1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十五年三月三日(火曜日)
午前十一時五十九分開議
出席委員
委員長 八田 貞義君
理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君
理事 橋口 隆君 理事 前田 正男君
理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君
理事 樋上 新一君 理事 塚本 三郎君
石井 一君 稲村 利幸君
大橋 武夫君 海部 俊樹君
神田 博君 北澤 直吉君
左藤 恵君 坂本三十次君
進藤 一馬君 増岡 博之君
山田 久就君 石川 次夫君
中井徳次郎君 中谷 鉄也君
松平 忠久君 近江巳記夫君
岡本 富夫君 松尾 信人君
川端 文夫君 吉田 泰造君
米原 昶君
出席国務大臣
通商産業大臣 宮澤 喜一君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 佐藤 一郎君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 谷村 裕君
土地調整委員会
委員長 谷口 寛君
経済企画庁長官
官房長 相澤 英之君
通商産業大臣官
房長 高橋 淑郎君
通商産業省公益
事業局長 馬場 一也君
委員外の出席者
議 員 海部 俊樹君
商工委員会調査
室長 椎野 幸雄君
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二月十八日
ガス事業法の一部を改正する法律案(内閣提出
第九号)
同月二十八日
電気工事業の業務の適正化に関する法律案(海
部俊樹君外七名提出、衆法第二号)
三月二日
機械類賦払信用保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四四号)
輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第四五号)
二月二十五日
米国の繊維品輸入規制反対に関する請願(麻生
良方君紹介)(第三八号)
同(池田禎治君紹介)(第三八九号)
同(佐々木良作君紹介)(第三九〇号)
同(西尾末廣君紹介)(第三九一号)
同(西田八郎君紹介)(第三九二号)
同(西村榮一君紹介)(第三九三号)
同(栗山礼行君紹介)(第四六九号)
同(曽祢益君紹介)(第四七〇号)
同(田畑金光君紹介)(第四七一号)
同月二十七日
米国の繊維品輸入規制反対に関する請願(受田
新吉君紹介)(第四八七号)
同(寒川喜一君紹介)(第四八八号)
原子力発電所地帯の安全性確保等に関する請願
(齋藤邦吉君紹介)(第六八二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
ガス事業法の一部を改正する法律案(内閣提出
第九号)
電気工事業の業務の適正化に関する法律案(海
部俊樹君外七名提出、衆法第二号)
通商産業の基本施策に関する件
経済総合計画に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
鉱業と一般公益との調整等に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/0
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001・八田貞義
○八田委員長 これより会議を開きます。
通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。
まず、宮澤通商産業大臣から、通商産業の基本施策について所信を承ることといたします。宮澤通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/1
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002・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 第六十二回国会における商工委員会の御審議をいただくに先立ち、通商産業行政に関する所信の一端を申し述べます。
顧みますと、一九六〇年代は、わが国経済が急速な発展を遂げ、これに伴ってわが国の国際的地位が著しく向上した時代でございます。一九七〇年代におきましても、この成果を踏まえた一そうの飛躍と前進が期待されておりますが、反面、内外の経済環境は大きく変動しつつあります。
国際的には、残存輸入制限品目の自由化、資本取引の自由化の推進、特恵関税供与の問題をはじめ、わが国経済の国際化が課題とされており、また、国内的には、労働力需給の逼迫、物価、過密、公害問題等を早急に解決しなければなりません。
