1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月十五日(水曜日)
午前十時十三分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 大森 久司君
理 事
岡本 悟君
櫻井 志郎君
村田 秀三君
田代富士男君
委 員
木村 睦男君
高橋 衛君
任田 新治君
山本 杉君
木村美智男君
田中寿美子君
中村 英男君
国務大臣
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
政府委員
公正取引委員会
委員長 山田 精一君
経済企画庁国民
生活局長 八塚 陽介君
厚生省環境衛生
局長 松尾 正雄君
農林省農林経済
局長 大和田啓気君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
説明員
行政管理庁行政
監察局監察審議
官 小林 寧君
通商産業省企業
局消費経済課長 谷村 昭一君
通商産業省工業
技術院標準部長 久良知章悟君
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本日の会議に付した案件
○消費者保護基本法案(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/0
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001・大森久司
○委員長(大森久司君) それでは、ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
この際、御報告いたします。
消費者保護基本法案審議のため、来たる五月二十二日午後一時三十分から午後二時三十分までの一時間、内閣総理大臣が本委員会に出席することになっておりますが、本日の理事会において、内閣総理大臣に対する各会派の質疑時間について協議いたしました結果、社会党三十五分、公明党十五分、民社党十分とすることに決定いたしましたので御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/1
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002・大森久司
○委員長(大森久司君) これより、消費者保護基本法案(衆第二一号)(衆議院提出)を議題といたします。
本法案に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。田中君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/2
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003・田中寿美子
○田中寿美子君 初めに、私は、消費者保護基本法案につきまして、ちょっと一言、私自身の感想を言わしていただきたいのですが、今回、この法案は四党の共同提案でございますから、私たち自身も責任のある法案でございます。実は、初め私は、消費者保護基本法というようなものは単なる訓示規定であって、はたして有効に働くかどうかということについて疑問を持っておったわけなんですけれども、この間の宮澤長官のごあいさつのことばの中にもありましたように、これまでの行政が生産中心であり、産業中心であったのが、この法案の提案の過程で行政の上に消費者という意識がのぼってきたということは画期的なことではないかと言われました。実は私も、今度衆議院の提案者が非常に熱心に勉強されて、そうしてこの法案の成案を得られますまでの過程をたどってみますと、やはりそうだなと、同感を感ずるようになりました。ことに、衆議院では非常に詳しくこの法案の討議をしていらっしゃいますので、もう何ですか、参議院で討論する問題が残されていないような感じがいたします。ですから、きょう私も、自分の言うことも何か蛇足になるのではないかというような感じがするのでございますけれども、ただ、最初にこの法案をつくられて、それに対して、実は参議院の側、特に私どもの党のほうから消費者保護に関連した法案をずっと列記して、そうしてそれの改正なり実行なりを確認するということがないとこの法案は無意味だということを申し入れたりしまして、木村美智男委員なんか非常に努力をされて、たくさんの法案があげられ、そうしてその法案の実現なり将来の改正を目がけて消費者保護の立場から努力をしようというその決意が出てきたということは非常に喜ばしいことだと思っているんです。それで、先日も長官が言われましたように、政府提案の法案であったら、なかなか各省の協力が得にくいような場合もあるけれども、議員提案であったために予想外に各省が協力してくれるというような意味のことばがありましたけれども、私もこの法案を勉強さしていただく過程で各省の方々にお会いしまして、非常な熱意と意欲が出ていられるということを知りました。それで、初めに単なる訓示規定で効果がないんではないかと考えていたようなその考え方は私も改めたいと思っております。
で、この熱意をもとにして実効があるようにしていきたいと思うのですが、特に第六条で、「(法制上の措置等)」というところで、「この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行なわなければならない。」とありますが、ここのところをほんとうに責任を持って今後やっていかなければならないんじゃないか。この法律を最大限に生かしていくということで、関係各省の方々も御協力いただきたいし、私たちも努力していかなければならないと思っております。ただ、ここに一つ、長官に、私も持っております不安や、それから私どもがこの法案の最初の原案を得ます前に消費者団体の方々にもお会いしたり、いろいろな意見を聞いたことがございますが、その際にも出されておりました不安の点を申し上げて御意見を伺いたいんですけれども、物価対策特別委員会の審議で消費者保護の問題を取り上げたということは十分意味があることだと私も理解しますけれども、そのために消費者保護基本法の議論に物価対策特別委員会の議論が終始してしまうというようなことがあってはならないんじゃないか。実は、昨日もある消費者団体の方の意見を聞いてみましたけれども、いまだにその不安を持っていて、消費者保護基本法で物価が下がるかというような、非常な簡単な反対論を言われました。私は、そういう点では、十分もっと消費者保護基本法というものの考え方や、それが物価対策とどう関連するのかというようなことの説明もしなければいけないし、周知させなければいけないと思いますけれども、それでもなお、物価対策の基本の問題でありますところの経済政策なり、物価の一番根源にありますような諸問題を、物価等対策特別委員会においては、やはり並行して力を入れてやっていきませんと、消費者保護基本法に関連する法案だけでも非常に多いものですから、それにかかりきっておったら、本来の目的を逸脱していく心配があるんじゃないかという点があるんです。その点、長官はどういうふうにお考えになりますかと
いうことを初めに伺わしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/3
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004・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のとおりであると思います。物価というものは、申し上げるまでもなく、経済のいろいろな要因から生ずるところの一つの現象でございますから、基本的にはいろいろな経済的要因を改めていくことによってはじめて結果を左右することができるであろうと思いますから、基本的にはいろいろな経済政策というものについて御批判というものをいただき、また分析をしなければならないわけであります。法律をつくったから物価がどうなるというわけのものではないと思います。しかし、衆議院の物価問題等に関する特別委員会がこの法律を御提案になるに至りました経緯は、おそらくは、そういう経済的ないろいろな要因というものが、現在ある法令の体系の結果として出てくる部分が相当多い、したがって、そういう経済的要因にメスを入れるためには、その骨組になっているところの法令に手を触れなければ解決しない問題がかなり多い、こういうふうにお考えになりましたので、ただいま御指摘になりました第六条のような規定をお入れになったものであろう、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/4
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005・田中寿美子
○田中寿美子君 いま私が申しましたのは、そういうことではございませんで、その法令についても第六条が設けられたということは非常に私はよかったと思うし、それに関連する各法令を列記してその中から改善すべきものは改善するし、その実効あらしめるための努力をするということは、一消費者保護の立場から非常に重要だと思うのですが、その物価対策特別委員会の審議というものが、消費者保護基本法に関連した法令の問題だけでも非常にたくさんあるわけでありますし、その対策だけでもたいへんなので、それのほうに終始してしまいはしないか。もっと根本的な、物価対策に関しては、いろいろな面があると思う。ですから、消費者保護のほうに物価対策が焦点をすっかり持っていかれはしないかという心配——それは消費者団体の人なんかが持っております。最初から反対の意見を述べた人もそういう観点だったと思うのです。それで、私も心配するのは、消費者保護基本法そのものを生かすための努力というのは、それが非常に必要で、たくさんすることがあるのですが、この物価対策委員会の中で消費者保護基本法関係に大部分の精力をそがれるというようなことでは困る、そういう意味なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/5
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006・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねの意味は私は正しく理解をして申し上げたつもりであります。そのとおりなんでございまして、政府部内にも前々から法律を出したらどうかというような考え方もございました。しかし、法律をつくれば問題が片づくというような考え方、あるいは問題があるたびに法律に逃げ込めばお答えができるというようなことになったのでは実は困るのではないかという気持ちから、実は私ども、当初消極的であったくらいでございますから、まさに田中委員の御指摘のように、問題はやはり経済政策全般というものに批判を向けていただきませんと、物価問題というものは片づかない、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/6
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007・田中寿美子
○田中寿美子君 そういうわけで、非常にいわゆるマクロ的な立場の問題と、それからいまの物価安定推進会議の意見書、四十二年六月に出されておりますように、ここでは、単に物価水準や個々の価格の安定では物価の安定ということは足りないのだ、特に一般消費者の立場からは、生活物資の品質、性能、安全、衛生、量目などの問題が価格に劣らず重要である、という立場でこの意見書を出していらっしゃるわけですね。ですけれども、私は、ちょうどそれと反対に、その物価水準の問題とか、価格の安定の問題とか、そういう問題も、「劣らず」というより、むしろそれが根本的であるというような気がするものですから、消費者保護のほうにのみ重点がいってはいけないのではないかという意味でございます。
それで、企画庁からいただきました資料によって——この資料は「消費者行政の現状」という資料でございますが、これによって、今後の消費者行政のあり方について私も勉強さしていただきました。衆議院で非常にこまかく、各問題についてたいへん詳しく討論されており、勉強されておりますので、むしろ私は勉強さしていただいた程度でございますけれども、全体として今度消費者保護のために力を入れるということになると、これは新しい行政の形が始まっていくわけでございますね。だから、新規の事業というふうに考えてもいいんではないかと私は思うのであります。それで、宮澤長官に、これは総括的にですけれども、各省に関係ありますけれども、総括的に言って、もっと消費者行政を取り扱う予算と人員の拡充ということが必要なんじゃないか、それで、経済の見通しその他をお出しにならなければならない立場にいらっしゃいますので、ことしの総合予算主義をくずすなんということもむずかしいとお答えになるだろうと思いますけれども、ことしさっそく手がけていかなければならないような仕事、それが現在の予算や人員でいいか、あるいはことしが無理ならば来年度には大幅に——各省、各機関が非常にいま意気込んでいるときですから、それの効果があがるように、人員と予算の拡充ということをお考えになられるかどうかということについて、原則的な態度を聞かしていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/7
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008・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 原則的な態度でございますけれども、私は、金を使ったり人をふやしたりするのは概してきらいなほうでございますので、いままででも十分役人はおりますし、十分予算も各省にありますので、その役人なり金の使い方の頭をどういうふうに方向を向けていくかということが問題なのではないだろうか、原則的な態度はそういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/8
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009・田中寿美子
○田中寿美子君 それは、そういうふうにおっしゃらないと、各省が毎年大幅に新しい要求をされては困るとお思いかもしれませんけれども、でも、予算と人員がつきませんと新しい仕事はしにくいんのでございますね。ですから、あんまり一般論的におっしゃっていただかないで、やはり行政管理庁で三年間に五%の人員カットというような原則を出しておりますけれども、それでも仕事のなくなる部門、あるいは整理されていく部門もあるかもしれませんが、それこそ行政の中に新しいアイデアが入ってきたのだというふうに長官も言われたのですから、これはやっぱり積極的な立場をとっていただきたいのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/9
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010・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 田中委員は行政に深い経験がおありになりますので、おっしゃっていらっしゃることも、私は、従来実際そのとおりであると思っております。ですから、なるべく要らない仕事、必要性の少なくなりましたような仕事のための人員、あるいはそのための金といったようなものはなるべく削減をして、こういう新しい仕事に振り向ける必要がある、そういう意味ではその必要は痛感いたしております。決して、こういうことのために人なり金が要るということを否定するものではございません。より必要でないほうからより必要なはうへ重点を動かしていくという、そういう段階にあることは私は確かだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/10
