1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年五月十二日(水曜日)
午後一時十二分開会
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委員の異動
五月十一日
辞任 補欠選任
小林 国司君 楠 正俊君
五月十二日
辞任 補欠選任
楠 正俊君 小林 国司君
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出席者は左のとおり。
委員長 横川 正市君
理 事
長田 裕二君
郡 祐一君
新谷寅三郎君
永岡 光治君
委 員
小林 国司君
古池 信三君
白井 勇君
久保 等君
鈴木 強君
塩出 啓典君
村尾 重雄君
青島 幸男君
政府委員
郵政大臣官房電
気通信監理官 柏木 輝彦君
郵政大臣官房電
気通信監理官 牧野 康夫君
事務局側
常任委員会専門
員 竹森 秋夫君
参考人
全国電気通信労
働組合中央執行
委員長 酒井 喜芳君
日本電気精器株
式会社社長 吉田 五郎君
九州大学名誉教
授 高橋 正雄君
東京大学工学部
教授 尾佐竹 徇君
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本日の会議に付した案件
○公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/0
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001・横川正市
○委員長(横川正市君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、参考人として全国電気通信労働組合中央執行委員長酒井喜芳君、日本電気精器株式会社社長吉田五郎君、九州大学名誉教授高橋正雄君、東京大学工学部教授尾佐竹徇君の出席を願っております。
この際、委員を代表しまして一言ごあいさつ申し上げます。参考人の皆さんには御多忙のところ出席をいただき、まことにありがとうございます。本日は、当委員会におきまして審査を進めております公衆電気通信法の一部を改正する法律案について、参考人の方々の御意見を賜わり、本案審査の参考にいたしたいと存じております。何とぞ忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。
なお、議事の都合上、まず御意見をお一人、二十分程度で順次お述べいただき、そのあと委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。また、発言の際は、そのつど委員長の許可を受けることになっておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
酒井参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/1
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002・酒井喜芳
○参考人(酒井喜芳君) 私は、いま御指名いただきました全国電気通信労働組合の中央執行委員長をやっております酒井でございます。
本日は、本委員会に参考人として、いま審議をされております公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、その見解を申し述べる機会を与えていただきましたことについて感謝をする次第であります。
まず最初に、私の所属いたします、特に日本電信電話公社の労働者をもって組織いたしております全国電気通信労働組合、略称全電通と申し上げますが、その立場を申し上げながら意見を申し上げてまいりたいと存ずるわけでございます。
私ども全電通は、日本電信電話公社が行なってきました昭和二十八年以来今日まで約二十年に近い間、建設投資総額では約六兆五千億円にものぼります膨大な合理化計画に対しまして、常に国民のための電信電話、それとそこに働いている労働者の労働条件の引き上げ、合理化による労働不安の解消こういうことを目的といたしまして団体交渉を最大限重視をすることによりまして、この目的実現をはかるため努力を続けてまいったわけであります。電電公社は御存じのように、事業開始後百年にもなる事業体であります電信、また八十年にもなる電話、こういう事業を中心として運営をされているわけでありますが、この両事業にさらには情報化社会の将来を展望いたしまして、データ通信を事業経営の中心に置いて情報の伝達及び処理、こういう分野に進出をいたそうとしているわけであります。しかしながら、データ通信というものは、その使い方によっては経済社会全般に重大な変化を与えるものであることはすでに多く指摘されているところであります。特に、そこに働いている労働者には省力化による職場の喪失、あるいは深夜勤などという労働態様の変化、あるいは技術のスクラップ化、こういうものによる労働価値の引き下げ、こういう重大な影響を与えることが予想をされるわけであります。このようなことから、先ほど申し上げましたような立場で取り組みを強めてまいりまして、単に狭い企業内的な視野でのみ判断するのではなくて広く国民的な視野に立ちまして、ある場合は警告というふうな立場をとりましたし、またある場合はよりよき方向に立って提言などを行なって、それらが真に国民生活の向上に寄与するデータ通信のあり方というものを労働組合の立場から追及をいたしてまいりました。このような立場は昨年第六十三通常国会におきましても情報処理振興事業協会等に関する法律の審議の際、衆議院商工委員会におきまして私も参考人としまして意見を申し上げてきたところであります。こういう立場に立ちまして、いま審議をされております公衆電気通信法の一部を改正する法律案についての見解を申し上げてみたいと思うわけであります。
まず最初に、コンピューターはバラ色でないということであります。よくコンピュータリゼーションなどといいまして、あたかもコンピューター化することが万能であってコンピューター化すればすべてがうまくいく、万事OKだというふうな受け取り方をされるような説があるわけでありますけれども、しょせんコンピューターも機械でありまして、これを使うものは人間であります。そして人間の指示に忠実に従うだけのことであります。また簡単に通信回線の利用を自由化したからといって、わが国の情報産業が急速に発展をするということは考えられないというふうに思うわけであります。すでに衆参両院の逓信委員会で論議をされてきた多くの問題というものが現実には存在をいたしているわけであります。さらには、利用面において現在電電公社が東京などで実施をいたしております電話計算サービスにいたしましても、これを利用するためには新たに債券、設備料を負担して押しボタン・ダイヤル電話機、通常プッシュホンと呼ばれておりますが、こういうものを購入しなければなりませんし、またその使い方も押しボタンの上にマスクをかけて使わなければなりません。こういうことから国民の皆さんが日常の生活の上で簡単に利用できるようなものとはなっていないというふうに考えます。また、電電公社が同じようにサービスとして提供しておりますところの科学技術計算、あるいは販売在庫管理システムにいたしましても、比較的に格安で中小企業の方々が利用できるということをPRをいたしておりますけれども、利用するためには端末機を備えなければなりません。その端末機も一台を設置するためにはおおよそ百四十万あるいは百五十万の資金を必要としますので、決して気軽に町の商店などが使えるというものではないわけであります。したがって、現在データ通信を利用しているのは、主として企業規模でいいますれば大企業でありまして、その目的も経営の効率化、あるいは省力化対策が大半であります。私たちは、日本のあらゆる事業の中で最も技術革新の激しく進んでいる電気通信事業に働いている労働者としましては、データ通信をはじめとしまして、技術革新そのものには反対するものではありません。問題はその使われ方が大切だと思うわけであります。データ通信が真に国民生活の向上に役立つものでありますれば、むしろ労働条件の改善引き上げ、あるいは労働不安の解決ということは労働者でありますから前提となりますけれども、むしろ積極的に協力をする立場をとるというものであります。ここで言う真に国民生活の向上に役立つデータ通信の利用のあり方というものは、次のように考えております。
一つは、平和と国民生活の向上に寄与するものであること、二つ目は、民主的管理によって民主主義を促進し、人間疏外を克服すること、三番目は、プライバシーの保護、すなわち基本的人権が完全に保障されるものであることを原則とすべきであると考えております。今回の公衆法の改正は、このような前提条件となるべき諸点が不明確でありまして、単に産業界の要請が強いということでもって改正を行なおうとしているわけでありまして、こういうところに多くの矛盾を含んでいるということは明らかであると思います。
私は、公衆法の改正以前に以上のことが国の政策として国会で議決されるべきであるというふうに考えます。そして電電公社の行なうデータ通信は、公衆電気通信法の精神に基づきまして、公共的なシステムを中心とすべきであると思います。このようなことが国の政策として明らかにされ、さらに、国民生活にとって最低の情報伝達手段であるところの電話の完全充足、申し込めばすぐつく電話、ダイヤルを回せばすぐつながる電話、こういうことの実現こそが最優先であるべきだと思います。ことに公衆電気通信回線は、明治以来電報や電話の利用を通じてその加入者、利用者のために建設をしてきた社会資本でありまして、その貴重な社会資本を国民の生活向上に役立てることに振り向けるべきでありまして、一部の大企業の営利のために無原則的な利用を許すことは大きな問題であると考えます。また、地方自治体の住民管理や、現在計画中を伝えられる国民総番号制度などのように、一そう管理社会への指向が強く出てきております。また、個々人のプライバシーの侵害が懸念をされるところであります。一方、労働者の立場から見ますと、コンピューターの導入による省力化や効率化がすでに労働者の配置転換、仕事の変更、単純労働化などによる労働疎外が生まれておりますし、また直接コンピューター部門に働く労働者について見ますと、深夜労働や長時間労働など、過酷な労働条件が生まれつつあります。
最後に申し上げたいことは、改正する法律案の中にもあります広域時分制の問題でありまして、これは万全なものではないということであります。加入区域の拡大、あるいは統合など現状より改善になることは否定するものではありません。しかし、私たち労働組合、あるいは労働者の立場として多少問題がありましても、国民の皆さんに、そういう場合は、いいものであれば要望に沿うべきものというように考えます。電電公社は日本的グループ料金制だといっておりますけれども、まだ料金区域が必ずしも公平ではありませんし、隣接区域との通話は料金格差があるため、道一つ隔てて市外通話になってしまうという批判の対象には役立っていないわけであります。
以上申し上げましたが、時間の関係もありまして、すべての点に触れるということにはまいりませんけれども、実際に電気通信事業に従事をし、かつ、データ通信を運用している労働者から見ましたこの法律案についての問題点を申し上げました次第であります。ぜひ御参考にしていただきまして、国民の期待にこたえるものを委員会として御審議をいただくことをお願いいたしまして、簡単でありますけれども、意見を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/2
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003・横川正市
○委員長(横川正市君) ありがとうございました。
次に、吉田参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/3
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004・吉田五郎
○参考人(吉田五郎君) ただいま御指名いただきました日本電気精器株式会社社長の吉田でございます。
私は、本日のこの公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、ポイントが四つに分かれていると思うのでありまして、一番目は、電報のサービス改正と料金値上げ、次は、市内度数料制度にかわる広域時分制の採用、三番目は、設備料の値上げ、四番目が、データ通信の法制化と民間への回線開放、この四つの項目からなっているものと考えますが、私は、いずれの点も原案に賛成であります。
まず、第一番の電報に関連する問題でありますが、去る昭和二十四年、電気通信省発足にあたりまして、私は当時電気通信研究所長をしておりまして、それで研究実用化のプロジェクトの第一番目の最重点項目としまして、電報中継の機械化というのを取り上げまして、本社、各機関と連絡をとって、研究所でこれを実用化に邁進したわけでありまして、それで電報中継業務のスピードアップ、それから誤謬の削減、それから人員の大幅縮小ということを目的としまして、当時すでにあらわれておりました電報業務の大幅赤字を解消するのに役立たせようといたしたのでありまして、電気通信研究所で現在採用されております電報中継交換のシステムを実用化しまして、それで自来、相当長期間にわたって全国にこの機械化を電電公社は実施されまして、この結果、サービスの改善、誤謬率の低減というのも当時から見ますと、はるかに進んでおります。ただ二十四年当時、約五万人の電報関係の従事員がおりましたが、それが現在約二万人程度に減っているのじゃないかと聞いております。しかし、それでも現在の電電公社の全従業員二十八万人に対しまして約六%くらいに該当するわけです。一方、四十六年の電電公社の予算を見ますと、全体の収入一兆二千億の中で電報の収入は大体昔より減りまして一六十五億という数字が出ているようでありますが、そうしますとこれは全体の〇・六%にしか該当しないというふうに思われます。したがいまして、従来から大幅赤字を出しているので、おそらく六百億円くらいの赤字になるのじゃないかと私は想像しております。一方、国民一人当たりの電報の利用数はだんだん減ってまいりまして、年間〇・六通くらいだろうというデータが出ております。したがって、この際、原案のような値上げをいたしましても、国民生活に及ぼす影響はほとんどないということができます。電報は、現在の電報料金があまりに安いために、当然ほかの通信手段にかわるべきものも電報を利用するというのが、少なくなった状態でも相当多いのじゃないか、こう思います。
それで、電報料金はさらに将来とも段階的に値上げして、原価に近いところまでやはり持っていって、最後に残る姿が電報の本来の姿であって、公共的の事業としてこれを最後までキープするミニマムの電報の料金というものに持っていくべきじゃないか、かように思います。アメリカ、ヨーロッパ各国の電報料金というのは大体三年くらいで値上げしているのじゃないかと思うのですが、そうしないと事業としてはやれないはずであります。電電公社は昭和二十八年以来十八年間、今日まで料金据え置きということで、これはちょっと程度がひど過ぎるのじゃないかと思います。したがいまして、サービスの改善と同時に、今回の料金値上げという原案に対しましては私は賛成いたします。
次に、広域時分制の採用の問題でありますが、現在の七円・時間無制限という市内通話を三分七円の広域時分制にして、市内、市外の観念を廃止するというこの法案は画期的な改革だと思います。近来の生活圏並びに経済圏の拡大に応じた方策であって、かつ、これからあらわれるであろう各種の機械を伴う通信の普及にも対処できるベストの方策だ、こう思います。
