1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年十二月三日(金曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長代理 理事 進藤 一馬君
理事 浦野 幸男君 理事 橋口 隆君
理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君
理事 岡本 富夫君
内田 常雄君 神田 博君
北澤 直吉君 左藤 恵君
坂本三十次君 始関 伊平君
塩崎 潤君 羽田野忠文君
前田 正男君 増岡 博之君
松永 光君 山田 久就君
石川 次夫君 岡田 利春君
加藤 清二君 近江巳記夫君
松尾 信人君
出席政府委員
公正取引委員会
事務局長 吉田 文剛君
経済企画庁総合
開発局長 岡部 保君
水産庁次長 藤村 弘毅君
通商産業政務次
官 稻村佐近四郎君
通商産業省貿易
振興局長 外山 弘君
通商産業省公害
保安局長 久良知章悟君
通商産業省化学
工業局長 山形 栄治君
通商産業省鉱山
石炭局長 莊 清君
通商産業省公益
事業局長 三宅 幸夫君
中小企業庁長官 高橋 淑郎君
委員外の出席者
外務省アジア局
外務参事官 前田 利一君
大蔵省主税局総
務課長 山内 宏君
大蔵省銀行局特
別金融課長 北田 榮作君
通商産業省企業
局次長 斉藤 英雄君
自治大臣官房参
事官 石川 一郎君
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
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十二月二日
山村開発次期対策の早期実現に関する請願(關
谷勝利君紹介)(第二六〇二号)
同(藤田義光君紹介)(第二六〇三号)
同外八件(松浦周太郎君紹介)(第二六〇四号)
同外八十件(森下元晴君紹介)(第二六〇五号)
同外二件(安田貴六君紹介)(第二六〇六号)
同外二十四件(大村襄治君紹介)(第二六四七号)
同(三池信君紹介)(第二六四八号)
同外五件(足立篤郎君紹介)(第二七八七号)
同(荒木萬壽夫君紹介)(第二七八八号)
同外六件(加藤六月君紹介)(第二七八九号)
同(二階堂進君紹介)(第二七九〇号)
同外一件(橋本龍太郎君紹介)(第二七九一号)
同外九件(古屋亨君紹介)(第二七九二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申し入れに関する件
輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一号)
通商産業の基本施策に関する件
経済総合計画に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/0
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001・進藤一馬
○進藤委員長代理 これより会議を開きます。
本日は委員長所用のため、その指定により、私が委員長の職務を行ないます。
この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。
先刻の理事会で御協議願いましたとおり、沖繩及び北方問題に関する特別委員会において審査中の案件について、沖繩及び北方問題に関する特別委員会に連合審査会の開会の申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/1
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002・進藤一馬
○進藤委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
なお、連合審査会の開会日時につきましては、委員長間において協議の上決定いたしますので、御了承を願います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/2
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003・進藤一馬
○進藤委員長代理 通商産業の基本施策に関する件、経済総合計画に関する件、並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/3
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004・中村重光
○中村(重)委員 離島振興の問題に関連いたしまして岡部総合開発局長にお尋ねをいたしますが、昨日、離島振興の期間延長の総決起大会が実は御承知のとおりあったわけです。私が党代表でごあいさつをいたします際、局長はまだ御出席になっておられなかったわけですけれども、この離島振興予算というのが経企庁のほうに一括計上しているのが、御承知のとおり四十六年度が二百五十億程度、四十七年の概算要求が三百三十億程度の要求をしておられるようです。その中には新規なものもあるわけですが、一括計上分では別に新規なものというのも入っていない。むしろ新規の関係といいますと、医療確保の面から、僻地医療の財団法人としての医師派遣の機関をつくっていこうという構想がある。その他親元病院というのを整備していくというようなこと。医療機関、医師の確保という面については一歩前進であるというようには実は考えているわけですが、しかし離振法がちょうどことし十九年目を迎えているわけです。来年の三月三十一日でもってまた期間延長ということが審議会の中では決定をし、次の通常国会に本委員会に提案されるということの見通しが実はあるわけです。予算も増額をしてまいりましたし、いろいろと施策も充実はしてきたとは申しながら、依然として、本土と比較をいたしますと所得水準が低いわけですね。物価も非常に高いということから、離島の住民の生活実態というものは非常に苦しいというそのことを考えてみますと、離島の振興というのは、公共事業であるとか、あるいは民生関係あるいは文教関係ということにとどまることなく、離島の産業は漁業、農業、林業というのがまず中心になっているわけですが、そうしてみますと、やはり総合開発というので離島の振興をはかっていくということでなければならないのじゃないか。しかし農業の場合あるいは漁業の場合あるいは林業、そうした面に対しての公共事業に対しては、補助率は非常にアップしておるとは申しながら、起債条件、その利率の問題あるいは償還期限の問題、それらの点は本土と変わらない。やはりその点に対しても、何か離島として特別に措置を講じていく必要があるのではないかというように私は思うわけですが、担当局長とされて、離島の所得水準を引き上げていく、そして本土と変わらないような生活実態をつくり上げていく、環境整備をするということについて私はいろいろと構想がおありだろうと思うのですが、この際、それらの点に対してお考え方をお聞かせいただければけっこうであると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/4
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005・岡部保
○岡部(保)政府委員 お答え申し上げます。
どうも中村先生に対して離島のことを申し上げるのは釈迦に説法のような気がいたすのですが、ひとつ私どもの考えておりますことを概要お話しさせていただきたいと存じます。
ただいま先生おっしゃいましたように、離島の総合的な振興と申しますか、先ほどもお話ございましたように、この離振法の法制定以来十九年を経ておりますが、われわれとして一生懸命やってきたつもりでございます。したがいまして、本土との差というものも少しでも縮めるようにと考えておりましたが、現実にはまだまだ格差があることは事実でございます。
そこで、一体この離島の問題、ただいま所得の問題をおっしゃいましたが、離島というものをどういうふうに考えたらいいのかということで、一つには、離島にいろいろな性格があるんではなかろうかということで、離島を、ある程度開発されておると申しますか比較的本土と近い関係にあるという感じの離島、それから確かに非常に離れてしかもおくれておるという感じの離島、それから、どうもこれを開発するというのは非常にむずかしいというような性格の離島、このような三つぐらいに分類してみてはどうかということでいろいろ調査もしたわけでございます。ただ、現実の問題といたしましてはなかなかこの分類もはっきりした線が出ておりません
そこで、私どもといたしましては、先ほど先生のおっしゃいましたように、離島の格差と申しますか、全般的な意味での離島のレベルアップというものを考えます際に、まずやはり生活環境の問題が必要であるという考えに立っております。たとえば、施設的に申しますれば、水道であるとか電気であるとか、そういういわゆる生活環境を、離島であるがゆえに非常におくれた状態に置くというのはよくないという考え方で、たとえば簡易水道事業であるとかあるいは電気の供給事業であるとか、こういうものに対しては相当重点的に整備を進めておるつもりでございます。
その次に、やはりいわゆる社会資本と申しますか、ちょうど港が離島の玄関口であって、中の廊下である道路というようなもの、こういういわゆる公共事業にぴったり合いますもので、離島としてどうしても進めなければいかぬというものを相当に整備しなければいかぬ。
次に産業面でございますが、先生おっしゃいましたように、やはり離島といたしましては、非常に一次産業というものがウエートが高いわけでございます。ちょうど持っております資料で申しますと、実は四十四年のデータでございますが、離島の就業構造について見ますと、一次産業が五六%、それから二次産業は一四%、三次産業は三〇%。これは全国の就業構造と比べますと、一次産業は一九%に対して五六%である、二次産業は全国で三四%なのに離島では一四%である、三次産業は全国で四七%なのに離島では三〇%である。このように、非常に構造が違うわけでございます。やはりこの一次産業というのを非常に重要視しなければいけない。
特にこの一次産業の中で、いわゆる一次産業の生産所得というものを農業、林業、水産業という三つに分けまして、これが一体どういう比率になっているかという点について申し上げますと、農業が、パーセンテージで申しまして、これも昭和四十四年の数字でございますが、全体の一次産業の生産所得の四三%が農業である。林業は一〇%でございます。これに比して水産業は四七%でございます。したがって水産業のウエートが非常に高い。これも離島でなくては見られない現象でございます。したがいまして、産業面で考えますれば、いわゆる漁業の振興と申しますか、漁業に対する対策というのは相当にウエートを大きく見なければいけないという考え方でございます。
そこで、このような問題に対しまして、確かに、たとえば公共事業で漁港を整備するというような手段、これはいろいろやっておりますが、ただいまお話のございましたように、こういういわゆる私どもで一括計上しております公共事業的なものだけでは、この整備は画竜点睛を欠くような姿になることは御説のとおりでございます。したがいまして、いわゆる離島の中においてウエートづけ、ウエートの高いものに応じていくということについては、たとえば起債問題であるとかあるいは融資の問題であるとか、そういうもののウエートを特に高めていかなければならないという感じを持っております。
そこで、非常に申しわけないのでございますが、そういう施策につきましては、各省所管でいろいろおやりになっておりますので、私がここであまりつべこべ申すべきではないと思いますが、特に私どもとして一つ気にしておりますのは、離島所在の市町村の財政の問題かと存じます。そこで、離島市町村の財政対策というもので、いわゆる辺地債、過疎債、これも適用のあるところもございますが、このような、同じような何か特殊な地方債というものを考える必要があるのじゃないかというようなこと、これは自治省などにもいろいろお話を申し上げているところでございます。このような離島市町村の財政問題ということを私ども直接いろいろタッチしております点ではひとつ重点的に何か考えていくということで、これの用途といたしましてはいろいろな問題があると思います。いま申しましたいろんな生活環境の問題もございますし、さらには産業振興の問題もございますし、いろいろあると存じますが、このような離島振興のための市町村財政の拡充と申しますか、こういうことにこれからひとつウエートを置いて考えていかなければならないということが、私どもの直接考えておりますものではっきり申し上げられる点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/5
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006・中村重光
○中村(重)委員 御意見のとおりだと思うのですよ。私の考え方と全く一致するのですが、考え方というのは、いまそういうことが議論されているというのでなくて、やはり離振法のこの目的と申しますか、離振法を制定いたしました際も、産業の総合的振興を促進していくというようなことが大きな土台といいますか、大きな柱になっているわけですね。実際は公共事業中心である。しかもその公共事業はきわめて限られたもので、それではいけないというので、前に文教関係それから厚生関係を若干入れまして、あなたのほうに対する一括計上の範囲を拡大をした。それにはまだ航路も入っていないわけですね。医療もそのとおりなんですよ。それから、いまお答えがございましたように一次産業の関係というのが実はそうなっていない。それではもう総合的な離島振興を促進するということにはならないんじゃないかと思うのですね。お答えになりましたような一次産業の比率ということを考えてみますと、辺地債というようなことで自治省とも話をしておるということでございますが、この可能性について、いまの折衝の経緯から見て、どのようにお考えになっておられるか。これは強力にやってやらなければならぬと思うのです。むずかしいことじゃないと思うんですよ。いろんな事業が高率補助という形になっているわけですから、起債条件というのも良質の起債という、利率を非常に低くしていく、償還期限を非常に延ばしていくということでなければいけないんじゃないでしょうか。それから、特別交付税というものを離島に対してまた特に配慮していくということもやはり必要であろう。もっと総合的に強力に推進をしていかなければならないんじゃないか。いまあなたのほうがおやりになっておられることで非常に敬意を表しておりますのは、離島地方航空なんかの問題にいたしましても非常に積極的なんですよ。運輸省の航空局が原局ですけれども、原局よりもあなたのほうが非常に意欲的である。具体的な例としては、対馬の航空の場合に私はそれが言えると思う。そのように直接あなたのほうの所管でないものでも非常に意欲的に、非常に積極的におやりになっておられるのです。ですから、申し上げましたような起債条件なんということもぜひひとつ四十七年度は特別の措置を講ずる、こういうことでやっていただきたいものだと思うんです。この前の十カ年延長というのが実は三十七年の三月二日衆議院の本会議を通過をしたと思います。ですから今度十年延長ということになってまいりますと、商工委員会の同僚諸君の同意を得まして議員提案になるわけですから、したがってこの延長ということは日の目を見ると私は思うんですよ。ただ延長だけではなくて、何か足らない点を補うというように、もっと積極的に内容の拡充をはかっていく。先ほども与党の理事諸公とも実は話し合いをしたわけですが、いま与党のほうで改正案を考えておりますのが、医療の確保について国も県も積極的にこれにつとめていかなければならぬ、これは例の過疎法に実はあるわけですね。そういうことを考えている。これは精神規定ということになるわけです。これもけっこうなことだと思いますけれども、それでは不十分なんですね。じんあいとか屎尿の処理に対して補助率をアップしていく、これもいいことだと思うんですけれども、これでも不十分なんです。あなたのほうでも積極的にひとつ意見を出していただくというか、あなたのほうの、こういうように改正をしなければならぬというようなことを公式、非公式に明らかにしていただく。私どもも議員提案でやるわけでありますから、各党十分話し合いをしまして、内容あるものに仕上げたい。率直に申し上げまして、議員立法でもって離振法くらいにまあまあうまく働いている法律はないというように思っているわけですから、先ほどお話がございましたように不十分であるわけですから、もう一度私がいま指摘いたしましたようなことについて、これから関係省とひとつ折衝をして、何とか実現をする方向に進めていただくということについてのお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/6
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007・岡部保
○岡部(保)政府委員 お答え申し上げます。
ただいま先生のおっしゃいましたこと、私どもほんとうに何とかしなければいかぬという考え方で一生懸命努力をしておるところでございますが、ここでちょっと申し上げておきますことは、私どもたまたま同じ局内で、たとえば、山村の問題であるとかあるいは豪雪地帯の問題であるとかいうような、同じような一つの特殊地域の振興という問題も取り扱っておるわけでございます。そこでいま先生がおっしゃいましたように、その中では離振法が一番進んでおるんだ、ほかの地域からいわせると、離振法にならえというような考え方さえあるような状態でございます。
ただ、いまも先生おっしゃいましたように、離振法で確かに公共事業の補助率アップと申しますか、そういうような点については相当に手厚い措置がされておりますけれども、現実に最近非常に問題になっております、たとえば生活環境の問題であるとかいわゆる医療の問題であるとか、そういうような問題についての措置がなかなかしにくいわけでございます。精神規定だけではどうもなかなかできませんので、現実な問題としてこれは厚生省にもずいぶん御努力をいただかなければならぬ点でございますし、私ども絶えずいろいろお願いをしておるわけでございますけれども、一般的に申しまして関係各省庁非常に御理解はいただいております。予算の時期になりますと、そういう点では非常に御努力をいただいております。四十七年度予算でどこまで達成できるかという点については、まだはっきりつかみ切っておりませんけれども、私どもこれから十分努力もいたしますし、関係省庁とも十分協力をさせていただくつもりでおりますので、これをもって回答とさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/7
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008・中村重光
○中村(重)委員 それから、昨日私これもあいさつの中で考え方を申し上げたわけですが、航路補助に対して御承知のとおり三億四千万が四十六年度の予算、四十七年度の概算要求五億一千万、こういうことになっているわけです。これも指定航路だけということになりますが、今度は指定航路を十四くらいふやそうというような構想、一般航路十三、集約航路一つ、合わせて十四の指定航路をふやそうというような考え方が実はあるようなんです。ところが、やはり航路補助というものが、運賃の引き下げであるとか、引き下げということよりも運賃を引き上げていくことを押えていく役割りあるいはスピードアップに対しての役割りということを全く果たしていない、というようには私は申し上げないのです。それから、何か実感として、航路補助というものが離島の住民の負担軽減ということにつながっているとは考えていないんですね。まずそのことに思いをいたします際に、私はやはり直接この航路補助というのが離島の住民の運賃に直ちに影響していくというようなことを考えていく必要があるのじゃないか。そのためには、たしか東京都の東海海運か何かであったと思うんですが、往復運賃の割引を補助の対象にするというような構想がいろいろ検討されたということも伺っているわけですが、これは一つの案だろうと思うんですよ。これも実は残念ながら、実はあなたのほうの一括計上の範囲じゃないわけなんです。運輸省の直接所管ということにはなっているわけですが、こういうことも私は真剣に取り組んでみる必要があるのではないか、こう思います。あなたのほうなりに検討されたと思いますが、それらの点いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/8
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009・岡部保
○岡部(保)政府委員 お答え申し上げます。
どうも残念ながらわがほうの所管でございませんので、いままでいろいろな場に行ってそういう意味の御意見を承り、またわれわれとして何とかこういう点考えられないかというような点についていろいろディスカッションもございましたので、その辺を受けてお話し申し上げますけれども、やはり先生のおっしゃいましたような問題は、いまの指定航路の補助という問題、むしろいわゆる企業ベースで採算がとれない航路というものを離島住民の足のために確保しなければいかぬということで、何とか航路を確保するということがまず第一段階で、そこにもっぱら重点が置かれておる。しかも、まだまだ予算的に少ないために十分なところまでいっていないというのが運輸省の御見解かと思います。これに対して、先生おっしゃいましたように、さらにこれを運賃面でほんとうに離島住民のために考えるんだというところまで伸びなければいかぬということが確かにほんとうに必要であると思いますし、そこまで何とか進めるためには、まず、どうもいまほんとうに必要な航路で、まだ十分そこまで、航路確保のところもまだいっていないという段階が残念ながら現実の姿かと思いますので、そこの辺をまず予算を確保していただいて、その次に運賃の問題ということに取り組んでいただくというようなかっこうに、どうもいまの段階では現実にならざるを得ないんじゃないかという感じは持っております。ただ、この点についてはいろいろな学識経験の方からもそういう御意見が非常に強く出ておりますし、この点について私どもこれから運輸省とも絶えず御相談申し上げて、できるだけ先生のおっしゃいました、われわれも考えております方向に進めたいという考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/9
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010・中村重光
○中村(重)委員 ローカル的なことを申し上げてたいへん恐縮なんですけれども、対馬空港ですね。まあ経過は御承知のとおり、水陸両用の飛行機を飛ばしている。これはだめなんだ、必ず失敗するということを私がこの委員会で運輸省航空局に対して申し上げたのです。いや、だいじょうぶだ、だいじょうぶだというけれども、水陸両用の旅客機というのは考えられない、だから、この際やはり陸上空港ということではっきりしたほうがいいんじゃないかと言ったのですが、いや失敗しない、もし失敗したならば、それにかわるものとして陸上空港を必ずつくるという答弁がなされた。ところが、残念ながらみごとに失敗した。じゃあ陸上空港をつくるのか、なかなかつくらない。みこしを上げないというので、しぶしぶと立ち上がったが、まあちゃちな予算要求をやった。ところが、あなたのほうが大幅な予算要求をやった。あなたのほうの要求を大蔵省でもこれを認めるという形で、対馬の住民は非常に感謝をしておるというのが実態です。ところが、来年度の、四十七年度予算要求約八億余りになるわけですが、これで土工工事が終わる、四十八年度に舗装が終わって初めて就航ということになるわけですが、そのスケジュールのとおりいくというためには、来年度の八億数千万円の予算は必ず確保しなければならぬということになるわけですから、前回の熱意と同様に、原局のけつをひっぱたいて、むしろあなたのほうがこれの実現をはかる、こういうかまえで取り組んでもらわなければならぬと私は思うのですが、心がまえのほどをひとつこの際お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/10
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011・岡部保
○岡部(保)政府委員 ただいまの対馬の空港の問題でございますが、御承知のとおりのいきさつで、一応四十六年度相当高額の予算で集中的な投資ができるということになりましたが、四十七年度について、いまお話がございましたように、少なくも土工のかっこうづけを完成するような予算を要求しております。これはどうしても確保しなければいかぬと考えておりますので、ただいま先生のおっしゃったとおり、私ども最後までがんばるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/11
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012・中村重光
○中村(重)委員 これで離島関係終わるのですが、先ほど局長のお答えの中でも、水産業が四七%、非常に高いウエートを占めているわけです。このことを考えてみますと、長崎県の対馬の漁業、特に沿岸漁業の実態ですが、日韓漁業協定によりまして、専管水域、共同規制水域というようなことによってお互いに侵さず侵されない、こういうことで、実は共同パトロールまでやっている。ところが、わがほうは、何というのか自粛をして、そして相手国の韓国の専管水域に入るということをしないようにつとめているというように伺っているわけです。何しろ一部の水域は専管水域がダブっているわけです。潮流の関係で相手国の水域に入るということもあると私は思うのです。
水産庁藤村次長がお見えですから伺いますが、四十三年から最近までの韓国漁船のわがほうの専管水域に対する侵入の状況はどうなっておるか。非常に対馬の漁民が憤激をいたしまして総決起大会等を開く、一時非常に緊迫した、火炎びんを投げ合うみたいな非常に緊迫した状態にまで立ち至ったということも実はあるわけですが、最近の状態はどうなっているか。これに対してどのような指導、それから相手国に対するところの申し入れをやっておるのか、それらの点をひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/12
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013・藤村弘毅
○藤村政府委員 四十三年以後の韓国漁船のわが国の専管水域の侵犯数でございますが、これは水産庁の監視船と海上保安庁の巡視船が両方で見ておりまして、ダブっている数字が若干入っておると思いますけれども、四十三年に約千六百、四十四年に八百八十、四十五年に八百四十、四十六年になりまして、現在まで、十月まででございますけれども、約五百四十でございます。私どもといたしましては、外交チャネルあるいは共同委員会あるいは民間の委員会の席上、機会あるごとに韓国漁船の侵犯がこのように多くなっているということを韓国側に警告をいたしまして、韓国側の取り締まりの強化につきまして申し入れをいたしておりますと同時に、私どものほうも海上保安庁を中心といたしまして、水産庁も協力いたしまして、わが国の専管水域の確保につとめてまいっておる次第でございます。特に八月以降、対馬漁民の態度が非常に硬化しておりますのは先生御指摘のとおりでございまして、私どももこれを重視いたしまして、外交チャネルを通じまして特に厳重に注意を喚起いたしましたところ、九月下旬からは韓国側の罰則の強化等も含めまして非常に取り締まりが強化された模様でございまして、その侵犯船の数は激減しているのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/13
