1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十三日(火曜日)
午前十時三十八分開会
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委員の異動
四月十八日
辞任 補欠選任
北畠 教真君 柴田 栄君
内藤誉三郎君 園田 清充君
四月十九日
辞任 補欠選任
柴田 栄君 北畠 教真君
園田 清充君 内藤誉三郎君
四月二十二日
辞任 補欠選任
小林 武君 加瀬 完君
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出席者は左のとおり。
委員長 中村喜四郎君
理事
楠 正俊君
佐藤 隆君
小野 明君
鈴木 力君
委 員
剱木 亨弘君
近藤 鶴代君
中野 文門君
岡 三郎君
加瀬 完君
松永 忠二君
国務大臣
文部大臣 灘尾 弘吉君
政府委員
行政管理庁行政
管理局長 大国 彰君
文部政務次官 久保田円次君
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部省大学学術
局長 宮地 茂君
文部省管理局長 村山 松雄君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
説明員
文部大臣官房審
議官 西田亀久夫君
文部大臣官房人
事課長 諸沢 正道君
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本日の会議に付した案件
○国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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001・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
昨二十二日、小林武君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/1
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002・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、質疑を続行いたします。
なお、政府側より灘尾文部大臣、久保田政務次官、宮地大学学術局長が出席いたしております、
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/2
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003・岡三郎
○岡三郎君 前回に引き続いて、国立学校設置法の一部改正についての質疑を行なうわけですが、大学教育の充実という点から見て、今回の法案の中に新たに大学が設置されるという問題が含まれているわけですが、大学院というものが設けられてしばらくたつわけですが、戦前に比較して戦後非常に大学というものが数多く生まれてきました。そういう点で、大学教育の内容充実というふうな面から見るというと、大学における教授陣営の整備、こういうものが非常に重要になってくるというふうに考えるわけです。特に最近における学生運動とかそういう問題を見たときにも、その事柄の淵源というものは、やはり落ちついた大学教育、そういうふうな面についての国民の要望がかなり強いわけです。
そういう点で、第一に、先般、頭脳流出というような問題から、大学の研究者が諸外国に行って帰ってこないような状況というものが相当あるのではないかと質問しましたが、その資料を、一応ほんとに概括的なこれは資料でありますが、大学教育の充実というものと関連し、大学院の新たなる設置という問題も含めて、教授陣営の充実、いままでの大学院のあり方、その成果といいますか、そういうものについて概略的に御説明をまず願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/3
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004・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 戦後のいわゆる新制大学の大学院につきましては、実は昔からございます七つの帝国大学その他官立大学、こういうものを別といたしまして、従来高等専門学校等でありましたものが包括されてできました新制大学の大学院は、これは中央教育審議会でもいろいろこの新制大学の大学院をどのように考えていくべきかといったような点で御検討いただきまして、昭和三十八年一月に中央教育審議会の御答申がございました。それを一口で申しますと、従来の研究者養成、こういった目的のほかに、社会的な要請の高まりつつある高度の専門的知識、技術を有する職業人を育成する、こういうことのために、新制の大学学部でも適切なものは大学院、これは修士コースでございますが、それを設ける、こういうような趣旨でございまして、文部省におきましても、そういった観点から、単に旧制の帝国大学や、旧制の官立大学の大学院というようなもっぱら研究者養成ということだけではなくて、特に理工科系のような社会的な要請が非常に強く、また学部卒だけの知識、技能では不十分である、こういったようなものにつきまして、修士課程を置くという方針をとりまして、昭和三十八年度には六大学に研究科と修士課程を設けまして、続きまして今日まで、三十九年度には十六大学、四十年には十六、四十一年十三、四十二年に八大学、こういったような形で、大部分が理科系のものでございまして、文科系のものは別に置かないということでございませんが、比較的少なうございますが、以上のような経緯をたどりまして、四十三年度にもこの国立学校設置法でお願いしておりますような大学院に修士課程を新たに置きたい、こういう計画でございます。
先ほど申しましたように、こういう大学院を設置する場合には、重点は理科系でございますが、そのうちでも教員組織あるいは施設設備、こういったようなものが充実しておりますものをまず考える。もちろん背後には地域的な配置も考えますが、そういったようなことで大学院の設置を進めてまいっております。したがいまして、大学院に修士課程を新たに置くので、そのために教官の定員を増員するという措置はとらないで、現実に大学院を置き得るほど充実しておる大学に置いてきたというのが経緯でございます。
それから、前回、先ほどの御質問にもちょっと出ましたが、前回、学者の海外流出につきまして岡先生から御質問がありました。しかし、あいにく私こまかい資料を持っておりませんでしたので、後ほど資料をと申し上げましたが、資料もお出しいたしましたが、ちょっと申し上げさしていただきます。
昭和三十四年度から八年度までの五年間につきまして、文部省と科学技術庁が共同して行ないました調査がございます。三十四年度から三十八年度までの五年間にわたりまして、六カ月以上海外に渡航した研究者につきまして調査いたしました。その数は約六千人でございました。そのうち、大学の研究者は四千四百人が過去五年間に六カ月以上海外に渡航しております。その中身を調べてみますと、これら四千四百人の大学の研究者のうち、その八割に当たりますものは二年以内に帰国しております。また、海外に就職したものは四千四百人の大学の研究者のうち三・三%に当たります百四十四人でございます。その種別は、理学、工学、農学、医学といった自然科学の研究者が主でございます。
こういった数は、先般も申し上げましたが、諸外国と比べますと必ずしも多い数字ではございませんが、これらの中には、海外ですぐれた業績をあげている研究者も多うございます。とりわけ数学、物理、こういう分野では、わが国ではもちろん世界的にも非常に著名な学者が、数学、物理には含まれております。そういったところが大体の概要でございます。
なお、詳細は、これは岡先生にはもっとこまかい数字を差し上げてあると思いますが、一応概要を御説明いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/4
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005・岡三郎
○岡三郎君 かなりの多くの人が海外に渡航していろいろと研究されているということは、非常にけっこうなことであると思うんです。ただ、問題は、最近における大学生の急増という問題とあわせて、政府自体が二千七百十三人の増員計画というものをいま立てて、これを今回審議をお願いしているわけですが、最近のいろいろな情勢の中においては、大学の先生が不足するということから、私立関係からも切りかえて国立大学に迎えなければならぬような状況も一面にはあるのではないか。そういうふうな中から、特に数学とか物理というふうな基礎的な科学の研究等というものについて、世界的に日本が貢献していることは、われわれが言うまでもないわけですが、そういうふうな面において有能なる学者が海外に流出するということは、将来の日本の研究という問題についてかなり大きな問題をここに持っておるのではないか。そういうふうな点で、先般も名古屋大学の数学の教授の方が外国に就職をして、当分帰ってこない。そのほか、東大等においてもかなりあるわけですが、そういうふうな面を考えていく場合に、やはり学者の待遇の改善という問題がバックにないというと、やはりこれは問題の抜本的な解消にはならぬのではないか、そういうふうな心配が一面にあるわけなんです。
そういう点で、数はそれほど膨大とは言いませんけれども、数学の十九、物理学の四十一、合わせて六十というふうな研究者というふうなものは、日本の大学の教育水準というものに対して、かなり必要な人材であろうというふうに考えるわけです。
そういうものとかねあわせて、現在の大学の教授陣営という全体を見ても、あまりにも戦前と比較して待遇が劣悪である、こういうふうなことから、やはり大学教育そのものにある一つの大きな問題点があるんではないか。教授自体として、自信を持って大学教育というものをやる場合には、やはり昔のことばではないけれども、衣食足って礼節を知るといいますか、やはり自分の生活設計というものが不安定の中において多くの血気盛んな学生の指導をするという面については、やはりかなり考慮していかなければならぬじゃないかというふうに考えるわけです。そういう点で、先般も文部大臣のほうから、そういう点についてはよく熟知しておるが、経済全般の問題として、財政的にいうと簡単にそれを改善するわけにいかぬと言っておりまするけれども、いままでも人事院等を通して、かなりその問題について突込んでやられてきている点もあるわけですが、実際の効果ということになると、まことに微々たるものであるというふうに考えるわけです。端的にいうて、この問題について文部大臣としてどうお考えですか。
まずその前に、大河内さんのいわゆる所得という問題ではないですけれども、大学の最高峯といわれる方の歳費は、収入というものはどうなっていますか、いま。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/5
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006・諸沢正道
○説明員(諸沢正道君) 東大と京都大学の総長の給与は、国立大学の関係者の中では最高でございまして、指定職甲の一号でございます。たしか二十七万円でございます、月額。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/6
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007・岡三郎
○岡三郎君 二十七万円の高い安いというのはいろいろ問題があるけれども、常識的にいって問題にならぬのじゃないか。最近においては行政職等において、また一般の知事とか市長とか、その他非常に待遇の改善というものがなされておるわけですが、そういう問題から見るというと、やはり大学の総長、学長といわれているものは、一般世人から見ても、学生から見ても、やっぱり社会の最高峯にあるんだというふうな重みというものが必要ではないかというふうに考えるわけです。特に最近の傾向は、経済で人間の価値を律するというふうな傾向がかなり強くありますんでね、こういう点で思い切った措置というものが一面においてなされることを必要とするんではないかと思うんですが、文部大臣、これどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/7
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008・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大学の学長以下大学の教官諸君に対する処遇の改善につきましては、年来努力いたしておるところでございますけれども、なかなか思うにまかせないというのが現在の状況であろうと思います。私も、考えの方向としましては、岡さんのお考えの方向がごもっともだと思うんであります。ますます処遇の改善については努力してまいらなければならない。また同時に、単なる給与だけの問題でもございません、大学の教官の研究費等ももっともっと潤沢にしなければならぬというふうに考えておる次第でございます。この点につきましてはどの程度がよろしいかということになれば、いろいろ議論がございましょうが、また他の職員との関係ということもございましょうが、とにかくもっと処遇を改善し、また研究費を潤沢にすることによって日本の学術の水準を一そう向上させ、また海外への頭脳の流出というふうなことをできるだけ少なくしていく、こういう方向でさらに一そうの努力を続けてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/8
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009・岡三郎
○岡三郎君 どうもあまり大臣は元気がないんで心配なんですけれども、私は、やはりいろいろの問題があるけれども、財政的な措置としてはやはり政府がやる気になればできるんではないか。それは私が言うまでもないと思うんですが、ここで具体的に、大学の教授、助教授、講師、いろいろあるわけですが、大学の教官の最高が二十七万円。そうすると、最低はどのくらいになっているのか。それからもう一つは、退職金というものについてどういうふうになっているのか。最高最低をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/9
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010・諸沢正道
○説明員(諸沢正道君) 大学の教官の初任給を一般の公務員と比較いたしますと、いまちょっとベースアップ後の資料がございませんので、若干古くなって恐縮でございますが、大学を出まして上級職試験甲に合格した公務員の初任給と、大学の講師あるいは小・中・高等学校の教員としての初任給の差が、現行のベースでは約二千円でございます。たしか二万三千五百円から四千円くらいであったかと思います。それが初任給でございます。
それから、退職金につきましては、それぞれの方の経験年数、それから退職時の給与等によって差がございますので、一がいには申し上げられませんけれども、これも大ざっぱな数字で恐縮でございますが、大体三十年から三十五年くらい国立大学の教官として勤務なさいまして、最後に学部長等を経験されて退職なすった方の退職金が、一千万から一千二百万くらいであったというふうに記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/10
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011・岡三郎
○岡三郎君 それ、手取りになるとどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/11
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012・諸沢正道
○説明員(諸沢正道君) ちょっと正確な数字が——税金をどのくらい引かれますか記憶ございませんから、ちょっと検討して、至急に返答さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/12
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013・岡三郎
