1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月五日(火曜日)
午前十時三十二分開会
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委員の異動
二月六日
辞任 補欠選任
内藤誉三郎君 中山 福藏君
二月十二日
辞任 補欠選任
中山 福藏君 内藤誉三郎君
二月二十九日
辞任 補欠選任
佐藤 隆君 森 八三一君
三月一日
辞任 補欠選任
森 八三一君 佐藤 隆君
三月五日
辞任 補欠選任
大谷藤之助君 田村 賢作君
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出席者は左のとおり。
委員長 中村喜四郎君
理 事
楠 正俊君
佐藤 隆君
小野 明君
鈴木 力君
委 員
北畠 教真君
久保 勘一君
剱木 亨弘君
近藤 鶴代君
田村 賢作君
岡 三郎君
千葉千代世君
松永 忠二君
柏原 ヤス君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部大臣官房会
計課長 井内慶次郎君
文部省初等中等
教育局長 天城 勲君
文部省大学学術
局長 宮地 茂君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○小委員会設置及び小委員・小委員長選任に関す
る件
○教育、文化及び学術に関する調査
(当面の文教政策及び昭和四十三年度文部省関
係予算に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/0
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001・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
理事の補欠互選についておはかりいたします。
委員の異動に伴い、理事に一名の欠員が生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。
互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/1
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002・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) 御異議ないと認め、理事に佐藤隆君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/2
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003・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) 小委員会の設置についておはかりいたします。
本件につきましては、理事会で協議いたしましたところ、オリンピック大会その他各種国際競技大会に関する諸問題を調査し、特に札幌オリンピック冬季大会の準備促進をはかるため、小委員八名よりなるオリンピック等対策小委員会を設置することとし、小委員の会派別割り当ては、自由民主党四名、日本社会党二名、公明党一名、第二院クラブ一名とすることに意見の一致を見ました。
ただいま報告いたしましたとおり小委員会を設置することに御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/3
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004・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
つきましては、小委員及び小委員長の選任は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/4
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005・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、小委員に北畠教真君、楠正俊君、佐藤隆君、中村喜四郎君、鈴木力君、千葉千代世君、柏原ヤス君及び石本茂君を指名いたします。また、小委員長には楠正俊君を指名いたします。
なお、小委員の辞任及びその補欠選任並びに小委員会から参考人の出席要求があった場合の取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/5
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006・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/6
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007・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) 教育、文化及び学術に関する調査中、当面の文教政策及び昭和四十三年度文部省関係予算に関する件を議題といたします。
まず、文部大臣の説明を求めます。灘尾文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/7
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008・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 第五十八回国会において文教各般の問題を御審議いただくにあたり、所信の一端を申し述べたいと存じます。
本年は、明治百年の記念すべき年でありまして、わが国の歴史と先人の業績を顧みるとともに、わが国及びわが国民の将来にわたる一そうの発展を期する年であります。
この百年の間、わが国は、幾多の試練と苦難に逢着しつつも常によくこれを切り抜け、たくましい発展と成長を遂げてまいりました。このことは、もとよりわが国民の勤勉さ、資質の優秀さによるところではありますが、さらに教育の力があずかって大きなものがあったと思うのであります。
