1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十五年二月二十日(金曜日)
午後三時五分開議
出席委員
委員長代理理事 徳安 實藏君
理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君
理事 箕輪 登君 理事 村山 達雄君
理事 内藤 良平君 理事 松本 忠助君
理事 和田 春生君
河野 洋平君 佐藤 孝行君
菅波 茂君 砂田 重民君
中馬 辰猪君 中村庸一郎君
西村 英一君 古屋 亨君
井野 正揮君 金丸 徳重君
斉藤 正男君 楯 兼次郎君
米田 東吾君 田中 昭二君
宮井 泰良君 渡辺 武三君
田代 文久君 關谷 勝利君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
出席政府委員
運輸政務次官 山村新治郎君
委員外の出席者
運輸委員会調査
室長 小西 眞一君
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本日の会議に付した案件
新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案
(内閣提出第七号)
陸運、海運、航空及び日本国有鉄道の経営に関
する件等(運輸行政の基本施策)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106303830X00219700220/0
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001・徳安實藏
○徳安委員長代理 これより会議を開きます。
委員長は本日差しつかえができましたので、委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。
この際、午後四時再開することとし、暫時休憩いたします。
午後三時六分休憩
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午後四時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106303830X00219700220/1
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002・徳安實藏
○徳安委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
陸運、海運、航空及び日本国有鉄道の経営に関する件等について調査を進めます。
この際、運輸大臣から運輸行政の基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106303830X00219700220/2
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003・橋本登美三郎
○橋本国務大臣 最初に、たいへんお待たせして申しわけありません。
運輸行政の基本方針について申し上げます。
一九七〇年代の第一歩を踏み出す第六十三国会にあたり、運輸大臣として、行政の基本方針について、所信を申し述べたいと存じます。
一九六〇年代におきましては、御承知のとおり、わが国経済は世界に例を見ない大幅な拡大を続け、交通需要も逐年増加をみておりますが、その反面、通勤ラッシュ、交通事故など、国民生活の安全を脅かす社会問題も増加する結果となりました。
一九七〇年代は、経済規模の拡大を軸とする豊かな蓄積を土台とし、同時に、その過程において、経済、社会の各部面において発生するさまざまの問題を打開しつつ、新しいビジョンのもとに真に人間性豊かな国民生活を全国土に展開すべき年代であり、そのために、なかんずく運輸交通の部門に期待される課題は、まことに大きなものがあると確信するものであります。
私は、このような認識のもとに、次のような諸施策を展開しようと考えております。
第一に、全国的な幹線交通網の形成であります。
一九七〇年代においては、わが国は、情報化、技術革新等の進展に伴い、商密度情報化社会へと移行するものと思われますが、このような新しい社会に対応するため、能率の高い輸送技術を開発し、これを駆使して、全国土をおおう均衡のとれた交通網の整備を進めてまいりたいと考えております。
まず、全国新幹線鉄道網につきましては、鉄道建設審議会の決議もあり、国土の最高度利用をはかる観点から、建設すべき路線等を定めた基本計画を早急に策定するとともに、所要の調査を進めたいと存じます。
次に、国鉄財政の再建につきましては、わが国の総合交通体系に占める国鉄の大きな役割りにかんがみ、昨年九月に閣議決定された国鉄財政再建に関する基本方針に沿った諸般の措置を講ずるとともに、この国鉄がその経営努力によって実施する輸送及び経営の近代化の推進等について、十分に指導監督していく所存であります。
