たまたまこの魚価安定基金を廃止せざるを得ないというような状況で、いわゆる大漁貧乏の問題が出ておりますので、非常に対照的な問題であろうかと思うんであります。
二つの観点から御評価いただきたいと思うんでありまして、一つには、たまたまこういう時期にぶつかりましたために大漁貧乏の問題として理解されますし、また多獲性魚ということで関連が出てくるわけでございますが、スケソウダラの問題は、やはり基本的にはすり身という画期的な技術が、技術革新によりまして、全くいままでそういう意味では資源化されておらなかったものが商品化されてきたと、これはたまたまいま大漁貧乏の問題がございますので、そういう角度だけから取り上げられておりますけれども、私は別の意味で、これは水産の行政といたしまして特に戦後の中でも相当画期的な事件であると思うんです。つまりすり身ができたということです。それで昨年度も七百万トンをオーバーいたしましたときに大きく胸を張ったわけでございますけれども、実はそれがさらに一割近く——まだ最終的な集計ではございませんけれども、七百七十万トン近いものが四十二年度の数字でおそらく最終的には出てくるわけでございます。若干七百万トン程度で頭打ちかなという危惧を持っておったわけでございますが、このような技術革新が背景にございます場合には、日本の現在の魚獲高水準におきましてもなお一割程度のアップは可能なんだということで、そういう意味で実は大きく評価していただきたいわけでございます。たまたまそれに伴う行政が十分ついていけませんために、現実には、局部的にあるいは全体といたしましても相当需給関係を検討いたしまして、総合的な対策を考えなきゃならぬ問題がスケソウにはあるわけでございます。私どもとしては、その前段の問題をやはりこの機会にもう一度評価していただきまして、それに伴う行政のおくれにつきましては御指摘のとおりでございまして、私どももおくればせながら、これは各種の漁業の業態に関連がございますので、零細な漁民の方、それから母船式も含めまして需給関係を総合的に組織化して対処してまいりたいと実は考えておるのであります。お答えになるかどうかはなはだ疑問でございますが、見解を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/21
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022・川村清一
○川村清一君 スケソウ及びすり身の問題につきましては、また後ほど御質問申し上げることにして、ちょっと角度を変えて、長官の御意見を聞きたいと思うのです。ただいまのお話にもございましたし、私も過日の本会議における漁業白書についての質問でも非常に力説いたしましたことは、需要はもう拡大されてきておりまして、それに対して供給がついていけない。ですから現在日本の農業に与えられたところの重大な使命というものは何といっても生産を拡大することである。これに対して全力をあげねばならぬ。で、生産拡大のためにはこれは遠洋漁業においてもあるいは国内漁業においても、政府は強力な施策をすべきであると、そういう意味において大蔵大臣も思い切って予算をつけるべきである、こういうようなことを私は言っておるわけであります。そういう観点から言うならば、いわゆる需要がふえている、生産は及ばない、生産拡大が最大の任務である、こういう立場にある日本漁業において、生産調整組合なんというものをつくって生産を自主的に調整する、そんな一体必要があるか。したがって、生産調整組合なんというものもやめてしまったらいいじゃないかという議論も生まれてくるわけであります。ある意味においては、私はそういう議論はわかるわけです。一面においては正しい議論だと私は思うわけです。そこで水産庁長官は、この生産調整、特に魚価安定基金法とセットの形で同じに生まれ出た漁業生産調整組合法というこの法律、これに対してどういうお考えを持たれているか、生産調整ということが現在の日本の漁業において必要なのかどうかということに対しての御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/22
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023・久宗高
○政府委員(久宗高君) 私はやはりこれは必要だと考えております。つまり需要が非常に強い、したがって生産を拡大すればいいという場合におきましても、そのにない手はやはり個別の組合でございますので、ただ量がふえてそのままでよいという問題ではないと思うのであります。したがいまして、もちろん国民経済的にいえば相当の供給があったほうが望ましいわけでありますが、それが実は個別の企業によって担当されるということから若干の調整が必要でございまして、調整なしにいたしました場合には、ある量が入ってくるけれども、それがほんとうの意味で商品化しない、あるいはほんとうの消費者にしかるべき形で渡らないということになるわけでございますので、取り方につきまして、取る関係者がその調整をすることはこれはむしろ絶対に必要だろうと、こう思っております。ただそれが、いたずらに取れるものをうんとしぼってしまいまして、たとえば魚価をつり上げるということは、これは別な意味で、ソーシャルな批判がございましょうし、また漁民はさような考え方は現実にはしないわけでございます。あれば取りたいというのが漁民の本能であろうと思います。
さような意味におきましても、これを正常な意味で、生産から流通へ、つまり市場を組織化してまいります場合には、どうしても調整組合というものの機能というものが必要であろうというふうに考えておる次第でございます。たまたまその中で、一部の組合員の方に知らすと申しますか、そういう形をとろうといたします場合に、それに対する補てんをどうするかという場合に、組合だけでは非常にやりにくい問題でございますので、基金が裏打ちをするという形をとったわけであります。たまたまサンマにつきましては、さような事情が過去において非常にありましたので、それが問題になったわけです。私はやはり、基金がかりにやむを得ず、この段階では次の飛躍を考えまして一時機能をやめるという場合におきましても、調整組合はやはり必要であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/23
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024・川村清一
○川村清一君 私も、そう思うわけです。その点は意見が一致したわけですが、そこで一致した意見のもとにさらにお聞きしたいのですが、これはもう先ほども申し上げましたように、この安定基金と調整組合法とはセットでできたわけですね。これは二人三脚です。これは二つでもって一つの魚価安定という機能を発揮するわけです。ところが片方切ってしまうわけです。調整組合だけ一つ残してしまう。それで調整組合が必要だということは、調整組合の機能が必要だということなんです。それじゃ二人三脚の片方の足を切ってしまって、そうして調整組合の機能を発揮せいと言ったって、どうして発揮できますか。それは組合が自主的におまえたちがかってにやれということなんですか。国はそれに対して何ら指導も援助も与えない、あんた方は自主的におやりなさい、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/24
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025・久宗高
○政府委員(久宗高君) その辺がたいへん弱いところなんでありますが、ただ率直に申しまして調整組合を、片方を基礎にいたしましてこの基金ができました際に、漁種によりましてはたとえばまき網なんかにいたしますと、先ほど申しましたように港に集中して、それを一部の組合員のほうはあっちへ持っていってもらいたい、こういう形ではなくて、むしろみんなでこの時期はあまり集中するから漁業そのものを若干控えよう、流通のめどその他も考えましてそういう対処のしかたのほうが合う業態がありまして、そういう場合におきましては、それ以上のことについて金を積む、まあ必要性と申しますか、個人のほうから見た場合、その出しますものとそれがそういう機能がなかった場合に、どれだけの損害をこうむるかといった比較考慮の結果、必ずしも、集中してまいりました場合に、一部の組合員がある補助を受けてよその港に回す、あるいはかすにしてしまう、実はこういうような形だけの調整でない漁業種類が相当あるわけでございます。
さような意味におきまして私はいまの基金の機能がこれでやめになりました場合に、サンマにつきましては万一のことを考えますと、やはり集まりましたものを散らす必要がございますので、その機能は新しい民間の団体に残余財産を寄付いたしまして、これがいままで程度の規模ならば、サンマについてはできる体制をとっておく必要があるだろう。その他の漁業につきましてはさような御要請が、現実に業界からも散らすことについての御議論は出ておりませんし、まず漁業種類によっていろいろ調整の方法は違うわけでございますけれども、調整組合の内部規定でとりあえず対処していただくのが適当であろう。それから根本的に今後いろんな対策を考えます場合にも、第一次的にはあくまで当該漁業者の団体でございまして、しかも調整をいつでもやろうとすればできる体制、つまり調整組合というものは本質的に必要であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/25
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026・川村清一
○川村清一君 さんま棒受網漁業生産調整組合、これは法人化して、そうして今度の基金の剰余金の一部をこれに対しては寄付するということのようでございますが、そのほかには調整組合としては、いま長官からお話がありましたように幾つかあるわけですね。八戸のイカ釣漁業生産調整組合、北部太平洋海区巻網漁業生産調整組合、山陰施網漁業生産調整組合、日本施網漁業生産調整組合、東日本サバ釣漁業生産調整組合、北海道サバ巻網漁業生産調整組合、こういうような生産調整組合がある。それでこれ以上にやっぱり調整組合をつくるような行政指導をなさるお考えがありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/26
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027・久宗高
○政府委員(久宗高君) これはやはり今後の漁況の変化と組合員のそれに対するお考えにもよろうと思います。私どもといたしましては、生産調整組合という制度がございますので、今後のそれぞれの漁業種類におきます漁協なり、それからそれの関連におきます背後におきます流通関係とのつながり、あるいは加工の度合いといったものも考えまして、必要がございますれば、この種のものは私は相当広範囲にあってしかるべきではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/27
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028・川村清一
○川村清一君 三十六年に国が八千万円、その他北海道はじめ各都道府県、あるいは全漁連あるいは各地域の漁業協同組合、これが出資いたしまして一億六千万円でもってこの基金が発足し、そして現在これを解散するについて財産を清算するわけですが、その財産が幾らあるかということをお聞きしたら二億あるそうでございますが、そうすると、一億六千万円のうち千二百万ほどしか使っておらない、それが二億になった。それで出資金一億六千万とっても、なおかつ剰余金が四千万円も残った、一体どういう理由なんですか。一千二百万円より使わなかったというのがこれは最大の理由でございますけれども、四千万も剰余金が出たというのは、これはどういう理由なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/28
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029・久宗高
○政府委員(久宗高君) 年次によって若干の経緯がございますけれども、率直に申しまして、それだけの基金が運用されねばなるまいということで計画いたしましたのに対しまして、漁協が御承知のように全く違った形態をとりましたので、使わないで済んだわけでございます。したがいまして、それを基金として確保いたしておりましたので、それに利子分が加わりまして、今日のような形になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/29
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030・川村清一
○川村清一君 大臣にお聞きいたしたいんですが、臨時行政調査会が行政改革という立場から特殊法人の廃止ということを言い出して、そうして一番矢面にこの魚価安定基金というのが浮かび上がってきた。いま解散するので今度は財産の清算というような問題になってくるわけですが、これは前のときにもやったんですが、どうも政府は特殊法人であっても、力のある法人に対しては、これは整理せいなんとはなかなか言えない。言ったところで抵抗がきわめて強くなかなかできない。五法人やるについても、ほかの法人は何とかかんとか理屈をつけて別な角度で残るような模様が見受けられるわけであります。ところがこの法人だけは完全に消滅するわけであります。そこでこの法人にはどういうような役職の人と職員が何人くらいおったのか、資料をいただいて見ましたところが、常勤職員というのはたった一人なんです。そして仕事やる職員は二人しかいない。ですから整理したところで、いわゆる役員と職員で三人整理されるだけなんです。いわゆる人員整理という立場から考えたって全くこれはむだな——むだでもないでしょうけれども、そういうところにばかり目を向けておるということについて納得いかない。そしてよく国会でも問題になって新聞なんかに出て私ども憤慨したものですが、公社、公団の役員になると高い給料をとって二年ぐらいやって、やめるときには退職金を何千万円ももらうなんてよく決算委員会とかその他の委員会で問題になって新聞に出ております。ところが常勤の役員が一人、職員がたった二人、そのうち一人は女の子、三人でやっておる。そして国が八千万円しか出さないで、同額を都道府県とか組合が出して一億六千万円でやって、四千万円も利子がついている。そういう法人もそれでも消してしまう。やはりこれは行政改革だということになる。だからそのことが新聞に出るとやはり相当大きな法人であろう、国民はこう思うのですよ。喜ぶのは佐藤総理と行政管理庁長官だけだ、こういうことになる。どうも政府のやることは私には納得いかないのですよ。絶対これは不必要なのか、不要になったのかと申しますと、先ほど申し上げましたように、不要でないのですよ。さらに強化していかなければならない。これをなくすのならそれじゃ代案を出しなさい、これから何をやるのかと何ぼしつこく聞いても何もないのです。それで私どもに賛成してこの法案を通してくれなんていうのはそれは言うほうが無理ですよ。私はずいぶん人がいいほうで、頼まれれば何でもはいはいと言うほうだし、特に水産の振興のためには——私は漁業経営をしておるわけではないし、船一隻持っているわけでもないし、水産庁の皆さんのところへ頭を下げて頼みに行くなんていうことはいままでもありませんし、これからもありませんよ。船つくる金を借りたいから公庫とか中金にちょっと話をつけてくれとか漁業権を何とかしてくれなんていうことはいままでも一回も行ったことはないし、これからも行きません。私は参議院議員に当選してから水産庁に行ったことは一回もないのだから、こういうところで議論をやっておるだけなんだから。これはどうもわからないのです。そうしてこの法律の葬式をいまやらせようとしておる。それですなおに私に焼香してくれといったってすなおに焼香できますか。大臣どうお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/30
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031・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 当時私も行管のやり方につきまして党で多少の関係はありましたが、行管のほうでいろいろお調べになられて、率直に申しますというと、私どもの関心は愛知用水公団をどう扱うかということに関心がありまして、これはきわめて小さいということでどういう機能を果たしておるか当時は存じませんでした。行管としては一つの考え方を持って政府部内で議論されて、当時の農林省と最終的な結論を得られた経緯があるだろうと思います。その経緯につきましては水産庁からお話をいたさせますが、川村さんのおっしゃる点は確かにこれは機能がこれだけでは小さいという面はあったけれども、機能を全然果たしていないかというと、やはり一つのものでございまして、規模が小さいから機能も果たせないのじゃなくて、考え方によればむしろきめのこまかい見方をするならば、ただ大きなものをつくって形だけをやるより、かえってこういうもののほうが効果があるかもしれません。そこらの経緯というものを私どもは将来に向かってまだ検討することも必要かもしれませんが、いずれにしましても政府としましては行管の見た目、それから当時の水産を中心にしました政府当局者としまして、どうしてもこの部分だけで価格調整と申しますか、価格安定をやるのには少し小さ過ぎるのではないか。そのくらいなら総合的なひとつ観点からやるべきではないか、そういう意味で私は今回の法案の趣旨を発展のための解消だ、こういうふうに解釈をしまして皆さまに御了解を願っておるというのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/31
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032・川村清一