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014・中村重光
○中村(重)委員 私非常にけしからぬと思うのは、韓国の練習船まで入っていますね。わがほうの専管水域に侵入してきているのです。民間の底びきの漁船が入る、これはいいことじゃありませんけれども、これもけしからぬことですが、練習船というのは公の船ですね。これすらも侵入しているというような実態、こういうことは許せないと思うのです。ですから、いまあなたのほうで韓国政府に対して警告をしている、そして四十六年の九月以降からはたいした侵入の状態ではない。私が持っている資料でも、おっしゃるように十月は四隻かそこらというようになっているわけですが、まだまだ把握していないのが相当あるのじゃないかというように思うのです。ですから、この点はひとつ十分きびしくやってもらわなければならぬ。この前の漁業協定の更新の際に、これらの点に対して、協定の変更を含めてもう少しきびしい対策をお立てになる必要があったのじゃないだろうか。しかしながら、これはもう過ぎたことでございますから、いまさら言ってもしようがございません。この後再びこういう緊迫した状態が起こらないように、何といっても水産業というのは離島住民にとって、特に零細な対馬等の漁民にとりましては死活の問題になってくるわけですから、その点は十分配慮してもらいたい。
ところで、いままでのお答えでも相当明らかになりましたように侵犯をされた、そのことは対馬の漁民の損害というものが非常に大きくなっているわけですね。この補償を何とかする必要があるだろう。補償に対してはどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/14
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015・藤村弘毅
○藤村政府委員 いままでも私どもといたしましては取り締まりを厳重にいたしたつもりでございますし、特に日韓水域のために、取り締まり船四はいを協定以後水産庁によけいに用船をいたしまして取り締まりに当たってきておるところでございますが、御指摘のような違反船が出ておる次第でございます。これについて特に補償という問題は考えられませんので、現在取り締まりを強化いたしまして、韓国漁船を絶対に入らせないようにいたしまして、韓国漁船が荒らした漁場の復活をはかるように考えております。昨年から韓国漁船に荒らされた海域、特に東海岸の北東でございますが、そこの海域を中心にしまして大型魚礁を投入いたしまして、魚族の保護と韓国の底びき船のじゅうりんを防止するということで、昨年と本年度の追加予算に特に重点的に実施いたしております。また来年度以降につきましても、漁場の回復のための大型魚礁の設置につきまして一段の努力を加えていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/15
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016・中村重光
○中村(重)委員 私は補償が考えられないということがおかしいと思うのです。協定を破って日本の専管水域を荒らし回って、そして大きな損害を与えた。これに対して補償を要求するというのは当然じゃないか、そう思うのです。ですから、考えられないということはどういうことなのか。それは条文的にそうなのか、いろいろと折衝した関係上、現実的にそれがなかなかむずかしいということなのか、不明にして私はそこがわかりにくいのでございますが、考えられないとあなたが明確にお答えになったわけでありますから、その点を法律的に、また法律的でないということになってくると実態的にどういうことなのか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/16
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017・藤村弘毅
○藤村政府委員 私は、考えられないと申し上げましたけれども、実際問題といたしまして、幾ら損害が起こったのか、韓国漁船による影響がどれだけあるのかという実態上の問題といたしまして計算ができませんので、漁場回復と漁業の振興ということで、これの補償ということではなしに漁業の振興ということでもって将来考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/17
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018・中村重光
○中村(重)委員 補償というのは考えられないのだから対策としてなら考えていこう、対策として考えていく場合には当然国の補助事業、たとえばいまの大型魚礁というものは公共事業でございましょうから、これは国の補助並びに県の負担という形になるだろうと私は思うのです。そうすると荒らし回った韓国側からは、これに対しては何も措置しない、こういうことになるのでございますか。補償ではないが、何らかの形でこれを償うということになってくると補償ということになるのでしょうから、その点が向こう側には全く負担をさせない、ただ国と県とによってこれから先の公共事業等をもって対策を講じていこう、そういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/18
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019・藤村弘毅
○藤村政府委員 先ほど申し上げました隻数のように、私どもといたしましては向こうの漁船を確認しておりますが、現実に向こうの漁船をつかまえて、私は確かに侵犯をいたしましたという船をつかまえましたのはごくわずかでございまして、向こうにはこういう船が入っていたということを通報しておりますけれども、現実につかまえておりませんで、向こうとしてはそれは認められないというような水かけ論になっておるのが現状でございまして、やむを得ず、向こうに補償を要求するのではなしに、わが国としての今後の振興対策を考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/19
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020・中村重光
○中村(重)委員 私が非常に歯がゆいのは、何か日本の底びきが向こうの網を切った、そして韓国の漁民が日本の漁船に乗り込んできて——これは問題があるのでありますけれども、日本に入ってくる、そこで強談判をやる、それに対して日本が補償する、遠慮会釈なく向こうはやるのですね。ところが、大国意識か何か知りませんけれども、金持ちけんかせずという気持ちか知らないけれども、日本の側は遠慮しておる。漁民も、現実に入ってきておるということを知り、そのことを監視船に対して連絡等もやる。やるけれども、手心を加えて向こうの船をつかまえようとしないのですよ。だからつかまらない、こっちばかりやられる。最近はございませんけれども、抑留されてひどい目にあったという実績があるわけです。私はそういうことではだめだと思うのです。国はそういう態度でしょうけれども、零細な漁民というものはたまったものではありませんよ。国のおおような態度というものが零細な漁民に対するところの犠牲を要求しなければいいけれども、現実には犠牲が要求されておる。そこをお考えにならなければいけないと私は思うのです。ですから、その点については十分配慮される必要がある。この後の交渉に対しても私は何も無理を言うわけではない、正当な主張をおやりになるわけでありますからね。まず相手国のことだけを考えないで、零細な犠牲となっている日本の漁民のことをお考えいただく、そして、問題の解決をしてもらうということでなければ私はならぬと思う。対策につきましても、大型魚礁は公共事業、これに対しては国が六〇%の補助しかしないわけでしょう。そして県が四〇%を負担する。この六〇%の国の補助も少ないと思う。もっと県の負担——県の負担ということは言いかえれば、これは地元の負担につながっていくんですよ。踏まれたりけられたりですよ。ダブルパンチを受けることになる。だから、この点に対しても私は十分配慮される必要があると思うので、お答えをいただきたいと思う。
時間の関係もございますから、続いてお尋ねをいたしますが、製氷施設ということなんです。これも関連性が——対策として漁場を荒らされたことの関連が実はある。これは公共事業でおやりになる。県単事業でおやりになるのでございましょう。県単事業でおやりになるということになってまいりますと、国の補助率は非常に少ない。私の調査したところによりますと、国はわずかに三〇%の補助、それから県が二〇%、地元に三〇%の補助をさせるというようなことになっておる。ただ、一般的な対策というのではなくて、いま問題といたしました漁場を荒らされたということの関連性が実はあるわけでありますから、これらの点についても私は十分配慮する必要があるのではないか、そのように考えます。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/20
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021・藤村弘毅
○藤村政府委員 漁船間の紛争でございますけれども、現実に向こうの漁船がこちらの漁船によって被害を受けたということで海上でいろいろトラブルを起こしておりますのは、わが国のほうの大きい船と向こうの小さい船とのトラブルでございまして、わが国のほうの比較的小さい、向こうとほとんど同じような船のトラブルはほとんど起こしておりません。また、起こした場合でも、大きい船、小さい船ともに漁船間の漁具、漁船の損害につきましては政府がタッチしておりませんで、民間の実行委員会というのがございまして、ここで現実の解決をしているのが現状でございます。
それから、ただいまお話のありました製氷施設でございますが、これは私どもといたしましては、第二次構造改善事業の一環といたしましてやっておりまして、特に十二年間にわたって——全国百八地域といま予想しておりますが、そのうちいま優先的に十二地域の中に対馬を入れまして、四十六年度から事業を実施いたしております。それの上のせといたしまして、ただいま申し上げました侵犯船による漁業の疲弊を復興させる意味で上のせを考えていきたいというふうに考えている次第でございまして、一般の構造改善事業としてやります上に、さらに振興計画としてやるつもりでございますので、御了解いただきたい。かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/21
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022・中村重光
○中村(重)委員 一般の構造改善事業という形でおやりになる場合は、いまお答えになったようなことも一応筋としては他の例からいたしましてやむを得ないということにもなるのですね。決して私は一般構造改善事業もこういうようなことでは満足するものではありませんけれども、しかし対馬の場合はやはり漁場を荒らされたという関連性がある、その点をやはり配慮される必要性があるということを私は申し上げておる。決してこじつけて言っておるのではないのですよ。やはりあなたのほうも精神的に、対馬の場合は特別にそういう特殊な事情があるからというような配慮というものはあるのじゃないか、こう私は思う。ですからその点は十分、今後まだいろいろと大蔵省との折衝もおやりになるわけでございましょうけれども、また県とのヒアリング等もおやりになるのでございましょうから、いままでおやりになってあるいは合意しているのかもしれませんが、私はどうもこれでは不十分であると考えます。その点は配慮していただきたい。
同時に、この製氷事業に対しては起債の対象とされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/22
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023・藤村弘毅
○藤村政府委員 現在県と話しておるところでございますが、決定しておるわけではございませんけれども、県といたしましては特別交付税の上のせにしてほしいということで要求をいたしておりますが、これも要求中でございましてどうなるかわかりませんので、それができない場合には起債の対象にしてくれということで折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/23
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024・中村重光
○中村(重)委員 それは、いずれにいたしましても、いま補助率が製氷事業に国が三〇%それから県が二〇%、地元三〇%でということで、いまヒヤリングをやっておることは事実でございましょう。したがって、その残額に対しましてはこれはどうするかということにもなってくるわけですね。四十六年度は景気刺激策というようなことで起債の対象としておやりになった実績があるわけですね。ですから、今後ともこの起債の対象としてこれを実施していくお考え方であるのかどうか。これはそうされる必要があるから私は申し上げておる、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/24
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025・藤村弘毅
○藤村政府委員 現在の起債の対象にいたしましたのは四十六年度の補正予算の分でございまして、四十七年度以後も起債の対象になるべく折衝いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/25
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026・中村重光
○中村(重)委員 四十六年度は景気刺激策ということでおやりになったんでしょうが、今後ともそういう特殊的な事情というものを念頭に置かれ、先ほど来私が岡部総合開発局長ともいろいろと質疑をいたしまして、離島の特殊性ということ等から考えて特別の配慮をする必要があるということは、いまもあなたもお聞きになって十分御理解をいただいたろうと、私はこう思う。せっかく四十六年度補正予算の中で起債の対象としてなさったわけだから、そういう水域を荒らされたというその実績、それから非常に後進的な特殊な地域である、それらいろいろな点を総合的に判断をして、四十七年度以降も起債の対象としておやりになる、それでなければいつまでたっても格差の解消にもつながらない。重要なこの一次産業、しかも最も水産業がウエートを占めておるわけでありますから、その点の配慮というものがなければならないと思います。いまはそういう方向で検討したいということのお答えがあったようであります。ひとつあなたのほうの熱意と申しましょうか、将来の措置を明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/26
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027・藤村弘毅
○藤村政府委員 ただいま先生御指摘の線のできるように努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/27
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028・中村重光
○中村(重)委員 これで終わりますが、業種転換促進対策の融資事業をおやりになるわけでございますね。具体的には、漁網であるとか漁具、資材の購入、漁船の建造、漁船の改良、こういったようなことを今度は転換の促進対策ということでおやりになる。これはやはり融資事業であるわけですね。この融資事業に対しましては利率をどうするかということが私は問題であると思うのです。これも私は特別の配慮がなされなければならないと思います。まあ伺いますと、三分五厘というのを一分五厘程度にしようというような構想もあるやに伺っているわけでありますが、私は利子補給というような形においてこの利子の負担というものをやらさないというようなところまで踏み切られる必要があるのではないかという考え方から実は申し上げるわけであります。この点に対しては特別の配慮を払われる御意向のようには伺っておりますけれども、この際、ひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/28
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029・藤村弘毅
○藤村政府委員 転換対策につきましての融資事業は、国といたしまして一番利率の低い三分五厘資金の融資で、これをできる限り多く融資したいというふうに考えておりまして、この上にさらに利子補給ということは現在のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/29
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030・中村重光
○中村(重)委員 三分五厘というのを一分五厘ぐらいにしようという考え方があるのではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/30
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031・藤村弘毅
○藤村政府委員 一分五厘にいたしますのは、県がさらに二分の上のせをいたしまして、地元漁民に対して一分五厘ぐらいにしたいということで県と折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/31
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032・中村重光
○中村(重)委員 県の上のせ分に対しては財政措置としてはどういうことをお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/32
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033・藤村弘毅
○藤村政府委員 県といたしましては、特別交付税の上のせを要求しておりますが、これは現在まだ折衝中でございまして、結論は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/33
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034・中村重光
○中村(重)委員 これも私は他の地域と違った扱いをされる必要があると思います。一連の、くどいようでございますけれども、そうした非常な不利な状態に立たされておるという点を念頭に置かれて特別の措置を講じられるように、このことはお答えはけっこうでございますが、いませっかく折衝中のようでございますから、十分実情に即して、漁民の犠牲それから弱小であるところのそうした町村の負担の転減をはかっていく、そういうようにひとつ配慮していただきたいということを強く要請をいたしまして、この離島振興関係の質疑はこれで終わりたいと思いますので、岡部総合開発局長さんと藤村次長さんの御退席はけっこうでございます。
次は、割賦販売の問題について簡潔にお尋ねをいたしますが、まことに私は不名誉なことだと思うのですが、消費者保護に関する行政監察結果に基づく勧告という、実はそういう勧告を行管から受けておるようであります。私は、割賦販売法制定の際に主査としてこの法律案の審議に当たりましただけに、特に関心が深いわけであります。その後の追跡調査等実はどの程度やっておるのであろうか、どういうことから今回の勧告という形になったのか。まあ内容も詳細には読んでいないのでありますけれども、いろいろと構造変化、流通機構というものが変わってきたというようなこと等、どうしても現行の法律では間に合わないといったような事態が生じてくるということは理解ができるわけでありますが、しかし、いずれにいたしましても、やはりこの割賦販売法に対するところの熱意の不足というようなことは免れないのではないか、こう思います。したがいまして、この勧告を受けるに至った経緯、それからこの法律の運営にあたってどのような指導、監督を続けてこられたのか、それらの点についての経緯を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/34
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035・斉藤英雄
○斉藤説明員 お答え申し上げます。
割賦販売法が昭和四十三年に改正されまして以来、私どものほうは特に前払いの割賦販売業者等に対します指導、監督をいろいろやってまいりましたが、その後われわれが予想をしておらなかったようないろいろな事態が起こってまいりました。たとえば一例で申し上げますと、無店舗販売と申しまして、いわゆる訪問販売でいろいろ割賦販売の方法が行なわれて、特に解約等についていろいろ問題が起こってまいりました。そういうふうな事態もありますし、それからなお、あの当時法律の中で一応明示すべき事項、あるいは書面の交付義務というふうなものを一応規定はしておるわけでございますけれども、その方面につきましてやはり不十分な点がございました。したがいまして、そういうふうな点につきましていろいろ行管のほうから御注意を受けたわけであります。
なお、これ以外に、現在割賦販売法は指定商品——商品が一応特定をされておりますが、それ以外の商品をいろいろ割賦で販売をされるようなことも起こってまいりまして、法律の範囲の問題についても行管から御指摘を受けている、こういうふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/35
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036・中村重光
○中村(重)委員 時間の関係がございますから、あまり内容に立ち至っての議論はきょうは避けまして、いずれまた適当な機会に伺いたいと思うのですが、あなたのほうでこの勧告を受けられてのことだと思うのですが、消費者保護に関する行政監察結果に基づく勧告についての措置、こういうことでいろいろお考えになっていらっしゃるようでございますが、モニター制度をやっていらっしゃいますね。これが年間六千円程度でもってどの程度の成果をあげているのですか、具体的な実績として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/36
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037・斉藤英雄
○斉藤説明員 お答え申し上げます。
現在モニターにいろいろやっていただいておりますのは、大体年間六件くらい、おもちゃでございますとか、その他いろいろなものについての調査等を御依頼をして御返事をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/37
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038・中村重光
○中村(重)委員 年額六千円ですからたいして期待は持てないのでしょうけれども、何かもう少しそういうくふうがなければいけないのじゃないでしょうかね。これを改善しようというお考え方はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/38
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039・斉藤英雄
○斉藤説明員 モニター制度はほかの各省とも、あるいは当省内においてもいろいろ制度がございますが、いまの六千円という費用につきましては実は相当いい部類に属するわけでございます。したがいまして、その方面の改善というのは私ども努力はいたすつもりでございますけれども、実際の問題としてなかなかむずかしいのではないかと思います。
なお、これは蛇足でございますけれども、現在モニターの方は非常に熱心に御調査をやっていただいておりますので、私どもモニターの皆さんに非常に感謝をいたしております。
なお、お話もございますので、いろいろその方面について検討をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/39
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040・中村重光
○中村(重)委員 モニター制度によって、非常にいま熱意を持って取り組み、調査、報告等をしてもらってきておる。それに対してあなたのほうは、その調査を生かすためにどのような措置をおとりになってまいられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/40
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041・斉藤英雄
○斉藤説明員 お答え申し上げます。
いまモニターの方に対しましては、年に一回会合を開きまして、相互に意見の交換なり、あるいは見識を深めるということをやっております。とともに、なおモニターの方に研修制度をつくっておりまして、これはもう回数は年一回程度でございますけれども、それで各種の商品その他あるいはいろいろな制度、いろいろ新しくなってまいりますので、そういう問題等につきまして一応いろいろ研修をやりまして、こちらからいろいろお願いをするときに的確に御調査いただくようにということをやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/41
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042・中村重光
○中村(重)委員 そうした調査をやっていただく、誠意をもっておやりになったんだから、あなたのほうもそれにおこたえになるような措置をおとりにならなければ、やる側も、調査をしたけれども、その調査の結果によってこうした、これらの点が改善されたということにならぬと、熱意ということだって出てこないだろうと私は思うのですよ。私が聞きたいのは、こういう制度というものをおやりになっておる、それはそれなりに私は効果があると思う。だから、不十分だからもっと強化をしてもらいたい。それはそういう線に沿って努力をしたいというお答えですから、それはそれでけっこうですが、強化をする、さらにそれに基づいて意義ある調査というものが出てくるでしょう。それでまた改善の実をあげていく、そういうことでなければ単なる形式に終わってしまう、こう思いますから、その点は十分実りあるものにしてもらわなければならない、そういう意味で申し上げているのですから、ときたま私のほうでも質問してけっこうなんだけれども、あなたのほうからも国会のほうに、非公式でもけっこうでございますから、いろいろな点について御報告をしていただくくらいの熱意をひとつ私は期待をいたしたいと思います。
