1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月十七日(金曜日)
午後一時三十二分開会
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委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
渡辺 勘吉君 松永 忠二君
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出席者は左のとおり。
委員長 大森 久司君
理 事
岡本 悟君
櫻井 志郎君
村田 秀三君
田代富士男君
委 員
大竹平八郎君
木村 睦男君
任田 新治君
山本 杉君
木村美智男君
国務大臣
厚 生 大 臣 園田 直君
農 林 大 臣 西村 直己君
通商産業大臣 椎名悦三郎君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
政府委員
公正取引委員会
委員長 山田 精一君
経済企画庁国民
生活局長 八塚 陽介君
厚生省環境衛生
局長 松尾 正雄君
厚生省薬務局長 坂元貞一郎君
農林省農林経済
局長 大和田啓気君
農林省農政局長 森本 修君
農林省畜産局長 岡田 覚夫君
通商産業省重工
業局長 高島 節男君
工業技術院長 朝永 良夫君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
国税庁直税部長 川村博太郎君
国税庁間税部長 佐藤 健司君
厚生省公衆衛生
局栄養課長 鴛淵 茂君
厚生省環境衛生
局食品衛生課長 野津 聖君
厚生省環境衛生
局食品化学課長 小高 愛親君
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本日の会議に付した案件
○消費者保護基本法案(衆議院提出)
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001・大森久司
○委員長(大森久司君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
これより、消費者保護基本法案(衆第二一号)(衆議院提出)を議題といたします。
本法案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。木村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/1
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002・木村美智男
○木村美智男君 大臣がたいへんお忙しいようでありますから、政府委員の皆さんには恐縮ですが、大臣を重点的にやりまして、大臣の関係の質問の間に政府委員の皆さんにお伺いするようにしますので、そういう意味でよろしくお願いしたいと思います。
第一番に、通産大臣にお伺いしたいんですが、きのうの新聞をちょっと拝見しますと、政府として、何か、この前私が通産大臣にお伺いをした、例の大型合併の問題について、大臣は非常に率直に、弊害の心配もあるということを認められて、きわめて慎重にこれから対処されるような態度の表明があったわけであります。しかし、きのうの夕刊等に出たのは、あとで宮澤大臣にもお伺いしなければならぬのですが、政府として何か両者の合併は好ましいというようなこと、したがって、公正取引委員会がこの合併を承認するように望んでいるというようなことについて、つまり閣議なり経済閣僚懇談会の中で統一見解をお持ちになられたのかどうか、この点、ひとつ通産大臣にお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/2
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003・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 国際競争力を強化するために大型の合併をすることは、方向としては望ましい、こういうことを言いまして、ただ、これにはもちろんいろいろな問題が残されておることを念頭に置きながら私は発言しておる次第でございまして、その点が十分に表現されていないとすれば、私の真意を十分に伝えたものではないのでございますから、その点御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/3
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004・木村美智男
○木村美智男君 大臣、伺っているのは、つまり、一応、国際競争力を強化することになる、ならぬというやつは、これはきょう論争しようと思っていないし、私は、官澤長官も来ておられるから、ざっくばらんに申し上げますが、きのう宮澤長官が、「政府としては」ということで各新聞が載せておる。椎名通産大臣個人がとか、宮澤長官個人がということなら、個人の見解として伺うんですけれども、「政府としては両社の合併は好ましいと考えており、公取委が承認することを望んでおる。」、こういうふうに語ったようになっているから、これは宮澤長官にもひとつあとから伺いたいんですが、最近の機会において——この間、政府としては、これは独立性を持っている公取という関係もあるので、ひとつ慎重にしようじゃないかというようなことの閣議の申し合わせをしたといういきさつも私伺っておる関係から、きのうの新聞に出ている「政府としては」ということは、具体的に閣僚協議会なり、あるいは閣議においてそういう申し合わせをされたのかということを通産大臣に伺っているわけなんです。これは、具体的に、あるならある、なければない、こういうふうに言っていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/4
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005・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) まだ、閣僚会議で、そういう点に関する思想の統一ができ上がったわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/5
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006・木村美智男
○木村美智男君 それでは、もう一つ通産大臣にお伺いしておきたいんですが、通産次官——事務次官というのは、どうも国会にちょいちょい出てきてもらうわけにいかぬものだから、あっちこっちで放言されても……。言ってみれば、ちょっといろいろものを言う機会がないんですが、今度はぜひこの問題で、次は、大臣じゃなくて、次官に来てもらいますが、おたくの山本次官は多少、大臣のこの間の慎重な私に対する答弁とは違いまして、この合併問題では、内部に向いては大臣慎重にやっておるけれども、表に向いては山本次官がラッパを吹いておるので、これは大臣、ちょっとうまくない。
そこで、どういうことがうまくないのかというと、なかなかいいことを書いているんですよ。最近の大型合併の問題で積極的な推進派と見られる通産省の首悩部は、寡占の弊害を除くような仕組みを考えているというようなことで、だんだん国会のいろいろ出される意見を尊重しているという態度が新聞に出てきているわけです。ところが、そのあとのほうで、くっつけて言っていることは、合併によって生ずる利益の一部というものは消費者にも還元するはずだというようなことを……。はずだとか、はずでないとか言う前に、これはこの前も大臣に言ったように、八幡の社長は、ちゃんと公式の席上で、競争の緩和と価格の安定が今度の合併のねらいである、直ちに消費者の利益に還元しろなんということは、それはわしは考えていない、それはちゃんと蓄積ができて企業が安定したあとでコストダウンがある程度可能になったら、そのときには消費者のほうにも多少おすそ分けすることも考えましょう、ということを言って、ちゃんと本人が正確に合併のねらいというものを言っているにもかかわらず、何で次官が、大臣が慎重なそういうもの言いをしているにもかかわらず、その出発当初の考え方を依然として言っているのか。これを見ると、どうも大臣の御意向なり意思がちっとも次官に伝わっていないんじゃないか。こういうふうに思うものだから、この際ひとつ、次官については直接私は申し上げますが、大臣からも、この問題は……。これはやはり独禁法の範疇の問題であるから、通産省としては、あとでどうする、こうするという問題は、かりに認められた場合は、そのときの場合で内部で検討されるのはけっこうですが、表に向けて、むやみやたら、世論を誘導したり、あるいはそういう判断をまかされている機関に圧力となるように考えられるようなことをやるのは、これはやはり慎んでもらわなければいかぬ。そうでないと、いまもうあらゆる言論機関、新聞、学者の意見も、だんだんこの大型合併については批判的な意見が強くなってきている。これは、業界を除いては、端的に言って、経済企画庁長官と通産省の一部の皆さんと、佐藤総理はその後どう変わったかわかりませんが、そういう人たちだけであって、いまや世論は、合併問題については、むしろきわめて警戒的な立場になっている。国会でも、これをどんどん進めろなんということはだれも言っていない。だから、中身に入って議論をしようというならしますから、どこかでぽんぽん言うことを言い、どこかでかってに吹かれたのでは困る。今度は、それなら、こういう理由で、国際競争力というなら国際競争力は十分だという意見を私は持っているわけですから、これは十分委員会で論争してほしい。それから、ほんとうに消費者のことを考えて、この合併によって消費者に利益を還元するということを大きな一つの合併のねらいにしているならば、私はそうでないという立場だから、ひとつその点も議論したい。あるいはまた、研究開発のためにこれは非常によくなるんだという問題については、決してそういう結果にはならないんだという立場を私たちもとっているわけなんで、そういう議論が十分尽くされたあとで、あるいは閣議なら閣議なり経済閣僚会議で統一見解ができたら、何を言っても、これはいい悪いの判断はあったにしても、言うこと自体について文句をつける筋合いはないと思う。いまだ公正取引委員会が何の判断もくださないうちに、むやみやたらとこの間から……。どうも大臣は非常に慎重になられたけれども、次官のほうにその点がまだあるから、これは大臣、ひとつ、この点どういうふうに考えられますか。大体大臣のいまとられているような立場であれば私はきょう了承できるわけだから、そうでなければ、今度ひとつ出てきてもらって、少し次官の経綸というか、合併に対する抱負なり見解を聞きながら、私も少し論争してみなければいかぬ、こう思うものだから、大臣ひとつそういう立場で通産省内で指導していただければ……。大臣がこの間私にお答えいただいたような立場で御指導いただけるかどうか、この点ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/6
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007・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 大体、あんまりものを好んで言いたがる次官じゃないのですがね。やっぱり、新聞記者にいろいろ聞かれると、ついそこのところ、ひっかかると言っちゃ語弊があるけれども、部分的に発言する、それをまた断面だけをはっきりと書くといったようなところに、どうもいろいろ誤解を生ずるきっかけが生まれてくるのだと私は考えておりますが、この問題については、もちろん公取の委員会の判断を経て、それではじめて完全な実現性ということが生まれるのだということは、もう私なんかよりももっと事務次官のほうがよく知ってるんです、理屈は。そういうわけでございますから、私はどういう場合にどういう発言をしたか、よくわかりませんけれども、いま御質問があったから私の考え方を申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/7
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008・木村美智男
○木村美智男君 大臣のお考えはわかりましたし、そういう立場で次官にもひとつ伝えていただくように希望しまして、あとは大臣、こまかい問題ですから、もう大臣はお忙しいようですから、けっこうでございます。
そこで宮澤長官にお伺いをしたいわけですが、長官、実はきのうの新聞だから、これは真意は私はよく……。この点は、大臣から聞いてからものを言わなきゃいかぬのですが、新聞の報道によりますと、宮澤長官という個人発言、個人としての考え方を述べたようでなく、きのうの衆議院の物特で、政府としては両社の合併は好ましいと考えておると、そうして公正取引委員会が承認をしてくれることを望んでいると、こういう趣旨の答弁をされたというふうに載っておるのであります。これは大臣、ひとつ正確に言って聞かしていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/8
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009・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう趣旨の答弁をいたしました、お尋ねがありまして。この問題について政府としては合併が望ましいと考えるか、公正取引委員会が合併を承認されることを政府は望んでいるかと、こういう趣旨のお尋ねでありました。で、それに対しまして、一般に政府と申しますと、非常に広い意味と狭い意味とがございますが、私がいま申し上げる政府は、いわば行政府、各省庁という意味で申し上げるのでありますが、そういう狭い、狭義の政府の考えは、
〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕
私の見るところでは合併を好ましいと考えております。したがって、公正取引委員会がこれを承認されることを望んでいるということになると思います。もちろん、申すまでもないことでありますが、公正取引委員会は全く独立の官庁でありまして、総理大臣の指示を受けるということもないのでありますから、公正取引委員会がどういうふうに判断をされるかといったことは私どもの手の及ばないことであります。それは当然のことでありますが、狭い意味の行政府としては、やはり公正取引委員会が積極的な結論を出されることを望んでおるということは、私はそのとおりであると思いますと、こういう意味のことを申し上げました。と申しますのは、ちょうど公正取引委員長もその場におられましたので、私の申し上げていることの真意が誤り伝わるという心配がありませんでしたので、思っておりましたとおり申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/9
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010・木村美智男
○木村美智男君 大体誤りないということはわかりましたが、先ほど通産大臣にも伺ったように、いま企画庁長官が言う狭い意味の行政府というのは、経済企画庁単独を指しているのですか、それとも、どこかほかを指しているのですか。つまり、この問題については、関連する行政といえば、私は、狭いとは言っても通産省も入るだろうし、あるいはほかも入るかもしらぬ。しいて言うなら、政府ということばを使うなら、経済閣僚協議会ぐらいの、幾ら狭くてもその範囲ぐらい、要すれば閣議で大体報告をされて、そういう方向ででもいこうという統一見解でもきちっと何日の閣議できめたとか、文書になっているとかいうことなら、政府ということであってもいいと思うけれども、いまのお答えのようでは、ちょっと大臣個人の、あるいは経済企画庁という大臣の主宰する機関の意思表示が、「政府としては」というようなことに報ぜられておるみたいに感ずるわけです。これは、狭い意味というのは、どことどこであるか、それがいつどういう相談をして、こういうことにきまったのか、それをひとつ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/10
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011・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済企画庁長官としてという意味ではございません。関係のある閣僚が大体そう考えておるというふうに私は思っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/11
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012・木村美智男
○木村美智男君 思っているということでは、ちょっと私、やっぱり問題があると思うのですよ。それはなぜかというと、どうも経済企画庁長官に、あまりこういうことは、本来私の長官を見てきた立場からいうと言いたくないのだけれども、どうも「政府としては」という立場なり表現でものをこういうふうに言われた場合は、どういう影響があるかということです。宮澤長官がものを言ったというだけだって、これはたいへんな影響ですよ。私らそこら辺の街頭で何か言ったり、委員会で多少言った程度とはちょっと違う。大臣。ましてや、将来の日本の産業政策をどうするのかという一つの問題でもあるし、いまや消費者基本法という法律がかかってきているときだけに、私は、これは大臣、そう簡単に納得できぬわけですよ。私はきょうはあまり大型合併をやるつもりはなかった。基本法の中身をやるつもりでこれだけ材料を整えてきたんだけれども、しかし、この問題がどうしてもひっかかるわけだ。どんなに消費者基本法なんというものをつくって、品質がどうの、計量がどうの、規格がどうのというようなことをやってみたところで、いま言われているような大型合併の問題が、これがやはり推進をされていった暁には、そんな法律なんというものは、つくったって、実際のところは、これはナンセンスだと私には考えられる。おまけに、閣僚の中で一番、じゃ消費者の立場を重視するのはだれかといったら、長官、あなたしかないのです。あとは、これはいずれにしても、医薬その他の関係では厚生省なんかありますけれども、通産省にしたって、これは生産関係の監督官庁なんですからね。どうしても仕事の性質から言うと、やはり経済企画庁長官が今日の物価の問題なり、消費者保護という問題については、閣議の中では、これはやっぱり第一番目に消費者の立場を重視してもらわなければならぬ立場だ。そのあなたが、ほかの大臣が黙っているのに、これは政府の方針だというようなかっこうで、ばんばんものを言われているということについては、国民としては、多少宮澤長官のいままで歩いてきた道からいうと、どうも首をかしげざるを得ない。こういう意味であなたに聞くわけだけれども、これは私は、何回か委員会でもこの問題について——大臣にはきょうで三回目ですけれども。そういう意味で言えば、多少ね、これは国会を経視するようなきらいだってある。場合によっては、独占禁止法というものを、ある程度、無視したとも言わぬけれども、横目でちらっとながめるくらいはしているかもしれぬが、ほんとうにあんたは、独禁法なんというものについて、そういう立場から消費者の問題を考えているのかどうかということについても私は疑問になってくるから、したがって、そういう点で、大臣、どういうように考えておられるかひとつ考え方を伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/12
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013・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) これは前回も申し上げたことでありますが、私としては、この合併は日本経済全体のためにもいいし、消費者のためにもいいと考えておるわけであります。どうして消費者のためにいいと考えておるかといいますと、これは、当事者たちは合理化をねらって合併をするということには間違いがないのであります。合理化ということはどういうことであるかといえば、コストが下がるということであります。コストが下がれば、それだけ消費者向けの価格が下がる可能性が高くなるという、これはもう私は、これに間違いはないと思います。問題はこれが管理価格を生むかどうかということでありまして、私は、毎々申し上げるとおり、管理価格は生まない、業界の実情から考えて、管理価格を生むことはないというふうに考えているわけでございます。したがって、日本経済全体のためにも、消費者のためにも、これはいいことであるという考えであります。
それから、先ほど、新聞その他圧倒的に反対論が多いという意味のことを仰せられました。それについては、別段定量的にとらえがたいことでありますから、あえて申しませんが、かりに新聞だけについて考えますと、東京で発行されております五つの大きな新聞のほとんどがこれについては社説を掲げております。そのうち三つは、合併を基本的に賛成という立場であります。一紙は反対という立場であります。残りの一紙は賛否必ずしも明確でないように私は読みました。そういうことであったように思います。
それから公正取引委員会との関係についておっしゃっていらっしゃいますが、私は、その辺のことは少しはっきり分けて考えるべきだと思いますのは、私が申します狭い意味の政府、関係各閣僚によって代表される政府ですが、これは一つの責任と権限を持っておりますが、公正取引委員会は全くそれと独立した責任と権限を持っておるわけであります。したがって、私どもがその狭い意味の行政のほうの立場を国会で御質問を受けて申し上げるのはむしろ当然であって、それが独立した他の機関を拘束するなどと考える理由は全くないわけであります。第一、そういうことはできないのであります。何かそれを不当に影響を与えるように、まあそうお思いになってはいらっしゃらないと思いますけれども、そういうことは可能ではないし、私どもはまた、そういうことを考えてもいないわけでありますから、狭い意味の行政府がどう考えるかというお尋ねがありましたときに所信を申し上げることは、私はむしろ当然であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/13
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014・木村美智男
○木村美智男君 いま宮澤長官の言われたことについて、やはり私は、これはとにかく全面的に、こう何というか、見解が変わってくるわけなんであります。ということは、それは、公正取引委員会の独立性の問題を言うなら、私から実は言いたいのですよ。あなたも思い出すと思うのですけれども、再販問題の議論をあなたとやったときに、私は、公正取引委員会が再販規制法というものを、これを単独立法することが適当でないということであるならば、そういうことであるならば、今日の段階でむしろ消費者の行政をつかさどっている経済企画庁が決断を持ってあなたのほうで立法の立案くらいしたってよろしいじゃないかということを私一回申し上げたことがある。ただ、そのときに何と言ったかというと、大臣は、それは少なくとも公正取引委員会の独立権限の範囲内だ、独禁法の問題については経済企画庁がどうこう言うべきでない。——私はそのとき、りっぱな大臣のこれは一つのモラル的なものとして、私はそのときにそのまま、なるほどそういう考え方があろうと、言われればそうだなということになった。ところが、今日独立性を尊重している、しているとは言っているものの、あるいは宮澤長官もそういう独立性を侵しているなんて思っちゃいないだろうけれども、実際に政府としてはどうの、宮澤長官はどうの、一回なら別として、三回にも四回にもわたって、大見出しでもって、合併についてはこれは歓迎すべきものであるの、公取委員会が承認することを希望するのと、じゃんじゃん言ってけば、それはいやでもおうでも世論誘導の大きな役割りを果たしていることは間違いないですよ。私は公取委員長の心境を別にそんたくするわけではないけれども、私が公取委員長なら、今日置かれている公取委員会の委員長の立場、地位というものから考えれば、やはり相当のこれは牽制になることは間違いありませんよ。いまの公取委員長はりっぱな人ですから、厳正に、おそらくき然たる態度でそれは処置されると思います。思いますけれども、私が公取委員長なら、それは大きな心理的な圧力をやはり受けます、何と申しましても。そういうことを考えていけば、公正取引委員会の少なくともこれは独立して職務を行なうべき仕事の範囲になっていることに、一回や二回言われて、大臣、ちょっとあれだと言われたが、三回目、四回目くらいは、少し注意してもらわなければいかぬじゃないか。実はこれは公正取引委員会の判断にいまゆだねていますと、こう出てくるだろうと思った、前の再販のときのあなたの立場からいけば。それどころか、言えばますます力むというような形に今日なっているもんだから、ますます私心境がわからなくなって、言わざるを得ない。こういうことに一つはなる。
