1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年十一月十二日(金曜日)
午前十一時十五分開議
出席委員
委員長 鴨田 宗一君
理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君
理事 進藤 一馬君 理事 橋口 隆君
理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君
理事 岡本 富夫君 理事 吉田 泰造君
稲村 利幸君 内田 常雄君
小川 平二君 海部 俊樹君
神田 博君 始関 伊平君
塩崎 潤君 羽田野忠文君
増岡 博之君 松永 光君
加藤 清二君 松平 忠久君
横山 利秋君 松尾 信人君
川端 文夫君
出席政府委員
環境庁企画調整
局長 船後 正道君
通商産業政務次
官 稻村佐近四郎君
通商産業省通商
局長 山下 英明君
通商産業省貿易
振興局長 外山 弘君
通商産業省繊維
雑貨局長 佐々木 敏君
中小企業庁長官 高橋 淑郎君
委員外の出席者
大蔵省銀行局特
別金融課長 北田 榮作君
大蔵省銀行局中
小金融課長 清水 汪君
労働省労政局労
政課長 森山 眞弓君
労働省職業安定
局業務指導課長 関 英夫君
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
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十一月十日
山村開発次期対策の早期実現に関する請願外四
十六件(池田清志君紹介)(第八九〇号)
同(金子一平君紹介)(第八九一号)
同外七十四件(木村武雄君紹介)(第八九二
号)
同外一件(佐藤孝行君紹介)(第八九三号)
同外二件(坂田道太君紹介)(第八九四号)
同外六件(高橋英吉君紹介)(第八九五号)
同(鍛冶良作君紹介)(第八九六号)
同外四件(長谷川峻君紹介)(第八九七号)
同外三十三件(早川崇君紹介)(第八九八号)
同外二件(武藤嘉文君紹介)(第八九九号)
同外四十九件(小島徹三君紹介)(第九四〇
号)
同外六件(佐々木秀世君紹介)(第九四一号)
同外十六件(佐々木良作君紹介)(第九四二
号)
同外十七件(斉藤滋与史君紹介)(第九四三
号)
同(辻原弘市君紹介)(第九四四号)
同(堂森芳夫君紹介)(第九四五号)
同(中澤茂一君紹介)(第九四六号)
同(日野吉夫君紹介)(第九四七号)
同外十五件(堀田政孝君紹介)(第九四八号)
同(三宅正一君紹介)(第九四九号)
同外十八件(毛利松平君紹介)(第九五〇号)
同(植木庚子郎君紹介)(第一〇五〇号)
同外十件(大村襄治君紹介)(第一〇五一号)
同外四件(鍛冶良作君紹介)(第一〇五二号)
同外二十九件(鹿野彦吉君紹介)(第一〇五
三号)
同外二件(菅太郎君紹介)(第一〇五四号)
同外二件(佐藤守良君紹介)(第一〇五五号)
同(田村元君紹介)(第一〇五六号)
同(佐藤孝行君紹介)(第一〇五七号)
同外九件(塩崎潤君紹介)(第一〇五八号)
同(鈴木善幸君紹介)(第一〇五九号)
同外二件(關谷勝利君紹介)(第一〇六〇号)
同(西村直己君紹介)(第一〇六一号)
同外一件(橋本龍太郎君紹介)(第一〇六二
号)
同外六件(福田一君紹介)(第一〇六三号)
同外二件(藤井勝志君紹介)(第一〇六四号)
同外六件(本名武君紹介)(第一〇六五号)
同外六件(宮澤喜一君紹介)(第一〇六六号)
同外五十三件(森下國雄君紹介)(第一〇六
七号)
同外七件(毛利松平君紹介)(第一〇六八号)
同外九件(安田貴六君紹介)(第一〇六九号)
日米政府間繊維協定反対に関する請願(新井彬
之君紹介)(第九〇〇号)
同(岡本富夫君紹介)(第九〇一号)
同(松尾信人君紹介)(第九〇二号)
同(松尾信人君紹介)(第九五一号)
同(松尾信人君紹介)(第九八三号)
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同月十一日
山村開発次期対策の早期実現に関する請願外三
件(荒木萬壽夫君紹介)(第一一四九号)
同外六件(有田喜一君紹介)(第一一五〇号)
同外二十五件(池田正之輔君紹介)(第一一五
一号)
同外四件(笠岡喬君紹介)(第一一五二号)
同外十九件(亀山孝一君紹介)(第一一五三
号)
同外二件(神田博君紹介)(第一一五四号)
同外七件(塩谷一夫君紹介)(第一一五五号)
同外九件(中垣國男君紹介)(第一一五六号)
同外三十六件(渡辺栄一君紹介)(第一一五七
号)
同外六件(有田喜一君紹介)(第一二〇〇号)
同外四件(植木庚子郎君紹介)(第一二〇一
号)
同外九件(大村襄治君紹介)(第一二〇二号)
同外九件(佐藤孝行君紹介)(第一二〇三号)
同外二件(椎名悦三郎君紹介)(第一二〇四
号)
同外六件(塩崎潤君紹介)(第一二〇五号)
同外九件(篠田弘作君紹介)(第一二〇六号)
同外二十二件(田中正巳君紹介)(第一二〇七
号)
同外六件(野原正勝君紹介)(第一二〇八号)
同外七件(藤井勝志君紹介)(第一二〇九号)
同外三件(宮澤喜一君紹介)(第一二一〇号)
同外一件(毛利松平君紹介)(第一二一一号)
同外七件(足立篤郎君紹介)(第一三〇三号)
同外五件(愛知揆一君紹介)(第一三〇四号)
同(石井光次郎君紹介)(第一三〇五号)
同外二件(小沢一郎君紹介)(第一三〇六号)
同外十七件(大石八治君紹介)(第一三〇七
号)
同(大原亨君紹介)(第一三〇八号)
同(笠岡喬君紹介)(第一三〇九号)
同外二件(神田博君紹介)(第一三一〇号)
同外五件(菅太郎君紹介)(第一三一一号)
同外一件(椎名悦三郎君紹介)(第一三一二
号)
同外十三件(渡辺栄一君紹介)(第一三一三
号)
同(野原正勝君紹介)(第一三一四号)
同外四十六件(早川崇君紹介)(第一三一五
号)
同外十九件(福永一臣君紹介)(第一三一六
号)
同外十一件(藤井勝志君紹介)(第一三一七
号)
同外九件(古屋亨君紹介)(第一三一八号)
同外五件(坊秀男君紹介)(第一三一九号)
日米政府間繊維協定反対に関する請願外十七件
(畑和君紹介)(第一三二〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に
対する臨時措置に関する法律案(内閣提出第九
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/0
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001・鴨田宗一
○鴨田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がございます。許します。川端君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/1
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002・川端文夫
○川端委員 高橋長官にちょっとお尋ねしたいんですが、一昨日、田中大臣に御質問申し上げておったわけですが、今回のこのドル・ショックといわれておるものに加えて、一昨年来の不況の中にダブルパンチ的な影響を受けているのが中小企業ではないか、そういう意味において、このドル・ショックだけの法律では事足りないんではないかという立場で御質問申し上げておったわけですが、これらの嫌気の浮揚策に対してどのような対策を具体的に立てられておるか。中小企業対策として私どもは先々月商工委員会の決議を行なって、「不況を早急に克服するため、強力な景気浮揚策を講ずるとともに、中小企業者に対する官公需の増大に努めること。」等を決議の中に織り込んだんですが、具体的にそれらのことの成果があがるようなことをどのようにされてきたか、まずもってお答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/2
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003・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 一般的な不況対策につきましては、先般追加財投それから補正予算の決定を見まして、なお、こういう税制上それから財政上、金融上の総合的な景気浮揚策をとることによって経済全体の景況をよくする、それの中において中小企業の不況を払拭していくように努力するというのが基本でございまして、いまお尋ねの官公需対策については、先般十月一日付をもちまして、こういう事態でございますので、関係各省に対しまして、中小企業者に対する受注の機会の増大のために格段の御努力をお願いしたいということを要請いたしました。なお、年末の政府三機関に対する貸し出し規模の追加につきましては早急に結論を出しますように、大蔵省といま話をいたしておりますので、早晩決定を見る運びになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/3
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004・川端文夫
○川端委員 研究しておるというお答えでありますが、研究するにはあまりにも深刻な状態にあるというこの現実をはっきり認識した上に立って考えてもらわなければ、かりに、これから研究して発表いたしましても窓口ではどうにもならなくなるのではないか。たとえば、先日、私地元の商工中金に行ってみましたら、貿易関係の特別措置による通達がちゃんと窓口に張ってありましたけれども、それらの関係を処理するためにも人間が足りない、実際上十分でないということで、言うならば、輸出関連の企業の組合等の幹部にできるだけ協力を願ってすみやかにやりたいのだという逆陳情を受けたような一面があったわけです。したがって、ある時間的な制限、制約というものもあるのだし、かりにいまきめても年末資金は年内の金にならぬ場合もあるのだが、そういうことで単なるゼスチュアだけの姿で時間かせぎするように考えられてならないのだが、よろしいかどうかという点、もうひとつはっきりお答えを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/4
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005・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 ただいま商中の例をお引きになりましたが、商中では、今度の緊急金融措置を実施するために輸出関連の部門に対する融資に必要なところへ人員を重点的に配置するというようなことも部内的にやっておりますが、とにかく形だけということでなくて真剣に取り組んでおります。
それから年末の三機関の貸し出し規模の増大につきましては、市中の各銀行の年末追加融資と相まちまして早急に決定をいたさなければなりませんので、大蔵省ともいま緊急に詰めております。これはこの前決定を見ました政府系三機関の千五百億円と別に例年やっております年末対策として早急に実施するという方針で現に鋭意折衝を続けておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/5
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006・川端文夫
○川端委員 それでは、大蔵省の特別金融課長も見えておるようですが、いま中小企業庁長官のお話によれば、早く詰めて実施したいという要望のようですが、具体的にはもうどれぐらいの時間があれば実施に踏み切れるかということに対して何か案があるかどうか、何が障害になっておくれておるのか、この点をひとつお聞かせ願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/6
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007・北田榮作
○北田説明員 中小企業金融対策としての中小企業金融三機関の資金ワクの年末追加の件につきましては、ただいま中小企業庁長官からお答えがあったとおりでございますが、ただいま企業庁のほうと私どものほうとで鋭意検討を重ねておるところでございます。
最近、ドル・ショック関係等によりまして、中小企業につきましてもいろいろ滞貨、減産等のための資金も必要でございますが、これは先般、ドル・ショック対策といたしまして三機関に対して、一応千五百億円の特別貸し付けを行なうというようなことを決定したところでございまして、現在これがすべり出しておる段階でございます。そういった事情もございます。また一般の民間の金融機関におきましても、例年中小企業金融の年末対策につきましては、鋭意配慮をしておるところでございますが、今年度は一般的な金融緩和というような情勢にもあるところでございまして、やはり各金融機関におきましても、中小年末金融対策に相当努力をするというようなことが期待されておるところでございます。こういったいろいろな事情等を考慮いたしまして、中小三機関に対しましてどの程度の資金の追加が必要かということを中小企業庁のほうと鋭意折衝中でございますが、なるべく早い機会に結論を出しまして決定をいたしたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/7
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008・川端文夫
○川端委員 なるべく早くといっても、きょうは十一月の十二日なんです。かりに発表いたしましても、現在行ってみまして商工中金だけを見ましても、貿易関係の金融貸し出しのためにてんてこ舞いしている。こういう状態である中に年末資金を出そうというわけでありますから、ある程度の時間的な余裕を持たせないと、実質的にめくら判を押して出すわけにいかぬでしょう。したがって、やはりそちらの元方のほうでなるべくといって日を送らないで、少なくともここ一週間なら一週間の間に、二十日までにはきめたいとかあるいは十五日までに発表できるということをお答えできないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/8
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009・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 この一週間以内に決定をしていただくように努力をいたしておりますから、この一週間以内にぜひとも決定をしていただきたいと思っております。これは閣議決定です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/9
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010・川端文夫
○川端委員 そこで中小企業庁長官にもう一つ。
中小企業金融の問題に関して今日協同組合法による信用組合を、現在やっている事業の実態そのままを見て、信用組合は現在のままでの法律のもとでよろしいとお考えになっているかどうか、ちょっとお聞かせ願いたい。信用組合が果たしている中小特に零細企業に、組合金融というワク内だけでよろしいかどうかという点に対して何か御意見があればお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/10
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011・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 信用組合の扱っております中小企業向けの金融は総ワクの約六%程度ですか、重要な役割りをになっておるわけでございます。もちろん私どもの所掌ではございますが、信用組合の行なう金融も、やはり金融一般あるいは金融行政の一環ということで大蔵省のほうで全般的に見ているという体制でございますので、もしお答えがあれば、大蔵省の担当の北田課長が来ておられますので、お願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/11
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012・川端文夫
○川端委員 もうちょっと質問を言わないとわからぬかもしれぬから、それでは続けてからお答え願うことにしましょう。
私の手元に中小企業向けの貸し出し状況という資料があるのですが、これが、役所から出た資料ではないからはたして正確かどうかわかりません。わからないけれども、これによると、政府系金融三機関の中小企業向けに出している金額の大体六〇%近いものを出している。総体の中では中小企業向けに対しては五・五以上になっておりますけれども、比較すると中小企業金融三機関を合わせた金額の約六〇%近いものをこの信用組合で貸し出しておるという事実が私の手に入っている資料にあるわけです。したがって、これだけ三機関三機関といわれているものの六割も協同組合法による信用組合がやっている状況をこのままの法律下に置いて、依然として協同組合の精神だけでよろしいかどうか。もうすでに員外利用等幅広く考えていい時期に来ているのではないかと思うんだが、いかがかという質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/12
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013・清水汪
○清水説明員 ただいまの先生のお話につきましては、たとえば、私どもも最近におきまして信用組合の業界から員外預金を認めてほしいというような要望を非常に強くいただいております。たぶん先生の御趣旨の中にはそういった問題も含まれておるかと推察いたしますけれども、私どもといたしましては、この中小企業金融全体を考えた場合には、もちろんいまの政府系金融機関も主要な役割りを占めておりますが、同時に民間金融機関といたしましては、信用組合もその一環でございますが、それだけではなくて専門機関といたしましてもそのほかに相互銀行及び信用金庫というグループがあるわけでございますし、さらに中小企業金融全般の問題といたしましては、いわゆる普通銀行以下もかなりのウエートを持って中小企業金融に当たっておる、そのように思っておるわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げました、たとえば員外預金の問題ということになりますと、中小企業に対する金融制度全体の中で信用組合の役割りというものをどういうふうに位置づけるかということがまず前提になる問題であろうと思いますけれども、これにつきましては従来からもいろいろ議論はされておったことを承知しておりますが、現在のところでは信用組合というのは組合員相互の相互扶助という精神を基本にして、これは信用組合法第一条にも書いてあるわけでございますが、そういう性格のものとして構成されておる、そういうものとして位置づけられておるというふうに考えるのが一番穏当ではないか、そのように思っておるわけであります。したがいまして一般から預金を受け入れておる一般金融機関というものとはそこにおのずから性格の相違がある。したがって、そういう相違に基づきまして、いまの員外預金の是非という問題も考えなければならない、そのように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/13
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014・川端文夫
○川端委員 三年たてば三つという俗説があるので、発生の動機はそうであったということを知らぬでものを言っているわけではないのですが、たとえばそれならば信用農業協同組合等に対しては員外利用をかなり大幅に認めておるのに、しかも、農業という名前をつけるのすらおかしい特に東京等の大都市の周辺にある農業協同組合の信用事業というものは、全く信用金庫と同じような仕事をしているのです。中小企業の中から育ってきた信用組合も、いまかなり大きな役割りを占めておるというこの現実をとらまえて、これの中からやはりそれに対応できる施策を考えていくのが妥当じゃないか、こうも思うのです。この点は、一ぺんつくった法律は絶対のものだということで御答弁をなさっておるようですが、年々法律というものはやはり改正されていくというのが現実の政治であるし社会であるわけですから、私は、もうここらで員外利用に対して踏み切っていい時期ではないか、踏み切らざるを得ない条件に来ているのではないかということを考えて御質問申し上げているのだが、絶対できないというんですか、できるというか、端的にひとつお答え願いたい。
特に都市銀行に至っては、中小企業に貸し出しているのは比率として二五%ですよ。大体中小企業向けには貸すよりは預金吸収のために利用しているといっても過言でない現実の姿に、この中小企業向けの金融が果たしておる役割りというものをやはり認めて育てていくということが私必要でないかと思うの、だが、いかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/14
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015・清水汪
○清水説明員 ただいまも申し上げましたように、信用協同組合というものが中小企業金融の体系の中で果たしております役割りにつきましては、私どもも十分評価しておるわけでございますが、金融制度の問題という面からひとつ考えてみますと、これは、たとえば昭和四十二年から三年にかけまして、相互銀行あるいは信用金庫を含めましたところの民間中小企業金融機関につきましての一つの制度改正が行なわれたわけでございますが、その際金融制度調査会におきましても種々検討されまして、そういった時点におきましても、現在の民間の中小企業金融機関の相互の関係といたしましては、現にあるような状態のものに、検討の結果確認といいますか結論を出されておる、そういう経緯はあるわけでございます。これはたとえば仮定の問題でございますけれども、信用組合に対しましてさらにいまの員外利用の問題を考えるということにかりになる場合には、そのことだけを取り上げて考えるわけにはやはりいかないのじゃないかという問題もあろうかと思います。それはどういうことかと申しますと、たとえば現在の信用組合というものが、その内容である相互扶助あるいは協同組織という理念によってできておるということが、制度上の反映としてこれをつかむ場合には、その設立から始まりまして監督あるいは検査、そういったようないわゆる体系に至るまで多少普通銀行とも違っておる、そういうような面もあるわけでございますし、それらのところを、制度といたしましては全体として総合的に考えた上で結論を出さなければならない、そういうこともあるのではなかろうかと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/15
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016・川端文夫
○川端委員 研究しないでものをやってくれとか、やるべきだという意見は出していないのですが、前向きに検討できる条件が整いつつあるのではないか、整ったのじゃないかという見方で御質問申し上げているのだが、そういう、前向きに検討する時期に来ているのじゃないか。たとえば都市銀行なりいろいろな全国銀行の統計を見ても、中小企業向けに貸し出している数字からいうと、やはり大企業に貸し出す比率が大きいという事実があるわけですから、中小企業がいま日本の経済の中に立っている困難な事情の中に、もう少し役割りを果たさせるという親心があっていいのじゃないか、考え方があっていいのじゃないかということをお尋ねしているわけですが、中小企業庁長官は、依然としてやはり中小企業協同組合の中に当分置くべきだという固い意思であるかどうか、もう一ぺん承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/16
