1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年十二月七日(火曜日)
午前十時七分開議
出席委員
沖繩及び北方問題に関する特別委員会
委員長 床次 徳二君
理事 金丸 信君 理事 國場 幸昌君
理事 二階堂 進君 理事 湊 徹郎君
理事 毛利 松平君 理事 久保 三郎君
理事 細谷 治嘉君 理事 中川 嘉美君
理事 門司 亮君
天野 光晴君 池田 清志君
石井 一君 宇田 國榮君
小渕 恵三君 大石 八治君
大野 明君 大村 襄治君
加藤 陽三君 佐藤 文生君
正示啓次郎君 田中 龍夫君
谷垣 專一君 谷川 和穗君
藤波 孝生君 三ツ林弥太郎君
箕輪 登君 武藤 嘉文君
森 喜朗君 豊 永光君
井上 普方君 石川 次夫君
川俣健二郎君 木島喜兵衞君
武部 文君 美濃 政市君
山口 鶴男君 伊藤惣助丸君
岡本 富夫君 桑名 義治君
斎藤 実君 二見 伸明君
小平 忠君 田畑 金光君
東中 光雄君 米原 昶君
内閣委員会
委員長 伊能繁次郎君
理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君
理事 塩谷 一夫君 理事 湊 徹郎君
理事 大出 俊君 理事 和田 耕作君
加藤 陽三君 笠岡 喬君
中山 利生君 葉梨 信行君
上原 康助君 木原 実君
楢崎弥之助君 華山 親義君
横路 孝弘君 鬼木 勝利君
鈴切 康雄君 東中 光雄君
地方行政委員会
理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君
理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君
理事 豊 永光君 理事 山本弥之助君
理事 吉田 之久君
菅 太郎君 國場 幸昌君
高鳥 修君 宮澤 喜一君
村田敬次郎君 下平 正一君
土井たか子君 中井徳次郎君
中谷 鉄也君 山口 鶴男君
桑名 義治君 門司 亮君
青柳 盛雄君
大蔵委員会
委員長 齋藤 邦吉君
理事 宇野 宗佑君 理事 丹羽 久章君
理事 藤井 勝志君 理事 山下 元利君
理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君
上村千一郎君 奧田 敬和君
木村武千代君 佐伯 宗義君
坂元 親男君 中島源太郎君
村上信二郎君 毛利 松平君
森 美秀君 山口シヅエ君
吉田 重延君 阿部 助哉君
平林 剛君 堀 昌雄君
貝沼 次郎君 伏木 和雄君
二見 伸明君 津川 武一君
出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
法 務 大 臣 前尾繁三郎君
外 務 大 臣 福田 赳夫君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
厚 生 大 臣 斎藤 昇君
運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君
建 設 大 臣 西村 英一君
自 治 大 臣 渡海元三郎君
国 務 大 臣
(総理府総務長
官) 山中 貞則君
国 務 大 臣
(国家公安委員
会委員長)
(行政管理庁長
官) 中村 寅太君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 江崎 真澄君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 木村 俊夫君
国 務 大 臣
(環境庁長官) 大石 武一君
出席政府委員
内閣法制局長官 高辻 正巳君
内閣法制局第二
部長 林 信一君
人事院事務総局
管理局長 茨木 広君
人事院事務総局
任用局長 岡田 勝二君
人事院事務総局
職員局長 島 四男雄君
総理府総務副長
官 砂田 重民君
警察庁刑事局長 高松 敬治君
警察庁交通局長 片岡 誠君
防衛庁参事官 鶴崎 敏君
防衛庁長官官房
長 宍戸 基男君
防衛庁防衛局長 久保 卓也君
防衛施設庁長官 島田 豊君
防衛施設庁総務
部調停官 銅崎 富司君
沖繩・北方対策
庁長官 岡部 秀一君
沖繩・北方対策
庁総務部長 岡田 純夫君
沖繩・北方対策
庁調整部長 田辺 博通君
法務省刑事局長 辻 辰三郎君
外務省アメリカ
局長 吉野 文六君
外務省条約局長 井川 克一君
大蔵大臣官房日
本専売公社監理
官 福間 威君
大蔵大臣官房審
議官 前田多良夫君
大蔵大臣官房審
議官 中橋敬次郎君
大蔵省主計局次
長 平井 廸郎君
大蔵省主計局次
長 吉瀬 維哉君
大蔵省関税局長 赤羽 桂君
大蔵省理財局次
長 小幡 琢也君
大蔵省銀行局長 近藤 道生君
大蔵省国際金融
局次長 林 大造君
建設省河川局長 川崎 精一君
建設省住宅局長 多治見高雄君
自治省行政局長 宮澤 弘君
自治省行政局公
務員部長 林 忠雄君
自治省財政局長 鎌田 要人君
自治省税務局長 佐々木喜久治君
委員外の出席者
日本専売公社総
裁 北島 武雄君
沖繩及び北方問
題に関する特別
委員会調査室長 綿貫 敏行君
内閣委員会調査
室長 本田 敬信君
地方行政委員会
調査一室長 日原 正雄君
大蔵委員会調査
室長 末松 経正君
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本日の会議に付した案件
沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案(内
閣提出第一号)
沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律
案(内閣提出第二号)
沖繩振興開発特別措置法案(内閣提出第三号)
沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律
案(内閣提出第六号)
国家公務員法第十三条第五項および地方自治法
第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の
地方の事務所設置に関し承認を求めるの件(内
閣提出、承認第一号)
沖繩平和開発基本法案(細谷治嘉君外十六名提
出、衆法第一号)
沖繩における雇用の促進に関する特別措置法案
(川俣健二郎君外十六名提出、衆法第三号)
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〔床次沖繩及び北方問題に関する特別委員長、
委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/0
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001・床次徳二
○床次委員長 これより沖繩及び北方問題に関する特別委員会内閣委員会地方行政委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。
内閣提出にかかる沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案、沖繩振興開発特別措置法案、沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案、国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の地方の事務所設置に関し承認を求めるの件、細谷治嘉君外十六名提出にかかる沖繩平和開発基本法案へ及び川俣健二郎君外十六名提出にかかる沖繩における雇用の促進に関する特別措置法案、の各案件を一括して議題といたします。以上
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沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案沖繩振興開発特別措置法案沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の地方の事務所設置に関し承認を求めるの件沖繩平和開発基本法案沖繩における雇用の促進に関する特別措置法案
〔本号(その二)に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/1
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002・床次徳二
○床次委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。丹羽久章君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/2
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003・丹羽久章
○丹羽(久)委員 委員長のお許しを得ましたので、総理府、大蔵省、防衛庁、環境庁、厚生省の各大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、与えられた時間が三十分よりありませんから、要点についてのみ簡単に質問をいたしたいと思いますので、ぜひ簡明にお答えをいただきたいと思います。
まず、総理府総務長官にお尋ねいたしたいと思いますが、政府は、去る十月八日の閣議で、沖繩における通貨交換について、沖繩百万県民のの切なる要望を考慮いたしまして、県民の長年にわたる労苦に報いるために、実質的に一ドル三百六十円レートによる交換を保証する措置を講ずることにされました。これによりまして、琉球政府は、通貨及び通貨性資産の確認に関する緊急措置を講じたのであります。十月八日現在の沖繩県民の現金あるいは預貯金を確認または調査をして、三百六十円と復帰時の交換比率の差額は給付金として支払うことにされたのでありますが、そこで総理府総務長官にお尋ねをいたしたいと思います。
この措置によって、三百六十円で交換する現金、預貯金は幾らになっているか、この点をひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/3
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004・山中貞則
○山中国務大臣 個人の現金通貨については、たびたび明確にいたしておりますが、六千百八十八万三千ドル、預貯金については現在集計中でありますが、これは推計方式をとらざるを得ませんが、五億五千百十九万五千ドルであります。これの推計の方法は、銀行、信託については、沖繩銀行の実質総預金の五六・九六%の推計をいたしましたし、相互銀行、信用金庫については、中央相互の七八・八〇%の実績をとりました。農漁協、郵貯等については、すべて個人預金とみなして、一〇〇%これをとることにしてはじき出した数字であります。しかしながら、これは今後相当時間をかけて、コンピューター等にかげながら個人別の相殺をしてまいりますので、一応、来年度予算には、一二・五%の復帰時の幅ということを、これは架空の想定として置きまして、二百四十億円ほど交付金として要るものと、一応の想定でありますが、要求をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/4
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005・丹羽久章
○丹羽(久)委員 ただいま一二・五%とおっしゃいましたが、これに要する予算額、すなわち、円の切り上げがいま問題になっておりますが、対米ドルとの幅が一五%あるいは一〇%、どこできまるかまだ決定いたしませんけれども、もし一〇%、一五%の場合にはどんな程度になるのでしょうか。もう計算は済んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/5
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006・山中貞則
○山中国務大臣 これは、現在の実勢レートよりも一二・五%の予算要求をしておるということは、思想としては、復帰時の時点において、切り上げがあっても、変動相場制そのものであっても、その実勢の幅を給付金として交付するわけでありますから、したがって、一〇%の場合はちょっといまもうあまり考えなくてもいいと思いますが、一五%となりますと二百八十億円、かりに一〇%の場合は、百八十七億円ということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/6
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007・丹羽久章
○丹羽(久)委員 琉球政府の屋良主席が十一月の十七日に上京されまして政府に提出された「復帰措置に関する建議書」によれば、十月の九日以降交換時までの資産増加分についても補償せよという要望をしておるが、この点について政府はどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/7
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008・山中貞則
○山中国務大臣 これは私から答弁するのはちょっと管轄外でありますけれども、大蔵大臣の専管事項でありますが、そのような手段は、現実に具体的な手段として行使しにくいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/8
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009・丹羽久章
○丹羽(久)委員 大蔵大臣は御出席がないようでありますが、大蔵省の考え方はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/9
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010・前田多良夫
○前田政府委員 お答えいたします。
これは、先ほど山中大臣から御答弁がありましたように、実際上非常に困難である、こういう趣旨で、九日以降のものについてはこれを見ない、こういうことでございます。それからもう一つは、これは、あの当時現在におきまして蓄積されました県民の通貨性資産に対する措置、こういう趣旨でございまして、そういう観点からいたしますれば、そのときまでに県民の蓄積された資産についての措置、こういう二つの観点から、それ以後の分については見ない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/10
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011・丹羽久章
○丹羽(久)委員 大蔵省も、総理府も、その後の資産については見ないというふうにお考えになっているという意見統一の考えのようでありますので、さらに次にお聞きいたしたいと思いますが、返還協定の第七条の対米支払い額は三億二千万ドルになっておりますが、そのうちの引き継ぎ資産関係が一億七千五百万ドルといわれておるが、その積算の内訳をひとつ示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/11
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012・前田多良夫
○前田政府委員 お答えいたします。一億七千五百万ドルの積算の内訳ということでございますが、琉球電力公社が四千四百九十万ドル、琉球水道公社が四千七百三十万ドル、琉球開発金融公社が五千七百九十万ドル、那覇空港が九百六十万ドル、行政用建築物百万ドル、道路構築物千四百六十万ドル、航空保安施設五十万ドル、航路標識三十万ドル、渡嘉敷陸軍補助施設百九十万ドル、合計いたしまして評価いたしますと一億七千八百万ドルになりますが、これで先方と話をつけましたのが、一億七千五百万ドル程度ということで話し合いをつけたわけでございます。実際の評価は一億七千八百万ドル、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/12
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013・丹羽久章
○丹羽(久)委員 総理府総務長官にお尋ねいたしたいと思いますが、沖繩振興開発特別措置法の第三条の中に「開発計画」がありますが、振興開発のためには、産業の振興と企業の誘致、農業の改良等々が必要であるが、沖繩では、特に問題になりますのは、先日の干ばつでも見られたとおり、水資源が非常に乏しいのであります。復帰前には、地下水をろ過したり、あるいは米軍で供給を受けたりして水飢饉に対処してきたほど、たいへん水資源が乏しい地区でありますが、豊かな沖繩県をつくる、そのためには、復帰後にどのように水資源の開発を進めていくかが沖繩の振興開発の基本であると私は思っております。そういう意味から考えましての今後の沖繩開発の具体的なこの開発の構想をひとつ長官にお尋ねいたしたいと思います。先日の国会でも、豊かないろいろなお話を承りましたけれども、さらにもう一度あなたのあの豊かな話をお聞きいたしたいと思いますので、この際お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/13
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014・山中貞則
○山中国務大臣 現在米政府の資金で建設をされております福地ダムを、本土政府の予算をつぎ込んで早急に完成させ、それの貯水された水を石川浄水場を通じて中南部に給水する計画を、まず一義的に焦眉の急として急ぎます。さらに、本島においては、北部における東部水系、安波川、普久川等を中心とする多目的ダムの集約的な開発をいたしますと同時に、長期的には、北部の西側水系等についても開発を調査、実施したいと考えておる次第であります。この中には、将来予想される工業用水というものも念頭に置いてやるわけでありますが、他方、先島を含む離島においては、飲み水はあっても、今回の干ばつのように、農作物に給水をする施設ができていない島と、それから、飲み水そのものもないというような島とあります。したがって、それらを分類して、宮古、石垣両島においては、飲み水はいつも切れなかったわけでありますが、それらの島々について、かんがいの水の確保ということに重点を置いて、ダムの建設、ポンプの建設、井戸の建設等に重点を置いて進めたいと思いますし、さらに、離れ島であって、水も船で運ぶ以外に手はない、しかし、近くの島に水があるという、たとえば新城、黒島等については、西表島から海底送水の工事に着手したいと思いますし、さらに、宮古から来間島に至る海底送水、並びに本島の勝連半島から津堅島等についての海底送水も計画いたしておるわけであります。さらに、石垣については、表流水を、当然のことながら、ダムあるいは貯水、そういう工事をすることによって不測の場合の畑地かんがいに備える。おおよそ以上の構想を持っております。
なお、どうにもならない島については、すでに今年度の予備費あるいは緊急支出等をもって、天水を貯水する貯水槽を逐次各島に全部完成させる予定でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/14
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015・丹羽久章
○丹羽(久)委員 引き続いて大蔵省にお尋ねいたします。大臣がいらっしゃいませんので、審議官あるいは局長からのお答えになるだろうと思いますが、時間がありませんのでさらに申し上げておきますけれども、簡単によくわかるようにひとつ説明をしていただきたいと思います。
沖繩の現在における国税の収入は幾らぐらいあるか。また、重要な税、すなわち税収入の最も多い税収としてはどのようなものがあるか。それから、復帰に伴うところの特別措置をすれば、税収の見積もり額は一体どういうような——多くなるのか、少なくなるのか、この点もひとつあわせてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/15
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016・中橋敬次郎
○中橋政府委員 琉球政府の最近年度におきますところの税収の見積もりを申し上げます。
租税及び印紙収入におきまして、かりに一ドルを三百六十円で換算をいたしますと、四百四億三千二百万円になります。その中で、大体国税に相当するものを若干推計を加えて計算をいたしますと、三百七十五億九千百万円になります。その中でおもな税目を拾い上げてみますと、やはり一番多いのは所得税でございまして、約二六%、それから物品税、大体これは関税を含んでおるものでございますけれども、約二〇%、それから法人税一三%、以上がおもなものでございます。
今回、復帰に伴いまして、いろいろ経過措置あるいは振興のための特別税制を行なっておるわけでございますが、琉球政府に関しますところの税制を本土の税制に切りかえることによりまして、先ほど申しました税収が約五十億円程度減ずるという計算になります。そのほかに、さらにいろいろ経過措置、振興措置を講じますことによりまして約百億円減税になりますから、合計で百五十億円程度は、先ほど申しました国税に相当する税収から減税になる見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/16
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017・丹羽久章
○丹羽(久)委員 政府は、今度の沖繩復帰に対して、みやげものに対する税金を減税し、また、観光客相手の料飲店で飲ませる外国洋酒の酒税を軽減するということであるが、この制度のあらましに対して、減税規模をひとつ示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/17
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018・赤羽桂
○赤羽政府委員 観光税制関係によります関税の特別措置による減税額は約九億二千八百万円、かように見積もられております。これは本会計年度をベースにして積算したものでございまして、いよいよ本土復帰が実現いたしましてベースの税収に若干の移動がございますれば、それに応じて増減をいたす、こういう数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/18
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019・丹羽久章
○丹羽(久)委員 いまの説明はともかくとしまして、観光客は、減税してもらうのにいろいろめんどうな手続が必要なようでありますが、それをすると、いままでどおりに物を買わないというようなことで、観光収入が落ちると思うけれども、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/19
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020・赤羽桂
○赤羽政府委員 みやげものに対しまして戻税の手続が少しうるさ過ぎる、こういう御質疑かと存じますけれども、それにつきましては、私らといたしましては、一応、基本的には、各観光品の小売り店におきましては税込みで売っていただく、それから、いよいよ出国のときにおきまして、ある一定の証票を税関に添えて戻税をしていただくということを基本的には考えております。しかしながら、顧客と小売り店との間にどういう方法で物を販売するかということについては、法律には何ら触れておりません。そこら辺のところは、今後予定をいたしております政令段階で考えるつもりでございますけれども、たとえば、現地からの御要望では、小売り店で直ちに税抜きで売ってくれ、こういうような御要望があるわけでございます。そういうような御要望につきましては、われわれといたしましては、小売り店の店先で税抜きでそのまま売るということは、税抜きで売りましたという証票を、同じくその観光客が出国のときに税関に出していただかないと、小売り店のほうでは、あとでその分だけの税金をまけてもらえないわけでございますから、そこのところの顧客と小売り店との信認関係にあるわけでございます。そこのところを、小売り店のほうで、この人はだいじょうぶだということで売る分には、われわれのほうは何らタッチするつもりはございません。そういう方法を認めるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/20
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021・丹羽久章
○丹羽(久)委員 そこで、沖繩県の住民が家庭で消費する輸入の洋酒は課税をされて、料飲店で飲むのは免税ということになれば、外で飲むことのほうが得だというようになるというようなおそれがあると思います。その点と、もう一つは、密輸品の増加、免税品の横流し等々の事態が生ずるのではないかという心配感がありますが、これに対する措置は十分にとられているでしょうか、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/21
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022・中橋敬次郎
○中橋政府委員 沖繩の税制を本土の税制と一体化するにつきましては、やはりなるべく早い機会に一体化したいという希望を持っております。その際に、間接税については、かなりの程度沖繩のほうにおいて安いというものがございます。いま御指摘の洋酒につきましてはそういう部面が見られるわけでございますが、いつまでもそういう事態を続けるわけにはまいりませんので、できるだけ早く本土の税制と一体化したいというのが基本原則でございます。そこで、沖繩におきましては、当分、従来のような観光というものを大きな政策にいたしております関係上、そういう部面におきましては、従来どおりの税負担におきます洋酒その他を飲めるということを特例措置として認めたわけでございますので、いま御指摘のような点はございますけれども、それはやはり本土におきまして洋酒をどういうふうに負担して飲んでおるかということとの均衡を考えなければなりませんから、特例措置として、しばらくの間そういう観光的なものに対する減免措置を講ずることにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/22
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023・丹羽久章
○丹羽(久)委員 大蔵省は、大蔵大臣が御出席だともっと詰めて話がしたいと思いますけれども、いらっしゃいませんし、時間がありませんので、これで終わりたいと思います。
防衛庁に対してお尋ねいたしたいと思いますが、長官はこのたび新任せられまして、時局非常に重大なときであり、ほんとうに御苦労さんだとお察し申し上げますが、もうすでに経験済みのあなたでありますから、この重大なときに、きっと満足なお答えをいただき、そうして、何かアメリカに肩がわりする隊員だというような説もありますけれども、そういうようなことのあり得ない、沖繩が返ってきたときには、やはり日本の国としての防衛体制ということになろうと思っております。そういう考え方であろうと思います。きのうも、新聞なんかでは、から手の自衛隊員になれというような説でありますけれども、最も適したことばだと思います。先輩として尊敬いたしておるあなたでありますから、これから尋ねていくことについて、皆さんが誤解を持っていらっしゃる点をぜひ解いていただくように、簡明率直なお答えをひとついただきたいと思います。
まず、沖繩におけるところの自衛隊の使命と、その配備計画、隊員数について、どの程度になるかということをひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/23
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024・江崎真澄
○江崎国務大臣 日本に施政権が戻ってまいりますれば、これは当然日本の国内であります。いま仰せのとおり、当然これは日本で責任を持たなければなりません。安全確保はもとよりでありまするが、民生協力とか災害救助、特に沖繩の場合は、災害常襲県というような呼称すらある地帯でありまするので、自衛隊の救援活動といったようなものも非常に多かろうと思います。
それから、いまおっしゃるように、自衛隊が戦前はごくわずかしかなかったものが、沖繩に最終は六千八百名、もっとも、この六千八百名の中には、事務的な処理をする人員が九百名含まれておるわけでありまするが、こういうものが配置される、多過ぎるではないかという説もあるわけですが、御承知のとおり、戦前は台湾に日本は強大な軍隊を持っておりました。韓国にも持っておったというようなことで、当時沖繩にはきわめて配備は手薄であったわけでありまするが、当然、今度は最南端の島ということで、やはりそれ相応の配置をしなければならぬというふうに考えております。
配備の状況はどうか、こういうお尋ねでございまするが、これは、時間いいですか、申し上げましょうか。——陸上自衛隊におきましては、陸上警備と民生協力のため、普通科及び施設科、これは御承知の昔の工兵隊みたいなものですね、施設科からなる部隊、それから局地航空輸送のため小規模のヘリコプター部隊、並びに募集とかあるいは広報に当たる地方連絡部、これが約千百名であります。それから海上自衛隊におきましては、沿岸哨戒のための対潜哨戒機部隊、それから港湾防備及び離島輸送のための小型の艦艇部隊並びにこれらの支援に当たる基地部隊等、人員にして約七百名、航空自衛隊は、領空侵犯等対処のため、これは北海道の千歳、どこでも日本じゅうやっておるわけですが、その要撃戦闘機部隊及びレーダーサイト連絡員等で、合わせまして千四百名、これが合計しますと、とりあえず三千二百名を配置するわけであります。そして最終的には、さっき申し上げましたように、事務官九百人を含む六千八百人を配置しよう、こういう計画に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/24
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025・丹羽久章
○丹羽(久)委員 沖繩の軍用地を復帰後も円滑に継続使用するために、地代を大幅に引き上げるということを聞いておりますが、どのような方向で検討されているのか、また、その上げ幅は、新聞、ラジオ、テレビ等で報道せられておるように、六・五倍というようなことがいわれてはおりますが、事実そのようにお考えになっておるか、どうだということと、この新規契約についての地主との話し合いは現在はどのようなところまで進んでおるか、この点について簡単にひとつお答えいただきたいと思います。防衛庁長官にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/25
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026・江崎真澄
○江崎国務大臣 従来の取りきめが非常に低廉でありまするために、われわれのほうといたしましては、相当大幅に引き上げていこうということで、土地の借料は百五十二億円、その他の関連経費として三十六億、合わせて百八十八億というのが今日までの積算であります。したがいまして、今後も、法律はお通しをいただきたいわけですが、あくまで話し合いをしていくということが根本で、何らか強制的に取り上げるといったようなことのない形で極力進めていきたいということを念願しております。私赴任間もないわけでありまするが、先日もいろいろ事情聴取のときに、これからこの法案に基づいていろいろこの契約折衝に当たっていくわけですが、この前線で——前線というか、出先で直接地主と話し合う人の人柄、これが非常に重要な役割りを占めることになるから、いわゆる官僚的にならないよう、押しつけにならないよう、十分話し合いのできる、説得力を持つ形で、少なくとも特訓をするくらいの決意で臨んだらどうだということを注意喚起したわけでありまするが、今後ともよくひとつ話し合っていきたいということを考えております。もし詳細の数字が必要でしたら、政府委員からお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/26
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027・丹羽久章
○丹羽(久)委員 必要ありません。
次に、環境庁の大臣、出ていらっしゃいましたので、ちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、沖繩県民の要望が多いと思われますから、ここで南部戦跡、これは一体今後どのように処理していかれるかということをひとつお尋ねいたすと同時に、ここを国定公園に指定すべきであるというような答申が出ておりますが、この点もどのようにお考えになっておるかということ。
さらに、これは厚生省の関係にあると思いますが、その際、納骨施設や忠霊塔は、厚生大臣、どのようにせられますか。
あわせてお二人の大臣にひとつお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/27
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028・大石武一
○大石国務大臣 現在摩文仁の丘中心の南部地区は、沖繩政府立公園になっております。本土帰還後はわれわれはこれを戦跡国定公園として存置してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/28
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029・斎藤昇
○斎藤国務大臣 その地域にあります納骨堂、忠霊塔というようなものは、現地のいろいろな御希望もございますので、現地の御希望に沿うようにやってまいりたい、いまどこへどうということをはっきり確定はいたしておりませんので、現地の御希望にできるだけ沿うようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/29
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030・丹羽久章
○丹羽(久)委員 沖繩本島にはまだ収容されていない遺骨が相当あるといわれておるが、その数はどのくらいであるか、推定でよろしいから、ひとつ示していただきたいということをお尋ねいたすわけであります。
さらに、未収容の遺骨等は、本島の南部地区に大部分あると聞いておりますが、その収容については非常に多くの労力と多額の費用が必要なことは言うまでもないが、遺族の方々のことを考えてみますと、一日も早くこれは国が収容してあげるべきだと思いますが、その方針に対してどうお考えになっておるか、あるいは収容したあとどのようにこの遺骨に対してお納めになるのか、そうした方針についてひとつ本土復帰のあとのお考えを示していただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/30
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031・斎藤昇
○斎藤国務大臣 ただいままだ収集されていないと考えられます御遺骨は約三千柱余りございます。そうしてこれらは、御承知のように、防空壕でありますとかあるいは自然壕というようなところ、非常にむずかしいところにございますので、来年度はその一番むずかしい南風原のいわゆる陸軍病院あと、これを発掘をいたしてまいりたい、三年計画で全部発掘をいたして、そしてこれらの御遺骨は中央の納骨堂にお納めをしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/31
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032・丹羽久章
○丹羽(久)委員 いま厚生大臣、遺骨収容が三千ほどまだできていないとおっしゃいますが、数字的に少し違っていないかと思います。しかし、これで論議をしようとは思っておりません。もう時間がありませんから。私の知っている範囲だけでも三千や四千ではないと思いますから、もう一度よく御調査していただくように係官に命じていただきたいと思います。
少し時間が経過いたしたようでありますけれども、これで精一ぱいでありますから、お許しをいただきたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/32
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033・床次徳二
○床次委員長 次に、横路孝弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/33
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034・横路孝弘
○横路委員 初めに総理にお伺いをしたいと思います。
今度の沖繩のこの返還交渉というのは、非常に時間もかかりましたし、相手のあることですから、たいへん苦労されたと思うわけであります。ただ、外交というのは、やはりいやしくも重要な点で秘密の協定とか取りきめというものがあってはならない。とりわけ国民の権利義務に関することとか、国民の税金に関するような問題については、やはりできるだけ国会の中で明らかにするということでなければならないと思いますが、今度の対米交渉の中で、政府としてはそういう基本的な点についてどのようにお考えになって交渉を進められてきたのか、まずその点について総理大臣明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/34
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035・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 原則としては、ただいまお話しになるようなことを政府も考えております。同感でございます。ただ、相手のあることでございますから、なかなかその原則を貫くということはたいへんむずかしいことである、そこらに相互の歩み寄り等も考えられる、こういうことが実際の問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/35
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036・横路孝弘
○横路委員 今度の沖繩返還の対米交渉の中で、アメリカ側の態度というものは、基本的に言うと、二つの基本的な態度というものが向こう側にあったと思うのですね。一つは何かと言いますと、沖繩を日本に返してやる、しかし、金についてはアメリカ側は一銭も払わない、これがまず一つのアメリカ側の基本的な姿勢である。もう一つは、いわゆる在沖繩米軍の基地の機能というものが変化をしない、基地機能の維持という、この二つの点がアメリカ側の態度として明確になっていただろうと思う。その辺が皆さん方が苦労された最大の焦点じゃないかと思うのですが、この在沖繩米軍の基地機能については非常に大きな問題がありますが、皆さん方は一応これは日米安保条約の適用によって縛られるという答弁を繰り返されてきた。
そこで私が一つ大きく疑問としているのは、従来、アメリカ政府は議会に対して、沖繩返還にあたって金銭の支払いは一切しない、こういう姿勢であったわけでありますが、この協定の四条の三項によりますと、「土地の原状回復のための自発的支払」という一項目があるわけであります。そこでお尋ねしたいのでありますけれども、アメリカ側が交渉の最終段階でこれを認めたいきさつというのは、どういうことになっていますか。これは外務大臣、当時の大蔵大臣でいろいろその間の経過も十分御承知だろうと思いますので、ひとつ外務大臣からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/36
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037・福田赳夫
○福田国務大臣 アメリカ側は、いわゆる請求権問題、これに対してはきわめて消極的な態度をとっておったわけであります。しかし、請求権問題は、米政府の手によって解決してもらいたい、こういう要請をいたしまして、まずアメリカの法令、現地の法令に基づくものはこれは支払いますということになったんですが、あと復元補償、海没地の補償、これにつきましては、当時状況がはっきりいたしておりましたので、アメリカ側が支払いの任に当たる、こういうふうに相なった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/37
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038・横路孝弘
○横路委員 従来はアメリカ側の態度というのは、一切、要するに解決済みだ、講和前のものについては平和条約の十九条の(a)項で放棄されているし、あるいは見舞金の支出によって、あれは一九六四年でしたか、解決されている、講和後の問題については、外国人損害賠償法とか布令二十号等によって賠償済みだという基本的な態度だったと思うのです。それがアメリカ側が——ここのこの表現も非常に奇妙な表現でありまして、自発的な支払いをする、権利としてあるのかないのか、国民の側にあるのかないのかはっきりされないような表現になっている。これが出てきたいきさつをひとつ御答弁をいただきたいというのが質問の趣旨なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/38
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039・福田赳夫
○福田国務大臣 その折衝に当たりました吉野アメリカ局長から説明いたさせます。——条約局長のほうからお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/39
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040・井川克一
○井川政府委員 原状回復につきましては、復帰までにアメリカ軍が開放する土地につきましては、四条二項で解決されるわけでございます。そして復帰後引き続き施設、区域として提供いたしまするものにつきましては、三条の二項でございます。そして、資産の引き継ぎの対象になりますものにつきましては六条の四項というふうになりまして、これにてあらゆる問題を解決できるかと申しますと、どうしてもそこに穴ができたわけでございます。その穴は、この四条三項の、一九五〇年七月一日前に損害を受け、そして一九六一年六月三十日後に開放された土地でございます。六一年六月三十日前に開放されましたのは、御存じのように、布令六十号によりまして見舞金の支払いの対象となっているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、アメリカ側に、この原状回復と琉球人の土地につきまする原状回復がここでほとんど解決されておるのに、この穴だけが解決されていない、これはどうしてもアメリカ側の責任をもって解決してほしいということを強く——これは最後まで苦しんだ問題でございますけれども、強く申し入れまして、この四条三項という規定になったわけでございます。そしてそれまでの、一九六一年六月三十日までのは、御存じのように、布令六十号によりましていわゆる見舞金的な支払い、法律的には講和条約十九条によって放棄しているのだけれども、したがってアメリカ側に法律的責任はないけれども、という前提でございますので、このような自発的支払いということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/40
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041・横路孝弘
○横路委員 いまも御答弁の中で出たわけですが、アメリカ側は最後まで渋ったわけですね。最後の詰めの五月の下旬の段階で、まあ最後にはアメリカ側に断わられて肩がわりという話にまでなった。日本側で肩がわりをする以外にないじゃないかというところまでいった。ところが、いまお話があったように、そこだけが抜けてしまうということになると、これはやはり日本の国会対策上まずいというようなことになりまして、最後までこれは交渉に持ち込まれたわけです。
そこで、この四条三項の支払いのアメリカ側の国内法の根拠というのは、これは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/41
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042・井川克一
○井川政府委員 これは、この条約の規定に基づきまして、アメリカ側は適当に措置をとるということになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/42
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043・横路孝弘
○横路委員 アメリカの議会は、この請求権についてはもう補償済みだ、解決済みだという態度なんです。そこで、こういうこの協定上の条項が出てきても、支払うにはそれなりの根拠がなければならぬということにこれはなったはずですよ。皆さん方十分承知しているはずだ。国内法の根拠は何ですか。ないでしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/43
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044・井川克一
○井川政府委員 本条約もアメリカの上院を通っておりまして、この条約に基づきます四条三項に基づく義務といたしまして支払いを行なうということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/44
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045・横路孝弘
○横路委員 サンフランシスコ条約の十九条(a)項で解決済みだというのがアメリカ側の態度だったんじゃないんですか。また、日本政府の態度もそういうことで一貫してきたはずですよ、従来の議論の中では。なぜこの条項が入ってきたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/45
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046・井川克一
○井川政府委員 それは布令六十号についても同様でございます。講和前補償につきましては、平和条約十九条で放棄されておりますので、アメリカ側に法律的な義務はないということでございます。ただし、施政権者としての道義的責任より、布令六十号についての見舞金的な支払いを行なう。今度の場合も、私どもも強く主張いたしましたのは、ほんとうに道義的に見て、この穴というものがどうしてもアメリカ側といたしましても説明がつかないではないかということを強く主張いたしまして、四条三項の規定となったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/46
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047・横路孝弘
○横路委員 条約局長、十九世紀末の法律があるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/47
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048・井川克一
○井川政府委員 私は存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/48
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049・横路孝弘
○横路委員 海外からお金を引き出して、それを基金として国務長官の権限で支出をするという、国務長官の権限に関する法律というのがあるでしょう、交渉の中で問題になったでしょう、あなた。知っていることをそうやってとぼけてはだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/49
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050・井川克一
○井川政府委員 私たちといたしましては、条約の規定によりましてこの穴をアメリカ側に埋めさせるということが責任でございまして、これだけはまあ目的を達したと思います。それが、向こうがいかなる支払いをいたしますか、いかなる方法によって支払いをいたしますかは、私は存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/50
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051・横路孝弘
○横路委員 三億二千万ドルの内訳について従来から議論がありました。資産の引き継ぎが一億七千五百万ドル、軍の労務者等に関する措置に対する金額が七千五百万ドル、あとの七千万ドルが核の撤去あるいは特殊部隊の撤去。そこで、この三億二千万ドルの根拠とのからみでここに非常に大きな疑惑というものがあるわけであります。
五月から六月の調印にかけてアメリカ側との交渉の責任者はどなたでございましたか、アメリカ側、日本側の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/51
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052・福田赳夫
○福田国務大臣 外務大臣と、先方は国務長官でありますが、そのわが国の外務大臣を補佐する者は、主として条約局長とアメリカ局長であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/52
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053・横路孝弘
○横路委員 アメリカ側はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/53
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054・吉野文六
○吉野政府委員 アメリカ側はマイヤー駐日大使とスナイダー公使でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/54
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055・横路孝弘
○横路委員 五月に愛知外務大臣とマイヤー氏との会談というのは、何回、いつ開かれてますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/55
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056・吉野文六
○吉野政府委員 正確に調べてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/56
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057・横路孝弘
○横路委員 それをすぐ調べてくださいよ。わかることでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/57
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058・床次徳二
○床次委員長 政府が調べておりますが、質問をお続けになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/58
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059・横路孝弘
○横路委員 答弁を待ってから続けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/59
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060・吉野文六
○吉野政府委員 とりあえずのお答えといたしまして、昨年六月五日の愛知・マイヤー大使との会談を起点といたしまして、その後、原則として毎月一回ずつ会談を行なっておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/60
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061・横路孝弘
○横路委員 その最後の大詰めの段階の話を聞いているのです。大詰めの段階の話を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/61
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062・吉野文六
○吉野政府委員 いま本省に問い合わせて記録を調べておりますから、正確な答えは追って御返答いたしますが、六月になりましてからは、私の記憶では、六月二日の日に一回、それから六月の九日の日にパリで一回、それから、おそらく調印前の日に一回ぐらい会っていたのじゃないかと覚えておりますが、五月ははっきりいたしませんから、いま調べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/62
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063・横路孝弘
○横路委員 そこをちょっとお伺いしているわけなので、そこだけはずされて答弁されても、ちょっと先に進めませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/63
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064・吉野文六
○吉野政府委員 われわれのメモで調べますと、五月の十一日、五月の二十四日、五月の二十八日、三回にわたって五月は会っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/64
