1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十五年十二月十日(木曜日)
午前十時四十五分開会
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委員の異動
十一月二十五日
辞任 補欠選任
藤原 房雄君 宮崎 正義君
十二月十日
辞任 補欠選任
小林 国司君 津島 文治君
任田 新治君 矢野 登君
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出席者は左のとおり。
委員長 園田 清充君
理 事
亀井 善彰君
高橋雄之助君
村田 秀三君
沢田 実君
委 員
河口 陽一君
久次米健太郎君
小枝 一雄君
鈴木 省吾君
津島 文治君
森 八三一君
矢野 登君
北村 暢君
中村 波男君
向井 長年君
河田 賢治君
国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
政府委員
農林政務次官 宮崎 正雄君
農林省農政局長 中野 和仁君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○農薬取締法の一部を改正する法律案(内閣送
付、予備審査)
○農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案(内
閣送付、予備審査)
○連合審査会に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/0
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001・園田清充
○委員長(園田清充君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十一月二十五日、藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として宮崎正義君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/1
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002・園田清充
○委員長(園田清充君) この際、理事の補欠選任についておはかりいたします。
委員の異動に伴い理事に一名欠員を生じておりますので、この際理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/2
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003・園田清充
○委員長(園田清充君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に沢田実君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/3
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004・園田清充
○委員長(園田清充君) 農薬取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/4
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005・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 農薬取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
わが国においては、多様な気象条件のもとで多くの種類の農作物が集約的に栽培されているため、病害虫等の種類が多く、かつ、それらによる被害も大きいものがあります。
このため、わが国の農業にとりましては、その生産を安定させる上で農薬の使用は欠くことのできないものでありますが、反面、近年において農薬散布中の事故の発生や農作物等への農薬の残留等の問題が生じてまいりました。
このような問題に対処するため、制度的な整備を行なうこととして農薬取締法の一部を改正することとした次第であります。
次に、法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一は、農薬取締法は、農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用の確保をはかり、もって農業生産の安定と国民の健康の保護に資するとともに、国民の生活環境の保全に寄与することを目的とする旨を定めることといたしております。
第二は、登録制度についての改正であります。
まず、農作物等や土壌の汚染または水質の汚濁が生ずるおそれがある農薬につきましては、登録を保留して品質改良等の指示を行なうことができることといたしております。
次に、登録を受けた後に農薬の使用により農作物等や土壌の汚染、水の汚濁等が生ずると認められるに至ったときは、その農薬の使用方法等を変更する登録をし、または登録を取り消すとともに、要すれば販売業者に対し、その農薬の販売を制限し、または禁止することができることといたしております。
第三は、農薬の使用を規制することができる場合を拡大することといたしております。
