1. 会議録本文
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000・会議録情報
本国会召集日(昭和四十五年十一月二十四日)(
火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
の通りである。
委員長 八田 貞義君
理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君
理事 橋口 隆君 理事 前田 正男君
理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君
理事 岡本 富夫君 理事 塚本 三郎君
石井 一君 稲村 利幸君
宇野 宗佑君 遠藤 三郎君
小川 平二君 大久保武雄君
大橋 武夫君 海部 俊樹君
神田 博君 北澤 直吉君
小峯 柳多君 左藤 恵君
坂本三十次君 始関 伊平君
進藤 一馬君 田中 六助君
藤尾 正行君 増岡 博之君
山田 久就君 石川 次夫君
岡田 利春君 中井徳次郎君
中谷 鉄也君 松平 忠久君
横山 利秋君 近江巳記夫君
多田 時子君 松尾 信人君
川端 文夫君 吉田 泰造君
米原 昶君
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昭和四十五年十二月三日(木曜日)
午後零時十三分開議
出席委員
委員長 八田 貞義君
理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君
理事 進藤 一馬君 理事 橋口 隆君
理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君
理事 近江巳記夫君 理事 塚本 三郎君
石井 一君 稲村 利幸君
海部 俊樹君 神田 博君
北澤 直吉君 左藤 恵君
坂本三十次君 藤尾 正行君
前田 正男君 山田 久就君
中井徳次郎君 松平 忠久君
松尾 信人君 川端 文夫君
吉田 泰造君 米原 昶君
出席国務大臣
通商産業大臣 宮澤 喜一君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 佐藤 一郎君
出席政府委員
経済企画庁国民
生活局長 宮崎 仁君
通商産業省通商
局長 原田 明君
通商産業省繊維
雑貨局長 楠岡 豪君
中小企業庁長官 吉光 久君
委員外の出席者
商工委員会調査
室長 権野 幸雄君
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委員の異動
十一月二十四日
辞任 補欠選任
多田 時子君 相沢 武彦君
同月二十六日
辞任 補欠選任
西田 八郎君 吉田 泰造君
十二月二日
辞任 補欠選任
相沢 武彦君 正木 良明君
同月三日
理事前田正男君及び岡本富夫君同日理事辞任に
つき、その補欠として進藤一馬君及び近江巳記
夫君が理事に当選した。
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十一月二十四日
下請中小企業振興法案(内閣提出、第六十三回
国会閣法第九六号)
兵器の輸出の禁止に関する法律案(伊藤惣助丸
君外一名提出、第六十三回国会衆法第二九号)
十二月二日
水質汚濁防止法案(内閣提出第二二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
連合審査会開会に関する件
国政調査承認要求に関する件
水質汚濁防止法案(内閣提出第二二号)
通商に関する件(対米繊維製品の輸出に関する
問題)
中小企業の年末資金の確保に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/0
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001・八田貞義
○八田委員長 これより会議を開きます。
理事辞任の件についておはかりいたします。
理事前田正男君及び理事岡本富夫君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/1
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002・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
引き続き、理事の補欠選任を行なうのでありまするが、選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/2
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003・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は進藤一馬君及び近江巳記夫君を理事に指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/3
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004・八田貞義
○八田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。
すなわち、
通商産業の基本施策に関する事項
経済総合計画に関する事項
公益事業に関する事項
鉱工業に関する事項
商業に関する事項
通商に関する事項
中小企業に関する事項
特許に関する事項
私的独占の禁止及び公正取引に関する事項
鉱業と一般公益との調整等に関する事項
の各事項につきまして、本会期中、国政に関する調査を行なうため、議長に対し承認要求を行なうこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/4
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005・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/5
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006・八田貞義
○八田委員長 次に、内閣提出、水質汚濁防止法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。佐藤経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/6
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007・佐藤一郎
○佐藤(一)国務大臣 水質汚濁防止法案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
近年におけるわが国経済の高度成長に伴い、国民生活は著しい向上を見せておりますが、その反面において、産業活動の活発化と人口の著しい都市集中によりまして、大気汚染、騒音等各種の公害問題が発生し、国民の健康と生活環境に重大な脅威を与えるに至っております。
水質汚濁問題につきましても、人口集中の著しい大都市周辺の河川や海域、活発な地域開発が行なわれております水域等、全国各地で問題が発生し、また、その汚濁の態様も、ますます複雑かつ深刻化してきております。このような事態に対処して、国民の共通の財産であるところの公共用水域を良好な状態で保持することが、きわめて緊要となってきたのでございます。
政府といたしましては、昭和三十三年、水質保全法及び工場排水規制法を制定し、水質基準の設定による工場排水の規制を実施してきており、さきの国会では、規制対象事業場の範囲の拡大等を内容とする水質保全法の一部改正により規制の強化をはかる等、公共用水域の水質の汚濁防止に万全を期してきたところであります。
しかし、水質汚濁問題の近年の傾向から見て、問題水域を個々に指定して排水を規制する現行方式はすでに限界に来ていること、また排水規制の仕組みを全般的に強化すべきこと等いろいろ指摘されるに至り、この際、施策の抜本的強化拡充が必要となってまいってきております。
二のため、現行の水質保全法及び工場排水規制法を廃止し、これらの法律により定められました措置を抜本的に改善強化した新法を制定することにより、国民の健康の保護と生活環境の保全に遺憾なきを期することとした次第でございます。
以上がこの法律案の提案の理由でございます。
次に、この法律案の内容につきまして概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律の目的は、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出を規制すること等によって公共用水域の水質の汚濁の防止をはかり、もって国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することとしております。
第二に、排水規制は、特定施設を設置する工場または事業場から排出される水を対象として行なうこととしまして、この特定施設の指定は、製造業関係に限定することなく、広く各業種について行なうことができることとしております。
第三に、排水規制の基準は、水質汚濁の事前防止の見地からも、全公共用水域を対象として総理府令で定めることとし、さらに、この排水基準によっては水質汚濁の防止が十分でないと認められる水域がありますときは・都道府県がその条例でよりきびしい基準を上乗せすることができるよう措置したことであります。