○川村清一君 ですから、発展のために解消するということであれば私もわかるのですよ。ですから発展のために解消するならばどういうふうに発展するのかはっきりした青写真でなくても、発展の方向、構想くらいをここに示していただかなければならないと思うのです。ところが何を考えておるのか、これにかわるものはどういう形で出てくるのかそれが一向にわからない。出されていない。それを消してしまう。こういうのだから私はすなおに納得できないということを言っているわけなんです。
それで、それでは時間もありませんから聞きたいことはたくさんありますが飛んでいきますが、いま出されている法律案の第七条「清算人は、魚価安定基金法第四十三条第一項及び第二項の規定により残余財産を分配した後において、なお剰余を生じたときは、基金の目的に類似する目的のためにその剰余財産の全部又は一部を処分することができる。」それから、第二項に「前項の規定により処分されなかった剰余財産は、国庫に帰属する。」こういうことなんです。それで大臣、この内容を聞きましたところが、第七条第一項のほうは、残余財産を分配した後においてなお剰余を生じたとき、それで残余財産と剰余と二つに分かれるのだ、それで残余財産は出資金が国の八千万円を入れて一億六千万、ところが二億あるのですから、これは全部出資者に返っていくわけです。これは安定基金法にあるので、国に八千万戻すということはまことに残念でたまらないけれども、そういう法律があるからしかたないと思う。あとの残余の四千万、これをどういうふうに分けるのだと言ったところが、千五百万については基金の目的に類似する目的のために結局そういうものの事業をする全国さんま棒受網漁業生産調整組合、これを法人化して、それに寄付する、ところが残りの二千五百万を国に帰属する、こういうこともこれまたすなおに私は納得できない。そうしますと、四千万はなんで生まれたかと、こう私は聞いたのです。四千万は利子だ——そうしますと、国は八千万出資して二千五百万これはもらうわけですよ、国に入ってくるわけですよ。あとの都道府県、たとえば北海道などは一千万出している、それから全国漁連であるとか、それから各漁業協同組合、それからサンマ棒受網漁業に関連するところの府県が、たとえば小さな宮崎県であるとか、鹿児島県であるとか、こういう一県に船一隻くらい持っておったかどうかしらぬけれども、十万づつくらい出しているわけですよ。こういうところは出しただけ返ってくるわけです。利子が少しでもつくならいい、出しただけ。国は八千万出して二千五百万取る。八千万に対して二千五百万利子がつくのですよ。これはひどいでしょう。坊主まるもうけよりもっとひどい。一体どうですか、大臣、八千万だけ国が出資して、そうして二千五百万利子がついて返ってくる。あとは一文もついてこない。出しただけ。株式会社だってこんなものないですよ、あなた。こんなばかな話ありますか。大臣どうお思いになります、これ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/32
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033・久宗高
○政府委員(久宗高君) この前も申し上げたわけでございますが、まあ基金の発足いたしました当時、こういう終末を別に予想していなかったわけでございます。いずれにいたしましても、法律の規定によりますと出資を限度とせざるを得ませんので、四千万円という剰余が出るわけでございます。そこで私どもといたしましては、先ほど申しましたように、基金はここで終末になりますが、具体的にはサンマについての機能を果たしてまいりましたので、その類似の目的を持った団体に所要の額を必要なだけ渡しまして、残ったものはこれは民法の原則によりまして国庫に帰属するわけでございます。結果におきまして、国が出資してその利子分をまるまるもうけてしまった、あるいはよそにいく分までもうけたという見方もあり得るわけでございます。法律的に申し上げれば、それは最終的には帰属のきまらぬものでございますので、国庫に帰属せざるを得ないということでございます。なおつけ加えて申しますと、この前も申し上げたわけでございますが、類似の目的に出しました場合にサンマ以外のものに現実には使いませんので、必要な限度だけ寄付をいたしました。それ以上のものをもらいましても、現実には類似の事業ということで限界がございますので、そこで限度にいたしたわけでございます。
なお率直に申し上げれば、私どもといたしましてはいま具体的な案が示せないので非常に残念なわけでございますけれども、今度の経験によりまして、もし本格的に多獲性魚の調整に乗り出すといたしますれば、とてもこんな金額ではない、もっと相当大きな金額が要るのではないかというふうにも考えられますので、この段階でははっきりけじめをつけておきまして、あらためてしかるべき案を組みまして財政当局にお願いしたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/33
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034・川村清一
○川村清一君 長官のただいまのお話が政策論であれば私はわかりますよ。しかし、ただいま長官は法律的にということを言われた。法律論で言うなら私は納得できない。それじゃ私質問しますよ。第七条の「第四十三条第一項及び第二項の規定により残余財産を分配した後において、なお剰余を生じたときは、基金の目的に類似する目的」、——「基金の目的」というのは法律的に何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/34
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035・久宗高
○政府委員(久宗高君) へたな法律論を振り回しましてまことに恐縮でございますけれども、法律論ということばは撤回さしていただきたいと思います。まあしいて御説明いたしますれば、基金の目的には先般、これがかりに組織法であっても魚価安定についての国の基本的な姿勢を示したものだから必要ではないかというお話がございました。私も同様に思います。つまり、魚価安定の必要性ということはもちろん私どももかりにこの法律が組織法でありますために廃止せざるを得ないといたしましても、深く心に刻みまして、その対策に当たっておるわけでございます。先ほど法律的に申し上げてと申し上げましたのは、たとえば七条にいたしましても、基金の目的から申し上げますれば、これは文理的にいって必ずしもサンマに限定されたものではございません。しかし、現実にそれを受ける立場の新しい団体におきましては、包括的に多獲性魚について基金が果したような役割りを果せないわけでございます。サンマに限定された仕事になっておりますので、さような意味からその仕事に即して寄付をいたしますとすれば、いまのような金額に限定せざるを得ないということでございまして、しかもそれによってさらに残余が出ました場合には、これは最終的には受け取り手がございませんので、結果において国庫に帰属せざるを得ないというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/35
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036・川村清一
○川村清一君 ですから私は安定基金法の第四十三条の第二項に、「前項の規定により各出資者に分配することができる額は、その出資額を限度とする。」というこの法律の規定があるから、だから国に八千万円を返すことは、まことに残念だけれども、この法律の規定があるからこれはやむを得ないだろうと、私はそれは了解しているわけです。せっかく国が八千万出して、そうしてまたそれが国に返っていくのですから、まことにこれは残念です。しかしこれは法律にあるのだからしかたがない。しかしながら、ただいまここで審議しているこの法律案は、「基金の目的に類似する目的」、そうすると基金の目的とは何かということになると、これは冒頭私が申し上げました魚価安定基金法の第一条の目的なんです。「魚価安定基金は、漁業生産調整組合、水産業協同組合等が多獲性の水産動物の価格を安定させるために行なう調整等の事業につき助成をすることにより、漁業経営の安定に資することを目的とする。」、これ以外にないのです。
ところがこれはサンマを目的にした組織法だと、こうおっしゃる。それは政策論というのですよ、サンマなんということをいま言うことは。法律のどこにもサンマなんて書いてない。法律論争ならば私のほうが間違いなのかどうか。法制局からだれか呼んできて、法律解釈してもらわなければ……。だからして、基金の目的に類似する目的を行なう、そういう団体があったら、そういう事態があったならば、「剰余財産の全部又は一部を処分することができる。」という法律なんですよ。これを審議しているのですよ。そうでしょう。そうして二項で、「前項の規定により処分されなかった剰余財産は、国庫に帰属する。」と、こういうふうになっている。全部処分してしまって残らなかったら国になんか一文もやらなくてもいいのでしょう。そうでしょう。
それならば、第七条の「基金の目的に類似する目的」、この目的のために事業をやっているものがあったならば、それにやって法律違反になるのか。全部やってもいいわけでしょう、この法律解釈でいけば。法律専門家でないし、どうも学がなくて、大学も出ていませんから、法律のことはよくわからぬけれども、法制局の専門家にひとつ来てもらって、ここをひとつ解釈してもらいたいが、私の言うことが間違いですか。目的に類似する目的のためにやるものがあったら、その剰余財産の全部または一部をやる。サンマだというが、サンマなんということは法律に書いていませんよ。これはどういうことになりますか。その辺を明確にしてください。法律に何も書いてないことをサンマサンマといって言えるものですか。これは拡大解釈もはなはだしい。また不当な解釈でないかと私は思うのですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/36
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037・久宗高
○政府委員(久宗高君) 先ほど申し上げましたように、これは文理的にはもちろんサンマに限定されるものではございません。ただ、類似——御指摘がありましたように、基金ができました際に、その出資の関係、これは業界からの出資も仰いだわけでございますが、現実にはそれぞれの魚種につきまして、特に基金が本来的にありますような、つまり、一部の組合員に負担をかけてやらざるを得ないような機能、これにつきましては私どものあるいは指導が至らなかったせいもあろうかと思うんでありますが、結局態勢が整っておりまして緊急にそのような事態のございましたサンマにおきまして、業界においても金を積んでやろうということで出資の大部分はこの資料でもごらんいただけますように、サンマの関係者が実は出したわけでございます。で、国といたしましても八千万円を出しますについて、そのはじきました経緯につきましては、当面問題になりますサンマが基礎になって計算したような経緯もあるわけでございまして、まあ二分の一の援助ということで業界ではサンマだけの方が出資をなさいまして、県といたしましてもサンマに非常に御関係のあるところはほっとけないということで国がやろうというなら私たちも出してやろうということで御出資をいただいたわけでございます。さような経緯もございますので、この段階でこれを締めるといたしますれば、もちろん御指摘のように第一条におきましてはサンマに限定しませんで、多数の多獲性魚についての対策がこの基金でとられておれば、あるいはこの解散というような問題にならなかったかもしれないのですけれども、どうも十分私どもが実態を把握しませんでしたのと指導が至りませんでしたために、また基本的にはやはりサンマの海況異変という予測せざる事態にぶつかりまして、またここでこのような行き方は締めざるを得ないということになったわけでございます。
したがいましておっしゃるように文理的に申し上げますれば、四千万円の中で基金の本来の目的からいえば、その類似した面について何もサンマに限定することはないではないかというお話は私もわかります。わかりますが、現実にそのような他の生産組合でちょうど基金が本来的な仕事としておりますような一部の組合員の寄港につきまして、それを分散してやるというような、そういう措置の方法はとっておりませんので、さような意味からも実際問題といたしまして、これをかりに方々にばらまきましても、十分な機能が、本来そういう機能を果たしておりませんという点もございましたので、法律論、法律的な問題とその経緯と受け入れ態勢の実態から考えまして、かような配分関係を検討いたしまして、案としておはかりしておるわけでございます。
もちろんこの問題につきましては、各県におきましてもいろいろ御出資をなすっております関係もございますので、若干の議論はございましたけれども、いままでの経緯から見まして突っ込んで御相談いたしましたところ、本来であれば県といたしましても出資をしておって、まあ出資を限度に返してもらう、残余財産についてもどうも私たちとしても問題があるといわれた県もございますけれども、いろいろ経緯を御説明してまいりましたところが、そこは釈然としていただきまして、もっとこの機会に本格的な取り組みをしようじゃないかということに踏み切っていただいたような経緯があるわけでございます。経緯を率直に申しますとさようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/37
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038・川村清一
○川村清一君 長官ね、業界の人というのはわりと水産庁に弱いんですよ、はっきり申し上げて。たとえば森林経営をやっていらっしゃる方は林野庁にはやはり弱いし、それからまあ委員長は和歌山県の漁連の会長ですが、いろいろ思っておってもやっぱり水産庁にいろいろものを頼みに行くこともありますから、どうしても弱いわけですよ。ですから私みたいに頼むことが何にもないわけですから、ですからかってなことが言えるわけですけれどもね。そこで、出資された方の名簿もずっとあるわけですよ、県も漁連も。北海道漁連、青森県漁連、塔手県漁連、宮城県漁連、福島県漁連、県漁連、千葉県漁連、北海道水産加工、石巻水産加工、そのあたりからは三十万だ四十万だ、五十万だと出しているわけですよ。ですからこの人々も八千万を出した国に対して二千五百万全部やるということに対しては、みんな不満を持っていると思うのです。持っておりますけれども、あなた方のほうはこういう方針を立てて、それに対してけしからぬなんと言って、あまり文句をつけると、また何かの機会にものを頼みに行っても、なかなかやってくれないでしょう、ほんとうのところ正直に言って。だから、もし思っていても言えないのですよ。この辺、役人として皆さま方はやはりそれは考えてやらないと民主的な行政はできませんよ。
そこでぼくは聞きたいのですが、かりに私に言わしめるならば、これはサンマでやったのだ、そうしてサンマ関係の方々が出資したのだ、そうしてその果実は四千万あったのだ、だからその四千万の果実をサンマ以外のものにやることはまずないのだ、こういう議論であれば、その議論は議論として私もわかりますけれども、それならそれでもいい。なぜ四千万円全部サンマにやらないのですか。やったっていいでしょう。全国さんま棒受網漁業生産調整組合ですか、これをきちっと法人化して、そうして四千万を基金として与えて、そうしてこのサンマだっていまは不漁で、こういう必要はないかもしれないが、将来にわたって絶対サンマが不漁だということもあり得ないと思う。そういうようなこともあり得るでしょう。ですから、その基金がめちゃくちゃに使われないように、あなたのほうで厳重にこれを監査しておって、基金として出しておいて、そうしてそういう事態が発生したときにおいて、その四千万を有効に使わしたらいいじゃないですか。五兆八千億という莫大な、ちょっと見当もつかないようなああいう予算を持っている国の金庫の中に、二千五百万円といっても、そんなものは全くアワ粒みたいなものですよ。ところが、この組合に四千万差し上げてごらんなさい、この四千万というものは実に偉大な力を持ちますよ。長官、そういうことをお考えになりませんか。四千万出すということはうまくないのですか。どうですか、どうしても二千五百万国に返さないと、うまくいかないのですか。大臣の顔はつぶれるのですか、どういうことですか。大蔵大臣としっかりした約束がしてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/38
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039・久宗高
○政府委員(久宗高君) まことにお答えしにくいのでございますが、この問題につきましては業界と十分突っ込んで御相談いたしました。水産庁にはものが言いにくいという問題もあろうかと思いますが、事サンマに関しましては、私どもははなはだ低姿勢でございまして、こういうことにもならざるを得なかった。本格的にやりたいということで、だいぶ突っ込んで話しました結果、業界では、率直に申し上げましてその四千万にあまりこだわっておられないというわけであります。しいて私どもの気持ちを申し上げますと、二千五百万円の問題でございます。もちろん、それを個々に分けました場合、関係者の組合は小そうございますので、それはそれなりの意義を持っておるのでありますけれども、関係者の気持ちにも、また私どもの気持ちもこの際必要な額は一応とってきたい、またこれがたまたま計算してみますと、出資分に近い形になりますけれども、いまのような規模の仕事を続けてまいりますのに必要な限度ということにとどまりますと、あと二千五百万円程度のものは残るわけでございますが、それはきれいさっぱり返してしまう。私どもがほしいのは、もっとけたの違う金であるということをそれぞれ考えまして、腹をきめたわけでございまして、その辺の経緯は御賢察をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/39
