1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十五年三月十七日(火曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 毛利 松平君
理事 上村千一郎君 理事 金子 一平君
理事 藤井 勝志君 理事 山下 元利君
理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君
奧田 敬和君 木野 晴夫君
木部 佳昭君 佐伯 宗義君
坂元 親男君 高橋清一郎君
地崎宇三郎君 中村 寅太君
丹羽 久章君 原田 憲君
坊 秀男君 松本 十郎君
森 美秀君 吉田 重延君
阿部 助哉君 平林 剛君
堀 昌雄君 美濃 政市君
貝沼 次郎君 合沢 栄君
竹本 孫一君 和田 耕作君
出席政府委員
大蔵政務次官 中川 一郎君
大蔵省主計局次
長 船後 正道君
大蔵省主計局次
長 橋口 收君
大蔵省主計局次
長 竹内 道雄君
運輸省航空局長 手塚 良成君
委員外の出席者
大蔵省主計局給
与課長 谷口 昇君
運輸省航空局監
理部長 川上 親人君
大蔵委員会調査
室長 末松 経正君
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委員の異動
三月十七日
辞任 補欠選任
二見 伸明君 坂井 弘一君
春日 一幸君 合沢 栄君
竹本 孫一君 和田 耕作君
同日
辞任 補欠選任
坂井 弘一君 二見 伸明君
合沢 栄君 春日 一幸君
和田 耕作君 竹本 孫一君
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三月十二日
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二一号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三四号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第五七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四一号)
造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内
閣提出第四二号)
空港整備特別会計法案(内閣提出第三一号)
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第三二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/0
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001・毛利松平
○毛利委員長 これより会議を開きます。
この際、暫時休憩いたします。
午前十時四十五分休憩
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午後五時二十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/1
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002・毛利松平
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び造幣局特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/2
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003・毛利松平
○毛利委員長 政府より順次提案理由の説明を求めます。中川大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/3
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004・中川一郎
○中川政府委員 ただいま議題となりました日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
この法律案による日本開発銀行法の改正の内容は、日本開発銀行の借り入れ及び債券発行の限度を自己資本の五倍から六倍に引き上げることであります。
日本開発銀行は、昭和二十六年四月に設立されて以来、長期資金の融通により、わが国経済の再建及び産業の開発の促進につとめてまいっているのでありますが、昭和四十五年度の財政投融資計画においても、同行の貸し出しは三千百七十億円を予定されており、これに債務保証を加えますと、昭和四十五年度末の同行の貸し付け等の残高は二兆八百五十億円に達すると見込まれております。
このように、日本開発銀行につきましては、業務量の一そうの増加が見込まれているところでありますが、貸し出し等の残高につきましては、日本開発銀行法において、自己資本の額と借り入れ金等の限度額との合計額をこえてはならないことと定められておりますので、現行法のままであれば、四十五年度には同行の貸し付け等を抑制して、その残高をこの限度額にとどめなければならず、業務に支障を来たすこととなります。
したがいまして、この際、同行の借り入れ金等の限度額を従来の自己資本の五倍から六倍に引き上げ、これにより、貸し付け等の業務量の限度を拡大し、もって、同行の業務の円滑な運営をはかろうとするものであります。
次に、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
造幣局特別会計におきましては、政府の発行にかかる補助貨幣の額面相当額を補助貨幣回収準備資金に積み立てまして、補助貨幣の引きかえまたは回収、造幣局の事業に要する経費等の財源に充てるとともに、この資金に属する現金は資金運用部に預託して運用し、その運用利益金は同資金に編入することによりまして、資金の充実強化をはかっているところであります。
最近に至るまで、回収準備資金の額は補助貨幣の発行現在額を下回っていたのでありますが、経済規模の拡大等による補助貨幣発行高の増加に伴って運用利益金収入が増加し、その収入が造幣局の事業費等に充てる財源を上回ることになり、このため、回収準備資金の額が補助貨幣の発行現在額をこえることとなりました。
補助貨幣回収準備資金の目的から見れば、補助貨幣の引きかえまたは回収のための準備として、補助貨幣の発行現在額と同額の回収準備資金を保有していれば十分であり、この発行現在額をこえる額については、これを同資金において保有する意義はないと考えられますので、そのこえる額に相当する金額を一般会計の歳入に繰り入れようとするものであります。
以上が、日本開発銀行法の一部を改正する法律案外一法律案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/4
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005・毛利松平
○毛利委員長 次に、空港整備特別会計法案及び国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告でありますので、順次これを許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/5
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006・堀昌雄
○堀委員 空港整備特別会計を設置をするということでありますけれども、すでに御承知のように、現在特別会計というものは非常にたくさんあります。ですから、特別会計にしたならば非常に何かメリットがある、空港整備をすることについて、これまでの問題の取り扱いよりも整備が促進をされるというメリットが特にあるのかどうか、その点を最初にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/6
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007・手塚良成
○手塚政府委員 今回の特別会計を設置いたしますメリットは、これは従来一部やっておりましたけれども、いわゆる受益者負担の観念をこの中に相当大幅に取り入れるということによりまして、財政的な財源の確保をはかる、こういうことによりまして、予算規模というものについての拡大、確保をはかっていきたい、かようなところが一応のメリットではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/7
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008・堀昌雄
○堀委員 受益者負担はこれまでも行なっておったわけですね。これからも受益者負担をふやすことは、現行法のたてまえであっても受益者負担をふやせない理由は私はないと思うのです。それならば、現行法で受益者負担がある、そのことはある意味では、その空港整備の引き当て財源としてすでに考慮されておったものだと思いますから、その部分を、受益者負担をふやすことは、特に私は航空機の場合は異議はありませんけれども、そのことは現在の制度の上でも行なわれておることでありますから、どうもいまの御答弁で、それによって財源の確保ができるということは、いまのままであろうと特別会計になろうと特に変わりはない、こう私は思うのですが、私が、やはりなるほどこれは特別会計にしなければならないなと感じられるような説得力のある答弁をひとつお願いをしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/8
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009・手塚良成
○手塚政府委員 財源問題をいま申し上げましたが、財源につきましてはなお、特別会計にすることによりまして、借り入れ金の制度というのが御存じのようにできます。したがいまして、その意味での当該年度における財源的な有利さがある。さらにこれによりまして、経理の明確化というものがはかられていくのも一つのメリットであろうかと思います。すなわち、歳入と歳出の見合いということを明確にいたし、その実行上におきます経理を明確にしていくという効果が考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/9
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010・堀昌雄