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017・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 員外利用についての強い要請が各方面から出ておることを承知いたしております。それで、先ほど大蔵省のほうから御答弁がありましたが、やはり金融機関全体あるいは金融行政の中の一環として信用組合の占める地位というものもよく考えて、総合的に信用組合の活動範囲を広げるかどうかということについて考えている現状でございますが、私たちは、この員外利用のことを含めまして、積極的に信用組合の機能が一そう強化されて、中小企業金融が強化されるようにということを考えまして、大蔵省とも話は行なっておりますが、まだ方向としてこういう方向でいくというような結論まで得ておらない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/17
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018・川端文夫
○川端委員 まあ、いま一番おそろしいのは税務署と金融機関だ、一番いばっているのが金融機関だと言えるほど今日の社会の中に金融機関の圧力が強いことはようわかっています。われわれは身にしみて感じておる、私も中小企業者の一人であるから。しかしながら、この圧力が正しい妥当な圧力であるかどうかという問題は別な問題として、やはり公正な立場に立って育ってきた信用組合制度というものを、中小企業法の一環の中からある程度踏み出した仕事をさせることが、より親切な中小企業の金融対策であろうという立場でお考え願いたいということを要望して、この点は一応留保しておきます。
そこでもう一つ、貿振局長の外山さんが見えておいでになるわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/18
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019・鴨田宗一
○鴨田委員長 まだ見えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/19
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020・川端文夫
○川端委員 見えてなければ、もう一つ……。
それでは、一昨日以来の質問の中にありましたように、今日の経済情勢下にあってのこの問題点の中に、貿易いわゆるドル・ショックによる影響の問題が大きいということで、単に中小企業のワクだけでいいのかどうかということは各委員から論議されてまいったのですが、もうここらで中小企業基本法にある定義の訂正というか、改正をすべき時期に来ているのではないか。これも今回の法律提案の中に資本金五千万円以下ということになっておるし、サービス業は一千万円以下となっているのだが、われわれは、中小企業の国際的な貿易情勢から考えると、資本金一億円くらいまでの定義に直す時期に来ておるように思うのだが、長官いかがでしょう、この点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/20
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021・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 基本法が制定されまして八年になりますが、その間経済規模も大きくなりまして、それでこのあたりで中小企業の範囲あるいは定義について再検討を行なうべき時期だと考えております。その場合、製造業、商業、サービス業——商業の中でも卸売り業、小売り業あるいはいまお話の出ましたいわゆる貿易商社の問題、こういう点につきまして検討いたさなければなりませんし、また中小企業の範囲を考えるということは、中小企業に対する施策全般の問題とも密接に関係があるわけでございますので、本日中小企業政策審議会の委員会でもって、この中小企業政策のあり方、その一環としての中小企業の定義の問題について検討を始めていただくことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/21
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022・川端文夫
○川端委員 まあ検討しているということでありますが、今回提案されている国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置法ですね、これにはかなり幅広く関連事業をも含めるというのだが、五千万というものを絶対動かさぬという——定義のもと以外にはこれを弾力的に見るという見方はされているのか、されていないのか。定義の扱い方に対してどういう解釈をされようとしておるのか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/22
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023・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 この臨時措置法につきましては、今回の事態によりまして影響を受けます輸出関連中小企業に対しまして、設備近代化資金の返済猶予、中小企業信用保険の特例措置を講ずるということを主体にしまして、経営の安定化をはかるための措置を講ずるというのが趣旨でございます。それで中小企業近代化資金等助成法、それと中小企業信用保険法の特例措置を講ずることが、いま申し上げましたように主たる内容でございますので、元来この二法の対象となっておるものでなければ助成措置の適用を受けられないという仕組みになっております。したがいまして、この臨時措置法におきましては、これらの法律が対象としております中小企業者を対象と考えておるわけでございます。したがいまして、概括的に申し上げますならば、中小企業基本法の定義の範囲内の中小企業者を対象とするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/23
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024・川端文夫
○川端委員 このことは先走って言っていいかどうかわかりませんけれども、かりにこの法案の審議過程において、商工委員会で修正なり附帯決議が出された場合においても、それは了承できないという立場をおとりになるかどうか。国会の決議ならやむを得ないという立場で善処されるかどうか、この点を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/24
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025・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 いま申し上げましたように、この法律は臨時措置法でございまして、この法律で対象となる中小企業者の範囲を、施策の根拠法になっております中小企業信用保険法あるいは中小企業近代化資金等助成法で定めております大もとの定義をこの臨時措置法で変えまして、範囲を広げるということは本法の趣旨から見まして私は適当ではないであろうと考えます。したがいまして、この臨時措置法に関する限り、現行の基本法の定義の範囲内で中小企業者の対象を定めるべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/25
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026・川端文夫
○川端委員 まあこれだけ議論しておってもどうかと思うので、貿振局長が見えられたようですから、貿振局長に別な角度の御質問を申し上げたいわけです。
去る九月の、この商工委員会の決議の中に、第三項に「中小企業者の為替差損については、適切な救済・補償措置が講じられるよう検討するとともに」と、こうなっておるのだが、何か為替差損の問題、為替変動による差損の問題に対して検討されているところがあったらお聞かせ願いたいと思うのです。
〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/26
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027・外山弘
○外山政府委員 為替差損問題一般につきまして、これを税制上あるいは金融上、何らかの措置を講じたいということを、私どもとしましては、今回の問題が起こりました時点で大蔵省に一般的な話をしておるところでございます。なおもう少し詳細をつかみました上で、税制上、金融上の措置につきまして成案をまとめまして交渉してみたい、こう思っておりますが、とりあえず、中小企業関連の問題につきましては、今回のような措置で影響を受けるというとらえ方をしておりますが、まあ、差損問題がどの程度入るかわかりませんが、影響を受けるものについては税法上の措置並びに今回の金融措置が充てんされるというふうに考えますが、差損自体だけをとらえた対策という点につきましては、今後一般論を含めまして、あるいは長期債権の問題等も含めまして検討してまいりたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/27
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028・川端文夫
○川端委員 たとえば、いまお答えになった中の一つをとらえても、税制特別措置法をいま提案されておるわけですが、この税制だって、前年度赤字だったところは恩典がないわけですね。昨日来申し上げておるように、不況とダブルパンチを受けている中小企業に、昨年赤字だったものに対しては、この税制特別措置を行なって差損的な補償をしてやるといったって、赤字のものはどうにもならぬですね。こういう問題でこれだけでいいのかどうか。今日のドル・ショックというものは、やはり通貨情勢の中に日本の政府の責任が十分あるという立場に立てば、これらの問題に対するもっと思いやりのある態度があってしかるべきだというのが私どもの考え方なんですが、たとえば税制一つとってみても、単に全部が商売すれば利益があがるというような前提に立ってのものの立て方ではおかしいじゃないか、こういう点、どのように考えられているか、もっと何か考えがあるはずだからお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/28
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029・外山弘
○外山政府委員 御指摘のとおり、もしも黒字が計上されてなければ、過去に幾らさかのぼるといっても税法上の措置はから振りになるわけであります。あるいは税法上の措置の場合には、差損というものがはっきりと帳簿上に計上されてないというふうなことがございますと、ことに短期の取引についてはありがちでございますが、そういう点についても、税法上から見ますと問題点があるということは御指摘のとおりだと思います。ただ、税法上の措置として繰り延べとか繰り戻しということをやることによりまして、税法上の処理方法はかなりやりくりがつくのではないか、こう考えるわけでございますが、実際上、救済というふうな面になりますと、それだけでは十分ではない、これはもうおっしゃるとおりだと思います。
〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
私どもとしましても、これを何らかの金融上の面で救える手はないだろうか、たとえば長期債権につきましては、差損分が毎年毎年発生するような返済をしなければならない、そういう点についても金融上の措置を考えるべきでないだろうかというふうなこと等を含めまして、金融上の問題もこの際考えなければいけない、こう思っているわけでございます。
しかしながら、いずれにしましても、差損が出たらまるまるそのまま補償するというふうな考え方はなかなかむずかしゅうございまして、いま各方面の差損状況がどうであるかということの実態をつかみながら、同時に、先ほど先生御指摘のような問題点も頭に入れまして、できるだけから振りにならないような措置を考えたいということで、いま知恵をしぼっているところでございますが、これはやはり税制、金融の問題になりますので、なかなか技術的な問題もございます。したがいまして、これから鋭意検討を進めたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/29
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030・川端文夫
○川端委員 その意味から言うならば、こう御答弁を解釈できると思うのだが、たとえば差損の直接補償ということはできないけれども、長期資金等によってめんどうを見てやりたい、こういう考え方でいま検討されていると、こういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/30
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031・外山弘
○外山政府委員 私どもはそう思っているわけでございます。そういうことについての政策的な妥当性を発見したいということでいま勉強しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/31
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032・川端文夫
○川端委員 もう一つ、今度は違った角度の問題ですが、たとえば繊維の問題、いま中小企業あるいは産地等に対して行なっているのは設備の買い上げですね。こういうことをおやりになっているんだが、これらの場合に対して、単に設備を買っていくだけでは、事業転換なりあるいは、きのう、おとといから意見が出ておる事業縮小の場合に、設備を買うだけで問題の解決ができないではないか。言うなら、炭鉱問題が起きたときに、炭鉱の場合は、鉱業権と採掘権を買い上げた実績があるわけですね。したがって、この通貨問題においてショックを受けたり影響を受けているところに、営業権の補償も考えるということが当然あってしかるべきだと思うのだが、この点は、貿振かどちらか、お答えできる人からしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/32
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033・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 端的に申しまして、営業権の補償をストレートに行なうということは非常にむずかしいことだと思います。
ただ、大事なことは、為替の取引を円滑に行なえるようにするということだと考えまして、御質問から少しはずれますけれども、このたび緊急措置をとりました中の主要な項目は、中小企業の円滑な輸出取引を促進するための措置でございまして、具体的に申し上げますならば、船積み後の措置としましては、外国為替資金特別会計から外為銀行に対して外貨預託をやる、それから別途、日本銀行が期限つきの輸出手形を買い取る、こういうことを実施することによりまして船積み後の問題について措置がとられておるわけでございますし、さらに大事な新規の成約を円滑に結ばせるということのために、外貨預託制度のもとに、中小企業製品に限りまして先物の為替予約制度を設けまして、これも十月二十三日から実施に移しておりまして、この利用状況は非常に活発でございます。これは、中小企業製品をつくられる方、またそれを扱われる商社の方にとって非常に効果のある措置であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/33
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034・川端文夫
○川端委員 おととい大臣と質疑をした中で——いま長官のお答えは他と勘違いされてお答えになっているわけですが、私は、事業転換をする場合に、転換するという現実の中にはなかなかきびしいものがあるということを大臣にも申し上げ、大臣もそのとおりだと、いわゆるその憂いをともにしていただいたような気がするわけです。たとえば、燕の洋食器が自動車に転換しようとしてそれに努力しておったら、自動車の企業縮小というか、発注縮小があって、せっかく設備転換をしたものが、それがまた使えないという不幸な条件も出ておるし、電球業界等は国内電球になだれを打って転換したところが、国内電球がダンピングの対象になって、値下がりでたいへんな目にあっている。政府にたよるだけでなく自主的にやろうとする努力が、それがむだになって、生きていないという事実は枚挙にいとまないわけでありまして、これらの問題を考えるときに、やはり機械を買い上げて縮小するというだけでは足りないのではないか。そこらに、やはり石炭問題があれだけやかましくなったと同じような考え方の発想に立って、この問題、この時期の乗り越えをさせるという親心があってしかるべきじゃないか。後ほど労働問題も聞いてみたいと思いますけれども、とにかくにも現在の繊維の機械買い上げ、設備買い上げだけではどうにもならぬという現実が出ておることをどう理解されるかということをお尋ねしているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/34
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035・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 この問題は輸出関連の中小企業、なかんずく産地を形成しておる輸出関連業種について、特に構造問題として取り上げる必要があるということは十分認識しておるつもりでございますが、しかしその場合に、具体的にどうやって構造改善をし、あるいは体質を強化するかということになりますと、やはり現行制度のもとで近代化をはかっていくために指定業種とし、あるいは特定業種とする、その中で最大限の努力を払って構造改善を行なうということをまず第一にやるべきことであろう、こう考えます。
お話のように、設備の買い上げであるとか、あるいは営業権の買い取りであるとか、これは実施上非常にむずかしい点がいろいろございますので、やはり考え方としては、この新しい国際経済下に対処するに足るやはり体質を強化するための措置、それを金融上あるいは財政上講じていくということであろうと思います。要は、やはり高度化事業を従来の方針に基づいて進めるとともに、また新しい局面に合うように、その運用についても十分見直しを行なっていくということが必要であろう、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/35
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036・川端文夫
○川端委員 時間の何か督促も出ておるようですから先へ急ぎますが、私はそういう答えでは不満なんでして、問題は、かりに百歩譲ってそういう営業権を補償するという立場がむずかしいとしても、金融の場合においても、やはり設備を売却してしまうそういう意味において、担保力が減って他の事業転換がやりにくいという現実が起きているはずだと思うのです。そういう場合においては、やはり担保力の問題から考えてみても、営業権の見方というものが見れるという条件が当然必要ではないか、こういうことを申し上げておるわけでありまして、いますぐできないことはあっても、これくらいはやらなければ、実際上事業転換も何もできはせぬじゃないか、こういうことを言わんとしておるわけですが、そういう考え方に立って考えるという決意があるかどうか、簡単でいいですからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/36
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037・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 たとえば燕の洋食器製造業界におきましても、いろいろ高級化をはかっていくという観点から、新しい需要開拓あるいは新しい需要にマッチしたものをつくるという方向で自主的な努力をもう始めておられますし、聞くところによりますと、業界でまとまって、そして協業化をはかろうという計画もあるやに聞いております。その場合には中小企業振興事業団の高度化資金も活用することができるわけでございますから、まあ繰り返しになりますけれども、そういうような具体的な業界ぐるみの施策というものを積極的に応援して実効があがるようにしたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/37
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038・川端文夫
○川端委員 この問題は要望だけ申し上げておきますが、先ほどから言っているように、設備を廃棄するというようなことになれば担保力が減っていく。こういう意味において、次の事業転換が不可能になる条件が出てくることは明らかであるわけですから、そういう意味において、やはり私は、炭鉱の当時と同じ発想に基づく営業権等を認めた転換的財源としての見方を見てあげるということが必要だということを強く申し上げて、この点でひとつさらに御検討をお願いしておきたいと思います。
時間がないから、労働省にちょっとお尋ねしたいのですが、現在起きている日本の経済下におけるドル・ショック等の問題等から、労働省がこの法律の中にいろいろ意見を出されてつくられた、協力されたように承っておるけれども、これだけでよろしいかどうか。現在行なおうとしている労働者対策というものが十分であるとお考えになっているかどうか、まずもってお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/38
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039・関英夫
○関説明員 お答え申し上げます。
最近の雇用、失業状況を見ますと、景気の動向を反映いたしまして、求人が減り、新規の求職がふえるというような傾向を見せております。しかしながら、現在のところはまだまだ従来の慢性的な人手不足を反映いたしておりまして、求人の数のほうが求職の数よりもまだ多いというような状態になっております。で、私どもといたしましては、財政、金融面からの積極的な景気回復策なり、あるいは先ほど来御議論をいただいておりますような各般の中小企業対策によりまして、できる限り離職者が発生しないようなことを期待しているわけでございますが、やむなく発生いたしました離職者に対しましては、この法律にありますように職業相談の強化とかあるいは職業訓練の実施等によりましてその再就職の促進をはかってまいりたいと思います。また、特に就職の困難な中高年齢者につきましては、中高年齢者の雇用促進特別法の活用といったようなことも考えてまいりたいと思っておりますので、現在のところはこの対策で十分やっていけるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
