1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年十二月十四日(火曜日)
午前十一時七分開議
出席委員
委員長 鴨田 宗一君
理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君
理事 進藤 一馬君 理事 橋口 隆君
理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君
理事 岡本 富夫君
稲村 利幸君 海部 俊樹君
神田 博君 北澤 直吉君
左藤 恵君 坂本三十次君
始関 伊平君 羽田野忠文君
八田 貞義君 前田 正男君
増岡 博之君 松永 光君
山田 久就君 石川 次夫君
岡田 利春君 加藤 清二君
松平 忠久君 近江巳記夫君
松尾 信人君 川端 文夫君
米原 昶君
出席国務大臣
通商産業大臣 田中 角榮君
出席政府委員
通商産業政務次
官 稻村佐近四郎君
通商産業省貿易
振興局長 外山 弘君
通商産業省鉱山
石炭局長 莊 清君
中小企業庁長官 高橋 淑郎君
委員外の出席者
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
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十二月十日
山村開発次期対策の早期実現に関する請願外一
件(江田三郎君紹介)(第三〇九〇号)
同外一件(大野明君紹介)(第三〇九一号)
同外二十七件(奧野誠亮君紹介)(第三〇九二
号)
同外十二件(正示啓次郎君紹介)(第三〇九三
号)
同外四件(足立篤郎君紹介)(第三一三八号)
同(高鳥修君紹介)(第三一三九号)
同外百四件(中尾栄一君紹介)(第一三四〇
号)
同外五件(松浦周太郎君紹介)(第三一九一
号)
同外四件(久保田円次君紹介)(第三三〇一
号)
同(塩崎潤君紹介)(第三三〇二号)
同外一件(武部文君紹介)(第三三〇三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員会における参考人出頭要求に関する件
輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/0
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001・鴨田宗一
○鴨田委員長 これより会議を開きます。
この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
エネルギー・鉱物資源問題小委員会において、エネルギー・鉱物資源問題に関する件の調査のため、明十五日、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいとの小委員長からの申し出があります。つきましては、同小委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/1
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002・鴨田宗一
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/2
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003・鴨田宗一
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/3
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004・鴨田宗一
○鴨田委員長 内閣提出、輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/4
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005・岡本富夫
○岡本委員 十日の当委員会の質疑に引き続いて、大臣に確かめておきたいことだけを残しておりますので、その分について質問をいたします。
わが国の現状としては、やはりどうしても外国から資源を輸入し、そして輸出しなければならぬというような経済体質であろうと思うのですが、今度のアメリカのドル・ショックあるいはアメリカの経済によって左右されるというようなことでは、わが国の経済の基盤というものは非常に脆弱である。そこで、どうしても中国大陸との経済交流が必要であろうと思うのです。
そこで先般、十日に私、中国大陸の産品に対する関税の格差、これをひとつ一日も早くなくすべきである、こういうように要求をいたしたわけでありますけれども、検討するということではっきりした返事がなかった。通産大臣といたしましては、この中国大陸産品に対する関税の格差を一日も早くなくする決意があるかどうか、これをまずお聞きしたいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/5
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006・田中角榮
○田中国務大臣 中国はお隣でもございますし、関税格差があることは望ましくないことでございます。ただ、ガットに加入しておる国とおらぬ国との差が数字的に出てきておるわけでございます。その意味で、日本の関税率を改正いたしますときに、標準的な率とだんだん同じくなれば、このようなことはなくなるわけでございます。そういう意味で、日本が特別な影響を受けるものは別にしまして、これからできるだけ一つずつの品目に対して、関税をガットの標準的なものに近づけるように努力をしてまいるという基本的な姿勢だけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/6
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007・岡本富夫
○岡本委員 ガット、ガットと言う。そのガットに非常にこだわっておりますけれども、アメリカの今度の課徴金問題、こういうのは明らかにガット違反。したがって、日本だけがガットを一生懸命に守りましても、相手国の、要するにアメリカがガット違反をするようなことでは、これは何にもならないと思うのです。それはガットの精神ということもあると思いますけれども、一九七〇年代のこれからの課題というものはどうしても日中国交回復に向かわなければならぬ、こういうことになりますと、これはやはりまず経済交流から高めていかなければならぬ。したがって、やはり中国大陸に輸出するにしましても、輸入というものを、わが国で門戸を大きく開放していかなければならぬ、こういうことを考えると、いまのようなお答えでなくして、もう少し——これは大蔵省の関係もあり、外務省の関係もあると思いますけれども、やはり通産省としてはもう少し前向きに、前向きというよりも関税格差をなくし、経済交流を深めていこうという精神でなければならないと私は思うのですが、もう一ぺんひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/7
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008・田中角榮
○田中国務大臣 ガットの率と日本の関税率が違うということが一つございます。それからもう一つは、基本的には輸入によって国内産業に大きく影響を与えないように、与えるものに対してはなかなか関税率を引き下げるというわけにはいかないのでございますから、このバランスを考えて、国益を守るということを前提にしながら調整を行なっておるということでございます。
前向きということは、いままでも四十三年に二品目、これは大豆と銑鉄であります。四十四年に三百五十一品目、エビ、ロジン等でございます。四十五年には四十品目、干しブドウ等でございます。四十六年には三十一品目、これは活性炭とかアセテート、鋳物等で、総計四百二十四品目をもうすでに格差解消をいたしておるわけでございます。あといま残っておりますものは、四十四年までの実績のあったもの二十三品目、これは生糸、絹織物等なかなかめんどうなものでございます。四十五年になってから輸入実績をつくったものには、十四品目、アルギン酸とか、まだいろいろなものがあるようでございます。まあそういうものがございます。でありますから、国内産業に対する影響というものが特別に大きくないものは何とかしてこれを調整してまいろう、こういう考えでございまして、スピードとしては相当積極的、前向きにやっておるということは理解をしていただきたい。
それから、これからいままでよりも感じの上では、各党全部でもって日中復交決議案を出しておるような状態でございますし、私たちも外務、大蔵とも十分検討しながら日中間の貿易交流がどんどんと拡大をしていくように努力をしよう、こういうことで通産省は特にそういう姿勢であることは、商工委員会の皆さんもお認めいただいていると思うのでございます。通産省は、商売というものには、イデオロギーをなるべく入れないように商売をやることによって平和がだんだん拡大し、維持できるのだ、こういう考えでございますので、通産省としてはできるだけ前向きというか、積極的であるということでございまして、皆さんの御成案を得てますますやってまいりたい、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/8
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009・岡本富夫
○岡本委員 ひとつその点については、生糸にいたしましても、要するに韓国の生糸と中国大陸の生糸との関税格差、こういうのは明らかにこれはわが国の産業を守るという立場以外のものが何かあるのじゃないかということを考えますと、そういう面をさらに踏まえて、先ほどの決意を承りましたから、実力大臣ですから、ひとつ一日も早く関税格差をなくしていくということをまず要望しておきます。
次にもう一点、大臣は今度円の切り上げについて、これはほんとうは円の切り上げを防ぐために八項目を出したわけですけれども、とうとうそれが破れて円の切り上げをしなければならぬというような時点に立ち至っておりますけれども、大体どのくらいのところがわが国の産業にあまり影響なくして——まああると思いますけれども、どのくらいのところをめどに考えているのか、ひとつ通産大臣としての考え方をお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/9
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010・田中角榮
○田中国務大臣 この円平価の調整という問題に対しては、円平価の調整は考えておりませんということを、この国会の前半は申し上げておったわけでございますが、しかしだんだんとこの国会も後半に近づくとともに、皆さんの御意見のほうに近づいてきたわけでございます。そんなことを言ったって、円だけ平価切り上げをしないなどというわけにはいかぬということに対しては、かたくなだと御指摘を受けるほど平価調整は考えておりません、全く考えておりません、こうお答えをしてまいったわけでございますが、しかし、国際的な現状というものを無視するわけにはまいらないわけでございますし、これが縮小均衡の道をたどるようであってはならない、日本は特に貿易立国を国是といたして生きている国でございますので、やはり国際流動性の確保等に対しては、積極的な協力をしてまいらなければならないわけでございます。特に、ドル不安を前提として、日本だけではなくECその他各国の通貨調整も強く求められ、もうすでに四回目の十カ国蔵相会議が開かれようといたしておるわけでございます。三回目のローマ会談におきましては、各国が十分意思の疎通をはかりながら、各国とも応分の平価調整に応じようという申し合わせをいたしたわけでございますので、この十七日、十八日ワシントンにおいて開かれる四回目の蔵相会議で結論が出るか出ないかはさだかには申し上げられませんが、いずれにしてもある程度の平価の調整、円の調整というものは避けがたい実態にあることはもう申し上げるまでもありません。ところがこれはきまってみなければなかなかわからぬことでございますし、日本としては、特に通産省といたしましては、この切り上げ幅が少しでも違いますと、日本の経済に対する影響、貿易に対する影響は極端にあらわれるわけでございます。そういう意味で、私から希望いたすところは、できるだけ低いほうがよろしい、こういうことで、私の、一〇%など切り上げたら日本の経済はどうなるか自信を持てません、こういう発言に対しては、すでにもう変動相場制の市場において一〇%をこえておるじゃないかという御意見もございますが、しかし私は、いまの市場の数字がほんとうにそのまま実勢として評価すべきものかどうかということに対しては意見がございます。アメリカの一〇%の課徴金を平価の幅に換算をしてみると、二%ないし二・五、六%、こう計算をされるようでございます。いずれにしても、私がいま何%などと言ったらたいへんなことでございますし、さようなことを申し上げられるような筋のものではないわけでございます。これは皆さんからこれ以上上げてはならないというような御発言があれば、十分そういうことをお聞きをしまして、そして最終的平価調整のときには主張いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/10