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065・横路孝弘
○横路委員 そこで私がお尋ねをしたいのは、この四条三項が出てきた交渉過程の問題なんです。ここでアメリカ側は、ともかく解決済みだから日本側には一銭もお金を払わない、これがアメリカ政府の基本的態度だった。この四条三項が出てくるにあたってどういう操作が行なわれたか、ここが問題。ここでアメリカ側が自発的支払いを行なうということで、一応積算されたのが四百万ドル。ところが、アメリカの議会で、アメリカ側が日本政府にお金を払うということになれば、これは通らない。そこで、三億二千万ドルの中にこの四百万ドルを含めて皆さん方は計算をされた。したがって、これから逐一交渉の過程というものを明らかにしていきたいと思いますが、そういう話になって、最初アメリカ側から、四百万ドルを上回らないということを協定上明確にしてくれという要求があったはずであります。私は、何もかもすべてぶちまけるということじゃなくて、アメリカの議会対策と、沖繩県民の憤りというものを静めるためにそういう操作をしているということが非常に問題だと思うのです。非常に問題だ。皆さん方が違うと言うならば、七千万ドルの中身というものを明らかにしてもらいたい。五月の下旬の交渉の煮詰まる段階では、大体三億一千六百万ドルというところで話がきまったはずであります。中途はんぱだというようないろいろな議論もありまして、ここに四百万ドル上積みされて三億二千万ドルになったはずであります。五月の下旬から六月にかけての交渉の焦点というのはこの問題であった。これはお認めになるでしょう。外務省、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/65
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066・吉野文六
○吉野政府委員 お答えいたします。
当時の交渉は、非常にいろいろの懸案がたくさんありまして、それらはいずれもわれわれにとっては重要なものでありました。たとえば那覇空港からP3を撤去する、あるいはヴォイス・オヴ・アメリカの交渉をどうするか、その他この補償の問題もありましたが、いずれにせよ、その意味で非常に最終の詰めをやっておったわけでございます。しかしながら、先生のおっしゃるように、三億一千六百万ドルで、あと四百万ドル上積みしたのだ、こういうような経緯は絶対ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/66
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067・横路孝弘
○横路委員 それではお伺いしますけれども、この五月の段階の愛知・マイヤー会談の中身というのを調べてみますと、最初にアメリカ側から、四百万ドルを上回らないということを協定上明確にしてほしいという要求があった。それはこの中身からいっておかしいじゃないかということになって、一応、しかし、財源は日本側が払う、アメリカ側は財源のめんどうを見てもらったことについては多とするけれども、アメリカの議会対策上、日本側から財源が出たということが明確にならない限り議会説得は困難だというようなやりとりが、皆さん方とアメリカとの間にあったはずであります。最後は、四百万ドルを財源として支出をするということについては日本側は了解したけれども、それを文書化するかどうかということが、パリ会議に持ち込まれた一番の焦点になっていたはずであります。どうですか。これは別に役人の方だけじゃなくて、当時の大蔵大臣であった福田外務大臣だってそのいきさつは御承知のはずだし、総理大臣だって御承知のはずのことであります。どうですか、総理大臣。何も役人だけがやってきたことじゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/67
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068・福田赳夫
○福田国務大臣 いま三億一千六百万ドルという数字が交渉の過程であったという話でありますが、それは大蔵大臣としての私は承知しておりませんです。まして、総理大臣がそういう数字を御存じであるはずがあろうとは思いませんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/68
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069・横路孝弘
○横路委員 この四百万ドルを——いまのようないきさつの中で、ともかくアメリカ側は、議会対策上、お金を出したということになると議会が認めない、どうするか苦労された。国内法の根拠もないということになった。そこで、その十九世紀末の法律を持ってきて、海外から金を引き出してそれを基金にして支払う、これを根拠にしようじゃないかということになった。そうしてその四百万ドルを三億二千万ドルの中身に含めた。こういう重要な事実を、皆さん方は、七千万ドルは核撤去費だといって明らかにされない。これは明確なことを皆さん方十分御承知のことでしょう。ごまかしちゃだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/69
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070・吉野文六
○吉野政府委員 いま先生の御指摘のような事実は、われわれは全然存じておりません。
なお、パリ会談におきまして、いままでの会談の主たる内容は、P3の那覇空港からの撤去と、それから返還日をわが方からは四月一日を希望する、こういうことを強く述べた、これはわれわれとしては覚えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/70
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071・横路孝弘
○横路委員 パリ会談ではアメリカ側とこういうやりとりがあるじゃありませんか。アメリカ側は文書として明確にしてもらわなければ困る。日本側は、じゃそれは完全に秘密に保たれるのか。それに対してアメリカ側は、公表される可能性もないわけじゃないということになって、文書化の問題について話が進まなかった。皆さん方そういうことをおっしゃるのだったら、愛知・マイヤー会談と愛知・ロジャーズ会談の議事録を提出してくださいよ。そのやりとりが明らかになっている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/71
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072・吉野文六
○吉野政府委員 この当時の会談はほとんど口頭で行なわれておりまして、議事録というものはお互いにとっておりませんし、また、お互いに、それ以前の会談につきましても、議事録というものは、公式なものは一切ございません。したがって、会談の内容等は記録というものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/72
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073・横路孝弘
○横路委員 お互いにその署名したものはなくても、日本側でまとめたやつがあるでしょう。お互いの交渉の中で、そんなものをほっておくはずがないじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/73
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074・吉野文六
○吉野政府委員 この会談は、先ほど御説明いたしましたように、お互いにそういうメモというものは一切とらずに口頭で行なっておりました。したがって、そのような記録というものは残っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/74
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075・横路孝弘
○横路委員 じゃ、あなた方、大臣にどうやって報告したのですか。あるいは全部一応、日本側のアメリカ側とのやりとりというものについて、お互いに署名をかわしたというものじゃなくても、日本側の会談の中身というものをきちんと明確にしたものがあるじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/75
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076・吉野文六
○吉野政府委員 交渉の経緯につきましては、われわれは、先ほど申し上げましたように、口頭でやっておりましたから、何も残っておりません。もちろん、その第一条の第一案とか、第二案とか、そういう意味でお互いに草案みたいなものを交換したことはございます。しかし、そのようなもの以外は、一切いわゆる議事録というようなものはとっておりませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/76
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077・横路孝弘
○横路委員 それじゃどうも納得できないです。それじゃ納得できないですよ。あなた方そうやってしらを切ってだめですよ、それは。この四百万ドルについて三億二千万ドルの中身に含める、そういう約束で最後まで何がもめたかというと、文書化するかしないかということがもめたじゃありませんか。ちゃんとそれが文書になって残っているじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/77
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078・吉野文六
○吉野政府委員 この点は、先ほども述べましたように、四百万ドルに関しては一切そのような記録はございませんし、またそのような文書もございません。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/78
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079・床次徳二
○床次委員長 静粛にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/79
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080・横路孝弘
○横路委員 私はそこまで、あなた方自分でおやりになったことだから、一番よく知っていることをとぼけるとは実は思わなかった。愛知・マイヤー会談、そしてパリにおける愛知・ロジャーズ会談、お互いに署名を取りかわした議事録ではありません。しかし、そういうやりとりがあったということを明確にした文書が残っているじゃありませんか。
じゃ、角度を変えて聞いてみましょうか。全く事実じゃないというわけですか、そういう話もなかったというわけですか、私がいま提起した問題は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/80
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081・吉野文六
○吉野政府委員 四百万ドルという数字はございませんでしたが、琉政の出してきたその損害の最初の数字か何かが四百三十万ドル、こういうことであったことはわれわれも記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/81
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082・横路孝弘
○横路委員 いいですか。その四百万ドルについて、アメリカ側の議会でもこの点というのはほとんど議論されていない。アメリカ政府が出すお金、しかも一切、いままでのアメリカ側の態度というものは、サンフランシスコ講和条約の十九条の(a)項でもって解決済みという姿勢であった。そこでアメリカ側は、先ほど私がお話しをしたこの十九世紀末にできた古い法律を持ち出した。これを根拠にした。つまり、海外からお金を引き出して、それを基金にして払うということにすればそれはいいだろう。そこでいろいろ皆さん方との間に、先ほど私がお話ししたようなやりとりがあって、その上で最後には、文書化するかしないかということが問題になった。これはパリ会談まで持ち越しになって、パリ会談の中で日本側としては——その以前の段階、五月末の段階では、お互いにもう草案までつくっていたでしょう。アメリカ側も文書として出してきて、日本側も草案、この取りきめについていろいろ話が進んでいた。そこで、パリ会談で、文書としてあくまでも明確にしてもらわなければ困るというアメリカ側の話。それに対して日本側は、完全に秘密が保たれるかということを念を押して、そこでアメリカが逃げられた。そこで文書化することはやめたわけだ。しかし、この金額そのものは、四条三項による四百万ドルというものが三億二千万ドルの中に含まれて、そしてそれによってアメリカは支払いをするということでアメリカの議会を乗り切った。一方、沖繩県民の憤りというのを静める、こういう形になったわけであります。これは、皆さん方のいろいろなものを見ると、明らかにそのやりとりが出ている。それでもあなたたち、全然そんなことない、こうおっしゃられるわけですか。そうでなければ、この四条三項がぽっと出てきた、説明のつくことじゃございませんよ、それは。やはり私は、外務省のほうにあるそのものを明確にして出していただきたいということを要求したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/82
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083・福田赳夫
○福田国務大臣 横路さんも御承知と思いますが、条約をつくる、その段階において、もう何回も何回も会談があるわけです。そういう際に、一一お互いで共通のメモをつくっておる、こういうようなことはありませんです。ある段階で正式な会談が行なわれたという際には、これはちゃんとメモをつくっております。それでありますから、いまアメリカ局長からお話がありましたように、これは、アメリカ局長のあるいは頭の中とか、そういうところにその経過というものが記録されておる、こういうふうに考えるほかないんじゃないか、そういうふうに思うのです。いま会談の記録を出せと、こういうお話ですが、これは私は少し無理じゃないか、そんな感じがしながら拝聴いたしておったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/83
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084・横路孝弘
○横路委員 私は何も共通のメモなんて言ってない。共通のメモなんて言ってない。日本側のですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/84
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085・福田赳夫
○福田国務大臣 日本側にいたしましても、アメリカ側からこういう要求があり、これに対してこういう答弁があり、またアメリカからこういう話があった、そういうことを一々記録をいたしておらないと思います。私も若いころお役人をしておった経験がありますが、いろいろ交渉を——各省との間で予算の折衝を行ないます。その際の記録を一々保有しておくというようなことはいたさなかった。これはまあ吉野局長からよく聞いてもらいたいんです。これは頭の中に一番その記録が保存されておる、こういうふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/85
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086・床次徳二
○床次委員長 大出俊君から関連質疑の申し出があります。この際、これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/86
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087・大出俊
○大出委員 関連をして質問を少しさせていただきたいのですが、実は私も、これを称して交渉メモというのか、あるいは議事録といっていいのかわかりませんが、日本側の文書というものは私も知っている。これはいかなる官庁であっても、私も官庁育ちの一人だけれども、相手方と話をする、こちら側はちゃんとその記録を、向こうは何と言った、こっちは何と言ったということは全部書いているものなんだ。そうでなければ役人はつとまらぬ。あたりまえのことだ。琉政でいろいろ話し合っても、この四条三項というものについては、琉政自身が百万県民のために非常に大きな責任を感じている。自発的支払いというのは、しかも「均衡を」と書いてあるから、法的根拠を明確にしなければえらいことになる。片や、七千万ドルの内訳というのは、高度の政治判断のつかみ金、こうなっている。ところが、さっきの答弁では四百三十万ドル。四百万ドルと三十万ドルふえた。琉政がそう出したという。これは、七千万ドルの内訳、ないと言っている内訳にからむたいへんな問題。しかもこれを明らかにすると、あなた方のほうだって困る。どういう方々が知っているかということは明らかなんだから、だから横路君が慎重に質問している。国民が疑惑を持っている、各党が全部質問しているんだから、これはあなた方が、七千万ドルの内訳というものは、むしろ積極的に言えるところまで言うべきなんです。そうでなければ出さざるを得なくなるじゃないですか。私は、皆さんのほうの理事からも、連合審査だから時間を考えてくれと言われているので関連質問している。あなたのほうで出せるぎりぎりまで出してください。それによってぼくら考えるから。いかがですか。出せるぎりぎりまで出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/87
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088・福田赳夫
○福田国務大臣 七千万ドルの内訳につきましては、しばしばお答えをしたわけでありますが、これはもう高度の政治判断。アメリカ側からかなり多額の要求がありました。それに対してわが国は、なるべく少ない額がよろしい、こういうようなことで、ぎりぎりの妥協をしたというのが七千万ドルでございます。妥協いたしましたのは、核の問題があります。また、これから米軍が撤退していく、資産を無償で残していく、そういうふうな問題があります。あるいは特殊部隊というものも含めての話です。そういうことを考慮いたしまして、多額の要求があるのに対して七千万ドルで手を打った、こういう性格のものでございますので、これは何と申しましても、どうも内訳というものを開示しがたいものだ、そういう性格のものとして御理解願いたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/88
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089・大出俊
○大出委員 いまの外務大臣の答弁によると、高度の政治判断で七千万ドルで手を打ったから、その中身については、内訳については開示しがたいものとおっしゃった。あなたはずいぶん国民に対して無礼千万な答弁だ。国民の税金を使うのだ。中身については、内訳については開示しがたいもの、言いかえれば、中身、内訳は、横路君が指摘をした問題が入っているけれども、表へ出せない、そういうことになるじゃないですか。表に出さぬで済みますか、国民の税金を四百万ドル使うのに。さっきの問題一点取り上げてもそうだ。中身については、内訳については開示しがたい——なければ、開示するもしないもない。中身があるから、あなたは開示しがたいと言う。なぜそれが出せないのですか。中身については、内訳については開示しがたいとあなたおっしゃる。その中身、内訳を出せとぼくらは言っている。そうしなければ審議できぬじゃないですか。出してください、それを。出せなければ審議できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/89
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090・福田赳夫
○福田国務大臣 中身というものを具体的に申し上げるまで固まらないんです。先ほど申し上げましたように、核の問題があります。また、これから米軍が引き揚げていく、その資産を無償で残していく、こういう問題があります。それらを考慮いたしまして、米政府から多額の要求があったのでありまするが、七千万ドルでひとつ手を打ちましょう、こういう高度の政治判断の結果がこの七千万ドルでありますので、これは、内容をと言われても、ほんとうにお話しできない。ないんですからお話しできない、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/90
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091・大出俊
○大出委員 この問題は、外務大臣、わが党の安井さんも一番最初に、七千万ドルの内訳をという質問をした。そこで問題になった。あと、公明党さんにしても、民社党さんにしても、共産党さんにしても、また、この席でやりませんが、瀬長さんなんかも、沖繩特別委員会ではその質問を愛知さんにしている。各党全部が、沖繩出身の無所属の方も含めて全部がこの問題を聞いている。
あなたのいまの発言は、前とあとと二つある。前は、中身については、内訳については開示しがたいもの、こうあなたはおっしゃっておる。いま答弁をされているのは、多額な要求があった、それを七千万ドルで手を打った、だから中身は固まっていなかったという。固まっていなかったものを払うということをきめたことも、これはたいへん重大な問題だが、しからば、一体いかなる要求があって、いかなる政治的やりとりがあって、いかなる政治的配慮をあなた方はして、その結果、中身は十分固まり切ってはいないけれども、この辺までのところを話し合って、この辺までのところは固めて、かくて手を打った、これが経過だと思う。それを出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/91
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092・福田赳夫
○福田国務大臣 まず第一に、中身があるが開示できない、私はそう言ってないのです。これは開示できない問題。その理由は何だ、こう言いますと、これは核の問題、また米軍がこれから無償で資産を残しながら引き揚げていく、そういうようなことを考慮いたしましての高度の政治判断としてきめたんだと、こういうので、これは中身はないんです。具体的な中身を詰めておらない金額であると、こういうことを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/92
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093・大出俊
○大出委員 これは取り扱いの問題として私ども非常に気をつかってしゃべっている。ある程度までのところ、あなた方から見て、ここに資料がありますが、ここにある資料がどこまでのものであるかということについては、あなた方の判断だと思う。だから、それを全部ぶちまけるということになると、これはやはり問題になる。だから私は、あなた方のほうから出していただきたいと申し上げておる。
もう一ぺん重ねて言いますが、委員長、聞いていただきたいのだが、さっきの答弁は、議事録を調べていただいてもいいけれども、高度の政治判断で七千万ドルで手を打った、だから中身については、その内訳については開示しがたいもの、こうお答えになっておる。開示しがたいもの、こうお答えになっておる。二回目の答弁は、高度の政治判断で、多額な要求があったんだ、残していく資産もあるのだ、だから七千万ドルで手を打ったので、その中身についてはそこまで固まっていないのだ、だから表に出せないとあなたは言っておる。三回目の質問の答弁はまた変わった。開示しがたい理由については言いがたいというようになった。そうなると三つある。一番最初の答弁からすると、高度の政治判断で七千万ドルで手を打ったから、中身については、内訳については開示しがたい。これが一つの理由。二番目は、多額な要求があった、政治判断で七千万ドルで手を打ったが、実は煮詰まっていないからというのがあなたの言い分。三回目は、開示しがたい理由が別にある。対アメリカでしょう。さっき横路君が言ったじゃないですか。だからというのが三番目の理由。そうすると、その三つを、あなたのほうは、納得しがたいのだから——この納得しがたいということは、国民が疑惑を持っている。国民自体は納得しがたいのだから、各党全部が言っている。そうなると、その経過については、どういう経過があって、どういう多額な要求があって、それがどういうように煮詰まってきて、何か高度の政治判断で、何が煮詰まらないで——核の問題云々というのであなた方出したくなければ、そこは伏せたっていい。四百万ドルの件については核じゃない。そういう経過と、政治判断の根拠と、開示しがたい対アメリカとの関係の理由と、煮詰まらぬにしても、中身は一体どこまでどうなったのかということは当然出さなければ、委員長、これ以上審議しようがないじゃないですか。その経過を出してください。まず出せる限りのものを出してください。それをいただいて、こっちから出せるものは出しますから、出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/93
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094・福田赳夫
○福田国務大臣 これはお話でございますが、私はいろいろなことを言っているわけじゃないのです。非常に多額の要求がありまして、わが国はそれに対して全部応ずるわけにいかぬ、こういうことで、よくそれは交渉においてはあり得ることなんです。これは沖繩返還をまとめなければならぬ、そのためにはどうしても早くこれで手を打たなければならぬ、こういう事情もあります。そこで、多額な要求はありましたけれども、その中身は具体化はされませんけれども、とにかく七千万ドルというものを上のせいたしましょう、これで手を打ちましょう、こういうことです。これを称して私は高度の政治判断だ、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、どうもいろいろいきさつだとか、あるいは中身だとか、そういうものについてお尋ねがありましても、なかなかこれはお答えにくい問題である、こう申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/94
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095・大出俊
○大出委員 これは何と言われても、七千万ドルの内訳についてあなたは開示しがたいと言うのだから、それはそれとして、経過があって、かくて政治判断せざるを得なくなって、上のせとあなたがいま言っている七千万ドルが出てきたわけだから、その間の経過と、開示しがたい理由がもう一つあるわけだから、そこらはあなたのほうでまとめて文書でお出しいただかぬと、われわれは納得しがたい。これ以上審議しようがないじゃないですか。何とおっしゃられても出してください。審議できない。出せる範囲の経過から何からまとめて出してください。——出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/95
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096・福田赳夫
○福田国務大臣 これは七千万ドルにつきましては、内容は具体的なものがないのです。先ほどから申し上げているとおりであります。ですから、その内容、内訳を出せとおっしゃられましても、これはなかなか出すわけにいかぬ。いきさつにつきましては、交渉に当たりました政府委員からお答えはいたしまするけれども、中身を出せという点になりますと、これは出すわけにはいかぬ。これは高度の政治判断によってきめたものだ、そういうことで御了承を願うほかはない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/96
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097・大出俊
○大出委員 だから、内訳について固まっていないとあなたはおっしゃった。固まっていなければ、そこの固まる手前まででいいですよ。あなた方に出せる限りの努力をして出していただかなければ……。国民に責任を持って私どもは審議している。どこの党もひとしく疑問になっている。一つ間違ったら、最後には、七千万ドルの中身が明確にならなければ、この委員会は審議ができぬということになるかもしれぬ。そういう性格のものなんだから、あなた方の努力の限界までのものは資料で出していただかぬ限りは、これは納得のしようも何もないじゃないですか。これはまとめようがないですよ。そんなことを言われたってだめですよ。これは出すまで私は動きません。だめです。——あとの質問できません。経過は言えない、開示できない、理由は言えない、そんなばかな話があるか。——これを出してください。何もかにもわからぬで国民の税金を使うような審議ができますか。そんな不誠意な話がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/97
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098・福田赳夫
○福田国務大臣 大出さんの重ねてのお話でございますが、これは中身は具体的に申し上げるわけにいかないのです。そこで、先ほどから申し上げておる核の問題もあります。あるいは米軍の引き揚げていくその際に無償でその資産を引き継いでいく、そういうようなことを考慮いたしまして、かなり多額の金額の要求があった。それに対しましてわがほうはなるべく少ないほうがいい、こういう主張をいたしまして、結局七千万ドルの支払いで手を打つ、こういうことにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/98
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099・大出俊
○大出委員 これは何と言われても納得できない。あなた、いま二つしか言っていない。核の問題がある、無償で資産を引き継いでいく、だから多額の要求をした、それを政治的に七千万ドルで手を打った、こう言う。一体それでは、無償で置いていくのは何と何と何で、日本がそれをどれくらいにお考えになっているのか。それだっていままで明確になっていない。経過と中身で、核がうまくなければ核は抜いたっていい。あなた方は途中までの経過のメモはある。実はぼくら見ているのですよ。お出しください。無償で置いていくのは何と何と何で、どのくらいにあなた方は考えた、向こうの要求はこれこれだ、それに対してあなた方は政治的判断、その政治的判断とは一体どういう背景で政治的判断をされたのかという点。何にもなくて、七千万ドルはつかみでございます、だから納得せい、それはだめです。了解できない。出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/99
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100・福田赳夫
○福田国務大臣 政治的判断というのは、とにかく沖繩返還を早期に実現をしたい、これは総理大臣と大統領の声明を早く実現をしたい、こういうことであります。それで、アメリカ側からの要求はある、それに対して全部これはけるというわけにもいかない、そこで七千万ドル、そこで手を打った、こういう性格のものでありまして、その内訳を表にして出せ、これはなかなかできませんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/100
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101・大出俊
○大出委員 これは何と言われても、あなたは経過はあると言っているわけだから、やりとりの経過があった、そうでしょう。その経過の上に立って、核の問題がある、無償で引き継ぐものがある、そのほかにもあるかもしれぬ、さっきの四百万ドルの問題もある、こういう経過があって、幾ら幾ら向こうから要求されて、こういうやりとりをして、結果的に七千万ドルで手を打った、核は言えないにしても、引き継ぐ資産はどのくらいのものである、何と何だ、四百万ドルの扱いは一体どうなった、出せないはずはないじゃないですか。さらにその上に、あなた方がやりとりしたときのぎりぎりまでのメモが、あなた方のほうの外務省にある。それを出してくれなければ審議のしょうがないじゃないですか。ただ単につかみ金の七千万ドル、そんなことを認められますか。何の理屈もない、沖繩は早く返してもらいたかった、だから七千万ドルのつかみ金、国民の税金を、そんなものを認められますか。だめです、出さなければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/101
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102・福田赳夫
○福田国務大臣 私は当時大蔵大臣ですから、なるべく内容が詰まったものが好ましいというふうに考えましたが、そういうふうにいかない。どうしてもアメリカでは多額の要求をする、当方では少ないがいい、そういうようなことで、重ねて申し上げまするけれども、手を打った、政治判断だ、こういう性格のものでありますので、どうも内容を表にしてごらんに入れる、あるいは経過を、合意的というか、組織的に解明できるというような性格じゃない。しかし、非常に高度の政治判断で、沖繩を早く返してもらいたいというためにこの支払いを行なうのだということで御理解は願えないものか、こういうふうに考えておる、そういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/102
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103・床次徳二
○床次委員長 本問題はこのまま留保し、今後の取り扱いにつきましては、理事会において協議することといたしまして、質疑を続行します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/103
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104・大出俊
○大出委員 では、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/104
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105・横路孝弘
○横路委員 留保して、検討の結果に基づいてまた質問を続けさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/105
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106・床次徳二
○床次委員長 次に、鬼木勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/106
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107・鬼木勝利
○鬼木委員 私は総理に、五分間ばかり、緊急に質問申し上げたい。
今朝の新聞報道によりますと、バングラデシュの移動大使といわれるパニ移動大使が、日本政府にバングラデシュの承認を求めて来日しているという報道があっておりましたが、それは事実であるか、総理にお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/107
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108・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私はその点存じませんので、外務大臣からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/108
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109・福田赳夫
○福田国務大臣 私、けさ閣議後の記者会見で、新聞社の方からそういう質問がありましたが、そういうバングラデシュの代表と称すべき者から何らの接触も受けておりませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/109
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110・鬼木勝利
○鬼木委員 何らの接触も受けておらぬ。では、それはそのとおりに承っておきます。
ところが、新聞報道によりますと、インドはバングラデシュを承認した。日本政府はこれを承認する意思があるのか、あるいはまた、現在インドとパキスタン紛争の解決のためにどのような態度、方策をとっていらっしゃるのか、その点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/110
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111・福田赳夫
○福田国務大臣 昨日インド政府がバングラデシュ政権を承認をするという情報を受けております。わが国は、この印パ紛争につきましては、これが戦争化しない、平和的に収拾されるということを念願をいたしております。同時に、この戦争の背景にあるものは何だというと、東パキスタンからインドに流入をいたしました一千万人の難民、この難民の問題がこの紛争の大きな直接的の原因をなしておる、そういうふうな理解を持っておるのであります。そういう理解に立ちまして、武力紛争、当面これは差し控えてもらわなければならぬ、こういうふうに思いますが、その根源に横たわる難民問題の処理につきまして、力ある世界の国々が相協力をする、こういうことを基本的な方針とし、国連の活動もこの二つの方針に従いまして対処しておる、こういうふうに御理解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/111
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112・鬼木勝利
○鬼木委員 この問題は緊急問題でございましたので、ちょっとお尋ねをしておきます。
そこで、沖繩問題でございますが、公用地の使用に関する暫定使用法案、これは、本委員会の質疑におきましても、非常に重大な問題として取り上げられておる。この法案が明らかに沖繩県民の正当な権利を制限して、本土との差別を明らかにした。しかもこれまで審議の過程において、これは憲法違反の疑いがある。総理は憲法違反でないとおっしゃっておる。これはまたあとでお尋ねしたいのですが、そこで、この法案の提案者でありますところの西村前防衛庁長官は、遺憾ながらおやめになりましたので、江崎防衛庁長官にお尋ねしたいのでありますが、この暫定使用法案の撤回をあなたはなさるお考えはないのか。あとでまたじっくりあなたにお尋ねしたいが、あなたのお考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/112
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113・江崎真澄
○江崎国務大臣 そういう考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/113
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114・鬼木勝利
○鬼木委員 これは私どもといたしましても絶対反対です、こういう法案は。たとえ修正されても、私どもはこれはあくまで反対を続けてまいります。去る一日でございましたか、沖繩で行なわれたところの公聴会で、自民党の推薦者も含めすべての発言者が、この暫定使用法案には不満を示しております。これは総理も御承知のとおり。また、自民党の推薦者の方は期間の短縮なんかということも仰せになっておるようでございます。しかしながら、この暫定使用法案に対してわが党の二見君が質問しましたときにも、総理は、短縮する用意があるというようなことをおっしゃっておったように思いますが、短縮をされていかなるメリットがあるか、その点を総理から私は承りたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/114
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115・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私の発言が問題になっておりますが、当時、短縮するとはっきりは言わなかったと思っておりますが、これはもちろん、ただいま御審議をいただいておるのでございますから、その御審議の結果を待つというような表現はしただろうと思います。もちろん、法律案を提案いたします際に、政府は十分その法律のねらい、目的、さらにまた、どういうような影響を与えるか等々を勘案して、また憲法違反等、関連法案にどういうように抵触するか、それなども検討した上で成案を得るのでありまして、そう簡単に成案を得た法律案を変更すると、こういうように楽に言える筋のものではないこと、これは鬼木君も御承知願えるだろうと思います。さような立場にあって私が発言をしたと、そういうことを御了承願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/115
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116・鬼木勝利
○鬼木委員 これは暫定措置法案は五年ということになっておりますが、私どもといたしましては、五年であろうが三年であろうが、二年に修正されようが、一年にされようが、これは反対です。大体この法案は、おのおの性質の違った三つのものが一緒にされておる。で、まず私は、この法案について米軍基地と自衛隊との問題に分けてひとつお聞きしたいと思うのです。これを全部一緒にしてある。米軍基地も自衛隊の基地も、あるいは公用の土地もみな一緒にしてある。非常にこんがらがっております。これは一緒に論ずべきものじゃないのです。全部性質が違っておる。それをあなた方は無理やりにこれを一緒にして通そうとしておる。しかも、いま総理は、自分は短縮するということをはっきり言った覚えはない。それはそれでいいでしょう。しかしながら、短縮をしたならばどれだけのメリットがあるか。短縮しようがするまいが、本質的にはこれは何ら変わりがない。
そこで、もしこの暫定法案が期限が切れて、その立場に立ったときに、土地所有者との話し合いがつかなかった場合、あるいは、この法案は五年になっております、総理ははっきりおっしゃらぬけれども、これが伝うるところによれば、あるいは三年だとか、いろんな話が出ておるといいますが、その時点において話し合いがつかなかった場合に、米軍基地は、いわゆる安保条約第六条を適用するのではないか、これをわれわれは知りたいところなんです。そうすれば、こういう暫定法案なんというようなものは、これはもうだまかしものであって、欺瞞であります。今回の暫定法案は五年間だ、あるいはそれを三年にするんだ、どうするんだ、ああするんだと、いかにもまことしやかにそういうことを皆さんがおっしゃって、そしていよいよ話し合いがつかない場合には、安保条約の第六条で強制執行しよう、こういうことがあるんじゃないか。その点をはっきりしてもらいたいと思う。防衛庁長官でいいから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/116
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117・江崎真澄
○江崎国務大臣 御質問の点でありますが、もちろん、期限が切れた場合、それまでに全力をあげる、これは従来この内地においてもそうでありまするが、地元民の協力、こういうことが得られない限り、基地としての効用を十分発揮することはできませんから、あらゆる努力をする、こういうことであります。いま仰せのように、土地収用法にかけていくということも、これはありましょう。ありましょうが、そういうことをしないようにいく、これが従来の姿勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/117
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118・鬼木勝利
○鬼木委員 いいですか、これは一番大事なところですよ。ここに欺瞞があるんですよ、欺瞞が。われわれが納得できないところはここなんです。沖繩協定の問題でも、私どもがこうして審議しておりますけれども、国民がどうしても納得がいかないというところは、全部こういう点に隠し穴があるんです。いま防衛庁長官が、努力をしますとか、一生懸命やりますと言われたが、あたりまえのことです。ところが、何ぼ努力をしようが、何ぼあなた方が全力をあげてやられようが、土地所有者が反対して、いやだ、どうしても話し合いがつかなかったときには、奥の手があるぞ、安保条約の第六条を適用するから、だからまあ、みながそう言うならば、五年は三年と言っておけ、あるいは二年にしておけと、そういうふざけた話はありませんよ。いかがですか。何ぼ努力したってかなわないときにはどうしますか。かなわないときには、それは絶対にこういう第六条は適用いたしませんということがはっきりここで言い得るか、それを申し上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/118
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119・江崎真澄
○江崎国務大臣 御心配の点はよくわかります。しかし、従来防衛庁におきましては、強制収用にかけてやったということは、幸い、なくて済んでおるわけですね。したがって、やはり沖繩が本土と一体になれば、これは内地も沖繩県も同じでありまするから、同じ方式で理解を求めていく。これは十分話し合えば理解してもらえるものと思っておりまするし、そういうことに最善の力を尽くすのがやはり民主政治ですし、あくまで政府の誠意でなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/119
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120・鬼木勝利
○鬼木委員 これは、まだ私はそれでは納得しませんよ。安心するのは早い。
そこで、先ほど私が申し上げましたように、今度の暫定法案というものは、公益事業もあるいは米軍基地も自衛隊も全部一緒に暫定法案の中でこれを解決しよう、こうなさっておる。公益事業はなるほど土地収用法でできるかもしれない。ところが、米軍基地は、いま申しましたように、六条によるところの——三条ですか二条ですか、これによるところの米軍基地収用の強制執行ができることになっておる。これは安保条約の第六条によることになる。ところが、自衛隊のほうは、これは土地収用です。高辻長官はきのう妙なことを言っておった。でたらめ言っておる。これは三者三様におのおの性質が違ったものである。それを暫定措置法で一本にごっちゃまぜにして、そうしてこれを論じようなんと言ったって、これは話にならぬじゃないですか。提案者は防衛庁長官でしょう。前の防衛庁長官はあえなく相果てたからまことに遺憾千万だが、江崎長官は健在だから、だから私はこれを申し上げている。これを三本一緒にするというのは、審議のしようがないじゃないかと思う。その見解は、あなたはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/120
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121・江崎真澄
○江崎国務大臣 御指摘きわめて明快でありますが、自衛隊は、これは沖繩県が本土と一体化すれば、やはりわれわれ自衛隊、防衛庁の責任において治安を維持する、平和を維持する、そして民生協力をする。災害出動、特にこれは災害常襲県でありまするから、ひんぱんに出ることになりましょう。そういう緊急の要務を帯びておる自衛隊でありまするから、遅滞なく配置をしなければならぬわけであります。したがって、遅滞なく配置できるためにこの法律に規定をした、こういうことです。そして、御心配の土地収用法については、さっきも申し上げましたように、それを強行したという例が、幸い、内地においてはないわけでありますから、伝家の宝刀ということばが一体適切かどうか知りませんが、持たなければならぬが、これは用いないことをもって最良とする、あくまで話し合いでいきたい、これがわれわれのほうの姿勢であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/121
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122・鬼木勝利
○鬼木委員 いや、あなたのおっしゃることは、私の言っていることと同じことを繰り返しておられる。いいですか、私が言っておるのは、米軍基地と、それから自衛隊の基地とは性質が違うということを言っているのですよ。しかも米軍基地は、いま言いましたように、これは強制執行をするんじゃないかと私は言っているんです。今度はあなたのほうは、これは土地収用法なんですよね。国内母法ですから、安保条約の第六条によるところの法は適用できない。これは土地収用法なんです。全然性質が違うじゃないですか。それを暫定措置法案の中に一緒にするなんということは——公益事業だって同じです。これは明らかに土地収用法でいけるわけです。ですから、米軍基地も、それから自衛隊の基地も暫定措置法案で一緒くたにやって、そして五年間と——それで、私が言っておるのは最後の一点ですよ。それは一生懸命あなた方が努力されるでしょう、お話し合いがつくように。しかし、もし話が決裂してお話し合いがつかなかった場合は——いままではそんなことはありません、いままでのことを私は言っているんじゃないのです。もし話し合いがつかなかった場合に、絶対にこういう強権は発動いたしませんということであったならば、そういう県民や国民をごまかすような欺瞞的なことをやらないで、はっきり、この法案の中に、いたしませんと、この法は適用せぬということを明記すべきじゃないですか。その文句はどんなものでも、法制局で研究したらいいと思うけれども。それを明記しない限りは、こういう法律が厳然としてある限りは、いよいよ最後のときにはこの点をやるんじゃないですか。そうしたら、あなた、これが半年であろうが一年であろうが、三年であろうが、全部これはあってなきがごとく、何にもならないのです。ただ努力する、一生懸命やります、そして、一生懸命努力いたしましたけれども、結果はこうでございましたから、やむを得ずこれは強権発動します、そうすると、これは何にもならぬ。その点を私ははっきりとお聞きしたい。国民の前ではっきりこれを確約してもらいたい。あなたからできなければ、総理にはっきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/122
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123・江崎真澄
○江崎国務大臣 さっきからお答えしておりますとおりに、これは必要性があるから法に規定したわけです。しかし、それを実際に行なう面では使わないようにする、これをひとつ御信用いただきたいと思います。
それから、さっき私、自衛隊の任務で、治安の維持と言いましたが、これは平和の維持ということばの言い違いでございますから、訂正しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/123
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124・鬼木勝利
○鬼木委員 なるべく言い違いのないことにしなさいよ。外務大臣の横におるから、必ずしも言い違えぬでもいいんだよ。
そこで、時間がありませんのでまことに残念ですけれども、自衛隊の基地の場合も、米軍基地と同じように、どうしても話し合いがつかない場合には土地収用法にひっかける。ところが、高辻長官は、これは違法でないと、こういうことを答弁されたけれども、これは明らかに違法です。間違いです。これが国の事業だなんということに解釈されるわけはないでしょう。自衛隊が何が国の事業ですか。しかもこれは、昭和二十六年の土地収用法の改正の際に、提案理由で、国防その他軍事に関する事業には土地収用法を適用できないと、このように説明していますよ。昭和二十六年、そのようにきちっとこれは説明をいたしております。それから三十九年——いまのは二十六年ですよ。これは提案理由の説明の場合にそういうことがあった。それから、三十九年の四十六国会で、建設委員会で河野国務大臣が、「ただいま御指摘になりましたように、「公共の」という条件がついております。軍施設を「公共の」の範囲に入れるということは適当でない、これはもう社会通念じゃなかろうかと私は思います。」これは河野国務大臣——これはなくなったから、死人に日なしと言うかもしれぬけれども、ちゃんと議事録が残っておる。さすれば、こういう提案理由の説明でもはっきりこれは入れないと言っておる。また、当時の建設大臣であった河野一郎氏、なき河野一郎氏が、四十六回国会ではっきりこれは明言しておる。それに対して、高辻長官は、いつからこういう法をあなたは変えて解釈するようになったのか。大体、あなた、法の番人であるのか、そのときそのときの政府に都合のいいように、政府の番人になるのか、どちらですか。これはだれが考えたってあなたの説明は誤りです。こんなことは解釈されるわけがない。だれが考えたってわかる。しろうとが考えたってわかる。それを防衛庁長官は、こういうものは土地収用法なんというものには関係ない、それを措置法案の中に三本一緒に入れて、ひっくりまとめてやろうとしている。こういう国民を欺瞞するような、いいかげんなことをあなた方がおやりになるから——沖繩が返ってくるということに対しては、われわれはほんとうに双手をあげて、祝杯をあげて喜ぶべきであります。これは当然であります。しかしながら、内容が全部でたらめじゃないですか。外務大臣のいまの答弁だって、七千万ドルなんというような大金、国民の税金を、内容はわからぬで払います、つかみ金で払いますなんという不都合なことを言う。言語道断じゃないか。国民の税金ですよ。いやしくも国の金を支出するならば、かようかくかくこういうわけでございます、こういう金を出すのです、土地使用の、公用地の暫定使用法案を御審議願います、五年といたしております——これはわれわれ反対ですけれども、かりにそれを修正しようが、とにかくこれがその期間内において話し合いがつかない場合には、絶対にこういう強制執行はいたしません、なぜそれを言い切らないのですか。それを言い切れば、国民は——この法案に対しては私どもは反対ですけれども、その三年とか五年とかいうことに対するところのあなた方の説明は一応は通る。これでは全然通らない。ただ努力する、一生懸命やります、全部これはから手形だ。だから、自衛隊が土地収用法にひっかけるというのも、これは全然話にならぬ。もしそうであったら、はっきり、いたしませんということを確約して、私は法にこれを明記していただきたい。防衛庁長官、いかん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/124