それから、アドオン表示でなくて実質利率を表示させるというような構想もあるようでございますが、さて、アドオン表示ということになってまいりますと、これは消費者にとりましては確かにわからない。ところが初めから終わりまで利率は同じということになってくるんだから、二倍の利率になるわけですね。だから実際の利率を表示しようということになって、ああそんな高い利率になるのかな、それならばもう割賦販売で買うんじゃなくて現金で買ったほうがいいんだということになるわけです。ですからアドオン表示というものをなくして、利率の実質表示をされるということは私はけっこうだと思う。同時に、その利率の適否ということもあなたのほうではお考えにならなければいけないのではないか。ただ、それを表示させるということだけでは一あなたのほうの権能がそこまで及ぶのかどうかわかりません。わかりませんが、その利率の適否についてはどうお考えになっておられるのか。それらの点についても、これを改善をさせる、そしてできるだけ低い利率にさせるというねらいも、同時に、アドオン表示でなくて実質利率を表示させることにあわせてやろうとお考えになっていらっしゃるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/42
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043・斉藤英雄
○斉藤説明員 モニターの件につきましていろいろお話ございました。私どものほうも、取りまとめました結果につきましてさらに一そう努力をしまして、先生の御指摘のようなことにつきましても努力をいたしたいと思っております。
それからアドオン表示のこといまお話がございました。これは御指摘のように確かに実質金利に直せばほぼ二倍くらいになるものでございます。したがいまして、いま割賦販売審議会の消費者保護部会で実はその点も審議いたしておりまして、行管の勧告では実質金利も付記するようにというふうな勧告でございました。私どものほうは、できるならば実質金利一本にしたい、結果的に実質金利一本にしたいという方向でいま御審議をお願いしております。ただ経過的には、いろいろこれは従来の慣行等もございますから、すぐということはむずかしいと思いますが、結果的には実質金利一本にしたいというふうに考えております。
なお、その場合におきます金利の適否の問題でございますが、これは通常の場合は、私どもは、皆さまにわかるような金利にしたところで消費者の皆さんに一応御判断をいただくのが第一じゃないかと思いますが、なおそれが著しい場合におきましては、私どものほうはやはり——法律的には別にどうこうということは私どもの権限ではないと思いますけれども、実質的に行政指導でこれは注意をするなり何なりということをいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/43
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044・中村重光
○中村(重)委員 それから一定のフォームによる契約書を作成をさせる、契約書を作成しない者に対しては認可制をとるということもお考えになっておられるようでありますが、いわゆる認可制にするという形式。一定のフォームによるところの契約書を作成させるということのほうが私は一番適当な措置であろうと思うのです。ところがそれをやらない者に対しては認可制をとる。なぜにやれないのか、それをやれないような業種があるのかどうかという点に疑問を実は私は感じているわけです。だから、認可制にする場合は内容的に今度どうしようとお考えになっていますか。その内容を見て、これは認可をしない、認可をするということを、認可ですから当然これは拒否することだってあるわけですよ。どうして一定のフォームによる契約をやらない、いやがるのか、あるいはどうしても品種からしてやれないような品種があるのかどうかという点がまず第一点になるでしょう。それから、後者の場合でも認可をしないということがあり得るか。しない場合はそれじゃどういうことになってくるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/44
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045・斉藤英雄
○斉藤説明員 お答え申し上げます。
契約書の様式は私どものほうは一定のフォームをつくりましてそれによってやっていただきたい、なおその中にあります用語等につきましても、統一をした用語を使っていきたいというように考えております。
それで認可制の問題でございますけれども、私どもはたとえば約款等につきまして現在考えておりますが、商取引の実態がいろいろあると思いまして、一応その認可ということを制度を置いたらいかがであろうかというふうに現在考えておりますものの、実際はおそらくそれで出てくる事例は非常に少ないのではないかというふうに考えております。したがいまして、大部分のものは一定の様式、これは現在検討中でございますが、その様式に従った約款なりあるいは契約書になるのではないかと思います。なお認可の制度をしきます場合には、当然認可の基準とか、これも現在検討中でございますが、そういうものになるわけでございまして、それに合わない者につきましては当然認可をしない、したがってその者はそういう契約書なり何なりでは割賦販売はできない、こういう結果になるのじゃなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/45
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046・中村重光
○中村(重)委員 デパートで、友の会というのをずいぶん前からやっていますね。これは、私どもが割賦販売法を審議いたします際に、デパートがそういうことをやるということは違法であるというような結論に到達したというか、そういう意味の答弁があったように記憶をするわけですが、これははっきり議事録を見てみなければわからないのです。少なくともデパートというものはそういうものをやるべきものではない。しかし、これは友の会というものをどんどんやっているわけです。あなたのほうもこれはお認めになっておられるのだろうと思うのですが、デパートの友の会というのは、これは割賦販売法違反で今度はこれを捕捉しようというふうにお考えになっていらっしゃるようですが、いままでの解釈としては、これは割賦販売法の違反ではないというようなお考えであったのか、あるいは、しかしながら実際は相当広範囲にわたっておるから、これはまあ実質的に割賦販売であるから、これもその対象にしようというお考え方なのかどうか、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/46
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047・斉藤英雄
○斉藤説明員 百貨店が現在やっております友の会でございますが、この友の会は観劇あるいは映画鑑賞あるいは催しもの等を、会員にそういうサービスをするというために、普通の場合は前に金を積み立てましてそのサービスに応じる、こういう組織でございまして、それともう一つ、この友の会自身が大体別の団体になっているものが、別の法人になっておるものが多うございます。そういう関係で、現在のたとえば前払い式の割賦販売の許可を要するかどうかという問題になりますと、私どものほうは、それは現在では要しないのではなかろうかというふうに考えております。
ただ、しかしながら、いま先生御指摘のように、いろいろそういうものがだんだんふえてまいりまして、したがいましてその辺消費者の保護にもあるいは欠けることがあるのでないか、あるいはほかの方面にもいろいろ影響を及ぼすことがあるのではないかというふうなことも考えまして、たまたま行管からの御注意もありましたし、いろいろ考えまして、できるならば今回、いま消費者保護部会で審議をしております内容に取り入れまして、この次の機会に割賦販売法の改正ができるならばその内容にいたしたいというつもりで現在審議をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/47
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048・中村重光
○中村(重)委員 銀行ローンも対象にいたしますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/48
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049・斉藤英雄
○斉藤説明員 提携ローンにつきましては、一応銀行側は対象にしないつもりでございます。販売業者と申しますか、そちらのほうを一応対象にするという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/49
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050・中村重光
○中村(重)委員 法律の改正案は次の国会に御提案になる御予定でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/50
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051・斉藤英雄
○斉藤説明員 現在、割賦販売審議会の消費者保護部会でいろいろ内容を御検討いただいております。したがいまして、その検討の結果によるわけでございますが、私どもの気持ちといたしますれば、できますればこの次の国会にお願いを申し上げたいという気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/51
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052・中村重光
○中村(重)委員 非常にこの割賦販売の問題というのは重要な問題点であるわけです。かつて、割賦販売の団体の方々が、ヨーロッパ諸国に対して割賦販売の実態を調査をしよう、その際に競輪益金から金を出す、二百万円、当時出しておった。ところがその金はそれを使わないで、各団体の参加した団員から七十万円ずつ旅費を取る、そして、益金から出した二百万円はどこかに消えたということで、実は本委員会で私が問題にしたことがあります。それほど、競輪の益金からまで金を出して割賦販売について通産省は熱意をもっておやりになるぐらいのかまえが実はあった等々、それらの点を考えてみますと、大きな経済機構、流通機構の変化があったとは申しながら、割賦販売の弊害ということが非常に大きく出ておるのにかかわらず今日まで放置しておったという責任は、私は非常に重大であると思います。したがいまして、今回法律案をお出しになるという場合は、十分内容を充実させたものをひとつお出しいただきたい。私どもも、提案されましたならば、あらゆる角度から慎重に検討して、ひとつ中身のある割賦販売法の改正を実現したいものだ、こう思います。ですから、すみやかに御提案を期待をいたしておきたい、こう思います。
次に、さらっと質問いたしますが、セメントの問題、これはいろいろ関係があるようでございますから、あまり長く深く入りませんで、お尋ねをいたしますが、先日山形局長は、セメントの五十キロ入りが四十キロになった、これは荷役の関係だ。答弁もきわめて簡潔でございましたが、たいしたことはないのだというような受け取り方を私はするような答弁であったわけでありますが、公取に対しまして私はいろいろとその問題に対して、独禁法違反であるというようなことで質疑をいたしました。お聞きになっておりました山形局長、あなたはこれらの点に対しては何も問題ないんだというようにお考えになっておられたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/52
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053・山形栄治
○山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。
前回の答弁で、私は何も問題ないというような誤解がもしありましたら、訂正さしていただきたいと思いますが、セメントの五十キロから四十キロへの変更につきましては、昭和四十年ごろから左官業界、土建業界等々から、おもに若年労働力の不足ということを原因に、ぜひこれを四十キロにしてもらいたいという要望が出ておったわけでございますけれども、御存じのとおり、五十キロから四十キロにしますと、袋の数が変わってみたり、これを袋詰めする費用が、総体的に数がふえますのでコストアップ要因であるというようなことも関連いたしまして、セメント業界ではなるたけそういう意味でのコストアップ要因に関連する価格の上昇というものは避けたい、販売が思うようにあまりいってなかった状態もございますので、四十年以来の動きはそういうことで推移しておったわけでございますが、その後も関係業界からますます労働力の関係等から強い要請もござまして、セメント業界といたしましても、これは袋詰めを変えますには若干機械装置を変えないといかぬものですから、その準備期間等もございまして、去る七月三十日付で協会のほうから私のほうに対しましては、五十から四十の変更をいたしたいので、御了承願いたいという御報告があったわけであります。
問題は、いま申し上げましたように、この変更に伴いましてコストアップ要因があることは当然でございます。しかしながら、この五十から四十の変更に関係して、業界が不当なる価格の上昇があるということは非常にいけないことでありますので、われわれのほうといたしましては、その辺についてただすといいますか意見を聴取いたしましたところ、正当なるコストアップ要因のはね返りはいたさざるを得ないけれども、業界が不当にかつ一律に販売価格の上昇を行なうようなことはないという説明も受けまして、そういうことであるのなら経済情勢の変更に伴う、労働力の変更に伴うこういう五十から四十への変更というのは妥当である、こう思ってわれわれは了承した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/53
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054・中村重光
○中村(重)委員 荷役の点については私も了承いたします。ですけれども、あなた自身もこれがコストアップになるということは十分考えられた。しかしながら、一律にやるとか不当と思われるような値上げというようなものは好ましくないとも考えた。そこまでお考えになったならば、値段をどの程度にするということくらいは業界から意向を聴取なさったでしょうね。いかがでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/54
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055・山形栄治
○山形(栄)政府委員 セメントの価格につきましては、現在各社一律でございませんで、強い、品質のいいところはおのずから高く、後発メーカー的に、品質上の問題も含めまして安いところもあるということに相なっておりますが、われわれ、その五十から四十への切りかえに際しましてどういうふうに大体変更がなされるかということにつきましては、いろいろと意見を聴取したわけでございます。五十キロの時代には、いま申し上げましたように若干地域別、メーカー別に差がございますが、二百八十円から二百九十六円五十銭くらいで一袋当たり売っておったわけでございます。これが四十キロに変更になるに際しまして二百六十円から二百八十円くらい、ほぼ一五%くらいのアップというふうにわれわれは聞いておった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/55
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056・中村重光
○中村(重)委員 そうしますと、五十キロのときの価格と四十キロの価格というものはあまり変わらない。二百八十円から二百八十六円。ところがいまあなたは二百六十円から二百八十円くらいに実は聞いておった。現実にどうなったという御調査はなさいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/56
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057・山形栄治
○山形(栄)政府委員 いま私の申し上げました数字は、若干訂正いたしますと、いま申し上げましたのは現時点の数字でございまして、ちょっとことばが足りなかったのでございますが、当時といたしましては若干これよりも高いところもあったわけでございます。しかしながら、競争関係から高く売ることを期待しておりましたところで値下がりが行なわれまして、これもまた非常に不十分な答弁で恐縮でございますけれども、メーカーから卸売りに出ておる段階の値段でございますけれども、現時点で二百六十円から二百八十円くらいということに相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/57
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058・中村重光
○中村(重)委員 それじゃ私が一昨日でございましたか、五十キロが四十キロになったが値段はそのままであるということは事実ではないとお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/58
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059・山形栄治
○山形(栄)政府委員 私は、五十キロから四十キロになりまして全く値段が同じであるということに考えておりません。これはくどいようでございますけれども、四十キロになりましたことに伴うコストアップ要因、若干それに付加いたしまして、その後の石こう代その他重油の値上がり等、原材料費及び輸送費の値上がり分が若干加味されておると思いますけれども、いわゆる包装の変更に伴うコストアップ要因に、そういう原材料費等の値上がり要因を含めた値上がりが現在なされておるわけでございます。五十キロと四十キロと比較しますと、名目で全く同じ値段で売られておるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/59
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060・中村重光
○中村(重)委員 コストアップ要因というものは、五十キロの場合そのままにしましてもあるわけです、そうですね。ところが五十キロを四十キロにした。あなたの前回の答弁は荷役の関係でそういうことにしたんだというお答えがあった。いまは具体的に価格の問題までお話しになったわけですが、私の調査した限りでは五十キロの価格と全く同じなんです。私は一、二のものを相手に調査をしたのではありません。ユーザー、土建業者は二十五、六の業者の方々の調査をいたしております。それから大工さんとか左官さんとかという五千名程度加入をいたしておる組合の調査をしている資料も目を通しております。変わっていない。明らかに、これは業界の方々が足並みをそろえてやったということは間違いはないと私は考えている。
通産省は、最近非常に行政指導というか、公取の分野に対しましても介入をするという傾向が非常に強いわけなんですが、どうも生産者の立場ということのみを考えられて、ユーザーの立場ということを軽視する傾向がなきにしもあらずと私は思うのであります。そしてまた真実あなたが御調査になったことをお答えになるのだから、私はそれで別にあなたが生産者のことだけを考えて、業界のことだけを考えて、これを弁解する立場に立ってお答えになっておるとは思いません。思いませんけれども、私もこうした委員会で質問する以上は、やはり権威のある内容を持った質問でなければならないという考えで、私なりに調査をしておるところなんです。ですから公取は公取として調査をしておられるところでございましょうから、きょうは事務局長に御出席をいただいておりますけれども、公取の答弁はきょうは伺わないことにいたしたいと思います。思いますが、通産省としてはもう少し——業界というものが、いわゆるメーカーが値上げをするたびに、値上げをすると目立つから、荷役であるとかなんとかといういろいろな名目をもって実質的に値上げをするというような傾向も非常に強いことは事実であります。商魂たくましく、あらゆるあの手この手を使ってやっているということも事実であります。私どもは中小企業者を守るために、中小企業庁が通産省のもとにあってはならない。中小企業省というものをつくらなければならぬということを絶えず主張いたしておりますけれども、やはりそうではなくて、通産省の中に、大企業を中心とするところの原局それから中小企業庁と一体となっていることのほうが産業振興上きわめて便利であるということで、与党の中には中小企業省をつくることに対しての賛成の意見を持っている人も数多いんだけれども、今日政府・与党といたしましては、中小企業省をつくるという形になかなか踏み切ろうとしていない。それらのこと等々を考えてみますとき、メーカーオンリー、メーカーのみを守るその影響が、中小企業者へ、さらにはまた一般の需要者へとしわ寄せされるということが私はあってはならぬと思う。だからして、いろいろとあなたのほうに御相談があったならば、またあなたのほうが進んで行政指導される場合は、そうした違法行為、不当行為というものが起こらないような指導というものをされる必要があると私は思う。この後どういう心がまえでお取り組みになるのか、私はあまり深くこの問題についてきょうは質問することを避けたいと思っておりますので、この程度にこの点はとどめますが、あなたの決意のほどをひとつ伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/60
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061・山形栄治
○山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。
私も正当なるコストアップ要因、これを価格にはね返らす、これはやむを得ないんではないか、こう思いますが、それを契機として不当なる価格上昇をはかるということは絶対いかぬ、こういう点につきましては先生と全く同意見だと思う次第でございます。
いま御指摘のように末端の小売り段階でどうなっているかという点につきままては、われわれのほうの調査といいますか、実態把握に欠ける点がありますことも率直に認めまして、これからその辺も含めまして実態調査により一そうつとめまして、いま申し上げましたような不当な点がございましたらできる限りの強力なる指導をはかっていきたい、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/61
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062・中村重光
○中村(重)委員 石油関係は鉱山石炭局の所管ですね。
灯油の値上げでずいぶん新聞でたたかれておるようですが、これは通産省の指導が裏目に出た、逆用されたというようないろいろな批判が実はある。また石油に対しましては、公取の手入れ等が実は行なわれているわけですが、こうした最近新聞で痛烈にたたかれ、消費者の不満というものが実は出ておるわけですから、ここらあたりの経緯をひとつお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/62
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063・莊清
○莊政府委員 経緯について御報告申し上げます。
御案内のとおり、今年の春以来OPECの原油輸出価格の急上昇がございまして、そのために今年度の国内の石油製品のある程度の値上がりがどうしてもやむを得ないということが考えられましたが、この場合、灯油は最近の家庭の最も重要な冬場における暖房用燃料になっておる点を考慮いたしまして、ことしの冬は通産省としては灯油の価格を昨年の水準以内にとどめるよう措置すべきである、かように判断したわけでございます。
それで経緯でございますが、九月の末に経済企画庁におきまして物価安定政策会議が開催されました。また九月の末には、消費者団体の代表の方が多数田中通産大臣と懇談される機会を持たれたわけでございます。またわれわれ事務当局といたしましては、十月の十二日に、通産省で行なっております消費物価懇談会の席で、通産省主催のもとに業界側と消費者代表の方々との懇談の機会をつくりました。これらの機会を通じまして、通産省としては、先ほど申し上げました基本方針の周知徹底をはかりました。これに基づきまして、具体的な措置といたしまして、十月の二十八日に、通達の形で関係業界に対しまして、今年の冬需要期、冬場におきますメーカーの卸仕切り価格は、OPEC値上げ前のことしの二、三月におきますそれぞれの各社の仕切り価格以下にするようにという通達を出し、さらに十一月の十八日には、再度その点について誤解のないよう、確認の意味と指導の意味で二回目の通達を出して徹底をはかったということでございます。現在通産省では消費者モニターに、本年十月以来末端価格の価格調査を新たに灯油について依頼することにいたしております。十月以降全国の小売り価格のモニター調査をやっておりますが、それによりますと、現在のところ末端価格というものが幸いに非常に安定した水準で移行しておりまして、昨年より値上がりしておるというふうな事態は、現在のところ認められないわけでございます。
経緯の報告といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/63
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064・中村重光
○中村(重)委員 一〇%アップしたことは事実でございましょう。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/64
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065・莊清
○莊政府委員 最近新聞で報ぜられました値上げの点のお尋ねかと思いますが、灯油の価格は、夏場は不需要期でございますから、卸価格、それから中間の流通段階の価格、末端価格とも、需要期の冬場に比べまして例年値下がりをいたしておるわけでございます。十二月、一月、年の中で一番値段が上がるわけでございます。
約半月ほど前に新聞の報ずるところによりますと、元売りの各社つまり石油精製各社が出荷する価格をある程度値上げをしたかのごとく報ぜられましたが、これは私どもさっそく実情を調査いたしております。その結果によりますと、十月ごろの価格よりも各社とも若干値上げをしたいということを、それぞれの特約店等に連絡をいたしておりますけれども、まだ両者の間の話がついておりません。したがいまして、これは精製側のオファーでございまして、まだ行なわれてはおらないわけでございます。なお、私ども各社について詳細に調査をした結果では、今回の精製各社のオファーした価格、各メーカー別の価格の水準、高さでございますけれども、これはそれぞれの各社の今年二、三月におきます価格の高さよりも下回っております。ことしの二、三月の水準以下の範囲内におきまして需要期に向かってまいりましたので、若干の値上げについてネゴの申し入れをしたということが実態でございまして、まだ価格決定は行なわれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/65