今後、わが国が国際社会において、はるかな将来にわたって発展し続けていくためには、伝統的な文化の基礎の上に、新しい文化や科学をたゆみなく創造し発展させていく必要があると考えます。
そのためには、国民特に青少年の一人一人がたくましい精神と身体を養い、高い理想を求め、広い視野に立ち、正しい知識をもって、才能を十分に発揮することが必要であります。
今日、世界各国が、相競い、非常な熱意をもって教育の改善充実に力を傾けておりますのも、各国が自国の将来の繁栄と発展への期待を青少年に託しているからにほかなりません。
この重大なときを迎え、私は、みずからに課せられました重責に思いをいたし、文教行政の進展のため、一そうの精進を重ねてまいる所存であります。
もとより、文教に関する施策は、一時の思いつきによることなく、遠い将来をおもんばかり、長期的視野に立って、地道にきめこまかく着実に推進していかなければならないと思うのであります。
今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策については、目下、中央教育審議会において検討を進めているところでありますが、以下、当面する文教施策の若干の問題について申し述べたいと思います。
まず、初等中等教育の普及充実につきましては、教職員の資質の向上と処遇の改善をはじめ、施設設備の整備、教職員の定数の充実等についてさらに努力を重ねるとともに、特に教育の質的向上をはかるため、時代の進展と児童生徒の適性、能力に即応するよう教育内容の改善をはかりたいと存じます。また、教育の機会均等の趣旨を一そう推し進めるため、教科書無償の完全実施、教材整備の推進等教育費の父兄負担の軽減や、身体的または地域的に恵まれない条件にある子供のための特殊教育、僻地教育の充実改善等の措置をとるとともに、交通安全教育及び学校給食の充実等にも意を用いてまいりたいと存じます。
また、後期中等教育については、その拡充整備を進め、働きながら学ぶ青少年のための勤労青少年教育の充実等について一そう力を注いでまいりたいと考えております。
私は、真の教育は学教教育と家庭や地域社会における教育とが相まって行なわれるべきものであると考えております。このため、世界の諸国から敬愛され信頼される国家社会を建設し、充実した個人生活、豊かな家庭生活を築くために必要な社会教育の充実につとめるとともに、青少年の健全な育成のため、体育、スポーツの振興にも一そうの努力を続けてまいります。
第二に、私学の振興について申し上げます。
わが国の教育において占める私学の役割りの重要性にかんがみ、文部省としても従来から私学振興には力を注いでまいりましたが、昨年六月、臨時私立学校振興方策調査会の答申がありましたので、これを契機として、新たに私立大学の経常的教育研究費の助成を行なうこととするなど、さらに私学の振興をはかってまいりたいと存じます。なお、各種学校についても、その役割りの重要性にかんがみ社会的要請に応じて、その制度の法的整備をはかる所存であります。
第三に、高等教育の整備充実と学術の振興について申し上げます。
高等教育に対する国民の要求は今日ますます増大しつつありますので、国立大学、高等専門学校の教育、研究内容の充実、施設設備の整備についても意を用いてまいります。また一方、大学の規模がますます拡大することに伴い、さらにまた、学生運動の行き過ぎ等にも関連して大学の管理運営体制の確立が問題となっておりますが、私は、大学が、その重要な使命にかんがみ、教育研究のきびしさに思いをいたし、大学の教育指導と管理運営のあり方に徹底的検討を加え、自治の確保と教育研究の充実につとめられんことを衷心より期待するものであります。
学術につきましては、その振興の基本的施策について検討を進めてまいるとともに、科学研究費の増額など研究環境の整備をはかることといたしております。
第四に、文化の振興につきましては、伝統的な文化の保護と新しい芸術文化の創造を推進するとともに、すぐれた文化を広く国民に普及し、特に青少年に親しませるための施策を推進してまいる所存であります。なお、文化行政の機構については、行政の能率化をはかるとともに、芸術文化に関する行政と文化財保護行政との調和をはかり、これらを一体的に推進することができるよう機構の整備を行なうことといたしております。
第五に、教育、学術、文化の国際交流と発展途上にある国に対する教育、学術、文化に関する国際協力の推進については、留学生教育、東南アジアに対する教育協力の拡充等をはじめ、二国間あるいは国際機関を通じての国際交流と国際協力を一そう推進してまいるとともに、一九七二年に開催される札幌オリンピック冬季大会につきましても、スポーツを通じての国際親善の成果を十二分にあげ得るよう万般の準備を進めたいと存じます。また、もっぱら外国人を対象として行なわれる組織的な教育についても新たに法律上の制度を創設することといたしております。
最後に、沖縄における教育につきましては、その本土復帰の日の一日もすみやかならんことを熱望しつつ、本土の教育との一体化と教育水準の向上のための努力を続けるとともに、小笠原諸島の返還に際しては、教育条件の整備に万全を期したいと考えております。
以上、文教行政の当面する若干の問題について所信の一端を申し述べましたが、これらのうちには予算上の措置のみならず法律上の整備を要するものもあります。私は、文教委員各位の御協力と御援助を得て、これらの課題の解決に努力するつもりであります。文教のことは、申すまでもなく、国民各層の熱意と積極的な協力なくしてはその進歩発展を期し得るものではないと考えます。私は、微力ではありますが、今後とも努力を続けてまいるつもりでありますので、何とぞよろしくお願いいたします。
次に、昭和四十三年度文部省所管の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
まず、文部省所管の一般会計予算額は、六千五百二十四億九千六百三十三万七千円、国立学校特別会計の予算額は二千五百四億三千八百六十九万六千円でありまして、その純計は六千九百八十三億六千七百二万五千円となっております。
この純計額を前年度当初予算と比較いたしますと、およそ七百五十四億円の増額となり、その増加率は一二・一%となっております。
