1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年十二月十六日(木曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 森山 欽司君
理事 小沢 辰男君 理事 澁谷 直藏君
理事 谷垣 專一君 理事 田邊 誠君
理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君
秋田 大助君 井出一太郎君
大橋 武夫君 梶山 静六君
唐沢俊二郎君 藏内 修治君
小金 義照君 斉藤滋与史君
竹内 黎一君 中島源太郎君
橋本龍太郎君 箕輪 登君
向山 一人君 渡部 恒三君
川俣健二郎君 小林 進君
後藤 俊男君 島本 虎三君
山本 政弘君 古寺 宏君
古川 雅司君 渡部 通子君
寺前 巖君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 斎藤 昇君
出席政府委員
大蔵政務次官 田中 六助君
厚生大臣官房長 高木 玄君
厚生省環境衛生
局長 浦田 純一君
厚生省医務局長 松尾 正雄君
厚生省社会局長 加藤 威二君
厚生省児童家庭
局長 松下 廉蔵君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 渡部 周治君
文部省初等中等
教育局特殊教育
課長 寒川 英希君
社会労働委員会
調査室長 濱中雄太郎君
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委員の異動
十二月十五日
辞任 補欠選任
小此木彦三郎君 竹内 黎一君
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本日の会議に付した案件
理容師法及び美容師法の一部を改正する法律の
一部を改正する法律案起草の件
厚生関係の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/0
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001・森山欽司
○森山委員長 これより会議を開きます。
この際、理容師法及び美容師法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の起草の件について議事を進めます。
本件について、谷垣專一君より発言を求められておりますので、これを許します。谷垣專一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/1
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002・谷垣專一
○谷垣委員 本件につきましては、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、四党委員の協議に基づく試案がございます。各委員のお手元に配付してありますが、四党を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。
本案は、理美容所に置かなければならない管理理美容師について、昭和四十六年十二月三十一日までは、経過措置として理美容師の資格のみで足りることとなっておりますが、管理理美容師の講習会の受講の状況等にかんがみ、この経過措置の期限を昭和四十七年十二月三十一日まで一年間延長しようとするものであります。
この際、私は四党を代表いたしまして、動議を提出いたしたいと思います。
お手元に配付してあります試案を成案とし、これを本委員会提出の法律案と決定されんことを望みます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/2
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003・森山欽司
○森山委員長 ただいまの谷垣專一君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君の動議に関し、御発言はありませんか。——御発言もありませんので、本動議について採決いたします。
谷垣專一君外三名提出の動議のごとく、お手元に配付した草案を成案とし、これを委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/3
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004・森山欽司
○森山委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
なお、法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/4
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005・森山欽司
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/5
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006・森山欽司
○森山委員長 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出があります。順次これを許します。島本虎三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/6
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007・島本虎三
○島本委員 時間が制限されておりますので、答弁は率直に要領よく願いたいと思います。
きょうは小児ガンの問題についてお伺いしたいのですが、現在のところ小児ガンといわれる病気、これはどのような、幾つぐらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/7
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008・松下廉蔵
○松下政府委員 現在小児ガンといわれておりますのは、いわゆる白血病を含んでおります小児の悪性腫瘍でございまして、病名といたしましては、白血病をはじめ神経芽細胞腫、ウイルムス腫瘍、網膜芽細胞腫、脳腫瘍、そういったような小児に発生いたします、あらゆる悪性新生物を網羅いたしまして、これを小児ガンと称しております。
具体的には医師の診断にかかるものでございまして、医師が小児ガンとして診断いたしましたものは、一応いまの行政上の取り扱いといたしまして、すべて小児ガンとして取り扱っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/8
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009・島本虎三
○島本委員 その場合は先天性心疾患、これは中に入ってございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/9
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010・松下廉蔵
○松下政府委員 先天性の心臓疾患は、小児ガンの中には入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/10
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011・島本虎三
○島本委員 こういうような問題についても、やはり今後の問題としては慎重に考えてやる必要があるのじゃなかろうか。特に、多くの場合には手術するにしても、多大の金がかかる、こういうような状態でございます。いまやはりこういうような問題もその解決が迫られ、子の親としては、なかなか苦労も多いようであります。せっかく小児ガン等の問題につきましては、パンフレットその他にあるように、これは現在の状態では相当考えられた措置である、こう言っても差しつかえない。ただ、今後の問題としては、予算の点等において十分これに対処していかなければ、仏をつくっても魂を入れないような運用の結果になってはたいへんだ、こう思うわけでございまして、この点予算その他の措置は万遺憾なかろうと思いますが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/11
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012・斎藤昇
○斎藤国務大臣 お話のように、小児ガンにはずいぶんと治療費もかかりまするし、また、その完全に治療できるという方策も立っていないという現状でございますので、したがって、そういった研究費を含めまして、御承知のように国費と地方費で負担をするということで、ただいま出発をいたしておりますが、来年度は四十六年度に比べて予算を相当多く要求をいたしておりますので、これを貫徹いたしたい、かように思っております。
なお、先天性の子供の心臓疾患につきましては、これは療育費の中で見てまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/12
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013・島本虎三
○島本委員 現在小児ガンといわれる疾患の範囲並びにその発生率はどういうふうなことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/13
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014・松下廉蔵
○松下政府委員 小児ガンの発生の機序は、おとなのガンと同様に、現在なお医学的には明らかにされておりませんが、専門家の意見によりますと、大体発生の頻度といたしましては、一万人に一人といわれておりまして、したがって、十八歳未満の小児ガンの患児約三千五百人という推定を
いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/14
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015・島本虎三
○島本委員 念のために、北海道にはどれほどの発生率並びに対象人員がございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/15
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016・松下廉蔵
○松下政府委員 大体発生の頻度と申しますか発生率は、全国的に地域的な差は小児ガンについては認められておらないと思います。特に北海道についての発生率というのは調査しておりませんが、大体同程度の率で発生しておるものと考えております。
なお、数といたしましては、北海道から小児ガンの治療研究費といたしまして道当局から協議が来ておりますものが、約百四十人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/16
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017・島本虎三
○島本委員 いろいろな困難の中に、小児ガンにむしばまれてその愛児をかかえた、精神的、経済的に疲れ切った両親、おそらくはわらをつかむ思いでこういう制度にたよることだと思うわけであります。したがって、この制度そのものも、完全にこれを利用し、適用でき得るような状態にしておかなければならないと思うわけです。現在のところ、その手続並びに病院の配置等は万全を期しておられるかどうか、この点についてもお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/17
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018・松下廉蔵
○松下政府委員 小児ガンの対策につきましては、先生御案内のように本年度から治療研究費という形で、実際上家庭の医療費の自己負担分を公費でまかなうような形で進めておるわけでございます。民間にも小児ガンの親の会がございますし、また民間団体といたしましても、小児ガン対策を推進する法人もできておりまして、そういったところと、それから行政的なルートといたしましては、都道府県を通じて報道機関等を活用いたしまして十分なPRをはかっておるつもりでございますが、なお制度発足早々でありますために、もし漏れがあって、先生御指摘のような制度の適用を受けることができないような家庭がありますと、制度の趣旨に反することになりますので、なお私どもといたしましてもPR、この制度の普及につきましては、一段と努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/18
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019・島本虎三
○島本委員 やはりそういうような点については、ふだんから行政当局は十分配慮しておかないといけないと思うのです。確かに病院はそのように存在する。手続上の問題としてもたいしたことがないようにしてこれを行ない得る、そしてそれも小児ガン疾患治療研究事業、こういうようなことになり、その目的や制度としても、患者の経済的な救済と医学的な治療研究、こういうような点に置いて行なわれておる、こういうように私どもは了承しておるわけであります。
大体役所というものは、制度をつくり、それが行なわれておれば、うまくいっているものである、こういうように考えがちだろうと思うのです。ことに、金額がこのようにかさむ小児ガンの対策としては、十全を期しておいても漏れるものがあるわけであります。おそらくは、この病院は指定病院制になっており、指定病院でなければ、この恩典を受けられないものであるかどうか、まずこの点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/19
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020・松下廉蔵
○松下政府委員 この制度に基づきまして、小児ガンの治療研究を委託いたします医療機関といたしましては、何ぶん疾病がこういう性格のものでございますので、相当な能力を備えておるということも必要とされるわけでございます。実際の手続といたしましては、都道府県あるいは指定都市が、それぞれの地区の医師会と協議いたしまして、別途医務局のほうで整備いたしております地方ガンセンターあるいは都道府県のガン診療施設、それから大学病院あるいはその他の医師会の推薦等もございますようなガンの治療を行ないますのに十分な病院、診療所、そういったところと都道府県、指定都市が契約をいたしまして、治療に漏れのないような手続を進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/20
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021・島本虎三
○島本委員 それで、大蔵省の方、来ておられますか。——まだいませんか。じゃ早く呼んでください。