○堀委員 特別会計における借り入れ金は年度内償還を必要とすることになっておるはずですから、年度内における借り入れ金による操作というものは、あるいは部分的な工事その他の関係では役に立つかもしれませんけれども、それでは、一般会計で処理しておるときにはその借り入れ金見合いのような処理は一体できないかどうか。年度間においてその会計が借り入れ金をしたものを返済するとすれば、年度内におけるその会計の歳入は当然固定しているものですから、それは一般会計における歳入とその点においては何ら変わりはない。だから、そうなれば特別会計における歳出の弾力性の問題であるから、それを早く払うかあとに払うかだけの弾力性の問題を除いて、特別会計になったことによる会計上の特別なメリットはない、こう私は思いますが、その点ちょっと大蔵省にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/10
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011・船後正道
○船後政府委員 今回設置しようとしております空港整備特別会計の借り入れ金につきましては、先生がいまおっしゃいましたような一時借り入れ金と同時に、長期の借り入れ金を設けることにしております。したがいまして、この長期の借り入れ金はやはり投資の財源になるわけでございまして、一応その返済財源といたしましては、たとえばリロケーションによりまして将来投資がふえる、代替地を求め得るということがあると思います。
なお、これが一般会計におきます場合には、当然公債、いわゆる建設公債というものがあるわけでございますが、一般会計におきましてはその両者の結びつきが必ずしも明確ではございません。特別会計にいたしますと、やはり特定財源を持ち、特定の投資になっていくというメリットがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/11
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012・堀昌雄
○堀委員 ちょっと私、長期借り入れ金のところを見落としておりましたけれども、しかし一般会計も債務負担行為その他の処置ができるとするならば、特にその点、特別会計にしたから何か格段にメリットがあるということではないのではないのか、こういうふうな感じがいたしますが、それは一応そこにおきまして、経理の明確化ということは、確かに単独の会計にすることによって経理は明らかになりますけれども、しかし、経理の明確化ということのためにもし特別会計を設けるということになれば、一般会計というものは細分化されて、すべての会計、各省その他のいろいろな会計を全部特別会計にすることのほうがより経理は明確化される。程度の問題だということに私は感じられてならないわけです。一般会計は経理は明確になっていないのかどうか、そのところを主計局答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/12
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013・船後正道
○船後政府委員 先生御承知のとおり、財政法第十三条によりますと「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」、こういう場合に特別会計が設けられるわけでございます。現行の特別会計が、しからば一般会計では絶対できないから特別会計になったのかどうか、特別会計を特に設けた基準は何かということになりますと、これはやはり程度の問題でございまして、この空港整備特会に類似するような道路特会あるいは港湾特会等々のバランスから申しましても、最近における空港整備予算の規模の拡大等を考えますと、やはりこの際、これも特定財源をかなり持っておるわけでございますので、一般会計と区分して経理するほうがなおベターだ、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/13
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014・堀昌雄
○堀委員 なぜ私がこれをこういう形で聞いておるかといえば、特別会計にした以上は、一般会計では不十分であったことが特別会計になったことによってその事業が促進をされるというのならば、これは私は基本的にメリットがあると思うのですよ。いまあげられたことはいずれも、次長が言われたように程度の差なんですね。しかし、いま私の言うことも確かに程度の差になりましょう。程度の差になりましょうけれども、このいま言われたことの程度の差を、私が言っておる、特別会計にしたことによって一般会計で行なっておったよりも事業が促進をされるのだというのならば、これは私は全体としてメリットがあると思うわけですね。
だから、私がここで特に聞きたいことは、確かに今度は受益者負担もふやしました。しかし受益者負担のようなものは、そう毎年毎年ふやすことのできるような財源ではありません。ところが、特別会計になって特定の財源がそこにあるとなれば、一般会計の繰り入れというものは、ややもすればそこにある一つの独立の会計でやったほうがいいのではないかということになって、逆に一般会計分の負担が減りでもするならば、これは何も特別会計にしたことのプラスはないということになるわけです。これまで皆さんのほうでは、空港整備五カ年計画というのを四十四年三月二十五日の閣議決定でされて、一般会計の中でこの進捗状況ははかばかしくないというふうにわれわれ聞いておるわけですね。そうすると、一体これから特別会計にした場合には、このはかばかしくなかった空港整備五カ年計画のようなものは、はたして今度は進捗するのかどうか。特別会計にしても同じようなテンポでいくのなら、何も特別会計なんかにする必要ないんじゃないか、私はこう思うものですから、そこがこの会計をつくるについての一番の肝心なポイントだろう。特別会計にすることによって空港整備事業がこれまで以上に促進をされるということについての何らかの保障がなければ、こんなものをつくる必要がないんじゃないか、私はこう思いますから、その点についての保障を政府側からここではっきり答えてもらいたいというのが第一点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/14
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015・竹内道雄
○竹内(道)政府委員 先生御指摘のとおり、この間からたびたびお話が出ておりますように、現在の状況といたしましては、空港整備五カ年計画は必ずしも十分な進捗をしているとはいえないと思いますけれども、今回の空港整備特別会計をつくりましたのを一つの機会といたしまして、今後できる限り空港整備の促進をはかってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/15
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016・堀昌雄
○堀委員 たいへん抽象的な発言で、それでは答弁しなくても同じです。やはり私に答弁していただくときは、答弁があったというふうに私が理解できるような答弁をお願いしたいわけです。
そこで具体的に伺います。空港整備五カ年計画で千百五十億円の計画を立てられて、今日までの進捗状況と、これから特別会計になったら一体この計画はどこまで政府としてはやる意思があるかどうか、そこのところの少し長期的なプログラムをちょっとお答えをいただければ、いまの話はきわめて具体的になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/16
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017・竹内道雄
○竹内(道)政府委員 空港整備五カ年計画のただいままでの進捗の状況は、御承知のように五カ年計画の中には空港整備維持費、そういう具体的な裏づけ工事個所の張りついておる部分と、それからあと調整項目、地方単独というのがございます。その全部を含めましたところで、四十五年度までの予算を加えてみますと、進捗率は五四・七%、それからその具体的な裏づけのありまする空港整備維持費で見てみますと、実績としては、進捗率は約六二%でございます。なおかりに本年度、四十五年度の国庫債務負担行為によるもの八十一億円を加えて計算してみますと、大体七〇%程度の進捗率ということになります。したいまして、四十五年以降残っております工事につきましてその具体的裏づけのあるものにつきまして、四十六年度にどのくらい予算を見ていけば五カ年計画が達成されるかということになりますと、四十五年度の百八十五億に対しまして約一九〇%の予算をつけないと五カ年計画が達成されないという状況でございます。現在の段階でその一九〇%の予算を四十六年度につけるかというお話でございますと、四十六年度の予算のことでございますので、私どもそれをつけると言うわけにはなかなかまいらぬのでございますけれども、できるだけ努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/17
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018・堀昌雄
○堀委員 だいぶはっきりわかりました。ですから要するに、これは四十五年度がこの特別会計の初年度でありますけれども、特別会計にした以上は、一応いま次長がお答えになったように、それは来年の財政需要によりますから、一九〇%全部がつくかどうかは別として、少なくともここで計画をされた最終年度は、特別会計になったけれども、ちっとも完了しなかったということなら、何も私は特別会計にする必要ないのではないかと思うので、私は、特別会計にするという一番大きなポイントはそこにあるんだ、こう考えますから、その点は政務次官に——いま事務当局の答弁はおおむね私いいと思うのですが、今度は政治的にあなたがそれを補足して、そういう方向でやりますという確認を、金額の問題は来年のことですから言えないが、方向としてはこの五カ年計画は達成できるように、特別会計を設定したのを機会にやっていきたいということを明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/18
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019・中川一郎
○中川政府委員 堀委員御指摘の点は、特別会計をつくる以上大事な点であろうと存じます。そこで、四十五年度の予算を見ましても、一般公共事業費においては一八%程度しか伸びておりませんが、空港整備事業においては四一%の伸び、これも特別会計をつくったことによる効果があったと思います。明年は九〇%程度伸ばさなければならぬ、一九〇にしなければならぬという非常にきびしい情勢でありますが、特別会計をつくった以上、それが達成できるように最大の努力をしてまいりたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/19