以下、昭和四十三年度の予算案におきまして特に重点として取り上げました施策について御説明申し上げます。
まず第一は、教育費の負担軽減であります。
このことにつきましては、かねてから努力を重ねてまいったところでありますが、明年度は特に父兄負担の軽減に留意し、教材整備の促進、教科書無償の推進、就学援助の強化、遠距離通学費補助の拡充、学校給食の普及充実につとめましたほか、地方公共団体の超過負担の解消を促進する等の施策を進めることといたしました。
そのうち、まず教材整備の促進につきましては、昭和四十二年度に設定いたしました教材基準の充実を十カ年計画で行なうことといたし、その第二年目の整備充足をすることといたしました。また、教科書無償につきましては、国・公・私立学校を通じて、中学校及び特殊教育諸学校の中学部の第三学年までの児童生徒に対して教科書の無償給与の措置を講じ、義務教育の教科書無償給与が完成することになりました。
次に、就学援助の強化につきましては、要保護・準要保護児童生徒の就学奨励として、生徒の特別教育活動費を新たに中学校の支給対象品目に加えるとともに、修学旅行費の補助単価の改訂を行なうことにいたしております。
次に、遠距離通学費につきましては、対象人員を一万人増加いたしまして、その拡充につとめました。
次に、地方公共団体の超過負担の解消の促進につきましては、公立文教施設の単価の引き上げ及び構造比率の改善に特に配慮し、また、義務教育費国庫負担金の給与費のうち政令都府県の給料定額の是正をはかることといたしました。
また、学校給食の普及充実につきましては、完全給食の実施を目途として、引き続き単独校及び共同調理場の給食施設、設備の充実をはかるほか、栄養職員の増員等の施策を行なっております。さらに小麦粉及び脱脂粉乳につきましては、従来のとおり補助を継続することとし、所要の補助金を計上いたしております。
第二は、私学の振興であります。
私立学校の助成方策については、昨年臨時私立学校振興方策調査会の答申により、基本的な方向が示されましたので、その趣旨を十分勘案いたしまして、具体的助成方策について慎重に検討を加え、従来行なってきた助成の拡充改善を行なうほか、新たに、経常的教育研究費について助成を行なうことといたしました。
まず、私立学校振興会に対する政府出資金及び財政投融資資金からの融資につきましては、合わせて二百七十億円に拡大し、私学全般の施設の改善充実に充てることといたしました。
また、新たに私立大学の教育研究の充実向上をはかるとともに経営の健全化に寄与するため、経常的教育研究費の助成を行なうこととし、三十億円を計上いたしました。
次に、私立大学理科等教育設備整備費助成及び私立大学研究設備整備費助成につきましても、合わせて四十五億円を計上しましたほか、私立幼稚園に対する施設費の補助の拡充等の施策を講じております。
第三は、教職員の資質向上と初等中等教育の充実であります。
まず、教職員の資質の向上と勤務条件の改善につきましては、学級編制の標準を原則として、小・中学校いずれも最高四十五人に改めるとともに、特殊学級の増設、充て指導主事の充実等のための増員をはかるほか、新たに給与改善費として十五億円を計上いたしております。
次に、僻地教育の振興につきましては、僻地の教育環境の改善等のため、引き続き各種の施設、設備の充実をはかりましたほか、僻地派遣医の内容の充実等を加えて総合的かつ重点的に施策を推進することといたしております。
次に、特殊教育の振興につきましては、養護学校及び特殊学校の計画的な普及と就学奨励費の内容の改善のため必要な経費を増額いたしますとともに、新たに聾学校の聴能訓練設備及び特殊教育学校寄宿舎設備に必要な経費を計上しております。
次に、後期中等教育の拡充整備につきましては、定時制通信制併置高等学校の設置に要する経費の補助を行なう等引き続き定時制教育及び通信教育の振興をはかるとともに、新たに高等学校の理数科教育に対する設備費の補助等、高等学校教育の多様化に対処するための施設及び設備等に必要な経費を計上しております。
次に、理科教育設備及び産業教育の施設設備の充実につきましては、引き続き新基準による計画的な改善充実を行なうことといたしております。
次に、幼児教育の重要性にかんがみ、父兄の要望にこたえて、引き続き幼稚園の普及整備のために必要な助成を強化いたしますとともに、所要の教員を確保するため、私立の大学及び短期大学の教員養成課程に対する設備の補助を行なうことにいたしております。
また、公立文教施設につきましては、引き続き既定計画の線に沿ってその整備を進め、特に建築単価の引き上げ、構造比率の改善、公害対策等に留意することとし、公立文教施設整備費三百十五億円を計上いたしました。
このほか、前年度に引き続き、教育課程の改善、道徳教育及び生徒指導の充実並びに教職員の研修及び研究活動の推進に必要な諸経費を計上いたしております。
第四は、高等教育の整備充実と育英奨学事業の拡充であります。
国立学校特別会計予算につきましては、前年度の当初予算額と比較して二百三十二億円の増額を行ない。約二千五百四億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの繰り入れ二千四十六億円、借り入れ金二十二億円、付属病院収入二百九十九億円、授業料及び検定料五十八億円、学校財産処分収入五十億円、その他雑収入二十九億円であります。歳出予定額の内訳は、国立学校運営費千九百六十六億円、施設整備費五百三十八億円などであります。
国立大学の拡充整備につきましては、まず、大学入学志願者の急激な増加に対処するための既定計画に沿って、大学及び短期大学の入学定員の増加をはかり、二千七百一人の増募を行なうことにいたしました。このため大学について、一大学の創設、三文理学部の改組、十五学科の新設及び九学科の拡充等を行なうことにいたしました。
次に、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費等各大学共通の基準的経費につきましても、引き続きその増額をはかっております。
また、新制大学における大学院修士課程の拡充、付属病院、付置研究所の整備につきましても配慮をいたしておりますが、特に付属病院につきましては、看護業務の整備についての増員を行なうほか、病院教官の増員等臨床研修に必要な措置を講じております。
次に、専門的技術者育成のため既設の工業高等専門学校六校に各一学科を新設することにいたしました。
