1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年五月二十一日(火曜日)
午前十時二十三分開会
—————————————
委員の異動
五月十六日
辞任 補欠選任
北畠 教真君 丸茂 重貞君
秋山 長造君 佐野 芳雄君
五月十七日
辞任 補欠選任
林田 正治君 鈴木 万平君
丸茂 重貞君 中山 福藏君
五月十八日
辞任 補欠選任
佐野 芳雄君 秋山 長造君
五月二十日
辞任 補欠選任
赤間 文三君 奥村 悦造君
辻 武寿君 山田 徹一君
五月二十一日
辞任 補欠選任
山本茂一郎君 山下 春江君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 北條 雋八君
理 事
青田源太郎君
梶原 茂嘉君
秋山 長造君
山田 徹一君
委 員
紅露 みつ君
斎藤 昇君
山本茂一郎君
亀田 得治君
西村 関一君
山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣 赤間 文三君
政府委員
法務大臣官房司
法法制調査部長 川島 一郎君
法務省刑事局長 川井 英良君
法務省矯正局長 勝尾 鐐三君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 寺田 治郎君
最高裁判所事務
総局人事局長 矢崎 憲正君
最高裁判所事務
総局経理局長 岩野 徹君
最高裁判所事務
総局総務局第一
課長 大西 勝也君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
法務省刑事局総
務課長 伊藤 栄樹君
外務省条約局国
際協定課長 村上 謙君
—————————————
本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○公海に関する条約の実施に伴う海底電線等の損
壊行為の処罰に関する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(八海事件をめぐる刑務所行政に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/0
-
001・北條雋八
○委員長(北條雋八君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る五月十六日、秋山長造君及び北畠教真君が委員を辞任され、その補欠として佐野芳雄君及び丸茂重貞君が、五月十七日、丸茂重貞君及び林田正治君が委員を辞任され、その補欠として中山福藏君及び鈴木万平君が、五月十八日、佐野芳雄君が委員を辞任され、その補欠として秋山長造君が、また昨二十日、辻武寿君及び赤間文三君が委員を辞任され、その補欠として山田徹一君及び奥村悦造君が、それぞれ委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/1
-
002・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 次に、理事の補欠互選についておはかりいたします。
秋山理事及び山田理事が一時委員を辞任されたことに伴いまして、現在理事が二名欠員となっておりますので、この際理事の補欠互選を行ないたいと存じます。
互選は、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/2
-
003・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に秋山長造君及び山田徹一君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/3
-
004・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/4
-
005・秋山長造
○秋山長造君 相川の簡易裁判所を佐和田町に移されるわけですね。まあ、たとえば警察の駐在所を一つ移すにしても地域的にはずいぶん問題が起こるわけですが、この簡裁を相川から佐和田に移すわけですから、相当地元で問題があったと思うんですが、そういう問題は一切すっきり解決をした上で今回の改正ということになったのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/5
-
006・川島一郎
○政府委員(川島一郎君) 相川の簡易裁判所をこのたび佐和田町に移転することにいたしたわけでありますが、これにつきましては、地元の間での了解は完全にできております。
今回の移転は、もともと相川の簡易裁判所の庁舎が非常に古い建物でございまして、もうできてから約八十年経過しているという関係にありますので、これを建てかえなければならないという状況にあったわけでございますが、これを建てかえるにつきまして、現在の相川町は、相川簡易裁判所の管轄区域である佐渡の西側に位しておりまして、管轄区域全体の住民から見ますと不便であるということで、初めその佐渡のほぼ中央にございます佐和田町から、これを佐和田町に移転してもらいたいという陳情があったわけでございます。それは昭和三十四年のことでございますが、その後佐和田町以外の市町村もほとんどこれに同調いたしまして、昭和四十年には、相川町を除きます佐渡の管内の一市八町村各議会において、相川簡易裁判所を佐和田町に移してほしいという議決が行なわれたわけでございます。これに対しまして、相川町としては、従来裁判所が置かれておったことであるし、自分のところに置いておいてほしいということを言っておったわけでございますが、昨年に至りまして、新潟県当局のあっせんの結果、その庁舎を佐和田町に移転することに同意をするということになりまして、ここに地元の了解が完全に成立したわけでございます。その結果、このたびこういう移転を行なうということにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/6
-
007・秋山長造
○秋山長造君 いままであった相川町の庁舎と今度の佐和田町にできる庁舎との直線距離はどのくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/7
-
008・川島一郎
○政府委員(川島一郎君) 約十キロでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/8
-
009・秋山長造
○秋山長造君 今後もこの移転の是非をめぐって何か紛争が起こるとかあるいは何か問題が出てくるということも一切ない、もうきれいさっぱり何らの問題を残さずに解決したわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/9
-
010・川島一郎
○政府委員(川島一郎君) そのとおりでございます。先ほど申し上げましたように、管内の市町村全部が合意したわけでございますので、今後もこの点について問題が起こることはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/10
-
011・秋山長造
○秋山長造君 佐渡の島全体としては、裁判所と名のつくものはほかにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/11
-
012・川島一郎
○政府委員(川島一郎君) 相川簡易裁判所のほかには、新潟地方裁判所の相川支部というものがございますが、これは同じところに従来置かれておりまして、今回簡易裁判所を佐和田町に移転いたしますと同時に、この地方裁判所支部も佐和田町に移転することになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/12
-
013・秋山長造
○秋山長造君 この法律案の最後に、「公布の日から起算して一年をこえない範囲内において」云々と、こうあるのですが、この一年というのはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/13
-
014・川島一郎
○政府委員(川島一郎君) 今回の移転は、佐和田町に新しく庁舎をつくりまして、それが完成いたしましたときに移転するという予定にいたしておるわけでございます。そこで、佐和田町につくります庁舎が、これから建築いたしますので、大体ことしの末ごろに完成する予定でございますので、その時期にこの関係の改正を施行したい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/14
-
015・秋山長造
○秋山長造君 もう敷地の買収は終わっているのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/15
-
016・岩野徹
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) ただいまのところ、庁舎の敷地は佐和田町のほうも確保されておりまして、それの買収経費も計上されておりますので、しかもあき地でございますので、そこには直ちに設計が完了次第建築に着手することができる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/16
-
017・秋山長造
○秋山長造君 いまの、さっきもお話がありました、新潟地方裁判所の支部も一緒に移転するというお話でございましたが、私まあこういうことはしろうとなんですけれども、この地方裁判所の支部というのとそれから簡易裁判所というのとは、これはどう違って、どういう関係になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/17
-
018・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、地方裁判所というものは、御承知のとおり、大体府県に一つずつしかないわけでございます。そこで、新潟の場合でございますと、新潟にしかないわけでございます。しかし、佐渡から一々新潟へ来るのは不便だということで、その支部というものを、従来は相川でございますが、佐渡にも設けまして、そうして地方裁判所の事件でもその中の比較的簡単な事件はその支部でできる、こういうことになっておるわけでございます。簡易裁判所のほうはそれより下のランクのやさしい事件、これは全国に非常にたくさんあるわけでございます。端的に申しますと、簡易裁判所は五百幾つございますが、その中のおもなところ百数十に支部がある、こういうことになるわけでございます。この相川はちょうどそれに当たっておる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/18
-
019・秋山長造
○秋山長造君 一つ建物の中にあるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/19
-
020・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/20
-
021・秋山長造
○秋山長造君 下級裁判所というのはどういう意味ですか、これはまあ裁判所法か何かにあるのだろうと思うのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/21
-
022・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これはあるいは立法の問題でございますから法務省からお答えいただいたほうがよかったのかと存じますが、下級裁判所ということばは憲法の七十六条にございますので、そのことばをそのままとって裁判所法が使っておる、こういう関係になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/22
-
023・秋山長造
○秋山長造君 下級裁判所というのは昔からあることばですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/23
-
024・川島一郎
○政府委員(川島一郎君) 日本国憲法ができてからのことばでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/24
-
025・秋山長造
○秋山長造君 下級があれば上級があることになるんですけれども、上級裁判所というのは別にないんですね。最高裁判所ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/25
-
026・川島一郎
○政府委員(川島一郎君) そのとおりでございます。憲法七十六条には、最高裁判所及び法律で設置する下級裁判所というふうになっておりまして、最高裁判所以外の裁判所が下級裁判所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/26
-
027・秋山長造
○秋山長造君 この法案に関連してそこまでお尋ねするのもどうかと思うんですけれども、いい機会ですから、ちょっと常識的なことだろうけれども教えておいていただきたいと思う。いまの日本の裁判所は最高裁判所と下級裁判所とこう二つに分けるわけですね。その下級裁判所の中が高等裁判所、地方裁判所、それから簡易裁判所、家庭裁判所というように分かれることになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/27
-
028・川島一郎
○政府委員(川島一郎君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/28
-
029・秋山長造
○秋山長造君 高等裁判所というものがこの法律の上では下級裁判所というのもおかしなものですね。高等裁判所といったら、当然下級とは違うんでしょう。高等なほうでしょうけれども、それを下級裁判所というのは、どういういきさつでこういうことばを使うようになったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/29
-
030・川島一郎
○政府委員(川島一郎君) いきさつはよくわかりませんが、憲法では最高裁判所以外の裁判所はすべて下級裁判所ということになっておりますので、その中で幾つかの種類の裁判所を設けるということになるわけでございまして、昔は高等裁判所に相当するものは控訴院といっておったわけでございますが、新たに上には最高裁判所というふうなのができたわけでございますが、従来は大審院というのが一番上にあったわけでございます。それがいわば最高裁判所というふうに名前が変わったことになりますので、控訴院につきましても名前を変える必要があるということで高等裁判所というふうに名づけたものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/30
-
031・秋山長造
○秋山長造君 これは憲法できまっておることですから、いまここでいい悪い言ってみても始まらぬですけれども、しかし常識的な感覚にはちょっとぴんとこぬですね。下級裁判所の中が今度また、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所と、こう分かれるんですけれども、いわば高等、中等、下等と分かれるわけですね。下の中のまた上中と分かれる。そこで簡易裁判所ですが、簡易裁判所という名前は、もちろん比較的簡易な事件を扱う裁判所という意味ですか、それとも、一般民衆のほうから考えて気やすく事件を持っていけるという、まあ手続その他が簡易なという便宜、一般の民衆に——小さいのがたくさんあるわけですから、地域地域の住民に非常に直結しているというか、なじんでいるわけですね、そういう意味をあらわすことばなんですか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/31
-
032・川島一郎
○政府委員(川島一郎君) いろいろ考えようはあろうかと思うわけでございますが、裁判所法をつくりましたときの趣旨は、比較的軽微な事件を簡易迅速に取り扱うという趣旨から簡易裁判所とつけられたように聞いております。なお、この簡易裁判所というのは、昭和二十二年の裁判所法の制定によって初めて設けられたわけでございまして、全国に非常にたくさん設けられまして、民衆に親しみやすい裁判所をつくる、こういう趣旨があったわけでございます。そういった意味で、なるべく民衆に気やすく利用してもらうということをあらわしたいということで、こういう名称が選ばれたものというふうに見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/32
-
033・秋山長造
○秋山長造君 その簡易裁判所は全国に五百九十あるのですか、幾つあるのですか、正確な数字。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/33
-
034・川島一郎
○政府委員(川島一郎君) 五百七十でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/34
-
035・秋山長造
○秋山長造君 その五百七十からある簡易裁判所というものは、いまおっしゃったような効用を十分発揮しているのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/35
-
036・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これはいろいろな見方ができる問題であろうと思います。御承知のとおり、いま川島調査部長からお話のありましたとおり、当初に設けられましたときには、終戦直後の非常に混乱した時代でもあり、また交通その他の非常に不便な時代でございました。そこで、大体警察署一つないし二つぐらいを基準にして全国に設けるということで、非常に数多くのものが設けられたわけでございます。従来の区裁判所がありましたところは、むしろ先ほど申し上げました支部という形に大体なりまして、そしてそのほかにつまり数多くまんべんなく簡易裁判所を配置する、こういう考え方であったようでございます。しかしながら、それにつきまして、その後いろいろな面からそれに対する批判も出ておることは確かでございます。で一面では、簡易裁判所の手続をもっともっと簡易にして、ほんとうに国民がかけ込みやすいようにする、そういう方向でひとつ検討すべきだという御意見もございます。それから他面では、交通その他がだんだん便利になってまいりましたので、むしろ、そう数多く置くよりは、ある程度集約的に置いたほうがこれは便利な面もあるのじゃないか。端的に申し上げまして、東京都内のような場合でも、新宿簡裁というものがございますが、これは新宿の駅からはだいぶ離れておりまして、むしろそういう新宿簡裁に行くよりは日比谷へ来たほうが便利だという面も確かにあるわけでございます。ことに弁護士会などでは、弁護士さんのおいでにならない簡易裁判所というのがたくさんございますので、そういう点からも、一つの整理統合問題というのが出ておるわけでございます。これまた、御承知のとおり、先般内閣に設けられまして、ここにおいでになります亀田委員等もいろいろ御尽力いただきました調査会では、簡易裁判所の整理統合問題が一つ取り上げられておるわけでございます。ただ、むろん明確などういう形にという完全な答えが出ておるわけではございませんが、一つの方向が出ておるというような意味もあるわけでございます。そういう点いろいろ問題がございまして、一方では手続面から、一方ではそういう配置の面から、まあさらにはいろいろ裁判官の問題等も含めまして現在検討いたしておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/36
-
037・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、将来の方向としては、簡易裁判所は整理される、減っていく方向ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/37
-
038・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これまた、私どものほうの裁判所の立場とそれから内閣なり国会で政策としておきめになる立場とからむ問題でございますから、軽々には結論の出せない問題であると思います。私どもの立場といたしましては、少なくともこれ以上ふやす必要はないし、若干のものは地元の御了解も得ながら整理していく方向に行っていいのではないかというふうにいまのところ考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/38