○岡三郎君 文句を言いたくないのだけれども、文部省として、一体大学の先生がどういう待遇になっているかということは、やはりすぐぴしっとわかるようにしてもらわないと、国立大学ですから。税金幾ら取られて幾らになるかわからぬということで、待遇を改善しているということはあり得ないのではないか。ごく普通一般的な大学の教授というのは、大体平均どのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/13
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014・諸沢正道
○説明員(諸沢正道君) 大学の教授の俸給は教育職俸給表の(一)によるわけでございますが、この教授の一番低い俸給が六万でございまして、一番高いところが十三万三千円ということになっておりますので、その中間をとりますと、十二号俸ないし十三号俸で九万円から十万円くらいというのが教授の俸給の普通のところであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/14
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015・岡三郎
○岡三郎君 やはりもう少し文部省のほうとしても正確な数字というものを絶えず用意して、待遇改善の資料としてわれわれにも提示してもらいたいと思います。いま言われている点は、ベースアップで少々改正されておるとしても、六万円から十三万円というと、これは端的にいうて値打ちがないですね。値打ちがないと見ているような数字じゃないかと思うのです。これを戦前——戦前というか、大体生活実態に即した感じからいうて、大体もう千分の一くらいになっているのではないかというふうにいわれているわけです。いまのいろんな統計資料はいろいろいわれているけれども、大体諸物価の高騰という問題から見るというと。そこら辺がかなり違っている、いまの六万円というのは、戦前に比べて一体幾らになるのかということになってくると、これは千分の一ということになれば、もうそこにすぐ相場が出てくるのですが、戦前の高等師範を出たよりも少ないですね、大体。大学がうんと多くなったから、それだけ数が多くなったから安くなったということになるかしらぬけれども、六万円から十三万円というのは実際情けない待遇だと思うのです。大学の教授としてやはり相当な優秀な頭脳を持った方々が、いろいろ学術研究に尽くされてきている。こういう面について、全般的にいまの公務員全体の給与の問題にやはりこれは検討されなければならぬことになると思うのすでけれども、しかし、当面するところの問題として、やはりこういう問題については適切なる措置をとって、もう少し内容充実といいますか、待遇改善ということを積極的にやってもらいたいということをここで申し上げます。
なお、文部省に対しては、そういう点について、一応大体標準的にいう大学の先生というのが、三十年ないし三十五年やって退職をするというと、まあ七、八百万くらい。税金を取られるとどのくらいになるかわかりませんが、ちょっといまの経済情勢からいうと、老後を託するに値しないのじゃないかというふうな気がするわけです。それで全力投球をして学生の指導教育に当たれと言うほうが、無理な感じが私はするのですね。こういう点について、灘尾さんも実際そう思っておられると思うので、大臣としても今後やられると思うのだが、やはり灘尾文部大臣が幾たびか経験をして、ここに登場してきたからには、やはりそういう点について、どっかひとつぴちっとしたものを出して、そしてほんとうに教育について自民党自体も重視するし、文部省自体としても、いろいろと文句言うけれども、やることはやっているのだというところの気魄がなければいかぬのじゃないかという気がするのです。少なくともいまの生計費の中において七、八万の、かなり年数を経た教授陣営が十万くらい、最高で十三万というのですから、そうするというと、どうしてもそういう俸給において職務に専念するということがなかなかむずかしいということになれば、文筆にたよるかあるいはその他の収入をはかるということで、やむを得ずそういうふうなアウトサイダー的な仕事に力を注がなければならぬような状況にもなっていくというふうに考えられるわけです。ですから、こういうふうな面についても、全体的に何とかひとつ抜本的な改正をしてもらいたいし、それから、大学のほうから、もういやになって民間に流出する。今度は外国じゃなくて、民間にも流出すると。相当の権威ある人がこういう面にとられてしまうということになるというと、大学自体の内容というものが何か水増しした形になってくるという心配もなきにしもあらずだと思うのです。そういう点で、これは強い要望として、いままでも検討せられておるが、画期的にやはりやってもらいたい。
大学学術局長は、そういうことをやることがあなたの本来の仕事なんだ。それをろくすっぽのこともやっていないで、学生を指導しろと言うたって、私は——それだけじゃもちろんないですよ。ないけれども、よって来たるべき生活条件というものを立ててやるということにおいて、これは積極的に施策を講じてもらいたい、こういうふうにまず言っておきます。
次に、先般申し上げたところの増員計画について、現在衆議院の内閣委員会でやうやく審議を始められたといわれておりますが提出されている行政機関職員法というものについて、私なりにやはり衆参両院のいろいろな方々から、各方面から状況を聞いたところだと、一省一局削減とか、あるいは今度の総括的にこういうまとめた定員法の提出ということについて、かなり異論があるようです。そういうふうなことから見て、簡単にこの定員法案というものは上がってくるという見通しは相当困難である、こういうふうにいわれているわけです。先般の私の質問に対して、現状においてはすみやかに定員法が成立することを待つ以外にはないと、こういうふうに言われておるわけですが、すみやかに、早く定員法を通してもらうよりしかたがないと言っておっても、火急のいまの状況の中において、各大学ともいつ発令してもらえるのか、こういう点についてはかなりのあせりがあるわけです。こういう点について、一カ月程度ならば暫定措置というものもやむを得ないと言われるかわからぬが、半年もう暫定方式でやるということは、私は現状におけるところの教育実態からいって、これはかなり破壊的な現象になってくるのじゃないか。
こういう点で、漏れ承るところによると、これは閣議でやられたかどうか知りませんが、文部省のほうととしては表にはそう言えぬ立場にあるけれども、内容としてはこれをどうしたものかというふうな心配がある。それに対して行政管理庁としては、あくまでも、この行政機関職員定員法というものを通すのだから、便法措置を講ずるということはできないというふうなことを言われているというふうにいわれておりますが、報道されておりますが、この点について行政管理庁のほうとして一体どう考えているのか、これをお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/15
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016・大国彰
○政府委員(大国彰君) 定員の合理的な弾力的な運営をはかるために、ただいまの国会に行政機関の職員の定員に対する法律案を提出しておるわけでございます。この法律案の中に、国立学校関係の増員も含まれておるわけでございますので、一日も早くこれが成立をお願いしておるわけでございます。私どもといたしましては、なるべく早くこの法律案が成立することを希望しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/16
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017・岡三郎
○岡三郎君 そういうことなら、私は何もあなたに聞く必要はないと思うのです。だから、やはりこれは木村長官が来なければだめだ。木村長官もそういうことしか言わないと思う。しかし、それでは無責任だと思うのです。一体、成立しない場合について、二千七百有余の教職員、これが廃止されれば、生徒だけふくらんで、先生のいない学校というのが出てくるわけですよ。それは結局、従来の先生でやりくりすると言う。それでいけるならば、半年も一年もそれでいけるならば、私は定員増加というものは、極論するならば、やればやれると言うのだから、要らぬじゃないかというふうに、今度逆にいえば言えると思う。
ただ、一日でも早くと言うても、いまの情勢からいうと、間もなく連休が来る。五月に入る。衆議院のほうはようやく始まった段階です。いままでの国会審議からいうと、総体的な五%削減というものも含んでおるから、相当これは緻密なる検討を要するというふうにいわれているわけです。そうなってくるというと、端的に、文部省の二千七百十三人というのは必須命題として増員しなければならぬ。これもかなり詰めた数字です。大学生急増対策としては、従来からの方向として、国立学校設置法だけではなくて、従来の急増対策として、どうしても二千七百十三人の教職員の配置が必要であるというふうに、大蔵省も、行管も、文部省も認めてここに出したわけですが、それがなかなかうまく通らぬ段階においては、何とかこの措置を考えなければならぬ。
そこで、私たちとしてはいろいろと問題点があるにしても、これを特に大学生急増対策という見地から二千七百十三名というものは一応暫定的に定員法からはずして独立法として出せば、われわれ自体としてもいろいろな問題があるにしても、衆参両院の文教委員会が一体になって、これはいろいろな問題があるけれども、これだけはまず解決をしておかないと、学生が困るし、学校が困るし、先生がいないところの大学が騒いでどうしようもないという一つの口実になるのじゃないかという私は心配があるわけです。だから、そういう問題について、にわかに——まだ一月ばかりあるからということで手をこまねいているとは思いませんが、なかなか言い出しにくいから私が言っているわけですが、文部大臣として一体、これがもしも、一日も早くと言っても通らない場合にはどう考えているのですか。文部大臣、いまそういうどころではないという御返事かもしれないが、それじゃだめだと思うのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/17
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018・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 政府としてお答えを申し上げるとするならば、先ほど行管庁の政府委員の言われたとおり、政府としましては現に提出いたしております法案の成立をひたすら願っておるということに尽きるわけであります。私としましては、何といたしましても、今回増員をお願いしておるものはぜひとも実現したいという心持ちでおるということは申し上げますけれども、この段階におきましては、やはりすみやかに定員法の成立をお願いをしようという以外にはお答えのしようがない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/18
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019・岡三郎
○岡三郎君 棒をのんだような答弁にならざるを得ないというのですが、それではどうも政治的な責任の所在というのはやがてむずかしくなるのじゃないかというふうに考えるわけです。たとえば島根大学で県立農大の吸収というふうな問題がありますね。これは最終年度になっている。定員四十人の増、これは県立農大に残っている者を全部受け入れる、こういうふうになっておるのですが、これが一体どうなるのですか。この人々の給与は当然、移管されなければ県のほうからこれを払うということになるわけですか。そういうふうな点については具体的にどう考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/19
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020・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) まことに不幸な事態を仮定しての御質問でございますので、ちょっとはっきり答えにくうございますが、かりにいま一例としてお出しになられましたが、国会の会期もまだあるように承っておりますし、私ども非常にあれですが、まあ何とか、具体的にお出しになられましたそういう個々の学校になりますと、これはトータルは別ですが、個々の学校になりますれば、これは中には国立大学の方もおられますし、県立の方もおられますし、県のほうには御迷惑をかけるかもしれませんが、引き続き県の身分も持っていただき、予算的にはございますので、非常勤あるいは併任、いろいろな措置も講じなければならぬかと思いますが、それにしましても、一つ二つの学校ではなくて、先ほどからおっしゃいますように、二千名以上の教員全体の——これはもちろん教員だけでございませんで、事務職員も当然ございますが、全体の問題でございますので、先ほど大臣がお答えになられたようなことを私どもも事務的には考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/20
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021・松永忠二
○松永忠二君 関連。ちょっと局長にお聞きしたいのですがね、国立大学の定員の凍結はどのくらいありますか。
それからもう一つは、自然減というのが——自然退職、そういうもので減少になる、これは、ことしはどのくらいありますか。その数字だけ聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/21
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022・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 凍結という意味がよくわかりませんが、まあ一応伝えられる、そういうことの対象になると考えます職員は八百六十六名でございます。うち教官が三百六十四、事務職員が五百二というふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/22
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023・松永忠二
○松永忠二君 もう一つ聞きたいのは、局長、どこのクラスの学校でも、三月から四月にかけての自然減というのがあるのですね、退職者等が。そういうために伴う自然の定員減の数というのは、大体平均してどのくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/23
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024・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) その年によりまして定年教授の数が違ったりいろいろしまするが、大体なべて平均しますと、事務職員を含めまして、三千ぐらいがやめていくという形のようでございます。教官と事務職員の比率は大体半々のようでございます。これはきわめて概数でございますので、年によっても違いますし、正確な数字ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/24
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025・岡三郎
○岡三郎君 端的にいうてですね、この定員法が成立した場合に、どういうふうにこれを配置するか、これはもう計画もあると思うのですね。しかし、その中で、いま島根大学なり、この前言った九州芸術工科大学の場合、その他二千七百有余名の教職員を配置するということについて、発令ができぬ。その間にもう五月を迎える。結局、定員法が通らなかったらば、適当にやるんだ、こう思っているのかね。二千七百幾らというものを便法的にやるということは、なかなかむずかしいと思うのですがね。さらに、やはり私立より国立大学に来るということで退職して、いまその発令を待っている人もかなり多いと聞いている。そういう人が宙に浮いているわけですね。そういうことに対して、一体どういう措置をとるのか。遡及して問題をとるということにはならぬのではないかと思うのですが、一応これは遡及して発令するという考え方ですか。つまり、かりに定員法が通った場合において、五月の日付で出すけれども、いまのところは大体むずかしいだろうということになると、九月か十月の臨時国会なりあるいは改選後におけるところの国会、そういうものでやるというふうになるかもわかりませんが……。