ただ、今後の雇用、失業情勢につきましては、非常にこれは重要な問題であるというふうに私どもも考えまして、現在中央職業安定審議会に今後とるべき雇用、失業対策について種々検討をお願いしておりまして、審議会におきましては主要の産地の実態調査も近々に行なった上、検討を続けていく、こういうことになっておりますので、今後とも事態の推移を見守りながら適時適切な対策を講じてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/39
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040・川端文夫
○川端委員 いま審議会に答申を求めておいでになるという答弁がありましたけれども、すでに実績があるわけですね。炭鉱離職者の場合においては、離職者の住宅の問題なり職業転換給付金等を出した例があるわけですね。したがって、このような大きな問題はいま出ていないということであっても、私はこれから問題が出るという見方をとっておくべきだという見方で申し上げているのですが、これらの問題をすでに実績のある石炭と同じような考え方、発想に立って、これらの施策を、繊維なりあるいは地場産業等ショックを受けている業種あるいは地域に対して考えていくということが必要だと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/40
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041・関英夫
○関説明員 先ほどもお答えいたしましたように、現在の雇用、失業情勢のもとにおきましては、私ども、やむなく発生した離職者に対する対策といたしまして、現在あります職業訓練あるいは中高年の就職促進に関する特別措置法等を活用してまいれば十分対処し得るというふうに考えております。お話のございました移転就職者用の住宅あるいはその他の職業転換給付の制度も活用する道もございますので、そういう道を活用しながら対策を講ずることによって十分やっていけると考えておりますが、しかしなお今後の雇用、失業情勢に応じてそのつど対策を検討していくために、現在審議会に検討をお願いしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/41
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042・川端文夫
○川端委員 この点はひとつ強力に御検討願って推進していただきたいのですが、最後にひとつ労働省の労政課長に質問したいのですが、私は、この年末の、日本の給与体系の中に慣習となっている年末一時金は出せない企業がかなりふえるんじゃないか、出てくるのではないか、特に繊維業界等はいろんな対策ができないままに暮れに押し迫っていくのではないか、こういうことも考えるのですが、このことは一時金等の問題がありますから、私はここで時間をかけてくどくど申しませんが、労働金庫に財政投融資をして、一時労働金庫から借り入れて、年末を越すという対策があってしかるべきだと思うのだが、そういう考え方を持ったことがあったかないか、あるいは今後やるかどうかということをお答え願いたいと思うのです。
〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/42
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043・森山眞弓
○森山説明員 お答え申し上げます。
年末融資につきましては、例年、昭和三十六年から約十億ほど特別の融資を行なっております。これは資金運用部の短期資金を借り入れまして、地方の要望を勘案いたしまして特別融資を実施しているわけでございますが、ことしも全国労働金庫協会からの要望もございますので、例年にならいまして実施するように大蔵省にも働きかけたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/43
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044・川端文夫
○川端委員 それでは、いまのお答えからすると、例年ならば十億ぐらい年末融資を行なった、今年もそれに同じ額を要求されているのですか。今年の事情にかんがみて、もっと大きい数字で要求されているのか、その点もう一ぺんひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/44
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045・森山眞弓
○森山説明員 例年は、いま約十億と申し上げましたが、ことしも各地方の意向をいま聴取中でございます。地方の要望を勘案いたしまして、できるだけその要望に沿うような額を用意いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/45
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046・川端文夫
○川端委員 各地方の要望を聞いてというお話ですが、実際上まだそこまであらわれていないかもしれぬけれども、現金による年末一時金の支払いのできない企業がかなり多くなるのではないか、こういうふうに考えますので、二つの問題を要望して御期待申し上げたいと思うのですが、一つは、従来十億であったものならば、もっとこの時期に大幅に用意をさせるように大蔵省と強力な折衝を続けてもらいたいということと、こういうことは必ずしも経営者だけの責任でもないという事情にかんがみて、やはり金利補強というか安い金利のものを出させるように折衝願いたいと思うのですが、その用意をしていただけるかどうか、もう一つ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/46
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047・森山眞弓
○森山説明員 額につきましては、先ほど申し上げましたようにできるだけ要望にこたえたいと持っております。
それから貸し出しの先でございますが、ただいま先生のおっしゃいましたのは中小企業主に対してというふうに伺ったのでございますが、実は労働金庫は、労働金庫法によりまして、会員でございます労働組合とその構成員であります労働組合員に貸し出し対象が限定されてありますので、貸し出しをいたしますといたしますと対象はそういうことになるわけでございます。その要望にはできるだけこたえるように努力いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/47
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048・川端文夫
○川端委員 労働問題でいろいろこまかい陳情が来ています。これを全部一問一答のかっこうで質疑しておるといかぬのですが、たとえば輸出検査所の従業員の首切りの問題等も御存じであろうと思うのですが、いろんな問題、陳情がたくさんまいっております。とにもかくにも影響がかなり広範囲にわたりつつあるし、さらに深刻化するという条件の中で、決意を強めて、この困難な時期に犠牲者を出さぬように最善の努力をするということをひとつ要望したいのですが、最後にせっかく見えている稲村政務次官に、通産行政の中に労働省にもまたがるしいろんな大蔵省の折衝もありますけれども、いまいっときを争う緊急の問題であるという観点に立って御努力願いたいと思うのですが、決意のほどを承って質問を終わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/48
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049・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 労働問題についても、おそらくいろいろこの暮れにかけて御指摘のとおりだと思います。そういう意味で、全力をあげてその問題について取り組んでいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/49
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050・川端文夫
○川端委員 終わります。
〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/50
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051・鴨田宗一
○鴨田委員長 松尾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/51
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052・松尾信人
○松尾(信)委員 繊維雑貨局長いらっしゃいますか。——これは一昨日の当委員会で私質問した問題点でありまして、まだ不十分な回答がありました。
まず繊維の自主規制関係としまして、百十一億の織機の買い上げ、この実態はいまどうなっておるかということでありましたけれども、数字ははっきりお示しでありませんでした。私の調べた数字は途中でありまして大体わかっております。合計五万台の買い上げであるからこれはほとんど順調に進んでおる、こういうお答えでありますけれども、これを転業の分と廃業の分に分けましてきちっと資料を出していただきたい、これが第一点です。
それから織機の買い上げにつきましては、実態が非常に零細なる機屋さんの織機の買い上げが中心になされておるのじゃないか、このように思うのであります。でありますから、ほんとうにそこの親方が織機を売ってしまいますと、親方のほうは金が入りますけれども、そこの従業員はどうなっていくのだろうか。退職金、そういう問題ですね。支払いはどうか。転廃業をやるとすれば、それにつながるような——いま零細なる機屋が織機の買い上げに応じておるのがほとんどじゃないかと思うのですよ。そうしますと、単に買い上げでなくて、そこには賃金の未払い、それから債権債務の整理が行なわれまするし、そこで働いている人がすぐ路頭に迷うわけでありますから、そういう問題をどうしていくかという問題。一緒に三点申し上げておきますからお答え願いたいと思うのであります。また、先般染色のほうへ事業転換したのが一年間かかりまして、今回その染色のほうもだめになってまた転廃業になってきた、こういうこともありまするので、そういう配慮はどうか。
ごちゃごちゃ並べましたけれども、まず織機の買い上げの対象というものは零細なる部分が中心ではないかという点が一点。そうしますと、そういうところで転業、廃業につながってくるものの労働者に対する賃金の払いというものはどのような成算があるのか、債権債務の整理でどのようになっていくか、そういう点の見通しをまず聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/52
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053・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 まず第一点の織機台数の現在の買い上げ状況でありますが、その前に織機、メリヤス、撚糸機等々が今回の対象になっております。ただいま御質問の織機につきましては、産地の組合から計画申請がございまして、十月中旬までに大臣承認をいたしております。現在事業協会のほうでその織機を確認をいたしまして破砕中でございます。昨日時点で綿スフ、絹人絹織機合計五万台でありますけれども、昨日現在で一万台程度破砕をいたしております。毎日数千台といいますか数百台もしくは千数百台破砕を現在続けております。したがいまして、綿スフ、絹人絹織機につきましては一部一月末までかかりますけれども、大体年内には終了する予定になっております。
それと第二点の、転廃業者あるいは事業縮小者の状況といいますか織機破砕に伴います零細規模のものが対象であろうという御質問でありますが、実はまだ現在の破砕段階でどのような規模の方が重点的に対象になっているかということは正確に把握いたしておりません。ただ、九月に産地組合から申請のございました計画書によりますと、綿スフ業におきまして転廃業者は四百九十事業所、企業ということになっております。また、絹人絹におきましては九百五十くらいの事業所が転廃業者の対象になっております。申し上げるまでもなく、先生御承知のように、綿スフ、絹人絹織物業、合計五万数千の企業がございますが、転廃業者のこの計画によりますと、合計千五百弱というような状況になっております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/53
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054・松尾信人
○松尾(信)委員 いま廃業、縮小のほうの企業の数が出ましたけれども、私のほうのこれは構造改善事業協会、これからの発表分でありますけれども、廃業で千二百企業、その台数が一万六千百四十三台、それから縮小のほうが千八百五十二企業、台数三万七百三十四台、この数字はわかっておるわけですよね。そうしますと、廃業も六百とかなんとかじゃなくてその倍あるんじゃないか、こう思います。それともう一つ、買い上げ対象がいま非常に小さな機屋さんが中心じゃないか。私申しましたけれども、あなたのほうでまだつかんでいらっしゃらないようでありますけれども、これは早くつかみませんと対策というものが立てられないほうのグループなんですよ。そこを握ってください、ぴしっと。そうしますと、今度はそこの従業員のいろいろの労働対策の問題が出てまいりまするので、そのような面を早く掌握されまして、そして計画は計画でいいですよ、現実にもうスクラップしたものはおっしゃったとおりでありましょう。ですから、これは一月までなっていくでありましょうけれども、すでに応じて、そして転業、廃業というふうにもともとふるいが分けてあるんですから、その分をしっかり計画に沿って見てもらいたい。そうすると、それはどういう対象の企業であるか、これはわかっておると思います。これはお願いしておきます。でありますからそういう数字ははっきりしていただかなければいかぬわけでありますけれども、いずれにしても、私が言いたいのは、非常に零細な人々がいま応じておるんだ、そうするとそこではいろいろな問題が起こる、すぐそこに働いている人々が——集計すれば千何百企業でありますから従業員も相当な数になってまいりますから、まずその対策をしっかり立てていかなくちゃ相ならぬ。それから、織機を買い上げてもらったというのでだいぶ売っているわけでありますけれども、まだまだ廃業はしない。大部分の織機を売るけれども、少し残しておいて、そして契約の受注残をそれでつくるというので強行軍で、いままでの台数は全部ほとんど売りましたから、残りわずかな台数で強行軍で契約納期に間に合うようにやっているということで、もう残業残業で非常にしわ寄せが来ておるわけですよ。仕事がないくせに、織機をだいぶ売った残りの織機で今度は契約残、受注残をつくっておる。そうすると今度どんどんしわ寄せして、わずかな台数で残業してつくっておる、こういうこともいま起こっております。これを調べてください。
それから退職金の問題ですね。やはり買い上げたら終わりでなくて、地域地域では混乱が起こっておりますから、債権債務というものはどうなっておるかというくらいは、ある程度見ておきませんと、金融面においても不十分な対策しかできぬのじゃないか、こんな感じが濃厚であります。さらに今度は、これが浸透してまいりますると、たくさんの転廃業が出てまいりますると、総体的な労働対策、これが確立されないといけない。これをどのようにいま考えておるか。私が特に一点だけ申し上げたいのは、失業保険の関係がありますね。これを繊維については特別にここまでやるのだとかいうような、そういうものも含めた労働対策がこの際必要になってくるのではないか、こんな感じが強いのですが、その労働対策についてまず聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/54
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055・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 ただいま先生御指摘の幾つかの大きな今後の問題につきましては、現状を正確に調査いたしまして今後の対策に資したいと考えております。
労働対策につきましては、私どもさしあたりは、織機につきましては二十五万円のうちの算出根拠といたしまして、従業員の解雇その他の費用といたしまして三万円ばかり内数に計上いたしておるわけであります。ただ、今後離職される大ぜいの方々に対しまして、現在、政府間協定の今後の影響もあわせまして労働省と慎重に協議をいたしております。特に政府間協定の影響が非常に大きいと考える次第でありまして、臨時繊維産業対策本部におきましても関係各省と共同で真剣に詰めたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/55
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056・松尾信人
○松尾(信)委員 いまからでありますけれども、この千五百億の今回の融資の規模ですね。そうですね、千五百億。これは繊維関係は別でしょう。繊維関係は別であるかどうかという問題。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/56
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057・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 千五百億は、繊維も雑貨もその他業種すべて込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/57
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058・松尾信人
○松尾(信)委員 そうなりますと、先般中村委員が聞かれまして、千五百億というこのような金融措置が妥当であるかどうかという問題に触れてこざるを得ませんですね。でありますから、これはわれわれは繊維は別だというふうに理解しておったのでありますけれども、繊維対策は別に立てるのだ、その他の輸出関連の部門に千五百億を出すのだというふうに理解してまいったのですけれども、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/58
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059・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 ただいまの御指摘の千五百億円の融資につきましては、いわゆるドル・ショック対策としての支出でございまして、したがいまして全部の産業を含んでおります。すなわち繊維も入っておるわけでございますが、御指摘の点は、自主規制対策といたしまして別に六百億はすでに現在融資中の段階でございます。それと今後の問題といたしまして、政府間協定の影響が非常に多いわけでございますから、さらに政府間協定の影響度合い等を勘案いたしまして、今後大蔵省とさらに追加の融資を検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/59
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060・松尾信人
○松尾(信)委員 どうも納得できません。でありますから、自主規制の分は今回には関係ありません。それは七百十一億の予算が組まれまして、うち百十一億が織機の買い上げ、六百億は融資関係になるわけでありますけれども、それはそれですでに五月二十一日に決定された分でありまして、今回の閣議決定に基づくこの臨時措置法案とは関連がないわけです。でありますから、それはもろにひっかけてこれに入れるべきでなくて、やはり六百億というのは別口なんですよ。この法案に関する部分は千五百億ということであるわけですね。であれば、繊維の自主規制の分は入れるべきでなくて、さらにこれは努力して、ではいまからうんと取らなくちゃならない、繊維は別だということで一応千五百億をまあまあというふうに私は理解しておったわけであります。でありますから、繊維も含めてということでありますれば、これは重大な問題でありますから、しっかり——この法案の成立のためには、繊維も含めて政府間協定の大きな影響を受けるわけでありますから、これは努力していかないとたいへんなことになる、こう思いますが、もう一回その点をはっきり言ってもらいたいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/60
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061・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 おっしゃいますように、今回の政府間協定の繊維業界への影響等を今後十分把握いたしまして、通産省といたしましてはそれに伴う影響を極力救済すべく、融資、設備買い上げ等あらためて今後対策をつくるべく現在努力中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/61
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062・松尾信人
○松尾(信)委員 方向はわかりましたね。であるならば、自主規制のほうも別ですよ、それから政府間協定の分も別になるわけです。その他の分々今回千五百億の措置で一応金融的な裏づけをしていこう、こういうわけでありますから、これはしっかりやっていきませんと、大きな問題が起こります。繊維の政府間協定の分につきましては、はっきりと計画をお立てになりまして、そして、われわれにも納得のいくような計画を立てて早くやっていくようにしないといけない。その方向でいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/62
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063・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/63
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064・松尾信人
