1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十五年五月八日(金曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 菅 太郎君
理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君
理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君
理事 古屋 亨君 理事 山口 鶴男君
理事 斎藤 実君
岡崎 英城君 亀山 孝一君
高鳥 修君 中村 弘海君
中山 正暉君 永山 忠則君
山崎平八郎君 豊 永光君
井岡 大治君 土井たか子君
華山 親義君 山本弥之助君
桑名 義治君 和田 一郎君
門司 亮君 青柳 盛雄君
出席国務大臣
自 治 大 臣 秋田 大助君
国 務 大 臣
(総理府総務長
官) 山中 貞則君
出席政府委員
自治政務次官 大石 八治君
自治省行政局長 宮澤 弘君
自治省行政局公
務員部長 山本 明君
委員外の出席者
行政管理庁行政
管理局管理官 加地 夏雄君
厚生省年金局年
金課長 山口新一郎君
自治省行政局公
務員部福利課長 佐野 政一君
地方行政委員会
調査室長 川合 武君
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五月八日
地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案
(山本伊三郎君外二名提出、参法第一八号)予
同月七日
地方公務員等共済組合法の一部改正に関する請
願(塩川正十郎君紹介)(第七〇九二号)
同外一件(桑名義治君紹介)(第七五二七号)
同(門司亮君紹介)(第七五二八号)
地方公務員災害補償法の一部改正に関する請願
(塩川正十郎君紹介)(第七〇九三号)
同外二件(桑名義治君紹介)(第七五二九号)
同外一件(門司亮君紹介)(第七五三〇号)
行政書士法の改正に関する請願(植木庚子郎君
紹介)(第七〇九四号)
同(福田一君紹介)(第七〇九五号)
クリーニング業の事業税軽減に関する請願外二
件(野呂恭一君紹介)(第七〇九六号)
ドライブインにおいて酒類の提供を禁ずる法律
制定に関する請願(河野密君紹介)(第七〇九七
号)
同(曽祢益君紹介)(第七〇九八号)
同(鈴木一君紹介)(第七五三一号)
同(地崎宇三郎君紹介)(第七五三二号)
木材引取税の撤廃に関する請願(宇田國榮君紹
介)(第七〇九九号)
同外二件(植木庚子郎君紹介)(第七一〇〇号)
同(浦野幸男君外五名紹介)(第七一〇一号)
同外二件(遠藤三郎君紹介)(第七一〇二号)
同(大村襄治君紹介)(第七一〇三号)
同(笠岡喬君紹介)(第七一〇四号)
同外二件(金子一平君紹介)(第七一〇五号)
同(唐沢俊二郎君紹介)(第七一〇六号)
同外一件(木部佳昭君紹介)(第七一〇七号)
同外四件(倉成正君紹介)(第七一〇八号)
同(小宮山重四郎君紹介)(第七一〇九号)
同(砂原格君紹介)(第七一一〇号)
同外一件(高見三郎君紹介)(第七一一一号)
同外一件(中馬辰猪君紹介)(第七一一二号)
同(中川一郎君紹介)(第七一一三号)
同(中曽根康弘君紹介)(第七一一四号)
同(丹羽久章君紹介)(第七一一五号)
同(丹羽喬四郎君紹介)(第七一一六号)
同(丹羽兵助君紹介)(第七一一七号)
同外二件(本名武君紹介)(第七一一八号)
同(野田武夫君紹介)(第七一一九号)
同外一件(野呂恭一君紹介)(第七一二〇号)
同外一件(八木徹雄君紹介)(第七一二一号)
同(梶山静六君紹介)(第七一二二号)
同(足立篤郎君紹介)(第七五三三号)
同(江崎真澄君紹介)(第七五三四号)
同(小沢辰男君紹介)(第七五三五号)
同(早川崇君紹介)(第七五三六号)
同(古屋亨君紹介)(第七五三七号)
同(前尾繁三郎君紹介)(第七五三八号)
同(浦野幸男君紹介)(第七五三九号)
は本委員会に付託された。
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五月七日
軽油引取税の徴、課税方式改善に関する陳情書
(第三六四号)
木材引取税の撤廃に関する陳情書外七件
(第三六五号)
消防力の強化等に関する陳情書
(第三六六
号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十
四年度における地方公務員等共済組合法の規定
による年金の額の改定等に関する法律等の一部
を改正する法律案(内閣提出第九三号)
地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案
(内閣提出第九四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/0
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001・菅太郎
○菅委員長 これより会議を開きます。
昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/1
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002・山口鶴男
○山口(鶴)委員 山中総務長官お見えでありますから、スライド制の問題についてお尋ねをしたいと思います。
長官、もうすでにヨーロッパ各国いずれも年金制度のスライド制を実現している。方式にはいろいろありましょう。消費者物価の上昇によってスライドをする、あるいは公務員賃金の上昇によってスライドをする、あるいは足して二で割った形のスライドをする。方式はいろいろありますが、すでにヨーロッパにおいてはスライド制というのは確立をしている。またわが国の制度におきましても、訓示規定のような形ではありますけれども、スライド制の規定がありますことも、これまた御案内のとおり。当地方行政委員会におきましては、昭和四十二年共済組合法の審議の過程で、当時の藤枝自治大臣との間で、世界各国でもそうなっておるじゃないか、日本でもすみやかにスライド制を実現すべきであるという論議をいたしました。当時藤枝自治大臣は、それでは政府において統一的な機関を設けて、三年以内に政府としては見解を示すようにいたしたい、こういう趣旨のことを答えておるわけです。当時、昭和四十二年七月でございましたから、本年でもって三カ年が経過するわけでございますが、政府におきましては、公的年金制度調整連絡会議というものを設置いたしまして、どのような形でスライドを実現するのか、その場合の負担区分は一体どうするのか、いろいろな面で検討を続けておられることを聞いております。この公的年金制度調整連絡会議におきまして、一体いつこのスライドの問題について一つの考え方というものをきめて国会に示していただけるか、その時期について長官としてのお答えをまずお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/2
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003・山中貞則
○山中国務大臣 当時の藤枝自治大臣がそのような答弁をいたしておられることを、申し継ぎ事項その他において私承知いたしておりませんでした。秋田自治大臣は御存じだったのですか。——いまの問題は担当大臣も御存じないそうでありますが、私のほうで、いまおっしゃいました公的年金制度調整連絡会議において作業を進めておることは事実でございます。ことし私のプロパーの所管であります恩給につきまして、大体四十三年度ベースでありますが、物価、公務員賃金等の上昇の分に対しまして、一定の方式を樹立いたしまして、予算がセットされました。このことは他の公的年金の側にも——恩給においてはすでにそのような実質上のスライド制的なものの実現をしたと見るべきである、したがって、他の公的年金制度についてもすみやかにその結論を出すべきではないかという意見が、逆に提議されていることも承知いたしております。
ところで、恩給のほうの内容でございますが、今後受給権者が恩給法第一条に定める権利というものを国の義務において果たしていくという権利、義務の関係は、一定のルールが確立されましたが、しかしながら、はっきりと公務員給与の改定に伴うスライド制である、あるいは物価が五%以上になったら自動的にスライドするものである、あるいは国民の生活水準、これはものさしがたいへんむずかしゅうございますが、というようなはっきりしたものまでは行っておりません。しかし、ルールが確立したことは間違いのない事実でありますので、これを今日までの状況と違ったものとして受けとめることによって、他の公的年金制度というものとどのように調和させつつ統一された方向に持っていこうかということで、いま検討中でございますが、公的年金制度は、これは掛け金も納めておるものでありましょうし、恩給受給者というものは、実際はかつて公務員であったり、その家族であったりすることによって、その権利を持っておるものでありまして、現在公務員たるの地位についていて職責を国民になお果たしつつあるというものと少し違いますので、公務員給与の値上がりそのものを直ちにスライドさせることについては、理論的には一応打ち立てたつもりでございますが、これを制度化するという問題は、いま少しく検討を要する点が残っております。と同時に、公的年金制度におきましても、好ましいことではありませんが、公的年金制度と称しながら、その本質、淵源、いろいろありますので、ある意味においては体系立っていない点があります。これらの点を総ざらいいたしまして、できるならば、先ほど諸外国の例を引かれましたが、ドイツ、フランス、イギリス、それぞれ結果的にはスライド制といっても差しつかえない——ファクターのとり方の違うことは御指摘のとおりでありますが、一種のきちんとしたものさしを持っております。ということは、やはり受給権者なりあるいは年金を受ける人たちが将来に対して不安を抱いていない。金額そのものについての議論というものはかりにあっても、方式については明定されておるというところに非常に大きな価値のあるものと私も見てとっておりますので、わが国において何を、どこを根拠にしてスライド制に持っていくのか、いわゆるスライド制とは何か、完全スライド、あるいは政策的スライド、あるいはその中間の中間的スライドと申しますか、いろいろなスライド制も考えられないこともありません。でございますので、物価、公務員給与、あるいは国民生活水準といういろいろなファクターも提示されておるわけでありますから、これはやはり制度でありまして、しかも給付並びにそれらを受給する権利を持つ人々に対する政府の制度でございますから、やはり混乱なく統一された方向に進むべきものと私も考えております。