第四に、排水基準を順守させるため、従来の工場排水規制法に準じて、特定施設の設置等の届け出、届け出事項の計画変更命令、汚水処理方法の改善命令等につき規定するほか、新たに、排出水の排出の停止命令の制度を設けるとともに、排水基準違反行為は直ちに処罰し得ることとするよう、いわゆる直罰規定でありますが、直ちに処罰し得ることとするよう所要の罰則を設けることとしております。
なお、これらの権限は、水質汚濁問題が基本的には地域住民に密接に関連する問題であることにかんがみ、都道府県知事に属せしめ、政令で定める市の長には、政令で定めるところによりこれを委任できることとしております。
第五に、異常な渇水その他の事由により公共用水域の水質の汚濁が著しくなる場合は、都道府県知事が工場又は事業場等に対して、当該水域に排出される水の量の減少等を勧告できることとしております。
第六に、公共用水域の水質の汚濁の状況を有効かつ適切に監視するため、都道府県知事は、国の関係機関と協力して水質の測定計画を作成するものとすること、水質の汚濁の状況を公表しなければならないものとすること等、公共用水域の水質の監視測定体制を整備することとしております。
第七に、経済企画庁及び都道府県に、それぞれ中央水質審議会、都道府県水質審議会を置くことといたしております。
このほか、都道府県知事の工場または事業場に対する立ち入り検査権、本法による規制と地方公共団体の条例による規制と関係等につき所要の規定を設けております。
以上がこの法律案の提案理由および概要でございます。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/7
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008・八田貞義
○八田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/8
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009・八田貞義
○八田委員長 この際、連合審査会開会の件についておはかりいたします。産業公害対策特別委員会に付託を予定されております、内閣提出、公害対策基本法の一部を改正する法律案及び細谷治嘉君外七名提出にかかる環境保全基本法案、並びに、すでに同委員会に付託されております内閣提出の公害防止事業費事業者負担法案、大気汚染防止法の一部を改正する法律案及び騒音規制法の一部を改正する法律案につきまして、産業公害対策特別委員会に連合審査会の開会を申し出ることとし、また同委員会から、ただいま提案理由の説明を聴取いたしました水質汚濁防止法案について、本委員会に連合審査会開会の申し入れがありましたならば、これを受諾することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/9
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010・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
なお、連合審査会の開会日時につきましては、委員長間において協議の上決定いたしますが、明四日午後二時より開会の予定でありまするから、御了承ください。
この際暫時休憩いたします。
午後零時二十四分休憩
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午後零時五十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/10
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011・八田貞義
○八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
通商に関する件について調査を進めます。
対米繊維製品輸出に関する問題について質疑の申し出があります。これを許します。海部俊樹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/11
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012・海部俊樹
○海部委員 ただいま懸案になっております日米繊維交渉について、ある意味では、大臣に日ごろたいへん御苦労を願っているわけでありますから、どうぞ姿勢をくずさないで、筋道をはずさないで、がんばっていただきたいという強い激励の意味を込めて、御質問を申し上げるわけであります。
極端な言い方をいたしますと、七〇年代の日本の対米外交の姿勢というものが、この日米繊維交渉によってきまってしまうのじゃないか、あるいは、これがパターンとなってずっと続いていくのではなかろうか、いろいろな意味でたいへん注目をされているのでありますけれども、私は、合意のためにいろいろ努力なさっていることはわかるのですけれども、大臣はいま、これは何が何でも合意させなければならないとお考えになっておるのか。あるいは、去る六月にこの委員会でお尋ねしましたときに大臣からお答えがありましたように、日本の国益に反する、あるいはどうしても筋が通らない、納得できないというときには、これはアグリーメントができなくてもいたし方ないとお考えになっておるのか、その辺のところを、まず最初に率直にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/12
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013・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 六月に話をいたしました結果が不調になったわけでございますが、その後に、あらためて佐藤総理大臣、ニクソン大統領が話をいたしまして、妥結を目途としてできるだけ早く交渉をするという合意ができたわけでございますので、私ども、それを指針として今回の交渉をいたさなければならないと考えておるわけでございます。それが基本的な心がまえでございます。
他方で、本件につきましては、幾たびかの国会あるいは委員会の御決議というものがございます。また、でき上がった結果は、しぶしぶでも業界に納得をしてもらわなければ規制の実効はあがらないという事実がございます。したがって、われわれが譲り得る範囲には、おのずからそういう二つの制約がございます。その制約を越えましては、かりに取りきめをいたしましても、それは実際上行なうことができない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/13
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014・海部俊樹
○海部委員 たまたま、いま大臣のお口から決議ということばが出ましたので、それに触れさせていただきますが、昨年五月九日の決議は、政府は米国政府に対し、かかる輸入制限を断念するよう強く要請すべきである、こういったことを断念するように要請しろ、これが院の決議でございます。ところが、最近の一連の新聞報道等を読んで見ておりますと、断念するように要請しておられるのではなくて、むしろ日本の業界のほうがいろいろな意味で納得できない、反対である、筋を通してほしいと言っておるにもかかわらず、見切り発車ということばができましたように、すでにある程度の案をつくって、譲歩されて、これではどうかと言ってお話し合いが進められておるわけでありますけれども、この行為自体は院の決議には反しておらないでしょうか、御見解をお承りしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/14
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015・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 断念するように要請すべきであるという御決議は、実は私ども、これは昨年のことにさかのぼりますけれども、自主規制の求めに対して、それに応じないという形で断念を迫っておったわけでございます。しかるところ、先方は断念するどころではありませんで、議会においてもっと幅の広い立法という形で問題を出してまいったわけでございますから、そういう意味では、これはアメリカの行政府の意思を越える形で問題が展開してまいりました。
そこで、本会議でも申し上げたことで、長くは申し上げませんけれども、そのような事態というものは、ガット体制そのものをこわす事態でございますから、取りきめができるのならば、法案の成立、発効について、これを阻止するために全力を尽くすというのがニクソン政権の方針であるというふうに外務大臣から承りましたので、その判断に基づきまして、取りきめをひとつ妥結すべく努力をしておるわけでございます。
そこで、見切り発車といわれる問題でございますけれども、業界としてはおのずから、業界、繊維のことを考えておればいいという立場でございますし、これは無理もないことであります。それから、どっちみち法案が成立するのであれば、自主規制をしても法案によっても、たいして選ぶところはないではないかという、これも業界としては無理もない考えかもしれません。しかしながら、政府としてはおのずから視点も違いますし、法案についての見通しも異なるわけでございまして、日本経済全体あるいは世界の自由貿易等々考えますと、おのずから業界とは立っておる観点が違ってまいります。そこで私どもが、先方の譲歩を引き出すためには、先方の提案に対してこちらも反対提案をしなければ話が詰めていけないと考えたのに対して、業界は、そういう話の道連れは断わる、こういう態度に出られた。これも業界としては無理のないことかもしれません。しかし、ほうっておきましては、譲歩に基づく交渉というものは、お互い互譲の交渉というものができませんので、やむを得ず政府の責任におきまして一案を提示して、それで交渉を始めた。
