1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月九日(火曜日)
午前十時三十分開会
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委員の移動
四月八日
辞任 補欠選任
小平 芳平君 山田 徹一君
四月九日
辞任 補欠選任
鈴木 万平君 大谷 贇雄君
中山 福藏君 小山邦太郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 北條 雋八君
理 事
青田源太郎君
梶原 茂嘉君
秋山 長造君
委 員
大谷 贇雄君
小山邦太郎君
斎藤 昇君
大森 創造君
亀田 得治君
山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣 赤間 文三君
政府委員
法務省刑事局長 川井 英良君
法務省矯正局長 勝尾 鐐三君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 寺田 治郎君
最高裁判所事務
総局人事局長 矢崎 憲正君
最高裁判所事務
総局刑事局長 佐藤 千速君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
法務省刑事局刑
事課長 石原 一彦君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○刑法の一部を改正する法律案(第五十五回国会
内閣提出、第五十八回国会衆議院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(日通事件に関する件)
(八海事件をめぐる刑務所行政に関する件)
(司法行政に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/0
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001・北條雋八
○委員長(北條雋八君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨八日、小平芳平君が委員を辞任され、その補欠として山田徹一君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/1
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002・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 次に、理事の補欠互選についておはかりいたします。
委員の異動に伴いまして理事が一名欠員となっておりますので、この補欠互選を行ないたいと存じます。
互選は先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/2
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003・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 御異議ないと認めます。
それでは理事に山田徹一君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/3
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004・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から提案理由の説明を聴取いたします。赤間法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/4
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005・赤間文三
○国務大臣(赤間文三君) 訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、民事訴訟及び刑事訴訟の証人及び鑑定人等の日当の最高額を増加しようとするものであります。すなわち、民事訴訟における当事者及び証人の日当並びに刑事訴訟における証人の日当につきましては、その最高額は出頭または取り調べ一度につき千円と定められ、また、民事訴訟における鑑定人、通事等の日当及び刑事訴訟における鑑定人、国選弁護人等の日当につきましては、その最高額は出頭または取り調べ一度につき七百円と定められているのでありますが、最近における物価の状況その他諸般の事情を考慮いたしまして、いずれもその最高額を引き上げることとし、当聖者及び証人の日当につきましては千二百円に、また鑑定人、通事、国選弁護人等の日当につきましては千円に、それぞれ改めようとするものであります。
以上がこの法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/5
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006・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 本案は衆議院において修正議決されております。その修正点は、お手元に配付いたしましたように、附則の施行期日の「この法律は、昭和四十三年四月一日から施行する。」を「この法律は、公付の日から起算して七日を経過した日から施行する。」とするものでございます。
本案の自後の審査は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/6
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007・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 次に、刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から提案理由の説明を聴取いたします。赤間法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/7
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008・赤間文三
○国務大臣(赤間文三君) 刑法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
今次の刑法の一部を改正する法律案は、最近における交通事犯の実情等にかんがみ、刑法第二百十一条の罪の法定刑に五年以下の懲役刑を加え、かつ、その禁錮刑の長期を現行法の三年から五年に引き上げるとともに、同法第四十五条後段の併合罪となる罪の範囲を禁錮以上の刑に処する確定裁判があった罪とその裁判確定前に犯された罪とに限ろうとするものであります。
まず、刑法第二百十一条の改正についてでありますが、最近における交通事故とこれに伴なう死傷者数の増加の趨勢はまことに著しいものがあり、政府におきましては、かねてからこのような事態を重視して交通安全対策の樹立とその推進につとめてまいったのでありますが、近時の自動車運転に基因する業務上過失致死傷事件及び重過失致死傷事件の実情を見まするに、数において激増しつつあるのみならず、質的にも高度の社会的非難に価する悪質重大事犯が続出し、法定刑の最高限またはこれに近い刑が裁判において言い渡される例も次第に増加しつつあるのでありまして、この際、この種事犯中特に悪質重大なものに対してより厳正な処分を行ない得るものとするよう必要な法改正を行ないますことは、今日における国民の道義的感情に合致するばかりでなく、国家の刑政から見ましてもきわめて緊要なことと考えられるのであります。
次に、刑法第四十五条後段の改正についてでありますが、近時道路交通法違反にかかる罪等により罰金以下の刑に処せられる者の数は急激な増加を示しており、たとえば、昭和三十九年に全国第一審裁判所において罰金以下の刑の告知を受けた人員は四百万人余にのぼるのであります。
しかして、現行刑法のもとにおいては、このような罰金以下の刑に処する裁判であっても、それが確定すれば、同法第四十五条後段の確定裁判に含まれますので、その前後に犯された二個以上の罪が右の確定裁判のあった後に審判される場合には、これら二個以上の罪の併合罪関係は右の確定裁判により遮断され、必ず二個以上の刑に処することとなるのであります。このために、裁判及び検察の手続の段階においては、右のような確定裁判の存在の調査を的確に行なっており、これがための事務量はまた少なからぬ状況にあるのであります。
ところで、併合罪の処断に関するわが刑法の原則から考察いたしますと、刑法第四十五条後段の規定により数個の罪の併合罪関係を遮断することは、これらの罪がいずれも禁錮以上の刑に処すべき罪である場合に最も実質的な意義を持つものであり、罰金以下の刑に処する裁判によってはこのような併合罪関係を遮断しなければならないものではなく、むしろ、罰金以下の刑に処する確定裁判によって併合罪関係を遮断することは、刑事審判の手続において、また刑の執行の手続において複雑さを加え、犯人に不利益となる場合も生ずることとなりますので、この際、同条後段の確定裁判を禁錮以上の刑に処するものに限るよう改正しようとするものであります。道路交通法違反の罪によるものをはじめとして罰金以下の刑に処せられる者がきわめて多数にのぼる最近の傾向を考慮いたしますとき、早急に右のごとき改正を行なうことは、現下における刑事裁判の迅速円滑な運営をはかる上において緊要のことであると存ずる次第であります。