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040・川村清一
○川村清一君 それでは、あまりしつこい話をしてもしかたがないから、この辺でやめて、別な問題にもう少し触れさしていただきます。おそくなりまして恐縮ですが、あの資料をいただきまして、スケソウのすり身の資料なんですが、ちょっとこれ違いませんか。要求していただいた表の二ページなんですが「すけそうだら、冷凍すり身、生産量の推移」、この陸上のほうですね。生産量四十二年度二万九千九百トン、それから母船式三万七千五百トン。母船式のほうはいいんですが、陸上のほうの二万九千九百トンというのは、これはちょっと違いませんか。この資料はどこから出たのかと見たら、北海道冷凍魚肉協会資料となっています。私、持っている資料も、これは北海道冷凍魚肉協会の資料なんですけれども、この母船式のほうは合っているんですが、陸上のほうが合わないのですよ。——これは合わないのはわかるのです。こういう席で言うのはおかしいですけれども、生産者がとれたやつを正確に言わないですからね、まあ、いろいろ関係があるから。それでぼくは農林省の権威ある統計がほしいんですが、農林省にないとみえて、北海道冷凍魚肉協会の資料なんですよ。ところがこっちも冷凍魚肉協会なんです。で、私が持っておる資料のほうは、これは四万四千九百トン、こういう資料なんです。四十二年度はそれは北海道だけで三万四千五百トン、それから西日本のアジとかサバのほうの、このすり身でもって二万三百六十四トン、合計で四万四千九百トン、こう出ておるんですが、これは違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/40
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041・久宗高
○政府委員(久宗高君) おそらくそのお話は北海道の数字が三万四千五百トンになっておられるのでしたら、すり身のうち、スケソウダラ以外のものが四千六百トンございますので、スケソウが二万九千九百トンですからその他スケソウ以外の原料ですり身にいたしましたものが四千六百トン。で、北海道を計といたしまして四十二年度は三万四千五百トンという数字がございますから、それではございませんか。ここではスケソウを原料とした、という御指定がございましたので、スケソウだけをあげたのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/41
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042・川村清一
○川村清一君 やっぱりこの種の資料は権威のある農林省の統計を出していただきたい。業界からこういうやつをとると、政治家に出すのと、役所に出すのと、税務署に出すのと、いろいろみんな違ってくるわけですよ。ですから、その点やっぱり大事な問題ですから、権威のある統計をひとつ今後出していただきたいということをお願い申し上げます。
そこで、もう時間がおそくなりましたから、縮めて申し上げますと、先ほどスケソウダラの問題で魚価低落を防ぐために、すり身というものに非常に重点を置かれておっしゃっておった。これはそうなんですよ。そこですり身の生産と需要とがマッチしてくるとこれはいいわけですよ。ところがマッチしないところになかなか問題があるわけでございまして、昨年は大体すり身だけの生産が陸上だけでもって四万四千九百トン、それから洋上ですね、母船式、これが大洋漁業だけでもって一万六千六百トン。それから日水が千八百……。これも違うな、大洋が一万九千トン、日水が一万六千六百トン、それから北水が千八百五十トン。大体、まあ、いただいたのと同じですが、それで三万七千六百トンですか、合計で八万二千五百トン。大体八万二千トンです。昨年のすり身の生産というものは、これがいわゆる需要と生産とが大体マッチしたところではないかと、こう思うのです。ところが四十三年の生産計画でいきますと、
、日水、北水とも一相当大量の生産計画を立てておりまして、大洋は二万五千トン、日水が二万二千トン、北水が四千トン、合計五万一千トン、陸上では北海道が四万七千トン、西日本が一万五千トン、その他で七千トン、合計六万九千トン、それで陸上と洋上合わせますと十二万トン、まあ十二万トンのすり身という生産計画が出ているのです。
そこで問題は生産と需要の問題でございますが、昨年、先ほども申し上げましたように、北海道と西日本の陸上、海上の大洋、日水、北洋合わせて八万三千トン、これはどういう方向に向けられておるか。需要面でございますが、大体かまぼこ向けに五万二千トン、それからハム・ソーセージに二万九千トン、このハム・ソーセージは大体売れ行きがこれでとまっておる。伸びがもうとまりで、これ以上の原料需要の伸びは期待できない、こういうふうに言われておるわけであります。それから焼きちくわ、揚げかまぼこでありますが、これは製品が安いために高いすり身原料を使う率が低い。これを高めることはちょっと困難である。このかまぼこでございますが、昨年は五万二千トン、これがどの程度期待できるかどうかということが四十三年度の生産にかかってくるわけでございますが、大体冷凍すり身を原料に使っていないものがこれから使うといたしまして、北海道、東北で約十万トン程度伸びるのではないか。それから他府県でございますが、他府県で冷凍すり身使用の実情は、現在一〇%から五〇%、平均で三〇%、さらにふえても四〇%以上は見込まれないのではないか。そこで昨年かまぼこ向けの原料は五方二千トンでありますが、これをこの状態から見ていって、総体昨年は八万三千トンすり身の需要があったわけで、生産と需要とが大体マッチしたわけでありますが、まあこの四十三年度は、どう見ていっても十一万程度より伸びないとすれば、どうしてもの需要の範囲の中で生産を押えなければちょっとうまくないのではないか。そこで生産計画は、大体先ほど言いましたように、北海道が四万七千トン、大洋が二万五千トン、日水が二方二千トン、北洋水産が四千トン、西日本が一万五千トン、その他七千トンで、十二万トン。そうすると、十二万トン程度ならば何とかとんとんになるわけでございます。
そこで問題はこれは北海道なんですが、スケソウの原料は北海道だけで約六十万トンとれる。そうすると、この六十万トンのスケソウを塩乾に十五万トン向けることができる、生魚でもって十万トン、すり身が大体四万七千トン、まあ五万トン程度とすれば、御承知のように、すり身は原魚の四分の一でございますから、原魚でもって二十万トン、そうすると、四十五万トンは北海道でスケソウを処理できるわけですけれども、六十万トンとれるわけですから、残り十五万トンをどうするかという問題が出てくるわけです。十五万トン、これがいわゆる問題なんです。そこで、北海道といたしましては、これは何とかしなければならないというわけで、業者間で、いま沿岸の漁業におきましては、水揚げ高の場合に一キロについて三十銭、それから底びきは水揚げの一%、これを積み立てて北海道だけで約一億円の基金をつくる、それで新製品の開発だとか、スケソウの調整をはかるとか、こういうようなことをやって自主的に価格の調整をやろう、こういうことを考えておるわけでありますが、政府において残るこの十五万トンに対して何らかの措置をとってもらわなければ、これはしようがないわけですよ。
ところが、これは私しばしばもう申し上げておるように、この水産庁の水産行政は、沿岸の漁業よりもどうしても大企業漁業のほうに目が向けられていくわけですよ。そうして沿岸の漁業経営よりも、いわゆる日本全体の生産第一主義、もちろん生産を上げることは、これは当然な使命ですからいいんですけれども、生産がどんどん上がって喜ばしい状況が出てくるけれども、その反面、いわゆる生産性の弱い沿岸漁民が非常に困るという問題がある。この残る十五万トンの処理を政府に考えてもらわなければならない。それを考える場合には何より方法がないかというと、このすり身のシェアを陸上のほうにくれなければ、北海道あるいは東北の余った原魚のすり身のスケソウの処理ができないわけですよ。海上のほうの大洋漁業、日水、北水というこういう母船式の、いわゆる独航船から生魚を買って母船の中でどんどんすり身をつくるんです。そして冷凍すり身にしてかまぼこやハム・ソーセージの原料にしてどんどんうちへ持ってくるわけですね。この海上母船をやっている量を、このシェアをもう少し沿岸のほうに向けてくれなければ、この余ったものをどうしようもない、かすにしてしまうより方法がないということになってくるわけです。かてて加えて、これは最近、西カムの母船式カレイをやっている報国水産、宝幸水産、大洋漁業、函館公社、四社三船団がこのカレイを中心に独航船からカレイを買ってやっておるが、採算がどうもうまくないもんだから、そこでさらにスケソウやってすり身生産を出そうというわけで、あなた方のほうに報国水産、宝幸水産、大洋、ああいう業界からいろんな要請がなされておるでしょう。その大企業の要請に応じられて、これ以上またふやされたらもはやお手上げという状態にならざるを得ない。これに対してどうお考えになりますか。もう少し海上の、いわゆる大資本のやっているすり身生産を少し減らさして、これを縮小させて、この分を陸上のほうに回してもらえないかどうか、新たにもっとすり身生産をやらせろという、こういう大企業の要請に対しては、断固として水産庁はこれを拒否していただきたい、そういう態度で臨んでもらいたいと思うんだが、それだけの一体考えがあるかどうか。どうも水産庁の役人は弱いですから大洋とか、日魯とか、日水とかいうのに一般的に弱いということは、歴代の長官さんなんかおやめになるとどうしても大洋の重役さんなんかに行く人がずいぶんいるもんだから、どうしてもそうなることはしようがないと思うけれども、それで沿岸は困っているのですから、少しやってもらわないといけないと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/42
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043・久宗高
○政府委員(久宗高君) スケソウの問題は御指摘のような問題がございます。いわゆる多獲性魚と申しましても、来てしまう漁業というよりは、先ほど申しましたように、あのようなすり身というような技術革新によりまして、とろうとすればとれる、人間の意思が入るわけでございますので、行政としても非常にむずかしい問題でございます。御指摘のようにこれは幾つかの種類の漁業に関連があるわけでございまして、母船式もございますし、それから中型の底びきもございますし、いわゆる北転船もございますし、沿岸の零細の方々の問題があるわけでございますので、漁業調整という点から申しましても非常に高度な判断の必要なものだろうと思うわけでございます。さらに御指摘のようにこれは北洋の一連の資源問題と開運いたしまして、実はカレイの問題につきましても日ソ間で相当問題になっておりますので、これについての若干の配慮が必要であると思うのでございます。ただ御指摘のございましたように、これはすり身の需要の見通しいかんにかかるわけでございまして、楽観論、悲観論いろいろあるわけでございます。私どもといたしましては基本的にはそれぞれの業態におきまして相当突っ込んだ自主的な態勢を整えておいていただいた上で、当然これは横の関連に、他の業種との関連がございますので、水産庁といたしましても昨年来いろいろな形でこの問題の調整に入っておるわけでございます。最近それぞれの団体におきまして考え方をだんだんまとめてきておられますので、それらを十分考えまして調整をいたしたいと思っておるわけでございますが、ただ過渡期でございますので非常にむずかしいわけでございますけれども、すり身の需要につきましては、やり方いかんによりましては相当まだまだやりようがあるのではないかというふうに考えられるわけでございまして、この際に漁業の業種間のいろいろな紛争がございますと非常にやりにくいわけでございますが、そこのうまく調整がつけば、私はせっかく取れるものであって、国民経済的にも相当要請のある時期に、その過渡期をうまく乗り切ればすり身の生産需要の拡大と関連いたしまして、スケソウの需要が確立するというようなことも考え得ると思いますので、いまのいろいろな御指摘の点は十分私どもも考えております点でございますので、さらにそれぞれの業界とも突っ込んだ御相談をいたしまして対処してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/43
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044・川村清一
○川村清一君 あと一問でやめますが、ぜひそういうふうにやっていただきたいと思います。くれぐれもお願いすることは、これは生産をあげるということは大事なことなんですから、生産拡大のためにはほんとうにあらゆる施設を利用してやってまいるべきだと思う。しかし、その結果逆に非常に困るようなものが出てくるようなことじゃ困るので、その辺の調整が非常にむずかしいことではございますけれども、特にやってもらいたい。こういうふうにくれぐれもお願いしたいことは、大資本漁業にばかり弱くならないようにお願いしたいと思います。
たとえば、ことしの日ソ漁業交渉の過程で、ソ連が大陸だなを宣言して、そしてカニ漁業に対して規制を加えるような措置に出てきた、あるいはまたサケ・マス漁業も九万三千トンといったような、いままでかつてないような少ない漁獲量を示してきたというようなことはきわめて問題があります。これらについては私は私なりの意見を持つことであって、なぜ一体ソ連がカニ漁業に対してそういう措置をとってきたか、日本漁業だってここは反省すべきことがたくさんあると思うのです。しかしこういう席上では言えませんからまあ言いませんが、それからサケ・マス漁業についたって、これはもう私は大いにやらなければならないと思います。日本の資本漁業はもっともっと反省しなければならないことがある。この間の白書でもいいましたように、国際漁業についてはほんとうに謙虚な反省をもって、そうして資源を、ほんとうに資源は国際管理をするといったような立場から資源に対処していかなければならない、こう思うのです。しかしながら利益のためには何をやってもいいのだとめちゃくちゃな漁獲をするようなしかたに対しては、これはぼくは反省してもらわなければならない、そういう点もありますので、十分ひとつあれしていただきたいことと、それからそういう母船式漁業をどんどんふやしていく、それからまた北転船をどんどんふやしていく、スケソウは科学的には幾らとってもこれは乱獲ということにならない、資源はなくならない魚種になっておるわけであります。同じ理屈から言えばニシンだってそうであります。それからイワシなんかだってそうであります。しかしながらそれは乱獲か乱獲のせいでないか知らないけれども、なくなるはずがないサンマもとれなくなり、ニシンもいなくなる、これは全部海況の変化だけなのかどうかというところにやはり問題もあるわけですから、あなた方のほうで北転なんかめちゃくちゃにふやしていって、規模を拡大していって、魚をどんどんとっていって、一体スケソウ資源というものは恒久的に現在の資源を守ることができるかどうか、そういうことだって自信を持って絶対間違いないということはあなたは私に言えないでしょう。こういうようなこともありますから、資源論の上から考えても水産庁はただ漁獲努力をふやせばいいのだなんていうそういう考え方でなくて、やはりもっと総合的に考えて行政を施行してもらわなければならない、私はそう思うわけであります。
それから魚価安定の方法ですが、魚価安定といったって、これは消費者の立場からの魚価安定もあり、生産者の立場からの魚価安定もあるわけなんです。現在は農水委員でもあります関係上、生産者の価格のサイドからいろいろ議論してきたわけです。生産者の価格安定というサイドから問題を議論していくというと、これは価格対策といたしましては、農業などに見られるような、一定価格によって買い上げる一つの政策があるわけです。それから価格差を補給する、そういう政策もある。これは農業でも行なわれておる。それから今度は流通対策でもって価格政策を行なっていく——生産調整もそうでありましょうし、また産地の処理能力を増強していくという方法もありますし、あるいは調整保管、あるいは流通近代化の促進、いろいろあるわけです。時間がありませんから詳しく申し上げませんが、そこでただ一つお聞きしておきたいのは、はっきりお答えできるかどうかわからぬけれども、水産庁の魚価安定のいわゆる価格対策というものは、流通対策の面からのみなさろうとされておるのか、農業のようなやはりあるいは買い上げ政策であるとか、あるいは価格差を補給するという政策、こういうようなものも取り上げて、いわゆる何らかの制度によって価格安定をなさろうとしておるか、両方考えておるか、このくらいは構想を述べられませんか。それも総合的に検討しますという程度ですか。ひとつこのくらいの方向だけはお示しいただかぬと、これで二時間くらい質問やっておるのですから、ただしゃべっただけでさっぱり何にもなかったのじゃ質問した私としましてもちょっと引っ込みがつかぬので、一体どういう方向でやろうとしておるのか、その程度のことはひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/44
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045・久宗高
○政府委員(久宗高君) 的確にお答えできないのでありますが、狭い意味の、狭義の流通対策ではございません。たびたび申し上げておりますように、一連の経緯から見まして、おっしゃるとおりやはり総合的に対処する必要があるだろうということと、基本的には現在の需要の見通しから申しまして、相当の供給にギャップが出るおそれがございますので、生産から最終段階に至るまでの問題を組織化するという考え方で対処いたしたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/45
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046・川村清一