○松尾(信)委員 それから、燕のほうの業界でもいま事業転換を一生懸命やっております。自主努力です。そして産業開発特別委員会というようなものもつくりまして東京方面に出てきていろいろ折衝をやっておりますけれども、たとえば、めがねのワクをつくるとか時計の金属バンドをつくるとかタイプライターの部品、自転車の部品等、十品種の試作の注文が東京などのメーカー約二十社からきておる。これらの注文は、組合で、いまから試作し技術的にこなせるかどうか、採算がとれるかどうか、相手先はだいじょうぶかといろいろ調べた上で業者に仕事を流すことになるであろう、これが実態です。でありますから、結局、燕のほうである程度転業していこう、こうなりましても、現在中小企業として一生懸命過当競争をしておる部分の中にまた入っていこう、こういう方向なんですね、全部見ましても。やはりそこには、一昨日も申し上げましたとおり、政府としての指導原理、こういう方向へというそういうものがないからおのおのが目先に困りまして、とりあえずできるものという方向におのおのが進んでおるわけです。それを今度の転廃業資金の分につきましても、政府としてはそれが出てくるのを待っているという段階ですね。これは国内の従来の中小企業と非常に大きく競合してまいりますし、またその事業が転換しなければいけないというふうに、転換から転換へと関連してつながっていく問題かんですよ。それで一昨日基本的なことを申し上げましたとおり、やはり何といっても根本的なものをつくって、それを指導し、育成し、強化し、枝術面においても資金面においても、うんと政府がめんどうを見ていく以外にない。これを痛感いたしますが、いまのような燕の転業の状態では非常に心もとない。繊維でなくとも同じく転業するそういう零細な人たちの労働問題も、やはりそこにあわせて出てまいりますし、ひとつしっかりした意見を聞きたいと思いますが、これは中小企業庁長官にもう一回繰り返して、早くやる方向を立ててやるという回答を得たしと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/64
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065・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 先般もお答え申し上げましたように、基本的な方向はいままでの産業構造から一歩進んだ知識集約型の産業へ志向していかなければならない。その場合にやはりいろいろな業種が考えられます。そういうものについていろいろと検討を進めておりますけれども、それでは個個の企業が一体どの業種に転換していくかということになりますと、これはなかなか一方的に方向を差し示すというわけにはまいりません。やはり自主的な立場、それと政策当局者とのいろいろな協力関係、振興事業団の活用、あるいは県の総合指導所の活用、いろいろな機関の総合的な協力によって進められるということでございますので、一生懸命その全体の青写真をつくることをやりますけれども、それにはやはり時間がかかります。それで、その間のつなぎとしまして、いままでの融資の返済をしばらく猶予するとか、あるいはつなぎ資金の金融をするとかいうことでなるべくその間の影響を緩和していきたいというのが考え方の基本でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/65
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066・松尾信人
○松尾(信)委員 ですからあなたには無理でありますから、やはり通産省で、この中小企業の事業転換についてはうんとやかましくいう、そして早くやってもらうようにする、このように言えばいいのですよ。まずそのようにやってください。
それから一つの具体例であります。チューブマットの例でありますけれども、これはそろそろこの機械も買い上げの対象にしようかなというふうな意向があるようでありますけれども、それがどうであるかということ。これも非常に困っております。それと、かりにチューブマットの機械を買い上げるならば、そのとき忘れてならないのは、チューブマットのしんをつくっておる零細な企業の方々です。チューブマットのほうは買ったけれども、しんのほうはということになりますると、しんを入れてそうしてチューブマットができ上がるわけでありますから、両方が関連しております、仕事は別々にやっていますけれども。買い上げは並行的になさらなければいけないわけです。その点についてちょっとあなたの考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/66
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067・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 チューブマット並びにその下請でありますしんのメーカーにつきましては、対米輸出の比率が非常に大きいという関係から今回の政府間協定救済策の対象業種にはもちろん入っております。ただ、現在のところどのような設備を対象にすることが一番効果的であるか、かつまたその設備を買い上げる場合には、その前提として設備の登録なり、あるいは新規参入の制限なりということがやはり前提になるわけでございまして、そういった措置との関係においてどうであるか、現在前向きに検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/67
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068・松尾信人
○松尾(信)委員 これが最後でありますけれども、あらゆる繊維業界をながめてみますと、またその他の中小企業、この法案の対象となっていく中小企業でありますけれども、いままで貸している金額がありますね、それを超過する分につきましてはやはり新しい担保を要求されております。それは国民金融公庫もそうでありまするし、そこがそのようでありますると大きな打撃を受けまして、そうして余力のないそういう部門というものは、ほんとうにもう末端の銀行の窓口で行き詰まってしまいます。これはほんとうにもう現在起こっておりまするし、今後続出いたします。ここは特別に何か考えませんと——繊維関係は今後お考えになるそうでありますが、そういうところも含めた、この次のあなたのほうの対策はそこまで含めたものをお立てになりませんと、これも絵にかいたもちにすぎませんということですね。
また企業庁長官のほうには、繊維以外にもそういうものが燕でも現実に起こっておりますよ。そして何か特別に貸してくれるであろうというてこの法案が通るのを待っています。そうしますと、法案は通ったわ、ほんとうに期待しておったけれども、窓口ではこのようにひどい目にあうのかということで、またかえって恨まれるような措置になりかねないという方向をよく認識なされまして考えていきませんと、これは金融面だけでは必ず行き詰まる、こういうことを申し上げたい。
これで終わりますけれども、そこで私のこの意見に対する最後のあなたの考えを述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/68
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069・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 零細な企業の方、下請企業の方に今回の金融措置が末端まで行き渡るように、信用補完措置を背景にしまして最善の努力を尽くすように、政府系三機関をはじめ関係の金融機関に指示をし、あるいは要請をしておるところでございますので、御指摘のとおり末端まで極力金融が行き渡るように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/69
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070・鴨田宗一
○鴨田委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時五十五分休憩
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午後二時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/70
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071・鴨田宗一
○鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。岡本富夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/71
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072・岡本富夫
○岡本委員 おとといに引き続きまして、今回の法案の中から、あるいはまたその関連として中小企業問題についてただしたいと思います。
おととい中小企業庁長官から、ドル・ショックによるところの倒産は、大体三十件ぐらいだというようなお話がございました。これは帝国興信所の調べでありますけれども、これ以外に、ひっかかってこないところの倒産が相当あるのではないか。あるいはまた、これから年末に向かっての中小企業の倒産というものは、非常に増加するのではないか、こういうように考えられるわけであります。特に本法案は、限定されておるように見受けられるわけでありますが、相当幅広くこれは適用しないといけないのではないか、こういうふうに思うのですが、これについての御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/72
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073・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 ただいま御指摘のように、八月十六日から十月末日までの間に、いわゆるドル・ショックをきっかけとして倒産をしました中小企業は三十件ございます。いずれも負債額一千万円以上でございますが、例年この十一月、十二月にかけましては倒産が多い時期でございます。このような時期でございますので、今後の成り行きについては非常に心配をし、そして必要な対策をすみやかに講じなければならないと考えている次第でございます。
なお、この緊急措置、なかんずく金融措置の適用につきましては、極力幅広く弾力的に輸出関連の中小企業者に、下請業者をも含めて適用できるようにつとめたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/73
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074・岡本富夫
○岡本委員 そこで、この一番の問題は、やはり都道府県におけるところの認定にあると思うのですが、いままで私、いろいろな中小企業者の皆さんとお話をし、あるいは現実に構造改善事業、いろいろなものに当たって、一緒に手を下してきたけれども、認定の範囲というものが非常に小さく、小さく解釈をされているきらいがあると思うのです。ここで答弁したのと非常に違う場合があります。
そこで、この認定にあたっての項目の中で、「アメリカ合衆国における輸入課徴金の賦課、本邦における外国為替相場の変動幅の制限の停止その他」というのがありますね。「その他これらに準ずる国際経済上の調整措置により、」ということですが、この「その他」のところでどのくらい大きな幅を持っておるのか、これをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/74
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075・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 現時点におきましては、米国の輸入課徴金の賦課、それから為替変動相場制への移行に伴う影響を受ける場合ということでございまして、もし、将来、多国間で平価調整が行なわれることによって影響が出てくるというようなことがありますとすれば、それはいま先生が仰せになりました、その他これらに準ずる調整措置というものに該当すると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/75
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076・岡本富夫
○岡本委員 そこで、輸出が減少した。あるいはまた輸出の減少によって、産地指定になっておりますけれども、先ほど松尾さんから話がありましたように、そういった現在輸出をやっていた人たちが事業転換するわけですね。事業転換というより同じものでも内地ものをやるようになる。そうなりますと、すでに繊維なんかでは、いままで輸出をしておったものが内地ものをやるようになって、いままで内地ものをやっていた人たちがそれによって非常に圧迫を受けてしまう。それで共倒れをするというような状態がありますが、繊維の問題は先ほど話がありましたけれども、その他のものでもいろんなものが出てくると思うのです。したがって、このその他に準ずるというところをもう少し拡大解釈ができないものだろうか。それでなければほんとうに特定の業者だけということになりまして、そうでない人たちのほうが多いかもわからない。そこに大きな関連が——要するにいままで輸出をやっていた人たちが今度は内地ものをやるようになって、内地ものばかりやっていた人たちが圧迫をされてそして倒産していく。こういう人たちの救済については中小企業庁ではどういうように考えておるのか、またその適切な方策、これについてひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/76
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077・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 このたび業種指定についていま考えております基準は、全国ベースで見てその業種の輸出比率がおおむね二〇%をこえる場合、それから全国ベースでなく特定産地で見ましてその地域の輸出比率がおおむね二〇%をこえておるという場合、これを全国ベースの業種、あるいは産地業種ということで指定をいたしますと、その産地に属しております中小企業の方は、自分の輸出比率が何%ということにかかわりなく今回の措置の対象となり得るということでございまして、もう少し砕いて言いますと、その輸出商品をみずからつくっておる人、あるいはその下請をしておる人、あるいは明らかに輸出向けの商品を取り扱っている商業者の方も対象になるわけでございまして、そういう意味合いでは幅広く対象を広げるということにつとめておるところでございます。
なお個別業者につきましては、全国ベースの業種あるいは産地業種に属していなくても輸出比率が大体二〇%以上ということであれば対象になり得る、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/77
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078・岡本富夫
○岡本委員 ちょっと私の質問とお答えがすれ違っておりますが、私の言っておるのは輸出業者でない人たち、それが輸出業者が内地ものに転換をしてきて圧迫を受ける、こういう人たちの救済についてはどういうふうに考えておるか、これをひとつお聞かせ願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/78
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079・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 いまのような産地で輸出をやっておられた方が内地向けの生産に転換する、それによって内需専門にやっておられた人が影響を受ける、被害が明らかであるという場合も対象として考えることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/79
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080・岡本富夫
○岡本委員 ちょっと私もその点了解できなかったのですが、いままでこの企業は輸出の実績がないのです。いままでずっとその仕事をやっておったけれども、輸出業者が輸出できなくなったために内地ものの仕事をやるようになった、協業できますからね。この種の輸出をしてなかった業者に大きな圧迫がいくわけですが、これに対してはどういう措置があるのかということをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/80
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081・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 産地として指定を受けておりますと、輸出実績がない企業でありましても、たとえば輸出をやっておった企業が内需に転換したということによってその影響を受ける、被害がある、そういうことが認定された場合は対象として考えるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/81
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082・岡本富夫
○岡本委員 産地でない場合、要するに何々県の何町とかこういうのはおそらく産地指定があろうと思うのですが、その産地でない場合、そういうところは今度の適用——これもやはり同じような不況におちいると思うのですが、それに対する適切な救済措置、これはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/82
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083・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 やはりこのたびの一連の措置によって最も集中的に影響を受けるのは産地を形成しておる業種でありますし、あるいは全国ベースで見て業種ごとにとらまえまして、その業種の輸出比率が信用保険の特例措置の対象になるというのは、いまのところ目安としておおむね二〇%以上を考えておりますが、そのいずれかの業種に属する中小企業者につきましては、いま申し上げましたように直接輸出比率が何%以上でなければならぬとかいうことはありません。影響があれば対象といたします。
そうすると、残りますのは、全国各地にある中小企業の方で輸出実績は持たない、それで輸出ものが内需ものに転換してきたということによって被害を受ける人も一律に対象にできるかというと、これはあまりにも限界がなさ過ぎますので、やはりその場合は個別の中小企業者の輸出比率ということを考えて対象にすることはやむを得ないことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/83
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084・岡本富夫
○岡本委員 そこで、一般のそういった輸出をしてなかったところ、輸出品をやってなかったところで受けるところの被害者はこの法案では受けられない、こういうことになるわけですが、そういう人たちに対するところの年末からあるいは来年に向かっての不況対策をどういうような方法でやっていくのか。これについて、ひとつ政務次官からお答えを願いたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/84
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085・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 年末融資の問題ですが、いま検討中でございまして、御期待に沿うように努力をしなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/85
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086・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 いま政務次官のお答えに一つ補足さしていただきますが、このたび予算総則で保険の引き受け限度額を五千億拡大をいたしました。これによりまして、保証の引き受けの額が非常に大きくなる。これがまた保険につながるということで、この措置を背景にいたしまして金融がやりやすくなる、あるいは受けやすくなるということで、一般の中小企業者の方に対する措置がとられる、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/86
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087・岡本富夫
○岡本委員 その論議はちょっとあと回しにしまして、この業種指定あるいはまた産地指定においてそれぞれのパーセントがありますけれども、それが基準で、たとえば業種が二〇%というあなたからのお話がありましたが、一九%あるいは一八%あるいは一五%、こういうような場合はどうなるのか。これを少し弾力的に応用をしませんと、その点を大体明示しておきませんと、都道府県ではもう二〇%ぴしっと切ってしまいます。そのボーダーラインというものがあるわけです。これにひっかからぬで、これは全然だめ、わずかなことで全然適用を受けられない、こういうような人も出てくるのじゃないかと思うのです。これはおおむねの一つの目安であろうと思うのですが、この下ですね、何%くらいまではいいのだろうかというようなことも考えていらっしゃるのかどうか、またそういう指示をするのかどうか。おそらく都道府県知事が認定するのですから、その点もやはり大体明確にしておかなければいけない、こういうふうに思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/87
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088・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 本法によります、主務大臣が業種指定をいたしますおよその目安をいま二〇%ということを申し上げました。したがいまして、その業種に属する中小企業者であるかどうかということの認定を都道府県知事なり市町村長にお願いするということでございまして、すでに発足いたしました緊急な金融措置の対象基準、これにつきまして各都道府県の意見を十分聞きまして、産地指定あるいは業種指定をやりまして、そうしてその後いろいろと御要望がありました中から追加してまた業種指定をやるということで、ほとんど御希望には沿えておるということでございます。本法にいう業種指定の基準は金融の場合に比べましてさらに窓口を広くするわけでございますから、金融の場合の例から考えてみまして、おおむね二〇%という基準で対象は大体把握できると思いますが、もし事態が非常に変化するということでありますれば、またその際指定の基準ということをもう一ぺん見直してみるということで対処していきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/88
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089・岡本富夫
○岡本委員 たとえば二〇%、この二〇%という基準はどこに置くのか。要するに、昨年のようなあるいは一昨年のようにどんどん輸出がたくさん出ておるとき、本年のように輸出が下がったとき、これによって額が相当違うと思うのですね。その基準をどのとき、どの時点に置くのか、これによって相当違うのじゃないか。で、あなたはいま都道府県の意見を聞いておるということでありますけれども、やはり都道府県では政府の出してきたところの一つの基準に従っての要望を出すと思うのですよ。したがって、そういった明確な基準を示さないことには、都道府県としても要望ができないのではないか、こういうように思うのですが、そのあたりをひとつ教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/89