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011・岡本富夫
○岡本委員 そうでしょう。大体わが国のほうから、特に通産省のほうから何%ぐらいだったらいいというような意見は出せないはずなんです。
ところが、十二月三日の新聞報道によりますと、通産省の両角事務次官が、一五%の円切り上げでも不況は深刻化すまいというような発言を記者会見でしておる。これは通産大臣がいまおっしゃったのとずいぶん通産部内は意見の食い違いがあるように私は思う。これについて大臣はどうお考えになるか。あなたの意向をくまずにやった両角次官というのはちょっとおかしいのじゃないか、こういうふうにも考えられるわけですが、これについてひとつ釈明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/11
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012・田中角榮
○田中国務大臣 両角事務次官がそのような発言をしておるとは考えておりません。これはもしそういう数字が出たとすれば、それは全く試算数字として五%切り上げた場合、平価調整が行なわれた場合、貿易収支がどうなるであろう、また日本の経済成長率にどのように影響するであろう、対米貿易収支にどういうふうに影響するであろうという数字を、五%を土台にして、一%刻みでもって計算をしたものがございます。そうでなければ通産省は主張できないわけでございますから、これはコナリー氏が来ましたときにも、私はそう言ったのです。五%を切り上げてもこの程度対米貿易は減るのだ、一%上がるごとに対米貿易の貿易収支じりはこう変化するのですと、こう言ったら、向こうは、五%ですかと言って驚いたきり、あと続けなかったということはございますが、しかし五%といっても、日本の経済から見ればたいへんなことだと、こう考えておるのでございまして、両角事務次官が、一五%でも日本の経済は何とかなるなどということは絶対に答えておりません。私が両角君にかわってひとつ明確にいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/12
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013・岡本富夫
○岡本委員 そうすると、この新聞報道、一流紙が間違って書いたのか。しかし、その点についてこんなにていねいに、一五%円切り上げによって不況がさらに深刻化する可能性が少ない理由としてと、その理由まで言っている。要するに、不況がさらに深刻化する可能性が少ない理由まで言っているわけです。したがって、この発言については私は承服できない。大臣も承服できないだろうと思うのです。ひとつ事情をよく調べて、そして当委員会に報告をしていただきたい、これを要求いたしまして、約束の時間ですから終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/13
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014・鴨田宗一
○鴨田委員長 石川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/14
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015・石川次夫
○石川委員 実は私、ずっと沖繩のほうの特別委員で、商工委員会を欠席いたしておりまして、今度の法案についてもほとんど勉強するひまがなかったわけであります。したがいまして、たいへんしろうとの初歩の質問になって恐縮ですけれども、簡単に事務的な点について御質問をしたいと思うのです。
今回提案になっておりますのは、輸出保険法を改正するというが、中身は拡充するということで、これはかねてから各方面から強い要望の線に沿って拡大をされた、こう考えますので、この法案それ自体はむしろ歓迎しなくてはならぬのではないかと考えておりますけれども、若干の疑問がありますのと、資料をひとつお願いしたいと思うのです。
貿振局長にお願いしたいと思いますけれども、このドル・ショックによりまして輸出のほうにたいへん影響があったということはだれもが知っておることでありますが、大体一月からずっと輸出の状態がどうなっておるかというデータをひとつあとで出していただきたいと思うのです。
それから、何とか輸出上の障害を克服するための一つの方途として今度の一部改正が行なわれたわけでございますけれども、若干われわれが疑問だ、というとおかしいのでありますが、この点を確認したいと思う点が二、三ございます。
それは、バイヤーズクレジットというものをヨーロッパ、アメリカ同様に適用しなければならぬ、こういうことになった趣旨はかねてからわれわれも理解ができることでありますけれども、バイヤーズクレジットということになれば、たいへん政局の不安定な東南アジアその他の国々に対しても輸出をするということになって、しかもそれがバイヤーズクレジットでありますから、非常に不安定な場合が多いのではなかろうか。そういう危険負担をするからには、それだけの信用調査というものをはっきりさせなければいけないであろう。これはだれしもが考えるところであろうと思うのです。したがって、その信用調査というものを一体どうやるのだということと、バイヤーズクレジットをやる場合には、ここまではだいじょうぶだけれどもこれ以上はいかぬという一つの基準というものを設けないと、バイヤーズクレジットの保険を払うということになれば、結局は日本の国益に反することになるわけです。なるべく保険は払わないということでなければいかぬわけでありますから、そういう点で、今後国民の負担になるような保険を払うようなことのないようにするために、信用調査の方法とその基準、それをどうお考えになっておるかをお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/15
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016・外山弘
○外山政府委員 一月からの輸出の状態の資料は後刻提出したいと思います。
それから、ただいま御指摘のバイヤーズクレジットの問題でございますが、確かにただいま御指摘のように、バイヤーズクレジットに伴いまして信用供与形態が大型になるということもございますし、それから、これは御承知のように中南米等が特に商慣行として昔から行なっている事情がございます。そういったことから見まして、特に御指摘のように信用調査の点については今回の改正を期にさらに強化しなければならない。それがまた保険の健全な運営に役立つゆえんであるというふうに考えております。したがいまして、すでに信用調査につきましては六万数千のバイヤーについての信用状態の調査を定期的に行ないまして、平素の執務の運営に資しているわけでございますが、これを機会にそれを強化するということで、特別信用調査というかっこうで、さらにこのバイヤーズクレジットとか、もう一つの改正点でございます融資買鉱保険とか、そういうことに関連した特別の信用調査が要るのではないかということから、予算要求の増額を行なっておりますし、さらにそうした事情を反映する背景としての国別事情につきましても、この際あらためて調査をしていきたい。さらにまた、従来の信用制度につきましても回数をふやしたい、こんなことで予算の増加要求をいまお願いしているところでございます。そういった意味で、十分御趣旨に沿うように信用状態の調査については考えてまいりたい、こう考えている次第でございます。
それから第二点のバイヤーズクレジットの基準でございますが、これは御承知のようにわが国は輸出者信用だけで従来まいったわけでございますが、輸入者信用という点はわが国に制度がなかったために、いろいろ要請もあったわけでございますけれども、これが実現できなかったというふうな経緯がございます。しかしながら、実際の信用供与形態としての違いはございますけれども、機能といたしましては、やはり輸出代金保険の運用になるわけでございまして、プラント輸出というものがこれによって促進されるということになるかと思います。ただ、バイヤーズクレジットの場合は、相手方に信用を供与するというふうなことから、従来のいろいろな諸般の実例を各国について徴してみますと、何と申しましても件数一件当たりの金額が大型になっております。そういったことを頭に置きまして、やはりバイヤーズクレジットでなければならないというふうなことを頭に置いて、引き受け基準というものを考えてまいりたい。そういった普通のサプライヤーズクレジットに比して大規模なものであるということがやはり一つの基準になるかと思います。これは諸外国の基準というものを勘案いたしますと、そういう点が一つの基準と考えられます。
それからさらには、相手国の経済開発に寄与する、これはサプライヤーズクレジットについても同じでございますけれども、特に船舶、車両といった単品輸出よりも、技術を伴うプラント類あるいは鉄道、発電プロジェクト、そういったインフラ部門の整備といったものにも役立ちたいというのがもう一つの基準かと思います。さらに、相手国が商慣行あるいは入札条件、そういったことによりバイヤーズクレジットを要望しているということも必要な考え方ではないかと思っております。さらにバイヤーズクレジットの場合は、輸出者が複数である場合、こういった場合にも可能であるわけでございまして、そういった点もバイヤーズクレジットを考える場合の優先的な基準の一つになるのではないか、こういうふうな感じでおります。つまり、輸出者ごとの輸出額の差によって条件が異なるということは、プロジェクトの実行上好ましくない場合がある。そういう場合には、こういうバイヤーズクレジットの提供によってそれが可能になるというふうなことも指摘できるかと思います。
以上のようなことを頭に置きましてバイヤーズクレジットの引き受け基準というものを私どもは考えてまいりたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/16
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017・石川次夫
○石川委員 くれぐれも、新しい試みでもあるし、非常にけっこうなことではあるけれども、万一ということを考えながらこの信用調査あるいは基準というものをしっかり確立をしてもらわなければならぬということを強くお願いをしておきたいと思います。
それから今度は、鉱物資源の投融資関係の担保貸し付けの証券に対して、担保価値を持たせるということを通じてこの拡大をはかるということも、考え方としては非常によろしい、私はこう思うのでありますけれども、ちょっと初歩の質問でたいへん恐縮でありますけれども、この共同開発になる場合があると思うのです。あるいはまた単なる融資でもって向こうに対して企業に対する影響力をほとんど持たないような融資、こういう場合でも対象になるのかどうか。その辺どこからがこのクレジット——クレジットといいますか、輸出保険の対象になるかという基準がはっきりしているのかどうか、そういう点について、拡大はけっこうでありますけれども、共同開発とか、向こうの企業に対する支配力が皆無のような場合でもそういうことがやり得るのか、そういう点についての基準をひとつお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/17