このようなときに、通商産業大臣に就任いたしまして、責任の重大さを痛感いたしますと同時に、微力ではありますが、七〇年代における一そうの発展への端緒を開くため努力を重ねる所存でございます。
このような見地から、今後の通商産業行政の重点につきまして、御説明申し上げたいと存じます。
第一は、わが国経済の新たな飛躍を実現し、また、世界経済の発展に対しても積極的に寄与するため、わが国経済の国際的展開をはかっていくことでございます。
このため、まず、輸入及び資本取引の自由化を推進するとともに、わが国産業の自主性を保持しつつ、これらの自由化措置を円滑に進めるため、引き続き産業の構造改善と企業体質の強化を促進しなければなりません。特に、繊維産業等につきましては、最近における国際環境の変化にかんがみ、その構造改善を強力に推進することが必要であります。また、一次産品の開発輸入事業の拡大等、発展途上国に対する経済協力を一そう積極的に進めるとともに、海外投資を促進するため、輸出保険法を改正して海外投資保険制度の拡充をはかることとしております。
さらに、このような経済の国際的展開を可能にする基盤としての貿易の振興につきましては、輸出会議を貿易会議に改組し、輸出、輸入等を総合した貿易政策を展開するとともに、日本輸出入銀行の資金の充実、日本貿易振興会の事業の拡充をはかるほか、輸出商品の高級化を進めるため、輸出中小企業製品の統一ブランド事業の推進に関する新たな立法措置を講ずることとしております。
第二は、公害の発生、物価の上昇、消費者問題など、経済の発展に伴うゆがみを解消するため、産業政策の目標として人間性の回復を重視し、国連施策を拡充、強化する必要があることであります。
公害対策につきましては、防止技術の開発、企業に対する事前指導の強化等のほか、特に緊急を要する大気汚染対策として、重油脱硫に対する関税軽減の措置を実施するなど、低硫黄化対策を推進することとしております。
さらに、公害・保安行政を総合的かつ強力に実施するため、鉱山保安局を改組し、公害保安局を設置したいと考えております。
消費生活の安全性の確保をはじめとする消費者対策につきましては、引き続ききめのこまかい配慮を加えてまいる考えでございます。また、消費者対策に関連して、最近の消費者物価の上昇は問題のあるところであり、中小企業、流通部門の生産性向上のおくれに基因するところも大きいことから、これら部門の近代化を中心とする対策を一そう促進するとともに、輸入政策の活用などにつとめてまいりたいと考えております。
第三は、経済の急速な拡大に対処するため、経済発展の基礎条件である基礎資源、工業用地、工業用水などの確保をはからねばならない点であります。
ますます大型化が予想されるわが国経済にとって、海外依存度のきわめて高い石油、非鉄金属をはじめとする基礎資源の安定的かつ低廉な供給を確保することは、その発展にとって不可欠の要件となっております。このような見地から、わが国企業の手による海外資源の開発を促進することが特に必要とされておりますので、石油開発公団、金属鉱物探鉱促進事業団の業務の拡充等につとめる考えであります。さらに、石油をはじめとする鉱物資源の賦存が有望視されている大陸だなの開発を促進するため、所要の立法措置を講ずることとしております。
また、産業立地政策につきましては、工業用水道の建設に対する助成を拡大するとともに、大規模工業基地の計画的開発、農村地域における工業の新規立地の推進など、所要の対策を講じて産業立地の適正化をはかることとしております。
第四は、中小企業、流通部門の近代化についてであります。資本自由化の進展、労働力需給の逼迫、物価の上昇など内外経済情勢の変化に対処するためには、生産性向上の面で立ちおくれているこれらの分野における近代化、合理化を強力に推進しなければなりません。
現在、中小企業の側におきましても、その近代化、高度化に対する意欲が高まっておりますので、これを助長するため中小企業振興事業団の高度化資金を大幅に拡充するとともに、中小企業関係政府金融機関の融資規模の拡大をはじめ金融対策を強化するはか、業種別の構造改善対策を引き続き強力に推進することとしております。
また、新たに、下請関係にある中小企業につきまして、親企業の協力を得てその近代化を計画的に進めることにより、自主性の高い下請企業とするため、所要の助成措置を含んだ法律の制定を予定しております。なお、環境変化の影響を特に強く受ける小規模企業に対して、経営改善普及事業の充実など、小規模企業対策の一そうの充実につとめる所存でございます。