これと国会の御決議との関連でございますけれども、私ども、そうして交渉を始めましたが、いざ取りきめができるというめどがつきましたら、これを持って帰りまして、業界に、ひとつ何とか考えてもらいたい、協力をしてもらいたい、そういう段階を当然持たなければなりません。それがどうしてもできないようなことであれば、そういう交渉はやってはならぬということになるわけでございますので、いま一応離れておりますけれども、最後には戻ってこなければならないと考えております点で、御決議そのものの精神に違背しておるというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/15
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016・海部俊樹
○海部委員 最近の動きは、どうもアメリカの一九七〇年通商法案というものの審議日程にペースを合わせて、それをやめさせるために譲らなければならないのであるという、妙なにしきの御旗が七〇年法案という形になってちらちら出ておるようでありますが、私はむしろ、そういった関連性を疑われるような態度、立場での交渉はなすべきではないと思いますし、決議に違反しておるか違反しておらないかということは、時間もありませんし、水かけ論になりますのでやめますけれども、かりに七〇年通商法案が通って、大臣がおっしゃるように、それがガットの精神に対してたいへんな障害になり、ガット体制の崩壊につながるかもしれないというほど悪い法律であるとするならば、最近、米国の内部にも、いろいろな有力な人の署名原稿や新聞論調等出ておりますけれども、これなんかにも、七〇年代最大の悪法であるということが堂々と書かれておるくらいでありますので、それを向こうが通して、それによって世界じゅうの国々がそれに批判をする。ヨーロッパ諸国も、すでに報復措置等具体的に考えておるようでありますから、そういったものがガットの場に出てきて、そこでもう一回あらためて議論される場所というものを考えたほうがいいのではないかという気持ちがするのです。
これは、ただ繊維業界のためのみならず、最初申し上げましたように、日本とアメリカとの七〇年代の経済外交の一つのパターンになっては困る。立法立法といっておどかされて、強圧されると、それでずるずる譲ってしまうというのではいかにも残念だという気持ちがするわけであります。ただし、大臣がおっしゃるように、互譲によって自主規制をする、秩序ある輸出体制の確立をはかる、これはけっこうでありますし、私も認めるところでありますけれども、しかし、一体ほんとうに互譲で交渉が進められておるのかどうか、たいへん疑わしいと思うのです。失礼な言い方ですが、われ譲るという吾譲ではないかとか、譲り過ぎてしまったから誤って譲るの誤譲ではないかとか、いろいろ言われるようになってきました。
具体的に言いますと、見切り発車をされたときの政府案というものが、業界の納得と支持がないままに交渉に臨まれたのですが、それがアメリカ側に拒否された。大臣、御苦労さまに二十八日の夜は徹夜をなさったそうですが、徹夜までされて、外務大臣と通産大臣がさらに日本側の修正案をつくって、ほんとうにわがほうは譲って訓令を出されたら、今度は出先の牛場大使が、このようなものでは交渉できません、再調整してもらいたいと言って再訓令を求めてきた、こう新聞は報道しておるのであります。もしそれが事実であるとするならば、わがほうは一方的に譲りっぱなしで、しかも、徹夜までなさったこの譲歩案というものが、出先の大使から、これではとてもまとまりませんからといって打ち返されてくる。一方アメリカの案を見ると、第二次案から第三次案とありますから、確かに変わってはまいりましたが、あれの内容を検討してみると、ちっともわがほうにメリットのある譲歩はないわけでありまして、期限も五年間と言っておったのが、二年九カ月というまことに理解に苦しむ数字が出てくる。考えてみれば、われわれが一番神経をとがらしておる綿製品のLTAの周期と、ぴたっと合うような期限になっておる。あるいは品目を六品目ばかり除外したと言ってきましたが、その六品目は、毛にしろ化合繊にしろ、全部アメリカの生産に親しまないものであると言っても言い過ぎではないわけでありますから、それは何も譲歩になっていない。一方的にわれ譲る、誤り譲るという態度では、これはとてもだめだと思うのであります。
国内では業界の支持も納得もない。アメリカにぶっつけようと思ったら、出先の大使は、これではだめだからもう一回考え直してくれ、そういうような譲歩案をずるずるおつくりになっているということは、これは私は、ことばが過ぎるかもしれませんが、やや見通しが甘いのではないか、こんな感じがするのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/16
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017・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 今回、私どもが先方に提示いたしました案というものは、実は提示いたしましてから今日まで、大綱においてと申しますか、大筋においては動かしている点はございませんので、全体を弾力的にいたしますために、こまかい点ではいろいろ考えますけれども、大筋というものは、実はずるずる動いているというようなことではないわけでございます。ところが、私がそう申しますと、アメリカ側としては、おまえのほうは大綱、原則を動かしていないとすれば、譲歩していないではないかという話になってしまうのでありますから、お互いにつろうございますので、お互いに、お互いがちっとも譲っていないというようなやりとりになってしまいます。それではいけませんので、大筋、原則というものは動かさない範囲で、歩み寄れるところは歩み寄ろうではないかというのが、私どものただいまの交渉に当たっている立場でございます。
なお、再訓令を求めてきた云々ということは、これは事実ではなかったのでございまして、必要な資料等々を送ってやりませんと交渉が先に進められないと言ってまいりました。これはしごくもっともなことで、私ども、資料を送ってやろうと準備をいたしておりましたわけで、そのことが多少誤り伝えられたように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/17
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018・海部俊樹
○海部委員 時間もないようでありますから、最後に、これは質問というよりもお願いになるかもしれませんけれども。
もしかりに日本の譲歩案を米国が認めたとしましても、政府間のアグリーメントはできたとしても、おっしゃるように、日本の業界の態度はただいまたいへん硬化しておりますし、率直に言うならば、佐藤総理自身がお約束をされたのじゃなかろうかという、たいへんよくない不信感というものが業界にただよっていることも事実であります。これにまたさらに尾ひれがついていくといけませんので、誤解を解くような努力をなさることが第一であるとともに、もう一つは、業界に対して管理令等の強権発動はしないということは、再三大臣も総理も言明しておられることでありますから、管理令の発動なしにやろうとされると、どうしても業界の協力というものが、いやいやであろうが、しぶしぶであろうが、最後にはよろしいといって首を縦に振るようなものでなければできないことは当然だと思うわけであります。そういう意味で、たいへん御苦労だと思いますが、大臣、姿勢をおくずしにならないように、筋を通して日米関係というものの新しいパターンをつくっていただく意味においても、譲るべきものは譲るが譲れないものは譲らないということを強く御主張されて、われわれ自身がほんとうに納得できるような交渉をお続けいただきたい。このように希望するわけであります。
時間が過ぎましたので、私は希望だけを申し上げて、これで終わりといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/18
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019・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 御趣旨を体しまして交渉に当たりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/19
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020・八田貞義
○八田委員長 中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/20
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021・中村重光
○中村(重)委員 政府は、繊維交渉が手詰まりになっておる、これを打開しなければならないということから、業界が反対をしている——いままた海部委員も指摘をいたしておりましたが、委員会の決議、本会議の決議があるわけであります。また、先般の委員会では商工委員長から、現在進めている方向はどうも決議の趣旨に沿っていない、十分それらの点を考え、委員会の決議の趣旨を尊重する、そういう方向で努力をしろという注意喚起もあったわけですが、それにもかかわらず、そうした点を無視して最終案という新しい提案をされたようでございますが、それはどういうことからそうなされたのか、その点を伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/21