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018・外山弘
○外山政府委員 今回の融資買鉱保険は、前々回の通常国会で御審議いただきました海外投資保険の改正、その際に漏れました融資買鉱につきましての保険を追加するわけでございます。その際にも申し上げたことかと存じますが、海外に対して経営支配をしているような企業、そういった企業に対する投融資は既存の海外投資保険で保険が可能でございます。しかし、いま先生も御指摘になりましたように、投資上の支配をしていない、経営支配をしていないというふうな企業に対する融資、そういった点については従来保険が付保されなかったわけでございます。その点を今回の改正で加えたいという点でございまして、いま御指摘のような点はまさに今回の改正で付保したいというふうなことで考えているわけでございます。その場合の経営支配企業であるかないかということは、やはりこれは実質的に判断してまいりたい。たとえば、持ち株の状態がどうであるか、役員の派遣がどうであるかというふうなことを含めまして、いろいろな事情を考えながら、経営支配企業であるかどうかということを考えていかなければならないと思いますが、この辺は一応の基準をやはりつくって運用したいと思います。その際にも、鉱山石炭局とも十分相談いたしまして、資源開発の実情に照らした経営支配企業と非経営支配企業というものの区別をいたしまして運用してまいりたい、こう考えるわけでございます。なお、共同開発はもちろんけっこうでございますし、共同開発であるがゆえにこの制度が適用ないということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/18
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019・石川次夫
○石川委員 大体趣旨はわかりましたけれども、金属鉱物探鉱促進事業団が債務保証を片方ではやっておるわけですね。そうすると、海外投資の保険証券というものは担保価値を持つということになって、その間の何か整理といいますか、基準というものがあるかどうか。その点を若干御説明を、簡単でけっこうでございますが、していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/19
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020・莊清
○莊政府委員 金探事業団の融資でございますが、これは探鉱に必要な資金の融資でございます。探鉱段階は、石油でもそうでございますが、非鉄金属でも同様に非常にリスクが高いために、なかなか民間の国内金融がつかないということで、政府機関でこれをバックアップするという形にいたしております。今後ともやはり開発段階の資金につきましては、この融資買鉱をする場合に、その融資買鉱の金が先方で開発に主として使われるというふうな場合には、リスクの点も探鉱よりは当然軽くなりますので、今回の保険が活用されるということが期待されるわけでございます。探鉱の場合には多くの場合非常にリスクが多うございますので、これはたとえ日本の企業が相手側に融資をしてあげるということをいたしましても、この元金がなかなか国内で調達できない、したがって、そういうケースはまずないし、政府機関がむしろ正面に出て援助をする、したがって、今回の保険の対象からは大体はずれてくる、こういうふうに実際の運営では考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/20
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021・石川次夫
○石川委員 それから、その次の単純な質問なんですが、プラント輸出方式でフル・ターンキー契約にこれを契約するということも一歩前進である、こう考えるのでありますけれども、プラント輸出の場合、フル・ターンキー契約の場合、技術とか資金とかいろいろなものを供与するということになります。完成したときに初めてそれが金を受け取るという期限になるということになるわけでありますけれども、このフル・ターンキーの場合、これまた先ほどの信用調査ということも非常に大事なことだ、これはプラントでありますだけに、それからまた非常に政情不安なところに送り出すというふうな場合にはどうするかというふうな、非常にむずかしい判断も出てくるかと思うのでありますが、それはさておきまして、フル・ターンキーの場合にはそれに関連する道路だとか、いろいろな関連するものが必要になってくると思うのであります。そういうものが一体このフル・ターンキー契約の場合に、この補償というか、保険の対象になり得るのかどうか。なり得るとすれば、インフラストラクチュアについて、港湾とかなんとかなかなかそこまでいかぬでしょうけれども、どの程度にまで、このフル・ターンキーの場合に、その関連施設として保険の対象にするようにお考えになっているかどうかという点を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/21
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022・外山弘
○外山政府委員 従来の単なる物の輸出ではなかなか実情に合った対応策にならないというふうなことから、今回御指摘のようなフル・ターンキー契約の実情に照らして保険の付保を加えるということで改正に踏み切ったわけでございますが、そういった趣旨から見ましても、いま御指摘のようなその輸出に関連してやはりそういったインフラストラクチュア部門の整備ということがあわせて一本であるというふうな契約も多いかと思います。私どもはそういうものにもできるだけ対応してまいりたいと思います。ただし、そっちのどっちが主であるかというふうなことも輸出代金保険の性格から見れば問題だと思います。したがいまして、それに伴いまする機器の輸出というものが半分以上であれば、そういう御指摘のようなものが加わりましても、一緒に保険の対象にできる、こういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/22
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023・石川次夫
○石川委員 大体このインフラストラクチュアというところまでいかなくても、それに関連するある程度のものに対しては、やはりめんどうを見るという姿勢が、どうしてもこの場合必要になってくるのではないかと考えております。
そこで、ちょっと保険それ自体とははずれるのでありますが、探鉱の関係は、金属鉱物探鉱促進事業団、このほうの債務保証ということになっておるわけでありまして、完全に保険の対象からははずれる。しかし、われわれが一番心配しているのは、何とか自主開発ということで、海外にほとんど資源を依存しておるという現状からして、これをわれわれの手で探鉱をしていかなければならぬということが至上命令のような形で、長期的に見た場合には、日本経済の根幹の問題として、再三この委員会でも取り上げられておるわけであります。相次いで経済協力問題の白書とか、資源白書とか、いろいろ出ておるわけでありますが、この問題については、いずれあらためてこの問題だけについて通産大臣にじっくりと所信を伺う機会を持ちたい、こう思うのであります。
その中でちょっと気になりますことは、この資源白書の中で、こちらが探鉱して輸入させるというものは少ないのであります。単純輸入というものが至大になっておるというのが現状であろうと思うのでありますけれども、その場合には、資源開発の国との友好関係を基本としてこれを維持していくということでありますが、その次に、巨大な購買力がその取引条件に正当に反映されるように努力を続けなければならぬというようなことが書いてあるわけです。この態度は、ひょっとすると向こうの、資源を輸出してくれるほうの側からいえば、おれのほうからいろいろな資源を輸出している——たしか日本は、世界の資源輸入の大体一一・八%というものを占めて、世界最高であります。アメリカの一一・四を凌駕するというくらい大量に輸入せざるを得ない。これはできるかできないかちょっと問題だと思いますけれども、一九八〇年には世界の資源の三〇%を使うのだというような気魄なんですね。出すほうは、おれのほうで出してやっているのだからおまえたちの経済というものは伸びているのじゃないかというような考え方にならざるを得ないと思うのです。そのときに、巨大な購買力がその取引条件に正当に反映されるような努力をするのだというような言い方をすると、どうもけしからぬじゃないかというような反発を食わないでもないし、非常に官僚的な考え方で、従来の経済協力とあまり変わってこないのではないかという疑問を持たせるような懸念なしとしない。資源白書の中で、ちょっと私はその点ひっかかるのでありますが、その点だけ、まず通産大臣に所信を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/23
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024・莊清
○莊政府委員 最初の資源白書、私どもの局でまとめさしていただきましたので、考え方だけ申し上げさしていただきます。
資源白書では、非鉄金属から石油に至るまで、いろいろな地下資源を全部一応対象にいたしましたが、その御指摘の部分はすべてに適用される考え方だとは考えておりません。そういうふうに考えて書いたつもりでございますが、筆が足りなくて不十分な点は反省いたしております。その場合に、私ども考えました基本的なことは、石油が一つの典型的な例でございまして、OPECの諸国も強力でございますが、その間に介在する国際石油資本、いわゆるメージャーというのがいまたいへんな支配力を持っている。わが国の石油のマーケットというのは世界でも二番目に大きいし、成長性も非常に高い。にもかかわらず、一方的に言いなりになり続けるというふうなことではなく、やはりわが国が積極的に国際的な協調関係を保ちながら、世界の原油の生産市場に生産者として入り、貢献をしていくということによって、本来大口のユーザーであり、大口の輸入者としての立場を持っておるわけでありますから、自主性というものをそういう形で発揮していくということが必要だという姿勢を述べたわけでございます。いろいろな鉱産物を具体的に考えてみますと、私ども今後それぞれの後進国と、直接に地元資本等と協調しながら開発を着実に進めていくというケースがいろいろ考えられるわけでございます。そういう場合には、もちろんわが国としてはそれらの国と完全に協調ペースでやっていく。日本で大量に消費するのだからという、大口のユーザーとしての立場で何か相手に圧力をかけるとか、非常に不当に買いたたくとか、そういうことは当然あってはならないわけでございまして、主として原油の問題に重点を置きまして、そういう一面があるということをそこで書いた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/24
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025・石川次夫
○石川委員 これは議論するつもりはありません。いずれあらためて経済協力、資源白書の関係についてはゆっくり議論をしなければならぬ場があると思うのでありますが、この文句は、まあメージャーなんかを相手にした場合にはそういうことをいってもいいわけでありますが、資源国それ自体との交渉の場合には、おれのところはこれだけ買っているのだからというような態度が出れば、これはもうとても問題にならない。そういう点で、経済協力との関連においてこの点は相当慎重に扱ってもらわなければならぬし、そういう権力支配的な意味がこのことばに出てきたとすればたいへん問題ではなかろうかという点で、念のために伺ったわけであります。