まず、その使用方法等のいかんによっては農作物等または土壌の汚染が生ずるおそれがある農薬を作物残留性農薬または土壌残留性農薬として指定し、これらの農薬は、農林大臣が定める基準に違反して使用してはならないことといたしております。
次に、一定の条件のもとでは水産動植物の著しい被害または水質の汚濁が生ずるおそれがある農薬を水質汚濁性農薬として指定し、この農薬の一定地域における使用については、都道府県知事の許可を受けなければならないことといたしております。
第四に、農薬の使用に関し、使用者が順守することが望ましい基準を定めることといたしております。
以上のほか、所要の規定についての整備を行なうことといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/5
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006・園田清充
○委員長(園田清充君) 次に補足説明及び関係資料の説明を聴取いたします。中野農政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/6
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007・中野和仁
○政府委員(中野和仁君) 農薬取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容について御説明申し上げます。
第一に、第一条として追加いたしました農薬取締法の目的について御説明申し上げます。
農薬取締法は、農薬の品質の保全を目的とした取締規定を主たる内容として昭和二十三年に制定され、今日に至っているのでありますが、最近における残留農薬対策の重要性にかんがみ、残留性の著しい農薬についての取り締まりの強化等に関する規定を整備することに伴い今回本法の目的規定を新設することとし、農薬取締法は、農薬の安全かつ適正な使用の確保をはかり、もって農業生産の安定と国民の健康の保護に資するとともに、国民の生活環境の保全に寄与することを目的とする旨を明らかにすることといたしております。
第二に、登録審査の強化に関する第二条及び第三条の規定の改正について御説明申し上げます。
農薬の登録に際し、その残留性等に関する審査を強化することとし、登録を申請する者は残留性等に関する試験成績を記載した書類を提出しなければならないこととするとともに、検査の結果、登録を保留して品質の改良等を指示することができる場合として、次の場合を加えることといたしております。
その一は、その農薬が申請書に記載された使用方法等に従い使用された場合に、農作物等の汚染が生じ、かつ、その汚染した農作物等の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるときであります。
その二は、その農薬が申請書に記載された使用方法等に従い使用された場合に、農地等の土壌の汚染が生じ、かつ、その汚染により汚染される農作物等の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるときであります。
その三は、その種類の農薬が、申請書に記載された使用方法等に従い一般的に使用された場合に、その使用に伴うと認められる水質の汚濁が生じ、かつ、その汚濁された水等の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるときであります。
第三に、職権による変更の登録及び登録の取り消しに関する第六条の三の規定について御説明申し上げます。
この規定は、農薬が登録を受けた後に、登録にかかる使用方法等を順守して使用された場合にもなお人畜に対する被害、農作物等または土壌の汚染、水質の汚濁等が生ずると認められるに至った場合には、その農薬が引き続き使用されることによる被害等の発生を防止する上で必要な措置を講ずることができるよう新たに設けられたものでありまして、この規定の運用により、その使用方法等を変更して農薬の安全な使用を確保するとともに、使用方法等の変更によってはその使用に伴う安全を確保し得ない農薬については、その登録を取り消すこととしております。
第四に、登録に関連する手続の整備を行なうこととしております。
まず、その一は、第五条の二の規定を新設し、登録を受けた者について相続、合併、事業の譲り渡しがあったときには、その地位の承継について規定したことであります。
その二は、第六条の規定を改正し、農薬の製造業の廃止等一定の場合に農林大臣に届け出なければならないこととしたことであります。
その三は、登録が失効する場合についての第六条の五の規定、登録票を返納しなければならない場合についての第六条の六の規定、及び登録した場合等における公告についての第六条の七の規定を整備することとしたことであります。
第五に、販売業者についての農薬の販売の制限または禁止についての第九条の改正について御説明申し上げます。
この規定は、変更の登録または登録の取り消しの措置を定めることといたしたことに対応して新たに追加することといたしたものでありまして、農薬の登録の取り消し等の措置を講じた場合等に、農薬の使用に伴う被害等の発生を防止するため必要な範囲において、販売を制限し、または禁止することができることといたしております。