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125・江崎真澄
○江崎国務大臣 これは鬼木さん、やはり交渉というのは姿勢の問題ですから、それからやはりいままでの積み重ねというのが重要なんですね。あのとき強制収用でこういうけしからぬことをした、ああいう事例があるというわけでなくて、全くよく話し合い、納得の上で話を煮詰めてきた、こういう実績に防衛庁自体が立っておるわけです。これは私、ほんとうにいいことだと思っております。だから、これはひとつ今後もそういう姿勢を続けるということで御信頼を願いたいと思います。
それから、これは高辻法制局長官からいずれ御答弁があると思いますが、さっき河野さん等々の話、一両日以来、先日も公明党の新井議員からもそういう質問が出ておりましたが、これは昭和二十八年十二月十八日、建設省と法制局の間でも解釈の合意ができておりまして、当時は保安庁といっておりましたが、保安庁が保安隊の訓練のため設置する演習場は、土地収用法第三条第三十一号にいう、いわゆる国が設置する直接その事務の用に供する施設に該当するということで、統一見解をいたしておるわけであります。したがいまして、河野さんの発言等におきましても、やはりその当時は、公共用地の取得に関する特別措置法ですね、昭和三十六年の御指摘の件でございますが、これはやはり二条八号の政令について言っておられるのでありまして、自衛隊を否定しておるものではない、このように私も理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/125
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126・鬼木勝利
○鬼木委員 いずれにしましても、明らかに高辻長官の答弁は誤りです。こういう常識問題みたようなことで、だれだってわかるようなことを——だったら、過去におけるところの大臣連中の発言は、いつからだれがどういうふうに変えたか。これは時間が来ましたので、大体これで——私もっとお話ししたいのですが、最後に申し上げたいことは、沖繩の米軍基地縮小に対しますところの決議案、これはもう採決になって、すでに皆さん方御承知のとおりであります。そこで、基地縮小、整理ということに対しての義務を私は果たしてもらいたいと思う。
そこで、総理にお尋ねしたいのでありますが、これに対してどういう処置をとられたのか、また、基地縮小に対して、対米交渉という点において、私は、明らかに佐藤政府には義務があると思うのですが、総理はどのようなことをなさったのか、どのような行動を起こされたのか、また、どのようにこの決議に対してはなさろうとしておるのか、これをはっきり国民の前に明らかにしてもらいたい。あれは重大なる決議でございますから、簡単に決議をそのまま等閑に付せられたのでは、われわれは絶対納得がいかない、許すことはできない。その点について総理にはっきりお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/126
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127・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 過日の衆議院本会議における皆さま方のなされた決議、これに対する政府の所感も、当時その決意として政府がお答えしたはずであります。私は、国政の最高機関である国会の本会議でかような決議がなされたこと、これは当然政府も一体としてその国会の決議の趣旨を尊重して、その線で行動すべきは議論をまたない、かように私は思っております。したがいまして、ただいま基地の整理縮小、こういう方向でこの問題と取り組む決意であります。
一体どういうことをしたのかと言われますが、当時も、政府の決意として直ちに今日からもうそういうことに取りかかりたい、そのためにもできるだけ早くこの返還協定を承認賜わるよう皆さん方にお願いをしたはずでございます。そういうようないまのアメリカの施政権下にあるその状態では、縮小してくれろ、こう申しましても、これは実現はできない。私どもの祖国に沖繩県の施政権が返ってきた場合に、真に本土と一体となったときに、また日本人としての当然の権利を主張する際に、私どもが、その本会議の決議、これを実施することになるわけであります。ただいまから用意しておかないとそういう時期に間に合わないのだ、かように思っておりますので、そういう点で外務当局やさらにまた防衛庁等で十分検討しておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/127
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128・床次徳二
○床次委員長 鬼木君に申し上げますが、予定した時間が過ぎましたので、終わっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/128
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129・鬼木勝利
○鬼木委員 これで終わります。これが最後です。
総理に——私はここで政府に強く言っておきたいのですが、それは、将来米軍基地が返還される場合に、その基地は自衛隊の継続使用でもない、無条件に返還されることが原則である、またそれでなければならない。もし自衛隊の継続使用というようなことがあるとするならば、われわれが本会議において決議をいたしましたことは無意味になる。基地の縮小、整理でありますから、あの決議を無視することになる。あなた方もみな御承知の上であれを決議されたのですから、その点を私は皆さま方に、総理並びに政府当局に強くこれを申し入れをいたしたいと思う。
ここで私は、なおさらに強く政府に申し入れておきたいことは、基地の共同使用とか……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/129
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130・床次徳二
○床次委員長 時間が過ぎましたので、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/130
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131・鬼木勝利
○鬼木委員 地位協定第二条四項(b)による基地使用などは認めてはならないという政府の姿勢を明らかにしていただきたい、こう思うのであります。総理は先般も、少々のことはがまんしていただきたい、こういうことを言われておる。がまんしていただきたいということは、苦しいことじゃないですか。沖繩が返ってくることを喜んで、皆さんが喜んで喜々として帰ってこられるものならいいけれども、少々のことはがまんしてくださいということは、苦しいということを総理は認めておる証拠である。だれだって、苦しいとき、苦しいことを喜んで、にこにこ笑って帰ってくるわけはないじゃないですか。沖繩県民、百万の県民が帰ってくるならば、喜び勇んで喜々として勇躍本土に帰ってくるようにするのが、総理の当然の義務であります。それをがまんして、苦しみながら帰ってこい、そしてにっこり笑え——何を言っているのです。冗談じゃありませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/131
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132・床次徳二
○床次委員長 鬼木君に申し上げますが、時間が来ましたので、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/132
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133・鬼木勝利
○鬼木委員 最もそれは悪政です。総理は悪政ですよ。もうやがてあなたも引退でしょうが、最後に、みんな喜んで帰ってくるようにするのが、あなたのつとめですよ。あえて私は、老婆心ながら、あなたに一言呈しておく。総理、いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/133
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134・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 鬼木君の御意見を交えての私に対する御要望でございます。これは私も伺っておきます。しかし、私は、この際に、日米安全保障条約のあること、同時にまた私どもは自衛隊を持っておること、そのもとにおいてわが国の国土の安全、国民の生命、財産の確保、これがなされておる、その事実をやっぱり厳粛に認めていただきたい、かように思いますので、その意味においての国家あるいは政府のなすべき事柄、これについては国民の御協力を心からお願いする次第であります。一言申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/134
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135・鬼木勝利
○鬼木委員 時間が参りましたので、これで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/135
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136・床次徳二
○床次委員長 次に、和田耕作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/136
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137・和田耕作
○和田(耕)委員 本質問に入る前に、二つほどお聞きしておきたいと思います。
沖繩返還の返還日ですけれども、日本政府は四月一日を希望する、アメリカ政府は強く七月一日を希望する、こういうふう承っておるのですけれども、四月一日ということになりますと、あと三月でございます。七月一日になりましても、あと半年。現在、政府としても予算の編成期であって、予算の編成とは相当関係の深い問題だと思いますので、もうそろそろ政府としても基本的な腹がまえができておるのではないか。そうでないと、予算の編成上のいろいろな問題も困るのではないかと思うのですけれども、この返還日について、アメリカ政府との交渉の段階において、四月一日か七月一日か、どちらが可能性があるというふうにお思いになるか、外務大臣にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/137
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138・福田赳夫
○福田国務大臣 返還日につきましては、わがほうといたしまして、なるべく早く、つまり四月一日ということを考え続けてきておるわけであります。ただ問題は、それまでに諸般の円滑な返還の準備が整いますかどうか、こういう問題であります。山中総務長官の担当する沖繩県内の諸施策の問題は、これは順調に進んでおるわけなんです。あとは基地関係、基地で引き継ぐものが相当出てくるわけであります。また、基地は、A表によって米軍に提供されますけれども、今度はわが国が一応——一応というか、これは施政権のもとにある基地の提供ということになりますので、その辺かなり整理をしておかなければならぬ、こういう問題があります。それから米側におきましては、私が推測をしておる、にらんでおる、こういうふうに申しておりますが、核問題、これをきれいにするという問題もあります。それからP3というような、こういう部隊の撤去、そういう問題もあるのです。それらが日米両国において準備が万端整うという時点を想定いたしまして批准書の交換をするということになるわけなんです。いま、もうそろそろ、御指摘のように、そういうめどをつけなければならぬ時期になってきておりますので、二、三週間前から、アメリカ当局に対しまして、ぽつぽつめどの検討に入りましょう、こういうことで取り急いでおります。まだはっきりした目標を申し上げるまでの段階になりませんけれども、取り急いで見通しをつけなければならない問題だ、そういう意識を持っておるわけであります。ただしかし、先立つものがありますのは、お願いしておりまする沖繩返還協定関連の法律案の成立であります。これが成立いたしませんと、円滑なるところの沖繩返還の協定ができない、こういうことに相なりますので、何とぞ関連法案につきましても、協定同様、御協力のほどを切にお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/138
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139・和田耕作
○和田(耕)委員 外務大臣のいまの御答弁を拝聴しておりますと、日本政府としては、総理もよくお答えになっておられるように、いまだに四月一日を希望するけれども、七月一日の可能性のほうがもっと多いというふうに受け取ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/139
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140・福田赳夫
○福田国務大臣 まだその可能性を申し上げるまでに至っておらないのです。私はなるべく早くと思っています。で、準備万端円滑に整う、こういうことが前提でございますけれども、とにかく四月一日を目標にして準備を急いでおる、アメリカ側にもそうひとつ準備をお願いをしている、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/140
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141・和田耕作
○和田(耕)委員 大蔵大臣にお伺いいたします。
きょうの新聞でしたけれども、まあ円の切り上げという問題もあるし、今後予算の編成について、長期の計画というような問題は繰り延べにしたいという趣旨の中で、四次防の一年繰り下げという報道があるのですけれども、これは大蔵大臣の主として意向が入ってのような報道だったのですけれども、四次防の一年繰り下げという問題は、もう公式に大蔵省として検討しておる問題であるかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/141
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142・水田三喜男
○水田国務大臣 これから検討する問題で、この計画を繰り下げるとかどうとかというような問題は、一切まだ方針としてきめておらない段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/142
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143・和田耕作
○和田(耕)委員 いまの四次防の問題については、直接あるいは間接に、沖繩の審議の問題と非常に関連の深い問題だと思います。それで、いままで、西村防衛庁長官のときから、これをかなり大幅に削減をする方針であるということを公式、非公式に申されてきました。それで、今回、きょうの新聞によりますと、四次防というものを一年繰り延べをするという趣旨の意見、報道があったわけです。それも単なる報道ではなくて、水田大蔵大臣がお帰りになって、そして、この円の切り上げ後の状態がちょっと経済的に見当がつかない、困難な状態が予想されるということまで入ってのきょうの報道であるわけです。こういう問題につきまして、総理大臣、ことによったら、四次防というものを一年繰り下げを含めて検討する余地のある問題だ、あるいは大幅削減も含めまして、四次防をいま申し上げたような意味で検討する用意と申しますか、気持ちがある、あるいはない、どちらであるか、総理大臣のお気持ちをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/143
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144・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 大蔵大臣もたいへん忙しくて、海外に出張したりして帰ったばかりでございます。しかし、片一方で、年度内に予算を編成したいという強い希望を持っております。ただいま事務的にもその問題と取り組んでおる次第でございます。ただいまの点が一つのポイントになるだろうとは思いますけれども、まだその中身について内示するような段階ではもちろんございません。したがいまして、先ほど大蔵大臣がお答えしたように、繰り下げるとか、あるいは規模がどのくらいが適当だとか、こういうことをお尋ねになりましても、まだ事務当局でもそこまでまいっておりませんし、また、私自身が、全体の予算規模等についても十分目を通すという段階でございませんから、ただいまはまだその点は少し早いように思っております。どうも新聞記事がそこまで走っているからと、こういうことでございますが、私は新聞記事が当てにならないとは申しませんけれども、これはどうもそのままを信用されて、この際に、その新聞記事の、その載ったことでここで議論することはいかがかと思います。これは差し控えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/144
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145・和田耕作
○和田(耕)委員 一つのポイントとして検討しておるというふうに理解をしてよろしゅうございますね。
それでは、本質問に入ってみたいと思います。
大蔵大臣、今度の沖繩返還につきまして、まあ直接の一般会計のワクの中で、あるいは財投という形で、相当多額の金が沖繩に流れていくというふうに思うのですけれども、一般会計の各省の見積もりですね、概算要求、それと財投の概算についてお答えをいただきたい。沖繩関連の費用です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/145
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146・水田三喜男
○水田国務大臣 各省の概算要求は大体三千億円程度でございますが、財投のほうは事務当局からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/146
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147・平井廸郎
○平井政府委員 お答え申し上げます。
各省の沖繩関係費の予算要求総額は、当初、九月末で締め切りました段階におきましては、二千九百九十三億円でございましたが、その後追加要求がございまして、現在三千二百四十七億となっております。それから、財投の要求につきましては、総額六百三十七億というふうに概算されています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/147
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148・和田耕作
○和田(耕)委員 そうしますと、この内訳はあとから御質問しますけれども、総額としまして三千二百億プラス六百三十億ということになりますから、三千七百億を余る金が沖繩に関係費用として四十七年に出されるということになりますね。しかも、これは極端に申し上げますと、沖繩と申しましても、那覇本島にその三千七百億という金が、大部分のものが集中するということになりますね。こういうふうな問題について、具体的な対策というものをお考えになっておりますかどうかということを、これは総務長官でございますか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/148
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149・山中貞則
○山中国務大臣 たいへん失礼いたしました。そのことと関係なく副長官と話をしておったわけでありますが、いまおっしゃるとおり、巨額な金が最終的な査定でとれれば、私はたいへんうれしい悲鳴をあげなければならぬのですが、大蔵との折衝で要求どおり満額とれるとは思いません。しかしながら、新生沖繩、その長年の労苦に報ゆる。しかも、長期計画の初年度の予算にたえ得る内容のものでなければ、また私たちは引くことはできません。そうすると、やはり常識上、巨額の金という意味の金額の、相当規模のものが沖繩に対して交付されるであろう、このことは事実であると思います。しかしながら、沖繩は、本土に復帰をいたしまして沖繩県になるわけでありますから、施政権の壁の中で政府というものを形づくってその地域内の経済のみに閉じこもるわけではありませんので、物資の交流にしても、あるいは資金の流れにしても、沖繩県内の生活が資金その他の面で相当潤うというような結果が出ましても、それは沖繩県民の所得の向上であり、あるいは沖繩の社会資本その他の整備の急速な展開であるということでありますので、それが沖繩の局地の中において賃金にはね返り、あるいは物価にはね返りして、回転して、悪循環を続けていくというようなインフレ現象というようなものには、本土に復帰した沖繩県の形を想定いたしますと、なり得ないのではないか、やはり国家の単位としての場合に全体の現象をインフレと呼ぶべきではなかろうか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/149
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150・和田耕作
○和田(耕)委員 沖繩が四国あるいは九州というところであればその答弁でけっこうですけれども、沖繩は本土からはるかに離れた島でございます。しかも、いまの約三千七百億、それに加えて民間のいろいろな資本が入っていくと思いますけれども、概算約四千億という金が一年間に、しかも沖繩本島に集中をするというこの問題は、総務長官がおっしゃるように単純な問題じゃないと思うのです。こういう問題について、いままでの沖繩問題についての論議がほとんど頭が向いていないということは、私は非常に遺憾に思うのです。沖繩の県民に対して相当多額の金を本土の政府として考えるということは歓迎すべきことです。しかし、政府のこの施策がもし十分でなければ、時期的に、一時的にインフレ現象が起こった場合に、これは沖繩島民の災害になるわけです。はるかに洋上離れたところであるということを総務長官はよくお考えになって、特に、物資の供給計画——特に労務の問題です。労務の問題の適切な計画なしには、せっかくの予定された事業が実行されないことになる。そういうおそれがあると私は思うのですけれども、そういう問題も、それはたいしたことはないのだというふうに総務長官はお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/150
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151・山中貞則
○山中国務大臣 インフレということばをめぐってのやりとりでなくて、沖繩が祖国に帰りましても完全に物資やその他で閉鎖社会である、いわゆる自給自足でやっておる経済の中に、本土政府のほうから沖繩県という閉鎖社会に対して巨額の金がつぎ込まれるということになりますれば、いま言われたような懸念をしなければならぬかと思います。しかしながら、それは本土の県としてオープンに、要するに開かれた沖繩県になるわけでありますから、立地条件がなるほどすべて島嶼から成り立つ県でありますから、慎重な配慮はしなければなりませんけれども、やはり本土の県であることは、距離が近いという北海道と同じことにもなるわけでありますから、そういう意味において、もしそういうことになったらどうするかということは、検討はしておかなければなりませんけれども、そういう事態には立ち至らないであろう、むしろ沖繩の県民の皆さん、あるいは沖繩の県、市町村の全体の出発にあたっての大きなドライブをかけてあげることになるだろうというふうに、私はいい面からとらえておるわけでありますけれども、せっかくの御注意でありますので、その点も慎重に念頭に置きながら今後の沖繩経済のあり方というものを考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/151
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152・和田耕作
○和田(耕)委員 北海道等の例が出ましたけれども、北海道は陸続きのようなものです。汽車も通っております。との問題は、山中長官、もっと慎重にお考えにならないと、この沖繩の県民にとっては、お金はたくさんもらった——しかもこの四千億近いお金が、沖繩百万の人たち一人頭にして、四千億とすれば、赤字も全部合わせて四十万円、百万人そのまま割っても四十万円というものが入っていく。一家族にすれば約百万円以上のお金が入っていく。平等に分けられればまだしもですけれども、おそらく平等に分けられるはずはない。たいへんな大きな金が流れ込むところもあれば、そうでないところもある。いろいろな問題がこれはあると思うのですけれども、総理大臣、この問題については特に注意を喚起しておきたいのですけれども、この問題について、いま総務長官のお答えを聞きましても、きわめて安易な考え方を持っておられる。私は慎重な計画が必要だと思うのですけれども、総理はどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/152
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153・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 ただいま総務長官がお答えしたように、見方によっては、私は、これはあまり深刻に考えなくてもいい問題もあるかと思います。しかし、同時にまた、逆な方向へいけば、和田君からいま御指摘になりますように、これはたいへんな問題だ、かようにも思います。いずれにしても、実際にどういうように金が入るか、それを私どもは十分監視する必要はあるだろうと思います。ことに、ドルから円にかわる、これは諸制度においてたいへんな問題であります。これが一体どんな影響を来たしますか、そこらにも、ただ単に消費性向だけが高まるというのでなしに、諸物価だってみな円計算に変わる、こういうことですから、これはたいへんなことだと思います。ただ、逆に、この前は円をドルにした、そういう場合も、なれるまでにはこれはずいぶんたいへんだったと思います。日々の日用品、雑貨等の購入から、バス、賃金までみなドル計算になったのだ、そこらにずいぶん高くなったのじゃないか、かようにいわれたものであります。しかし、ようやくそれになれてきたこの際に、円高だとは申しながら、これはやはり全部が円の生活に切りかえる、これは、ただいま、事態そのものよりも、沖繩県民にとりましてはたいへんな重大なる変化だ、かように考えざるを得ない。したがって、私どもば、これがどういうように推移していくか、その辺を十分見守る必要がある、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/153
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154・和田耕作
○和田(耕)委員 これは将来どのような状態になるか。私は、物価だけの問題から考えましても、政府の皆さんが考えておるよりはもっと混乱要素を持っておるという感じを持っております。そして、せっかくおきめになった事業が、労働者がいない、労働賃金がぐっとはね上がっていくというようなことで、遂行できないような事態が起こってきはしないかと私は思います。そういう問題を、経済企画庁長官あるいは大蔵大臣、そういう問題の関係のある大臣としてどういうふうにお考えになっておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/154
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155・水田三喜男
○水田国務大臣 いま総務長官が言われましたように、別に封鎖経済となるわけではございませんので、やはりその点の心配は薄らぐと思いますが、しかし、御指摘のように特に遠隔の地域でありますので、特別の地域である以上、国の膨大な財政支出が地域経済に与える影響というものもある程度考えなければならないと私どもは考えております。たとえば、ドルと円の交換の問題にしましても、この差額の交付金の支給というときにも、そういうことを考えて、私どもはこれは交付公債によることがいいのではないかということを考えましたが、しかし、沖繩島民の希望は、やはり現金をもらいたいというような希望が非常に強かったので、私どもはやはり現金支給ということにしましたが、そのかわり、この現金をどういうふうに保有してもらうかというようないろいろな御指導もこれから必要になるのじゃないかというふうに私は考えますので、予算編成の過程においてはもちろん、また、この予算執行の過程において、そういう地域経済への影響というものは十分これから考慮してやっていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/155
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156・木村俊夫
○木村国務大臣 いま大蔵大臣からお答えしたようでございますが、ただ、私ども想起いたしますのは、かつての万博時代に、関西において相当物価、賃金が上昇したことがございます。そういうような一時的な地域的インフレがないとは限りませんので、そういう面においては、もちろん、御承知のとおり、現在の本土の供給力から申しましても、これが経済一体化すれば一般的には心配ございませんけれども、そういう地域的かつ一時的な要因による物価の上昇ということは、やはり慎重の上にも慎重を期さなければならぬ、こう考えます。
また、労働力の点も、私ども実はいろいろ考えておりますが、本土の景気が沈滞しておりますので、昨年までは一万人以上も沖繩から流出しておりました労働人口もいまではとまっております。そういう面と、それから沖繩における企業、これがもっと近代化、合理化して、労働力のやはり流動化をはからなければならぬ、そういう面の施策は当然これは必要になってくる、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/156
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157・和田耕作
○和田(耕)委員 きょうは時間が限られておりますから、立ち入っていろいろ検討したいと思っておりましたけれども、内閣委員会のあとの議案もありますから、そのときの場に譲りたいと思います。ただ、この問題だけは、総理にも、大蔵大臣にも、経済企画庁長官にも、とりわけ責任者としての総務長官には、そう甘く考えないで、この問題に関しては十分慎重な計画が必要である。いま万博の例をあげましたけれども、万博は大阪のどまん中です。日本の生産力の集中しておるところです。あそこでもああいう問題が起こっております。いろいろな食料品——今度の四千億近いお金は、その大部分は生産資材ではないのですよ。主として消費商品に向けられる金なんです、その大部分は。そういう問題を通じて、もっと真剣な考慮を促したいと思います。
それと関連いたしまして、総理府の中に、この金——もっと上がったかもわかりませんが、一千三百二十億という予算の概算の要求がありますけれども、この相当部分が自衛隊の配備の問題と関係してくると私は思います。自衛隊の沖繩への移駐の問題ですね。あの久保・カーチス協定によって、三年、最終には六千八百名ということになるというような問題と関連してくるので、この自衛隊の移駐の問題については、私は、やはり日本の本土になるから、日本の自衛隊のメンバーが相当数の人たちが行くのは、これはよくわかりますよ。特にアメリカ軍が日本の本土の一角におるという状態を考え合わした場合に、日本の本土の一角にアメリカ軍だけががんばっておるという状態は異常だと思います。したがって、自衛隊の相当数が沖繩に派遣されるということは、私は理解できることだと思っております。しかし、この問題は、私も沖繩に参りましたけれども、沖繩の百万の人たち、その代表者の人たちの共通の感情は、むしろ、アメリカ軍に対してよりも、自衛隊の移駐に対して反対の意向を持っておるという事実があります。那覇の市長とも私は会いました。その問題について議論をいたしました。いま言ったように、日本の領土になるんだから、数は六千八百名というのは多過ぎる、しかし、常識的に考えた数がおるのはあたりまえじゃないかと言ったら、猛然としてとにかく反撃をされる。あの市長は非常におとなしい人です。これが代表しているように、沖繩の人たちは、いまのこの際に自衛隊が沖繩に返還と同時に入ってくるということに対して、たいへんな拒否反応を持っているという事実がございます。この事実は、つまり無理やりに入っていくということもできるでしょうけれども、将来の問題を考えた場合に、復帰と同時に無理やりに自衛隊を入れていくということは、私は、政府としては相当真剣な考慮が必要な問題だと思います。特にいまの四千億の問題ですけれども、四千億の金があの小さな沖繩本島に一年間に集中するというこの問題を考えた場合にも、この予算の執行についてあるいは繰り延べ等の問題を考えるべきではないかと思うのです。そのような意味で、沖繩の人たちも望んでいない、これは年数をかけて説得しなければならない問題であることは確実です。自衛隊が入ったところで、沖繩百万の人たちが協力しなければ何にもなりはしない。逆の効果しか起こっておらぬという問題ともあわせて、返還と同時に自衛隊が移駐するという問題については、一年あるいは二年延期するというような考慮も必要ではないかと思うのですけれども、この問題について、外務大臣、アメリカとの交渉の過程でそういうことが今後問題になることができるかどうか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/157
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158・福田赳夫
○福田国務大臣 自衛隊の配備が、返還協定、この絶対条件であるという理解はしておりません。しかし、日米は相共同して日本の安全、極東の安全と平和を守る、こういう立場にあり、久保、カーチス、これを代表とする両国の軍事専門家が打ち合わせをした、そういうようなことで、防衛庁当局といたしましてはぜひともこの取りきめの線に従いまして配備をしたい、こういうふうに考えておるのでありまして、したがって、いまそこまできた両国の軍事関係、これをここで変更するということは、実際の両国の関係から見ますると、非常に困難なことじゃあるまいか、そういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/158
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159・和田耕作
○和田(耕)委員 今度総理も、一月の上旬、六、七の両日にアメリカへ行かれるそうでございますけれども、そういう問題についても——これは自衛隊を沖繩にやらないというわけではないのです。自衛隊を沖繩に派遣するということは、沖繩の治安の問題についても、今後の日本の国防の問題についても必要だけれども、こういう事情だからあるいは一年、二年、一年半はおくれるかもわからない、当初の約束した六千八百名という数もいかにも常識的に見て多過ぎるから、その数についても減らすかもわからないというような趣旨の総理としての意思表示あるいは話し合いというものを、できると私は思うのですけれども、やっていただきたいと思うのですけれども、総理はどういうようにお考えになるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/159
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160・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 新年早々ニクソン大統領と会談を持つことになっておりますので、私はその準備を、いろいろ党内においても、また閣内におきましても意見を十分徴するつもりでありますが、同時に、各党の党首会談を持ちたいということを過般もある委員会で申したように思っております。したがいまして、各党と話し合った上で実りあるものにいたしたい、かように思います。ただいま御指摘になりました点は、そういう意味の一つのポイントだ、かようにも私は理解しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/160
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161・和田耕作
○和田(耕)委員 この段階になりますと、実質的な問題を考えてみなければならないと思っております。過般の衆議院の本会議を開くに関してのあの核兵器の問題、あるいは沖繩の基地の縮小、整理の問題等についてのああいうふうな問題も、私どもは心から喜んでおります。最後までほんとうの核抜き本土並みという実態を備えるように努力していきたいと思うのですけれども、いまの自衛隊を向こうに置くという問題の基本原則については理解ができると申し上げたのですが、置くということのメリットが、返還をした、さあということで自衛隊を送るということになれば、逆の結果になりかねない問題もあるわけでございまして、特にそういうふうな意味での実質的な一つの考慮をしなければならない段階にある、私はこういうふうに思うわけです。そういうことですから、一つの例を私はあげました。いま与野党の間で非常に問題になっておる問題についての例をあげましたけれども、これはアメリカ政府に対する公用資産に対する支払いのあのお金にしても、そういう問題があろうかと思います。いずれにしましても、この沖繩というところが日本に喜んで帰ってきてくれて、しかも将来日本の防衛の問題についても安全の問題についても実質的に役立つような県民の御協力を得られるというためにはどうしたらいいかということを、協定できめた範囲内でけっこうですから、全力をあげてそのような努力をしていただきたい。何が何でも、こういう約束をしたんだからというようなことでは、この問題は果たされないという感じがいたします。特に先ほどの予算の問題、これは重ねて申し上げますけれども、小さな島に四千億という金が一年間に流れていくという問題は、特に総理よくお考えになって、いまの自衛隊の配備の問題を含めて御検討いただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/161
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162・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 別に和田君は答弁は求められませんでしたが、私は、自衛隊の任務から申しまして、地域住民の理解なくしてその任務が果たせるとは思いません。したがいまして、最も大事なことは、沖繩地域住民の方々が自衛隊について深い認識を持っていただくことだ、かように思っております。お話にもありましたように、本土になった沖繩、それが米軍だけがいて、そして当方の自衛隊がいない、これはどうも筋が立たない、かように思いますが、ただその理屈だけでなしに、もっと積極的な理解を持つことが必要ではないか、かように私は思っております。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/162
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163・床次徳二
○床次委員長 午後一時半から再開することとし、暫時休憩いたします。
午後一時一分休憩
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午後一時三十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/163
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164・床次徳二
○床次委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開きます。
質疑を続行いたします。天野光晴君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/164
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165・天野光晴
○天野(光)委員 基本的な問題について少し質問したかったのですが、どんな都合かきのうは断わられ、きょうになってから総理が断わって、私の時間だけどうしてものっぴきならない用事があるという話で、非常に残念でございます。そういう観点で、やむを得ませんから、具体的なもの二、三について大蔵大臣に質問をいたします。
その具体的な問題の質問に入る前に、大蔵大臣の見解をただしておきたいと思うのですが、この臨時国会は、沖繩を本土復帰するという目的のために召集をされました。すでに本会議から委員会を通じまして数多くの方々の発言がございまして、御承知のように、沖繩をどうあたたかく迎え入れをするかということに終始しているようでございます。そこで私は、角度を変えまして、このあたたかく迎えることには大賛成、できるだけの政治的な処置をすることも大賛成ではありますが、受け入れすることによって内地の国民の人たちに反動が起きはしないかという問題の一、二について質問をいたしたいと思いますが、万が一、沖繩を迎える関係から、内地の各産業あるいは事業、あるいはこまかく言えば個人個人に至るまでの間に、いろいろなトラブルが起きるような事態が起きましたような場合においては、たとえば大蔵省関係の問題で扱いをするならば、それについては将来善処するというお考えでありましょうか。それとも、どんなトラブルが起きようとも、このまま暫定措置の五年なら五年という期間中は内地のものは顧みないというお考えでございましょうか。その点、先にひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/165
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166・水田三喜男
○水田国務大臣 トラブルといいますと、制度上の問題でしょうか。ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/166
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167・天野光晴
○天野(光)委員 よくおわかりにくかったと思いますから、わかりやすく申し上げますが、沖繩を処置するためにつくられた法律、あるいはその処置によって、内地のその同じ種類の業界に相当大きな影響を与えるというような問題が具体的に起きてきた場合においては、善処される意思がありますかと、こう聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/167
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168・水田三喜男
○水田国務大臣 沖繩の復帰が、内地にも大きい影響のないように、また沖繩自身にも大きい悪影響のないように、この一連の措置をとることに今度いたしておりますので、そういう大きい問題は、私は大体起こらないんじゃないかというふうに思っております。もし起こった場合には、これは当然善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/168
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169・天野光晴
○天野(光)委員 そうしますと、起きてはたいへんですから、起きないように法の取り組み等をされた、しかし、万が一そういうような事態が起きれば善処するということを前提条件にして質問に入ります。
時間が三十分、ずいぶん長い時間ちょうだいしたものですから、三十分ではとても一つの問題を詰めるだけでも容易でないと思いますから、ひとつ答弁のほうも簡略にお願いしたいと思います。
輸入関税と物品税の扱いですが、現在の本土で施行しておるそのものずばり沖繩に適用されておりましょうか。それとも、今度沖繩返還にあたりまして、輸入関税あるいは物品税について、本土と違うというものがあれば、それをまず指摘していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/169
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170・水田三喜男
○水田国務大臣 本土と沖繩では当然違っておるものが多いのでございますので、たとえば物品税で申しますと、沖繩では現在課税されていない、しかし本土では物品税の課税対象になっておるというようなものにつきましては、復帰後五年間この物品税を免除するというような形で、当面のいろいろな混乱を避けるというような免除措置をとることにしておりますし、また、たとえば嗜好飲料のように、沖繩のほうが税率が高い、内地のほうが低いというようなときに、復帰すれば当然負担が軽くなるというようなものについては、復帰と同時に内地の法令を適用するような措置をとるというようなことをいたしておりますし、また、関税についても同じような考え方で、復帰後何年間の免税措置をとったり、あるいはまた、たとえば電力事業のようなもの、これは非常にコストが高くなりますので、沖繩の電力コストを低くするために、輸入燃料について特に関税を免除するというような措置をとりますし、また消費者対策として、いろいろな消費物資について、内地の関税のほうが高いというようなものについては、関税の差額分を免除するというような措置をとりますし、また観光産業については、戻税制度というようなものを置いて、内地に復帰しても急速にいろいろな変化がない、そうして沖繩が不利をこうむらぬというような一連の措置を全部考慮してあるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/170
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171・天野光晴
○天野(光)委員 その考慮してあるのはわかっております。考慮したからこういう手続をしたんだろうと思いますから、そういう点で……。
二時九分までですから、時間がひどく少なくて困ります。それで、そう長く答弁されておりますとたいへんですから、わかりやすく簡単にしてもらいたいんですが、関税で現在——わかりやすいものでいいんですが、私のほうから提起いたしますから、こまかくて大臣が答弁しにくければ、政府委員でもけっこうです。
宝石あるいは自動車、時計といった、日本の内地では相当高額な輸入関税をかけておるはずでありますが、それについては、沖繩関係は今度はどういう扱いをいたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/171
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172・赤羽桂
○赤羽政府委員 まず宝石、時計でございますが、これはもうすでに先生御存じかと思いますが、今後の特別措置法におきまして、旅行者の携帯品のワク内におきまして、いままでどおりの関税で据え置くという実態、つまり戻税をいたすわけでございますが、そういうことでやってまいりたいと思います。
で、その宝石、時計でございますが、その関税格差というのを一応申し上げますと、時計につきましては、沖繩では五%。これが本土にまいりますと、関税、物品税両方合わせまして、貴金属製、あるいはまた価格六千円をこえるものといううようなことで、いろいろ細分はございますが、一応一例をあげますと、貴金属製の腕時計は、沖繩は五%、本土が六〇%、つまり関税が二〇%、物品税が四〇%、こういうようなことに相なるわけでございまして、その格差を観光客の携帯品に限っては戻税というかっこうで安くいたす、こういう措置をとることになっております。観光客以外の一般的なものは、これはもう当然かかるわけでございます。
それから自動車ですが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/172
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173・天野光晴
○天野(光)委員 それじゃいいから、その一つの問題で話を進めましょう。いま局長から話のあった時計一つでけっこうです。時間がございませんから。具体的にひとつ説明をしてください。
関税で二〇%、物品税四〇%、合わせて六〇%かかると、かりに百万円の時計を日本の内地に水揚げする場合は、蔵出し税を入れて、一銭ももうけなくて百六十万円である。沖繩は五%といえば、水揚げの状態で百五万円というように、いまの説明だと、なるわけですが、その点、間違っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/173
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174・赤羽桂
○赤羽政府委員 百万円の時計という例をおあげになりましたのですけれども、これは三万円以下ということで一応限っておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/174
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175・天野光晴
○天野(光)委員 そうすると、三万円以上のものはどういう扱いをするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/175
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176・赤羽桂
○赤羽政府委員 三万円以上のものにつきましては、本土と同じ原則、一般原則で税金がかかるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/176
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177・天野光晴
○天野(光)委員 そうしますと、店で販売する場合、高級品は日本内地と沖繩と同じ価格である、こう了承して差しつかえありませんな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/177
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178・赤羽桂
○赤羽政府委員 そう御了解いただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/178
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179・天野光晴
○天野(光)委員 そこで、戻税というのはどれから出すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/179
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180・赤羽桂
○赤羽政府委員 観光客の戻税のシステムにつきましては、一応原則として考えておりますのは、まず観光客がみやげものを販売している小売り店で一応税込みでウイスキーなり時計なりを買うわけでございます。そのときに一定の証票を小売り店から観光客のほうに渡す。それを出国の際に税関が検印をいたします。検印をいたしましたら、それを買いました小売り業者の口座のある銀行、これは出国のところにつくるというようなことになると思いますが、そこで提示をいたしまして、観光客のほうはそこで差額の金をもらうわけでございます。一方、売りました小売り業者のほうにその証票が回ってまいりまして、そうして小売り業者のほうは戻税に相当する分の還付を受ける、かようなシステムになっております。