流通部門の合理化につきましては、卸総合センター、卸商業団地、大規模ショッピングセンター、商店街の近代化等を引き続き促進するとともに、新たに、流通活動のシステム化を通じて流通機能の高度化と生産性の向上をはかるため、近代的集配送センターの整備に対する助成措置をはじめ、所要の対策を実施することとしております。
第五は、今後のわが国経済の発展にとって、独創的な技術の開発や、新しい産業分野の開拓など、いわば未知なるものへの挑戦が必要とされていることであります。
このため、まず、技術開発力の強化につきまして、大型プロジェクトに大深度遠隔操作海底石油掘削装置を新テーマとして追加するとともに、工業技術院傘下の試験研究所における特別研究を拡充するなど、施策の強化、充実を行なうこととしております。なお、特許制度につきましては、時代の進展に即応し、出願の処理を迅速化するため、出願の早期公開制度の導入などに関する特許法等の改正につきまして、再度御審議をわずらわしたいと考えております。
次に、情報化の進展に対処して情報処理の振興をはかるため、ソフトウエア開発資金の貸し付けにかかる債務保証、汎用プログラムの開発等を行なう情報処理振興事業協会の設立など、情報処理の振興に関し所要の立法措置を講ずるとともに、日本電子計算機株式会社の国産電子計算機レンタル資金の確保、情報処理関連技術の研究開発の推進など施策の強化につとめ、七〇年をわが国における情報化の幕あけの年としたいと考えております。
さらに、新しい産業分野の開拓につきましては、次期民間中型ジェット輸送機の開発助成を行なうほか、海洋開発産業、住宅産業等に対する金融上の助成、関連技術の開発等の振興対策を講ずることとしております。
なお、このほか、ガス事業法の一部を改正する法律案と機械類賦払信用保険法の一部を改正する法律案を提出いたしておりますので、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
以上申し述べました施策を中心として、昭和四十五年度一般会計予算に九百七十三億円、石炭対策特別会計に八百六十六億円をそれぞれ通商産業省分として計上するとともに、財政投融資計画においても通商産業省関係として一兆一千四百七十四億円を予定しております。
私は、以上の諸施策の実施を通じて、豊かな国民生活の実現とわが国経済の繁栄のため最善を尽くす所存でありますが、委員各位におかれましても、一そうの御理解と御支援を賜わりますようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/2
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003・八田貞義
○八田委員長 次に、佐藤経済企画庁長官から経済総合計画について所信を承ることにいたします。佐藤経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/3
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004・佐藤一郎
○佐藤(一)国務大臣 私、経済企画庁長官を拝命いたしました佐藤でございます。当委員会におきまして、これから皆さまにしばしば御指導をお受けすることになろうと思うのでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
つきまして、最近の経済情勢を中心にいたしまして所信を申し上げたいと思います。
初めに、最近の経済情勢について申し述べます。
わが国経済は、本年三月で通算五十三カ月に及ぶ景気上昇を続けておりますが、この過程において、経済活動が急速に拡大し、また物価の騰勢も顕著となるなど、景気の動向に懸念すべき現象があらわれましたので、昨年九月、金融調整措置が実施されたのであります。その後の推移を見ますと、金融面には影響があらわれているものの、実体経済面にはさほどの変化が見られず、また物価の騰勢も依然として根強く続いております。
このような経済の基調を反映して、四十四年中の国民総生産は、実質一三・二%程度の伸び、規模にして六十二兆五千五百億円程度、国際収士は、総合収支で二十億二千万ドル程度の黒字が見込まれております。また卸売り物価は、前年度比三・二%程度の上昇、消費者物価は、最近の異常乾燥による野菜の高騰もあって、政府見通しの五・七%をかなり上回る高い上昇が見込まれ、このまま放置するならば、わが国経済はインフレへの道を歩む危険もなしとしないのであります。
このような内外の諸情勢にかんがみ、今後の経済運営にあたっては、経済政策の適切かつ機動的な運用により総需要を適正に保ち、わが国経済の持続的成長を確保することを基本としつつ、物価の安定に最重点を置いて取り組むとともに、経済の国際化、効率化の一そうの推進、社会開発の積極的展開につとめてまいる所存であります。