なお、その他あるわけですが、ここをお借りして、過疎地域対策緊急措置法を成立させていただきましたことは、立案者でありました私にとりまして、なつかしい場所でございますので、御礼を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/3
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004・山口鶴男
○山口(鶴)委員 幅広い抱負経綸をお述べいただいて、また過疎の問題までお触れいただきまして、たいへんけっこうでありますが、いろいろ抱負経綸をお並べいただきましたわりに、どうも具体的でないという感じを持たざるを得ないことを残念に思います。
結局、恩給につきまして、従来とは違った一つの方式を打ち立てていただいたことについては、私ども多としたいと思います。その方式についての議論はさておきまして、けっこうだと思いますが、それでは公的年金である共済についてどうかといえば、恩給に右へならえをするということをずっと繰り返しているわけですね。そうして社会保障制度審議会におきましても、「「各種公的年金の給付額の調整等について」の趣旨に従い、すみやかに公的年金全体にわたる調整の原則を確立し、」云々ということをいっておりまして、いつも恩給へ右へならえするというような繰り返しはいかぬじゃないか、こういっているわけであります。藤枝自治大臣からの連絡云々という話もありましたが、三年以内に努力するというような形容詞があったことは私は承知しておりますが、しかし、少なくとも政府を代表して、閣僚の一人である自治大臣が政府部内に統一的な調整機関を設けて検討して、三年以内に政府としての見解をお示しできるように努力したい、こういうことを言ったことは、これは議事録にも明確に残っておるし、そのことを秋田自治大臣聞いておらぬとすれば、秋田さんが悪いのじゃなくて、その前任者が悪いのであって、あるいはそのうしろに並んでおる自治省の高級官僚の皆さんの連絡が悪かったということになろうかと思いますが、とにかくその必要性は長官も認めておられたし、また自治大臣もお認めになっておる。ただ問題は、なかなかこれがむずかしいことだろうと思うのですが、しかし、前からの課題でもありますので、おおよそいつくらいまでに政府としては、それではひとつ見解をまとめようというくらいの積極的な姿勢がなくては私はいかぬじゃないかと思うのです。その点、繰り返しになりますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/4
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005・山中貞則
○山中国務大臣 これは制度化の型の問題でもありますから、いまおっしゃったように、恩給法に右へならえするというようなことは、恩給法である意味の型ができました。したがって、恩給ではおそらく来年度の予算から、理論的にあるいは積算の基礎において異議のないと思われる範囲のものは一時査定で全額つくことになろうと私は思いますし、大蔵省もいろいろごたごたしましたけれども、大臣折衝を四回もやりましたが、それでも最後には、結局あれでよかったのです、財源が少し足りなくて御迷惑をかけたという大臣以下の正式の私への話もありましたし、大蔵省もやはり公務員の立場に立った財源主管省でもありますから、やはりいいものはいいと認めるにやぶさかでないようです。とするならば、やはり右へならえするにおいても、少なくともその実質が前進をしたことは間違いありませんので、ここでさらに一歩踏み込んで、諸外国の例等をさらに十分検討、しんしゃくしながら、わが国において最も理想的だと思われるようなものを打ち立てていく努力をしたい。と申しますことは、短兵急に公務員給与だけのスライドということにも問題があると申しましたとおり、こういう制度というものは後世に長く残る制度でありますから、つくるならば、日本の制度として外国から見られてもおかしくない、また公務員諸君から見ても、これに対して制度としては正しいものであるという支持を受けるような内容のものでなければなりませんので、そこらのところは十分の検討の時間はやはり必要であろうと思います。私は検討、検討で任期中逃げ込もうなんという気持ちは全然持っていないつもりでございますので、任期中にやれるかどうかはわかりませんが、少なくとも恩給の予算のセットいたしました実績を踏まえて、相当今後急テンポな作業で方向を打ち出すための努力をすることについてはお約束いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/5
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006・山口鶴男
○山口(鶴)委員 長官の時間もお忙しいようですから、最後にお尋ねをしてやめておきたいと思いますが、とにかく現在公務員の人事のいわば刷新と申しますか、その際にもいつも問題になりますのは、結局毎年毎年相当の給与改定が制度として行なわれるわけですね。そうしますと、いまのような公的年金の制度でありますならば、できる限り長く職場におったほうが将来にわたっても得だという形になるわけですね、これは現実に。ですから自治省は、そういうことからつまらぬ法律なんかも考えて——今度おやめになっているからけっこうだと思いますが、そういった小手先のつまらぬことをやるんではなしに、やはりヨーロッパのように一つの年金についてのルールができている、結局自分の体力の限界を考えて、みずからやめるべきときにはやめていく、やめても決して将来にわたって損ではない、こういった仕組みができることが、私は公務員の人事刷新の最も適切な方法ではないかというふうに思うわけです。日本も経済成長を続けておりますけれども。いまやヨーロッパの制度ができる。大体日本だってヨーロッパ各国の数年前の一人当たりの国民所得の水準には行っているわけでしょう。ですから十年といわず、数年前にヨーロッパにおいて確立されておる制度が日本にもできぬということは、私は理論的にもないと思うのです。したがいまして、そういう意味から、大臣任期中にできる限り進めてみる、こういう御決意を披瀝いただきましてけっこうだと思いますが、ひとつあらゆる面にわたって積極的な施策を打ち出しておられる総務長官が、この問題についてもより一そう努力をいただきますようにお願いをすると同時に、自治大臣もせっかくおいでですから、前任者の言うことは知らなかったということではどうも困るので、やはり自治省もこれに関係する省の一つであることは間違いないわけでありますから、自治大臣としての御決意もあわせてひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/6
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007・秋田大助
○秋田国務大臣 最近までは知らなかったのですが、数日前に知らされてはおります。退職年金のスライド制は私も賛成で、大いに皆さまとともに要望をしておりまする一人でございます。ただいま総務長官からも、真摯な検討を続けてすみやかな結論を得たいという旨の所信の御披瀝がございました。そのすみやかな結論を大いに期待をいたし、またそれに、微力でありますが、御支援を申し上げ、結論を得ましたならば、関係審議会等の意見も聞きまして、なるべくすみやかにこれに対する施策を打ち立てたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/7
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008・山中貞則
○山中国務大臣 私のほうでは総括的に連絡会議を預かっておって作業をしておりますので、今日まで私が見ておるところでは、共済担当の大臣が回り持ちで、ことしはだれが貧乏くじだというようなことで、回り持ちで担当してしぶしぶやっているような印象も率直に言っていままであったように思います。そんなことではならないので、私のほうで作業を預かった以上は、何も総理府で預かっているのじゃなくて、そういう問題については各省大臣が回り持ちするような問題は、むしろ私のほうで一定の方向をリードしていきながら各大臣の協力を求めるという形に今後直していきたい、そこまでの決意を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/8
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009・山口鶴男
○山口(鶴)委員 昨日本会議でわが党の江田書記長はじめ各党の代表の方が立たれてカンボジア、安保、当面する外交政策の問題について議論を展開されました。そのときわざわざ佐藤総理は、一九七〇年は内政の年だというようなことを外交の質疑応答のときにも大いに強調せられておったことは、私どもも聞いておったわけでありますが、それだけきわめて重要な年に自治大臣におなりになりました秋田自治大臣でありますから、先ほどのスライドの問題につきましても、総務長官だけにおまかせすることなく、ひとつ御努力いただきたいとお願いをいたしておきます。
あと、一、二の問題をちょっとお尋ねいたします。
行管の方がお見えでありますからお尋ねしたいのでありますが、行政不服審査法の二十五条、審理の方式ですが、これは書面審査がたてまえになっているということを承知いたしております。しかし、当委員会でも議論したのですが、たとえば安中の公害のごとき国民的な課題であり、通産省は勇気をもってこの請求人の主張を認めて、公開審査をやってもよろしい、こういう態度をとった例も実はあるわけです。法律のたてまえが書面審査であることは理解をいたしておりますが、そういった国民的な課題について各省が独自の立場で、ここの規定にも「申立人に口頭で意見を述べる機会を与え」る、こういう規定もあるわけで、その場合に多数の申し立て人が来る。実質的に公開の場と同じような状態になるということもあり得るわけでありまして、そういったことについては、私はやはり積極的にお進めになることがいま必要ではないかと思います。
さて、そこでお尋ねしたいのは、地方公務員災害補償の審理にあたりましても行政不服審査法を準用する形になっております。しかし、労災審査会というのは、公開でやることが法律の規定できめられております。国家公務員災害補償法は、まさにこれは何と申しますか、行政不服審査法ずばりをおやりになっておるわけでありますが、地方公務員災害補償法につきましては、従来地方公務員の都市交通に従事しておる職員は、これは労災の適用があったわけで、当然従来労災の公開の審理でこの問題の不服審査を行なわれるという一つの既得権と申しますか、実績があったわけであります。地方公務員の職員にとってみれば、人事委員会という公開の場でこれを審理する機会もあったわけであります。そういう人たちをまとめてつくった地方公務員災害補償法でありますから、当然形としては国家公務員の災害補償法よりはむしろ労災に近い形の運用をできるだけしていくということが、私は当然従来の筋道からいっても正しいのではないかと思います。
