1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十五年三月十七日(火曜日)
午後一時十四分開会
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委員の異動
三月十三日
辞任 補欠選任
石原慎太郎君 木内 四郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 宮崎 正義君
理 事
平泉 渉君
平島 敏夫君
久保 等君
矢追 秀彦君
委 員
岩動 道行君
金丸 冨夫君
鍋島 直紹君
矢野 登君
横山 フク君
向井 長年君
野坂 参三君
国務大臣
国 務 大 臣 西田 信一君
政府委員
科学技術政務次
官 藤本 孝雄君
科学技術庁長官
官房長 矢島 嗣郎君
科学技術庁長官
官房会計課長 野崎 博之君
科学技術庁計画
局長 鈴木 春夫君
科学技術庁研究
調整局長 石川 晃夫君
科学技術庁振興
局長 佐々木 学君
科学技術庁原子
力局長 梅澤 邦臣君
首都圏整備委員
会事務局長 井上 義光君
説明員
国立防災科学技
術センター所長 寺田 一彦君
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本日の会議に付した案件
○宇宙開発委員会設置法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○科学技術振興対策樹立に関する調査
(昭和四十五年度科学技術庁関係の施策及び予
算に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/0
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001・宮崎正義
○委員長(宮崎正義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る十三日石原慎太郎君が辞任され、その補欠として木内四郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/1
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002・宮崎正義
○委員長(宮崎正義君) 去る二月二十五日予備審査のため本委員会に付託された宇宙開発委員会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。西田科学技術庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/2
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003・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 宇宙開発委員会設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
この法律案は、宇宙開発委員会の委員が現在非常勤四人となっておりますが、そのうちの二人を常勤としようとするものであります。
宇宙開発委員会は、宇宙開発体制の整備の一環として、わが国の宇宙開発を計画的かつ総合的に推進するため、その重要事項について企画、審議、決定する機関として、昭和四十三年五月、総理府に設置されました。同委員会は、当時のわが国の宇宙開発の進捗状況にかんがみ、委員長及び四人の非常勤委員で発足いたしました。
同委員会発足以来、わが国の宇宙開発は、開発実施の中核機関たる宇宙開発事業団の発足、日米技術協力の進展、初の国産衛星の打ち上げ成功などに引き続き、いよいよ科学衛星の打ち上げ、通信分野の実用衛星及びこれを打ち上げるためのロケットの開発など、本格化の段階を迎えようとしております。
これに伴いまして、同委員会におきましても、予算の見積もり・調整、宇宙開発計画の見直し、研究開発の評価、国際問題の処理等の業務が著しく増大し、宇宙開発委員会の任務は、従来にも増して重要なものとなっております。
本来、宇宙開発委員会は、単に諮問に応じて審議することをたてまえとする一般の審議会とは異なり、みずから企画、審議、決定する能動的な機関でありまして、以上のような情勢に対応して、その職務の遂行に万全を期するためには、内外の動向を常時把握し、これを迅速に処理し得る体制を確立しておかなければなりません。このため、委員二人を常勤として同委員会を強化する必要があります。
第五十八回国会で宇宙開発委員会設置法案を御審議いただいた際に、衆議院科学技術振興対策特別委員会及び参議院内閣委員会において、早急に委員を常勤化するようにとの附帯決議がありましたのも、まさにこのような御趣旨と存じております。
改正点といたしましては、まず、現在、定員四人の委員がいずれも非常勤となっておりますが、委員会の体制の強化をはかるため、このうち二人を常勤とする旨を定めることとしております。
このほか、委員の常勤化に伴いまして、委員長の代理、委員の給与、服務等につきまして所要の改正を行なうこととしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/3
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004・宮崎正義
○委員長(宮崎正義君) 以上で説明を終了いたしました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/4
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005・宮崎正義
○委員長(宮崎正義君) 次に、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、昭和四十五年度科学技術庁関係の施策及び予算に関する件の質疑を行ないます。
質疑のおありの方は順次御発言を願います。
矢追君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/5
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006・矢追秀彦
○矢追秀彦君 先日の長官の所信表明について、若干の大まかな質問をさしていただきます。
冒頭に、「一九七〇年代は、まさに技術革新の時代であります。」と、このように述べられておりますが、この技術革新、要するに、技術振興という面について、やはり社会開発、国民の福祉というものが基礎になって技術の開発なり革新が行なわれなければならないわけでありますけれども、その、国の政策というものを具体的に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/6
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007・西田信一
○国務大臣(西田信一君) わが国の社会経済の発展は非常に目ざましいものがございますことは、お話のとおりでございます。経済発展に比べて社会的側面の立ちおくれが見られることも、これは否定ができないと思います。新経済社会発展計画におきましても、その審議を進めておりまする経済審議会におきましても、今後の重要課題とされておることも御承知のとおりでございます。これまでも、国の科学技術政策におきまして、社会開発や国民福祉に関する科学技術の振興は、重点施策としてその推進をはかってまいったのでありますが、今後、研究開発に関する企画調整、予算の見積もり方針の調整、あるいはまた特別研究促進調整費の配分、これらを通じまして、国立試験研究機関の充実、重要研究の開発のプロジェクトの設定等によりまして、ただいま御指摘になりましたような社会開発の分野、あるいはまた国民福祉の向上の面につきまして一そう強化をはかってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/7
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008・矢追秀彦
○矢追秀彦君 これからビッグサイエンスの時代になって、どんどん、原子力にしても、あるいは宇宙開発にしても、あるいは海洋開発、進められていくわけでありますが、いまも長官が少し言われた、科学技術の発展が社会にひずみをもたらす一番大きな問題は公害であると思います。アメリカのような、あのような資本主義社会といいますか、あれだけ自由経済の国にあっても、今度はニクソン大統領は、かなり公害ということはやかましく言い始めております。ところが、この公害に関する研究、特に公害防止のための技術の研究に対して、まだまだ私は国の力の入れ方は弱いと思います。これだけの日本の優秀な技術があるのですから、一酸化炭素の問題、あるいは脱硫の問題その他、もっと早く開発がされてしかるべきである。要するに、公害防止のための技術の研究に対してどのように本年度は進められるか、具体的にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/8
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009・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 非常に技術革新が進み、また、これに伴って産業活動が活発になってまいります。その反面、ただいま御指摘になりましたように、公害の問題が、あるいはその他各種のひずみの問題が、やかましく論議をされておりますことは御指摘のとおりでございます。特に、公害防止につきましては年々予算を増加してまいっておるのでありますが、まだ十分とは言えないのであります。昭和四十年度におきましては公害防止につきまして二億八千万余りでございましたが、年々増加いたしまして、四十一年、二年、三年と増加して、四十三年は四億五千万、また、災害防止のためには五億六千万というふうに、年々二〇数%、三〇%近くの予算の伸びを示しておりまするが、しかしながら実際には、ただいま御指摘になったとおりでございます。
何と申しましても、科学技術というものは、これは社会経済発展の原動力をなすものであると思います。わが国がこのようだ世界の奇跡とも言われるような高度経済成長を実現でき得ましたのも、わが国の技術が非常に急速にこれを向上させてきたということが言えると思いまするが、しかしながら、お話がありましたように、私たちの健康の問題、あるいはまた、身の回りを豊かにする、便利で快適な生活を可能にするような国民生活の向上、こういう面につきまして、科学技術がもっと広く効果をあげなければならぬと思います。戦後の経済成長の過程におきまするところの公害、交通災害、こういういろいろなむずかしい問題が次々と起きておることも事実でございまして、これにつきましては、私はこの前も所信表明で申し上げたのでありますが、技術がこういうひずみを生むのだというふうにも言われる場合もあるのでありますけれども、私は、技術そのものの本質は、ひずみを生んだり公害を起こすものではなくて、この科学技術の使い方と申しますか、この利用によって、技術というものが社会に作用をするのである、その過程におきましていろいろな問題が生じておるわけでございます。したがいまして、科学技術こそは私はこういう問題を解消し得る力を持っておる、また解消すべき使命を持っておる、こういうふうに実は考えておるわけでございます。したがいまして、この分野におきますところの科学技術の振興につきましては、単なる大規模なプロジェクトの開発というようなことのみにとらわれないで、こういう面に大いに力点を置いてまいりたい、かように考えておるわけでございます。最近、この問題は、ひとり、いま御指摘がありましたように、わが国のみならず、アメリカにおきましても、また、この間東京におきましても、このような問題に関しますところのいろいろな、産業界におきましても、あるいはまた学界におきましても、技術界におきましても、こういう問題に取り組んでおるわけでございまして、今後多角的な分析を通しまして、この公害の解決のために、ひとつ、科学技術が果たすところの役割りを高度に発揮していきたいというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/9
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010・矢追秀彦
○矢追秀彦君 私が聞いているのは、さっき予算のことを少しおっしゃいましたが、科学技術庁として公害防止の技術の開発のために具体的にどういうふうに進めていかれるのか、この点をお伺いしているのです。抽象的な話じゃなく、具体的な問題として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/10
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011・石川晃夫
○政府委員(石川晃夫君) 公害対策につきまして具体的に御説明申し上げます。
科学技術庁におきましての公害対策というものにつきましては、環境科学技術というような内容でとらえておるわけでございますが、従来から、この公害のような、たとえば大気汚染、あるいは水質汚濁、騒音、振動と、こういうような公害の防止につきましては、公害対策基本法というものがあるわけでございます。これに基づきまして、大気汚染防止法とか、あるいは騒音規制法というものがつくられておりまして、このようなことは各省でやられておりますが、科学技術庁におきましては、いま申しました環境科学技術というもので取り上げて、この予算の見積もり方針あるいは特別研究促進調整費というものによりまして、この公害の試験研究を総合的に進めているという状況でございます。
四十四年度におきましては、この特別研究促進調整費という経費によりまして、大気汚染物質の拡散に関する研究と、それから悪臭防止に関する総合研究、それから騒音防止に関する総合研究、この三件につきまして五千百万円ほどの金額を計上しております。
四十五年度でございますが、予算におきましては、悪臭防止に関する総合研究は継続して四十五年度も実施したいと存じておりまして、これは四十三年度から行なっておりまして、四十五年度でこの悪臭防止の研究は終わりたいというふうに計画を立てております。それから、自動車からの電波雑音防止でございます。これは、自動車が走りますと相当いろいろな複雑な電波雑音が出てまいりますので、これの防止の研究でございますが、四十四年度から始めまして四十六年度に終わりたいと思っております。それからその次に、新しく四十五年度から都市騒音防止というものについての総合研究を実施することにいたしております。金額につきましては、詳細まだ最終的に決定しておりませんが、ほぼ八千万程度が必要ではなかろうかというふうに存じております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/11
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012・矢追秀彦
○矢追秀彦君 この公害の問題は、私いつも感じているのは、各省庁でばらばらに行なわれている、もっと強力に一本化してできないものか、特に公害防止のための研究、特に技術開発、これなどはもっと科学技術庁が力を持ってやることはできないのかと思うのですけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/12
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013・石川晃夫
○政府委員(石川晃夫君) この公害対策の推進のために国として各省庁でやっているわけでございますが、公害の性質というものが非常に多岐にわたりまして、一カ所でやるというにはあまりにも複雑なものでございます。したがいまして、それぞれの所管庁においてやっているわけでございますが、この総合調整的なものは科学技術庁において見ているわけでございます。その実施にあたりましては各省庁でやっておりますが、四十五年度の予算としましては、各省庁の分を合わせまして約十一億円の予算が計上されております。この研究を進める方法といたしまして、たとえば運輸省の中には、このたび交通安全公害研究所というようなものを設けるという計画が出ておりますし、また、厚生省では公害衛生研究所というものの計画が出ておりまして、この研究の進め方、そういうものについては科学技術庁のほうでその全部を総合調整しながら公害対策と取り組んでいるという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/13
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014・矢追秀彦
○矢追秀彦君 次の問題に移りますが、これから非常に日本の経済は発展をして、海外に輸出等もしなければなりませんし、国際競争時代というものを迎えるわけでございますけれども、日本独自の、独創性のある技術の開発、これをもっともっとやっていかなければ、やはり相当企業間で競争もありますし、これからいろいろ資本の自由化とか、あるいは会社が合併をしましてやっていくとなれば、ますます日本の独創的な開発という面がほしい。これがどううまくできるかということを私も心配しておるんですけれども、その独創性のある開発を推進するということについて、長官はどのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/14
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015・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 明治以来、日本が諸外国から技術その他を導入いたしましてこのような経済発展を遂げてまいったわけでありますが、これには、先ほど申し上げましたように、技術導入が非常に多うございますし、また、その支払いの対価というものも相当額に達しておるわけであります。わが国から技術を輸出しますのに比べますと、十倍をこえておるような状況でございます。しかしながら、最近におきまする状況を見ておりますと、このような技術導入がわが国の工業水準あるいは経済水準を非常に向上さしたという効果はございますが、最近におきましては、この諸外国から入りますところの技術導入の面におきましても、革新的なもの、あるいは基本的なものはだんだん減少傾向にございます。これはいろいろなことを意味しておると思いますが、わが国の技術が相当水準が上がったということも意味すると思いますし、これはいろんな要因があると存じますが、いまお話にございましたように、これからのわが国の経済発展の基礎になる技術は、いままでのように海外にのみ依存をするということで満足はできませんし、また、技術導入が非常に多いということによって研究開発が比較的おろそかになったり、日本の新しい技術の開発ということの意欲が欠けたりというようなことがあってはなりませんし、いまお話がございましたように、むしろ積極的に独創的な技術開発をやるというようなことが必要でございます。ことに、お互いの技術の国際交流をやります上におきましても、やはり日本の技術が向上いたしまして、そうしてお互いにギブ・アンド・テークというような形をとるというようなことが、またこれから必要であるというふうに思います。こういう意味から申しましても、わが国の独創的な、自主的な技術の開発ということに力を入れてまいることが非常に大切であると存じておりまして、こういう面につきまして特に力を入れたいと考えておるのでありますが、これに対しますところのいろんな政策が必要でございまして、民間の研究開発費は相当最近ふえてまいっておりまするけれども、まだ諸外国に比べて低うございますから、これらの民間の研究開発なんかももっとさらに増大されるような各種の施策も必要であると存じます。また、国自身が行なうところの研究開発と相まって、官民合わせての研究開発というようなことが基礎になりまして新しい技術の開発ということを進めてまいりたい、かように考えておるのでございます。
また何か具体的なことについてお尋ねがございますればお答えするようにいたしまして、一応の考え方を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/15
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016・矢追秀彦
