1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年二月十八日(木曜日)
午前十時八分開会
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委員の異動
一月二十九日
辞任 補欠選任
高田 浩運君 鈴木 省吾君
二月三日
辞任 補欠選任
菅野 儀作君 堀本 宜実君
二月五日
辞任 補欠選任
小平 芳平君 宮崎 正義君
二月十六日
辞任 補欠選任
小林 国司君 佐田 一郎君
鈴木 省吾君 青木 一男君
二月十七日
辞任 補欠選任
青木 一男君 鈴木 省吾君
佐田 一郎君 小林 国司君
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出席者は左のとおり。
委員長 河口 陽一君
理 事
亀井 善彰君
園田 清充君
村田 秀三君
沢田 実君
委 員
小林 国司君
櫻井 志郎君
鈴木 省吾君
高橋 衛君
森 八三一君
和田 鶴一君
北村 暢君
河田 賢治君
国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
政府委員
農林政務次官 宮崎 正雄君
農林大臣官房技
術審議官 加賀山國雄君
農林大臣官房予
算課長 松本 作衛君
農林省農林経済
局長 小暮 光美君
農林省農政局長 中野 和仁君
農林省畜産局長 増田 久君
農林省蚕糸園芸
局長 荒勝 巌君
農林水産技術会
議事務局長 立川 基君
食糧庁長官 亀長 友義君
林野庁長官 松本 守雄君
水産庁長官 大和田啓気君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
(昭和四十六年度農林省関係の施策及び予算に
関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106515007X00319710218/0
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001・河口陽一
○委員長(河口陽一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
農林水産政策に関する調査を議題とし、昭和四十六年度農林省関係の施策及び予算に関する件について調査を行ないます。
まず、農林大臣の所信を聴取いたします。倉石農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106515007X00319710218/1
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002・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 私が農林大臣に就任いたしましてから約一年を経過いたしました。この間、私は、農政に全力を尽くしてまいったつもりでございますが、御承知のとおり、農業問題は、その解決に長期を要するものでありまして、まだまだきわめて困難な問題が山積いたしております。今後とも全力をあげて、困難な問題に取り組んでまいる所存でございますので、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
本日は、この機会をかりまして、農林水産業に対する施策につき私の所信を申し述べ、今国会に提出いたします農林水産関係の予算案及び法律案につき、委員各位の御審議の御参考に供したいと存じます。
今後わが国農政の役割りは、一億をこす国民にその必要とする良質の食料を安定的に供給し、国民各位が豊かな食生活を実現できるようにするとともに、農業に従事する者が他産業に従事する者に劣らない所得を得られるよう生産性の高い近代的な農業経営を確立し、また、農村在住者が近代的な文化的な生活を享受できる生活環境を備えた農村社会を建設し、わが国経済社会の均衡ある発展に資することにあると思います。
一方、わが国経済の高度成長は、農業に対して種々の影響を及ぼしてまいりまして、農業は今日、経済の国際化、物価、公害などの諸問題への対応を要請され、さらに、米の生産過剰の問題を生じており、まさに長期を要する構造改善の過程において、需給の調整をはからねばならないというきわめて困難な局面に立ち至っております。
私は、このような状況に対処し、農政に課せられた使命を全うしていくため、次のような方向に沿うて総合農政を強力に推進していく所存であります。
