1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十五年三月二十四日(火曜日)
午前十一時五十五分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 長谷川 仁君
理 事
木内 四郎君
増原 恵吉君
森 元治郎君
委 員
梶原 茂嘉君
杉原 荒太君
廣瀬 久忠君
三木與吉郎君
山本 利壽君
小野 明君
加藤シヅエ君
西村 関一君
羽生 三七君
国務大臣
外 務 大 臣 愛知 揆一君
政府委員
外務政務次官 竹内 黎一君
外務大臣官房領
事移住部長 遠藤 又男君
事務局側
常任委員会専門
員 瓜生 復男君
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本日の会議に付した案件
○所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
めの日本国政府とオランダ王国政府との間の条
約の締結について承認を求めるの件(内閣提出)
○所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
めの日本国とザンビア共和国との間の条約の締
結について承認を求めるの件(内閣提出)
○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の
条約の締結について承認を求めるの件(内閣提
出)
○日本国とアフガニスタン王国との間の文化協定
の締結について承認を求めるの件(内閣送付、
予備審査)
○日本国政府とフィリピン共和国政府との間の航
空業務協定の締結について承認を求めるの件
(内閣送付、予備審査)
○アジア統計研修所の設立及び運営のための援助
に関する日本国政府と国際連合開発計画との間
の協定の締結について承認を求めるの件(内閣
送付、予備審査)
○旅券法の一部を改正する法律案(内閣送付、予
備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313968X00519700324/0
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001・長谷川仁
○委員長(長谷川仁君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とオランダ王国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件
所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とザンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件
日本とアフガニスタン王国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件
日本国政府とフィリピン共和国政府との間の航空業務協定の締結について承認を求めるの件
及び
アジア統計研修所の設立及び運営のための援助に関する日本国政府と国際連合開発計画との間の協定の締結について承認を求めるの件
以上六案件を便宜一括して議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。
愛知外務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313968X00519700324/1
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002・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま議題となりました、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とオランダ王国政府との周の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
政府は、オランダとの間の所得に対する租税に関する二重課税の回避のための条約を締結するため、昭和四十一年以来東京及びヘーグにおいて交渉を行ないました結果、昭和四十五年三月三日にヘーグにおいてわがほう藤崎駐オランダ大使とオランダ側ルンス外務大臣との間でこの条約に署名を行なった次第であります。
この条約は、本文三十一カ条及び附属議定書から成り、その規定は、OECDモデル条約案にできる限り従ったものであります。条約のおもな内容は次のとおりであります。事業利得につきましては、相手国にある支店等の恒久的施設に帰属する利得についてのみ相手国において課税できるものとし、船舶または航空機による国際運輸からの利得につきましては、相互に全額免税としております。投資所得に対する源泉地国での課税につきましては、配当については一五パーセント、利子及び使用料については一〇パーセントをこえない税率で課税し得るものとしております。さらに、政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、学生等の受け取る報酬、手当等につきましては、原則として滞在地国で免税としております。
この条約の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じ、両国間の経済、技術及び文化の面での交流は、一そう促進されるものと期待されます。
次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とザンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
政府は、ザンビアとの間の所得に対する租税に関する二重課税の回避のための条約を締結するため、昭和四十二年以来ナイロビ及びルサカにおいて交渉を行ないました結果、昭和四十五年二月十九日にルサカにおいてわがほう在ザンビア木村臨時代理大使とザンビア側ムデンダ開発金融大臣との間でこの条約に署名を行なった次第であります。
この条約は、本文二十八カ条から成り、その規定は、OECDモデル条約案にできる限り従ったものであります。条約のおもな内容は次のとおりであります。事業利得につきましては、相手国にある支店等の恒久的施設に帰属する利得についてのみ相手国において課税できるものとし、船舶または航空機による国際運輸からの利得につきましては、相互に全額免税としております。投資所得に対する源泉地国での課税につきましては、配当については免税とし、利子及び使用料については一〇パーセントをこえない税率で課税し得るものとしておりますが、一方の国の政府、地方公共団体、政府金融機関等が受け取る利子は、相手国において免税としております。さらに、政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、学生等の受けた報酬、手当等につきましては、原則として滞在地国で免税としております。
この条約の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じ、両国間の経済、技術及び文化の面での交流は、一そう促進されるものと期待されます。
次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
政府は、大韓民国との間の所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約を締結するため、昭和四十二年以来東京及びソウルにおいて交渉を行ないました結果、昭和四十五年三月三日に東京において、わがほう愛知外務大臣と韓国側李厚洛駐日大使との間でこの条約に署名を行なった次第であります。
この条約は、二十六カ条から成り、そのおもな内容は次のとおりであります。事業利得につきましては、一方の国の居住者または法人が相手国に支店等の恒久的施設を有する場合には、相手国内の源泉から生じたその者の全所得に対し相手国において課税できるものとし、船舶または航空機による国際運輸からの所得につきましては、相互に全額免税としております。配当、利子及び使用料に対する源泉地国での課税につきましては、一二%をこえない税率で課税し得るものとしておりますが、政府、地方公共団体、中央銀行等が受け取る利子は、相手国において免税としております。さらに、政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、学生等の受け取る報酬、手当等につきましては、原則として滞在地国で免税とされます。