また、これに関連して、青函連絡鉄道の建設を引き続き推進する一方、本州と四国との間に鉄道、道路の併用橋を建設するため、来年度新しく公団を発足させることといたしたいと存じます。
次に、空港の整備であります。近年、航空輸送需要は激増の一途をたどっており、また、これに応じて航空機の大型化、超高速化への傾向も顕著となってまいりましたが、これがため、国際、国内いずれの空港を問わずこれが整備は喫緊の課題となっております。
このような事態に対処して、四十六年度当初の供用開始を目ざして、新東京国際空港の建設を引き続き推進するとともに、四十五年度より新たに空港整備特別会計を設置し、空港整備計画の推進を一そう強力に進めてまいりたいと存じます。
また、海陸輸送の接点であると同時に、国土開発の基盤となる港湾の整備につきましては、港湾整備五カ年計画を引き続き推進することにより、流通港湾、開発港湾等の整備を積極的に進めてまいりたいと存じます。
以上申し上げました各種交通関係社会資本の充実にあたっては、海陸空それぞれの交通機関の特性を生かしつつ、有機的流通性を持ち、国民経済的な視野に立った交通体系の形成をはかることに配慮いたしたいと存じます。
第二に、大都市交通対策の強化であります。
御承知のとおり、都市化の進展と大都市周辺の住宅地の拡大により、都市交通需要はきわめて旺盛なものがあり、輸送力増強をはじめとする各種の対策も増大する需要を完全に充足するに至らないため、豊かな都市生活への隘路となっている実情にあります。私は、中枢管理機能をはじめとする各種都市機能の適正配置による都市改造の長期展望に立脚しつつ、豊かな都市生活をささえる都市交通体系の形成に努力してまいりたいと存じます。まず、通勤交通輸送対策については、国鉄、私鉄、地下鉄などを有機的に組み合わせた高速鉄道網の形成や、これらの高速鉄道とバス輸送の合理的な組み合わせによる通勤交通システムの確立をはかりたいと存じます。
特に地下鉄については、きわめて効率的な交通手段ではありますが、その建設費は膨大なものとなるので、四十五年度から従前の助成措置の拡充強化をはかることといたしたいと存じます。
また、道路交通混雑については、都市内高速道路の整備をはかるとともに、公共性の高いバスの優先通行等効率的な道路交通の実現に努力いたしたいと存じます。
第三に、交通安全、公害対策の強化促進であります。
海陸空を通じて年間九十九万人の被害者を生む交通事故と、住民の健康をむしばむ自動車排気ガス等の交通関係公害の克服は、社会開発を進める上からも緊急の課題であります。
交通安全公害行政は、人命尊重という至上命令に基づくものであることは申すまでもありませんが、運輸省といたしましては、各種交通機関を通じて、安全施設の拡充整備、救難救済体制の充実、技術研究開発体制の確立等各般の措置を講ずることといたします。
なお、私は、経営者、従業員等交通事業に携わるすべての関係者が、とうとい人命を預かる交通機関の大切な使命を深く自覚し、厳正な規律のもとにその任務を遂行されるよう、機会あるごとに強く要請いたしておるものであります。
特に、最近発生した本州東方海域における大型船の海難事故につきましては、すみやかにその原因の総合的な調査を進め、対策を確立してまいりたいと存じます。
第四に、国際運輸における競争力の強化であります。
まず、海運につきましては、わが国は、世界第二位の外航商船隊を保有するに至っておりますが、海上コンテナ輸送の熾烈なる競争をはじめとして海運の国際競争の激化には、まことにきびしいものがあります。このような情勢に対処するため、四十四年度以降六カ年間に、二千五十万総トンの船舶を建造することにより、わが国輸出入物資の安定的輸送を確保することを基本とする新海運政策を強力に推進するとともに、コンテナ埠頭整備、海陸一貫輸送体制の整備等の諸施策を講ずることといたしています。
次に、航空につきましては、国際化の一そうの進展に伴い、人的交流はますます活発化するものと予想され、国際航空の役割りは一そう重要の度を加えるものと考えられます。
しかしながら、わが国を取り巻く航空界の情勢はきわめてきびしいものと存じます。
このような情勢に対処するため、まず対外航空交渉を通じてわが国国際航空路線網の整備をはかる所存であり、また、航空企業の国際競争力を強化するとともに、特に、航空機乗員養成体制の充実強化をはかってまいる所存であります。
以上のほか、国際観光の推進、地域交通体系の整備、運輸技術開発の促進等総合的運輸政策樹立のための各般の施策を推進する所存であります。
以上申し述べましたことは、言うなれば、一九七〇年代は、スピードの高速化、科学技術の高度化、超高密度のシステム化の三SSの時代であります。私は、このような新時代に特に重要なことは、もう一つのSS、すなわち高度の安全性の確立であると思うのであります。運輸行政の分野にはこのような重要な問題が山積しております。その解決のため、私は最大の努力を傾倒いたすつもりでありますが、国会の皆さま方の絶大な御支援なしにはその遂行の困難な問題ばかりでありますので、この機会にあらためて強くお願いを申し上げる次第であります。何とぞよろしく御指導のほどお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106303830X00219700220/3