第六に、農薬の使用の規制について定めております第十二条の二、第十二条の三及び第十二条の四の規定について御説明申し上げます。
まず、第十二条の二及び第十二条の三の規定は、農作物等または土壌についての残留性を有する農薬の使用の規制について定めることといたしておりまして、その使用方法等を順守しないで使用されるときは、農作物等または土壌の汚染が生じ、その汚染にかかる農作物等の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるような種類の農薬を作物残留性農薬または土壌残留性農薬として指定し、これらの農薬に該当する農薬は、農林大臣が定める基準に違反して使用してはならないこととしております。
また、第十二条の四の規定は、現行の第十二条の二の規定の改正でございまして、相当広範な地域においてまとまって使用されるときは、一定の自然的条件のもとでは、水産動植物の被害が著しいものとなるおそれがあることと定められている現行の要件に加えて、その農薬の使用により水質の汚濁が生じ、その汚濁した水等の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあることを加えることとし、この要件に該当する農薬を水質汚濁性農薬として指定し、これについては、都道府県知事が、地域を限って、その地域におけるその使用についてあらかじめ許可を受けなければならない旨を定めることができることといたしております。
第七は、農薬安全使用基準の設定に関する第十二条の五の規定でありまして、農薬安全使用基準は、農薬の使用にあたってその使用者が指針とすべき基準を定めるものでありまして、農薬の使用の時期及び方法等について農林大臣が定めて、公表するものといたしております。
第八に、第十二条の六の規定は、農林大臣および都道府県知事による農薬の適正な使用等に関する知識の普及、情報の提供、助言、指導その他の援助について定めております。
第九に、報告及び検査に関する第十三条の規定の改正について御説明申し上げます。
この規定の改正は、農薬の使用の規制を拡大することといたしましたことに伴い、その規制を担保することを目的としておりまして、農林大臣及び都道府県知事は、農薬の使用者から必要な報告を徴収し、または立ち入り検査を行なうことができることといたしております。
第十に、農業資材審議会に関する第十六条の規定の改正について御説明申し上げます。
現行法におきましても、法施行上重要な事項については、農業資材審議会の意見を聞かなければならないこととされておりますが、今回の改正により、新たに、変更の登録または登録の取り消し、農薬の販売の制限または禁止及び作物残留性農薬等の指定についても、同様に意見を聞かなければならないことといたしております。
最後に、附則の規定について御説明申し上げます。
この法律の施行は、公布の日から三月以内で政令で定める日からといたしておりますが、このうち、登録審査に関する第二条、第三条等の改正規定は、公布の日から施行することとしております。
次に、登録を受けている農薬についてこの法律の公布の日から二年間の間に行なわれる再登録の申請に関しては、残留性等に関する試験成績を記載した書類の提出を省略することができることといたしております。
以上のほか、罰則の規定の整備等所要の規定の整備を行なっております。
以上をもちまして農薬取締法の一部を改正する法律案についての補足説明を終ります。
はなはだ恐縮でございますが、若干正誤表を入れてございますのでお直しいただきたいと思います。
続きまして法律案に伴います参考資料を簡単に御説明申し上げたいと思います。お手元に差し上げております農薬取締法の一部を改正する法律案参考資料をごらんいただきたいと思います。
二ページをまずごらんいただきたいと思いますが、これは戦後農薬が使われ出しましてからの推移を書いてございます。これをごらんいただきますと、農薬の登録されております件数は銘柄別にしますとこの右のほうにございますけれども、五千六百九十八という農薬の数がございます。またそれを成分別にいたしますと現在では四百十一ということになっております。そして農薬の総生産額が八百六十六億です。ごらんのように非常に伸びております。
特にこの表をごらんをいただきますと、昭和三十年はこれが百二十八億、このころ稲の二化メイ虫を防除するためのパラチオンが非常に使われ出しまして非常に伸びております。昭和三十五、六年ごろになりますとまた非常に上に上がっております。これがまた除草剤が出てきて上がった。
農薬の価格でございますが、昭和四十年を一〇〇にいたしまして四十四年は九六ということで、むしろ下がりぎみです。昭和三十年は一三九ということでどんどん下がっているというようなかっこうになっておりますので、これを割っていただきますと、実際の農薬は昭和三十年ごろに比べまして八倍以上使われているというかっこうになっております。
三ページにまいりますが、三ページは、いま申し上げました農薬につきまして薬剤別に殺虫剤、殺菌剤等の種類別、有効成分別の計数が書いてございます。
それから四ページにまいりますが、これはそれらをもう少し詳しく現在使用——水稲用、果樹野菜用、林業用、その他に分けまして、そして殺虫剤、殺菌剤、除草剤別に害虫名、あるいは病名を書きまして、主要な使われております農薬名を書いてございます。なお、現在行政指導でいろいろな公害等の関係での対策をやっておりますが、そのことが、たとえばBHC、一番最初に出ておりますこれをごらんいただきますと、もうすでに製造使用を中止しておるというふうに表示がしてございます。