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022・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 最近いたしました提案の考え方は、多少技術的になりますがお許しいただきたいと思いますのは、輸出の伸びを考えますときに、数個の要因があるわけでございまして、一つはワクとしての伸び率でございます。それからもう一つは、グループの間のやりとり、シフトと俗に申しております。それから基準年次をどこにとるかによりましても異なる。さらに、前年の未達分をこちらへ持ってくる、いわゆるキャリーオーバーということがあり得ますし、また、翌年の分を一応ことし借りておくというキャリーインということも考えられるわけでございます。それらの要因はお互いに函数関係になりますので、一つをきめましても他が動けば、また答えは動いてくるということになります。
そこで、そういう議論をいつまでもやっておりましても、これはとめどがございませんので、むしろ、実質の伸びをどれだけにするか、それらがゼロであるのか、マイナスであるのか、あるいはプラスであるのか、そこのところが合意に達するならば、あと五つの函数というものは、専門家がはじけばおのずから答えは出てくるわけでございますので、そういう実質の伸び率をどう考えるかということで議論を進めることが、早くもあるし、また有効ではないか、こういうことを訓令いたしたわけでございます。
このこと自身は、従来のたてまえをくずすとかなんとかいうことではございませんで、交渉を進めるための最も有効な方法ではないかということで訓令をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/22
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023・中村重光
○中村(重)委員 なるほど大臣お答えになりましたように、日本側が反対提案をいたしておりました十七品目、六ワクですね、その数字は変わっていない。ですけれども、新聞報道によってもうかがい知ることができるわけですが、内容的には、基準の年次であるとか、方法であるとか、いろんな面において相当譲歩をしておるように感じるわけですね。
特に、いま大臣はお答えになりませんでしたけれども、私が指摘したいことは、六ワクの内部に協議条項というのですか、協議方式というのを取り入れたという点は、私は相当大幅な譲歩ということが言えるのではないかと思うのです。この点に対して、時間の関係がありますので、具体的に私が考えておりますことを申し上げてお答えをいただくことはできないわけですけれども、どうしてこうした協議方式を入れたのか。この協議方式を取り入れた場合において、アメリカが一方的に、このワク内におけるところの操作というようなものを押えてくるという形にならないかのかどうか、それらの点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/23
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024・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 どうしてというお尋ねであるわけでございますけれども、一つのグループの中に数品目のものが入っております。その中には、非常に数量的に大きいものもございますし、小さいものもございます。そこで、有効需要等の変化に伴って、その中のあるものが非常に大きく伸びるということは考えられるわけでございます。むろん、それがワク全体を突き抜けるということはないはずでございますけれども、他人のシェアを食って、ことに小さいものは、五倍になるとか六倍になるということは、十分に考えられるわけでございます。そういたしますと、その点についてアメリカ側は、いわゆる特定の品目の急増、被害または被害が生ずるおそれがある、そういうことは起こり得るという主張をしておるわけでございます。私どもは、グループ全体の数量を越えることはないわけでございますから、そういうことは、理屈の上ではともかく、そうめったには起こらぬではないかということを言っておるわけでございますけれども、これは理論的には見解が分かれることになります。
そこで、かりに万が一そのようなことがあればアメリカが処置をするということは、これはガットの原則でございますから、それは認めてもよろしい、しかしわれわれもガットの原則に従って行動する、こういうようなやりとりをいまやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/24
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025・中村重光
○中村(重)委員 アメリカの主張というものは、ふえる点だけを言うわけですね。ところが実際は、大臣いまお答えになりましたような総ワクの問題もありましょうし、逆に減る場合もある。したがって、そのワク内におけるところのシフト、その点によって結局これを融通し合うということになろうと思うのでございますが、そういったことによって輸出をふやしていくということになるわけです。それを、アメリカ側がシフトを一方的に押えるということになってくると、実質的に輸出が減少するという結果にならないのかどうか。
それから、いま大臣が、これはガットの精神だからとおっしゃった。問題は、ガットの精神に沿ってすべてが進められておるならば、そうしたアメリカの言い分は通ると私は思う。アメリカ自体が、ガットの精神を無視してゴリ押しをいまやっておる。そのことによって、アメリカが主張しておることはガットの精神だからといって、その面だけを受け入れるということは、あまりにも屈辱というのか、屈服というのか、これはどだい委員会等におけるところの議論にすらならないように私は思う。
問題は、両国の協議が三十日以内にまとまらなかった場合には、アメリカが一方的にこれをきめることができると新聞には報道されているのでありますが、そうなってくると、私が指摘いたしましたように、実質的に輸出が減少するということになるであろう。この点が、最終案なるものに業界が反発をしておるということでもありましょうし、私どもも納得できない点であるわけであります。そういったような場合に、日本側としては、求償権であるとか、あるいは報復権というものがあるのかどうか。また、そのような、筋が通らない、一方的なゴリ押しに屈服するということが、差しつかえないというようにお考えになっていらっしゃるのか。その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/25
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026・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 前段にお尋ねありました点は、そのとおりだと思っております。
後段の問題でございますけれども、結局、アメリカ側が自主規制を求めてきて、われわれとしては、被害または被害が生ずるおそれがあるであろうと思われる一定の品目を選び、それについての自主規制に応じようとしておるのでございますから、さらにそのワクの中でいまのような事態が起こるという議論は、かなりこまかい議論でありまして、しかも私どもは、そういうことはそうめったに起こるものでないと言っておるのでありますけれども、先方は、そこのところもひとつ何か道を見つけておきたいというのでございますから、それならば、もうそれはガットの精神に返りましょう。やや突っぱなしたような言い方にもなりますけれども、私どもはそう申しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/26
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027・中村重光
○中村(重)委員 それでは、向こうがガットの精神によって一方的にきめるという、こちらはガットの精神によってまたそれに対応する措置を講ずる。具体的にどのようなことをお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/27
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028・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 当然御了解のことでございますけれども、一つのワクの中でのさらに万一の場合というできごとについてのこれはお話でございますが、このとりきめそのものが、わが国としてガット上の権利を放棄したものではございませんし、いわばこれでもガットの精神のワクの中というふうに考えなければならないわけでございましょうから、われわれとしては、当然ガットにおいて与えられている権利を行使する、その権利を留保する、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/28
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029・中村重光
○中村(重)委員 どうも私は、大臣のお答えを聞いておりましても、納得いかないわけです、基本的な問題からずっと議論をしていかなければ。そうした基本的な問題、アメリカのゴリ押しということをたな上げにしてしまって、そうした末梢的な問題というようなことで、大した問題が起らないであろうというような、そういう形で問題を片づけるということでは、業界はとうてい納得いかないし、私どももまた、決議をいたしました趣旨にも沿わないということになろうと思います。ですけれども、時間の関係もありますから、あらためてまた、それらの問題についてはお尋ねをしなければならぬと思います。
