1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十九日(金曜日)
午後一時三十一分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 大森 久司君
理 事
岡本 悟君
櫻井 志郎君
田代富士男君
委 員
木村 睦男君
高橋 衛君
任田 新治君
山本 杉君
木村美智男君
田中寿美子君
政府委員
大蔵政務次官 二木 謙吾君
農林省畜産局長 岡田 覚夫君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
説明員
国税庁間税部長 佐藤 健司君
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本日の会議に付した案件
○当面の物価等対策樹立に関する調査
(物価問題に関する件)
(農林水産物の価格等に関する件)
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001・大森久司
○委員長(大森久司君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
これより、当面の物価等対策樹立に関する調査中、物価問題に関する件を議題といたします。
本件に関し、質疑のある方は順次御発言を願います。木村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/1
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002・木村美智男
○木村美智男君 時間が短くなりましたから、少しはしょって、きょうは、大蔵省に酒の値上げの問題について伺いたいと思うのですが、まず第一番に、今回の酒の値上げというのは、いわば、普通一般の物価値上げというようなものと少しく違いまして、間接税の引き上げという形をとっている。で、言ってみれば、まあ、税率の変更というか、とにかくそういう税金の問題として扱われているということが特徴的なんです。しかし、一般の消費者大衆というか、国民にとっては、これはやっぱり税金という映り方をしない。やはり、酒というものの物価が値上がりをした、こういうところに一つ問題があるだろうと思う。それで、特にこの物価の値上がりが所得の低い者ほど打撃が大きい。かりに三万円の賃金であろうが十万円の賃金であろうが、二級酒の五百五十円は、これはやはり同じ値段だという関係からいうと、物価というのはそういうふうに低所得層に特に痛く響く問題であるわけですから、そういう意味では、私は、大蔵省としても、間接税という、あるいは税金をいじるという立場だけでこういう問題を扱うということは、やっぱり今日の時点では問題だ、もう少し物価という観点というものを重要視してこの扱いというものをきめる配慮というものがなければいかぬのだ、こういうふうに思うのですが、この点は、大臣おられないので、次官から、基本的にどういうふうにお考えですか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/2
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003・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) いまお話がございましたとおりに、酒たばこの値上げの問題でございます。特に酒の問題でございましたが、私どもも、酒の値を上げるということは、そう賛成をするものではございませんが、御承知のとおりに、いままで毎年度減税を行なってきたのでございまして、所得減税、すなわち中小所得者の減税をやるということは、これは政府の従来からの方針でございまして、昭和四十五年度には百万円までの所得に対しては税金をかけない、まあこういう方針を持っておるわけでございます。それで、今回、四十三年度の所得減税につきまして、いろいろ財源というものを考えてみたのでございますが、公債を増発すればインフレになって、また財政の健全化をそこなうということになるのでございまして、昨年、四十二年度は七十三万円まででございました、それを八十三万円までに引き上げますというと、約一千五十億円の財源が必要でございます。その財源を、さきにも申し上げましたように、公債に求めれば一番やりやすいのでございますが、そういうわけにまいりません。公債は、財政緊縮化のおりから、できるだけ圧縮する、こういうことで、六千四百億円に圧縮をした次第であります。しからば、所得減税に見合う財源をどうするかということについて、いろいろわれわれ省議でも研究をいたしました。省議の際におきましても、所得減税も行なわぬ、それから酒たばこの値上げも行なわぬ、そのほうが国民はかえって喜ぶのじゃないかというようなことも考えたのでありますが、いろいろ世論に聞いてみますると、やはり所得減税はやるべきである、ことに、酒たばこの間接税の増徴ということにつきましては、税制調査会からも、ひとつ諸物価が上がっておるし、また生活水準も向上しておるのであるから、この際酒たばこの値上げをしてはどうかという答申がございましたので、その答申に基づいて値上げを行なった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/3
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004・木村美智男
○木村美智男君 大体次官の答えられていることは話の中身はわかるわけですが、しかし、聞きようによっては、酒たばこを上げても実際問題として所得減税という形で見返りをやってあるじゃないかというふうにも聞こえるわけです。ところが、酒たばこだけで、あとは一切値上がりなしというなら、その理屈で十分いいと思う。もう四月一日から国鉄が上がったり、これからも、タクシー料金だ、通運料金だ、そのうち消費者米価も何とかせなければならぬという話も出てくるでしょう。それから電話の基本料金は自動的にこれは上がってくるとかいうようなことで、さらにこの酒たばこに便乗して、指定以外のものもつり上げようということになる。こういうことから考えてみると、特にいま政府がある程度予算やなにかによって、やる気になれば、あるいは押えることもできる。値上げについてはよほど根性を入れて押えていかないと、それはやはり一つの物価値上げというムード、と言っては何ですが、そういう雰囲気が何となくそこにかもし出されて、そうして物価が上がっていくことに拍車をかけるという結果になってくる。だから、今回の場合なんかも特に間接税という税金の問題としてながめるのでなしに、やはり物価の問題としてこういうものはながめて、阻止する考慮というものをしっかりと主管である大蔵省としては考えておくべきではないのかということを言いたかったわけです。その点はあまり論争しようと思っておりません。予算の全体の話になって、公債の話もありましたけれども、そういう話を聞かされれば、それなら何で、ほかのはだいぶ渋ったけれども、防衛費だとか警察関係だけは大体満ぱい認めているんだという理屈だって成り立つわけなんです。だから、そういうようにふろしきを広げては話が大きくなるから、もっと物価という観点を重要視して、とにかく、単にこれは税金の措置の問題だというふうにながめるのでは今日の経済情勢の中ではうまくないですよということを特に申し上げているわけです。特にこいつは御答弁いただかぬでもいいですよ。次官が、いや、それならやめますとお答えできるなら答弁もらいますけれども、そうも言えそうもないですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/4
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005・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) お説ごもっともでございまして、やはり今回の酒たばこの増税ということが物価にできるだけ響かぬようにしなければならない。こういうことでいろいろまた関連して物価が上がるということでは相ならぬ。全くあなたのお考えと同様でございます。で、まあ政府といたしましては、本年度の物価上昇を四・八%、できるだけそれに押えていくという考えをもってやっていく考えであるということを御了承お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/5
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006・木村美智男
○木村美智男君 次官、やはり答弁をいただかぬほうが、いまの問題はよかったようですよ。四・八%でほんとうにおさまるかどうかも問題だし、了承してくれといっても、これは了承はできぬので、だからまあけっこうです。
それで、ちょっと酒の値上げの機会ですから、少し、酒に関係をしている酒税法の関係でお伺いしておきたいのですが、次官直接でなくともけっこうですけれども、よく聞いていただきたいと思います。
実は、酒税法の第九条で、酒類の販売業免許ということで、酒類の販売というやつはいま免許制になっているわけですね。御承知のように、その理由は何かというと、酒の税金を保全するためだと、酒税の保全上ということでなっているわけですが、そういうことだけで業者制限をするというのは、私はこれは行き過ぎではないのかというふうに実は考える。というのは、何かというと、酒の税金というやつは製造をするメーカーのほうから取っているわけですね。決して販売業者から酒税を取り上げているわけではない。そうすると、私のようなしろうと考えでこのことを考えてみると、何も販売業者を免許制にする必要はないのじゃないか、逆に、販売業者を免許制にすることによって、いろいろと業者間でよからぬ相談をしたり、あるいは免許を受けるために、言ってみれば、何というか、いまわしいうわさも出てきたり、いろいろのことがあるので、ほんとうに免許にしておかなければならぬという理屈があるならそれはいいけれども、そうでないとするなら、やはりこれは考えてみなければならぬじゃないかということを、私は、酒が値上げになるというものだから、ちょっと酒税法を読んで、やはりそういうことを強く感じておるものですから、ここは一体どういうことなんですか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/6
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007・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) 酒税法の第九条、第十条に、それぞれ、酒類の販売業免許あるいは免許の要件ということで規定がございまして、免許制度を卸、小売りにつきましてとっておることになっておるわけでありますが、御承知のように、酒税と申しますと、国税の収入の中で、最近は多少減ってはおるのでしょうけれども、まだ二%という非常に高いウエートを持っておる税金でございます。そういうことがありますために、酒税法上そういう販売業免許の規定を置きますと同時に、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」というものを別に定めておりまして、それによって、酒税保全ということにつきましては非常に大きく力を入れてきておるわけであります。かつては相当大きな密造というものもございました。酒と申しますのは、わりあいに簡単にできる面もないわけではないわけであります。そういうところがら、一時は相当大きな密造があった。最近におきましても約六十万石程度の密造があるように推定をされておりますが、そういう関係の酒がいろいろなところで売られるということになりますと、酒税の保全上、製造しておる免許業者の酒税保全につきましても影響が起こってくるわけでございます。消費税というのは消費者の手元までまいりましてそこで負担されて転嫁されてまいるわけでございますので、その点、販売業関係につきましても特別な免許制度をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/7
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008・木村美智男
○木村美智男君 どうも、いまのお答えだと、免許制をとっておるということの根拠が、私、やはり希薄だと思うのですよ。密造のあったのはかってあったし、最近もあるようだということですが、それはそれとして取り締まりその他をやるべき問題であって、そのことによって、こういうことを免許制にしているのだという理屈にはならない。販売業者の免許制という問題ですよ。だから、もし、こういうことの免許を与えるのが、何というか、いま免許を販売業者に与えていることが、たとえば需給のバランスの上で重大な影響を及ぼすというようなことでもあるのか、あるいは販売業者の数をふやすと、たとえば過当競争になるから、したがって、ある程度これは免許によって数を規制するのだということなら、たとえばタクシーの免許だとか、こういったようなことから類推をしていくと、それなりの理由があるならこれはわかる。ところが、酒の場合は、酒税の保全上という——税金を取るのは確かに消費者まで渡ってそれがはね返ってきたことによって取っていくのだけれども、それは製造業者から取るのだということになっておるのだから。販売業者から直接税金を取るなら、それはあなたのおっしゃるようなこともわからぬわけじゃないけれどもね。したがって、私は、これはとにかく、できたのは二十八年ころのことなんでしょうから、そのときはそのときのようなことで——いや、酒税法そのものでなくて、あなたの例に引かれた酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律、これは二十八年にできたので、そういうようなことからいって、もうすでに現在の時代に即応していないのじゃないかと思う。だから、私はいま言った事実だけではちょっと納得できない。需給の均衡にもし重大な影響があるというならば、そういう例がどこかにあったのか。それから過当競争になるというなら、過小ぎみにやっておけという、あるいはそういう発想でこの法律というものはでき上がっておるのか。いずれにしても、ぼくなりにやはり考えてみたけれども、どうも酒税の保全上販売業者を免許制にするという根拠はきわめて薄いし、理屈がわからない。こういうことなんで、これは私は、あまり、まあ時間の関係で、やりとりしようとは思いませんけれども、少し検討してみる必要があるのじゃないかと思う。製造業者はちゃんときまっておって、製造段階で相当やかましい規則ができておって、そしてそれをかってにやれないようになっているのだし、どぶろくとかなんとかいうような密造の問題があるとすれば、それはそれなりに別途取り締まるべき性質のものなんであって、そういうことがあるから販売業者を免許制にしているという理屈にはならない、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/8
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009・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) お説のように、免許の関係というのは、やはり酒税が非常に国税の中に占めるウエートが高いというところが主たるあれでございまして、密造云々ということは、またその当時の歴史的ないろいろな沿革もあろうかと思いますけれども、主たる理由としては、やはり酒税が財政物資、昔から言われておりますように相当重い税であるという点から、それを円滑に、また適確にこれを収入する必要があるというところから定められておるものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/9
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010・木村美智男
○木村美智男君 どうもわからぬですな。私は逆に、酒税が国税の中でウエートが高いというのならば、なおのこと販売業者をできるだけふやして、過当競争でつぶれない範囲にふやして、相当消費者の便利なようなところへどんどんつくっておいて、酒を売れるようにしたほうが酒税の保全になるんであって、あなたの言う理屈とぼくは逆だと思う、これは。だから、議論をするならばぼくもするけれども、これは大体もう一回、何と言うか、検討をしてみなければならぬ条文じゃないのかと、こう言っているのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/10
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011・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) 現在、酒の数量というのは相当毎年伸び率が高い形で伸びております。いろいろな競争というものが激しく行なわれておる状態であります。それらの点等から考えてみますと、やはり酒類の価格というのがある程度以上に下がってまいるというようなことになりますと、酒税保全上影響が大きいわけでありますので、それらの点等から考えてみますと、なおこの免許制度というものは現在の状態では必要なものではないか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/11
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012・木村美智男
○木村美智男君 酒の税金ばかり特に特別なものだという理屈で言われているのかどうか。もしそうでないとするならば、たとえば砂糖には砂糖消費税がある。それなら、あれだって砂糖消費税が国税の一部をなすことは間違いない。したがって、砂糖消費税を確保するために砂糖の販売店というものを免許制にする、と、こういう議論が一体成り立つのかどうか。私はこれは同じことだと思う。砂糖だって、よけいやれば、これは過当競争になって、砂糖の値段が下がって、それこそ結果としてはやはり問題となるから、同じような問題が起こってくると思う。したがって、それはあなたのおっしゃるようなことだけでは、逆に、むしろ私は、そういう販売業者に対する免許制というような形で制限をしていくこと自体は、基本的に言えば、これは憲法にいう職業の自由というか、こういったようなものに対して問題があるのじゃないかと、そう言いたくなりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/12