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011・田中寿美子
○田中寿美子君 それじゃ、そういうことで前向きに考えていただきたいと思います。各省の方とお話ししていて、やはり大幅に予算もほしいという意欲は見えていたと思うのです。
次に、消費者行政というもの、これはどういうふうに規定なさいますか。企画庁でお出しになったものその他で見ますと、消費者行政の内容を項目でいったら、消費者保護行政と消費者教育行政と二つ掲げてありますね。この二つでございましょうか。国民生活研究所から出されております「消費者教育の意義と内容」、こういう一連のパンフレットを見ますと、消費者行政の内容というのは消費者保護行政と消費者教育行政、この二つだと出ているのですがね。その二つだけでいいものかしらと私は思うのですけれども、その二つでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/11
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012・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) 消費者行政の概念をどこまでどういうふうに観念するかということは、実はこの行政の歴史が非常に浅いものでございますから、いろいろな考え方があろうかと存じます。たとえば、先ほど先生がお話しになりました物価の問題あるいは流通の問題というようなものは一体消費者行政であるのかないのかというようなことも、もちろんあるわけでございます。一応、行政の便宜上、私ども国民生活局に、たとえば物価政策課であるとか国民生活課であるとか別の課がございますが、消費者行政課でやっておるのが、かなり固有の、と申しますか、狭義の消費者行政であるということで、先生のほうにお出ししました行政の区分をいたしておるわけでございますが、必ずしもこれだけに尽きるということではなかろうかと存じます。いろいろ、その局面に応じて消費者という立場から考えていかなければならない問題は、将来とも、あるいは現在でも、その他にあるかもわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/12
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013・田中寿美子
○田中寿美子君 日本で、消費者行政をたどっていきます場合に、始まりは、どこから考えられるわけですか。企画庁の国民生活局ができたころからを言いましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/13
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014・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) 従来の行政の中にも、現在の消費者行政と称すべきものが、過去、かなり古くからあったと思います。ただいま今後直すべき法令というようなことで例示されておりますようなものは、その意味ではかなり古くからございます。ですから、そういう意味では、いろんなところにたくさん過去においてありましたのはいつからというふうには、なかなか言いにくいかと存じます。それから、少し極端な例になりますが、終戦直後の配給行政なども、ある面で言えば端的な消費者行政ではないかというような見方もあり得るわけでございますが、現在問題になっております消費者保護基本法というものが出てまいりましたような背景から出てまいります消費者行政というものは、やはりそういうものと違った、いわば質的な相違が出てくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/14
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015・田中寿美子
○田中寿美子君 ですから、生産者あるいは産業行政の立場であった行政の中に消費者行政というような名前が独立して出てくるというようになったのは最近のことというふうに考えて、内容としては消費者に関する行政はたくさんあったが、特に消費者行政としてあげる場合に、消費者保護行政、消費者教育の行政と同時に、生活環境整備という行政と、それから消費者の物価対策行政、こういうものは重要な項目じゃないかと思うのですけれども……。日本の場合、特にそうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/15
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016・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) 確かに、先ほど申し上げましたように、どこで線を引くかということは、なかなか困難だろうと思います。消費者と、あるいは国民という概念も必ずしも同じではございませんし、環境の整備というのは、いわば、ものを購買したり消費するという面とは若干違ったところに問題点があるわけでございますが、もちろんそれを入れて考えてはいけないということではないと思います。先ほどもちょっと申し上げましたが、狭義の意味は、どちらかというと、消費物資の取引という点にやや重点を置いて考えておるわけでございますが、繰り返すまでもなく、いろいろな問題、その他の国民生活上重要な問題は、たくさん、その周辺と申しますか、別のところにあり得るわけだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/16
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017・田中寿美子
○田中寿美子君 要するに、ここで取り扱われる消費者行政ということの内容は、消費者の保護の行政と消費者を教育し組織化するという行政だというふうに限って考えるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/17
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018・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) 行政を進めていきます場合の便宜として、そういうふうに一応限定をしたほうが便利ではなかろうか、ただ、それ以外のものを忘れてしまっていいということでは毛頭ないというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/18
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019・田中寿美子
○田中寿美子君 ですから、生活環境を整備するということや、それから消費者物価対策の問題——生活環境のほうは別ですけれども、消費者物価対策というのは、この物価対策特別委員会の重要なもう一つの柱であるということで、私は、いま消費者行政で、いま言われた二つのところに限って考えるというふうに理解したいと思いますけれども……。
そこで、消費者教育ということですね、それの内容をちょっと御説明いただきたいのですが、「自主性を持つた賢い消費者を育てること」というふうに、これにはあるのですね。それは具体的にどういうふうに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/19
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020・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) この法律が成立いたしまして、私どもがこれにのっとりまして今後行政を進めていく場合、この条文をどういうふうに解釈して実施に移していくかということでございますが、消費者の保護をうまくやっていくためには、もちろん、国あるいは地方公共団体、特に企業、事業者の方の心がまえなり自主性がなければならないわけでございますが、一面、消費者自身の方がそれなりに知識を持ち、いわば妥当な価値判断をし、そうして事があれば十分にものを言っていくということがバランスがとれていなければ、実際問題として、単に受け身で、保護という制度がかりに完備されましても——完備されましてもというよりも、完備自体がやはりうまくいかないのではないか、そういう意味で、やはり消費者の方に十分な知識なり、あるいは知識の上で消費者としての立場から対外的にいろいろ行動を起こしていくというようなことが必要であろう。そういう意味におきまして消費者教育というものは今後進められねばならないのではないかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/20
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021・田中寿美子
○田中寿美子君 つまり、消費者が商品やサービスについて合理的な価値判断ができるようにする。選択能力もつける。それから消費生活を向上させるためにそれを上手に使っていく、いまの知識を。そういうことだと思うのですがね、消費者教育というのは。その消費者教育の理論体系として生活経営学というものを考えているということをどっかで読んだんですが、生活経営学というのは一体どういうもので、どのように体系づけられようとしているのか。実は私は、家族論とか家庭論とかというのを研究している者ですけれども、家政学というものが科学であるかどうかというような問題はいつでも迷う問題ですけれども、生活経営学という新しいことばを出していらっしゃるもんですから、興味があるので、少し教えていただきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/21
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022・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) この点は、実は、正直に申し上げまして、田中先生にお教えするというような能力は私どもないわけでございますが、ごく一般的に申しまして、従来の家政学なり、そういう関連する学問——ただいま、学問であるかないかというようなことがずいぶん問題に過去においてもなったというお話がございましたが、いずれにしましても、そういう教育の体系というものが、何となしに、現在のような大量消費で目まぐるしく変転いたします経済情勢の中で、まあ食い足りないと申しますか、それだけではやや不十分ではないだろうかというのが、一般的に私どもの役所のほうにもあったわけでございます。ただ、いやしくも学問——学という名前がついておるものがつくられなければならないということでございますから、何がしか、こちらのほうであらかじめワクがあって、そうして、こういうふうなものをつくるべきだという積極的なものではなくて、現在の家政学なり何なりだけでは足りない面があるのではないか、そういう意味で、まあ関係の学識経験者の方に、国民生活研究所を中心にしましてお集まりいただいて御検討をしていただいておるわけでございます。ですから、必ずしも一定のワクの中で、あるいは何か、八月なら八月にでき上がったらそれで終わりだというようなものではなくて、経済情勢に合わせて、あるいは国民生活の進展に合わせて今後とも検討を深めていかなければならないという問題であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/22
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023・田中寿美子
○田中寿美子君 これは、国民生活審議会の答申の中でこのことばが出てきたんですね。それで、それが将来の消費者行政と消費者教育の基礎理論になるという考え方なんでありますが、いままでにどういうようなことが——幾らか体系づけられてきているのか、そこをお聞かせいただきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/23
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024・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) 私どもの期待は——現在の消費者行政は、先ほども申し上げましたように、比較的歴史も浅くて、それからどこからどこまでということにつきましても、やや行政の便宜的な区分をいたして進めているというような現状でございますから、やはり体系がほしいわけでございます。そういう意味で、生活経営学というような名前で研究を深めていくということになっているわけでございますが、現在の段階では、まだワク組みと申しますか、形をなしておりません。ただ、研究調査ということから言いますならば、およそ生活経営に関係のありそうな従来の家政学であるとか、あるいは企業の面からの経営学であるとか、経済学であるとか、そういう問題を一応レビューと申しますか再検討いたしまして、そしてそれの中から、それぞれの学問分野といわゆる生活経営学との関係というようなことを勉強してもらったり、あるいはもう少し具体的な面では、消費者経済論とか、あるいは商品論とか、一方、生活設計についてもいろいろな学問があるわけでございますが、そういう問題であるとか、消費者の心理の問題であるとか、現在多方面に、そういう関係の方にお集まりいただいて御研究をお願いしておるということで、まだ、具体的にここまでまいりましたという中間報告的な意味のワク組みというものはできておりません。ただ、私どもいま期待いたしておりますのは、六月の末ぐらいには、従来のそういう勉強を一応整理していただきまして、ワク組みと言いますか、骨格をつくっていただいて中間報告を願えたらというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/24
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025・田中寿美子
○田中寿美子君 成蹊大学の野田信夫先生が委員長かなにかでいらっしゃると思うのですが、おもなメンバーはどんな方々でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/25
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026・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) いまお話になりました、主査といたしましては成践大学の学長の野田信夫先生でございますが、そのほかに、青木茂、愛知教育大学の先生。それから青山三千子。それから伊藤善市、これは東京女子大の経済学の先生であります。それから成城大学の石川先生。それから早稲田大学の宇野政雄先生。それから北海道大学の籠山京先生。それから東京家政学院の三東先生。それから学習院大学の田島先生。慶応大学の千種先生。それから神戸商大の水野先生。それから日本女子大の宮崎先生ということで、大体、経営学、家政学、それから経済学、社会学の先生方にお集まりをいただいているようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/26