この小児ガンについて、これは本年からようやく制度としていろいろ恩典、恩典と申しますか小児ガン疾患の治療研究、こういうようなものが国並びに都道府県の手によって行なわれるようになった。これは一つの前進であり、福音であります。そういうような状態の中で、今後まだまだわからない分野が多い。多いだけではなしに、治療その他の費用の点は意外にかさむ点がわかってきた。大蔵省においても、これらの対策——せっかくつくったのであるから、前年度は二億円程度のものであったと承りますが、今後この実態がはっきりするにつれ、ウナギ登りにこの対策費がふえる、こういうふうに思われるわけであります。したがって、この小児ガンの対策、こういうようなものについては、大臣としては十分配慮して、今度の予算その他については万全を期したいというのですが、大蔵省でも、こういうような問題に対しては一種の、公害に対する配慮と同様に、これから次代をになう若い命をむしばませるようなことがないように十分配慮する必要があろうかと思うわけであります。大蔵省の今後これに対する心がまえをひとつ聞いておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/21
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022・田中六助
○田中(六)政府委員 島本委員御指摘のように、すでに二億は計上しておりまして、本年度もそういう精神にのっとって、これからの小児ガンの対策並びに研究については同様に、私どもは、十分とは言えませんが、研究に必要な金というものを考慮して、配慮していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/22
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023・島本虎三
○島本委員 それで、大臣、ちょっといまいろいろ聞いてみたところが、予算の点は配慮されておる、これからも心配がない。それと同時に手続の点においても、わずらわしいことがないようにこれを考えておられる。病院の点においても、大体分布状態等については十分配慮されておられる。金額についても、これは相当かさむけれども、都道府県、国が患者負担分の二分の一ずつを負担してやって万遺憾なきを期しておる。これで私どもは年来の一つの考え方の実施の上に役立つものである、こういうように十分期待し安心しておったのです。
ところが、ついせんだって月曜日です。私が北海道から帰る際に、ちょっと新聞を見ました。新聞を見た際に、私自身驚いた。というのは、精神的にも経済的にも疲れ切った両親がわらをもつかむ思いで知事に送った一通の手紙によって、小児ガンの実態と運営の点がわかったのであります。これは胸に迫るような訴えですから、心を動かされた知事は、当然北海道の担当者に救済の道を考えさした。しかし、両親と病床の本人に知らせる直前、十四歳の若い命が力尽きたまま死んでしまった、こういうような状態であったわけです。この悲報を受けて、知事は仏前に見舞った。しかし、これはあとの祭りであります。しかし、この子の両親が、せめて小児ガンに苦しむ人たちのために血の通った行政とその運用で、救済制度を生かしてほしいものである、これが強い訴えなのであります。大臣の手元にその新聞も届けてありますから、よくそれを見、運営の的確を今後期してやってもらいたい、これを思うわけであります。
手紙を出した人、これは北海道胆振管内の鵡川町に住む小学校の教諭です。白井さんという人です。この人の長男、十四歳、裕君です。これが四十三年十一月に、小学校五年生のときに、突然めまいがして足がふらつく症状に襲われた。翌年の一月に、苫小牧市立病防で診察を受けた結果、ガンの一種である「悪性脳シュヨウ」の疑いが出た。健康であった少年も、まさかと両親は思ったけれども、やはりまぎれもない悪性脳腫瘍の診断であった。それでもすぐなおる、こういうようなことで慰めながら、ガンの恐怖を知っていただけに、この両親は奈落の底に突き落とされたような思いであった。金も数万円ずつかさむ。しかし苦しいけれども、何回も上京して高価なワクチンを入手するなど、両親の苦労は並みたいていなものではなかったのであります。しかし、この十一月になって呼吸困難になり、北大病院に運べないまま、自宅近くの個人病院に入院さした。これは両親が金が惜しかったのではないけれども、親として、この裕君を社会の力にすがってでも生きるだけ生かしてやりたかったのでしょう。こういうような当時の気持ちを語っておるようであります。
おそらくこの一つの難関というものは、これは病院が指定されておる。その病院に入ったのでなければ、何ら条件の中に入らなかったという、そのことが実態として浮かび上がってきたわけです。制度としてちゃんとやっておる。下のほうへいくと、これはなかなか困難な状態で運営される、こういうようなことは大臣としても、今後十分その運営の面に留意しなければならないのではないだろうかと思います。当然、これは制度はできた、制度の目的としては患者の経済的な救済、それと医学的な治療研究、この二面があるわけです。したがって、小児ガンの実態や治療を臨床的に追跡したり、その事後に役立たせるのがねらいでありますから、この適用の対象であるとか——大学や公立病院中心の指定病院入院中の患者に限定されておった、したがって以前入院していたときには、こういう制度がなかった。そしてやろうと思ったところが、この制度ができた。四月にできたはずなのに、もうそれからいろいろと手間どって、六月になって、今度条例ができ、十月になってからその適用がきまり、そうしてその適用を受けようとしたときにも、そのいろいろな条件によってこれが受けられない。受けられないけれども、北大病院まで行かないで、この近所の鵡川の病院に入れることによって、これはようやくやろうと相談できたとたんに死んだ、こういうようなことであります。なぜこういうような問題、こういうような人たち、不治の病といっても小児ガンは——医学的に見放されて自宅療養しながら死を待っている、この親の気持ちになった場合に、こういうような一つの壁を取っ払ってでも、進んで出て行って救済してやらなければならないし、制度をつくった意義はそこにあるんじゃないかと思うのです。新聞に書いてあるとおりです。これは一体どういうことでしょう。担当者の意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/23
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024・松下廉蔵
○松下政府委員 ただいま先生からいただきました北海道新聞の記事を拝見いたしまして、この子供さんにはまことにお気の毒であり、せっかく制度をつくりながら、この制度の適用が間に合わなかったということにつきましては、私ども担当者といたしましても残念でありますし、努力が至らなかったと考えております。
ただ、言いわけのようになりますけれども、この記事によりますと、だいぶ前から悪くなっておられた。この制度は御指摘のとおり今年度の予算でございますが、予算成立後、事務的な手続等を進めておりました関係で、具体的な要綱ができましたのは若干あとにずれております。いま先生がおっしゃいましたような、指定病院に前から入院しておった人だけに限るというようなことはございません。先ほど申し上げましたような手続によりまして、指定病院と申しますか、契約を結びました病院につきましては、その後入院した小児ガンの患者につきましても、もちろん制度を適用するわけでございますが、この要綱等をきめるのに多少手間どりました関係で、さかのぼって入院費用をこの制度の対象としてめんどうを見るという場合には、どうしてもその契約された病院に、ことしの四月あるいはそれ以降に入院しておった方だけに適用せざるを得ないというような事務的な制約があったことは事実でございます。
それと、四十三年から発病しておられて——小児ガンの進行は、先生も御承知のようにかなり早い方がございます。そういったこと等のために、ついに手続が間に合わなかったということは、まことに申しわけないことでございますが、すでに各都道府県にもこういった制度につきましては周知させておりますし、手続といたしましても、いままでの公費負担医療に比べても、一番簡単な手続で済むように配慮をしておるつもりでございます。児童相談所なりあるいは保健所、そういった保健衛生あるいは児童福祉関係の機関に御相談いただけば、どこでもこの手続等については御指導でき、簡単な手続で適用できるようにしておるつもりでございますが、なおこういった教訓を生かしまして、今後さらに漏れのないような指導を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/24
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025・島本虎三
○島本委員 せっかく制度をつくっても、こういうようなことでは、あたら次代をになう人材を一人この宇宙から失っちまうことにもなるし、制度をつくりながら、それが適用できないというようなことであった場合には、これは国としてもほんとうに残念なことであります。こういうようなことがないように、今後、これを教訓としてでも十分下部のほうに、簡易な手続だということ、並びに病院そのものに対してでも、入院していた場合、その対象にできるかでき得ないかという検討ということ、それと適用範囲の拡大、こういうことは当然行政の中に生かしてこれを適用すべきである、こういうふうに思うわけです。大臣、この点は今後の問題になりますが、十分これを生かして、適用の面で誤りのないように遺憾なきを期してもらいたい。特にこの点は要望したいのでありますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/25
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026・斎藤昇
○斎藤国務大臣 御意見ごもっともに存じます。私の周辺にも子供を小児ガンでなくした親がおりますので、その親の気持ちというものもよくわかっておるつもりでございますし、先般も小児ガンだと診断されたある親から切々たる手紙をもらって、その気持ちには全く言いしれない感じがいたしたわけであります。ただいまのお話は、制度をつくり、これを実施に移すのに手間がかかったということが一点。いま一つは、せっかく制度ができておっても、その適用を受けることを十分知らない、周知徹底が欠けている、この二点であろうと存じますが、ことに後者の点につきましては、いま局長が申し上げましたように、医師会を通じてまずお医者さんによく知ってもらっている、小児ガンだと思ったならば、この手続にはここに行きなさいということをすぐ言ってくれるようにやっておく、また保健所あるいは児童相談所に行けばすぐわかる、小児ガンだと診断されたが、どうしたらいいだろうというその親の気持ちを察しますると、どこに行けばすぐわかるということだけでも徹底さして、そこで迅速に手続ができる、指示してもらえるということを確立するように努力をいたしまして、御意見に沿うようにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/26
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027・島本虎三
○島本委員 では、今後そういうような場合には、十分制度を生かしてやれるように、この点心から希望しておきたいと思います。
同時に、いわゆる小児ガンといわれるものの中には、血友病という聞いたこともないような病気もあるのであります。これはいままでは就学前の子供であっても、実際就学前の子供だけやっていいかというと、やはりせめてこれは十二歳くらいまで適用の幅を伸ばしてやっていい、そうしなければならない、こういうような点だって当然あるわけであります。この点配慮は十分なのかどうか。
それから先ほどいろいろ言いましたけれども、今後の点で先天性の心疾患についても別に考える、こういうことですから、十分この点は考えてやってもらいたいし、またじん炎のネフローゼ、これも小児ガンの疾患として新たに考えてもいいのではないか。また最近、四日市をはじめとしてコンビナート周辺に発生しているぜんそく、こういうようなものは東京をはじめとして工業の発展している場所で、いずれも一番おかされるのは子供であります。そういうようなことからしても、ぜんそくの点なんかは十分考えてやらなければならないのじゃないか、こういうように思うわけであります。それと同時に、現在行なっているところの進行性の筋ジストロフィー症、こういうようなものについても治療と教育を一緒に実施してやらなければ効果があがらない、こういうものもたくさんあります。大臣、こういうような点等については、これからの問題です。大蔵省からわざわざ政務次官もここに来ておりますが、こういうような点も取り上げてやらなければ、せっかく制度としてやっても、予算の裏づけを欠いてはどうにもならない。そしてそれができたならば、今度は行政の面で十分行き渡らせるようにしてやらなければ何にもならないということであります。この点について、どういう配慮がなされておりますか、最後にこれを伺って終わりたいと思うのであります。ただこの点については、大蔵省当局にもあとから意見を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/27
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028・松下廉蔵
○松下政府委員 ただいま先生から御質問のございました各種の疾病につきましての現状及びこれからの対策を御説明申し上げたいと思います。
初めにおっしゃいました血友病につきましては、これは小児ガンとは別のたてまえでございます。先天性の代謝異常というような一群の疾患の一つでありまして、血友病は御承知のように、けがをいたしました場合に血液が凝固しない。そのために出血が非常に多量になるという先天性の遺伝性の病気でございます。現在のところは根治方法がございませんので、けがをするたんびに特殊な止血剤を用いまして、出血をとめるという方法が唯一の対症療法でございますが、そういったことを現在、お話のように小学校入学前の幼児までに限りまして公費医療の対象にいたしておりますけれども、これは今後非常に走り回ることの多い学齢期の少年に対しましても、この制度を広げたいということで計画をいたしております。
それから先天性の心疾患につきましては、現在すでに育成医療として手術の対象にいたしております。ただ先生御指摘のように、非常に希望者が多いのに比しまして、予算のワクが必ずしも十分でないといううらみがございますので、来年度におきましては、この育成医療の適用の範囲と申しますか、予算のワクを拡大いたしたいという努力をいたしております。
それからじん炎、ネフローゼあるいは小児ぜんそく等につきましては、これは現在のところは、なお行政的な公費医療の対象にはなっておりませんけれども、御指摘のように、全国にも相当の患者があり、特にじん炎、ネフローゼは長期の疾病でございまして、この治療を続けると同時に、並行して教育を行なうというような配慮がございませんと、子供の健全育成に支障を来たす面がございますので、来年度は現在の結核の子供と同じような形での、教育と並行した医療ができるようにいたしたい。また小児ぜんそくにつきましても、御指摘の公害地域につきましては、公害医療の制度がございますが、体質的な小児ぜんそくにつきましても、なお不明な点が多いわけでございますけれども、これも小児ガンと同じような、治療研究と並行いたしまして医療費の負担軽減のできるような制度にいたしたい。そういった一連の小児医療につきまして、今後できるだけの努力を進めていくという計画で、現在予算編成等をいたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/28