○矢追秀彦君 ただいま開発費のことを言われましたけれども、民間はまだアメリカあたりから比べるとよほど少ないのは、これは企業の大きさによると思いますけれども、この研究開発費の問題ですが、要するに、だんだん民間企業が大きくなってきて、戦後解体された財閥も再び完全に復活をして非常に大きな規模で——この間もこの委員会で松下電器の視察に行って参りましたけれども、研究費と開発費が、すべて含めて年間二百六十億と、このように研究所長が言っておりましたが、民間がそういうお金を出して、どんどん自分たちの研究で、いかにいいものをつくるかということを非常に競い合ってやるわけです。今度国は国として、また研究開発をやっていく。ここで、民間の研究開発のあり方と、国が研究開発をしていくあり方というものも、やはりこの際ある程度分野をきめるというか、国としてもっとやらなくちゃならない問題が一ぱいあるんじゃないか。その点をもっとはっきりしなければならないんじゃないか。たとえば、海洋開発に例をとった場合に、まわりはかなり民間で進めても私はいい問題だと思いますが、海洋開発を進めるためのその環境づくりといいますか、それはやっぱり国がやらなくてはならぬ。たとえば、海水の汚濁の問題、これをどうするかというようなことは企業はやらないと思うんですね。自分のところは流してもかまわない——それをどういうふうに防止をするか、それに対してどれだけのお金をかけるか、研究開発をするか、そういうような問題。要するに、国としてどういう面の技術開発——やはり国としては相当将来のことを考えた、かなり長期のプランの上から研究開発に金をかけていく、企業は目先の、自分のところはどうすれば新しい製品ができてくるかということになりますので、そういう問題は企業でもいいんじゃないかと思うが、そういう点の国の研究開発のあり方、また民間の研究開発のあり方、これに対して長官はどのようなお考えをお持ちですか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/16
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017・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 国際化時代に備えまして、独創的な技術の開発を進めるためには、矢追先生御指摘になりましたように、政府と民間とが一体となって、しかも、そのおのおのの分野に従って長期的な観点から総合的な計画のもとにこれを進めていくということでなければならぬというお説につきましては全く同感でございます。このために、私どもの科学技術庁におきましては、研究開発の推進を中心としますところの長期的な科学技術振興の総合計画というものをつくりたいということで、いま努力をいたしておるわけでございます。この計画によりまして政府として重点的に進めなければならぬところの研究開発の課題、これを明確にしていきたい。それからまた、民間にお願いをするものにつきましても、かくかくでありたいというようなことを明確にしていくことが最も先決のことであるというふうに考えております。そういう意味から申しまして、何と申しましても、科学技術の基本になるところの立法が必要であるというふうに考えておりまして、このことにつきましては、なるべく早くそういう法律の制定ということが望まれるというふうに思っておりますが、基本的には、ただいま申し上げましたように、長期的な、総合的な計画をつくって、それを基礎にしてやってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/17
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018・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いま法律のことをおっしゃいましたけれども、基本法の問題だと思いますけれども、もちろん、基本法も早くつくらなくてはなりませんけれども、基本法がたとえなくても、いま言われた、はっきりとした長期プランというものはできるんじゃないかと思うんですけれども、その点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/18
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019・西田信一
○国務大臣(西田信一君) この科学技術の振興の基礎になるものは、やっぱり研究ということであると思います。で、わが国のこの研究開発に投ぜられておる内容を見ますと、基礎研究、それから応用研究、諸外国に比べて、これがむしろ非常に比率が高くて、実際の技術開発の研究ということは四十数%くらいであるようでございます。まあ、こういう点から見ましても、国または民間におきましても大体そういう傾向がございますが、わが国は、技術的に見ますと、比較的諸外国に比べて研究も研究費の投入も足らない。また、新技術の開発という面におきましても立ちおくれておるという面からいたしまして、やはり基礎的な研究、応用研究というようなものは一つは民間にお願いしなけりゃならぬが、主として政府が分担する。そして、技術の開発というようなこと——ただいまの点もやっぱり民間のほうにもお願いをしなけりゃなりませんが、主として民間のほうには、そういうような方向の開発、技術開発をやっていただくというような大まかな分野で進むべきものではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/19
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020・矢追秀彦
○矢追秀彦君 基本法の問題になりますけれども、これはまた法律が出てからのことですが、長官の基本的な姿勢をお伺いしたいんですけれども、一番問題になっておるのは、自然科学だけでいくのか、あるいは社会科学、人文科学を含めるのかどうか、この議論が相当出ておるようです。たしか四十年だったと思いますが、この委員会で質問したと思うんです。そのとき出てきたのは、人文科学系も含まれておった。それがいつの間にか、はずされて、自然科学だけで出てきた。それで、いま衆議院の段階でとまっておるわけでありますけれども、長官としては、やはり自然科学、要するに、科学技術——サイエンティフイック・テクノロジーという考えでいかれるのか、あるいはサイエンス・アンド・テクニックというふうに分けて、科学技術には自然科学、人文科学、社会科学を含めるという考えでいかれるのか、その点を基本的な考えをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/20
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021・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 基本となる法律の制定につきましては、いま矢追委員のお話にございましたように、いろいろ従来の経緯もございまして、衆議院の特別委員会のほうで各党が一致の態勢で具体的な検討を進めていただいております。政府といたしましても、これが早急に実現することを非常に私どもといたしましては期待を申し上げるわけでございます。
そこで、いまお尋ねの点は、自然科学を主にしていくのか、人文科学を、これをその中に包括していくのかというお尋ねでございますが、私といたしましては、まあ自然科学を中心といたしまして、そして人文のほうは、これに関係した部面につきましてはあわせてこれを考えていくというようなことが適当ではなかろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/21
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022・矢追秀彦
○矢追秀彦君 この問題は、また次の機会に譲ります。
日刊工業新聞で長官がインタビューに応ぜられたその中で、資源省ということをおっしゃっておられることですが、資源省を置くべきだ、これは何か具体的な構想がおありでこういうことをおっしゃったのか、ちょっとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/22
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023・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 日刊工業新聞にそういう話をした記憶はないのでございますが、ただ実は、私は、まあわが国は非常な工業発展、将来はさらに世界において飛躍しようというような意欲を持っております。しかしながら、何と申しましても国内資源に非常に乏しい国でございまするから、どうしても海外に多く資源を求めなきゃならぬ、こういう立場に置かれておると存じます。この海外に依存するところの資源を大いに活用して、日本の工業力を生かして、そうして将来さらに大きな経済飛躍をしていこうという国柄であると思いますから、その意味におきまして、国内資源ももちろんでありますが、海外資源等につきまして積極的な姿勢で臨んでいかなければならぬ、こういうふうに思いますし、最近は、かなりその面におきまして積極性が出てきておるように思うのでございます。そういう意味におきまして、かつて科学技術庁にも資源局というのがありましたが、例の行政機構の整理のあれで別な姿に変わっておりまするけれども、資源問題は軽視できない、こういう意味から、実はいつか、私、記憶は明確でありませんけれども、私も実は参議院の予算委員会なんかで、そういったことに触れて質問した記憶がちょっとあるのでございますが、最近私そういうことを申した記憶はないのでございますが、資源問題はきわめて重要であるという認識だけは強く持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/23
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024・矢追秀彦
○矢追秀彦君 時間がありませんので、海洋開発についてこまかく聞きたかったんですが、一言だけで終わらしていただきます。
海洋開発についてもかなり力を入れていただいておりますけれども、この海洋開発を進めるにあたって、さっきも少し申し上げましたけれども、やはり一番問題になっておるのは海水の汚染だと思うのです。この汚染をちゃんとする。あるいはまた、そのほか、漁業面とか、いろいろ問題がありますけれども、特に海がどんどんよごれてきておるという状態で、この海水の汚染というものは、やはり河川の汚染からもやらなければなりませんし、また、ごみをほかす問題、東京でごみを海へほかす、捨てるというのをこの間新聞で見たのです。こういうことをやられると困るのでありまして、そういう意味におきまして、この海水の汚染、これを防止することについて、海洋開発を進める上の環境づくりとしての海水をきれいにしていくという点について、科学技術庁としてはどういう施策を講じようとされておるのか、これをお伺いして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/24
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025・石川晃夫
○政府委員(石川晃夫君) 海水汚染の問題につきましては、やはり公害の問題等にも関係があるわけでございますが、科学技術庁で事務局をやっております海洋科学技術審議会におきましても、この海洋開発の一環として海水汚染の問題は取り上げたわけでございます。しかし、現時点におきましては、あまりにも原因がいろいろ複雑でございますので、一応海洋開発の一環として、計画の一環としては具体的なものとしては取り上げてはおりませんが、これは重要な問題であるということについても、単なる技術の解決だけによって進められるというものではない、そのほかいろいろ関係があるというので、これは非常に大きなテーマとして、別な問題として取り扱っていこうという考え方で進んでいるわけでございます。したがいまして、現在科学技術庁で行なっております海洋開発関係につきましては、この問題は直接触れてはおりませんが、おいおいこの問題に触れざるを得なくなってくるのではないかというふうには考えられるのでございますが、そのときには、関係各省庁集まりまして、この対策について十分検討を行なわなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/25
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026・宮崎正義
○委員長(宮崎正義君) 岩動君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/26
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027・岩動道行
○岩動道行君 私は、エネルギー政策の展開を中心として長官に若干の質問を申し上げたいと思います。
まず、大体昭和六十年ぐらいを一つの目標としてわが国のエネルギーの供給源というものを考えてみた場合には、水力あるいは石炭というものが大きくその割合を後退をして、そうして石油と原子力にその大部分を依存するという状況になろうかと思います。
そこで、まず、新全総計画あるいは新経済社会発展計画、これはまだ策定を決定いたしておりませんが、作業中であろうと思いまするが、これらの新しい長期の展望に立った日本の経済、国民生活というものを考えた場合には、昭和四十二年ごろにつくられた総合エネルギー調査会の想定した原子力あるいは石油といったような、主たるべきエネルギーの供給量というものはかなり変わってくるのではないだろうか、かように思うわけでございます。石油につきましてはさておき、原子力につきましては三千万から四千万キロワットというふうに一応策定をされてきておりますが、私どもがいろいろ各方面から検討いたしますると、かりに経済成長率を八%程度に低く見た場合においてすら、昭和六十年には石油換算にして八億キロリットルというようなことになろうかと思います。かなり大きなものでありますが、この通産のエネルギー調査会では、昭和六十年度には約六億キロリットルというように見られております。したがって、これが相当大きく変わってまいる。しかも、新経済社会発展計画では、大体一〇%程度の成長率を想定して、それを中心の作業が行なわれておるようでもございます。したがいまして、そのような観点から見た場合に、原子力というエネルギーの昭和六十年ごろに占める割合、あるいは原子力発電の量というものは大体どれくらいになるのか、その辺をまず見きわめた上で話を進めたいと思います。われわれは、八%程度の成長率と見ても、五千万キロワットはむしろ低いくらいに考えておるわけでございますが、この点についてはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/27
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028・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) ただいま先生のおっしゃいましたとおり、エネルギーの関係は複雑化しております。しかし、私たちのほうで、いま、技術の積み上げその他によりまして、原子力その他では五千万キロワットというのが一、二年出ております。原子力委員会としては、六十年ごろに四千万キロワットという形で、これが六十年のときには大体発電総量といたしますと二五%くらいの形になると思います。しかし、現在、御存じのように、新型転換炉、高速増殖炉、いわばこれが成功しての入りぐあい、特に新型転換炉の入りぐあい、そういうところのかね合いから、なお具体的に検討いたさなければなりませんが、現在のところでは、六十年ごろに二五%程度には必ず原子力関係が占めるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/28
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029・岩動道行
○岩動道行君 いずれにしましても、従来の三千万ないし四千万キロワットというのははるかにオーバーする、そうなってまいりますると、やはり原子力の発電なんかの原料としてのウランの手当て、これが非常に大きな問題になってくると思うわけであります。
そこで、まず、ウランの資源に対する対策、これを現在どのように考え、どのように進めてまいるのか。私ども聞いておりますと、六十年あたりではかなりの量が不足してくる。現在の手当の見込みからいくと、相当の開きが、穴ができるというふうに思われますが、この点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/29
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030・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 御指摘のとおり、将来のわが国のエネルギー源を原子力発電に大きく依存していかなければならないということは確かであると思います。したがいまして、今後相当量のウラン資源を確保しなければならぬわけでありますが、御案内のように、国内におきましてはほとんど発見されたものは少量でございます。今後積極的な探鉱を行なってまいりましても、国内におきましては大きく期待することはできない。したがいまして、海外からなるべく安価な、そして安定的な、また大量のウランを入手できるような措置が必要であると思います。そこで、海外ウラン資源の確保につきましては、民間におきましてもかなりこのごろ積極的な姿勢を見せておりまして、長期購入契約とか、あるいはまた短期の契約、こういうような手段によりまして海外ウランの円滑な入手ということに努力をしておるわけでございますが、長期安定的な確保をはかるためには、どうしても、開発輸入方式、日本がやはり出かけていってこれを確保するというような、こういう方式をとることが非常に大事だと、かように存じます。このために、動燃事業団、それから金属鉱物探鉱促進事業団、これらの政府機関を通じまして、海外有望地域の調査、また、民間の活動に対しますところの技術的な援助、あるいは経済的な資金的な援助と申しますか、こういったことも今後一そう努力していきたいと考えております。最近におきまして、民間では、海外におきますところのウラン資源の探鉱、開発輸入等を行なうための民間の共同組織として、海外ウラン資源開発会社、仮称でありますが、こういったものをつくる準備も進められておるように聞いております。この会社は、さしあたり、フランス原子力庁と共同いたしまして、アフリカのニジェール国におきますところの探鉱開発を進めるというふうに聞いておりますが、近ごろまたその契約交渉も具体的に進められるというふうにいわれておりますが、このようないろんな対策をとっていきたいと考えております。また、近くアメリカから原子力委員長が参りますが、アメリカあたりともいろいろな話し合いが出てくるかと存じますが、現在までに電気事業者が長期的にあるいは短期的に購入契約ができておりまするものは、トータルで三方四千ショートトンでございます。
そこで、先ほど申し上げました共同探鉱、これは三菱金属鉱業とか、あるいは電力九社、産銅六社が加わって共同開発をとっておりますが、そういったのが、かなり、カナダとかアメリカ等におきまして積極的に動いておるわけであります。しかしながら、今後十カ年間、昭和五十五年度までを想定いたしますと、大体四万五千トンぐらい必要であるというふうに考えられますので、御指摘のとおり、現在までの契約によるところの確保量と比較いたしますと、かなり不足でございまして、今後、ただいま申し上げましたような各般の努力によってこれらを確保することがたいへん重要なことであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/30
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031・岩動道行
○岩動道行君 ただいまの長官のお話ですと、大体昭和五十五年度で約四万五千ショートトンくらいが必要だろうというお話でございましたが、電気事業連合会あたりの試算によりますと、四万八千トンをこえるような数字も出ております。さらに昭和六十年を考えると、九万トンから十万トンくらいだ。私は、技術の進歩はきわめて急速であり、また、いろいろな発電の計画も急速に進んでまいる、かように考えますと、ただいまの長官の四万五千トン程度というのは少し甘いのじゃないか、もっと私は多くなるのじゃないか、したがって、これに対する手当てを、先ほどは三万四千ショートトンくらい手当てができておるというお話でございましたが、それは私、まだ、新しい数字ですが、それにしてもかなりの差があるわけですが、これに対するギャップを埋めることがほんとうに可能であるのかどうか、これはひとつ、はっきりと見通しをつけていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/31
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032・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) ただいま長官が申し上げましたとおり、あと十年のうちに大体四万五千トンから四万八千トンと言われております。それにタイアップしまして、いま完全に確保を予定しておりますのが二万五千トンでございます。そして、三万四千トンというのは、その後の分が入っております。したがいまして、昭和六十年九万トンというところから見ますと、大体三万四千トンがそれに当たるわけでございます。したがいまして、昭和五十五年の今後十年間を見たときに、そこだけでやはり二万トン足りないという計算になるわけでございます。
