1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月二十三日(木曜日)
午前十時二十分開会
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委員の異動
五月二十二日
辞任 補欠選任
鈴木 万平君 北畠 教真君
山田 徹一君 小平 芳平君
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委員長の異動
五月二十二日北條雋八君委員長辞任につき、そ
の補欠として小平芳平君を議院において委員長
に選任した。
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出席者は左のとおり。
委員長 小平 芳平君
理 事
青田源太郎君
梶原 茂嘉君
亀田 得治君
北條 雋八君
委 員
北畠 教真君
紅露 みつ君
斎藤 昇君
中山 福藏君
秋山 長造君
山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣 赤間 文三君
政府委員
警察庁交通局長 鈴木 光一君
法務省刑事局長 川井 英良君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局刑事局長 佐藤 千速君
最高裁判所事務
総局総務局第一
課長 大西 勝也君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
法務省刑事局参
事官 前田 宏君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○検査及び裁判の運営等に関する調査
(布施市における警察官による運転手暴行事件
に関する件)
○福岡地方裁判所小倉支部等の昇格に関する請
願(第二七二四号)(第二七六八号)
○刑法第二百十一条改正反対に関する請願(第三
七七七号)(第四一二〇号)(第四一七五号)(第四
一七六号)(第四一七七号)(第四一七八号)(第四
一七九号)(第四一八〇号)(第四一八一号)(第四
一八二号)(第四一八三号)(第四一八四号)(第四
一八五号)(第四一八六号)(第四一八七号)(第四
一八八号)(第四一八九号)(第四一九〇号)(第四
一九一号)(第四一九二号)(第四一九三号)(第四
一九四号)(第四一九五号)(第四一九六号)(第四
一九七号)(第四一九八号)(第四一九九号)(第四
二〇〇号)(第四二〇一号)(第四二〇二号)(第四
二〇三号)(第四二〇四号)(第四二〇五号)(第四
二〇六号)(第四二〇七号)(第四二〇八号)(第四
二〇九号)(第四二一〇号)(第四八一二号)(第四
八一三号)(第四九四一号)(第四九四二号)(第四
九四三号)
○継続調査要求に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/0
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001・小平芳平
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
議事に先立ちまして一言ごあいさつ申し上げます。
このたび私、法務委員長に選任されました。微力ではございますが、練達たんのうな委員各位の御指導、御協力をいただきまして、円満なる当委員会の運営を行ないたいと存じます。何ぶんよろしくお願いいたします。
簡単ではございますが、これでごあいさつといたします。(拍手)
なお、北條前委員長より発言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/1
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002・北條雋八
○北條雋八君 私、委員長在任中は、ひとかたならないお世話になりまして、ありがとうございました。特に、刑法の一部改正につきましては、御無理をお願いいたしまして、ふなれな私を御支援いただきまして、ありがとうございました。わずか半年の間でございますが、私も今度最後の国会といたしまして非常に思い出に残る印象を受けました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/2
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003・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 委員の異動について御報告いたします。
昨五月二十二日、鈴木万平君が委員を辞任され、その補欠として北畠教真君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/3
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004・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 次に、理事の辞任についておはかりいたします。
秋山長造君より都合により理事を辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/4
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005・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
ただいまの理事の辞任及び委員の異動に伴いまして、現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。
互選は、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/5
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006・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に亀田得治君及び北條雋八君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/6
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007・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 刑事補償法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/7
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008・亀田得治
○亀田得治君 刑事補償法の改正案に関して資料をいただいておりますが、ちょっとこの点について若干お尋ねしたいと思います。この資料の第二表ですね、これを拝見しますと、昭和三十九年が非常に多いわけですね。これは何か特別な事情でもあったわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/8
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009・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 御質疑の、三十九年が多いという理由は、ちょっとわかりかねるのでございますが、補償決定してございました例の松川事件は三十八年十二月二十三日でございまするので、あるいはその確定というような関係で三十九年の中に入っておるのかなという推測をいたす程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/9
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010・亀田得治
○亀田得治君 三十九年から四十二年までの合計が出ているんですが、刑事補償を請求できる権利のあった者、これはどのくらいになっておるんでしょうか、現実に請求したのはそれに対してどの程度のパーセンテージになっているのか、その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/10
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011・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 最近のところ——と申しましても、昭和三十七年から四十一年までの五年間について見てみますると、毎年無罪確定人員は四百人ないし五百人でございまして、この五年間で無罪確定人員の総計は二千二百十三人でございます。そのうち未決の抑留または拘禁を受けた無罪被告人は約二六%でございます。五百八十二人。そのうち補償の請求をいたしました者が六五・四%、約三百八十一名ぐらい、こういうような割合になっております。それに対しまして、補償の決定がありました者が九五%、三百六十二名、請求率が六五・四%程度ということに相なるわけでございます。
で、この程度の請求率はなぜかということが、引き続いて御疑問をお持ちになるかと思いまするので、付加して御説明させていただきますると、未決の抑留または拘禁を受けました無罪被告人の中には、責任無能力ということで無罪になりました者が約一八%ぐらい含まれております。それから短期間の抑留、拘禁を受けました者が相当おります。たとえば十五日以内の抑留、拘禁であった者について見ますると、四〇%ぐらいございます。そこで、この短期間の抑留、拘禁の場合に補償の請求をしないということはないのでございますが、むしろ責任無能力で無罪になりました人の中には補償の請求が非常に少ないという現象がございまするので、このような補償の請求率になるのであろう、かように見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/11
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012・亀田得治
○亀田得治君 請求できるということは、無罪になった者はみんな知っておるのかどうか。知る機会というものはどういうふうに——何か与えるんですか、積極的に。そういう点、運用上どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/12