○川村清一君 最後に、大臣に御所見を伺いたいと思います。
魚価の安定対策について長時間にわたっていろいろ質問してまいりましたが、この魚価安定の問題も含めて日本の水産振興のためにはひとつ大いに大臣の御健闘をいま期待しておるわけでございます。今国会におきましては水産関係の法案はこれしかありませんので、国会開会中に水産問題で大臣に再度お話を承る機会もございませんので、ぜひ大臣の御決意をお聞きしたいことは、先般の漁業白書の質問のときに、大蔵大臣は、水産の予算が少ないということを認めておりますし、いまその国内の漁業を考えてみるときに、やはり生産を発展させるという点から考えてみても、あるいはその漁業に従事しておる漁業者の生活を安定させるという面から考えてみても、強力にやっていただかなければならない施策が多々あるわけでございます。したがって、ひとつ四十四年度の予算編成の場合におきましては、水産庁の総力をあげてそうして一つの具体的な政策を打ち立てられて、それを裏付けられる予算をぜひひとつ大蔵大臣から取られまして、そうして四十四年度の水産行政を施行していただきたい。大いに西村大臣に期待しておるのでございますが、ぜひひとつがんばっていただきたい。特にことしの白書は、どなたがあの白書を書いたのかわかりませんけれども、非常に現在日本のかかえておる漁業の問題点を克明に分析し、また、こんなことを書いても大臣にしかられないのかと、いわゆる自民党政府にしかられないのかと思われるような問題まで大胆に掲出してあります。その点において私は非常に感心したのですが、そういうような情熱を持っておる職員がやはり水産庁の中に、大臣の部下の中にいるわけですから、こういう事務当局の情熱を生かさせるように、それを実現させるように、それは一にかかって大臣であり、長官の肩にかかってくると思うんでございますが、そういう点でひとつばりばり仕事をやっていただきたいということを申し上げたいのです。ぜひひとつ大臣の考えをお聞かせいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/46
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047・西村直己
○国務大臣(西村直己君) きわめて回数は多くございませんが、この席を通し、また本会議を通して、委員の各位から水産に対する御所見あるいは御質問を承っておりますし、また水産の置かれまれましたる内外の環境につきましても、できるだけ正しい認識を私は持ってまいりたい、そうしてこれに対しまして、対処すべき今後のさらに施策というものを十分練りまして、毎回申し上げますようにどちらかというと、他の部門よりおくれやすい状態に立ちやすい水産推進、こういうことに対しまして、ひとつ努力してまいりたいという決意でございますことを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/47
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048・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/48
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049・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/49
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050・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記を起こして。
これにて暫時休憩いたします。午後二時三十分より再開いたします。
午後一時十二分休憩
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午後二時四十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/50
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051・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) これより委員会を再開いたします。
畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/51
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052・村田秀三
○村田秀三君 まず提案者にお伺いをいたしますが、まあお伺いすると申しましても、議員立法という性格のものでございますから、特段に提案者に対して詰めていくということはどうかとも考えておりますが、一つだけお伺いしてみたいと思いますことは、説明をいただきましておおよそのことは承知をいたしておりますけれども、再度確認の意味で、その改正の目的、それからその効果をどの程度に期待をしておるか、と申しますか、これについてお伺いをいたしたいと思います。
なお、この改正の趣旨としますものは、部分的なものでありますけれども、しかしながら、生産者の価格を安定するといいますか、むしろ、生産者が再生産に必要とする価格の維持というところにひっきょうするところ目的が置かれているのではないかとも考えられるわけでございますが、その辺のところをひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/52
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053・坂村吉正
○衆議院議員(坂村吉正君) ただいま御質問の点でございますが、この前提案理由の説明を申し上げましたとおりでございますけれども、その中にございますように、いま畜安法で、実は御承知のように、東京、大阪をはじめとして、あるいは福岡であるとか、岡山であるとか、広島であるとか、名古屋であるとか、いろいろそういうところに市場間の格差をつけまして、そうして値段の告示をしておるわけであります。まあそれは生産地から消費地までの間の運賃もありますし、いろいろな諸掛かりもありますから、値段の格差があるのは当然でございます。しかし、それをわざわざ初めから買い入れ値段というやつを格差をつけて告示をしておきますと、いかにもどうも福岡と大阪とではこれだけのもう格差があるのだと、こういうことは、まあ市場一般にそういう印象を非常に強く与える。で、必ずしも、これは役人がいろいろはじいた値段でございますから、ほんとうに自由取引の場合に合理的な格差であるかどうか、そういう点も私はこれは問題があると、もう神さまじゃありませんから、正確な格差がそこのところの値段の差にあらわれているということはなかなか言えないと思うのです。そういうことを考えますと、どうもやはり初めからそういう格差をつけて告示をしておきますと、自由取引にそれは非常に悪影響を与えてまいります。そういうようなことで、普通の自由取引の値段にまでそれが影響を与える、そういうことがあっては豚の生産者に対しまして非常にこれは不親切なことでございますので、これは当然実際事業団が買い入れるときには、いろいろの格差があってもこれはやむを得ませんけれども、初めから格差をきめた告示ということは、これはなるべく中心となる市場である東京、大阪ぐらいに限って、事業団の買い入れの下位の価格あるいは上位の価格というのはこれは一本にしておいて、そうしてあとは実際買い入れの必要が起こったときに実際の諸経費や何かを引いたやつを実際に買い入れていく、こういうことをやっていくほうが自然の取引に対しまして、自然の価格形成に対して非常に影響としてはいいのではないか、そのことが生産者に対してプラスになるのではないか、こういうことを実は期待しておるわけでございます。でございますからその値段についてはもちろんおっしゃるように生産者が再生産できるように、また全体の市場の大勢を反映するような、そういう値段をこれは政府できめているわけでございますから、その値段をきめるきめ方を実はあまりあちこちの格差をつけた値段をきめないで、東京、大阪だけにしてあとは現実に必要の起こったときに値段をきめていったらいいじゃないか、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/53
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054・村田秀三
○村田秀三君 畜産局長にお伺いいたしますが、これは農林省から提案されたものではないということでありますが、もちろんこれを改定するにつきましては農林省とも種々協議をなされておるものと思いますが、この改正部分に対応する政令の改正などの御用意はすでにできておるのではないか、ないしは予定するもの、そういうものについてひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/54
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055・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 立案の当初から御相談がございまして、私のほうも上緒に検討さしていただいたわけでございます。政令につきましては大体二つございまして、一つは安定基準価格、安定上位価格をきめます市場をどこにするかという点と、それから現実に買い入れをいたします場合に安定基準価格を基礎にいたしまして、その他の市場の買い入れ価格をきめるということになっておりますので、その価格のきめ方、この二つについて主として規定をすることになるわけでございますが、それについては現在検討いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/55
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056・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/56
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057・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/57
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058・村田秀三
○村田秀三君 そうすると、検討するというだけの答弁ですが、この趣旨に対応するような改正ということは差しつかえないわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/58
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059・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) これは議員提案でなされました法律でございまして、立法の趣旨というものはもちろん提案理由の説明の中にも書いてございます。で、そういうふうな趣旨に沿いまして、政令はきめさしていただきたいというふうに実は思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/59
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060・村田秀三
○村田秀三君 いま提案者のほうから政令で定める主要な消費地域に所在する中央卸売市場、こう改めてその範囲は東京、大阪、こういうふうにした、二カ所という意味ではなかろうかと思いますけれども、そう農林省で考えているということで理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/60
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061・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 検討いたしておりますけれども、大体そういうふうな考えでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/61
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062・村田秀三
○村田秀三君 そうしますとまだ省として確定をしておるわけではありませんから、明確なことが言えるかどうかは別にして、たとえば東京、大阪に固定をした、こういう前提に立って考えた場合に、この改正部分の改正効果といいますか、それをどのように理解できるか、検討なさっているとすればお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/62
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063・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先ほど坂村先生からお話がございましたように、従来は各市場ごとに安定基準価格と安定上位価格をきめておったと、したがいまして、それが買い上げをいたしますとき、または売却をいたしますときには、その価格というものが意味を持ってまいるわけでございますけれども、現実に買い入れをしないというふうな場合におきまして、その価格が定められておりますために、市場において自由に形成されるべき価格が、その定められております価格に引かれまして、かえって自由な価格形成を阻害するおそれがあるということが改正の最大の眼目であるというふうに思うわけでございます。現実には、従来価格をきめておりましたので、価格がきめられてなかった場合にどのように形成されるかということを実証するということはなかなかむずかしいわけでございます。そこでこれを現実に検証しますことはなかなかむずかしいことでございますけれども、理論的に考えましてそういうことは想定されるわけでございます。したがいまして、もしも価格を定めていなかったとすれば別の形の価格が形成されたであろうということは考えられるわけなんです。そういうふうなことを考えますと、買い入れをいたします際にきめればいい価格をあらかじめきめておくということは、かえって市場の自由な価格形成を阻害するおそれがあるということは十分考えられることでございますので、今回の法律改正の御提案になりました点につきましては、われわれとしても適切ではないかというふうに考えておりまして、そういう意味では、適切な価格が形成されることになるということでメリットがあるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/63
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064・村田秀三
○村田秀三君 どうも抽象的な説明なんでちょっと理解できにくいわけなんですが、要すれば、改正をしなければならない趣旨というのは、もちろん、畜安法というのは生産者と消費者の立場に立って調和をはかるという意味の目的があるのではないかと思います。しかしながら、この改正の意図というのは、どっちかといえば生産者の立場といいますか、それに立って立案されておると私は理解をするわけでありますが、その点もう一度それでは確認をしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/64
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065・坂村吉正
○衆議院議員(坂村吉正君) おっしゃるとおりでございまして、生産者の利益というものを非常に大きく考えておるわけでございますが、と同時に、これは御承知のように、普通の場合には自由取引でございますから、そういう意味では需要供給がうまくぴったりいくというような、そういうことで適正な価格形成というものを期待しているわけでございます。ですから、この改正は通常の状態、豚肉が非常に余って、これは事業団が買い入れしなきゃならぬというような状態を想定するよりも、むしろ通常の、普通の買い入れもしないような状態のときに適正な値段が形成される、こういうことを実は期待しているわけでございます。非常に、普通の場合でも、いかにも格差をつけた、そういう値段の告示が出ていますと、先ほど畜産局長も言ったように、これはそれに非常に値段が引っぱられるわけでございます。そのために、あるいは場合によったら、値段の格差のきめようによっては生産者にプラスになることもあり、マイナスになることもあるかもしれませんが、どちらかといえば、いまの状態ではそれがかえって生産者にはマイナスの面が多く働いておる、こういうことがありますので、たとえば遠くのほうの宮崎だとか鹿児島だとか、ああいうようなところでは非常に要望が強い、そういう実態にあるものですから、普通の場合には、通常の取引で需要供給で適正な値段がきまる、こういう状態を期待してこの改正をした、こういうことでございます。
で、どうも政府としては、こういう問題についてやはりいろいろ陳情がありましても、私も長いこと役人をしておった者でございますが、これはしりが重くて、こういう問題だけを取り上げてすぐ法律改正をやるなんというところまでなかなかいかぬというのが実態でございます。政府委員がおって恐縮でございますけれども、そういう実態でございまして、まあ全体の情勢を見てなんということを言ってずるずる引っぱられると、こういうこともございますので、これは私どもは四党共同でいろいろ相談をしまして、ぜひこれは政治としてひとつ議員立法でこの問題を解決しよう、こういうことで実は改正案をお出しいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/65