なお、先ほど、牛場大使に訓令をしたということについてのお話がありましたが、たとえば実質ベースではどの程度になるのか、そういったようなことによって、あまりいろいろなこまかい点というのか、個別的な問題というようなことは一応おいて、そして、基本的な点について話し合いがつくならばという意味の訓令をされた、それが新聞に伝えられているいわゆる暫定合意であろうと思うのです。暫定合意をした場合、これからの交渉に何らかの拘束というものが出てくるような感じが私はしてならないのです。それらの点に対しては、別に心配はないというふうにお考えになっていらっしゃいましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/29
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030・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 暫定合意という表現、私も見ましたが、これはあまり正確な表現ではないと思います。私どもがやろうとしておりますことは、先ほども申し上げましたように、とにかく、実質上の伸びはどのくらいを妥当と考えるか、そこで合意ができるならば、あとの五つか六つの函数関係にありますファクターは、両方の専門家が統計を突き合わせてやっていきますと、おのずからこれは出てまいるわけです。いろいろな組み合わせがございますけれども、答えさえ動かないところに置いておけば、その組み合わせの中で、どれが一番お互いに都合がいいかということを考えればよろしいわけでございますから、これはいわば専門家の仕事におろせばいい。だからそのものは、答えを出してさえおけばそれでいいではないかと申しておりますので、それはそういう意味では暫定ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/30
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031・中村重光
○中村(重)委員 しかし、個別の問題でも議論がなかなかやかましいわけですね。そしてなかなか一致しないわけです。それだからそれらの問題をあと回わしにするということは、やはりこれは問題であろう。さらに譲歩を迫られるという形になるのではないか。
暫定合意というようなことは適当な表現ではないとおっしゃるわけですが、いずれにしても、個別的な、そういう時間のかかるような交渉、なかなか一致し得ないものはしばらくおく、そしていま言った基本的に意見を一致させるということ、これが必要である、そういうことでございますけれども、やはり、問題であるそういう個別的な面において譲歩を迫られることは、これは間違いないのではないか。しかも、そういう解釈の方法というものを日本側が提案をしたのであるから、その提案者である日本は、道義的に、そうした個別的な非常に複雑な問題についてのお話し合いの際に、譲らなければならないような立場に追い込まれるような感じがしてなりません。それらの点に対しては、大臣は、そうではないというようにお考えになっていらっしゃいましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/31
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032・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 暫定ということが、そういう意味では私は、正確ではない、むしろやや誤解を招くのではないかとすら思うのでございます。たとえばシフトでございますとか、キャリーオーバーでございますとか、おのおののファクターをどれだけ議論いたしてみましても、それ自身では全体の伸び率がどうなるかということは出てまいらないわけでございますから、五つなら五つのファクターを一つ一つ議論をいたしておりましても、これはとめどがない議論にある意味ではなるわけでございます。それでございますから、函数関係にある五つを組み合わせました答えのところを、しっかり合意で押さえておけば、あとそれをどういう組み合わせでその答えに持っていくかということは、これはもう全くある意味で職人の仕事と申しますか、専門家の仕事になるはずなので、そこのところがわかれば、これは提案としては、しごく筋道の通った、しかむ事柄を促進する提案ではないかと思っております。その答えは、一度合意いたしましたらきまってまいりますから、その意味では暫定的な要素はそれにはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/32
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033・中村重光
○中村(重)委員 私はそうは思いません。ですけれども、それを議論しておったのでは、時間が何ぼあっても足りません。
先ほど申し上げましたように、両国の間の要するに協議方式というものが、取り入れられようとしている。しかも、両国の協議がまとまらなかった場合は、大臣のことばをして言わせれば、ガットの精神によって一方的にアメリカがこれをきめていくのだ。そういったような問題等々によっても明らかになっているように、私は、話のつかないいわゆる個別的ないろいろな問題、その点については相当重要な問題点が将来生じてくるであろう。大臣がお答えになったように、組み合わせというのは、技術的な問題、職人の仕事、そう簡単なものではないように考えます。
しかし、いずれにしても問題は、いま日本側が反対提案——大臣は、今回の最終提案というものはこれは別に譲歩したものではない、こうおっしゃったわけですが、いずれにいたし、ましても、もうこれ以上は譲歩をしない、いまやっていることが譲歩の限界であるというように理解してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/33
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034・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 先ほど海部委員に申し上げましたような制約がございますので、大筋においてこれをもう一ぺん何かたいへんに考え直すといったような余地は、私はきわめて乏しいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/34
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035・中村重光
○中村(重)委員 少なくとも答弁においては慎重であるということはわかるわけですよ。ですけれども、やはり日本政府として、国会の決議もあるのだ、しかも、いままで業界の反対を押し切って一方的に妥結することはあり得ないということを明言してこられたのです。しかし、現におやりになっていることは、どんどん変わってきつつあるということです。それは少なくとも海部委員指摘のとおりだと私は思う。したがって、もうそれ以上のことはあり得ないのだというように——それは表現の問題で、実際はお尋ねしたことと同じような意味になるのかもしれませんけれども、そこらあたりは明確にお答えになる必要があるであろう。あいまいな答弁というようなものは、私はさらに譲歩を重ねていく結果になるということをおそれるわけです。
それから、この前の委員会におきましても、なぜに譲歩をするのか、なぜに何が何でもいま妥結をさせようとするのかということに対しましては、一九七〇年新通商法を何としても阻止したい、そういうことから交渉を精力的に進めておるのだというお話があったわけです。あれからだいぶ情勢が変わってまいりましたからいま一度お尋ねをいたしますが、交渉が妥結をする、日本側がいまのように譲ってきたということになってまいりますと、一九七〇年新通商法は成立を阻むことができるというようにお考えになっていらっしゃるかどうか。その点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/35
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036・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 これは、最終的には外交当局の判断に待つわけでございますけれども、少なくともこの取りきめができるならば、ニクソン大統領としては、新通商法の成立発効を阻止するために全力を傾ける、こういう意向であるというふうに外交当局は判断をいたしております。私ども、それに基づきまして今回の交渉をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/36
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037・中村重光
○中村(重)委員 業界は、いま申し上げましたように、相当この最終案なるものに対して反発をしているようです。まあ表現は違うかもしれませんけれども、その内容すら検討する必要はないというような実に強い反対意向である。これは、業界が納得をしなければ強権発動はしないというお答えをいままでしてこられたわけですから、その考え方にお変わりはないと私は思います。したがって、いままで御答弁になったように、業界が反対をしてどうしても了承をしないという場合に強権発動はしない、それから最終案に対して業界の了承を取りつけ得るというようなお考えがあるのかどうか。まあ了承を得れば強権発動なんというものは起こってまいりませんけれども、時間の関係もございますから、その点についての見通し、また考え方というものを、この際明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/37