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027・田中寿美子
○田中寿美子君 ここで生活経営学という理論体系を、もしつくられたら、これは家政学なり家庭学なりをいま学問づけようと、方々でみな努力しておりますから、一つの貢献になると思うのでございます。そういうような理論的な研究分野もけっこうだと思うのですが、それはまた相当の期間かかるものだろうと思うのですけれども、次々発表されることがあると思いますので、私もそれを期待しております。
そこで、行政の面に入りまして、ここに国民の意見の反映という項目があって、その中で、審議会とモニターの制度と……。消費者団体の人々の意見でいつも出てくることは、各種の審議会には消費者の代表が出なさ過ぎるという問題なんですね。この中で、国民生活審議会には消費者団体がみんな出てらっしゃる。そのほかの、ここにあげられております審議会の中はどんな状況でしょうか、消費者の代表の出ております状況は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/27
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028・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) 消費者保護に関連いたします審議会というものも、先ほど来から申し上げておりますように、必ずしも消費者保護という観点から全部の審議会が——元来成り立ちがそういうようになっていない場合もございます。たとえば、比較的関係の深いというようなことで、いまお話がございました国民生活審議会、栄養審議会、農林物資規格調査会、家庭用品品質表示審議会等々あるわけでございますが、いずれも、確かにお話しになりましたように、若干ずつは消費者代表の方が入っておられる場合があるわけでございますが、数から言えば、そういう消費者団体の御意見ももっともであるがと考えられるその程度の数しか入っていないと存じます。ただ、従来こういう審議会の実際の運営は、必ずしも一方的に多数決でどうこうということではなくて大体運営されておりますし、そういう意味において、数が少ないからということで、必ずしも消費者の意向というものが代表されていないとも言えないと思います。一方、その他のいわゆる消費者代表という肩書きでない学識経験者の方も、それなりに、いわば消費者と申しますか、一般使用者の気持ちも十分わかっての御論議があるわけでございますから、現在まで必ずしも不十分であったかどうかというのは、具体的にその場合その場合でないと、一がいに言えないと存じます。今後とも、各省のそれぞれの審議会等においては、こういう基本法も出ます場合には、さらに一そうそういう点については配慮がなされるというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/28
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029・田中寿美子
○田中寿美子君 それぞれに関連する法案なんかでも、全部いままでは消費者の立場からつくられておらなかったものですから、審議会がそうであったのもまあ当然だったと思いますが、これからやっぱり審議会も、消費者の立場というのをいつも頭に入れて構成されるように将来は変えていかなきゃならないものじゃないかと思うのですが、それはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/29
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030・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) ちょっと私も、具体的にどの審議会がどの程度そういう点で問題があるかということについては、一つ一つについて、あまりここで確かではございませんけれども、確かに先生お話しになりますような方向で審議会を構成していただくように私どものほうからもまた各省に対して申し上げたいと存じております。繰り返すようでございますが、この法律の問題につきましては、各省とも、かなりの程度に理解を理解と申しますか、十分に趣旨を存じておると思いますので、各省とも当然にそういう方向について考慮されるということは十分言えるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/30
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031・田中寿美子
○田中寿美子君 今後そういう方向でやっていただきたいと思うのです。
それで、モニターですね。これは、各省関係で合計して、ある程度の数あるわけですけれども、これの窓口ですね、それがみんなにわかるようにやっていないのじゃないかという気がするのですが、どうでしょう。結局、消費者行政を推進していくというのには、非常に大ぜいの対象者である消費者に、監視員あるいはモニターがわからなければならない。あるいはわかりにくいほうがいいという印象のものもありましたけれども、どうでしょうか、これ。これは苦情処理の問題に関連してくるんですが、窓口はどういうふうに周知させるようになっているのか。全体としてですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/31
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032・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) モニターの制度自体については、各省それぞれの目的に対応したいわば制度として、従来かなりな程度にばらばらであるということになっておるわけでございますが、そういう問題については、別にモニターについての調整と申しますか、整理というようなものは検討をいたさねばならないと思いますけれども、おことばを返すようでございますが、モニターとして委嘱された方は、これは大体自分がどこにつながっているかということはおわかりだと思います。むしろ問題は、そういう制度的なモニターというようなものではなくて、一般にそういう意見を言いたい、あるいは苦情があるという場合に、行政の窓口としてどこで受け付けるのだろうという問題だろうと思います。その点につきましては、やはり、この法案にもございますけれども、国民の方の一番身近なところがまずそういう窓口を開くというのが適切ではないか。実際問題としまして、末端のほうでそういう問題を受け付けましても、その処理ということになりますと、やはりこれは、たとえば市町村で受け付けても県庁でやらなければならない、あるいは本省でないとだめだという問題がございます。そういう意味におきましては、少なくとも行政内部では、そういうことについてどっかで受け付けたはいいが、どっかで消えてしまった。あるいは受け付けたときの、何といいますか、非常に切実な問題がだんだん一般論になってふわっとしてしまうというようなことのないような、行政の内部の連絡と申しますか、フィードバックを十分にやるということを今後とも整えていかなければならないと思います。しかし、ただ、したがって必ず市町村、府県あるいは国ということ以外はもう受け付けないのだということでは、実際問題として、はなはだ不十分な場合が多いと思いますので、現在も、たとえば通産省等では苦情処理という看板を掲げておりますが、そういう点について関係各省も配慮してもらうということは必要であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/32
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033・田中寿美子
○田中寿美子君 経企庁の仕事というのは、そういう各省庁間にありますところのモニターだとか、審議会とか、監視員だとか、苦情処理機関、一そういうものの調整をとられるわけなんでしょう。ですから、窓口の問題なんかも、できるだけ消費者が簡単に苦情処理を持っていけるような、中にはモニターというのはわかっては困るのだという説もあるのですが、同時に、モニターが苦情処理を兼ねるということもあり得るのです。簡単に持ち込めて、そこから先、それぞれ所管のところに振り分けるという仕事、これをするのはそれぞれ受け取ったものがすると思うのですが、その辺、各省に関係しているものですから、そういうことについての統一した連絡と申しますか、調整と申しますか、そういうことは経企庁がなさるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/33
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034・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) 具体的に、たとえば消費者の方の苦情というのも、きわめて、何と申しますか、多岐にわたっておりますから、私ども、やはり原則として、関係各省がそれぞれの立場で十分窓口を開いて親切に対応していただくということで、いたずらに企画庁だけに統一してしまうということは適切でないと思いますが、反面、お話にありますように、多方面にわたっておるために、いわば行政の熟度と申しますか、少し平たいことばで言えば親切さというものにもいろいろあろうと思います。それからまあ内部的な問題等もありまして、十分こなし得ないような問題もかかえて、そのまま担当者がうろうろしておるというようなこともあり得ると思います。その他いろいろ問題がございますので、私どもといたしましては、やはり絶えず関係各省と密接な連絡をとりまして、そして調整をはかっていく、場合によっては、やや積極的に、消費者の立場でハッパをかけていくというようなことで、そういうそしりができるだけないようにつとめたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/34
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035・田中寿美子
○田中寿美子君 いまおっしゃったように、消費者に関係する部面が非常に多岐にわたっているわけなんですが、監視機構ですが、この監視の業務は、たとえば危害の防止に関しては厚生省、通産省、適正な計量の確保に関しては通産、適正な規格の確保に関しては農林、通産、適正な表示の確保に関しては通産、適正な基準の確保に関しては通産、厚生、不当景品不当表示の防止に関しては公取、大蔵、それから公正自由な競争の確保に関しては公取というふうに、方々にわたっているわけなんですね。これに対して、将来何か一つの統一的な指導というか、そういう計画をしないでいいかどうか。それぞれ、てんでんばらばらにしておいていいものかどうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/35
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036・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) たとえば、あることについては通産省、あることについては農林省というふうに分かれておって、しかも、消費者のほうから見れば、その通産省なり農林省に分かれておること自体が、あまりどういう意味があるのかよくわからない、ただ不便なだけであるというような問題はやはりあろうかと存じます。ただ、かりにそういう消費者の方の苦情なりあるいは要望なりを適切に処理をいたそうといたしますと、やはりそれは、それをつくっておる、あるいはそれを扱っておる業界を所管しておるところが最終的にうまくこなし得るのではないだろうか。そういう意味におきまして、機械的にそういうものを統一してしまうということはなかなか考えにくいのではないかと思いますが、ただ、そういうふうな消費者のいわば生活体験からくる問題を、一応行政の窓口で振り分けてやっていくという方向では、これはもう先ほども申し上げましたが、現在の段階では不十分な点が多いだろうと思います。消費者の方に、これは通産省の物資であり、これは農林省の物資であるということを一々わかってほしいということは、これは最終的に無理だろうというふうに存じますから、受け付けるというところはなるべく統一する。そして振り分けはやはり関係各省に振り分けて適切に処理してもらうという方向ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/36
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037・田中寿美子
○田中寿美子君 それはもちろんそうだと思いますけれども、各省の持っている監視業務について連絡し、あるいは統一をとっていくということですね、それは、今度の機会に進められるべきじゃないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/37
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038・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) 従来も、消費者行政に関連いたしましては、大体各省の官房長クラスで、企画庁が庶務をやりまして、連絡調整をはかっておるのでございますが、端的に言いますと、一年にそうしょっちゅうやっているということではございません。問題があれば、そこでやるというようなことであったわけでございます。私どもといたしましては、できるだけ問題をたくさん消費者のほうからの意向を反映して提起して、そしてそういう機関の活用をはかっていく。もう少し重要な問題の決定等につきましては、今度は、この法律が成立いたしますと、消費者保護会議というようなものも設けられるわけでございますから、私ども事務方といたしましては、そういう機関を十分に使って、絶えず問題を提起しては方向をきめていくということに運営してまいりたいと思います。そういう、消費者行政連絡協議会とか、あるいは保護会議というような、いわば形を持った連絡調整以外に、私どもは、しょっちゅう気をつけて、関係各省といろいろ打ち合わせをしたり申し入れたりするという活動、つまり、日常の私どもの消費者行政の活動をさらに活発にいたしまして、そういう点について進めていくということも、これは必要であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/38
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039・田中寿美子
○田中寿美子君 そういうことを相当強力にやっていっていただきたいと思うのです。