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013・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) 酒類の販売業免許というものの歴史的な沿革をたどってみますと、これは昭和十三年ごろに免許制度になっているわけでありますが、その後のいろいろな状況等を見まして、その後、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律というようなものができて、さらに酒税の保全については非常に強い姿勢をとってまいっておる状態でございまして、それらの点から考えましても、現在の状況等を見ますと、やはりこの免許制度というものは、現在のこの競争が非常に激しいときに、非常に大きな酒税というものを円滑に、また適確に確保していくというためにはどうしても必要なものではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/13
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014・木村美智男
○木村美智男君 どうも、何ぼ議論しても、固執をするだけだね、大蔵省は。言っていることや理屈は、なってないね。これは、客観的に国民の前で、あなたの言っていることとぼくの言っていることとどっちかという話になってごらんなさい。あなたはやはりこの問題についてはそういう自説を固執したり、大蔵省の旧来の方針を絶対正しいと一あるいは答弁されるあなたが、きょうはちょっと、そういうことは権限外で言えないのだということなら、それはそれでいいが、しかし、ほんとうにそう信じているとするならば、それはちょっと、世の中の進展にうしろを向いてものを言っているみたいなものだから、これはやはりもう一回、大臣でも出てこられたときに、あるいは主税局長でも出てこられたときに伺うことにして、これ以上突っ込んでやることはやめましょう。
そこで、あなたの言われたように、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律というのがあって、その四十二条の第五号にはこういうことが書いてある。「組合員の製造、移出又は販売する酒類の販売の競争が正常の程度をこえて行なわれていることにより、酒類の取引の円滑な運行が阻害され、組合員の酒類製造業又は酒類販売業の経営が不健全となっており、又はなるおそれがあるため、酒税の納付が困難となり、又はなるおそれがあると認められる場合において、」かくかくの規制を行なうと、こうある。ところが、その場合に、「組合員が販売する酒類の販売数量、販売価格又は販売方法に関する規制」というのがこの「ニ」にあるわけです。さっきも言いましたが、製造段階でなら、いま言ったようなことは起こるけれども——起こる可能性はあるし、起こり得ると私も思いますけれども、販売段階でこういうことが起きるのかどうか。これはやはり疑問に思うので、過去にそういう事実でもあって、したがって酒税の取り立てに重大な影響でもあったのかどうか。これをひとつ聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/14
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015・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) 四十二条にありますところの販売酒類の販売数量というものの規制につきましては、過去におきまして、合成清酒あるいはしょうちゅう等につきまして、非常に業界の販売関係が不振になりまして、価格が極端にくずれるという事態が起こりましたために、昭和二十八年からでございますが、販売規制というものをやっておりますし、また、取引条件規制というような関係で、しょうちゅう、合成酒につきましては、三十一年から取引条件についても一応の規制を毎年更新をしながらやっておるという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/15
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016・木村美智男
○木村美智男君 たいへん価格が極端に落ちたようなことがあったので、二十八年から、その合成酒、それからしょうちゅうについてやったと、こういうお話ですが、あなたのほうはですよ、この点がはたしてそうであるかどうかということについては、四十年の六月の一日に、大蔵省告示百七十七号というのを出しておるでしょう。この百七十七号の告示では、どういうことかというと、法律の、いま言った四十二条の五号に規定をするような事態が生じているかどうかについての判断の基準というものが列挙されている、この通達には。一つは、どういうことかというと、健全な経営を困難にする程度に低い価格で取引をされている、健全な経営を困難にするような低い価格で取引をされているということが一つ。もう一つは、販売代金の回収が一般的に円滑でなくなる、一軒や二軒の店じゃなくて、全体的に販売代金の回収が円滑に行なわれなくなる、こういう事態が起こったときが法第四十二条五号に規定する事態だということ。あなた方は告示でちゃんと言っている。そういう事態が起こっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/16
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017・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) これは、しょうちゅう、合成酒にいま限定して申し上げますと、昭和二十八年当時は小売り価格が異常に低額になりました。そのために、酒税保全上非常に納付が困難になるのではないかと思われる事態が起こったわけであります。このときに、組合からの申請によりまして数量規制を行ない、その後また、取引条件についてきわめて酒税保全上おそれのある事態が起こりました。それから取引条件の規制というものを、こちらのほうで四十二条に基づきましてやっておるというような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/17
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018・木村美智男
○木村美智男君 時間がないから簡単にはしょりますが、いまの、そのしょうちゅう、合成酒ががた落ちになって、酒税の保全が危ぶまれてきたとあなたが答えているやつを資料として出してください。私はそういう事実はなかったと思います。むしろ、あなたがいみじくも言ったように、組合からの申請があってやった。そこのところがむしろ問題なのです。そういうことでやったのがほんとうであって、私が言ったような、あるいは大蔵省の告示が示しているような基準が具体的にあらわれたからやったのであるかどうかという、そこが問題なんですよ。だから、私がいま言ったようなことで資料を出してください。
それで、もう一つ、大蔵省として、酒類販売業の免許にあたって、近辺の同業者の承諾を得ることを要件としているようであるけれども、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/18
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019・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) 近辺の同業者の承諾ということはございませんが、ただ、組合に意見を聞くということはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/19
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020・木村美智男
○木村美智男君 その組合の意見を聞いて、それはうまくないと言ったら、やはり免許しないのだ、そうでしょう、よろしいと言ったら免許するということは、それは承諾を要件としているということと何ら変わりないじゃないですか。私は、これはれつきとした拘束条件つき申請だと、こう判断します。それは、答え方は、なるほどやわらかい答え方だからそうだけれども、中身は同じことですね。私は、ここら辺に実は問題が起こってきているから、冒頭にも言ったように、このいまの四十二条の五号というやつね、この点は、さっきの酒税法の九条、十条とあわして再検討すべき問題じゃないか。これはあなたに言っても無理だと思うから……。これはどういう意味で言うかというと、むしろ競争制限的な、これはカルテル法だ。だから私は、こういう法の存在について、もう時代おくれなんだから、大蔵省としては、廃止するかどうかは別として、検討すべき段階にきておるんじゃないかということについて、もうどっちに結果はなるにしても、こういう価格の下ささえ的な性格が今日の時点では特に強くなってきておるから、まあ、検討してみたいくらいのことをあなたがおっしゃってくれれば、大臣や局長がおられなくても、りっぱな答弁としたいと思ったんですけれども、あなたは落第です。またあらためて大臣に来てもらって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/20
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021・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) それは、いまあなたのおっしゃられることも私は一理あると思う。それから大蔵省が考えておる酒税の保全についても、これは一理ある。これをいますぐさま、だれにもかれにも酒を売らせるということになっては、これは税の徴収についても非常な混乱が起こるのではないかと、かように考えておりますから、あなたのおっしゃるのも一理ありますから、ひとつこれは検討をしてみたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/21
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022・木村美智男
○木村美智男君 次官のお答えで、きょうは了承をいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/22
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023・大森久司
○委員長(大森久司君) 大蔵省関係いいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/23
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024・木村美智男
○木村美智男君 はい。時間になりましたので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/24
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025・大森久司
○委員長(大森久司君) 他に御発言がなければ、本件に関する質疑はこの程度にとどめたいと存じます。 —————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/25
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026・大森久司
○委員長(大森久司君) これより、当面の物価等対策樹立に関する調査中、農林水産物の価格等に関する件を議題といたします。
本件に関し質疑のある方は順次御発言を願います。木村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/26
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027・木村美智男
○木村美智男君 あとで大臣がここに見えられるようですから、一応畜産局長に、この前の続きの問題ですが、お伺いしたいと思うのです。
その前に、四月七日の「朝日ジャーナル」に、畜産局長が、何ですか、インタビューで述べられておる。この点で少しお伺いしたいと思いますが、この中で——これは質問なんです。「このあいだの日中貿易交渉では、日本が肥料を出す見返りに中国は牛肉を輸出したいといったのですが、日本側はぜんぜん黙殺でしたね。」という質問に対して、畜産局長は、「口蹄疫という牛、豚、めん羊など偶蹄類のあいだだけに流行する恐るべき疫病があるのですが、中国大陸にはそれが全然ないのだという保証がえられなかったからです。」と、こう言っておられるた。全然それがないという保証が得られなかったと言っておるんですけれども、中共政府は、その関係の国に対して絶えず継続的に、しかも定期的にこの獣疫の発生状況というものを月報で通報をしておる。しかも、何なら具体的にあげてもいいのですが、パリの国際獣医事務局にも、これのコピーが保管されておる。もちろん、そういう状態ですから、日本にも送られてきておる。持っていないのは農林省の畜産局だけじゃないかとぼくは思うんですよ、そういう意味では。これは、実際に自分たちがどういう形で資料をとっているかわかりませんけれども、口蹄疫の話、この間えらい詳しく聞きましたけれども、案外、こういうことが全然保証がないんだと、得られなかったんだというようなことを言っているが、そうすると、あなたは、そういう月報が出ていることも、獣医事務局に報告されていることも、日本に通報のあることも、全然あなたは御存じないということになる。そうすれば、農林省が、農林省だけそういう資料を持ってないんだということをみずから語っているように考れられるんだが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/27
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028・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 中共から、中共の家畜衛生状態についてのレポートは私のほうでいただいております。しかし、中共は、パリに本部がございます国際獣医事務局という組織には加入をいたしておりません。したがいまして、国際的には、パリの国際獣医事務局の本部から各国の衛生状態についての通報があるわけでございますけれども、中共はそれに加入をいたしておりませんので、正式なレポートでお伺いするというわけにはまいらぬわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/28
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029・木村美智男
○木村美智男君 何かどうも、この間から畜産局長の答えを聞いていると、とにかく、自分はすわっていて、相手から、あれがない、これがない、全く横着な話だかりしているんだよな。ぼくは、これだけの問題で国会でも議論をされておれば、そういう態度はよろしくないと思うんだよ。何のためにわれわれは外交活動をほかの国とやっているのか。外交ルートを通じたって、調べようという気さえあれば、それは加盟をしていなくたって、関係国を通じてレポートが回ってくるんだから、したがって、それを見るぐらいのことはできますよ。だから、根本の態度において問題がある。早い話が、きょうも、何を聞くというから、それは口蹄疫の問題について、この間から言われて自信を持っているんだから、一々こまかいことをおれは言わぬということで言ったんだけれども、むしろ、あなたのそういう態度に、今日の中国食肉輸入問題の問題点があるんじゃないかと、ぼくは指摘したい。まだほかにもありますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/29
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030・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先般も御答弁申し上げましたように、私のほうといたしましては、現在の牛肉の価格等から考えまして、牛肉はここ当分輸入せざるを得ないというふうに思っているわけでございますが、その際、できるだけ広い範囲から輸入をすべきであるというふうな考え方は、もうすでに数年前からそういうふうな基本方針を立てておりまして、したがいまして、現在輸入禁止地域となっております地域からも口蹄疫等の悪質の病気がないということで輸入の禁止を解除してもらいたいというふうな要請があります場合には、その要請に応じまして現地調査をし、また必要な資料を求めまして、それで総合的な判断をいたしました結果、輸入して差しつかえないというものにつきましては輸入禁止を解除いたすことにいたしておるわけでございます。中共につきましても、その例外ではございませんので、必要な調査なり、必要な報告が得られて、総合的な判断をいたしまして、それで問題がないということであれば、輸入禁止を解除するというふうな考え方に変わりはないわけでございます。ただ、残念ながら、私たちのほうで必要と思われる資料の提供が得られませんために、総合的な判断をするということが不可能であるわけでございます。これにつきましては、先般も申し上げたかと思いますけれども、国交が開かれておりませんので、政府と政府との間でこの問題について話し合いをするということがなかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、LT交渉の際にも、ぜひこういうふうな資料の提出をお願いをするということで依頼をいたしたわけでございますけれども、残念ながら要求をいたしました資料の提出を受けることができなかったというふうな状態でございます。その後も、民間団体等から私たちのほうにいろいろ話があります際に、できるだけ民間団体においてもそういうふうな資料の提供を行なうようにひとつ努力をしてもらいたいということを申しておるわけでございますけれども残念ながら、まだそういうような状態になっていないわけでございます。私たちのほうでは、まあ可能な限りにおきましてそういう努力はいたしておるつもりでございますけれども、残念ながら、その成果があがっておらないというふうな事情にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/30