私はここで文部大臣に申し上げたいことは、美濃部さんの認可の問題から、だいぶエキサイトして、新聞紙上等においても、教育三法三法——教特法の問題にしても、予算がかかっているといっても、これは実施は来年の一月。実際問題として、現状においては何にも困ることは予算的にもない、来年の一月実施ですからね。朝鮮大学の問題についても、韓国ではいろいろと言われているようですけれども、実質的にいうてこれはいつときを争うものではないと思う。それから、各種学校の問題についてもできるならばやりたいけれども、じゃ全国の教頭さんをいますぐに格づけするということについて、これは緊急な問題であるかというと、そうでもない。
内容的にいうと、いまの文教施策を推進するという立場に立って考えても、最も文部省として緊急の事態、緊急問題というのは、私はやはりこの定員増の問題であろうというふうに考えておる。直接的にいまの大学教育についてこれは何とかせねばならぬ大きな命題である。これを何とか処置するということについて、いまの大学教育の推進、大学生急増対策というものが一段落する、それがどこかへいってしまって、行管のほうで出している定員法について一日も早くということでこの問題が見送られておるということ、そういうことを総合的に考えるというと、文部省としてはこの問題をまず何ものにも増して優先的に処理するという姿勢がなければいけないのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。それにしてはちょっとこうカメの子型で、のろのろし過ぎているのではないか。こういう点について文部大臣としてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/25
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026・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 国会に提案いたしております文部省関係の法案は、いずれも必要と考えて提案をいたしておるわけでございます。政府としましては、皆さんの御審議のもとに、なるべく早く成立を期待しておるところであります。
また、いまお尋ねの定員関係の問題でございますが、この点は私としましては今日の大学教育を進めていきます上におきまして必要欠くべからざるものと、そのように考えておりますが、定員法の成立を心から願っております。私は少なくとも文部省関係の定員問題につきましては責任を持って解決したい、こういうつもりでおるということをひとつ御承知を願いまして、現在といたしましては、もちろん当初御審議をお願いしております定員法の成立を一日もすみやかにお願いしたいと、こういうふうにお答えをせざるを得ない状況にあるということを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/26
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027・岡三郎
○岡三郎君 御了承願いたいといっても、こちらのほうはやはり心配しているから質問しているわけですがね。いま大臣の答弁の中に、責任を持って処置したいということで、文部大臣の態度がわかったわけですが、具体的に言うて、これは時間の問題としてくるように私たちも考えておりますが、実際問題として、これは切り離すという以外に方法は私はないのではないか、現状においては。これは固執することなく、やっぱりこの問題を整理して、また総括的に来たるべき時期にまとめてやればいいので、いずれの問題にしても、どうしても抜本的ないろんな問題が解決しない場合においても、部分的にも必要欠くべからざるものは生かしていくというふうなやり方自体というものが、やはりこれは正しいんではないかと私は思う。全体の中において一番必要なものというと、これはいろいろと見解の相違があるとしても、当面する教職員の配置という問題については、これはだれも異論がないと思うんですよ、私は。やはり二千七百十三人の増員計画というものについて、私はやはり連休明けの事態の中において、やはり積極的にこの問題についての解決という問題を文部大臣が行政管理庁長官とやっぱり詰めて、この問題についての見通しの中からやはり善処してもらいたいと思うんですが、実際問題まあ五月の連休明けというと、すぐ十日が来てしまう。
で、いままでわれわれが聞いているところでいえば、会期延長自体の問題としては、各党間におけるお約束があって、やはり一応めどをこの通常国会の終末までにつけるという話し合いが——まあこれをまた破るということになれば、これは問題が別になるわけですが、これは参議院選挙というものが一つのめどとしてあるので、一応投票日というものを総括的に考えて七月七日にすると。したがって、会期の延長という問題についても、そこら辺は足並みをそろえて、ひとつこの問題についてのまとめをしようということになっておると思うのです。
そうすると、五月の二十日ごろまでには問題が解決しなければ、ごたごたがかりにもし起こったとしたら、ますますこれは不可能になる。その時期になって、切り離してやるからということになっても、かりにいま自民党が教育三法は無理押しでも通すのだというようなことで、国会内外で物情騒然となってくる、院内においても強行突破というふうなことが福田幹事長のほうからしばしばラッパで吹かれておるというふうなことになってくると、事志と違って、すみやかにこの問題を解決しておくべきであるのに、そういう混乱の中に、かりにもしも起こったとするならば、巻き込まれてくる心配が一面にはあるというふうに感ずるわけです。
そういう点で私が言っているわけですが、端的にいうてですね、どういうふうな定員の配当が各大学になされるのかですね、私はその点を局長のほうからお尋ねしたい。かりに通った場合にですよ、責任を持って大臣がやるということになれば、これはどういう計画になっておるのですか。二千七百十三名の各国立大学に対する割り当て。わかりましたかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/27
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028・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) これは申し上げますと、この全部の国立大学、高専、各大学のそれぞれ各学科目、講座、それに非常に詳細な、まあトータルは二千七百でございますが、それぞれの割りつけは何々大学の何学部の何学科の何講座、何学科というところへまでいきますので、詳細の御説明ができませんが、まあ一応学年進行によりますものと、それからこれは昭和三十九年以降今日まで学年進行しておりまして、まだ完成しておらないような学部、学科の教員の自然増みたいな計算でやっておる。その学年進行にかかわるもの、それからまた芸術工科大学なりあるいは今回お願いしております分離改組、こういいましたようなものを中心といたしましての新規増員というものがございます。
それから、この国立学校設置法には関係ございませんが、一例としますと、教員養成学部等は、一般の学部と比べまして教員の充実が薄うございます。そういうことも私どものほうとしては年次計画を立てまして、特に教員養成学部の学科の充実ということもいたしておりますが、こういったようなものも新規増員の中に含まれております。それから、大学付属病院、大学付置研究所、こういったようなことで、先ほど申しますように、全部の大学、高専にわたっておるとお考えいただければいいようなかっこうになっております。
それから、御質問の御趣旨がちょっと私もわかりかねるのですが、先ほどから、さかのぼって発令するのかどうかということを……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/28
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029・岡三郎
○岡三郎君 いや、そう言っているのじゃない。いま言っている二千七百十三名が通ったときにですね、それを大体どういうふうに全国的に配置する考え方があるのかと。いま大学で考えているように、すでにこれはとっくに通っていれば、四月に発令しているわけです。各大学の増員をどういうように割り当てをするようになるのか、裏を返せば、どこの大学が困ってくるのか、すぐわかるわけです。むずかしいことを抜きにして、各大学についてどれくらいになっているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/29
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030・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 予算の御審議をいただきましたが、その予算に具体的なものは出ておりますが、予算の参照書、明細書に、それぞれの大学の何講座、何科目というものがあがっておりますが、いまお尋ねの、端的にどういうようにするかということですと、予算にきめられておるとおりに大学に配置をするということで、一応予算は成立いたしましたので、各大学にはそのふえるべき数字というものは一応、これは正式ではございませんが、通知もいたしておりますし、大学としてはそれを承知しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/30
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031・岡三郎
○岡三郎君 大学は承知してもわれわれは承知していないのだから、一体これをどうするのかということを聞いているわけですよ。端的にいうて、それくらいのことは私は資料として出してもらってもいいんじゃないかと思うのです。二千七百十三名の増員が可決された場合においては、大学にこういうように増員をいたしますという、その一覧表は、それはないのですか、資料は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/31
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032・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 先ほど申しますように……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/32
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033・岡三郎
○岡三郎君 予算がついているやつでなくて、私の聞いているのは、端的にどういうようになっているかということですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/33
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034・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 御必要であれば、また御相談いたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/34
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035・岡三郎
○岡三郎君 必要だから言っているのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/35
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036・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 個々の大学の一々を申し上げるのもたいへんですので、多少くくりになりますが、先ほど新規要求と言いましたもの、たとえば九州芸術工科大学は三十六名でございます。また、大学院の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/36
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037・岡三郎
○岡三郎君 多い順からでもいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/37
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038・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 学科の新設、拡充、改組というくくりを私どものほうでいたしておりますが、これは個々の大学は相当の大学にわたりますが、学科の新設、拡充、改組というくくりで百六十六名ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/38
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039・岡三郎
○岡三郎君 それを言われてもわからないのだな。たとえば横浜国立大学とか、あるいは埼玉大学とか、そこには一体どれくらい振り分けなければいけないのか、そういうことなんだ。関東だけでもいいから、先に言ってごらんなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/39
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040・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 別に隠すわけではございませんけれども、非常にたくさんございますので、東京地区を申し上げます。東京大学六十名、東京医科歯科大学六名、東京外語四名、東京学芸六名、東京農工大学二十五名、芸術大学六名、教育大学二十名、工業大学五十七名、商船はございません。水産大学一名、お茶の水五名、電通大学四十一名、一橋二十八名、大体東京で申しますとそういったもので、それは先ほど来申し上げますように、いま申し上げましたのはその大学のトータルでございまして、それぞれの大学の三十名とか十名とかいうものは何学部の何学科の何というように、もちろんこまかい資料はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/40
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041・岡三郎
○岡三郎君 横浜国大はどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/41
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042・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 三十九名です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/42
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043・岡三郎
○岡三郎君 私は、三名とか四名というところはやりくりで何とかできるかもわからぬが、しかし、これは学科によってはできないかもわからない。東大の六十名とか、あるいは五十七とか四十一とか二十八とか二十五、これらはどうしてもやりくりがつかぬと思うのです。
問題としては、そこで、文部大臣が先ほど言ったように、文部大臣の責任においてこれは処理すると言われることは、これは灘尾さんとしては、もう御心配はかけません、五月の会期末までにはやりますと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/43
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044・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は、この国会中にこの問題の目鼻はつけたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/44