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029・田中六助
○田中(六)政府委員 大蔵省といたしましても、せっかくこの制度ができておりますので、この制度を生かすためにも、この裏づけとなる金が問題でございますので、その点は十分この制度が生きるように配慮していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/29
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030・島本虎三
○島本委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/30
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031・森山欽司
○森山委員長 山本政弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/31
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032・山本政弘
○山本(政)委員 時間が四十八分しかございませんので、答弁もできるだけひとつ簡単にお願いしたいと思うのですが、まず医務局長のほうにお伺いいたしたいと思います。
日本の現在の総ベッド数、これは幾らぐらいありますか。
〔委員長退席、田邉委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/32
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033・松尾正雄
○松尾政府委員 病院のベッド数にして約百四万程度でございます。そのほかに有床診療所が約二十四万程度ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/33
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034・山本政弘
○山本(政)委員 そうすると、その中で国立の病床はどれくらいでしょう。国立の病床の割合はどれくらいか。大まかでけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/34
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035・松尾正雄
○松尾政府委員 病院、療養所含めまして約七万ベッドでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/35
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036・山本政弘
○山本(政)委員 要するに、いま人口の老齢化とかあるいは公害とかということもありまして、国民疾病の増加というのがずっと出てきておると思うのです。そこで、大体いまのベッド数ではもちろん私は間に合わないと思うのですけれども、昭和五十年をめどにして一体どれくらいなベッド数が必要であるのか、まずその点をひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/36
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037・松尾正雄
○松尾政府委員 昭和六十年という段階に、いままでの増加傾向等を考えながら推定いたしますと、約百六十万ベッドということになっておりますので、昭和五十年と申しますれば、大体一年に四万ベッドくらいずつふやしていく必要がある。大体こういうようなめどでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/37
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038・山本政弘
○山本(政)委員 実は昭和四十三年に国立療養所の特別会計法というものができました。これは私はその当時質問いたしたわけでありますが、ことしが四十六年でありますから、自来四年を経過しようとしているわけであります。そのときに政府の提案理由で、国立療養所の整備促進、医療の充実ということがいわれておったけれども、一体その実施状況はどうなのか、公約というものが果たされているのかどうか、その点をひとつお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/38
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039・松尾正雄
○松尾政府委員 四十二年に国立療養所が特別会計に移行いたしました際、やはり国立の療養所の整備をしなければならない、こういうことで当時もうすでに明らかにされておりましたように、いわゆる特別整備という形で二百三十億の五カ年計画というものを立てて、これを実施してまいっているわけでございます。したがいまして、私も十数年前にこの仕事におりましたときと、現在そういう整備されましたところと比べますと、全くこれが昔のところであったかと思われるような病院にもぶつかっておりまして、そういう意味におきましては国立療養所自身が、かつてのイメージをかなり変える程度の整備をはかってきたということは申し上げられると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/39
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040・山本政弘
○山本(政)委員 国立療養所の特別整備の進行状況を見てみると、どうも私は、一つは不安な点が出てくるわけであります。四十三年が四十四億、四十四年が四十五億、四十五年が四十五億、四十六年が四十五億、そして四十七年が五十一億、これで二百三十億になりますね。ところが考えなければならぬことは、政府の予算書の昭和四十三年から四十六年における病院特別会計における療養所勘定の特別整備費というのは、四十三年に計画された計画書どおりにしか実は支出をされてはおらぬと思うのです。そうすると、それから以後の物価の上昇、特に建築費の上昇とかいうものを見ると、当初の整備計画で計上せられた二百三十億では、とうてい整備できないはずである、これは常識的に考えてもそうであるはずだ、こう思うわけであります。その点は一体どうなんだろうか、それが第一点。
第二点は、たしかあのときには八十四カ所の特別整備二百三十億の計画ですから、そうなってくると、百億か百五十億くらいな不足分が、先ほど申し上げたように、建築費の上昇とかなんとかということによって出てくるはずである。それを上積みしなければ、整備計画というものは達成できないはずだと私は思うのです。その点をどういうふうにお考えになっておるのか、ひとつお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/40
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041・松尾正雄
○松尾政府委員 私も先生の御指摘のとおりの事情であろうと存じております。特に当時二百三十億という計画を立てておりましたけれども、率直に申し上げて、その後のいろいろな物価の変動といったものまでこまかく積み込んでおるというものではございません。したがいまして、平均いたしましても、年々約八%以上の建築単価の値上がりもございます。そういった点は、当然この八十四カ所の施設整備につきましても、最後にしわ寄せになってくるということは、これは常識的にも申し上げられることでございますし、また一面、当時考えておりましたことよりも、さらに医療の中身というものが変化をいたしますので、それぞれの病院の整備につきましても、さような新しい医療面を考慮した整備をしなければならない、こういうファクターもいろいろ年々入ってくるわけでございます。そうでございますので、二百三十億でこれが全部完成すること、これは絶対にできない問題である。ただ金額が幾らまでほんとうに不足するかという点は、来年度のいろいろな予算の執行状態なり、また先ほど申しましたような今後の整備すべき医療の中身、こういったようなことも関連いたしますので、ただいまの段階で幾らということは、確定的には申し上げにくい段階でございますけれども、明らかに不足する。私どもはやはりその分は、これから補っていくように努力をしたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/41
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042・山本政弘
○山本(政)委員 そうすると、ここに四十三年当時厚生省が——これはいろいろトラブルがそのときにあったわけですけれども、私の要求でお出しになった厚生省の資料として、八十四カ所の施設ペースの整備計画がここにある。それが四十六年度で、このままいけば常識的には八割が完成をされる予定であるはずであるけれども、計画の八割は達成をしていない、こう言えますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/42
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043・松尾正雄
○松尾政府委員 先ほど申し上げましたような、いろいろな不足分というものが確定できませんので、したがって、端的に八割か七割かということは申し上げにくいところでございますけれども、八十四施設の中で全くまだ手がついていないというのは三施設でございます。特に先生も御承知のとおり、国立療養所というものが戦前の建物を引き継いだということでございまして、一番私どもがやはり頭を痛めましたのは、何よりも患者さんのおられる病棟というものがきわめて老朽化いたしましたし、また、いろいろな事故等を考えても寒けのするような状態である。暖房等も十分に行き渡りません。こういうような状態でございますので、やはり何をおいても患者さんの病棟というものを先にやらなければいかぬ、こういうことで手をつけてまいりましたので、病棟だけ申し上げれば、八十のうち七十六はすでに手をつけておる、こういうことでございます。ただ、そういった方面に重点を回しましたために管理棟でございますとか、あるいはサービス棟でございますとかいったものが、かなり残されておるというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/43
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044・山本政弘
○山本(政)委員 八十四のうち七十九でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/44
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045・松尾正雄
○松尾政府委員 病棟だけにつきましては、七十六でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/45
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046・山本政弘
○山本(政)委員 そうすると、つまりあのときの議論の中では、特別会計切りかえの最大の理由は、すみやかな整備の促進ということにあったと私は思うのですね。患者のためにはもちろんのことでありますけれども、いまおっしゃったような管理棟とかなんとかということも必要だと思う。そうすると、それを達成するためには四十七年度は五十一億プラスアルファ、つまりX億というものが必要になってくるはずだろうと思うのでありますけれども、その点については一体どういうふうになっているのだろうか、厚生省はその要求をお出しになっているのだろうか、同時に大蔵省は、そのことに対して一体どういうふうにお考えになっているのだろうか、この点をお二人に——大蔵省の方、お見えになっておりますか。——お二人にお伺いをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/46
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047・松尾正雄
○松尾政府委員 先ほど申し上げましたような事情もございますので、来年度特別整備といたしましては、普通の年次的なベースじゃなくて、約八十三億程度のいわば不足分を追加いたしまして要求をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/47
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048・渡部周治
○渡部説明員 お答え申し上げます。
国立療養所の整備につきましては、四十三年度以来近代化のための特別整備を行なっておるわけでございます。これにつきましては、財源的な措置といたしましては、一般会計と、それから財投によりまして行なっておるわけでございます。厚生省がおつくりになりましたいろいろな整備の御計画につきましては、先ほど来医務局長がお話しになりましたような御事情で建築費の値上がりであるとか、あるいは当初予測しておりませんでした緊急整備を要するものが出てきたり、あるいは別途、その当時考えておりませんでした機能・作業訓練所等の新築に要するものが出てきたという事情で、事業内容が当初考えておりましたものよりも、かなり金額が出っぱってきておるように考えられます。
そういう意味で、四十七年度につきましては、先ほど医務局長がおっしゃいましたような御要求が出ておるわけでございますが、われわれといたしましては、これにつきましては現在最終的な検討をしております段階で、したがいまして数字がどの程度になるということをお話しいたす材料は持っておらないわけでございますけれども、国立療養所の整備につきましては、一般会計なりあるいは財投なりを通じまして、その整備につきましては配慮をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/48
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049・山本政弘
○山本(政)委員 医務局長にお伺いいたしますけれども、最終年度の五カ年計画を達成させるためには、百三十億必要なんでしょう。その点ひとつ聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/49
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050・松尾正雄
○松尾政府委員 先ほど申し上げましたように、百三十億で足りるかどうかということは、まだちょっと確定したお答えを申し上げにくい状態でございます。いわば従来の計画の分で単価の値上がり等のために残された部分、こういったものを考えて来年の要求は出しておりますけれども、さらに私どもとしては、やはりそれで全部終わるというような段階にはないというふうに考えておりますので、したがって多少その点がずれましても、私はやはりその後引き続いて内容の完成をはかるような計画を進めたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/50