大体、電話の通話は平均時分が百十秒で、これは前から変わっておりませんし、現在も百十秒だと公社から聞いております。したがいまして、二分足らずでありますから、三分では通話の大半はその目的を十分達成できるはずであります。最近実施せられております公衆電話の三分十円制というのは、これは前から非常に要望が強かったのですが、非常に好評のようでありまして、これとのバランスもとれると思います。しかし、たとえば東京、大阪のような大きなエリアにおきましては、三分七円にすると増収があるだろうと思いますが、地方のほうでは単位料金区域が広がりますから、あるいは従来市外通話だったのが市内になりますから、そっちで減収はあるだろうとは思いますが、いずれにせよ、全体としてこれは増収になるだろうと思います。この増収分を隣接の単位料金区域との通話料を値下げするということにして、全体として電話の収入をプラス・マイナス・ゼロにした、こういう料金の合理化案がこの原案でありますが、去る昭和三十七年だと思うのですけれども、実施せられました市外通話の距離別時間差法の料金合理化と同一の経営上の手法であって、電電公社の経営合理化の姿勢を示すものとして、このプラス・マイナス・ゼロにして全収入をキープするこの案は賛成であります。ただ、この三分七円の市内を中心にした広域制は将来に向かってはどうかということを考えますと、電電公社の長期計画が進展していきますと、全加入者の中の住宅電話のパーセンテージが相当ふえて大きくなってまいりますことによる収入の伸び悩みと、電子交換機を導入して各種の新規のサービスを開始しますと、どうしても市内の基礎設備の投資が非常に多くなるというふうに想像されます。したがいまして、現在よりもいわゆる市内通話のコストは上がるだろうと思います。他方、ミリ波まで含んだ広帯域の通信の技術の導入など、各種の技術革新を大幅に導入できます長距離市外電話はコストが将来ともさらに安くなるだろうと、こう思います。現在の体系でも市内のコスト高、市外のコスト安に見合う料金体系に全体がなっておりませんから、将来このアンバランスはさらに大きくなるだろうと思います。他方、政府の新全国総合開発の計画が確定しておりますが、その要求するところに日本全体を開発しまして、大都市の過密化を防ぐというような将来の国全体のデベロップメントに対しては長距離電話の料金を現在より安くするということが大いに役立っだろうと思います。したがって、この法案が通って実施された後の姿としては、どうしても、基本料を含む従来からの市内電話の料金を上げて、市外の長距離電話を下げるというような考慮が次に必要じゃないかと思います。現在の長距離市外電話はアメリカその他に比べて相対的に長距離電話だけは高いように思います。将来の各種の新しい通信サービスが全国に行き渡るためにも、もう一度全体の料金体系を変える必要がある。それは各パートの原価に見合うような料金にしませんと、各パートが発展したとき必ずアンバランスが出るということで、これはどうしても料金体系の合理化というものは将来の姿に向かって考えられるべきものだと思います。
三番目は、設備料の値上げでありますが、去る昭和三十九年に電電公社に設けられました料金合理化の佐藤委員会というのがありまして、そこで答申した問題でございますが、その当時一万円の電話設備料を五万円にすべきだという委員の意見が非常に多かったのであります。それは加入者増設の建設単価が当時で三十五万円であったのに一万円という設備料では安過ぎる。それで、ほかの費用を上げないで、当然新しい加入者がその分を相応負担すべきであるという意見が多かったのでありますが、一万円を五万円に一度にするのはあまりに大幅過ぎる、これを段階的に是正することが適当だというので、現行の三万円に値上げすることを答申しまして、実施せられ今日に至っております。この三十五万円の中で、大体直接加入者に引き込むための引き込み線その他いろんなものを入れた、各加入者の直接のお客さんの目につくところの費用は、大体七、八万円じゃないかと思います。他方、昭和五十二年度までに、現在ある電話積滞数二百八十万を全国的に解消せしめる電電公社の七カ年長期計画を見ますと、建設投資だけで八兆五千億円を必要とするということになっておりますが、これは経済審議会がきめた五十年までの三兆五千億の原案と中身は同じで、デフレーターだけこれは掛けていったもので、この案は私は妥当だと思いますが、この中におきまして、政府財政投融資は電電公社には従来ともあまり回っておりませんで、他の公共投資にみんな回っております。したがいまして、従来のこの実績からはあまり将来とも多くは期待できないだろうと思います。したがいまして、減価償却その他の内部資金と加入者債券とだけでこれをまかなおうとしますと、どうしても一兆円不足すると、その一兆円の不足に対して、現在の三万円の設備料ではどうしても五千億円穴があくという計算のようでありまして、設備料を五万円に値上げしますと、借り入れが減りまして、その金利が減ることを勘定にしてちょうどこの資金計画が達成できるというふうになっておるようであります。私は、経済審議会の社会資本分科会の専門委員を去る昭和三十四年から最近までやっておりまして、それで各分野の社会資本の拡充の審議会の計画に対しまして、実際につく財政が追いつかないために、各事業とも資金は非常に不足して今日に至りまして、民間の発展に対して非常に社会資本がアンバランスであるというのが今日最大の問題でありますが、この中で、電電公社が加入者債券と設備料とを確保することによって、財投にあまり期待しないで事業を遂行できるというのを、他の社会資本とあわせて考えますと、政府全体として最も好ましい姿じゃないかと、こういうふうに考えます。こういう意味からも、設備料三万円を五万円に値上げするのに賛成いたします。
最後に、データ通信関係でありますが、現在までに電電公社が試行しているデータ通信は公共的性格のもの、全国的規模のものでありますが、この法案によりまして、このサービスが正式に認められることになりますのはたいへんけっこうなことだと思います。しかも、さらに現在民間の一部に専用線を認めておるその範囲を拡大するとともに、将来、公衆通信回線をも開放しようとするこの法案は私は時宜に最も適するものだと思い、賛成いたします。
アメリカではいろいろな問題があって、FCCその他の監督機関、AT&Tその他の従来の通信事業者、EDPサービスをする業者、個々に新規にデータ通信専門の回線計画を提案する新規の事業計画者、これらが入り乱れてたいへんむずかしい様相をアメリカは現在呈しているようでありますが、わが国では郵政省の監督、電電公社の業務提供、民間サービス業者と、この三つの姿で非常にすっきりした姿になっているというのが非常によろしく、わが国のこういう状態がアメリカと比べてとてもいい、こういうふうに思います。電話に支障を与えない技術条件を確立して、今後大いにデータ通信が発展して国民経済に貢献できるように、郵政大臣の監督は大所高所から基準を指導するというふうにして、技術開発力を最大に持っておる電電公社の自主的判断が十分に活用せられるように進めていただきたい、こういうふうに希望いたします。
最後に、総合しまして、本法案は以上の四点とも電気通信事業の将来の発展に大いに貢献できますので賛成いたします。日本の社会資本の立ちおくれが目立つ中で、電電公社の事業のみがある程度まで充足せられておることがわかりますが、この状態に満足することなく、さらに国民の要望に一そうこたえられるように今後とも各種の技術革新の採用、新規サービスの開発、経営の近代化ということをこの法案を通して力強く進めてもらいたい、こう希望いたします。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/4
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005・横川正市
○委員長(横川正市君) ありがとうございました。
次に、高橋参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/5
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006・高橋正雄
○参考人(高橋正雄君) それでは意見を申し上げます。
データ通信の部分についてだけ申し上げます。その部分を含む今回の法案の制定はしばらくお延ばしになったほうがいいのではないかと、そういうふうに考えます。私は経済の勉強をしておりますもので、一般に技術問題、ことにコンピューターを使うデータ通信というふうなことについては全くのしろうとでありますが、それではいけないと思うようになりまして、数年前からそのほうの学校に通いましたり、専門家の話を聞いたり、本を読んだりいたしております。ちょうどそういうことをしておりましたときに、先ほど意見をお述べになりました酒井さんのほうの全電通労組の依頼がありまして、電気通信政策委員会というのができました。その委員会のメンバーは、東京工業大学、阿部統さん、京都大学教授の浅沼萬里さん、武蔵大学教授の岡茂男さん、それから東京都立大学の岡本秀昭さん、武蔵大学の芹沢彪衛さん、それから自分でコンピューター関係の仕事をされておりました竹中直文さん、この方は今度、東京都立商科短大の学長になられました。それから法政大学教授の力石定一さん、それから私であります。私が年長者でありますので、代表みたいなかっこうになっておりますが、ただ、年長者というだけでございます。その委員会が昨年の六月に「情報化社会における電気通信政策に対する提言」というのを発表いたしまして、新聞などでもいろいろ取り上げてくれております。われわれの提言の中で——提唱と言いますか、述べました広域時分制というふうなものがたまたま公社のほうの御意見とも一致したのだと思いますけれども、御採用になっているということもございます。もちろん私がここで申し上げますことは、私個人の意見としてであります。
で、この法律について二つの点から問題を考えてみたいと思います。一つは、ものごとの順序といいますか、前後といいますか、そういう点であります。電気通信に関する基本的な態度を国としてまずきめておくべきではないかという点であります。データ通信とか、データ通信産業というふうなことばが使われます。産業といいますと、まだまだ日本人の考えでは、何か物なり、サービスなりを生産、供給、販売する事業のこと、民間資本でも営利の見地から十分にやれることだというふうな考え方が強いと思うのであります。今日のわが国の状況からいいまして、民間企業が大いに競争してくださって良質安価なものを大量に提供してくれることは、一般論としてはけっこうなんでありますが、電気通信関係の事業と申しますか、仕事というのは、従来の産業といった考え方では処理し切れないのではないかと思います。従来の通念で産業、経済と言われていますもののほかに、科学、教育、文化、国民の思想、倫理、道徳といったものから、中央政府も地方政府も含めまして、政府の行政、政府のやることも何もかも含んでしまうほどの非常に大きな世界がコンピューターを中心とする電気通信という仕事の中に含まれるのではないかと、こういうふうに考えるわけであります。国民は、電気通信産業ということばが妥当かどうか問題でありますが、たいへんな問題が起こっていると期待も持っておりますけれども、それがどういうことになるのかという点について納得のいく説明なり解明なりを希望していると、そう思うのであります。高度経済成長がこの十数年来日本で行なわれまして、それにはたいへんけっこうな面もありますけれども、申し上げるまでもなく、いろいろの面で問題が起こっております。皆さんが先日来大いに取り組んでいらっしゃる公害問題などもその一つであります。これは、日本の高度経済成長が従来の産業という意味で産業、経済と取り組んできた結果でありまして、それぞれの道の科学者や技術者や実業家の方や官庁の方も、それぞれ善意で努力なさったはずでありますが、その結果が今日のところにきているわけであります。それはなぜかというと、一言で言えば人間を忘れていたからじゃないか。本来、経済の発展とか、技術の革新というのは人間本位であるべきなのに、そのことを忘れていたからではないかと、そういうふうに考えるわけであります。いま公害と言われております問題は、要するにということもありませんけれども、物質面、肉体的な人間の迷惑の問題であります。それは非常に重要ではありますけれども、人間にはもっともっと大切な面があると思います。それは精神の面、倫理、道徳の面であります。そういう方面で人間が健全な発達をして、日本人が個人としても民族としても申し分のない成長を遂げますためには、情報というものがどういうふうにつくられ、処理され、配分されるかということに大きく関係すると思います。従来の情報というのは、家庭でも学校でも、あるいは放送、新聞、雑誌その他で行なわれておりますが、いわゆる情報産業、コンピューターを中心にいたしました、情報産業という字がいいかどうか問題でありますが、そういう点で、どういうことになるのかということで非常に大きな問題を含んでいるように思うのであります。公衆通信回線をもし、あとでも申し上げますけれども、民間企業、民間資本に自由に使わせることにいたしますと、現在の日本の民間企業の経営者は、この事業をも従来の産業という観念で経営する、そういう習性がついておりますので、その結果どういう社会的な影響を及ぼすかということはまだほんとうはわかりませんだけに、もっともっとあるいは十分に根本的な考え方をしておくべきではないかと思うのであります。そういう意味で、名前はほんとうはどうでもよろしいのでありますが、データ通信を中心とする情報基本法と申しますか、そういう基本法的な基準をまずつくるべきではないかとそう考えます。憲法があって、それに基づく法律があるべきだと思うのであります。もちろん御承知のように、日本では多くの基本法ができております。それは基本法以前から、いろいろな関係法令があったわけでありますが、それはかつての日本、昔の日本が基本法を必要とするほど深刻な事態になかったからでありまして、新しい状況のもとでは、新しいものについて、基本的な考え方をしておくべきではないか。でちょうど原子力関係のような新しいものについては、原子力基本法というものがあります。私はあとでも申し上げますけれども、こういう法案を、ことにデータ通信に関する法案をおつくりになる前に、データ通信を中心とする情報の処理、情報に関する憲法ともいうべき基本法的なものをまずおつくりになる、あるいはそれをおつくりになりながら、当面の必要に応ずる法制的な措置をおとりになるべきではないかと、そういうふうに申し上げます。
以上申し上げましたことが、私の申し上げる第一点でありまして、いわば基本的な、原則的な点であります。
で、次に当面の状況、必要ということも考えまして、第二の点について意見を申し上げます。
私は、電気通信関係の世界は、日進月歩どころか、もっともっと早く進歩しておるようでありますので、その研究開発、そしてそれを実地に応用することは非常に必要であります。問題は、その必要をどういうふうに具体的に満たしていくかということであります。その点について、いま日本では加入電話の積滞数が三百万あります。今日では電話は営業上も、生活上も、必需品であります。私は何はさておいても、公社としては、あるいは日本の電気通信事業としては、積滞数の解消ということを第一に取り上げるべきではないかと思います。アメリカでは朝頼めば、午後には電話がかかってくるといわれております。そういう意味で、停滞と申してはアメリカに失礼でありますが、成熟しきった社会で問題になっておりますことを、あるいは行なわれておりますことを、そのまま日本に持ってくるということは、その前に大いに考えるべき点があるのではないかということであります。それが第一点であります。
それから第二といたしまして、データ通信関係の事業、特に公衆通信回線利用によるデータ通信事業を、民間企業にゆだねるということについて問題があるわけであります。この点は、基本法に関するところで申し上げたからくどく申し上げませんけれども、日本のデータ通信を中心とします情報的な活動や、設備や、事業が、今後発展するでありましょうし、発展させるべきだと思うのでありますが、それがかなり発展したところで、基本的な態度との関連で、どういうふうにするかという問題が起こることは必定だと思うのであります。その際、民間企業がやっておりますと、その調整についてはたいへんやっかいな問題が起こるわけであります。そういう点で、公衆通信回線の使用を、民間企業に開放するということについては、大いに考えておくべきではないかと思うのであります。
それからじゃ、どうしたらいいかというところで、第三の問題に移ります。私は、当分は電電公社がおやりになったらいいのではないかと、そういうふうに考えるのであります。電電公社は四十四年十二月に「昭和六十年の電電公社のビジョン」というものを御発表になりました。その中で、個人の生活が今後どうなるかということをおおよそ予想されて、それに対する対策をお考えになっており、さらに企業活動についてどうかということ。第三では、いわゆる社会資本的な配慮を非常にされた計画をお出しになりまして結論でもありませんけれども、公社はその設備、技術経験を活用して情報産業の中核としての使命を果たさなければならないということを言っております。私はそういうことを特に申しますのは、電電公社は純粋の民間企業ではありません。独立採算の企業体であります。しかし政府、国会の皆さまを通じて国民の監視、監督ができるたてまえでありまして、将来基本法といったようなものが制定された場合の再編成とかあるいは改編という場合に公社にしておくほうが不必要なと申しますか、起こさないで済むトラブルを起こさないで済むんではないか、そういうふうに考えるわけであります。電電公社の業績についてはいろいろの批判がありますけれども、優秀な研究機関をお持ちになっており、関係メーカーとも密接な関係にあり、研究、経験の交換も十分できておるはずでありまして、改正すべき点は大いに改正すべきでありますが、基本的にはそれでいいのではないか、そして必要が起こったらやはりできるだけ公的性格を持っている機関をつくって、そこでこの事業を担当させて、まあしばらく様子を見るというほうがいいのではないかと思います。