ただ、私たちこれは努力をしなければならないと思いますが、去年のいまごろでございますが、私たちが計算いたしましたときに、民間の保有量というものは一万七千トンでございました。それで、その後、長期契約、短期契約等を民間がやられまして、三万四千トンの長期的な契約が成ったわけでございますが、事実上、そうやって、現在のところはふえておりますが、やはりわれわれ自身のほうがこれからどんどん海外に出て行きましてその確保をはからなければならない状態に確かに来ておりますので、いまほんとうに確保が五十五年までにできるかどうか、こういう見通しにつきましては、まあ可能性はございますが、具体的にどうするのかと言われた場合には、まだ不安感が残っておるというのが事実だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/32
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033・岩動道行
○岩動道行君 そのような不安がある状態において、一方、技術のほうはかなり進んでまいるということでありますので、政府としては相当の努力を傾注していただかないと、私は、燃料源のほうから計画が停滞をするというおそれがあろうと思いますので、なおこの点については十分に強力な政策を実施していただきたいと、かように思います。
なお、濃縮ウランの確保についてはどのようなことになっておりますか、この点の現状と見通しをこの際伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/33
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034・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 濃縮ウランにつきましては、七〇年、本年一ぱいと考えたほうがよろしゅうございますが、七一年ごろまでに約十三基の発電所が取り扱います燃料、これが大体百六十一トンと見込まれております。この濃縮ウラン三%として百六十一トンの燃料については一応確保されておりますが、その後昭和六十年までには四十六基くらいになると思います。それについての濃縮ウランの確保はまだいたしておりません。ただ、現在の世界的な濃縮ウランの現状からいたしますと、いま、供給を他国にできる、供給力を持っておるのは、アメリカでございます。それで、この百六十一トンも実はアメリカからのでございますが、私たちのほうも、アメリカとのいまの条約を見ますと、その後についても随時協力していくという形で、なお濃縮ウランの問題についての形を整えていきたいと思っております。
しかし、一方濃縮ウランそのものの研究というものは、海外もそれは極秘でやっております。したがいまして、わが国におきましても、原子力委員会の特定総合研究といたしまして、濃縮ウランの研究そのものを、基礎研究の段階ではございますが、現在強力に進めているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/34
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035・岩動道行
○岩動道行君 そこで、濃縮ウランに対する研究を強力に進めて、わが国独自のものを開発しなければならぬということでありまするから、これについては、長官特に御留意をいただきたいと、かように思うわけでございます。
と同時に、燃料サイクルの確立と申しますか、これがきわめて必要である。したがって、それに関連しての再処理の工場というような観点について、これは今後の原子力開発にきわめて大きな中心をなそうかと思いますので、サイクルの確立に関する長官の御所信、御方針を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/35
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036・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 燃料サイクル確立の手段として、使用済み燃料の再処理の問題があると思いますが、これにつきましては、四十五年度、本年度中に着手をいたしまして、四十八年ごろに操業を開始する。その規模は、一日当たり〇・七トンの規模を持たしたいということでございまして、動燃事業団にこれを建設させることにいたしております。しかしながら、将来を考えますと、この一工場だけで十分かどうかという問題が当然起きてくるわけでございます。第二工場以降につきましては、動燃事業団が行ないますところのこの再処理工場の建設後の運転の成果等も十分参考といたしまして一いま私どもの頭の中にありますのは、次の第二工場が必要になるのは大体五十二、三年ごろでないかと思っておりますが、でき得るならば、そのころにはこれを参考といたしまして民間で建設することを期待していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/36
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037・岩動道行
○岩動道行君 この再処理工場の現在の建設の状況、着手の時期とか、完成の時期見込みについて伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/37
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038・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 再処理工場につきましては、だいぶ長く御迷惑をかけております。しかし、再処理工場が、ただいま大臣が申し上げましたように、四十八年度に稼働をするという考え方からまいりますと、ちょうどそのころが、発電所から出ます再処理量がぴたりでございます。
それで、今年度中に再処理工場の建設にかかりますための費用といたしまして、政府出資金が二億円、それから政府保証の借り入れ金等が八億円という形で出ますが、全部でかかります費用は、政府出資金が約四十三億円、それから保証借り入れ金等が約百三十億円の、百七十三億円という費用でかかると思います。これで建設いたしまして、でき上がりましたものは日に大体〇・七トンの処理、そうしますと、マキシマムといたしまして年間に二百十トンの処理ができるという計算になろうと思います。これでまいりますと、五十二年から五十三年ごろに、だいぶまた再処理しなければならないものが出てまいります。そのころが第二工場等が考えられる時期になるのではないか。したがいまして、どうしても四十八年に稼働をさせて順調に動かしたいと、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/38
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039・岩動道行
○岩動道行君 それから、新しい動力炉の研究開発についての四十五年度予算を中心として将来の見通しをさらに具体的に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/39
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040・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 新しい動力炉につきましては、一番早く実用化にいくと見られますものに新型転換炉がございます。これにつきましては、去年の末に、いままでの動燃におきます研究成果に基づきましてチェック・アンド・レビューをいたしまして、そしてこれをやってよろしいという意見が出ましたので、今度それを予算化させていただいたわけであります。それで、現在ちょうど安全審査を行なっておりまして、これが今年度かかりまして、これが原型炉として臨界に達しますのは四十九年ごろと見通しております。そういたしますと、新型転換炉は、それからなお実用化にまいりますには、まだいろいろな研究がございますが、少なくとも、早ければ五十二、三年ごろには実用化にいくのではないかという期待が持てます。
それから、それに続きます高速増殖炉でございますが、高速増殖炉は、去年、実験炉——原型炉よりももっと下の実験炉の研究を始めまして、実験炉の建設をやっております。これが四十八年ごろに実験炉が臨界に達しまして、研究が終わります。そうしますと、それと並行いたしまして、現在から原型炉の研究開発をいたしておりまして、原型炉を約五十年ごろからかかりまして、持ってまいります。そうしますと、これが実用化されますのは、早くて昭和六十年早々という形になると思います。そうなりますと、これらの燃料がプルトニウムで動いてまいります。したがいまして、先ほど先生の御質問の濃縮ウランからプルトニウムを取りまして、プルトニウムが今度はその燃料になりまして、燃料のサイクルで燃料が二度使える、あるいは三度使えるという形で、燃料を有効利用する一つの国としてのサイクルができ上がるということになるのを期待しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/40
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041・岩動道行
○岩動道行君 そのように新しい動力炉の研究開発が進んでまいりますが、さらに、特に欧米においては、原子炉を発電にだけ使うのでなくて、鉄鋼とか、あるいは脱塩、化学など、多角的にこれを利用していくということで、高温ガス炉などの研究開発もかなり積極的に進められているという状況でございますが、日本においても、鉄鋼業界で、原料炭の不足などの観点からも、原子力の鉄鋼還元の利用であるとか、その他いろいろ多目的な原子炉の利用ということが考えられておりますが、これに対する政府の現在の政策、あるいはその具体的な研究等について現状をお話しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/41
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042・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 岩動先生仰せのとおり、諸外国では、発電だけではなくて、いろいろと多目的な利用が、開発が進んでおる、また、すでにこれが実施に移されている状況と見受けられます。こういう点から考えまして、わが国におきまして、いまお話にありましたように、製鉄界におきましてもかなり積極的な姿勢を見せておりまするし、多目的利用——製鉄、あるいはまた海水の淡水化、あるいは化学工場のプロセス・ヒート、あるいは地域暖房、その他いろいろ考えられております。したがいまして、これらは原子力コンビナートといったような形態が適当ではないかと思います。わが国におきましても、将来当然このような原子力コンビナートの建設ということが考えられると思いますし、また可能であると存じます。しかしながら、まだいろいろと、技術面、経済面で相当研究して解明をしていかなければならない問題もたくさん含んでおりますので、これらの方向に向かって積極的な検討を進めていきたいと考えております。また、詳細のことにつきましては、必要でございますれば、局長から述べさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/42
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043・岩動道行
○岩動道行君 いま、長官から原子力コンビナートについてのお話が出ましたので……。私もその点について申し上げたいと思っておったのです。
いまのように、多目的原子炉というものを活用してまいります場合には、どうしても原子力コンビナートというようなものを、日本でも何カ所か、もうすでに青写真くらいは——どことどこにつくるくらいの基礎的な調査と申しますか、構想、こういうものもあっていいのではないだろうか、かように考えておるわけであります。たとえば、青森県のむつ・小川原であるとか、あるいは周防灘の沿岸であるとか、日本としてもおおよそ三、四カ所程度しか考えられないのではないだろうかと思うのでございまするが、これらの原子力コンビナートあるいは原子力センターというような構想は、現にどの程度に政府においてはお考えになっておいでになるか、また具体的に調査もしておられるのか、この辺をこの機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/43
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044・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 原子力の多目的利用という面から申しまして、いま御指摘のとおり、これをフルに活用するためにはコンビナート形式が必要であろうと思いますし、将来可能性があると存じますが、まだ具体的にその位置をきめるというような段階までは至っておらない。まだいろいろ、先ほど申し上げましたように、基本的に検討すべき課題がございますから、これらの課題と取り組んでいきたいということを申し上げたのでありまするが、しかしながら、いま具体的に地名をおあげになりましたような地点におきましては、かなり積極的にこれを迎え入れよう、受け入れようというような話があるように聞いております。
また、原子力センターというのが東海村に一つあるわけでありまするけれども、さらに将来の原子力開発という面から申しまして、もう一つくらいセンターをふやす必要があるのじゃないかというようなお話も、これも当然考えられるのでありますし、また、望ましいことであるというふうに存じます。これにつきましても、ただいまのコンビナート問題との関連も出てくると思いまするけれども、十分ひとつ民間とも話をし、慎重に前向きの方向でいろいろ検討を進めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/44
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045・岩動道行
○岩動道行君 それでは話を進めてまいりますが、先ほどの原子力の原料としてのウラン等が、その原料確保のためには相当の困難があるという状態でもあるわけであります。そこで、核融合ということの研究開発を早急にこれまた進めてまいれば、ここにはもはや無尽蔵にエネルギーの供給が可能である、このようにも考えられると申しますか、そういう時代がやがて来るわけでございます。したがいまして、この核融合に対する明確な目的を持った研究開発の体制というものを早急に確立していかなければならないと、かように思いまするが、現状と、それに対する将来のための政策の展望、これを長官から伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/45
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046・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 御指摘のとおり、核融合に対しまする研究につきましては、四十三年七月、原子力委員会で、世界の趨勢に対処いたしまして、この研究開発を進めるという基本的な方針を立てまして、原子力特定総合研究にこれを指定をいたしまして、核融合動力炉の実現を目的とする第一段階の研究開発計画をつくったわけでございます。この計画に基づきまして、現在、大学、民間企業の協力のもとに、日本原子力研究所、電気試験所、理化学研究所におきまして研究開発を進めておりまするが、これは少し実用化までに時間のかかることでございまして、おそらくこれは短期には実用化されることはむつかしかろうと存じます。しかしながら、将来におきましてこれが実用化される方向で基礎研究を積極的に進めておるという段階でございまして、なお詳細のことにつきましては、局長から述べさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/46
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047・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) ただいま大臣からも申し上げましたように、特定総合研究指定となっておりまして、現在までわが国でこれに要しました費用は、本年度までで約三億でございます。そして来年度は、大体それと同じ三億近くの金を一ぺんにかける。と申しますのは、いよいよ実験設備に費用がかかってきたということでございます。それで、やり方といたしましては、まあ米、英、ソ、独、仏というところが競争でやっているわけでございますが、一般には、ソ連のトカマク型というのが非常に発展しております。世の中に風靡しておりますが、われわれのほうでも、中間ベータのトーラス磁場装置という形のところまで進んでおるわけでございます。考え方はそれと同じでございます。ソ連のトカマク型と申しますのは、いままで内部におさめ込んで、レーザーにやっていたわけでございますが、今度はそれを外に出していくというか、外部導体型という型が一部組み込まれたのがトカマク型でございます。しかし、これは向こうの技術が全然わかっているわけではございません。やはり日本独自のものとして、そういう形のものに研究を進めていくという形でこれからいきたいと思っております。四十九年ごろまでに大体この研究を進めまして、第二段階になりましたときに一つの方向を考えるということになるんじゃないかと期待しておりますが、世界の趨勢が一体どうなるかというところを予想してみますと、いまの各国で言われておるところをとりますと、昭和五十年代の前半から半ばごろには、核融合に必要な温度だとか密度、保持時間等の要件というものは大体わかってくるのではないか。そうしますと、それから今度、技術開発をいたしまして、発電の実験炉をつくるということになる。時間がかかりますが、それがうまくいきますと六十年代にはそこまで来るのではないか。したがいまして、われわれ期待いたしておりますのは、いまの高速増殖炉のあとにこれがつながってくれば非常にいい段階になる、また、それを期待してこれから研究を進めさしていただきたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/47
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048・岩動道行
○岩動道行君 大体昭和何十年ごろになったらできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/48
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049・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) まず、ほんとうに実用化で発電するのは、昭和七十年ごろと言っておいたほうがいいんじゃないか。人によりましては、六十五年からという方もいらっしゃいますが、その辺のところの期待ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/49
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050・岩動道行
○岩動道行君 大いにがんばっていただきたいと思います。
さて、私の持ち時間も少なくなりましたので、エネルギー政策に関連しての質疑はこの程度にいたしまして、核防条約について若干伺いたいと思います。
これは、私個人は、核防条約には調印は急ぐなという意見を持っておりましたけれども、政府側と党の関係で、まあかけ込み調印みたいなことに相なったわけで、この点はまことに私個人としては遺憾でございます。しかし、調印をいたしました以上は、批准までの間に十分に、国益をそこなわないような条約の運営がなされなければならないし、それが確保されるような努力が必要であるということで、政府側においてもいろいろと会合を持たれる、また、提案もされるということでございますが、どのようなところに重点を置いて、このわが国の原子力の平和利用が、国益をそこなわないでこの条約の中において活用されるのか、その査察等の問題点、どこに重点を置いて、どのような点について主張していかれるのか、この点をまず伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/50