-
039・秋山長造
○秋山長造君 これはまあ、最初は警察署でとぐらいに設けるという方針でやられたということなのですが、それは何ですか、民衆に対するサービスということが主なんですか、それとも警察署に対するサービスということが主なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/39
-
040・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 警察署一つまたは二つ単位ということを申しましたのは、そういう表現が従来使われておりますので、それを踏襲したわけでございますが、いまの秋山委員のようなお話の面からいきますと、あるいは適当でないかとも思います。これはあくまで民衆の便宜、国民の便宜ということでございます。つまり、警察署の一つないし二つ単位くらいに置けば国民に非常に便宜であろうということが中心であろうと思うのであります。警察の便宜ということが全然なかったわけではないと思いますが、主として国民が利用しやすいようにということが中心であったように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/40
-
041・秋山長造
○秋山長造君 たとえば、逮捕なんかやる場合に令状が要りますね。そのときに、警察署の隣にみな簡易裁判所があれば令状とるのにすぐとれるから、そういうことがあったのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/41
-
042・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) おそらくそういう要素も全然なかったわけではなかろうと思いますけれども、しかし、御承知のとおり、民事事件もやるわけでございますし、ことに調停事件というものも相当やるわけでございまして、そういう面では警察とは関係ないわけでございまして、交通も不便であるし、なるべくたくさん置く。それには、無制限に置けないから、大体警察一つか二つ単位に置けばいいかげんな数になるのではないかという考え方であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/42
-
043・秋山長造
○秋山長造君 簡裁には裁判官というものは何人おるのですか、大体一人くらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/43
-
044・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 簡易裁判所の裁判官の総定員は七百三十四名でございまして、現在若干の欠員がございますが、これは間もなく埋まりまして、大体七百人くらいと考えていただいてよろしいわけでございます。そして、いま申し上げましたように約五百七十ございますから、平均いたしますれば一庁に一人と、こういう計算になるわけでございますけれども、これは御承知のとおり、非常に大きな簡易裁判所、たとえば東京とか大阪というものがございます。で、東京の場合は、東京簡裁以外に新宿とか渋谷とか分散いたしておりますから、東京自体の定員は二十数名でございますが、大阪などではほとんど大阪簡易裁判所に集中しておりますために三十数名の定員ということになっております。そういう関係で、結局全部の裁判所になまに一人ずつ配置するということができませんで、いわゆる総合配置、すなわち二庁に一人、こういうような置き方をしておるところも若干あるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/44
-
045・秋山長造
○秋山長造君 二庁に一人といいますと、常駐していないわけですね。事件を持ち込まれた場合に出張していくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/45
-
046・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、常駐と申しますか、いずれにいたしましても非常に近接したところでございますから、官舎の都合で甲地に居住はしておる。しかし、大体はっきり事前に決定いたしまして、つまりAの裁判所には月水金に行くとか、それからBの裁判所には火木土に行くと、これをたてまえにすると、しかし臨時緊急の場合にはそれ以外の日にも行くと、こういうようなシステムでございます。したがって、常駐と申しますが、たまたま官舎がそちらにありますから、そちらが常駐のような形になりますが、これは両方の裁判所に常駐しておるというたてまえではあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/46
-
047・秋山長造
○秋山長造君 一口に裁判官と言いましても、最高裁の裁判官、高裁の裁判官、地裁の裁判官、さらに家庭裁判所の裁判官、簡裁の裁判官というように、だいぶランクがありますね。簡裁の裁判官というのは、やはり裁判官としては、これはこういうことばは適当でないと思うのですけれども、これは一人前の裁判官でしょうね。どうなんでしょう。やはりきちっと裁判官の資格を持った裁判官、判事という者がおるのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/47
-
048・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これはもう、もちろんん一人前の裁判官でございます。憲法にいわゆる裁判官でもございますし、また裁判所法にいわゆる裁判官でもあるわけでございます。ただ任用の資格の点で若干の特例のあるものがございます。いわゆる選考任用の簡易裁判所判事というものがございます。これがいわゆる特任判事と言われておりますけれども、しかしそれはただ任用の過程が違うということで、そういうものはきわめて例外的には判事にもあるわけでございますが、まあ判事のほうのそういうのはきわめて例外的なことでございますから、そういう意味で、簡裁判事だけがややいわゆるノルマルなコースと違う人がいると俗に言われるわけかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/48
-
049・秋山長造
○秋山長造君 その特任判事というのは、七百三十四名の総定員の中でどのくらいおるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/49
-
050・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 大体まあ半分強ということになろうかと思います。六対四、つまりいま申し上げました特別選考の方が大体六割程度、それから普通の判事補等からなってきますものが四割程度、大体概数はそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/50
-
051・秋山長造
○秋山長造君 一般利用者といいますかね、民衆の側からいいますと、そうすると何ですか、この自分の事件を、簡裁へ持ち込もうと、あるいは地裁支部へ持ち込もうと、あるいは地裁へ直接持ち込もうと、これは自由なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/51
-
052・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは基本的には、地方裁判所の管轄の事件、簡易裁判所の管轄の事件というものがきまっておるわけでございます。民事で申し上げますと、十万円というものを境にいたしまして、十万円以下のものは簡易裁判所、それから十万円をこえますものは地方裁判所、それからむろん行政事件等は地方裁判所でございます。それから本庁と支部の関係は、これはいわば内部的な事務分配ということでございますので、そう厳格な意味の権限の分配ではございませんが、まあ大体地理的に区分けされているということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/52
-
053・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、簡易裁判所の上級審というのは地方裁判所なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/53
-
054・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは民事事件と刑事事件で若干違っておりまして、民事事件のほうは、簡易裁判所の事件を控訴いたしますと地方裁判所に参りまして、それからそれを上告いたしますと高等裁判所へ行くわけでございます。そして、ただその高等裁判所の判決に対して特に憲法問題等について不服があります場合に、最終的に最高裁判所に行くと、こういうコースでございます。それに対しまして刑事事件のほうは、簡易裁判所の事件の控訴審が高等裁判所ということになっております。そして上告は最高裁判所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/54
-
055・秋山長造
○秋山長造君 それはどういう事情でそういうことになったのですか、民事と刑事とそういうふうに違うのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/55
-
056・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これも立法問題でございますので、あるいは法務省のほうからお話しいただいたほうがいいかとも思いますが、私どもの理解いたしておりますところでは、手続構造が若干違うわけでございます。民事事件につきましては、いわゆる続審という形がとられておりまして、簡易裁判所の事件の続きを控訴審でやると、こういうような形態になっておるわけでございます。それに対しまして刑事事件は、御承知のとおり、現在いわゆる起訴状一本主義ということで、まあ第一審の直接審理というものが非常に強化されておるわけでございます。そういう関係から、控訴審が——事後審と俗に呼んでおりますが、一種の法律審的な形態をとっておる。純然たる法律審ではございませんけれども、そういうような形態をとっておることから、その判例の統一をはかり、判例が非常に割れることを防ぐというようなことで、高等裁判所で集約的にやるというようなことが相当有力な理由のように承知しておるわけでございます。要するに、現在、民訴と刑訴、裁判所法等でそういうような制度がとられておるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/56
-
057・秋山長造
○秋山長造君 簡易裁判所の所長というものはあるのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/57
-
058・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは所長と俗称しても差しつかえないわけでございますが、法律的には所長ということばは使っておりませんでして、簡易裁判所において司法行政事務を掌理する裁判官と、こういうことになっておりまして、二人以上おります場合には、そのうち一人が司法行政事務を掌理する裁判官ということでございます。ただ、簡易裁判所は、どうも裁判所法の考え方は、独立の裁判所としましては比較的形の小さいものでございますから、地方裁判所の一つのかさの中に入っているような形になっているわけでございます。実質的には地方裁判所がその司法行政についてもめんどうを見ていく、ただ簡裁独自の問題はいまの司法行政事務掌理者がやると、こういうような構想になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/58
-
059・秋山長造
○秋山長造君 それから、この提案理由説明の中に、「相川簡易裁判所の庁舎は、近年著しく老朽し、改築を要する時期となっておりますところ、」と、こうあるわけですが、ずっと前、裁判所関係の予算の説明のときにも、ちょっと裁判所の庁舎の整備計画がなかなかこう思うように進捗せぬというようなお話があったと思うのですが、一体何ですか、全国の裁判所を概観して、あなたのほうで進めておられる施設の整備計画に基づいてやっておられるのでしょうけれでも、大体いまざっと進捗率何%ぐらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/59
-
060・岩野徹
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) ただいま、まあ時間をかけておりますと、だんだんその年一年ずつまた古くなっていくという状況がございますが、現在、昭和二十二年までに建てました建物を改築するのに、あと五年ないし七年ということで昭和二十二年までのものは全部改築できる予定でございます。その後——二十三年以後三十年までぐらいの建物の中には、戦後取り急いで建てましたために直ちに早急に改築しなければならない部分もございます。で、ひっくるめて申し上げますと、老朽の庁舎及び戦後のバラック関係の庁舎というようなものを改築するには、二十二年までで五年ないし七年でございますので、あと二、三年をプラスいたしますと戦後に急造した建物はほぼ改築できる予定でございます。ただ、物価の高騰その他がございますので、昭和四十三年度の営繕費関係の予算は、最高裁判所の敷地買収費を含めまして約四十億でございますが、このベースで物価スライドを加味した予算が計上されていきますと、五年ないし七年の間で一応の第一次の計画は終わる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/60
-
061・秋山長造
○秋山長造君 簡裁はこれ戦後の新しい裁判所ですからね、だから二十二年まではなかった。で、その建物設備というものは大体どういうものを使っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/61
-
062・岩野徹
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) 簡易裁判所につきましては、戦後木造モルタルが多うございますが、各地に建築してまいりまして、現在まだ借り上げ庁舎で仕事をしておるような状況の庁舎が十数カ庁残っております。これは、そのうちすでに四十三年度中にできますのが五カ庁ございますが、今後毎年二、三カ庁ないし数カ庁ずつは簡易裁判所の場合は新築をいたしていく状況でございます。もちろん、先ほど申しましたように、戦後の建物でございますので、三十年代までの間に建てられております簡易裁判所の建物は順次老朽、それもだめになっておりますので、改築をしていく予定ではございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/62
-
063・秋山長造
○秋山長造君 あの昔の区裁判所ですね、区裁判所のあとは大体地方裁判所の支所が入っておると思ったらいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/63
-
064・岩野徹
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) 昔の区裁判所の建物には全部簡易裁判所が同時に設置されておりますので、昔の区裁判所の建物の中には地方裁判所の支部と簡易裁判所と家庭裁判所の支部とが同居いたしております。それで、ただいま独立の簡易裁判所庁舎は戦後建ててまいったということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/64
-
065・秋山長造
○秋山長造君 もう一、二点承りますが、人事局長見えていますか。——ちょっとこの機会に、裁判所書記官というのがありますね。裁判所書記官というのと、それから裁判所事務官というのがありますね。これはどう違うんですかということと、それから、何か話に聞くと、書記官というのはなかなか資格なんかがきびしいようでして、なかなか俗に言う格が非常に高いんだそうですね。たとえば俸給なんかについても、特別調整額ですか、そういうものが相当ついている。まあ比較的裁判所の職員としては優遇されている。ところが、数から言うと事務官のほうが非常に多いんでしょうが、似たような仕事をしておると外部から見ると見えるんですけれども、にもかかわらず、事務官のほうはそういう特別調整額というようなものがついていないんで、給与の面等でも非常に低いようですね。それから一つは、書記官のほうはいずれ将来試験を受けて判事になるとか、あるいは何年かの実績があればそれで判事補かなんかいうようなものになれるとかいうような昇進の道が開けている。ところが事務官のほうは、これはもうどこまで行っても事務官で、上には一歩も行く道はないというようなことをよく聞くんですが、そこらの関係、それからあなたのほうとしては、そういう給与、身分、それからあるいは将来の昇進の見込みというようなことについて何かお考えがあれば承っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/65
-
066・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 大ざっぱに申し上げますと、裁判所書記官は公判の立ち会いというように裁判そのものに直接密接した仕事をしておるわけでございます。裁判所事務官は行政事務に関する事柄をいたしておるというのがまあ大ざっぱな分け方であるわけでございます。裁判所書記官につきまして俸給の特別調整額が支給されておりますことは、ただいま秋山委員からお話のありましたとおりでございます。これは要するに、裁判所法の改正に伴いまして、裁判所書記官が、裁判そのものに関する仕事をやっておるほかに、法令とか判例の調査等をいたしまして裁判官を補助する、そういう仕事をいたしております関係で特別調整というものがなされている、その関係で待遇がよろしいということになるわけでございます。一般の裁判所事務官といたしましては、これは職務内容が一般の政府職員のいわゆる行(一)の俸給表の適用を受ける職員の場合と対比いたしました場合に、裁判所書記官と比較しまして特殊性というものが比較的薄い、その関係で裁判所書記官とは別個の給与ということに相なっておるわけでございます。しかしながら、ただいま秋山委員からお話がございましたところによりますと、書記官と事務官とは将来の上に行く道が違うのじゃないかというような御心配をおっしゃっておいでになったわけでございますが、これはそうではございません。簡易裁判所判事になります者につきましては、書記官からも事務官からも平等にむずかしい試験を受けまして、その試験をパスしてなっているわけでございます。毎年簡易裁判所判事の特別選考というのがございまして、それには書記官からも事務官からも平等の機会が与えられてそれを受験するわけでございます。そして、それを受験いたしまして、その試験に合格いたしますと、今度はさらに簡易裁判所裁判官選考委員会の非常にむずかしい口述試問を受けました上で、大体受験者の一割程度が合格をするわけでございます。その比率からいたしますと、これはおのずから書記官のほうが若干、法律関係に日常接しております関係か、合格率は書記官のほうが率としては高いようでございますが、しかしながら、もとより事務官からも相当の数がパスしております。行く道としては、全く平等な道を通って簡易裁判所判事になっている、こういうふうに御了承いただいてけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/66
-
067・秋山長造
○秋山長造君 書記官から特別な試験を受けて判事になるということでありますが、そういう特別な試験を受けないで書記官という身分のままでいくとすれば、それはずっとのぼっていってどういう役になるのですか、書記官というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/67
-