それから第三点といたしまして、外国資本の問題があります。資本の自由化というのは、今日では必ず実現されるにきまっておると思います。そうなった場合、データ通信事業を国内の民間資本に、いわば自由に開放しておきますと、外国資本に対して特に規制を加えるということはできないのではないかと思うのであります。そういう際、日本では国策として公社制度によってこの事業をやっているんだということにすれば、かなり話がスムーズにいくのではないかと思います。最後に、第一点、第二点両方に関連して、こういうことを申し上げます。GNP、世界第二位というようなことが言われております。せんだってまでは日本のすばらしい業績としてほめられていたんでありますが、最近ではむしろひやかしの種になっております。それは何かといいますと、日本人特有の勇み足のせいだったと思うのであります。私はこの辺で勇み足になることをやめまして、しばらく速度を落としても重大な結果にはなりませんので、急がば回れ式に、国会または政府その他で衆知を集めたこの問題に対する研究調査機関、狭い意味での科学技術ではなくて、人間問題をまっこうから取り上げるような調査研究機関をつくりまして、そこで十分に議論を練りながら人間中心の立場でこの新しい人間活動の分野と取り組む、そこで基本的な態度なり法案なりをおきめになってから当面の問題と取り組んでもおそくはならないんではないか。私は当面の問題と取り組むなとは申し上げないのでありまして、当面の問題と十分に取り組みながらも、そういう基本的な態度を見失わないようなやり方が十分に考えられるのではないかと、そういうふうに考えます。従来、公害その他で問題になっております被害と情報産業が、別に恐怖心を私自身持ってもいないし、それをばらまくつもりはないのでありますけれども、目に見えない、できてしまうとなかなか扱い方がめんどうな情報という問題でありますだけに、ぜひ皆さまの慎重な御考慮、御配慮をお願いいたしたいと思うのであります。私の意見を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/6
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007・横川正市
○委員長(横川正市君) ありがとうございました。
次に、尾佐竹参考人にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/7
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008・尾佐竹徇
○参考人(尾佐竹徇君) 尾佐竹でございます。私、東京大学の電気工学科の電気通信第二講座を担当をいたしております。十年以上にわたりまして担当いたしております。これは通信方式講座というものでございます。で、私自身昭和十六年に卒業して以来、もっぱら電気通信の将来ということを考えながら、今日まで三十年近くにわたってきておりまして、私の研究テーマも、もっぱらその線に沿ってやってきたわけでございます。それで、昔からいろいろ電気通信がわれわれの日本の社会でどうあるべきであろうかということを勉強してまいりましたが、この法案自身につきましての、いわゆる法制的な問題は私しろうとでございますので、わからない点もたくさんございます。その影響するところがどうであろうかと言われましても、私は十分知識を持ち得ない点がございますが、技術的な動向につきまして、どういうふうにあるであろうかということを一言申し上げまして、この法案を十分に御検討いただきます皆さまの御判断の参考にしたい、こう思っておる次第でございます。
私も、長い間電気通信を主にしてやってまいりましたが、最近になりまして——最近と申しましても、この十年間くらいは主として電子交換機あるいは将来の電気通信網というものの理論的な体系をつくることに、それと同時に新しい方向を、アイデアを出すことに専念いたして研究の焦点をそこへ持ってきております。最近、コンピューターシステムがたくさん導入されるようになりまして、それがはたして既存の電気通信網と、将来のコンピューターシステムの、非常に膨大になりました社会におけるシステムの間の相関性はどうあるべきであろうかというのをかねがね考えておったわけでございます。その考えの一端を御披露申し上げたいと思います。
皆さま方には、もうすでに重々御承知であろうと思いますが、私なりの解釈をちょっと申し上げますと、コンピューターシステムを大体四つくらいに分類できるかと思っております。ごく最近、非常にたくさん導入されるに至りましたミニコンピューターを主体にいたしますような自動制御系並びに小サブシステム、これが最近非常に膨大な勢いで進んでおります。これはある工場の一部分の自動制御系に使うとか、あるいはまた、いろいろな測定器の自動制御に使うとか、あるいは業務のサブシステムとしての小さな動きに使うとか、非常に大量に導入されるようになっております。一つの小さなグループで非常に便利に使える。それはいままで、自動制御系というものの中には情報のプロシーディング——処理というのは、主としてあまり含んでいなかったのが、最近は自動制御系の中に情報処理を含めますと、非常に巧妙な自動制御ができるということで非常に大量に導入されているようでございます。ところが、われわれは一ぺんそういう便利な道具を持ちますと、必ずそれからより大きなシステムにつなげてみたいという希望が起きてくるようでございます。これは自然の情と申しますか、それで小さなミニコンピューターの情報処理の入った、たとえば自動制御系、あるいは工場生産のある一部にそういうものを入れますと、工場のラインの中に一緒にまとめて入れてみたい、それを入れますと、工場全体でオンラインで動かしてみたい、こういうように次第に大きな方向に導入されていくようでございます。
それで第二の問題は、従来コンピューターが導入されたプロセスを見てみますというと、それぞれの業種におきまして、最もコンピューターを入れやすい業務内容に導入されているようでございます。すなわち在庫管理であるとか、ある仕事の中でコンピューター化するために、その業務のプロセスを大きな変更をせずに導入できるようなところに、事業体の中に部分的に導入される、それが次第に数がふえてまいりますと、各種のコンピピュータシステムが同じ業務の中に入りまして、それをまとめていこうという動向になってきたようでございます。そういうことは各事業体でたくさん入っておりますし、たとえば政府の中の行政機構の中にも部分的にたくさん入っておるようでございます。運輸省の登録、あるいは労働省のオンラインシステムというように部分的に導入されてきております。
御三の問題は、それらをまとめてより大きなシステムに、巨大なシステムにしていこうという動きがございます。これは、コンピューターシステムというのは、必ず大システムになればなるほど効率が上がる、経済的になるというので、コンピピューターシステムを使用するものはつねに巨大システムを使用するという方向にいかざるを得なくなるのが必然でございます。それがより経済的であるということでございます。もちろん、それには、重々御承知のように、ソフトウェア、ハードウェアの上の限界がございますので、われわれが将来どれだけの巨大システムを持ち得るであろうかというのは、われわれの専門家のほうの重大な課題でございます。それが、はたして巨大システムがいいのか、あるいはもっとサブシステムをたくさん置いてやるのがいいのかというのが現在の目下の大きな課題であると言えるかと思います。
それからもう一つのものは、いわゆるライブラリーシステムと申しますか、情報探索システムと申しますか、個別のコンピューターシステムとして存在が許される。たとえば科学計算をする、あるいは設計をする、われわれも非常に科学計算をたくさんいたしますけれども、そういうのに次第に大きなシステムが必要になってきますけれども、そのシステムは、システム独自の存在価値がありまして、ほかのシステムとの連係を必要とすることが比較的少ないコンピューターシステムでございます。
第一に申しましたミニコンピューターシステムは、たとえばわれわれの研究室でもコンピューターを入れたいということになりますと、そこで実験装置を働かせる。その結果を、科学計算をして結果を出したいというときには、その最後に申しました科学計算システムをコンピューターシステムとつなげてみたいという希望が発生してまいりますが、それは在庫管理とか、その他一般業務のように日常時々刻々つながって業務と密着しているというコンピューターの使い方とは違っております。時間的にズレがあってもよろしいというような使い方をするようになってきております。
大体大きく分けますと、そんなものであろうかと思われますけれども、それらがはたしてわれわれの既存の電気通信網とどういう関連にあるべきであろうかという点になりますと、第一に申しました小さなシステム以外はほとんど全部随時希望するときにそれをお互いにつなげてみたいという希望が発生いたしますし、つなげてみることによって、全体の効率が非常に上がるというのが好むと好まざるにかかわらず現実になってきております。
それで、一例を申しますと、御承知の方もたくさんおられると思いますけれども、IBMが数年前に調査をいたしまして、今後十年間に予想されるコンピューターのシステムのうちで、一般通信回線と接続することを必要とするであろう業務内容というのを分類しておりました。業務内容約三百三種を選びまして、それにはあらゆるものが入っております。製造工業、それから運輸、それから政府事業、それから教育、医療関係全部を含めまして約三百三種類の業務内容のうちで、公衆通信と連結する必要のあるものが約百六十六種、五五%、半数以上が一般公衆通信と接続して一般大衆から随時これにつなげることを必要とするであろうということを予測しております。
こまかなことは、相当膨大な資料を私幸い持っておりますけれども、そういうことをサゼッションいたしております。この業務内容の分類では、私自身見ますと、日本の社会に合わないような業務内容ももちろんございます。ございますけれども、ほとんどは現在のわれわれの社会でも即座に使えるであろうというような業務内容がほとんどでございます。
以上のような次第でございまして、そういう状態からみますと、われわれがコンピューターシステムと通信というものを独立に考えることはできないという事態にすでに立ち至ってしまっておる。好むと好まざるとにかかわらず、そういう事態であるということを認識せざるを得ないのではないだろうかというふうに思われるわけでございますし、現在日本のコンピューターシステム化もごく一、二年前まで、あるいは昨年といっていいかもしれませんけれども、それまではコンピューターシステムを導入することが一種のテストケースのような形で導入されておったと思います。昨年の後半、あるいはことしぐらいからはコンピューターシステムをテストケースとして導入するのでなく、日常使いこなしていく、われわれの社会の生活の中のわれわれの動きと全く一体となって動いていく、こういう動向を示してきておると思われます。ですから、今後ますますその傾向は広まりまして、たとえばわれわれの年代は、私、ここでは幾分若いほうに属するかもしれませんけれども、大学のほうに参りますと、私は年寄りのほうに属しますのでございますが、いまの若い者たちは、もう大学の学部時代からコンピューターを自由に使っております。ですから、その世代が育ちました暁は、コンピューターのない、コンピューターシステムに自分がさわれないものは世の中ではないと思うような時代になるのではないか。ほんの五年から十年のうちにすでに日本の社会はそういう状態に突入するであろうということが予想されるわけでございます。
さて、そういう状態になりましたときに、現在われわれの持っております既存のいわゆる電信電話通信網とこれからのコンピューターシステム、データ通信網との間にはどういう関連を考えなければならないだろうかということを考える必要が出てくるわけでございまして、今次の法案の主点も、まさに技術的に申しますとそこにあるのではないかと、こう想像いたすわけでございます。それで、今日の一般公衆通信網は、御承知のように電話、電報を主にして構成されております。で、しかも電報のほうは非常に少なくて、ほとんど電話通信ということを主にしてつくられておることは、私が何もここで申すまでもないことでございますが、その通信網の設計の基準になっておりますポイントは、いついかなる場所の電話の所有者も、いついかなる場所の電話にも接続されるという技術基準から来ておるわけでございまして、しかもその設計の基本になっておりますのはトラフィックという考え方を主にしております。すなわち電話の使用度数とその電話の保留時間、電話を使っている時間との積、これがすべて設計の基準になっておりまして、その上に経済的につくるためには伝送路の使用を最小にするということから電話網が設計されておるというふうに私了解しておるわけでございます。したがって、電話局、そのトラフィックの流れというものがいままでは大都市の中心に向かって流れて、大都市周辺都市にありますものは大都市に向かって流れていく、これを主体にいたしまして通信網が構成されておるわけでございますし、それから電話を使用する頻度というのは、いわゆるポアッソン分布という確率分布をしておるものであって、こういう条件のもとに電話設備は大体加入者一〇〇に対しまして交換設備は一〇であるという程度の、十分の一程度の設備で経済的にこれが運用されておるという現状であると了解するわけでございます。そこにデータ網が入った場合にどういうことになるだろうかということを考えますと、現在のデータ通信の情報の流れの量は電話に比べますときわめて少ないものであるということが現実にはいわれておるわけでございます。したがって、将来どの程度の時点に、それが電話と匹敵するだけの情報の流れになるであろうかということは、そう早くはならないのではないかという予想がつくわけであります。コンピューターシステムとしてはたくさん入るかもしれないけれども、情報の流れの量としてはそれほどではないだろう、技術的な量はそれほどではないだろうということが予想されるわけでございます。で、もしその量が現在のこの電話網と匹敵する時点になりました場合には、現在の電気通信網は基本的に考え直してつくり直す必要のある時点に立ち至ることは明らかでございます。幸いにしていまのところは先ほど申しましたように量が比較的少ないものでございますので、現在コンピューターシステムを施設する人は既存の電気通信網とは関係なく独立にシステムを設計しておられて、それで電電公社の通信回線を借りよう、こういう発想になっておるわけでございますけれども、将来コンピューターシステムで流れます情報量が多くなりました場合には、コンピューターの設置位置、それからその量というものに対しては全日本の通信網を見渡して適当なところに置かなければいけないということが当然いずれは出てくるものだと思います。五年やそこらのうちに出るかどうかはわかりませんけれども、私はそれを想像するものでございます。
次に、この法案の中にも盛られておりますように、回線を共用するという問題でございます。いわゆる自由使用という形が考えられておりますけれども、基本的な考えといたしましては、通信網のうちで一番費用の高いものは伝送路でございます。したがって、その伝送路を有効に共用して利用しようという考え方はけっこうなことでございます。ただその場合に問題になりますのは、そこに使われます伝送路の使い方の技術基準でございます。電気通信網というのは、日本全国はもちろんのこと、世界中つながる可能性があるものでございまして、そのために国際会議が毎年開かれておりまして、厳重な技術基準をきめております。それは、ここの机の上のダイヤルを回しても全世界にも技術的に電話が出るという形をとっております。したがって、そのために長距離の伝送路、一般の伝送路はきわめて厳格な技術基準のもとに共用することを行なっておるわけでございます。したがって、コンピューターシステムが、データ通信が共用されます場合には、厳重な技術基準が必要でございます。それがたちまち全国的に影響を及ぼす可能性があるのでございますから、たとえばそこに流れます電気エネルギーの大きさであるとか、専門的なことばで申しますと、パルス波形であるとか、そのエネルギースペクトルであるとか、波高値であるとか、エネルギー分布といったものを厳重に規定しておく必要がございます。で、この法案にもややそのことが、技術基準を厳重に設けるべしということがございますので、その点も非常にけっこうなことであると私は思っているわけでございます。現在のところのコンピューターシステムを設計している方の態度を拝見しておりますと、現在はコンピューターシステムのエフィシェンシーをあげるということに主眼点が置かれて設計されておりますので、そのまま通信回線に入れようという考え方はあまり望ましくない態度でありまして、やはり伝送路を使うからには電気通信網全体の基準に合わせて設置さるべきであるというのは当然の考え方であると思われるわけでございます。