次に、商品テストのことですけれども、これは、いま日本消費者協会でテストをさせていらっしゃる。日本消費者協会には補助金を出しているわけですね。これは通産省から出ていると思うのですけれども、いま、通産省、農林省などのテストもぜひ拡大したいという気持ちを皆さん持っていらっしゃる。これも私は予算に関係してくると思います。政府のやるのは鑑別テストで、そうして民間の団体のやるのは比較テスト、こういうことですか。そうして、これは両方とも必要なテストだろうと思うのですけれども、政府機関では比較テストということはやりにくいですね。両方あわせた大きなテストの機関というのはやはり必要だと思うのですけれども、いまそれぞれの省の関係した業務に関連したもののテストをそれぞれやっていられたり、それからいまの民間の日本消費者協会に委託すると、日本消費者協会はまたどこかに委託するわけでしょう、専門機関に。ですから、私、やっぱり商品テストの総合的な大きな機関というようなものが将来ほしいと思うのですが、それはいかがですか。これは、長官、どうですか、お金はたくさん要ると思うのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/39
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040・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) 大体の物資は、通産、農林の物資が日常国民生活に使われるわけでございます。それにいたしましても、たとえば通産物資にいたしましても、繊維あり、機械、電機ありということで、一応現在の段階では、まあこの程度の品物ということであっても、どんどん現在のような技術革新の時代には新しい商品が出てまいるわけであります。そういう意味におきまして、統一的に一つの商品のテストをやるところを設けるのがいいか、あるいはそれぞれの専門のところへうまくお願いするという形で進めていくのがいいかは、今後の研究課題にいたしたいと思います。いずれにいたしましても、消費者の方に対する政府のやり得る一つの行政としては、商品テストというのは、まあ適切と申しますか、望まれている仕事の一つであろうと思います。そういう点について、なお充実をはかっていくということは、これは必要であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/40
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041・田中寿美子
○田中寿美子君 そのテストの機関を、本格的に総合的なものを設けるということになりますと、たいへんばく大な費用が要ると思うのですね。それから技術者も要ることですから、急にはできないと思うのです。現在の通産、農林、あるいは厚生省なんかの持っている機関でやるのは、私はそれはけっこうだと思います。しかし、それでもまだテスト網は十分ではないということだと思うのですね。だから、これも予算面では大いに考えなければならない項目だということを私申し上げたわけであります。
それで、まあ外国の例を考えますと、消費者運動そのものが非常に発達をしてきて、消費者運動の発達の過程でだんだん権威のある検査機関みたいなものができて、そこへ持っていって検査してもらって、マークを取らなければ人が信用しないというふうになっているところが相当ありますね。たとえば、イギリスのBSIですね。日本で消費者運動が発達しなかった理由というのは一体どこにあるというふうにお考えでしょうか、長官にお伺いいたしたい。非常におくれていると思うんですね。ですから、政府のほうが先行していくわけですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/41
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042・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) おそらくは、いままで生活に十分な物資というものをかつて国民に与えられたことがなかった。したがって、あれば、むしろそれで満足だというような状態がずっと続いておりましたから、ここへきてはじめて、よりよいものをより安くという需給関係が、それを意識できる程度に進んできた、また所得の面でも、そういう選択ができ得るような程度に所得水準が初めてその点まで上昇してきた。そういうことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/42
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043・田中寿美子
○田中寿美子君 だけど、たとえばイギリスなんか、消費協同組合の運動というのは非常に早くから発達したわけですね。あれはむしろ労働党の基盤になっているのですけれども、生活の苦しいところから起こってるんですね。収入の低い者がみずから自分の生活を防衛しようとする運動として発展してきているので、その点では、あるいは日本ではそういう意識が不十分だった、みずから自分で防衛するという、生活を防衛しようとかいう機運が少なかったのかもしれないと思いますし、また一面から言いますと、非常に小売り商が発達してしまっているから、いまになってなかなか生活協同組合運動なんというのは発展しにくいと思うんですね。そういうことがあると思うんですが、この生協なんかと違ったいまの消費者運動、つまり、品質や量目や、そういうものをよりよいものにしたいという、あるいは不良なものを、あるいは危険なものを防止したいという、そういう運動としての運動も、やっぱりおくれていく、その面はいま長官のおっしゃったような理由なんじゃないかと私は思うのですけれども。
そこで、今度は、消費者保護基本法の中に、消費者の組織とか消費者運動を奨励することになっているわけですね。それでその際ですけれども、私は、たとえばイギリスのBSIと、アメリカの消費者協会運動ですか、そういうのを考えますと、民間から起こった運動が非常に強くなっていくことのほうがむしろ好ましいので、政府が指導するということについては非常に心配な面もあるわけです。その辺のかね合いを、消費者運動を促進するという場合に、非常に考えなければならないと思うんですが、リーダーを養成するとか、いろいろなことが考えられているわけなんですけれども、大体どんなようなことで、この運動をどういうふうに起こしていこうというふうに考えていられるのでしょうか。どこが主体になっているかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/43
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044・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) 私どもとしては、消費者組織というものを何がしか政府が音頭をとって、そうしてワク組みをつくって進めていくというふうには考えておりません。先ほどもお話がございましたが、現在の消費者の組織といいましても、生活協同組合であるとか、あるいはそういう協同組合でないいろいろな団体がございますが、それは、いずれもそれぞれの局面に応じて、あるいは問題意識に応じて出ておるものでございまして、それはそれなりに自主的にやはり活動をしていただく。ただ、政府といたしましては、そういう組織の強化のために、自主的に団体がお考えになった場合に、できるだけ知識を供給するとか、あるいはそういう適当な、たとえば、講習会を自分たちでやりたいが、どういう人がいいだろうというような場合のサジェストをするとか、そういう面で、側面からできるだけの応援をしていくというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/44
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045・田中寿美子
○田中寿美子君 私、消費者運動が自主的に、この際、消費者保護基本法ができるときですから、いろいろ宣伝教育活動や、それから出版物、あるいはいろいろの情報活動、そういうことで大きくなってほしいとほんとうに思っているわけですけれども、補助金の問題は、これはどうですか。いま、日本消費者協会だけですね、補助金もらっているのは。今後、そういう運動に対して補助金を出そうと思っていられるんでしょうか。それとも、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/45
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046・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) 消費者協会は、通産省なり、あるいは私ども農林省等がそれぞれ補助金を出しておるわけでございますが、お話がありましたように、たとえばテストをやっていくとか、あるいはリーダー等の講習をやって人材を養成していくというような活動でございますから、これは直に市民の方が組織されておる消費者組織ではないのではないか。そういう意味においては、私ども、やはり今後とも消費者協会の充実をはかっていく必要があると思うんですが、逆に、市民の自主的な組織である消費者組織については、国が補助金を出してどうこうということはちょっと考えられないのではないかというふうに考えております。ただ、適当な団体等に、その消費者の組織に、適当なテーマ等がありまして、調査を委託するとか、そういうことはあり得ると思いますが、いわゆる補助金を出して、何か組織を突っかい棒をしていく、そういうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/46
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047・田中寿美子
○田中寿美子君 これ、イギリスの例ですけれどね、BSIのマークの運動、あれは非常に早くできたわけですね、イギリスのBSIというのは。そうして、政府の補助金ももらってはいるんです。だけれども、非常に自主性の強い団体で、全然政府の干渉だとか政府の権威に動かされるということがない。まあ民間の運動として非常に強力に発達しているんですね。それで、ちょうど私が——一九五九年でしたけれども、ですからもう十年近く前ですが、ちょうどロンドンに私がおりましたときに、BSIに関する婦人の集会があったんです。これは民間から建設的な提案を工業界にする、そういうことが非常に大きな仕事になっていました。それぞれの消費者が、自分自身がいろんなテストをする。まあテストをする機関もりっぱにできているわけです、BSIの。そこへ持っていってテストしてきてもいいし、それから自分が生活上危険だと思うもの、たとえば可燃性のものですね。私が見たのは、そのとき、ナイトガウンだったんですが、そういうものをみんな持ち寄って、そして、これは衛生上悪い、それからサイズの問題にしましても、国際的な規格でないと困るのではないか、だから、アメリカに行ったら通用しない、英国だけで通用するサイズじゃ困る、というような問題があったり、それから敷布なんか、子供たちがだんだん成長して大きくなる。そうすると、長さがいままでのような敷布では困るのだ、そういうものを直してほしいとか、あるいは電気のコンセントの差し込みの型が違うために、家を引っ越したら合わなくなったとかいうような、日常生活から出てくるいろんな苦情、あるいは危険を感ずるもの、そういうものをみんな持ち寄ってみたり、それからテストしてもらいたいと思うものを持ってきて、そしてみんなフリートーキングでみんなから意見を出して、そしてそれを参考にしたり、それからBSIのマークがついたものでなかったら英国の人は信用しないというまでの権威になってると思うのですね。しかし、これは完全に民間の運動で、そして政府はやはり補助しているのですね。政府自身がほんとうはやらなければならないテストの問題等一ぱいありますから、当然出すべきものだという考え方で出している。しかし、実際の経費というのは、そこから出す情報のための出版物やなんかでほとんどまかない得るのですね。非常にたくさんのスタッフを使って非常に権威あるものになっている。そういうような運動に発展していくことがまた望ましいと思ってるわけです。ですから、今度のこの法案をきっかけに、この法案を活用しながら、私は、消費者が自主的な運動を発展さしていく、その場合に、政府がやらなければならないことを民間に委託するというような意味では、適当な補助金を出していいんではないかと考えます、自主性をそこなわない意味で。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/47
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048・八塚陽介
○政府委員(八塚陽介君) いまお話しになりましたブリティッシュ・スタンダーズ・インスティチューションというのは、確かにそういう消費者自体の自主的な活動と、そしてそういう標準化運動というものが非常にじょうずに結びついて成立した組織だと思います。ただ、同じような構想をすぐ日本の現在の段階に移せるかというと、なかなか問題があろうかと思います。西独等においてもやや似たような構想を持ったようでございますが、なかなかうまくいかないというようなことで、やはり国々の段階に応じた組織が今後とも検討されなければならないだろうと思いますが、しかし、確かに一つのすぐれた、十分検討すべきモデルだというふうに考えます。その場合になって、金を出してもいいんじゃないかというお話ですが、まあその場合は、また一つそのときの、つまり国が金を出すことによって自主性をそこなわないというようなこと、あるいは金を出すことが十分に有効であるというようなことを、そのときになって判断をいたしたいと思います。いずれにいたしましても、非常に勉強すべき組織であるというようには考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/48
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049・田中寿美子
○田中寿美子君 経企庁の関係はもうそれだけでございますから、長官もし御用がございましたらどうぞ……。
時間が早く終わるということですから、それじゃ次に、厚生省関係のことでお伺いいたします。
何回か衆議院のほうでも問題になっておりますことですけれども、もうほとんど衆議院で討論されたことですから、参議院では、そこで出された問題の中から、ぜひこれだけはというようなことをみんなで確認し合っていこうではありませんかという考え方に立ってるわけなんで、私どもも共同責任ですから、別に攻め立てる立場でも何でもないわけなんです。
それで、食品衛生法の目的のところで、法の目的のところを改正すべきではないかという意見が出ておりますね。公衆衛生危害の防止という観点からだけじゃなくて、健康の維持という考え方と矛盾しないのだから、消費者の立場もここに一つ入れる、消費者の保護という意味を含めるような法の改正が必要ではないかというような意見が出されておりますね。この点はいかがでしょうか。そうすべきだとお考えになっていただいているか。そうしてこれからこの方向に向かって努力していっていただけるかどうか。私たちもそう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/49