それからいま言った価格が下がるだろうという問題は、ああいうふうにシェアが大きくなって、そうしてその品種、品目に——まあここで時間がないから具体的には申し上げませんが、レールのごときは八七%だと、その他たくさんあるわけですけれども、何も粗鋼だけの三五・六を取り立てて言うわけじゃないんですよ。いろいろ部門別に見ると、今日のこの合併という問題は、三菱重工業の合併までの段階とは質が根本的に違うのです。どういうふうに違うのかと言ったら、何だかんだといっても、三菱重工業の場合あるいは石川島の造船が播磨をやったときには、何というか、部門の拡充をやったとか、あるいは新規部門に進出をするとか、いろいろあったわけですよ。それなりの緊急避難的な要素というものを持っておった。ところが、今度のやつは、少なくとも一位と二位が合併するんですから、しかもUSスチールに次ぐ世界第二位というものであるだけに、今度新しくできる会社がもし認められるとすれば、この第二番目との企業格差というようなものは非常に大きなものになってくるわけです。だから、ほんとうに競争的寡占でもって、言いかえれば、どんぐりの背比べをして進んでいるという段階、そういうことに結果としてなるようなものなら、私は心配しませんよ。一段抜きん出ている。この間も言ったんですけれども、いままでの東京都内のビルが九階、十階、十一階だ。そういうときにシェアは一一%。これは鉄鋼をよくあらわしていますよ。そこに霞が関ビルができて、これが三十六階建てです。三五・七%。まさに粗鋼のシェアと同じようなものです。あれを見てごらんなさい。一挙にどかんと群を抜いているじゃないですか。この企業格差の問題をやっぱり私は問題としているのです。ここに管理価格が絶対生まれない、あるいは寡占体制が生まれないなんていうことを、そのようなことを、大臣、ここでほんとうに自信を持ってあなたはおっしゃっておられるのかどうか。ここら辺については、またあとで議論してもいいですよ。
それにまた、何か世論がと言ったけれども、新聞も、だいぶ世論が変わってきましたよ、当初のときと、大臣がおっしゃったとおり。いまだんだん新聞も変わってきていますし、それから最近は、雑誌とかそれぞれ出てきている論評を見てみますと、特に専門的に研究をしている学者等は、ほとんどいわゆる反対という立場をとってきている。これは危険性があるということを十分見ている。USスチールは、あれで二七%じゃないですか。何ぼでかいとか何とか言っても、これはやっぱりその比じゃないですよ。国際的にこう見たときに、あそこよりもちょっと小さいということだけれども、日本における今度の予想される新会社というものと、アメリカの鉄鋼業界におけるUSスチールとの比は、これは全然あなた、問題になりませんよ。そういう面をあなた考えていかなければならないんで、だから、価格が下がるなんということについても、私はそれは、でかくなるほど、大きいことはいいことだなんて、チョコレートの宣伝文句になるけれども、そんな簡単なものなじゃないですよ。それで値段が下がるぐらいなら、これはたいしたもので、それが消費者に還元されるくらいなら、アメリカの今日の鉄鋼事情、USスチールの状態をよく分析をしてみれば、私は、これが研究開発に役立つとか、消費者にたいへんプラスになるんだとか、そういうことを考えることは——これは特に稲山さんがあそこのヒルトンホテルでちゃんと講演をしている。実際にやろうとする本人自身が、明らかに今度の合併のねらいはこうだと言って、大臣の言うのとはまるっきり違うことを言っている。国際競争力というようなことは鉄鋼の場合は考えておりませんということを言っているじゃないですか、はっきり。やはり、今日の価格の安定という問題、そういうことがねらいで今日やってきているのだから、だから私は、それだけに、公取だって相当資料を集めて慎重に判断をしたいという立場があると思う。そういう時期だから、少し大臣にもその辺のことをやはり考慮に入れて、この問題については見てもらいたいという気持ちで申し上げているわけで、どうしてもこだわられると、大臣、じゃ何でそんなにむきになって言わなければならぬのか。そういう理由があるのかと言いたくなる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/14
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015・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それでは、もう少し申し上げておいたほうがよろしいと思うのでございいますが、昨日ああいうことを申しましたのは、新聞記者会見で申したのではなくて、国会の委員会でのお尋ねがございましたから申し上げたのであります。従来、新聞記者諸君からは、同じような質問を何度か受けておりましたけれども、それにははっきりした返事を私はしたことはありませんでした。一つは、それが公正取引委員会当局に真意がまっすぐ伝わらない場合があってはいかぬということであったのでございますが、昨日はそういう心配もございませんでしたし、また、国会でそういうお尋ねでございましたから、申し上げたのであります。
それで、ここのところは私はこういう考え方をしているのでございますが、御賛同を得られますかどうか。公正取引委員会と狭い意味の政府というものとの関係でございますが、公正取引委員会が、全く独立の立場にあることは先ほど申し上げたとおりであります。こういう案件を公正取引委員会が判断されるにあたっては、もちろん御自分の意思だけで判断をし、決定をされるわけですが、そういう意味では、いわば一つの法廷のような、裁判所のようなものであるといふうに考えます。その前には、政府といえども、一人の参考意見を述べるものに過ぎないと思うのでございます。したがって、もし公聴会でもありまして、たとえば同業者が出る、あるいはユーザーが出る、それから学識経験者が出る、またいわゆる広い意味での公益といったようなものを代表する者が出るというときに、かりに政府の代表者が出て意見を述べろと言われれば、私どもそれに応じて意見を述べる義務があるというふうに考えております。公正取引委員会にとっては、そうやって政府の述べました意見は、幾つかの意見の一つにすぎないのであって、それらを総合して公正取引委員会としては最終的な決定をされるのでありますから、そういう意味で、私どもは、そういう場を考えれば、一つの公取の判断をされるについての参考意見を述べるものの立場にすぎない。私はそれでいいのだと思います。
〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕
こういう行政委員会というものはそういう目的をもって私はつくられたものであると考えておりますから、何か閣僚が言ったから、非常にそれがウエイトを持つ、あるいは一種の圧力になるというようなふうに現在の行政機構はできておらない。公取というものはそういうものではないというふうに私は考えております。したがって、狭い意味での行政府の考えていることを国会のお尋ねに対して申し上げたのであります。
それから、どんぐりの背比べならまだしもという意味のことをおっしゃいましたけれども、私ども日本の企業の国際競争力というものを考えてみますと、わが国の経済と大体本質が似ているわけでありまして、目先は非常に成長している。そして目先の品物の価格ではけっこう競争していける。けれども、その蓄積があるかと言えば、全く蓄積がない。ちょうどわが国の経済と同じような姿でありますから、それでそれが「どんぐり」ということになるのでありましょうけれども、これは、資本自由化の時代になって、世界的規模での企業というものを考える場合に、わが国の企業の蓄積というものは実に驚くべきほど薄いわけであります。そういうことも——いま当面のことにあまり深入りいたしませんが、そういうこともやはり考えておく必要があるだろう。これは行政府の立場であります。公正取引委員会がそういうことをお考えになるかならないかは、私どもはわかりません。
それから新聞などの説も当初はそうであったが、いまは変わってきたという意味のことをおっしゃったかと思いますが、私がさっき御紹介いたしました五つの新聞の社説がその後変更になったということを承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/15
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016・木村美智男
○木村美智男君 時間に追われておりますから十分議論ができないのですが、大臣、いま言われたことの中でも、やはり私も、なかなかすっと通らないものがあるものですから、これはまああとの機会に譲りますが、ただ大臣、ひとつ——農林大臣が来られたので、この論争はこれで打ち切りますけれども、ただ、経済企画庁という国全体のこれからのそういう立場から産業政策をどうするかということも、通産大臣と同じように、あるいは高い立場で考えられているかもしれませんが、何といってみたところで、経済企画庁長官というのは、やはり国民の消費生活のよりどころとして皆からながめられていることは間違いないのですよ。だから、あなたに希望することは、やはりそういう意味で、もう一回独禁法をあなた読み直していただきたいと思う。これは特に消費者保護基本法をつくる段階だから、経済企画庁長官にほんとうにその点をしっかりとつかんでおいてもらわないと、私らがこういう法案をつくってみたところで、これは全くナンセンスだという気持ちにやはり陥りますよ。で、立法府でそういうような気持ちをもってこの法案をつくるなんということは、きわめて残念なことですから、これは今後の大臣のあり方についても私は十分気をつけながら、しかし、大臣が先ほどおっしゃられたような真意もよく理解をしながら、これは進めてまいりますが、何としても、あなたには、今日の時点でおっしゃられるように公取の独立性もそこなう意思は毛頭ないし、そういう立場はとっておらないと言うし、消費者のことも考えているというならば、それは、通産大臣が前回の質問に答えてとられているような立場、あるいは閣議で申し合わせをしたような立場を、あなたに私はぜひとってもらいたいということを希望をして——これはまあ、特にこのことのお答えがあれば伺いますけれども、そういう点を強く私は要望をして、農林大臣のほうに移りたいと思うのですが長官、別にお答えないですね。
それじゃ、せっかく農林大臣見えられましたので、企画庁国民生活局長おられますけれども、大臣の都合で、局長の関係のやつはあとに回させていただきたいと思います。
大臣にまず第一番にお伺いしたいのは、いま農林省の省令の中で、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」というのがあるわけですけれども、この中で、乳質基準を、いま乳脂肪分は三%というふうに定められている。で、実際乳脂肪分というのは、生産者から出てきた場合には大体三・二%くらいが普通であるわけですね。ところが、農林省の規格基準が三%になっているために、実際に加工メーカーなんかでは、これに対してクリーム分離機というものを使って、そうしてせっかくの三・二%というものを三%に下げて、そうして出しているわけですね。それはどこへ回しているかといえば、クリームであるとかバターの原料のほうに回している。私は、やはり消費者をほんとうに保護するという立場から考えるならば、これは、三・二%あろうが三・三%あろうが、できるだけとったままの良質の乳を消費者に供給をしていくというふうな立場に立つことが本来の意味での消費者を保護することになるのじゃないか、こういうふうに考えるものです。したがって、現状では、異物混入でもない限り、中毒でも起こさなければ取り締まれないような状態になっているので、やはりこの省令に問題があるような気がいたしますから、そういう意味で、やはりこの乳質基準の引き上げということをやるべきじゃないかというふうに思うのですが、この点どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/16
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017・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 畜産局長から一応お答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/17
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018・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) ただいまお尋ねになりましたことについては、厚生省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」によりまして、三%ということになっているのであります。現実には三・二%程度ということでございますが、先生御承知のように、地域によりまして、時期によりまして、乳質のパーセンテージというのは違っております。したがいまして、そういうふうな点も考慮いたしまして、現在厚生省令で三%というふうな状態になっておるわけでございまして、したがいまして、上げるべきかどうかということにつきましては、まあそういった生乳の生産面、供給面の問題もございますので、現在は、全体の生乳の品質の改善向上をはかっておるわけでございます。そういうふうな点をまちまして検討すべきものではなかろうかというふうに実は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/18
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019・木村美智男
○木村美智男君 私の言わんとすることは、多少地域的に時期的に変わっているということ、これは承知をしているのです。問題は、しかし、地域的に変わっている、時期的に変わっているのが三%以下というようなことで、三%に持っていっているということなら、これはむしろ、そういう意味で消費者保護の問題であるから私了解をしているのですが、それは時期により地域によって三%以下というものもあるが、これはわずかである。大部分は、むしろ三・二%であり、さらにそれより上回っている、それが現実にはクリーム分離機というものにかけられて、そのせっかくの乳脂肪分というものを〇・二%なり〇・三%なり、とられて、これをバターなりクリームに回している、それで薄められたものをわれわれが飲まされる、こういう関係にあるものだから、根本的にこれは考え直していくべき筋のものではないのかと、できれば、出てきたそのものを飲ませるような方法を法的に考えてもらわないと、さっき言ったように、異物混入で中毒でも起こさない限り、あれは取り締まりできないのでしょう、いまは。その点を申し上げているわけです。検討するお気持ちはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/19
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020・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) この点は、先ほど申し上げましたように、農林省の立場から考えますと、そういうふうな生産面の問題もございますので、私たちのほうとしましては、やはり生乳品質の改善向上をまって措置すべきものだというふうに考えておるわけでございますが、先般衆議院のほうで厚生省からお答えになっておられますのは、その点については検討いたしたいということを厚生省からお答えになったように私は承知をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/20
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021・木村美智男
○木村美智男君 時間がありませんから、これはまたいずれ本委員会の問題になりますから、次に移ります。
この間畜産振興事業団で二千トンばかり豚肉が変質したので放出をするということでやったようですが、これは現在どういう部門に、どういうふうに回されて、それが何に使われているのか。というのは、きょうの新聞なんか見てもわかりますように、東京都がいろいろ検査をしてみますと、やはりソーセージの中に大腸菌が入ってたり、たいへんな事態が出ているから、特に悪く、質の落ちた豚肉の放出なんで、これはやっぱり放出先をきちんとして、使用先を明確にしておかないと、これはとんだ問題が起こりかねないので、その点ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/21
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022・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) ただいま御質問の豚肉の問題でございますが、古いものがございまして、約千五百トン程度でございますが、脂肪がやや酸化をいたしておるわけでございます。もちろん、マイナス四十度で急速冷凍いたしまして、マイナス二十度で常時保管いたしておりますので、腐敗をいたすとか、そういうふうなことはないわけでございますけれども、時間がたちますと、豚肉の表面にあります脂肪分が酸化をしてまいるというふうなことになるわけでございますが、古いものにつきましては、やや酸化をいたしているわけでございます。これは、その表面の酸化した部分を取り除きますと、もちろん食用として食用に供することができるわけでございますけれども、しかし、酸化した部分を取らないというふうなことがあっても困るということと、もう一つは、一般の小売り業者等に売りますと、解凍いたしまして、その後に腐敗する可能性が大きいということもございまして、大量に売るところでないと、取り扱うのに適当でないというふうな問題もございます。それから一方で、加工いたします場合には、これにつきまして熱処理をするというふうなこともございますので、私たちのほうでは、この酸化をいたしております豚肉につきましては、加工メーカーに売るのが適当ではないかと考えております。加工メーカーでございますと、十分対象がはっきりしておりますので、指導監督が徹底するということもございます。したがいまして、加工メーカーに販売をいたすということで現在話し合いを進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/22
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023・木村美智男
○木村美智男君 この話が出てからもう二カ月ぐらいになるのですが、まだメーカーと話をしている段階だということのようですが、私なぜこの問題を取り上げたかというと、東京都内のそういう関係もあるのですが、アメリカあたりでは消費者保護という思想が非常によく徹底をしておって、率直に、やっぱり多少品が落ちるとか、悪ければ悪いなりに、メーカーの義務として、そういう表示をして売るというやり方をやっている関係があるわけですよ。したがって、そういう思想で今後基本法ができた場合に農林省は対処してもらわなければいけないのじゃないかという意味で申し上げたんです。とにかく、このことで、けさの新聞みたいな問題を起こさないように、厳重に管理監督をしてもらって処置をしていただきたい。これは要望になりますから、お答えは要らぬです。
で、大臣が二時三十分で退席されるようですから、大臣に伺っておきますが、実は大臣、あなたにどうしてもこれは、国会も終末段階に来たんで、やはり締めくくりとして伺いたい。
とにかく、いまこの時点まで来て、何といっても、消費者保護基本法ができて、これが成立するというのに、なるほど基本法はできたが、ものというものについてはさっぱり具体的にいじられないのじゃないかという素朴な感情というものが、消費者にはたくさんあるわけなんですよ。早い話が、私が今日まで取り上げてきている牛肉の問題なんていうのは、その最たるものです。これは、いままでの農林省と私とのやりとりの中では、私は一にかかって、とにかく今日の時点では、この際消費者代表あるいは酪農代表を含めて、私どもが入る入らぬは別ですけれども、とにかく十分話し合って、一つの物価対策的な観点、食肉の需給展望といったようなものから考えて、何かもう一歩とにかく踏み出してもらわなければならない問題のように実はどうしても考える。
そこで、もう絶対に汚染地域でったら入れないと言っていたのに、あのアルゼンチンから、これは汚染地域なんですが、煮沸肉といいながら、そこから入れることに農林省としては踏み切った。そうだとすれば、やはりそれだけの防疫体制なり何なりというものをやっているわけですから、この問題解決のために、そういう一つの熱心さを、そういう態度というものを打ち出すべきではないのか。あのアルゼンチンの問題だって、煮沸しているから心配はないのだ、こう言っているけれども、口蹄疫というものがビールスによって伝染をしていくという限りにおいては、私は、その絶対的な保証なんというものはあり得ないと思う。これは、責任はだれが負ってくれるのか知らないけれども、けっこうあぶない芸当をやってのけているような気がしている。この間ニュージーランドで口蹄疫が発生したとかなんとかということで農林省は青くなってかけずり回ったけれども、あのときと同じようなかっこうで何かの事態が発生したときに、あなた方は一体食肉の問題をどう処理されるのかということだって、お困りにならないように、今日の時点でそれなりの立場でいろいろ考えるわけでしょう。だから、いろいろ申し上げましたが、結論は、大臣、消費者保護基本法というような法律ができるのに一般国民としては、なんだ、牛肉なんというものは百グラム二百円、二百五十円という高いものを買わせておいて消費者保護基本法とは何ごとだ、そういう素朴な感情がある。そういう新しい情勢の進展に対して、大臣はこれまで技術的にと言われたが、その趣旨はわかる。わかりましたけれども、私のほうからも具体的な提案をいろいろしてみて、何かひとっここで積極的にやはりやっておかなければ、逆にいろいろお困りになる問題もあるんじゃないかというふうな意味で、大臣、しばらく国会も休会になるから、牛肉の輸入という問題について、もう一回見解をお伺いしたい。あとは大臣でなくてもいいわけですから、時間がきているので、特にこの点だけ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/23
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024・西村直己
○国務大臣(西村直己君) アルゼンチンから煮沸肉を入れている。これはまあ、中共からも煮沸肉を入れたいという要望がありますれば、これは同じように私は扱っていきたいと思いますが、そういう要望があるかないかは寡聞にして私は聞いていないのであります。なま肉を入れたい、これについては、私のほうは、中共覚え書き貿易等におきまして、率直に申しますが、米は余っているのですから米は買いたくない。しかし、どうしても米を買ってくれという、非公式ながらの、たっての強い要望がございましたので、貿易というたてまえから配慮を加えまして、十万トンという米は買ったわけであります。したがって、牛肉というものも、これは問題が政治的な意味じゃありませんで、術生上の問題さえ解決をすれば、私のほうはけっこうだという姿勢でございます。ただ、事柄が、相当な量を入れなければ業者がもうけるだけであって、高いものを入れるのですから、やはり相当な量が入らなければ消費者保護にはならない。相当の量を入れるということになってまいりますと、これはやはり衛生技術の上では、お互い同士が安心するというような、国際水準のお互いの情報の交換なり、資料提供なりというものがあり得なければいけない。私どもとしては、関係の方々なり、そういう方々が相手の国に対してそういう意見を持っているということを、そういう意向をどうぞ伝えて協力方をやってもらいたい、そうして問題が解決するならそれはけっこうなことだ。ただ、現在試験的に入れろとか、そういうことだけは、事柄が病気でございますから、ちょっと困難である。やはり口蹄疫というものは、一つ入りますれば大きな影響力を持つことは、単に消費者保護という価格問題以上に、もっと生産者に対して非常な大きな影響を与えてくる。そういうような意味で、私どもとしては、畜産の全体の責任を持っている立場から、衛生技術の問題を解決することにひとつ御協力を願いたい、こういうことで、要するに、簡単に申しますれば衛生の技術上の問題ではないか、それを解決するようにひとつ協力を願いたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/24