以上が刑法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/8
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009・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 本案の自後の審査は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/9
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010・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
まず、八海事件をめぐる刑務所行政に関する件の調査を行ないます。
御質疑のおありのお方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/10
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011・亀田得治
○亀田得治君 八海事件に入ります前に、一言日通のことにつきまして所信を伺っておきたいと思うのです。日通のこの不正事件は、世間では非常に注目しておるわけですが、いよいよ前福島社長までが逮捕される、こういう事態になっているわけですが、焦点は、多額の使途不明金が考えられる、それらが相当、いわゆる政治工作、そういう方面に回されたのではないか、こういう点の疑惑というものが持たれておるわけです。そういう点について、いままでの捜査の状況、あるいは今後の見込み、こういう点についてひとつ差しつかえない程度に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/11
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012・赤間文三
○国務大臣(赤間文三君) お答え申し上げます。
昨日福島前社長と西村前副社長が業務上の横領ということで逮捕をせられたように聞き及んでおります。なおまた、新聞にそのような記事の出ておることも承知をいたしておりまするが、なおいまお述べになりました政治的にこの金が回ったのではないかというようなことにつきましては、まだ何も報告を受けておりません。そういうこともあわせて今後捜査が行なわれるのではないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/12
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013・亀田得治
○亀田得治君 まあ、きょうは他のことが主題で質問に入ったわけですから、もう一つだけ、一回だけ聞いておきますが、ともかくこの問題については、私一方で決算委員長もやっているわけですが、いろいろのことを聞くわけです。そして、たとえば日通の社員の方から直接電話がかかってまいります。経理の関係を相当詳しく知っておる方のようです。その方が、新聞で取りざたされておる程度の行くえ不明金ではないんだ——金額を私に申したです。まあ確実な証拠を持ってのことではないから、そういう数字までこういう場所で申し上げるのは避けたほうがいいかと思いますが、内外——日通の外においてはもちろん、内部においても非常な非難が出ておるのです。そして、それだけ大きな行くえ不明金、検察で幾ら調べても、ほんのその一部しか使途がつかめない。こういうことでは、何か国民としてははがゆさを感ずるわけですね。いろいろ想像される額の十分の一も二十分の一も表には出てこない。それは、しゃべらないものを拷問をかけてやれと、そんなこと私が言うわけがない。しかし、いずれにしても、全体の中のほんの一部しかいつもこういう関係のものは出てこない。こういうことをまあはがゆく思っておると思うのですね。検察当局はもちろんそのつもりでかかっておると思いますがね。やはり合理的な科学的な捜査によってそれらのことがもっと突っ込まれていくように、そういう姿勢と体制になっておるのかどうか——こまかい捜査の中身まではお聞きするわけにいかぬでしょうが、その辺のところを少し詳しくお聞かせを願いたい。そういうふうにやってもなおかつなかなか問題の解明ができないという場合もあるでしょうが、一体そういう体制をとってかかっておるかどうか。新聞に出ておるように、金の延べ棒の横領とか、そういうことだけではなしに、一連の全体の状況を明らかにしてほしいわけですね、望んでおることは。それは、不明金の解剖をすれば、中には合法的に使われておる金もあるでしょう。それはいろいろでしょう。合法的なものも非合法的なものも含めて、そういうものが解明されていかなければならぬと私は思うのですね。どういう体制をとっておるのか、刑事課長でもけっこうですが、少しその点だけを詳しく聞いておきたいと思うのです。もう質問はこれ一問にしておきますから、再度質問せぬでもいいようにひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/13
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014・石原一彦
○説明員(石原一彦君) 東京地検におきましては、御承知のとおり、特捜部の——特別捜査部の全員がこの事件にかかっておりまして、かたがた、ただいま亀田先生御指摘のとおり、事が金の計数に関することでございますので、国税庁の協力も得まして、すでに押収、捜索いたしました書類につきまして鋭意検討中でございます。御指摘のように、非常に捜査がやや長引いているのではないか、あるいは真相の解明に窮しているのではないかという点でございますが、この点につきましては、全能力をあげまして現在鋭意真相の究明に努力しておるところでございます。すでに捜査以来五十日が経過しておるのでございますが、相当膨大な帳簿、証拠品の検討でございますので、この程度の日数はやむを得ないのではないかと考えてはおります。しかしながら、先ほど来繰り返して申し上げますように、東京地検におきましては全く全力をあげましてこの事件の捜査に従事しているわけでございまして、いずれ真相が解明されるものと法務省においても期待しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/14
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015・亀田得治
○亀田得治君 まあその程度にしまして、八海事件に移ります。
この八海事件は、御承知のとおり、単独犯か五名の共犯かということで長く争われておる問題です。現在服役しておられる吉岡晃、この人が最近広島刑務所の中で、無実の阿藤被告ら四名の者を自分の間違った供述によって自分の事件に道連れにしたということに対する自責の念にかられて、そうして真相を訴えたいという書面を関係方面に多数書かれたようであります。ところが、それらがことごとく広島刑務所で発送されないままにとめ置かれる、こういうことです。こういうことが発覚しましたのは、吉岡と同じ刑務所に服役していた人が刑期満了で外に出る。出る際に、吉岡から、出所後ぜひこのことを関係の弁護士に伝えてもらいたいという依頼をしたわけですね。なぜそういう依頼をしたかというと、何回弁護士あての書信等を書きましても、どうもそれが届いておらないようであって、何の反応もないということから、やむを得ない手段として、刑期満了で出る三名の方に伝言を依頼したようです。で、その三名の出所した人の一人の魯九龍という方がありますが、その人の供述書の一部をちょっと参考までに読んでみます。なぜこういう供述書ができたかといいますと、この魯さんが刑務所の中で依頼されたことを、外に出て原田弁護士にそのことを伝えた。これは非常に重要なことでありますから、弁護団の諸君もこの魯九龍さんの供述書を正式につくっておきたい、こういうことからこういう供述書ができたわけです。これは法律家の諸君の扱いとしては、手がたくそういうふうにやられるのは当然のことだと思います。
その供述書の一部でありますが、こういうふうに書かれておる。「吉岡は、原田弁護士に会いたいので、五、六通手紙を出しているが、原田弁護士が会いに来てくれないが、どうなっているのであろうか。君が出所したらぜひ原田弁護士に連絡をとってくれないか。自分はこの問の裁判でもうそのことを言った。事件になっている四人はかかわりはない。あいつらはかわいそうだ。そのことで原田弁護士に会いたいと思う。だが原田弁護士にはいままで何度もうそを言ったので先生がおこって私に会いに来てくれないのかもわからぬ」、こういうふうに本人から言われた伝言を書いておるわけです。で、さらに、中をちょっと省きまして、「吉岡は、原田弁護士に来てもらえないときには、大阪の佐々木弁護士にこのことを頼んでほしいと繰り返し繰り返しくどいほど言っておりました。」というふうに、刑務所の中で依頼を受けたことをここで述べております。こういうふうになりますと、どうしても世間に、そのような事実、広島刑務所内における事実というものが伝わるわけですね。そこから、三月中ごろから問題が起きてきておるわけです。