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066・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、東京瓦斯のナフサの価格を一キロリットル当たり七百円の値上げをした、ところが円の変動相場制によって原料が安く輸入されておるからといって為替差益を還元する意味で五百円にした、しかし小売価格は上げっぱなしだ。これはもう大企業だけを優先をするやり方である、全くけしからぬ話だ、田中通産大臣は今春並みに措置をするというところの公約をした、実際は値上がりをしておるじゃないかということで、大企業には値下げ、小売り価格のいわゆる一般の消費者に対しては高く売る、それから通産大臣の公約違反といったようなことで相当憤慨をしておるわけですが、これは事実に反する、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/66
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067・莊清
○莊政府委員 消費者各位に対して、実はいろいろ私どもの申し上げたことの趣旨の不徹底ということは、私どもの責任だと存じておりますが、説明が十分であったとは申せません。その点は私、非常に反省もいたし、その後関係団体の方にも特にお会いいたしまして御説明もいたし、現在では御了承をいただけておると考えておりますが、消費者の団体の中では、九月の末に田中通産大臣にお会いになったわけでございますが、その際の価格というものですべての価格が今後凍結されるのではないかという御判断、そういう受け取り方をなさったのではないかと思われる向きが実はございます。それで、どうしても冬場に向かいましては、季節物資でございますから、毎年若干の価格の値上がりがあり、春先から夏場にかけてまた逆に下がっていくという繰り返しをしておるわけでございまして、九月というのはまだ底値からちょっと上がりかけただけの時期でありまして、横に価格が寝るということは毎年ないわけであります。ただ私どもが今回考えておりますのは、最初に申し上げましたとおり、不需要期から需要期に向かって当然卸、小売りともそれは上がるのでございますけれども、その水準というものは、OPEC値上げ前のことしの二、三月の水準以内にする、OPECの値上げはことしの灯油の価格に反映させてはならぬ、こういう趣旨であるということを再度御説明いたしまして、現在の段階では御了承をいただけておるのではないか、私、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/67
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068・中村重光
○中村(重)委員 いずれにしても、通産省の行政指導というものが逆手にとられるという実績は非常に多いわけだ。カラーテレビの二重価格の問題、これは公取も聞いてもらいたいのだけれども、二重価格をなくするということは非常にいいようであるけれども、二重価格をなくするということは実質的に価格を下げるわけじゃないのだから、むしろ価格の硬直化という形になっていく可能性があるということを私は指摘したことがある。現実に、いま二重価格制度というものをなくしたところが価格が硬直化した。だからして、その業者の共同行為というような形が現実に出てきてしまっている。消費者は物が買いにくくなった、高買いしなければならぬようになった。だから二重価格というものをもとに戻してもらいたいという意見すら今日出かかっておるということは、新聞紙上等を通じ、あるいはいろいろな声として耳にされたと私は思う。だからして、二重価格というようなものも決していいことではない。いいことではないのだけれども、これをなくしたということが逆の結果を生んでおる、いわゆる逆手にとられておるというこの事実を十分御勘案になって——形式ばかりおやりになってはだめだということだ。公取も通産省も、ほんとうに物価の問題にもっと真剣に取り組み、行政指導というものが物価引き下げにつながっていくというような、そういうことに責任を持つやり方をおやりにならなければいけない。ただ指導のしっぱなし、追跡調査も何もやらない、結果がどうなるかわからぬ、そういうようなことになりがちなのだから、その点は私は公取にも通産省にもきびしく注文もし、反省も促しておきたいと思います。
時間の関係もありますから、石油の問題についてもっと深く入りたいのですが、同僚松尾委員の質問の通告もあるようでありますから、また私もあらためて石油全般の問題について、いま申し上げましたようなことについてもっと具体的に再質問をいたしたい、このように考えます。
最後に、中小企業の問題のお尋ねを簡潔にしておきたいと思いますが、公益事業局と化学工業局にまだお待ちを願っておりますから、私がいま申し上げることについて、あとで文書でお答えをいただきたいと思います。
地方調整協議会はどのようなことを協議の対象としているのか。これは、私どもがこの法律案を審議いたしました際にそれぞれの答弁があっておるし、さらには、また業界に対しまして説明会等を開催されておられるわけでありましょうから、そのとおりのことを実行しておられるのかどうか、地方調整協議会の対象にしている問題について、文書で御回答いただきましょう。
それからLPガス法十五条によるところの調査の義務と、ガス事業法第四十条の二の調査の義務というものはひとしいのかどうか。これは、ひとしくするという答弁が私の質問によってなされておりますから、ひとしいかどうか、その点も文書でお答えをいただきましょう。
第三点、簡易ガスの申請があった場合、各県協議会に通知をするということも質問にお答えになりましたし、説明会でもそのようなことをおっしゃっておられるわけでありますから、それを実行しておるのかどうか。
次には、既存のガス事業供給区域はこれを周知徹底するということも、これまた答弁の中で明らかにされておるわけでありますし、説明会でもそういうことを言っておるわけでありますから、周知徹底をさしておるのかどうか、具体的にこの点も明らかにしておいていただきたいと思う。
次に、ガス事業法の供給区域の再検討をするということを明確に本委員会において明らかにされました。そして、これを取り消す場所もあるであろうから、それを取り消すところは取り消すということを明らかにされたわけでありますから、その作業はどうなっておるのか、そのとおり実行されたかどうか、これも明らかにしていただきたいと思います。
それから、その後勧告——この勧告ということは、実際において供給区域だけの指定を受けている、ところが実際は何も供給をやらない、それに対しては勧告をやって、やって聞かなければこれを取り消すということも、一連の問題として明確にお答えになっておるわけでありますから、こうした作業はおやりになっておるのかどうか。
これらを、公益事業局と化学工業局の両方関係があるわけでありますから、後日すみやかにそれぞれ文書でお答えをいただいておきたいと思います。
中小企業庁に来年度予算の関係で約一時間ばかり質問したいと思いましたが、時間がありませんから十分か十五分にはしょって、意見を交えて私の質問を申し上げておきます。
この中小企業の予算、これは四百四十九億であったのを五百八十億に概算要求しておる。小規模予算というのが四十七億であったのが六十四億に概算要求しておるようであります。ところが、これは流通機構さらには構造改善事業の問題あるいは今後の構造変化に基づきまして、対象となるものが非常にふえてきた。公害の問題しかり、あるいは特恵関税の問題しかりドル・ショックの問題しかり、いろいろと中小企業のこれから先の施策というものは非常に拡大をしてきたわけです。それらの点等々考えてみますと、この程度の予算の伸びということではどうにもならない。どうしてこのわずかの増額にとどめたのかという点は、私は実は不満であり疑問であるわけです。私どもも近く予算の要求書を提出をする、その申し入れをする予定にいたしておりますから、その際に明確にお答えができる準備をしておいていただきたいと思う。
さらに中身を見てみますと、技術開発に対するところの予算が少ない。情報化時代といわれるのに情報化対策の関係の予算というものもほとんど姿をあらわしていない。そういう実態であるわけです。
それから、これはお答えをいただきますが、職員の公的共済制度、これは検討しておるができるだけ早く実施をいたしたいということでございましたが、いつから公的共済制度を実施するのか。農業はもうすでにやっている。中小企業というものはこれからだんだん増加の傾向にある。これは農業との均衡は言うまでもなく、中小企業の職員に対して希望を持たせるという意味からいたしましても、公的共済制度というものはすみやかに実施をしなければならないわけでありますが、いつからこれを実施しようとお考えになっておられるのか、明確にお答えをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/68
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069・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 経営指導員そのほか中小企業団体の職員につきまして、農林漁業団体共済制度と同じような公的な共済制度を設けるということについて、仰せのとおり従来から検討を続けてきておりますけれども、なかなかむずかしい点がありまして、経営指導員だけを対象とした制度ではなかなか成り立つことができにくい。そうしますと、商工会とか中央会とかいろんな組合がございますが、そういう中小企業の諸団体の職員のすべてというのを対象として考えるならそういうことにする必要があるのではないか。しかし現在におきましては、まだまだ各団体の間の経費の負担の能力とかあるいは財政的な見通しとかいろいろ異なっておりまして、これらの団体あるいは構成メンバーの意見あるいは希望等必ずしも一致していませんので、さらにまだ検討を続けていく必要があろうと考えますので、いま御指摘のいつから実施するのだということにつきましては、明確なお答えができないことをお許しいただきたいと思います。
ただ従来から、厚生年金保険その他既存の制度を十分にひとつ活用、利用するということで、指導員の方の身分の保障を強化するということが適当だと考えてその方向で努力してきましたし、来年度の予算要求におきましては、商工会等の経営指導員につきまして社会保険料の一部補助の要求をいたしまして、少しでもお役に立ちたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/69
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070・中村重光
○中村(重)委員 議論をするひまはありませんが、そういう答弁では話にならない。
次に、質問をいたしますから事務当局メモをしておっていただきたい。
小規模企業の共済制度、これもわずかの予算増額をやっている。ところが倒産は出る、転廃業はふえる。これらのことを考えて見ると、この程度の予算増額にとどめたということも納得はできない。
それから下請中小企業振興法の制定の際に、これの強化については附帯決議がつけてありますから、具体的にこの点についてはどのような強化策をとろうとお考えになっているのか。これとても予算は五千六百万円が九千六百万円、きわめてみみっちい。また実はこれだけではないわけでありまして、これに関連して財投その他の関係もありましょう。これについても明確なお答えを後日いただきます。
それから、高度化資金の地方団体に対する出資分に起債が認められておりません。これを認める御意思があるのかどうか。自治省とどのように折衝しておられるのか。
次は、構造改善事業対策というものはこれからどう進めていくのか。指定をどの程度しようとお考えになっているのか。
官公需の発注に対する対策、これは先日横山委員指摘をしたとおりであります。これはむしろ低下をしておるという形でありますから、今後これをふやすための対策をどう進めていこうとしておられるのか。
それから中小企業の災害対策、これを何とかしてもらいたいということで、この間災害対策特別委員会で、若干額をふやすという程度にとどめましたが、これとても農業とは比較にならない。区分の利率というものも農業にはあるけれども中小企業にはない。天災というものは元来農業だけではないのです。中小企業もすべて天災によるところの災害を受けるのだから、いつまでたっても中小企業の災害が農業と比較にならない、均衡のとれないような形であってはならないと私は思う。これに対して今後どのような取り組みをしようとお考えになっているのか。これも後日お答えをいただきます。
それから農協スーパーに対する対策、員外利用等を含めて金融対策としては三機関に対して一兆六千九百三十億円、これは四十六年度が一兆一千八百二十億でしたか、まあこの程度であったわけでありますから、これからすると若干の伸びがあるとはいいながら、これとても先ほど申し上げたようにドル・ショック、公害、特恵関税、設備、その他いろいろな点等考えてみると、これが増額をしたということにはならない。だからして、この程度で概算要求をされた真意が私は理解ができないのであります。
次には、これはお答えをいただきますが、国民金融公庫の貸し付け限度額、これを三百万円から五百万円までに引き上げたのでありますけれども、いつまでもこういう状態であってはならぬ。これは一千万円までは当然やらなければならないのにもかかわらず、依然として五百万円を動かそうという考え方が見えないようでありますが、これはどのようにお考えになっておるのか。この答弁はあとでまとめてしていただきましょう。
次に信用補完制度、これは概算要求の中では融資基金、準備基金等を含めて、合わせて二百数十億の要求をしておるようでありますから、これはひとつ大蔵に大いにがんばって、そのとおりこれを実現をしてもらいたい、こう思っているんですが、問題は保証料の引き下げとか、それからこの保証つきの利率の引き下げというのは現実のものとしていかなければいけないわけでございますから、そのことに対しての決意をひとつ伺っておきたい。
歩積み両建ての問題も、これをいまあなたに答弁をしてもらってもどうなるということでも実はないでしょう。しかしながら、絶対これはやらさぬ、こういうかまえでこれはやらなければならないのでありますから、その点に対しても、ひとつ大臣の協力も求めて、歩積み両建てというものは絶対に排除されるようにやってもらわなければならないということです。
税制に対しては事業主の報酬制、完全給与、個人事業税を撤廃する。それから、これはもう必ず変えさせなければならぬ自己資金の積み立て五%、最高十万円、しかもこれを取りくずしをした場合は一時所得を課税されるという子供だましみたいなことをやっている。これで中小企業者のための減税措置をとったということは、私はあえてナンセンスだと言いたいくらいなんです。これは今回どう改善させようとしているのか、この点はお答えをいただきます。
それから指導員の補助金のベースアップ、これは一一・七四%、これを六万円にし補助員を三万三千五百円にしようとしているようでありますけれども、一一・七四%ですから、これは国家公務員と合わせたということになるわけですが、この点はひとつ、基礎の単価が非常に低いんだから、これを引き上げることにさらにつとめてもらわなければならぬ。これは答弁は要りません。努力目標としてひとつ期待をしたい。
答弁をいただきますのは、記帳指導員の手当です。これは何べん言っても、記帳指導員の手当を変えてこれを実行しようとはしておられない。だからして今回これをどうしようとお考えになっておるのか、この点をお答えいただきます。
まだいろいろありますが、予鈴が鳴りましたから、これできょうは終わりますが、この三点にわたって御答弁を伺いまして、あとは保留をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/70
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071・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 国民金融公庫の貸し付け限度を三百万から五百万円に引き上げましてまだ間がないということと、なるべく多数の方々に利用していただくということが一つ、それからまた特別貸し付け制度を活用するということで、まだ千万円まで貸し付け限度を引き上げるというところに至っていませんことは御指摘のとおりでございます。
それから、記帳指導員の謝金につきましては、わずかではありますが、単価千四百円を千六百円に引き上げる要求をいたしております。
それから、税制につきまして、事業主報酬制の取り扱いにつきましては、私たち事務的に従来からいろいろ要望し折衝いたしておりますが、先般も申し上げましたように、税理論的にも非常にむずかしい問題があるわけでございますが、引き続き努力をさせていただきたいと思います。
残余の御質問につきましては、次回にお答えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/71
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072・進藤一馬
○進藤委員長代理 午後二時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時五十三分休憩
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午後二時四十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/72
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073・進藤一馬
○進藤委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/73
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074・近江巳記夫
○近江委員 この間は、科学技術庁のがけくずれの実験によりまして、とうとい人命が十五名、しかもその面における最高の研究者を失ったわけであります。そういうことで今日、そうしたがけくずれ等の災害をはじめといたしまして、一連のそういう事故に対する政府の姿勢ということが、きびしい目で国民から批判を受けておるわけでございます。こういう同じようなケース——これは実験ではありませんが、鉱山の問題でございますけれども、これは私は一つの問題ではない。今日日本各地におきまして、鉱山のそうした開発あるいは宅地の造成とかあるいは採石、いろいろなことが行なわれておりますけれども、すべてに関連した問題である、こういう意味において具体例といたしましてお聞きいたしたいと思うわけでございます。
それは一つは、この富山県高岡市所在の石灰石鉱山の災害でございます。非常に大規模な鉱山のそういう山くずれが起きまして、かなりの被害が起きたわけでございます。これにつきまして、この災害の状況、そうしてその後の措置はどのようになっておるか。まずその点について初めにお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/74
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075・久良知章悟
○久良知政府委員 本年十一月七日午後八時ごろ富山県高岡市の石堤中村に所在いたします共同開発株式会社が経営いたしております国土高岡鉱山におきまして、約三十万立米に達します土砂の流出による地山の崩壊の災害がございまして、県道、河川、それから山林、田畑、畜舎、送電鉄塔に対しまして多くの被害を生じたわけでございまして、監督の衝にある者として恐縮に存じ、遺憾に感じておる次第でございます。この鉱山は責化石を主にいたします石灰石を採掘いたしておる山でございまして、従業員は四名でございますが、ブルドーザー等を使用いたしまして、完全に機械化のもとに月に約一万トンの出鉱と申しますか、石灰石を出しておるわけでございます。普通、石灰石と申しますと、白色のかたい岩石を私ども考えるわけでございますが、この山の石灰石は責化石を主にするものでございまして、普通の土砂と申しますか、埋め立て等に実際使用されておったものでございます。この土砂と申しますか石灰石を、ブルドーザー、ショベル、ダンプトラック等を使いまして運び出しておったわけでございますが、採掘の様式といたしましては、露天掘りと申しますか、露天掘採法による普通のわれわれが近郊各地で見るような土砂採取に近い形でやっておったわけでございます。当日、前にかなりな降雨がございまして、その水によりまして若干石灰石がゆるんでおったわけでございますが、採掘時の傾斜その他が急であった関係から崩落を起こしまして、その崩落が多量の水とともにかなり広範囲にわたりまして流出をし、前記の災害を生じたということでございます。
十一月の七日の日に災害が発生いたしたわけでございますが、当局といたしましては、名古屋鉱山保安監督部、それから名古屋通産局から鉱務監督官その他の係官を派遣をいたしまして、十一月の八日から現場検証並びに調査をいたしたわけでございます。この道路、河川、その他田畑というふうなものに被害がありましたので、緊急に復旧をいたす必要がございますので、協議をいろいろ重ねておったわけでございますが、何ぶん鉱業権者に直ちに復旧するだけの資力、それから機材等使えるものがないわけでございますので、とりあえず二次災害の防止を目的といたしまして、十一月の十一日に鉱業権者に対して、残っております急傾斜の残壁を切り落としまして安全化をする緊急命令書を出したわけでございますが、その後県、市とも相談をいたしまして、鉱業権者だけでなく、やはり関係者力を合わせまして復旧、賠償等のあと始末に当たろうということで、それを目的にいたしました対策協議会をつくることにいたしました。十一月の十八日それから十一月の二十四日に対策協議会を開催いたしまして、関係者で賠償、復旧についての具体策について相談をいたしました。現在、その決定に基づきまして復旧の作業を進めておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/75
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076・近江巳記夫
○近江委員 この件の被害について非常に総括的におっしゃったわけですが、たとえば送電塔が倒れたことによって二十五万戸、石川県の半分、これが停電になってしまって、一説によれば繊維業者だけで二十億からの損害を受けておる。電気だけでも三日間とまっているでしょう。そういうようなばく大な被害が出ているわけですよ。被害についてもう少し詳しくお聞きしたいと思うのです。たとえば豚だって四百頭から死んでいるでしょう。どういうような被害が出ているのですか、もっと詳しく言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/76
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077・久良知章悟
○久良知政府委員 県道について申し上げます。埋没した距離が約百メートルでございまして、これは十一月の七日の夕刻に迂回路ができたわけでございますが、これを復旧いたしますには約二千二百三十万円の金額を要する見通しでございます。
それから所在地の谷内川に、流出いたしました土砂の一部が流入いたしておるわけでございますが、これにつきましては二十七日から鉱業権者が一部取り片づけに着手いたしておるようでございますが、一応復旧するためには四百二十万円の金額がかかると推定をされております。
それから、いま先生がおっしゃいました畜舎が埋没をいたしまして、その畜舎で飼育をいたしておりました豚が約四百頭埋没死いたしたわけでございまして、これの損害が約千五百四十万円と見積もられておるわけでございます。
それから、そのほか田畑、山林につきまして埋没がございまして、これが約三千九十万円、それから送電鉄塔、これは四基に損害があったわけでございますが、直接額としては約七千万円の損害というふうに推定をいたしておるわけでございますが、そのほか先生がいま御指摘の停電があったわけでございます。
そのほか所在の墓、電話線、それから有線放送施設等にも若干の被害があったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/77
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078・近江巳記夫
○近江委員 そういう停電等の被害、これはどのくらい被害があったか、これは調査されていますか。これは二十五万戸全部に迷惑をかけているわけですね。特にこちらのほうは繊維業界が集中しているわけです。その辺の、言うなら間接被害といいますか、その辺はどのように見積もっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/78
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079・三宅幸夫
○三宅政府委員 全県一円の停電がございましたのは、鉄塔倒壊の当日、十分から約一時間、地域によって区々でございますが、停電を昼間いたしております。その後北陸電力が直ちに送電系統の切りかえを行ないまして、県内需要四十四万キロワットのうち約半分は供給可能でございましたので、残りにつきまして大口需要家の特に大規模な節電の協力並びに一般工場の協力も得まして、一般需要には全然御迷惑をかけていないというのが現況でございます。繊維業界が受けた被害等につきましてはまだ具体的に聞いておりませんが、おそらく、供給規程によりまして緊急停電の場合には料金の割引というのがございますので、そういった面を通じてこの問題が処理されるのだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/79
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080・近江巳記夫
○近江委員 そうすると、電力の割引等、電力会社が、倒れた鉄塔は別として、どのくらいの損をしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/80
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081・三宅幸夫
○三宅政府委員 まだ具体的に数字は確認しておりませんが、そう大きなオーダーではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/81
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082・近江巳記夫