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045・岡三郎
○岡三郎君 それでは、きょうは、つけたいということ、これは希望ですね。つけますということじゃなくて、一つの願望であるということにとどまると思う。
具体的にいうと、非常に大学教育の渋滞を来たし、混乱を起こすというふうな問題について、やはりこの問題については情勢の見通しというものが非常にむずかしくなってきておる段階において処理しようというふうな気持ちがあるかもわかりませんが、しかし、そういう点は国会全体の運営という面から見ても、非常に突然いろいろな問題が起こるかもわからぬ、そういうふうな状況で、できるだけひとつ、政府部内においてこの問題についての緊急性というものを認識しておられると思うのですが、たてまえと現実という問題からいうてこれは等閑に付するわけにいかぬ、こういうことで、文部大臣の強い善処というものをここで要望すると同時に、行管のほうにおいても、やはりしろうとじゃないわけですから、全体の見通しの中において、この定員法というものを一体どういうふうに通すように考えておられるかわからないけれども、私自体としては、まず九九%むずかしいのじゃないか、こういうふうにいわれておるわけです。私が言っておるのじゃなくて、内閣委員が言っておるのだから、これはそういうふうな点で、適当な時期に文教政策の大きな問題として、この問題について、帰って大臣に、定員法の問題と大学の教職員の充実という問題について強い要望というものがあったということを、木村行管長官にはっきり言っておいてもらいたい。そうしてこの問題についてはやはり何ものにもまして早急に善処してほしい、この点を強く申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/45
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046・大国彰
○政府委員(大国彰君) ただいまの先生のおことば、十分長官にお伝えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/46
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047・岡三郎
○岡三郎君 それでは、この問題はまた後刻。この処理の問題については、もう少し事態の進展がないとどうしようもない、本日のところではすみやかにお通し願う一本だから。しかし、現実の問題としては等閑に付することはできないというふうに先ほど私が言いましたが、私立より国大に、退職して就職するという方はどのくらいおるのですか。いまのところ退職して宙に浮いておる方ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/47
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048・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) いま手元には私立大学というふうに特にとってないようでありますが、私立、民間と申しますか、そういうくくりで百八十名前後のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/48
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049・岡三郎
○岡三郎君 この方々はすでに退職しておるのですか。現職にまだとどまっておるわけですか。どうなっておりますか。これは生活上の問題ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/49
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050・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 大学のほうから三月末までに申請してきておりますその内訳で、私立を含めて民間の人と、国立、公立でない方が百八十名ということで、三月末の申請で、その後やめられたか、まだ国立の定員がふえませんので、私立のほうにそのままお願いしておるか、十分なその間のところは正確に把握してないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/50
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051・岡三郎
○岡三郎君 そういう問題について文部省のほうに何か言ってきておりませんか、全然。われわれのほうにはそういうことを言ってきておりますからね、何とか早く教職員、特に大学の教官ですね、教官については処理してもらわにゃ困るのじゃないか。これは先般も言ったんですが、事務官の系統はこういうふうな一括定員法でやられるということもけっこうだけれども、われわれ自体としては、大学教官というものをこういう定員法のワクに入れられるということ自体が無理じゃないかというふうに感じているわけです。
これは文部省のほうとしても、今後やっぱりこの点については御検討をいただきたいと思うのですが、大体大学において、私立大学においても、三月で一応区切りをつけ、四月から新しくする。すでに国立大学に行くことがわかっている方々は、やっぱり兼任しても講座を担当するというわけにいかぬでしょう。いずれまた国立に行かなければならぬ。私立大学側にしても、民間のほうにしても、後任者というものは当然きまってきているというふうに考えるのが私は常識だと思う。そうするというと、実際上は宙に浮いてしまっているこの方々の救済措置というものも、まだ採用しておらぬからしかたがないといえばそれまでになってしまうけれども、そうではなくて、やっぱりこういう方々に対して、一体予算はあるのだから、予算措置として発令を遡及するかどうか、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/51
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052・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) これはその大学によりまして、実態が、たとえば——もちろん四月一日から学年は始まりますが、こういう定員法がまだ国会を通過していない、したがって発令もされていない、こういう状況でございますので、平常であれば、春休み中であっても三月三十一日には四月一日の発令を従来しているわけです。しかし、今回のような状況もございますので、大学によりまして、入学式が済むまで待つとか、あるいは事実上入学式後もお手伝いを願っておるとか、実態はいろいろあろうと思います。したがいまして、たとえば非常勤の講師といったようなことで急場をつないでおられる。しかし、それは定員法が通っておれば当然教授なり助教授なりとしての給料がもらえるものを、通っていないので、非常勤講師ということで急場をしのいでいたということになりますれば、これはさかのぼって差し上げなければ御本人にも非常に御迷惑であろうと思います。そういうことで、私のほうはいまさかのぼるかさかのぼらないかはっきりきめておりませんが、気持ちといたしましては、実態に即すような措置を、この定員法が成立したり、あるいは不幸な状態になったり、いろいろな場合に備えまして、いろいろな案を考えておりますが、現段階では遡及するかしないかということも申し上げにくいと思います。要は、実態に即して御迷惑のかかるようなことはできる限り避けたい、そういう気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/52
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053・岡三郎
○岡三郎君 大体その点はわかりましたが、この点はやはり、四月一日に発令するとかいろいろ政府のほうとしても計画があったわけですから、それに基づいてそれぞれがやはり自分というものを処理していくというふうに私は考えます。
で、一応、いま言われたように、採用予定者というものを非常勤講師としてみんなやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/53
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054・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 全部非常勤講師でやるとは考えておりません。ただ、急場をしのぐために——いま現実に十五日、二十日ごろまでには入学式は済んでおります。授業が始まって学生は入ってきております。そういう場合に、一人の先生がいままで十時間持っておられたのを、しばらく定員法が通るまでは二十時間持ってもらうとか、あるいは、悪いことですが、一クラス編成を二クラス合同でやるとか、いろいろなくふうを講じておるようでございます。
ただ、そういう過程におきまして、一つの形としては非常勤講師という形も使っておる大学がある。これは非常勤講師の発令は、文部大臣でなくて、大学ごとでできるようにいたしております。まあそういうことで、全部非常勤ということではございませんが、いろいろなやり方の中で、急場をしのぐためにそういう方法を講じておる大学もあろうかと、これは現実にあると思いますが、その一例を申し上げた次第でございます。全部ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/54
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055・岡三郎
○岡三郎君 そうすると、各大学の学長が非常勤講師として採用するということは、大学の学長の権限でやれるのだ。しかし、それは一々文部省に連絡してやるようになっているのかどうか。問題は、先ほどの答弁によって、非常勤講師というものになっておれば、その採用の段階にさかのぼって給与が払われるというふうになっていくものだと思うのですが、そうなると、各大学まちまちであるというと、ここにずいぶん差等が出てくるのじゃないか。そういう心配があるんですが、その点はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/55
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056・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 私のほうは、事務局長会議、あるいは庶務部課長会議、こういうものを随時招集して——まあ現に招集すべく用意も整えておりますが、そういう席で、もちろん大学局長名なりあるいは人事課長名なりで形として書いて伝えるものは伝えますが、現実に岡委員の御質問のような場合に、大学の事情も調査しまして、一つの基準的なものができればそれを基準のようなものにいたしますし、あるいは基準的なもので処理できない、個々の大学の実情が非常に違うということであれば、個々に大学と、具体的に申しますと、人事課長と当該大学と具体的に相談いたしまして、採用される方に迷惑のいかないようにやろう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/56
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057・岡三郎
○岡三郎君 そこのところを適当にやられるというと、私はずいぶん全国的にアンバランスが出てくるということを考えるわけです。したがって、第一点は、先ほど申しましたように、大体定員法が通れば任命されるわけでしょう。そうすると、任命予定者、採用予定者というものはもうきまっていると思う。そうすると、それがある大学においては非常勤講師として発令され、ある人は発令されない。そうして、定員法がかりにおくれていくということになっていった場合に、そのそれぞれの採用予定者の取り扱いというものがまちまちになっていったんではぐあいが悪いのじゃないか。そういう点で、それは兼任でいくとか、いろいろな問題があるとしても、新しく採用する予定になっておる人については、やっぱり一つの基本的な線をつくって、それに基づいて指導し善処をしてもらわないと、まちまちになるおそれがあるんじゃないかということを言っておるわけです。まちまちにならなければいいですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/57
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058・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) たとえて申しますと、一例を申し上げますと、国立とか公立とかの先生が大学に来られます場合に、これは退職金とか年金とかいろいろな問題がございますので、一日でもその人が切れますと——切れて退職金をもらったほうがよいという先生はそれでもよろしいですが、通算されたいとか、いろいろ事情があろうかと思います。したがいまして、そういう方には遡及をして差し上げなければ非常に御迷惑がかかるであろう。しかしながら、遡及をするということは、私はこれは筋としてはよくないことだと思います。非常に形式論をやれば、遡及をするということはよくないんで、法律が通ったときからやるということが正しいことだと思います。したがって、実情に即しまして、ただ一律にどうだということも言いかねますので、まあその辺を十分勘案いたしまして、要は御本人の御迷惑にならないようにできる限りの措置をとりたいということでございますので、一律に何か画一的なり統一したものでないと困るという事態があるという御質問のようですが、私のほうはかえって、遡及しないんだとかするんだとか、非常勤講師の者はこうだとか、あまりそういうことで画一的にやりますと実態に即さないかっこうになるんじゃないか。まあそういったようなことを十分考えまして、大学の事務当局と相談して処置をしたい、まあこう考えておりますので、御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/58
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059・岡三郎
○岡三郎君 私の言っているのは、国立なり公立から来る大学の先生ということじゃなくて、私立大学なり民間から来る人について先ほどから言っているわけであります。そういう方々は、端的にいうて、仕事をやめられて、一日も早く発令されることを待っていると思うんです。そういう方々について実情を勘案してと言うけれども、そういう問題についての実情をすでに文部省が把握しておるべきだと思うんです。そうでなかったら、私は無責任のそしりを免れないんです。一体、首を長くして、大体四月一日から発令されるのをいままで待っても、いままだ発令されておらぬということになれば、それに伴ってどういうふうに措置をするのかということについて、やはり一つの方向づけがないということになると、各大学まちまちになるのではないか。それが実情に即したということになれば、これはやっぱり問題があとに残るというふうに私は考えておるわけであります。
ですから、一律というけれども、いま私立大学の関係で、それではいま現実に私立大学のほうから俸給をもらっているとかもらっていないとか、そういうふうな点の調査というものはなされているんですか。もうすでに、これは当然国立大学に就職するということがきまっているんですからね。いまこれから人間をさがすわけじゃなくて、すでに採用予定者としてリストアップされていると思うんです。それについて個々に具体的に検討されていることではないんですか。それは大学のほうで適当にやれということになっているわけですか。どうもはっきりしないな、実情に即すると言っているけれども。私学関係、民間関係……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/59