時間がございませんので、ごくはしょりまして結論的なことを申しますというと、将来の電気通信像から申しますと、コンピューターシステムの持っております社会的な価値と、それから電話、電報というもののわれわれ国民に持っておるもののかかわり合いと価値というものは私は違うといってもよろしい、また将来は同じになるであろう、現在は少なくともはっきり価値判断は違ってしかるべきであろう、そういう点から思いますというと、この料金のことはよくわかりませんけれども、改正されることはけっこうなんですけれども、私は少し安過ぎるのではないだろうかというような懸念さえ持てるわけでございまして、電電公社が電気通信網建設のために、これは国民的見地から努力しておられることには敬意を表するわけでございまして、今後そういうシステムが導入されましたときの通信網の建設にも、一般のへんぴなところの通信もできますように財政的な規模が十分なければいけないのではないかと、しろうと考えで思うわけでございます。今後の電気通信事業といたしましては、やはり従来の国民の最低の情報伝達手段である電話というものは確保されなければならないし、その上に一般庶民の一番安い記録的な、記録を残す手段である電報も残されなければならないであろう。それでより技術的に高度なファックス網であるとか、ファクシミリ網であるとか、さらには高速ファクシミリ網であるとかあるいは画像通信網というものは当然ここ近々には導入されなければならないものだと思われます。ただその場合に、一般に電気通信というものが普及いたしますと、機械の使用効率は低下するのは原則でございます。したがって、設備費のわりあいに使用効率はますます低下するであろうということが考えられます。それから電話もこれから問もなく十分普及するという事態になりますと、新設のための電話よりも移転のための電話量が非常にふえるであろう、大部分になるであろう、これはアメリカの実例が明瞭にそれを示しておるわけでございます。ですから将来のことを考えますと、そういう点も勘案されまして、ますます料金の改正も必要でございましょうし、それから伝送路の活用に対しても技術的な基準に応じたきめのこまかい、もっと高い料金でもいいのじゃないかなどと想像される次第でございます。したがいまして結論的に申しますと、これから飛躍的に進歩するであろう通信技術並びにコンピューター技術、それからシステム技術の進歩に対しましては、ぜひ今日法案を改正しておく必要があるのではないだろうか、その内容は必ずしも十分ではないけれども、現状としてはやむを得ないことではないかと、さらに将来に向かってはたびたび改正も必要であろうというようなことを私は感ずる次第でございまして、以上簡単でございますが、これをもって意見の発表といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/8
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009・横川正市
○委員長(横川正市君) ありがとうございました。
以上をもちまして、参考人よりの意見聴取は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/9
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010・横川正市
○委員長(横川正市君) これより参考人に対する質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/10
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011・鈴木強
○鈴木強君 尾佐竹参考人にちょっとお尋ねしたいのでございますが、この委員会でもいろいろ論議になりまして、まだはっきりと政府の御答弁がいただけない点があるのですが、それはこの現在われわれがよく情報化社会とか、知識社会とかいろいろのことを言っておるのですが、一体情報化社会というものの定義というのはどういうものであるのか、こういう点が実は釈然としないのですが、先生は電気通信の回線のほうの権威者のようでありますから、結論的にそこに質問がまいるのでありますが、いまわれわれがこういう事態を迎えてはたして情報化社会なり知識社会というものがこれから十年先、二十年先、三十年先の長期に展望した場合にどういう姿になっていくのであろうか、そうして、いま先生が三百三の情報の種類が自分の研究で出てきておる、そのうち百六十六の種類は公衆通信との接続が必要になってくるであろう、こういう非常に私どもが聞きたい点を御勉強になっておるようでありますから、まずそういう社会はどうなっていくのか、そしてそれにマッチするハード、ソフトの開発というものはどういうふうになっていくだろうか、十数年間アメリカからおくれているこのソフトの技術開発等を含めて、はたしていまの日本のコンピューター産業というものが個々ばらばらにそれぞれの研究開発をしておっていいのかどうか、もっと国家的な資金援助も必要ではないか、こういうことも当然予想されるわけでありますが、そういうことをいたしましてハード、ソフトの開発をし、情報処理というものが一体これからどういうふうに進んでいくのか、こういう点が実ははっきりいたしておらないのでございます。そこでそれにマッチして教育の問題もあるでございましょうし、さっき申し上げましたいろいろな客観性をつくる条件というものが必要になってくると思うのです。で、われわれがいま直接この場合に問題になるのは、公衆通信回線との接続になるわけでありますが、一番心配するのは先生もおっしゃっていますように、本来電電公社の回線というのは電信と電話を接続するための回線であって、その規格その他におきましても、先生のおっしゃるような電信電話を疎通するという上に立っての通信網の規格だと思います。今後新しいデータがどんどん入ってまいりますが、とりあえずはいまの公衆通信回線の規格に合うような情報システムというものがオンラインで流れていくということだと思うんであります。しかし、将来はおっしゃるようにファクシミリあるいは映像、画像通信的なものも出てまいるでございましょう。したがって、回線というものが一体今後どういう形になっていかなきゃならないのか。一説にはデータ通信網というのは別立てにして回線網をつくったらどうだろうかという意見もありますが、これは将来の構想としては、政府の新全総の中にありますように、日本を縦断するネットワークというものが必要になってくるだろうと思うんですが、とりあえずの措置として、電電公社が民間に開放する場合、将来性を思いながらどういうふうなスタートをしていったらいいのかということですね。私は回線需要というものが一体はたしてこれから民間に開放した場合に、その需要に応ずるだけのものがあるのかと思うんですね。そして、本来の電信電話の機能というものにコンピューター回線をつなげることによっていささかたりとも支障があってはいけないわけですから、そういうことの心配をするわけであります。そのほか、まあ基本的な問題としてはプライバシーの保護の問題とかいうことは法的にもまだ非常に不十分でありまして、先般のリーダーズダイジェストの磁気テープの盗難問題、こういう問題一つ取り上げましても、現実にそれに対する法的な措置がなされておらない、こういうふうな問題があります。
そこで、まあ先生の御専門であると思うんですけれども、その通信回線の問題になりますと、私は将来構想というのはどういうふうに情報というものがどの時点でどういうふうに展開をし、それがオンラインに乗ってどうなっていくかという将来構想の一つの青写真というもの、これとオンラインシステムでそれをどういうふうにやっていくかという問題、そのときの通信回線の基準というものは一体どうなっているか。まあ将来防衛庁は防衛庁で総合回線的な全国のネットワークをマイクロウエーブを張りめぐらして防衛庁独自の回線をしようとしております。かつてはマウンテン・トップ方式の正力さんのああいった構想も出ている。いろいろ民間で全国的なネットワークをつくるということについてはいまの政府の態度は明らかにこれはまずい。せんだっても郵政大臣も言っておりました。将来CATVというふうなああいった回線がもうすでに東京とか大阪とか山梨とか伊豆とか全国的に出てきているわけです。しかも、これは同軸ケーブルを使ってかなり規格のいい回線を使ってやっておる。そうなりますと、いつの間にか、そういう民間のネットワークというものが全国的に結ばれるという可能性も出てくる。そういう場合に、一体電電公社のいまの電信電話の疎通をはかるための回線と、それにプラスデータ通信という新しいサービス、オンラインで疎通していく施設と、そういうものがこん然一体となって一つの日本に総合回線網というものが結ばれてしかるべきだと私は思うんですね。そのためには金もかかるし、いろいろ努力も必要でしょう、技術的な開発も必要でしょうが、それを克服していく必要がある。まあ日本の場合は各官庁がそれぞれ縄張りがありまして、なかなかそれぞれの縄張りに固執して行政自体もうまくいかないのでありますから、はたして、そういう回線網が新全総の中で考えているようなものが出てくるかどうか、われわれもちょっと疑問なんでありますけれども、いずれにしても、そういう将来を展望する総合回線網というのはどういう姿になっていくのかということを実は聞きたいわけであります。ですからその前提となる、いま未来学なんかでいろいろとハーマンカーンさんなんかも論じておりますが、かなり抽象論ですから、私たちもよくわかりませんですが、先生が、通信網を考える場合には、当然将来の情報化社会というものはこういうものであるということを想定して、頭に描かなければ出てこないと思いますので、いい機会ですから、ぜひその点を教えていただきたい。それといまの回線網というものをひとつ伺いたいと思います。
まだありますけれども、一緒にやるとあれですから、一つだけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/11
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012・尾佐竹徇
○参考人(尾佐竹徇君) それではお答え申し上げますが、たいへん大きな問題で、これをお話ししておりますと、何日もかかるような問題でございますが、ごくかいつまんでポイントだけ、御質問のポイントと想像されます点をお答え申し上げますと、まず情報化社会というのはどういうことを言うのか。というのは、情報化社会ということばがあまりにもジャーナリスティックに取り上げられておりますので、私自身はそういうことばをあまり使いたくないのでございますが、まあここまで使われるようになりますと、その理由を私なりに解釈してみますというと、情報をやりとりすることに価値を見出だした社会である。いままでは情報をやりとりすることによって、それに特別の価値というものがあまり考慮されなかった。それがすべて考慮されるようになる社会だというのが一つの解釈の方法ではないだろうかと私は受け取っております。ですから、ある価値のある、情報というものはある品物のように考えて、品物なんだけれども、実態がないというようなもののやりとりをする、それが社会活動のうちで相当重要な量を占めてくる社会であるというふうに私解釈したいと思っております。そんなような御返事でその点はよろしゅうございましょうか。
それでたとえばそのはしりはすでに出ておるわけでございまして、たとえばツーリストビューローに行って、切符を買うとか、座席予約をするとかというのも一つの情報を獲得するということになります。さらに、それがだんだん高度になりますと——一番卑近な例で申しますと、電話をかけて天気予報を聞くとかというのもこれは一つのはしりではなかったかと思われます。それがだんだん高度になりまして、皆さま御承知のように外国旅行をするときに旅行業者に申し込みますと全部次から次へと次々の飛行機の予約ができる。それがまた最近では国内でもセット旅行のプランニングが全部できる、そういうような形が一番単純な形の一つである。もう一つは、企業体内にあります動き、この法案にも盛られているようでございますが、類似の業種、関連業種の間の情報交換がオンラインで随時行なわれて全体が時間おくれなく常時動いてしまう。それからまた例が悪いかもしれませんけれども、いずれはまた電気料金、ガス料金の自動検針ということがされて、それが自動的に銀行から引かれるということになりますと、お客のほうはどれだけ使ったか、幾ら取られたかという通知を受け取るだけで、お客は全部知らずにものが動いてしまう、こういうような事態も一つのあらわれではないか。それがいろいろな社会的な面に深く入り込んでくる。またさらにそれはお客が希望する場合には、それが随時切れるようなことをやるという姿を私は想像しているわけでございます。非常に卑近な例で、必ずしも情報化社会の実態を申し上げていないかと思いますけれども、まあそんなようなことの例でいかがかと思います。
それからポイントになります既存の電気通信網と、そういう場合のデータ通信網との相関においてのポイントの御質問でございますが、先ほども申しましたように、現在電気通信網は確率によって設計されておりまして、電話機に近い場所でも使用効率が悪いわけでございます。遊んでいる期間が非常に多い。一般の家庭で申しますと相当電話をお使いになる方でもほとんど電話機は遊んでいる。その遊んでいる確率を考えて電話交換局設備を考えておるという形になっております。それに対しまして、将来入るであろうデータ通信の量はどのくらいのものかと申しますと、既存設備に対しまして、技術的に申しますときわめて率の低いものになります。ですからまだしばらくの間は現在の既存の電気通信網、先ほど申し上げましたように電気通信網と共存させてもそれほど大きな混乱は起きないであろうということが想像されます。それから長距離回線といたしまして、東京—大阪間にコンピューターのメモリーをやりとりするというようなことになりますと、長距離高速回線が必要になってまいります。そのときは、そういうような長距離回線をつくる技術は電電公社並びにその周辺製造会社は十分にお持ちでございまして、それを即刻用意するということも可能で、技術的には何の問題もございません。あとは金の問題だろうと私は思っておるわけでございます。
それからその技術内容の点で、現在の日本のエンジニアレベルは世界最高の技術レベルを持っております。私明瞭に断言できます。実は来年に電気通信技術日本特集号というのをアメリカの学会があえて要求しております。私が編さん委員長でいまつくっておりますが、全文英文で日本の通信技術を、これはアメリカで初めての例ではないか、アメリカの学会であえてその特集号をつくろうという、そのぐらいに日本の技術レベルはトップでございます。それで現在の技術をもっていたしますと、解決できないものは現在の状況でほとんどございません。
それからデータ通信といいましても、伝送路その他の技術的な内容は、技術的なレベルからいいますと、われわれから申しますと、程度のわりあい低いもので解決できる程度の話でございます。それで技術的には問題が何もないと思っております。で、先ほど申しましたように、十年先、十五年先になりましてデータ通信量が膨大になった時代にどうか、現在の百倍、千倍の量になった場合にどうであろうか。ただその場合には、先ほど来申しましたが、われわれも、電電公社もたぶんなさると思いますけれども、電気通信網の中に画像通信その他のものが用意されなければいけない、その画像通信がたとえば用意されますと、現在の通信キャパシティーの約千倍のキャパシティーが必要でございます。ですから画像通信が入りました暁においては、データ通信などというのは微々たるものでございまして、技術的に申しましても、全然とるに足らぬぐらいの小さなものでござ・います。ですから電気通信ネットワークといたしましては、これから先なるべく早く高速ファックス、画像通信網を早く整備することが第一でございまして、それさえできればデータ通信網は軽く扱えるというふうに考えております。そういうイメージを持っております。