六ページにまいります。六ページはそれらの殺虫剤、殺菌剤、除草剤というのがおもなものでございますが、過去の生産額の推移が書いてございます。大体現在は殺虫剤が四五%程度、殺菌剤が三〇%程度、除草剤がごらんいただきますように非常にふえておりまして二割ということになっております。
それから七ページにまいりますが、七ページはわが国の主要な農薬につきまして殺虫剤、殺菌剤別に、それからまた農薬の系統別に、種類別に、この右のほうにごらんいただきますように、どういう農薬はどういう内容かということで、人畜毒性につきましては急性が大きいか小さいか、あるいは慢性毒性につきましてもそれが大きいか小さいか、魚毒性でどうだ、作物残留性はどうだというのを大ざっぱでございますが、一応大中小で表示してございます。たとえば、最初のBHCは人畜の毒性は急性は小さいけれども、御承知のように稲わらを通じて牛乳に入って人体に影響があるという慢性毒性が大きいわけでございますから大ということになっております。それからもう一つドリン系というのが下のほうにございますが、アルドリンあるいはディルドリンというのがございますが、これは右のほうをごらんいただきますと、アルドリンは慢性毒性が大きくて作物残留性が大きいということで先般来キュウリを汚染して問題になったということでございます。
それから八ページ以下ずっとそういうことで主要な薬につきましての毒性なり残留性が書いてございます。
十一ページをお開きいただきたいと思います。十一ページは、今度は農薬の毒性別の割合が表示してございます。これは生産金額でのウエートでございます。現在は農薬でも毒物劇物は毒物劇物取締法の規制もあわせて受けておりますが、この表でごらんいただきますように、どんどん毒物劇物が減ってまいりまして、現在では特定毒物と言われる一番毒性の強いもの、これが一・四%、毒物が九・一%、劇物が三九・〇、普通物が五〇・五、半分は普通物に変わっております。昔と比べますと低毒性農薬の開発が進んでおるわけでございます。
それから参考に表示してございます農薬による中毒件数というのが厚生省の調べでございますが、一番中毒事件が多いのは散布中の中毒というのと、それから三段下の自殺、他殺、これで死亡しましたのが非常に多いということになっております。
それから十二ページにまいりますと、これは輸出入のことが書いてございますが、大ざっぱに申し上げまして、四十四年度にありますように、農薬の輸入が九十八億九千万、アメリカなりドイツからの輸入が多いわけでございます。
それから十三ページにまいりますと、今度は輸出でございますが、約八十四億輸出しておりまして、輸出先は東南アジア、ソ連、それから中国というところが多いようでございます。
それから十四ページにまいりますが、これはいまの農薬の流通機構を表示してございます。現在、農薬業者というのは三百五十社ございまして、右の上のほうに書いてございます。そのうちの九〇%以上のシェアを占めているものは四十社でございます。この図をごらんいただきますと、農薬メーカーからどういうように末端の農家まで流れるかという表示でございますが、ある農薬メーカーの八百十四億の農薬が全購連に約四六・四%、それから卸売り商社に四八・四%、それが以下小売り商を通じ、あるいは経済連、単協を通じて、消費者の段階では農協系統が七〇%、それから特殊な専用農協が一三・四%、それから小売り商からいきますものが一三%というようなことになっております。
それから十五ページにまいりまして、今度は農家の農薬の購入量でございますが、これはこまかく書いてございますが、一番右のはしの下をごらんいただきますと、農家経済調査によりますと、一万八千四百円一戸当たりにしまして農家は農薬を使っております。これは経営費の大体五%に当たります。
それから十六ページにまいりますと、これは作物別に経営費の中の農薬のウエートが書いてございます。ごらんいただきますと、やはり蔬菜と果樹が多いわけでございます。
十七ページは、今度は防除関係の図式でございまして、制度が整備いたしましても防除体制が不備でありますれば意味はないわけでございます。現在の防除体制を図式してございます。
それから十八ページにまいりますが、これは世界各国における農薬の使用量を書いてございます。その下のほうをごらんいただきますと、下から二段目でございますが、農耕地面積当たりということで、最初の日本をごらんいただきますと、一ヘクタール当たり十二キログラム、非常に日本は多いわけでございます。その隣のアメリカが一・六キログラムでございますから、約七倍くらいになっております。日本と並ぶのは大体イタリア、それからイスラエルという、集約的な農業をやっている国でございますが、ただ一番最後の欄でごらんいただきますように、農薬問題がありそうな農薬ということでしぼって見ますと、日本の場合でも一・四八キログラム、アメリカの一・三キログラム、その他の国でもそう差はない。大部分は有益で無害な農薬を使っているということになります。
それから十九ページは、日本と外国との農薬についての規制で、日本の取り締まり規定の経過、アメリカ、西ドイツ等を表示してございます。