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020・堀昌雄
○堀委員 これはいい答弁ですし、そのことはいま私が前段で触れたように、受益者負担を上げるのですが、これは横ばいですからやはり一般会計から入れなければならぬということをここで明らかにしたわけです。これは特別会計をせっかくつくる以上はそういう方向でやってもらいたい、これが第一点です。
二点目は、実は御承知のように最近東京でも大阪でも国際空港というものは非常にジェット機の発着がふえてまいりました。時間がありませんから私のほうからちょっと簡単に申し上げますと、昭和四十年を一〇〇として見ますと、昭和四十三年ですでに一三二と、三二%もこの間ジェット機の離着陸はふえておるわけですね。このことはどういうことになっておるかといえば、東京空港の場合は海に出ますからこれはまだ問題が非常に少ないのでありますけれども、大阪国際空港の場合は、どっちを向いて上がっても全部住宅地帯の上を通らなければ飛行機は上がらないという、世界で例のない実は国際空港なんですね。これは皆さん御承知のとおりであります。このために、実はこの周辺はたいへんな騒音に悩まされておる。これは、ぜひ特に大蔵省の幹部の方に、今度国会が休会になったら私が御案内をして、主計局長以下、特に主計局幹部に一ぺん見てもらいたいと思うが、実は騒音なんというものじゃないのですよ。最近どういうふうにいわれておるかと言ったら、痛い音ということで痛音といわれておるわけですね。そういうのはことばの上ではちょっと理解ができないかと思いますけれども、現場でジェット機の上がる音を聞かれれば、なるほどこれは人間がそこで生存をすることのできない——生活じゃないですよ、生存をすることには不適な場所だという認識を得られるくらいたいへんな騒音なんですね。
そのたいへんな騒音というのが、それじゃどのくらいの形で出ているかというと、昨年の八月、航空局から資料をいただいたのを見ますと、大体午前九時から十一時までは一時間当たり十六回から十七回くらですね。ですから、約三分何十秒間に一回その激しい痛音なるものが起きるようになるわけですね。それから十一時から大体六時ごろまでがやや下がって十回程度になるから五、六分に一回になるわけですね。それから夜になると、またいまのところへ戻って、十六時から大体二十一時まではちょっとまん中で、十七時、十八時の間がちょっと下がりますけれども、おおむねやはり一時間に十六、七回くらい飛ぶということでありますから、少なくともスタートの七時から夜の十時までの間は、ともかくひどいときは三分間隔、少し長くて五分間隔、場合によっては一番初めの朝は五、六回でありますから十分間隔ということで、激しい騒音が実はあるわけです。これは各種の調査によっても非常に明らかになっておりまして——時間がありませんからそこのところは少し省略をいたしますけれども、この騒音はまだだんだんふえるわけですね。いま申し上げたように、昭和四十年から四十三年までの間で三二%ですから、四十四年になればおそらく四〇%程度になってきているのではないか。特に万博のようなものがことしは行なわれるわけでありますから、かなりここへ直接入ってくる外国機というものがあるのじゃないか、こう考えますと、この騒音の中に生存をさせるということについては非常に問題がある。
そこで、この地域の人たちは現在訴訟を起こしておられるということは、もうすでに御承知かと思うのでありますが、やはり現在、今度の特別会計になりますと、当然にこの会計の中で騒音対策の費用というものが考えられなければならない。ことしは、四十五年度予算では十八億円、実際要求をされたのは二十四億だったか八億だったか要求があったけれども、実際は十八億しかならなかったようでありますけれども、私は特にこの際、特別会計ができたことを機会に、飛行場が確かに交通の便益に資する点も大きいけれども、その便益に反比例してとにかく今度は非常に大きな被害をその付近住民が受ける、公害を受けるという問題は、どうしても並行的にこれが処理をされていかなければならぬ重要な課題だと考えます。根本的には、この飛行場を将来はローカル空港か何かにして、国際線というものをどっかに持っていくというのが私は必要だと思っているのです。
最初の第一点は、現在第二関西国際空港問題というのがすでに課題になっておるわけです。調査費もついておると思うのですが、まあ場所はいいのですが、大体いつの時点でこれが使用できるような考え方で運輸省はこの問題に着手をしておるのか、その点を先に明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/20
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021・手塚良成
○手塚政府委員 騒音の弊害が非常に大きいために、これを根本的に解決するとしますと、いま先生御指摘の新しい空港に大型ジェット機を移すということになるかと思います。その意味と、それから伊丹の空港で現状の離発着の回数が毎年毎年伸びているということによる限界の離発着回数というのが一応想定されるわけであります。その両方の観点から新関西国際空港なるものにわれわれは着手したいと考えておるわけであります。この離発着回数の限度からいきますと、今度伊丹に新しく三千メートルの滑走路が一本従来よりふえたわけでございますが、合計いたしまして、なお残工事等の完了をまった後に十七万五千回という離発着回数能力を、管制処理の面から考えると想定をいたしております。
それで、現状の姿からそういう時期がいつごろになるであろうか、これは一つの想定でございます。われわれはできるだけ機材の大型化その他をはかってその時期を延ばそうというふうに考えておりますが、大体五十年ごろではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、そういう時期までに何とか新しいものをつくり上げたい、そういう意味で、先生も御承知のとおり、四十五年度の予算におきまして相当な調査費を見てもらう、こういうようなことでスタートしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/21
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022・堀昌雄
○堀委員 そこで、確かにいまの推計からすると、昭和五十年に新しい国際空港ができることが望ましい。ところが、いま御承知のように、国際空港問題というのは、どこへ持っていこうとこれは決して歓迎されるものではないわけです。歓迎されるものではないけれども、しかしなくてはしかたがないということもまた間違いない。そうなれば、その歓迎されざるものをまあがまんしようという条件にするためにはどうすればいいのか、これは政府がやはり明らかな公害対策を示して、少なくとも皆さんに公害としてはこれ以上のものを与えませんという実証がない限り、私は、どこへ持っていこうとこの空港問題というのは簡単でないと思う。それはうんと離れた百キロ二百キロの地帯に持っていくというならこれは話は別でしょう。過疎地帯の、人のいないようなところにつくればあるいは歓迎されるかもしれませんけれども、そんなところへつくったんでは国際空港の意味がないわけですから、やはり都会の中心地からある程度の範囲の中につくらなければならぬ。ある程度の範囲の中でつくることについては、やはり人間が住んでいるわけですから、どうしても公害という問題は避けられない。そうすると私は、やはりそのための一つの重要な問題というのは、公害というものについては、飛行場はこれ以上の公害を住民に与えませんという何らかの保証を政府が明らかにすることが一つの問題点になるだろうと思うのです。
それはあとで聞きますが、その次には、そういうことで適地が一応見つかったと仮定いたしましょうか、そこに飛行場を完成するためには時間が大体どのぐらいかかるのですか。調査をして適地は見つかった、それから五十年までに飛行場が使えるようになる。完成は別として、使えるようになるまでの時間というのは一般的には——成田のようにもめれば話は別ですが、スムーズにいったとすれば、一体土地をきめてから飛行場が使えるまでの時間というのはどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/22
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023・手塚良成
○手塚政府委員 これは飛行場の規模、あるいはその飛行場を、簡単に言いまして内陸につくって土地の造成をやるか、あるいは海の埋め立てをしてやっていくかというよな内容いかん、それから空港自体の面積をどういうように考えるかということなどで、影響といいますか、相違がございますので、なかなか一がいに申し上げることはむずかしいわけです。それで、卑近なところで、いまの成田の場合をごらんになりますと、最初の位置決定の段階が非常に長かったわけでございます。これが本格的な工事といいますか、工事らしきものにかかり始めたのが、昨年ぐらいからかかっております。そうして、四十六年の初頭にはとにかく滑走路一本でも使用して、飛行機を運航しよう、こういうことを考えておりますので、つまり土地の確保ができて、ああいった三百万坪程度ということになりますと、飛行場そのものとして、いまの滑走路一本程度のところでは、足かけ二年くらいは一応考えておかなければならないのではないか、かように考えます。これはまあほんの一例でございますから、これをもって全般を知ることはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/23
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024・堀昌雄
○堀委員 私がなぜそれを伺ったかと申しますと、やはり特別会計をつくった以上、航空行政はスムーズにいくということでなければ、これはまた私がさっき申したように、何も特別会計をつくるほどのことはないじゃないかということになる。特別会計をつくったならば——要するに、大阪国際空港はほとんど満ぱいになってきた。それで、次の空港が適時適切にできて、そこで支障なくチェンジが行なわれる。同時にまたそのことが、私が言ったように、大型機の発着がこちらに移すことによって、伊丹周辺地区の公害に対しての一つのメリットを与えていこうということをあわせ考えるならば、いまおっしゃるように一応二年と考えますと、これは五十年に一応使えるようにしようといえば、四十八年には少なくとも土地の選定ができなければならぬということになりますね。だから、私はやはりそういう一つのプログラムを持って、要するに——運輸省としてはいろいろ問題がありましょう、問題がありましょうけれども、それに対しての公害の対策を、私が前段で言うように、明らかにしながら適地を見つけない限り、これはなかなか、いつまでたったってそんなもの、はい、私のところを飛行場にしてくださいなんと言う者はいまないわけですからね。一つの特別会計になった以上、その点についての今後の長期的なプログラムというものをある程度頭に置いて、ひとつこの問題を推進していただきたい。