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066・村田秀三
○村田秀三君 おおよその意味はわかりました。まあ問題は、この安定基準価格のきめ方が相当やはり問題になってくると思いますが、それは後ほどに譲りまして、部分的な問題でありますが、いまやはり同じように問題になっておる事項として、畜産振興事業団の買い入れについて、いま等級別にいたしますと大体上だけを買い入れているということでありますが、中肉を、これも買い入れてほしいという要望がたいへん強い。で、これについては、どう扱っていくのかということですが、畜産局長からひとつ御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/66
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067・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 現在畜産振興事業団で買い入れをいたします場合には、上肉のみを対象にいたしておるわけでございます。で、中肉も買い上げるべきであるというふうな御意見も出されておりまして、畜産振興審議会におきましてしばしば議論がなされたわけでございます。その結果、審議会でその議論されました経過を申し上げますと、一つは、最近豚肉の価格——豚肉としまして、需要側からいたしますと、あぶらの細い肉質の多い豚に対する要望が非常に強くなっている。ところが、生産面からしますと、品種的にかなり混乱をいたしまして、必ずしも需要にマッチした豚肉がつくれないというふうな傾向もあるわけです。御承知のように、豚肉に対する飼料としましては、大部分が外国から輸入をしておるものでございます。したがいまして、そういう輸入しましたえさでつくりました豚につきまして、非常に脂肪が多くて需要にマッチしない、需要家から喜ばれないというふうなものができるということは、これはいろいろ問題もあるわけでございますので、品種改良等につきまして努力をいたしておるわけでございますけれども、なかなかその理想的な形には到達しておらないわけです。そこで、中肉まで買い上げをいたしますということになりますと、ほとんど豚の全部を対象にして買い上げをやるということになるわけでございます。そういたしますと、その品種改良を進めていく上において非常に問題があるのではないかというふうな点が品種改良上から指摘されておるわけでございます。
それからもう一つは、事業団がある一定の豚を買い上げることによりまして、全体の価格安定をはかるということでございますけれども、何しろなまものを買い上げましてこれを相当長期に保管をするということになってまいりますと、現実に四十一年から四十二年に買い上げましたものでございましても八十八万頭というふうな量でございまして、おそらく中肉を買い上げるということになりますと、さらに膨大な数量になるという点が考えられるわけでございます。そういうふうな点からいたしまして、なまものを買い上げまして保管をするというような点から、管理上の限界という問題も一つはあるわけでございます。そういうふうな点もございましてなかなかむずかしい問題を含んでいるわけでございます。したがいまして、この問題につきましてはさらに検討いたしまして、どのようにすべきか詰めてまいりたいというふうに考えているわけでございますけれども、審議会の御意見といたしましては、必ずしも中肉を買い上げるべきであるというふうな意見にはなっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/67
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068・村田秀三
○村田秀三君 この問題は論議をいたしますと、等級の品質決定の基準であるとか、それからまた肉豚肥育改善の状況であるとか、飼料であるとかという問題にまでも入らなくてはならないように私も感じます。したがって、ここでどうしても中肉もひとつ買い入れろというような強い論理的な主張というものはできにくい実情にあることは間違いありません。しかし、事この畜安法の趣旨からいいますならば、やはり何といっても飼育農家が上をつくるつもりでやりましても、何かの都合でこれは中になってしまったというようなこと、それが中全部である、いわゆる価格変動の中で再生産を確保することができないというような実情ができるとすれば、やはり法の目的に沿わない結果になるわけですから、ある面においては、政策的な観点からこれを検討してもよろしいのではないかという感じを私は持っているわけであります。したがいまして、そのときの需給状況にももちろんよるわけでありますが、さらに前向きで検討するということについて、この際希望してこの問題は終わります。
そこで次の問題ですが、事業団による買入れ状況です。その比率を見ますと、中央卸売市場の買い入れ数量と、それから産地買い入れの数量ですね、これは総合的に見ますと大体六対四で、中央卸売市場の買い入れが多いように見受けられるわけです。これはまたどういう事情によるものなのかということについて、ひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/68
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069・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 原則として市場で買い入れることになっているわけでございますけれども、生産者のために産地買い入れもできるということになっておりますので、産地買い入れもやっているわけでございます。できるだけ生産者のために便宜なところで買い入れるということにいたしているわけでございますけれども、先生も御承知のように、買い入れました豚は屠殺をいたしまして、それを部分肉にいたしまして冷凍して冷蔵庫に保管するということになっておるわけでございます。そういたしますと、その屠殺場なりあるいは処理場なり冷蔵庫という物理的な要因によって制約を受けざるを得ないということになるわけでございます。そういうことからいたしますと、やはり中央卸売市場のございます地域ではそういうようなものが整っている、こういうふうな事情もございまして、やはり市場買いが中心になってまいるということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/69
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070・村田秀三
○村田秀三君 いろいろお伺いをいたしましたが、この畜安法の三十九条三項、四項ですか、これを見ますと、事業団は、指定食肉の買い入れについては生産者団体からの買い入れ、これを優先的に行なうものとする。まあこういうことになっておりますね。この比率の状態からすぐに言えることはですね、この法律が守られておらないのじゃないかというような言い方が、表面上はまあ感ずるわけですね。ただ内部的に検討した場合に、指定生産者団体と、こう言ってもですね、それがいわゆる出荷数量のうちの何パーセントに当たるのかというそういう問題からしても、これは比率の変動というものがあり得るわけですから、あるいはそんなこともなかろうかとこう私は考えておりまするけれども、現実問題としてこの三十九条というのがそのとおりに守られておるのかおらないのかという点について、私は非常に興味を持っておるわけでございますので、その間のところを詳しくひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/70
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071・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) この法律の三十九条の一項で「事業団は、第六条第二項各号の一に該当する者の申込みにより、その生産した指定乳製品を安定下位価格で買い入れることができる。」、二項で「事業団は、中央卸売市場において、指定食肉を安定基準価格で買い入れることができる。」と、こういうことになっておるわけでございます。そこで、この安定基準価格を指定食肉が下回りました場合には、これはまあ買い入れるということになるわけでございます。したがいまして、市場であろうと産地であろうと価格が安定基準価格を下がりました場合にはやはり買い入れるということで、これは市場に出されるものもですね、生産者団体から出されるものもあるわけでございます。そういうふうな点から、いずれにいたしましても価格政策としまして、安定基準価格を下回れば買い入れるということになっておるわけでございますから、私はやはりそこは違いはないはずだというふうに思っておるわけでございます。そこでその買い入れます場合に、先ほど申し上げましたような物理的な事情がございまして、そういうふうなことから、結果としましてその中央卸売市場を通じて買いますものがやや多いと、こういうふうなことになっておるというふうに理解しておりまして、したがいましてこの法律の規定からいたしまして、この法律の規定を無視してやっておるということではないというふうに実は思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/71
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072・村田秀三
○村田秀三君 再度聞くわけですが、もちろん生産者団体からもこれは買っておることは間違いないわけですね。しかし私が考えるのは、この優先的に生産者団体から買い入れなさいと、こうなっておるわけでしょう、三十九条の四項においてですね。したがってそのことがそのように運用されておるのかおらないのかということを聞きたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/72
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073・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) ただいま申し上げましたように、価格が下がりました場合には、いずれにいたしましてもその価格支持をせざるを得ない、こういう状態からいたしますと、そういう場合においてその優先的に生産者団体から買い入れるという規定が発動される余地はないんではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ優先的というのが意味がございますのは、やはり買い入れることができるということで、無制限に現実には買っておるわけでございますけれども、何らかの事情によりまして、一部に制限せざるを得ないというようなことがあります場合に、優先的ということはあり得ると思うのでございます。しかし無制限に買うという状態のもとにおきましては、この優先的という規定の発動はないんではないかというふうに考えておるわけでございまして、先ほど即し上げましたように、現実には物理的な関係から中央卸売市場で買いますものが多いわけでございますけれども、最近は御承知のように、私たちのほうで助成をいたしまして、食肉センターというものを各農村の中都市程度のところにつくっておるわけでございます。そういうものがだんだんふえておりますので、したがいましてその生産地買い入れというのもだんだん量的にふえてまいっておる、そういうことでございますので、今後食肉センターが非常に普及してまいるということになりますと、おそらく食肉センターで買い上げるものが非常に多くなってくるであろうというふうに思われますけれども、まあ現在いままでのところでは、やや市場のほうが多くなっておるというふうな実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/73
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074・村田秀三
○村田秀三君 これは無制限に買えるというふうになれば、効果は同じであるということは、その意味は私はわかります。特にこの点、聞いてみたいと思いましたことは、この価格の面でですね、たとえば生産者が福島県なら福島県、それが大宮までなまのまま輸送する。そうして屠殺をする、そして市場に売る、そして買い入れる。これよりもやはり郡山なら郡山で買い入れたほうが、輸送費や何か格安につくのではないか。かりに枝肉にいたしまして大宮に輸送するといたしましてもですね、いわゆるなまで運ぶ場合、枝にして運ぶ場合というものは、やはり輸送費が相当違うのではないか。詳しくは私調査したわけでありませんからわかりませんけれども、しかしそういう感じがする、ほぼ間違いなかろう。とすれば、たとえば東京市場におけるところの相場で郡山で買えるということが実現するとすれば、これはわざわざ大宮まで輸送する人はいなくなる。こう私は理解をいたします。将来制限をするかしないかという問題はともかくとして、いずれにいたしましても、むしろ産地買い入れという比率というものを積極的に上昇していくような方向での措置というものが必要ではないか。こう考えたものですから、いまの点ひとつ聞いてみたわけですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/74
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075・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) いま先生のおっしゃいますようにですね。郡山で東京の値段で買うということになりますと、郡山に出したほうが非常に有利になりまして、東京に出荷するということは非常に不利になるわけでございます。そういうふうなことは、東京に出るべきものをみな郡山に出して、郡山にはんらんするということになってくるわけであります。それは豚肉の自然の流れを非常に阻止するといいますか、制限する結果になるわけでございます。したがってそれはどうも適当ではないというふうにわれわれは考えておりまして、たとえば郡山で買いますときには、東京に出しますと当然輸送費部分がかかるわけでございますけれども、郡山の場合には輸送費がかからないわけでございますから、したがってその部分だけ安く買われてもよろしいということになるわけであります。問題は、東京に出そうが郡山に出そうが、生産者の手取り価格は同じであるという考え方で、現在は買い入れの制度ができあがっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/75
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076・村田秀三
○村田秀三君 わからぬわけでもないですがね、わからぬわけでもないのだけれども、まあ郡山で買い過ぎてダブつくということはないと思うのですね。というのは、いわゆる需給が調整されるということは、消費の段階でこれは調整されるべきものだと思う。そうした場合に、生きた豚を大宮まで輸送するというその手数、経費というものを省くことができるとすれば、これは安い食肉が、豚肉が買えるのではないか。郡山で買えないとしても、そこへ保管をしておく。東京の市場の状態によっては豚肉を郡山から輸送する、事業団がそれを指示する。そういうようなことが行なわれたほうが、むしろこれは効果的ではないか、こう考えるので再度聞くわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/76
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077・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 価格関係は先ほど申し上げたとおりでございますが、そこで、郡山にいたしましても、冷蔵能力でございますとか、処理能力とかいうものの限界があるわけでございます。そういうふうな点から、東京に運ばないで郡山へ全部運んでしまうということになりますと、これはやはり非常に問題が出てくる。それからまたそれを東京に運んでこなきゃならぬという問題も出てくるわけでございますから、そこは、この安定制度は一応経済の自然の流れを前提にいたしまして、その前提の上でスムーズに動くということも考えております。で、経済の流れをチェックするというふうな、と申しますか、阻止するというふうな形は好ましくないのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/77
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078・村田秀三
○村田秀三君 まあわからぬわけでもないんですが、しかし、この先ほどの部分改正の効果の問題と、これを対照して考えてみますと、まあ具体的にものを青いますが、あるいは実際の運営の中で、これは流通段階において、そのようになるかならないかは別にいたしましても、私はそういま想像するわけですが、たとえばこれはいままで宇都宮も、これは基準価格を定めておったのですね。東京と差があるわけです。今度東京と大阪にしぼる。東京の市場価格を基準にして安定帯ができるとすれば、この法律の立法の趣旨というのは生産者側に立って考える限りは、たとえば郡山の食肉センターで買い入れた場合においても、東京の基準価格がそのまま適用されるのではないか、こういう理解を私はするわけです。間違いであればひとつあとで御指摘いただいてけっこうでございますが、だとすれば、とにかく東京で販売しても、郡山で販売しても、飼養農家の手取り分は同じだと、こういう考え方ですべての機構また行政指導、措置するとすれば、この部分的改正の趣旨というものが生かされない。郡山で東京の価格で買い入れることによって、その枝肉を東京に運んできた場合には、消費者は同じ関係にあるけれども、少なくとも生産者はいままでよりも多少なりとも一高く手元に入る、こういう効果がない限りは、これはやはり第三章の部分改正というものは意味がなくなるんじゃないかという感じがするわけですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/78