それから二十ページ以降は、御承知の食品衛生法によりまして、厚生省のほうで農薬残留の許容量をきめております。現在二十ページの表のとおり、許容量がきめられております。これに基づきまして農林省は、二十一ページから最後のページまで非常にたくさん書いてございますが、それぞれの農薬の作物につきましての安全使用基準を行政指導でやっております。そのことを書いてございます。
簡単でございますが、参考資料の説明を終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/7
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008・園田清充
○委員長(園田清充君) 次に、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案を議題といたします。
政府から説明を聴取いたします。倉石農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/8
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009・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。近年、産業活動の著しい進展に伴いまして、水質の汚濁あるいは大気の汚染による公害が全国的に大きな社会問題となっておりますが、一方、カドミウム、銅等重金属類による農用地の土壌の汚染も各地で顕在化しております。農用地の土壌の汚染は、そのほとんどが水質の汚濁あるいは大気の汚染を通して土壌が汚染されるという過程を経るものであり、従来から、公共用水域の水質の保全に関する法律、大気汚染防止法等により対処してきたところであります。
しかしながら、重金属類による土壌の汚染は、自然のまま放置すれば土壌に蓄積したままほとんど流失しないという性格を有しますので、工場、あるいは事業場からの排出水、ばい煙等を規制するのみでは必ずしも十分な対策とはいえず、これらの規制措置と有機的な関連のもとに、汚染された農用地の復旧をはかり、あるいは汚染防止のための事業等を行なうための措置を講ずることが緊要であります。
このような見地から、農用地の土壌の汚染の防止及び除去並びに汚染された農用地の利用の合理化をはかるために必要な措置を講ずることにより、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、または農作物の生育が阻害されることを防止するため、本法案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一に、都道府県知事は、政令で指定された特定有害物質によって人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、もしくは農作物の生育が阻害される地域またはそれらのおそれが著しいと認められる地域を農用地土壌汚染対策地域として指定することができることといたしております。
第二に、都道府県知事は、この対策地域について、農用地の土壌の汚染を防止するためのかんがい排水施設の設置、農用地の土壌汚染を除去するための客土等必要な対策に関する計画を定めることといたしております。
第三に、都道府県知事は、対策地域について、必要があると認めるときは、大気汚染防止法または水質汚濁防止法の規定により、一般の基準よりきびしい排水基準等の設定等を行なうために必要な措置をとることといたしております。
第四に、都道府県知事は、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産されると認められる農用地を特別地区として指定し、その区域内において一定の農作物の作付をしないように規制することができることといたしております。
第五に、農林大臣は、農用地の土壌が工場または事業場から排出される排出水、ばい煙等に含まれる特定有害物質により汚染されることを防止するため特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長または関係地方公共団体の長に対し、必要な措置をとるべきことを要請することができることといたしております。
以上のほか、都道府県知事は農用地の土壌の汚染状況の調査測定を行なうこととするとともに、農林省に土壌汚染対策審議会を設置して農用地の土壌の汚染防止等に関する重要事項を調査審議することとする等所要の規定を設けることといたしております。
以上が、本法案の提案の理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/9
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010・園田清充
○委員長(園田清充君) 次に、補足説明及び関係資料の説明を聴取いたします。中野農政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/10
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011・中野和仁
○政府委員(中野和仁君) 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