そこで、法務大臣にお聞きしたいのは、法律の世界で一番大事なのは何か。これは私は真実だと思うんですね。真実、事実は何かと、これが法律適用の前に一番大事な問題なんです。したがって、この事実、真実に関する文書であれば、どのようなものでも、私は非常に大事にしなければならぬと思うんです。その文書の結果、弁護側が有利になるとか、あるいは被告側が有利になるとか、検察側が有利になるとか、そういうことは二の次なんです。事実に触れた文書そのものは、解釈なりそういうことはあとの問題として、その存在そのものが非常に私は法律の世界では大事にされなければならぬと思う。ところが、広島刑務所では、そのような重要な吉岡晃さんの文書をとめ置いて名あて人に発送しない。監獄法四十七条一項というようなものを引用して、不適当と認める、こういうことを言って発送しないわけですね。不適当どころじゃありませんよ、これは。これほど適当な文書は私はないと思う。なぜこれを一体発送しなかったたのか、この点についてひとつきょうはお聞きしたいわけです。
そこで、最初に多少形式的な点に触れておきたいと思いますが、広島刑務所長が保管しておる吉岡晃作成の文書ですね、多数あるわけですね、十八通と聞いております。もちろんそのうち三通は世間がだいぶ騒がしくなってきたので出したことだと思いますが、昨日でしたか自発的に広島地裁のほうに三通だけ送付したようでありますが、その三通も含めて、この十八通ある文書、その作成された日付ですね、それからだれのあて先のものか、それから文書の様式ですね、単なる上申書というものか、あるいはちゃんとした手紙になっておるものか、いろいろあると思いますが、十八通につきましてまず御説明を願います。これは局長からでもけっこうですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/15
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016・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) お尋ねの文書につきまして、日付、あて名、表題等の順序で御説明申し上げます。四十二年五月九日付最高検察庁あて表題は告白状、同年五月十五日付最高検察庁あて表題は告白状取り下げ願い書、同年七月七日付広島高等検察庁あて上申書、同じく七月七日——同日付でございます、広島地方裁判所あて上申書、同年七月十日付原田香留夫あて郵便書簡、同年七月二十八日付同じく原田香留夫あて郵便書簡同年七月二十九日付広島地方裁判所あて上申書、同年八月五日付広島高等検察庁あて上申書、四十三年二月一日付最高裁判所あて上申書、同年二月一日——同日付最高検察庁あて上申書、同年二月一日付広島地方裁判所あて上申書、同年二月十五日付最高裁判所あて上申書、同年二月十五日付広島地方裁判所あて上申書、同年二月十七日付広島地方検察庁あて告白状、同年三月三日付正木ひろしあて郵便書簡、同年三月三日付原田香留夫あて郵便書簡、同年三月三日付佐々木哲蔵あて郵便書簡、同年三月九日付広島地方裁判所あて上申書、以上十八通でございます。そのうち、四十三年二月一日付広島地方裁判所あて上申書、同年二月十五日付広島地方裁判所あて上申書、同年三月九日付広島地方裁判所あて上申書、これはいずれも四月六日発送手続済みでございます。なお、四十二年の五月九日付から四十二年の八月五日付のものについては、不許可ということで処理済みでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/16
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017・亀田得治
○亀田得治君 いま御説明があったわけですが、右の十八通の以前の文書ですね、これはどういうふうになっておるんでしょうか。吉岡はたびたびいろんな文書を書いておるようですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/17
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018・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) お尋ねの四十二年五月九日前の文書につきましては、目下私のほうで調査中でございますので、どういうものが何通あるかということにつきましては、数日の余裕をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/18
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019・亀田得治
○亀田得治君 この監獄法の四十七条の二項を拝見しますと、二年を経過しますと廃棄することができると、こういう規定がある。この規定によって、廃棄しておるのではないかというふうにも思われるのですがね。私は、こういう事実に関する重要な文書は、決して廃棄すべきものじゃない、ちゃんと保存をしておくべきものだと思います。四十七条二項は、決して廃棄を命じておるわけじゃないのです。任意規定なんですね。そういう立場からお聞きしておるわけですが、その点、先ほどあまりはっきりしないような御返事でしたが、はっきりしておらぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/19
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020・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 監獄法四十七条の二項の規定の解釈につきましては、御指摘のとおりでございまして、廃棄すべしではございません。廃棄することができるということでございます。したがいまして、通常の場合、受刑者が刑の執行中である場合には、本人の処遇上参考になるものが少なくないと存じますので、本件の場合につきましても、二年以前のものでありましても、本人の処遇上参考になるという観点から、刑務所長のほうで保管しているものがほとんではないかと私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/20
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021・亀田得治
○亀田得治君 なお関連してお聞きしておきますが、たとえ廃棄したものであっても、いつ幾日はこの吉岡晃がこういう文書を作成して提出をしたと、その目録というものは広島刑務所にある、そういうことがあとからでもわかるようになっておると思いますが、そのとおりに理解していいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/21
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022・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) お尋ねのとおりでございまして、本人の処遇につきましては、毎日その本人の身体の状況等についてはしさいに記録にとどめておるわけでございますので、いつ幾日どういう書信の願い出があったとか、そういうことにつきましては、本人の処遇の記録の中に記録されていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/22
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023・亀田得治
○亀田得治君 そういたしますと、この吉岡晃が広島刑務所に入ってから今日に至るまで作成した文書の目録ですね——日付並びに目録及びあて先、まあ内容とまではいまちょっと申し上げません、そこまでは控えておきますが、その目録くらいは、これは資料として御提出願えますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/23
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024・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 可能な限り直ちに準備をいたしまして、お示しできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/24
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025・亀田得治