068・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 簡易裁判所の試験でなくて、普通書記官として上に行くということになりますれば、高等裁判所にも地方裁判所にも家庭裁判所にも首席書記官というのがおります。その首席書記官が一番上のポストというように御理解いただいてもいいのじゃないかと思うのであります。それから事務官の一番上のポストと申しますのは、地方裁判所、家庭裁判所にこれは事務局長というのがございます。その事務局長が一般的に申しまして一番上のポストというように御了解いただいてもいいのじゃないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/68
-
069・秋山長造
○秋山長造君 失礼ですけれども、あなた方はどの身分なんですか、判事ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/69
-
070・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) これは私どもの総務局長のほうからお答え申し上げるべきことかもしれませんが、先ほどお話ございました下級裁判所の裁判官でございまして、それが人事局長に充てられているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/70
-
071・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、裁判所事務官というのは、もう最高が地方裁判所なり簡易裁判所の事務局長ということですね。もうそれ以上はないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/71
-
072・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) もちろん、最高裁判所の事務総局の中にも課長さんで、いわゆるただいまお話のございました裁判所事務官から最高裁判所の事務総局の課長におなりになっている方もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/72
-
073・秋山長造
○秋山長造君 地裁の事務局長というのは、これは事務官だけですか、書記官もなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/73
-
074・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 御承知のように、一人の人物で裁判所事務官でもあり書記官でもあるという者があるわけでございまして、書記官の実務経験を十分経た者が事務局長にもなるという場合は多々あるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/74
-
075・秋山長造
○秋山長造君 いいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/75
-
076・亀田得治
○亀田得治君 今度相川の簡易裁判所を移すわけですが、新しい裁判所の建設費用並びに敷地の獲得、これは全部寄付などはなしにまかなわれておるわけでしょうか。
それと、今度相川のほうがあくわけですが、それはどういうふうに処理されるか、その一点だけちょっとお伺いをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/76
-
077・岩野徹
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) 御指摘のとおり、地元の寄付は受けないで、全部裁判所に計上されました予算で処理する考えでございます。もちろん敷地及び庁舎建設費用ともに予算に計上されておりますが、宿舎費用等の関係ではそちらの予算で処理いたしますが、本年度間に合わなくて、あるいは来年度で処理する分も多少は残るかと思いますが、一切寄付は受けない考えでございます。
それから、旧相川町におきます庁舎及びその敷地は、これは裁判所としては一応不用になりますので、場合によっては交換財源に使いますか、そうでなければ財務局に引き継ぐということになる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/77
-
078・亀田得治
○亀田得治君 それから関連して聞いておきますが、古い庁舎を建てかえるということが順次行なわれておるわけですが、最も大きいのは最高裁の建てかえ、それから大阪等でも建てかえる、こうなっておるのですが、これは古い建物をこわしてしまうのか、あるいはやはりその当時の一つの建築というものを代表的なものは残していくのだという考え方がとられておるのか。私は、何も古い裁判所のいかめしい姿をいいというわけじゃないですけれども、しかしこれはやはり別の角度から検討する必要のある問題だと考えております。それは確かに不便ですから、そんなものは全部一掃して、新しい近代的なものをつくりあげたほうがいいのだということも、これは当然原則にはなろうと思いますが、どうもそれだけで全部処理してしまうということは、やはり多少間違っているのじゃないかというふうにも思うんです。これは何も裁判所だけじゃない、いろいろな建築物について言えるわけですが、裁判所としてはどういう考え方を持っておるのか、ちょっと関連して聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/78
-
079・岩野徹
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) 御指摘の点で、実は木造の建物は、もう明治十年代あるいは二十年代に建てられました建物は、ほとんどそれを長く保存するという、しかも使っていくということは非常に困難になっております。現在木造建物で、地方裁判所本庁の庁舎としましては、大津と前橋と浦和の三庁だけが残りになっております。したがいまして、甘の代表的な建物を残すということになりますと、いわば明治村等に持っていって、そういうものを保存していただくという方法を講じるほかはないかというふうに考えられます。
それからもう一点は、いま改築いたしていきます場合に、いままであります庁舎の敷地に改築せざるを得ない状況でございますので、その関係で旧庁舎は取りこわすのが大部分ございます。ただ、非常に例外的なケースといたしましては、奈良にございました慶安三年の建物は、これは文化財になっていたものでございますので、これは唐招提寺に移してその建物を保存するということをやったわけでございます。現に問題点になりますのは、れんが建ての建物かと思いますが、最高裁判所の現在の建物は、戦災を受けておりまして、しかもなお建築当初の姿とだいぶ変わった形になっておりますので、これは建築物としてはすでに当時設計された人の意図もほとんどなくなった形になっておりますので、建築物としてもそう惜しくない建物だということが建築家等によって言われておりますことと同時に、亀裂等も生じておりますし、周囲に地下鉄等が動くようになりましたために、敷地の強度等についてもある程度心配があるような状況でございますのと、東京では高等裁判所、地方裁判所等で相当広い面積の建物を建てなければなりませんし、場所的に他の場所に移すということも困難な事情がございますので、現在の最高裁の庁舎も取りこわさざるを得ないかと思います。それで、ただ札幌につきましては、これは現在の高裁の庁舎等をいわば代替地として提供して別の土地に建てようというふうに考えております。それから大阪の問題も、できるだけ裁判所としては、あの建物——大正年代の建物でございますが、これを保存することができるようにという意味で、庁舎建設の敷地の代替地を求めるためにずいぶん尽力いたしましたけれども、大阪高裁、地裁の合同庁舎を建てます新たなる敷地を入手することができなかったために、現在の敷地に建てざるを得ないという状況になっておるわけでございます。結局は、新たな敷地、裁判所を建設するにふさわしい新たな敷地が得られますと、そこへ建てることができるわけでございますが、結局は敷地の入手難とからみまして、場所によっては取りこわさざるを得ないという状況になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/79
-
080・亀田得治
○亀田得治君 あまり古い建物の保存というようなことは考えておられぬような印象だね。これは別個にひとつ論議すべき問題だと思いますが、私たちが社会主義国などを回ってみましても、その点は非常に違うのですね、資本主義国と。ともかく資本主義国においては、能率のあがらぬものはみんなこわしていく、こういうことがあらゆる面で行なわれておるわけですね。そういうことをやっていると、これは人間の気持ちまで破壊されてしまうわけで、よほど検討しなければいかぬです。それはベルリンあたりでも、非常な破壊されたところなんですが、あそこのベルリン・オペラなどでも、昔の状態を再現するために非常なやはり力を入れて金をかけているのですね。中はもちろん相当便利にしておるのでしょう。だから、いまここで結論を出すわけじゃありませんが、さっきから改築問題がよけい出ておるから、これは私の意見だけ申し上げておきます。古いものを残して、古い変な考え方で裁判をやってくれというのじゃなしに、これはもっと大きな目で検討しなければ私はいかぬ問題だと思っております。まあ意見にしておきます。
それから、関連しまして、前回お聞きした公務災害のことについて若干聞いておきたいと思うのです。裁判所職員の公務災害ですね。皆さんのほうからすでに資料はいただきまして、非常に詳しい資料でして、私も拝見しましたが、一応、全部についていろいろ質問する時間もありませんから、そのうちのおもな点ですね、特にこの東京地裁の二十一名の関係、この点に集約してお尋ねをしておきたいと思うんです。これを拝見しますとね、この番号で言うと三十七から五十七に当たるようですが、病気が発生してから、発病時から地裁が受理するまで非常に長い時間が経過しているんですね。たとえば三十八の人ですと三十六年の十月二十六日、それから四十四番の人ですと三十六年の四月二十日ですね、このときに発病していて、地方裁判所が受理をしたのが四十一年の十一月十四日と、これはちょっとあまりにも期間があき過ぎておるわけですね。受理などというものはもっと早くやってもらっていいんじゃないかというふうに思うんですが、これはどういうことなんでしょうか。ことに私がこの点、非常にこの部分だけが特におくれている印象を受けましたので、いろいろ調べてみますと、四十年の十一月末に地方裁判所に対してこの関係の諸君が上申書を出したようですね。そういう上申書を出して、まあ早く促進をしてくれということで出したのだと思いますが、それでもそれから一年経過してようやく四十一年十一月十四日になってその案件を受理した。これはあまりにもおそ過ぎるように思うんですが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/80
-
081・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) この発病年月日は、地裁におきまして本人がこの年月日ごろからこういうようないろいろな症状を呈してきたというように申し述べている年月日であるわけでございまして、実際のこの地裁からの最高裁に対する報告というものは、要するに定期健康診断——これは速記官、タイピスト等について特別に行なった定期健康診断でございますが、その結果に基づきまして、非常に症状が苦しいというように本人が言い、また医師のほうもそういうようにしばらく軽業につけたほうがいいだろうという者につきまして、地方裁判所のほうでそういうようにしようということに判定いたしまして、そうしてその上で最高裁判所に報告してきたということに相なるわけでございます。したがいまして、たとえば三十七年ごろに発病したというと、そのことが東京地裁で直ちにそれを取り上げてそして措置をしたということではございませんで、要するに東京地裁のほうで、本人の上申、それから医師の診断等に基づいて軽業なら軽業につけたと、そうしてそれについて報告があったというのがこの四十一年の十一月と、こういうように御理解いただければよろしいのではないかと存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/81
-
082・亀田得治
○亀田得治君 その三十七から以降ですね、発病年月日と受理年月日、非常な食い違いがあるものが出ておるわけですが、いまの説明ですと、それは本人がそのように主張する年月日であって、必ずしも裁判所がそれを知ったわけじゃないと、そういうことを申し立てを受けておるわけじゃないという意味にもとれるわけですが、それならば、この三十七番から以降で発病年月日の非常に古いものですね、こういうものについてはいつごろ裁判所が上申を受けたのかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/82
-
083・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 先ほど御説明申し上げましたように、要するに本人からそのような、たとえば斜角筋症候群というような疾病の申し出がございまして、そうして地方裁判所におきましてはそれに基づきましていろいろと診断書それから医師等について検討いたしまして、その上で最高裁のほうへ報告してくるわけでございます。で、その報告してまいりましたのが、四十一年十一月十四日に二十一人につきまして全部まとめて報告してまいったと、こういうことになるわけでございまして、これが最高裁判所として受理した年月日、こういうことに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/83
-
084・亀田得治
○亀田得治君 この受理というのは、最高裁のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/84
-
085・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/85
-
086・亀田得治
○亀田得治君 では、それはそれでよろしいがね、たとえば三十八番の一例をとってみますと、一体この人はいつ地方裁判所に対して自分の故障というものを訴えたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/86
-
087・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) この事案につきまして、東京地裁のほうでいつから調査を始めているかということについては、ただいまここに手持ちの資料がございませんので、しかと申し上げかねるわけではございますけれども、要するに、東京地裁のほうでこの本人につきまして調査いたしましてそうして最高裁のほうへ報告してまいったのが四十一年十一月十四日でございまして、で、ここに参っております書面、すなわち十一月十四日に東京地裁のほうから報告してまいった書面についております書類の中に、三十六年十月二十六日から悪かったという記載があるわけでございます。そういうような趣旨に御了承いただければと存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/87
-
088・亀田得治
○亀田得治君 四十年の十一月末に、早く受理してもらいたいという上申書がこの人たちから出ているのじゃないですか。これは地裁に出したのか、最高裁に出したのか、その点が私明らかにしませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/88
-
089・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 私のほうも、その書面が地裁に出たかどうか、つまびらかにいたしませんが、地裁のほうから報告があれば、最高裁判所では、それを却下するとか、受理を拒むとかいうことはないわけでございます。地裁のほうから報告があれば、そのまま最高裁のほうとしては受理するわけでございます。ですから、最高裁のほうといたしまして、その受理を拒むとか、いやがるというようなことは、もう手続上も全然ない、こういうように御承知いただければと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/89
-
090・亀田得治
○亀田得治君 私が調べたことでは、ともかくなかなか受理自体をしてくれないので、四十年十一月末に上申書を関係者が提出したというわけですね。ところが、それからでも受理自体をしてくれるのに約一年間かかっておることになるわけなんです。だから、どうもあまり受理したがらぬのじゃないか、そういうように感ずるわけですがね。そういうことはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/90
-
091・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) これはもう、報告があれば当然受理しなければならないものでございます。これを突き返すとか、日にちを故意に延ばすとかいうことは、全く行ないません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/91
-
092・亀田得治
○亀田得治君 私の言うのは、この受理というのは、あなたの言うのは最高裁の受理かもしらぬが、そうではなしに、地方裁判所なら地方裁判所がそういう進達を最高裁のほうにしようというようなことをあまり積極的にやってくれぬのじゃないかというように思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/92
-
093・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) それは、地裁のほうといたしましては、完全な、何といいますか、トンネルではないと思います。一応は、そのような職員から申し立てがありますと、その職員の病気の状況等につきまして調査をいたしまして、その調査につきましては、これはもちろんそれが徹底的にやれるかどうかということは全然別問題といたしまして、一応調査いたしまして、最高裁のほうに報告してまいる、こういうことになるわけでございます。したがいまして、本人から申し立てがあってから最高裁のほうに報告するまでに日時があるということは、考えられることだと存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/93
-
094・亀田得治
○亀田得治君 だから、その点ですがね、さっきから申し上げているのは。受理ということばの食い違いで多少手間がかかりました。本人が裁判所で皆と一緒に仕事をしているわけでして、そんなにいいかげんな申し立てばできるものではないですよ。みな知っているのですから、どういう状態かということは。それであれば、本人の申し立てがあって一年間もかからぬとその職場の長が最高裁のほうに取り次がぬというようなことは、私はちょっといけないと思うのですがね、そういうことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/94
-
095・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) たとえば、三十六年に発病したということが、これがそのとき申し立てがあったというわけではございませんので、要するにこの関係の書類について調査いたしませんと判然といたしませんが、東京地裁のほうに本人からそういう申し立てがあったというのは、これはこの発病後の年月日とは別なわけでございまして、そこのところに食い違いがあるのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/95
-
096・亀田得治