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004・徳安實藏
○徳安委員長代理 次に、昭和四十五年度運輸省及び日本国有鉄道の予算について、運輸政務次官から説明を聴取いたします。山村運輸政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106303830X00219700220/4
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005・山村新治郎
○山村政府委員 まず最初にごあいさつさせていただきます。
一月の二十日に運輸政務次官を拝命いたしました山村新治郎でございます。浅学非才、加えて若輩でございます。諸先生方の御指導、御鞭撻をいただきましてこの任を全うしたいと思います。一生懸命やってまいるつもりでございます。どうかよろしくお願いいたします。
昭和四十五年度の運輸省関係の予算について御説明申し上げます。
初めに、予算の規模について申し上げます。
まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は四億四千八百六十二万二千円、歳出予算総額は、他省所管計上分二百三十二億一千百四十九万五千円を含み二千六十二億五千四百三十九万八千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、二百六十億二千七百万一千円の増加となっており、一四・四%の増加率を示しております。
この増加額の内訳を見ますと、行政費では百十億八千七百九十六万一千円、公共事業費では百四十九億三千九百四万円の増加となっております。
次に、特別会計について申し上げます。
まず、木船再保険特別会計の歳入歳出予算額は四億四千七百九十三万九千円であり、前年度に比較して二千五百五十四万円の増加となっております。
自動車損害賠償責任再保険特別会計の歳入歳出予算額は三千二百十五億六千七百一万五千円であり、保険金の支払い限度額の引き上げ等により、前年度に比較して一千二百三十億四千三百四十八万円の増加となっております。
港湾整備特別会計の歳入歳出予算額は一千七十七億一千二百五十万三千円であり、港湾整備五カ年計画の第三年度として港湾の整備を推進するため、前年度に比較して百八十九億三千五百六十万七千円の増加となっております。
自動車検査登録特別会計の歳入歳出予算額は五十九億五千五百万円であり、業務の電子機械化の推進等のため、前年度に比較して二十億八千三百九十八万二千円の増加となっております。
また、空港整備五カ年計画の第四年度として空港の整備を推進するため昭和四十五年度から新たに設置する空港整備特別会計の歳入歳出予算額は百八十四億七千百五十三万四千円となっております。
このほか、昭和四十五年度財政投融資計画中には当省関係分として八千五百三十二億二千万円が予定されております。
昭和四十五年度予算におきましては、当省は、次の諸施策に重点を置いて運輸行政を推進いたしたいと考えております。
第一に、わが国の交通関係社会資本は、今日までの長期計画実施の努力にもかかわらず、なお年々増大する輸送需要に対して著しく不足の状態にありますが、国土総合開発の根幹となる全国的な幹線交通網の整備をはじめ、将来のわが国経済社会発展の基盤となる交通関係社会資本の整備充実をはかることは現下最大の緊要事であります。このため、全国新幹線鉄道網及び大都市交通施設の整備促進、港湾整備事業及び空港整備事業の推進等により、鉄道、港湾、空港等輸送基礎施設の抜本的な整備充実を強力に実施するとともに、その推進にあたっては、各種交通機関の特性を生かしつつ国民経済的に見た最適交通体系の形成をはかるようにつとめる所存であります。また、その際、過疎地域における輸送力の確保についても十分意を用いることとしたい考えであります。
第二に、最近における経済成長に伴う交通量の激増に対処して、交通事故の多発を防止し、かつ、排気ガス、騒音等による交通公害の増大を防止するとともに、台風、豪雨等自然災害による被害を最小限にとどめるため、交通安全公害研究所の設置、巡視船艇の整備等による海上保安業務の充実強化、気象観測網の整備等による気象業務の充実強化をはじめとする諸般の措置を講ずることにより、海、陸、空にわたる交通安全対策、交通公害対策及び防災対策の強力な推進をはかり、もって国民生活の安全の確保につとめる所存であります。
第三に、最近のわが国経済をめぐる国際経済情勢の動向にかんがみ、海運、航空等の国際競争力を強化し、対外シェアの拡大をはかるため、外航商船隊の整備増強、国際航空路線網の拡充等の諸施策を推進する所存であります。また、国際観光につきましては、海外広報宣伝活動の強化と外客受け入れ体制の整備をさらに強化したい考えであります。