そこで、行管にお尋ねしたいのは、地方公務員災害補償の場合は、そういう経過から見ても、国家公務員災害補償法と労災との中間に位するというか、そういった意味では、国家公務員の災害補償法とはおのずから違った歴史的な経過というのがあるのだということはひとつ御理解をいただけると思うのですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/9
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010・加地夏雄
○加地説明員 ただいまの点につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/10
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011・山口鶴男
○山口(鶴)委員 そこで、私は自治省にお尋ねしたいのですが、そういう経過は自治省御案内のとおりですね。ですから、地方公務員災害補償の審理にあたっても、いま行管の御見解も示されているわけですから、やはり労災にかつて適用があった職員等もおるわけですから、できる限り希望があれば、公開といったって大勢入れてやる必要もないでしょうから、労災の審理に近い形で審査をするという道を進めていく。最近幾つか中央の審査会にものぼってきた例が出ておるそうですから、そういうときにやはり労災的な運用を自治省としてもやっていくということで処置すべきじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/11
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012・山本明
○山本(明)政府委員 おっしゃいましたとおり、ちょうど地方公務員の災害補償法は、国家公務員と労災の中間みたいなかっこうでできております。特に現業職員につきましては、すでに過去に労災によりましてそういう公開の場で審理がなされたことも私は事実だと思います。したがって、われわれといたしましては、その中間のつもりでこの審査会の運営を考えていっておるわけでございますけれども、ただ率直に申しますと、公務員グループと申しますか、国家公務員法が非公開であるという点から考えまして、公務員グループとしての非公開制という問題が一つあって、現在の運用がされておると思います。しかし、御要望の自治体もございましょうし、また実態問題もございましたので、それらを考え合わせながら、もう少し検討さしていただきたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/12
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013・山口鶴男
○山口(鶴)委員 それが労災に近い形を開いていくという、前向きの形でひとつ検討してください。だんだん後退して国家公務員みたいになったのでは話にならぬのですから、そういう意味だと思いますから……。
それから、これに関係してお尋ねしたいのですが、実は前回もちょっと触れたのですが、この参与ですね。実はこの法案を審議いたしましたときに、当時の藤枝自治大臣とわが党の細谷議員との間で、幾つかこれらの問題に触れて議論をいたしました。運営審議会の委員の構成は三者構成にすべきであり、職員の代表を入れるべきだ、学識経験者の中から善処したいというので、現在三名の方を入れていただいていることも承知をいたしております。しかし、できればこれも労災と同じように、法律の上で明確化していくべきだと思います。特にお尋ねしたいのは、参与ですけれども、これについても当時の藤枝自治大臣が、この業務規程に入れるという方向でやりますと答えまして、参与というのはいま業務規程に入っているようであります。ところが、参与というのは、労災のように権限が明確化していない。ですから、業務規程なら業務規程で法律できちっと書けばいいと思いますが、そこまで自治省は本日答えられないと思いますので、業務規程の中に、参与の権限を労災の参与と同じように、明確化するというくらいのことは、当然やってしかるべきだと思うのですが、その点はどうかということと。実際参与がおりましても、審理の場に出まして十分か十五分ぐらい意見を言うくらいで、はい、あなたは出ていってください、あとはうちのほうでやりますからというようなことで、労災の参与とは非常に違ったかっこうで運営されているということも聞くわけです。もっと参与の権限を明確化し、そして労災の参与と同じような形での運営ができないものか。私はそのくらいできると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/13
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014・山本明
○山本(明)政府委員 参与の方が審理に際し意見を述べるあるいは意見書を提出するということは、権限的には私のほうとしては何も異なっておらないというふうに考えております。ただ明確でない点から、いまおっしゃいましたような実際の運営上の問題として、あるいは具体的なものとして出ておることから、御指摘いただいたのではないかと思っておりますけれども、自治省といたしましては、権限は何も変わっておらない、このように考えておるわけでございます。したがいまして、業務規程の中でこの問題をどのように処置したらいいかということも、十分検討させていただきたいと思っておりますから、気持ちは全然変わっておらないし、また実際に指導の方法も、権限は変わっておらないんだというふうに指導しておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/14
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015・山口鶴男
○山口(鶴)委員 実態がどうも自治省のお考えと違うようで、労災の参与と同じように十分この参与制度を活用しておられるということが少ないと聞いておりますので、いまの趣旨で実態をよく調べて、足らざるところは直してください。それから、そういう中で業務規程にも労災の参与と同じような権限をうたうということも、これはたいしたことはない、そんなむずかしいことはないと思うのですが、これもひとついまの趣旨で、そういうことも検討したいということのようでありますから、前向きで検討していただいて、ぜひそういうふうにやっていただきたいと要請いたしておきます。
それから時間がありませんから、いま一つでやめたいと思いますが、結局地方公務員災害補償法の水準を上回る既存の災害条例を持っていた自治体が相当あるわけですね。そうした場合の従来の既得権というものは認めるか、これは認めますということになっております。それからさらに、本法の施行後において新たに地方公共団体で自主的に本法水準を上回る災害補償条例を制定することは可能か、これは可能でありますというふうに、当時の長野行政局長が答えておるわけですね。いま自動車でなくなっても、自賠法で五百万というわけですね。ところが、公務員の災害補償では一体どうかというと、はるかに水準を下回っているという現状は、これは自治省もお認めになると思うのですね。いま春闘のさなかであり、おそらく本日をもって春闘も終結の方向に向かいつつあるというようなこともいわれておりますが、ことしの春闘の特徴は、賃金を幾らよこせということもありますが、あわせて労働者が死亡した場合に、労基法できめられている以上に団体協約で百万上乗せをしろとか二百万上乗せをしろという、こういう形の要求がことしの春闘では非常に多いわけです。しかもこういう形で民間ではこの労災を上回るお金を企業が支払うという制度をとっているところが相当あるわけです。ですから、私は、自治体だってそういうことは当然出てきて、災害条例というものを本法に上回ってきめていくという傾向が出てくることは当然だと思うのです。そういうことからいって、しかも前回そういうことを答えているということから、自治省は、そういうものをつくった場合に、これはいかぬというつまらぬ指導はしないだろうと私は思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/15
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016・山本明
○山本(明)政府委員 私たちといたしましては、おっしゃいましたように、自賠法との関連において現在の公務災害補償が十分であるというふうには、職員特に低所得の職員につきましては思っておりません。したがって、そういう面でのいまおっしゃいましたような措置がなされた場合には、これはさきの国会でもお答えいたしましたように、私のほうで押えて、ああしてはいかぬ、こうしてはいかぬと言う気持ちは持っておりません。できるだけ職員の立場に立って、この問題を処理してあげたいというふうに考えております。しかし、一般的にはこの公務災害補償のワクの中でやれるのじゃないか、こういう気はしておりますけれども、特に低所得の方については問題があるだろうということは十分認識しておりますので、自治省がこれをきびしく云々するという気持ちはいまのところは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/16
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017・山口鶴男
○山口(鶴)委員 自治大臣、いまのような御答弁です。結局、東京都の起債の問題は、参議院でも議論があったようですし、私どもも十二日の委員会でもお尋ねしたいと思うのですが、ああいうようなことがありますと、何か最近の自治省は、内政の年というけれども、自治体をほんとうに守り育てるのではなくて、何か強権的にこれはいかぬこれはいかぬというようなことを言って、自治体の自主性にやたら干渉するのじゃないか、そういう方向に自治省は行きつつあるのではないか、こういう危惧を国民の皆さんは持つと思うのです。私はそういう気持ちは自治大臣にはないと思うのです。ですから、地方公務員災害補償の問題でありますが、いま公務員部長がお答えしましたことにつきましては、大臣としてもやはり積極的にお進めいただいて、そして自治省は何も強権的に自治体のやることを押えるというのではなしに、やはり必要な手だてについては十分やって、地方公務員の労働基本権というものを十分尊重していくということで対処いただきたいと思うのですが、御決意を承りまして、質問を終わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/17
