1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十六年十一月五日(金曜日)委員長の指名
で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。
エネルギー・鉱物資源問題小委員
左藤 恵君 坂本三十次君
始関 伊平君 塩崎 潤君
進藤 一馬君 羽田野忠文君
橋口 隆君 八田 貞義君
山田 久就君 石川 次夫君
岡田 利春君 松平 忠久君
浅井 美幸君 近江巳記夫君
川端 文夫君
エネルギー・鉱物資源問題小委員長
橋口 隆君
流通問題小委員
稲村 利幸君 小川 平二君
大久保武雄君 海部 俊樹君
北澤 直吉君 前田 正男君
増岡 博之君 松永 光君
武藤 嘉文君 加藤 清二君
中村 重光君 横山 利秋君
岡本 富夫君 松尾 信人君
吉田 泰造君
流通問題小委員長 武藤 嘉文君
―――――――――――――――――――――
昭和四十六年十一月九日(火曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 鴨田 宗一君
理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君
理事 進藤 一馬君 理事 橋口 隆君
理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君
理事 岡本 富夫君 理事 吉田 泰造君
稲村 利幸君 神田 博君
北澤 直吉君 坂本三十次君
塩崎 潤君 羽田野忠文君
八田 貞義君 増岡 博之君
山田 久就君 石川 次夫君
加藤 清二君 松平 忠久君
横山 利秋君 近江巳記夫君
松尾 信人君 川端 文夫君
米原 昶君
出席政府委員
内閣法制局第四
部長 角田礼次郎君
公正取引委員会
委員長 谷村 裕君
通商産業政務次
官 稻村佐近四郎君
通商産業省重工
業局長 矢島 嗣郎君
中小企業庁長官 高橋 淑郎君
委員外の出席者
大蔵省銀行局特
別金融課長 北田 榮作君
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
―――――――――――――
十一月八日
山村開発次期対策の早期実現に関する請願外三
件(奧野誠亮君紹介)(第六七〇号)
同(瀬野栄次郎君紹介)(第六七一号)
同外一件(田中龍夫君紹介)(第六七二号)
同外五件(辻原弘市君紹介)(第六七三号)
同外一件(阿部文男君紹介)(第七〇一号)
同外二十九件(上村千一郎君紹介)(第七〇
二号)
同外二件(植木庚子郎君紹介)(第七〇三号)
同外七件(小澤太郎君紹介)(第七〇四号)
同(川崎秀二君紹介)(第七〇五号)
同外六十六件(河本敏夫君紹介)(第七〇六
号)
同(砂原格君紹介)(第七〇七号)
同(瀬野栄次郎君紹介)(第七〇八号)
同外八件(辻原弘市君紹介)(第七〇九号)
同外一件(野田武夫君紹介)(第七一〇号)
同(美濃政市君紹介)(第七一一号)
同外九件(山本幸雄君紹介)(第七一二号)
同外五件(小沢一郎君紹介)(第七七三号)
同外四件(笠岡喬君紹介)(第七七四号)
同外八件(篠田弘作君紹介)(第七七五号)
同(中川一郎君紹介)(第七七六号)
同外四件(中川俊思君紹介)(第七七七号)
同外十三件(古屋亨君紹介)(第七七八号)
同外九十三件(松澤雄藏君紹介)(第七七九
号)
同外九件(村上信二郎君紹介)(第七八〇号)
同外十件(毛利松平君紹介)(第七八一号)
同外九件(安田貴六君紹介)(第七八二号)
同外四件(奧野誠亮君紹介)(第八二九号)
同外八件(大村襄治君紹介)(第八三〇号)
同外二件(椎名悦三郎君紹介)(第八三一号)
同外三件(塩崎潤君紹介)(第八三二号)
同外二件(關谷勝利君紹介)(第八三三号)
同外八件(古内広雄君紹介)(第八三四号)
同外二十三件(松浦周太郎君紹介)(第八三
五号)
同外一件(松野幸泰君紹介)(第八三六号)
同外九件(浦野幸男君紹介)(第八三七号)
日米政府間繊維協定反対に関する請願(岡本富
夫君紹介)(第六七四号)
同外一件(西田八郎君紹介)(第六七五号)
同(新井彬之君紹介)(第七一三号)
同(岡本富夫君紹介)(第七一四号)
同(新井彬之君紹介)(第七八四号)
同(岡本富夫君紹介)(第七八五号)
同(新井彬之君紹介)(第八三八号)
同(岡本富夫君紹介)(第八三九号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
十一月八日
中小企業救済対策の即時実施に関する陳情書外
六件
(第六〇号)
離島振興法の延長に関する陳情書
(第一〇六号)
離島の水資源開発に関する陳情書
(第一〇七号)
東京湾周辺地域の水資源確保に関する陳情書
(第一一六号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に
対する臨時措置に関する法律案(内閣提出第九
号)
通商産業の基本施策並びに私的独占の禁止及び
公正取引に関する件(鉄鋼の生産調整問題)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/0
-
001・鴨田宗一
○鴨田委員長 これより会議を開きます。
通商産業の基本施策に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/1
-
002・中村重光
○中村(重)委員 鉄鋼の問題について谷村委員長にお尋ねをしたいのですが、きょうは何ぶん時間がありませんから、あらためてまたお尋ねをすることになろうと思うのですが、新聞報道をずっと注意深く実は鉄鋼の操短の問題を見ているわけですが、どの程度この報道が正確であるのかわかりませんけれども、ずっと日にちを追って見てみますと、公取の態度がちょっと変わってきているように思うわけですね。十月の二十日当時は、「鉄鋼の操短勧告を業界、通産省に申入れ」、公取はこれに対して難色を示しているし、通産省も慎重であるという見出しでもって報道されているわけですが、今度十一月三日ごろになると、はっきり公取は粗鋼の勧告操短に反対する。ところが通産省は、来週中にも方針を決定するのだ——これは方針の決定ですから、認めるのか認めないのかこれはまあわからないわけですけれども、中身はこれを認める方向に……。ところが公取は、不況カルテルには柔軟な態度を示す、こういう見出しになっている。十一月の四日になってくると、鉄鋼不況カルテルで合意する、条件つきでもって来月から、業界と通産省は公取に要件緩和を求める。そこで、今度は独禁法でもって特定商品ということになるわけですから、粗鋼の不況カルテルということになってくると、半製品ということで初めてのケースということになるわけですが、通産省が勧告すると公取も認める意向——新しいあり方として他産業にも道を開くことになる。そうなってくると、紙パルプであるとか石油化学であるとか、いろいろなものが次から次に申請をしてくることになるのではないかといったように、ずっと通産省なり公取の態度が変わってきているように思われるわけです。非常にこれは重大な問題であると私は思っているわけですが、端的に委員長にお尋ねいたしますが、カルテル認可に対するところの公取の態度なんですが、この点についてひとつ考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/2
-
003・谷村裕
○谷村政府委員 新聞を引用しての御質問でございましたので、まずその点について申し上げておきますが、公正取引委員会は、従来から勧告操短という形のもの、すなわち行政官庁の指導によって行なうある程度のそういった減産であるとかいうようなこと、それを業者のほうで勧告という名のも とにおいてやるということは好ましくないということを従来とも言っておりますし、その考え方は変わっておりません。新聞のほうで、態度が変わったとか変わってないとかいろいろなことをいっておりますけれども、私どもの態度は、積極的に表明したことは従来からその点が一つであります。
それから第二に、今回鉄鍋の粗鋼段階での操短といったようなことを不況カルテルという形で考えるかどうかというその問題については、従来はそういう形での不況カルテルの申請というものがございませんでしたために触れる機会がなかったのでございますけれども、この点に関しては、今回初めて不況カルテルのやり方として、粗鋼という、商品ではない、中途の段階におけるものの取り扱いを認めるという考え方、これは初めて表に出たことになります。この点は、ちょっと新聞が誤解をして報道をいたしておりましたので、とりあえずその翌日新聞の方々に集まっていただきまして、二十四条の三の解釈として、粗鋼は商品ではない、あくまで不況カルテルを結ぶ要件は、それぞれの商品において不況要件がなければならない、しかしその不況においていかにこれを克服するかということのために、必要にしてかつ必要の程度を越えない程度であれば、粗鋼という段階を使ってもそれでもよろしいという考え方を委員会として表に出したわけであります。それをちゃんと説明したわけでございます。ただし、目下のところまだ申請がございませんし、具体的な経理の状況その他については言っておりませんから、認可についておまえどう考えるかという御質問でございましたが、その点についてはまだ白紙であると申し上げるよりほかないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/3
-
004・中村重光
○中村(重)委員 まあ白紙だとこうおっしゃっているのですが、新聞が主観的な報道ということになってまいりますと、委員長がいまお答えになったようなことでわかるわけですけれども、あなたの談話という形があるわけです。それによりますと、業界は十二月一日から生産調整に入りたい、そこで二、三週間でもってこの審査を終えてもらわなければならぬということに、これは逆に計算してもそうなってくるわけです。ところが、あなたは記者会見において、業界が十二月一日から生産調整に入ることを望んでいるなら要望に沿うよう努力したい、こうなってまいりますと、まあ要望に沿うよう努力をするんだ、だがしかし中身を見てみなければわからぬのだから何とも言えないのだというような答弁があるいは返ってくるかもしれないですね。しかしここまであなたが言われることになってくると、通産省も積極的に行政指導等をやっているわけですからね、してみると、やはりあなたがこの不況カルテルを認める態度を明らかにしたという受け取り方を業界がすることは当然じゃないでしょうか。私もそういうような受け取り方を実はしているわけです。そうなってくると、申請をする前に審査期間をあらかじめ明らかにするということはこれは問題であるし、また、いまあなたの白紙であるということにも反してくると私は思うのですが、この点も否定なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/4
-
005・谷村裕
○谷村政府委員 明らかに私が公式の記者会見において記者団の質問に答えて言ったことでございますから、ここに繰り返して申し上げますが、第一に、法の解釈として粗鋼減産というふうな形のものが二十四条の三の不況カルテルの内容として考えられるという説明をいたしました際に、さらに重ねて、その点について認めるか認めないかは実態を審査した上でなければわからないということを申しました。
それから第二に、記者団からは、業界はこうこうということを希望しているが、何か長くかかるというふうなこともあり得るかというのに対して、かりにそれを認めるとか審査するというふうなことをした場合に、決してわざと長引かせるというふうな、ことばでいうと、意地悪をしたりするようなつもりはない、しかし審査というのは実際はそのとおり間に合うか間に合わないかそれはここでは何とも言えない、しかし間に合わせたいというように、やはり行政でございますから、仕事としてはそう長引くことのないように努力はしたい、しかし間に合うかどうかわからぬよ、まあかような答弁を私はそのとき記者団にしたというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/5