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079・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 今回の改正案は、市場間格差を撤廃するという考え方ではないというふうに理解しておるわけです。で、現実に、たとえば東京の芝浦の市場と福岡の市場と、毎日の価格の動きを見てみますと、やはり格差があるわけでございます。で、その格差は一体何からできておるかと申しますと、やはり運賃でございますとか、まあ生計費格差でございますとか、あるいは売ります個人のいろいろな問題であるとか、そういったものが総合的に含まれまして、それで自然に福岡の市場と東京の市場というものには格差ができておるわけです。これが自然の自由にまかしたときの、その価格であるというふうに思われるわけでございます。一方が安くて一方が高いと、高いほうに荷が動いていくというようなことで、ある期間をとりますと、そこに均衡作用が働らくのでありまして、妥当な価格が相互に成立するというふうに考えられるわけです。この差は先ほど申し上げましたような理由によりまして自然に価格が形成される場合にできるやはり格差である、こういうふうに思われるわけです。
したがいまして、この格差を撤廃いたしますということになりますと、有利なほうに出荷がどんどん行なわれまして、一方には全く行なわれないというような事情ができまして、そこでその消費地では、たとえば福岡から東京に運ぶということになりますと、その運賃部分だけが高くなってくるわけです。そういうふうなことで、経済の自然の流れから考えますと、やはり自然に格差があるべきものである。ただ、あらかじめ法律によって毎年買わない場合にも価格を定めておきまして、その定めた価格に引きずられまして自然の価格形成が行なわれない、こういう心配がある。どうしてもそれに引きずられていくという傾向がないとは言えないと思うわけであります。したがって、本来からいえばもっとあるいは高くなっているかもしれない価格が、そのために引きずられて安くなっているということがあるわけでございます。そういうような人為的な作用によりまして自然の価格形成を阻害する要因をなくしようというようなのが、今回の法律の改正の提案のねらいである、こういうふうに実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/79
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080・中村波男
○中村波男君 局長の御説明を聞いておりまして、私納得がいかないわけであります。実は衆議院で議員立法として一部改正が行なわれたということを聞きましたときには、長い間畜産団体から強い要請がありました価格差撤廃の内容であるかというふうに考えておったわけでありますが、残念ながらこの法案は格差を縮める、実際には縮めるという作用がどれだけ政令その他で措置をされるか知りませんが、これ以上拡大を防ぐという、そういう点では法案の内容として一つの歯止めになるというふうに私は考えるのでありますが、そこで安定基準価格というものは、政策価格であると思うわけです。したがって、最低の水準をきめておるというふうに私は思うわけです。そうだとするならば、生産者はすべて最低保証価格として一律にカバーされるべきだと思われるわけです。局長の説明で聞きますと、いわゆる自由な流れを、法律なりあるいは行政手段によって食いとめることは、これは何といいますか、不自然であるというようなことばがありますが、このような措置を続けていくということになるならば、同じ生産費のかかった肉が、いわゆる遠隔地といいますか、地域が違うために、生産者というのは手取りが少ないという、こういうことでは政策価格としての意味が私はないと思うのです。したがって、私どもの聞きたいのは、これは政策価格であるのかどうかということと、それから農林省の考え方として、生産費が一律であるとするならば、一律のいわゆる買入れ価格によって生産費をカバーするということが正しいということを否定されるとするならば、その理由をまず明らかにしていただきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/80
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081・坂村吉正
○衆議院議員(坂村吉正君) 私のほうから、提案者のほうから趣旨を御説明するほうが、かえっていいかと思いますので、私御説明申し上げたいと思いますが、なるほど安定基準価格は政策価格でございます。ただ先ほど来申し上げましたように、たとえば東京で三百二十円と法律できめてあります場合に、埼玉の豚肉が東京に来る場合と、それから宮崎の豚肉が東京に来る場合とは、これはずいぶん違うのだと思います。それから福岡で取引します場合に、宮崎の人が福岡に出すのと、東京に出すのとでは、これは運賃の差というものは相当あるわけであります。そういうことを考えて、最後の事業団が買い入れをする場合には、そういう諸経費がこれは当然差っ引かれて、いろいろ差がつくことはこれは自然な姿で、当然でございますけれども、それを初めから人為的な値段で、東京の値段は幾らだ、福岡の値段は幾らだと、こうやってきめておくと、これに非常に自然に買い上げない場合の豚肉の値段が左右されて、非常に歪曲された市場価格の形成が生まれる、こういうことを私は心配して一応一本でやっておいて、それで実際福岡で買い入れる、あるいは郡山で買い入れるという場合には、これはその間の運賃諸がかり、そういうようなものを引いたもの、そういうものを考慮した値段で、そのつどそのつど値段をきめてそうして買い入れていく、こういうのが一番合理的なんじゃないか、こういうぐあいに考えて、実はこの改正案を提案したわけでございます。ですから全国どこでも同じ値段で買うのだという思想では考えていないわけで、生産者の手取りはおそらく全国同じになるというふうに考えられるのじゃないかと思いますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/81
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082・中村波男
○中村波男君 現行の基準買い上げ価格によりますと、申し上げるまでもなく、東京、横浜、大宮、宇都宮、四日市等では三百二十円、大阪、神戸では三百円、これは皮はぎ法と湯はぎ法の違いがありますが、二十円の差があるということについてもいろいろ議論があると思うのでありますが、それはそれとして、大阪、神戸に比べて広島、福岡は二百九十五円だという、そのことはさっき私が申し上げましたように政策価格であり、最低水準であるという立場に立つならば、福岡、広島に集荷される豚肉というのは、そのほかの地域に集荷される豚肉よりも五円というのは、生産費が安いのだという、そういう基礎に置かれておるのなら問題はないと思いますが、生産者を守るという立場でこの法律ができたとするならば、流通関係における運賃その他というものは、やはり私はほかの面で対策を立て、できるだけ全国的な水準というものは保たれるように考えるべきであって、大体、法の趣旨からいうならば、いまの説明というのは、生産者に重点が置かれなくて、自然な流通ということばにおいて、いわゆる消費者価格というものに重点を置いた考え方ではないか、こういうことでこれはもう並行的な議論になると思いますけれども、撤廃をするということが法の趣旨からいって当然な措置ではないかというふうに考えるので、質問を申し上げるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/82
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083・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) ただいま坂村先生からお話がございましたように、生産者の手取りというものはひとしくなるというふうに考えておるわけです。問題は、大阪で出しますのと岡山で出しますのとで、輸送費の差があるわけでございますが、したがいまして、そういうふうな点から格差ができておるわけでございます。輸送費を引きますと、農民の手取りというものは同じになるような形で買い上げが行なわれるということになるわけでございますから、したがいまして、一律に全部同じ価格で買うということになってまいりますと、当然その有利、不利というものが出てくるわけでございます。そういうふうな点から、農家の手取りというものがひとしくなるような形で考えられておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/83
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084・中村波男
○中村波男君 関連だから多く質問いたしましては迷惑でありますのでいたしませんけれども、輸送費、輸送費と言われますけれども、現在の養豚飼育の状況、消費の東京都を中心にする集中化等からいえばそういうことが言えますけれども、それは、私はいまの現況からいえばそういうことが言えるのであって、九州の豚肉を全部東京へ持ってきていま消化しているということではないわけでありますから、そういう議論というのはどうも納得がいかないわけです。したがって、私が考えますのには、そういう弊害を除去する一つの方法としては、買い入れ市場をもっとふやすことが必要だと思うのです。いま限定しておりますからそういう問題が出ておりまするけれども、市場をふやすことが必要である。でき得るならば生産計画を立てましてできるだけ遠いところから輸送をしなくてもいいような需給計画というものを根本的に立てなければ、やはり消費の面からいいましても円滑な流通というものを期することにはいかないのじゃないか。それをそのまま認めておいて、ただ買い入れ価格で操作をしようとするところに非常に無理があるのじゃないか、こういうことを考えておるわけでありますが、これはまあ私の意見も加えて申し上げたわけでありますから、御答弁はきょうはいただかなくてもよろしいけれども、そういう立場で不満を持つものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/84
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085・村田秀三
○村田秀三君 同じような問題ですが、私は先ほど、つまり中央卸売市場の買い入れ数量と産地買い入れの数量、この問題からいまの論議に私は入っていったのです。どちらから入っても私は結果的には同じではないかと思いますけれども、私が言うのは、いまの中村委員の、産地買い入れをする場所も数量もふやしてはどうかということを言いたいわけですが、そうすれば、先ほどことばとしては、東京の価格を郡山の価格、私そうなるような言い方をしましたが、まあ省令によっては運賃を差し引くとか、やれ何を差し引くということで、見た限りにおいては当然であるようなものがありますから、そういうものは引いてそうして郡山の買い入れ価格を決定されても、それは私は異議はないわけですよ。ありませんが、しかしこの郡山で技肉にして保管をいたしましても、保管する場所がないからだめだとかいう現実的な問題は別といたしまして、なければないようにこれからふやせばいいのだし、またふやすべきだし、そういう措置もいまはとられているとするならば、これはやっぱり生産地でもって買い入れて保管をしたほうが流通経費のむだが省ける、ないしは生産者の価格は、東京であろうとあるいは郡山であろうと、ひとしくしたいというその気持ちはわかりますが、たとえばこれは買い入れのことだけ言っておりますけれども、ぐっと豚の飼量頭数が減った、出荷量も限定をされた、そうすれば、福岡から豚が東京に来ないとはこれ断言できないわけですから、福岡も来たわ、東京の値がよいから。福島からも来たわ、茨城から持って来たわということで、だぶついたとたんにいわゆる市場価格が下落をした、その下落したときに最低下限でかりに事業団に買い入れてもらったとしても、これは今度は福岡の生産者はべらぼうな損害をやはり運賃の面で受けると思うのですね。そうすると、これは生産者のいわゆる手取り価格というものは、福岡ないし福島とバランスするというわけにはまいらないと思うのです。そういう見地からするならば、私はこの法律の趣旨、私が言っているような意味ともまた非常に違うのでありますけれども、少なくとも産地買い入れというものにやはり重点を置いてやったほうがよろしいのではないか、それをひとつ考えなさい、こういうことの意味に御理解をいただきたいと思いますが、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/85
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086・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先ほどから申し上げましたように、物理的な施設の問題がございますので、そういうものがあれば産地買い入れでやるというたてまえにいたしております。
なお先ほど申し上げましたように、できるだけ食肉センターを必要なところにつくりまして、そういう施設を利用しまして産地で買い上げをするということをいたしておりますし、今後もそういうふうな考えで進んでまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/86
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087・村田秀三
○村田秀三君 それはそれでひとつよろしゅうございます。
そこで、振興事業団の運営といいますか、需給操作といいますか、そういう問題について若干私なりの疑問を持っておりますのでお伺いをしてみたいと思いますが、一つは、これはこの四月三十日の新聞に出ておりました黄変豚肉の問題ですね、その実情についてひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/87
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088・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 御承知のように、四十一年に入りまして、豚価が低落をいたしまして、四十一年の三月から買い入れを始めたわけでございます。四十二年の七月まで買い入れを続けたわけでございます。その総計は約八十九万頭でございまして、肉量にいたしまして三万七千トンでございます。七月の末に入りまして急に価格が騰貴をいたしまして、上限——安定上位価格をこえるおそれも生じてまいりましたので売却を始めたわけでございます。で、八月、九月かなり高い水準に達した豚肉の価格も、事業団の放出によりまして逐次安定をいたしまして、十二月には基準価格と安定上位価格の中間でございます三百四、五十円のところまで安定をいたしたわけでございます。この間に売却いたしました数量は肉量にいたしまして約二万八千トンでございます。そういう意味では安定制度の持つ効果を実現したというふうに思っておるわけであります。私たちが売ります場合には、もちろん一年数カ月の間買った豚でございます。冷凍して保管をいたしておりますので簡単に腐敗するおそれはないわけでございますけれども、しかし、長期にわたりますと、豚の肉の上についております脂肪が逐次酸化をするというおそれがあるわけでございます。したがいまして、早く買いましたものはできるだけ早く売るというふうなことで進めてまいったわけでございますが、何といたしましても、買い入れ場所と売り渡し場所というものが非常に違うわけでございます。そういうことから、地方で買い入れましたものにつきましては、やはり売却数量が少ない——買い入れ数量はかなり多いけれども売却数量は少ないというふうな問題もございました。それから御承知のように、豚肉を部分肉にいたしまして、肩とか、ももとか、ひれとか、バラとかという形で保管をしておるわけでございますが、その売れ方が必ずしも一様ではない。ところによりまして肩やバラは非常に売れるけれどもひれは売れないというふうな事情もございまして、必ずしも買い入れました順序に一律に全部売れるというふうな状態でなかったわけでございます。特に昨年の暮れでございますが、十二月は例年は豚の価格が最も高い時期でございます。豚の需要の一番旺盛な時期でございます。したがいまして、十二月にはかなり騰貴するであろうということで、東京近辺におきましてはかなり在庫が減ってまいりましたので、地方の在庫を倉移しをいたしたわけでございます。たまたま倉移しをいたしましたときに、十二月に入りまして売りがなくなってきたというふうなこともございます。それから買い入れました場所におきましては、時期別に倉庫の中でかなり整理が行なわれておったわけでございますけれども、倉移しをいたします場合に、やや買い入れ時期との関係から申しますと、混乱をいたしたというふうな事態がございまして、古いものが若干残るという結果になったわけでございます。その結果、先ほど申し上げましたように、肉の上部についております脂肪が若干酸化をいたすというふうな事情が生じたわけでございます。もちろん腐敗ということではございません。マイナス四十度で急速冷凍いたしまして、マイナス二十度で保管をいたしております関係から、腐敗菌が繁殖するというふうな事態はないわけでございます。したがいまして、肉そのものが腐敗しておるということはございませんけれども、あぶらがやや酸化をいたしてまいっておるというふうな事態になっておるわけでございます。畜産振興事業団の八十九万頭に及びます大量の豚をかかえまして、これの管理、保管、販売等につきましてできるだけ合理的にということで努力をいたしましたわけでございますけれども、結果としましては、そういうふうな事態が生じましたことに伴いましてそのような酸化するというふうな事態が生じましたことにつきましては、われわれとしてもはなはだ残念に思っておるわけでございますが、ただいま申し上げました事情によりまして若干酸化したものが出てまいっておるわけでございまして、それが新聞紙に黄変豚というふうな形で出たわけでございます。決して先ほど申し上げましたように腐敗をいたしておるものではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/88