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051・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 核防条約に署名をいたしましたわけでありますが、しかも、この条約はすでに発効いたしましたわけでございまして、そういう立場におきまして一番われわれが懸念をいたしておりまする点は、岩動先生の御発言にもありましたように、わが国が諸外国との間におきまして自主的に非常に不利な立場に立ちはしないかという点でございます。特にきょうは、私、平和利用という立場に限って申し上げるわけでございますけれども、その場合におきましても、これからのとりきめいかんによりましては不利な立場に立ちはしないかということを一番懸念をいたしておるわけでございます。御承知のとおり、わが国はアメリカから物質の供給を受けておりますが、また、カナダ、フランスとの関係から申しましても、IAAの査察を現在も受けているわけでございますが、日本の原子力産業が非常な速度で進んでおりますので、かなりの頻度でこの査察を受けております。それからユーラトムの条約と比較してみましても、これらは相互間の査察という形をとっておりまして、これらの諸国などもIAAとの関係におきましてそれぞれの協定が結ばれるわけでございますが、これらと比較いたしまして自主的に不利にならないように、一番懸念されますことは、何と申しましても、非常に頻度が多くなるとかということによりまして産業活動が阻害されましたり、あるいはまた商業機密が保持できないというようなことになることが一番心配な点でございます。したがいまして、わが国とIAAの間において結びます協定におきましては、少なくとも、これらの諸外国と著しい——著しいと申しますか、自主的な不利な立場に立たないように、しかも、これが簡素化されたものであるようにということを原則として考えていきたいと思っております。したがいまして、これらに対処いたしますためにも、私どものほうにおきましても、みずからこれを担当するところの室を設けまして担当させておりますが、さらにまた、関係の外務省、通産省、その他関係の各省との間におきましても緊密な連絡をとって、この連絡機関を設けまして、そしてこれに対処するということも考えて、すでに実行に移っておりますし、さらにまた、学界、産業界の知恵もお借りいたしまして、そして最も有効な、しかも簡素化された査察の技術の開発というようなことにつきましても、みずから検討いたしますと同時に、技術の開発につきましても委託をするとか、いろいろなことをやっております。また、海外に対しましても、原子力委員会の方々にお願いをいたしまして、近く出かけていただきまして、そして諸外国の実態をひとつ見きわめる、また、IAA等に対しましても、十分わが国の主張というものを——これは政府声明でも明確に申しておりますけれども、これらの主張をできるだけひとつ、事前におきましても理解させるというようなことなども考えております。
そこで、過般のウイーンにおきまするIAAの理事会におきまして、核防条約発効後の査察の方法につきまして特別な委員会を設けて検討しようという提案がございましたが、これは、そのときはまとまりませんで、四月の理事会に持ち越されておりまするが、おそらく、こういう委員会ができるだろうと存じますが、そういう機関にも当然わが国は参加をするわけでございまするから、そこで、ただいま原則的なことを申し上げましたが、こういう主張をぜひとも理解をさせて、そして各国の同意のもとに、できるならそういう共通的な査察制度の確立ということを考えていきたいと考えておりますが、協定はIAAとわが国との間におきまして結ばれるわけでございますから、その場合に備えまして、なるべく軍事利用ということを防止するという目的さえ達するならば、あまり繁雑な、しかも頻度の高い査察というようなことを極力避けまして、たとえばシールをする、あるいはまた自動的な計測方法を採用するとか、あるいは各国の管理制度、わが国もかなりきびしい管理制度を持っておるわけでありまするから、これらを活用するとかいったことをいたしまして、査察の回数を最小限度に削減する、こういったような方法を採用するように協定の中に盛り込ませるというような努力をしてまいりたいと、かように考えております。あるいはIAAの中に設けられました特別委員会というものができますれば、各国の考え方というか、希望と申しますか、そういったことも認められるというようなことも考えられますので、それに対しましても具体的なわが国の主張を取りまとめるための努力を鋭意いたしておるところでございます。また必要がございますれば、局長から詳しく申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/51
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052・岩動道行
○岩動道行君 ちょっと伺いたいと思いますが、ドイツが入るということが、調印するということが、日本にも調印をさせる非常に大きな動機になったようにも思われるんですが、西ドイツの場合には、ユーラトムの機構で査察などが置きかえられるということになっているんでしょうか。その点はどうなんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/52
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053・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) まだ、そこまできまっておりません。当然、先生いまおっしゃいましたように、ドイツの場合には、ユーラトムがございますので、ユーラトムの相互査察と申しますか、それを強力に押してくるのではないかという点がやはり疑問になります。したがいまして、私たちのほうは、ユーラトムに対するIAAのやり方と同じような態度で取り扱ってもらいたいというのが、主張の中の最大の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/53
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054・岩動道行
○岩動道行君 そうすると、ユーラトムのやり方であるならば日本側としても了承できるという、一つの最低な基準といいますか、そういうものがあるわけですか。つまり、西独の場合にはユーラトムの中に入っているからそれでよろしいとして、新たに日本がこういったような機構の中と申しますか、条約の中に入った場合に、ユーラトムのとおりでいいのかどうか、はたして国益が守られるかどうか、この点についての見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/54
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055・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) ユーラトムのいまの査察のしかた等につきましては、事実まだ詳細なところはつまびらかではございません。しかし、私たちのほうは、いまお話し申し上げましたように、もちろん、いまのユーラトムの関係もございますが、やはり査察をわれわれのほうで受けます場合に、国の中の、われわれの規制法というのがございます。その規制法に基づきましたデータ等の報告は一切それを信用してもらいたいという主張でございます。それから、査察をされます場合に、商業秘密、そういう問題が当然起こるだろうと思います。そういう問題につきましても、なるべく査察に入らなくて、機械化した形でできるんではないか、そういう点は、当然、査察の簡素化ということで議論をしていきたいと思います。それで両者からやはり検討を進めていきたい。したがいまして、ユーラトムのほうの受け方さえわれわれのほうに実行してくれればいいという考え方ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/55
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056・岩動道行
○岩動道行君 現在でも、たとえば東海村の発電所などは、査察というんですが、検査といいますか、それを受けているわけですね。ところが、現在現場でそのような査察を受けている人たちの立場というものは、非常にむちゃに近いほどの調査をするといいますか、そういったようなことで、不満が現実にはきわめて多いという話を聞くわけです。しかも、絶対に自分たちの言うことは信頼もしてもらえない、極端な言い方をする人によれば、あれは国際スパイ団の集まりであるというぐらいの表現をする人もあるようなことを耳にするわけでございます。したがって、この査察ということはきわめて重大であり、今後日本側がどのようなことを言っても、なかなか通りそうもない。主張が通らない。あるいは、通ったとしても、現実に査察を受ける側——政府自体は査察を受けないにしても、発電所等は査察を受ける。そうして機械の運転の一時中止をさせる、運転を休止するというようなことになると、一回で数千万円も損をする、こういったような商業上の問題も出てくるわけです。これらの点を十分にこなした上でないと、調印まで——調印といいますか、批准までは進むべきじゃないのじゃないか。査察の技術の点で簡素化をするということもけっこうでございますが、と同時に、やはりそのような商業活動に支障のないという点を十分に保障されない限りは批准までは持っていくべきじゃない。この点は十分に留意をしていただかなければならないのでありますが、現在そういった不満があるということは長官も十分に御承知だと思いますが、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/56
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057・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 私も原子力産業会議のメンバーとしばしば会っておりまして、そういう不満なり不安なりというものが非常にあるということはよく承知をしております。したがいまして、今度の条約の批准というところまで進みますためには、ただいま御指摘になりましたような問題が、すべて、政府側だけではなくて、民間側も十分これが了承できるというような保障がつかなければ、そう簡単に批准というところまでいかないということは政府の統一した見解でございまするから、その点は重々留意してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/57
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058・岩動道行
○岩動道行君 それでは、民間の意見等は十分にこれを聴取され、それを尊重した上で政府ベースで物事を決定していただく、このことを特にお願いを申し上げたいと思います。
なお、最後に、エネルギー行政の機構問題について若干私の意見を申し述べておきたいと思いますけれども、先ほど来言われたように、原子力についても単なる技術開発等が中心の科学技術庁ではない、実用化をされる段階に入ってきております。しかも、昭和六十年ごろの日本のエネルギーの主要な供給源は、石油と、そうして原子力、これはいわば、日本の動力燃料に関する大きな一つの産業行政と申しますか、そういう分野を形成するものと私は考えるわけでございます。したがいまして、日本の国民経済あるいは国民生活の基本をなすこのエネルギーに関しては、統一された役所、省庁においてこれを行なってまいるべきであると思います。したがいまして、原子力に関する部門、さらに石油、あるいは石炭もまだ残るでありましょうが、あるいは水力、電力、こういったような動力燃料を中心とした省を設けて、そうして専任の国務大臣が日本の経済の基幹をなすエネルギー問題を取り上げ、そうして政策を強力に展開してまいる、このような姿が最も望ましいと私は考えるのでありまするが、この点に関して長官の御答弁を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/58
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059・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 政府の機構に関する問題でありますから、私がお答えする立場ではないと思いますが、しかし、ただいま日本の国内にエネルギー源を持たないわが国の将来の経済発展、その原動力になるものは、まさしくエネルギーであるというふうに私も思います。したがいまして、エネルギー源の確保なくしては日本民族の将来はない、といいますのは少し大げさな言い方かもしれませんが、そのぐらいに考えていいんじゃないかと思います。したがいまして、この政府機構におきましても、ただいまの御意見というものは貴重な御意見として拝聴いたしまして、十分検討をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/59
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060・宮崎正義
○委員長(宮崎正義君) 鍋島君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/60
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061・鍋島直紹
○鍋島直紹君 私は、西田長官の所信表明につきまして、しごく常識的なことを、筑波学園都市の問題、原子力の問題、宇宙開発の問題、防災センターの業務につきまして、少しばかり簡単に御質問をいたしたいと考えます。
そこで、筑波学園都市の問題でございますが、急ぎますので、まとめてお答えを願いたいと思います。
第一番目は、筑波学園都市が、首都圏整備委員会でやっておられるかと思いますが、要するに、その進捗状況がどうなのか、あるいは土地買収、あるいはそれに伴う付帯設備等々が、いま現在どうなっておるかという点を伺いたいと思います。
なお、それに付随して、無機材研及び大型の耐震装置等が本年度から建設されると思いますが、これらの建設計画、特に無機材研は、現在非常に窮屈な、理研かなにかを借りてやっておられたと思います。そういった点がスムーズに移転できるような状態にあるかどうか、それらのことについて一応お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/61
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062・井上義光
○政府委員(井上義光君) ただいまの鍋島先生の御質問の、筑波の学園都市の現在の状況、見通しでございますが、昨年の六月に閣議決定いたしまして、四十三年度からおおむね十カ年間で予定されております三十六機関は移転工事を行なう。そのうちで、十一機関につきましては、四十三年から四十七年という五カ年間で移転工事を始めるというふうになっておるわけであります。
そこで、この実際の事業の実施状況でございますが、まず、用地買収につきましては、昭和四十一年度から日本住宅公団が担当いたしまして、実際の事務は地元の県を通じまして地元町村に委託いたしておりますが、千九百ヘクタールという用地を買収するということでございますが、現在二月末でおおむね九〇%を終わっているわけでございます。したがいまして、あと数十万坪の残りがございますが、年度内に完了するように努力しておるわけでございます。
そこで、実際の事業でございますが、まず、周辺の関連事業につきましては、道路、河川、下水道といったような公共事業、並びに、将来町になりました場合に、十六の小学校でありますとか、あるいは八つの中学校でありますとか、教育施設も必要でございますし、あるいは移転される方が生活されますにあたりまして必要な施設、ショッピングのセンターあるいはその他のサービス施設といったような町づくりが必要でございます。これらのことにつきましては、まず、当該地区内及び周辺におきます街路事業の整備というようなものが特に推進を要しますので、筑波学園都市のそばを通っております常盤線の土浦駅と牛久駅から学園都市を結びますいわゆる土浦−学園線、牛久学−園線といった、地区外の主要都市を結びます街路及び地区を東西南北に貫きますおもなる街路につきましては、日本住宅公団が用地造成とあわせまして地区内に施工し、また県におきまして地区周辺の街路を整備いたしておりまして、昭和四十七年くらいまでには必要な幹線街路はほとんど概成をするということで進めております。また、生活環境に必要な下水道及び上水道につきましては、これから基本的な調査、実地調査をいたしまして、全期間のうちにはある程度の機能を果たしたいということから作業を進めておりますが、何ぶんにも、上水道と下水道につきましては、排水なり水源の問題、経営主体というものがございまして、現在、建設省、厚生省、あるいは住宅公団及び地元の公共団体等が協議いたしまして作業等は進めておりますが、いずれも移転機関の移転工事に支障ないようにいたしたいというふうに進めているわけでございます。
なおまた、特に移転される側から申しますと、非常に重要なのは住宅でございますが、ことしは暫定的に荒川沖あたりに、十四戸でございましたか、家ができましたが、明年度からは科学技術庁関係がいち早くお移りになりますので、百十四戸でありますが、公務員宿舎を一般宿舎の別ワクとして計上いたしまして、お移りになる方に支障のないように考えていきたいというふうに進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/62
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063・佐々木学
○政府委員(佐々木学君) 無機材質研究所の移転でございますけれども、現在、関東財務局から一部借用をして、たいへん狭隘でございますので、全施設を筑波学園都市に移転する計画を立てております。
まず、四十三年度から二カ年計画で高圧特殊実験棟を建設いたしまして、これは昨年の十二月末、関東地方建設局から引き渡しを受けて完了したわけでございます。現在、中のプレス関係の据え付け中でございます。これは、その後試運転を行ないまして、今年の六月ごろから稼動ということになっております。この結果、二十万気圧の超高圧の実験が可能となる予定でございます。研究本館のほうにつきましては、昭和四十五年度から二カ年計画でもって、合成及び物性関係の本館を建設する計画でございます。現在のところ、六千二百平米、五億四千七百万円程度の予算を考慮中でございます。今年度は、この中から二億二千二百万円を支出する予定でございまして、研究本館の着手をいたします。これは四十六年度一ぱいで完成ということになろうかと思います。続いて四十七年度に入りましてから移転事務ができる。なお、研究本館以外にも、私どもとしましては、将来、無塵、つまりほこりのない実験棟、こういったものの建設を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/63
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064・鍋島直紹
○鍋島直紹君 大体の計画はわかりましたし、進んでおりますが、何かしら遅々としたものがあるように考えます。私の考えるのは、一応環境整備というものが少なくともある程度できる必要があるのじゃないか。つまり、道路とかあるいは住居、あるいはそれに伴う最低の生活環境というものができないと、ここに移られるという意味においては非常にむずかしい問題があるのじゃなかろうか。特に上下水道等もこれからというお話でございますけれども、そういうものが一応めどがつかないと、あそこへ移っていかれる場合において、研究員の方、あるいは子供さんの教育、そういう点で非常に困る。そのためには土地買収が必要でございますが、それ以前に、研究所なり、あるいは学校なり、試験所なり、それが建つ以前に、それに続くところのいわゆる舗装道路、住居あるいは上下水道、そういった環境整備というものが、ある意味においては先行すべきであるというふうに考えるわけでございますけれども、できてから道をつくるんだというようなことでは、せっかくああいうりっぱなところを国費を出して買っておりながら、まことに残念であると思います。この点につきまして、十一が先に移転されるということでしたが、どういう施設でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/64
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065・井上義光
○政府委員(井上義光君) 四十二年の閣議で一応きまりましたうちで、昨年の閣議で十一機関というふうに予定されておりますのは、科学技術庁の二機関、先ほど御説明申し上げました分と、それから建設省から土木研究所、建築研究所及び国土地理院、それから文部省から一機関、一応教育大学となっております。それから農林省が全体で十三機関でございますが、そのうちの五機関が移転する。どれにするかは現在基礎調査中でございまして、明年じゅうには全機関を予定いたしまして、四十七年に移転したいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/65
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066・鍋島直紹
○鍋島直紹君 ぜひひとつ、特に御質問いたしませんが、環境整備のほうを先行していくようにお願いをいたしたいと思います。
続いて原子力でございますが、先ほど岩動委員から御質問があり、いろいろ詳しい御説明がございましたので、特に申し上げません。ただ、二、三御質問したいのは、新型転換炉及び高速増殖炉の時代に入ってくるということでございますが、大体原子力で予定されておるのは、在来の形式のものが何個ぐらいまでいくか、それから新型へ転換するのが五十年前後ですか、それから増殖炉が六十年前後ということになりますが、在来のものがどのくらい——四十ぐらいまでいって新型が入ってくるのか、その辺のところと、新型転換炉と増殖炉との、いわばこれは常識的な解説を願いたいと思うんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/66