それからあとデータ通信の、先ほど来御指摘のございましたいろいろなシステムが共存することがどうかという問題でございますが、必ず大量に処理するものは勝負に勝つという原則がございます。ですから技術レベルの低いうちは部分的にはいろいろ使われるかもしれません。しかしだんだんそれが発達いたしてきますと、必ず総合網としてのものにたぶんそのころは電電公社もずいぶん御用意いただけると思います。その網に統合されるほうが国民的見地から当然経済的なものであろうと思われます。ですから、それはこれから当然でき上がってくるものだというふうに考えられますが、いま個別に始まっておるのも何も手を加えなくても自然に統合のほうに引きずられていくのではないだろうかと私は推測いたしております。——御返事になりましたでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/12
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013・鈴木強
○鈴木強君 いまの回線の場合ですけれども、公衆通信業務用回線として公社が線路をつくっていくわけですね。その場合に今度の法律の中には特定通信回線というのがございまして、これは従来の専用線でございますね。ですから、ある会社なりお役所なりに公社もすぐ貸してやれるわけです。これも公衆線との関連では問題があるんですが、それよりもいまデータをオンラインシステムでやろうとするときに、だれもいまの電電公社が持っておるだけの全国網を持っておらないわけです。ですから、それを使ってコンピューターを入れて情報を提供しようということで、公衆回線網の電気通信設備を開放しよう、こういうところなんです。ですから私どもは前段の問題については、現在の電気通信事業全体のいま行き悩んでおる解決すべき問題があるので、そういう問題との関連でその回線をデータのためにたくさんつくっていくと、その分か引っ込んでいくだろう、一般的なサービスの面において、本来やらなければならない面においてダウンするんじゃないかという心配が一つあるんです。これはある程度常識的に理解できますけれども、問題は公衆電気通信設備の接続の面で非常に心配するわけです。先生のおっしゃるように末端においてはたとえば局の交換機から各個人の家まで入ってきている分の市内の回路というのは、その人が使わない限りはいつも遊んでいるわけですから、問題は市外線を使って市内が接続される場合になるわけです。ですから、せんだっても登戸の電報電話局の公衆電話が、一般電話が機能を麻痺したことがありました。あれは小田急が事故を起こしまして利用者が殺到したために何ぼダイヤルを回しても通じなかったということがございましたね。ですから、この新しく開放する公衆電気通信設備というものが、先生のおっしゃるようにここ当分はそんなに情報が流れない。五年くらいの間にはかなり変動があると思うけれども、その時期ははっきり言えないけれども、情報の流れはたいして変わらないだろうとおっしゃるんですが、はたしてそうかどうかというところが問題ですね。一たん開放した場合には、非常にこれはなかなかいろんな基準をつくりますけれども、やろうとするほうから見るとさあやれやれと、こうきますね。そうしますと、また回線をもう少し拡充することをやらざるを得ないわけでして、そういう心配があるわけですね。ですから、はたして一ぺんに電話をかけた場合に、どの程度の負荷をその回線というものは持っているかというと、まだこれは質疑の中で明らかにしておりません。私はこの次に質問することになっているのですが、そういったむずかしい問題があるわけですよ。かってニューヨークでもわずかの時間でありますが、一時的に電話の機能が麻痺したというようなことも聞いております。ですからそういうような意味において非常にわれわれが心配するのは、本来の電信電話の機能にいささかたりとも支障があってはいけない。はたして支障なしにやれるかどうか、そういう回線事情になるかどうか、ここが非常に心配をしている問題点でございます。ですからある一説によると、データの通信網というものを将来別立てにしていったらどうかという意見もあるわけですが、これはなかなかむずかしゅうございます。しかし、いずれテレビ電話ができた場合に現在の規格ではいけませんね、回線の。したがって、新しいものをつくらなければいけません。ですから、先生のおっしゃるように、そういう事態が、テレビ電話だけでなくて、他の情報の中に高度の規格の回線網というものが必要な時期というものは一体いつごろに想定せられるのか。またそういった回線網のデータというものは一体どういうものが予想されるのか、そういう点もおわかりになっておったら聞きたいところなんです。ですから私は、開放の場合も、私の言っているのは公衆電気通信設備のほうの開放ですね、非常に心配をしているわけであります。その点は技術者としてはきわめて明快に回答ができるはずなんです。これはどの程度の負荷にたえられるのかどうなのか。そういう高度な規格を必要とするデータというものは一体いつくるかということは、当然これから展望する十年先、二十年先あるいは五年先の情報化社会という先生がおっしゃった定義が定義とすれば、そういう事態が、そういう高度の規格を必要とする事態がどの時期に出てくるのか、そういうような点がまだおわかりにならないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/13
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014・尾佐竹徇
○参考人(尾佐竹徇君) 一般通信がブロックしないかどうかという事態が起きないかどうかというのは、確かに例におあげになりましたような事態が発生するのは交換機設計自体の問題でございます。それは先ほど申しましたような加入者百に対して交換設備は十である。こういうので常識的にこまかい計算をいたしました結果やっております。ですから私、現在私の研究室でも研究しておりますが、それをもう少し引き上げなくてはいけないであろう。将来の通信形態というのは、一般大衆がたくさん使うようになれば、ピーク率と申しておりますが、一ぺんに使う率、商売にお使いになるときにはわりあいならされて使われるのですが、一般大衆がお使いになりますとルートによりましてばっとピークが出る。それに対してたえられるような通信設備をしなければいけないであろう。そのために電話交換局の設備のつくり方の技術設計基準を変える必要があるのではないか。それは私かねがね思っております。
それからデータ通信の量の問題でございますが、先ほど来御指摘になりました結局回線をよけい設備しなくちゃならぬから一般通信のほうがサービスが落ちやしないだろうかという御心配じゃないかと私、察しますんですが、現在の通信の伸びというか、その長距離伝送路、電話局から先の伝送路に対しましては、技術的にはデータ通信であろうと、一般電話通信であろうと、全く同じに設計ができます。ですから、新しい回線を設計するときに、そのデータ通信の伸びを換算して等価的にと申しますか、データ通信何回線に対して電話一回線というような換算をいたしまして設計をすることが可能であります。ですから、それは現在の一般電話の伸びからいたしましても当然やらなきゃならないことで、これはたぶん電電公社ではそれを予想してこの回線計画を立てておられるんではないか。私、こまかい数字は存じておりませんけれども、当然、一般電話疎通を流すためには必要である。技術的に申しますと、電話回線一回線ございますと、相当ここで、法案で申しますと、最高速データ回線一回線ということでございますが、これだけ常時二千四百ビット・パー・セカンドの高速伝送路を常時使うデータ通信というのはきわめてまれでございます。ほんのぽろぽろと流れてあとは遊んでしまうというのが普通でございます。それからデータ通信が非常に普及しました事態を考えました場合に、データ通信の姿と申しますか、どんなふうに使われるだろうという予測がございます。それはいま電話が使われている三分でどのくらいという先ほど来お話がございましたような使われ方ときわめて類似の性質を示すであろうという予測がございます。ですから、将来の一般大衆の使うデータ通信の企業体は別かもしれませんが、それが発生したときに、もう電電公社が全体を見渡して、電話がふえたと同じような設計をすれば、これはやっていけるものだというのが私の想像でございます。技術基準はほとんど変わりなくできる。ですから、電話はどんどんふえていくのと同じように考えてよろしいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/14
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015・鈴木強
○鈴木強君 高規格のデータ通信というものは、実際にオンラインに乗っていくという場合、回線規格を変えなきゃなりませんね。そういう時期はまだわかりませんでしょうか。これはテレビ電話一つ、まあ最近実用化されると思いますけれども、そういうものの情報というのはどういうふうになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/15
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016・尾佐竹徇
○参考人(尾佐竹徇君) 伝送上は、高品質のデータ通信であろうと、現在の電話ファクシミリであろうと、技術的には何らの変わりはございません。ほとんど同じようなものが流れるという方式が現在考えられております。たとえば、簡単に申しますと、同軸ケーブル一本引いたときに、どんな波形でその中に送るかというのは、いろんなものが入ったときに最も効率のいい波形の送り方をすればいいという結論が出ております。理論的に方法はきまっておる。現実に実現するときにファクシミリを入れても、高品質のデータ通信を入れても、流れるときには同じ波形で流そうというのができ上がっております。ですから、それだけを特別に考えてつくるということは非常に効率の悪いものになるということが考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/16
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017・鈴木強
○鈴木強君 ちょっと、そこは私まだ意見があるんですけれども、これはまた時間の関係で、私、限りがありますから、これで終わりまして、あとは私の質疑のときに公社のほうにお聞きします。
もう一つ、吉田参考人にお聞きしたいんですが、先ほど広域時分制の問題についてお触れになりました。これは確かに一つのグループ料金制的な方向を指向していると思いますから、そういう意味で一前回の公衆法の審議の際に委員が満場一致で一つけたグループ料金制の方向に一歩を踏み出した一ことは間違いないと思うんですね。ですから、そういう意味において評価はできるんですけれども、問題は、その動機に少し問題があると思うんです。当初公社は公衆回線網の開放ということは、公社というか、一般的にわれわれが知っている範囲では、なかなかこれは無理であろうと、いま直ちに。したがって郵政審議会等の審議ももう少し慎重を期すというようなことになっておったと思うんです。ところが、データ通信というものが開放されるということに急遽なったものですから、たまたま三分制というものとの関連で、その問題というのが急に出てきたわけですよ。当初公社が政府と折衝する段階では、三分間十円という料金体系でありました。ですから、隣接の場合には二分間十円。こういうことでわれわれの指向するグループ料金制にかなり近寄ってきた。われわれは隣接は三分七円なら七円にしなさいという考え方なんです。いまの場合で言うならば三分七円ですね。そうすると、単位料金区域と単位料金区域相互間は少なくとも七円で三分間かかるのですね。こういう発想になると思います。ですから、十円に上がっておったならば、おそらく二分十円ということでかなり近寄っておったのですが、それが七円になったものですから今度八十秒になったのですよ。ですから、われわれの考えているところからみると、後退した形になってしまった。ですから、これは回線を開放しなさい、十分使っても七円にしなさい、これでは合わないものですから、三分制というものが考えられてきたと思うのです。ですから、あなたがおっしゃるように、広域時分制になったら、これに右へならえというのではちょっと筋が違うと思う。これは長話を防ごうということにはわれわれも基本的に賛成。列車のベルが鳴るのに、聞いていると、くだらないような内容の話をいつまでもやっておる。早く切ってくれないかと思っておっても切らないですね。そのときに三分で切れれば、入れかえてやる人もありますけれども、大体それで終わりますね。ですからそれで助かる。そういう意味で世論もあってやったのです。今度の三分制になったのは、そういうことを公社のほうはおっしゃるのですけれども、私は必ずしもその理由は当たっていないと思う。ですから、将来単位料金区域そのままを、まだいまの郵政大臣がきめた基準だけによってやっておるものですから、それをそのまま踏襲するわけですね。今度の改正でもう少しどこかに手心が加わって、地域の特殊性とかあるいは距離の問題とか、その不公平さを多少でも直すというようなことが具体的に出ておるといいんですが、そういう点がにわかだったですからできなくて、五百六十幾つかの現在の単位料金区域そのままを持ち込んでいるわけなんです。これは質疑の中でも、公社も将来の問題としては、確かにある時期で考え直さなければならぬということを指摘しておりますけれども、そういう面が一つあるわけです。ですから、吉田さんも、おそらく単位料金区域そのものが完ぺきではないと思いますから、そういう意味においては、将来改正を加えるべきだという御意見をお持ちだと思いますけれども、念のためにそれを伺っておきたいと思います。
それからもう一つは、電報は御指摘のように非常に電話にとられまして、われわれが考えてみても従来の電報というものはお先まっ暗といってもいいくらいだと思う。ですから、この電信事業をどういうふうに再建していくかということは、もうあらゆる角度から努力していただいていると思うのです。公社もあれだけ合理化をやっても、しかしなおかついまのように七百倍とか、七百二十倍とかという倍率が出る。ですから、これを公共性なるがゆえに一方料金政策で、いまの形で電話で補充すればいいというかっこうでやっていくということはもう限度にきていると思う。ですから、私は根本的に電信事業のあり方についてはもう一回考え直す必要がある。いまの国鉄ではないけれども、国鉄のほうは政府も起債を認め、融資も特別にし、しかもそれは償却猶予するということで、一般会計から直接に赤字を見てやるとはいっておりませんけれども、それにかわるべきような措置をもって赤字を補てんしてやっておる。ところが、電電の場合にはこういうことが全然ない。われわれは従来から公共性を指向する、採算性を維持する事業であるから、その分については政策料金である、したがって、全部寄こせとは言えぬけれども、ある程度の政府が赤字を補てんすべきである、こういう立場に立ってきたわけですからね。なかなかそれが実現しない。しかも十数年の間全く料金は手をつけていない。だから、だんだん赤字がふえて累積赤字何千億というようになってきた。こういうように電信電話というものを放置してきたという責任は公社にも、政府にもあると私は思う。ですから、この際、データという新しいシステムが開発されるところまできたわけですから、これから電信が一体どういう姿になっていくのか。その場合にデータとの関係をどういうふうに結びつけて、あるいは加入電信との結びつきをどういうふうにして、電信というものをあるべき姿に持っていくか。この構想をやっぱり描く時期にきている。そういうふうな経営の基本的なあり方、そういうものに対して吉田さんの御意見があったらひとつ伺いたい。
それからもう一つは、慶弔電報ですけれども、今度これがなくなるというのでたいへん問題なんです。われわれはいま、世間さまがお悔やみの場合には黒い水引きをかけて弔電、お悔やみを持っていきますね、お香典を。お祝いのときには、やっぱり赤い水引きをかけて持っていくのが、これは社会常識なんです。ところが今度それをなくしてしまうというのは、やはり料金との関係があったと思うのですが、どうも社会常識から見ても、私は、おかしいと思うのですね。私だったら、たとえば二百五十円、一般電報百五十円で、二百五十円出しても、赤い色紙でもって配達してくれるという制度があれば、私はそれを使うのです。そして百五十円でいいという人は一般のほうに書いたものを持っていけばいいですから、ですから、せめて自由選択的に利用者に従来の慶弔電報というような制度を残しておいていただきたい。料金をどういうふうにするかはまたそちらで考えていただければいいのですから、そういうふうにして制度を残したいとも思うのですがね。あまり急激に社会常識からはずれたようなことをやってしまったものですから、ちょっとわれわれとしては不満もあるし、世間さまもそう言っているのですよ。この点は吉田参考人はどんなふうにお考えですか、その二つをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/17