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038・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 強権発動云々につきましては、総理大臣が本会議で御答弁になりましたとおりでございます。
そこで、先ほども申し上げましたように、取りきめを交渉いたしますときに、私どもとして、とうてい業界がこれでは納得しないという種類の取りきめをするわけにはまいらないわけであります。これならば不承不承でも納得してくれるであろうというところでとまらなければならないわけでございますけれども、その見通しが正しいか正しくないか。これは非常に正確に申せば、何としてもひとつ持って帰って業界と話をしてみなければわからないということになってまいりますから、交渉をいたしますときに、よほどそこを用心しておかないとならぬと思います。また、アメリカ側にもその事情ははっきりさせておきませんと、外交上きずが残ることになりますから、これはしばしばはっきり先方には申し伝えてあるわけでございます。
業界の説得でございますけれども、これはでき上がる取りきめいかんでございますが、私は決してその点、楽観はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/38
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039・中村重光
○中村(重)委員 アメリカ側に対しては、新聞報道によりますと、業界が納得し得るような線でなければ妥結はできないのだというように、交渉の際話をしておられるようです。ところがアメリカ側としても、日本政府が業界が納得しないまま交渉を進めておるという事実は知っているわけですからね。したがって、交渉は妥結しても、業界が納得するか納得しないかわからない、ともかく納得するように努力はいたしましょう、万が一しなかった場合に強権発動はやることができないのだというふうに、アメリカ側に対しては話をしていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/39
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040・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/40
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041・中村重光
○中村(重)委員 それから、これは最後のお尋ねになりますが、最終案に対して、アメリカはこれを了承する、両国の間に妥結し得る見通しを持っていらっしゃるのでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/41
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042・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいまの段階は、私どものそういう提案を、先方が説明を求めて一応検討をしてみようということになっておるわけでございまして、かなり技術的な問題でございますので、おそらくフラニガン氏自身が、自分だけで判断ができなかったものと見ております。そこで、しかるべき検討をいたすのでございましょうが、その結果、基本的にどういうふうに反応してまいりますか、次回の会談をやってみませんと、いずれとも申し上げにくい、見当がつきにくいというのが、ただいまの段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/42
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043・中村重光
○中村(重)委員 それはわかるのですよ。しかし、反対提案をし、しかもこれは最終案だという形で、日本側が進んで局面打開のために御提案をなさったわけですね。本来そういう場合は、いま大臣がお答えになったような技術的な面ではなくて、要するに高度の政治的な判断によるところの決定、こういうように大きく局面が変わってくるというようなことを、最終案という形で新しい御提案をなさったということについては、お考えになっておったのではなかろうか。少なくともそれだけの、ある程度の確信というようなものを持って御提案になったのではないかと思うのでございますが、いま大臣がお答えになったように、いまやっているのは、わが方は牛場大使がおやりになっておる、アメリカ側は大統領補佐官がおやりになっているわけですから、これは事務ベースでやっている、そのことはある意味では技術的な面の交渉にすぎない、こういうことですが、そういうようなことでなくて、ある程度の見通しの上におやりになったのではありませんか、妥結し得るかどうかということについては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/43
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044・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 先方が申しております事情は、先方にも繊維業界が、御承知のようにあるわけでございまして、この程度の案であるならばむしろ新通商法の成立を期するほうが有利である、先方の業界は当然そう考えるわけでございますので、わが国とは全く事情は違いますけれども、先方の交渉者自身も、この法案を頭に置きますので、業界との関連をある程度考えなければ自分一人で決断ができない・こういう事情にございますようであります。そういうことがございますので、ひとつよく検討したいと申したのであろうと考えておりますが、私の立場で申しますと、こちらの出しました案は、現在の環境のもとでこの問題を解決する最善の方策ではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/44
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045・八田貞義
○八田委員長 近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/45
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046・近江巳記夫
○近江委員 二十九日の政府首悩会談で、わが国の譲歩を織り込んだ総合的な新提案がきまったと聞いております。規制実施後の輸出伸び率を初年度九%に落とすという報道を聞いておるのですが、この案の作成段階で、五%から九%の中間が妥当と考えられるというような意見も、若干出たように聞いておるわけです。政府として、今後伸び率を九%以下にすることが交渉妥結のために必要であるというようなお考えがあるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/46
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047・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 これは案の内容に触れることでございますし、それもきわめて具体的な点に触れるお尋ねでございますので、それに対してまっすぐにお答え申し上げることは、どうぞお許しをいただきたいと考えておりますが、私どもがある割合を提示いたしましたのは、アメリカにおける消費の伸びでありますとか、生産の伸びでありますとか、世界全体におけるこのような品物の生産の伸びでありますとか、あるいは世界貿易全体の毎年の伸びでありますとか、そういうことを頭に置きながら提案をいたしましたわけでありますから、私はただいまのところ、これはこの環境のもとでは最善の提案だというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/47
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048・近江巳記夫
○近江委員 この繊維問題が解決をすれば七〇年通商法案が阻止できるか、こうした問いも先ほどあったわけでありますが、そこで、ニクソン大統領のそうした拒否権といいますか、それに期待をかけておるというような御発言があったわけですが、その裏づけといいましょうか、大臣がお答えになった以上、やはりそれを確信できる何らかのそうした約束といいますか、具体的なそういう事実があったわけでありますか。その辺をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/48
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049・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 これは、佐藤総理とニクソン大統領との間でそういう約束があったというようなことは聞いておりませんし、また事実問題として、議会のいたしますことでございますから、大統領といえども、そこまで踏み込んで約束のできる筋合いではなかろう。したがって、こちらからそれを求める筋合いでもなかろうと考えますが、外務大臣がそのときにちょうど現地におられたわけでございますので、各方面の情報あるいは人の話等を聞かれて、総合的にそのような判断をされたわけでございますので、私どもとしては、それがいま私どもの持ち得る最上の判断であるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/49