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067・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在、在来の軽水炉の濃縮ウランを使いますのが、ほとんど輸入されておりますが、これはまだつまびらかでございませんが、これが続いてまいります間に、五十三年ごろから新型転換炉が入ってまいります。そのときに少なくとも全部が、なりかわるわけではないと思います。私たちは、少なくとも半分以上なりかわっていく、と申しますのは、燃料サイクルから考えまして、濃縮ウランに全面的に依存することは適当ではないので、それで六十年ごろに着工されます原子炉の半分程度は新型転換炉で計画いたしますものと見込んでいます。六十年までには、大体初めから計算いたしまして、四十六基以上になるんじゃないかと思います。そのうちの二十数基までは、初めから在来炉になりますが、その後のところに新型転換炉が入ってくるということになるんではないかと思います。
それから高速増殖炉と新型転換炉の違いでございますが、新型転換炉のほうは、設備施設といたしましては軽水炉に似ております。ただ、その燃料が、天然ウラン、あるいはプルトニウム、あるいは低濃縮ウランという、いろいろな燃料が使えることを予定しております。その関係から、高速増殖炉のためのプルトニウムの増量機関という考え方でございます。それから高速増殖炉につきますと、これはプルトニウムでいくという燃料のところが変わってまいります。プルトニウムでまいりますと、当然、その炉の構造というものが違ってまいりまして、この点が違いだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/67
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068・鍋島直紹
○鍋島直紹君 新型転換炉より高速増殖炉のほうに結局いくんだから、大蔵省の予算折衝なんかの場合、高速増殖炉に重点を置いて、新型転換炉を一つ飛び越えていったらいいじゃないかと、よく言われる場合があるんです。こういうことについての原子力局長の見解をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/68
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069・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 新型転換炉を考えますときに、当然、初めは高速増殖炉がどうかという話がございました。それからもう一つ、この新型転換炉のわが国のタイプでございますが、それについては、海外において、ある程度重要視しているか、していないかという点からいって、あまり重要視していないならば問題でございますが、しかし、私たちのほうのいまの燃料サイクルその他からいって、日本の国情に一番適している。といいますのは、先ほど申しました軽水炉に似ているという技術開発の問題、そういうところでだんだん自主技術を育てていくように考えております。それから燃料サイクルとしても非常にいい。それで、先生のおっしゃいましたような問題がございましたが、特にチェック・アンド・レビューの検討会をやっていただきまして、日本の、経済性に合うか、それから技術的にも、日本でやるべきかということを先般やっていただいて、ふさわしいという結論が有識者から出たということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/69
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070・鍋島直紹
○鍋島直紹君 そこで、新型転換炉及び増殖炉の現在の外国での水準はどうなんですか。ソ連なんかは増殖炉をやっているやに聞いておりますが、そういった情報は全然入っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/70
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071・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 高速増殖炉につきましては、今後各国競争だと思います。私たちのほうは、いま六十年代くらいには実用化したい。というのは、決して私としては早くない、各国との競争に何とか間に合って、独創技術が生きる一番いいマキシマムのタイミングじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/71
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072・鍋島直紹
○鍋島直紹君 外国。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/72
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073・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 海外におきましては、大体われわれのほうの考え方と同じような方法で研究が、いわばそれにつきましては競争研究という形で進んでおります。しかし、米国、ドイツ等からは、技術交換と申しますか、できる範囲の技術交換はいたしている状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/73
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074・鍋島直紹
○鍋島直紹君 岩動さんの御質問がございましたので、発電のほうはやめたいと思います。
次いで、放射線によるガンの治療について伺いたいのでありますが、実は放射線医学研究所でこれはやっておられると思います。そこで、このガン治療の現段階というか、そういった点を簡単にひとつ、どの程度まで進んでいるのかどうかということと、それから千葉の放射線医学研究所というものが、大体百億近い、六、七十億の予算だと思いますが、その研究対象としてこれに向けられておりますが、そういう点の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/74
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075・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 実は、サイクロトロン等を使いましての研究というのは、もう十年来海外でやっておりまして、ところが、途中であまりうまく使えないということで下火になっておりましたが、この数年、またこれが各国競争になっております。実は、私たちの想像でございますけれども、いわば非常にいいサイクロトロンが考えられて、使いやすい傾向にあるということだと思います。したがいまして、わが国におきましても、ガンのこういう問題につきましてサイクロトロンを考えたわけでございます。しかし、サイクロトロンで、すぐには進みません。したがいまして、四十四年度に特別総合調整費をもらいまして、まずバンデグラーフを利用して基礎研究を進めております。それから今年からサイクロトロンの建設に入りまして、約三年かかりますが、サイクロトロンが建設できると、体の深部にありますガンと申しますか、一番深いところまで中性子が届くという考え方で相当大きなサイクロトロンを計画しておりまして、現在のところは、まだ日本にない初めてのサイクロトロンの計画でございます。約三十メガの能力を持っております。
それからどうしてそれがきくかということでございますが、実は、細胞を殺します場合に、サイクロトロンの中性子を集めると、悪い細胞のほうが早く死ぬ傾向にあるというのが、いままでのデータでございます。したがいまして、それを利用して、なるべく早くガン組織をつぶすという形でいくように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/75
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076・鍋島直紹
○鍋島直紹君 常識的に考えて、放射能を使って、サイクロトロンを使ってガンを治療するわけですが、そうすれば、ガンの悪いところのみにきくのじゃなくて、いいところまできいてしまって、要するに、常識的に考えて、両方ともだめになっていくところに問題があるのではないか。これらの点について、いわゆる悪いところ、それが放射能によって処理できる、また、してはならぬところもあるわけです。その辺、いわば放射能治療のガンになっておるというふうにわれわれ聞いております。それらの点について、放射線医学研究所等において、今度サイクロトロンを置かれるわけですが、それが進んでおるかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/76
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077・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) ある中性子を当てました場合に、一般の細胞は非常に耐久性がございます。ところが、ガン自体になっておりますところは、中性子が当たって、一般が悪くなるよりも、破壊される前に破壊されるという傾向があります、それを利用いたします。しかし、ガンそのものだけに当てるということは一番むずかしゅうございます。したがいまして、サイクロトロンができましても、そのソフトウェア関係と申しますか、いわゆる当てるべきところしか当てない、そのほかには中性子が当たらないというところの、出口のところの問題点というのは、機械的にもこれから相当問題点だと思います。それからガンによりまして、当て方の量と申しますか、その量をどうきめていくかという基礎的な問題が、機械ができましてからでも相当な問題点ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/77
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078・鍋島直紹
○鍋島直紹君 ガン治療がそこまで進んできて、これからどのくらいかかったら大体完成する、といっては悪いけれども、むずかしい問題でしょうけれども、やっぱり数カ年あるいは十数カ年かかると見ておいでになるかどうか。これは非常にむずかしいもので、梅澤博士ならおできになると思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/78
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079・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 私の考えでは、ガンは一応化学的療法でやるとか、ああいう放射能を使うとか、いろいろ方法がございますが、すべてコンバインして調和して考えられるのではないかと思います。しかし、病気そのものから考えてまいりますと、大体病気というものは、あとへあとへと耐久性が、悪いものはついてまいります。したがいまして、あるガンはなおりまして、あるガンはなおらないというふうな状況がしばらく続いて、先生おっしゃるように、いつガンそのものが全部なくなるか、言えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/79
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080・鍋島直紹
○鍋島直紹君 原子力船に移りたいと思います。
現在、原子力船は「むつ」をおつくりになっておる、これはちょっと完成年度は忘れましたが、もう来年くらいにはできてくると思います。そうして、この原子力船は鉱石運搬船であって、鉱石運搬船というよりも、いわば原子力船の時代に入っていく一つの入口であって、これによっていろいろ訓練をする、乗員の訓練をするとか、取り扱いを習熟するとか、そういった、いわば練習船的な目的が相当あるし、ほとんどそれじゃなかろうか。したがって、そういう意味においてこそ国費をもってつくっておるというようなことになろうかと思います。
そこで、私は、これは夢かどうかわかりませんが、将来、日本の海運界も、その動力を原子力に依存してくるということは非常に強くなってくるのではなかろうか、いわば、いつの間にかタンカーが大型化してああいうふうになりましたように、次にスピードの時代に入る。原子力船のコンテナ船というものが、従来あるいは現在二十ノット前後で太平洋を往復しておるものが、三十ノットあるいは三十五ノットということになるし、そのコンテナ船というものがさらに進めば、原子力コンテナ船というものの時代に当然入っていく、そうして各地への航行が盛んになってくる。いま現在第一船をつくって完成しようとする時期でございます。そこで、もう数年前から日本の海運業界では、第二船、第三船は自分たちでつくろうじゃないか、そうして世界に先がけたコンテナ船、商業船ですね、つまりコンテナ以外もございましょう、そういったものをつくりたいといったような機運もあるやに聞いております。科学技術庁とせられまして、それらの海運業界等の中にどういう御折衝なり懇談なり、あるいは将来の計画なりをお持ちになっておるか、そういう点は、これはひとつ長官からお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/80
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081・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 私もついせんだって、建造中の原子力船「むつ」の見学をしてまいりましたが、いま予定どおり進行をしておるようでございます。その際にも、実は、ただいま鍋島先生からお尋ねのあったような問題を、建造側の方々でありましたけれども、いろいろ話し合ってまいったのであります。将来やはりそういうことは海運界で取り上げられることが考えられ、非常にスピード化されたコンテナ船もできるのじゃないだろうかというような話もございました。そうして、第二船以降の実用になる原子力船の建造の問題でありますが、いまお話のとおり、民間企業でも関心を持っておりまして、われわれもまたそのことを期待しておるわけでございます。昨年の六月、原子力委員会に原子力船懇談会というものを設けまして、現在、海運業界を含めまして、関係各界代表者との間におきまして将来の原子力船のあり方について検討を進めております。この懇談会では、原子力船実用化の今後の見通しに関連して、原子力船の技術的な、あるいは経済的な問題、こういう問題を主として検討をしておるわけであります。特に経済性の問題が一番重要な事柄であると存じますが、この問題に焦点を合わせまして解明に努力をしておるわけでございまして、現在のところでは、一応の考え方がこの五月ないし六月ごろには出るであろう、こういうふうに考えております。出したいものだと、こういうふうに考えておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/81
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082・鍋島直紹
○鍋島直紹君 原子力船は、ぜひひとつ……。当然、私は、将来において原子力を原動力とする商船、結局それは大型化してスピード化すると思います。そうすれば当然これはペイしていく。したがって、日本はいま海運で王国を誇っておりますけれども、諸外国がやり出せばおくれていくのじゃないか。当然海運業界も関心をお持ちでしょうけれども、科学技術庁におかれても、政府におかれても、ひとつ叱咤激励をして、それに乗りおくれないようにしないと、私は原子力船の時代が来るというふうに確信をいたしておりますので、海運業界と接触なりあるいは御研究なりして、そういった方向についての一日も早からんことを実は私は祈るわけでございます。
次いで、ウラン濃縮について。先ほどもお話がございましたが、日本で研究している遠心分離法、あるいはドイツがやっているガス拡散法等は、アメリカのやっている隔膜法に比べると非常に安い、そうして簡単にできる——簡単ということはどうかわかりませんが、とにかくできるというようなことを聞いております。そこで、日本の場合、遠心分離法が将来性を持って、ものになっていくものかどうか、あるいはドイツとの提携によって新しい技術をここに出して、そうしてウラン濃縮技術というものに日本独自のものを確立していくのか、そういう点、ひとつ、これは原子力局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/82
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083・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) ウラン濃縮につきましては、いま先生おっしゃいましたように、ガス拡散法と遠心分離法とがございます。ちょっと違いを申し上げますと、ガス拡散法というのは非常に電力を食います。したがいまして、アメリカでいまこれで三工場動いておりますが、維持その他から考えますと——二十六ドルでわれわれやってもらっておりますけれども、非常に最初の建設費は遠心分離法より安うございますが、維持費として非常に高い。遠心分離法につきましてドイツその他が考えておりますのは、電力費が非常に高うございます。したがいまして、最初の建設費がある程度高くても、電力を使わない方向でいくほうがいいということで遠心分離法に向かっております。われわれのほうは、ちょうど日本の電力費はその中間くらいだと思いますが、日本も、経済性からまいりますと、やはり遠心分離法がいいんじゃないかという議論が最近は強くございます。しかし、現在、わが国におきましては、遠心分離法と、それからガス拡散法と、これを四十七年度までに技術的解明をいたしまして、そのどちらにいくか方向をきめていきたいというのが現状でございます。
それからちょっとおわび申し上げたいのですが、先ほどの軽水炉の数でございますが、六十年度まで四十六基と申しましたが、五十五年度まで四十六基でございます。したがいまして、大部分が軽水炉で入りまして、五十二、三年からの分に新型がまいりますので、訂正さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/83
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084・鍋島直紹
○鍋島直紹君 先を急ぎたいと思いますが、原子力の最後に、これは岩動さんも言われましたように、再処理の問題、あるいは転換炉あるいは増殖炉の原型をつくっていくといった問題、あるいはそのほか新しい研究施設の問題等で、どうしても私は、もう東海村の原子力センターそれ自体が狭隘を来たしていると思います。したがって、コンビナートというものはそれから先にやる問題でしょうけれども、もうすでに科学技術庁としては、第二の東海原子力センターのような、もっと広大なものを、やはり土地を探し、構想を練り、そしてそれに移行していく段取りをやっていくときが来ているのではないかと私は考えるわけでございます。すぐ、どこの土地といえば、これは新聞に出てたいへんでございますけれども、少なくともどういう構想を持って具体化そうとしておられるかどうか、その必要がないのかどうか、その辺をはっきりお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/84
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085・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 先ほどもちょっとお答えしたのでありますが、現在の東海村に持っておりますものだけで十分かどうかと申しますと、御指摘のとおり、新たな立地の検討も必要である、こういうふうに思います。
そこで、どういう形でつくるかということが問題になってくると思いますが、この原子力開発につきましては民間側も非常な意欲を持っておりまして、民間側でも、この研究施設をどこか一つにまとめて、いわゆる原子力センターのようなものをつくったらどうかという考え方も民間にあるように伺っております。そこで、どういう形態をとるにいたしましても、こういったコンビナートの先駆をなすと申しますか、そういう意味におきまして、原子力センターの第二のセンターというようなものが望ましいことでございますから、そこで、一応まだ場所の選定というところまでは至っておりませんけれども、そろそろそういうことも含めまして、民間側とも十分話し合いをいたしながらひとつ検討をしていきたいと、かように思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/85