次に、国立学校施設の整備につきましては、財政投融資資金及びその他の収入を財源の一部に含めて予算額を五百三十八億円に増額し、一段とその整備の促進をはかることといたしておりますが、なお、施設整備の円滑な実施をはかるため、後年度分について、百七十二億円の国庫債務負担行為を行なうことができることといたしております。
また、育英奨学事業の拡充につきましては、大学院奨学生及び高等学校特別奨学生の増員を中心として引き続き事業を拡充し、また、私立大学特別奨学生に関する特別な配慮を加える等全体で十二億円余を増額いたしております。
第五は、研究費の拡大と学術の振興であります。
わが国の学術の水準を高め、ひいては国民生活の向上に寄与するため、学術研究の推進につきましては引き続き努力をいたしております。
昭和四十三年度予算につきましては、まず、科学研究費を一段と増額いたしますほか、引き続き研究所の整備を行ない、また、ロケット観測、南極地域観測等につきましても、それぞれの目的に応じて必要な経費を計上いたしました。
なお、在外研究員の派遣のための経費についても増額計上いたしております。
第六は、青少年の健全育成と社会教育の振興であります。
青少年の教育問題は、近時ますますその重要性を加えており、これに対処するためには、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く意を用いるべきところであると存じます。
まず、社会教育は、国民の一般的、職業的教養の向上に大きな役割りを果たすものであり、その普及振興は、学校教育の充実とともに、きわめて重要なものであります。このため引き続き社会教育指導者の養成確保に一段と意を用い、社会教育主事等の講習会のほか、各般の指導事業の充実強化につとめております。
また、特に青少年健全育成及び家庭教育を重視し、学校外における少年の健全指導事業の拡充、家庭教育学級の充実強化等必要な措置を講じました。なお、青少年の研修、訓練の場としての国・公立青年の家等青少年教育施設を整備するとともに、青少年団体等の育成も強化したいと考えております。
このほか、青少年に対する映画、テレビの影響力にかんがみ、積極的に優良な映画、テレビ番組の製作の奨励及び普及を促進することといたしました。
また、社会教育の施設につきましては、青少年教育施設のほか、公民館、図書館、博物館等の施設設備の整備を一そう推進することといたしております。
第七は、芸術文化の振興であります。
わが国芸術文化の振興をはかるとともに、すぐれた芸術文化を広く国民に普及し、また、わが国の伝統的な文化財を保存いたしますことは、国民生活の向上の上からもきわめて必要なことであります。
このため、引き続き芸術の創作活動の助成、地方芸術文化の振興並びに芸術関係団体に対する助成を行なうほか、歌舞伎、文楽等のすぐれたわが国の伝統芸術の保存とその振興をはかるため国立劇場の助成を行ない、さらに国立の美術館、博物館の整備及び公立文化施設整備費の補助を進めるほか、新たに明治百年記念芸術祭特別公演等を行なうため必要な予算を計上いたしております。
また、文化財保存事業につきましては、文化財の修理、防災施設の整備等を一そう充実することといたしておりますが、特に最近国土開発の急速な進展に伴ってその必要性を痛感されております史跡、埋蔵文化財の保護につきましては、特別の配慮を加え、平城宮趾の買い上げ及び発掘調査につきましても必要な予算を計上することといたしました。
第八は、体育、スポーツの振興であります。
体育は、心身ともに健全な国民の育成をはかる上にきわめて重要な意義を持つものであります。
このため、体育、スポーツの普及につきましては、広く青少年一般にスポーツを普及奨励し、その体力の向上をはかるため、水泳プール、体育館、運動場及び柔剣道場等の整備を促進し、また、スポーツテストの普及、スポーツ教室等の実施、スポーツ団体・行事の助成、指導者養成等について、引き続き必要な経費を計上いたしております。このほか、第十九回オリンピック競技大会への選手団遣派に必要な経費を補助するほか、札幌オリンピック冬季大会の実施準備経費を増額計上して、競技施設の建設、設備に一段と力を注ぐことにいたしました。
第九は、国際交流の推進と教育援助の拡大であります。
まず、外国人留学生教育につきましては、その受け入れ体制の強化をはかるとともに、留学生の増員及びその給与の改善を行なうことといたしております。
また、国際学術文化の交流を促進するため、引き続き教授、研究者の交流を推進するとともに、新たに日独間の文化教育に関する人物交流の促進をはかることといたしました。
なお、最近、特にアジア・アフリカ諸国に対する教育協力の要請が高まってまいりましたおりから、教育指導者の招致、理科設備の供与及び指導者の派遣を実施するほか、新たにアジア諸国への留学生の派遣及び産業教育のための協力に必要な経費を計上いたしております。
さらに、ユネスコ国際協力につきましては、ユネスコ事業への参加体制の強化、日本文化研究国際会議の開催、国際大学院コースの継続等一段とその事業の推進をはかることといたしました。
以上のほか、沖縄の教育に対する協力援助費につきましては、これを増額し、別途総理府所管として計上いたしております。
以上、文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げました次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/8
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009・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) この際、委員の異動について報告いたします。
本日、大谷藤之助君が委員を辞任され、その補欠として田村賢作君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/9
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010・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) 次に、会計課長の補足説明を求めます。井内会計課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/10