○亀田得治君 それから、さらにお聞きしたいのは、この吉岡の作成の文書ですね、これは完全に保管されておるのかどうか、非常に疑問を持つのです。といいますのは、なぜそういうことを申し上げるかというと、昨年からことしにかけて鶴崎弁護士あるいはペンクラブその他の方々に対しても吉岡が書信を書いたということをわれわれ伝え聞いているのです。ところが、いまあなたのほうから御報告があった十八通の中には、そのようなものが含まれておらない。だから、それは一体どうなったのかということなんですね。あるいは、この供述書の中にも書かれておるのですが、吉岡が何か文書をつくりましても、無理やりにそういう文書を取り下げさせると、こんなようなこともときにはやっておるのじゃないかと思うのですね。さっき申し上げたとおり、魯さんの供述調書の中にこういうくだりがある。「吉岡が以前に裁判所に上申書を書いて担当さんに渡したところ、たいへんにしかられ、踏んだりけったりされて、とうとう取り下げさせられてしまった」と言っていたと、こういうことがたまたま書いてあるのですね。こういうところから見ると、どうも検察庁にあまり気に入りそうにもないと、単独犯を主張するようなことを書きますと、ときにはこのようなことをされているのじゃないか。そういう関係から、鶴崎弁護士などに書いたものがどうなったかわからぬようになる、そういうことも起きておるのじゃないかと思うのですが、まあそこまでは中央におる矯正局長としては目が届かぬかもしれぬが、答えとしてはおそらくそんなことはあり得ないと言われるかもしれませんが、しかし書いた事実は間違いないようでありまして、一体そういうものがどうしてこの目録の中に載ってこぬのか。たまたま同房の人の供述調書を見るとそういうことが書いてあるものですから、そのようなことでうやむやにされておるものもあるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/25
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026・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) お答え申し上げます。
十八通を申し上げましたのは、実は、亀田先生御承知と思うのでございますが、四月の五日に広島地裁の係属中の吉岡を被告とする民事訴訟の関係で裁判所で審尋がございました際に、その際に裁判所のほうからその存否を確かめられたのがこの四十二年と四十三年度の分でございましたので、私のほうにそういう頭がございましたので十八通を申し上げたのでございます。したがいまして、この四十二年の五月九日より前の部分につきましては、私のほうで故意に申し上げなかったのでございませんので、その点ひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。
なお、それ以前の文書につきましては、鶴崎弁護士あるいはその他の者にあてた文書で、許可したものもございますし、不許可にしたものもございますが、不許可で刑務所側が保留したものにつきましては、先ほど来申し上げましたような処遇上の参考資料でもございますので、保管をしていることは私間違いないと考えております。
なお、吉岡が前に釈放になりました魯九龍でございますかにどういうことを言ったかということにつきましては、新聞等で、吉岡に対する証人申請等もあったように聞いておりますので、そういう裁判との関係もございますので、その事実の有無についてここで私が具体的にどうこうということを申し上げることは差し控えたいと思いますが、そういう暴行とかあるいは強制して取り下げさしたという事実はないものと私としては確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/26
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027・亀田得治
○亀田得治君 鶴崎弁護士あての書簡のことを聞きましたのは、私が聞いておるのでは、昭和四十二年七、八月ごろ書かれたものと、こういうふうに聞いておるわけです。そういたしますと、先ほどの十八通の目録、これは五月から始まったわけですから、当然ここに出てこなければならぬと思ってお聞きしたわけなんですが、しかし、あるいは私の聞いておるのが間違いであって、この十八通の文書よりもさらにさかのぼる、そういう日付のものかもしれませんが、いずれにしても、この監獄法四十七条の二項から申し上げましても、少なくとも四十一年の三月以降のものは現物も残っていなければならぬわけだし、それからそれ以前のものもあることが望ましいわけですが、少なくともそれは目録は初めから終わりまで全部わかるわけですから、その目録を拝見した上でもう少しその点は詰めてみたいというふうに思います。
そこで、質問を進めますが、昨日ですか、広島地裁のほうに提出された三通の文書ですね、これはもう裁判所にも出され、公表されたも同然になっておるわけですから、お答え願っていいと思うんですが、これは吉岡が単独犯を主張し、あと、ほか四名の方々に長い間迷惑をかけた、相済まなかったというわび状的な内容のものと聞くんですが、そうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/27
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028・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 四月六日に発送いたしました三通につきましては、監獄法上のたてまえからは、刑務所長としては発送必ずしも適当だとは考えなかったようでございますが、内容的に見まして、現在吉岡が被告として訴えられております広島地方裁判所民事部係属中の民事事件の訴訟準備的な内容のものともうかがわれますので、この際は、監獄法上のたてまえもさりながら、訴権を行使するについて遺憾なからしめるという、そのほうが優先的であるという立場で、裁判所に発送したものと承知いたしております。したがいまして、その内容につきましては、現在裁判所のほうに裁判の記録の一部としておそらく保管されているのではないかと存じます。刑務所の立場といたしましては、裁判所あるいは原告、被告等の立場を離れて、第三者的な立場にございます。さらに、その書面の性格が訴訟準備的な書面の性格であるといたしますと、刑務所側の立場からこの内容につきまして公の席で言明をするということについては、私はやはり慎重を要すべきではなかろうか。ただし、裁判所あるいは原告、被告の側において、その内容について、どういう発表をされるかということについては、もちろん自由でございますが、第三者的な立場にあり、しかもその書面の性格が、現に裁判所のほうにあるという現状から考えますと、私のほうからその書面の内容について具体的に触れるということは、慎重を期したいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/28
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029・亀田得治
○亀田得治君 まあ慎重を期するのもものごとによりけりでしてね。本来は、本人が文書をつくったら、それぞれ名あて人のほうに早く発送してやるべき文書なんです。秘密にすべきものでも何でもない、これは全部。そういう中で、特にいろいろ事情があって、広島地裁民事部あてのものだけは送られた。これは裁判記録になっておるわけですから、もちろん相手方も閲覧するわけですね。それは報道関係の諸君もすでにごらんになっていると思うんです。だから、そんなものを特に私は答弁を遠慮される必要は絶対ないと思うんです。それ以上突き進んだものを無理やりに見せてくれということなら、こっちも多少遠慮しますけれども、これははっきりしているわけです。ただ、単独犯と、そうして長い問四名の方に迷惑をかけて済まなかったと、これはいまの検察側の立場から言うたら、まことに気に食わぬことが書いてあるわけですね。それであなたが答弁しにくいということだろうと私は思うんですよ。逆の文書だったら、さっさと、こっちから言わぬでも、いろいろ御説明があるんじゃなかろうかぐらいに思うんですが、だから、そういうことでは私はこれはまずいと思うんです、感情的に扱いを区々にするということはね。それで、この三通だけじゃなしに、ことしになって作成されたほかの七通ですか、合計十通、ことしになって作成されたのが。これは全部単独犯を主張しておるようですね。このことは、広島刑務所の総務部長が、三月二十六日、二十七日、四月一日と、弁護団や新聞記者諸君から質問を受けて、公の席で認めていることなんですよ、そのことは。その点どうなんですか。まあこういう公式の機関ということになると、いやにかたくなられるようでありますが、あとの質問に非常にこれ関係しますんで、文書の中身の一字一句まで私聞くわけじゃありませんが、結局単独犯か多数犯かということがこれは焦点なんですわね。単独犯を内容とするものだという程度のことはお答え願えるんじゃございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/29
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030・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) お答え申し上げます。
単独犯の内容だから許可をしない、共同犯の内容だから許可をすると、そういう立場は、行刑を任務といたしております刑務所側は、判断する限りでもございませんし、また判断することも私は不可能であろうと思うのでございます。したがいまして、そういう観点で許可、不許可をしているのではないのでございまして、刑務所側といたしましては、どこまでも本人の処遇の関係においてという観点から処理をいたしておると存じます。さらに、二月一日以降のものについての内容について、広島の総務部長が弁護士あるいは記者会見等で言明しているのではないかという点につきましては、私のほうの承知しているところでは、そういう言明はいたしておりません。