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051・山本政弘
○山本(政)委員 医務局長も、それから大蔵省の渡部さんも、ひとつぜひきちんと聞いていただきたいのです。そのときに私は再度念を押して、そのときの園田厚生大臣、そして当時の水田大蔵大臣——水田大蔵大臣はいま現職で再びおなりになった。その人たちが——園田さんは大蔵大臣との食い違いはございません。だから今年度の特別会計移行に際しては、整備計画というものについてはきちんとやります。そこで私は再度水田さんに念を押しましたところが、厚生大臣の言うとおり食い違いはございません。そして当初本年度の予算に四十四億円を計上しておるけれども、しかし本年度以降、計画をきちんと実施いたします。そしてここに書かれた数字どおりではなくて、必要とあらば来年度以降の折衝でちゃんとしていきたいとお約束なされておるわけです。整備計画、五カ年計画を四十七年には達成する、こう言っておる。それについて医務局長のほうは達成できるかできないかわからぬ。大蔵省のほうは慎重に考慮をしてきめると言う。そんなばかなことがありまずか。歴代の大臣がかわったから、この次は私ども約束したことは知りませんというんだったら、政府の政策としては、何カ年計画というものは意味がなくなってくるでしょう。再度答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/51
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052・松尾正雄
○松尾政府委員 二百三十億という計画につきましては、これはもう先生御承知のように、それが達成できるような予算という形で、金額の上では計画的に実施をしてまいっておるわけでございます。ただ全体としまして、先ほど申し上げましたような事情の点は若干の不足が出てくる。これはどうしてもやはり私どももカバーをしなければならない。しかし二百三十億自体の計画自身は、計画どおりに進めてまいってきた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/52
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053・山本政弘
○山本(政)委員 これは園田厚生大臣の答弁ですよ。今年度は特別会計移行に際してこういう計画を立てます、大蔵省もこれに協力するということで話ができておりますので、問題はございません。こうはっきり明言されておるのです。しかもあれだけの問題を起こして、きちんと時の厚生大臣がお約束をなされた。それならそれを受けて、いまの斎藤厚生大臣も、そのことについてきちんとなされる責任がおありになるだろう、私はこう思うのです。いまの医務局長のお話は、二百三十億に関してはお約束をいたしますと言う。しかしこのときの答弁というものは、整備計画、五カ年計画に対しては、きちんといたしますということですよ。そしてきちんとするには、つまりその年、四十三年度当初には二百三十億円を必要とすると思うからと言っておる。二百三十億については、当然五カ年計画でやりますから、先々の物価の上昇、あるいはこの面について言えば建築費の上昇、増大といいますか、そういうものを考慮に入れてつくられておるはずです。それならば、五カ年で状況が非常に変わってきておるというならば、その条件に合わせた金額の追加があっていいはずじゃありませんか。そうじゃありませんか。斎藤大臣、お答えをお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/53
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054・斎藤昇
○斎藤国務大臣 当初計画をいたしておりました五カ年計画は、来年度でほぼ完了のできる予算を要求をいたしておる、こういうことでございますから、私は今後予算折衝にあたりまして、その金額の確保できるように努力をいたしたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/54
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055・山本政弘
○山本(政)委員 要するに、整備計画というものは完了してないんですよ。つまり昭和四十三年から始まって四十七年度で終了する五カ年計画のうちに、四十六年度について八割完了してないんですよ、現実には。そうでしょう。病棟については、先ほどおっしゃったけれども、八十四カ所のうちに七十六カ所、これがまだできておりません、こういうことなんですよ。それじゃ四十七年に八十四カ所できるのですかと、私はお尋ねしている。それはできない相談だとこうおっしゃっているのでしょう。それはできない相談だったならば、ちゃんと予算を、要するに五十一億で足らなければ、それに上積みをしなきゃならぬはずで、それがまさに、いま松尾医務局長のおっしゃった百三十億という金額になるのだろうと思うのです。そうしないと、五カ年計画が立たないというのですよ。しかも百三十億というお金は、それを差し引いても八十数億という金になるわけでしょう。まさにこれは、この金額を年度に直せば、一年半以上のものになる。整備計画、六カ年半計画というならば、私はよくわかりますよ。しかし、五カ年計画と言われるのだったら、きちんとそれまでに処理をしなければならぬはずだ。すべて完了する。あれだけの問題を起こして、あれだけの審議をやって、そして与野党の間で論議があった問題でしょう。そうしたら、五年たったら、私はそのことについて、五年先のことだから記憶も薄れたことだろうということで、ほおかむりはできないと思う。大蔵省の答弁をお伺いしたいのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/55
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056・田中六助
○田中(六)政府委員 四十三年から四十七年までの整備五カ年計画でございます。計画はどうしても計画倒れというようなことにもなりかねなくて、資材その他の値上がりとかいろいろございまして、二百三十億そのものがぴたりと当初の計画どおりいくかどうかは全く疑問でございまして、現実にまさしくズレがあるわけでございます。この点につきましては、先ほど事務当局から説明しましたように財投、一般会計の財源を十分考慮しなければなりませんし、そういう方面からいま厚生省のほうと折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/56
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057・山本政弘
○山本(政)委員 政務次官、それでよろしいのですか。五カ年計画で達成したところがあるでしょう。全くないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/57
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058・田中六助
○田中(六)政府委員 五カ年計画を必ずそのとおり達成した分もかなりあるでしょうし、また計画が必ずしもそのとおり達成できなかった分もございましょうし、私どももできるだけ計画をその目的どおり達成することに努力はいたしますが、先ほど申しましたような客観情勢、資材の値上がりとか、その他いろいろなそごがございまして、委員御指摘のように、四十七年度で必ずしもそれがいまの段階から考慮しまして、でき上がるかどうか疑問ございますし、その点の穴埋めあるいはこれをどうするかということは、いま両省でいろいろ検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/58
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059・山本政弘
○山本(政)委員 私が一番疑問にすることは、こんなことはあまり言いたくないのですけれども、防衛計画とかなんとかいうものは優先をされて、五カ年計画を達成されるんですよ。しかし、こういう要するに医療問題とかなんとかいうものについては、いつもなおざりにされるという政府の姿勢があるんです、現実に。現に、きょうは高齢者が集会をやって、そして医療の問題、生活の保障を一体どうするんだということで集会を持っているんですよ。しかも日本の人口構成というのは高齢化してきておるし、そして冒頭に申し上げているように、医療というものが特に高齢者には必要になってきている。だから私は聞いているわけです。これは私の資料じゃありませんよ、自民党の資料ですよ、自民党の政調社会部会の資料ですよ。あえて申しますけれども、その中で結核死亡率の国際比較がちゃんと出ておる。あなた方がそれをおとりになって発表をしている。アメリカの死亡率が三・九、イギリスが四・八、スウェーデンが四・五、西ドイツが一二・一、フランスが一四・六に対して、日本は二〇・三%結核の死亡率があると書いてある。自民党の政調会がそのことをやりながら、しかも政府与党ですよ。与党がそういうものを出して、政府がそれに応じないというばかなことが一体ありますか。だから私は念を押している。しかも、当時の大蔵大臣は、いまの大蔵大臣じゃありませんか。五年前の大蔵大臣が別な大蔵大臣なら、まだ話は違う。しかし、同じ大蔵大臣が責任をもって私の質問に対してお答えになっている。ここに速記録がちゃんと出ているわけですよ。それならば必要なものを出す責任がおありになるでしょう。道義的な責任だって私はあるだろうと思うんです。
きのう大蔵大臣の出席をお願いしたけれども、ちょうど不在だから残念なんですけれども、そういう意味で私は政務次官にたいへんお気の毒ですけれども、きちんとしたお答えを出していただきたいということなんです。もしつまびらかにできないということならば、主計官が当面の責任者でしょう。はっきりした答えを出してもらいたい。そして厚生大臣も一体どうこのことに対して対処されるのか、聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/59
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060・田中六助
○田中(六)政府委員 この五カ年計画は先ほども申しましたように、実態と計画が合っていないのは御指摘のとおりでございまして、私どもも二百三十億というこの五カ年計画で、しかもこの整備計画はそのまま実現することを願っておるわけでございますが、それが先ほど申し上げますように、資材等の値上がりとか、あるいはいろいろな点でそごを来たしているわけでございます。水田大蔵大臣はそういうように当時言明なさっておるわけでございますが、そのときも、私に言わせますならば善意の言明でございまして、必ずそれを実行したいということでございます。ただ一般会計並びに財投の現実の情勢から見まして、予算全体から見て財源がどうかということを検討しなければなりませず、そのそごを来たしている分を必ず四十七年で実現するという至上命題はございますし、あなたにも水田大蔵大臣は約束しておるわけでございますので、この点を十分私どもは頭に置きまして、そうして厚生省との折衝並びに相談をしてまいりたいというふうに考えております。
〔田邊委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/60
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061・山本政弘
○山本(政)委員 それでは最大限の努力を、ひとつ大蔵当局も厚生当局もやっていただくというお約束を願えるわけですね。と申しますのは、先ほど私は何で聞いたかというと、日本の総ベッド数は百四万床、国立の占める割合、国立の病院で持っているベッド数が十万床あるかと思ったけれども、お答えによれば七万床、文部省関係のものもあるから、それを入れてあるいは十万床という計算になるかもわかりませんけれども、しかしそれにしても、昭和五十年には百三十万床くらいなものは必要になってくるだろうと思うのです。そうすると、三十万床というものが現在すでに現実の問題として不足しているわけですね。そうすると、なおさら整備五カ年計画というものは急がなければならぬだろう。常識的に考えればそういうことになるわけです。そして私が一番心配するのは、国立療養所の百五十四カ所のうちの八十四カ所、残りが七十カ所ある。しかし、それは先ほどお話のあったように、七十六カ所しか整備ができていない。ということになれば、あとのほうにずれ込んでくるわけです。そうすると整備計画が、第二次整備計画があるかどうか知りませんが、それがまた結局十分な整備がなされないということになる。とすれば、つまり先ほども申し上げたように、疾病の増大ということに関して十分な対策が打てなくなってくるでしょう。だから、そう私は申し上げているわけなんです。ですからいま質問をいたしましたように、つまり最大の努力をしてもらえるのかどうか。これはむしろ厚生省よりか大蔵当局に私は質問したいのですけれども、両大臣が約束しているのですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/61
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062・田中六助
○田中(六)政府委員 先ほども申し上げましたように、水田大蔵大臣が当時お約束をしておりますし、現職でもございますし、最大限の努力を大臣とともども御相談してやっていきたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/62
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063・山本政弘
○山本(政)委員 政務次官、私はその結果次第によっては再度大蔵大臣自身に御質問したいと思いますので、この点はひとつぜひ大臣がお帰りになりましたら、お伝えをいただきたいと思うのであります。
医務局長にお伺いをいたします。
八十四施設の特別整備計画で七十六カ所ができていない、こういうのだけれども、かりに八十四カ所というものが整備ができたとして——これはできないことはわかっています、いまさっきの論理からずっといけば。しかしかりに八十四カ所できたとして、残り七十カ所整備ができていないところがあるわけです。これは一体第二次整備の五カ年計画をお持ちになっているのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/63
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064・松尾正雄
○松尾政府委員 先生先ほど来御指摘のように、結核対策といたしましても、私どもは、やはり国立療養所が、きわめて困難な難治患者といったようなものを最後に引き受けるべき拠点として考えなければならぬ、こう思っております。