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011・井内慶次郎
○政府委員(井内慶次郎君) お手元にお配りいたしております昭和四十三年度予算要求額事項別表に従いまして、大臣の説明を事務的に補足さしていただきます。
まず、文部省所管の一般会計予算額は、その第一ページにございますが、前年度当初予算に比べまして、およそ六百七十九億増の六千五百二十四億九千六百三十三万七千円、国立学校特別会計の予算額は、およそ二百三十一億円増の二千五百四億三千八百六十九万六千円でありまして、その純計は六千九百八十三億六千七百二万五千円となっております。この純計額は、前年度当初予算と比べて、およそ七百五十四億の増加となり、その増加率は一二・一%となっております。
なお、一ページの注にございますように、前年度予算額のところのカッコ書きしてございまする金額は四十二年度の当初予算額でございます。四十二年度補正予算の際に若干減額になった事項等がございます。したがいまして、カッコの中が四十二年当初予算、カッコの外が補正後の四十二年度予算というふうにごらん願いたいと存じます。
以下、二ページから事項別表の順序に従いまして御説明を申し上げます。
まず、二ページの第一、教育費の負担軽減でございます。
その第一として、父兄負担の軽減でございます。大臣からも御説明いたしましたように、父兄負担の軽減につきましては特に重点的に予算を計上いたしました。すなわち、父兄負担の軽減の教材整備の推進の最初の事項でございますが、義務教育諸学校教材費負担金につきましては、昭和四十二年度に設定いたしました教材基準の七〇%を今後十カ年で八百億円資金を投入しようということでやっておりまするが、その第二年目といたしまして、前年度よりも六億八百万円増の五十億円を計上いたしました。養護学校の教材費負担金につきましても同様でございます。
次に、教科書の無償の推進でございますが、約十八億三千万円の増でございます。その内容は、昭和四十三年度の小学校一年から中学校二年までの児童生徒の後期用及び転学用の教科書と昭和四十四年度の小学校一年から中学校三年までの児童生徒の前期用の教科書の購入費などであります。これをもちまして、義務教育の教科書無償の給与が完成することになります。なお、備考にございますように、昭和四十四年度前期用教科書から購入価格を改定し、定価の九六%でございましたものを九九%に引き上げることといたしました。
次の事項は就学援助の強化でございます。要保護・準要保護児童生徒の就学援助につきましては、その対象はそれぞれ全児童生徒の三%及び七%で従来と変わりませんが、児童生徒数の減少等により若干金額の下回っているものもございます。しかし、その内容におきましては、学用品費の単価増大体三%、それから注にございますが、学用品費の備考のところにございますが、中学校に新たに特別教育活動費といたしまして三百五十円を追加計上いたしております。なお、修学旅行費の単価増おおむね一〇%などの改善を行なっておるところでございます。
次に、次の四ページにお進みをいただきたいと思いますが、夜間定時制の就学援助につきましても、夜食費の補助の増額、給食の施設の増額等に力を入れております。
それから、しばらく飛びまして、学校給食関係は後ほど御説明申しますのでしばらく飛びまして、五ページの初めに遠距離通学費の補助の拡充がございまするが、これにつきましては、対象人員を六万人から七万人に一万人増加いたしまして、その拡充をはかりました。
第二は、地方公共団体の超過負担の解消の促進でございます。この点につきましても、大臣から御説明いたしましたように、特に意を用いたところでございます。すなわち、まず公立文教施設整備費につきましては、備考にございますように、構造比率の引き上げおおむね五%、それから負担率の引き上げといたしまして、離島にかかわります小・中学校の設置の補助につきましては、現行負担率が二分の一または三分の一でございまするが、いずれもこれを三分の二に引き上げることにいたしました。それから、建築単価につきましては、種別によりまして若干異なっておりまするが、小中の校舎で申しますと、鉄筋一〇・二%、鉄骨一一・三%、木造九・六%の引き上げを行なっております。なお、新産、工特、産炭地域等に対する負担率のかさ上げも引き続き行ない、地方公共団体の超過負担の解消に資することにいたしております。なお、公立文教の詳細な内訳は後ほど別の事項で出てまいりますので、後ほどごらん願いたいと存じます。
また、政令県の給料定額につきましては、義務教育費国庫負担金の給与費において、政令四都府県について定められております国庫負担の最高限度の定額を前年度より引き上げまして、三%に改定することにいたしております。
次に、学校給食の普及充実でございまするが、総額はそこにございまするように八十三億一千八百六十七万九千円でございます。すなわち、まず学校給食用物資につきましては、前年度に引き続き、脱脂粉乳につきまして十二億六百十六万六千円の補助、それから次のページに参りまして、小麦粉に対しまする百グラム当たり一円の補助を継続することにいたしております。なお、義務教育諸学校の生乳使用につきましては、これを百六十万石に増加することにいたしまして、必要な補助額を農林省所管の予算書に計上することになっております。また、高度僻地学校児童生徒パン・ミルク給食費につきましては、単価の引き上げを行なうほか、新たにマーガリン等の添加物を供することといたしました。
次に、要保護及び準要保護児童生徒援助費補助は、単価の引き上げのほか、前年度に引き続き貧困市町村の設置する僻地の学校について特別の措置を講じております。
学校栄養職員につきましての設置費の補助につきましては、共同調理場、単独校合わせますと四百十人の増員ということになります。
それから、七ページから八ページにかけまして、給食の施設、それから給食の設備等が出てまいりますが、主といたしまして単価の引き上げ等を行なっております。
それから、一〇ページに参りまして、学校給食用物資の低温流通化促進費補助につきましては、前年度と同じく一カ所これを実施することといたしました。
第二の大きな柱は私学の振興でございます。