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013・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 弁護人がついておりまする事件が大部分でございます。九〇%以上ございます。それからもう一つは、これは再審で無罪になりました場合には、裁判所のほうから刑事補償ができるということを告げていると思われます。一般に無罪の場合については、これは裁判官の取り扱い措置として区々であろう、かように思われます。そこでまた、新聞にもこの無罪の公示をいたしまするし、官報にもいたしまするので、そのようなことから、この制度についての周知度というものは決して低くないと思われるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/13
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014・亀田得治
○亀田得治君 大体請求して決定までにどのくらいかかっておりますか、期間。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/14
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015・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) それにつきましての調査資料はございませんけれども、裁判所は記録によりましての手続が決定手続であるということで、そう長くかかるということはおそらくないというふうにいままでの経験から見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/15
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016・亀田得治
○亀田得治君 そう長くかからないと言うが、二、三カ月内には処理されているわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/16
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017・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 請求の手続あるいは資料の不備で補正をしてもらうというような場合を別といたしまして、おそらく仰せのとおりの期間内には処理されていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/17
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018・亀田得治
○亀田得治君 この法律のワク内で一人一日の補償が割り出されるわけですが、これはどういう基準でおやりになっているわけでしょうか。第三表を見ると、全部まとめて書いてあるものですから、一番その基礎のところが明確じゃないわけですが、一日一人当たり幾らということにきめるめどですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/18
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019・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) これは、決定文を見ましても、そこまでは詳しくは判断が示されていないのでございまするが、大部分の場合——ほとんど全部の場合、一日幾らという割合で補償額を算出しております。その場合に、補償額をいかに定めるかということは、刑事補償法の四条の二項の規定、これに法律上はよるということになるわけでございまするが、四条の二項と申しますのは、「裁判所は、前項の補償金の額を定めるには、拘束の種類及びその期間の長短、本人が受けた財産上の損失、得るはずであった利益の喪失、精神上の苦痛」云々、これらの一切の事情を考慮して決すると、かようになっておりまするので、これに基づき決定するということに相なるわけでございます。
そこで、実際に支給されておりまするところの額というものを見てみますると、昭和三十九年にこの刑事補償法が一部改正されまして、補償金額が抑留、拘禁の一日につきまして四百円から千円というふうに増額されたわけでございますが、この改正されました刑事補償法によりましてどのようになっておるかということを見てみますると、一人当たり一日の平均金額というのは七百五円、こういうことになりまして、一日当たり最高額千円を支給するという比率を見てまいりますと、昭和三十九年は千円支給した比率が九・五%の程度でございました。四十年になりまして二六・七%、四十一年には四五・二%、四十二年には五〇%というような傾向でふえているということでございます。それから、額の決定については、必ずしも補償決定の上では明らかにできないのでございまするが、最高額支給の従前の事例というものを見ますると、例の岩窟王の補償でございまするが、この方は未決の拘禁及び刑の執行双方について補償をしたわけでございまするが、一日四百円——これは当時といたしましては、当時の法律の最高額でございまするが、一日四百円の割合でございます。それから、その他著名事件といたしまして、幸浦事件、松川事件、二俣事件、これらはいずれも、当時の最高額一日四百円の割りの補償がされております。それから、逆に低いほうの支給の事例を見ますると、先ほど申し上げましたような、心神喪失で無罪に在りましたような事例で三件見たわけでございまするが、その三件はいずれも、その当時の最高額一日当たり二百円という基準で補償がされておるというのが、従前の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/19
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020・亀田得治
○亀田得治君 これは予算としてはどの程度毎年組まれていますか。実際の使用額との関係ですね、どういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/20
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021・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 昭和四十一年度におきまする関係を申し上げますると、予算額といたしましては七百八十五万円でございます。これに対する支出は四百五十七万六千二百七十五円ということで、残額三百二十七万余りが出たということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/21
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022・亀田得治
○亀田得治君 昨年はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/22
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023・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 四十二年度につきましては、まだこの支出額が確定いたしておりません。明確に確定されておりませんので、手元に資料をまだ用意しておりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/23
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024・亀田得治
○亀田得治君 この予算をはじき出す根拠は、従来の統計からいって、毎年無罪判決がこの程度あるだろう、拘束事件で、そういうことが基礎になっておるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/24
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025・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 大体仰せのとおりでございまして、従前の実績というものを見まして、それから事件の伸びというものを見込みまして、それから増額の法律上の措置がとられました場合には、その増額分を掛けまして算出いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/25
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026・亀田得治
○亀田得治君 四十一年度以外は資料がないようですが、毎年相当額の使用残りは出ておるわけでしょうか、四十一年以前においても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/26
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027・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 昭和三十九年について見ますると、支出のほうは予算額を下回っております。それから昭和四十年について見ましても、同様支出が下回っておるというようなことで、それ以前の状況はちょっとわかりかねるのでございますが、三十九年、四十年、四十一年、かように三年間を見ますると、支出のほうが予算額の範囲内であるという状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/27
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028・亀田得治
○亀田得治君 こういう種類のものは、不足した場合には当然事務的な支出として予備費から取れるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/28
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029・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) これは、刑事補償の費用は、いわゆる裁判費ということでございまするので、もし不足いたしました場合には、裁判費の項の中の他の目——証人の旅費日当、鑑定人の旅費日当等、あるいは委員旅費の目の国選弁護人旅費等、そういうもので余剰が生じておりまする場合には、そのほうからの流用ということが認められておるわけでございます。で、裁判費の項の中におきまする流用は、財政法三十五条三項、本文によりまして、閣議決定を経なければならない事項の別扱いといたしまして、財政法三十五条三項ただし書きの指定経費ということに相なっておりまするので、大蔵省との協議によりまして裁判費相互間において流用が可能であるということでございます。これがこの裁判費の中におきまする流用ができませんということになりますると、裁判所予算中の予備金あるいは予備費——国の予備費でございまするが、そういうものの支出を求めなければならない、かようになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/29