それから第二の点といたしましては、これも御承知のとおり相当急速に疾病の構造というものが変化をしてくると予想されます。特に老人の疾病の増加率は、おそらく人口の老齢化よりももっと早く、患者のほうの老齢化というものが走ってまいると思いますし、また先般来お話にございましたいろいろの小児の慢性疾患等に対応する施策というものも、新しい観点でこれは組み立てなければならぬと思います。したがいまして、昭和四十三年当時に考えておりましたような計画に、私はいたずらに固執するということは、今日の疾病構造の変化なり今後の医療の需要の変化というものに対応いたしまして、それにこだわり過ぎるということは妥当でないと考えております。したがって、このような疾病状態の変化というものをどう国立療養所として受けとめるか、どういう役割りを果たすかということを全般として考えて、そしてそのほかに残った施設をどのような機能を持たせるか。これは十分私どももひとつ検討してまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/64
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065・山本政弘
○山本(政)委員 それではもう一つお伺いいたしますけれども、あの特別会計移行のときに、両院で附帯決議をつけました。大幅な整理統合を行なわないという項がそのときにあったと思うのです。しかし、その後の統廃合というものを見てみますと、昭和四十三年度は兵庫療と春霞園とが兵庫中央というものに統合されておる。梅森、八事、それを合わせて東名古屋というものになっている。内野、有明が西新潟に統合されておる。その後ずっと統合が続けられて、昭和四十六年には加治木と帖佐の療養所が南九州病院というのに統合されている。石垣原、別府荘、光の園というのが西別府という療養所に統合されている。屋形原、厚生園というのが南福岡。島根、松江というのが松江に統合されている。そしてその統合によって、一方の施設をまるまるつぶしている。それだけならまだしものことであります。私はそのこと自体に問題があると思う。実はその病院を利用してきた国民の療養を奪うものですから。しかし、それは問題があるとして、昭和三十五年からずっと見てみますと、昭和三十五年に百八十四の施設が昭和四十年に百六十八、四十三年に百五十四、四十六年には百四十九というふうに、施設がずっと減ってきているわけであります。そうして減ってきているだけならばまだしものこと、ここに整理統合されたということで、病床自体が減ってきておる。たとえば国立東京療養所、それから国立療養所清瀬病院というもの、これが国立東京病院に統合されましたね。統合前は千九百七十あったものが千五百九十に減ってきているのです。あるいは国立内野療養所あるいは国立有明療養所というのは西新潟療養所に統合されている。それが五百のベッドから三百五十のベッドに減ってきておる。
ちなみに申し上げますけれども、これは国立療養所の年報でございます。厚生省の年報ですから、間違いないと思うのですけれども、あるいは国立愛知療養所が国立療養所大府荘と一緒になって中部療養所になっている。これは千五百三十が千二十に減ってきている。あるいは国立大阪療養所と大阪厚生園が近畿中央病院になっている。これが千百八十から八百に減ってきている。もう一つ九州では、国立福岡療養所、国立療養所清光園、それから国立療養所福寿園というのが、福岡東療養所というものに変わってきておって、統合されて千七百十ベッドから千三百五十ベッドになっている。つまり統廃合によって、整備五カ年計画によって整備充実さるべきものが、病床が逆に減っているということであります。しかも減った上に整備というものが五カ年計画の最終年度の予算では充足されないで、要するに間に合わないで不足として出てきている。これは私は一つの問題になるだろうと思う。
また一つの病院だけをとってみましょう。国立東京病院というもの、これをとってみても減ってきている事実がある。昭和三十七年、千九百七十のベッドが、昭和四十三年には千五百九十ベッド、そうして昭和四十六年、いまであります。そこは千三百十ベッド、一つの病院ですらベッド数が減っておる。こういう実態というものが、はたして医務局長のおっしゃるように、医療患者の増大に適応したやり方であるかどうだろうか、私は決して適応したやり方ではないと思う。この点についての御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/65
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066・松尾正雄
○松尾政府委員 この統合問題を考えます場合に、私どもは一番この国立療養所の従来持っておりました体質というものを十分に検討してまいらなければならぬ、こういうことで基本的に考えております。と申しますのは、これは私から申すまでもございませんが、やはり病院の機能、単にベッドの大きさだけじゃなくて、病院のほんとうの実質的な機能というものを、いかにしてあげるかということが私どもの考えなければならない最も基本条件じゃなかろうか、御指摘のようにいろいろ小さな病院等もございました。そうしてそういうもの等を統合いたしましたが、これは私から申し上げるまでもなく、きわめて小さな療養所などというような場合には、その点からいろいろな医療上のニードといいますか、水準というものに、はたしてこたえ得るかどうか。これは全体的にいろいろ検討いたしてみますと、そういう不十分なところが至るところに目につくわけでございます。やはりそれは合わせて、みんなが共同してやっていくような施設にしていくことが機能的にも非常に高める、こういう配慮のもとに実は進めてまいっておるわけでございます。したがいまして、もちろん結核患者の全般的な減少傾向というようなものもございます。質的には変化いたしましても数の上では減少する、こういったようなことも実は考慮に入れながら、その地域において特に支障がない基準というものは常に保つということを原則にしてやってまいっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/66
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067・山本政弘
○山本(政)委員 せんだっていただいた厚生白書には、ベッドの増大の必要数がちゃんと書かれているのですよ。あなた方、自分で白書にお書きになって、現実の政策としては——もちろん私としてはベッドだけが問題であるとは言いません、いろいろな総合的なものがあるでしょうから。しかし、ベッド数というものについても、なおかつ不足であるとして白書ではうたっておるわけであります。そうしたら、そのことに対してやはりこたえるようなものをあなた方は施策としてやらねばならぬだろうと思うのです。大臣そうじゃございませんか、御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/67
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068・斎藤昇
○斎藤国務大臣 全体的には山本委員のおっしゃるとおりだと思いますが、先ほど医務局長がお答えいたしておりますように、国立療養所は療養所としての特色と使命を持っておるわけです。したがいまして、たとえば結核病棟が減ってきた、必要がなくなってきた、それを今度はどういうニードに切りかえていくかということが必要であろうか、かように考えます。ベッド数全体をわが国としては、これから増していかなければならないが、しかし、その増していくべきベッドを、国立療養所としてどう取り入れていくかというのが、これからの問題であろうと存じます。したがいまして、後期の五カ年計画におきましては、そういう点もさらに勘案をいたしまして、いままでのやり方を——やり方といいますか考え方を検討いたしますとともに、新しい日本の全体の医療の需要の中で、ベッド数の需要の中で、国立病院の負うべき分野というものをはっきりと策定をいたしてまいりまして、そして国全体の必要なベッドを国立病院でどう満足させていくかという計画のもとに、今後万遺憾なきを期するように、新しく考え直してまいりたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/68
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069・山本政弘
○山本(政)委員 あと七分ですから最後にお伺いしたいのですけれども、要するにここに、確認してきたのですが、白書がちゃんとこう言っておる。白書が言っておることについて、国立病院というのは特別な要素があるのだというふうにいまお話を聞けば聞こえたのですけれども、そうすると、地方自治体がやれるのか、私立病院がやれるのか。それは私は基本的な施策としては国がやるべきだと思うのですよ、基本的なものとしては。ですから、その点は国のほうで考えるべきだと思うのです。
もう一つ大臣にお伺いしたいことは、昭和四十三年に園田厚生大臣が述べておることについては、やはり当然いまの斎藤厚生大臣も引き継ぐべきだ、こう思うのでありますけれども、まずその点をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/69
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070・斎藤昇
○斎藤国務大臣 当然さように考えます。ただ四十三年度当時と医療の事情等も変わってまいっておりますから、その答弁なり考え方は変えないにいたしましても、必要な面を今後どういうように変えていくかということも、また考え直してまいらなければなるまいか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/70
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071・山本政弘
○山本(政)委員 私の同僚の米田東吾君が、実は大蔵委員会で、四十三年の特会法のときに質問をしております。それは特会法と統廃合というものは関係があるのかということに対して、厚生大臣は、特会法と統廃合というものは関係がない、こう言っているわけです。そしてさらに引き続いて大臣は、統合の場合は医療機関の性格からも、当然建物ができればいいというものではなくて、利用される方々あるいはサービスをする職員の協力によって統合の目的が達成されるわけだから、いままでの不十分さを改めて、今後は十分現地等の御意見を聞いて、話し合いの上でやりたい、こう言っているわけであります。したがって、そういう点で、患者側の問題もあるでしょうし、統廃合される場合には職員側の問題も当然出てくるだろうと思います。そのことについてひとつ十分お考えになって、今後の整備計画というものも推進されていただきたい、こう思うのですが、御意見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/71
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072・斎藤昇
○斎藤国務大臣 その点は全く同様に考えておりますので、御鞭撻をお願い申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/72
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073・山本政弘
○山本(政)委員 田中政務次官にぜひお願いをしておきたいことは、先ほどのことに対して、五カ年計画を十分に達成できるような配慮をしていただきたい。このことについて政務次官の決意のほどをお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/73
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074・田中六助
○田中(六)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、一般会計並びに財投から引き出すわけでございますが、御承知のような原資、つまり財源をどうするかということで私どもいま頭を痛めておりますし、大臣の四十三年に言明しているとおりに、できるだけ山本委員の御要望にも沿って努力していくことをお誓い申し上げますが、財源との関連もございますけれども、努力することは努力しますが、はたしてそれが十分その目的どおりになるかどうかの懸念はございます。しかし、最善の努力をするということを申し上げることはできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/74
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075・山本政弘
○山本(政)委員 私は、五カ年計画というものは、つくられたときにはちゃんとそういう物価の上昇とか建設費の上昇というものを考えてつくられているだろうと思う。しかし、そういういろいろな諸条件の変化によってやるならば、やはりその変化に応じた対処のしかたをしなければならぬだろうと思うし、五カ年計画をつくった、しかしその計画というものが、要するに四カ年目、五カ年目には、月日を経るごとに自分たちの責任が免罪をされていくことではないと思うし、人がかわったからといって免罪されることではないと思う。特に四十三年の大蔵大臣はいまの大蔵大臣です。そういうことは、やはり一つの大きな責任というものがあるだろうと思う。もしそれをいいかげんなことでおやりになるということならば、私はその責任は負われなければならないと思います。どうかひとつこれは、厚生大臣もそうでありますけれども、五カ年計画について約束した事柄、そしてあれだけの問題を起こした事柄でありますから、実施方についてぜひ御努力をお願いいたしたいと希望申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/75
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076・森山欽司
○森山委員長 次に、古川雅司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/76
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077・古川雅司
○古川(雅)委員 限られた短い時間でございますが、本日は生活保護制度の改善と、できれば心身障害者及び障害児の対策について若干お伺いをしてまいりたいと思います。
最初に生活保護制度のほうでございますが、去る十二月の十一日に、中央社会福祉審議会のほうから、いわゆる「国民生活の変化に対応した生活保護制度のあり方について」という報告がなされております。最初に大臣に総論としてお伺いしてまいりたいのでありますが、この中間報告書の内容を見ますと、昭和四十四年の十一月の厚生大臣の諮問に基づいて二年がかりで検討されてきたものであるということがわかります。ということは、逆にいえば、それだけ現行の生活保護制度の欠陥と矛盾の根深さといいますか、それを浮き彫りにしているのではないかと思いますが、この制度そのものの欠陥と申しますか、今後の改善すべき目標をどのようにしぼっていらっしゃるか、それが第一点。
さらに、この報告書の中で問題にされておりますことは、ことに被保護世帯と一般世帯の消費水準の格差が非常に開いてきている。この数字は正確かどうかわかりませんが、東京都の場合には五一・三%の格差が現在生じているということが指摘をされておりますが、最初この二点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/77