それから、御承知のように、日本では七資源という重要資源、石油その他銅、ニッケル、アルミ、そういう七つの資源だけを見ても、GNP千ドルの中で七十五・九ドルも使っておるということで、これはフランスの大体二倍くらいになるので、相当資源をたくさん使っておる。石油資源等はあまり使い過ぎているので、これは産業構造の転換をはかっていかなければならぬということがいわれておるのですが、現実の問題としてはなかなか問題のところでありまして、やはり依然として海外に依存しなければならぬという必要性というものは変わってこないのでありますけれども、どうしても自主開発をある程度進めていかなければならぬ。まあ三〇%という目標はちょっと過大ではあろうと思いますけれども、やはり何とかこの目標を達成するような努力をしていかなければならぬという場合に、たとえば一つ石油を例にとりましても、石油開発公団ができはしましたものの、情報収集のルートもほとんどない。金も政府としては思い切って出したつもりかもしれませんが、いい話があっても——これは島田総裁の述懐なんでありますけれども、民間に持っていってもどうにも金がない、あちこち金を集めようと奔走しているうちに、いい話はいつの間にか消えてなくなってしまって、ほかのほうに取られてしまうというのが現実の姿なんであります。
そこで、どうしてもここで外貨貸しという制度を何とか実現をしなければならぬ。これを私はこの前もここで質問したことがありますが、ずっと前から私は、日本の外貨はたまってしかたがなくなるような状態になることは必至だ、その外貨を使う道というのは、何としてもこの海外探鉱というものが一番目標としてかっこうのものではなかろうか、こう思っておるわけであります。どのくらい金を使うかというふうなことについてはいまさら言うまでもないのでありますが、戦後資源の投資残高というのは、いまでは九・六億ドルということになっております。これは一九七〇年の調べでありますが、これはエッソの、石油関係の一社の一年分の投資にすぎない、こういうようなことになるわけであります。もうこれではまるでお話にならぬわけであります。日本が金がたまったといいましても、外貨はたまったが、日本の国にそう金があるわけではありません。しかし、何としてもこの外貨というものを有利に海外探鉱のほうに向けられないかということは、国民だれしもが望んでおるところではないか。宮澤さんにも前から、大臣の当時お願いしたのでありますが、どうもあの人は非常に頭のいい人なんで、手続上の問題、担保能力の問題、その他のいろいろな問題で非常に困難だというような御説明があったのであります。田中さんになりましたときに、田中さんはあまり法律にこだわらないというか、知らないというか知りませんが、政治的な判断で、これは非常にやらざるを得ないことだというような御判断のお話があったので、非常に力強く思っておるわけでありますが、現時点ではこれはもうほんとうに急を要することではないかと思うのですが、大蔵省といろいろ折衝されておると思うのです。そこで、これが困難な事情、そしていまの交渉の経緯、現状がどうなっているかということを通産大臣からひとつ御説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/25
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026・田中角榮
○田中国務大臣 私が七月の初めに通産大臣に就任をしましてからいろんなことをやったわけでありますが、その中で外貨貸しだけは、八項目の中の一つのポイントでありながらまだ実現しておらないということは、はなはだ遺憾でございます。この外貨貸しの問題に対しては、大蔵省も初めはやらなければならないような口ぶりでもあったわけでございますが、その後制度上の問題として解決を見ておらないわけでございます。このごろ、いま御指摘になりましたように外貨がたまっておりまして、少し考えたよりもたまり方が大きいということでございますので、これは使わないでおったら宝の持ちぐされになるので、やはり使わなければならないという方向であることは間違いないと思います。私はきょう、また水田大蔵大臣海外出張中大蔵大臣臨時代理に指名されましたので、あしたあたりにでも大蔵省の事務当局の意向をただしてみたい、こう思っております。これは、制度が御承知のとおり——私たちが考えておりますのは、外貨を為銀に貸して、そこから海外投資ができるように業者に貸し付ける、こういうことが一番いいのだ、こう思っております。私は、将来の問題としては必ずそうならざるを得ないと思うのです。思うのですが、いまの制度からいいますと、円との関係で、この円の収縮を前提としない外貨の貸し出しはしない、こういう資源開発のことを言っておるわけでございます。ですから、そうすることが必要であるということであれば、外為法の改正をやって、そして直接外貨が使用できるようにすることも一つの方法だと思います。いずれにしても、通常国会で四十七年度予算審議をやっていただくときには、この問題はやはり結論を出しておかなければならない問題だと思います。私は、通産大臣という立場だけで申し上げておるのではなく、これは外貨準備高が百六十億ドルになり、百七十億ドルになり、百八十億ドルになる、こういう状態の中で、ただ積み立てておくだけでもっていいと考える人はないわけでございますから、だから外貨の直接貸し——まあ外貨の直接貸しそのものが非常に異例なものではなく、そうするのが本筋だという感じでございます。ですから、ひとつこの問題はできるだけ早く結論を出したい。大蔵省側も、八項目実施のときには八項目全部やります、こう言っておるのであります。政府自体としても八項目は完全実施をする、こう言っておるわけでございまして、この中の一つのポイントが外貨の直接貨しであるということでございますので、担当大臣としてできるだけ早く結論を出したい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/26
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027・石川次夫
○石川委員 これもまた短い時間で討論をしてもどうにもならぬですが、しかし、事は急を要すると思うのです。来年度予算でこれはどうしても実現をしてもらわなければならない重大課題であります。宝の持ちぐされということがありますが、外貨がたまることによって、宝の持ちぐされどころではなく、あだをなしているというのが実態ですね。いまのこの円価との関係でいろんな問題があることは私も承知をしております。しかし、いまの経済制度の中で、外国為替制度あるいは貿易管理令というのは、これは非常におくれていて、古いということはもう定説になっておると思うのです。これは何とか変えていかなければならない。しかし、変えないまでも、確かに外為会計というのは、三カ月くらいの短期の外為証券というものを担保にして、それが原資になって民間からドルを買っておる。それを短期で貸して、今度は長期でもって探鉱、資源ということになれば貸さなければならない。これは、どうもそういうことはいままでの外為制度からまずい。いまの円価との関係もあるし、金融政策上いまのところは四億ドルぐらいだということになりそうでありますが、この程度なら千四百億円ぐらいだからたいしたことはない、どんどんふえちゃったら金融引き締め制度ができなくなるのじゃないか、こういうふうな懸念も大蔵省にはあると思うのです。それから財政投資のたてまえ上からいってもまずい。たとえば、ドルの切り下げでもって為替リスクを負わなければならぬということになるのじゃないか、こういうようなことは大蔵省としてはたてまえ上できない、こういう主張をおそらくされておるのだろうと思うのです。それに、探鉱というものは相当なリスクを負わなければならぬのだ、担保能力は一体どうなるんだというような懸念もあると思うのです。
いろんなことを言えば切りがございません。しかし、民間でやれるかということになると、非常にリスクがあるからこそ、これは政府が保証しなければどこも手が出ないのだというような政治的な判断というものが非常に重要じゃないかと私は思うのです。
それから金融政策上は、日銀のほうではいろいろなことを言っておるかもしれませんが、操作上オペ操作ができるわけですね、幾らでも。探鉱のほうで金が出たからそのほうの操作ができないのだということではないわけなんで、幾らでもやりようによっては方法がある。新しい制度を入れるということについては、大蔵省としては相当な障害があろうとは思います。思いますが、ここで思い切った勇断をふるってこの壁を突き破らない限りは、長期の展望に立った日本の経済は一体どうなる、こういう信念の上に立って、この外貨貸し制度は、来年度の予算、これらに向かって何らか突破口を開いていく、早急に解決をはからなければならぬ重大な問題である。極端な言い方をすれば、国の安危にかかわる問題である。この程度まで考えて、実力者、総裁候補の田中さんとして、何とかこれは実現してもらいたい。勇断をもって大蔵省と交渉して、突破口を開き、この解決の活路を見出してもらいたい、こういうことをお願いしたいのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/27
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028・田中角榮
○田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、外貨の直接貸しというものは異例なものではなく、外貨は直接使えるような状態にしなければならないという通産大臣としての立場もございますが、そう私は七月からずっとやっておるわけであります。先ほども八項目の中の一つのポイントである、七項目できても八項目目ができておらないわけでございますし、さらに、この八項目全部やりますと国の内外にそう言っておるわけでございますし、私もあなたがいま述べたように、この外貨の直接貸し、直接運用はどうしてももう避けがたい状態であるし、これはやらなければいかぬと思っておりますから、私も財政当局と、また日銀当局とも十分意思の疎通をはかり、意見調整を行なって、実現をするように最善の努力をいたします。これは業界としては、もうこれなくしてはというぐらいに非常に要求をしておるものでございますから、これは何とかそうせざるを得ない。特にアメリカの民間資本が非常に巨大である。今度はOPECとかCIPECという新しいいろいろなものができておりますが、こういうものに対して、いまの制度でがんじがらめになっておっては、なかなか商活動もできがたいという問題もありますので、七月からの懸案のものでありますから、実現に努力を続けてまいろう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/28
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029・石川次夫
○石川委員 まあ非常な決意の表明がありましたので、私はこれで質問を終わりますが、この外貨貸しの問題と、経済協力の問題と、資源の問題、この問題については、いずれまたゆっくりお話をする機会を持ちたいと思っております。いまの石油開発公団ができてもほとんど機能を発揮できないような状態で、全部ほかにいいものを取られてしまう、頭金ぐらいぽんと出せるぐらいの力を持たなければしょうがないじゃないか。これは国民だれしもが常識的に考えることだと思います。そういうことでありますので、石油だけに限っても、一メージャーの三分の一程度が、日本の全部の十八プロジェクトを合わせた一年間の探鉱費だというようなていたらくでは、経済大国なんという名前にはとても値しない、こういう感じもしないわけではございません。いろいろな困難な事情はございましょうけれども、ぜひこれは何としても実現をする、こういう決意で臨んでいただきたいことを強くお願いいたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/29
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030・鴨田宗一
○鴨田委員長 中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/30
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031・中村重光
○中村(重)委員 私どももこの法律案の重要性にかんがみまして、審議を尽くしてまいりました。大臣は沖繩関係の委員会にほとんど出席でして、大臣の御意見を十分伺うことができないことはたいへん残念でありますけれども、この後、機会を見ましてさらに内容的に——法律案の内容ということも、運用の問題も、私は非常に大事だと思います。したがいまして、法律案の運用の問題とあわせて、後日大臣の御意見もひとつ伺ってみたい。きょう十二時五十分ぐらいには、この法律案を採決までに持っていくように協力をいたしたい、実はこう考えておるわけです。