しかし、その問題の中心になるのは何といってもやはり公害の問題ですから、そこでちょっと公害について触れておくわけでありますけれども、現在公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というのが設けらました。そうして、この中の第九条では「運輸大臣は、特定飛行場の周辺における住民のこうむる障害の軽減に資するため、当該飛行場の周辺の一定の区域を、政令で定めるところにより、指定することができる。」「特定飛行場の設置者は、政令で定めるところにより、前項の指定の際現にその指定に係る区域(以下「指定区域」という。)に所在する建物、立木竹その他土地に定着する物件(以下「建物等」という。)の所有者が当該建物等を指定区域以外の区域に移転し、又は除却するときは、当該建物等の所有者及び当該建物等に関する所有権以外の権利を有する者に対し、予算の範囲内において、当該移転又は除却により通常生ずべき損失を補償することができる。」「特定飛行場の設置者は、政令で定めるところにより、指定区域に所在する土地の所有者が当該土地の買入れを申し出るときは、予算の範囲内において、当該土地を買い入れることができる。」こういう規定が設けられて、これに伴う政令や告示が出ておるわけですね。
ところが、これはもう皆さんも御承知だと思うのでありますけれども、この大阪国際空港の場合には、離陸をする方向というのは、川西市久代という方向に向かってほとんど離陸をいたします。風向きがあの地帯は大体北から吹いておりますから、私もずいぶん利用しますけれども、南向きに離陸したことはほとんどないわけです。ほとんど北向きに離陸をする。そこで、この北向きに離陸をするところの下にある、私がさっきちょっと触れました川西市の一帯ですね、この一帯の騒音というのは、場所によっては百二十ホンとか、たいへん激しい音になっておる。ところが、せっかくこの法律ができたにもかかわらず、残念ながら、現在告示で定められておる範囲内に、該当する建物はない。被害を受けるのは全部それより北側にあるというのが現状なんですね。
私はこの前も一回、予算委員会の分科会で議論をしたことがあると思うのでありますが、なぜこういうことが行なわれたかということを聞いてみると、そのときの答弁では、これは何か自衛隊における処置に準じたというように聞いておるわけですね。そこで私が、自衛隊の場合にはなぜそういうものが行なわれるようになったのかと言って伺ったら、自衛隊の場合には何か物が落ちるような危険もあるということで、その地域は実は危険だからこういう補償の制度があるんだ。どうも自衛隊における補償の考え方と、いまの航空騒音から住民を守ろうということとは、私は次元が違うと考えておるわけです。その点は運輸省はどう理解しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/24
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025・手塚良成
○手塚政府委員 騒音は、先生御指摘のとおり一律ではないと思うのです。飛びます飛行機あるいはその飛ぶ態様、滑走路の長さ、地形、気象、非常にまちまちであると思います。そこで、いまの移転補償範囲としての一キロ三百をきめましたのは、おっしゃるとおり、民間の飛行機の騒音対策、騒音防止法よりも先輩である防衛庁関係のものをそのまま持ってきたということは事実でございます。防衛庁自体で一キロ三百がきめられた経緯というものには、確かにそういった飛行機の危険範囲といいますか、そういう要素も加味されておったと聞いております。しかし、当時の状態といたしまして、やはり騒音に対するいろいろな研究、知識も十分ではございませんし、実績のある防衛庁のものをそのまま私のほうにも引き写した、こういう考えで現状きておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/25
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026・堀昌雄
○堀委員 ところが、御承知のように、戦闘機とかああいうものは、推力は大きいし、小さいですから、わりあい角度が高く、速く上がるわけですね。しかし、旅客機というのは、非常に重量も大きいですから、かなり角度はゆるく上がるわけですね。だから、騒音の面から見ても、軍隊の飛行機というものはかなり角度が高く、速く上がるから、その被害については、民間の航空機と比べると違うんじゃないか。ことに最近、この航空機の問題は、727のような中型機から四発の大型機にかわりつつある。ますます距離が延びつつあるというのが現状なんですね。私ども地元におります関係からいっても、何とかこの千三百メートルをもう少し延長することによって、最も激しい被害を受けておる人たちに対する処置を考えてもらいたい。これはもう長年にわたる私どもの希望なんでありますけれども、この際、空港特会ができたのを機会に、いま私が申し上げたように、これからの飛行場の設置、その他の整備を円滑に行なうためにも、政府が公害に対する具体的な施策を示して、公害の防止に役立てるという一つの明らかな、具体的なものを出してもらうことが、この特会をつくった一つの大きな意義にもなるんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。
その点について、空港特会の成立を機会に、この千三百メートルというものは一体どういう形で配慮が行なわれるのか、ちょっと最初に運輸省側に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/26
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027・手塚良成
○手塚政府委員 いまの指定区域の範囲につきましては、これは個々の飛行場の実情に応じて指定するということでなければならぬと基本的には考えております。大阪空港の周辺を具体的にながめまして、その騒音の事情とかあるいは移転の希望者というようなものを調査いたしますと、現状必ずしも妥当とは私どもは考えておりません。したがいまして、いま申し上げましたような点を十分調査して、これは前向きで、拡大の方向で範囲を広げたい、かように考えておるわけです。
具体的に予算の面におきましては、ただいま御審議を願っておる範囲では、昨年に比べて非常に大きく騒音対策費を計上いたしております。昨年は、御承知かとも思いますが十億でございましたが、ことしは十八億、その中身につきましても去年よりは少し勉強したい、かように考えておりまして、この騒音対策の問題が、飛行場として地元の御協力を得る上には非常に必要なことであるし、絶対これを前向きで考える考え方でなければ、飛行場そのものとして維持運営も困難になるかように考えております。したがって、基本的には地元の皆さんと十分相談をいたしまして、問題の大阪周辺についてはなお拡大していく方向で考えたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/27
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028・堀昌雄
○堀委員 私のほうから少し具体的に申し上げると、実はいまの千三百メートルというのは、問題のある住居群の南の端なんですよ。そこまではたんぽが少しありますけれども、ここからいわゆる肝心な住宅群が始まるわけですから、特にこの大阪国際空港の場合については少なくとも千六百メートル——千六百メートルというけれども、要するに実際中にあるのは三百メートル分しかないわけです。中身は三百メートル。要するにこちらのほうは何にもないところなんですから。だから問題は、何か千六百メートルというとたいへん延びているようだけれども、中身は三百メートルだということを認識してもらいたい。やはり私は、最低千六百メートルまではこの際、特に大阪国際空港の異常な事態にかんがみて、政府側としてはぜひ善処してもらいたい、こういうことであります。
これについて、これはやはり予算上の問題もあるから、ひとつ大蔵省側の見解もあわせて聞いておかないと、これはちょっと簡単でないと思うので、ひとついい答弁をしてもらって早く終わりたいので、特にそこらも含めて大蔵省側の答弁を期待します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/28
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029・竹内道雄
○竹内(道)政府委員 御承知のとおり、現在の千三百メートルというのは四十三年の一月にきめられた基準でございまして、それ以後、たとえば飛行機の種類でございますとか、あるいは飛行機の離着陸の回数というものもだんだん違っておるかと存じますので、そこら辺の問題につきましては運輸省とよく相談をいたしまして、十分検討いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/29
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030・堀昌雄
○堀委員 十分検討したいはいいのですが、私の希望の線に沿ってひとつ検討してくれるのかどうか。額をいま言うわけじゃないから……。私は額を言ったけれども、その点をもう一歩ひとつはっきりしてください。私は当分大蔵委員会にいるし、そうならなければまたやることだが、なるべくやらないで済むようにひとつお願いしたい。きょうはこれで終わりますから、私の提案の趣旨に沿って運輸省側とも協議をして結論を出すように努力したい、こういうふうにひとつ答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/30
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031・竹内道雄
○竹内(道)政府委員 運輸当局ともよく相談いたしまして、前向きに検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/31
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032・堀昌雄