それから、いま申し上げましたような方法は、一たん税込みで買ってあとで返すという方法であるわけなんですが、これが手続上非常にめんどうくさいというような現地の御要望がございまして、これにつきましては、最初から小売り店で税引きで売ってもいいという措置をとることにいたしておりますが、この措置をとる前提といたしましては、観光客と小売り店との関係が、お互いに非常に顔見知りで信用があるということがございませんと、買ったままその証票を税関に提示することなくすっと帰っちゃう、こういうことになるケースがありますので、その危険負担を小売り店のほうで覚悟と申しますか、信用のある顧客だ、こういうことでいきますならば、そういう方法でもけっこうである。いずれにしても、法律ではそういった方法については何ら規定ございませんので、これは政令段階で今後いろいろ現地とも相談をいたしてきめたいと思いますが、そういう方法も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/180
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181・天野光晴
○天野(光)委員 その戻税をやる場合は、先ほどの説明のあった時計等については、三万円以下のものも三万円以上のものも同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/181
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182・赤羽桂
○赤羽政府委員 観光品の面では、現在、沖繩ということでなくて外国から皆さんお帰りになりますときに、たとえば酒が三本とか、香水が二オンスとか、こういう限定があるわけで、その範囲内で認める。これは沖繩についても全く同様でございまして、この範囲内で沖繩からみやげものを買ってきた場合に戻税の制度をとる、こういうことでございまして、品目並びに数量に限定があるわけでございます。その点お含みおき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/182
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183・天野光晴
○天野(光)委員 その限定のある品目は、何と何ですか。限定しておる、その戻税を行なう品目は、何と何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/183
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184・赤羽桂
○赤羽政府委員 まずウイスキーが三本、香水が二オンス、時計三万円以下のもの二個、それからそれ以外の装飾品、身辺細貨というようなものは、これは全体で五万円以下と、価格でこれを押えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/184
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185・天野光晴
○天野(光)委員 そうしますと、沖繩に輸入をする場合の措置は、現在東京で行なっているのと同じシステムでやるんですな。沖繩に今度外国から、たとえばスイスなりあるいは香港から輸入するという品物については、そういう形になりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/185
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186・赤羽桂
○赤羽政府委員 本土から輸入するのと全く同一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/186
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187・天野光晴
○天野(光)委員 そうしますと、念を押しておきますが、三万円以上の時計——時計にいま仮定しますが、時計の場合は、たとえば五十万でも百万でも、店頭で課税されたその価格以外に割り戻しもしなければ何もしない、それは内地と同じである、こう了承してけっこうですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/187
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188・赤羽桂
○赤羽政府委員 そう御了解いただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/188
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189・天野光晴
○天野(光)委員 そこで、私たちいままでずいぶんこの問題、物品税で議論をしてきたわけです。宝石を扱うような場合、その脱税を大蔵省でつかむことが非常に困難だということで、できることなら正直者がばかをみないような制度をとるためには、要するに、蔵出し課税といった水ぎわで課税をすることのほうが一番大切でないかという主張をいままでずいぶんしてきたわけでありますが、こういう機会にほんとうはそういう措置を講ずることが一番いいんじゃないかという感じがした。ただし、いま観光客のために、三万円以下の時計でいえば二個である、ウイスキーは三本だ、それをやることで観光客がそれほど多く来るという考え方でこの措置をおとりになられたのですか。これは相当そこに問題があると私は思うのですが、三万円の時計二つ持って帰る、ウイスキー三本持って帰るだけで沖繩が特に観光が盛んになるという考え方でこういう施策をおとりになったのでしょうか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/189
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190・赤羽桂
○赤羽政府委員 ただいまの観光税制の特別措置は、これは御存じのとおり、いまの沖繩というものが観光対策、外客誘致、特に本土からのでございますが、ということを沖繩の経済振興の一環としてつかまえまして、よく先生御存じかと思いますけれども、国際通りあたりにはずらっとそういうみやげもの品の店が並んでおるわけでございます。全島でいいますと、コザやなんか含めまして百何十軒ぐらいのみやげもの屋があるわけでございます。これが直ちに本土の関税が適用されましてぐっと上がるというようなことになりますと、みやげもの屋の存立のほうも、これはちょっとおかしくなるんじゃないかというような点と、いま先生がおっしゃいました、これがあるから人が行くかという点でございますが、これはまあこれからどういうぐあいにやっていくか、どうなってまいりますか、依然としてますますふえていくかどうかというようなことは、ちょっとこれはわからないわけでございますけれども、少なくともこれは全然効果がないというようなことでなくて、やはり向こうへ行けばその程度のものは携えて帰るということは十分に予想されるわけでございますので、これはそっちの面から観光客誘致のやはり一つの要素、誘因になるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/190
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191・天野光晴
○天野(光)委員 私の心配しているのは、一個三万円の時計というのは、一般大衆の使う時計ですね。その時計を観光客が——喜んで買ってくるお客さまもあるでしょうが、そうではないんじゃないか。かえって、この制度をやることによって、沖繩の現地住民は高い時計を買わなければいけないということになるのではないか。一部少数の観光客のためにやる施策が、沖繩現住民の一般大衆が買うのに高いものを売らなければいけないというような状態になるおそれはないのかということです。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)ありますよ。(「国内と同じにするだけだよ」と呼ぶ者あり)いや、国内と同じだけれども、結局、沖繩で買って、ほかから来たお客さまだけは戻税だから税金がかからないわけですから、要するに、沖繩でそういう制度がなければ日本内地と同じだから、いま堀君の不規則発言のようにそれは同じでけっこうだと思うのですが、そうではなくて、沖繩自体で、観光に来たお客さまには税金は返すよ、現住民には税金を返さないよということで批判が起きないのかということが心配だから、ここでついているわけなんですが、その点はお考えになったことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/191
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192・赤羽桂
○赤羽政府委員 この観光税制を取り上げる際に、率直に申し上げますと、そういう議論が出たことは事実でございます。しかしながら、究極的に申し上げまして、これは現在やってるものを暫時継続をすることによりまして、全体——何もこれのみならず、ほかの税制措置もそうでございますけれども、本土復帰に伴いますところの激変緩和ということで、一定の期間を限りまして施行せんとしているものでございまして、先生おっしゃいました議論は確かに最初にございましたが、結局、結論的にはいま私の申し上げましたようなことで立法をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/192
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193・天野光晴
○天野(光)委員 もう一つ、金の問題をちょっとお聞きしておきたいと思うんですが、日本が現在の日本の金の価格で払い下げをするわけですが、沖繩は国際価格で払い下げをすることになるようです。そうしますと、一オンスで相当の違いがあるわけですが、これに対する対策はどういう形で考えておるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/193
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194・林大造
○林(大)政府委員 ただいま御指摘のとおり、現在、沖繩の金加工業者は、国際自由金市場から国際価格で金地金を購入しておりますけれども、復帰後になりますと本土の制度が適用になりまして、したがいまして、一グラム約六百六十円という値段で購入することになります。ただ、そういたしますと、現在まで安い価格で購入いたしておりました沖繩の業者が経営的に非常に苦しくなるということも考えられるわけでございまして、ただいま関税局長から御説明いたしましたのと同じような趣旨で、復帰後五年間に限って特に国際価格で売り払いを行なう、そしてこの間に技術の向上あるいは経営の合理化を推進して、そうして沖繩におきます金加工業の維持振興につとめてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/194
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195・天野光晴
○天野(光)委員 それで、時間がなくなったから、詰めて申し上げますが、地金を払い下げるいわゆる地金商とでもいいましょうか、それはどういう業態のもので、一体どのぐらいの業者を予定しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/195
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196・林大造
○林(大)政府委員 沖繩の業者でございますが、最近になりましていろいろの業者が出てまいりました。これは復帰前の状況を考えまして、従来金加工をあまりやらなかったようなものも金加工に取りかかるというふうなものも若干おりますようでございますが、その点は従来の実績その他を勘案いたしまして、今回の特例措置、恩恵措置が乱に流れないように十分に配意してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/196
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197・天野光晴
○天野(光)委員 たいへんいま沖繩では金を買い入れているそうです。これは復帰が確実だという前提条件でしょうから、これは法律行為では違反でありませんから差しつかえはありませんから、政府が地金商に渡す金の、おそらく当分の間は何倍かあるいは何十倍ぐらいかの金が沖繩にはんらんすると思うのですが、その金の持ち出しについては、要するに、本土のほうに持ってくる場合においては何ら制限はないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/197
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198・林大造
○林(大)政府委員 ただいまの御質問は、沖繩復帰後におきまして、沖繩とそれから日本の現在の内地との間の金の持ち込みという問題かと存じますが、その点につきましては一切何らの制限はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/198
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199・天野光晴
○天野(光)委員 無制限だということになりますね。
そこで、そうしますと、五割、五〇%もうかるわけですね、現在の地金の価格からいくと。日本の現在の価格と国際価格との差は二百二、三十円あるわけですから、国際価格で四百五、六十円か七十円ですか。——六十円ぐらいでしょう。そうしますと、大体五〇%近くそのまま地金でもうかるということになるのですが、それはもうけてもよろしい、これは加工しなくてもそれでもうけてもいいという前提に立ってこの仕事を進めておいでですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/199
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200・林大造
○林(大)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、特に安い価格で払い下げをいたします金の量を、従来の実績を考えまして十分に合理的な量に制限するつもりでございますし、また、安い価格で払い下げました金が確実に加工されるように措置をとってまいりたいというふうに考えております。それによりまして、乱に流れることを防止したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/200
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201・天野光晴
○天野(光)委員 こまかいことまでお聞きしてあれですが、そうしますと、加工業者に金を売り渡しをするわけだから、これは絶対一〇〇%加工しなければならない、こういう前提条件に立ってこの始末をされる、その加工を必ずできるという見通しは十二分につけるだけの手続等はできておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/201
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202・林大造
○林(大)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、従来からその金の加工をいたしております業者は、組合などをつくっておりまして、信用のおける業者でございます。具体的にいかなる措置をとりましてそのような実効性を確保するかという点につきましては、現在、細目を検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/202
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203・天野光晴
○天野(光)委員 その払い下げをする年間の量は大体どれぐらいですか。もうすでに予定はできているだろうと思いますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/203
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204・林大造
○林(大)政府委員 従来の実績でございますと、一九七〇年におきまして一・四トンでございます。この一・四トンという実績を勘案いたしまして、乱に流れないように量は十分に規制してまいりたいというふうに考えております。
ちなみに、御参考までに申し上げますと、本土で金加工業者が装身具等に使っております金の地金は、同じく一九七〇年におきまして約二十六トン、したがいまして、沖繩におきますその量は約五%に当たるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/204
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205・天野光晴
○天野(光)委員 いずれにしろ、内地の業者も手を回しましていま沖繩でどんどん金を買い占めているというような話も承知いたしております。端境期でありますから、そういうことの起きることも当然であろうかと思いますが、暫定措置を講ずることによって私の一番心配しておったことは、いわゆる沖繩を受け入れる、前に申し上げましたように、あたたかい気持ちで、できるだけ沖繩の住民の期待に沿うような形で沖繩を受け入れたいというのは、もうこの委員会から本会議通してみて、終始一貫その議論に尽きているわけです。沖繩の現住民の利益はどうするかということに尽きていると思います。ところが、そのために内地に及ぼす影響をも十二分に考慮の上であろうと思いますが、これはいま金の、いわゆを物品税だけの問題を、時間がございませんから、話をしたわけでありますが、その他も数多くあるわけであります。
幸い総理がお見えになりましたので、今度の措置をとられたので、本土のほうでそのために反動を受けて影響をこうむる国民が数多くできるような場合には善処するという、先ほど大蔵大臣からの答弁があったんですが、総理としてもその考え方には同じだと思うのですが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/205
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206・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 大蔵大臣からお答えしたら、特に私が異を唱えるようなことはございません。内閣は意見一致でしておりますので、どうぞ御安心なすってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/206
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207・天野光晴
○天野(光)委員 実は総理がこれぐらい早く来るんだったら、少し基本的な問題をお聞きしたがったんですが、私の質問時間中どうしてものっぴきならないという理事会のお話し合いで、総理の質問はだめだというものですから、いま一分では、とてもこれはどうにもなりませんし、非常に残念でありますが、いずれ他の機会に問題は討議することにいたします。
私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/207
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208・床次徳二
○床次委員長 土井たか子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/208
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209・土井たか子
○土井委員 沖繩の復帰に伴う問題はいろいろ山積みでございますが、きょう私はこれから水道問題だけに限ってひとつ質問させていただきたいと思います。私たちは、一日として水なくして生きることができません。沖繩も同様であります。この夏、実は沖繩に現地調査に参りましたとき、水飢鐘にあえいでいる状況というのをまのあたりにいたしまして、これはもう一日もなおざりにすることができない問題だということを再確認してまいりました。特に、御承知のとおりに、沖繩は全島統合上水道、これは米陸軍水道局がそれについての管理権を一手に掌握しているわけですが、そのもとにある水道公社、さらにそのもとにある市町村の水道局、そういう一連の組織からいたしまして、やはり水問題は一にも二にも軍事基地優先ということが、現地の調査の結果、いろいろな場面で具体的に明るみに出てまいりました。
たとえば、三十六時間断水ということで一般の家庭ではあえいでいるそのときに、基地の横を通りますと、兵隊の家族がまっ昼間芝生に水を打っている風景や、満々と水をたたえたプールに子供が喜々として遊んでいる風景を目の前にいたしまして、ずいぶんこの軍事基地優先、基地中心の水道行政ということに対してふんまんやる方ない思いをしたわけです。
そこで、きょうは、その水道問題について、特にこの沖繩の県民の立場からすると、これこそ復帰後どうなるのかということは、何としても生活を考えました場合にまず心配の一番大きな問題ではなかろうかと思います。
たいへん不本意ながら、一時間と限られた時間でございますから、いまから私が質問申し上げますことにつきまして、各事務官の方でなく、御出席の担当の各大臣から、はっきりと、しかも責任を持ったお答えをお願いすることをあらかじめ申し上げておいて、質問に入りたいと思います。
まず具体的な問題からお伺いをいたしますが、福地川ダム建設についての問題なんです。
山中総務長官、この福地川ダム建設について、このたびのこの復帰に伴う特別措置に関する法案の中身では、どういうふうに取り扱っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/209
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210・山中貞則
○山中国務大臣 沖繩振興開発特別措置法案の附則第五条「この法律の施行の際琉球水道公社が建設している政令で定めるダム」これは福地ダムのことであります。「の存する河川について、当該ダムの建設を行なう河川の部分として建設大臣が指定する区間は、第七条第一項及び第二項の規定にかかわらず、同条第一項の規定により指定された区間とする。」二項、三項等、いずれもそれに関する規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/210
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211・土井たか子
○土井委員 総務長官、それだけでございますか。——それだけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/211
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212・山中貞則
○山中国務大臣 それだけであるかと言われますと、復帰に伴う特別措置に関する法律案の、法人の権利義務の承継の琉球水道公社の第三十六条、ここのところで「水道公社の財産その他の権利及び義務は、政令で定めるものを除き、この法律の施行の時において沖繩県が承継する。」これは、「多目的ダムとなるものとする。」と、先ほどの振興開発特別措置法の附則第五条の第二項で書いてございますが、さらに第三項で、このダムの建設の費用は国が支弁する、こうなっておりまして、沖繩の水の根源である水源地福地ダム、将来は本島北部の開発されるダムも含んでのことでありますが、国が十分の十の支弁を行なうということを意味しておりますので、しいてほかにあるかと言われれば、その点だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/212
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213・土井たか子
○土井委員 つまり、これは、復帰後は福地川ダムについては国の直轄事業とするということになるわけでございますね。
そこで、いま長官の言われましたこの三十六条の条文に従って実は政令があるはずなんです。政令の中身についてはどういうことになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/213
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214・山中貞則
○山中国務大臣 これはすでにお手元に出しております三十六条関係として、「法第三十六条に規定する政令で定めるものは、河川法(明治二十九年法律第七十一号)が準用される福地川において建設しているダムに係る財産その他の権利及び義務とする」、そういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/214
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215・土井たか子
○土井委員 先ほど長官は、この福地川ダムについては多目的ダムとして国が直轄事業で行なうという御趣旨の御答弁をなさいました。そうでございますね。多目的ダムとして行なう場合には、根拠になる法は、御承知のとおりに、特定多目的ダム法でございます。この特定多目的ダム法のこの法文を見てまいりますと、これは現行河川法に従ってその特例を認めている法律であるということが、その第一条でも明らかなわけでございまして、旧法ということになってまいりますと、この点ひっかかりはしませんか。つまり、この政令案要綱の中身を見ました場合に、いま長官お読みになったとおりなんです。そこに書いてございますものは、福地川については「河川法(明治二十九年法律第七十一号)が準用される福地川において」と書いてございます。したがいまして、多目的ダムとして国が直轄事業をここに行なう場合には、この明治二十九年法律第七十一号の河川法ということで行なえるはずはないのです、これは旧法でございますから。これは旧法でしょう。
それじゃお伺いしますけれども、そもそもこの政令というのは、復帰後問題にされる政令でございますから、沖繩が本土に復帰する、つまり返還協定が発効すると同時に、やはり本土にあるところの現行法というものに従って問題は考えられていくはずなんです。いままで沖繩において適用あるいは準用されてきた旧法令というのは、その瞬間やはり本土に現在通用しておる現行法に従って考え直されなければならない。いかがでございますか。その点からしてもこの政令の中身というのはおかしいと思うのですが、おかしいとはお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/215
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216・山中貞則
○山中国務大臣 私はおかしくないのですが、それはやはり川を特定しなければなりませんから、この沖繩にも現在施行されておる河川法である、俗にいう旧河川法ですか、それによって福地川が指定されておりますので、その川をこのところでは指定するわけであります。その川を指定して、その上に振興開発特別措置法附則第五条で、特定多目的ダムとなるものとするということでもって受けているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/216
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217・土井たか子
○土井委員 そうしますと、現在本土で通用いたしております特定多目的ダム法という法律をぶちこわすわけですか。これは現行法からしますと、旧法に従ってできるはずはないのです。法文の中で明らかに書いてあるのは「この法律は、多目的ダムの建設及び管理に関し河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)の特例を定めるとともに、」云云と書いてあるわけでありまして、これは現行河川法によらなければできない多目的ダム工事であるはずです。その点はこの政令から考えるとおかしいということに私はなると思うのですけれども、もう一度御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/217
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218・山中貞則
○山中国務大臣 私はやはりおかしくないのですが、福地川というものを現在の琉球の河川法で指定をしておりますので、それをそのまま政令で受けて、そして先ほどから申しております振興開発特別措置法案の附則第五条の第二項で、「特定多目的ダム法が適用される多目的ダムとなるものとする。」という、みなし規定と申しますか、そういうふうに、本土でいう特定多目的ダムとなるものとすると書いてありますから、それでもっておかしくはないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/218
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219・土井たか子
○土井委員 そういうふうにおっしゃられても、現にこの政令と多目的ダム法との関係から考えますと、どうしてもこれは合点がいく問題じゃないです。政令で法律をぶちこわすというのは、法秩序に対する破壊以外の何ものでもない。法体系からすると、政令というのは、法律に基づいて考えられる政令であらねばならないと思います。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/219
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220・山中貞則
○山中国務大臣 何も悪いことをしようとしているわけじゃないのですから、ここらでお許しを願って、答弁は建設省の担当局長にお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/220
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221・川崎精一
○川崎政府委員 先生も御承知のように、沖繩振興開発特別措置法の附則の第五条の二項に、この福地ダムにつきましては、指定をいたしますと、七条六項の規定により特定多目的ダム法が適用されるダムとなると、こういう規定を設けております。これに従いまして、この福地ダムは多目的ダムの扱いをするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/221
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222・土井たか子
○土井委員 これはやはり法秩序体系というのは一貫していなければ困ると思うのですね。いまおっしゃられることに対して、やはり筋を通していただきたいと思うのです。そういうことからしますと、このつくられた政令案要綱の中の、特にいまの沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案の三十六条を受けてつくられている政令案については、もう一度つくり直しをお願いしなければならないように私は思います。河川法についても、旧法によるということにこれはならざるを得ないわけです、すなおに読んで。したがいまして、これは多目的ダムをこのあと施工するということになってまいりますと、やはりこの政令の中身を再吟味して——私は、ミスプリであるのじゃなかろうかと、何べんも目を疑って読んでみたのですが、どうもこれは前後左右から考えて納得できない。間違っていらっしゃるのじゃないでしょうか。もう一度その点はっきりと念を押して、この政令については特につくり直す必要があるのじゃないかということを再度申し上げたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/222
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223・川崎精一
○川崎政府委員 政令との関係につきましては、特に矛盾した点はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/223
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224・土井たか子
○土井委員 どういうわけで矛盾していないというふうにお考えなんですか、その点はっきりおっしゃっていただきたいと思うのです。いまのように矛盾していないとおっしゃる以上は、矛盾していないという理由をおっしゃらなければ、ちょっとこれは私は聞けない答弁だと思いますから、その点はっきりさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/224
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225・川崎精一
○川崎政府委員 沖繩には現在旧河川法に基づく準用河川がございますが、こういったものにつきましては、河川法に規定する二級河川とみなすということをこの政令で定めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/225
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226・土井たか子
○土井委員 そういうふうにその政令で読めますか。これはそういうふうには読めないと思うのですよ。復帰後においても福地川ダムについては河川法は旧法どおりというふうにしか、これは率直に読んだ場合に、読めないじゃございませんか。いまおっしゃったような論法はどこから出てまいりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/226
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227・川崎精一
○川崎政府委員 現在沖繩には旧河川法が生きておるわけでございます。したがいまして、この河川法から復帰後の新河川法を適用する場合の経過的な措置としまして、ただいま申し上げましたように、準用河川を二級河川とするということを政令で定めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/227
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228・土井たか子
○土井委員 政令でお定めになった、その明記の政令がどこにございますか。この政令をそういうふうに読めとおっしゃるわけですか。それとも、別にそういう政令が特定されているということでございますか。沖繩においては旧河川法に従って福地川についても管理、運営がなされているというのは私も存じております。しかし、だからこそ先ほど申し上げたのは、復帰後、沖繩返還協定が発効したその瞬間に、いままで沖繩において適用あるいは準用されてきた旧法令というものは、本土における現行法令において考えられなければならないということになるのでしょうということを申し上げた。いまおっしゃったように考えるのなら、別にそういうことを明記した政令がなければならないはずなんです。いまこの政令でそういうふうに読めとおっしゃっても、どうも私には無理なように思います。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/228
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229・林信一
○林(信)政府委員 お答えいたします。
先ほど河川局長が申し上げましたように、沖繩におきましては明治の河川法がいまだに適用になっております。本土におきましては、昭和三十九年でしたか、新河川法ができました。復帰の際には、旧河川法がそのまま沖繩で適用されておるわけでございますが、沖繩で適用されております旧河川法から本土の新河川法への引き継ぎの経過措置、これは建設省が御担当になっておりまして、その政令案要綱にもあると思いますが、特別措置法の百五十六条に基づく政令で経過措置を書く、それで沖繩の旧河川法による準用河川は新河川法の二級河川とみなすというような案にたしかなっていると思います。それを前提にいたしまして、ただいまの福地川、そこで河川法が準用される福地川と申しておりますのは、沖繩に適用になっております旧河川法、その河川法が準用されている福地川、それでそれはどうなるかと申し上げますと、いま申し上げましたように、別の政令で新河川法の二級河川になる、こういう経過措置を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/229
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230・土井たか子
○土井委員 別の政令でといまおっしゃいましたのは、お答えのとおりに、特別措置法の第百五十六条に基づく政令ということになるだろうと思いますが、その必要であるはずの政令は現に考えられておりますか。ございますか、いかがでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/230
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231・林信一
○林(信)政府委員 お答えいたします。
これはほかの政令も同様でございますが、百五十六条に基づきます政令は、それぞれ主務省で目下準備中でございます。復帰のときまでには必ずできるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/231
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232・土井たか子
○土井委員 まだないわけでございますね。今日ただいままだないわけでございますね。
しかも、なおかつ申し上げたいことは、福地川ダムについて国が直轄事業としてこれをとり行なうということに従って、いろいろな査定、いろいろなそれに対する工事の予定、計画などがいま現に進行中なはずなんです。法が存在しないでおいてそれはできることですか。そういう根拠なくして、そういう工事に対しての計画なり準備なりを進めてよいものでしょうか、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/232
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233・山中貞則
○山中国務大臣 これは、政令というものは法律が通ってから閣議決定をもってきめていくわけです。しかしながら、今国会は沖繩国会でございますから、政令で出し得る限りのものは国会の冒頭に皆さまのお手元に届けますと、私は前から沖特等で発言しておりましたので、それで、内容のあらかたの御理解のできる、あるいはまた、沖繩県民から見ても政令の内容はこういうものだというものを、なるべく数多く出したわけであります。しかしながら、そのこまかな引き継ぎのみなし規定その他の線で全部がここにそろっておるとは私も思っておりませんが、それは支障なく行なえるように、閣議決定等を行なってきめていくわけであります。そこで、現在、福地ダムは復帰までにアメリカ側がそのまま完成させるという約束でやっておりますけれども、しかし、もし完成しなかったらというようなこと、あとの維持管理というようなことを含めて準備にかかることは、これは話し合いの上で当然できることであって、政令がないからできないというものではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/233
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234・土井たか子
○土井委員 ただしかし、どういうふうなダムとしてこれを建設するかということについては、先ほど来おっしゃったとおり、多目的ダムとして行なうということでございますから、多目的ダムとして工事をするということになってまいりますと、現在、本土にございます現行法である特定多目的ダム法を無視して行なえるはずはないわけですね。ですから、そこのところの関係からいいますと、やはり現在政令が不備であるということだけはひとつはっきりとお認めいただいて、そしてこの政令については早急にやはり整備をなさる必要があるだろうと思うのです。特にやはりこの表現を見ますと——これは間違い、ミスプリだろうと思って、きょうは実はあげ足とりみたいなことを言っているわけじゃ決してない。これはやはり法秩序体系から考えてゆゆしい問題、特にこれは水資源開発、ダムについての事業ということになりますと、今後沖繩の水事情についてはかけがえのない問題ですから、ひとつお聞かせいただきたいという気持ちで私先ほどから質出しているわけですから、この政令については、今後間違いのないように、はっきり現在ある多目的ダム法に従って整備をなさるように、ひとつはっきりここで確答をしておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/234
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235・山中貞則
○山中国務大臣 政令案については、それぞれの各所管省庁でやらしておりますから、この部分については建設省で現に出しております政令の点についても書いたわけであります。したがって、その関係省でこれから御要望のとおりに運ぶように努力をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/235
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236・土井たか子
○土井委員 少なくとも、復帰については本土並みというのが最低限度の、これはやはり考えなければならない基本線でございますから、本土並み本土並みといわれる以上は、本土にあるところの現行法秩序体系というふうなものを無視してお考えにならないように、特に、現在の本土から考えて、この点が沖繩の場合には数段見劣りがするとか、沖繩の場合にはこの点がおろそかになっているというふうなことのままで復帰のいろいろな手続というものが進むということについては、これは黙視できない問題だと私は思いますから、ひとつ重々この点を申し上げておきたいと思います。
それからさらにこの福地川ダムの用地の問題ですが、見てまいりますと、国有地以外にも村有地、私有地がございますね。この村有地のような場合についても、今度の特別措置法によって用地を収用なさるのかどうか、この点ちょっとお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/236
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237・西村英一
○西村国務大臣 福地川ダムの用地につきましては、内地とだいぶん違っておりまして、つまり貯水池になる部分、これは全部借地でございますが、のみならず、集水の面積も全部借地でやっております。したがいまして、これをいよいよ引き継ぐことになりましたならば、内地は、貯水、つまり埋没の面積だけはいつも買収しておるのでございまするから、そういう違いがあるのでございまして、少なくとも埋没の面積だけはこれは買収しなければならぬと思っております。面積等もそれぞれ明瞭にわかっております。その集水面積の大部分は国有地でございます。あとは村有地、私有地、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/237
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238・土井たか子
○土井委員 面積の点において大部分が国有地とは言いながら、村有地もあり私有地もあるというこの現実は無視できないことだと思うのですね。その場合に、村有地、私有地については、やはり財産権の保障ということについて十分な配慮をするというのが、私は原則だと思うのです。したがいまして、その点からすると、いま本土にあります現行法では、土地収用に対しては、御承知のとおりに土地収用法がございます。それから、それ以外に公共用地の取得に関する特別措置法という法律もございます。そういう法律をこの水道用地については適用しないで、ことさらこのたびの公用地に対しての暫定使用に関する法ということでやっていこうというこの理由は那辺にあるか、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/238
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239・西村英一
○西村国務大臣 この面積は、いわゆる布令によったものではございません。布令二十号によってあるいは収用する、あるいは強制的に契約をしたというものではありませんので、アメリカの民政府のほうで、水道公社が民間と契約をして一々やっておるのでございます。したがいまして、その契約を十カ年の契約でやっておりますから、そのまま国が引き継げるのではないか、こういうふうに考えております。ただし、借地料その他は非常に安いのでございまして、もしその借地料その他の変更があれば、あらためてこれは契約し直すことにもなりましょうけれども、法的にいいますと、強制でやったものじゃございませんから、私はそのまま継承ができるのではないか、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/239
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240・土井たか子
○土井委員 ちょっと私の質問をいたしております中身が、いまの御答弁では御理解いただけてないのではないかと思うのです。
私のお伺いしたいのは、公営企業の水道用地ということでございますね、福地川ダムの用地につきましても、また福地川ダム以外の用地についても、いわゆる水道用地について、公営企業の水道用地を軍用地と同じような強制収用の対象になぜしたのかという理由が聞きたいということなんです。つまり、このたびの沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律ではそういう趣旨になっておりますから、したがいまして、これについては、いま本土にございます土地収用法あるいは先ほど申し上げたように公共用地の取得に関する特別措置法という法律を適用しないで、ことさらこのたびのこの暫定使用に関する法律でやろうとする理由はどの辺にあるかということをお伺いしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/240
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241・西村英一
○西村国務大臣 それはすべて一括してやったのでございまして、特にこれにいっておることになりますけれども、入れてもさしつかえはない、こういうふうに考えられますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/241
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242・土井たか子
○土井委員 その一括が私は実はおかしいと思うのです。一括に対しては一喝をしなければいけないと思うのですが、この水道を米軍が使用していたがために軍用基地と同じように取り扱うというのは、これはおかしいのじゃございませんか。水道は水道なんです。軍用基地は軍用基地なんです。軍用基地内にあって、軍用基地の一部となってアメリカ軍が使用していたということだけで、一括して水道も軍用基地もみんな同じだというふうにお考えになるのは、おかしいと思うのですね。市民生活から見れば、水道なくして生活は成り立たないですよ。したがいまして、沖繩県民から見れば、この水道の用地について、いまの暫定措置で五年間という期間強制収用されるということに対しては、おかしいと考えるのはあたりまえだと私は思うのです。軍事基地じゃないのですから、これは。軍事基地についても私たちはおかしいと思っておりますけれども、事、県民にとってはかけがえのない水道の用地にこういう法律が適用されるということはおかしいというのはあたりまえだと私は思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/242
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243・西村英一
○西村国務大臣 誤解しておりました。福地ダム自身のことをいっておるのかと思いましたが、水道の問題も含んでおります。水道の問題を含めますというと、水道の通っておるパイプライン等につきましては、全部この契約によったものじゃなしに、布令によったものもあるからでございまして、ダムそれ自身かと私思っておりましたが、水道のパイプラインの通る個所、そういうところはこの中にやっぱり入れなければいけないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/243
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244・土井たか子
○土井委員 なぜ入れなければならないかという理由を、したがって先ほどからお伺いしているのです。私は、質問の中で、福地川ダムも同様だけれども、いわゆるこの水道用地というのは公用地に当たりますねという前置きをして質問をしたわけですから、福地川ダムについてのみをお尋ねしているわけじゃないので、そこのところをはき違いをなさいませんようひとつお考えいただいて御答弁を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/244
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245・林信一
○林(信)政府委員 水道公社の財産の承継でございますが、先ほど御指摘になりました特別措置法の三十六条、これにまあ一応当たるわけでございますが、そのうち、「政令で定めるものを除き、」「沖繩県が承継する。」と、こうございまして、その沖繩県の承継して行ないます水道事業、それにつきましては暫定使用法が適用になりますが、「政令で定めるものを除き」と、除きましたものは、協定によりまして国に帰属するということでございます。したがって、新たな土地に関する権利の取得を復帰後にする場合には、当然土地収用法でまいるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/245
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246・土井たか子
○土井委員 新たな土地について聞いているわけじゃないのです。新たな土地について聞いているわけじゃない。それは復帰後いま予想しがたい事情として起こるであろう問題でありますから、いまもうすでに想定される問題について私はお尋ねしているわけで、具体的に現存している問題を根拠にお尋ねしているわけですから、そこのところはどうもすりかえのように思うのです、いまの御答弁は。はっきりと答えていただきたいと思うのですよ。現実にやはり着目していただかなければ。そして、この復帰時においてどういうふうな取り扱いをなされるかという問題について聞いているわけで、復帰後の問題じゃないのです。もう一度答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/246
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247・林信一
○林(信)政府委員 お答えいたします。
特別措置法の三十六条にございますように、「協定第六条第一項の規定により政府に移転し」と、その財産の内容に入っておる権利義務、これは政府に移転するということでございます。復帰前に契約によりまして権利を取得する、その権利は、当然ここにいう権利義務、財産の中に入っておるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/247
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248・土井たか子
○土井委員 どうもさっぱり要領を得ないですね。いまここでお尋ねしているのは——もう一度繰り返して申します。とても時間がむだに私はなると思いますけれども、大事な点ですから、もう一度繰り返して申しますが、水道用地を軍用地と同じように取り扱って、公用地等の暫定使用に関する法律を適用してやろうとする根拠はどこにあるかということをお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/248
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249・斎藤昇
○斎藤国務大臣 御承知のように、琉球水道公社が布令によって土地を使用、占用を現にいたしております。それが復帰の際に引き続いて使用ができるということにいたしておきませんと、事前にあるいは契約等によって、琉球水道公社が経営になった場合にお貸しをいたしますということが全部済めばけっこうでございますが、もし残った場合に、その部分が使えないということになりますると、復帰の日からそこは水道用地として使えないということは、これは市民に対する水道供給として非常に支障を来たします。そういう意味で、この暫定使用の中に入れておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/249
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250・土井たか子