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086・鍋島直紹
○鍋島直紹君 次に移りたいと思います。次は、宇宙開発の問題を二、三お伺いしたいと思います。
第一番に、先般、人工衛星の「おおすみ」が成功をしたということにつきましては、まことにおめでたいと思います。もっと早くやっていただきたかったと思いますけれども、何せ非常にむずかしい問題であった。これが成功したことについては、われわれとしては非常に関心も持ち、おめでたいことであると思います。そこで、宇宙開発事業団がやっておられますが、以前に宇宙開発審議会で発表された電離層の観測衛星の打ち上げ、それから実験用の静止衛星、これらのことについて、一万キロ、あるいは三万六千キロの静止衛星ですか、一万キロの電離層観測衛星ですか、それらの計画が変更になったということを伺いましたのですが、この点、ちょっと御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/86
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087・石川晃夫
○政府委員(石川晃夫君) 宇宙開発審議会におきましては、四十六年度に電離層観測衛星を打ち上げる、さらに四十八年度に実験用の静止通信衛星を打ち上げるということが、この宇宙開発審議会において決定されたわけでございます。その後、宇宙開発委員会が一昨年の四十三年の五月に発足をいたしまして、その宇宙開発委員会におきまして今後の宇宙開発計画というものを検討したわけでございますが、考え方としまして、今後十年間を展望しながら今後五年間の間にどのように宇宙開発を行なうかということに焦点をしぼって検討したわけでございます。その結果、各界の方の意見をお聞きいたしまして、現在のわが国の宇宙開発の能力、あるいは諸外国の情勢というものを勘案いたしまして、昨年の十月一日に、新しく宇宙開発委員会としましてわが国の宇宙開発計画を発表したわけでございます。これによりますと、電離層観測衛星を昭和四十七年度に打ち上げる、さらに実験用静止通信衛星を四十九年度に打ち上げるという計画ができ上がったわけでございます。したがいまして、審議会で検討いたしました線から見ますと、打ち上げ時期が一年おくれることになったわけでございますが、ただ、電離層観測衛星は四十六年度中に衛星そのものは完成させる、それから実験用の静止通信衛星も四十八年度には完成させるということがその計画に盛られておりますが、その期間の食い違いと申しますのは、やはり、衛星をつくりましても、すぐこれをロケットに載せて打つというわけにはまいりませんし、その間に種々の実験が必要でございますので、その期間をも含めまして、ロケットの完成と合わせて四十七年度電離層観測衛星、それから四十九年度に実験用の静止通信衛星ということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/87
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088・鍋島直紹
○鍋島直紹君 そこで、大体一年おくれたと思います。一番問題になるのは、結局、電離層の観測衛星にしても、通信衛星にしても、たまと、それからロケットの機構と、両方が調和しなければできない。しかも、それは国産でやろうとしておる。しかも、ロケットは宇宙開発事業団が担当し、たまは、あるいは郵政省、そのほか電電公社とか、NHKとかいうふうなところでやっておられる。そういったような一つの調和、たまとロケットの調和というものは、これはだいじょうぶなんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/88
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089・石川晃夫
○政府委員(石川晃夫君) 先生のおっしゃるように、人工衛星とロケットの調和ということは非常に重要でございまして、ごもっともなことだと思います。それで、現在の宇宙開発計画におきましては、人工衛星と、それからロケットと、これの調和をはかりながら開発していくという点にやはり重点を置いておりまして、これは現在宇宙開発事業団におきまして進めているわけでございます。ただいまの電離層観測衛星あるいは実験用の静止通信衛星、これはいずれも開発段階のものでございますので、いずれも今後、この開発段階におきましては同じ宇宙開発事業団の中において開発されることになるわけでございます。したがいまして、この事業団の中でロケットと人工衛星の開発というものが並行して行なわれることになりますので、この間におきましては十分連絡がとれて、そごがないように完成できるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/89
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090・鍋島直紹
○鍋島直紹君 たまとロケットが調和できるようにひとつお願いを申し上げたいと思います。
そこで、少し先を急ぎたいと思いますが、この衛星には、通信衛星以外に、航行衛星とか気象衛星、測地衛星、そのほかいろいろございます。それらの衛星機構の一いわばこれは国内的なものだと思いますけれども、御計画なり、あるいは研究なり、実験、実行計画ですね、それらの点についてちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/90
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091・石川晃夫
○政府委員(石川晃夫君) 現在、宇宙開発委員会で策定いたしました宇宙開発計画によりますと、当面、電離層観測衛星と実験用の静止通信衛星、この二つについては、そのスケジュールをはっきりきめておりますが、航行衛星、それから気象衛星、測地衛星というものは、今後五年間くらいの間に研究を進めるようにということになっております。したがいまして、現在、四十五年度におきましても、この航行衛星、気象衛星、測地衛星というものにつきましての研究は、それぞれ所管の各省において、基礎研究は予算をもらって進めることになっております。
なお、この航行衛星、気象衛星、測地衛星のような種類の衛星になりますと、実は、システムの問題につきましては国際的に非常に関連性のある衛星でございます。たとえば、航行衛星にいたしましても、わが国だけが航行できるというものでは困りますので、これは船舶全部が同じような一つのシステムでやらなければならない。あるいはまた、気象衛星につきましても、これが、ことに世界気象機関というような国際機関がございまして、WMOと称しておりますが、この機関におきましては、世界的に気象を把握したいというような計画もございますので、これにつきましてもやはり国際的な関連性が必要であるということが考えられるわけでございます。測地衛星につきましては、国際性というものは、まあ前の二つに比べますと相当少なくなるわけでございますが、しかし、測地方法というものが、地球の地図をつくる・という意味におきましても、やはり国際的な関連性があるというふうに考えられております。したがいまして、そのシステム、さらに衛星に載せます搭載機器、それから地上におきましてその衛星から送られてくるデータをどのように活用するかという、このような問題も全部からみ合わせて研究を進めていかなければならないと存じますので、その点におきまして、現在は研究段階ということで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/91
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092・鍋島直紹
○鍋島直紹君 この宇宙開発で、インテルサットの関係、これは結局、静止衛星を日本が打ち上げても、インテルサットとの関係がうまくいかないと、日本だけの問題になってしまう。したがって、これは会議がずっと続行されておると思います。将来において、少なくとも東南アジア、アジア地区における日本の打ち上げた国産衛星で宇宙中継ができるような段階になるのかどうか。ここは非常にむずかしい問題であるし、それあるからこそ、宇宙開発を急いで、日本として実績をつくって、人工衛星を打ち上げて、それを現に世界に見せておるというような大きな目的があると思います。で、理想から——理想というか、当然だと思いますけれども、少なくとも日本の技術からいえば、静止衛星を打ち上げることによって、少なくともアジア地域は日本の国産衛星において通信でき得る、そうすると、アジア宇宙通信機構、何というのですかね、アジア通信機構といったものができなくちゃならない。まあ次の段階としてそういうものが出てくる。こういう点について、ひとつ大体の御見解をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/92
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093・石川晃夫
○政府委員(石川晃夫君) 初めにインテルサットの問題についてお答え申し上げますと、現在、三月の二十日までワシントンにおいてこのインテルサットの会議が行なわれているわけでございまして、ここで問題になっておりますのが、わが国としては非常に関心がございますのは、ただいま御質問ございました地域衛星というものの権利を確保できるかどうか、これは参加国でございますが、参加国が地域衛星というものの権利を確保できるかどうかという問題が一つございます。この点につきましても、昨年来数回にわたり会合を開いておりまして、ようやくその意見もほぼ統一される段階になりまして、現在までの空気から見ますと、非常に有利に展開しているという情報が入っております。
それから次に、このインテルサットのマネージャーとして、現在のようにコムサットがそのマネージャーの地位にとどまるかどうかという問題でございます。この点につきましても、欧州各国から相当反対がございましたが、これも妥協案ができるという見通しだそうでございます。それから、現在は理事会においてこのインテルサットの機構を運営しているわけでございますが、これを今後、総会というかっこうで運営をしたいという意見が出ております。これにつきましても、やはりそのような形式に進んでいくものだというふうに連絡がございます。情報が入っております。したがいまして、このインテルサットの会議におきましては、ほぼわが国が従来から主張していた線が満足されるような態勢で進んでいるというのが現状でございまして、まだあと二、三日会議がございますので、最後にどのようにまとまるか、まだ詳細情報が入っておりません。
次に、では、わが国がこの地域的な地域衛星というものの権利を確保できた場合に、アジアにおける通信衛星機構というものができるかどうかということでございます。これは、現在わが国が開発しております電離層観測衛星に続きます実験用の静止通信衛星、このような一環の開発が進んでまいりますと、わが国としましても、実験用ではない実用の静止通信衛星というものの打ち上げが可能になってくるわけでございます。したがいまして、それをどのように活用するかということは今後の問題になってくるわけでございますが、技術的に見ますと、国産衛星によりまして静止衛星を運用できるという可能性は十分ございます。ただ、それを一つの機構といたしましてアジアにその通信機構をつくるかどうかということになりますと、これはやはり、この加盟国の意見というものが相当重要な問題でございますので、その点は今後参加されると思われる各国との相談によってこの問題が解決されていくのではなかろうかというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/93
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094・鍋島直紹
○鍋島直紹君 その地域衛星の権利確保については、いまのお話で、いま会議中である、大体満足する方向へいっておると、こういうお話でございますから、これはひとつ会議のほうを見守ってまいりたいと思いますし、満足する方向であればこれ以上のことはないわけです。また、それに対して、政府も、民間も、われわれも、これは全力をあげるとともに、その後の問題についてやはり研究をし、準備を整えていかなければならぬと思います。
そこで、次の、それができたとすれば、アジア各国においてそういった通信衛星機構というものができ得る可能性がございますか。また、でかせにゃならぬと思うのですけれども、そういった点、これは外交交渉の問題になるかと思うのですが、一応専門的に見て、皆さん、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/94
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095・石川晃夫
○政府委員(石川晃夫君) このアジア各国におきます通信衛星の機構につきまして、通信の需要量がどの程度あるかという件につきましては、これは郵政省において十分検討されるべき内容のものだと存ずる次第でございます。しかし、まあ、先ほど申しましたように、わが国として、数年たてば国産の通信衛星を打ち上げ得るという能力を持ちますので、そのような要求が出てまいりましたときには、十分これにこたえ得るものだと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/95
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096・鍋島直紹
○鍋島直紹君 どうかひとつ、その点、これはもう通信衛星は大事な問題でございますから、よろしくお願いをして、がんばっていただきたいと思います。
時間がありませんので、最後に、防災センターについて伺いたいと思いますが、防災センターは非常にじみなお仕事をこつこつとやっておられるわけでございます。ただ、国とか地方公共団体の研究機関というものは、そういったものを五年十年こつこつとやる一面においては、実際において災害が起きたとかどうしたというときに対応できる実益がないと、なかなか世間の人も、予算も増加してくれないというような問題もあろうかという点——非常に長い間、十年十五年かかって研究をして、そしてその成果を世の中に問うてくるという問題と、端的に、起こった災害に適切な助言をするとか処置をするとかいうような面と、相矛盾するようですけれども、二つの面があって、はじめて研究所として世の中に認められるのじゃなかろうか。これは実際においてですね。学者さんはそうお考えにならぬかもしらぬけれども、そのようなことを考えるわけでございますが、業務内容等々につきまして御説明を願いたいと思います。
なお、簡単に、時間を節約するために、御説明をついでに願いたいのは、先般来から、関東地方その他の、ひょう害に対する、ひょうに対する、これを排除でき得るいろいろなことを御研究になっておるというようなことや、あるいは、もう長年これは研究されております人工降雨、干ばつの際における人工降雨、都市などが水源が枯渇した際における人工降雨、これは直接生活につながる問題ですけれども、そういった人工降雨の御研究をなすっておる。さらに、これはまだ夢かもわかりませんが、台風災害に対して、少なくとも台風を最小限度に誘導できるか、制御できるか、抑圧できるか、そういった点についての御研究もなすっておると伺っておるのであります。その点について、現在の研究段階と、実際において実用できるかどうか、そういう点について御説明いただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/96
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097・寺田一彦
○説明員(寺田一彦君) 初めに、私のほうの業務内容につきまして簡単に御説明申し上げます。
国立防災科学技術センターは、科学技術庁の設置法にきめられておりますように、主として自然災害に関連した防災科学技術を推進する機関でございます。この防災科学技術の推進のために、当センターといたしましては三つの大きな柱を持っております。一つは、関係行政機関の共用に供する大型の設備を設置する。これは現在建設中の筑波におきまする大型の耐震実験施設なんかもその例でございます。それから第二は、多数部門の協力を要する総合的な研究、試験。これは、主として科学技術庁の特別調整費をいただきまして各関係機関とやっておる問題がたくさんございます。それから第三は、当センターの中で基礎的な共通的な研究をやっておるというものでございます。このような業務を行ないますために、私のほうは、三つの研究部と、それから三つの支所を持ってやっております。
そして、このセンターが三十八年の四月一日に発足いたしまして以来、種々の自然災害が起こってまいりましたが、これに対応いたしまして、私のほうの独自の研究のほか、いわゆる特別研究促進調整費を活用さしていただきまして、各省庁と協力していろいろな分野の研究を行なってまいりました。たとえば、新潟地震に関する詳細な調査研究、あるいは松代の群発地震に対する総合的な研究、そのほか冷害、干ばつ、地すべり等の研究などもやってございます。こういう研究結果は、研究報告とか総合研究報告とかいう形で四十くらいすでに出版物が出てまいっておりまして、各方面で活用されておるわけでございます。また、このほかに、印刷物とかパンフレット類も若干出しておるわけでございます。
それから、先ほど御質問のありましたひょう害防止の問題は、現在私どもで実行しております予備実験でございますが、これと人工降雨の問題も関連する問題でございますが、原理は、申しますれば、これはいわゆる沃化銀とかドライアイスというものを活用いたしまして、過冷却といいまして、零度以下に冷えたところになお水滴としてあるような雲の部分がございます。そこに沃化銀とかドライアイスを入れますと、その雲の状態が変わってまいります。これがいわゆる人工降雨を行ないました一番最初の実験でございまして、これは戦後間もなくアメリカで行ないましてから、日本でも各方面及び大学等でこの実験をいたしまして、そうして科学技術庁のほうでも数年間にわたりまして特別の研究費を出してくださいまして、関係方面でこの研究をいたしました。人工降雨につきましてはいろいろ問題がございますが、現状では、一応一〇%ぐらいの増雨あるいは二〇%ぐらいの増雨は、場合によっては可能であろうというような意見も出ております。
それから私個人のことで恐縮でございますが、私も実は、九州におりましたときに人工降雨をやりましたが、この人工降雨を行なうときには、やはり過冷却の雲の中に沃化銀なりドライアイスを散布しなければなりません。それには、どうしてもそこまでそういう沃化銀とかドライアイスを持っていかなければならぬ。そういう状態を外国では飛行機でやっておりましたんですが、日本ではそういうような状態が簡単にできないような状態でございましたので、当時は気球を使ったりなんかいたしました。
しかし、現在行なっておりますひょうの問題は、なお飛行機によるほうがよろしいかもわかりませんが、現在では、私のほうが航空宇宙技術研究所と共同で開発いたしました消滅型のロケットを使いまして、高度五、六千メートルまでこれを打ち上げるということをいたします。そういたしますと、そのロケット自身はそこで消滅してしまいますので、下に落ちてきても一つも被害を起こさないというような状態になっております。そういう意味で人畜には被害がないつもりでございます。そうして、これによりまして、ひょうの雲につきましては、まず第一にレーダーでひょうの雲を見つけまして、そこに向かってこの沃化銀を含んだロケットを打ち上げるということを計画しておりまして、昨年から予算をいただいておりまして、来年も本実験がやれるように計画しております。ただ、この問題は若干むずかしい点がありますのは、ロケットを打ち上げる場所とひょうの雲との相対的な問題その他がございますが、これはおいおい研究していきたいと思います。事実、この問題は、アメリカ及びソ連ではかなり実用化の段階になっておりまして、特にソ連は非常にたくさんな人を使っておりまして、このひょう害防止に対しては農業関係に非常な稗益をしておるというような報告がございます。それからアメリカも、また全く同じように降ひょう抑制の委員会を持っておりまして、そこでかなり活発に実験をしておる状態でございます。
それから、最後に、台風制御の方向がどういうふうになるかというお話でございますが、台風制御の問題は実は非常にむずかしい問題でございますが、できればそういうことが可能になりたいというのが気象学者の希望でもございます。現在、台風と全く同じようなものが、大西洋にはハリケーンという形で出ております。これにつきましてはアメリカで非常に力を入れまして、アメリカのマイアミにあります米国の研究所が主体となりまして、ハリケーンの中心付近の大きな雷雲にあたるんでありますが、そこにドライアイス及び沃化銀をまき込むという形をとっております。これには非常に膨大な経費と人員をかけてやっておりまして、これはもちろん軍の応援が非常に大きな力を得ておるわけでありますが、そういう形でこれを実験しております。そして、一番台風やハリケーンの災害を起こすもとは、中心付近のところに非常に気圧の急峻なところがございまして、そこに非常に強い風が吹きます。その風のぐあいをやわらげるというのがこの台風制御の一つの目的でございます。そういう意味で、現在では、ドライアイスを使いましたり、沃化銀を使いまして、そのハリケーンの中心付近のところにそういうものを入れまして積乱雲の分布を変える。したがって、気圧傾度の分布を変えていくということをやっておるわけです。