この条約の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じ、両国間の経済、技術及び文化の面での交流は、一そう促進されるものと期待されます。
次に、日本国とアフガニスタン王国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
昭和四十三年以来アフガニスタン側より文化協定を締結したい旨の申し入れがありましたが、わがほうといたしましては、この協定が両国間の親善関係の増進に寄与すること等を考慮してこの申し入れに応ずることとし、昭和四十四年一月以来交渉を行なった結果、同年四月九日に東京において正式署名を行なった次第であります。
この協定の内容は、戦後わが国が締結したアラブ連合、パキスタン、ユーゴースラヴィア等との間の文化協定の内容と類似しており、諸分野における両国間の文化交流を奨励することを規定しております。
この協定の締結は、両国間の文化交流の発展に資するところ大であると期待されます。
次に、日本国政府とフィリピン共和国政府との間の航空業務協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
わが国とフィリピン共和国との間の航空業務は、それぞれの政府の行政許可による相互乗り入れという形で行なわれておりますが、両国間の航空業務を安定した法的基礎の上に置くとともに、これをさらに発展させるため、昭和四十三年十二月以降フィリピン共和国政府と航空協定締結のための交渉を行ないましたところ、合意が成立しましたので、昭和四十五年一月二十日に東京でこの協定の署名を行なった次第であります。
この協定は、わが国とフィリピン共和国との間の定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続及び条件を規定するとともに、両国の航空企業がそれぞれの業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、わが国がこれまでに締結した多くの航空協定と形式においても内容においてもほぼ同様のものであります。
この協定の締結により、両国の航空企業は、安定した法的基礎の上において相互に乗り入れを行なうことができることになるのみならず、わが国とフィリピン共和国との間の友好関係も一そう促進されることが期待されます。
最後に、アジア統計研修所の設立及び運営のための援助に関する日本国政府と国際連合開発計画との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
近年アジアの発展途上国におきまして、その経済開発を促進するために不可欠な統計専門家の必要がとみに高まっておりまして、国際連合アジア極東経済委員会(エカフェ)も、従来しばしば統計の分野でアジア諸国の政府職員を養成、訓練する施設の設立を呼びかけてまいりました。
アジア統計研修所は、アジアの発展途上国のかかる切実な願望を背景に、一九六七年のエカフェ総会でその設立が決議されたものでありまして、その具体的な設立及び運営を共同して援助するため、わが国と国連の援助機関である国連開発計画との間で協定が作成された次第であります。
わが国が同研修所を東京に招致し、その設立及び運営に協力し援助いたしますことは、発展途上国援助及び国連協力の観点よりきわめて意義あるものと考えられます。
よって、以上六件について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313968X00519700324/2
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003・長谷川仁
○委員長(長谷川仁君) 以上をもって提案理由の説明は終了いたしました。
六案件の審査につきましては、これを後日に譲ります。
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004・長谷川仁
○委員長(長谷川仁君) 次に、旅券法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。
愛知外務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313968X00519700324/4
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005・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 旅券法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
最近の国際間の人的交流は、航空機輸送の進歩と相まって、急激な増加を示し、邦人の海外渡航も昭和三十九年四月の観光渡航自由化後は毎年約三〇%の増加を示し、昨昭和四十四年におきましては四十八万余の多きに達し、今後もこの増勢は当分続くものと思われます。
現行旅券法は、戦前の旅券制度を参考にして定められておりますので、現在の渡航の実情に合致しなくなってきております。このため、旅券制度に関する国際的諸勧告及び諸外国の旅券制度を参照して国際的な渡航自由化の時代に適合するようわが国の旅券制度を改正し、国民の便宜をはかるとともに、増大の一途をたどる旅券事務の合理化と旅券制度の適正な運用をはかろうとするものであります。
改正法案の主要な点をあげますと、第一は、一般旅券の効力の拡大と渡航先の包括記載をはかったことであります。現行制度では、日本を出国してから帰国するまで有効な、いわば一渡航ごとの旅券が原則であり、渡航のつど旅券の発給申請を行なうことは不便でありますので、わが国と承認関係にある国へ数次渡航する必要がある者に対しては五年間はいつでも使用できる数次往復用旅券を発給し、あわせて旅券の渡航先は全世界地域等包括的な記載方法も用いることとしております。なお、原則としてわが国と承認関係にない地域に渡航する者等に対しては従来どおり一渡航ごとに有効な旅券を発給することとしております。
第二は、事務の地方分散と手数料の改訂をはかる点であります。現行では都道府県知事は申請の受理及び旅券の交付のみを行なうこととしておりますが、改正後においては、たとえば旅券の作成事務の一部を知事に委任できるように改め、また、手数料については、昭和二十六年以来据置きとなっておりますので、五年数次往復用旅券の発給は六千円、一次往復用旅券の発給は三千円に改正するものであります。
第三は、その他の事務の合理化及び五年数次往復用旅券制度を実施するために必要な実務上の調整をはかった点であります。
主要な点を申しますと、申請時の本人出頭の緩和、旅券の二重受給の禁止、旅券の訂正方式の改善、旅券の合冊、査証欄の増補の制度の採用、滞在届け出の制度化、帰国専用の渡航書の新設、刑事事件関係者等に対する発給制限の改定及び返納事由の改定であります。
次に、罰則については、今回旅券の効力を拡大した関係上、従来の虚偽申請に対する罰則等による旅券法秩序維持がむずかしくなりますので、一般旅券の渡航先以外の地域に渡航した者に対しては三万円以下の罰金を科することとしました。
最後に、附則でありますが、施行期日、経過措置及び関係法令の改正について規定しております。
以上が旅券法の一部を改正する法律案を提案する理由及びその内容であります。
何とぞ慎重御審議の上御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106313968X00519700324/5
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006・長谷川仁
○委員長(長谷川仁君) 以上をもって提案理由の説明は終了いたしました。
本案の審査につきましては、これを後日に譲ります。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時十一分散会
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