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078・斎藤昇
○斎藤国務大臣 仰せのとおりに、保護の水準と一般生活水準との格差は確かに昨年は従前よりもよけい開いてまいりました。この水準との格差を縮めることこそが基本的に守られていかなければならぬ問題でございまするから、それが逆になったということは、これはまことに望ましくない現象を起こした、かように考えておりますので、来年度は少しでもその幅を縮めたい、かように存じます。
また、生活保護のやり方、保護制度全体について今後考えなければならないという点も、いま、最終の報告ではございませんが、その方向は示されておりますので、その筋に従って検討を進めてまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/78
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079・古川雅司
○古川(雅)委員 具体的に局長にお伺いいたしますが、この開くばかりの一般世帯との格差の問題でございますが、来年度の厚生省の予算要求では大体これをどのくらいまで縮める見込みで要求していらっしゃいますか。
〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/79
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080・加藤威二
○加藤政府委員 生活保護の基準につきましては、ただいま御指摘のように、四十四年までは一般の勤労世帯との格差が、ごくわずかではございますけれども生活保護との格差が縮小してまいったのでございますけれども、四十五年におきましては、先生いま御指摘のように五一・三%、前年の四十四年度が五二・九%でございましたから、わずかではございますけれども格差がまた開いた、こういう結果になっております。これは御承知のように、四十五年におきましては予想以上に一般の景気が非常に上昇いたしまして、したがって、勤労者世帯の消費水準というものも予想以上に上がったということのために格差が開いたということになるわけでございます。
そして御質問の来年はどうするかということでございますが、私どもはやはり生活保護の基準の設定のしかたを一般の勤労世帯との格差縮小ということにねらいを置いておりますので、来年度の経済の見通しというものがまだ最終的にできておりませんで、二十日ごろに最終的な見通しが出るようでございますが、それを見た上で大蔵省と最終的に話し合いをする、こういう段階になっておりますので、まだ具体的な予算要求という形をとっておりません。予算要求としてはただ二五%増しということでワク要求をいたしておりまして、具体的な要求を現在やっておりませんが、その経済の成長の見通しというものが出た上で大蔵省とよく相談いたしまして、この格差を縮小していくという方向で四十七年度の生活保護基準をきめてまいりたいというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/80
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081・古川雅司
○古川(雅)委員 大臣の先ほどの御答弁では、この中央社会福祉審議会の報告はまだ中間報告なので、制度そのものの欠点等についての検討はまだまだこれからというような、そういった感じの御答弁と受け取りましたけれども、現にこの生活保護を受けているいわゆる被保護世帯の実態が、最近急激に変貌を遂げてきているということは指摘できるのではないかと思います。ことにその自立を援助するという考え方がもはや通用しないということをこの報告書は示しているわけでありまして、それは具体的には、たとえば核家族化の傾向あるいは被保護世帯の老齢化、こういった点が重要な問題点になっているわけでございますが、これは中間報告だからどうのこうのというのではなくて、すでに最終的な検討段階に入っていなければならないいまの時点だと私は感ずるのでございますが、まず局長からその点の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/81
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082・加藤威二
○加藤政府委員 審議会の報告——中間報告でございますが——におきましては、先生御指摘のとおり、核家族の傾向とかあるいは老人の家庭がふえている、そういうことに対して生活保護がしっかりその生活を守っていないのではないか、あるいは栄養の確保といいますか、そういう点で欠ける点があるのではないかというようなことを指摘しておるわけでございます。確かにここ数年来の傾向といたしまして、これは生活保護だけではございませんけれども、一般の人の世帯構成が核家族化してきているという傾向がございますが、特に生活保護世帯におきましてはそういう傾向が強い。そういうことのために私どもといたしましても、老人対策の一環といたしまして、生活保護につきましても特に、たとえば四十六年度におきましては生活保護の基準の改定が一四%でございましたけれども、老人のみの家庭についてはそれを一七%ぐらいまでに上げているというような配慮をいたしております。
しかしながら、確かに、特に一般の家庭生活というものが経済の高度成長につれましていろんな雑費的な支出が非常に多くなっている、あるいは交際費的なもの、そういう——住居についてはもちろん不足しておりますけれども、衣食についてはある程度足りてきたので、それ以外の雑費あるいは娯楽費とか、そういうものに対する経費のかけ方が非常にウエートが重くなってきている。生活保護世帯においてもそういうものの影響を受けまして、食費に回す分が若干減ってきているというような実態調査の傾向もございまして、一応一四%の引き上げをやったわけでありますけれども、これは全体の平均として一四%でございまして、四人家族の一応モデル的なケースを見て一四%という数字を出しておるわけでございますが、世帯が小さくなれば相対的に生活費が上がるというような傾向もございまして、確かに御指摘のような傾向は全然ないとは申しませんけれども、われわれといたしましては、生活保護制度というものがやはり社会保障制度の基幹的な制度であるということに着目いたしまして、来年度以降の基準改定につきましても、いま先生の御指摘になったような点、あるいは審議会において指摘のありましたような点を踏まえまして、その制度の運用あるいは基準のつくり方というものについて、万全の策を講じてまいりたいというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/82
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083・古川雅司
○古川(雅)委員 ただいま局長から、たとえば四十六年度から、老人に対しては生活保護基準に若干の上積みをするというような措置がとられているというような御答弁がございましたけれども、当然これは階級変化に対応する措置としては十分とはおっしゃらないと思いますけれども、その点をひとつ確認さしていただきたいと思います。
なおかつ、参考の資料をいただいておりますが、一応御答弁をいただきたいのでございますが、被保護世帯の内容の実態でございますけれども、いわゆる働き手のない世帯の割合あるいは高齢者世帯、身体障害者世帯、こういった比率が現状としてはどうなっているか。時間がかかるようでしたらけっこうでございますけれども、局長のほうから御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/83
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084・加藤威二
○加藤政府委員 ただいま申しましたように、一般一四%に対して老人世帯一七%、これで十分とは申しませんけれども、一応そういうような配慮をしているということを申し上げたわけでございます。
それで世帯につきましては、被保護世帯が、四十五年の数字でございますが、一応六十三万世帯、それに対しまして高齢者世帯が約二十万世帯でございます。母子世帯が六万五千、こういう数字になっております。なおこまかい数字は、また資料として差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/84
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085・古川雅司
○古川(雅)委員 きょうはせっかく大蔵省からおいでをいただいておりますので、一言お伺いをしたいと思います。
いま厚生省側から、この被保護世帯の実態についてはお聞きいただいたとおりでございますけれども、過去五年間を見てまいりましても、毎年のこの生活保護基準が、前年比大体一三から一四%くらいにとどまっているわけであります。これはどういう理由によるものでしょうか。厚生省の要求が非常に少ないのか、あるいは何か理由をお持ちなのか。主計官でもけっこうでございますし、政務次官からお答えをいただいてもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/85
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086・田中六助
○田中(六)政府委員 一般世帯と保護者世帯の格差を是正していくということが政府の方針でございまして、御指摘のように二二%から一四%の伸び率になっております。しかしそれを詳細に、過去五年間見ましても、四十五年度と四十六年度が一四%で、それ以前が二二ないし二二・五になっておる数字が示しておりますように、四十五年、四十六年でやはり一%程度アップしておるということは、私ども是正を一日も早くやろうという基本方針が貫かれておるというふうに確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/86
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087・古川雅司
○古川(雅)委員 たたみかけてお伺いするようでございますが、政府はさきに、本年四月にさかのぼりまして千六百五十億円の減税を実施することをきめました。これは、現在生活保護を受けている約六十五万八千世帯には何らの恩恵の及ばない減税措置でありますが、これは一体どういう考え方によるものか。いまの政務次官の御答弁とは、たいへんちぐはぐな感じがするわけでございますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/87
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088・田中六助
○田中(六)政府委員 税の関係でございますから、やはりこれは負担の公平という原則が貫かれなければならないというふうに思っております。したがって、現在生活保護者の方々の税の負担とその他の一般の方々の税の負担を考えてみたときに、やはり必然的にあらわれてくるのは、負担の公平の原則から見ますときに、今度は、得をする場合にはどうかという問題が当然提起されると思います。そうなった場合に、やはり税を負担をしておる人々が、今度は税を軽減される場合に一応対象になるということは当然じゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/88
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089・古川雅司
○古川(雅)委員 厚生大臣にお伺いいたしますが、担当大臣として、いまの大蔵省の見解についてどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/89
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090・斎藤昇
○斎藤国務大臣 本年の年内減税の際におけるお話だと承りましたが、厚生省といたしましては、年内減税をやるならば、やはり生活保護なりあるいは年金なりそういったものもこの際逆に基準を上げるべきではないかという意見を出したわけであります。ところがそうなりますと、あるいは恩給その他非常に広く考えなければならない。本年度の当初、これが妥当であろうときめたいわゆる定額給与といいますか、そういったもの全体について考えなければならないので、なかなかこの補正予算には間に合わない。そういう意味で、来年度予算においてはそういうものも含めてひとつ検討しようじゃないかということで、一応本年の年内減税に見合う一般の保護世帯なり低所得者の水準を上げるということを四十七年度に見送ったというのが、われわれ閣僚間における申し合わせであったということで御了解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/90
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091・古川雅司
○古川(雅)委員 大蔵省に再びお伺いいたしますが、いわゆる税の公平化、均等化という見地から御答弁いただいたわけでございますが、私はむしろこれは社会的な不均衡を増長するものであるという考え方に立っております。厚生大臣のただいまの御答弁からしても、これは当然先ほど申し上げました減税の実施によって受けなかった被保護世帯のいわゆる恩恵を、今後の生活保護基準のアップの上で十分考慮していただけるものと私は考える次第でございますが、その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/91
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092・田中六助
○田中(六)政府委員 減税の場合、税の控除と税率という両面から考えることが大事だと思いますし、それから累進的に控除していくということも問題でしょう。しかし私どもは、できるだけ課税最低限をつり上げていくという方針でどんどんいきたいと思います。生活保護者の方々から税金を取っておるわけではございませんし、もしもそれが税金を取る範囲内になれば、もちろん減税という面でも十分な恩典は受けられるし、またそういうふうにしなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/92
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093・古川雅司
○古川(雅)委員 いろいろ申し上げたいわけでございますが、時間の都合で先へ進ましていただきますけれども、主計官に参考までにお伺いしておきたいのでございますが、この保護基準を一%上げるには、大体財源としてはどのくらい必要なんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/93
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094・渡部周治
○渡部説明員 お答え申し上げます。
正確な数字かどうか、記憶で申し上げますのでごかんべんいただきたいと思いますが、一%で約八億程度だったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/94