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060・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 実は発令形式といたしまして、大学の助教授以上の方は文部省で発令をすると、それから講師、助手の方は大学の学長が発令すると、まあこういうかっこうでやっておるわけでございます。したがいまして、先ほど来申し上げますように、助教授以上に発令される方々の書類は三月末までに大部分のものが来ております。で、そういうものにつきましては、文部省としては、今回のような定員法が通っておりませんので、一律にどうせよということは申しておりませんが、一例を申し上げますと、その大学で、先ほど来申しておりますように、ある先生が来られる場合については、それと同じような先生がおられるから二クラス持つとか、あるいは授業担当時数をある先生のをふやすとか、そうやってしのげるところもありますし、全然そういう方の、現在の大学には新たに来られる人が受け持たれる科目の先生がいないと、こういったような場合、しかもその人は民間につとめており、あるいは私立につとめておられたけれども、三月三十一日でもうすでに縁を切ってしまったんだというような方で、その大学に欠員がある場合は、やむを得ないから欠員で処理したいとかという相談を大学から受け、それでできるものはそのように許しております。しかしながら、その間私立大学を、まあ一カ月ぐらいであれば、その大学でまだ給料ももらえるから、一応非常勤に発令しておいてほしいというようなところは、そういう措置をとっておるところもあるといったように、実態は非常にまちまちでございます。で、私どものほうは、何とか、こういう急場ですから、法律を無視したようなことをしない範囲内で急場をしのげる最善の方法をとるように大学に命じておるわけでございます。
で、そういう前提におきまして各大学と文部省と相談してやっておるわけでございますが、もっと率直に申しますと、これはやはり法律が通っておれば堂々とできることですが、筋としてはいかがかと思われるような方法も現実に講ぜざるを得ない、そういう状況でございますので、大体私どもの考え方なり措置で一応御了承いただければ幸いかと存じますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/60
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061・岡三郎
○岡三郎君 どうもこれ以上言うとしどうもどろになってきては困るので、問題はやはり、便法を講ずるというよりも抜本的にこれを通すというふうな形の問題にやっぱり帰ってくると思うのです。いま私の言わんとするところは、やはり採用予定者になっておる人は、大体四月一日から任命されるということにおいて、それぞれみんな身辺を整理されてきているというふうに考えるわけです。したがって、要はそういう方々がやはりいろいろな面において損害を受けないように、あるいは片手落ちにならぬように、そういうふうな指導というものをやはりしっかりやってもらいたいということをお願いするわけです。
次に、大学院の問題について先ほどお伺いしましたが、かなり多くの大学院になっておりますが、新しくドクター・コースが設置されて、いままで博士号を取って、そしてそれが一体大学にとどまり、あるいは大学に就職し、あるいは民間に行くというふうな点について、どういうふうな比率になっていますか。つまり、大学の博士号を取った数ですね、それが一体どういうふうな方向で就職されておるのか、その内容をちょっと聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/61
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062・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) ドクター・コースでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/62
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063・岡三郎
○岡三郎君 そう、修士のほうじゃなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/63
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064・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 数字のことで、まことに突然な御質問でございますので、恐縮でございますが、ちょっと調べてお答えさしていただきたいと思いますので、しばらく時間を貸していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/64
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065・岡三郎
○岡三郎君 それでは、内容充実しているからここに修士課程を置くとか博士課程を置くとか、いろいろ言われておりますが、それぞれの持っている大学のいろいろな悩みの中から、まだ戦後そのままの姿になっておるところもかなりあるというふうに考えますが、いまいわゆるタコの足大学というふうな形が残っているのはどういうところにあるわけですか。要するに、学校の整備がまだはっきりしていない、こういう大学はどのくらいありますか。いわゆるタコの足大学と称せられる大学は幾つくらいあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/65
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066・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) まことに事務的なことを申して恐縮ですが、実はこの学校の統合というのは管理局が所管しておりまして、私、資料を持っておりませんので、恐縮ですが、私の経験から申し上げますと、それぞれ大学がタコの足といわれたようにあちこちに学部を持っておるということで、文部省といたしましては必ずしもそれを一カ所に全部統合してしまうという考え方は持っておりませんが、大体歴史的な沿革等もございますけれども、各学部間のいろんな連絡等もありまして、できれば一カ所に統合したらどうであろうかといったような考えのもとに、各大学でこの統合につきましては検討さしております。
で、今日までその統合の対象になりました大学は、ほぼ現在の国立大学の半数以上、六〇%ぐらいが統合をともかくしようという計画を立てたようでございまして、現実の問題といたしましては、すでに統合を終わった、これでしばらく二十年、三十年はこのままでいけるといったような形になっております大学は、統合を始めた大学のうちできわめて少のうございます。十校前後であったかと思います。その他の三十校ぐらいがまだ統合が完成をしていないというような状況であったと記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/66
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067・岡三郎
○岡三郎君 私は、たとえば一例をあげるというと、横浜国立大学においては、工学部に修士課程のコースが設けられましたね。経済のほうには設けられておりません。で、一体文部省自体が、管理局であろうと大学局であろうと、いろいろと指導されてきておるけれども、実際問題として横浜国大の経済学部にそういうものをなぜ置かないか。端的にいうて、大学からそういう申請がなされていると思うんだが、横浜国立大学に修士課程を置かないというふうな点についての見解を聞きたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/67
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068・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) これは経済にも修士課程の要望がございましたが、同時に経営学部をつくるという申請もございまして、横浜国立といたしましては、いま統合計画——御承知の保土ケ谷のゴルフ場のあとに統合するという計画もございまして、一応大学とも相談の結果、経済学部の中から経営を取り出して経営学部をつくるということを先にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/68
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069・岡三郎
○岡三郎君 私はその経営学部をつくられることはけっこうなんです。しかし、経営学部を置くからといって、大学院を置かないという理屈には私はならぬじゃないか。要するに、教授内容、教授陣営の充実とか、そういう問題からいえば、今回新しく設けられるところの大学に劣るとは考えておらない。だから、経営学部を置くから大学院はあと回しということの理屈が私はわからない。それはいままでそれぞれの各大学においてもそういうことをやっているわけですか。いわゆる学科を新しくつくる学校は大学院は置かないのだと。それは私は片手落ちじゃないかと思うのです。内容の充実とかそういうふうな問題の中において、工学部に修士課程が設けられて経済学部に設けられないということは、一体今回設けられることと比べて片手落ちじゃないかと思うのですが、いまの説明は説明にはなっておらぬと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/69
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070・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) きわめて事務的な御答弁を申し上げまして、失礼いたしました。私ども、大学の希望の順位等も考えますし、それから現実の問題といたしまして、各大学からいろいろ要望もございますし、文部省としても考え方もございます。そのような場合に、学部の増設とか、あるいは学科の新設とか、修士とか、いろいろ要望がございますが、大学の順位も尊重しますと同時に、やはりこういうものをつくります場合の修士課程を経済につくるということももちろん考えなければいけませんが、また、各大学間のバランスということもこれは一応考えて処置してやりたい、こういうような考え方で先ほど申したわけでございます。
それで、特に三十八年以後大学院の研究科を新制大学に設けているという説明をいたしましたが、そのときに申し上げましたように、社会的な需要、いわゆる高度の専門的知識、技術を有する職業人ということで、非常に社会的要望が強いのはいわゆる理科系でございます。そういうような場合に、理科系と経済関係と同じような条件の場合にどちらにするかといった場合に、やはり社会的需要度の高い理科系のものをまずやっていこうといったような考え方が働くのも事実でございます。そういう関係で、現在理科系では、工学部に例をとりますと、工学関係では、三十八の大学の工学部がございますが、そのうち二十八が修士をもっております。ところで、経済関係では、十三の学部のうち——経済という名前だけではございません。経済とか経営とかいろいろ似たような名前ですが、十三のうち今日まで二大学では修士ができているといったようなことで、横浜国立だけに例をとりますとこれはいろいろ理由もございますが、国全体として、また各国立大学のバランスというようなことも考えておりますし、またきわめて事務的に申しますと、大学院をつくります場合には、やはり大学院の設置につきまして審議会の意向も伺っております。そういうような場合に、この大学として一人一人の大学の教官はごりっぱであっても、全体として大学院設置の審議会で可決される可能性があるかないかといったようなこともいろいろ勘案して行なっている次第でございます。
したがいまして、岡先生の御質問は一応ごもっともでございますけれども、横浜だけに例をとりましても、ちょっと文部省といたしましては横浜には説明がつきませんけれども、その他の全体のバランスといったようなことから考える場合には、必ずしも大学の希望に沿えない場合もあるということを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/70
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071・岡三郎
○岡三郎君 まあいろいろと言われているわけですが、私はやはり現実に見て、工学部がつくられたことについては、それは科学技術の振興、そういった面からよろしい。ただし、経済学部自体にしても、私は内容はかなり充実している。時間的に見ても、すでに申請というものが出されている。だから、そういうことから考えてみて、先ほど、いま横浜国大が学校統合という形で保土ケ谷のほうに移転する計画にのっとってやっておられるわけですけれども、やはり全体的なバランスからいって、われわれ自体は逆に横浜に修士課程を置かないということは、端的にいっておかしいと思っているのです。ですから、これはいまいろいろと検討してもらいたいと思うのですが、保土ケ谷に統合されるという過程になれば、当然置かれることはあたりまえだと思うのですが、地元としてはやはり伝統のある大学であるというとこから、新しくここに修士課程を置いてもらいたいという要望というものは非常に強いと思うので、一応身近な点について申し上げたわけですが、やはりこの点については、今後、他の大学との内容ということからいっても、遜色が私はないのではないか、学生全体の状況からいっても遜色がない、そういうふうな点から、置かれるべきであるというふうに、今後ともこれについては善処してもらわなければならぬ、こういうことを言って私はやめます。以上の点について言って、一応それではこれで終わりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/71
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072・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) 答弁求めますか。要望ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/72
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073・岡三郎
○岡三郎君 要望ですが、宮地さんの答弁では満足できないのです。そのうちというのかどうか聞いているんだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/73
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074・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 将来は……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/74
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075・岡三郎
○岡三郎君 将来ではない。保土ケ谷のほうへ移転した場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/75
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076・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 私限りで、保土ケ谷へ移転したときには横浜国立の経済に修士を設けますということは、ちょっと私としましてはまことにお答えにくいことでございますので、それは別といたしまして、御趣旨は十分わかりますので、十分検討さしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/76
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077・小野明
○小野明君 この大臣の提案の理由にもありますように、大学生の急増というのが昭和四十三年に大体終わる。したがって、この文理学部の改組というのを今回提案をされておるようでありますが、昭和四十四年以降の、来年以降の大学の志願者数、あるいは合格率、進学率の推移ですね、こういうものについてのひとつ見通しと、それから、それに伴う対策というものをお伺いをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/77