私どもも、配付いただきました「資源問題の展望」ということを中心にしまして、これとの関連がありますので実はお尋ねしたかったわけですが、何しろもう時間がございません。ただ、法律案の提案の理由として、「輸出信用供与方式の多様化及び鉱物資源の安定的な輸入を確保することの重要性にかんがみ、」「輸出保険制度の改善を図る必要がある。」このように説明をしているわけです。御承知のとおり、世界の経済は構造的にも変化を来たしているわけです。なかんずく、資源問題というものは、わが国の置かれておる国際環境というものは大きく変化をしておると思うわけです。そこで、その資源のほとんどを海外に依存をしておるわが国といたしまして、新時代に対応する資源政策ということになりましょうか、大臣の構想がおありでしたら、この際端的にひとつ伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/31
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032・田中角榮
○田中国務大臣 いま御指摘がございましたとおり、日本は宿命的な状態、それはほとんどの原材料を海外から輸入しなければならない、そしてその輸入したものに国民的英知を加えて製品となし、これを輸出する、いわゆる貿易立国、これが明治初年から百年の今日、その力によって日本の国民総生産も国民所得も拡大をしてまいりました。特に、第二次大戦後四分の一世紀の短い間に今日の日本を築き得たことは、もう申すまでもなく、いまの貿易政策を進めることによって今日までになったわけでございます。これからまた、日本の社会保障制度やそういうものを充実させながら、国民生活を拡大、充実せしめていくにも、やはりこのような政策を続けなければならないことは申すまでもないわけでございます。
そういたしますと、先ほど石川さん御指摘になりましたように、七〇年代になると自由世界の石油に関しては三分の一近いものを搬入しなければならない。鉄鉱石にしろ、マンガンにしろ、あらゆる原材料を日本に搬入するということ、これはたいへんなことでございます。こういう意味で、重化学中心の工業から、同じ原材料を使っても付加価値の高いものをつくるような知識集約的な産業に何とか転換をしなければなりません。言い方から考えると、だれが考えてもそうだと思います。しかし、そうであっても、そこまで行く間には、そう極端に変わるわけはありませんので、相当な原材料を搬入しなければならない、こういうことでございます。
そこで、石油とか鉱物資源に対しては、いままでのような状態ではなかなか確保できないということがございます。それは一つには、アメリカのように、民間の一つの会社だけでも日本の石油公団の何倍も大きな投資を間髪を入れずできるというような、そういう体制に対応しなければならないということが一つございます。
もう一つは、OPECやCIPECのように、いままでは提供して、日本が原材料を買ってくれたことに喜びを感じておったのが、今度は、この原材料を持っていくために、日本が、われわれが受けるよりもはるかに大きな恩恵を受け、経済的利益を受けているじゃないか、その何分の一かを還元しなければならないという要求がございます。一方的な要求があるわけでございますが、これに対応していかなければなりません。私は日加経済閣僚会議に参りましたときに、カナダにとって日本は最大のお得意さまじゃないかということに対して、お得意さまでございますが、どうも原材料はみな日本に運んでいくよりも、その原材料をカナダの地元で二次製品にして、それを五〇%日本が買ってくれないか、買ってくれなければ立法措置をしようと思っています、こういうことでございまして、これはカナダだけではないわけでございますから、どうしてもそういうものに対応しなければいけない。今度はイランのように、石油とかいろいろなものを出すときには、石油化学やその他のものを——今度もパルプに対してもそうですが、関連する企業を現地に投資しなければならない、現地もその恩恵にあずかりたい、こういうもので、ワンセット投資を前提にされております。ワンセット投資が前提でないと石油の権利もやらない、こういうことでなかなかむずかしくなっております。
そういう意味で、いままでのように、外貨貸しはしないとか、それからワンセットといっても、輸銀の対象はそのものずばりの局限されたものだけが輸銀の対象であって、付随するものは輸銀の投資対象ではないとか、それからサプライヤーズクレジットでなければ保険の対象にならないということでは、もうとてもどうにもならないわけでございます。そういう意味で、いま石川さんが言ったように、外貨貸しそのものはもう当然のことであるというような問題、これは戦前、日銀が横浜正金銀行に対して無利息の金を無制限に出したという歴史もあるのでございますから、私自身も、そこまでは要求しなくても、やはり国際的な情勢に対応できる輸出国日本の体制をつくらなければいかぬ、こういうことを考えておりまして、いまの制度は、確かに一つには統制的なもの、これは日本で特有な行政指導などという、法律以上に非常に強力なものがあるといって先進工業国の各国も指摘をされておりますが、いままでの制度と運用が、確かに今日の日本を二十五年の間につくり上げた効果はあったと思うのです。
ところが、いまのような制度や制限のもとでは、とても大きなものに対応できません。この間アメリカが、鉱物資源の開発などでは、外国間で何カ国か共同してやろうということをいっておりましたし、これはいまでも日本の内地でも、官需工事の大きいものはみんな何社かで共同してやっておるわけでございます。そういうときにはいまの日本の現行制度では対応できないという状態でございますので、あらゆる角度からいまの制度にメスを入れて、新しい事態に対応できるもの、これこそ口で言ったのではなく、真に開放経済に対応できる制度をつくらなければいかぬ。その一つがいまの保険制度であって、この保険だけでは——これは保険の対象を拡大しようということでございますが、今度IMFや世銀等で、ひとつ国際的な大規模資源開発の問題などに対しては、石油もそうでございますけれども、多国間で国際的保険制度をつくってはどうか、通産省は必ずしもいま全面的に賛成をしておりませんが、これもやはり前向きで調整しなければならない問題だ、こう考えておるわけでございまして、これから、非常にテンポの早い国際情勢にマッチする政策を一つずつ実行してまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/32
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033・中村重光
○中村(重)委員 いま大臣の構想ということを端的に伺ったわけですが、御意見の中に多国間でもってというような考え方等々、まあこれは固まったものではないでしょうけれども、そういったような意見もあるということ、私もそれはごもっともだと思うのですよ。どうしても資源保有国というのは発展途上国だ。私どもは、石油にいたしましても、ただいま同僚石川委員からも御意見が出ておりましたように、いわゆる三〇%の資源を確保して、そのことを私どもはいままで——これは政府がもちろんいうたことばですけれども、自主開発というた、ところが、この自主開発ということばが非常に誤解を招きやすいのです。資源保有国であるところの発展途上国のナショナリズムを刺激する。
そこで、この鉱山石炭局が発行いたしました「資源問題の展望」の中に「開発参加」というようなことばがあるわけですね。一つの方法としてこれは出ておる。さて、それならば実際問題としてどういう形でやっていくのであろうかというようなことが、問題として私は非常に重要だと実は思うわけです。いままでの日本の経済協力の進め方というものに対して政府の姿勢も問題であったでしょうし、また、海外に進出をしておるところの企業の態度といったようなもの等々から、非常に誤解を受ける。そこでエコノミックアニマルであるとか、あるいは日本には軍国主義が復活をしているんだというようなさまざまな指摘を受けている、こう思うのです。
いずれにいたしましても、日本であるとか、あるいは西ドイツであるとか、そういった後発先進国に対しては、なかんずく日本に対しましてはきびしい条件が課せられる。それを課することに対しておそらく辞さないだろう、こう私は思うわけです。
そこで、これからの資源開発の体制はどういう方向に移行するというように大臣はお考えになっておられるのか。ただいま私が申し上げましたようなこと等々に対しての対応策というものは、ではどうすればよろしいのかというような点について、ひとつ簡潔にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/33
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034・田中角榮
○田中国務大臣 日本は、経済協力という問題に対しては二つ、三つの面から考えていかなければならないと思います。
まあ六〇年代は東西のバランスをとる時代であった、七〇年代は南北のバランスをとるということをいわれております。これは、東西と南北が、両方がバランスがとれれば地球上に永久的な平和がくる、こういうことでございます。私は、やはりそういう考え方、これは正しいことであって、このためにはお互いが、応分の協力などということではなく、ほんとうに積極的な協力をしていかなければならない。その意味でやはり持てる国と持たざる国が存地する限りにおいては、争いが起こるのはあたりまえでございまして、そういう意味で、南北問題が地球上の七〇年代の最大の問題である、私もそう思います。そういう意味で、DACでいろいろな調整をやっておるわけでございますが、特にDACの後進国援助の基準数字ぐらいまではどうしても、これは当然日本も援助比を上げていかなければならぬ。これは申すまでもなく国民総生産の一%ということでございますから、これはもう当然のことだと思います。
それからもう一つは、日本の持つ特性、これは、日本には原材料はほとんどない。輸出をするものの原材料のほとんどを海外から仰がなければならないというと、先ほど申し上げたように、自分たちの国から運び出して、彼らは自分たちよりもはるかなスピードで物持ちの国になっておって、そして高い生活を享受しているということは、非常にある意味においては反発を買っておるわけでございます。だからOPECのように、ではもう原油の売り渡し価格を定期的に上げるんだということも起こってまいりますし、それだけではなく、もう売らないんだということも起こってまいります。私は、カナダへ行ってまいりましたときには、売らないんだといって売らなかったらどうするんだ、こう言ったら、売らないんじゃないんです、それはちゃんとこちらの条件に合うようにして買えば売るんですと。それはどういうことかというと、カナダから持っていってあなた方が受けられる利益というものを、折半とは言わぬが、その利益を還元するということが前提であれば、それはもちろん宝の持ちぐされでは困るんだから売ります、こういうことでありまして、日本はやはりいままでは原材料を得るためには仲よくしておかなければいかぬから、仲よくするためには投資をしなければいかぬというような感じだったものが、そうではなく、やはり原材料を日本に売ってもらって、日本がそれによって経済を拡大していく、その利益の相当部分をやはり還元する、そういうような立場からの後進国援助。ですから、まあ、DACの後進国援助比率プラス日本の特性部分というぐらいのことを考えて実行していかないと、いま、はっきり申し上げてアメリカという個人資本が非常に現地から反発を受けておりますので、日本はその陰に隠れておるようになっておりますが、やはり日本がアメリカにかわるような大きな資源搬入国になるときには、これはもう、いまアメリカの個人企業、投資家に向けられておるような感情が日本にもろにかぶってくるということは、私は避けがたいことだと思う。そういう意味でも、南北問題の中における後進国援助、それは日本の長期的利益を守るためには、これは当然だというふうにも考えておるわけであります。