-
006・中村重光
○中村(重)委員 ことばじりをとらえるわけじゃ ないんですけれども、あなたのいまのお答えの中からも、私は、いまずっと報道されているのが単に報道陣の主観的な面の取材だというふうには思わないですね。勧告操短というのは、これは不況カルテルと類似行為であって独禁法上問題があるというあなたの態度、確かにそのとおりだと私は思うのです。国会でも、実は三木通産大臣のときでしたか勧告操短をやりましたときに、私もその不当性というものを追及をしてまいった記憶がございます。ところがあなたの考え方というのは、勧告操短というものはカルテルの類似行為である、したがって独禁法上問題がある、だから不況カルテルの申請というものがあったならば、これは認めてやるのだというようにどうしても受け取られる。そうなってくると、あなたは、自分の土俵に上がってさえくるならばよろしい、自分の土俵に上がらないで、あなたの所管に、いわゆる独禁法上問題があるようなことをやるというのはけしからぬのだ、その点にあなたはウエートがかかっているように思いますよ。少なくとも、いまあなたは申請が出てみなければわからない、期間の問題も間に合うか間に合わぬかわからぬし、中身についても審査をしてみなければわからないというような、ことばとしてはそういうことで返ってきましたけれどもね。あなたが記者団との一問一答をやっているのを私もずっと注意深く読んでいるのですから、それは一字一句全く間違いがないということは言えないかもしれませんけれども、まあ質疑応答の中でずっとあらゆる問題についてやっていることを見ると、あなたの考え方はもう固まっているように見えるのですね。私はそれは問題だと思うんです。ですから、これが不況カルテルということであなたの土俵に上がってきたならば、あなたはこれを認めるというような考え方を持っているのですか。全くほんとうに白紙で、相当な期間をかけてあらゆる角度からこれを検討していくというような態度をあなたは持っているのですか。この際、ひとつはっきりお答えをいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/6
-
007・谷村裕
○谷村政府委員 おっしゃるとおりで、もうお答えするまでもないことでありますが、私どもに与えられた責務でございます。不況カルテルの要件を備えているかどうか、かりにその要件を備えているとしても、不況カルテルのやり方が必要の程度を越えないかどうか、そういう点については独禁法に基づいて与えられた責務を忠実に果たすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/7
-
008・中村重光
○中村(重)委員 この独禁法二十四条三の第一項第一号の要件ですが、これをあなたはどのように解釈をしていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/8
-
009・谷村裕
○谷村政府委員 おっしゃる意味は、「当該商品の価格がその平均生産費を下り、且つ、当該事業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがあること。」このことだと思います。第一項の一号という、そういう意味でございますね。これにつきましては二つここに書いてございます。実態は一つになると思いますが、要するに、その前段において、価格が平均生産費を下回っているという点でございます。これはいろいろな品物があるかと思いますが、そして物によっていろいろなあれがあると思いますけれども、まず価格という場合には、その生産者なら生産者が実際に相手方に引き渡しているその実売価格、いわゆる市中の商品市況などに出ているのではない、そういう実売の、実際の生産者売り渡し価格といったもの、それを大体頭に置いて従来考えております。その場合にはもちろん個別に見るのでありますが、全体を一応平均して考えることになると思います。また平均生産費のほうも工場別あるいは企業別のほうで見るわけでございますが、その場合に、ある程度出荷量あるいは生産量で加重平均して考えるというのがいままでの考え方でございます。それがしたがって、各業者なりの実際の売り渡し価格の平均が、そういった業者の生産費の平均を下回っている場合、こういうことにこの考え方はなるわけでございます。
それから第二段の「当該事業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがある」ということでありますが、これは、不況カルテルは、当然第一項の初めにも書いてありますように、商品ごとにそういう状態が起こっているということを考えるわけでありますが、その商品ごとに一応事業者がきまっているわけでございますけれども、事業者によってはある商品をつくっている部分もあれば、つくっていない部分もあるというふうに、いろいろな兼業をしている場合もございます。そういった場合のこともございますけれども、大体その商品あるいはその商品と関連の強い商品までも含めて一つの事業部門、もし専業であれば当然その会社の事業全体、そういうふうな見方をそれぞれして、それぞれが一体どういう経理の状況になっておるかというふうな毛のを見ることになると思います。そして、その相当部分というふうにいいましても、数からいいまして企業者の数というふうなことで見るという場合もございましょうけれども、場合によれば、たとえば生産量全体あるいは設備全体、いわば生産力全体の中でどのくらいのウエートのものが非常につらい、きつい経理状況になっているかといったような見方をするという場合もあるかと思います。この点は、従来不況カルテルをいろいろ見てまいりました際に考えておりましたごく大ざっぱな御説明でございますが、もちろん具体的にはケース・バイ・ケースにその内容を見る、かようなことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/9
-
010・中村重光
○中村(重)委員 いまあなたの答弁を伺っておりましても、相当調査には時間がかかるなという印象を受けます。また、もちろんあらゆる角度から慎重な調査がなされなければならない。そしていまあなたがお答えになった点で解釈上の問題もあると思いますけれども、私の考えていることと必ずしも一致していないような点もあるかもしれませんが、いまあなたがお答えになったことでもって進めていくということにいたしましても、二週間とか三週間でそう簡単にできるものじゃない。ましてや公取の陣容ということを考えてみますと、私どもはそのことを痛感をいたします。いまあなたがお答えになった中で、第一号で「当該事業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがある」。ところがあなたの記者会見では、配当の有無は直接の問題ではない、こうお答えになっていらっしゃいますが、これはあとでお尋ねすることといたしまして、この粗鋼について、不況カルテルを認めることについて、二十四条の三の第一項にいう特定の商品にこの粗鋼が当てはまるのかどうか。いまも若干お答えがありましたけれども、端的にこの点について考え方を明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/10
-
011・谷村裕
○谷村政府委員 お答え申し上げる前に申し上げておきますが、不況カルテルを認めるについてとおっしゃいましたけれども、まだ認めるという段階にいっておるのではなくて、不況カルテルという形の申請を受け付けるについてというふうに私はまず申し上げておきたいと思います。
そして、その際特定の商品として粗鋼というものを見ておるのかという点につきましては、これはもちろん特定の商品ではございません。特定の商品という市場を持って取引が大々的に行なわれているというものではございませんから、私どもは粗鋼を商品とは見ておりませんということをまず申し上げます。
しかしその点は、この法律でもって二十四条の三で、どういう場合に不況カルテルができるかということが第一項に要件として出ておりますが、そのときはすべて特定の商品について見ております。特定の商品の需給が著しく均衡を失して、そして当該商品の価格が平均生産費を下回る。したがって鉄鋼で申しますならば、たとえば板ものでありますとか形鋼でありますとか、あるいはパイプでありますとか、そういう粗鋼から生産されるその次のいわゆる普通鋼鋼材といわれるようなもの、そういうものを個々の商品ごとに見て、需給の均衡を失し、またその価格が平均生産費を下回っているかどうかという、不況要件としてはそれぞれの商品について考えるわけでございます。そして粗鋼の問題はどういうところに出てくるかと申しますと、二十四条の三の第二項において、そういう状態があったときには、その事態を克服するために、「生産数量、販売数量又は設備の制限に係る共同行為」、この「係る共同行為」として、個別のそれぞれの品種、普通鋼鋼材の商品の生産をある程度制限する、その手段として共同行為、その共同行為の内容が粗鋼減産ということもあり得る、かような考え方になるわけであります。ただし、それはここに書いてございますように、第四項でその内容が、「第一項に規定する事態を克服するため必要な程度をこえていないこと。」と書いてございますから、粗鋼減産という手段をとることが、いろいろな不況商品というものの対応策として必要であり、かつ必要である程度を越えないというそういう条件でないと、私どもは認められない、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/11
-
012・中村重光
○中村(重)委員 あなたは、私が認めるということばを使ったことについて、あなたなりのことば上の注意ということを非常に大切にされる。ごもっともなんで、私は端的に申し上げたのですが、私の頭の中には、どうしてもあなたは認めていくのだという——どの新聞を読んだって、先入感としてあるのです。だから申請する要件としても、いまあなたがおっしゃったようなことなんだから、したがって、その申請が出たらばその要件に基づいて調査をしていくのだから、二週間や三週間でこれを認めるか認めないかという態度を出すこと自体に無理があるということを私は強調したいわけなんです。だから申請が出たらば慎重に対処してもらわなければならない、こういうことです。
あなたはいま、粗鋼は特定の商品に当たらない、個々の商品というようなものがカルテルの対象になる、だけれどもということで、お答えになりましたようなそういう具体的な説明がなされたわけですけれども、どうも粗鋼の生産を認めるために、いかにも拡大解釈と申しましょうか、無理と申しましょうか、もっと端的に言わしていただけば、こじつけみたいな感じがしてならないのです。だから、粗鋼の生産調整そのものは独禁法違反になるのかならないのかということを実は聞きたいのですが、いまあなたのお答えの中からは、どうもならないというように、粗鋼そのものは不況カルテル、いわゆる独禁法にいう特定の商品ではないのだけれども、特定の商品というようなものに対してカルテルを認める場合、いまあなたはそのもととなるところの粗鋼そのものを認めていくということは必ずしも違反ではないというお答えであったように私は思うのですが、粗鋼の生産調整そのものは、独禁法上の端的に言って違反になるのですか、ならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/12