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095・古川雅司
○古川(雅)委員 ここでまた防衛費を出すのはどうかと思いますけれども、F4Eファントムが一機幾らで、一年間それを飛ばすのにどのくらいの経費がかかるか、これも常識的に御存じかと思いますが、参考までにお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/95
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096・渡部周治
○渡部説明員 申しわけございませんが、その担当でございませんので、十分の数字を存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/96
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097・古川雅司
○古川(雅)委員 その比較も御存じないまま厚生行政の予算をばっさばっさと削られるということは、私は非常に心外でございます。
先へ進ましていただきますけれども、大臣にお伺いいたしますが、この生活保護制度全体を、最終的な審議会の報告が出る前に厚生省当局としても種々検討を始める必要があるのじゃないかと思いますが、たとえば現在行なわれております級地区分制度の再検討というような問題についてはいかがでございましょうか。
さらにまた、先ほどちょっと触れましたけれども、階級変化に対応する措置も、さらにこれを拡大していくという点についてもいかがでございましょうか。
それから被保護世帯の生活実態が非常に変化をしてきておるわけでございますが、いわゆる被保護世帯の資産保有についての配慮、この点も再検討の時期にきているのではないかと思います。
ほかにもございますけれども、以上三点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/97
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098・斎藤昇
○斎藤国務大臣 ただいまお述べになられました三点につきましては、いままでもそれなりに検討をし、びほう的なことをやっておりましたが、これは今後ひとつ腰を据えて検討をしてまいりたい、至急に検討の段階に入りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/98
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099・古川雅司
○古川(雅)委員 わが党といたしましては、この生活保護制度は、それを運用する機関、それから人の問題、何よりも基本的には、現行制度のいわゆる救貧的な制度のあり方から防貧的な制度へ改めていかなくてはならないその転換の時期であるというように考えておるわけでございますが、この生活保護制度の改善全体の問題について、最後に厚生大臣からその辺の所感をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/99
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100・斎藤昇
○斎藤国務大臣 生活保護は、憲法で保障をされておりますように、やはり人間として生きていく上の最低の保障であろう、かように考えまして、それを踏まえましていままでも、先ほど格差の問題が出ておりましたが、この格差を少なくとも五五、六%まで持っていくというのが理想である、かように考えて、それに近づくようにいたしたい、かように考えております。
四十四年は、この格差が五二・九%でありました。われわれは、これは五三%あるいは五四%まで持っていきたいというので、予算におきましても、そういう意味で大蔵省といろいろ合意の上で策定を願ったわけでありますが、ただ先ほど説明いたしましたように、景気の見通しが思ったよりも伸びて、生活水準が上がったというようなことで、四十五年度は若干格差がふえたという逆の傾向を示したわけでありますが、来年度の景気見通し、それに伴う勤労者の生活水準というものを的確に把握をいたしまして、そうしてその格差が少なくとも五三%以上になるように、これは大蔵省当局も十分御理解いただけることだ、かように考えておりますので、そういう方向で数字を詰めてまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/100
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101・古川雅司
○古川(雅)委員 ただいまの大臣の御発言について、大蔵省から一言づけ加えていただければ幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/101
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102・田中六助
○田中(六)政府委員 いま厚生大臣が申し上げましたとおりに、生活保護者と一般生活者との格差を是正していくということが私どものつとめであるというふうに思っておりますので、その点十分大蔵省も配慮していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/102
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103・古川雅司
○古川(雅)委員 次に心身障害者対策のほうに移らせていただきますが、実は先日、十二月八日に心身障害者対策全国代表者大会というものが行なわれました。私も党を代表して出席してまいりました。各党の先生方からも非常に、特に与党の先生方からは力強いお励ましのことばがあったわけであります。私、ここで非常に痛感いたしましたことは、毎年毎年こうした心身障害者あるいは障害児をかかえた家族の方々の非常に痛切ななまの声を聞くことでありますが、これは毎年同じことを繰り返しております。その要望が毎年同じだということは、それだけ厚生行政がなかなか前へ進んでいないんじゃないかという印象を強くするわけでございます。いずれにいたしましても、心身障害者対策基本法ができましたけれども、その基本法の運用に伴う財政的な力も非常に弱い。どうもこの問題に取り組む政府の姿勢が、極端にいえば見せかけに終わっているのじゃないかというような非難を私たち自身も受けているわけでございます。この点について、まず最初に大臣から見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/103
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104・斎藤昇
○斎藤国務大臣 心身障害児者に対する対策は、なかなか要望を満度に満たすだけのところまで進んでおりませんことは非常に残念に思っております。ただ厚生省といたしましては、少なくとも施設の整備五カ年計画を考え、そしてできるだけ、施設に収容することが必要であると認められる方々は施設に早く収容をいたしたい。また在宅の方々に対しましてもあたたかい手を伸ばしたい、かように考えて、毎年度、予算は相当伸びているわけでございます。ただ一番頭痛の種は、施設をつくると申しましても、これはただ建物をつくるだけではなくて、その施設で養護、看護あるいはそういった世話をしてくださる人を養成しなければなりません。これがなかなかむずかしゅうございます。したがって、そういった方々の養成と相まってやらなければなりませんので、心は千々にはやっても、なかなか、予算をどれだけつければすぐできるという問題ではありませんので、そこはひとつ御了解をいただきたい、かように思います。いずれにいたしましても、いまそういった心身障害児者自身の方々はもちろん、これをかかえておられる家庭の方々のことを考えますると、最善の努力を尽くしていかなければならない、かように思っております。この上とも、ひとつ御鞭撻をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/104
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105・古川雅司
○古川(雅)委員 ただいまの大臣の御発言は、実情、実態の上から立てば了解できないことはございません。ただ私、そうした方々のなまの声を伺っておりまして、ここで二、三具体的な例をあげて当局の対策をお伺いしてまいりたいのでございます。
最初に、ちょっと大ざっぱなお尋ねになるかもしれませんけれども、ここ十数年間の経緯を見ましても、いわゆる発生予防と早期発見、この点を妨げているものは一体何か。いま大臣の御答弁で一応かすかにわかるような気がするのでございますが、特に担当の局長として、これは切実にお悩みのことでもございましょうし、それをどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/105
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106・松下廉蔵
○松下政府委員 ただいま先生御指摘のございましたように、心身障害児の問題、特に今後の対策といたしまして一番大事なのは、そういう心身障害児になっておられる方のお世話をすることも緊急の要務でございますが、同時に、いまのお話の、発生を防止する、あるいはできるだけ早くその障害を発見いたしまして、早期に治療を加えて、できるだけ障害が少なく将来成長するようにするということが基本であろうと思います。そういった問題につきましては、従来も特別研究費等の対策によりまして研究を進めてきたところでございますけれども、さらに来年度におきましても、今年度の研究費が一億でございますが、それを相当増額いたしまして、広い範囲の発生防止あるいは早期治療の研究ができるようにいたしたいというようなことを考えておるわけでございます。
いま御質問のありました、どういう点がそういった発生防止なり早期発見、早期治療を妨げてきたかというお尋ねでございますが、これは、ここ数年あるいはもう少し長期的に心身障害児の状況を見てまいりますと、必ずしも早期発見、早期治療あるいは発生防止が妨げられてきたということでもないように存じております。もちろん不十分かとは存じますけれども、軽度の障害の方につきましては、昭和二十二年の児童福祉法あるいは身体障害者福祉法の制定以来、相当研究が進められてまいりまして、社会的な活動、社会参加ということが進められてきておる状態でございます。ただ、医学が進歩してまいりましたにつれて、乳幼児の死亡率等が激減いたしております。その反面、残念ながら、妊娠中あるいは先天性あるいは乳幼児期におきまして障害が発生したというような子供さんたちが、治療をするに至らないで延命してくると申しますか、寿命が延びておるというようなことのために、重度の障害の方が増加してきておる。特にこの間の会議でもお聞き取りいただきましたように、脳性麻痺の子供が非常にふえてきております。そういうような状態から、脳性麻痺というような、脳の皮質に異状が見られるというような者の発生防止あるいは治療の研究ということが医学的に非常に困難な面がありますために、一見なかなか進んでないように見えるわけでございますけれども、私どもといたしましても、そういった障害の態様の変化に対応できますように、さらに研究費の増額なり、あるいは専門の学者の連携、あるいはいろいろな方策を講じましての障害児者の早期の発見によりまして、たとえばフェニルケトン尿症のようなものにつきましては、早期に発見すれば、手当を加えますことによって精薄になることが防止できるというような見込みもあるわけでございます。あるいは先天性の心臓障害のようなものは、子供のときに手術をいたしますと健全に成長できるというようなめどもついているわけでございまして、そういった施策を並行して進めてまいりまして、できるだけ発生防止あるいは早期治療ということを基本として考えてまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/106
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107・古川雅司
○古川(雅)委員 残念ながら時間がありませんので、具体的な問題を二、三お伺いしてまいりますが、これは全国社会福祉協議会からいただいた四十七年度予算に関する要望書でございます。一つ一つが問題になるわけでございますけれども、その中から二、三伺ってまいります。
たとえば、重度心身障害児者の家庭奉仕員の手当の額でございます。この資料によりますと、現在奉仕員が千百八十二人いて、現在手当月額が二万三千九百円、これを要望額では六万四千七百二十円となっております。このあまりの差の大きさということは現在の貧しさを物語っているものであると私は思うわけでございますが、こうしたいわゆる家庭奉仕員の処遇の問題についてはどうお考えでございますか。これは厚生省当局と、あわせて大蔵省主計官から、こういった実態を御存じであるか、これを今後厚生省の予算要求に対してどう応じていく姿勢を持っていらっしゃるのか、年々のことでありますので、この際お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/107
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108・松下廉蔵
○松下政府委員 ただいま御質問の在宅重度心身障害児者の家庭奉仕員の手当でございますが、現在の給与は、予算的な単価といたしましては御指摘のとおり月額が二万三千九百円でございます。これは仕事の実態からいたしまして、他にも奉仕員制度はあるわけでございますけれども、原則的にこれは非常勤の職員をもって充てるというたてまえがございまして、そのためにこのような低額になっておるわけでございますけれども、仕事の重要性が先生先ほどから御指摘のように非常にふえてまいっておりまして、しかも対象になる家庭も増加してきておるというようなことで、実態は常勤化いたしております。したがって、全社協からも要望されております、私どもといたしましても予算要求として出しております六万四千円という額は、常勤化する、常勤職員の給与という考え方での要求でございまして、非常に額が飛躍するようでございますが、考え方といたしましては、そういうことで常勤の職員として毎日訪問をして十分な手当てをしていただきたい、そういう考え方に立っての予算の計上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/108
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109・渡部周治
○渡部説明員 お答え申し上げます。
ホームヘルパーは在宅障害児者対策以外に、在宅老人の対策といたしましても非常に重要な施策でございます。厚生省からの御要求につきましては、十分前向きに対処いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/109
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110・古川雅司
○古川(雅)委員 もう一つ、具体的な問題については古手委員に質問を譲ることにいたしまして、去る十二月十四日の各紙では、いわゆる来年度予算の大蔵省内示案が報道されております。各紙によって多少ニュアンスは違いますが、政務次官お帰りになりましたので突っ込んで聞けないのは残念でありますが、主計官のお答えできる範囲で、大体報道のとおりと受け取って差しつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/110