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025・木村美智男
○木村美智男君 あまりやりとりしようとは思いませんが、口蹄疫の話はもうずいぶん聞いておるので、それで、いま何かアルゼンチンから煮沸肉を入れると同じように中共からも入れるというような話があるとかと言いますが、おそらく中共では、煮沸肉なんていうものは、こちらで買いたいと言ったって断わるでしょうね。これはもうわかり切っていることで、それは、口蹄疫がないのに人をばかにするなと言っている立場だから、煮沸肉なんていうことをこっちでかりに頼んでみたって、向こうが、そんなものは問題にならぬと、こう言ってくることになるだろうから、これはもうその点は全然話にならないので、私申し上げているのは、何も業者にもうけさせるなんていうことはこれっぽっちもなくたっていいわけですからね。いまの食肉問題、高価になっている牛肉問題をどう解決をするのかという点で、それなら、中国牛肉じゃなくてもいいけれども、もう少し農林省は積極的に牛肉を入れることを考えてみたらどうなのか。それをやればどうも国内の畜産に影響があるということで酪農家の皆さんが反対をしているが、これには多分に無理解な点もあるから、そこら辺のことはよく考えてみれば、実際問題として、将来は国内自給が完全に成り立つような態勢をつくるというのが基本問題です。しかし、当面それができないとなれば、やっぱりいまのまま、あそこの中共のは病気があるからだめなんだということだけでほんとうに済ましておっていいものだろうか。私は、それが今日の政治の要路に立っておる皆さん方のお答えとして、それをしかも十年一日のごとく繰り返しておっていいのだろうかということについて大臣に実は伺っておるわけなんですね。口蹄疫の問題は、もう私も一生懸命しろうとながら勉強してみまして、入ってきたらたいへんだということもわかっています。しかし、大臣、それはね、口蹄疫の問題というのは、それこそ口実みたいにしかいまは受け取られていないんだということ、ここを大臣、よくわかってもらわぬといかぬ。それは、戦争中あれだけ物が不足しておって防疫体制も満足にとれないようなそういう時期に、中国ではそれこそ口蹄疫が蔓延してどうにもならぬというときに、青島牛をじゃんじゃんと日本が入れてきていた。それでもちっとも口蹄疫が発生していない。いまだに汚染地域になっていない。そういう経験を持つ日本が、いま口蹄疫がたいへんな問題だからという理屈を何ぼ言ってみたって、国民は納得しません。私これ以上この問題で論争することはやめますけれども、今度の参議院選挙やあらゆる機会を通して国民の皆さんに訴えていきますよ、それは。こういう現状というものをやっぱりよく知ってもらわないと政治というものは前進しないし、それは、一部の輸入業者が、あるいは貿易業者がどんな動きをしているなんていうことは、私らどっちでもいいのです、そういうものは。今日のこの牛肉なんというのは、ある意味で言えば、これは全くいまの政治のあり方の結果起こってくる、言ってみりゃ、公害みたいなものですよ、高い牛肉を食わされているのは。私から言わせればそういうものです。しかも、これは解決をする気になればできるものです。それをやらないでおって、そして十年一日のごとく、口蹄疫、口蹄疫と言って、そういうことばかり言っておったのでは、世の中は前進しませんわね。前進しないというよりも、われわれが取り残されていきますわね、そううい問題から。だから、これはこれ以上議論をいたしません、また国会でもさらに再開をされた時点で、あらためてこの問題は取り上げてまいります。大臣、時間ですからけっこうでございます。
農林省のほうに、あと二つ三つお伺いしたいのですが、最近、動物を早く太らして、一人前にさして売らにゃならぬものですから、それで抗生物質を盛んに飼料の中に添加してやるという問題がある。そういう抗生物質を飼料の中に入れると、それを食って育った豚や牛を食っていると、ペニシリンを打ってもきかなくなるというような問題すら出てきているわけですね。この点について、農林省もだいぶ重要に考えたようでありますが、私は、これを一片の通達で、ほんとうにそういう関係が規制できるのかどうかという心配を持っている。それから、実際にこの通達を出したのはいつだかわかりませんが、この問題は順調に下部に徹底をしていっているのか、あるいは適当な時期をつかまえて抜き打ち検査ということをやって、通達がほんとうに浸透していって、言いかえれば、そういう危険性が、あるいは人体に与える弊害が考えられるというようなことについてチェックしてみる必要があるんじゃないか、こういうことを考えているものですから、この辺、簡単でけっこうですから、消費者保護の立場でお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/25
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026・岡田覚夫
○政府委員(岡田覚夫君) 先生のお話のように、最近、えさの中に抗生物質を入れるというふうな、特に配合飼料だけでございますけれども、抗生物質を入れて、主として成長促進をはかるというふうな形になっておるわけでございます。主として成長促進ということでございますので、豚や牛については哺乳期に必要な配合飼料に混入する。それから家禽につきましては、ひな及びブロイラーに配合するというふうな形になっておるわけでございますが、抗生物質につきましては、毒性なり過敏性なり耐性ということが問題になるわけでございますが、わが国において通常飼料に添加されております量は二〇PPM未満でございまして、この程度では、たとえばブロイラーに連続給与しても、食用とされる禽肉中には、ほとんど残存が認められないということでございます。また耐性につきましても、二〇PPM未満であれば、一般的には生じない。たとえ生じたとしましても、抗生物質をやめれば耐性は消失するということが言われております。そういうことで、現在のところは心配ないと思っておるわけでございますが、抗生物質の安全性なり有用性というものとの関連において、今後ともこれは十分研究して、慎重に取り扱う必要があるというように考えております。通達を出しましてからも、現に配合飼料をメーカーによって使っております抗生物質につきましては、飼料検査所におきまして検査をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/26
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027・木村美智男
○木村美智男君 先ほどから通産省の局長お待たせをしておってたいへん恐縮ですから、ここに一つはさまってもらいますが、工業標準化法の関係でひとつお伺いをしておきたいのですが、この法律の第一条には目的が書いてあるのですが、私は、今日の消費者保護基本法ができる段階になりますと、法律改正は別にしてもらいたいということではないのですが、この条文というのが少し主客転倒となっているから、実際の今後工業標準化法を運用していくにあたっては、少なくともその心がまえというものは、この第一条の最後のほうの、「あわせて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする」というのは、逆に、公共を消費者というふうに字句を置きかえて理解をしてもらって、そして「適正且つ合理的な工業標準の制定及び普及により工業標準化を促進し、消費者の福祉の増進に寄与するとともに、鉱工業品の品質の改善」云々、こういうふうに、もし第一条があり得るとすれば、それぐらいのひとつ考え方に立って、これから消費者の福祉ということを優先にした標準化の運用というものを考えてやっていってもらいたいという気持ちがあるわけであります。で、この点についてのお考えを一つと、それから工業標準化法というのは、ある意味では消費者保護の最先端をいっているものであるという、言いかえれば生産段階までとにかくタッチしていくわけであります。そういう意味で、やはり最小限必要な品目については強制規定を設ける、つまりJISマークはどうしてもこの品目についてだけは必要なんだという強制規定、これぐらいのことをひとつ検討してみる気がございませんかということが二番目。それから三番目には、この仕事というのは、私もしろうとですが、いろいろ読んでみまして、なかなかじみな、ほんとうに縁の下の力持ちのような、しかも、それであって実際的に消費者を保護する仕事です。そういう意味では、担当している皆さんも御苦労だと思うんですが、検査をいろいろしていくとか、あるいは、大体JISマークというようなものは一般の人があまりよく知らぬ。そういったようなことも考えていきますと、できるだけやはり予算というものを確保をしてそうして消費生活の経済効果というものがあがるようにやっていく必要がある。そのために人手もある程度足らない面もあるんじゃないか。あるいはPRということについても不足の面もあるんじゃないかというような意味でそういう観点から、予算的な面については、また他の機会に関係の個所で私どもものを言うつもりではいますが、その辺の事情はどうなっているか。この三点について、簡単でけっこうですから、ひとつお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/27
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028・朝永良夫
○政府委員(朝永良夫君) 第一点の御質問でございますが、工業標準化法の運用にあたりましては、従来から一般消費者の保護を重点の一つといたしまして、消費財関係のJIS、公害防止関係のJISの整備などにつとめてきておりまして、今日約三百の消費財関係のJISの制定をいたしております。しかしながら、御指摘のとおり、最近における消費者保護対策の充実強化という社会的な要請にこたえますために、この法律の運用にあたりましては、消費者保護のための標準化というものを一そう強力にいたしたいと思っておるわけでございます。
次に、第二点の御質問で、JISマークの必要なものをきめていく必要があるんじゃないかという点でございますが、これにつきましては、現在、特に消費者及び学識経験者をもって構成いたします特別委員会によりまして、このような問題の品目についての規格化の問題について審議をいただいておりまして、いろいろ御注文が出ておりますので、その辺のところを十分配慮いたしたいと思っております。ただ、このJISマークを強制する問題につきましては、標準化法よりもむしろ他の法律によるほうがよいのかと存じております。
それから第三点でございますが、予算の問題でございますが、本年度JIS関係の予算すべて含めまして約一億五千万弱の予算を得ておりますが、必ずしも私どもといたしましてはこれに満足してはおりません。今後十分に努力いたしまして、いま先生の御指摘になりました検査の問題あるいはPRの問題等にも一そうの努力を払いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/28
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029・木村美智男
○木村美智男君 通産の関係はけっこうでございます。
農林省、続きますが、時間の関係で少し、はしょりますから、そのつもりでお答えも簡単にお願いしたいと思います。
いまJISマークのお話でしたが、日本農林規格、JASの関係で一、二お伺いしておきますが、JASマークの商品は、やっぱりJISマークと同じように、国が品質を保証した加工品だというしるしであるわけです。にもかかわらず、表示事項というものが全面的に義務づけられていないという問題がいろいろの問題を発生している。それから同じ商品であっても、メーカーや商社が違ってまいりますと、マークをつけていないところは規格が違うという関係が出てくるというような、あるいは矛盾点になるかもしれません。場合によっちゃ、表示内容にインチキなものが出たりなんかする。あるいは、衆議院でも質問されておるようでありますが、輸入商品の関係については、規格や表示については、ちょっといろいろ人手も足らぬ関係かもしれませんが、まあ、ざっくばらんに言えば、野放しになっていると言ったほうが適当かもしれないような状態に置かれているようなんです。そういう点から、農林省でもいろいろ検討されているようですが、この法律改正をいろいろの点で考えられておるようですが、大体新聞では見ておりますので、いつごろその法律改正をやられるのか、項目的に、一つ、こういうこと、二つ、こういうこと、という要点だけでけっこうです。いつごろ改正をされるかですね。で、現実にそれを大体発動していくのはいつごろかということで、簡潔にひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/29
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030・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) ただいま御指摘のJASマークについての改善の諸点につきましては、現行法でもある程度できる部分もございますけれども、根本的には法律の改正を要するものがございますので、現在改正法案の内容について検討中でございます。それで、予定といたしましては、次の通常国会に提案をして御審議を願いたいというふうに思っております。
改正の要点について申し上げますと、なお、これは検討中でございますから、明確に申し上げるわけにもまいりませんが、一つは、JASの法律は昭和二十五年に制定されましたもので、消費者の立場を決して考慮いたしておらないわけではございませんけれども、消費者保護基本法が制定される現在の時点で考えますと、消費者保護という点について明確を欠く点がございますので、まず法律の目的として、消費者保護ということを明確にいたしたいと考えております。
それから現在の法律では、法律の規定といたしまして輸入品を除くということになっておるわけでございます。輸入品のJAS上の取り扱いについては、なかなか運用上むずかしい点はございますけれども、とにかく輸入品を含めてJASマークの適用をしたいということが第二点でございます。
それからなお、いろいろ問題はございますが、たとえば、JASは別に強制的な制度ではございませんから、JASの規定を設けましても、業者としてJASを採用しないというものもございますし、それから消費者保護のたてまえからいって、JASの規定が必要であろうと思いましても、業者のいわば、あうんの呼吸といいますか、呼吸が合わないで規格が制定されないということも間々あるわけでございますから、それらのものにつきましては、最小限の必要な表示について何ほどかの指導ができるような法律制度をつくることができないかということが検討の三点でございます。
それ以外に、消費者からJASにつきましての苦情の申し出がある等の場合の処置、あるいはJAS制度についての監視の機構が必ずしも十分ではございませんから、それを整備するということ、これらが私どもが現在改正法案の内容として検討いたしておりますことの要点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/30
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031・大森久司
○委員長(大森久司君) ちょっと速記とめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/31
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032・大森久司
○委員長(大森久司君) 起こしてください。田代君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/32
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033・田代富士男
○田代富士男君 質問の途中に入りまして、長官が三時までだということでございますから、時間にして十分でございます。いろいろお聞きしたいこともございましたんですが、十分内という制限もございますから、その中から一、二を聞きたいと思いますが、この前も私は消費者保護の基本法案につきまして、いろいろ長官にお尋ねをいたしました。その根本となる消費者保護の問題でございますが、これは、一般消費者を保護すること自身が主要な目的になっていたことにつきましては前回述べたとおりでございますが、消費者保護と申しましても、ただ単に消費者だけを保護するというだけでは、これは解決できる問題じゃないと思うわけなんです。これには、いろいろ経済発展あるいは技術革新の進行あるいは自由化の進展に伴った産業構造の合理化と、こういう国民生活を取り巻くさまざまな条件を十分考慮した上に、経済全般の中で総合的に取り扱っていかなかったならば、消費者保護というものの当初の基本法案に盛られている目的というものは達するわけにはいかないじゃないかと思うわけなんです。
そこで、私は、これを考えてみますれば、消費財を一般消費者が購入する場合の保護につきまして、いろいろあると思いますが、その中で、基本法案の中にも一、二出ておりますが、問題を分けてみますると、まず第一番目に、消費者の立場としての経済的な不利益からの保護、第二番目には、肉体的危険からの保護、第三番目には、公共サービスの購入に際しての保護、それから四番目には、私的サービスの購入に際しての保護、まだこれ以外にもいろいろ分けられますけれども、時間もありませんから、いま四つほど大きい項目を述べましたけれども、このような保護策に対しましてどのように対処していかれるのか、お聞かせ願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/33
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034・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済的不利益からの保護という経済的ということの考え方でございますけれども、これをかりに金銭的というふうに考えれば、これは当然、物の、あるいはサービスの消費者価格が不当に高く形成されない、自由に、かつ、できるだけ安く形成されるということでございますから、一般的な消費者物価対策ということになろうかと思います。
次に危険と言われましたのは、おそらく生命身体に対する危険を言われたと思いますが、これは衛生の問題でもありますし、また、運動器具とか、そういったものにつきましても危険ということはあると思います。食品につきましても薬品につきましてもあると思います。これは、それらの関係の諸法律、現行の法律、法制等について改めるべきものがあればこの第六条で改める必要がございますし、新規に制定する必要があれば、同じく第六条で制定をしなければならないということでございまして、これは関係各省で、この法律ができますと、この精神に沿いまして作業を進めることになるわけであります。
公的サービスの購入に関しての保護と言われますことは、おそらくは、いわゆる公共料金について、その合理化、安定化をはかる、これもできるだけ低いほうがよろしいわけでございますが、これは政府の公共料金対策になっております。
私的サービスの購入に際しての保護、これでございますが、これは、そのような私的機関に独禁法違反のような行為があってならないことはもちろんでありますけれども、同時に、国の融資、税制等によって、それらの私的機関が生産性を向上できるように助けていく、その結果、私的サービスの購入について消費者が利益を受ける、こういう考え方と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/34
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035・田代富士男
○田代富士男君 またこれは飛ばしまして、長くいてもらえないということでございますから。
いま焦点になっています災害の問題、直接経企庁に関係ないじゃないかと言われるかと思いますが、災害とわれわれ国民生活との関係でございますが、そのようになっていけば関係がないわけはないと思うわけなんです。そこで、災害にはいろいろあると思います。台風あるいは豪雨によるところの災害、こういう地震によるところの災害、これは称して一般的には天災というふうに要約されているのではないかと思います。それと、今度は交通事故、あるいは公害問題、こういう問題点につきましては、これは一応人災ということにされておるわけなんです。このような問題につきまして、やはり起きてきた場合には、われわれ国民生活に対してはたいへんな影響です。ただいま北海道・東北の災害地というものは、これまたたいへんなことじゃないかと思います。きょうの参議院の本会議におきましてもその問題が取り上げられておりますが、台風の場合を考えてみますと、これは災害の中でも一番横綱格ではないかと思います。この台風は、平均一年に二十六回から七回くらい来るという。気象台に聞きましたら、そのようなことでございますが、時間があれば、台風のことも、ずっとわれわれとの関係を聞いていきたいと思いますが、時間がありませんから、長官に、幸い地震——幸いと言っては失礼でございますが、地震が起きました。
その地震とわれわれの国民生活との関係から考えてみますと、御承知のとおりに、日本の国というのは地震国でございます、世界有数の。その地震が一年間に平均どのくらい起きているか。概数でございますが、平均千五百回、一年間にわれわれの有感地震ですね、われわれの身体で感づく程度の地震は千五百回。そうしますと、一カ月平均で百数十回起こる。一日に四、五回どこかで起きているというような計算になっておるわけなんです。そうしますと、地震といっても、われわれとかけ離れたものではありません。即ち、国民生活に密着した問題じゃないかと思うわけなんです。そこで、地震の周期といいますか、大きな地震は、最も大きい地震は、百年あるいは百五十年周期で一回くらい来る。小さな地震でも、その中で大きな地震は二年ないし三年に一回来る。そういうことから、関東大震災の死者を見てみますと、東京、神奈川近県で十万人の死者を見ております。これに対して負傷者は同じく十万人、行方不明が五万人、全壊家屋が十三万、半壊が十三万、そうして焼失家屋は四十五万というような数字が出ております。このような人々の国民生活というものを考えていくならば、天災と言って済まされない問題が多いのです。
私は、十勝沖の地震をいま言うんじゃありません。私が一番心配しているのは、現在、京阪地方、特に埋め立てをしました地域がございます。地盤の弱い、その埋め立てしたあとに工場や住宅が密着して、そうしていまどんどん建っております。東京湾のまわり、さあそこに今度地震が起きたらどうするか、また、埋め立てしたところの地下水をどんどん汲み上げております。さあ、この地下水を汲み上げたために地盤がじりじりと下がっている、ここに地震が起きてきたならば、われわれ国民の生活というものはどのようになってくるであろうか。経企庁とすれば、ちょっと所管が違うとおっしゃるかもしれませんが、国民生活の立場から見るならば……。十勝沖の地震もありました。いま災害にあった人々は悲惨な生活になっておりますが、これを天災と言っていてはおさまらないと思うのです。こういう東京湾近郊で、東京中心に震度六、七という激震があったならばどうなるか。これに対する——長官としても御答弁にちょっとお困りかわかりませんが、国民生活の上から、災害と国民生活との関連性の上から、時間もありませんから、あわせて御答弁願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/35
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036・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 俗に噴火山の上にいるようなものだという表現がございますけれども、文字どおり、言ってみればそういう環境に、ことに大都市は現在あるのではないかと思います。ことに、相当大きな地震を考えますと、火災の発生はもちろんでありますけれども、その場合、自動車のガソリンであるとか、あるいはプラスチック等の化学製品、たいていの家庭にございますが、それらのものがどういうガスを発生するのか、その辺の見当もつきませんし、また、御指摘のように、いわゆるゼロメーター地域というものは、津波に対してはほとんど無防備でございますし、また、地盤そのものがどういうことになるのか、はっきりいたさないわけでございます。ですから、関係当局では、ときどきそういうことを研究をいたしておるようでございますけれども、対震性、不燃性の家屋をふやしていくということ、これは、どちらから見ましても大切なことと思いますが、そういう努力から進めていく、そうして都市計画を整備する、防潮堤をつくるといったようなことを進めていかなければならないわけですが、そういうことが、あしたできるか、あさってできるかといいましても、実際そんな簡単にはできないわけでございます。その辺も、わが国の経済の蓄積の少なさを示しておるものと思いますが、そういう努力を続けていかなければならないかと思います。