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090・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 業種指定の基準をきめますのは主務大臣でございまして、それで全国ベースの業種あるいは産地業種について、その輸出比率二〇%、たとえばでございますが、これは主務大臣が業種指定をするときの指定基準でありまして、これが示されれば、都道府県知事がその基準に従って個別の該当中小企業者を認定するということでありまして、各都道府県知事が個々に認定をする基準ではございません。
なお、つけ加えますと、先ほど申し上げましたように、個別の企業につきましては、これはまたいま申し上げました認定基準に準じた基準をもって取り扱う、このようにいま予定をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/90
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091・岡本富夫
○岡本委員 その一つの企業なら企業の輸出比率というものを見るときに、昨年ではたとえば一億なら一億あるいは一千万なら一千万の月商がある。そのうち二百万円は輸出に回した。これなら二〇%です。しかし輸出の好況のときはそうだったけれども、中小企業というのはぼやぼやしておれませんから、一千万の確保をしなければ企業ベースに乗りませんから、どうしても内需のものの受注に回ると思うのですよ。そうすると、輸出のパーセントというものは二〇%よりも下がってあるいは一〇%に下がっているかもわからない。こういうことを考えるときに、その二〇%というなら二〇%の基準はいつをもって二〇%にするのか。下がってから二〇%であったら救済する量が非常に少なくなってくる、こういうことを考えますと、いつの時点をもってその基準にするのか、こういうことをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/91
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092・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 すでに発足いたしております金融措置につきましては、四十五年度の輸出実績を分母として考えております。といいますのは、四十五年度は輸出の高い時期でございますから、これを分母にとっておるわけでございます。そしてそれに比べて、そのとき生産があるわけでございますから、その生産と今度は現時点における生産とを比べて生産額が減っておるというときは被害があるというように考えるということであります。
それから、輸出比率をいつの時点でとるかという御質問でございます。ちょっと前後いたしましたけれども、輸出実績は四十五年度を金融の場合とっておりますし、この法律によります保険の特例措置の基準を考える場合も、四十五年度の実績を基準にするということを予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/92
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093・岡本富夫
○岡本委員 四十五年を基準にしますと、四十六年、大体中小企業というのは、特に輸出なんというのは非常に多い月とまた少ない月、あるいは多い年と少ない年とこういうようにありますから、この点についてはやはり中小企業者の一番いい条件のとき、こういうのを加味して、業種認定にあたっての配慮が必要ではなかろうか、こういうように私は思うのですが、その点の指示をやはり私は都道府県知事にしなければならないのじゃないかと思うのですがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/93
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094・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 大体、四十五年度をとりますと、中小企業の輸出比率が、たとえば二〇%というようなときに、最も有利な年度に大体なる。ただし、仰せのように、品目によりましては低減をするとか、あるいは四十五年度の実績では輸出比率が非常に低い、実情に合わないというような場合には、これは弾力的に考えるつもりにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/94
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095・岡本富夫
○岡本委員 私はなぜこんなことを言うかといいますと、ここで論議したり、あるいはまたあなたのほうからお聞きしたのと、各都道府県の指導、これが非常に曲がってくるわけですね。なるべく各都道府県では小さく小さく、まあいままでの金融の措置でもそうですが、縮小されてしまうんですよ。ですから、その点をひとつ御配慮いただいて、そしてなるべく大きな範囲でしていくというようにしなければ、この法律をつくって、あるいは通しても、結局この恩恵を受ける人が少なくなってくる、特定の人になってしまう。その点を私は非常に心配しますから、確かめたわけであります。だから、さらにひとつその点については弾力的に運用するように都道府県に対して指示をしていただきたい。
次は、先ほどに戻りまして、一般の、先ほど申しましたように、ドル・ショックによって輸出業者以外の人、この人たちも被害を受けるわけでありますが、これについて一番ネックにいまなっておりますのは、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫、特に国金です。それからまた保証協会。こうした人たちがいままで一ぺんでも事故があると、——毎月返していくわけでありますから、この返済金について二カ月おくれたとか、あるいは一カ月おくれたとか、こういうのが過去三年ないし五年の中に一ぺんでもあると、もう次は貸さない。そういった点を私は各所に見受けたわけでありますけれども、現在の仕事の実績あるいは事業の実績、こういうものを調査もせずして過去の非常に苦しいときだった、そういうときの一つのきずが国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫からの貸し出しの大きなネックになっておるわけです。ですから、書類審査しましても、ずっと過去に一ぺんあった、これはもうだめだと、頭からはねている。現在はどうなっているかというと、現在のことは調べない。こういうような不親切なことでは、私は特に小規模企業の人たちに対しては、せっかくこの法律をつくっても、あるいはまた税金も納めているわけですが、その点についての指導と申しますか、あるいはまた今後の行き方について大蔵省からひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/95
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096・北田榮作
○北田説明員 ただいまお話のございました国民公庫、中小公庫等の政府関係の金融機関におきましては、公庫法の定めるところによりまして、民間金融機関では融通を困難とするようなものにつきまして特に融資をいたしまして、あるいは中小企業者、零細企業者の事業資金の供給をはかるということを目的としておるところでございます。したがいまして、いろいろ融資条件等につきましても、一般の民間金融機関に比べまして有利な条件を設定いたしまして、そういった比較的民間の金融ベースに乗りがたいようなものに融通を行なうということを使命としておるところでございます。
したがいまして、たとえば国民公庫の融資条件をとりましても、たとえば期間についても一般よりもかなり長期にいたしておりますし、担保の点につきましても、たとえば三百万円以下の零細な貸し付けにつきましては、特に物的担保を徴収しないで、保証人等の保証だけでいいというような措置も講じておるところでございます。ちなみに四十五年度末におきます国民金融公庫の貸し出しのうちの担保つきのものとそうでないものと分けてみますと、担保のないものが九五%、金額で九〇%くらいになっておりまして、そういった意味では、なかなか民間では融資の困難なものに対して融資をやっているという実情を反映しているものであると考えております。
ただ、そうは言いましても、これら機関の資金源は資金運用部資金とか、簡保資金とか、そういった国民の貯蓄を財源といたして、これを中心といたしておるわけでございますので、やはり返済が行なわれるということでなければならないわけでございまして、その意味でやはり最小限の担保、債権保全の措置は必要でございますし、ことに国民金融公庫法でもそういった事業主金融は単なる救済資金の供給であってはならない、こういう規定もございますところでございます。やはりあくまでも金融ベースということをくずすわけにはいかないというふうにわれわれも考えておるところでございます。ただ、いまお話がございましたように、過去に一度でも延滞があれば貸さないとか、そういったようなことは決してしないことと思いますが、現実の実情に応じまして十分事業の内容を審査いたしまして、的確な審査をして、適当なものには融資をするというようなことで国民公庫もやっておると思いますし、われわれも指導をいたしておるというところでございます。また、今回のような事態によりまして過去の貸し付けについても非常に返済が困難というような事態が生じました場合には、ケース・バイ・ケースで審査をいたしまして、実情に即して延滞金の支払いの猶予とか、そういった適切な処置を講ずるように指導をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/96
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097・岡本富夫
○岡本委員 農林省の補助金、あるいはそういった資金に対しては、非常にたくさんな予算が出ておる。しかし中小企業に対しては非常に少ない。これは、いまここにおりますけれども、武藤委員が相当憤慨しておったことがある。私も同感であった。したがって、いまあなたがおっしゃるように、資金運用部の金であり、また国民の税金である、だからいかようにもお粗末にはできないのである、こういうことはわかりますけれども、何か私は、この中小企業に対するところの、特に零細企業に対して、こういった助成あるいはまた資金の貸し付けに特別のことをやっておるような感じがするんですね。一般市中銀行から借りられないから特別にしてやっているんだというような考えでは私はどうも承服できない。そこで私が言っておるのは、特に国金なんかに対しては、一ぺんか二へん事故のあったところに対してもちゃんと貸し付けてあげろという指導をしておる、そういう先ほどのあなたのお話でありますけれども、そうではない、現実を見てみますと。それに対してあなたは、いままで検査をしたり、あるいはまたあなたのほうの指導が間違いなく行なわれておるかどうかということを調査したことがありますか。これをひとつ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/97
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098・北田榮作
○北田説明員 ただいま申し上げましたように、やはり債権の確保ということは必要でございますので、いろいろな面で貸し付けをいたします場合には、はたしてこの償還が可能であるかどうか、また収益等によって償還ができるかどうか、そういった点について十分審査いたしまして、返ることが確実であるということが認められる場合に融資をするということであろうかと思います。したがいまして、過去においてそういった延滞の事実がありましても、現在そういった事実がなく通常に事業をやっておられるという場合には、もちろんそういうことは問題にならないと思います。そういう意味でいま申し上げましたが、現在すでに延滞がございまして返済されないものがあるというような事態におきまして、さらに追加して融資をするかどうかということは、かなり慎重に考えなければならない問題であろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/98
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099・岡本富夫
○岡本委員 話をずらしてもらっては困りますね。私が言っておるのは、現在は全部返済してしまっている、過去に借りてそして返済をしていった、その間において一ぺんか二へんおくれた、そういうきずがあるために——三年も四年も前です——それで今回申し込んでも、ここの店は、あるいはここの企業は前に一ぺんこういうことがあったのだからということで、もう頭からだめだ……。現在はそうではなくて、もうちょっとあれしてやれば何とかなるといったところの配慮が欠けておると私は言っているんです。ですから、そういう点についてあなたのほうはどういうように指導しておられるのか、この点もう一ぺん明確にしておいてもらいたいと思う。そしてあなたのほうの大蔵省の考えと、現地の考えと違ったら、現地の支店長か、あるいはまた国民金融公庫総裁の指導の間違いか、これをひとつこれから私は調査をしてみたいと思うのですが、その点はっきりひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/99
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100・北田榮作
○北田説明員 ただいま申しましたように、過去においてある程度延滞の事実がありましても、その後正常に返済がされ、現在においてそういった点について心配がない、かつ適確な事業計画をもって事業を遂行し得るというようなものについては、過去においてそういった事実があったからといって、現在がもうそうではないということが判断されれば、そういう融資を断わるというようなことはないと考えております。もし、そういったような——私も確認しておりませんので、あるいはそういったふうに誤解されるようなことがあったかもしれませんが、私どもといたしましては、一件一件の審査につきましては国民公庫なり中小公庫なり、各公庫の責任と自主的な判断にまかせておるわけでございますので、もし、そのようなことがあるというようなお話でございますれば、十分その趣旨を徹底するように指導いたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/100
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101・岡本富夫
○岡本委員 私がなぜこの問題にこだわるかといいますと、今度この地域指定をされたり、あるいはまた業種指定をされて、そうしてこの法案が通って活用される場合、過去に一つでもきずがあったらもうそこのところはだめだ、いかに都道府県知事が認定しても、これはだめだと金融機関のほうでけ飛ばされてしまったら何にもならない。企業の、特に零細企業あるいはまた小規模企業の皆さんは、こういう書類をつくったり、あるいはまた県庁へ行ったり、こういうことをするのに非常に手間がかかるわけです。そういう手間をかけてせっかく申し込んでおいたのに、今度は金融機関のほうで、あなたは前にこういうことがあるからだめだ、こういうふうにけ飛ばされてしまうのだったら、これはもうほんとうに絵にかいたもちみたいになってしまうから、私は特にその点を強く要望もしておるわけです。また、私は現実にそういった一件一件に当たって調査をした。それであなたに言っているわけですから、その点は強力にひとつ指導をしてもらいたい。
もう一つは保証協会の保証づきの融資、これもまたこの法案にかかってくるわけでありますけれども、この融資の金利ですが、これは政府が保証しているということなんですから、もう大企業並みの金利にしてもいいのじゃないか。これは私も再三当委員会で主張もしたわけでありますけれども、まだ現実はそうではないのです。特に信用金庫——ぼくのほうに尼崎信用金庫なんてありますけれども、こういったところのやつを見ますと、金利が非常に高い。金利が高く、その上に保証料がついているわけです。ですから、小規模企業の皆さんのマージンというものは非常に少ない、そこへこの金利をたくさんとられたんじゃ……。大企業は金利が安い、こういうことを考えますと、保証協会の保証づきの融資の金利については大企業並みにしていいのではないか、こういうように私は思うのですが、それに対する大蔵当局の意見を聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/101
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102・北田榮作
○北田説明員 中小企業向けの民間の金融機関の貸し出しでございますが、この点については、先般のドル・ショック対策といたしましてもいろいろ指導いたしまして、量的な面においても十分配慮をするように指導しているところでございます。また金利につきましても、ドル・ショック以前から最近は着実に一般的に低下をしておりまして、また最近におきましては一段とその下げ足を速めておる状況でございます。この傾向は今後も続くものと思っておりますが、政府としましても今後ともこういった金利低下の指導を一そう進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
ただいまお話のありました信用金庫の金利でございますが、信用金庫の四十六年三月末現在の割引手形の平均金利を申しますと八・五%程度となっておりますが、年利一割以上というようなものは一%にも満たないというような現状でございます。ただ優良手形等につきましてはかなり平均金利以下で割引されているというふうに思われるわけでございますが、信用金庫の金利が他の金融機関に比して割り高であるというのは御指摘のとおりであろうかと思います。実はこの一般金融機関、信用金庫等のことにつきましては、たいへん申しわけないのですが、ちょっと所管でございませんので私から申し上げるのもいかがかと思いますが、一応お答えを申し上げますと、こういった信用金庫は資金コストがどうしても高うございます。貸し付けについても非常に零細なことでございますので、どうしても割り高になるということでございますが、金融の大幅な緩和情勢のもとにございますので、先ほども申しましたように貸し出し金利は今後逐次下がっていくもの、こういうふうに期待しておるわけでございますが、信用金庫自体におきましても貸し出し金利の引き下げに一そう努力をするようにわれわれとしても期待をいたしておるというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/102
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103・岡本富夫
○岡本委員 あなたのところで出ているデータというのはどんなデータが出ているのか知りませんが、あなたが所管じゃないといって逃げちゃ困るのです。大蔵省はもうあなた一人しかいないのだから。帰ってひとつ関係の課長にも話をしてもらいたい。大体こういうことなんですよ。商業割引手形は千六百万円で定期に五百十万、こういうようなこと。これは中企業ですね。それに金利が二銭七厘ということになりますと、とても八分五厘以下ではないわけですね。そういうことを考えると、もう少し強力に……。市中銀行も最近は相当利益が上がってきておるわけですよ。これはすでに御承知だと思うのですが、こうして金融が緩和されてどんどん市中に金が流れてくると、どうしても活動が多くなるのか、最近の銀行は非常に金をよけいもうけているというようなことから考えても、もう一ぺん金利政策というものを、要するに市中銀行あるいはまたこういう信用金庫が中小企業、零細企業に対してどれだけ貸しているかということをひとつ確実に把握をして、そして中小企業や零細企業を守っていくというような態度が必要ではなかろうか。これは長官にもあるいは政務次官にもこの要求をいたしたいと思うのです。その点は大蔵当局にも強力に申し入れて、中小企業関係への貸し出しの金利については特別の配慮をするように要求をしていただきたいと思うのですが、まず政務次官からひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/103
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104・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 いま御指摘の金利の問題ですが、これは先ほど来いろいろやりとりをしておられたわけですが、あなたのおっしゃったとおり、保証されたものでもたいへん高率である。また優良手形の問題でもたいへん高率で、大企業に貸し付けるよりたいへん高金利であるということは私は全くそのとおりだと思うのです。そういう意味合いから、そういったことを今後できるだけ零細企業対策というか零細企業優遇ということで、こういうときでもございますので、そのようにひとつ御協力を願うように私のほうからも指示をしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/104
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105・岡本富夫
○岡本委員 政務次官、もう一つ、あなたも御存じだと思うのですが、零細企業、中小企業には歩積み両建てというのがやられるのですよね。この点についてもひとつ調査をして、これをしてはいけないということになっておるのにやっているわけです。それが残って、先ほど申しましたように定期五百十万とこうなっているわけですね。歩積み両建てでそうなっていった。ですから百万円あるいは一千万円借りても、五百万円借りてもそれが全部使えないというのが現在の実情なんです。この点も厳重にやっておかぬと、この法案が通ってそして確実に企業には金が行った、こう見ておるけれども、そのうちの何%かは金融機関に吸い上げられている、こういうことになるわけです。ですからそういった一連の手当てと申しますか、あるいはまた対策というものをはっきりと立てておかなければならない、こういうふうに思うのですが、政務次官確信をもってその点は大蔵当局と折衝してやっていただきたい。この点について決意を——やられてなかったらちょっとまずいですよ、じゃその決意を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/105
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106・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 決意といって、私のほうと商工中金はもちろん関係がございますけれども、その他信用金庫それから市中、こういった銀行は所管でないですが、私も、いまあなたのおっしゃったとおり歩積み両建て、それから担保等においても何掛けというような形で、まるまるというのじゃなく、これは過去いろいろ話をしてきたことですけれども、今度はやはり特殊な状態というか特殊事態ですから、歩積みあるいは担保評価、こういったものについてやはりできるだけ強力に私のほうからも協力をしていただくような要請をしなければならぬ、こういうふうに思っております。