○堀委員 前向きではちょっと足らぬな。もう一言いえば済むのだけれどもね。だから、前向きはいいですよ、前向きはいいけれども、私の提案の線に沿ってと言ってくれればいいのです。政務次官ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/32
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033・中川一郎
○中川政府委員 千六百メートルがいいのであろうとは思いますが、せっかく堀委員がここで確信を持って言われることでありますから、そういったことを勘案して、十分前向きで検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/33
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034・堀昌雄
○堀委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/34
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035・毛利松平
○毛利委員長 これにて空港整備特別会計法案に関する質疑は終了いたしました。
引き続き、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について、質疑を続行いたします。平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/35
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036・平林剛
○平林委員 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について、若干お尋ねをいたしたいと思います。
大体政府の提案説明あるいは細部的なお話を聞いておりまして、とりわけて問題はないように思いますけれども、たまたま広瀬委員が予算分科会の都合がありますから、私から少し、前回の審議の経過にかんがみ、政府当局の考えをただしてまいりたいと思っております。
たしか、前にこの旅費に関する法律案を審議したのは四十一年ぐらいだと思うのでありますが、そのときも私どもといたしましては、この旅費に関する法律案について附帯決議を付してまいりました。そこで、今回政府が提案をされた法律案の中には、私どもがつけた附帯決議に対してどういう措置をもってこたえ、どういう内容となってあらわれてきておるか、これを明らかにしてもらいたい。まずその点をひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/36
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037・橋口收
○橋口政府委員 国家公務員等の旅費に関する法律は、先生御指摘がございましたように、内国旅費につきましては昭和四十一年に改正をいたしております。外国旅費につきましては昭和四十二年に改正をいたしておりまして、それぞれ四年ないし三年の時間的経過を見ているわけでございます。昭和四十一年に内国旅費の改正をいたしました際に、衆議院の大蔵委員会において三点の附帯決議をちょうだいたしておるわけでございます。
第一点は「内国旅行における甲乙両地方の区域区分については、最近の宿泊料金の実態等にかんがみ、実情にそうよう再検討すること。」——順次お答えいたしますが、この附帯決議をちょうだいいしたわけでございます。今回、内国旅費の改正を立案いたします過程におきまして、昨年の春でございますが、財務局、財務部を通じまして実態調査をいたしたわけでございます。その実態調査の結果を見ますと、今日の時点におきまして甲乙両地方の格差というものはかなり縮小いたしておりますが、依然として物価その他についての格差もございます。また実態調査の結果を見ますと、依然として所要の旅費の金額についての格差があるわけでございます。ただ、前回の改正の際に、同じように前の年、昭和四十年に実態調査をいたしたわけでございますが、そのときは甲乙間におおむね二五%程度の格差があったわけでございます。昨年の春実態調査をいたしました際には、その格差がおおむね一七%と縮小してきておるわけでございます。したがいまして、今回の内国旅費の改正に際しましては、そういう実態調査の結果、並びに四十一年の衆議院大蔵委員会における附帯決議の趣旨を十分尊重いたしまして、甲地方につきましてはおおむね三五%程度の引き上げ、乙地方におきましてはおおむね四五%の引き上げ、両者平均をいたしまして約四〇%という引き上げの幅にしたわけでございます。したがいまして、改正後の旅費の金額で申しますと、乙地方に対する甲地方の倍率が一一七%、一七%アップということになっておるわけでございます。現行規定は一七%に相当するところが二五%になっておるわけでございます。これが第一点の附帯決議に対する一応の回答でございます。
それから第二点の附帯決議は「移転料については、実費弁償を建前として制度の合理化を図ること。」という決議をちょうだいいたしております。移転料につきましては、御承知のように現行制度では八段階になっておるわけでございます。指定職以下七等級まで八段階の区分をいたして金額をきめておるわけでございます。前回の御決議の趣旨もございますので、これも昨年の春に実態調査をいたしたわけでございますが、その際に入念に調査をいたしたわけでございます。その結果によりますと、七等級と六等級の格差がほとんど接近をしてきておるわけでございます。そういう調査の結果に基づきまして、今回の改正におきましては現行の八段階を七段階に集約をいたしたわけでございます。七等級の区分を六等級と統合いたしまして、現在の八段階を七段階に整理したわけでございます。これが第二点でございます。
それから第三点は「日額旅費については、実費を下回らないよう定めること。」という御決議をちょうだいしたわけでございます。日額旅費は、御承知のように、各省が金額をきめて大蔵大臣と協議するというたてまえになっております。四十一年に旅費法の改正が成立いたしました後におきまして、おおむね日当、宿泊料と同じ程度の引き上げ幅、三〇ないし四〇%程度の引き上げ幅をもって日額旅費の改定をいたしたわけでございます。
以上が四十一年の御決議に対する回答としての法律案の内容なりあるいは日額旅費の改定の経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/37
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038・平林剛
○平林委員 附帯決議について政府がある程度努力をされて、今回の法改正にはその意向を含めてあるというお話は承りましたが、具体的にこの調査をいたしました対象といいますか、あるいはこの調査をまとめるにあたって政府がとられた状況を少し説明をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/38
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039・橋口收
○橋口政府委員 内国旅費の実態調査をいたします場合には、大蔵省の出先機関としての財務局、財務部を経由して調査をいたしたわけでございます。調査範囲といたしましては、日当、宿泊料、移転料その他おもな旅費の内容について調査をいたしたわけでございます。その際、調査要項を配りまして、実際に日当、宿泊料を要した金額あるいは赴任に伴い移転料を要した金額等について調査をいたしたわけでございますが、詳細は給与課長から御説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/39
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040・谷口昇
○谷口説明員 ただいま次長が申しましたように、昨年の三月から六月の期間にわたりまして、まず日当、宿泊並びに移転料、こういうものの調査をいたしました。
まず、日当、宿泊について申しますと、実は現在全国に財務局が十ございますが、その財務局並びに財務部を通じまして、それぞれその所在地にありますホテルあるいは旅館、そういうものの実態を調べたわけです。現在公務員が利用しておりますホテルあるいは旅館、そういうものをそれぞれ、六等級以下の者が利用するものあるいは三等級ないし五等級の者が利用するもの、あるいは二等級の者が利用するもの、こういう三つの区分につきまして、先ほど申しました甲地方あるいは乙地方にそれぞれ区分をいたしまして、この調査をいたした次第でございます。
その調査をいたしました結果、たとえば六等級以下の者が利用する旅館、特にたとえば甲地方につきましては一泊二食の料金が二千二百九円、乙地方が千八百五十五円、これにさらにサービス料金あるいは料理飲食税その他を加えまして合計で二千六百七十六円、あるいは乙地方で二千二百二十六円、こういう数字が出てまいります。そういう数字をもとにいたしまして、今回の改定額ではそれぞれ二千七百円あるいは二千三百円、こういうふうに実態に合わせていただいた改正をお願いしておる次第でございます。同様にいたしまして、三ないし五等級の者が利用する甲地方あるいは乙地方の実態、あるいは二等級の者が利用する実態、こういうものを調べてございます。
それから次に移転料の問題でございますが、これは先ほど申しましたように、同じ期間におきまして実際に各省が赴任をいたしますが、赴任をいたしますその当該者に頼みまして、実は表を渡しまして、それによってそれぞれ記載をしていただきまして、そのことの結果大体次のような実態が判明をいたした次第でございます。
まず、私どもが調べましたのは、七等級以下、六等級以下、そういうようなそれぞれの区分に応じました旅行と、それから一方御承知のように移転には距離が伴います。そこでそれを現在の旅費の支給区分に従いまして、五十キロ未満あるいは五十キロ以上百キロ未満、こういうような段階を、それぞれ二千キロ以上まで八段階に区分をいたしましてその実績を調べました。
そのことの結果、たとえばまず七等級以下でいいますと二万円ほどの金額になります。それにさらに今回、実は通運料の改定が後にあったわけでございます。御承知のとおりに二月一日に改定がございました。そういう通運料の問題をあわせまして、改定額として二万八千三百円という金額を出させていただいております。同様に各階級並びに距離に応じましてそれぞれ出ましたものをもとにいたしまして不足額を出し、さらにそれに先ほど申しましたような本年の二月に行なわれました通運料の改定などを勘案いたしまして、先ほど申しましたような改定の経過を経ております。