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111・渡部周治
○渡部説明員 お答え申し上げます。
大蔵省の原案につきましては、まだ概算閣議の決定を経ておりませんので、まだ最終的には決定しておりません。したがいまして、現在まだ検討中でございます。新聞等に報ぜられておる数字につきましては、私はまだその内容がそのとおりであるということを言明する権限は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/111
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112・古川雅司
○古川(雅)委員 そういうことをお伺いしましたわけは、私、一年生議員でありますので、非常に幼稚なことを大臣にお伺いするわけでございます。各団体をはじめとして、国民の代表の方々が特に厚生行政については強力に要望を持って上京してこられます。いろいろな大会が開かれまして、そこで皆さんの声は最終的には、せめて厚生省の大蔵省に対する予算要求額だけでも確保してくださいというところに結論があるわけでございます。
この予算要求というものについて、私は一つ疑問を持っているわけでございます。ほんとうに厚生行政としてこれだけ必要なものなんだという額で毎年お出しになっていくのか。それが、大蔵省の全体の予算とのバランスという、そこから生ずるいわゆる限度ワクがございます、そのワクの中で操作されることを前提として要求されていくのか。非常に幼稚なことをお伺いいたしますけれども……。と申しますのは、そうした大会等で国民の代表の皆さんに向かっては、あるいは日ごろの厚生省当局の見解として、厚生省としてはこれだけ大蔵省に要求をいたしておりますということを非常にかっこよく公表されているわけでございます。しかし、実際問題として大蔵省の査定にひっかかって削られてしまう。要求したけれどもだめだったということで、国民の期待はむざんに踏みにじられていくわけでございますが、要求したけれどもだめだったということで、これはだれも責任をとりません。厚生省としては大蔵省が削ったんだ、だから、われわれは要求したけれどもだめだったんだということでお済ましになる。大蔵省としては大蔵省で、これだけのワクを示して概算要求を出すように言ったのだから、これだけ削るのはあたりまえだというような態度で臨まれる。従来、私の記憶の範囲では、大蔵省に対して、どうしてもこれだけはやりたいからこれだけの予算の要求をした、しかしその要求が大蔵省には受け入れられなかった、だから責任をとって私は大臣をやめると言った大臣は、私は、一人も聞いておりませんし、見ておりません。予算の要求に対する大臣の姿勢、かまえ方、この辺に私は非常に疑問を持つわけでございますが、大臣、この点どういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/112
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113・斎藤昇
○斎藤国務大臣 御承知のように、予算の要求は前年度の二五%増しで要求をするように、これは閣議できめるわけです。四十七年度予算もそういった経過を経てきめたわけでございますが、各省とも、やらなければならぬ仕事は、二五%どころじゃない、三〇%も四〇%も持っているわけでありますが、しかし、全体の予算の伸びは二五%を伸びないぞと、これはだれも了解せざるを得ません。来年度の予算は前年度の何%伸びになりますか、せいぜい二〇%以内であろうと思いますが、そういたしますると、各省が、やりたいことは山ほどあるけれども、そのうちで一番やりたいものを二五%まで要求をしよう、そうして予算の総ワクの中で、そのときの日本の社会、経済その他のニードによって予算を決定をするということになっておりますので、このやり方はやむを得ないことであろう、かように存じます。厚生省も、二五%増の予算を要求いたしました。これは、やりたいことの中でもさらにそれを二五%につづめて要求したわけでありますから、厚生省といたしましては、二五%まるまるこれは実現をいたしたい、かように思っておるわけでありますが、御承知のように、来年度はとにかく社会福祉というものを重点にして予算を組むべきであるということは大体の世論になっておりまするし、また政府もさように考えておりまするから、したがって、他の省に比べまして、社会福祉の予算は相当充実できるもの、かように考えております。要求予算が通らなかったからやめた大臣はいないとおっしゃいますが、これは、どうしてもこれを認めなければ大臣として職務を果たせないというものがあれば、私は、それはまたそういう大臣も出てくるだろうと思います。そういうようなつもりで各大臣もいろいろと折衝をいたしておるわけであります。私もその例外でないということだけを申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/113
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114・谷垣專一
○谷垣委員長代理 古寺宏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/114
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115・古寺宏
○古寺委員 日本国憲法はすべての国民に、能力に応じて教育を受ける機会を与えるということを保障いたしております。しかしながら、わが国の中には、病弱児あるいは身体障害児の方々の中で、非常に恵まれない、教育を受けられない方々が一ぱいいるわけでございますが、この問題につきましては、国会でもたびたび論議をされ、また関係者からもたびたび陳情があったのでございますが、この養護学校の設置の問題と義務制の早期実現について、文部省はどういうふうに対策をお考えになっているか、簡単に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/115
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116・寒川英希
○寒川説明員 養護学校の拡充整備につきましては、かねてから三種の養護学校、つまり精神薄弱、肢体不自由、病弱の養護学校の設置のために施設、設備等の補助を行ないまして、かなり整備を見ているわけでございますが、まだ精神薄弱と病弱につきましては未設置県が過半数もある状況で、養護学校における義務教育の実施が延期されたまま現在に至っておるわけでございます。このため、私どもといたしましては、四十七年度から養護学校整備七年計画をもちまして、対象となるすべての児童生徒を就学させるために必要な学校の設置を都道府県に対しまして促進しまして、四十九年度からは養護学校の義務制化を実施に移してまいりたいということを目標にして、目下その検討を進めているところでございます。その際に、四十八年度までには、すでに全県設置を見ております肢体不自由を除き、精神薄弱と病弱の養護学校の未設置県の解消をはかることといたしまして、四十九年度からは、都道府県に対しまして、必要な収容力を持つ養護学校を設置する義務を課すようにいたしたいと考えまして、来年度の予算にも、これに必要な要求をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/116
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117・古寺宏
○古寺委員 厚生省は、こういうように養護学校の、病弱児の場合には二十七県でございますか、それから精薄の場合は二十三県の未設置県があるわけでございますが、こういう養護学校の設置の推進についてどういうような努力をいままでしてこられたのか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/117
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118・松下廉蔵
○松下政府委員 先生御指摘のとおり、いまの学校教育法のたてまえから申しますと、障害児といえども義務教育を受けるということは、これは原則でございます。そういう意味では、いま文部省の特殊教育課長からも御説明がありましたように、養護学校がこの特殊児童のために——特殊児童というのはおかしいんですが、心身障害児のために設けられて、できるだけ全員あるいはそれに近い人たちが義務教育を受けるようにするということが基本的な考え方でございまして、そういう考え方に基づいて私どもも文部省と従来お話し合いをしてきておりますことは、いま文部省からもお話があったことと食い違っていないわけでございますが、ただ従来は、実情といたしまして、先生の御指摘のように、養護学校の設置されていないところがある。心身障害児のうちでも、盲児及び聾児を除きましては就学率がかなり低い。就学の猶予、免除というような対象になっておる子供があったわけでございます。私どもといたしましては、原則的な考え方としては、できるだけそういった学校あるいは学級が設置されまして、それによって義務教育が行なわれますことを文部省にお願いをしますと同時に、現実の状態として、義務教育のワクに入り切れない精薄あるいは身体障害の子供さんがおります場合には、そういった人たちを何らかの形で保護、援護するという対策が必要でございますので、併行いたしまして、児童福祉施設として肢体不自由児施設あるいは精薄児施設、虚弱児施設等を設置いたしましてそこへ収容をして世話をする、あるいは家庭においてそういうお世話ができる子供さんにつきましては、通園施設というような施設をつくりまして、そこにおいて生活指導等を行なうというような、二本立ての考え方で進んできておるわけでございます。幸い、文部省とされましても、中教審の答申、あるいは総合研究所の設置等によりまして、今後特殊教育を強力に推進していただけるということでございますので、私どもといたしましても、それに対応いたしまして、学齢に達しております障害児について、できるだけ義務教育を受けることができるように、またその前段階としてはいまの通園施設、あるいは来年度予算を要求いたしております小規模通園施設等を活用いたしまして、そういった義務教育に備えての生活指導等ができるだけ行なえるように、そういう努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/118
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119・古寺宏
○古寺委員 そこで、養護学校をつくる場合に、文部省は建物や施設については二分の一の補助をいたしているようでございますが、地方自治体の負担が非常に大きいわけでございます。三億から四億ぐらいかかる。こういうことではなかなか未設置県を解消するというのは容易でないと思いますが、今後この補助金を三分の二ぐらいに引き上げる、そういうお考えを文部省は持っていないかどうか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/119
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120・寒川英希
○寒川説明員 いまお話のございました養護学校に対する補助率二分の一を三分の二に引き上げることにつきましては、目下予算を要求いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/120
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121・古寺宏
○古寺委員 それから、国立療養所等へ行きまして、養護学校ができていないところでよく聞くのでありますが、養護学校の敷地の問題でございます。これは国有財産法で二分の一まで減額できるそうでございますが、厚生省がなかなかこの減額をしてくれないために、地方自治体が養護学校をつくる場合に非常に困っているようでございますが、今後こういう国立療養所に収容されている子供さん方が教育の機会が与えられるようにするためにも、厚生省は積極的に地方自治体の実情というものによく思いをいたしまして、減額措置をおとりになりまして、未設置県がなくなるように養護学校というものをどんどん促進していただきたい、私はこう思っているのですが、この点について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/121
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122・斎藤昇
○斎藤国務大臣 できるだけそういう措置をしていると局長が申しておりますが、いま御意見の点もございますから、十分にそのとおりにできているかどうか検討をいたしまして、養護学校の一日も早くたくさんできるように、厚生省としても努力をいたしたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/122
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123・古寺宏
○古寺委員 いや、これは陳情をよく受けるのです、厚生省が土地の問題については非常に冷たい、渋い、こういうことを再三承っておるわけでございます。自分の施設に入っている子供さん方の教育をする場所をつくるための土地なんでございますから、当然今後はこういう減額措置というものをおとりになりまして、未設置県を解消するように、きょうは強く御要望申し上げておきます。
次に大蔵省にお伺いしたいのでございますが、先ほど文部省からお話がございましたが、養護学校の特殊性というものからいきましても、補助率の引き上げはどうしても必要な問題である、こういうふうに考えておりますが、大蔵としてはこの問題についてはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/123
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124・渡部周治
○渡部説明員 お答え申し上げます。
まことに恐縮でございますが、私は文部担当のほうじゃございませんので、実はその方面について十分承知しておりませんので、ごかんべんいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/124
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125・古寺宏
○古寺委員 それでは、きょうは時間でございますのでこれで終わりまして、この次の委員会でまた質問さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/125
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126・谷垣專一
○谷垣委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704410X00719711216/126
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