このような経済運営の基本的態度のもとにおいて、四十五年度の国民総生産は、実質一一%程度の伸び、規模にして七十二兆四千四百億円程底と、四十四年度に対しかなり控え目に見込むとともに、国際収支は、米国景気の鎮静等による世界貿易の伸びの低下にもかかわらず、なお総合収支で十億七千万ドル程度の黒字となるものと考えております。
当面の最重点課題である物価の安定について申し上げます。
さきに述べましたように、最近の物価動向は憂慮すべき情勢にありますので、政府としては、安易な態度を排しつつ、この問題の解決に積極的に取り組んでまいる所存であります。
このため、まず総需要の急速な拡大が、物価上昇圧力とならないよう、今後財政金融政策を慎重に運営してまいります。
次に、低生産性部門の生産性向上、特に生鮮食料品の流通合理化に格段の努力を払うとともに、輸入の自由化や競争条件の整備などの諸施策を積極的に進めてまいります。
同時に、米麦価水準を据え置く方針とするほか、各種公共料金については、これを極力抑制するとともに、地価の安定化をはかるため、総合的な土地対策を講じてまいります。
さらに、今後予想される労働需給の逼迫化に対処するため、賃金と物価との関連についても十分配慮してまいります。
以上により、四十五年度の消費者物価の上昇率を四%台にとどめるとともに、卸売り物価の鎮静化をはかり、もって今後の長期的な物価安定の出発点といたす所存でございます。
近年、国民生活を脅かしているのは、物価上昇のみではございません。
最近における消費生活の急速な向上は、経済成長の一つの成果であることは言うまでもありませんが、これに伴って、公害、有害食品の増加、交通災害の頻発など各種の障害が表面化してきております。今後、国民生活を真に豊かなものとしていくためには、これら障害の解消、除去につとめることにより、国民の健康と安全を確保する等、いわゆる社会開発の推進に最大限の努力を傾注していかねばなりません。
このような観点から、政府といたしましては、まず、市民の直面する日常生活上の諸問題を中心に、政府と国民との対話の場を確保することが肝要であると考え、今国会に、国民生活センター法案を提出する等、所要の施策を推進することにしております。
また、水質汚濁の防止については、汚濁源の多様化に対応しつつ、その規制の強化をはかるため、今国会に、公共用水域の水質の保全に関する法律を一部改正する法律案を提出する等、実効ある水質保全行政を推進することといたしております。
次に、対外面におきましては、従来に比べかなりゆとりのある国際収支条件のもとで、経済の一そうの効率化、物価の安定等をはかるため、対外経済政策を積極的に推進してまいりたいと存じます。
このような観点から、四十五年度内において、かなりの品目につき残存輸入制限の撤廃を進めるとともに、資源開発等海外投資の促進、経済協力の充実、資本取引及び為替の一そうの自由化の推進等の諸施策を積極的に展開してまいる所存であります。
以上、当面の重点施策について申し述べましたが、今後、わが国経済が長期にわたり安定かつ持続的な基調の上に発展を遂げてまいりますためには、政府、民間を通じて、その指針となるべき計画を明らかにする必要があります。
現在、昭和四十五年度から五十年度までを対象とする新しい経済社会発展計画の策定が進められておりますが、これにより、今後、わが国経済の進むべき方向を明らかにしてまいりたいと考えております。
また、さきに政府は、さらに長期的展望に立って、昭和六十年度を目標とする新全国総合開発計画を策定いたしましたが、この計画に基づき、新しい発想のもとに、国土の総合開発を推進し、豊かな国民生活への基盤を形成してまいる所存であります。
なお、国土の総合開発にあたっては、その基礎となる国土調査事業を一段と推進する必要があります。このため、今国会に、国土調査促進特別措置法を一部改正する法律案を提出しておりますので、よろしく御審議のほどをお願いいたします。
以上、重要な施策について申し述べました。本委員会及び委員各位の御支援と御鞭撻をお願い申し上げて、私のごあいさつといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/4
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005・八田貞義
○八田委員長 次に、内閣提出、ガス事業法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。宮澤通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/5