第一に、農業生産の誘導であります。
今後農業生産を需要に対応した作目構成と地域の特性に応じた地域分化の方向に誘導していくため、その一環として米の生産調整を行なうとともに、需要の増大が見込まれる農産物または現在、生産が需要に十分対応し得ていない農産物の生産の振興をはかってまいる所存であります。
米の生産調整につきましては、昭和四十五年度に引き続き、昭和四十六年度から昭和五十年度までの五カ年間にわたって、稲から他作物への作付転換を基本として、総合的かつ計画的に行なうことといたしております。昭和四十六年度におきましては、二百三十万トンの減産を目標に、奨励補助金を交付して誘導するほか、稲から他作物への作付転換につきましては特段の助成措置を講ずることといたしております。
このような米の生産調整に関連しまして、政府の米管理の面におきましても、米の需給実態に即応し、生産調整の実効を確保するとともに、政府買い入れの適正を期するため、食糧管理の制度・運営の改善をはかる所存であります。さらに、昭和四十六年産米の生産者米価の水準は、これを据え置く方針であります。また、消費者米価につきましては、消費者の選択に応じた米の価格形成ができるよう物価統制令の適用を廃止する方針でありますが、米穀販売業者の新規参入規制の緩和など米穀の需給の実情が販売面に十分反映し得るよう流通面の合理化を進め、消費者価格の安定をはかってまいりたいと考えております。また、政府手持ちの過剰米につきましては、従来からその処理につとめてまいりましたが、さらに、その計画的な処理に着手したい考えであります。
地域の特性に応じた地域分化の方向への誘導につきましては、昨年十二月、半年余りにわたる計算作業の結果農業生産の地域指標の試案を公表いたしましたが、これは、今後の農業生産の地域別の望ましい姿を明らかにしたものでありまして、今後、地域の農業生産をこの指標の方向に誘導するため、米の生産調整及び稲作転換対策をはじめ各般の施策を講じてまいる所存であります。
畜産物、園芸作物などにつきましては、これらの需要が今後とも増大して行くことが見通されておりますので、稲作からの転換対策を含め、なお一そう各般の振興施策を講じてまいる所存であります。
畜産につきましては、生産性の高い能率的な畜産経営を育成することを目途に、飼料基盤の整備を中心に対策を進め、また、養蚕及び野菜、果実、花きなどの園芸作物につきましては、主産地を中心に生産出荷体制の整備をはかることに重点を置いて対策を進めてまいります。特に、物価対策上重要な野菜につきましては、今後、需要の伸びに供給がおくれを来たすことのないよう生産の増強をはかることとし、米の生産調整に伴い野菜への転作を積極的に推進するとともに、野菜指定産地制度に基づく新興産地の育成、作柄安定のためのかんがい施設の整備、大規模な施設園芸の集中管理モデル団地の育成など生産対策を充実することといたしております。
第二に、農業構造改善の推進であります。
農業を近代化し、農業を産業として確立していくことは、今後の総合農政の推進にあたっても、また、農業生産の誘導を効果的に推進していくためにも、最も重要なことであります。このため、自立経営農家を着実に発展させ、規模が大きく生産性の高い近代的な農業経営を育成するとともに、このような農家を中核として、兼業農家をも含む生産性の高い農作業単位をできるだけ広範に育成していく所存であります。
このような方向で農業の近代化を進めていくため、その前提として農業生産基盤の整備を強化するとともに、農業構造改善事業の実施、農地の流動化の促進、農業機械化の促進、総合資金制度の拡充等をはかってまいる考えであります。特に農業基盤整備の拡充と関連して土地改良制度の改善をはかることとし、土地改良法を改正いたしたいと考えております。
このような近代的な農業経営を育成していく過程で、自主的な引退または他産業への安定的就業を志向する者が多いことにもかんがみ、その引退または転職を援助する必要がありますが、そのため、農業者年金制度の積極的運営をはかるとともに、特に在村のまま安定的な就業機会を与えることが重要であるので、農村地域への工業の導入などを計画的に推進したいと考えており、このため、本国会に所要の法案を提出する所存であります。
第三に、農産物価格及び流通等についてであります。
農産物価格政策によって価格の安定をはかることは、国民食料の安定的供給、農業所得の安定的確保のため重要であるばかりでなく、消費者家計の安定をはかる上からもきわめて重大な問題でありまして、政府といたしましてもこれを重視して取り組んできたところであります。