○土井委員 水道用地は軍用基地じゃないんです。したがいまして、あれだけ水に困っている県民からしますと、水道用地として必要だ、どうだろうと話を進めたら必ずそれに対しては協力をするということは、あらかじめ考えられてよいんじゃございませんか。そういうことに対する御努力をどういうふうにいままでなさいました。これは、便宜的措置として、基地と一括してこれに対して暫定措置でやっていったらいいじゃないかという安易なものの考え方があったんじゃないかと私は思うのです。何だか政治姿勢としては、県民の立場からすると納得できる問題と納得できない問題というものをこん然一体としちゃって、便宜的にこれを取り扱うことばかりに先走ったというような感じがしてしかたがない。県民からしますと、水道用地が必要だといわれたら、それに対していやですとは絶対言わないと私は思うのです。できる限りの協力をするであろう。私は向こうの水事情について調査を進めれば進めるほど、実感として私は思います。それに対してどれだけの努力を払われたか。やはり財産権の保障ということに対してもなおざりにされては困る。しかし私は、水道問題について、沖繩現地でどうしても必要なだけの水がなければまたあれだけ困るのだということは、はだに感じて戦後ずうっと沖繩県民の方々はわかっているんですから、そういうことに対しては、話し合いを進めるということをおやりになれば、必ずそれに対する反応はあると思うのです。御努力はいかがだったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/250
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251・斎藤昇
○斎藤国務大臣 現に琉球水道公社と県が協力をいたしまして地主と交渉を進めております。したがいまして、おそらくほとんど全部復帰時にはこの法律を適用しなくて済むであろうかとも思いますが、万一、地主の居どころがわからない、あるいはまた、中には━━━━━があるというようなことになった場合に非常に困るのではないかというので、この法律の中に入れておるわけであります。ただ、これは運用地とどうして一本の法律にしたか、こういうことになりますると、これは現に使用をされているものが瞬時といえどもそこが使用できなくなるということでは困るというその事柄が一緒でございますので、あるいは道路や、あるいは電気や、それらの施設の用地も同様にこの法律の中にまとめておるというわけでございます。
〔床次委員長退席、金丸(信)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/251
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252・土井たか子
○土井委員 いまの御答弁の中には、一部表現の中に不穏当な部分がございますし、さらに、おっしゃっていることはまことにそれは当を得た御答弁とは思わないんです。すりかえ答弁ということに私はなると思うのですね。異質なものをきちんと異質なものとしてわきまえて法的措置を講ずるということは、最低限やはり考えなければならない問題じゃないかという問題提起をしながら私は質問させていただいているわけなんです。軍事基地と、それからいまの水道用地は異質じゃございませんか。同じようにこれをお考えになっていらっしゃるのなら、あるいはこれに対して相変わらず水道行政は軍事優先で進められるのじゃないかというふうな憶測を持っても、私はふしぎじゃないと思うのです。軍事基地を中心に、軍事優先で相変わらず取水についても、送水についても、浄水についても、配水についてもその管理運営がなされるのじゃないかという心配を持って私は何のふしぎはないと思うのです。その点についての心配を持たせない、不安を氷解することのためにも、いまここでは異質の軍事基地と水道用地というものに対して法の上での土地取り扱いということをきっぱりと、実は水道用地についてはこういうふうに配慮して、こういうふうにやっていくんだよということがあってしかるべきだったんじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/252
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253・斎藤昇
○斎藤国務大臣 先ほどの私のことばの中に不適当なものがあったといたしますれば、取り消しをいたします。
この電気とか水道とか道路とか、ひとしく公共の用に供している土地でございます。それを軍用地と同じ公共用地の中に含めたのは適当であるかないか、これはいろいろ御批判の余地もございましょう。ただ、公用のために使われている土地を引き続いて使用するという面においては一つである、こういう意味で一本の法律にまとめた次第でございます。他に何の意図もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/253
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254・土井たか子
○土井委員 沖繩にはいままで特殊事情がございました。本土と違うからこそ、いろいろな法的措置の上でも配慮が私は必要だと思うのです。ただ、その配慮をする場合に、その特殊事情というものを、基本的人権とかあるいは生活の安定とか、平和に対しての保障とかいうふうな裏づけにおいてやはり考えられなければならないのじゃないでしょうか。そういうことになってきますと、いまのこの問題、軍事基地と水道用地というのはまさしく違うわけですから、それを一緒に取り扱うというのはおかしいと私が再三再四繰り返して言うのは、実は現在本土にある土地収用法あるいは公共用地の取得に関する特別措置法等々について、これをまず水道用地については適用しようという配慮がなかったのかあったのか、その辺ひとつお伺いしたいと思うからです。ことさらこういう法律をこの復帰にこと寄せてつくって、これを水道用地についても適用するという姿勢、これはやはり沖繩の特殊事情というものを考えれば考えるほど、今後基地優先であったらいかぬのだ、むしろ、水の問題については民間優先であって、民間に対して迷惑をかけない、十分に潤うだけの水道というものを考えていかなければならないということが基本的姿勢になければ困るわけですから、その点からすると、この用地の問題についても、どうももう一つ、私は、この取り扱い方というものが違っていはしないかと思うのです。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/254
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255・斎藤昇
○斎藤国務大臣 本土にございます土地収用法等は、これから新たに土地を使用あるいは占用しようという場合の法律でございます。沖繩では現に使用されているものを、その使用するに至った権原が違っておりますから、それを引き続いて使用するためには、こういう立法をいたす以外に道はないのでございます。ただそれを、軍用地に供している土地の使用と同じ一本の法律にまとめたのはどうであるかという、これは立法技術の問題といいますか、もしそうでなければ、あるいは水道あるいは道路あるいは電気というように、二本も三本もの法律になるわけでありますが、それを一本にまとめたというだけでありまして、おかし九ものと一緒にしたのではないかという御意見につきましては、いろいろと御意見のあるところであろうと思いますが、われわれといたしましては、引き続いて使用するという意味においては同じ下あるから、みんな一緒にここへまとめようということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/255
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256・土井たか子
○土井委員 引き続いて使用されるとおっしゃいますけれども、それならお伺いしましょう。
水道公社の性格は、復帰以前と復帰後と相変わらず同じ性格なんですか。同じ水道行政の機構の中における水道公社なんですか。その点いかがでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/256
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257・斎藤昇
○斎藤国務大臣 復帰後は、本土における水道と同じ法律的な性格と相なります。現在は、御承知のように別個のものでありまして、アメリカの布令によってできている水道公社でございます。それが復帰後は、県営の水道ということに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/257
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258・土井たか子
○土井委員 水道公社の性格がそのようにがらりと変わるわけでございますよね。そうしますと、水道用地についても相変わらず契約は引き続いて行なわれる、承継されていくのだ、新たにこれは契約するわけじゃない、先ほどから何べんも何べんも御答弁の中に出てまいりましたけれども、これはやはり新たな性格を持った水道公社のもとでの水道用地というのもあり得るんじゃないですか。したがいまして、用地についての契約は、従前どおりに、新たに結び直さなくてもできる問題とは私は思わない。やはりこれについては新たに契約し直すということで出発しなければいけないのじゃないでしょうか。水道公社そのものの性格ががらりと違ってくるのですから。したがいまして、水道公社によって、これは問題にされる水道用地につきましても、いま申し上げた限りにおいては私は違ってくると思うのです。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/258
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259・斎藤昇
○斎藤国務大臣 契約をし直すのが筋でございます。したがいまして、沖繩が復帰をしたならば、そのときに水道公社と契約をしていたものが県の水道公社と契約をいたしますということに、事前にずっとやっておるわけであります。しかしながら、中に、その手続のできなかったものがあった場合、その場合には、いままでの水道公社と契約をしていたものは、今度は県と契約をしたもの、こういうようにみなすということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/259
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260・土井たか子
○土井委員 そういうふうに違うわけですね。したがいまして、本土の場合には新設されるから、沖繩の場合には従前どおりに継承されるからというふうな理由において、本土にある土地収用法が適用されるという意味はないとか、あるいはこの公共用地の取得に関する特別措置法をここに用いる意味はないと、にべもなくその点に対して切り捨てごめんみたいなかっこうで言い切られることは、私はちょっと当たらないと思うのです。そういう配慮があってしかるべきだと思うのですけれども、どうもその点の配慮がないということは、片や、考えてみると、相変わらず軍事優先で水の問題だって進むのではなかろうかという憶測を持たれても、これに対する御答弁が、おそらく私は確とした御答弁が御用意できないだろうと思うのです。
私は、いまから、したがいまして、この民間と基地との関係についても、やはり水でひっかかるところは多分にあるように思いますから、時間ももう刻々と過ぎてまいりますので、先を急ぐようになりますけれども、いま水道施設用地はすべて返還される、完全に返還されるということが確約できるかどうか。特にいまここでお伺いしたいのは、基地内の水道用地、水道施設は、基地から除外されて沖繩県の所有になるのかどうか、この点についてまずちょっとお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/260
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261・斎藤昇
○斎藤国務大臣 琉球水道公社に復帰前に統合されるものはすべて県の水道公社になり、契約主体は県ということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/261
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262・土井たか子
○土井委員 そうすると、いまある基地内の水道施設用地は、すべて漏れなく水道公社に吸収されるということが前提にならないと、いまのようなお答えについて納得ができないはずです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/262
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263・斎藤昇
○斎藤国務大臣 ほとんど大部分は水道公社に統合されますが、中には、されないで米軍基地に残る、あるいは他に残るというものがございます。これは大蔵省から御答弁をしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/263
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264・小幡琢也
○小幡政府委員 現在全島統合上水道のうち、復帰までにほとんど水道公社に移転されますが、例外といたしまして、もっぱら軍が専用で使うもの、たとえばキャンプ桑江にございます浄水場、それからあとタンクが二カ所ばかりございますが、これはいずれも小地域にございまして、軍だけが使う。そういうものは除きまして、あとは全部復帰までに公社に引き継がれますから、公社から日本国政府に移転される。
それからもう一つ、基地の内外の問題でございますが、日本国政府に引き継がれますそういった公社の施設のうち、たまたま現在基地内にありますもの、これは復帰後は施設、区域の範囲から除外する、そういうことを予定しております。もっとも、送水管のように地中をはっておりますようなもの、こういうものは、施設、区域の中を通っております場合には、これは合同委員会等を通じまして、共同使用といったような措置を検討するということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/264
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265・土井たか子
○土井委員 いまたまたま申されましたキャンプ桑江、それはもちろんあとに残るわけですが、それ以外にも、私の調べた限りでも、読谷村のボロー・ポイント、これはナイキ、ミサイル基地用の水資源及び施設というふうにいわれております。それからさらに、知念キャンプのコンポジションにございますこの水源は、かなりのわき水があるというふうにいわれているのですが、これもまた残されたままになる。ひとつそういう点について、できる限り点検をしていただいた結果を資料にして提出していただきたいと思うのですが、いかがですか。提出をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/265
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266・小幡琢也
○小幡政府委員 ただいまおっしゃいましたボロー・ポイントにある水源、あるいは知念村にありますもの、これは現在全島統合上水道に入っておりませんで、軍が単独にその地域だけで保有しているわけでございますので、こういうものは復帰後も軍の施設として残るかと思いますが、その資料につきましては、私どものほうでできるだけ調べまして、資料を集めまして提出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/266
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267・土井たか子
○土井委員 その資料については、全島統合上水道に入っている分と、入っていない分との区分け、全島統合上水道の中で、今度水道公社のほうに吸収される分と、あとに残る分との区分け、その点を明確にして、ひとつ資料をお願いしたいと思います。お願いしますよ。
それから最後に、その料金の問題、これは時間のかげんがありますから、いっぱい言いたいことがあるんですけれども、料金の問題はぜひとも聞いておきたいことがございますから、ひとつ質問させていただきたいと思うのですが、現在水道料金では軍と民間との間で差がございます。どれぐらいの差かというのは、これはもう資料としてもあちこち出ておりますから、公明正大なんですが、大体民間では卸値でトン当たり二十円八十八銭、米軍では十二円二十銭ということになっています。これからの水道料金については、どういう基準で、どういう手続において、軍に売る水道料金、民間に売る水道料金というものが決定されるか。給水契約は、どのような手続が予定されているのか。法律でなされるのか、条例でなされるのか、契約でなされるのか、軍の一般的な要求でなされるのか、その点ひとつはっきり聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/267
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268・井川克一
○井川政府委員 合意議事録の第六条に関する部分に明記されておりまするが、これは全く地位協定に基づくいわゆる内地の本土並みでございまして、地位協定の規定に従って「現在享受している条件と同じような条件でのみ、公益事業及び公共の役務を利用する権利を与えられる。」その地位協定の規定は、第七条に書いてございまするが、「合衆国軍隊は、日本国政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件よりも不利でない条件で、日本国政府が有し、管理し、又は規制するすべての公益事業及び公共の役務を利用することができ、並びにその利用における優先権を享有するものとする。」そして、現在内地で行なわれておりますのは、市町村が供給しておりまする水道は、契約に基づきまして米軍に対して一般並みのお金で契約いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/268
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269・土井たか子
○土井委員 その辺は、沖繩県民の立場からしますと、昨今ちょうどこの復帰問題が具体的になりつつある途次、ことしになってから、米軍のほうの料金が据え置きで、民間のほうに対して一方的につり上げるという水道公社の予定がございまして、県民が猛烈にこれに反対をして、何とか十一月にそうならないままに今日に及んだといういきさつもございます。したがいまして、どうしても料金の問題については軍事優先で進められてきたということ、つまり、民間からの料金が、軍事関係について、特に軍用基地において行なわれる水道料金の穴埋めに使われたというような感想を持っているという実態もございますから、この問題をよほどしっかりとやっていただかないと、現地での不安というものを解消することにならないと思うのです。
そこで特に聞いておきたいのは、いま四つあるダムの、最初に申し上げた福地川ダムが完成されますと、そのうちにだいぶ沖繩本島の水の事情も変わってまいります。ずいぶんそれで水量も変わってまいりますし、家庭で使うところの用水も事情がよくなるということが予定されておりますが、この福地川ダム建設費の減価償却、それからパイプラインなんかを布設する場合の減価償却費は、将来の水道料金のコストに組み入れられるかどうか、この点についてはっきりお答えをしておいていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/269
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270・斎藤昇
○斎藤国務大臣 福地川ダムの建設費の減価償却は、市民に売ります水道料金の減価償却の中には入れません。これは全部国費でいたしますから、したがいまして、沖繩の市民に供給しております水道が今日よりも上がらないように、国として施策を今後も十分講じてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/270
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271・土井たか子
○土井委員 そうしますと、いまのお答えからすれば、国の直轄事業として完成をして後、県に移管する場合についても、原水については無料ということの確証をはっきりここで私はいただいたと思っていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/271
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272・斎藤昇
○斎藤国務大臣 原水は無料とまでいくか、いきませんか、ただダムの建設費の減価償却を含まないといたしましても、そのほかのいろいろな維持管理費等もございましょうから、それは若干は水道のほうから支払う。福地川ダムから供給される水は全部無料で水道公社に供給するというわけにはまいらないと思いますが、しかし、先ほどお述べになりましたような建設費の減価償却を含ませるものでないということだけは申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/272
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273・土井たか子
○土井委員 先ごろからしばしば問題になっておりますガリオア、エロアの積み立て金でダム建設費がまかなわれているという実態もございます。そういうことからしますと、これも将来の水道料金の中には含まれないというふうに考えていいわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/273
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274・斎藤昇
○斎藤国務大臣 それも同様に含まれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/274
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275・土井たか子
○土井委員 これが将来の水道料金に及ぼす影響は非常に大きいということを考えなければなりませんから、ひとつこの席で申し上げたいのは、どうか政府と水道公社との間でこの問題について確約をはっきり取りかわしていただきたいと思うのです。具体的に、いかがですか。ただ、口約束ということになりますと、責任をもってこの場ではお答えになるかもしれませんけれども、常々政治の場所におきましては事情変更の原則というものがまかり通りまして、ずいぶんがっかりさせられるということが山ほどございますので、ひとつこの問題については、確約をしていただいた以上は、やはり政府と水道公社との間ではっきりした取りきめを具体的にしておいていただきたいと思うのです。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/275
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276・斎藤昇
○斎藤国務大臣 沖繩県がこうありたいという希望につきましては、政府としては、沖繩の希望どおりにいたしたいと思います。未来永劫沖繩の水道は料金を上げませんということを沖繩県と政府と取りかわすというわけにはまいらないと思いますが、その点は御信頼をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/276
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277・土井たか子
○土井委員 そういうことじゃないんです。いまここで申し上げているのは福地川ダムにまつわる問題でありまして、未来永劫にどうのこうのという水道料金について問題にしているわけじゃありませんから、その点は常識的にひとつお考えいただいて、とっぴな御答弁をなさらないようにお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/277
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278・斎藤昇
○斎藤国務大臣 福地川ダムからの取水によって料金が上がる、上げなければならないような提供のしかたはしないということは確約をいたします。いま総務長官もおられますし、総理もおられる前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/278
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279・土井たか子
○土井委員 それを具体的に何らかの文書にして取りかわすという御予定はございませんか。それはぜひしていただきたいことだと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/279
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280・斎藤昇
○斎藤国務大臣 ちょっとどこと文書を取りかわすのか、私もいま思いつきませんが、この席で申し上げましたことは、これは全く公の場で、しかも、この委員会において申し上げたことでございますので、契約を取りかわしたと同様にお考えをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/280
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281・土井たか子
○土井委員 残念ながら時間が来てしまいましたので……。あとこれは工業用水の問題などもそろそろ出てまいっております。最近ガルフ、エッソなんかを相手取って、水道公社が、実に民間の水道料金よりもはるかに下回る安い水道料金で水を売る契約をすでに結んでおるという事実がございます。特にこの協定について国会で盛んに論議されておるまっ最中に、大急ぎで、卑近なことばを使いますと、どさくさまぎれにと言っていいと思うのですけれども、契約を取りかわしたというふうないきさつがあったりいたしますので、基地優先が今度は工場優先、産業優先ということで、民間にそのしわ寄せがひっかかるということだけは、これは何とかして沖繩の場合食いとめなければ、あとで後手後手にやっても、これは十分な対策が講じられない問題だと思いますから、こういうことなんかも考えあわせまして、工業用水の問題、基地に売る水の料金の問題、民間に売る水の問題、その中で何よりもまっ先に考えなければならないのはやはり民間優先であって、しかも民間についても、料金の上で民間にしわ寄せを持っていかない、料金のつり上げはやらないように最大限の努力をこういうふうに払う——それはいろいろ補助の問題もございましょう。ただ、水道については、御承知のとおりに補助制度がございません。したがいまして、予算補助ということになると思いますけれども、思い切った予算補助をこの沖繩の水道事業についてはお考えいただくということをこの席で申し上げて、そして私の質問を終わりたいと思いますが、最後に、総理大臣、わざわざここの席にいらっしゃるわけですから、いま、これからの沖繩の水道行政については民間優先で、とにかく沖繩の県民の水道を確保するためにどういうふうにやっていくかという基本的姿勢というのをひとつお示しいただいて、私は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/281
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282・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私も一時間土井君と政府委員との質疑応答を静かに聞いておりました。ただいま言われることは、水道の本来の使命である民間、しかもそれを地域住民のその利益のために使え、軍事優先、これはもちろんよくないし、また大企業優先も困る、これは一般地域住民のために十分その効用を発揮しろ、そういうような水道のあり方、そういうような運営をしろ、こういう御注意であったと思っております。私もそういう考え方でございますから、ともども沖繩の住民のみなさん方のしあわせになられるように水道を十分運営してまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/282
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283・土井たか子
○土井委員 それでは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/283
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284・金丸信
○金丸(信)委員長代理 桑名義治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/284
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285・桑名義治
○桑名委員 沖繩が返還になりますと、当然ながら沖繩県になるわけでございます。そこで一番大事なことは、県の独自性、いわゆる地方自治の確立ということが一番大事なことになる、私はこういうふうに考えるわけでございますが、沖繩の開発を進めるにあたりましては、各委員会のときに、補助率の引き上げということは当然のことであるということでいろいろと論議が進められているわけでございますし、また、そのような答弁があっておるわけでございます。
そこで、今後の沖繩の将来を考えたときは、何としても地方税源の充実や交付税等の自主財源を強化をしまして、そして単独事業を拡大していくことが、沖繩の自治の育成あるいは住民生活の向上の面から見ましても最も重要なことだ、こういうふうに私は考えるわけでございますが、この点についての総理としての御意見をまず伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/285
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286・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 地方自治を達成さす、そのために事業の配分もさることですが、その裏づけをなす財源確保、これが大事なことだ、かように考えております。そういう意味で、自治を達成する、そういう意味の財源確保について、これはくふうすべき点が沖繩の場合においては相当あるのではないだろうか、私はそういうことを考えますので、実際の地方自治予算の編成等にあたりましても、中央で協力すべき点は十分協力する、そういうたてまえで取り組みたい、かように考えております。
〔金丸(信)委員長代理退席、床次委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/286
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287・桑名義治
○桑名委員 たとえば制度上の自主性を尊重するという形態をとったといたしましても、いわゆる財政構造というものが、補助金を中心にした財政構造になっていきますと、政府はどのようにでも自治体を予算面からコントロールすることができる、そういうことも考えられるわけでございますし、こういったことがあっては、ほんとうの意味のいわゆる自治というものが達成をされない、このように心配をするわけでございます。
いまも総理からお話がありましたように、沖繩の自主性あるいは自治の確立について今後適当な処置をとるというようなお話でございますが、そういう御答弁ならば、総理は財政に対してはどのような具体的な指示を与えておられるか、あるいは今後与えようとお考えになっていらっしゃるか、その点についてしつこいようではございますが、再度御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/287
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288・山中貞則
○山中国務大臣 地方財政は自治省でありますけれども、沖繩県、市町村の復帰後の財源の充実、また財政上からの自主性の確保ということについては、総理に指示されて、私はそれを実行に移しておるわけでありますけれども、ただいまのような考え方をもって予算編成その他にも臨みたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/288
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289・桑名義治
○桑名委員 そこで、基本的な大きなワクをお聞きしたわけでございますが、次に、財政構造の問題について少しお尋ねをしておきたいと思います。
七二年の四月一日返還をめどとして復帰の準備が進められておるわけでございますけれども、新しい沖繩県あるいは市町村が出発するわけでございます。政府としては、その前提となる沖繩の県あるいは市町村の財政規模あるいはまた財政構造のあり方というものを当然考えた上で準備を進められていると思いますけれども、来年度の沖繩の財政規模及び構造を明らかにしていただきたいと思います。何となれば、四月一日の復帰ということが実現をしましたときには、これはそれに向かってのそれぞれ県あるいは市町村の予算編成がございます。その予算編成の場におきまして、いわゆる本土の、いま政府が考えている財政構造の詰めがなければ、あるいはまた財政規模の詰めがなければ、これは予算を編成するわけにいきません。そういった意味で、この財政規模及び構造を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/289
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290・渡海元三郎
○渡海国務大臣 来年度の問題は、経済情勢の見通しあるいは補助率、負担金、たとえば十分の十の補助を相当多く沖繩・北方対策庁のほうで要求していただいておりますが、それらが十分の十そのまま通りますと、財政規模からはずれるわけでございますから、それによって、見通しはまだ確たるものではございませんが、私たちは、地方の類似県を上回る七、八百億を県において予定いたしております。また、市町村におきまして五百億程度のものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/290
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291・桑名義治
○桑名委員 いまの自治大臣のお話を聞いておりますと、依然として沖繩の県及び市町村は、言うならば、いわゆる補助金財政といいますか、そういうふうな構造から脱皮できないような感触を受けるわけでございますけれども、その点はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/291
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292・渡海元三郎
○渡海国務大臣 財政規模の条件につきまして、いまの補助率の問題を言いましたから、そういうふうにお聞き取りになったと思いますが、補助金行政でなくして、高率補助を用いなければならないことは当然でございますが、同時に、沖繩の財源におきまして、一般財源になるところの地方税が多くを期待できませんので、本土の府県にありますところの交付税、これにかわる沖繩の臨時特別交付金といったようなものを創設いたしまして、一般財源として十分な措置をもち、実質的に行政の運営が行なわれるような沖繩県をつくりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/292
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293・桑名義治
○桑名委員 では、まずこの問題を歳入と歳出の面から多少お尋ねをしておきたいと思います。
まず歳入の面でございますが、本土の類似県の歳入に占める一般財源の割合はどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/293
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294・鎌田要人
○鎌田政府委員 お答え申し上げます。
都道府県と市町村に分けて申し上げまして、大体沖繩県と人口なりあるいは産業構造、こういったものがほぼ類似しておると見られますところの島根県、徳島県、高知県、佐賀県及び宮崎県の五県、これをいわゆる類似県と申しておるわけでございますが、まずこれとの比較で申し上げますと、歳入の中で地方税の占めまする割合が、四十五年度決算でございますが、一三%、交付税の占めます割合が三三・四%、おもなものはそういうところでございます。なお、国庫支出金が三三・七%、こういう構造でございます。また、同じくこれらの県におきまする市町村の歳入構造におきましては、地方税が一九・五%、それから交付税が三〇・六%、国、県支出金が一三・九%、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/294
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295・桑名義治
○桑名委員 沖繩の場合は、四十七年度はどのようなことになるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/295
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296・鎌田要人
○鎌田政府委員 沖繩県並びに市町村につきましては、特に県のほうでございますが、ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、来年度の——たとえば現在琉球政府に一万八千人の職員がおられるわけでありますけれども、これが国と県とにどういうふうに分かれていくのか、あるいはまた、沖繩県に対しまする国の補助負担金、こういったものがどういう形になりまするか、あるいはまた、私どもは、交付税に上回る措置といたしまして臨時特例交付金、こういったものを考えておるわけでございますが、そういったものが今後の予算編成の過程でどういう経過をたどるか、こういった幾つもの前提条件がございますが、現在の沖繩県並びに市町村、これの財源構造から申しますと、税の占めまする割合というものは、琉球政府の場合でございますと、県政相当分を幾つもの前提を置いて分離して、私ども検討いたしておるわけでございます。自主財源の占めておる割合というものは、内地の県に比べましてかなり低いものがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/296
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297・桑名義治
○桑名委員 私のお尋ねしているのは、沖繩の場合の分は、四十七年度はどういうふうなことになるのかということをお聞きしておるわけです。したがいまして、これは本土に復帰したときのそれに合わせなければならない、その合わせたときのいわゆる歳入はどのようになるかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/297
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298・鎌田要人
○鎌田政府委員 ちょっと御答弁が足りなかったようでございますが、そういうことで、私ども非常に不確定な要素の中で積み上げをいたしまして、大体現在の補助負担金のかさ上げと申しますか、特例措置というものがそのまま行なわれ、あるいはまた臨時特例交付金、こういったものが入ってまいるということを前提にいたしました場合の財政規模を、沖繩県の場合にかなり幅がございますが、七百億から八百億、市町村の場合に五百億から六百億、これはかなり流動的な数字というふうに御理解いただきたいわけでございますが、その中で、肝心の県税、市町村税につきましては、最高五年の臨時特例の措置をとっておりますので、大体沖繩県税といたしまして入りますものが六十億、それから市町村税として入りますものが五十六、七億、こういったオーダーの数字ではないだろうか。そうでございますから、そのほかの一般財源といたしましては、私どもの考えておりますのは、県、市町村合わせまして六百三十億の臨時特例交付金、それから百六十億の起債、こういったもので財政をまかなっていかざるを得ないのではないだろうか、こういうことで予算要求をいたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/298
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299・桑名義治
○桑名委員 そこで次に、歳出の面についてお尋ねをするわけでございますが、一般行政費における国庫補助を伴わない事業の割合はどのくらいになっているのか、これは本土の類似県と沖繩とを比較してお知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/299
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300・鎌田要人
○鎌田政府委員 先ほど申し上げました本土類似県五県の平均で申し上げますと、県の場合で、普通建設事業費の歳出に占めます割合が三四・八%、その中で、ただいま御指摘になりました補助負担金を伴わないものの占めます割合は八・二%でございます。また、市町村の場合におきましては、同じく普通建設事業費全体の占めます割合は三四・三%、それに対しまして、補助を伴わない事業の占めます割合は一六・五%、こういう割合でございます。
沖繩県の場合、ただいま私どもの手元の資料では、琉球政府一本でございますので、その中から県政相当分を引っぱり出して、したがいまして、これはかなり流動的な数字だとお受け取りいただきたいわけでございますが、一九七〇年度の決算額におきましては、県政相当分というものの推計におきましては、普通建設事業費の占めます割合が一八・二%、先ほど申し上げました類似県は三四・八%、それから補助を伴いませんところの単独事業の占めます割合が二・一%、類似県は先ほど申し上げました八・二%、それから市町村でございますが、市町村につきましては、同じく普通建設事業の占めます割合が三一%、単独事業の占めます割合が一六・六%、類似県の場合でございますと、それがそれぞれ三四・三、一六・五でございますので、市町村の場合には単独事業の占める割合というものは、比重といたしましてはほぼ接近いたしております。ただ、額は、実額で申しますと、沖繩の市町村の場合が二十八億、類似五県の場合が六十二億、こういう数字で、非常な隔絶があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/300
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301・桑名義治
○桑名委員 次に、投資的経費における単独事業分の割合をいまのようなことでお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/301
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302・鎌田要人
○鎌田政府委員 ただいま申し上げましたのが投資的経費の中の単独事業の割合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/302
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303・桑名義治
○桑名委員 いまのは、行政経費における国庫補助を伴わないものを私は最初お聞きして、それから今度は、投資的経費における単独事業分ということでお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/303
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304・鎌田要人
○鎌田政府委員 実は行政経費の中で補助を伴いませんものの調べは私ここに持ち合わせておらないわけでございまして、もう少し時間をかしていただきたいと思うのです。いま申し上げましたのは、投資的経費の割合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/304
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305・桑名義治
○桑名委員 そこで、予算編成の段階でいろいろと詰めるつもりではないか、こういうふうに思うわけでございますが、四月一日の復帰ということを目途としておるならば、沖繩の県、市町村は二月から三月ごろまでには予算編成を終了しなければならないわけでございます。したがいまして、予算編成にあたって、その財政の規模ないしは財政構造というものが明らかにならなければ次への新しい出発ができない、こういうふうに考えるわけでございます。
そこで、私は次の問題に移るわけでございますが、まず交付税の取り扱いについてお尋ねをしておきたいと思います。
過去二十六年間にわたって異民族の施政権下にあった沖繩におきましては、すべての面において大きな本土との格差が生じております。これはもちろん社会資本の立ちおくれ、あるいは学校施設に例をとってみましても相当な立ちおくれを来たしておることは事実であります。さらに、この本土格差というものは、もとより本上に見られない沖繩特有の特殊財政需要というものもあるわけでございますが、今後開発を進めて本土並みとするためにはばく大な資金が要ることは、言をまたないわけでございます。そこで、沖繩復帰に伴って琉球政府の解体とともに新しい沖繩の誕生という大きな変革を遂げる中において、その開発を進めるにあたっては、国の補助事業のみでは対応できない不測の事態が当然起こるということは考えられるわけでございます。そこで、このような事態に対応するためには、沖繩県の県あるいは市町村の、先ほど申し上げましたような自主財源というものを十分に確保することが、新しく出発する沖繩の将来にとって最も重要なことだ、こういうふうに考えるわけでございます。
そこで、自治大臣としては、自治の尊重ということから見まして、沖繩の事業が国庫補助の下請にならないような自主財源を強化していく考えである、こういうふうに私たちは思っておるわけでございますけれども、具体的にはどういう処置をとっていくことが最良であるとお考えか、そのお考えを述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/305
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306・渡海元三郎
○渡海国務大臣 沖繩の自主的な地方運営をやっていただきますために、沖繩が本土と比べまして非常に行政水準がおくれておる、これを一日も早く本土と格差を縮めなければならない、また、沖繩のおくれております振興のために、いろいろな振興計画を立てて事業を進めていかなければならない、それと同時に、沖繩の特殊事情によりまして、本土と違う財政需要がある、これらの三点につきまして十分な自主財源を与えていかなければならない、このためには、内地の交付税制度によることなく、一般自主財源を交付税よりも非常に手厚い、交付税にかわるべきものを交付すべきではないか、こう考えまして、本土に復帰する以上、交付税制度の中に入ることは当然でございますが、復帰直後というものは、ただいまのような実情がございますものでありますから、本土の交付税にまさるところの手厚い別途の措置として、沖繩臨時特例交付金と申しますか、そういった制度を新しく設けて、特別に自主財源を与えることによってそれらの財政需要をまかなっていく、こういうような方向で目下国庫当局に予算を要求し、交渉を重ねておるような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/306
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307・桑名義治
○桑名委員 時間がございませんので、どんどん次々と進んでいきたいと思いますが、沖繩の特別交付金の扱いにつきまして先日からいろいろと論議が重ねられているわけでございますが、総務長官と自治大臣の考え方が多少食い違っておるように考えられるわけでございます。
そこで、自治省と総理府との相違点をまず明らかにしていただきたい。自治省はこう考えておる、総理府としてはこう考えておる、これを自治大臣から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/307
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308・渡海元三郎
○渡海国務大臣 沖繩に自主財源を与えなければならない、本土と比べて手厚い財源を与えなければならないという考え方については、山中総務長官と私と何ら意見を異にするものではございません。ただ、その方法といたしまして、山中総務長官は、本土の交付税そのままを一応交付税として、それ以上に起こってくるところの財政需要はまた別に積み立てて要求したらどうか、こういう姿でございます。
私のほうは、交付税制度というものは、御承知のとおり、むずかしい係数の上に成り立っております。沖繩の行政が二十六年間行政分離されておりましたので、本土の交付税制度をそのまま使った場合、いろいろな係数、補正係数等を行なわたければならないのでございますが、その統計が、机の上の統計がそのまま沖繩に実情としてあらわれてくるものでないと思います。したがって、交付税制度というものをこの際別にして、そうして沖繩に必要な本土の交付税より以上の措置の特例というものを、沖繩の財政事情そのものをながめて積み上げて要求する。しかしながら、交付税制度に入ることは当然でございますから、十年間の暫定措置として順次その中へ組み入れていくという方法でやりたい、こういう行き方でございまして、この点は、いずれ関係当省と予算折衝までに協議を重ねていきまして決定をいたしたいと思っておりますが、その十分なる財源を与えていきたいということにつきましては一致しております。ただ、方法論として、いま申しましたような違いがある点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/308
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309・桑名義治
○桑名委員 自治大臣にいま相違点を伺ったわけでございますが、総務長官としては、この沖繩振興開発の最高責任者として、沖繩の自治という立場から、いまの相違点をどういうふうにお考えでございますか。これは早急にやらなければ、総理府、最高責任者のいわゆる長官と、自治大臣の考え方が全くばらばらでは、これはどうしようもないと思うのですが、これは最終的にどうしても詰めなければならない問題ですが、これは非常に格差が大きいと思います。自治省としては、六百三十億という一応の積算の基礎を出しております。三百億については一般行政費として、その他の問題については、財政措置の所要額のいわゆる三百三十億については、いろいろと特殊財政需要として見込んで、こういうふうにあがっているわけでございますけれども、長官としては、本土並みのいわゆる交付税の計算の上にさらに特殊需要額を乗せる、こういうようなお話でございますが、だいぶ根本的に違うようでございますが、総務長官のまずお考え方を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/309
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310・山中貞則
○山中国務大臣 来年度の予算編成要求にあたって、担当大臣の私と意見が合わないまま要求をいたしました唯一のものが、この地方交付税に関する仕組みであります。
渡海自治大臣が申しましたように、前提は、熱意においても内容においても変わらないわけでありますけれども、やはり本土の各四十六都道府県と同じような交付税体系の中に沖繩も復帰と同時に入るべきである。そのことについては、来年度のおそらく地方財政の財源難あるいはまた国の財源難からはね返ってくる三二%分のもとである三税収入の見通しの暗さ、そういうもの等から、自治省としては、地方財政全体を非常に心配をしておる年であろうということは、私もよくわかっております。しかしながら、やはり理論的に、沖繩が復帰して沖繩県となる場合は、当然はじき出される結果としての交付税は交付されるべき権利を持っておるものと思います。ということは、その反面において、沖繩もいろいろな特例が税制上用いられても、やはりほかの県と同じように国税を納付するわけでありますから、酒税、法人税、所得税三税は納付する県でありますから、いかに少額であってもやはり正当な交付はなすべきである。その他の特例を講じたこと等によるいろいろな資金需要、もしくは歳入減に対応する措置、あるいは新規事業について沖繩側で特に認めてあげなければならない資金、こういうものも自治省と同じにしておりますけれども、必要な金でありますから、これを臨時特例交付金のような形で上積みすべきではないかということであります。しかし、これは来年度の国の財政需要の反映というものから、地方財政の非常な危機である年であることは私もよくわかっておりますので、財源当局と最終的には意見の調整を十分行なって、その飛ばっちりを沖繩が食うということは絶対にないように、そういう処理をしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/310
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311・桑名義治
○桑名委員 そこで、総務長官のお考えの中では、交付税の算定を本土並みの正常な交付税の算定要領によって行なう、こういうふうに言われておりますが、そうした考えの前提として考えられますことは、いわゆる三二%の税率の変更をしなければならないのではないかということは、これは当然な帰着として出てくるわけでございます。その点をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、この点についても伺っておかなければならないと思うのです。