それから、やはり罹災者自身の自己防衛策としては、地震保険のようなものがあるわけでございます。これも、国営である程度てん補をするという程度であって、大きな地震では、民営の保険会社は全部保険を負担することができませんし、国営で再保険をどの程度とれるかといったようなことがやはり問題になるであろう。何ぶんにも問題が非常に大きゅうございまして、率直に申しまして、わが国の大都市がそういう緊急時に際して十分対処できるような体制を現在持っていないことは、残念ながら事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/36
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037・大森久司
○委員長(大森久司君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/37
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038・大森久司
○委員長(大森久司君) 速記をつけて。木村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/38
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039・木村美智男
○木村美智男君 大臣、時間がございませんので、端的にお伺いをしますから、ことばの足らない点は、ひとつ御了承いただきたいと思います。
実は、阿賀野川の水銀中毒事件の結論が、中間で、科学技術庁から、一応一つの内容を持って、通産なり厚生なり農林省なり企画庁に来ているわけですね。要するに、それは、中毒を引き起こしたメチル水銀の汚染源なり汚染機構なりというものは、実は昭電の鹿瀬の工場から出たものだという断定は困難だというような内容が、大体科学技術庁の方向である。それに基づいて、近く政府の原案がつくられるのだという状況までは聞いたのですが、厚生省は、この問題については強く反対をしているというふうに新聞報道は伝えているわけです。この点について、日経の社説なんかでは、「疑わしきは罰せず」という法理論ではありませんが、「「疑わしき」は排せよ」という、これは公害とかこういう厚生関係にとってはきわめて大事な例示だと思うのですけれども、いずれにしても、この問題がどうなっているかということ、これは大臣でなくてけっこうなんですが、簡単に結論だけでいいですから、ひとつお答えいただいて、それから大臣にちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/39
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040・野津聖
○説明員(野津聖君) お答えいたします。
阿賀野川事件の問題につきましては、現在科学技術庁におきまして、政府の技術的な見解を取りまとめるという段階に至っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/40
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041・木村美智男
○木村美智男君 そこで、私は厚生大臣にこの考え方を伺い、かつ、こういうことだという希望も申し上げたいのですが、私は、最近。内閣の中で、きわめて厚生省の果たしている役割りというものを、一般消費者にとって、というか、国民にとって、これは特に大臣が指導的に果たしている役割りですけれども、高く評価しているわけです。ての阿賀野川水銀中毒事件の問題でも、ここから私感ずることは、実は、いま審議中のこの消費者保護基本法の運用にあたって、きわめて大事な問題を提起している。それは何かというと、あとで公取の委員長さんにも伺いたいのですが、厚生省は、この場合、やはり規制官庁の立場に立つ、通産省の場合には、産業を育成していく官庁なんですから、言ってみれば生産官庁だと、そういう関係から、やはりこの阿賀野川の問題についても多少意見が違って出てきている。私は、これはかえって国民にとってしあわせなことだと、こういう見方をしているわけなんです。そういう意味で、たとえばこの消費者基本法の運用にあたっても、一つの規格化をしたり標準化をやるのは生産官庁でいいじゃないか、しかしながら、これに違反したとかしないとかいうような取り締まりの関係については、これは規制官庁というものがやはり別個にあって、そうしていくのが両々相まってうまくいくので、育成官庁が即、取り締まり規制官庁であるという——従来間々あるわけです、食品の問題にしろ、いろいろ今日までの消費者行政の中では。そこにやはり問題点があるような気がするので、そこに、阿賀野川中毒事件の今日の厚生省対あるいは科学技術庁なり通産省の考え方が、多少変わって出てきているというこのあり方ですね、つまり、生産官庁は規制官庁であってはいかぬ、育成官庁である官庁はこれは規制官庁になっちゃいかぬのだという、こういう原則が確立をされていかないと、私は、消費者保護基本法といったようなものは、ほんとうの意味でうまく運用されていかないのじゃないか、こういうふうに思うものだから、これは厚生省を高く評価しながら、大臣に、そういうあり方についてはどういうふうにお考えでしょうか。あるいは公正取引委員長に聞くあれかもしれませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/41
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042・園田直
○国務大臣(園田直君) 厚生省の今日における責任はきわめて重大であるということは、御指摘のとおりだと考えております。したがいまして、公害も、ただいま審議されております基本法の消費者を保護するという立場も、私は、やはり同じものであって、いままでと違いまして、人間の生命と健康を守るという一つのワクがあって、そのワクの中に生産があり、あるいは食品の販売、製造というものがあると、こう考えます。したがいまして、公害につきましても、食品その他の問題につきましても、最後は人間の生命と健康に影響あるもの、害を与えるもの、こういうものは一本にまとてめ私のほうで責任を持つのが当然ではないかと、同じ姿勢であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/42
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043・木村美智男
○木村美智男君 私、たいへんそれでけっこうだと思いますが、ぜひそういう立場でこれからの行政にも当たっていただきたいし、消費者保護基本法もでき上がったのですけれども、厚生省の指導というものをそういう姿勢でひとつやっていただくように、大臣、これはお願いしておきます。
それから、少しつっけんどんになりますが、次々と、時間がないもので、答えるほうも簡単にしてください。
実は、洗剤の問題で聞きたいのですが、いまの洗剤はソープレスソープと言われて、洗剤でない洗剤だというふうに言われているのですけれども、現在ABSを素材としない洗剤というものがあるのかどうかということをちょっと伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/43
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044・野津聖
○説明員(野津聖君) 現在ABSでない洗剤というものは存在いたします。それは、一般の石けんも洗剤でございますし、それからアルコール系の洗剤、あるいは非イオン系の洗剤といったようなものがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/44
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045・木村美智男
○木村美智男君 ちょっとことばが足らんかったのですが、中性洗剤で、要するにハード型洗剤からソフト型に変わってきましたねしかし、その名前は、ソフト型になって危険性もないんだという宣伝もされていますが、ABSというものは全くないのかどうかということで、そのことをちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/45
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046・小高愛親
○説明員(小高愛親君) ABSの中にソフト型とハード型という二種類ございます。そしてハード型と申ますのは、その化学構造の上に枝がございまして、そのために微生物による分解が困難な種類のものでございます。それからソフト型と申しますのは、そういった化学構造の上に枝がございませんものですから、微生物によって非常に分解されやすい。したがいまして、水質の汚濁の問題がこれによって非常に緩和される、こういう種類のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/46
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047・木村美智男
○木村美智男君 大体御説明されたのをわかるわけですが、要するに、あとで、何というか、まあ端的に言えば、あわがいままで立ったが、今度はあわが立たぬというような関係で、分解が困難と、比較的容易だ、それはわかったのですが、結論的に言えば、やはりABSというものは含まれているというふうに理解をしてよろしいのですね、ソフト型であっても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/47
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048・小高愛親
○説明員(小高愛親君) 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/48
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049・木村美智男
○木村美智男君 そうしますとこの問題についていろいろ研究をされている事柄については、厚生省でございますから、御存じだろうと思うのですが、これはどうですか、だいぶやはり問題があるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/49
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050・小高愛親
○説明員(小高愛親君) ABSにつきましては、昭和三十七年に科学技術庁の特別研究促進調整費をいただきまして、厚生省と労働省においてその障害について研究をいたしたわけでございます。そして、その際に慢性毒性等についても十分に検討いたしまして、その結果、そういった弊害というものは、洗剤として使用いたします限りにおいては心配はないという結果になっております。それから慢性毒性研究につきましては外国にも同様な研究がございます。そして、これらの研究の結果をすべて検討いたしまして、昭和三十七年の十月に、食品衛生調査会においても、結論といたしまして、洗剤として使用する範囲においては障害を与える心配はない、こういう結論に達しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/50
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051・木村美智男
○木村美智男君 三十七年に、ライポンFの中毒死事件というものがありましたね、これはまあ、洗剤として使用する限りという答弁ですから、それは、そういうことであればそういうことになりますがね。やはりミルクと間違えて、世界で初めてですよ、死んだというのはね。そういうことが一つあるということ。
それから、三十五年の、実は、外国の話をいま出されたのですが、コンチネンタル・オイル・カンパニーという会社が、米国の一流の洗剤会社ですけれども、実際の実験をネズミの皮膚にやりまして、大体一キログラム当たり六グラム、ネズミに対して塗れば、一〇〇%これは死ぬという報告があるのですが、これは御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/51
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052・小高愛親
○説明員(小高愛親君) そういう資料はございます。しかしながら、一キログラムに六グラムというのは非常に大量でございまして、一般の使用でそういう状態になるということはまず考えられないわけであります。
それから先どお話のありました中毒死事件につきましても、これが裁判になりまして、その原因が究明されました結果、洗剤によってこのような死亡を引き起こすことはないという判決になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/52
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053・園田直
○国務大臣(園田直君) この問題については、薬務局その他の事務局に私が指示をしていることがありますので、申し上げたいと思います。
いま事務局から申し上げましたとおりに、調査会等で結論が出て、一応無害ということになっておりますが、私はこれに非常に疑念を持っているわけであります。ドイツ等では、アルコール洗剤に全部切りかえたはずでございます。なおまた、先般行なわれました国際化粧品の技術者会議においてもその議題を検討していまして、界面活性剤の毒性についての研究課題が取り上げられております。そういう点から、諸外国等の例を見ましても、必ずしも無毒であるかどうか、いま、中性洗剤は非常に有毒だということで、皮膚から浸透して内臓をおかす、婦人の目まいとか貧血は大部分がこれが原因であるという説を立てる人もありますが、これはまだ学者の中では両論を立てているというようなことでございます。しかしながら、洗剤をつくっている会社でも、この問題については相当、外部には出さんが、研究しているように私は推察をいたします。薬とか、こういう国民多数が使い、しかも長年の間にいろいろな障害が出てくるものは、一応専門家の結論が出、厚生省の責任において許可いたしましても、疑念があった場合にはさらに検討することが私は大事であると考えておりますから、何とか検討をする方法を講じろ、このように命じているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/53
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054・木村美智男
○木村美智男君 事務当局と、いまから資料を出してほんとにやれば三時間ぐらいかかると思うのですが、大臣が途中で答えを出してしまったわけです。私、実はそこが、大臣の答弁がほしかったわけです。つまり、疑念があれば検討するという立場を今日厚生省がとっていただくということが、実はきわめて大事なんです。私は、大臣、おせじじゃなくて、ほんとに今日厚生省のとっている立場というものは敬服に値する。高く評価している。ある新聞によりますと、大臣が一人走りしておって、そのために下から突き上げも出ているというようなことも言われているけれども、そんなことは気にすることはないから、われわれは全面的にバックアップするから、大臣自信を持ってひとつやっていただきたい。
したがって、時間の関係で、私はこれだけあるのだけれども、いま一々論争するよりも、大臣が結論的に言われたから、何か問題があれば、またあとでやるようにしまして、ぜひこの洗剤の問題について、私は検討してもらいたいと思う。それは、せめて、まず廃止をするかどうかなんていう問題の前に、もう一つ具体的な指導をしてもらいたいのは、私は相当の危険がやはりあると見ているものですから、せいぜい、使用するときにゴムの手袋を使うぐらいの指導は厚生省は今日直ちにやるべきだ。あと、いまの疑いのある問題については、ひとつ、大臣が検討を命じたということでありますから、その結論を待って、また問題があれば提供することにしまして、これはひとつ、大臣の答弁で、私、きょうは了解をいたします。
したがって、行政指導的なものでけっこうですから、ひとつゴム手袋のようなものを使っていただいて、そうして洗剤からの被害というもの、とにかく魚が、川に流れてくるABSを食って魚がおかしくなる。おかしくなった魚を食って人間が変になるという——阿賀野川の関係と直接的な関連はないですよ。ないけれども、因果関係をよく考えてみると、ABSと人間のからだという問題は、これはきわめて大事な問題を提起しているわけであります。したがって、具体的に、それの製造禁止とか何とかなんていう問題は、これは結論が出てからの話でありますけれども、いま野放しのままやはりやっておくことはたいへん問題がある。現に政府でも、中毒死事件直後に、外国からの報告を正式にとって、西ドイツからも、それからアメリカからも、ですか、回答をもらっているわけです、これは日本政府として。三十七年の十月三十日にドイツの成田大使から外務大臣あてにきているやつは、結論だけ申し上げますと、ドイツではやはりABSの洗剤を使っている。しかし、野菜類等の食品に洗剤を用いて洗浄する習慣は一般にないといわれる。これはきわめて問題な点があるので、これが一つ。それから、アメリカの朝海大使ですか、これは三十七年の十一月一日にやはり外務大臣にあてて向こうの状況を知らしてきているのに、野菜、果実等の洗浄に使われることはほとんどない。他には使っているけれども、野菜、果実等には使ってない。——したがって、もう一歩進んで、野菜、果実についてはちょっと問題があるのだということを、PPMの問題まで私出して議論しようと思ったのですが、きょうはそこまで私は申し上げません。いずれにしても、とにかくゴムの手袋だけはひとつ使うような指導を当面とっていただきたいということを、これをひとつ大臣にお願いして、この問題は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/54
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055・園田直
○国務大臣(園田直君) 疑わしきは身がまえをするという姿勢で、御意見のとおりにしたいと考えております。
なおまた、御意見の中に、事務局と私の関係がありましたが、事務局は非常に一生懸命やっておりまして、決して対立しているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/55
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056・大森久司
○委員長(大森久司君) 田代君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/56
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057・田代富士男
○田代富士男君 きょうの委員会は、久方ぶりに厚生大臣が御出席になりました。私は参議院の物価対策特別委員会ができましてからずっとこの委員会におりますが、委員長も三代おかわりになりました。いままでにたびたび、厚生省関係の質問が多かったために、この三年間厚生大臣の出席を求めてきましたが、いかんせん、厚生省に物価委員会はきらわれたのか、一回の出席もございませんでした。そして、きょう御出席になって、三時から三時半までの三十分だと、これを称して食い逃げというのじゃないかと思うのですが、そこで、いままでこの物価委員会の中で、特に私は薬品関係の問題を主体として問題にしてまいりました。お隣にすわっていらっしゃる坂元局長に対してたびたび言ってまいりました。何とかして健康保険の赤字も埋めたいというところから、どこに問題があるかということをいろいろ調べてまいりました。それが直接の原因じゃありませんが、その中の一つの原因になるのは薬の問題じゃないか。昨年も、活性ビタミン剤をはじめ、各品目に対しまして、メーカーが三〇%添付、五〇%添付、あるいは、はなはだしきは一〇〇%添付、そして景品等、そういう販売をやっているその実態に対しまして私は追及してまいりました。そのたびごとに、いま説明をしていらっしゃる坂元局長は、通達を出した、御趣旨ごもっともでございます、御趣旨に沿って通達を出しまして改善をいたしますと、たびたび言われてまいりましたが、私も改善されている一部は認めましたけれども、いま、厚生省は大いにやっているというおほめのことばがありましたが、私の立場から言うならば、逆じゃないかと思うわけなんです。私が申し上げたことに対しては何ら反省の色はなし、そして、そのような薬の添付につきましては、最近は巧妙になっております。昨年度も、私は、すぐにわかります、あらゆる組織があります、調べてみますと……。すぐにわかりますが、あまりにもひど過ぎるために、先日のこの委員会においても、そのような薬の添付の問題につきまして、正常なるあり方に戻ってもらいたいということを言いました。厚生省は行政指導をやっていると言われるけれども、実現されていないし、これに対して大臣はいかがお考えでございましょうか。まず最初にそのことをお聞かせ願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/57
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058・園田直
○国務大臣(園田直君) 御指摘の点は十分私も承認いたしまして、今後善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/58
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059・田代富士男
○田代富士男君 大臣が、善処します、ただ一言でございますが、いままでたびたび聞いてまいりましたが、時間もありませんから、もう一つ……。
現在、薬関係の流通段階の問題でございますが、メーカー、御問屋、第一次、第二次、第三次等、そうして薬局あるいは病院、そのように流通段階がなされておりますが、問屋自身のあり方でございますが、第一次、第二次、第三次、現金問屋等、いろいろあるのでありますが、ひっくるめて申し上げますと、いままではマージンだけで問屋あるいは卸屋としての経営をやっておりましたが、最近は、すなわちC価がそのままC価で渡されている。メーカーから問屋へC価で来たものが、卸問屋から薬局あるいは病院に対してもC価でいっている。卸問屋はどのような経営になっているか、全部リベート制になっているわけであります。私は、この問題についてこの前も言いましたけれども、これは本来のあり方ではない。バックマージンによるところの今日の企業というものは改めなくちゃならない。これに対しましても強く申し上げましたが、その実態に対しまして、大臣は、「善処します」ではなくして、抜本的にはどうすればいいか、そのことについて御答弁願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/59
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060・園田直
○国務大臣(園田直君) 先ほどの御指摘の問題とリベートの問題も、厚生省では事務当局から行政指導によってしばしば通達を出しているようでございますが、いまのところ実行されてない。あるいは、御指摘の問題ばかりではなく、要指示薬の取り扱い等についても、正直言って、あまり正直に行なわれてない。こういう点、いろいろ薬の販売あるいはその他の点について問題が多いことは私も存じておりますので、ただ一片の通達、行政指導ではなかなかこれができない、こう考えております。したがいまして、薬務局長のほうで事務的に検討いたしておりますが、薬の再認可、再許可あるいは取り消し、こういうものを事務的に再検討をやっておりまして、これを基本にして、もう少し指導を強化したい。なお、厚生大臣は製薬会社については企業の育成強化の任務を負わされている。それは、製薬というものがきわめて人間にとって重大であるのでありますから、そういうことも考えまして、ここであらためてもっと具体的に指導あるいは育成、あるいは取り締まり、こういう点について強くやっていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/60
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061・田代富士男