価格政策の運用にあたっては、需要の動向に対応した生産が行なわれるよう留意しつつ過度の価格変動を防止し、できるだけ安定した価格水準となるようつとめてまいりますが、価格水準については、基本的には生産者、消費者を含め国民的合意の得られる安定的かつ適正な水準であることが必要であり、長期的には国際価格の動向を勘案し、かつ物価の安定に寄与するよう留意いたしたいと考えております。特に、最近の生鮮食料品の消費者価格の動向にかんがみ、農林省をあげてこの問題に取り組むべく省内に生鮮食料品価格安定対策本部を設け、総合的に生鮮食料品の消費者価格の安定対策を講じてまいりたいと考えております。
食料は、今後その流通量がますます増加していくことと考えられますが、大量流通に応じた流通機構の整備が急務となっております。特に、最近問題となりました野菜につきましても需要に応じた安定的供給の確保とともに、流通過程の改善合理化が必要と思われます。このため、産地における集出荷体制の整備をはかるほか、継続審議となっております卸売市場法案をすみやかに御審議、御可決願うとともに、卸売市場の整備、総合食料品小売りセンターの設置などにより流通機構の整備をはかりたいと考えております。
そのほか、食料消費の高度化、多様化に対処して、食品加工の近代化と消費者対策の充実につとめてまいる考えであります。
第四に、地域農業の総合的整備開発と新しい農村社会の建設であります。
農山漁村における地域農業の総合的整備開発を推進するため、農業振興施策の広域化と地域振興対策の多様化をはかることといたしまして、生産から流通までの一貫した広域的な組織化等を推進するほか、農村地域への工業の導入、農村における自然保全とレクリエーション的機能の積極的活用等農村地域の振興対策を推進する所存であります。
さらに、農業従事者が近代的、文化的な環境のもとで豊かな生活を享受しつつ、近代的な農業経営を営み得るよう農村の生活環境の整備を促進いたしたいと考えております。
以上のほか、最近における農業事情の変化に対応いたしまして、農業災害に対処して農家所得の確保をはかるための農業災害補償制度についても所要の改善をはかってまいりたいと考えております。
次に、林業について申し上げます。
近年、木材の需要は、著しく増大しているのに対し、国産材の供給がこれに十分対応し得ず、外材の輸入が増加し、外材依存率が五割にも達しております。
このような情勢に対処して、森林の持つ公益的機能の確保を考慮しつつ、林業総生産の増大と林業の生産性の向上を目途として林業の安定的発展をはかり、あわせて林業従事者の福祉の向上に資することといたす所存であります。
このため、長期的視点に立って林業生産基盤の整備拡充をはかり、森林資源の有効利用と長期的な木材需給の均衡をはかる所存であります。また、林業構造の改善等を推進して林業経営の近代化を促進するほか、林産物の生産流通の改善、林業従事者の就労安定等をはかるとともに、これらに合せて外材輸入の適正円滑化等も推進して行く考えであります。
さらに、森林の持つ公益的機能の確保についても、国土の保全、水資源涵養機能の充実はもとより、国民の保健休養など行政需要の進展に即応した森林の造成管理をはかってまいりたいと考えております。
次に、水産業について申し上げます。
水産物に対する需要は、国民の食生活の向上にささえられて堅調に推移しておりますが、漁業生産は、資源の制約、国際規制の強化、公害の進行等のため、これに十分対応することができず、水産物価格は全体として上昇を続け、水産物の輸入も年々増加しております。また、漁業経営につきましても、漁家の所得水準は、近年上昇しておりますもののなお多くの問題をかかえております。このような動向に対処して、水産政策の当面する課題は、国民のたん白食料の確保と漁業従事者の所得・生活水準の向上をはかることを目途に、漁業生産の増強と漁業経営の近代化を強力に推進することにあると考えます。
このため、海洋水産資源開発センターを設立して海洋新漁場の開発を積極的に進めるなど水産資源の総合的かつ計画的な開発をはかるための制度を創設するほか、漁港その他の漁業生産基盤の整備を促進するとともに、第二次沿岸漁業構造改善事業の実施、漁業近代化資金の拡充などにより沿岸漁業の振興をはかってまいる所存であります。さらに、拠点的産地における流通加工施設の総合的な整備、干しノリの流通対策の推進等により水産物の流通加工の合理化につとめる考えであります。