まず、私立学校振興会に対しまする政府出資金は前年度と同額の十五億円でありますが、このほか、財政投融資資金からの融資が十億円前年より増加いたしまして二百五十五億円、これに自己調達資金が七十億円見込まれており、貸し付け資金総額は三百四十億円となっております。これによりまして、学生の増募に伴う施設の拡充及び既設大学等の施設整備などに遺憾なきを期しております。なお、備考にございまするように、貸し付け条件につきまして、貸し付け率の引き上げ、経営費の貸し付け年限の延長、第三といたしまして、貸し付け対象の拡大を各種学校の対象範囲の拡大ということで行なっております。
次に、私立大学の教育研究の充実向上をはかるとともに経営の健全化に寄与するため、経常的教育研究費の一部を助成するとともに、私立の短期大学の研究設備についても必要経費の一部を補助するために、新規補助金といたしまして三十億円を計上いたしました。
その次の事項の私立大学の理科等教育設備整備費補助、次のページの私立大学研究設備助成等につきましても、合わせまして約二億一千万円の増額を計上いたしました。
第三の大きな柱は、教職員の資質向上と初等中等教育の充実でございます。
まず、教職員の資質の向上と勤務条件の改善につきましては、教職員の研修の充実、各種教育研究団体等の助成などにつきまして、前年度に引き続き、各種研修会、講習会等の開催、教育研究団体の助成などを行なうことといたしております。また、新たに、一三ページの初めのほうにございまするが、教員給与問題の調査研究に要する経費九百六十九万五千円を計上いたしまして、教員の給与の実態等につきましての調査を行ない、教員の給与の基本的な検討をいたすことといたしております。
次に、義務教育の教職員定数の充実と教職員の給与改善でございます。本年度は、義務教育諸学校におきまして約二十九万人の児童生徒数の減少が見込まれておりますので、学級編制の標準を標準法実施の計画に従い四十六人から四十五人に引き下げることによる増員を見込みましても、なお三千二百四十五人の減が見込まれるのでありますが、反面、養護教員、事務職員の増千三百二十六人、特殊学級の増による担当教員の増一千五百五十八人、充て指導主事の増百人等を行ないますので、全体で教職員定数の減は、一三ページの一番最後の備考のところにございまするように、二百六十一人となるわけでございます。
次に、一四ページに参りまして、教職員給与の改善といたしましては、新たに教員の給与改善費十五億円を計上いたしております。そのほか、政令県の、先ほど申しました給料定額の是正、旅費単価の引き上げ等を行なうことといたしております。
以上の措置を行ないました結果、義務教育費国庫負担金の給与費は、総額では前年度より二百十四億円増の三千二百八十八億八千二百万円となっております。
次に、教職員による宿日直を廃止する公立小・中学校の施設を保全するため、防火防犯設備を設置する経費の一部を補助するため、六千校を対象といたしまして、新たに七億二千万円を計上いたしております。
次に、初等中等教育の充実でございます。
まず、教育内容の改善充実につきましては、道徳教育、生徒指導、教育課程などについて、前年度に引き続き、研究推進校の設置、指導資料の作成配布、講習会の開催などを行なうことといたしております。
次に、僻地教育、特殊教育の振興等であります。一六ページの中ごろからになりますが、僻地教育につきましては、総額で四十一億一千五百五十八万七千円を計上いたしておりまするが、その内容といたしまして、備考のほうをごらんいただきたいと存じまするが、教員宿舎建築費補助の備考のところにございまするように、離島分につきまして補助率を二分の一から三分の二に改善いたしました。それから、一七ページの終わりのほうでございまするが、スクールバス、ボート、それからジープ等の台数を増加いたしましたこと、次の一八ページに参りまして、公立小中学校寄宿舎居住費補助のうち食費、日用品費の単価の引き上げを行なったこと、それから一九ページに参りまして、僻地学校保健管理費補助で医師、歯科医師等の派遣の内容の充実をはかったことなど、全般的にきめこまかく改善を行なうことといたしております。
次に、特殊教育の振興につきましては、十六億九千一百九十万一千円の計上でございまするが、前年度に引き続きまして、特殊教育推進地区の設置、特殊教育の総合的研究調査等を行なうほか、新たに、特殊教育学校等設備費補助の事項で、備考の2、聾学校設備の(3)聴能訓練設備を新規計上いたしますほか、備考の5、特殊教育学校寄宿舎設備を新規に計上をいたす等の措置を講じております。また、特殊教育学校の就学奨励費につきましては、新規対象費目といたしまして、専攻科の学校給食費を新たに計上をいたしております。
次に、二三ページに参りまして、同和教育につきましては、学校教育面で高等学校等進学奨励費補助の補助対象人員を大幅に増員いたしましたほか、社会教育関係におきましても事業の強化をはかっております。
次は、後期中等教育の拡充整備でございます。まず、定時制教育及び通信教育の振興につきましては、勤労青少年の生活実態に即した教育をねらいといたしまして、前年度に引き続き、定時制通信制併置高校三校を設置することといたしましたほか、給食費の単価を引き上げるなど、計十三億七千万円を計上いたしております。
また、すぐあとで御説明いたしますが、高等学校産業教育施設設備費補助及び理科教育設備費のうち理数科の設備費によりまして、高等学校教育の多様化に対処することといたしております。
二七ページの理科教育及び産業教育のことでございまするが、理科教育の充実につきましては、前年度に引き続き新基準による整備を進めるほか、先ほど申し上げました理数科教育設備費を新たに補助することといたしまして、計十三億一千七百六十万一千円を計上いたしております。
次に、二八ページ、産業教育の充実でございますが、一般の設備、一般の施設につきましては、新基準に基づく年次計画による整備といたしまして、四十五億五千万円を計上いたしております。このほか、昭和二十七年度から二十九年度までに購入いたしました設備の更新費一億二千万円、高等学校衛生看護科施設設備費六千五百万円を計上いたしました。また、実習船につきましては、トン当たり単価の改定を行なっております。
その他の事項につきましては、大体前年度同様でございます。