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018・秋田大助
○秋田国務大臣 東京都の問題をお述べになりましたが、またこの問題についてお話しする機会もありましょうが、総じて私どもは地方の自治というものを侵すような考えは毛頭ございません。
しこうして、ただいまお話しの公務員の災害の補償額につきましては、給与の低い方々に対しまして、自賠法の災害補償額五百万円との関係におきまして、ここいらを十分改定する要を認めるものでありまして、積極的に前向きに取り組んでまいりたい。先生と同じ気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/18
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019・山口鶴男
○山口(鶴)委員 運用についてもお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/19
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020・秋田大助
○秋田国務大臣 同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/20
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021・菅太郎
○菅委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/21
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022・門司亮
○門司委員 共済の問題についていろいろ同僚から聞かれておりますので、私多くを申し上げませんが、最初にお聞きしたいのは、こういう年金制度と共済との関係であります。
それで、いま農村の農民に対しても年金制度というものがありまするし、国の一つの制度としてこういう制度が、従来恩給という形で官公吏だけに支給されておったものが、いわゆる年金制度というような形に変わってきた。ところが、実態はちっとも変わっておらない。国民年金あるいは農業者に対する年金というような名前で幾つでも年金というものが出てくる。そしてその態様は千差万別といっていいほどいろいろな形。これではほんとうの意味の国民生活の不安を除くということにならないと私は思うのです。したがって、これは何とか統一する必要がありはしないかと考えられるのですが、厚生省は自分のところで年金制度をいろいろおやりになっておるのだが、どういうお考えか、その点をひとつ先に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/22
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023・山口新一郎
○山口説明員 先生御指摘のとおり、年金制度につきましては、現在大まかに申し上げて八つございますけれども、それぞれに沿革なり歴史がございまして、理想は統合ということであろうとは思いますけれども、その歴史的事情を考えますと、なかなか簡単には理想どおりにはまいらないということだと思います。そこで、国民年金ができましたときに、各制度をつなぐ通算制を設けまして、それからまた最低保障制等もいろいろ歩調を合わせるということで、できる面から各制度ごとに統一的な問題で処理をしていくということで処理してまいっております。まだまだいろいろ残された問題はございますけれども、今後ともそういうような方向でできるだけ歩調の合わせられるものは合わせてまいるということでやってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/23
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024・門司亮
○門司委員 どうも形式的な通り一ぺんの御答弁だと思いますが、非常にやりにくいことではあろうけれども、しかし、国全体がこういう社会になって、そして年金制度による問題——これはただ単に年金制度といっておりますけれども、日本の憲法の変わり方、いわゆる家族制度の変わり方、そういう諸般の情勢が全部ここに一応集約される形になっているわけです。単に恩給だとか年金だけを考えていてはいけないのであって、これは今日の家族制度と非常に大きな関連性があるのであって、こういう問題が片づかない限りはどんなに——片一方では家族制度が変わってきている、年寄りには非常に大きな不安を与えている。ところが、これについては国がばらばらの政策をとっておって、一体どこに日本の民生の安定の根拠があるのかということになると、私は日本は全く支離滅裂だと思う。これでは社会全体を構成しておる日本国民の安心感というものは与えられない。これがいろいろの面で今日社会悲劇を生んでいる最大の原因だと思う。
そこで、でき得るならば、国民全体にできるだけ早く老後の不安定のないように、今日の家族制度が非常に大きく変わってきたのにおくれないようにしていかないと、どうにもならぬ世の中ができはしないか。だんだん年寄りはふえていきます。いまのような通り一ぺんのことでなくて、先ほど山中長官はいろいろお話をしておったようでありますけれども、これらの問題を一体政府がいつ集約をするかということについて、国民はかなり大きな期待を持っている。国家に尽くしている義務はみんな同じことなんですね。百姓している人であろうと、商店につとめている人であろうと、何の人であろうと、みんなおのおの国の仕事をし、おのおの国に税金を納めている。そうして老後の安定というものがなければ今日の家族制度にマッチしない、こういう社会情勢の中です。歴史があるからといって、歴史のあることはわかっている。しかし、歴史のあることはわかっているものはわかっているものとして、もう少し——あなたに聞いたって、これはしようがないことかもしれません。そんなことを言うなら、総理大臣にでも聞いてくれということになるかもしれません。しかし、厚生省としてはもう少し積極的にこれらの問題に取り組んでいくという姿勢がなければ、たとえば公務員の共済あるいは国鉄であろうと郵便局であろうと、そういう関係の諸君には、制度のいい悪いは別にして、多少の老後の安定というものが加味されておる。しかし、一般の人は、老齢年金を受けられる人が今度やっと一万円になったからということで、これで一体どうするというのですか。こういう国民の生活、老後の生活自身に非常に大きな格差があるということが、一体ほんとうの意味における民主主義の社会かということです。人間尊重といっておりますけれども、人間尊重というなら、やはり生活を最後まで保障するのがほんとうの意味の人間尊重だと私は考える。そういう面について、厚生省も一政府ももう少し積極的にこれを統合していくようなことができないだろうかということです。この点についてどうお考えになるか。もう一応御答弁願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/24
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025・山口新一郎
○山口説明員 先生の御指摘、全くそのとおりだと考えます。その方向で私どもも今後とも努力をしたいと考えております。昨年、厚生年金、国民年金両方、おかげさまで大改正をしていただいたわけでございますが、その際に、被用者年金と一般自営業者・農民等の国民年金とのバランスを何とか保つようにするという方向で努力をしたわけでございます。そういう意味で、今後とも一そう努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/25
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026・門司亮
○門司委員 これは厚生省に注文することはどうかと思いますが、自治省でもどこでもいいのですが、資料を少し。この審議が終わったあとでもけっこうです、将来の参考だけでもけっこうです。国家公務員、地方公務員、さらに五現業と、いろいろ国に関係したものがあります。これがおのおの共済組合の形で恩給から共済組合制度に変えられて、そして年金制度に変わっておるが、私どもがいままで考えたところでは、このままの姿でいっておると、掛け金が非常に不足していってどうにもならぬじゃないかというのがかなりあるのじゃないかと考える。だから、やはりこの辺でこの問題について思い切った制度の改革をする必要がありはしないかということが考えられるのです。この間もちょっと聞いてみましたが、たとえば国鉄などでは、いまのようなことをやっておって、そしていまのような掛け金の状態でずっと累積していくと、何年か後にはとんでもない数字が出てきてしまって、破産どころの騒ぎじゃない、どうにもならぬだろうというようなことまで話がされておるわけです。こういうものについて何か統計があるなら、あとでもよろしゅうございますが、一応出してもらいたいと思います。これは厚生省でできれば厚生省のほうにお願いしたいし、自治省のほうでできれば自治省のほうにひとつお願いをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/26
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027・山口新一郎
○山口説明員 ただいまの問題でございますが、私どものほうでは厚生年金と国民年金と船員保険を所管しておりますが、これにつきましては、いまお話しのありました資料を作成できるのでございますが、ほかの各共済組合につきましては、私ども部外者でございまして、なかなかそういう財政上の資料というものを入手することができませんので、ちょっと私どものほうではそこまでは手が回りかねるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/27
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028・門司亮
○門司委員 あなたのほうでできなければ、これはひとつ自治省のほうで、迷惑でも、各省庁に聞いてもらえばわかるわけです。一応資料をまとめてもらいたい。