○田代富士男君 まあ、大臣の御決意を聞きまして、ほかの大臣と違いまして、大臣は実行型の大臣でございますから、ぜひとも実践していただきたいと思います。私がいま何もやってないということを申し上げたのは、大臣じゃない。大臣以下の人々がやってないと言っている。局長、変な顔していらっしゃいますけれども、大臣の活躍は、イタイイタイ病のあの活躍というので、私はその点は認めますし、実行型でございますから、そのようにやっていただきたいと思います。
この前私は薬品の問題を申し上げましたが、きょうは化粧品の問題について少しお尋ねしたいと思うのですが、これは厚生省と公取との問題がございますが、時間もありませんから、ちょっと公取のほうにお伺いしたいのですが、公取ではレモン入り化粧品の問題が持ち上がりました。レモン入り化粧品の不当表示防止法違反事実につきまして審査の申し立てが行なわれましたが、公取当局としまして、その後どのようにこれをお取り計らいになられたか、まず最初に、それをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/61
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062・山田精一
○政府委員(山田精一君) レモン入り化粧品につきましては、現在調査を続けております。それからなお、業界のほうからは、公正競争規約をつくろうという申し入れがございましたので、現在それを指導中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/62
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063・田代富士男
○田代富士男君 そこで、いま公取の御意見も聞きましたが、厚生省当局といたしまして、当時、製造業者に対しまして製品の回収を命じたということが一般紙にも報道されました。その中に発表された会社名を見ますと、公取に対して申し出がありました七社のほかに、わずか一社だけになっていたわけです。これはどういうわけなんですか。こちらからの申し立てば七社であったわけです。それが一社だけ追加で八社になっておる。厚生省当局としてどういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/63
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064・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 本年の二月か三月ごろ、レモン入り化粧品の不正表示がございました。そのときとりました措置は、いま田代先生の述べられましたように、即刻回収をやったわけでございます。実は、これにつきましても、いきさつがあるわけでありますが、昨年ポッカレモンの問題等が国会でいろいろ問題になりましたので、さっそく化粧品業界に対しましても、不正表示の疑いがあるというようなものがあるので早急に自粛態勢をつくるようにということを業界及び都道府県のほうに指導したわけでございますが、その後、われわれの監視の結果、依然として不正表示の疑いのある表示をしていたものがただいま述べられた八社あったわけでございます。ところが、その後調べましたところ、その八社以外に十六社くらいのメーカーが、それに類するような行為をとっておりましたので、この十六社の分につきましても、逐次回収措置を都道府県を通じて指導したというような事情に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/64
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065・田代富士男
○田代富士男君 まあ、最初申し出たのは七社でありまして、新聞に発表したのは八社である、そうして現在十六社ほどそのような行政指導をやっておるということでございますが、その七社と、追加のプラス一社の名前はわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/65
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066・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) ただいまここに資料がございませんので、後ほど資料でお届けいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/66
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067・大森久司
○委員長(大森久司君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/67
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068・大森久司
○委員長(大森久司君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/68
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069・田代富士男
○田代富士男君 そこで、公取の当局にお聞きいたしますけれども、いま薬務局長が申されましたとおりに、それほど早々と回収の措置をとったことに対しまして、公取に対しまして、不当表示法違反の摘発を差し控えるようにというような厚生省からの要求があったのじゃないかということを耳にしたのですけれども、その点、はっきりと御答弁願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/69
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070・山田精一
○政府委員(山田精一君) そういうことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/70
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071・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 誤解があるようでございますので、はっきり申し上げますが、私どものほうからも公取当局にそういう要請をしたことは全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/71
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072・田代富士男
○田代富士男君 ないということでございますから、じゃ一応ないということにしておきましょう。
ところが、お尋ねいたしますけれども、これは衆議院においても問題になりましたが、公取委員会の事務局長と厚生省の薬務局長との間に交換されました覚え書きについては、その後どのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/72
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073・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 当該覚え書きは、ちょうど不当表示防止法ができました直後に、当時の厚生省と公取当局との間で覚え書きを交換したわけでございます。この趣旨は、先生御存じのような趣旨になっておりますが、結論だけ申しますと、薬事法と不当表示防止法との法律関係、これは、確かにどちらを先に適用するかという問題があったわけでございます。もちろん、法律の目的なり何なりは、それぞれ違うわけでありますけれども、実際の具体的な運用の問題になりますと、薬事法と不当表示防止法との関係が、どちらを先にするかという問題がございましたので、当時そういうような覚え書きを交換したわけでございますが、その後の運用におきましても、今日までこの覚え書きの趣旨というものが決して法律の精神を曲げるような方向にわれわれは運用していない、私ども厚生省当局もそういうふうに確信しております。公取のほうとわれわれとの連絡におきましても、そのような法律のそれぞれの精神なり趣旨を曲げるような方向でこの覚え書きというものを運用するということのないように非常に気をつけて運用してきた。要は、このような不正表示の問題等について実効があがるようにしていくのがわれわれ行政当局の責務でございますので、そういう法律の精神にのっとりましてこの覚え書きの運用をやっていっておる、このように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/73
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074・田代富士男
○田代富士男君 いまの覚え書きのことにつきまして、公取のお立場として、あの覚え書きは不当表示法違反であることを認めて、無効の意思表示をなぜ厚生省に対しておやりにならないか。そういう疑問があるわけなんです。また、厚生省に対しましては、厚生省は積極的に公取に対しまして破棄の申し入れをすべきであるのに、なぜやらないのか。そのような疑いが持たれてもしかたがありません。公取は、この覚え書きがあるために動けないというような認識を持っているんじゃなかろうか、そういう心配もするんですが、この点について、いかがお考えでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/74
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075・山田精一
○政府委員(山田精一君) 覚え書きを交換いたしました当時は、私役所に在任しておりませんので、その辺の事情を詳しく承知いたしておりませんのでありますが、現在における運用といたしましては、格別私どもはあの覚え書きによる、表現は悪いかもしれませんけれども、拘束というようなものは感じておりません。したがいまして、私どもが不当表示であると認めました場合には、私どもといたしまして処置をとるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/75
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076・田代富士男
○田代富士男君 そこで、私は、この問題から一連のいままでの動きを見てみますと、この覚え書き一つをとりましても、私は厚生省当局にはなはだ不明朗な点を感ぜざるを得ません。世間に対しても、いかにも取り締まりをやっているように見せかけまして、事実は、そういう業者をかばっているとしか思えない面が多々見られるわけです。私は、そういう点について、もっとすっきりした態度をとるべきじゃないかと思うんですが、局長、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/76
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077・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 私どものほうの薬事法に基づく指導監視は、法律の精神にもございますように、危害防止、危害の発生を未然に防止し、同時にまた、危害が起きた場合にそれを排除するというのが法律の精神でございますので、そういうような精神に基づきまして、実際の法律の運用なり、あるいは行政指導をやっていくつもりでございます。ただいまの覚え書き等の問題は、公取委員長から御発言がございましたように、決してわれわれは、この覚え書きだけに終始しまして、実際の効果的な行政指導なり法律の運用がおろそかになるようなことはやってはいけない、こういうような気持ちで日常の業務に当たっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/77
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078・田代富士男
○田代富士男君 私は、この問題を強く申し上げるのは、一番最初に経企庁長官にもお尋ねしましたが、時間がありませんからそのまま行ってしまわれましたが、消費者保護の立場といたしまして、どういう面に力を入れていくべきか。幾つもありますが、四木の柱をわれわれ示したわけです。一つは、経済的不利益からの保護、肉体的危険からの保護、公共サービス購入の際の保護、私的サービスの保護と、四本の柱を私はきょう示しました。これ、一本一本を検討していく予定でございましたが、いま申しているこの問題は、一番目の経済的不利益からの保護、すなわち適正価格の保持、適正な広告の価格、適正な表示、不当景品類あるいは不当表示などを排除していくというこのことは、ここにおいて検討されなくちゃならない問題ではないかと思うんです。そこで、これは厚生省と公取との関係が、いまいろいろ出てまいりましたけれども、私は、特に厚生省の立場として、すっきりした面を——疑いを持たれるようなことがあってはならぬと思うのです。私はきょうははっきり申し上げませんけれども、一応言っておきます。それでなお、はっきりしない場合は、今度は出します、はっきり。はっきり申し上げておきます。
それだけにしておきまして、次は、化粧品の品質について次に申し上げたいと思いますが、この問題は、過般衆議院においても一回出されておりますが、厚生省当局は化粧品の成分内容の表示の必要なきことを主張されてきましたけれども、その理由は、医薬品と違って人体に及ぼす影響が少ないからだという答弁でございましたが、これは、いまでも衆議院の委員会において御答弁されたそのお考えと違いございませんでしょうか。いまよく新聞の投書欄を見てみますと、その投書欄には、化粧品にも薬と同じく表示をしてもらいたいという主婦の声がたくさん出ております。だから、そういう面におきまして、衆議院の委員会においてはそのように述べていらっしゃいますが、今日もその姿勢は変わってないのか、あるいは変わっているか、まず最初に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/78
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079・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 化粧品の成分表示でございますが、私ども、基本的には、先般衆議院で御答弁申し上げた点を現在でもとっていきたいと、こういうふうに思っておりますが、ただ、化粧品の成分につきましても、新しい技術の進歩あるいは学問の進歩、そのようなことのために、全然現段階においてはわからなかったような副作用なりが将来わかるかもしれないというような事情もございますので、——少なくとも、化粧品は、先生お述べになりましたように、医薬品と違いまして、普通の場合は人体に対する有害作用というのが緩慢であるというようなものに一般的にはなっておりますけれども、しかし、いま申しましたような事情もございますので、化粧品の成分表示の問題につきましては、特に現在ホルモンを含有するようなものについて法的な規制を加えておりますが、このようなホルモンを含有するようなものと類似するようなものも若干出てきておりますので、そういうようなものについて、今後技術の向上に応じまして、前進的な方向でわれわれはこの成分表示の問題を考えていく、全般的な化粧品全部につきまして成分表示することについては、ややまだ問題がこなれていないというようなことでございまして、副作用の程度の高いものが逐次出てきておりますが、そういうものについては早急に法的な規制を加えていきたい、こういうふうな考え方を基本的に持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/79
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080・田代富士男
○田代富士男君 いまの御答弁によりますと、ホルモン剤等は規制を加えていくし、また、これに類似する副作用の高いものに対しては法的規制を加えていくけれども、化粧品一般に対しては、人体に与える影響というものは緩慢であるために、そこまではやらないということは、まあ、すべての製品の中でごく一部でありまして、あとはほとんど野放しというような状態じゃないかと思うわけなんです。そういうことから考えますと、これは四月五日の新聞に報道されましたが、砒素入り舶来のおしろい事件がありました、レブロンの問題です。だから、これは砒素の害毒というものは、足尾銅山もこのためにいま問題になっておりますが、稲自身が全部枯れてしまっているような、そういう害毒があるわけなんです。足尾銅山の問題でございます。それからもう一つは、森永ミルクの問題です。これも、砒素の害毒によるところの、あのような、赤ちゃんが死亡したという事件が起きております。
そうしますと、いまのように、ホルモン剤とか、特殊な、それだけでとどめて、一般的には野放しの状態であるとするならば、このような砒素入り舶来おしろいで問題になりましたレブロンなんかに対しては、どういう考えであるか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/80
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081・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 砒素入り固型おしろいの問題でございますが、これはすでに御存じのように、長年化粧品の原料基準というものをわれわれは学会と相談して検討をしてきたわけでございます。非常は内容的に、技術的にむずかしい問題がありましたので、この成案を得るのが非常に手間どったわけでございますが、昨年、ようやく秋ごろ成案を得ましたので、これを厚生省告示としまして、この化粧品の原料基準というものを作成をしまして、それで、それの実施が本年の四月一日から施行になったわけでございます。したがいまして、この原料基準の実施がもうちょっと早まっておりますならば、この砒素入り固型おしろいの問題はおそらく防止できたのじゃないか。残念ながら、本年四月一日からこの厚生省告示によります化粧品の原料基準というものが実施になりましたので、その直前に起きた問題でございます。この点は、まあ業界等に対するわれわれの指導がやや不徹底だったということは、率直に認めざるを得ないわけでございますが、今後この原料基準というものを適切に、また間違いのないように運用していく。と同時に、業界もそれを順守するというような方向にまいりまするならば、砒素入りのようなことはおそらく今後未然に防止できるのじゃないかと、われわれはこういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/81
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082・田代富士男
○田代富士男君 いまの御説明では、原料基準の実施がもうちょっと早ければ、こういう事態は起きなかったと、それが残念であったということでございますが、この砒素入り舶来おしろいにつきましては、アメリカの大手メーカーの製品でありますし、世間の人々もこれを信頼しておりましたが、おそろしいことに、あのような砒素の毒物のために多くの被害者を出した事実がありますが、これを発見したのは厚生省当局じゃないのじゃないでしょうか。これを発見したのは、財団法人の日本消費者協会の行なった商品テストの過程によりまして、これが出てきているわけなんでしょう。厚生省がさがしたわけじゃないわけなんです。そのようにして出されてきて、こういう薬品あるいは化粧品に対しましても監視体制をとらなくてはならないのに、厚生省としてそういうような取り締まりを何一つやってこなかったというところは、私は問題じゃないかと思うのですが、これは、当局としていかがでございますか。ただ単に、原料基準をちょっと早めておけばよかったということ……。これから初めて監視をやるのじゃないのです。そういう人体に危害を与えてはならぬというわけで、そのような監視体制というものはあったはずなんです。しかし、それが生きていたか。その監視体制がどのように運用されていたのかです。それができてなかったからしかたがなかった、それじゃ済まされないと思うのですが、それは結果論になるかと思うのですが、しかし、これを改めていかなかったならば、第二の、あるいは第三のこのような砒素事件等が起きてきたならばたいへんじゃないかと思うのですが、どうでございます。結果論になるかわかりませんが、いかがでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/82
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083・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 今回の砒素入り固型おしろいの問題、まことに遺憾でございます。われわれのほうの監視体制というものが、確かに結果的には不十分であったということは、率直に認めざるを得ないわけでございます。私どものほうは、現在全国的に二千人程度の監視員を持っておりますが、立ち入り検査をします対象施設数というものは、実際の立ち入り監視員の数に対しまして非常に多いものでございますので、残念ながら、十分な監視ができていなかったというところに、こういう原因がある。と同時に、メーカーのほうの自家試験なり検査の体制というものも不十分であったというようなこともございまして、こういう結果を生んだわけでございますが、今後、私どものほうの監視体制というものを、早急に、今度の消費者保護基本法の制定に応じまして、強化してまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/83
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084・田代富士男
○田代富士男君 いまも答弁されましたが、この化粧品というものは、一貫して、まあいつも口ぐせのように言われていることは、ムードの商品であるということが言い伝えられているわけなんです。そのようなことから、厚生省は薬事法によって義務づけられました監視行為というものをやっていたならば、こういう事故は起きてきていないわけです。いま局長の申されました、メーカー自身の自家の試験が不十分であったためにいろいろな事故が起きているのであるから、これを改めていきたいということでございますが、具体的に抜本的対策としてどのように改めていくのか。改めていくことだけでなくして、こういうところがまずかったから抜本的にこのようにする……。もう少し詳しく、抜本的に強化する必要があると思いますから、それに対する具体的な方法、実行についての当局のお考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/84
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085・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 化粧品の不正なり不良化粧品の発生を防止するということについての一番手っとり早いやり方は、何と申しましても、私どものほうの監視の組織なり機構を強化していく、これが問題だろうと思います。と同時に、また絶えずメーカー等についての、先ほど申しましたように、自家試験なり、何かそういうような検査設備というものを今後早急に充実強化していくように指導していく、こういうような点だろうと思います。したがいまして、私どもとしましては、消費者保護基本法の中にも盛られておりますような、そういう事柄につきまして、今後来年度予算以降の問題としまして、早急に前向にきそういう点の充実強化をはかっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/85
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086・田代富士男