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050・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) ただいまの食品衛生法の第一条の目的といたしまして、飲食に起因します衛生上の危害の防止ということをうたっておるわけでございます。しかしながら、食品という問題につきましては、単に危害の発生防止というだけで足りるかどうかということになりますと、要するに、害でなければいいではないかというものよりも、さらに積極的に、品質といいますか、そういう食品の質自体も確保されるということが必要である、さように考えてまいりますと、この第一条の表現というものは非常に狭過ぎると私たちも感じておるわけでございます。ぜひこの点は、あとのいろいろな食品衛生法の改正問題のスタートといたしまして、ぜひ改ためてまいりたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/50
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051・田中寿美子
○田中寿美子君 その点では私どももそう考えておりますので、これを改正していって、もっと幅広く、国民の健康とか栄養の見地から食品の製造販売に対する規制がどういうふうになったらいいかということを考えていきたいと思うのですが、そこで、最初に企画庁長官にも申し上げたのですが、全体として新しい行政が入ってくるわけなんだから、予算の拡充が必要じゃないかということなんですね。それで、厚生省関係の食品衛生その他消費者の保護に関連して、予算と人員の拡充の必要があるのじゃないかと私は思っているのですけれども、これは各省にお聞きしたいと思っているのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/51
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052・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 私ども、食品衛生の面におきましては最も整備をしてまいりたいと思っておりますのが、監視体制あるいは監視員、そういうものの整備充実ということを十分はかってまいりたい。現在のように非常に多数の食品ができ、また許可を受けました営業だけでも百二十八万というくらいな数になっている。こういうものに的確な指導監視というものが行なわれますためには、やはり現在の監視というものでは不十分である。そういった面をむしろ重点的に拡大していくべきじゃないかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/52
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053・田中寿美子
○田中寿美子君 ちょっと失礼しました。もっと大幅に増額してほしいとおっしゃったのかどうか、最後のところを聞き落としました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/53
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054・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 多々ますます弁ずるのではございますけれども、ことに監視体制という方向におきましての充実をはかるような努力をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/54
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055・田中寿美子
○田中寿美子君 長官、よく聞いておいていただきたいのですけれども……。急ぎますから、ただ幾つかのポイントだけ申します。
輸入食品の監視の問題、これも議論されてきたわけですが、これ、現在十九人しかいないですね。これではとても足りないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/55
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056・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘のとおりでございまして、ことしようやく一名羽田の増員ができたという状況でございまして、輸入食品が非常に増加をいたしまして、また、飛行機による生鮮食料品も入っています。これはきわめてスピーディに検査をしてパスをしなければ輸入目的が達成されないというものもございます。ぜひ、輸入検査員の充実は、重点の中の重点として努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/56
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057・田中寿美子
○田中寿美子君 このごろ、とっても輸入食品が多いですね。私どももいや応なしに買わされているわけなんですけれども、一体、輸入食品の監視、必ずしも、もうほんとうによくやられても、とてもやれない状況にあると思うのです。その一番ネックはどこにございますか。法制上のことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/57
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058・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 一つの点は、やはり人員の不足という問題があろうかと存じます。ただいま、食品を輸入いたしましたときには、輸入したということについて届け出をさせるという制度になっておりますが、しかしながら、これは、かりに検査関係の充実をいたしましても、すべて漏れなくというわけにはなかなかまいらないかと思います。したがいまして、こういう輸入をいたしますときの届け出なり、そういったものにつきましても、相手国のほうのいろいろな証明とか、そういったものがはっきりしてまいりますれば、その制度なり向こうの国の状態なりというものをよく認識しておきますことで、かなり確率の高いパスをさせてもいいんじゃないか、そういうような点では、なお制度自体の中にも検討すべき点があると私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/58
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059・田中寿美子
○田中寿美子君 その届け出の制度ですね。これは、届け出をしなくてもいいわけなんですね。ですから、まず許可制にしなければならないというような考え方はないですか。輸入の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/59
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060・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 食品衛生法では、輸入をいたしましたときには届け出なければならないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/60
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061・田中寿美子
○田中寿美子君 それから残留農薬物に関してみんな非常な不安を持っているんです。おたくの係官のお話を聞きますと、そのほか添加物ですけれども、そんなに、それほど心配する状況ではないというような御説明なんですね。ほんとうにそうであれば、もっとそのPRをしてほしいし、私たちも、はたしてほんとうにそうなのかどうか、いろんな消費者団体の話なんかには非常にそれがたくさん出ているわけなんです。それでみんな恐怖にかられているわけなんですけれども、真相はどうなんでしょう。事例はいろいろたくさん衆議院でもあげられておりますし、いまあげようと思えばあげられますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/61
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062・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 第一点の残留農薬の点につきましては、ほかの国に比べれば多少おくれたというきらいがございましたけれども、三十九年からずっと調査を続けてまいりまして、その実態調査がようやくまとまりましたものを、四品目、リンゴとかブドウ、キュウリ、トマト、まあいわば、残留いたします農薬の危険性が高くて、しかもなまのまま皮ごと食べるというような危険性の高いものから選んだわけでございまして、それにつきまして、鉛、砒素、ガンマBHC、DDT、パラチオン、この五つの農薬につきましては許容限度をきめまして、また農林省のほうではそれに合格できるような農薬の散布基準というものを共同でつくっていただきまして、そういうことによりまして、今後はそれを越えないというような基準を設定いたしました。やはりこの基準は、外国の、アメリカあたりでもいろいろとっておりますので、それをそのままとったらいいじゃないかというような御意見もあったわけでございます。やはり、実際いろいろ調べてみますと、日本の今度の基準のほうが世界に比べてきわめてきびしいといいますか、実態から言えばその程度で確保できるというような非常なきびしい基準になっておりますおけでございます。やはり国際的にも、食品の食べ方なり、あるいは農業のやり方なり違っておりますので、他国のものを参考にしながらも、逐次こういうものをやはり国内的な調査に基づいてきめてまいりたい。大体私どもの計画では、四十五ほどの食品を四十六年までにすべて調査をいたしまして、約三十五程度の農薬を予定しておりますけれども、そういうものについての残留量というものを決定してまいりたいと思っております。ただ、それがきわめてきめにくいことも心配ではないかということでございますけれども、いままでこの四品目につきまして調べましたところでは、それを非常に上回るような危険な実態というのはなかなかないという状態でございますので、それほど大きな心配はないんではないかと私ども考えておりますが、しかしながら、やはり万が一でも越えるということがあってはならないということで許容限度をきめてまいりたいと思っております。
それから添加物のほうの問題は、特に最近不安を持たれているわけでございますけれども、現在の日本の添加物三百五十四品目ということでございます。アメリカ等では約二千程度あるというふうに言われております。また、問題でございましたタール系統の色素というものを過去におきましてだいぶ整理をいたしまして、現在十四種類のタール系統の色素を認めておりますけれども、国際的に見ますと、アメリカより多少多い。しかし、EEC諸国等に比べますと、ずっと少ないというような状態になっておりまして、そういう質の問題とか量の問題とかいうことにつきましては、ほぼ国際的な線のいいところをいっているんではないかと私ども考えているわけでございます。ただ、添加物というものがやはり使われます以上、不安ではないかという問題がございます。これも、きめ方につきましては、国際的に、たとえばWHO、FAO等でも専門委員会をつくっておりまして、いろいろな勧告等が出されているわけでございます。たとえば、慢性毒性というようなものにつきましても、動物実験をいたしまして、それから人間に換算をいたしまして、この量を毎日一生食べてもまずだいじょうぶという量というものが一応目安として出てまいりましたら、さらにそれの百分の一という安全率をかけるというのが国際的なきめ方でございますので、現在のそういう使用量のきめられておりますような添加物につきましては、それによって重大な障害が起こるということはまずないというふうに考えていいかと思います。
ただ問題は、最近のように非常に添加物がふえてまいりまして、私どもが従来、国際的にもそうでございますけれども、一つ一つのものについては、ただいま申し上げましたような、非常に安全性を見込んだものをつくっておりますが、やはり化学的な物質が多いわけでございますから、こういったものが数種類重なりましたときにどういうものになるか、いわば相乗作用になるのか、あるいは拮抗作用をもたらすのかという点は、やはりこれは新しい問題であろう。しかしながら、この点では、私どもは、安全であるという限度をもってそれを認めるといたしましても、やはりこれは乱用すべきものではないということで、きわめてきびしい制限の中に認めていくという態度をとっていくべきではないか、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/62
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063・田中寿美子
○田中寿美子君 時間がありませんので、お聞きしたいことが一ぱいありますけれども、これは省きまして、一つ言いたいのは、いま問題になっております佐世保の放射能の問題でございますけれども、ああいう場合に、食品衛生の立場から——これは科学技術庁がいま調査しているわけですね。食品衛生の立場から厚生省もタッチなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/63
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064・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 科学技術庁のいろいろな会議の場合には、厚生省もメンバーとして入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/64
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065・田中寿美子
○田中寿美子君 佐世保に行っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/65
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066・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 佐世保は行っておりません。科学技術庁のいろいろの打ち合わせの場合には、こちらも加わって、いろいろ情勢を聴取するような形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/66
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067・田中寿美子
○田中寿美子君 送ってこられたもので、放射能を検査する場合に、タッチしていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/67