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078・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) これはあくまでも推定でございますし、先般も類似した御質問がございましたときお答えいたしましたが、私どもといたしましては一応の計画は立てますが、たとえば四十一年度以降も立てておりますが、その年度で入試、合格等終わりますと、直ちに次の年度の計画をもう一回修正し直すといったような作業をいたしております。したがいまして、現時点で四十四年、四十五年というものを申し上げましても不確定でございますが、以上申し上げましたような観点から、一応お答えいたします。
四十四年度は、高等学校の卒業者が四十三年度と比べまして減ってまいります。したがって、大学入学志願者数も高等学校の新卒は前年よりも減ってくる。ただ、浪人の推定は前年とほぼ同じか多少前年より多いであろう、こういったような見通しのもとに、合格率が大体来年は六四%前後ではなかろうか、こういう計画でございます。四十五年度は、合格率が少し上昇いたしまして、このままの状況でいきますれば六八%の合格率になるんじゃないか、こういった推定をいたしております。
それで、今後それでは、大学の入学者の急増期も過ぎて、どのようにして今後大学の整備をしていくかという問題でございますが、先ほども仰せられましたように、文理学部の改組はことしで終わりまして、従来四十一年、四十二年、四十三年度と三カ年にわたりまして大学生急増対策を講じました。その場合、四十三年度は国立は二万七百名の増員を計画したわけですが、そういう場合には過去三年におきましては、ただ既存の学部学科に定員を十人とか十五人ふやしていくといったいわゆる補完増加という形だけではなくて、学部をつくり新しい学科をつくるといったようなことで、数字的に三千名をこなすために、単なる補完増加ではなくて、そういうことを配慮しての学部学科の増をいたしました。ところで、今後におきましては、そういった配慮での学部学科の新設は控えなければいけませんが、国全体といたしまして、あるいはその地域上の大学の学部学科の配置状況、あるいは社会的な需要、いろんな点を考えまして、ぜひこういう学部は新設する必要があると考えましたような場合には、学生数をふやすという観点からではなくて、学部学科の増設もやるべきであり、本来の姿に立ち戻って学部学科の必要があればいたしたい、こういったような考えでおります。しかし、全般的に見ますと、既存の学部学科の充実がおくれておりますので、何といいましても今後は既設の学部学科の充実——一例を申し上げますと、不完全講座のところは完全講座にしていくとか、あるいは学科目制のところは助手がほとんどいないようなところは助手を充実していくとか、あるいは施設設備の整備にいたしましても、そういった本来の観点からの整備に取っ組んでいく、こういう姿勢で進んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/78
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079・小野明
○小野明君 数が、来年からたとえば五年間などといいますと、なかなか見通しは困難であろうと思います。やはり今後三年間くらいにわたりまして志願者数あるいは合格率の推移というものをしっかり押えないと、やはり対策というものは私は立たぬのではないか、こう思うわけであります。それで、ことしは明年度のものだけ、あるいは明年度になって再来年のものだけとか、こういうふうなやはり場当たりの大学の質、量の充実、こういったことではやはり問題があろうかと思うわけであります。
そこで、基礎になる数字がどうも確定ができない、こうおっしゃるわけでありますが、その確定のできないという理由は一体どの辺にあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/79
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080・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) これは浪人の受験というのは、正直に申しましてはっきりした合理的なものはないので、従来の経験に基づいての数字でございます。ところが、高等学校の卒業生という数字は、これはもうはっきり出てくるわけです。したがって、高等学校の卒業生のうち何割が大学に志願しておったといったようなことは、そのはっきりした基礎数字に大体の計算で何割という数字を掛けますので、あまり違わない。ところが、浪人に至りますと、これは掛け算する数字が非常に不安定なわけなんです。
〔委員長退席、理事楠正俊君着席〕
まあそういうようなこと、それから特に大きいのは私立大学の関係でございますが、私立大学は、これ事務的に申しますと、文部省のほうで来年度新設する大学の認可申請を締め切ります締め切りました時点と、それが設置審議会等を——私立大学審議会、大学設置審議会、両審議会がございますが、そこを通過してほんとうに設立が認可されます段階、この歩どまりも従来の経験からやっているわけでございます。この辺が相当違ってまいります。
それから、特に今後の問題といたしましては、もう大学生の急増は済みまして、来年からは志願者の高等学校卒業生の実数は減ってくるわけでございます。ところで、それでは大学の学部学科の新増設は皆無になるかといいますと、その皆無になるという予定も立ちません。したがって、大体どのくらいというふうに見込んだ場合に、九月末の認可申請を締め切る時点において、その数字はまた変わってくるわけであります。それが認可になる時点におきますと、また数字が変わってまいります。こういうようなものが非常に大きな要素になりますので、はっきりした数字がつかめない。
したがいまして、私ども過去三年間の大学急増をやります場合に、昭和四十五年くらいまでの予想を立てました。七、八年にわたっての予想を立てたわけでございますが、先ほど来申しておりますように、その予想は毎年修正しつつ今日まで進んできたというのが実情でございます。したがいまして、現在もう四十四年度しか推定を持っていないということじゃございませんで、四十五年、四十六年までの一応の推定は持っておりますが、これは相当狂ってくる。したがって、毎年毎年次の年度のを改定しておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/80
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081・小野明
○小野明君 数が確定できない要素の大きなものに浪人の数があるということでございますが、大学局からいただいたこの資料によりますと、この四十二年の四月で十五万五千の浪人、それからことしで十八万七千、来年は十九万二千、こういうふうに非常に顕著にこの浪人の数がふえておるのであります。で、実はこの数も四十五年、四十六年になるとどうなるのかということが私も知りたいのでありますけれども、これは決して減る数字ではないと思うのです。確定できないというのは、ユーロダラーのように浮動するというようなこともあるかもしれませんが、私はこの浪人のこれだけ大きな数があるということは、しかも年々増加しておるということは、きわめて大きな私は社会問題ではなかろうかと思うわけであります。この点に、この浪人の存在ということについて、局長は一体どのような考えを持っておられるか、お伺いをしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/81
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082・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 先生御承知のように、この浪人は個人個人によりまして非常に考え方が違っております。大学といたしましては、浪人でなくて、フレッシュマンが入てきたほうがいいんだと。せいぜいまあ浪人をしても一年くらいなところで、もう二浪、三浪はいけないんだと。そのために二浪、三浪につきましては事実上採点をきつくしていくといったようなことをやっておる大学もございますが、これはやはりその大学として絶対にもう新卒生でなきゃいかぬとか、一浪まではよいとか、あるいは十年もたったのはいけないとかという区切りは、年齢で大学によりましてはやっておるところもあるようですが、あまり大学として処置にしくい。それから、当人にとってみますれば、一次試験は受かったと。東京大学に例をとりますと、三回でも四回でも受けておる、浪人をやっておる子供もおります。これは去年は一次試験に受かったんだ、ことしもまた一次で受かったが二次に落ちた、こうなりますと、あきらめ切れないとか、そういうようなことで勉強は予備校に通って一生懸命しておる。こういうことで、文部省といたしましても、浪人はいけないんだとか、何年たったらどうだということはできませんが、やはりいつまでも浪人をして大学に入るのは、文部省として計画を立てます場合には非常に困るわけでございます。それからまた、大学の要望等もございますので、私どもとしましても、あまり長い浪人をした者が、ともかく一つのきめた大学でなければ、その他の大学は大学でないといったような、まあ考え方としてはそれもいいかもしれませんが、そういうことじゃなくて、自分の適性、適能、能力に応じて大学を選択するようにといったような、大学への入学指導、これは高等学校の先生等でも、この入学試験につきましてはいろいろ配慮しておられるところでございます。
したがいまして、この浪人に対してどういう考えをおまえ持っておるかという御質問に対しまして、お答えにくうございますが、先ほど先生が、浪人はもうふえていくばかりで減らないということをおっしゃいましたが、まあ私ども計画といたしましては、やはり従来の経験から、七〇%前後のものが志願をしていくと。で、それを浪人ということになるんで、あとの三〇%は、高等学校を卒業して大学受けたけれどもどっかに就職したということで、これは浪人ではなくなるわけですが、一応七〇%前後というふうに踏みまして計算しておりますが、四十四年は一応浪人で大学入学を志願する者は十九万二千ぐらい。そうしますと、四十五年は十七万二千と、二万人ぐらい減っていくんではないか。と申しますのは、高等学校の卒業生が急激に減ってくるわけでございます。したがいまして、大体高等学校を卒業して大学を受験して、落ちた者の七割ぐらいが浪人して次の年をめざすであろうというような計算をいたしますと、計画としては四十四年がピークで、それからは減っていくという計算をしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/82
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083・小野明
○小野明君 私はおっしゃるような実は御答弁を求めたのじゃないのであります。というのは、一部お答えは合っているところもありますけどね、浪人の数がこれだけあるということは、やはり私は国民の大学教育を受けたいという熱烈な希望がある、これがこういうことになっておるということにつながる。そうしますと、今後も、先ほど局長が言われたわけですけれども、大学の本格的な量の拡大よりも質の拡大というふうに言われたけれども、やっぱり、質はもちろんでありますけれども、量の拡大という方向も十分やっぱり考慮される必要があるのではないか、国民のそういった大学教育を受けたいという熱烈な希望にこたえるためには。その問題が一つ私はあると思うんです。
それと、いま一つの問題は、きまった定員の中に希望者がたくさんある。そこで勢い入試、選抜というものがきびしく行なわれてくると思うのであります。今日の日本の教育の中で一番大きな問題は、私は入試の問題やっぱり選抜の問題であろうかと思うんです。下は幼稚園から、小学校、中学校から大学に至るまで、これ入試の連続でありまして、たとえばこの前の福岡教育大の汚職の事件もありましたが、この辺に一つは原因があると思うんであります。で、大学がいまのような入試をとる限り、若干改善はされてきたようでありますけれども、高等学校教育をやっぱりゆがめてくる。高校入試がありますために中学校の教育がゆがめられてくる。中学校、特定された中学への入試という問題がありますために小学校の教育がゆがめられてきている、こういうふうに小学校、幼稚園に至るまで、この選抜方法ということが大きく私は問題として取り上げられてこなければならぬと思うのであります。
そこで、今日まで入試あるいは選抜の方法について、かなり改善はなされてきておるようでありますけれども、あまり顕著な効果というものは認められない。で、マル・バツ式の入試でいいのか、あるいはことし大学に入られた新入学生でも、精神的な離乳というものができていない、入試一本で教育がやられておるもんですからね。そういったことさえいわれておる。あるいは東大生の一割は精神耗弱者になっておるとか、いろんなことが新聞では報じられておるのであります。
こういった点から、私はまず最初に、この問題、入試なり選抜の改善について、あるいはこの弊害が今日の教育を毒することはなはだしいものがあるのではないかと思うのですが、大臣にこの点のまず御見解を伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/83
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084・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 入学試験の方法——試験というのは語弊があるが、選抜の方法についての問題は、きわめて古くてまた常に新しい問題のような気がいたしております。関係者がいろいろこの問題については検討をいたしまして、それぞれくふうがなされておるわけでございますけれども、いまもってお互いが期待するような選抜の状況になかなかならないというところに大きな悩みがあろうかと思うのでございます。当事者にとりましてはそれぞれいろいろな意見もあろうかと思いますが、私の希望としましては、いろいろやってみる以外にはないんじゃないか。いろいろやってみて、これがよさそうだということであれば、なるべく皆さんにもひとつ御協力を願って、そういう方向でひとつ実施してみる、そこにまた欠点があればそれを直していく、こういうふうな行き方でなければならぬと思いますけれども、思うような結果をまだもたらすことができないことを、いかにも残念に思っております。
いずれにいたしましても、しかし、これが学生にとりましても非常に大きな負担であり、同時にまた、人間形成の上から申しましてもいろいろ考えさせられる問題がございますので、これの検討はやはり絶えず続けてまいらなければならないと思っております。率直に申し上げますれば、何かいい案があったら教えていただきたいというような実は気がしてならぬのでございますけれども、そういうふうなわけにもまいりませんので、文部省としましても、それぞれの関係の向きとよく御相談をいたしまして、改善のためには努力してまいりたいと思っております。いかにもどうも、思うような成果があげにくいのに悩んでおるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/84
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085・小野明
○小野明君 文部省としては、今日まで入試の改善について検討されてきておると思うのですが、どのような経過なりあるいは見通しを持っておられるか、まずお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/85
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086・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 大学入試につきましては、文部省におきましては、大学入学者選抜方法の改善に関する会議という会議を持ちまして、これは国立、公立、私立の大学の先生方、それに高等学校の先生方、こういう方々を御委嘱いたしまして、この会議で毎年検討しながら改善をはかっておるところでございます。また、大きくは中央教育審議会等でもこの入学試験の問題についてのお考えも承っておりますが、毎年具体的に検討いたしておりますのは、いま申しました会議でございます。それに基づきまして、文部省から各大学に、その年度の入学者選抜実施要綱というものを通知いたしてまいって、一ぺん通知したらもうそれで数年間ほうっておくということではなくて、毎年そういう方法をとっております。