次に、三〇ページに参りまして、幼稚園教育の振興の関係でございまするが、事項の四番目、園具等設備費補助、これは公立の幼稚園につきまして引き続き計画的に新増設をはかりますために、新設百七十五、学級増百に必要な設備費の補助を行なうことといたしております。
私立幼稚園につきましても、前年一億の新規補助金でございましたが、三千万円の増ということにいたしております。
次に、学校保健、学校安全の改善の関係につきましては、三二ページの中ほどにございます交通安全教育センター補助、これが児童生徒の交通安全教育のための新規計上の補助金でございます。
次に、公立文教施設の整備につきまして、先ほど地方負担の軽減のところで御説明申し上げましたが、そこに公立文教施設の明年度の各事項別事業量、補助率、それから単価等が資料として出ておりますので、ごらんいただきたいと存じます。で、公立文教施設整備は、明年度は第二次五カ年計画の最終年度でございまして、既定計画に従って整備が進められるわけでございまして、二十億円増の三百十五億円の計上でございます。このうち建築単価及び構造比率につきましては先ほど御説明いたしましたような改善を行なっておりまするが、事業量につきましても、社会増地域における教室不足の解消ということで、小学校校舎等に重点を置いております。
第四の柱は、三七ページの高等教育の整備充実と育英奨学事業の拡充でございます。
まず、国立大学の拡充整備のうち、学生入学定員につきましては、前年度に引き続き入学志願者の増加を背景としてかなり大幅な定員増を行ないまして、大学で二千六百一人、短大で百人、計二千七百一人の増となっております。その具体的な内容といたしましては、九州芸術工科大学の創設、千葉大学、愛媛大学、高知大学の三大学の文理学部の改組、その他学科の新設、拡充改組、学生増募等によりまして、これを行なっておるわけでございます。
次に、国立学校特別会計の基幹的経費でございまする学生当たり積算校費、教官当たり積算校費等につきましては、五%の増額でございます。
次に、付属病院でございますが、北海道大学などの五大学の歯学部付属病院の整備をはかるほか、付属病院管理の円滑化及び研究生の指導体制の確立に資するための病院教官百人の増及び研究生等が実際に診療に従事する場合の診療協力謝金五億五千六百万円等を計上いたしております。
次に、国立学校施設の整備でございます。前年度より十八億七千万円増の五百十六億七千二百万円を計上いたしまして、さきに御説明いたしました学生増募その他に対処することといたしております。このほか国庫債務負担行為限度額として、四十四年度分百七十二億が認められております。
国立高等専門学校の拡充整備につきましては、既設六校に各一学科を増設するほか、全寮制度実施に伴う管理要員の増員等を行なうことといたしております。全寮制度実施は、下学年のほうに全寮制を実施しようとするものであります。
次は、公立大学の助成の関係でございまするが、理科設備の助成を四百四十万円、研究設備の助成を三百三十万円増額するとともに、新たに、四〇ページの備考に相なりまするが、公立大学につきまして、在外研究員の派遣費補助を新規に計上いたしました。
次は、育英奨学事業の拡充でございます。日本育英会への貸し付け金は約十二億円増の百三十三億一千三百八万八千円でございますが、このほか返還金からの充当が約三十二億円ほど見込まれまするので、明年の事業量総額は約百六十五億円となる予定であります。その内容につきましては、一般貸与において大学院の奨学生の増員、特別貸与におきまして高等学校及び大学学部の奨学生の増員をはかっております。なお、前年度に引き続き日本育英会の特別奨学生のうち私立大学に進学する者につきましては、貸与月額を五〇%引き上げ、自宅七千五百円、自宅外一万二千円といたしております。
第五の柱は、研究費の拡大と学術の振興でございます。
まず、科学研究費につきましては、約八億三千万円増の五十億円を計上いたしましたが、特にそのうちの科学研究費は二〇%増ということにいたしております。
重要基礎研究の推進の件につきましては、四二ページのところにビッグサイエンスの推進といたしまして揚げておりまするが、南極地域観測は明年が第十次に相なりまするが、約七億九千八百万円を計上いたしております。第二の科学衛星及びロケットによりまする宇宙空間の観測に要する経費約三十億四千四百万円、巨大加速器に関する基礎研究に要する経費二億五千万円を計上して、これらの重要な研究を推進することといたしております。
なお、在外研究員等の派遣人員を相当数増員いたしまして、一そうの充実をはかろうといたしております。
第六の柱は、青少年の健全育成と社会教育の振興でございます。
まず、青少年教育の振興につきましては、少年の遊び場の不足、交通等による事故の頻発、少年非行の深刻化等の現状にかんがみ、市町村が少年の健全な遊び場の助長、団体活動の促進等を通じて学校、家庭外における少年の生活指導を行なうために要する経費を補助することといたして、四三ページの備考にございまする少年健全育成費四千五百万円が新規計上でございます。このほか青少年教育の振興をはかるために行なう青年学級、留守家庭児童会、勤労青年学校等の事業に対する経費の補助を行なうことといたしております。
次に、家庭教育、婦人教育の振興につきましては、家庭教育学級を一千学級増設して、その拡充をはかっております。
次に、青年の家等の拡充整備につきましては、国立中央青年の家の全面改築をはかり、既設国立青年の家を整備充実するほか、地方公共団体に対し青少年活動の拠点となる青少年施設の施設設備費を補助するために要する経費を計上いたしております。
次に、四四ページのところの社会教育関係団体の育成助長につきましては、民間の社会教育関係団体が行ないます青少年の社会奉仕活動、国際交流等の事業に対しまして補助するため、一億一千一百万円を計上いたしております。
社会教育施設の整備につきましては、公民館につきまして八館の増、図書館につきまして一館の増と、図書購入費の単価を三百五十円から六百円と増額いたしております。そのほか博物館等を合わせまして、約五億二千二百万円を計上いたしました。
映画放送等の教育利用の促進につきましては、前年度に引き続き教育テレビ放送の実施委託の拡充をはかるほか、新たに既設の地域視聴覚ライブラリーにおける視聴覚教材の整備を促進するため、教材フィルム購入費を補助するために要する経費を計上いたしました。
第七の柱は、四六ページの芸術文化の振興でございます。