全く同じようなことが、実は日本の台風にもできるわけでありまして、ただ問題は、台風のほうでは、ハリケーンに比べまして、もっと強力なものでございますものですから、やり方も非常にむずかしいのと、それから台風が発生している付近は、アメリカにおきましてハリケーンの発生している付近に比べて、かなり遠いんでございます。そういう意味で、この初めの実験、研究という点からいたしますと、やはり発生地域付近のところで実験をしてみなきゃいかぬ。陸に近いところでやりますと非常に影響が大きいわけでございますから、それでかなり遠いところで実験しなきゃならぬ。そういう意味で、日本といたしまてしは、非常に台風発生地域が離れておりますので、問題が非常にございます。ただ、最近は、アメリカと日本と共同で台風とハリケーンの研究を、特に調節問題、気象調節に関しての問題をやらないかという話が出ております。私のほうもその問題を検討しておる状態でございますが、これは、気象学者といたしましては、将来の夢としてぜひ実現させたいと思っております。ただ、いかにうまくできるかということは非常に問題がございまして、特に全体の気象状況をすっかりつかまないと、はたしてそういうような台風に及ぼした作用がプラスになるのかマイナスになるのかわからぬという点で、反対する人もないでもないわけであります。しかし、とにかく、まず進めることが先決でありますので、私どもでやっております降ひょう抑制の問題も、実はずっと将来に対する、台風制御に対する一つの予備的な仕事である、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/97
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098・鍋島直紹
○鍋島直紹君 最後でございますが、降ひょう抑制及び人工降雨は多少の実現性があると言われておるわけですけれども、それはどうなんですか。これは、現実にそういう事態があったのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/98
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099・寺田一彦
○説明員(寺田一彦君) いわゆる人工降雨につきましては、かなり実際の結果としてはよろしい結果が出ております。特に、全然雲のないところに雨を降らせるというのは非常に困難でございますが、そうでなくて、過冷却の雲があるところに沃化銀を散布いたしますと、それが核になりまして、そして雨粒がよけいに降ってくる。それで、統計的に見まして、一〇%とか二〇%の増雨が予測されているということがあります。それから降ひょうのほうの問題は、これはアメリカでもソ連でも非常に影響が大きいということを言っておりまして、実はソ連のほうでは、それに対しての研究者に賞を授与されたというようなこともございます状態でございまして、ただ、日本と違いまして、アメリカやソ連はひょうの数が非常に多い。日本はそういう点で非常に少ないものでございますから、基礎的な研究としては非常におもしろいわけでございますが、どこまでこれが実用化し得るか、これからわれわれのほうで検討してみなきゃならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/99
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100・鍋島直紹
○鍋島直紹君 以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/100
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101・平泉渉
○平泉渉君 ちょっと関連して、質問ではございませんが、要望をかねて、先ほどの筑波学園都市の問題につきまして。
筑波学園都市は非常に国民の輿望をになって計画がなされております。地元の方々、土地の買収に非常な努力をして、ことに茨城県の中心の方は、地元の説得に非常な努力をされた。ところが、実際に移転の段階になってみますと、非常に抵抗があって進まないということで、また地元に聞こえて、私は茨城県の人間ではございませんが、非常に問題になっているわけです。その点、まあ首都圏整備委員会が一応事務局になっておるというあれですが、どうも進展がおそいような気がするのですね。ぜひその点、私は要望として、大いに推進していただきたい。これは大きな目的につながっているのじゃないか。今度は移転する段階で、ことに科学技術庁は非常に大きな役割りを演じておられるというふうに理解しているわけであります。そこで、科学技術庁がやっておられます政府関係の研究機関、これなんかは大いに率先して範を示していただきたい。周囲との問題もありますから、その点、長官もひとつ閣議の席上などでこの推進に大いに力をいたしていただきたい。
現在の学制——学術研究体制全体の大きな問題の中で、たとえば東京教育大学の移転について、非常に学内で争いがあったのを押し切って現在の学長は推進方を決定されたようでありますけれども、肝心の政府直轄の研究機関の科学技術庁を除いては、あまり実は進んでおらない。科学技術庁も、さらに大いに研究を進められれば、もっと進むものがあるのじゃないか。みんながお互いにしり込みしていると、非常に悪いというお互いの印象がますます深まっていく。ああいうりっぱなものが行くならば、ひとつわれわれも大いに行こうじゃないかということから、りっぱなものになっていくように思うのです。東京を解体するというのが保守党に課せられた大きな仕事の一つでございます。いまのような東京では、先ほどの公害の大会議でも、これは収拾つかなくなるだろうと言われておる段階でございます。ぜひひとつ、科学技術庁傘下の各研究所等におかれましても——私は、特に名前を具体的に申し上げると波紋もありますので申し上げませんけれども、せっかく所内に、敷地に、かなりりっぱな、東京では現在珍しいようなすばらしい大木も生えているのをたたき切って造築しようというような計画もあったりして、これは非常にもったいないことで、二度と木は生えないのですから、そういうことを考えて、ぜひ学園らしく、広い環境に、研究者がゆうゆうと、そのかわり、私は、設備は、バレーボールやテニスコートができるような、女子職員も気持ちよく生活できるような環境づくりをすることには、われわれ大いに御協力を申し上げたいと思う。ぜひその点、長官の御所見と、また事務局長さんから補足答弁があれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/101
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102・西田信一
○国務大臣(西田信一君) まさに御指摘のとおりでございまして、せっかくの計画が思うように進まないことは非常に残念なことであります。ことに、科学技術庁率先してというお話でありますが、十分御趣旨に沿うように私ども検討を進めたいと思いますし、また、適当な機会を見まして、閣議等におきましても推進方について私も発言をいたしたいと思います。ただ、この環境の整備が十分進まないということでしり込みをするという、そういう面も確かにこれはあると存じますから、そういう面も非常になにだと思いますし、われわれとしては、なるべくいまお話がありましたように、よい環境のもとでいい研究をするということが一番理想でございますから、そういう気持ちでひとつ努力をしたいと存じます。御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/102
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103・井上義光
○政府委員(井上義光君) 移転される研究機関の方が喜んで行けるようにといういまの長官の御方針には私どもも全く同感でございまして、そのようにいたしておりますが、実は、おくれておりますのは、用地買収も、いま、単価の問題があまり高くなりますと、それが他の価格にはね返り、茨城県全体の開発計画に支障を来たすということから、比較的低廉な価格で取得をいたすということで、用地買収には若干時間がかかっている。もう一つは、都市建設の場合に必要になりますいろいろな関連公共施設なり、あるいは小中学校といった教育施設につきまして地元の負担及び町村負担が相当かかるので、これについて軽減の措置といったようなものをあわせて講じたいという政府の要望もございまして、かたがた関係省庁と財政当局と話し合っておりますが、まだ最終的な結論が出ておりませんが、そういった関係もありまして、思ったより若干おくれておるわけであります。したがいまして、その環境整備なりあるいは生活環境につきまして研究機関の方にも不安がございまして、そういった点で思ったよりも進捗していないという点も皆さん反省しておりますので、今後環境整備なり教育施設の整備につきましては万般の努力をいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/103
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104・宮崎正義
○委員長(宮崎正義君) 向井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/104
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105・向井長年
○向井長年君 もう四時でございまして、時間もあまりありませんから、二、三ごく簡単に質問いたします。
特に私は、この場所で長官に言うことはおかしいと思うのですけれども、いま岩動委員からもお話がありましたが、佐藤総理というか、日本政府は、確かに、直接国民生活に直結する年度々々の問題については、これは圧力団体もありますし、そういう中から、非常に積極的に予算なりその他はやると思います。科学技術の問題につきましては、これは非常に重要であり、しかもまた、推進しなければならぬ重要なものを持っていながら、どうも消極的ではないかというような感じが何となくするわけであります。まことに申しわけないことであります。たとえば、各省の大臣をきめる場合に、いい省の大臣全部衆議院で取っている。大体参議院に持ってくるのは、これは参議院を尊重した気持ちか私はわかりませんよ、わかりませんが、そういう形で、重要視しないような感じは、まことに遺憾だと思います。これは長官に言うことじゃない、総理に言うことです。予算委員会で言うかもわかりませんが、そういうことを非常に残念に思うわけです。
そこで、先般来、長官の所信表明で六項目ほど出されておる、なかなかりっぱな所信表明です。すべて裏には、推進したい、推進したい、こういうことで表現されておる。しからば、これを推進するには、その裏づけが十分でなければできないはずです。しかも最後には、国の総力をあげて研究開発を強力に推進しなければ実現できないものだ、こう言われておる。そうすれば、この昭和四十五年度の予算ですね。これについて、科学技術庁として、いわゆる大蔵省に出した予算が満額これが満たされたものか、あるいはどれくらいのパーセンテージで削られたものか、この点についてどうなっておるか、まず聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/105
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106・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 科学技術振興に対します政府の姿勢ということについてお述べになったわけでありますが、実は、ことしの施政方針の中にも、総理も大蔵大臣も、それからまた経済企画庁長官も、社会開発の問題と関連して、それぞれの立場から科学技術の振興ということに触れておられます。予算は確かに私は不十分だと思います。しかしながら、要求に比べましては確かに低いのでありますが、国全体の予算の伸びから見ますと、約倍くらいの伸び率を示しておりますが、いま御指摘のとおり、要求に対しましては低い。私は、衆議院の委員会でもそういうことに触れまして、決して三〇何%だから科学技術は自慢をするというような気持ちはございません、むしろ要求に対してはかなり低い、こういうことを申しておりますが、実は、予算編成の過程におきましても、私は、日本もだんだん科学技術の予算がふえていることはふえておりますが、しかし、諸外国と比較してみまして、国が投資しました累積をずっと比べますと、諸外国に比べて、ますますどうも開きが大きくなっている、この実態をまず認識してからひとつだんだん話をいたしましょう、というようなことで話をいたしましたが、微力で十分な成果があがりませんで申しわけありませんが、けさも実は閣議で、科学技術白書に関連をいたしまして、研究費のほうの必要性について発言をいたしました。研究費も、七千六、七百億という、民間を合わせまして、ことになっているが、しかしこれも——これはわりあいに諸外国に追いつく姿勢をとっておるように思いますけれども、しかし、まだまだ諸外国に比べて低いし、ことにフランスなどは非常な勢いで、ここ十年間に国民所得に対する比率は倍増しているというようなことに比べれば、はなはだどうも低いということを、実はけさも閣議で発言をしてまいったのでございます。
そういう意味におきまして、私どもは決して現状で満足できないと、こう思っております。何と申しましても、やっぱり科学技術の振興ということが、ただ工業技術の推進をはかるということじゃなくて、国民生活全体に大きな影響を持つ。私の所信表明の中で、まあ、世の中でできておるひずみというものは、科学によって生ずるんじゃなくて、科学がこういうひずみを消していくんだと、そういう役割りをしておるのが科学技術であるということを申したのでありますが、そういう意味から申しますと、単なる巨大科学だけではなくて、公害その他世の中万般のひずみを科学技術によって相当克服していくというようなことを考えますときに一そうその感を深くすると、こういうように思っております。しかし、まあ科学技術庁は非常に何といいますか、軽く扱っているんじゃないかという話でございますが、まあ、ずっと歴代の長官を見ますというと、総理になった人もおります。みな相当の方が科学技術庁長官になっておりまして、ただ少し力が足りないのは私だけかもしれませんが、決してそういう認識ではないと思います。これからもひとつ、科学技術の振興につきましては、皆さま方の御協力をちょうだいしまして、ほんとうにこれはしっかりしていかなきゃならぬ、こういうように私自身も心底から思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/106
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107・向井長年
○向井長年君 西田長官が役不足とか低いとか、そういう意味で言ったんじゃなくて、とにかく、最近の動向は、まあ参議院のほうから出ておられる、これはけっこうでもあるんですよ。決してどうだと言うわけじゃないんです。ただ、非常に、何というか、研究開発ができると、ロケットのように、すばらしいんですよね。しかしながら、じみないわゆる研究をしなきゃならぬ。こういうところに、国民から直接称賛するようななには、わりあい少ないわけですよ。目の前で考えた問題にとらわれて、わりあいに政府の科学技術に対する推進が、口ではこういうように推進しなきゃならぬということを総理も言っておりますけれども、しかし、わりあいに予算面を見ても薄いんじゃないか、こういう感じです。決して、そういう軽視して、参議院出の長官が二代三代と続いているということで、それがいけないとか、そういう意味じゃございませんから。
で、私の質問は、科学技術庁長官はじめ、皆さんを督励したい、あるいはまた大いに発奮してもらいたいと、こういう気持ちから、いまものを言っているわけですが、それで、やはり諸外国と比べると言われますけれども、諸外国においては、いわゆる軍事予算ですね。それに大きく加味されて科学技術が推進されているわけです、今日まで。したがって、わがほうはそれがないんだから、あくまでも純粋な科学技術として、まあ原子炉の問題にいたしましても、原子力船の問題にしても、平和利用の形においての開発なんですから、したがって、これはやはり特段の予算措置というものは諸外国より非常に必要である、こう言わなければならぬと思うんですよ。そういう意味で、特に今回の予算をながめまして、原子力開発の動燃事業団が、四年前でしたかね、足かけ四年前になりますか、三年前にできたのですね、事業団は。そういう中でこの事業団ができて、当時、御承知のごとく、二階堂長官であったかと思います。あるいは大蔵大臣は水田大蔵大臣であったと思いますが、そのときに、十年間で二千億の予算をつけるということを言明されたわけなんです。あわせて、三年ごとぐらいにチェックしたいということを大蔵省が言われたと思います。したがって、まあ三年経っているのですが、そういうチェックをされて今回の予算になったのか。それとも、そういうことではなくて、十年間の間に二千億という目標のもとに今日の予算がこの動燃事業団に出されているのかという、この問題はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/107
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108・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 動力炉・核燃料開発事業団は、昭和四十二年十月にでき上がりました。その後、主として動力炉関係の開発で、新型転換炉と高速増殖炉、これにつきましては、先生もおっしゃいますように、十年間に約二千億という予定でございます。それをもとにいたしまして動燃も現在進んでおります。本年動力炉関係で二百六億円という形が入りました。ただ、それを見ますと、いままで三年間で、前が低いので、平均しますと二百億ずつで二千億になるわけでございますが、これは準備段階その他でございまして、これから先ふえてくることがございます。それから債務負担で相当伸びております。したがいまして、現在のところでは、原子力委員会できめましたあの計画どおりに一応予算を——少し少ないと言えば少のうございますが、計画は進められるという方向で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/108
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109・向井長年
○向井長年君 この高速増殖炉なり、あるいは新型転換炉の開発に対するスケジュールというものが、予算を裏づけにして明確にスケジュールが組まれているのですか。技術開発ですから、きちっとした期限を切ってやられることは困難だと思いますけれども、そういう意味におきまして、本年度はここまで行くであろう、この資金の裏づけでここまで行くであろう、あるいは民間からこうであろうということで、そういうスケジュールというか、計画というのは明確に組まれておるのか、それとも、そういう計画ではなくて推進をしているのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/109
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110・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 十年計画については相当具体的にできております。たとえば、高速増殖炉については今年度から実験炉にかかるということがきまっております。そして実験炉が終わりましてから、四十九年ごろに高速増殖炉の原型ができます。新型転換炉につきましては今年から原型炉の建設に入る。そして四十九年度ごろに臨界に達しまして、実用化の研究を進めるという、相当具体的な形で十年間がきめられております。それに基づいてわれわれのほうも計画ができておるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/110
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111・向井長年
○向井長年君 そうすると、この十年間で、まあ政府が当初言った二千億、これでやはり完成できるということですか。技術開発が完全にできるということですか、実用化に向かって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/111