-
013・谷村裕
○谷村政府委員 たいへんいいところをお聞きくださいました。私はそれをまさに申し上げようと思っていたのです。粗鋼をお互いが申し合わせてそして生産調整をすることは、独禁法の不当な取引制限に該当する場合が非常に多いというふうに私どもは思います。すなわち、端的にお答えいたしますならば、粗鋼の生産調整ということそれ自体は、商品じゃございませんから商品そのものを落とすのじゃございませんけれども、それからよって出てきますいろいろな商品の生産数量に影響を直接に与える因果関係を持つものでございますから、したがって、私どもはそれは独禁法違反になる、そういうふうに考えているわけでございます。これは刑の法条で申しますと、いわゆるカルテルをつくっちゃいけません、こういっているのは不当な取引制限に該当するわけでございますが、不当な取引制限とは何であるかということが独禁法の第二条の第六項というところに「この法律において不当な取引制限とは、」いって書いてございます。そうしてそこでは「他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、」とございますが、この拘束しているところにいわゆる粗鋼の調整ということが入るわけでございます。その結果、「公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限する」すなわち、ある商品、こういう商品ああいう商品が押えられることになる、こういう因果関係があるわけでございます。したがって、粗鋼の段階で生産調整をすることは、それによっていわゆる鉄鋼製品の一定の取引分野における競争を制限することになりますから、私どもはそれはやはり独禁法違反になる、こう言っておるわけでございまして、不況カルテルはちょうどそれを裏返したことになるわけでございます。黙ってやることはいけません。ただし、一定の要件がある場合に、粗鋼調整という手段をもって特定の商品のための不況カルテルをつくることはこれは認可しようというのでありますから、二条に書いてある不当な取引制限を、私どもが悪いカルテルだ悪いカルテルだと言っていることのちょうど裏返しが不況カルテルになるわけで、粗鋼と製品との関係は、以上のように独禁法では解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/13
-
014・中村重光
○中村(重)委員 どうもわかったようなわからないようなお答えですが、粗鋼の生産調整というものはいけないのだ、しかしながらこれは特定の商品との因果関係があるのだから、これを不況カルテルという形において申請をするならば、これはあなたが内容的にこれを認めるべきであるという判断によって、そして認めることは可能である、こういうことになるのですが、いまあなたのお答えと、八幡・富士の合併の審査対象に粗銅をしなかったということについての解釈はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/14
-
015・谷村裕
○谷村政府委員 富士・八幡の場合に、もちろん粗鋼を商品とは見なかったわけでございますが、粗銅のシェアがどうなるかということは、当然委員会として、さっき申し上げた因果関係がございますから、考えたはずでございます。そしてまた、伺ってみましたが、その議論もしております。たとえば、粗鋼がさっき申し上げましたように、次の製品に及ぼす影響力が強いわけでございますからこそ、粗鋼の生産調整をしては独禁法違反になるぞといっているわけでございますから、競争制限の実態をとるかどうかは、粗鋼の段階ではたしてその実態があるかどうかを考えたというふうに聞いております。ただしその場合には、新日鉄というものの粗鋼のシェアが三六%程度であるということから、直ちにその次の商品において、いかなる競争制限という実態が起こるかということを結びつけるということは、当時の委員会としては困難であったというふうに聞いております。したがって、見方を変えて、個別の商品というほうから競争制限というものの実態を見ようということになったというふうに聞いております。したがって、富士・八幡の場合の考え方は考え方で、それは一つの考え方であったし、ちゃんと筋はそれなりに通っていると思います。そして、今回の場合とはまたケースが違うというふうに私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/15
-
016・中村重光
○中村(重)委員 どうもあなたは、この不況カルテルを認めてやろうというような考え方の上に立って、無理な解釈をしておるようですね。この富士・八幡の合併の際も、粗鋼を審査対象にしなかったのは、粗鋼そのものは中間的製品であって、それ自体の市場価格の形式がなされていないというのであったわけですよ、いいですか。そうすると、この生産調整でありましても、それから不況カルテルにいたしましても、そのことがいわゆる経済に及ぼす影響ということについては変わらないのですね。物価の上昇というようなことに対する大きな影響力をもたらす、国民に対して不利益をもたらすという結果が、どうしても寡占体制の状態になりますから、これは否定することのできない事実だろうと私は思うのです。それをあなたは、特定の商品というようなものではないんだ、しかし、これは因果関係があるのだというようなことで、あなたの土俵に上がってさえくるならば、あなたなりの解釈をとって、この粗鋼をカルテルの対象にするということには私は無理があると思うのです。これはやはりやるべきではない。これは二十四条の三の各項、各号をずっと見てみましても、どうしてもいまあなたがお答えになりましたような、それはそのときはそのときのことだ、それは今回と前回とは違うのだ、この前は合併であったのだが、久度は不況に対してこれを克服するための手段としてカルテルを結ぶんだからこれは事情が違うんだからいいではないか、そういうのはあまりにも便宜主義的な解釈になるように私は思います。説得力がないようですよ。これで十一時十五分になってしまったのですが、まだこのこと自体が本論に入っていないのです。
それともう一つ、あなたが記者会見でお述べになったことが事実かどうか知らないのですけれども、配当の有無は直接の問題ではないというようなこと、これは私は事実だったとするならば問題があると思うのですね「当該事業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがある」ということに、配当の問題というのは重大な関係を持つのじゃありませんか。いま一割から八分程度の配当をやはりずっと続けてきているのですよ。特にこの配当が減配という形になったというふうな実績もあまり出てないようですね。無理がありはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/16
-
017・谷村裕
○谷村政府委員 まず前段のほうについて、おまえはケース、ケースでもって自分に都合のいいように解釈しているんじゃないかというようなお尋ねがございましたが、委員会といたしましては、きらんと法律の筋をたどって、法律の論理の上に問題を考えておりまして、決してさようなことではございません。かりに富士・八幡の場合でも、富士・八幡——新日鉄の粗鋼のシェアそれ自体が非常に高いものになるということになりましたならば、当然牽連関係を考えたというふうに私は思いますし、またさように伺っております。決して委員会としては、御都合主義で適当な解釈をしているというふうな便宜主義的なことはございません。当然に法律に乗り、法律の論理に従って考えているということを重ねて強調しておきたいと思います。
それから第二に、配当の……(中村(重)委員「論理がはっきりしないんだ」と呼ぶ)その点については私の説明が不十分であるかもしれませんが、おわかりいただけるまで私は時間をかけて御説明申し上げる用意は幾らでもございますから、時間さえかしていただければ、詳細、こさいにわたって申し上げたいと思います。
次に、配当の問題でございますが、従来におきまして、事業の継続が困難であると認めるかどうかということにおいては主として実態について見ておりまして、その事業者が配当をしておる場合もあれば、減配をした場合もあれば、無配になっていたケースもございます。従来、必ず無配でなければ不況カルテルとしてのそういう苦しい状況にあるという認定は、そういう形式からはいたしておりませんで、過去の不況カルテルの認可をいたしました場合にも、配当をやっているものを認めた例は過去においてもございます。私が聞かれましたのは、私は決して配当を平気でどんどんなさいと言ったつもりはございません。配当に限らず、たとえば重役賞与の問題もあれば、あるいは交際費等、これも企業合理化という努力目標の一つのあらわれにはなると思います。そしてまた特に配当というものの持つ性格は、そういった企業のビヘービアとしてはかなり表徴的なものでもあると思います。しかしそのことは、だから重役賞与をゼロにしなければだめだとか、配当をゼロにしなければいけないとか、あるいは給与のカットをもしなければいけないとかいう、そういう企業のビヘービアそれ自体をどうするかという話は、私どものいままでの扱いでは、一つのあらわれとしては拝見いたしますけれども、実質的な要件としては、必ずしもそれを厳格に要求するという姿のものではございませんでした。いかなる考え方で配当をするのか、いわゆる配当政策の問題というのは企業の一つのビヘービアでございますが、それをたとえば水増し利益をやったり不正経理をやったりしてやっておれば、それは当然大蔵省からいわゆる粉飾決算であるとして、第一、公認会計士が認めないと思いますけれども、そうでない、企業経理上許されている期別のいろいろな操作というふうなことでやる場合には、それは一つの配当政策として考えますが、私どもはそれを実態的に不況要件として別な角度から考えたい、かように答弁したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/17
-
018・中村重光
○中村(重)委員 あなたが、いわゆる独禁法に基づいて、その法の理論の上に立ってこれを認める場合には認めていくのだ、決して便宜主義じゃない。あなたは申請が出る前から通産大臣と会ってみたり、あるいは通産の当該の局と密接に連携をし業界との接触をやる。それは調査をやるんだからあたりまえだといえばそれまでの話だ。もうあなたの考え方というようなものは、公式の記者会見あるいは非公式等々を通じて、これは認めていくのだというようなことを明らかにしておいて、理論構成の中においてこれをやるのだと言っても、そんなことでは説得力はありませんよ。ほんとうに当初言われたように、白紙の態度に立って、そしてその申請が出てきたならば、あらゆる角度から内容の検討もやる。理論的な構成といったようなことについても、どこからも非難されないようにやる。少なくとも、私が指摘いたしましたように、便宜主義だと言われるようなことはないという確信ある態度をおとりになって初めていまのあなたのお答えは生きてくるわけです。そういうことになっていないじゃありませんか。内心じくじたるものがあるんでしょう。
それから、二十四条の三の第一項第一号「相当部分の事業の継続が困難」というそういう場合に、あなたからいろいろお話があったんだけれども、「相当部分」というのは、どの段階でどういう形で見るのか、また、その程度というのはどういうことなのか、この点をひとつお答えになってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/18
-
019・谷村裕