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006・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 まず、ガス事業法の一部を改正する法律案つきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
家庭用エネルギーの需要は、逐年増加の一途をたどっておりますが、そのうちガスは国民の日常生活に不可欠なエネルギーとして今後とも一そうその地位を高めていくものと考えられます。その過程において主要な供給源である都市ガス及び液化石油ガスはそれぞれその特性に応じた機能を果たしていくことが期待されます。
このうち、都市部において重要な役割りを果たす都市ガス事業につきましては、近時、石炭から石油への原料転換等に伴い経済性の見地からガス発生設備等が高圧、大容量となりつつありますが、その反面において、事故発生の防止への配慮が要請されてきております。
また、消費生活の向上に伴い各種のガス用品が広く普及するとともに、家屋構造も変化しており、このためガス用品による災害の発生の防止が重要な課題となってきております。
さらに、近年、新しい家庭用ガス体エネルギーの供給方式としていわゆる液化石油ガス等小規模導管供給事業が目ざましい普及を見せております。これは、導管によりガスを供給するという点で、都市ガス事業と類似の性格を持っておりますので、消費者利益を確保するために、都市ガス事業と同様に公益事業規制を行なうとともに都市ガス事業との間に所要の調整を行なう必要があります。
このように、ガス事業を取り巻く環境は最近大幅に変化しております。政府におきましても、このような情勢に対処すべく、ガス体燃料の供給体制のあり方についての総合エネルギー調査会の審議等を通じて検討を進めてまいりましたが、その結果、今般ガス事業法について所要の改正を行なうこととしたものであります。
次に、本法案の概要を御説明申し上げます。
第一は、一般ガス事業者に対する保安規制の強化であります。
すなわち、ガス発生設備、主要な導管等、一般ガス事業の遂行上必要なガス工作物について、工事計画の認可及び使用前検査の制度を設けるとともに、このうち一定のものは設置後も定期検査を行なうこととするほか、一般ガス事業者に対し保安規程の届け出の義務を課するなど、保安の確保と安定供給の達成等に万全を期することとしております。
第二は、ガス用品の取り締まりを行なうことであります。
一般消費者等が使用する都市ガス用のガス用品について検定制及び製造事業者の登録制を採用し、指定検定機関または登録製造事業者が付した表示のないものは販売してはならないこととするとともに、ガス事業者は一般消費者に対しガスの消費機器の設置及び使用に際して危険防止のための注意事項を周知させ、さらに一定の事項については調査を行なう義務を課する等の規制を行なうこととしております。
第三は、液化石油ガス等小規模導管供給事業に対する公益事業規制であります。
液化石油ガス等小規模導管供給事業のうち、供給の相手方の数が七十以上のものについて、新たにガス事業法の中で簡易ガス事業として公益事業規制を行なうこととし、通商産業局長は、一般ガス事業者が適切かつ確実なガスの供給計画を有する地域にかかる簡易ガス事業の許可を行なうに平だっては、通商産業局ごとに学識経験者により構成される地方ガス事業調整協議会の意見を聞いて、一般ガス事業との調整をはかることとしております。
さらに簡易ガス事業に対しては、技術基準適合義務等を内容とする保安規制のほか、料金の認可等、一般ガス事業に準じた規制を加えることとしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/6
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007・八田貞義
○八田委員長 次に、海部俊樹君外七名提出の電気工事業の業務の適正化に関する法律案を議題し、提案理由の説明を聴取いたします。海部俊樹君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/7
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008・海部俊樹
○海部議員 電気工事業の業務の適正化に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年、国民生活の高度化によって各種の電気用品が広く普及し、家庭の電気の使用が著しく増大するとともに、家屋構造の変化、屋内配線技術の革新等と相まって、一般家庭等に設置される一般用電気工作物は、著しく複雑化、大型化してきております。これに伴いまして、一般用電気工作物の保安の確保の必要性は、ますます高まっているのであります。