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018・吉田五郎
○参考人(吉田五郎君) 鈴木先生の前段のお話、非常にごもっともなところが多いと思うのです。私が考えておりますことでお答えしたいと思うのですが、第一番目の広域時分制の問題でありますが、これの実は御指摘のところが確かにつぼを突かれた点だと思うのでありまして、私が参加しておりました佐藤委員会におきましては、市内電話を十円にするという案を答申しているわけで、その際に、実はグループ料金制をどういうふうにするかという問題、一応議論はしましたけれども、非常にむずかしいと。各国の例を全部調べまして、かくのごとき中で、日本にどれを適用するのが一番いいかということを電電公社の専門家がずいぶん調べた話を伺いました。しかし、その際に直ちにその中の一つを選ぶという案まで至らなかったわけでございます。したがって、私ども考えましたのは、市内の基本料を上げ、電話を十円にして、市内のコスト高に見合うような料金体系にし、そのかわり増収になる金額で長距離電話を下げる。それでアメリカより高いレートになっている長距離電話を下げるという方針を佐藤委員会が答申したわけでありまして、その際には実はこの市内を三分で切るというのはなかったわけであります。あったのは、御指摘の公衆電話の長電話をやめさせるために、公衆電話だけ三分で切って十円に据え置くということをやったわけで、私は公衆電話三分十円が非常に皆さんの要望に沿うものであり、実施後も支障なくいっているというところを見て、見かけ上バランスするということを申し上げただけで、将来電話料金を新たにもう一度改定した場合には、公衆電話十円というのはまたアンバランスになってきますから、三分十円という問題になりますと、いま東京の市内電話を七円三分制にいたしますと、これを動かしたとき、将来公衆電話を幾らにするのが妥当かということはなかなかデリケートな問題だと思います。それで、私は、実は政府の方針が七円据え置きだという話を聞いた結論がここにあらわれたんじゃないかと、こういうふうな気がして、実はそれで賛成しているわけでありまして、この制度で昭和五十二年までの電電公社の長期計画が、この料金体系でうまくいけば、これはなかなかいい案じゃないか、こういうので賛成しているわけであります。
したがって、これを三分で切っている例はあまりないんですけれども、通話の平均時間が百十秒です。これは前から調べて大体百十秒プラス、マイナス何秒と違わないところでずっときておりますから、大半は三分で切っても通話のコールの大半はこれでカバーできるということで賛成しているわけであります。
二番目のお話の電報の問題ですけれども、これは私、鈴木先生の御意見と全く同じようなんですけれども、ただ国鉄の場合と、私、経済審議会の委員をしていて中身をよく聞いておりますけれども、国鉄の場合と電電公社は、電報の赤字の解消のしかたに対してはやはり考え方を変えなくちゃいけないんじゃないかと、こう思っております。要するに、そのインダストリーとして見たとき、現在やっている国鉄の新幹線の問題でありますけれども、いま世界的に見て、世界じゅうの鉄道がいわゆるオブリーク・インダストリーの代表になっているわけでありまして、この中で償却前に赤字になるような現在の態勢で、それがメーンであるというところと、電電公社から見ますと、電報の収入というのは先ほど申しました〇・五、六%しかありません。それが膨大な赤字を出しているというのは、片方に非常に大きなまともに動いております仕事をしているということで、私はこれは国鉄と同じように電報の赤字分も一般会計から補給するというのは無理だと思います。したがいまして、現在のやつから見まして、現在の電報の従事員を将来やはりデータ通信のほうの要員に振りかえるということで、この値上げを今回限りじゃなしにぜひまた続けて電報料金を上げるべきだ。それで、コストのほうに向かって料金を上げていって、料金が高いから電報を打たなくなれば、それが電報の持っている固有の姿だろうと、そういう方向に近づけていくべきものじゃないか。そうしますと、通数が減りますから従事員がもっと少なくていい、こういうふうになるだろう。
いま、お話しの慶弔電報を存続して、たとえば百五十円に対して百円上げた二百五十円になりますと、これはおそらく慶弔電報だけ普通の人が使うので、これは相当残りまして、いまの大体七倍くらいの費用がかかっている状態をくずすことはできないんじゃないか、こう思うのです。したがいまして、日本の非常に特色になっているような慶弔電報をなくすことは、いわゆるサービスの面からまずいのですけれども、六百億の赤字を出しているのだということで免じてもらうしかないというのが佐藤委員会の答申なんです。私はそれに賛成なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/18
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019・鈴木強
○鈴木強君 慶弔電報は廃止に賛成なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/19
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020・吉田五郎
○参考人(吉田五郎君) 慶弔電報廃止に賛成なんです。やむを得ざるものあり、こう思っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/20
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021・鈴木強
○鈴木強君 まあいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/21
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022・久保等
○久保等君 一つ吉田さんにお聞きしたいと思うのですけれども、今度のこのデータ通信——画期的な情報化社会におけるトップを切って法律をつくることになったわけですが、その情報とは何ぞやということでいろいろ議論はあるのですが、いずれにしても、先ほどもちょっとお話があったように、だんだんとコンピューターそのものも巨大化をしていく。したがって、情報処理能力も巨大化していくという将来の展望が考えられると思うのです。したがって、単に旅行の予約をするとか、何とかという程度ではなくて、一つの情報そのものが、体系化せられて、まとまった、たとえばプログラムといったようなものになってくると、これはたいへんな価値ある財産——通産大臣のことばをかりて言えば価値ある財産、しかも、それが非常なたいへんな巨大な価値を持った財産ということになろうと思う。ところで、データ通信ですからオンラインシステムの情報ということになるのですが、せっかくデータ通信をこういう形で制度として設けて、しかもまた民間が、いわば電電公社の回線を利用して、オンラインシステムでもってデータ通信をやってまいるということになると、われわれ、実はかねがね情報基本法をつくって、機密保持というか、個人のプライバシーを守る面を十分に考慮しなければ非常に重要な問題を起こすんじゃないかということを指摘しておるんです。それで、一般の情報問題についてまでどうこうというのは若干時期尚早としても、少なくとも、今回公衆電気通信法の中でデータ通信という一章を設けて制度化していくということになってまいりますならば、その限界の中において、その範囲内においてでも、せめて、やはり情報というよりも、何といいますか、価値ある情報の保護というものを、これはもう当然考えていかなけりゃならぬと思うんです。何か通信回線の開放といったようなことが非常に議論の中心になって、とにかく電電公社が独占しておるのはけしからぬと、簡単に言えばですね。したがって、開放せい、開放せいと言っておるんだが、開放せられた通信回線を使って情報を流す、あるいは情報の交換を行なう、しかも、たいへん価値ある情報を交換するということになってまいると、その情報そのものをいかにしてやはり保護していくかということは、非常にこれはたいへんな問題だと思うんです。いわば、従来の観念では考えられなかった非常な一つの財産、しかも財産は従来の財産の観念からいえば、もし盗まれたいうことになれば、これは捜査をしてまた取り返すということで、取り返せばある程度その被害というものはほとんどなくなるということも考えられるんだが、この情報という価値ある財産は、一ぺん盗まれてしまうと、返してもらうとか、何とかいう観念には該当しない価値ある財産だと私は思うんです。そうなってくると、それだけにその財産に対する保護というものを考えなけりゃならぬ問題があると思うんです。このデータ通信という条章の中には、その財産保護の問題について全然しり抜けになっているわけです。さらにまた、電電公社がデータ通信を扱った場合と、それから民間がデータ通信を扱った場合と、そこにおける扱い方も若干差異があるわけです。すなわち、機密保護の問題についての従事者に対する義務、責任を課しておる面と課しておらない、何らの規定がない、これは非常に片手落ちじゃないかというふうに考えるわけですけれども、吉田さんはもちろん法案には御賛成の立場なんですが、われわれも情報全般の問題としては情報基本法ということでいろいろ政府にもやかましく注文をつけ、政府のほうでも重い腰をいまあげつつある段階だと思うんです。そういう情報一般の問題はさておいて、データ通信という問題に関して、私は少なくともこの法律をこの際つくるならば、そういった問題は非常に重要な問題じゃないかと思う。吉田さんは会社を経営しておられる民間のいまのお立場で考えて、——この価値ある情報の保護規定というものが、データ通信に限って少なくともこの中に何らかの形である程度規定せられていかなきゃならぬのじゃないか、また、この条章の中に規定することが直ちに立法のていさい上からいってむずかしいとすれば、これと相並行して別個の単独法をつくることも私はやむを得ないと思うんですが、そういうこまかい体系は別として、こういったことを制度として設けるならば、少なくともその保護規定——よくプライバシーの問題が出るんですけれども、プライバシーももちろん守らなけりやならぬ重要な問題だと思うんですが、プライバシーと同時に、いま言った価値ある財産ということになると、単にプライバシーの問題だけじゃなくて、経済的に価値ある財産をいかにして保護していくか、しかも一ぺん盗まれたら取り返すことができない価値ある財産という一つの規定で考えてみた場合に、この問題を全然野放しというか、全然ノータッチで法制度をしていることは非常に大きな片手落ちじゃないかというふうに考えるんですが、民間の、特に会社を経営しておられる吉田さんの立場でどんなふうにお考えになっておるか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/22
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023・吉田五郎
○参考人(吉田五郎君) ただいまのお話の点、どうも私その方面はしろうとで、あんまりよくわからないんで、適切なことを申し上げかねるんですけれども、確かに御指摘のような、この間のファイルを一個盗まれた騒ぎ、新聞に出ておりまして、うやむやに終わったようでありますけれども、そういう問題があると思うんですけれども、この法律で論じておりますデータ通信、電電公社が現在しているデータ通信サービスを法的に位置づける問題と専用回線あるいは公衆通信回線を民間に開放する、この問題を対象に考えますと、いまお話しの情報基本法、すなわち情報としての価値をまず認めるという問題、これはもう毎日、新聞に出ておりまして、通産省の関係者の一番得意とするところでありますが、これをやはり先に国内の風習として、従来そういう価値を認めるということが日本はあまりありませんから、それをどうしてもするということが私も必要だと思います。だけれども、これにはやっぱり時間がかかると思うのでございまして、現在ここで問題になっているようなすでに電電公社がオぺレートし、あるいは民間の者が公社の回線を借りてデータ通信を自分でやりたいというものとは私別に取り扱われてしかるべきじゃないか、かように思うのであります。それで現在電電公社がやっておられるサービスからいいますと、いわゆる情報そのものをトリートして情報としての価値をつくり上げるという仕事は電電公社はしてないわけであります。したがいまして私はいまの問題は、開放された民間の業者の問題が非常に大きな問題になるんで、これは時間をかけて先生方御勉強なすって立法されたらどうかと思うのでありますけれども、通産者はやりたいと言っておるようですし、たいへんけっこうだと思うのですけれども、これはやっぱり個々の事例を判断しながら将来に向かって十分御検討になって時間をかけて御判定になるのがよろしいのじゃないか、かように思うのです。それから先のほうは私しろうとでよくわかりません。
会社をやっていての情報の問題でございますけれども、私のところも中型の電子計算機を使っておりまして、それでバッジシステムで自分のところでやっておりますし、ソ連に大きなプラントを、約百十億ばかりのプラントを売っているんですが、その中に電子計算機を入れて、プラント全体を電子計算機でコントロールする。単にいまの物品の管理とか、それから俸給の管理とか、そういうところだけじゃなしに中の工作機械をコントロールするやつをその電算で一緒にやる。したがいまして、これは選択嵌合といいますけれども、雄と雌との加工したやつを組み合わせるわけですけれども、ある幅がありますから、だから雄と雌とを分類しましてマトリックスも作って、それでこういうところに組み合わせて実際作業させる。そうすると、たくさんある機械の各段階の加工によって、このデイストリビューションが毎日変わるわけです。したがって、当日の一番最後に残ったやつによってあまり一部の組み合わせだけにかたまって出てきますと、結局どこかの機械の段階で精度の加工のセンターをずっと脇にずらすわけです。そうするとこのマトリックスが変わります。そういうものを全体の電算でコントロールする。そういうものを一つロシア語でソフトウエアをつくっている。これは私は非常に自慢しているわけですけれども、それは私にとってはすごい財産ですけれども、だれにも保護していただいてないんで、これは自分で保護せざるを得ない、それで自分自身で注意しているというのが実態です。したがって、この前のリーダーズダイジェストのようなものは、盗まれると、普通の財産盗まれたと全く同じ事態じゃないかと思いますので、この問題を、情報基本法を制定してこういうのを入れるとしますと、もっと時間をかけないと無理じゃないかと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/23
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024・久保等
○久保等君 私もだから未来の、非常なたいへんな多岐多様に発展していくであろう未来に対しての規定というのは非常にむずかしいと思うのです。したがって時間をかけなけりゃならぬということはよくわかっておるし、そう思っておるのです。ただしかし、今日データ通信という制度を現実に法律をつくってスタートさせる、その部面については、少なくともいま吉田さんの言われたのは、それは私の言ういわゆるデータ通信という部類に入らないと思うのです。オンラインシステムで話を申し上げておるわけですからね。その範囲内に限ってスタートさせよう。その場合に、公社の場合には、たとえば一つの例をあげれば、従事者に通信の秘密保持の義務想定がありますが、民間の場合はそういったことは全然ないわけです。そういった面についての、少なくともアンバランス、というか、片手落ちになっておる面でも、せめて片手落ちにならぬように一つのバランスをとっていくというような問題もありましょうし、それからいま言われたようなことは、オンラインシステムを通じて、データそのものが交換をせられるということになってくると、自分の社内でのバッチシステムでやっている分には、自分が気をつければいいし、それからかねて新聞に報道になったリーダーズ・ダイジェストの場合も、あなたも言われたように、確かに一つの財産として、盗まれなければそれで済んだんですが、データ通信を今度やるとなると若干条件が違うと思うし、また盗難というか、盗まれる可能性というものは非常に強くなってくると思うのです。せめてデータ通信の制度を始めるなら、始めると同時にそれに対する保護措置というものを考えていかなければならぬのじゃないか。もちろん公衆法の中にそれを織り込むということは、法律体系から言っていま非常に無理だと思うのですね。したがって、先ほどもちょっと申し上げたように、別の立法なり何なりの形で考えていく必要があるんじゃないか。もちろんわれわれは国会ですから、国会でそういうものをつくればいいんじゃないかという話になるんですが、しかし、少なくともいま提案する政府の立場から言えば、そういう法律を始めようとしてつくるんならば、そういう問題もあわせ考えて、法律としてやっぱり国会で審議をする、また制度としてきめていく必要があるんじゃないか。そのことについて吉田さんの御見解を、ということでお尋ねしたんですが、大体考え方はわかりましたけれども、まあ将来の問題は将来の問題としてあるとしても、当面スタートするにあたっての問題としても若干片手落ちがあるんじゃないかという感じがしたんでお尋ねしたのです。けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/24