以上が実態調査の結果でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/40
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041・平林剛
○平林委員 そこで、私も内国旅行の移転費用の実態調査結果と改定の資料を検討してみたのでありますけれども、日当、宿泊料の場合と比較いたしまして、移転料についてこれほどの差が必要であるかどうか。縮めてはありますけれども、実際の調査結果から見ますと、等級に関係がなく実際の調査結果があらわれているというふうに見ておるわけであります。その意味では、なおこの等級については七等級以下とか六等級、五等級とかというふうに、その給与の状態によって分ける必要がこれほどあるかどうかという疑問を実は私は持っております。これについてはどう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/41
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042・竹内道雄
○竹内(道)政府委員 国家公務員に支給される旅費の性格でございます。これは先生御承知のように、勤労の対価として支払われる給与と性格を異にいたしておるわけでございますから、本来実費弁償的なものでございます。したがいまして、たとえば転勤に伴う移転料等につきましても、本来でありますと証拠書類によりまして、実際にかかった経費に対して国が支払うという措置をとるべき性質のものでございます。しかしながら、そういうふうにいたしますと事務的に非常に繁雑であるばかりでなく、また人によっては非常にぜいたくな移転費用がかかるとか、あるいは非常にたくさんの家財道具を持っているために移転費用がかかるというような個人差が出てくるわけでございます。したがって、現在私どもの考え方といたしまして、本来実費弁償的な性格のものではありますが、一定の金額、定額を支給することによって措置をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういう観点で申しますと、特定の個人について見ますと、ある個人については余剰が生ずる場合もございますし、ある個人については不足を来たすというような場合もあるわけでございます。ただ、考え方といたしましては、公務員の長い生活のいわば集積として、等級による給与の格差もございますし、それを反映しての生活水準なり生活実態の相違もあるわけでございますから、そういう意味におきまして、日当、宿泊料と全く同じ程度に段階を整理するということは必ずしも適当でないんじゃないか。今回の実態調査によりましても、やはり等級間の格差というものが現存しておるわけでございます。したがいまして、七等級以下につきましては、先ほども御説明いたしましたように六等級と統合いたしたわけでございますが、それ以外の等級につきましては、御趣旨もございますからさらに検討はいたしてみたいと思いますが、現在までの検討の段階におきましては、この程度の格差は必要ではないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/42
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043・平林剛
○平林委員 この点は、具体的な調査結果が妥当なものであるかどうか、これに私は疑問を持っている。わずか四百件程度の調査で平均値が出るものかどうか、これは疑問の余地が私あります。だから、当局のほうで調査したものが絶対であるというふうな認識は持ちません。しかし、それについても、たとえば二等級、三等級あたりは、逆に三等級のほうが実際の経費はかかっておるという調査結果が出ておるところがあったり、距離によって違いますけれども、非常に入り乱れているということですね。結果的にはいわゆる身分差的なものがありますから、この点はもう少し確実な調査を進めていくならば、いま私が指摘をしたように、これほどの差が必要であるかどうか、もう少し縮めることが可能でないかというような感じがいたすわけでありまして、これはお互いに、あまり正確な調査基礎といえないもので議論することは私はどうかと思います。もっともっとたくさんの実例の上に立って議論する必要があると思いますから、これ以上論及しませんけれども、やはりそうした考えでなお研究は深めてもらいたいということを希望しておきます。
そこでちょっとお伺いしますが、内国旅費の予算額は幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/43
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044・橋口收
○橋口政府委員 昭和四十五年度の一般会計における旅費予算額でございますが、三百二十八億円でございます。そのうち内国旅費が二百八十八億円、外国旅費が約四十億円となっております。
特別会計につきまして申し上げますと、四十五年度の旅費予算額は約百四十六億金でございます。そのうち内国旅費が百三十八億円、外国旅費が八億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/44
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045・平林剛
○平林委員 ついでに、日額旅費についての予算額はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/45
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046・橋口收
○橋口政府委員 日額旅費の四十五年度の予算額でございますが、一般会計で申しますと四十六億円でございます。それから特別会計は四十億ちょうどでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/46
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047・平林剛
○平林委員 そこで私、日額旅費についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、現在の日額旅費の実情をちょっとお話しいただきたいと思うのです。等級別に二段階か三段階かになっていると思うのですけれども、現状幾らであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/47
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048・橋口收
○橋口政府委員 日額旅費は、これも先生よく御承知のように、調査、測量等でひんぱんに出張する場合、あるいは、しかも業務の内容が定型的な場合、こういう場合に、一般の旅費に対する一定の調整額としての日額旅費として支給いたしておるわけでございます。
いまお尋ねがございました日額旅費の金額でございますが、一般業務日額旅費で申しますと、キロ数と等級によって格差がございますが、百十円から三百二十円の刻みがございます。二等級以上で申しますと、行程八キロから十六キロ、または時間数にしまして五時間から八時間という場合が百六十円でございます。十六キロ以上または八時間以上二百四十円、それから行程二十五キロ以上が三百二十円。三等級ないし五等級のランクで申しますと、百六十円のところが百三十五円、それから二百四十円のところが二百円、三百二十円のところが二百七十円。六等級以下で申しますと、百六十円のところが百十円、二百四十円のところが百六十円、三百二十円のところが二百二十円というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/48
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049・平林剛
○平林委員 これは各省、各庁が大蔵大臣と協議することになっておるのですけれども、大体同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/49
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050・橋口收
○橋口政府委員 日額旅費につきましては、各省、各庁の長が金額を定めて大蔵大臣と協議をして決定をするということになっておるわけでございます。考え方といたしましては、各省庁共通の金額をきめておるわけでございます。ただ、税務関係につきましては、出張の実態等にかんがみまして、昭和四十四年度から多少の手直しをいたしております。したがいまして、先ほど御説明いたしました金額とやや違った金額に現在はきめられておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/50
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051・平林剛
○平林委員 日額旅費については、この法律の改正が成立をすると同時に、なお実情に即して改定する意思がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/51
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052・橋口收
○橋口政府委員 昭和四十一年に旅費法の改正をお願いいたしたわけでございますが、法律改正の直後に日額旅費についても改定をいたしておるわけでございます。で、今回も法律案として御審議を願って成立を見ました際には、同じような考え方によって、日額旅費についても調整的な引き上げをしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/52
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053・平林剛
○平林委員 その場合には、法律によれば、それぞれ先ほど御説明がありましたようなパーセントで引き上げられたわけでありますが、同じような考え方で日額旅費についても改定すると承ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/53
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054・橋口收
○橋口政府委員 日当、宿泊料につきましては、おおむね四〇%の引き上げをお願いいたしておるわけであります。同じような考え方によって措置をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/54