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030・亀田得治
○亀田得治君 まあこの一般的な感触として、刑事補償がもう少し充実したものであってほしい、こういう意見はあるわけですね。そういう基本的には法律改正等も当然関連して出てくるわけですが、それは後の問題にして、現在の運用のもとにおいても、もっと請求権者が請求しやすくしてあげるとか、あるいはまた請求のあったものについての金額をできるだけ多くするということ、そういったようなことで、予算が残らぬようなことを考えるべきじゃないか。それは理由もないのにふるまう、そんなことはもちろんしてもらう必要ないわけですが、いずれにしても、拘束されて無罪になる、なかなかこういう刑事補償法で規定しておるような金額で物的、精神的な損失が償われるものじゃとてもないんですから、これは実際問題としてそう無限に出すわけにもいかないから、一応こういう基準をつくっておるわけでしょうが、それは国家賠償でやってもらったらいいんだといったような理屈もあるかもしれぬが、ともかく刑事補償法がつくられた精神から言えば、もっと対象者残りなく行き渡るようにしよう、また幸い予算もあるわけだから、できるだけひとつ法律の範囲内において多く与えていこう、こういう運用であってほしいと思うんですが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/30
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031・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 仰せのとおりかと考えます。短期間の抑留、拘禁でございましても、その人がこの制度を知らないばかりに補償の機会を失うということがあってはならないことは当然でございます。従前、三日の抑留、拘禁につきまして補償の請求が出まして、それにつきまして補償いたしたいという事例もあるわけでございまするが、裁判所といたしましても、無罪の言い渡し等の場合には、なおその点も特に弁護人がついておらないような事件につきましては十分配慮するようにつとめたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/31
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032・亀田得治
○亀田得治君 まあそれに関連するわけですが、現行法の第三条の運用の問題ですね。先ほどお尋ねした第二表を拝見すると、請求棄却の人員というものがそこに出ているわけですが、全体の数からいうとそんなに多くないと思いますが、これはどういう理由で請求棄却になっているものが多いのでしょうか。ここに書いてあるのは合計で十一件ですから、全部おっしゃってもらってもいいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/32
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033・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 実務上よく非常にしばしばございまするのは、たとえば窃盗と詐欺の両方の罪名で勾留されている、ところが窃盗については無罪の裁判があった、詐欺については有罪であったというような場合でございまするが、その場合に、これは刑事補償法の三条の二号の問題でございまするが、併合罪の一部について無罪の裁判を受けたという場合でも、他の部分について有罪の裁判を受けておりまする場合は、この三条の二号の規定によりまして、補償の全部または一部をしないことができると、かようになっているわけでございまして、ただいまの例で申しますると、この両罪名で勾留されておりまする場合、その勾留されておりまする間の取り調べというものがもっぱら有罪となりました詐欺の取り調べのためであったというような場合には、この三条の二号の規定によりまして補償しないということがあり得るわけでございます。この併合罪関係におきまして、非常にしばしば、全部または一部を補償しないという事例が生ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/33
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034・亀田得治
○亀田得治君 その場合ですね、無罪になった罪名がその被告人についての主たる事件であったという場合には、そのまあくっつけて起訴されたようなものが有罪になっても、これはやはり刑事補償をすべきである——第三条は幸いこれは任意規定でありますから、そういうふうな運用であるべきだと思うのですが、実際はどうなっているでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/34
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035・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) その間について詳細はちょっとわかりかねまするが、実質的にその抑留、拘禁というものがどういうふうに使われたかという、実質的な見方をして裁判所はそれぞれ決定をしているというふうに見ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/35
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036・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、実質的という立場で見ているということですから、私がいま指摘したような運用がされておるだろうと、こういうふうに理解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/36
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037・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) さようでございます。何日間かの抑留、拘禁の過程におきまして、ただその日数だけを見るのではございませんで、その中身を見ていく——手続の進展に応じてその抑留、拘禁がどういうように利用されたか、利用されたと言うと表現が悪いのでございますが、その間にどういう調べがなされたかということに着目をいたしまして見ていくという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/37
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038・亀田得治
○亀田得治君 この同じく三条の一号の問題ですがね、これは実務上あまり問題になってこないのでしょうか。たとえば一例をあげると、捜査官から相当誘導なり強制されて供述調書などをつくったというような場合には、これはもちろん一号には入らぬと思うのですが、その辺どうでしょうか。実際問題としては、なかなか微妙な調書もあるだろうと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/38
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039・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) いま仰せのような場合には、一号にはちょっと入りにくいのではないか。むしろもっと積極的に、身がわりの目的で名のり出てでございますね、被告になって無罪になったという場合が、考えられ得る典型的な事例ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/39
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040・亀田得治
○亀田得治君 それから、この刑事補償は補償として受け、さらにまた別に国家賠償の請求をされ、そうしてそれがきまったといったような事案というものは相当ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/40
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041・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 若干ございます。申し上げますと、これは国家賠償法の問題でございまするが、検察官の起訴等に過失があったとして無罪の判決を受け、被告人からの国家賠償請求を認容した事例でございまするが、これは東京高裁昭和三十七年三月八日の判決でございます。原告は詐欺罪で在宅起訴されまして、約十ヵ月十一回の公判審理の後無罪の判決を受けたというケースでございまするが、検察官の起訴行為に過失があるというふうに判断いたしまして、弁護人に対し支払った報酬、日当、原告及び弁護人の公判出頭による出費並びに慰謝料、これらを全額を認容いたしまして、三十五万九千八百円の損害を認めた例がございます。ただ、これは刑事補償の請求を別途しているかどうかわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/41
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042・亀田得治
○亀田得治君 ほかには何件ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/42
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043・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) ほかには、東京地裁昭和四十年の十月二十六日の判決でございまするが、原告は傷害致死罪で起訴されまして、計百四日間の身体拘束を受け、約三年の審理の後に、控訴審で無罪判決が確定いたしました。検察官の起訴の行為に過失があると認めて、弁護人に支払った報酬、旅費、宿泊料、原告本人の出頭のための旅費、慰謝料の全額をいずれも認容いたしまして、九十五万五千百四十円の損害賠償を認めました。なお、このケースは、原告は刑事補償金四万一千六百円を支給されているのでございます。これらが事例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/43