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031・木村美智男
○木村美智男君 それじゃ伺いますけれども、現地調査をするなり、資料の提供を求めるなりして、輸入地域の要請についてもこたえる考えがある、こう言われておるわけですけれども、これは私は、だいぶ局長のいままで言ったり書いたりしてきた態度から言うと、ニュアンスだけだけれども、相当うまいことを言っているような気がするのです、いままでからいって。
そこで伺うのですが、現地調査という問題については、もうすでに三回もやられたのじゃないですか。しかも、その三回もやられておることについて、あなたのおっしゃるような中で、ある程度私は、これは何というのですか、そういうことからだいぶ、いいじゃないかということで、踏み切るような機会が二、三回あった。そういう態度から言うと、今日の農林省の態度としては、最終的には大臣が政治的な責任者の地位であろうけれども、岡田さん、あなたが畜産局長になってから特にこれは足踏みしちゃっている、こういう印象を受けておるわけです。だから、そういう意味で、現地調査という問題については、それではどの点がどういうふうにいけないのか、それを答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/31
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032・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 現地調査につきましては、お話のように、過去三回調査されておるわけです。この調査が十分であるかどうかという点につきましては問題はあると思いますけれども、むしろ、私たちのほうが求めておりますのは、五つの項目についての資料の提供を受けるということでございます。三回の調査によりまして、この調査では、生産地域についての調査を行なわれていないわけです。しかし、一般の衛生状態なり衛生組織というふうなものについては、調査の結果、中共の状態というものについては判明をいたしておるわけです。で、むしろ私たちが問題にいたしておりますのは、それよりも必要な五つの項目についての資料の提供を受けるということであるというふうに私たちは判断をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/32
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033・木村美智男
○木村美智男君 その五つの項目を聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/33
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034・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) それでは申し上げます。
まず第一に、過去における口蹄疫の発生状況と実害、第二に、いままで行なわれた口蹄疫の撲滅方法の具体的な経過、三、口蹄疫ワクチンの製造、種類、製造方法、利用目的等、四、口蹄疫の診断方法、五、その他最近における不明疾病の発生状況、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/34
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035・木村美智男
○木村美智男君 だから、それは、畜産局長ね、こういう、あなたが常識的に考えてもできもせぬようなことを五つの項目だなんて、もっともらしく言って話をしているから、それで問題が一つも進まないのですよ。だから私は、ある程度これは政府の方針なんだというならば、何も畜産局長にむやみやたらに、口蹄疫がどうのこうのということは言おうとしていないんです。あなたは、それ以上のことは私の権限でございませんとか、私の答える範囲ではございませんと言われれば、これはなるほど畜産局長にどうこう言っても無理だと思う。しかし、ここに述べられている過去の口蹄疫の発生状況がどうの、撲滅方法がどうの、利用目的、診断方法がどうのというのは、こういうことは初めからできない相談を持ちかけているんじゃないですか。あなた腹の中で考えたってちっとも——腹の中じゃ、岡田畜産局長といえども、こういうことを言うことは、どだいほんとうの話、無理なことだとひそかに私は思ってるんじゃないかと思うんですよ。
そういうことをあなたが言うならば、それじゃあなた、第一回の調査団のときのことを少し聞きたいんだが、三十一年の十月に、高松博士が団長になって、六十日間中国を回ってこられたでしょう。そしてあなたもたぶん読まれたと思うんですが、私も少し読ましていただきました。この報告書を見ると、これは農林省に、三十二年の四月、帰って報告をしてあるわけです。これを見れば、なるほど、過去の中国というものがイメージとして頭にある者にとっては、そんなに百八十度りっぱになるものかという疑惑が確かに起こるほど、実は なかなかりっぱな報告書になっているわけですね。りっぱなというのは、中国における衛生状況なり、あるいは今日の家畜の管理体制なり、そういうものがきわめてりっぱだということがこの中で報告されている。そこで——二回、三回の話は、またあとからやりますから。これは局長、念のために申し上げておきますが、私は、納得さえさしてもらったら、この話はきようでももうやめますけれども、そうでない限りは、毎回、物価の委員会の中で、私これを続けていきますから。というのは、その第一回の視察の結果、いま北陸鉄道の社長になっている柴野さんが、当時、あなたと同じように畜産局長をやっておられた。そして、そのときの衛生課長は齋藤さんという人、遺憾ながら、この人が今日現存しておれば、私はこの問題なんというのは一挙に解決する問題だと思うんですよ。非常に太っ腹な人だったそうですけれども、私実はお会いしてないんでわかりませんが、その齋藤衛生課長が実は立ち会いというか、その許可のもとに、どういうことをしたかというと、東亜食肉協同組合に対して見本輸入を認めたんです。この事実を知っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/35
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036・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 認めておるということは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/36
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037・木村美智男
○木村美智男君 どういうことを承知しているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/37
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038・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 陳情書の提出がありましたことは承知いたしておりますけれども、認めたという事実は承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/38
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039・木村美智男
○木村美智男君 それじゃ、こういう事実は知っていますか。昭和三十一年の二月ごろですが、時の農林大臣は河野一郎さんですね、いまはなくなられた。そのときに、青島牛を入れた実績のある組合はこの際ひとつ全国一本になって、そして中国の食肉輸入のための組織をつくれという内々の話があって、そうして、これが三十一年の五月二十日に、時の代理であった高碕達之助氏が——これは農林大臣の臨時代理だ。その臨時代理が、この中国食肉を輸入するための受け入れ団体としての認可書を出しているんですが、これは御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/39
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040・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 家畜を輸入する商社が集まりまして、家畜輸入商社の組合をつくったということは承知をいたしておりますけれども、中共の牛を入れますために、それを指導してつくらしたというふうなことは、私承知をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/40
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041・木村美智男
○木村美智男君 だんだん核心に入ってきましたので、それじゃ、局長ね、あなたのおっしゃるように、家畜ということでもいいでしょう。家畜ということでもいいが、その家畜の中には牛肉も含まれておって——あとから証拠品も出しますが、事実そういう組合をとにかくつくらしたことだけは間違いございませんね。これは許可書がいまここにあるんですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/41
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042・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 食肉の輸入につきましては、輸入食肉商社協議会というものができております。また、家畜につきましては、家畜輸入商社協議会というものができておりますことは知っておりますけれども、それは別々でございまして、同一のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/42
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043・木村美智男
○木村美智男君 いま局長の言ったものとは少し違いましてね。私が言うのは東亜食肉輸入協同組合というものについての設立認可書です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/43
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044・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 東亜食肉というのはもともとあったようでございますが、それと別の団体とが合併いたしまして、食肉輸入商社協議会と全国食肉事業協同組合連合会というふうなことになっているようでございますが、それは承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/44
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045・木村美智男
○木村美智男君 それはいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/45
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046・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 日付については資料を持っておりませんので、はっきりいたしませんが、あとで調べまして提出をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/46
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047・木村美智男
○木村美智男君 そうすると、いまの全国食肉何とか組合というものに合同をしたといわれる一つとして、その東亜食肉輸入協同組合というものが農林省から正式に、これは三十一年の五月二日付、高碕達之助国務大臣によって許可をされている。このことはお認めになりますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/47
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048・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) それは、ちょっと、日付なり、だれが許可されたかというのがはっきりいたしませんけれども、食肉の元売り業者の団体として全国食肉事業協同組合連合会というのができたわけでございます。それに合併をいたしたわけでございます。したがって、国内で元売りをやるというふうな会社であったというふうに了解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/48
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049・木村美智男
○木村美智男君 その根拠法律は、そのときのはどういうものによって許可をされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/49
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050・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 中小企業の協同組合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/50
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051・木村美智男
○木村美智男君 いま私が申し上げたそのものは、その後合同をされたという、それは一向差しつかえないんですが、その東亜食肉の組合が、これが中国から、第一回の視察の結果、見本輸入ということで許可をされた。そうして実際に向こうの「天津商品検験局」、こういうところから——これはもうだいぶ古くなっていますからあれですが、六枚からなる獣医さんの証明書、それから「品質檢驗證書」、さらにABCに分かれていますが、やはり「獣醫證明書」ですが、これが全部ついてきておるわけです。で、「報驗人」というのは、向こうが出したところは「中國食品出口公司」というんですか、それからこっちの受け人は、日本の「東京貿易商曾」、これは名前がこういうふうになっているのは、これはインポーターでなければならないということで、東亜食肉協会とならずに、「東京貿易商曾」、こういうふうな名前を使っておるということで、品名は「冰凍鮮牛肉」、「冰凍鮮牛肉」ですよ。品物は「1腿」と書いて、「(後腿)」と書いてあります。重量は「四十五・五公斤」、日時は一九五六年一月十九日、「運往地點」というのは着の港だと思いますが、横浜、そしてこれの「檢驗」の結果については、これはいわゆる口蹄疫のない区から運んできたものだということが一つ、伝染性の疾病がございませんということが一つ、それからその疾病の現象やあるいは寄生虫はありません、したがって人が食物に供することについて規格として適合しております、それからなおかつ、何か薬の注射もやっております、こういう五つのことが証明としてついておる。こういうものが実は送り状として来られて、そしてABCとサンプルで二頭分ずつこちらに来ておるわけです。そのときの、その中国の肉を、前腿、後腿を前にしてとっている写真もあるわけで、「昭和三十二年の一月二十八日、ノルウェーのトラファルガ号にて中共産(内蒙古牛)」「ABC各半頭見本」「陸揚検査の上焼却す」と、こう書いてある。したがって、サンプルとして少なくとも現に陸揚げしたということだけは、この証拠によって私はうそはないと思いますけれども、まあいってみれば、何かこの品物を送るときの送り状と検査の証明、そして肉が来たときに写している写真と。したがって、どうしてもあなたが、これを私が出したんでは信用できないというんなら、ここに写っている方を次に参考人に呼んでいただいて、そのときの事情を説明していただくということもいいと思います。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/51
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052・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 私のほうで承知いたしておりますものといたしましては、昭和三十二年の五月十三日に、関係五社から当時の井出農林大臣あてに、「中共産食肉見本輸入の申請に関する件」というのが出ております。これにつきまして、私のほうとしましては、陳情ということで供覧にいたしておるわけでございますが、その供覧する際の意見としては、試験研究の用に供するものとしては認めがたいということで、家畜伝染病防疫の見地から困難であるというふうなことになっておるわけであります。したがいまして、輸入をしたという事実はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/52
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053・木村美智男
○木村美智男君 それじゃ、私も当時これにタッチしたわけじゃございませんから、したがって全面的にこれは食い違っていますから、これについては別の機会に、証人、参考人をひとつ召喚をしていただいて、この間の事情を明らかにするということで、このことについての議論は一応これできようはやめます。これ、一回目の問題なんですが、参考人を呼ぶ際には、ぜひ大臣にも同席をしていただくということでやっていただきたいと思います。
そこで、次の問題は、第二回目の問題ですが、これは四十年の八月です。三年ばかり前ですね。で、このときの団長さんは、いま衆議院の先生で大石武一先生です。第一回よりも、このときの報告書というのは、良好な家畜防疫なり衛生管理の状態にあるということも、これも報告をされておるわけで、この点はお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/53