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055・平林剛
○平林委員 この場合に、税務関係の職員については昨年ある程度改定をしたと言いますが、これについても同様の考えで臨むつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/55
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056・橋口收
○橋口政府委員 これは先ほど御説明申し上げました規定によりまして、大蔵大臣から大蔵大臣への協議ということになるわけでございます。具体的な官庁としては、国税庁当局から主計局に相談があるわけでございますので、よく相談をして考えてみたいと思います。ただ昨年の経過から申しますと、税務関係につきましては、出張の実態等にかんがみまして、従来ですと大体四年に一回程度の引き上げを実施いたしておりますので、時期を早めてやったという考え方もあるわけでございます。したがって、そういう点も十分しんしゃくいたしまして善処をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/56
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057・平林剛
○平林委員 どうしても出張日額旅費を受け取る対象者は税務職員に多い。少なくとも日額旅費の五〇%は国税庁が占めているのではなかろうか。私は最近町へ出ましてある事件に遭遇したわけであります。税務署の職員が調査に行くと、たとえばこの周辺でありますと、現在支給されているような百五十円や百七十五円ではとても昼めしも食えぬ。まして夕方にまで及びますと、とてもそれでは食うものもない、結局いろいろな店に参りまして、その店からある程度ごちそうにならざるを得ないというような状態も間々あるわけであります。そういうことを考えますと、私はこの際、昨年ある程度大蔵大臣と協議して改正したといいましても、実情から考えたならば、この点は十分な配慮が必要であるという考えを持っておりますから、その線で善処せられるように希望いたしまして、私の質問は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/57
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058・毛利松平
○毛利委員長 広瀬秀吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/58
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059・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 今回の国家公務員の旅費法を改正するために実態の調査をだいぶやられたようでありますが、一体この調査はどの時期からどの時期をとってやられて、そしてこのような改定になったのか。まずこの調査の時期、そしてその調査の集計をした時期、こういうようなものをまず明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/59
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060・谷口昇
○谷口説明員 実は先ほど平林先生にもお答え申し上げたのですが、昨年の三月から六月までの間に大体調査をいたしております。その三月から六月といいますのは実は移転料でございますが、その中で五月に大体ホテル、旅館の宿泊料という調査をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/60
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061・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 その後においてタクシー料金の値上げとかあるいはバス料金の値上げとか、こういうようなものが各所にあったと思うのでありますが、そういう点についてはお調べになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/61
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062・橋口收
○橋口政府委員 旅費の中で移転料につきましては、通運料金の引き上げがことしの二月にあったわけでございます。移転料の実態調査をいたしたわけでございますが、その結果に対しまして、通運料金の値上げ分の旅費の中に占める割合で積算をいたしたものをプラスいたしております。その他交通費等につきましては、タクシー代の引き上げというお話がございましたが、今回の改正案を立案いたしたときにおきましてはタクシー代の改正はまだ決定を見ていなかったわけでございます。したがいまして、日当の計算上タクシー代というものは厳密に申しまして算入いたしておりません。ただ、御承知のように、日当は宿泊料に対しておおむね二割という計算で算出をいたしておるわけでございます。日当の考え方といたしましては、食事代あるいは交通費その他の雑費に充てるということになっておるわけでございますので、厳密に申しまして日当の積算の根拠というものは宿泊料に置いているわけでございます。そういう旅費の立て方でございますので、その他、調査時点以降消費者物価等も上がっておりますが、そういうものについて詳細に全部積算の根拠に入れるということは実務的にも困難でございますので、率直に申しまして一切を算入しているということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/62
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063・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 すでにこの法律を出す段階においては実態調査からも一年たっている。いまの御説明では通運料金の改定分は取り入れて実態に即したということのようでありますが、ことしは特に万博の年だというようなことで、この機会に宿泊料金等の値上げということなんかも、もう便乗値上げというか、そういうようなものなどもそれぞれ各地で行なわれている、こういうように私ども国家公務員の諸君に伺うわけであります。たとえば、そういうようなことを反映してかどうかは別といたしましても、宿泊料の乙地二千三百円というようなことでも——これが今度改定になって二千三百円ということになっているわけでありますが、現実になかなかこの二千三百円では泊まれない。少なくとも乙地方でも二千九百円ぐらい、サービス料などを含めてそのくらいは取られるという実態のほうがむしろ多い。こういう不満を聞いても、この提案ですらもう実態に即しなくなっている。実態をかなりよく見て見直したと、四十一年改正以来のものを見直したということでありますけれども、もうすでにこれを出したときにはかなり時期を失した形になっているんではないか、こういう感がするわけであります。私も実情をいろいろ——特に今回七等級以下というのはなくなりましたけれども、六等級以下の人たちに接触する機会が非常に多いものですからいろいろ聞いてみました、乙地における宿泊の実態というようなことを。そういうことでは、やはり二千九百円程度——これは栃木県の大田原市を見ましても、これは乙地方でありますけれども、そういうことがいえるというようなことでありますので、これらの点については、将来にわたって旅費の改定を行なうというのは、四十一年から約五年ほっておいて実施をするというようなことではなしに、こういうような物価の値上がりの情勢、さらに宿泊料金あるいは交通運輸料金などの急テンポで上昇するような段階では、時期を失しないようなこの見直しというものを絶えずまめにやっていかなければならないと思いますが、そういう点についての大蔵省の心がまえとしてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/63
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064・橋口收
○橋口政府委員 従来の慣例で申しますと、おおむね四年に一回旅費の改定をいたしておるわけでございます。今回も四十一年からちょうど四年を経過いたして旅費法の改正をお願いいたしておるわけでございますが、外国旅費につきましては昭和四十二年に改定をいたしておりまして三年目になるわけでございます。外国旅費につきましては、従来も大体四年に一回の改定のインターバルでまいったわけでございますが、今回実態に即して、三年目でございますが改定のお願いをいたしておるようなことでもございます。先生のお話がございましたように、定額で旅費を支給するというたてまえになっておりますので、ある程度の個人間の格差というものが生ずるのはやむを得ないのではないかというような感じがいたしておるわけでございまして、本来ならば実際にかかった経費を支弁するというたてまえのものを、事務上の便宜なりあるいは個人間に不公平が生じてはいけないということで、一定の金額で支給いたしておるわけでございます。したがいまして、先生から御指摘がございましたように、物価の上昇等の推移もございますので、できるだけ時期を失しないような改定を心がけたいというふうに考えておる
わけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/64
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065・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 外国旅費は三年目であるということなんですが、こういう時代においては少なくとも三年目くらいには見直しをして改定するというようなことが、これは外国旅費だけでなしに国内旅費についても——少しほったらかし過ぎたという感じがするわけで、将来の改定というものはできる限り時期を失しないように、少なくとも三年目くらいには見直して改定をするということがいまの経済情勢からいって必要だというように考えますので、その点特に強く要望をいたしておく次第です。