現在、これらの一般用電気工作物に関する保安の確保をはかるための法律的措置としては、電気用品取締法によって配線材料等に関して必要な規制を行ない、電気工事士法によってその設置の作業に従事する者の資格及び義務を定めているほか、電気事業法においても保安上必要な規制を行なっております。
しかしながら、一般用電気工作物の設置者である一般国民は、通常、電気工事に関する専門的な知識に乏しく、その設置の工事を行なう電気工事士をみずから監督指導してその安全性の確保をはかることができないのが実情であり、また、電気工事士は通常電気工事業者の従業員としてその作業に従事しているため、電気工事業者の規制を行なっていない現行法の体系は、遺憾ながら一般用電気工作物の保安を確保するため十分であるとは言いがたい状態にあります。
したがって、一般用電気工作物による災害の発生の防止に万全を期するためには、一般国民から依頼を受けて電気工事士を使い電気工事を行なう電気工事業者の責務を法律上明らかにする必要があるのであります。
ここに提出しました電気工事業の業務の適正化に関する法律案は、このような最近の事態に対処して一般用電気工作物の保安の確保をはかることを目的としているものでありまして、このため電気工事業を営む者の登録及び主任電気工事士の設置その他の業務の規制を行ない、電気工事業を営む者の業務の適正な実施を確保しようとするものであります。
次に本法案の概要を御説明申し上げます。
第一は、電気工事業を営む者の登録に関する規定であります。
すなわち、電気工事業を営む者は、通商産業大臣または都道府県知事の登録を受けなければならないこととし、何人も登録を受けないで電気工事業を営むことを禁止したことであります。
第二は、電気工事業者の業務に関する規定であります。
電気工事業者は、その営業所ごとにその業務にかかる電気工事の作業を管理させるため、電気工事士免状の交付を受けた後、電気工事に関し三年以上の実務経験を有する等、その職務を遂行できる要件を備えた電気工事士を主任電気工事士として置かなければならないこととするほか、電気工事士以外の者を電気工事の作業に従事させることの禁止、電気工事業者でない者に電気工事を請け負わせることの禁止、電気用品取締法による所定の表示が付されていない電気用品の使用の禁止、必要な器具の備えつけ、標識の掲示、帳簿の備えつけ等の規定を設けて、業務の適正な実施を確保させることとしております。
第三は、苦情の処理のあっせん等の規定であります。
通商産業大臣または都道府県知事は、その登録を受けた電気工事業者と注文者との間の電気工事に関して生じた苦情の処理のあっせん等につとめなければならないことといたしております。
そのほか、危険等防止命令、登録の取り消し、報告の徴集、立ち入り検査等の監督、手数料、罰則等所要の規定を設けたことであります。
なお、建設業法の適用を受けている建設業者には、本法案の登録及び登録の取り消しにかかる部分の規定は適用しないこととするとともに、その者が電気工事を営むときは、本法案の登録を受けた電気工事業者とみなして、本法案の業務、監督等の規定を適用することとしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/8
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009・八田貞義
○八田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
両案に対する質疑は次回に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/9
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010・八田貞義
○八田委員長 次に、私的独占の禁止及び公正取引に関する件並びに鉱業と一般公益との調整等に関する件について調査を進めます。
まず、公正取引委員会の業務概況について説明を求めます。谷村公正取引委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/10
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011・谷村裕
○谷村政府委員 私は、昨年の十一月十五日付をもちまして、前委員長山田氏のあとを受けまして、公正取引委員会委員長に就任いたしました谷村でございます。当委員会にはいろいろと関係深く、御審議をいただくこと多くございまして、今後ともよろしく御指導、御鞭撻いただきたいと存じます。