最後に、公害の問題につきましては、農林水産業生産を阻害するような公害を防除するとともに、国民の健康を保護し、生活環境の保全をはかることとしまして、前国会で御可決いただきました土壌汚染防止法及び改正農薬取締法等を軸として土壌汚染防止対策、農薬残留対策をはじめ、所要の対策を講じてまいる所存であります。
以上申し述べました農林水産業に対する施策の推進をはかるため、昭和四十六年度予算の編成にあたりましては、所要の財源の確保につとめ、主要な施策を推進するために必要な経費につきましては、重点的にこれを計上いたしたつもりであります。
また、これらの施策の実施に必要な法制の整備につきましても、鋭意法案の作成を取り進めているところであります。
以上、所信の一端を申し述べましたが、農林水産行政推進のために、今後とも、本委員会及び委員各位の御支援、御協力を切にお願い申し上げる次第であります。
何とぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106515007X00319710218/2
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003・河口陽一
○委員長(河口陽一君) 次に、昭和四十六年度農林省関係予算について、説明を聴取いたします。宮崎農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106515007X00319710218/3
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004・宮崎正雄
○政府委員(宮崎正雄君) 昭和四十六年度農林関係予算について、その概要を御説明申し上げます。
まず、昭和四十六年度の一般会計における農林関係予算の総体につきましては、農林省所管合計は一兆百二億円で、これに総理府、厚生省及び建設省の他省所管の農林関係予算を加えた農林関係予算の総額は一兆八百六十億円となり、これを昭和四十五年度の当初予算と比較しますと一千六百八十三億円の増加となります。
以下、この農林関係予算の重点事項について御説明いたします。
第一に、農業生産基盤の整備について申し上げます。
農業の生産性の向上、農業構造の改善等農業の近代化をはかるためには、農業生産の基盤となる土地及び水の条件の整備開発が基本となるものであります。この観点から総合農政の方向に即して、圃場条件の整備、基幹かんがい排水施設の体系的整備、農道の整備、農用地の開発等各般の事業を計画的、かつ強力に推進することといたしており、また、これらを通じて農村環境の整備に資することとしております。なお、米の需給の動向にかんがみ、稲作転換のための土地基盤の整備を積極的に実施するとともに、総合農政の強力な推進をはかる観点から、畜産振興、果樹、野菜等畑作振興等に必要な事業の重点的伸長をはかることとしています。以上に要する経費として、二千二百三十三億二千五百万円を計上しております。
第二に、米の生産調整と稲作転換の推進に関する予算について申し上げます。
米は、消費が減退する一方、生産が高位に安定しているため、恒常的な過剰状態にありますので、このような事態に対処して、米の需給の均衡をはかり、需要に応じた農業生産を展開することが現下の農政の最も緊要な課題であります。このため、昭和四十六年度から昭和五十年度までの五年間を実施期間として米生産調整及び稲作転換対策を講ずることとし、この間、奨励補助金を交付することとしますが、休耕にかかる奨励補助金の交付期間は三年間といたしております。
昭和四十六年産米については、二百三十万トンを生産調整の目標数量とし、休耕及び転作の態様に応じて米生産調整奨励補助金を交付することとし、総額千六百九十六億円を計上しております。さらに、農産物の長期的な需給の動向に対応しつつ農業の近代化を促進するとともに、国土の効率的利用をはかるという観点に立って水稲から今後需要の増大が見込まれる農作物への作付転換を総合的かつ計画的に推進することといたします。このため、集団的転作を推進するための稲作転換促進特別事業をはじめとし、公共事業による土地基盤の整備、第二次農業構造改善事業の活用を行なうほか、農業改良資金による作付条件の整備、家畜導入事業、都道府県野菜価格安定基金の造成、試験研究の拡充、水田あと地への造林等を行なって稲作軽換の条件を整備し、その促進をはかることとしております。