今度の改正では日当、宿泊等についてはランクの区分を一つ減らしております。前回つけました附帯決議の趣旨なども生かしておられると思うわけでありますが、移転料についてやはり日当、宿泊の区分と同じ程度になぜできなかったのかという問題点が一つあるわけなんです。これは上下の差というようなものがほとんどないのではないか。上位職の公務員のほうが家財道具などもきわめて豊富で大量にあるというようなことよりも、もし家財道具というものが引っ越し荷物として、移転料を算定する上で一つの基礎になるとするならば、むしろ家族数、家族構成というようなものに比重がかかるべきじゃないのか、こういう気もするわけであります。したがって、その問題についての大蔵当局の見解はいかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/65
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066・橋口收
○橋口政府委員 現在の給与体系は、御承知のように年功序列的な性格を持っておるわけでございます。したがって、年齢が多くなるに従って等級が上がるというような性格を持っておるわけでございます。したがいまして、等級の高い職員につきましては、家族数なりあるいは生活のいわば堆積としての家財道具が多くなってくるわけでございます。そういう事実を反映して現在は八段階に区分しておるわけでございますが、今回の改正では七等級を整理いたしまして七段階といたしたわけでございます。先生から御指摘がございましたように、現在の七段階を日当、宿泊料のように四段階に整理するということにつきましては、昨年の春行ないました実態調査の結果を見ましても、やはり等級別の格差というものが現存しているわけでございます。先ほど平林先生からも同様な御指摘をちょうだいしたわけでございますが、少なくとも現在までの検討の結果では、この七段階を特に四段階に整理するという考えは持っておらないわけでございます。ただ、重ねての御指摘でもございますので、さらによく検討はいたしてみたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/66
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067・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 移転旅費、特に最近コンテナ輸送が引っ越しの場合に非常に活用されているわけでありますが、このコンテナ輸送の場合に地域による料金差というようなものはいまどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/67
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068・橋口收
○橋口政府委員 通運料金について見ますと、大都市と地方では料金に格差があるようでございます。移転料の考え方といたしましては、先ほどちょっと申し上げましたように、実際にかかった経費を国が支弁する、こういう考え方でございますが、事務上の便宜等を勘案して、現在は等級別による一定の実額を支給いたしているわけでございます。したがいまして、公務員としましてはその金額の範囲内で、いわば才覚を働かせてできるだけ安く移転するということになるわけでございます。その結果、実際にかかった費用が実額より下回った場合には、それは一種の余剰として、特に徴収するというようなたてまえにはしておらないわけでございます。したがいまして、コンテナ輸送の方法を採用するなりあるいは鉄道輸送、水路等につきましては、それぞれ転勤した公務員の判断によってしかるべき方法をとるというのが旅費の考え方のたてまえでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/68
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069・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 実費を支給するということでありますからそれ以上申し上げませんが、先ほど平林委員も取り上げたわけですが、日額旅費というのは調査とか巡回とか、きまった、比較的定型的に行なわれる旅行ということなんですが——旅費というのは大体実費を支弁するというのが本質的な性格になっているわけでありますが、どういうものをこの日額旅費で支弁しようというのか。先ほど平林委員の質問に答えられたところによると、私ども今日の社会経済情勢からいってまことに低きに失するという考えがあるわけでありますが、
一体何の実費を支弁しようとして百六十円とか、最高でも三百二十円くらいのものなのか、この性格をはっきりさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/69
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070・橋口收
○橋口政府委員 日額旅費が支給される場合としては、法律に定めがございますが、調査、測量等のいわばひんぱんな出張、あるいは業務内容が定型的な場合、その他研修旅行等の場合に支給されるわけでございます。日額旅費は、本来ならば日当定額が支給される場合を、特に旅行の実態に着目をして、いわば調整的な減額をいたしているわけでございます。減額の支給は、先ほど申しました旅行の実態等から見まして、特に日当の定額を支給する必要がない、そういう考え方でもって調整的な減額をいたしているわけでございますが、考え方といたしましては、日額旅費のおおむね半分が交通費、残りが食費その他の雑費というように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/70
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071・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 たとえばキロ程によって先ほど百六十円というのが出ておるわけでありますが、この一般の旅費、日当、特にその日当と比較いたしましても、六等級以下の最末等のランクの日当を見ましても五百五十円ですね。それで、日額旅費百六十円のうち八十円は大体交通費であろう、あと残った八十円が食費だという。今日の状態の中でそういう低額なものが通用するとお考えですか、これは近々にこれを引き上げるということ、そしてその引き上げ率はどのくらいにするかというような考えがおありですか。当然そうすべきだと私どもは考えるわけでありますが、そういう計画をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/71
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072・橋口收
○橋口政府委員 昭和四十一年に日、当宿泊料を改定いたしました際にも、日額旅費についておおむね同率の改正をいたしているわけでございます。したがいまして、今回も、旅費法が通過成立を見ました際には、おおむね同程度の引き上げ幅の改定をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/72
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073・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 同程度というのは、具体的にパーセントといたしまして、たとえば今度の規定の中に三五%とか四〇%とかいうようなものがありますが、そういうようなものとの見合いにおいてということなんでありますが、少なくとも五〇%以上くらいは——いままでの日額旅費がバランスからいってもあまりにも私は低きに失しておったと思うのです。むしろ非常識な低額に押えられてきたという考えも持つわけでありますから、少なくとも五〇%以上の改善をする、この程度のお気持ちにはなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/73
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074・橋口收
○橋口政府委員 端数の関係等もございますので、正確なパーセンテージをちょっと申し上げにくいのでございますが、おおむね三〇ないし四〇%の幅で引き上げをしたい。関係省庁とよく御相談をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/74
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075・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 これと何も平仄を合わせる必要もないのであって、いままでが低過ぎたのだという状況を十分認識して、この点についてはこの問題と完全に歩調を合わせるということじゃなしに、新たなる角度で——その実態というものは先ほどあなたが答弁されたように、半分は交通費と見るのだ、あとの半分は食事その他の雑費だ、こういうようなことでいきましてもこれはやはり非常に問題があると思うわけであって、かなり大幅な、今回出された旅費法の額の引き上げにこだわらずに、もう一ぺん理解のある態度で、実態をしっかりつかまえて、この十分な引き上げをされるように望みたいわけでありますが、あくまで三五%、四〇%ということに固執されるおつもりですか。私が申し上げたような形で、少なくとも弾力性はあるのだという考えですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/75
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076・橋口收
○橋口政府委員 とくと研究をいたしてみたいと思いますが、おおむね平仄を合わせて改定をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/76
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077・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/77
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078・毛利松平
○毛利委員長 これにて国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたします。
次回は、明十八日水曜日、午前十一時三十分理事会、正午委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304629X01219700317/78
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