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068・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) いまの佐世保の魚等の海産物につきましては、やはり科学技術庁のほうでこれから調査をするという段階になっております。過去におきまして、食品、特に魚につきましての放射能の問題は、例のビキニでございますが、あのときのマグロの許容限度というものがきめられております。それに不合格なものは全部廃棄させるという処分をとった例がございます。やはり、重要な汚染があれば、食品衛生法の上から私ども対処してまいりたいと思って、情勢をよく見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/68
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069・田中寿美子
○田中寿美子君 厚生省関係で、もう一点だけ伺いますが、さっきお話が出ました生協、生活協同組合、これも衆議院の委員会で相当詳しく議論なさっておりますので、私は要点だけ申し上げたいのですが、いつも生協の人たちの話を聞きますと、たとえば、これは東京の下馬生協の場合ですけれども、資本金千三百万円、共同出資の形で、これは税法上の特別措置を受けられないということで、剰余金に対する課税が減税がないから、そういう点で、ようやく千三百万くらいの資本金で非常に奉仕的にみな働いているような面で非常に苦しいということの訴えがある。その問題は、たしか衆議院の委員会では、考えなければならない問題だというふうに答えられていたと思うのですが、千万円というワクをもう少し上げていくべきじゃないかというふうに答えられていたんじゃないかと思うんですが、その点、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/69
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070・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 実は、所管が社会局になっておりまして、私のほうはちょっと正確にここでお答えできる責任がございません。御容赦を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/70
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071・田中寿美子
○田中寿美子君 私が要求しなかったのかもしれません。やはり生活協同組合運動なんというものが発達しにくい一つの原因は、そういうところにもあるんじゃないか。わりあいに零細企業といってもいいわけですね。しかも、それは消費者同士がお互いの生活防衛のためにやる運動なんでございますから、ほかの企業に対するような免税もあってもいいんじゃないかというふうに考えるんですが、たしかこれは、衆議院の委員会の記録では、もう少しワクを千万以上に広げてもいいんではないかというのがあったと思いますけれども、それを検討していただくように厚生省にお考えいただいたらどうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/71
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072・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 御意見の点は、よく私から社会局長のほうにお伝え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/72
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073・田中寿美子
○田中寿美子君 それじゃ、厚生省は終わります。
時間はどうですか。いいですか。——せっかくおいでいただいておりますので、通産省のほうに伺います。
これも、特に消費者行政の予算の問題もあったりするんですけれども、四十二年の五千万の予算が、ことしは九千三百万にふえた。非常にそれは大きなふえ方であるということですけれども、今後消費者行政の面で、非常にこれは大きな役割りがある。それから、これもさらに拡大していくという方向に向かっていくべきだと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/73
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074・谷村昭一
○説明員(谷村昭一君) いまのお話、われわれとしましても、今後とも予算の拡大に努力をいたしてまいりたいと思いますが、特に先ほどお話がありましたテストの関係等も中心にしてやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/74
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075・田中寿美子
○田中寿美子君 どうぞ意欲的に取り組んでいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/75
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076・大森久司
○委員長(大森久司君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/76
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077・大森久司
○委員長(大森久司君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/77
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078・田中寿美子
○田中寿美子君 それじゃ、時間の都合がありますので、
〔委員長退席、理事櫻井志郎君着席〕
それは積極的に取り組んでいただくとして、工業標準化法の目的のところで、これもやはり消費者の立場を考えて直していこうという御意思があるか。私は直すべきだと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/78
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079・久良知章悟
○説明員(久良知章悟君) 標準化法につきましては、現在、先生御指摘のように、使用消費の合理化ということが目的にうたわれておりますし、
〔理事櫻井志郎君退席、委員長着席〕
消費者保護はその法の中にやはり入っているわけでございますが、今度の基本法との関連におきまして、通産省関係の法律をどうするかという検討をする機会があろうかと思います。その機会にやはり検討してまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/79
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080・田中寿美子
○田中寿美子君 あらゆる法律が、今度消費者保護の意味を含めた方向になるたけ変えられれば好ましいと思っております。
それで、通産省関係ではいろいろあるんですが、時間の都合がございますから、JISマークの関係の中で、いま下着類とか被服類とかのサイズの問題ですけれども、これは、お話を聞きますと、日本人の体格の検査をしている最中だというわけなんですが、ただ、私はちょっとふに落ちないわけなんですが、体位の検査をやってそれに合わせてサイズの標準をつくっていかなければならないものかどうか。それはやはりだんだんまた変わると思うんです。むしろ、あらゆるサイズをこっちで考えてつくったらいいんじゃないかというような気がしている。外国旅行をいたしますと、たとえばアメリカなんかは非常にたくさんのサイズを持っておりますから、私たちみたいな者でもすぐに合うサイズをさがし出すことができる。だから、五・六歳用とか十歳用というような——いまはそうじゃないということでございましたから、そうでないと思いますが、あらゆる組み合わせのサイズを考えてつくっておけば、自分のサイズはどれであるかということをそれぞれ消費者の側できめて、また少し大きくなればまたサイズを変えていくということでいいのじゃないかという、それが一点と、BSIのときも申し上げましたが、国際的規格と非常に違ってくると、貿易関係の問題、国際交流も盛んなわけですから、そういう点でも不便があるんじゃないか。やはり、規格は国際的にあらゆるこまかいサイズを考えたらどうかと思うんですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/80
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081・久良知章悟
○説明員(久良知章悟君) 標準化を進めます場合に、私どもとして二つの違った面の調整にいつも苦しむわけでございますが、その場合、典型的なものが、先生いまおっしゃいました衣料の場合でございまして、使用者のほうからいきますと、サイズを非常にたくさん無限につくれば、どれが合うかということで便利がいいわけでございますが、また一方、標準をきめるということは、サイズを単純化するといいますか、種類を少なくしまして、その物の生産量を多く、大量生産によって物の値段を下げていこうというねらいがあるわけでございます。この両者をどういうふうに調和させるか。なるべくサイズは少なくしまして、しかもできるだけ大部分の消費者の方に満足していただく。そのためにはどういうサイズ分け、どういう種類分け、それからどういうステップに分けていけばいいかというふうな点が問題になってくるわけでございまして、そのために、まあ非常に多くの人のからだのかっこうというものを測定いたしまして、これを統計的に分類をいたしまして、その結果日本人のからだのかっこうというものが平均的にどういう分布をしておるかということを出しまして、これに合わせての衣料のJISをきめていこう、そういう考えでやっておるわけでございます。
それから次の国際的な問題でございますが、理想から申しますと、やはり日本だけでなくて、日本できめます衣料の基準というものが国際的にも適用するということが理想であろうかと思います。で、この国際規格の問題につきましては、ISOと申します国際的な共通の機構がございまして、その場でいろいろ討議をし、規格をきめていくという仕組みになっておるわけでございまして、現在かなり活発に活動いたしておりますし、私どももどしどし日本の規格というものをそれに反映していきたいという努力をいたしておるわけでございます。まだ、既製服、既製衣料品につきましての国際規格というものはISOで正式には取り上げられていないようでございます。いろいろ先ほどからお話しのように、消費者のそういう面の声というものも強くなってきておりますので、近い将来あるいは取り上げられるのではあるまいかというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/81
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082・田中寿美子
○田中寿美子君 サイズの規格を少なくするというのは、私は、それは大量生産の原則からすれば少なくしたいところでしょうけれども、そうすると合わないものが出てくるわけで、だから、太って背の低い人とか、太って背の高い人とか、細くて背の高い人とか、いろいろあるわけですから、あらゆる場合を想定したサイズがやっぱり必要じゃないかと思うので、それをつくっておけば、何歳であろうと、おとなであろうと子供であろうと、心配ないというふうに持っていかなければならないんじゃないかと思うのと、それから、ただ、その場合に、業者によって、たとえば十二といった場合に、どれも十二の同じに統一されるということが必要なんじゃないかという点を私は申し上げて、時間がなくなりましたので、たいへん来ていただいておりますけれども、通産省のほうはそれだけにさしていただきまして、農林省関係のことをちょっと……。
私は、農林省関係もいろいろたくさんありますけれども、ほんの一、二にします。
これは私ずっと疑問に思っているんですが、JASマークの商品ですね。まずJASというものがみんなに徹底していないという問題が一つ、買う人にとって、JASのマークがあればだいじょうぶだというように周知徹底させる問題が一つありますのと、それから、その商品の表示がむずかしいという問題が出されている。もう一つは、製造年月日をちゃんと出す、わかるように出すということと、それからもう一つは、つくられたものがどのくらいの間、保存期間といいますか、置いておいてもだいじょうぶだという、その期間がもう一つ表示されるべきだというふうに思うんですがね。そういうふうに研究はしていらっしゃらないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/82
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083・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) JASマークは、通常、製造年月日の記載はいたしてございます。ただ、物によりまして、略号を使っておりますものが幾つかあるわけでございます。それが消費者にとって、はなはだわかりづらいという御批評もありますので、だんだんだれでも読めるような形にしたいと進めておるわけでございます。
それから、主として加工食品につきまして、いつまでそれが食べられるかという点の記載はどうかという御質問でございますが、それは、加工食品でございますと、製造工場から消費者に至るまでの流通過程におきましての取り扱いの問題でございますとか、あるいは保存のしかたの問題でありますとかというものによって、相当期間のずれがございますので、その辺が十分規格化されない以上、この規格化というのは私むずかしいと思いますが、それまでは、いつまでこの食品がいいかということの表示も私はこれは無理ではないか。私どもがいまやっておりますことは、先ほども申し上げましたように、製造年月日について、略号等を用いないで、できるだけ正確にだれでもわかるようなことにして、JASマークの信用を増大するようにいたしたいという点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/83
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084・田中寿美子
○田中寿美子君 無理ということは、結局、たとえば店舗なんかがちゃんと完備していなくて、たとえばインスタントラーメンならインスタントラーメンが、相当、半年以上も——半年以内でも店舗がちゃんとしていなかったら、ひなたに出していたりして悪くなるかもしれませんね。それでもしょうがないということになりますかね。やっぱり、消費者の教育と同時に、業者に対する指導ということが非常に大事だと思いますが、それを両方やりながら、食べさせられる側から言いますと、少なくとも最小限度六カ月なら六カ月これはいいということが書いてあるほうが正しいと思うのですが、どうでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/84