○近江委員 それは見解の相違ということもあるのですが、実際は停電で深刻な被害を受けたという声が相当あるわけです、したがって、これは政府として当然さらによく実情を把握する必要がある、このように思います。ですから、後ほどでけっこうですが、できるだけそういう被害の詳細な状況を報告してもらいたいと思うのです。これはよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/82
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083・三宅幸夫
○三宅政府委員 県内の当日あるいは三日間にわたるあるべかりし生産の状況、あるべき姿がどうで、実際の姿はどうであったかということは、公益事業局として相当調査がむずかしいと思います。電力の供給面でわかる限界において、もし適当な資料がありましたら提出いたしますが、若干日数を要するかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/83
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084・近江巳記夫
○近江委員 そこで、この一連の事故を見ますと、鉱業を許可したこと事態が非常に疑問視されるわけですね。鉱業法からいっても、当然地元の意思は尊重しなければならぬわけですが、最初断わっているわけですね、地元としては。名所旧跡、天然記念物が点在するので不適当であると。それにもかかわらず通産省は許可しておる。そういう地元を無視してぼんぼん許可を出してやったら、これは一体どうなりますか。そこのところはやはり真剣に地域住民のそういう声ということを尊重しなければいかぬと思うのです。そもそもスタートがやはり間違っておる。また監督等においても、ほんとうは一年に何回か来なければいかぬのに一回も来ていないわけですよ。掘り方にしても、もう皆さん専門家ですからよく知っておりますが、六十度の角度で高さ七メートル掘って八メートル平地にして、また掘っていって階段状にしなければいかぬわけです。それすらもやっていないという大きな疑問点があるわけでしょう。当然通産省は監督を強化して見に行っておれば、安全性という点から見ておれば、こういう重大な事故にはならなかったわけです。しかもこの鉄塔と鉄塔の間から崩れているわけですね。そういう鉄塔のところを残して掘り進んでいった場合どうなるか。これはしろうとが考えたってわかるわけでしょう。電力会社だってあぶないからということで、一カ月前から言っておるわけですよ。名古屋の通産局に言っているわけでしょう。これは全く政府のそういうような監督の不備、そしてこういう許可をしたこと自体、非常にこれは疑問に思うわけです。こういうようなずさんな許可を出しておられれば、何ぼでもこういう事故が起きますよ。この鉱業の許可を出した理由、いろいろ皆さんも、何回も折衝して最終的には条件つきの回答をもらったからという答弁があろうかと思いますけれども、なぜこういうところにこの許可を出したのですか。まずその点をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/84
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085・莊清
○莊政府委員 お尋ねの点は、鉱業法に基づいての採掘権の設定の問題であると存じますが、御指摘のとおり、このあたりには史跡等もございまして、最初出願人はそこも含めて名古屋の通産局に出願をいたしました。それで、通産局から地元の県知事に協議をいたしまして、結局出願の中で問題のある部分は削らせまして、そして残りの部分について実は権利を設定いたしたわけでございます。
なお施業案に基づきまして、その後具体的にどういうふうに鉱物を掘採するかという認可をいたしておりますが、その場合には墓地等もございますし、鉄塔もございますので、そういうものの近くは当然に掘らないということで認可をいたしておったわけでございますが、その後におきます実際の監督指導面で私ども残念ながら十分でございませんで、今回のような事故を結局引き起こしたという点、まことに遺憾に存じております。石灰石の採掘等は各所で行なわれておりますし、わりに村落に近いようなところでも採掘される面がございますので、今後は一そう地元と私ども通産省と事前の連絡、事後の連絡を密にいたしまして、こういうことが起こりませんようにつとめたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/85
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086・近江巳記夫
○近江委員 この鉱業法の三十五条にも詳しく出ているわけですね。「公共の用に供する施設若しくはこれに準ずる施設を破壊し、文化財、公園若しくは温泉資源の保護に支障を生じ、若しくは農業、林業若しくはその他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反すると認めるときは、その部分については、その出願を許可してはならない。」このようにもありますし、当然あそこは鉄塔があれだけ立っているわけですよ。そういう足元まで掘らしておる。その点については監督が不行き届きであったということをいまおっしゃっているわけですから、その点が非常にずさんだと思うのです。これは公益事業局長さんもきょうは来られておりますので、電気事業法においても百十五条の一項の違反の疑いもあるのではないかということです。これはまたいろいろな保安監督の点から見ても、ただ監督が不備であったということでは済まされない問題ですよ。政府のそういう欠陥行政というのがあまりにも目につき出したわけです。公益事業局長は、この点を電気事業法の面からどのように判断されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/86
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087・三宅幸夫
○三宅政府委員 罰則の適用に関する問題でございますので、慎重にお答えすべき問題だと思っております。事実認定については、当日相当の豪雨がございましたし、複合要因があるかないか、慎重に検討すべき問題であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/87
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088・近江巳記夫
○近江委員 これは鉱業法からいっても、六十四条には「鉱業権者は、鉄道、軌道、道路、水道、運河、港湾、河川、湖、沼、池、橋、堤防、ダム、かんがい排水施設、公園、墓地、学校、病院、図書館及びその他の公共の用に供する施設並びに建物の地表地下とも五十メートル以内の場所において鉱物を掘採するには、他の法令の規定によって許可又は認可を受けた場合を除き、管理庁又は管理人の承諾を得なければならない。但し、当該管理庁又は管理人は、正当な事由がなければ、その承諾を拒むことができない。」そうすると、鉄塔が倒れた。鉄塔と鉄塔の間はやはり採掘しているわけですね。そうすると、五十メートルのその線を入り込んできているわけです。こういうようなことが最初の施業計画の中に入っているのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/88
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089・久良知章悟
○久良知政府委員 監督の問題につきましては先ほど鉱山石炭局長からお答えがあっそわけでございますが、私ども鉱山保安監督部といたしましては、昭和四十五年の二月二十三日に巡回検査をいたしたわけでございます。そのときに、この鉱山といたしましては、試掘権から採掘権への転願の途中であったわけでございますが、鉱業を行なっておりましたので、鉱業権を持たずに鉱業を行なってはならないということ、それから採掘作業に使用しておるショベル、ブルドーザーを直ちに引き揚げること、それから採掘壁の高さが直立に近くて、崩壊の危険があるので、人が近づかないように立ち入り禁止のさく囲いをして警標を掲げるというような指示をいたしたわけでございます。そのときに転願、それから施業案についても早急に認可を受けるようにということを申しておるわけでございます。施業案が出てきたわけでございますが、そのときに、残念にも送電線についての記載が施業案の認可申請書に何らなかったわけでございます。認可にあたりまして、送電線に対する顧慮を欠いたというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/89
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090・近江巳記夫
○近江委員 送電線が書いてなかったというのは、申請をしたその人間の悪意か、あるいは忘れたのかどうか、知りませんよ。しかし政府には名古屋通産局というりっぱな地方の責任官庁があるわけですよ。当然そこには送電線があるという、そんなことがわからないというのは、実際何をしているかということですね。そして足元まで掘って、これは少しの雨でも降ればくずれるのはわかっているわけですよ。そういうずさんな監督をしておる。これでは国民の生命、財産を安心して政府に守ってもらうという気持ちが起きませんよ。これじゃ自衛手段を講ずるよりしようがないですよ。どなたが聞かれても、これはずさんきわまりないということがおわかりになると思うのです。そしてこれだけの被害を与えておる。しかも富山大学の教授などが調べに来ておりますが——藤井昭二教授、地質学専攻です。これはさらに復旧作業を早くしないと、地すべりを起こす可能性がきわめて強いと、二次災害をここで予告しておるわけです。近い将来起きる、そういうような心配も非常にたくさん出ているわけですね。
いまそういう政府のずさんな点を認められたわけですけれども、いま一連の経過あるいはそうした措置の不手ぎわということを聞いたわけですが、これからの対策はどのようにするんですか。これだけの損害も受けておりますし、今後の対策についてどのように具体的に考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/90
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091・久良知章悟
○久良知政府委員 鉱山の鉱害防止については、本年の重点事項として私ども努力を続けておるわけでございますが、本件の災害そのものが、やはり施業案の認可の際の問題、それから鉱業の操業にあたっての施業案の順守の監督をどうするかというふうな問題に主点があるわけでございますので、私ども、第一にはできるだけ予算、人員の使用を合理化いたしまして、やはり巡回の頻度を増していきたいと考えております。
それから二番目には、現在施業案の認可というものが書類審査で行なうたてまえになっておるわけでございますが、やはり鉱山によりましてはかなり問題があるわけでございますので、これも巡回——人員の合理化によりまして、必要のものにつきましてはできるだけ現地調査をやれるものからやっていきたいというふうに考えております。
それからいろいろな問題点につきましては、やはり監督部だけの情報では不十分な場合も予想されるわけでございますので、地元の自治体ともできるだけ連絡をとりまして、いろいろな問題点についての情報を得まして、それを施業案の認可または巡回監督のときに活用してまいりたい、そういうふうに考えております。要は、やはり監督を厳にすることにあるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/91
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092・近江巳記夫
○近江委員 いま損害補償とかその辺のところはあまり詳しくおっしゃらなかったのですが、私、やはりこの事故に対する認識がまだ非常に甘いから、その辺のところは責任をもった答弁が出ないんじゃないかと思うのです。
もう一ぺん逆戻りするようでえらい恐縮ですけれども、これは実際出した施業案どおりやっておったのですか、どうですか。その点をまず確認していきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/92
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093・久良知章悟
○久良知政府委員 施業案につきましては、二つの点で違反があったと考えておるわけでございます。
一つは、施業を許可いたしました区域についてでございます。許可をいたしました区域からしますと、送電線その他についてもかなりな離隔距離を置いて許可をいたしたわけでございます。その許可を越えて採掘を行なっておったということが一点でございます。
それから二番目は、この採掘にあたりましての傾斜の保持の問題でございます。崩壊防止のために、先ほども先生がおっしゃいましたように、一定の安全角度を保って採掘をし、採掘をやめるという内容になっておるわけでございますが、残壁の角度その他から見ますと、少なくとも残壁については施業案できめられておる角度よりもかなり急な角度になっておったということ。それから採掘の場合の角度がどうであったのかということについては、一応全部崩壊をいたしておりますので、現状でははっきりとはわかりかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/93
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094・近江巳記夫
○近江委員 それからまだあるんじゃないですか。採掘には、立ち会う保安統括者、そういうものはやはり当然いるわけです、おったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/94
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095・久良知章悟
○久良知政府委員 ただいま施業案についてのみ申しましたので、そのほかの違反についてはお答えを欠いたわけでございますが、先生がおっしゃいますように、保安統括者、それから係員の選任という点について違反があったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/95
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096・近江巳記夫
○近江委員 そういうように、ちょっちょっと私が一、二点聞いても、ぼつぼつあとで答える。そういうひた隠しに隠すというような姿勢では、政府はよくないですよ。やはりあったことについては痛切な反省をして、起きたことは起きたことで、今後どうしていくかという謙虚さがなかったらいかぬと思うのです。そういう点、聞かれてから答えるという姿勢ではよくないと思うのです。私も全部は知らないけれども、大体のことは質問する以上は調査もして発言しておるわけです。
稻村政務次官は、現地のほうも行かれたわけですが、いまお聞きのように、そういうような欠陥点を局長がいまはっきりと答弁されたわけです。今回のこういう件については、非常に全国的にも心配される点があるわけですね。政府の最高責任者として、政務次官はどのように今回の件を反省され、また今後に対して決意されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/96
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097・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 近江さんから現地へ行ってきたのじゃないかということですが、実はやむを得ない理由があって現地には参っておりませんが、ただ、監督あるいは指導の不行き届きでこういった事故が発生をしたということは、たいへん遺憾なことであると思います。
ただ、いろいろ考えてみますと、鉱業権者にいままで事務的に、あえていろいろ権限を与えておったということのようでございますが、今度の共同開発ですか、この会社等を見てみますと、資産内容にいたしましても、あるいは本人のいろいろな状態等を見ましても、こういう災害復旧に対処して復旧処置をとれるだけの本人の実力がない。そういう意味合いから、今後鉱業法等の改正等々もやはり前向きに考えて、そして万遺憾なきように処さなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/97
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098・近江巳記夫
○近江委員 いま政務次官は、鉱業法の改正等も考えるということをおっしゃって、それで含まれるわけですけれども、もう少し私も申し上げさせてもらいたいと思うのです。
こういう、言うならば人災、無責任な鉱山保安、こういうことによって結局泣きを見るのは住民である。今回のこの件についても、損害賠償は一体どうやってくれるのだ、こういう点が今後残ってくるわけです。また、こういう事故を二度と起こさないという点から、やはりあらゆる法体系、あるいはまた全国的なすでに開発されておるそういうところの総点検、それに対する適切な処置、あらゆる点をやっていかなければならぬわけであります。そういう点、住民が結局は泣き寝入りをしなければならぬというような状態になってはまずいと思います。こういう点、政府としては十分配慮していただかなくちゃ困ると思うのです。この点は十分考えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/98
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099・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 お説のとおりですが、今度の件に限っては、もちろん墓場それから山林、豚、農地と、たいへん大きな被害の額になると思いますが、墓場のほうについては、市のあっせんでこれは着々と進めておる。また河川の問題についても進めておるわけですが、土砂くずれ——その土砂が、こういうことを言ってはたいへんどうかと思うのですが、販売ができるというような関係から、多少あとの補償、復旧に対しては役立っていくのではないか。その他の件については、建設、農林等々に働きかけまして、やはり地元側に対してできるだけのことをしなければならぬ、こういうふうに考えております。
また、最後の問題ですが、これは総点検の問題ですが、百数十カ所現在許可を与えてあるところがあるわけです。こういう問題については、監督局長みずからこれに対する再点検を行なっております。また、二度と再び他の問題についてもこういうことが発生をしないようにと、厳に戒めてあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/99
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100・近江巳記夫
○近江委員 そのように、業者に力がない場合損害賠償をどうするかという点も、この法令からいけば一この法令だって昭和二十六年の一月発効ですね。すでに二十年経過しておるわけです。さらに、こういう国土の開発ということがやはり進んでいく、政府としても今後は公共事業に力を入れていく、そうなってくれば土砂は当然要りますし、こういう石灰石も要る。ますます開発は進みこそすれ、少なくなることはないわけです。そういう時点において、こういう法令のままでいいかという問題です。それは、いま政務次官は法改正ということをおっしゃったわけですが、その中で、さらにもう一点考えなければならぬことは、現実にこれは鉱業法に鉱物ということで入っているわけです。ところが、現実にこの石灰石は、ほとんど埋め立てに使われておるわけですね。そういう点からいった場合、すでに採石法等があって、これは都道府県に権限が委譲されておるわけです。ただ、種類が鉱物だというだけでこういう鉱業法の適用になる、採石法の適用にはならぬ。そういった矛盾点が出てきておるわけです。当然そういう点も加味して、そして法改正の中に織り込んでいく、こういうことが大事じゃないかと思うのです。そういう点についてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/100
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101・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 これはお説のとおりでございますから、そういう点も考えてひとつ前向きに検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/101
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102・近江巳記夫
○近江委員 きょうは私もほかにいろいろとやりたい点もあったのですが、あと各委員がおりますので、私はこの一点だけを質問して終わらしてもらいますが、これはいずれにしても、こうした法律があっても、その法自体が不備である。現状に合わない状態になってきておる。しかもまた、その運用、監督等においても、そういう事故が起きてから初めて気がつく。こういうように世の中が急速に変わってきておりますし、多様化してきておる。そういう点であれば、当然そこのところにおいては硬直化した姿勢で政府が対処していくならば、なかなかスムーズにはいかない。したがって、適切に法の改正あるいは運用、そういうことにもっと現状をよく認識してやっていかなければ、さらにこういう事故が多発していくというおそれが十分にあるわけです。そういう点、起きたことはしかたありませんけれども、もう二度とこういうばかげた事故を起こさないように、関係各省えりを正して今後真剣に取り組んでいただきたい、この点を特に要望いたしておきます。最後に政務次官の最高責任者としての決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/102
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103・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 お説のとおり、十二分に考慮いたしまして前向きに検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/103
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104・進藤一馬
○進藤委員長代理 松尾信人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/104
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105・松尾信人
○松尾(信)委員 きょうは石油関係で三点ほどお尋ねしていきたいと思います。
最初は石油の価格の問題でありますが、先般OPECの値上げがございましたね。これで結局国際石油資本から日本はその値上げ分を転嫁されておりますが、累計大体どのくらいの金額になったかという問題が一つ。そして、そのOPECの値上げ分がどのように石油の価格に響いてきたか、これを最初に聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/105
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106・莊清
○莊政府委員 OPECの値上げの影響でございますが、原油の値上がりの関係と、それから一部製品の輸入がございますので、合計いたしまして約二千六百億円の価格の上昇というものがわが国にとって負担になってまいったと思っております。
これと最近におきます円の実勢の切り上がりによる値下がり分とか、あるいは為替の差益というものを調整して比べてみました場合、結局石油産業全体としては六百億強のかかえ込みの状態になっておる。大まかに申しましてそういう状況になっておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/106
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107・松尾信人
○松尾(信)委員 円の変動相場の問題はあと回しにしまして、いまおっしゃった二千六百億円というものがどのように石油価格に響いてきたか、これをまずおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/107
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108・莊清
○莊政府委員 現状においては二千六百億のものがそのまま価格に反映しておるという状況では全然ございません。原油の値段がOPECで値上がりいたしましたので、企業としても当然まず合理化の努力ということは通産省としても要請いたしましたし、企業もつとめておるわけでございますけれども、ある程度の販売価格の引き上げということはどういたしましても避けられないわけでございますが、先ほど申し上げました二千六百億というものに対しまして、半分弱の千二百億程度のものは現在までに実現いたしました値上げでいわば回収されるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/108
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109・松尾信人
○松尾(信)委員 そうしますと、二千六百億の中で千二百億が製品の値上げになった、残り千四百億円というのはそれぞれがかかえ込みだ、こういうことになるわけですね。そうしますと、値上げというものは千二百億円の分にになされておって、残りは値上げがされていない、こういうことなんですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/109
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110・莊清
○莊政府委員 一応そのとおりでございます。値上げされてない分が約千四百億円残っておるということでございますが、先ほどちょっと触れさせていただきましたように、その後円の相場が切り上がって推移しております。その関係との差し引きがございますので、千四百億全部がいわゆる未回収分というふうには私どもは考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/110
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111・松尾信人
○松尾(信)委員 では、それは一応そこで理解しましょう。
次は、また最近でありますけれども、国際石油資本の中でスタンダードとかモービル、これが、日本の提携先である系列会社である東亜燃料工業に対しまして、また値上げを要求してきているというようなことでありますけれども、これは事実かどうか。そして、事実とすればそれは経過はいまどのようになっておるか、これを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/111