ただ私のほうの関係の商工中金ですが、これはきのうからもたいへん御指摘があったわけです。この問題についても決してそれを拘束をしておるというようなわけでもないのでございまして、また特に半官半民というこういう形もございますが、いまのお説をよく頭の中に置きつつ、先ほど来も申し上げたように、特殊な事態に直面しておるわけですから、こういったことがあるとするならば、やはりいろいろな金融体系というか金利体系というものがあるわけですし、そういったことも考慮しつつ、岡本さんのお説のとおりできるだけ努力をしてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/106
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107・岡本富夫
○岡本委員 できるだけ努力して、したけれどもできなかったというようなあやふやなのでは困るのですよ。政務次官というのは副大臣なんですから、ひとつこの点についてはあなたもおっしゃったように、ドル・ショックあるいはまた平価調整、いろいろなことで今後非常に中小企業の生きる道というものはむずかしいんではないか、こういうふうに思われるときでありますので、いままで以上の強力な指導要請を大蔵当局にするのがあなたの役目じゃないかと私は思うのです。これは通産省の役目ではないか。特にまた中小企業を育成していく、あるいはまた守っていこうとしているところの通産当局の役目ではないか、義務ではないか、こういうふうに私は思うのです。ですから、いまのように特にお願いしてなんて、そんな弱腰では困ると思うのです。だから、ほんとうはここに大蔵省を呼んでやりたかったけれども、ほかでやっているから呼べなかったのですけれども、その点についてあなたは副大臣としてもう一ぺんはっきりとした決意とまた方向づけをしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/107
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108・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 これはいまおっしゃったとおり、やはり時期的にもたいへん明快なお答えをしておいたほうが私はいいと思います。これは大蔵省等にも事情を一回聞きまして、そういう過酷な歩積みあるいはまた常識はずれの担保評価をしておるというような事実があるとするならば、そういうことはいけないことですから、私のほうでもこの問題については強く対処することをお答えしておいたほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/108
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109・岡本富夫
○岡本委員 そういうようにあなたが決意してくれれば、国民の皆さんは安心してくれると思うのです。あとよろしくお願いしますよ。
そこで、次にもう一つ政務次官に要請がありますのは、官公需の契約です。これは官庁といったところから出るところの契約というものは、中小企業としても非常に魅力があるんですよね。ところが、ほとんどこれは大企業に食われてしまっているというとおかしいのですけれども、大企業契約になってしまっておる。これは何べんもやかましく言いまして、最近は少しは何とかなってまいりましたけれども、この際ですから、この中小企業の救済にあたっては、官公需の契約を大幅にふやすように努力する、あるいはまた検討を各省にあるいは各官庁に通達をするというようなことも必要ではなかろうか、こういうように思うのですが、それに対するところの政務次官の答弁を要求したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/109
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110・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 この問題は景気浮揚対策としてたいへん重要なことだと私は思っております。これは地場産業育成という形から、今年度の初めにおいて建設政務次官が各種官庁に対して、各都道府県に対して、中小企業受注確保に関するというような意味の通達をいたしておりました。また十月の一日、中小企業庁長官からこれと同じような通達をいたしまして、地場産業の育成ということに全力というとオーバーになるかもしれませんが、その報告は、実際は報告する義務があるわけですが、その報告は一年ごとということですから、これは岡本さんおっしゃるように、市町村なんかで、特に建設関係なんかはわりあいにこういったことを守っておるんですが、その他の官庁においては守られていない。特に大手を小さい工事でも入れる。大きい工事には中小企業が入っていくことはできない。小さいところはどこまでもおりてくるんだという、中央官庁優先の場所があるということは、これは見のがせない事実だと私は思うのです。そういう意味合いから、きのうの次官会議でも私がこういったことを発言をいたしました。きのうはさっそく再度建設の事務次官通達で、またこういったことを通達をしております。私のほうの中小企業庁長官のこういった、再度といっても十月ですから、また時期を見て各官庁に対して地場産業育成、こういう政府の方針をひとつ何とか了解——了解というんじゃなく、行政指導を強くやっていかなければならないのじゃないか、私はこういうふうに考えております。こういった問題も、報告をいつしてもらえるのかといえば、やはり四カ月くらいかかるというんですから、まだるいわけですけれども、いま岡本さんの御意見を承ったことでございますから、私のほうでももう一回、ひとつできる範囲内において地場産業育成、景気浮揚対策ということで全力をあげてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/110
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111・岡本富夫
○岡本委員 では次に、この法案の転換業種について中小企業庁長官にお聞きしたいんですが、たとえばおもちゃならおもちゃをいままで輸出をしておった。ところが、これはどうしても内地ものにかわらなければならないというわけで、同じ業種でありますけれども、輸出ものと内地ものと、デザインあるいはまたいろいろなものが違うと思うのですが、そういったような転換でも、この法案の中に入ることができるのか、この措置を受けることができるのか。以前、特恵の対策についての法律審議のときには、若干そういったニュアンスがあったように思うのですが、それについての確たる答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/111
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112・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 転換先につきましては、たとえば中小企業団体法に基づきまして設備制限、生産調整をやっておるというような業種に転換していくということは好ましい方向ではありません。それからまた、一部の娯楽、遊興の施設で好ましくないようなもの、一種のネガリストをつくりまして、そういうネガリストに当たらない業種であれば、転換先について特に幅を狭めるというような方針では臨んでおりません。幅広い転換先を一応予定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/112
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113・岡本富夫
○岡本委員 ちょっと抽象的な答えだと思うのですが、もう少し具体的に説明しますと、たとえばおもちゃならおもちゃの業者がいままでアメリカ向けで普通の型だった。ところが今度は内地、要するに日本向けになると、どうしても中にモーターをつけたり、動くものにしなければならない。こういうような、要するに同じおもちゃでありますけれども、構造が型もいろいろ変わってしまうというような、業種転換と申しますか、こういうような場合は、この指定業種の中に入るのかどうかということをお聞きしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/113
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114・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 一言で申しますと、かりに同じ業種に属しておりましても、高級化とか、あるいはもう一つ加工過程をふやしていくというようなそういう転換であれば、そうしてそのために現在持っておる設備の相当部分を入れかえてやるというような場合は、事業の転換ということで本法の対象と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/114
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115・岡本富夫
○岡本委員 それから、先ほどもちょっと触れたのですけれども、こういった業種指定された、あるいはまたいろいろと届け出に対して申し込みをする、要するにそういった手続ですね。これが非常に繁雑でありますと、中小企業としては非常に困るのです。そういった仕事をする人が別におらない。もう事業者、あるいはまた自分で仕事をやっている人、即その人がやらなければならぬというわけですから、手続の簡素化ということが非常に大事ではないかと思うのです。それについてどういう配慮をしておるのか。これをもう一度詳しく説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/115
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116・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 もうできるだけ簡単な書類の手続で済むように様式もこしらえ、また申請者にとって記入もやさしいように配慮をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/116
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117・岡本富夫
○岡本委員 次に、先般ここで審議しました特恵関税の業種指定、こういうものも法律の運用が、いまだに施行されていない、官報に公布をされていないのですか、これについてはいまどうなっておるのか、これをひとつお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/117
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118・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 中小企業特恵対策臨時措置法は八月一日から施行されております。それで日本の中小企業の輸出に最も大きな影響を与えると考えられます米国はまだ特恵供与を実施しておりません。したがいまして、日本の中小企業の輸出に対して、このよその国が与える特恵の影響というのはまだ著しくはあらわれておりません。
それから日本の国によそから品物が入ってくる輸入面における影響につきましても、日本の特恵供与の方式ができるだけ中小企業に対して急激な影響がないようにというような配慮をなされております。
それからまた、特恵実施をいたしましてからまだ日も浅いことでありますので、輸入面におきましても現在までのところあまり大きな影響がないということでございまして、今日までのところ御指摘のように特定事業を指定するという措置はとっておりませんけれども、しかし今後の事態の推移いかんによりまして、必要が出てくればいつでもすみやかに指定ができるように準備を整えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/118
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119・岡本富夫
○岡本委員 中小企業者というのは大体もうその日その日、注文なんというものは一カ月ぐらいの注文しかないというようなところで渡っているわけでして、出てきてからやったのではおそいわけですね。ですから先、先に手を打っていかなければならないので、すでに出てきておるところの業者がだいぶあるのです。私のところへだいぶ言ってきておりますけれども、したがってせっかくここでこうして法律審議をして通したわけですから、やはりその運用も早くできるようにしておいたほうがいいんじゃないか。その必要が出てから、非常に大きな被害があってからしかやらないということでは、これはまことに後手後手に回ると思うのです。したがって、この問題も早急にやはり運用をしておいたほうがいいのではないか、これをひとつ要求をいたしておきます。
次に、先ほど政務次官からお話があったので、それに関連しまして地場の建築業者、こういう人たちが困りますのは、たとえば一つの建物なら建物を引き受けた場合に鉄骨が上がるという場合は、いままで見積もりをしてあった、そして注文を受けた、ところが鉄骨が上がった、そのために非常に損をするというような場合がたくさんあるわけです。したがって、今度鉄鋼会社が粗鋼の不況カルテルをやろう、こういうようなことを考えておるわけです。しかもこの不況カルテルは、これは非常に独禁法に対して風穴をあけたというようなことも世間では言っておりますけれども、こういうことをやりますとまた鉄が上がるわけですが、そうしながら片一方ではどこの会社ですか、まだ鹿島では高炉の建設をやっておる。こういうのを考えると、ただ値上げのためのカルテルではないか。生産調整——生産調整もまあ入るのじゃないかと思いますけれども、さらにまた生産する工場をつくっておる。そういうことを考えると、やっていることが非常におかしいんじゃないか、こういうように考えるわけでありますが、政務次官の考え方、あるいはまたこの点についてどういうように評価するか、これをひとつお聞かせ願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/119
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120・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 いま岡本さんのおっしゃった、契約後鉄鋼等々が値上がりをした、こういう問題についてはどうなのかという問題、これは契約者と相手の関係がありますから、これはやはりその辺で話を願うということになると思うのですが、ただ、いまここで不況カルテルという問題で値段が上がるのじゃないかということの問題ですから、これは不況カルテルという問題はできるだけ価格の下がりを防ごうということで需給調整が必要である。あるいはまた業界よりは先月の十九日に勧告操短をしてもらいたいという要請が実はあったわけですよ。これは適当な方法ではないという判断をし、むしろ独禁法第二十四条に基づく不況カルテルによって対処すべき旨を業界に伝えたわけです。その結果、昨日業界より公取に不況カルテルの申請が正式に提出をされたという由でございます。そういう意味合いから、さてそういうことをやることによって値上がりを促進するのじゃないかという問題については、そういうことはないだろうというふうにお答えをしておいたほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/120
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121・岡本富夫
○岡本委員 そうすると、通産省としては値上げを認めない、こういうふうに了解してよろしいですね、値上げをさせないと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/121
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122・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 それは値上げを認めないというのではなく、先ほど申し上げたところの、業界がたいへん不況であった、特にドル・ショックによってたいへん不況が深刻化してきたというような意味合いから、価格がくずれいくことを防止するというような意味で公取に不況カルテルということで申請をされたというわけでございますから、値上げをここで認めないのかということについては、これは申し上げるわけにはまいらぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/122
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123・岡本富夫
○岡本委員 政務次官、あなたのおっしゃり方はちょっと矛盾しているのじゃないかとぼくは思うのですね。要するに、いまの鉄鋼の値段がくずれるから、だから無理して粗鋼のカルテルをする、そうすると、くずれてはいかぬからするのであって値上げのためにするのじゃないということになれば、これは先ほど言ったように、中小企業者が特に原料が上がっていくということは困るわけですよ。受けた注文というものは値段は動かせないのですよ。一番困るのは中小企業者ですよ。ドル・ショックの上に、今度原料が上がってくるとほんとうにどうしようもなくなってくるわけですね。ですからその点を考えると、これはひとつあなたは通産当局として強力な指導をし、手を打たなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/123
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124・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 それは大手が六社も不況カルテルを結ぶわけですから、あなたのおっしゃることもよくわかります。そういう意味合いから、不当な値上げは認めないという、こういう御返事をしておいたほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/124
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125・岡本富夫
○岡本委員 不当でない値上げというものがあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/125
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126・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 これは不当ということはやはり常識論だと思うのですよ。だから、これが幾ら幾ら上がって、幾ら幾らだから認める、幾らだから認めないということでは、だれが考えてもやはり不当なものは私は不当だと思いますので、不当な値上げについては通産省は絶対認めない、こういうことでひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/126
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127・岡本富夫
○岡本委員 そうすると不当でない値上げは認める、——不当でない不当であるというのをここで論議しておってもあれですが、私のおそれるのは、官公需の仕事をもらった、こうした業者が受けた注文に対して今度は原料が上がってきたらもう一度上げてくれというわけにいかないのですよ、契約しますとね。あるいはまた、おもちゃの業者あるいはおかまの業者、いろいろな業界が——特に私あそこの燕に行ってみましたが、なべやらかまやらつくって外国へ出しているわけですね。たたかれて、原料を運んでおるみたいな値段でつくっているわけですよね。こういった人たちは、鉄鋼が上がってきますと直ちに仕事はとまってしまうと思うのです そうしうのを特におそれるわけですよ。ですからこういったドル・ショックあるいはまた次に起こってくるであろうと思われる平価調整においては、いまこそそう…う原料高でないようにしなければならぬときになっていると思うのです。時期が悪いですよ、このやり方は。これはあなたに言ってもしかたがないけれども、あなたはきょうは当面の総責任者ですから、ひとつその点についての決意を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/127
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128・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 まあしかし現状のままですと、やはり岡本さん御承知のように不況の上にドル・ショックというような形で鉄鋼業界は全く深刻なときに入っていると思うのです。そういう意味合いからこれを回復というか、悪い意味の値上げの回復というのじゃなくて、やはりここで回復をしなければならぬと思うんですよ。そうしなければ、これは先ほど来いろいろな小さな業者等々の問題も幾つか名前をあげられましたが、やはり安定して供給をする、安定した供給ということになりますと、やはりこれは回復をしていかなければならぬという意味から、私はこの不況カルテルというものが申請をされておると思うのです。そういう意味で、不当ということが考え方によってたいへん幅が広いわけですが、やはり常識的に不当な値上げは一切認めないというところでひとつ御了承を賜わりたい、こういうふうに思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/128
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129・岡本富夫
○岡本委員 どうも通産省主導型の不況カルテルのようにも考えられる。私は、これはあなたとここで論議してもいつまでも尽きないと思いますけれども、昨年の各鉄鋼会社の大手六社ですか、配当は十分しておるし、それからさらに鹿島に進出していこうとする企業もあるし、こういうものを考えますと、全然だめになってしまうという感じは受けられないのです。それと、中小企業のいまドル・ショックでだめになっていくというこれと比べたときに、大きな天地雲泥の差があると思うのです。だからその点をひとつ加味して、もう少し先に延ばすとか、あるいはまたいまの価格を押えるとか何らかの手を打っていかなければならぬのではないか、こういうふうに私は要求しておきます、ここで何ぼ言ってみてもしかたがないから。
これは横に行ってしまいましたが、次にもとへ戻りまして、中小企業の近代化促進法、これは指定業種がだいぶありますけれども、現在の近代化促進法の運用についてひとつ少し配慮をしてもらわなければならぬのは、何か通産省の調査活動に利用されておるのじゃないかというようなことを言っている人もあるわけでして、業種指定をいよいよ再検討しなければならぬときにきたのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この業種指定を再検討する考えがあるかどうか、これをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/129