○亀田得治君 だから、私さっきから申し上げているのは、四十年十一月末に上申書を出しておるわけです、あまりにも受理をしてもらえぬので。出した先は地裁であるか最高裁であるか、ちょっとそこまで調べるのは抜かっておりましたが、いずれにしてもそういう意思表示を書面によってやっておるということは、それは私はもう、三十六年の十月二十六日のには、これはこだわりません。こだわらぬけれども、職場においてどういう人が、速記なりいろいろなことで腱鞘炎の疑いがあるとか、ぐあいが悪いとか、こういうことはおおよそわかってくるわけですよ。そうそんないいかげんなことは言えるものじゃないし、そういう状態になれば、それは遠からず意思表示を何らかの形でしておるはずなんですよ。三十六年十月二十六日よりはあるいは相当おくれておるかもしれぬ、最初の意思表示は。しかし、少なくとも文書では四十年十一月末にやっておるのです。それが、ずっと経過を見ますると、それから一年もたってようやく受理、これは私はおかしいと思うのです。こういうのは、もっと気軽く受け取ってやる。何も受理というものによって決定するわけじゃないでしょう。地裁の責任者がその書類を最高裁に取り次ぐ、これはもう形式的にあなたのほうは受け取ると、こう言っておるのでしょう。だから、地裁のほうが決意すれば、それは受理みたいなものですよ。だから、地裁の決意がおそ過ぎるじゃないかと。その判断する機関でもないものが、本人が支障があると言っておるのに、長いこと、これは上のほうに上げていいか悪いかということを、そんなことを検討しておるということは、私は適切じゃないと思うのですよ、これは。そういうことをするから、非常にこうおくれておるのです。これの受理が四十一年十一月十四日で、それから現在まだ最高裁の認定が出ておらぬわけでしょう。だから、非常な長期になっておるわけですね。受理後においても、最高裁でいまだに結論が出ない。これはどういう事情でこんなに長くかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/96
-
097・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 地裁のほうといたしまして、本人から申し立てがございますと、先ほど申し上げましたように、完全なトンネルではなくて、相当程度、その職務の繁閑、それから病状等について調べまして、そうして最高裁のほうへ送ってくる、こういうことになるわけでございまして、その手続等につきましてあまりに長くかかるようなものがあったとすれば、これはできるだけ早く手続が行なわれるようにいたしたいと存ずるわけでございますが、問題の、一体どうしてそんなにこの期間がかかるかという点についてが、一番むずかしい問題だろうと存ずるわけでございます。特に、この書癖の疑いとか、頸肩腕症候群とか、それから斜角筋症候群というような病気につきましては、非常にこれはむずかしい問題がございます。たとえて申し上げますと、頸肩腕障害ということで報告があったものにつきましても、同じ一人の人に対しまして、ある医師は斜角筋症候群というように診断いたしまして、それがまたある医師は、そうじゃない、頸椎椎間板ヘルニアであるというような診断にもなりますし、また同じ人に対しまして、頸椎変形性脊髄症とありますのが頸肩腕症候群というものに認定が変わったりいたしてまいるわけでございます。一つの疾病に対しましていろんな病名が付されておりまして、そしてその疾病が一体はたして公務に起因することが明らかなものであるかどうかということについて非常にむずかしい問題がございます。したがいまして、医学的に十分な資料を整えました上で専門医の意見を求めなければなりませんし、また職場環境とか勤務状況などにつきましても調査を行なわなければなりませんし、まあいろいろと頸肩腕症候群とか斜角筋症候群というものにつきましては全く頭を悩ましている。これがはっきり公務に起因しているものであるということが医学的に証明されますと、私ども非常にやりやすいわけなんでございますけれども、実情はそうでない、こういうことで、非常に頭を悩ましておるというのが現状であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/97
-
098・亀田得治
○亀田得治君 まあともかく、速記なり、タイプなり、こういう関係の方に障害の事実というものがこれは発生しているわけなんですね、発生しておる。そういう人たちは、そういう状態のままで、何かこう気分的にもすぐれない、そういう状態でずっとやっているわけですね。だから、早く私は結論を出して、その手当てができるようにしてやる義務があると思うんですよ。何も医学はこまかい微妙なことまですべてきちんと右から左割り出せるような状態になっておらぬわけでしょう、実際に社会的にいろんな公害なり起きましてもいろんな意見が出るんですから。ところが、そういうことと同じようなやり方で、実際に障害があって困っているのに、こまかい検討をされておるということは、どうも実情に沿わぬように思う。実際にそういう人たちはどうしておるかと聞きますと、やはり自分たちのわずかな給料の中から、はりとかきゅう、マッサージ、こういうものにやっぱり一回行くと五百円余り取られるようですよ。そういうことをやったり、あるいは人によっては治療器具を十万円ぐらいもかけて買っておる人もおるようです。ずいぶん金かけて、何とか公務障害の認定がおりるまで自分でやっておるわけですが、これは三十六年に発病した人から見れば、現在まだ未決定ですから八年ですね、足かけ八年になるんですよ。だから、こんなことは私はよくないと思うんですがね。そんなに公務障害の認定というものをそろっぽにやれということを私は申し上げるんじゃない。医学自体が微妙な問題になればいろいろな意見があるのですから、だからそういうことにやはりとらわれないで、実際に困っている人があったら、あなた、どんどんやはり、そのための予算を組まれておるわけですから、認定していったらいいと思うのですよ。それでは公務とは絶対関係がないのだというふうに断言できるならいいのですが、そうとも言えない。検討中検討中ということでこんなに長い間引きずられたら、これはちょっとだれが見てもぐあいが悪いと思いますがね。そろっぽなことで国の予算を使っていいという意味じゃないのですよ。そこを勘違いしないように。何が原因か知らぬが、ともかく裁判所でそういう特殊な仕事をやっている、その人が現に障害があるということさえはっきりすれば、ともかく疑わしいのは、やっぱりいいほうに解釈をして、本来病気であれば、支出する費用はどこから出すかは別として、病気であれば、ともかくなおしていかなきゃいかぬですから。どの費用でなおすかということは小さなことですよ、実際は。しかも、ずっとあなた、公務に携わって、そういう特殊な仕事というところからきているらしいということは、これはまた常識的にも思われるわけですからね。それを認定したからといって、どこからも私は文句は出てこぬと思うのですが、どうですかね、これ。あまり何か民事、刑事の裁判で争っているような、こまかいも
のごとの究明をなさっているように思いますが、どうでしょうか、人事局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/98
-
099・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) これは亀田委員のおっしゃるとおりでございまして、私どもといたしましても、何年間も速記とかタイプの作業に従事しております裁判所職員のことでもございますし、できるだけ職員に有利な扱いをしたい、こういうふうに思っております。がしかし、亀田委員御承知のとおりでございますけれども、四肢障害といたしましては、書痙、そのほかに腱鞘炎、頸肩腕症候群、斜角筋症候群、キーパンチャー病等があるわけでございます。その中で、人事院規則で、四肢のけいれん及び書痙は、これは反証がない限り公務上の災害として扱うということに取り扱われておるわけでございますが、書痙以外の頸肩腕症候群等につきましては、やはり公務に起因することが明らかに認められる疾病であるかどうかということが十分審査されなければならない。言いかえますと、公務との間に相当の因果関係が認められる場合に、初めて公務災害と認めるというような法律のたてまえになっているわけでございます。亀田委員の御指摘のとおり、何とか有利に扱いたいと、こう思うわけでもございます。これは職員の考えも無理からぬことと思うわけでございますけれども、それかと申しまして、思い切って大岡裁判というわけにもこれはまいらないわけでございます。もちろん、これは裁判ではございませんので、裁判と同じように緻密に考えなくてもいいじゃないかという御指摘でございますけれども、どうもやはり、法律のたてまえ等を考えますと、なかなか大岡裁判には踏み切れない、やはり、法律の解釈について十分検討をして、その上で慎重に認定しなければならない、こういうようにならざるを得ないわけでございます。しかしながら、亀田委員の御指摘のように、何ぶん職員のことでもございますし、この点は十分慎重に検討いたしたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/99
-
100・亀田得治
○亀田得治君 国家公務員の災害補償法などを拝見しても、ともかく迅速に処理しなきゃいかぬ、迅速に公平に、そういうことも指摘しておる。これは当然なことでしょう。また人事院規則でも、所属の長はできるだけ事務的に早く上に上げてくるようにという注意もあるわけですね。下のほうで押えておったら何にもならぬですから。私は職場を明朗にする意味において、非常に大事なことだと思うのです。そんな職員に関係のないことを、へ理屈をつけていろいろなことをできるものじゃないですよ。私が最初申し上げたように、みんな衆人環視の中でやっているのですから。だからもし、規則等において、あるいは標準をきめておるそういう規則等においてまずい点があれば、それをもっと変えてもらうようにするなり、だからともかくこういうヘビのなま殺しのような状態で七年も八年も引っぱっておくということは、これは私はよくないと思うのです。だから、その点をひとつ何とかもっとできませんかね。規則に何か多少不備な点があるようなことを言われましたがね。早く認定するについて、大まかに認定するについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/100
-
101・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 規則に不備があるというように申し上げているわけでは決してないのでございまして、要するに、その疾病と公務との間に相当因果関係があるかどうかを認めることが非常にむずかしいんだという苦衷を亀田委員に訴えたわけでございます。要するに、同じ人に対しまして、あるいは書痙の疑いという診断があったかと思うと、頸椎変形性脊髄症、またそれに対して頸肩腕症候群というような診断が出てまいりまして、それがやはり公務との間に相当因果関係があるかどうかということになりますと、何ぶんわれわれしろうとでございますし、医学上の診断というものを重んじてきめていかなければならない。そういうことになりますと、なかなかそこにむずかしくて時間がかかって、申しわけないと考えているわけでございます。しかし、もちろん、亀田委員御指摘のとおり、できるだけこれは早く促進して結論を出さねばならないというように存じてはいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/101
-
102・亀田得治
○亀田得治君 それは医者によって症状についての見方の違いというものがあるんでしょうが、しかしそういう症状のあること自体ははっきりしておるわけですからね。それで本人が不愉快な状態で仕事を続けておるわけですからね。それは医者の名前のつけ方によって、取り上げられたり、上げられなかったり、そういうことはちょっとぐあいが悪いと思うのですがね。その医者なんかも、これはどうなんですか。いろんな人が見ると、二つ出る、結論の違ったやつが。そのいいほうをとってやっていいんじゃないですか、いいほうを。障害の事実があるということにもっと重きを置いて考えてやってほしいということですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/102
-
103・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 亀田委員のおっしゃること十分によくわかるんでございますけれども、病気とそれから公務との間にやはり因果関係がなければならない。それは大岡裁判に踏み切るか踏み切らないかなかなかむずかしゅうございまして、法律にきちんと定められておりますと、なかなかそうはまいらない、そこで非常に困るんだ。しかしながら、できるだけ早くどちらかに結論をつけなければならないというように存じてはいるわけでございます。で、ある医師からこうという結論が出てきたという場合に、その医師の言うことだけを取り上げるわけにもいかない。そうなりますと、私ども組合の人たちにもよく言うのでございますけれども、われわれが病気になって、そしてここのお医者さん、あるいはここの病院ならば、入って手術を受けたって何したって、まあかりに悪い結果が出たって満足できるというような、病院のお医者さんの診断ということもやはり重んじなきゃいかんのじゃなかろうか。そういうような立場から考えてまいりますと、必ずしも、こうという結論が出た、その一人だけのお医者さんの御意見に従うわけにもいかない。そこのところに非常にむずかしいところがあるのでございまして、亀田委員の御指摘並びに御意見、これは十分わかるのでございますけれども、私どものほうにもそういうむずかしい問題があるが、鋭意やっているということは御理解いただければと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/103
-
104・亀田得治
○亀田得治君 最高裁では、何か病院を三つくらいにきめているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/104
-
105・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 必ずしもそうではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、できるだけ社会的にも一般の人からもここの病院のお医者さんならというようなお医者さんにお願いして、その症状について判断していただくというような方針はとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/105
-
106・亀田得治
○亀田得治君 それは最高裁のほうは、そういう医学的なことについてこれはしろうとなんですからね。しろうとの人が、あなた、ここの病院ならというのは、それはおかしいですわ。それはあなた、病院を構成しているのは一人一人の医者の腕ですからね、広告だけであなたわかるものじゃないですよ。全然無名の人がイタイイタイ病をああいうふうにしてちゃんと研究され、突きとめるという場合もありますしね。それはあなた、そんなこと言うのは、三つの病院ということを私は聞いているのだけれども、それ以外の医者に対するそれは侮辱ですわ、あなた、実際のところ。医者がうその診断をすれば、それ相当の処置があるわけですからね。だから、私はやはりそれは平等に見なければいかぬと思うのですよ、平等に、どこから来ても。やはりこういう職業病というものについて、こういうことが何とかたとえ一人といえども早くなくしていかなけれどならぬというような熱意を持っている人ですと、それはまた独特な注意力を持って研究しますからね、一般の医者にもわからないようなやはり業績も出てくると思うのですよ。たとえば、あなた、ああいうイタイイタイ病なんか一つの例。あるいはまた、農薬の被害の問題などは、やはり特殊な長野県の佐久の病院の病院長なんかが非常に研究して、現在では非常な権威とされておりますがね。そういうものなんですからね。だから、しろうとが、これとこれとの病院と、それ以外だめだ、これではやはり患者は納得いかぬわけです。ある一つの、三つ以外のところにかかっておって、そうしてこの先生からはこういうふうに言われて本人が納得している——りっぱな医者は病人も納得させますわいな。そういうものは相手にもせぬというようなところがどうもあるらしいしね。そんなあまりかたいこと言わずに、専門家がぴちっとやってきたら、なるほどこれはよく調べてくれたというふうにあなた感謝する気持ちで、それを予算の上にちゃんとはめて、そうして早くあなた手当てしてやるというのが、私は最高裁のあり方やと思うんですがね。この診断書がずいぶんもめているようですがね。診断書についても、もっとゆとりある考えを私は持つべきだと思うのですよ。そうせぬと、三つの病院と最高裁が何か通じておってね、もう予算があまり少なくなる場合にはもっと厳重にしてくれとか、そういう印象を与えることは、はなはだまずい。これは専門家ですから、うそのことをやれば処罰されるのですから。だから、そういう点も運営上どうもこだわり過ぎているように思うのですが、ともかくもっと早くやってやってくださいよ。これはできませんかいな。それはさっきから、御意見は大体了解してくれるというのだが、どうも結論が、そう大岡裁判のようにいかぬのでと最後にはおっしゃるのですが、どうですかね、この点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/106
-
107・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 亀田委員から、三つの病院に限るべきじゃない、やはりこれはだれかそういうような、たとえば本人に有利な診断があった場合には、一番それを考えてやるべきじゃなかろうかという御趣旨のお話でございます。なるほどそういうようにいければまことに私どももやりやすいのでございますが、どうも何と申しますか、なかなかそこまで踏み切りにくいものがございまして、しかしながら、そう病院というものを限定しているつもりは全然ないわけでございますけれども、かりにそういう点について何か親切でないじゃないかというような疑いがもしあるといたしますれば、また別のしかるべき十分権威のある病院の医師にお願いして、またそれについての判断を求めるということもいたしてみたいと思いますが、要するに、できるだけ亀田委員の御趣旨もくみまして、早く処理していきたい、こう存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/107
-
108・亀田得治
○亀田得治君 それはまあひとつそういうふうにやってやってくださいよ。三病院以外においても熱心に研究している、これはこういうことだと。それに疑いがあれば、その医者に来てもらって説明聞いたらいいでしょう。初めからそんなものは相手にせぬというようなことじゃ、病人は納得しませんわね。
それから、お出しになったこの資料を見ますと、昭和四十三年度の公務災害補償費の予算が書いてありませんが、私調べたところによると二百七十九万ですね。昨年より非常に減っておるわけです。これはどうしてこういうことになるんですか。一方ではそういう懸案のものがあるのに、前年度よりも百七十五万も予算が減る。説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/108
-
109・岩野徹
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) 御説明申し上げます。
公務災害関係の予算は、いわゆる人件費に対してあるパーセントをかけて出していくということになっておりますので、そのパーセントをかけて出した金額でございます。で、一応幾ら幾らあるという実績を積み重ねた上で組んで出すという金額でない取り扱いでございます。したがって、その年度に予算に盛りました以上の公務災害が発生しました場合には、これは補充費と申しますか、予備費からもらってこれる費目に当たるものでございますので、計上されております金額には特に意味がないというふうにお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/109
-
110・亀田得治
○亀田得治君 それでも、前年度百八万の不用額が出ておるわけですね。こういうことがやはり響いているのじゃないですか、響かぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/110
-
111・岩野徹
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) それは不用額とは関係ございませんので、その年に計上する人件費の何%といいますか、非常に最近は昔に比べてその率がだんだん低下いたしておりますが、一応各省庁統一的な比率によって計上されている金額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/111
-
112・亀田得治