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112・莊清
○莊政府委員 事実でございます。十月の初めに一バーレル当たり、油の種類によっていろいろでございますけれども、五セントないし十セント、円に直して申し上げますと、一キロリットル当たりで百二、三十円から二百二、三十円というふうないろいろな幅がございますが、値上げをしたいという通告があったことは事実でございます。ただし、これはまだそれぞれの資本を出しております子会社に対して内々の通告があっただけでございまして、値上げはまだ決定いたしておりません。そのほか、日本には民族系の石油精製会社が約半分ございますけれども、そのほうも輸入はいたしておりますけれども、民族系会社に対しましてはそのような値上げの話はまだ全然持ち込まれておりません。外資系の会社についても値上げはまだ実施をされておらないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/112
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113・松尾信人
○松尾(信)委員 その値上げが実施されていないということでありますけれども、そのように価格を上げたい、値上げを認めてくれと言うてくるわけでありますけれども——値上げを認めてくれと言うてくるかどうか……、そういうときには、通産省としてはまん中に立ってどんなことがやれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/113
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114・莊清
○莊政府委員 今回のモービルオイル等の値上げの問題でございますけれども、主として中東地方から日本に輸出しております軽い石油でございまして硫黄分の少ない軽質油を値上げしようというものでございます。これは昨今の事情で、ヨーロッパも、アフリカ南端を回りましてそのような原油を輸入するという動きが非常に強まってまいっております。日本でも公害防止等の関係からその種の原油の輸入需要等が非常に強うございますので、最近世界的に需給が逼迫しておるという事情を多分に反映したものだというふうに通産省としても判断はいたしております。ただ、現在OPECの値上げが非常に大幅にございまして、それにつれまして石油精製会社もまだかなりの負担を残しておる、それから国内の石油製品もこういう経済情勢のもとである程度の値上がりというものは避けられなかったという非常に困難な事情にわが国としては両面においてあるわけでございますから、私どもといたしましては、国際石油資本もその程度の需給の逼迫ということを理由に、日本に進出しておる子会社に対して直ちにそういう値上げを強く実現してくるということはやはり問題ではないか。でき得るならば、そういうことは両者の話し合いによりまして、この際にはできるだけひとつ延ばすなり、あるいはやむを得ない値上げでも極力それを小幅にするなり、それは親会社と日本の子会社の間でさらにもっと十分に突っ込んでぜひ検討すべきである、こういう立場からものを申しておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/114
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115・松尾信人
○松尾(信)委員 そうしますと、結局そういう値上がりの分については、通産としましては、まあ行政的な介入以外にできない、それも強い行政介入はできない、大勢というものが自然と価格というものを決定していくんだ、このように理解するわけです。そうしますと、またドルの価格が下がってまいりまして、新たにOPECのほうから値上げをしたいというような意向が非常に強く出ておりますが、この問題につきましても結局力関係というか、買わなくちゃできないという日本の立場からいえば、どのようにやっていくというやり方というものはないわけですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/115
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116・莊清
○莊政府委員 先生御指摘の問題、わが国にとって非常に重大かつ困難な問題であると存じます。九九・五%の原油を輸入し、しかもそのうち九〇%というものはOPEC諸国が押えておる油をいわゆる国際石油資本が取得いたしましてそれを日本に輸出しておる、こういう状況のもとにあるわけでございますから、今後もやはりOPECとしては、国民所得の向上を最も端的に実現できる一つの手段として、年々値上げということはすでに宣言をいたしておるわけでございまするし、メージャーズの石油資本のほうも、これまたいずれも世界的な大企業で、現在においてはすべてのおもな油田を一手に押えている、こういう状況でございますから、われわれ日本だけではございませんで、フランスとかドイツとかイタリアとか、原油を大量に消費する輸入国、先進工業国というのは、御指摘のような苦しい実情に、すべて共通の立場に立っておるということが根本的には問題だろうと存じます。したがいまして、私どもは当面これら外からの圧力が、理不尽な不当な圧力と考えざるを得ない場合には、国益を主張すべきであることは申すまでもございませんけれども、ただ世界の原油の需給価格というのは、遺憾ながら当分強含みに推移せざるを得ないであろうというふうに考えます。したがいまして、わが国といたしましても、今後は、相当国力もあるわけでございますから、石油を単に輸入するだけでなくて、進んで原油の開発に協力もするし、みずから参加もするということを基本に、強力な政策をやっていくということが、やはり長期的に見て中心になろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/116
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117・松尾信人
○松尾(信)委員 そうすると、国際的に日本の発言力を強化していく方法をとるということに尽きるようでありますが、なかなか石油化学というものは、日本のほうでどうする、こうするというようなことが指導的にできない問題がたくさんありますね。でありますから、結局いろいろの、やれOPECだとかメージャーズとか、そういう騒ぎがおさまったあとでは、いつの間にか値段が上がってきている。私もそれでいま質問するわけでありますけれども、今回いよいよ為替変動相場で油は安くなったはずでありますが、どのくらいそれで安くなったかということですね。それはどのくらいということは見当をつけていらっしゃるだろうけれども、その分が消費者に少しも還元されない。そして結局、いままで転嫁することのできないかぶりの部分をなしくずし、その分はかぶりがそれだけ減る。こういうふうな、あなたが先ほど答えようとしておられたと思うのですけれども、そのドルの価格の低下ということでどのくらい原油価格というものが安くなってくるものかということですね。それを消費者には少しも均てんできないのかと、こういう問題、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/117
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118・莊清
○莊政府委員 先ほど二千六百億円ほどの値上げ要因を海外から日本は一方的に押しつけられたということを申し上げまして、そのうちやむを得ない国内の値上げという形で千二百億値上げをせざるを得なかったということを申し上げました。したがいまして、石油精製会社は現在のところ二千六百億と千二百億の差額千四百億円ほどは、結局原料高の製品安ということでおったわけでございます。それと同時に、ただいま先生御指摘ございました最近の為替の変動によりまして、片や為替の差益というものが石油製精会社において発生しておることは事実でございます。これを八月以降の為替の変動幅の実績とそれから今後の年度内の見通しとをもちまして概算してみますると、合わせて大体千億ちょっと、千百億弱程度の差益が年度内に発生をするであろうというふうに私どもは見ております。したがいまして、その千億の値下げを国内において今後行ない得るかという点でございますけれども、先ほど申し上げましたように、残念ながら約千四百億程度のものは、原料高の製品安という形で石油精製企業がかぶっておる。その精製産業の赤字のかぶりが、為替の差益の千億円分だけかろうじて——為替変動があったために、千四百億かぶるところが、千億程度は何とか済んだ、残りは四百億程度のかかえ込みで済んだという程度に相なった程度でございまして、積極的に消費者の方に還元を申し上げるということが遺憾ながらできないという状況になっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/118
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119・松尾信人
○松尾(信)委員 経緯はわかりました。そうしますと、結局いろいろのOPECの問題、またメージャーズの値上げの問題、今後いろいろそういうことが起こってきますけれども、結局ある期間は精製業者等がそれをかぶり、値上げができない。値上げのできる部分は値上げしておる、値上げのできない部分については自分がしんぼうしてかぶっておる、こういうことでありますね。そうしますと、灯油についてちょっと一言聞きますけれども、灯油についていま価格の方向を何か行政指導しておられるかどうか。行政指導するならば、どういう理由で行政指導しておるのか、この点を一つ聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/119
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120・莊清
○莊政府委員 灯油につきましても、原料が高くなったわけでございますから、何がしかの国内の値上げということは、本来ならばその限りでやむを得ないわけでございます。ただし通産省といたしましては、数ある石油製品の中でも、最近灯油が、家庭用の暖房用燃料として他のガスとか電力とかそういうものをはるかにしのぎまして非常に重要な地位になってきておるという面がございます。またその他の石油製品がやはり値上げをしたということは、ある程度全般の物価によって吸収されていくというふうなことも多々あるわけでございますから、せめてこの灯油というものにつきましては、直接これが家庭の経費の負担にならないようにということを考えまして、昨年の水準以下におさめるようにということを、行政指導という形で精製業界に対して強く要請をし、協力を得まして、現在その線で進んでおるということでございます。これは法的根拠は特にあるわけではございませんが、通産省として、所管産業に対する一般的な指導という形から、現在の諸般の情勢を総合勘案いたしまして、政策として決定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/120
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121・松尾信人
○松尾(信)委員 いま灯油について行政指導を非常に推進しておる、これでよく私は納得するわけでありますけれども、灯油というのが、家庭の暖房、厨房用として非常に大きな需要がありまするし、その需要量も非常に増大をしております。当然でありますけれども、なおガソリンにしましても、自動車の台数が、四十五年の九月末一千七百万台、これが五十年には三千万台をこえるだろう。こういうのはすべてガソリンで走っておるわけでありますから、このガソリンの値上げがすなわちいろいろのものに影響してくるわけであります。それから軽油も同じような関係があります。重油も一緒です。家庭で一番消費されておるのは灯油でありますけれども、やはりこの灯油がいま、電気、ガスのように非常に大切だ。準公共的なものに育って、準公共的なものの性質を持っておるわけですね。でありますから、私は、どうしても石油というものは、いまのような値上がりがどうしようもないんだというものでなくなって、何かここには政策的にも考えていくべきじゃなかろうか。灯油でできることだったら、ほかのものもできるんじゃないか。単なる行政指導でございますれば、灯油もやがて、被らが意思を固めて、もう通産の言うことは聞けませんということになれば、これも値上げになっていくわけでありまして、歯どめというものが、公共料金については一応ありますけれども、石油類については全然ない。こういうことはだんだんふえていく。この実態からいえば、準公共料金並みに何か政府としても施策を考えていくべきじゃないか。どうしようもない値上げの分については調整措置、そういうところまで考えていくべきじゃないか。私は何も、大企業のかぶりをそういうものでどうしろこうしろというんじゃありません。それが消費者に回り回って、結局はいつの間にか還元されて、値段が高くなってくる。これを物価の問題から見まして、何かそういうやむを得ないものは、しばらくでもがんばって据え置くというような措置がやはり必要じゃないか、このように思うのです。いままで価格の点でいろいろお話を聞いてまいりましたけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/121
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122・莊清
○莊政府委員 わが国の石油製品の価格と申しますものは、不幸にしてわが国がほとんど全量の原油を海外から輸入せざるを得ないという実情と、しかもその輸出の環境というものが完全に売り手市場化しつつあるというふうなところから、どうしても、世界の石油事情というものを離れまして日本だけが石油製品が安いということには、今後もなかなかまいらないと思います。ただ、御指摘のとおり、石油製品というものはすべて重要、基礎物資の中でもとりわけ重要な物資でございますし、国民生活にもまた直結しております。そこで、現在の石油業法でも、価格の不当な高騰というものは絶対避けなくちゃならないという立場は明らかにしておりまして、そういう場合には、通産大臣が、そういう不当な値上げを防止するという見地から標準価格というものを、コストなり世界の相場なりというものを基準に算定いたしまして、それを告示して行政指導のよすがにする。これを告示することによりまして、当然それ以上の価格での販売というものは政府としても是認をしていない、ユーザーのほうもみんなそれを基準に買うことになるというふうな、ゆるい形ではございますけれども、ほかの物資と違いましてそういう制度を設けておるわけでございます。今回のOPECに伴う製品の値上がりにつきましては、これはコストによる値上がり分の半分くらいの値上がりという状態でございまして、もちろん、不当な値上がりというふうなことはいかなる点からもないというふうにわれわれは見ておりますけれども、やはり灯油でありますとか、こういう家庭生活に直結したような基礎物資というものにつきましては、御指摘のように今後も政府として十分監視もし、指導もするということを堅持いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/122
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123・松尾信人
○松尾(信)委員 石油業法の十五条ですね、これは不当なる価格の上下でありまして、やむを得ない、やむを得ないといって、私がいままでお話ししたようなことは、この十五条の適用には該当しないわけですね。でありますから、要するに、いつの間にやら上がっていく。そしてそれが国民の生活に密着している石油製品でありますから、何かそこに、十五条以外の何かの措置を考えていくべきであろう、こういう点を、もう一回はっきり答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/123
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124・莊清
○莊政府委員 世界の各国、いろいろな石油政策を実はとっておりますが、その中で一つフランスは、これはもうエネルギー関係をほとんど国有化しておる国でございまして、フランスでは、たとえば石油につきましても、もう全面統制、営業から設備の増設から輸出入業務、小売り店まで全部許可制になっておりますし、価格はマル公制というふうなことをやっております。ドイツはドイツで、お国柄で、石油製品価格についてはカルテル価格を業者に認めておる。いろいろなあれがございますが、いずれの国にとりましても石油製品というものが不可欠の物資であることは共通でございます。わが国の場合には、石油製品の価格といいますのは、諸外国に比べまして、現在のところでは、実は最終消費者価格は、ガソリンから重油、いずれをとりましても、これは課税の関係もございますけれども、幸いにして先進諸国の中では低水準にございます。こういう状況というものは、できればこの基調というものは維持されるということが、経済全般にとりましても、また国民生活にとりましても望ましいことであるということは私ども考えておりますけれども、そうかと申しまして、やはりある程度原料の値上がりによるやむを得ざる製品の値上がりと、合理的な範囲の値上がりというものは避け得ないところでございまして、私どもも、その範囲にとどまっておるかどうかということは通産省として今後とも十分に目を光らしていかなくちゃいけないと思っております。灯油等も含めまして、そういう点につきましては十分に注意したいと思いますが、フランス式の、たとえば公定価格制度というふうなものは、これはもう国のエネルギー政策あるいは経済政策全般に対する国の関与のあり方という基本にも触れる問題でございまして、現在石油について直ちにそういう政策が日本の実態からいって適当であるかどうか、必ずしもそうは思っておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/124
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125・松尾信人
○松尾(信)委員 なお今後しっかり考えてください。
次に石油の備蓄の問題。現在、日本の備蓄量ですが、これはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/125
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126・莊清
○莊政府委員 現在わが国の備蓄量は、原油で使用量の約二十日分、それから石油製品が二十五日分、合わせて四十五日分程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/126
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127・松尾信人
○松尾(信)委員 先般総理もこの委員会に出られまして、この備蓄の問題につきましては、これは大いにふやしていかないと相ならぬ、こういうお話がありました。その後いろいろ、鋭意これは政府としても検討されておると思いますけれども、その後の備蓄量をふやすという問題につきまして、どのようにそれが進展しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/127
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128・莊清
○莊政府委員 通産省といたしましては、とりあえず向こう三カ年間で、原油につきまして、現在二十日の水準を十五日分積み上げまして三十五日分の原油のストックを早急に持つようにいたしたいと考えております。そのため、現在通産省が予算要求しております石油特別会計の資金をこの際使いまして、十五日分の原油の積み増しに伴う石油精製業界の負担増というものに対して助成をいたします、こういう考え方で現在予算を要求しておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/128
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129・松尾信人
○松尾(信)委員 すると、六十日分にするわけですね。それは、現在四十五日分であるから、十五日分ふやさなければいけないが、それを原油でふやす、そういうことですね。それを四十七年度から三カ年で実現するわけでしょう。そうすると、年のふえ方は五日分になるわけですね。原油として五日分ふやしていく。それが三カ年計画で六十日になるのだ。そうしますと、この備蓄のための十五日の増加でどのくらいの量がふえていくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/129
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130・莊清
○莊政府委員 年々の消費量がふえてまいりますので、当然に一日分というものも年々増加をいたします。こまかい計算は省略させていただきますが、三カ年間で、四十九年について申し上げますと、一日当たりの消費量というものは四十九年度の下期で約百万キロリットルが一日の消費量ということになります。これは大体六十五万キロリットル程度の水準が、来年度四十七年度当初の水準であると考えられますので、六十五万から百万キロまで一日分の消費量がふえるということでございます。したがいまして、四十九年ではこの百万キロリットルの十五日分、千五百万キロリットルというものが現在の備蓄に対する完全な上積みとして必要となる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/130
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131・松尾信人
○松尾(信)委員 そうしますと、この備蓄の増加というのは、結局タンクを新たにつくってそれに収容するわけですか。それと、備蓄をふやすという場合に、それは精製業者に対してふやさせていくのか、輸入業者に対してふやさせていくのか、こういう点を簡単でいいですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/131
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132・莊清
○莊政府委員 石油精製業者が自己の石油精製工場内のタンク、あるいは最近ではCTS等もつくられておりますが、そういうところに精製業者が貯油をいたしております。したがいまして、精製業者がタンクを手当てをする、それから十五日分の原油代も石油精製業者がよけいにランニングの運転資金として常時負担するということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/132
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133・松尾信人
○松尾(信)委員 年々五日分ずつふえていくわけですからね。石油精製業者のこの増設、これは将来十五日分になるわけでありますけれども、現在の石油精製業者の規模、それで拡張の余地があるかどうかという問題です。十五日分ですからね、三年で。ですから、それはあなたのほうでは、現在の精製業者がその部分くらいの拡張をする余地は持っている、このような認識ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/133
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134・莊清
○莊政府委員 土地は、大体の精製業者が現在持っておるので間に合う。一部足りない部分につきましては、すでに各精製業者が個々にあるいは資本グループごとに新しい土地の手配を始めておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/134
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135・松尾信人
○松尾(信)委員 すると、原則は自分のいま持っておる土地、どうしてもだめなものはどこか求める。そうしますと、結局相当の油も買わなくちゃできないし、タンクもつくらぬとできぬ。備蓄に伴ってどのくらいの全体的な経費増であるか。それを何によって、その資金調達はどうしてやっていくのか。いま一言、石油特別会計のような話がありましたけれども、その石油特別会計というものの目的、内容、こういうものをあわせて説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/135
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136・莊清
○莊政府委員 備蓄に要しますコストでございますけれども、原油が千五百万キロリットル分だけ、現在の備蓄水準よりも純粋の積み増しになりますので、これの価格が大体七、八百億円かかるということのほかに、タンクの増設関係の設備投資等が約四千億円程度新規に必要と相なると考えております。こういう設備投資なりあるいは原油代の運転資金というものにつきましては、設備投資の関係につきましては、現在でも石油精製企業のタンクの増設につきましては開銀融資が一部行なわれておりますが、今後は備蓄の増強という見地からこれに対する融資を手厚く行なうという線で、開銀融資計画を現在来年度の予算として要求いたしております。
それから、運転資金に相当いたします原油代の増加分でございますが、これは開発銀行からは運転資金の融資は現在制度としてもございませんので、御指摘のありました石油特別会計が新設の暁には、この石油特別会計から長期低利の形で石油精製企業に貸し付けをする。そして、企業の負担増が製品の価格増、備蓄の増強が製品の価格へのはね返りということを極力避けるということを基本に考えておるわけでございます。
それから、石油特別会計そのものでございますが、簡単に申し上げますと、第一に考えておりますのは、備蓄はいま申し上げましたが、石油の開発の促進、このために必要な金をこの特別会計から石油開発公団を通じまして民間の石油開発を行なう企業に、巨大なリスクを伴いますので、出資の形なりあるいは長期低利の融資の形でこれを流していこう、これによって日本の自主的な石油開発を画期的に推進しようということが、備蓄と並びましてもう一本の大きな政策目的でございます。
このほかに私どもといたしましては、最近国内の石油製品の輸送が、特に過密地帯においては国鉄線も満員である、あるいは道路もタンクローリーで非常にもうあふれておるというふうな状態を、欧米並みのパイプラインという近代的な輸送方式に今後は変えていく必要がある。そのためのパイプラインの布設に必要な資金につきましても、できれば一部この特別会計の金が使えるようにという点も現在財政当局に要求として提出しておるわけでございます。(松尾(信)委員「四十七年度をおっしゃってください」と呼ぶ)
それでは、そのうち四十七年度の要求額でございますが、探鉱開発関係の資金約四百億程度を含めまして現在六百億の予算要求を特別会計について行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/136