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130・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 近代化促進法に基づきます指定業種は百七十九指定をいままでにしまして、その後いわゆるもう指定でなくなったという業種がございまして、現在百四十二業種が指定されております。それからこの指定業種の中から特定業種を指定するわけでございますが、この特定業種は現在二十二でございます。
それで、この指定業種について、昨今のような国際経済情勢が激変するさなかにおきまして、今度の国際経済調整指貫によって影響を受ける業種が相当数にのぼると思われますので、これらの業種につきましては、その業種、業態に応じて、指定業種につきましては近代化基本計画、その中で輸出目標のたとえば見直しというようなものを含めまして見直しを行なっていく必要があるのではないか、またこの際指定業種から特定業種へ移行を進めていく必要のある業種もいろいろあるのではないかというように考えますので、そういう意味合いにおいて、業種指定の見直しあるいは指定業種の運用の見直しということを考えなければならぬ時期であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/130
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131・岡本富夫
○岡本委員 あと加藤委員が質問があるそうですからこのくらいで一応打ち切りますが、そこで政務次官、特に要求しておきたいことがあるのです。
これは、きのう川崎のああした事故がありましたね。通産省から四、五名の人が工業技術院へ行っておりますけれども、こういうようなのはもっともっとよく検討して、あんな不幸なことのないように今後気をつけていただきたい。これをひとつお願いしておきます。
おなくなりになった方には心からお悔やみを申し上げますけれども、通産省としてはずさんであったんじゃないかと私は思うのです。きょう冒頭にこの問題を私は聞こうと思ったのですけれども、特に政務次官にその点の配慮を、今後再びこういうことが起こらないように要求いたしまして一応打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/131
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132・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 今度の災害については、犠牲者の方、特に死亡された方に対して心からおわびを申し上げなければならぬと思っております。通産省といたしましてもこの問題をたいへん重視をいたしまして、さっそく現地に派遣をいたしまして、二度と再びこのようなことのないように全力をあげてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/132
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133・鴨田宗一
○鴨田委員長 次、加藤清二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/133
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134・加藤清二
○加藤(清)委員 お許しを得まして、ただいま上程されておりまする二法案について若干の質問をしたいと存じます。
およそ政府がなす事柄につきましては、きわめて慎重に深謀遠慮の計画を立てておやりになりまするけれども、それでも事故があとを断たない。いま政務次官が二度と再びかようなことのないようにとおっしゃられましたが、ああいうことばをぼくは何度聞いたか、わけがわからないというほどたくさん事故が起きている。その事故は、人が計算すればたいてい思考し得る範囲内の問題であるにもかかわりませずそれが行なわれずに、結果、危害を招いている。川崎の事故がそうだと新聞は論じているのですね。
そこで、今度のあの事故は、いま次官がおっしゃったように、二度と再びは起こらないように努力することはできるでしょう。これはできると思います。ところが中小企業の倒産、一家心中、首つり、これはもうあとを断たないですね。何べん努力すると言われても、何べんかようなことをなからしめるとおっしゃられても、あとを断たないのです。その原因がかりに思惑をやった者であったとしても——経済の転換期に思惑をやった者であったとしても、倒産してよろしい、死んでよろしいとは政治家としては言えないはずなんです。言ったために首になった通産大臣もいるんです。あれ以来中小企業が何度倒れたでしょう。きのうきょう調べてみましても、繊維だけで七月、八月に十五件から十六件、九月にぐんとふえて二十六件、十月は私が政調会で取り入れた材料だけですでに二十二件、この調子でいきますと年末の年の瀬が越せない、来年三月納税期、それから出資金の配当、ねばならぬという時期、この時期にはたいへんな倒産が起きると思います、いまのままだったら。
そこで、再びなからしめるということばを正直に受けまして、大臣の代理の次官にお尋ねしますが、十二月の年の瀬から三月の節季越えで、越えられずに倒産していくという中小企業がどのくらいあると踏んでみえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/134
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135・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 いま加藤さんがおっしゃったことはたいへん重要なことでございまして、倒産防止ということに全力を注いでまいらなければならぬと思っております。これは甘い考え方になるのかどうか知りませんが、最近の倒産状況というのは、金融という問題が大幅に浸透したというか鎮静を保ってきたというような関係から、十月は八百六十五件、前年度と比べて九・八%減っておる。これは十月です。これからが相当深刻になるというような関係からこれをどうするかということで、やはり金融対策あるいはまた別に千五百億の年末融資、あるいは特に今度アメリカとの政府間協定による被害の繊維問題等には、思い切ってやはり設備買い上げ、あるいは滞貨資金その他金融、税制、こういう面に全力を注いで、年末から来春にかけての倒産件数、こう言われるのですが、これを過去の実績ということから割り出してここで何件という数字は、なかなか特殊事情であって、特殊なドル・ショックによるこういう時期ですから、昨年の例をあげて、これに何%増すとか、これから九・八%減であるとかいうことは、やはり数字的にあらわすことはできないのではないかと思いますが、しかしそういう無責任な話でなく、できるだけいろいろな業界、業種あるいは産地あるいは各都道府県あるいは出先通産局等々を網羅をいたしましてその数字の把握に全力を注いでまいりたい、こういうふうにお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/135
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136・加藤清二
○加藤(清)委員 次官さん、通産省は実態を把握する能力を持っていないのですよ。中小企業倒産の実態を把握する能力を持っていないのです。通産局をどんなに動員なさろうと、中小企業庁をどんなに動員なさろうと、倒産の統計も持っていないのです。これはよく覚えておいてくださいよ。よその民間企業の調査機関のデータをまるごと受け取って、それでもって対策を立てておるのです。このことはもう二十年来いわれてきていることなんです。先ほど来の——ぼくは金融の歩積み両建てもよくあれしましたが、さっきエレベーターの中で福田かつての大蔵大臣が、今度君また歩積み両建てをやってもらわなければいかぬな、こう言われた。あの歩積み両建てというのは私が予算委員会でつくりあげたことばなんです。あれ以来何べん直します、直しますと言われたかわからないけれども、いまだに直っちゃいないのです。大体中小企業の倒産の診断、それから統計その他、その他は、失礼な言い分ながらいまそこにきら星のごとく並んでいらっしゃる局長さんたちの責任じゃないのです、何せそういう機関を持っていないんだから。何べん自前でつくれと言ったかわからぬ。そういう機能を設けなさいということをいままで何度言ったかわからぬ。が、いまだにその予算措置は行なわれていない。それが実態なんです。ほんとうに再びかようなことをなからしめるとおっしゃるならば、どうです、来年の予算におのれみずからの手で診断をするという予算が組めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/136
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137・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 加藤先生のおっしゃるとおり、現在通産省というところは有力な、日本でも信頼度の厚い興信所に依頼をしておるわけです。そういう意味合いから何件何件というものについてわれわれは過去の実績あるいは今後に起きるであろうという問題については、人さまから借りておるというところは加藤先生の御指摘のとおりでございます。できるならば、協力を願えるとするならば通産省内において、事業所というような関係から、民間がここのデータというかここの試算を見習うような状態にしていくのが当然なことではないかと思います。
予算措置の問題については、これは私は、できるならばひとつ御協力をいただいてやっていくべきである。このたいへんな困難な状態にぶつかったときを契機として、いままでおそらくこういう状態がなかったから安易な考え方で情報の入手をしておったものではないかと思いますが、先ほど来、二度と再びということを申し上げたのですけれども、そういったことをやはり対策を以前に練る、対策を以前に講ずるという意味合いからも、こういった問題には御協力を願うことを私のほうからむしろお願いをしておきたいと思います。御協力を願うならば来年度からの予算措置は講ずべきである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/137
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138・加藤清二
○加藤(清)委員 次官、きょうは新聞がほとんどいないのです。お客さんもほとんどだれもいないのです。何をおっしゃっても私はあなたのあげ足をとってあなたを攻撃しようとか局長さんたちをやっつけようとか、そんな気持ちは全然ありませんから。ただ、何とかして倒れていく中小企業にころばぬ先のつえを与えてやらなければいかぬ、せめてできることならば彼らの涙なりともぬぐうてやりたい、こういう気持ちで過去二十年間私はよその委員会に行かずにじっとここにおるのです。それをやることが私は先祖に対する親孝行だと思っておる。ですから私は真剣勝負なんです。
そこで、あなたがいまそれをやるとおっしゃった。幸い、実にいいことに天下一の通産大臣ですよ。これは自民党の最高の実力者といわれる田中大臣だ。その天下一の大臣が中小企業の倒産の原因をたくさんつくられた。これだけで、あなたはどう踏んでみえるか知りませんけれども、私は繊維だけで三千軒はつぶれると思っておるのです。私の試算では最低三千軒、人間にして離職者が二十七、八万人と踏んでおります。これだけのどえらいけがをさせられたんだから、大臣がせめて罪滅ぼしにお墓の一本くらいはつくってやるべきですよ。あなたがいみじくも二度と再びなからしめるとおっしゃったんだから、そのためにせめて診断所くらいはつくるべきである。農業はちゃんとやっているのですよ。あなた農業の専門でいらっしゃるでしょうから、郷里が同じ農業関係の選挙区で、お互いに農業のことは横目でにらんだだけでもわかる。これは政府みずからの作報というのがあるでしょう。それから県みずからの調査機関がありましょう。農協みずからの調査機関も持っているでしょう。この三つが三つとも毎年違ったデータを持ってくるのですよ。違っておるようなものは要らぬじゃないかという声がかつてあったことがあるんだが、そうじゃないんだ。どれ一つといえども絶対ということはないんだから、その三つをミックスしたりブレンドしたりして思考し得る範囲内をきめて、来年の作付はこうしましょう、これだけ削ったらこれだけ換地手当はあげましょう、こういうことをやっているでしょう。こういう点になると農業のほうがはるかに進んでいるのです。もっともなぜそうなるかといえば、農業は選挙のときに向く方向がきまっていますからね。選挙に対するお礼もあるのですが、中小企業の場合は選挙のときどっちを向いておるかわけがわからないから熱心になる人が少ない。中小企業のことを何度唱えておったって、次に落選する人は幾らもあるのですから、こういうことも原因にはなっておりましょうが、さりとてこれはほっておくわけにいかないのだ。だから天下一の、過去にないような実力者といわれる通産大臣が、いまだかつてないような中小企業の首切りと労働者の首切りの原因をつくられたのですから、せめてお墓の一本くらいは建ててしかるべきだということをあなたからよく大臣に言い聞かしてもらいたい。もちろんそれだったら、社会党は絶対反対いたしません。もし反対するとするならば、手当が足りないという反対はするかもしれませんが、手当が多過ぎたなどと反対は絶対いたしませんから。私がそう言った以上ちゃんと社会党に言い聞かせてみせますから。なぜかならば私は産業貿易の部会長ですから、協力する。こういうことは与党と野党で争うことじゃないんだから、一致協力して救うの道を立てるべきだと思うのです。それ、来年の予算に組めますか。——私は次官に聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/138
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139・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 これは私も全く同感です。先ほど来申し上げたように、まず情報の入手というところに有力な興信所を使っておる。こういったことはやはり現在のいろいろな状態から見ておくれておる。御指摘をいただくまでもなく、これは考えなければならぬときに来ておるというような関係から、いま予算が御承知のように締め切られて、いろいろな関係からどうかと思いますが、一応これは検討に値するものだ、こういうふうに考えておりますので、大臣にもひとつ交渉いたしてみます。ぜひ加藤さんのほうも御協力を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/139
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140・加藤清二
○加藤(清)委員 協力にやぶさかではありません。おのれみずから言い出したことであるし、この言い出しっぺは二十年前にさかのぼるのですから。いまの京都の蜷川知事がまだ初めて中小企業庁の長官になったころからの歴史の長い意見ですから、これはひとつぜひやっていただきたいと思います。そこで、実行に移されるにあたっていろいろネックはあるでしょう。大蔵省との交渉もあるでしょう。そのポジションをどこに置かれるがは、それはあなたたちのいまの権力者の自由ですが、大蔵への交渉とかあるいは予算獲得上におけるネックを取り払うということならば、いつでも協力いたします。ぜひこれをやっていただきたいと思います。
さて、その次でございまするが、なぜこういうことを言わなければならぬかというと、中小企業倒産の原因がことしから来年にかけてほど多い年はないのですね。そのためにいま二法案が提出されております。だからその二法案が悪いとは言っておりません。しかし、これは焼け石に水なんです。言うなれば救済策の一つではある、しかし、九牛の一毛なんです。これだけで倒産が助かるとはだれしも考えていないでしょう。提案されている中小企業庁の長官だってこれで完全だとは思っていないでしょう。材料が多過ぎるのですね。第一番にわれわれが考えなければならぬことは、後進国に対する特恵関税の供与ですよ。これはアメリカの言うなりになって、ケネディラウンドでそういうことをやったのです。やったら、同じようにアメリカが自分にもケネディラウンドを適用すればいいのに、自分のほうはシャットアウトときたのだ。日本の中小企業は往復ビンタですよ。特恵関税の供与、これは農業にまで影響を及ぼします。次がドル防衛策ですね。引き続いて今度は変動制に相場を移行させた問題、いまだにドルと円の相場が固定しないという問題、そこへもってきて今度の繊維協定とこうくる。あまりにも中小企業へのしわ寄せの材料がいっときにここへ集約されてきたんです。そこで、過去に例をたずねて将来の指針にしたいと思いますが、陶磁器の壁タイル、モザイクタイルが通産省の手によって貿管令をひっかけられた。そのときに日本の中小企業は何ぼ倒れたのですか。日本の陶磁器産業、特に壁タイル、モザイクタイルは何ぼ倒れたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/140
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141・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 ただいま手元に正確な数字を持ち合わせておりませんから、後ほど調べましてお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/141
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142・加藤清二
○加藤(清)委員 あなたは繊維局長になられたばかりだから、これは無理だろうと思いますけれども、だからきょうは局長さんたちを突っ込んで立ち往生させて快哉を呼ぶというような方向ではなくて、予算委員会方式ではなくて、お互いにころばぬ先のつえをつかしてあげよう、中小企業の涙をぬぐうてあげようという立場に立ってものを申しますから、不勉強などとは言いませんが、あのときに中小企業の陶器屋さんの、特に壁タイル、モザイクタイルの三割余が倒れたのです。調べてごらんなさい。一番筆頭は船井製陶、場所は常滑から岐阜県の中津川、駄知、下石ときて多治見、それからもう一つは四国、しかしその倒れたのはそれだけでとどまる問題じゃないのです。今度、さきにもここで質問が出ておりましたが、内地の共食いが始まるのです。そのあと生き残りたいのが、地獄の施餓鬼の旗取りと一緒で、自分が生き残るために相手を踏みにじってでも生き残ろうという、たいへんな内乱が起きるのです。そのときにまた倒れていくのです。そのときにまた吸収合併が行なわれていくのです。そのときに首つりが行なわれるのです。最初倒れるときは首つりは出てきません。われこそは生き残ったと思っている。それが今度内乱でやられる。そのときに人殺しや首つりやらが行なわれる。社会問題が起きました。今度ももうすでに起きかかっております。陶器の中にすでに六社が倒産通告を組合にいたしております。これはまだ大きいほうですよ、組合があるのは。鳴海製陶はどうなったか御存じですか。この年末を前にして、三分の一の首切り通告をしましたよ。なぜそうなったか。アメリカで御承知のとおりモザイクタイル、壁タイルは裁判にかかっているでしょう。繊維が犠牲になったらあとは助かるなどということは絶対にあり得ない、きのうも申し上げたけれども。助かるのだったら、すぐに裁判はかつての鉄のペナルティのときのように取り下げが行なわれなければならぬはずなんです。いま引き続いて行なわれておる。次々と倒産が起きている。今度の二法案でこれを救えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/142
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143・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 今度の臨時措置法で緊急な手当てはできますが、これでもって完全であるとは考えられません。それで先ほどから一般的な景気浮揚策、それから特に年末を控えての融資その他いままで講じてきた施策の充実ということで対処していきたいと考えておりますし、いま例示として出されましたモザイクタイルにつきましては、このたびの臨時措置法によります指定業種、また緊急融資の対象業種としても考えておりますので、そういう意味合いにおいて特例措置としての効果はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/143
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144・加藤清二
○加藤(清)委員 たいへん正直でけっこうです。私もそうだと思います。しかしいま第一会館、第二会館へ行ってごらんなさいよ。似たようなバッジをつけた地方の議員さんが毎日くしの歯をひくように来てみえるでしょう。陳情を受けなくてもいいですから、食堂へ行って聞くとはなしに聞いておってごらんなさいよ。そうするといい勉強になりますから。何を言ってみえるか、これは全部地場産業の方々が地元の代議士をたずねて見えて、何とかしてくれといっておられるのですから。なぜそうなるかというと、このことは中小企業庁長官も繊維局長も通商局長もみんな知っているでしょうけれども、地場産業ですから、地区がかたまっているんですよ。その業界がやられると、三割やられたら残り七割が健全で残るかというと、そういうものじゃないのです。残ったほうも傷だらけになって残るのです。その結果どこへどう影響するかというと、小学校の経営ができなくなってくるのです。中学校の経営ができなくなってくる。市営、村営、町営の道路舗装はできなくなってくるのです。つまり財政収入が減ってきてしまうのです。ですから、このことは何も中小企業庁長官の一人の責任とか、繊維雑貨局長の一人の責任、そんなことで解決できるものじゃないのです。自治大臣も真剣に考えなければならないし、大蔵大臣も考えなければならぬ。総合的な施策が必要なんです。それを来年度予算に向かってどの程度総合施策が行なわれるかということが、先ほど稻村次官さんのおっしゃった、二度と再びなからしめるということばを実行に移す道だと思うのです。地方財政に及ぼす影響は大きいです。そうすると、どこへ陳情団が行くかというと、みんな先に自民党へ行くんですよ。加藤先生、あなたのところへ先に来たかったけれども、悪いけれども、与党のほうがきついでしょう、あっちへ行ってきたでかんべんしてちょうよと言う。私はそれでけっこうだ。何といっても与党が天下を取っているのだから、与党にお参りに行かなければならぬ、しかし、その人たちがどれだけやってくれるかよく考えなければいかぬ、そのことは、与党は与党でも、選挙区の人だけではやってくれぬかもしれない、やりなさるでしょうけれども、まず第一番に通産大臣と、商工委員長の鴨田さんというえらい人がみえるからそこに陳情しなさい、それから政務次官さんのところに陳情しなされと言うておるのです。自民党へ陳情に行くと、中には、社会党に陳情に行ったらおれはやりゃせぬぞとおっしゃる人がいる。そういう人は、社会党へ陳情に来なくてもやらぬ人なんです。あなた、いま第一会館も第二会館も食堂が大はやりで、昼間行ってごらんなさいよ、議員といえどもめしは食えないのだから。そのくらい中小企業の倒産をいかにせんということで、地方の議員さんまでが苦労してみえる。これが地方の道路や教育にまで影響すると、これは社会問題です。経済問題じゃございません。そういう背景に立って、私は次にもう一つお尋ねします。