○亀田得治君 それじゃ、認定機関において公務災害を認定すれば、それに必要なものは全部予備費から出るたてまえになっておるということですか。従来予備費から出したことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/112
-
113・岩野徹
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) 従前は予備費から出したことはございません。というのは、残額が毎年毎年出ておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/113
-
114・亀田得治
○亀田得治君 それは、認定がおくれるからそういうことになるのでしょう。各省ともそうですが。何か裁判所だけ特におそいように聞くのですがね。ほかの庁でもああいう腱鞘炎などあるわけですが、もっと早く認定しているように聞くのですが、どうも裁判所というところは、障害の現実はあっても、それと公務との関係、相当因果関係だとかなんとかいうことを言うて、何かどうもおそいように聞くのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/114
-
115・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 公務災害補償一般に対しましては非常に早く認定いたしているのが実際でございますけれども、ただ頸肩腕症候群とか斜角筋症候群というものにつきましては、非常にむずかしい問題がある関係でおそくなっているのが実情でございます。御指摘のように、できるだけ早くいたしたい、こう存じているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/115
-
116・亀田得治
○亀田得治君 それじゃもう一つ聞いておきますが、下部の職場においていろいろな公務災害に関する疑いがあるといった場合に、それらがすぐ所属長において取り上げられるような機構、何かそういう機構というものはできているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/116
-
117・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) これは、各庁におきまして人事課がございまして、その人事課で職員の健康管理についての仕事を行なっているわけでございます。したがいまして、職員からそういう申し出がありまして、そうして調査をしてもらいたいというような希望がありますれば、もちろんその課が所管課になりまして、いろいろ調査をすみやかにしている。しかしながら、先ほど御指摘がありましたように、職務の環境等についても、また職務の内容等についても、いろいろと調査をすることに相なりますので、所管の課といたしましてはもちろんあるわけでございまして、一生懸命やっているわけでございますけれども、若干日にちがおくれるということもあろうかと存じます。できるだけすみやかに調査を進めていくように指導はいたしたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/117
-
118・亀田得治
○亀田得治君 いや、私のお聞きするのは、たとえばそういう健康問題についての職場の懇談会というようなものを定期に開くということであれば、非常に問題を出しやすいのですね。そういうふうになっているのか、それとも、そういう懇談会とか、委員会とか、そんなものは一切やらないで、ともかく本人が言うてきたらそれを調べる、そういうことになっているのか、どちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/118
-
119・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) これは定時の健康診断というものを行なっているわけでございます。たとえて申しますと、東京地裁にいたしますと、四十一年度では、速記官とかタイピスト、そういうような仕事に従事する者については、第一次検査、第二次検査を行ないまして——検査というのは、ここで申し上げると非常に詳細なものにわたりますので、説明は省かしていただきますけれども、非常に詳細な検査をいたしているわけでございます。四十二年度にも、定時の健康診断をいたしまして、予備調査としましては、CMI、それから自覚症状調査というものをやりまして、その次に第一次検査といたしまして、問診、それから体位変換による血圧の測定、それからエルゴグラフ、それから臨床検査をいたしまして、それからまた第二次にはもっとむずかしい検査をいたしまして、その検査に基づいて出てきたデーターについて、もちろん本人の意見も聞くし、本人の述べることも十分聞いて調査して、そして人事局のほうでそれを十分に検討するというような扱いにいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/119
-
120・亀田得治
○亀田得治君 だから、そういうのは裁判所側から行なう検査ですね、裁判所側として。そうじゃなしに、私の聞いておるのは、年一回とかそういうことじゃなしに、健康問題について気軽に申し出ることができるというふうな機構が私は必要だと思うんですよ、年に一回起こるものじゃないんですから。だから、たとえば速記官とか、タイプとか、特にいろんな障害の起きやすい職場などについては、特にそういうことを配慮すべきだと思うのです。そうすれば、早期にやはりわかるわけですよ、早期に。そういうふうなことは一切しない、自分のほうから調べる、それで発見したらその際に問題にしていく、あるいはまた本人から特別な申し出が来たらそれを問題にしていく、その二つですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/120
-
121・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 制度としてそういうようないわゆる話し合いの機会というものをつくっていないということは、そのとおりでございますけれども、しかしながら、いまの職員は、やはり仕事の面でかりに自分に身体上の異常ができたというような場合に、黙っているようなことはないわけでございまして、これはやはり気軽に人事課のほうへ申し出るなり、あるいはタイプとすれば、そのタイプを全部管理している——管理といっても、上に立って押えつけているというような役じゃございません、十分めんどうを見ているという上の役がございます。そういう人を通じて所管の人事課なら人事課にそういう申し出を取り次ぐということは、これは気軽に行なわれているわけでございまして、決して定期健康診断でなければ取り上げないんだというようなものではないわけでございます。ただ、制度としてはそういうものはつくっておらない。実際は気軽に行なわれているのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/121
-
122・亀田得治
○亀田得治君 まあその辺のくふうももう少ししたほうがいいように思いますがね、大体こう見当がつくわけですからね。わずかの時間でいいわけですから、みんな集まったところで気軽に話をこっちから出す。自分からはなかなか出しにくいものですよ。局長は、いやそうじゃない、近ごろの若い者はなかなか遠慮しないで出すとおっしゃいますけれども、それは必ずしもそうばかりでもないんですから、やはり一番大事なことですからくふうが必要だと思うんですよ。そういうふうになれば、かえって過剰に申し立てるということは、逆に私は当然これはなくなるし、大体過剰なんというものはあり得ない、最初に言うたとおり、みんなが見ている中でやるんですから。その精神を忘れぬようにしてやってもらわぬといかぬ、これは認定自体も。だから、ぜひ、懸案になって残っているやつは、これはあなた、二、三カ月内にひとつ結論を出してくださいよ。幾ら考えたってそんなものは出ませんわ、いままでの話を聞いていると。どうも別な人に言わせるとまた別な意見を言うかもしれぬし、そんなものに引きずられないで、ともかく障害があれば、国民皆保険というておるんですから、本来あなた、どの予算、どの経費で使うか、そんなことはたいしたことではないんですからね。みんな健康体に早くしてあげるという精神をもって気軽にやってほしいと思います。お願いしておきます、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/122
-
123・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/123
-
124・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/124
-
125・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/125
-
126・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/126
-
127・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/127
-
128・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 公海に関する条約の実施に伴う海底電線等の損壊行為の処罰に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/128
-
129・亀田得治
○亀田得治君 ちょっと簡単に二、三点お尋ねしておきます。
この既存の海底電信線保護万国連合条約罰則、これとそれから今回の法律の罰則の対象ですね、これはどう違うのですか、同じじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/129
-
130・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 御指摘のように、似たような構成要件を持ちます海底電信線保護万国連合条約罰則というのがすでにございまして、その意味でただいまお尋ねのような御疑念が出るかと思います。
まず、両方の違いを申し上げますと、連合条約罰則のほうは、海底電信線保護万国連合条約に基づきまして、その実施のためにつくられております罰則規定でございます。ただいま御審議をいただいております法律案のはうは、別の条約、すなわち公海に関する条約の実施に伴って必要とされるものでございます。まず形式論からいくと、そういうことであります。
さて、今度は罰則で担保しようとします保護の客体と申しますか、守ろうとします物体を見てみますと、連合条約罰則のほうは、海底電信線のうちその一端が連合条約加盟国に陸揚げされておるものに限られるわけであります。これに対して、このたびの法案の罰則の対象になりますものは、およそすべての海底電信線、電話線、それから海底高圧電線、それと海底パイプライン、これらのものが対象になるわけであります。そうして、この連合条約罰則と公海に関する条約の当該部分との性質の差を見てみますと、連合条約のほうは海底電信線に関する規制の基本条約で、公海に関する条約の当該部分はこれの補充規定である。それを受けまして、連合条約罰則のほうは海底電信線の保護に関する基本法でございます。これを補充するものとして、ただいま御審議いただいておる法案を作成しておるわけでございます。以上の関係になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/130
-
131・亀田得治
○亀田得治君 海底電信線に限って言うと、これは同じものですか、対象は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/131
-
132・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) たいへんわかりやすく御説明申しますと、先ほど申しましたように、海底電信線のうちで連合条約に加盟している国に端っこがつながっておりますものは、連合条約の適用があるわけでございます。たとえば、日本からアメリカへつながっておる海底ケーブルがございます。これは、日本もアメリカも万国連合条約に加盟しておりますから、連合条約の対象となり、かつ連合条約罰則の対象になるわけでございます。これに反して、たとえばデンマークとオランダとの間に引かれておる海底電線を見ますと、このデンマーク、オランダ両国はいずれも連合条約に加盟しておりませんから、そこで連合条約の適用がなく、連合条約罰則の適用がない。そういうものにつきましては、このたびの公海条約の実施に関する法律の適用だけがあると、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/132
-
133・亀田得治
○亀田得治君 連合条約罰則の適用対象というのと、それから今回の罰則の適用対象というのと、これは距離で言いますとどの程度になるんですか、比率は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/133
-
134・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) およそ公海に布設されておる海底電信線の長さというものをすべてはかった資料がございませんので、ちょっと長さで申し上げるわけにはまいりませんが、たとえばわが国から出ておる海底電信線だけをとって見ますと、わが国から出ておるものといたしましては、アメリカに出ておるものとソビエトに出ておるものと二つしかないわけで、これはいずれも、わが国が連合条約の加盟国でございますから、連合条約罰則の適用がございます。したがって、わかりやすく言いますと、先ほど申しましたデンマークとオランダとの間の海底電線を日本人が切ったというような場合には、ただいま御審議いただいておる法律の適用があると、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/134
-
135・亀田得治
○亀田得治君 まあ、その辺わかりましたが、そこで、連合条約の場合と今度の場合と、構成要件が若干違いますね。これはなぜこういうことになったんですか。構成要件並びに罰則ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/135
-
136・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 御指摘のように、海底電信線の部分を見てみますと、御審議いただいております法案のほうは、「海底電線を損壊して電気通信を妨害した」ということが構成要件になっております。それから連合条約罰則のほうは、「海底電信線ヲ損壊シテ通信を障碍シ又ハ障碍スヘキ危険ヲ生セシメタル」ことが構成要件となっておりますが、結論から申しますと、同一のことを書いておるものと解釈されるのでございます。と申しますのは、何ぶん連合条約罰則のほうは大正五年の法律でございまして、そこにございます「損壊シテ通信ヲ障碍シ」というのは、障害の結果が現実に生じた場合のことを言っており、それから「障碍スヘキ危険ヲ生セシメタ」ということは、この通信を途絶するというような具体的な危険が生じた、たまたまそのときは通信が行なわれていなかったけれども、通信を行なおうとすれば行なえないというような状態を作出したという、そういう具体的危険性の発生した場合を書いておる大正五年当時の条文の書き方であったと解されるわけでございますが、そういうような具体的危険性を含めた事柄を現行法の他の立法例にならって書きますと、「損壊して電気通信を妨害した」、これだけで足りるということでございまして、それでそのように書いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/136
-
137・亀田得治
○亀田得治君 まあ、「妨害」という中に「障碍スヘキ危険」も含む、こういう理由のようですね。そうすると、構成要件も同じ、また対象物も、いかなる条約によるかということの違いはあっても、対象物そのものは同じというのでありますが、連合条約のほうは七年で、今回のやつは五年となっているのですが、これはどういうことからこういう違いが出てくるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/137
-
138・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) ただいま御指摘のように、現在施行されております連合条約罰則の法定刑は、体刑について見ますと、懲役七年以下となっております。そこで、ただいま御審議いただいております法律案が成立いたしますと、両者の間にアンバランスが生ずるわけでございます。そこで、さようなアンバランスを是正いたしますために、このたびの法案の附則の第二項におきまして、連合条約罰則の法定刑を御審議いただいております法律案の法定刑に一致せしめる措置をとっております。こういたしますると、このような海底電線に対する国内法でございます公衆電気通信法の罰則、それらともすべて平仄が合う、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/138
-
139・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、連合条約罰則が修正されたわけですね。
こういう罰則自体をどれくらいにするかということは、これは条約締結の際に何か了解事項でもあることなんでしょうか、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/139
-
140・村上謙
○説明員(村上謙君) 外務省のほうからお答えさせていただきます。
この条約を採択いたしました海洋法会議では、量刑の問題についてはどのくらいのことにしたらよいかというような議論はございませんでした。この海洋法会議におきましては、連合条約、すなわち一八八四年条約のそのままの規定をこの公海条約に取り入れたというような経緯になっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/140
-
141・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、まあ各国自由だということのようですが、大体各国ともこの程度の罰則ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/141
-
142・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 事柄がたいへん特殊な犯罪に対する刑罰でございまして、それぞれの国におきまして特別の立法をしておりますために、すべての国について詳細な立法例を調べることはできませんでしたが、調べた範囲において申し上げますと、たとえば連合王国、すなわち、イギリスにおきましては、故意犯について五年以下の懲役あるいは罰金というようにきめておりますし、それからフランスにおきましては、三月以上五年以下の懲役及び罰金が若干付加されるようでございますが、そういうようになっております。なお、米国におきましては二年以下の懲役というようなことで、おおむねその程度の刑を持っておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/142
-
143・亀田得治
○亀田得治君 従来、こういうことにひっかかって処罰されたような例は相当あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/143
-
144・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 先ほど来御指摘の海底電信線保護万国連合条約罰則は大正五年にできておりますが、それ以後今日までこの罰則で処罰された者はないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/144
-
145・亀田得治
○亀田得治君 まあ、ないものをあまりやってもしかたないから、この程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/145
-