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044・亀田得治
○亀田得治君 詳細は要りませんが、ほかに何件ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/44
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045・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) これまでに、五条二項の前段で、つまり別に刑事補償を受けたという場合のケースは三件ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/45
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046・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、合計五件ですか、さっきの説明のと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/46
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047・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) いま三件と申し上げましたのは、別に補償を受けたということで刑事補償のほうでは請求棄却になったという例でございまして、全体的な統計的な数字は持ち合わせておりませんので申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/47
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048・亀田得治
○亀田得治君 まあその程度で。
それから、現在国家賠償請求されているのは何件くらいあるのでしょう、裁判未確定なやつは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/48
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049・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) わかりかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/49
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050・亀田得治
○亀田得治君 それはお調べになったらわかりますか、わかりにくいですか、そういうのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/50
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051・佐藤千速
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 民事局のほうと連絡をとればわかると思いまするので、後日調査いたしまして御提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/51
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052・亀田得治
○亀田得治君 そうしてください。
そこで、現行法の一つの問題点は、無罪判決を受けた者について拘束状態があったということが一つの条件になるわけですね。しかし、その点ははずすべきじゃないか。拘束であろうが、非拘束であろうが、無罪判決者についての賠償というものは当然国として考えるべきである。この第四条の補償の内容等を見ましても、「精神上の苦痛」ということも書いてあるわけですね。精神上の苦痛ということは、拘束を受けている人が必ずしも大きいとは限らぬわけです、これは。拘束、非拘束にかかわらず、人によっては非常な苦痛を受けると、こういうことがあるわけでして、それは具体的な個々の事件についての決定についてはいろいろ幅があると思いますがね、案件によって。しかし、そういう非拘束の無罪者については刑事補償をする道が閉ざされておるということは、私はこれは制度としては不備だと思うのですがね。この点はどういうふうにお考えでしょうか。道だけはやっぱりあけておくと。全部にそれが適用されるかされぬかは、これは裁判官の判断になりますが、道すら閉ざしておる。こういうことは、刑事補償法の根底をなしておる精神から言ってね、検討すべき余地があると思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/52
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053・川井英良
○政府委員(川井英良君) 立法上の問題になりますので、私のほうから先に一応考え方をお答えしたいと思うのです。非常に傾聴に値する考え方でございまして、方向としましては十分に首肯できるわけでございますが、私どもかなり前から、最高裁判所とも連絡をとりまして、その辺についての検討を実はしてきているわけでございます。で、いままでの考え方といたしましては、まだ煮詰まった結論が出ておりません。二、三の問題点を申し上げますというと、まず理論的な問題でございますが、いまの刑事訴訟法の構造として、前と違いまして、有罪の判決があるまでは被告人は無罪の推定を受けると、こういうふうなたてまえになっておりまして、御承知のとおり、起訴状一本主義でありますとかいうふうなところにも、明文の規定としましても、そういう趣旨があらわれているわけでございます。そのことは、実際問題は別にして、理論的にだけ考えてみますというと、一審で無罪の判決があるまでは、たとえ検察官から起訴されましても被告人としては無罪、何もないんだ。まあ諸外国におきましては、非常に無罪率が多いのにもかかわらず、必ずしも刑事補償の制度というものが日本ほど広く認められていないようでございます。わが国では非常に無罪率が少ないにもかかわらず、またこの刑事補償についての問題というふうなものについて、私どもも前からいろいろ検討すべきものがあるんじゃないかというふうなことを考えてまいりました。その原因をだんだん考えてみますというと、無罪の推定というようなことには、法律のたてまえはなっておるけれども、わが国の実際の社会の取り扱い方といたしましては、検事から裁判所に起訴されるというと、もうそれだけでもって社会の取り扱いがいかにも有罪であるかのようなふうに取り扱われてきている。そのために社会上、生活上非常にいろいろな損害なり、あるいは名誉の点について損失を受けると、こういうふうな実情に相なっておりまするので、この法のたてまえと、それから社会における起訴された者についての国民感情なり取り扱いというふうなものが、必ずしもぴったり合ってないというようなことが、この問題について非常に悩みを感じておる一つの重要な問題ではないかというふうに考えているわけでございます。そこで、この法のたてまえであるところの無罪の推定を受ける、こういう大きな原則と、それからいまの、およそ在宅であろうと非拘禁であろうと、無罪になった場合においてはすべて一律にこれを補償すべきだと、こういうふうな大きな、常識的なと申しますか、その大きな命題との理論的な合理的な解決をどういうふうに持っていったらいいかというようなことが、一つの大きな理論上の問題点として、関係者の間で従来から煮詰めて議論をしてきておる一つの点でございます。それからさらにまた、要するに、これは現在の制度も国の無過失責任を認めるものであるということは、学説上異論のない点でございまして、その無過失責任というものをどの程度に認めていくかということも一つの大きな問題であろうと思います。国の産業、文化が発達し、また国の経済が伸びていくということに従いまして、私どもから申し上げるのは口幅ったいことかも存じませんけれども、いろいろな面において、国民に対して国家が補償の制度を広げていくということは大きな趨勢だと私どもも理解いたしております。ただ、その広げていくその度合いと、それからスピードの点において、やはり国家財政との点におきましても、いろいろバランスをとって進めていかなきゃならないんじゃなかろうかということも考えておるわけでございます。憲法は、御承知のように、拘禁された者だけについての補償を一応要求いたしております。憲法も、非拘禁の者の補償までも憲法そのものとしては要求していないわけでございますので、その辺のところとかみ合わせ、たとえば海難審判でございますとか、特許審判でございますとか、あるいは許可認可の行政処分でございますとか、いろいろな国の審判手続があるわけでございますが、そういうようなものにつきましても調べてみますというと、それぞれ刑事裁判の無罪の場合と同じような事態がかなり出ているようでございまして、そういうふうなものの補償との関係におきましても、また財務当局あたりの見解も参照いたしまして、いろいろ議論しているところでございますけれども、たとえば犯罪によって被害を受けた、その被害者というふうなものは、いまさしあたりは、かりに殺人の被害者となって殺されましても、その殺されたということについて直ちに国家の補償というようなものが行なわれていないわけでございますので、被害者の補償というふうなものもあわせてまた考えてみまして、国の政策といたしまして、税金でまかなうというふうな場合に、どれを先にし、またどれをどういうふうにまかなっていくかというふうなことにつきましても、またいろいろ議論が出ているところでございます。
はしょって申し上げまして、そういうふうな点がございまするし、かりに方向が是認されるといたしましても、拘禁された場合には日数がはっきりいたしておりますので、一日について六百円以上千三百円以下ということになりますというと、その範囲で金額をきめて拘禁された日数を掛けますというと、直ちにこの定型化された補償金額が出てまいりますけれども、不拘禁の者までこれを補償するということになりますというと、その範囲をどういうふうにきめるべきか。無罪の中にもいろいろな無罪があります。拘禁された場合においては、肉体的苦痛というものはある程度定型化されますけれども、不拘禁の場合において、それぞれの無罪になった人が受けるその損失、あるいは精神的な苦痛というふうなものは、社会的な地位とか、いろいろなものによりまして非常に段落が多いというようなことになりますので、これを無過失責任として定型化して補償していくということになりますと、技術的な面においてどういうふうにしてそれをきめたら合理性が出てくるだろうかというようなことにつきましても、いろいろ各方面の見解を伺っておりまするけれども、非常にむずかしいというふうな問題が提起されているところでございます。