なお、水田転用の促進をはかるため、地方公共団体等が水田の取得を行なうのに必要な資金につき農協系統資金の融通を促進するための措置等を実施することとしております。
これらの稲作転換の推進に要する経費としては、関連事業まで含めまして総額四百二億八百万円を計上しております。
第三に、農産物の安定的供給に関する予算について申し上げます。
まず、畜産の振興対策であります。
畜産の基盤をなします自給飼料の確保につきましては、草地開発事業等を推進する一方、既耕地における飼料作物の積極的導入のための飼料作物増産対策を引き続き実施するほか、飼料用麦生産団地の育成及び稲作から飼料作への転換を推進することとしております。
酪農及び肉用牛生産の振興につきましては、新たに広域家畜人工授精センターの設置、肉用牛集団肥育のためのフイードロットの設置につき助成するほか、引き続き家畜導入事業、肉用牛種畜生産基地育成事業等を実施することとしており、中小家畜につきましても、優良純粋種豚確保対策、国産種鶏増殖センターの設置助成等を拡充実施することとしております。さらに、家畜改良増殖対策、家畜衛生対策等の諸施策を推進することとし、これら畜産生産対策全体としてあわせて百八十五億四千九百万円を計上しております。
また、畜産物の価格安定及び流通改善対策としましては、引き続き加工原料乳に対する不足払い制度及び学校給食用牛乳供給事業につき対象数量の拡大をはかるとともに、凍結液卵の保管事業に対し新たに助成を行ない、鶏卵価格の安定をはかることといたしております。
さらに、新たに生乳流通近代化促進事業、成鶏肉処理加工施設設置事業、牛乳流通のワンウエイ化促進事業、包装食肉流通体系整備事業を行なうとともに、食肉センター、産地牛肉処理加工施設の設置等を引き続き実施することとし、これら畜産物の価格安定及び流通改善対策として、合わせて二百九十億七千万円を計上しております。
次に、蚕糸園芸振興対策であります。
まず、養蚕生産対策としましては、繭生産改善推進施設設置事業等を引き続き実施するほか、新たに、養蚕の伸長の著しい畑地帯において養蚕新興団地育成模範施設設置事業を実施することとしております。
野菜生産対策としましては、指定野菜の拡大、指定産地の増加等野菜指定産地制度の拡充をはかるほか、新たに、露地野菜の生産安定のための野菜作柄安定緊急対策事業及び生産性の高い近代的な大型施設園芸の育成をはかるための施設園芸集中管理モデル団地設置事業を推進いたします。果実生産対策としましては、近代的な生産出荷の基盤となる濃密生産団地の形成を進めるため、果樹広域主産地形成事業の拡充をはかるとともに、果実品質改善緊急対策事業等を引き続き実施することとしております。
特産農産物及び甘味資源作物の生産対策としましても、それぞれ引き続き地域特産農業推進対策及び甘味資源生産合理化推進地区の設置等の事業を推進するほか、新たに高度機械化茶業経営指導 パイロット事業、畑作地域集団営農。パイロット事業を実施することといたしております。
さらに、近年需要の伸びの著しい花きについて、本格的にその振興策を実施するほか、稲作から蚕糸園芸作物への作付転換を推進することとし、これらの蚕糸園芸関係の生産対策として、あわせて七十七億三千五百万円を計上しております。
また、野菜の価格安定対策としましては、野菜生産出荷安定資金協会の行なう野菜価格補てん事業について、その対象品目、対象消費地域及び対象数量の拡大等を行なうとともに、稲作から野菜作への転換を促進するため、都道府県単位の野菜価格安定基金の基金造成費につき新たに助成することといたしております。青果物の流通改善については、新たに野菜集送センターの設置事業を実施するとともに、果実加工需要拡大のための近代的果汁工場の設置事業につき新たにリンゴをも対象に加え、また、温州ミカン及びリンゴ等の品質保持及び出荷調整のための産地貯蔵施設の設置事業等を引き続き実施することとしております。
これら青果物の価格流通対策としてあわせて二十三億六千七百万円を計上しております。
次に、米麦の生産改善でありますが、稲作について、良質の米が高い生産性をもって生産されるよう、新たに大規模共同育苗施設設置事業及びバラ出荷施設設置事業を実施するとともに、引き続き米生産総合改善パイロット事業等を実施することとし、また、麦作については、生産性の向上をはかりつつ麦の主産地の育成をはかるため、水田転換対策の一環としての水田における中規模団地の育成をも含め、麦作団地育成対策事業を引き続き推進することといたしております。