○谷村政府委員 前段のお話でありますが、私どもは実態と形式とをまず区別したいと思います。粗鋼減産というような形によるそういう不況カルテルを法律上、私のほうでいえば申請することが可能であるかどうか、法律の論理としてそういうことが可能であるかどうかという点については、これは私に直接は参りませんでしたが、通産省のほうから、私どものほうの事務当局に内々接触があったと私は聞いております。そういうことのために、法律上可能かどうかということは、私ども委員会としていろいろ審議いたしまして、それは当然可能であるという、そういう結論を得ました。決して、これは内心じくじたる決定でもないし、何でもございません。
それから、なお私は、通産大臣やあるいは業界の方に、この問題についてあらかじめ会ったりなんかしてお話をしているということはございません。
それから、さて今度法律上可能であるとしてやってきたときに、はたしてその内容がどうであるかこうかというお話は、さっきから何べんも申し上げているとおり、私どもの当然の責任としての処理をいたしたい、かような考え方を持っておりますので、あらかじめ、必ず認めるから持っていらっしゃいというようなこと、さようなことを言ったことは一ぺんもございません。また、そういう態度を示したこともございません。それをまず申し上げておきます。
それから、第二にお聞きになりました「相当部分の事業の継続が困難」というその「相当部分」についてお聞きになったと心得ますが、さようでございますか。——その場合、大体において赤字生産の状態の継続ということを、企業の数で考えるよりは、むしろその関連事業の生産力全体の中に占めるウエートで考えていこう、こういうことが従来の考え方のようでございます。まあ過半数というような事業者の数、普通には過半数というのが「相当部分」というふうにいわれ、あるいは三分の二というのが「相当部分」というふうにいわれるかもしれませんが、むしろ、産業の実態からいえば、そういうふうな企業がつぶれてしまうと、生産力全体として大きな痛手をこうむる。「相当部分」というのは、大体従来はそういう考え方をとってきているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/19
-
020・中村重光
○中村(重)委員 答弁が抽象的で、私のお尋ねにはお答えになっておられないので理解できないわけです。あなたは、あなたの下僚が通産省の事務当局といろいろ話し合いをやった、法解釈について検討した、こういうことを言っている。それ以外やったことはない。この業界が不況カルテルをきらったのは、どうもあなたのお答えがそのとおりに進められていきます場合に、非常に詳細にわたった調査というものが必要になってくるだろうし、時間もかかる、なかなかむずかしいというようなことで、この不況カルテルを避けたい、そして通産省のこの勧告操短というものを希望した。ところが、通産省とあなたのほうがいろいろと話し合いをされる中で、通産省の行政指導、これも新聞に詳しく報道されているんですけれども、こういうものが認められるというようなことにも見通しがついた。これは通産省の行政介入ですよ。それは、田中通産大臣と谷村委員長との話し合いの結果、公取側はこれらの点を原則的に了承した、こういうように新聞では伝えられている。これもまっかなうそだとあなたが言われれば、何をか言わんやということになる。だが、あなたが接触をしているということは、これは私は事実だろうと見ている。全体の中からそういうことが十分推察できるのです。
まず、そのことはおくといたしまして、第二十四条の三の第四項第一号の必要最小限度の解釈からいって、粗鋼ベースでの生産調整というのはその限度を越えるのではないかと私は思うのですが、この点はどのように解釈していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/20
-
021・谷村裕
○谷村政府委員 さっき申し上げましたように、不況商品、いわゆる鉄鋼の製品でございますが、その製品が必要とされるウヱートと、それから粗鋼というものとの結びつき、それをどの程度に見るかということによると思います。まだ申請が来ておりませんので、私どものほうに、何々が不況であるから、こういう形で不況カルテルをいたしますという申請が出た上で、私はその結びつきを具体的に判断いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/21
-
022・中村重光
○中村(重)委員 「第一項に規定する事態」、その「事態」というのは、不況の具体的な実態を示しているのだと私は思うのです。これを克服するために、必要な限度を越えてはいけない。これはもう明らかに第四項の一号にあるわけですから、こういう点はきびしく解釈をし、十分な審査というものがなされなければならぬと思うのですね。ともかく、このカルテルといったようなものが認められた場合、物価上昇というものに大きな影響があるということだけは十分あなたの頭に置いておいてもらわなければならぬ。
鉄鋼業界というのは、八幡・富士が合併をいたしましてマンモス企業になりましてから、かって気ままですよ。新日本製鉄の指導のもとに、思うように進められておるじゃありませんか。これは、第一回の設備調整をやった、そして生産制限をやった、さらに今度は値上げをやった、思うようにやっているでしょう。そうして、通産省は業界とべったりでしょう。話になりません。あなたのほうまでもべったりになってしまったんでは、国民は救われませんよ。あなたは、経済憲法の番人なんだから、少なくともこれを守っていくという態度があなたになければならぬ。このことをはっきり申し上げておく。あなたは何時間でもよろしいと言われるが、私も何時間でもよろしいんだ。三日でもよろしいんだが、理事会の申し合わせもあるわけなんで、きょうはこれから本論に入っていきますから、安易な態度でこの問題と取り組むということがないようにしてもらいたい。このことをはっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/22
-
023・岡本富夫
○岡本委員 いま中村委員が質問したことに関連して質問をいたしたいと思いますが、法制局、来ておりますね。——法制局の見解として、独禁法二十四条の三の三項に「生産業者等は、第一項に規定する場合であって、技術的理由により当該事業に係る商品の生産数量を制限すること」とありますが、この「当該事業に係る商品」についての解釈をしていただきたいのです。その前にも「商品」というところがありますが、その商品とその原料である粗鋼とは違うのだという解釈がありましたが、しからば「当該事業に係る商品」、これは粗鋼になるのか、この点についてひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/23
-
024・角田礼次郎
○角田政府委員 お答えいたします。
先ほど公取委員長から御答弁申し上げたことと、結局同じ説明のしぶり、あるいは結論になろうかと思います。結局問題は、粗鋼自体の生産調整というものを、独禁法三条によって独禁法違反になるという考え方と対応して、二十四条の三の規定、ただいま御指摘になりました三項そのほかの規定をあわせまして二十四条の三を解釈をする、こういうことになろうかと思います。その場合に、御指摘のように粗鋼自体は商品ではないけれども、二十四条の三で共同行為を実質的に認めるかどうかは別として、法律的に少なくともそういうことが可能性があると申しますか、法律の入り口に入れるという解釈といたしましては、粗鋼自体はなるほどここでいう商品ではございませんけれども、それを手段とする生産調整というものが、商品についての共同行為として三項によって法律的に認められる可能性がある、こういう考え方が対応しているのであろう。したがいまして、字義的には三項では御指摘のように「商品の生産数量」にいう商品ではない、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/24
-
025・岡本富夫
○岡本委員 そこで、この前の項で、商品でなければ不況カルテルの行為を認められない、そうすると粗鋼はそれに入らない、したがって、粗鋼は認められない、こういうように解釈すると、今度この三項で粗鋼は認められるのだ、こういうのはちょっとおかしいのですがね。その点について法制局……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/25
-
026・角田礼次郎
○角田政府委員 先ほどの説明やや不十分だったかもしれませんが、先ほど公取委員長は因果関係というふうに申し上げたと思いますが、私はそれを対応関係というふうに申し上げたい。結局同じことなんですが、粗鋼自体は商品ではない。しかし、粗鋼の生産調整というものを独禁法違反であるという考え方に対応して、それがあらゆる場合に、何と申しますか、違法であるということではなくて、結局二十四条の三というのは、ある種の商品についての不況カルテルをある一定の条件の場合に認めるという規定でございますから、その場合に粗鋼自体の生産調整を手段として、そこに因果関係といいますか、対応関係といってもいいと思います、そういう場合にここでは商品でないにしても、それを手段とする共同行為というものが法律で認められる可能性は、やはり同じように認めなければならないだろう、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/26
-
027・岡本富夫
○岡本委員 それなら二十四条の三の「商品」というものは、商品に規定しなくてもいいのではないですか。商品でなければならないとなっておる。先ほどから聞いていると、公取の委員長が、公取のほうから、とあなたは公取にばかり気がねして、はっきり答えないじゃないか。その点中村委員の質問をよく聞いていて、あなたもそれを聞いていて、それに合わせたような答えでは何にもならない。
二十四条の三の「商品を生産する」、それに対してはそれ以外はだめだ、こうなるのでしょう。そうしてこの三項でそれにかかるところの商品であればいいのだということになれば、同じ粗鋼のことを片一方ではだめで、片一方ではいいというのは、ちょっと解釈がおかしいのじゃないか、もう一ぺんはっきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/27
-
028・角田礼次郎
○角田政府委員 粗鋼自体が一項の商品でないということは申し上げているつもりでございます。したがいまして、粗鋼自体の不況カルテルということは一項では読み取れないわけですね。
それから、片一方で悪いといって、片一方でいいというのはおかしいというお話でございますけれども、実は私の申し上げたいのは、片一方で悪いとしているから、ある一定の条件のもとにおいてはそれを許すということがむしろ対応関係である、こう申し上げておるわけで、実は逆の考え方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/28
-
029・岡本富夫
○岡本委員 それでは、片一方で悪いと認めて、片一方で対応関係でいいと認めるなら、こんなものは要らないわけです。そんな法制局の考え方はちょっとおかしいじゃないですか。あなた、おそらく公取がおらなかったら、そのまますっと解釈するかもわからぬとぼくは思う。
しかも「当該事業に係る商品」、要するに粗鋼は商品でない、だから商品でないものはこの生産調整の不況カルテルの中に入らない、そういうことがはっきり第一項目で出ておるのですから、それ以外のそれにいろいろ付随してくる、その商品をつくるといろいろ付随してくるものであれば話がわかるけれども、その根本であるところの粗鋼になれば、よっぽどおかしいじゃないですか。自分でもちょっとおかしいと思いませんか。もう一ぺん——取り消してもいいのだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/29