以上申し上げましたように、いろいろ困難な問題はございますけれども、当面、予算は最高裁判所のほうについておる予算でございますので、立法は私どものほうが扱うというふうな事柄になっておりますので、佐藤局長のほうとかねてから十分連絡をとりまして、この制度についての問題点を解消して、できるだけすみやかに何らかの結論が出るように検討を煮詰めてまいりたい、こういうような状況でもって、目下、協議検討中という段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/53
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054・亀田得治
○亀田得治君 まあ、これはひとつ積極的に検討を促進してほしいと思うのです。これを制度化するといろいろ問題になる点などの説明もございましたが、しかし、それは何とかこれを制度化しようということに踏み切ってしまえば、それほど困難な問題でもないように私思うのです。個々の事情などの違いというようなものもちゃんと取り入れることができるような幅のあるきめ方ができると思うのですがね、個々は裁判官の判断にまかすということになるのでしょうが。まあ、そういう意味で、ただいまのお答え、非常に積極的にいろいろやっておるということですが、ぜひ近くこれが実現できるような姿勢で進めてもらう、こういうことを要求しておきます。
で、根本は、被告人は無罪の推定を受けておるというふうな、これは制度上の問題もありますが、しかし、われわれは何もそういうことを問題にしているわけじゃない。やはり実際は、社会的にはどういう扱いになっておるか、ここが一番根本的に大事なところなんですね。で、欧米の社会とこちらのそういう面についての違い、これはいま御説明の中にあったわけですが、そこが一番の土台なんですよ。弁護士会等でもこの点についての要求が出ておるのは、そのよしあしは、これはもう論じてみたって始まらないので、現実がそういう状態なんですから、そういう状態がもし改まっていけば、その際においてまた刑事補償法を改正していいわけでしょう。社会の状態が改まれば別に損害はないということにもなるわけですからね。あくまでも現実に即したやり方をひとつ検討してほしい。これは要望いたしておきます。
それで、ちょっと関連して、いま出ていたと思うのですが、たとえば現在の刑事訴訟法百九十六条ですね。「検察官、検察事務官及び司法警察職員並びに弁護人その他職務上捜査に関係のある者は、被疑者その他の者の名誉を害しないように注意し、且つ、捜査の妨げとならないように注意しなければならない。」、こういう規定がありますが、これは十分、訓示規定でありますが、守られておるでしょうか。まあ、大体は守られておるかもしれませんが、特殊な事件等になりますと、いろいろな考慮から、意識的に、はっきりしないものをうわさとして流すとか、そんなことが事実あるんじゃないですか。それは新聞記者などは、もちろん取材がこれは自分の仕事ですから、いろいろ山をかけたり推測したりする、これはまた当然だと思います、その立場としては。しかし、肝心の捜査をにぎっておる方々がそういう点をきちっとしておれば、これは私はなかなか推測などで扱いにくいものだと思いますね。何かやっぱり以心伝心でわかるような表現をされるとか、そういうことがいろいろな事件の場合に行なわれておるんじゃないかというふうに思うんですが、それは、まあそんなことはないと、これは必ず一応お答えになってくるんじゃないかと思うが、実際の新聞等を見ておりますと、そこら辺の疑念がわれわれあるわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/54
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055・川井英良
○政府委員(川井英良君) 最近大きな事件が捜査されますというと、いろいろなことが事前に新聞等に出まして、そのために関係者のいろいろ御迷惑なことが出ているんじゃないかということは私どもも十分に理解ができるわけでございます。この条文はなるほど訓示規定でございますけれども、私ども部内におきましては、もう厳重に戒めまして、主任検事からその扱った事件についてのいろいろな事情が不用意に外部に出るというようなことは絶対にさせないようにつとめております。ただ、それのみならず、この規定だけではなく、検察官も一般職の公務員でございますので、職務上知り得た秘密というものを漏らせば、これはむしろ刑事的な犯罪にも該当する事項でございますので、これはもう検事みずから十分心得ていることでございます。ただ、先ほど御指摘がございまするように、最近の報道関係の積極的な活動というようなものは、これは非常に激しいものが片方においてございまするし、それから行なわれておる事件につきましては、これは一切がっさい、全然いかなる段階においても漏らしてはいけないのだというふうな事柄ではなく、公益上の必要があれば支障のない限度においてある程度の発表をするということも、これは法律上のたてまえとして許されるのじゃないかというふうな考え方もございますので、やむを得互い場合におきましては、支障のない限度におきまして次席検事とか検事正とかというふうなものが、ごく限定された限度でもってある程度のことを、差しつかえない段階において積極的に発表するというふうなことをやっておるのが検察庁における大体のたてまえでございます。私どもといたしましては、検察庁の面から、積極的にあるいは不用意に、事前に不確かなことが漏れるということの絶対ないように戒めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/55
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056・亀田得治
○亀田得治君 そういう点は、ひとつ人権という立場から十分注意を、これは幾らしても足りないことだと思う。最小限度必要なことは、検事正や責任者が発表なさる。これは私はそれでいいと思います。そうじゃなしに、非公式に以心伝心のようなかっこうで何かうわさが流れる。やっぱり本拠は捜査しておるほうが一番の震源地ですからね、何といっても。だから、そういう点は十分ひとついろいろな機会に法務大臣等からも御注意を願いたいと思うのです。ちょっと大臣の見解をひとつ聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/56
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057・赤間文三
○国務大臣(赤間文三君) ただいま亀田君の御質疑ごもっともでございます。われわれとしましては、人権、つまり名誉に関する場合が多いので、絶対に検察当局から漏れないように、漏らさないように厳重に指導していくという方針をとっております。だいぶこのごろ徹底したようでございますので、今後もますますひとつ漏れることのないように注意をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/57
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058・亀田得治
○亀田得治君 ただ誤解があっちゃいかぬわけですが、国会などにおいてきちんとした筋道を立てて、そうして論議があるというふうな場合には、もう差しつかえない限りその質疑に応じていくということは、また国会の審議権の問題として御検討願っておかぬといかぬ。私のいま申し上げておるのは、そういうのじゃなしに、何かこう下のほうで漏れていく、そういうふうなことでは非常にこれは気の毒な場合が予想される。いま大臣の言明のように、十分ひとつ検察行政として間違いのない運営をお願いしておきます。
ちょっともう時間のようですが、つけ加えて一つ申し上げますと、刑事補償法の今度金額が変わるわけですが、当然そうなりますと被疑者補償規程ですね、これも同じように金額を引き上げるということであるべきだと思うのですが、それはどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/58
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059・川井英良
○政府委員(川井英良君) この法案の成立を待って、直ちに訓令で改正して千三百円以下、こういうことにするようにもう準備を整えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/59
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060・亀田得治
○亀田得治君 これはどうですか、被疑者補償規程という法務省の訓令のようなものじゃなしに、やはり刑事補償法というものとこれ一本化してつくれないものだろうか。補償規程ということでは、何かこう好意的に支給しておるというふうな感じもするわけですね。ほんとうは請求権があるのかないのかわからぬ。そうじゃない、やはりこれは請求権は私はあると思うのですよ。だからそういう点をきちんと明確にするには、まあ刑事補償制度についての検討をされておるようですが、その点もあわせて私はひとつ研究をしてほしいと思うのです。どうでしょうか、そういうことは問題になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/60
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061・川井英良
○政府委員(川井英良君) 研究いたしております。ただ、ここにもやはりいろいろ問題点がございまして、そう早急に決心ができないわけでございますが、この検事が行ないます不起訴処分というふうなものの中には、御承知のように、罪とならずとか、嫌疑なしとか、証拠不十分とか、起訴猶予とか、非常にさまざまな十種類の裁定文があるわけでございます。この不起訴処分について、判決と同じような一種の確定力を付与するというようなことにしないというと、これは請求権という権利にならないと思います。法律できめる以上は、これは一種の権利としてこれを認めるということでないと意味がないと思います。権利として認めるということになれば、検事が行なう不起訴の裁定に、判決と同じような趣旨の一種の確定力を付与していく、こういうようなことにしないというと法律上筋が通らない、こういうことになる。これは確定力を与えるということになりますと、いまの日本の検察官制度というようなものと、検察官の職務権限、それから刑事司法における検察官の持っておる権限というふうなものから考えまして、これは必ずしも妥当ではないというふうに考えられるわけでございます。