繊維ですが、今度の措置で繊維の中小企業、労働者、これがどのくらい整理され、どのくらい倒産するとお考えでございますか。これは想定があるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/144
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145・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 今度の政府間協定によりまして具体的にどの程度の影響があるか、これはたいへんな影響があろうと存ずるのでありますけれども、まだ実際の運用面に入っておりませんから、計数的には私どもまだ出しておりません。それと、特に最近非常に伸びておるもの、これはここ数カ月で非常に伸びておるものもございますから、ベースの年次に比べて幾ら減ったというような計算ができない次第であります。さらにいわゆる構造的不況の繊維産業、最近のドルの問題等々ございまして、政府間協定によってどの程度の影響かという数字が実は出ないのでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/145
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146・加藤清二
○加藤(清)委員 わかりました。次官、お聞き及びですか。大臣が政府間協定という衝撃を与えた、そこで少なくともアメリカ輸出は三割以上削減されるであろう、しからばそこから被害者はどの程度出るかとお尋ねしておるのです。ところがそれがまだわかっちゃいない、こう言う。わかっちゃいなければ対策はできないのですね。と、川崎と同じ結果になるじゃございませんか。だからこそ、かくすればかくなるという先の見通しをつけるぐらいの機能はおのれみずからの手で持ちなさいと言うておるのです。いままで過去がみんなそうだった。町の調査機関、それはりっぱですが、それはいつも過去のデータしか出てこない。将来を想定してどうかといってお尋ねしたら答えは出てこないのです。それは何も佐々木繊維局長が頭が悪いとかなまけておるというのではございませんよ。これはできないんだ。もし言ったとすれば、それはうそなんだ。当てずっぽうを言っている。うそだ。できないのです。しからばわが党はどうしたか、おまえらはどうしておるか、こうおっしゃれば、幸いありがたいことに労働組合はみんな握っているのです。私のところには何系の組合でも材料を持ってきてくれる。それらのものをデータに入れ、簡易電算機に入れてあれこれ調整をはかって調べてみますと、先ほど申し上げましたように、最低の線が二千件と出ている。最高の線は三千五、六百件になっておるのです。中をとって二千五、六百件は倒れる。それから労働者の失業はどうなるか。転換していかなければならぬ失業者はどうなるか。これは集まってきたデータ・プラス石炭産業のとき、あれを入れて試算をし直してみると、これは学者グループの方々も御支援をいただいておりまして、これが学生諸君の卒論になったり期末の勉強の論文になったりしておるようでございますが、これでもって見て、最低で大体二十万人、最高にいきますともっとふえますね。もっとふえるということは、繊維産業は地場産業で、孫、ひこで兼業でやっている人がありますね。おたくの在所にもたくさんあるはずです。そういう人まで入れていきますと一千万になんなんとする。それを対象にしたときにはどうかというと、これは遺憾ながら百万人余の失業者が出てくる、こういうことになっておるのです。これをいまの提出されております二法案で救うことができますか。私の数字が違うとおっしゃれば、そういうデータを出してもらえば納得しますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/146
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147・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 加藤先生御指摘のように、繊維産業について倒産あるいは離職者の予測ということは、私どものほうでは明確な数字を出し得ておりません。ただ、小規模事業者の動向調査というのを全国の商工会を通じて行なうとか、あるいは地場産業の動向について定期的に産地調査をやったりいたしておりますので、まあ傾向といいますか、概略についての把握は行なっておりますけれども、非常に具体的な、たとえば倒産予測というような作業はいまやられておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/147
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148・加藤清二
○加藤(清)委員 そうですね。わかりました。それじゃ、私の質問が無理なのか。そうではないと思う。現にこの年末から来年の三月にかけて発生し得るであろうと想定できる問題について、いち早くそれを察知して手当てをしてあげなさいと言っているのですからね。しかし確たる実態の把握ができないとおっしゃる通産省も、これまた怠慢とはいえないと思うのです。なぜいえないかといえば、そういう機能を持っていないから。大臣出ていられないから、稻村次官さん、ここで私が、自分みずからそういうことを想定し得る機能を持ちなさいというゆえんでございますから御理解いただけるでしょうね。それを持たずに原因だけがあって、原因に従って急げ急げと、こうやらかすものですから川崎の事故が起きるわけだ。これじゃ未文化の後進国を笑えないと思う。したがって、世界でGNPが二番目だというようなりっぱな、金をもうけた国だったら、自分みずからの力でそのくらいの手当てはしてやるべきじゃございませんか。中小企業の連中と会って話してごらんなさいよ、釈迦に説法になりますけれども。何でおれらはこんなばかな仕打ちを受ければならぬかと言うのです。それはドルが多うなったからだ、GNPが多うなったからだ。おれらはドルを持っていないと言うんですよ。きのうも繊維の労働組合の大会が行なわれました。ドルが多うなったからドル・ショックで首切られねばならぬのだ、おれ、ドル持った覚えはない、持ったやつが責任を持ったらいいじゃないか。素朴な意見としてもっともだと思うのです。だれがドルを持ったのですか。ドルは日本銀行にある。名義は大企業にあって日銀にあるが、はっきり言えば、アメリカの銀行に預けてあるというだけの話だ。それでもってなぜ中小企業が責任を負わなければならぬか、なぜ労働者が首を切られていかなければならぬのか、転業していかなければならぬのか、住みなれた地場を離れなければならないのか、恨みが政治に行くのは無理はないですよ。だからせめてこの際、事前にころばぬ先のつえをつかしてやらにゃならぬが、実態も把握できぬじゃ、これはどうにもならない。
そこで、いまある政府の計画をお尋ねする。それじゃ、これに対して実態の把握は非常にむずかしいが、さりとておぼろげながらも想定できる。それをもとに立てられた救済策、一体どんな策があるのですか。なければこちらから提案します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/148
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149・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 御指摘のように、政府間協定に伴う影響というのは、比較する時点その他の要素等々によりまして非常にむずかしいのであります。ただ現在、繊維産業全体が慢性的不況でありますし、かつ、非常に過剰設備をかかえておるのであります。したがいまして、通産省といたしましては、対米の政府間協定に伴う輸出減だけの影響の救済ではなくて、繊維産業全体の過剰設備の解消、構造的な、慢性的な不況の解消という立場で現在事務的に設備買い上げ、長期低利の融資、二つの柱を中心にいたしまして検討しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/149
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150・加藤清二
○加藤(清)委員 金融のことについては私は語ろうとはしない。けさほどから聞いておって、あれは実りのないことだなと思っていることだから。なぜ実りがないかといったら、あなたたちがどれだけ金を用意しても、いままさに倒れんとしているような中小零細企業は貸してもらえないのです。なぜもらえないか、担保がないからです。担保はすでに全部入っちゃっているんです。設備の権利金までが担保になっているのです。その設備を買い上げるにあたって、物の値段で買い上げようとしてみえる。これは権利金のほうが高いんですよ。もらったからといったって、その金は全部銀行へ戻るだけのことなんです。それは銀行の救済にはなる。政府資金が出ればそれが中小企業のところに行くでしょう。しかしそれは担保より少ない金なんだから、回り回って、いままで借りておった市中銀行へ返っていくだけのことなんです。何にも効果はない。このことは稻村先生が一番よく御存じなんです。おととし石川県の金紡がまさに倒れようとしたときに、繊維局に動員をかけてもらった。私は裁判所まで走った。なぜそんなことをしたか。あそこのよりは日本一の技術を持っていたからです。あれを殺すのはたいへんなことなんです。技術の上で損すると同時に、二百六十社の関係業者が倒れていくからなんです。黙っちゃおれぬというので、ぼくは飛び込んでいった。裁判所まで何べんも行きました。もちろんそのときの繊維局はたいへんよく協力していただきました。おかげであれは助かりました。非常に感謝しているのです。そいつが今度また倒れようとしている。これはたいへんなことですよ。抽象論を聞こうとは思わぬ。あくまで具体的に聞く。救済策をとる業種まで考えてみえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/150
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151・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 現在まだ最終的に具体的な業種は決定いたしておりません。ただいま業界の要望等も十分聞きまして検討している次第でありますが、ただ私ども、今回は対米輸出減のみならず、繊維産業全体の構造改善、過剰設備の解消という観点からいたしておりますから、したがいまして、できるだけ全部の繊維産業、各段階の繊維産業に設備の買い上げ対象を及ぼしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/151
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152・加藤清二
○加藤(清)委員 構造改善並びに先般行なわれました自主規制の関係業界、これは当然のことなんです。アウトサイダーじゃないんだから、直接被害者なんだから、それが入るのはあたりまえの話なんだ。しかし、この影響というものはそれだけでとどまるものじゃないのです。公害と同じなんです、これは。行政区域内に入っているからその人だけは助けるけれども、あと行政区域が違うとるから企業の責任はないんだなんて言ったって、公害は流れていくのですから、海の水は流れて歩くし、大気は流れて歩くわけですから、行政区域だけにとどまらない。同様に、繊維がこれだけのショックを受け、陶器がこれだけのショックを受けるというと、本省で指定した業種だけにとどまらないんだ。その他その他へ波及するんです。その波及する経過措置をいまここで説明する時間がないからやめますが、少なくとも抽象論でいくというとわからなくなるから、まず第一番、銘柄をあげてみますから、そこであなたチェックしてください。
綿は入るか入らないか。毛は入るか入らないか。合繊は入るか入らないか。絹は入るか入らないか。これは材料面で申し上げておる。次、加工面で申し上げます。紡績はどうなる。新紡はどうなる。新々紡はどうなる。次、機はどうなる。いま材料を申し上げました機ですよ。機部門はどうなる。機へ入るまでに、いま申しました金紡のように撚機部門や裂機部門のところがある、その業態はどうするか。次、今度は織布部門のうちでメリヤス、コットン等々はどうなるか。編み機のほう。次に、染色整理部門はどうなる。それも最終末端仕上げでなくて、もとのほうの糸染めの段階の業界はどうなるか。縫製加工部門はどうなるか。輸出商社はどうなるか。三品市場はどうするか。もうだれが考えたって、ここらあたりまでは当然考えられることですね。それは入るか入らないか。
次、重工業局長おられますか。おられませなければおられませんでいいです。機械部門はどうなるか。読み上げてこれはいけませんとおっしゃるのがあったら、言うてみてください。あなたの言うとるこいつはペケですよというのがあれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/152
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153・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 先生、非常に数多くの業種を御指摘になったのでありますけれども、私どもなお現在検討中でありまして、正確にこの段階で申し上げられる自信がございませんが、先生のおっしゃいました縫製加工、その段階までは、糸から最終段階まで、縫製加工段階まで、染色を含みまして対象になろうかと思います。ただ、合繊の原糸、これは申し上げるまでもなく装置産業的でございまして、この段階まで買い上げるということはなかなか困難であろうかと思います。かつ、一番最後におっしゃいました繊維機械工場の設備ということは私ども考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/153
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154・加藤清二
○加藤(清)委員 それはたいへんな手抜かりですよ。あなたの先輩に小室という人がみえましたね。いまから十五、六年前の繊維局長。そのときに、最初に小室私案というものが出た。申し上げておきますが、そのときの重工業局次長に佐橋という人がみえた。繊維局と重工業局とが一致して、そこから発生する、すなわち小室案から発生する犠牲者は全部救いましたよ。それがいまトヨタの自動車となり、鈴木の自動車となり、北陸の建設機械になっているのですよ。全部救いましたよ。これがなぜ救えませんか。そういう計画があるのかないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/154
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155・佐々木敏
○佐々木(敏)政府委員 御指摘のように、繊維産業が全体として縮小いたしました場合には、当然にその関連する繊維機械工業あるいは合成繊維の原料になる石油化学工業あるいは染色素をつくっておる化学工業、もろもろのところへ波及するかと存ずるのでありますが、ただいま私ども繊維局といたしまして、設備買い上げ等の対策の範囲といたしましては、いわゆる繊維産業だけに限定して進めておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/155
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156・加藤清二
○加藤(清)委員 これは手落ちもはなはだしいですね。繊維局長の答弁としてはそれでけっこうです。あなたの言うとおり、ほんとうにそれで救われればけっこう。しかし、これはいずれまた時間をいただいて、そういうマクロの立場からでなしに、ミクロの立場であなたと一問一答をやってみたいと思います。それだけじゃ救われませんよ。
ところで、次官が見えますから申し上げますが、北陸に津田駒という織機メーカーがありますね。北陸織機というものがありますね。ここの注文キャンセルがどのくらい来ているか、一ぺん調べてみてください。もうすでに豊田、豊和、遠州、それから大阪へいってOKK、オーエム、ここらの織機、紡機のメーカーにかつてなかったことが起きている。それは、合繊の機械発注がとまっただけではない、キャンセルが来ている。次に何があるかといったら、納めた金がもらえないのです。納めた金がもらえない。そこでどうするかといったら、それじゃ政府から借りている金を返す時期になっても返さずに、機械屋へ払わなければならぬが、これはどうじゃということになる。そこで、あなたの県の隣の福井県ではどうしたか。政府へは借りた金の時期が来ても金は返されませんと言っているのです。そうでしょう。繊維局長、それを御存じでしょう。こうなってくると、もう小松と並んで津田駒や北陸織機は北陸の王者ですよ、それがキャンセルをもらって、これだけでも商法五百二十五条、それから民法違反で倍額請求されたらたいへんなことになる。これがいま行政訴訟になるもとになっているのです。そういうところへ波及しているんだが、どうするかという問題、これは一ぺんよく検討してください。政府がやれやれと言ったからやったんだ。構造改善はこの方針でいけと言ったからいったんだ。そうでしょう。あれだって、業界はいやだいやだと言っていたのですよ。これだけはのめ、これだけはのめが構造改善です。そのときに借りた金が返せない。豊田にも豊和にも発注しておいた合繊の機械はもう要りませんと断わらなきゃならない。それのみならず、前に機械を買ったその金が、分割払いですから、払えない。だから、いま機械屋のほうが困っちゃっている。これは何が原因ですか、次官。これをどう思われますか。知らぬ他国の問題じゃない、あなたの近くの会社もある。どうなさる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/156
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157・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 そのことは、加藤さんのように調査機関も持っておりませんので、どういう数字であらわれ、どうなっておるかという問題はうわさだけのことでございまして、これはやっぱりさっそく調査をしてみる必要があると思います。
それから、返済方法ですが、これは返済の方法については返済猶予、こういったことも考えておりますので、実態を近いうちに把握しなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/157
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158・加藤清二
○加藤(清)委員 もう時間ですからこれでやめますが、次官、よく聞いておいてください。とかく、自民党政府は大企業にはたいへん親切だけれども、中小零細企業には非常に冷たいといわれておるんですがね。そういうことはないと抗弁なさる人も多いです。それならやってもらいたいんだ。なぜかならば、鉄がちょっと不況になったといったら——あの鉄の不況は政府の政策もさることながら、この繊維協定のように政府みずからがつくり出したことで起こるんじゃないですよ。にもかかわらず、すぐに不況カルテルとこう来るんだ。同じ鉄を扱っている繊維機械がこれほどやられるその原因はといったら、繊維機械メーカーは何も悪いことをやったわけじゃない。そうでしょう。繊維機械メーカーがつくった機械が悪かったわけじゃない。品質が悪かったわけでもなければ値段が高かったわけでもない。原因は一にかかって政府間協定にある。ドル・ショックなんだ。なぜこれを救わないんです。なぜ、鉄だけは救うけれども、同じ鉄を扱っているそれよりも小さいほうの繊維機械を救わないか。これはどうするんです。これは宿題にしておきますから、ぜひ……。
それからもう一つ。及ぼす影響はそんなどころじゃない。あなたたちの一番好きな大きいほうへ影響する。すなわち、石油化学、いま合繊が二割、三割と製造を余儀なく縮減しなければならない、削減しなければならないということになれば、石油化学の製品の持っていき先はどこですか。必然的にこれは企業の再編成をしなければならぬことになってきます。東洋紡が使っておるところの石油製品の材料だけでもたいへんなことですよ。この始末どうしますか。これをわからずに、それは繊維局の仕事じゃありません、それは重工業局の仕事でありますなんて、そんなことを考えとるから、あなたたちは寿命が延びるかもしらぬけれども、関係中小企業は倒産していかなければならない。繊維機械といったら豊田やら豊和やら津田駒やら遠州やら、これだけじゃございません。それだってアセンブル工場ですから中小零細企業がその下にざっといるわけです。これが切られていったらみんな倒産ですよ。それを知っていらっしゃる中小企業庁の長官、あなたの出している法案と振興局から出ている法案とこの二つだけで救えますか、これどうするんですか。時間ですからこれでやめますが、宿題に出しておきましょう。まず化学のもとをどうするか。製鉄にカルテルを結ばせるなら、なぜ同じ鉄の仕事をしている繊維機械を見殺しにするか。そこに働く労働者はどうしてくれるのか、中小企業はどうしてくれるのか。これがはっきり回答のできぬうちに、政府が出したからといって、そのことだけ、はいはいと聞いておったら、大企業は喜ぶかもしれませんけれども、関係零細企業はみんな見捨てられていくのです。だから失礼ながら、この二法案を見過ごして通すわけにまいりません。私一人でもがんばりますから。これはやむを得ません。だれが通すといったって、私一人で反対演説をやりますから、本会議場で。覚悟しておってもらいたい。そんな片一方だけいいことをやって、政府がやった仕事のおかげでそれで倒れていくのですから、それを見殺しにしておいて、この対策だけやりました、これでもう責任は終わりです、そんなばかげた話がありますか。これは絶対承服できませんよ。いままで私が質問した質問に対して、失礼ながら一つも対策がないでしょう。私の言うておることは空理空論ではない。みな具体的にあらわれてきておる倒産寸前の問題ばかりなんです。きょうの話を聞いておってもそうです。貸す、貸します。冗談じゃないよ、借りられないのだから。いまや政府から借りておる金まで返すことができないと言っておるのだから。なぜか、担保がないから。そんなものにごちそうつくって食えと言ったって食えますか。まず第一番にやらなければならぬことは、金融の問題なら、私が言うておる。いままで政府が少なくとも構造改善ないしは今度の自主規制によって貸した金は延期してやりなさい、支払いを延期すべきですよ。貸してやることよりも延期してやることのほうがどれだけ企業が助かるかわかりません。現に福井県は絶対に払わぬといってきておる。その対策を承りたいところだが、きょうは時間ですから、もうこれで宿題に出しましたから、あとまた時間をいただいてお答えをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/158
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159・鴨田宗一
○鴨田委員長 次回は、来たる十六日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00419711112/159
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