それで、私は七月からイランに対してワンセット投資を認めたわけでございます。ワンセット石油投資を認めて、その後パルプとか、またワンセット投資を認めることはどうかという意見もありますが、それはやはりそういうことをしないとほんとうに援助にはならないんだということでやっておりますし、いまペルーの銅鉱山の開発問題もございますし、その他、アフリカなどは、とにかくこれから長期的な、その国の産業形態を全部日本にまかすから、そういう計画のもとで日本も鉱物資源の開発をやってくれという例もございます。だんだんとやはりこのワンセットというのは——ワンパッケージということをこの間コナリー・アメリカ財務長官が言いましたが、海外投資もやはりワンパッケージになってくることは避けがたい。だから、日本の対応する政策もそうでなければならない。ですから、輸銀とか海外経済協力基金とか、そういうものだけではなく、今度、鉄道をつくるものとか港湾をつくるものとか、いろんなものまで全部一つでできるような制度をつくらなければいかぬ。その中にはいまの外貨の直接貸しも当然入ってくる。もうそれがなくてはワンパッケージ政策というのは進めていけない。シベリア開発というのを一つテーマにしますと、いままでの制度では全く消化できない、こういう面がございますので、通産省もそれに対応するような制度改正——制度の改正というよりも制度の整備ということを考えてまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/34
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035・中村重光
○中村(重)委員 時間がありません。したがいまして、法律案の中身についてお尋ねをする以外にはないわけですが、それでいま大臣からのペルーの銅山開発に対してミッションを送るということについて、政府も努力をされてこれは実現を見た。政府の方針としても従来東南アジア中心の経済協力あるいは資源開発、もちろんこれは経済協力の一環として、いま構想で明らかにされたような方向で進めることになるのです。
そこで、アジア貿易開発協会というのが実はできている。これは新日鉄の会長である永野さんが会長になっているのですが、私はこの点は中身について非常に問題を感じていますが、きょうは触れません。ただ、この定款には東南アジアだけではなくて、中南米等も対象になる形に実はなっているのですよ。ジェトロにトンネルみたいな形で予算を計上して、実際はこの協会を通じていろいろ進出企業に、しかも三十年の無利子でもってこの合理化資金ということで使わせる。短期の輸入促進資金というのも、これは年率二%なんですけれども、これもあるわけです。ですけれども、いま大臣がおっしゃったように、これからはアジアだけではなくて、アフリカあるいは中南米、そういった広域的な資源開発、海外経済協力を進めていかなければならないということになるであろう、こう思いますから、このことは大臣初めてお聞きになったと思いますので、私は財政法上の問題があると思っておりますが、このことも研究をしていただきたい。これは私は予算委員会で指摘をしておるところです。もっと合法的な対策が何か考えられないものか。考えられなければならぬと実は思うのです。いつも私が言っておりますように、海外経済協力基金が経済企画庁所管である、それから輸出入銀行は大蔵省の所管である、実際の実務は通産省がやっている、そこなんです。これは実際、実施庁である通産省が中心となってこれらのものは所管をしなければならないのではないか。そうなってないところに、こういった問題になるようなことも非常に無理をしてやっているということであろうと思いますから、この点は大臣も十分研究をして、問題にならないような形で、しかも名称にいたしましてもアジア貿易開発協会というのではなくて、これは全体的な形で、名称もいわゆる名実ともに合法化していくようにしなければならぬ、こう思いますが、このことに対しまして大臣からきょうはお答えをいただきません。また御答弁によって中身に入っていきますと、これだけで時間をとったらたいへんですから、いま私が申し上げたことを十分ひとつ念頭に置いておいて、研究をしていただく。そして適正な対策をひとつ打ち出していただきたい。そのことを要請いたしておきたいと思います。
それでは、貿振局長にこのバイヤーズクレジットの点についてお尋ねをいたしますが、この供与を要請された事例というのはどれくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/35
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036・外山弘
○外山政府委員 バイヤーズクレジットにつきましては、従来からこの制度改正をするためにいろいろ実情の調査をしてまいりましたが、四十三年から四十五年の三カ年間にわが国の銀行、商社に寄せられましたバイヤーズクレジットの要請は八十九件、二十億五千万ドルにのぼっております。従来から保険の対象にならないというところから、実際に供与した例は五件程度にとどまっておりますが、そういうふうな実情にあったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/36
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037・中村重光
○中村(重)委員 はしょって質問してまいりますが、バイヤーズクレジットの供与に対する外国為替管理令の規制の実情というのをお聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/37
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038・外山弘
○外山政府委員 先ほどのように、要請例はたくさんございますけれども保険が付保されてないというようなことから、従来実際上大蔵省が外為令でバイヤーズクレジットとして許可した件数は五件程度にとどまっております。それは輸出入銀行が世銀と協調して行なったわずかの例にとどまっているかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/38
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039・中村重光
○中村(重)委員 先ほど石川委員からもお尋ねをしておりましたが、バイヤーズクレジットの許可基準というのが明確ではないわけですね。この基準はやはり明確にされる必要がある。
それから、ただいまお尋ねをいたしました外国為替管理令によるところの規制ということについても、この制度の運用と相まってこれをどうするかということについてはもっとはっきりした方針をお打ち出しにならなければ、私どもといたしましてもこれを審議していく上について、どうなっていくのだろうか、これは一つの障害なんだがというような感じもいたしますので、このこともあわせてお答えをいただいておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/39
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040・外山弘
○外山政府委員 バイヤーズクレジットの運用につきましては、まず法的に申しまして、バイヤーズクレジットの許可は外国為替管理令に基づきまして大蔵大臣が許可をするわけでございます。その許可された件が私どもの輸出保険の対象となる、今回の改正が実現を見た場合そういう取り運びになるわけでございます。したがいまして、外為令の許可基準と保険の引き受け基準と両方がなければ運用ができないわけでありますが、実はサプライヤーズクレジットにつきましても、輸出承認というものと輸出代金保険の引き受けということは表裏相伴って運用しているわけでございまして、実際問題としまして、大蔵省のほうの為替管理令の基準につきましてはまだ具体的なものを私どもは承知しておりませんけれども、私どもは、先ほど石川委員に四点ばかり申し上げましたようなバイヤーズクレジットの保険の引き受け基準、そういったものをよく御相談申し上げまして、両省間にまたがる問題ではございますが、両方がそう食い違いのないように十分運用してまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/40
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041・中村重光
○中村(重)委員 輸出代金保険の対象となる設備基準というのがあるわけですが、このバイヤーズクレジットの対象となることにおいてこれが変更されるということがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/41
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042・外山弘
○外山政府委員 原則的には同じだろうと思いますが、バイヤーズクレジットの場合は先ほど申しましたようにもっと大型なものになる。したがいまして、内容的にはいろいろな、もっと付随した技術の問題とかシステム的な輸出になるようなものが多くなる、総合的なプラントが多くなるというふうな感じがいたします。しかし、輸出代金保険の対象としております現在の考え方の範囲で行なえると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/42
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043・中村重光
○中村(重)委員 先般の同僚委員の質問に対して、バイヤーズクレジットの供与は先進諸国がこれを実施しているということを理由の一つとしてあなたはお答えになった。ところがあなたのほうのお配りいただきました資料を見てみますと、これは資料の理解のしかたが違っているのかもしれませんけれども、アメリカとか西ドイツ、イタリア等は供与実績というのが減少の傾向にある。それからサプライヤーズクレジットにいたしましても、イギリスを除きますとこれは増加をしている。この違いはどういうことなのだろうかという疑問を実は持つのですが、あなたが積極的に、よその国もこれを実施している、こういう要請もあるのだということを特に強調されたことと、このお配りいただいた資料との食い違いが明らかではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/43
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044・外山弘
○外山政府委員 いま私の手元にあります資料をお配りしたのかと存じますが、これによりますと、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリア、全部バイヤーズクレジットという制度がございます。それから、アメリカにつきましては御指摘のように、六七年に比べますと一九七〇年は若干落ちております。しかし、イギリスは一九六七年に比べますとこれがふえております。それから西ドイツにつきましてもほとんど横ばいでございますし、フランスは一九六九年が最高でございますが、七〇年の数字は六七年に比べますと圧倒的に高うございます。それからイタリアにつきましては六九年が高いということでございます。なお、バイヤーズクレジットとサプライヤーズクレジットとのバランスも、この数字の示すとおりでございます。
こういうふうな傾向にございますのは、やはりバイヤーズクレジットというものがもうどこの国にも定着した制度になっておりますので、特に私どももその点についての深い勉強を、問い合わせた上でしたわけではございませんけれども、サプライヤーズクレジットもバイヤーズクレジットも同じような考え方で運用しているようでございます。つまり、プラント輸出の形態といたしましてその区別したかっこうをとっていない。相手の商慣行等から見てバイヤーズクレジットのほうがいい場合、あるいは大型のプロジェクトでバイヤーズクレジットのほうがなじむ場合、そういう場合にそういった運用をしているわけでございますが、特にこれが減少したり上昇したり、それぞれしておりますものですから、私も現在のところ、それぞれの国においての事情というものをつまびらかにしていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/44
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045・中村重光
○中村(重)委員 非常に強調されただけに、私どもも、相当各国ともこれがふえていく傾向にあるんだろう、こう見ておったところが、資料がそうではないというところに、はたしてこの保険制度を特に新設をしなければならぬ積極的な理由というものがあるであろうか。この新設をすることにおいての弊害というものも出てくるだけに、私どもも若干これは疑問を感じて、明確な納得のいくお答えが聞きたかった、こういうことでございます。