○田代富士男君 これはたぶん昨年ではなかったかと思いますが、消費者団体の一つであります消費科学連合会が行なった一般消費者の化粧品に対する商品知識というものを調査したわけなんです。それが三月か四月ごろであったと思いますが、発表されたわけなんですが、それによれば、一般の人々の化粧品に対する知識というものがいかに低下していたか。商品化されているならば何でも害はないのだと、そのようにもう最初からそれを見込んでいるわけなんです。そういうわけで、私は、こういうメーカー自身がそのような大衆不在の、そういう大衆をばかにし切った、そういうものをつくるならば、たいへんなことになるんじゃないかと思うわけなんです。そういうわけで、いま申されるような監視機構の強化というのは、検査設備というものは、やっていかなければならないと思うのですが、まあしかし、事実は、そのような製品が出回っているわけなんです。そういうことに対しまして、事態がこういう事態でございますから、この調査結果について、責任官庁といたしましてどのように今後指導し、対処していかれるのか、お願いしたいと思うのです。消費者の教育に対する一これは経済企画庁にもなってくると思うのですが、そういうメーカーだけでなくして、そういうところから、いかがでございますか。メーカーにもそうすると同時に、厚生省として、消費者はどうでもよろしいとお考えであるのか。その点ひとつお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/86
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087・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 御指摘のとおりでございまして、一般の消費者も、化粧品等の商品に対する知識というものを今後レベルアップしていくということは当然でございます。それと同時に、また、メーカー等の販売業者、製造業者、こういうものの良心的な営業というものに対するものの考え方について、われわれ責任官庁としまして当然そういうような教育をしていく、また同時に、メーカーなり販売業者も自粛をして、営業を、いかに利潤をあげる私的企業とはいいながらも、やはり消費者のために奉仕するというような、そういう最近の国民の一般的な考え方、そういうものを十分反映さしていくように、私どもとしましては、今後、化粧品のメーカーの全国団体の組織等もございますので、そういう組織を通じ、また販売業者等の団体もございますので、そういう団体を通じまして、いま御指摘のような点について十分配慮していきたい、かように思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/87
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088・田代富士男
○田代富士男君 そこで、いま問題になっております消費者保護の基本法案の中では、消費者自身を中心としてわれわれは考えておりますが、この中で、肉体的危険からの保護ということもわれわれは特に意味していかなければならないし、そういうところで、いまさっきも、成分内容の表示の必要性を私は説きました。また、そういうことから考えまして、いま日本の国にいろいろな化粧品が出回っておりますが、その化粧品の名前を知るだけでも、いろいろな名前がありますが、日本語の名前というものが非常に少ないのです。日本語で読まれる名前というものが。そういうわけで、英語で呼ばれたり、あるいはフランス語で呼ばれたり、いろいろ呼ばれておって、内容が全然わからない。理解しにくい。そういう点に対しまして、これを何とか、そういう成分の内容表示というものをその名前とともにあらわすならば、これは、使用者に対しても良心的な一つのあらわれじゃないかと思うわけなんです。こういう点について、さっきもちょっと尋ねたわけなんですが、いかなる用途に使われるのか、そういう名称の下に日本語で新たに加える。これは化粧品業界のムード商品であるという、ムード一本で売り出していくのが販売方針の一つになっておりますけれども、テレビでもそうでございますが、いままでいろいろな名前をつけてきておりましたが、だんだん日本固有の名称等に切りかわってきております。それに右にならえというわけじゃありませんが、そこまで、いまいろいろなメーカーに対して、薬なり化粧品に対しても、そのように監督官庁として指導していく責任があるのじゃないかと思うのですが、その点、局長いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/88
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089・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 化粧品の各種の成分とマッチするような商品名を考えるというのは、おっしゃられる御趣旨は私どもとしては了解できるわけでございますが、ただ、私ども役所の立場において、商品名の個々の問題について、いろいろ行政当局から介入するというようなことは、やはり一つの限度があろうかと思います。特に、商品のこのような名称の問題については、先生御存じのように、商標権の問題もございますし、役所の立場においてどこまでそういうような問題について関与できるか、非常にむずかしい問題が法律的にもあるわけでございますが、しかし、おっしゃられる趣旨は十分われわれも了とされますので、一般的な指導としましては、できる限り消費者のほうに便宜をはかるように、また、消費者に対して疑惑なり誤りた認識を与えないような方法で、こういう問題は解決していく、こういう基本線については、十分われわれのほうも、業界のほうによく今日の実情を伝えまして、また業界自身もそのようなことをよく認識をしていただいて、今後の問題に対処していくように考えていきたい。かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/89
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090・田代富士男
○田代富士男君 いまの、行政指導においても限度がある、業界の人々にも認識をしてもらうようにしてやっていきたい、そういうことでございますが、私は、そのように実行していただきたいと思います。かりに、いますぐというわけにはまいらないにしましても、商標名はそれぞれの企業の営業政策によってきめさせるとしても、少なくとも、薬事法上にある機能を持った化粧品の規制名称くらいは厚生省がこれをきめたらどうだろうか。これを商品に表示することを義務づけるべきであると思うわけなんです。その点についてはいかがお考えですか。たとえば、薬であるならば、名前の下に、かぜ薬とか、あるいは胃腸薬だとか、いろいろ書いてあるわけなんですね。そのように、化粧品だけでも、私は女でありませんから、ここにいろいろ資料がありますけれども、ここに女の山本先生がいらっしゃるから、山本先生に聞いたら、化粧品のほうは早いのではないかと思いますが、クレンジングクリームやら、いろんな名前のクリームがあります。女の方はおわかりだと思いますが、往々にして間違う場合もあるわけです。だから、薬の場合でも、名前の下に、胃腸薬だとか、かぜ薬とか、あります。あるいは乳製品でも、乳酸菌飲料とか、乳飲料とか、そのように書いてあるわけです。そのように、薬事法上にある機能を持った化粧品の規制名称としては厚生省が法定すべきである、表示すべきである、このように思うわけですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/90
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091・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 商品名の問題なり、あるいは化粧品の中にいろいろ分類がございますが、こういう問題につきましては、確かに化粧品の数が非常に膨大になっておりますし、また同一種類の化粧品も各メーカーの銘柄ごとに非常に複雑になってきておる実態は仰せのとおりでございまして、ただいまのような点につきましては、私、もうちょっと検討をさしていただきたい。そして、できるものでありますなら、そういう表示については前向きに検討していきたいと思うのでございますが、若干時間がかかるかと思います。しばらく検討の期間を与えていただきたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/91
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092・田代富士男
○田代富士男君 そこで、私は具体的な例をあげます。局長、私は、いつも局長に対する質問は裏づけを持ってやっておりますから、そのつもりでひとつ。
ここに製品があります。これ。これを局長のところへ持って行ってください。これは、去る四月ごろ新聞にも広告が出されております。これは「リプロン」という薬です。リプロン。この広告が掲載されております。この「リブロンパック」の主成分は——私は、薬の宣伝じゃありませんが、ここに書いてあるのを読みますと、胎盤エキスの各種栄養素の働きで肌がきれいになって、漂白効果や、しみ、そばかす、はだ荒れ、色黒を治療する効果がありますと、そのように、これに書いてあるわけなんです。はだをりっぱにするんだと。そのようなリプロンパックは、栄養素の配合量の多いことや、治療効果があるために医薬品として認められておるということになっておるわけなんです。これです、局長。リプロン、いま製品はそちらへ届いたと思いますが、これは見本ですよ。見本ですが、これ、ただ単に見た場合は、何の薬かと思う。局長いかがですか。これ、リプロンて何の薬だろう、そのような、内容の表示があるかないかによって——表示がないわけてす。この点、いかがでございますか、実際に申し上げまして。
〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/92
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093・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 私も専門家ではございませんので、いま直ちに見当がつきませんが、化粧品の中には、一般の化粧品というものと、それから医薬品的な化粧品、これはごく数は少のうございますが、そういうものも一部あることは事実でございます。したがって、おそらく、ただいまの御指摘の商品は、医薬品としての効能も認められている化粧品かとも思いますが、ここでは直ちに私も商品名だけでは見当がつきませんので、後ほど正確なことは御報告いたしますが、医薬品の中に——薬事法にもございますが、医薬品というのは、もともと疾病の診断、治療、予防に使用されることを目的とするものではございますが、それ以外に、人の、または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことを目的とするものというような法的な根拠もございますので、たとえば、はだ荒れをなおすとかなんとか、そういうふうな効能、効果がかりに科学的に根拠を持ったものでありますならば、従来認めた例が若干程度あるかと思いますが、おそらく、いま御指摘のような商品につきましては、どの分類に入るか、後ほど詳細に調べまして御報告をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/93
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094・田代富士男
○田代富士男君 後ほど詳細に調べてとおっしゃいますが、私は、これをずっとお聞きしたがったわけですが、私、調べてもらうことを申し上げますから、そっちで控えておいてください。私言いますから。一つは、胎盤エキスということになっておりますが、胎盤エキスとは一体何の胎盤をどのように操作して抽出したものか。これが一つです。それから二番目には、そのようにして抽出したエキスはどのような方法で保存性を保たしているのか。三番目には、これをどうしたかわかりませんが、乾燥粉末にしたとするならば、その中にはどのような成分が含まれているか。四番目には、「胎盤エキスの各種栄養素」とあるが、どのような種類の栄養素があるのか。五番目に、かりに栄養素があったとして、それを皮膚に塗るだけで吸収されるのか。六番目には、広告にあるような効果が実際にあるのか。広告にあるように本品は医薬品であるのか、いかなる根拠によって医薬品として許可したのか。許可したのは、いつ、いかなるデータに基づいて行なったのか。これを私は厚生省のほうに調べてもらいたいと思います。
私は、結論的にこの問題を申し上げますと、ここにも臨床文献がございます。いろいろ書いてございます。つぶさに書いてあります。このようにして行なったと。しかし、これは、リプロンと一緒にいろいろな薬を、ピロミジン一日六錠だとか、ジオール一日二錠だとか、チオラ一日六錠だとか、いろんな薬を飲んだ結果そのような効果が出ているというのです。そうしますと、このリプロンだけの効果であるか、どの薬の効果であるかということは、これはわかりません。ところが、広告には、「リプロンは医薬品として皮膚疾患を治すうえ基礎美容化粧品の役目も果たす」と、これは読んでみればもっともなことが書いてございます。もうこれは、いまにも色白くいいはだになると言わんばかりのことが書いてあります。この中に全部書いてございます。文献もそろっております。ここに。結論的に言うならば、私は、薬事法並びに不当表示防止法違反であると考えますが、それに対して、厚生省は許可している立場だから、まさか違反でございますと言うわけにはいかぬと思いますが、厚生省の立場はいかがであるか。あるいは公取の当局御見解——いま申し上げました七項目をここでやりながら、公取の見解を聞きたかったんですが、調査不十分のために、これはできませんけれども、概略申し上げますが、厚生省の意見、及び公取の立場として、私は薬事法並びに不当表示防止法違反であると、そのように考えますけれども、いかがでございましょうか。まず最初に厚生省のほうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/94
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095・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) いままでいろいろ調査の項目について御要望がございましたので、そういう問題を調査いたしまして、ただいまの御質問の薬事法違反かどうかということについてもあわせて検討をいたします。本日のところは、答弁を、恐縮でございますけれども、保留させていただきたい、かように思います。
〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/95
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096・山田精一
○政府委員(山田精一君) 私どもの立場といたしましては、当該商品が、実際のものまたは当該事業者と競争関係にあります他の事業者にかかりますものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるために不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められるかどうかとという点で、独禁法に触れるかどうかということを判断いたしますわけでございます。ただいま御指摘の七つでございましたか、諸点につきまして、十分検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/96
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097・田代富士男
○田代富士男君 いま局長は、これを検討するとおっしゃいましたが、いつまでに検討していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/97
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098・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 早急に検討いたしまして、おそらく次回の当委員会までには結論を出させるように努力をいたしたいと、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/98
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099・田代富士男
○田代富士男君 それじゃ、二十二日の委員会において、それを冒頭に、その調査した結果を、厚生省の見解を述べていただきます。そのときにまた、公取の立場としても私はお聞きしたいと思いますが、いま申し上げるように、まことに憂うべきような実態がございますが、これが起こってきた原因というものを、一方的な解釈かわかりませんが、考えていくならば、第一に、化粧品メーカーが法違反を平気で犯しまして誇大広告で化粧品の効果を誤って植えつけてしまったことを今日まで見のがしてきたという点に、まずあるのじゃないかと思うのです。これが第一点です。
第二点は、監督官庁であるところの厚生省が、いまさっきからたびたび申しておりますとおりに、薬事法の精神をじゅうりんして、何らの規制を化粧品に対して加えなかったからじゃないかと思います。最近になりまして、いまさっき話がありましたホルモン剤、あるいはそれに類似するものに対して最近やってきたと言っておりますけれども、こういうところの問題が私は含まれているのじゃないかと思うのです。そういうわけで、厚生省は、野放しにするのではなくして、基本的には急激な害を身体に与えない限り規制しないという無責任な姿勢に原因があるのじゃないかと思いますから、大いにこれを反省しまして、また、売らんかな主義一辺倒の化粧品業界に対しましても、間接的にチェックアップをしてもらいたいと思うのですが、これに対する決意のほどはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/99
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100・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 化粧品につきましては、現行の薬事法の規定も、若干医薬品と違った取り扱いをしてきたような事情もございまして、われわれ当局の十分なる監視なり指導が及んでいない面があったことを認めざるを得ないかと思いますので、今後、御指摘のような精神を十分に生かしまして、この問題につきましては今後の指導監督をさらに一そう強化してまいりたい、かように思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/100
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101・田代富士男
○田代富士男君 それでは、最後に私は申し上げますが、いま、今後努力していくと申されましたから、私は具体的な提案をひとつやりたいと思うのです。それに対しまして、はっきり態度を示してもらいたい。三つのものを申し上げます。
一つは、化粧品の成分内容を、成分別に、その配合割合を含めて、これを表示させること。よろしいですか。二番目は、使用上の注意事項を具体的に記載させること。三番目に、消費者を誤認させるような虚偽または誇大広告は一切させないこと。私は最後にこの三つを提案しまして、この一番、二番、三番に対して、局長はイエスかノーかという態度をはっきりしていたださましたら、私はきょうはこれで質問を終わります。最後の三つです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/101
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102・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 第一点につきましては、先ほど申しましたような趣旨で、できるものから、しかも副作用の認められるようなものから早急にやっていきたい、こういう考え方でございます。第二点と第三点については全く同感でございますので、これに必要な態勢なり考え方は、今後前向きに考えていきたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/102
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103・田代富士男
○田代富士男君 それでは、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/103
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104・大森久司
○委員長(大森久司君) 木村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/104
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105・木村美智男
○木村美智男君 厚生省の皆さんに、ちょっともう一つ聞きたい問題があるわけでありますが、実は、前回田中委員のほうからお話があったのですが、着色料というか、色素の問題ですね。時間の関係がありますから端的に聞きますが、アメリカで禁止をされている赤色色素というのは、何と何があるのか。名前はいいですが、幾つぐらいあるか、それをちょっと教えてくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/105
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106・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) ただいまの御質問のほうで、認めてないもの、禁止しているものを述べるようにということでございましたが、認めているほうを申し上げますと、赤系統の色素でございますと、アメリカは十種類、日本は十四種類という状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/106
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107・木村美智男
○木村美智男君 一九五六年のローマにおける国際ガン学会の会議でシンポジウムが開かれた際に、発ガン性の危険のある色素というものが言われましたけれども、大体、これは御承知でしたら、幾つだったか、あとで……。私のほうにありますので、名前を言っていると長くなるから、九つあるというやつは、これは御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/107
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108・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 着色料の中の発ガン的な性質があるというものにつきましては、ただいま先生の御指摘のとおり、これはなっておりますが、国連の専門委員会におきましても、そういうタール系の問題がございます。特にタール系の問題でございますけれども、この着色料につきましては問題といたしております。今日の日本では、その国連の専門委員会であぶないと言われているものにつきましては、今日はもう認めていないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/108
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109・木村美智男