確定力を与えませんというと、たとえば検事が不起訴にした、補償してくださいと、こう持ってきた場合に、検事は、いや、あなたの場合には証拠があるんだけれども、いろいろな観点からして気の毒だから公訴を提起しなかったのだ、もう少し調べれば証拠が集まってきて起訴処分になるけれども、この程度で捜査を手控えたのですが、これはやれば起訴処分になる案件です。そういうような種々雑多なものがあるわけであります。そうしますと、その人はそれに不服の場合においては、今度は裁判所に訴え出まして、私は嫌疑なしで罪とならずで不起訴なんだ、にもかかわらず、検事は言を左右にして補償に応じてくれない。だからもう一ぺん裁判所で調べて、証拠が不十分である、だから不起訴処分だというふうにしてほしいというような何か救済の手続規定を設けなければ、とてもこれは何とも始末がつかない問題になりやしないか。そういうことになりますというと、検事が行なった処分について問題のあるものについては、一々今度は裁判所に持ち込んで、検事が行なった処分の当否を裁判で決定するというふうなことになりますというと、これはまた、どうも今日の刑事司法における検察官制度というものを、基本的に考え直さざるを得ないというようなことにも相なりますので、私ども、その法律にすべきだというたてまえといいますか、方向におきまして、非常に傾聴に値する御意見だと思いまして、検討はいたしておりますけれども、これは先ほどの問題よりはもっとむずかしい問題が、理論的には私含んでいるのじゃないかというふうに思いまして、検討はいたしておりますけれども、早急にすぐに結論が出るというふうにはいかないのじゃないかというのが、いまの現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/61
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062・亀田得治
○亀田得治君 先刻の問題よりももっと問題点多いことは、私もよくわかるのですが、したがって、立法化する場合に、だれが考えても当然と思われるようなものにしぼっていくとかなんとか、またやり方があると思います。単なる起訴猶予というようなものははずす、だからそこはくふうだと思うのです、そこが。残ったものだけをまた訓令で扱っていくというふうなことになるのですかね、その場合は。まあいろいろ立法のしかたあるでしょうが、ひとつこれもあわせて積極的にひとつ御検討願っておきます。
参考までに聞きますが、この被疑者補償規程による支給ですね。これは年間どれくらいありますか、最近の件数だけでけっこうです。参考に聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/62
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063・前田宏
○説明員(前田宏君) ただいまお尋ねの点でございますが、被疑者補償の運用状況につきましては、最近四十年におきましては五人、四十一年におきましては九人、四十二年におきましては八人でございまして、補償金額は、四十二年におきましては、八人の申し立て人のうち四人に補償いたしまして、合計一万五千円ということになっております。ただ、この事件と申しますか、人員の中には、本人の請求によります以外にも、検察官のほうの職権によりまして立件した事件も含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/63
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064・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/64
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065・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/65
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066・青田源太郎
○青田源太郎君 私は、本案に賛成いたしますとともに、各派共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。
提案の趣旨にかえまして、附帯決議案を朗読いたします。
刑事補償法の一部を改正する法律案に対す
る附帯決議案
一、政府は刑事補償の趣旨にかんがみ、身柄不
拘束のまま裁判を受けて無罪になった者に対
する補償の実施、被疑者補償制度の整備等に
ついて検討すべきである。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ各位の御賛成をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/66
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067・小平芳平
○委員長(小平芳平君) ほかに御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/67
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068・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
刑事補償法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/68
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069・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、討論中に述べられました青田君提出の附帯決議案を議題といたします。青田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/69
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070・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 全会一致と認めます。よって、青田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、赤間法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。赤間法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/70
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071・赤間文三
○国務大臣(赤間文三君) 附帯決議の問題につきましては、御趣旨を尊重いたしまして、最高裁判所、その他の関係機関と十分連絡をとりつつ検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/71
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072・小平芳平
○委員長(小平芳平君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/72
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073・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/73
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074・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を行ないます。
御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/74
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075・亀田得治
○亀田得治君 大阪の布施で起きました自動車の運転手の方と警察官のトラブルについて若干お尋ねしたいと思います。
これは大阪のほうでは新聞にも載っておる事件でありますが、今月の十三日のことですね。午前八時過ぎ、東大阪市の今里——枚岡線で、運転手の方は菊花交通株式会社の阪野一子ですね。女性の方です。問題は、この阪野運転手が、先ほど申し上げた日時に、乗客を乗せないままでタクシーを流していたのですが、ちょうど横断歩道がありまして、その場所で左右二台車が並んだわけですね。阪野運転手のほうは右側、もう一台の車が、左のほうの車が速力を落としたと、そういう関係で、右のほうの阪野運転手の車が追い越したようなかっこうになったわけですね。それをこの警察官が見ていて、横断歩道における追い越し禁止の規定違反だと、こういうことで問題が起きたわけです。運転手のほうは、警察官の要求がありましたので、運転免許証を呈示したのですね。呈示したのだが、自分としては違反ではないと思っておるものですから、警察官には渡さないで、そのままポケットにしまおうとしたわけです。そうすると、警察官が、こいつはなまいきだということで運転手に暴行を加える、こういう事態になったわけです。
最初はこの女性の運転手の方が突き飛ばされて、そうして後頭部を打つ、起き上がったところが、またうしろから押されて、今度は前頭部を打つ、こういうことで傷害を受けたわけですが、一回、二回とそういうことがあって、さらに今度は路地のようなところに引っぱっていかれていろいろされたわけでしょうが、そのときにこのスラックスですね、運転手の方がはいていたこれがずり落ちるというふうなこともある。そういうところで、それまではその警察官は、女性であるというふうに考えていたのかどうかよくわかりませんが、何かそういうことがあって、それからはおとなしくしたようですが、運転手の方は近くの病院で診察を受けて、そうして診断書ももらったと、現在でもなお頭が若干痛む、こういうふうなことなんです。ここに読売新聞だけございますが、その交通取り締まりをやっておられる警察官も、なかなかこう道路が込んでいたりして、そうしてまた一日じゅう排気ガスを吸わされると、気分もいらいらするというふうなこともあるでしょうが、やはりもっと親切な態度で応対していかなければいかぬのじゃないかというふうに思うわけですが、この点について御報告も来ておると思いますが、警察側ではどういうふうに本件を見ておられるのか、御報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/75
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076・鈴木光一