それからさらに、単独犯であるか共犯であるかということが亀田先生の御質問に非常に重要なポイントであるということがございましたが、刑務所側の立場は先ほど申し上げましたような監獄法のたてまえでやっておりますが、私といたしましては、刑務所側の立場を離れて、本省としてこの問題を見た場合に、やはりそれが非常に大きなポイントであるといたしますれば、現在係属中の裁判に関する問題でありますので、そういう観点から、行政当局が公表をするということはやはり慎重を期さなければならないのではないかというように考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/30
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031・亀田得治
○亀田得治君 なかなか私のお尋ねしていることにすっとこうお答えにならないで、いろいろ理屈を言われるわけですが、それでは、五人の共犯だと、多数犯だと、こういう種類の文書はずいぶん取り次いでおられるはずですよ。私の記憶でも、本件に関する最高裁の判決の中にも、吉岡がある時点において書いた、そういう文書を引用していたはずなんですよ。だから、そういうのを、検察側の都合のいいやつはすっとこう通して名あて人のところへやらせると、現実に不公平ができておるわけですね。第一、検閲とこう言われますがね、二月一日に出されたものがどうして現在まで検閲かかるのか、これが納得いかぬですよ。文書とか信書とかいうものは、名あて人のところへ——検閲の権利は皆さんにありましても、届くのが、これは原則がありましてね。こんなものは読めばすぐわかるわけでしょう。処遇上、処遇上と言われますけれどもね、この文書を名あて人のところへ送ったからといって、吉岡本人の健康状態が悪くなるわけでもない。むしろ、言うべきところに届いたということで、かえってよくなると私は思う、逆に。だから、その理由がないわけですね、とめておく。しかも、検閲中ということでいつまでもこれ引っぱっておく。しかも、多数犯についてはちゃんとこう、しかるべく届けておる——まあ全部がそういう一律になっておらぬかもしれませんが、そういうことがありありとこう取り扱いの中に出ておるのですよ。で、今回の場合も、そういう同じ刑務所にいた人が外に出てそのようなことを漏らすということがなければ、やはりこういう状態でずっと引っぱっていかれたものと、私はもう断言していいと思うのですよ、本件については。だから、結局は、いろいろ理屈をおっしゃいますけれどね、現在保留しておられる十通、少なくともこの十通のうち三つは、すでに広島地裁のほうへ行っておるわけですね。あとは、名あてと言ったって、最高裁、最高検、それから関係の弁護士の方、これはみんな、あなた、必要なことじゃないですか。ことに、弁護士に対する文書をストップするなんてのは、それは全くけしからぬと思うのです。また、最高検とか——最高検は、あなた、上部機関でしょう。上部機関に対して、その真剣に書かれておる文書を、一刑務所長が押え込んでしまう、こんなことはだれが聞いたって筋通らぬと思うのですよ。そのような筋の通らぬことをやるから、何かやはり、この単独犯、多数犯、これに関連してこういう意地の悪いことをやっていると思われたって、私はしかたないと思うのですね。そのつもりがないというなら、私はいまからでも即刻発送されたらいいと思うのですよ。どうなんでしょう、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/31
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032・赤間文三
○国務大臣(赤間文三君) 私も、昨日、いろいろと亀田さんがお尋ねになるということで、調べてみたのですが、私の聞いたところでは、もう親戚とかそういうものは信書が相当出されるというたてまえで、そして親戚以外のものは、これはたてまえが、私の聞いたところでは、受刑者は発信したり何かすることは原則としてできないと、こういうふうにたてまえができておるという——監獄法の四十六条でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/32
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033・亀田得治
○亀田得治君 四十七条です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/33
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034・赤間文三
○国務大臣(赤間文三君) 四十七条ですか。ただし、特に必要がありと認めた場合は何かこの限りにあらずというようなもので、非常に、この法律のたてまえから言うと、私の聞いたところでは、もう原則は、親戚以外のものは、わりあいに、必要性というものを認定をして、これは必要じゃと思った場合はこれを許すというふうに私は聞いておるのであります。
それからもう一つは、私の承ったのは、この刑務所のほうでは、それがどうなるからとか、こうなるからその信書を取り次ぐとか取り次がぬとか、発送することを許可するとかせぬとかいう、これは全然もう無関係だと。ただ取り扱いについては、そういうふうな、いまお話しの、その単独犯とか、集合犯とか、そういうことによって、これ調子がいいからひとつ取り次ごうとか、これは調子があまりよくないから取り次がない、そういうふうな犯罪のあれなどについてはもう絶対に関与をしておらぬと、またすべきもんじゃないという、そういうたてまえをとっておると、こういうふうにまあ私はきのう承ったのでございます。しかも、なお聞いたところによると、本人は何か肺が悪くて、非常に結核か何かでからだも相当ぐあいが悪いというような状況にあると聞いておるので、こういう人にむしろいろいろと迷惑をかけるのは、またこれ本人のからだにもいろいろさわるとかいうようなこともあるかもしれぬというような、これは私の個人の心配なんですが、何か結核だというようなことを聞いておるのであります。まあしかし、結核でも、そういうことをすることがからだにかえっていい場合もあるかもしれぬから、一がいにはどうということは言えないが、骨の折れる仕事をして、その人がいろいろと骨を折るのも悪い。それでまあ……。決してこの刑務所関係としましては、もうそれは有利じゃとか有利でないとかいうようなもんでなくて、まあ本来の取り次ぐべきかどうかということは、特に必要があるものは取り次いで、必要を認めるものは取り次がないというような、そういう意味で、ほかに他意があってやったという報告は私は一切開いていない。亀田さん何か少し——こう調子のいいようなことはよく取り次いで、調子の悪いのは押えておる、そんなことはもう絶対にない。そういうふうに私きのういろいろ調べましたのでお答えをして、なお具体的なのは局長から詳細にひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/34
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035・亀田得治
○亀田得治君 まあ大臣は大体そういうていさいのいいことをいつも言われますけれどもね。第一、監獄法というのは、これは明治四十一年にできた法律ですよ。それはなかなか、当時のことですから、基本的人権が一般にもそれほど尊重されない。いわんや受刑者については、非常にそういう点は現在に比べたら低く軽く考えられておる時代の法律なんですよ。それは、新憲法ができまして、受刑者といえども原則的にはやはり通信はできるんですよ。ただ、受刑者でありますから、憲法で禁止しておる検閲とかそういうことをしなきゃならぬという必要性は、これは私はある意味で全然否定はできないと思いますがね。その出したものが相手に届かないと、そんなばかなことは、即刻これは再検討の余地のあることなんですよ、元来。だから、こんなものにたよってもらっちゃ困りますよ。それは、親戚以外は原則として出さぬのだと、特に必要あるときだけ認めると、そう書いてありますよ。だけれども、法律そのものがそういう古色蒼然たるものだ。第一、監獄法を早く改正しなければならぬのだと、歴代の法務大臣がみんなそうおっしゃっておる、その法律なんですよ。だから、こういう問題が起これば、やはり憲法なり人権の基本に立ってものを考えてもらわなければならない。特に私は、古い監獄法を使うにしても、特に必要のある場合にはちゃんと許すことになっておるのでしょう。ところがあなた、いま申し上げているような内容の事柄ですからね、これは特に必要があるじゃないですか。それをあなた、本人にしてみれば、自分の間違った自白のために無実の四人を長い問迷惑かけたと、もしそのとおりであれば、これは本人にとってたいへんな問題でしょう。他の四人にとっても重大問題ですが、本人にとってもそうでしょう。いろいろな事情で、多数犯を言うたり、単独犯を言うたり、いろいろしておるが、しかし自分も、そういう人を殺して悪い人間であるかもしらぬが、そこにやはり良心というものがあるわけでしょう。真実を明らかにすれば、せめてその良心がやはり満足するわけですよ。そういう立場でもしこのことしの二月以降の十通の文書が書かれたものとすれば、たいへん重要な文書じゃないですか、重要な。こんなことをもう少し考えてもらわぬといかぬですよ、それは。だからこれは、こんなことを言うていつまでも保留しておったら、これはもう日本の矯正行政の恥辱になると思いますよ。第三者が聞いたら、わけがわからぬですよ。あて先はしかも、何も一般の人に相手かまわずむちゃくちゃに文書を出しておると、そんなもんじゃなしに、最高裁とか、最高検とか、担当の弁護士とか、そこへ直接書いてあるのを、法務省矯正行政で押えていたと。どんな理屈をもってしたって、そんなことは、私は最後はよろしくない。だから、私はこれは検討してほしいと思うのですね。あんまりいろいろな理屈言うたって、これはもうだれもそんな理屈は、そうですかと耳に入らぬですわいな、これは。検討をしてもらえますかな、これは。特にことしの二月以降の十通の文書ですわ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/35