-
030・角田礼次郎
○角田政府委員 私は、この席で公取の委員長の答弁は確かに聞いておりましたけれども、出かける前に、私の部内で非常に短い時間でありましたけれども検討いたしました結論を申し上げているので、偶然、公取の委員長の説明のしぶりと、結論と一致したわけでありまして、全然連絡はございません。いまここで初めて委員長の答弁を聞きました。
それから、同じようなことを申し上げてたいへん恐縮でございますけれども、三条で粗鋼の生産調整を違法というか、独禁法違反としている考え方と、それから二十四条の三で、一定の条件でそれをやはり審査の対象といいますか、認可における考慮の一部として土俵に一応入れる、そこまでのことを申し上げておるわけで、先ほどの委員長の答弁にもありましたように、それ自体認可に値するか、認可できるかどうかということを私は決して申し上げておるわけではございませんから、全く法律の純粋の解釈として申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/30
-
031・岡本富夫
○岡本委員 どうもそれでは納得できないのですけれども、関連ですから、時間もあれですから……。
それで、今度は公取にお聞きしたいのですけれども、国民が期待しているのは、物価の監視役、要するに物価上昇の監視役、これがあなたのところの本業なんです。そのためにこの独禁法、こういうものがあなたのほうにまかされておるわけですよ。独禁法の精神というものは、物価を上げたり国民に迷惑をかけるためにあるのではない。独禁法というものは、そういう寡占企業、大企業が、そういう自分のところの生産だけでどんどんと物価を上げる、そういうようなものがあるから独禁法というのがあって、公取の権限によってそれを押えるようになっている。だから、それが第一条件でなければならぬのですよ、あなた。もう一ぺんそのほうの、国民に向かってそっちの決意をはっきりしたほうがいい。さいぜんから聞いておっても、通産省やあるいはあっちこっちから、業界と連絡をとったかとらないか知らぬけれども、そういう疑いを持たれるような公取委員長であっては話にならぬと私は思う。従来の職務がそこにあるんじゃないですか。ひとつ、もう一ぺんはっきりその点の決意をまず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/31
-
032・谷村裕
○谷村政府委員 独禁法第一条に「目的」とされているところに従いまして、当委員会といたしましてはその責務を果たすつもりでおります。
なお、不況カルテルもまた独禁法第二十四条の三に規定された法律上の権限に基づくものでございますが、いずれの場合におきましても、私どもは、それはただいまおっしゃいました物価というふうに直接には関係いたしませんけれども、公正な取引、自由な取引、そして、ひいては国民、消費者のための利益を擁護する、そういう立場に立っていることはこれは申すまでもございません。与えられた責務を法律に従って忠実に執行してまいるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/32
-
033・岡本富夫
○岡本委員 先ほどから中村委員からも話があったように、特に鉄鋼界、こういうのは問屋に対しても非常にメーカーは強い。これはあなたも知っているはず。だから、八幡と富士が合併しただけでさっと値上がりしているわけですよ。しかも、今度公共投資をやって、そういうようなもので景気を刺激しようという政府の施策があるんです。そのためには、これからどんどん鉄鋼の品物も必要になってくる。そういうときにおいて、このカルテル行為をして、そして値段をつり上げよう、こういうような考え方は、これは逆じゃないかと私は思う。それの一味に加担をするような考え方でこの問題を扱ってはいけないと私は思うのです。二十四条の三の四項に、需要者の利益を害するおそれがないこと、あるいは「一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。」また「不当に差別的でないこと。」こういうように明らかに出ているんですよ。したがって、あなたが独禁法のこの解釈をしたときに、第一条の「目的」を言うたけれども、そのあとを見て、今度は二十四条の三のほうの企業擁護のような話をしたけれども、この目的としてはここにあるのです、一番最後に。こっちにウエートを置いた審査でなければならないし考え方でなければならない、そう思うのですが、どうも並列さしているような考え方、あなた、もう一ぺんはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/33
-
034・谷村裕
○谷村政府委員 まあウエートとか並列とか、いろいろございますが、それぞれの具体的な事情、条件、内容、程度、そういうことを具体的に個別のケースについて判断してどういうふうにするかということで、どちらにウエートを置いたとか、どちらに並列だとか、加担したとか、そういうようなことでなくて、法律の目的とするところを忠実に私どもはやってまいりたい、そういうふうにお答え申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/34
-
035・岡本富夫
○岡本委員 そこで、もしも粗鋼の不況カルテル、こういうものを行なった場合に、物価に影響があるのかないのか、これについての見通しはどうですか、あなた。まだ申請されてないからわからないなんということは言わずに、そのくらいのことは、いままであっちこっち折衝してわかっているはずだから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/35
-
036・谷村裕
○谷村政府委員 仰せのとおり、申請していないから、まだ具体的にその影響なり何なりはわからないと御答弁申し上げようと思ったんですが、そう言わずにとおっしゃいますから……。やはり、市況が非常に悪くて、価格が平均生産費を下回ったり何かしているという、それをほっておけばさらにずるずるひどくなるとか、やはり一般に不況といわれている状態を克服しようという内容を持っているものでございますから、たとえば現時点におけるいわゆる市況に対して、それが若干持ち直していくというふうなことがあり得るかもしれません。あるいはもっと、ほんとうならば下がるべきところが下げどまりになるというようなことが起こるかもしれません。しかし、そこはわかりませんが、全くその価格に影響があり得ないということは、不況カルテルの実態として、かりにもし認めるとすれば、全く影響がないものでございますということにはならないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/36
-
037・岡本富夫
○岡本委員 あなたの答弁を聞いておると、この記者会見で、粗鋼は商品でないけれども、今度の審査にあたっては不況カルテルの対象に認めることができるとか、こういうような談話を発表する前に、相当あなたは勉強しておる。たとえば、この粗鋼の不況カルテルをやらなければ鉄鋼企業が非常に不況におちいっていく、あるいは存続を危うくするのではないかというようなことも考えられるような発言もあったけれども、したがって、あなたのいま白紙である白紙であるという口の下から、すでにいろいろな資料を取り、いろいろなことを研究して、認めようとするような考え方が出ておるのじゃないですか。この点について、先ほど中村委員も指摘したわけでありますけれども、特に、大衆の立場に立って、不況の物価高、こういうものを克服しなければいまどうしようもない時代なんです。ですから、そのことを一番の中心にして審査をする、あるいはまた土俵に上がってきた場合に、それをいろいろと審査するというようなあなたの決意があるかどうか、これを最後にひとつ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/37
-
038・谷村裕
○谷村政府委員 私は、何度も申し上げておりますように、決して便乗したようなことを許すつもりはございません。必要にして、またその必要な程度を越えない程度にやむを得ないということで、これをかりに認可するとしても、するわけでございますから、したがって、その後におきましても、ただいまおっしゃいましたように、通産省ともそこは私どもは連絡をとりまして、業界の実態、単に当該業界だけではなく、それを需要する業界あるいはさらに広く一般物価、国民生活、そういう点についても、所管官庁としての通産省というものは、私は、決してある当該業界だけにべったりしておるというふうなことではなしに、やはり一つの全体としての意見を持っておると思いますから、そういうところともよく連絡をとりまして、しかし公取の責任におきまして、カルテルを現実に、もしかりに認めたとしますならば、ただいま御指摘になりましたように、その運営が決して行き過ぎにならないようにやってまいるというつもりでおります。しかし、これもかりにそうなった場合ということを申し上げておりますので、もうおまえはそう思い込んでおるのだなんて言われると私はたいへん迷惑をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/38
-
039・岡本富夫
○岡本委員 最後に、いま通産省通産省と、盛んに通産省と連絡をとるような話をしておるのですけれども、通産省はやはりこれは企業擁護ですよ。経企庁やあるいはまた一般消費者、あるいは公聴会、そういうようなところまで開いて、そうしてそういうような意見を聞いてやらなければだめですよ、あなた。聞いておると、どうもそれに関連する企業——企業じゃなく、ぼくが言っておるのは一般の消費者。この物価高を克服しなければならぬ。そうでないと——佐藤内閣の運命はもうないのだから、その点もあなたはよく考えて、最後にこれを要求して終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/39
-
040・鴨田宗一
○鴨田委員長 内閣提出、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/40
-
041・中村重光
○中村(重)委員 ちょっと公取委員長、委員長が法案審査の宣告をされましたから、質問はしません。そうせぬと委員長の宣告を軽視することになるからね。あなたは、三日でも四日でも——あなたが言ったわけじゃない、二、三日というのは私が言ったんだけれども、どんなに時間をかけても、十分わかってもらうようにどこまでも説明をする、こう言ったんだ。だから、そのことをお忘れにならぬように。まだ私の質問は延々として続きますからね。語るに落ちるということばがあるんだけれども、どうも許可しようということがあなたの頭の中にこびりついてしまっているんだ。それだから答弁ごとにそれが出てくる。そしてあとで、かりに、かりにと言い直している。そういうことじゃだめですよ。私が質問をする、この委員会において私以外の各委員が質問をするでしょう。その質疑応答によって国民が十分理解するようにしなければならない。申請に対して審査をする場合に大いに参考になるだろうから、そのことを十分頭に入れておいていただきたい。それでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/41
-
042・鴨田宗一
○鴨田委員長 これより質疑に入ります。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/42
-
043・中村重光