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085・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) それは私も望ましいことであろうと思いますけれども、六カ月ということを表示いたしましても、流通の過程あるいは保存の状態等で、六カ月たたないうちに質がだめになることもあり得るわけでありますから、まず小売り商なら小売り商の衛生設備等々の強化が十分できました場合は、私はそういうことをやったほうがいいと思いますけれども、現状ではなかなか、かえって消費者をミスリードするということにもなりかねないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/85
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086・田中寿美子
○田中寿美子君 その意味ならわかったんですけれども、そうすると、消費者は何によって判断していいかわからないという状況のままにあるわけですね。
それともう一点は、これはさっきの通産省関係でも、輸入食品に対して、あるいは厚生省関係でもそうですが、なかなか監視がしにくいという問題があるのですが、将来この輸入食品に対してJASを適用させようという、その方向の指導はされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/86
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087・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 現在の農林物資規格法によりますと、国内産のものに限って農林規格を適用することになっておるわけです。それから輸入品につきましては、大体の取引がブランドによって行なわれておるということで、かりにJASを適用するといたしましても、なかなかどの程度それが行なわれるかということについて実は問題があるわけでございますし、それから登録格付機関も国内産のメーカーからなっておるという事情もあるわけです。ただ、私どもいまの時点で考えてみまして、輸入物資であるからJASの適用外だというふうに考えることも、はなはだ妙な点があるわけでございますから、登録機関あるいはJASをどの程度利用されるかということを考えながらただいま検討いたしております農林物資規格法の改正法案では、輸入物資についてもJASを適用したいというふうに考えて仕事を進めておるわけであります。
それから先ほどのお話で、いつまでこの食品が食べられるかという表示がないので、消費者が五里霧中ではないかというようなお話でございますが、私は、製造年月日が確実に正確にわかるようになっておりますれば、それは消費者にとって当然一つの導きの糸になり得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/87
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088・田中寿美子
○田中寿美子君 それじゃ、そういう表示がはっきりするようにいろいろ努力していただきたいと思います。
で、あと五分ですから、公取の方に。これも一点だけにいたします。
つまり、私は、公取が非常に人員が少ないということがしばしば言われているので……。
その前に、農林省のいまのJASの関係は四百八十二万円ですね。私はとても少ないと思うんです。これも、もっと多くならなければいけない。
公取のほうの予算と人員も非常に少なくて、消費者モニター四百人を持っているのですが、見ますと、その手当が三千円ですね。通産のほうは五千円なんですね。こういう格差というのはどうして出てくるのか。こんなもの、やはりそれぞれやる仕事の分量と関係があるのか。これは年間の手当ですから、わずかなものなんですけれども、やはり各省にあるモニターとか監視員の手当というのは、みんなもう少し統一していかなければならないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/88
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089・山田精一
○政府委員(山田精一君) 私も、モニターにいろいろなことをお願いしておりまして、三千円というのは、いまの通貨価値から申しまして、まことにお恥ずかしいきわみであると痛感をいたしております。できるだけこれはすみやかに、やはり世間並みには少なくともいたしたいものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/89
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090・田中寿美子
○田中寿美子君 宮澤長官、眠っていらっしゃいますけれども、ぜひ、よく聞いておいてください。モニターの手当、ほんとうに少ないですね。そして、この方たちがどれだけのことを消費者保護のためにやれるか。ことに、公取は三千円、通産のほうは五千円で、研修手当というようなものがあるわけで、それがまちまちになっている点は、高いほうにバランスをとっていかなければならないと思うし、もっとふやしていただきたいと思うのです。
実は、安売りの問題もありますけれども省きまして、最後に、行政管理庁の方にもいらしていただいているので、これも私は……。
行政管理庁というのは、三カ年で五%人員カットの番人になられる方だけれども、しかし、行管にもモニターというのがあるんですね。そしてこれの手当は幾らなんですか。消費生活モニター、いや行政相談員ですね、行管側のほうは。これは苦情処理をやっているわけですが、どんなものをやっているかということ。それから行管も、人員と予算が少ない、新規事業だから。これもやはりもっと大幅に要求すべきだと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/90
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091・小林寧
○説明員(小林寧君) 行政相談員としての手当は、現在三千八百円でございます。お尋ねのモニター制度と行政相談員とどう違うかという問題でございますが、私どものほうの行管の行政相談員は、行政機関や国の行なう行政の全般に関する国民からの苦情の相談に応じて、助言なりあるいは苦情の内容等を役所に対して通じて解決をはかる、こういう制度でございます。で、モニターは、各省——経済企画庁はじめ、通産省、農林省、ございますが、これは、消費行政についての、それを専管する。ことばは悪うございますが、単能的な仕事をしておる。そういう点で、行管のほうの行政相談というのは、幅が、窓口が広い、そんなような違いがあると思います。
それから手当につきましては、これは実費弁償と言っておりますが、これにつきましては、今後さらに実態に合うように手当を行なうべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/91
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092・田中寿美子
○田中寿美子君 もう終わります。全体を通じて、消費者行政という新しいアイデアが行政に入ってきたのですから、私は、人員や、それから予算、それから機構の整備その他にやはり積極的な取り組みを、経企庁長官、それから大蔵省がしてくださるように希望いたしまして、急ぎまして、たいへん皆さん来ていただいて御苦労さまでございましたけれども、十分の質問ができませんでしたが、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/92
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093・大森久司
○委員長(大森久司君) 櫻井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/93
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094・櫻井志郎
○櫻井志郎君 ちょっとたいへん順序が違ってきまして、私は一時間ほど質問する予定にしておりましたけれども、時間がなくて、十二時半ぐらいに終わります。
そこで、厚生大臣もきょうはおいでになるはずでありましたが、これも委員会等の都合で手違いがあって来れませんでしたが、宮澤長官を政府代表としてお伺いいたします。
消費者保護の問題は、これはある階層の保護ではなしに、すべての生産者が、すべての国民全階層が消費者であるということからいたしまして、およそ各党の間で考えがほとんど違わないということが、まずこの法案の前提にあると思います。私も、この法案の策定の段階で実は参加をいたしておりましたので、大体の法案のことは承知いたしますので、そういうことには触れませんで、この法案が可決された段階において、政府がどういう姿で対処するか。これは衆議院でもやられ、いまも田中委員もお尋ねになったところでありますから、大体考え方はわかっておりますけれども、先ほど宮澤長官の御答弁の中に、もう予算のことはあまり考えぬでもいいじゃないかというお話もあったのですが、私はいささか見解を異にするのであります。まあ、いままでの実体法といいますか、たとえば食品衛生法、農林物資規格法ですか、いずれも、できたのは、食品衛生法は昭和二十二年、規格関係のは二十五年ですから、その法律ができた社会環境はいまとは違って、立法の精神がたいへん違っておると思います。したがって、こういう消費者保護という段階がはっきりしてきますれば、立法の精神自体を考え直して、法律もその方向に改めていかなければならないと思います。また、新しい立法、行政の運営の態度にやはり相当変化が出てくると思います。立法に対する、あるいは法律改正に対する政府の考え方、それが一点。
それから、私の選挙区のことであるから触れるのではありませんけれども、富山県のイタイイタイ病の問題であります。これは公害基本法の関係であるかもしれません。また、厚生大臣がああしてはっきり態度を示されたことに対しては、私深く敬意を表するのではありますけれども、しかし、ほんとうに患者を国がめんどうを見ていく、それからまた、将来起こる可能性があると思われる病気の再発を防止していく、両面からいいましても、たったこれだけの問題だけからいっても、やはり相当の予算が伴わなければできない、そういう点からいきまして、まず、宮澤長官のお考えをお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/94
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095・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) この法律案の第六条の規定に従いまして関係法令の改正を行なう必要があると思っております。これは、御審議の段階で、衆議院におきましても、ことにそうでありましたが、各省から意見を御聴取になりましたときに、各省ともそういう考えでおることがはっきりいたしまして、私どもとしても、それを促進いたしたいと思います。
それから、全体の行政をやりますときに、確かに相当の人員あるいは予算が必要であろうということも、そのとおりであると思います。政府全体といたしましては、ただ、官庁の定員をできるだけ節約してまいりたいという気持ちが一方でございますから、より必要でない部門からより必要な部門に人なり金なりを移していくというような処置がまた考えられなければならないと思いますので、両方かみ合わせながら、この法律の施行に遺憾なきを期してまいりたいと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/95
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096・櫻井志郎
○櫻井志郎君 宮澤長官は、事務費的なことを主としてお考えになっておるんじゃないかと思います。これは厚生省とも関係がありますからお尋ねいたしますが、たとえばイタイイタイ病の再発を防ぐということからいたしますと、いままでの、あるいは衆議院等で、各方面で議論されたことは、水質を改善しなければならない、したがって新しい水系から水を引かなければならないということに集中しておるやに聞いておるのですが、現在の段階では、鉱山側も相当発達した処置をとっておると思いますし、それからカドミウム自体も、昔は要らぬものとして捨てておったでしょうけれども、今日は非常に貴重な元素として回収をはかっておりますから、私はむしろ、水質の問題よりは、かつてほとんど捨てた状態におった時代に汚染された土壌の中に問題があるんじゃないか。そういう点からいたしますならば、まあそれも科学的にはっきり検討されておるかどうか知りませんが、一応しろうとの常識的に考えれば、客土事業をやって、生産者の立場における農民の生産の態勢を保護し、同時に、消費者である農民、それから販売される米、どういう点からいっても、カドミウムが新しい米の生産段階で含有されてこない、あるいは含有率をはるかに減らす方法というものを考えていかなければならない。そのためには、所管は農林省であるかもしれませんが、まず、厚生省がそういう予算を確保することに積極的な態勢を示されることが必要であるかと思います。私はあえて全額国庫とは申しません。しかし、従来の客土事業の普通の程度の対策では、なかなかこれは、精神的にも物質的にも不十分であると思いますので、厚生省がそうした前向きな手厚い対策をおとりになる考えがあるかどうか、まずそれから伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/96
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097・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) イタイイタイ病の将来の対策といたしまして、ただいま先生が御指摘になりましたように、現在の神通川のカドミウムの量というものは、防護装置が非常によく整備されてまいりまして、きわめて微量でございます。ただいまの状態でああいうような問題が起こるということは考えられないのではないかという結論が出ております。しかしながら、安全というものをはかりますために、本年度から、新しい水源、安全なる水源を求めまして、簡易水道の布設をやろうという計画をやっておるわけであります。
しかしながら、先生御指摘のように、現在の井戸の中からは、もう危険だと思われるようなものはないと考えていいようでございます。残る問題は、土壌の中、特に水田の中のカドミウムでございます。これは、まさに先生御指摘のとおりでございます。今度の調査班でも、表層といいますか、耕うん機で入りますような層、それからその下の層、さらに最下層という三つの層につきまして、それぞれカドミウムや鉛、亜鉛の分布を調べております。このデータでは、もちろん上層のほうが多いのでございますけれども、中層、下層に及びましても、なお対照のコントロールの地区よりも多いという結果が出ております。したがいまして、こういう土壌から、農産物を通じ、米等を通じましてカドミウムがこの土地の方に入るということは、何としても私ども防ぎたい問題でございます。ただいま、私どものほうでは、さようなデータを農林省にもお渡しいたしまして——まあ私どものほうがそういう土の専門ではございませんものですから、一般の客土というものは、私承りますと、非常に表面の薄いところをやるのだそうでございますが、いま申しましたような実態分布からいいますと、さような薄いものではおそらく役に立たないのではないか、もっと深いところまでひっくり返して客土事業をやる必要があるというように私どもは考えております。したがいまして、どのようなやり方をやってもらうか、また、新しくいろいろな調査をしなくても、水系等で分布がわかっておりますので、そういうものをもとにいたしまして、とにかく早く計画を立ててほしいということを農林省にも申し上げて打ち合わせ中でございます。厚生省が予算をみずから取ってやるかどうかということでございますけれども、私どものほうが、ぜひそういう事業を進めてほしいということを強く申し入れまし——私は農林省が一番適当であろうと考えておりますが、専門的な立場で早急にこれを実施してもらいたい、こういう希望を強く持っておるわけでございます。