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089・村田秀三
○村田秀三君 新聞ではいろいろな処理の方法が書かれておりますが、処理したわけですか、またどう処理をしようとするのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/89
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090・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) ただいま申し上げましたように、あぶらが酸化をいたしておりまして、肉そのものは腐敗をしておるというようなものではございませんので、そのあぶらを削りまして使えばこれは十分食用に供されるものでございます。ただ長期にわたっております関係から品質的には低下をいたしておりますから、商品価値としては落ちておるわけでございます。
それからもう一つは、これをどのように処分するかということでございますが、もしも市場を中心にして売却いたすということになりますと、どこの小売り業者に渡って売られるかわからないという問題がございます。したがいまして、その酸化しましたあぶらを処理するということにつきまして十分指導、監督ができないという問題がございます。それからもう一つは、長い間冷蔵、保管をいたしましたものにつきましては、解凍いたしますと腐敗しやすい状態、通常の清鮮な肉よりも腐敗する期間が短いという欠点があるわけでございます。そういうふうな点から大量に処分される所でございますとけっこうでございますけれども、少量にしか処分されない所におきましては問題を起こすおそれがあります。現実にその事業団が持っておりますときには腐敗をしていなくても、売る場合に腐敗をしておるということで世間に迷惑をかけることもあろうかと思います。したがいまして、十分指導、監督ができるという状態において処理したほうがよろしいということになりまして、そこで全国の加工業者で組織した団体がございますので、その団体を相手にいたしましてその売却について現在話し合いをいたしておる段階でございます。加工いたします場合には、当然これに熱を加えられるということでもございますから、安全性が強いわけでございますし、また加工業者というものは数が制限されておりますので、十分その間の指導、監督ができるというふうなことでもございますので、そのような措置をとりたいということで、現在話し合いをいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/90
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091・村田秀三
○村田秀三君 まあ話をそのまま受け取っておく以外にないと思いますけれども、しかし、その話をずっと聞いておりましても、保管、需給調整、これにやはり問題があるような気がしますね。ともかくずっといままでの買い入れ状況、これを見ましても、とにかく古いものを先に処理できるように、こういうことが配慮がされておらないからいまのような結果になった。その理由としては、遠い地域で買い入れたものは買い入れ数量多いけれども、消費する数量が少なかった、こう言うのですが、結果的には新聞で見る限りにおいては、保管料の問題もありましょうし、それからどれくらいの価格でこれは払い出しをするのかは存じませんが、協議中ということでございますから、その損害部分、このことと比較するならば、これは当然郡山から東京に運搬する経費をかけても古いものを先出ししても決して損にはならないということになるわけでしょう。これは今回は特別に私はこの問題を追及したいというつもりで問題を出したわけではありませんから、これ以上申し上げませんが、とにかく管理運営には十二分な配慮をしてもらわなければならないと思うのです。その点はお願いをしておきます。
そこで時間はだんだんなくなりますし、また大臣も参りますので問題を移しますが、この法案審議にあたりましていろいろと資料を見て気がついたことば、この畜産振興事業団が買い入れを再開したという表現をいたしますことが適当であるのかどうか存じませんが、四十一年の三月からずっと買い込んでいるわけです。ほとんど毎月買い込んでおるわけです。そうしてそのピークは四十二年の四月、こう理解するわけです、これは買い込みですね。そうして四十二年の七月になりますと、これはぐっと激減をしておる。同じ七月に払い出しが始まった、こういう経過をたどっておるのです。そうするとずっと買いに回っておったものがこれは市場の状況にもよりましょう。先ほど、放出をして冷却をしたから三百五、六十円でおさまった、こういうような言い方をしております。しておりますが、このような状態というものがこれは適当な、やはり事業団そのものからすればやむを得ないのだ、こういうような言い方をあるいはするかもしれませんが、しかしながら、事業団を設置いたしましたそのもととなるこの安定法の見地に立って考えた場合に、このような状態というものが適当なのであろうかどうかという疑問を私は持ったわけです。
そこでまだ十分な資料を私は集めておりませんので、私がこれから申し上げることが間違っておればひとつ御訂正願えればけっこうでございますが豚肉が余った余ったと言って市場の価格が非常に低迷をしておる。したがって、買い入れをする、こういう状態の中でも消費者価格はどうかというと、これは市場価格のわりには低下をしておらないという資料が出ておるのです。その関係の資料がございましたら、後ほどいただきたいと思うのです。その資料をもとにいたしまして考えればなお適切な質問ができたかと思うのですが、そうしますと、豚肉の生産が高まって、そうして市場はだぶついた、市場価格は下落をしておる。消費者価格は、これは一向に下がらない、こういう状態が見れるわけです。
それと同時に、生産者の動向でありますが、飼養頭数は、市場価格が非常に弱含みだあるいは安値が続く、こういう状態であっても、いわゆる飼養頭数というのはずっと四十年、四十一年、四十二年の五月ごろがピークになっておりますね。飼養頭数がふえて、市場に出す、市場の価格が下がっても消費者価格は変わらない。この関係と、それから、事業団が放出に回った時期、今度は生産頭数というものは急激に減少しておるわけですね。去年の十二月までの数字でございますから、一月以降どうなっておるのかについては私は承知をいたしません。この関係をどう理解したらいいのかということなんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/91
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092・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 小売り価格の動きを見てまいりますと、四十一年の一月から七百六十円ぐらいでございましたが、それが月を追いますにつれてだんだん低落をいたしまして六百七十円前後というところまでずっと下がっておりまして、四十二年の三月までは下がっておるわけでございますが、四十二年の四月からやや強含みになってまいっておるわけでございますが、この動きは卸売り価格の動きと大体平行をして動いておるというふうに私たちは思っております。したがいまして、やはり卸売り価格が下がれば小売り価格が下がるということは当然考えられるわけでございますが、ただ、先生御承知のように、農産物、生鮮食料品等につきまして小売り価格の下方硬直性ということがしばしば言われるわけです。どうしても価格が卸売り価格の動きよりも若干おくれて動くというのが小売り価格の実態であろうと思います。そのかわりにまた卸売り価格が上昇いたしますときには小売り価格のほうはややおくれて上昇するというふうな傾向があるわけでございます。そういうふうな点はございますけれども、やはり、卸売り価格が下がれば小売り価格が下がるというふうな実態は間違いなくあるというふうに私たちは思っておるわけでございます。また、特に、四十一年から、昨年の価格が低迷をいたしました時期には、できるだけ消費を拡大をするようにということで豚肉価格の小売り価格につきましてはできるだけ安くするような指導等もいたしてまいったわけでございまして、それによりまして消費を拡大して卸売り価格の安定をはかるというふうなことに努力はいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/92
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093・村田秀三
○村田秀三君 いくら時間がきょうはあると言っても、制限時間もありますし、大臣の出席時間の関係もありますから、問題をはしょります。
それで、いまの市場価格、消費者価格の問題あるいは出荷量の問題、それらについては別途機会をみてまたいろいろとお聞きをしたいと思いますが、こうした関係の中で、私がちょっとふしぎに思いましたのは、ずっと事業団が買い入れをしてまいりました時期は、四十一年も四十二年も、それからまた四十三年のことしも大体この基準価格は同じ。こういうことなんですね。それで、いままでは無制限に買うという措置をとられておったわけです。ずっと市場の価格が低迷をして、そして生産費を償うことができないかはともかくとして、とにかく生産が伸びておったわけですね。その伸びておった時期は少なくとも決定された基準価格でも何とか曲りなりにもやっていけるという状態だったのではないかと、こう私は考えます。ところが昨年の八月以降はこれが急激に減っておるわけです。そうしますと、農家の方々はこれはとても安定価格ではやっていけないという考え方に立った結果、やはり飼養頭数の激減という形であらわれてきたのではないか、実はそう思うわけですが、どう理解しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/93
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094・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先生御承知のように、豚につきましてはピッグ・サイクルというのがあるわけでございます。大体かつては三年周期ということで価格変動があったわけでございますが、最近は四年周期になったのではないかというふうに考えておるわけでございます。このように豚につきましてピッグ・サイクルがある。と申しますのは、非常に豚というものは、動物学的な観点から見ましても、一回に多数の子豚を生むというふうな事態がございまして、価格が非常にいい場合には生産が増大する、それに伴いまして子豚の生産が非常にふえてくると、こういうふうなことで供給がふえます関係から、今度は価格が下がってくるというふうな事態、価格が下がってきますと生産をとめるというふうなことから、供給が不足して価格が上がってくるというふうな事態があるわけでございます。これは世界的にそういうふうな形があるわけであります。
そこで、こういうふうに価格が非常に騰貴をする、あるいは非常に低落をするということは、生産者にとりましても消費者にとりましても適当でないということで、できるだけ安定をさせる、一定の価格の幅の中に安定をさせるということが望ましいということで価格安定制度というものがとられておるわけでございます。そういう意味から申しまして、価格安定制度のもとにおいてなお供給過剰それから供給不足というふうな事態はございますけれども、そういうふうな過程を繰り返しながらも、日本の養豚業というものは非常に発展をしてまいって、経営規模も拡大をしてまいっておるわけでございます。四十一年で見ますと、大体四十一年の八月ごろまでは生産がふえておりますけれども、それを境にいたしまして漸次減少するというふうな形をとっておるわけでございますが、安定価格というものはもちろんこれは政策的な価格でございますけれども、この価格によりまして、やはり需給関係を安定させようということがねらいであるわけでございますから、したがいまして生産費等につきましてもやはりそれぞれの規模によりましてかなり生産費が違うわけでございます。そういうふうな点からこの安定基準価格というものがやはり一つの生産調節の作用をするというふうに私たちは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/94
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095・村田秀三
○村田秀三君 少し答弁が長過ぎて困るのですが、私が聞いているのは、聞き方も抽象的でありますが、市場の価格が低迷をしており、買入れを事業団がしておる。それがずっと長期間ですね、四十一年の初めからですからね。そうしますと、それでもなおかつ飼養頭数というものはふえているわけです。それが急激に昨年の八月以降飼養頭数というものは減っておるわけですから、そうすると農家の方々は、これは敏感に考えると思うんですが、いわゆる安定価格である三百二十円、これではもはややれないんだということを感じておるのではないかということなんですよ。それはどうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/95
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096・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、四十一年の八月ごろからだんだん減るというふうな傾向が出てまいっているわけでございます。そこで昨年の七月ごろから急速に出荷頭数は減ってまいっているわけでございますが、これはもちろん三百二十円というふうな価格は、一つは生産調節の作用をするというふうな価格でございます。採算がとれる経営もございましょうし、また採算のとれない経営もあるわけでございます。したがいまして採算のとれないところは生産を中止するというふうなことになるわけでございます。そこでまあ需給調節というふうなものがこの価格安定制度のもとにおいて行なわれるというふうなことが期待された制度であるというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/96
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097・村田秀三
○村田秀三君 時間がありませんから一方的に申し上げる結果になるかもしれませんが、どうもこの需給状態というのは生産状況も含めてやはりおかしい。畜産振興事業団もずっと一年数カ月も買い入れて、そしてまた四ヵ月ちょっとで放出をする。まあ九千トン余っておるということでありますが、大部分放出するという結果であります。放出する時期に豚の生産がずっと低下しておる、この関係ですね。そうするとこれはいわゆる需給を安定するという作用は果たしておらない。したがってこの安定法を創設した理由というのは、少なくともこのサイクル現象というものを解消する方向で作用させるということも含まっておるのではないかと思うんですが、にもかかわらず今日いまもってサイクル現象というのが起きているわけですから、これがなくならないとすれば、突き詰めて考えてみますと、もちろんこの生産者価格の再生産が維持できるような安定帯を求めるということは必要であるけれども、同時にまた需要と供給とのバランスをとるという観点に立って、いわゆる生産の面についてももっと積極的に畜産局は、農林省は手を出してもいいのではないか。いまはそれが野放しになっておる。これではやはり畜安法というものが創設をされたとしても完全に機能することはないのではないかという観点に立っていろいろ申し上げたかったわけでありますが、大臣すぐに行かなくてはならないようでありますが、いままで若干の時間をお聞きとりをいただいて事の内容が理解できたかどうかは存じませんが、少なくとも私は生産という面についてもつと計画性を持つ行政なりというものが必要だ、こう考えておりますので、その点についていかがお考えになりますか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/97
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098・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 御承知のように鶏でございますとか豚でございますとかいうものは非常にたくさん子供をつくる動物でございますので、したがいまして飼育農家の数も多いし、またできる子供も非常に多いというふうなことがございますので、なかなか需給をバランスさせるということはむずかしいわけでございます。まあ現在の価格安定制度が一つの需給のバランスをとる制度になっているわけでございますけれども、先生がおっしゃいますように、依然としてピッグ・サイクルというものは存在しておるわけでございます。そこで私どもといたしましてはできるだけ需要に合った供給が行なわれるということが望ましいわけでございますから、そのための指導をいたしておるわけでございます。現実には雌豚でございますとか子豚の生産でございますとか、あるいは出荷の頭数でございますとか、そういったものを早期に把握しましてこれを各県に流しまして、それの情勢を把握して生産を需要に応じまして行なうようにというふうなインフォーメーションを与えまして指導を行なって、できるだけ需要とバランスした供給が行なわれるような努力をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/98