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054・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 報告書によりまして、中共の衛生状態が、かつての戦前の中国大陸の衛生状態よりは非常に良好になっておるということは報告をされておりまして、その点はわれわれとしても承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/54
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055・木村美智男
○木村美智男君 で、このときには、当時の畜産局長は、いまの官房長さんの檜垣さんですね。で、それはいいのですが、この大石団長を送り出す際には、相当やはり業界のほうも歓送会などをやり、そして農林省も、これについては送行会に畜産局長が出席をしている。そういうことで、少なくともこの第二回も、これは単に業界から行ったとか、個人が好きで行ったとかいうのではなしに、やはりこれは、国のある程度いわゆる了解というか、精神的な支援もきちっと取りつけた上で現地調査をやっておられる。こういうことについては、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/55
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056・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 私の在任中ではございませんので、過去の経緯がどういうふうでありましたかということは必ずしも十分に存じておりませんけれども、ここに参りました人は元農林省に勤務した人でございますし、非常に権威でございますから、相当な権威のあるものとしてわれわれは信頼をしていいものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/56
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057・木村美智男
○木村美智男君 それから第三回目ですがね。これはおととしの三月で、たいへん新しいことなんですが、この間参考人として来られた田中良男先生が団長。で、あの際のいきさつは、中国側としても、何でそんなに二回も視察に来て、まだ疑っているのかといって、きわめて憤慨をしていたけれども、これはLT貿易の高碕事務所と廖承志両事務所のあっせんで、どうやらとりなしをつけて、そして田中さんが訪中を認められた、こういういきさつで行かれた。この報告も私読ましていただいたのですが、二週間程度の視察の中で、さすがにそれは権威者だけあって、私どもにわからない医学的なこともたくさんありますが、きわめて詳細にわたってりっぱな報告が出されておるわけです。で、このような状態のあとで、その年の八月に坂田農林大臣が輸入禁止を解除するという方針をきめた。もちろん省令改正の手続はやっておりませんよ。やっておりませんけれども、輸入禁止解除の方針をきめた。そういう状態のときに、たまたまこれは松野さんが農林大臣になって、そして前大臣のそういう方針がひつくり返ったといった経過が一つまああるわけです。
そのころの事情を少し申し上げますと、田中団長は、これまた個人で行ったわけでもなければ、業界から頼まれて行ったわけでもなくて、少なくとも田中さんの、これはたいへん恐縮なんですが、旅費の一部というのは、それは通産省から出ておる。で、したがって、これは未開発地域何とかという費目だそうでありますが、それはどっちでもいい。同時に、畜産局の衛生課の皆さんはやっぱり喜々として色めき立ったことは間違いない。そうして、今度牛肉が入ってきたら流通機構をどうするのこうするのと言って、そういう、らしき話まで業界の諸君にまで話をした。そういう雰囲気の中で田中団長が帰ってきて、まずまず大体、一般的な空気としては、これは輸入解禁間違いなしという状況であった。で、それがなぜ松野さんに引き継がれ、倉石さんに引き継がれ、そしていまの西村農林大臣になってもなおかつその方針がそのまま否認をされ続けているのかということが、これが大きな疑問になっている。それは、どうしてそういうことになったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/57
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058・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 田中さんが帰られまして、中共食肉の輸入をどうするかという話になったわけでございますが、私の在職当時でございませんので、必ずしもつまびらかにいたしませんけれども、前任者から伺いましたところでは、要するに、当時は初めて牛肉を輸入をするという状態であったわけでございます。そういう状態で、買い入れる先はなるべく広く門戸を開放したほうがよろしいと、こういうふうな趣旨の決定はあったようでございます。しかし、中共から入れるということの結論を坂田大臣が下されたというふうには私たちは伺っていないわけでございます。で、私は七月末に現職に就任いたしたわけでございますが、畜産局に参りまして、中共問題が非常に大きな問題であるということで前任者から引き継ぎまして、わが国の獣医学の権威十数名の方々にお集まりを願いまして、中共の食肉輸入についてどのような態度をとるかということを諮問をいたしたわけでございます。まあ、先生御承知のように、口蹄疫というのは非常におそるべき病気でございまして、英国の例に見ますように、一度流行しますと、四十二万頭程度の家畜がこの病気にかかりまして、殺処分しなければいかぬ状態になるわけでございます。御承知のように、日本では肉牛の生産が減りつつあるというふうな状態にもあったわけでございまして、したがいまして、そういうふうなおそるべき病気がはやりまして国内資源を喪失させるということはきわめて重大な問題であるというふうなことから、慎重な扱いをすべきものであるというふうに判断をいたしたわけでございます。したがいまして、事は政治問題ではなくて、全く家畜衛生上の技術問題でございます。したがいまして、国内の権威の意見を十分聞いて、その判断に基づいて措置するのがわれわれとしては当然のつとめであるというふうに考えたわけでございます。そういう趣旨から諮問をいたしたわけでございますが、諮問の結果、少なくとも五つの項目については十分な情報を持って、しかる後に行政的な判断をすべきであると、まあこういうふうな意見が圧倒的に強かったわけでございます。そういう趣旨から、われわれといたしましては、この五つの項目につきまして中共側に資料の要求をいたしまして、その要求の結果に基づいて総合的な判断をしたいと考えておったわけでございます。私から申し上げるまでもございませんけれども、この五つの項目と申しますのは、獣医学上からいえば、もう基礎的な常識的な事項でございまして、特に輸入をしないために言えないことを要求しているなんということは全くないわけでございます。世界のいずれの国におきましても、日本に輸入の要請をいたします際には、これぐらいの資料は、もう要求するのは当然過ぎるほど当然でありまして、過剰な要求資料であるとは全く考えていないわけでございます。そういう意味から、少なくとも日本に売りたいのであれば、これくらいの資料の提供ができなくてわが国のほうでよろしいということは、なかなか衛生技術的には申し上げられないというふうに私たちは考えておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/58
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059・木村美智男
○木村美智男君 いま、英国の口蹄疫の話がありましたが、なぜそのイギリスの話をここへ出すのかよく私わかりません。イギリスはね、あなたも承知の上で言っているのだろうけれども、アルゼンチンから輸入しているんです。アルゼンチンから持ってきてあそこの口蹄疫が出たからといって、いまこの問題を議論しているときにその問題を、たいへんおそろしいんだといってやっているのが、あなたの今日の態度なんですよ。さっき私が読み上げた「朝日ジャーナル」のこの「インタビュー」もそうだし、衆参両院の委員会で毎回やっていることもそうなんです。そこが、きわめてあなたの態度というものは意識的だと言うんです、私は。
それじゃ、また伺いますがね、あなた、それは権威の意見と言うけれども、この間田中先生は何と答えられていますか。これは、岡田局長、いま日本に田中良男博士以上の獣医学の権威者がおりますか。私は、田中さんがこの間も言っているように、だれが行ってみたって、一〇〇%全くの疑問がない、不安がないなんということはあり得ませんということを言っている、明らかに。だから、これはいわゆる、あなたが言うように、輸入を断わるための口実にしているような、五項目のそういう純技術問題なんという言い回しの段階じゃないと言っている、ぼくは。これこそまさに、政治的な段階という意味は、私はそういうことを言っているのですよ。田中さんがこれ以上保証ができないものを、だれが一体保証するのですか。あなたはいみじくも、中国から技術者を連れてきて説明をしろなんということまで言っている。田中さんの言うことは信用できぬけれども中国の獣医学者の言うことなら信用できるとあなたおっしゃるのですか。しかも、中国に対して五つの項目を要求したと言うけれども、いつの時点でどういうルートを通してだれに要求をしてその後どうなったのか、これもひとつ答えてもらいたい。何かぼくも、ちょっと声が大きくなっているけれども、あなたの態度というのはきわめて意識的で挑戦的だから、私もこう言っているだけでね。人間というのは、大体弱みのあるときには、いたけだかになるんだな。そういうものなんだ。今日の時点で、あなたがそれをたいへん自慢らしく言うならば、戦争前に青島牛を日本が輸入していたでしょうが。そのときに中国に口蹄疫がなかったか。口蹄疫のあったときに日本が輸入をしておいて、いま、一九六二年以来ないと言っているのに今度は輸入をしないということは、国民の常識から考えたら納得のできないことなんだよ、あなた。そういう単純なことをあなたに言われるまでもないじゃないか。そこをここで、なんか、たいへん意識的にイギリスの例やなにかを出されて言われるから、ぼくだって多少は声が大きくなるがね。だから、冒頭にも言っておるように、この問題はもっとすなおに将来の食肉事情の展望を考えれば、大体昭和四十六年から五十年にかけて四十万トンくらい不足するだろうという一つの問題点がある。この食肉需給の展望が一つ、それから、いま中国の船舶問題をめぐって、自民党の内部にだってやはり、前向きで行くべきだというのと、いや吉田書簡があるからという意見とあって、いまいろいろと議論をしておるところなんです。そういう事態の中で、あなたが無理にそういう情勢の進展にさおさすようなことに固執をしておるところに一つ問題点がある。外貨獲得だとか、貿易振興政策だとかというのは、佐藤内閣の方針じゃないか。そうしたら、障害があるならその障害をできるだけなくすことにつとめるのが農林省の官僚の役目じゃないか。それを、あなたはなるべく開かれないように、国際収支の赤字は解消しようがしまいがそんなことは知っちゃいないという態度で、とにかく中国の食肉輸入については、純衛生的とか、純技術的といううまい口実をつけながら、相手が答えられないようなことだけを注文として出して、無理やり突っかい棒をしておるのが岡田畜産局長なんだ。そういうことを全体的に考えて見ながら、多少この辺で、農林省としては少し頭を冷やして、いままでとってきた方針はとってきた方針でいいというのだ。いいけれども、戦前ではちゃんと輸入をしていた。そのときにはただ手ぶらで輸入したのじゃない。青島に日本の検疫所まで置いて、そしてそこには、現にまだ生存しておられますが、入江さんが所長をやっておられたことがある。そこで、あそこへ一週間係留をしておいて、十分見きわめて、そしてだいじょうぶだというようなやつをどんどん入れてきたのです。いまは、あなたも御承知のように、当時よりもはるかに獣医学だって進んでおる。当時できたことが今日やれない——入れる気がないじゃないか、現に。入れようという気があるならば、できるだけのことを、こういうこともやります、ああいうこともやりますと、やった結果、先生そう言ったってこれは無理ですと、こう言うのなら私は何も言わぬというのですよ。ところが、そのことについて具体的にやりゃせぬじゃないですか。やりゃせぬやつをいまからあげるから……。
まず第一に、あなたは中国に要求をしたと言うけれども、いつの時点で、どういうことを、どのルートを通して要求したのか、それをまず明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/59
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060・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 一昨年の五つの項目が明白でないとむずかしい、ということをきめたわけでございますが、その結果、一昨年LT貿易交渉の際に岡崎さんが参られましたときに、私のほうの要求いたしておりますことを手渡しいたしまして、これについての回答をお願いいたしたわけでございますが、それについての回答は得られなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/60
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061・木村美智男
○木村美智男君 それは一昨年の話です、LT貿易交渉は。今回はどうしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/61
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062・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 一昨年の結果、岡崎さんから報告がございまして、なかなか得られないというふうなことでございましたので、昨年の交渉の際には、その点は御了解をしていただけておるわけでございますから、特に私のほうから同じことの要請はいたしませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/62
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063・木村美智男
○木村美智男君 まあ、おととしの話はいま初めて伺ったわけですがね。そのときの出した文書、その写しですね、それをひとつ資料として出してください。
それからあなたにまた聞きますが、そんなにあなた心配ならば、現在中共からソーセージの原料になる羊のはらわたですか、腸ですわな。これを大体日本の高級生産品の六割くらいが使っているはずです。これを塩づけにして持ってきているわけですね。こういうものについて、私は、やっぱりあなたの得意になっておっしゃる口蹄疫のビールスというやつね。ビールスというのは、何も牛から牛にだけうつるわけじゃないですね。これは、人間のからだであろうが、靴であろうが、衣服であろうが、みんなくっついてくる。だから、あなたがそんなに神経質になるなら、羽田の防疫体制どうやっていますか。ぼくらも中国へ行ってきたけれども、消毒もしなければ何もせぬわね。人民公社の牧場も全部視察もして回ったし、荷物もさんざん持ち歩いて回ってきた。そんなにこわいなら、羽田のあすこで今日防疫体制がちゃんととられているなら、あなたのおっしゃる理屈はわかる。ところが、そういうことは何もしていない。現に諸外国は、中国から牛肉をイタリーもフランスも入れているじゃないですか。入れておって、イギリスはたまたまその口蹄疫が蔓延したと、たいへんな国家的損失を受けたと言っているけれども、それは中国の牛肉じゃないじゃないですか。イギリスはアルゼンチンの汚染地区から持ってきたのじゃないですか、南米のアルゼンチンから……。その話をここへ出してくるということが私意識的だと、こう言っているのですよ。そういうおそろしいということは、わしはこの間の田中先生の話を聞いて、あるいは現にそういう話というものを二、三回聞いて知っているんですから、したがって、そんなものは無視してやれと言っているのじゃないですよ。そういうのがあるからこそ、いろいろの手段、方法を講じて入れるという立場で努力をしたらどうかと言っている。そのことについての努力というものが私は足らないと思う。だから、ただ単に断わるだけのようにしか私たちにはとれない。
そこで、あなたに聞きますよ。フランスは、私汚染地域だと思っているんですけれども、これはどうなんですか、一言でいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/63
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064・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 食肉の輸入禁止地域でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/64
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065・木村美智男
○木村美智男君 北海道に曽田玄洋牧場、このあることを御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/65
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066・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/66
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067・木村美智男
○木村美智男君 ここにはフランスのシャロレーという牛が大体二百頭近くいるのですが、御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/67
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068・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/68