つきましては、昭和四十四年における公正取引委員会の業務の概略について、お手元に資料をお届けいたしましたが、そのうち主要な点について御説明申し上げたいと思います。
まず、わが国経済体制の変化に即応して、独占禁止政策を有効適切に推進し、そのあり方について広く有識者と意見を交換するとともに、その一そうの理解を求めるため昭和四十三年十一月に設置いたしました独占禁止懇話会は、昭和四十四年中において十回の会合を開催し、管理価格、独占禁止政策の当面する諸問題等につきまして審議いたしました。
次に、私的独占禁止法の施行に関する業務といたしましては、まず、国際契約などの届け出は千七百六十一件にのぼりましたが、企業合理化をはかるための技術導入契約が大部分を占めております。
会社の合併、営業譲り受けなどの届け出は、それぞれ九百八十件、四百三件となっており、その内訳は、中小規模の会社が、近代化、合理化をはかるために合併を行なうものが大部分を占めておりますが、大企業の合併も増加傾向を示しております。なお、このうち一件につきましては、私的独占禁止法第十五条の規定に違反する疑いがあるとして、審判開始決定を行ない、審判手続を経た後同意審決により処理いたしました。
再販売価格維持契約制度につきましては、物価対策の見地から、昭和四十四年中には、医薬品、化粧品、家庭用石けん及び歯みがきにつきまして、リベート、現品添付等の実態を調査いたしましたが、今後も引き続き指定商品の再検討を続けるとともに、個々の契約の内容につきましても、それが正当な行為の範囲を逸脱したり、また、一般消費者の利益を不当に害することのないよう厳重に監視を続けていく所存であります。なお、昭和四十四年中における再販売価格維持契約の成立届けは七社、十件、これを累計いたしますと、昭和四十四年十二月末現在、九十三社、百二十八件となっております。
私的独占禁止法に基づく共同行為につきましては、昭和四十四年中には、企業合理化のための共同行為として、合成染料など四品目について、いずれも実施期間の延長を認可いたしました。
不公正な取引方法に関する業務といたしましては、不当な歩積み・両建て預金につきまして、その実態を把握するため、昭和四十四年五月末及び十一月末の二回にわたり、貸し出し先の中小企業者八千を対象にアンケート調査を実施いたしました。調査の結果によりますると、最近におきましては、拘束預金率は一〇%前後とほぼ横ばいの傾向を示しておりますが、まだ十分満足すべき状態ではないと認められますので、公正取引委員会といたしましては、大蔵省の行政指導と相まって今後さらにその改善を進めるようにつとめてまいりたいと考えております。
私的独占禁止法違反被疑事件につきましては、昭和四十四年中に百七十四件につきまして審査を行ない、そのうち法的措置をとりましたものは、勧告二十三件、審決二十五件、うち四件は四十三年中に勧告したものであります。となっておりまして、消費物資の価格協定などがおもなものでございます。なお、家庭電器製品についての違法な再販売価格維持行為等九件について審判を行ないました。
下請代金支払遅延等防止法の施行に関する業務といたしましては、昭和四十四年中に下請代金の支払い状況を中心に五千八百七十六の親事業所に対しまして調査を行ない、そのうち八件につきましては、法第七条の規定に基づく勧告を行ないましたほか、二百二十六件につきましては、行政指導による事態の改善措置をとりました。また、手形期限の短縮を促進するため主要業種ごとに標準的な手形期限を設け、関係団体の協力を得て、機会あるごとにその周知徹底をはかっております。
不当景品類及び不当表示防止法の施行に関する業務といたしましては、同法第三条の規定に基づき、懸賞制限告示の改正をいたしましたほか、ルームクーラー業など四業種における景品類の提供に関する制限の告示を制定または改正し、また、第六条の規定に基づき、過大な景品類の提供十七件、不当表示五十三件につきまして排除命令を行ないました。そのほか、カラーテレビなど六業種、内訳は景品関係二件、表示関係四件でありますが、それにつきまして公正競争規約を認定いたしました。
また、同法の運用に資するため、消費者モニターを選定し、景品つき販売、不当表示等に関する意見を求め、これを公正取引委員会の行なう消費者行政に反映させるようにいたしました。
このほか、昭和四十四年中における経済実態の調査といたしましては、管理価格調査、流通支配調査、巨大企業の市場行動調査及び集中度調査を行ないました。
最後に、昭和四十五年度の公正取引委員会の予算案でございますが、本国会にお願いいたしております公正取引委員会の予算は、総額五億七千百五十八万二千円でございまして、昭和四十四年度と比較いたしまして一億百三十二万六千円の増額となっております。このうち、新庁舎新営に伴う移転等に必要な経費が二千六百十三万六千円含まれております。そしてまた、事務局定員九名の増員に伴なう経費、私的独占禁止法の施行経費、下請代金支払遅延等防止法の施行経費、不当景品類及び不当表示防止法の施行経費の増額がその内訳のおもなものとなっております。