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099・村田秀三
○村田秀三君 大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/99
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100・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 途中から参りまして御質問の趣旨が十分のみ込んでいないかもしれませんし、それから承りますれば黄変豚でありますか、そのお話も出たと思います。これらを合わせまして私の考えを申し述べさしていただきます。
農業生産、特に畜産につきましては相手が生きものでございます。それだけに私の考えというものは生産者、消費者両面を見合わせながら、その中で需給調整をやり、しかも生産者の再生産を確保して、食需要の変化にも合わしてこれを指導していく。なかなかむずかしいことではございます。各国でもこういった事柄につきましては相当な困難は感じながら、しかし困難であるからといってこれをなまけたり、あるいは十分な見識もなしに指導していったらたいへんなことになるのでございます。そこで私としては、せっかくできております畜産振興の事業団の操作自体も、これ生きものあるいはなまもの、なま肉を相当扱って冷凍庫へ入れて全国に配置して需給操作をやる。先般、黄変豚と申しますか、品質の変化したものが発生して一つの社会的な批判を受けたわけでございます。これに対しては、十分私どもは反省していかなければならぬし、それからこういう事業団のようなものになりますと、一つの公益性というものが保たれる一面におきまして、いわゆる関係者がかりに間違って親方日の丸的な気持でやりますと、そこに別の面のまた弊害が出てくる。営利だけでありますと別の面の弊害があるが、同時にまたそういう公益性の面に欠けた弊害も出やすい。そこで絶えずわれわれ監督し指導をする者が気をつけて、そういうものが生じないような努力をしてまいります。
制度そのものがそれに合っておるかどうかというような事柄につきましても、私ども承れば、やはりかつてカナダにもいろいろな事例が発生しておったというむずかしいことでありますけれども、制度がせっかくあるなら、それが妙味を発揮するように絶えず反省し、また不断の検討を加えていくという姿勢を持ってまいりたいと思います。
それから、かたわら今度は畜産全体につきましては、何と申しましても、われわれとしては需給の安定という中ではありますけれども、やはり生産増強というものを絶えず考えていく。その裏にはやはり飼料政策というもの、草地造成を含めまして非常に私どもは努力してまいらなければならぬ。こういう中でひとつ考えてまいりたいということを、お答えになるかならぬかわかりませんがお答え申しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/100
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101・村田秀三
○村田秀三君 大臣、けっこうでございます。
畜産局は努力しているということでありますから、努力の実情というものを、後日でけっこうでございますからお聞きしたいと思いますが、それがあるならば、私はこのような三年周期が四年周期になった程度のことでは満足するわけにいかないのじゃないかと、こう思います。
それからもう一つ、一年数カ月ずっと買い入れてきて、そうして四カ月か五カ月で買い入れたものを放出しなければならないという需給状態というものが、私は不安でならないわけですね。だから、もしも理想的な買い入れ、放出の実情というものを想定するならば、これはもう少なくとも豚は六カ月で生産されるということであれば、六カ月、十カ月の周期ということにならなければならないような気がするわけです。買い入れた、少し多過ぎたな、ではこの辺でひとつ調整しようじゃないか、生産をですね。そうして、ずっと供給が後退をしたときには小出した放出をしていく、それがもう一年に数回となく作用するのが私は振興事業団の理想的な運営であり、価格というものが維持される要因ではなかろうかと、こう思うわけですよ。
そこで、もう一点お伺いしたいわけですが、この安定帯三百二十円と三百九十円ということですが、その間で買い入れ価格をきめるということはそのときの実情によってなされることは私はわかります。それから、放出は大体三百九十円以上になった場合にやるということですね。そうすると、七十円の差があるわけです。一キロ七十円ということは、百グラム七円ということですね。そうすると、七円の上下ということであれば、小売業者は心理的にも百グラム十円くらい上げるかもしれません。そうすると、買うほうでは百グラム五十円のものが十円上がったということであれば、非常に高いと感ずるに違いない。そうすると、私が先ほど申し上げました理想的な出し入れということを前提として考えるならば、もう少しこの安定帯というものを圧縮して、生産者ももう少し生産費が償えるような、買い入れされても生産をしていくのに足るような状態というものをこの振興事業団の需給操作の中で実現をしていくということが必要だと思います。そうしますと、もっと圧縮する必要があるのじゃないかとこう考えるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/101
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102・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) ただいまのお話の点で、前段の問題でございますけれども、まあ豚は御承知のように種つけしましてできるまでに四カ月、できましてから六カ月ないし七カ月大きくしまして市場に出荷するということになるわけでございます。したがいまして、大体まあ十カ月ないし十一カ月ということになるわけでございますけれども、ふやしたりする場合には、供給が足りない場合にはまず繁殖元豚からふやしていくということになります。したがって、元豚をふやしまして、それからまたその子豚をふやしていくということになりますので、相当の期間がかかるわけでございます。そういうふうな期間がやはり一つはピッグ・サイクルの期間を規定しておるというふうにも考えられるわけでございます。したがいまして、一カ月や二カ月ですぐに現実に適用するということはなかなかむずかしい。やはり相当の期間かかるというふうに考えられるわけでございます。
それから安定基準価格と上位価格との関係でございますけれども、これはもっと広げるべきであるという議論もありますし、また、狭めるべきであるという議論も一いろいろあるわけでございます。豚の価格変動というのは御承知のように、毎日によりましてもかなり大きな変動があるわけでございます。そういうふうな豚の価格の実態からいたしますと、これを非常に狭めるということは、現実の取引上非常にむずかしい問題が私は出てくるのじゃないかというふうに考えております。また価格を不自然に高くいたしますということになりますと、供給過剰がたえず続いて、なかなか需給の調整がうまくいかないというので問題があるわけでございます。したがいまして現実には市場の実態から、中心価格から上下に一割というふうな開きをいたしておるわけでございます。市場の実態からすればこの程度がいいんではないかというふうに私たちは判断をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/102
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103・村田秀三
○村田秀三君 まあ御答弁ではありますが、抽象的な論議を進めてきたわけですが、私考えてみて、どうしてもこの辺のところの問題を解消しない限りは、これは今後もサイクル現象が継続されるし、そしていわゆる市場価格も消費者価格のほうも、これは別途問題がありますけれども、私はこの事業団の操作の中でも相当部分原因があるような気がするわけです。どうしても理解できないということだけ私は申し上げて終わりますが、いずれにいたしましても、この法案に立ち返るわけでありますが、この改定部分、その効果、これに対するところの考え方というものは、どうも法改正の趣旨と、やはり事務当局であるところのあなた方の考えというものは相当な隔たりがあるような気がしてなりません。したがいまして、まあ要望して終わるわけでありますが、少なくとも改定部分のその趣旨というものは、やはり生産者、そしてまた生産費を補償するとまではこれは言っておりませんが、再生産を確保ができる限度だけ補償すると、少なくとも一年数カ月続けてきました事業団の買い入れが昨年の七月でストップをして、そして飼養頭数が急激に減少しておるというこの関係を考えてみれば、どうしてもやはりこの提案の趣旨というものを先ほど提案者が説明をしておりますごとく理解をして手だてをすることが必要ではないか、こう思います。政令その他を決定いたしましたならば、あらためて機会を見てまたこの問題を取り上げてやりたいと思いますが、本日はこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/103
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104・中村波男
○中村波男君 私からも、村田委員の質問に関連をして、少し質問をしてみたいと思うんですが、最近の豚肉の価格が全国的に高水準を保っておりますけれども、特に関東の三大中央卸売市場では上物の加重平均で安定上位価格を大きく上回って、大宮などでは高値が四百三十七円、昨年の夏以来の高値を続けておるということが新聞に報じられておるわけでありますが、したがって食肉市場側では昨年は四百円台が九十五日に対しましてことしはおそらく百八十日くらい、約二倍の期間続くであろうというふうな強気な観測をしておるようであります。
そこで、最前からいろいろ畜産局長の説明を聞いておりますと、畜産事業団の手持ち豚肉というのは一般小売市場には適当ではない、この調子で豚肉が騰勢を続けるということになりますれば、事業団の放出によって目をさますということは困難ではないかと思う。したがって今後の豚肉の騰勢がどのように動くかというのを農林省としてはどう見ておられるのかということが質問の第一点であります。
それからこのような豚価の騰勢は生産者農民にとりましても、手放しに喜ぶことのできないものであるというふうに思うわけでございます。最前から村田委員からも三百二十円の買い入れ基準価格というものは豚肉の価格安定にあまり役立っておらぬのではないかという指摘がありましたが、私は生産者、消費者の立場に立ちまして価格を考えてみます場合に、三百五、六十円で、できるだけピッグ・サイクルを避けて長期安定させるというのが価格面から見ても生産対策から申しましても妥当な価格ではないかというふうに考えているわけでありますが、これまた農林省として安定的な価格というのはどの辺に置いておられるのか、また三百五、六十円に置くとするならば、どのような今後対策を進めてピッグ・サイクルを避けて長期安定価格帯というのをつくろうとしておられるのか、これらの点について御説明をいただいて質問を終わりたいと思うわけでございますが、ついででありますから、事業団の保管豚肉は今日その在庫はどれほどになっているかということを御説明いただければ幸いだと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/104
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105・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 在庫の点でございますが、四十二年度末におきまして大体九千トンでございます。現在売却を続けておりますので、正確な調査を申し上げるわけにまいりませんが、おおむね八千トン程度であるというふうに推定いたしております。
それから豚肉価格の四十三年度の見通しでございますが、農林省の統計調査部の豚需要の動向でございますとか、畜産局で調べている生産出荷の動向から見まして、四十三年度の上期の屠殺頭数は、前年同期をかなり下回るものというふうに見ております。四十二年度の下期におきます屠殺頭数につきましては、子取り用の雌豚頭数が次第に回復いたしまして、子豚の生産頭数が徐々に増加していると見込まれることから、前年度下期をやや上回るものであるというふうに見ておりまして、したがいまして年度を通算しますと、前年度一千十三万頭でございましたけれども、これをわずかに下回るのではないかというふうに見ております。需要のほうはどうかと申しますと、四十三年度の豚肉需要は前年度程度の伸びを示すのではないかというふうに考えております。そういうふうな観点から四十三年度の豚肉卸売価格について申し上げますと、上期については、肉豚の屠殺頭数の減少が見込まれておりますから、かなり高水準で推移するのではないかというふうに見込まれるわけでございます。畜産振興事業団の保管肉の売り渡しが適宜行なわれまして、前年の四ないし六月の安定基準価格の水準で推移しまして後、高騰する四十二年九月には四百三十一円を記録しました前年同期に比べれば、極端な変動はなく、水準としては前年同期の平均三百六十七円をかなり上回るものだというふうに見ております。で、下期の卸売り価格は、肉豚の屠殺頭数が回復傾向をたどるといたしましても、前年同期をやや上回るものというふうに見込まれております。したがいまして年度平均としましては、前年度平均価格の三百七十円をやや上回るということになるであろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/105
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106・中村波男
○中村波男君 ただいま私が指摘したように、すでに四百円を上回っておるということになりますと、いわゆる買い入れの発動を、長期にこれが続けば行なわなければならぬという価格であるというふうに思うわけです。したがって、これは逆な例になるかもしれませんけれども、昨年高騰したときに買い入れ豚をたくさん持ちながら、放出に慎重過ぎたという批判を申し上げたことがあるわけでありますが、今日では在庫がいわゆる小売り市場に出すのに適当なものがないということになりますと、そこにむずかしさがあろうかと考えて御質問を申し上げたわけでありますし、それからもう一つ、私の質問に答えていただかなかったのは、長期安定価格という立場で考えます場合に、現在の生産費、現在の物価等から見て三百五、六十円が私は適当ではないかというふうに見ておるわけですが、そういうものを持たなければ、どこに基準を置いて操作をし、また、そのために生産団地というようなものを一方では強力に推進をして、ピッグ・サイクルをつとめて避ける、やむを得ぬとしても短い期間、長い間に来るようにする、こういうことが当面の目標ではないかと思うわけでありますので、重ねて質問を申し上げたわけでありますが、その点について御答弁をいただいて、本日は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/106
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107・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 豚の安定基準価格につきましては、御承知のように四十一年が三百二十円でございまして、四十二年が三百二十円、四十三年が三百二十円ということで、三年間変化していないわけでございます。四十一年におきましては、三百二十円の価格水準のもとにおきましてまあ生産が増大しておった。ところが四十一年度の途中から生産が減退に転じた、やや減じてきたというふうな状態にあるわけでございます。ところが四十二年度におきましても、同じような価格のもとにおきまして、やや生産がふえつつあるというふうな状態にあるわけでございます。そこで、まあこれは安定基準価格というのは要するに下ざさえの価格でございますから、現実の市場価格の動きというものと全く同一であるというわけではございません。そういうふうな事情もございまして、一方において生産が縮小しながら一方においては同じ価格で生産がふえるという事態がある。で、三百二十円を四十三年におきましても据え置きということにつきまして審議会の御審議をいただいたわけでございますが、そのときのデータ等を見ましても、かなり大規模経営化が進行いたしまして、生産費が下がっておるというふうな実態がございます。それが全部ではございませんけれども、そういうふうな事態も反映いたしまして、三百二十円の価格ということに据え置いたわけでございますが、それでも現在は生産がふえつつあるというふうな状態でございますから、必ずしもこれを三百五十円、六十円にしなければならないということではないのではないかというふうに実は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/107
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108・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したも一のと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/108
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109・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01519680516/109
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