それと、来年度は地方財政というのは一兆円の落ち込みがあるというふうにいわれておるわけでございますが、その上さらにこの交付税の上積みをやれば、各本土の市町村の財政圧迫というものは、これは火を見るよりも明らかであるわけでございますが、この点に対する考慮をどのようにお考えの上でこういう算定を主張なさっておるのか、その点をまず伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/311
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312・山中貞則
○山中国務大臣 現在の交付税率三二%をどうするかの問題は、私の干渉すべきことではないと思います。私としては、そのような地方財政事情の苦しい年であろうということは十分わかっておりますが、やはり本来地方自治体としては、国税を納める一県として戻ってくるわけでありますから、当然の権利として交付税というものは配付を受ける権利を持っておる。これは現行交付税法が厳然と命じておるわけでありますから、そのよき反証としては、最も国税に貢献する東京、大阪あるいは神奈川等においては、これは不交付団体として交付をしないということにおいても、明瞭に交付税法の思想が出ておると思います。そういう意味で、沖繩の国税に貢献する率が低くとも、場合によって、本土の各四十六都道府県に、その意味では、形式、計算上は、若干の配分に対して自分たちに来るべきものが沖繩のほうに行ったということの理論的な言い分はあろうと思いますが、しかし、やはり国も地方自治体もともに沖繩のために努力しなければならないのじゃないか、協力をすべきではないかと思うのです。ただ、そのことが来年度の地方財政計画にどのような影響を与えるか。したがって、それは交付税率で措置すべきものであるのか、その他の財源措置を国として地方に全体に講ずべきものであるか、これはまた高度の予算の編成上の考え方としてきまっていくものであろうと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/312
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313・桑名義治
○桑名委員 いまの点につきまして、交付税の点につきまして大蔵大臣に所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/313
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314・水田三喜男
○水田国務大臣 国と地方を通ずる財政の調整制度としてあるこの交付税制度でございますので、一時的な景気の停滞とかいうような原因でこの率を動かすということは非常に問題が多いものでございますので、これはひとりそれだけで済むわけではございませんで、国と地方の事務の配分とかいろいろな問題を考慮されてできている一つの率でございますので、これを私は軽々しく動かすべきではないというふうに考えています。
それと同時に、先ほどのお話でございますが、全国の地方団体には財政力の弱いところがあり、強いところがあり、これを調整して、そして行政水準をそろえていくという目的のためにこの交付税制度があるのでございますから、したがって、沖繩県とそう違わない財政力の地方団体も内地にはまだ相当ある状態でございますので、そこに新たに沖繩が入ってくるということは、いわゆる沖繩がこれから本土並みになって、そして本土と同じ行政水準をそろえていくということに私どもが骨を折るべきものでございますので、そういう趣旨からいいましたら、本土並みのこの制度の中に沖繩を入れるということがやはり筋でありまして、沖繩に入られたら他の地方団体が損するだろうというような考えとか、あるいは沖繩だけは別個な制度をここでとろうというようなことは、この際、沖繩が復帰して全国の本土並みにみんな一緒になろうというときでございますので、ことさらにここにそういう制度をしくということは私はあまり賛成いたしません。そして沖繩についてのいろんな財政支出のしかたは、必要なら特別交付税制度もございますし、また、基準財政需要の見方についてもいろいろ調整する方法はあるのでございますから、私は、制度はこの際ぜひ一緒にしていただきたいというふうに希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/314
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315・桑名義治
○桑名委員 もう一点だけ、時間が超過いたしましたが、山中総務長官にお尋ねしておきたいのですが、総務長官のいわゆる本土と同じ交付税の算定をした場合、これは沖繩は大体どの程度の金額になるか。さらに、沖繩の特殊事情に関する金額をどの程度見積もられているか。それともう一つ、この特殊事情に関するこの予算を対策庁の予算として計上するのか、あるいは沖繩県にそのまま交付するのか、この三点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/315
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316・山中貞則
○山中国務大臣 これは現在の交付税の算定方式、態容補正等を適用した場合だけでいくと、自治省からの答弁のほうが正確だと思いますので、自治省から補足説明をしてもらいますが、私がいままで連絡をとっておりますところでは、三百六十億から四百億くらいであろうということでいままで議論をいたしておったわけであります。
ちょっと話し中でありましたので、第二点は何だったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/316
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317・桑名義治
○桑名委員 沖繩の特殊事情に関するいわゆる金額ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/317
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318・山中貞則
○山中国務大臣 それは自治省と私のほうとそう特別に変わるわけではありませんで、それを積み上げたものが自治省の要求しておる額であるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/318
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319・桑名義治
○桑名委員 もう一点、この特殊事情に対する別ワクの予算は、はたして対策庁に交付するのか、あるいは沖繩県に交付するのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/319
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320・山中貞則
○山中国務大臣 これはもちろん沖繩県に行くわけですが、それは当然自治省として予算措置をするであろうと思いますし、場合によって、自治省は交付税だけであるということになりました場合には、これは財源当局と相談の上で沖繩県に行くのでありますけれども、どこに組むかという問題でありましたならば、必要があるならば沖繩開発庁に組むということもあり得ると思いますが、いまのところは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/320
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321・渡海元三郎
○渡海国務大臣 総務長官並びに財政の水田大蔵大臣がお答えになられました地方交付税制度というものは、御承知のとおり、非常にやっかいな計数の上に成り立っておるものでございます。いま一般にはじき出した本土並みの交付税法をそのまま利用して、その上に特殊事情積み重ねといいますが、一般財源としてその特殊事情も入れた財源を沖繩に交付税として渡せるような補正係数を出すべきが当然でないか、これが交付税として渡す場合の原則でございますが、そういった補正係数の積み重ねというものが非常に困難でございますから、一応私たちは、沖繩に必要なものは積み上げてやるという姿で計算をしてやりたい、このように申しておるのが私たちの——もちろん、ことしの財政事情にもよりますが、そういった交付税そのものの有するところの技術的な面からも、本土と非常に行政の異なっております沖繩県の姿を考えましたなれば、そのほうが実際に適した措置でないかと考えております。
いま総務長官から、特別な事情として、もし交付税の中でやって、その上積み重ねたものを開発庁から渡すべきか自省から渡すべきかということでございましたが、これは一般財源として渡すのでございまして、特殊事情といえども必ずそれはひもつきになってはならないのでございまして、その意味からいいまして、自治省から一般財源として、そのようになりました場合に、仮定いたしましても、渡すのが当然でないか、このように考えております。また、これはひもつきの財源でなくして、その財源そのものをどこで使われるか、これは沖繩県の自主的な判断で使われるべきであって、一般財源としてあくまでもそれだけの額は確保せなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/321
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322・桑名義治
○桑名委員 時間がありませんので、最後に、私の要望を申し上げて質問を終わりたいと思います。
いま総務長官の話の中で、特殊財政事情の金額については事情によっては対策庁にというお話がございましたけれども、そうなってきますと、これはあくまでひもつき財源ということで、いわゆる自治と非常にそぐわない、こういうことも考えられますので、そういうことが絶対にないような配慮をまず願っておきたいと思います。
それから自治省の六百三十億のいわゆる現在の積算でございますけれども、その約半分の三百億、これは一般行政事務に全部費やす、ほとんど投資的経費がない、三百三十億の中に一応の投資的経費が見られるわけでございますけれども、これも振興開発その他の建設事業の実施に伴う百三十億のみが投資的経費が含まれている、こういうふうに考えられるわけでございますが、これとてもそれぞれの裏負担分を考えますと、これは決して十分な金額ではございません。そういったことをよく勘案をいただきまして、今後の沖繩県あるいは沖繩の市町村がほんとうに自主財源を持って自主的にそれぞれの地域開発ができますように十二分の配慮を願いたいと思います。
以上をもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/322
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323・床次徳二
○床次委員長 吉田之久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/323
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324・吉田之久
○吉田(之)委員 初めに総理にお伺いいたします。
きょう午前の連合審査でわが党の和田耕作君も触れておりましたが、問題は、返還の日取りでございます。そのとき外務大臣は、四月一日か七月一日、できるだけ早い時期を願っている、しかし、まだ明確には言えないというようなお話でございました。日本とアメリカのいずれも会計年度にこだわっての——こだわってということばは少しおかしいかもしれませんが、なるべくそれに合わせたいという配慮から、主張がこうなってきているのだろうと私どもは思います。
そこで、四月一日か七月一日か、なるべく早い時期に、この二者択一しかあり得ないのかどうか。よしんば四月一日にどうしてもできないとしても、七月一日までの間のいつかの日に返還がされるという可能性はありやなしやということをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/324
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325・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これは外務大臣からお答えいたしましたように、まだきまっておりませんが、私どもの気持ちとしては、また取り組み方としては、できるだけ早い時期と、かように考えておるのでございまして、できるだけ早い時期、これは四月一日、これが最初に考えられるそのときだと、かように思っております。まだその途中において——おそくとも七月、その途中においての時期が考えられるかどうか、ただいま急いで準備をしている最中でございますから、ただいまの程度に御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/325
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326・吉田之久
○吉田(之)委員 いま四月一日が一番できるだけ早い時期であることは間違いありません。しかし、二者択一であるとするならば、七月一日の場合には一番おそい時期になります。したがって、われわれは、いろいろと外交技術上むずかしい諸点もあろうかと思いますけれども、できるだけ四月一日、よしんば多少おくれても可及的すみやかにということをすべての国民が願っていると思うのであります。われわれは、問題はやはり日本とアメリカのこうなれば力関係なのではないか、だとするならば、いつ返還されるか、それがそのまま総理の力のバロメーターではないかというふうに思っているのでございます。近くニクソンにもお会いになられるはずでございまして、ひとつ一刻も早く返還の実現を見られるように最大の努力を払われなければならないと思う次第でございます。
さらに、和田耕作君も述べておりましたけれども、問題は、沖繩の自衛隊に対する異常なまでの拒絶反応でございます。私も那覇の平良市長に一緒にお会いしたのでありますけれども、そのときになるほどと思ったことがあります。それは明治以来今日までの日本が沖繩に対してとってきた防衛の歴史であります。言うならば、日本は、師団はおろか連隊さえも沖繩には置いてくれなかたっではないか。そしていよいよ戦いが終息に近づいて、アメリカが沖繩に上陸しそうだということが察知された昭和十九年になって、初めて牛島司令官を長とする数個の師団がやってきたにすぎない。それはもはや昔日の軍隊の力を持っているものではなかった。上陸してくるや、応の戦いはあったでしょうけれども、もろくも南北に敗退していった。沖繩住民も戦いながら逃げた。洞窟に入っている沖繩県民に対して、そこは軍隊が入るからということで追い出した例さえある。こういういまわしい数々の日本の旧軍隊に対するそうした印象というもの、そういうものが憎悪の感情となってきておる。その軍隊の影がまといついていると見られる今日の自衛隊に対する拒絶反応、この辺をよく理解しないと、沖繩の心はわからないと思うのです。その辺の御認識はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/326
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327・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 けさほども和田君にお答えしたとおりでございます。私ども、ただいまのような拒絶反応と申しますか、あるいは自衛隊に対しての恐怖といいますか、また戦争に巻き込まれるのじゃないか、戦争に襲われる、そういうような危惧感を持っておること、これは承知しております。いずれにいたしましても、自衛隊は地域住民の理解なくしてはその職責を果たすことはできませんから、十分に理解を求めるようなそういう処置をとる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/327
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328・吉田之久
○吉田(之)委員 総理も御承知のとおり、沖繩の気持ちというのはそういうところから出発しております。だから私は、今日の日本の領土内においていわば最も厭戦的な思いになっている地域、それが沖繩であるということを認識して、しかも四分の一世紀にわたる長い期間異民族の支配を受けてきた、だから、もうこの機会にほんとうに沖繩を平和な島にしてくれというのは、沖繩県民のすべての心情であろうと思います。アジアにおける最大のアメリカの基地がある沖繩、この基地をいかに縮小していくか。同時に、自衛隊は国土防衛に当たる任務を持っておりますので、国の領土であるいずれの部分に対してもその役割りを果たさなければなりませんけれども、百分の一の自衛隊ならば私どもはがまんできるかもしれない、しかし、いま予定されているかくも膨大な自衛隊がなぜ沖繩に配置されなければならないのかという問題に対しては、われわれはたいへんこの辺で考え直してみなければ、後日大きな問題を残していくのではないか、沖繩県民の心をねじ曲げることになりはしないかという感じがするわけであります。その点についてさらに御見解をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/328
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329・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 けさほども和田君からその点にも触れられました。そうして和田君は、沖繩が本土に復帰すればわが国の自衛の範囲になる、国土防衛、そういうところは当然自衛隊がやるべきだ、そのことはわかる、だからアメリカの兵隊に全部をまかすという、それがまかせきりだ、こういうことについては沖繩でも問題があるのだ、それかといって、米軍にかわる自衛隊、これは全部かわるというのはこれまた拒絶反応が強いのだ、こういうように私は伺ったように思います。したがいまして、この米軍基地の縮小、整理等については本会議の決議もありますから、これは当然われわれが努力しなければならないし、また、そういう意味において沖繩同胞の深い理解を求めなければいかぬと思います。また、残存する米軍にしても、これがいわゆる安保条約のワク内にその行動がとどまる、こういうことでございますと、いままでとはよほど性格も変わる。また、自衛隊そのものは、いわゆる防衛、これが任務でございますし、また地域住民の災害防除等にも協力する、民生の安定に寄与する、これが本来の仕事でございますから、そういう意味で私はその規模が大きいとか小さいとかいろいろ議論はあるだろうが、もっとその職責をよく理解していただくと、これが十分納得がいくと、いまのような拒絶反応そのものではないだろうと思います。私は、何よりも、わが国に返ってくる、そうして私どもが本土同様にやはりその防衛の役目、その仕事は引き受けなければならない、かように思っておりますし、そういう意味からも、本来米軍にも早く帰っていただく、本土並みの状態にする。いまの基地の密度の非常に高いこと、これなどはがまんのできないことだろうと思いますので、そういうことをもあわせて、どちらがいいかというような選択ではございませんけれども、ただいま申し上げるような気持ちで、この米軍にかわるものというものもある程度考えざるを得ないのではなかろうか、そこらに十分の理解を求めることが必要だ、かように申し上げるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/329
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330・吉田之久
○吉田(之)委員 この問題はやがて予定されている党首会談のポイントの一つでもあるというふうに総理は午前中にお述べになりました。私はニクソン会談の重要なポイントの一つでもあると思います。したがって、今日までの沖繩の歴史的な背景と申しますか、そういう歴史的な事実、それをよくアメリカにも認識させることによって基地の縮小が達成できると思いますし、またそれに見合って、自衛隊の配備もきわめてすなおな小規模なものに移行でき得るのだろうと思いますので、どうかそういう点につきましてひとつ大いにアメリカに説明を続けていただかなければならないだろうと思います。
次に、この基地の縮小の問題がそのままこれからの沖繩の復興の問題に結びついてくると思います。いろいろと沖繩の開発について、あるいは都市計画について、政府は構想をお持ちのようでございますけれども、沖繩の面積の約四分の一が基地である、こういう状態では、都市計画が進むはずはございません。したがって、これは表裏一体の問題でありまして、私は、沖繩の開発計画について、あるいは都市計画について一つの計画を立てられるならば、それと同じように基地の縮小計画というものが具体的に立たなければ、まさに絵にかいたもちに終わってしまうと思うのでございます。こういう基地の縮小計画、相手方もあることではございましょうけれども、いかに強力にこの計画を推し進めていくか、その諸準備、プランをそろそろ政府は用意されなければならぬと思うのでございます。そうした点について、現時点においてどのような構想を練ろうとしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/330
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331・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いわゆるニクソン大統領のグアム・ドクトリン、またその後の一連の外交政策、これなどは緊張緩和の方向に非常に動いておると思います。私はこういう事柄がただいまの基地の縮小、整理に非常に役立つのではないだろうか思いますし、また同時に、最近の戦術が新しい方向にまた変わりつつもあるようでございますから、そういうような点をもあわせ考えると、ただいまの国際、アジアの情勢、これは平和の方向に取り組み得るいい時期ではないだろうか、かように私は考えます。そういう点でニクソン大統領がどういうように事態を判断するか、また、韓国等における考え方も十分伺ってみる必要があるだろう、かように思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/331
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332・吉田之久
○吉田(之)委員 この間の国会決議以来、総理の御答弁を聞いておりましても、非常に基地縮小等に対する姿勢がはっきりしてきたというふうな感じを私どもも受け取っております。しかし、問題は、外柔内剛ではなくて、外剛内柔でなければならない。アメリカに対して、諸外国に対していかに強く国民の現状というもの、沖繩の心というものを説明していくかということによってのみ問題が解決すると思うのであります。そういう姿勢をより堅持していただくと同時に、日本は日本なりに、沖繩における基地縮小のいろいろな計画、スケジュールをそろそろ日本独自のものとして持って当然の時期にきておると思うのであります。そういう点の作業を進めていただきたいと思う次第でございます。
それから、まず当初四千億程度の各省からの要求が出されているようでございます。これが四千億で落ちつくのか、あるいは三千億程度になるのかは、今後の推移を見なければ何とも言えませんけれども、しかし、そういう当初の措置のあとでくるものは何か。先ほども大蔵大臣の御答弁を聞いておりましたけれども、七百億程度、平時になった沖繩に対して国から措置される交付金というものは、ほぼその程度のものと目されるのではないか。結局、一時沖繩が非常にあたたまるけれども、しかしまた冷えてしまう、これは経済的にも非常に危険なことでありまして、沖繩が経済的にかぜをひいてしまうのではないだろうかというふうな気がわれわれはするのでございます。要は、完全に日本の本土と同等のレベルまで沖繩がレベルアップする時期を、息の長い計画で見届けていかなければならない。これでもう完全に本土と同じ力を持った沖繩だというときに、初めて本土と同じ交付金が交付される沖繩になると思うのであります。この辺の考え方が現在の政府の計画ではいわば非常におざなりのようであります。何か短期的な感じがいたすのであります。心配される点でございます。その点、総務長官もお戻りになりましたけれども、重ねてこの問題だけ総理からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/332
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333・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 沖繩が祖国復帰前にただいまのようないろいろの議論がされます。私も沖繩は視察した程度であり、あるいは屋良行政府主席と面会したり、あるいは立法院の方々といろいろ話をかわしたりいたしますが、しかし、やはり身になじまない点もあります。やはり何といっても現地が祖国に復帰する、そのことが何よりもまず第一の事業のように思っております。これなくしては、今後のいわゆる事業計画というようなものも一つのもちとして絵にかくことはできましても、実際問題としてはたしてどうだろうというような点がどうも反省せざるを得ないのであります。ことに長期計画が必要だ、かように考えたり、ただいま海洋博を計画するということにいたしましても、これまた実情にはたして合うだろうか、われわれも心配せざるを得ないものに幾つもぶつかるような状態であります。でありますが、現状においてもできるだけ沖繩の実情を把握することにつとめますが、それにつとめた後に、いま言えることは、本土の諸地域と比べまして沖繩は相当おくれておると申しますか、恵まれていないという、しかもそれが占領下において、異国の施政権下においてそういう状態がかもし出されたとすると、心情的に心から同情したり、気持ちの上では私どもも何とかしてあげたい、かように思いますけれども、しかし、それだけでは事が足りるわけではないのでありまして、実際問題と取り組む姿勢としてはいまの状態では不十分だ、かように思います。それがしばしば言われますように、新全国総合開発計画、これも改定をするが、同時に、沖繩の振興計画においては、沖繩の知事の意見を取り入れて、そしてそのもとにおいて中央がいろいろこれに協力を惜しまないのだ、そういうことをいままでも何度も繰り返して申しましたが、しかし、何だかそれがいかにも空虚なことばであるかのような、あるいは時期を失するかのように皆さんからおしかりを受けたのでございます。そういう点もございますが、私は、何といっても実情を把握することにおいて一そう正確につかんで、そして前進をする、こういう体制でなければならない、かように思います。
先ほど冒頭の問題についてもお話がありましたが、基地の整理等の、外国軍隊の整理、これは私どものもちろんなすべき事柄だ、かように思っておりますが、それなら、やはり自衛力、これをもっと整備する必要があるんじゃないか。しかし、当面する四次防自身がいろいろの批判を受けておる。そういうふうな状況のもとにおいてただいまのようなこともどうもから念仏になりそうだ、かように考えますので、これはやっぱりいままでの体制はそのまま存置する、日米安全保障条約、これはそのまま保存していく、ここらにわが国の安全を確保する道があるのだ、かように考えざるを得ない。これだけはつけ加えておきまして誤解のないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/333
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334・吉田之久
○吉田(之)委員 日米安保が存在すること、また、自衛隊が国を守るために存置されていること、百も承知でおるわれわれではありますけれども、しかし、沖繩が形の変わった新しい基地にやはりなった、なるのではないだろうか、こういう印象がいま国民の中に強く流れておりますので、そういう誤解を与えないように、また、事実全くそうではなかったという信頼をかちとるために、総理にこれから一そうの努力を払っていただかなければならないと思うのでございます。
次に、具体的な質問に入らせていただきます。
まず、これは国家公安委員長や総務長官のほうからお答えいただければと思うのでございますが、現在沖繩は自動車は右側通行であります。三年後に左側通行に切りかえようということが提案の中に盛られております。三年という時限を限られた、あるいは三年が適当であろうと考えられた理由は何であるかということからお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/334
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335・中村寅太
○中村国務大臣 通行区分を変えます際には、いろいろ諸準備がまず要るということでございます。交通安全の設備を完全に整えるということ、あるいは車両等の出入り口等をやはり変えるというような、そういう諸設備、さらに交通の一つの教育といいますか、沖繩県民に新しい交通区分になじんでもらうような準備的な手段等がかなり必要でございます。そういうことを踏まえまして、沖繩関係の交通関係に携わっておる人たちの意見を徴するとか、あるいは関係各省庁と相談をいたしました結果、まあ三年間ぐらいあれば大体の準備は整うのではないかという結論に達しましたので、三年という期限をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/335
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336・吉田之久
○吉田(之)委員 私は、この左側通行、右側通行の問題でもやはりたいへん気になりますのが基地の存在であります。膨大な基地です。一体、現在の沖繩に県民の保有する自動車台数が幾らあって、それからアメリカ軍が動かしている自動車はほぼどのくらいであって、あるいはアメリカの商社、民間が持ち合わせている自動車はどのくらいであるか。この辺をお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/336
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337・中村寅太
○中村国務大臣 昭和四十五年十二月末の現在で、琉球政府陸運課の調べによりますと、民間の登録自動車台数は十一万四千百十二台となっております。
それから米軍関係の車両でございますが、大体の見当は五万台近くあると見られております。米軍自動車の台数ははっきりいたしませんが、琉球政府に登録または届け出のなされております外国人自動車の台数は、大体次のとおりでございます。
乗り合いバスが二十台、貨物自動車が五百八十七台、乗用自動車二千七十三台、特殊用途車が九十七台、特殊車が四十八台、小型二輪車、軽二輪車が百七台、合計二千九百三十二台と、なお、米軍関係車両五万台のうち、民間米軍関係の使用車両の台数が約二万五、六千台、こういうふうに調査はなっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/337
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338・吉田之久
○吉田(之)委員 いま聞きまして、いまさらながら驚いた数字でありました。アメリカの軍並びに民間の自動車の数が非常に多い。ほぼ一対二の割合になります。これほど膨大なアメリカ人が運転する自動車をかかえている沖繩において、左側通行に切りかえることが安全であろうかどうだろうか。しかも相手は軍隊でありまして、絶えず移動をいたしております。しかも基地が随所にあります。沖繩が日本に返ってきたから、沖繩にあるアメリカの基地も、基地の中で左側通行しろということが命じ得るのかどうか。本土のほうではどうなっているのか、その辺のところをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/338
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339・中村寅太
○中村国務大臣 三年後沖繩の通行区分が変わりました場合には、基地内の自動車等もあるいはその他の通行区分も沖繩の区分の方法に合わせてくれるというような大体話がついておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/339
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340・吉田之久
○吉田(之)委員 私は、もしもその辺が皆さん方に自信があるならば、もっと早い時期に左側通行に切りかえるべきではないか。先ほども総理からいろいろ御答弁がありましたけれども、自衛隊も派遣しなければならなくなります。本土から行った自衛隊が三年間右側通行をやる、そうしてまた左側通行に切りかえる、そういうややこしいことを何べんかやるよりも、むしろ、三年のところを、できるものならば一年でもあるいは一年半でも後に左側通行に切りかえるべきではないか。どうして三年というものを想定されたのか、どうも私どもはふに落ちないのでありまして、三年たてばアメリカがほとんど帰ってくれるだろうという見通しならばまことにけっこうでございます。われわれは、ぜひこうなればそうしてもらわなければならないのではないかと思うわけであります。運輸大臣も来ていただいておりまして恐縮でございますが、こういう交通、運輸行政の一環として大いにひとつ皆さま方が横の連絡を取り合いながら検討を深めていただきたいと思う次第でございます。
次に、自治大臣にお伺いいたします。総務長官にも御答弁いただきたいと思いますが、琉球政府の職員を返還の日から直ちに国家公務員と県庁職員とに分離しなければなりません。これはたいへんむずかしい作業であると思います。自治省は、なるべく身軽に発足したい、それから行政管理庁のほうは、できるだけ地方自治体に委譲したいというような考え方を基本的に持っておられるはずであります。しかも琉球政府の職員は全部で一万八千人であります。他の類似府県と比べましたら非常に膨大な数字でございます。各省がその人たちを引き取る人数を行管と協議し始めているのかどうか。あるいは国の置くべき機関の組織をすでに決定しておられるのかどうか。あるいはそういうものがすでにでき上がったものとして、その振り分けを一体だれに依頼するのか。時間がございませんので、かためて申し上げますが、一体そのときにトラブルは起こらないだろうか。あるいはその給与をどうするのか。関係各省庁からそれぞれお答えをいただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/340
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341・渡海元三郎
○渡海国務大臣 琉球政府の職員を国、県あるいは市町村に振り分けることについての問題でございますが、これは復帰に伴いまして、琉球政府が行なっております事業が、国で行なわれるべき事業であるか、あるいは県で行なうべき事業であるかということにかんがみまして、合理的に判断をしてきめていきたい。それについて職員も配分していきたい。いま多数の公務員があって、それを身軽になってというお話もございましたが、これはあくまでも現在琉球政府の行なっております事務そのもののあり方について配分していくべきものである、こう考えておりまして、この点につきましては、臨時特例措置法の中の政令として、予算編成のときに定数等が決定されまして、関係各省の間の打ち合わせが完了するものと考えております。その点におきまして、沖繩の場合、あるいは沖繩の特殊事情によるもの、あるいは復帰に伴います事務の問題、あるいは特別な振興開発事業に要する問題等で、他の類似県と比べまして少しばかりの人員は多くなることは、これは当然あり得ることであろう、こう考えますが、それらのものに対しましては十分財政措置を考えて、この必要なる人件費をあみ出すことができますよう配慮してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/341
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342・中村寅太
○中村国務大臣 沖繩の公務員の数は、吉田議員が仰せられるように、一万八千百十人ぐらいだと思いますが、十一人でございましたか——そういう基本的な数字は本土の県に比べると多いのが実情でございますが、現在沖繩が置かれております特殊事情、あるいは今度返ってきますようなことになって、いろいろ沖繩の実情を踏まえまして、できるだけ国と県と、県内にある地方自治体等に、地元の意向を十分くみ入れて配置をしてまいりたい。その間、行政管理庁はなるべく公務員の数を少なくしたいというのは、これは基本的な考えでございますが、あるいは自治省はまた自治省で、自治省を通して受け取る数字をできるだけ少なくしたいという考え方もあるいはあるかもしれませんけれども、沖繩の置かれております特殊事情、それから今日までのいろいろの実情等を考えますときに、われわれとしてはそういう気持ちを一切捨てて、沖繩の公務員の方等の意思を十分尊重しまして、円満に配置して、そうしてそれぞれの立場で沖繩の繁栄に力を尽くしていただくことのできるように考慮してまいりたいと、各省庁で相談しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/342
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343・山中貞則
○山中国務大臣 現在、琉球政府の公務員を国家公務員に引き取ります際に、特殊な事情としては、本土のほうに身軽に国家公務員として来てくれるという人の数は非常に少ないと思います。したがって、沖繩の県内において国家公務員の身分として引き継がなければならない事情が背景にあると考えますので、それらの点を十分勘案をして、沖繩開発庁の出先である総合事務局、そういうところあたりを中心に、現地で国家公務員にかわれるようにという配慮を重点的に行なってまいりたいと思います。
また、給与については、これはもう基本的な既得権の問題でありますから、これを本土の相当年数の公務員とみなした場合に受けるべき当然の待遇というものに対して置きかえてまいりますが、しかし、沖繩においては、現行制度の中で、初任給が幾分本土よりか高いということから、三十歳ぐらいまでの若年の公務員諸君の給与が、本土の相当年数の諸君と当てはめた場合に、高うございますので、それらの点は、当分の間は手当てを給することによって実質の所得が低下を来たさないように配慮をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/343
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344・床次徳二
○床次委員長 吉田君、予定の時間を過ぎましたから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/344
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345・吉田之久
○吉田(之)委員 時間がなくなりましたので質問を終わりますが、最後に一言、総理に要望をいたしておきます。
核抜き本土並みと申しますけれども、すべてが本土並みでなければならないというわけではございません。本土並みであってはならない点があります。それは、公害と交通災害、過疎過密でありまして、新しい国土を沖繩にこれからほんとうにわれわれが建設するという意味では、こうしたあしき本土並みにしないということをひとつ十分に御決意いただかなければならないと思うのでありまして、このことを強く申し添えまして、私の質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/345
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346・床次徳二
○床次委員長 広瀬秀吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/346
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347・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 私は、大蔵関係の、特に当面きわめて重要だと思われる数点について、関係大臣に、また総理にお伺いいたしたいと思うわけであります。
沖繩返還にあたって、いわゆる復帰不安というものが非常に心配をされ、また深刻な問題になっておることは、御承知のとおりでありますが、その中でも特に円とドルの交換の問題、沖繩がいやおうなしにドル経済の中で生活せざるを得なかったこの四分の一世紀をこえる期間、しかも何らの責任なくしてこの最近のいわゆるドル防衛措置、こういうものによって、ドルの減価というものによってたいへんな被害を受けるだろう、これが、まあ円とドルとの関係において、どういう国際通貨調整が行なわれるかは別といたしましても、少なくとも相当大幅なものになりそうだということがいわれておりますから、そうしますと、たとえば沖繩の労働者の賃金というようなものも、とたんに、たとえば一五%、変動幅を含めて円高になったといえば、それだけ給料が減ったと同じような結果にもなりかねないわけでありまして、この問題については沖繩県民全体に非常な大変動を及ぼす性格のものであることは、御承知のとおりなんですが、すでに屋良主席も建議書の中で、いささかたりといえどもこの円・ドル交換の問題について沖繩県民に損害を与えないようにということを言っておられるし、また沖繩県民の願いも、全く全県民一致してそういうところにあると思うのです。すでに政府は、十月八日の閣議決定の線に沿って、十月九日、現金の確認、また通貨性資金、預金というものについての確認を行なったわけでありますが、それでもうこの円・ドル交換の問題というのは終わった、こういうことでございますか。まだいろいろ問題が残っておるわけであります。その十月九日以降の稼得したる所得分、増加した資産分、こういうものについて一体どうするんだ、こういう問題が非常に最大の関心事になっている。したがって、あの閣議決定、十月九日に現地において実施したあの措置以外のものは一切やらないのか、考慮の余地があるのか、これは方法についてはいろいろあるだろうけれども、まずその点をお伺いいたしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/347
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348・水田三喜男
○水田国務大臣 得承知のとおり、この通貨の交換、しかも旧平価における交換ということは非常にむずかしい問題でございますので、いろいろ研究したあげく、ああいう措置をとって、そうして交付金を支給するということをきめた次第でございますので、もうあれをもってこの交換の措置を終わった、それ以上のことはしないというのがたてまえでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/348
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349・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣、まあきわめて明快に、あれ以上の措置は何にもしないんだ、こういうことでありますが、それではやはり沖繩県民の不安、それから損害というものに対して、本土政府がほんとうに誠意を持った施策を行なったということにはならない。沖繩県民に大きな不安を、また不満を残す問題であろうと思うわけなんですが、もう絶対にいかなる有効な方法があっても円・ドル交換の問題についてはやらない、こういうことでございましょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/349
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350・水田三喜男
○水田国務大臣 御承知のように、もし一ドル三百六十円で交換するというようなことをはっきり発表するということでございましたら、いろいろな問題が起こるだろうということは、御承知のことと思います。したがいまして、ほかに方法がない、一定時点において現在持っておる沖繩県民の現金所有を調査し、そうして預金と同時に負債の高を調べる、そうしてその時点における保証を完全にするというようなことによって、それ以後のいろいろな変化に対してはもうこの保証の措置はとらないという御了解を得た上での措置であるというふうに私どもは考えておりますので、これ以上の措置は、実際問題としてほとんどとることは不可能だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/350
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351・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 たとえば本土−沖繩間の貿易取引上の、これは建議書に書いてあることでありますが、為替差損、第二に、学生とかあるいは本土に長期療養、病院に入院しておるというような沖繩の県人がおります。こういう人たちに対する生活資金の送金あるいは為替差損、こういうような問題などについても、前にたしか十億、物価問題を含めて出されたと思うのでありますが、これらの問題等についても何ら措置をしないというようなことでございますか。これは山中総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/351
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352・山中貞則
○山中国務大臣 このことはまた別な問題でありまして、本土政府が変動相場制に移行したことに伴って、ドル圏に住み、円圏の物資を大部分生活物資として依存しているという沖繩県民のために、われわれは差損とは言っておりませんが、相当額に対する支払い基金を琉球政府が設けることによって、それに対処したものが十億円であり、学生に対処したものが一億円であります。しかしながら、その金額では、その後変動相場の幅も、ずいぶん積算の基礎が違ってまいっておりますし、また、現地の公共事業の発注すら困難になったという事情等を考えますと、基礎資材全般に広げなければなりませんでしたので、四百四十品目ということにいたしまして、それを復帰まで続けようということで、大蔵と内々の合意をいたしておるわけでありますが、ただ、日本の円が変動相場制を復帰までずっと続けていくのか、あるいは途中で、国際環境の中で、日本もその一員としての日本の円であるならば、切り上げという措置をとらざるを得ないことになるのか、そこらの見通しが判然といたしませんので、さしあたり、いま講じようとしておりますものは十二月末ぐらいまでこれが泳げる、あと払いをしてまいりますから、大体出しました十億も五億くらいいま消化しておると思いますが、なお、学生送金は三カ月に一回の精算払いという方式をとっておりますので、さしあたりは一億でいけるわけでありますが、一応十二月末ぐらいまでに必要とする金額を追加したいということで、いま内々の準備をいたしておるところであります。
なお、長期療養者等につきましては、当初実態もつかみにくく、その措置についても、琉政との間にあまり話が進まない段階で断行いたしましたので、これはさらに新たなるケースとして追加する要素の一つになると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/352
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353・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 ただいまの山中総務長官のお答えは、前に措置をした十億円の中身、こういうようなものについては、その後の事情の変動というようなこともあるので、この措置については、これはストレートのいわゆる円・ドル交換、一ドル三百六十円ベースで交換をするという問題との関係ではないけれども、そういう措置はやられるということを確認を得たわけでありますので、それらの点についてのきめこまかい配慮というものは引き続き——そういう措置ならば、この一ドル三百六十円ということが頭にはあるけれども、基本にはあるけれども、そういう措置は何ら外国人の投機を促すわけでもないし、県民にとってまさにこれは温情ある措置であるというように考えますので、その問題についてはさらに引き続き措置をしていただきたい、このことをもう一ぺん確認をいたしまして、次の質問に移ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/353
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354・山中貞則
○山中国務大臣 もちろん復帰時まで続けるつもりでありますが、しかしながら、外人企業が直接受注するもの、あるいはまた、米国の軍隊その他が直接買うもの、こういうものは、琉球政府と合意の上、除外をいたしたものでありまして、沖繩県民の生活がこれ以上不安動揺してもらいたくありませんし、させてはなりませんので、その措置をとっていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/354
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355・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 沖繩の賃金、これは琉球政府に働く公務員あるいは市町村に働く公務員、さらに民間産業に働く労働者、いずれもかなり本土よりは低い水準にあるわけであります。公務員ベースでも大体十何%かは低くなっている。そこへ持ってきて、また民間賃金でも、労働省の資料を見ましても、かなり低い。六〇%ないし七〇%そこそこというように、民間賃金のほうが本土との格差は大きいのでありますが、たとえば、民間産業では総体で一九六九年度で七六%、七〇年度で七八・七%、こういうようなことでありますし、また、公務員関係では、大体八〇%から、高いのになると九〇%、あるいは特定のごく少数のものは一〇一%というようなものも中にはあるわけでありますが、それでも総体的に見れば一〇%をこえる差があるわけであります。市町村の場合を相互に比較してみましても、七二%から八七%くらいのところでありまして、相当低いところにある。こういうことでありますが、この賃金を復帰時においてどういうようにドルから円の給与額、賃金というものに換算をするのか。この問題も、やはり円・ドル交換の問題では非常に大きな問題になると思うのでありますが、その点についての方針はどういうことになっておりますか。これはもう当然三百六十円ということで、少なくとも為替の問題についてはこれは何ら投機の対象になるわけでもありませんし、当然の権利として三百六十円レートで換算をして復帰後の賃金が決定される。これはまあ政府の力の範囲の及ぶのは公務員関係だと思うのでありますが、その方針によっておそらく民間もこれに追随するだろう、こういうことになると思いますが、その方針についてただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/355
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356・山中貞則
○山中国務大臣 これは交換比率については特別措置法に定めておりまして、復帰の日前における「外国為替の売買相場の動向を勘案し、内閣の承認を得て大蔵大臣が定める」ことになっております。債権債務等についても当然それに準拠するわけでありますが、先ほど私が申しましたとおり、公務員給与については、本土の相当号俸に匹敵する処遇についてそれを移しかえていくわけでありますから、本人の実質の、この交換比率によってマイナスになるという面は出てこない。もし若年層で沖繩において換算したほうが高い、現給が高いというものは、手当を支給するということを先ほど申しましたので、一ドル三百六十円ということは、たとえば復帰前に切り上げでもありますと、一体その三百六十円というものと、本土もその制度のもとになる、たとえば一五%切り上げた場合の本土の円は一体どうなるのかという問題等もありますので、やはりこの基本的な方針に従って大蔵大臣が内閣の承認を得て定める比率ということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/356
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357・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 どうもその辺のところがはっきりしません。なるほど、その円の切り上げの場合に本土でもそういうことになるのだということでありますけれども、いまドル圏なんですね、そして給与額もドルで表示されているんですね、それをどういうように換算をするのか、そして賃金を決定するのかということは、やはり一つの重大な関心事だろうと思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/357
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358・山中貞則
○山中国務大臣 それは本人の受けるべき、本土公務員ならばどういう号俸に相当するかという経歴がはっきりわかっておりますから、それの号俸で受けるべき俸給を当然受けると、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/358
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359・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 その際の、たとえば具体的な私の疑問を言いますと、本土では三万六千円だった、沖繩で百ドルという同じ公務員がいた、そういう場合に、三百六十円ベースで合っておったわけですね、斉合しておったわけです。ところが、今度は三百二十円になった、あるいは三百三十円になったという場合に、三万三千円ということになったら、また本土と格差が開くじゃありませんか。本土の場合は円が切り上がり、ドルが下がったということでも、やはり三万六千円は三万六千円であるということには変わりない。しかし、本土との対比においてそういうことになるじゃないでしょうか。こういうことでどんどんまたその面での格差が開くというようなことについては何ら考慮する必要はないのか、この点なんですが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/359