○中村(重)委員 高橋長官にお尋ねいたしますが、昭和四十四年度において、中小企業は企業数、従業員数では大企業を上回っているわけですね。製造業の出荷額においても約五割を占めている。輸出額においては四〇・二%、対米輸出額が四三・五%、こういうことで、中小企業が国民経済に果たしている役割りは非常に大きいわけですが、米国の輸入課徴金の導入によって中小企業が受けている影響というものは非常に大きい。それに対しての諸対策が講じられているようでございますが、まず最近の産地の動向、この点はどういうことになっているのか、それをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/43
-
044・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 八月の末から九月の初めにかけまして、全国百産地について実態調査をとりあえず行ないました。それから十月の初旬にかけて百二十産地について実態調査を行ないました。この百二十産地と申しますのは、中小企業全体のうちで、出荷額については約六%、それから輸出額においては約二八%、対米輸出額においては四三%程度を占める、輸出比率の非常に高い、特に対米輸出の比率の高い産地の実態調査をやったわけでございます。ちなみに、いわゆる伝統的な意味合いにおきまして産地と称せられておりますのは三百五十くらいあると思います。こういう産地については毎年一回、こういう事態にかかわらず調査をいたしております。
ところで、百二十産地について十月初旬調査を行ない、かつ、そのあと各産地からできるだけ速報的に調査のフォローアップをやっておりますが、大体こういうような状況でございます。
九月初旬に比べまして十月末ごろの状況は、一時輸出の成約状況が普通のペースの二割程度であったのが四割くらいまでには回復してきている。それから九月時点であと受注残が一月半か二カ月分くらいがせいぜいという状態が、十月末ごろにおいても同じ状態、横ばいということはやや受注がふえてきたということでございます。それから操業度につきましては、やはり八月十六日以前に比べて九割程度あるいは八割程度というように下降を示しておりますが、支払い条件その他については、九月の時点、十月の時点においてきわ立った変化は見られません。しかし、いずれにしましても輸出依存度の高い中小企業にとりましては、このたびの一連の措置というものはたいへんな影響を与えつつあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/44
-
045・中村重光
○中村(重)委員 この輸出の減少ですけれども、その要素というものはいろいろあるのだろうと思うのです。たとえば、特恵関税の実施によるところの影響、それから変動相場制、課徴金、そうした一時的なショックというようなことによる影響というものがいろいろあるだろうと思う。それぞれ分析をしておられると思うのですけれども、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/45
-
046・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 仰せのとおりいろいろな要素が複合しております。たとえば今度の課徴金の実施についてみましても、アメリカ市場における需要が非常に強い、あるいはいまおっしゃいました発展途上国からの追い上げにもかかわらず競争力を持っておる商品、こういうようなものにつきましては、課徴金の賦課を乗り越えて、克服して輸出できる中小企業製品もございます。しかし大部分の中小企業製品にとっては、なかなかそれだけの力がないということで、このたびの課徴金の導入によって大きな影響をこうむっておるということは申せると思います。それから、元来高級化あるいは新しい需要にマッチした方向に体質改善をしていないがために漸次競争力を失ってきていた、そこにもってきてこのたびのショックを受けたということによって、輸出の伸びにたいへんな影響を受けているものというようにいろいろございまして、しさいに業種別に商品別に調べればある程度分析ができると思いますけれども、概略申し上げれば、そういう複合した要因で輸出に影響が出ておる、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/46
-
047・中村重光
○中村(重)委員 先ほど若干お答えがあったのだけれども、輸出の契約高、それから受注の残高というのはどういった状況になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/47
-
048・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 例年でございますと、受注残というのは三カ月ないし四カ月ぐらいは持っておるのが通常でございますが、総じて一カ月なり、よくて二カ月という平均でございますから、その点は影響は明らかにあらわれておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/48
-
049・中村重光
○中村(重)委員 新潟県の燕の金属洋食器、これはどういうことになっておりますか。若干成約が伸びてきたということがいえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/49
-
050・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 以前からの受注残を持っておりますので、いまのところ当座をしのいでおります。それから、八月十六日の前後には非常な不安を覚えたわけでございますが、その後やや落ちつきを見せて、新しい成約もぽつぽつできかけておるというように伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/50
-
051・中村重光
○中村(重)委員 この燕の金属洋食器のような具体的な問題は、前にも私も質問したことがあるわけだ。だからそんな抽象的なことでなくて——特定の地域と品種を指定をして私は質問したのだから。九月から十二月まで大体三百万ダースの輸出のワクというものがあったわけですね。ところがドル・ショックによって成約ができなくなってしまって、七十五万ダースですか、それで頭打ちみたいになってしまっておったのです。そこで本委員会でも、私だけではなくて、他の委員からもこの点は相当問題点として指摘をされ、質疑がかわされたのです。だから、とっくにこれを取り上げたのですよ。若干見直してきた、こう言うのだが、それならば具体的に燕の金属洋食器はその後どういうようになっていますか、こういうことだから、数字ぐらいあげてお答えになるぐらいの真剣さがなければいけませんね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/51
-
052・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 先ほど大事なことを申し忘れましたけれども、輸出の面、特にいま御指摘のありました燕の産地の輸出の停滞というのは、為替変動相場制に移行したことによる、どのあたりで値ぎめをすることにするかという目標がつかめないという、この点が非常に大きな点でありまして、課徴金の問題については相手方にその負担をさせる、あるいは折半するというようなことでこの二、三カ月来ある程度の仕訳がついてきている。しかし、相場の変動制に移行したことによる不安ということがやはり輸出成約を円滑化させない大きな理由である。
それから燕の状況につきましては、三百万ダースの新規契約というようなものを一応の目標として、現在いろいろネゴシエーションをやっておるというように承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/52
-
053・中村重光
○中村(重)委員 そうじゃないのじゃありませんか。これは、九月から十二月まで三百万ダースというのは大体ワクがあったんですね。ところがドル・ショックのために七十五万ダースですか、これでそれからの成約が実はできなくなって深刻な状態におちいっておった。その原因というのは、アメリカ側のバイヤー、商社、これが円高になる分は持たないと言うのです。自分のほうはそれは引き受けないのだ、こう言う。そうすると、今度は中小メーカーになってくると、大体ワクがきまって価格まできまっておったわけだから、中小メーカーはばたばた倒れていくのですよ、その負担に耐え切れないから。そこで頭打ちになっておったんだな。そこで為替差損についての——これは課徴金の問題は別なんだけれども、変動相場制の問題になってくると、為替差損の問題についてはそれぞれの措置を講じられるということで、先行き若干明るくなったというようなこともいえないことはないと私は思うのです。そうなってくると、そのことについての良好な動きというものが若干見えているのであるのかどうか。そこで頭打ちになっておった数字、その成約がどのくらいまでになっておるのか、数字くらいあげてお答えなさいと特に私が言ったのだから……。しかも通産大臣は新潟県でしょう。そのためにというわけじゃないけれども、特別関心くらいお持ちになっていらっしゃるのだろうと私は思うのだけれども、その程度のお答えもできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/53
-
054・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 もしお許しいただければ、早急に数字についてお答えさせていただきます。実はこの一両日、現地からの速報をおもな産地からとろうとしておったところでもございますし、後刻数字をお示しさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/54
-
055・中村重光
○中村(重)委員 あなたはまじめな長官だから、正直に言って私はあまり追及したくはないのです。しかし、私どもがこの問題を取り上げてからでも一カ月くらいになりましょう。また、近くとりましょうなんということでは、おおよそ中小企業庁のドル・ショックに対するところの取り組み方というものが消極的な、何かわかるような気がする。それでは正直に言って、もうたよりないですよ。もっと積極的でなければならぬ。ただ 本部ができ上がったとか閣議決定がなされたとかというようなこと、それによって万事解決、それでこの委員会でこの法律案が成立をするということになれば、直ちにこれが動き出すのだということだ。何かそれだけをあなたのほうでは考えているような気がしてならぬね。そういうことではだめなんですよ。もっと積極的に取り組んでいかなければ業者は浮かばれない。これは単に中小企業者だけの問題ではないでしょう。中小企業が果たしている役割りが非常に大きいから、これは国民経済の上に重大な影響があるということを十分肝に銘じて取り組んでいかれなければなりませんね。政務次官も答弁がしたくてむずむずしているような気がしているのだけれども、いまあなたは聞かれてどう思いますか。大臣はたいへん忙しい。あなたもこれを補佐しておられると思うのだけれども、いまのようなことでいいと思いますか。何をしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/55
-
056・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 中村先生のおっしゃるとおりでございますので、今後は積極的に取り組むよう指示をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/56
-
057・中村重光