まず、第一に、本法案の対象となります土壌汚染の原因となる有害物質につきましては、第二条第二項に規定しておりまして、その物質が農用地の土壌に含まれることに起因して人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、または農作物の生育が阻害されるおそれがある物質について政令で定めることといたしております。このような有害物質といたしましては、カドミウム、銅、亜鉛等が考えられますが、当面、カドミウムをまず指定することを予定いたしております。
第二に、農用地土壌汚染対策地域につきましては、第三条及び第四条に規定しておりまして、この対策地域の指定の要件は、その地域内にある農用地の土壌及び農作物等に含まれる特定有害物質の種類及び量等から見て農用地の土壌の汚染の防止等のため必要な基準等とし、政令で定めることといたしております。
第三に、農用地土壌汚染対策計画につきましては、第五条及び第六条に規定しておりまして、この対策計画の内容といたしましては、対策地域内にある農用地について汚染の程度等を勘案して定める利用上の区分及びその区分ごとの利用に関する基本方針、土壌の汚染防止のためのかんがい排水施設の設置、汚染を除去するための客土、汚染農用地の利用の合理化をはかるための地目変換、土壌の汚染状況の調査測定に関する事項等といたしております。この対策計画は、当該事業にかかる農用地の土壌の汚染の程度、当該事業に要する費用、当該事業の効果及び緊要度等を勘案し、必要かつ適切と認められるものでなければならないこととし、農林大臣の承認を受けなければならないことといたしております。
第四に、排水基準等の設定等のための都道府県知事の措置についてでありますが、これは第七条に規定しております。水質の汚濁あるいは大気の汚染の防止のための措置につきまして、今国会に別途提案されております水質汚濁防止法案あるいは大気汚染防止法の一部を改正する法律案によりまして、都道府県知事が条例で一般の基準よりきびしい特別の排水基準等を設定することができるようにすることといたしておりますが、本法案におきましては、一定の場合には都道府県知事は、これらの法律の規定により特別の排水基準等の設定等を行なうため必要な措置をとることといたしております。
第五に、特別地区の指定等につきましては、第八条から第十条までに規定しておりまして、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産されることを防止するため、対策地域のうち特に汚染の著しい特別地区につきまして作付をすることが適当でない農作物等の範囲を定めることとし、都道府県知事は、特別地区内でそのような農作物等の作付をしている者に対しては、当該農作物等の作付等をしないよう勧告できることといたしております。
また、第十一条には、農林大臣が関係行政機関の長または地方公共団体の長に対し、他の法令の規定に基づき農用地の土壌の汚染の防止のため必要な措置をとるよう要請することができる旨を規定しており、第十二条には、都道府県知事に農用地の土壌の汚染状況の調査測定を義務づけ、調査体制の強化をはかることといたしております。
さらに、第十三条及び第十四条におきまして、農林省に土壌汚染対策審議会を設置することを規定し、本法案の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、農用地の土壌の汚染の防止等につきまして調査審議することといたしております。
以上のほか、農用地の土壌の汚染の調査測定のための農用地への立ち入り調査等につきまして所要の規定を設けております。
以上をもちまして農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案についての補足説明を終わります。
引き続きまして参考資料を御説明申し上げたいと思います。
お配りしてございます資料の二ページをごらんいただきたいと思います。
まず1は、主要重金属類−銅、亜鉛、カドミウム、鉛、砒素でございますが、これによります汚染のおそれのある農用地面積というのを書いてございますが、これは農林省が昭和三十四年からただいままで、地力保全対策調査ということで調査をしてまいったものでございます。これによりますと、全体で三万七千四百二十ヘクタール、水田が三万一千、畑が六千、こういうことになるわけでございますが、特に多いところは東北それから関東ということでございます。
それからその次は汚染源別、これは推定でございますが、汚染源別面積を見ますと、排水によるものが約八割、それから排煙によるものが一三%廃棄物によるものが九%、その他自然汚染等が五%ということになっております。これを合計しまして一〇〇をこえますのは、排水と排煙がダブっておるというような重複汚染のためでございます。
三ページにまいりますが、三ページはすでに御承知の、厚生省のほうでカドミウムの環境汚染要観察地域というものをつくっております。それを表示しております。現在指定をされておりますのはこの六つでございます。そのあとまた若干指定するかどうかというところもあるようでございます。
それから四ページにまいりまして農業用水の汚濁の現況、これは、主として水から土壌汚染がくるという意味で、この面積そのものが土壌汚染そのものの面積ではございませんが、先般農林省が水質汚濁対策調査をやりまして調べた結果でございますが、これをごらんいただきますと、全体で汚濁されておる面積は十八万八千ヘクタール、ちなみに五年前の調査でありますと、たしかこれが十二万ヘクタールでありましたので、かなりの水質汚濁の状況は進んでおります。それをやはり汚濁源別に見ますと鉱山が一六%、工場が四一%、都市汚水が三二%ということになっております。