フル・ターンキー契約による輸出が、第五条の二第二項のカッコ書き「輸出貨物について生じた損失を除く。」、これの改正によって対象となるということを聞くのですが、この点はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/45
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046・外山弘
○外山政府委員 フル・ターンキー契約におきましては、第五条の二第二項におきまして、ただいま先生の御指摘のような趣旨を条文上に表現しているわけでございますが、従来の条文によりますと「輸出貨物について生じた損失を除く。」となっております。これを新しい条文では「仕向国における戦争、革命又は内乱により輸出貨物について生じた損失以外の輸出貨物について生じた損失を除く。」つまり相手国の陸地に入ってしまってから、相手国のそういった戦争等の非常危険、そういったものが起こった場合の危険についてもこれは対象となりますよという趣旨でございまして、従来の条文ですと、単なる民間の保険契約でもだめであるし、それからこの代金保険の運用でもだめであったものを、それをカッコ書きを加えることによりまして、たとえば現実に相手の陸地のほうに行ってしまった場合でも保険の対象になる、非常危険の範囲になるということをここでうたったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/46
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047・中村重光
○中村(重)委員 いま私がお尋ねしておる点は、私なりに非常に重要であるということを考えていることと、それから同僚委員の諸君がこれらの点についての質問をまだなされていないわけです。
そこで、所有権の移転というのは、現地での完成時になるわけですね。そこでこの「貨物を輸出した場合」という要件との関係はどうなるのかということが一点です。
それから第五条の二第二項第二号、いまあなたのお答えの中にも出てきたことばですが、「仕向国」というのを「外国」に改めているわけです。この理由はどういうことなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/47
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048・外山弘
○外山政府委員 「仕向国」を「外国」のほうに改めた点につきまして先に申し上げますと、これは実は従来は、スタートのときは輸出代金保険というふうな、要するに実際問題として金が現地に行くというふうな形式が頭になかったわけでございます。しかし実際に金が相手国に行くということになりますと、相手を「仕向国」というよりも「外国」といったほうが技術的に整とんされるというのが法制上の立場でございまして、これは全くそういった趣旨の、つまり輸出代金保険が整とんされるに従いましてこういうふうな改正を技術的にしただけでございまして、特に意味はございません。
それからもう一つ、通常のプラント輸出の場合には、船積みにおいて貨物の危険負担が移転するために、貨物について生じた損失については輸出保険のてん補の問題は起こらないわけでございます。今回の改正によりまして、仕向け国における戦争等による物損をてん補することとしたことは、船積みだけでは所有権及び危険負担の移転しない契約、いわゆるフル・ターンキー契約において、仕向け国において完成途上にあるプラント類の仕掛かり品が戦争等によりまして損害を受ける、それを輸出代金保険でてん補したい、そういうことを間接的に表現したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/48
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049・中村重光
○中村(重)委員 この輸出代金保険、それから普通輸出保険、それから海外投資保険、この保険に対する付保の申し込みが実はある。これは拒否する場合もあるのだろうと思うのですが、その拒否する場合はどういう場合なのかということ、それから付保の申し込みに対する引き受け及び拒否、それはどういう審査過程を経てこれを決定していくのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/49
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050・外山弘
○外山政府委員 輸出代金保険及び海外投資保険の引き受けの基準となる事項はすでに公表しております。したがいまして、通常各企業はこれに即して輸出の契約または海外投資の基本契約を締結して保険を申し込んでまいります。したがいまして、現実に申し込みを受けましたものがこれを拒否されるという事例はほとんどございません。
それから保険の引き受けにあたりましては、当該案件に対しまする危険度の判断のほか、対外取引の健全な発展というふうな観点から、関係の省内各課の意見を参考にしながら審査をしているわけでございますが、具体的な引き受けの判断基準といたしましては、輸出代金保険につきましては、当該輸出取引の信用条件とともに、相手国の政治経済情勢、とりわけ外貨事情といった点を主たる判断基準としているわけでございます。また海外投資保険につきましては、相手国の政治経済情勢あるいは投資の持つ相手国への影響の大きさというふうなことにかんがみまして、相手国の経済開発に寄与するということ、あるいは当該投資について相手国の政府とか業界等から特に反対がないというふうなこと、そういったことに重点を置きまして引き受け上の判断をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/50
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051・中村重光
○中村(重)委員 この付保の申し込みを拒否した事例はほとんどない、こうおっしゃった。これはまことにけっこうなんだけれども、ところが信用供与者の信用程度、この程度が低いということになってくると、これを拒否するという形になる可能性がないのかどうか。
それから海外の相手方、まあ中国であるとかあるいは北朝鮮であるとか、いろいろその国によってこれを差別するということが絶対に起こらないのか。
それから、いまあなたはそういう事例がないと言われたのですが、それは信用程度というものによって、あなたのほうはそういった信用程度ではだめですよというような形で、初めからこれを申し込ませないといったことが事実上運用の面において行なわれてきたのじゃないのか。私は、拒否した事例がないということがどうもおかしいような感じがするのです。これは国内の信用保険の問題だって同じなんだから、外国だけがそういう付保の申し込みを拒否した事例がないということはどうしてだろう。これはなければけっこうなんだけれども、ないということに若干疑問を感じますから、ひとつそこらあたりを明確にお答えをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/51
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052・外山弘
○外山政府委員 実際問題として、運用にあたりまして、御指摘のように信用供与者についての差別といったようなことは一切いたしておりません。
したがいまして、私先ほど申し上げたようなわけでございますけれども、何と申しましても、たとえば中小企業者等で、自分はあの基準にはまらないのではないかというふうな不安感で窓口に持ってこないというふうなケースもあるいはあるかもしれません。そういったことのないように、私どももそれぞれやはり窓口で十分親切に対応するようにしなければならないと思いますけれども、先ほどのように基準を公表して運用しております関係から、そういった意味で、実際に申し込んだけれども断わるというふうな事例はほとんどないわけでございます。ただ御指摘のような点につきましても今後十分考えまして、いやしくも公平さを欠くようなことであるとか、あるいは差別があるというふうなことのないように運用してまいりたい。今後とも引き続きやってまいりたい。
それから第二点の共産圏諸国等への引き受けにつきましても、これは自由圏諸国と全く同様の態度で、決済条件とか支払い条件あるいは相手国の外貨事情、いろいろな点を考えまして、公平に運用しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/52
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053・中村重光
○中村(重)委員 実は通産大臣、私が、今後法の運用の問題について十分ひとつ配慮していかれる必要があると思いますから後日適当な機会にお尋ねいたしましょうと申し上げたのは、これらの運用の問題点がいろいろ出てくるであろう、こう思うわけです。たとえば輸出保険の引き受け総件数は五十四万七千八百五十八件、四十五年度であるわけです。保険金額は三兆七千八十億円ということになっているのですが、これは概括的に見てわが国の輸出額のうちのどの程度のものが付保されているのかといった点等も実はお尋ねしたいわけですが、まだこれは直接この法律案の審議に影響がございません。この点はひとつ後日お尋ねをすることにいたしますが、プラント輸出及び海外投資の付保率というもの、大企業と中小企業に対する付保の比率がどうなっておるのかということを——実はこの制度が弊害ともいわれるもろ刃の剣という形になりまして、力の弱いものに悪く働くという結果が生じないという保証は実はないわけでありますから、ここらあたりは数字の面でひとつ明らかにしておいていただきたい。
それから、時間の関係上まとめて申し上げます。輸出代金保険及び海外投資保険、これはいまも申し上げましたように、その性格からして大企業がどうしても中心になるだろう、こう思います。これに片寄っていくということになりますけれども、しかしながら中小企業に対しましてもできるだけ新しい保険制度というものが有効に活用されるような施策が講じられていかなければならない。たとえば輸出保険に対しまして包括保険というようなものが、組合等つくった場合包括保険ということで全部この保険に入るということに実はなるわけでありますから、いろいろな集約化等々行なうことにおいて、これを中小企業というものに対しましても活用することが私は可能になってくるであろうと思います。ここらあたりの配慮というものを実はどのようにお考えになっておられるのかという点でございます。特に私がこう申し上げますと、バイヤーズクレジットであるとかあるいはフル・ターンキー契約あるいは融資買鉱——これは投資保険になるわけですが、融資買鉱、こういう契約が成立をいたしますと、同時にこの資金というものはもう早く流れていくわけです。その資金というものがメーカーあるいは商社のほうに入っていく。それでこれを活用するという形が出てくるわけです。他に活用するということだって起こってくるわけです。この保険制度というものができてまいりますとこれに拍車をかけるということになってまいりますから、大企業だけがこれで守られてきた。そのためのいわゆる圧迫というものが、弱い中小企業の上におおいかぶさってくるというような可能性というものも出てくることになってまいりますから、この運用は十分配慮してやってもらわなければならないということになってまいります。一応あなたから事務的にお答えをいただきまして、あとはひとつ大臣から、今後の運用の面についてどういう態度で臨むかということについてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/53
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054・外山弘
○外山政府委員 まず第一点の中小企業への付保率はどうなっておるかということでございますが、実は網羅的な調査はなかなかむずかしゅうございますが、一応輸出代金保険の債権残高に占めまする中小企業のウエートというのを調べてみますと、これはプラント輸出が中心になるわけでございますが、非常に少ない。四十六年三月末で、件数で申しまして全部で五千十一件ございます。そのうち中小企業は三十二件しかございません。それから海外投資保険につきましては四十五年度が百八件のうち約八件。しかし四十六年度になりまして、六十八件のうち十四件が中小企業の保険であるというふうなことになっであります。