以上、米麦生産改善につきましては、二十二億五千百万円を計上しております。
第四に、農業の構造改善の推進に関する予算について申し上げます。
第六十三回国会において成立いたしました農地法、農協法の改正法及び農業者年金基金法の適切な施行を軸として構造政策の強力な展開をはかることとし、まず、農地流動化の促進につきましては、農地保有合理化事業の本格的実施をはかる等のため、九億八千六百万円を計上しております。さらに、農協による経営受委託及び農業生産法人による大規模農場創設事業をも推進することとしております。
次に、第二次農業構造改善事業について、計画的推進をはかるため、新たに二百地区について事業着手を行なうとともに、第一次農業構造改善事業についてもその残事業を完了させることとし、合わせて、百八十三億七千七百万円を計上しております。
また、農業者の老後の生活の安定をはかるとともに、経営移譲の促進等を通じて農業構造の改善に資するため、昭和四十五年度に設立された農業者年金基金による農業者年金事業、離農給付金の支給、農地の買い入れ等の業務の本格的実施をはかることとし、百十八億七千八百万円を計上しております。
以上のほか、農業就業構造改善対策及び農業経営者の育成を推進することとしております。
第五に、地域農業の総合的整備開発について申し上げます。
地域農業の総合的整備開発をはかるため、農業振興施策の広域化と地域振興施策の多様化をはかることといたしております。
まず、農業振興地域計画制度の円滑な実施をはかるとともに、最近における農産物の生産、流通の動向に対処して、経済的社会的諸条件を同じくする地域について、生産から処理、加工、流通を通ずる一貫した組織化をはかるため、米生産総合改善。パイロット事業等の既存の諸施策を含め広域営農団地整備事業を実施することとし、米、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵、果実、野菜、特産農産物についての生産流通加工施設、これら生産流通の組織化の拠点となる管理センター等の施設の整備を総合的計画的に推進することとし、これらを合わせて二十九億九千万円を計上しております。また、広域営農団地農道整備事業については、八十七億八千三百万円を計上し、事業の拡充をはかっております。
また、農村地域への工業導入を積極的かつ計画的に促進し、工業の立地と一体的に農業構造の改善をはかるため、農村地域工業導入計画の策定を行なうとともに、農村工業導入センターを設立し、工業導入に関する情報の収集、指導を行なうほか、関連農業基盤整備事業を行なうこととしてております。
さらに、農山漁村地域におけるレクリエーション機能等の活用をはかるために、自然休養村の計画調査を行なうこととしてております。
このほか、農山漁村の環境整備につきましては、農林漁業用道路の整備拡充、生活改善普及事業、僻地農山漁村電気導入事業、振興山村農林漁業特別開発事業、山村開発センターの設置事業、農村住宅団地建設計画の推進等を引き続き実施するとともに、農山漁村同和対策を拡充するほか、新たに生活プロジェクト実験集落整備事業を実施することとしております。
第六に、農産物の価格安定並びに流通加工の近代化及び消費者対策の充実について申し上げます。
さきに御説明いたしました農産物価格安定制度の拡充、畜産物、青果物の流通の合理化対策等のほか、生鮮食料品等の流通機構の整備をはかることとし、中央卸売市場及び地方卸売市場の施設整備の拡充をはかるとともに、新たに、公設及び民営の総合食料品小売センターの設置につき助成することとし、合わせて四十億六千百万円を計上しております。
また、農林物資の規格表示制度の運用の充実をはかる等消費者保護対策の強化に一億五千二百万円、中小企業の近代化促進、食品関係企業対策の強化等農林関連企業対策に一億四千四百万円を計上しましたほか、生鮮食料品を中心とする農産物市場の開発拡大についての生産者団体の自主的努力を助長するため農産物市場開発推進事業を新たに実施することとし一億五百万円を計上しております。
第七に、林業の振興に関する予算について申し上げます。
林業生産基盤の整備につきましては、林道事業、造林事業を計画的に推進することとし、合わせて二百七十七億六千四百万円を計上いたしております。
林産物の生産流通改善対策につきましては森林計画制度、森林病害虫等防除事業、里山再開発事業等を継続実施するほか、新たに、内陸製材業振興対策及び間伐事業対策を実施することとしております。