それからもう一つ、ここでこれも政府の制度としてお聞きをしておきたいと思いますことは、いままでずっといろいろ議論はございますが、スライド制にしても何にいたしましても、法律でこれをどういうふうに増額をしていくか。たとえばここに幾つかの外国の例があります。イギリスとアメリカと西ドイツとフランスとソ連のこれらの問題に関する統計を一応見てみましたが、大体の国において、増額することのできる特別の法律が別にこしらえてあって、その法律によって、たとえば物価が三%上がったときにスライドするとか、社会情勢がこうなればこうだということで、はっきり規定しておる。こういうことはできませんか。そしてここであまり議論しないで、あそこが高いだの安いだの議論しないで、結局スライド制をするということについても法律ではっきりぴたっときめてしまって、そしてこういう事態にはこういう形で増額されるのだというような立法措置はとれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/28
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029・山本明
○山本(明)政府委員 先生のおっしゃいましたように、私たちも、最も理想的な姿というのはそれだろうと思います。毎年毎年の改定、あるいは、何といいますか、物価との関係も考えなくてはならない。そういうものについて、少なくとも私たちは公的年金制度の例の連絡会議でそういうものを期待をしてみたい、こういうふうに考えておるものでございます。理論的には先生のおっしゃるとおりでございますし、また諸外国でもそういうものをつくっておるとするならば、われわれとしてはそういうかっこうで進めていくのが一番いいのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/29
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030・門司亮
○門司委員 ただいいというだけでは問題にならぬのであって、こしらえてもらわなければ何にもならぬ。この場だけ何とかのがれていればそれでいいということでは困ると私は思うのです。われわれ別に注文とりでやっているわけじゃございませんから、そういう形で毎年議論をするというようなことでなくして、当然一つの法律に基づいて権威のあるものとして施行されるような制度が私は必要だと思うのです。
それからもう一つ、これも外国の例を申し上げて、必ずしもこれでよろしいかどうかということは別の問題だと思いますけれども、いろいろないま申し上げました諸国の例を見て、恩給といいますか、制度について、私がわりあいによくできていると考えられるのは、ソ連の制度であります。いまの共済組合制度その他について非常に大きな欠陥が一つある。その欠陥はどういうことかといいますと、つとめておるときの給与の水準によって年金が定められておる。ところが、これは年金制度の精神とは違うのじゃないかということですね。年金制度自身というものが確立されたことは、老後の生活をどうするかということであって、必ずしも在職中の給与によってそれが生活に移行するわけではないと私は思うのです。給料の安い人でも高い人でも、職から離れたときの生活費というものは、大体同じように要るものだと考えたほうが、私はこの制度は適当だと思います。ところが、制度自身はいま、御存じのように、在職中の給与によってこれが換算され、勘定されている関係から、在職中給与の高い人はよけいもらえる。在職中の給与の低い人はやはり少なくもらえるということですね。老後の生活の安定を一つの目標としたこの年金制度、社会制度等の考え方とはおおよそ逆な形になって、どこまでも在職中の階級といいますか、在職中の段階というものによって支給されておるということは、法の趣旨に対してやや趣旨が違いやしないかということが一応考えられるのであります。このことをやや緩和しておるのが——皆さんのほうでもこういう資料がたくさんあるでしょうからおわかりだろうと思いますが、ソ連のこの資料を見てみますと、こう書いております。労働者及び事務職員に対しまする恩給制度は、報酬月額が三十五ルーブル以下の人はやめても一〇〇%そのままこれを支給する。ここで生活の保障をはっきりする。それから段階的にこれを三十五ルーブルから五十ルーブルの人は八五%支給する、こういう形をずっととってまいりまして、百ルーブル以上の人は五〇%だ。こういうことになってまいりますと、老後の受ける年金というものの格差は非常に少なくなるのであります。ここに私はほんとうに人間の生活を尊重する非常に大きな意義があらわれているんじゃないかと思う。生存して勤務しているときの自分の給料が安いんだから、老後においてもそれだけしかできないんだということではなくて、老後については、そういうことでできるだけ格差を縮めていこうという制度が、ソ連の中に認められるのであります。このことはこうした年金制度の趣旨にほんとうに合致したものの考え方からきているものだということが言えようかと思います。こういう点について何かお考えはございますか。こういうふうに直したほうがよろしいんだ。むろんその中には掛け金がどうだとか、私はいろいろあろうかと思いますが、そういうものは抜きにして、制度としてはやはりこういう制度を設けていくということで、国家がこの人の生活を保障するというなら、そしていまでも国なり自治体から拠金をしておることは事実でありますから、国民の税金をそこに使っておることは事実でありますから、やめた後までも高給を取っている人が国民の税金をたくさん使うということは改めたらどうかと思う。この辺のお考えはどうであるか。これは非常にデリケートな問題がありますので、一応大臣から御答弁を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/30
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031・秋田大助
○秋田国務大臣 非常に傾聴に値する、また合理性の高い内容の御発言でございます。大いに参考にいたしまして、将来その趣旨を尊重しながら関係方面で検討してもらうように促したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/31
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032・門司亮
○門司委員 私がこう申し上げましたのは、ソ連のものをなお調べてみますと、表面はそういう形をとっておりますが、これに年数だとかいうような加給は当然つけ加えられております。それはその人の功績によってということは多少そこに加味されておりまして、基本的にはいま申し上げましたように、大体三十五ルーブルという安い給料の人と百ルーブルという三倍以上の月給の人とが恩給制度では二〇%くらいしか違わないという形で、非常に老後の生活というものを中心にしてものを考えた一つの制度だと思っております。こういう形でいくことのほうが今後の問題としてはよろしいのではないかということ、そういう形をとっていくことによって初めて国と本人との掛け金の問題あるいはその他の問題が均衡化していく、こういう問題が出てきやしないかと私は思う。このことをひとつぜひ、これも自治省だけではなくて、さっき山中長官が申しましたように、政府にそういう機関があるとするならば、それらの機関においてしっかり検討を続けてもらいたい。
それから、最後にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、いろいろ問題があって、そして自治体によって多少違うようであります。掛け金も違うし、いろいろの問題が違うようでありますが、私はこれは違ってもよろしいと実は考えておる。そんなに政府がやかましく干渉する必要はないと考えている。いまの制度においてもそんなにやかましく言わなくてもよろしいのではないか。この点について自治省はどうお考えですか。往々にして問題が起こるのはこの辺から——自治省と地方の自治体との間のトラブルというほどではないけれども、これは自治体はおのおのその長い歴史を持っておりますので、そう簡単にはいかない。それから、新興の都市と古い都市との違いというようなものも当然あるわけでありまして、極端な掛け金その他の開きさえなければ、そう干渉すべきものではないと私は考えておるが、その辺のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/32
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033・山本明
○山本(明)政府委員 おっしゃいましたように、自治体には、職員構成も違いますし、あるいはその家族構成も違いましょうし、いろんな差異がございます。したがって、掛け金の差があることはわれわれも多少認めるところであります。ただ、あまりにも高くなり過ぎて職員に負担がかかってはどうであろうかという一つのリミットといいますか、そういうものはございます。基本的には、それぞれの自治体がそれぞれの実態に応じて職員から掛け金を取るというのは、私は、地方自治の本旨から見て好ましい姿であろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/33
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034・門司亮
○門司委員 そうしますと、こういうことになりますか。いままでときどき自治省がいろいろなことで、どうもその辺で地方公務員諸君の掛け金が非常に多いとかあるいは自治体の持ち出しが非常に多いとかいうようなことは、今後あまりコントロールするような強い姿勢はとられませんか。その辺もう一度確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/34
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035・山本明
○山本(明)政府委員 先生のおっしゃいましたのは、共済の短期給付の掛け金であるというふうに考えておりますけれども、これにつきましては、私のほうはとやかく言うことは考えておりません。実態に応じてそれぞれ掛け金を取り、また自治体が負担をするというのでけっこうだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/35
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036・門司亮
○門司委員 それともう一つは、公務員の場合に、いろいろ古い人と新しい人との関係で、いままで制度があまり完備していなかったために、格差があるのがまだ是正してないのが多少ありはしないかと思うのですが、こういうものはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/36
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037・山本明