○政府委員(鈴木光一君) 御指摘の事案につきましては、現地の大阪府警察本部から報告がまいっておりますが、その報告によりますと、先生御指摘の事実とはだいぶ違うようでございますが、私どものほうで徴しました報告に基づいて事案の内容を御説明申し上げたいと思います。
違反の被疑者は、御指摘のありましたように、大阪市西淀川区に所在いたします菊花交通株式会社のタクシー運転手阪野一子、三十六歳の女の方でございますが、この運転手が違反をしたということに関連してのトラブルであるわけでございます。違反の日時につきましては、五月の十三日、ちょうど交通安全旬間の最中でございますが、十三日の午前八時三十分ごろでございます。で、違反を起こした場所は、大阪府東大阪市長堂二丁目七番地先の路上でございます。違反の事実でございますが、この阪野運転手が、先ほど申し上げました日時、場所におきまして、営業用普通乗用自動車を東から西に向かって運転中に、交通整理の行なわれていない横断歩道の手前の側端から前に三十メートル以内の部分において、前車を——前車というのは軽四輪の乗用自動車ですが、まあこれを追い抜いたという違反でございます。この違反の条文につきましては、昨年の五十五特別国会におきまして、道路交通法の一部改正が行なわれまして、横断歩行者保護の観点から改正された条文でございまして、三十八条の三項にございます規定に基づくものでございます。念のため読んでみますると、「車両等は、交通整理の行なわれていない横断歩道及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路の部分においては、第三十条第三号の規定に該当する場合のほか、その前方を進行している他の車両等の側方を通過してその前方に出てはならない。」という条文に触れるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、歩行者保護の観点から、三十八条の二項に、その前の条文と一緒につけ加わったわけでありますが、交通整理の行なわれておらない横断歩道におきまして、横断歩行者が渡ろうとして車が横断歩道の直前にとまっておるときには、うしろから行った車もとまりなさいという規定と一緒に、そういう横断歩行者の保護を確保する意味において、その手前三十メートルでは追い抜かないようにということで、こういう類型の事故が非常に多いという観点からこの条文ができたわけであります。その条項に触れたわけでございます。
それで、おりから交通安全旬間でございましたので、警察官も多数出ておったわけですが、これを現認いたしましたのは、布施警察署の警ら課の巡査八尋勇、二十四歳が現認したわけですが、これが現認いたしまして、違反者に対しまして、直ちに警笛を吹鳴して停止させまして、免許証の呈示を求めましたところ、同人は下車して後部トランクから免許証を取り出して、一応免許証を開いて見せましたが、同巡査がその内容を確認しようといたしますと、それを上下に振りながら車道の中央部にあとずさりするような態度を示したと、このような状態では、現場は交通量も多く、交通の妨害となるばかりでなく、本人にも危険が及ぶおそれがあると、また免許証の確認もできないという判断で、同巡査は被疑者の肩に手を添えて、車道の中央に出るのをやめて、安全な歩道上に行くように促したとたんに、急にみずから左斜め前方にころんで、さらにあおむけになったりすわり込んだりしてあばれ出した。同巡査はさらに説得につとめて、他の警察官の応援を求めて、派出所並びに本署へ任意同行したというのが事実のようでございます。この事実につきましては、現地で日本自動車運転士労働組合の組合員諸君がいろいろこの問題に関連して抗議、陳情に来たようでございますけれども、警察署並びに警察本部の調べでは、そういうような事実はないと、いま報告申し上げましたような事実であるということで応接しているようでございますが、なお、これにつきましては、相当数の現場の状況を見ている参考人がたくさんございまして、その現場を見ている参考人の供述からも、いま言ったような事実につきましては間違いないという心証を警察当局では得ておりますので、私どもも、いま言ったような事実に間違いないというふうに考えております。したがって、先生御指摘のような事実とは違うように思われるわけでございます。
なお、先生の御指摘の中に、交通取り締まり警察官の言語、態度等についてのお話がございましたけれども、私どもも、そういう観点から、交通の指導、取り締まりに当たる警察官につきましては、その言語、態度から運転者の諸君とのトラブルを起こさないように、国民に納得される指導、取り締まりをするという観点で、常日ごろから指導をしているわけでございます。念のため、つけ加えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/76
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077・亀田得治
○亀田得治君 どうもこういう問題が起こると、事実の見方が非常にこう違ってきて困るわけですが、この阪野という人は非常に優秀な運転手のようですね。そういう点は調べてありますか。二回優良運転手として府警から表彰もされておるし、交通事故などは一回も起こしておらぬし、それから家庭のこともわれわれ聞いているのですが、この人が一人で両親と二人の子供を育てているのですね。なかなか社会的にも、非常にそういう意味では尊敬されておる人のようです。そういうような点は、あなたのほうではどういうふうに見ておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/77
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078・鈴木光一
○政府委員(鈴木光一君) いま御指摘になったような事実につきましては、私ども報告を受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/78
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079・亀田得治
○亀田得治君 事故などがあると、警察じゃたいがい、その前歴がどうだったろうと、ことに、こういう争いになるとお調べになるのですわね。で、前に違反でも数回やっているとかいうようなことがありますと、それはもう必ず、だから今度も悪いのだと言わぬばかりに御報告が普通あるのですけれどもね。やはり食い違いは食い違いとして、いい点はいい点というものがあれば、やっぱりそういうことも下部から報告が来ぬと私はうまくないと思うのですがね。これはちょっとお調べを願いたいと思うのです、この本人の名誉のためにも。で、私はそういうふうにお聞きしておるのです。自分で違反をやって、そうして自分でかってにあばれて、そうして自分で一人でけがしているのだと言わぬばかりのお説明ですわね。そういう人かどうかということですね。これはなかなかやっぱり大事な点だと思うのですよ。それはお調べ願って、もう委員会はありませんが、御報告願えるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/79
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080・鈴木光一
○政府委員(鈴木光一君) ええ、調べまして御報告したいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、この種のトラブルがよくあるんでございますけれども、私どものほうは、安全運動期間中で、非常に交通の激しいところでございますから、当時の状況を見ておった人が相当大ぜいあるんでございます。その中で、たとえば、こういう報告が来ておりますけれども、ある見た人の説明によると、「あのときの様子は、約十メートルぐらいのところで見ておりました。タクシーからおりた運転手は、車のうしろトランクから免許証を出すと、巡査に免許証を横に開いて二、三回すばやく頭のあたりから胸のところまで上げたり下げたりして見せながら、うしろのほうに下がっておりましたが、あれでは内容はわからないと思います。その直後、運転手は急に車道上にからだを南側の方向に斜めに倒れました。このとき、私たちは、あれは芝居や、巡査はえらい損やと話していたくらいです。」というような、これは一つの例でございますけれども、そういうようなこともございまして、私のほうはどうも御指摘の事実とはだいぶ様子が違うように思われるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/80
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081・亀田得治
○亀田得治君 それは、参考人というのは何人くらいあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/81
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082・鈴木光一
○政府委員(鈴木光一君) 報告では三人ですね、三人の参考人に供述調書をとっておるということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/82
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083・亀田得治
○亀田得治君 それはほかの警察官じゃなしに、一般の通行人という意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/83
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084・鈴木光一
○政府委員(鈴木光一君) 一般の通行人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/84
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085・亀田得治
○亀田得治君 それは住所、姓名はお知らせ願えませんか。本人にとってはたいへんなショックな事実ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/85
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086・鈴木光一
○政府委員(鈴木光一君) この問題につきましては、いずれおそらく組合のほうでも公判廷で争うようなことを言っておられますし、そういう事情もございますので、その辺のことは、私は控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/86
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087・亀田得治