まず、文部省で明治百年記念事業を実施するため、芸術祭特別公演等の経費といたしまして八千七十二万一千円を計上いたしております。この備考の2の芸術祭特別公演の中にアジア民族芸能祭等を実施することとしております。
次に、芸術団体の助成につきましては、日本近代文学館への補助を行なうこと等を含め、前年度よりも約一千八百万円が増額されております。
次に、地方芸術文化の振興として、地方文化施設整備費補助七千五百万円、また芸術家の長期在外研修を行なう経費一千二百万円、青少年のためのオペラ、新劇などの地方公演に要する経費二千六百五十八万七千円等をそれぞれ計上いたしております。
国立劇場に対しましては、一般管理費等その運営に要する補助金四億二千万円を計上いたしております。
次に、国立博物館、美術館等の整備につきましても、施設設備、特別展等の経費を計上して、その充実につとめることにいたしておりますが、特に東京国立博物館の東洋館の新営落成、それから四八ページに参りまして、奈良国立博物館の陳列館の新営の開始、東京国立近代美術館の新館の移転等が目立つものでございます。
次に、文化財保護の推進でございますが、まず、国宝等の保存修理、防災施設の充実につきましては、引き続きこれらに必要な経費の増額をはかり、七千五百七十七万八千円増の十億四千五百六十九万九千円を計上いたしております。
次に、史跡埋蔵文化財等の買い上げ及び環境整備等の促進につきましては、最近の急速な国土開発の進展に伴い、史跡、名勝、天然記念物及び埋蔵文化財保護対策のため、史跡等の買い上げ補助を約九千万円増額するとともに、昭和三十八年度から始められた平城宮跡の買い上げの最終年度として一億三千六百八十二万四千円を計上いたしております。
第八の柱は、体育、スポーツの振興でございます。
まず、体育・スポーツ施設の整備につきましては、水泳プールを六百カ所から六百五十カ所に、国民柔剣道場を十カ所から十五カ所にそれぞれ拡充し、新たに——五一ページの下から二つ目の事項でございまするが、野外活動施設一カ所の補助を新規計上いたしております。また、国立競技場、オリンピック記念青少年総合センターにつきましては、一般管理費等その運営に要する補助金をそれぞれ計上いたしております。
次は、体育、スポーツの普及奨励のための組織の育成と指導者の養成につきましては、明治百年を記念した全国青年大会開催費として五百万円増の一千五十八万円を計上する等増額につとめておりますが、その内容はおおむね前年度どおりであります。
スポーツの国際交流につきましては、第十九回オリンピック競技大会選手団派遣等、スポーツの国際的な大会に要する経費八千五百八十三万七千円を計上いたしました。オリンピック関係の派遣費補助は五五ページの下のほうでございます。
次に、昭和四十七年二月に開催されまする札幌オリンピック冬季大会の準備につきましては、国が施工主体となって整備する施設費といたしまして——五六ページの備考の(1)でございまするが、二億九千五十九万五千円、それから地方公共団体並びに札幌オリンピック冬季大会組織委員会がそれぞれ施工主体となって整備する施設費補助約六億六千万円、また選手育成強化対策費として約一億四千万円等、全体で十二億四千七百万円を計上いたしております。
なお、国庫債務負担行為として国が施工主体となるものについて約三十五億円、地方公共団体並びに札幌オリンピック冬季大会組織委員会が施工主体となるものについて約六億円が認められております。
第九の柱は、国際交流の推進と教育援助の拡大でございます。
まず、留学生教育の拡充につきましては、新たにアジア諸国四カ国に対して日本人留学生を派遣する経費を計上いたしました。また、国費外国人留学生の新規受け入れ数を三十五人増員するとともに、奨学金の単価を月三万円から三万三千円に増額することといたしました。さらに日本国際教育協会に対する補助のうち駒場留学生会館の女子寮を増築することといたしました。
次に、国際学術交流の推進につきましては、前年度に引き続き、文化協定締結国等との学者交換として千七百九十六万三千円、日米間の文化教育に関する人物交流の促進として千四百二万二千円を計上するほか、新たに日独間の文化教育に関する人物交流として十人分の派遣費を計上いたしております。
次に五八ページでございますが、アジア・アフリカ諸国への教育援助の拡大の件につきましては、AA諸国への教育協力を推進するため、AA諸国の五カ国に対し、理科教育、産業教育の現職教育のための指導者五人を派遣し、またそれぞれに必要な理科教育・産業教育設備を供与する経費及びAA諸国五カ国から教育指導者各一人を招致するための経費等合わせまして、二千九百七十九万五千円を計上いたしております。
最後に、ユネスコ活動の推進でございます。まずユネスコ事業への参加体制の確立のため、わが国の国内ユネスコ活動を一そう促進するとともに、ユネスコ活動に関し、アジア地域諸国と連携を密にするため約二千三百万円、ユネスコ活動への協力として、アジア地域諸国の期待にこたえ、わが国がユネスコの事業計画に対し積極的に協力するために必要な経費として三千七百六十万七千円を計上いたしました。
以上事務的な補足説明を終わります。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/11
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012・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) 以上で文部大臣及び政府委員の説明は終わりました。
速記をとめて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/12
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013・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) それじゃ、速記を起こしてください。
本件に対する質疑は後日に譲りたいと存じま
す。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X00319680305/13
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