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069・木村美智男
○木村美智男君 この点は、単なる肉じゃないからね。もとは二百頭じゃないですけれども、本物をとにかくフランスから持ってきたのですから、これはどういうふうに説明してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/69
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070・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) フランスから食肉の輸入を禁止をいたしております。家畜につきましては、種牛について輸入を認めておるわけでございますが、それに関しましては、フランス政府と日本政府との間に家畜衛生に関する厳重な協定を結びまして、その協定に基づいてそれが履行されておるという状態のもとにおいて輸入を認めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/70
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071・木村美智男
○木村美智男君 その協定というやつは、いわゆる一〇〇%保証のできる、そういうものなんですか。絶対に口蹄疫というようなものはその協定によって排除できると、こういうものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/71
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072・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 現段階においては可能な最も徹底した検疫の要求をいたしておるわけでございますが、日本に到着いたしまして日本の検疫所においてなお検疫をいたしました結果、口蹄疫フリーなものを国内に輸入させることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/72
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073・木村美智男
○木村美智男君 そういうようなやり方を、相手方に対して、中国の場合にやるということは考えられないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/73
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074・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 現在、家畜の輸入は割り当て制になっておりまして、原則として種畜のみの輸入をしておるわけでございます。で、大量の牛を輸入しましてやるということは不可能に近いというふうに私たちは考えております。種牛につきましては、量的には限られておりますので、そういうふうな厳重な検疫を国内でやることも可能でございますけれども、大量な肉牛を輸入するということは、はなはだむずかしいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/74
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075・木村美智男
○木村美智男君 畜産局長の言うことは詭弁もはなはだしい。種牛だろうが何だろうが、牛には変わりない。何言うのだ、あなた。そういうごまかしみたいなことを言ったってだめなんだよ。種牛であろうが何であろうが、牛であることには変わりない。同時に、汚染地域から持ってきていることは変わりない。あとは、量が多いか少ないかだけの話じゃないですか。そうしたら、つまり、サンプル輸入だとか、見本輸入だとかということは、種牛がわずか三頭やそこらならいいのだということになるならば、そんなら見本として牛のまま持ってきたっていいし、持ってくるのがちょっとあれだから、枝肉で持ってくるという、こういう関係になるだけの話なんであって、そこからだって解決の見通しというものは立ってくるじゃないですか、やり方というものが。だから、そのことと、さっきの五項目という問題ね、五項目というのは、うしろを向いて出している条件じゃないかという意味は、それを言っているわけです。そうして、あなた、それはやはり種牛として来てもこちらでちゃんと検疫する。動検かなにかでやるのでしょう。消毒したり、検査をしたり。そのことと同じことを中国肉に対してもやってみたらどうですか。そういうことが技術的に——あなたは技術論だと言うから技術的に言うわけです。技術的に可能じゃないですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/75
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076・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 肉については検疫は不可能でございます。したがいまして、フランスからも肉の輸入は全く認めておらないわけであります。家畜につきましては、一定の条件を整えた場合に輸入を認めるということにいたしております。その前提として、フランスの口蹄疫がどういう状態にある、ワクチンはどういうものをどういうふうに注射しておるという事態は、先ほど申し上げました国際獣医事務局あるいはフランス政府を通じておおむねわかっておるわけでございます。したがいまして、どういう状態にあるということがその前提としてわかりますので、したがって、輸入をいたします場合には、口蹄疫が過去何カ月発生をしない地域であるとか、あるいは口蹄疫のワクチンを注射をしてない牛であるとか、そういったものの条件をつける上に一定の診断をいたしまして、その結果口蹄疫がないということが明らかになったものにつきまして、国内の検疫所に入れまして、そこで種々な検疫をいたしまして、口蹄疫フリーという状態にある場合に輸入を認めるということで相当な手続を要するわけでございます。したがいまして、肉の場合と家畜の場合とは全然違うということを御了承願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/76
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077・木村美智男
○木村美智男君 だから私は、何もそれは肉でなきゃならぬなんて言ってない。結論は、最後に人が食うのは、まさか、まるのまま食べられないでしょう、だからそれは牛肉と言っているのであって、あなたおっしゃるように、肉では検査できないというなら、まるのまま持ってくればいいじゃないですか。これを横浜の動検なら動検に持ってきて、そしてそこで検査をする。やってみて、しかしそれはただそういうわけにはいかぬから、向こうで十分警戒をして、たとえば汚染地域といったって、中国全土がそういう口蹄疫の汚染地域じゃないでしょう。ですから、できるだけそういう汚染地域でないところを指定をして、まずひとつそこの牛である、それから、あるいはそれに対する注射という関係もある。これに対するワクチンは、中国は生まを使っておるようですけれども、大体八カ月たてばこれは効果がなくなっちゃうというのですから、一たん生まワクを飲ましたものを、十カ月たったらいいわけですよ。そうすれば、それをまず、その大陸の接岸の地域まで持ってきて、一週間なり二週間なり、そこに係留をしておいたらいい。そこでやはり、日本の獣医さんを派遣するぐらいの外交折衝は、今日の日中関係の中だとはいいながら、私はできると思います、こちらにやる気さえあれば。そうしてなおかつ、持ってきて、その結果、横浜の動検でやられるでしょうから、そこでまた検査を厳重にやって、その結果を見て、あとどうするということぐらいはきめるという、前向きの姿勢がどうして農林省としてとれないのか。ここだけが、私はきわめてあなたに残念なことなんです。あなた、いろいろ言われているから、これはまじめだからなおのこと固執しているということも一面わかるから、それはいいけれども、しかし、やり方というのはまだいろいろあるのじゃないですか。
だから、技術者を派遣する問題、さっき言ったワクチンを打った牛を入れて、そうして係留する問題、汚染されていない地域を選んで、そこの牛であることを指定をする、あるいは屠殺前に集団検疫をやる、日本の技術者を派遣をする、それから日本へ入れるのは地域をきちっと限定する、入れたらどういうところにおいてどこが何を検査する、そうして終わったら、たとえば焼却なら焼却する、こういう諸点をきちっときめて——こういう議論を二回も三回もやらぬで、そういうことをひとつ大臣と相談をしてやってみる気がないかどうかということなんです。
私は、いま申し上げたことぐらいなら、これは想像だけれども、いまの日中関係の中なら十分話し合いのできる問題だ。で、そのことが、もし国内の畜産の問題にどういう影響を持つとか、あるいは肉牛の生産の問題にどういうことになるのかということになるなら、また別な問題で私は議論をしたいと思う。特にあちらの肉は、それは局長は、えらい豪州肉などまずいと言うけれども、一カ月もかかって冷凍して来るのだから、まずくなるのはあたりまえだ。単に草地じゃなくて、野放し、放し飼いだから、まずいというだけじゃない。しかし、あそこなら、せめて、三十日も豪州からかかるのを、三日もかかれば持ってこられる。運賃は半分で済むという関係だから、その味にしても、値段にしても、私はキロ当たり二百五、六十円で入ってくるのじゃないかと思う。そうしてそれを日本の肉との関係とか、ある程度ほかの輸入肉とのバランスで考えていくならば、そこから出てくる余剰金というようなものを、日本の畜産振興対策に具体的にあてていくということを、どうして農林省は考えないのか。あなた方、ほんとに日本の農業を愛しているのかどうか。再販問題で小売りがいま何とかしてやめてくれと言っているが、そういうことと同じように、ほんとに小売りの皆さん方の将来をおもんぱかってやるという政策であるならば、むしろ再販というものをこの際やめてしまうということと同じように、この際中国の食肉輸入問題に一歩足を踏み出して、ほんとに危険があって、発見されたらやめればいいのです。そうでなければ、いま言ったようなことで国内の畜産事業をどんどん育成して、そうしてやがて外からの輸入なんか待たぬでも、国内だけで需要が満たせる、まかなえる、このくらいのやはり長期展望に立ってこの問題をやるべきじゃないのか。そのことが、よけいなことを言われて中国敵視政策だの何だのということに対する無言の実証になるのじゃないか。あわせ考えたら、一石五鳥くらいの話だ、この話は。
だから、組織をもって文句を言っているものを政治家というものは取り上げやすいけれども、こんなばらばらな消費者相手の問題ですよ。別に票になるから取り上げているわけじゃない、これは。ほんとうにそういうことが今日の日本の政治の中で欠けているということを私は言いたいから、この問題を言っているのだ。そこを畜産局長、少しわかってもらえぬだろうか。最後に少しそういう話を聞かせてもらいたい。時間が予定を十分ばかりオーバーしましたから、あとはまた大臣と、きょう残った問題について……。あなたの回答のいかんによっては、次にまた来ていただくということにしますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/77
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078・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先生におことばを返すようで、はなはだ恐縮なんでありますけれども、われわれも中共からの肉の輸入を阻止しようなどという考え方は、役人として持っておらぬのであります。国の政策として、中共から必要なものは輸入するし、輸出するという方針でございますから、現に、たとえば鶏の肉等も、いま自由に入っているわけでございますから、決して、中共から入れるのがいやだからとか、入れるべきでないからということでやっているわけではございません。いろいろな方法はないかというわけで考えておるわけでございます。たとえば、いま先生がおっしゃったようなことも輸入するとすれば、私はできないことはないと思うのであります。しかし、中共の口蹄疫が国全体としてどうあるのかということが全くわかっていないわけです。ワクチンにつきましても、生毒ワクチンを注射をしていると言いますけれども、どういう生毒ワクチンかということは、国際的にも生毒ワクチンがきくということは、まだはっきりした定説になっておらぬわけであります。死毒ワクチンをいま世界各国は注射をしているわけであります。中共は生毒ワクチンを注射していると言っておるのですけれども、生毒ワクチンというのは一体どういうもので、いつどれくらい効力があるのか、効力の継続期間はどれくらいあるのかということは全くわからないわけであります。そういうものがわからないと、いま先生がおっしゃったようなことをやろうにも、なかなかできないということでございますので、したがいまして、たとえばそのワクチンの注射をいたしますと、自然の病毒との間に血液の中の抗体が違わないわけでございますから、その生毒ワクチンによる抗体が出ておるのか、あるいは自然のビールスによる抗体が出ておるのかという区別もなかなかつかないというふうな問題があるわけでございます。したがいまして、そういうふうな状態がまずつまびらかになりませんと、われわれとしては安全であるということで措置をするということはなかなかむずかしい。そこで、これがはっきりわかれば、それに相応した処置というものをわれわれは十分とっていけると思っておるわけです。その一番肝心なところが、知りたいところを知らしてもらえないというところに私たちの問題があるわけでございまして、できれば中共からも入れたいという考え方を持っておるわけでございますけれども、その前提条件を知らしてもらえないと、私たちも、国内の生産を預かっておる立場からいたしまして、生産者側から反対の声があります場合に、だいじょうぶだということはなかなか私たちとしては申し上げにくい。そこら辺が一番問題だと私たちは思っておるわけでございますから、できるだけ、われわれの希望する、しかも過剰の要求をしておるわけではなくて、ほんとうにこれくらいのことは知っていなければならぬということだけを要求しておるわけですから、中共のほうからそれに協力をしてもらいたいと私たちは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/78
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079・木村美智男
○木村美智男君 もう畜産局長には大体言うことはありませんわ。いまの最後のことばの中でも、私がほんとうにわざわざ一時間以上もかけていろいろ申し上げたことをちっともわかってもらっていないのですよ。あなたは獣医さんかどうかしらぬが、あなたが獣医さんなら、いまのお話、私も耳を傾けなければならぬと思うのですよ。獣医学界の世界的な権威者である田中さんすら、大体だいじょうぶだと思うと言うのを、りっぱなお医者さんなのか全然お医者さんでないのかわからぬけれども、あなたは、ああだこうだとつべこべ言っておられる。これが官僚の一番悪いところなんです。だから、きょうはこれ以上論争しません。大臣とやりますし、また、必要によっては、あとで消費者保護基本法という法律も出てきますから、佐藤総理にも十分、出席を求めて、やりますから、あなたにこれ以上のことを聞いても、これは無理でしょう。しかし、それがある程度、これは国の方針的な問題としてじゃないにしても、私の判断としてはちょっとむずかしいと言うならいいと思うが、あなたは非常に自信をもって答えられた。しかも、それは大東亜戦争の竹やりみたいなもので、お医者でもないくせに、医学的なことをべらべら、知ってるような顔をして、ものを言っておるところが一番悪いところなんだよ。それでもって、なおかつ、ワクチンが何カ月もつのかわからない。おれみたいなしろうとにも、三日たてば、大体八カ月ぐらいしかもたないということがわかってくるのです。そういうことなんだから、あなたもその点は——私も少しことばを言い過ぎているかもしらぬけれども、まあしばらく、一週間ばかりぼくも冷蔵庫へ入るから、あなたも冷蔵庫へ入って、この問題を少し考え直すことにして、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/79
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080・大森久司
○委員長(大森久司君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/80
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081・大森久司
○委員長(大森久司君) 速記を起こしてください。田代君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/81
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082・田代富士男
○田代富士男君 いま、牛肉の問題で、木村委員からいろいろ質問がなされまして、結論的には、一週間お互いに冷蔵庫に入って頭を冷やしましょうということでございますが、私も引き続きまして、豚肉並びに牛肉、その他流通機構の問題につきまして、時間の許される範囲内で質問をしたいと思います。
これは新潟県で起きた問題でございます。現在、公害問題というものは社会の注目の的になっております。公害問題というものは都市周辺だけに起きる問題である、そのように思われておりましたが、われわれが予期もしないような農村地帯にも起きているわけなんです。
〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕
この問題というのは、農家において養豚をやっているために、豚の鳴き声や、あるいは悪臭を放つために、周囲の住民がこれではたまらないと苦情を訴えまして、新潟の地裁へ訴えをいたしました。その結果、住民生活に対する妨害について慰謝料を支払いなさいと、全国的にも珍しい判決が下されまして、住民の生活権が認められたこのような判決が新潟地裁において行なわれたわけなんです。