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050・近江巳記夫
○近江委員 この繊維交渉であまり譲歩した自主規制案をわが国が受けるとなりますと、今後、鉄鋼等も期限切れが迫っているのじゃないかと思うのですが、そうした再交渉に非常に大きな影響を与えていくのじゃないか。その点を非常に心配しておるわけですが、その点、大臣としてどのようにお考えか、簡潔にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/50
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051・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ちょっとお尋ねの意味がもう一つはっきりいたしませんでしたが、鉄の問題もある、あるいは金属の洋食器の問題もある等々、そういうことが、この取りきめができないときによくない影響を受けるのではないかと言われますならば、その心配はあろうと思います。逆に、繊維の取りきめができたら同じようなことがほかに波及するのではないかという意味でございましたら、これは、繊維だけは特別な問題である、いわゆるスペシャルケースであるということを、しばしばニクソン大統領自身が言っておりますし、これははっきり両国間にそのように了解されておりますので、私はそのような心配はないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/51
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052・近江巳記夫
○近江委員 今回のこの繊維問題については、EEC等も、かなりきびしくこのアメリカの態度等を見ておるということも私は聞いておるわけですが、日本のこの交渉の態度につきまして、あくまでも世界のそうした協力を得られる、そういう中で行なわなければならない、そうした場合に各国の支援体制といいますか、そういうものがどうなっているかということであります。
さらにまた、ガットの場であくまでも解決していくべきである。しかしながら、この十九条からまた二十二条に後退をしていくというような、そういう状態を考えましたときに、今後、国際的なそうした場としてOECDなどが考えられるわけですが、OECD等における活用、これについては、政府としてはどのようにやってこられたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/52
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053・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 先般EECからダーレンドルフが参りまして、私とかなり長いこと話をいたしましたが、EECの立場は、何とかこの取りきめを妥結させてほしい、何とか日米間で取りきめてほしいという立場でございます。そして、それについてEECが支援できることがあれば、支援するにやぶさかでないということまで申しておりました。私は故意にその意味をさらに突っ込んでは聞きませんでしたが、基本的にはそういう態度と考えております。
それで、後々ガット、OECDというようなお話でございますけれども、これはごもっともだと思います。つまり、いまの非常に異常とも思われるアメリカの空気というものを、一度この場でおさめましたあと、やはり基本的に保護主義というものはあるわけでございますから、そういうことでは困るではないか、われわれは新しいことを考えなければならぬではないかということは、いま言われましたような場において、冷静に、落ちついて議論をし直さなければならない。現在のことではございませんが、そういう段階がなければならないと私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/53
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054・近江巳記夫
○近江委員 繊維交渉のそうしたむずかしい状態、さらに現在非常に大きな影響を業界も受けておりまして、私たちといたしましても、党で調査団を福井とか愛知方面にも派遣をいたしまして、実情調査をやってきたわけです。
そうしますと、きょうは時間がありませんので簡単に申し上げますが、第一点は、非常に先行きが不安のために、商社、メーカーとも製品のストックを減らす方向で、下請の中小企業に対する発注が激減しておるということです。第二に、そのために、業者は仕事がほしいために、採算のとれない無理な工賃で受注するしかないという、せっぱ詰まった状況に追い込まれておる。第三に、銀行の中小企業に対する融資がきわめてきびしい選別融資になってきたために、資金難におちいっておる。その他こまかいいろいろなことがあるわけでございますが、そういう要素がからみまして、倒産が続出しておるし、非常に赤字が続出しておるし、人員整理が続出しているという状態にいま追い込まれておるわけでございます。
そこで、大臣にお聞きしたいのですが、こうした業界の救済ということについて、総理の指示に基づいていろいろな救済策を練っておられる、このように聞いておるわけですが、特に年末等も控えておりますし、そうした短期、あるいはこれからの時期にかけた問題等、いろいろ考えた場合、こういう業界の苦境に対してどういう対策をもって当たろうとしておられるか。
聞くところによりますと、当初滞貨買い上げのために財政資金として三百億支出構想が、大蔵省の反対で姿を消してしまった。通産省の案でも、せいぜい滞貨金融に対する利子補給程度、資金量五十億くらいじゃないかということを聞いておるわけでありますが、この年末等も控えた今日、その点、何としてもこうした業界を救済しなければならないと思うわけです。具体策についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/54
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055・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 もともと弱い業界でございますところへ、昨年からの金融引き締めがかなりききまして、そしてこの問題の先行き不安ということが重なりまして、ただいま仰せのようなことが起こっております。私も実は産地にも参りまして、非常に心配をいたしておりますが、かりにこの取りきめができましたときの救済ということになりますと、何よりも先に、まず業界が何を望むかということをとっくり聞きまして考えなければならないわけでございますけれども、いまの段階は、業界が、そういうことはいわゆる条件闘争のような印象を与えますので、一切言ってきてくれません。したがって、いろいろなことは私どもも考えておりますけれども、具体的にただいま申し上げることはできません。
それから、年末のことでございますが、これはやはり、これらの業界が一番縁の深いのは、商工中金、中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫というところでございますので、今回、年末融資のワクをふやしましたときに、この人たちのことを考えまして、特別にそういう配慮をいたすことにしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/55
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056・近江巳記夫
○近江委員 時間がありませんから、これで一応終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/56
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057・八田貞義
○八田委員長 川端文夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/57
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058・川端文夫
○川端委員 時間がないようですから、一、二点だけお尋ね申し上げて、明確なお答えをお願いしたいと存じます。
六月に宮澤通産大臣もアメリカに出かけられて、決裂してお帰りになったときの決意も、この委員会等で聞いたわけです。しかし、今度の再びの交渉の中には、やはりニクソン・佐藤会談の中から生まれてきている政治的な問題もあるわけです。しかし、先ほどからお話がありますように、業界の合意を得ないまま見切り発車というか、見捨て発車というか、そういうことばも出るくらいな、かなり譲歩する立場に立っての交渉を始められておる現実をわれわれは知っておるわけです。この現実の上に立ってなお心配になるのは、もし、大臣なり総理大臣が常々おっしゃっている、互譲の精神によって日米関係を改善していこうというならば、互譲というものは一方的な譲歩であってはならぬはずであるし、もし一方的な譲歩を押しつける場合においては、再び決裂もやむを得ないという決意をお持ちの上であるのか。もう一つは、七〇年通商法案の通過をあくまで阻止するためにもつと強い譲歩をもやむを得ない、というところで交渉を進められておるものか。その決意をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/58