で、今日までいろいろな改革も行ないましたが、特に最近では、入学者の選抜にあたりましては、高等学校からの調査書を入学判定の資料として重視するようにということを、最近では強く言っておりますし、また、その結果、調査書等を非常に重視してやります場合、一定の——全部ということではございませんが、入学定員の一部分については高等学校からの推薦入学という道も、大学の十分な検討の結果行なうのであれば、それも一つのよい方法ではないか。そういうような場合に、能研テストの結果を判定の参考資料にさせることも適当ではないかといったようなこと、それから四十二年度からは、国立大学自身が自主的な調査研究を行なって、大学自身でいろいろ、実際に入ってくる学生、実際に実施した入学試験、それをもとに検討をするというようなことで、四十二年度からは一部の大学、国立大学には予算措置もしておる。こういったようないろいろな形で毎年入学試験につきましては改善実施しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/86
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087・小野明
○小野明君 この高校の調査書を重視するという、最初に言われたほうですが、これはそのとおりやられておりましょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/87
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088・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) いまのお尋ねのように聞かれますと、そのとおりうまくいっておりますともお答えしにくいのですが、努力はいたしておりますが、まだ十分でございませんので、今後とも一そう努力を重ねていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/88
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089・小野明
○小野明君 大学紛争のときはえらい熱心にあなたおやりになるが、こういう入学試験の弊害を除去するためにも、これは本来の仕事だろうと思うのですが、これこそ大学側と十分いろいろ会議を持たれて成果をあげられるように、高校教育をこわしてしまうような入試にならないように、ひとつ十分努力をしていただきたいと思うのです。
それから、推薦入学の際に能研テストを参考にするというのですが、この能研テストに限られておるというのは、これはどういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/89
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090・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 能研テストをいたしますことにつきましては、これは長年文部省でも検討してまいったところでございます。能研テストが唯一のものであるというようなことは毛頭考えておりませんが、能研テストも一つの重要な参考資料になり得るであろうというふうに考えましてやっておるわけですが、推薦入学の場合に、能研テストも一つの方法であるというふうには申しておりますが、能研テスト以外で推薦入学をしてはいけないというような考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/90
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091・小野明
○小野明君 大学自体で検討されておるという実情もあるようですが、これはなかなか、いま三つの方法を言われたわけでけれども、なかなか成果を見得ないし、まあ一挙に成果を得るということもなかなか困難であろうかと思うのですが、従来より積極的にこの選抜方法の改善という点に取り組んでいただきたいと思うのであります。
次の問題に移りたいと思いますが、いま、入学選抜の問題も中教審で議論されておる、検討されておるというようなお話もございましたけれども、この中教審は、教育制度全般について根本的な検討が行なわれておる、このように私どもは了解をしておるのであります。これはどなたがいいのですか、官房長ですか——この中教審の審議状況と今後の審議の予定といったものについて、おわかりでしたら、ひとつ御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/91
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092・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 官房長をいま呼びに行きましたので、すぐ参ると思いますが、私先ほど申しましたのは、中央教育審議会で現在入学試験問題を検討してもらっておるというつもりで申したわけではございませんが、あるいはそのようにお受け取りになったとすれば、私、過去におきまして中教審でもこういう問題を検討していただいた。それで、具体的には入学者選抜に関する会議で毎年検討していただいておるということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/92
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093・小野明
○小野明君 それでは、官房長の来られる前に、大臣にお尋ねをしておきたいと思いますが、中教審というのが今日の日本の文教行政の中で占める位置というのはきわめて大きいと思うのであります。で、大臣は、中教審のメンバーというものについては御承知であるかどうか、あるいはそれについてどのような御見解をお持ちであるか、ひとつお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/93
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094・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 現在の中教審のメンバーの方々につきましては、私の直接取り扱った方ではございません。知らないということは申し上げませんけれども、そういうふうなことでございますので、その選任にあたっては、もちろん大臣としては十分考えた上で任命すべきものと存じております。また、現在の委員の各位は、それぞれりっぱな方だと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/94
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095・小野明
○小野明君 これは前大臣の剱木先生もそこにおられるわけですが、灘尾文部大臣にやかましく言ってもこれはしかたがないと思いますが、剱木文相時代には、かなり私は改善をされたと思うのであります。それ以前の中教審のメンバーの方は、私の知っておる限りでは、経営者、いわゆる経団連に所属される方が三分の一をこえる数ではなかったかと思うのであります。私は何もこの経団連に所属しているから悪いのだと、こういうことではございません。しかし、それがあまりにも大きなウエートを占められると、やはり教育の本筋というものについて一体どうなのか。
これは御承知のように、教育行政全般にわたる問題でありますから、そこで、この中教審のメンバーを見てみますと、非常に兼職が多いわけであります。大臣、ひとつ検討をしてみていただきたいと思うのですが、これは閣議了解事項でありますか、四つ以上は兼職を避けようではないか、こういう話もあるように私は記憶いたしております。ところが、現在の中教審のメンバーを見てみますと、四つ以上、あるいは五つ以上、はなはだしい人は他の審議会のメンバーと六つくらいおやりになっておる方があるわけであります。非常に、この二つくらいというのはごくありふれた数。文部省の審議会等では十六たしかあったと思うのであります。そのうちに二つ以上というのはあたりまえで、あるいは三つ、四つ、こういうふうに兼職が多いということは、私はやっぱり問題があるのではないかと思うのであります。これが一つ。
それから、いま一つの問題点としては、大学教授、あるいは学長、あるいは経営者という方などがおられるわけでありますけれども、現場教師の代表というのは一人もおらぬ。大臣は御存じないとおっしゃるものですから、これ以上は何ともしかたがないわけでありますが、この現場教師を中央教育審議会に入れない、代表を入れないというのは、一体どのようなことなのか、その辺のお考えも——中教審の中に現場教師の代表というものは一体はいれないものなのかどうなのか、その辺をひとつお尋ねをしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/95
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096・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 委員の兼職の問題につきましては、先般も御質疑があったところであります。政府としましては、御指摘のように、あまりに一人の人が委員を兼務するということはいかがであろうかというので、かって閣議でもまあ最大四つぐらいのところというふうなことをきめておるわけであります。しかし、その例外をなすものもちょいちょい出てきておるわけでございます。これは結局、政府部内で各省お互いによく相談しなければ、なかなか解決のつきにくい問題だと存じます。と申しますのは、文部省から見ますと、ぜひこの人をと、こう考える。また、他の省からいいますと、ぜひこの人をと、こういうふうな場合がございますので、そういうふうなことをよく相談し合って、現在の原則にとにかく近づいていくということは、われわれとしましては考えていかなければならぬことと思っております。
なお、いま委員の中に現場の教員が入ってないという御指摘でございます。現場の教員を入れてはならぬというような原則はあるわけでもなんでもございませんが、ただ、この中教審のメンバーたるべき人はいわば学識経験の豊かな権威のある方であってほしいというところから選考いたしておる次第でありまして、どこかの方面を代表するとかなんとかというふうな意味で選考をいたしておりませんので、そのようにひとつ御承知を願いたいと存じます。もっとも、審議にあたりましては、もちろん各委員さん方が審議せられる場合に、現場の状況等については十分御検討はいただけるものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/96
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097・小野明
○小野明君 どうも、ことばじりをつかまえるようでありますけれども、学識経験豊かな人、その範疇に現場教師は入らないと、このように受け取れるわけであります。で、まあ委員になられた人が現場教師の意見を聞くということは本人の自由でありますし、それは規制をするわけにはいかぬ。しかし、現場教師が中教審に入っていないし、また不適であるというような御意見かのように受け取られるんですが、大臣の将来の持っていき方としては、現場教師を入れる方向であるか、あるいはあくまでも現在のメンバーでいかれるものであるか、その辺をひとつ再度お尋ねをしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/97
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098・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私の申し上げ方があるいは誤解を招いたかと思いますが、私の申し上げたのは、現場教師なるがゆえに委員になっちゃいけないというふうな原則はないということを申し上げたのであります。ただ、この審議会のメンバーは、まあいわば教育に関しまして各方面の学識経験のきわめて豊かな人を選びたいという標準で選んでおるのであるから、そのようにひとつ御了承いただきたいというような趣旨で申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/98
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099・小野明
○小野明君 あとのほうは、私、答えておられぬように思いますが、私は現場教師があれだけ多い数であるから何人かはやっぱり入れるべきではなかろうかと思うのであります。その点についてのお考えをお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/99
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100・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 選考の標準が、各方面から学識経験の豊かな、また高い方たちをお願いをいたしておるわけでございますが、たとえばいまもお話しになりましたように、現場の教師のほうからどうとかいうふうな、何か一つの方面を代表するとかなんとかいうふうな意味での選考はしておらない、こういうことを申し上げましたようなわけでございます。文部省としまして、現場教師は決して委員になっちゃならぬというふうなことを考えておるわけでもなんでもございません。要は、中教審のメンバーにふさわしい学識経験の豊かな人にお願いしようというところから選考せられておるということを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/100
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101・小野明
○小野明君 くどいようですが、おっしゃるようにいきますと、現場の教師というもの、やはり選考の範囲内に入るのか入らぬのかといいますと、除外されておるような感じがするわけです。学識経験豊かな人からも除外されておるような感じがするわけであります。ですから、たとえば現場をよく知っておる、これはやはり現場の教師が一番だと思うのでありますが、この点について、そういった特定の地域を代表する、職場を代表するというようなものではなくて、現場というものがやはり中教審の中にいかに反映をするかということは、私は重要な要素だと思うのです。これがやはり兼職が多い。兼職が多いから現場教師を入れろというのではありません。兼職をする者があったから一つぐらいやったらいいじゃないかという、こういう取引で言っているのではなくて、どうも現場教師を軽く見ておるような感じがしてならぬ。その点を私は尋ねておるのですが、再度ひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/101
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102・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 軽く見るとかなんとかいう気持ちはもちろんございません。委員の選考について、先ほど来申しておりますように、いわゆる学識経験者という立場からりっぱな人を選ぼうという結果がこういうふうになっていて、排斥しておるなんというつもりでやっておるわけではございません。そういうふうなことでございますし、また、現場の問題については、もとより教育の問題を考えますときには大事にしなければならぬことは言うまでもないことであります。審議の過程におきましては十分お話を承る手段は私はあるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/102
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103・加瀬完