この問題の起きた場所というのは、新潟市の中心からおよそ二十キロ離れました嘉瀬地区でございますが、ここは米作を主として、副業に養豚業をやっておりまして、新潟市に対しましては、野菜等をビニールハウスで栽培して、いろいろ純農村地帯として営んでおるところでございますが、この地域において四十一年から農業構造改善事業というものが進められまして、新潟市の当地の議会から事情を聞いてみましたら、昭和四十五年までに三億四千万円ほどを投入しまして、農業の基盤整備が行なわれる、そのような見通しで現在やられておりますが、問題になりました養豚のための問題が起きた件でございますが、現在嘉瀬地区では、豚の飼育をやっている農家は二十二軒ありますが、大体年間で二百五十頭、種豚二十六頭ぐらいを飼育して、新潟県飼育農家の平均のおよそ二倍ぐらいをここで養豚をやっているという事情でございますが、事の起こりは、この地域に、農業地帯でございましたが、三十五年に会社を定年退職しまして、この嘉瀬地区に住むようになった島津さんという六十二歳の方がいらっしゃいますが、この人のところから八メートル離れた隣に、石附さんという農家があったわけです。石附さんの家は、もうじいさんの代からずっとそこに常住しておるわけです。島津さんがそこに家を建てて住むようになったわけです。島津さんが先で、あとで石附さんが養豚業をやるというなら話はわかりますが、石附さんが先に養豚業をやっておる。そうして新潟市から農業構造改善事業といたしまして、このような養豚業を奨励されまして、ずっと続けてきていた。ところが、昨年の五月に島津さんがこのような訴えをやりまして、新潟地裁の正木判事も現場検証等をいたしまして、そうして地裁の言い分では、確かにやかましい、社会で共同生活をする上には多少の臭気や音、振動といった生活に対する妨害はがまんしなければならないけれども、それにも限度がある。そのように正木判事は認めまして、そうして島津さんの言い分をそのまま認めまして、四十一年九月から四十二年五月まで一カ月三万円の割合で慰謝料を払いなさいという訴えを認めたわけなんです。
そうしますと、ここで問題になってくるのが、農林省当局の行政指導におきましても、このような農業構造改善地区に指定されまして、養豚業を奨励しておるその時点においてはその付近には住宅地はありません。ところが、そこにあとで住宅地ができて、こういった問題が起きたために、予想すらしなかったこういう問題が起きまして、その結果、養豚業のお百姓さんにとりましてはまことにかわいそうなような判決が出た。このような事件が起きたことは農林省当局としても御存じじゃないかと思いますが、私は、この事件をただ単なる事件として済ますわけにはいかないと思う。こういう養豚の公害による判決は初めてじゃないかと思うわけです。それに対しまして、一面ではそのような養豚の奨励をしたのは農林省当局でございます。一面では、そのような住宅地の増加でそのような宅地ができたために訴えられた、となったならば、いまでは自分の家の近くに住宅地は建っていないけれども、いつ建つかわからない不安感がつきまとったならば、一体これはどうなるだろうか。はたして安心しきった生活ができるだろうか、農林省当局の行政指導をそのまま純真に実践していくことができるだろうか、そのように考えていくならば矛盾を感じてしかたがないんですが、いま概略を申し上げましたが、このような問題を通じまして農林省当局としてどのようにお考えであるか、まず一番最初に、局長の見解をお聞きしたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/82
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083・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) いま先生のお話しになりました新潟の場合については承知をいたしております。これは、本来の公害問題というよりは、相隣関係の問題だと私ども思っておるわけでございます。結局、隣の家に非常に近いところに接近して豚舎をつくったために起きた問題だというふうに考えておるわけでございます。養豚をやりますについても、できるだけそういうふうな場所を選ぶにつきましては、問題を除去するような形で場所の選定をすることが望ましいというふうに考えるわけでございますが、基本的にはそのふん尿処理等の問題がからむわけでございます、実は、御承知のように、豚肉の需要の拡大に伴いまして、国内の生産が非常にふえてまいっておるわけでございますけれども、そこで、豚のふん尿をどう処理するかということが非常に問題になっておるわけでございます。豚のふん尿は、本来から申しますと農地に還元すべき性質のものだと私たちは思っておるわけでございますが、最近の情勢からいたしまして、必ずしもそういうふうなことができないというふうな立地条件があるわけでございます。そこで、ふん尿の処理を合理的にやるという施設につきまして、農林省におきましても試験研究機関を動員いたしまして検討いたしておるわけでございます。一部見通しのつきましたものにつきまして、四十三年度から助成をいたしまして実験事業に取りかかるというふうなことにいたしております。この実験の結果非常によろしいということであれば、この施設の普及につきましてさらに検討を加えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/83
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084・田代富士男
○田代富士男君 いまいろいろふん尿の処理その他についても、豚肉の需要の増加によってふえているけれども、それも研究していく、そうしてそういう住宅地の近郊へそういうものはつくらないようにということでございますが、事実、この新潟の場合は補償料を支払うことになっているわけなんです。こういう農家の人が——まあ、いまも言うとおりに、順序から言うならば、最初居住地があって、そこへこちらが進出をして、そこで養豚業をやるというならば、それは道理がわかりますが、あとから住宅ができているでしょう。そうして補償料を農家の人が払われているというこの事実の問題です。これはここ一カ所ではない。まあ今後そういうところへつくらないようにするといいますが、住宅地はどんどんふえてきているんじゃないですか。そのどんどんふえてきているのに対しまして、今後起こらないということは言えないんじゃないですか。だから、起きた場合に、一つの判決がきまりますと、右へならえで、北海道から九州に至りましてその判決というものはなされていくわけです。この農家が補償料を支払うことになってもよいのかどうか、農林省の見解をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/84
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085・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 私が承知いたしておりますのは、隣の建物がありまして、新しくその隣に接近して豚舎を建てた、その豚舎の影響というふうに聞いているわけでございまして、したがいまして、豚舎を新しく建てる場合において場所の選定ということは可能であるように思われるわけでございます。したがいまして、相隣関係から申しまして、できるだけ他人に悪い影響を与えないような形でやられることが望ましいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/85
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086・田代富士男
○田代富士男君 それはいまから将来のことですけれども、いま言うように、事実判決が下って、補償料を支払いしなくてはならない一つの事件が起きたわけです。これは新潟地裁の判決ですよ。だから、将来はそういうふうに建ててはならぬ——建ててはならぬというのはいまから将来のことですけれども、これは普通の事件と違いまして、裁判の判決が出たということは、右へならえされて、今後農民がそういう補償料を支払うようになった場合はどうなるか、それを聞いているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/86
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087・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、一つは、たとえば都市近郊で公害の問題が出ておるわけでございます。農村地帯でも、ふん尿が流れまして水田に影響を与えるというふうな問題もあるわけでございます。したがいまして、こういうものを除去する方法を確立していかなければならぬというのが基本的な問題でございます。できるだけそれを早くやるということで、試験研究も急いでおりますし、また、実験事業に取りかかっておるわけでございます。現実に、この判決につきましては、これは裁判所として相隣関係から判決が出されたものでございますので、これはやはりやむを得ないとわれわれは考えざるを得ないと思うわけでございまして、したがいまして、こういうふうな事件が起きないように、できるだけ場所の選定を適切にするとか、あるいはふん尿の処理を合理化するということを対策として取り上げざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/87
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088・田代富士男
○田代富士男君 では、もうなったものはしかたがない、やむを得ないと、今後そういうことの起きないように措置を講じていく以外にないと。それ以上私は追及しませんけれども、事実かわいそうじゃないですか。あなたたちはやれやれと言っておいて、そうしてその家自身は八メートルしか離れていないわけです。だから、そういう養豚する場所をつくるにしましても、さほど離れていないわけですから、その点の問題につきましては、今後起こってくる問題だと思うのです。それを心配するわけなんですが、そういうことのないようにひとつやっていただきたいと思うわけなんですが、それで、いま申されました畜産業界というものは、非常にいろいろな問題点が多く残っております。まあ、一つ一つ取り上げていきますと、いまも問題になっておりました牛肉の問題一つでもそうです。豚肉の問題一つもそうです。あるいは卵一つにしてもそうなんです。そういう、いろいろ、牛乳といい、卵といい、この食肉といい、問題が一ぱい残っておりますが、その多く残っている中で、私は、問題点は食肉関係じゃないかと思います。流通機構の問題にいたしましても、卵の場合は、御承知のとおりに、現在は冷蔵もききますし、包装も完備されましたし、生産地から末端消費者までに完全商品として届けられるような流通機構の段階になってまいりました。牛乳におきましても、最も腐敗しやすいような生鮮食料品でございましたが、最近は技術が改善されまして輸送等も改善されまして、これもほぼ卵並みに近代化されてきたという、その進歩の足あとは認めることができると思いますが、食肉だけが、現在まだまだ旧態依然の封建的な面が日本の国内においても残されているんじゃないかと思うわけなんです。
そこで、この残された食肉の流通機構の問題でございますが、価格安定政策や流通合理化の点でも同様でございますが、この関係性でございますね、食肉の流通機構の関係性につきまして、どのようにいま農林省として取り組んでいらっしゃるのか、あるいは、このように取り組んできて、このような実績が卵や牛乳の流通機構の面にあらわれてきた、効果があったという、そういう面がありましたならば、その実績とあわせてひとつ説明を最初に願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/88
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089・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) それでは御説明申し上げます。
御承知のように、食肉の需要というものは最近急速にふえてまいってきておるわけでございます。したがいまして、流通機構の整備というものが先行するというわけにまいらぬわけでございますから、その意味ではおくれておる点も少なくないと思っております。
そこで、何と申しましても、食肉の流通機構の中心になりますのは、中央卸売り市場でございます。したがいまして、中央卸売り市場の整備ということにまず第一の重点を置いておるわけでございます。現在、全国で八カ所でございます。
それから生産地におきまして共同出荷体制をとらせるというふうなことが非常に重要でございますので、そこで全国に食肉センターというものの設置の助成をいたしておるわけでございます。これは、毎年十カ所ぐらい継続的にこの数年間続けてまいっておるわけでございます。
それからもう一つは、食肉になります前に、家畜の取引の問題がございます。そこで、家畜取引市場というものが、これが家畜取引の中心になるわけでございますので、家畜取引市場の再編整備という事業を行なっておるわけでございます。御承知のように、家畜市場につきましては、非常に零細な規模のものがたくさんございまして、必ずしも合理的に運営されておらないという事態がございますので、これを集中いたしまして合理的な規模にするということで、再編整備を進めておるわけでございます。これに対して毎年助成を進めてまいっておるわけでございます。
その他、いろいろございますけれども、基本的には以上を中心にいたしまして助成措置を通じまして改善をはかってまいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/89
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090・田代富士男
○田代富士男君 まあ、これは食肉に入る前に、いま申されました家畜の取引市場の整備、これは根本的な問題じゃないかと思いますし、いまも生産地で共同出荷体制等をとっているということでございますが、その家畜の問題はあとにいたしまして、食肉それ自身でいきますと、食肉と申しましても、これにはいろいろ種類があると思うのです。代表的なものには、鳥肉、あるいは豚、牛、われわれの食生活に最も関係の深いのはこの三つじゃないかと思いますが、鳥肉の場合は、ブロイラーが企業化されまして、現在は、アメリカの影響を受けまして、国際的チキン戦争を出現しておるような状況でございますが、そういう一面の進歩もございますが、まだまだ、豚あるいは牛肉の流通機構におきましては、問題点が多々あると思うわけなのです。その中で一番消費者に関係のある問題は、やはり価格の変動という問題点じゃないかと思うわけなんです。その価格の変動という問題は、消費者にとりましたならば、食肉という一つの問題で、鳥肉でも豚肉でも牛肉でも、これは肉に変わりはないわけなんです。その価格の変動のあり方が、どういう変動を来たしておるかということをよく見てみますと、季節によりまして、牛肉がよく売れる時期と、肉豚がよく売れる時期と、鳥肉がよく売れる時期というものが、周期的なものがあるのですね。それによって、もちろんこれは価格と需要の変化の中で、また季節的な価格変動についての特質という問題が取り上げられるわけなんです。
そこで、この価格の安定というものをわれわれは願っていることでありますし、はかっていかなくてはならないのですが、非常に変化が多い。特に豚肉の場合は、大きい周期が三年に一回くらい訪れてきております。いまから先はどうかわかりませんが、過去の実態を調べてみますと。その三年の中におきましても、百日の間に、四、五百円くらいしていたのが倍になるというような、そういう動きも見られているときもあるわけなんです。そういうわけで、こういう豚肉あるいは牛肉との価格の関連性、あるいは鳥肉との価格の関連性、消費者との関係の価格の安定に対しまして、これはもちろん、いま申されました出荷体制というものも関係してまいるでありましょうし、また、家畜取引というようなものも包含されたいろいろな問題点も含まれていると思いますが、何といってもこれは安定させなければならぬ。その安定に対して努力はされておりますが、なかなか安定しない。その問題点はどこにあるのか。また、農林当局として、このように手を打っておる、問題点はどこであるか、安定をしないその根本原因について、並びに最近のその価格の変動について、三年——一、二年でもけっこうでありますが、どういう変動がなされておるのか、ということを簡単に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/90
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091・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) それでは価格変動の状況について申し上げます。
牛肉についてまず申し上げますと、卸売り価格三十九年が年間を通じまして三百四十七円でございます。四十年が四百三十九円でございます。四十一年が六百五円ということになっております。
それから豚肉につきましては、卸売り価格は、三十九年が三百七十三円でございます。四十年が三百七十三円でございます。四十一年が三百二十五円ということになっております。
それから鶏肉につきましては、三十九年が百三十四円、四十年が百三十九円、四十一年が九十五円、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/91
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092・田代富士男
○田代富士男君 これでいきますと、いま説明していただいたとおりに、牛肉のほうが非常な値上がりの傾向を示しておる。それに対しまして豚肉の場合は値下がりの傾向を示しておる。これは特異な現象じゃないかと思うわけなんです。もちろん、これにつきましては生産体制自身に問題があるのじゃないかと思うわけなんです。これは、豚の場合には六カ月間で製品にするだけの成長をしてしまって、一年間に二回回転をすることができる。牛の場合には二年半から三年かかる。そういう問題点がありまして、現在の食生活の上から申しましても、消費者の階層の上の部に当たる人々はおもに牛肉を食する、あるいは中以下の人々は豚肉に片寄ってしまって、大衆食肉となされている、そういう動きがありますので安くなってきている。そういう現象のもとに、牛肉というものに対しましては、だんだんだんだんと消費者自身が手が届かなくなってきている。そういうような現象が多く目についている現在でございますが、牛肉がどうしてそのように高くなってきているか。その牛肉が上がることによって、豚肉も下がってきておりますけれども、ある程度上がったり下がったりの変動が多いわけなんです。相関関係になっておるわけなんです。