○中村(重)委員 与党の理事諸公、この法律案の審議に早く入ってもらいたい、私もその重要性から、初日から、大臣がいないのに質問しているのだけれども、お聞きになって、こういうていたらくではどうにもならぬですね。もっと張り切ってもらわなければ……。まあいいでしょう。それで大いに積極的に取り組んでいただくということを期待をします。
そこで、商社とか問屋等の支払い状況というのはどういうような状況ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/57
-
058・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 最近調査いたしましたところでは、一般的に申しまして現金と手形の比率は五〇%程度。それから手形のサイトが非常に長くなっているというような現象はまだ十月時点であらわれておりませんので、平均しまして百日程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/58
-
059・中村重光
○中村(重)委員 だから、前と比較をしてどういったように悪化しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/59
-
060・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 繰り返しになりますけれども、七月、八月、九月時点と比べまして、いまの比率、それからサイト、著変がございません。ただ、おそれられますことは、これから影響が出てくるのではないかということで非常に注意いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/60
-
061・中村重光
○中村(重)委員 そういった影響が起こらないように、中小企業庁は、金融機関との接触であるとか——接触は協力要請その他になるわけでありますが、いろいろな施策を講じていらっしゃると思うのだけれども、あるいはメーカーに対して、あるいは商社に対しても、いろいろと調査をしながら、またこれが悪化しないようにあなたのほうでいろいろな動きをしておられる。その動きをしておられる内容はどういうことをやっておるのか、それをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/61
-
062・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 九月一日に、公取委員長と通産大臣連名でもって、下請企業に対するしわ寄せを行なわないようにということで通達が出されました。それから十月一日に親事業者団体、中小企業指導団体、中小企業者関係者に対しまして重ねて同趣旨の通達を行ないました。そして実際にやっておりますことも、本年度に入りまして六千六百事業所について、下請代金支払遅延等防止法に基づく調査を行ないました。そのうち百四十二件について立ち入り検査、四十七件招致検査、それから公正取引委員会に対しまして措置請求を三件行ないました。さらに下請企業の振興法の普及徹底をはかりまして、そして下請企業の体質強化のために施策を講じなければならないということで、いま幾つかの振興計画は検討なされておりますが、認可申請の段階にまで至っておりません。しかし、これについては一日も早く実を結ぶように努力をしていきたいと思いまして、この二つの法律を軸にして対策を講じていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/62
-
063・中村重光
○中村(重)委員 先ほどのお答えの中で、問屋とか商社の支払いの状況というものは、この後は十分警戒をしなければならないけれども、いまそう悪化はしておらない、こういうことなんだけれども、そのことは、金融機関の融資というのがあまり警戒的ではない、順調とまではいかないにしても、大体貸し出し等は行なわれているということなのかどうかということが一点。
それから、ショックによる倒産もあるんじゃないか、あるいは規模の縮小というような方向が相当進められているのではないかと思うのですが、そこらあたりの状況はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/63
-
064・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 先ほど答弁漏れがございましたが、九月二十三日に閣議決定をいたしまして緊急融資を行なうことを取りきめたわけでございますが、その際、特に下請企業者を対象とするということを明示して関係の各金融機関に通達を出したところでございます。
それからいま御質問の、貸し出しが比較的順調に行なわれておるのではないかということにつきましては、従来までのところ、一般的な金融緩和の情勢下におきまして何とかお金が流れていっておる、このように思われますが、繰り返しになりますけれども、こういう不況下、それからいわゆるドル・ショックというものが重なってきまして、かつ年末を迎えるということでございますので、これから先の金融の円滑な流れということについては、私たち、大蔵当局とも一緒になって、政府系金融機関だけでなく、あらゆる金融機関に対して積極的な金融を中小企業向けになされるように要請なり、あるいは指導なりをいたしておるところでございます。
第二番目の倒産の件につきましては、数字の上で見ますと、この九月、十月、前年の同月に比べまして九月も十月もほぼ一割減でございます。負債が一件当たり一千万円以上の倒産件数でございます。しかし、このことは数字の上でだけ言えることでありまして、毎年十一月、十二月にかけて倒産件数もふえますし、それからいま申し上げました事情にありますから、これから先の心配は非常にあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/64
-
065・中村重光
○中村(重)委員 倒産の問題をお尋ねしたのは、一般的なこともお答えになったので、それは新聞なんかでも私ども見ているのだから、それなりにまた参考にもなるわけですけれども、アメリカの新経済政策に基づいてショックが出ているわけだから、それに基づいての倒産であるとか、あるいは先行き暗しと見て規模の縮小等、そうした傾向というものは出ていないのかということ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/65
-
066・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 まず、今回のドル・ショックを契機とするといいますか、きっかけとして起こった倒産件数は、八月十六日から十月末までの間に三十件でございます。
それから規模の点はちょっとわかりませんが、しかし全般的に見まして、休業する事例、それからいわゆる操短に入っておるところ、これは相当ふえてきておりますし、今後もその傾向というのは続くのではないかと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/66
-
067・中村重光
○中村(重)委員 特恵関税の影響はどういうことに出ていますか、いま。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/67
-
068・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 輸出面と輸入面に分けまして、輸出面におきましてはアメリカがまだ特恵を実施しておりません。で、EC諸国と……(中村(重)委員「総じて」と呼ぶ)ということでございますので、こちらの影響はまずまずあらわれてないといえます。ただ、それでは日本の輸入の面ではどうか、この点につきましては、特恵の制度の仕組みが中小企業に対して著しい影響を与えないようにというような仕組みで、例外品目それから特定品目というものもございますので、それから八月一日から実施に移されたばかりでございますのでまだ日時の経過も短いという両面ございまして、大きな影響はまだ出ておりません。いま、総じてどうかという御質問でございますので、総じて輸出入両面におきましてまださしたる影響はいまのところ出ておらないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/68
-
069・中村重光
○中村(重)委員 特恵関税の中で、例外品目であるとかあるいは五〇%の特定品目であるとかいうようなもの、それはあることはわかっているのです、自分で法律案の審議をやったんだから。ですけれども、無税のもの、五〇%のものというものは、それなりにこれは影響があることはあたりまえなんだからね。なるほどこれは実施して期間が短い。しかし、少なくともこの例外であるとか特定とかいうことをやったことは、これは法律の中でいろいろ配慮しておやりになったことなんで、この特恵関税による影響というようなもので、具体的な施策の中であなたのほうで特別に講ぜられたというような事実があるかどうかというようなこと、そういうことも聞きたいところだし、それから、私はこの委員会で指摘をしたことがあるんだけれども、日本の進出企業というものが、特恵関税を利用していわゆる逆輸出、こっちで言えば逆輸入になるんだけれども、そういうようなことの影響ということだってないとはいえないわけだ。いまあらわれていないが、傾向としてはそういうような傾向があるのかないのか。そうすると、それがあるとすれば、これをどうチェックしていこうとするのかというようなことがあなたのほうの施策でなければならぬと私は思う。そういうことをお考えになっておられるのかどうかというような点も聞きたい。
それから、時間の関係もあるものだから——発展途上国の、アメリカを中心とするところの日本の中小企業製品に対する追い上げというものが相当強く出つつあると私は思う。その状況はどうなのか。それらの点等もあわせてひとつお答えをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/69
-
070・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 特恵供与の影響というのは徐々に徐々に出てくると私思います。それで、それに備えまして実はいろいろ準備はいたしております。それで関係業界の方の意見も十分に聞き、事態の推移を見まして、特定業種の指定というのは機を失せず必要に応じてやるべきだと考えております。
それから、海外遊出の問題につきましては仰せのとおりでございまして、中小企業もこれからどんどん海外へ出ていく必要もあろうと思いますが、その際、逆輸入によって本国の同種の中小企業に対する影響を緩和するということについて、事前にこれは行政指導でやる以外にないことでございますが、できるだけの話し合いということで摩擦回避につとめたいと考えております。
それから、発展途上国の追い上げというのは、これは繊維、雑貨を中心にしましてもうたいへん影響が出てきております。日本のシェアというものは対米市場を中心にしてずいぶんと小さくなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/70
-
071・中村重光
○中村(重)委員 まだいろいろこうした問題についてお尋ねをしたいのだけれども、一問でも二問でもこの法律案の中身について入っておきたい、こう思います。