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137・松尾信人
○松尾(信)委員 大体備蓄関係はわかりました。問題は結局大蔵省でありますけれども、いままでの感触でどうですか、これは。文句なく通りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/137
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138・莊清
○莊政府委員 予算でございますから、なかなかそう文句なく通していただけるとも思いませんですが、実はこの石油開発の問題はきわめて重要な国家的な要請でございますので、財政当局におかれても財政制度審議会に特に資源部会というものを今回設けられまして、この石油特別会計の問題について夏以来鋭意御審議をいただいておったわけでございます。その答申はまだ承知いたしておりませんけれども、私どもの内々知り得たところによりますと、やはりこの際に原重油関税をもって安定財源として、四十七年度以降こういう石油開発の特別会計というものの設置に踏み切ることが適当ではないかという御趣旨での審議が最近煮詰まっておる、かように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/138
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139・松尾信人
○松尾(信)委員 煮詰まっているというんじゃなくて、これはどうしてもやらなくちゃいけないですね。総理がここで言明した問題でありますね、まず備蓄は。それから自主開発の問題も、これは当然国家的な問題でありまするし、あたりまえのことでありますから、これはもう強く要求して必ず通すべきである。決心を固めてくださいよ。いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/139
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140・莊清
○莊政府委員 たいへん国家的に重要な政策であると存じますので、通産省といたしましても今後全力をふるってこの制度の確立に邁進する所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/140
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141・松尾信人
○松尾(信)委員 では今度は石油の精製問題でありますけれども、いま言ったように、油の輸入は、備蓄もふるえこともありますけれども、総体的にやがて現在の二億キロリットルから七億キロリットルになる。五十年を見ましても、相当いまから先にふえてまいりますが、消費量の増加というものはすなわち精製量の増加ということになるわけでありましょう。そうしますと石油精製というものを、今後毎年きちっと消費の増加に見合う精製能力の増加、これが表裏一体になっていますね。でありますから、やがてこのタンクをまたうんとつくっていかないとできないというわけでありますが、もう石油の精製基地が現在のところ行き詰まっているんじゃないか。どういう点で行き詰まっているかというと、もう新たな余地がないということですね。それから非常に航路がふくそうしておる。大きなタンカーが入るような港もないということで、新たな石油基地をさがしていく、こういうことがいまなされておるんじゃないかと私は想像するわけでありますけれども、今後このふえていく精製すべき量ですね、それに対して、精製基地の問題でありますけれども、どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/141
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142・莊清
○莊政府委員 備蓄の増強等に伴います製油所の用地の増加あるいは公害防止の国家的な要請といろいろ要因がございまして、私ども通産省としましても、既存の過密地帯で従来は主として石油精製企業の立地が行なわれてまいりましたが、今後は特にやはり石油精製工場につきましても地方に分散をする。たとえば北海道におきましても、苫小牧東の大規模な工業基地の計画があるとか、あるいは青森にもある、あるいは志布志湾にもある、こういうことでございます。そのほか既存の石油精製基地につきましても、過密地帯以外のところで、最近立地をいたしましたところで、まだかなりの余地を残しておるところもございますので、今後は主としてそういうところに重点を置いて地方に立地を分散すると同時に、あらかじめ公害関係の防止施設も最新式のものを整備していく、こういうことで極力国内の残された土地というものは有効に活用するということで、国内の需要を当分の間はまかなっていく、こういう政策でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/142
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143・松尾信人
○松尾(信)委員 でありますから、いよいよ基地として行き詰まってさがしていくわけでありますけれども、それで、ここに精製基地を持ってくるといわれているところがいま非常に不安にさらされておるわけですよ。もうそこは漁業の大きな基地でもありまするし、長崎県でいえば崎戸地帯でありますけれども、ここはもう残された唯一の漁場なんですね。そこへ日本でも有数な石油精製の基地をつくるということで、これは漁民の死活に関する問題であるということで非常に地元で騒いでおりますが、片方は国策的な見地からどうしてもふやしていかなければいけないし、今度は基地の予定地は、そういう公害の問題で、死活の問題で補償の問題じゃない、こう言っております。でありますから、どうしてもこれは石油をつくって精製する以上は、無公害の、公害のない石油精製をしていくという一つの基本姿勢はいまはっきりされなくちゃいけない。そういう研究と申しますか、そういう面はどうであるかというのが一点ですよ。
それから、きょうも緊急質問が本会議でなされましたとおりに、大型タンカーがそういうところに出入りしますと、必ず事故が起こります。それでその対策としましても、きょうの総理以下の答えを見ましても、いまからやっていくということでなかなか間に合いませんが、そういう問題をやはりきちっとしていった上の石油審議会の審議と、そして地域の人々に対して安心を与えるということですね。補償すればいいんだという問題ではなくて、公害を出さないということ、それからタンカー事故なんか出さないということですね。こういう問題を真剣に考えて、そうしてタンカー事故は必ず起こる。起こるとした上の対策というものを重要港湾のみならず、この主要な石油精製基地を守るということで、広範にこの対策を立てていかなくちゃいかぬのじゃないか、このように思うわけですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/143
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144・莊清
○莊政府委員 公害のない石油精製立地という御指摘でございますが、当然に私どももそうなければならないと存じております。現在石油精製工場の増設あるいは新設の許可は、御案内のとおり石油業法で許可制になっておりますが、許可をするにあたりましては、石油審議会におきまして慎重な御審議をいただきますが、その石油審議会がおきめになっております許可の運用基準というものの中にも、はっきりと地元の円満な了解がなければいけないということがうたわれておるわけでございまして、いかなる場所、いかなる土地の新増設の場合にも、現在通産省としてはこの線を尊重して、地元と事前に十分御相談の上、運営をいたしておるわけでございます。それから公害も理想としてはあくまで無公害のものを目標にすべきじゃないかという御指摘でございますが、通産省としてもこの点はまことに御指摘のとおりであると考えております。今後石油精製企業というのは、特に技術の改善に努力いたしましたならば、これは公害をほとんど出さないといいますか、そのことがもう技術的に可能なはずであるという考えに立ちまして、来年度も無公害製油所の問題についての徹底的な総合研究をする、検討をするということで、予算要求も実は通産省としていたしておるわけでございます。
それから、その際に無公害の中には当然に御指摘のタンカー等の油の問題というのがございます。事前の予防ということがまず根本であると思いまして、これはタンカー自体の問題もございますけれども、精製工場自体におきましても相当大量の貯油をいたしますし、大量の製品の積み出しもあるわけでございますから、その関係の設備についてはさらにこの無公害製油所の概念の中にそういう場合の油濁もないということも含めまして、徹底的に検討し、実施をするという考えでおります。そういうことでございまして、新規立地にあたってだけではなくして、既存の製油所についても今後は徹底的な技術開発をやり、それを実用化して無公害のものにかえていく、こういう考え方で進みたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/144
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145・松尾信人
○松尾(信)委員 最後に次官に聞きますけれども、いままでいろいろ質疑をかわしてきましたとおりに、油の需要量はふえてきます。それで、それを日本で精製しなくちゃいかぬわけです。現在の精製しておる場所はもう手狭であり、港湾もふくそうしておりますので、どこかに新しくさがさなければいかぬわけですが、そういうさがされておる候補地では大きな不安があるわけですよ。心配ですよ。それはもっぱら公害の問題であります。でありますから、いま局長は公害のない石油精製基地をつくるように鋭意努力しておる、このようなお話でもありましたし、きょう本会議で次官もあのようにお聞ききのとおり、タンカーという問題がどうしても避けがたい問題でありまするので、そういうことも含めて、やはり石油精製基地を今後設置する場合には、あらゆる意味を含めて現地の納得——といいますけれども、県庁等はある程度のところで持ってくるわけですよ、納得できましたとかいって。現地は現地で、やれ補償金もらうんだといってがんばっているわけでありますけれども、私は補償の問題じゃないというわけですよ。どうしても水産資源の根本の問題がありまするし、また重大な生命に関する問題でありまするから、ほんとうにこれは腹をきめて、いまから先の日本の石油精製というものはきちっときめていかなくちゃ相ならぬ、こう思うわけです。いままで約一時間局長と押し問答してきておりますけれども、最後の仕上げというかそれをひとつ次官からきちっと聞いて終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/145
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146・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 再三局長が答えたとおりでございますが、問題はやはり過密地帯に精製所を置くということは、交通問題あるいは公害問題等々にたいへん大きな障害を残すと思います。そういう意味合いから地域に分散をする。これはお説のとおり地元の協力というか、地元の反対があっては可能なわけじゃございませんから、地元対策を特に考えまして、地域分散、特に公害に対しましてはたいへん技術も進歩をいたしておりますし、特にこういう問題については特段の留意をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/146
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147・松尾信人
○松尾(信)委員 特段の留意じゃなくて、ほんとうにその決意できちっとやってもらわないと、そういうことでは基地が設けられようとするところは、地域住民はあなたのいまの答えでは納得できませんよ。ほんとうに責任をもってそういうことをやる、安心してくれ、このくらいにならぬと、これはちょっとむずかしい問題が残ってくる。もう一回念のため申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/147
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148・稻村佐近四郎
○稻村(佐)政府委員 お説のとおりでございますので、真剣に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/148
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149・進藤一馬
○進藤委員長代理 岡本富夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/149
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150・岡本富夫
○岡本委員 年末になりまして、すでにドル・ショックあるいはいろんな問題で一番これから困るのが中小企業でありますが、まず中小企業の融資対策として、明確にひとつ中小企業庁長官から答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/150
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151・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 年末金融につきましては、四十六年度当初計画で一兆一千八百二十五億円の計画でございましたが、七月に二百六十五億円、九月に一千五百億円、そして年末金融対策として一千八百八十億円の貸し出し規模をそれぞれ追加いたしまして、当面の資金需要に対処しているところでございます。この政府関係中小企業金融三機関のほかに、市中金融機関に対しましても、越年資金を中心としまして中小企業の資金需要に対処するために、年末金融対策として一兆八千九百億円の貸し出し増の目標額が設定されました。この目標額が十分消化されますように、今後とも関係金融機関に対して協力を要請し、努力を続けていく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/151
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152・岡本富夫
○岡本委員 大蔵省来てますね——中小企業庁のほうで、当委員会でやかましく言ってこういった予算を計上しましても、結局必要なところに金が出ない、そういう事例がたくさんあるわけです。たとえば、市中銀行ではなかなか借りられない、それに対するこの三機関をつくって、そういうところに融資をして中小企業を守っていくというのでありながら、なかなか現実にはそうではないのですが、それについて大蔵省ではどういう指導をしておるのか、あるいはまたどういう指示を出しておるのか、この点ひとつはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/152
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153・北田榮作
○北田説明員 中小企業に対する金融につきまして、政府関係金融機関といたしましては国民金融公庫、中小企業金融公庫さらには、若干性格を異にいたしますが、半官半民の機関として商工中金がございまして、これらが政府関係としての中小企業金融をやっておるところでございます。国民金融公庫、中小企業金融公庫等につきましては、いまお話もございましたように、民間金融機関では融通を困難とするような資金の円滑な金融をはかるということを目的としておりまして、そういった意味で、いろいろな条件の面でも優遇した条件で貸し付けを行なっておる次第でございます。たとえば期間等についても、かなり長期の貸し出しをいたします。また担保等につきましても、たとえば国民金融公庫におきましては、特に零細な貸し付けにつきましては担保についても非常に緩和された条件でやっておるところでございます。たとえば、三百万円以下の貸し付けにつきましては原則として担保を徴しない、保証人だけでよろしいというような貸し付けを行なっておるところでございます。現実に、実際の貸し付けを見ましても、四十五年度の貸し付けで見ますと、物的な担保なしの貸し付けが件数では九五%程度を占めておりますし、金額でもおそらく九〇%程度が担保なしの貸し付けであろうと思います。そういった面で、いろんな条件の面でも優遇をいたしておりますが、実際の取り扱いにつきましても十分借り入れ者の状況を考えまして、実態に即して円滑な金融を行なうように指導いたしているところでございます。ただ、政府関係金融機関と申しましてもやはり金融機関でございまして、またその主たる財源は国民の貯蓄資金からなっておるわけでございますので、全く採算を無視したと申しますか、返済のできないような貸し付けまで行なうことはできないことでもございます。そういった面の調整を十分はかりながら、実情に即した融資を行なうように指導しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/153
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154・岡本富夫
○岡本委員 そうすると、政府三機関は、全く返済できないようなところには貸さない、これはよくわかりますけれども、信用金庫、こういうところで借りられる人がこの政府三機関で借りられない、こういう実例があるのですけれども、あなた、そういうようなこまかい実態調査をやったことがありますか。その点、もう一ぺんはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/154
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155・北田榮作
○北田説明員 個々の融資につきましては、これは各機関の自主的な判断と責任においてやることでございますので、個々の内容についてまで一々タッチはいたしておりません。しかしながら、融資の審査にあたりましては、その事業計画が適正なものであるかどうか、またその事業が成り立っていって十分償還可能であるかどうか、そういったことを全般的に審査をいたしまして、適切なものであると思えば融資をするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/155
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156・岡本富夫
○岡本委員 いかに中小企業向けの年末融資あるいはまたこういった融資の予算をとりましても、現実には借りる人はそこにほんとうの処置がいかなければ何にもならないと私は思うのです。だから、大蔵省も中小企業庁も、やはりそういった実態を握らなければ一ほんとうにこの政府三機関といったところが業務を間違いなくやっているかどうか、法に基づいた業務をやっているかどうか、この点の実態調査はできているのかどうか。ただ書類上でうまく書いて、そしてこれはこうなっています——これをちょっと見ますと、予算に応じて二・五%ずつふえている。こんなもので、ほんとうに実態が中小企業のこの法律をつくって予算を出したところの趣旨に沿っているかどうか、この調査をやったことがあるのですか。その点をひとつ中小企業庁と大蔵省の両方から聞きたい。そうでなければはっきりした指導はできないはずだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/156
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157・北田榮作
○北田説明員 各政府関係金融機関の融資が適正に行なわれるようということは、常に各機関、それから中小企業庁、大蔵省等が連絡を密にして指導いたしておるところでございまして、各機関とも毎月定例に会合を開きまして、融資の実情あるいは申し込みの実情その他個々の問題等につきましてもいろいろな面で詳細に打ち合わせをいたしまして、適正な融資が行なわれるように意思の疎通をはかり、指導をはかっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/157
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158・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 中小企業庁として直接に個々の貸し出しについて実態調査をいたしてはおりませんけれども、たとえば商工会議所、商工会に配置されております経営指導員が、日常いろいろ金融のあっせんの仕事をいたしております。そういうあっせんの業務を通じましてできるだけ実態の把握につとめておりまして、たとえば国民金融公庫の例をとってみますと、経営指導員のあっせんに当たるものが四割ぐらいございます。そういうようなことで、間接的ではありますが実態把握につとめておりますし、またいろいろと各方面からお話を伺いまして、政府系の金融機関として融資態度がはたしていかがなものであろうかというように思われます場合には、その個別の事例につきましてよく当事者から事情を聴取して、極力親切に、そして金融のルールに乗る範囲内でお金が流れるようにつとめておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/158
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159・岡本富夫
○岡本委員 これは提唱ですけれども、経営指導員の皆さんや商工会あるいはまた商工会議所のそうした人たちの話も一ぺん聞いてみたらいいと思うのですね。先ほど言いましたように、この政府三機関に申し込んだところが、窓口でけ飛ばされた、しかたがないので信用金庫に話した、そうしたら信用金庫ではよろしいといって借りられた、これでは逆じゃないですか。こういったケースをあちらこちらでぼくはちらほら耳にするし、また経営指導員の皆さんからもよく聞くわけです。ですから、こういった実態を大蔵省と通産省で両方から聞いて、そうして現実に基づいたもので指導をしないと私はほんとうの対策はできないと思うのです。それについて大蔵省と両方から、そういうようにやるか、あるいはまたほかに方法があるのか、ひとつ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/159
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160・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 やはり先刻申し上げましたように、さしあたりましては、経営指導員を集めていろいろ会合を持つ機会がございますし、そういう機会を極力とらまえまして実態の把握につとめたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/160
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161・北田榮作
○北田説明員 先ほども申しましたように、あらゆる機会をとらえまして、そういった末端の実情の把握等にも十分努力をいたしまして、各機関、中小企業庁、われわれ一体となりまして、そういった点についても円滑な運営ができるように努力をいたしておるところでございます。中小企業庁長官のほうからもお答えがありましたように、そういった点にもさらに一そう今後努力をいたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/161
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162・岡本富夫
○岡本委員 この問題については、機会をとらえてと言ったって、年末というのは来年の年末の話をしているのじゃないのです。ことしの年末の話をしているのですから、いかにことし予算を組んでも、現実に必要な人のところへいかない、こういう事例がたくさんあるわけですから早急に、そしてまた、やはりその指導をするのは、一つの時期をつかまえて、こういうことがあるじゃないか、要するに、窓口の人の感情、あるいはまたどこかから余りかすなど出てくるかもしれないけれども、そういうことで、予算があるなら予算があるだけ、こういう事態で中小企業は特に金融問題についていま困っているわけですから、その困っているところに適切に行くような対策を私は要望しておきます。そちらでどうしても調べることができないというのならば、私どもでたくさん事例を出してもよろしいけれども、それをやるのが中小企業庁であり、大蔵省の特別金融課であろうと私は思うのです。それでなかったら必要ないのですからね。
そこで、次に、小規模事業者、個人事業者の人たちのいつも悲痛な叫びは、事業税を撤廃してもらいたい。所得税を払い、その上にまた事業税を払うのは二重課税じゃないかという声がたくさんあるわけですが、これについては、自治省ですか、ひとつ答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/162
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163・石川一郎
○石川説明員 お答えいたします。
申し上げるまでもなく、事業税は、事業がその活動を行なうにあたりまして、地方団体の各種の施設を利用し、その行政サービスの提供を受けている、こういうことから、いわばこれらの経費を負担していただくという意味合いにおきまして課税されているものでございます。その意味におきましては、所得税とはその性格を異にするものであるというように考えられるわけでございまして、こういうような事業税の性格に基づいて、法人税なり所得税の所得の計算をいたします際には、事業税はこれを必要な経費として控除をすることにいたしておるのでございます。したがいまして、事業税を法人、個人を通じて撤廃するということにはまいらない、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。ただ、御趣旨は、零細な所得に対する課税をどうするかという問題も含んでいると考えられるのでございまして、その点につきましては、本年個人の事業税につきまして、事業主控除を四万円引き上げまして三十六万円といたしたのでございます。もちろんこれで十分ということではございませんが、地方財政の状況も勘案しながら、個人事業者、特に低所得者の負担の軽減にはできるだけつとめてまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/163
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164・岡本富夫