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059・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 総理大臣と大統領が、妥結を目途として取り急ぎ交渉しようという話をしたのでございますから、私どもはその方針に忠実でなければならないと思います。今日までそのつもりでやってまいりました。しかし、先ほどから申し上げておりますように、国会における決議、そしてまた、業界自身が納得をしてくれなければ、強権は使わないということを申し上げておるわけでございますから、こうやればこの話はまとまるんだがなと思いましても、これは絶対に業界が承知してくれないだろうという話は、しても意味がない、するわけにいかぬわけでございます。そういう意味で、私どもはどこまでも譲れるというような立場にあるわけではございませんので、その制約の中でしか話ができない、こういうふうな実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/59
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060・川端文夫
○川端委員 そうであるとすれば、再び決裂をすることもあり得るというふうに承っておいていいわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/60
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061・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいま善意と誠意をもって交渉をやっておるわけでございますし、私がここでいろいろ申し上げますことは、当然先方にもすぐに伝わると考えておかなければなりませんので、先ほど申し上げましたところから御了察を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/61
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062・川端文夫
○川端委員 総理大臣に直接聞いたわけではありませんから、ここでは世間に流布されている一面を申し上げて、もう一ぺん大臣の決意をお聞きしたいわけですが、言うならば、ニクソン・佐藤会談の中においてすでにアメリカ案というものが示されておった。したがって、今日の交渉再開にあたって、いろいろ日本が譲歩したように内容を持っていきましても、大統領補佐官がこれを打ち消して問題にしていない。大局的にはもうきまっているんだから、あまりそういうようなテクニックは要らぬぞ、というような強い態度を示しておると伝えられておるわけです。そこで、伝えられるところによれば、宮澤通産大臣は佐藤さんの犠牲になって、国内の業者向けに努力の姿を示しておるにすぎないではないか、こういううわさすら立っておることを私耳にして、はなはだ宮澤大臣に対しては気の毒だという感じも持つわけですが、この辺のところを、もしやむを得ない場合においては再度決裂もあり得るということをここで御明言願えば、安心して私はこの質問をやめるのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/62
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063・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 アメリカ側の提案は、十月の末に佐藤・ニクソン会談がございまして、それから何日あとでございましたか、アメリカの選挙後でございましたから、かなりあとでございますが、出てきたものでございまして、そのようなもので事前に両首脳の間で了解されておったということは一切ございません。
決裂云々につきましては、先ほども申し上げましたような事情にございますので、先ほど申し上げました答弁から御了察を賜わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/63
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064・川端文夫
○川端委員 それでは、佐藤総理がアメリカに行かれた当時、全然内容的には話し合いを御存じなくて、善意と友好というだけの姿においての将来の交渉再開を話されたと素直に受け取っていいのかどうか。きょうのアメリカの態度に対しては、どうしてもその点は納得できません。したがって、きょうは時間がありませんから、次の機会にもう一ぺん承ることにして、そこの辺のところは、どうも大臣の話を聞いておりましても、吹っ切れたお話を承れないことを遺憾に思いますけれども、質問を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/64
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065・八田貞義
○八田委員長 この際、浦野幸男君外三名から中小企業の年末資金の確保に関する件について、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる決議を行なうべしとの動議が提出されております。
本動機について議事を進めます。
まず、提出者より趣旨の説明を求めます。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/65
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066・中村重光
○中村(重)委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党、及び民社党共同提案にかかる決議案について、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
中小企業の年末資金の確保に関する件(案)
最近の中小企業は、内外のきびしい経済環境の変化に対応するため、苦しい資金繰りに追われており、金融引締めの緩和にも拘らず、依然として金融のひつ迫になやみ、中小企業の倒産も増加している。このため、この年末における中小企業の資金確保は、極めて深刻な問題となつている。
よつて、政府は次の諸点について特段の措置を講ずべきである。
一、政府関係中小企業金融機関に対し、中小企業の越年対策に十分実効が期せられるよう年末金融につき資金の確保と指導を行なうとともに、民間金融機関に対しても同様の趣旨にそい要請を行なうこと。
二、官公需に関する支払を迅速に実施するよう求めるとともに、民間大企業に対し中小企業に対する適正な支払の促進方を強力に要請すること。
三、中小企業信用補完制度の運用については、中小企業者の取引きの実態を十分配慮し、中小企業に円滑な金融が図られるよう特段の配慮を払うこと。
四、歩積両建等拘束預金についてその取崩し等指導監督を強化し、その改善を図るよう強力に指導すること。
右決議する。
以上であります。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/66
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067・八田貞義
○八田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
浦野幸男君外三名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/67
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068・八田貞義
○八田委員長 起立総員。よって、浦野幸男君外三名提出の動議のごとく決しました。
ただいまの決議に対し、政府から発言を求められております。これを許します。宮澤通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/68
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069・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいまの決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして善処いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/69
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070・八田貞義
○八田委員長 なお、本決議の関係方面への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/70
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071・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次回は、来たる八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106404461X00119701203/71
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