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025・長田裕二
○長田裕二君 高橋先生にお尋ねいたします。私もすわったままさせていただきますので、先生もすわったままでどうぞ。
先生の御意見、先ほど承ったんでございますけれども、私、あるいは取り違い、誤解があるといけませんので、最初に私が伺った先生の御意見、こうだというような点を申し上げたいと思います。
まず広域時分制を採用したことはけっこうだと。それからデータ通信については、公社が従来試行的にやっていたのが、法的にオーソライズされる、根拠づける、この面もけっこうだと思うと、しかし電報料金の引き上げ、あるいは設備料の引き上げ、あるいはまた通信回線をデータ通信として民間に解放することは、これははっきり申せば、この法案についての御意見としては反対と、そういうふうに伺ったのですが、そういうことでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/25
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026・高橋正雄
○参考人(高橋正雄君) 最後におっしゃった点だけはっきり申し上げたわけで、ほかのことについては特に申し上げなかったわけです。ですから一般通信回線を民間企業に自由といいますか、使わせるという点に限って申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/26
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027・長田裕二
○長田裕二君 そうすると、電報料金あるいは設備料については、格別賛否の御意見はただいまお示しがなかったというふうに了解いたしますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/27
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028・高橋正雄
○参考人(高橋正雄君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/28
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029・長田裕二
○長田裕二君 データ通信の問題でございますが、確かにコンピューターそのものはもう日に日に発達している。それから日本の一般の空気として一外部のほうから通信回線を開放しろという声も非常にある。しかし先生の御意見としては、その前に基本法のようなものが必要ではないかというような御意見であります。私どもも基本法的なものが必要なのではないかという感じは持っているわけですが、その内容について、先生がどういうものをお考えになっているかということを伺いたいのでございます。先ほどからほかの委員からも、あるいはまたきょうお見えくださった皆さま方からも御意見がございますように、情報そのものがコンピューターの中に入る、あるいは入り得るような形になるということで、非常にそのもとのものと離れて客観的に存在してくる。それがオンライン——通信回線によって日本じゅうから利用され得るような状態になるということで、これは一つの大きな飛躍とも言えるわけですから、情報そのものの正確さ、たとえばある病気に対する治療法なりというものが間違って記入されていると、うっかりすると、それによって、日本じゅうで間違った処置がなされる。建築の計算、重量計算や力学的な計算を間違えるとビルが崩壊したりすることなどもあったりすると思いますので、情報の正確さあるいは入れたり出したりする際の間違いのなさ、あるいはまた特別の個人なり公の秘密なり機密というものが守られる技術的な保障あるいは制度的な保障、そういうようなことなどがいろいろ考えられると思いますが、そういうようなことのほかに、先生が特にお考えになっていることがございましたらこの際ひとつお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/29
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030・高橋正雄
○参考人(高橋正雄君) こういう点を考えてみてはどうかということでございます。一つは、現在公社が持っている設備というのはだれのものかというと、個人のものではなく日本国民全部のものではないか、そういう意味で公有財産といいますか、社会財産、社会資本といってもいいわけですが、その使用を個々の企業に料金さえ払えば自由に使わせていいという問題をデータ通信の場合は深刻に考えてみようではないかということが一つでございます。それからもう一つ、これは経済学の講義を申し上げて恐縮ですけれども、情報の価値が認められるようになった状況のことを、われわれも情報社会と言うんですけれども、経済学のほうで価値というときに、使用価値と交換価値ということを申しまして、使用価値というのは、人間に役に立つ価値のことでありまして、たとえば天気予報の情報でしたら、天気予報に関心を持つ人にとってはすべてこれは効用があるというか、使用価値があるというわけであります。それから交換価値というときには、お金を払ってその情報をもらうということで、それは言いかえますと私有財産制度の対象になる、所有権の対象になるという情報と、二つあるわけです。で、今後データ通信として、あるいは現在の電電公社が持っております回線などを利用して配給される情報の中には、国民にとって、非常に多くの国民にとって使用価値があるものであることはもちろんですけれども、それは価格を払わなければ使えないようなものであるかどうかという点について根本的な検討を要するということです。それから私有財産の対象になるような情報だったら専用回線かなんかでやればいい。その辺のところ、私はまだはっきりわからないのですけれども、つまり使用価値のある情報、それから所有権の対象として価格を払って交換する情報ですね。それから現在の日本としては、これこれの情報ならある意味では国家なりどこかがただで提供してもいい情報というふうに、使用価値はあるけれども価格は取るべきではない、その意味では私的企業の事業の中には入れないほうがいいと、そういうふうな、先ほど尾佐竹先生から何百種か、三百種なりあるいは百五十種のものがありましたけれども、ああいうものの現在ある性格、今後あるべき性格などを考えた上で、私的企業、民間企業にやらせてもいいもの、そうじゃないものというふうなものを議論する時間あるいは検討する努力があってしかるべきだと思うんであります。それからあと技術的な点ではそれぞれ専門の方の御研究で十分に対処できるんだろうと思いますけれども、それについても経済的、社会的な見地から、大いにこの際疑問を出しておいたほうがいいのではないか、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/30
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031・長田裕二
○長田裕二君 このデータ通信部門の経費といいますか、これが電信電話の利用者の負担においてなされないようにという配慮は公社としても十分しているように私どもいままで聞いているわけです。かりに従来公衆通信網として建設されたものでも、データ通信の利用者がこれを使う場合にはしかるべき料金を払っていくという、その料金が妥当かどうか、尾佐竹先生の御意見だともう少し高くてもいいんじゃないかという御意見があったと思いますが、いずれにしろ普通の電信電話の利用者の負担にはならないようにという配慮はされていると思いますが、先生の御意見によりますと、回線の余裕があっても、なおかっそのものは従来営々としてやってまいった電信電話の利用者以外にそういうものはあまり使わせるべきではないのだと、できるなら何かこう別種の通信網といいますか、何というか、回線網といいますか、そういうようなものでやらるべきものだというふうに、ちょっとただいま伺ったのですが、そういうようなことでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/31
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032・高橋正雄
○参考人(高橋正雄君) 必ずしもそうではありませんで、普通の製品のようにコストだけは価格でカバーするのだという原則でやっていい部面も大いにあるかもしれない。しかしそれとは違って、つまり使用価値はあるけれども、価格などを取らないほうがいい、たとえば天気予報のあれとかあるいは一般国民が知ってたほうがいいような選挙に関する何とかと、あるいはいろんな問題が出てくると思いますけれども、そういうものについてはコストにこだわるべきではなくて、むしろ国費といいますか、そういう国家財政のほうで負担すべきものかと、その辺に先ほど申しました価値ある情報をつくるのだ、伝達するのだという問題の中にそういう問題も含めて考えておくべきではないかと、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/32
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033・塩出啓典
○塩出啓典君 じゃ二問ほど。最初は吉田さんにお聞きいたしまして、第二問目は全体の皆さんに聞きたいのですが、まず第一問につきましては、設備料の値上げの問題で、佐藤調査会においては一万円を五万円にする、そういう話もあったけれども三万円にしたと、今回五万円にすることは非常に妥当であると、そのようにお話を聞いたわけでございますが、私、佐藤調査会の審議の模様は知りませんが、その結論を拝見したところでは、あの当時の答申においては、そういう設備料というのは新規加入者のみならず、いままでのそういう在来の加入者のサービスも含まれるわけだから、たしか料金も値上げする、設備料も値上げすると、そういう二つであったと思うのですね。先ほど尾佐竹先生もお話がありましたように、だんだん電話がふえてまいりますと、設備費のわりあいに使用効率が下がってくるために財政が苦しいと、そういう点から考えるならばまあ結局四十三年ですか、そのときも結局設備料だけ値上げになっちゃったと、また今回も設備料だけ値上げしたと、結局そういう公社の時代の推移に伴う経営の苦しさをこれからの新規加入者だけに負担させるということは、これは公衆電気通信法の第一条の公平という点からも非常によくないのではないか。また同じく第一条にはあまねく電話を普及しなければならないと、そういう点から結局設備料だけどんどん上がってくるということは、貧乏人は電話を持つなと、どうも公社はあまり電話がふえぬほうがよさそうなそういう感じがするわけなんですね。確かに一般の基本料を上げるとかあるいは七円を上げるということは、これはもう国民の非常な抵抗があるから、設備料の値上げであるならばさみだれ的に一般の人は関係ない、電話を設備するときにああ五万円かと払っているが、数が少ない。一年間に三百五十万ぐらいですから一日にすれば一万足らずの人ですから、そういうふうに大衆の怒りを分散させてやるようなやり方じゃないかと思って実は私は憤慨しているわけですよね。やはりもっと公平の原則、またあまねく電話を普及するという点から考えて設備料をそんなに値上げするということははなはだよくない。私もきのうの委員会でも佐藤調査会もそう言っているのではないかと言ったところが、きょう、佐藤調査会のあなた自体が賛成されたんじゃ、きのうの私の趣旨とはだいぶ違うわけなんですけれども、佐藤調査会の真意は新規加入者だけに負担させるのはよくない、そういう趣旨じゃなかったかと思うのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/33
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034・吉田五郎
○参考人(吉田五郎君) ただいま御指摘のは設備料という名前が、これは私悪いのだろうと思うのですけれども、その設備料というのは、新たに電話を加入するときの加入者をふやすための全体の設備料じゃないのですね、これは。設備料ということばの表現が悪いので、これはそもそもが電話の取り付け料と称すべきものなんです。したがいまして、私が先ほど申しましたように、佐藤調査会は三十八年のあたりが一番調査をクライマックスにやっておりましたが、そのときに一加入回線をふやすのに三十五万円かかっている。それが三十二、三年あたりは三十三万円だった。現在もう三十六万円ぐらいだろうと思いますが、その中で直接加入者に電話機と引き込み線その他分岐線いろいろなことがありますけれども、それにかかる分に相当する取り付け料としていただくというのが設備料でして、したがって、これは基本設備のほうは別としてお客さんに直接見えるところだけは設備料としていただきますと、それが一万円だった。したがいまして、一加入増設するためのコスト全体が三十五万円かかるのに一万円ばかりはおかしいじゃないかというのが、委員会の多くの委員のお話だったのです。それでもう一ついまのお話の既存の人にサービスがふえるから、したがって費用負担せいというのは、実はいまお話のとおり、料金の七円を十円にしようという理由に使ったわけでして、これは確かに全設備投資の中で新規加入の分にいく分だけは全体の設備投資の三分の一であって、残りの三分の二は既存の加入者の性能向上と、それからその新しく入る加入者との間のインターコネクションのために必要な費用、したがって三分の一は新規加入者、それから三分の一は旧来の既存の加入者との接続のための費用、残りの三分の一は全体がサービス向上しいろいろなことがよくなってきますから、従来即時でなかったのを自動即時にするとか、いろいろなことで性能がよくなるために設備改善に使う。こういう意味で大体三分の一ずつになっているわけです。したがって、七円を十円にするのは既存の加入者にもベネフィットがあるのだから御了承願いたいという意味の佐藤委員会の話でして、したがって、これは電電公社が遠慮しているのか、現在の政府が認めないのか、私は十円にされるのが一番妥当だといまでも思っております。そういう意味で、この五万円の値上げに賛成したのはいま先生のお話とはちょっと違うと思うので、ぜひ佐藤委員会の……、私が申し上げているのは、佐藤委員会当時の皆の話を総合して申し上げているのでありまして、いまの点は御了承いただきたい。かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/34
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035・塩出啓典