146・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 一点だけ伺いたいんですけれども、海上じゃなく海底なんですね。そうすると、法律の管轄の問題といいますか、これはどういうふうに考えたらいいんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/146
-
147・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 一つの海底電線を見てみますと、たとえば日本の国から出ておりますもので申しますと、潮ノ岬から出まして三マイルの領海の地点を過ぎて、それで公海へずっと入って、末はアメリカまで続いておるわけでございますが、その領海内で犯罪が行なわれました場合には公衆電気通信法で処罰をいたします。公海の上で行なわれますと、連合条約罰則というので処罰をするということになっておるわけでございます。そこで、こういった罰則につきましては、何しろ保護の対象が公海に布設されておる電線でございますから、世界じゅうどこでだれが犯罪を犯しましても、抽象的には日本で裁判ができるというたてまえになっております。もっとも、外国船に乗っておる外国人がどっかとても遠いところでそれを切ったというような場合に、はたして日本がそれに対して裁判権を行使するのが妥当かどうかという問題はございますけれども、法律のたてまえとしては、ただいま申し上げますように、世界じゅうどの地域で損壊行為が行なわれましても、処罰されるというたてまえになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/147
-
148・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 裁判上の管轄というふうなことはどういうふうになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/148
-
149・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) ただいま申しますように、日本の刑罰法令と申しますのは、まず第一に原則として領海を含めまして日本国内で犯された場合に適用される。もう一つの原則は、日本人が犯した場合に適用される。その例外補充といたしまして、日本の船舶と申しますのは、日本の領土と同じに見られますから、日本の船舶が何か事故を起こしたというような場合には、日本国内で犯されたと同じような扱いを受けるわけでございます。その二つの原則の例外として、たとえばにせ金づくりでございますとか、非常に凶悪な犯罪でございますとかいうようなものは、世界の各国がだれが犯してもこれを処罰しようという気持ちで意思を同じくしておるものがあるわけでございます。そういうものにつきましては、たとえば外国人が外国で犯しましても、日本の裁判所で裁判ができるというたてまえになっておるわけでございます。ちょうどこの御審議いただいております法案で担保しようとしておりますような行為は、世界じゅうの国が条約で、だれがどこでこういうことをやっても悪いことだと、処罰すべきことだというふうにきめておる事柄でございますので、日本の裁判所で、外国人が外国で、あるいは公海で犯したことにつきまして、処罰をするということも可能でございます。ただ、もちろん、その犯罪を犯しました外国人が外国におります場合に、わが国の官憲が外国に乗り込んでその者を日本に連れてくるというわけにはまいりませんから、そういう意味で現実の裁判はできない場合が非常に多うございますけれども、たまたま何かの都合でその外国人が日本にやってきたというような場合を想定しますと、まあ観念論でございますが、日本の裁判所で裁判ができるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/149
-
150・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 そうすると、管轄権といいますか、これは複数的に競合しておると、こういうように考えていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/150
-
151・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) このような犯罪につきましては、世界じゅうの国の管轄権が競合しておるというふうに考えていただいてよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/151
-
152・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと一、二点。いまの実例がないのですから、いろんなこと言うても架空のことになるのですが、何ぶん海の底を通っておるわけですから、かりにどっかでこれ切れたとしても、だれがいつ切ったか、なかなか証拠がつかめぬ場合が多いのではないかと思うのです。いわんや、日本の警察や検察庁が船に乗ってついて回るわけにもまいらないし、アフリカの沖のほうのどっかでたまたま切った、そういうふうな事実関係はどうなるのですか。どっかの利害関係国から何か通告でもあって、それに基づいて捜査を始めるのですか、どういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/152
-
153・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 仮定の議論になりますのですが、それぞれ海底電線等につきましては持ち主があるわけでございます。そこで、それが切断をされたり、その他障害を受けますと、すぐに通信なら通信に障害を生じますから、いたんだということはすぐわかります。その場合に、どうもあの船がその近所を通っておったから、あの船のしわざではなかろうかというようなことになってまいりますと、たとえばその船が日本の船舶でございますと、電線を切られた国からわが国に通報があるだろうと思います。その通報に基づきまして、日本の海上保安庁なり、警察なり、あるいは検察庁が、その船舶の乗り組み員、船長等を調べまして、刑事責任の有無を判断するという順序になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/153
-
154・秋山長造
○秋山長造君 この表を見ますと、連合条約に加盟しているのは二十二カ国、新しい公海条約に加盟しているのは四十カ国、これは日本なんかも加盟するわけですから、これはちょっと数字は多少動くでしょうけれども、連合条約に加盟している国が全部新条約に加盟した暁にはこの法律も一本になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/154
-
155・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 連合条約加盟国の全部がこの公海に関する条約に加盟しますと、海低電信線の損壊行為だけについて見ますと、連合条約罰則というものの存在理由はたいへんなくなるわけでございます。ただ、連合条約罰則のほうは、公海に関する条約よりももう少し広目にいろんな罰則を設けるべきことを定めております。電信線の損壊以外に、たとえばブイを損壊してはいかぬとかいうようなこともきめておりますので、その部分だけは残るのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/155
-
156・秋山長造
○秋山長造君 この第二条にある海底パイプライン、海底扇圧電線と、こういうものについても実例はないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/156
-
157・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 海底高圧電線につきましても、海底パイプラインについても、わが国に接続しておりますものが現在ございませんので、過去にもありませんでしたから、実例は全くないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/157
-
158・秋山長造
○秋山長造君 それから第三条の未遂罪ですね、未遂罪というのはどの程度の範囲を言うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/158
-
159・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 公海に関する条約の二十七条を見ますと、こういう行為を処罰することにしようではないかといっております。その行為としまして、電気通信を中断しまたは妨害することとなるような方法で海低電線を損壊する行為をいっておるわけでございます。ですから、通常なら、電気通信が妨害されることになるような方法で損壊——傷を与えさえすれば、たとえは切断に至らなくても処罰することにしようではないかということが、公海に関する条約に書いてございます。そこで、御審議いただいております法案のほうでは、第一条でもって、具体的に電気通信が妨害された場合、それから妨害の具体的な危険性が生じた場合、たまたまそのときには通信が行なわれておりませんでしたが、その瞬間あとで通信しようと思っても通じないであろうというような状態になった場合につきましては、第一条で処罰ができますけれども、ただいま申します、傷はつけたけれどもまだ障害は生じない、しかしながら、ほっておきますと、たとえば海水がしみ込んで次第に腐食されて将来は障害されるかもしれないというような場合につきましては、未遂罪として処罰をする必要があるわけでございます。この未遂罪を含めて、条約上の義務が果たせるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/159
-
160・秋山長造
○秋山長造君 故意にしろ過失にしろ、これに該当するような犯罪を犯すということは、どういう場合が予想されるのでしょうかね、実例はないと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/160
-
161・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 実例があまりございませんですが、まあ考えられることといたしましては、たとえば底びき網というようなもので引っかける、まあ海図等にも書かれておるのに、そのあたりで漫然底びき網を引いたために、引っかけてちぎってしまったというような場合が考え得るのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/161
-
162・秋山長造
○秋山長造君 最後に外務省へお尋ねしますがね、この表で、連合条約の加盟国であって新条約に加盟しない国が、主要な国にもちょいちょいありますがね、これは、この点について何か異論があるということよりも、公海の範囲とかなんとかいうようなほかの点で異論があるために、この公海条約に加盟していないのですか、どういう事情ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/162
-
163・村上謙
○説明員(村上謙君) 先生御指摘のとおりでございまして、わが国も、この条約ができましたのは一九五八年でございますから、それから約十年かかって今国会で御承認の手続をとったというふうに、慣習国際法を法典化したというのがこの条約の趣旨でございますけれども、若干の点では、少し前向きの姿勢で立法的な要素も入っている。たとえば、この海底電線の問題がそうでございます。そういうふうな点も間々あるものでございますから、たとえば御指摘の、連合条約に入っていて公海条約に入らないドイツ、フランス、あるいはスウェーデン、ノルウェー等のような国も、そういうふうな一般的な問題を検討するというようなことで入っていない、こういうふうに私たちは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/163
-
164・北條雋八
○委員長(北條雋八君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/164
-
165・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 速記を始めて。
他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/165
-
166・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/166
-
167・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
公海に関する条約の実施に伴う海低電線等の損壊行為の処罰に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/167
-
168・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/168
-
169・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/169
-
170・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、八海事件をめぐる刑務所行政に関する件の調査を行ないます。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/170
-
171・亀田得治
○亀田得治君 前回一度質問をいたしたわけですが、もう国会も終わりでありまして、最後の機会になると思いますので、若干つけ加えてお尋ねをしたいと思います。
本論に入る前に、ちょっと二、三事務的な点についてお尋ねをいたしますが、今年の四月の二十二日に、懸案であった弁護団と吉岡との面会というものが許されたわけでありますが、その面会を許すという通知が、四月二十二日の午前十一時過ぎに、広島の原田弁護士のところへ広島刑務所から連絡があって、そうして本日午後弁護士三名以内に限って面会を許すと、こういう通知があったようです。お尋ねしたいのは、同じく面会を許すのであれば、前日連絡をしてもらうとか、もっと欲を言えば、前々日とかね、ともかく本件については、全国的に弁護団が結成されているわけですから、当然そういう配慮があってしかるべきものだと思うのですが、それを、午前も午前、十一時過ぎに、きょう昼からひとつ三名だけ会ってくれと、こんなことはまことに非常識だと思うのですがね。それで、まあ連絡があった。急いで東京、大阪各地に原田弁護士から連絡をとった。なかなかみんな忙しいからだですから、右から左に飛んでいくわけにいかない。ようやく大阪の佐々木弁護士夫妻が午後の大阪の公判を取りやめて、そうして十三時三十分大阪発の飛行機、これがもうただ一つの便のようです。これに飛び乗ってかけつけて間に合ったと、こういうことが実情のようですがね。こういうやり方というものは何か非常に不親切であり、よくないと思うのですが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/171
-
172・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) ただいまの御不審の点でございますが、先般も御説明申し上げましたように、吉岡が肺結核で喀血をしていた状況にあって、まあ、ようやく面会が短時間ならば可能であるという結論が出ましたのが二日ほど前であったわけでございます。そこで、刑務所長のほうから吉岡本人に、弁護士と面会について知らせたところが、吉岡のほうが、弁護士に会いたくないと言って、いわば拒否的な態度をとったのでございます。そこで、刑務所長のほうとしては、あらためて、もちろん面会をするかしないかということは本人が判断をしてきめるべき問題でありますので、強要する等のことはできませんが、なお念のために、前に、会いたいということを言っていることでもあるし、また、弁護士のほうからも、会いたいということを言っているようだが、考える余地はないのか、ということを尋ねたところ、それでは少し考えさしてくれということで、その場で直ちに吉岡の了承が得られなかったようでございます。そして、その考えて明けた翌日に、それではまあせっかくですから短時間ならお会いしましょうというようなことを古岡が申し出たのでございます。そこで、刑務所長の判断としては、ただいま申し上げましたようないきさつもあるので、吉岡の気持ちの変わらないうちにというような配慮もあったのではないかと思いますので、ただいま申し上げましたような早急な面会の運びになったと、このように私どものほうで判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/172
-
173・亀田得治
○亀田得治君 古岡が会う気持ちになったのは前日でしょう、いまのお話ですと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/173
-
174・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 吉岡が会う気持ちになりましたのは、前日、考えさしてくれということで、当日の朝、会いましょうということを申し出たというように私どものほうでは了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/174
-
175・亀田得治
○亀田得治君 先ほど局長が言われた、会ってもらおうと刑務所として考えたのは二日前というのですから、二十日ですね、二十日。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/175
-
176・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 二日前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/176
-
177・亀田得治
○亀田得治君 二日前ですから、面会したのが二十二日ですから、だから二十日ですか、刑務所の方針がきまったのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/177
-
178・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) はい、そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/178
-
179・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、刑務所としては、すぐ吉岡に話をしたのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/179
-
180・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) それは二十一日の朝になって話をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/180
-
181・亀田得治
○亀田得治君 二十一日の朝、話をしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/181
-
182・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) しばらく考えさしてくれと、こういうことでありました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/182
-
183・亀田得治
○亀田得治君 それで、二十二日の午前に古岡が会おうと、こう言い出したわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/183
-
184・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/184
-
185・亀田得治
○亀田得治君 それは何時ごろですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/185
-