○加瀬完君 関連。いま小野委員からの質問でございますが、高等学校程度になりますれば、日本の教育の一般が教科本位ということで行なわれてまいりましたから、それぞれ教科の、あるいは学問的な学識者というものによりまして一応の教育方針というのが示される幅は非常に多いわけでございますが、義務制の小・中学校になりますと、教科というのは、むしろ人間関係というのが教育の場所で大きなものを占めますから、そうしますと、いわゆるいままでのような学問の範囲の教科や学識経験者というものだけに答申を求められましても、やはり現状における人間的関係の希薄といいますか、こういう欠陥というものはなかなか中教審の中でも表へあらわれてこないと思う。学識という点では明らかに不足かもしれませんけれども、経験というものは、日本の学者は小・中学校の体験というのはほとんどありませんから、これはどうしても現場のそういう意味の学識者といいますか、経験者というものを入れて意見を聞いていただかなければ、希薄になりました人間関係というのはなかなかもとに返らないじゃないかという疑問を私ども持っておるわけです。これは適当な方がないならばとにかくも適当な方々を、何の代表とか何のグループから選ばれたということではなくて、文部大臣がお考えになりまして、この体験はひとつ参考として大いに取り上げる価値があるんじゃないか、こういう人材がおりましたら、これは現場というものからむしろ、積極的に取り上げていただかなければ、いまの何といいますか、あまりにも人間関係の意見というものの薄い日本の教育というものは是正できぬじゃないかというように、意見がましいことを申し上げまして恐縮ですか。思っておりますので、これはぜひ現場から優秀な方を、中教審には限りませんけれども、それぞれの諮問の対象としてお取り上げいただきたいとお願いをいたしておきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/103
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104・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 決して、選考の基準といいますか、原則といいますか、そういうものから除外するというふうな心持ちで従来やっているわけではございませんし、また、各種の調査会やあるいは審議会等につきましても、その辺につきましていろいろ配慮はいたしている、このように私ども存じておりますが、ただいまの御意見につきましては、私は原則的にそのものをノーというような気持ちで申し上げているのではございません。その点はひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/104
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105・剱木亨弘
○剱木亨弘君 ちょっと関連。中教審のメンバーでいろいろお尋ねがありますけれども、私のときに任命がえしたのであります。それで、いまの現場の声という意味で、人員が限られておりますから、そうたくさんなことを現場からというわけにはいきませんけれども、多少その点は考慮しまして、中学校長及び高等学校長を私たちはとにかく入れましたし、なお、メンバーは中教審の本委員は少ないのですけれども、しかし、臨時委員とか、あるいは事柄によりましては専門委員とか、そういうものは中教審で予算を取っているはずですから、必要に応じて現場の方をお呼びするということはできるようになっているはずでございます。これは文部大臣あるいはお気づきにならなかったと思いますけれども。
それから、もう一つ気づいたことを申し上げるのは、中教審になっておられる方で、実は兼職といいますか、委員を兼ねている例が多いのですが、普通の場合ですと、中教審にやる場合は、いまの閣議で決定しましたように、なるべく兼職しない先生をお願いするのですが、中教審の委員になりますと、ほかのほうの委員のほうから目をつけて、先生にぜひ自分のほうの委員になってくれ、これがやってくるのです。そうすると、その先生に兼職を私どもは禁止するというわけにいかないものだから、それで、多く兼職が出てくるとあなたは首にする、こういうわけにはなかなかいかない面がございまして、ほかの委員会を兼ねておりましても、中教審の委員になると逆にほかのほうから非常にもらいがかかってくる、こういう場合が相当ございます。また、実際は、特別に中教審で考えましたのは、あまりに一人の人が長期にわたってやっているということはできるだけ避けなければいかぬと思いますが、しかし、人によりましては、やはりその人がどうしてもおらなければならぬという人もございまして、私はそういう自分のときにやったことで責任がございますから、一応、弁解がましいのですけれども、このことだけ申し上げておきますが、大臣もそういう点について御考慮いただけると思いますので、その辺質問の形で一言申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/105
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106・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私としましても、閣議のいわゆる兼職禁止、多数の兼職を押えるという方針は、もちろんこれに従ってやってまいるつもりでございますが、先ほど申しましたように、やはり例外的には、結果としては四つ以上の職を兼ねるような人が出てくるのであります。これらは何と申しましても政府部内でよく相談をし合って、なるべくひとつ規則に忠実にやっていくようにという方向で進んでいかなければならない問題だと、かように存じております。
中教審の仕事につきましては、いま剱木さんの仰せになりましたように、実際の審議にあたっては、必要に応じてそれぞれ各方面の意向を確かめていくというふうなことは当然行なわれることでもございますし、また、先ほど来お答えしておりますように、現場の人だから排斥するのだというふうな気持ちでは全然考えていないということを繰り返して申し上げまして、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/106
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107・小野明
○小野明君 せっかく剱木さんのほうからお話がありましたけれども、剱木文相時代に校長会長までおりてきたわけです。これが、私どもは管理職と思っておりませんけれども、法的には管理職と、こうなっているようですが、これを一歩進めて、私は経験の豊かな現場教師、ここまでやはりやるべきではないか。
兼職の問題は、文部省の審議会で中教審を含めて十六あるわけですけれども、この中の兼職でもやはり五つも六つもある方があるわけです。他の委員と兼職というのは、もちろん閣議の了解事項でありますから、大臣のいまの御答弁で私は了解をするわけですが、文部省関係の審議会だけでも私は積極的にその趣旨を生かして実現をすべきではないかと思うんですが、これはいろいろ文部省の審議会のあり方については批判があるのでありますが、たとえば行監の委員、前は臨調の委員でも、労働者代表ということで総評議長であった太田薫が入っておるわけですね。文部省関係だけは全然そういった現場の教師の代表が入っておらぬ。この点については私は不満を持っておるんですが、なおそういったやはりほんとうの現場教師にまでその範囲を広げて声を吸い上げていく、こういうこともあって私はいいのではないか、このように考えておるのであります。したがって、先ほどのような御質問を申し上げておったんですが、この点を御要望をひとつ申し上げておきたいと思います。
それで、大体約束をされておる時間が一時ごろでありますが、ちょうど官房長お見えでありますから。いま中教審で教育制度全般について検討されておると思いますが、その審議の状況と、ほぼ骨格になるような事項、それから今後の審議予定、こういうものについてひとつ簡略に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/107
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108・岩間英太郎
○政府委員(岩間英太郎君) 御承知のとおり、昨年の七月三日に、「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」という諮問を行なったわけでございますが、その後三つの特別委員会を設けまして、一つの特別委員会は、学校教育に対する社会の要請というふうなことの面からの、外からの要請というふうな特別委員会を設けて、その特別委員会におきましては、社会の要請と教育の機会均等というふうな問題につきまして御審議を願う。それから、第二の特別委員会は、これは個人の面からでございまして、人間の発達段階と個人の能力、適性に応じた効果的な教育というものをとらえまして御審議を願う。それから、三番目には、これは経費の面からでございまして、教育費の効果的な配分と適正な負担区分というふうな、三つの特別委員会を設けまして審議をお願いしているわけでございますけれども、審議の方法といたしましては、まず、これまでの過去の学校教育の実績の分析評価というのを第一に行なっていきたいということで、ただいまこれに関連する御審議をお願いしているわけでございますが、予算におきましても必要な調査費をいただきまして、必要な調査を行なうというふうなことでございます。
それから、将来の計画でございますけれども、従来の実績の分析評価を基礎にいたしまして、将来に向かっての予測、それから目標の設定、それから今後の問題点の解決と将来の目標達成のための基本的施策の検討というふうな順序を予定いたしておりますけれども、一応昭和四十三年度の末までに具体的な実績の分析評価、それからこれに伴います検討すべき種々の問題そういうものの一応審議をお願いしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/108
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109・小野明
○小野明君 昭和四十三年度末までにこの答申が出るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/109
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110・岩間英太郎
○政府委員(岩間英太郎君) 四十三年度末までにお願いしておりますのは、過去の実績の分析評価、それから、これから改善を要するような検討すべき重要な問題点、こういうものについての御審議をお願いしておるわけでありまして、さらにその後の予測、それから目標の設定、それから目標達成のための基本的施策の検討、そういうものは四十四年度以降もさらに行ないたいというふうに考えておるわけでありますが、当面の目標はただいま申し上げたようなところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/110
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111・小野明
○小野明君 そうしますと、この答申が完成をするといいますか、でき上がるのは、大体いつごろの予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/111
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112・岩間英太郎
○政府委員(岩間英太郎君) ただいまのところ、できますれば、四十四年度末までにお願いしたいと思っておりますけれども、非常に包括的な重要な問題をかかえておりますので、はたしてそれまでに完全な答申が出るかどうかはちょっと申し上げかねますが、一応目標はそういうところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/112
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113・小野明
○小野明君 これは答申におろすときには、いわゆる六、三、三の検討も含むということになっておるように思っておるのですが、学校教育制度については検討事項に入っているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/113
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114・岩間英太郎
○政府委員(岩間英太郎君) 審議官からちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/114
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115・西田亀久夫
○説明員(西田亀久夫君) お話のとおりに、六三制の問題についても検討いたすことになっております。そうして、ただいま官房長から申し上げました第二番目の委員会、それが主として学校制度、人間の発達段階と適性、能力に応じた効果的な教育という観点から検討いたしまして、現在の学校制度の中にそういう趣旨から見て不適当なところがあるかどうかというような検討が現在進行いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/115
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116・鈴木力
○鈴木力君 この審議会には私もたいへん問題を感じておるので、御質問申し上げたいのですけれども、質問し始めると時間がかかりますから、あとでこの法案と関係のない、この法案が済んだあとに時間をもらって少し御質問申し上げたいと、こう思います。それで、出たついでにということで恐縮ですけれども、資料をひとつ頼んでおきたいと思います。
それは、いま出ております全部の審議会の審議委員の氏名と前歴、経歴、それから就任年月日、同じ人が何べん、かりに五回繰り返して任命されておる者は五回、三回の人は三回というように就任の年月日、それから、もし他に兼職のある人はその兼職も出していただきたい。それから、この審議会で現在審議しておるテーマ、それらのものをひとつ表にまとめてお出しいただきたいと思います。
質問はあとの機会にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/116
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117・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) ただいまの資料要求はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/117
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118・岩間英太郎
○政府委員(岩間英太郎君) できるだけすみやかに作成いたしまして、提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/118
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119・小野明
○小野明君 大体一時ごろということですので、私の質問を終わるわけではないのですが、ちょっと速記を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/119
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120・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) ちょっと速記をとめて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815077X01119680423/120
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121・中村喜四郎
○委員長(中村喜四郎君) 速記を起こして。
本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時十一分散会
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