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036・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) ただいまの亀田先生の御意見につきましては、私としましては、原則論としては私も同感のものでございます。先ほど来るる述べましたように、本件の刑務所長の処理というのは、監獄法上のたてまえで処理をしているものでございまして、刑務所長の側といたしましては、この内容よりも、このようなこと——上申書を書くとかあるいは出すということが、吉岡の従来の服役状況から見て、真意に出たものであるかどうかということについて多大の疑問を持っているようでございます。しかしながら、これは監獄法上の立場でございますが、いま亀田委員の言われました他の立場からの重要性という問題、これもやはり監獄法のたてまえと他の立場からのたてまえとの調和というものが非常に重要な問題でございます。特に、御指摘の文書は、一般行政官庁あてではなしに、裁判所あるいは検察庁等あてのものでございますので、裁判との関連も考慮に入れながら、この文書についての処理を早急にひとつ検討をさせていただきたいと、こういうふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/36
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037・亀田得治
○亀田得治君 ひとつ前向きで積極的な立場で検討してほしいと思うんです。
それから、もう一つつけ加えて聞きますが、これは当然なことですがね、裁判所等からの提出の要求ですね、あれば、これはもう即刻出されると思いますが、まあ念のためちょっとお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/37
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038・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 訴訟手続その他法令の手続に対しては、当然刑務所側としてはこれに応ずべきものである、応ずるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/38
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039・亀田得治
○亀田得治君 ともかく、提出されて、それをどう判断するかということは、これは裁判所がいままでの経過なりいろいろ見て判断することなんでしてね。そういうことについて、私、刑務所長あたりがあまりよけいなことを考えるべきじゃないと思うんです、これは。だから、裁判所からの訴訟上の連絡等を待たずとも、私はそういうふうに自発的にやられたほうが非常にいいのじゃないか。これは弁護団からいずれ刑事裁判でも要求が出るでしょうが、これも私は、要求が出て裁判所が受け入れないということはないですよ、それは。裁判のことを推測してはなはだ悪いですけれどもね。真実に触れる問題、何でもこれは検討しなきゃならぬですよ、それは。そういう性格のものですから、ひとつ検討されるとおっしゃいましたが、そういう命令が来てからしぶしぶ出すんじゃなしに、この段階でさっぱりひとつ出すという態度で御検討を願っておきます。
法務大臣、まあ先ほどえらい、監獄法を引用されて言われましたけれども、ひとつこれはやっぱり前向きでこういうことは考えてくださいよ。判断は、これは最高裁なりしかるべき機関がするんですからね。途中でそんなものをストップすべき問題ではこれは絶対ないと私は思うんでしてね。その点どうですか、大臣、もう一度ちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/39
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040・赤間文三
○国務大臣(赤間文三君) まあ、お話の点は、前向きに十分ひとつ検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/40
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041・亀田得治
○亀田得治君 それでは次に、面会の点について若干聞いておきたいと思うんです。
四月一日に広島刑務所へ原田弁護士、佐々木弁護士、小牧弁護士、児玉、西嶋、五名の弁護士が行きまして、吉岡に面会を求めたのです。で、これは拒否されているんです。これははなはだ私納得いかないと思うんです。といいますのは、四十三年の三月二十六日に弁護団から最高裁の第二小法廷に吉岡晃の証人申請手続をとったわけですね。で、御承知のとおり、刑事訴訟規則百九十一条の三にはこういうふうに規定しているわけです。「証人の尋問を請求した検察官又は弁護人は、証人その他の関係者に事実を確かめる等の方法によって、適切な尋問をすることができるように準備しなければならない。」と義務づけられておるんです、これは。まあ、あなたに申し上げるのは、これは釈迦に説法ですが、この弁護団はそういう立場に基づいて、ぜひ——間接的に吉岡の意向というものが伝わってきておるわけですが、吉岡の真意を確かめて、そして適切な証拠調べをしたい、こういうことで行っているわけですね。法律的にも必要なことなんです。これを会わせない、どうも筋が通らぬと思うのですね。そういうことをするから、いろいろ憶測されるんですよ。矯正行政自身が不公平だ、こうなると思うのでしてね。これはどういうことですか、ひとつお答え願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/41
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042・赤間文三
○国務大臣(赤間文三君) いまお話しの場合は、吉岡が結核にかかっておる。それで、私の聞いたところでは、からだが非常に衰弱をしておる。そして本人が血を吐いているというような事実もある。また、これ以上喀血でもしたならば、今後の健康の上にはゆゆしい問題にもなりはしないかというような心配があったように聞いておる。これは、そういうふうで、からだが衰弱し、血を吐いておるというような場合だから、からだにさわるので断わってくれと、これは重大だというので、私の聞いたとろでは、人権尊重というか、そういう意味から、たしか面会を断わったというふうに報告受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/42
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043・亀田得治
○亀田得治君 そういうお答えが返ってくるだろうと思っていたんですけれども、人権尊重というようなことを最後に言われましたけれども、自分がほんとうに悩み抜いて、結果書いておる文書なんですよ。それが相手に届かぬで、どこにあなた人権尊重があるものですかいな。そうして、自分が会いたいという弁護士さんが来ているのに、それに会わせない。ああいう病気は、ことに気分というものが非常に左右するように私は聞いておるのですよ。むしろ病気を悪くするようなものですよ、そういう処遇は、逆にいうたら。しかし、刑務所の中におるのに入っていくわけにまいりませんので、弁護団は、それでは吉岡の房のところにこちらが行って、吉岡が休んだままでいいですから、短時間肝心なことだけ確かめたい、こういう申し出に対しても、それはいかぬと、こう言われるんですね。あるいはまた、それもいかぬのなら、それじゃ吉岡の主治医の医務部長の河原英雄さんですか、この方にひとつ会わせてくれと、そして河原さんの病気に対する所見についても直接聞きたい、診断書とかそういう間接じゃなしに。それは弁護人としてはあたりまえですよ。それも会わせないのですね。河原さんはぴんぴんしておるのですよ、元気な方ですよ。それにも会わせない。それで弁護人はしかたなく、第三番目に、それじゃ病気がそのうちよくなったら会わしてくれますか、こういうふうに、第三番目にやむを得ずそういう要求をしたところが、今度は刑務所のほうでは、いや、病気がよくなればなったで、またその時点で考えます、こういう返事で別かれておるのです。私は、はなはだこういう扱いはけしからぬと思うんですよ、けしからぬ。あとからもちょっと申し上げますが、病気自体も、決して、刑務所長が言うような、大事な人に五分、十分会えないような病気では断じてない、これは。これは第三の問題で、ちょっとあとから触れますがね。しかしまあ、相手が病気だと言うから、弁護団のほうとしちゃ、じゃあこちらからしばらくそこへ行って肝心なことだけ短時間聞いて帰ろう、いやそれはだめだ。それじゃ主治医に会って事情を聞いて帰らなければ、これは弁護人としても責任果たしたとは言えませんがね。それもいけない。病気がなおったらじゃああらためて来るが——まあなおることは簡単じゃないが、からだのぐあいがよくなったらあらためて来るがと言ったら、いやよくなれはなったでそのときまた——いろいろ処遇上とかなんとかということなんだろうと思いますがね、考えますと。これは全く本人の人権というものを無視し切っていますわ。それで表向きだけ、病気だから、その吉岡のために会わさないんだと、こういうようなことを言っているけれども、通りませんよ、これは。三つあるわけですよ、面会要求に行って。その点、どうなんです。そのこまかいこと聞いていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/43