186・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) それはおおむね八時過ぎでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/186
-
187・亀田得治
○亀田得治君 二十二日の日でなければ会わぬというわけじゃないでしょう。そこまで言うておるのですか、おらぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/187
-
188・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) そこまでは申しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/188
-
189・亀田得治
○亀田得治君 そうすれば、会いたい気になったのであれば、少なくとも翌日とか、相手にはみんな都合があるわけですからね、そういうふうなことが私は当然だと思うのですよ。八時に吉岡がそういうことを言うておる。これはどうして十一時まで知らさぬのですか。とにかく、その日面会を刑務所としては許すというんですから、一時間でも三十分でも早く連絡してやらなければいかぬでしょう。刑務所の方針としてもきまっておるわけですから、二十日に吉岡さえうんと言えばすぐ連絡できる状態なんですから、なぜ十一時過ぎまでほうっておくんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/189
-
190・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) ごもっともな御疑問だと思います。施設側といたしましては、現に病気中でございますのと、それから吉岡が先ほど申し上げましたように、拒否的な態度もとっておりましたので、少しでも早くという配慮から当日ということにいたしたものと思っております。
それからなお、十一時までという若干の時間がかかりましたのは、やはりそういろ病人でございますので、毎日一応医者の診断を受けさせておりますので、医者の診断を八時以後に一応念のためにやって会わせると、こういう段取りになりますと、おおむね十一時ごろが施設側としてはできるだけ早い機会という時間のつもりできめたものである。なお、ただいまお話がございましたように、遠方の弁護人等もいるということも、もちろん施設側としては承知していたと思いますが、広島に在住の原田弁護士がいるわけでもございますので、その辺のことは弁護団側のほうの内部でいろいろ調整をとっていただけるのではないかということで、当日の十一時ということに連絡をしたのであると、このように理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/190
-
191・亀田得治
○亀田得治君 それは理屈のつけようはいろいろ言えますよ。言えますけれども、それはともかく適当ではないのです、この計らいは。
それからもう一つ事務的なことをお聞きしておきますが、面会のやり方ですが、面会は約四十分面会できたそうです。ところが、面会室に弁護士が三人行っておるのに、いすが一つしか置いてないのですね。それは五分か十分の面会であればそれでもいいかもしれぬが、それでも私は適切じゃないと思うのですよ。そういうことは。短時間で、いろいろな話をするわけですから、やはり落ちついて話ができるように当然これは配慮をすべきなんです。何で、いす一つでやるのですか。自分のほうで三名の弁護士と指定しておきながら、佐々木哲蔵さんだけ、いすにすわられたようですが、だが、それはどうですか、そんなことは私はおかしいと思うのですがね。いす二つ持ってきたっていいでしょう。それがあたりまえのことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/191
-
192・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 三人面会に来られたのに、いすが一つしかなかったという点について、私そこまで報告を受けておりませんでしたが、三人来るのに対して一人分しか、いすを用意していなかったということでありますならば、これは私のほうとして今後直ちにそういうことは是正させるようにいたします。おそらく、いわゆる面会といった場合、通常一対一の面会が多いもので、そこまで実は配慮が行き届かなかったのではないかと思いますので、この点は、私のほうで今後十分注意いたしまして、そういうことのないようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/192
-
193・亀田得治
○亀田得治君 ともかく、一人来てくれというのに三人来たという事案じゃないんですからね。自分のほうで三名と限定してきて、そうして、いす一つだと、そんなことはいかにも広島の刑務所の当局者が、単独犯というものに対して片寄った考えを持っておる、そういうことのあらわれですよ、これは。だから、はなはだ私は、これはもう単なる事務的なこととして済まされぬと思うんですよ。偏見、不公平、そういうことがこういうところにやっぱりあらわれてくるわけですから、扱い方に。まあ、そう思ってこういう事務的なことをお聞きしたわけです。
本論に入りますが、この吉岡との面会が終わりまして、そして、そのあと弁護団三名が所長と面会したようです、これはお聞きのことと思いますが。で、この弁護団としては、当然いま私が指摘した問題を出したようです。自分たちは三月の下旬から面会を求めてきたんだと、なぜ、いままで拒否してきたのに、本日になって急に、さあ面会してくれと、こういう面会のさせ方をしたのかということで、いろいろ聞いたようです。で、所長の答えは、面会を許した理由として二つのことを言ったようです。一つは、吉岡の心の乱れがあった、いましかし、それがなおった。それからもう一つは、この吉岡の病気がよくなってきた。この二つのことを所長が説明したようです。そうすると、この弁護士としては当然のことですが、一体心の乱れというのはどういうことなのかということを聞いて、いろいろ問答があったようです。ところが、その途中で管理部長の羽柴さんというのがおるようですが、この人がくちばしをいれて、今度面会を許したのは心の乱れがなおったとかいうようなことではなく、健康がよくなったからだと、病気がよくなったからだと、それだけですという意味のことを横からくちばしをいれたようです。そうすると、所長も気がついたようにして、その理由を訂正されたようです。私はまあ、この経過を詳細な報告書によって拝見しまして、だから、所長の腹の中には心の乱れと、それから病気と、この二つがあったんです、二つが。局長はこの委員会でも、ともかく健康が問題なんだ、それがよくなれば当然会わすべきだ、こういうふうにもお答えになっているが、それは当然なことなんですよ。ところが、実際は、それが理由なんじゃなしに、心の乱れ——その際、心の乱れというのはどういうことかという、いろいろ説明も求めたようです。そうすると、刑務所のほうの説明は、四月十五日に山崎保安課長が吉岡と話をしたようですね、保安課長が。吉岡は同日、十五日に単独犯を述べた上申書を取り下げるという意思表示をした。それで、所長は十六日にそのことを聞いて、心の乱れがおさまった、こういうふうに考えた、こういう報告なんですよ、私への。だから、こういうことは結局は独断でしょう。心の乱れということばを使ったようです、心の乱れ。内容を追及すると、単独犯を述べるのは、これは心の乱れだという意味にとれるのですね。それを取り消したから、心の乱れがおさまったのだ、全く一方的なこれは偏見ですわね。何が真実であるかということは、天下の大法曹がお互いにいま頭を悩めているところなんで、それに対して検察側の立場に立って、それに反するものは、これは心の乱れだ、こんなことを言うのは、これはおかしいですよ。真実が単独犯であったら、単独犯と言うのが、むしろ心の乱れがおさまった状態なんです。そうでしょうが。それをあなた、一刑務所あたりが単独犯を心の乱れといったような表現で、それがおさまった、おさまったから面会を許すのだ、もう一つは、健康もよくなった、この二つを言っておるのですね。そうしたら、管理部長は、そういうことを言うたら矯正局長の国会の答弁ともどうも矛盾すると思ったのか——所長のほうは、私はそういう意味じゃ正直だと思うのですよ。管理部長のほうは、なかなかこれはいろいろなことを政治的に考えたと思うのですね。そういうことを注意したそうです。注意した結果、いや、心の乱れが面会を許さなかった理由じゃなしに、健康だけです、それがなおったから今度許す、こういう説明に切りかえたようですね。こういうところに私は、広島刑務所が単独犯、多数犯という問題について、自分たちの一方的な判断で押して、そうして、それは反するものに対しては妨害をしていくというふうな気持ちがあらわれていると思うのですね、この問答の中から。それが先ほど申し上げたような、ともかく、きょう面会させるから昼から来てくれというようなことをしたり、三人弁護士が行っているのに、いすが一つしかなかったり、そういう形になってやはりあらわれていると思うのです。刑務行政というものはそんなえこひいきな感じを与えるようなことであっては断じてならぬと思うのですよ。どうなんですか、それは。わしは、所長は明らかにことば、並びに、あらわれた二つの行動、これから判断して、きわめて偏見を持った扱いをやっていると思うのです。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/193
-
194・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) ただいまの御指摘の点でございますが、心の乱れ、心情の不安定ということばが出ているわけでございますが、弁護士との面会の点につきまして、私のほうで現地のほうに確認したところでは、吉岡自身が相反する内容の発信を絶えず願い出るということを繰り返している、そういう意味において、心情の不安定という、真偽の把握に困難であるという状況については、当時も変わっておりませんし、現在もその点については変わっていないという報告でございます。したがいまして、弁護士との面会について、所長が心が乱れていると言う意味につきましては、その後の現在までの状況から判断をいたしますと、これは私のほうの推測でございますが、吉岡が弁護士に会うということについて非常にためらっていたということが念頭にあったのではないだろうか。一方、管理部長のほうとしましては、上申書を出す、あるいは取り下げるということを繰り返しているという状況は、その当時も変わりませんし、現在も変わっていない。したがって、弁護士との面会については、私のほうからこれは確認したところでございますが、前に面会した際に、病状がよくなったならばそのときにお取り計らいをするという一種の約束をしておられますので、やはりその約束を履行しなければならないということから、刑務所側から広島在住の原田弁護士のほうに連絡もした、このように理解いたしております。いわゆる吉岡の心情が不安定であるということについては、現在もなお変わっていないというように私のほうは報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/194
-
195・亀田得治
○亀田得治君 ここにこの詳細な報告書を私持っているんです、弁護士からの。そんな一方的にものを書くような諸君じゃないし、いざという場合には、当然これは対決していかなければならぬ問題です。客観的に分析して書いているわけです。それから前回、四月一日ですか、弁護団が所長に会ったときにも、所長としては、病気がよくなったら会わすかということについて約束しておらぬのですよ。いまあなた、約束されたように言われますけれども、それは局長は委員会では約束されているんだ。ところが、所長の考えは違うんですよ。弁護団は、ともかく本日、短時間でも会わしてくれ——いや、それは病気じゃからだめだと、こう言う。それならしかたがないから吉岡のおる房のところまで行って、短時間でも大事なことについて話したい。それもいかぬ。それで第三として、じゃ、よくなった場合には会わしてくれるかと言ったら、それはその時点で判断しますと、そういう言い方でそらしているんですよ。だから、そういう、それがつまり心の乱れの問題なんです。関係があるわけですよ、われわれから判断すれば。だから、もっと端的に言えば、吉岡が単独犯を四月一日のときには主張しておるが、これがなおったら、これが逆になったら会わそうという腹であったことは間違いないと私は推測しているんです。で、同じことをことばをかえて今度の二十二日の面会のときにもやっぱり言うておるわけですよ、実際は。で、単独犯の主張を結局心の乱れだと、こういうわけですからね。それはあなたの主張と違うんですよ、そういう点は。だから、まあ、そこを幾ら繰り返してもしかたがないが、しかし、これは客観的な事実なんです。所長は絶えず二つのことを考えておった。健康さえ許せば、最高裁に証人の申請もしてあることだし、当然弁護人は会うべきものだ、そういう考えを持っておらぬのですよ、あの人は。
それで次にもう少し聞いておきますが、吉岡と弁護団との面会の内容、これは触れません、これは法務行政と直接関連のないことですから。これはむしろ、最高裁が直接証人として吉岡を調べるべき問題だと私は思うので、それには触れません。
法務行政に直接関連のあることは、四月十五日になって、吉岡が十八通のうちの十五通ですね、三通はすでに広島地裁に行っておりますが、十八通のうちの十五通を取り下げる、こういう意思表示を刑務所に対してしたわけですね。そこで弁護団は、その文書をぜひ保管しておいてほしいと、たとえ取り消したと言っても、これは事実に関する重要な参考文献だから保管しておいてほしいと、これはその点は四月一日にはやっぱり同じことを言うておるのですが、その日には大体了承しておったのです、所長は。ところが、今度はあいまいなんですね、それに対する答えが。吉岡が取り消したものだから、これは刑務所においては責任が持てないような、そういう意味の発言をしているわけですね。これは私は問題の性質上、はなはだ不適当だと思うのです、そういうことは。つまり、四月一日は最高裁の人とか弁護人とか検事とか、いろいろなものに対してあてた文書、これは取り消しておらぬわけですね。その段階では保管が精一ぱいなんだ、刑務所から言うたら。本来ならばこれは発送すべきなんですよ。だから、発送すべきものを押えておるのだから、だから保管ぐらいはやむを得ぬということで了承したのだと私は思います。ところが、今回は取り消したから、したがって、そういう責任がないような意味のことを言うので、弁護団としては非常に心配しているわけです。それで私は局長に聞きたいわけですが、こういう文書を一体どう扱うかということ、取り消したから本人に返す、本人が破ろうが何しようが自由だと、そういう態度をとるのか、それはともかく、事実問題に関して重要な関連のあるものだから、取り消したといっても、これはやはり保管しておく。一方では、最高裁はまだ意思決定はしておらぬけれども、取り寄せが関係者から要求されておる文書なんですわね。提出を要求されておる文書なんです。まだ正式決定はしておりません。だから、私はこれは保管しておきますと、はっきり所長が言うのは、私は当然だと思うのですよ、経過から見て。それが出ない。局長の意見を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/195
-
196・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 刑務所長が刑務所として保管をすることについてはっきり言わなかったのは、私は刑務所長の立場として一つの理屈はあると思うのでございます。と申しますのは、ただいまの御発言がございました四月の十五日付で、本年の二月一日以降の最高裁その他あての上申書等の取り下げ願いを所長あてに出したのでございます。したがいまして、取り下げ願いでございますので、通常の場合は、この場合、吉岡は自分が先に出した上申書は自分に戻してもらいたい、こういう意思表示と理解すべきものであろうと思うのでございます。といたしますと、これを刑務所長が、自分に取り下げてくれというのを拒否して、刑務所が保管をするということにつきましては、検討をしなくちゃならない問題がある、これは刑務所長がそのように理解したものであろうと思います。その点明確な答えをしなかったということについては、私、刑務所長をどうこう批判するということは、私の立場としてはできないと思うのでございます。ただ、ただいまもお話がございましたし、さらに監獄法の四十七条の二項でございますか、刑務所が保管している文書につきましては、二年経過したならば廃棄することができる、こういう規定がございます。としますと、二年間廃棄をしないで刑務所が保管をする理由はどこにあるだろうかということを考えてみますと、一つは、もちろん本人の処遇上の参考資料ということもあろうかと思いますが、あるいは他の公益的な理由でその文書が必要になる場合もあり得るんではないかというようなことがあって、二年間の保管を命じているのではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、本件の場合につきまして、刑務所長が当時、明確な答えをしなかったのはしなかったといたしまして、私といたしましては、この書類については吉岡に取り下げないで、と申しますと、刑務所の手続といたしましては、さきに願い出た上申書等については、不許可処分として刑務所に保管をさせるという措置をとらせたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/196
-
197・亀田得治
○亀田得治君 ともかく物が消えてしまったんじゃ、あと話になりませんからね。いまお答えになったように、保管だけは責任持ってやっておいてほしいと思うんです。
それから前回、局長からは、訴訟手続その他法令のコースに乗せてもらえば、もちろんそれに従うというふうにお答えになっているんですね。これは当然なことをお答えになっているわけですが、たとえば法令の手続ということにきちっとなるかならぬかわかりませんが、最高裁あたりから問い合わせがあるというふうな場合には、それに対して内容を明らかにできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/197
-
198・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 法令の手続に乗せて要求があれば、これは私どもとしては、当然その法令の規定するところに従って措置をしなければならないと思っております。そこで、法令の措置というのにどういうものがあるだろうかということを一応私なりに検討いたしましたところ、ただいま御指摘がありました刑訴の公判の章に規定がございますが、裁判所が照会をする場合、さらに検察庁が照会をする場合等、いろいろ規定がございます。そういう手続にのっとって照会があれば、もちろんその照会に応ずるのがたてまえであると思っておりますが、本件につきましては、事がいわゆる上告審に係属をいたしておりますので、いま言ったような条文につきまして、実際の運用面を私なりに検討いたしてみますと、いろいろ議論もあり、分かれております。したがいまして、これは最高裁なりその他がそれぞれの判断で照会があれば、もちろんそれに従うつもりでございますが、かりにそういう措置がとられなかったといたしましても、刑務所の立場といたしましては、具体的な事件に有利であるから、不利であるからというような判断で矯正の事務を運営すべきものでもございませんし、また、運営できるものでもないと思いまして、私どもとしては、具体的な事件に関連してでございますが、矯正運営について不信を持たれているということでございますれば、その不信を取り除くための措置はとらなければならない、そういう観点から、ただいま広島刑務所が保管しております上申書等についての措置を考えておりますが、早急に結論を出しまして、そうなりますと、これは監獄法の問題というよりも、もう少し別の立場からの刑務行政全般の問題でございますので、私どものほうから具体的に現地の所長に指示をして、刑務行政に対する不信を取り除く措置をとるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/198
-
199・亀田得治
○亀田得治君 それから弁護団が会ったときに、吉岡が弁護団の諸君に言っていたのですが、十八通の上申書の手控えが吉岡のほうにあるようです。そういう事実は皆さんのほうは御存じなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/199