今後、公正取引委員会の業務は一そう重要性を増すとともに、従来にも増して繁忙の度を加えるものと考えておりますが、皆さま方の御支援を得まして重責を果たしてまいりたいと存じております。何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/11
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012・八田貞義
○八田委員長 次に、土地調整委員会の事務処理の概要について説明を求めます。谷口土地調整委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/12
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013・谷口寛
○谷口政府委員 ただいまから、昭和四十四年中に行ないました所掌事務の処理の概要を、お手元に配付いたしてございます土地調整委員会事務処理概要に基づきまして、かいつまんで御説明を申し上げたいと思います。
第一は、鉱区禁止地域の指定及び解除に関する事務でございますが、昭和四十四年中に当委員会が処理手続を進めましたものは十九件でございました。いずれも鉱区禁止地域の指定請求事案でございまして、その解除の請求はありませんでした。その請求理由は、ダム関係のものが十五件で大部分を占めておりまして、その他は、水道水源、景観、温泉源、文化財等の保護に関するものであります。請求者別に見ますと、建設大臣九件、農林大臣、厚生大臣各一件、都道府県知事八件でありまして、請求面積は、最小のもので二百六十三ヘクタール、最大のものは十万千三百ヘクタールに及んでおります。これらの地域につきまして具体的にその地形、地質、鉱床の状況その他各般の関係を調査、検討して決定をするわけでございまするので、決定まで相当の時日要するものがあります。ことにダム関係につきましては、往々計画が未確定であるとか、あるいは用地取得または補償交渉等の推移に応じて措置を進めていかなければならない等の関係から、当委員会の処理手続を進めがたい場合もございまして、処理を完了したものは六件であります。その他の十三件は目下審議中でございます。
また、その指定に際しまして、通商産業局長に対して、鉱業権の取り消し等の勧告を行なった事案は四十四年中にはございませんでした。
第二は、異議の裁定でありますが、昭和四十四年中当委員会に係属した事案は九件で、これら事案は、鉱業法の規定による通商産業局長の処分に対するもの五件、砂利採取法の規定による県知事の処分に対するもの三件及び国有林野法の規定による営林署長の処分に対するもの一件であります。この九件の事案のうち、三件については、申請が不適法なものとして却下の決定をいたし、一件は、申請の取り下げがありました。他の五件については、目下審理中でございます。
第三は、土地収用等の不服審査等に関する意見の回答でありますが、昭和四十四年中に当委員会において処理手続を進めましたものは、二十六件で、いずれも建設大臣が意見を求めてきたものであります。
これら事案は、道路関係十四件、鉄道関係二件、合計十六件が交通関係で、そのほかに電力関係五件、住宅関係二件、河川関係三件となっており、その約半数は東京都と大阪府に集中いたしております。
これらの事案は、事業認定を不服とする三件を除きまして、他は、すべて収用委員会の収用裁決を不服とするものであります。
これら事案のうち、二十五件については回答済みであり、残りの一件について引き続き審査中であります。
その他の事務については、この際特に申し上げるものはございません。
以上をもちまして、はなはだ簡単でございますが、当委員会の昭和四十四年中の事務処理の大要を申し述べさせていただいた次第であります。
なお、所掌事務処理状況の報告書を目下準備中であり、近く所定の手続を経てお手元にお届けいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/13
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014・八田貞義
○八田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304461X00219700303/14
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