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044・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) ただいま御指摘の刑事訴訟規則につきましては、施設側としては、これを十分尊重するというたてまえで、証人に申請されたということが疎明されれば、弁護人と当該受刑者との接見は許可する取り扱いにいたしております。したがいまして、本件の場合も、他に理由がなければ許可をする取り扱いになるのが当然であると存じます。ただ、本件の場合につきましては、本年の三月一日から血たんが連続して出始めましたので、直ちに絶対安静の上加療をしたのでございますが、三月の十四日に至りまして五十cc程度の喀血が都合四回あったのでございます。で、さらに三月の二十六日に約百ccの喀血がありまして、その喀血が二十八日にようやく一応とまったのでございますが、連続した相当多量の喀血のため全身状態がよくなかったというのが当時の実情でございます。したがいまして、医師の立場といたしましては、健康上他に会うことを遠慮してもらうと、これは医師の立場としては私やむを得なかった措置であろうかと存じます。それからなお、本人の居室の前に行って話をする、そういう申し出もあったように聞いておりますが、御承知のように、刑務所というところは、本人一人ではなしに、多数の種々雑多な収容者をかかえておるわけでございまして、したがいまして、その管理運営上、ある程度の共通的な取り扱いをしないと全般の運営上に非常に大きな支障を生ずるおそれが少なくございません。そういう面も考え、さらに根本的には、先ほど申し上げました、喀血が数日前にとまったという状況にあったということから、その申し出を拒否したのではないかと思います。
そから、外部の医師あるいは刑務所の医官との面会等の問題でございますが、これも、一つには刑務所の一般的な管理運営方法に対する支障の問題、さらに、刑務所の医者としては全責任を持って処理をしているわけでございますので、医師としてのやはり立場もあったのではなかろうかと思います。
さらに、本人がよくなった場合の問題でございますが、他に特段の支障がない場合には、本人が断わるとかあるいは本人が異常な心理状態にあるとかいうような場合は特別といたしまして、健康状態が面会にたえ得るような状態になった場合には、面会をさせるということは当然のことであろうと思いますし、施設側としてもそういう態度で臨んでいると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/44
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045・亀田得治
○亀田得治君 刑務所長が言うのは、第三の場合ですね。健康状態がよくなってもはっきり会わせるとは言わぬわけなんですね、よくなったらなったでその時点でひとつ考えますと。こういうわかり切ったことを、はっきり言わない。まあ局長はそこを、それは会わせるとおっしゃったが、これは私は当然だと思うんですよ。証人申請していることは、これは疎明書を出せと言われれば、それはいつでも弁護人は出すでしょうが、しかしこれは刑務所のほうで問い合わせてもらったってわかるわけですね、その場で、ほんとうの親切があれば。だから結局、文書はとめたい、なるべく会わせたくない、これで刑務所長こり固まっているんですよ。それはもう実績ではっきりしているんですよ、はっきり。
それから病気のことですが、これはちょっと触れておきますがね、病気だ病気だということで逃げる材料にしておられますが、刑務所のほうからは、吉岡晃に対する診断書、こういうものは医師の河原秀雄さんの名義で出ておるわけです。これはわれわれも拝見しております。しかし、まあわれわれしろうとでは、これはなかなか、こういうふうに書いてあっても、結果としてこれが一体面会にたえられるのかどうかちょっとわかりませんがな、数字だけ並べておってね。その点の診断を、米沢進という医者に診断書を渡して鑑定してもらったわけですよ。鑑定してもらった、われわれのほうで。そういたしますと、文書による鑑定だけだから、はっきり言えぬ点もありますが、結論としては、こういうことが明確に書かれております。吉岡の別紙診断書記載の症状は、軽度の結核で、入院を要せず、一般に通院、自宅療養を適当とする程度であると思う。それから二として、面談はもちろん、外出には支障がないと、こういうふうに結論が出てきているわけなんです。あまりにも、この診断書を根拠にして刑務所長が言われるのと、外部の専門家が言われるのと、違うわけですね。多少割り引きしてその中間ぐらいだとしたって、私は、大事な——何回も来てくれ来てくれと言う、弁護人が来ているのに、それに五分や十分、十五分程度会えない状態では私は絶対にないと思う。だから、これは文書の理屈を言っとってもだめですからね、私は矯正局からだれか人を派遣してみてほしいと思うんですよ。派遣してみてほしいと思うんです。それできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/45
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046・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 矯正局といたしましては、広島刑務所に現在四名の医師を配置いたしております。この河原という医師は内科専門で、医務部長でございまして、経験も非常に豊かな医師でございます。したがいまして、拘禁施設下にある病人というものを長年取り扱った経験者でございます。そしてまた、毎日診断をしている医者でございます。したがいまして、医師の診断というのはわれわれしろうとでは軽々に意見を差しはさむことはできないのでございますが、何といっても毎日長年扱っている医師というものの診断をやはり尊重するというのが私は原則ではなかろうか。たまたま本省から本人を平素扱ったことのない専門家が行っての診断というのは、参考にはなるかもしれませんが、やはり結論的には、経験の豊かな、そして毎日付き添っている医者の診断というのを尊重するのがやはりわれわれのたてまえではなかろうか。そういう意味におきまして、本省から医師を派遣するということについては、慎重を要するものというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/46
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047・亀田得治
○亀田得治君 それはまあ、一般論はそういうことですがね。非常に精密な病状を調べてほしいと言っているわけじゃないんですよ。本人の望んでおる弁護人と短時間話する程度のことはできるのかできないのか、これは私はしろうとでもわかると思うんです、状態を見れば。先ほど申し上げた魯九龍の供述書の終わりのほうに、こういうことを書いてあるんですよ。「吉岡は原田弁護士への連絡の中に、現在途中で休んでいる民事訴訟を進めてもらって自分を裁判所へ呼び出してほしいとも言っていました」と、こういうことが書いてある。広島の民事裁判所から呼んでくれというんですね。そしたら、自分はそこへ出ていって、そして真相をしゃべりたいという意味のことまで書いてあるんですよ。そんなあなた、刑務所の中で短時間会えないと、そんな状態じゃ絶対にないですよ、これは。それをなまのままでわれわれに吉岡さんの状態を見せないで、そして専門家の書いた数字だけ並べたものを出して、これでだめだと言ったって、そんなことは了承できませんよ。それよりもあなた、石原刑事課長あたりに頼んで行ってもらったほうがよほどはっきりしますよ。それから、いまの続きですが、こういうことも書いてある。「なお吉岡は現在結核で病舎にいますが、私はそんなに重い病気ではないと思います。医者がたいした病気ではないと吉岡に言っているのを私も病棟で一緒に診療を受けて聞いています」と。だから、これはしろうとの言うことですからね。それはまあ医者は、なるべく病人に対して気が休まるようにという思いやりで、多少重くてもたいしたことはないと言う場合もあるかもしれません。しかし、いま必要なのは、短時間自分の求めておる人と会えるか会えぬかと、その健康を言ってるんですよ。だから、絶対にそんなことが不適当だというような健康状態ではとてもないのですよ、それは。だから、それだけはひとつはっきりしてもらいませんといかぬと思うのです、これは。非常にそこに疑いがある。ことさらに遮断しているのですよ。その証拠は、弁護人諸君が会いに行ったときに、よくなっても会わすか会わさぬかわからぬ、それはその時点で考える——局長の言われるのとは非常に違ったことを言うておるのですよ。弁護人の諸君もそれでおこってしまって、それじゃ君はさっきから、病気だから本人が気の毒じゃから会わすわけにいかぬとか言っておって、それは理由が違うじゃないかと、ずいぶんやりとりがまたあるのです。そのやりとりがあるということは、病気だけでとめておるということではないから、そういうやりとりが続くわけなんです。だから、こんなことはいずれしかるべき公の場所でまた関連して明らかになっていくと思いますがね。しかし、そういう不自然な状態でいつまでも続けることは私はよくないと思う。だから、特別の必要のある事柄ですから、この古い監獄法の立場から言うたって、積極的にやはり矯正局のほうで状態を聞いて、そしてこういう状態だからひとつせんだって要求のあった諸君に来てくれと、そのくらいの態度を示してやったほうが私は当然だと思うのですがね。そういうことはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/47