そこで、牛肉について見ますと、その生産構造と流通機構の特質を見てみますと、これははっきりするのじゃないかと思いますが、現在和牛の生産がほんとうに立ちおくれているというような一つの問題点が出てくるのじゃないかと思うわけなんです。そこで、この和牛の生産をやっていく場合に一番問題になってくるのは何かと言えば、ここに一般的に言うならば、博労制度ですか、博労の問題が大きく振りかかってきているのじゃないかと思うわけなんです。というのは、私が説明するまでもなく、もうおわかりのとおりに、生まれて半年ぐらいたちました牛が博労に買われまして、そして二年半ないし三年間には六回ないし七回そのような博労の手を通って売買されていく。その間に値段がいろいろな変化を来たしてまいりますが、あとでも触れたいと思いますが、そういうところに現在畜産部門の最もおくれた一面があるのではないかと思います。そこで、畜産組合というものが、全国で、そういう近代化をはかるために、そういう一部簡人の搾取からのがれるために、つくられてきたわけですが、私は、このような畜産組合がつくられたならば、その畜産組合の中の指導員あるいは普及員という人々をもっと養成しまして、組合が中心となって、このような生産体制、流通機構の問題点を解決していったならば、私はもっと、このようにだんだんと高くなっていっているところの牛肉の問題等も解決するところの原因が出てくるのじゃないかと思うのです。ところが、畜産組合ができたと同時に、その系統の組合が、博労、そのような者によってなされてしまったということは、組合をつくっただけで、そういう機構ができたというだけで、内容は一つも変わりはないのです。そうであったならば、何のために畜産組合をつくったかわからない、そういう問題が出てまいりますけれども、そのことに対しまして行政指導をやっていかなくちゃならない農林省の当局として、いかがお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/92
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093・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 牛肉の問題でございますが、牛肉が価格が高くなってまいりました原因といたしましては、国内の肉牛資源がだんだん減ってまいった。したがいまして、供給力が少なくなってまいったということが最大の原因だと思っております。昭和三十一年に二百七十万頭くらいおりましたのが、最近百五十五万頭程度になっておるわけでございますが、先生御承知のように、従来肉牛は農家の労働手段として飼育されておったわけでございます。だんだん農業が機械化されましたことと、それからふん尿を肥料に使っておりましたものに対して、化学肥料が普及してまいった、こういうことから、急速に農業労働手段としての牛の必要がなくなってきた、そういうことから、どんどん牛を売っていくというふうな事態が生じたわけでございます。昭和三十九年ころからその勢いが非常に急速になってまいりまして、その結果、資源がかなり食いつぶしをされまして、その結果供給力が不足をいたしまして、だんだん高くなってまいったということになるわけでございます。
そこで、生産対策といたしまして何とか国内で肉牛資源をふやす必要があるわけでございますので、そのために、たとえば価格対策といたしまして子牛の安定基金をつくるというふうなこともやっております。それからもう一つは、ここ当分の間、先生お話しのような、生まれましてから二年程度かかるわけでございますから、したがいまして、急速にふえるということはなかなかむずかしい。そのために、従来生まれてすぐ屠殺されておりました乳牛の雄子牛を大体十六カ月ないし十八カ月肥育をいたしまして、四百五十キロないし五百キロぐらいの肉量に仕上げまして出荷をするということを奨励をいたしております。これが相当効果を生みまして、現に四十一年におきましては十万頭近く出荷されるというふうな状態になってまいっておりました。国内の肉資源の供給力としては、最近ややふえつつあるというふうな状態になってまいっておるわけでございます。しかし、いずれにしても需要にまず足りませんので、不足分は輸入に仰がざるを得ないというふうなことでございますけれども、将来の国際的な肉の需給見通しを検討してみますと、はなはだしく不足するという事態が生ずるということが予想されております、少なくとも牛肉に関しましては。したがいまして、いまできるだけ国内で資源を確保いたしまして、そういった場合の事態に対処するということが必要であるというふうに考えておりまして、せっかく生産振興対策に努力をいたしておるわけでございますが、流通問題に関しまして、いま先生おっしゃいましたように、かつて牛というものは農家の労働手段として非常に長い期間飼われておったわけでございます。最後に、まあ屠殺をしまして肉に供給するというのが通常の形態であったわけでございます。したがいまして、その間に牛が転々流通をいたしまして、数回の取引を経て農家の手に渡るというふうな場合もかなりあったわけでございます。ところが、最近は労働手段として飼われなくて、本来の肉牛として飼われるというふうなことになりましたので、期間が非常に短くなりまして、流通経路も非常に単純化されつつあるというのが実態でございまして、農家で生まれましたものが半年くらい肥育されまして、それが子牛として今度は肥育段階に入っていくというふうな形に単純化されてきつつあるように考えております。
そこで私たちは、まず肉牛の生産段階につきまして、共同で要するに飼育をするというふうな形、農協なりあるいはその他の農業団体において共同で生産をして飼育をするというような形を奨励をいたしました。それからまた、その子牛を肥育する段階におきましても、農協がそれを買い取りまして、農協が肥育するというふうな単純な形で生産から出荷までが行なわれるというふうなことが適当であるというふうに考えて、そういう指導をいたして、それなりにいろいろと助成措置を講じておるわけでございます。ただ、昔は、肉牛の生産につきましては、労働手段でありましたためにコスト計算をしなかったわけでございます。ところが、肉牛として生産し出荷するということになりますと、当然、採算がとれるかどうかということになるわけでございますが、三十九年当時は非常に肉の価格が安かったために、生産をいたしましてもコストが引き合わないということもあったわけでございますけれども、最近は、やや価格が高くなっております関係から、生産費を何とかカバーをするというような状態になってまいりました。したがいまして、生産意欲も出てまいりまして、生産なり、それから肥育というふうな形がふえてまいっておるわけでございます。
そこで、肉牛の生産は、何といたしましても、国際的には日本の生産は規模から申して非常に零細でおくれておるわけでございまするから、やはり技術的にもこれは相当指導をしていく必要があるというふうなことを考えて、技術者についての研修を、農林省としても、県としても、できるだけ努力をいたしておるわけでございます。特に最近は、大規模に牧場を持ちまして、そこで共同に飼育するというふうな形がふえつつあるわけでございまして、そういたしますと、牧場の管理者の技術というものが非常に大切になってまいるわけでございます。したがいまして、そういう牧場管理者を農林省に集めまして、積極的に牧場管理技術の研修をいたしまして、それで現地に帰すというふうな措置を講じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/93
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094・田代富士男
○田代富士男君 いま、最近の概況について御説明をしていただきまして、だんだんと大規模化し、共同飼育をはかっていきたい、そして従来のそういう流通段階よりも簡素化して、そして価格の面においても努力をしておると、そういういまの御説明でございましたが、何といっても、豚の場合は、さっきも申しますとおりに、生まれて六カ月で製品化されていくけれども、素牛は二年半ないし三年たたないことには製品化されないという、そういうどうすることもできない期間の問題があるわけなんですから、私は、いま申されるように、そういう、共同飼育していくということについては、一面では解決されていく面もあるのではないかと思いますけれども、再度言っておりますように、旧態依然として博労の問題なんです。
これは一つの例でございますが、鳥取県の資料によりますと、最初素牛が四万一千九百円であったのが、最終的に売られていきました値段が二十五万円で売られている。まあ、かれこれ二年半かそこらで約五倍になっているわけなんです。いま申されるとおりに、和牛の生産におきましては、われわれが見ていかなければならないのは、資本の回転という問題があると思うのです。そうしなかったならば、三年あるいは二年半投資しっぱなしということはたいへんなことなんで、そういうところに、いま申されるように、五段階、六段階の段階というものがあるのじゃないかと思うのです。素牛から幼齢育成と申しますか、その段階を経まして若齢肥育、それから肥育業者に渡されて消費地の肥育業者へと、そういうようなこまかい分業の上に飼育されているわけなんです。そのような段階を経ているわけなんです。
これを一つの例でとっていきますと、鳥取の倉吉で、いま申すとおりに素牛として売られた価格が四万一千九百円、これで家畜卸商に博労の手で第一回に落とされた。そしてどういうことになったかと言いますと、四日間たちまして栃木県の石橋家畜市場へ連れていかれて、そこでまず取引がされた。石橋の家畜市場というのは全国的にもトップクラスの子牛の集散所なんです。そこで取引されまして県下の家畜業者に買われていって連れていかれた。そして今度どこに連れていかれたかと言えば、群馬県の前橋家畜市場のせり市に出された。そこでまた買われて、そしてそこで買われた博労の手によりまして、その近くの農村の家に売られていった。これは生後半年の素牛でございますが、これが四回もせり市にかけられている。そして、その群馬県の前橋周辺で飼育されましたその鳥取県の牛が、一年間たちますと大体二百五十キロ、あるいは体格のよいのは三百キロくらい、まあ三百キロまでにならないけれども、二百五十キロから三百キロぐらいの体格になっている。そうしますと、今度は反対に、それが地元の家畜商の手で前橋市場に連れ戻されて、せり市に出された。そこでまた別の家畜商に買われまして、今度、もといたところの石橋家畜市場に戻された。そしてそこで、びっくりすることは、鳥取県からそのように石橋、前橋と経て売られてきたその素牛が、今度は反対に、前橋家畜市場、それから石橋市場に行ったときに、そこに買いに来ている家畜業者というのは鳥取県の家畜業者で、そして成牛として買っていった。この間、一年半で十一万円に上がっている、十一万円に。まあ、その間に、もうかれこれ六回売りさばきされている。運賃が、子牛で千円、成牛で四千円。まあこの運賃だけ考えましてもたいへんなことでございますが、そのようにして、自分の生まれ故郷の倉吉に連れて帰った。そこで四カ月間飼育されまして、今度は十九万五千円で京都府下に売り渡されていった。そして京都府下で売り渡されたその牛は、二カ月間、最後の総仕上げとも申しますか、肉牛としての最高の価値をあらしめるための手入れがされまして、最後は二十五万円として神戸の肉屋さんに売り渡されていった。この牛の一生をたどってみるならば、このようにいたしまして約五倍の価格となりまして、こういう段階を経ている。
そこで、博労でございますが、通称博労は、大体六十頭の牛に対して一人、農家にすれば四十五戸に対して一人の博労が現在はおるというように、実態は上下があると思いますが、平均して、そのように言われておりますが、いま局長が、流通機構を近代化しましてそのような流通段階も簡素化したと仰せられますが、もちろん、食肉の流通機構を合理化するためには、このような中間商人をなくしていかなければならない、そして、いまさっきから何回も言っておりますところの畜産組合の機能というものを、もっとこれを発揮していかなければならぬと思うわけなんですが、いま申し上げました金額と牛の一生を追っていきました関係からしましても、機構もそうでございますが、中間搾取と言われるようなそういう業態を改めていかなければならぬ。しかし、何回もこれは言われていることでございますが、どういうわけか知りませんけれども、新しい組合ができても、そういう博労の手によって左右されてしまう。これはいかぬじゃないかと思うのですが、この事実の問題と、いまさっき局長が、このように進歩さしていると申されましても、根強いものがありますが、そういう博労、中間業者の搾取の問題に対しまして、これを改めない限りは、私は根本的な解決はできないじゃないかと思うのです。だから、一説によりますれば、やはりもうこの二十五万円の半分は家畜商のマージンである、そのようにも言われているわけなんですから、そのような根本的な一貫した生産体制というものを確立していかなければならないし、いまも努力していると申されますけれども、まだまだこういう実態があがってきております。私は一つの実例を申しましたけれども、この点に対してはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/94
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095・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先生が例をあげられましたそういう例も、現実にはあると私は思っております。思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、要するに、肉牛として出荷をするという方向に向かってまいっておりますから、したがいまして、その流通機構は大体六カ月くらいまでにいたしまして、あと通常の形態として、最近は、先生御承知と思いますけれども、若齢肥育というのがございまして、あと十二カ月くらい育てまして、四百五十キロないし五百キロにして出すというのが、最近の傾向としては非常に多くなりつつあるわけでございます。そういうような関係から、だんだん流通の合理化というものは行なわれつつあるというふうに私は思っております。われわれといたしましても、生産段階にいたしましても共同でやはりやりまして、それをさらに協同組合その他の農村の組合で共同肥育をするというような形に持っていくのが、きわめて単純であって、きわめてまた合理的な形態であるというように思っております。そういう方向に誘導をしますように助成措置を講じてまいっておるわけでございまして、まあ、転々流通をいたすというように、先生のお話にありましたような形態をここで一挙になくしてしまうということは、私はなかなかむずかしいと思うのでございますけれども、やはりその合理的な姿に持っていくという必要は非常に痛切に感じておるわけでございまして、今後できるだけそういうような形で努力をいたしたいというように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/95
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096・田代富士男
○田代富士男君 いま言うように、努力していくとおっしゃいますが、現時点におきまして、いま、消費者を差別すると言えば語弊がありますが、上中下に分けますと、やはり所得の高い人が牛肉を食べて、一般の人は手が届かないように上がってきたと、だから牛肉はぎゅうぎゅう上がって、豚肉はとんとん下がるということを町では言っている人もありますけれども、そこで、このことは需要と供給のバランスの問題になってくると思いますが、いまの日本の現況として牛肉が足りないのは事実なんです。それに対して、現時点でどのような措置を講じていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/96
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097・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先ほど申しましたように、やはり将来の国際的な需給を考えてみましても不足であるというようなことが言われているわけでございますから、国内でこの資源をふやしていくことを最大の課題にしなければならないというように思って、そういうような施策を講じておるわけでございますが、当面必要なものについては輸入をせざを得ないということで、輸入をいたしておるわけでございます。で、輸入をいたしまして、四十一年度には一万トン、四十二年度一万九千トンというような輸入割り当てをいたしておるわけでございます。それで、輸入されました牛肉は、御承知のように、かなり安いわけでございますけれども、国民の牛肉に対する嗜好というものが、従来から特殊の嗜好がございますために、上肉につきましては、輸入されました牛肉の価格というものがそれほど影響を及ぼしておりません。しかし、まあ横ばい状態で推移いたしております。ところが、中肉、並肉につきましては、輸入の影響というものはやはり出ておりまして、価格的に申しますと軟調でございまして、特に並肉につきましては、かなり下がってまいっておるというふうな状態にあるわけでございます。で、輸入肉が一つは冷凍であるということと、それから味が本来の和牛の味とは違いまして、というふうなこともございまして、牛肉が不足であるというわりあいには、輸入いたしましたものがどんどん売れるという状態には、必ずしもないわけでございます。これは、先ほど申し上げましたような、冷凍の解凍する方法でありますとか、やはり味が若干違いますとか、というふうなことが影響してまいっておるわけでございますから、したがいまして、できるだけ輸入肉についても消費が行なわれるような形をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/97
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098・田代富士男