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360・山中貞則
○山中国務大臣 これは本土の本人の相当する号俸の円を、公務員としての給与を受けるわけでありますから、たとえば琉球政府の職員であった者で国家公務員となって同じ沖繩現地で総合事務局につとめたとします。そうしたら、やはり本土から行った公務員と受けるべき待遇は変わらないわけでありますから、その点は、したがってそれなら一ドル三百六十円じゃないかと言われると、それはつらいということでありまして、そういう意味において、本人が受けるべき待遇というものは、本土公務員と同じ俸給を受けるということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/360
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361・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そうしますと、本土の行政職(一)なら(一)、(二)なら(二)の何号俸にあなたは格づけをします、こういうことでやるから、その点の心配はないんだということですね。この通貨交換の問題と、賃金の換算、評価がえの問題ということは、実質的にはこの格差が開くようなそういう心配などというものはこれはあり得ないんだ、こういうように理解していいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/361
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362・山中貞則
○山中国務大臣 一ドル三百六十円ということでありますと、そういうふうにはならないということであります。しかし、本人が本土の国家公務員であって沖繩において国家公務員であったならばという号俸は、相当の待遇としての相当する号俸は受けられるということでありまして、それは一ドル三百六十円とは関係はないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/362
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363・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 時間が限られておりますから、この問題について総理大臣にお伺いをいたしますが、先ほど水田大蔵大臣は、この一ドル三百六十円という形において措置する分は、十月八日の閣議決定のことだけである、こういうことを言われたわけでありますが、その後の資産増加、所得の増加で新たに稼得した、増加した現金なりあるいは預金なり、こういうものについて、やはり復帰時点までの間にかなりのものがあるということが予想されるし、その分はこの新しい通貨調整後のレートでやるのだということになりますと、これはやはり沖繩県民にとってはたいへんな損害になる、こういうこともあるわけでありますが、これについては当面むずかしい、いろいろ投機を誘発するとか、あるいはかけ込みの為替差益を得ようという不正なものがあるいはあるというようなことで、いろいろ技術的にはむずかしい問題がある。しかし、気持ちとして何らかの、たとえば沖繩政府に対して一定の交付金をさらに新たに同じような考えで出していくというようなことで、その配分はたとえば沖繩政府にまかしていくというような、そういう措置などを含めて、何らかやはり検討をし配慮を加えていく、こういうお気持ちはありませんか。この点についてひとつ総理大臣に、気持ちだけ聞かしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/363
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364・山中貞則
○山中国務大臣 総理の御答弁が、こういう微妙な問題になりますと、影響が非常に大きゅうございますから、一応私から答弁をいたしますが、それは変動相場制に本土政府が移行せざるを得なくなった際に、先ほど申し上げた沖繩の特殊な環境というものから沖繩県民が犠牲になるおそれありということで断行したわけでありますけれども、しかしながら、復帰前の抜本的な解決である円・ドル交換ということは、施政権下の布令第十四号というものによってこれは外交交渉を要するし、そうしたら秘密も漏れるし、あるいは外交交渉してもむずかしいということから、最終的に通貨に対する措置として踏み切ったものでありまして、したがって、わかりやすく言えば、あのチェックいたしました時点において一万ドル持っていた方が、復帰の日には、かりに極端に言うと、一ドルしか持ってなくても、その方は一万ドルの復帰時点における三百六十円と、そのときにおけるたとえば切り上げが一五%になっておれば一五%、一二%ならば一二%というものを実質もらえるわけでありまして、したがって、その後の増減はもうすでに終わったものとして見ておりますから、関係なしに、なくなっている人も逆にもらえるのだということで、終わったということで措置しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/364
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365・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 その問題いろいろ微妙な問題もありますから、私どもは、やはりその後における、十月九日以降における、先ほどから申しております増加現金あるいは通貨性預金、こういうようなものについて何らかの配慮というものが技術的にも可能だというものを持っているのですが、こういう席上でありますから、これはまた伏せて、いずれ山中長官にも個人的な建議としてまあ申し上げる予定でおりまするけれども、十分配慮をしていただきたいということを強く要求をしておきたいと思います。
ところで、この円・ドル並行流通ということが大蔵省筋で検討されておるという新聞記事が十一月の一日の日経に出たわけでありますが、この問題については、これはなかなか大蔵省も考えておるなということで、私どもも実はこういうことを——本来ならば完全にもうドル経済になじんできておる中で、復帰だ、その一週間以内に通貨を交換する、それで円経済に移行するということになると、かなりの混乱もあるのじゃないか、こういうようなことから、復帰前にも復帰後にも若干特例を認めて、外為管理法などにもかかわらずドルの受け取りというようなことも例外的に認められるわけでありますが、復帰前に対米折衝を行なって、円・ドル併用で流通するというような時期を二カ月なり三カ月なり持ったら、なお円滑に復帰時点における沖繩の経済というものが回転していくのではないか、こういうように思うわけでありますが、この点は全く考えられないことか、あるいはそういうことはほんとうに検討されておるのか、この辺のところをはっきりさしていただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/365
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366・水田三喜男
○水田国務大臣 いまのところ別にそういうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/366
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367・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 アメリカと折衝をする、そして——いずれにいたしましても、そういうように併用をしながら円になじんでいく、ドルで取引をしておったものを円で取引する感じというようなものもなじましていくというようなことについては何ら考えない、考えてはいけないことなんですか、考えたほうが沖繩県民のためになると思っているのですか。その点どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/367
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368・水田三喜男
○水田国務大臣 現在の所有ドルの調査も比較的短期間の間に完全にできた事情から見ましても、私は、やはり復帰のときに、一定の日を期して現在の手持ちのドルと円を交換するということはそうむずかしい問題でなくて、円滑に行なわれるだろうというふうに考えますので、事前に両方の通貨を流通させておくとかいうような準備的な措置は、別に私は必要ないのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/368
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369・山中貞則
○山中国務大臣 これは広瀬君、大蔵委員会のベテランでおわかりでしょうが、沖繩で復帰後もドルを使うことを認める、ただし、沖繩県民たる日本人が使うことは認めないことになっておるわけですね。しかしながら、長いことドル圏で、ことにアメリカ関係者が多いし外国人も多いから、ドルは使ってもいい地域として特例を認めるわけです。せっかくのこの特例が、それを併用期間をつくりますと、持っていてもいい、使用してもいいということになりまして、そのこと自体がだめになります。そしてさらに、御承知のことですが、投機ドルを入手して、円高、ドル安である限りは、そこに投機的なドルの所有というものに人間の悪知恵を働かせることになりますから、その点はやはり沖繩は、不幸なことではありますけれども、何回も切りかえを経験しておりましてなれておりますので、その点先般のドル・チェックでもわずか一日で完全に完了したという実績もありますから、大蔵大臣の御答弁のごとく、沖繩県民のために残そうとする特例もだめになるようなことはやはりしないほうがいいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/369
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370・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 意のあるところはわかりました。
次に、沖繩の復帰後における財政問題でありますが、ちょっと資料を見ましても、沖繩に対する国からの交付額、これはここ五年間をとりましても——それ以前にはほとんどなきにひとしかった。五年間をとりましても九百八十二億、いわゆる類似県の中でありますが、宮崎県は二千五百三十二億、これは国からの交付額であります。島根が二千百五十四億、高知が二千二百四十七億というように交付されておるわけです。もちろん、施政外の特殊な地域でございますから、税金が本土政府に納められるわけではない。したがって、国税三税の三二%というようなことで財政需要額に応じて交付税を出すということも、法律的にはできない立場であった。しかし、いずれにいたしましても、こういう形で、しかも自主財源も乏しい、そういう中で、国からこれしかいかない。もちろんアメリカからの援助というものもあったけれども、いろいろな事情が重なって、行政水準というものは、今日あらゆる面において、社会保障の面でも、福祉の面においても、あるいは道路など社会資本の面においても、あるいは教育の面においても非常に低い。こういう中でやはり無理に無理をして借り入れ金に琉球政府がたよらざるを得なかった。この額を大蔵省に伺ってみますと、二百三十億ないし二百四十億だろう。復帰時点がいつかというようなことにも関係して、その辺のところに推算をされておる。これはいわゆる事業的経費というものと赤字補てん的な経費、こう分けまして、大体半分半分、フィフティー・フィフティーぐらいのところだ、こういうことなんでありますが、屋良主席の建議書の中でも、戦後二十六年の長きにわたって異民族の支配を受けて無権利の状態で、しかも経済の復興開発をするのにも力がない、そういう状況の中でそういう結果が出ておる。借り入れ金というようなものにたよらざるを得なかったというようなことになってきておる。こういうものに対して特別な国の施策によってこの琉球政府の負っておった借り入れ金というようなものは、これを全額国で負担をするというようなことはできないものかどうか。これは自治大臣を含め、大蔵大臣から答弁をいただきたいと思いますし、また最後に、総理にもこの点についてのお考えを聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/370
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371・山中貞則
○山中国務大臣 琉球政府は、今日まで国政相当事務、本来国の行なうべき行財政を担当してもらったわけであります。他面において、交付税として本来各府県が受けるべき交付税らしきものも、四十六年度若干頭を出しましたが、正式の計算とはほど遠いものであったし、受けていない。さらにまた、本土各県ならば中央に起債市場を公的なものを持っておるわけですけれども、それとてもありませんから、したがって、琉球の狭い市場の中で、あるときは民間金融機関、五年償還の短期の高利のものを借りて行政運用に充てたり、公共投資の財源に充てたり、あるいはまた、タコが足を食うように財政投融資から借り入れをしたり、非常に惨たんたる苦労をしておるわけであります。したがって、新生沖繩県がスタートをいたしますときに、これを身軽にしてあげなければなりません。昨年、本土政府のほうの起債の中に初めて取り入れました若干の部分がありますが、これらは本土各県と同じでありますから、これらの分を除いて約六千五百万ドル余り、ただいま日本円で言われました相当ぐらいの金額だろうと思いますが、こういうものを、さらにまた中身のしさいな分析が必要でありますが、原則としては国がたな上げをする、そしてその償還については、国のほうで、琉球政府、復帰後の沖繩県の負担にならないように償還をしていくということの仕組みをとろうと思っております。したがって、来年度の予算にはその四十七年度に該当する償還額として三十三億円の予算を要求をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/371
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372・渡海元三郎
○渡海国務大臣 琉球政府の一九七二年度におけるところの借り入れ金の残高は、いま御指摘のとおり、二百三十億ないし四十億ということでございますが、私たちが昭和四十七年度で琉球が県として祖国に復帰いたしましたときの措置といたしましては、いま総務長官が答えられましたとおり、国が要求をしていただき、引き継いでいただけるものと考えておりますが、ただ一九七二年度で予定しておりますところの復帰対策費のうち、財政投融資分として琉球政府債としての借り入れ金、また勧奨退職債の分だけの五百万ドルだけは県が処置するものといたしまして、私たちの要求いたしておりますところの沖繩臨時特別会計の中の四十七年度分の元利償還分を積算基礎の中に入れまして要求しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/372
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373・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣、いま総務長官が御答弁をされたわけでありますが、そういう方針で予算要求をされておる、そういうことに対して、大蔵省としてはこれを受け入れて、原則として琉球政府の借り入れ金約六千五百万ドル、二百三、四十億というものは、大部分といいますか、もうほとんど九〇%以上国が肩がわりをする、こういう方針と理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/373
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374・水田三喜男
○水田国務大臣 今度の沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律におきまして、この債務は国と沖繩県が継承するということになります。したがって、予算編成の過程におきまして関係省と十分相談いたしまして、この点は善処したいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/374
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375・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 総理大臣にお伺いします。
いま関係大臣から御答弁があったわけでありますが、大蔵省では、いま大臣の答弁がありましたけれども、いわゆる琉球政府が借り入れ金という形で持っておった債務ですね、これを国と新生沖繩県が負担するんだということで、半々ぐらいに負担するんだというような考えがどうやらありそうだ。特に先ほど私わざわざそれで数字を大体二百四十億ぐらいと、それを事業費相当分——事業費に投資をした分は大体百二十億、やはり半分だ。そうしますと、その分ぐらいは、いままでの本土の県でもこれは起債なり何なりでやっているんだから、そのくらいのものは残してもいいじゃないか、沖繩県に持たしていいじゃないかという気持ちが強いようであるということを私ども伺っておるわけなんですが、その問題を含めて、これはやはりまさに身軽な新生沖繩県にふさわしい、借り入れ金のない新しいりっぱな沖繩県づくりができるような基礎を築いてあげる、こういう立場で、国の負担というもの、この債務の負担というものをほぼ全面的にやっていただくように、総理として——これはしばしば総理も沖繩県をあたたかく迎えるということは繰り返し言われているわけですが、こういうことぐらいやれないでは、あたたかく迎えるということばは、これはやはり解せないわけだし、うそつきだと思われてもしかたがないだろうと思うのです。そういう点から、総理の大所高所からの御所見を伺って、この問題を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/375
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376・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 もうすでにこの問題については広瀬君からなかなか追及鋭いものがあるから、三大臣がそれぞれお話をいたしました。ただいまは予算編成の途上にもありますし、私は、大蔵大臣は大蔵大臣なりに話をしている、また要求大臣は、できるだけそれを貫徹したい、こういう気持ちで話をしておられる、いずれにも軍配なかなかあげかねておるのが私の立場でありまして、こういう点をも十分伺いまして、その上、広瀬君御自身の意見をまじえてのお尋ねでもありますから、それらの点をも勘案しながら、十分沖繩の発足にあたって将来の見通しが明るいように、私も十分くふうしてみたい、かように思います。この機会に、どうすると、ずばりと言えないことだけまことに残念でございますが、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/376
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377・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 総理の善処を、私の意見も取り入れてということもございましたから、そのように結果が出るようにこれは期待をし、また総理にげたをお預けして、この質問を終わりたいと思います。
次に、税制関係に移りたいと思います、時間がございませんので。
国民所得に対する税負担率を見てみますと、本土の場合には一八・六%、一七・九%、一八・三%、一八・八%、一九・七%、一八・七%、大体その辺のところをずっと推移しているわけですが、これに対応する琉球では、琉球政府税及び市町村税合わせましての負担率、本土の場合も府県税等地方税を合わしたものでありますが、一三・六%あるいは一二・五%、一二・一%、こういうようなかなりの税負担の差があるわけでありますが、このように税負担に差があるということは一体どういうところから来ておるのか、まずこの点について大蔵大臣と自治大臣に所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/377
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378・水田三喜男
○水田国務大臣 いま一八%というようなことを言われておりましたが、これは東京とか大阪とか非常に所得の高いところが入った平均の数値でございますが、沖繩県に大体類似しておる県といわれております幾つかの県を見ますと、たとえば沖繩が負担率が一三%、宮崎県が一四%、佐賀県がやはり一四%台、島根県が一五%、鳥取県も一五%、鹿児島県も一四%というふうに、全国の各地方団体を見ますと、一人当たりの県民所得が少ないという県は、やはり負担率が非常に全国平均より低くなっておるということでございますので、したがって、沖繩の税負担率が低いということは、結局所得が低いということが一番大きい原因だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/378
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379・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 類似県との比較をしてみれば一、二%の開きだ、あるいは三%ぐらいの開きだということになるわけでありますが、本土に復帰をするというようなことになりますれば、この租税負担率というようなものもやがては同一に、類似規模の県並みぐらいには当然ならなければならないだろう、このように考えるわけです。
二番目に、沖繩の徴税費と徴収率、本土では収納歩合といっておりますが、政府税の場合に一体徴税費と徴収率はどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/379
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380・中橋敬次郎
○中橋政府委員 沖繩におきますところの徴税費でございますけれども、これもいろいろ正確な数字ではございませんが、最近年度におきますと、百円当たり三円九十二銭程度になっております。それに対応いたしまして、本土におきますところの国税の徴税費でございますが、百円当たり一円四十六銭程度になっております。あるいはまた、地方税をながめてみますと、三円九十二銭程度になっております。大体、税目についていろいろ徴税費のかかり方が違うものでございますから、税制の違うところでは若干こういった差異が出ざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/380
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381・渡海元三郎
○渡海国務大臣 国税並びにいまのは府県税としての琉球政府税の比較であったと思いますが、市町村税でながめますと、沖繩におきましては徴税費が一三・七%、本土においては大体市町村税の徴税費が五・四%。また徴収率は、本土におきましては市町村税は九六・五%になっておりますが、沖繩におきましては八二・四%というふうに、徴税費は高く、徴収率は低いという姿が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/381
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382・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 特に徴税費もかなり差があります。沖繩のほうがかなり高い数値を示しております。特に市町村税のごときは一三・七%、百円の徴収に対して十三円七十銭もかかっておる、こういうことでありますが、いま自治大臣から御答弁がありましたように、本土の府県の場合には二円六十五銭、市町村の場合でも五円三十五銭、この五円三十五銭と十三円七十銭、これを比較しますと、倍以上の差があるわけです。しかも一方において、徴収率、収納歩合、こういうようなものがかなりの差があります。本土の場合は、国税をとってみましても大体九六%ぐらいの徴収率、収納歩合になっている。沖繩の市町村の場合は八二・四%にしかなっていない。こういう差が一体どういうところから出たのか。このことは、今後の税制を考える上において非常に重要な問題点であろう。なぜこういうように徴収率が低いのか。私はいまこのことによって徴税強化をやれというようなことを要求しておるのではないのであります。このような実態が出ている背景というものは一体何なのだ、そういうところに本土側で十分施策を弾力的に、また、きめこまかくやっていかなければならない。また、振興開発というような問題も、そういうところに焦点を合わせてやっていかなければならないし、もちろん、そういう中に沖繩の心という問題がやはり浮き彫りにされておるのではないか。異民族支配である、こういうものに対する納税を義務として納めるのだという点については、やはり本土国民との間に差があるのではないか、また、あってしかるべき条件下に置かれてきたのだ、そういう気持ちから質問をしているわけでありますが、こういうものについて、今後これを本土並みにしていくための施策というものについてどういうお考えをお持ちなのか。この点お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/382
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383・渡海元三郎
○渡海国務大臣 どのような原因で徴税費が高いのかという問題、これはなかなかむずかしい問題でございますが、本土におきましても、国税に比べ県税、県税に比べて市町村税の徴税費が高い、こういう問題は、課税単位がそれだけ少ない、また地域が狭いというふうな問題で起きておるのじゃないか、このように考えております。その本土の市町村に比べて沖繩はさらに高いのじゃないかということでございますが、あるいは地域が狭い、なお本土以上にそういった条件があるということと、また経済水準が低いというふうなこと、特に申告納税制度の徹底といったような制度の完備が行なわれていないところに起こっておるのじゃないかと思います。いずれにいたしましても、広瀬委員御指摘のように、そのよって来たるところの原因を、実情をよく把握いたしまして、本土に一日も早く近づくような、徴税能力が上がるように指導してまいりたい、このように考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/383
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384・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 いま自治大臣からせっかくの細答弁がありましたが、私はそういう点もあるだろうと思いますが、ただそれだけではない。沖繩の税制が、特に地方税の場合に低所得層にまで及んでいるという問題、これが非常にあるのじゃないかと思うわけであります。所得税、住民税の負担というようなものについて階層別に若干見てみまして、今度復帰をしまして、まず年収二千ドル以下というようなところは、復帰によって税が高くなるということがいわれておるわけでありますが、中堅層ではやや低くなることになり、また二千五百ドルをこえる階層あたりからでは高くなっていく。本土とかなり違う面があるわけでありますが、この沖繩の低所得のところまで及んでいるというような問題などもあっただろうと思うわけでありますから、そういう点、今後の税制を本土並み税制にしていく上において十分注意をしていただきたいと思うわけであります。
次に、個別の問題で二、三御質問をいたしたいと思いますが、国税相当琉球政府税、それから県税相当の琉球政府税、この還付について、本土との間に国税通則法または地方税法の規定を適用するように定められておるわけでありますが、沖繩法令による還付加算額というものが一日当たり〇・〇四、年率で一四・六%、本土ではちょうどその半分の〇・〇二%、年率七・三%、こういうことになっておるわけであります。この還付の際に、住民税の場合に、前年所得に対して課税するたてまえがとられておるわけでありまして、四十七年度の税額は沖繩法令によって行なわれるわけですが、その際、沖繩所得税に相続税、贈与税が一時所得というような形で含まれていく、そういうことで、地方税を道府県民税、市町村民税の課税標準をきめる際に、これをやはり除外をして課税標準をきめていく、こういうようなことを当然考えるべきであろう、こういうように思うわけでありますが、この点は屋良主席の建議書にもその旨出ておるわけでありますが、これに対する経過措置を十分考えていただきたいと思うし、先ほど申し上げました還付の場合も本土並みということでやられると、その加算金が少ないということで還付を受ける人が損害を受けるということと、あわせてこの二つの問題について御所見を伺いたいと思います。経過措置を特別にやるべきである……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/384
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385・渡海元三郎
○渡海国務大臣 四十七年度の住民税の基本となる所得の額についてでございますが、沖繩法令によりますと、相続税等が入っておることは事実でございます。この分は、広瀬委員御指摘のとおり、四十七年度におきましては排除して計算さしていただくように特例措置できめさしていただきたいと考えております。
なお、還付の件でございますが、復帰の日までに還付の事実が発生しておりますものにつきましては、沖繩の還付率によりまして還付さしていただきたい。しかし、復帰以後は、これはむしろ国税とあわせての問題になろうと思いますが、私に対するお尋ねでございましたから、これは延滞利子等との関係もございますので、やはり本土の法令に従って措置さしていただきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/385
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386・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 こまかい問題はかなりまだあるのですが、税制における最後の問題として、自動車重量税の適用の問題ですが、これは十二月一日から本土では施行され、現在徴収されておるわけであります。これを特別措置法によって一年間延期をする、来年の十二月一日からにする、こういうことになっておるわけですが、ここに非常に大きい問題がやはり私はあるだろうと思うのです。道路の整備状況などについても、これは一々数字をあげませんが、舗装率においても改良率においても、軍道路だけはすばらしいものではあるが、いわゆる都道府県道だとか市町村道というものは非常にそういう面で大きな格差がある。こういう中で、この問題についても、自動車重量税の徴収というものは、ある程度この格差を、少なくとも日本の類似県並みぐらいに追いついたあたりのところで適用をしていくぐらいの配慮があってしかるべきではないか。そのためには三年なり五年なりぐらいはたな上げしてもいいのじゃないか。これは非常に問題があって、前国会においてようやく国会を通過した自動車重量税でありますから、このくらいの配慮があってしかるべきではないのか。したがって、来年から実施ということを、少なくとも三年くらいは実施を延期していく、この程度の配慮をすべきではなかったかと思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/386
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387・中橋敬次郎
○中橋政府委員 仰せのように、自動車重量税はことしの十二月から本土においても施行になったわけでございます。それで、沖繩についていつから施行するかということは従来も検討いたしました。その際に考えましたことは、広瀬委員御指摘のとおり、やはり沖繩につきまして道路整備が緊急に必要であるということに着目したわけでございます。自動車重量税を納付していただく、あるいはその四分の一が地方団体に交付されるということによりまして、むしろ沖繩におきますところの道路整備を促進したいという気持ちから、この際応分の負担をしていただいてその方向に持ってまいりたいというふうにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/387
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388・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 これはここで論戦をしておってもなかなかいい返事をしないだろうと思いますので、もう時間がありませんので、最後に、専売公社の総裁もお見えになっておりますので、たばこの関係について若干質問をして、終わりたいと思うのです。
この特別措置法には、たばこの問題について、現在琉球たばこ、オリエンタルたばこ、沖繩たばこ三社あって、大体十四億本の生産をやっておるわけですが、これについて、廃業する場合には交付金を出すと、こういうことになっているだけで、中身がきわめてあいまいなんですが、専売公社に移行した後において、専売法に基づく工場を沖繩に設置をするということは大体方針がきまったようでありますが、それに間違いないかどうか。そこに吸収される人数は一体幾らなのか。さらに、専売法を実施するための機関をどういうものを置いて、どのくらいの人員の規模でやっていくか。また、廃業をする現在三社で六百十五人、最近幾らか減って六百一人ともいわれておりますが、いずれにしても、その人たちを全部吸収するわけにはいかない。そういう場合のこの従業員についての取り扱いは、私の意見としては、少なくとも、本土において、塩業整備のために塩業会社がイオン交換樹脂膜製塩法に移る際にこれを整備をする、こういうところで実施をしたようなあれとほぼ同じような従業員対策、こういうようなものを考えてもらいたいと思うわけでありますが、それらの点について、総裁と大蔵大臣両方からお答えをいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/388
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389・北島武雄
○北島説明員 お答え申し上げます。
御案内のとおり、ただいま沖繩には製造たばこの会社が三社ございますが、この三社とも、復帰の時点までに廃業したい、何ぶんの助成金が得られるならば廃業したい、こう申し出ておりますので、それに従いまして今回の法案ができているわけでございますが、この廃業にあたりましては、ただいま大蔵省に要求しております業者に対する交付金の中には、業者のただいま雇っておりまする使用人の方々がおやめになる場合の退職手当の積み増しの分がまた入ってございます。この基準は、各会社が退職手当を出しますほか、塩業整備におきまして公社として目下実施いたしておりますように、国家公務員の整理退職の場合の基準にプラス六カ月分の給与を加算する、こういった内容でただいま大蔵省に要求いたしております。
今後の製造工場の問題といたしましては、製造工場からいままでの三社が新しくつくる企業に行きたいという方もございましょうし、そういう方方に対しましては、ただいまのような退職手当の優遇の措置を講じますが、なお専売公社で働きたいという方に対しましては、まず第一に地元の機関を私ども予定をいたしておりますが、これはただいま人数がどのくらいになりますか、はっきり推算いたしておりませんが、昔は数十人おったようであります。その後、現在仕事がふえておりますから、それよりも多少多いのではないか、こう思いますが、それと、製造工場といたしましては、大体百五十人程度の製造工場を現在のところ予定いたしております。それからなお、本土に就職を希望したいという方に対しましては、できるだけ本土でお迎えする、こういった考えでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/389
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390・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 総裁、いま私の質問に対していろいろお答えがあったわけですけれども、特に生産の面をちょっと聞かなかったものですから、この葉たばこ生産の問題についての基本的な考え方をこの際はっきりさせておいていただきたいと思うのです。現地の耕作者が非常に不安になっておりますので、そのことを伺って、また、監理官から何か発言があるようでありますから、監理官の答弁をいただいて、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/390
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391・北島武雄
○北島説明員 当面の措置といたしましては、四十七年産葉はもうすでに廃止いたしておりますので、この分につきましては、本年と同様、契約栽培という方向でやるつもりでございます。大体面積も本年どおり四百ヘクタール程度という予定でございまして、沖繩の葉たばこにつきましては、多少のくせもございますし、調理も不十分ではございますが、私どもといたしましてもできるだけこれを育成してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/391
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392・福間威
○福間政府委員 先ほど御質問のありましたたばこ製造三社の従業員対策につきましては、大蔵省といたしましてもできるだけの努力を払いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/392
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393・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 時間がだいぶ過ぎたようですから、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/393
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394・床次徳二
○床次委員長 次に、法務大臣の都合がありますので、松尾正吉君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/394
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395・松尾正吉
○松尾(正)委員 沖繩復帰を前にしまして、いろいろ問題点がございます。私は、まことにじみな点でありますけれども、復帰にあたっての非常に大事な点、すなわち、沖繩の企業のすみやかな育成振興という面と、それから国民生活の基礎ともいえる住宅の問題、二点にしぼって伺いたいと思います。
まず最初に山中総務長官に伺いたいのですが、沖繩の振興開発に欠かすことのできない一つとして、沖繩の中小、特に零細企業、これらの育成、合理化ということがあげられると思う。ところが、実情は、御承知のとおりに、非常に規模が小さい、資本力がない、金利の負担力がない、これらのむずかしい問題があげられておるわけです。復帰にあたっての建議書の中にも、特にこの育成のために、沖繩企業振興のための特段の育成措置をとってもらいたい、こういうことが述べられておりますけれども、これはもうきわめてもっともな要望であろう、こういうふうに考えます。
そこで、この育成のために、いわゆる政策金融の強化、これは当然でありますし、それから民間金融対策によって資本力を強化してあげるという点等が非常に重要であると思うのですけれども、政府は、これらの企業の早期育成という問題に対して、政策金融面、これでは公庫法等があげられておりますが、さらに民間金融活用面で、特に金利という面でどういうふうに取り組んでいこうとするのか、まず最初に長官から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/395
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396・山中貞則
○山中国務大臣 民間金融機関の金利の問題は大蔵省から答弁をしてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/396
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397・松尾正吉
○松尾(正)委員 あなたの考え方でいいんですよ、民間金融についての考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/397
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398・山中貞則
○山中国務大臣 一応大蔵省から答弁してもらってから申し上げます。
そこで、政策金融としては、中小企業資金を開発金融公庫から出しますが、その場合において、本土の標準金利が八分二厘でありますものを、沖繩では七分三厘に下げ、特利のものとしては、本土では七分七厘と七分五厘のものがございますが、それを七分に沖繩では下げる。なお、貸し付け期間、それから沖繩では現在貸し付け限度が二千八百八十万円の邦貨換算の限度でありますが、本土に帰りますと、中小企業であっても、五千万円のものないし一億ないし五億のもの、そういうワクも拡大をいたしますので、金融面からは手当てができると存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/398
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399・近藤道生
○近藤政府委員 沖繩の金利が本土に比べまして割り高でございますので、これらにつきましては、ただいま沖繩の金融検査庁におきまして、極力この金利の低下をはかるよう指導をいたしておるようでございますが、今後、本土の機関に比して規模が小さい点、あるいは経営効率の悪い点、そういうような点の強化につきまして引き続き指導が行なわれ、あるいは、復帰後は本土の金融行政の一環としてそのような指導が行なわれてまいるということが最も必要であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/399
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400・松尾正吉
○松尾(正)委員 いまそれぞれ答弁をいただいたのですが、具体的に長官に伺いますと、今度の予算要求においては、いわゆる本土の開銀あるいは金融公庫法等に基づくよりも、むしろ沖繩のいままでの政策金融に基づいたいわゆる金利の安いほうをとって、これによって手を打っていきたい、こういうことですね。
そうしますと、具体的に伺いますが、まず産業開発資金の関係では、沖繩では運搬船に対する特会法ですか、これによると非常に低利で行なわれておる。現在わが国の開銀の基準金利八・二%をさらに大幅に引き下げてというのですけれども、産業開発の場合に最低は何%、それから最高でどういうものについては何%という、具体的なものはまだございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/400
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401・山中貞則
○山中国務大臣 産業開発資金としては、現在運搬船特会が五%であることはお話しのとおりでありますので、本土でそれに対応するものとして見るとすれば六・五%でありますけれども、それは沖繩の現行金利を採用して五%にしておる次第であります。
なお、貸し付け期間等は、これは沖繩では二年据え置きの十年から十五年というものになっておりますが、今回の公庫法では、なお、その二年のものもありますけれども、本土の有利な五年も採用いたしまして、二年ないし五年、償還は十年ないし二十五年ということで、融資比率についても、沖繩では一律七〇%でございますが、本土のほうでは三〇%から五〇%となっておりますものを、沖繩の実情に即した融資ができるように、本土の五〇%のものも残しますが、五〇%、七〇%ないし八〇%のものも設定するようにいたしておる次第でございます。
最高の金利は七・五%となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/401
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402・松尾正吉
○松尾(正)委員 どういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/402
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403・山中貞則
○山中国務大臣 沖繩に新しく立地いたします企業、たとえばアルミ等が——一般設備資金として七・五%で、先ほどアルミのことをちょっと申しましたが、アルミは五%ということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/403
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404・松尾正吉
○松尾(正)委員 もう一点、中小企業関係で確認しておきたいのですが、中小企業の基準金利、それから特利、これは何%にして、どういうものに特利を生かすか、こういう点についてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/404
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405・山中貞則
○山中国務大臣 事務当局から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/405
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406・岡田純夫
○岡田(純)政府委員 特別貸し付けの代表的なものといたしまして、近代化促進貸し付けでまいりますと七分でございます。十カ年。それから近促法の特定業種になりますと、六分五厘で十カ年ということになっております。代表的なものを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/406
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407・松尾正吉
○松尾(正)委員 中小企業の関係は、冒頭に申し上げましたように、非常に資金力、それから担保力等が弱いために、今後の沖繩の開発にとっては重要な課題になってくると思う。特に、この点については金利面が非常に重要な問題になると思いますので、いま時間の関係でその他は省きますけれども、これらは極力低金利で、しかも長期に、沖繩がすみやかな企業の合理化が得られるように、こういう方向で進めていただきたいということを特にここで要望しておくわけであります。
それから、銀行局長から、民間金融についての金利の問題がございました。私が承知しているところでは、民間金融については、四十五年の下半期の貸し出し金利が、平均して沖繩の場合には八・四九%、それから本土の場合には地方銀行の平均が七・九一%、こういうふうになっておりますが、最近の状況もこれと同じでありますのかどうかという点と、それから、これについては極力指導をして本土並みにしていきたいという要旨の答弁がありましたが、むしろ私は、希望的なものでなくして、現在すみやかな復興には、当然補助金も必要ですけれども、自力で何とか立っていこうという、民間金融機関を活用する、この金利については、むしろ本土よりも低いあり方——確かに銀行局長がさっき述べられましたように、向こうの金融機関の資金力等が非常に小さいという点はわかります。けれども、向こうの銀行の規模が小さいから金利が高くてやむを得ないのだというのでなくして、これは何らかの方法を講じて、とにかく低金利で沖繩の企業のすみやかな振興をはかる、こういう意味で、もう一度お答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/407
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408・近藤道生
○近藤政府委員 数字につきましては、ただいま松尾委員のお述べになりました数字が一番新しい数字でございます。そのとおりでございます。
それから、今後の方針につきましては、まず規模の小さいという点につきましては、沖繩の金融機関の間で自発的に合併の機運なども一部にございまして、すでにその実現を見たものもございます。それから、金融検査庁におきましても、体質の強化のための具体的な手段等につきまして、私どもにもときおり相談もございまして、具体的な体質強化のための諸手段を講じておるようでございます。なお、本土と沖繩との金融市場が一体化しました場合に、本土の金利水準の影響がかなり強く出てまいるかと思いますので、それらのことをまち、また、現在の努力が一そう強く続けられますことによりまして、一段と沖繩の金利水準が下がるということを期待いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/408
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409・松尾正吉
○松尾(正)委員 いま山中総務長官、それから銀行局長から、民間金融並びに政策金融についての答弁をいただいたのですが、大蔵大臣、要求があった場合に、いま長官の答弁のとおりの金利については大蔵省では何のくちばしもはさまない、それから民間金融については極力努力をするということでありますけれども、大蔵大臣として、いまの民間金融金利については、すみやかに本土並みないし本土以下に引き下げていくという考えを持っておられると思うのですけれども、大臣からこの二点についてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/409
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410・水田三喜男
○水田国務大臣 金利の引き下げは、相当強力な行政指導が伴わなければできないと思いますので、極力その面で引き下げを促進するよりほかにしかたがないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/410
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411・松尾正吉
○松尾(正)委員 総務長官から出たものについては——政策金融については、もう要求どおり通すかどうかという点についての大臣の考え方を伺ったのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/411
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412・水田三喜男
○水田国務大臣 これは十分相談いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/412
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413・松尾正吉
○松尾(正)委員 これは総理大臣にもお答えいただきたいと思ったのですけれども、総務長官の答弁だけ聞きますと、あのままの低金利で政策金融がそのまま行なわれる、こういう感じに受けられる。ところが、大蔵大臣は、先ほど広瀬委員に対する答弁を聞いておったのですけれども、どうも沖繩には冷たいなという感じしか受けられない答弁。これは、予算要求があって、すでに沖繩で、沖繩の政策金融で本土よりも大体一%程度安く金融を行なっているわけでありますから、いま円高で頭が痛い、財政が非常に来年度苦しいというのはよくわかりますけれども、しかし、円高で頭を痛めている大蔵大臣が、わずか沖繩の中小企業等の開発のための政策金融です、これに対する金利を、総務長官はこうやってもう実現したいのだと言っているのに、相談しなければできないような、そんなことで、ほんとうに沖繩の企業をすみやかに育成したい、こういう考え方があるのかどうか、いまの答弁じゃ疑わざるを得ないのですけれども、はっきりひとつ、そのくらいのものは認めるんだというお答えをちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/413
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414・水田三喜男
○水田国務大臣 沖繩の問題につきましては、そういう金融の要求についても、あるいは他の予算の問題についても、いま関係省の説明を聞いて、全般的にこの問題の検討をやっている最中でございますので、この予算編成の過程において十分関係省の意見を聞きながら私どもは措置をとりたいといま思っておりますが、まだ結論が出ておりませんので、いま申し上げなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/414
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415・松尾正吉