五ページにまいりまして、先ほど提案理由のところで御説明をいたしましたように、今回は排出規制をやりますと同時に復旧対策と申しましょうか、土壌汚染を防止したり、あるいは除去したりする事業がいろいろあるわけでございますが、その事業の概要を書いてございます。まず土壌の汚染の防止につきましては、主としてこれは水の問題と関連があるわけでございまして、かんがい用水の汚濁に起因している場合は水源を転換いたしますとか、あるいは沈澱池をつくるとかいうことでございます。それから汚染土壌の改善につきましては、いろいろの種類がございますが、土壌の汚染が強くない場合は土壌改良、それから表層部だけに限られた場合は土層改良、いわゆる天地返しというようなものでございます。
六ページにまいりまして、かなり汚染が著しいといった場合、これは排土、客土、一ぺん汚染された土をどけまして、別のいい土を持ってくる排土、客土をやる。それからその次が地目の転換、これは水田から畑地への転換というようなことが考えられるわけでございます。
それから七ページにまいりまして、これは土壌中の重金属類の賦存量、これは天然の量、一体土壊の中には重金属というのはどの程度入っているかということを示しております。まずカドミウムにつきましては、水田についてごらんいただきますと、計のところにありますように〇・五PPMです。ただいまカドミウムで問題になっております地域は、たとえば一〇PPM土壌にカドミウムが入っておるとか、あるいは五PPMだとか、二〇PPMだということになっておりますが、わが国の平均的な自然の賦存量というのは〇・五、畑が〇・四というようなことになっております。
それから八ページにまいりまして銅でございますが、作物障害との関係でごらんいただきますと、銅は水田が五PPM、畑が二・三PPM、樹園地が一三PPMということになっております。
それから亜鉛がその次の九ページに出ておりますが、亜鉛は水田で二〇・七PPM、以下はごらんいただきますとおりでございます。
なお、諸外国の土壌につきまして若干の調査がございますが、この表にございますように地殻中、これは岩石が風化をいたしまして、まだ土壌にならぬ程度のものですが、これによりますと銅は七〇PPM、亜鉛は八〇PPM、カドミウムは〇・一五から〇・二PPM、土壌中は通常の場合銅が二から二〇〇PPM、亜鉛が一〇から三〇〇PPM、カドミウムは大体一以下でございます。大体こういうことになっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/11
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012・園田清充
○委員長(園田清充君) 両案に対しましては、本日は以上の説明にとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/12
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013・園田清充
○委員長(園田清充君) 次に、連合審査会に関する件についておはかりいたします。
公害対策基本法の一部を改正する法律案、公害防止事業費事業者負担法案、騒音規制法の一部を改正する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案について、公害対策特別委員会に対し、連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/13
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014・園田清充
○委員長(園田清充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
また農薬取締法の一部を改正する法律案及び農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案について、公害対策特別委員会から連合審査会開会の申し入れがありました場合には、これを受諾することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/14
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015・園田清充
○委員長(園田清充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお連合審査会につきましては、委員長においてあらかじめ公害対策特別委員長と協議いたしました結果、公害関係法案が付託されている八委員会の連合審査会を開会することとし、その日取りは一応明十一日及び十二日の二日間、いずれも午前十時から開会することになりましたので、御了承をお願いいたします。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時二十五分散会
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106415007X00219701210/15
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