四十六年九月二十三日の閣議決定によってこの法律案が出されているのだけれども、この対象となる中小企業の範囲なんだけれども、五千万円または三百名、こういう定義、これは商業、サービス業というのは御承知のとおり違うわけです。これに限定をしますか。実際の運用の面については必ずしも限定をしてないような点もあるわけだ。いわゆる柱となるというものの企業、全体の中小企業に影響する柱となるようなもの、それは必ずしもそれにこだわることなく例外的に扱っているということもあるのだけれども、この対策ははっきりこの定義の範囲でおやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/71
-
072・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 中小企業基本法にいう中小企業の定義の範囲内の中小企業者で、そして今回の法律案は輸出関連の中小企業者でございますから、その基本法にいう中小企業者のうち輸出関連の中小企業者でございまして、これは製造業者、それから商業に従事する者、それからいわゆる下請の方、すべてを対象といたします。ただし全部ということではございませんので、やはり輸出比率がある程度のものと、それから全然被害も受けないという方は対象にはできませんので、それは今回の一連の措置によって被害のおそれのある者というものを対象と考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/72
-
073・中村重光
○中村(重)委員 大体一〇%なんということも考えているように伺っているわけだけれども、全部が全部じゃない、こう言う。それと輸出関連ということがお答えがあったんだけれども、その関連というものの解釈なんだな。関連とは何ぞや。直接輸出入をやっていない商社あるいはメーカー、それ以外にそれと関連あるメーカーなんというものもあるわけだから、それも関連ということになるのかどうかという点ですね。それから波及的な影響というようなものが出るということも、これも避けることのできないことだろうと思うのですね。それもきびしく言ったら関連ということになるのかどうかわからないのだけれども、これは確かに広い意味の関連であることに間違いないのだけれども、そこらあたりはどうしようとお考えになっていらっしゃるのですか。何かことばを関連という形でお使いになったのだけれども、運用の面については何か非常にきびしくやるような感じがしてならぬですね、いまのあなたのお答えの中からは。それらの点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/73
-
074・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 運用上はできるだけ広く対象を拾い上げていきたいと思っております。それで、いま関連ということについてどうだということでございますが、これは完成品だけを意味するのではありませんで、部品だけでもよろしゅうございます。たとえば、ミシンを輸出する、その中に組み込まれるミシン部品、これも対象に考えます。それから織物業やメリヤス製造業に関連して撚糸製造業というのがあります。これも関連業種として考えます。下請も考えます。それから、明らかに輸出品を相当比率扱っておる商社、これも輸出関連の中小企業として考えております。
それで、考え方としましては三つに分けまして、全国ベースで見た業種、それから産地業種のうらで輸出比率がほぼ二割程度、こういう業種をとらまえまして、その業種に属する中小企業者は、個々の中小企業者の輸出比率にとらわれずに、被害があると認められるならば今度の法案の対象にいたしたいというのが基本的な考えであり、かつ、そういう全国業種あるいは産地業種に属しない中小企業者でありまして、輸出比率が二割以上あるというものについても同じく対象に考えたい、こういうことでございます。したがいまして、相当幅広く、輸出関連ということで今回の特例措置の対象として考えていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/74
-
075・中村重光
○中村(重)委員 法律は非常にきびしく書いているのですが、いまのあなたのお答えで、広く、できるだけ対策の対象にしようという考え方が明らかにされたわけですが、若干気になるのは、やはり輸出比率二割以上というのが気になるのですよ。それ以下のものは対象にしないということになってくると、中小企業は非常に弱いですからね。ましてや下請企業その他、あるいは原料を供給するものは大企業ばかりじゃなくて、農作物を原料とするものもあるだろうし、原料生産の中小企業というものもあるわけなんだから、だからして非常に弱いですね。脆弱なんだから、二割以下であってもそれによって倒産をするということだって起こってくるのですね。それをだめだということであってはならぬので、これはやはり何らかの形で助成策というものを講じていかなければならないのだが、それらの点に対してはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/75
-
076・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 実は、緊急金融措置については、これは法律措置を要しませんので、すでに実施に移しておりますが、この場合の考え方は、大体輸出比率三割程度ということで、これで産地業種を指定し、全国業種を指定して実施に移しております。それで、その後幾つか追加要請がありまして、これもバランス上必要なものは追加をいたす予定にいたしておりますが、そういう関係から見ましていままでのところ大体網羅しておるということでございますので、いまの二割程度ということで、しかも輸出関連ということで対象にしていけばまあ大体対象にし得ると思いますけれども、事態の推移に応じまして、非常におかしい、アンバランスであるというような事態が出てさましたら、これはやはり検討すべき事項だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/76
-
077・中村重光
○中村(重)委員 比較のアンバランスということよりも、実態ということを十分見きわめてやっていくということじゃないとだめなんですよ。ともかく二割以下だからこれは対象の外に置くのだというようなことではなくて、これは何とかめんどうを見なければ企業が立ち行かないというような実態がある場合は、それに対する配慮というものがやはりなされなければならない。そのことを申し上げておきたいと思う。
考え方としては、非常に広く網をかぶせて救済策を講じていこうという考え方を明らかにされたわけですが、ところが政府三機関を対象としておる、しかも、その特例ワクというものは一千五百億であるといういまのあなたの答弁。しかし何といってもしぼられるものは金なんだから、これは大蔵省がお見えですからお尋ねを具体的にしたい点もあるわけですけれども、予定の三十分をもうすでに五分過ぎましたし、いまメモも回ってまいりましたからこれでやめますが、民間の金融機関に対しては何かの対策というものをお考えになっていらっしゃいませんか、何か特別に協力を要請するための措置というものは。いつも不況の際は、民間金融機関に対しても、いろいろと日銀との話し合いにおいて特別の措置が講じられてきた、要請されてきたし、しかもその資金というものが、単に民間金融機関に特別のワクを与えるだけではなくて、それがほかに流れないようないろいろな配慮というものがなされてきたわけですが、それらの点に対しては何かお考えになってはおられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/77
-
078・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 八月三十日付で、銀行局長から財務局長に対しまして、「当面の情勢下における金融の円滑化について」ということで、一般金融機関の協力要請ということについて指導をするように通達が出されておりまして、これを受けまして全国銀行協会連合会会長から、克明に、傘下の各金融機関に対して、積極的に中小企業金融を行なうようにという趣旨の詳細な通知が出されておりますので、決して政府系三機関だけではなくて、一般の金融機関に対しても中小企業向けの金融について協力要請をやっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/78
-
079・中村重光
○中村(重)委員 北田特金課長、これは単に文書でもって協力要請をしたというだけで、いま具体的に何か民間金融機関に対する協力を求めるための施策は講じていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/79
-
080・北田榮作
○北田説明員 ただいま中小企業庁長官からお答えがございましたように、私のほうの銀行局長から財務局長にも、民間金融機関の金融につきまして、今回のドル・ショック関係によって影響を受けます輸出関連の中小企業に対する金融について十分指導するように通達を出しておりまして、先ほどもございましたように、全国銀行協会連合会、それから全国相互銀行協会からもそれぞれ管下に十分な指導をしております。その中身といたしまして、たとえば全国銀行協会の通知におきましては、中小企業向け貸し出し残高の増加につとめて、輸出の停滞等によりまして直接間接に影響を受ける中小企業への圧迫を極力緩和するように配慮するとか、あるいは輸出手形の資金化につきまして、できるだけ取引先の中小企業の実情に応じまして積極的に配慮するとか、あるいは、先ほどもちょっと出ましたが、下請に対する支払いにつきましても、輸出関連の業者等の中小企業に対する支払い促進をいたしまして、必要に応じてはひもつきで支払いをするとかといったような具体的な項目につきまして、全国銀行協会のほうから管下の機関に対して指導しておるわけでございます。また相互銀行協会におきましても、各金融機関におきましてそれぞれ特別の、今回のドル・ショック対策としての融資制度を設けるとか、そういったようなこまかい点について、あるいはまた融資条件等についても相互銀行協会のほうでは指導する等、こまかい点につきまして指導いたしておるわけでございます。
それから、こういった民間金融機関の融資の円滑化をはかります政府としての措置といたしまして、信用補完制度の拡充ということが非常に大きな問題でございます。今回、中小企業信用保険公庫の保険につきまして、その一人当たりの保険限度の引き上げ、あるいは保険料率の引き下げ、あるいはてん補率の引き上げ、こういったような措置を講ずることにいたしまして、民間金融の円滑化をはかる措置をとっておるわけでございます。
同時に、これに関連しまして、新予算総則におきまして、中小企業信用保険公庫の保険引き受けワクにつきましても、従来の予算総則では一兆八千億でございましたのを、さらに五千億追加をいたしまして二兆三千億とするという予算を提案しているような次第でございます。
以上のようなことで、いろんな面におきまして、民間金融機関の面でも十分に今回の事態に対処するように指導をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/80
-
081・中村重光
○中村(重)委員 私の質問はこれからということになりますが、時間になりましたからこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/81
-
082・鴨田宗一
○鴨田委員長 次回は、明十日午前十時理事会、十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00219711109/82
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。