これから見ましても、先ほど先生が御指摘のような問題もあるのではないかというふうな低い率でございますが、ただこれはやはり別にいろいろな事情もあるかと存じます。実際問題として輸出の中で中小企業の占めるウエートはかなり高いわけでございますが、こういった代金保険と投資保険だけで見てはよくわかりませんけれども、さらに引き続きまして、先ほどおっしゃったような問題があるかないかということを頭に置きまして、こういった調査につきましてもさらに努力をしてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
それから第二番目に、中小企業に対する保険上の配慮でございますが、私どもといたしましては、今回のバイヤーズクレジット等は、たとえば中小プラントの輸出には一応いままでよりは役立つのではないかというふうな点が指摘できるわけでございます。しかし、何と申しましても、融資買鉱にいたしましても、中小企業が海外に目を向けることがもっと容易になるように、そして資金能力の少ない点がもっと配慮されるように、こういう点が大事でございます。従来から中小企業の海外投資等につきましては、商工会議所等を通ずる委託あっせん事業あるいは海外投資の事前調査補助金というふうなかっこうでいろいろ補助はしておりますけれども、なお今後ともこういう点に配慮を加えまして、情報の収集とか判断の的確さに資するような環境を中小企業に対しても手厚くしてまいりたいし、保険の運用にあたりましても先ほど御指摘の点がないように十分気をつけて、公平にかつ弾力的に運用してまいりたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/54
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055・田中角榮
○田中国務大臣 基本的な運用方針につきましては貿振局長から述べたとおりでございます。この制度が中小企業にあまねく恩恵が渡らないようでは困るのであって、こういうものが中小企業の中企業への、大企業への、だんだん大きくなっていく一つの手助けにこそなっていいのでございまして、中小企業が信用度が少ないからとか、そういうことで大企業にウエートを置かれるようであってはこの制度は非常にマイナスが多いと思いますので、そういう面を十分考えながら適切なる運用を基本としてまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/55
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056・中村重光
○中村(重)委員 この付保の申し込みというものをできるだけ広く引き受けてくるためには、私は、石川委員も指摘をいたしておりましたように、海外信用状況の把握、調査、これが非常に大事だろうと思うのです。同時に、保険会計というものを強化していくということでなければならぬと私は思います。これは戦争であるとか動乱であるとかいったような危険保険ということだけじゃないわけです。信用保険という関係も実はあるわけですからね。いわゆるアメリカのドル・ショック、いろいろな外国の新しい経済政策、それから資源関係におきましては、開発途上国のどうしても資源の開発というものを国営でやっていこうというような方向、いろいろなことから影響を受けて、海外におけるところの法人の倒産というようなことだって起こってくる。それは海外の法人というものは日本と直接関係はないのだ。形の上ではありませんけれども、実質的には実はあるわけです。それらの面から十分な調査というものもなされなければならないと実は思います。ところが現在の信用状況というのの把握は、外務省であるとかあるいはジェトロ、アジ研、こういうところからの情報や、特別に委託をしたところの海外の信用調査機関がやっておるにすぎない。だからして、この保険制度というものの重要度というものを認識されるならば、やはり通産省自体がこれに対する調査、情報収集ということにもっと積極的な取り組みがなされなければならぬ。そのためには機構上も十分検討をして、これを強化するという対策がなされなければならぬと思います。しかも保険会計の面から申しますと、支払い準備金といったようなものも不十分である。これももっとふやしていかなければならない。同時に、昭和四十二年に資本金は六十億であったわけです。これがそのままなんですよ、今日に至るまで。こういう制度をつくろうとするに対して、この六十億の資本金をふやそうというようなことが私は同時に出てこなければならぬと思う。それが出てきていない。どこまで政府はこの制度というものを熱意を持って運用していこうとお考えになっているのか、さっぱり私はわからぬということを申し上げざるを得ないわけなんです。だからして、こういう新しい制度というものをおつくりになるなら、よそがやっているからこれを自分のほうもやっていこうというようなそういうことではなくて、ほんとうにこの制度が有効に活用される、弾力的に運用されるということでなければならない。そのためには、私がいま指摘しましたような方向というものは当然もっと積極的な形で、いろいろないわゆる参考資料としてこういうことをやっていきます、予算の面におきましてはこうしたところの予算ということを、同時に答弁できるようなことでなければならないじゃないか。しかし、それはそうなっていないというところに、どこまで政府は熱意ありやと私は申し上げざるを得ないわけです。
この点に対しましてはひとつ大臣からお答えをいただきまして、時間が参りましたから、まだたくさんお尋ねしたいこともありますけれども、重要な点は一応触れましたのでこれで私の質問は終わりたいと思いますので、大臣のお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/56
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057・田中角榮
○田中国務大臣 輸出の新しい制度としましては、先ほどいろいろな問題に対して言及をいたしましたが、保険制度を拡充するということはこれは一つの大きな問題でございます。そういう意味で今度法律をお願いしておりまして、法律をお願いするときにはこういうものはみなやるべきである、これはそのとおりでございますが、これも法律で道を開く。そして四十七年度予算編成期にもなっておりますので、そういう面でこの内容を完備していくために努力をしてまいります。保険というのは、ほんとうにいままで保険会計の中で赤字が出なければそれでいいじゃないかというふうに、財政当局から見ると比較的に現状のままで、どうしても財政補てんを必要とするときに補てんをしましょうということで、機構の改革とか機能の拡大とかいうことに対しては確かに先進諸国の先例を見てということでございましたが、日本というのは特別な立場にございますから、そういう意味で日本が必要とする制度を完備するということでなければならぬことは御指摘のとおりだと思います。通産省、ひとつ事態に即応できるような制度完備に大いに努力をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/57
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058・鴨田宗一
○鴨田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/58
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059・鴨田宗一
○鴨田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、輸出保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/59
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060・鴨田宗一
○鴨田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/60
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061・鴨田宗一
○鴨田委員長 次に、本法律案に対し、武藤嘉文君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者から趣旨の説明を求めます。武藤嘉文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/61
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062・武藤嘉文
○武藤委員 自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、附帯決議案につきまして御説明申し上げます。
案文は、お手元に配付したとおりでありますので、朗読を省略いたします。
また、決議案の内容につきましては、すでに審議の過程において明らかにされておりますので、特に申し上げることを省かせていただきます。
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
—————————————
輸出保険法の一部を改正する法律案に対す
る附帯決議(案)
政府は、本法施行にあたり、海外経済協力の一層の拡充と輸出保険制度の適切な運営を図るため、次の点について十分留意すべきである。
一、海外投資について、発展途上国がその利益を十分享受しうるよう適切な配慮を行なうとともに、特に資源の開発輸入を目的とする海外投資については、発展途上国の立場を尊重し、直接借款、技術協力等との有機的連携を図ること。
二、輸出保険の引受けは、大企業に偏ることなく、公平から弾力的に行なうとともに、支払準備率の引上げ及び信用調査の拡充に努めること。
右決議する。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/62
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063・鴨田宗一
○鴨田委員長 以上で武藤嘉文君の趣旨の説明は終わりました。
直ちに採決いたします。
同趣旨に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/63
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064・鴨田宗一
○鴨田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。田中通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/64
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065・田中角榮
○田中国務大臣 ただいまの御決議の実現に対しましては最善の努力をいたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/65
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066・鴨田宗一
○鴨田委員長 おはかりいたします。
本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/66
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067・鴨田宗一
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よってさようきまりました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/67
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068・鴨田宗一
○鴨田委員長 次回は、来たる十七日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704461X01319711214/68
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