○松尾(正)委員 私は、この沖繩返還にあたって連合審査が行なわれるということについての意義がいまのようなところにあると思うのです。総務長官は、とにかく沖繩返還にあたっては、国民のために、それから企業の振興、育成等にはこうありたいと述べているのに、大蔵大臣としては、各省と相談しなければできないというようなことでば、非常にこれは——総理大臣はさっき、閣内はもう統一しているんだと言うのですけれども、隣におるのですから——そして、いま聞いたのは、中小企業の金利と、それから産業開発の金利と、二つしか聞いていない。隣で耳打ちすればできるのじゃないですか。もう一回答弁してください。
非常に政府の熱意はわかるのですよ。それで、建議書の中にもうたっております。とにかく、沖繩復帰にあたっては、百万県民の心である、こうしてつづられたあの建議書、これは大蔵大臣もごらんになったと思う。「県民の中にある不満、不安、疑惑、意見、要求」これらにどうか十分に謙虚に耳を傾けて、これをくみ取ってもらいたい——ごらんになったと思うのです。いま、核の問題も基地の問題も、これは重要な問題です。これはおろそかにできない問題であります。しかし、私は、沖繩県民一人一人あるいは零細中小企業一人一人にすれば、今後復帰になったときに、一番大きくドルのショックを受けて、そして何とか二十数年のあの苦難に耐えてきた、ここで復帰して何とか応援してもらって一刻も早く立ち上がりたい、こう願っているこの沖繩県民の心になったならば、わずかな政策金融——ごく一部だと思います。これに対して、山中総務長官は、要求をして、はっきりいまこの場で、これだけの低金利はもう政府としてはやるんだ、こう言っている。それに対して、財政を担当する大蔵大臣が、なおかつ相談しなければできないなんということでは、これは連合審査という意義からいっても、私は納得できませんし、これで大蔵大臣がだめだったら、最後に、にこにこしておりますけれども、総理大臣に腹を伺いたいと思いますが、大蔵大臣どうですか。総理大臣にかわって答えてもらいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/415
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416・水田三喜男
○水田国務大臣 いや、私はやらないと言っているわけじゃございませんで、いま沖繩については全般的な予算の査定をやっておるときでございますので、それは一つの問題でございますが、いま済んでいるところを見ますと、隣におる総務長官の言うことは聞き過ぎるくらい聞き過ぎて、いま査定が進んでおるときでございますので、したがって、この金融の問題につきましても、すでに、本土公庫の条件や従来の沖繩における政策金融機関の融資条件を参考にしながら適切なものにするというような、政府のこの復帰についての決定もございますので、むろんこの線に沿った措置はとりたいと思いますが、何ぶん沖繩の問題は項目がたくさんでございますので、これからこの問題には私ども取りかかる、関係省の説明もこれから一つ一つ聞くという段階でございますので、この線に沿って善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/416
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417・松尾正吉
○松尾(正)委員 まあこの線に沿って進めたいということでありますから、あと同僚議員が詰めることにします。
それから一つ、沖繩の民間金融の問題でおろそかにできない、模合という、本土でいいますと頼母子講の問題があります。これの実態が、私はどこへ聞いてもまだつかめないのですが、私どもで視察をしてきた報告によりますと、これが非常に広範に行なわれている。したがって、いま経済変動期でありますし、もし一たび何かあった場合に、これがパンクしたときには、一番影響を受けるのはいわゆる庶民、身近な金融をたよりにしておった庶民が影響を受けるわけでありますが、これについては、もちろん届け出その他の義務等もありません、自由金融ですから。したがって、このまま置いて何かあったときに庶民が被害を受けないような措置をとるために、何らかの指導なり規制なり方法を考えていないかどうか。これは、大蔵大臣ではあまりいい答弁がありませんから、山中総務長官……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/417
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418・山中貞則
○山中国務大臣 沖繩のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/418
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419・松尾正吉
○松尾(正)委員 ええ、沖繩の模合です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/419
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420・山中貞則
○山中国務大臣 本土のほうでは、何もこれは規制いたしておりません。しかし、相互銀行法とか、そういうものに触れるような行為は禁止をしているわけでありますが、沖繩においては、一定の制限のもとに、一九五五年、これを届け出なければならないというような規制を一応いたしておりますが、そのことが示しますように、沖繩における模合というのは若干特色がございます。本土の頼母子みたいなやり方をすることは、これは同じでありますけれども、その規模とか、あるいは生活費、家屋建築費あるいは学資、そういうところまではいいんですが、事業資金等もそれらから調達している分野が、沖繩においては、ことに中小零細企業等には多いようであります。
そういうのを見ますと、沖繩は、ある意味においていいことでありますが、門中制度という非常に血族血縁関係の縦の系列がはっきりしておるところでもありますし、それだけの助け合い運動みたいなものが行なわれておることが、たとえば軍労務者等が退職をして、退職手当ももちろん支給しますが、再就職のあっせんをしようと思っても、なかなか来ない。ところが、どういうわけだろうと思って調べてみると、この助け合い運動の模合のほうで何とかやっているというような例もありました。そこで、この沖繩における……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/420
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421・松尾正吉
○松尾(正)委員 簡単にやってください。もう時間がなくなってしまう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/421
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422・山中貞則
○山中国務大臣 沖繩には特殊な事情がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/422
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423・松尾正吉
○松尾(正)委員 何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/423
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424・山中貞則
○山中国務大臣 沖繩の模合は、本土の頼母子と同じ仕組みでありますが、特殊なものとして見なければならない特徴を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/424
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425・松尾正吉
○松尾(正)委員 ですから、これによる被害を防止する予防措置として、今後復帰を前にして、復帰と同時にでもけっこうですが、予防措置のための行政指導なり規制の必要はないのかということを聞いたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/425
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426・山中貞則
○山中国務大臣 これは一九五五年の政府法によって一応の規制はされておりますが、本土法では規制をいたしておりません。やはり模合的なものというのは、お互いが信頼し合った仲間同士が確認をし合ってかけたり落としたりするわけですから、それを落としてとんずらをきめ込むなんというのは初めから入れないはずでありますので、それを復帰前に本土政府が干渉じみた規制というのはむずかしかろう。琉球政府の現在の規制のもとでも、そう極端な被害があったというようなことは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/426
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427・松尾正吉
○松尾(正)委員 この問題はこれでやめますが、届け出は規制はありますけれども、いままで三件しか届け出がない。何かあったときに非常に大きな影響が、個人でなく企業その他にまで影響するわけですむそれをおもんぱかっておるのですが、いまのところは規制の意思はない、こういうことで、様子を見ていっていただきたいのですけれども、これは単に措置がないのだということだけでなしに、十分ひとつ留意して見てもらいたいと要望しておきます。
それから、もう時間がなくなってしまいまして、最後に、県民生活の一番基礎になります住宅問題ですね、この住宅問題について少し詰めたいと思ったのですけれども、沖繩では、現在、三カ年計画で住宅建設を考えております。ところが、本土に第二期五カ年計画、この住宅建設計画が立てられておるわけでありますけれども、当然、この三カ年計画による分は、復帰と同時に本土の建設五カ年計画に包含してこれが改定さるべきである、こういうふうに思うのですが、建設大臣、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/427
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428・西村英一
○西村国務大臣 沖繩におきましても非常に住宅難でございます。御参考のために申しますと、四十五年の国勢調査で住宅難の調査をいたしました。全国平均よりもたいへん悪いのであります。現状はどうであったかといいますと、三カ年をとりますと、いままで公営住宅は平均して四百戸、それから公庫の金融でやるのが年に千九百、まあ合計して、公的で二千三百ぐらいしかやっていないわけであります。したがいまして、四十七年度から初めてやるわけでございまするが、四十七年度は、私のほうでは、まあ最後まで詰めていませんが、公営が千戸、金融でもって五千五百戸ぐらいやりたいと思っております。
御案内のように、向こうでは三カ年計画、こちらは第二次五カ年計画でございますが、来年からやると、五カ年計画のあと四カ年でございます。したがいまして、この四カ年の間に幾ばくの公営及び金融及び民間を期待するかということで、その数字を第二次の五カ年計画に——あと四年でございますから、四年の間に組み入れて、そうして閣議の決定に持っていきたい、かように私はいま考えておるところでございます。さしあたりは、来年の要求はいまいたしておりますけれども、四カ年の計画は、まだこれから大蔵省と詰めるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/428
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429・松尾正吉
○松尾(正)委員 そうすると、この本土計画を改定するというのでなしに、その中へ組み入れるということは、包含してやりたいという意味でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/429
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430・西村英一
○西村国務大臣 本土計画を改定するということになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/430
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431・床次徳二
○床次委員長 松尾君に申し上げますが、関連質問の申し出がありますから、時間を考慮してひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/431
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432・松尾正吉
○松尾(正)委員 改定するという方針のようでありますけれども、そうすると、住宅公団の場合に、公団法第一条による大都市云々ということになっておりますけれども、那覇はこの公団法によって対象に加えるのかどうか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/432
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433・西村英一
○西村国務大臣 まあ公団、公営、金融と、こういうふうに分かれておりますが、公団は考えておりません。公営と金融でいきたい、かようにいま考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/433
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434・松尾正吉
○松尾(正)委員 そうしますと、背景については大臣から答弁されたように、沖繩の住宅についてはほとんど問題にならないような面が相当多いわけです。いわゆる環境を悪化しているような状態が、すでに住宅の三カ年計画にも指摘されている。こういった状態で、おそらく市町村単位の開発というのは困難でありますから、したがって、不良住宅街の発生等の環境悪化を防止していわゆる新しい都市をつくっていくためには、どうしても住宅地区改良法ないし都市再開発法等の活用が必要であろうと思う。沖繩には現在これらの法律はありませんけれども、沖繩の住宅計画を本土法に合併した場合に、この住宅地区改良法、都市再開発法の適用についてはどういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/434
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435・多治見高雄
○多治見政府委員 御指摘の二法につきましては、復帰後できるだけ適用の方向に持っていきたいということで検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/435
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436・松尾正吉
○松尾(正)委員 それでは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/436
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437・床次徳二
○床次委員長 岡本富夫君から関連質疑の申し出があります。この際、これを許します。岡本富夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/437
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438・岡本富夫
○岡本委員 昨日、大蔵大臣が、沖繩問題より大事なところがあるということで出席がなかった。そのために、委員長にお許しを得まして、きょうは関連の質問を、大蔵委員の立場からさせていただきます。
そこで、沖繩開発公庫、この構想については、商工中金を除いた政府三機関あるいはその他あらゆる金融機関を吸収し、統合しておる。なお、沖繩開発金融公社あるいは大衆金融公庫を合併したものでありますから、そこで考えられますことは、力の弱い中小企業者、この人たちが特に金融を受けるときに、手続について、あるいはいろいろなものについて非常になれていないのではないか。したがって、先ほど話がありましたように、金融の一番便法として模合なんかがはやっているわけですが、そこで親切に窓口で教えてあげる、そして手続についても親切に指導する、こういうようでなければならぬと私は思うのです。たとえば方言ぐらい覚えておる。チャービラという、こういうくらいは覚えておかなければいかぬのですね。チャービラというのは、ごめんくださいということですが、こういうことぐらい覚えておって、そして親切に応待ができるようにしなければならぬ。これが一点。
それからもう一点は、われわれがいままで国内においても中小企業向けの年末融資あるいは予算をやかましくいって大蔵から出してもらうのですけれども、結局これがあと実行金額になりますと、非常に押えられてしまって、零細企業あるいは中小企業にいかない、こういう実態を私はたくさんつかんでおるわけですが、今後沖繩についても特に配慮をして、あたたかく沖繩を迎えようというのですから、そういった配慮をするかどうか、これをひとつ大蔵大臣からとくとはっきり答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/438
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439・水田三喜男
○水田国務大臣 いま内地において政府関係の中小企業金融機関に対してとっておるような措置、これは沖繩のこの公庫に対しても同じような措置をとってこの中小企業に対する対策をするということは、これは本土も沖繩も区別すべきではございませんので、本土と同一方向の指導、援助その他をこれは強力に行なうつもりでおります。さっき最初に言われましたようなこの手続その他の問題につきましては、おそらくふなれでございましょう。したがって、これを親切にいろいろ指導するというようなことも、この機関が発足しましたら、十分に、一つの部署を設けてこういうことをするというようなこともくふうしなければならないだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/439
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440・岡本富夫
○岡本委員 この問題につきましては、この沖繩開発公庫においては一括の資金になりますから、どうでも融通がきくわけですね。そうすると、力の弱い中小企業、声の小さいところには非常に資金が回ってこないじゃないかというような心配もあるわけです。ですから、貸し付け資金とその予算と、それから実行金額ということを絶えずひとつ検討をして、中小企業、零細企業に回っているかどうかということも検討していただきたい。
次には、もう一つ、自由貿易構想について、大蔵大臣の所見を伺っておきたいのですけれども、これからまだ検討するんだというような先ほどから答弁がだいぶありましたけれども、私は、たくさんこうして法案を出された限りは、政令事項についても、いろんな考え方についても、復帰を早くいったら来年の四月か七月というようなことを言っておるわけですから、それから考えるようであっては、これはその間において非常に沖繩の人たちが不安に思うし、非常にその間に困ると思うのです。ですから、大体自由貿易構想については、那覇港の一角につくるのか、あるいはまた、その中の中身として、構想としては、たとえばグアム島においては米本土向けのみやげものをつくっておる。現在はシチズン時計を組み立てて米本土に送ったり、あるいはまた、繊維製品、つり具、こういうものを観光みやげに渡しておる。あるいはまた、パナマのコロン、それから台湾の高雄においては、加工輸出地区をつくって、また別に工業団地なんかをつくって、そしてもっぱら輸出品のみをつくっておる。こういうようないろんなケースがあるわけでございますけれども、さて沖繩の自由貿易構想についてはどういうことを考えておるのか、また住民感情はどうなのか、また土地はどの辺につくるのか。これはなぜかと申しますと、私が特に聞くのは、いま本土からたくさんの観光客が行きますけれども、沖繩はそこでみやげものを買ってこれる。こうい大きな魅力があるというのが現代の姿でありますから、自由貿易港というものは、沖繩の経済に対して非常に大きなファクターを持つのではないか。ですから、これについての構想をお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/440
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441・山中貞則
○山中国務大臣 この自由貿易地域は、御承知のように現在ございます。したがって、これを復帰後ただ残すだけでは、沖繩の立地条件を生かし、そうして沖繩の特殊な条件として発展させるてこにするということには、ちょっと規模が小さ過ぎますので、当初は一応相談として、やはり港と一体でなければなりませんので、安謝港の向背地といいますか、浦添市の地先、ここの軍用地先を開放してもらうように弁務官にも話をしまして進めておったのでありますが、浦添市の市長さんが賛成されないというようなこと等がございまして、そこで振り出しへ戻っておりますが、要するに、四十七年度予算ではその調査をしようということにしておるわけであります。したがって、いま一応の地元の要望としては、中部の市町村が要望しておられる、沖繩の本島の東海岸に一カ所港が必要である、それには泡瀬が適地であるというようなことを要望しておられます。したがって、これは地元も賛成をしておられるわけでありますので、また季節風等のことを考えますと、東海岸にも一つの大きな港が必要であろうということも考えられますから、念頭には泡瀬地区ということを描いておりますが、しからばどういう埋め立てなり港湾設計なりするかという問題が、事業に着手するのには少しく計画作成が要りますので、それらの時間を見込んで、来年度は調査費ということで考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/441
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442・床次徳二
○床次委員長 岡本君、関連質疑でありますから、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/442
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443・岡本富夫
○岡本委員 この問題は、幸い——幸いかどうか知りませんが、来年復帰した場合、それから調査をして、それからつくっておるということでは、これはほんとうに沖繩の経済の問題についてはおそくなると思うのですよ。先ほど私申しまましたように、いま本土から行っておるのは、この観光客の魅力、これなんですからね。だから、そんなのんきなことをやっておったのでは話にならぬ。長官、あっちこっちで相当アドバルーンを上げておるわけですからね。やはり早くやっていかなければならぬと思うのです。この中に保税工場をつくるとか、そういう構想もやはり含まれるのであろうと私は思うのですが、これについて、大蔵大臣、あなたのほうではどういう構想を持っておるか、あるいはまた、推進するについてはどうするか。
それからまた、貿易の問題ですから、一つ聞いておきたいことは、あなた、十カ国の蔵相会議に行かれていろいろ交渉されたわけですが、大体年内に平価調整ができるような感触なのか、この点と、時間がありませんから、二点についてあなたから承って終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/443
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444・水田三喜男
○水田国務大臣 保税工場につきましては、もうすでに制度が内地においては整備をしておりますので、同様に沖繩におきましてもこれをつくるつもりでございます。
十カ国の蔵相会議では、いままでなかなか通貨調整の本格的な話し合いに入れませんでしたが、ようやく各国とも早期の解決をすべきであるという方向に一致いたしまして、いままで態度をはっきりさせなかった国も、ようやくここで通貨調整に入る基本的な態度をはっきりしたというようなことから、急速に今度の会議では話が進みましたので、私は、よくすれば年内解決の見込みもあるというふうに考えますが、しかし、御承知のように、各国ともいろいろ国益を持っておる問題でございますので、いよいよ最後に、各国がお互いにどれだけの負担をするかというような問題になりますと、なおなかなかむずかしい問題がございますので、これが一日二日の会議で最終的な解決ができるかどうか、私はここにはまだ自信はございませんが、しかし、軌道に乗った以上、かりに年内解決ができなくても、来春一月中にはおそらく解決するだろうというような見通しもいまついてきているところでございますので、その方向に沿っていま努力しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/444
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445・床次徳二
○床次委員長 青柳盛雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/445
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446・青柳盛雄
○青柳委員 私は、協定第五条第三項の裁判権の引き継ぎの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
言うまでもありませんが、国家主権の最も重要なあらわれとしての裁判権の行使ということに関連して、沖繩に対する日本の裁判権はいま及んでいない、そして、そこではアメリカ合衆国が裁判権を持っておる、こういう状態に置かれているわけであります。協定五条三項によりますと、この協定の効力が発生したその瞬間において係属している刑事事件、あるいは手続をするならば当然係属するであろうところの刑事事件を日本の裁判所が引き継ぐ、そして引き継いで手続をして裁判をする、そういう趣旨でございます。このことば、本来日本が主権国家として固有の権限として持っているところの裁判権の行使ということとはどういう関係に立つのか。少なくともこの五条三項の規定を読む限りにおいては、アメリカの裁判所であるところの民政府裁判所あるいは琉球政府裁判所、こういうものが扱っている事件の裁判権を日本国が引き継いでいくという、いわば外国の裁判権を譲り受けてこれを行使するといったような印象があるわけであります。しかもその事件というのは、協定の効力発生前に、沖繩の法令、つまりアメリカ合衆国の施政権下に効力を有しているところの布令、布告その他の法令違反の罪のさばきをする、そういう事件である。だから、日本の裁判所が扱うこのような事件というものは、布令、布告を適用する立場でこれをやらなければならないことになるわけでございます。本来、わが国の法律を使わないでわが国の裁判所が裁判をするというようなことは、これは憲法からいってもあり得べからざることでありますし、また、その内容が、軍政府が出した布告あるいは民政府が出した布令というようなものを有効として使うわけでございますから、全く屈辱的なものではないかというふうに考えますが、この点について総理大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/446
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447・福田赳夫
○福田国務大臣 私からお答え申し上げます。
これはどこまでも経過規定であります。つまり、三権がわが国に引き継がれる、その経過的措置をどうするかという規定でありまして、返還の効力の発生する前に生じた犯罪事件、これは犯罪の手続が進んでおるわけであります。それを白紙に戻すということになったら一体どういう事態になるか、そういうことを考えますと、それまでにとられてきた措置を尊重し、これを継続をするということが、治安というか、そういう上から見まして妥当である、こういうふうに考えましてとった措置でありまして、どこまでも経過的な措置である、こういうふうに御理解願います。
もし、青柳さんのおっしゃるようなお考えでありますと、刑が確定したもの、これは執行権がわが国にあるわけですが、その執行権までこれはまた新しく出直さなければならぬか、こういうことになる。これも非常に大きな治安上の問題になってくるだろう、こういうふうに思います。そういうようなことから、とにかく引き継ぎ前後の沖繩の治安といいますか、社会情勢、秩序を守る、こういう見地から、まことに常識的な経過措置をとったというのが、この五条三項、四項の規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/447
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448・青柳盛雄
○青柳委員 沖繩が日本の不可分の領土であり、そこに居住している住民がわれわれと同じ同胞であるということから、法体系が別であるということについての認識が忘れられているのではなかろうか。終戦後、連合国が日本を占領管理しておったときの占領法規、これに基づく裁判というものもありました。いわゆる占領軍裁判、そういうものは講和発効とともにその効力を失って、わが国はその刑の執行を行なうとか、あるいは占領軍裁判を引き継ぐというようなことはなかったのであります。何らそこに混乱はなかったわけでございます。
本来、占領軍が行なっているところの司法権というようなものを、独立主権の国家が引き継ぐということはおかしいわけでございます。だから、奄美大島返還の場合にも、民事事件の場合は別でございますけれども、御承知のとおり、刑事裁判権に関しては、その引き継ぎもしなければ、すでに琉球関係の裁判所が行なった裁判の効果を引き継いで執行するということもなかった。あくまでも日本の主権国家として適用できる国内法を適用して再び起訴するという事案はあったわけであります。これに対して被告人側から、これは二重の裁判であるとか、いろいろの抗弁が出たわけでありますけれども、最高裁判所は、これはいわば外国の裁判所の扱った判決であって、二重の裁判にはならない——まさにそのとおりであると私どもは思うわけであります。奄美の場合にしなかったことを、今度は沖繩の場合にはするんだというのは、何かいま大臣のお話では、スムーズにやるための、混乱を巻き起こさせないためのものだというように聞こえるわけでありますけれども、それは私も違った考えを持っておりますので、あとから申し上げますけれども、法務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、この適用される法律は、沖繩の法律なのか、それとも日本の法律なのか。日本の裁判所が裁判をするのに、外国の法律を使うということは、これは憲法三十一条の違反であることは明白でございます。だから、この点についてどのように考えておられるか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/448
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449・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 この引き継ぎによって、新たに日本の憲法に従っていくわけでありますが、その以前の、要するに、すべてやり直しをやらなかったのは、さきに外務大臣が申しましたように、沖繩の場合には、非常に長い間外国の統治下にあって、しかもまあこれは内容的に言いますと、本土と同じような、犯罪にしましても一体化が行なわれてきたわけであります。したがって、これを引き継がないということになりますと、そこで非常な空白が起こるわけです。さりとて、その後におきます、返還後に行なわれるいろいろな裁判も、犯罪は発生時の法律によるべきであります。そうして、その発生時の法律は、いわゆる憲法の条規に反したものではない。こういうことで、要するに、われわれの選択によってその法律を使うわけでありますが、しかし、ただいまお話のような、布令の中には、引き継がない、政令によって引き継がないものもあるわけであります。したがって、何らその間にそう人権の保護に欠くるところはない、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/449
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450・青柳盛雄
○青柳委員 法務大臣のいまの答弁は、引き継いだ日本の裁判所が適用するところの罰条は、一体沖繩の法令、つまり日本の法令ではなくて、アメリカが施政権を持っておった当時に有効として制定し施行しているものを、何か日本で使うということを前提にして言っているようであります。それは、いま審議を求められている特別措置法の二十五条第一項の規定によって、効力を日本の法律として持たせるんだと、こういうような考え方のようでございます。したがって、沖繩の法律ではないんだ。日本の裁判所がそのケースを扱う場合適用する法律は、まさに三十一条の「何人も、法律の定める手續によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」という憲法の規定にいう「法律」というのが、この措置法の二十五条の一項なんだと、どうもこういうことを言われようとするんじゃないかと私は先回りして言うわけですが、もしそうだとするならば、これは外国の法律を日本の法律とするという日本の意思表示といいますか、日本の国会の決定ということになるわけでありますが、それならそれで効力があると仮定いたしましても、法律ができて施行されるのが、この協定の発効のときでございます。そうしますと、協定発効以前の行為にそれを適用する、これは憲法の三十九条、何人も、実行のときに適法であった行為については刑事上の責任を問われない、いわゆる不遡及の原則、罪刑法定主義の原則に抵触をするのではないか。あとになって日本の法律をつくって、そして沖繩において行なわれた過去の行為を有罪にするというようなことは、矛盾するんじゃないか、このように思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/450
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451・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 沖繩の法律を日本の法律として使うわけではありますが、しかし、これは先ほど来申しておりますように、条規に反したものではない。さらにまた、犯罪は、その当時適法につくられておるその法律に従うべきでありまして、その手続につきましては、返還後日本の法律の手続に従って裁判される、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/451
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452・青柳盛雄
○青柳委員 私が言うのは、刑事訴訟法みたいな手続法のことを言っているのではなくて、もちろん、日本の裁判所は外国の手続法で裁判するわけにはまいりません。これも憲法三十一条の要請でございます。適用する法条が外国の法であってもならないわけでございます。これは日本の法律でなければ——憲法三十一条にいう「法律」というのは、あくまでもわれわれが国会で議決しなければならないものでございます。だから、それは適法にできると仮定いたしましても、それをさかのぼらせるというのはどういうことなんだ、三十九条に違反するのではないか、このことを言っておるわけであります。明らかにこの点は矛盾をすると思うのですね。外国で行なわれた行為であるからかまわないといったって、日本の法律でそれを罰するからには、その点は三十九条と抵触すると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/452
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453・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 日本の憲法で、その当時沖繩において行なわれておった法律を日本の法律として適用するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/453
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454・青柳盛雄
○青柳委員 この問題は非常に苦しいような答弁でございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/454
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455・辻辰三郎
○辻政府委員 復帰前の行為につきまして、復帰後日本の裁判所が裁判をするわけでございます。で、その場合の適用の実体法規は、ただいま御指摘のとおりのこの特別措置法の二十五条によりまして、「この法律の施行の際沖繩に適用されていた刑罰に関する規定は、政令で定めるものを除き、この法律の施行前の行為について、なおその効力を有する。」という規定に基づきまして、復帰前の沖繩の刑罰法規を復帰後日本の法律としての効力を持たすわけでございます。その場合に、先ほど大臣が答弁なさいましたように、政令で定める幾つかのものはございますが、原則的には、沖繩の法令を復帰後は日本の法令といたしまして、復帰前の犯罪について適用するということでございます。
で、この場合に、憲法三十九条の刑罰の不遡及の原則に反するのではないかという御指摘でございますが、私がただいま申しますのは、この復帰前の行為については、日本法となった、しかしながら、内容は沖繩の法令でございます。そういたしますと、その復帰前の行為につきましては、実行のときにすでに違法であったわけでございます。憲法三十九条がいっておりますのは、実行のときに適法であった行為について、あとから刑事上の責任を負わすということは三十九条でございますけれども、これは実行のときにすでに沖繩の法令におきまして違法の行為であったわけでございます。それを復帰後日本の法令といたしまして、復帰後日本の裁判所が裁判をするということは、ごうも憲法三十九条に違反しないと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/455
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456・青柳盛雄
○青柳委員 これは、大体この措置法の二十五条の規定の書き方もおかしいんです。「なおその効力を有する。」いかにも日本の法律がここで効力を消滅しようとするのを日本のこの措置法の二十五条でストップをかけておく、こういうふうな錯覚をしたごまかしの議論なんです。あくまでも、沖繩で復帰の日までに効力を有しておった法律というのは、日本の国内法でも何でもありません。これはアメリカ合衆国の施政権下で効力を有しておったところの法律なんです。言ってみれば準外国法、アメリカの法律とは言わないけれども、まあ外国の法律というべきでございましょう。だから、その効力を日本の法律で長引かせたといったところで、その長引かせた瞬間に日本の法律として制定したとでも解釈する以外にないわけなんです。だから、これは過去のものに適用するということは大体無理なんですね。その根本は、外国の裁判権を特定の事件に関するとは言いながら、これをいただいて、それを引き継いでやるなどという主権国家が一体この世の中にあってよろしいのか。そういうことは、日本がこのような返還協定といわれるものを結んだところに端的にあらわれているのではないか。だから私どもは、そんなことをする必要はないんだ。先ほど外務大臣は、混乱が起こるとか、いろいろ不都合なことがあるように言われました。確かに、もし沖繩が復帰すると、いわゆる協定が発効したときにいままで行なわれているところの沖繩の裁判所の裁判手続が全部無効になる、あるいはすでに言い渡された有罪の判決が効力を失うということになれば、これは混乱を来たすのではないかということは、一見もっともらしく聞こえるわけであります。しかし、それはどういう観点からわれわれは問題にするかと言えば、沖繩に住んでいるわれわれの同胞、沖繩県人の生命、身体、財産、そういう権益を不法な犯罪行為から守る、そのためにのみいわれることなんであります。アメリカの占領支配といいますか、軍政を保護するためにどうも混乱を招きたくないというようなのは、私どもは、屈辱的であって、問題外だと思います。
そこで、私は、こういうことを一体日本の政府は考えたことがあるのかどうか、それをお尋ねしたいと思うのです。
沖繩県民の生命、身体、財産の保護のための措置といたしましては、協定五条による裁判引き継ぎをするのではなくて、そういう屈辱的なことはするのではなくて、沖繩に適用する日本の刑法の国外犯に関する規定。これは刑法二条及び三条をごらんいただけばわかります。これは特定の刑に限っておりますけれども、私は、沖繩に関する限りは、いま申しました沖繩県民の生命、身体、財産、これに関連する秩序を維持する上に必要で、現在沖繩で実施されているようなものであり、しかも日本国憲法に抵触しないような内容の特別立法を行ないましてこれを実施いたしますならば、もう現在ただいまでもこの刑罰権というものはわが国が持つということができるわけです。沖繩にある外国人であれ日本人であれ、できるわけでございます。こういうことをつくることは、当然、主権国家として、まだ沖繩が日本に復帰しない以前でもできることなんだと思いますが、この点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/456
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457・辻辰三郎
○辻政府委員 ただいまの御指摘は、刑法の二条、三条にあるような国外犯処罰の規定をさらに新しくこのほかに沖繩に広めて、沖繩で復帰前に犯された犯罪について適用できるような特別立法をしてはどうかという御指摘であろうと思うのでございますが、そういうふうにいたしますと、それはまさしく、先ほど御指摘のように、憲法三十九条に違反する疑いがあろうと思うのでございます。これは復帰後、復帰前の行為について日本の刑罰法令をさかのぼって適用するということでございまして、それこそまさしく三十九条に抵触する疑いがあろうと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/457
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458・青柳盛雄
○青柳委員 私の言ったことを歪曲をいたしまして、そしてこれは三十九条に抵触するなどと言っておりますが、私の言うのは、復帰の時期が迫ってくる、そういうときに、従来沖繩で行なわれておったところの裁判あるいは言い渡されておった裁判が全部無効になるというようなことであると、混乱が生じ、そして無法状態が起こるかもしれないという配慮から、まあ先ほど外務大臣もおっしゃったような措置として、全く常識的にこれができたんだといいますが、それは先ほど言ったようないろいろの矛盾を来たすのであるから、しかも政治的に見ても非常に不合理な屈辱的なものであるから、そういうことを防ぐのには、いま言いましたようは特別立法を即時制定して即時実施するならば、復帰がいつになるか知りませんけれども、それから以後の復帰までの間は、日本の裁判権は、復帰前にはそこへは及びませんけれども、そこの人間には及んでいるわけでありますから、日本に復帰したときには、憲法三十九条に違反する形でこれを取り締まるという必要は決してないわけなんです。だから私は、復帰の際の混乱を防ぐというのにはこうやるべきであるというふうに申し上げるわけでございます。だから、これができないというような議論は、私の言うことを曲解をし歪曲をして、その上に立って反対をされるにすぎないと私は思います。
時間がありませんから先へいきますけれども、この協定の合意議事録の第五条に関する第三項の裁判権の引き継ぎの対象の中には、米軍人に対する犯罪行為の刑罰権、すなわち合衆国軍隊の構成員の犯罪については日本の裁判権は及ばないということが規定されておりますが、これは、ますますもって、米軍人によって非常にひんぱんに起こされている沖繩県民に対する犯罪行為というものを放置する結果になる。われわれは、これを直ちに取り締まるためにも、いま申しました刑法第二条の、何人といわず沖繩において行なうところの犯罪は日本の裁判権に服するべきものである、処罰できるんだというそういう規定を設けることを措置としてやるならば、沖繩における目に余る米軍犯罪というものをいま直ちにセーブすることができる。すぐは処罰はできないにいたしましても、少なくとも将来は必ずこれを処罰することができる。まあ軍属、家族はともかくといたしましても、軍人に関する限りは絶対に手が出ないといったようないまの沖繩の現状を打開することができると思うわけですね。この点を政府はどう考えておられるか、これもお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/458
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459・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 アメリカの軍人のやります犯罪は軍事裁判によって行なわれるわけであります。また、いろいろ国際的に見ましても、軍事裁判は引き継がないというのが原則でありまして、したがって、もちろん、復帰後におきましては、いわゆる地位協定によって引き渡し要求なりそういうことはできますが、それ以前のものは引き継がない、これが私は国際的な慣例だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/459
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460・青柳盛雄
○青柳委員 われわれは、この引き継ぐ、引き継がないの問題などは論外だと思っているわけです。大体、外国の裁判権を引き継ぐなどという不見識な話はないわけでありまして、われわれの主権の発動としてこういう法律をつくっておくならば、時期がくれば、必ずそれを実現することができるわけです。何か、沖繩協定が発効してそしていわゆる復帰した、そうなれば、安保条約の第六条に基づく地位協定が発動して、十七条で日本に裁判権が出てくるようになるから、まんざらでもないといったようなことを言おうとしておるようでありますけれども、そんなの待ち切れないわけです。しかも、そういう時期になるまでの間にどれだけ悪いことが続けられるか。やり得だというわけで、やりほうだいになってしまう。これを防ぐのには、いま私が申し上げたようなやり方でくぎをさしておくという、このくらいな主権国家としての権威を示す気概がなくて、アメリカ合衆国と沖繩の施政権返還についての交渉などというものはできるものではないと私は思うのですね。だから、外務大臣がこの米軍犯罪をどういうふうに扱おうかということについて、交渉の過程では何が行なわれたか、それを明らかにしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/460
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461・福田赳夫
○福田国務大臣 その衝に当たりました条約局長からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/461
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462・井川克一
○井川政府委員 米軍人の犯罪についてのお尋ねだと思いますけれども、米軍人の犯罪が増加している、復帰までに大いにこれを取り締まってもらいたいということは、たびたび外務大臣がアメリカ側に強く申し入れられているところでございます。そして、この協定につきましては、御存じのとおりに、軍法会議というものについては、私どもは引き継ぎをいたしませんでした。もともと、軍人の犯罪を裁判する権能は、軍隊としての属性に基づきまして、この場合は米軍が持っているわけでございます。そしてまた、駐留を認める以上、地位協定の十七条一項(a)にも書いてございまするが、これは国際法上の普通のことを確認したものだと思います。また一方、わが国といたしましては、外国で行なわれました米軍人の犯罪に対しまして裁判権を持っていないということは、これまた当然のことでございまして、これまた地位協定十七条一項(b)に明記されているところでございます。このようにいたしまして、わが国は、今度のこの協定におきましてそれを引き継がず、したがって、米国の軍事裁判というものが、米国の軍事裁判として、復帰時までの犯罪については行なわれるということを確認いたしました。そして、復帰後の犯罪につきましては、地位協定第十七条によりまして、原則として、公務、公務外に分けて、わが国の裁判権が大きくこれに及ぶわけでございまして、これによりまして、沖繩における治安その他の問題は非常に改善されると確信いたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/462
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463・青柳盛雄
○青柳委員 これは地位協定云々を持ち出されまして、この協定が効力を発生して、先ほどの安保条約六条に基づく米軍の地位に関する協定の十七条云々というものが発動すれば何とか解決するんだという、そういう説明のようであります。私が先ほどから申し上げていますのは、アメリカ軍人軍属すべて何人をも問わず、沖繩において日本人を殺害したり傷害したり、強盗その他あらゆる犯罪をしたことを、アメリカ軍当局に要請をして厳重に取り締まってもらうなどという、そういう姿勢でなくて、われわれ主権国家として、われわれの不可分の領土である沖繩において、そういう横暴なことは許さないぞという意思表示の意味においても、また、それを現実にするためにも、法律を制定して、刑法第二条の特例を設けておくということはやるべきではないか。そうすれば、この協定の効力発生まで待つ必要はないし、繰り返して申しますけれども、待っている間にどんなにやりほうだいにされるかわかったものではない。これはもう糸満の事件にしたところで、具志川の事件にしたところで、その裁判が無罪になってみたり、軽く扱われてみたり、もうそういうのは枚挙にいとまがないわけであります。米軍の軍事裁判などにわれわれは毛筋ほども期待を持つことはできないという現状である以上、やはり主権国家として当然その立場を明確にする措置をとる気持ちはないのか、そうすれば、あらゆる問題が矛盾なくいくであろう、こういうことを私は申し上げているのですが、重ねてこの点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/463
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464・辻辰三郎
○辻政府委員 現在、沖繩に駐留しております米国軍人に対しまして、いまここで日本として新たに刑罰の実体法をつくって、そして刑罰のその実体法規が適用できるような立法措置をとるべきであるという御趣旨であろうと思うのでありますけれども、これは国外犯適用の条文をつくりましても、問題は、そういう当該行為に対して刑事裁判権を行使できるかどうかという問題でございます。これは、外国に駐留する外国軍隊に対して日本の刑事裁判権を発動する余地はございません。それで問題は、自国に駐留する外国軍人に対して刑事裁判権を行使する場合、これのスタンダードと申しますか、基準が、この地位協定に定められているところでございまして、外国に駐留する外国軍隊に対しましては、刑事裁判権を行使する余地がないわけでございますから、適用の法規をつくってみましても、実効を伴わないということになろうと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/464
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465・床次徳二
○床次委員長 青柳君、お約束の時間が過ぎましたから、結論をつけて、終わっていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/465
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466・青柳盛雄
○青柳委員 いまのようなとうてい条理に合わない答弁を黙って聞くわけにはいきませんので、一言だけ申し上げておきますが、実行できないからそれをやらないというのは、あくまでもアメリカが沖繩を占領し続けるということをあたかももう既定の事実のように考えているわけでありますが、私は、沖繩が完全に無条件に全面返還という形で戻ってくる場合、その過去の行為に対しても、憲法三十九条に違反することなく、沖繩にその当時において在住するであろうところの米軍人あるいは軍属に対して適用される可能性を持っている。だから、絶対にできないんだ。現在はなるほど施政権が及んでおりませんから、やむを得ませんけれども、必ず将来それはできるんだ、混乱なくできるんだ、このことを申し上げているわけであります。
それだけ申し上げて終わりにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/466
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467・床次徳二
○床次委員長 これにて本連合審査会は終了いたしました。
明日は、午前十時から公聴会を開催いたします。本日は、これにて散会いたします。
午後六時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106703901X00119711207/467
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