また、林業構造改善対策につきましては、引き続き、林業構造改善事業を計画的に実施することとしてておりますとともに、林業構造対策の新たな展開をはかるための検討を行なうほか、入り会い林野の整備、林業労働力対策等の拡充強化をはかることとしております。
さらに、国土の保全等をはかるため、治山事業につき三百五十四億三千万円を計上し、新たに保全林整備事業を行なう等その拡充をはかるほか、森林の公益的機能の計量化調査の新規実施等を行なうこととしております。
なお、林業信用基金の債務保一証業務の円滑化をはかるため、同基金に対し一億円の追加出資を行なうこととしております。
第八に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。
漁業生産基盤の整備につきましては、漁港整備事業、大型魚礁設置事業、浅海漁場開発事業の拡充をはかることとし、合わせて二百九十七億三千三百万円を計上いたしております。
漁業資源の維持増大につきましては、動物性たん白質の供給の増大と国際漁場におけるわが国漁業の振興をはかるため、新たに、新漁場開発事業を総合的かつ効率的に実施する機関として海洋水産資源開発センター(仮称)を設立し、海洋新漁場開発の強化推進をはかるとともに、引き続き、沿岸漁場等における水産資源の保護培養対策の強化、内水面における地域振興対策の拡充等のほか、公害により生産性の低下している漁場の復旧等漁業にかかる公害対策を新たに実施することとしております。
また、沿岸漁業構造改善事業については、第二次事業を、四十六年度以降十三年間にわたり、全国百八地域を対象として実施することとし、四十六年度においては、十二地域について事業に着手するとともに、計画調査を三十六地域につき実施することとし、第一次事業と第二次事業とを合わせまして、十五億九千七百万円を計上しております。
さらに、水産物の流通加工の改善につきましては、従来の諸施策に加えまして、新たに、拠点的産地における流通加工施設の総合的整備をはかる水産物産地流通加工センター形成事業、ノリの生産者団体による周年平均販売体制を整備するためのノリの保管施設等の整備を実施することとしております。
なお、漁船損害補償制度の実施費として十五億九千四百万円、漁業災害補償制度費として十六億三千一百万円を計上いたしております。
第九に、農林漁業の近代化の推進に必要な農林漁業金融の拡充について申し上げます。
まず、農林漁業金融公庫資金につきましては、新規貸し付け計画額を二千六百二十億円に拡大し、農林漁業経営構造改善、基盤整備等に必要な資金の拡充をはかることとし、この原資として財政投融資一千八百九十九億円を予定するとともに、一般会計から同公庫に対し補給金一百六十九億五千三百万円を交付することといたしております。次に、農業近代化資金融通制度につきましては、貸し付け資金ワクを三千億円とし、所要の利子補給補助等を行なうとともに、農業信用基金協会に対する都道府県の出資について引き続き助成することとし、総計八十五億四千五百万円を計上いたしております。
また、農業改良資金制度につきましては、技術導入資金として稲作転換作付条件整備資金を設け、その貸し付けワクを二十八億円にすること等により貸し付けワクを一百六十八億円に拡大して、これに要する経費五十三億六百万円を計上いたしております。
さらに漁業近代化資金融通制度につきましては、貸し付け資金ワクを三百五十億円に拡大することとし、これに要する経費五億一千九百万円を計上いたしております。
以上のほか、農林漁業施策の推進のために重要な予算について申し上げます。
まず、農林水産業の試験研究につきましては、新たに、害虫の総合的防除法に関する研究、稲作転換推進対策試験等を実施するとともに、研究学園都市建設促進のため特定国有財産整備特別会計に必要経費を計上して移転予定研究機関の試験圃場用地の確保をはかるほか、試験研究費の増額、草地試験場、熱帯農業研究センター等の計画的な整備等試験研究体制の強化をはかり、また、都道府県に対する助成の充実等により試験研究の拡充強化をはかることとしております。これらに要する経費として一百八十四億五千八百万円を計上いたしております。
次に、農林水産業の改良普及事業につきましては、農業改良普及事業について新たに普及情報活動システム化事業、普及職員中央研修施設の設置等を行なうことを含めて九十七億二千九百万円、生活改善普及事業については生活プロジェクト実験集落整備事業等を行なうこととし、二十億一百万円を計上しておりますほか、畜産経営技術指導事業及び蚕業技術の普及指導については、それぞれ四億九千九百万円、十三億八千万円を計上しております。