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048・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 監獄法の立場は別といたしまして、矯正行政について不信の念を持たれるということは、われわれとしてはまことに耐えがたいことでございます。病状等についてただいま御疑問の点について、なお現地に照会いたしまして処理させていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/48
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049・亀田得治
○亀田得治君 それじゃあ、最初のお約束いただきました目録ですね、目録の提出、その他調査の結果を、これは委員会外でもけっこうですから、ひとつ御報告をお願いしておきます。さらに、委員会で言うと、なかなかいろいろ案件もあるようでございますので、委員会でないというと、どうしても簡略のものを持ってこられますけれども、そういうことでないように、委員会と同じようなひとつなにで資料をそろえて報告してほしいと思います。よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/49
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050・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/50
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051・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 本件の質疑は、本日はこの程度にとどめ、次に司法行政に関する件の調査を行ないます。
御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/51
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052・亀田得治
○亀田得治君 最高裁のほうに。きょうは、時間の都合等もありまして、資料要求だけにとどめておきます。
事前にお願いしていた公務災害に関する資料でございますが、けさこれいただいたわけですけれどもね、もうちょっと詳しいものをひとつお願いしたいということなんです。あらためて正式に申し上げますから、ちょっとメモしていただきたいのですが、公務災害補償申請について、この過去三年間の申請と処理状況ですね。それで氏名は、これはABCになっておるが、やっぱり一、二、三のほうがかえってわかりいいと思いますので、そういうふうにお願いして、所属の長、病名、発病の年月日、それから上申の年月日を明らかにしてほしい。それから特に、そのいい悪い、結論の出たものについて、その理由を明らかにしてほしいと思います。それから並びに——最近のものはいいのですが、結論が出ないが、長期にわたっておるものについては、なぜそれだけの時間がかかっておるのか、理由を明らかにしてほしい。これはできるだけ詳細に二、三つけ加えたことはお願いしたいのですが、しかしまあ、あまり専門的に書かれて、かえってわかりにくいということになってもいけませんので、適当にわかりやすくひとつ説明をつけてほしいと思います。
それから第二は、公務災害補償の予算ですね、これ過去五年間の使用の実態ですね、どの程度を使用されたのか。具体的にこれも一、二、三、四とずっと並べていただいていいと思います。その案件を明らかにしてほしいと思います。どの案件で幾ら、どの案件で幾ら、不用額等もあるように聞いておりますが、その不用額がどういうふうにあるか。
それから第三は、一昨年ですか、労働衛生サービスセンターで特別の健康診断を裁判所のほうでやっていただきましたが、東京地裁だけとしてのようですが、その結果をこれも少し詳しくほしいのです。一々氏名を出すのが悪かったら、一、二でけっこうです。これはタイピスト、速記官、特定の人でしょう。だから、ずっと数字で並べてもそんな膨大なものにならないと思いますので、その状態がわかるように説明をつけてほしいのです。
それから、けさいただきました資料は、これは速記官だけですね。速記官以外は申請は出ておらぬのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/52
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053・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) いま亀田委員のお話でございます。御承知のとおり、公務災害関係の記録は、大っぴらにされたくないような個人個人のからだの中身にわたるようなことが全部記録になっております。したがいまして、その記録記録を一々審査する場合にも、内部で特別な扱いをしてほかの人に見せないようにやっているわけでございます。しかしながら、ただいまお話のございましたように、できるだけ御趣旨に沿うような趣旨で、記録記録について当たりまして調査した結果を出してみたいと思いますですが、そのために若干の日時はいただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/53
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054・亀田得治
○亀田得治君 どれくらいかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/54
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055・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) そうですね、三十件ちょっとこしますので、十日余はいただきたいと思うのでございますが。それで、できるだけ御趣旨に沿うようなものにしたいと思いますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、記録記録が大っぴらにできない事柄が相当ございますので、そういう点はひとつ御了解いただきたいとお願い申し上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/55
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056・亀田得治
○亀田得治君 差しつかえない程度にちゃんと御説明願います。というのは、この種の問題は、従来も私数回触れたこともあるのですが、どうしても抽象論で終わってしまうのでね、御趣旨はわかりましたというようなことになってしまって。私、それだけじゃいかぬと、やはり非常にいろいろな訴えがあるものですから、それじゃあ具体的に一つ一つ当たってみたところでそうたくさんあるわけじゃないからということで、こういう勉強をちょっとしてみたいと思って申し上げているわけですから、その線に沿うようにひとつ、まあ十日もあればけっこうですから、どうぞひとつよろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/56
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057・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 他に御発言もなければ、本件の調査は本日はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X00919680409/57
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