○木村美智男君 それでは、例の食品衛生法の施行規則の別表第二というやつね。これをもしお持ちでしたら見ていただきたいのですが、日本ではタール系の色素をまだ十四種認めているわけですね。昔は食紅一つしかなかったわけですが、しかし、今日十四ある中で、多少私問題だと思いますのは、これは色がきちっときれいに出ているから、わかりやすくていいので、この資料をこう見ながら申し上げたいと思うのですが、たとえば、日本で認めているやつでアメリカで禁止しているやつね。これを申し上げますと、ニューコクシンという食用赤色一〇二号、これは日本で認めているが、アメリカでは禁止していますね。それから食用赤色一〇三号、エオシンというやつです。これも同じです。それから一〇四号がフロキシンというやつ。同じく赤色ですが、これもアメリカでは禁止をされている。それから一〇五号、ローズベンガル、これもアメリカでは禁止されているが、日本ではこれを認めている。もう一つ、赤色といっても、ちょっと紫みたいですが、これはアシッドレッド、一〇六号、これも日本で認めておって、アメリカで禁止されている。日本で認めているやつで、アメリカで禁止をされているのがこのように五つあるわけですね。それから、いわゆる国際ガン学会が禁止をしておるやつで、それで日本で認めているというやつが、またあるのですよ。しかも、アメリカが禁止をしている、学会が禁止をしているというダブルパンチになっているやつが、これまたあるのです。これはどうも私、問題だと思うので、いま、そのガン学会で禁止をされているやつを申し上げますと、さっき言った赤色色素一〇三号、エオシンというやつ、これはガン学会も禁止をしております。それから、日本で認めているやつで学会が禁止をしているやつの中には、食用緑色二号、緑です。これがライトグリーンSFというやつでございますが、学会は禁止をしている。それから緑色三号、これはファストグリーンFCFというやつ。さらに食用の青です。これはブリリアントブルーFCF、これも禁止をしている。さらに食用の紫、これがアシッドバイオレット6Bというやつですが、これも日本では認めている。そうしますと、この中で、ダブルで、アメリカも禁止している、国際ガン学会も禁止しているというやつで、日本で認めているのが、食用赤色一〇三号エオシンというやっと、それから食用黄色二号、オイルイエローABというやつですね。——間違いました。黄色二号は日本では認めておりませんから、いいですが、このように、エオシンの場合は、ダブルで、両方が禁止しているのに、日本で認めている。アメリカのほうが禁止しているやつを認めているやつが五つあります。
というようなことで、私は、この着色料というものは、今日問題があるような気がするのです。したがって、この十四種認めているやつを、もう
一回再検討をして、有毒としてアメリカも認め、ガン学会も認めているような色素については、これはやはり禁止すべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/109
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110・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘のように、アメリカで使っておりませんもので日本で使っておるものは、先ほど申し上げたような数字の差によってあらわれておるわけでございますが、私どものほうでただいままで認めておりますのは、先ほど国連の専門委員会でこれはいかぬというふうにきめたものはもう認めていないということでございます。アメリカでも禁止をしておるということよりも、まあそういう需要がないというようなことで、使っていないというようなものが実態のように私どもは承知しておるわけでございます。ガン学会のお話もございまして、学会としては危険だというようなことを言っておりますが、そういったようなものがすべて国連の専門委員会でもたいへん問題になりまして、逐次整理をした上で、あぶないものは明確なそういう結論を出す。私どもはそれを尊重いたしまして、先ほど来申し上げたように、それ以外のものは全部ただいまのところは認めないというところでやってきたわけであります。ただ、この問題につきましては、だから永久にこういうものの態度でいいということは私もやはりとるべきでないと思います。科学の進歩なり学問の進歩によりまして、従来は安全であるといわれたものの中にも、そういう影響があるということを指摘されておるということは当然考えておかなければならないと思っております。私どもも、絶えず弾力的に、流動的にこういうものに対処してまいりたい。国際のそういうデータでありますとか、あるいは国内の成績でございますとかいうようなことに絶えず注目をいたしながら、これが少しでも危険であると思われるものがあれば、次第に中止をしてまいるという態度で対処してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/110
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111・木村美智男
○木村美智男君 もう、午前中に少し声が大きくなりましたから、声は小さく申し上げますが、あなたは園田厚生大臣に学べと、こう反論したいわけです。国際ガン学会がやはりいろいろ検討した結果問題があるとされたやつは、さっき言ったように、疑わしきは排するという思想でいかなければ、やはり問題ですよ。いま私が見せたように、色が何しろ同じようなものですから、この中でダブルパンチが一つあり、禁止されているものがあるから、こちらを生かして、ほかは消してください。実際上はたいして障害はないですよ。同じ色でしょうが。こういうものをやはりもっとよく見ていただいて、これは私ぜひひとつ検討していただきたい。そういう姿勢を厚生省がとっていただくことが、消費者基本法の成立の新しい段階を迎える厚生行政のあり方だという意味で私は申し上げたので、別におこる意味で申し上げたわけではないので、これは、そういう意味でひとつ検討してもらいたい。
それから人工甘味料の問題で、ズルチンですが、これはどうして禁止しないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/111
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112・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) ズルチンにつきましても、実は、昨年でございましたか、昨年の十二月からは、特定のもの以外には使用しないというふうに、従来から見ますと非常に大幅に制限をしてしまったわけであります。御指摘のように、ズルチンの問題につきまして、私どもも、まだまだ整理すべき問題があると考えておるわけでございます。日本でただいま認めました、限定いたしましたものは、最終的には、日本の食生活というようなものもございまして、たとえば熱を加える、あるいは非常に塩の濃度の高いというようなもの、たとえばつくだ煮でございますとか、あるいはつけもののように非常に塩の濃度が高いものとか、あるいはソース、魚介の半製品でありますとか、練り製品でありますとか、ジャム、しょうゆ、みそといったような、そういうようなもので、一般の天然の他にかわるべき甘味というようなものがない、使用できない、まあそう思われるものでございまして、しかも、その中で、いわばほんとうに甘いというような、実際、と言っては変でございますが、ほんとうの甘味を出す、甘いものにするというような性質の使い方ではなく、いわば味の一番の基本として入っている、たとえばしょうゆ等にも使われているわけでございます。しょうゆは、私ども一般には甘いと思って食べているわけでございませんし、そういったようなきわめて微量に、少量に使われるといったようなものが、日本のいわゆる食生活の中でまだ必要でございますし、また、ただいま申し上げましたようなソースの上からでも、他になかなかかわるべきものがない、まあそんな点が配慮されまして、第一次的に非常に制限されたところで、まあ認めたわけでございます。そのほかは、一切全部禁止をするという措置をとってまいりました。ただし、これも先生御承知のとおりでございまして、私どもも、やはりこのズルチンというものにつきましては、その後のいろんな国際的な動きでございますとか、そういうようなものもあるように聞いております。そういう段階に応じまして、よりきびしい態度をだんだんとってまいりたい、こういう基本的な態度で臨んでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/112
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113・木村美智男
○木村美智男君 実は、いまズルチンを使っているのは、日本とオーストリアと西ドイツ——西ドイツのことをよく聞いてみますと、やっぱり糖尿病の関係、したがって、西ドイツでは、そういう意味で糖尿病患者が医者の処方せんをもらって、そして買うことができるという、言ってみれば、薬扱いの許可品目になっているわけですよ。ここをやっぱり厚生省としても考えていただいて……。従来より大幅に制限したということは私も認めますよ。しかし、ちょっとの甘さで、しょうゆを飲んでも——しょうゆは飲むわけじゃないが、まあ、なめてみても「なるほど、そう、甘い」という意味で使っているんじゃないが、その少量のやつが実は発ガンの原因になるということを言われているから、少量だからいいじゃないかというこの扱い方は、私は、厚生行政としては問題がある、こういうふうに実は考えるので、くどくど申しませんが、これも着色料と同じように、ひとつきびしく再検討をしてほしいと思うんです。きょうは、禁止をするかしないかということを迫まろうとは思いませんが、いずれこれはまた物価の委員会などで、その後の措置について伺いたいと思うので、そのときはひとつ、いい返事をしてもらうように期待をしまして、これはやめておきます。チクロなりサッカリンの問題も同じような関係が出てきますので、あわせて、これも科学的な意味では検討していただきたい。
で、ついでに、特殊栄養食品の関係でございますけれども、栄養改善法の十二条を見ますと、人形マークをつけているわけですが、十二条にはこういうことが書いてあるんですね。「販売に供する食品につき、栄養成分の補給ができる旨の標示」、この「標示」が人形マークですけれども、実際は、加工食品にこのマークをつけたものが高く売れる、こういう関係に最近はなっている。ビタミンも添加して、とにかくマークをつければ高く売れるという、こういう状態。ミネラルも同じですけれども、消費者は名前につられて、特殊栄養食品ということになっていれば、これはやはり大した栄養があると思って飛びつくという、これは心理はわかるのですけれども、しかし、保健衛生上ちょっと怪しいじゃないかという……。きょうは化学的な成分の論争をしようとは思いませんが、そういう意見がうんと出てきているので、これはやはり、政府保証によって値段のつり上げといったような弊害も出てきているから、私は、栄養改善法の十二条の前段「又は乳児用」以下はこれを残して、厳密に検証してやっていただくと、けっこうだと思うのですけれども、しかし、食品衛生法なら食品衛生法のほうに持っていってやってもらうことにして、特殊栄養食品の関係については、この前段をやはり削除をするということが必要じゃないか、こういうふうに考えるのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/113
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114・鴛淵茂
○説明員(鴛淵茂君) ただいまの御質問でございますが、私どものほうで毎年国民栄養調査をやっております。この結果によりましても、まだ国民の栄養水準平均でも、カルシウムとかビタミン等は非常に不足しているわけでございます。したがいまして、この栄養改善法の趣旨から、強化を推奨していくべきであると考えているわけでございますけれども、ただいま先生の御指摘になりました、人形マークによって価格を引き上げるというような点は、私ども、法律にはございませんけれども、指導で、この許可基準、指導要領をつくっておりまして、その中で、強化することにより、その商品価格が不当に引き上げられることのないように指導してほしいということを、都道府県を通じまして、申請の際に指導するようにいたしているわけでございます。現実に、一般概念上不当に高くなるような価格になるようなことのないように指導いたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/114
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115・木村美智男
○木村美智男君 時間がないから、議論をしているひまがございませんので、一応、言っている趣旨はわかると思いますから……。これは少しちょっと、やはり問題があるのですよ。それは、国民の栄養はそこまでいっていないからなんという理屈じゃいかぬような問題が起こってきているので、これはあらためて次の機会に聞きます。時間がございませんので、やめます。
実は、新薬が十八品目、去年の十月、許可をいたしましたね。これについて副作用を業者に報告を求めているそうですが、これはいままでにどういう報告がなされているのか。どういうというよりも、報告がなされているのかいないのか。それから、もしこの報告が来た場合に、その取り扱いを一体研究的にどういうふうにするのか、どういうふうな対策をとるのか、そういうことをひとつ聞いてみておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/115
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116・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 医薬品の副作用なり安全性の問題、確かにこれは非常に問題があるわけでございます。国際的にも、WHO等がそのような副作用問題についてたびたび警告なり何なりをやっております。わが国においても、医薬品の副作用については、数年前からいろいろな手を打っているわけでございますが、特に昨年来、ただいま御指摘のように、新医薬品、新たに厚生大臣が許可をいたしました新しい医薬品について、大体二年間程度の副作用の報告義務というものを当該製造メーカーに義務づけたわけでございます。したがいまして、ただいまの御指摘はそのことだろうと思いますが、これは、まだ副作用報告の義務を命じたばかりでございまして、これから二年間、一定の方法で監視をいたしまして、それでその間、予期せざる副作用等の事例が出てまいりましたら、当然、厚生省のほうに報告をする、そうしてそれを受けまして、私どものほうとしましては専門家によって技術的に検討をいたしまして、しかるべく措置をしたい。その措置の内容としましては、従来からやっておりますように、製造許可の当時では予期できなかったような新たな副作用等が出てまいりますならば、それにつきまして、たとえば副作用の注意義務等をいわゆる効能書きに書かせるとか、あるいはそれ以上の重篤な副作用等が出てまいりましたら即刻製造中止等のしかるべき処置を必要に応じてやってまいりたい、こういうようなたてまえで、昨年の秋以来、このような、新医薬品についての二年間の副作用の報告義務を課するという、諸外国でやっているような制度を打ち立てたわけでございます。したがいまして、まだ緒についたばかりでございますので、今後始まるいろいろな新しい、新規開発の医薬品等についてはそのような手を打ちまして、副作用等についての対策を考えてまいりたい。こういう趣旨が先般の新聞に一部出たというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/116
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117・木村美智男
○木村美智男君 時間がないから、できるだけ簡潔にしてください。
クロラムフェニコールというやつ、要するに、要指示薬の関係で一応新聞には出ましたけれども、これはいままで、実際問題として、あまり取り締まりをやってなかったですよね。薬事法の四十九条では、医者の処方せんなり指示がなければ、本来こういうのを売ってはならぬと書いてあるにもかかわらず、これは、経済企画庁が委託して調査をした主婦の苦情調査というのを見てみますと、やっぱり抗生物質は大体六六%買っているんですよね、かってに。これはやっぱり重大な問題なので、この点で厚生省も気づかれて、一応通達を出すようになったようでありますがね、これは、指導として、もう少し試買ぐらいのことをやって、ひとつ強力に指導する必要があるんじゃないか、こういうふうに考えますので、これは単に一片の通達をもって終わりとしないで、もう少し丁寧な指導をする必要があるんじゃないかと、こういうふうに考えるんですが、これは、そうだ、そうでない、こういう返事でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/117
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118・坂元貞一郎
○政府委員(坂元貞一郎君) 要指示医薬品の販売問題について、従来とかく徹底していなかった点は、われわれも大いに反省をいたしているわけでございます。なかなかに、全国の数多い薬局、薬店等でこの法律の規定どおり順守していくということが十分……。われわれの監視の目をくぐって行なわれていたということは、はなはだ残念でございます。そこで、今般、私どものほうで、アメリカのクロラムフェニコールの副作用問題に関連して、さらに従来以上にこの精神を末端まで徹底したいということで通達を出したわけでございますが、いずれにいたしましても、この要指示薬制度というものは、根本的にはやはりわが国の医薬分業問題と関連いたすことになろうかと思いますので、いま厚生省で検討をいたしております医療保険の抜本対策、こういう問題と相関連させまして、この薬の販売問題について何らかの手を打ちたいと、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/118
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119・木村美智男
○木村美智男君 公取の委員長さん、たいへんお待たせしまして恐縮ですが、ひとつ、この基本法に関連をして、今日、独占禁止法、現行の独禁法から除外されておる法律が三十六あるというふうに伺っておるわけですが、法律百三十八号というのがございますね、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律というのが。私は、この中に、三十幾つあるやつを一緒に再編成をするというか、整理をして、法体系としても、やっぱりきちっとすると同時に、原則を明らかにして運用を便利にするという意味で、そういう整理をすることが必要なんじゃないだろうかということが一つ。
それからもう一つは、この適用除外規定の中で、カルテルが実施されたことのないのが十ありますね。これは一体どうなさるおつもりか。私は、こいつを廃止すべきだと、こう思っているのですが、その二点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/119
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120・山田精一
○政府委員(山田精一君) 適用除外に関しまする条項がいろいろな法律にまたがってございまして、非常に不便であることは御指摘のとおりでございまして、できれば、関係官庁と相談をいたしました上で、一本の適用除外法規にまとめる方向に折衝を進めてまいりたいと思います。
それから、次に御指摘の、いままで一度も発動されなかったのが十あるわけでございますが、これにつきましては、私どもの希望といたしましては、すみやかにこれを整備してまいりたいと考えております。その方向で所管の官庁と折衝をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/120
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121・木村美智男
○木村美智男君 また、関連をするのでありますが、とりあえず、国税庁の関係にお伺いしたいのですが、リベートの問題でちょっと聞きたいのです。
メーカーが取引に際して出すリベートというのは、課税の対象になっているのかどうかということが一つと、それから、私は、ある意味では、にせ価格を明らかにすることになるし、それから物価対策というようなことから考えても有力なてこになる関係で、これは脱税の防止という関係からいっても、この問題はほっぽっておくべき問題じゃないというふうに思うのですが、その点ちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/121
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122・川村博太郎
○説明員(川村博太郎君) 現在、リベートの受け払いは、各種の業界にかなり見受けられるところでございます。その形態につきましても、仕入れ、値引きに当たる場合、あるいは割り戻しに当たる場合、その他各種の形態があるのであります。課税にあたりましては、仕入れ、値引き、割り戻し、いずれの形によるものにつきましても、当然、仕入れの経費がそれだけ少なくなる面、あるいは単なる贈与に当たるものでございますと、それが雑収入になるというような観点から、これを課税の対象としております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/122
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123・木村美智男
○木村美智男君 全部やっているわけじゃないでしょう。いま言った特別なものだけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/123
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124・川村博太郎
○説明員(川村博太郎君) 取引に関連いたしまして、取引先との間で授受されるリベートにつきましては、全部課税するたてまえでございます。ただ、現実の税務行政の面におきましては、全部を把握するということにつきましては、かなりむずかしい問題がございます、申告納税のたてまえでございますので。業者の方々に、それを全部収益として、あるいは経費がそれだけ少ないものとしての申告を行なうというような指導もしておるわけであります。なお、そうした申告のほかに、国税庁といたしましては、税務署を指導いたしまして、リベートの資料をできるだけ業者から取りまして、課税の上にもそれを利用しているという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/124
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125・木村美智男
○木村美智男君 公正取引委員長に伺いますが、今回の酒とビールの再値上げの関係でありますが、私は多分に、第三者的に見て、今回の問題はどうも価格カルテルの疑い濃厚であるという判断をしているわけですが、この間新聞では、柿沼事務局長が衆議院で答えて、疑いがあれば独禁法で取り締まらなきゃいかぬという回答で、いずれ調査するということになっているわけですが、その後何か言ってきておりますかどうか、ちょっと伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/125
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126・山田精一
○政府委員(山田精一君) 酒の二度目の値上げでございますが、これに関しましては、私どもの調べております限りにおきましては、現在までの段階におきましては、国税庁と申しますか、税務署の行政指導によって値上げが認められておるというのは正確な表現ではないように存じますが、届け出でが受理されておるように存じます。したがいまして、個々の行政指導、これは好ましいか好ましくないかは別といたしまして、独占禁止法に直ちにそれが違反するとは言い得ないように考えられるわけでございます。さようなわけで、今後の動きにつきましては、違反の疑いがないかどうかは、十分注意して監視してまいりたいと存じておりますが、ただいままでの経過は、いま申し上げましたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/126
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127・木村美智男
○木村美智男君 国税庁に伺いますが、いまの委員長の発言を聞きましても、多少やっぱりあれなんですが、五月十六日の新聞なんかを見てみますと、今回の値上げについて国税庁がやっぱり関与している。関与ということばが適当かどうかわかりませんが、いま意見の中にありましたように、行政指導という関係の関与ですね。どういう行政指導をされたのか、ちょっと御説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/127