また、林業普及指導事業につきましては十七億三千五百万円、水産業改良普及事業につきましては三億八百万円を計上いたしております。
さらに、農林漁業関係公害対策について申し上げます。
最近における公害問題の重要性にかんがみ、農漁業にかかる水質汚濁対策、農用地の土壌汚染防止対策、畜産公害対策、農薬残留対策、漁業にかかる公害対策等の拡充を通じ、国民の健康を保護するとともに、環境の保全をはかることとし、これらに必要な経費として三十三億一千四百万円を計上しております。
以上のほか、農業災害補償制度の実施につきましては、所要の掛け金国庫負担のほか、農家負担の軽減と事業運営の基盤の強化をはかるため団体職員の給与改善、庁費の増額、共済団体の広域合併の推進等を行なうこととし、これらの経費として四百三十九億七百万円を計上するとともに、農林統計調査の充実整備に三十七億九千五百万円、農業団体の整備強化に五十三億二千五百万円、農業資材の価格流通対策として四十八億三千五百万円、農産物の輸出振興対策として十五億九千万円、農林漁業関係災害対策公共事業として二百二十三億九千八百万円をそれぞれ計上いたしております。
次に、昭和四十六年度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。
第一に、食糧管理特別会計につきましては、国内米、国内麦及び輸入食糧の管理について、食糧管理制度の適切な運営をはかるため、米の生産調整対策及び自主流通米との関係に配慮するとともに、過剰米についての計画的な処分を行なうこととし、このため、所要の予算を計上しておりますが、一般会計からは、調整勘定へ二千六百一億円、過剰米の処理にかかる損失の計画的補てんに充てるため国内米管理勘定へ三百二十二億円を繰り入れることとしております。
また、国内産いもでん粉及び輸入飼料の買い入れ等の実施のため所要の予算を計上し、一般会計から農産物等安定勘定に八億円、輸入飼料勘定に四十二億円をそれぞれ繰り入れることとしております。
第二に、農業共済再保険特別会計につきましては農業災害補償制度の運営のため、必要な予算を計上しており、一般会計から総額二百七十八億五千一百万円を繰り入れることとしております。
第三に、国有林野事業特別会計につきましては、国有林野事業勘定において、国有林野事業の一そう合理的な実施運営をはかることとしておりますが、その歳入予定額は一千七百三十三億九千六百万円、歳出予定額は一千七百八十三億九千六百万円でありまして、差し引き歳出超過額五十億円は、前年度からの持ち越し現金をもって充当することとしております。
また、治山勘定において民有林治山事業及び国有林野内臨時治山事業を実施することとし、必要な予算を計上しております。
第四に、漁船再保険及び漁業共済保険特別会計につきましては、漁船再保険事業及び漁業共済保険事業の実施のため必要な予算を計上しており、一般会計から三十億五千八百万円を繰り入れることとしております。
以上のほか、自作農創設特別措置、開拓者資金融通、特定土地改良工事、森林保険及び中小漁業融資保証保険の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。
最後に、昭和四十六年度の農林関係財政投融資計画について御説明いたします。
財政投融資の計画額といたしましては、農林漁業金融公庫、農地開発機械公団、森林開発公団、八郎潟新農村建設事業団及び特定土地改良工事特別会計につきまして、総額二千一百五億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。
これをもちまして、昭和四十六年度農林関係予算及び財政投融資計画の概要の御説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106515007X00319710218/4
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005・河口陽一
○委員長(河口陽一君) 本件に対する質疑は後日に譲り、本日はこれにて散会をいたします。
午前十時五十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106515007X00319710218/5
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