○亀田得治君 これはもう送検したわけですか。それは手続はどうなっているんです、その後。十三日にそういう事件があって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/87
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088・鈴木光一
○政府委員(鈴木光一君) これはおそらく交通切符で処理されたと思いまするので、交通切符に、当時の状況を被疑者の供述調書及び関係書類と一緒に、十八日に東大阪区検に書類を送致したという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/88
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089・亀田得治
○亀田得治君 こういう事件は、刑事局長のほうにお尋ねしますが、どういうふうに検察庁としては扱うことになるんでしょうか。つまり、お聞きしたいのは、警察のほうでは、これは交通違反だと、明らかに。横断歩道の追い越し禁止の規定に反するものだと、こういうことでやっておられるわけですね。ところが、運転手のほうは、まあ、その点の事実関係についてもいろいろ言い分があるんだろうと思います。私の聞くのでは、左側の別な車が速力をゆるめたものだから自然にこっちが追い越したかっこうになったと、形というものは一応私は、そういう意味じゃ認めているのじゃないかと思いますがね。まあ、しかし、そこら辺の微妙な点はいろいろこれは検察庁でお調べ願ってけっこうなんですが、もう一つの暴行の問題ですね、こういうものは切り離して調べるということになるでしょうか、どうなんです。その事件は別々だが、しかし、当事者にとってはこれは一体のものですわね、一体のものです。こういう場合の検察当局の扱いというものはどうなるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/89
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090・川井英良
○政府委員(川井英良君) おそらく、この道交法違反の事件を調べる際に、その被疑者のほうの側から、ただいま問題になったようないろいろな事実関係について、検察官に詳細な申し立てがあるのが普通だろうと思います。それを受けて、検察官がその当時の事情について、本来の道交法違反の事実関係はもとより、その周辺にある事柄についても、詳細な取り調べをして何らかの判断を示すというのが、普通の検察官の取り扱いの状況だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/90
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091・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、まあ道交法違反は違反、それだけはそれだけとして先に切り離して処分してしまうと、そういうことは適当でないと、こういうふうに承っていいわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/91
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092・川井英良
○政府委員(川井英良君) いま申し上げましたのは、一般論の原則論としてそういうふうになるんじゃないかということを申し上げたわけでございますが、具体的な問題ございますので、本件が具体的にどういうふうに担当検察庁でもって取り扱われるかということにつきましては、必ずしもはっきりいまここで、こういうふうになるのじゃないかと、また、こういうふうにすべきだというふうなことを、ちょっと私の立場から申し上げにくいのでございますけれども、せっかくここでいまこまかい質疑応答が行なわれましたので、いずれ速記録ができることと思いますが、速記録を余分に入手して、私としては、担当地検に回付して、そうして、この事件についてこういうふうな問答が国会においても行なわれているということを検察官が参考にして事件の捜査に当たってもらうというふうにでもしたらいかがなものだろうかというふうにいま考えていたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/92
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093・亀田得治
○亀田得治君 まあ、この地元の検察官としては、新聞をごらんになって、事件そのものの概略はすでに御存じだと思いますがね。犯罪があると思えば、これはいつでも調べてもらわなきゃいかぬ。ことに、このほかの起訴事件とからんでおるというような場合には、一そうそうしてもらいませんとね、非常にやっぱり不公平な印象を与えちゃ、検察、警察行政としてうまくないと思いますね。ぜひ、だからね、いま局長がお答えになったような扱いをしてもらって、はっきりしてほしいと思うのですね、はっきり。どちらの言い分が正しいのか。で、私たちも、こうしてお聞きした以上は、結果、どういうふうにこう処理されたのか、若干日数もかかるでしょうが、結論の出たところでひとつ御報告をいただきたい。休会中であれば、まあ国会外でけっこうですが、そういうふうに御要望しておきますが、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/93
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094・川井英良
○政府委員(川井英良君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/94
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095・亀田得治
○亀田得治君 それから、その組合の人たちなり本人たちが警察と交渉を二回ほどされたようですね。そういう中で、文句があれば裁判で争うと、黒白をはっきりしようというようなことを、こう二、三回言われたようですね。だから、まあ、それはどうしてもはっきりしないものは、それは裁判でいいわけですがね。そういうことばは私はあんまりよくないと思うのですよ。そんなことは言わぬだって自然にそうなるわけでね。ところが、まあ陳情に行ったりいろいろしているときに、そういうことばを使いますとね、警察というところはともかくもう頭から問題にしよらぬと、文句があったら検察庁へ来い、裁判所へ来いと、こういうやっぱり印象を与えることはまずいと思うのですね。やっぱり話は話として十分聞いて、それは向こうは真剣なんですからね。女の細腕で、さっき私が申し上げたような家庭の支柱なんですよ、家の。そういう方ですからね。それをあなた、休んで警察に来て話をするというような立場というものはね、やっぱり考えてやってもらいませんとね、無用なやはり悪現象といいますかね、悪循環を起こすと思うのですよ。そういうことを言われりゃ、当然そのことがまたほかへ伝わるでしょうしね。そんなことはうまくないと思う、警察行政のあり方として。まあ、ともかく交通問題は取り締まるほうも、また運転するほうも、なかなか、場合によっちゃ殺気立っている場合がありますからね。そのことはまあ理論的には局長もいつも認めておられるわけだ、親切にやらなきゃならぬと。ところが、本件においては、もうそういうことばを数回お使いになったということで、非常に気を悪くしておるのですね、私への報告によると。そんなことはやっぱり軽々にあまり使わぬようにしてほしいと思うのですね。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/95
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096・鈴木光一
○政府委員(鈴木光一君) 抗議に何回も署に訪れて、いろいろなやりとりがあったことを聞いておりますけれども、具体的にどういうやりとりをしたのかということについては、報告を聞いておりませんので、いま御指摘のようなことについて意見を述べる資料がございませんので、以上答弁さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/96
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097・小平芳平
○委員長(小平芳平君) ほかに御発言もなければ、本件の調査はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/97
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098・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 次に、請願の審査を行ないます。
第二七二四号福岡地方裁判所小倉支部等の昇格に関する請願外四十四件の請願を一括して議題といたします。
便宜、速記を中止して審査を行ないます。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/98
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099・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 速記をつけて。
請願の審査はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/99
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100・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。
検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/100
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101・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成及び提出の時期等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/101
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102・小平芳平
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815206X02019680523/102
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