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112・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 実は、十年間で原型炉ができまして、実用化の方向に進めるというところまではわかります。しかし、それをほんとうに実用炉として、あるいは商業炉として持ってまいります場合に、まだそこのところに疑問点があるのではないか。その点の開発について、逐次その間につけ加えていかなければなりませんが、それについては、タイミングとして、われわれはいま理想として、いまの計画で行けると思っておりますが、まあ何しろ、いまの原型炉ができましてから実用炉に行く間にどういう問題点が出るか、その点等が技術として少し疑問であります。それから経済性におきましても、いまのところは大体だいじょうぶというように予側しておりますが、経済性についても十分検討はしなければならない点があると、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/112
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113・向井長年
○向井長年君 そこで、いま経済性の問題が出ました。これは、英国なんかでもいま開発をやっていますね。大体完成が近いのじゃないですか。そういう形で、外国で開発された高速増殖炉をわが国に導入する場合の経済性と、国産でいま言った開発をした場合の経済性と、これは非常に重要な問題に将来なってくると思うのですよ。事業化は、やはり経済性を頭に置いて、燃料の問題もありますし、あわせてそういうものを導入してやりたいという希望が、経済性が伴わなければ出てくるかもわからない。そういう問題が、やはり、せっかく開発した以上、経済性を伴った形で実用化しなければならぬ、こういう結果になるのですが、この点について、いまの見通しとしてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/113
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114・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 先般、新型転換炉につきましてチェック・アンド・レビューの問題、そのときに、やはり外国のものとの比較はどうであるかということは経済性が一番大切でございまして、そのときに考えますのは、燃料が大体いまの値段で入るのか、あるいは将来高くなるか、そういう点もございますが、しかし、いまのところの計算でまいりますと、現在の値段で、大体安い、あまり高くしない計算でやってみて、経済性は外国のものと匹敵する、それ以上にはならないだろうという予測を立てました。したがいまして、これから先、高速増殖炉につきましても、実験炉が終わりまして、原型炉に入りますときには、やはりその経済性、技術性をもちろんチェック・アンド・レビューをして進んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/114
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115・向井長年
○向井長年君 この予算書を見ますと、使用済み燃料の再処理工場を建設すると、こうなっておりますが、これはいつ建設完了される予定ですか。しかも、それに対する予算がわずかしかついていないのですが、これはどういう裏づけを考えておるのか。もういよいよあれでしょう。東海にしても、あるいは敦賀にしても、これは実用化されて、万博の灯がついていると言われている。こういう中で早急に再処理という問題を考えなければならぬわけですが、これに対して建設とこう書いて、わずかの予算が繰り入れられているのですが、これで建設着工されて、いつこれが完成し、また、その再処理ができ得るのか、あるいはこの予算措置はこれでいいのか、来年度やるのか、その点明確でないのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/115
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116・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 再処理工場につきましては、全体の計画で百七十三億円でございます。そのうち、政府保証借り入れ金等が約百三十億、その他の四十三億円が政府出資という考え方でございます。ただ、借り入れ金につきましては、債務負担のように予算書に全部書くということになっておりませんので、大蔵省と大体その話し合いも方針をきめて、そのうちの八億を今年もらったわけでございます。したがいまして、計画としては、そういう形で進みますと、四十八年にはこれが運転開始できるという形で、これから四十カ月ぐらいかかってでき上がることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/116
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117・向井長年
○向井長年君 これはどうなんですか。私もあまり詳しくわからぬのですが、使用済み燃料が次々に取りかえられて交換されていきますが、大体二年ぐらいですぐそれは取りかえなければならぬのですか。そうして再処理をしてやっていく、こういう結果になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/117
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118・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 最近つくってまいります燃料は大体二年ぐらいで交代になると思いますが、しかし、燃料のバーンアップがよけいになって、よけいに燃やすようになっておりますので、耐久性が強くなってきております。しかし、そういう計算で、燃料がどのくらい再処理にかけなければいけないかというような計算になってまいりますと、現在のところは、実は東海発電所のほうは使用済み燃料がもう出てしまっておりますので、これは英国に送り返して処理しておりますが、四十八年からここで処理いたします。そういたしますと、年間マキシマム二百十トンぐらいの処理量の施設でございますが、五十二年ぐらいまではこれで十分いけると思います。ですから、そのあとに第二工場をどうするかという問題がございますが、それにつきましては、いまのはテストプラントでございますが、今度は民間のほうとよく打ち合わせて、民間でやっていただきたいというふうな考え方になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/118
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119・向井長年
○向井長年君 時間がないから、もうこのぐらいでやめますが、最近、聞くところによると、八幡製鉄を中心として、鉄鋼業界、特に鉄鋼連盟というのですか、あるいは技術協会というのか、ここで高温ガス炉の開発の計画を持っているのですが、これに対して科学技術庁としてはどういうように考えられ、また、どういうように、その開発に対する助成というか、この問題を取り上げておられるか、ちょっとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/119
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120・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) ただいまのお話は多目的炉のことだと存じますが、実は、数年前から、海水の淡水化ということで、熱を初めから電気にはせずに、一時利用という考え方でまいりますと、相当な高温なガス炉になります。この研究を進めようということで基礎の準備をいたしております。ところが、去年の初めから、鉄鋼連盟及び鉄鋼協会のほうで——コークスがなかなか海外から入りません。これから先どんどんコークスがふえてまいります。それも輸入ということで、非常に問題がございますので、原子炉の熱をたよりたいという話がそこでまいりました。私たちも、それとのかね合いで、多目的な炉として熱をうまく利用する、先ほどコンビナートシステムで集中暖房というのがございましたが、いわば熱利用をする炉を考えたわけでございます。という考え方で、現在それを進めようという考え方でございます。しかし、まだ原子力委員会でそれをどうするかという段階にまいりません。ことしから実際的に基礎研究を、原研を中心といたしまして、やる態勢を整えたわけでございますが、ここ一、二年はまだ基礎研究を進めまして、その基礎研究の結果によって、これから本態勢を進めていきたいと考えております。これにつきまして、鉄鋼協会のほうもわれわれのほうのメンバーも入りまして、共同体で検討しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/120
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121・向井長年
○向井長年君 これは鉄鋼協会が独自でやる開発ですね。それとも、やはりその研究所等を通じて、研究を、技術開発をやるわけですか。この点、いかがなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/121
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122・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 実は、この炉を鉄鋼関係で使います場合に、非常に研究範囲が広うございます。したがいまして、向こうの希望といたしましては、われわれのほうに多目的炉としての研究をやってもらう、向こうといたしましては、炉から出ました、いまの溶鉱炉に入れるまでの中間の熱交換とか、そういういろんな問題がございます。それから、こっちの炉にしますと、年に一度は止めなきゃいけませんが、向こうの炉は止められません。まあそういうところのかね合い、そういうところに技術的な問題が相当ございます。そこを共同で、おのおの分担して進もうではないかということで、主として私たちのほうは多目的の熱を発生する炉の研究というところの基礎に携わっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/122
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123・向井長年
○向井長年君 よくわからぬけれども、これは、その中でそれを実用化するということになれば、原子力電力の問題も含まってくるんじゃないですか。そういう形になってくるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/123
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124・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) ドイツあたりへ参りますと、初め発電炉でいきまして、それをガス炉にしますが、発電をしながら一方で熱を取るという方法で、いま九百五十度くらいの実験までいったという情報が入りました。しかし、われわれのほうは、いまの新型転換炉等で電力のほうはいまやっております。しかし、もう初めから、そういう熱を取るだけ——取ると申しますか、もちろん余裕が出れば、コストを考えなければ発電ができますが、熱を取るということでいこうと考えましたのは、実は、コークスの代用として使います場合には千二百度以上の温度でないと間に合わないではないか、したがいまして、千二百度の熱をすぐ出す炉に進めるという形で、熱の一時利用という形の炉をやろうというのがたてまえになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/124
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125・向井長年
○向井長年君 それに対しましては、やはり科学技術庁としては、いわゆる政府としては、相当指導援助というか、あるいは助成という問題に対して考えておられるのですか。ただ、あらゆる問題は業界の中でやれ、技術面の指導はやる、こういうことであるのか。いわゆる予算面に対しても政府は若干助成しなきゃならぬ、こういう立場に立っているのか、この点、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/125
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126・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 実は、この点につきましては、当然、近く原子力委員会でその態勢をきめようと思います。ただ、ことしから明らかに基礎研究をやる重点分野として、基礎研究段階の研究費、まだわずかでございますが、これは原研につけたわけであります。ある時期まで基礎研究をやってもらいまして、その炉の設計に入れるというときになりましたときに、原子力委員会ではっきりした態勢を進め、民間の受け持ち分野、政府の受け持ち分野もはっきりさせたい、このときにはっきりさせたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/126
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127・向井長年
○向井長年君 最後に、変わった質問ですが、これは予算委員会でも若干出ましたが、核防条約が一応調印されて、いよいよいつか近く批准という問題が出てくると思いますが、これに対して総理も答えていわく、わがほうの要望条件がいれられなければこれは批准しない、こう言っているわけです。これは、非核保有国の安全性の問題、安全というか、安全保障の問題、あるいは査察の問題、こういう二つの問題が問題であると言われておりますが、特に科学技術庁として、技術面で査察の問題になってくると思いますが、これに対しては、長官として、この問題についてどうあらねばならぬ、そうでなければ批准しちゃいけない、あるいは批准すべきである、こういう意見があろうと思います。これを具体的に一応回答を賜わりたい。特にユーラトムとの関係もございますので、その点を明確に最後にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/127
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128・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 核防条約に調印をいたしました立場から、政府声明にも明確に申しておりますように、安全保障の問題、あるいは保障措置の問題、いろいろございますが、特に私どもの立場といたしましては、原子力の平和利用の面から申しまして、保障措置、つまり査察の問題、査察だけではございませんが、これに対しまして、諸外国との間に実質的な不利な立場に立たないようにということを、まず原則に考えておるわけでございます。そのためどういう決意を持っているかというお尋ねかと思いますが、これは、御案内のように、核防条約は数多くの国がこれに参加、加盟をする形になるわけでございます。そして、それを受けてIAAの査察を受けるわけでありますが、これはIAAとの間にそれぞれの国が協定を結ぶわけでございますけれども、これもわが国はわが国の主張を持っておりますけれども、しかし、要は、わが国が非常に不利な立場に立たないようにということを、最も重点的にものを考えておるわけでございまして、そういう意味から申しますと、われわれはまず自国の——ユーラトムはユーラトムで相互査察をやっているわけでありますが、この内容がまだ詳細にわかっておりません。あるいはIAAよりもっときびしい内容を持っているのじゃないかという観測も行なわれておりますが、内容はよくこれからわれわれも知悉したいと思いますが、しかしながら、IAAの直接査察を受けておらないという点におきましては、これは全く差異があるわけであります。ことに、わが国の原子力利用というものが非常に多くなる、世界の中で、非常にこれから開発が進んでいくというふうに考えられます。したがいまして、わが国としては、これはきわめて重要な立場に立つわけでございますから、そういう意味から申しましても非常に頻度が多くなる。それがひいては産業活動のじゃまになる、阻害する、あるいはまた商業機密が漏れる、こういうことがあってはならないというふうに思うわけであります。したがいまして、わが国は原子力基本法があり、そしてまた、原子炉その他に対する規制の立法もいたしておるわけでございます。つまり、自主的な管理体制をとっているわけでございますから、これらが十分活用されるべきであるという考えをまず持って、そして実際の査察というものを全然やめるというわけにいきませんでしょうけれども、査察にあたり、それらを活用し、あるいはまた計測機器によるところの計測というようなことによりまして、簡素化された査察でこの目的を十分達し得るような協定を結びたい。そのためには、ただことばだけで言うだけではなくて、具体的な提案もしたい。そういう研究も行なっておりますし、また、産業界の知恵もかりる、あるいは学会の知恵もかりる、あるいは諸外国の実態も調べる、というようなことをいたしまして、諸外国との間において非常に実質的に不利にならないように、また、わが国が実質的な不便と申しますか、不便なり、あるいは国益をそこねないというようなことの保証を取りつけることがわれわれとしては最も重要な事柄であると考えておりまして、現に、いろいろそれに対する対策を練っておるわけでございます。したがいまして、これからいよいよ条約も発効いたしまして、具体的にIAAの査察に対する検討も、近くあるいは特別委員会をつくるというようなことにもなるであろうかと推測しておりますが、そういうような機会にわれわれの主張を十分入れさしていくというような機会もございましょうし、また、ユーラトムの実際の方法等につきましても、できれば産業界の方々に出かけていっていただいて、そして十分これらを見ていただきたい。われわれもまたそういうことを検討したいと思っておりますが、それらの総合的な立場で、わが国が実質的に不利にならないように、また、このIAAの査察にもわが国からだいぶ——各国に比べてはわりあい数が多いほうでございますし、それからまた、IAAの機関にも、相当の立場に、部長クラスにも二人入っておるわけでございます。ことにまた、わが国は原子力産業が諸外国に比べてこれから伸びていく態勢にあるというようなことから申しましても、わが国の発言というのは、そう、何と申しましょうか、無視されることもなかろうと思いますし、そういう気持ちで具体的な方法をいろいろ検討しておりますが、あわせて、諸外国がIAAとの間に結びます協定のしかたというものとも対比いたしまして、そして実質的な、国益をそこねない、不利にならない立場でひとつ保障を取りつけて、そしてそれが確認された段階で批准をすると、こういう政府の態度でございまして、この考え方は政府一体の一貫した考え方でございますから、その方向で全力をあげたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/128
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129・向井長年
○向井長年君 それでけっこうだと思いますが、しかし、いま長官が言われたように、ユーラトムが、IAAですか、これの査察よりなまやさしいということはないですよ。そうでしょう。ドイツはそういうかっこうで主張したのだから。そういう意味で、そういう甘い考えは持っちゃいかぬと思うのですがね。少なくとも、国益とかわが国の不利益にならない立場という問題をやはり技術面で具体的に十分早い機会に研究をし、明らかにすべきだと思うのですがね。そういうことで、批准しなければいいのですから、批准するまでにそれを明確にやはり出してもらいたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/129
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130・西田信一
○国務大臣(西田信一君) 決して甘い考えではなくして、ほんとうに真剣にそのことを貫徹したい、こう考えております。
それから、先ほど向井委員のおっしゃったことば、たいへん激励とちょうだいしておりますので、今後ともよろしくお願いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/130
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131・宮崎正義
○委員長(宮崎正義君) ほかに御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
本日はこれを持って散会いたします。
午後四時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313913X00419700317/131
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