○山本(明)政府委員 ちょっと先生のおっしゃった意味が私理解いたしかねるのでございますけれども、できますだけ格差のあるものは通算をするとかなんとかして処置をしてまいっておりまして、現在のところは、附帯決議での市町村の吏員、雇員ですか、例の施行日前の期間の通算の問題ですか、自発的におやめになった方たちの通算の問題等、若干まだ残っているのでありますが、できますだけ努力いたしてみたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/37
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038・門司亮
○門司委員 できるだけ早くそういうものを是正していただきたいと思います。
それから問題になりますのは、これから沖繩が返ってまいります。そうすると、当然公務員の交流も行なわれることになろうかと思います。いろいろの問題が出てこようかと思いますが、これらに対して何か準備がされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/38
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039・佐野政一
○佐野説明員 沖繩の公務員と本土の公務員との通算の問題でございますが、この点につきまして、昨年まで実は私どものほうで琉球政府のほうと連絡をとりまして、現在、沖繩の公務員につきましては、その人が本土の公務員期間を持っている限りそれを完全に通算するという制度を設けまして、公立学校職員につきましては昨年の七月一日、一般の職員につきましては本年の七月一日から共済制度をつくり、そして完全に通算するということになっております。ただ、琉球政府の職員の年金制度が四十一年でございますかにできまして、受給権者が非常にまだ少ないという関連もございますし、逆に本土と琉球政府との年金の受給期間というものを調整し、それから受給額を調整して向こうで給付しておりますので、その受給権を持っておる人がもう一度本土の公務員になった場合の通算でございますが、非常に複雑になってまいりますので、現在復帰を目途にいたしましてその調整措置を検討しておるわけでございます。この点につきましては、琉球政府のほうは、政府職員、市町村職員、それから公共企業体、これは電電公社がありますが、これが一本の共済制度でございます。本土のほうは国家公務員共済、地方公務員共済、公共企業体の共済、こう分かれておりまして、それらの間のまた調整もいたさなければなりませんので、関係各省と一緒に検討しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/39
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040・門司亮
○門司委員 ちょっと私のことばが足りなかったようでありますが、単にいま在職しておるだけではありませんで、戦前からずっと公務員であった人がおいでになるわけであります。そしてそれがやはり琉球政府に引き継がれておる、あるいは琉球の自治体に引き継がれておるというような人があるわけであります。それらの人たち、それからその前にやめた人があります。要するに、受給資格を持っておるがやめた人があります。それらの人の調整は完全にできますか。本土の場合は、従来の恩給制度を二十四年でしたかに年金制度に切りかえることができてやっておりますけれども、それがいま沖繩の諸君についてはそういう切りかえができますか。私はその点は非常にむずかしい問題であって、非常にややこしい問題になりはしないかと実は思っております。いわゆる戦前の受給資格を持っている人が一体どういう形になってくるかということ、これは本土と同じになるわけでありますから、実際の施設が同じだということになれば、年金制度もみな同じにしなければならぬと思いますが、そういう準備がどの辺までできておるかということを実は心配しておるのですが、現職の人についてはそういう取り扱いができるということは私は容易だと思いますが、受給資格を持ってやめておる方々に対して、一体どういう形でいけるかということでありまして、これはアメリカの制度とこちらの制度は制度が違いますので、その辺の調査と運用がどうなるかというようなことをもう一度聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/40
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041・佐野政一
○佐野説明員 いま先生御指摘がございましたように、琉球政府では、四十一年の年金制度施行後に退職した人、この人を対象にいたしまして、本土の公務員期間と琉球政府の公務員期間あるいは市町村の職員期間というものの通算をやっております。それ以前に退職された人については、いまのところ制度の適用がないわけでございます。復帰した場合に、そうしたすでに退職されておる人、これをどうするか、それから行政分離前に沖繩県なりあるいは市町村の条例による受給権を有する人をどう救済するか、こうした問題がございますが、やはり本土におきましても、三十七年の十二月に地方公務員共済組合法ができる前は、県と市町村間において在職期間の通算措置がなされてない例が非常に多いわけでございます。そうしたこととの均衡も考慮しながら、ひとつその点について今後十分検討していきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/41
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042・門司亮
○門司委員 これでやめますけれども、ただ検討していきたいということだけではこれは済まされないのでありまして、二年後にはすぐこの問題にぶつかるわけであります。その前にやはりきちんとしておきませんといろいろな問題を起こすことはこれは当然であります。不幸にして二十五年の間異民族の支配を受けておったという特に気の毒な沖繩の諸君なのに、返ってきたがやはり恩給その他というようなものの区別があるんだということになりますと、まるで往復びんたということになろうかと私は思います。したがって、その辺はひとつ十分政府で御配慮を願いまして、そういうことのないようにぜひ処置をしていただきたいということを強く希望いたしておきます。したがって、これに対してはひとつ大臣からこの機会に何とかお話を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/42
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043・秋田大助
○秋田国務大臣 ただいま問題にされました方々の処遇につきましては、これらの方々の置かれました立場を考えまして、それらの人の身になりまして措置をするという態度で、鋭意調査にも当たり、また引き継ぎに差しつかえないように処置をすべく指導してまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/43
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044・門司亮
○門司委員 もう一つだけ聞いておきますが、その問題ですね、いま地方公務員の場合ですが、国家公務員の場合には、恩給の受給資格のある人にはいま沖繩の在住の諸君に支給をさしていますか、日本政府として。日本政府は当然の責務があると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/44
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045・佐野政一
○佐野説明員 現在、行政分離の時点におきまして官吏として恩給法の適用を受けておった人、この人については分離後の恩給法の適用を受けさしておりまして、本人の希望によって退職の申し出があった場合あるいは現実に公務員をやめた場合、その際には恩給を支給するということで、現在職者でも恩給を受けている人がございます。ただ、これにつきましては、今回七月一日から実施する公務員の共済組合法でございますか、この制度では、恩給の在職期間と琉球政府の在職期間すべてを通算いたしまして、一本の退職年金の額から本土で支給しておる恩給の額を控除した額を支給するという形にして調整しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/45
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046・門司亮
○門司委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/46
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047・菅太郎
○菅委員長 青柳盛雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/47
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048・青柳盛雄
○青柳委員 毎年毎年共済組合の年金の改定をやってこられているわけでありますが、これは別に偶然なことではございませんで、御承知のとおり、高度経済成長のもとで物価が上がり、生活費が上がるこれを年金生活者はどうやってしのいでいくか、そういうところから当然の要求としてスライド的な値上げを要求してくるというのは必然的な現象だと思います。それに対応するための改正であるわけでありますから、私どもとしても反対する筋は一つもないのであって、むしろこの程度のものでなしに、もっと大幅な改定がなされてよろしいんじゃないか。もちろんその間に幾つにも分かれている公的年金制度の格差の是正というような問題もありましょう。しかし、基本は、額をどうやって上げていくかということに帰すると思うのであります。