○岡本委員 私いま言うているのは、全部が全部というわけにはいかないでしょうけれども、特に零細企業の人たちはこの事業税の撤廃を望んでいるわけです。その点については、ひとつ十分再度検討してもらいたい。
時間があまりありませんから次にいきますが、次に、中小企業者の皆さんのもう一つの声として、所得税の二分二乗方式の採用をひとつできないものだろうか、こういう意見があるわけです。確かに、商店ですと奥さんも一緒に働いているわけですね。そのほうに対するところの控除——青色申告なんかやればいいのですけれども、なかなか、実情を見ますと、朝早くから夜おそくまで精一ぱい働いているわけですね。ですから、こういった面もひとつ考えなければならない時期が来ておるのではないか。かつて、大蔵大臣だったと思うのですが、二分二乗方式については前向きに検討するという答弁があったように記憶しておる。したがって、その後どういうように前向きに検討しようとなさっておるのか、これについてもひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/164
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165・山内宏
○山内説明員 二分二乗の点につきましては、これは御指摘のように、所得税制の今後取り組むべき一つの大きな問題点ということで、現在着々検討を重ねております。御承知のとおり、政府の税制調査会におきましても、今年の春以来一つの重点項目としていろいろ御審議をいただいたわけでございます。これに並行して、政府の側においても種々研究を加えてまいっておりますが、ただ、御承知のとおり、現在の所得税制が、基本的には所得を稼得をした個人個人に着目をいたしまして、その個人ごとの所得のバランスをとるという基本姿勢をとっておるのに対しまして、もし二分二乗方式を採用するということになると、これは個人個人の稼得力ということでなくて、世帯ごとの稼得力の中でも夫婦を合算した場合の稼得力に着目をし、その夫婦と夫婦の間の担税力のバランスをとるという考え方に変わってまいる次第でございますので、そういうふうな形でバランスをとるほうがより公平の観念に合致をしておるのかどうか、その辺のところは社会通念の動きともからみ合わせて検討を要する点がございます。
なお、そのほか、そういうふうにもし形を変えるといたしますと、源泉徴収のやり方その他いろいろまた事務的な点、技術的な点にわたりましてもなお解決を要する点もございますので、そういう点も並行して、今後やや長期的な課題として取り組んでおるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/165
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166・岡本富夫
○岡本委員 大臣もこういうように言明しておるのですからね。政府の長期的というのは——短期的で五年くらいですか、だから、そんな簡単な考えではなくして、これを前向きにやっていこう。それで、ほかの税体系にも影響があろうと思いますけれども、諸外国ではもう採用しておるわけですから、これは特に極力早く検討を終わってやっていただきたい。ひとつこれについての決意を述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/166
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167・山内宏
○山内説明員 先ほどやや長期的な検討課題というふうに申し上げましたが、これは、そういう意味で、できるだけ早い機会に結論を出すべく努力はいたしております。ただ、先ほども申しましたように、かなり所得税制の基本にかかわる問題でもございますし、したがいまして、われわれが非常に研究不十分で唐突に移行した場合に諸種のひずみが生ずるということでも困りますので、その辺の研究もあわせ考えまして、やや長期というふうに表現はいたしましたけれども、お説のとおり、できるだけ早い機会に結論を出したいということは、われわれの念願とするところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/167
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168・岡本富夫
○岡本委員 念願とするのはこっちですよ。中小企業者のほうが念願しておる。
そこでもう一つ、同族会社の内部留保金にさらに課税をしている。これは二重課税になるわけですね。こういうことをやりますと、どうしても、いつまでたっても中小企業者の基盤というものが薄弱になっていく。そして片一方で、一生懸命にいろいろ対策を立てたりやっていますけれども、やはり九九・四%、特にまた零細企業、こういうものに対しては基盤というものをしっかりさせていくことが、今後の産業政策、特に中小企業政策については必要ではないか、私はこう思うのですが、これについての考え方をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/168
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169・山内宏
○山内説明員 同族法人の留保所得に対する課税につきましては、これは内部留保を厚くするとかどうとかという政策的な観点からではございませんで、通常の法人に比べまして株主総会あるいは株式市場の要請が比較的少なくて、そういう関係で社内留保をやり、あるいは配当をやるということの判断が比較的自由に行なわれるところの同族法人につきまして、これが過度の留保を行なった場合には、株主と法人とを相対的に考えました場合におけるバランスが通常の場合とくずれるということになってまいりますので、その間の調整をとるということのために特に設けられた制度でございます。こういう制度は、法人と個人と一体として税負担のバランスを確保するという観点からは、いずれにいたしましても必要な制度でございますので、これは諸外国においてもこういう制度はとられておるところでございます。ただ御指摘のように、一方中小企業たる同族法人につきましての諸種の政策的な要請もありますし、また一般的に負担能力の点も勘案をいたしまして、従来累次にわたってこの点についての軽減ははかってまいっております。現に四十五年改正においても所要の改正を行なっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/169
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170・岡本富夫
○岡本委員 この問題は、中小企業者の基盤を育成するためには内部留保金に対する二重課税というものはやはりどうしてもやめなければならぬと私は思うのです。ですから再検討して、これはできるだけ廃止していく方向に力を入れていただきたい。
時間があれですから、その次に、今般、国際経済上の、特にドル・ショックあるいは平価調整によるところの中小企業に対する金融、税制措置が、一昨日でしたか、ここで採決が行なわれて法案が通ったわけですが、もう一つ片手落ちなのが長期の工事ですね。一年とかあるいは一年半とか、そういう工事がこれから相当行なわれてくると思うのです。特に政府が公共事業に、道路をつくるとかあるいはいろいろなところで投資していくわけですから、中小企業がその間仕事ができない、こういう問題が起こってきております。いままでもありましたけれども、特にこれから多くなってくるのではないか。長期工事ショックというのか知りませんが、こういうところに対するところの特別の措置をやはりしていかなければならないと私は思うのですが、これについて中小企業庁としてどういう考え方を持っておるか、今後のそれに対しての考え方をお聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/170
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171・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 お尋ねの趣旨が、公共事業投資について、できるだけ中小企業者にも仕事を与えるようにということではございませんですか。申しわけございませんが、ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/171
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172・岡本富夫
○岡本委員 もう一ぺん……。
長官、道路ができたり、公共投資で下水道をつくったりいろいろしますね。そこに中小企業者の、要するに商店街、商店とかいろいろあるわけですよ。それに道路ができると、これが長い間かかるとその間仕事が閉鎖になるのですよ。商売ができなくなる。ちょうどドル・ショックと同じなんですよ。いいですか。こういう問題で、たとえば商店街が両方にあるでしょう。道路が広くなると片方は仕事ができないのです。そんなので非常に片手落ちじゃないかというような意見もあるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/172
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173・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 わかりました。失礼いたしました。
それで、そういうような事情で事実上商いができないというその間のつなぎ資金の需要が出てくると思いますが、事情によりまして、そういう融資の申し出には応ぜられるように、できるだけの努力をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/173
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174・岡本富夫
○岡本委員 これは突然私が言ったから、雲の上におる人たちはあまりわからないと思いますけれども、よく調査してやっていただきたい。
それからもう一つは、中小企業者に対するところの、特に零細企業に対するところのいろいろ経営指導、こういうものが、大都市ですと商工会議所でしょう、商工会議所ではかゆいところに手が届かないわけです。商工会ですと、わりに経営指導員のところに行ってよく話を聞いて、またいろいろと、金融の手続とかそんなことはわりにできるのですけれども、大都市になると、商工会議所では非常にむずかしい、こういうような状態になっておりますが、これをカバーするためには今後どういうようにしたらいいのか。たとえば商工会議所の下にもう一つ何かつくるとか、何かこれを手当てをしないと、ほんとうに手厚い経営指導あるいはまた金融の申し込みの指導、こういうものができないのじゃないか、こういう事例があるわけですが、これについての考え方を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/174
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175・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 御指摘のとおりだと思います。さしあたりましては商工会議所の支部、支所を活用し、また経営指導員の数をふやすということでやっていきたいと思いますが、仰せのように、商工会、商工会議所、各地区を通じてできるだけ指導員の数をふやし、そしてきめのこまかい施策を講じ、また施策の普及、徹底をはかっていくということは必要だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/175
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176・岡本富夫
○岡本委員 最後に、公害防止につきまして、中小企業者が一番たいへんなのは、金融の問題とそれから——公害の設備というものはこれは利益を生まぬわけですから、固定資産税を払ったり、あるいはまたいろいろそれに対する……。それが利益に乗ってきたりするような状態がありますと、なかなか中小企業のほうでは公害設備というものはできないわけですね。ところがいま、いよいよ大企業に対しては相当住民運動で公害の防止はやかましく言ってきておりますけれども、今度中小企業になりますと、住民の皆さんと絶えず一番近くで接触しておる、こういうような問題でありますので——これは問題と言ったらおかしいですけれども、一番切実にやかましく言われておる。といってそれをやりますと、もうその工場あるいはそういう企業はつぶれてしまうというような状態ですので、私は、将来やはり長期に、無担保で、無利子で、そして固定資産税も免税というような処置をしなければ、この環境問題は解決しないという結論を持っているわけですが、それに対して中小企業庁としては、将来どういう考え方、またどういう施策を行なうか、これをひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/176
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177・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 来年度の中小企業施策の重点が幾つかございますが、その中の最も大切なものの一つとして中小企業の公害対策の拡充ということで、資金調達力それから技術開発力ともに大企業に比べて劣っている中小企業に対しまして、金融の面あるいは税制の面で、あるいは技術開発の面で極力バックアップをしていく必要があるということで、いろいろな施策を考え、来年度要求の中に取り入れておりますので、その方向でせっかく努力をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/177
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178・岡本富夫
○岡本委員 これは要望しておきますから、住宅だったら融資の期間が相当長期で十七、八年とありますね。それから、それに対して担保を出せということになりますと、すでにいろいろ事業をやるための担保を出してしまっているから、もう担保もない、またこれの金利が非常に高いとなかなかやらないということになりますから、そんなやかましく言うてたくさん公害防止に力を入れるなら、もうレジャー産業に変わったほうがいいというようなことになりますから、これではうまくいかないので、そういうところをよく勘案して、そして大蔵省とも打ち合わせをしてやっていただきたい、そういう点についての決意だけひとつ言ってもらって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/178
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179・高橋淑郎
○高橋(淑)政府委員 一つ言い落としましたが、公害保険も先般創設されておりますし、それから繰り返しになりますが、公害対策については最重点的に取り上げて、施策の拡充、充実をはかっていきたい、このように考えます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/179
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180・進藤一馬
○進藤委員長代理 内閣提出、輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/180
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181・岡本富夫
○岡本委員 輸出保険法が今回改正をされるようになったわけですが、この背景について、どういうわけでこの輸出保険法を改正しなければならぬのか、これを簡略にひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/181
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182・外山弘
○外山政府委員 輸出保険法は昭和二十五年に発足いたしまして、その間国際経済の変化と、それに対応するわが国の対外経済活動、輸出あるいは経済協力、海外投資といったような対外経済活動に対する時代の要請というものに応じまして、累次の改正を経てまいりました。御承知のように、現在は七種類の保険制度がその内容となっている次第でございます。
今回改正いたしたい点は三つございます。
その第一点は、バイヤースクレジットを創設したいという点であります。これは一つには、わが国の経済力が高まるとともに、それだけ国際的な責務も多いわけでございますが、それなりに経済協力の手段も多様化してまいりたいという点の要請がございます。バイヤースクレジットは中南米諸国等を中心といたしまして、こういったクレジットの提供がそれだけ彼らの要請にもこたえるゆえんでありますし、わが国の輸出の信用供与形態にもそれだけ多様性を加えるという点に資するかと思います。それからさらにはこういったことによりまして、経済協力の手段もそれだけ豊かになる。要請にこたえることができればできるだけ、それだけ発展途上国の利益にも資するという、こういう点が一つの背景だと思います。すでに欧米先進国が全部そういう制度をとっているという点にかんがみまして、わが国がここまで経済力がきた時点において、やはり同様な制度を、この際そういう時代の要請の中で実現したいというのがまず第一でございます。
それから、第二に融資買鉱保険の改正をしたいという点を御提案申し上げておるわけでございます。この点は、資源開発の重要性がわが国の経済の展望から見ましてますますその重要度を加えておるわけでございまして、そうした中でやはり資源の開発の形式につきましても、従来の単純輸入の方式あるいは自主開発の方式のほかに、もう一つ融資買鉱、つまり融資をするだけで鉱物の購入ができるというふうな点につきましても、保険ということによってこれを助長するということが大事じゃないかというふうに認識している次第でございます。最近のように、発展途上国が資源ナショナリズムと申しますか、そういったいろいろな新しい動きをしておる際に、やはり単に自主開発だけでなく、また一方単純輸入だけでなく、そうした融資買鉱という形式も加えまして、この際資源開発の方式に多様性を加えたい、これがもう一点でございます。
それからもう一点は、プラント輸出に関連いたしまして、最近は技術等も含めまして相手方に一括して輸出する、単なる物の輸出ではなくて、いろいろな中身をプラスしましてそうして輸出するケースが多くなってまいりました。そうなると、そういう一括した形式の輸出ということになりますと、単なる物の輸出だけではございませんから、契約の形態としても違ってまいります。したがいまして、相手国にプラントが行ってからその国で完全に運転できるというところに至りますまで、やはり保険でめんどう見るということが必要ではないか、そういうふうな実情が最近非常に発生してきておる。それに対応しまして、プラント輸出に対する、つまり輸出代金保険につきましての運用に改善を加えませんと、そういった実情に応じた保険にならない、この点がもう一点の改正の背景といえるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/182
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183・岡本富夫
○岡本委員 通産省の発表によると、これからドル・ショックあるいは平価調整、こういうようなことを防止するために秩序ある輸出、要するに輸出を押えるというような方針である、こういうような次官の発表が出ておりましたが、それと逆に、通産省の考え方としますと、これはプラント輸出までふやしていこう、こういうことになりますと、ちょっとうらはら、通産省の施策にどうも私は矛盾を感ずるのですが、この点について明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/183
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184・外山弘
○外山政府委員 先生御指摘の秩序ある輸出という点につきましては、単に量の増大を押えるというふうなつかみ方をいたします限りにおいては、あるいはそういう御懸念もあるかと存じますが、秩序ある輸出というのは、本来単に量の問題を押えるということを内容とするのではなくて、価格の問題から売り方の問題を含めまして、商品ごとに、市場ごとに考えていかなければならない輸出に対する態度の問題というふうな点が多いかと思います。確かに、輸出が急増いたしますと、しかも特定の商品が特定の市場に集中して急速に増大するということになりますと、どうしても秩序ある輸出というものをもっとよく考えて、そうした輸出を避けたらいいではないかというふうなことになります。したがいまして、量を押えるというようなこともその内容に入ってくるわけでございます。しかし必ずしも一律に計画的にこれを押えるという意味ではございませんで、やはりその市場の具体的事情に応じましてどういう伸び方をするのが長期的に見てその国に持続的に輸出を伸ばすゆえんであるか、そういう観点から輸出の秩序というものを考えるべきであるというふうに私どもは考えております。ただ、最近のように日本の輸出の急増がいろいろなところで問題になってまいりますと、どうしても先生御指摘のような点にウエートを置きましていろいろな秩序づくりを考えていかなければならないという点はいえるかと思います。そういった意味で輸出秩序を理解しているわけでございまして、単に輸出を押えるということではなくて、やはり輸出というものは大事であるけれども、輸出のあり方が大事であるというふうなつかみ方で輸出の秩序というものを考えているわけでございます。
一方、輸出保険におきまして、この際プラント輸出につきまして特に時代の要請の中で新しい保険を考えたいと言っておりますのは、プラント輸出というのは、御承知のように、日本の輸出がこれだけ伸びた中でも、国際的にはまだ非常に弱い面がございます。それから一方、相手方の発展途上国等に輸出する場合には、非常に相手方の経済発展にも資する輸出でございます。同時に、プラント輸出というのは、一種の技術の輸出でございます。単なる物の輸出にとどまらず、それに伴いますいろいろな特許料、あるいは技術その他が総合的に輸出されるという形態でございまして、いわば知識集約的な要素もかなり入った輸出ということにもなるかと存じます。こういったプラント輸出につきましては、やはりできるだけこれをその国の実情に応じて伸ばしていきたいというふうに私どもは考えているわけでございます。その伸ばすこと自身と、先ほどの輸出の急増を押えるということとは、私どもは一致した考え方の中でとらえておるというふうに御理解願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/184
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185・岡本富夫
○岡本委員 そこで、プラント輸出について一言聞いておきたいのです。
〔進藤委員長代理退席、浦野委員長代理着席〕
前回この輸出保険法を審議したときに、これは体制の違う、すなわち社会主義国向けのものも差別はない、それから輸銀のほうもそういう差別はないのですということを言明されておりましたが、しからば、これは外務省に聞きたいのですけれども、クラレ——倉敷レーヨンですね、これが十九日に福田外務大臣に対して——ビニロンプラント輸出の申請をしてあった、これがことしの八月ですか。ところがその後ずっとたなざらしになっておって、十一月になって初めて、申請をしてあったけれどもだめだったということが明るみに出た、こういう報道がありますけれども、これはココムの品目でもないし、相手の国の民生安定にも寄与できるものであるということから見て、どうもこの外務省のとったところの態度というものが私は不可解でならないのですが、これについて外務省からお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/185
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186・前田利一
○前田説明員 お答え申し上げます。
その問題につきましては、外務大臣もすでに随時御答弁申し上げておりますとおり、案件につきましては前向きに考えたい、ただ外交上の考慮もあることゆえ、タイミングにつきましては慎重に考慮しなければならない、こういう方針でございまして、現在そのように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/186
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187・岡本富夫
○岡本委員 どのように考えておるのか、どうも答弁がはっきりしないがね。輸銀のほうもそれから輸出保険のほうも、体制が変わった国に差別はないということになっておる。そうすると、これをとめておるのは外務省だけだ。かつて佐藤総理も、前向きに検討いたしますと言い、また通産大臣も、これについてはいい商談ならどしどし認めるというような答えもしておる。ただ外務省だけが反対をしておる。これについてどうも不可解であるのですが、もう一ぺん明確に答えてもらって、どうしてもあなたに答えられなかったら、外務大臣に来てもらうことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/187
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188・前田利一
○前田説明員 繰り返してお答え申し上げます。
先ほども申し上げましたように、クラレのほうからお話がありましたのに対しても、またこれまでの国会の御質問に対しても福田大臣がお答えしておりますところは、案件そのものについては前向きに検討してみたい、ただ外交上の考慮ということも必要であるから、タイミングにつきましては十分慎重に考慮しなければならない、こういうようにお答えしております次第でございまして、これを私もここで繰り返さしていただく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/188
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189・岡本富夫
○岡本委員 これでは、繰り返すばかりで話になりません。
ですから委員長、次に保留にいたしまして、大臣にも来てもらい、明確にどういうような考慮があるのかということもはっきりしてから前に進みたいと思いますので、きょうはこれでやめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/189
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190・浦野幸男
○浦野委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X00919711203/190
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