○塩出啓典君 それじゃもう一問は、これは電電公社の将来のデータ通信に対するあり方について、この御意見を聞きたいと思うのです。これはいろいろ先生方の専門がおありでございますので、もしお願いできれば、その方にお願いしたいと思います。このデータ通信部門を公社からはっきり分離すべきだという、そういう意見もあるように聞くわけなんですが、あるいはもう電電公社は線貸し業だけで、そのほかのことはやっちゃいけない、そういう説もありますが、電電公社はデータ通信やるにしても公共的なものをやることにして、それ以外手を出してはいけない、そのようなさまざまな意見がございまして、将来どういう姿がいいかというそういう点を聞きたいと思います。私思うのは、いま電電公社も一兆円以上の企業になりまして、大体大き過ぎると横暴になるし、きょうも公社の方がだいぶいらっしゃるわけで申しわけないのですが、大体大きくなると非常によくない。それともう一つは、ほんとうに合理化を進めていくためには、やっぱり電報と電話の場合でも、結局電報と電話が一緒であった、そういうことで少々赤字であっても、電話のほうから補ってきたから、そういう危機感もなかったために、非常に長い間料金の値上げもされないできた、もちろんそれなりの努力はされておったと思うわけですけれども。将来またデータ通信の電話の関係から見て、電話の将来性というのは、いまの尾佐竹さんのお話を聞ても、やはり将来効率も下がってくるような、そういう点もあるわけでございますが、そういうような大き過ぎるのはよくないという点、それとやはりはっきり分離をさせて、原価主義なら原価主義、はっきりしたほうがむしろ合理化を進めていけるのじゃないか、私はそういうような二つの点から、いずれにしても、いまのままでいくことはよくないじゃないか、そういうような感じを持っているわけなんでございますが、そういう立場から外国の例等もしございましたら、何でもいいんですが、こうあるべきだという御意見ございましたら、それをお聞かせいただきたい、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/35
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036・吉田五郎
○参考人(吉田五郎君) これは私が答弁するのが妥当かどうか存じませんけれども、私の感じている範囲でお答えしたいと思います。
電電公社はこれからますます大きくなって、大きくなればなるほど横暴でぐあい悪い、これは公衆電気通信法その他法律で、政府と国会とが監督なされば、郵政省もありますし、そういう心配はないのだと思います。
それで、実は現在の日本の電話を中心とした通信網とサービスの状況は、アメリカに次いで世界で二番目に非常に優秀である、こう私思います。それで、私は実はソ連はじめ共産圏に五、六回旅行しておりまして、非常に通信が悪い、それで設備が貧弱で、品質が悪い、これは国のポリシーだと思うのです。自由の通信というものをそんなに尊重しないようなそういう体制の中でありますから、当然だと思うのです。それを見まして、旅行しまして、仕事するのにも非常にぐあいが悪い。現在の日本の通信は非常にいい。これは世界じゅう回って実感として思います。それで、通信網というのはシステムとして考えますと、これは電力などは大きくなってきますと、ただ分かれるだけでいいんですけれども、通信は加入者の数がふえると、そのインターコネクションのために非常に膨大な基礎設備が要るわけです。したがって、この基礎設備をやるためには、企業形態が大きくならなければ、私消化できないのだと思う。ですから、中南米の国でも電電公社のまねして、ブラジルでもどこでも公社をつくって電電公社と同じような債券を発行するとか、いろんなことをしながら日本の電電公社のまねして動こうとしている。電電公社のあり方がアメリカよりもいいんだ。アメリカは自由の国でそういうことはありませんけれども、現在アメリカが悩んでおるデータ通信を中心としたFCC以下の悩みの各種のものはフリーなものが幾つかあるために非常にコンフュージョンを起こしておる。その点、日本の電電公社が自分でもやり、回線を民間にも提供するというあり方が私は世界で一番スマートな結論だと思います。
それからもう一つは、電報が赤字だから分離形態したら本人努力してよくなるだろうというお話、これは私はだめだろうと思う。ちょうど鉄道が世界的にオブリーク・インダストリーで、ほかの交通機関に負けると同じように、電報の本質が非常に現在われわれ普通の生活で普通の人が要求するのを満たすのには少し能力不足なんですね。電報というのはただ記録が残りますから、記録をあとで見れるという意味ではけっこうなんですけれども、そういう本質があるので、今日、加入電信なり電話なりにみんなマーケットを奪われるので、これは幾ら努力してもだめだと思います。現にアメリカの国内電報の専門のウェスターンユニオンがいかに機械化し、長期間のストにもかかわらず徹底的な合理化をやってもとうてい電報で食えない、しかも値上げはしゅっちゅうしておる。それで何を始めたかというと、ここに言うデータ通信を始めたわけです。データ通信の黒字によって電報の赤字を埋めている。そうしてようやくウェスターンユニオンは配当ができたというのが、これが今日の姿だと思う。したがって、電報だけで合理化というのは限界があるのじゃないか。したがって、電報が本来持つべき姿のような通数と利用程度になるように料金を上げて、そんな高いならやめるというわけで自然淘汰される、その最後に残った電報だけは、国として、公共事業として赤字でもやっていく、これはやむを得ないのではないかと思います。かように考えます。はんぱなお答えでどうも恐縮いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/36
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037・横川正市
○委員長(横川正市君) 他の方でいまの御質問にお答えの方……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/37
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038・尾佐竹徇
○参考人(尾佐竹徇君) ちょっとお答え申し上げます。
一つ吉田さんと意見の違う点は、電気通信のレベル、電話のレベルはアメリカより日本のほうがはるかによろしゅうございます。ごく最近の事情でございますが、技術的に申し上げましても、サービスにおきましても、日本の電話のほうが格段によろしゅうございます。アメリカは御承知のように、ニューヨークの電話はとまったり、雑音が多かったり、混信いたしたりつながらなかったりしておるのが現状でございます。
それからもう一つ分離の問題でございます。イギリスの場合には情報公社を発足させておるということ、それからアメリカのATTが回線貸し業に専念するということを宣言しておる、この二つの事実からの質問が出たのかと思いますが、それぞれの国にはそれぞれの国情の違いがあることを私は直接会って事情を聞いております。で、アメリカATTがウェスターンエレクトリックの製造部門を持っておったりいろいろございまして、結局私の了解するところでは、最高裁の裁定でその宣言をしたというふうに、私は理解をしておるわけでございます。
それで、次に技術的な問題で、電電公社が将来データ通信のどの部分を受け持つべきであろうかという点は、やはりデータ通信のソフトウェアの問題からこれを見るのがいいのではないかと思います。すなわち巨大化したソフトウェアを少しでも変えようとしますと、これまた膨大な努力を必要といたします。したがって、電電公社の将来のデータ通信で占めるべき役目というものは、やはり国民全般にサービスとしてのデータ通信というものは、これは電電公社がやらなければいけない。そのほかの非常にこまかなものできめのこまかいサービスを必要とするものは、これは民間にまかしてもいいんではないだろうか、それで自然にそれをやっていきます上で、そのデータ通信のソフトウェアの点からのシェアがきまってくるだろうと思います。それからハードウェアの点で申しますと、やはり電電公社にはプロがそろっておりますし、回線網を持っておりますので、それが非常に有効的に利用できるように電電公社の中でその動きを見ながら回線設計をしたり、将来計画を立てるということは全国民的な立場から必要なことではないだろうか。先ほど吉田さんの言われましたように、日本はなかなかうまい手を考えたものだというのは、私も同じ意見でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/38
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039・酒井喜芳
○参考人(酒井喜芳君) 塩出委員の質問の中で二つのお答えをしたいと思うんですが、電電公社のデータ通信のあり方、これは吉田さん、尾佐竹さんの意見と一致するところがあるんです。というのは、私も労働組合の立場として、業としてデータ通信をやることを民間に開放することは賛成できない。現に自社の関係のデータの交換、これはいまでも専用線を使ってやっているわけでありますから、このこと自体はすでに問題がないわけであります。ですから民間の方々が業としてデータ通信、いわゆるデータの収集、加工、販売、処理、こういうものをやることが問題だということなんですね。で、私はやっぱしそのことが、先ほど一番最初の意見の際にも申し上げましたように、かりにその回線を開放したら、そういう民間の方が業としてデータ通信というものを雨後のタケノコのようにやるかといったら、実際にはそんなことはないだろうと、相当な高価な機械を使って、それからソフトウェアをつくって、そして今度はユーザーが不特定多数でありますから、どのくらいのユーザーであるかどうかわからない、こういうことになります。ですから、将来、非常に発展する産業分野であろうから、一つはそういうものに民間として進出する余地をあらかじめ確保していこうというところにその回線開放ということを強く要望される一番大きなねらいがあるんじゃないだろうかと、こういうふうに思います。ただ、そうだった場合に、先ほど吉田さんも言われましたけれども、民間でそういうものをやった場合に、ソフトウエアの秘密保持の問題、このことについては、一定の保障がありません。電電公社でやる場合には、これは公衆電気通信法その他で保障があるわけですね。そうすると、そういうものに対してユーザーはいかなる保障を業とする民間の会社に求めることができるのかと、これはおそらく裁判か何かやらないと保障を求められないだろうと、あらかじめそういうものが保障されてないということになるわけであります。そういう点がありますから、やはりその今回の公衆電気通信法の一部改正でもってそのことを法律案に入れることがむずかしくても、他の面であわせてそういうものを保障していかなければ今度はユーザーはたいへん危険なものとして民間のデータ通信を利用することになるだろう、こういうふうに思うわけであります。国がやる場合、日本電信電話公社がたとえばデータ通信やる場合には、コントロールする場合には、先ほど吉田さんも言われましたけれども、監督官庁としての郵政省がある、それから法としての公衆電気通信法がある、それから総括的な監視としての国民の代表としての国会があるということになれば、一番国民の意見というものが反映する事業の運営形態ではないだろうか、こういうふうに考えて、その面では吉田さんと一緒だと、こういうふうに申し上げておきたいと思うんであります。
それから電報の問題でありますが、これは吉田さんが一番最初に申されましたように、当時五万人程度おったのが約二万五千人程度に減っております。減った最大の理由は、電報中継機械化という形で、人手でやりました電報の中継を機械に置きかえたというのが最大の理由であります。しかし、それにもかかわらず、膨大な赤字を解消することができずに、まあ昨年の暮れには新たな合理化という形で当初公社の提案でありますと約三千人程度要員を減らし、約二万二千人程度に減らしてしまうという極端な合理化が出てまいりました。これは労働組合との団体交渉において一定の結論が出ましたからそのことはいいのでありますけれども、その際にも、現在約七千二百万通ぐらい年間発信する電報があるわけでありますが、相当将来ということではなくて、五年ないし十年を展望した場合の電報の通数というものは、三千五百万通程度で安定するだろう。そこで、そのことを念頭に置いてこの合理化計画をつくったというのが電電公社の説明であります。そのときには、吉田さんの言われるように、段階的にさらに料金を値上げをしていくという説明はありません。これはたいへん電報の扱い通数が減るかふえるかというのは、そこに働く労働者の数に直接影響いたしますから私どもといたしましては、たいへん重大な問題でありますが、電電公社からそのことの説明はないわけであります。
それから電報料金の場合には、確かに今回改正をされるわけであります。膨大な赤字でありますから、現行のまま維持せよというのは、労働組合の立場から言いましてもたいへん問題があるように思うんです。ただ、総通数のうちきわめてわずかなパーセントでありますが、一般個人の方が利用される電報というものは依然として残っているわけであります。たとえば不幸の内容を伝える電報がある。あるいは家へ何時に着くという電報がある。こういう電報について、全く純然たる個人の利用する電報について、これを上げることは問題があるんではないか。この種の電報については、パーセンテージも非常に低いということから現行に据え置いてもいいんではないか。むしろ、一般に使われる商業電報的なもの、ないしは儀礼的な電報については、これは多少上げても、商業電報であれば、それをコストに組み入れることができる、あるいは儀礼的な電報であれば、これは必ずしもやらなければならぬ状態の電報ではない。多少上げてもそれは問題はないのじゃないだろうか。こういうような考え方をいたしまして、労働組合といたしましては、一般使用の全く個人的な用を足す電報については現行の料金を維持すべきではないだろうか、こういう態度を持っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/39
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040・久保等
○久保等君 ちょっと尾佐竹さんにお尋ねしたいと思いますが、先ほどの御意見の中に、回線の使用料あるいは伝送路の使用料、こういったようなものは多少上げてもいいんではないだろうかというような意味のお話があったと思うんですが、もしそういう御意見でしたら、具体的に何かお考えになったことからきた結論だと思うんですが、何かその具体的な理由みたいなものがおわかりでしたらお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/40
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041・尾佐竹徇
○参考人(尾佐竹徇君) その点は私、経済学者じゃないものですからわからないのですが、これはむしろ高橋先生からのお話の点と、先ほど来御質問のあった点ではないかと思われます。従来、通信回線を設計するときの設計基準のときに、伝送路コストミニマムという点を主にして、そして端末機器はなるべく安いものでつくろうという考え方できております。コンピューターシステムの場合には、コンピューター自身がレンタルでやっておられまして、そしてソフトウェアをつくるのに相当な金をかけてやっておられる。したがって、料金の考え方が一般電話の通信とコンピューターシステムとは違うのではないだろうか。したがって、それからしますと、両端末とコンピューターに非常な金を出されるようなところならば、伝送路にもう少しお金をお出しになってもいいんではないだろうかという単純なるしろうと考えからでございます。それから情報をお売りになっておもうけになる方がおられたら、その分を電電公社がよけいにいただいてもいいんではないだろうかというきわめて単純なしろうと考えからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/41
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042・久保等
○久保等君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/42
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043・横川正市
○委員長(横川正市君) これにて参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々には、御多忙のところ長時間にわたり御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして非常に参考になりました。委員を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106514816X01519710512/43
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