ところで、この額を上げるためには当然のことながら財源が必要になってまいりますけれども、その財源をどこに求めるか、掛け金に依存するのか、それとも国家財政のほうでこれを保障するのかという点が出てまいります。掛け金を上げるということは、一般の組合員にとってみるとたいへん負担が加重されるわけでありますから、どうしてもそれはかんべんしてもらいたいということになるわけであります。勢い国のほうの財源保障というものが必要になってくると思うわけであります。高度経済を維持するために国の財政金融政策、そういうものに相当重点が置かれて、そのほうに国の財源が集中するということは、これはその高度成長がいまのような社会経済制度のもとで維持され、発展されようとすれば勢いそうならざるを得ないわけでありますけれども、その結果として物価高が起こり、あるいは公害、災害、そういうものが国民生活を圧迫しているということを考え、しかもいま問題になっている年金制度の抜本的な改正が要望されている。また短期給付の問題につきましても、いろいろの要求が出ておるわけであります。経済的な要求が特に強いわけであります。そういう点でどうしても国の施策の中で国庫負担というものを思い切ってふやすということがなければ、いろいろ論議されましても、結局机上の空論か、まあきわめて微温的な解決しかできないという結果になると思うわけであります。この点について政府のほうではどういう考えを持っておられるか、まずそれをお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/48
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049・山本明
○山本(明)政府委員 お答えします。
現在、長期給付につきましては国の負担が百分の十五になっております。国家公務員の共済組合におきましても同様でございます。ところが厚年のほうが百分の二十でございます。したがって、われわれといたしましては、せめて厚年の百分の二十の国庫負担をしてもらいたい、そのあとは労使折半である、こういう考え方で従前から財政当局に要求してまいったところでございます。国家公務員との関連におきまして、本年も遺憾ながら百分の十五で終わりまして、従前どおりの国庫の負担であるというかっこうになったわけでございます。今後ともできるだけ努力をしていきたいと思っております。そのかわり、短期のほうにつきましては、これはわれわれといたしましては、国庫負担の対象にすべきかどうかという点について若干問題があるんじゃないか、やはり労使折半でいって運営をするのがたてまえではないかということで、このほうは要求はいたしておりません。長期のほうにつきましては、ただいま言いましたような額について努力してまいりましたけれども、残念ながら実現ができなかったということに御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/49
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050・青柳盛雄
○青柳委員 共済について二〇%に引き上げる、これは国家公務員も徐々でございましょうけれども、その努力を続けられるということは多とするわけでございますけれども、同時に、労使の割合につきましても、ただ機械的に折半ということだけでよろしいかどうか。この点もやはり勤労者のほうとしては、使用者側の負担を多くして、そして勤労者である組合員の側を低くしてくれという強い要望があるわけであります。この点もやはり道理のある要求だと私ども考えますので、ただ機械的に、労使は対等であるというようなことから、負担も平等でいいんだということで、問題の機械的な解決をはかるんではなくて、共済制度は社会保障制度の一環でございますから、社会保障制度となればやはり国が負担をする、あるいは使用者側がよけい負担をするということが正しいあり方ではないかというふうに考えますから、その点をひとつ今後も研究し、実施するようにお願いいたしたいと思います。
それから災害のほうでございますけれども、最近特に、公務員だけでなしに、というよりもむしろ一般の民間の勤労者のほうが災害の被害を受ける場合が多いわけでありますので、どうしてもこれは、国の財源を豊富にして、災害の予防に当たるということももちろん当然のことでありますけれども、災害が起こった場合には十分なる補償を与えるということが必要だと考えるわけです。この点について今度災害の補償額を多少上げることになっております。これもわれわれ反対する筋はないわけでありますが、しかし、きわめてびほう策的なものでありまして、十分とは私ども考えられないわけです。だから、この点についてもっと財源を豊富にし、被害者といいますか、災害をこうむった者の救済に充てるということを考えておられるかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/50
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051・山本明
○山本(明)政府委員 公務災害補償の今回の改定につきましては、ILO百二十一号条約の規定を基準にいたしまして、労災のほうがこれを改定し、それに合わせまして国家公務員、地方公務員、こういうかっこうで改定をしてまいったわけでございます。もちろん地方公務員のことを考えますれば、多々ますます高くなることは期待するところでございますけれども、やはり公務災害の関係におきます国家公務員とか労災との関連もございますので、それとの関連の中で考えていかなくてはならないという問題があることだけは御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/51
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052・青柳盛雄
○青柳委員 時間がありませんので、あと一点だけ。
共済のほうでもあるいは災害のほうでもですが、この運営について、やはりそれを民主化すべきであるという要求が非常に強いのであります。民間の社会保障あるいは社会保険に関しましては、一定の定款のたてまえ、規則等々で、運営について相当程度職員側のあるいは組合員側の要求が反映できるような制度が行なわれておるのでありますけれども、どうも公務員であるというようなこと、公務員はかつては天皇の役人であったというような関係で、恩給制度等におきましても、何か恩恵的な形で一方的に査定をされて運営されているというような面がかつてあった。そういうのがそのまま国家公務員の共済制度を見ましても露骨な形であらわれておって、職員団体のほうの参加が非常に制限されている。しかし、地方公務員のほうについては多少それが民主化される方向はありますけれども、これはまだ十分だとはいえないと私ども考えております。そういう点で、組合員の参加というか、民主化といいますか、その運営の方針をきめ、執行するにあたって要求が反映されるように制度を改正していくべきではないかということを考えるわけでありますが、これは研究されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/52
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053・山本明
○山本(明)政府委員 共済組合のほうにおきましては、運営審議会にいたしましても、労使双方から出ていただきまして民主的に運営をしているつもりでございます。ただ御質問の要点は、いわゆる公務災害補償基金の問題だろうと思っております。これにつきましては、従来から各地方公共団体が行なっておった補償を、この基金というかっこうでその事務を共同して行なう一部事務組合的な性格である、このようにわれわれは考えておるわけでございます。その基金の基本的な運営の問題を審議し調査をする機関として運営審議会というのが設けられておるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
したがいまして、その委員の中にはやはり地方公共団体の代表者を入れ、そうしてあとの半分につきましては学識経験者に入っていただいて、専門的な技術のある方に入っていただいて基金の運営をよりよくしていきたい。ところが、先国会におきましてやはり先生のように労働者の代表をという御意見もございました。附帯決議もつきましたものですから、学識経験者のうちの半分の方には現には組合の方に入っていただいてやっておるということでございまして、われわれといたしましては、両方の制度の違いから、いま申しましたようなかっこうで、しかしながら、運営の面では御意見を尊重してやっていきたい、こういうようにいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/53
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054・青柳盛雄
○青柳委員 これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/54
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055・菅太郎
○菅委員長 両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/55
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056・菅太郎
○菅委員長 昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対して、山崎平八郎君、山口鶴男君、斎藤実君及び門司亮君から、四派共同をもって修正案が提出されております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/56
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057・菅太郎
○菅委員長 この際、提出者から趣旨の説明を求めます。山崎平八郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/57
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058・山崎平八郎
○山崎委員 この際、私は自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表して、昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
修正案文はお手元にお配りしてありますので、朗読は省略させていただくこととし、その内容の概要について申し上げます。
まず第一点は、団体共済組合に福祉事業制度を創設することであります。団体共済組合につきましては、制度発足以来すでに五年を経過し、その資金量も充実してまいりましたので、この際、団体共済組合についても福祉事業を実施することができるように措置することといたしております。
次いで、第二点は、長期給付の算定の基礎となる給料年額の算定方法を緩和することであります。すなわち、退職年金等の長期給付の額のうち、退職年金条例の適用を受けた期間にかかる部分の額の算定の基礎となる給料年額につきましては、昭和四十二年の法改正により国及び都道府県の職員の取り扱いにならい、退職一年内に二号給以上の昇給があっても、一率に退職一年前の給料の一号給上位のものにより算定することとする制限措置がなされたのであります。