○田代富士男君 いま、牛肉自身の不足に対しましては、国内ではその資源をふやしていく、しかし、資源をふやすといいましても二年半ないし三年かかりますから、これは急に需要を満たすというわけにいかないから、当面の問題として輸入によってまかなうより以外にないという御説明がございましたが、そのようないま措置をとっていらっしゃるけれども、沖繩から肉が輸入されておるわけなんです。これはもう私が言うまでもなく、本土への肉の輸入につきましては、農林省は、ことしは二千三百頭、来年は千五百頭に押えて、昭和四十五年からは全国的にやめるという方針を打ち出された。そうして、このことにつきましては琉球政府も一応は協力する、そのように言われておる。しかし、御承知のとおりに、またいまも説明がなされましたとおりに、牛肉の値段というものは、輸入肉というものは非常に安い。一例で言うならば、百グラム六十円の小売値段でそろばんのとれる牛肉といえば、現在輸入されている外国産の牛肉よりも百グラム当たり十円くらい安い。ほかの輸入牛肉よりも沖繩から輸入した牛肉が十円くらい安い。いま局長が申されました味が違うという問題も、それは大事な問題点になると思いますが、私もこの肉を食べたことがあります。試食をしてみましたが、これは料理の次第によるならば、奥さんの腕次第で、さほど味には変わりがないわけであります。料理がへたであったならば、上肉を食べても肉の味がしない場合がありますが、料理のしかたいかんでは、輸入肉であろうと内地の牛肉であろうと、さほど変わりがないという……。料理学校の先生からも私は意見を聞いてみたのです。それは奥さんの腕前です。やはり、このような輸入肉というものに対しましては、消費者の立場である主婦の立場というものは魅力があります。特に沖繩から入ってくる牛肉は輸入肉よりもまだ安い。まあおもに、これは東京もそうでございますが、関西のスーパーマーケット、そういうところで多量に売られておりますが、非常に好評である。
政府の方針自身も、物価の安定というものを旗がしらに掲げております。佐藤内閣は物価安定のために戦っていきますと、そのように言っておるわけであります。ところが、このように安い肉が入ってくるにもかかわらず、沖繩からの肉牛の輸入は制限をするというような農林省の方針が打ち出されたのです。これは、国内の、いま申すとおりに素牛がまだ少ないために、国内の素牛をどんどんふやしていくならば、資源をふやしていくならば、輸入しなくてもよろしいというならば話がわからないわけはありません。しかし、将来、いずれにしても絶対量の、この肉牛なら肉牛というものは国内においては不足してくる、このような和牛を飼育するのに適した地域というものは、日本では阿蘇山のふもとと北海道の一部と長野県の一部、このように限られた地域に限定されてくるわけなんです。そうすると、いずれにしましても、資源を満たしていくようにいま措置を講じているといいましても、ある一定の限度があるわけなんです。いずれは輸入をして満たしていかなくちゃならない。豪州からもいま輸入をしている。いま木村委員からも質疑がなされましたが、中共からもそのような安い肉牛があったならば輸入すべきじゃなかろうか。いま技術的な問題で云々ということを御答弁なさっていらっしゃいましたが、将来日本だけでまかなわれるならば制限されるということもわかりますが、絶対量が足らないのに、沖繩からのルートだけをこのように制限をするというのは、農林省の当局として当然の措置かわかりませんが、物価安定、消費者に対しましてのサービスの精神からいきまして、この点は私は矛盾するんじゃないかと思うんです。その点に対しまして、農林省当局としてどういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/98
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099・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 御承知のように、沖繩産の牛肉は、南西諸島物資ということで、その輸入は自由であり、また関税はかけないというたてまえをとっております。この特例を認めた趣旨は、歴史的、経済的な理由によって、これらの地域と本土との経済的一体化を促進することにあるというふうに考えております。したがいまして、沖繩で生産されたものが国内へ入ってくることについては、これは今後大いに奨励をすべきであります。また、沖繩の生産を奨励するということも当然であると思っております。ただ、外国のものが沖繩を通りまして、無税であるということを理由にして本土へ自由に入ってくるということは非常に問題がある。いまの現行制度からいたしまして、食肉につきましては二五%の関税をかけるということになっているわけです。それを避けるために沖繩を経由して入ってくるということを認めるということは、現在の制度が根本的にこわれるということでございますから、これはどうも適当ではないというふうに判断いたしておるわけでございます。沖繩で生産をされまして本土へどんどん出荷されるということにつきましては、何らの制限も課するという考えはございません。この点につきましては沖繩と協議をいたしましたけれども、沖繩としましても、そういう方式は妥当でないということで改めたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/99
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100・田代富士男
○田代富士男君 いまの関税の問題で、直接これを日本が外国から輸入する場合は二五%かかるわけなんですが、沖繩が外国から輸入する場合は五%で済む。そして沖繩からの日本への輸出は無税であるために、関税の問題で不都合であると、そういうような農林省のお考えでございます。しかし、ここで諸外国の農産物価格安定政策を調べてみますと、その国の農業生産機構と密接に結びついているので、その関連を考えていかなくちゃならないと思いますが、それぞれの国では、国際分業としての農業が早く確立されていっているわけです。国際分業として農業が。そのように、農産物を輸出しながら、農産物を輸入しているという面で、有利な面が見られている実績も残されているわけなんです。だから、関税の問題たけでそのように引っかかっておりますけれども、しかし、そのように関税関税と言いますけれども、消費者自身は喜んでいることなんです。だから、そのようなことでどれだけの影響があるのか。一年間輸入したその金額にしてどれだけの影響があるか。それよりも、日本の消費者全体がそのように潤う度合いから考えていくならば、私はもっとこれを合法的に考えるべき余地があるんじゃなかろうか。それが純然たる改善であるならばよろしいですが、国内の一部の業者の声を代弁、代表しているような、そういう農林省の当局の言い方というのは、われわれ納得できないと思うんです。国民大衆が喜んでいくようにするか。じゃ、関税二五%の問題は、トータル出しますと一年間どれだけの金額になるか、国民の生活がどれだけ安定するか、そのような考えからいったならば、どちらがプラスでしょうか、局長。局長も大衆の一人でございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/100
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101・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先生のお話もよくわかるわけでございますが、国として制度的に二五%という関税をかけておるわけでございますから、これはそれだけの理由がありまして関税をかけておるわけです。一方で関税をかけないで自由に入れるという余地を残すということは、国の関税制度としてあり得ないと思うわけです。それがたまたま沖繩という特殊地域であるということを理由に、そういうものが入ってくるということは、どうも制度としてはおかしいのではないかということが考えられる。もう一つは、その沖繩が、将来、砂糖でありますとか、肉牛の生産ということで、やはり産業的には重要な位置を占めるものだというように思うわけでございますが、沖繩の生産の振興にならなくて、単に、特定の業者が外国から輸入しましたものが、それがそのまま国内に入ってくるというふうなことは、これはどうも妥当なことではない。本来沖繩の生産振興に役立たないものであり、しかも制度的に一つの抜け道になっておる。それを利用いたしましてどんどん輸入をするという事態は妥当ではない。また、そういう事態がありますので外国資本が入りましてそういうことをやろうというふうな企てがあることも多数承知をいたしておるわけです。そういうことは私たちとして適当でないというように判断をいたしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/101
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102・田代富士男
○田代富士男君 沖繩自身の問題をここで大きく取り上げられましたですが、現時点におきましては、この牛肉の不足ということは、もう需要に足らないということは目に見えて明らかなことです。関税二五%が国のたてまえだからと、そのようにおっしゃるならば、政治資金の規正法案、あれはざる法ではないですか。そういう、もう根本的な問題はざる法になっていて、それが抜け穴があったらたいへんだと、こういうことを言っておったならば、これはもう始まりませんです。だから、これを何とか合法化していくならばいく、そういう道は考えられないか。あくまでも二五%の関税一本で突っぱねていくか。私が言っているのは、二五%のワクでしぼった、そのためのプラスの面とマイナスの面を、沖繩の業者——一部の業者とおっしゃいますけれども、沖繩と畜産体制というものは興隆さしていかなければならぬ。向こうには飼育に必要な、名前は「コウ」何とかいう草があるということを聞いておりますけれども、それはやっていかなくちゃならないし、従来は日本から沖繩に輸出していたわけです。御承知のとおり、十年前までは。しかし、日本から沖繩に輸出ができなくなったという原因は、国内のこのような生産体制に欠陥があったために、反対に逆の輸入をしなくちゃならないというような今日の事態になってきているわけです。だから、いま局長おっしゃるとおりに、外国の一部資本によって独占されたならば、これは日本の国内の畜産業界はたいへんなことになる。そういうことも私はわからないわけではありませんけれども、もっと、これだけ安くできる、そのような肉牛があるわけです。その点、私は、どこの肉牛であろうとも、そのように安くして、そして経済的にもちゃんと成り立っていくだけの生産体制を持っている地域があるわけです。国土が違うと言えばそれまででございますが、そういう点をあわせて考えていかなくちゃならないと思うのです。
まあ、この点につきましては、また次回も、もっと関税の問題から私は質問したいと思いますが、そのように、いま局長が、外国の資本に押されたならばどうすることもできない、まず国内生産体制を確立しなければならないと口すっぱく申されますが、じゃ、国内においてそういう生産体制を確立するためにいろんな制度が設けられておりますけれども、そうかといって熱心にやっているかというと、熱心になされてない面もあるのです。これは小さな問題ですよ、小さな問題ですが、小さな問題を取り上げてもそうだと言うのです。それだけ局長心配されるならば、いま、豚肉の共済制度というものを設けようというような、そういう機運が出ております。養豚経営を安定させるためにこの共済制度を設けていったらどうか、この問題一つにしましても、いま検討の最中だということを聞いておりますけれども、これ一つすらも、ほんとうにそれを真剣に思うならば実現していくのがあたりまえじゃないかと思うのです。一方でこの問題を取り上げますと、これは外国資本に対して国内の生産業者を守っていかなくちゃならないと言われる。それなら、守っていくため、どういう措置をやっているか、それもやっていない。こういうところの不合理な点をわれわれは理解できないわけなんです。そうかといって、大衆はそのような安い牛肉が買えるということを喜んでいるわけなんです。そういう人々が納得するような、そういうような何ら説明がない。四十五年になったらそれを廃止する、こういうようなただ一片の通達とか、そういうものによってなされるというところにいまさっきから言っているように、官僚主義といいますか、大衆不在といいますか、そういう面が残されていると思うわけなんですが、そういう問題から、この共済制度の問題についてはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/102
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103・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 共済制度につきましては、先生御承知のとおり、現在検討をいたしておるわけでございまして、これは直接には経済局のほうでやっておるわけでございますが、ただ、その肉の価格につきましては、御承知のように、まあ必要量は輸入をするというたてまえをとっておるわけでございまして、そういうことで、外国の肉は現実に安く売られておる。安く売られておりますけれども、先生おっしゃるように、日本人というのは大体において牛肉というのはすき焼きに主として利用されておるという形から、必ずしも外国の肉が十分に飛ぶように売れるという状態ではないわけでございます。価格的に申しますとかなり安い価格でありますけれども、現実には、それほど飛ぶようには売れていないという状態でございますから、やはり食べ方の問題も一つあるわけでございます。そういう点も十分指導いたしまして、やはり必要なものはできるだけ外国から輸入をするというふうな形でやるべきであるわけですけれども、その際、輸入としましては、やはり制度というものがあるわけでございますから、その制度のたてまえにのっとりまして輸入が行なわれるということが望ましいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/103
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104・田代富士男
○田代富士男君 それと、いまさっきもちょっと申しましたけれども、現在の状況といたしまして、新しい動きとして、国際分業としての農業のあり方というものを考えなくちゃならない段階に来ておりますし、諸外国の例ではそういう対策がなされているわけなんですが、日本の場合は大いに異なりまして、長く国際農業と競争に立つことがなかったわけなんですが、これはすべての業界に言えますが、貿易自由化の波にやっと立ち入ったというような段階でございますが、こういう点に対しまして、今後どのようにお考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/104
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105・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) まあ、これは農林省全体の非常に大きな問題でございますから、私からお答えするのはどうも適当ではないと私は思っておりますが、ただ私たちの所管をいたしておりますものについて申し上げますと、牛肉等につきましては、国際的に必ずしも将来需給は均衡しない、むしろ不定ぎみであるというふうな状態にあるわけでございますから、これはやはりできるだけ国内でつくるということにしなければならぬのじゃないかというふうに思っております。それから、豚肉、鶏肉等につきましては、これは将来の需要の伸びも相当大きなものがあると考えますけれども、国内で十分必要な生産をあげることができるというふうに考えております。それから、牛乳、乳製品等につきましても、これはやはり将来の国際的需給関係から考えまして、できるだけ国内で生産をすることが望ましいというふうに考えまして、そういうふうな努力をいたしておるわけでございます。しかし、いずれにしましても、国際的に競争ができるような生産構造にする必要があるわけでございまして、したがいまして、そういうふうな方向に極力努力をいたしたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/105
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106・田代富士男
○田代富士男君 この問題も聞きたいと思いましたが、きょうは大臣が御出席になりませんでしたから、局長の部門の問題だけをお聞きしましたが、諸外国の例を見ますと、長期対策としましては、農林全般の問題といたしまして、農業保険あるいは家畜保険あるいは農業資材等のコストの引き下げ等の補助金あるいは低利融資、土地改良、新技術の導入など、農業構造の改善、あるいは価格政策、コスト引き下げの措置、対策と、いろいろ諸外国の例がなされております。私も読んでみましたけれども、こういう大きい農林全体の問題として私お聞きしたいと思っておりましたが、大臣がお見えになっていませんから、局長の部門におきまして、長期対策としてのいま代表的なものを申し上げましたが、諸外国の例も参考にして、こういう点は生かしていきたいというビジョンがありましたならば、最後にお聞かせ願いたいと思います。それで私の質問はきょうは終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/106
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107・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先ほども申し上げましたように、やはり国際競争力をつけていくということが必要であると思います。長期的に見まして、できるだけ畜産物につきましては自給ができるような方向で努力をする、その際、国際競争力のあるような合理的な経営をつくりあげていくということが必要であろうというふうに考えておるわけでございまして、そういう方向で努力もいたしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/107
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108・岡本悟
○理事(岡本悟君) 他に御発言がなければ、本件に関する質疑はこの程度にとどめたいと存じます。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X00719680419/108
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