以上のほか、海洋開発の推進、航空機乗員養成体制の強化、船員教育の充実等の施策につきましても、大型測量船の建造、航空大学校の拡充、海員学校の整備等の措置を講じ、これを推進する所存であります。
次に、日本国有鉄道について申し上げます。
近年における国鉄財政の悪化の状況にかんがみ、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法により、昭和四十四年度以降十カ年の再建期間において国鉄の収入及び支出の均衡を回復することを目標として国鉄財政の再建をはかることとなり、国鉄自体の経営合理化、近代化を推進するとともに、国の財政措置の強化を実施すること等を再建の基本方針と定めたところであります。
昭和四十五年度の予算の編成にあたりましても、この基本方針にのっとり、損益勘定におきましては、日本国有鉄道財政再建補助金八十三億余円、日本国有鉄道財政再建債利子補給金三十八億余円等を含め、収入支出予算一兆一千六百四十二億円を計上し、また資本勘定におきまして、財政投融資三千四百億円を含め、収入支出予算六千百六十四億円を計上し、工事勘定におきまして、収入支出予算三千九百五十億円を計上いたしまして、山陽新幹線の建設、大都市通勤輸送の改善、主要幹線の輸送力増強、保安及び公害対策の強化、諸設備の合理化、近代化等を推進してまいりたいと考えております。
なお、運輸省関係予算の部門別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十五年度運輸省予算の説明及び昭和四十五年度日本国有鉄道予算の説明によりまして御承知を願いたいと存じます。
以上をもちまして昭和四十五年度の運輸省関係の予算についての御説明を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106303830X00219700220/5
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006・徳安實藏
○徳安委員長代理 次に、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。橋本運輸大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106303830X00219700220/6
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007・橋本登美三郎
○橋本国務大臣 ただいま議題となりました新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
新東京国際空港は、将来における航空輸送需要の急激な増大と航空機の急速な進歩に対応できる国際空港として建設されるものでありますが、これが建設にあたる新東京国際空港公団においては、目下、空港用地の確保、資材輸送施設、工事用道路等空港諸施設の建設に全力をあげているところであります。
ところで、新空港の敷地予定地の一部は、国有地である旧下総御料牧場によって占められておりますので、その移転先として空港公団は、栃木県高根沢地区に新御料牧場を建設し、これと旧下総御料牧場との建設交換を行ない、同牧場敷地の一部を取得いたしております。
しかし、旧下総御料牧場は新御料牧場より大きいため、この建設交換後において残地が生じますので、当該残地を空港公団に現物出資することによりこれを同公団に取得させ、もって新空港の建設に資することとする必要があります。
このため、空港公団に政府が土地またば土地の定着物を追加して出資できることといたそうとするものであります。
次に、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、政府は、必要があると認めるときは、新東京国際空港公団に土地または土地の定着物を出資の目的として追加して出資することができるものといたしております。
第二に、土地または土地の定着物が出資された場合における空港公団の資本金に関する規定、出資の目的とする土地等の評価に関する規定その他の関係規定を整備いたしております。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106303830X00219700220/7
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008・徳安實藏
○徳安委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106303830X00219700220/8
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