それからもう一つ先ほど来お話がございました。患者のほうの問題を御指摘でございましたが、すでにこの結論を出します前に、ことしの一月から県と市と共同いたしまして、厚生省のほうからも研究費という名目で医療のための費用を出しておりまして、七十三名の要医療患者というものがいたわけでございますが、残念なことに、ほんとうに医療を受けておりましたのが十数名しかなかったという状態でございます。その一月以来の県、市との共同の対策によりまして、全員が入院なり外来なり、それぞれの程度に応じました治療を全部受けられるようになったということは、私どもせめて一歩進んだものではなかったかと、こう思っておるわけでございます。本年度も引き続きそういう患者の医療というものを確保する対策は、予算措置もしてございますので、手当てをしてまいりたいと思います。
そのほかに、ただいまの御質問にも関連ございますような、いわばイタイイタイ病の患者ではございませんけれども、要注意者といたしまして今後観察を続けていかなければならない方々が百五十名ほどおられます。こういう方々は、いま御指摘のように、これからさらに長い間にわたってカドミウムを少量といえども蓄積をしていきますと、普通の人よりうんとたくさんの蓄積を持っておるわけでございますから、あるいは発病するという危険性がないとは言えない、こういう非常に注意を要する方々でございます。こういう方々につきましても、体内のカドミウムを排出をする方法でございますとか、あるいは健康状態を管理していくというような手を打ちまして、いわゆる悪化することを防いでまいりたい、この手も同時にあわせて打ちたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/97
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098・櫻井志郎
○櫻井志郎君 私は、宮澤さんがあまり予算は要らないという御答弁があったので、この例を引っぱったんですが、どうしても法律の趣旨を徹底していこうと考えれば、宮澤さんのおっしゃるように事務費を中心に考えたときには、私は同意見と申しましょうか、それでできるとは考えます。しかし、実際に対策をやっていく場合には、宮澤長官のようなお考えだけでは私はいかないと思う。やっぱり、予算の伴うものはできるだけ予算を確保して消費者保護の考え方を徹底させるという対策をとっていくことが必要だと思うんですが、それでも宮澤長官は事務費的なことだけに限定してお考えでしょうか。このことだけ長官にお尋ねして、それで長官のお答えをいただいて、けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/98
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099・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 何といいましても、消費者行政というものは、いままで非常に幼稚な段階にあったわけでありまして、これからこの法律に基づきまして諸般の法令の整備、行政の改善——改善と申すより、あるいは新しい行政を実際始めるということになるかと、その程度の大きな変化であると思いますので、それに伴う事務費ばかりでなく、施設等々の費用が必要であろうと思います。それは、決してそれを節約するとか惜しむとかいう気持ちがあるわけではございません。必要なことはしなければならないと思っております。先ほどちょっと申し上げかねておりましたことは、一般的なものの考え方といたしまして、政府には相当の役人もおりますし、相当の数もおりますし、かなりの費用も使っていろいろなことをやっておるのでございますから、その中には時代の必要に応じて整理をしてもいいものもある、こういう面を申し上げただけでありまして、この法律施行のために必要な人員、経費等々、もちろん惜しんだり削減したりする気持ちはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/99
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100・櫻井志郎
○櫻井志郎君 時間がありませんので、質問の体系が全くめちゃくちゃになってしまったのですが、食品衛生法の関係で、たとえば現在法律用語で「添加物」ということがあって、「添加物とは、」という説明がございますね、何条だったか忘れましたが。その「添加物」と考えられる範疇に入るようにも思うし、入らぬようにも思うものの一つに、たとえば漂白がございます。日常家庭婦人がしょっちゅう買っておるような、たとえばサトイモとかレンコンの漂白とか、ああしたことが一体必要であるのかどうか。私は何人かの女性に聞いたのですが、漂白されたもの自体が原形である、自然の姿である、きれいに洗っただけでああいう色をしているのだというふうに信じておる若い女性がたいへん多いそうです。したがって、そういう漂白物に対しては何の疑義も持たない。たいへんこれは消費者の態度からすれば私は間違っておると思うのですが、そういう間違った状態に追い込んでおるのが、何といいましょうか、販売、流通関係におけるまことに適切でない措置がそういう姿をとってきます。
それからまた、化粧品に多いそうですが、日本語は一言も書いてないで、英語を中心にした外国語だけで、何かしら内容の説明らしきものが書いてある。そうすると、一般の消費者は、何か高級品らしい、しかし、何を書いてあるのか、顔につけていいのか頭の毛につけていいのか何かさっぱりわからぬ。だけれども、いいものらしいからといって買っておるのが非常に多いということも聞いております。
あるいは簡単なパン類であっても、小麦粉だけではなしに、もちろん砂糖を加えておるものもあるでしょうし、あるいはないものもあるかもしれない。カロリーの表示もなければ……。私は実は糖尿病なんですが、糖尿病患者が食べていいものか悪いものか。私は、講和条約前に米国へ行ったこともありますが、そのときに、糖尿病患者用の食堂という表示があってびっくりした。そのときは私は糖尿病じゃなかったのですけれども、どういうものを食わせるのか。ところが、その発生史を聞いてみると、太りたくない御婦人が低カロリーの食料を非常に求めておるというものから、だんだん糖尿病患者も対象にしてそういう専門の食堂ができた、あるいはそういうコーナーができたということも聞きましたが、日本の現在の食料——たとえば食料からいいましても、どういうものがどの程度のカロリーがあって、どういう内容物が含有されているか全くわからぬような状態であるのが現状ではないかと思う。私は例示をしただけにすぎないのですが、もっとこう、消費者に的確に知らせるという方法が、法律の上でもはっきりと規定されていくのが当然じゃないかという感じがする。
また、時間がありませんから省略いたしますけれども、最近のアメリカ等におきましても、あるいは可燃衣料、家具等の燃焼程度、可燃性の程度、いろいろな商品についての規制、あるいはカラーテレビに対する、何ですか、放射能を規制するとか、自動車の安全に対する規制とか、そういうことが消費者の立場でどんどん考えられて、あるいは行政の上で、あるいは立法の上で、非常に明確になりつつあるのですが、日本のほうではどうもそういう点がまことに——消費者不在とは言いませんけれども、それに近い姿で、あまり自由が許されておるために、消費者が全くつんぼさじきにおる。その結果が、消費者が非常に不安を持ち、ときには有害のものにあてられる。食品の容器につきましても、最近ではどこかで鉛を含有しておる容器が発見された。たまたま発見された。普遍的に厳重な検査が行なわれておって、たまたま不良品が発見されたとは思えぬのです。たまたま検査してみたら不良品であった、有毒物であったというふうにしか一般消費者は受け取らないのですが、そういう点について、もっとはっきり規制していくという考えはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/100
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101・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) ただいま御指摘になりました点、いろいろ例をあげられました点は、まことに私も同感でございまして、漂白等の問題にいたしましても、私はやはり、消費者教育、こういう問題が、先ほど来もお話がございましたように、強調されてまいっておりますが、一方、規制という方向で、食品衛生法の改正の中でも、いろいろな点は強化してまいりたいと思いますけれども、一方では、やはり消費者の方々に、正しい食品に対する認識を持っていただきたいという願望が常に強いわけでございます。最近、自然食、自然食品というような運動も一部に起こっているようでございますけれども、何か、イモを買いますのに、白くなっているものがいいのだという感覚自体が逆にそういうものを使わせるという原動力にもなっている。消費者は王様でございますから。そういうことで次々誘発していくというような循環があるかと存じます。やはり、食品というものは正しい認識を持っていただいて買っていただくという態度が、一方ではどうしても必要であろうと考えているわけでございます。しかしながら、同時に、食品衛生法の内部におきましてもそういったものが十分規制できますように、さらに改正を考えたいと考えているわけでございます。
また、表示の問題にいたしましても、化粧品の英語の問題がございましたが、食品等につきましても、御承知のとおり、かん詰めその他に表示されておりますマークというものは、専門家じゃないとわからないような符号になっております。専門家が見ますと、これはいつ、どこでできたということがわかるというしかけでございますが、こういったようなものも、やはり、消費者が目で見てすぐわかるという表示に改めていくべきであるという点、その表示の問題等につきましても、より正確に表示させるような改正が必要であろうと考えております。
また、パンの問題、その他食品の栄養の問題等につきましても御指摘がございましたけれども、まあ、食品全体につきまして、すべてが栄養分を明確にするということは、おそらくこれは不可能であろうと存じますけれども、そういうパンのようなもの、あるいはその他きちんと規格がきまっておりますようなものにつきましては、これは可能な問題だろうと思うんです。したがいまして、そのような点につきましても、表示の内容といたしまして検討を進めたいと考えております。
また、糖尿病のお話もございましたけれども、いろんなこれからの食品の中には、いわば特殊な目的のための食品というものが出てきていいと考えております。そういうようなものにつきましては、特殊用途の食品という形で、これをいろいろと明示、明記させ、またそういったものがきちんと守られていくような、そういう中身のものも必要ではなかろうかと考えておるわけでございます。
そのほか、ただいまの容器等の問題につきましても、いまの食品衛生法でも、食器その他おもちゃに至りますまで、有毒なものが入っちゃいかぬという規制はやっておるわけでございますけれども、そういったものについて、やはり食品と同様に、成分の規格、あるいは製造基準、こういったものをやはり明らかにいたしまして、不良なものが出ないようにしてまいる。また、一部では、そういうものについての検査が、偶然に見つかったのでというような御指摘がございましたけれども、食品監視員が、先ほど来田中先生にもお答え申し上げましたように、全国五千人の監視員が非常に多数の食品をめぐりまして日夜努力を続けておりますけれども、やはりすべてまんべんなくというところまでは、なかなかいきがたい問題でございますが、こういう監視制度というものの充実をはかりたいと思います。また、これらにつきまして専門的な検査をしていくという段階におきましても、ただいま、地方の衛生研究所——簡単なものは保健所でやっておりますけれども、少し高級なものは地方の衛生研究所で実施をする。さらにむずかしいものは国立予防衛生研究所とかでテストをやる、こういうことになっておりますが、こういう機関の検査能力自体にもやはり限度がございまして、したがいまして、今後こういう検査を拡充していくという面におきましては、民間なり、その他の大学なり、しかるべき検査機関というものを指定いたしまして、どんどん委託して、ただしその認定をいたしますのは、判定は、やはり公式な立場に立ったものが認定をすべきだと思いますけれども、そういうことも拡大をすることによりまして、より一そう、検査、監視体制というものが強化されるのではないか。そういうことも織り込みまして、食品衛生法の改正の方向へ、ぜひひとつこの機会に目指させていただきたいと検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/101
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102・櫻井志郎
○櫻井志郎君 お尋ねしたいことはたくさんありますが、私はこれでやめますけれども、全般的に言って、現在の法律を改正するこの立場を、食品衛生法にかかる、農林物資規格法にかかるものをぜひやってもらいたい。
それからまた、必要な予算は確保するということは、これは行政上当然なことであります。どういう面からいっても、前向きにやってもらいたい。
それから、消費者は王様ということばで局長おっしゃいましたけれども、それは、あなた方知識階級の人から見れば当然のことであります。当然のことであるけれども、一般の消費者の知識の程度というものは相当低いところにあるということはいなめないと思います。もちろん、消費者教育が並行していかなければなりませんけれども、一応は政府官庁が指導権を持って消費者教育をやっていくと同時に、ほんとうに消費者保護の目的が達成されるように、前向きで——ここでの答弁だけではこれは意味がないので、前向きに御努力をくださることを、そういう気持ちで御回答があったことを私確認して質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/102
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103・大森久司
○委員長(大森久司君) 他に御発言がなければ、本法案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと存じます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01119680515/103
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