-
200・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 手控えと申しますと、吉岡が正式の——原稿の意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/200
-
201・亀田得治
○亀田得治君 原稿ですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/201
-
202・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) その点については、私どもまだ承知いたしておりませんが、さっそくに調査させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/202
-
203・亀田得治
○亀田得治君 これは弁護団にそう本人が直接言われたようです。この弁護団の面会には刑務所の方の立ち会いがあるわけですから、その方は聞いていると思うのです。もしそういうものがあるのであれば、ともかく、そういうものも保存してもらうようにしてもらう、持っているのまで保存するのはなんだが、しかし、なかなか、ある場合には相当法規を広く解釈したり、いろいろ運用されているのですからね、処遇上やはり関係があるとも言えるわけでして、正規の上申書と、それに至る原稿といったものは、これはなかなか大事なものだと思いますから、できたら、やはりこういうものも保存されるように努力をしてほしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/203
-
204・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) これは法規の解釈運用上可能な限り、刑務所側でそういうものが失われないような努力はいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/204
-
205・亀田得治
○亀田得治君 本人の品物を適当と思えば刑務所が預かると、こういうことはいろいろの物についてやっていることでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/205
-
206・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 本人が入所してくる際に携行してまいりますいわゆる私物につきましては、これは領置の手続によりまして、刑務所側が本人にかわってと申しますか、厳重に封をして領置いたしております。なお、御承知のように、受刑者につきましては、居房あるいは工場等において本人が携行できるものにつきましては、それぞれ規定によって定められておりますので、もし規定以外のものを所持しているということになりますと、これは規則の違反でもございますので、それはまた領置の手続その他に乗せて保管をすると、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/206
-
207・亀田得治
○亀田得治君 それはひとつ善処方を要望しておきます。
もう一点聞きたいのは、四月十七日に吉岡が多数犯の上申書を広島地裁あてのものを書いたようですね。それから五月の上旬に、田坂弁護士にあてた多数犯の手紙を書いたようですが、いずれも一両日のうちにさっそくそれぞれ発送されておるのですね。きわめて迅速なんです。多数犯の書類をつくると、それはもうどんどんスピードアップして処理される。単独犯主張のものは、ああでもないこうでもないと言うてとめおく。こういうことをごく最近の事例から見ても言えるわけなんですが、どうもこの辺に偏見があるように思うのですよ。どうなんですか。十七日の上申書、それから五月上旬の田坂弁護士あての上申書のことはお聞きでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/207
-
208・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) お尋ねの広島地裁あての上申書でございますが、広島地裁あてには三月に、さきに自分の当事者である事件についての上申書を発信させております。それにつきまして、広島地裁あての上申書を取り消したいと、取り消すための認書願いというのが、四月の十五日に刑務所長あてに出されまして、そして本人は四月の十六日にその上申書をしたためまして、施設側は四月の二十日に発送をいたしております。この広島地裁あてのただいま申し上げました上申書は、本人が現に訴訟当事者としてなっている事件に関連する内容のものでございますので、他の上申書と異なった性格、いわゆる訴訟準備的な性格を持ったと見られますので、これをいたずらに心情不安定あるいは真意が把握しにくいということで、刑務所長が監獄法の規定によってのっとるのは適当でないと、こういう判断をいたしまして、さきの広島地裁あての書類について発送するように、私のほうから現地の所長に指示をいたしておりますので、今回の場合には、さきの私のほうの意見が訴訟準備的な、あるいは直接自分の訴訟に関連したという性格のものであるということがはっきりいたしておりますので、短期間の間に処理をしたと、したがいまして、この内容がどうこうであるからという立場からの処理ではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/208
-
209・亀田得治
○亀田得治君 そういう理屈を言われますけれども、ともかく、四月に広島地裁あてに送った文書にしても、それまで長い間広島地裁に送らないで刑務所にとどめておいた実績があるわけですよね。その、実績に比べると、ともかく多数犯を主張するとえらい早く送るなというふうに、きわめてへんぱな扱いをやっているように感ずるわけですよね。事実なんですから動かすことはできない。あとはみんな理屈なんですよ。だからね、それじゃ、いままたその次に、吉岡が広島地裁あてに単独犯の主張の上申書を書いたらどうしますか。すぐ送りますか。そうなると、また、心情の乱れがまた出てきたとかなんとか言うて、とめておくのじゃないでしょうか。いや、それは現在ではこれだけ大っぴらになってしまったから、それはすぐ送りますと局長、答えるだろうけれども、出発点はそうじやなかったんだから、広島地裁に事件が係属していることはずっと前から係属しているんですからね。その関係から送るんだということなら、なぜ四月までそれをとめておったか、つじつまが合わない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/209
-
210・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 前の広島あての上申書は、二月一日付のものと二月十五日付のものと三月九日付のものとあるわけでございますが、これはいずれも四月の六日に発送いたしておりますが、これは広島の所長としては、監獄法にのっとって他の書類と同様に、心情がきわめて不安定で真意が明確でないということで、検閲保留をしていたのでございますが、私のほうから、それはそれとして、一方において現に係属している事件に関係した内容のものであるから、この場合は心情が不安定ということで保留をするということに優先して、訴訟に関連した書類ということで発送をするのが適当である、こういう指示をしたわけでございます。したがいまして、この性格が変わらない限りは、内容のいかんにかかわらず、裁判所あてに発送を許可することになると、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/210
-
211・亀田得治
○亀田得治君 刑務所では吉岡を懲罰事犯として取り調べをやっているようですが、そうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/211
-
212・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) これは吉岡が規則に違反して外部交通をしたという疑いで懲罰に付していると、このように理解しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/212
-
213・亀田得治
○亀田得治君 その調べはまだ継続しているんですか。いつごろ終わるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/213
-
214・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 現在なお取り調べ中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/214
-
215・亀田得治
○亀田得治君 これはどういう人が調べているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/215
-
216・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 直接には保安課長でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/216
-
217・亀田得治
○亀田得治君 現在まで何回ぐらいお調べになっているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/217
-
218・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 本人についての調べは数回でございますが、いわゆる関係者と申しますか、第三者の受刑者等について、事情あるいは裏づけ等の調べは鋭意続けていると、このように理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/218
-
219・亀田得治
○亀田得治君 本人については数回というのですが、これはいつといつ、保安課長が会っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/219
-
220・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 具体的な日時はまだ承知いたしておりませんが、さっそくに現地に照会をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/220
-
221・亀田得治
○亀田得治君 四月十五日というのもその中に入っているのですか。保安課長が面会しておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/221
-
222・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) これは懲罰事犯に関する取り調べではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/222
-
223・亀田得治
○亀田得治君 四月十五日というのは、保安課長は時間はどれくらい会っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/223
-
224・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) おわび申し上げます。ただいま保安課長が直接会ったとお答えいたしましたが、保安課長に会いたいという面接の願いが四月の十二日に出されまして、四月の十五日には区長が直接面接をいたしております。時間につきましては、おおむね一時間近く面接しているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/224
-
225・亀田得治
○亀田得治君 それで、その際、単独犯を取り消す旨の意思表示があったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/225
-
226・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) この区長の面接で、吉岡が区長に対しまして、上申書は取り下げますと、処遇については一切口出しをしない、それから取り下げの上申書は全部返してくださいと、こういう趣旨の申し出がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/226
-
227・亀田得治
○亀田得治君 吉岡に対する懲罰事犯の取り調べの記録というものは、取り調べ担当者、取り調べの時間、取り調べの内容、そういうものはちゃんと刑務所に文書としてあるわけでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/227
-
228・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 原則といたしまして、取り調べた者が所長あてに報告書という形で、面接の時間、場所並びに面接の要旨というものをしたためまして、報告書の形で提出することになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/228
-
229・亀田得治
○亀田得治君 報告書の中身まではちょっとどうかと思いますが、何回くらいそういう取り調べが行なわれておるのか、これは紙一枚でけっこうですがね、中身までは、どういう質問をして、どういうふうに答えたとか、そんなふうなことまでは要りませんが、形式的な点だけでいいですが、それを資料としてお出し願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/229
-
230・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 懲罰事犯に関する取り調べに関する……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/230
-
231・亀田得治
○亀田得治君 ええ、回数とか、時間とか、それだけでけっこうです、取り調べた日と。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/231
-
232・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 早急につくりまして、提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/232
-
233・亀田得治
○亀田得治君 結論をひとつ申し上げて、御所見を最後に聞きたいと思うのですが、ともかく、広島刑務所は単独犯の主張に対しては非常に片寄った立場で、そうして不公平な扱いをやっておる。これは私たちもいろいろなことをこまかい情報を聞いて、そう断定せざるを得ぬ。吉岡が今度単独犯の主張をした、それを取り消さすということのために相当な圧力を私はかけておると、これは、こういうことはもうめったに言いにくいことですがね、そういうふうに想像されてならないのです。これはいずれ客観的には最高裁あたりで相当論議になると思いますがね、そういうふうに思います。で、懲罰事犯としてこの吉岡をお調べになっておるようですけれど、私はこの点はもう少し良識のある考え方ができないものであろうかと思うのです。といいますのは、どういうことを言いたいかというと、なるほど、それは刑務所の規則は、これはきちんと守っていかなければなりません。これは私もその点を否定するものじゃないし、当然これは積極的に私もそう考えておる。しかし、本件の問題は、吉岡として単独犯を主張し、どうしてもそれが関係の弁護士にも通じない、やむを得ず刑務所から出る者に頼んだ、しかも、そのこと自体は、いま最高裁で最終的な判断を待っておる問題について、きわめて重要な関連のあることなんですね。それは多数犯を主張する立場から見れば、けしからぬことをすると、こう思うかもしれぬが、単独犯を主張しておる諸君から見たら、いろいろなことがあったにしろ、やはり最終の段階において吉岡自身がほんとうに良心的に考えてくれたものであるというふうにも理解ができるわけですね。しかし、それらの最終的な判断は、これは最高裁がやる問題なんですよ。だから私は、そういう重大な問題に関連しておることなんでして、吉岡としてもやむにやまれず外部との連絡というようなことをやったと思うのです。で、何といっても法律の世界で一番大事なことは、個々のそういう規則のどれに反するとかなんとか一応のワク内では大事なことですが、根本的にはやはり真実ですよ。真実をうやむやにして、規則だけ守られたといったって、そんな法務行政、だれも尊重しませんよ。だから、そういう関連のある問題ですから、私はこれを普通どおりに懲罰事犯として追及していくというようなことは、見ようによっては、やはり吉岡の単独犯をひるがえさせるための圧力と、こういうふうにもうとれるわけですね。だから、そんなことは、私はもう率直に言いますが、やめてもらいたいと思うのです。真実の究明について疑いを持たすことと、一つのやむにやまれずして行なったところの懲罰事犯をしばらく見のがしておくのと、どっちが一体国民全体に対していい感じを与えるか、ここが私は中央の局長なり大臣のほんとうに判断をすべきことだと思うのですね。古岡としては、ともかく、この八海事件がいずれになっても、自分自身は相当長期間刑務所の世話にならなければならぬという立場にある人なんですからね。そういうことも考えますと、よくよくのことでなければ、そんなあとからしかられるような、相当大目玉を食うような外部との連絡なんていうことをやらぬのですよ、それは。そこの気持ちをもっと考えてもらいたい。最終判断は最高裁にやらすべきなんです。これらの現象をどう見るか。それに対して、ともかく懲罰事犯として普通何か一般の問題と同じように本人を追及していく、そういうことは非常に不自然な印象を与える、これだけ私は要望しておきますよ。そう言っても、局長はじゃひとつそういうふうにしましょうなんということは、これは局長の立場じゃ、なかなか言えぬことですけれども、そういう懲罰事犯はもう少し調べをするにしても、先でもいいわけでしょう。何も一月や二月おくれたからといってどうということはない。何か時効ということもないわけでしょう。ことしじゅう見合わしておったって、一方では八海事件の最高裁の法廷も最近開かれるわけですね。だから、そういう何といいますか、つまらぬことはもうやっぱりやらぬほうがいいと思いますね、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/233
-
234・勝尾鐐三
○政府委員(勝尾鐐三君) 文書を含みましての外部交通、あるいは、いまの懲罰の問題につきまして、国会の委員会の席上でもいろいろ疑惑を持たれておるという現状でございますので、私のほうといたしましては、事件の内容とか帰趨等について刑務所が関与したというような印象を受けることは、絶対に避けなければならないと思いますので、その辺も考慮しながら、疑惑を解く方法を早急に私どもとしては指示をするつもりでおります。
なお、具体的に懲罰事犯をいま直ちにやめたらどうかという御意見もございますが、これは私のほうの吉岡に対する従来の態度から勘案いたしまして、やめればまたやめたで、いろいろと理由といいますか、口実にされるおそれもありますので、その点はいま少し具体的に慎重に考えさしていただきたいと思いますが、とにかく、いまいろいろ述べられました点について、刑務所側の処置というものをぜひ明らかにしたいということで、鋭意結論を急いでおりますので、御了承いただければたいへん幸いと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/234
-
235・亀田得治
○亀田得治君 なかなか了承できる問題じゃありませんが、この程度に本日のところはしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/235
-
236・北條雋八
○委員長(北條雋八君) 他に御発言もなければ、本件の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X01919680521/236
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。