しかしながら、このような制度の改正による激変を緩和するため、その改正のときまで退職時の給料をもって算定することが認められていた退職年金条例の適用を受けていた者で、勧奨退職者等本人の事情によらないで、引き続き勤務することを困難とする理由により退職する者に限りまして、今回昭和四十二年七月三十一日から昭和四十五年七月三十日までの三カ年間に退職した者につきましては、退職一年前の給料の二号給上位である場合は当該給料により、退職一年前の給料の三号給以上である場合は三号給上位の給料により算定することとし、昭和四十五年七月三十一日から昭和四十七年七月三十日までの二カ年間に退職した者につきましては、退職一年前の給料の二号給以上である場合は二号給上位の給料により算定することとする特例措置を講ずることといたしております。
以上の措置は、昭和四十五年十月一日から実施することとしておりますが、第二点につきましては、昭和四十二年七月三十一日以後退職した者についても適用することとし、この場合の給付額の差額につきましては、実施後すみやかに支給することとしております。
以上が修正案の内容の概要であります。
何とぞ全会一致をもってすみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/58
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059・菅太郎
○菅委員長 昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
まず、山崎平八郎君外三名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/59
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060・菅太郎
○菅委員長 起立総員。よって、山崎平八郎君外三名提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/60
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061・菅太郎
○菅委員長 起立総員。よって、昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/61
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062・菅太郎
○菅委員長 高鳥修君、山口鶴男君、斎藤実君及び門司亮君から、四派共同をもって、ただいま修正議決いたしました法律案に対して、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。高鳥修君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/62
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063・高鳥修
○高鳥委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表いたしまして、昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。
案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。
昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行にあたり、特に左の諸点に検討を加え、すみやかにその実現をはかるべきである。
一 地方公務員共済組合の短期給付にかかる組合員の掛金率が一定限度をこえることとなるときは、組合員の負担を軽減するため適切な措置を講ずることとし、これに要する費用については国が所要の財源措置を講ずること。
二 遺族給付を受ける遺族の範囲については、実情に即して、すみやかに是正措置を講ずること。
三 年金制度施行前における市町村の吏員及び雇傭人であつた期間で地方公務員共済制度の施行日に引き続いていないものについて、すみやかに職員期間として組合員期間に通算する措置を講ずること。
四 退職年金等のスライド制については、早急に具体的な運用基準を定め、実施するよう措置すること。
五 短期給付制度を適用しない共済組合についても福祉事業を行ないうるよう措置すること。
六 住宅供給公社の職員について、団体共済組合制度の適用を検討すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ皆さまの御賛同をお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/63
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064・菅太郎
○菅委員長 本動議を採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/64
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065・菅太郎
○菅委員長 起立総員。よって、高鳥修君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/65
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066・菅太郎
○菅委員長 次に、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/66
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067・菅太郎
○菅委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/67
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068・菅太郎
○菅委員長 豊永光君、山本弥之助君、斎藤実君及び門司亮君から、四派共同をもって、ただいま議決いたしました法律案に対して、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。豊水光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/68
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069・豊永光
○豊永光君 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表いたしまして、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。
案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。
地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、被災職員及びその遺族の福祉の増進を図るため、他の災害補償制度における改善措置をも考慮しつつ、左の諸点についてその実現に努めるべきである。
一 公務災害の予防及び職業病の発生防止に努力し、公務災害の絶滅に努めること。二 地方公務員の障害補償、遺族補償、休業補償、葬祭補償等の額については、引き続きその改善に努めること。
三 通勤途上の災害の取扱いについては、可及的すみやかに検討を加え、その改善を図ること。
四 平均給与額の算定については、期末勤勉手当を算入する方法を検討し、その改善を図ること。
右決議する。
以上であります。
何とぞ皆さまの御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/69
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070・菅太郎
○菅委員長 本動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/70
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071・菅太郎
○菅委員長 起立総員。よって、豊水光君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
自治大臣から、両附帯決議に対しまして発言を求められておりますので、この際、これを許します。秋田自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/71
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072・秋田大助
○秋田国務大臣 ただいま、本委員会に付議されました両案につきましては、慎重御審議の上、前案については修正可決、後案につきましては原案のまますみやかに御可決を賜わりまして、厚く御礼を申し上げます。
なお、ただいまこの両案に対しまして賜わりました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処いたしてまいりたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/72
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073・菅太郎
○菅委員長 おはかりいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/73
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074・菅太郎
○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/74
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075・菅太郎
○菅委員長 次回は、来たる十二日火曜日、午前十時理事会、十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
正午散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106304720X02419700508/75
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