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128・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) 清酒につきましては、御承知のように、昨年の十月に、原料である米につきまして、百五十キログラム当たり千六百六十円という値上げが行なわれた。そのほか、労務費でありますとか、あるいは包装関係、その他いろいろ値上げの要因があったわけであります。それから、卸、小売りの点につきましても、これまた労賃の問題、あるいは運送効率の低下によりますところの運賃の実質的な増、そういういろんな要因が重なっておりまして、業界のほうからは、メーカー段階におきまして二十三円三銭、あるいは卸の業界では九円何がし、それから小売りの段階におきましては十五円九十銭、こういうコストアップの事情があるという事実の説明をいろいろしておったわけであります。これは、単純にこれを足しますと、四十七円九十七銭、約四十八円程度になることになります。これはもちろん、いわゆる二級清酒一・八リットル当たりでありますが、こういう事情につきまして、清酒については、御承知のように、三十五年に公定価格がはずれております。その後基準価格制度をとっておるわけでありますが、この基準価格の制定につきましても、三十九年にこれをやめておりまして、現在自由価格のたてまえをとっておるわけでありますが、ただ、こういうコストアップの事情が片一方にあるわけでありますけれども、片一方、また物価の問題というのが非常にきびしく論ぜられているときでもありますので、私どもとしましては、二級酒が大体清酒の中で六七・八%販売関係あるいは消費関係で占めているわけでありますが、そういう二級酒につきましては、特に価格の上げ幅というものにつきまして、いかにコストアップの事情があるにしても、やはり合理的な金額の範囲内というものにすべきであろうというふうに考えているわけでありますが、そういう観点から、いろいろ私どもコストアップの事情について各税務署から資料をとっておりまして、それによっていろいろ計算を慎重にやってきたわけでありますが、これが大体、私どものところで計算を厳密にやりますと、生産者、卸、小売り全体を含めまして約三十円程度になるわけであります。こういう関係がございましたので、私どもとしては、これを外部に公表いたしますと、値上げそのものが大体ほかのところでもどんどん行なわれてくるという問題もありますので、業界に対しては、値上げの事情があるにしても、やはり増税による値上げというものが五月一日に行なわれたわけであります。できるだけ増税の分とコストアップの分とば離すべきである、切り離してやるべきであろう、こういうことによって消費者の理解もやはり得るということで、そういう指導をしてきたわけでありますが、五月の二日に、群馬県の「福達磨」というところから価格報告書というものが——これは、価格を変更する場合には価格報告書を出していただく。私ども行政庁としまして、価格に対する法律上の権限はないわけでありますが、価格の状況を常に押えておく、価格の状況というものをいつもキャッチしておくという必要がありますので、そういう点で、価格報告書というものを各業者から出してもらうようにいたしておりますが、これが五月の二日に出てまいりまして、実際に価格が動きましたのが五月の六日ごろでありますけれども、そういう報告書が出てきましたために、これはやはりほかのところでも動いてくるかもしれないということが考えられましたので、私どもの三十円という、そういう合理的な計算をいたしました金額というものを税務署のほうへ内々に流してあったわけであります。これによりまして、各税務署におきましては、価格報告書がほかの清酒について出てまいります場合に三十円というところでこれをチェックしていくということが行なわれたというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/128
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129・木村美智男
○木村美智男君 どうも私は、ちょっとやはりすっきりしないんですよ。これはどうしてかというと、税金を上げたことによって、酒、ビールが上げられた。それを追っかけて、また値上げをしたわけだね。だから、言ってみればダブルパンチだ。そうすると、コストアップという問題は、一酒造業界にかかわらず、あらゆる業界でやはりいまコストアップの関係は出てきているわけですよ。しかし、物価との関係があるから、できるだけこれを押える。で、真偽のほどはどうかわからないが、経済企画庁が、何ぼ押えても押え切れない、これは上がっちゃうのが無理じゃない。なぜだと言ったら、国税庁が大体三十円というようなところを、いま聞くと、税務署に流しておいて、税務署はそいつを基準にしてチェックした、そういう説明の限りでは、私は、こういう事態をもって直ちにカルテル価格だとは断定はしませんけれども、こういう指導のしかたは私はきわめて今日の時点の中ではうまくない。国税庁がそういうことで合理的な金額を出すなら、各企業に対してだって合理的金額を出してやらなければいかぬですよ。値上げ申請が来ているのは各省一ぱいあるんですからね。これは、あなた方税金のほうを担当しているだけに、税金をよけい取ったんだから、おまえらまあ先にちょっと値上げを認めてやるというようなことが感じられるんだが、これをすなおに考ええる人には、そういうふうに受け取られるような行政指導のしかたというのは、うまくない、あなたがおっしゃるように、やっぱり増税をしたのと値上げの間隔を置くべきだというその基本方針をどうして貫かなかったか。ほんとうは、それを貫いてくれれば、国税庁としてはりっぱだと、きょうはほめるつもりでおったら、逆にこういうことじゃほめるわけにいかぬわね。この点は、もうやっちゃってしまったことだから、しょうがないから、次はやっぱりよく考えてやってもらわぬと、ある意味では一種の行政指導カルテルみたいな疑いを持つんですよ、ぼくら自身としても。ここは、一つの今後の問題として十分慎重にしていただきたいということで、時間がないですから、この点はこれでやめます。
それからもう一つ、公正取引委員会の関係ですが、例の冷蔵庫へ入ったのか、どこへ入ったのか、わかりませんけれども、消費者保護基本法が出る段階だから、ちょっと伺うんですが、再販についての洗い直しをやって、そして経過は一切見ておりますが、大体四月一日、そこら辺でやろうということで、いろいろ三つの事情が出てきたので、その三つの事情も、あれ以来大体一カ月半過ぎているから、大体見当がついたんじゃないかというふうに思うんで、その洗い直しの結果を告示をするめどというのは、ある程度考えておられますかどうか。それは、うんと先のほうのことですか、近いことですか、そこら辺ぐらいは、ひとつきょうは聞かせていただかぬと、どうも、消費者保護基本法は出すが、そっちはほおかぶりをしているというんでは、ちょっと政治家の良心としてはうまくない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/129
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130・山田精一
○政府委員(山田精一君) 従来指定しておりますところの商品の洗い直しにつきましては、前に御説明申し上げましたような事情もございまして、さらに検討を重ねておる次第でございます。それと同時に、これと反対の概念でございますが、一体、おとり廉売というもの、あるいは不当廉売と申しますか、いろいろな概念がございますが、これをいかに定義づけをいたしてこれを規制するか、この問題もあわせて検討をいたしておく必要があるものと考えますので、このほうの検討も急いでおるわけでございます。両方をにらみ合わせまして、できるだけ早く結論を出したい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/130
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131・木村美智男
○木村美智男君 厚生省に、締めくくって伺いますが、食品衛生法の関係で、食品添加物の関係については国民生活審議会の答申にもございますんで、これを一々読み上げません。しかし、そういう点では大事な問題ですから、条文から言いますと、四条の二号におきますただし書きの「但し、人の健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては、この限りでない。」、添加してもよろしい、とあるけれども、これは、先ほど問題を出しましたズルチン、防腐剤といったような問題があるので、ひとつ試験方法というものを政令で定めたらどうか。そうして、さっきお答えがありましたように、安全性が検証されたものについて、これが出なければ指定ができない、こういうふうに改めることが、やはり今日の段階では必要なんじゃないか。いままである法律だということじゃなしに、この趣旨にもし賛成であるならば、実際の法文の改正の問題は、きょうどうこうということは申し上げませんから、十分検討していただいて、しかるべき機会に、この改正について具体化していただきたい。
それから二つ目には、先ほど申し上げたことにも関連をいたしますが、法十一条の関係、施行規則の五条の関係、別表三の関係、つまり、何といいますか、標示を義務づけられている、名前が、マーガリンとか、清涼飲料とか、魚肉ハムとかずっとありますね、これではやはり数が少ない。もっと別表三というやつはふやして、これは特に消費者保護の見地から相当具体的にチェックをしてもらいたい。そうして、この標示を原則とするということに改める。何も知らない消費者であっても、店先に行って見れば、その品物を見ただけで大体わかるというような関係に改めることが、これは消費者保護基本法としては大事な点ではないかというふうに考えるのです。この点は詳しい御返事は要りませんが、イエス、ノーくらいでけっこうですが、それが二番目。
それから三番目は、十三条に食品添加物の公定書というやつがあるわけでありますね。この食品添加物公定書というものの中には、いろいろなものが実は入っているわけでありますが、この点について、さっきタール系着色料の問題を出したわけですが、WHOや国際機関で禁止されているといったような関係のものについては、やはりこの中から削除するということが必要で、これは私は、今度は逆に、最小限にとどめてほしいというわけなんです。
それからもう一つ、二十五条に食品衛生調査会というのがあるのですが、この中には関係業界人ということで入っているわけですけれども、さっき申し上げたように、やはり規格や標示をやるという、これを指導する官庁と取り締まりをする官庁と区別することと大体似通った考え方になるわけでありますが、やはりこういう委員会に業界の代表を加えているというところに、実はいろいろなよどみや何かが出てきたり、すっきりしない点もあるのです。もちろん、そういう人に聞くことも大事だけれども、それはオブザーバーなり参考人として別途意見を聞く方法を考えて、むしろそれによって、実際の利害関係を伴う——利害関係というのは消費者としての、そういう人を主体にして学識経験者をもって構成するようにすることが必要じゃないか。これは何も食品衛生調査会のみに限りませんが、大体多くの委員会が普通運営しているようにしてもらいたいと思うのです。
食品衛生法の関係で、以上五つつですが、大体イエスかノーくらいでけっこうでございますけれども、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/131
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132・松尾正雄
○政府委員(松尾正雄君) 添加物につきましては、先ほど来先生の御指示のような方針で臨んでまいるつもりでございます。したがいまして、公定書の整理ということも、その際に同時にあわせて行なっていくつもりでございます。
それから標示の問題等がございました。食品の成分規格というものにつきまして、もっと幅広く整備をするということが必要である、それにあわせまして、同時に、その標示制度というものをやはり整備する、こういう態度で検討を進めたいと思うのであります。
なお、ついででございますが、標示につきましても、ただいま先生が御指摘のように、だれが見てもわかるというような標示というものがやはり大事でありまして、間々いたしますと、専門家だけが見てわかような符号というものが一般に習慣的に使われているものもあるわけでございますが、それではやはり消費者のほうの選別には不適当ではないか、かような点も、標示制度としては、あわせて検討したいと考えております。
それから食品衛生調査会構成につきましては、私どもは、現在の構成の中では、御指摘のような方針で臨んでいるつもりでございます。ただし、法律上は、御指摘のような、そういうものの入り得るような表現になっております。やはりこれは、国民の食品衛生という観点に立ちます以上、厳正中立な学識経験者というものが中心になって、それによってまるく結論を出していく。ただし、それの運用にあたりましては、いま御指摘のように、いろいろなほかの方の意見というものを、実際的運営としては、よく聞いていくという機会を持つことは全く同感でございます。したがいまして、さような点等をも含めまして、私どもは食品衛生法の改正ということに早急に着手をいたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/132
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133・木村美智男
○木村美智男君 いま標示の問題が出ましたので、公正取引委員長に実はひとつこのことをお願いしておきたいんですが、公正競争規約ですね、だいぶ最近、かん詰めその他指導監督をされているようです。私は、あれはなかなかいいことじゃないかと思っているんですが、問題は、公正競争規約に加盟をしていないもの、これに対しては効力を持たないわけでしょう。そうすると、逆に言えば、正直者がばかを見るような面もないわけじゃないですね。したがって、そういう点について、規約で定めている表示方法が、入っていない者の活動で、もし混乱をするというようなことのおそれがあるときには、公正取引委員会がその規約に定まっている内容というものを参酌をして、そういう業者に対して、それを守っていくように義務づけるというようなことに法改正をしないと、取り締まり上、ほかに方法があればいいんですが、ないとするなら、そういう必要があるんじゃないかと思うんですが、この点はどういうふうにお考えになりますか。特に牛乳、かん詰めの問題で積極的に乗り出している点の評価をしながら、伺うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/133
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134・山田精一
○政府委員(山田精一君) 公正取引委員会といたしましては、従来、ああいうような公正競争規約ではございますけれども、やはり、どこまでも加入脱退の自由を尊重するというたてまえで従来までまいりましたわけでございます。それから、それによって、もしもアウトサイダーが著しく有利になりまして、加入した者、正直者がばかを見るということになりましては、これは何にもなりませんので、私どもといたしましては、アウトサイダーが公正競争規約によって定められておるべき表示をなさないで、あるいはそれに反する表示をするようなことによって、不当にほかの競争者よりも有利な地位を占めたというような場合には、本則に戻りまして、少なくとも大部分の業者が公正競争規約においてかくかくのことを定めております以上、それらの表示をいたしますことが、正常な商慣習、その業界において正常な商慣習になっておるものと認定いたしまして、正常な商慣習に反して、ほかの競争業者に対して著しく自分の商品が有利であると消費者を誤認せしめたというようなことで取り締まるようにいたしてまいりたいと考えておりますが、御指摘の点は、なお十分検討いたしてみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/134
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135・木村美智男
○木村美智男君 いまの公正競争規約の問題で、第四条で、私は、業者間だけの問題じゃなしに、これは新しい問題かもしれませんが、一般の消費者にわかるように、何というか、必要なものについて、たとえば危害予防みたいな、関係するような問題なんですが、消費者を保護するために、公正取引委員会が特に必要あると認めた場合に、不当な表示の禁止規定に違反する行為がやられるということを防ぐために、公正競争規約に照らして必要だと思われるような表示事項というものを一般に公示できる……。業者間の問題じゃなくて、もう一般に見て。したがって、あそこの業者はだめだというようなことがすぐわかるように、また、それがはっきりしていると、今度は逆に、業者が違反ができない、表示事項に。そういう牽制の意味を含め、一般消費者にはなお歴然とわかるようなことに——だから、何でもかんでもそうするというのじゃ、これは多少問題があるかもしれませんが、特に公正取引委員会が必要と認めた場合にはそういうことが公示できるような、そういう法律の新設というか、新しく設けるということを、これは、きょうはちょっと事前に御検討いただいておりませんから、まあ、検討する必要性があるかどうか、私は検討に値する問題だと思うのですけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/135
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136・山田精一
○政府委員(山田精一君) ただいまの御指摘の点でございますが、不当景品類及び不当表示防止法の第四条の第三号というのが「前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの」という条項があるのでございますが、現在に至るまで、この指定が一つもないのでございます。これを、実は、近くある件につきまして指定を出そうかと研究をいたしております問題もございます。これをある程度運用いたしてまいりますれば、ただいまの御趣旨に相当程度かない得るかと思います。そのほかに、さらに告示でございますが、公示する制度をどういうふうにいたすかということは検討いたしてまいりたいと考えております次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/136
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137・木村美智男
○木村美智男君 それは、委員長、それでけっこうですが、この前、ルームクーラー問題で、カラーテレビを景品に出すことについて、綱島商店とGEですか、あれを押えましたね。あのあと、こういうことをやっていますね。今度は、会場に集まってきた人に抽選券を渡して、自動車だと、こう来たわけです。そうすると、これは取引に直接附随しませんね。大体文字上からの関係としては。結果としては、だいぶ関係ありますけれども、そういうものは明らかに私は脱法行為だと思うのですがね。明星ラーメンがいろいろやっておりますよ、五百台のカラーテレビとかいうやつを。消費者保護という観点は何かと言ったら、そういうものを出すだけの余地があるなら、その売る品物のほうに回して値段を安くしろというのが基本の精神だろうと思う、あの法のね。そうして見ると、私は、さっそく、あの附随するものはもちろん当然でありますけれども、附随しなくても、結果的に附随したと同じような、あるいは不当な顧客誘引になるようなものについては、やっぱり公正取引委員会が取り締まれるような条項にしなければうまくないのじゃないか。こう思うのですけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/137
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138・山田精一
○政府委員(山田精一君) ひとりルームクーラーにとどまりませんで、このごろ新聞紙上の広告などでごらんになりますと、おわかりいただけますように、非常に脱法すれすれのところでもってうまい懸賞が横行いたしております。私どももこれを放任することができませんので、告示の改正につきまして検討をいたしておる次第でございます。また、どの程度までこれを規制し得るか検討中でございますけれども、できるだけこの取引附随ということを広く解釈をいたしてまいるようにいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/138
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139・木村美智男
○木村美智男君 委員の皆さんにもたいへんおそくまで恐縮ですが、もう全部はしょりまして、委員長、最後に残られましたので、一つだけ特に申し上げておきたいんですが、私は、いまの独占禁止法という問題は、この日本の現行の独占禁止法というのは、日本経済のほんとうに民主的な今後の健全な発展という上にとっては、これはいろいろ何回かの改正を受けて、そしてまあいまやほんとうに手をもがれ、足をもがれておりますけれども、しかし、それであっても、なおかつ、今日独禁法というものの存在意義というものは、やっぱり厳然としてあると思っているんです。それが実はいま重大な関頭に差しかかっておる。それは何かというと、前後三回にわたって本委員会で取り上げました大型合併の問題ですが、私は、管理価格問題ということよりも、むしろ——シェアや管理価格ということも問題であるけれども、実はさっきも企画庁長官に申し上げたように、企業間格差という問題が大きな落差を生ずる、それは通常の状態じゃなくて、寡占状態の中で、しかも独占的なものが一つ先行をして、ここに大きな落差を生ずるような、こういう関係は、何としてもこれは今日の独占禁止法からいって認めらるべき性格のものではない。これは私の見解ですよ。もしかりにこれを認めていくとすれば、最後のとりでである独禁法の十五条第一項というものは有名無実になってしまう。そのことは、言いかえれば、多少委員長にはきびしく感じるかもしれませんが、これは公正取引委員会の自殺行為につながる、私、こういうふうに思っています。従ってこれはほんとうに産業界あるいは新産政策にも関連する問題ではあるけれども、いまの全体の物価の関係やら、国際競争の関係やら含めて、財政政策、金融政策、そして独禁政策という三本の柱の中の、もう本来われわれの側、国民の側として、たよるべきものは、今日もう独禁政策以外には、実際はもう希望を失いつつある。その最後のとりでだけは、これはやはり、公正取引委員長ね、私は守り抜いてほしいという気持ちを実は申し上げたい。これは答弁を必要といたしませんが、厳正かつ中立で独自の立場から判断をすると委員長の言われたこと、やはりそれ以上のことについてお答えを聞こうと思いませんが、どうか、そういう意味で、いま注目をされておる。で、先ほどからいろいろ質問をいたしましたが、表示の問題や、景品の問題や、あるいは再販問題や、あります。ありますけれども、私、ほんとうの気持ちを申し上げれば、もう、いままでやってきたような問題は、この合併問題を除いたら、ごみみたいな問題だ。だから、再販の問題についても私あまり強く言いません。本来ならば、委員長、何だ、四月一日、うそ言ったじゃないかと言うところですが、しかし、そういうことはあえて私言わない。ということは、もう比重が違う、ウエートが違う、本質的に。ここのところをぜひあなたに、物価対策特別委員会の立場として、これは特に申し上げる。このことは、やはり歴史的な新しい一ページを飾るかどうかの境目に、実は大事なところに、委員長は立っておられる。あまり責任を重く感じるようなことであっては、なんですけれども、そういう意味で、特にこの点は答弁要りませんが、申し上げて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/139
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140・山田精一
○政府委員(山田精一君) 先生の御意見、ありがたく拝聴いたしました。私どもが考えますところの今日における独禁法の意義が十分に発揮されますように、厳正に慎重に運用いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/140
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141・大森久司
○委員長(大森久司君) 他に御発言がなければ、本法案に対する本日の質疑は、この程度にとどめたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/141
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142・大森久司
○委員長(大森久司君) 委員の異動について報告いたします。
本日、渡辺勘吉君が委員を辞任され、その補欠として松永忠二君が選任されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815061X01219680517/142
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